1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年四月三日(水曜日)
午前十一時三十六分開議
出席委員
委員長 門司 亮君
理事 亀山 孝一君 理事 鈴木 直人君
理事 永田 亮一君 理事 吉田 重延君
理事 中井徳次郎君
青木 正君 唐澤 俊樹君
川崎末五郎君 纐纈 彌三君
丹羽 兵助君 早川 崇君
古井 喜實君 今村 等君
加賀田 進君 北山 愛郎君
三宅 正一君
出席政府委員
自治政務次官 加藤 精三君
総理府事務官
(自治庁財政部
長) 小林與三次君
総理府事務官
(自治庁税務部
長) 奥野 誠亮君
委員外の出席者
総理府事務官
(自治庁財政部
財政課長) 柴田 護君
大蔵事務官(主
税局税関部長) 山下 武利君
専 門 員 円地与四松君
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本日の会議に付した案件
特別とん譲与税法案(内閣提出第三四号)
地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の
一部を改正する法律案(内閣提出第一〇七号)
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001・門司亮
○門司委員長 これより会議を開きます。
特別とん譲与税法案及び地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたしまして質疑を行います。きょうは自治庁関係のほかに大蔵省の山下税関部長がおいでになっておりますので、一つ御了承願っておきたいと思います。質疑の通告がございますのでこれを許します。北山君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/1
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002・北山愛郎
○北山委員 この特別とん譲与税、とん税を地方に譲与するという法案でありますが、これはこの説明書によりますと、外航船舶の固定資産税を従来の三分の一から六分の一に下げる。そのために地方団体の財政収入に欠陥を生ずるから、その分を特別とん譲与税で埋める、こういう趣旨のようでございます。一体なぜ固定資産税を一方においては引き下げて、一方においてはとん税でもってこれを補うというような、デリケートな芸のこまかい措置をどうしてとらなければならぬか、そういう趣旨について一つ御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/2
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003・奥野誠亮
○奥野政府委員 船舶に対しまする固定資産税は国によって非常に区々になっておるわけでございます。わが国におきましてはもとより固定資産税の対象にしておるものでございますので、外航船舶にありましては国際競争の面におきまして相当なマイナスの負担を背負っておるということになっておるわけでございます。そういうようなことから、先年その負担を軽減する措置をとったわけでございますけれども、なお実態から考えますと、さらに軽減措置を講じまして、国際競争力をつちかっていくという必要があるのではなかろうかと考えられておったわけであります。しかしながら固定資産税を軽減いたしますと、外航船舶の入港いたしまする市町村の税収入がそれだけ減って参るわけになりますので、なかなか思い切った措潰をとりがたかったわけでございます。しかしながらとん税につきまして譲与をするという考え方もございましたので、外航船舶に対する固定資産税を軽減する穴埋めをとん税収入によって埋められるならば、固定資産税につきまして今申し上げましたような措置もとりやすいというようなところから、今回の改正措置が講ぜられることになったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/3
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004・北山愛郎
○北山委員 そうすると、結果として船会社という立場から見れば、どのくらいのプラスになり、どのくらいのマイナスになるか、船会社の方の立場から見てどうなるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/4
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005・奥野誠亮
○奥野政府委員 船会社が固定資産税ととん税とを現行制度によりましては十一億七千百万円負担することになるわけでありますが、改正案によりますと、固定資産税としては四億九千九百万円でありまして、五億二千五百万円減って参ります。反面とん税は二億三千五百万円となり、八千八百万円の増となるが、特別とん税として新たに二億九千三百万円負担することになるわけでありまして、差し引きいたしますと一億四千四百万円の軽減になっております。これはわが国の船会社であります。もとより外国船主の負担は、とん税、特別とん税のふえた分だけ多くなるということになって参ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/5
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006・北山愛郎
○北山委員 そうすると、今まで日本の船会社が負担しておったものを、一部今度のとん税によって外国船舶の分に振りかえてカバーをするという結果になるようであります。そこで、いわゆる外国貿易に従事する船、その他開港の問題、そういう問題は私は少しもわかりませんので、一体ここにある開港所在市町村、こういうとん税に関係のある市町村というのはどのくらいあるものか、開港というのはどの程度になっておるのか、これを一つお知らせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/6
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007・奥野誠亮
○奥野政府委員 開港の数は六十六ございます。開港所在の市町村の数は、八十六市町村となる予定であります。ただ、港湾区域のいずれかが地先水面になっているという市町村まで全部拾って参りますと、百四になるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/7
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008・北山愛郎
○北山委員 そうすると、先ほど収入の見込み額をお話になりましたが、それは従来の実績というようなものを基礎にしておると思うのですが、一体この開港に入ってくるトン数、こういうものは外国船と日本船で、どういうふうな数字になっておりますか、これをお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/8
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009・奥野誠亮
○奥野政府委員 外国船と日本船と大体同数というふうに見込まれております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/9
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010・北山愛郎
○北山委員 それから外国の例ですが、とん税というものは外国ではどういうようになっておるのですか、これをお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/10
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011・山下武利
○山下説明員 とん税と申しますのは、外国貿易船が開港に入りました際に課します一種の流通税であります。世界各国とも同じような法制を持っておるようであります。わが国は今までトン五円という税率でありましたが、これは世界各国に比較しますと、非常に安いのであります。たとえば、アメリカは各国の中でも比較的安い方でありますが、それでもトン六セント、つまり日本の金にいたしますと二十一円何がしということになります。それから、たとえばイタリアあたりでは四十六円程度、フランスでは、これは国税と地方税と両方でありますが、両方合計いたしまして大体トン七十円程度というようなことになっております。そのほか各国の例がありますが、いずれも日本のとん税の税率よりは相当高くなっておるというふうに御承知を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/11
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012・北山愛郎
○北山委員 それから市町村と税関の区域といいますか、開港の所在市町村が二つ以上ある場合の配分ですね、それについてはたしか総理府令できめるというのですが、大体どういうような基準で配分をするようにお考えになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/12
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013・奥野誠亮
○奥野政府委員 二つ以上の市町村にまたがる場合におきましても、税関の支所でありますとか、あるいは出張所などによりまして、区域の明確でありますものは、それぞれの所管の機関の徴収額によって譲与して参りたいというふうに考えております。そういう区分も明確でありませんものにつきましては、港湾施設の利用状況でありますとか、あるいはそれぞれの港湾施設の市町村に帰属しております状況でありますとか、そういうものを基礎にいたしまして、関係の市町村で協議させたい、協議させた基準を基礎にして按分をしていきたいというふうに考えております。協議がととのいません場合には、今申し上げましたような状況を基礎にいたしまして、自治庁の方で按分率を定めざるを得ないというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/13
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014・北山愛郎
○北山委員 特別とん税の問題は大体以上でいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/14
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015・加賀田進
○加賀田委員 特別とん税の問題に対してちょっと関連質問をいたしたいと思います。これは親法案が大蔵委員会で決定して、地方行政委員会としては譲与される方ですから、あまり異議はないと思いますが、ただここで問題になるのは、外航船舶に対しましては固定資産税が大体半分になるということで、地方財政を援助する意味において、それをカバーするというので特別とん譲与税が出てきたと思うのであります。内航船舶に対しては特にそういう措置かないと同時に、開港市町村の財政問題だけじゃなくて、内航船舶というのは、日本の周辺の各開港に次々と移動して歩く性格を持っておると思います。そういう意味では、この特別とん譲与税の新設に対しましては、大きな影響を持つものを持っておるわけであります。その点提案者としてどうお考えになっているか、お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/15
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016・奥野誠亮
○奥野政府委員 外航船舶に対しまする固定資産税の軽減につき、それに伴いまする関係市町村の税収入の減少につきましては、特別とん譲与税によって補てんされるわけであります。御指摘の内航船舶につきましても、軽減措置を講じておるわけであります。関係市町村の税収入の減少につきましては、直ちにそれと見合った補てん措置は講じていないわけであります。その意味におきまして、関係の市町村の財政に及ぼす影響につきましては、政府としても慎重な配慮をしていかなければならないと思っております。その場合に、特別とん譲与税で補てんをするということには税の性格上無理があると考えておるわけであります。しかもまた直ちにそれに見合った他に適当な補てん財源ということも考えられないわけでございますので、全体の地方税なり、地方交付税なりの制度によって、その団体の財政運営に悪影響を与えないように配慮をしていかなければならぬというふうに思っております。そういう意味におきましては、一応激変を緩和するという意味において、制度改正の結果、税収入に相当な減収を来たしてくるというものについては、経過的に特別交付税の配分をそれに応じて考えなければならないというふうに、われわれ事務当局の間ではお互いに相談をしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/16
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017・加賀田進
○加賀田委員 地方団体の財源の裏づけは、今お伺いした通り、基準財政需要額と特別譲与税に対して経過措置としてやっていく。今度は逆に内航船舶を持っている船会社の立場に立てば、いわゆる固定資産税の軽減と、入港したつど特別とん税をとられるということで、かえって内航船舶を多く持った船会社の方が、固定資産税の軽減と特別とん税が新設されたという収支のバランスが破られるのではないかと思うのですが、そういう点は外航船舶と比較してどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/17
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018・奥野誠亮
○奥野政府委員 もちろん御承知の通り、内航船舶につきましては固定資産税を軽減しているだけてありまして、とん税の負担はないわけであります。とん税、特別とん税も合せまして外国貿易船だけが負担する、そういう意味におきまして、内航船舶は全体においては負担が軽減することになるのでありまして、増加することはあり得ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/18
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019・亀山孝一
○亀山委員 どうも私どもの感じからいえば、とん税と特別とん税の全額を、いっそのこと市町村に全部譲与するというのがあっさりして、また筋が立つような気がするのですが、それに対する御所見を両方からお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/19
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020・奥野誠亮
○奥野政府委員 御指摘のように、せっかくとん税として徴収したものを町村に譲与するのだからむしろ全額譲与した方が筋が立つではないかと言われることは、私もごもっともな点だと思います。ただ今回考えました措置は、外航船舶に対する固定資産税を軽減したい、そうしますと関係市町村が税収入の減少で困るものでありますから、その補てんを考慮する意味においてとん税の一部を市町村に譲与するということになったわけでございますので、そういう経緯から考えますと、現在のようにトン当り十円程度のとん税収入相当分を市町村に譲与することでやむを得ないというふうに思うわけであります。将来市町村の財政を考慮してこの譲与税の額を引き上げていくということにつきましては、むしろ市町村にとっては望ましいことと思うのであります。しかしまた別途国の収入がそれだけ減っていくことでもございますので、大蔵省としてはまた別な考え方がおありだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/20
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021・山下武利
○山下説明員 とん税は先ほど申しましたように、世界的に見て非常に低い税率でありますので、それを適当な水準のレートに引き上げるということを前々から考慮しておったのであります。それでこのたび特別とん税と合せまして、十八円、これは世界的に見てもまだ比較的低い税率でありますが、その程度であれば国際的にあまり問題を起さずにいくのではないかということできめた水準でございます。ただそうしますと、日本の船主はそれだけ従来より負担がふえてくるということになりますので、それを軽減しますために、先ほど税務部長からもお話がありましたように、もともと問題のありました固定資産税を軽減するということによってそれをカバーする、一方固定資産税が減ることによって起って参りますところの市町村の収入減を、国が創設いたしましたとん税の一部を譲与するという形でもって、ちょうどそれが特別とん税十円というものを創設することによって埋まるということで考えた措置でございます。もとより港湾所在の市町村というものは、港湾がありますためにいろいろ経費がかかるということから、とん税を全部市町村に回してもらいたいという要望もあるということを伺っておる次第でございますが、今回の法案の起草の趣旨は、そういったことで特に固定資産税の軽減によって起ってくるところの市町村の財政の欠陥を穴埋めするということでやったことでございます。現在の港湾法の建前から申しますと、港湾管理者は港湾の維持運営に要する経費は、自費自弁でこれをまかなわなければならないということになっておりまして、国がとった税金でもってこれをカバーするということはできない建前になっております。また港湾の修築または建設に要しますいわゆる公共事業費は、法律の建前によりまして、法律の定める補助率でもって補助する、こういうことになっております。ただ港湾のために金が要るということのために特別とん税をそのまま譲与するということは、適当でないというように考えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/21
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022・亀山孝一
○亀山委員 ちょっとお伺いしたいのですが、外国の立法例では国税と地方税とのとり具合はどういうようになっているのですか。先ほどちょっと御説明もありましたが、私どもは国税のところよりむしろ地方税としてとん税をとっているところが多いのではないかと思うのですが、その立法例をちょっとお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/22
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023・山下武利
○山下説明員 外国の立法例は区々でありまして、国税の場合もあり地方税の場合もあり、あるいは両方の場合もあるということでございます。具体的に申しますとアメリカは、先ほどトン六セントと申しましたのは全部これは国税でございます。イタリー、エジプト、フィリピン、台湾あたりのところは全部国税でございます。地方税でとっておりますところはデンマーク、インド、ビルマ、ベルギー等でございます。国税と地方税と両方でとっておるところはフランス、カナダ等の例がございます。フランスの例で申しますと、国税がトン四十三円二十六銭、地方税が二十六円七十八銭、邦貨に換算いたしましてそうなっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/23
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024・亀山孝一
○亀山委員 今の立法例を伺うと、お話のように国税のみの場合と国税地方税併課の場合と、地方のみの場合があるようですが、こういうような立法例を見ましても、実際の港湾所在地の維持管理改善というようなものから見ますと、むしろ私どもは地方税にまとめて、つまり言いかえればとん税と特別とん税と一緒にしてしまって、これをその市町村に譲与すればいいかと思うのですが、ただ今お話のように、これが固定資産税の減免にからんできておるというようなことですけれども、それならなおさらこれを地方財源にする方が、一本にする方がよほど便利だと思いますがいかがでしょう。これは自治庁当局に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/24
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025・奥野誠亮
○奥野政府委員 とん税収入の一部を今回関係の市町村に譲与するという措置がとれるようになったわけでおります。トン当り全体として十八円のうち、十円部分だけが地方に譲与されることになったわけでありまして、十八円のうち十円にすべきであるか、十八円全部にすべきであるか、ある意味においては程度の問題になってしまったように私としては考えられるわけであります。現在では一応固定資産税軽減の穴埋めというところで金額がきめられたわけであります。将来の問題としては、単に分量の問題として考えてもいいというふうに思われるわけであります。そういう点においては亀山さんのおっしゃいますその方が筋が通るのじゃないかということについても、私としてはうなずけるような感じがするのでありますが、将来その問題はそういう趣旨も含めまして、自治庁としても検討して参りたいというふうに存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/25
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026・亀山孝一
○亀山委員 最後に、今自治庁当局は両方まとめて地方税にするがいいというような理想論を言われましたが、大蔵当局はどう思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/26
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027・山下武利
○山下説明員 将来の問題として適当に考慮したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/27
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028・鈴木直人
○鈴木(直)委員 特別とん譲与税は、「開港に係る港湾施設が設置されている市町村で自治庁長官が指定するもの」こうなっておりますが、「開港に係る港湾施設が設置されている市町村」というのはどういう意味ですか。「港湾施設の種類は、総理府令で定める」。こうなっておりますが、いわゆる開港場は全部譲与を受けるのでありますか。あるいは開港場の中の港湾施設というものが設置されておる町村だけに限るものなのですか。この条文だけでははっきりいたしませんから、もう少しこの点についてはっきり御説明をしていただきたいと思います。というのは総理府令で定めるということになっておりますが、大体総理府令とか政令とかいうように定めるのは国会の意思と反するようなことが定められるようなことが非常に多い。これは政府の権能でありますからいいと思いますけれども、何でもかんでも政令とか総理府令で定めるということでやってしまうということになると、基本的な考え方に違いが起るようなことがあります。従ってこの点をこの機会にもう少しはっきり説明しておいていただいて、その説明によって総理府令等もきめていただく方がいいと考えられますから、もう少し詳細に説明しておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/28
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029・奥野誠亮
○奥野政府委員 港湾施設所在の市町村で、自治庁長官の指定する市町村といたしましたのは、港湾の区域を地先水面としている市町村で、実態的には港湾関係の施設とは全く関係のないところもかなりあるわけであります。従来からも外航船舶に対しまする固定資産税課税標準額を関係市町村に配分いたします場合には、入港回数に按分して配分するのでありますが、もとより配分もしていない、しかしながらちょっぴり地先水面が港湾区域にかかっているところがずいぶんあるわけであります。そうしますとやはりそういうところは特別とん譲与税を譲与する場合にいたしましても除外するのが筋道だと思うのであります。それを除外する方法として御指摘になりますような規定を設けざるを得なかったわけであります。そこで指定いたしました港湾施設の所在する市町村は当然指定するわけでありまして、一種の確認的な意味で規定をしようと考えております。その場合の海湾施設といたしましては係留施設のうち、岸壁、係船浮標、係船くい、さん橋、浮さん橋というようなものを指定したらいかがであろうかということを現在考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/29
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030・鈴木直人
○鈴木(直)委員 現に国内において開港場として指定されているもののうち、港湾施設が設置されていないようなところがおるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/30
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031・奥野誠亮
○奥野政府委員 港湾施設といいますと実は非常に広い言葉でございますが、ただいま申し上げました施設を持っていない港湾の区域を地先水面にする市町村も相当数あるわけでございます。港湾法の中で海湾施設として指定しておりますものが十数項目あるわけでございまして、水域施設のようなものもございますし、あるいはまた外郭施設、係留施設、臨港交通施設、航行補助施設、荷さばき施設、旅客施設、保管施設、船舶補給施設、港湾厚生施設、港湾施設用地、移動式施設、港湾役務提供用船舶というようなものを広く指定しているわけであります。そのうちで当然特別とん譲与税を譲与するに値するような施設所在地市町村だけを指定したいと考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/31
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032・鈴木直人
○鈴木(直)委員 先ほどお伺いしたのですが、開港場というのは別途の法令で政府から指定しているんじゃないですか。その開港場としてきまっているもののうち、さらに浴湾施設があるものだけが指定されるのであって、港湾施設のない開港場は指定されないということになるかどうかという点であります。そこに外航船舶が出入りしても港湾施設がなければ指定されないのかどうか、特別とん譲与税をもらえないのかという点をお聞きするわけなんです。すべての開港場が指定されるのか、開港場のうちに港湾施設が設置されているものだけを自治庁長官が指定するのかという点でまだお答えがなかったからお伺いするわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/32
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033・奥野誠亮
○奥野政府委員 通俗的に開港のある市町村には当然特別とん譲与税を譲与いたします。開港は六十六港でありますけれども、湾湾所在地という観点からいいますと、港域がちょっとでも地先の水面になっておりますとそれを区域といたします市町村も港湾所在の市町村になってしまうわけであります。ところが何ら施設のないところもあるわけでございますので、単に地先水面が区域になっているだけだというところを除外する意味で、港湾施設所在の市町村ということにいたしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/33
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034・鈴木直人
○鈴木(直)委員 港湾施設がないところを開港場に指定するのはどういうわけですか。そこには船舶の出入りが不可能なものなんですか、あるいは外の沖荷役か何かでもってやられるのか。開港に指定するのは大体そこに外航船舶が出入できて、その役割を演ずるから開港に指定しているのではないのですか。実は実情がわからないものですからお聞きしているのです。開港所在市町村とこの法律でいうのはすべての開港場に適用するのじゃないのですか、その点を聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/34
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035・山下武利
○山下説明員 開港と申しますのは関税法に基いて指定されるべきものでございます。指定されます開港の区域は港域法に基きましてきめるわけでございます。たとえて申しますと、東京、横浜は京浜港という一つの港になっております。門司と下関は関門港という一つの港になっております。つまり開港と申しても非常に広い地域が指定されている場合があるわけであります。そこで開港所在市町村と申しました場合には、おそらく港湾施設のない市町村も入ってくる場合があるのであります。そういうものを除外するという趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/35
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036・永田亮一
○永田委員 先ほど亀山委員から御質問がありましたが、国税と地方税の二つに分けておくということは、事務的に考えて非常に煩瑣だろうと思います。私も船会社のことを知っている人にいろいろ聞いてみたのですが、前にその寄港の日数に按分して払うようなときに、そのために事務員が非常に煩瑣であり数も必要として困るということを盛んに言っておりました。それ以上におそらく役人がめんどうくさいだろうと思うのです。前は日数に按分なんかしておったからよけいにややこしかったのだろうと思います。今度改革をするのであれば、先ほど亀山委員が言われたように一本にした方がいいのじゃないかということに私も全く同感であります。さっき亀山委員の地方税一本にしたらどうかと言われたことについてお答えがありましたが、それがどうしても工合が悪いのであれば、外航船舶に限ってとん税一本にして地方に配分する、こういう方法をとった方が事務の能率という点から考えて、船会社も公務員もはるかに経費が安くつくし、人も少くて済むし、つまらぬ繁雑な仕事が減るのじゃないかと思うのです。ただ机の上で考えたことだけでなしに、実際の能率の面から考えて一本にするというお考えはないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/36
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037・山下武利
○山下説明員 手続が非常に繁雑になりはしないかという御質問でございますが、決してそうではございません。とん税も特別とん税も両方とも国税でございます。そして納付者はこれを一本のものとして納付する。取ります方の目の側は、とん税と特別とん税と合せて徴収しなければならないというふうに規定しております。従って納付されました税額は、役所の方で、その十八分の八に相当する分がとん税で、あり、十八分の十に相当するものが特別とん税の納付があったものとして処置するだけであります。従来のとん税の納付方法と比べて、決して繁雑になったというわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/37
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038・永田亮一
○永田委員 私がお伺いしたのは固定資産税の問題だったのです。固定資産税の方が繁雑にならないかということをお聞きしたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/38
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039・奥野誠亮
○奥野政府委員 永田さんの御質問の趣旨は、とん税ないし特別とん税と別個に固定資産税を外航船舶には課さないで、外航船舶に対する固定資産税をやめて、とん税なり特別とん税なりに一体化したらいいのじゃないか、こういう御意見でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/39
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040・永田亮一
○永田委員 そうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/40
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041・奥野誠亮
○奥野政府委員 おっしゃいましたような問題も、今回の改正の際にいろいろ議論されたわけでございます。しかしながら、とん税と固定資産税とは別個な性格を持った税でありますので、別個な性格の税が課せられているから、外航船舶に対しては固定資産税を課さないということにして行きますと、固定資産税としての一体性がくずれてくるんじゃないかというふうに懸念されるわけであります。そういう意味において、やはり外航船舶に対する固定資産税は存置していく、そのかわり負担を思い切って軽減するという考え方が今回とられたわけであります。御指摘の固定質産税の納税者の手続が非常に繁雑だという点につきましては、相当改善を加えたつもりでありますけれども、今後ともその点につきましては、非難の生じませんように、さらに工夫、善処いたして参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/41
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042・永田亮一
○永田委員 今の改善を加えたというのは、今までは寄港の日数によって按分しておったのを、今後は回数になったわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/42
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043・奥野誠亮
○奥野政府委員 従来は入港回数で半分を按分し、半分を停泊日数で按分しておったわけであります。ところが停泊日数ということになりますと、航海日誌をくっていろいろ調べていかなければならないのでありまして、かなり調査にも困難を感じております。そこで全体を入港回数で按分してしまうという簡易な方式に切りかえたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/43
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044・永田亮一
○永田委員 回数と日数の関係はどうなのですか。日数には関係ないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/44
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045・奥野誠亮
○奥野政府委員 入港回数だけで按分しております。入港回数でやれば簡単にわかることだというふうに存じておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/45
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046・永田亮一
○永田委員 それは大へんいいと思うのですが、理屈から言うと、一日か半日いてまた出て、それから半月ほどしてまた入ってくるという場合もある。そうすると、二回になるわけですね。またずっととまって半月なり一月なりおることがある。たとえばイランから石油を運んできて下松のようなところへとまって精製する間はいる。そうすると一月いても一回、半日いても一回、ちょっと不合理じゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/46
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047・奥野誠亮
○奥野政府委員 御指摘のように、停泊日数の要素を加えませんと、不合理な面も若干出てくるだろうと思います。しかしながら、全体の事務を簡素にするという意味で、その点は振り切って入港回数だけで按分するということにいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/47
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048・門司亮
○門司委員長 私から一つ、二つ聞いておきたいのです。一つは大蔵省にちょっと聞いておきたいのですが、外航船舶と言っているが、沖縄航路は外航に入るのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/48
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049・山下武利
○山下説明員 沖縄は外航船舶として考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/49
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050・門司亮
○門司委員長 それからもう一つ聞いておきたいのですが、御承知のように、港湾法で港湾を維持、管理しておる自治体は、入港手数料を取ることができるという規定があるのです。もしこの規定をそのまま適用して政府に申請してきた場合に、政府はこれを許される腹でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/50
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051・山下武利
○山下説明員 これは港湾法の規定でございまして、重要港湾につきましては入港手数料を取る場合に運輸大臣の認可が要ることになっております。重要港湾以外は認可が要らないことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/51
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052・門司亮
○門司委員長 認可が要るとか要らぬとかいうことを聞いていない。重要港湾が申請してきたときは−当然法律に規定してありますから、申請していいと思うが、申請した場合に、一方にとん税を取り、一方に入港手数料を取ることができるかどうか、それを政府は許可する腹かどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/52
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053・山下武利
○山下説明員 これは運輸当局の方の処理される問題でありまして、私からお答えする筋ではないと思いますが、建前といたしましては、やはり市町村側の財政需要と船舶側の利害とを比較勘案してやるということであります。とん税が上ったことによって入港手数料が取りにくくなるかどうかという問題は、これは将来の問題として慎重に考えなければならないと思います。世界の港湾のいろいろな、今申し上げましたようなとん税、そのほかの入港手数料、あるいはそのほかのポート・チャージ全体を比較いたしまして、日本の港湾は決して高くないという判断をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/53
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054・門司亮
○門司委員長 そういうことを聞いているのじゃない。今運輸省が許可するのだということだが、大蔵省はこういうとん税を取っている。そうすると、港湾法に基く申請をされた場合に、同一の課税とみなされるような形になるわけですね。片方はとん税という形であり、片方は手数料という制度である。しかもそれは本質からいけば同じようなものなんですから、手数料を取るか、あるいはとん税にするかという問題が出てくる。従って許可権限は運輸省が持っているかもしれぬが、大蔵省の考え方としては、そういうことをされては迷惑するとか、あるいはそういうことは困るとかいう御意思があるかどうかということをこの際聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/54
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055・山下武利
○山下説明員 とん税は流通税でございまして、入港手数料とはおのずから性格の異なるものと考えております。従って、とん税がありまして、そのほかに入港税を取るということについては、大蔵省は全然異存はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/55
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056・鈴木直人
○鈴木(直)委員 この機会に直接には関係はないのですけれども、関連していることを一点だけ伺います。内航船舶について固定資産税を三分の一だけ減らしたのですが、法律的には内航船舶となっていますけれども、漁船その他も含まれるというふうな解釈になっておると思うのですが、その点を明らかにしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/56
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057・奥野誠亮
○奥野政府委員 漁船につきましても三分の一の軽減措置が適用されることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/57
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058・門司亮
○門司委員長 他に御質問ございませんか——御質問がなければ、特別とん譲与税については一応質疑を打ち切ってよろしゅうございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/58
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059・門司亮
○門司委員長 御異議なしと認めまして、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/59
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060・門司亮
○門司委員長 北山君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/60
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061・北山愛郎
○北山委員 次に地方財政法及び財政再建法の改正につきましてお伺いしたいのです。まず第一に、この改正の第一点は、地方公共団体が予算の編成、執行等に当りましては、翌年度以降における財政の健全な運営をそこなわないようにしなければならないという、非常に当りまえの規定が入っているわけです。こういうことは特に書かぬでも当り前のことです。今度の改正においてわざわざこういう当然わかっておるべき項目を入れたということは、何か特別な意味があるのじゃないかと思うのですが、一体どういう趣旨でもってこういう事項を入れたか、それをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/61
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062・小林與三次
○小林(與)政府委員 お話の通り、財政運営の考え方から言えば、私はもうしごく当然の問題だろうと思います。現行の財政法におきましては、財政運営上しごく当然の事柄だろうと思いますが、基本方針が二条から四条の二にわたって書いてあるわけでございますので、この趣旨からももちろんこういう事実が出てくるはずです。しかし実際個々の自治体の財政経理を見てみますと、たとえば予算の問題だけでなしに予算外契約でいろいろな契約をして、数年度にわたるものを考えたり、そういうような形のいろいろな実例を見ましても、あまりにも将来のことを考えない運営が、実はしばしば見受けられるのであります。今までは財政運営の方針としては始終この点を明らかにしておったのでございますが、むしろ財政法改正の機会にその点を明らかにして、そして地方団体として健全な運営をやるということを強調した方が適当であろうということを考えまして、この規定を設けることにいたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/62
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063・北山愛郎
○北山委員 趣旨は自明のことなんですよ。しかしそういう意味で規定をわざわざ置いて、実際にこの規定の適用上、一体どうする気なのか。これは当然のことですよ。地方団体として今まででも今年度ばかりじゃなく先のことを考えてやるべきだということは、これは常識的に考えても当然そういう結論になるわけなんです。ただそれが不健全な運営であるかいなか、それはこの判定に苦しむ場合が多いんじゃないか。国の場合でも見方によれば翌年度以降のことを考えないでやっているという例もあって、そういう批判もできないわけじゃない。よく法律を作って、本年度の予算に関係がなければいいというようなことや、翌年度以降からだんだん財政需要がふえてくるようなものを、ごく安易にきめている場合も少くないんですね。、だから一体どういうふうなめどでもって、不健全な運営であるかどうかを判定するのか、だれが判定するのか。ただ一般的な道徳的、精神的な規定だとするならば、むしろこんなものを置いたって何にもならぬじゃないか、こういうふうに思うのですが、どうもわざわざ置いた意味がわからぬのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/63
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064・小林與三次
○小林(與)政府委員 これは先ほど申し上げました通り、現行の財政法では財政運営の基本方針と予算の編成、予算の執行、それから年度間の調整に当っての基本方針を書いて、それから重要な問題についてそれぞれ細目的な原則を書いておるわけでございます。そこで年度間の財源調整の規定なども実はありまして、これは財源について調整をするということを書いてあるわけでありますが、それの前提、つまり基礎になるのが歳出の面における年度間の控除の問題でありまして、私は現行法の体系からいっても、当然こういう点は強調されてしかるべきだったと思うのであります。しかしまた実際のこの団体の運営を見ておりますと、これは何も再建団体のことを言っているわけじゃありませんが、別の団体につきまして特に予算外義務負担などという形で、当然予算できめるべきものだと思いますが、橋を作ったり道を直すにもその予算外義務負担をやった。そうなると、結局予算ならはっきり全体の調整が考えられますが、そうでない場合も実はあり得るのでございます。そこでその点をもう少し財政運営の基本方針として強調しておく必要があろうと思います。これはあったってもう運営の基本方針ですから、だれが認定するかといえば、もちろん予算を編成し決定する市町村なら市町村長と議会だろうと思います。しかしながら問題を明らかにしておくことによって、財政運営の健全化が期待できるとすれば、私はそういう重要な問題につきましてはそうしておくのが至当であって、また事実実際問題からいっても、そういう弊害が少くない事例もありますので、この点はぜひ強調しておくべきものだ、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/64
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065・北山愛郎
○北山委員 大へん御親切な規定なんですが、私はもしこういう規定を置くならば、もっと別の必要な規定を置くべきじゃなかったかと思うのです。ちょうどこの前の委員会で問題になった福岡県の交付金の保管の問題、これにしても財政部長のお言葉によると、この保管の方法については別にそうきびしい規制がないんだというようなことで、まことに不安心なんです。だから国にしても地方団体にしてもその管理者というか理事者というものは、これはその財産あるいは金銭というものをほんとうに注意をして管理をし、いやしくも損失が出ないように安全な形において管理すべき責任があると私どもは思っておる。従ってその取扱いの一般的な事項についても、やはり議会の議決を経るということが原則でなければならぬ。たとえば国の方で言えば憲法の中にその原則があるわけなんです。国の財政運営については、議会の議決を経てやるという原則がある。国の方ではそういう大原則でやっておるわけなんです。しかし地方団体の財政あるいは交付金の管理、保管につきましては穴があいているといわなければならぬ。財政部長のような法律解釈では穴があいておるといわなければならぬ。財産については相当きびしい規定があります。ところが保管している交付金については穴があいておる。出納長なり知事が保管場所を適当に移してもかまわないというようなことで、これは非常に重大な問題なんです。むしろそういう規定を地方財政法の中に置くべきである。その方が実際に時宜に適しておる、こういう抽象的な規定を置いたって何もならないでしょう。きのうのお話のように、今の地方自治法なり地方財政法の解釈上、交付金の保管については出納長あるいは知事にそんな広い管理権が一体あるかどうか、これをあらためてお伺いしておかなければならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/65
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066・小林與三次
○小林(與)政府委員 これは今の財産の管理保管について現行法の定めでいいか悪いか、これは一つの問題だろうと思います。今の問題だけでなしに全般の財産の管理運営については、もっと考えるべきではないか、たとえば国にあっては財産管理法なり債権管理法があったりして、財産の管理についてそれぞれ特別立法を作っております。これに準じて地方では大体受けて立つ態度をとっておりますが、むしろ、財産管理について総合的に不動産、動産を合せて財産管理関係の規定をもっと整備すべきじゃないかという考えは、私自身も持っておらぬわけじゃありませんで、その問題は検討しなくちゃならぬというので、研究は続けておるわけでございます。これは一般論でございます。それとともに今の具体的問題として歳計現金の保管の問題について、きのうからいろいろ議論になっておる問題があるわけでございますが、これは現在のところは自治法と自治法の施行令でむしろ規制をする。単に条例とか何とかにまかせずにそういうもので規制する仕組みにはなっております。一般の財産管理については条例できめるが、むしろ歳入歳出、予算、決算の制度については、法律か政令自身でぴしりときめる仕組みになっておるわけでございます。その仕組みの上において、現在の歳計現金の保管、管理の規定がいいか悪いかという議論は、別途検討に値する問題だと思うのでございます。ただ今の歳計現金の扱いの問題は、要するに金庫銀行が主体になっておりますが、それ以外の金融機関にも預託できるという仕組みになっておって、その仕組みを決定するのが現在の建前では出納長の権限になっておるのでございます。これは出納長単独の権限にするのは、けしからぬじゃないかという議論があり得ると思いますが、出納長も地方団体では最高の責任者の一人でございますから、私は出納長に一応まかしていいと思いますが、なお出納長だけでいいかどうかというので、実は運用上知事とも必ず協議してやるという扱いを現在いたしております。問題はさらにそれを議会にタッチさすべきじゃないか、こういう問題が一つ、これは当然あり得る議論だと私は思います。それにつきましては現在の体制はそうなっておりませんが、これも議会がどうしても自分たちが関与しなくてはいかぬということになれば、議会ではそういう問題も議決事項にするということが現行法でもできぬわけじゃございません。他の銀行に預けるのですから、重要な契約としてそうするということも考えられます。そういうことは現行法でも自主的な条例でもちろんできぬことはないと思っております。ただ現在の制度の建前がそうなっておって、それを議決事項に自主的にできる、しかしそれは制度として足らぬじゃないか、こういうことになれば、そういう問題としてなおそれは検討いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/66
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067・北山愛郎
○北山委員 具体的な例としては、福岡県の問題が果たして現在の自治法なり施行令なり、あるいは財政法等に違反しているかどうかという問題は、これはさらにいろいろな資料をいただいて検討しなければならぬと思う。しかし私は一般論としてもやはりああいうようなケースがたくさんあると思うのです。たとえば市町村あるいは府県関係の公金——純粋な公金でないにしても、たとえば各府県の恩給組合がそれぞれ数億という金を持ち、全国でいえば百億くらいあるでしょう。その金が一体どういうふうに保管されておるか、これは監督している立場にある自治庁としては当然注意しなければならぬ問題である。だから私が伺うのはそういう恩給組合の金がどういうふうに保管をされておるか、それを一体自治庁は調べておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/67
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068・小林與三次
○小林(與)政府委員 これは恩給組合の資金の管理状況は、行政部の方で調べておる資料があるはずであります。当然保管ですから、安全にして確実な保管方法をきめなければいかぬという基本原則で、それぞれの団体は自主的にやっておると思いますが、具体的にどういう種類の管理をしておるか、つまり普通預金にしておるか、定期預金にしておるか、信託にしておるか、そういうな関係の概要の調べは、たしか公務員課の方で持っておるはずだと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/68
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069・北山愛郎
○北山委員 それは行政部からお伺いすることにして、とにかくこの一つのケースは単に異例なケースじゃないのですよ。今金融機関はいろいろな形で預金の吸収に努力しておる。まとまったこういう団体の金を導入することができれば非常な利益になるものですから、一生懸命あの手この手を使って誘惑しようとしておるわけです。その一つのケースが福岡県の場合なんです。私はこういうような状態にあって、ただいま部長が言われるように、保管については出納長だけの権限で今の制度としてはやむを得ないというような説明ではどうも物足らない。やはりああいうケースにかんがみてどうするとかこうするとかいうことは、すぐ考えなければならぬはずですよ。おそらく洗ってみればほかにもあるかもしれぬ。だから各府県の金庫事務なり、交付金の保管の状況を一体どういうふうに調べているか。あるいはさっそくこれに対する対策として立法措置が必要であれば、立法措置を講じなければならぬということになる。ただそういう意見になればということでは、私は自治庁の責任者としては非常に物足らない。もっと積極的な御答弁をいただきたい。政務次官どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/69
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070・加藤精三
○加藤(精)政府委員 ただいま北山委員からいろいろ御意見がございましたが、全く御同感でございまして、現在自治庁は終戦後の新しい地方自治制度で常時監督し、府県市町村の財務についても常にタッチを失わないように定期的に監査するとかいうようなことは、これは自治の侵害になるようでございまして、そういうことはしないのか延前になっているわけなんです。そういうことから見て、再建整備団体には年二回以上監査をするということ、再建整備という目的のために、大体常時のタッチを持つという形になっているわけだと了解しております。戦前の制度でございますと、どんな小さな町村の歳計現金の預入でございましても、歳入税金の預入先は必ず議決を経ているのでございまして、先ほど北山委員が申し出られました雑部金の保管でも、必ず収入役がこれを取り扱って町村長もタッチしているという状況だったのでございます。現在の制度は、それならば何のために出納長を責任者にして、ある程度自由にしているかということになりますれば、私はやはりビジネスとしていろいろ迅速、融通性ということを考えたんだろうと思いますし、一時借入金を銀行等からいたします制度もいろいろ銀行団等で協議して、そのつど府県の印し出通り貸してくれるものでもございませんので、そういうふうな銀行にも預入するから、銀行からも一瞬借入金なんか必要なときにぜひ貸してくれというようなビジネスの上から始まって、それが便利だということになっているんじゃないかと思うのであります。
しかしながらただいま承わりますふうに、金融機関が預金集めにきゅうきゅうとしている、それからそれに対しての導入屋等がばっこするというような現状にかんがみまして、このたびの福岡県事件は大きな一つの示唆を与えるものでございますので、この際財務の規定全般について、帳簿組織からもいろいろ改革しようということで、行政部の方で研究しているのでございますが、もう少し速度を早めまして、この地方団体の財務の規定の改正すべきものがあれば、できるだけ至急にその改正のことを実現するようにいたしたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/70
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071・北山愛郎
○北山委員 それは当然のことだと思うんですね。ただ今の法律がこう読めるとか読めないとか、そういう問題じゃないと思う。それからでき得るならば、私は現在の自治法でもそういうふうに読めないこともないじゃないか、厳密にいえば、文理上のことからいえば、小林さんの言うことになるかもしれませんが、やはり財政上のいろいろな問題については、議会の議決を経るというような一つの原則——国の方でも憲法にそういう規定が刈る、そういう原則からいっても、あるいは財産等については相当やかましい条例できめるとか、そういう原則もある。だから一種の財産ですから、財産と直接には読めなくても、財産についてもそういう規定があるのであるから、公金のそういうふうな取扱い、保管についても、やはり議会の議決を経ることを原則として解釈してもいいんじゃないか、こういうふうにも思える。その辺のところはもう少し研究してもらって、そうしてもしも立法措置が必要ならば、これは早急にやらなければならぬと思う。私はこの地方財政法の一部改正のこういう抽象的な規定よりも、実際に即したそのような規定をほしいのですよ。そういうことはなさらんで、こんな抽象的な原則みたいな規定を置くということが、どうも私にはよくわからぬ。そういう意味でお尋ねをしたわけなんですが、なお福岡県の問題はまたそれとは別の具体的なケースですから、果して自治法に違反するかしないかということは、まだ問題が残る。たとえば一定の契約に従って預託をする、一定期間の契約をするというようなことになれば、これはやはり一つの義務を伴うのですから、やはり議会の議決を経るというような解釈も成り立ってくる。そういう点で福岡県の場合は、その具体的な事情をよく調べた上でまたお伺いをしたいと思うのです。
それから再建法の問題であります。この前もお伺いしましたが、再建団体が、財政の状況が逐次よくなって、そしてもう自主的にやっていきたいという団体が出てくるだろうと思うのです。その際に一番問題になるのは、再建債の繰り上げ償還を迫られるかどうかという問題、従来の既定の償還計画の通りに再建債を支払っていけばいいということであるならば、この際再建団体であることをやめて、そして自主的に今後は運営していくという団体も私はあるのじゃないかと思うので、そういう場合に、今の再建団体がその議会の議決を経て、もう今後自由になりたいという団体が出てきた場合に、そういう申し出があったときに自治庁としてはどのように措置をされるか、それを承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/71
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072・小林與三次
○小林(與)政府委員 これは今の再建法の建前から申しましても、再建債は借りちゃったから、あとは勝手にやるのだということかよろしいということは、私はやはり出てこないので、そういう団体は、借金も早く返してしまって、自由に一本立ちになるということの考え方で、再建法の運用上は行くより仕方がないのじゃないかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/72
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073・北山愛郎
○北山委員 それはそういうことにはならないのです。再建法の趣旨というものは、自主的に立っていけるようにすることが再建法の趣旨なんだから、借金を一ぺんに返さなければならぬというようなことは、無理な注文をつけることであって、再建法を一時適用になった、それによって健康を回復した、それで一本立ちになっていきたいというものがあったならば、今までの借金を一ぺんに返してくれというようなことを言うのは、むしろ地財再建法の精神に反すると私は思うのですが、これは加藤さん、どういうふうに思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/73
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074・加藤精三
○加藤(精)政府委員 北山委員の御意見は、再建整備計画を承認されるときに、期限の利益を一種の既得権として持っているのじゃないかというお考えのようでありますけれども、その点ばかり強調されることも、国家が、再建整備をすみやかになし遂げまして、各地方財政の安定をはかってやろうという趣旨から、多額の、高率の利子補給もしておられますような関係からも、地方財政全般が整備されることが、国家の利益であるという建前からの一つの立法の中の問題としては、一面的に再建債の償還期限の利益だけを主張するという風潮を、地方団体につけない方がいいんじゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/74
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075・北山愛郎
○北山委員 これはむしろ国の方が親心を持っておれば、私はそういう結論にはならぬと思う。要するに一本立ちできるように、からだの健康を回復すればいいのだから、借金を返さなくていいというのではなくて、一定の期限で返すというのだから、利子補給だけはやめてもいいでしょうけれども、借金を一ぺんに返せというようなことは、いつまでも準禁治産者になっておれということにほかならない。一本立ちができるような事態になったならば、一日も早く再建団体でなくすることが、すなわち再建法の趣旨じゃないか。いつまでも再建団体をつかまえておかなければならぬというのは、どうもほんとうの親心を持っておらない証拠ではないかと思うのですが、この点は今のお言葉のようであれば、私は立法措置が必要だと思う。そういう政府のお考えであれば、立法措置をすることができることになるから、大体政府のお考えが、立法措置がなくても、そういうふうに親心をもってやるという意思がないようでありますから、立法を考えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/75
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076・加藤精三
○加藤(精)政府委員 ただいまの北山委員のお説は少し激しいと思うので、立法措置が必要だということにはならないと思います。と申しますのは、要するに北山委員のお触れなさるところは、地方行政水準をある程度維持、ないし地方団体の自由意思による若干の向上の余裕をほしいということなんだろうと思います。それは行政の運用でできることでありまして、その立法措置を要するというのは少し激しいと思うので、そういう御意思を御変更願っていただきますれば幸いであります。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/76
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077・北山愛郎
○北山委員 それもまた無理な問題でありまして、再建法によって再建団体になったものは、ある程度自立のめどがついても、親がかりであるという、何といいますか、安きについて、そうして再建法の都合のいい部分を乱用する、いつまでもそういうふうな格好でいるというようになりがちなんです。地方自治の建前からそういうことがあってはならない、こういう趣旨から、自立したいというものはどんどん再建法のワクからはずしていく、そうして全部なくなるのが理想じゃないか、こういう趣旨から申し上げたのであって、そのためには、何も特別にあらためて利益を与えるというんじゃなくて、利子補給は打ち切ってもいいか、借金だけは——借金ですから払うんですが、これは年次償還をしたってかまわない。繰り上げ償還を強要されると困るというんです。繰り上げ償還をしないという建前ならば、特に立法措置は要らないんじゃないか、しかし政府のお考えでは、どうもその際は一ペんに再建債は返してもらわなければいかぬというような御意見だから、それではやはり法律でも作って、そうでなくしたい、そういう結論にならざるを得ないということを申し上げているのです。これはまた他日政務次官の御意見をよく承わりたいと思います。
次にこの地財再建法の第十七条の例の補助率を引き上げるということです。あれを今度東北開発促進法の中に援用しているわけなんです。これも問題があると思うのですが、東北の中では青森県が再建団体でないということで、どうしても財政再建法を利用してやるというためには、青森県を再建団体か準用団体にしなければならぬということで、無理やりに青森県はたしか準用団体にした。準用団体にならなければ東北開発促進の恩典を受けられない。私はこんなばかな話はないと思う。そこでそれを直すのには、こっちの地財再建特別措置法の方を改正して、準用団体であろうが、自主再建団体であろうが、この規定をやれるのだというようなことではいかがなものかと思うのですが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/77
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078・小林與三次
○小林(與)政府委員 これも立法論の問題になってくると思いますが、この再建法を作った趣旨は、こういうそれぞれ乗っかってやるものだけについて、こういうことをやってやろうということであって、そうしてある程度の期間もあって、その間にいろいろ周知徹底をしてなりたいものはなれ。もっとも、再建を強要したんじゃないかと言われるくらいにわれわれも勤めて、やりたいものはやる、やりたくないものは自主的にやる、こういう仕組みになった今日でございますので、今になって、自主的にやるものに当然この利益をすぐにあげろというふうに、今法律を改正するのはいかがかという気がいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/78
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079・北山愛郎
○北山委員 しかしこれは実際問題としては自主再建団体についてもやはり計画を出させて、そうしてこれを確認するとか、そういうことでいろいろな手を用いて、再建団体と同様な措置をやっているわけですよ。統制をやっているんだ。やはり同じように扱うのがほんとうではないか。これはあれですか、自主再建の団体についてはそういうことをやっていませんか、この前の通達によってやっているのはあれはやめになったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/79
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080・小林與三次
○小林(與)政府委員 自主再建の団体について計画を出して確認をするということはやってはおります。しかし今北山委員のおっしゃいましたのは、そもそもこの再建促進法で十七条を適用するというのを再建団体にするか、いわゆる事業団体にまで及ぶか、もっぱらこの再建法の政正の問題だろうと思います。それでいやしくも事業団体であろうが何であろうが、再建計画を作れば全部利益を与えたっていいではないか、少くとも再建債だってもう一ぺん考えてやったっていいではないか、こういう議論は私はあり得ると思うのです。きのう鈴木委員のおっしゃいましたのも似たような御意見だったろうと思いますが、しかし再建法を作るときにああやかましくいって議論をして、こういう形できまった以上は一応これに乗っかって運用をはかっていくよりしようがないのではないか、われわれといたしましては一応そういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/80
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081・北山愛郎
○北山委員 しかし十七条にしろ、再建法審議の際には、政令によるというのですが、政令の定むるところによるというのは何もそういう事業を制限するとか、そういう趣旨はなかったはずなんです。ただ特別な補助率の措置をするということだけであって、その事業制限なんという趣旨はなかったはずです。それを政令の中で勝手に事業制限なんかやっているのです。十七条の趣旨はそういう趣旨ではないのですよ。また審議の際にもそういうことは少しも考えられておらなかった。やはり再建団体に対して一つの利益を与えぬと困るだろうから、補助率を高くしてやろうという趣旨だけであって、その事業を七五%にするとかそんなことはなかったのですよ。それを政令の中で変な規定を入れてしまったのですな。だから一つあの政令をやめるような工夫はできないかどうか。法律にむしろ違反している、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/81
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082・加藤精三
○加藤(精)政府委員 今の問題は非常に微妙な問題でございまして、東北振興法の立案前からもある問題ですが、現在の東北開発促進法の立案のときにも非常に問題になった。これは国の財政全般と地方の財政全般とに関連した問題であり、また補助の予算の総ワクと、それからそれをどういうふうに配分するかという問題であり、また補助事二割アップの線を建設事業に対してくずすことを防ごうとする一つの大きな努力も自治庁側にはあるわけでございまして、深い事情があることでございますので、何とぞ一つそれらの点を御了承いただきまして、今度の東北開発促進法に、ああいう規定をした程度でお許しを願いたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/82
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083・北山愛郎
○北山委員 開発促進法の方は別な委員会で審議をすることになっておりますから、その際にまたその問題としてやりますが、最後に地方財政法二十七条は市町村と県の関係、都道府県の行う建設事業に対する市町村の負担ということで、都道府県の事業についても、市町村の受益の限度において当該市町村に対し経費の一部を負担させることができるということになって、その負担の割合というものは都道府県の議会が議決をするということになって、この規定に基いてたしか各府県においては議会で、市町村に負担させる割合というものを条例か何かできめているはずです。私はこれについて実情がどういうふうになっておるかわかりませんが、一体自治庁はどういうふうにこの問題を把握し、またこれの実際の状況がどういうふうになっておるか、これを一つ承わっておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/83
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084・小林與三次
○小林(與)政府委員 これはごもっともでございまして、この扱いはそれぞれ法律を、河川法なり道路法なり——道路法の手続でやっているものもありますし、おもな事業といったらそういうものが中心でございますから……。そうでないのはこれにのっとってやっているのもあると思います、それでそういう条例を作っているのもありますし、そうでなしに事件決議で、それぞれの事業ごとにやっているのが多いのじゃないかと思います。それで精細な調査は今までありませんが、これは一度調べてみなくちゃいかぬというので、今度さっそくこの関係を全部一ぺん洗ってみたい、こういう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/84
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085・北山愛郎
○北山委員 この問題はその受益の限度というものもいろいろ疑問があるわけなのです。前に委員会で私も質問したことがありましたが、一体府県の事業について市町村がどのくらいの利益を得るのか、これだってわけがわからないことなのです。住民は利益を受けることは明らかです。しかしその市町村はどのくらい利益を受けるか、さっぱりわからないのです。だからこの規定が非常に明確を欠く。府県の方は勝手に適当な率をきめて、そうして市町村に負担をさしておる。ここでお調べになっておるというわけですから、あとでその結果をお伺いしますが、ただ国の補助なんかがある事業、そして国の補助率、それから都道府県の負担する割合、市町村の負担する割合、そういうものが法律できまっておるものについて、そういう事業についてさらにその上に都道府県は市町村にそれ以上負担させることができるかどうか、これを承わっておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/85
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086・小林與三次
○小林(與)政府委員 結局お尋ねのは、つまり法制上は府県の仕事になって、府県が経費を出すべき仕事について国が補助率をきめて——府県道その他でございますが、それについてさらに府県が市町村に対して府県の負担部分の一部について負担させるという問題でございまして、これは私はこの二十七条によっても、その他河川法や道路法等の類似の規定によっても法律上は可能である、こういうふうに存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/86
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087・北山愛郎
○北山委員 そうするとたとえば国が五割を補助して都道府県が二割五分、市町村が二割五分、こうきめてある場合に、都道府県の方が一割にして、そして市町村に四割負担させる、そんなことができるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/87
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088・小林與三次
○小林(與)政府委員 今お尋ねのように法律上国と府県と市町村三つのものをきめちゃってある場合はもちろん変えようがありません。そうでなしに府県の仕事を府県がやる場合に、国が五割なら五割まで出す、こういう規定があった場合に、府県が自分の負担部分のうちの一割とか一割五分とかいうものを市町村に負担させるようにこの分担金の規定を適用することが可能である、こういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/88
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089・北山愛郎
○北山委員 それからこれは直接この規定は関係がありますけれども、こういう場合はどうです。国が五割の補助を出す、都道府県が一割の負担をすることになっている。だから都道府県が一割負担することを条件にして国が五割を出すのでね。そうする場合にその都道府県が負担するものを一応予算に計上して負担をすることにしておいて、そうしてその一割分を寄付あるいは分担金というような名前で収入の方へ入れて、そうして都道府県自身は一文も負担をしない、そういうような都道府県の事業があるのじゃないかと思うのですが、そういうことは一体適当ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/89
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090・小林與三次
○小林(與)政府委員 これは大てい補助の条件にもありますし、それから法律ではっきり明示しておる場合もあります。そういう場合はつまり補助の基本額から除いてしまう、大ていの扱いは除いてしまう扱いになっているだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/90
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091・北山愛郎
○北山委員 国と地方団体との関係は、ある程度はこの地方財政法の中に明記されておるのです。ところが都道府県と市町村の関係はどうも明確を欠くのではないか。これは野放しにしておくと、やはり府県の方が力が強いものだから下へ下へと、この負担を押しつけていく、こういう事態がある。市町村はまたその住民に寄付金、分担金を割り当てるというようなことになるわけなのです。そういう抜け道がこの二十七条なんです。私はそういう意味で注目しなければならぬ規定だと思う。一つ実態をよくお調べ願ってその結果をお知らせ願いたいと思うのです。
最後に一点だけ、この解釈の問題なんですが、これも前に問題になった十二条の地方公共団体が処理する権限を有しない事務を行うために要する経費については、国はその経費を負担させるような措置をしてはならぬと書いてあることの解釈なんです。その経費を負担させるような措置とは何ぞや。これはやっちゃならぬということになっているんですね。警察とか防衛庁、海上保安庁、司法、行刑に関する経費といったような国の経費については、地方団体にその経費を負担させるような措置をしてはならぬ、これが非常にデリケートなわけなんです。措置とは何ぞや、たとえば国の出先機関の方で少し予算が足りないから金を出してくれぬかというのが、やはり措置の中に入りますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/91
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092・小林與三次
○小林(與)政府委員 これは入ると思います。出先機関が出先機関の責任で足らぬ口を出させろということになりますと、やはり十二条の趣旨の違反だろうと思います。この点は十二条の問題もありますが、御承知の通り再建法で地方公共団体が国については金を出してはいけないという規定がはっきりと出、今度は裏からの規定が出てしまっておりますが、この規定によって現在においてはむしろはっきりと動いているのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/92
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093・門司亮
○門司委員長 それでは本日の会議はこの程度にいたしまして、次会は明四日午後一時から開会することといたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後一時三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X01819570403/93
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