1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年四月十六日(火曜日)
午前十時四十八分開議
出席委員
内閣委員会
委員長 相川 勝六君
理事 大平 正芳君 理事 床次 徳二君
理事 福井 順一君 理事 山本 正一君
理事 石橋 政嗣君
大坪 保雄君 北 れい吉君
田村 元君 辻 政信君
眞崎 勝次君 粟山 博君
茜ケ久保重光君 飛鳥田一雄君
井手 以誠君 稻村 隆一君
西村 力弥君
地方行政委員会
委員長 門司 亮君
理事 亀山 孝一君 理事 鈴木 直人君
理事 永田 亮一君 理事 山中 貞則君
理事 吉田 重延君 理事 川村 継義君
理事 中井徳次郎君
唐澤 俊樹君 川崎末五郎君
纐纈 彌三君 渡邊 良夫君
今村 等君 加賀田 進君
北山 愛郎君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 池田 勇人君
国 務 大 臣 松浦周太郎君
国 務 大 臣 田中伊三次君
出席政府委員
人事院総裁 淺井 清君
人事院事務官
(事務総局給与
局長) 瀧本 忠男君
総理府事務官
(内閣総理大臣
官房公務員制度
調査室長) 大山 正君
総理府事務官
(自治庁財政部
長) 小林與三次君
大蔵事務官
(主計局給与課
長) 岸本 晋君
委員外の出席者
内閣委員会専門
員 安倍 三郎君
地方行政委員会
専門員 円地与四郎君
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本日の会議に付した案件
一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正
する法律案(内閣提出第八五号)
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〔相川内閣委員長委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/0
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001・相川勝六
○相川委員長 これより内閣委員会地方行政委員会連合審査会を開会いたします。
私が法律案の所管の委員長でありますので、先例によりまして委員長の職務を行います。
一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、これより質疑に入ります。中井徳次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/1
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002・中井徳次郎
○中井委員 一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、これにつきましては内閣委員会におきまして相当慎重な御審議の上、大体大詰めにきておるというふうに承わっておりますが、実は地方公務員の関係につきましては、従来の行き方から考えまして大体国家公務員との間に原則的に区別をつけないというふうな、大きな筋でもってこれまで進んできております。従いましてそれとの関連におきまして、こういう法律案が一応修正をされるか原案でいくかどうなるにいたしましても、非常に地方公務員に関係がございますので、私はごく簡単に原則的なことを一、二の点について地方公務員との関連においてお尋ねをいたしたいと思うのであります。
第一点といたしましては、これが通りましたならば、これまでの行き方から考えまして、地方公務員におきましても大体これに準じたような考え方で指導をされるというふうな政府はお考えであろうかと思いますが、その点をさらに一つ自治庁長官に確かめておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/2
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003・田中伊三次
○田中国務大臣 お説の通り準じて取扱いをしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/3
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004・中井徳次郎
○中井委員 まあそれが常識的なことであろうかと思いますが、そうなりますと、国家公務員におきましては、大体地方にある各官署その他は縦の線が多いのであります。従いまして現在の地域給の区別についてはっきりと修正をせずにこのまま行って底上げをしてくるというふうなことで、相当な年月を要しまして整理をするという政府のお考えのようであるが、地方公務員におきましては必ずしもそうではございません。特に最近町村合併などが非常に進みました結果、一つの市におきまして非常に高い級地のところ、非常に安いところというのがございまして、これが地方の実際仕事をする上に非常な障害になっております。従いまして市町村長などにおきましては、これはできれば一本でやっていきたい。しかし御案内の通り地方財政は非常に困難でありますので思うようにはいかない。特にまた去年でありましたか、地方公務員法その他の改正によりまして、一定の法律できまったもの以外の給与を出してはいけない、こういうことになって参りますと、同じ市町村の中で非常に困った事態が起っておるのであります。これをどういうふうに解決していくか、今のようなやり方でおりますと、相当な長い年月を要する、それではいけないというので、ただいまも全国的にやみ給与その他の問題が大きく取り上げられておるが、市町村におきましては必ずやこういう問題が起ってくる可能性が多い。現にまだ私は相当やっておるところがあるのではないかと考えるのであります。従いまして地方公務員の側から見ますと、この今の法律案ではまだまだ手ぬるいので、もっと早急にその間の整理をしませんことにはなかなか自治体の運営は困難である、このように考えられるのでありますが、それについて自治庁といたしましては特に何かいい方法を考えておられるかどうか、この点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/4
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005・田中伊三次
○田中国務大臣 このたびの給与改訂に際して、一挙にこの問題を解決するということはなかなか困難ではなかろうかと思います。将来の問題としまして、新たに編成をいたしました合併新市町村の同一地域内における不均衡というものを是正をすることは、将来の問題としまして何とかこれを御意向に沿うように考えたい、こういう方針でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/5
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006・中井徳次郎
○中井委員 将来の方針というふうなばく然としたことではちょっと私ども納得がいかないのでありますが、その点は先ほど一般的に国家公務員と地方公務員との間には、大まかにいえばその区別はつけにくい、つけないという形でありまして、これはけっこうでありますが、この級地の差額をそのまま国家公務員の今のやり方でいくということになりますと、これは市町村としては非常に問題になる。従いまして少くともここ一、二年の間に、そういうものはきれいに整理をされないことには私もどうも満足できないと思うのでありますが、その点につきましてどうでございます。そういうことをやればどのくらいの財源が要るか、あるいはまたそれについて政府はどういう考え方をしておるか、もう少し詳細にお答えをいただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/6
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007・田中伊三次
○田中国務大臣 詳細な意見を言えという御意向でございますからやや申し上げてみますと、大体今御質問をいただきました点は、新たに編成された新市町村の内部における地域的な不均衡でございますが、本来を申し上げますと、この地域給というものの本来の立場から申し上げますと、同じ市町村になったこの区域内の不均衡を、今お言葉をいただきました点を先にまず是正をする。それから後に他の市町村との関係の市町村相互間の不均衡を是正するという筋合いに制度としては行くべきものである。それをこのたびの行き方といたしましては、これが逆になっておりまして、あと回しとなっている、こういう事態でございますから、財源の関係から申しますと、ここで明確な答えを直ちにいたしにくいということになるわけでございますけれども、実際の腹がまえといたしましては、自治庁の立場においては合併の一体性、合併で一番苦心をしておりますのは、二つの地域を合併してみたが、これがなかなか過去の歴史と伝統と組織によりまして一体化しない。一つの市町村になったのだという一体の観念を植えつけることにあらゆる面から全力を尽し、郵便局にしても、学校にしても、役場にしても、電信電話局にしても、道路橋梁にしても、そういう考え方でものをやっておる時期でございますので、そういう観点から考えましても、一体今お言葉をいただきましたような地域給の不均衡、地域内における不均衡を是正するということにはちゅうちょをせずに、一度に解決をしていくことに努力をしたい、こういうかたい決心でおるわけでございます。従って将来の問題ということを盛んに申し上げておるのでありますが、三十四年四月一日以降段階的にこれを実施をしていくという方針に、内閣委員会の小委員会においてはおきめになった様子に承わるので、三十四年の四月一日以降ぼつぼつこの不均衡の是正を実施せよ、こういうお言葉があるようであります。自治庁の立場で申しますと、これをさらに一歩前進をいたしまして段階的でなくて一挙に解決をしたい。多少の財源が要りましても一挙に解決をしまして一体性の確立に寄与したい、こういう決意でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/7
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008・中井徳次郎
○中井委員 今の大臣の答弁は非常にはっきりといたしておりますので、私どもけっこうだと思います。しかし残念ながらそういうことをやりますためには財源がどれくらい要るかということについては、まだ調査が済んでいないということでありますが、どうですか、調査されておりませんのですか。ただこの場の場当りだけではいけませんので、どれくらいかかればそれはこの一、二年の間に大臣のおっしゃるように一挙に解決するかどうか。金額などはわかっておりましたら一つお示しをいただきた、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/8
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009・田中伊三次
○田中国務大臣 その決意のもとに一挙にやります場合において、財源がどれくらい要るかということはただいまはじき出しの操作中でありましてまだ出ておりません。しかしこれは少くともここ二、三日のうちには、正確な数字を出しまして、地方行政委員会はもちろんでありますが、内閣委員会の方等にも文書をもって計数を明らかにして御報告を申し上げたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/9
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010・中井徳次郎
○中井委員 今の答弁は、基本的な数字がありませんので、大体この程度にしておきますが、一応了承できるものと考えております。
そこで、そういうふうな観点から見ましても、さらにまた今のこの一般職の職員の給与改正の田中大臣の熱烈なる希望にもかかわらず、それができないという場合において、これは地方公務員にとりましては、今財源の話になりましたが、非常に大きな財源の問題になって参ります。そこで、政府の案で行きますと、これまでとかく政府がこういう改正をいたしますときには、国家公務員のことはよく考えるが、どうも地方公務員のことを忘れてしまっておったというふうなことでもって地方財政計画をいよいよ組むという場合に、いつも大騒動が起るというふうなことがありますので、政府の原案によりましてやりました場合に、地方公務員といたしましては、ことしは大体下半期というふうに伺っておりますし、あまり大した数、字でもなかろうと思いますが、明年から私は相当な金額になるのじゃないかと思うのであります。特に下の方を底上げをするのでありますから、貧弱な市町村にこの重圧が大いにかかっかくるわけであります。そういうふうに考えて参りますと、大蔵省当局等におかれましては、この法案の審議と並行されまして、もとより十分地方財政のことについてもお考えをいただいておるものであると私は考えておりますが、どうでございますか。この計画で行きまして、来年、再来年地方財政にどれくらいの金額の影響を及ぼすか、そうしてまたそれについては、大蔵大臣とされましては、責任を持ってこの地方財政計画の中に織り込むお考えであろうと思いますが、その点をはっきりこの場で言明をしていただきたいと思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/10
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011・池田勇人
○池田国務大臣 地域給につきましての政府の考え、また内閣委員会のお考えも聞いておりますが、昭和三十二年度におきましては、大体今御審議願いました予算でまかない得るのではないかと思います。三十三年度以降につきましては、自治庁長官もおっしゃるように、金額が出ましょう。その必要な額は、三十三年度以降の財政計画のもとになるものでございますから、これは当然考慮しなければならぬ問題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/11
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012・中井徳次郎
○中井委員 当然考慮するというお話でありますが、実は御案内の通り地方財政はここ数年来非常な赤字でありましてこういう問題、大体五十億あるいは百億というふうな金になるのではないかと思いますが、それを現在の地方税の制度あるいは現在の地方交付税の制度、現在の地方財政に関する財政制度の率では、口で言うべくして現実は非常に困難であろうと思うのであります。従いまして、これを地方公務員にも実施をするということになりますと、どうしても地方交付税の税率を引き上げをするとかなんとかいう具体的な改正がなければ、私はなかなか困難であろうと思いますが、その点についての大蔵大臣の見通しを一つ伺っておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/12
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013・池田勇人
○池田国務大臣 四、五年前から昨年ぐらいまではなかなか地方財政も困難でございました。しかし一般経済界の好況によりまして、地方財政もだんだん健全化しつつあるのであります。昭和三十三年あるいは三十四年になりますると、地方財政におきましても相当の税収入の増加等が期待されますので、私はそういう点と兼ね合せて昭和三十三年あるいは三十四年を考えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/13
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014・中井徳次郎
○中井委員 今の大蔵大臣の御答弁は非常に表面はいいようでありますが、地方財政が去年、ことしにかけてだんだんよくなってきたことも事実でございます。しかし一方、現実の面として、果してしからば地方自治体はいわゆる一般的な行政水準に達するような仕事をしておるかどうか。毎年々々猛烈な首切りもやっております。道路も住宅もちっとも思うようによくなっておりません。いわゆる行政水準の面から見ますと、私はとうてい大蔵大臣のいうような楽観的な考え方をするわけには参らないと思うのであります。従いまして、あなたは非常によくなったとおっしゃるが、それならば現実には、昭和二十九年度、三十年度等の決算を見ますと、赤字がなくなったかというと、いや、赤字のふえ方が減ったという程度でありましてちっとも現実にはなくなっておりません。ことしあたりも税収入を七百億も自然増収を見ておりますけれども、それ自体にも問題がある。特にその七百億というのは大都市、大府県に集まってしまいまして今回底上げをいたしますような中小の貧弱な都市あるいは農村に参りますと、依然として神武景気は素通りをしておる。こういう面から見ますと、どうもそう楽観はできないと思うのでありますが、その点について重ねて大臣の所見を伺っておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/14
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015・池田勇人
○池田国務大臣 地方財政が健全化しつつあることは、中井さんもお認め下さったようでございますが、しかし、それでは赤字が全然なくていけるかというと、まだそこまでは参っておりません。私の見通しでは、御承知の通り今年七百億の地方財政での自然増収がございます。また地方交付税も相当ふえて参ります。国の財政のふえ方よりも、地方財政の方が昭和三十二年度は多いのでございます。私はこういう格好で行きますと、地方財政は今後相当伸びていき、歳入は相当ふえると見ておるのであります。ただ問題はお話のように、歳入のふえるのが各府県別に非常に差があることは認めざるを得ません。今後の地方財政の問題では、財源の不均衡ということも相当考えなければならぬ問題だと思いますが、全体といたしましては、今後は地方財政は相当よくなってくるものと期待しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/15
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016・中井徳次郎
○中井委員 今の大臣のお話もありましたが、財政に非常に差がありまして、この差をどうすればいいかということが、今地方団体の一番大きな問題であります。これは単に税制を少々いじったところで直る問題ではありませんので、どうしてもこれは国家の力によって中央においてそれをあんばいするという方向で行かなくては私は解決しないと思うのであります。そういう意味からいいまして、今度の、来年度から要ります必要経費は、特に貧弱県に多いという面からいいまして、私は国家が何らかの手を打たなければこの解決方法は出ない、かように考えますが、その点もう一度重ねて念を押しておきたいと思いますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/16
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017・池田勇人
○池田国務大臣 各府県の財源の不均衡というのは、まず第一やはり税によってやることが至当だと考えております。税によってやり得られぬところは、また別の観点から考える必要があると思うのであります。三十二年度あるいは三十三年度法人事業税なんかは相当上ってくると思いますが、これが不均衡のもとをなすものでございます。われわれは法人事業税について再検討を加え、そうして法人事業税は少くなりますが、法人税は多くなりますから、その分を交付税へ入れてそうして全般的に配付する、こういうふうな考え方も一つの考え方だと思います。これはきまってはおりませんが、いろいろ税制につきまして不均衡是正の方法をとる、そうして足らざるところはほかの面でまた考えなければならぬ問題だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/17
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018・中井徳次郎
○中井委員 税制でやるということは一応オーソドックスな考え方であろうと思いますが、それを四、五年やりましても、何とも処置がなくなるところまで現実は来たのであります。ことし七百億の自然増収のごときも、いわゆる不交付団体の自然増収が三百八十億もありまして、その人口三倍であります交付団体には二百二十億くらいしかない、こういうことであります。大蔵大臣は税制の専門家ではありましょうが、これまでいろいろおやりになっても、どうしても中央に集まってしまう、大府県、大都市に集まってしまう、これが現実の日本の経済の姿でありますから、少々いじったところでなかなか解決しない。従ってどうしても交付税といいますか、そういうもので調節しなければ解決の方法はつかぬ、私はかように思うのでありますが、この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/18
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019・池田勇人
○池田国務大臣 私は必ずしも直ちに賛成できません。まだまだやればやり得ると思います。ただ実際問題として、同じ金を分け合うのでありますから、そこにいろんな事情や利害関係において議論はありましょうが、裕福な府県はますます裕福になる。そして貧困な府県の方は国の財政から出していくということは、国と地方と一体として考えましたときには、私はよほど考慮しなきゃならぬ問題だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/19
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020・中井徳次郎
○中井委員 そういうふうなことになるということは、やはり今の社会組織といいますか、資本主義組織がそこまでなってきたわけでありますから、これは私は税制ではなかなか解決しないと思う。今あなたの御答弁の中にもあったと思います。いじりましたらいじるだけ中央の方は富裕になる。それについてもしかしまだまだ実際に自治体としてはやる仕事はたくさん残されておりますが、そういうことになりますと、どうしても私は今申し上げましたようなことにならざるを得ないと思うのでありますが、どうも大臣のこの点に対するお考えは——もとより来年の予算を組むときにいろいろありましょうから、今はっきり約束はできないというお考えで、御答弁だろうと思いますけれども、私はどうも納得できません。これだけ一応申し上げて、私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/20
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021・相川勝六
○相川委員長 川村継義君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/21
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022・川村継義
○川村(継)委員 時間的に制約があるようでありますから、ごく簡単に一、二の問題をお聞きしておきたいと思います。
今中井委員からの質疑の中に出て参りましたが、今度の給与改訂で、政府が万全の措置をとってもらわなければ、特にこの地方財政の関係においてはまた大きな混乱が起るんじゃないかということを非常に心配いたすものであります。これは御承知のことでありましょうが、今までの給与費関係等の推移を見ましても、特に今度の給与改訂については、今申し上げるような心配というか、感が深くあるわけであります。三十年度の人件費の決算は御承知の通り四千五百五十二億六千九百万円になっております。これは三十年度の計画に比べると、大体当初の計画よりも五百七十億だけ大きな違いを示しておるわけであります。こういうような年々当初の財政計画、それからその年度の決算においてこのような差異を生じてきておるということは、地方財政の運営上好ましくない状況であるといわねばなりません。しかもこの三十年度の決算額を三十一年度の計画に比べてみましても、まだまだ三十一年度の計画はわずかに四千二百二十七億でありまして、三十年度の決算に及ばない。三十一年度の計画は、三十年度の決算よりも三百二十四億七千万円だけ低く見積って計画してある。こういうようなことが逐年重なって参りまして、地方財政の運営上、特に給与の関係で非常な混乱を来たしておるということが言えると思うのであります。三十二年度の計画になりますと、ようやく恩給及び退隠料合わせてみまして四千六百四十九億でありますから、三十年度の決算額を九十六億ぐらいは上回った計画になっておる。このように三十二年度の計画を見ましても、三十年度の決算より上回っているのがわずかに九十六億である、こういうことで考えて参りますと、三十年度の決算の実態というものが三十一年度、三十二年度にそのままずれてきているとは思いませんけれども、実際の計画と決算というのは相当食い違って出てくるのではないか、こういうことを考えますと、今度の給与改訂については、政府としてはよほど手を打ってもらわなければ、ますますこの開きが大きくなるのではないかと考えるわけでありますが、自治庁長官とされましては、今まで私たちの地方行政委員会では、今度の給与改訂についてはできるだけの措置をとって、いずれの地方団体においてもこの給与改訂に取り残しがないように措置するというような決意をもって答弁していただいておりますが、今度の内閣の小委員会の結論というものをお聞きいたしますと、この給与改訂に伴うところの地域給の改訂案が取りまとまったようであります。この地域給の改訂案の内容によりましても、無級地を大体解消していくということであります。今年の十月一日から大体無級地については二%の地域給を見ていくことになっておりますが、これには相当財源が必要になってくるわけであります。こういう点についての財源についてどのようにお考えになっているか。先ほど中井委員からの質問について、たしかこの点はまだ計数整理をしているということであったようでありますが、この点がはっきりいたさなければ、今度の給与改訂及び地域給の問題等につきましては、また大きな難関にぶつかるのではないか、地方財政がこの辺からまたずれていくのではないかというようなことが考えられるわけであります。そこでこの際自治庁長官にまずお聞きいたしたいと思いますことは、地域給の無級地解消というようなことで進んで参りますならば、地方交付税の単位費用の算定に大きな変化があると思います。今まで地方交付税は、今年は二六%に引き上げるように提案されているし、地方の団体の自然増収等も相当あるので、これより以上交付税を引き上げる必要はないというようなことを、たびたび言明しておられるのでありますが、こういうように給与改訂に伴う地域給の関係で、その単位費用が大きく変ってくるということになれば、当然私は交付税の見方を変えていかなければならぬのではないかと思うのでありますが、この点について長官の御所見を承わっておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/22
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023・田中伊三次
○田中国務大臣 御承知の通り地域給の取扱いがすっかり本ぎまりになったというわけではありませんが、大体お説の通り見通しはゼロ地の解消ということになるわけであります。この点だけをながめてみても、三十二年度においては、今見通されているところによると、五分の二に相当するものを措置をしていく、三十三年においては五分の三に相当するものを措置をしまして、三十二年、三十三年の両年度において五%の引き上げを行おうということであります。これを行いますことによって相当なる財源が要るのじゃないか。その財源は地方財政計画を狂わす結果になるのではないかという御心配をいただいておる点でまことに恐縮に存じますが、ありのままに申し上げますと、地方財政計画でただいま盛り込んでおりますもので、このたびの地域給の改訂によりまして浮き上る分が給与全体としましては出てくるわけです。そこでどの程度この財源が財政計画上盛り込んであるものが浮き上ってくるかということでございますが、これはまだ明確にそろばんをすっかりはじき上げて確信を持って数字を申し上げるというわけに参りませんが、大体三十二年度を押えて申しますと、八億五千万ないし九億が地方財政計画上浮き上る分ではないか。そしてその五分の二を加えて参りますと、その五分の二に相当する財源、これだけは地方財政計画には織り込んでない、それだけはよけいに要ることになるわけでございますが、余分に要る部分がどれくらいであるかというと、大体これに見合う程度の数字内外のものではないかと思います。これはまだ実は大蔵省の方にも意見を申し上げておらない数字でございますが、大体三十二年度を見ますと地域給に関する限りは、浮き上る金で増となるものを補う、こういうことで地方財政計画には大きな変更、破綻を来たさずにやっていけるのではないか、大体こういう見通しでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/23
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024・川村継義
○川村(継)委員 今の長官からお答えをいただきました数字等につきましては、またあらためて地方行政委員会においていろいろ御質疑申し上げたいと思いますが、この際大蔵大臣に今の問題についてお答えいただきたい。
今自治庁長官が言いましたように、かりに三十二年度はまかないがついたとしても、三十三年度になりますと、これはどうせ三十三年の四月一日から三十四年の三月末まで、まるまる一年間の無級地解消の費用を見なければなりませんが、数十億の増を考えなければならぬと私は思う。そうなりますと地方交付税等の算定概念というものが必要になってくるのじゃないか。今単位費用の計算では、地域給は大体五%で単価を見積って出しておるようでありますが、これはあと大きく変っていくのではないかと私は思う。そうなった場合に、かりに三十二年度はこのままといたしましても、三十二年度はこのまま持っていけない。そうなりますと地方交付税の増加ということが単位費用との関係で出てくると思うのですが、そういう場合には大蔵大臣としてはやはりこういう点を認めて、交付税の増加等に苦心して下さる、こういう見解をお持ちであるかどうか、その点をお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/24
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025・池田勇人
○池田国務大臣 先ほど中井さんに御答弁申し上げましたごとく、三十三年度の財政計画の場合に考慮することにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/25
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026・川村継義
○川村(継)委員 それからこの際いま一つ自治庁長官にお聞きしておきたいと思いますが、地方公務員は国家公務員に比べて給与が高いということをよく言われた。これは御承知の通り高い地方団体もあるかもしれませんが、一昨年の給与実態調査の結果から見ても、これはそう高いという結論は出てこない。一、二の地方団体には高いところもあるかもしれませんが、全体的には高くないと私は思っておる。それどころではない。いわゆる地方財政再建等の問題にからみまして、自治庁の指導がよろしかったのかどうかわかりませんが、非常に地方団体は一生懸命になって給与費等の節約に努力した。ちょうど先ほども私ちょっと申し上げましたように、数字で見てみましても、三十年度の給与費の決算額と二十九年度の決算額とを比べてみると二百七十六億の差がある。ところが二十九年度は二十八年度に比べて六百三十三億の増加になっておる。また二十八年度は二十七年度に比べて六百五十五億の増加である。しかし三十年度は二十九年度に比べて二百七十六億の増加になっておる。これは例の〇・二五の増加があったり、あるいは生徒児童の増加に伴うような問題がありましたが、二百七十六億に押えられたということは、地方自治団体がいかに一生懸命になってこういうような人件費の節約をやったか、あるいは首切りをやったかもしれませんが、こういうことに努力したかという一つの証左だと思われるわけであります。こういうことを考えて参りますと、大体三十年、三十一年の二カ年については、地方公務員の昇給のストップとか延伸とかが行われておるというようなことを考えて参りますと、これは国家公務員に比べて決して私は向くないと思います。むしろ高くないどころか、延伸とかストップを食って低くなっておるというような状態で、今度の給与の改訂に臨むわけでありますから、こうして不当に切り下げられておるような面について、自治庁長官としてはどういうふうにやろうとお考えになっておるのか。いわゆる切り下げられた部分は、元の形、国家公務員並みに復元して、その上にこの改訂をやっていくというようにお考えになっておるのかどうか。そこのところが公務員の問題としては非常に重要だと思いますが、一つ率直にお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/26
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027・田中伊三次
○田中国務大臣 御意向に沿わない答えをする結果になって言いにくいのでありますが、しかし率直に申し上げますと、地方公務員の給与が高いということをよく言いますが、これは間違いであります。大蔵省もよく存じております。それで、二、三のところと仰せになりますが、二十数カ所、三十カ所くらいの地方団体は、これだけを取り上げると給与はべらぼうに高いのです。特に大府県が高く、もっと極端なのは大都市が高い。こういう意味で一部のところでなく相当なところにおいて思い切り高いところがあるという実情であります。そこで今、だんだんと昇給の延伸をしたり改訂のストップをしたりして苦労しておるじゃないかというお言葉がございましたが、そういう苦労をしていただくところはどういうところかというと、国家公務員の給与の単価と比べて高いところについて、その努力が現に払われつつある。特に重要なことは、国が赤字の再建団体として指定をいたしましたものについて、特に給与の高いところが苦心をしてくれておるという結果、お言葉のごとく地方公務員の特に高いところが低くなるわけでありますから、地方公務員全体として平均いたしますと、漸次給与の単価が低くなっておるということで、目下高いところもだんだん平均の単価に接近しつつあるよい傾向になっておる。これがまことに気の毒なことであるとは、実は言いにくいのでありますが、考えていない。まことに公平なよい結果ではなかろうかというような考えを実は持っておるわけであります。この点が答えとしてはまことに申し上げにくいわけでありますが、そう考えております。従ってこのたびの給与の改訂、べース・アップについては、一体どういう考え方に立ってやるのかというお言葉でありますが、以上申しましたような経過を経て最近はよい傾向になっておりますので、過去の給与改訂分のストップしております分をもう一度復活する、昇給の延伸をしております分をもう一ぺん復活する、改訂の復活、そして昇給の復活ということを過去にさかのぼってやりたいということは考えておらぬわけでございます。大へん理屈を言うようになっておそれ入りますが、このたびの改訂は、改正になります給与法の実施をいたします実施時を標準にいたしまして、これに改訂を加えようという考え方でございます。過去にさかのぼった分までこのたびは考えようというふうに考えてはいないわけであります。のみならず、お尋ねのないことでありますが、さらに目下苦心を重ねております大都市、大府県等の給与単価の高いところ、またすっかり落ちついておりませんので、もう一段とこれを引き下げることに努力をする。しかしその努力のいたし方は、給与改訂をストップしたり、それから昇給を延伸するということで単価を低くしょうという努力は、今後においてはやらさない。どういうやらし方をするかというと、主としてこれは新陳代謝によって、高い俸給をもらっておる古い人で、家庭の事情のよい人について引退をしていただいて、単価の安い、頭のいい人を入れて、能率を上げながら単価を落す、こういう努力によってならしていきたいと思います。従って結論を申し上げますと、このたびは過去にはさかのぼらぬ、赤字の府県といえども現在も押えまして、ここで六・二%の改訂、それから四%の昇給、この限度は国家公務員に、でき得る限り右へならえをさしたい、現在を基準にして右へならえをさしたい、過去にはさかのぼらない、こういう方針とお考え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/27
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028・川村継義
○川村(継)委員 大へんたくさんなお答えをいただきましたが、今の点につきましては、いろいろとこまかい点は地方行政委員会で一つお尋ねいたしたいと思います。
最後に、時間もありませんので、大蔵大臣の御所見をお聞きして、私の質問を終りたいと思います。
今度の給与改訂については、これは三十二年度といわず、三十三年度といわず、相当やはり財源を必要とすると私たちは思っております。これの処置をうまくやらなければ、せっかく軌道に乗った地方財政の建て直しがまたくずれていくのじゃないか、こういうことを思うのですが、そういう点について大蔵大臣の御努力を願わなければなりませんが、よく私たちは地方におりましても、あるいは一般の人から、どうも大蔵大臣は地方財政に冷淡である、どうも愛情がないというようなことを盛んに聞くわけです。そういうことは何が原因しているかと申しますと、それは本年度の公債費対策の問題であるとか、基地交付金の問題であるとか、そういう幾つかの問題が、自治庁の考え方が、大蔵省の手によって大きく押えつけられてしまったということから、そういう世論というか、大へん大臣の立場が悪くなっておるようなことを聞くのです。おそらく私は、大蔵大臣と田中自治庁長官の地方財政政策に対する御意見は食い違っていないと思うのですが、そういうような点が取りざたされております。この点について、今後とも大蔵大臣として地方財政についてどのような御所見をお持ちであるか、この際一つお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/28
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029・池田勇人
○池田国務大臣 財政は、国の財政も地方の財政も、みんな国民全体の財政でございますので、そこに厚薄のありようはないのでございます。しかし大蔵大臣は金を出す役でございますから、えてして、国、地方を思いながら金を出ししぶりますと、評判が悪くなることは、これはもう職掌柄やむを得ないことであります。私は何ら厚薄をつけようとは思いません。ただいちずに国民全体のために、そうして国の発展のために、こういうことで進んでおるのでございまして、今年の地方財政の問題につきましても、やはり全部閣議の決定を経ましてやっておる次第でございます。石橋、岸内閣の考え方が如実に現われておるのであります。ただ大蔵大臣はそれを作ります場合に一応の試案を出すという程度でございます。全部閣議決定によってやるのでございます。繰り返して申し上げますが、国と地方の財政は国民、国家のものでございます。厚薄をつけようという気持は毛頭ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/29
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030・相川勝六
○相川委員長 門司亮君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/30
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031・門司亮
○門司委員 再三同僚が聞かれておりますので、ごく簡単に二、三の点をお聞きしておきたいと思います。一つは、今度の給与改訂の表の中で、多少地方公務員法との間に疑義を持つ点がありますので、この点を一応ただしておきたいと思います。それは御承知のように、地方公務員法におきましては、政令で特に単純な労務に雇用される一般職の身分について規定がございます。これと今度新しくできようとする俸給表との間には当てはまらぬものができて参りますのと、それから一方は一般職になり、あるいは船に乗っておるような諸君は、海事関係といいますか、それらの職にこれが編入されるというようなことになる。ところがそのほかに技能者の中にも、小使さんであるとか、あるいはその他の洗たく婦であるとか、掃除婦であるとかいうようなもの、あるいは自動車の運転手の諸君であるとか、交換手の諸君であるとかいうものが、二つに分れて入っている。ところがさっき言いますように、公務員法の施行令を見て参りますと、これらのものが一つになって書かれております。従って地方公務員の方は、もしこの給与法がそのまま地方に適用されるということになりますると、やはり地方公務員法の改正が必要になってきはしないか。地方公務員法全体の改正ではありませんが、例の一般職に属する地方公務員の範囲を定める政令の改正が当然必要になってきはしないかということが考えられるのでございますが、政令の改正を必要とするかしないかということについて、どなたからでもよろしゅうございますから、一応御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/31
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032・田中伊三次
○田中国務大臣 現在のところ、一号表、二号表の関係は、技能者関係だけのものにとどまってくるように改正が行われると思います。そういう関係から、この政令の改正はやらなくても行けるのではないか、こういう考え方で来ておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/32
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033・門司亮
○門司委員 どうもその解釈は私はおかしいように聞えるのですがね。なるほど地方公務員と国家公務員とはおのおの別の法令で処置しておるので、それでいいと言えば言えるのです。改正しなくてもいいとあるいは言えるかもしれぬ。しかし少くとも国が新しいこういう給与法を出してきて統一をしようという考え方から、地方の公務員の諸君はまたそれに準ずべきであると考えて参りますと、やはりこの政令と合せておいた方が、私はこの法律の建前から申しましても、取扱いから申しましても、すっきりするというように考えるのであります。この点はここでこれ以上聞くと時間が長くなりますし、意見の相違ということになるかと思いますが、私どもといたしましてば、単純労務職の中で、当然行政職の第一表に掲げるものはやはり行政職として取扱うべきである、技能職に残すものは技能職に残すべきであるというような形で、政令の改正がこの際必要になってくるというように考えるのであります。それはそれでこれ以上議論はいたしません。
その次に問題になって参りますのは、地方公務員は、御承知のように国家公務員と違いまして、給与の支給に対して非常に大きな相違が実はございまして、長い間昇給していないところ、あるいは昇給の延伸をしておるところ、場合によりましては当然昇給すべきものをその自治体に寄付するというよう形で返上されているというようなものがございます。それからまた昇給については、辞令だけ受け取って実質賃金は上っていないというようなものもございます。これらのものをこの給与改訂に際して一体どう処置するかということであります。これは給与改訂をなさるというお考えであり、国家公務員がこういう形で出て参りますにおきましては、私どもの考え方といたしましては、まず地方公務員の今日当然受くべきものであった昇給の差額、あるいは延伸されておるというようなもの、さっき申し上げましたような辞令だけを受け取っておるというようなものが一応正常な姿に戻されて、その上で給与改訂は当然行わるべきものであると考えておるが、この点について一体大臣はどうお考えになるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/33
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034・田中伊三次
○田中国務大臣 大へんむずかしい問題でございますが、今お話しのありましたような給与の実態が、もう一つ正確に私の手元においてつかみがねておるのであります。しかし実際はお説をいただきましたような、形式上と実際の給与の内容が違うというような実態が、全国の貧弱市町村において、ことに貧弱町村においてあるやに聞き及ぶわけであります。そこで先ほどお答えを申し上げました、過去にさかのぼらないのだという言葉に行き届かない点がございますから、一言つけ加えて申し上げますと、過去にさかのぼってまでは処置をしないのだという考え方は、特に単価の高いところについて延伸なり改訂の努力をしておるところ、ことに赤字団体であって赤字計画に載せておるというようなところにおいては、そういう方針をとっていきたいということを、いろいろさっき申し上げたわけでありますが、今お話しのような貧弱町村において名実異なるような実態があるという場合におきましては、これにつきましての処置は将来において実態をよくつかみました上で考えていきたい。しかし将来の話じゃない、現在の改訂に際してはどうするのか、こういうお言葉になりますと、現在の形式上の給与の実態というものに基準を置きまして、国家公務員に右へならえをする、こういう方針を一応とらしていくよりほかに仕方がないのではないか。しかしてそれが実態に合わざる分は将来その財源をどういうふうに見てやるかという考え方によって処理をしていく以外には道がないのではないか。しかし何にいたしましても、そういう実態がある以上は相当なる増収の考えられる三十二年度以降におきましては、こういう給与の問題はまず何をおいても解決をしていかなければ申しわけのない点である、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/34
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035・門司亮
○門司委員 これは給与改訂を勧告されました人事院に一つお聞きをしておきたいと思いますが、今田中大臣の答弁であり私の質問した通りでありまして、地方には従来受けるべき権利があり、また受けなければならなかった給与の昇給がストップされたりあるいは延伸が行われたり、さらに何らかの形で返上するというような形あるいは寄付をするというような形で、実質的にはその給与を受けていない諸君がたくさんあります。田中大臣は今形式的と申されましたが、私はこういうものを形式的で済ますわけにはいかぬと思う。少くとも給与改訂をして地域差をなくしようという、根本的の改正をされようとお考えになっておる政府は、当然これはあるべき姿に戻した上で、この改訂が行われるということが労働者にとっては当然の権利だと思いますが、人事院はこれに対してどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/35
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036・淺井清
○淺井政府委員 地方公務員につきましては人事院は所管外でございますから、その点は発言を差し控えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/36
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037・門司亮
○門司委員 人事院がそういうことで逃げられるということは、私はけしからぬと思う。とにかく人事院としては、国家公務員であろうと地方公務員でありましょうとも、所管が国家公務員であるからといって——もし国家公務員でこういうものがあったらどうされる。幸いにして国家公務員にはこういうものはあまりありませんから問題はありませんが、地方公務員を見てごらんなさい、そこらじゅうたくさんありますよ。そうしてこの額はかなり大きな額に上りますよ。地方の自治体が貧弱であって、赤字であるということで、当然受くべき給与を受けないで公務に携っておる気の毒な地方公務員の諸君がたくさんあります。これを給与改訂に当って、形式上という田中大臣の言葉は、どっちの形式かわからぬのであります。だから私はあなたに聞いておるのでありますが、人事院としての立場から、それならもし国家公務員でこういうものがあったらどう処置をされますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/37
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038・淺井清
○淺井政府委員 国家公務員については現実にさような状態はないと思っております。またわれわれ政府委員といたしまして、国会法上国務大臣を補佐する立場で発言するほかはないのでありますから、国務大臣の御発言を批判することはできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/38
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039・門司亮
○門司委員 国家公務員は知っておるが、地方公務員にはそういうものがあるかもしれないが、それは人事院としては考えておらないという、あるいは大臣の補佐をするのがわれわれの役目だというお言葉でございますが、地方公務員に対する国の一つの機関であり、ことに国の給与関係を担当される責任者としてのお言葉としてはあまりに冷酷過ぎると思う。少くともこういう問題については、働く者が働いて当然受くべき報酬ですから、これが地方の実情で受け得られなかったというものについて給与改訂をしようというときには、やはりこれをもとに戻しておきませんと、これが基礎になりますと、今まで満足に受けておった者とまた格段の開きが出てくるのであります。これを一体どこで調整するかということであります。だから考え方としては、やはりあるべき姿に戻して給与の改訂を行うということが正しい姿であろうということくらいはあなたにも言えると思うのです。どうなんです。やはりこれは言えませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/39
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040・淺井清
○淺井政府委員 私の個人的発言としては御同感に存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/40
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041・門司亮
○門司委員 ただいま人事院総裁の個人的な御発言もございましたが、この発言がたとい個人的でございましても、一応正しいとすることがよろしいかと私は思います。そうなって参りますと、これに要します財源は、ここに一応三十三年度において四億、あるいは次年度において幾らという数字がずっと出ておりますが、これだけではなかなかこれをまかない切れるものではないと考える。従って、そこで当然これ以上の財政措置を要求することになるかと思いますが、これについて大蔵大臣は何かお考えがあったら、一つこの際はっきり聞かせておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/41
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042・池田勇人
○池田国務大臣 俸給の昇給停止をしたりいろいろなことをやっておることは御存じの通りであります。そういう方々を今回の機会に直ちにもとに戻すかということは、自治庁長官が一般の地方公務員より非常に高い俸給を得ておる者につきまして、今後考えるというようなことを先ほどから言っておられましたが、それと同じような問題で実情に沿ってだんだんよくしていくよりほかにないと思います。こういう点は今後の状況を見まして、私は検討いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/42
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043・門司亮
○門司委員 これは現実の問題でありまして、これから先に給与を改訂してというようなことを申されておりますが、今度の給与改訂でそういう答弁はなかなか困難だと思う。なぜかといいますと従来の昇給期間は六カ月ですけれども、今度はこれを一年に延ばしておるでしょう。そうするとこれの調整ということは技術上非常に困難になります。だれがおやりになるかわからぬが、この問題は非常に困難性が伴ってくる問題でありますので、私は特にこのことを聞いておるのでありますが、大蔵大臣のそういう答弁だけでこの際承認をするわけには参りませんから、念のために労働大臣に聞いておきますが、労働行政の立場から見て、さっき淺井さんにお聞きをいたしましたように、労働者が当然受くべかりし給与を受け得なかったというものについては、やはり給与改訂その他の措置をする場合には、これをあるべき姿に戻すということが、労働行政の立場としては正しい立場であると考えるが、労働大臣はどうお考えになりますか、もう一度念のために聞いておきたい。あなたは大臣ですから、人事院総裁とは違いますから、はっきり言って下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/43
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044・松浦周太郎
○松浦国務大臣 自治庁長官からお答えになりましたように……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/44
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045・門司亮
○門司委員 労働大臣としてははなはだ不本意であるし、かつ、こういうことを申し上げますと怒られるかもしれませんが、労働行政をつかさどっておる、労働者に対するサービス省として、あなたの省はサービス省ですから、行政庁として権力官庁ではないのですから、サービス省の大臣であるあなたがそういう冷淡なことを言われると——労働者に対するサービス行政とは何かということになると、労働者に対するサービスの一番大きなもの、一番根幹をなすものは給与であります。給与以外には、労働者の問題としてまだほかにもいろいろ待遇の問題があるかもしれませんが、これが生活を維持する根源であります。この給与の問題に対して政府があいまいな態度をとっておるということは、とりもなおさず労働者に対するきわめて冷淡な態度と批判されてもやむを得ないでしょう。それを一体労働大臣は是認されますか。私は今日の地方財政が行き詰まっておることから来ておりますこの現状を見て、これをしからしめた原因その他を、今ここで議論しようとは思いませんが、現実にあるのでありますから、一つ労働大臣としては、この際地方公務員のそうしたものについては、やはり正常な姿に引き戻すことが正しいのだということぐらいは、ここで答弁してもらいませんと、このまま引き下るわけには参りません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/45
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046・松浦周太郎
○松浦国務大臣 基本的な考え方として、働いた者に対する報酬を適正に払うことは当然のことでありますが、この問題は行政庁の問題でありますから、自治庁のお答えになったように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/46
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047・門司亮
○門司委員 もうこれ以上議論しても——時間があまりないようでありますから、時間だけは守りたいと思いますが、私どもはさっき申し上げましたように、技術的にこれを変えていこうということは少し困難だと思います。今田中さんも労働大臣も池田大蔵大臣も同じようなことで、池田さんは将来は考えてというお話でございますが、将来考えて参りましても、昇給の期間がずっと延びて参りますと、それを調整することはますます困難が出てくると思う。これが縮まるなら調整は楽であります。そこで、この問題を一挙に解決するということは非常に至難ではありますが、しかしどんなことがありましても、この問題だけは解決をしてもらいませんと、当然受くべき報酬を受けなかったということでありますから、労務者が非常に気の毒であります。従って、この際そういう点はどうか十分考慮していただきたいと思います。
最後に、私は池田さんにもう一つ聞いておきたいと思いますが、今申し上げましたような、ここに考えられておりますような財源処置以外に、かなり大きな財源処置を要するであろうということは、今申し上げましたものが一つの問題であり、先ほど川村委員からも申しましたように、給与の実態というものと財政計画というものとが非常に大きな開きを持っておる。こういう問題をずっと考えて参りますと、これに対する財源処置というものはかなり大きなものが必要になってくると思いますが、この財源処置に対して、国のこうした一つの行政上の変更をなさいます場合における責任は、やはり国がある程度背負っていただきたいということは、地方の自治体からいえば私は当然だと思います。従って、かつて昭和二十七年にありましたような、あるいは二十九年にありましたような国の給与改訂に伴う当然増額分というものが、地方の起債、地方の借金でまかなわれて、それが今日財政上の大きなガンになっておるというような不手ぎわなことは、私はこの際ぜひ慎しんでもらいたいと考えております。従って、大蔵大臣から、これに要します費用については、国が責任を持って財政処置をするということのはっきりした御答弁を、一つここでいただければ私は幸いだと思いますが、この点どうですか。はっきり聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/47
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048・池田勇人
○池田国務大臣 国が責任を持つあるいは地方が責任を持つ、こういう考え方には私は必ずしも賛成できない。先ほど申し上げましたように、国も地方も同じような考え方で行くべきだ、これで行っておるのでございます。従いまして、公務員の給与の引き上げにつきましても、予算上は六・二%を国家公務員のみならず地方公務員につきましても考えまして、国の方では大体百五十六億、地方の方は二百二十億円要る、こういう計算で地方財政を組んでおるのでございます。しこうして、今回の地域給の問題につきましても、先ほど来申し上げておりますように、地方でどうしてもまかなえない場合には、これは国と地方と両方の責任でございます。そういう考え方で三十二年度は大体まかなっていけるだろう。三十三年度につきましては、地方の財政状況あるいは国の財政状況を考えて、お互いに一つの気持になってやるべきである、こういう気持でおるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/48
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049・門司亮
○門司委員 これ以上押し問答いたしませんが、今池田さんは、国と地方が一つの気持になってやるべきだということのお考えを発表されましたが、池田さんは一体いつごろからそういうお考えになったのか。今までずっと池田さんのとってきた態度と処置を見ますと、私はくどいことは申し上げませんが、たとえばずっと古い昔のことを考えてごらんなさい。昭和二十四年に交付税は三三・一四であったものが、あなたのときに一六・二九までに切り下げられたでしょう。そのときの地方の負担はどうなっていますか。四百四十億というものが財政計画から落ちているでしょう。これから地方財政の赤字はどんどんふえてきておるのであります。あなたはそういう処置をおやりになっておる。国と地方が同じという考え方なら、なぜこれを今までほうって来られたのですか。数字を言えというなら、昭和二十四年からずっと一々申し上げましょうか。かりに三三・四が生きていたとすれば、地方財政にどういう影響があったか、数千億に上るでしょう。そうして国が一銭も公債を発行しない。地方債にそういう処置をとって押しつけてきたことが、今日の地方の一般財政の面で五千二百六十何億という赤字を出しておる、公債を持っております。これに公共事業債を入れてごらんなさい。六千五、六百億になるでしょう。あなたは国と地方と同じ立場で考えるというなら、地方財政をもう少し見たらいいじゃないですか。元利の支払いだけでも、ことしは七百六十億支払わなければならぬ。七百億の増収があるというけれども、借金の支払いだけにも足りませんよ。国は借金の支払いについて何もやっておられない。こういう財政処置を今まで講じておいて、今この場になって、国と地方と一体になって、ものを考えなければならぬということを今お気づきになったとすればおそ過ぎる、これは考えとしては足りないと思います。これがかりにこの場限りの答弁だとすれば、ごまかしということになりますよ。あなたがほんとうに国の財政と地方の財政が一体になって考えるべきだというお考えであるならば、地方財政に負担し切れない分があるとするならば、国の制度が変ったときには、当然国がこれを見てやるという心持がやはりここで発表されなければならぬと思う。このことは、数字はあなたの方が詳しいからおそらく御存じでしょう。だからそういうふうに不親切な答弁でなくして、私は過去にあった実例を申し上げまして、今度の問題でどうしても足りない分があるならば、やはり国が地方の借金になるようなことをしないで、国の財政処置でまかなっていく。交付税をふやすこともできるでございましょうし、あるいはたばこ消費税を地方へもう少し配分する処置もできるでございましょうし、私はいろいろ方法があると思う。そうすることによってのみ、初めて国と地方との財政を国が平等に考えて見ていくということが私は言えると思う。口先だけで国も地方も一体であるというような考え方をお持ちになっておったところで、見てごらんなさい、三十三年度に当然地方で使うべき三十一年度のあの所得税、法人税の増収の分から、三十二年度に百億使うようにしているでしょう。こういうごまかしが行われている。大蔵省からいわせれば三十三年度に使うべきものを三十二年度に使おうと、交付税を地方に交付したからそれ以上責任はないといわれるかもしれません。しかし、政府がそういう処置をとらなければならぬほど、地方財政は今日行き詰まっております。ですから当然この場合も、私は、具体的に地方交付税を上げろとか、あるいはたばこ消費税をふやしなさいとは申しませんが、大臣の意見としては、国で責任を持って処置するということぐらいは、ここで御答弁願えるはずだと思っておりますが、もう一度念のために聞かしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/49
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050・池田勇人
○池田国務大臣 私の考えに変りはございません。昔からそういう気持でやっておるのでございます。ただ地方の財政につきましては、大蔵省としては昔のように監督権も何もないのであります。一応数字を集めまして、地方、中央の財政計画を立て、閣議決定において施行いたしておるのであります。こうして数多い地方財政におきまして非常に裕福なところも、貧困のところも出て参ります。そういう結果を見まして、徐々にそれを直そうとしておるのであります。中央と地方との考え方、地方をまま子にして、中央だけを考えるというようなことはいたしておりません。ただ結果において、地方の収入その他にでこぼこがあって、そうして困る府県あるいは自治体が出れば、それを徐々に直していごうというのが、これからやろうとしている考え方でございまして、別に私は昔から考え方を変えたわけじゃございません。
それから最近の、三十二年度に三十一年度の交付税を使う。これは交付税法から当然くることでございまして、三十三年度の先食いとかなんとかいう気持ではございません。三十三年度におきましては、なお三十一年度におきまする自然増収がまた相当出てくることと私は期待いたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/50
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051・門司亮
○門司委員 私も、あとの質問者がございましょうから、これ以上お聞きいたしません。いずれまた私の方の委員会でも承わりまして、この点はよく大臣と御相談いたしたいと思います。この段階ではもう大臣とけんかしている段階ではなくなっておりますよ。地方は真剣ですよ。ほんとうに地方の自治体を同じように考えておると言われるけれども、国には公債がなくて、地方にばかばかしい公債が出てきて、その借金の埋め合せで増税をみな食っても間に合わぬという状態です。それで国と地方とを同じに考えているというのはおかしいと思う。だからきょうこの点につきましては、財政処置については十分政府で考慮してもらいたいということを申し上げておきます。時間もありませんので、私の質問は一応これで終らしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/51
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052・相川勝六
○相川委員長 加賀田進君。恐縮でございますが、なるべく時間をとらないように、簡単にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/52
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053・加賀田進
○加賀田委員 実は田中長官が答弁した中で、少し疑問の点がありますから、その点を明らかにしていただきたいと思います。今川村委員の質問に答えて、今度の地域給の廃止に伴って浮いてくる財源が、全国で約八億ないし九億ある、それから無級地に本年約二%ですか、暫定手当を充てると、大体ほぼ同じ財源になって、地方財政計画としてはあまり変りがないではないか、こういう答弁でありましだ。しかし、それで財源処置は、全般的な地方財政の財源の総額としては変更がないかもしれませんけれども、これは各市町村単位に基いてこういう廃止をするとか、あるいは現在の給与に基く暫定手当というものに移行するという形になって起って参りますので、市町村においては財源的な不足が起ってくる、全国でそういう八億ないし九億の財源が浮いてくると言われますけれども、それは交付団体も不交付団体も全部合せて浮いてくるのではないかと思います。そうしますと、大体不交付団体というのは東京とか大阪とか、四級地で非常に職員の多いところです。ところが財源が浮いても、お前のところは財源が浮いたから交付団体へ回せというわけにいかない。従って交付財源の中でそれを操作しなければならないということになりますと、無級地を二%上げた財源と、交付団体の中で浮いてくる財源とでは大きな違いが出てくる。私の調べたところでは、交付団体の中で、三十二年度約四億近くの財源の必要が起ってくると思う。三十三年度は四十億、三十四年度は五十八億ということになっておりますけれども、来年、再来年は別として、当面本年度約四億以上の、地域給の廃止によって新たなる財源が必要になってくると思うのであります。そういうことで、交付団体の交付金だけで操作するということは不可能だと思います。そうしますと、他の財源を削らなければならないということが起ってくる、ここに本年度の地域給廃止に基いて財源をどうするかということが当面の問題だと思います。だから長官の当初に説明された浮いてくるもので必要な財源を、ほぼまかなうことができるだろうというようなのんきな考えでは、地方財政は困る問題が起きてくると思います。この点をどうするかということであります。
それから大蔵大臣として御答弁いただきたいと思うのは、これは再三われわれの同僚が申し上げましたが、そういう場合に四億ないし五億、財源不足が本年度起った場合は、大蔵大臣としては親切に地方財政を見るかどうかということを、もう一度私は答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/53
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054・田中伊三次
○田中国務大臣 お説のような場合も考え得ると思います。ただ八億ばかり浮くのである。それで埋めるのだ。それで充当するのだという考え方は、浮きます分で埋めるというのは、むろん交付団体の場合について言えると思うのですが、主として交付団体間の計算をいたしまして、不交付団体の場合はなかなかできにくいものですから、しっかりした資料に基いて交付団体の分について計算をいたしまして、先ほど申しましたような結果になる、大体そういう見通しになるということでございますが、数字は明確に計算をいたしまして御報告を申し上げることにいたします。それからそういう事態が起ったとき、何にいたしましても、わが国の交付団体全体として見たときには、こういうことになって、いわゆるお笑いの言葉のトントンになるのだということを申し上げておるのです。しかしながら個々の団体をながめますと、御心配のような点が起って参ります。これは三十二年度に限りましては大蔵省にこれ以上お世話にならなくとも、現在の財政計画の中においてやれる。それはどうしてやるのかというと、これは交付税の配分においてもこれが完全にやれる、こういう考えであります。交付税の配分において足らざるところは補って、それらの個々の市町村の不足分を補うことができる。これは十分にできる見通しでございます。三十三年以降においてはさらに穴があいてくるということは、これは財政計画は勢い違うわけでございます。そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/54
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055・加賀田進
○加賀田委員 そこは私の計算と大臣の現在までの調査とは相当食い違っておる。もし交付団体間において浮いてくるのとトントンでよろしいという見通しであれば、現在の財政計画において私は操作できると思う。
それから労働大臣と人事院の方にお尋ねいたしたいと思いますが、御存じのように地域給は勤務地が変更されると勤務地についておったわけです。今度これが廃止されまして、暫定手当ということになりますと、勤務地ではなくて個人にずっとついていくことになってくる。そこで問題になりますのは、人事異動に大きな問題が起ってくるのではないかと思います。たとえばゼロ級地から四級地へ行く、四級地からゼロ緑地へ行くという場合に、個人にそういう暫定手当がつきますと、同じ机を並べて同じ仕事をしていながら、一方は暫定手当をもらって一方は暫定手当をもらえない、いわゆる同一賃金同一労働という原則がここに破れるという問題が起るのではないかという懸念がするのですが、その点はどうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/55
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056・松浦周太郎
○松浦国務大臣 勤務地によっていくのでありますから、暫定手当の支給は従来と同じように勤務地につくものと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/56
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057・加賀田進
○加賀田委員 ではどれほどの——私内閣委員でないので、詳細にはまだ承知してないのでありますが、そうすると名称が異なっただけであって、実質的には従来の地域給とあまり変らないような方法で支給されるわけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/57
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058・松浦周太郎
○松浦国務大臣 その通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/58
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059・加賀田進
○加賀田委員 了解いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/59
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060・相川勝六
○相川委員長 他に質疑の通告もありませんので、これにて質疑は終了いたしました。
これにて本連合審査会は散会いたします。
午後零時八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102604939X00119570416/60
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