1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年五月十六日(木曜日)
午前十時二十四分開議
出席委員
委員長 相川 勝六君
理事 大平 正芳君 理事 床次 徳二君
理事 保科善四郎君 理事 山本 正一君
理事 石橋 政嗣君
江崎 真澄君 大坪 保雄君
北 れい吉君 辻 政信君
船田 中君 眞崎 勝次君
茜ケ久保重光君 淡谷 悠藏君
稻村 隆一君 木原津與志君
下川儀太郎君
出席国務大臣
国 務 大 臣 小滝 彬君
出席政府委員
総理府事務官
(南方連絡事務
局長) 石井 通則君
委員外の出席者
議 員 淵上房太郎君
議 員 猪俣 浩三君
専 門 員 安倍 三郎君
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五月十六日
委員辻原弘市君辞任につき、その補欠として淡
谷悠藏君が議長の指名で委員に選任された。
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五月十五日
南方同胞援護会法案(床次徳二君外四名提出、
衆法第三九号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
防衛庁設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第一五五号)
憲法調査会法を廃止する法律案(淺沼稻次郎君
外七名提出、衆法第二三号)
南方同胞援護会法案(床次徳二君外四名提出、
衆法第三九号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X04219570516/0
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001・相川勝六
○相川委員長 これより会議を開きます。
去る二日本委員会に審査を付託されました内閣提出にかかる防衛庁設置法の一部を改正する法律案を議題とし、これより審査に入ります。
まず政府より提案理由の説明を求めます。小滝国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X04219570516/1
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002・小滝彬
○小滝国務大臣 防衛庁設置法の一部を改正する法律案の提案の理由及び概要について御説明申し上げます。
政府は、今次の行政機構改革の一環として、調達庁を防衛庁の所轄のもとに置くことといたしました。
調達庁は、駐留軍が必要とする施設区域及び労務を提供し、また駐留軍から需要を解除された施設区域を保管、返還または処分し、または駐留軍の行為により生じた損害に対する補償請求の処理等を主たる任務とするものであることは、御承知の通りであります。
これら施設区域及び労務の提供等の業務は、わが国の安全に寄与するために駐留する外国軍隊の任務の遂行を円滑ならしめるために行われているものでありますが、なかんずく提供施設区域については自衛隊の施設区域とも密接な関係があり、これらの点から最近防衛庁と調達庁との関係はいよいよ緊密の度を加えて参ってきております。従って今回わが国の防衛に関する行政事務を一体的に処理しようとする趣旨から調達庁を従来その担当大臣であった防衛庁長官の統括のもとに置くこととしようとするものであります。
以上この法案の提案の理由及びその内容の概要を申し上げた次第であります。何とぞ慎重御審議の上御賛成あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X04219570516/2
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003・相川勝六
○相川委員長 これにて提案理由の説明は終了いたしました。本法律案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X04219570516/3
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004・相川勝六
○相川委員長 次に、昨十五日本委員会に審査を付託されました床次徳二君外四名提出にかかる南方同胞援護会法案を議題とし、これより審査に入ります。
まず提出者より提案理由の説明を求めます。床次徳二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X04219570516/4
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005・床次徳二
○床次委員 南方同胞援護会法案の提案理由について御説明申し上げます。
御承知のように、沖繩及び小笠原諸島は、今次大戦におきまして、最も熾烈なる戦闘が行われ、甚大なる損害をこうむったのでありまして、沖繩につきましては、戦争末期から米軍政下に置かれ、講和条約発効後も引き続き米国の施政権下に置かれており、戦後、相当に復興して参ってはおりますが、いまだ十分ではなく、特に直接に戦争の犠牲となった戦況者遺家族、戦傷病者、その他学生、生徒、児童等には援護を必要とする者が少くない状況であります。また小笠原につきましては、今次戦争末期、軍要員を除く全島民が本土に強制疎開を命ぜられ、終戦後も米国の占領並びに講和条約に基く米国の施政権のもとにあって、ごく少数の者を除いて、いまだ帰島を許されず、元島民は、土地、漁場等の生活基盤を失い、その生活は困難をきわめております。
このような状況にかんがみまして、これら地域に関する諸問題に関しまして、調査、研究、啓蒙、宣伝を行い、特に沖繩、小笠原諸島の施政権の返還、沖繩の軍用土地問題、小笠原島民の帰郷等の重要かつ根本的な諸問題の解決につきまして、政府に協力し、民間運動としてこれを促進いたしますとともに、これら地域の同胞に対し、政府の行う以外の各種の援護を行うため、昭和三十一年十一月十五日財団法人として南方同胞援護会が設立せられ、その一部の事業に対しましては国庫の補助を得て事業の実施に当って参っております。このように同会は政府の協力団体として、政府が直接に行うことが適当でない事業を民間運動として行う半ば公的な性格を有するものでありますが、憲法第八十九条によりますれば、公の支配に属しない慈善、教育もしくは博愛の事業に対しましては、公金を支出しまたは公の財産をその利用に供してはならないことになっております。
そこで同会の事業が公の支配に属するものかどうかでありますが、同会は財団法人として民法の規定に基き監督官庁の一般的監督は受けておりますが、これをもって憲法上公の支配に属するとすることは困難であるというのが一般的意見であり、従いまして少くとも同会の行う事業のうち、慈善、教育もしくは博愛の事業と認められるものに対しましては政府の補助を受けることができないのでありまして、これは同会の事業を有効適切に行う上に支障を来たしている次第であります。従いまして、同会に対する政府の監督を強化して、公の支配に属せしめるとともに、同会の行う事業、特に慈善、教育もしくは博愛の事業と認められるものに対しましても政府の補助金を支出し得ることとするため、特殊法人としての南方同胞援護会の設立、監督、助成等を法律によって特に規定する必要があるわけであります。
これがこの法律を提案するに至った理由であります。
なお、この法律の概要を御説明いたしますと、第一に、本会の目的、業務については、おおむね現在の財団法人としてのそれを取り入れ、会長、監事、評議員は内閣総理大臣がこれを任命することとし公けの支配に属するにふさわしい措置を講じ、第二に、監督官庁としての内閣総理大臣は、必要があると認めるとき同会の業務または会計の状況を検査しまた業務上、法令、行政庁の処分または定款に違反したとき必要な是正措置を命ずる等の監督権を発効し得ることとし、第三に、国は同会に対し補助金を支出し、その他の財政的援助をすることができることとするとともにそれに伴う必要な監督の権限を有することとし、その他各種の免税措置を規定したものであります。
何とぞ慎重審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X04219570516/5
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006・相川勝六
○相川委員長 これにて提案理由の説明は終りました。
これより質疑に入ります。石橋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X04219570516/6
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007・石橋政嗣
○石橋(政)委員 ただいまの提案理由で大体よくわかったわけでございますが、現在憲法の規定のために、政府が何らの援助も与えておらないものかどうか、この点御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X04219570516/7
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008・床次徳二
○床次委員 現在の財団法人南方同胞援護会に対しましては、憲法の条章に抵触しない範囲内においてそれぞれ補助金を出して事業の執行に当らしておるのであります。しかし今後事業を拡大いたします場合におきましては、支障が考えられますので、特殊法人といたしたいというのであります。
前年におきましては一千万円、ことしは一千五百万円の補助金を計上しております。たとえば事務費に対しまして、人件費は三分の一補助、あるいは会議費に対する補助、事業費といたしまして、啓蒙宣伝に対しましては二分の一補助、調査研究費に対しましては二分の一補助、職業補導事業等に対しましては、経常費を除きまして補助を受けております。その他小笠原の帰島促進費に対しましても二分の一の補助を受けております。また対米交渉に対しましても三分の一あるいは三分の二補助を受けておりますが、なお本会といたしましては、特に教育、慈善等において事業をいたしたいと予定いたしております。たとえば教科書の贈与、あるいは一般援助物資の供与、巡回診療等というようなものに対しましては、補助金がございませんので、もっぱら会独自の財源をもって実施しているような状態でありまして、今後本会が大きく事業をいたします際におきましては、やはり公けの支配を受けまして、こういう面に対しましても政府の補助金を受け入れることができますような体制を作りたい、かような趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X04219570516/8
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009・石橋政嗣
○石橋(政)委員 八十九条の問題はあっちこっちにいろいろ支障をもたらしていると思うのです。現にたとえば私立学校に対する補助なども行われております。今床次委員がおっしゃったように、現在のような形の援護会にも相当の補助が行われている。そういたしますと、今回出されましたこの法案のような公けの支配の形を強く出すという必要性が一体どの線から生じてくるのか、限界というものが非常にわれわれ理解しがたいわけなんであります。特に今度の法案を見ますと、全くこれは政府機関ではないかと思われるほど、非常に総理大臣の権限が強化されてきておって、こんな形で果して民間団体と言えるものかどうか、その点で疑問を持つものであります。こんなにまで強く公けの支配の行われている形をとらなければ、補助がもっと有効にできないという理由をもう少し明確に御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X04219570516/9
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010・床次徳二
○床次委員 公けの支配を受けている団体と認めまする範囲につきましては、従来からそれぞれ慣例ができているのでありまして、その主眼点は何と申してもその法人の職員に対しまして、政府は任免権を持っているというところに限界を置いているようであります。しかし本会におきましては、その性質上でき得る限り他の法人よりも公けの支配を受けると申しますか、特に人事に関しまして制約を受ける限度を少くいたしているのであります。
大体他の事例としましては、日本給食会あるいは社会福祉事業振興会あるいは教育関係におきましても、似たような特殊法人といたしまして大日本育英会あるいは学徒援護会というようなものがありまして、大体最近に認められます法人の例によりまして一つの基準ができております。その基準の範囲内におきまして、最も支配を受けることの少いようにという状態において規定をいたしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X04219570516/10
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011・石橋政嗣
○石橋(政)委員 定款の変更は内閣総理大臣の認可を必要とする、会長、監事も内閣総理大臣が任命する、副会長及び専務理事は会長が内閣総理大臣の同意を得て任命する、評議員はやはり内閣総理大臣が任命する、ほとんど内閣総理大臣が許可、認可、任命をするようになっているように思うのですが、これでもなおかつほかの団体よりも拘束は少いということはちょっと納得できないのですが、一つ比較してもう少し詳しく御説明願いたいと思いま。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X04219570516/11
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012・淵上房太郎
○淵上房太郎君 ただいまの御質問にお答えいたします。ただいま床次先生から御説明のありましたように、日本給食会法、社会福祉事業振興会法とかあるいは学徒援護会法がそれぞれ特殊法人でありまして、その根拠法に準じてこの法案を立案したわけであります。ただいま御指摘の総理大臣云々の問題は、ただいまあげました各法律では主務大臣ということになっております。ところがこの南方同胞援護会というものは、主務官庁の南方連絡事務局が総理府にあります。主管大臣は総理大臣でありますから、この法案にある内閣総理大臣はただいま申し上げましたような意味の主務大臣の意味でありまして、内閣の首班たる総理という意味ではないのであります。非常に総理大臣、総理大臣と各条文に出ておりまして、ぎょうぎょうしくなっておりますが、趣旨はただいま例挙しました団体における主務大臣という意味の総理大臣であります。今申しましたように、南方連絡事務局は総理府所管でありまして、この法案にいう総理大臣は主務大臣という意味において御解釈願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X04219570516/12
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013・石橋政嗣
○石橋(政)委員 それは総理大臣であろうが、主務大臣であろうがかまわないわけです。いわゆる政府の関与する度合いが非常に強いということを言っているわけです。このような形をとって、なお民間団体と言えるのか、こういうことを私は言っているわけです。ここまで縛ってしまえば、政府自体の事業というふうに考えてもいいんじゃないかと思うわけです。そこのところが私には疑問なんです。こんなにまで拘束しなければ、さらに多額の補助ができないというのはちょっと納得ができない。これじゃ一体政府機関とどれだけの違いがあるのか。なおかつ特殊法人として、政府と別個の形のものだということを形の上ではとろうとしておられるようだが、実質的にそういうゆとりがあるのかどうかということをお尋ねしているわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X04219570516/13
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014・淵上房太郎
○淵上房太郎君 御指摘の点はごもっともであります。私どもがこの法案を立案します当時から、同じような気分で困ったのでありますが、ただ憲法八十九条によります公けの支配に属せしめるということのためにはどうしたらいいかというので、ただいま言いましたように、各類似の団体では主務大臣というものが出されてありまして、やむを得ずこの場合には総理大臣の認可任命というようなことにいたした次第であります。
なおこの団体の運営は寄付金と補助金でまかなうことになっておりまして、当初からの予定では寄付金を年々二、三千万円は集める、政府からもできれば同額くらいの補助をいただきたいという趣旨で発足したのでありますが、主たる財源は国庫補助と約同額もしくはそれ以上の寄付金によってまかないたいというような趣旨でおります。ただ御指摘の、あまり縛り過ぎるじゃないかという点につきましては、公けの支配に属するということをはっきりさせるために、各類似の団体の例にならいまして、主務大臣の任命認可を受けるというような方法をとる以外に方法がなかったらこういうようなことになったわけでありますが、決して政府機関という意味ではないのでありまして、ただ憲法八十九条による公けの支配に属するということにするためにこういう体裁になったことを御了解願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X04219570516/14
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015・石橋政嗣
○石橋(政)委員 先ほどの床次さんの提案理由の説明によると、現在財団法人として民法の規定に基き監督官庁の一般的監督は受けておる、この程度だというわけです。それでもなおかつ一千万ないし一千五百万といったような程度の補助を国家としてはしておるわけです。この程度の拘束しか受けておらないにもかかわらず相当の補助をしておる。それが今度はえらい拘束を受けるような形に一ぺんにいくわけなんです。そうしますと今度は補助がくるにしても莫大なものになる、こういうことなんですか。私はそこのところがちょっと理解しにくいというわけです。今まではほとんど拘束しておらない、それに対してもある程度の補助はできたのだ。これをさらに補助の額を何倍かにする、そのためにはこの程度の強い拘束が要るのだというところが憲法解釈上からもどうも納得できないので、一つ御説明願いたいと言っているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X04219570516/15
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016・床次徳二
○床次委員 本会の事業につきましてどういう種類のものに補助が与えられているかということについて御説明申し上げたのでありますが、その際にも申し上げましたが、たとえば一例から申しますと、教育の方面におきます教科書の供与、あるいは援護物資の送付あるいは巡回事業というようなものあるいは遺児育英事業というような事柄に対しましては、今日補助の対象になっておらないのでありまして、これはやはり本会といたしましてはぜひ補助の対象として、もっと拡充いたしたい気持を持っておる次第であります。こういう事業が拡充されますことは本会の設立の趣旨に合うわけでありまして、これを単なる一般の寄付金その他の収入にまつというのでは、現状におきましては決して十分ではないということを考えますので、これを一つ積極的に伸ばしたい意図におきまして、受け入れ態勢を完備するという意味にいたしたのであります。なお政府の公けの支配を受けます範囲内におきましては、本会は他の団体よりはその点はできるだけゆるやかにしたいという努力をいたしました結果、多少変っているのでありまして、その点は第十一条に役員の任命の件があるのでありますが、たとえば「会長及び監事は、内閣総理大臣が任命する。」第二項に「副会長及び専務理事は、会長が内閣総理大臣の同意を得て任命する。」それから「理事は、会長が評議員会の同意を得て任命する。」というふうになっておりまして、この点は他の特殊法人の大部分が任命委員あるいは同意委員によって行なっているものに対しますと、その点はより民間団体に近くなっている。三項の理事のごときは非常にゆるやかに扱われている次第でありまして、少しでも本会が公けの支配を受けているというワク内におきましても、できるだけ民間団体としての特色を発揮いたしたい、かように努めましてこういうような体裁に納まったのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X04219570516/16
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017・石橋政嗣
○石橋(政)委員 国の補助を受けている民間団体で、これよりも強い拘束を受けているというのはどういう例があるわけですか、具体的にお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X04219570516/17
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018・床次徳二
○床次委員 ただいま申し上げましたが、理事の任命に対しまして主務大臣が権限を持っているという場合があるのであります。先ほど例として申し上げましたが、日本学校給食会とか社会事業振興会等におきましてもそういう例になっております。ただ特殊法人におきましては日本赤十字社のごときものもありますが、こういうものは社員を中心として結合せられておりますので、いわゆる社団法人的な色彩が非常に強いものに対しましては、ただいま申し上げますような任命役員という色彩が比較的薄くなっております。しかしこういう社員を中心としない法人、特に同胞援護会のごときものになりますと、この点はやはりほかの例から見ましても、ある程度までの役員に対する制約というものはやむを得ないのではないか。しかしその制約を受ける範囲内におきましては最もゆるい方の種類に属するものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X04219570516/18
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019・石橋政嗣
○石橋(政)委員 これではあまりにも政府の関与の度合いが強過ぎるというので、役員の任命等については国会の同意を得て総理大臣がこれを任命するという形にしたらどうかというような意見があったと思うのですが、これが採用されなかった事情というものをお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X04219570516/19
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020・淵上房太郎
○淵上房太郎君 御指摘の問題も立案の経過において十分検討いたしたのでありますが、国会の同意を得る場合の任命は国民代表的地位の者を国会の同意において任命することが多いようでありまして、こういう普通の特殊法人とか社団法人の場合には国会の同意を得るという例がないようであります。それで国会の同意を得るまでの必要はないじゃないかという結論に達したわけであります。いま一つは本国会は二、三日うちに終了いたしますが、国会閉会中に切りかえたい。この法律が成立しますればこの法律によって現在の財団法人から社団法人に切りかえるのはこの九月ごろまでにというつもりでおりますので、国会の同意を得るということが事実上できない結果にもなるのであります。このおしまいに書いてありますように施行期日を九月一日にしているのでありまして、国会閉会中にもこの法律による財団の成立ができるようにしたいというつもりがあったので、ただいまお説の問題もわれわれは初め考えましたけれども、やむを得ずそういう形式にいたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X04219570516/20
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021・相川勝六
○相川委員長 他に質疑の通告もありませんので、これにて質疑は終了いたしました。
これより討論に入るのでありますが、別に討論の通告もありませんので直ちに採決いたします。本法律案に賛成の諸君の御起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X04219570516/21
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022・相川勝六
○相川委員長 起立総員。よって本法律案は全会一致をもって原案の通り可決いたしました。
なお本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X04219570516/22
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023・相川勝六
○相川委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X04219570516/23
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024・相川勝六
○相川委員長 次に去る四月十一日本委員会に審査を付託されました淺沼稻次郎君外七名の提出にかかる憲法調査会を廃止する法律案を議題とし、これより審査に入ります。
まず提出者より提案理由の説明を求めます。猪俣浩三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X04219570516/24
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025・猪俣浩三
○猪俣浩三君 ただいま議題となりました憲法調査会法を廃止する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
この法律案は昭和三十一年五月十六日成立し、六月十一日に施行されました憲法調査会法を廃止する法律案でありまして、以下この法律案提出の趣旨についてその概略を御説明申し上げます。
御承知の通り憲法調査会法は、内閣に憲法調査会を設置して、現行憲法を調査し、その結論を内閣と内閣を通じて国会に報告するというものであります。しかしながら、憲法調査会法の提出の経過及び同法審議中の経過から見て、現行憲法を改正する目的のもとに制定されたことは否定できないところであります。
このことは、憲法第九十六条その他から見て憲法改正の問題についての手続行為を内閣の機関で行うことは憲法上重大な憲法違反の疑いがあり、このような重要な憲法違反の疑いのある法律の施行を内閣の行政行為として行うことば適当でないというのが第一の理由であります。
第二の理由は、憲法調査会法制定の直後に行われた七月八日の参議院議員の改選においては、各党とも憲法改正問題を重要選挙テーマとして行い、その結果憲法改正反対の勢力が議席の三分の一以上を占め、現行憲法は改正すべきではないという国民の意志が表明されたのであります。従いまして、憲法調査会法は直ちに廃止するのが国民世論に忠実なる国会の態度といわなければなりません。
次に第三の理由といたしまして、以上の国民世論を背景とした当然の結果として、憲法調査会は、法律制定後一カ年になんなんとしているにかかわらず、その構成である委員は一名も任命できず、いまだ発足をするに至っていないということであります。
このことは日本における憲法学上の学識経験者の大多数が憲法調査会法に対して賛成していないということでありまして、この事実に徴しても憲法調査会の存在理由は全く失われているのであります。
第四の理由としましては、憲法改正ということは国家の重要な事態でありまして、そのための準備行為等はきわめて慎重に行わなければならないことは論を待たないところであります。少くとも全国民的規模における要望の上に立ってこれを行うべきであると存ずるのであります。しかるに最近の世論調査に徴しても明らかなごとく、国民の半数以上が現行憲法の改正に賛成しておらないのであります。
むしろ今日の事態は、憲法改正を考慮すべきときにあらずして、現行憲法の完全なる実施について政府も国会も誠意をもって尽すべきなのであります。このことは憲法の条章において命ずるところでもあります。
以上概略の理由を申し上げましたが、以上の趣旨によって憲法調査会法を廃止する法律案を提出した次第であります。なお本法案成立後の経過措置については、附則において措置いたしてあります。
以上本法律案の提案理由の説明を終ります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X04219570516/25
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026・相川勝六
○相川委員長 これにて提案理由の説明は終りました。本法律案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
次回は明十七日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午前十時五十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604889X04219570516/26
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