1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年三月八日(金曜日)
午前十時四十二分開議
出席委員
委員長 相川 勝六君
理事 大平 正芳君 理事 福井 順一君
理事 保科善四郎君 理事 石橋 政嗣君
大村 清一君 小金 義照君
北 れい吉君 薄田 美朝君
田中 龍夫君 田村 元君
辻 政信君 床次 徳二君
眞崎 勝次君 茜ケ久保重光君
飛鳥田一雄君 稻村 隆一君
木原津與志君 下川儀太郎君
西村 力弥君
出席国務大臣
国 務 大 臣 小滝 彬君
出席政府委員
調達庁長官 今井 久君
防衛庁次長 増原 恵吉君
防衛庁参事官
(人事局長) 加藤 陽三君
防衛庁参事官
(経理局長) 北島 武雄君
委員外の出席者
専 門 員 安倍 三郎君
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三月八日
委員細田綱吉君及び淡谷悠藏君辞任につき、そ
の補欠として西村力弥君及び石山權作君が議長
の指名で委員に選任された。
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同 日
石橋政嗣君が理事に補欠当選した。
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本日の会議に付した案件
理事の互選
防衛庁設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第二六号)
自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出第
二七号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/0
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001・相川勝六
○相川委員長 これより会議を開きます。
理事の補欠選任についてお諮りいたします。去る六日、理事でありました石橋政嗣君が委員を辞任せられました結果、理事が一名欠員となっております。この際、理事一名の補欠選任を行いたいと存じますが、その方法は先例によりまして、委員長より指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/1
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002・相川勝六
○相川委員長 御異議なしと認めます。それでは委員長におきまして、石橋政嗣君を再び理事に指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/2
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003・相川勝六
○相川委員長 次に防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案を一括議題とし、質疑を続行いたします。木原津與志君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/3
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004・木原津與志
○木原委員 三十二年度で防衛庁の定員が増加することになっておりますが、この法律案を見ますと、海上自衛隊並びに航空自衛隊は人員その他で増加になっておりますが、陸上自衛隊については増加になっておらない。海上自衛隊と航空自衛隊だけを増加して、陸上自衛隊の人員が増加になっていないそのおもな理由はどこにあるのか、その点を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/4
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005・小滝彬
○小瀧国務大臣 防衛庁におきましては、今の員数で満足であるというのではなく、さらに漸増する必要のあることを認めておるものでございますが、本年度における予算編成の一般方針は、できるだけ予算総額は前年程度にとどめようという考えがございましたので、その編成方針に従いまして、本年は特に質的増強と申しまするか、今後さらに、陸よりも長い期間の訓練を要します航空自衛隊並びに艦船の増強に伴いまして必要とする海上自衛隊の自衛官を増強するというところに、重党を置いた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/5
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006・木原津與志
○木原委員 昨年来からしばしばわれわれは、陸上自衛隊一万名を三十二年度において増員するというようなことを聞いておったのですが、この一万名増員の計画が三十三年度に回され、三十三年度において二万名増員をするんだ、この点についてはアメリカとの了解ができておるというようなことを聞くのでありますが、三十三年度に一万名増員する計画はございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/6
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007・小滝彬
○小瀧国務大臣 私どもの立場といたしましては、三十三年度におきましては、その程度の増強をいたしたいと希望いたしておりますけれども、これはもちろん三十三年度の予算編成の際に考えなければならないのでありまして、私がここで申し上げることは、防衛庁といたしましては、できるだけ早い機会に一万名増員をいたしたいということを考えておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/7
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008・木原津與志
○木原委員 あなたはたしか二月十四日だったと思うが、当委員会で、早い機会に一万名の増員をしたいというよな答弁をされたと記憶しますが、その早い機会というのは三十三年度、来年度の増員のことを意味するわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/8
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009・小滝彬
○小瀧国務大臣 なるべく早くと申しても、これは今具体的にどうするというわけにも参りません。本年度の予算には認められておりませんから。でありますから、なるべく早く、明年度においてはこれを増強したいという希望を持っておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/9
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010・木原津與志
○木原委員 三十三年度に一万名の増員をやるということは、これはアメリカとの間に話し会いが事実上ついておるということですが、その通りですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/10
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011・小滝彬
○小瀧国務大臣 私は二月の初めに就任いたしましたが、私ははっきりとしたそういう約束みたいなものがあるというふうには承知いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/11
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012・木原津與志
○木原委員 これは予算委員会での答弁でありましたが、三十三年度に自衛隊の一万人増員を約束したかどうかということが問題になった際に、当時の岸臨時首相代理及び池田大蔵大臣等の答弁では、アメリカとそういう約束をしたことはないのだということを極力言っておられた。ところが一週間ほどおいて二月の十四日に大臣は、内閣委員会で、一万名増員を早い機会にやりたい、こういうことを言明されておるのであります。そうしてみれば、先に二月九日の予算委員会で岸外務大臣がアメリカとの間に一万名の増員は約束していないと言っており、その後一週間くらいのあとにあなたが内閣委員会で、一万名の増員を近くやりたい、こういうような言明をなさっておるところを見れば、これはどうしても、総理大臣はアメリカと約束はしていないとはっきり言うておるが、担当大臣であるあなたが、早い機会に一万名増員をするということを言っておるのでありますから、どうもそこにアメリカとの間に一万名の増員ということについて約束ができておるというふうに、われわれはどうしても推測せざるを得ないのでありますが、事実は三十三年度にはっきり一万名の増員をするということでアメリカとの了解がついておるのではありませんか。その点もう一回明確にしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/12
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013・小滝彬
○小瀧国務大臣 私はその速記録を持っておりませんが、防衛庁の希望としては本年一万名を増員したかったけれども、予算の一般編成が針に従ってやむを得ない事情によってこれを延ばしたのであるから、防衛庁としてはできるだけ早くこれを増強したい、そういう希望を持つということは、今までのいきさつからいって当然自主的に考えておるところでありまして、それは決してアメリカとの約束云々によるものでないことは御了解願えるかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/13
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014・木原津與志
○木原委員 大臣のさような答弁でございますが、実際上、日本の自衛隊を何万客増員するか、あるいはそのほか器材、器具、軍艦、飛行機、こういったものをどうするということについては、日米安全保障条約あるいは行政協定の趣旨からいたしましても、アメリカとの了解なしに、あなた方が独自にやれるというような仕組みになっていないと思う。これは防衛予算についてアメリカとの折衝がつかなければ、日本国自体の予算の編成ができないような事態にあるこの現実を見ましても、独自にあなた方の見解だけで増員その他の問題がきまるべきものではないと思うのですが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/14
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015・小滝彬
○小瀧国務大臣 もちろんこれまでいろいろ資材あるいは武器等の供与も受けております。でありますから、日米間の従来の関係からいたしましても、随時いろいろ話し合いをするということはもちろんであります。しかしながら、どうきめるかということは、あくまで日本の方で最終的にきめるべきものである。日本側にどういう希望があるということは向うも承知しておるでありましょうし、これを決定するのは日本政府であります。ことに予算につきましても、なるほど防衛分担金の方はこれまでの方式によって日本の予算の限度によって左右せられることはあるでありましょうが、それだからといって、アメリカの意向によって予算がきるまというものではない。この点はこの前の重光大臣時代の了解事項によっても明らかであると思うのでありまして、今御指摘のように、随時連絡もいたします。しかし最終的にどうするかとこいうことは、日本の国力、国情、予算の都合なども考えなければならないのでありまして、これは一に日本独自の決定に待つ次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/15
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016・木原津與志
○木原委員 日本の独自の決定に持つのだということでございますが、私どもは必ずしもそうばかりとは考えられない。というのは、先般アメリカのロバートソン国務次官補が言ったというので、新聞や雑誌評論なんかにも出ているのですが、こういうことを言っているのです。アメリカが日本の防衛力のために使っている金は、日本のためではなくわれわれ、すなわちアメリカ人自身のためだということである、もし日本の軍隊が存在せず、われわれ自身の力ですべての防衛の責任をとらねばならぬ場合を考えれば、これははるかに安い、安価なやり方である。私の見解によれば、この防衛計画の大部分は事実上われわれ自身の利己的な利益のためである。こういったことをアメリカの議会で発言しているということが伝えられている。もしこれが事実だとすれば、日本の防衛力増強のためにする人員の増加というように問題が、日本だけで単独にできるはずはない。ことごとくこれはアメリカに従属してできるものであり、しかもこの増員その他自衛力の漸増というものは、アメリカの利益のためにやっているのだというふうにアメリカ人自身が見ている。こういう点はあなたは日本の防衛庁長官としてどういう御所信でおられるか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/16
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017・小滝彬
○小瀧国務大臣 私どもの見解によりますと、そこに何らの矛盾はないと思うのであります。現在の世界において自国だけで国を守ることは困難である。ソ連といえども、米国といえども、自国だけで守ることは困難である、しかりとすれば、そこに考え方を同じくし、また利害を共通にする場合には、相互が助け合うということは自然なことであろうと思います。アメリカが第一義的にアメリカの利益を思うということは当然だろうと思う。何も世界に向って慈善事業をしているわけではございません、自由国家群の平和、世界の平和を守っていく上においてアメリカは日本にいろいろな物を供与するということは言えると思うかもしれませんが、日本は日本独自の立場でこれを受け取って、日本の自衛力増強のためになると思えば、日本は独自の見解においてこれを利用することは、決して矛盾のないところであって、ロバートソンはあるいはそう言ったでありましょう。アメリカの納税者といえども、ただ外国の慈善事業のために税金を払うの、ではありませんから、アメリカの国内においてはそういうふうに申すでありましょうが、しかしわれわれはそれにひっばられるのではなく、われわれはわれわれの防衛のために、その目的が合致する場合においてはこれを活用するということによって、かえって国民の負担も軽減し得るという見地において私どもは独自的な立場からこれを検討するのであります。ただし共同の目的を持っておりますれば、その間にいろいろ隔意のない話し合いを行うということはありましょうが、その約束があるから実行するという性質のものでないということは御了解を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/17
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018・木原津與志
○木原委員 大臣の今のお考えが実は私どもにとって非常に不安な点なんです。アメリカを利用して自国の防衛の力を強めるんだというお話でございますが、事がそううまくいけばいいが、利用したつもりで利用されている。しかも現在の日本とアメリカとの国際的な地位あるいは国力を比較してみた場合に、日本がどんなにさか立ちしてもアメリカを利用するというような立場にはないのです。これははっきり申していいと思うが、何をやるにしてもアメリカに利用され、アメリカにがん首を握られて、アメリカのためにすべてを奉仕させられる運命にある。いわゆる小国が大国の利益のために奉仕させられるということになっておる。特に安全保障条約あるいは行政協定の全条文の趣旨を率直に理解するならば、われわれはどうもあなたのおっしゃるように簡単に物事を割り切れないのです。そうすればアメリカのロバートソンが言っておる意味は、日本の自衛力の漸増ということは、これは安上りで日本人に自衛力を持たせてアメリカ防衛にそれを役立てるのだということで、この日米相互条約のほんとうのアメリカ側の真意というものはそこにあると思う。もしそうだとすればこの関係をいつまでも継続していくことが民族百年の将来のためになるかどうかということを、私どもは真剣にこの辺でもう一ぺん考え直さなければならぬときがきているんじゃないかと思う。こういったような非常に国際情勢の対立した中で、しかも原爆戦争ということが局地的にも行われるという情勢のもとにおいて、もしアメリカ防衛のために日本もそれに巻き込まれるということになれば、それこそこの自衛力漸増、自衛力漸増という形で突っ走っていきおるわれわれの運命は、地獄に一歩一歩足を踏み入れておるという以外にないと思う。全くこの自衛力漸増はアメリカのために利用されるナンセンスということになる。そのために国民が毎年々々莫大なその経費を負担するということになれば、これはもう漫画以外の何ものでもないと思う。この点を大臣は一体どのように考えられるか、いま一度率直な所信をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/18
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019・小滝彬
○小瀧国務大臣 率直に申しまして木原さんと私と考え方が相当違うようでございます。私どももアメリカと日本とを比較しまして、その経済力なり国力において差異のあることは知っております。そこで日本の立場からはできるだけ自力で最低限度の防衛力を持ちたいというので目下努力をいたしておるのであります。しかしながらそれにはこの国情、この国力というものを考えなければならないから、日本と同じく世界平和を祈念しておるところの米国と共同によって平和を守ろう。結局平和を守るための防衛というものはアメリカの利益にもなるでありましょう。日本の利益にもなる。この合致点がありますがゆえに、米国との共同防衛ということは考えられてきたのでありまするが、しかしその後だんだん時間もたちましたし、日本の経済力も少くとも以前に比しますれば相当伸張いたしておりますので、できるだけ日本の力によりまして最小必要限度の防衛力を増強していく、そうすれば木原さんのおっしゃいますような状態というものが、日本は日本の独自の力ですべてをやるという段階に立ち至るであろうと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/19
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020・木原津與志
○木原委員 そんならば自主的な防衛計画というものがあなた方の計画の中にあるはずだと思うのです。この自主的な防衛計画、もちろんいろいろな想定したこともございましょうが、ほんとうに日本が日本の力だけで日本を防衛するという点については、これこれの一応の計画がなければならぬということがあなた方の方に策定されておることだと思うのですが、国防会議もすでに発足しておることでありますから、その点をちょっと私はお聞きしたい。今まで何回もこういう質問は出ておるのでございますが、その点を明らかにされない。しかしされないのは私はないからされないのじゃないと思う。あってもわざとあなた方は口を緘してお答えにならぬのだと私は考えるのですが、話がここまできましたからもう一回申し上げますが、あなた方は自主的な防衛計画を持っておられるか、持っておるとすればどういうような内容の計画を持っておられるか、その点を明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/20
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021・小滝彬
○小瀧国務大臣 自主的な防衛という言葉の定義にもよるでありましょうが、さっきも申しましたように、非常に大きな規模の事件が起るというような際、どこの国でもただ自力だけでそれに対処するということは不可能な現状でありますから、日本は日本の最小限度の自衛力を持つという意味におきましては、防衛庁限りとしてはすでにこれまでも委員会で再三政府委員の力から申したであろうと存じまするが、これまで一応策定して参ったわけであります。しかしこれは最終的には、御指摘のように、国防会議にもかけなければならないし、いろいろの情勢、いろいろな要因というものを考えまして、これまで考えておった線に対して多少の修正を加えなければならないところもあろうかと存じます。しかしこうした計画をはっきりさせるということは国民にも安心を与えることであろうと思いますので、なるべく早い機会にそうしたものを正式に国防会議にかけてこれを決定いたしたいという希望を持っているのであります。しかし現在においてこういう構想で防衛庁としては確定したものだというような案はございませんが、さらに検討を続けて、できるだけ早い機会にそれを国民の皆様にお示しいたしたいという希望を持っている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/21
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022・木原津與志
○木原委員 防衛庁が少くとも国民に対して出費を要求し、多額の国民の税金を毎年予算の相当の割合のものを要求してこれを使うということになれば、自主的な防衛計画を持たないで、ただ漫然と国力に応じた自衛力の漸増なんというような言葉を毎国会ごとに使って、そうして多額の予算を取るということは、私どもに言わせれば不届ききわまる。防衛当局がどうすればこの国土と国民を防衛できるのだというそのプランを国民に示さないで、ただ金だけよこせ、幾ら要るんだ、人員は一万名まだ増員するのだ、海上自衛隊においてあるいは航空自衛隊において、ことしはこれだけの増員が要るんだといって、ただ金ばかり請求して、そして肝心かなみの自主的な防衛計画を示さないということは、これはもう論理が合わぬのみでなく、不届きなやり方だと思うのです。この点をどう考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/22
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023・小滝彬
○小瀧国務大臣 御指摘のように、長期計画と申しますか、ロングレインジ・プランを持っということは必要であり、またそれによって国民の皆さんに理解していただくということは必要なことであると考えます。ただこれにはいろいろな角度から検討しなければならない問題がたくさんございますので、今までわれわれの方で試案は持っておりましたが、最終的なものにならなかった、これははなはだ遺憾でございますが、しかし御承知のように年次計画というものは、持ってこれまでも進んできたわけでありますから、その限度においては皆様にも、予算を通じましてまた私どもの説明を通じて、おわかり下さるだろうと思います。しかしまことに木原さんのおっしゃる通りでありまして、こうしたロングレインジ・プランというものもぜひ早い機会に確定するというところまで進みたいと、今その準備を進めている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/23
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024・木原津與志
○木原委員 長期計画を策定する準備を進めておられるということですが、大体見通しとして、いつごろまでに国防会議にかけて、そうしてそれを国会に出して審議をするというような段階までいく見通しであるか。いつまでものんべんだらりとして、このままで押し切るつもりがないということでございますれば、当然その示される時期というものはほぼ予定されておると思うんです。その予定されておる時期はいつごろか。防衛計画を策定して、国会に、あるいは国民に明らかにされる時期を二つ示していただきたい。大体でいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/24
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025・小滝彬
○小瀧国務大臣 はっきりといつということを、私、確約するわけには参りませんけれども、私の心がまえといたしましては、国会の会期中においても並行的に検討いたしまして、国会の終了後国防会議に諮るような取り計らいをいたしたいと思っております。しかし国防会議にかけましても、それが必ずしも一度や二度の会合できまるというわけでもございませんので、これがいつ決定するかということは、残念ながら今はっきりと予言いたしかねる次第であります。しかし、できるだけ早い機会にこれをきめたいということは、先ほど申した通りでございますので、その線で最善の努力をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/25
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026・木原津與志
○木原委員 まことにくどいようですが、できるだけ早い機会にということは、これは私が昭和二十七年に国会に出てきてからずっとそういう御答弁ばかり受けてもう五年たっている。五年間も同じようなできるだけすみやかな機会にということで御答弁は終始してきたんです。もう大体この辺でピリオドを打とうじゃありませんか。それじゃあまり長過ぎる。今防衛問題を気長に論議するいとまがあるかないかということは、あなたと問答はいたしません。しかし少くとも私が関係してからでも四年半以上になっている。あまり気が長過ぎます。どうです、そこのところを一つ——あなたの方でもできているはずなんです。できているのをあなた方がわれわれをごまかす——ごまかすというと語弊があるかもしれぬが、実際はできているんだけれども、これを明らかにされないというのがあなた方の真意だろうと思うんです。そうでなかったら、ここでもうこの長談義もピリオドを打とうじゃありませんか。大体わかっておったら時期を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/26
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027・小滝彬
○小瀧国務大臣 私は考え方としてはあなたのおっしゃる通りでございます。ただしかし、これまで昭和二十七年以来なかなかやらなかったとおっしゃいますが、その後の情勢の変化といたしましては、国防会議法もはっきりできたわけでありますから、お尋ねの、期限をはっきりすることはできかねますけれども、ぜひ一日も解くこれを決定して、皆様にお示しいたしたいと考えております。ただ、あるのを隠しておるというのではございません。御承知のように、経済五カ年計画などにいたしましても、それが世界情勢にもよったことでありましょう、いろいろ政府の施策にもよったことでありましょうが、相当それ以上の延びをしているというような点にかんがみまして、修正しなければならないというようなところも出ておりますので、今確定したものはあるけれども隠しておるというのではなく、これまで一応の案を持っておったけれども、それに対して修正も加えなければならない、いろいろの情勢を考えなければなりませんから、その作業を終えまして、そうして国防会議に諮りまして、できるだけ早く作業を終えて、そうして確定的なものにして皆様の御支持をお願いしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/27
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028・木原津與志
○木原委員 堂々めぐりになりますが、できるだけすみやかにということでございますけれども、大体世間では岸内閣は国会が終れば閣僚の入れかえをするというようなことさえ言われておる。そうすれば、今度またあなたが防衛庁長官に再任されるかどうかということは、これはもうわからぬのであります。そうすると次の大臣が見えられて、またこれをむし返し、またできるだけすみやかな機会にと言っておれば、また解散する。おそらく今度は解散になるでしょう。解散になってまた大臣がかわる。こうして実にもう何年も続いて、できるだけすみやかにが今日に至っているのです。冗談じゃありませんよ。あなた方は少くとも毎年、防衛庁設置法の一部改正、あるいは自衛隊法の一部改正といって増員の計画を毎国会に出されておるようでございますが、何らのあなた方の自衛力についての基本的な構想を持たないで、その基本的な構想のないままにばく然と人員増加の改正法案が思いつきでぼつぼつ出るのではないと私は思う。もしそれが思いつきで出されるのだったら、それはでたらめだ。こういうような法案の審議を私ども野党としてやりたくない。それとも、基本的な構想はないが、こうしてぽつんぽつんと毎年出していくのは、どこかの国から要求されて出すんだとでもおっしゃるか、これをどっちかはっきりしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/28
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029・小滝彬
○小瀧国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、防衛庁限りといたしましては、これまでも一応の案は持っておったことは御承知の通りであります。たとえば六カ年計画の最終の自衛隊の数は十八万、航空でありましたら千三百機というような防衛庁としての大体の目標は持っておるわけであります。ただ、さっきからくどいようでありますが、申し上げておりますように、いろいろ情勢に応じて修正をしなければならないものもあるだろうし、またそれは防衛庁限りで作ったものでありますので、新しい法律によって国防会議もできたことでありまするから、そこにかけて確定しようとしておるのでありまして、決して外国がどうだからそれに応じてやるという性質のものでないことは、新聞情報でありまして、私はそのころ野党におりましたから内容は存じませんけれども、かつて重光大臣がアメリカに行ったときにも、向う側はもう少し大きな自衛隊を持つのが至当ではないかというのに対して、重光大臣は日本側の案を示して、そういうことはできないというので了解を遂げたということもございまして、私はこれまでの経緯から見ましても、日本が自主的な立場からこの限度でなければならぬという考えを持っておることは了解できるところであり、現在もそうした態度においては変りがないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/29
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030・木原津與志
○木原委員 どうしても大臣が口を緘して自主的な防衛計画の内容をおっしゃらない。非常に遺憾でありますが、おっしゃらないものを言わせるわけにはいきませんから、それじゃ一言だけ明らかにしていただきたい。大臣は国力に応じた自衛力の漸増という非常に耳ざわりのいいことをいつもおっしゃる。それならば国力に応じた自衛力の漸増をやるということですが、それは具体的には、陸上自衛隊、航空自衛隊、あるいは海上自衛隊、この三つを幾らぐらい——もちろん人員だけでは何とも言えませんでしょうが、大体終局において何者くらいの勢力を持つことを理想としておられるか。それだけの勢力は大体費用的に見て日本の全国力の何割くらいを要求することによってそれが満たされるかということ、そのくらいのことはあなたもはっきり言えると思いますから、そこのところを明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/30
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031・小滝彬
○小瀧国務大臣 人数の点に換算いたしますと、幾らになるか知りませんが、これまで考えておりましたのは、大体陸上十八万の人員、海十二万四千トン、空千三百機、こういうところを目標とした案を持ってきたわけでありまして、大体の上の限度というものはその程度のことを現在も考えておりますが、先ほどからるる申し上げておりまするように、それが決して国防会議を経た最終の案ではない、さらに検討して多少の修正をする必要が出てくるかもしれません。いろいろ議論があるかもしれません。これまでの大体の目標はそういうところであります。国力に対して幾らか、国力と申しますれば国民感情もその一つに入るでありましょうし、防衛産業の規模もあることでありましょうが、まず普通に考えられるのは国民所得ということが考えられる。これに対して何パーセントくらいを考えておるか、こういう趣旨の御質問だろうかと考えます。これにつきましては、私何も外国の例をあげて、外国が多いから日本も多くしなければならぬというようなやぼなことを申し上げるのではありませんが、日本としては他の諸国のどの国よりも少い程度の経済力でもってこうした計画を遂行しようということを考えておるのであります。ヨーロッパの普通の、非常に防衛方面に費用を使っておる国、イギリスとか西ドイツとかいうような、国民所得の九%も使っておるような国を除きまして、一番少く使っておるノルウェーとかイタリアあたりでも国民所得の五%程度はこの方面に使っておるわけであります。がしかし日本はこうした国民感情もあり、また日本の特殊の立場もございますので、今までのところ私どもが考えておりまするのは、二%強と申しまするか、まあ国民所得に対して二%程度のものはどうしても防衛の方に使う必要があるだろう、こういう大体の考えを持って進んでおる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/31
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032・木原津與志
○木原委員 そこで日本の安全保障の義務は、安保条約によってアメリカにもあるのでございます。アメリカはアメリカなりに日本の防衛力について日本自体の防衛ということについて関心を持っておることと思うのです。今あなたのお話では、大体人員的には陸上十八万、海上十二万四千、航空千三百、こういった数を漸増したい、こういうお話でございますが、安保条約に基く関係において、アメリカは日本に対してどれだけの自衛力を要求いたしておるのでしょうか。あなた方のこの数字は、アメリカもこれでよろしいといって了解を得ておる数字でしょうか。あるいはアメリカ側としてはこれに不満であるか満足しておるか、その点をお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/32
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033・小滝彬
○小瀧国務大臣 先ほどから申しまするように、これは日本は日本の立場というものを考えなければならないのでありまして、あるいはアメリカ側は別個の専門家の考えを持っておるかもしれません。しかしそれはそれでありまして、日本においてそれが限度であるとすれば、それに即応したことをアメリカは考えるでありましょうから、もちろんそれにつきましては、従来の実際的な経過から見まして、いろいろ供与品も受けておるというような関係があるので、それも供与品の限度がどこまであるか、また今後どの程度まで減っていくかというようなことも、一応それは考慮の中には入れなければなりませんけれども、これを策定するに当りましては、もちろん日本独自の立場で当然やらなければならぬことであり、また私どもはそういう考えでやるつもりであります。ただそごを来たさないように、日本側の意向を伝えるというようなことはあるかもしれません。この安保条約もございまするし、そういう点はあるかもしれませんが、日本の計画というものはあくまで日本でこれを策定し、これを決定するということは申し上げるまでもないところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/33
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034・木原津與志
○木原委員 日本で決定するという点はわかりましたが、アメリカが事実日本にどれだけの自衛力を持つことを要求しておるのでしょうか、その要求があった数字をお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/34
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035・小滝彬
○小瀧国務大臣 はっきりこれだけを要求するという立場でもございません。安保条約にも漸増することを期待するといっている。期待するということは要求するということではないのでありまして、日本側ができるだけ自衛力を持つことを希望し、それをエクスペクトするという意味でありますから、要求するということではないのであります。ただこれまで、先ほども申し上げましたように、ワシントンでの会議とか、いろいろなところで日本側の責任者に向う側の考えている線を伝えられたことはあるかも存じません。私はその内容を存じませんが、そういうことはあったかもしれませんが、それは決してアメリカの要求と解すべきものではなかろうかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/35
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036・木原津與志
○木原委員 要求があったということで悪ければ、アメリカの期待でもけっこうです。これまでそういうところが明らかにされたことがないから私は聞いておきたいと思うのですが、アメリカが日本にどれだけのものを持つことを期待しておるのか、その点を教えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/36
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037・小滝彬
○小瀧国務大臣 アメリカ政府として正式にどれだけを期待するというようなことは絶対になかったはずであります。それは陸軍関係ではこれがよかろうじゃないかとか、あるいは空の関係においてはこの程度がどうだろうか、あるいは相談すればこういう種類の機種よりも、こういう種類の機種が今の時代にはいいのじゃないかというような、アドヴァイスと申しますか、勧告と申しますか、そういうふうなものはあったかもしれませんが、政府として要請であるとか、期待、期待の限度はこういうものであるということは、絶対になかったはずでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/37
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038・木原津與志
○木原委員 そうすると、アメリカからの特別な特定の期待もない。防衛庁の方では現在の構想としては陸上十八万、海上十二万四千、航空千三百ということに目途を置いて増強していきたいということですが、この勢力はいつごろまでに完成される御予定ですか、その点をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/38
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039・小滝彬
○小瀧国務大臣 今までの考え方では、これもあるいはもうすでに御承知かもしれませんが、昭和三十五年度末を目途としてこの程度までに増強しようというので、大体の考え方としては現在もそれは基本的に変っておるわけではなく、この目安で進んでおる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/39
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040・木原津與志
○木原委員 そうすると昭和三十五年度といいますと、来年、再来年、あと三年でございますか。三年たってこれだけのものができ上るということになりますと、これが自衛隊の限度であるというふうに考えてよろしゅうございますか。また三年たったあと三十万余りになったら、また世界情勢だとか、あるいは国力に応じた自衛力の漸増というようなことで、また五カ年計画でこれがだんだんふえていくというようなことになりはしませんか。国民はこれを一番心配しておると思う。そういうふうになしくずしにどんどんどんどんできる。しかもこのできたものが、あなた方の言葉で言えば、戦力なき軍隊なんです。戦争はできぬ、戦闘力は持っておらぬ、近代戦争を遂行する能力のない軍隊、これを三十万も五十万も一体この貧乏な日本の状態の中で国民が養わなければならぬということは、これくらい私は悲惨なものはないと思う。そこでお尋ねするのですが、この戦力なき軍隊が三年先にできて、これが限度になりましょうか、あるいはそれともまた自衛力漸増でなしくずしに膨張するのでございましょうか。その点をお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/40
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041・小滝彬
○小瀧国務大臣 私どもの今考えております長期計画の最終目的は、今申し上げたようなもので、暫定的にそういうことを考えておるのであります。木原さんもみずから御指摘のように、私は二カ月勤めるか三カ月勤めるかわかりません。三年後になってどういうことが起るかもしりませんが、私どもの考えております長期計画は、以上申し上げた通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/41
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042・木原津與志
○木原委員 今の御発言だと、どうもわれわれは不安なんですね。一応の長期計画の目標がそれだけで、それが終ったあとまたどうなるかわからぬ。あなた自身の就任の時期がいつまでになるかわからぬから、あとはあとり者がどうなりするだろうというようにとれるのですが、それではもうわれわれ初め国民がかわいそうじゃありませんか。一応努力目標で三十五年度までにどれだけののものを増強する、それまで国民ついてこい、税金も出してくれ、負担をしてくれ、こう言って国民をひっぱってきて、今度それができたら、またぞろ長期計画というようなもので防衛費がどんどんかさんでいくということになれば、もうこれは大へんなことになると思うし、国民の負担も私は大へんだと思う。この辺で何とか一つ話をつけるような工夫はございませんか。簡単にお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/42
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043・小滝彬
○小瀧国務大臣 私ども考えておりますことは、その前段で申し上げた通りでございます。これを目的とします。さらにそれよりさかのぼりまして、日本の国民所得というようなものについての関係も申し述べたのであります。ただあとでちょっとつけ足しましたのは、現在の防衛庁長官としてそういうように考えているということになりましても、社会党の天下になればどのように変るかもわからぬというような点をつけ加えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/43
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044・木原津與志
○木原委員 社会党の天下になったらこれはもっと減っちまうと思うのですけれども、私はまだ自民党の天下がしばらくは続くだろうと思うから、心配してこういう質問をしておるのであります。がしかし先のことですから、これをあなたにお尋ねしてもタヌキ問答になってしまうと思いますから、あと二、三点だけあなたにお尋ねしますが、この間から問題になっておった誘導兵器供与の問題、あれは三十一年度の供与でございましたね。そうすると、三十二年度誘導兵器の供与を受けるような予算の仕組みになっておりますが、この点お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/44
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045・増原恵吉
○増原政府委員 先般新聞等に報道されましたものは、防衛庁長官から昨年の七月末、八月初めに要請をいたしました各種装備品の中に入っておるものでありまして、これは三十二年度に供与を期待するものとして要請をいたしたわけでございます。これについて、好意的に考え得るという非公式な話があった段階でございまして、まだこれが三十二年度のいつ来るかということはわからない段階でございます。三十三年度のものといたしましては、やはり本年の七、八月の交、長官から米側に装備品の要請をするというふうな手続になる見込でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/45
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046・木原津與志
○木原委員 そうすればことしの七月、また誘導兵器の供与の要請を、あなた方の方でアメリカになさるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/46
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047・増原恵吉
○増原政府委員 さっきのお答えが少し足りなかったかもしれませんが、去年やりまして、この間新聞にちょっと出ましたものが、いつ来るかまだ未定の状態であります。そして七種類を要請しておりまするが、これが全部来るかどうかももとよりまだ未定でございます。若干のものが参りまするならば、これは現在技術研究所の予算として研究開発のために三十二年度予算を要求いたしておりまするが、この経費をもって、研究開発に充てるということでございまして、三十二年度にさらにどういうふうなものを要請するかは、昨年要請しましたもののうち、どういうものがいつごろ来るということとにらみ合せまして、さらに研究の上、要請の案を作るということにしたい考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/47
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048・木原津與志
○木原委員 この間、私が誘導兵器の問題で大臣に質問をいたしましたときに、私が、こういうようなものをアメリカに供与を要請するのに、あなた方だけがかってにきめてやるというようなことは軍事力独走になって好ましくない、少くともこういったようなものを要請する場合においては、事前に国会なり国民なりにこれの内容を知らせて、そうして討議の上でやってほしいということを申したのでございましたが、それに対して大臣も、そういうような希望に沿うような御答弁があったと私は記憶しておる。そこで今度またあらためて要請される、どういうものを要請されるか現在はっきりしておられないかもしれませんが、もし将来、今年度内にこの誘導兵器の供与を受けるということに相なった際には、事前にそのことを国会なりあるいは国民なりに御発表になる御意思があるかどうか、その点を承わりたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/48
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049・小滝彬
○小瀧国務大臣 この前もお答えいたしました通り、行政官庁でやっておりますことは、重安問題は随時議会にも報告しておる次第でございます。しかしこの国際間の問題につきましては、話し合いの中途において、ただ一方的にこれを発表することは許されないようなこともありまするが、しかし私の考え方としては、知らぬ間にどうかしていたというようなことをいわれないように、機会あるごとに、私は率直に、政府の方ではこういう考え方を持っておるということを、皆様にお示しいたしたいと考えております。こういう今問題になっております要請につきましては、これは先方が果してどういう態度に出るかわかりませんし、あるいは新しい条約を作らなければならぬということになれば、当然この条約につきましては皆様の御審議を願わなければならないわけでありまするから、そういう意味におきまして私はできるだけフランクに、できるだけ皆様に私どもの考え方を示しまして、皆様の御協力を得たい、こういうように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/49
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050・木原津與志
○木原委員 それで私が聞いたのですが、そうすると供与を受けるということになれば将来秘密保護についてのいろいろな問題が当然起ってこなければならぬ。あなた方が今までの供与を受けておった誘導兵器については、現在あるMSAの秘密保護法によって一応の目的を達成されるかしれないが、将来これでは秘密保護が完全でないというのでアメリカに要請をされるという問題が必ず起ってくるだろうと思うのです、そういう心配があるからお尋ねするのですが、そうすればこの供与の問題にからんで新しい秘密保護法というようなものがあなた方から国会に提出されるようなことになると思うのですが、この点秘密保護法の制定の御意思があるかどうか、その点を伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/50
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051・小滝彬
○小瀧国務大臣 これはさらに先方と話し合ってみなければわからぬことでありまして、あるいは従来の秘密保護法で十分であるというようになるかもしれません。しかしこの前あげましたような兵器は相当高度の補助を要するようでありまするし、かつまたこれはただそれの提供を受けて日本でそのまま使用しているというのではなしに、それを見本のようにしていろいろこちらの方で技術者が研究して、日本ではあるいはそれと違った、日本に適したような種類のものを作るということを考えるようになるかもしれない。そうなりますると一部にはこのMSA協定に基く供与品の秘密という部分もあるでありましょうが、それにプラス・アルファということになる。そうなりまして新しいものが出た場合に、そのもとになった方のものの秘密の保護が十分でないということも考え得るわけであります。そこでこれを日本で研究、開発するということになれば、今の秘密保護法では不十分であるという問題も起ってくるだろうと思います。そうなりますれば特に日本として適当と認める誘導兵器を研究開発をして製作するということのためには、そういう新しい装備品の秘密を保護するための法的措置が必要になるということも想定し得るのでありまするが、今どういう秘密保護法の修正をしようという確定的な案を持っておるわけではございませんが、そういうことも必要であろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/51
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052・木原津與志
○木原委員 そうなってくるとまた問題になるのですよ。戦時中に横行して国民の権利、自由を侵害したところのかつての軍機保護法がまた再現して、これをめちゃくちゃに振り回されるということになってくれば、それはもう一誘導兵器の貸与問題どころの騒ぎではない。国民の基本的な人権をまっこうから否定するようないろいろな問題が引き起されてくるのを私どもはおそれる。従いまして私はこの秘密保護法は今の防衛庁のとっておられる態度から見まして、これは次の国会に必ず出てくると思う。そう予想する。だからもうすでにあなた方はこの法律の骨子については腹案ができておられることと思います。一体現在のあのMSA秘密保護法のどういう点を特に重視して重点的に改正しようとしておられるか、その点の構想を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/52
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053・小滝彬
○小瀧国務大臣 今日具体的な案を持っておるわけではございません。しかしここで申し上げ得ることは、かつての戦前の法律のような言論の自由といった、そうした基本的な権利を侵害するような、そんな大それたものを考えるのでなくして、大体の考え方としましては、今申しましたような必要最小限度のものを作ろう、そうしていやしくも皆様からそういう目で見られるような保護法は絶対に作らない、皆様が安心して、これならよかろうとお考えになるような法制をいたしたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/53
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054・木原津與志
○木原委員 そうすると秘密保護法についての腹案は今持っておられないということでしたが、近くこれを国会に出して審議を受けようというような御意思がないわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/54
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055・小滝彬
○小瀧国務大臣 先ほど申しましたように、新しいタイプの近代的な兵器というものは現在の自衛に必要なものであると認めまするし、またそれはできれば日本の方で研究開発いたしたいという考えを持っておりますので、その研究開発上必要な限度における秘密保護の措置というものは、これはとらなければならないだろうという考えを持っております。ただしかしそれを今国会にかけるかどうかということについては今決定いたしておるわけではなく、目下そうした点について検討中であり、ことにまた向うからの供与を受けるということになりますれば、その際別段措置をとらないで済むものならそれでけっこうでありますので、そうしたいろいろな面を検討中であるというように御承知願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/55
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056・木原津與志
○木原委員 言うまでもなくこの秘密保護の利益の主体は、これはアメリカが防衛の主体になるわけなのです。この点ははっりしておる。そこでこの秘密保護法を日本でお作りになるということになりますと、その一々の具体的なものについてはアメリカからああせよ、こうせよというような指示があることは当然のことだろうと思うのです。そこで大臣にお願いしておくのでございますが、アメリカが秘密保護によって処罰をするのは日本人でございますから、相当無理難題を言い出してくると思うし、ことに刑の量定というようなものにつきましても不当な重刑を要求してくる、あるいは不当な捜査権の行使を要求してくるだろうと想像されるのであります。そこでそういう際には、あなた方はあなた方の自主的な立場で、日本の民主主義と自由を擁護するという立場でこのアメリカの要請に対処していただきたいと思うのでございますが、この点についての御用意がございますかどうか、承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/56
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057・小滝彬
○小瀧国務大臣 これは私はアメリカのためにこういう措置が必要であるということでなくして、日本が提供を受けるからには最小限度の秘密保護を向うが必要とするのは、これは当然のことであろうと思います。しかし最終的には、日本がそうした措置をとった方が日本の新兵器の研究開発に都合がいい、それが必要であると認めるからやるわけでありますし、ことに刑法の体系も違っておりますアメリカの方から強制されるというようなことは私ども予期もしておりませんし、事実この前のMSA協定に伴う秘密保護法につきましても日本が独自的にやったものであります。今後同様な措置をとる必要がある場合には今御指摘のような点はもちろんでございまして、日本は日本の刑法の規定と均衡のとれた日本独自の秘密保護法を作るということはもちろん確約して差しつかえないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/57
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058・木原津與志
○木原委員 大臣はアメリカの秘密を保持するのではないということをおっしゃいましたが、これによってこの秘密保持に一番関心があるのはその武器を持っておるアメリカである。だからこそ聞くところによれば、現在のMSA秘密保護法はあまりに刑罰が軽過ぎる、十年以下だ、戦前まであった軍機保護法においては最高死刑もしくは無期というような厳罰を科してそうして秘密保持をしておった、それに比べれば非常に現在の日本のMSA秘密保護法は刑が軽過ぎる、これでは秘密の漏洩を防止することができないからこの刑を上げろ、ということをアメリカが主張しておるということが伝えられている。私はこれはアメリカとしては当然な希望であり要請であろうと思う。それに対してあなた方がどういうふうに対処されて日本の自主性と言論の自由、民主主義というものを守らんとする心構えを持っておられるかということをお尋ねするわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/58
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059・小滝彬
○小瀧国務大臣 法律家の木原さんに対して、私は実はそういう刑法などのことを詳しく存じませんので申し上げかねまするけれども、もちろんこういう問題につきましては、法務省とかあるいは法制局と協議しなければならない問題であります。その具体的措置をどういうようにするかは私はここではっきり申し上げかねまするけれども、日本の刑法の体系をこわしてまでそういうことをやろうという考えは絶対に持ち合せないのでございまして、今木原さんの情報がどこから参ったか存じませんが、問題になり得ると考えまするのは、現在の秘密保護法ではそれをカバーする、それを適用される範囲が十分でないというところに一番大きな問題があると思いますので、その点について検討する必要があろうかと考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/59
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060・木原津與志
○木原委員 だいぶ私一人時間をとりましたから、あとまだたくさん残っておりますが、保留いたしまして次にかわりたいと思いますが、ちょっと二、三こまかいことをお尋ねいたします。これは私の不勉強の結果かどうかわかりませんが、海上自衛隊関係の予算でございますけれども、前年度は三十一年度予算で二百二十八億だったのが、三十二年度予算では二百十九億と約九億円減になっております。ところが海上自衛隊は艦艇その他航空機の購入を予定しておるばかりでなく、この改正法案によりますと、人員も制服において千四百三十人、一般職員で五百七十一人増ということになっております。人員その他が増加して予算が減っておるというとこになっておりますが、このところはどういうふうな関係になるかちょっとお教え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/60
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061・北島武雄
○北島政府委員 お答え申し上げます。海上自衛隊の三十二年度予算が三十一年度に比べまして減少いたしております主たる理由は艦船建造費関係にございます。昭和三十一年度におきましては、三十年・度に計画いたしました甲型警備艦四隻等の相当大きな金額が三十一年度予算に計上されております。三十年度計画の足が相当大きなものであったのであります。ところが三十二年度予算におきましては、三十年度計画の艦艇の足はずっと大幅に狭まるとともに、三十一年度に計画されました艦船の建造は三十年度よりも規模が小さいものでありますから、従いまして三十二年度予算については艦船建造費の計上額は約五十億円でありまして、前年度に比し約二十六億円減少いたしております。これが大きな原因でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/61
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062・木原津與志
○木原委員 この予算書によって見ると、今年度建造の艦艇が十一隻、アメリカから買う艦艇が四隻、航空機百四機ということになっておりますが、こういうのは前からの引き継ぎですか。新しく今年度においてこれだけのものを購入される御予定のものでございますか、その点を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/62
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063・北島武雄
○北島政府委員 昭和三十二年度におきましては新たに甲型警備艦二隻、掃海艇中型三隻、小型二隻、駆潜艇二隻、特務艇高速型二隻、計十一隻の建造計画をいたしておりまして、これに関する歳出予算及び必要な国庫債務負担行為並びに継続費を三十二年度予算の中に御要求申し上げている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/63
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064・木原津與志
○木原委員 航空自衛隊関係でお尋ねしますが、航空自衛隊で航空団を二つ増設することに予定されているようでありますが、この航空団というのはどこにできるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/64
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065・北島武雄
○北島政府委員 昭和三十一年度におきましては航空団二つございまして、第一航空団、第二航空団ともに一応浜松にございますが、三十二年度におきましてはさらに二つの航空団が増設になるわけでありますが、これは従来の第一航空団から第四航空団までを含めましての基地を御紹介申し上げます。第一航空団が浜松、第二航空団は現在浜松にありますのを北海道の千歳、第三航空団が宮城県の松島、第四航空団は取りあえず同じく松島ということで発足する予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/65
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066・木原津與志
○木原委員 時間も昼になりましたから私の質問はこれで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/66
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067・相川勝六
○相川委員長 午後一時より再開することとし、これにて休憩いたします。
午前十一時五十九分休憩
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午後二時開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/67
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068・相川勝六
○相川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。西村力弥君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/68
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069・西村力弥
○西村(力)委員 一昨々日の読売新聞に富士山麓の演習場において米軍機が空陸合同演習の際に、その演習上の使用目的以外の爆弾を投下する演習を行なった、しかもそれが演習場の地域外に投下せられておるという記事がありましたが、私はこのことにつきましてまず調達庁側の実情調査の結果を一つお話し願いたいと思うわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/69
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070・今井久
○今井政府委員 ただいま御質問のありまました点につきまして御報告をいたしたいと思います。
本件は三月四日午前八時十二分ごろ静岡県駿東那須山村字藤原地先の東富士演習場内におきまして米軍機の四機編隊の一機から爆弾二個が落されたものでございます。今の地点は演習場外で、境界線から約八百メートル西方の山林中でありました。二発ともそれぞれ直径十五メートル内外、深さ五メートルの穴をあけまして、付近の林道、雑木、炭焼きがまに損害を与えましたが、幸いなことに人畜には被害がなかったのでございます。
本件発生後直ちに現地を調査いたしまして、被害状況等も確認いたしますとともに、米軍にも交渉いたしまして、事実を至急に調べてもらいますとともに、今後そのようなことがないように強く申し入れをいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/70
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071・西村力弥
○西村(力)委員 ただいまのお話の中で、この爆弾の投下地点は境界線から約八百米離れておるということでありますが、私の聞いておるところによりますと、約四キロメートル離れておるということなんでございます。これらの点は演習が過激なためにたまがそれたということと、境界を無視して投下したということの判断の重大な分れ道になる問題で、あなたの方では八百メートルそれたと言われているが、四千メートルそれたという私の調査したところとは違います。これは重大な点であります。その点についてはあなた方の方では確信をお持ちになっていらっしゃるのかどうか、それを一つお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/71
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072・今井久
○今井政府委員 ただいま御報告申し上げましたごとく、私どもといたしましては境界線から約八百メートル西方の山林だという報告を受けておる次第でございます。ただいま四キロ離れたところであるという御指摘がありました。この点につきましてはさらに十分間調査いたしてみたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/72
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073・西村力弥
○西村(力)委員 この点はぜひ厳重に調査していただきたいと思います。そもそも使用条件以外の爆弾を投下するという、この米軍側の心がまえは私たちとしては当然非難しなければならないことなんです。それから類推いたしまして、やはり八百メートルくらいそれたたまとして、故意ではなく、区域外に落ちたということではなくて、やはり相当むぞうさに落していると考えられるわけであります。この点はぜひ十分に御調査をお願い申し上げたいと思うのです。この爆弾を落したことはあなたの方では当然これは契約違反である、こういう前提に立って——こういう場合の使用条件はあそこはどういう取りきめになっているのか、その使用条件に反するというあなた方、確証、確信を持っての交渉だと思いますが、使用条件は具体的にどういうことになるのでございますか、一応お聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/73
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074・今井久
○今井政府委員 この地域につきましては、演習場使用の条件が御指摘の通りついているのでございます。この地域の演習使用条件といたしましては、空陸合同訓練の演習という文字がありまして、米軍といたしましては空陸合同訓練の演習として爆弾を使うということは差しつかえないものであるという見解に立って、ただいまのようなことが起きたのではないかと存ずるのでございますが、私どもといたしましては、その使用条件のうちに、撃つ砲といたしましては、大砲、臼砲、無反動砲、機関銃というふうに書いてございまして、ただいまの米軍の見解に対しましては疑問を持つものでありますので、この事故発生と同時に事実を調査して参りますとともに、私どもの方の見解を明らかにしまして米軍と交渉しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/74
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075・西村力弥
○西村(力)委員 こういう重要な問題を先方は空陸合同訓練であるから実弾使用可能だと解釈する、こちら側としてはそういうことは使用条件の協定違反であるという、こういう解釈が対立するというようなことはあり得ないことではないかと私たちとしては考えられる。そういう相互全く相反する解釈が成り立つような実弾訓練というものは、明らかに使用条件を協定する場合における日本側の一つの配慮の不備というか、問題の責任がこちら側にあることになるのではないかと思う。そういう協定に対する解釈の問題が全く反する場合におけるこの責任というものは、一体どちらにあるとあなたの方ではお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/75
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076・今井久
○今井政府委員 施設の提供につきましては、合同委員会のもとにありますところの施設委員会を通じまして話し合いをいたしまして、そうして使用条件等も施設の提供に見合って決定されるのでございます。その施設委員会において同意を得ました場合に、合同委員会において最後的にこれが承認されるという手続に行政協定上なっておる次第でございます。ただいま東富士演習場の使用条件につきまして、このようなことが起きまして、この点についての見解が異なるということはまことに遺憾でございます。しかしながら事実におきまして、そのようなことが起きましたので、私どもといたしましては直ちに施設委員会を通じまして、この問題についての見解を表明し、交渉をいたしておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/76
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077・西村力弥
○西村(力)委員 私はそのような処置をとっていらっしゃる、そのことはお役目御苦労さまである、こう思いまするが、これに全く反した解釈が出てくる、そうしてそれが事実となって日本国民の財産を侵害し、ことによったらそのときは炭焼き業の者がおったといいまするから、重大な人命にかかわる問題も発生しなかったとも限らないわけです。そういう解釈の相違が出てくるということは、どちらに責任があるのだ、全く明確にそこをはっきりしなかったという点に日本側の手落ちがあるのか、またそういうことが明確であっても、それを押し切って、そうしてこの日本の国土を荒らし、日本国民に不安を与える彼らの横暴なというか、そういうやり方に責任があるのか、一体どちらに責任があるとお考えになっていらっしゃるか、これから交渉する場合、単に向うの解釈も五分だ、こちらの疑問も五分だ、五分と五分を突き合せてこれから交渉するのだ、こういう立場に立ってやるということ以外に、私はこの解釈が両立する、そういうことの不備の責任がどちらにあったかということを明確にして交渉に進んでいかなければならぬ、こう考えるか、その点についてお考えをお聞きしているわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/77
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078・今井久
○今井政府委員 ただいま御質疑の点につきましては、米側におきまして明白である使用条件というものについて、横車を押して云々をしておるというふうに、実は私どもは考えておりません。ただ往々にいたしまして、このような演習場の使用というような事柄につきまして、事実の問題になりました場合に、意見の相違が発生いたしたような次第でございまして、この点につきましては、これを取りきめます場合、十分その点について徹底を欠いたということにつきましては、まことに遺憾に存じておりますので、今後両方の見解を十分述べまして、そうして米軍と折衝していきたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/78
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079・西村力弥
○西村(力)委員 ただいまの御答弁によりますと、米側がそういう解釈を下すことは何ら横車と考えられない、こういうことでございましたが、そうすると、そういう解釈が存在させられる不備な協定によって、われわれの大事な国土をアメリカに引き渡す責任はだれにあるか、その点あなた一つはっきりと御答弁してもらいたい。しかも地域住民はすべて使用条件はかくかくのものである、これで実弾は使用されない、それであるから炭焼きとかあるいはまき取りとか、そういう生計を維持するための仕事も相当ありまして、その付近において安心してやれる、そういう工合に思っておる。
また一例を申しますならば、山口県の秋吉台、あのとき演習場を米軍に提供しようとする場合にも、あなたの方においては、あの場合ほんとうの爆弾は落さない、模擬爆弾を落す、使用条件はこうだ、だから実際は危険はないし、学術的な面の侵害はない、だから承知してくれと口をきわめて地元民を説得しておる。そういう工合にして説得をするような立場の人々が、それが現実にアメリカ軍に渡ったときに、その使用条件が彼らによって解釈されることは横車ではない、そういう答弁をなさるのでは、前後一貫した日本の役所の高級責任者としての立場は私はないのじゃないかと思う。秋吉台であのときには実弾は落さない、模擬爆弾だけでやるのだといったって、現実に私のところには爆弾を落された、それがアメリカ軍の横車ではないということになっちゃうわけです。地元民もはっきりそういう工合に考えておるし、爆弾は落さない、実弾は落さないと考えておる。アメリカ軍は横車ではないというと、一体どういうことになるのでありますか。あなたの方でその際において十分に検討し、明確にしなかったその責任は、私たちにあるのだと率直に認めざるを得ないようになるのではないかと思う。そればいかがでございますか。明確にしてそして進んでいただかなければならぬと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/79
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080・今井久
○今井政府委員 この使用条件をきめます場合に、それらの点が明確でなかったために、今日のようなことが起きたということは、私は非常に遺憾であると思います。今後こういうような場合につきましては、十分あらゆる場合を考え、あらゆる場合を想定いたしまして、明確なる使用条件を設定していかなければならぬということをつくつぐ痛感しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/80
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081・西村力弥
○西村(力)委員 そういうことを率直にお認めになりますならば、五分と五分の話し合いになる。横車ではなくてそういうことを認められたということを考えられておるから、許された範囲内であるから爆弾を落す、こういうことに考えておるだろうと思う。こっちが認めないといってもそれは自分たちの手ぬかりが一応あったからやむを得ない、これから五分と五分で話し合いをするのだ、こういうことに相なるだろうと思う。ですが、そういう五分と五分の話し合いにしましても、あなたの方としてはこのような住民の全然考えていない、一たん提供をしたけれども、住民としてはあくまでも実弾は使用しないということを確信して提供しておる。であるから日本国政府はそういう前提に立って、今後絶対に実弾は落さないという工合に向うに納得させるだけの決意を持って交渉していかなければならないと思う。すなわち責任はこちらにあったけれども、また明確にしなかったという手落ちはあったけれども、やはり絶対に今後そういうことのないようにするんだという強い決意に立ってやっていかなければ、明らかに日本政府は日本国民を欺瞞したということになる。こういう結果を見ますので、今日のような決意でもって必ずこちらら側の所信を合同委員会において貫ぬく、こういう立場に立って向っていただきたいと思いますが、これに対する御信念また確信のほどを一つ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/81
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082・今井久
○今井政府委員 その点につきましては、御指摘の通り、われわれとして考えております所信につきまして、十分努力いしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/82
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083・西村力弥
○西村(力)委員 そういう確信でぜひこれをやっていただかなければならないと思うのですが、それとともに、将来そのような解釈の明確を欠く問題から相互にトラブルが起きることを注意して、未然に防止していこう、こういうお話でございましたが、現実に協定を結んだその富士山ろくの演習場で問題が起きておるのですから、その他の場合においてもやはり十分に再検討をして、問題の発生する可能性の存在すをような不明確なる部分はこの際全部明確にする、こういう工合に進めるべきが至当ではないかと考えられるのです。その点に対してはいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/83
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084・今井久
○今井政府委員 その点につきましては、御指摘の通り努力いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/84
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085・西村力弥
○西村(力)委員 その点は努力したいと申しますが、実際そういう手続をぜひ進めていただきたい。あなたはどういうお考えで調達庁長官でおられるかわかりませんけれども、アメリカ軍とのそういう折衝の場合において、いささかでも卑屈な気分があったらば、これは困ったことになる。やはり確固たる立場でやっていただかなければならぬじゃないかと思う。えてして国民の印象は、調達庁のお役人、また政府全体のお役人が、対アメリカの問題になると何かしら劣等感というか、そういうような小さくなるような立場をもって事に処するのではあるまいかという疑念を、国民はみんな一応持っておる。これは幸いにして国民の誤解であるという工合になってもらいたいと私は思う。そういう折衝の場合における今井さんの御所信のほどを一つ承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/85
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086・今井久
○今井政府委員 御指摘の通り、いろいろわれわれの力の足りませんために誤解を招きますような点もあることは、まことに遺憾に存じておる次第でございまして、われわれといたしましては施設の提供一つ、国民の非常に大事な土地、建物等を提供していただくということにつきましては、十分深刻にその負担の重大さを考えておる次第でございまして、実は米軍の要求しましたものを、直ちにわれわれはこれを移して提供に応ずるというようなことはないのでございます。私がこの仕事をいたしまして今日に至ります期間におきましても、実はそういう点につきましての折衝でほとんど毎日暮れておるような次第でございます。今後これらの点につきましては、日本国民の立場というものを十分強く主張し、われわれの仕事を果していきたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/86
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087・西村力弥
○西村(力)委員 ぜひきぜんたる態度でやっていただかなければならないと思う。これは希望申し上げておきます。
ところが実際に日本の米軍基地のあちこちにおきまして、使用条件無視の米軍の行動が相当出ておる。これは新聞面ばかりでなく、新聞記事にならない問題で、ささたる問題であるから地元民もまあまあというわけで表面化しないような問題も頻発しておる、こういう現状にあるわけなんです。そういう現状をつらつら考えてみますると、この一局部の、今回起きた富士山ろくのこの使用条件無視の問題を解決するというばかりではなく、解決の基本的な方向として、もっと強く全般的に、そういう問題が発生せず、使用目的を彼らがほんとうに誠意を持って順守するというような方向に持ち込むこと、これがぜひ必要じゃないか。あなたの今のきぜんたる態度は、そいうことを推進する一つの方法となろうと思います。この頻発しておる傾向に対しまして、個々的な問題を処理する以外に、大きい場において、もっと基本的な問題において問題の解決を前進させなければならない、こうわれわれとしては考えるわけですが、あなたとしても、その点に対するお考えはおありと思います。そのお考えが政府当局を動かして、そうしてその結果、米軍の横車的な条件無視の行動が完全に制約せられ、将来そういうことが絶対に発生することのないようにされる、こういう工合にいき得るんじゃないか、ぜひそうしてもらいたい、私はそう考えておるわけなのでございますが、この点に関して政府当局に、総理なり外務大臣にお聞きするのが当然でございますが、事務当局というか、そういうものの最高責任者としては、当然政府を動かすだけの一つの考えを持たなければならないと思うので、そういう点に対する今井長官のお考えを一つお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/87
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088・今井久
○今井政府委員 ただいま御指摘になりました点は、私といたしましてもまことにごもっともに存ずる次第でございます。私が政府の方針を受けて私の仕事をやります上におきましても、ただいま御指摘になりましたような点を十分考えて、仕事を処理していきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/88
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089・西村力弥
○西村(力)委員 私が指摘したそのことは、一つの考え方の方向だけなんですが、それをあなた自身はその通りに考えられておると言われるのですが、今度はそれを具体的に、一体政府の方針、対米折衝というものにどういう工合に反映さしていって、そのあなたのお考えを実現するかという、もう少し底を割ったお話しが願いたい。ただ、ただいまのような御答弁だけでは、私の考え通りだからうまいようなんですけれども、実際はあまりごちそうではない、こういうふうに考えます。もう少し底を割ったお話が願いたい。あなたとしては仕事をなさる上において、政府の命令によってやるとともに、政府の方向というものに一つの示唆を与えるだけの任務もあるし、それだけの一つの気概というものがなければ、結局、一役所の長としても私たちとしてはあまり尊敬すべき行動とは申せないような工合に相なるわけであります。もう少し率直にお話し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/89
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090・今井久
○今井政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、私といたしましても、平素非常に困難な仕事を取り扱っておりますし、その間に実はなかなか日々苦労が多いのでございます。このくらいの苦労を体験しましていろいろ感ずることも少くないのでございます。従いましてこれらの、自分らが仕事をやっております上の私の考え等も十分政府に反映するように努力はいたしておる次第でございます。私ども事務官僚といたしましては、やはり政府がきめられますことにつきまして、それを実施いたします場合にはできる限り円滑に、しかも私どもの仕事の立場からいいますと、日本国民の立場を十分貫き得るように努力いたすことが私どもの任務であるというふうに考えまして、これの実施についてはいろいろ苦心をいたしておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/90
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091・西村力弥
○西村(力)委員 それでは当面の補償関係なんかも十分にやって下さるとともに、地元民は使用条件の解釈は、あなた方が思っていらっしゃる通り信じて土地を提供しておるということになりますので、必ずこの使用条件の解釈は日本側の解釈通りになるように一つ努力を願いたい。
それからもう一つは、こういう頻発する問題に対して、これを全部皆無にするだけの処置をこれから努力をしていただきたい。これだけを一つぜひ調達庁の長官にお願い申し上げて、それから委員長に対しましては、この問題は使用条件解釈というようなことが日本側の解釈と食い違って、われわれの受け取り方では、向う側が勝手に解釈して、そうして勝手ないろいろな行動をして、日本の国民に、生命とか、財産とかに危険を与えておるというふうに思われますので、そういう頻発する問題を抜本的に阻止するための政府の基本的な方針というものを打ち立ててもらわなければならない、こう思いますので、この問題に対しては後日やはり岸総理兼外務大臣を一つ当委員会に来ていただいて、こういう問題に対する基本的な政府側の抱負を打ち立てるような答弁をぜひ願いたい、こう思いますので、そのような点について委員長のお取り計らいをお願い申し上げまして私の質問を終ることといたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/91
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092・今井久
○今井政府委員 この東富士に起きました事件につきましては、行政協定十八条によります補償に該当するものと存じまして、その被害等につきましては、さっそく調査をいたしておる次第でございまして、調査完了に基きまして十分補償いたしたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/92
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093・西村力弥
○西村(力)委員 せっかく御答弁下さるならば、それは私は補償の問題を考えておるのじゃないのです。だからその最後の締めくくりとして、補償ということを一生懸命やりますと言われたのでは何だかおかしくなりますので、やはりそうでなくて、今後は絶対にそういうことのないようにということの御答弁と、もう一つは全面的なということの御答弁がなければ、どうも締めくくりが補償一点にしぼられて逃げられるような気がいたしますので、その点はお考えをしっかり置いて交渉願いたいとお願い申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/93
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094・相川勝六
○相川委員長 福井君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/94
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095・福井順一
○福井(順)委員 千葉県の九十九里の豊海射撃場でドロップ・ゾーンというのがあることは御承知と思いますが、このドロップ・ゾーンに七十五ミリ砲を五門一日から据えつけて米軍が射撃しております。これは何の前ぶれもなく突然行われたことでありまして、これは明らかに協定違反だと思うのでございます。そこで再三撤去を申し入れて、射撃をやめるように抗議をしたのでありますけれども、まだ解決がついていないようですけれども、これについて調達庁長官の一つ御見解を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/95
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096・今井久
○今井政府委員 ただいま御指摘になりました九十九里浜豊海の演習場におきまして、去る一日以来ただいまのような事実が発生しておりますことは、私といたしましてまことに遺憾に存ずる次第でございます。この点につきましては、九十九里浜の従来の施設地域が非常に広かったのでございますが、これを縮めまして狭い地域にいたしまして、その際に御承知のごとく、赤トンボを飛ばしまして、その飛ばした赤トンボが落下するいわゆるドロップ・ゾーンというものを設定することにいたしまして、昨年いろいろ話し合いをいたしておった次第でございます。この交渉の経過におきまして米軍と話し合いをいたしまして、昨年の暮れに大体の話し合いが済め、本年合同委員会にかけましてこの話が済んでおりましたところが、その従来のドロップ・ゾーンにつきましての使用方法につきましては、後日さらに協議するまでは今日までの条件によってこれを使用するということで話しておったのでございますが、その点につきまして話し合いの了解が相違しておったのが、ただいま御指摘になったようなことの原因になっているように存じておる次第でございます。私どもといたしましては、去る一日にそのような事実が発生いたしましたので、直ちに極東軍司令部に交渉いたしまして、これらの点についてさっそくやめてもらうように交渉しておるのでありますが、軍といたしましてはこの点についての見解として、使用ができるのであるということで今日まできておりまして、まだ解決を見ておりません。私どもといたしましては、去る一日以来連日のごとく実は米軍の極東軍司令部とも交渉いたしておるのでございます。それでありますから、何らかすみやかにこれが解決をはかりたいというふうに努力をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/96
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097・福井順一
○福井(順)委員 ドロップ・ゾーンというのは御承知でありましょうが、赤トンボ、無人機を飛ばす、そうすると無人機が着陸しなければならない。従来もこれは数回にわたって無人機が事故を起して、一回は民家に突っ込んで二人も死んだこともあるし、負傷していることもあるし、最近も何回か民家の庭先に落ちたりなどして、大へん現地の住民は戦々きょうきょうとしておるような状態であります。そこでどうしてこういうように無人機が民家に墜落したりするのかという原因をただしましたところが、ドロップ・ゾーンがどうも思うように使えないのだ、あそこに揚繰の船が置いてあって、それをよけて着陸をさせようと思うと、機械の傑作であるからなかなかうまくいかない、そこで何とかこのドロップ・ゾーンから船を取りのけてくれないものかというような交渉が米軍からありまして、これは今井長官就任一年ばかり前の話でありまして、前の長官時代でありますが、私はそのことも詳しく実は存じておるわけであります。そこで御承知のようにあなたが長官の代になりましてからも再三の交渉を重ねて、やっと現地住民の妥協によりましてドロップ・ゾーンというものができたわけであります。でありますから、米軍が言ったことがほんとうとすれば、もうドロップ・ゾーンは十分に広くなって、無人機の着陸も容易である。それにまた砲座など握え付けるということは、これは本来の目的に反するわけで、またまたドロップ・ゾーンが、着陸するところが少くなるわけでありますから、これは非常に危険な状態が予想されるわけであります。ドロップ・ゾーンが、船があって思うように着陸ができないということでありましたから、そこに砲座を据えるということになれば、これまた大へん無人機が危険な状態、まあ着陸が非常に困難になるわけでありますから、いつ民家に墜落してこないとも限らないというような、非常に危険な状態であります。ところが米軍は、何の前ぶれもなく七十五ミリ砲を五門も据えて、どかどかと一日から撃ち始めたということでありますけれども、一体調達庁はそういうことに対しまして、たえず米軍と、連絡官もいるわけでありますから、連絡をとっておられるわけであります。こういうことがどうしてわからないのか。私がつらつら基地問題を考えてみまするというと、基地問題が全国的にかくのごとく紛争を来たしたゆえんのものは、しかも非常に全国的に拡大し、基地闘争が激化し深刻になったゆえんのものは、すべてこれ米軍と日本側との連絡不十分による原因が多いのであります。またまたまのあたりにこの九十九里射撃場の問題を見るに及びまして、一体調達庁は何をしておるか、怠慢じゃないか、やることをやっているのか、米軍といつも連絡をしておるのか、私はこういう攻撃をしたいのでありますけれども、今井長官のような、りっぱな御人格者で、非常に職務に御熱心なうわさを承わっておりまして、たえず私が敬服している方に向ってこういう攻撃を私はしようは思いませんけれども、あなたの下僚の人たちが十分に米軍と折衝し、連絡を保っておるかどうかということを、はなはだしく私は疑いを持たざるを得ないのであります。この点につきまして、一つ御答弁を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/97
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098・今井久
○今井政府委員 九十九里浜の事柄につきましては、私自分の在任しておりません過去の事柄につきましても、着任いたしましてからいろいろお話も聞きましたし、自分自身検討いたしたのでございます。ただいま御指摘になりました通りに、この無人機が民家に落ちましたために非常に御迷惑をかけておることも事実でございまして、それらの点につきまして、今後事故のないように今日までやって参っておる次第でございます。今御指摘になりました通りに、いろいろ私どもの監督が行き届きませんために御迷惑をかけておる次第でございます。私どもといたしましては、実は正式の委員会といたしまして施設委員会というものがございまして、施設の提供、返還等をいたしておりまして、これが窓口となって私ども従来交渉しておりますが、ときによりますと、なかなかその施設委員会だけで十分でないので、現地部隊までわれわれがやはり交渉しなければならぬというようなことも起るのでございまして、私どもの部下の者といたしましては、全力をあげまして、そういう現地部隊までも、いろいろ連絡をして今日まできております。ただいま御指摘になりましたような事故が発生いたしまして地元に御迷惑をかけておることは、私どもとしてもまことに申しわけなく存じておりまして、今後十分一つ部下を督励いたしまして、そのような事故のないように努力いたしたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/98
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099・福井順一
○福井(順)委員 調達庁はさっそく米軍に撤去方を申し入れられたようでありますが、米軍はそれをドロップ・ゾーンでも射撃ができるのだという見解のもとに、相変らずやっておるということを聞いておりますが、一体どうしてこういうような食い違いができるのか、私はこれは非常に不思議に思うのです。これは一豊海だけでなく、全国各地の基地によくそういう現象が現われておるわけであります。米軍と日本側の見解の相違で、米軍がやってきて、どかどか射撃したり、演習したりするようなことがあるのでありますけれども、一体どういうわけでドロップ・ゾーンに高射砲を据え付けてどんどん射撃できるというように米軍が解釈したか、ドロップ・ゾーンを作りますとさも、相当これは困難な状態のもとに、いろいろと話し合い、相当長期間にわたって交渉したわけでありますから、米軍はよくそれは承知していなければならぬはずであります。これはドロップ・ゾーンとして使用できるだけであって、射撃場として、砲座を据え付けて射撃することはできないということは、よくこれは承知しておるわけでありまするが、それにもかかわらず、調達庁の申し入れに対して一顧だに与えないで、とにかく射撃ができるのだといって、いまだに撤去をしないということは、どうも私にはわけがわからない。また四日午前十一時四十分に、米軍の第四十旅団長のラッセル準将が同射撃場に来たので、須藤県外事広報課豊海駐在員が、協定違反だから早く大砲を撤去してくれということを、現地で準将に対しても申し入れている。それにもかかわらず撤去しない。そうしてこれは施設委員会に待ち込まれたというような話でありますけれども、その間の事情は一体どういうわけなのか。そうして、だれがその衡に当って、どういう話をして施設委員会に持ち込まれて、いつ撤去ができるのか、その見通しを一つお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/99
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100・今井久
○今井政府委員 その点につきましては、去る一日にそのような事故が発生いたしまして、私どもといたしましても非常に驚きまして、直ちに施設委員会に申し出たのでございます。ちょうど施設委員会の米側の議長をしておる参謀次長の人が不在でございましたので、その次にあたる大佐の人にすぐ申し入れました。従来話し合いをしておるのとは非常に違うではないかといって申し入れをした次第でございます。その施設委員会としては、直ちに現地部隊の方にも連絡をいたしたようでございます。先ほど申し上げましたように、別に取りきめをするまでは、従前の例によってこれをきめるということにつきまして、私どもの方で折衡をいたしております者と、米軍との間の了解が違ったものではないかというように実は思うのでございます。私どもとしては、先ほど申し上げました通り、連日実は折衡をいたし、私のみならず上司にも申し上げまして、努力をいたしておる次第でございますが、今日解決を見ませんことは、はなはだ実は遺憾に存じておる次第でございまして、全力をあげまして努力をいたしていきたい、かように存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/100
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101・福井順一
○福井(順)委員 御答弁がははだ核心に触れなくて要領を得ないうらみがあると思いますが、これも長官としては事件が起きたばかりで、ごもっともかとも思われますけれども、基地の性格というものは、もう長官よく御存じの通りで、これは何かちょっとしたことがあっても大きく取り上げられがちであります。最近の流行といっては悪いのでありますけれども(「失言」と呼ぶ者あり)流行とは申し上げませんが、そういう風潮にあるわけであります。それは何ゆえに、そうちょっとしたことでも非常に大きく、センセーショナルに取り上げられるかというゆえんのものは、これはやはり日本とアメリカとの関係、それからアメリカに対する日本国民の感情などがあるのでありますから、調達庁長官といたしましては、日本人のアメリカに対する感情というようなこともよく一つ勘案されまして、そしてよほど熱心に一生縣命にやられないと、思わない事態が発生してくると、私は御忠告申し上げたいのであります。豊海などにいたしましても、これは終戦直後どかどか米軍がやってきて、そして砲を据えつけて打ち始めた。これは終戦直後のことでありまするから、日本人は何も言わなかった。そして現在に至っておるのでありまして、あの人家の櫛比したところで、砲座からわずか数十メートルのところへ人家があるのでありまするから、ここで毎日どかどかやられるということは、ほんとうならばこれは人道上も由々しい大問題であります。それでも日本が敗戦によってある程度のがまんをしなければならないというような、これは住民の気持もありまして、今まで話し合いのもとに、事故が起きましても解決をつけてきております。私どもも地元の代議士といたしまして、大いに骨を折って、地元民の感情を抑えるために、融和するために、また補償その他によりましていろいろと骨を折ってきております。またそれかあらぬか、とにもかくにもどうやら現在まで、そう大したこともなく続けてきたのでありまするけれども、調達長官におきましては、ぜひともその点をよくお考えになって、こういうことが今後再々あるならば、地元の住民はおそらく承知しないだろう。日本が独立国となり、そして国連にも加盟して、完全に国際社会に復帰して、日本人の独立自尊の精神もなかなか今旺盛になってきております。またこういう基地の実態を冷静に見きわめるところの客観的な眼もできてきております。現地の漁師や農家の人たちにも、そういう眼もできてきております。でありまするから、特にこういうことば今後ないようにしていただきたい。私がここで申し上げるまでもなく、こんなことがあるというと、これはどんな事態が発生してくるかわからないのであります。私が非常に不思議に思いますのは、再三こういうことがあるにもかかわらず、いつも唐突に事件が起きて、あとで調達庁で、一体米軍はどうしてこういうようなことをしたのだということを米軍に申し入れられるというようなことで、米軍と調達庁との話し合いができていなければならぬはずなのが、どうしてこういうことになるのかというわけでございますが、その点について何か制度の不備であるとか——たとえば施設特別委員会、こういうところで事前によく打ち合しておかなければならないのが打ち介していないとか、あるいはそういう制度がないとか、そういった制度の不備というようなことはございませんか。その点、一つ承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/101
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102・今井久
○今井政府委員 ただいま御指摘になりました通りに、私どもこの事件が起きまして、実は非常に心配をいたしておる次第でございます。今後このようなことのないように、あらゆる検討もいたし、それに処する努力もいたしたいというふうに考えておる次第でございます。ただいま御質問になりました、制度について欠陥があるのではないかというお話でございましたが、私どもといたしましては、非常に広範な、いろいろの面に対しまする折衝事務が、あるいは米軍に対し必要であり、あるいは国内の各省に対する関係で必要であります。それで実は調達庁としても、日々非常に努力はいたしておりますが、各方面にわたる問題でありまして、そのために、ときにただいま申し上げたようなことが起きまして、その点はまことに遺憾に存じておる次第でございます。私どもといたしましては、制度としては施設委員会というのが、先ほど申し上げた通りございまして、米軍の司令部の中に施設委員会を構成する組織がございまして、私どもの方といたしまして、従来それと交渉をしておるのでございますが、さらに軍におきましては、現地の部隊、第一線の部隊というものが別にあるのでございます。施設委員会からさらに第一線の部隊にいろいろな問題が伝えられるということでございまして、とかくこのような行き違いが生じますのは、そういうような米側におきます窓口とわれわれが主として折衝をしておるという関係もあるのではないかと存ずるのでございまして、私どもといたしましては、さらにできれば第一線の部隊ともときによって交渉をし、そういうようにして十分徹底をはかっていかなければならぬというふうに実は考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/102
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103・福井順一
○福井(順)委員 これはもう再三のことで、何かそこに欠陥があると私は思います。どこの基地問題も、そういうことが非常に起きております。かつて私が板付の飛行場に当内閣委員会から派遣されまして、正式に調査に行ったことがございます。そのときに、向うの司令官に会って聞きますと、飛行場のエプロン地帯を今度拡張するという、それから何か標識を二、三千メートル滑走路の先の方へ立てるの、で土地の買収をしなければならない。それから山の中のドラムカンの貯蔵所の問題などにつきまして、私たちに初めて話をしたのでございますけれども、福岡の調達庁の職山県さんはそれを知らない。それはもう初めて聞きましたと言うのです。ですから、その地方にいて、絶えず米軍司令官などとは会っていなければならない職員が、そういうことを知らないで、私たちが行ったときに初めてその拡張計画というものを聞いて、実は非常に驚いた。これはまたえらい問題が起るといって非常に驚いたようなわけでありましたけれども、何か調達庁のやり方に徹底を欠いた、積極性を欠いたうらみがありはしないか。これは今井調達庁長官は、大へん御熱心なりっぱな調達庁長官であるといううわさの高い人でありまするから、ぜひともその点は、もう一ぺん部内について御研究願いたい。でないと、こういう問題がまた起きます。また起ると、これは枯草に火がついたように基地闘争というものがつまらないところから激化してくるかもしれない。私たちは日本人が骨肉相はむこういう基地闘争をしないように、絶えず留意いたしまして、地元においては、現地の住民に冷静に事に当るように、これはよく話をいたしております。ですから、そういう面におきましてもぜひ一つ調達庁の職員に、いま一段と米軍とよく連絡を密にして、そうして米軍の計画は細大漏らさず話をしてもらうようにして、やっていっていただきたい。それでなければ、何かここへまた一つそういう連絡委員会のようなものを特設されて、全国基地についてはすべてそこで相談をした後でなければやらぬということにしていただきたい。それでもなおかつ米軍が独断専行をやるならば、これは米軍に対して、まっこうからわれわれは戦わなければならぬ、こう思っておりますが、その点につきまして、もう一度長官にお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/103
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104・今井久
○今井政府委員 従来の例によりまして、ただいま御指摘になりましたような第一線の私どもの方の局が、米側との連絡が非常に悪いために、知っておかなければならぬ事柄を知らないでおるというようなことは、これは私まことに遺憾であると存じておる次第でございます。私は先日も全国の調達局長が集まりました際にも、私どもの考えておりますところの考えが、第一線の調達局に十分徹底することが必要であるということを述べますとともに、米側との交渉、米側の状況等が十分中央に反映してくる必要があるということを実は特に述べまして、今の点について今後調遠洋が一丸となって働く組織を持たなければならぬということを強く要望しておいたのであります。ただいま御指摘になりましたようなことがありますることは、まことに遺憾であり、私どもといたしまして、それらの点は今後十分面していかなければならぬということを固く感じます点でございまして、十分気をつけてやっていきたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/104
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105・福井順一
○福井(順)委員 先ほどの現地の話に戻りますが、ドロップ・ゾーンにまた砲を据え付けていたとすれば、どの程度か、現地を調査しないとその事情をつまびらかにしないのでございますけれども、いずれにいたしましても、危険性は相当高まったものと思わなければならない。無人機が再び民家に突っ込んだり、あるいはまた高射砲の弾片によって人が損傷されるようなことがあったならば、これは私はゆゆしい問題だと思う。これは人命に関する問題でありまするから、特に私はここでくどくどと申し上げるわけであります。どうか長官におかれましては、米軍にそのことをお話しになりまして、一刻も早く本問題を解決していただきたい。施設特別委員会で結論がつくまではどうにもしようがない、そういうふうに調達庁長官が言われたということが新聞に書いてありますが、これは新聞の報道でありまして、あるいは誤まりかもわかりません。誤まりであるように私は祈りますが、とにかく一刻も早くこの問題を解決されるように、砲座を引っ込めて、そうしてもとの約束通りのドロップ・ゾーンに返していただくように、ぜひ一つこれはおやりになるように要望する次第であります。
それからこれは同じ射撃場の問題ですが、高射砲を毎日どかどか撃つので、その高射砲の爆音や、そのたまが水中に入った水中音によって、魚族が九十九里に回遊してこないのではないかというようなことがいわれました。それかあらぬか、大へん長い期間にわたって九十九里は不漁でありまして、それはもう御承知のように、再々週刊誌、新聞あるいはラジオなどで伝えられておるように、赤貧洗うがごとく、全くその日も食えないというような生活を漁民は長年してきたのであります。なぜ昔のように魚族が回遊してこなくなったかという原因については、いろいろいわれておったのであります。たとえば冷い水のポケットがあって、そのためにそれを迂回するから魚族が回遊してこないとか、またいろいろ潮流が変った関係だというようなことがいわれておりましたけれども、私どもはこれは科学的な調査をしなければならないということから、一番最初には東大の末広恭雄博士にお願いして、——これは私どもが一番最初にやったのでありまするが、それで失敗し、その後も叫び調査をしていただいて、今度はようやくその結論が出た。それによりますると、イワシの魚群は砲声や、あるいは高射砲の弾片が水中にもぐる水中音がすると、回遊してこない、非常な影響を与えるということがわかったのであります。そういたしますと、九十九里の漁民を赤貧洗うがごとき状態に立ち至らしめた十年来の不漁の原因というものは、やはり米軍の実弾射撃にあったのかな、こういうようにも思われるわけでございます。これはそうでないということは言えない。日本一の魚の権威であるところの末広恭雄博士が、科学的な精細なる調査に基いて出した結論でありまするから、これは全部とは言わなくとも、何十パーセントか何パーセントかは明らかに不漁に影響がある、不漁の原因になっておるということを断言してはばからないと思うのであります。今まで射撃の時間に漁ができないために、漁民が補償を受けております。これは陸上補償は長い冊数年間地元民の要求であったのでありますけれども、全然顧みられなかった。それをやはり私が本委員会でも大いに質問し、科学的な裏づけがなくてはいかぬということで、県や町村で金を出し合って、東大生産技術研究所にお願いをして、いろいろその被害の程度を科学的に調査をいたしまして、相当な損害があるという裏づけを得ましたので、調達庁長官にもいろいろと交渉をいたしまして、昨年千八百万円の陸上補償をいただいたのであります。これは昨年まではどうやら解決がついたのでありますが、魚族の回遊に高射砲の射撃が影響があるということになれば、今まではそういうことで補償をいただいておらない。これは漁に出ることができないから、漁民は補償をしてもらったのでありますけれども、魚が海岸に来ないから魚がとれないということで補償を受けておらないので、新しくここに補償の対象としての射撃問題が起きてきたのでありますけれども、これについてどういうお考えでおられるのでしょうか。これは補償問題について大きな一つの要図が判明したわけでありますから、大へん大事な問題だと思うのであります。御見解を一つ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/105
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106・今井久
○今井政府委員 ただいまお話のございました高射砲の爆音が魚族に及ぼす影響につきましては、先般も福井さんから当委員会で御質疑がありまして、お答えしたことがあるように記憶しておる次第でございます。この問題につきましては、東大の末広教授が中心になり度して調査をされておるということを私どもも聞いておるのでございまして、その調査の結果等も私どもは十分拝承していきたいと考えております。調達庁といたしましても、来年度の予算におきまして、この高射砲の爆音によりまする影響の調査費を予算としても要求してもらっておりますので、調達庁といたしましても十分調査いたしまして、その調査の結果影響があるものであるということに相なりますれば、それに応じまして補償の点は十分考えていきたいという考えを持っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/106
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107・福井順一
○福井(順)委員 これは私ども千葉県九十九里海岸のみでなく、先般もこの委員会に、伊勢湾の伊良湖岬に対潜水中機器を据え付けて、これで電波を出すと、魚族が回遊してこなくなるので、漁民は漁が全くできなくなる、生活権を奪われるものであるというような陳情も受けております。
〔委員長退席、大平委員長代理着席〕
まだほかにも全国的にたくさんこういうところがあると思うのでありますが、これはぜひ一ついいかげんなことでなく、末広博士がいろいろ科学的な調査をされましたように、調達庁といたしましても、この問題は全国的な問題でありますから、科学的にしっかりした、しかも精密な調査をして、そしてここへ基本を立てておかれないと、この問題はまたいろいろ拡大して起きてくると思います。どうか一つそういうことにはあまり費用を惜しまないようにして、科学的な調査をされて、対策を立てられるよう切に要望する次第です。御所見を承わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/107
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108・今井久
○今井政府委員 ただいまお述べになりました通りに、これらの影響につきましては、調達庁といたしましても、科学的に十分調査をいたしまして、その結果によりまして、補償の点についてさらに検討する必要ありと認めます場合には十分考慮していきたいという点につきましては、十分の熱意を持っていることを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/108
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109・大平正芳
○大平委員長代理 次会は来たる十二日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後三時十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X01519570308/109
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