1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年三月二十五日(月曜日)
午前十時三十五分開議
出席委員
委員長 相川 勝六君
理事 大平 正芳君 理事 床次 徳二君
理事 福井 順一君 理事 保科善四郎君
理事 山本 正一君 理事 石橋 政嗣君
大坪 保雄君 大村 清一君
北 れい吉君 薄田 美朝君
田中 龍夫君 田村 元君
辻 政信君 藤枝 泉介君
船田 中君 眞崎 勝次君
茜ケ久保重光君 飛鳥田一雄君
淡谷 悠藏君 今村 等君
木原津與志君 下平 正一君
中村 高一君 松原喜之次君
西村 彰一君 西村 力弥君
出席国務大臣
国 務 大 臣 小滝 彬君
出席政府委員
防衛庁次長 増原 惠吉君
防衛庁参事官
(長官官房長) 門叶 宗雄君
防衛庁参事官
(防衛局長) 林 一夫君
防衛庁参事官
(教育局長事務
取扱) 都村新次郎君
防衛庁参事官
(人事局長) 加藤 陽三君
防衛庁参事官
(経理局長) 北島 武雄君
防衛庁参事官
(装備局長) 小山 雄二君
委員外の出席者
専 門 員 安倍 三郎君
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三月二十五日
委員茜ケ久保重光君、稻村隆一君、木原津與志
君及び下川儀太郎君辞任につき、その補欠とし
て下平正一君、今村等君、西村彰一君及び松原
喜之次君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員下平正一君、今村等君、西村彰一君及び松
原喜之次君辞任につき、その補欠として茜ケ久
保重光君、稻村隆一君、木原津與志君及び下川
儀太郎君が議長の指名で委員に選任された。
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三月二十五日
雇用審議会設置法案(内閣提出第二八号)(参
議院送付)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
防衛庁設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第二六号)
自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出第
二七号)
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001・相川勝六
○相川委員長 これより会議を開きます。防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案の両案を一括議題とし、質疑を続行いたします。石橋政嗣君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/1
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002・石橋政嗣
○石橋(政)委員 一昨日御質問いたしました点と若干関連があるわけでありますが、自衛隊はわが国の独立と平和並びに国の安全を守る、そのために直接侵略あるいは間接侵略に対してこれを防衛する任務を持っておるわけでありますが、このような任務を持った自衛隊を持っておるわが国に、国防の基本方針がないという面で、私は非常に納得がいかないわけであります。何はともあれ、国防の基本方針というものは早急に確立しておかなくちゃならないと思うわけでございますが、その点先日も申し上げたように、どうも納得かいかないので、なぜ早くこれを確立しようとなさらないのか、単に時間がないとかなんとかいうようなことでおろそかにされていいような問題とは違うと私は思うのでございますが、その点から一つ御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/2
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003・小滝彬
○小滝国務大臣 確立しようとしないのではなくして、できるだけ早く確立しようという気持で現在も作業を続けておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/3
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004・石橋政嗣
○石橋(政)委員 防衛庁自体にはこれまた基本方針の案に当るものがあると思うのでございますが、それではそれを最初にお伺いいたしておきましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/4
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005・小滝彬
○小滝国務大臣 抽象的には今までもいろいろこういうことを限度として、またこういう年度を目途としてということを申し上げておりましたが、防衛計画と申しますと、もちろん部隊関係のこと、また防衛産業の関係、一般国策との関係も非常にございますので、その点ではっきりと固まったものはないのでありますが、すでにここでも再三御説明申し上げましたように、従来の防衛庁限りの案というものにつきましては、さらにその後の情勢及びいろいろな考慮すべき要素の変化に伴いまして、さらに検討いたしまして、これを国防会議にかけて確定するようにいたしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/5
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006・石橋政嗣
○石橋(政)委員 私のお伺いしておるのは、きょうは防衛計画ではないのです、国防の基本方針なんです。防衛の任務を負った自衛隊というものがあるのに、そういう自衛隊を持っておる政府に国防の基本方針がないというそんなばかげたことがあってよいのか。国防を持っておるからには、国防の基本方針に当るような案というものが当然あるのじゃないかということをお尋ねしておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/6
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007・小滝彬
○小滝国務大臣 これは非常に抽象的になるかもしれませんが、御承知のように、これまで総理もまた私も申しましたように、日本の防衛の基本的な考え方としては、今国連にも参加したことであり、国連を中心とするところの集団安全保障の機構というものができ上ることを期待し、同時に平和外交を進めまして、この国防関係についての全体の情勢をよくするということをやっておりますが、しかし何としてもまだ国連の集団安全保障機構というものができておらない現在においては、現存の日米安全保障条約というものによりまして、日米の共同防衛ということに最終的には頼らざるを得ないという実情であります。しかしながら同時に日本といたしましては、この国力に応じた最小限度の必要な自衛力を育成していく、こういう精神でございまして、その漸増に従いまして、米国との関係も漸次調整せられていかなければならぬ、こういうのが抽象的に言えば自衛隊の国防についての大体の基本的な考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/7
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008・石橋政嗣
○石橋(政)委員 昨年の四月本委員会におきまして船田長官が、やはり今長官がおっしゃったと同じようなことをおっしゃっておるわけです。というのは、自由民主党が結成されたのは一昨年の十一月十五日ですか、そのときの政策大綱の中に国防の基本方針に当るものが盛られておる。その内容は今御指摘の通り、わが国の国力及び国情に相応する最小限度の自衛体制を整備して、外国駐留軍の徹退に備えていく、これが基本政策だ、しかし一足飛びにそこまではなかなかいけないので、暫定の措置として日米安全保障条約の規定による日米共同の防衛体制を今のところやっていくんだ、これのことだろうと思うのでありますが、そういう基本方針を一応お考えになっておるのですけれども、それをなぜ国防会議にかけて正規のものにできないわけなんですか。自民党の政策だ、与党の政策だ、あるいは防衛庁限りの考えだ、一応お尋ねすればそういう考えを防衛庁も自民党も持っておられる。それをなぜ国防会議の正式の議題として、わが国のしっかりした法に定められた国防の基本方針はこれだということを内外に声明できないのか、その疑問を私一昨日から投げかけておるわけなんです。その点一つわかりますように御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/8
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009・小滝彬
○小滝国務大臣 政府の方針といたしまして、今申しましたような大体の基本的な考え方を持っており、それは随時国会において御報告申し上げ、また演説等においても述べておるところでございますが、御指摘のように、これをはっきり国防会議にかけて一つの決定とするということは、これはぜひやらなければならないところと存じます。これまで二回ばかり開かれたようでありますが、私就任いたしましてからまだその取り運びになっておりませんので、この点はできるだけ取り急いで国防会議にも諮りまして、今の趣旨を徹底いたさせたい、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/9
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010・石橋政嗣
○石橋(政)委員 長官は就任されて二ヵ月くらいかもしれませんけれども、国防会議はできましてからすでに八カ月、内閣は同じ自民党の内閣なんです。少しも変らない、政策的にも継承しているんだということを岸さんはおっしゃっておられる。それにもかかわらず、設立後八カ月間になるこの国防会議で、大切な国防の基本方針を議題に供すことができないということは、ただ時間がないとかなんとかいうことでは国民は納得いたしませんですよ。私も納得できません。よほど何か事情がないことには、国を守る基本方針がきめられないというりくつにはならぬと思うのです。しかもその時間も八カ月ある。あなたの代になってはないかもしれませんが、その前にすでに鳩山内閣もありましたし、石橋内閣もあったわけなんです。なぜ見送ったのか。私はあなた個人にお尋ねするというのでなしに、自民党の一員であり、しかも現閣僚の席を占めておられるあなたに、もっと連帯感の上に立った御説明を願いたいわけです。あなた個人を私攻撃しているわけではございませんので、そういう意味で一番大切な国防の基本方針をなぜ今まで天下に明示できないのか、国民にも示されないのか、そこのところを納得できるように一つ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/10
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011・小滝彬
○小滝国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、今申し上げましたような基本的な方針は、自民党においてもこれを承認しておるところであり、始終天下にこれを公表しておるところでありますので、それはもちろん今御指摘の国防会議の決定という形式はとっておらなくても、国民多数の支持を受け、政府がこれをすでに方針として掲げておるところでありますから、国防会議にこれを出します以上、これはむしろ前文的な役割をする基本方針であって、それにもう少し掘り下げたものを審議していただこう、こういう趣旨でこれまで問題にもなりました比較的長期の計画というようなものもこれに付帯して直ちにそれを具体的な中身としてつけなければならぬ。こういう必要もあって、今日までこの方針だけを特に切り離してかけるということはなかったようでありますが、しかし一昨日も岸総理が申しておりますように、国防会議はこうした問題をかけて決定を見たいという方針で進んでおりますから、これも当然その際の基本的な考え方といたしまして、そこに付議せられることはもちろんであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/11
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012・石橋政嗣
○石橋(政)委員 与党である自民党に国防の基本方針がある。防衛庁の長官も再々この国防の基本方針については言明をしている。だからそう急がなくてもいいのだということになりますと、国防会議の権威というものを著しく失墜すると私は思う。われわれはこの国防会議設置法が委員会にかかりましたときにも何度も言っておった。一体屋上魔を重ねるような国防会議が必要なんでございますか。しかも少数閣僚で構成する国防会議なんていうものは、作ってみたところで何の意味もないじゃありませんかということを、再々お尋ねしたときに、いや絶対に要るのだ。しかもそれは緊急に要るのだということで、野党の反対を押し切って一挙にこれを作っていったわけです。杉原さんのごときは、これができなかったばかりにおやめになるというほど、重大性を帯びておったと思うのでありますが、発足後の国防会議なるものを見ておりますと、少しもその重大性や緊急性がわれわれにぴんとこない。まるで何のために作ったのか、あんなにまで大騒ぎをして何のために作ったかさっぱりわからぬ。今のあなたのお話でも、もうすでに自民党あたりで、あるいはわれわれがしょっちゅう言っているからかまわないのだ、国民はわかっているのだという口ぶりでありますが、私はそんなものではなかろうと思う。少くとも国防の基本方針というものは国防会議にかけなくてはならないとなっている。それほど重大なものを一日も早く国防会議にかけるという努力をなさらない。日ごろあなたたちがおっしゃっておるような、わが国の国力及び国情に相応する最小限度の自衛体制を整備して外国駐留軍の撤退に備えていく、こういった基本方針を直ちに国防会議に上程して確認を願うことができないような条件がほかにあるのかどうかということをわれわれとして疑わざるを得ない。そういう条件がないのならばスムーズにこの点だけでも早く国防会議を開いて、ぱさっと確認されて、内外にこれを宣明するということがどうしたって必要になると思うのでありますが、何かそういう手続ができないような情勢があるのか、そこのところを一つわかりやすく説明して下さいと申し上げているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/12
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013・小滝彬
○小滝国務大臣 特別な事情があってこれをきめるというのではなくして、これは総合的に各省の関係も調整しなければならない点もありまするので、ただきわめて抽象的な方針を掲げるというのではなく、せっかく国防会議にかけますからにはそれをさらに敷衍したものにしなければならないというような関係からいたしまして、今日までこれが国防会議としての決定になっておらないものと考えます。しかし御指摘の点は私も同感いたすものでございまして、この点は再三申し上げておりまするように、できるだけ早い機会に国防会議にかけるようにいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/13
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014・石橋政嗣
○石橋(政)委員 私、もっと率直にお話願っていいのじゃないかと思うのです。岸総理の方があなたよりも率直にお話になっておられます。というのは、私土曜日にこの中央公論の、岸さんが外務大臣時代のいわゆる座談会でお話になったことを朗読いたしまして、この気持にお変りございませんかと尋ねましたら、大体変りない、その通りだとおっしゃっておるのです。それを読んでみますと、岸さんは明らかに日本の防衛の基本方針というものが明確でないのはよろしくない、こういうことを言っているのですよ。これが明確でないから、年々歳々アメリカの大使と日本の外務大臣とがどうするか、こうするかというような防衛折衝なんというものをやらなくちゃならぬ、これでは非常にまずい、早く日本で基本方針を打ち立てて、その基本方針を打ち立てる際には事前にアメリカとも話し合おう、しかし立ててしまったらあくまで自主的にやらにゃならぬということをおっしゃっておるわけなんです。私は、これが一番おくれておるかぎじゃないかと思うのです。アメリカとの意見の調整といいますか、立てるまでに調整すべき点、合意に達していないという点がやはりおくれておる一番の原因じゃないか、岸さんのおっしゃっておられるのも、私はその通りに受け取っていいのじゃないかというような感じがするわけでございますが、その点いかがなものでございましょうか。何だったらもう一度読み上げてもいいのですけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/14
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015・小滝彬
○小滝国務大臣 これはもちろん日米共同防衛というような建前でおりまする以上、いろいろ当局間で話し合いをすることはございまするけれども、そういうことが理由で、今私が簡単に申し上げました程度における基本方針というものについて、そう困難があろうはずはないのでございます。ただしかし、これをさらに具体的な問題にも当てはめて検討するという段になりますると、いろいろ準備も要りますし各省間の意見の調整ということもございますので、そのため今日まで長引いてきておるというのが実情だと私は了解しておるのでありまして、そうした特に今御指摘のような理由からして、今日までそれができなかったということはないものと私は確信いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/15
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016・石橋政嗣
○石橋(政)委員 ちょっと部分的に読んでみますと、津さんのおっしゃっておることは、「漸増方針を、どういうテンポでどういうふうにやっていくのがいいかということを、十分事前に話合い、そして日本の国力とにらみ合せて自分できめ、その上でアメリカの方へよく説明して諒承を求めるというだけでいいのであって、いわゆる防衛折衝というものはすべきでないというのが、私の防衛問題に対する処理の方針なんです。」こうおっしゃっておるのですところがさっきから御確認になっておりますいわゆる自民党の基本方針というものは、何度も申し上げておるように、わが国の国力及び国情に相応する最小限度の自衛体制を整備して、外国駐留軍の撤退に備えていく、こういうことなんです。ところがこのわが国の国力及び国情に相応する最小限度の自衛体制というものがどの線でとどまるものか。防衛庁の試案でいくと、陸上が十八万、海上十二万四千トン、空軍が千三百というものを持っておる。ところがその線が、どうもまだアメリカと完全に意見が調整されておらないのじゃないか、この岸さんの発言からいってもそういう疑問を持ってくるわけです。それから外国駐留軍の撤退に備えていく、こういう目的も持っているわけなんですが、アメリカはわが国の国力、国情に相応した最小限度の自衛力というものが一体どれくらいかという日本の防衛庁の案というものを認めない、認めないからこれにマッチした撤退というようなこともなかなか確実に把握できない、それで米軍の承認を得るようなものが出てこないというのでおくれているのじゃないか。岸さんのこの発言からいっても、この発言は私土曜日の委員会で岸総理から御確認願っているのですが、これから推しても、やはり日米関係の意見の調整がどうしてもできないというところが、国防の基本方針あるいは防衛計画の大綱を国防会議にかけて最終的に日本政府の独自のものとして打ち出すことができないガンになっているのじゃないかという感じがするので、その点明確に一つ言っていただけばそれなりにわれわれは納得するのです。だからそれをやるために岸さんははるばるアメリカまでお出かけになるのだなということもわれわれはわかるし国民も岸さんがアメリカに行くということを一応防衞の問題に関してはすっきりとのみ込めるわけなんです。そういう点で、土曜日から岸総理には御確認願っておるが、担当の大臣であるあなたにも一応この線をはっきりとお関きしておきたいと思ってさらにお尋ねしておるわけですから、もう少しそこのところを御説明願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/16
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017・小滝彬
○小滝国務大臣 最初私の申し上げた点にまた触れることになりますけれども、今国防の基本方針ということをおっしゃって、しかし今お読み上げになったところを聞くと結局防衛計画の具体的なものに触れた点がございます。でありますから基本方針だけでもやったらいいじゃないかとおっしゃったことに対しては、基本方針については大体常識的に考えましても、もちろん石橋さんの御意見は違うけれども、われわれの方はさきに説明した程度のもの以上には出ない、ただ国防会議におきましては、今御指摘のような防衛計画というような点もございまするし、今日まで基本方針だけを別個のものとして取り扱わなかったものと私は了解するということを申し上げたのであります。ただ、今御指摘のような防衛計画の面になりますれば、もちろん当事者間で共同防衛の建前をとっております以上話し合いをすることはありまするし、また相互に意見を交換しておくことが今後の計画を円満に推進していく上に好都合でありますから、そういうことは当然いたしております。しかしながら日本の方で自主独立の立場で日本の防衛というものを考える際に、もちろん友好国の考えも参考にはいたしまするが、しかし向うは強制すべき立場でない、あくまで日本のものは日本できめなければならぬ。それに基いてまた先方は先方の計画をあるいは多少変更しなければならないが、しかしこちらの立てるものについて向うがあくまでもがんばるからこれができないというようなことは私は絶対にない、また事実私就任いたしましてからもそういうことには絶対に遭遇いたしておらないのであります。ただこれに関連して相互に話し合いをするということは必要なことと思いまするけれども、それが今日まで延びた理由であるというようには私は考えないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/17
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018・石橋政嗣
○石橋(政)委員 まだよくおわかりにならないようですが、それは日本が全く独立して自主的な立場で国防というものを考え実行するならば、これは国防の基本方針も防衛計画の大綱も切り離してできるのですよ。しかしそういう立場をとっておらない。あくまで日米の連帯の上に立った防衞というものを考えられておるところにこの不可分という問題が出てくると私は思うわけです。今アメリカの方の承認とかそんな問題じゃないのだ、独自でできるのだとおっしゃいますけれども、それも私はあまりに詭弁に過ぎるような気がする。一昨年重光さんがアメリカにお出かけになりましたあとに、いわゆる日米共同声明というのが発表された、その内容を御記憶だと思いますが、参考のために思い出していただきますと、外務大臣は日本の防衛当局によって最近策定された防衛増強に関する計画を説明した。これがいわゆる防衛庁の防衛六カ年計画試案なるものである。そのあとに「右の諸計画は東京における日米防衞関係に関する継続的協議の過程において検討され、かつ戦略的要請を考慮して、随時再検討すべきことが同意された。」、これは一方的なものでないにしても、アメリカの意向を無視してはきめられないということを、日米共同声明ではっきり言っておるじゃありませんか。ところがその後この「継続的な協議の過程において検討され」というものの、当時考えられたような混合軍事専門委員会とか何とかいうものも作られておりませんし、結局声明のしっぱなしというふうな格好になっておるところに、私はこの長期防衛計画の策定なり、国防の基本方針の確立なりがおくれている原因がありはせぬかと思う、なかなか合意に達しないのではなかろうか、そういう疑問を持ってお尋ねしておるわけであります。一昨年の九月一日に発表されたこの重光渡米に伴う日米共同声明で言われておるにもかかわらず、すでに一年半、このときの情勢から進展したものは何もないじゃないか、それはやはり日米合意に達しておらないのじゃないか、そういう感じがするわけです。いかがですか、このときから少しは進展しているのですか、日米の意見の調整に当って。進展しているとすれば、岸さんがわざわざお出向きになる使命もだいぶ意義が少くなるような感じが私はするのです。進展していないからこそ総理みずから乗り込んでいって、高い立場からこの問題を一つじっくりと話をして合意に達するように努力しょうというようにお考えになっておられるのじゃないか、こういうふうに思っておるわけですが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/18
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019・小滝彬
○小滝国務大臣 総理も一昨日申しましたように、われわれとしてはその方針を立てて、そうしてその後渡米をするということをはっきり申しております。もちろんお互いに話し合って、相互の了解を遂げることは必要であります。現に装備等につきましてもいわゆるMSA協定に基くところの装備品、兵器の供与を受けておりますから、それは当然防衛計画の中に織り込まれる必要もある、そういう意味におきまして、お互いがよく理解してどういう計画がある、それに即応していかなる措置をとらなければならぬということも考える必要がありますけれども、しかしそれかといってアメリカとの話し合いがつかないから、そのために今日までこうした計画の大綱も国防会議にかけられなかったというのではなくして、国内におけるいろいろ産業の関係、経済力の関係その他を勘案する必要がございますので、かつまたいろいろ防衛体制につきましても、さらに現下の情勢からしてもっと機動性を持つものでなければならない、機械化する必要もあるというような技術的な面もあり、これらを総合的に検討するために時間がかかったというのでありまして、これは私最も率直に、そうして私の知っておる限りの真実を申し上げるのでありますが、アメリカ側とのそうした話し合いがつかない、向うがあることを非常に固執している、そのためにこっちの計画が立たぬというような事情は、絶対にないということを私ははっきり申し上げることができると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/19
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020・石橋政嗣
○石橋(政)委員 それは、岸総理がアメリカに行くまでには、日本の国防会議において自主的な立場で作った国防の基本方針あるいは防衛計画の大綱というものが国防会議の議題に供せられ、そうして明確に打ち出されるということに理解していいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/20
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021・小滝彬
○小滝国務大臣 私は、総理がいつアメリカに行くのか承知いたしません。私どもとしては一日も早くそうした大綱は決定しなければならぬと思っておりますが、時期的に総理が行く前に必ずできるのか、どういう工合になるのか、その辺はまだ具体的にお答えする段階に至っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/21
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022・石橋政嗣
○石橋(政)委員 それではずっと継続的にその任に当っておられる増原次長にちょっとお尋ねいたしますが、今読み上げた一昨年の重光さんが渡米のときの日米共同声明、そのときに外務大臣が防衛庁で作った防衛六カ年計画試案なるものを提示した、そうしてその計画は東京における日米防衛関係に関する継続的協議の過程において検討され、かつ戦略的要請を考慮して随時再検討すべきことが同意されたというように述べられているわけですが、その後この防衛六ヵ年計画試案を議題としてどういう人たちが寄り集まってどういう検討を加えたものか、一つ御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/22
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023・増原惠吉
○増原政府委員 防衛六カ年計画につきましては、特に防衛計画として米国側と検討をするというふうなことはあまり事例はないのでありまして、特に最近において防衛計画として米国側と協議をしておるということはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/23
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024・石橋政嗣
○石橋(政)委員 それはいよいよおかしいですね。土曜日総理にお尋ねいたしたのですが、総理は確認しておられる。そうするとこの防衛折衝というのは外務大臣とアメリカ大使だけがやるのであって、防衛庁は全くのノータッチ、つんぼさじきですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/24
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025・増原惠吉
○増原政府委員 防衛折衝という言葉でお述べになりまする際には、いわゆる防衛、広く防衛を含みまして、たとえば供与の問題等は時々話をいたしておりますので、そういう意味で折衝しておるというふうに申されたのじゃないかと思われます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/25
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026・石橋政嗣
○石橋(政)委員 そうじゃないですよ、予算編成の際に当ってと言っているのです。そうするとそれは供与だけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/26
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027・増原惠吉
○増原政府委員 予算折衝の際に向うと話をし合いましたのは、分担金に関する関係であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/27
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028・石橋政嗣
○石橋(政)委員 その分担金にからんでこの漸増計画というものが当然問題になってくるわけですよ、そうでしょう。それだからこそ岸さんが言っておるわけなのです「漸増方針を、どういうテンポでどういうふうにやっていくのがいいかということを、十分事前に話合い、そして日本の国力とにらみ合せて自分できめ、その上でアメリカの方へよく説明して諒承を求めるというだけでいいのであって、いわゆる防衛折衝というものはすべきでないというのが、私の防衛問題に対する処理の方針なんです。」これは総理も確認しておるわけです。これは分担金の問題だけじゃありませんよ、どういうテンポでどういうふうにやっていくのかというのは、これはいわゆる漸増方針をどういうテンポでとおっしゃっておる。これはもちろん一万人の地上軍をふやすかふやさないかという問題を私はさしていると思う。その点についてちょっとあなたの御答弁と食い違っておるようでございますが、いかがですか。なんだったらもう一度総理に来てもらって確かめなければいかぬ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/28
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029・増原惠吉
○増原政府委員 お答えが不十分で大へん恐縮でございますが、分担金に関する話し合いをしたということは、今申し述べられましたように、三十二年度においては日本政府としては防衛庁についてどういうふうな計画を持っておるか、すなわち陸は人数においては大体そのまま、海の方においては駆逐艦二隻その他を中心にし、航空機若干、空においては航空団その他を中心としてというふうな日本政府の持っておりまする漸増計画、これを見積った経費、それに従いまして分担金を前年度きめました一般方式に基いて、増加分の半分を減ずるという形で折衝したわけです。分担金折衝と申しましたのはそういう意味を含んで申し上げたつもりでありますが、言葉が足らなかったことは遺憾に存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/29
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030・石橋政嗣
○石橋(政)委員 それでだんだんわかってくるわけなのです。そういうふうに予算編成に当って一万人の地上軍をふやすかふやさないかという問題も、当然これは防衛分担金の問題にも関連してくる、そういう形でアメリカと事前に意見の調整もやらなければいかぬということになっているわけなのです。岸さんもそれを認めておる、そういうことを是正するためにじっくりとアメリカと話し合いたい、こうおっしゃっているわけなのですね。そこで私はそういうアメリカとの話し合いが最終的になされないから、いわゆる国防会議で国防の基本方針なり、防衛計画の大綱なりがなかなかきまらないんじゃないかというお尋ねをいたしておるわけなんです。この結論はまたあとでお尋ねするといたしまして、それではそれに派生的に起きてきている問題をちょっとお聞きしておきたいと思います。というのは今の一万人の増員の問題です。防衛庁としてはぜひ三十二年度に陸上自衛隊を一万人増強しようという計画を持っておられたわけなんです。そして三十三年度までには十八万人の目標を達成したいというふうに当初お考えになっていたわけなんです。ところがいろいろな諸般の事情からこれがおくれてきている。そこで私は若干時期がずれてきたということはお認めになると思うのです。なるべく計画は早く達成したいということはおっしゃっているけれども、とにかく何カ月か、一年か二年か、目標達成の時期がずれてきたことは事実だろうと思うのです。そうしますと、この増強計画が時期的にずれてきているということは、米軍の地上部隊の撤退というものとも関連して、地上部隊の撤退もやはりずれてきているのじゃないかということを当然感じる。これは相互に見合っている。また見合うことを自民党においても目標にしている。そうすると、一万人増強がが取りやめになったことによって、米軍地上部隊の撤退もこれが時期的にずれてくるような感じがするのでありますが、そこのところはどういうものでありましょうか。関係ございませんか、ちょっとお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/30
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031・増原惠吉
○増原政府委員 この点は今まで長官からもいろいろな機会にお答えをいたしたと思いますが、自衛隊の増強、特に陸について限定をして申しますならば、陸が一万増強すれば米陸軍が一万撤退するというふうな厳格な比例の形においては了解をされていないわけでございます。しかし防衛庁としては、一応十八万という陸の自衛官の数を試案として考えておりますが、これは日本防衛の陸における最小限度の数というふうに考えておりますので、この限度のものができれば米陸軍が撤退をする基礎を作り得るという考え方で、もちろん関連ありと考えておりますが、厳格な数の比例の問題というふうには考えておらず、それまでの了解をしておるものではございません。三十二年度防衛庁としては当初一万増強を願ったことは事実でございまするが、これが三十二年度は増強をいたさないという方針に決定をいたしております。そういう意味では大体一年間は増強問題はおくれるとお考えを願ってしかるべきものと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/31
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032・石橋政嗣
○石橋(政)委員 昨年四月の十一日本委員会におきまして、船田長官がこの撤退計画について述べておられるわけです。それを読みますと、「米駐留軍といたしましては、陸上戦闘部隊から漸次引いて参りまして、現に本年に入りましてから騎兵師団あるいは空挺隊等が撤退しつつあります。それは先ほども答弁申し上げましたように、本年中に約一万一千程度のものが撤退するということでございまして、これは予定通りに撤退をするものと信じます。」と述べておるのであります。そこでまず去年のことからお伺いいたしますが、船田長官は昨年度中に一万一千程度のものが撤退する、これは大体予定通り撤退するものと信じますと言っておりますが、結果的に見まして長官がおっしゃった通り撤退しておるかどうか、去年の分を先にお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/32
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033・増原惠吉
○増原政府委員 昨年は大体予定の通り撤退をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/33
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034・石橋政嗣
○石橋(政)委員 そうしますと、昨年地上軍が第一騎兵師団、海兵師団、その他独立砲兵大隊、工兵大隊等を合せて約四万二千おった。海軍は基地は主として横須賀、佐世保でございますがこれが六千五百、それから空軍は飛行機が約七百五十、兵員は約五万、計兵員約十万ということを、これまた船田長官が述べておられたわけですが、これから一万一千程度の引き揚げが行われたということになるかと思いますけれども、現在の在日米軍の兵力を、陸海空別に一つ御明示願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/34
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035・増原惠吉
○増原政府委員 大体昨年の分から約一万が撤退をしたという形のものが現在でございまして、厳格な数というものは、米軍側としても発表を差し控えておる状態でございますので、少し概数的になりまするが、空軍が約五万、海軍、これは昨年のと比べまして少し計数の基礎が違っておるところがございます。それは昨年は海について大体陸上基地におりますもののみを計算をしておる。ことしは一応基地に張りついた艦艇のものを含めて計算をするというふうな形をとっておるようでありますが、それが二万弱、陸の方は三万ないし四万、少しぼんやり仕方がひどいですけれども、そういう数字になっております。全体としては大体去年の考え方でいいますならば約九万というふうに御了解願っていい数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/35
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036・石橋政嗣
○石橋(政)委員 ちょっと違い過ぎると思う。比較のしようがないというところですね。昨年は船田長官は大体陸か約四万二千というふうにおっしゃった。それがことしは三万から四万だというのでは、一体一万人撤退したのかしないのか、これでは皆目見当もつかぬということになると思うのですが、一体米軍の在日兵力というもの、特に地上兵力というものの人員も把握できないで、この漸増計画が、アメリカの地上軍の撤退と見合うんだというようなことを幾らえらそうに言ったってだめじゃないですか。そんなことで国防の基本方針だの防衛計画の大綱だのきめられっこありはせぬじゃないか。幾ら自民党さんが国力、国情に応じた最小限度の自衛隊を作るんだ、そうしてそれは米軍の撤退と見合うものなんだと、かけ声勇ましくおっしゃったって、米軍さんが幾らおるのかということもわからぬで問題にならないじゃありませんか。私は無責任だと思いますよ。言えないということと問題は別です。今のあなたの発言では、言えないのと知らないということとは別ですよ。知っておるけれども言えないとおっしゃるのですか。あなたの今の発言ではそうじゃない。アメリカが教えないのだという発言だった。そんなばかなことで国防の基本方針だの防衛計画の大綱だのと大きなことをおっしゃるなと言いたい。もう少し待てばできる、もう少し待てばできると、歴代のどの長官にお尋ねしてもそうおっしゃるけれども、あなたのようなそういうことであったら百年待ったって日本の独自の防衛計画とか国防の基本方針なんかできっこありませんよ。アメリカ軍の撤退と見合う漸増計画だなんて、全く口頭禅じゃないですか。どうなんですかその点は、言えないのですかわからないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/36
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037・増原惠吉
○増原政府委員 米軍の駐留いたしておりまする数は、米軍より発表をいたしましたものでないと、申し上げるわけにいかないというふうに相なっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/37
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038・石橋政嗣
○石橋(政)委員 それは秘密保護法か何かですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/38
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039・増原惠吉
○増原政府委員 いろいろ理由の基くところがございましょうが、いわゆる刑事特別法等のいわゆる秘密保護のものもその根拠の一つであろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/39
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040・石橋政嗣
○石橋(政)委員 それは国防会議に正式に議題に供せられて、漸増計画をおきめになって、米軍の撤退に見合うものを作ったんだとおっしゃっても、この撤退計画というものは最後まで、国民に対しては秘密になって、見合って撤退したかどうかということは永久にわからぬということになるかと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/40
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041・増原惠吉
○増原政府委員 米軍の方も、昨年は約一万一千を撤退するということを発表いたしまして申し上げたわけであります。全然撤退を発表しないということはもちろん彼らも方針としてとってはおりません。撤退をいたしますならば、進んで発表をするものと御了解を願って差しつかえないように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/41
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042・石橋政嗣
○石橋(政)委員 言うこととそれでもしていることと違うじゃありませんか。船田さんはそれははしたの何千何百何十何人まではおっしゃっておりませんけれども、少くともアメリカの日本におります地上兵力は、第一騎兵師団、海兵師団、その他独立砲兵大隊、工兵大隊等を合せて約四万二千でございますとおっしゃっている。そのとき別に秘密だということも聞いておりません。明確な御答弁になっております。約がついておりましても約四万二千、そのうち一万一千、これは全部地上かどうか知りません、とにかく主として地上部隊であります。ほかのやつは減っておらないのだから一万一千というのは私は全部地上部隊だと考えるのが常識だと思う。海軍の方は逆にふえている。空軍は現状維持、そうしますと、地上兵力が約一万一千、これはあなたは今撤退をされたものとはっきりおっしゃった。四万二千引くの一万一千、その算術が増原次長にはおできになりませんか。そんなあいまいなことをアメリカさんはおっしゃるのですか。私はそんな秘密なんということはあり得ないと思う。国民をばかにしておりますよ。日本の国民をそういうばかな国民だと考えて、日米共同防衛なんということはどうかしている。あなたはなぜ逆ねじを食らわせなかったのですか。そんなへっぴり腰で日本防衛ができますか。自主性なんというのは、口で幾ら言ったってだめですよ。四万二千引くの一万一千の算術すらごまかしになってはいけない。私はそんな秘密はないと思う。長官いかがです。私はもう少し明確に在日兵力くらい教えていただきたいと思う。三万ないし四万と一万の差で、撤退したかしないかわからぬような算術では国民はだれも納得しませんですよ。四万といえば二千せいぜい撤退した。三万でようやくその目標に達した撤退がなされたんだ、そんな幅のある解釈を国民にしいるのは酷ですよ。もう少しそういうところをはっきり言って下さい。特に最近安保条約の改訂問題というものに国民の関心が非常に深まっておるということも、やはりこの在日米軍というものの兵力が関連している。基地問題その他いろいろの事情からいって、一番関心が集まっておる問題、それを極力伏せようというようなお考えを持っていただいては困る。現に昨年はある程度明確に船田長官から言明されておるのです。しかも撤退の兵力まで明示されておる。当然それは引き算できるようになっておる、その答えをごまかす、これは小学生でもだまされませんですよ。そこのところを一つ長官から明確に、責任の問題もあろうかと思いますので御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/42
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043・小滝彬
○小滝国務大臣 その実数につきましては、増原次長が申しましたように、大体九万ということを申し上げたわけであります。あとで説明いたしましたのは、米国側の発表がそういうことになっておる。それは海の上におるのも加えて、たとえば海軍は二万というような数字にもなるようだが、米国側としてはこういうように発表しておるということを申し上げたのでありまして、三、四万というような数字が出ておったから、それを申し上げたということでありますので、大体石橋さんに了解していただくところは九万程度になっておる、こういうことで差しつかえないと思うのであります。またその撤退に対応して漸増するとおっしゃいますが、これはもちろん日本側がきめたものに応じて向うが逐次撤退をしていくということであって、ちょうど日本の増強の数字と合うということはないかもしれぬ。これも次長から申し上げた通りであります。ただこちらの方で十分方針を確定いたしまして、向うと話し合いをしようというのが岸総理の考え方であって、この土曜日にもそういう趣旨は申された通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/43
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044・石橋政嗣
○石橋(政)委員 そうすると、約九万とおっしゃいますけれども、空軍が五万ですね。そうすると、海軍が艦艇の乗員を含めて約二万と、それに地上部隊が三万ないし四万というお話でしたが、少い方の三万とってみましても、ちょっとこれまた算術が合わないようでございますが、どういう計算でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/44
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045・小滝彬
○小滝国務大臣 九万というのは地上部隊として、海の方が六千、七千というのが基地におるとすると、ちょうど約九万ということになるので、算術の方も合っておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/45
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046・石橋政嗣
○石橋(政)委員 それでは日本の基地にはりついている艦艇の乗員を除いた去年の六千五百に見合うところの海軍の兵力は、一体いかほどなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/46
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047・小滝彬
○小滝国務大臣 大体昨年程度であって、六、七千と考えていただいて差しつかえないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/47
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048・石橋政嗣
○石橋(政)委員 そうしますと、海軍、空軍は兵力から見まして全然動いておらない。逆に去年は発表されておらなかった日本の海軍基地に密着した艦艇の乗員というものが新しく出てきたわけですから、結果的にはこれは逆にふえたような印象すら受けるわけなんです。しかしとにかく現在地上部隊だけに焦点を一応合せてみたいと思いますが、さて昨年は地上の陸上自衛隊というものは三十年度が十五万、三十一年度が十六万、一万人ふえておった。だからこそ一万一千という撤退計画というような数字も出てきたと思うのですが、今年度はゼロなんです。地上兵力は依然として現状維持の十六万、そうしますと、ちょっと撤退ということは考えられないのじゃないかという印象を受けるわけですが、この点はいかがなんでしょうか。どの程度撤退するということなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/48
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049・小滝彬
○小滝国務大臣 現在のところ特別の本年度における撤退計画は持っておらないようであります。その点についてはまだ通告も受けておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/49
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050・石橋政嗣
○石橋(政)委員 増原次長は先ほど、このアメリカの兵力をいうことは刑事特別法にひっかかるとおっしゃいましたが、刑事特別法の何条にひっかかるわけでしょうか。具体的に一つ条文を参考までに教えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/50
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051・増原惠吉
○増原政府委員 私は刑事特別法にひっかかるとはっきり申したわけではないので、いろいろ理由もあるだろうが、向うの発表しないものは申し上げるわけにいかない。その理由の一つにば刑事特別法の関係もあるかもしれない、こういうふうに申したのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/51
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052・石橋政嗣
○石橋(政)委員 国民が最も関心を持っておる問題を、国会でわれわれ代表してお尋ねしているわけなんです。軽々に刑事特別法というだんびらをわれわれにまでひらめかさないように十分一つ御注意を願いたいと思う。そこで一万名の陸上自衛隊の増強計画というものが一応御破算になったわけです。防衛庁としてはまことに残念しごくだろうと思うのでございますが、これは海空軍の増強、しかも質的な増強に重点を置くためにやむを得ずとられたということでございますが、まず第一にお伺いいたしたいことは、兵員の面で一万名陸上自衛隊の増強を取りやめたことによって、海空の当初の計画が上回ったというふうなことにまずなるでございましょうか、そのところからまず御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/52
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053・増原惠吉
○増原政府委員 陸の一万を見合したために、海空の増員を初めの予定よりも多くしたということはございませし。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/53
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054・石橋政嗣
○石橋(政)委員 そうしますと、いわゆる海空難点ということのために陸上自衛隊の増員計画が取りやめになったように流布されておる面は、いかなる根拠に基いてなされておるのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/54
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055・増原惠吉
○増原政府委員 三十二年度予算編成に当り、政府の方針として大体防衛庁費を前年度と似た額にとどめるという点が打ち出されまして、それに基いてわれわれの要求を調整をいたしたわけでございます。調整をいたす際に、海空には、要求額よりもいわゆる査定総額が相当に減ったわけであります。海空には査定をなるべく加えないで、陸の一万を見合わすという形において総額を減じた、そういう意味において海空に重点を置いた、こういうようにお考えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/55
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056・石橋政嗣
○石橋(政)委員 そうしますと、別にあらためて海空に力を置いたというふうなことは言えないんじゃないかと思うのです。少くとも三十一年度と三十二年度を比較した場合に、予算の面からいって、そう海空重点ということを事新しくここで述べることはできないんじゃないかと思いますが、その点御確認願えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/56
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057・増原惠吉
○増原政府委員 こまかい予算の点はまた必要があれば別に経理局長から申し上げまするが、防衛庁として三十二年度予算の概案を組みます際に、重点として一番重きを置きましたものは空であります。その次が海であり、その次が陸という大体の形であります。これはそういうふうに初めから前提を置いたということでなく、総合的にものを考えて研究をしました結果、そういうところに落ちつくことが適当と認めたわけでありまするが、大体空、海、陸というふうな形であったわけであります、それを、査定を受けました後においても、主として陸において査定額を吸収したということでありますから、空海に力点を置いたということは、三十一年度に比べましても申し上げ得る問題であるというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/57
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058・石橋政嗣
○石橋(政)委員 それじゃ経理局長から三十一年度と三十二年度の陸、海、空別に予算の推移を一つ御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/58
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059・北島武雄
○北島政府委員 昭和三十二年度の予算額千十億円のうち、陸上防衛隊は五百二億四千六百万円でございまして、前年度すなわち昭和三十一年度は五百三十九億六千八百万円でございます。三十七億二千百万円の減少と相なっております。海上自衛隊におきましては、昭和三十二年度の予算額は二百十九億二千五百万円でございまして、前年度の金額が二百二十八億五千四百万円でございますから、九億二千九百万円の減少と相なっております。その内容につきましては、先般御説明いたしましたように、昭和三十年度の建艦計画と昭和三十一年度の建艦計画の三十一年度と三十二年度の足がこういうふうに違っておるので、艦船建造費のうち約二十六億円減少しておるということに基くのであります。航空自衛隊いおきましては、昭和三十二年度の金額は二百五十五億五千三百万円でございまして、前年度は二百億二千万円でございますから、五十五億三千三百万円の増願ということに相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/59
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060・石橋政嗣
○石橋(政)委員 空軍にある程度力を入れたことはそれでわかるわけですが、海空と並べてあまり主弱するほどの根拠は私はないとこのように考えるわけです。もう一つ米軍の供与という問題が出て参ります。三十一年度の予算大体一千二億の当時、米軍が供与してくれるものは五百三十五億程度というふうに私聞いております。今度も大体同じような一千十億という防衛予算が組まれておるわけでございますが、やはり供与の面でも同じ程度のものが望まれておるのか。この予算を組むに当りましていろいろとその供与の問題では折衝を重ねたと先ほどもおっしゃっておられましたが、いかほどの供与を今年度は期待して防衛計画が組まれておるものであるか、その点を一つ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/60
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061・北島武雄
○北島政府委員 昭和三十二年度予算に伴いまする米国よりのMDAPの供与の推定につきましては、現在のところ若干まだ情報を完全に得てない点がございますが、ごくわずかでございます。それを除きますと四百十二億円という数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/61
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062・石橋政嗣
○石橋(政)委員 昨年度の私が言った数字は間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/62
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063・北島武雄
○北島政府委員 前年度は五百三十五億円でございまして、御質問の通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/63
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064・石橋政嗣
○石橋(政)委員 そうすると、国内で編成いたしております防衛予算は、昨年度、本年度ほとんど変らない。八億円ふえたわけなのです。ところが一方アメリカの方が供与してくれるものを見ますと、実に百二十三億円という激減ぶりです。果して防衛力は増強されたとこの面から推していえるかどうか。なぜこんなに大幅に削られたものだろうか。陸上自衛隊を一万人減らしたかたき討ちだろうか、いろいろと国民は知りたいところが多々あるわけでございますが、そこのところを懇切丁寧に一つお話し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/64
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065・増原惠吉
○増原政府委員 細部は他の政府委員から申し上げまするが、現在MDAP、米国の援助に期待をいたしまするものは、わが方の整備なりまたは現状維持なりをいたしまするに必要なものを、わが方の検討において米国側へ要求するのであります、わが方が要求したもので、向うの方で在庫がないとかいろいろな都合で求めに応じてくれないものがございます。中にはこういうものがあるがどうかといってわれわれの気づかぬもので重要なものを付加することもあります。大部分、ほとんど基本的なものは、わが方の研究とわが方の増強なり現状維持なりの分と見合ったものを要望するのでありまして、こちらが要望したものを削るというふうなことはないわけでございます。従いまして、金額において開きがありましても、これはいろいろ前の年からの増強計画の最後の充実の関係等がありまして、年々の増強とぴたった見合ってMDAPの額が定まるというふうにはなかなかいかぬと思うのでございます。この見積額の減少がわが方の自衛隊の運営に支障を及ぼすというふうなことには現在相なっておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/65
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066・石橋政嗣
○石橋(政)委員 私頭が悪いせいかどうか知りませんが、今の御答弁では明確にわからない。ただ私がわかっていることは、昨年度アメリカが五百三十五億円供与してくれたものが、ことしは四百十二億円しか供与してくれない。百二十三億円も減った。国内で国民の税金で直接まかなう分はほとんど変りがない。アメリカの方からくれるものは百二十三億もとにかく減っているのだ。それなのに漸増計画というものがいかにも進められており、地上兵力の増員とりやめは海空の質的強化によってまかなわれておるかのごとくいわれておるのでございますが、どうも金目から見ますとそれが納得いかないのです。今のようなお話でしたら、これは毎年引き続いてずっと出てくるものが出てきて、はっきりその年度でぴたっと押えることはできないと思う。ことにアメリカの会計年度と日本の会計年度はこれまた違いますし、とにかく今のような御説明では私納得いかないのでございますが、いかにも陸海空総合戦力というものを、三十一年度と三十二年度を比較した場合に、明らかに漸増計画の線に沿ってうんとふえているのだという確信がおありなのかどうか長官から一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/66
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067・小滝彬
○小滝国務大臣 米国からの供与品の見積額が昨年より今年減っておるということで、いかにも防衛努力が漸減しているかのような御観察を承わったのでありますが、今までの装備品にかてて加えて四百億に匹敵するものがさらに入ってくるということになれば、これまでよりもその点においても増強せられるということになると思いますが、米国の最近における傾向では、初期における援助はできるだけしたけれども、そうした提供というものはその国で供給し得る限りこれを漸減しょうという方針をとっておることは御承知の通りであります。また同時に、日本といたしましてもできるだけ自力による防衛努力をしなければならない、こういういう自主的な立場もございますので、私は、今後もこうした供与品というものは必ずしもふえるものではないという大体の想定のもとにわれわれの計画を推進していかなければならない、こういうふうに考えておるものでございまして。私は、昨年度に比しまして本年度陸の数はふえないかもしれないけれども、全般に防衛力の実質は、今の年度に比して三十二年度というものは増強せられるというように解釈いたすものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/67
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068・石橋政嗣
○石橋(政)委員 まことにお苦しいところで、大体日本の防衛力というものは、兵器の面からいきましても、ほとんど大半をアメリカから供与を受けてまかなっておるというような実情下にあって、独自の国防方針だあるいは長期防衛計画だといっても、これはなかなか困難だということの一語に尽きると思うのです。私がいろいろお伺いしたことも、早く作りたい作りたいという気持はお察しいたしますけれども、このような状態で全くアメリカまかせでございますから、なかなかできないのだということの裏づけにしたかったわけなんだ。それでもなおかつ長官は、そんなことはない、いつまでに独自の国防方針なり防衛計画なりを作ってお見せしますと断言されるならば、私は今言ったことを若干お譲りしてもいいです。しかし依然として、いつまでに国防方針を作ります、防衛計画の大綱を示します、こういう断言はおできになりませんでしょう。日本の政府が全く自主性を持った独自の立場で作っていくならば、ある程度のめどというものができるはずじゃありませんか。あなたにその自信がおありならば、一応のめどくらいここでお示しになってはいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/68
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069・小滝彬
○小滝国務大臣 そうしためどをつけるべくわれわれの方でもこれまでいろいろ作業をして参ったのでありまして、日本の方ではっきりとした方針で確立して、そうした計画ができることによって米国側との関係も私は調整できるものと考えます。その方が先であって、それによってそれに必要な資材で日本で生産し得ないものとかあるいはその他アメリカの協力を得なければならないものについては、ただ案なしでは話し合いができない。こちらの案を自主的にまずきめて、それに基いて交渉するということになるので、この点は岸総理も一昨日申した通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/69
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070・石橋政嗣
○石橋(政)委員 そうならば、岸総理がアメリカに行くまでには、防衛当局としては義務があるのじゃありませんか。その自主性のある日本の案というものを総理に持たせてやる義務があるのじゃありませんか。あなたは担当大臣として、総理がいつ行くかは知らぬ。しかし大体国会が会期延長しなくても五月十八日、会期中に行くことはございますまい。諸般の準備もございましょう。五月十八日以降ということははっきりしている。現在流布されておるところでは、六月中旬じゃなかろうかということもいわれておる。ここに一つの区切りがあるわけなんだ。この六月中旬ごろに岸総理がアメリカに行くまでには、何としても防衛を直接あずかる大臣として、独自のものを作って持たしてやらなければならぬというくらいの気がまえは、当然なくちゃならぬと思うのですが、それくらいの気がまえもないのですか。先ほどのいつになるかわからぬということじゃ私納得いたしません。それじゃその気がまえでもお見せになっていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/70
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071・小滝彬
○小滝国務大臣 御指摘の気がまえについては、これまでもすでに申し述べた通りでございます。できるだけ早くやりたい、そしてそれがどれだけ具体化したものであるかは別といたしまして、もちろん総理が行くまでにも、私どもの考え方、そうした基本的な方針というものは十分総理に納得してもらって、そうしてそれを活用していただきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/71
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072・石橋政嗣
○石橋(政)委員 そうしますと、今まで国会を通じて国民に発表されております防衛六カ年計画試案なるものは、すでに一昨年重光さんがアメリカまで持っていって、ダレスさんにも見せているわけなんです。それをあらためて岸さんが持っていく必要はないと私は思う。当然もう少しその後のいろいろな情勢も勘案して修正された形のもの、そういうものになると思うのですが、まさか二年前に重光さんが持っていったやつを、もう一度岸総理に、お前これで間に合わしておけというようなことはないだろうと思うのですがその辺はいかがなものでしょう。情勢としては、すでに先ほどからお話し申しているように、三十二年度における一万人の地上部隊の増強とりやめというようなことも変ってきているわけですけれども、内容が当然に変ってくるのではないかと思うのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/72
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073・小滝彬
○小滝国務大臣 私どもの方ではその試案はかって作ったことはありまするが、それに対して最近の情勢あるいは兵器の発達と、いろいろな面を考え、かつまた日本の経済力のその後における推移というようなものも一緒に考えなければならないからして、当然今までの試案よりはまた変ったものになり得る余地はあると思うのであります。現に防衛計画というものは経済計画ともうらはらをなすものであるが、当時の推定とその後における経済情勢というものは相当変っておる。しかし同時にまたそれとは反対に、情勢というものが緩和すれば、それに対しては、たとえば当時において国民所得の二%と考えたものが、そのパーセントが他のファクターから考えまして動くことがあり得るでありましょうし、そういう点をよく総合的に考えて、最も現実に即した計画を立てるのが私どもの任務というふうに考えておりますので、もちろんそのままではあり得ないというふうに私どもは考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/73
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074・石橋政嗣
○石橋(政)委員 それからもう少しお伺いしておきたいのは、国防会議になるべく早くお出しになって確定したものをお作りになるわけでございますが、そういった場合に、一体昭和三十年度を起点として三十五年度を終点とする従来の方式をとった防衛計画というものが、そのまま国防会議の議題になって、そうして論議されて決定されるものか、私そのところがどうも納得いかないわけなんです。その六カ年計画でしたら、三カ年間というものはすでに過去のものになってしまっている。もちろん将来というものは過去とつながりを持っていることは十分にわかりますけれども、しかし本年中に、あるいは岸さんがアメリカに行くまでに、かりに国防会議で決定を見るといたしましても、三年間はもうすでに実行済みのもので、未来に関しては三年間しかないというふうなものが、果して今後の防衛計画として論議され採択されるものかどうか。過去は過去として検討の資料にはするけれども、やはり今後というものに重点を置いて、かりに今のままで行くならば三年計画というような形のものに変るものかどうか、そこのところを一つお話し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/74
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075・小滝彬
○小滝国務大臣 今決定的なわれわれの防衛庁案なるものを持っておるわけではありません。また国防会議においてまたその事務局において、各省との関係でいろいろの変った考え方も出るであろうと存じます。しかし大体の構想といたしましては、これまでも三十五年度末というものを目途として進んでおりまするから、それに多少の修正はありましても、現在の考え方としてはそれを考慮の基礎にして適当な修正をするという考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/75
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076・石橋政嗣
○石橋(政)委員 この国防会議には、御承知の通り防衛計画の大綱、この防衛計画に関連する産業等の調整計画の大綱、あるいは内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項、こういうものもはからなければならないようになっておるわけでございますが、そういう意味で私けさの新聞を見てちょっと感じた点をお尋ねしてみたいのですが、それはいわゆるP2Vの国内生産の問題なんです。「そこで結局国防会議及び閣議という最高のレベルで政治的判断のもとに最終的態度をきめることとなったものであるが、」と書いてあるのですが、国防会議にかけるということが大体話し合いに出ておるものでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/76
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077・小滝彬
○小滝国務大臣 もちろん全体の計画にも関連することでもありますけれども、しかしP2Vという特定の問題、しかもこれまでもすでに供与を受けておる特殊のもの、これをどういうふうにして、さらにその機数を増すかということについて直ちにこれを国防会議にかけるかどうか、私はそういうことをまだ考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/77
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078・石橋政嗣
○石橋(政)委員 常識的にも国防の基本方針も防衛計画の大綱も何ら国防会議にかからない、決定もされておらないという段階に、これと付随したいわゆる生産の問題だけが国防会議にかかっていくというようなことがあり得るものかどうか、一つお尋ねしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/78
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079・小滝彬
○小滝国務大臣 国防会議の取り扱う問題については御指摘のように「左の事項については、国防会議にはからなければならない。」というように出ておりまして、最後のところに、「その他内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項」というのでありまするから、これはかけてはならないということにはならないでありましょうが、私は今石橋さんのおっしゃった趣旨はよく了解できるところでございます。ただここでよく考えてみなければならぬことは、もちろんこうした重要方針なり大綱をきめることは一番重要な任務ですけれども、同時に国防会議というものがあまりにかたい考え方によりまして、これを必ずやらなければならぬということになると、どうしても開会というようなことが非常におそくなってくる、各省の意向をまずまとめなければならぬ、いろんなことになると、私はこの国防会議の活用ということに支障を来たしはしないか、その意味においては今後この運営については相当考えなければならぬことではないか、すでに急見を交換するということも、結局その目的を達成するゆえんじゃないかと思います。が、しかし御指摘のP2Vについては現在そういうことは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/79
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080・石橋政嗣
○石橋(政)委員 国防会議というものを活用されることはけっこうですが、この国防会議がゆがめられて運用されたら大へんだと思うのです。少くとも今も申し上げたように、国防の基本方針も防衛計画の大綱も何もかからない、そういう時期に生産の問題だけが飛び上って国防会議の議題に供せられるというようなことは全く納得できませんよ。そういうことは全くあり得ないと考えて差しつかえございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/80
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081・小滝彬
○小滝国務大臣 先ほど申し上げました通りでございまして、正式の議題としてこれをかけるというようなことは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/81
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082・石橋政嗣
○石橋(政)委員 今後の重要な問題の一つに、私やはりこの防衛生産の問題があると思うのです。普通死の商人という言葉が使われておるのを御承知だろうと思うのです。私たち防衞力の漸増も、保守党の諸君の言い分もよくわかりますが、われわれが非難する再軍備反対の原因の一つの中に、いたずらに死の商人をふやす、最ももうかりやすいのが防衛生産だという過去の形の再現が行われてはならぬということも、一つの原因に取り上げられておる、この対潜哨戒機の問題にいたしましても、そういう角度から、私は血税を大切にするという角度からも十分慎重に御検討を願わなければならぬじゃないかと思うのです。確かに国内生産というものには両論があると思いますが、私は防衛庁の責任あるお方から、一体そんなに高いものを無理して国内生産をしなくちゃならないよほどの事情があるものかどうか、先日飛鳥田委員も若干指摘しておられましたけれども、今の日本の防衛力の現状の中にあって、これだけなぜそう国内生産を急がなくてはならないか、しかもそれが安上りでできるというなら国民も納得いたしますが、そうではない、そこのところでどうも納得できないものがあるわけでございますが、一体国内生産を実行した場合に、アメリカにおいて生産するものとどれくらいの値段において差ができるものか。それを乗り越えてなお国内生産をやらなくちゃならないような事情があるとするならば、それは一体どういうことなのか。一つ国民が納得いくように担当の方から御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/82
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083・小滝彬
○小滝国務大臣 担当の方から日本で生産する場合と、アメリカで生産する場合との値段の差は説明さしてけっこうと思いますが、これは世間で想像されておるほど大きな差がないということを私承知いたしております。私自身も資料を持っておりますけれども、そういうわけで日本で生産するから特に非常に高くなるという種類のものではない。一方アメリカの方ではこれまで多少供与いたしましたけれども、供与を継続することはできないような事情もあるようでございます。しかしながら日本で要らないものを作る必要はない。ところがその対潜哨戒機というのは、日本にとって非常に重要な物資、食糧の補給の面から見まして、こういう機種というものは、考え方によっては特定の船は多少少くしてもこれが必要であるという考え方もあるのでありまして、私どもは実はこのP2Vというのは、日本の海からする危険を防ぐためにはぜひ必要なものであるというような考え方を持っておるものであります。ただいさいにつきましては目下検討中で御指摘のようにいろいろ議論もございますが、これを持つことはきわめて望ましいことであるという考えで進んでおる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/83
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084・小山雄二
○小山政府委員 値段の問題は、アメリカで生産し、それを供与あるいは購入するのと、日本で国産するのと、大よその見当でございますが、アメリカでは、この飛行機はアメリカ海軍に納める値段が約百三十万ドルです。円価に直しまして四億七千万円足らずでございます。これを輸入いたしまして買うといたしまして、いわゆる有償援助の形で安く買うということにして、それに諸掛り、運賃その他を加えますと、約五億二千万円ぐらいになりはせぬか、こういうように考えます。われわれが今研究しております一つの案の、国産化した場合の値段は、総平均しまして約五億一千万円ぐらいの計算ができております。アメリカで作る値段よりは日本で作る値段の方が高いが、持ってくればこっちの方が安い、こういう計算に大ざっぱなところはなると思いますが、終局F86、T33の生産でもそうでございますが、日本で初めて国産化します場合は技術的なむずかしさ、特殊な問題、それから数がそろわぬというような問題から、それぞれコスト高になる面がもりますが、一方レーバーが非常に安くつきますので、それか相殺してそういう結果になわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/84
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085・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 関連して。石橋さんが今防衛六カ年計画について、あるいは国防の長期計画についてずっとただしておられたわけですが、私もひまに飽かせて今までの速記録をずっと素通りして見たわけです。そういたしますと、防衛六カ年計画、すなわち最終目標ですが、陸軍十八万、海軍十二万四千トン、空軍千三百機、これはわが国の経済の許す最小限の、しかしどうしても必要なものだ、こういう御説明はもういやになるほど繰り返されておるわけなんです。だがしかし速記録を見ましても、この陸軍十八万、海軍十二万四千トン、飛行機千三百機でどういう形態の、どの程度の侵略には対抗できるのだという御説明は、今までほとんどなかったように思うのであります。防衛庁試案としても、再々各大臣もすべて繰り返して説明しておられるのでありますから、ここで一つ思い切って十八万、十二万四千トン、千三百機あれば、こういう形態の侵略には抵抗できるのだ、あるいは統合幕僚会議は、こういう侵略の形態を予想して計画を立てているのだということをはっきり御説明をいただきたい。最小必要限度というだけで、その具体的な説明は今まで一つもなかったように思います。この際どうぞ一つそれをはっきりしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/85
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086・小滝彬
○小滝国務大臣 詳細は係から補足させていただきたいと思いますが、まず、最後におっしゃいました仮想敵国をどこというように想定しておるわけではございません。いろいろな場合を考えなければならない。全体戦争のような場合もありましょうし、個別戦争のような場合もあるでありましょう。そういう際に、日本は日本だけの自力ではとうていこれを守り得ない。従って現在の実情からいえば、そういう大規模の事態が起れば、これは日米共同防衛の方法によらなければならないという考え方でありまして、自衛隊の防衛能力というものは一体どこに置いておるかということでありますが、これはこれまでも抽象的に申し上げたかと思いまするけれども、陸につきましては、日本が地上軍によって侵略されるというような場合に、一時の備えをしなければならぬ、またかりにそういう問題が起った場合には、日本の治安というものについて警察力とも協同しなければならぬ、そういう際に対処いたしまして、もちろん、現在においては、前と違いまして、部隊には機動性も持たせなければならないし、また機械力もこれを補充するということも必要でありまするが、とにかくそうした最小限度の備えをしようという考え方でございまするし、海につきましては、この間飛鳥田さんからも言われたかと思いますけれども、何としても日本の国土を守るということになれば、海狭とか港湾の方についての備えをしなければならないし、また機雷なんかが投下されるというような際における掃海というものも最小限日本の周辺については必要になってくると思います。また内航、外航についての護衛ということも必要でありまするが、しかし何としても、せめて内航については日本の海上自衛隊で守る。護衛については距離の問題がありまするし、そうして日本だけではそういう護衛はとうてい全うし得ないのでありまするけれども、大体内航に付随して、ある程度の外航の護衛というものもしなければならぬ、こういう考え方から、一応これまで十二万四千トンというようなトン数もはじき出しておるのであります。また空につきましては、これは日本が制空権を確保するというようなことはできないけれども、とにかく空からの侵略に対して一時の守りを全うして、そうして友好国の支援を待つということをするための、きわめて初期におけるところの防衛のためには、われわれがこれまで考えたような程度のものは最小限必要であろう、こういうふうな考え方で策定せられたものである、こういうふうにまず概括的に申し上げておきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/86
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087・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 こちらが十八万人とか、十二万四千トンとか、千三百機とかいう機数を限定するのですから、相手方を考えないではその数をはじき出せるわけはないはずです。今あなたも、そういう意味で算定するというお言葉を使っておられたのですが、もしそうだとすれば、どの程度のものを、戦う対象として想定をしていらっしゃるのか、そうしてまた、それに対してどの程度長い間耐え得られるのか、そういう計算も、防衛六カ年計画試案としてお出しになっている以上は、当然あるはずです。それを一つお話していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/87
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088・増原惠吉
○増原政府委員 防衛計画の基本となる数字についてのお尋ねでございますが、もとより防衛計画を作りますのに、どういうふうな形の侵略というか、攻撃があるかということは一応想定をして、それに対する案を立てるわけでございます。これは現在の日本周辺の情勢からして、大体起り得ると想定されまする航空機なりその他の海なり、陸なりの攻撃、侵略というものを一応は想定をいたしまするが、この数字は、これによってわが方が備えまする十八万人、十二万四千トン、千三百機というものが、今長官が申しましたように、陸においても、あるいは一方面に相当の前もっての期間をもって攻撃が予測される場合に、何とかこれを撃退するなり対抗することができるというようなものであり、海についても、内航護衛、外航護衛、港湾、海峡等の防衛についての掃海なり沿岸の護衛なりというものをひっくるめまして考えまする数字であり、空の千三百機というものも、半数少々上回ったものがいわゆる第一線機になりまするが、これをもって完全に制空権を確保できなくとも、ほしいままに攻撃者の跳梁を許さないというふうなものであるわけでありまして、想定されまする相手方の数字というものも、わが方の防御機なり、海のものなり陸のものなりと見合った大体の数は一応想定されておるというよりしか、ちょっと申し上げかねるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/88
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089・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 そこを大体の、といって隠してしまわれるやつを、実は私たちははっきり示していただく方がいいのじゃないかと思うわけです。何か統合幕僚会議の中で統合情勢見積りというようなことをやっておられるそうでありますが、これを伺いますと、対日作戦に使用することのできる兵力として、陸上は、開戦当初は約十五師団、これを輸送力から見れば、大型船舶で五、六個師程度、小型舟艇では、一個師程度、空挺では一・五ないし二個師程度の同時輸送が可能だ、こういうことを統合幕僚会議の統合情勢見積りとしてお持ちになっているということであります。これがこの六カ年計画の今長官のお使いになりました算出の基盤として私たちは考えてよろしいのでしょうか。ただ、やみから棒に結論だけ示されて、十八万、十二万四千トン、こういうことを言われただけでは、私たちは理解に苦しむわけであります、これと対応するものを考えることによって、それが正当であるか、正当でないかということを国民は判断できるわけです。従って対応するものをお示しにならない限り、私たちはこれを何とも言えないという状況だろうと思います。そこで伺っておるわけですが、陸上については、今申し上げた程度で考えてよろしいか。それから航空の場合には、開戦当初各種機種合せて最大限二千機、このうち常時出動機数は約一千機ぐらいだろうというふうにお考えになっている、こう聞いておりますが、これでよろしいのかどうか。それから海上の場合には、潜水艦約百二十隻、常時出動約四十隻くらいとお考えになっておるように思われます。こういうものを私たちはあなた方の出したこの防衛六カ年計画の算出の基盤と考えていいかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/89
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090・増原惠吉
○増原政府委員 この問題は防衛責任者の立場にあるものとしては、なかなかむずかしいところがあると私は思いますが、長官からたびたび申し上げましたように、いわゆる仮想敵国を想定するという形では私どもは作業をいたしておりません。従いましてそうしたいわゆる攻撃兵力というものを想定することも、いろいろの派生した問題を生ずるおそれもあります。一応いろいろと周囲の情勢についての判断は、できるだけの資料を集めていたしておりますが、そうした周囲の情勢判断の中に、今お述べになりましたような数字に似たような数字のある場合もございます。しかしこれはそうした点をわれわれの防衛計画策定の基礎としてとったというふうに、なかなか明確には申し上げられないむずかしい点があります。もとより攻撃し得ると考えられる飛行機が二、三百機しかないというのと千機以上あるというふうな想定では大へんな違いがありますので、そこらはわれわれとしても十分いろいろな情勢を考えなければなりませんが、情勢の判断というものはなかなかむずかしい。特に現在の日本の状態では、情報を確認し得ないところがありまして、そうした点について明確に想定の数字を申し上げるということは、まずなかなか困難ではなかろうかと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/90
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091・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 長官にお伺いしたいのですが、自衛隊は、だれのものでしょうか。国民のものだろうと思うのですが、もしそうだとすれば、国民は、自衛隊の増強計画についても、ある程度の資料を与えられ、それを判断する権利があると思います。ところが何にもわからない。情勢を見積もって、情勢を見積ってというお話で押しつけられる結果としては、毎年々々一千億以上の自分たちの予算をそれにつぎ込んでいるわけです。これでは一体、国民が自分たちのものとして日本の国を考える権利、そういう権利を不当に妨げられていやしないでしょうか。一体長官それでよろしいでしょうか。自衛隊は国民のものになりたい、PR運動をやりたい、こうおっしゃっていながら、実は一番肝心かなめの重要なものを伏せておいて、まあがまんしろ、情勢の見積りはおれたちがやってやるのだ、お前たちはおれたちの情勢の見積りに従っていればよろしいのだ、これではファシズムじゃないですか。私は少くとも相当な程度に資料を示す義務があると思う。しかもできるのです。この間も私は英国の国防白書をお読みなさいと申し上げましたが、英国の国防白書にはちゃんとそういう数字も全部出ています。しかも共産国ソ連が攻めて来たときにはこうだ、彼らの使用できる機数は何機で何人の兵隊が使えるのだ、それに抵抗するにはこうするのだ、それに抗するためには最近一番いい方法としては核兵器を用いるのだ、こういう説明をしますから、国民はある程度はなるほどそうかということがわかるわけです。ところがあなた方は、妙に政治的に、派生的な問題が出るとか出ないとかそんなことばかり言ってごまかしている。そして結局国民の考える権利を奪ってしまっている。これはファシズムじゃないでしょうか。一つ長官のはっきりした考えをお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/91
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092・小滝彬
○小滝国務大臣 私はできるだけ国民にそのことを理解していただかなければならないと思うのでありまして、これまでも歴代の防衛庁長官がいろいろ皆さんに資料を提供し、また機会あるごとにいろいろな情報なりあるいは考え方について説明してこられたことと考えます。ただ、今御指摘の問題は、防衛庁限りの試案について、どういうことを専門的には考えているかという御質問でありますが、これは部内で試案として作ったものについてのいろいろな考え方——今御指摘のような一つの考え方もあるかもしれません。いろいろな考え方から総合いたしまして、ああした一応の案を作ったのであります。今後ほんとうに国防会議にかけまして、一つの成案を得て、それが決定版ということになれば、それに付帯する説明は十分にいたしたい、こういうように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/92
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093・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 冗談言っちゃいけませんよ。すでにあなたその試案を三年間実行したじゃないですか。これから先実行なさる、これから先、六年間をやるというなら、そこで具体的な説明をいたしますという説明でけっこうです。だがすでに三年間実施しちゃったじゃないですか。それではどろぼうだと言われてもしょうがないじゃありませんか。僕はそういう答弁をなさること自身が不可解だと思う。すでに三年間ぬくぬくと実施なさって、その目標は陸軍十八万、海軍十二万四千トン、こういうふうにはっきりおっしゃってきた。三年間やっといて、今になってそういう御説明は私はおかしい。むしろ六カ年計画の最終目標に対応する勢力がこれこれで、これこれについては、これこれをこういう方法でやれるのだということを説明なさらない限りおかしいじゃないでしょうか。それなら伺いますが、あなたの方の自衛隊長崎地方連絡部というところで発行している「ながさき」という、これは石橋さんもあとで御説明になると思いますが、新聞があります。これは自衛隊で出しているわけでしょう。それの「郷土愛」という論説のところを読みますと、「少くとも一カ月は日本が地球から消えてなくならないだけの軍備と抗戦意思が必要なことを教えてくれるのである、」こういっておる。一カ月という計算はどこから出るのですか。そういうぼやぼやと、ほんとうの根本的なところを抜いておいて、そうして一カ月なんという結論を出して、国民をまどわす。今申し上げたような対日作戦に使用できる兵力、これをあなた方がお認めになって、その上で防衛六カ年計画を達成したときには、この対日作戦に利用できる兵力に対して一カ月間抵抗できるのだ、こういうことなら話はわかります。ところがそういう根本的の説明を一切抜きにしておいて、一カ月間は日本が地球上から消えてなくならない軍備を必要とする、そういう軍備を必要とするのだ——一カ月という計算はどこから出るのですか。しかもこれは自衛隊で出しているのですよ。少くとも責任をとってもらわなければ困ります。こういうことについては、一カ月間という計算はどこから出るのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/93
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094・小滝彬
○小滝国務大臣 それは防衛庁から指令して書かせたものでなしに、だれかがそういうふうに想像して書いたものであろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/94
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095・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 そういたしますと、「ながさき」という自衛隊で出している新聞の中には、自衛隊の意思に沿わないことが一ぱい書かれる、中央から指令しないデマがたくさん載っているということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/95
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096・加藤陽三
○加藤(陽)政府委員 これは土曜日に石橋委員から御指摘がございまして、私も一読してみました。これは必ずしも全部が全部防衛庁の意思を体して書いたというふうには思いません。ただ書いておりますところの主眼は、私の受けました感じでは、地方連絡部は御承知の通り募集を担当する機関でございますので、隊員の募集のために、国の防衛ということ大事であるというところに主眼を置いて書いておるのでございますが、今御指摘の通り、こまかい点につきましては、私どももよく検討してみたいと思う点がございます。だれが書きましたというふうな点については、まだ調査をいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/96
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097・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 隊員を募集する便宜に、そういう根拠もない、でたらめのことを書き上げてよろしいのですか。私はむしろ隊員を募集する——隊員は少くとも普通の会社に就職するよりも、身体の危険が出てくるだろうと思うのです。死の行進みたいな場合は別ですが……。そうすればその募集に関しては非常に良心的で、誠実でなければならないわけです。その人の生命と関係がありますから。それだけに誠実にやっていただかなければならぬのに、こういういわれもない説明を加えて、そしてやたらと人は募集する、これでは売春婦を募集して歩く女街みたいなものではないでしょうか。少し私はそういう点が無責任だと思う。そこで先ほど来申し上げているように、陸軍と海軍と空軍の六カ年計画を達成した場合に、一体どれだけの兵力に、どうどの期間抵抗できるのか、こういうことを明白にしていただかなければ、国民は考える資料を与えられないわけです。そのことをもう一度一つ明確にお話をいただきたいと思います。もし明確にお話をしていただけないとすれば、せめてあなた方の統合幕僚会議の出した統合情勢見積りというようなものの結果を一つここで発表していただきたい、何かそれを秘密にしておかなければならないような障害があるのなら、その障害を明確に出していただきたい。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/97
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098・小滝彬
○小滝国務大臣 私の考え方はこれまで再三申し上げておる通りでございます。国民の防衛思想と申しますか、防衛に関する知識が普及するということはけっこうでございますので、それに資するような資料で使い得るものはできるだけ一般に公開して、それを有効に役立たせたいという考えで今後進んでいきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/98
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099・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 関連質問ですからあまり申し上げると迷惑ですからもうやめますが、その統合幕僚会議の情勢見積り、そういうものをこの委員会で発表していただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/99
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100・小滝彬
○小滝国務大臣 そういう見積りというようなものは技術的に研究しておるものでございますから、それをそのまま発表するということが果して国のためになるかどうかということは考えなければならないところでありますが、先ほど申しましたように、日本の防衛の重要性というものをわかってもらうための、いろいろわれわれの研究しておる資料もできるだけ皆さんにお見せするようにいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/100
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101・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 次の委員会にやっていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/101
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102・小滝彬
○小滝国務大臣 私は防衛見積りというようなものを、そういうものを発表するということを言ったのではなしに、全般的に国民の防衛思想をよく育成するという見地から役立つようなものは今後できるだけ公表するようにいたしたいというのでございますが、統合幕僚会議というような、そういう作戦的な面を研究しておるものをそのまま発表するということは、かえって国民にいろいろの疑惑などを与えるおそれもあろうと思いますから、私はここでそういうことを約束するわけには参らないと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/102
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103・飛鳥田一雄
○飛鳥田委員 それでは最後にお願いしておきます。そういう私たちの考える材料として御発表になります場合に、少くとも日本の周囲にありまする各国の兵力、そしてそのうち対日作戦に使用することのできる兵力、これ々陸上、海上、空軍に分けて、そのうち当初どのくらい使い得るだろうか、それに対して日本がどのように対抗できるかという点、こういう点を一つ明らかに資料としてお示しをいただきたいと思います。それから続いては、無線誘導弾に関しての最近の新しい進展があると存じますので、無線誘導弾に関して使用できる兵力、これがどの程度の発達の段階に達しておるか、こういうことを一つ資料の中にお入れをいただいて、お示しをいただきたい、こう考えます。これで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/103
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104・石橋政嗣
○石橋(政)委員 それではさっきの問題に関連して一点だけお尋ねしておきますが、いわゆる防衛庁が作っております防衛六カ年計画試案なるものにおきまして、三十二年度の一万人の増員取りやめという面で、すでに修正を迫られておる事項が出てきておるわけでございますが、これに関連いたしまして、六カ年計画試案の中で三十三年までに十八万人作る予定のものがずれてきた、それはどういうふうに修正されておりますか。そこのところを一つ御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/104
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105・小滝彬
○小滝国務大臣 本年度に増強しようとした一万人がおくれたということは、それだけわれわれの従来考えておった計画には影響があることはもちろんでございますが、それだけを取り出して申しますならば、われわれが予定しておったより一年おくれるという結果をもたらす次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/105
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106・石橋政嗣
○石橋(政)委員 それでは今飛鳥田委員からお話がございまして、私も土曜日に若干質問いたしました政治関与の問題に関連して、自衛隊長崎地方連絡部の機関紙についてお尋ねいたしたいわけですが、このような新聞は各県で全部出しておるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/106
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107・加藤陽三
○加藤(陽)政府委員 各県において、地方連絡部において出しておるようでございます。一々私の方に報告がございませんので、正確なことは申し上げかねますが、大体各県で出しておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/107
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108・石橋政嗣
○石橋(政)委員 そうしますと発行されたこの新聞は別に人事あるいは教育局あたりに集まってきておるというわけじゃないですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/108
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109・加藤陽三
○加藤(陽)政府委員 教育局の方のことは存じませんけれども、人事局には全部が全部参っておるというわけではございません。一昨日御質問がございましたので防衛庁で調べてみたのでございますが、陸上幕僚監部は一部持って参っておりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/109
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110・都村新次郎
○都村政府委員 教育局の方にも全然参っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/110
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111・石橋政嗣
○石橋(政)委員 それでは出先のこういったPRか何かしれ当せんが、新聞が勝手な企画で勝手に出し放しで、こういうことを出したという報告を別に内局の方にもってくる義務もないというのじゃまことに無責任のような気がするわけです。特に飛鳥田さんもさっき指摘いたしましたように、防衛庁が考えてもおらないようなことを論説の欄に載せるというようなことは、あまりにも無責任な気がしますが、こういう点について何らの制約を加えないで支障はないものなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/111
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112・加藤陽三
○加藤(陽)政府委員 各地方連絡部でこういうものを出しております趣旨は、その職務の重要な部分でございます募集のための公告について効果を上げたいということでございます。自分の職務遂行上与えられた権限内でやっておるということでございます。ただこのことを知りましたのは、先般大村市長の選挙に際しまして一昨日お尋ねがございましたが、大村市長の写真及び談話を掲載をしたことにつきまして、地方で問題になっておるという報告がございましたので、私はその点につきまして陸上幕僚監部に対しまして注意をいたしました。そういう新聞を発行することもよいであろうけれども、誤解を招かないように慎重にやれという指示はいたしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/112
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113・石橋政嗣
○石橋(政)委員 大村市長選挙にからまる問題はあとで話をするわけなんです。とにかく出先で勝手にこういう機関紙を出し放しというようなことで防衛庁はいいのですかというお尋ねをしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/113
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114・加藤陽三
○加藤(陽)政府委員 私の考えでは地方連絡部の業務の遂行上はそういうものを出すことも効果のあることであると考えております。ただその内容等につきましては、今後よく検討いたしまして、間違いのないような正確のものを、政治的な問題にならないように出すように指導いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/114
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115・石橋政嗣
○石橋(政)委員 現に一例として、先ほど指摘しておるように、少くとも一カ月間は地球から消えてなくならないだけの軍備が必要なんだというようなことを書いてみたりするということになると、すでに問題は起きておるわけです。何らの規制もないというところに問題があると思う。やはりそういうものは、出された直後に防衛本庁でキャッチできて、直ちに指示、注意をするというような能勢がとられておらなければ、幾らそういうことを言われても、私はだめなんじゃないかと思うのですが、そういうことをやる考えはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/115
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116・加藤陽三
○加藤(陽)政府委員 ただいまのところ、陸上幕僚監部には報告がきておったようでございますが、今後は全部私の方に報告をとりまして、よく検討した上、指導していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/116
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117・石橋政嗣
○石橋(政)委員 人事局長が盛んに答弁されておりますが、これはどうですか、所管としてどちらになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/117
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118・加藤陽三
○加藤(陽)政府委員 地方連絡部は主として募集のことを担当するところでございまして、募集に関する広報もやっておるわけでございます。募集のことは人事局の所管でございますので、主として私が関係いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/118
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119・石橋政嗣
○石橋(政)委員 それはわかるのですが、こういう印刷物というようなものは、当然教育局に関係があるようなんですが、こういう内容検討なんかもやはり人事局でやるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/119
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120・加藤陽三
○加藤(陽)政府委員 まだ具体的に打ち合せたわけではございませんけれども、主管といたしましては私の方で扱いまして、関係の局と相談をしてやるということがよろしかろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/120
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121・石橋政嗣
○石橋(政)委員 この地方で問題が起きましたときに、私も直ちに調べたわけです。警察が捜査した内容につきましても、報告を受けております。それで知っておるわけでありますが、大村の市長選挙の際には、ほかにもいろいろ不明朗な事件がたくさんあります。たとえば危険防止というような名目で、トラックに乗せて投票場まで運んでみたり、あるいは大村の部隊長が官舎を使わぬで、また今度の候補者になっております市長の一族の家に居住しておるというような点から疑惑を招いたり、たくさん列挙されておるのを御承知だと思いますが、とにかく結果としてよかった悪かったということじゃなしに、当然に疑惑を受けるような事件がたくさん出ている。私が再三申し上げているように、こういう疑惑を受けるようなこと自体絶対に避けていかなければならない。特に候補者になるような人の家に住まなければならない事情もないように思います。そういう点でどのような指示をなさっておるのか、御報告を受けたいと思うわけですが、特にこの機関紙については、これも言いのがれはちゃんとできるようになっているのです。これも私は調べました。その点非常に知能犯ですよ。長崎県の各市長をずっと紹介するのだ——ちょうど選挙のころにこの大村の市長の紹介ができるように時期を選んだといえば、それも言えないことはない。だから、何も大村さんだけを紹介したんじゃないからという逃げ口上はちゃんと用意できておる。しかしちょうど選挙の時期にこの大村さんの紹介ができるように仕組んでいるということになりますと、いよいよもって知能犯であり、弁解ができるようにやった、私はそういう点では悪質じゃないかという気もするわけです。とにかくそういうことをやることによって、自衛隊が特定の候補者を支持したというふうな疑惑を起したことは事実です。地方で非常に問題にもなったことはあなたも御承知の通りなんです。この写真入りの新聞は、自衛隊の掲示板にみな載った。しかもその横には表も一緒に張って、その表には、土曜日に私が読み上げたような内容を盛られた、端的に言えば革新陣営を攻撃するような、革新陣営の政策を徹底的に批判するような内容のものを載せておる。こういうことが許されては、これは明らかに自衛隊法に規定されておる政治関与の問題に関係してくると思う。結論として、この法規に違反するかどうかという結論はすぐには出ないかもしれないけれども、当然常識ある人の疑惑を受けるような行為が、この大村の市長選挙の際にもたくさん出てきておったということくらいはあなたはお認めになると思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/121
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122・加藤陽三
○加藤(陽)政府委員 石橋委員の御意見でございますが、私が報告を受けたところによりますと、投票に関して特に大村の自衛隊のものが法規に反したようなことをしたというようなことは、ないように私は報告を受けております。ただ疑惑を招くようなことがありますことは、これは非常に残念でございますので、今後こういう点につきましては、疑惑を招くことのないように厳重な指導をいたしたいと思います。大村の件につきましては、特にそういう意図をもちまして自衛隊が動いたというふうには私は考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/122
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123・石橋政嗣
○石橋(政)委員 先ほども申し上げておるように、疑惑を招くようなことをやっていいということではないわけです。そういうことを根本的になくさなければ、いつまでも不信感はぬぐえない。特に地方の市町村、そういうところにおける自衛隊の勢力の占める比率というものは非常に高い。自衛隊が結束して特定の候補者を推したんじゃなかろうかという疑惑を持たせるということは、地方自治の根本精神を踏みにじることになる。私はそういう集団的な投票権をその地域において自衛隊員に持たせるということについて疑問が生ずる。果してそういう形で地方自治に参画させることが妥当かという問題にも発展していくと思う。わずか一万そこそこの有権者しかないような市町村において、何千という自衛隊が投票権を持つということが、果して地方自治育成という面からいって妥当かどうかという議論にまで私は持っていきたい。あっちこっちでこういうような事例が次々に起きているときだけに、私は厳重に処置をしていただきたいと思うわけです。この問題は、なお党といたしましてもさらに検討を加えることにいたしておりますので、引き続きお尋ねをすることにいたしまして、きょうはこれで質問をやめたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/123
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124・相川勝六
○相川委員長 午後一時三十分より再開することとし、これにて休憩いたします。
午後零時三十八分休憩
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午後一時五十二分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/124
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125・相川勝六
○相川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案の両案を一括議題とし質疑を続行いたします。淡谷悠藏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/125
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126・淡谷悠藏
○淡谷委員 長官に一つこの際じっくり御答弁を願い、またここで私もじっくりとお話し申し上げたいことがたまっているのですが、御承知の通り、保安隊のときから見ますると、自衛隊はだいぶ様子が変って参っておるのは疑いのない実態なんです。木村保安庁長官が船に大砲を乗っけたものにすぎないという答弁をして国民の喝采を拍しました時代から比べると、まさに自衛艦隊というような名前を堂々と使っておる現在の自衛隊というものの構想は、非常に成長したのかあるいは陰の膨張をしましたのか、これは存じませんが、従ってこの自衛隊に対するこれからの考えというものも、もはや安易なものを許せない段階にきておると私は考える。そこでかなり大きな、国力には相応以上に大きな陸上、海上、航空の力を持った自衛隊が、ただ装備を完全にしたとか、定員を増したとかいうのでは、とうてい自衛隊の役にはたえないことは事実であります。何らかこれらの兵力をはっきり統一をして一定の方向に強く持っていかなければ、これは役にも立たない自衛隊になるおそれがありまするから、そういった、旧軍隊で申しますると軍隊精神といったようなものが、今自衛隊精神の中にあるのかないのか、これはどうでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/126
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127・小滝彬
○小滝国務大臣 軍隊精神ということはどういう意味でおっしゃっているかわかりませんが、私は今の自衛隊というものは、民主主義のもとにおけるところの国土を防衛する部隊として健全な発達を遂げなければならないと思うのであります。戦前の部隊に現在もそれを生かしていいような点があったとすれば、その部分は取り入れてもいいかもしれませんが、いわゆる軍隊精神と申しまするか、戦前におけるとかく国民から心の中で非常な批判を受けたようなものは絶対にそれが今の自衛隊に再現するようなことがあってはならない。それについてはこれまでもいろいろ皆さん御指摘の点もございまするので、そういう点を心に持ちましてかかることの出てこないようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/127
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128・淡谷悠藏
○淡谷委員 自衛隊の中にはっきり自衛隊の精神的な方向を規定するものがなければ、これはただ武器を持ったオートメーションにすぎないということになります。これは決して自衛隊とも言われないし、防衛の任に当るものとも言われない。武器を持ったものが漫然と集まった集団であるならばこれは私兵になります。さっき石橋委員、飛鳥田委員の質問に対して答えられておりましたが、たとえば募集に当っても各地方がそれぞれの特色を生かしていい工合に集める、こうなったのでは隊全体を貫く一つの精神が流れず、募集に当っても何ら一貫した方針がないというふうに言われますが、これくらい損なことはないと思う。武器を持った隊内にそれぞれ派閥ができ、相対立する精神が流れるならば、これはどうにもならぬ始末になると思いますが、その点は長官はどうお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/128
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129・小滝彬
○小滝国務大臣 お説ごもっともでありまして、私はこの自衛隊法第三条に出ている任務をよく隊員が体して、そういうおもしろくない方向に走ることのないようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/129
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130・淡谷悠藏
○淡谷委員 大へんどうも簡単な御答弁でいささかあっけないのですが、私はもっと最初申し上げました通り、まじめにこの問題とは取っ組んでみたいと思う。旧軍隊でも今長官が指弾を買ったと言っておりますが、今の自衛隊ほどの指弾は買ってなかった。その当時の国民はやはりああいうふうな軍隊方式というものに対して、何らか心からなる共鳴を感じておった者が多かった。ただこの軍隊の中におきましても、訓練を施す側の幹部と、その訓練を受ける兵の側では、きびしい軍隊の規則の中で外へは出ませんでしたが、はっきりした反抗があった。現在の自衛隊はもっと楽になっておりますから、こうした上部の一つの方針と下部の隊員との間に私はどうしても一つの摩擦が生じてきていると思う。この摩擦が一体どこから出てくるのか。たとえばこの間の死の行軍にいたしましても、あるいは政治関与の問題にいたしましても、上層部が一般の隊員に強制した方針がそのまま受け入れられず、むしろ国民一般の非難が上層部の指導方針に集まっておるように見受けられるのでございますが、そういったような隊内におけるさまざまな苦しみをこの際率直に私は述べてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/130
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131・小滝彬
○小滝国務大臣 何分多数おることでありますから、あるいは隊員の中には厳粛な規律というようなものについて好ましく思わない者もあるかもしれませんが、これは何としても部隊でありますので規律を正しくし、そうしてその階級に応じてそれぞれの任務を持っておるものでありますから、それが融合してほんとうに愛情をもってつながっていくようにしなければならないと考えますので、その点に努力いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/131
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132・淡谷悠藏
○淡谷委員 愛情をもってつなぐことはけっこうですが、たとえば死の行軍の犠牲になって死んだ兵士がある。これが愛情の発露だという見方と、非常なる拷問的な強制だという見方とが今あるわけなのです。ああいうふうな強制をした方に言わせますと、青竹をもって鉄かぶとを愛撫したとか、げんこつをもってほおをなでたというような表現はできましょうが、受けた方はそうはとれない。これはいかに強弁をなさろうとも、私は今の自衛隊の悩みではなかろうかと思うのであります。この悩みは国民一般の間にもあります。おそらくは今日まで成長した自衛隊が、このまま日本の現行憲法の中で許されるものとは、長官も正直のところお考えにならないだろうと思う。いかに強弁しまして、もうこれ以上進めばはっきり憲法改正の必要があるということは、おそらく私は心の底では長官もお考えになっておると思いますが、ただいろいろな関係がありますから、そういうことはないと御答弁をなさるかもしれない。けれども、各国の論調を見ましても、日本ではこれ以上軍備を強くするためには憲法改正の必要があるということを言っておるようであります。ところが現実の日本では憲法改正を許すような状態になっていない。ここに深刻な悩みがあるはずなんでありますが、それに目をつぶっておって、憲法はどうでも、実力をもってあくまでも増強しようという御所存であれば、私は国民全体の体立感情がやがて自衛隊の中にも現われることは必至だと思いますが、そういう不安をお感じになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/132
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133・小滝彬
○小滝国務大臣 私は、自衛隊に入っております者は、大体すべてが防衛の重要性を自覚して、その任務につこうとするものであると信じております。しかし大ぜいのことでありますから、御指摘のような考えを持っておる者があるかもしれない。それは精神教育と申しますか、隊内において指導よろしきを得て、みんなが協力一致するようにしなければならないと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/133
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134・淡谷悠藏
○淡谷委員 ようやく私の望むような一つのコースが見つかったのでありますが、今の自衛隊の精神教育は、ただ国の防衛の重大さを示すとか、あるいはその役割の重大さの関心をかき立てるとかいったような抽象的なものではなく、一体日本の国に迫っておる危険が何であるか、日本の国を脅かしているものは何であるか、こういう具体的な点まで教育しなければはっきりした力が出ててないと思うのであります。ただ抽象的に防衛の大きな任務を負えとか、日本の国を守れとか、こういったものだけではなくて、もっと立ち入った精神教育の面をこの際はっきりお示しを願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/134
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135・小滝彬
○小滝国務大臣 先ほども申しましたように、基本的な考え方は自衛隊法にも載っておりますけれども、それをさらにわかりやすく、各末端の隊員がほんとうに自覚を持って任務を推し進めていくように指導するということは必要だと考えます。しかし、一体どういう詳細にわたった指導をするかということにつきましては、内局の方でもこれまでもいろいろ努力して参りましたし、こうした面は御指摘のように重要でありますので、今後一そう各部隊に徹底するように、いろいろ中央からの指導もいたさなければならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/135
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136・淡谷悠藏
○淡谷委員 教育が抽象的な面にとどまっている間は、私は隊員もあまり迷わないと思う。しかしさっきからの質疑応答の間に、日本の防衛の目標がどこにあるかということは答弁において完全にごまかされて、はっきり言われておりません。一体具体的に迫ってくる危険はどこにあるか、これに対してどうしろというような点までは教育されていないのですか。たとえば日本を侵略から守るといいましても、侵略にはさまざまあるでしょう。当面どの侵略に対してどう戦うのだ、端的に言うならば、共産主義の勢力がソ連もしくは中国から迫る、これに対して当面戦うのだといったような具体的な目標を授けておられるのか、おられないのか、その点をはっきりさしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/136
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137・小滝彬
○小滝国務大臣 いろいろな計画を作りますときには、現状というものについてのいろいろな仮定を設けるとか、その構想につきましては、いろいろその前提も必要でありましょうが、私は部隊の隊員教育の上においてそうした問題を一々隊員の方に示して、それを基礎として精神教育をすることが必要であるかどうかということについては、さらに検訂しなければならないだろうと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/137
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138・淡谷悠藏
○淡谷委員 そうしますと、精神教育の具体的な目標というものは何でございますか。侵略を防ぐのが目的であるならば、侵略の本体を確かめなければならぬ。日本の国を守るのが精神教育の基礎であるならば、何に対して日本を守るのか、この教育が大事だと思う。それが今のところないとしますならば、精神教育の基本的な目標をどこにおくのか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/138
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139・小滝彬
○小滝国務大臣 そういう政治面からいえば、抽象的に申しまして、日本の民主主義を堅持していかなければならぬ。しかしそれかといって、仮想敵国はどこであるかというようなことは、いろいろ情勢によっても違うことでありましょうし、世界情勢というものはいつまでも同じところにとどまっているものでもない。そういう一時的な現象などをとらえて教育することがほんとうに自衛隊を健全に指導していくゆえんであるかどうか、私は疑問を持っているのでありまして、戦前のことは先ほど御指摘になりましたように、これは範とすべきでない。しかし相当極端な教育を行なった際においても、今淡谷さんがおっしゃるような方向ではやっておらなかったのでありまするし、ことにこれは末端の部隊の教育のために必要欠くべからざる基本的な要素であるかどうかということについて私は疑いを持っているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/139
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140・淡谷悠藏
○淡谷委員 私たちが自衛隊の今後の行き方を大へん心配しますのは、戦争に敗れる前の日本の軍隊と今の自衛隊とでは相当大きな違いがある。あの当時の軍隊というのは、天皇中心主義を疑わずに守っておった。天皇陛下のためならば命を鴻毛の軽きに比して、戦場に死していくのが軍人の本分といわれておった。まさか今の自衛隊がそういう精神で訓練されているとは思いません。しかしあのころは軍隊の中では選挙に投票する権利はなかった。それが現在は許されている。あのころは大日本帝国のために死ぬという一つの帝国主義が貫かれておった。しかし現在はあなたのおっしゃる通り民主主主義である。形が変った軍隊で同じ形の精神教育が行われるならば、大へんな危険が出てくると思う。自衛隊を通じて、むしろ民主主義をなくするような方向にいくのではないかという心配を持っている。しかも自衛隊の幹部諸公は敗れたる国の将領であるかもしれないけれども、一応は旧軍隊の上位におった人が多いのであります。意識的にか無意識的にか、幹部が精神教育を施すならば、自衛隊というものはむしろ民主主義と逆行するような重要な役割を占める危険が多分にあると思いますので、はっきりした精神教育の目標を定める必要があると思いますが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/140
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141・小滝彬
○小滝国務大臣 私もこれまで申しておりますが、精神教育というものは非常に必要でありまして、戦争中でも日本の一部の部隊がよくなかったのは、宗教的信念がないということに基因するものではないかと、私も軍隊におりまして痛感しておったものでありまして、この点は御指摘のように重要なところでございます。しかしそれについてそれでは教典と申しますか、どういう具体化したものを各部隊に授けるかということは、非常に重要であり、また下手をするといろいろ批判を受けるようなことにもなりまするので、慎重に検討していかなければならないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/141
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142・淡谷悠藏
○淡谷委員 何だか変な御答弁です。それじゃ今までの三年間の自衛隊の訓練というものは全くブランクのままで、精神教育面はなかった、ブランクのままにして三年経過した、こうとってよろしいのですか。何ら精神教育をなさらずに、鉄砲をかつがせて、戦車に乗らせて引っぱり回しておいて、それでそうおっしゃるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/142
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143・小滝彬
○小滝国務大臣 私は隊員の祖国愛と申しまするか、民族を守っていこうというこの基本的な考えはこれまでも存在しておったと思います。この点を否定するものではございませんが、今あなたからもっと具体的なものを示したらどうかということなんで、私は具体的という意味においては、あなたのおっしゃるような、どこの侵略に対してどう守れというような行き方でなしにもっと一歩高いもので精神的な団結を固め、各自の任務を自覚してもらうという意味で、もう少し掘り下げたと申しまするか、具体化した指導方針というものを授けなければならないだろうということを痛感していることを申し上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/143
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144・淡谷悠藏
○淡谷委員 それではそういう意味で、現在の自衛隊に精神的な結集への指導が足らないということをはっきり認められますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/144
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145・小滝彬
○小滝国務大臣 私は自衛隊ができまして以来関係者はその点非常な努力をしてきていると存じます。ただ敗戦後の日本におきましては、御承知のように非常に考え方の中心がなかったというようなうらみもなきにしもあらずでありますから、そうした指導には非常な困難があった、でありまするから、今後さらに一そうそうした面に力を用いなければならないということを痛感いたしておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/145
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146・淡谷悠藏
○淡谷委員 指導的な根本の目標がないのはむろん大へんに危ないけれども間違った目標を与えることはさらにもっと危ないということをこの際長官にはっきり申し上げておきたい。現在の自衛隊の中には、その指導をあせる余り旧日本の軍隊のような訓練、旧日本の軍隊のような軍隊精神に帰ろうという動きがあるやに承わっておりまするが、その点はいかかでございましょうか。長官はそっちの方向に持っていく気持があるかどうか、非常に困難な道であっても、新しい民主主義の方向に自衛隊を持っていくという御決心があるかどうか、その点も聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/146
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147・小滝彬
○小滝国務大臣 私は一週間前の、各地から集まりました総監会議でもはっきり申したのでありまするが、そういう戦前の軍隊にはいいところもあったかもしれぬが、私はあの実情を直接体験した者の一人としてそういうことは絶対にあってはならない、そうして諸君のように陸大を出たとか、あるいは海軍大学を出たような人は現在の自衛隊の任務はどこにあるかわかっているかもしれぬ、しかしややもすれば下の方へは徹底しないから、みずから部隊の方に直接当って、そうした間違いの起らないようにしてもらいたいということを繰り返し申したほどでありまして、私はその点においては淡谷さんと同じような考えを持っておるものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/147
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148・淡谷悠藏
○淡谷委員 自衛隊の中にはっきりした指導原理を築くことが非常にむずかしい段階にあるということは、これは長官も私も同じ考えを持っておりますが、このむずかしさは今の自衛隊の性格そのものから来ておると私は思う。長官が率直にどういうふうな侵略に対して、何を目標にして守るのだということを言明し得ないような、非常に複雑な日本の自衛隊の構成の中にこのむずかしさが指摘されなければならないと思う。たとえばさっきの御答弁によりますと、侵略から守ると申しましても、特定の仮想敵を設定しないでどこからでも来る侵略に備えるのだというふうに受け取れまするが、まるで日本の自衛隊はこの小さな島の上で八方にらみのかまえをしていなければならぬというような情勢に置かれておる。しかもその兵器はほとんどアメリカからの供与である。それならばあとは八方にらみをするが、兵器の供与、共同防衛の契約が成り立っておるアメリカに対しては全く無抵抗の形でおるというのが、自衛隊の第一条件でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/148
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149・小滝彬
○小滝国務大臣 淡谷さんのお話を聞いておると、みな仮想敵国を持たなければ自衛力は要らないようなお話でありますが、私の経験から言うと、よくヨーロッパに参りましてスイスを見ても、スエーデンを見ても、決して仮想敵国を持っておるのではない、やはり自分の国の安全を守るためには一定の限度の自衛力が必要であるということを各国が自覚してやっておるのでありまして、私は日本もその例に漏れるものではないと信ずるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/149
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150・淡谷悠藏
○淡谷委員 全く逆でありまして、私は仮想敵を持って自衛隊を作ること自体間違っておると思うのであります。敵がない場合は、侵略の危険がない場合は自衛隊そのものも無用になる。現在どこからか侵略を受けるだろうというノイローゼが一体どこから起るのか、これを追及したい。とんでもない話でありまして、私はあなたに仮想敵を作りたいと言っていない。しかもアメリカに対してはもう侵略の危険を感じないような言説をはっきりたびたび耳にするのでありますが、このアメリカに対する安保条約あるいは行政協定を通じましたさまざまな日本の共同防衛の形が、一点の疑いもなしに受け取られておるかどうか、その点をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/150
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151・小滝彬
○小滝国務大臣 侵略を受けることはないだろうという淡谷さんの前提のようでありますが、国際情勢というものしょっちゅう変転するものでありますし、また長い世界の歴史にかんがみましても、防衛というものは全然なくてもいいというような国柄はよほど特殊なものでありまして、日本としてはやはりこの地理的な位置にもかんがみ、また現在の情勢にもかんがみ、いろいろなできごとにもかんがみまして、やはり自衛力は持たなければならぬというのが私どもの信念であります。アメリカは日本と共同して日本にそういう侵略のないように協力しようという態度に出ておるもので、私どもはそのアメリカの現有している実力というものを率直に認めまして、それと協力するという体制で進んでおるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/151
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152・淡谷悠藏
○淡谷委員 アメリカの方はもう全く侵略がないというふうにお認めになるというのですが、これは一つの協約なり条約なりができた場合に、その条約ができさえすれば、アメリカのように強大な武装した国でも何ら侵略の危機を感しないで済むというふうに考えれますが、つまり外交上の措置によりましてその国に対しては何ら防衛をしなくても十分信頼してやっていけるということは可能なんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/152
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153・小滝彬
○小滝国務大臣 防衛庁の方ではこの日本の平和と独立を守るのにこうした実力部隊を持っておるものでありますが、その前提としてはもちろん平和外交というものを外務大臣が推進する、これは日本国土を安全にする第一前提でありますので、その努力は続けられなければならないのは当然であります。それが完全に成功するということになれば、それこそ一般軍縮というふうなものの機運も出てくるのでありまして、それまではやはり日本国としてやり得る自衛力というものを持たなければならぬ。その理想境が出現するまではわれわれの任務はなくなることはない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/153
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154・淡谷悠藏
○淡谷委員 自衛力、自衛力ということをさっきからしょっちゅう繰り返されておりますが、私はやはり自衛の限度というものは、予想される侵略の形によってその範囲も違うし、また重点も違ってくると思う。何らそうした侵略の確固たるものも考えられないで、どこかの国が侵略するだろうから、それで自衛しなければならぬという考えでいくならば、私は戦前の日本の国家と同しように、この軍備の重さのために国自体があえぎあえぎ倒れなければならないような事態に陥る危険が私は多分にあると思う。おそらく今までは、日本の自衛力というのはアメリカもしくはソ連のような強大な国が戦争を始めても、何ら危害を受けないようにということを考えたでしょう。もしもアメリカとかソ連とかいう大きな国が日本の侵略国であるならば、現在の自衛力をもってしてはとうていやれないことはわかっている。突っ込んだ話でございますが、その点はいかがでございましょう。ソ連あるいはアメリカ、こういう国がかりに日本を侵略する可能性があるという場合には、今の自衛隊増強の六カ年計画ではおそらく防ぎ切れないほど強大な兵力を向うは持っておるというふうに考えておりますが、その点長官はどうお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/154
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155・小滝彬
○小滝国務大臣 日本の自衛隊はそういう世界的な大戦争に対して、非常な強大国の侵略に対抗し得るというような考え方で進んでおるのではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/155
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156・淡谷悠藏
○淡谷委員 そうかといって、李承晩のようなああいう国が竹島を攻略し、李承晩ラインを築いても何ともし得ないところに、私は日本の自衛隊の悲劇があると思う。そうしますと、地上部隊は国内を、海軍は海辺をおさめる、飛行機が国土を守る場合に、現在の航空兵器で国土の上に来る航空機を撃退するだけで十分に自衞の目的が達せられますか。これはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/156
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157・小滝彬
○小滝国務大臣 今の自衛隊の実力はきわめて限定されたものでございます。でありますからわれわれとしては最小限、そういうことのあるときに備えるだけの力を持つようにいたしたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/157
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158・淡谷悠藏
○淡谷委員 もう少し率直なお返事を聞きたいのです。たとえばどこかの国が原爆等を持って来ました場合に、日本の領土の上の空でこれと戦ったとしましても、私は自衛の目的が達せられぬと思うのです。これを日本の国土の上で原爆を防いだのでは、やはり日本は戦場になります。むしろこれをほんとうに守りますためには、日本の国土の外に出て防がなければ防ぎがつかぬと思われますが、その点は、どうでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/158
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159・小滝彬
○小滝国務大臣 今の淡谷さんのお話は、日本へ原爆を持ち込まれたようなときにどうするかという話のようでございますが、私どもはかりに大きな戦争がありましても、日本が必ずしも主戦場になる場合だけを想定すべきものではないと思うのであります。それが二次的、三次的な意義を持つような場合におきましては、日本にある航空力を用いましてそういうものが入ってこないような措置を講じなければならない。その意味におきまして、限定された力で、そう遠くに行って基地の根源をつくようなことはもちろんできませんけれども、入ってくるものに対して。洋上においてそれをとらえて侵略を防ぐ措置はやらなければならぬ、こういう考えを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/159
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160・淡谷悠藏
○淡谷委員 その辺が非常に危険な自衛隊の突破口になると私は思うのです。最大の防御は攻撃である、こういうような論拠に立っていけば自衛の限界がなくなるのであります。率直に言って、私はこのままで進むならば、現行憲法では早晩拡張が一つの限界点に達するように考えるのであります。この際くどいようでありますけれども、長官から現行憲法で自衛隊をどの程度まで拡張し得るか、無限に拡張しても憲法には少しも抵触しないと考えておられるかどうか、その点を率直にお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/160
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161・小滝彬
○小滝国務大臣 率直にお答え申し上げます。現行憲法におきましても、自衛のための最小限度の部隊行動は禁止されているものとは私どもは考えません。しかしながらそれが自衛の延長であると申しましても他国に脅威を与えるような、また考え方によっては攻撃的な行動をとるということになれば、それは現行憲法の範囲外に出るものというように考えますので、もちろんこの自衛の限界というものは私ども常に心に持っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/161
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162・西村力弥
○西村(力)委員 ちょっと関連して。昨年鳩山総理も、当時の船田防衛庁長官も急迫不正なる侵害にあって他に方法がない場合には敵の基地を攻撃することもあり得る、こういうことを申されましたが、小滝長官もその通りとお認めになるかどうかお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/162
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163・小滝彬
○小滝国務大臣 それはそのときどきの事態のいかんによるものでありまして、もしそうしなかったならば日本が全く破滅に導かれるというような、こういう緊急な必要があって正当防衛的な立場からどうしてもそうせざるを得ないところに追い込まれる、もしそうしなかったならば日本は全く原爆で壊滅してしまうというような場合においては、あるいはそういうことがあるかもしれませんが、私は外国に対して侵略的な脅威を与えるような行動をとることは憲法で禁止されておるところであると解釈いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/163
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164・西村力弥
○西村(力)委員 極端に、原爆を受けて日本が壊滅するというぎりぎりの段階という想定のもとに申されますけれども、その申されている趣旨は、現憲法下においてもそういう軍事行動は可能であるということをはっきりお認めになると私たち考えてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/164
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165・小滝彬
○小滝国務大臣 私は、もうすでに再三淡谷さんにお答えしている通り、自衛力というものは限界があるということをはっきり認めているものでありまして、今言ったような例外的な場合においては、それはやはり自衛の最小限度の必要によるところの行動であると解釈せざるを得ないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/165
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166・西村力弥
○西村(力)委員 そういたしますと、そういう場合において敵の基地を何でたたこうとなさっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/166
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167・小滝彬
○小滝国務大臣 私は何も今そういう装備を持っているとかいうことを申し上げるのではなくして、今あなたは仮定のような質問でありまするから、そういうことは憲法との関係において、もし必要が生ずれば、そういう緊急事態に対処することとして、必ずしも禁止されているものと解すべきでないという見解を申し述べた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/167
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168・西村力弥
○西村(力)委員 淡谷さんの御質問の要点は、自衛力の限界ということでありましたが、自衛行動というものは敵基地をたたくことができるという前提に立ってこれから整備をせられるのですか。ですからそういう場合にやっぱり対処するだけの軍備を当然持ち得ると考えていらっしゃると思う。だからそういう場合には一体何でたたこうとなさっておるかということを私は聞くのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/168
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169・小滝彬
○小滝国務大臣 今理論的なお話でございましたから申し上げましたが、われわれの実際の政策としましては、御承知のように、安保条約もございますし、行政協定の二十四条もあるのでありまして、かりに事があったとすれば、実際の措置としては日本の力でやるのではなくして、そういう際は共同防衛の立場から、あるいはさらに今後国連が発達いたしまして、集団安全保障の機構ができましたら、それによって対処するより仕方がないと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/169
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170・西村力弥
○西村(力)委員 それじゃ話が違うじゃないですか。私たちが質問しているのは、自衛隊の行動する限界について聞いているのです。そういう場合においては共同行動によってお願いをするということでは、さっきの御答弁とは全然違ってくるじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/170
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171・小滝彬
○小滝国務大臣 その点はすでに淡谷さんに答えております。私は他国に脅威を与えるような、攻撃的と見られるようなものは持たないのだということを言っておるわけでありまして、それでもうはっきりいたしておると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/171
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172・西村力弥
○西村(力)委員 私はどうもはっきりしないのでありますが、自衛隊はぎりぎりの段階には自衛行動として敵基地をたたくことができる、現行憲法下においてもそう解釈すると申されておるのですから、ふだん脅威を与えるような装備を持つことはやめるといたしましても、そういうぎりぎりの段階において、そういう行動をやろうという場合においてこれはあり得る、こういうことを考えていらっしゃるのですから、そのときには何によってたたこうとなさるるのかということをお聞きしておるわけです。すなわちそのことは、自衛隊の戦力の限界というものもまた示すことに相なるのではなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/172
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173・小滝彬
○小滝国務大臣 この自衛力の限界は、もうこれまで何んべも申し上げた通りでございます。そこで今理論的に言い得ると言ったことに対してどうしてやるかとおっしゃるから、それは何も日本の自衛隊でやるのではなしに、そういう危険が迫ったときには集団安全保障の機構によって、あるいはそれが整わない場合には、両国間のお互いの防衛協力に関する取りきめに基いて、他国の援助を受けるより仕方がないだろう、こういうふうにお答えした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/173
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174・西村力弥
○西村(力)委員 そのようになれば明瞭ですが、そうすると先ほどの答弁と全く逆になりまして、そういう最後のぎりぎりの段階において敵基地を攻撃することは、現在の憲法においては認められていない、そういうことを可能ならしめる軍備を持つことは認められていないのだから、そのときには共同防衛で、現在においては米国にお願いをして、その根拠地を攻撃してもらうのだ、こういう御意見になるように私は聞くのです。そうすると先はどの、現在の自衛隊は現行憲法下においてぎりぎりの段階には敵の根拠地を攻撃することもあり得るという御見解と全く反してくるように思うのですが、それがおわかりになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/174
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175・小滝彬
○小滝国務大臣 私は自衛隊についての限界は淡谷さんにお答えしたので、これは速記にも出ていると思います。あなたが自衛権の問題を出されましたから、そういうことは理論的には言い得るだろうが、しかしそうかといって自衛隊でやるということを申し上げたわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/175
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176・淡谷悠藏
○淡谷委員 だいぶ話がはっきりして参りましたが、さっき長官は、アメリカとは共同防衛の上に立っているし、ソ連のような強大な国々の戦争の中には日本は介入するのではないとおっしゃった。そうしますと侵略の脅威というものは制約を受けて参ります。今のところははっきりした仮想敵国もない。ほんとうを言うと自衛というのはいかなる大きな国の攻撃を受けましても、はっきりこれをはね返すような実力を持っておることが一番自衛の本質にかなうことです。それを持たないところに日本の悩みがある。もし憲法が改正できるものならば、一体日本の自衛隊ははっきりした軍隊まで持っていくのがいいか、その点はどうですか。自衛の観念の問題です。ひいては自衛隊の精神訓練の問題です。必要に応じては憲法を改正して、もっと強大なる軍隊を持たなければならないという指導理念に立つのか。むしろ平和な外交交渉やその他の力によって自衛隊は順次縮小の方向に向うのがほんとうであるというふうな態度で臨まれるのか。これは今後の自衛隊論議のかぎになります。伸ばしていって平和を守るのか、別な手段によって平和の道を講じて、漸次そういうような武力を持った組織は小さくしていくのか、これはどっちにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/176
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177・小滝彬
○小滝国務大臣 自力だけでいかなる国の侵略に対してもはね返すというような国力は、私はソ連、アメリカといえどもなかなかあり得ないと思うのであります。しかし今御質問のポイントは、憲法を改正して、大いにたくさんの軍隊を作ろうという考えを持っているかということだと思いますが、それは私は絶対にそうではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/177
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178・淡谷悠藏
○淡谷委員 そうしますと、長官はできるならばこの自衛隊を縮小する方向に持っていきたいというお考えがおありだと思います。現在の情勢が許さないから今度のようにまた拡張する方向に向われたのだろうと思うが、そういう何かはっきり割り切れないものが日本の自衛隊問題にはありますので、こういう気持が隊員にも影響して、日陰の軍備のような、世を忍ぶような、自衛隊にとって非常に残念しごくのような状態が生まれてきておる原因をなしておると思います。そこでどうしてもここで問題にしなければならぬのは、あの以前の日本の軍隊と違いまして、現在の日本の軍隊は政治的な面と接触することがしばしばある。選挙の場合には投票する。一体投票する場合に、その候補者の選択の基準というものを何によって求めるかと申しますと、これはやはり日常の政治的な教育にあると私は思うが、その人間の自由にまかせるのが本筋であると思いますが、一体自衛隊の教育の方針の中に、そうした日本の現実の政治に目を開かせるような何らかの措置が講ぜられておるかどうか、この点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/178
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179・小滝彬
○小滝国務大臣 自衛隊員も投票権を持っておって選挙の際には投票いたします。また平素におきましては、良識のある自衛隊員を作ることが必要でありますから、その意味で一般の社会問題についても政治問題についても、各自が注意いたしますと同時に、また機会があれば講演会というようなものが行われるということはあり得ることでございまして、これらの隊員ができるだけ各般の問題を理解して健全な良識ある自衛隊員として行動するようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/179
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180・淡谷悠藏
○淡谷委員 どうも長官の御答弁の中には、一つの概念の隠れみのの中に隠れてしまうような逃げ場を私は感ずるのでありますが、良識を持って教育するとか、正しい方向に行くように教育するとかいうことはだれにも異存がない。何が正しい方向であるか、何が良識であるか、これが問題であります。現実の社会には階級があります。またはっきりした意見の相剋があります。政党には対立があります。この選挙というものは対立物の中から一つを選ぶことなのでありますから、その際にあなたのお考えでは、多数党の方、つまり率直に言うならば今日の自民党が正しい政党であり、少数党の社会党は正しくない——まさかこれほどまでにははっきり言わないと思いますが、この自衛隊員自体がそういう選択をみずから持つように、教育の自由を認めながら訓練されておるのか。あるいは知らず知らずの間に一つの型にはまった方向に行くような教育をされておるのか。最近の各地に起った具体的な例を見ますと、私にはその点が非常に不安に思われる。ほんとうに正しい意味で政治教育がなされ、正しい意味で選択の自由が与えられておるならばいいけれども、ふだんは何らそういう問題に触れないで政治的に無知のまま放擲しておいて、いざというときには簡単なサゼスションを与えてそれで行動するような何らかの意図がありそうにも考えられるのでありますが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/180
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181・小滝彬
○小滝国務大臣 これまで問題となりました二、三のケースは、私もよく調べてみたのでありますが、あるいはそういうような誤解を起したかもしれません。けれども、それぞれ当ってみますと、決してそういう意図でやったのではなく、あるいは注意が十二分に払われなかった点があったかもしれません。その点は遺憾でありますが、決してそういうことを故意に、政治的に影響力を与えようとする意図をもって行われたようなケースは、これまでのところはないようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/181
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182・淡谷悠藏
○淡谷委員 いい機会でございますから、もう一歩突っ込んで私お聞きしたいのですが、この前の委員会で私、青森県の大湊の問題、北海道の豊平町の問題について、長官に調査の結果の御報告をお願いいたしました。まだ機会を得ませんで、詳細の調査結果の報告を受けておりません。この際一つ御報告願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/182
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183・加藤陽三
○加藤(陽)政府委員 まず豊平の方の問題から御報告申し上げます。これは、豊平町長が自分の選挙に好意を得る目的をもちまして、七十万円を自衛隊に献金したというふうなお尋ねだったと思うのでございます。われわれの方で調査しました結果によりますと、次のようになっております。三十一年の六月十四日に、札幌地区に国設の宿舎用地千八百四十坪を単価千二百円で取得するように、中央から指示がいっております。これにつきまして、北海道の方面隊におきましてはいろいろ候補地を選びまして、札幌市内の藻南地区と豊平町の平岸地区の二カ所を候補地として選定したのでございます。ところが、この平岸地区の方は予算内での取得が困難であるという見通しを得ましたので、藻南地区の方に候補地をしぼって参りつつございました。たまたま豊平町の当局におきましては、国設宿舎の建設の計画があることを知りまして、ぜひ豊平町の発展のために豊平町内に建設をせられたい旨の申し出があったのでございますが、自衛隊の方におきましては、予算面で困難であるということを伝えましたところが、町長が自分で所有者に交渉してみるということでございました。その後町当局から、所有者が自衛隊の方の評価額で承諾した旨の連絡がございましたので、所有者に当りましてその承諾を得ましたので、所要の手続を取りましてその用地を取得いたしております。ただし、豊平町当局が所有者に自衛隊の方の評価額で話をつけたにつきましては、われわれといたしましては関知しないところでありましたが、豊平町といたしましては、町議会を開きましてこれを助成する旨の議案を提出し、一部議員からこれに対する意見もございましたが、満場一致でその議案を議決したというのが状況でございます。次に、大湊の問題につきまして御報告申し上げます。この前御質疑がございましたのは、一つは、選挙の当日、集団で引率をして投票をしに行ったという点でございましたが、これを調べてみますと、隊を出るまでは集団で行っておりますが、隊を出ましてから隊外で解散をし、個人が自由に投票所に向った事実がございます。その次は、選挙の当日に訓示をしたという話でございましたが、そういう事実はございませんで、一月二十五日に投票が行われたのでございますが、一月二十四日に次の旨の話を隊員にしております。それは、大湊の地方総監部の幹部の会同の席上で話が出まして、明日の選挙に際しましては、棄権をしないように、各人の自由意思によって投票するように、無記名投票であるから、投票した候補者の名前を口外してはいけない、佐々木候補は、農業、前町長、三本木農学校卒業で、保守系であり、浜谷候補は、著述業、慶応大学卒業で、革新系であるという話が出まして、各隊長の判断によりまして、集会の機会におきまして伝えております。この保守系、革新系ということは、前回の委員会で申し上げましたが、東奥日報の一月二十日の夕刊及び一月二十一日の朝刊に出ておりましたところをもとにして述べたようでございます。この幹部会同に出ました幹部の者も、全部が隊員にそういう話をしておるわけではございません。問題になりました大湊基地警備隊について調べてみますと、警備隊の司令は、その幹部会同が終りましてから自分の隊に帰りまして、副長、港務長、内務主任、港務主任、陸警長、補給長、この六人の幹部を集めまして、幹部会同でこういう話が出たということを申しております。この話を聞きました六人の中で、私どもの方で調べましたところでは、副長は部下の者に語っておりません。港務主任も語っておりません。港務長、内務、主任及び陸警長、補給長が部下にその話をしたようでございます。しかし、その話の内容も、今お答え申し上げた範囲を出ていないようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/183
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184・淡谷悠藏
○淡谷委員 事実は別段、私どもの調べたのと、ただ二十六日の訓辞が二十四日にさかのぼっている一点だけで、あとは変りがない。しかし、これについてわれわれは非常に遺憾に思う。また、こういう事実をいいという人もあるらしい。けれども、あのかなりな繰り越しの予算を持っております防衛庁が地元が承諾しない価格で土地の買収を指令して、しかも、これを町会で決議して、選挙間ぎわの町長が、あえてこの問題に町費まで出してきめてやったということに、選挙に関連した非常にデリケートなものがある。私は、昔の軍隊もそうでしたが、今の自衛隊の幹部に、そういう感情のデリケートな問題に触れ得ないような、神経で教育されたならば——これはおそらく意識していないでしょうけれども、無意識のうちにも政治的なものになって買えなかった土地、ほしい土地が町の手によって入るならば、心理的に、寄付をしてくれた町長に好意を感ずるのは当然であります。最も巧妙な選挙運動というものは、私に一標を投して下さいと言わなくても、暗に投票しなくてはならぬような雰囲気を作ることであります。現にのせられているじゃありませんか。
それから大湊におきましても、革新あるいは保守、この差別を、ただ一枚の地方新聞の記事をうのみにしてそのまま伝えるということは、私はむしろ伝えないに劣ると思う。しかも、その伝えたことは、ある幹部によっては末端に徹底せられ、ある幹部によってはそのままにしておる。そうしますと、選挙に当っては、自衛隊の内部に何ら統一した方針がなかったのか、あるいは公平であるべき自衛隊の根本方針を逸脱をして、自分の気持でサゼスチョンを与えたという人があるやに思われますが、防衛庁としては、そういう際に何かはっきりした指針を与えて、こういう方針をもって候補者の性格なり経歴なりの周知に当らせようといったようなサゼスチョンを行なっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/184
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185・加藤陽三
○加藤(陽)政府委員 大湊の事件につきましては、調査をしました結果はただいいま御報告をした通りでございます。もとは、隊員はその土地の者が少いものでございますからっ地方選挙に当りましては、候補者についての人物を知り得ない、しかしながら幹部といたしましては、本人が持っております基本的な権利であります選挙権というものはこれを行使させたい、それについていろいろ考えた末にこういうことをやったのだろうと思いますが、私どもとしましては、こういうやり方は必ずしも欠点なしとは言えない。そこで、最近自治庁の方と協議をいたしまして、極力選挙公報を——これは任意制度になっておりますが、選挙公報を自衛隊のたくさんおりますところにおきましては発行してもらうように、自治庁の方からも当該選挙管理委員会の方に依頼をしてくれ、われわれの方もその町村の選挙管理委員会に行きまして、さしつかえのない、しかも隊員が投票するに当りまして、ある程度参考となるような事項を知り得るような方法をとりたいということで、自治庁と協定いたしまして、最近全国にその種の通知を出したものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/185
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186・淡谷悠藏
○淡谷委員 これは長官に一つお伺いしたいのですが、選挙権を与えられた者が政治に対するはっきりした認識もなしにこの権利を行使するということは非常に危険なことであります。従ってこの政治的な一つの認識を与えるために、選挙当時などはかなり自由に門戸を開いて、保守、革新双方ともに政見を十分聞かせるような御配慮をなさる考えがあるかどうか、この点をお聞きうたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/186
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187・小滝彬
○小滝国務大臣 営舎等はそういう活動の場所でなく訓練の場所でありますから、そういうところはいかがかと思いますけれども、外に出てできるだけ自分の知識を広める、そうして判断の材料を得るということにはできるだけ便宜を与えて差しつかえないと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/187
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188・淡谷悠藏
○淡谷委員 戦争前の日本の軍隊は政治に対する目を全く閉ざしてきた。これからの自衛隊というものは、政治的な方面にも十分目を開かせるという御方針のように思われますが、それに対して何か教育上、訓練上の用意ができておるか、伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/188
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189・都村新次郎
○都村政府委員 先ほど大臣からもお答え申し上げたのでありますが、自衛隊といたしましては徳操、しつけなど、社会人としての良識を養うとともに、必要な精神要素の涵養をはかるということで教育並びに訓練を行なっております。ただいまのお話の政治常識といいますか、政治教育といいますか、その点に関しましては、ただいま申し上げました使命の自覚ということに関連いたしまして、民主主義、共産主義あるいは全体主義、それぞれの特性、特徴並びに国際的な一般の情勢、それからその間におきます日本の置かれは立場、こういうような事柄につきまして客観的な話をいたしまして、健全な判断力を養うというふうにやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/189
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190・淡谷悠藏
○淡谷委員 どうも自衛隊ははっきりしたそういう政治目標の方にまで踏み込んでいく教育をしていることははっきりわかっておりますが、これはやり方によっては大へん危ない。ほんとうに正しい政治教育をするならばいいのです。けれども何らかの意図があり、何らかの特別の金をもって与えられたサゼスチョンでは、これは武器を持った二十二万の大衆がとんでもない政治勢力になるおそれが多分にある。私はこの武器を持った大衆がほんとうに誤まった道を踏み出すならば、かつての五・一五あるいは二・二六の時代のように、軍部が政権をねらって国内の治安を乱すような危険性も多分にあると思いますが、教育の点において、その点の配慮はどうなされますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/190
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191・都村新次郎
○都村政府委員 ただいま私が申し上げました通りのことでございまして、御心配のようなことは極力ないように万全の注意を払っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/191
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192・淡谷悠藏
○淡谷委員 あなた方は御心配がないかもしれませんが、私の方では非常に心配になるわけです。おそらくは防衛庁の経理なども、あなた方の方では十分心配がないように万全の処置を講じておられると思うが、これはどうです。毎年汚職じゃありませんか。武器を持ったものが集団しておるところの経理があの通り乱脈で、果してあなた方がしょっちゅう言われる国民の信頼を受けるような自衛隊ができますか。同じことが教育の方にも行われまして、あなた方の万全の処置にもかかわらず、いつの間にかそれがかってのファッショを 醸するような武力を握った政治団体に変ることがあったら一体この責任をどうします。大衆といえども武器を持ったものと持たないものとは違う。誘導弾まで持ったこの自衛隊が一たん政治的な行動に間違って出るならば、これは明らかにクーデターでありませんか。民主主義でやろうという国にクーデターが行われて、果して民主主義の健全な発達ができますか。これは笑い事じゃありません。日本の過去の歴史をまじめに考えるならば、こういう武器を持った集団の政治的な行動というものは、戒心の上にも戒心を加えなければならぬ。今日のような矛盾の上に立って、しかも非常に統一のない指導方針を持っている自衛隊は、その点に対してどのような戒心を払われておるか、もっと具体的に私は言ってもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/192
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193・加藤陽三
○加藤(陽)政府委員 ただいまお尋ねの点は私どもの方といたしましても非常に重要な問題わいたしまして、深く戒心をいたしておるところであります。先ほどから大臣がお述べになりましたが、昔の陸軍も海軍もいい点、悪い点がありますが、われわれはいい点を伸ばしまして悪い点は捨てて、りっぱな自衛隊を育成していかなければならないと思っております。私はこの点につきまして胸を打たれましたのは、数年前に親泊大佐という方——この方は終戦当時自決された方でありますが、この方の遺書を読んだのでありますが、その遺書の中で三つのことを言っておられます。一つは満州事変以来軍がみだりに政治に関与して今日の悲運を招いた、いま一つは陸海お互いに対立したがために今日の悲運を招いた、いま一つは軍における人格の尊重が十分でなかったことが、昭和の初年において南京等で列国の環視のもとにおいて皇軍の威信を失墜した、これは非常に遺憾であったということを遺書の中に書いてありますが、私は非常に胸を打たれたのであります。新しい自衛隊は少くともこの三つの点につきまして、再び過去のあやまちのないように十分戒心していかなければならないと思います。政治的な活動の点につきましても、今のような見地から非常に重要に考えておるのであります。いやしくもクーデターのようなことを起こすことのないように、私は絶えず人事の面において目を見張っております。われわれの自衛隊法その他において規定せられておりますところの罰則等は十分ではないかもわかりませんが、しかしいたずらに罰則を強化するということだけが能ではないと私は思うのでありまして、われわれの平常の指導監督を通じてそういうふうな気分を起さないようにすることの方が、何より根本的に大事なことであると思います。私は全力を尽してそれに向って邁進いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/193
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194・淡谷悠藏
○淡谷委員 この際はっきり具体的に聞いておきたい。旧軍隊のいい点と悪い点と述べられましたが、どの点がよくて、どの点が悪いか。これは毎日の訓練の上に直ちに反映すると思うので、今あなたの言われた遺書はそれでいいとして、日常訓練において旧軍隊のいい点、悪い点、これを例を上げてお示しを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/194
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195・加藤陽三
○加藤(陽)政府委員 こまかい点につきまして詳細に申し上げることは非常にむずかしいと思いますが、今申し上げました三つの点については、私は再び自衛隊にこういう空気をもたらしてはならないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/195
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196・淡谷悠藏
○淡谷委員 どうも具体的にというとみんなむずかしいということで逃げてしまう。これでは茫漠とした自衛隊ができ上ってしまう。少くとも現在の自衛隊というものは、日本の官庁ではあり余るほどの予算を取っている、その経理が紊乱に紊乱を重ねている、指導方針は確立されておらない、これでは金力と武力を持った非常に統制のきかない集団になっている。しかもその一歩手前には憲法の上から非常にデリケートなものがある。こうした矛盾をはらみながら、ますます形の上で拡充していって、あなた方が戒心を払われるような危険が果してこないだろうかということを私は非常に心配する。今後の隊内の規律、特に経理面における規律をどういうふうな決意を持って正していかれるか、これは長官に聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/196
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197・小滝彬
○小滝国務大臣 これまで経理あるいは物資の取扱いの面において好ましくない事件を起したことはまことに遺憾でありますので、これについては、事前の措置といたしましては、十分部隊に対する監査を厳重にし、また、万が一にも不幸にしてこういう事件を起しました際には、十分これを調査いたしまして今後の措置の参考とするのみならず、また、そうしたことに関係いたしました者についても、十分調査の上妥当なる処罰をする、そうしてこういう問題の再発を防ぐということのためにわれわれとして今後とも一そう努力をいたしたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/197
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198・淡谷悠藏
○淡谷委員 ただいまの御答弁ですが、どうも私、戒心をするとか注意をするとかいうだけでは解決がつかぬ問題だと思います。士気の紊乱はやはりこうした経理のことが非常に大きい。自衞隊の中の規律はこういうことによって乱される。一体今の予算の余った部分を、各省のようにその年ごとに国庫に返すといったような方針がとれないものかどうか。もう一点は、承わりますと、最近何か海軍工廠のようなもの、陸軍工廠のようなものを作って、防衛庁がみずから、防衛生産をやろうという動きがあるやに聞いておりますが、この点はおそらくはうそだろうと考えますが、将来そういう形が出るかどうか、この点を確かめておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/198
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199・小滝彬
○小滝国務大臣 防衛庁が直接防衛生産に乗り出すというようなことは私ども考えておらないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/199
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200・淡谷悠藏
○淡谷委員 もう一点、アメリカが兵器の供与をやめた場合に、これにかわって国内で防衛生産を特定の会社でやるようなお話もございましたが、これで防衛費がさらに大きく上回るようなおそれがございませんかどうか。同時に、余った予算を年度内に返すかどうかについても御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/200
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201・小滝彬
○小滝国務大臣 予算につきましては、会計法の規定もございますので、それに従うわけであります。ただ、今後アメリカの供与品が減少した場合、日本でそれにかわるものを作らなければならないということは、現在も問題として取り上げられておるものもございます。その際一体予算の総額がどうなるかということは今後の計画いかんにもよることでありまして、一がいには申し上げかねる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/201
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202・淡谷悠藏
○淡谷委員 それではどうも答弁にならぬと私は思うのです。さっきからいろいろ聞いておりますと、まだ侵略に対する見通しあるいは仮想敵国もない。その場合日本の軍需工場がそうした防衛生産をどんどん進めて参りますと、目的を転倒しまして、自分たちのやっております仕事を拡大するために自衛隊を使うという形になるおそれが多分にある。これは日本の古い軍隊にあった。そうしますと、汚職や疑獄などは、ただ防衛庁の調達の面だけではなくて、防衛庁全体をひっくるめて押し流すような危険が多分にある。こういう軍需工場のためにあえて国費を使って目的のはっきりしないような防衛生産をやるおそれが多分にあると思いますが、この辺に対する戒心を長官は一体どう払われるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/202
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203・小滝彬
○小滝国務大臣 防衛庁の費用はもちろん毎年予算によって皆様の御審議を経た上で使うのでありまして、防衛生産の保護育成とか、ある特定のもので必要なものにつきましては、これは、そういう不当な措置によるのではなくて、民間の需要と大体同じもので部隊用に使えるものもございます。たとえば通信機であるとか、いろいろな器材は民間の需要と一緒にして作られるということになれば、それによって当然採算のベースに乗るわけでありまして、防衛庁が特別なる保護措置をしなくてもそれと一緒にやるということも可能でありますし、また第三国への輸出というものと一緒にして、これがあまり萎靡することのないような方策もとり得るのでありまして、これを不当になる支出によって保護するというようなことは絶対に避けなければならないことであり、またそういうことは当然議会においても賛成せられるところではございませんので、そういうことはもちろんいたさないし、またいたす危険もないと私は信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/203
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204・相川勝六
○相川委員長 他に質疑の通告もありせんので、これにて質疑は終了いたしました。
これより討論に入ります。西村力弥君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/204
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205・西村力弥
○西村(力)委員 私は日本社会党を代表にたしまして、ただいま提案せられております自衛隊法の一部を改正する法律案及び防衛庁設置法の一部を改正する法律案の二案に対して反対の意見を述べようとするものであります。その反対の理由の第一点は、自衛隊は日本国憲法に違反するという点でありますが、そもそもこの日本国の憲法が誕生した基礎というものを私たちは今新しく思い起してみる必要があるのであり、これはわれわれ日本国民が何回も何回もやらなければならない大事な仕事であると思うのであります。この憲法は、この前の世界第二次大戦、世界人類をおおって惨禍のるつぼと化したあの世界第二次大戦、日本国もその最も先端を切る当事国として極端なる惨禍を受けたわけなんでありますが、しかも最後には広島、長崎に人類に最初の原子爆弾が投下せられ、そういう結果に生れたこの憲法なんであります。長崎、広島に原爆を落された瞬間というものは人類の歴史上一転機であると私は考えるが、われわれ人類の将来の大事な任務は、戦争と文明というものの対決において、いかにしてこの転機から人類の英知によって文明が完全に戦争を克服することができるか、これが、あの原爆が投下せられた瞬間からわれわれ人類のだれでもが負わされた大事な任務であると私は思うのであります。そういう点を背景としてわれわれ日本国民はあくまでも絶対平和を責き通していく、こういう決意に立って平和主義を唱え、また民主主義を基底とし、また基本人権、こういう原則に立って憲法をわがものとして制定したのであります。しかもその憲法の第九条には、この平和主義をはっきり具体化して、国際的な紛争の処理のために戦争には訴えない、陸海空の軍隊はこれを保持しない、国の交戦権はこれを認めない、こういうことを規定しておるのであります。これはだれが見ても明瞭なことでございまして、自衛隊が合憲であるという主張は保守党政府の必要による強引なる、ゆがめたる解釈以外の何ものでもないわけです。国民全体の安全というようなものに対して、はっきりした自信を持つ考え方ではなく、とにかくあの警察予備隊が発足した当初のことを思い起すと、朝鮮において戦乱が発生して米軍がそちらに動く、そういう必要上、アメリカの必要上から日本に強制せられて発足したのが警察予備隊、そうしてそれが一枚仮面をぬいで、保安隊となり、それが自衛隊となって、今回の改正法を見ますと、陸上十六万人、海上が二万四千百四十六人、航空自衛隊が一万九千九百二十五人、それに統合幕僚会議所属の者を加えて二十万四千百五人と、こうなっておるのであります。そうしてまたその装備を見ましても、相当高度なる、ひょっとすると防禦という限界を越えて行動を起すであろうという危険を持つ装備がたくさん持たれるようになっておる。大臣の答弁によりますと、誘導弾というものを要請して日本に供与を願っておる、こういうことであります。これはほんとうの近距離だ、こう申されますけれども、その誘導弾は射程距離はあまり大したことはないにしても、その弾頭にTNTの原爆はもちろん、そのほか原爆、水爆あるいは細菌とか毒ガスとか、そういうものを詰めることも可能だという、こういうようなものを装備しよう、こういうことになっておるわけなんでありまして、私たちはこういう自衛隊の全体の様相は、日本の安全にプラスになるという工合には考えられない。もちろん当初から申しましたように、わが憲法に反するものということをはっきり申し上げなければならないのであります。
次に、反対の第二点は、自衛隊をこのようにふやして、ほんとうに私たち国民に安心感を持たれているかどうか、またこの自衛隊を持つことによって、私たちが本気に念願しておる世界の平和というものに対して、どれだけの寄与をしておるだろうか、こう考えるのでありますが、これは絶対にプラスどころか大きなマイナスだけを与えておる。マイナスの危惧と恐怖感を与えておる、こういわなければならないのであります。日本の日米安全保障体制によってがんじがらめにされておるという現状は、だれも否定しないでありましょう。そういう体制下にあって私たちがこの防衛というものを強要せられておる、そのことは、結局その生ずる根源はアメリカの世界戦略というところにある。こういうことを私たちはだれでもが考えるのであります。この日米安全保障条約なるものは日本の外交においてもあるいは防衛においても、あるいは産業や教育にまで強い影響なり拘束力を持って方向づけておる。その方向づけておる基本であるアメリカの世界戦略というものを考えてみますると、これはもちろん二大陣営の対立で、ソ連とシーソー・ゲームを続け、だんだんとその力の均衡の気違いじみた努力——結局人類の最後的な死滅をもたらすのではないだろうか、こういう究極兵器の段階に移りつつあることは新聞なども強く報道しておるところであります。こういう力の均衡というものの平和方式については、私たちはもうこの前の太平洋戦争においてはっきりそれが誤まりであるということを知らされておるはずである。あの当時力の均衡こそ平和であるという軍部の唱道に基いて国民があげて軍備に狂奔した結果が、結局悲惨なる結果としてわれわれ自体に報いられてきた、こういうことを考えるのであります。それでこの力の均衡のアメリカ政策が火を吹いた場合においては、その体制下において軍備を持って日本国土を守ろうとする私たちの努力などというものは、ほんとうに全然意味のないことになってしまうのであって、一たん戦争が開始されたということになりますならば、アメリカ軍自体は当然近距離からの攻撃を避ける方法をとるに違いないけれども、われわれ九千万の国民ははやはり逃げ場を失うのだ。そうして九千万の玉砕というような形になるのだということは、国民全般がもう真剣におそれておる問題なのであります。そうしますとそうい大戦争というものはなかなか考えられないことであるし、そのときにはメイファーズなんだ。そういうことではなくて、局部的な小規模の戦争ということを当然予測しなければならないんだ、こう申されて、そうしてその例としましてスエズの戦争というものをとられるのでありますが、スエズの戦争が十日間で終結を見たということは、一体その力というものはどこから生まれたものだろうか。エジプトの軍備が英、仏、イスラエルの軍隊をささえ切って、そうして十日間でこれを終結せしめたのかということになると、それは全然違う。やはり自国で始めた戦争を自国の国民が停止するというような誓い、あのイギリス国民のああいう世論が出たその背後には、世界人類の強い強い戦争を阻止しようという世論があったのだ。こういうことを考えなければならないし、また国連においてはアジア・アフリカの諸国が二十数カ国一致して、そうして国連において活動し、六十四対五でしたか、その数字ははっきりしませんけれども、そういうアジア・アフリカの小国といえども、結集した平和を求める勢力というものが、横暴なる侵略をささえたのだ。十日間においてスエズ戦争を停止せしめたのだ。こういうことを私たちは現在の国際的な一つの事件からはっきりくみとらなければならないと思うのであります。こういう考え方に立っていかない限り、たといわれわれが国会において原水爆の実験禁止を唱え、あるいは岸総理が原子兵器の持ち込みを断固として拒否するのだ、こういうことを言うても、これは不可能なことであり、すでにしてアメリカの世界戦略の一環にある西ドイツ、そこには原子兵器が持ち込まれておる。それは承諾したのかどうかということについては、西ドイツの政府当局は言明はしておりませんけれども、一方は西方、一方は東方という違いはあるにしても、同し戦略的な地位にある日本が原子兵器の持ち込みを断わり切れるというようなことは考えられない、日米安全保障体制においてこういうものを無理に、無断で持ち込まれたら、ぐうもすうもないというような状況にあるわけなのである。だから私たちは局部戦争におけるそういう一時の防衛体制というものは国民の名においてやらなければならぬのだというような考え方を捨てて、やはり国際的な、スエズの戦争に現われた一つの力というものに対して私たちは大きな信頼と、その中に私たち自体の日本国の意思と力を食い込ませて、一緒になって行くのだというような、こういう考え方に立ってこそ初めてわが国の安全は守り得るのではないか。もなわち自衛隊の増強方式、その増強も先ほどの同僚委員の質問に対して、いかなる侵略に対していかなる程度の防御ができるか、そういうようなことは一切答えられない、めくらめっぽうの増強をしておるような状況でありますが、そういうようなことをやっておっても決して日本の安全というものは、あるいは日本国民の恐怖というものはこれをぬぐい去ることは不可能であると私は言わざるを得ないのであります。
その次にかりにこれが憲法違反ではないというような前提に立って、しからば日本において自主防衛というものを可能にするであろうかどうか、口では自主防衛と申されるけれども一体そのことは可能であるかどうか、自衛隊の現状というものを私たちは見るときに、軍事顧問団というものはやはり厳然として上位の立場にある、あるいは編成も組織も装備も全部アメリカからの供与品である、こういうような形にある。しかもその供与される兵器なるものは質も量もはっきり先方から指示されるというものでは絶対にない、いろいろ私たちも資料を求めているが、防衛庁から提出をいただく資料にも、何々は何ぼ、何々は何ぼと一応示されてはおりますけれども、それは推定額である、供与の場合においても供与期待額である、こういうようなことを前提として進められている日本の自衛隊においては、自主防衛ということはおそらく不可能である、こう言わざるを得ないのであります。また最もこの自主防衛を不可能ならしめる決定的な要因というものは何であるか、こう考えてみますと、自主防衛というものをほんとうに可能ならしめる根拠というものは、防衛生産のほんとうの自主性というものがなければならないと私は思う。今聞いてみると京都新聞にもP2Y−7ですか、あれの国内生産の問題が出ておりますけれども、やはりアメリカの財政的な援助を請い、部品の供与を請い、そういう兵器の決定的な部分については一切わが方においてこれを自由にすることはできぬ、張り子のトラのようなものを作ることはできるでありましょうけれども、その命の部分はやはり先方様が握っておる、こういうようなことを私たちは考えなければならないと思う。しかもアメリカ自体としましても、日本の自衛隊がすくすくと成長することを望む、それは安上りの陸上部隊によってやっかいな日本に駐留することをとめ得る、こういうような打算的な考えもあるでしょうし、もう一つは、日本の自衛隊がアメリカの古い兵器の非常に重要な市場となっておるということ、これは私から言うまでもなく、アメリカの歳出委員会における議事録なんかにもはっきり先方で申しておることなのです。こういう点から見まして自主防衛生産ということはなかなか不可能である。またわれわれ国民の側からしましても、今日の自衛隊の増強計画、それに伴う防衛産業の計画というものを見ますと、国民所得の上昇は五カ年計画で四%なら四%年間に上昇するということになっておりますが、これだってなかなかそう思うようには参らないにもかかわらず、その三分の一を年々投じてもなお足りない、こういうことでありまするから、私たち国民の側からしましても、負担の限界をはるかにこえた形においてしかこれはやり得ないのではないか、私たちの負担はことによって非常に過重なるものになってしまうということを私たちは考えるのであります。そういう点からいいまして、自主的な防衛生産というものは将来長く不可能である。防衛生産の増強こそ保守党の諸君のねらう自衛隊の増強であり、憲法改正であるというようなことも一応の観測としては言えるだろうと思うのでございますが、自衛的な生産に移行し得ないそういう基礎の上に立つわが自衛隊が、自主的防衛というようなことは絶対に不可能である。もちろん私は独力防衛ということを言うのではない、自主的防衛ということを言うのでありまするが、その自主的防衛もなかなか不可能であるということを考えるのであります。
以上で私は反対の意見を終りまするが、最後に申しておかなければならないと思うことは、わが社会党は自衛隊を縮小し再編するという政策を立てておりまするが、そうしますると自衛隊の諸君がその行く先はどうなるのだということになって、そのことについて盛んに一部ためにせんとする逆宣伝を行うものがあります。しかし自衛隊の諸君といえどもわれわれと同じ日本国民である、しかも私たちがこの計画を立てる限りにおいて、自衛隊の諸君の個々人の現在の生活程度あるいは諸条件というものと切り離した形において放置するのだということは絶対にあり得ない、私たちは十分なる対策を持ってこの政策を掲げておるのだということをここに申し添えまして、私の討論を終りといたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/205
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206・相川勝六
○相川委員長 保科善四郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/206
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207・保科善四郎
○保科委員 私はただいま議題となっております防衛二法案について、自由民主党を代表いたしまして原案に賛成の討論をいたします。
この両案は数よりも質に重点を置くというまことに当を得たる方針に基きまして、主として航空、海上自衛隊の内容充実を主眼とするものであります。その内容はおおむね適当であって、私はこういう観点からこれに賛成をするものであります。しかし今日までの質疑応答を通じまして明らかにされております通りに、いまだに基本的な防衛計画の決定もできませず、依然として防衛生産の裏づけも確定的なものがない、いわゆる防衛六カ年計画なるものに基本を置いておることに対しましては、何と申しましてもこれは不満の意を表せざるを得ません。今や防衛兵器は革命的な変化を遂げておりまして、原子力、水素力を動力として利用する時代の到来も遠くないと想像せらるべき状況におきまして、よく将来を見通して適切なる自主的防衛計画を策定するということは、これはなかなか困難であるということは、私もこれを認めるにやぶさかではありません。しかしながら、こういうゆえにこそ私は当局に対してすみやかに頭の切りかえを行なって、一そう積極的なる努力を加えて、最新の防衛兵器を導入することができるような受け入れ体制をすみやかに整備して、タイムリーにこれら新兵器を国産に移し得るような措置をとると同時に、これら新兵器の善用を期し得るような機構制度の改善を積極的に行いまして、国民に安心感を与えることを強く要望せざるを得ないのであります。しかし何と申しましても私は要点は人であると思います。広くよき人を採用して、これに良識ある教育訓練を施して、心魂を捧げて祖国防衛の神聖なる任務に邁進し得るがごとくすることは最大の要訣であると信じます。私はこれがためには現下の国際情勢下において、社会党の諸君は違った観点に立っておりますけれども、私は適当なる防衛力を整備することは、わが国の安全保障上絶対必要であるということを一そう強く国民に認識をさせまして、その全面的な支持を受けることがこれは前提の条件であると思います。よって私は最後に当局に対しまして、これに必要なる積極的施策を講ぜられることを強く要請をいたしまして私の討論を終ります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/207
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208・相川勝六
○相川委員長 これにて討論は終局いたしました。
これより採決に入ります。両案を一括して採決いたします。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/208
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209・相川勝六
○相川委員長 起立多数。よって両案はいずれも原案の通り可決いたしました。
なお両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じまするが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/209
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210・相川勝六
○相川委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。
次会は明二十六日午前十時より開会するこことし、本日はこれにて散会いたします。
午後三時三十二分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X02219570325/210
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