1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年四月十八日(木曜日)
午前十一時二十一分開議
出席委員
委員長 門司 亮君
理事 亀山 孝一君 理事 永田 亮一君
理事 吉田 重延君 理事 川村 継義君
理事 中井徳次郎君
青木 正君 川崎末五郎君
纐纈 彌三君 丹羽 兵助君
早川 崇君 古井 喜實君
今村 等君 加賀田 進君
北山 愛郎君
出席政府委員
警察庁長官 石井 榮三君
警 視 長
(警察庁刑事部
長) 中川 董治君
警 視 監
(警察庁警備部
長) 山口 喜雄君
自治政務次官 加藤 精三君
総理府事務官
(自治庁税務部
長) 奧野 誠亮君
委員外の出席者
専 門 員 円地与四松君
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本日の会議に付した案件
国有提供施設等所在市町村助成交付金に関する
法律案(内閣提出第一三九号)
国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関す
る法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一
四〇号)
警察に関する件
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001・門司亮
○門司委員長 これより会議を開きます。
国有提供施設等所在市町村助成交付金に関する法律案並びに国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたしまして質疑に入ります。質疑の通告がございますのでこれを許します。亀山君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/1
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002・亀山孝一
○亀山委員 いわゆる基地交付税につきましてこの際ぜひお伺いしたいと思うことは、本年度は五億の予等の計上を見ておりますが、来年度十億というこのいわゆる大蔵大臣の言明というものは、これをその通り信じていいのかどうか、大臣がお見えになりませんが、奧野税務部長から、そういう確約があったかどうかということを確かめておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/2
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003・奧野誠亮
○奧野政府委員 三十二年度の予算案が政府部内できめられます際に、自治庁長官と大蔵大臣との間におきましても、初年度は平年度の二分の一の額とするという話し合いがあったわけであります。また他の委員会におきましても大蔵省の政府委員から、初年度五億円、平年度十億円の予定であるということを申しておりますので、政府部内におきます話し合いははっきりいたしておる、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/3
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004・亀山孝一
○亀山委員 そうしますと、現在の情勢から見て、進駐軍もだんだん引き揚げていく、引き揚げていっても、その割合いかんにかかわらず、十億という金は基地交付金税として認めるという趣旨ですが、それとも減れば減るだけ減らすという意味なのか、その点を一つはっきり伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/4
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005・奧野誠亮
○奧野政府委員 御指摘になりましたように、駐留軍が若干引き揚げて、拡張される面よりもむしろ返還される面の方が多くなっている状態であります。ただ五億円ないし十億円という金額は、当初自治庁におきまして国有資産等所在市町村交付金の対象として計算しておりました金額から考えて参りますと若干少な目であるようであります。しかしこの種の施設に対しまする国の交付金の性格等からいたしまして、初年度五億円、平年度十億円の財源措置にするということになったわけでございますので、反対に施設が若干減って参りましても、この金は別に減額するものではないというふうに考えているわけでありますが、自治庁と大蔵省との間で話し合いをいたしておりまするのは初年度五億円、平年度十億円でありまして、十億円という金は当分の間そのまま据え置いていくという話し合いになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/5
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006・亀山孝一
○亀山委員 そうすると何というか、悪い言葉で言えばつまみ金みたいなもので、固定しているということですね。事実上の、駐留軍なりあるいは自衛隊が使っておる土地建物に関する固定資産税というものよりは、まあ考え方からいえば、一つの見舞金のような感じがするが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/6
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007・奧野誠亮
○奧野政府委員 駐留軍の使用にゆだねております資産の実態は非常に区々になっておるわけでございます。どの資産をとらえて対象にするかということによりまして、所要の金題にはかなりの幅があるわけであります。またこういう点が、政府内部におきましても争いがありまして、なかなかこの措置のきまらなかったゆえんでもあったわけでございます。しかしながらいわゆるつまみ金といいましようか、そういうものであってはならないということで、自治庁といたしましてはぜひ法律に基いた交付金にいたしたいし、また交付の基準につきましてもここで明確に法令の根拠を持ちたい、かように考えて参ったわけでございます。従いまして将来ともそういう方向で運用いたして参りたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/7
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008・亀山孝一
○亀山委員 そうしますと、この法律案による各当該市町村の受くべき固定資産税にかわる金額の割合というものはどういうようになるものか、そのお見通しを一つお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/8
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009・奧野誠亮
○奧野政府委員 それぞれの市町村にあります対象施設の価額というものは、市町村にとってわかっておるわけでありますので、今は予測できないかもしれませんが、五億円の配分が一たびきまりますと、平年度ではそれの二倍になっていくわけでございます。また、対象施設が増減いたして参りますので、総額の十億円という金額は動きませんけれども、個々の市町村に配分される額は、それに伴って若干移動して参ると思うのであります。
そういうような関係でありますので、それぞれの市町村においても交付されますところの金額を予測することは十分できるというふうに存じておるわけであります。また、そういうようにこの交付金を運用いたして参りたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/9
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010・亀山孝一
○亀山委員 そういうようになりますと、現在のいわゆる国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の
一部の改正の方がいいと思うのですが、今手配しておられます国有提供施設等所在市町村助成交付金に関する法律案、これをなるべくすみやかに、先ほど申し上げた納付金の方の法律の改正にされる御意向があるかどうか、その点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/10
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011・奧野誠亮
○奧野政府委員 御指摘になりましたように国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の改正にするということも、一つの行き方だろうと思うのであります。自治庁においても当初はそういう考え方を持っておったわけであります。しかしながら駐留軍の使用にゆだねております資産のうちで、飛行場や演習場の用に供しておる資産も対象にいたしたいと考えておりましたし、またそうなって参りますと、自衛隊の使用いたしております飛行場や演習場をもその対象にする必要が生じて参るわけであります。そうなって参りますと、純粋に行政目的に供提しているような資産につきましても、固定資産税相当額の交付金を所在市町村に交付するということになって参り、またそうなって参りますと、交付金の範囲というものが、どこまで広がってゆくかということについて見当がつかない、こういうようなこともあるわけであります。そういうようなことから大蔵省において強く反対をされ、従ってまた今の国会に提案しておりますような単独立法の形をとったわけであります。同時にまたそういうような行政目的に提供されております資産も一部対象に加えますので、純粋に固定資産税的なものではなしに、そういうようなことから市町村に与えております財政的な影響、こういうものも交付金を交付する場合の一つの参考にすべきものではなかろうか、こういうような考え方もとって参ったわけでありますので、従いまして現在のところこのような個別の措置で、将来ともやって参りたいというふうに存じておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/11
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012・亀山孝一
○亀山委員 ちょっとその答弁は満足できないのですが、元来これは当初は今言われたようにいわゆる国有資産等の交付金納付金に関する問題で出発されたところが、予算においてたまたま内閣所管の助成交付金になっておる。従って今年度やむなく今提案されたような助成交付金になっている。けれども先ほど来御答弁のように一定の基準を示してやることであれば、何ら交付金納付金と変らないのです。それならば当然これは近き将来において本筋に帰るべきものじゃないか、こう思うのですが、これを今年度はやむない方法として助成交付金になっておるけれども、助成交付金として続けるべきものではなくして、交付合納付金の法律に明確に入れるのが私は妥当であろうと思う。奧野君は非常に苦しいかもしれぬけれども、あなたのお考えとしてその方が正しいのじゃないかと思うのだが、正しければ正しいと言って下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/12
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013・奧野誠亮
○奧野政府委員 御指摘のように、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の中で、今問題になっております施設を対象資産として加えようとします場合には、ある程度限定せざるを得ないのじゃないか、かように考えるわけであります。言いかえれば、住宅でありますとか、あるいは厚生施設でありますとか、あるいは企業施設というようなものにつきましては、十分その中に加えてよろしいんだという主張ができると私たちも考えておるのであります。しかしながら飛行場や演習場をもそれに加えるということにつきましては、現在の国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律が予定しております考え方を若干離れると思うのであります。その法律の趣旨をさらに拡張するということは、やって悪いことじゃないと思いますが、しかしながら現在の法律の範囲を越えることは事実だと思うのであります。そういうところにまた新たなる問題が生じてくるわけでございますので、アメリカ合衆国の軍隊に使用されております資産を、さらに振り分けることはいたさないで、全部一括して国有提供施設所在市町村助成交付金に関する法律の中にまとめたいというふうに考えたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/13
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014・亀山孝一
○亀山委員 今のは一つの法律論でありますけれども、気持としては先ほど来あなたの答弁された当該市町村の財政を考慮に入れるという、いわゆる見舞金的な助成的の色彩があるから、単行法にしたという二つの理由だろうと思うのです。これは大体一定の率を定むべきであり、またその本来の性質からいえば、交付金納付金の方の法律に適用の改正を加えれば、これこそ私はすっきりしたいわゆる交付税納付税の対象になるじゃないか、今年はやむなく助成交付金という妙な法律を作ったけれども、これは本筋に返るべきだと思うのです。どうもいろいろ理屈を言われるけれども、あなたの本心はどっちなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/14
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015・奧野誠亮
○奧野政府委員 市町村の立場を考えて参りました場合には、御指摘のようにそれらの施設があるのだから、固定資産税相当額の交付金が当然に国から交付されてしかるべきだというふうに思われるわけでありますし、その限りにおきましては国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の中に加えることが望ましいと思います。しかしながらまた反面岡の立場から考えていきました場合に、純粋の行政目的に提供しておる資産を国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の中に加えて参りました場合には、どこまでその範囲が広がっていくかという不安もあるわけでありますので、その立場から言いますと別個の法律が望ましい、こういうことになろうかと思うのであります。両方の考え方を尊重しながら、現在立案をして参っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/15
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016・亀山孝一
○亀山委員 どうも私の記憶では、だいぶ前の委員会でこの問題を私どもが申し上げたときに、ある意味から言えば筋を通すという考え方で、交付金、納付金の附則によるというお考えがあった。やむなくば附則程度でわれわれはがまんしようと思ったが、しかし助成交付金という予算の関係もあるので、助成交付金という単行法で、目をつぶろうかと言っておるのです。あなたのお考えじゃ、今の交付金納付金の法律の附則に入れるという趣旨の当時の御説明と矛盾するように思うのですが、今まだいろいろ動いているというか、はっきり確定しない今日だから、無理にこれを本法に入れろとは言いませんけれども、交付金納付金の法律の附則に入れる程度のことは考えてもよい、しかる後にまた本法に入れる。きょうは助成交付金がばかにいいようなお話だが、そこがどうも前と違うのですが、これはぜひはっきりしていただいて、同時に助成交付金を受ける市町村当局が安心して予算を組めるようにしていただきたい。この際もう一度はっきりお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/16
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017・奧野誠亮
○奧野政府委員 私たちがこの問題を昨年の当委員会の御決議以来解決に努力して参る過程におきまして、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の本法に入れたいという考え方を当初持っておりました。しかしながらこういう考え方に対しまして大蔵省事務当局は非常に強い反対を持ち続けて参ったのであります。そういうことから妥協案として附則に追加したい、こういうことを考えて参りました。しかしそれでもなおいろいろ話し合いがつきませんで、最後に今提案しているような形をとることにいたしたわけでございます。その間に私たちの考え方もいろいろと変って参ってきておるわけでありまして、自治庁の考え方だけ、あるいはまた市町村の立場だけの考え方だけでも参らないわけでございまして、そういうことから各政府部内の意見も総合的に判断いたしまして、このような形がさしあたりは適当だろうというふうに存じておるわけでございます。しかし御指摘になりました点はよくわかるわけでございます。そういう問題につきましては運用面において問題の起らないように十分工夫して参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/17
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018・亀山孝一
○亀山委員 今の御答弁では結局大蔵当局のいろいろの主張のために、自治庁当局はある程度引いたというように聞えるのです。これは税の体系からいえば、私はあなたの方、つまり自治庁の主張が正しいと思う。その点はこの際あまり遠慮なさらずに——これ以上は追及しませんが、そこで今年度は今の助成交付金は大蔵省所管に組んであるが、来年度からは自治庁所管に組みかえますか、どうですか。その点をちょっとお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/18
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019・奧野誠亮
○奧野政府委員 三十二年度の予算におきまして大蔵省所管に計上されております。大蔵省所管に計上するに当りましても、自治庁と大蔵省との間では所管がきまった場合には移しかえる、こういう約束になっておったわけであります。法律案がきまったわけでありますから、三十二年度の予算におきましても当然に移しかえるものと考えております。三十三年度から所管がきまっておりますので、当然に自治庁所管に計上されるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/19
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020・亀山孝一
○亀山委員 最後に一つ、今の問答でわれわれの考えもわかると思いますが、自治庁のお考えも、当初のお考えのように妥協せずに、すっきりした交付金、納付金のようにしてもらいたい。助成交付金といえば何となくあいまいな感じを持ちますから、その点だけを希望申し上げまして私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/20
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021・門司亮
○門司委員長 それでは国有提供施設等所在市町村助成交付金に関する法律案並びに国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案、この両案に対する質疑につきましては、一応この程度でとどめます。
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022・門司亮
○門司委員長 次に警察に関する件について調査を進めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/22
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023・亀山孝一
○亀山委員 警察庁の長官が見えておりますから、御質問は大分県の問題だと思いますが、菅生事件に関する問題だけは本日はお触れにならぬように、委員長のお取り計らいを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/23
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024・門司亮
○門司委員長 質疑の通告がございますのでこれを許します。中井徳次郎君。
なおお見えになっておりますのは石井警察庁長官だけでございまして、各部長はまだお見えになっておりませんので、そのつもりで御質問願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/24
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025・中井徳次郎
○中井委員 当委員会といたしまして、警察関係につきましては久しぶりでございます。本日お尋ねをいたしたいのは、だいぶ警察関係で問題がたくさんございまして、今他の手負から発言のありました菅生事件簿につきましても、お尋ねをいたしたいと思いますが、本日はさしあたり同じ九州方面で問題になっております別府市の騒擾事件につきまして、警察の態度その他についてお尋ねをいたしたいと思うのであります。
この事件は三月の終りから非常に長い間の西日本における大問題であったと思うのでございまして、その間に私ども新聞紙上その他で知る範囲におきましては、警察のとりましたやり方といたしましては、本部の方ではかなり峻厳な方策をとられたようでありますが、そこへ参りますまでの間に非常にもたもたといたしておる、こういう印象を持つわけでありますが、最初に警察庁といたしましては、この事件についてどういう措置をとられ、どういう経過であったか、一応それを伺ってから質問をいたしたい、かように思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/25
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026・石井榮三
○石井(榮)政府委員 ただいま御質問の、先般の大分県別府市におけるいわゆる暴力団のなわ張り争いに基く殺傷事件の発生いたしましたことは、まことに遺憾なことでございます。今回のこの事案の概要をまず申し上げたいと思うのであります。
事の起りは、別府市に今回開かれました博覧会の施設の利権をめぐっての争い、具体的に申しますと、土地のいわゆる暴力団と目せられる組が二つございまして、井田組と石井組でございます。この両者の間に今申します博覧会の施設の利権をめぐっての争いから、三月二十七日に井田派のある若い者が、石井組の親分である石井一郎氏に対しまして拳銃による殺人未遂事件を起したのでございます。これは現場において直ちに現行犯として逮捕いたしまして、また同時に携帯している拳銃、実包等も押収をいたしたのであります。これがきっかけとなりまして、今度は親分がやられたというので、石井派の若い人たちが相手の井田派に対して何らかの仕返しをしようという挙に出たわけでございます。具体的に半一件として発生をいたしましたのが三月三十一日、井田派に属する市会議員の堀泰二郎という方に対しまして、石井派の富永という若い人が三月三十一日の夕刻午後七時ごろ、堀市会議員が知人のところへたずねていく途中を要して、あいくちをもって胸部をうしろより突き刺し、死に至らしめた、こういう事案が発生したのでございます。その犯人である富永昭二という者は翌日逮捕いたしたのでございます。凶器に用いました短刀一振りもその際押収いたしたのでございます。こうした事案がありまして、地元の警察といたしましては、別府署はもとよりのこと、大分県警察本部としましては付近の警察署よりも必要な警察官を動員いたしましてこれが警戒に当り、自後そうした不祥事案の発生することのないように最善を尽し、いわゆるパトロールの強化、また関係者が集結していろいろ動きを見せるであろうと思われるところの敬成、またねらわれるであろうところのそれぞれの両派の幹部、こうしたものの身辺の警戒と申しますか、そういった点につきまして最善の措置を講じたのでございます。従いましてしばらく格別の具体的な事案は起らなかったのでございますが、そうしたことをめぐりまして、市中にきわめて不穏な空気がみなぎっておるということは、善良なる市民の方々の日常生活にもきわめて不安を与えるわけでございますので、警察としましては一刻も早くそうした陰うつな空気を一掃するために十分警戒に当ると同時に、そうした問題を起すおそれのある者がいわゆる凶器を持っておるということが、何といいましてもそうした不詳半をさらに起すことにもなりますので、彼らの持っておるところの武器を押収捜索するという挙に出たのでございます。四月八日に第一回の押収捜索を実施いたしておるのでございますが、武器を押収捜索されたことによりまして、いわば武装解除されたということによって暴力団の人たちは非常に劣勢を感ずるわけで、もし相手方にまたそういう虚に乗じてなぐり込みをかけられてくると非常に不利である、ひけをとるおそれがあるということから、近県の同じ仲間の君たちに応援加勢を求めた。これは両派ともそれぞれそういう措置をとっておるのでございます。石井組に対しましては近県の福岡県あるいは熊本県等より麻援隊が繰り出す、相手の井田派の方に対しては、主として四国の香川県あるいは徳島県方面から応援隊が繰り出してくる、こういう情勢に立ち至ったのでございます。そこで警察といたしましては、ひとり地元の大分県本部のみならず、そうした関係の近接した県から応接に出かけるであろうと思われるような形勢にあるという情報に基きまして十分警戒に当ったのでございます。武器等を携行して大分にはせ参ずる応援隊を未然に発見をし、これを阻止するという措置を、それぞれの関係県においてはとったのであります。それによりましてある程度成功いたしたのでございますが、中には巧妙に三々五々大分県の方に出向いた者があったのでございまして、結局四月の十日が最もそうした外部からの応援隊の集結した時期でもあるのでございますが、今申しました両派に対する応援隊が、四国あるいは熊本県、福岡県からはせ参じた者が両派合せて約百五十名くらいになっておったかと思います。それに地元におります両方の組の関係者等を合せまして最盛期と申しますか、そうした関係者が別府の町に一番多く集まった時期は十日、十一日のころでございまして、総計で二百五十名ないし三百名近い数になったかと思うでのあります。そこで警察といたしましては、こういうふうに多くの者が集まってきて、いつまた再び不詳事件を惹起するかわからないという情勢にありましては、市民の日常生活にも非常に大きな不安を与えるわけでございますので、これを解散せしめるという措置に出たのでございます。四月十日の丁前十時半にまず第一回の解散の警告を両方の幹部に申し渡したのでございます。両派の幹部は一応これを了承いたしたのでございます。従って警察としましては、しばらく模様を見ておったのでございますが、その日のうちに約束通り解散をしないという状況にございましたので、翌十一日昼過ぎに再び第二回目の警告を発したのでございます。そのときは夕方午後六時までには解散をさせるという両派の幹部の意思表示があったのでございます。そこで夕方まで様子を見ておりましたところ、五、六時になりましても依然としてまだ解散の気配が見えないというので、さらに午後七時に第三回の解散警告をいたしたのでございます。これによって初めてそれぞれの県外から応援に来ておった者が三々五々引き揚げて、八、九時ごろにはだいぶ引き揚げたのでございますが、なお十二時になりましても若干残りておる者がございましたので、さらに警告を発しまして解散をせしめたのでございまして、十二日にはすべて県外の者は解散をいたした、こういう状況に相なっておるのでございます。
なお今申しました十日、十一日の最も多く集結して不穏な空気になりましたときの事件が一つあるのでございます。四月十日の午後二時ころ、いわゆる井田組の井田栄作という幹部の方の家のすぐ道を隔てて近いところに、西日本新聞の別府支局があるのでございますが、その支局の屋上から西日本新聞の記者の方が井田の写真撮影をしておりましたのを、井田方に集まっておりました、先ほど申した四国から応援に来ておりました連中か見つけまして、土地の者でないだけに新聞社の支局であるということも知らなければ、むろん記者の顔も知らないという関係もありましょう。相手方つまり石井派のスパイと誤認をいたしまして、あそこにスパイがおる、それというのですぐ十数名の者がそれをやめさせようということで、支局のある方向に向ってかけ出していって、支局の玄関土間に入りまして、写真を写しているのはだれかということで、そこで若干のいさかいが起ったのであります。ちょうど支局長がおられまして、相手は支局長であるかだれであるかも知らないうちに、その支局長である人がたまたま写真機を肩にかけておったので、写真をとろうとしたのはお前だろうということで、そこでごたごたがありました。当時警察官三名がこの井田方の警備に当っておったのでありますが、今申しました通り十数名の若い者が支局の方に向って走っていくのを見かけて、そうさせてはならないというのでそれを制止すべく警察官もあとを追っていったのであります。支局長の応対に際してもこれを極力制止して、ここは支局だからこんなところに入ってはいけないというので極力阻止したのでありますが、何分にも多勢に無勢で十分な措置がとれなかったということはまことに遺憾であります。そこで支局長は、井田派の幹部である井田氏とはじっこんと申しますか、顔見知りの仲でもあるので、行って話をすれば誤解も解けることだろうというようなことでもって、すぐ筋向いの距離のところでもありますので、井田氏の家に支局長が参りまして井田親分に会ったのであります。何だ君だったのか、まあ上れというようなことでもって二階に上って、それからはきわめてなごやかに話が進みました。写真なんかとったから若い者が騒ぎ立てたのだろうから、その写真を破棄したらどうかというようなことになって、写真機の中のフイルムを露出させてそれでけりがついた。そうして支局長を若い連中が支局長の家まで今度は送り届けるというようなことで、そのときは一応おさまったのであります。しかしこれを警察的に見ますならば、一応事が円満に解決したかに見えますけれども、少くとも人の住届に無断で侵入し、まあ支局長はおだやかに井田氏の宅にまで行かれたようにも見えますけれども、何分にも相手が相当大ぜいであり、その間に相当脅迫的な言辞もあったのではないかと思われますので、これは一応事件として捜査すべきものであるというふうに考えまして、現地の警察におきましては引き続いて捜査をいたしておるのであります。何分にも先ほど申しました通り、徳島の方から応援に来ている者でありまして、顔もどこの何者であるかわからないというような関係で、まだ完全に捜査が完了いたしておらないのでありますが、当時の写真等もとってありますので、そうした資料に基きましてこの事件の直接の関係者が何人であるかということも十分に糾明いたしまして、事件としての処理を全うしたい、こういうふうに考えておるのであります。先ほど申しました通り、十一日の夜警告に応じまして、両派の外部より応援に来ている者もそれぞれの出身地に引き揚げるということになりまして、一応事態は解決を見たのでございます。その後は格別さしたる事故もないのでございますが、こうしたことのあとでございますので、警察といたしましてはさらに引き続き十分警戒の眼をもって両派の動向というものにつきましては、十分注意もいたしておると同町に、先ほど来申しました二十七日に発生した事件以来の各種の事件につき関係者を今日までのところ十二名逮捕いたしておりますので、そのほかにも捜査の結果両派に関係のある者等が発見されますならば、さらに十分にこれを究明して参りたい、こういうふうに思いまして引き続き捜査をしているような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/26
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027・中井徳次郎
○中井委員 事件の概要は大体今伺いましたが、それにつきまして四、五点私はお伺いしたいと思うのでありますが、警察がまず第一に解散命令を出したといいまするが、こういうのは私も法律上のことをあまり詳しくは知らないのでありますけれども、そういうふうな双方とも百人以上の人間が集まって騒動をやるというふうなときには、解散などを命ぜずに、それを全部ひっくくるというわけにはいかないのですか。私はどうもこの事件全般を見まして、警察のやっておりまする態度がなまぬるいような気がいたします。これはこれからだんだんとお尋ねいたしますが、その前提といたしまして、そんな者はみなひっくくってしまう、やはり何か刃傷ざたをやろうという目的をもって集まってくるのでありまして、何もお見舞に来たわけではないのであります。そういう意味で私はどうも法の解釈を厳格におやりになることが必要であろうけれども、こういうのはきまり切ったことなのであります。テキ屋だとかなんだとかいうことについては、ことしの冬でありましたか、警視庁管内でだいぶ暴力団狩りをやりました。これは警察当局といたしましては私は久しぶりのヒットであったろうと思うのでありまして、国民も非常に感謝をいたしております。そうなりますると今度はだんだんと中心を離れて海岸その他海水浴場などに散らばって行ったというようなこともございましたが、いずれにいたしましても私はもう少し大前提として徹底した方策をとらない限りは、これは飯の上のハエを追うようなもので、どこかで毎年何か事件が起る。日本の封建的な、庶民にとりましては陰惨ないやな思いがなかなか直らないというような印象を持つのですが、そういう徹底した方策はとられないのですか。この点をまず一つお尋ねをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/27
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028・石井榮三
○石井(榮)政府委員 いわゆる暴力団の取締りにつきましては、警察としましてはかねがねこれが徹底を期するということで努力をして今日に至っておるのでございます。特に昨年の夏私は全国の警察に指示いたしまして、強力にこれが取締りに当って、しかも長期継続してこれを行う。一時的な線香花火式な取締りであるならば、一時は彼らは勢力をおさめておっても再び台頭するものであるから、長期継続してどこまでもこれを追っかけていく、そうして末端の表面的な現象のみを取り締るのではなく、さらにその背後関係までも追究をするようにということを当時から強調いたしまして、第一線においてはその方針にのっとって、それぞれの土地の実情に応じて適宜工夫をこらして今日に至っておるのでございまして、幸いにしまして昨年一年の統計を見ましても、その前年に比較しまして相当成果を上げておりまして、手前みそではありませんが、この点は確かに私どもも成功をしたものと確信をいたしておるのでございます。しかしながらまだまだここ半年や一年のわれわれの努力によって、このやっかいな問題が根本的に解決されたものとは決して思っておりませんし、今後さらに引き続きこれが努力を続けて参らなければならぬことを痛感しているのでございます。実は昨日も全国の管区警察局長を集めまして、この問題につきまして別府事件を一つの前例としてこれを解剖し、われわれの反省すべき点を反省し、さらにこの問題と、取っ組んで十分に成果を上げ、国民の信頼と期待に答え得るだけの成果を上げるようにさらに反省をいたしたような次第でございます。ただいま今回の別府事件につきまして現地に多衆集まってきた者を、のんべんだらりと警告を発するというようななまぬるい措置ではなしに、一挙に直ちにひっくくってしまったらどうかという御意見でございますが、私どもはあくまでも現行法令に基きまして職務を執行しなければならぬものと思っているのでございます。今回のような事案に対する取締りの規定といたしましては、刑法百七条に「暴行又ハ脅迫ヲ為ス為メ多衆聚合シ当該公務員ヨリ解散ノ命令ヲ受クルコト三回以上二及フモ仍ホ解散セサルトキハ首魁ハ三年以下ノ懲役又ハ金錮二処シ其他ノ者ハ五十円以下ノ罰金二処ス」こういう刑法の規定があるわけであります。いわゆる不解散罪といいますか、これの適用があるわけでございます。私どもはこの規定に基きまして、先ほど御報告申し上げました通り、解散の警告を発しました。もしそれが三回以上に及ぶもなお従わないときは、この規定によりまして検挙をする、こういう態度に出たわけでございます。どうも物騒なやつだから片っ端からひっくくってしまえというのは勇ましい御議論で、私どもそういうふうに簡単にできるものであれば、これは非常に取り締りやすいのでございますが、そういったやり方が許されるということになれば、これはまたいろいろな物合に行き過ぎて人権を侵犯することにもなろうかと思うのでございまして、現有の法令がこういうふうになっております以上、私どもはこれにのっとって職務を執行せざるを得ないと思うのでございます。ただしかしながら、しからば現行法令がすべて完備している、申し分ないかということになりますならば、私どももこの点につきましてはかねがね当委員会においても、そうした点の御指摘をいただきまして、自来いろいろ研究はいたしております。しかしながらなかなか問題が問題でございますので簡単に結論に到達し得ないで、引き続き研究をいたしているのでございますが、今回のこういう五例その他われわれのいろいろ経験しました資料に基きましてさらに研究を進めまして、現行法令の不備欠陥と申しますか、改正すべき点につきまして今後とも十分研究をして参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/28
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029・中井徳次郎
○中井委員 実は今私はざっくばらんにお尋ねしたのでありますが、今のような御答弁でありますと、それは法の解釈としてはそうでありましようけれども、現実の大分県の事態は、それではどうかといいますと、今あなたがお話しになったようなそんな暴行脅迫ではございません。殺人ですよ。前に殺人をやっているのです、お互いに。もっと私は非常に強度なものだと思うのです。それから私も一応調べたのでありますが、この井田というのは市会議員であって、大分県の自由党の副支部長であり、あなた方は十日に解散命令を出しているが、八日の日に、二日前に警察に保護を求めているのです。はっきり新聞に出ております。そういう者をのこのこ帰しておいて、そうしてまた人を集めているのを一日も二日も見ておったというんですから、一体何をしているのか私はわけがわからぬ。警察の談話はあります。これは四月九日の朝日新聞ですが、現地の警察はのんきなことを言っている、市当局が悪い、こう言っている、市当局に警告をした、全く市の責任であった、一体何ですか、これは。事件がその前からどんどん起っている、それなのに——これは博覧会をやったんでしょう、観光都市で、ずいぶんにぎやかにやるというのに、こういうことで私はおそらく博覧会も入りが少し減っただろうと思うのでありますが、そのやり方が悪いと警察が言うておる。警察はそんなことを言う前に、自分のところまで保護を求めてきた者を野放しにして、そうして二日たってまた解散命令、一体何をしているのかと私は思う。ちょっと読んでみましようか。別府署は「興行ものをめぐり対立が露骨になって来たので市当局にテキ屋を入れることを慎しむよう警告したが聞きいれられなかった。一部の政治力に押切られたためで全く市の責任だ。暴力の取締には盲点があって、あれ以上の取締は出来なかった」こう言っているのですが、おかしいじゃありませんか。四月八日に第一、第二の事件に続いて第三の事件があって、さらにあなたから御説明があった新聞社の事件があって、その間二十日もたって東京からやかましく言っていくまで、現在の市当局はほうっておいて、そうして市の警察もほうっておいて、そうして市役所が悪いんだというのんきなことを言っておったのでは、私は市民の治安の維持なんというものはとてもできないと思うのですが、この点について、あなたはずっと経過を御説明になったが、どうもその間十七日かかっています。死の町のような格好になっておる。そこで私はああいう乱暴なことを言ったのですが、ああいう事態になって、そうしてまだのんきに解散命令というふうなことでは追いつかない、もっと前に打つ手がたくさんあった、こう思うから今申し上げたのです。その点についてどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/29
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030・石井榮三
○石井(榮)政府委員 新聞の記事を、そのまま関係の警察当局が現地において話したかどうか私確かめておりませんので、これは何とも申し上げようがないのでございますが、市当局の責任であって、警察に責任がないかのごとき言辞を弄するということは私は万々あるまいと思うのであります。それは何かの聞き違いといいますか、あるいは言葉の足りないためにそういうふうに新聞社側に誤解された、それが一事になったということも考えられるかと旧旧いますが、いずれにいたしましても今御指摘の通り別府の町が三月二十七日の事件発生以来十数日、きわめて陰うつな空気をかもし出した。その間に警察としてもっと適切な措置をとる方法はなかったかという点につきましては、私どもも実は十分反省すべき点であると思います。現地の報告を聞きながらも、私はその点は十分反省いたしているのであります。済んだことでありますからいたし方ございませんが、今後もし不幸にしてどこかに類似の事案が発生するような場合には、もっと迅速に適切な措置のとれるように、われわれ摘発する側といたしましては工夫をこらさなければならぬのではないかという点は、私も痛感いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/30
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031・中井徳次郎
○中井委員 今のお話で新聞記事をやや否定されるようなことがありましたが、これは一朝日新聞だけではなくして、ほかの新聞にも出ております。毎日でありましたか、それにも出ております。どうも市役所のやり方は手ぬるいから一おそらくそれもあったでありましょうが、そうかといって警察がそのままにしておくというふうなばかなことはないのでありまして、毎日新聞によりますと、この一方の親分であります井田という市会議一具であります。これは同僚が殺されておりますが、事件解決に出てきたと称しま書して、八日の夜九時に兄の与次郎という人と一緒に警察の新聞記者室で新聞記者と会見をしております。そうしていろいろ問答をしております。こういうことで一応警察におって、警察の新聞記半室でみんなと会ってから、のこのことまた出ていって子分集、よれというようなこと——勝手に集まったのかもしれませんが、四国の方からたくさん集まったということは、私はどうもわかりません。もちろん市会議員でありましょうけれども、あるいはそういうようなことで私が心配いたしますのは、地方に参りますと警察とこういう階級の者とは始終出入りが多いものでありますから、裏で情愛が移ってそうしてどうも手ぬるいとうふうなこと、これは国民全般の常識なんでありまして、今度の事件はこれをまさしく裏書きしているように思う。私が一番おそれるのはそのことでありまして、なぜもっと早く徹底的にやってしまわないか。この井田君が別府署に現われたのは事件後十日たっております。その間も二つ事件があって、十日たって保護を求めに来て、またそれを帰したというようなことは、どうも私にはわからないことでございます。今のような新聞社の事件一つにいたしましても、すぐ行ってそういう乱暴を働いた人たちをひっとらまえてくる方法は幾らでもあろうかと思うのでありますが、どうですか。この点どうも今の御答弁では私は満足できませんが、この大分県の警察のやり方について——私が特に大分県と言いますのは、九州管区の警察局長とかいう連中、あるいはまた検察庁方面においては断々固としてやると書いてあるのです。書いてあるのだが、現実の姿を見ると十七日間もたもたいたしている。ここに私は実はこの事件の盲点があるように思いますので、この点について警察当局としてはどういう考え方であるか、重ねて一つお尋ねをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/31
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032・石井榮三
○石井(榮)政府委員 警察はどこまでも不法な事案に対しましては真相を糾明いたしまして、その責任を追及するという根本方針を堅持しているのでございまして、今回のこの別府の事件につきましても、先ほど御報告申し上げました通り、相当時間手をこまぬいておったかに見える節もありまして、そういう点は私は実は反省の余地があるというふうに考えているのであります。発生しました事案に対しての関係者の逮捕その他の処置につきましては、今までもある程度やっておりますし、さらに引き続きやっているということを先ほど申し上げたのでございます。
なお先ほどこの種の事案については警察がえてしていわゆる町の暴力団、ボスとのくされ縁があって、そのために取締りが鈍っているのではないかという御指摘でありますが、過去においてそういうことをいろいろ御批判をいただいておりまして、その点は私どもも十分反省しなければならぬ点であると感じまして、鋭意そうしたいわゆるくされ縁ということを断ち切る。そうして警察はどこまでも厳正公平な強力な取締りができるように、警察官みずからも身を持することを厳にして、そうした情実因縁によって公務がゆがめられることのないことを期し、またその努力をいたしているのでございますが、今日過去の警察制度の、特に自治体警察の悪口めいたことは、いまさら言いたくないのでございますけれども、過去の制度の自治体警察時代に、得てしてその土地の有力者と警察幹部との間に非常に深いつながり、情実因縁ができまして、執行務が鈍くなるといったような傾向が絶無ではなかったと思うのであります。そうした名残りと申しますか、それが二十九年の警察制度が改正以後においても、所によってはあるいは若干その残滓があるということも、これも遺憾ながら否定できないかと思うのでございます。そうした点は極力異動の機会に適正配置をいたしまして、くされ縁を断つということに努めておるのでございますが、一気に人の入れかえというようなことは言うべくしてできることではございませんので、まだ二十九年以来日も浅い今日、あるいは所によっては多少そういう関係のところもあり、それが取締りに何がしか影響しているというようなことがもしあるとするならば、こういう点は即刻是正すべきものであると私はかように考えておるのでありまして、現地の大分県についてもそういう点はなかったかどうかといったような点を、大分県の本部長にも十分反省を促しておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/32
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033・中井徳次郎
○中井委員 今の御答弁ですが、自治体警察のときはこういう裏からのくされ縁といいますか、因縁といいますか、町の有力者との関係があってなかなかやりにくい、確かにそういう面もなかったわけではないでありましょう。しかしそれが全部の自治体警察の性格であったと私は断じて言い得ないと思うのであります。こういうデリケートな段階に行きますと、私はかかってやはりそれを執行する人間の質の問題になってくるのじゃないかと思うのであります。そういう面からいいまして、何も国警になったから因縁がなくなったというようなことは全然言えません。また逆にこれで安心だというのでぬくぬくとやっている、市民は身近かなところで見ておりませんから、逆に遠いところから指揮監督されるという形であるから、のんべんだらりと、まあ昔の状態に返ったというようなことの方が、私はかえって多いのじゃないかとかように考えておるのであります。その具体例がこの別府事件のように思えまして、まことにどうも手ぬるいのであります。あなた自身といたしましては、おそらくこれは別府の警察の署長以下幹部というものの人事権は、直接お持ちになっておらぬと思うのでありますが、こういう問題については、今も御答弁にありましたが、厳重に大分の警察に対しては今後の処分問題その他について、やはり警察当局の責任というものを追及してもらわないことには、私は筋金が入らないと思う。東京や福岡では張り切っておりましても、現地に行ってみたら、ざるみたいに抜けてしまうというふうな形であっては断じてならぬと思うのでありますが、この点についてはどうでございますか。このあとの処置について、別府関係の警察官の処罰その他はまだ進んでおられないのでありましょうか、どういうお考えでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/33
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034・石井榮三
○石井(榮)政府委員 ただいまの点は、お言葉にもありました通り大分県警察本部長が任命権者でございますので、私が直接かれこれ指図することはできないのでありますが、先ほどもお答えいたしました通り、大分県警察本部長に対しましては、別府警察署の人的構成等から見て、警察取締りが適正にできないといったようなことがないかどうか、そういった点を十分に反省するように今申しておるのであります。聞くところによりますと、大分県におきましてはこの三月末に県下になにがしかの警察異動を計画し実施いたしたのでございます。ところがあいにくに別府では三月下旬にそういった問題が起っておりましたために、別府関係は異動のらち外に置いた。これがもう少し早く異動があるとか、あるいは事件の起るのがもっとおそかったならば、異動は予定通りできたであろうにということを本部長は漏らしております。そういう関係で大分県本部長としましても、先ほど申しましたように、長く同じ署におっていわゆる町の有力者、ボスなどとくされ縁のできておるようなものを断ち切るという配慮については、十分考慮しておったようでございます。遺憾ながら今回の事案にぶつかる前に、そうした措置を取り得なかったという点は残念でございますが、なお今回の取締りの結果に徴して警察官の職務怠慢と申しまか、そういった点で責任を追求するかどうかという点につきましては、これは今後十分に真相を究明いたしまて、もし職務怠慢等による責任を追求しなければならぬような事案があるならば、本部長においても当然考えられるものと思うのであります。私からもまたその点は十分注意を喚起しておきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/34
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035・中井徳次郎
○中井委員 それから先ほどもちょっとお尋ねしましたがお答えがなかったようですが、この一方の旗がしらであります井田市会議員というのが警察の保護を求めてきましたのですが、これについてはどういうことでもってそのまま帰したのか、その辺の事情はわかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/35
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036・中川董治
○中川(董)政府委員 井田栄作という名前の方ですが、この方から、自分はあちこちねらわれているから身の危険を感ずる、どうか警察署において保護してもらいたいという申し出がございました。時に四月の八日だったと思います。それで警察といたしましては、これは当然でございますが、人命の保護をするのは責務でございますので、法律の根拠は本人の申し出でございますから、本人の申し出に基いて保護しておったわけです。そういたしますと最初のうちは、そういうふうに保護を申し出ておったのですけれども、もう大体帰ってもいいと本人が言い出しましたものですから、本人の申し出に拭いて警察の保護から離れて自宅に帰った、こういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/36
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037・中井徳次郎
○中井委員 本人がもうぼつぼつ帰ってもいいと言って帰った、今度は自分の派を集めて自分の派が大体集まったので、もう大丈夫だと言って帰ったということになると、これは全く警察を逆用して、自分が市会議員である、相当な有力者である地位でもって警察を運用して、警察がまんまと一ぱいひっかかったということを言わざるを得ないのですが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/37
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038・中川董治
○中川(董)政府委員 これは自分らの私兵が集まるまでの問危ないから警察にいる、集まったから帰るということでなかったかという御質問でございますけれども、事実はそうでなくして、大体危な気がなくなってしもうて——警察の方では四月十日、十一日に解散を命じておったわけです。その解散措置等によって一ヵ所に集結しておる関係者が解散する状態になって両方とも解散していく、こういうこと等の関連もあって大体本人も安心感を得たのだろうと思いますが、帰してもらいたいと言った。それからもう一つ御質問の自分たちの私兵を集めておったのじゃないかという点なんですが、そういうことがはっきりいたしまして、その目的がだれかを脅迫する、だれかを殺傷する目的で、(「殺人だ」と呼ぶ者あり)たとえば殺人の目的でそういうことをやったということになれば、もちろん刑法の教唆犯でありますので、そういう点は資料によって糾明できることになります。どしどし教唆犯によって措置できるものだと考えます。それで大分県当局におきましては、実行行為者等につきましては現に十二名ばかり逮捕済みでございますので、その教唆関係等につきましてはそれぞれ糾明しております。糾明した結果本人に及ぶかどうかという点は、今後の捜査に待たざるを得ないと思いますけれども、中井さんの御質問においては本人がそういう教唆に関連しておるごとき趣旨のお話でございますが、そういった点が明らかになればやって参りたいと思いますけれども、今のところ本人が殺人の目的また脅迫の目的で事を処理したという状態は、ただいままだ明確に出ておらないようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/38
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039・中井徳次郎
○中井委員 今の御答弁で見ると、まだ皆さんは非常に甘いように思うのでありまして、八日に警察に保護を求めに来て、十日に帰った。解散命令は出した。その十日に西日本の新聞記者が追いかけられて、そうして支局長が文句を言いにその集団のまん中に飛び込んでいったところが、井田がおった、こういうのでありますから、これはやはり先ほど申し上げたように、どうもあぶないときだけは警察へ逃げておって、おれたちの子分が集まってきた、もう大丈夫だというので帰っていったというふうなにおいがどうもしてならぬのであります。しかしこういう事実問題まで、国会が一々とらまえて言う場のもどうかと思いますが、私はこういう点はきわめて神経質に本部としては下部の方に指示をしてもらいたい。こういう人に限りまして、実際お目にかかると非常にものやわらかで、表面紳士的であるというふうな人が最近非常に多いのですから、念のために申し上、げておきたいと思うわけであります。人のいい政治家などはついだまされて、この間中村さんが花輪を出したり何かしておりますが、こういうところは警察は一段と峻厳にやってもらいたいということを申し上げておくのであります。
次に、これに関連しまして、こういう事件がありますごとに捜索をいたし、ますと、ピストルが何丁出たとか、太刀が何本出たとか、非常に武器が出てくるわけであります。これは何回もおやりになっておるのに出て参ります。この新聞記事を見ますと、美術品として登録してあるのでやむを得ない、ここまで行きますと、それは法律のいろいろの解釈もありましょうけれども、こういうテキ屋だとかなんだとかいううちに、たくさん美術品の天下の名刀があるとも私は思えないのでありますが、この辺のところはどうでございますか。もっと徹底的にこういうものの押収というようなことをおやりになる意思はあるのかないのか、伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/39
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040・中川董治
○中川(董)政府委員 まず中井さんの最初の点でございますが、よくお間違いになられると思うのですけれども、本件関係者に井田栄作という名前の方と井田与次郎という名前の方がございます。これは兄弟であります。栄作さんが弟で、与次郎さんが兄きでございます。それで警察以外におりましたのは兄さんでございまして、栄作さんの方はそのときは警察署で保護中であります。その点御了承願います。
それから第二点の銃砲、拳銃その他の凶器類の取締りでございます。これは御案内かと思いますけれども、私の方で所管しております法律の、当委員会で御審議いただいた銃砲刀剣類等所持取締令というのがございまして、拳銃はいけません。それから御質問がございましたように、登録刀剣は、文化財保護委員会が美術品なりとして登録を受理したというものにつきましては、原則として合法でございます。ところがその文化財を、文化財の目的を逸脱いたしまして、人を殺傷する目的を持って所持していると認められる限りは、法律違反でございます。その点について現場の認定等においていろいろな困難な問題が起るのでありますが、その場の客観情勢から、文化財の趣旨を越えて人を殺傷する目的と認められる限りにおいては、非合法でございますので、今回の事案につきましても、文化財として登録を受けたものであっても押収をいたしております。それが今の文化財に関するお答えでございますが、一般的なこういった危険物を警察はもっと取り締ったらいいじゃないか、こういうお説でございまして、まことに同感でございます。この点につきましては、警察は歴年この取締りに全力を上げて努力いたしておりまして、相当の成果をおさめております。毎年こういったものをいろいろ検挙いたしておるのでありますが、これは御案内かと思うのでありますけれども、やみくもに人のうちを捜索することはできませんので、何のそれがしが拳銃を持っておるということを疑うに足る資料を得まして、その資料に基いて、裁判官の令状に基いて捜索していく、こういう手続を、憲法の趣旨に基く制限がございますので、その制限を厳重に確守しまして徹底した取締りをやっておりまして、その結果相当な押収拳銃等もございますけれども、いまだ見つからぬ拳銃が地下で取引されておる、あるいは持っておる、こういう情勢がまだ尽きませんので、今後とも徹底的にこの取締りはやって参りたい、こう思っておりますので御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/40
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041・中井徳次郎
○中井委員 今の武器の問題でありまするが、今の法律の建前からいくと、今中川君からの御答弁のようでありますが、問題は、そういう洗い方をして、いつまでたってもあとから追っかけるような形であるが、拳銃の出所というものは一体どういうところからでございますか。そういうもとを十分押えてかからないと、私はなかなか効果は上りにくいと思うのでありますが、こういうものの出所は一体どういうところでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/41
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042・中川董治
○中川(董)政府委員 私どもはその点まことに問題の本質だと思いまして、常にいろいろな取締りのつど考えておるのでございますが、現在までのところ大部分は、おおむね八割見当は、かねがね終戦以前から当時軍そのほかが持っておった拳銃が市民間に流れたものが今日出るというものであります。終戦後は御案内のように進駐軍が参りまして、現在は日米安全保障条約によって米軍が駐留しておるわけですが、その関係等から出やせぬかということをわれわれ着意をもちまして、関係の米国憲兵機関とも私常に連絡に当っておるわけでありますが、憲兵機関も大いに協力していただいておるわけですが、この方面からも若干ございます。若干ありますけれども、現在のところまだ大部分はずっと昔から日本にあった拳銃で、それが八割くらいでございます。二割くらいは進駐軍が持っておったであろうものが、あるいは遺失したとかあるいは盗まれたとか、場合によってはそれを第三者に売った結果それが出てくる、こういう事案がございます。従って二割くらいといえども、やはり拳銃という危険物は重要なことでありますので、われわれは米国の憲兵機関と密接な連絡をとりまして、厳重にこの取締りを励行しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/42
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043・中井徳次郎
○中井委員 密輸関係はないのですか。相当あるように伺うが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/43
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044・中川董治
○中川(董)政府委員 密輸の拳銃は私たち大へん着意をもってやっておりますが、これもございます。ところが密輸関係が大勢を占めるほどの数には現在まだなっておりませんが、着意をもってやっておりまして、これによって発見した拳銃もございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/44
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045・中井徳次郎
○中井委員 まだいろいろお尋ねしたいと思いますが、きょうはもう時間さすからあと一点だけをお伺いしますが、こういう事件が方々で起ります。また新聞記事にならなくても、町の角や何かでしょっちゅうこういう問題が起っておりますが、こういうものについて政府とされましては、今の法律では非常に盲点があっておさめにくいというような観点から、何か特別の法律でも作ろうではないかという話が出ておるやに私は伺っておるのでありますが、そういう御意思がおありであるのかどうか。
さらにまたもう一点その点で関連して伺いたいのだが、私は警察本部の皆さん方の御意思を疑うわけではありません。今の法律でも、皆さん方の御意思を体してそして下部機構が厳重にやるならば、りっぱにやれる、法の盲点盲点というが、りっぱにやれるのではないかという考え方、もしておるので、実は幾ら法律を作っても、官が裏で手をつないで、あいつと仲ようしておけばうまいこといく、たまにはおとりにでも使えるというような昔からの根性でおっては、幾ら法律を作ってもだめなように思いますのでこの第二の点でいけないものかどうか、この点を最後にちょっと伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/45
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046・石井榮三
○石井(榮)政府委員 ただいまの御意見まことにごもっともでありまして、私かつてこの委員会におきましても、この点につきましてお尋ねをいただきました当時、こういうふうにお答えしたと思うのでございます。いろいろわれわれが現実に事案にぶつかって取締りをしてきた経験に徴して、こういう法律があったならば、さらにやりよいであろうというふうに感ずることはありますけれども、警察の取締りの便宜のために、安易に法律を新しく作るということは、これは厳に懐しむどきであると私は考えておるのでございます。そのさらに一歩前に、われわれは現在与えられている法律に基いて仕事をいたしているわけでございますが、果して現行法令をフルに活用して、国民の信頼と期待にこたえ得る警察の職務執行をやっておるかどうか、その反省をし、もしその点において努力に欠くるところがあるならば、さらに正そう努力をするということが、まずわれわれに課せられた任務ではないか。われわれが現行法令に基いて最善を尽して、なおかつ取締りにどうしても間隙を生ずる、これでは新しい補足する法律がなければならぬというときに、初めて新たなる立法を考えるべきではないか、こういう考え方を私はいたしておるのでございまして、当時そういうふうに申し上げたつもりでございます。従いまして、われわれは、過去の今日までのいろいろな取締りの具体的事例、経験に徴しまして、研究すべき資料は幾つも持っております。その資料に基きまして十分検討しまして、こうした点は現行法令ではどうしてもうまく取締りができないかどうかということをまず反省をし、現行法令をうまく活用すれば取締りができるものであるならば、それはわれわれの努力が足りなかったためであるというふうに反省をして、その点の今後における努力を誓うということでなければならぬというふうに、第一線では指示をいたしているのであります。この点につきましては、関係各省とも十分に引き続き研究を進めて参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/46
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047・門司亮
○門司委員長 加賀田進君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/47
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048・加賀田進
○加賀田委員 今中井君から別府の問題に関していろいろ御質問がありました。大体今度の別府の問題は警察の取締りが非常になまぬるい、事前において警察として無関心だったという感が非常に強い。そこで今石井さんの答弁の中で、石井派の方が熊本あるいは福岡の方から応援を頼む、あるいは井田の方は四国の徳島、香川ですか、それらのところから応援を頼んで、続々百五十名ほどが集結した、こういうことになりますと、こうしたテキ屋の組織というものは、単なる市や村の地区的な組織だけではなく、もっと広範な地区的な組織、あるいは全国的な組織というものがあるのじゃないかと思います。こういう問題に対して、警察としては事前に十分調査されているかどうか、あるいはそういう組織網と言いましょうか、組織に対して、警察として内容を十分にキャッチされているかどうか、こういう点に対してまず御質問いたしたいと思います。
もう一つ、そういう組織の中で警察としては常時事前に内容調査とか、あるいは行動の調査というものが統計的になされているかどうかということが、この事前を未然に防ぐ大きな力になると思うのですが、その点に関して——聞くところによれば、共産党に対しては非常に詳細な、あるいはスパイ行為までやって、内部調査までやって、丁前の行動に対しても情報を機敏にキャッチしているというが、こういう暴力団に対しても、そういう状態がもしあったとしたならば、別府の問題というものは事前に阻止できたと思うのです。そういう点があるのかどうか、一つ詳細にお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/48
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049・石井榮三
○石井(榮)政府委員 いわゆる暴力団の組織の実態把握ということにつきましては、御指摘の通り確かに必要なことであり、またそれが基本的なことでもあると私は思います。そうしたことがわかっておれば、具体的事案の発生した場合にも適切な取締りのできることは申すまでもないところであります。私どももその点に着意いたしまして、全国各都道府県に所在するところのいわゆる暴力団の組織の実態の把握ということには、かねがね努めて参っております。ある程度把握をいたしているつもりでございます。今回の別府事件につきましても、私先ほど御報告申し上げました通り、それぞれの派がそれぞれの関係のある地域に応援連絡をとるというようなことにつきましても、私どもの方においても、あの組であるならばこういう系統であるから、こういうところに応援連絡をするであろうということから、そういう地域には、十分そうした者の動きについては警戒をし、必要な取締りを加え、先ほど申しました通り、もし武器等を不法に所持しておる者があるならば、それを理由に出向くことを阻止するといったような措置をとり得るわけでありますので、そうした取締りに役立てるため、平素から十分こうした組織の実態を把握しておくということが必要でありますので、今日までそうした努力をいたしております。しかしこれもまだ完全無欠と申し上げるわけにはいきませんので、引き続きその足らざる点を十分に調査いたしまして、必要ある場合には、それに向って徹底した取締りができるように、今後とも努めて参りたい、かように考えております。と同時に、そうした組織に属する者の日常の動きというものにつきましても、これはいわゆる基本的人権を侵害しない限度において、合法の範囲を逸脱しない適切なる方法によりまして、これらの人たちの動きを十分に把握しまして、事故の未然防止をはかるということに努力して参りたいと考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/49
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050・加賀田進
○加賀田委員 まあ、ただ努力する、努力したいというのであります。そういたしますと、今まではそういう内部にわたっての詳細な調査、あるいは資料に基いて、これらの暴力団的なテキ屋とかあるいはグレン隊の人情、行動とか、そういうようなものの十分な資料は、まだ警察としては把握していないように思う。もししておるとするならば、特に今お伺いしたのは別府の問題ですが、都内においてもいろいろ起っておりますが、そういう問題も事前に防止できると思うのですが、十分にそういうような情報を把握できるだけの警察としての機構を持っていないと私は思うのですが、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/50
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051・中川董治
○中川(董)政府委員 これは御意見もございましたごとく、暴力を行いそうな団体をわれわれは暴力団というわけですが、暴力団の実態を各県ごとに克明に調べております。克明に調べまして、こうした人はひょっとしたら暴力で飛び出しそうだということを把握して、尾行——尾行をしょっちゅうしておるかということになると、また別の問題になりますので、そういう点、警察の許された範囲内において、いろいろ努力しております。努力しておった結果、今度起ったじゃないかと、こうおっしゃるのですけれども、そういうようにわれわれ一生懸命調査しておりますけれども、その一生懸命調査した対象が犯罪を行なった場合、また行うおそれがまさにある場合、これしか警察活動はやれないわけです。今回の場合でも、高松の港から応援に出かけるという情報を、今の努力で発見しました。発見いたしましたので、波止場でこれを制止したわけです。これはまた犯罪をまさに行うという状態にあったものですから、制止して、あなたいらっしゃらない方がいいでしょうというので、説得してだいぶやめてもらった。ところが説得残りが、私はそういうわけでやめるわけにいかぬ、友だちが病気で入院しているのだから、見舞に行くくらいはいいじゃないですか、見舞に行くのは全部行くというわけでありません、代表者だけ行くのはいいじゃありませんか、こういう意味合いで出かけていった人があるわけです。だからそういう意味合いにおいて、お前ら調査が疎漏じゃないかとおっしゃいますけれども、できるだけ調査をしています。完全無欠とは申し上げませんけれども、できるだけ調査をして、そういう実態を究明して、犯罪の予防にも、あるいは犯罪の検挙にもこれを活用していこう、こういう着意のもとに、そういう意味において、すでに各府県とも名簿を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/51
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052・加賀田進
○加賀田委員 今の刑法上いろいろ法律の範囲内で最大の能力を発揮いたしたいというお話ですが、そういうことになりますと、どうもやはり法律に盲点があるのじゃないかと思うのです。こういう事件が発生する、あるいは発生するおそれがあるというときに、まあできるだけ努力して防止するというけれども、事実上そういう全国的な組織を持っておりますので、たとえばテキ屋といいますと、戦前派ですから、相当広範な組織を持っておると思うのですが、グレン隊というと戦後、派と一般にいわれて、組織というものは地域的に非常に小さな集団だと私は思うのですが、こういうような大きな全国的な組織に対して、何かの手を下さなければ根絶しない問題だと思うのです。警察が努力されてもときどきこういう事犯が起る、当面において警察を動員して阻止する以外に手がない。しかもこれは一般の人と違って武器を持っていて、警官の生命も危いということで、どうしても弱腰になるというような問題で、この取締りというものが、別府市民の声にあるように、どうも警察は手ぬるい、もっと強硬にやってもらったら、この事件はもっと小さな範囲におさまったんじゃないか、あるいは事前におさまったんじゃないかという、警察に対する不満が起ることはないと思うのです。そういう意味では、やはり立法措置というものを何らかの形で研究すべきだと思うのです。昨年も私はそういう意見を述べたわけですが、そして警察で一年来研究されていると思いますが、ほんとうに立法措置を講ずるような熱意を持ってやられているのかどうか。今中井委員も言われたように、大臣がテキ屋の親方の葬式に弔慰の意をもって花輪を贈ったり、今言っている井田市会議員というのは、自民党の別府支部の副幹事長であるか副文部長であるというようなことで、世論としては、現在の政府が、そういうような立法措置を警察が請じようとしても、それに対しても怠慢であるという声も私は聞くのです。そういう意味で、やはり警察当局は熱意を持って立法措置をする意思を持っておるのかどうか、この点も一つ明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/52
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053・石井榮三
○石井(榮)政府委員 先ほどお答えしたことで尽きると思うのでございますが、問題が問題でございますので、われわれは鋭意研究中であるというふうに、簡単に申しますと、先ほどお答えしたわけでありますが、われわれはまずその問題は問題としてさておき、現行法令に基いてわれわれの活動が十分であるかどうかという点をまず反省をすべきである、私はそう考えておるのでございまして、現行法令で十分取り締れるにもかかわらず、警察の職務怠慢と申しますか、努力の不十分のために国民の期待に沿い得ないという状況であるならば、これはいかに法律を変えてもどうにもならない。警察官自身が真剣に職務と取っ組んで、十分に法令の精神を生かして、これをフルに活用して取締りの実効をあげるという努力をしないことには、幾ら新しい法律ができても効果は上らないわけでございますので、まず現行法令に基いてわれわれは存分の活動をする、それでなおかつ足りないと申しますか、未解決の問題が残っておる、それをまかなうためにはどうしても新しい立法が必要であるというならば、そのときこそ、新たなる立法あるいは現行法規の改正という問題が起きてくるのじゃないかと思うのであります。われわれはそれに備えて研究はしております。しかしそれではいつそれを具体化し、どういうふうに改正するかということは、これは問題が問題でございますし、また私ども警察だけでなしに、これは関係する面が他にもございますので、ここではっきりと、軽々にお約束することは差し控えさしていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/53
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054・加賀田進
○加賀田委員 研究はされておるけれども、まだ明確にどういう方法でいっするかということは約束できないということです。そこで今お話の中で、それじゃ当面現在の刑法のもとで最大の力を発揮するということと、警察職員の努力と能力に期待するというお話でありましたが、そこで警察職員の問題が——いろいろ今の配置転換等によってそれを阻止いたしたいということですが、やはり古参刑事といいますか、古い人はどうしてもそういうテキ屋の仲間との関連性が過去にずいぶんあったと私は思うのです。犯罪の調査の上においても非常に便利だということで、関係しておれば、ちょっと品物を失っても、そこへ行って頼めば出てくるというようなことで、このこと自体古い刑事の人はじまんのようにして現在もなおここにあるわけですが、それが単なる配置転換だけで阻止できるかどうかということです。配置転換ということが大体きまりますと、自分の直属といいましよようか、手下に新たに紹介をして配置転換をするというような傾向があるわけですが、こういう問題を徹底的に——警察とこういうテキ屋あるいは愚連隊との関連性をぶち切って正常な立場に立つということは、当面警察としては単なる人事の異動においてのみこれを阻止しようとするのか、あるいは他に研究されて根本的な対策というものが立てられているのかどうか、この点があったら明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/54
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055・石井榮三
○石井(榮)政府委員 人事の配置転換のみによって問題が解決するとは私は決して考えておりません。先ほど中井委員のお尋ねで、土地の有力者、ボス等とのくされ縁があるという問題が提起されましたので、そういうくされ縁を断ち切るために、とりあえずその場所からむしろ他の場所にかえた方が、そのいわゆるくされ縁が一応断ち切られるという問題の解決になる一つの方沖であるということでお答えをいたしたのであります。この問題の根本解決がその一事のみをもって終るものとは決して考えておりません。むしろ警察官の根本的な心がまえが先決であろうと私は思うのでありまして、暴力を自分の周囲から一掃するということが国民の強く要望するところであり、またそれが警察の当然の職責であるということにかんがみ、この職責の自覚ということが、まず警察官に十分徹底しなければならぬと思うのでございます。同時に、捜査の技術的な面あるいは法律解釈の問題、そういった面の教養をみっちり身につけまして、自信をもって取り締り、また適正な捜査取締りができるように警察官を教養していくということが、私は根本問題であろうと思うのでございまして、そうした点を今日までも引き続きやっておりますが、その足らない点がありますならば、反省してさらに改善工夫をこらして参りまして、要するに強い正しいりっぱな警察官を作り上げて、こうした問題の取締りに当って十分実効を上げ得るような体制を作り上げたい、その一つの方法として、くされ縁等を断つために、現在いる場所から他の適当な場所に配置がえをするというようなことも申し上げたのでございまして、これはほんとう言うならば枝葉末節と申しますか、むしろ根本の問題は先ほど申し上げましたような点にあると私は考えているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/55
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056・加賀田進
○加賀田委員 非常にけっこうな、警察職員の暴力排除の決意を固めて教養を高めるというお話ですが、それで私はお尋ねいたしたいのですが、昨年の花見のときに、横浜でやはり警察官と自動車会社の職員と大きな暴力事件が起って、本委員会で問題になったときに、長官は警察官の教養を高めるために抜本的な対策と努力をする、そうして将来そういうものが根絶するように努力すると約束されたのですが、私たちもそれを期待しておった。ところが、一昨日また多摩川のところで十数名の警官と花見の客と乱闘事件が起った。同じようなことを繰り速している。もちろん警察の人だって、私服を着て花見に行くことは私はいいと思う。しかしそういう暴力を阻止するための、あるいは国民の生命や財産を守るための職責のある方が、いかに勤務外の時間とはいいながら、花見のお客さんとみずから傷害事件を起すようなことは、私は一年前長官が約束された、警察官の教養を高めるように抜本的な努力をし、協力をするというような約束の一年後に起った問題として、非常に遺憾だと思うのですが、内容がわかっておったら説明していただきたいということと、一年間警察官の教養を高めるためにどういう抜本的な対策を講じたか、この二点だけを質問いたして私の質問を終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/56
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057・石井榮三
○石井(榮)政府委員 ちょうど一年前に、警視庁の予備隊の者が神奈川県江ノ島にレクリエーションに参りましたときに、横浜市の戸塚において民間の方との間にトラブルを起して、双方にけが人を出したという不祥事を発生いたしましたことは、まことに遺憾なことであります。当時私は深く当委員会の諸先生におわびを申し上げると同時に、今後再びそういうことの起らないように、警察官の教養指導については最善を尽したいというお約束を確かにいたしたのでございます。自来この点につきましては、全国の警察職員に対しまして、幹部を通じて末端まで十分にその趣旨を浸透せしめ、そうした不祥事の再び起らないように、指導教養には、それぞれの県の人情に応じて、適切な措置を講じてもらうように指示をいたして参ったのでございます。各府県におきましても、そうした点については各府県本部長も十分努力をしてくれたものと私は考えておるのでございます。しかるに不幸にいたしまして、このたび再び類似の事案の発生を見ましたことはまことに遺憾に存じ、かつ申しわけないと思っておる次第でございます。事案の概要は目下詳細報告方を警視庁に下命いたしておるところでございまして、私はまだ詳細を承知いたしておりませんので、ここで御報告できませんことははなはだ申しわけないと思うのでございますが、昨日まで概略を聞いたところによりますと、一昨十六日の午後三時半ごろの事案であるというふうに聞いております。場所は神奈川県の稲田堤であったかと思うのでありますが、警視庁の杉並警察署の公安係長以下十三名であったかと思いますが、非番を利用しましてレクリエーション、当節の花見をいたしたわけでございます。花をめでつつ一ぱい飲んでおったときに、艶歌師を呼んでそれを聞いておった。そこへ隣にやはり同様花見に来ておりました町の若い人たちが、艶歌師に何か因縁をつけて口論、けんかが始まった。それでその杉並の警察署員はむしろそれをとめるべく間に入ったところ、相手方からビールびんその他でなぐる、けるといったような暴行を受け、警察官の方はたしか八名けがをしたというふうに報告を聞いておるのでございます。果してその通りの経過であったかどうか、目下詳細調査をいたしておるところでございます。いずれこの点はまた後日適当な機会に御報告申し上げたいと思っております。いずれにしましても、そうした花見の場所で、相手方が他の者とけんかをしておるということであっても、警察官としてそういう場面に出あわしている以上は、先ほどお話の通りこれを円満に解決し、人命、身体の保護をはかるという警察の職責にかんがみ、適切なる処置をとるべきであることは申すまでもないところであります。酒を飲んでおったということから、そうした適切な処置がとられなかったということは、まことに残念に思うのであります。昨年からちょうど一年たった今日、再び同じ警視庁管下でそうした問題が起ったということは、私は警視庁の幹部に対しましても十分反省を促し、今後の指導、教養についてさらに工夫をこらして参りたいと思っておるのでございます。こうした事案を再び起しましたことを衷心よりおわび申し上げますと河畔に、この事案のその後の解決につきまして最善を尽すと同町に、今後再びそうした不祥事の起らないように、重ねて一そうの努力をお誓い申し上げて、御了承願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/57
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058・門司亮
○門司委員長 もう一つこの機会に聞いておきたいのだが、この事件の問題で、警察の立場からものを見る見方と、市民のものを見る見方との問に非常に大きな相違があると思う。新聞にも”かれておるように、この事件は平和であるべき別府市に、相当長い期間市民に非常に大きな不安を与えている。その間警察は一体何をしておったかということが、市民の一つの怨嗟の的であり、やはりこういう問題になる一つの大きな問題だと思う。従って事案に対する警察の見方と住民の見方が非常に違っておるように見えるのだが、警察はこれらの問題について、こういうものをどう考えておるかということです。具体的に一つ聞いておきたいと思うことは、警察がこの種の事件を解決することのために、われわれしろうとなりに考えれば二つの問題があると思う。一つは集団しておる、いわゆる一つの集会と思われるような形ができておる。この集会が無届であったのか、届けられて合法的に行われておったかということである。ことにそういう不安な状態にある場合に、これらの集会をしておるものについては、当然集会に対する警察としては何らかの処置がとらるべきであると思うが、これに対して警察はどう考えておったかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/58
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059・中川董治
○中川(董)政府委員 今回両派で殺人未遂、殺人事件が起りまして、関係者がよりより集まっておる状態を、警察として規制していけるかどうかという問題ですが、私ども並びに現地においても十分検討いたしたのでありますが、集会という概念に当てはまるかどうかという問題も一つありますけれども、地方によりましては集会等の規制に関する条例の設けられてある地方もあるわけですが、当大分衆においてはございません。そうするとあとは国の法律ということになるわけですけれども、国の法律でやるという段になりますと、われわれが考えましたのは刑法百七条でございます。刑法百七条の関係で、そういう不法な集会があった場合にこれを制止する、三べん言って同かなかった場合これを検挙するという規定を現地並びにわれわれも考えたわけです。刑法百七条ということになりますと、文章も「多衆聚合シ」という言葉を使っております。この「多衆聚合」するという意味は、大審院の判例にあるわけですが、一応静謐を害するということが要件になっておるわけで、いろいろな暴行脅迫のために一応静謐を害するという状況を見る、こういうふうに認識しなければいかぬわけですが、われわれいろいろ現地の状況等にかんがみて、少くとも十日、十一日の状態につきましては、そういうおそれが十分考えられましたので、従いまして十日、十一日につきましてはそういう刑法百七条を念頭にいたしまして解散の命令の措置をいたしたのでございます。しからば十日、十一日の関係はそれでいいとして、九日以前は、どうかということになるわけですが、人間が集まったのはおおむね十日でございますので、九日以前には病院に若干おるという状態なんでございますが、どれを刑法百七条で取り締るという点につきましては、少くとも過去の判例等から見ると若干問題がある、こういうふうに考えましたので、現地では銃砲等不法所持の事件で踏み込みまして、これで拳銃等を押収するという措置を講じたのでございます。
それで委員長のお尋ねの点について、現地、では住民の間において大へん不安があるということも十分認識いたしまして、そういう法令を適用して説諭をいたしたのでございますが、そういう点について警察活動を機敏活発にやるという点は、われわれも同業に考えておるのでございます。今回の事件もそういう爪について苦心したつもりでございますけれども、今後ともそういう苦心をさらに重ねまして、住氏の方々にいたずらな不安を与えないということが警察の重要な責任だと思いますので、今後におきましては現地で行われるこの種事案につきましては徹底した処置を行いたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/59
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060・中井徳次郎
○中井委員 最後にこの問題で、質疑の中でお答えがあったわけですが、私ども暴力団の全貌はどういうものであるか非常に知りたいと思いますので、中川君の方で各県別にお調べになっておるということでありましたから、また全国的なこのグループもあるように聞いておりますし、願えましたらその暴力団一覧表といいますか、そういうものでも一つ当委員会に参考資料として出していただきたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/60
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061・中川董治
○中川(董)政府委員 先ほどわれわれは十分調べておると申し上げましたが、これはこういうことなんでございます。われわれ暴力団を十分調べておるゆえんのものは、こういった人たちが暴力を犯しはせぬだろうかという角度で調べておるわけです。そういう調べる根拠になりましたのは、過去にそういう行為をやった者、過去に暴力で犯罪の罪に問われた者が一つの要点でございます。過去はそういうことはないけれども、最近の素行、生活、行動から見ておかしいという点もございます。まず前段の過去の点について、過去に一ぺん暴力で罪を犯したからそれを調べて、警察官が一生懸命相手方を調べるのはいいけれども、それを国民の前に明らかにするという問題になりますと、やはり司法保護事業といいますか、過去においては犯罪を犯したけれども、大いに直ろうという点もありますので、その点はめったなことはできません。過去において経歴がなくても、現在の生活、行動等から見ておかしいという点もやっておりますけれども、これは犯罪行為が出る以前の状態でございますので、行為の出ない者を——われわれは皆さんを信用しないわけではございませんけれども、一般の者に明らかにするのは、これまた憲法に保障された人権の問題もございますので、一覧表にして差し上げることはごかんべん願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/61
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062・中井徳次郎
○中井委員 ごもっともだと思います。その点は私も考えておったのでありますが、何も何の誰兵衛ということでなく、大体日本にどのくらいいるか、相当な数に上るだろうと思います。必要によりましたら、秘扱いでもけっこうでありますから、ぜひ今後の研究資料にちょうだいしたいと世います。人名なんかけっこうです。そういう意味において要求するのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/62
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063・中川董治
○中川(董)政府委員 ただいま私の申しましたことを考えながら、御趣旨に沿うように努力いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/63
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064・門司亮
○門司委員長 本日はこの程度にとどめまして、次会は明十九日の午前十時三十分から開会することにいたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後一瞬十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02319570418/64
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