1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年五月十五日(水曜日)
午後零時四十九分開議
出席委員
委員長 門司 亮君
理事 亀山 孝一君 理事 鈴木 直人君
理事 吉田 重延君 理事 川村 継義君
理事 中井徳次郎君
青木 正君 唐澤 俊樹君
川崎末五郎君 櫻内 義雄君
徳田與吉郎君 永田 亮一君
丹羽 兵助君 早川 崇君
古井 喜實君 渡邊 良夫君
大矢 省三君 加賀田 進君
北山 愛郎君 田中 稔男君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 池田 勇人君
国 務 大 臣 田中伊三次君
出席政府委員
自治政務次務次
官 加藤 精三君
総理府事務官
(自治庁財政部
長) 小林與三次君
委員外の出席者
総理府事務官
(自治庁財政
部財政課長) 柴田 護君
専 門 員 円地与四松君
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五月十三日
委員青木正君、川崎末五郎君及び永田亮一君辞
任につき、その補欠として臼井莊一君、正力松
太郎君及び一萬田尚登君が議長の指名で委員に
選任された。
同日
委員一萬田尚登君、臼井莊一君及び正力松太郎
君辞任につき、その補欠として永田亮一君、青
木正君および川崎末五郎郎君が議長の指名で委
員に選任された。
同月十四日
委員伊藤卯四郎君辞任につき、その補欠として
田中稔男君が議長の指名で委員に選任された。
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五月十一日
地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
一五八号)
同月十四日
地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する
法律案(中井徳次郎君外十名提出、衆法第四〇
号)
同月十一日
神坂村の岐阜県編入反対に関する請願(西村彰
一君紹介)(第三〇二七号)
森山町の福井市編入反対に関する請願(奥村又
十郎君紹介)(第三〇四九号)
地方自治法第八条の改正に関する請
願(生田宏一君紹介)(第三一〇二号)
同(大倉三郎君紹介)(第三一〇三号)
同(仲川房次郎君紹介)(第三一〇四号)
同(古川丈古君紹介)(第三一〇五号)
同(南好雄君紹介)(第三一〇六号)
岩舟村静和地区の一部大平村合併に関する請願
(山口好一君紹介)(第三一〇七号)
同月十四日
地方自治法第八条の改正に関する請願(杉山元
治郎君紹介)(第三一五九号)
同(八木一郎君紹介)(第三一六〇号)
公債費支出軽減に関する請願(徳田 與吉郎君
紹介)(第三一六一号)
所有権移転に伴う固定資産税の納税義務に関す
る請願(山口丈太郎君紹介)(第三一六二号)
不動産取得税の市町村移譲に関する請願(山口
丈太郎君紹介)(第三一六三号)
給与改訂に伴う財源措置に関する請願(小枝一
雄君紹介)(第三二一三号)
新市町村育成方策確立に関する請願(小枝一雄
君紹介)(第三二一四号)
固定資産税賦課期日後の所有権移転に伴う納税義務に関する請願(
徳田與吉郎君紹介)(第三二一五号)
地方交付税率引上げ及び単位費用適正化に関す
る請願(小枝一雄君紹介)(第三二一七号)
公債費合理化等に関する特別措置法制定に関す
る請願(小枝一雄君紹介)(第三二一八号)
米軍基地内将兵専用店の遊興飲食税軽減に関す
る請願(綱島正興君紹介)(第三二六〇号)
の審査を本委員会に付託された。
同月十一日
地方債の利子補給に関する陳情書
(第九三〇号)
栃木県桑絹村南部地域の茨城県結城市に分離合
併反対に関する陳情書
(第九三一号)
公債費合理化等に関する特別措置法制定に関す
る陳情書(第九八
九号)
地方交付税率引上げに関する陳情書
(第九九〇号)
再建債の利子補給等に関する陳情書
(第九九一号)
不動産取得税の市町村移譲に関する陳情書
(第九九三
号)
たばこ消費税率引上げ等に関する陳情書
(第九九五号)
治安維持法復活反対に関する陳情書
(第
九九六号)
固定資産の所有権移転に伴う納税義務に関する
陳情書)
(第一〇〇七号)
公共事業用電線類の盗難防止対策に関する陳情
書
(第一〇三〇号)
を本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提出第六八号)
交付公債に関する件
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/0
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001・門司亮
○門司委員長 それではこれより会議を開きます。
地方交付税法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑に入りたいと思いますが、質疑の通告がありますので、これを許します。川村君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/1
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002・川村継義
○川村(継)委員 私この際ちょっと特別交付税の問題にについてお聞きしておきたいと思います。三十一年度の特別交付税の配付状況というものは、全部で百三十億程度であったかと思うのですが、その配付された大体の状況は、どういうふうになっておるか。それからもうちょっとこまかく申し上げますと、例のどういうような種別に配付がなされたか、概略でいいですからお聞かせ願いたい。
それからいま一つの問題は、この特別交付税について二十九年、三十年、三十一年度と、それぞれの配付についておそらく自治庁とされましては見解というものがおありだと思いますが、率直に申し上げて特別交付税の金額について、たとえば十分である、あるいは毎年非常に配付に困難をするとか、どういう点で困難な問題がある、そういうような一つの見解について説明をお願いしたい。
第三番目の問題は、結局それらの過去の配付関係からして三十二年度、本年度の特別交付税の問題をどのように見ておるか、そういう点を一つ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/2
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003・柴田護
○柴田説明員 三十一年度の特別交付税の金額でありますが、特別交付税は県分が七十五億七千六百万円、それから市町村分が七十六億八千八百万円であります。これはあとで増額されました百十億円分の一部、つまり〇・一五分を含んだ数字であります。
昭和三十一年度分の特別交付税の配分につきましては、従来のように警察費の基準財政需要額の修正、それから災害関係の増減、それから災害関係でありますが、災害関係の地方債の元利償還金、いわゆる単独災害でありますこれの元利償還金、それから交付公債の利子、こういったものを中心に見て参っております。特別交付税の技術的に特に改善いたしました点は、従来あまり重要視しておりませんでした地盤沈下、地盤変動、それから海岸浸蝕、こういったものの地方債を災害並みに扱っている。言いかえれば準災害的な取扱いをいたしましたことが一つであります。
それからそのほかで大きく変えましたことは、いわゆる新態容補正という言葉で呼ばれております公債費対策の一環として、府県の投資的経費にかかる財政需要額を補正をいたすことを去年からへったのでありますが、この補正方法が必ずしも完全ではございませんでしたので、これを若干補正いたしまして、特別交付税で是正いたしております。
それから災害によりまする被害農林漁業者に対する営農資金の利子補給でありますが、この利子補給の見て参ります割合が、従来は二割八分五厘であったのでありますが、これを大体五割程度に引き上げの措置をとったのであります。かような措置をとり得ましたことは、主として昭和三十一年度にありましては災害が非常に少かったのでありまして、災害関係の現年発生災害の基準財政需要額なり、あるいは基準財政収入額なりの補てんというものを十分になし得たのでありまして、なおかつ金がある程度余った。従いましてその金をこういった準災害的なものに持ってこさせた、こういうような結果になっております。
そのほかの問題につきましては従来から特別交付税の配分方式と比べまして特に変った点はございません。ただ特別交付税一般のやり方といたしましては、むしろ基準財政需要額なりあるいは基準財政収入額なりの算定方法をさらに合理化いたしまして、そちらの方でなるべくカバーする。特別交付税の額というものはむしろ普通交付税の額がふえて参りますと、それに伴いまして、これはむしろ割合を落していくという方向に考えていくべきだと思うのであります。ただ昭和三十三年度につきましてその措置をとりませんで、従来通り八%の額を据え置きましたのは、市川村民税の改正に伴う第二方式の補てんの問題等もございますので、一応従来通りの割合にいたしておる次第でありますが、方向といたしましては金額に一定の限りがありますし、その特別交付税によって見るべき要因というものは非常に数多い。最近の傾向ではむしろ特別交付税を一種の予備費的な錯覚を起してこれをごらんになる方々もあるような次第でありまして、そういったことから常に特別交付税というものが問題にされますので、この性格を明確にするためにも特別交付税の額というものは、むしろ当年に発生した新たな事項あるいは七月一日以降において生じた新たな理由、どうしても救いがたい技術上の算定の難点をカバーするという点だけに限るべきであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/3
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004・川村継義
○川村(継)委員 この特別交付税の額は百四十億程度、あるいは百三十億程度というのが年々使われてきておるのじゃないかと思われるのですが、今課長から説明がありましたように、確かに特別交付税というものは問題がいろいろあると思います。従って普通交付税が配付された後において特別交付税というものをねらって、各地方団体がいろいろ自治庁に折衝する度合いが強い、こういうことがあるわけですから、そういう点においても問題が残っておるのじゃないかと思います。しかしそうかといって今、特別交付税をなくしてしまうということにしては、これはとてもやっていけない。やはりこの特別交付税という緩衝財源とでも申しますか、こういう方法が残っておって、その年度々々に突発するいろいろの財政の需要がまかなっていけるというふうに考えるわけで、これを今一挙になくするというわけには参らぬのじゃないか、こういうことも思うわけで、年々百三十億か百四十億程度を出しておる。ことしはさきの交付税の割でいきますと、百四十億程度出てくる、こういうことになるわけですが、私が今ここで懸念しておりますのは、今まで百三十億や百四十億程度を特別交付税で見ておるわけですが、これの配付あるいは支出について、三十一年度あるいは三十二年度の実績を顧みて、この金額の配付について十分であったとか、あるいは非常に困ったとか、もう少し特別交付税の金額が多くあった方がよかったのじゃないか、そういう点について何か見解がありますか。この点をお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/4
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005・小林與三次
○小林(與)政府委員 特別交付税の額がどれだけあったらいいかという問題は、一つの問題だろうと思います。しかしながら今交付税の本質から考えまして、われわれといたしましてはできるだけ普通交付税で見るべきものは見るという基本的な考え方をとるべきでありまして、特別交付税はほんとうの特殊な、先ほど柴田君の方から申し上げましたような問題だけに限るという基本的な考え方を私はとっていくべきだろうと思います。それで各地方団体の要求額から見れば、これが常に少ないことは明瞭でございますが、こういうことで多かったか少なかったかという議論になれば、それは要求しているよりははるかに少いことは事実でございますが、われわれといたしましては絶対額をこれ以上ふやすのが適当か不適当かということになれば、必ずしも適当とは考えておりません。それで今年の問題につきましても、相当議論もいたしたのでございますが、先ほど申しました通り住民税の改正等に伴う措置もございまして、一応据え置いたのでございまして、私はこれ以上ふやすことなく、むしろ配分をなるべく一般的に基準化すべきものは基準化する。それでほんとうに災害その他特殊なものだけに限定するという方針でやはりいくべきだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/5
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006・川村継義
○川村(継)委員 そこで長官にちょっとお尋ねしたいと思いますが、今まで委員会で長官からいろいろ御所見を伺った中に、今財政部長も言われたように、今度の住民税の減収、特に第一、第二課税方式の問題についての減収分の四十九億が出てくる。それについては特別交付税で見ていこう、こういうような言明もあったようでありまして、これを全額見るかということになると、前には大体半額程度見ていこうじゃないかというような説もあったようであります。いずれにいたしましても、今の住民税の税率改正に伴う減というのは、特別交付税で見ていくということが一つの方針になっている。ところが大臣のお話では、給与改訂に伴ういろいろの問題が出てくる。そういう場合にも足りない分、いわゆる完全にやっていけないようなときには、特別交付税で見る、こういうことも大臣は言明なさったわけです。そのいうのをいろいろ積み重ねて参りますと、今大臣の方で言明なさった分を加えても、やはり四、五十億あるいはそれ以上の分が特別交付税で見ていかなければならぬ、こういう一応この委員会の質疑あるいは所見等の発表の中に、ひもがついたような格好になってきております。今年は、大体この前の交付税で見ると、特別交付税というのは今のところは百四十九億ばかり出てくるようでありますが、そのうちから五十億、そういう給与改訂あるいは住民税の減税に見合うものを出していけば、残りは百億、こういうふうに一応大ざっぱに計算してみましても、こういう百億くらいのもので、今までのような三十一年度、三十二年度で見てきたような立場で、特別交付税というものを見ていけば、すいぶん地方の団体の要求に応じられない結果が出てくるのではないか、こういうことを感ずるわけですが、その辺についてどのように考えておられますか。見通しをちょっとお聞かせおき願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/6
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007・小林與三次
○小林(與)政府委員 ちょっと私から先にお答え申し上げます。今度の制度改正等に伴う今の住民税等の始末につきましては、しばしばここで話のあります通り、ある程度見ざるを得ないと思っております。総額はおっしゃいました通り相当ふえるのでございますが、そういう増額部分は大体その始末の方に充てることになりまして、あとの経費は従来並みのことを考えざるを得ないと思っております。それで特別交付税の配分のときに問題になるのは、結局大きな災害があるかないかということが基本だろうと思います。大きな災害があれば、そちらの方に集中的にやらざるを得ないし、それがなけれでその経費を一般的に流す、流すというと語弊がありますが、そういう措置をとらざるを得ないと思うのでありまして、われわれといたしましては、地方団体はいろいろ注文が多いだろうと思いますけれども、特別交付税の配分としてはまずこの程度がほどほどじゃないか、結局地方団体全体の財源分からどう配分するかという問題になりまして、そういう特殊な問題があればそこへ集中的にいくし、そうでなければそれに準ずるような問題に分けることが可能である。そこで一般の地方団体におきましても、これをあまり予備費か何かのように目当てにされる考え方は、やはりこれは考えてもらわなくちゃならぬのではないかということを考えておるのでありまして、恒常的な経費は普通交付税を基本にして問題を考えるという考え方だけははっきり取り進めて参りたい、こういうように存じておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/7
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008・川村継義
○川村(継)委員 この特別交付税の取扱いについての方向は、いろいろ問題が出てくるようでありますから、私も今お話があったような考え方で進まれる方がいいのじゃないかと思うのです。それならそれのように、やはり初めから住民税等の減収に伴うものは特別交付税で見るとか、あるいは給与改訂の不足分といいますか、つじつまが合わないところは特別交付税で見る、こういうような態度で出られるということはおかしなことだと思うのです。結局そういうものが今度は地方団体の一つの当てになってくる。そうするとあなたたちが今言っておるところの方向と食い違ってくるのじゃないか、そういうことを考えますから、それならそれのように初めからちゃんと普通交付税で見ていくような確たる方針を持っていかれることがよいのじゃないか、こう私も思っているわけです。しかし今のようなことでございますから、そのあなたたちの考えております方針は方針として一応いいことですが、それはそれとして、従来とってきたような方針でやるとなれば、三十二年度の特別交付税は非常に窮屈な立場に立つのじゃないか、もしもちょっとした災害でもあるとなおさら窮屈な状況になる、こういうことが考えられるのですが、さっきのように住民税の減収分とか、給与収訂分を特別交付税で見るということでありますから、それを見たとしたならば、残りは非常に少くなる。毎年百四十億程度出ているわけで、今年も百四十九億程度あるのですから、少くなる。それを配付しようとなると、非常に窮屈な思いをするようになるのじゃないか、これを聞いておるわけですが、その辺のところはどのように考えていこうとしておられるのか、一つ説明を願っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/8
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009・小林與三次
○小林(與)政府委員 お話の通りの問題があろうと思います。それで住民税の補てんの方法につきましては事務局と方針を研究いたしておりまして、これは何らか一定のルールをきめてはっきりした方がよかろう、こういう考えであります。そうしなければ地方も扱いに困るだろうという考えでおります。あとの問題になってきますと、結局災害が起きるか起きぬか、その規模がどうか、きわめて率直な話でございますが、これが特別交付税の配分を決定するかぎだと思います。これは非常に大きなものができればそっちに食われてしまうし、そうでなければその分はほかに回すことができる。これはわれわれといたしましても全く予測もできませんものですから、もともと特別交付税はそういう問題を中心に考えられてきたものだろうと思うのでございますが、それがないと、まあどっちかといえば全体に行きわたるような形で配る結果になるものでございますから、地方団体がそれぞれを予定財源視するという問題が出てきます。そこのところはわれわれといたしましても非常に苦労するところでありまして、災害のことですから年度をある程度経過しなければ見当がつかない、そういうことが実際悩みの種でございます。とてつもない非常な災害が起らぬ限りは、まあまあどうにか始末がつくたろう、起ってしまえば被災害地の特別交付税の額は勢い少なからざるを得ない、そういう点だけはこういう結果にならざるを得ないと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/9
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010・川村継義
○川村(継)委員 そこで、これはやらなければならぬことですから、いろいろ委員会で説明願っても差しつかえたいのですけれども、いろいろ審議の途中において財源が足らないというような点が指摘された場合に、何かしら特例交付税を取っておきのもののように考えて、足ならいところを追及されていくと、その点は一つ特別交付税で見るようにしましょう、こういうことでやっておられるのが困るのじゃないかと思うのですよ。足らないところは足らないとしてちゃんと始末をしてもらわなければならぬ。その点は足りないから一つ特別交付税で見るようにしましょうと言われると、結局いい結果にはならない。あなたたちが考えているような方向とも逆に動いていく。そこでこの委員会でも交付税の税率についてはたびたび言われたことで、今日まで大臣初め皆さん方が非常に御苦心なさって、いよいよきょうは結論が出るという段階になっているわけでありますが、二六%という原案についても非常に不満がある。これはわれわれ社会党だけでなくて皆さん御不満なようでありますし、二六%が御不満なのは今申し上げているいろいろ不足な点がはっきりしているからです。そこで税率を引き上げてやっていくことが一番いいことなんですけれども、なかなかそこまでいい結論が出ない。出ないとなりますと、今度は地方団体が一年間財政を運営していく場合に何かと思わざる問題が出てきて、結局十五条関係の特別交付税で始末しなければならぬ問題が出てくるのではないか。こういうことは、一応第一、第二の住民税の減収分とか、給与改訂分とかいう問題を抜きにしても出てくるわけです。そうなりますと三十年度、三十一年度に皆さんが始末したような特別交付税の額は必ず入り用な額になって出てくる。そういう非常に困難な状態におかれているのに、税金の減収分は特別交付税で見るとか、給与改訂の分で困っているところは特別交付税で見てやろう、こういうことで、初めから言いのがれをしていくような格好でやっていかれることについては、非常に問題が残るのじゃないかということを考えているわけです。その点はこの後の運営にもあるわけでありますけれども、よほど注意していただかないと、地方の自治団体の財政上おもしろくない状態が出てくるのではないかということを考えるわけです。
この際給与関係は財政部の方ではないと思いますが、大臣にちょっとお聞きしておきたいと思います。
給与改訂も、いよいよ地方公務員に実施しなければならぬ段階になってくるわけでございますが、各地方団体の給与の改訂について自治庁としてはどういう御方針でお臨みになっておられるのか、大体決定していること、あるいはお考えになっていることがありましたら、この際明らかにしておいていただきたいと思います。と申しますのは、改訂に伴う準則と申しますか、そういうものを作って指示をされるのか、あるいは改訂に伴って自治庁としてやられる具体的な指導的な問題がありましたら、一つお示しを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/10
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011・田中稔男
○田中国務大臣 給与改訂のやり方でございますが、大体において二つに分けて考えております。
一つは再建指定団体の場合と、それ以外の場合という考え方でございます。赤字であるとないとにかかわらず指定を受けておらない団体につきましては、国家公務員の態様が細目に至るまで決定されるのが近いと思いますから、その方針の決定を待ちまして、全面的にこれに右へならえをせしめるという方向に向って通牒の用意をいたしまして――まだすっかりできているわけではございませんが、全国に通牒を出す考えでございます。その内容は国家公務員の給与改訂の線に全面的に従う方針でございます。
それから赤字再建指定の団体につきましては、文字通りそういうふうにも参りかねる点がございますので、この問題は別に取り扱うべきものと考えておりますが、しかしながら何度も答弁の中で申し上げておりますように、赤字再建の指定の団体であるといえども、このたびの給与改訂及び本年度の定期昇給につきましては、極力百パーセント右へならえをするように、実現をすることを指導していきたい。ただあまり数は多くないかもわかりませんが、財政状況の非常に悪い団体、もう一つは比較的悪いにもかかわらず給与単価が他の類似の団体と比較すると高いと考えられる団体、こういう単価も高く財政状況も悪しというような団体につきましては、過去のベースの押え方、あるいは定期昇給の延伸のやり力等、そういう諸般の事情を考えまして、これに対しては若干の制約はあるいはやむを得ないのではなかろうかと考えておりますが、この点につきましても極力百パーセントに近い線においてやらせたい。この限りにおきましては、やらす、やらさぬにかかわらずそういう方針を指示いたしますれば、各団体について再建計画の変更を持ち込んでくるわけでございますから、その変更に対してオーケーを与えます際に、そういう方針をとっていきたい。大へん大ざっぱで恐縮でございますが、そういうように二つに分けて考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/11
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012・川村継義
○川村(継)委員 大体の方針を伺ったのでありますが、再建団体と、再建団体でない団体とにお分けになった根本的な理由を、もう少し詳しくこの際お聞かせ願いたいと思います。再建団体は国から金を借りて財政再建をやっているじゃないか、やっているのが勝手に給与改訂等の実施に伴ってやられては因るというような考え方から出てきているのか、その点がぜひ聞かせていただきたい問題だと思うのです。
それから大臣のお話を聞いておりますと、それであってもできるだけ百パーセントにやろう、そこは非常に、何といいますか、長官としてのありがたいといいますか、親心から出ておる言葉でありますけれども、そのあとに続いたお言葉が、しかし類似団体と比べてみたり、あるいはそのほかいろいろ条件を考えて制約することもやむを得ない、こういうことがありますと、これは私をして率直に言わしめると、できるだけ百パーセントやりたいとおっしゃっておりますけれども、再建団体は制約を受けるのが当りまえだ。だから計画変更を申し出てもこれを制約をするぞ、こういうふうにも聞き取れるわけですが、それはそれといたしまして、再建団体とそうでない団体とをお分けになったその辺の根本理由と申しますか、それをもう少しお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/12
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013・田中稔男
○田中国務大臣 やや理屈にわたりますが、地方公務員の給与は、本来は国家公務員に右へならえをして、中央の指示を待たず自主的にやることが建前であろうと思っておるのであります。自主的にやってもいいのであります。そこで建前といたしましては、赤字であろうが、なかろうが、再建団体であろうとなかろうと、これは自主的に百パーセント右ヘならえをするということが原則論としては筋なのであります。それにとやかく制約を加えようとか、手心を加えようという考え方は、私の方ではむしろ間違いであるという積極的な考えを持っておるくらいなのであります。しかしながら。再建団体につきましての計画変更という段になって参りますと、御承知の財政の再建法、その法律の精神に従いまして、やはり一定の制約を加える。再建の建前から一定の制約を結果において加えることになるということが、やむを得ざる――これはいやなことなんでありますが、やむを得ざる考え方であろうという考えに立っておるのでございます。そこでものが言いにくいので、なるべく百パーセント、なるべくと言うがどこがいけないのか、こうなって参りますと、これをしぼり上げました結果は、比較的に単価も高く、財政状況も悪い、そして今までの延伸の程度にもよりましょうし、最近の例をあげれば、今の改訂の場合を除く直近のものと申しますと、確か二十九年一月一日の給与べース改訂というものが一番近いものになりますが、赤字再建の団体であるがゆえに、これを遠慮をしておる団体もありましょう。しかしこれはこれで、赤字といえども遠慮をしないですっきり給与の改訂を行なって財源を使っておる、そしてベースを上げておるという団体もございます。だいぶんそこには区別があろうかと存じますが、過去においてのベース改訂に遠慮をしておるところと、遠慮をせずにやっているところと、延伸しておるところとしないところと、延伸の程度の違うところと、こういうふうにこまかくながめますと程度の差がございます。加うるに、その団体における財政の事情というものも、これを考えていく必要があるのではないか、こういうふうに考えますので、どうも私の考えはその点におきましては再建法にとらわれた考え方になるわけでございます。しかしそういう再建の立場にとらわれて、制約やむを得ないなどということは、これは極力その範囲を縮小いたしまして、御意向に沿うようにいきたい、こういう考え方でありますが、そのことをすべて抜きまして、赤字と赤字でないとにかかわらず、再建団体であるといなとにかかわらず、全面的に右へならえをするのですということを、ここにおいてはっきり申し上げかねるという考え方でございます。極力それをやる考えでありまして、それじゃ何県と何県ということのお話が出て参りますと、それは再建計画の内容を拝見した上でというよりほかに申し上げようがないわけでありますが今の見通しでは、今言うような制約を受けざるを得ない団体は、ごくわずかではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/13
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014・川村継義
○川村(継)委員 ことしは幾分交付税も増額される、あるいは財政計画の上でも給与改訂分が四百数億の増が見てある。これで大体今度の給与改訂の地方公務員の分もやれるのである、こう一応財政計画上は見ておられるようでありますけれども、実際は各地方団体では、今度の給与改訂についてそう楽楽とやれるというふうには見ていないようでありまして、今度の給与改訂には相当苦心を必要とするというふうに考えているのが実態のようであります。特に自然増収等の少い地方団体においては、そういう見通しを持っておるようであります。そこで以前ここでお尋ねしたときに、そういうような給与改訂等について、もしも国家公務員並みの、あるいはたびたび長官が言っておられるように、右へならえができないような窮屈な団体には特別交付税で見てやるんだ、こうおっしゃた。そこで私先ほども特別交付税の問題をちょっとお聞きしたのでありますが、今度の給与改訂について、いろいろ長官としても、自治庁としても苦心をしておられることはよくわかります。そこで今大臣からいろいろお聞きいたしましたことについて、いろいろ問題がたくさんあるわけでありますけれども、一つ具体的と言ってはどうかと思いますが、ある県なら県という名前などをあげることは別にいたしまして、ちょっと具体的に今の問題に付随してお聞きいたします。
ある団体が再建団体である。ところが今度の給与改訂について、どうも今のままでは国家公務員に右へならえしたところの切りかえはできそうにない、現在も非常に給与が低い、現在も国家公務員より幾分下回っておる。そこで今度の給与改訂については、ぜひとも国家公務員並みには改訂をやりたいと思っておるけれども、どうも財政的にうまくいかぬ。こういうように苦慮をしておる。そういう場合には、前々から大臣の言明からいたしますと、国家公務員並みに右へならえさせるために、交付税をもらっても幾分の財源が足らないというときに、その足らない分の幾分かを特別交付税で見てやられるということにわれわれは解釈しているわけですが、それはそれといたしまして、もしも給与改訂に伴って財政の再建計画等の変更を持ってきたような場合、そういうものを差し出したような場合に、国家公務員並みに切りかえるという計画があった場合に、それをそのまま認めてやられるのかどうか。それは、お前のところは苦しいからちょっと無理だよ、現在のまま、国家公務員より幾分下回っておるけれども、その下回ったまま切りかえて出せ、それでやれ、こういうふうに指示なさるのか。大へん先のことでありまして恐れ入りますけれども、現在長官のいろいろお考えになっております方針からしますとお答えが願えると思いますので、一つ率直にその辺のところをお聞かせを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/14
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015・田中稔男
○田中国務大臣 そういう場合に、そういう指示をいたしますようなことが、数は少いことと想定をいたしておりますが、間々あろうかと存じます。
それから財源の点でございますが、そういう場合の財源措置は、これは結果においては給与に用いることになるのでありましょうが、建前といたしましては、一般の財源として特別交付税を見る場合に極力これを見ていく。しかしその場合には、その受けました財源がどこで使われるかということは、また先方の御自由ではございますが、緒川、給与ということに原因があればそこに流れるという結論になろうかと存じます。あまり数多い例ではございますまいが、あるいはこの程度において遠慮してくれぬか、さらに計画のやり直しをしてくれというようなことが全くないとは言いかねるのでございます。かたい話のようで恐縮でありますが、再建の立場というものをあくまでもこだわりはいたしませんが、それを尊重していくという立場から申しますと、少数の特別の事情の県につきましては――給与も高く財政事情が悪い。過去の延伸の状況とベース・アップの扱いの状況を見ました上では、あるいはそういうことのある場合があろうか、こう考えております。なるべくそれを百パーセントに近いものでやっていただく。財源の足らざるところは、範囲内において処置をすることに努力をしていきたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/15
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016・川村継義
○川村(継)委員 大へんくどいようでありますけれども、今大臣の御説明でよく了解されるわけですが、もちろんそういう特殊な、非常に無理なと申しますか、あるいは苦しいというのですか、そういうどうしてもやれないというようなところもあるいは一、二出てくるかもしれないと想像するわけですが、そうでなくて、一つの県なら県が、自分の持っておる財源等をよく研究いたしまして、この際少し無理だけれども、現在の低い、国家公務員よりも下回っておる、ちょっと引き上げると国家公務員並みになる、この国家公務員並みに一つなして切り上げて改訂したい、しかもその財源は、この再建計画に今のところ少し苦しいんだけれども、長い目で見ると決してむちゃな計画ではない、こういうようなことについては、これはやはり大臣としては、この給与改訂を伴う計画については認めていただく、こういうふうに大臣の今の御説明から解釈いたしているわけですが、給与改訂については一応そのように解釈をしておいてよろしいか、一つ念のためにもう一回……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/16
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017・田中稔男
○田中国務大臣 その通りの方針でやっていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/17
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018・門司亮
○門司委員長 他に御質疑はございませんか。――別に御質疑がございませんようですから、本案に対します質疑を終了いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/18
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019・門司亮
○門司委員長 御異議ないものと認めまして、本案に対する質疑は終了いたしました。
ただいま北山愛郎君から、本案に対する修正案が委員長の手元に提出されておりますので、提出者より趣旨の説明を求めます。北山愛郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/19
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020・北山愛郎
○北山委員 私は社会党を代表して、地方交付税改正の政府原案の一部を修正することを提案し諸君の御賛成を願いたいのであります。
修正の内容は、お手元に配付しましたプリントに示された通りでありますが、昭和三十二年度から、同法第六条に定める交付税の率を、百分の二十六から百分の二十八に引き上げようとするものであります。
地方財政の現況は多少の改善を見、赤字の増加傾向は鈍化したといわれますが、その内容は決して楽観を許さないのであります。これは自治庁の報告あるいは委員会における答弁等に見られるように、特に行政水準の低下の事実はおおいがたいものがあるのであります。また同時に、国民経済の地域的な不均衡は地方団体に貧富の差をはなはだしくし、調整財源としての地方交付税増額の必要もまた高まっているのであります。同時にまた、昭和三十二年度地方財政計画についても、給与改訂や公共事業等の増加に伴う地方負担の増高は著しいものがあるのでありまして、地方六団体の指摘する財政計画上の歳入不足額は約四百五十億、そのうち三百十七億円というものは交付団体の分となっておるのであります。また国の減税がなかったものとすれば、交付税率を二五%に据え置いたものとしても、二千二十二億円が当然、本年度地方に配分されるべき交付税額となったのでありまして、減税政策の結果生じたところの地方の交付税の自然的な減収というものは、地方制度調査会の答申の通り、税率調整によって補てんすることが交付税の建前であると存じます。
これが、今回交付税率を百分の二十八まで引き上げようとする主たる理由でございますが、なおこの改訂に伴いまして、単位費用等の改正もまた当然必要になってくるのでありますけれども、これは技術的にもなかなかむずかしい点がありますので、この修正がもし成立をいたしますならば、地方交付税法の第十二条第三項を援用いたしまして、閉会中政令でこれを措置をして、次の国会で改正をやるということがやむを得ないのではないか、かように考えております。
最後に、われわれが長い間、与党、野党共同修正の方針に基いて、特に与党の委員諸君が非常な努力を傾けられたにもかかわらず、その修正が実現を見ないような状況に立ち至ったことにつきましては、心から遺憾の念を禁じ得ません。与党の諸君の御苦心に対し心から敬意を表し、本修正案提出の趣旨説明といたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/20
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021・門司亮
○門司委員長 本修正案に対しまして、質疑はございませんか。――御質疑がございませんので、質疑は終了したことにいたしてよろしゅうございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/21
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022・門司亮
○門司委員長 それでは、質疑は終了したことにいたします。
この際、国会法第五十七条の三の規定によりまして、内閣の意見を聴取いたしたいと思います。田中国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/22
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023・田中稔男
○田中国務大臣 ただいま修正案御提出の趣旨を承わりました。御悦は道理の上からまことにごもっともなことであると存じますが、政府は、すでに提出をいたしました予算案についても国会の御承認をいただいて、予算の成立を見ておるような事情もございますので、今年度よりこの修正の通り行うということは、予算の面からも大へん窮屈なことになりますから、今国会においてこれを御修正いただくということに関しましては、まことに遺憾ながら賛成することができないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/23
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024・門司亮
○門司委員長 では次に、原案並びに修正案を一括して討論に付します。討論の通告がございますのでこれを許します。加賀田進君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/24
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025・加賀田進
○加賀田委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議員となっております地方交付税法の一部を改正する法律案に対して反対をし、わが党の提出しております修正案に対して賛成の討論を行わんとするものであります。
今次の地方交付税法の改正の内容は、第六条の従来の二五%を二六%に改正し、なおそれに必要な基準財政需要額の単位費用等の改正する簡単なものでありますが、しかし地方交付税は、従来地方財政の歳入構成の中で実に重要な役割を果して参っております。従って、地方公共団体の財政状態を左右する法律であるといっても過信ではないと私は思います。本改正案が提出されましてから、全国の知事会あるいは市長会、町村会等から、こぞって、二六%では地方財政を堅持することは困難である、少くとも二八%に改正してもらいたいという強い陳情があったこともそうした意味だと私は思います。しかしわが党といたしましては、従来この地方交付税の税率は三〇%にすべきだという態度をずっと堅持して参りましたけれども、今次そうした地方公共団体の強い要求もございますし、あるいは予算がすでに通過しているという現状の中に立って、与党の諸君も了解できる範囲ということで、二八%に改正することを私たちは本国会において主張して参ったわけでありますが、なおそういう状態の中から、御存じのように与党並びに野党であるわが党の共同修正案という形で、二七・五%に法律改正ができるならば、社会党としてもそれに同調する常内の空気もあるということも明確にいたしまして、実質的に二大政党対立下における野党として最もほほえましい態度を私たちは堅持して参ったわけであります。しかし、自民党の当行政委員会の諸君は、もちろん党内においてわれわれも感謝すべき努力をしたということは聞いておりますけれども、結論的にはこの法改正になって現われてこなかったことは実に私は残念だと思います。
自民党並びに政府は、ややともすればきれいどころには陳情は無条件に聞くような動きもありまして、御存じのように芸者の花代は一昨年の十割が三割になり、三割が、本年度は一割五分という大幅な減税処置も講ずるし、あるいは遊興飲食税の公給領収証においても任意選択制をとるというような、全くきれいどころには陳情そのままを受け入れる態勢もありますが、国との最も協力関係にある地方公共団体の代表の方々が長年にわたって切実に要求され陳情されている交付税の引き上げに対しては、努力はされておったということは了解いたしますけれども、結論的には法改正に至らなかった。しかも私たちは、三十三年度から二七・五%でも何とかわれわれとしても同調しようという謙虚な態度をとったのですが、そういう結果に至らなかったことは実に私は残念だと思います。
こういう状態の中で本法が審議されて参りましたので、社会党としてはやむなく共同提案という形をとれなかったのですが、党独自の二八%修正案というものを提出したのであります。従ってこれは、民主政治の基本であるいわゆる世論にこたえて、最も党としての正しい態度を私たちは堅持したと確信をいたしております。なお、内容的には御存じのように本年度は千八百六十七億という交付金が交付され、三十年度の清算分六億、なお、先般本院を通過いたしました昭和三十一年度分交付金を、特例を設けまして八十六億交付するということになりましたので、合計千九百五十九億という交付金が交付されることになります。しかし、二六%そのものが来年度へ繰り込まれるということになりますと、本年度の交付金の総額よりも減少するというようなおそれがあると思うのであります。従って、少くとも本年度の交付金を確保する、なおできれば、来年さらに困難を来たして参りまする地方財政を交付金の増額に基いて援助いたしたいという気持から、逆算たいたしましても二八%という税率はどうしても与えなければならないと私は思うのであります。そういう状態にもかかわらず今度改正されないということに対して、社会党としては実に不満の意を新たにいたしておる次第でございます。従って、党内の事情は従来あるといたしましても、できれば、本委員各位の御協力を、最後の努力として、わが党が出して参りました二八%に賛成していただいて、当委員会が永年地方財政援助のために努力した実をここで結んでいただきたいことを切にお願いいたしまして、原案に反対し、わが党の提出いたしました修正案に賛成の討論を終りたいと思います。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/25
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026・門司亮
○門司委員長 これにて討論は終局いたしました。
採決いたします。まず、北山愛郎君より提出の、地方交付税法の一部を改正する法律案に対する修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立お願いいたします。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/26
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027・門司亮
○門司委員長 起立少数。よって、北山愛郎君提出の修正案は否決せられました。
次に、原案について採決いたします。原案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/27
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028・門司亮
○門司委員長 起立多数。よって本案は原案の通り可決されました。
ただいま可決されました地方交付税法の一部を改正する法律案につきまして、委員長のもとに、鈴木直人君より附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、その趣旨の説明を求めます。鈴木直人君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/28
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029・鈴木直人
○鈴木(直)委員 動議として提出いたしました附帯決議は、ただいま可決されました地方交付税法の一部を改正する法律案――政府提案のものでありますが、この政府提案の法律案と一体をなす性質のものと考えましてこの附帯決議を出しておるわけであります。わが党といたしましては、この附帯決議というものをきわめて重要視しまして、この附帯決議を将来実行するという建前のもとに政府の案を承認している、こういう観念を持っている附帯決議であるということをまず申し上げたいと思います。
自由民主党を代表してこの附帯決議の趣旨弁明をいたします。まず、その内容を朗読いたします。
附帯決議案
政府は、地方財政の現況にかんがみ、左の措置を講ずべきである。
一、昭和三十三年度以降における公債費の処理及び勤務地手当制度の改正に伴い増加する財政需要額に対し、地方交付税率を一・五%引き上げることにより措置すること。
右決議する。
これが附帯決議の案文であります。
この際、念のために一、二点弁明をいたしておきたいと思うのであります。
その第一点は、この附帯決議は私の所属いたしておりまする自由民主党におきまして、党議として正式に決定せられたものであるということを明らかにいたしておきたいと思います。自由民主党の内部におきましては、この際地方交付税の税率、政府案によりますと二六%でありまするが、それを改正して、二七・五%に引き上げておくべきである、法律を修正しておくべきであるという意見を持っている者が、相当多くあったのであります。ことに地方行政委員全員におきましては、その意見に一致いたしておったということは事実であります。しかしながら社会党の提案のように、この税率の改正は三十二年度以降における税率の改正ではなく、三十三年度以降における税率の改正であります。従いまして昭和三十二年度におきましては、政府提案の二六%を承認をいたしておるのでございますから、社会党案には自然反対せざるを得ないのでありまして、従いまして先ほど政府案には賛成をいたしたのでありますが、この案文にある通り、昭和三十三年度以降においては、地方交付税率を一・五%引き上げることにより措置することということでありまして、必ずしもこの際交付税の税率の引き上げを修正をいたさなくても、この附帯決議の目的は達せられるのであります。たとえば昭和三十三年度の予算編成を通じて、地方交付税の税率の改正は予算を伴うものでありまするから、その際に法律の改正をいたしましても、決しておそいという段階ではないのでございまして、狩に党内におきましては、執行部の一致したそのような御見解でございました。従いまして党内におきまして、この際交付税率を修正しておくべきであるという意見を持っておる党員の方々も、この附帯決構が必ずその段階に到達した場合に実行されるということであるならば、この附帯決議によって、この際政府原案を承認しておくべきであるという意見になったような経過であります。従いまして総務会におきましても、代議士会におきましても、党執行部がこの原案を提案をしまして、満場一致をもって党議として決定せられておるものであるということを、この際明らかにいたしておきたいと思うのであります。
なおこの内容におきましては読んで字のごとくでございまして、三十三年度以降における地方交付税の引き上げであります。従いまして地方交付税の増額ではない、また地方交付税の自然増があるないということには関係のないものであるということ、ことにこの一・五%を引き上げるという理由は、三十二年度において公債費の処理として行われているところの措置を恒久化し、また勤務地手当制度の改正に伴うところの増加した財政需要額を計算した結果当然出てきたところの率をここに税率の引き上げとして法律の改正をしようという内容を持っておるものであるということをつけ加えて申し上げまして、提案の理由の説明といたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/29
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030・門司亮
○門司委員 ただいまの鈴木君の動議に対しまして池田大蔵大臣の所見を求めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/30
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031・池田勇人
○池田国務大臣 政府は誠意をもって御決議の趣旨に沿いたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/31
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032・門司亮
○門司委員長 他に御質疑はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/32
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033・大矢省三
○大矢委員 私どもこの法案に反対したのでありますから、こういう質問をすることはどうかと思いますが、念のために一応お聞きしたい。聞くところによりますと、与党の間でしばしば政府と折衝の結果、こういう附帯決議が決定したということであります。その際にもし数字を入れるならば来年度の予算の編成に対して拘束を持つ。そこで数字を入れずしてやるならば、必ず意思に沿うといったけれども、なおかつ委員の間で強い要望のために、そういう数字を入れたということであります。もちろん尊重されるのだからして、結果としては実現すると思いますけれども、いわゆる拘束力を持つとか持たないとかいうようなことで非常に問題になったということでありまするから、私は今の附帯決議は拘束力を持つものである。政府のきまった数字が入ったのであるからして、そういうことに解釈して差しつかえないかどうか、この点だけをお伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/33
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034・池田勇人
○池田国務大臣 党内におきまするいろいろな折衝の点につきましては、私は十分存じておりません。今鈴木委員から言われたようにいろいろ理由があったようでございまするが、今回地方行政委員会で附帯決議として御決定になりましたこの案につきましての政府の所見は、ただいま申し上げた通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/34
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035・大矢省三
○大矢委員 私は特にお尋ねしたのはしばしば附帯決議というものは、あまり尊重されていない。尋ねたときには尊重します、こう言っています。今までのいきさつからいって、数字が入った限りはわれわれはそう解釈していいかどうか。ただ尊重するという意味でなく、従来と違うのだ、誠意をもってという言葉があるから必ず実現するという、もっと強い拘束力を持つものである、こういうふうに解釈して差しつかえございませんかということをお聞きしている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/35
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036・池田勇人
○池田国務大臣 誠意をもってこの趣旨に沿いたいと、こう書いてある(笑声)答えておるのであります。そのようにお考えいただいたらいいのであります。拘束力あるないの問題は、私は国会自体の問題でございまして、政府がこの趣旨に沿わぬようなことをした場合、そのときに国会が御決議になることで十分だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/36
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037・門司亮
○門司委員長 私から池田大蔵大臣にお願いしておきますが、今大臣の発言の中に「書いてある」という言葉がございましたが、私は将来非常に問題を起すと思いますので、大臣の意思であるということにはっきりしておきませんと、これは書いてあったからそのまま読んだんだというようなことで、どうも大臣の意思でないように思えますので、その点取り消していただきたいと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/37
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038・池田勇人
○池田国務大臣 私は書いてあることを私の気持として申し述べておるのでございます。メモに書いてある、書いてあるないの問題ではありません。私の気持で申し上げておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/38
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039・門司亮
○門司委員長 どうですね、池田さん、ほんとうに今の「書いてある」という言葉が、また将来ひっかかるようなことがあっても困ると思いますので、一つあっさり取り消していただいて、大臣の意思だということにしていただければそれでいいのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/39
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040・池田勇人
○池田国務大臣 もう一ぺん申し上げましょう。大蔵大臣としてお答え申し上げます、政府は誠意をもって御決議の趣旨に沿いたいと存じます。これが私の意見でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/40
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041・門司亮
○門司委員長 ほかに質疑はございませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/41
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042・門司亮
○門司委員長 ほかに質疑がございませんようでしたら、ただいま鈴木直人君提出の動議について、採決をいたしたいと思います。
本動議に賛成の諸君の御起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/42
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043・門司亮
○門司委員長 起立多数。よって鈴木君拠出の動議のごとく、本案に対して附帯決議を付することに決定いたしました。
なお、本案の議決に伴う委員会報告書の作成、並びに提出手続等につきましては、先例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/43
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044・門司亮
○門司委員長 御異議のないものと認めまして、さよう取り計らいます。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/44
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045・門司亮
○門司委員長 なお、この際交付公債に関する件について、鈴木直人君より動議が提出されておりますので、その趣旨の説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/45
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046・鈴木直人
○鈴木(直)委員 交付公債に関する決議を動議として委員長に提出してありますが、この案文を朗読いたします。
決議案
国の直轄工事に対する地方団体の分担金は、その特殊性に基き、交付公債により納付することができるものとされているが、地方財政の現状及び直轄事業の本質等に鑑み、政府は、交付公債を無利子とする措置を講ずべきである。
右決議する。
というのが、その案文であります。
この内容につきましても、この条文に、きわめて明瞭に書いてあります。従いまして今さらいろいろ御説明する必要もないと思いますので、その点はこの案文の通りであるということを申し上げまして、説明にかえたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/46
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047・門司亮
○門司委員長 ただいまの鈴木君の動議に対しまして御質疑はございませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/47
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048・門司亮
○門司委員長 別に御質疑がございませんようでしたら、鈴木君の動議を採決いたします。
鈴木君の動議の決議案を本委員会の決議と決するに賛成の諸君の御起立を願います
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/48
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049・門司亮
○門司委員長 起立総員。よって鈴木君提出の決議案は本委員会の決議と決定いたしました。
なお、お諮りを申し上げますが、右の決議案の取扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/49
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050・門司亮
○門司委員長 御異議ないものと認めまして、さよう取り計らうことにいたします。
次会は明十六日午前十時三十分より開会することといたしまして、本日はこれにて散会いたします。
午後二時三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604720X02919570515/50
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