1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年三月十一日(月曜日)
午前十時三十九分開議
出席委員
委員長 松井 政吉君
理事 橋本登美三郎君 理事 廣瀬 正雄君
理事 松前 重義君 理事 森本 靖君
上林山榮吉君 齋藤 憲三君
椎熊 三郎君 中曽根康弘君
平野 三郎君 星島 二郎君
井手 以誠君 志村 茂治君
杉山元治郎君 原 茂君
出席政府委員
郵政政務次官 伊東 岩男君
郵政事務官
(大臣官房電気
通信監理官) 松田 英一君
郵政事務官
(電波監理局
長) 濱田 成徳君
委員外の出席者
郵政事務官
(大臣官房人事
部長) 大塚 茂君
日本電信電話公
社総裁 梶井 剛君
参 考 人
(日本放送協会
会長) 永田 清君
参 考 人
(日本放送協会
副会長) 小松 繁君
参 考 人
(日本放送協会
理事) 溝上 けい君
参 考 人
(日本放送協会
理事) 稲葉 駿作君
参 考 人
(日本放送協会
理事) 池田 幸雄君
専 門 員 吉田 弘苗君
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二月二十日
委員大麻唯男君が死去された。
三月十一日
委員原彪君辞任につき、その補欠として井手以
誠君が議長の指名で委員に選任された。
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三月六日
簡易生命保険法の一部を改正する法律案(内閣
提出第九二号)
同月七日
日本放送協会昭和三十年度財産目録、貸借対照
表及び損益計算書
同月一日
春木簡易郵便局を無集配郵便局に昇格の請願
(大森玉木君紹介)(第一五九九号)
同月六日
美ケ原テレビ中継所設置促進に関する請願(下
平正一君紹介)(第一九二六号)
簡易郵便局受託者の待遇改善に関する請願(林
博君紹介)(第一九二七号)
木屋町に特定郵便局設置の請願(關谷勝利君紹
介)(第一八六四号)
同月八日
神戸市に簡易保険、郵便年金加入者保護ホーム
設置に関する請願(首藤新八君紹介)(第一九
五七号)
佐田部落に公衆電話架設の請願(森本靖君紹
介)(第一九九八号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
簡易生命保険法の一部を改正する法律案(内閣
提出第九二号)
放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会の
承認を求めるの件(内閣提出、承認第一号)
郵政事業に関する件
電気通信に関する件
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/0
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001・松井政吉
○松井委員長 これより会議を開きます。
まず去る六日本委員会に付託せられました内閣提出、簡易生命保険法の一部を改正する法律案を議題とし、審査に入ります。
まず本案の趣旨について、政府の説明を求めます。伊東政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/1
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002・伊東岩男
○伊東政府委員 ただいま議題となりました簡易生命保険法の一部を改正する法律案について、提案理由を御説明申し上げます。
簡易生命保険の保険金最高制限額は、現在十五万円に制限されているのでありますが、最近における経済事情の推移にかんがみますと、この金額では国民の経済生活の安定を確保し、制度本来の機能を十分に発揮することができない実情にあるのであります。もともと、簡易生命保険の保険金最高制限額は、本事業創始以来、勤労者階層の老後における生活安定または被保険者死亡の場合の医療費、葬祭費及び遺族の生活保障に必要な額を基礎として定められてきたものであります。従いまして最近における勤労者階層の所得の増加、経済生活の向上等にかんがみますと、保険金最高制限額を相当程度引き上げなければ、制度本来の使命である保険的保護を十分にはかることができないのであります。しかしながら他面民営保険の状況等を考慮いたす必要がありますので、これらを勘案いたしまして、保険金最高制限額を二十万円に引き上げることにいたそうとするものであります。
何とぞ十分御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願い申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/2
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003・松井政吉
○松井委員長 質疑は次会に行うことにいたします。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/3
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004・松井政吉
○松井委員長 引き続きこれより放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会の承認を求めるの件を議題といたし、審査を進めます。
質疑を続行いたします。松前重義君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/4
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005・松前重義
○松前委員 予算の大綱から見ますると、FM放送なるものは試験放送をおやりになるということでありますが、その試験放送をおやりになった後におけるNHKとしてのFM放送に対する構想、明年度以降にどうしたい――もちろん政府との問題がありますから、決定的なことは言えないかもしれませんが、自主的にNHKが明年度以降にどういう計画をお持ちになっておられるか、具体的に御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/5
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006・永田清
○永田参考人 FM放送につきましては、松前委員十分御承知のことでございますので、技術的な面では御説明申し上げる必要もないと思いますが、実際の実施方針につきましては、大体この秋までに東京と大阪で電波を出しまして、急速にその普及に進むように努力したいと思っております。本来公共放送の実際のあり方といたしましては、中波で第一、第二、第三、そして新しい技術の展開としてFMを加えていくというのが普通のようでありますが、現在NHKといたしましては、中波で第一、第二のみでございまして、従ってローカルの放送その他一般教養番組については、十分にその責任を果すことができない状態にある次第でございます。事実上以上のような次第でありますので、私どもといたしましては、与えられた条件の中でペストを尽して参りたいという所存でございまして、従ってまず教養関係では第一、第二の中波の中にこれを織り込んで、さらにFMの展開によってその目的に達したい。そういう意味で、FM放送は編成関係といたしましては、BBCのサード・プログラム的なもので進むわけでございますが、受信機の普及その他が不十分である場合には、やはり第一、第二の中波におきましても教養を含めて参りたいと思います。従ってFMに限定いたしますと、どうしても教養的なもの、芸術的なもの、それから音質が非常に明瞭だという意味で音楽的なものへ次第に固めて参りたい。それで本年度中にその準備を終りまして、明年度からは以上の趣旨に基いた形での公共放送へ入る所存でございます。そうなりますと、第一、第二の中波並びにFMをまじえての再編成を行いたい。そうしてそれらを結び合わして、本来の公共放送として果すべき健全な娯楽と生活の向上と、そうして教育、教養の面に役立ちたいというのが趣旨でございます。詳細につきましては、技術的な面もございますので、重ねて副会長より申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/6
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007・小松繁
○小松参考人 ただいま会長から申し上げましたような大体の構想でございますので、今のところでは、メーカーの生産態勢が整い、また一般がこのFMをぜひ将来とも、全国的なネット・ワークまで発展さすべきだという声が強くなりました際に、実施に移りたいという構想でございますので、確定的な計画は、現在はまだはっきり樹立しておるところまでは進んでおりませんが、われわれは一応将来こういう姿まで発展させたいという考え方を持っております。これにつきましては、まず第一段階といたしまして、実験放送の期間中におきましては、三十二年度の予算におきまして、後半期の約六カ月につきましては、一日二時間ぐらい、特に一般の受信者が高音質、また内容におきまして非常に高度な、芸術的なものを主体といたしまして、特別な関心のある番組を一応予想いたしております。たとえて言いますと、その一つの例といたしまして、非常に高音質のLPを使いましていい音楽を送るとかいうような種目のものを考えまして、約六ヵ月の実験放送を継続する予定にいたしております。全国的な実施に移ります場合の一応の構想といたしましては、東京以下主要都市におきましては約十キロくらいの電力の局、その他の地区につきましては一キロないし五キロワットぐらいの局におきまして、約三十五局くらいを作りまして、一応全国的なネット・ワークを作るという構想を現在持っておる程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/7
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008・松前重義
○松前委員 試験放送を三十二年度からやられるのも小しおそ過ぎやせぬかとわれわれは思っております。来年度以降のFMに関する計画は三十五局ということを今伺ったのでありますが、年度別その他についての具体的なものができてないような感じがするのですが、何かありましたら伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/8
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009・小松繁
○小松参考人 これはわれわれはただ原案を持っておる程度でございまして、協会の経営委員会にかけて確定したものではございません。ただいま三十五局と申し上げましたのは、五カ年くらいでこれをやりたいという構想を持っておりますが、これは確定しているものではございませんので、もし御必要でありますならば、単なるわれわれの事務局における一つの案として、あるいは御参考のために資料としてお出ししてもけっこうでございます。その程度のものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/9
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010・松前重義
○松前委員 私はこれは非常に重要な問題だと思いますが、これについては一つ具体的な計画をお立てになりまして、放送協会全体として一応の目安をつけてお進みになる必要があるのじゃないか。そういうことを申し上げるのは、これはメーカーの生産計画に関連するのであります。ただいま日本のFM受信機はまことに微々たるものではありますが、フィリピンやあるいはアメリカに輸出をされつつあります。これはおそらく御存じないであろうと思いますけれども、日本の技術を使って安く作ってこれを出そうということで、今アメリカからもバイヤーが日本に来てFM受信機の注文を発しようとしております。またフィリピン等に対しては日本人の中で、フィリピンでやっているFM放送の受信機を日本で作らしておみやげにたくさん持っていきつつあります。こういうふうにFM放送というものは、何も国民に対する放送プログラムの提供ということばかりでなくて、日本の輸出工業に対して非常に大きな誘い水になる。ことに日本のような精密機械工業等に適当した民族性にとっては、これは取っておきの問題だと思う。そういう点から見て、FM放送をすみやかに実施して、日本のFM受信機の生産態勢を確立して、東南アジアその他の地域に対してFM放送局の設置を慫慂し、これを指導し、そうしてこの受信機の輸出をはかるというような、放送事業を通じて経済面にも関係したところの根本的な政策を実行しなければならぬと思う。これはもちろん通産省とも関係ありましょうが、何といっても電波監理局と放送協会の使命ではないかと私は思うのであります。お話がありましたように、民間の生産態勢が整ったならばという前提のもとにお考えになっておったのでは、これは大間違いでありまして、民間はもうあなた方がおやりにならぬ前にすでに生産して輸出をしている、アメリカの注文にも応じておる現状であります。またここ数日中に値段がきまるそうでありますが、とにかくそのようにしてアジアにおける有利な態勢にあり、輸出工業の非常に重要な問題になろうとしておるFMに対して、これをいつまでも実施もしないでほったらかしておいて、国産産業の振興が阻止され、これによって日本の弱電工業に非常に悪影響を及ぼすようなことがあるといたしますならば、これは政府としても非常に責任を感じてもらわなくちゃならぬ問題だと思うのであります。日本放送協会の公共性にかんがみて、メーカーの生産態勢が整備したならばという前提で、外国のおかげで日本の民間のメーカーの態勢を整備するということにするのでは、一体日本には政策があるのかないのかわからぬ、こういう感じを持つのであります。従って私はこれ以上質問はしませんけれども、電波監理局から御答弁願いたいのは、かつて六メガ、七メガでがたがたやったあの時代の影響を受けて、VHFのテレビのチャンネルが今の狭いところに追い込められていて、そこで争っている日本の哀れな現状というものは、これは現在の電波監理局の責任ではないと思いますけれども、電波監理委員会当時においてかってなされた六メガ、七メガの問題の決定の際に、これが誤まった結論が出て、今日のような状態に追い込んで参ったと思うのであります。けれどもこのような状態に追い込まれたという現実に対処して、UHFの問題も非常に重要でありまして、これなどもチャンネル・プランがすみやかに決定されて、これらの問題も早く醜い争から救われなければならないというように私どもは考えております。UHFの問題とFMの問題に対しましても、何だか現在のVHFのチャンネル出願者等に災いされて、どうも前進を見ないような感じがいたすのでありますが、これに対しまして電波監理当局の御見解を承わりたいと思います。
第一に、FM放送の周波数を早く決定して実施せしめること、そして国産産業を助長して海外に発展をはかること、アジアの指導的態勢を整えて模範的なFM放送をこしらえて、アジアの留学生または見学者が来たら、その模範的なものを見せ、これらの輸出指導態勢を整えること。第二はUHFその他に対しても同じことでありまして、また国内のトラブルを解消する意味におきましても、この問題の解決に対してどういう御努力を払っているか伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/10
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011・濱田成徳
○濱田政府委員 超短波放送につきましての松前委員のお考えには、私全く同感でございます。諸般の情勢から考えまして、このFM放送は一日も早く実施の状態に持っていくように考えなければならぬと思います。これにつきまして、昨年の当委員会においても私は申し上げましたように、当局としては、この技術基準、あるいは免許方針について、いろいろな調査を鋭意やっておりますので、遠からざるうちにこれができると考えております。そうしましたならば、また超短波のFM放送の実施を申請しておる面もたくさんありますので、なるべく早くこれが実現し得るように適切な措置を講じなければならぬと思っております。それからこのFM放送につきましての製造会社の様子も、ただいま松前委員が指摘されましたように相当準備は整っておるように思うのであります。私どもといたしましても、機会あるごとに、早くFM放送受信機の設計、大量生産の態勢を整えるがよい、電波はそう遠くないうちに出ますからということを慫慂しておるような状態であります。私は放送協会あるいは民間放送会社等が手をつないで、協力してこの実現をはかりますならば、案外早く日本全体のFM放送が実現しまして、それがやがて輸出にまで――先ほど言われましたように、東南アジアあるいはその他にFM受信機が少量ではありますけれども今日輸出されておるのを知っております。これがもっともっとたくさん出るように、そして日本のラジオ、テレビジョン工業の海外発展の先がけになることを私は希望してやまない次第であります。そういう意味におきましても、私は早くFM放送の実現を考えなければならないと思っておる次第でございます。このVHFのFM放送に使いますチャンネル・プランは、なるべく早く作りたいと思うのであります。これはただいま審議中のVHF帯のテレビジョンとも大いに関係があります。私の考えでは、日本の将来のラジオの放送は、場合によるとFM放送をもって置きかえるがいいかもしれないとすらも考えたことがあるのでありまして、そういう意味におきまして、これはいろいろ理由があるのでありまして、ドイツは六割ないし七割方FMに変っております。スイスまたしかり、その他イタリア、イギリス、フランス等も順次FMに変っております。技術的ないろいろな問題がありますし、いろいろな批判もありますけれども、日本のような細長い、両方に海を控えて山の多い国におきましては、FM放送を実施するのにきわめて適当なものであろうという理由が一ぱいあるのでありまして、中波の大電力放送、FM放送の両方の実施ということも一案だろうと考えておる次第でありまして、これは将来の日本のテレビジョンの発展と照らし合して、将来のVHF、UHF帯にわたったところのラジオ、テレビジョンの両方の放送を考える、なるべく早いうちに、今後十年、二十年後の電波の配置を考える必要があろうというふうに考えまして、ただいま検討中でございます。大体以上がFMに関しまするところの当局の考えであります。
UHFにつきましては、私の考えでは、テレビジョンの実施を始める時期に、すでにUHFのチャンネル・プランについて当局は考えておくべかりしものであった。技術は非常に進歩が速うございまして、今日VHFの送信機、受信機とUHFのそれとはそう大した差はない。送信機製造あるいは受像機の製造技術においても大差がない。御承知のごとくUHFというものはたくさんのチャンネルがあるのでありまして、すなわちVHFに比べますならば十倍くらいの資源があるとも言えるわけでございまして、われわれはUHF、さらに進んでより短かいマイクロウエーブあるいはミクロメガというところまでどんどん電波技術の開発をやり、これの平和的利用を大いにやることによって、国利民福の増大をはからなければならぬというように考えまして、UHF放送事業における開発を進むべきであるという信念を持っております。そういう意味におきまして、もし日本においてVHFによるところの放送が電波資源において不足を感ずるならば、当然一刻も早くUHFを考えるべきである。今申しますように、何ら技術において差はないと言ってもいいくらいでありますから、一日も早くこのUHFの開発計画を進むべきであるという考えを持っておるのであります。たとえば、今日VHF帯の十一チャンネルのテレビジョンを考えておりますけれども、これがやがて日本では、世界の趨勢に伴いまして天然色テレビをやるという場合においては、これはUHF帯を使うべきかもしれないというようなことを考えます。これについてはたくさん議論がありまするから、今日ここで決定的な意見を申し上げられませんけれども、この天然色には、日本はUHFの使用を考うべきである。あるいは白黒の場合でありましても、VHFで不足を感ずるほどテレビジョンの活用が、あるいは社会的の利用が非常に広範でありますならば、どんどんUHFを使うがいい。そういう意味におきまして、私はUHFのチャンネルをテレビジョンの分野において使うことが開始されることを一日も早く希望するのでありまして、私どもはテレビジョンに使うUHF帯のチャンネル・プランを目下検討中であります。たくさんの資源があることを、この際申し上げておきます。これによりまして日本のエレクトロニクスの振興をはかる重要なる原動力にしたいというのが私どもの希望でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/11
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012・松前重義
○松前委員 将来の希望的なお話を承わりましたけれども、希望的なことを言えばいろいろございますが、そもそもVHF帯というものはFM放送に割り当てる、そうしてUHF帯をテレビに割り当てるというのであるならば、私は今出願しているすべての会社に同時に全部チャンネルを認可してやれ、それだけの施設能力のないのは片っぱしからつぶれていく、こういうこともできたのではなかろうかと思っておりますが、これは今まで誤まった歴史をたどってきたと実は思っておる。六メガ、七メガ時代からすでに誤まって、アメリカの植民地的な姿できたから、VHF帯というのを争って、今みんながばたばたやって泥試合をやっている。こういう哀れな姿が日本の電波行政の現状であり、あなた方が今苦しんでおられ、しりぬぐいの場であるというふうに歴史的に解釈をしておりますが、とにかくUHF帯の開発とVHFの利用という問題につきまして、今私が申し上げたVHFというものがFMに利用さるべきである、そしてテレビはUHFを使うべきものであるという基本的な概念が、どうもただいまの御説明の中にまだうかがわれなかったのでありますが、こういうふうな考え方をお持ちであるかどうか、一応明確な御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/12
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013・濱田成徳
○濱田政府委員 この問題はなかなかむずかしい問題でございまして、VHFは全部FM放送に充てる、 テレビジョンはUHFがいいという問題につきましては、私も同様な議論を実は持っておるのでありますが、これも時期の問題でありまして、日本におけるテレビジョンは、現在はVHFに主力を置く、これが天然色に移行するときには、UHFがいいかVHFがいいかが問題になります。それからVHFの白黒が今だんだん普及しまして、やがて百万台の受像機に到達するでありましょう。すなわち言いかえますと、数百億円の国民の投資が受像機に対して行われる、そういう状況でありまするから、日本の将来は、テレビにつきましてはVHFとUHFが両方存在するという状態に必ずなるだろうということを私は予想します。この際におきまして、ラジオの方は中波をだんだんやめにして、そうしてこれに置きかえるにUHFのFM放送をもってするということの必要が非常に強くなって参りました場合には、テレビジョンのVHFをこのFMに回して、逐次UHFに置きかえるべきである、こういうことになる可能性があろうと考えております。テレビジョンはすべてUHF、FM放送はVHF、あるいはVHFと中波両方を日本の将来の放送としてチャンネルすべきだということを、今日ただいま――そういうのが理想的な、日本のためになる一つの構想である、私自身もそういう考えを持つのでありますけれども、今そういう計画をすべきであるということをここで確言できないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/13
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014・松前重義
○松前委員 今のようなVHFとUHFとの関連性の上から、両方とも一応使ってある誤まれる歴史の中に、一ぺんにこれを完全に払拭するわけにいかぬから、受信機も普及しておるから、方向はそうであるけれども今のところ仕方がないというような御意見のように承わりますが、そうなると、一体FMの周波帯というものは、テレビというもののおかげで割当周波数の数も非常に滅ってくるし、狭められてくるというような感じがするのです。これは具体的な数字によるほかに道がないと思いますが、大体そうなるのじゃないかという感じがします。そうするとFMを犠牲にして、テレビのいわゆる侵略によって、ついにFM放送という重大な使命を没却するのであるかどうか、そういうことになりやすい傾向を持っていると思いますが、それはどういうふうにお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/14
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015・濱田成徳
○濱田政府委員 松前委員の御指摘のごとく、今日考えられておりますところのFM用のVHF帯のチャンネルの数は少い、これは事実でございます。もし全国あまねくFMを日本放送協会でおやりになるなら、あるいは一般放送管理者がやるという場合には、とうてい足りないだろうということをおそれています。その場合にどうすべきかということにつきまして、UHFの活用をうまくやる以外には手はないというのが、ただいまお答えできることでございまして、そこら辺なかなか研究を要する問題であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/15
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016・松前重義
○松前委員 大いに研究されまして、一つ政治的にあまり影響を受けない――政治的と言うと何ですが、悪い意味においての政治的な運動等によって動かない、学者的な何によって今確立しなければ、私は電波行政はめちゃくちゃになってしまうと思うのです。それを非常に今憂えております。あらゆる面から業者の策動、資本家が電波によって一もうけしようというような、一旗組が盛んにあなたの方に攻めかけてきている。そのことはわれわれの耳にも入るし、われわれのところへもやってみえるのであります。それに左右されたチャンネル・プランあるいは将来の電波の配分等が決定されるならば、私はとんでもない混乱が将来に残ると思うのですが、一つ郵政電波当局は、きぜんたる態度をもって、ほんとうに学術的に冷静にこれを判断されまして、将来の日本に悔いを残さぬようにお願いしたいと思うのです。
そこで放送協会に簡単にお尋ねいたしますが、私この前の御説明を聞いていないで質問するのはどうかと思いますけれども、中波大電力放送であります。福岡が百キロにされたのじゃないかと思うのでありますが、そうでしたか――御承知のようにアメリカが沖繩で一千キロの放送をやっておる。これは私は非常な意義があると思っております。アメリカとしては、やはり言論を通じてのアジア政策をあそこで実行しようと思ってやっておるのだろうと思うのです。中波大電力の意義は、アジアに残した日本の唯一の遺産である日本語というものを、すべてのものを失ったけれどもたった一つ残っておる日本語というものを、どう歴史的に維持していくか。そうして日本に対する認識を持たせるかという特殊な放送でなくして、日本の国内向けの放送そのものを私はアジア全体に振りまく必要があると思うのでありますが、一体百キロぐらいでその目的が達せられるでしょうか。多少技術的な問題でもありますから、一つ電波の伝播あるいはフィールド・インテンションの立場から、もう十倍ぐらいにしなければだめじゃないかと思うのでありますけれども、あまりにもプランが小さいような感じがするのじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/16
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017・永田清
○永田参考人 今お話の大電力主義については全くその通りでございまして、国際的にも次第に大電力化されており、それから国内の混信も生じておる状況であります。また実際に、日本に与えられている自由な世界は大空のみであって、従ってそこでできるだけ日本の文化も紹介し、それを各地でも聞けるようにして、国際放送の充実をはかっていきたい。その技術的な手段は、何よりもまず大電力主義であるということで進んでおる次第でございますが、なお技術的な問題は重要でありますので、副会長からお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/17
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018・小松繁
○小松参考人 今のところ標準放送のチャンネル・プランでは認められておりませんが、私たちの希望といたしまして、外国の電波を、夜間混信を防ぐ全国的な最低の電界を二ミリボルトと大体考えまして、この二ミリボルト以上の強さに全国をカバーするとすれば幾らになるかという計算から、一応希望的な計画を持っております。それは東京は約二百から三百キロワット、大阪が百五十キロワット、福岡が二百キロワット、札幌が二百キロワット、これに盛岡か秋田あたりの東北地方に一局、百五十キロワットの局を作りますと、全国あまねく、どこの地点でも、夜間になりますと二ミリボルト以上の強さになります。これによりまして現在考えられます諸外国の日本国内に入って参ります電波の混信は、一応ほぼ完全に近い状態に防ぎ得るというふうにわれわれは考えておりますので、ただいま申し上げましたような増力がチャンネル・プランにおいて現在可能であるとするならば、一日も早く外国電波の混信を防ぐ意味におきまして、また他面、日本の電波が、ただいま松前委員が申されましたように、日本の国の近くにおきます日本語を解せる多くの人たちに、国際放送的な役割も果し得るというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/18
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019・松前重義
○松前委員 どうも百台の数字は承わりますけれども、千台の数字を耳にしたいものだと思って質問してみたのでありますが、あまりにも小規模過ぎるような感じがします。しかも今の計画の大部分が、大体国内向けの考え方をお持ちになっておって、東南アジアあるいは朝鮮、あるいは満州といいますか、今の東北地区、中国あるいは台湾、沖繩――今は外国のような格好になっている沖繩、あるいはフィリピン、東南アジア方面に対して適当なる波長を、できるだけ遠くに飛んでいくような波長を割り当てて、これを大電力で重点的にやるような考え方は一体ないのかどうか。どうも今の話では国内だけのことをお考えになっておられるようでありますけれども、私は沖繩の人たちに対しても日本語のいい放送を聞かせる、あるいはまた朝鮮の人たちはほとんど日本語を知っております。これだって今のような歴史の中にばかりいつまでもあるとは限りませんで、お互いにまた仲よくなるときもありましょうし、それからまた中国においても、日本語を聞きたくてしょうがない人たちがたくさんおる、こういう人たちに対してやはり電波を送ってやる責任は、公共性の立場からNHKにあるのじゃないか。こういうふうな意味においての重点的な御計画は、全然お持ちになっていらっしゃらないかどうか承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/19
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020・小松繁
○小松参考人 ただいま申し上げました計画は日本の国民、日本の受信者が、われわれが行なっております放送が完全に聞えるということを確保するということに一応主眼点を置いておりますが、しかしこれは一面、現在のこれだけの施設によりまして朝鮮の大部分、それから北支、中皮あたりの海岸地区、これなんかは大体昼間でも相当のサービスになります。夜間になりますともっと広範囲な放送が、受信可能な強さで外国まで及ぶわけでございます。従いまして私どものこの計画は、ただいま松前委員がお考えになっておりますように、日本語を解せる多くの人たちに、国際放送としても十分の役割を果し得るというふうに考えておるわけでございます。ただ沖繩におきます千キロワットというような強力なものにすれば、その国際放送の性格から言いますならばなおさらいいことは当然でございますが、われわれが今実現の容易にできる、そうしてまた相当大きな効果を上げるというもので、一応現在の計画を立てておるわけでございます。今松前委員のおっしゃったような意味合いから、もっとこれを拡充強化するということにつきましても十分考えてみたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/20
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021・松前重義
○松前委員 今の問題について電波監理局、郵政省はどういうようにお考えになっておるか、これは政務次官から一つ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/21
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022・伊東岩男
○伊東政府委員 重要な問題でございますので、むしろ電波局長から説明させた方がよかろうかと思いますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/22
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023・濱田成徳
○濱田政府委員 中波大電力放送は、先ほどNHKの御説明のように全国あまねく聴取せしめて、外国との混信を防ぐ点に非常に重点を置いているものだと思います。松前委員の言われますところの、日本国以外の国に中波で放送を聞かせようとすることは、これは国際条約の範囲外になるだろうと考えるのであります。これは短波によって、いわゆる海外放送によってその目的を達成せしめるべき問題だろうと思うのであります。しかしながらこの近接諸国に対して日本の国情を紹介し、あるいはそこに住んでいる日本人、あるいは日本に親善な感じを持つような国民に日本の放送を聞いてもらうという、そういう意味におきまして、国際条約の許す範囲においてなるべく大電力のものをやりたいというのが私どもの希望であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/23
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024・松前重義
○松前委員 私が聞いておりますのは、本年度のは別問題としても、来年度以降どういう考えを持って政府として臨まれるか、NHKはどういう態度をおとりになるかということをお聞きしているのです。もしもこれをやる場合においては、聴取料だけからの収入でやらせるというのであるか、それとも政府は、もしも台湾における人たちに日本語放送を聞かせる、あるいは中共における人たちに聞かせる、あるいは沖繩における人たちに聞かせる、あるいは朝鮮における人たちに聞かせるということで――それは日本のなまの放送で、別に特殊のそのための放送である必要はないと私は思いますが、そういうことが必要であり、将来の日本の歴史の発展にとって重要であるという政治的お考えをお持ちであるならば、場合によっては相当なお金を出してこれをやらしめるというくらいのことは、考えておかなくちゃならないのじゃないかと私は思うのです。来年のことを言うと鬼が笑うといいますけれども、とにかく歴史は継続していきますから、一体今年これからどういう準備をなさるのであるか、どういうお考えをお持ちになって準備にとりかかられるのであるか、これを伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/24
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025・濱田成徳
○濱田政府委員 中波放送の周波数並びに電力につきましては、大体主管庁会議というもので相談してきめるのであります。今日われわれが計画に乗せ得るものは、一九五一年の主管庁会議におきましてきめられたところに従うほかないわけであります。でありますから先ほど申し上げました私どもの考え、また松前委員のお考えに基きましてそれをさらに大電力にしようと考えますならば、この次の主管庁会議において提案しましてきめるほかはないのであります。それにつきましてはいろいろ研究を進めつつある状態であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/25
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026・松前重義
○松前委員 ただいまの問題は非常に重要な問題であり、一日も早く具体化しなくちゃならない問題であると私は思います。こういう目標を持った、相当に政策的な意味を持った中波大電力放送を、できるなら九州の長崎その他のところにやるべきではないかということであります。どうかこれに対して政府と日本放送協会において、特に来年度においては御考慮を願っておきたいと思うのであります。
そこで研究の問題でありますが、実はエレクトロニック、つまり電子工学の研究というものは、原子力の発展に対しましても非常に重要なフアクターである。むしろ重要というよりも、もうこれが基礎となっていくものであって、原子力というのはその端っこにちょこっとあるだけであります。それほど重要なものであり、ことに近代工業の基礎的な部分をなして参りまして、決してこれがテレビとかラジオ等だけに使われるものではないのであります。しかしながら、これはすべて共通部分が相当にございますから、このNHKの研究所の活動というものがいかに重要であるかということは、これは何も放送その他の面に対して重要であるということばかりではございません。そこで放送協会の研究所の公共性というものが出て参るのでありますが、その一つの重要なる看板になっておりまする研究の問題に対しまして、まだどうも何だか物足りない感じがいたします。それは研究所の地位であります。大体政府でもこの間、研究職というものに対してはできるだけ冷遇しようという案を国会に出しております。この政府の案では、日本の産業が興るか興らぬかはおのずから明らかでありますが、なるべく研究職は冷遇して下に押しつけております。月給でも何でも減らしてあります。これについては国会を通じて戦かわなければならぬと思っており、また自民党の方々にも御同調願って、政府案を修正しなければならぬと思っておりますが、どうも放送協会においても――私は研究所の人から聞いたわけではありません。ぼうっと見ておって、やはり研究所というものは下のグレードである。たとえば研究所長さんという方は、やはり放送協会の本部の局長さんよりもどうも格が下のようです。所長さんに対してはなはだ済みませんけれども、格を下のように取り扱っておられるようです。それでは私はいかぬと思うのでありまして、むしろ研究所が中心になって技術全体を支配するくらいでなくちゃならぬ。またドイツなどはそうなっております。よその国はみんなそうなっております。やはり後進国家というものはそういうもので、技術を軽視する傾向が見えております。この点に対しまして、予算規模その他につきまして申し上げたいことはたくさんありますが、私の考えておることは申し上げなくても言外でおわかりだろうと思います。このくらいのことではとてもだめだと思うのです。今後におきまして、研究所の重要性についてどういう御認識を持っておられるか、またどういう施策をおとりになろうとなすっておられるか。予算面においても、そういう人事面におきましても、規模においても、どういう考えをお持ちになっておられるか。これは永田会長に一つ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/26
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027・永田清
○永田参考人 研究の問題につきましては、分野は違いますけれども、私も長らく研究関係の仕事に携わっておりましたので、全くお説の通りであります。最も進歩的に、そして現実に仕事を責任を持ってやるためには、どうしても研究所、つまりリサーチが中心にならなければその発展がないことは、お言葉の通りであります。NHKといたしましては、日本のほかの類例に比べますならば、研究についてはやはり相当の注意を払っておられると思います。もとよりそれは理想的ではございませんので、それで十分とは申しませんし、もっともっとそれを拡大して参りたいと考えております。ことにお説の通りに、エレクトロニクスの世界は最近急速な進歩をいたしておりますので、このままにしておったならば、日本の研究活動がおくれ、従ってそういう部面の産業活動、その他これをめぐるさまざまな仕事が、国際的水準よりもおくれてしまうだろうということを大へん憂えておる次第であります。十分に御注意に従って進めて参りたいと思っております。
なおスタッフにつきましては、NHKの長い伝統の中で、研究者の地位は必ずしも十分ではなかったかと思いますけれども、これも日本では比較的に他よりも、むしろある意味では希有のケースとしてその研究が続けられたことについては、深く敬意を払っております。しかし待遇その他について、もっともっと普通以上に研究活動に対してそういう方針を貫くべきだということは、一つの理想としては持ちますけれども、それをどう実行していくかについては、今後の私自身にとっても重要な課題だと思っております。ただ今、研究所長は組織として他の局長よりも低いのではないかというお話がありましたが、それはそうではございません。全く他の局長と同格の組織の中におります。ただその中に技術担当の理事がおって、そして一そうその研究活動を進め、かつまたNHKは同時に一つの事業機関でございますので、単なる大学の研究室というふうなものと違って、それが現実に役に立つような方向に進めて参りたい。NHKプロパーの中でのみならず、他の産業機関に向っても積極的に技術指導を行うとか、あるいはテレビの低廉化に向って協力するとか、あるいは先ほどお話の出ましたFMの技術の展開に役立つように努力するというふうな状況にございます。そのほか当初にNHKの概括的な説明で申し上げた基本的な方針といたしまして、研究活動に重点を置きたいということ、そうして放送音質の改善とか、機器の能率化、施設の自動化、受信機並びに受像機の簡易低廉化、カラー・テレビジョン用三色受像管の国産化、テレビジョン撮像管の研究、光増幅器の研究とか、あるいは進んでUHF帯テレビジヨンの研究、あるいは新しい機器部品の試作といった方面に着々と進んでおる次第であります。ただごらんになってすでにお気づきの通り、まだ十分でございませんので、これはNHK全体としても合理化をはかっておるところでありまして、それに応じて、あるいは必要に応じて、もっとこの研究部面に必要な経費を他の方から削ってでも進んで参りたいという所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/27
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028・松前重義
○松前委員 研究の問題はひとり放送協会だけの問題ではございませんけれども、非常に重要であることを会長からお聞きして力強く思いますが、あらゆる産業の基礎であり、ことに原子力産業の基礎でございますので、いよいよNHKが公共性という大きな使命を持っておられる立場から、御努力を願いたいと思う次第であります。
最後にお伺いしたいのは待遇改善の問題であります。月額七百円の調整原資を見込んだということでありますが、こういう表面的なベース・アップの問題は別といたしまして、まずNHKの従業員は相当に知識労働者が多いという建前からいたしまして、やはり現実にあらゆる会社や機関がやっておりますような住宅の問題、あるいはまたわけても従業員は比較的大都市に住んでおる人が多い。あまりいなかに住んでおる人が少い。そういう意味で住宅の問題などは非常に重要な問題になっておるのでありまして、こういう点においては、今だいぶよそよりも差があって、比較的いい条件にあるとは言えない、このように私どもは見ておるのであります、それからまた、地域差の問題等に対しましてもいろいろ問題があるようでございますが、何かこれに対して新しい施策をお持ちであるかどうか伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/28
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029・永田清
○永田参考人 従業員の待遇問題につきましては御指摘の通りでございまして、NHKといたしましては、どちらかといえば知能的な労働であり、普通の産業の場合のように機械が回ってそこに人が働いているというよりも、自分自身がその仕事の責任感に基いて十分に職責を果していかねばならないわけでございますので、そのためには、やはりただ抽象的に責任感のみ説いただけでは十分でございませんので、それに応ずるような待遇問題を考えなければならないというふうに考えております。この点につきましては一応待遇改善案を出しておる次第でございますけれども、これで十分とはもとより思っておりません。全体の経理の状況といたしまして、施設面は先ほどからお話が出ましたように、大電力問題とか、国際放送問題ないしは技術の問題、研究問題という工合に次々と仕事面はふえていくのみであり、また一方収入につきましてはそれに応ずるような状況では全くございませんので、収入についてははなはだ難渋を来たしておるような状況でございます。しかしそういう中にあって最善の努力をいたしたいという所存で進んでおるのであります。特に私どもといたしましては、生活の大部分を協会内で送ることでありますし、そういう意味で待遇改善ももとよりでありますけれども、働いているその場面でできるだけ愉快に仕事ができるように、また実際にいろいろな仕事をやるについて支障がないように、たとえば住宅問題とかあるいは医療対策とか、その他さまざまの厚生施設に意を用いたい所存であります。御承知のように普通の私企業でも、最近厚生施設ははなはだよくなっておりますし、ほかの政府の関係の厚生施設も次第に進んでおるところでありますが、これと比較しますとNHKはお説の通り十分ではございません。残念ながらその点は劣っておるように私ども観察いたします。従って厚生施設については今後十分意を用いて進んで参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/29
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030・松前重義
○松前委員 会長のお話を聞いて意を強ういたしましたが、どうも全般から見て多少悪いような感じがいたしますので、これは一つ十分にお考え願って、いろいろ実行の面においてしかるべき御配慮を願いたいと思うのであります。
私の質問したいことはこれで打ち切りますが、総合的に希望を申しますが、このFM放送の実施は私は早くしなければいかぬと思います。そして早くメーカーに自由に作らせて輸出させなければいけません。これは日本で実施してないのにアメリカが買いにきておるのでありますから、とにかくこういういいコンディションにあるときに日本がまだ何もやってないというのでは、これはとんでもないことであります。その点は政府当局においても特に促進方をお願いし、また日本放送協会においても具体的な計画を来年度以降お持ちいただきまして、受信機を普及せしめる先駆者たる割役を引き受けていたたきたい。いろいろくどいことを申し上げて恐縮でありますが、とにかくこの使命はNHKが負うべきものであり、必要とあればまた政府自体も予算として考えていただかなければならないと思います。この点は一つ総合的にお考え願いたいと思います。テレビのチャンネルについては、つまらない策動によって絶対に動かされないように厳然たる態度をもって、悪い意味における政治的策動を排除して、ここで百年の計を誤まらないようにお願いしたいと思います。NHKの経営においてももう少し思い切った施策を出していただきまして――会長御就任当初からは困難ではありましょうけれども、だんだん御経験も経ていくことでありますから、来年度以降においては一つ中波大電力その他日本のアジア政策をも頭の中に入れて、ほんとうに公共性を発揮していただきたいと思います。それから研究等におきましても非常に重要な使命を帯びておられるのでありますから、これも御尽力をお願いいたしたいと思います。従業員の問題もただいま会長のお話のように実行面においてお考えいただく。これだけをお願いいたしまして私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/30
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031・伊東岩男
○伊東政府委員 ただいままで松前委員から、専門的な立場から権威のある御質問がございました。私ども傾聴したわけでございますが、数々の御注意かつ御意見等に対しては、今後政府といたしましても十分考えまして、万遺憾なきようにいたしたいと思います。御質問でありましたのでこれだけを申し上げる次第であります。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/31
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032・松井政吉
○松井委員長 この際理事の協議により郵政事業及び電気通信事業に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますのでこれを許します。森本靖君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/32
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033・森本靖
○森本委員 これは実は緊急な問題でありますので、議事の途中でありますが、質問をしたいと思います。
これは私の方ではまだ正式には全然聞いておらぬわけでありますけれども、今問題になっております三公社五現業――その中でも三公社と郵政現業との春闘の問題でございます。新聞によりますと、九日に公共企業体等労働委員会の調停案が提示をせられて、きのう政府の方ではそれぞれ政府関係の各閣僚、さらに電電公社総裁、国鉄公社総裁等が集まっていろいろ協議をした模様でありますが、新聞紙上で見ると、組合はこれを政府がのむならのみたい、こういうふうな態度を示しておるようであります。政府並びに公社側の方はこれを協議いたしまして、あくまでも拒否したいというふうな態度を示しておるようであります。今まで電電公社の総裁あるいはまた国鉄公社の総裁、郵政大臣、そういう各最高幹部の名前によりまして、組合の自重を望む、あるいはまた組合員の自重を望む、場合によっては厳重な処分を行うという非常に威嚇的な言辞を、今まで政府並びに公社当局は弄しておりますけれども、しかしそこでいよいよ調停案が出されていた場合においては、その調停案をあっさりのんでこれを平和的に処理するというのが、この春闘に対する最も妥当な策であるというように考えておるにもかかわりませず、新聞紙上で見ると政府並びに公社当局が、かえってこの春闘がさらに盛り上るというふうな形にけしかけておるというふうにしかとれぬわけであります。一つこの問題に対して全逓に対する問題は郵政省の方から、電電公社に対する問題は電電公社の総裁から御説明を願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/33
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034・伊東岩男
○伊東政府委員 森本委員からただいま御質問がございました問題でございますが、私ども郵政省は現業を受け持っておりまするので、そこで労働争議紛争が起りますことは、国民生活に非常な影響があると同時に日本の産業にも影響がありまするので、できる限りこれは話し合いで行くべく、今日までその気構えでおったのでございます。今日すでに調停案が出たのでございまして、これをのむかのまないかというようなことについては、あるいは拒否するかせぬかというようなことについては、新聞ではどう書いておろうとも、ただいまのところでは相当深刻なる研究をいたしておりまするので、根本問題としてはやはりできる限り話し合いで行って、すみやかに平和的の解決をいたしたいというのが、ただいまの省としての考え方でございます。これについてはむろん双方が話し合わなければなりませんが、公共的事業に対してどこまでも極端なる違法があるとするならば、それは相当考えなければならぬということは、もう当りまえのことであると考えます。しかし私の考えではどこどこまでもすみやかに平和的に解決したいという考えを持っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/34
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035・梶井剛
○梶井説明員 ただいまの御質問に対してお答えいたします。郵政政務次官からお答えがありました趣旨と同様でございまするが、私ども公共事業としましては、公衆に迷惑をできるだけ及ぼさないようにしたい、また同時に従業員の人たちも幸福に仕事に従事してもらいたい、この基本をくずさぬようにして、従来とても組合の幹部とは今度の問題につきましても再三再四懇談をいたしまして、またことに第三波に対しましては土曜日の午後四時に調停案が出ますと同時に、すぐ組合の幹部と懇談をいたしまして、できるならば第三波を極力避けてもらいたい。われわれとしても今すぐこれをどうするというわけにいかぬけれども、調停、仲裁という順序を踏んでいかなくちゃならぬのでありますからして、どうかその推移を見守って、そして円満に、公衆に迷惑をかけないようにしてもらいたいということを再三申しております。また威嚇とおっしゃられましたけれども、これは決して威嚇ではないのでありまして、公衆に迷惑を及ぼす場合においては心ならずも処罰せざるを得ない、こういう意味で申したのでございます。今日のところ政府当局とわれわれ三公社五現業協議をいたしましたけれども、何分にも膨大な予算措置をしなくちゃならぬことでありますから、まだ相当研究を重ねなくちゃならぬのでございまして、目下その検討中でございます。そのためにやむを得ず第三波に入るような羽目になるのでありますけれども、われわれとしては最善の努力をして、今後とも公衆に迷惑を及ぼさぬようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/35
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036・森本靖
○森本委員 今総裁からちょっとおかしなことを聞いたわけでありますが、調停から仲裁へという言葉が今出たわけであります。そうするとすでにあなたの方ではこの調停案をのむ意思はない、それからすぐに仲裁にかけていく、そういう御意思のようにお伺いいたします。それからなお総裁の言葉を聞いておりますと、政府と十分打ち合せをしなければならぬというふうな言葉が聞けるわけでありますが、これは非常に間違いでありまして、公共企業体労働関係法あるいはその他の法規を見ましても、この問題についてはあくまでも、郵政省の方は別でありますが、電電公社並びに国鉄公社というものは、電電公社ならば公社当局と全電通とが団体交渉を行なって、その上において妥結をして、そうしてそれが予算措置を講じなければならぬという問題になってきた場合と、初めて政府当局にこういうふうに妥結をいたしましたけれども、予算措置を講じなければならぬので一つ御了解を願いたい、こういうことによって補正予算を組むなら組みたいということを政府に申し出て、そうして政府の方からそれを国会の方に提案をするならする、こういう順序になるのがこれは妥当であります。ところがその組合と団体交渉をやって――それがさつぱり今の答弁ではわかりませんけれども、どうにもならぬので、すでに調停、仲裁にかけなければならぬからというような意味は、はなはだ納得しかねる点でありますが、何か公社の総裁は政府から、それはまかりならぬのだ、仲裁まで持っていかなければならぬのだ、こういうふうに厳重に申し渡されておるようなお言葉でありまするが、もし訂正するところがあったら一つ訂正を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/36
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037・梶井剛
○梶井説明員 ただいま申しましたのは、当初からこの待遇改善の問題につきましては紛争を招かないように、すべて調停とか仲裁とかいうものがありまするから、その調停案が出るまではできるだけ善処してもらいたいという意味で申したのでありまして、せっかく調停案ができたのにかかわらずこれを承服しないで、さらに仲裁に持っていくという意味で申したわけではないのであります。われわれといたしましてはもちろん公社と組合と団体交渉を進めていく所存でありまするけれども、ただいま申しましたのは、その調停案をたといどういうふうに処置するにいたしましても、その結果といたしましては予算措置をしなければならない、従って予算措置をする場合に、あらかじめ政府当局ともよく話し合っておかなければいけない、結論をすぐ政府にぶつけて、この通りして下さいということを無理々々言うわけにいかないのでありますから、あらかじめそういうことについて政府とよく打ち合しておくということを申しておるのであります。政府の指令によってわれわれが調停案をけ飛ばすとか、仲裁へ持っていけとかいう結論は、現在においては何一つ出ておるわけではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/37
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038・森本靖
○森本委員 国鉄の場合は今運賃の値上げの問題が上っておりまするけれども、電電公社の場合においては昨年度も八十五億円でありますか、それだけの増収があって、それを建設勘定に回したことがあるわけであります。だから予算措置を講じなければならぬということははっきりしておるわけでありますが、一般会計からこれを繰り入れてもらうのでもなんでもなしに、電電公社自体の中においての予算措置の補正予算を講ずればいいわけであります。そこでこの調停案というものがいわゆる現在の給与体系からして、十分に電電公社の従業員をして妥当であるかどうかということを、あなたの方と全電通の方とにおいて団体交渉をして、そうしてこれが現在の従業員の待遇改善からみて妥当であるという両者の結論になるならば、当然それで妥結をして予算措置を講じてそれを政府に要請をする。その場合政府がだめだということになれば、これは公社には責任がないわけだ、その場合には政府が全責任を持つということになるわけです。これが何か一般予算に関係があるということならば別ですけれども、今日の電電公社の経理状態から見るならば、そういう予算措置は講じ得るはずなのです。それが政府の方と相談をしなければならぬということになりますと、そういうことは政府の給与体系、すなわち全部の労働関係、政府の労働政策からしてそれを考えなければならぬということに、決着なるわけです。肝心のお金の問題については、私の考え方では、一応電電公社と全電通と妥結がつくならば、その方法は可能であろうと考えておるわけですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/38
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039・梶井剛
○梶井説明員 このたび調停案が出ましたにつきましては、一応組合の幹部とこの調停案をお互いに団体交渉の題目として交渉したいから、第三波の攻勢を取りやめてもらいたいということを申したのであります。従って土曜日に調停案が出たのでありまするから、われわれとしましてはさっそく組合幹部と団体交渉を始めるつもりであります。そうしましてこの妥結を見ました上において、十分に政府とも打ち合わせるつもりでありまするけれでも、目下この千二百円のぺ-ス・アップ、予算の増額ということになっておりますので、この内容等につきましても十分に検討しなければなりませんし、また組合の幹部としましても、この問題につきましてはまだはっきりした意思表示も何もしてもらっておりません。これから団体交渉をしていこう、こういうわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/39
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040・森本靖
○森本委員 私はだから最初に断わってある通り、組合の方とも公社の方とも連絡なしに新聞情報だけで質問をしておる、こういうことを断わってあるわけであります。しかしあなたの方が、梶井総裁の名前でありましたか、国民に申しわけないから一つ組合は云々というような記事も載っておりましたし、ラジオでも放送されておったわけでありますが、それほど公社当局が国民に対して申しわけがないというふうに考えて心配をせられるなら、せっかく公共企業体等労働委員会の調停案が出てきた、こういうことになった場合、かりに組合がそれを受諾するということになった場合においては、これは公社当局としてもこれをのんで、そうして平和裏に解決をつけようというのが、国民に対する電電公社総裁としての義務ではないのですか、その点を私は聞いておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/40
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041・梶井剛
○梶井説明員 もちろん私どもとしましては、平和に団体交渉を済まして、できるだけ公衆に迷惑をかけないようにすることは私どもの義務であります。しかしただこの内容につきまして十分にわれわれも研究いたしませんと、これが妥当であるかどうかということにつきまして、自分たちも納得がいかないでただ漫然と妥結はできない。また組合側としましても、もちろんこれを検討中でありまするが、組合側がたといそれをいいとかりにいたしましても、私の方の検討と両方あわせてやっていかなくちゃならないのでありますか、一方的に組合がそれでいい、だからといって私の方はこの内容を十分検討しないでおいて、直ちにこれに応ずるというわけにはいかない、こういうこと申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/41
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042・森本靖
○森本委員 それは内容を検討せずに受諾せよというようなことを私は言っておるわけではない。しかしこれは昨年の調停案の第一項の確立の問題が紛争になって以来、相当電電公社の経理当局としては研究をしておるはずです。だから調停案の内容というものが一体いかなる含みを持っておるのか、調停案というもがいかなる目的を持っておるものか、その問題だけに帰一するわけです。そうするとそれは二日も三日もかかるような問題じゃない。調停委員会の出したところの調停案というものは、一体どういうことを考えておるのか、その一点に帰一するわけです。あとの予算措置というものについては電電公社の経理当局は、これは優秀なる方々がおられるので、一日か二日でできるはずです。そうすると二日も三日も待たずしても、十分に研究ができる問題です。今ごろになって、これが一週間もかかるというような研究の仕方ならば、平生何をやっているかということを言いたい。そういうことになると、十分研究してこれを受ける受けぬということについては、やりたいということについては一応うなづけるけれども、それほどの期間がかかるはずはないと思う。そうすると総裁としては、この問題については研究をせられるということはよくわかるのですが、その研究の期間というものは大体どのくらいの期間を置きたいというお考えをお持ちですか。今春闘が問題になって、これは一刻を争う問題であります。だからそう三日も四日も長引かすということは、いたずらに紛争を長引かす、こういうことになるのでありますので、一つ総裁としてはこの調停案に対するところのそういう態度は、どのくらいの期間を経たら決定をせられるというふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/42
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043・梶井剛
○梶井説明員 調停案が出ましてから、さっそく関係者集まりまして研究を始めておるのです。しかし今直ちに何日間にこの研究を終るかということをはっきり申し上げることは遺憾ながらできないのですが、できるだけ早く検討したいという心持ちでやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/43
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044・森本靖
○森本委員 まあ、総裁としてはこういう公開の席では、そのくらいの答弁しかできぬとは考えまするけれども、しかしこの内容を十分に研究をするから、相当の時日を要するというようなことは言えないはずであります。そんなことなら平生電電公社の職員局長なり、経理局長なんというものは、どういう仕事をしておるかということを言いたくなる。組合がどういう要求であって、昨年の調停案がどういう形になってそれがなされなかったか、今年度の調停案についてはこうであるということは、調停案が出たら一目瞭然にわかるはずだ。それがわからずに研究をしなければならぬということは、何と申しましてもその他の二公社一現業の問題もあるし、さらに政府の労働政策もあるのだということに帰一すると考えるわけであります。しかし総裁はあくまでも研究をしなければならぬ、そういう答弁でありますので、それをそのまま受け取ることにいたしまして、とにかくあなたの方は国民に迷惑をかけない、こういうことを言って組合にも自重を要望するなら、一つすみやかにこの調停案の研究を終って、組合側との間においても早く妥結して、春闘が早く収まるようにぜひお願いしたい。特に電電公社は国鉄公社あるいは郵政現業と違って、経営の面では私は若干やりやすい点があると思う。そういう点については、十分に一つ総裁としてもきょうの委員会における私の質問は脳裏におさめてもらいたいと思うわけであります。
そこで郵政政務次官にお尋ねをいたしますが、郵政省の問題になりますると、これはだいぶ予算的に角度が変ってくるわけであります。しかしこれも私の考え方では、かりにこれをのんで予算措置を講じなければならぬということになりますると、何らかの方法においてこれは組める余地はあると考えます。この調停案についても千二百円の問題でありますし、また昨年の調停案の第一項の確立の問題についても、全逓の場合は全然なされておりません。それを引き継いで今回千二百円のいわゆるベース・アップという調停案がなされておりますが、いろいろ考えて参りますると、このいわゆる調停案については郵政省としても相当財政的に苦しいには違いないけれども、できる限りの努力をすれば、何らかの方法があるのではないかということも私は考えられるわけであります。郵政政務次官として、今回出された調停案で一番難点になっており、またどこを一番研究をしなければならぬというふうにお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/44
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045・伊東岩男
○伊東政府委員 私は平生からストライキのない社会を作りたい、こう考えておるのでございます。ところでそう考えておるうちに、今度はいよいよ渦中に飛び込んでいきまして、非常なる苦慮をいたしておるわけでございます。こういう場合に春の闘争だ、冬の闘争だというようなことを繰り返しておったならば、これは日本の再建というものはおそらくできないのじゃないかという根本問題に触れて、ただいま苦慮いたしております。しかしながら今の裁定があった今日、当面した問題をどうするかということについては、お話の点も私どもよくわかるのでございます。そこで実際から申しますると、果してこの調停案が内容的にいいか悪いかということについては、これはただいま相当心配をいたしておるのであります。この問題が具体的に考えられなければ、この問題の解決はでき得ないと思うのでございます。そこで何しろ郵政省関係の分については、予算とのにらみ合いもございまするので、またいよいよこれを認めるということになったならば、財源をどうするかということも考えなければならぬわけでございます。しかしいずれにいたしましても、これはこのままでは置けない問題で、早急に解決したい、こういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/45
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046・森本靖
○森本委員 政務次官は非常に誤解なされておりますので断わっておきますが、郵政省の場合は公共企業体等労働関係法の適用を受けておりますけれども、これは国家公務員でありまして、ストライキは、いまだこれは一ぺんもやったことはない組合なんであります。ストライキなんというものはできない組合でありまして、去年の年末のときでさえ、この組合はストライキは全然やっておりません。それから今回の春闘においても、ストライキは全然やっておりません。そういう労働関係については、十分研究をせられておきたいと思います。これはストライキのできない組合でありまして、ストライキはいまだかつてやったことはございませんし、それから去年もストライキはやっておりません。これは職場大会とかあるいはその他のものをやっておるだけでありまして、ストライキは全然やっておりません。また違法のことも、私はやっておることは全然聞いておりません。(「やっておるよ」と呼ぶ者あり)そういう点を誤解のないように、前の政務次官の上林山君がそこでヤジっておりますけれども、しかし彼が政務次官のときでも、この組合は一ぺんも非合法的なストライキをやっておりません。そのことは私は断言できると思うのであります。その点については誤解のないように願いたいと思いますけれども、そこで問題は、この調停案について一番難点であり、また一番問題になっておるところはどこであるか、こういうことをお尋ねするわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/46
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047・伊東岩男
○伊東政府委員 こういう際でございまするから、ここではなるべく議論を避けたいと考えております。今この問題を解決する上についての難点でございまするが、この難点を発見すれば、これはおのずから解決ができるのでありますから、どれどれが難点かということをここで率直に申し上げるわけにも参らぬ、今その点を研究しておるわけでありまするから、どうぞその点はお許しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/47
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048・森本靖
○森本委員 私はそういう回答は成り立たないと思う。郵政大臣の布告をして、国民に対して、この闘争の問題を、何か組合が無理やりにやっておるというような声明も発表し、また布告もするというような状態において、非常にこの戦いを心配しておる、こういうような政務次官の先ほどの御回答でありましたが、それほどこのいわゆる春闘というものを心配をしておるならば、今回調停案が出されたその調停案に対しては、一応組合側としては、この新聞記事ではのもうというような空気が出ておる、そういうときに際して、政府の態度というものがどういう態度であるかということについては、国民も非常にこれを注目をしておると思う。だから、どういう点が難点であり、どういう点を研究をしておるというところの概略というものは、私は説明ができると思う。それも説明ができないというなら、一体春闘対策というものはどういう対策をやっておるのか、弾圧をするだけの対策をやっておるのか、一体組合がどういうことを考えて、どういうことを要求をしておるのか、それをどの辺までのめばこれが解決がつくように考えておるのか。そういうところまで考えていなければ、この闘争の解決はつかない。ただそれを弾圧をする、威嚇をする一方だけでは、何にもならないわけであります。あなたはそういうように御承知でないかもしれないけれども、事務当局としては、そういう内容については、すでに相当研究をしておるはずです。だから、事務当局から聞けば、私はその内容というものはわかると思う。だから、そういうように内容は全然ここで言えませんという回答はないと思う。あの調停案が一項からずっと出ましたが、あの調停案のどれが一番難点であり、どれくらいの財源がかかるかということでは、私も大体目の子算で算用ができる。それを、政務次官がそういうことについては全然回答ができません、そういう言い方はないと思う。一つはっきりしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/48
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049・伊東岩男
○伊東政府委員 調停案通りにのむとすれば、大よそ五十億前後の財源が要るようでございます。そこで千二百円という問題について、あるいは調停案について、この通りすることを世間が納得するかどうかというような点も、私ども一番苦慮しておる点でございます。しこうしてその財源をどこに求めるかというような点が、一番心配しておる点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/49
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050・森本靖
○森本委員 これは今の政務次官と今の大臣には責任がないことでありますけれども、昨年調停案が出されて、その調停案については労使双方が確かにのんだはずであります。そのときの調停案の第一項というものは、基本給のある程度のベース・アップということを含んであったわけであります。ところがそれがいわゆる財源難ということにおいて、郵政省に関する限り今日までこれがなされておりません。すでに昨年の調停案が出されて、しかもそれは労使双方がのんだものが、今日まで全然やられておらぬ、そういうことを考えて参りますると、今回の調停案は当然実施すべきところの責任が私は郵政省にあろうと考えます。もっともそれは先ほど最初に私が断わったように、郵政省としては一番苦しい財政状態であるということはわかります。しかし五十億前後の金といいますと、この金についてもどういうふうにこれを調達し、どういうふうな補正予算を組むかということについても、一応のアウトラインというものはできると思います。そう考えて参りますと、先ほどの電電公社と同じように、これに対する結論というものは、そうおそくまでかからぬのではないかと思う。だから、電電公社が発表になるころには、郵政当局としても、今回の調停案に対しては、こういう態度で臨みたいということは、はっきり言えると思う。そこで今日の情勢から考えまするならば、政務次官としては、これに対する態度を早急に明らかにしてもらいたいと思いますが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/50
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051・伊東岩男
○伊東政府委員 非常に重大な問題でございます。ここでその点をはっきりすることは非常に苦しいわけであることは御想像の通りでございますので、いかなる方法でこの紛争を打開するかというようなこと、先ほどからお話しになったように、一ぺんもストライキをやったことはないというお話等もございましたけれども、違法行為はやはりこれは違法行為でございまして、これに対する処分をいたしました点も、違法行為に対する処分でございます。私どもは今回はかようなことのないように希望しておりまするので、非常に苦心しておる点だけを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/51
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052・森本靖
○森本委員 私はそういう問題でなしに、こういう闘争というふうなものを一つ早急に解決をつけなければならぬという熱意が郵政省にあるならば、やはりこの際その程度は明らかに願いたいと思うのです。一応内容についてはここで直ちに明らかにできぬということならば、せめてどのくらいの期間たてばこの調停案に対する態度ははっきりできる、こういうことを言わなければ、国民に対しては、この闘争というものが非常にふらちな闘争であるというようなことを布告しておいて、さらに組合には自重を要望しておいて、せっかく法律に基く公共企業体労働委員会の調停案が出された、その調停案に対する態度も、組合の態度は、この新聞で見ると、大体のみたいというような意向が載っておる。そうなって参りますと、これは単に郵政省の職員だけでなくして、すべての国民が、この春闘に関心を持つ限りにおいては、政府は一体どういう態度に出るだろうということは、明らかに国民の要望として出てくるはずなんです。それに対して政務次官としては、当委員会を通じて発表することは、国民に発表することにもなるわけであります。そういう観点からいけば、ただ重要でありまするから慎重に検討しておりますという一点張りでは、これはどうにもふに落ちないわけであります。どうしても検討しなければならぬという重大な理由があるということはわかりまするので、それならそれで、一体この問題についてはいつごろには明らかにできる、そういうところの意思表示はできると思うのであります。その点の意思表示はしてもらわぬことには、何の質問をやったかさっぱりわからぬ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/52
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053・伊東岩男
○伊東政府委員 森本委員の熱意のある点もよくわかります。私もあなた同様熱意を持って、今私の省では人事部長を中心にして、相当心配をいたしておるのでございます。長く紛争のままに置くということは、国民に対して申しわけがないばかりでなくて、責任も非常に重大でございまするので、何日目にこの問題をどうするということをきょうお答えできぬことをまことに遺憾に存じます。
〔委員長退席、松前委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/53
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054・森本靖
○森本委員 まことに遺憾に存じますというので、私の方もまことに遺憾に存じますが、そこで、それでは、これは重大な問題でありますので、(「それではやめろよ」と呼ぶ者あり)私はやめません。そこで、この調停案というものの内容については、相当明らかになっておると思いますが、昨年の調停案以降というものをいろいろ考えてみますと、一応この内容を研究し、財政的な問題を討議しなければならぬことはわかりますけれども、その調停案の趣旨というものは一応尊重するという御意思はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/54
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055・伊東岩男
○伊東政府委員 調停案については、内容を検討した上でなければどうということを申し上げるわけには参りません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/55
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056・森本靖
○森本委員 内容を十分に検討しなければどうということは言えない、しかし今春闘というものはこれだけの大きな騒ぎになっておる。そこで法律に基いたところの、いわゆる労使双方並びに公益委員と三者一体の調停委員会がせっかく立案をしたところのこの調停案というものは、一応この内容が財政的に是か非かということは別として、調停案そのものを尊重したいという考え方はないのですか、それもないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/56
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057・伊東岩男
○伊東政府委員 調停案を尊重するという、その点はよくわかりますけれども、その調停案の内容を研究した上で、調停案通りに果してのむかのまぬかということについては、これは別問題である、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/57
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058・森本靖
○森本委員 私はだからその内容は別として、せっかくこれだけの大きな闘争になっておる段階において、調停委員会が苦労して調停案を出された、その調停案の趣旨そのものについては一応尊重できるけれども、財政的な問題については十分まだ検討しなければならぬ、こういうお考えかどうかということをお聞きするわけです、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/58
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059・伊東岩男
○伊東政府委員 その通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/59
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060・森本靖
○森本委員 今の郵政政務次官のお答えで、郵政省の態度はわかりましたが、おそらく電電公社の総裁としても、今政務次官が言われた態度と変りはないと思いますが、念のためにお聞きしておきたいと思いますが、やはりその予算の裏づけあるいは財政的な問題は別として、一応今回の戦いの最中にこういう調停案が出された、調停案の趣旨そのものについては、尊重したいということについては変りはないかどうかということをお尋ねする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/60
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061・梶井剛
○梶井説明員 今政務次官からお答えしたのと全く同様であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/61
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062・松井政吉
○松井委員 ちょっと郵政省と電電公社当局にお伺いしますが、本日なぜこの質疑をやるということについて、本日委員会を開会する前に、理事諸君が与野党を通じまして私のところに打ち合せに来ました。それで、もしこの調停案が出たのにもかかわらず混乱を続けると、電報、電話あるいは郵便物の輸送等に障害を及ぼす、従ってそういう問題について与野党の理事諸君は何らかの解決を急いでもらわなければならない、しかも円満にやらなければならない、こういう考え方から、一応やはり当局の態度、見解をお伺いしよう、こういうことになったわけであります。その意味で質疑を続けているのでありますから、早く解決をして、国民大衆に迷惑をかけないようにしようという委員会の努力であることは、一つはっきり御承知を願いたい。
そこで、先ほど来の質疑の中で明らかになった点は、両者とも調停案を尊重して、調停案の趣旨に基いて解決をしたいという、これだけは明らかになりましたが、それ以外のことは全然明らかになりません。これは聞く方が無理な点も、中身としてはあったようでありますが、公社側にお伺いしますけれども、大体解決のために検討しなければならないものは幾つもあると思います。しかしながら検討しなければならないだけの御答弁しかない。これは公社でございますから、この調停案を実施する場合に、やはり自主財源でできるかできないかということは検討の一つでございましょう。それからもう一つは、やはり公社としては調停案は可能であるが、三公社五現業の全体の振り合いから検討しなければならないというのも一つの検討でございましょう。さらにもう一つは、公社側で自主財源でできるとしても、それはやはり政府の労働政策、給与体系の上からいかないという議論も一つの検討でございましょう。その中身は一つもお答えになっておらない。そういう中身についてお答えが本日できる段階でないというならば、その点を明らかにしていただくことも必要でございます。そういう検討するという中身について、どこが一番どういう状態であるかということを一応お答えを願いたい。
それから、長く質問するのをやめますから続いてお答え願いたいのでありますが、郵政省側では、先ほど来検討の中身として発表されたのは、財源が五十億円ほどかかる、その財源をどうするかということに苦慮されているというお答えがあった。そうすると、あたかも郵政省側の今度の調停案に対する困難だ、検討しなければならぬというのは、財源の五十億にとどまるように聞えるのでありますが、私はそうではないと思います。この点を明らかにしておかないと、郵政省では財源の五十億だけで調停案をのまなかったという結論も誤解を生みますから、この点だけであるのかどうか、これはこの際
一つ明らかにしておいていただきたいと思います。以上の問題について郵政省と公社側から、それぞれ一つ私の質問に対する明らかなる御回答を願いたい発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/62
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063・伊東岩男
○伊東政府委員 御質問の点はよくわかります。そこで郵政省の立場において検討する内容については、先ほど御答弁申し上げた通りでございます。これ以外にどうかというような問題については、由来郵政省の争議は今始まった問題ではなくて、以前からずっと経路をたどっておるのでございまして、いろいろの事情もございましょうと思いますから、その関連の問題については直接その衝に当っておる人事部長からお答えさせたい、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/63
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064・大塚茂
○大塚説明員 今度の調停案をのむかのまないかということにつきましては、郵政省当局で最も問題になっておりますのはどういう点かという松井委員の御質問に対しまして、政務次官から調停案に示された千二百円の数字の根拠というものが、われわれ及び関係方面、あるいは一般世論というものを納得させ得る根拠であるかどうかというのが第一の問題、次に財源について予算上あるいは財源的に見て果してどう処理し得るかというのが第二の問題だということで、最も問題になるのはどういうことかということに対して、二つの重要な点を政務次官からお答え申し上げた次第でございます。それに関連しまして、多少こまかい点があろうと思いますが、せんじ詰めれば結局その二つの点が根本ではないかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/64
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065・梶井剛
○梶井説明員 ただいま松井委員から御指摘になりましたように、三つの難点は全く私も同様に感じている点であります。そのいずれもがみな相当重要なんでありまして、その三つが解決つきませんと、ちょっと今ここで具体的なお答えがいたしかねるというわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/65
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066・松井政吉
○松井委員 公社側の方はその中身については、はっきり答えられないということでございます。公開の席でもありますから、いろいろあろうと思います。あろうと思いますが、これだけはお答えできませんか。たとえば調停案に示された額をのんだ場合、予算措置を講じなければならない。その場合に、財政面では独自におやりになれるかなれないか、この点についてお答えができるかどうか、一つお答えを願いたい。
それから郵政省側の大塚人事部長に再度お伺いしますが、二つの理由だけで、郵政省は政府の一環でございますから、政府全体としての調停案に対する考え方、政府全体としての公務員の給与体系、あるいは公共企業体等に関する給与体系、そういう政府全体の給与、労働政策の関係はございませんか。これがあると、どうしてもおっしゃらないが、これはございいませんか。郵政省で今の二点、財政問題ともう一点おっしゃいましたことが見通しつけばおやりになれるのですか。その点を明らかにしないと、郵政省と電電公社だけが調停案に対してのめない場合、それだけの責任をかぶらなければなりません。そうですか。そうではないじゃないですか。その点ここは国会でございますから、はっきりしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/66
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067・大塚茂
○大塚説明員 先ほど私が説明申し上げました中に、千二百円という数字が、われわれ及び関係方面、または世間を納得させ得るかどうかというようなことを申し上げましたが、その関係方面といいますのは、政府部内におけるわれわれに関係ある財政当局、あるいはその他政府一般の関係方面というようなことも含むわけでございまして、そういう方面で郵政省が千二百円基準内賃金を上げるということが、十分納得し得るかどうかという点が問題だということは、先ほど申し上げた通りでございます。予算措置、財源等についても同様に、その検討とか問題とかいうのは郵政省だけの問題ではなしに、ほかとの関係において予算、財源等についても問題があることはもちろんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/67
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068・梶井剛
○梶井説明員 私どもは、三十二年度の予算はもうすでに提出されております。従って三十二年度に対する措置としましては、やはり予算措置を講じないと実行ができません。またベース・アップの問題は、単に三十二年度ばかりではないのでありまして、三十三年度、三十四年度と将来にずっとまたがって恒久的に資金調整をしなければなりません。従ってそういうことにつきましては十分検討をして参りませんと、将来の五カ年計画を設定する上において、非常に大きな影響を及ぼすのであります。またこの予算措置ができるといたしましても、先ほど御指摘になりました三つの事項というものがみな関連をしておるのでありまして、私どもだけで予算措置ができるからというだけで、すぐ結論を得ることはなかなか困難であります。従ってそういうような関係を十分に検討して参りたい。大体私どもは、全従業員に対して千二百円のベース・アップをいたしますると、予算措置をしなくてはならぬ金額が約三十五億円です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/68
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069・松井政吉
○松井委員 これでやめますが、もう一点はっきりしておいていただきたいのです。先に大塚人事部長からおえ答願いたいのですが、ようやく政府全体の問題だという点が明らかになって参りましたが、しかし公労法の立場からいえば、政府全体の給与政策よりも、郵政省と全逓従業員組合との間の団体交渉が優先するというのが公労法の建前である。これはお認めにならないと、またあとで問題が起りますが、この点について明確にお答えを願いたい。
それから電電公社側にお伺いしますが、これは当然政府の財政担当関係の方にからむいろいろの意見がございましょう。けれども、やはり公社は郵政省職員とは趣きを異にいたしておりますから、自主財源でできる場合は、団体交渉でやれれば、これは八割以上ウエートを持つことが明らかでありますが、そうであるかどうかということを明らかにしてほしい。
最後に郵政省と、電電公社が両者とも組合は――ある組合は御承知のようにすでに調停案をのんだ組合もある。ところが当事者側がのめないところもある。それから今のもうとして必死に組合で機関の協議を続けているところもございます。そうすれば、かりに公者が今の調停案をのめば、国民に一切迷惑をかけることなく、今のベース・アップの戦いはきまりがつくわけです。そのことは、両者がのめば、そういうことになるのでありますから、そのための努力をしていただかなければなりませんが、そのための御努力をなさる考であるかどうか、やりっぱなす考えであるか、この点も両者で明らかにしておいていただきたいと思います。
これで私の質問を終りますから、この二点を繰り返しますが、郵政省側の方は、政府関係の方の理由もあるということ、これも明らかになりましたが、しかし公労法の立場からいけば、団体交渉の妥結が、法的に見て一番正しいことでありますから、この点を御確認なさるかどうかという一点。それから最後に伺いましたやはり両者がのめば、これは平穏裏に国民に迷惑をかけずに済むのでありますから、のむように御努力をなさろうとするのか、あるいは検討々々ということで、多少の紛争が起きても、やりっぱなそうとするのが、この点の態度を明らかにしてほしい。公社側の方は、団体交渉の結果、財源の点について自主財源で可能ならば、この方に解決のウエートを八〇%以上持たなければならない法規的立場にあり、あるいは団交等の性質があるのでありますから、この点について、そうお考えになっているかどうか。最後には、郵政省と同じように、やはり国民に迷惑をかけないためには、組合がのんだならば、理事者側がのめば、これは解決することでありますから、そのための御努力をおなさりになるかどうか、これを明らかにしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/69
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070・伊東岩男
○伊東政府委員 公労法による団体交渉権が優先するということは、その通りでございます。ところでやはり予算処置の関係がございますので、その点に今苦心をいたしておるのでありますから、一刻も早く紛争を妥結したいという熱意については、きょういろいろ意見が出ました点についても。われわれはある程度なるほどという点もございますので、できる限り早急に、というと期日もないようでありますけれども、なお一つ委員諸君の御意見等もよく尊重したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/70
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071・梶井剛
○梶井説明員 私どもは調停案を示されておるのでありますから、直ちに団体交渉を検討の上進めたいという考えでおります。そうしてまたできるならば、この紛争を両者の協調によってすみやかこなくしてしまいたい、国民に迷惑を及ぼさないようにいたしたいという意思におきましては、最も強くわれわれは感じております。
〔松前委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/71
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072・上林山榮吉
○上林山委員 議事進行について。春季闘争の問題は、大局的に冷静に判断して、国民に迷惑を及ぼさぬように一日も早く解決をしなければならぬという趣旨については賛成でございますが、これとは別に、私の議事進行について委員長にお伺いをいたしたいのです。
社会党の熱心なる申し入れ等もあったと聞いておりますが、そういう事情で、両党が話し合って、常任委員長の五人が社会党に割り当てられた。当委員長には松井君が御就任になった。これはやむを得ないことでありまするが、両党が話し合った以上、お互いがこれを尊重して、委員会の運営というものをできるだけ円満に公平にやっていただかなければならないわけであります。不肖私も委員長をしたこともあり、ほかの委員会の状況も見ておりますが、私は当委員会のように、再三再四委員長が委員長の席を離れて、委員の席に帰って自分が質問をしておる委員会はあまり見たことがない。これは国会法によれば、委員長であっても当然発言はできるわけです。また委員に自分がなりかわって質問することも自由です。しかし委員長というものは、何といっても大局的に円満にできるなら中立的な気持で委員会の運営をはからなければならぬのです。だから理事会などでみんなが申し合せをして、これは委員長の発言とした方が適当であるというような場合、あるいは一年に一回か二回、よほどやむを得ない場合に、委員長が他に席を譲って、委員となって発言されることもいいでしょう。けれども、私は先般から当委員会の状況を見ておりまして、あまりにそういうことが多過ぎはしないだろうか、こういうように考えるのです。決してこれは違法ではありません。違法ではありませんが、いい意味の習慣、いい意味の慣例と申しましょうか、そういうような意味において、委員長はどうお考えになりますか。これからも今までと同じように、再三やはり委員長の席を離れておやりになるつもりでありますか。それであるとするならば、われわれはそれに従って、またいろいろ適当な考えもあるかと思いまするが、願わくば理事会で申し合せた事項について、これは委員間の発言が一番適当である、こういうような場合には委員長席から堂々とおやりになることが、私は非常にきれいに見える。またよほど万やむを得ないような事情で――今の問題は森本君など、あるいはここにおられる井手君など、なかなか達識の士がおられて、ほかの議員が発言中なのです。そういう場合に、委員長が席を離れてわざわざ発言するのは、それはあなたはいいと思っておられるかもしれぬが、あるいは社会党の諸君は、ここでいいと言っておられる方もいるようだが、私はあまり感心しない。そういうやり方は今後できるだけ他の委員に発言の機会を多く与えて、そうして委員長は委員長としての職責を十分に遂行していくというやり方の方が、私はあなたのためにもいい結果をもたらすのではなかろうかと考えるのですが、これはしかし委員長の良識によって御判断になってけっこうでありますが、私はどうも私どもの今までやってきた立場から考えますと、あまりいいやり方ではない、こう思っておりますが、御見解を伺いたいと思います。できるなら御善処を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/72
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073・松井政吉
○松井委員長 私に対する御注意を兼ねての質問でございますから、お答えをいたします。御承知のように、国会法も引例されましたが、国会法に基けば、委員長は理事をして委員長席に着かせて、討論を行うこともできるのです。その場合の討論は、あなたの今の御趣旨と違いまして、やはり委員長は所属政党の委員長である限り、討論をやる場合には、法案に対する反対討論もございましょう。賛成討論もございましょう。その道は国会法、衆議院規則で認めておるのであります。違法をやっておるわけではございません。それから本日の場合、私が質問したのは、委員長席から質問するのは失礼に当ります。委員に返って質問するのが委員長の場合でも妥当だと私は思います。従って委員席にもどって質問を申し上げた。特に委員席にもどったけれども、委員長である限り、やはり質問の中身はその日の理事会における理事諸君の意思を体して質問するのが妥当だと思います。本日この問題を質問しようというのは、一番先に橋本理事の方からお話がございまして、森本理事、すなわち与、野党の理事諸君が話し合って、本日これをただしておこうと、こういうことになった。その場合に、何かこう問題が起きているので、社会党だけが、労働組合の立場だけで質問を申し上げるようなことは理事諸君の、全体の委員会の意思ではございませんので、その点を明らかにするために、私は質問いたしたのでございます。今後そういうことを続けるかという御質問でございますが、やはり委員会の運営上必要の場合は、委員長は良識に従って今後もやることがあるということをお答え申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/73
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074・上林山榮吉
○上林山委員 私は先ほどから事を分けて話しておるのでありますが、決してあなたがやっておることが違法だとは言っていないのです。国会法にはそう書いてあるのだから、国会法通りやればそれでよろしい、こういうのであれば、何をか言わんやなんです。ところがいい習慣というものは守っていかなければならぬ。法律は最低のいわゆる基準を示しただけにすぎないのです。それよりもいい習慣があったら、そのいい習慣を、いい慣行を委員長はやはりお守りになる方がきれいに見える。そこで私が言いたいことは、委員長の発言というものは、いい慣例によると――今楽屋裏を承わりましたが、理事諸君と打ち合せをされて、できるだけ中立的な、あるいは委員会全体の空気を反映するような意味で発言される場合は、委員長席から堂々とおやりになっても決して失礼にはならない。これは当然のことなんです。それならけっこうです。けれども、わざわざ委員長席を再三離れて、あるいは理事会の承認を得ないで離れる場合もあったかと私は思うのでございまするが、そういうようなことはできるだけおやりにならないで、やはり委員長は委員会全体の運営を、できるだけ大局的に、しかも中立的な立場でおやりにならなければ、運営はうまくいかぬです。そういう意味から私は申し上げておるのであって、今後もたまにはやると、こういうようなふうに言われたから、私もこれ以上は言いませんが、できるだけそういうことは少くして、そうしてあなたは委員長という立場で、できるだけ委員会の活動をされることを私は期待いたしておきます。これ以上は申し上げませんが、お互いに一つきれいに見えるような運営をしていただきたい。これは私の希望です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/74
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075・松井政吉
○松井委員長 希望でございますから、御注意承わっておきますが、私も断続六年当委員会の理事をやっておりますので、当委員会の伝統はよく存じておりますから、良識に従って運営をしていきたいと思いますから、御協力を願います。
他に御質疑はございませんか。他に御質疑がなければ、明日午前十時から理事会、十時半から委員会を開催いたしますので、御出席を願います。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時五十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604816X00919570311/75
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