1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年四月十八日(木曜日)
午前十時四十二分開議
出席委員
委員長代理 理事 吉川 久衛君
理事 笹山茂太郎君 理事 助川 良平君
理事 田口長治郎君 理事 芳賀 貢君
赤澤 正道君 安藤 覺君
石坂 繁君 大野 市郎君
木村 文男君 椎名 隆君
鈴木 善幸君 綱島 正興君
永山 忠則君 原 捨思君
本名 武君 松浦 東介君
松野 頼三君 阿部 五郎君
赤路 友藏君 足鹿 覺君
伊瀬幸太郎君 井谷 正吉君
石山 權作君 川俣 清音君
久保田 豊君 楯 兼次郎君
中村 英男君 細田 綱吉君
山田 長司君
出席政府委員
厚生事務官
(保険局長) 高田 正巳君
林野庁長官 石谷 憲男君
委員外の出席者
総理府事務官
(行政管理庁監
察部監察官) 藤井 香君
大蔵事務官
(主計官) 大村 筆雄君
農林事務官
(林野庁林政部
林政課長) 家治 清一君
通商産業事務官
(大臣官房物資
調整課長) 石井 秀平君
通商産業事務官
(軽工業局窯業
建材課長) 川田 博通君
農林漁業金融公
庫理事 瀬戸口 弘君
農林漁業金融公
庫林業部長 山口 達喜君
専 門 員 岩隈 博君
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四月十八日
委員石田宥全君及び日野吉夫君辞任につき、そ
の補欠として石山權作君及び川俣清音君が議長
の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
森林法の一部を改正する法律案(内閣提出第一
〇六号)(参議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/0
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001・吉川久衛
○吉川(久)委員長代理 ただいまより会議を開きます。
森林法の一部を改正する法律案を議題といたし審査を進めます。質疑を続行いたします。政府側出席者は、農林省から石谷林野庁長官、家治林政課長、通産省から石井物資調整課長、農林漁業金融公庫から瀬戸口理事、山口林業部長が出席いたしております。
質疑の通告がございます。順次これを許します。永山忠則君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/1
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002・永山忠則
○永山委員 森林行政が、公有林、民有林あるいは森林組合関係の維持育成強化という方面に重点的に行政が行われずして、官僚行政の面に移行するかのような感がありますことを非常に遺憾に思うておるものでございますが、森林行政の強化をはかる面では、何としても特に森林組合の維持育成に力を入れ、民間側の強力なる支援、支持とを得てこの行政の運用の妙を実現すべきだと思うのでありますが、この点に対する見解を承わりたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/2
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003・石谷憲男
○石谷政府委員 現在のわが国の木材生産量の四分の三は、いわゆる民有林の生産にかかるものでございまして、これらのものは五百万森林所有者の所有にかかるものから年々生産されておるというのが現状でございます。従ってこれら森林所有者の団体であります森林組合の育成強化をはからずして林業生産の確保並びに林業経営の進展はあり御ないということは御指摘の通り当然なことであります。御承知かと思いまするが、現在の森林組合は、森林所有者において約六割、全民有林面積にして約八割の組織を擁しておるという状況でございまして、その組合数は約五千五百余に達しておる現況であるわけでございますけれども、この中にはきわめて経営不振な状態にあるものがかなり多いのでございます。これは林業それ自体が生産が非常に長期にわたるという本質とあわせまして、森林所有者の所有規模が非常に零細だ。零細森林所有者の数が圧倒的に多数である。こういったようなことからいたしまして、農協等のように毎年随時組合をその組合員たる農民が利用するということが困難だ、そういう意味合いからいたしますと、本質的になかなか強化の困難な要素を内包しておる、かように私どもは考えておるわけでございまして、またかたがた林業なるものがいまだ企業的に確立するという点について問題が少くないわけでございまするし、半面森林の取扱い自体に絶えず公共的な面への問題がある等々のことからいたしまして、純粋な経済事業としてこれが伸びていく上にいろいろと支障が多いといったようなこともこれに伴うように思うのでございます。さらには米麦あるいは肥料等のものを扱うといったような組合活動の機関なるものが実は林業関係においては乏しいわけでございまして、こういうことも経済団体としての林森組合の振興をはかって参ります上に非常に障害になっておる。かように私ども考えておるわけでございますが、当初申し上げましたように、組合の振興を考えずして民有林の振興はあり得ないというような考え方からいたしまして、今後とも森林所有者の行う造林あるいは伐採、林道の開設その他の共同施設といったようなものの推進を森林組合を中心にして実施をする、さらに販売、購買のような仕事に関しても、これらの系統組織を大いに活用するということによって、森林組合の経済活動の促進をはかって参りたい。これらとともに新農山村の建設計画の中の一環といたしまして、林野庁当局においては山村の振興対策というものを取り上げておるわけでございますが、この山村振興対策の推進体として森林組合を大いに活用する、こういう活動を通じて組合本来のあるべき姿における強化策を講じて参りたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/3
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004・永山忠則
○永山委員 林野庁当局は森林組合の育成ということをお考えになっておるのでありますが、ただそれは観念としてではなくして、やはり具体性がなければいけないのと同時に、予算的措置をも考えなくてはならぬのでございますから、大蔵関係がこの育成強化に向っての非常なるチェックになっておるかと私は考えるのでありますが、今大蔵の関係者が見えておりませんから……、根本は実際問題として森林組合が弱体でありまして、幽霊のようなものであるとさえも言われるところが相当あるのであります。この零細なる弱体の単位組合を強化するという具体的な計画がなければならぬと思うのであります。ことに町村合併が行われたのでございますから、これと相呼応いたしまして、組合の強化策として、ただの計画でなくして、これに対する具体的な促進計画を立てられて、それに対して予算的措置をも伴うようなものがなくてはならぬと思うのであります。ことに赤字の単位組合をどう持っていくか。経済状態の非常に違っておるところの組合の合併をどういうように指導していくかというような点に対しても、ある程度予算的な措置を持って指導をなさる必要があると思うのであります。町村合併に対しましては、ある程度政府の方では予算的措置を伴うておるのでありますが、これらの経済団体である森林組合、特に強化を必要とする単位組合の強化策に対して、町村合併に並行してやるべきものに対する考え方が、予算的措置と並行して足らないのではないかと考えるのでありますが、これに対して具体的な計画なりあるいは将来の予算的措置等の構想がございますかを承わりたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/4
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005・石谷憲男
○石谷政府委員 不振組合に対しまするところの再建整備並びに整備促進の問題につきましては、私どもといたしましても、従来からこれを取り上げて実は推進をして参っておりまして、それぞれ効果ある結果が生まれつつある現状であるわけでございまするが、御指摘のように、現在非常に不振をきわめているという組合の実態の中からは、いわゆる組合を構成いたしまする地域、範囲というものが比較的狭いということから来ております不振原因もあるわけであります。従いましてその間の事情からいたしますると、組合単位の合併を促進することによりまして不振組合の漸減をはかって参るというようなことを実は取り上げて参らなければなるまい。これに対しましては合併促進等のために必要な助成的な補助金といったようなものにつきましても、いろいろ研究をいたしておるわけでございますけれども、まだこれを予算化するという段階に実は至っておらないわけであります。先ほども御説明申し上げましたように、新農山漁村の建設計画の中の山村振興対策の実施の中心的な機関、組織といたしまして森林組合の機能を十二分に活用する。これは林業問題全般にわたりまして、森林組合の手を通じて仕事の達成をはかって参りたいということに相通ずる考え方たと思うわけであります。すでに成立いたしております予算の運営につきましては、そういった扱いを十分徹底いたすことによりまして、組合の強化対策に資したい、かように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/5
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006・永山忠則
○永山委員 町村合併に即応いたしまして、経済団体、ことに森林組合の地域単位の強化、すなわち合併強化等に対する積極的な施策と、これに対する予算的措置を特にこの場合要望をいたして、来年度にはぜひ一つ具現できるようにお願いを申し上げたいのでございます。
さらに森林組合は、ただいま御説にございましたように、町村の仕事、県の仕事あるいは国家の仕事を代行をいたしておりますと同時に、教育、指導の面を担当いたしておるのでございますからして、これは組合員の利益をはかると同時に、また国家の大目的に向って教育指導面を推進をいたし、国及び地方の事務の代行をいたしているという観点から見まして、政府は森林組合育成に助成金を出さねばならぬと考えるのでございますが、この点に対する考え方を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/6
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007・石谷憲男
○石谷政府委員 国の行政の末端的機構としての役割につきましては、現行森林法前の森林組合におきましては、そういう性格が明確になっておったわけでございますが、現行の森林組合は御承知のように、昭和二十六年の森林法改正によりまして、明らかに経済団体としての再発足をいたしているという状況であるわけであります。ただしこれが農山村の地域において、森林所有者を結合する唯一の組織として、現実に機能をいたしているという実態にかんがみまして、森林計画制度の中において、森林区実施計画という計画があるわけとありますが、この森林区実施計画の失行、確保につきましては、森林組合と現にお持ちの技術員を十分に活用いたしまして、これらの協力によって、国並びに都道府県の果すべき責任を果しているという現状があるわけでありまして、これらにつきましては、必要な予算措置は不十分ながら講じてあるという現状であるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/7
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008・永山忠則
○永山委員 政府は経済団体の性格であるという面に重点を置かれて、ドッジ・ライン原則以来、この経済団体組合である森林組合等には、助成金は出し得ないというような方針になっておられるようでございますが、しかし森林組合は、技術、教育の指導、さらに国家行政、地方行政に非常なる協力をいたしているのでございますから、ここに技術指導あるいは教育普及というような事業面に対しても補助金を出すというような考え方に割り切っていただくことを特に要望いたすものでございます。ここで単位組合が非常に経済的にも弱体でございますが、従ってその使用しているところの人も少いのでございますからして、町村合併に即応いたして、それらの合併を促進する行政的指導なり、あるいは国の助成を要望いたすのでございますが、しかしちょうど厚生省関係の方がお見えになりましたから、関連して御質問申し上げるのでございますが、この技術及職員の五人以下の使用者を持っておるのが大部分であるのが森林組合の単位組合でございます、それで非常に弱体であって指導的地位に立つことができないという状態でございますから、せめて職員の身分保障という面に対して、当局の方では何か指導的な立場に立っての御研究をされていることがございますか、お聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/8
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009・石谷憲男
○石谷政府委員 現在単位森林組合並びに組合連合会の事務関係職員並びに技術関係の職員は、総計いたしまして六千四百人ばかりになるわけでございまして、御指摘のように、一単位組合におきまして五人以下というような事務並びに技術職員しか持っておらないという組合が大部分であるわけでございます。何らかこれに対する身分保障の制度を研究いたさなければならないということで、かたがた森林組合連合会等との間にも話し合いを進めておるわけでございますが、いまだこれらについて具体的な結論を得ているという段階でないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/9
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010・吉川久衛
○吉川委員長代理 永山君に申し上げます。先ほど申し上げました政府側の出席者のうち厚生省から高田保険局長、それから通産省から川田窯業建材課長、大蔵省から大村主計官が見えましたが、特に高田保険局長は他の委員会の都合で急いでおいでになりますから、そのおつもりでお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/10
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011・永山忠則
○永山委員 そのつもりで今審議を進めておりますが、それで厚生省の方にお問いしたいのであります。農林当局は身分保障の点に関して、連合会等が系統所属の組合の健保一括加入をしきりに推進をいたしておるのでございますが、厚生当局の方では、ことに末端の方ではそういうことは扱いかねるというように言われておるのでございますが、その原因はどこにあるとお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/11
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012・高田正巳
○高田(正)政府委員 今の永山先生の御質問の御趣旨は、健保に加入するように努力をしているけれどもそれが拒否される、その原因がどこにあるのかというような御質問ではないかと拝聴いたすのでありますが、おそらく森林組合の従業員が常時五人以上おる程度の組合でありますれば、これは健保で国または法人の事業所ということになりまして、強制加入になりまするのでその問題は起らないと思います。
〔吉川委員長代理退席、笹山委員長代理着席〕
多分御指摘の点は、先ほどもお話しのように五人未満の事業所であろうかと思います、そうなりますと結局現在の健康保険の建前では、強制加入ということにはなっておりません。ただ任意包括という制度が別にあるわけでございますが、その際、そういう制度はありまするけれども、原則として五人未満の事業所の従業員につきましては現在健保の外にある、そういうわけで結局御指摘のような問題が起るのであろうかと思います。この五人未満の事業所の従業員につきましては、森林組合の従業員のみならず全般的な問題として、これを一日も早く国民皆保険という線に沿って何らかの医療保険の網の中に入れていくべきであるということで、先生も御承知のように、今いろいろとその方策について検討いたしておる最中でございます。三十二年度中には大体の方向をきめたい、こういうふうに考えておるわけであります。それが一般的な五人未満の事業所の従業員というものと一括しまして、私どもの方としては森林組合の従業員についても考えて参りたい、かようなことで考慮いたしておるわけでございます、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/12
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013・永山忠則
○永山委員 五人未満の単位組合を包括しまして、各部もしくは県でこれを一括的に取り扱って健保へ加入するという問題については、一段と一つ御研究を願いたいと思うのでありますが、国民皆保険の問題と五人未満の加入の問題についての基本問題はまた別に社労で御質問いたすことにいたしまして、この場合とりあえず職員の身分保障の問題は非常に要望をされておりますので、特にこの取扱い方についての御研究方を要望いたしておきます。
さらに農林漁業団体の役職員が全国的な共済組合制度を作りた、ということがまた要望されているのでございますが、これに対する考え方をも承わっておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/13
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014・高田正巳
○高田(正)政府委員 この点につきましては、農林漁業のみならずいろいろな職域の問題も共通でございますが、御存じのように社会保障制度の中核をなしておりまする社会保険のただいまの傾向といいますか、一般的な指導方針というものは、いろいろな組合なり制度なりがございまして、それがその間の給付の水準にいたしましても個々ばらばらになっておる、むしろこれを統合していく方向にあるかと思うのであります。この点は社会保障制度審議会のたびたびの勧告等にもそういう線が強く打ち出されておりますし、今日あるものを、そう簡単にむちゃくちゃに一本にしていくというふうなことは非常にむずかしいことでございまして、将来の方向としてはさような方向に、向うべきであるというふうなことに相なっておるわけでございますが、その意味からいたしまして新しいものができて参りますることは、私どもの立場といたしましては、むしろ否定的な気持を持っておるわけでございます。さような特殊なものを各職域でばらばらで作って参るというよりは、できるだけ現在のものでも統合の方向に向うべきである。さような観点からものを考えておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/14
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015・永山忠則
○永山委員 国民皆保険の実が遅々として進まないというような点から、これらの問題が非常に要望されておる点をもあわせてお考えをいただきまして、厚生当局への質問は別に社労委員会で続けることにいたしまして終りたいと思います。
ここで順序をちょっと変えまして、通産関係の人が見えておりますから、きわめて簡単でありますのでその方を先に済ませて、大蔵及び農林漁業関係の人は恐縮でございますが、すべてに関連しておりますからお残りを願いたいと思うのです。
木材利用合理化の普及宣伝という点に関しまして予算があるのでございますが、これに対してはどういうような構想で、また具体的にどういうように推進されておりますかを承わりたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/15
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016・川田博通
○川田説明員 木材利用合理化関係の予算につきましては、私から申し上げるのは適当じゃないかと存じますが、昨年、一昨年と引き続きまして経済企画庁の内部に木材利用合理化推進本部というのが設けてございまして、そこに補助金が一括して交付されております、われわれ通産省なら通産省でいろいろ施策もあったわけでございますが、そういう要求は全部そちらに一本で出ておる状況でございまして、その予算の使途等につきましては、私の方としてはこまかくは存じておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/16
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017・永山忠則
○永山委員 時間がございませんから、要望だけ申し上げまして、また別の機会にこの問題を深く御質問申し上げたいと思います。
これは非常に重要な問題でございまして、森林資源を保護する上におきまして、現下の日本の状態から見ますと、これが積極的推進をお願い申し上げたいのでございます。いろいろございますけれども、コンクリート・ポールというようなものは近時鉄筋を非常に少く使いまして、しかもその強度は非常によくて、また価格も電柱と見合う程度にまで引き下げ得るという情勢になっております。しかるに電気会社あるいは電電公社その他の各官庁はこれの使用量が少く、閣議でできるだけコンクリート・ポールを使用するようにという閣議決定事項もございますけれども、政府の積極的推進、この普及がなお足らざる点を見出しておりますので、これらの点をもあわせて十分これが普及宣伝促進に全力をあげてもらいたいということを要望いたしまして、一応その点は別の機会に御質問申し上げます。通産関係はこれで終りたいと存じます。
森林組合の維持育成の問題について、ただいまのように身分保障さえもできないという状態でございまして、これは平均給料が厚生省は八千円以上でないと赤字が出ますので、健保加入に対してきわめて消極的な態度をとってきたのがこれまででありまして、今回は国民皆保険という考え方が出てきましたので、うまくその線で逃げておるのでございますが、単位組合の職員は非常に不安を感じ、しかも安い給料で奉仕をしておるような点をあわせお考えの上に、やはりこれが指導面に対する政府の奨励金を、その意味から見てもお考え願いたいのでございます。経済活動をする面におきまして、単位森林組合が治山の事業あるいは造林の事業あるいは林道関係の事業を直営でやるように御指導を願わなければならぬと思うのでございますが、そういうような事業を単位組合が請け合ってやるというような点に対する政府のお考えを承わりたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/17
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018・石谷憲男
○石谷政府委員 ただいま御指摘のありました問題につきましては、すでにそれぞれ森林組合を通じまして、あるいは森林組合みずからが施行するという方針で、その指導をいたしておるわけでございます、造林等の場合におきましては、造林者にかわりまして森林組合が造林をするというようなケースは比較的少いのでございますが、これらに対します苗木の供給の問題につきましては、現在森林組合が相当程度のものを責任をもって供給をいたしております。中にはすでに組合みずから苗木畑の経営を担当いたしまして、組合員である森林所有者の造林事業に対して苗木の供給をいたすということを方針として取り上げておりまして、現在の森林組合の事業の中では成果をあげております主たる事業の一つになっておるわけでございます。それから県行造林等で水源林の造成等を行う場合におきましても、森林組合がその事業の委託請負をしてやっておるという事実も顕著にあるわけでございまして、私どもとしましては、先ほど申し上げましたように、とにかく山村地帯における実施能力のある唯一の機関であるという意味合いからいたしまして、極力森林組合の活動にこれらの事業を加えて参りたい。また現に林道事業等におきましては、森林組合が施行の主体となりまして実施しておるという実情が年ごとにふえておるわけでございます、今後もそのような方針によりまして森林組合の機能を活用しながら、これを通じて強化の方向に進みたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/18
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019・永山忠則
○永山委員 治山関係におきましても、あるいは造林関係におきましても、積極的に森林組合がその事業主体となってやるように特に行政の御指導を願いたいのでございます。ことに今度の予算で水源林滋養の予算が非常に縮小された、いな、むしろこれはゼロになるところでございましたが、県から強い要望がございまして、県行造林の一部六千町歩だけは残すということで、しかも農林当局はこの県行造林の既定計画である三カ年計画だけは年々六千町歩やろうという考え方でございますが、しかるに大蔵省は本年度限りなら認めようということで水源林の涵養造林が縮小されまして、これが百行造林へ移行されようとするものでございますが、この点が、民有林並びに公有林、森林組合の維持育成ということに消極であって、むしろ国有林野の方に移行して官僚行政への面が漸次に強まりつつあるということをわれわれが指摘をせざるを得ざる原因でございます。官行造林になる場合におきましては、結局その後の手入れは要らなくなりますけれども伐採の際における率は大体どういうようにお考えになっておりますか。現在の慣例でいいますと、民間側が五で政府側が五になっておりますが、その比率を変更される考えであるかどうかを承わりたいのでありますけれども、こういうように、官行造林に移行されていくということは、単位森林組合が県行造林事業を請負っておりましたような関係等を合せまして、森林組合の育成強化が後退するのではないかということを憂えるものであります。と同時に実際上山を所有している民間側から申しましても、手入れはなるほど政府がやってくれますけれども、しかしこれを伐採したときの収入が半減するという結果になり、また手入れをすることによってその間の間伐等による収益を得ておるのでありまして、自分が努力することによって収益を得ておるのでございます。これを営林署へまかすということは、たださえ営林署は人手が足りなくて実際上の複雑なる労働関係にあるのでございますから、これを官行造林へ移行するということは逆行であるということをわれわれは考えておるのでございますが、これに対する当局の御意見、なおここに至りました理由等をお伺いしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/19
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020・石谷憲男
○石谷政府委員 水源林の造成の事業と申しますのは、実態は造林事業でございますけれども、これは非常に収益性の低い地域に行われます公共的な造林である、こういう意味から従来も治山事業の中で取り上げて参っているという経緯があるわけでございます。しかも従来やって参りました方式は、新植樹につきまして国が三分の二、都道府県が二分の一、いわば両者を合しまして新植樹に対する全額補助で森林所有者が植栽をいたし、その後の保育、手入れは森林所有者の責任でやって参る、こういうことで実は行う建前の予算でございます、それに対しまして、その後の保育、管理というものが十分徹底いたしませんと、水源涵養地の機能を営みますための水源林の造成がうまくいかないというようなことからいたしまして、この問題を取り上げて県と土地の所有者との間の契約に基きまして県行造林というかっこうでやっているものが決して少なくないわけであります。これは現在やっておりますような治山事業として取り上げるような対象に対する造林の仕事でございますから、なかなか一般の手の加えにくい対象地域であるわけでございます。しかも森林の水源涵養地の土砂の崩壊防止の機能というようなものを重視いたします造林であります以上、ただ植えてその後の手入れ、保育というものが責任を持って行われて参らぬということになりますと、そういう目的から非常に遠くなるということに相なるわけでございます。従いまして、この種の造林に対しましては、むしろ官行造林事業という、国の資金、国の組織、手をもって造林からその後の保育、管理まで一貫して、要するに成林するまで一貫して責任を持つという態勢で取り上げる方がむしろ好ましいというように考えまして、実は昭和三十二年度からは全面的に切りかえたいというのが私どもの当初の考え方であったのであります。しかしながら、現に土地の所有者と県との間に県行造林の契約が締結されておるというような土地もあるわけでありまして、そういうものをそのまま国に移行させるということが非常に困難な部分だけにつきまして、一応三十二年度中にこれを整理する、そういう整理がつくならば、今後は官行造林事業としてやって参りたいというのが、私どもの端的な意見でございます。要するに、機能を重視して確実に成林を期待いたさなければならぬという対象でありますからして、ただいま申し上げますような方式の方がよろしいのではないか、こう考えております。しかしながらそれらのことにつきまして、御指摘のごとく、必ずしも国有林野事業の組織を全国の山林のすみずみまでに拡充しておるわけではございません。従いまして、国有林野事業の末端で、実行、監督その他すべて国でこれらのものをやり切るということが果して合理的であり、能率的であるかということにつきましては、研究の余地もあると思われる地域もあろうかと思うわけでありまして、そういう場合におきましては森林組合等の機能を十分活用いたしたいという先ほど来申し上げておりまする基本方針にのっとりまして、十かに研究をしていくという考え方を私こもは持っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/20
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021・永山忠則
○永山委員 英国あたりでは、造林後の手入れの補助を出しておるのでありまして、諸外国にもその例があるのでしざいます。造林後の保育、管理という面に対しましても積極的にこれを一中助成するというような考え方においし、水源涵養等も従来の通り進むというのが好ましいと考えておるのでございます。おそらくただいま長官がお述へになりましたように、植林後の保育、管理が悪いからというようなことで国有林野事業へ移行されたようなお言葉でございましたが、これは逆に造林後の手入れ助成をするという方向へ切りかえて、そうして民間側に植林の事業を行わすべきでありまして、それによって民間側の自家労働力の利用による間伐等の利潤あるいはこれを伐採したときの全額の収益を得せしめるべきであります、政府の計画では、官行造林を伐採後においては国が六割、民間側が四割に持っていきたいというような意図さえも考えられる。これはすべて大蔵省が国有林野の特別会計でやらしめれば補助金が少なくなるとようような、単なる会計経理の小児病的な考え方で、しかも、一方農林省の官僚主義へ便乗をして、民間の事業の圧迫をなし、さらに民間側の収入を制約していくというような、逆方面に進んでおるのではないかということを憂慮いたすものでありまして、現に各地方におきましては、この水源林涵養事業は、ぜひ一つ残してもらいたいという強い要望がありますことを特にこの場合申し添えまして、来年度予算においては御考慮を願いたいのでございます。今日水源林涵養の事業はほとんど森林組合がいたしておるのであります。今後営林署の直轄となる場合におきましては、森林組合にやらしめるという方針を堅持されていかれるかどうか、おそらく官僚的な色彩が強くなって森林組合のあり方等にいろいろな難くせをつけまして、組合請負が消極にはならぬか、ことに現在でも森林組合維持育成という考え方が末端の営林署では非常に少いのでありまして、間伐の問題でもあるいは払い下げの問題にしましても、森林組合にこれを随意契約でやりしめるというような指導方針をお立てになりつつも、実際においてはこれか行われておらず、地方営業者との結託によって進んでおるところが非常に多いのでございます。ことに森林組合維持育成という面からいえば、この営林署の諸事業を森林組合にやらしめるという点に対して、一段と強い御指導を賜わらねばならぬと思うのでございますが、この点に対していま一度長官の御信念を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/21
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022・石谷憲男
○石谷政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、水源林造成事業というものは、全く私どもの今後の造林治山対策を有効に進めていくという立場から考えついた方策でございまして、補助金を削減するに役立つという意味合いから、他からしいられたものではごうまつもございません。現に一般造林としてやっておりまするところのいわゆる造林事業につきましても、県費の義務負担というものがなかなかできかねるような情勢が次第に濃くなって参りまして、計画目標の達成に至難を感じておるというような状況からいたしますと、この水源林造成事業に対する新柏費の県費負担の補助額は普通造林よりも大きいわけであります。これは面積で比較いたしますると割に少うございますから、金額といたしまするこ確かに普通一般造林の場合における補助の総額よりも低くなるわけでございますが、単価、補助率の点からいきますと高い、こういうことでございまして、今のように県費負担の問題が当値つきまとって参りますと、そういう剛からも水源林造成事業というものを大きく取り上げましてやって参ることに、今後困難を感じて参るということ。当然あり得るだろうと私ども考えておるわけでございまして、一般の資金が入りにくい、それから造林対象といたしましては技術的にも困難でありいたしますようなところの造林こそは、国有林野事業においてこれを取り上げるということの方が、むしろ態勢としては、この問題を正しく理解いたしまして、推進する上の強力な方策ではないか、こういうのが私どもの端的な見解でございます。しかしながらただいまも申し上げますように、国有林野事業の資金で、可能な限りこの植林機構を利用して責任を持って植栽並びに保育管理に当らせると申しながらも、地元の森林組合等の協力を得るという態勢を除外いたしましては、その成果は期待できないということは重々承知しておりますし、従来の事業の実態を私どもも十分わきまえております。従いまして、そういう間に出入りがないようにいたしたいということをこの機会にはっきり申し上げておきたいと思います。
それから従来国有林野事業における間伐すべき成林等あるいは間伐すべき立木等を森林組合に随意契約をもって売り払っておるという問題でございますけれども、何と申しましても多数の末端でございますから、同じような調子で私どもの意図が実施されておるということにつきましては、確言は困難かと思いまするが、次第にその量もふえ、次第にその扱いにもなれまして、それぞれ多少ずつの効果は、森林組合育成の上に果しつつあるという現状にありますことは、これははっきり申し上げ得ると思いますので、この点もつけ加えまして申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/22
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023・永山忠則
○永山委員 これは、大蔵当局がおりませんが、関連をいたしておりますから申し上げるのでありますが、一兆円予算以来国の補助率を削減いたした、補助率を低下いたしたということが、地方にまた強く影響いたしたのであります。しかし日本経済は漸次上昇をたどっておりまして、府県、町村財政も最悪の事態から一歩ずつ上昇をしてきておるのでございますから、少くとも国の補助率を少し上げるという考え方で進まれまして、そうして県と町村の負担をあんばいをされるという行き方で進まれることが望ましいのでありまして、県が地元負担として県の負担を出さずに、地元の市町村及び森林所有者に出させるというような事実があるがゆえに、すぐこれを国有林野事業に移行するという考え方は早計ではないか。私は、この場合において、大蔵当局が少くとも一兆円予算で押えたところの補助率は、この神武天皇以来の好景気のときには引き戻さねばならぬ。林道にいたしましても、治山治水の事業にいたしましても、造林事業にいたしましても、その補助率を一利内外全部引下げてきたのであります。これらの補助率は当然に引き上げて、そうして県と地方町村並びに森林組合あるいは森林所有者が協力して森林事業に力を合せてやるというような方途に進むべきでありまして、官僚主義へ移行するということについては、いま一度のお考えを願いたいと同時に、大蔵当局へ来年度予算の査定におきましては、この補助率を引き上げていくべきであります。特に森林事業は百年の大計でございまして、直ちに利潤化するものではないので、補助率は勇敢に引き上げなくては、実際上この森林計画が実行できないものであるとわれわれは考えておるのでありまして、大蔵当局へも強くこの点を要望していただきたいのでございますが、いかにして補助を押えていくかということだけが大蔵省の考え方でございますから、農林当局がしっかりこれに対して、やはり大蔵省を啓蒙するという考え方でなくてはならぬと思うのであります。たとえて申しますと、本年度は樹種転換ということを強くいわれておるのでございますが、その樹種転換に必要なことは樹苗の養成でなくてはならぬと思うのであります。しかるにこの樹苗の養成の費用が削減されておるのであります。ことに一番大切なる、母種を指定してこれを採種するという強い方針で各府県に一年生の苗を養成する、いわゆる稚苗育成の補助でございますが、この補助金が削減をされているということは、樹種転換を主張しながら、逆なコースへいっておるのではないかということを考えるのでございますが、この点に対してのお考えを承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/23
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024・石谷憲男
○石谷政府委員 優良樹苗の確保というものがあって、初めて造林事業の成果が上って参るということは同感であります。従いまして、従来優良樹苗の確保をはかって参るための対策といたしまして、毬果採種の段階と樹苗養成の段階と、この二段階におきまして補助金を県に交付いたしまして、いわゆる公営事業としてこれを実施して参ったということでございますが、必ずしも優良樹なえの確保のためには、この二段階で押えなければならぬとは、私どもは考えていないわけであります。そこでやはり有効な押え方は、あくまでも毬果採種の段階で押えるということでけっこうじゃないかと思います。しかも毬果採種の段階で押えるというその押え方は、できるだけ所要量を全面的に押えるというやり方でいかなければならぬ、こういうことに考え方を改めたということが一点でございます。あわせまして本年から材木の品種の改良事業も行なっておりますので、両々相待ちまして必要な優良樹苗対策には事欠かない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/24
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025・赤路友藏
○赤路委員 議事進行。これじゃやれませんよ。大体与党の方は通す意思があるのかないのか。休憩しなさい。永山君一人でやっているんだよ。与党の委員が質問するのに、もう少し与党がおってやるのでなければ困る。ほんとに真剣になって審議するつもりなのか。
〔「暫時休憩」と呼びその他発言する者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/25
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026・笹山茂太郎
○笹山委員長代理 ちょっとお諮りいたしますが、先ほどまで相当出ておりましたが、今調査会が開かれておりますので……。今永山委員の質問中でございますから、質問の終るまで、しばらくこのままで一つお願いします。
〔「永山さんに気の毒だ」「休憩休憩」と呼びその他発言する者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/26
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027・永山忠則
○永山委員 議事進行。やはり社会党と協力してすべてやっておるわけでありますから、(「協力してないじゃないか」と呼ぶ者あり)社会党と協力してやっておるわけですから、社会党の方でどうでも休憩してからということになれば、休憩してでもよろしゅうございます。私はもうちょっと質問を続けさしてもらえばけっこうなのですか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/27
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028・笹山茂太郎
○笹山委員長代理 今すぐ連絡いたします。今連絡中でございますからして、ただいま永山委員の発言中でございますから、しばらく質問を続行さしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/28
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029・永山忠則
○永山委員 それではお許しをいただいて……。(「そんなことはだめだ」と呼ぶ者あり)与党は早く通したいと思うのでございますから質問をつづけますが、まず樹苗養成の費用が非常に削減をいたしておりまして、ことに県段階で一年生樹苗の生産をするという補助は、林野庁は大蔵省へ要求されたはずであるのでありまして、それが二段階の必要はないという理由で削減をされていることは非常に残念でございますが、実際はこの県段階の樹苗の養成というものが一番中核をなすものであるというようにわれわれは感じているのでございまして、この点いま一段の政府の御考慮を願いたいと思うのであります。
次に伐調資金の問題でございます。この点に対して、農林漁業金融公庫の関係の方がお見えになっておりますので、あわせて御質問申し上げたいのでございますが、この伐調資金の関係は、民有林の育成増加に非常なる役立ちをいたしてきたのでございます。特に若木の保護に役立ちましたということについては、この伐調資金の力が非常にあずかっているということを感じているのでございますが、しかしこの伐調資金を借ります上において、今回四回に分けて許可申請をするということになりますと、許容限度のオーバーを知るのには、最後の四回目でなければならぬというようなことが多く考えられるのではないかと思うのであります。すなわち一回、二回、三回では許容限度内であったが、しかし四回目で初めてオーバーするというようなことになる可能性が多いのであります。そうなると、最後の四回目は十二月でございますから、十二月になってこれが許容限度をオーバーして不許可になるというようなことになって、資金が借入れられることになりますと、年末からこれを申請することになります。これまでは早く申請しておきましても、手続がきわめて複雑でありまして、これがなかなか許可がおりてこないで非常に困っているのに、今後は一そう事務殺到の弊を助長するのではないかというように考えられるのでございますが、これに対しての御意見を承わりたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/29
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030・石谷憲男
○石谷政府委員 お説のように、そういう許容限度を越えまして、しかも伐採の不許可にいたさなければならないという場合……、(「長官、簡単でいい。」と呼ぶ者あり)はい。対象になるので、運営しただいまのお話のように多少相なろうかと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/30
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031・永山忠則
○永山委員 実際は多少ではなくして、最後の十二月から後に許容限度をオーバーして許可されるという可能性が多く出てくるというようなことを心配をしているのでございます。これまで手続がきわめて煩瑣でございまして、その許可がおくれる点に対して農林漁業金融公庫の方のお考えを承わりたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/31
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032・瀬戸口弘
○瀬戸口説明員 手続の問題と思いますが、従来手続が非常に煩瑣であるというお言葉を絶えずいただきまして、私たちも何とかしてこれを簡単にしたいということで研究を続けました。私たちにしては、できるだけ簡単な書類にしたいのでございます。しかしながらこの書類の審査に当りましては、受託金融機関の方で綿密に審査いたしますので、私たちの一存で簡単にもできませんから、受託金融機関の方の意見を聞きまして、その上でこのぐらいならいいという受託金融機関の意見に基きましてある程度の省略は今度からいたすようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/32
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033・永山忠則
○永山委員 事務がきわめて煩瑣であり、しかも進捗度がおそいという点については遺憾でございますが、これに対してはやはり現地の方が非常に人手も不足しておるのではないかというように考えられる点もあるのでございまして、事務能率の刷新に加うるに現地機構の強化という点もお考えを願う必要はないかと思うのであります。しかし実際問題といたしまして金利はできるだけ低くせなければならぬというのが公庫の性質上好ましいのでございますから、大蔵当局が財政投資を公庫にいま一段と強化をいたして、金利を低下せねばならぬ。そして同時にそれと相呼応して、下部組織の機構充実ということに努力をさるべきではないかと思うのでありますが、しかるに伐調資金の関係につきましては、大蔵当局あるいは公庫自体におきましては、できるだけこれは将来拡大をすまい、すでに百億以上にもなっておるのであるからこれを押えていきたいというような考えがあるのではないかというように承わっておるのでございますが、この伐調資金のあり方に対するお考えを承わりたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/33
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034・瀬戸口弘
○瀬戸口説明員 利率の問題は現在四分でございますが、四分よりなお下げるというのはなかなかむずかしい問題かと存じます。と申しますのは、公庫資金の貸付の資金源でございますが、政府の無利息の出資金がたくさん入りますと資金運用部の借り入れが少くて済みます。しかし最近の行き方では、資金運用部借り入れがやはり六分五厘の利率を払っております。その方が非常に多くございまして、無利息の出資がだんだん減って参りまして、平均をとってみましても利率が五分何厘となりまして高いのであります。そこでそれよりもあまりに低いということは資金源によりまして非常に困難があり、私たちといたしましても低いにこしたことはないと存じます。しかし資金源の点によりまして非常にむずかしい、こういうふうに考えます。
それから抑えるというお話がございましたが、たとえば三十一年度を見ましても、三十一年度の当初予算では十八億三千万でございました。それが非常に御要望が多いし、また例外もございましたので、特にお許しを得まして最後の決定額は二十億九千七百万と増加しております。こんな工合に増加しておりますからそんなむげに押えているのではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/34
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035・永山忠則
○永山委員 大蔵当局がおりませんで残念でございますが、実際は無利息の出資をいま少しく大蔵省は公庫にやるべきであるのであります。神武天皇以来の好景気ということを言いながら、この農林漁業金融公庫の方への出資は夫に微々たるものである。大体神武天皇以来の好景気はこの森林方面に持つしこなければならぬと思うのでありますが、その森林方面に景気を向ける政府の考え方が非常に少ないということをわれわれは残念に思うのでございます。
次に植林問題あるいは治山治水というような関係の金利は、これをまだまだ低下しなければ、これが実際上の運営に当って非常に困難な情勢でございますので、少くとも将来この伐調資金の金利はできるだけ下げるという考え方、それには政府の無利息の出資を強化していくというように進まなければならぬと考えるのでございます。この金利を四分にいたしておるという点で、公庫は非常に伐調資金を出すことについてできるだけ押えていこうという考え方をするよりも、進んで政府の方の無利息出資を強化して、そしてその資金のワクを増すという方面に勇敢に進まれることを希望するものでございます。ことにこの伐調資金はさらに進みまして積極的に担保金融の方までこの制度を拡大すべきであると思うのであります。これが不許可の分に対してのみ伐調資金を出すという考え方よりも、森林の担保金融に向ってさらに拡大をして初めて森林資源を保護育成するという方向に進むことができると考えるのでございますが、一段と進んでこの担保金融制度にまで発展をさせるという考え方に対する御意見を伺いたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/35
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036・瀬戸口弘
○瀬戸口説明員 ただいまの山林の担保金融まで進んでもらいたいというような御要望の点はよくわかりました。ただ私たちといたしまして、公庫資金の用途が設備資金に限定されており、しかも長期ということになっておりますので、これが林道を作るとかあるいは造林をやるとか、そういうような設備であり、かつまた長期のものであれば、現在でもできるのでありますが、そのほかの運転資金とかあるいは期間の短かい資金とかいうことになると、資金の性質上、やりたいと思ってもやれない場合がある点を御承知願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/36
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037・永山忠則
○永山委員 要するに、この森林行政の面に対し、政府が官僚主義へ移行しようとする傾向にあり、また金融面におきましても、長期にわたって低金利でこれを森林資源育成に向って積極的に進もうという意図がきわめて薄い点、さらに補助率等に対してこれを引き上げていって、一般民有林あるいは森林組合保護育成するの努力が足らないことを遺憾に思うものでございまして、これらの諸点に対して一段と新構想を進められんことを要望して、私の質問を終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/37
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038・笹山茂太郎
○笹山委員長代理 伊瀬委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/38
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039・伊瀬幸太郎
○伊瀬委員 林野庁長官にお尋ねいたします。町村合併法に基いた国有林の払い下げが現在どれくらいの面積になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/39
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040・石谷憲男
○石谷政府委員 町村合併促進法並びにその後の新市町村建設促進法に基いて、さきに行なった林野整備の例にならって現に立木とともに土地を売り渡すということをやっておるのでありますが、本年二月十五日までのところにおいては昭和二十九年度中に実施したものはわずかに千十五町歩、昭和三十年度に処分をしたものは千九百二十三町歩、約二千町歩、こういう低調な数子しか出ておりませんけれども、実は川村合併に伴う申請が大幅に出て参りましたのは大体三十年度以降でありまして、まだ三十一年度が終了いたしておりませんが、大体三十一年度中に一万五千町歩が進行いたす、こういうような見当に相なっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/40
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041・伊瀬幸太郎
○伊瀬委員 あとでもけっこうですが、合併した町村への払い下げ反別、府県別、町村別、そういうものを一つ資料として出していただきたいと思います。
それからお聞きしたいのですが、大体払い下げ町村の基準はどういうところに置かれているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/41
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042・石谷憲男
○石谷政府委員 これは要するに、町村合併をしたということと、それからその市町村合併をした地域に所在する国有林のみについてそういう希望のある場合ということで、第一段階は押えるわけでございます。それでさきに行なった国有林野整備臨時措置法によりまして売り払った事例がございますが、こういうものによって売り払いすべき対象であるかどうかということを決定するわけであります。しかしながらさきに行なった整備の売り払いは法律にも書いてあるように、国有林野として経営することを相当としないものということで、いわば国有林野事業の合理化という観点から手放すべきものをきめて、これに対して希望があれば売り渡す、こういう考え方だったわけでございますが、現在の町村合併によるものは新市町村の建設のために必要な基本財産の造成ということが目的でございますので、運用のいわばニュアンスは若干違うと思いますが、林野整備の例にならって対象をきめておるということは大体そういう方向でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/42
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043・伊瀬幸太郎
○伊瀬委員 聞くところによると、大体払い下げの基準は三十五町歩だ、こういうことを聞いておりますが、三十五町歩というような基準をお持ちなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/43
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044・石谷憲男
○石谷政府委員 決してそういう基準は持っておるわけではございません。それで実は林野整備臨時措置法に基いて昭和二十六年度以降売って参った場合の売り方でございますが、法律によりますと、たとえば孤立団地とか境界輻湊地とか、こういう文句が使ってありまして、それで孤立団地とはどのくらいの大きさ以下のものであるかという基準は何もないのでございます。そこで私どもといたしましては、全国的な国有林のあり方と申しますか、御承知のように、北は非常に濃密で、西に下るに従って非常に少い。また九州の南部にはかなり多い地帯がある、こういうあり方があるのでございます。従って北の場合においてはこの孤立団地という考え方も比較的大きくとっている。それから中部以西の特に近畿、中国方面においては国有林自体の団地数が非常に多いのでございますが、固まった集団での国有林というものはない。そういうことによって孤立団地という観念が比較的小さくなっておるということで運営をいたしておりまするので、一律に三十五町歩以下のものでなければならないというようなことは何もきめておりません。ところが今回の町村合併による売り払いについては、これは明らかに基本財産の造成ということが第一の目的になっておりますので、さきの例にならいながらも、その運用の仕方についてはだいぶ調子を変えた運用をしております。従って近畿、中国等においても百町歩前後、さらにそれ以上の場合でも対象によっては実施しておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/44
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045・伊瀬幸太郎
○伊瀬委員 そうすると、三十五町歩でなくとも、いわゆる町村合併によるそういう申請のあった場合に、治山、治水等を考慮して払い下げられる、こういう方針と確認してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/45
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046・石谷憲男
○石谷政府委員 それはその通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/46
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047・伊瀬幸太郎
○伊瀬委員 そうするなら、町村合併をした町村で、払い下げの申請をしたが、許可しなかったという事例はございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/47
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048・石谷憲男
○石谷政府委員 それは実はあったのでございます。それは一応の現地それぞれの機関を経由して、これの事柄がきまる場合の契約の相手方は町村長とそれから各営林局長ということになっておるわけでありますが、事柄を最終的にきめます前には、林野庁にも前もって相談があるということで、私どもも一々の案件については相談に乗っておるということでございます。
ただ断わった場合の理由でございますが、それは明らかに孤立という観念から理解できない大団地である場合、それから合併いたしました市町村の中に所在する国有林でなければならないという限定があるにかかわらず、その地域外の国有林という場合もございます。それから市の場合においては、市の人口制限がございます。そういったようなことで、申請はされますけれども、該当しないというようなことで、お断わりしたわけでございますが、その場合においても買い受けの希望が強い向きについては、申請個所以外の適当なところを話し合いによりまして売り払うというようなことで実施いたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/48
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049・伊瀬幸太郎
○伊瀬委員 それでだいぶ判明したのでございますが、それでは町村合併により申請した場合には、そういうものに該当する場合には、これは許可されるものだというふうに了承してよろしゅうございますか。
もう一つお尋ねしたいのですが、町村合併した町村において、部分林を設定しておる町村がございますが、こういうものの払い下げというような、そういうお考えはどういうことになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/49
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050・石谷憲男
○石谷政府委員 ただいまの第一点でございますが、そのように御理解いただいてけっこうでございます。ただし、さきに売り払いました国有林の売り払い後の実情をきのうも御指摘をいただいたのでございますが、必ずしもその取扱いが適切にいっておらないというような状況もあるわけでございまして、これはそのときどきの市町村の財政その他の事情にもよってくると思いますけれども、大きいものを御希望になりますような場合においては、かなりの金額になります。従ってこれらのものを完全に消化できる経済力がありやいなやということにつきましても、十分市町村当局との間に話し合いをいたしまして、これなら大丈夫だという、引き受けます方の力関係をよく研究いたした上で適当なものを売り渡しておる、こういうことに御了解いただきたいと思うわけであります。
それから町村合併によりまして部分林の設定をいたす、こういう扱いをいたしておるわけでございまするが、これについてはあの法律によりまして、従来部分林の場合には造林補助金を交付しておらなかったにもかかわらず、町村合併によるものは造林補助金の交付の対象になるというような扱いをしながら部分林の設定をして参っておるということでございまするが、ただいまの御質問は、部分林を町村合併の問題に関連して売ることができるかどうかということではないかと思うのでございまするが、それはもちろん部分林でありましても売り払い対象の森林には相なるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/50
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051・伊瀬幸太郎
○伊瀬委員 部分林の契約ができていても、その契約の分に対して、売却は申請された場合にはなさいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/51
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052・石谷憲男
○石谷政府委員 要するに部分林の場合におきましては相手方があるわけでございますが、相手方がその売り払いをいたそうとする市町村であるというような場合においては、これは売るというふうに御理解をいただきたいと思うのであります。従って部分林の現在の契約の相手方がその他のものでありますれば、部分林の場合には、しばしば部落の場合もございますが、そういう場合においては、当然部分林としての契約を解除せられて扱わなければならぬということになりますので、その辺の間の事情が非常にむずかしく相なってくる。売り払いの対象の森林としては適当なものということはいえなくなるのじゃないかという懸念が生じてくるように思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/52
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053・伊瀬幸太郎
○伊瀬委員 それでは具体的にお尋ねするのですが、町村合併前に学校基本財産として部分林の設定をやって植林造成をやっている。ところがその後町村合併ができてしまったという場合には、旧町村との学校共有林の設定がされておったという場合に新しい村ができた、こういう場合にはどういう取扱いをなされておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/53
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054・石谷憲男
○石谷政府委員 学校植林の場合におきましては、部分林でやっておる場合が少くないわけでございますが、その場合にはおおむねその学校を所管しております市町村長が契約の相手方ということでございます。ところがその関係は現在は解消いたしまして、新しい町村に合併になっておるという場合だと思いますが、やはり旧相手方との間の契約を解除いたしまして自由なものに相なりました以降売り払うというようなことにいたさなければならぬもののように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/54
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055・伊瀬幸太郎
○伊瀬委員 そういうことになれば新しい町村長がこれを申請すれば払い下げできるということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/55
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056・石谷憲男
○石谷政府委員 当然申請者は新しい市町村長でございますが、それの売り払いを決定いたします前段の問題といたしまして、ただいま申し上げたようなことが伴わなければならない、かように考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/56
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057・伊瀬幸太郎
○伊瀬委員 部分林についてもう一つお尋ねしたいのですが、二十九年、三十年の両年で、はっきり言いますと、奈良県高市郡高市村で部分林の設定をしておる。その面積が二十八町歩だと思うのですが、見に行くと、その中間に依然として国有林が残されておる。これはなぜ残されておるかというと、ケヤキの細いのが生えておる。それからその上に相当太い杉が植えられておる。こういう場合に部分林の植林をやる。その上には二十年も三十年もした針葉樹が残されておる。こういう場合に、その上の方を伐採したときに、下が非常に被害を受けるという例もあるし、特に営林署あたりで聞くと、どうも境界もややっこしい。こういうようなややっこしい区画になっておるのですが、前の長官に聞くと、そういうきわめて境界のややっこしいものは一つ部分林にしてほしいというような希望を持っておられたのですが、石谷長官はそういうものを部分林に払い下げるというようなお考えはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/57
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058・石谷憲男
○石谷政府委員 部分林を新しく設定いたします場合には、当然地上のものを全部除去いたしまして、そうして部分林契約をするということが本来の建前でございますが、おそらくかなり貴重なもの、若いものがありまして、そういう処置をしたかと思うわけでございますが、これはすみやかに国側で除去いたしまして、部分林本来のものにいたすべきだ、かように考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/58
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059・伊瀬幸太郎
○伊瀬委員 それから最近木材が非常に値上りしておるのですが、これは需要が多いということが理由になっておりますが、一体伐採の適齢期というものは何年くらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/59
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060・石谷憲男
○石谷政府委員 これはもちろん伐採の適齢期を何によってきめるか、こういうことによるわけでございまして、たとえば地方々々によってその付近の生産地から出て参りますものを消化する地方市場があります。その地方市場が有利なものとして希望する大きさに達する、こういう時期をもって伐採の適齢期というふうに考える考え方もございますし、それから現在のように田の立場からいいますと、需要が多いにもかかわらず、供給力が少い。さらに将来の見通しを立てますならば、そういった開きがますます顕著になってくる。そこでむしろ質よりも量的な生産をして参らなければならない。こういう立場からいいますと、切るときの平均生長量が最大の時期を選んで切るということが適正な伐採の時期だということになろうかと思うわけでございまして、現行森林法におきまして適正伐期齢級という考え方を持っておりますが、この適正伐期齢級というのは伐期の平均生長量が最高になる時期ということでございます。ところが御承知と思いますが、樹木は幼樹は急激に成長いたしまして最高に達しますると、その状態というものはある期間持続するわけでありまして、それからまた線が下降して参る、こういう成長経過をたどります。大体現在きめております適正伐期齢級のきめ方は、最高に達しまして横ばいをするその中間をとっておるという考え方でございます。そういたしますともちろん気象、土地その他の条件によりまして多く違いますので、地方的に異なっているということと、それから木の種類によっても異なるわけでありまして、一般に陽性なところを好む木の種類は早い、それからそうでないものはおそいということでありますが、そういう意味合いで一概にどの地方どの木についても共通的なものは考えられないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/60
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061・伊瀬幸太郎
○伊瀬委員 奈良県の吉野郡あたりでは大体通常は五十年ぐらいが伐期だ、ところが大森林家は百五十年も二百年も切らないというような山がたくさん見受けられる。むろん材木がたくさんあるのなら、銘木も必要であろうし、りっぱな天井板も必要であろうから、そういうような山を伐採せずにおくこともけっこうだと思うのですが、今日の場合そうい銘木よりも実質的な木材というものが必要だと考えます。従って百五十年もたてば今長官のおっしゃったように、幼木と違うて太くなる率も少いと思うのですが、長官は今の段階においてそういう山は必要だと思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/61
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062・石谷憲男
○石谷政府委員 そういう特殊な大径材というふうなものは国全体の立場からいいましてそうたくさんなくてもいいわけでありまして、むしろそういうふうなものを供給いたしまする主体は、国有林野等であってけっこうじゃないかと私どもは考えるわけでございますが、御承知のように吉野地方の林業というものは、灘地方の酒造業とともに発展した林業でございまして、要するに酒だる酒槽というものをとりますためにああいう大径材をずっと以前から作っている、要するに最後に伐採いたしまするものを当初に予定いたしまして育て上げるという方式をとってきたわけでありますが、現在の需要の構造は必ずしもそういうふうに相なっておりません。ところが一般民有林におきましては、ただいま御審議いただいております森林法のこの現行法でありますが、ああいう一定の年令というものを設けまして、それまでに切るものは伐採の許可制度にかけるということまでやらなければならないくらい、若い成長期の木を切るという傾向が非常に強かったわけでありまして、むしろそういうものを残しておこうというものに対しまする積極的な措置は何も現行森林法ではできておらぬわけであります。従いましてこの吉野地方の大体の適正な齢級は、杉につきまして四十五年という期限がされておりますが、それを五十年、六十年、七十年、百年置きますことは一向に何も関係はないような措置に現行の森林法ではなっておるわけであります。ただし当面の木材需要の趨勢から見まして、特殊な大径材というようなものを計画的に生産をしなければならぬという要請はほとんどない。最近ではむしろ小径材でもって大径材にかえられるような技術がどんどん伸びておりますので、十分じゃないか。しかも必要最少限度のものは国有林で十分生産がつく、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/62
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063・伊瀬幸太郎
○伊瀬委員 実際問題として奈良県あたりの森林家は、長官がおっしゃったように幼木を切るというのじゃなくて、材木の値上りを待つまで切らない。切らない方が値が上るのだ、こういうことで今なお切っていません。戦争中でも適齢期に達しないものが伐採されたというのは小さい山林家であって、むしろ大きい人は絶対に切らなかった。これは有名な話ですが、戦争中供木というのがどんどんやられて、奈良県も供木の命令が出て、そして知事のところへ呼ばれて、あなたの山を切ってくれないか、こういうことをいわれたときに大きな山林家が、この奈良公園に松の木がたくさんあるからこれを切ってなお足らなかったら私の山を切りましょうと言ったという有名な話を残している。それくらい木を切らないのですよ。現に二百年、三百年というような、一かかえもするような木がある。その山では山林労働者は一カ月に十日しか働けない。それはなぜかというと山を切らないから仕事にならない。山を切ってもらえば材木の運搬にも出られるし、植林もやる、あるいは雑草の整理もやれる。こういうことになって山林労働者は働く仕事があるのですが、現在吉野郡の山林労働者の諸君は働こうにも働く仕事がないという。現に十日しか働いていない、こういうようなことでしかも山持ちは百五十年も二百年もたった木を切らない。こういうことに対してはどうでしょうか。材木の値上りを待ってなお切らない方がいいか、それとも伐採適齢級になったら一定の数量の木は伐採するというような考えがいいか、一つ長官のお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/63
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064・石谷憲男
○石谷政府委員 私どもといたしましては、先ほど申し上げました意味合いの、ある一定の年令のところに達するまでの幼早齢木は、成長の上からいいましても非常に痛ましいのでございますけれども、これはできるだけ伐採抑制をいたしまして、ある年令に達しました木については、必要量だけは届出によって切る、こういうことをやっておるわけであります。従いまして幼早齢林に対します伐採の抑制をいたしさえすれば、ある程度それが届出で切られる、ある一定の年限以上のところに伐採が寄せられていくというようなことを期待しておったわけでございます。五年間運用いたしてみまして、結論的な問題の中にはそういう傾向がうかがわれるように思います。やはり当面必要なものは切られておる。その切られておる木の中心がむしろ当初心配いたしました非常に若い木から次第にある一定の年令限界以上のところの木の伐採に移っていっておるということは言えると思います。
それから先ほど申し上げましたように、私どもといたしましてはできるだけそういう特殊な大径材というものを必要に応じて切るための勧奨と申しますか、すすめ方はしていってけっこうだと思いますが、切らぬものに対して何か強制伐採するというようなことにつきましては、現在のところなかなか問題があるのではないか、困難ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/64
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065・伊瀬幸太郎
○伊瀬委員 今永山委員からいろいろ御意見が出されまして、私も拝聴しておったのですが、大体造林に対しては造林費用を出す、それから森林組合に対しては多大な国家の助成をする、この間森林公団ができたときには、やはり国がそれに対して助成をやる、県がやる、県民の負担によってある程度の助成をなされる、そうして林道がつき造林の補助をやられる、そうして木が幾らでも大きくなるまで値上りを待つ、こういうようなことは今の段階においてはちょっと矛盾するのではないかと思うのです。この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/65
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066・石谷憲男
○石谷政府委員 確かに特殊な大規模森林所有者あるいは法人というようなものに対しましては、造林の場合等においても補助金の交付対象にいたしませんで、いずれも融資でやってもらうようなことでやっておるわけであります。従いまして零細なものに対しましても比較的大きなものに対しましても同じような助成措置をするというのではございませんが、やはり共通的に助成対象になっておるものが少くない。森林組合等を育成強化する問題に関連いたしましては、やはり大きなものに対するそれだけの措置というようなものがあわせて行われるということでございますから、そのような意味合いにも相なるわけでございますが、ただただいまの特殊な大きなものを、いつまでも値上りを待って持っておるということでございますけれども、全国的に見ますと非常に特異な例であります。おそらく奈良県あたりが一番顕著な例ではないかと思うわけであります。私どもといたしましては、ただいま申し上げますようにこういう事情だから、そういう格別大きなものについてはできるだけ切ってもらうという勧め方は実はいたすべきだ。と申しまするのは、全国的に見まして立木の代金の一番高いのは確かに奈良です。特異な事情が奈良地方には強成されておるというようなことにかんがみまして、できるだけ勧めるわけでございまするが、それはやはりどうしてもがえんじなければ、いたし方がないというのが現在の段階でございます。しからばある一定の年令以上のものに対しましては強制伐採でもさしたらというようなことにつきましては、それをはっきり義務づけるだけのものもないわけでございますので、非常に困難ではないか、私はかように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/66
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067・伊瀬幸太郎
○伊瀬委員 現在の森林法では、切ってはいけないというようなことはうたってありますが、何年以上たてば切らなければならぬというようなことは何ら明記されていません。奈良県は特殊な事情だ、こうおっしゃいますが、むろん特殊な事情でしょうし、それくらい大きな山林所有者がおるわけなのです。それでそういうようなものに対して、せっかく森林法の一部を改正されるのだから、この中に何とかそういう勧告くらいは入れてもらうような御意思があっていいと私は思うのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/67
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068・石谷憲男
○石谷政府委員 私どもといたしましては、これは森林法の趣旨そのものが、所有にかかわらず、とにかく国全体としての資源というものが充実の方向をとって参る、そのために必要という見地からいたしまして幼壮齢林の保護をするとか、造林事業の推進をはかるとか、こういうことに努めるという趣旨ででき上っているものでございますので、この法律体系の中に何年以上のものを切るというようなことは、なかなかうたいにくいのじゃないか、かように考えるわけでございます。ただいま申し上げますように、確かに伐期の平均成長量というのは低くなってくるということに相なりますけれども、もとの木が大きいのでございますので、いわば希少価値ともいうべきものが出て参るというようなことが、経済力のある大山林所有者にとりましては地方的に非常に魅力になりまして、なかなか伐採しない、売り惜しみをする、こういうところが原因で、しかもその最たるものが奈良地方だ、こういうことに相なろうかと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/68
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069・伊瀬幸太郎
○伊瀬委員 何年以したてば伐採せよというような強い表現でなくても、何とかそういう点を——奈良県は特殊な例とせられますが、その特殊な例が全国の木材消費者にやはり強く響いているし、山林労務者もそれでは困る。約五十年に一回切れば百五十年で三回切れるというような、それが月に十日しか働けない、働く能力と意思を十分持ちながら働くべき仕事がないというような、これは山林労務者として重大な問題なんです。そういうようなことで伐採を勧告するとかいうようなことを、林野庁から何とか行政的な処置でもやられるというような御意見がございませんか、重ねてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/69
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070・石谷憲男
○石谷政府委員 むしろこれは地方的な要請という意味に私ども受け取っているわけでございますが、あの地方におきましては要するに民営林業というものが、しかも大森林所有者を中心としまして異常な姿で発展をしてきたということから来る弊害、その弊害の一つであろうかと思うわけであります。従いまして市町村有林あるいは部落有林、私有林の一部を含めまして国で買い上げをしてもらいたい、そうして国有林野事業として実施する部分を作ってもらいたい、そういうことによって、そういった特殊な形を打ちこわしていくようなことを考えていくべきではないかというような意味合いの陳情が実はあったわけでありまして、私どもは一考を要する見解ではないか、かようなことを考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/70
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071・伊瀬幸太郎
○伊瀬委員 それは長官、甘い考えですよ。吉野郡の山持ちはなかなか売り払うどころか、全部買い占めようというような考え方です。あべこべです。だからそんな甘いことじゃないと思うのです。奈良県の中川部長は、御承知のように昨年県税として伐採税を取ろうとしたときに、山林所有者が反対をしてそれを寄付にするという話し合いができて、その三十一年度の寄付がまだぐじゃぐじゃ言うておさまらないというような状態で、三、四の山林所有者というものの思うようにやっているのが現状です。だからせっかくこういう森林法の一部改正のときに、やはりそういうような三、四の利益のために多数の人に迷惑のかかるようなことのないような森林法の改正を私は長官に要望しまして、これで質問を打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/71
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072・山田長司
○山田委員 きのう町村合併の問題についての質問を申し上げたのでありますが、いよいよ二、三日中にこの森林法の一部改正の法律案を通そうとしているときに、何か告発している件数その他の調査で手間取るので書類を提出するのがおくれる、こういうお話であったのです。私は重ねてきのうの続きを伺うわけなんです。実はこの町村合併によって、法を無視して町村合併をした場合にそういう事例がたくさんにあるのですけれども、その場合この森林法の罰則によると、二百八条及び二百九条の罰則規定はどうも少し弱いので、規定を覚悟の上で森林伐採をしていると思うのです。こういう点で罰則の変更ということについて何か考えませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/72
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073・石谷憲男
○石谷政府委員 昨日御質問の中にありましたように、確かに違反伐採と申しまするか、当然伐採許可の申請をいたしまして、許可を受けて伐採すべきにかかわらずそういう手続を経ないでどんどんやっている、こういうことが、実は私どもこの改正森林法の実施当時におきましては、趣旨の不徹底等も伴いまして、かなりあったわけでございますが、その後非常に減って参りまして漸次運営が軌道に乗った、こういうふうに考えておったのでございますけれども、町村合併等の場合におきまして、あるいはそれが契機となって違反伐採が行われておるということは十分考えられるわけであります。先ほど森林法違反による罰則の適用以外には措置の方がないということを申し上げたわけでありますが、お考えの通り罰則といたしましては罰金刑で罰金額もそう大きくないということで、あるいは軽いというようなこも言えるのではなかろうか、かように考えるわけでございますが、私どもといたしましては、一応ある限界までの問題といたしましては、ある一定の年令に達するまでの若い木でありましても伐採をし得る余地を残しておるわけでありますから、極力そういう手続を進めさせることによりまして違反伐採等が起ることのないように措置をとるということで、この段階であえて罰則の強化を取り上げておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/73
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074・山田長司
○山田委員 どうもこの森林法によると、私は威力を発揮しないと思うのですよ。何となれば二百九条の規定によっても明らかなように、届出を提出しないで立木を伐採した者は五千円以下の罰金に処する、こういうことならば、届けの必要を承知して、罰金覚悟で、届けを出さずに切った方が税金をごまかすためにもごまかしやすいわけです。とにかく山の売買については、私が申し上げるまでもなく長官もよく知っていると思うのです。最近では会社には山持ちは売らない。個人に山を売る。どうしてかというと、会社に売ると帳簿に残る。個人同士の売買ならば、相対で山の処理ができるから、税金の対象になる金額についてごまかすことができる。こういうことで最近では山林所有者はなかなか巧妙に売買をしていると思うのです。そういう状態なんですから、この法規の五千円の罰金、こんなものは山持ちは金の数に入れてない。そういう規定であれば、せっかくこういう法規が設けられておっても、法を平気で無視して売買すると思うのです。森林法はあってなきがごとき状態だと思う。そういう状態で法を変えずにこのままいくということになれば、私はせっかくの法律が全く無視されてしまうので、この点了解できないのです。この点について長官は改正に当ってこの規定をもっと厳重に処理する方向にお考えは及びませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/74
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075・石谷憲男
○石谷政府委員 確かに罰金が安いからして法の無視がされやすいという御指摘に対しましては、私ども十分わかるわけでございますが、やはり罰則規定の効果というものはそれだけでもないじゃないか。やはりあくまでも違反の事実をとらまえまして処置をいたすことによりまして、金額にかかわらず十分効果があるじゃなかろうかというように考えておりますので、そういう事実に対しましては今後十分に調査いたしまして、端的に告発をするというような扱いを一そう徹底して参りつつ、この段階ではさらにこの内容を強化するということは取り上げたくない、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/75
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076・山田長司
○山田委員 一つの事例を長官にお耳に入れておいた方がいいという意味で私は申し上げるのですが、こういう事例があります。山林所有者とそれから山を買いにきた人と相対で話をして、そこのうちの奥さんも知らない状態で実際において売買ができるわけです。それでその金額はだれにも明らかにしておかないわけです。土地の名を言ってもいいんですがいろいろ差しさわりがあるから地名を言うことは差し控えますが、村会が開かれました。村会に山林所有者が所得の金額を明らかにしてきた。最初七十五万円の所得しかないと報告しておる。農民組合員がそれは一体どこの沢の山の所得なのかという質問をしましたら——小さな村の村会だったのですが、村会が一生懸命はかったのですけれども、その次の日に今度は百五十万円と出してきた。そしてその百五十万円はどこの沢なんだとまた質問が出た。所有者はまっかな顔をしてまた次の日に森林組合と相談してきたのです。それが毎日々々一週間続いたら、しまいに七百五十万円になってきた。ところがこれを農民組合の組合長が組合員に全部資料を出して調べたものですから、七百五十万はそれはどこの沢なんだとまた言っているわけです。ところが山の所有者と山を買った者を明らかにすると、最低金額に押えても全部で二千万円くらいな金額がどうしても出るわけなんです。しかしそれ以上言わなかった。しかし七百五十万円でもほかのまわりの町村に比較しますとどこよりも多い金額が出たのです。一体労働者にしても勤め人にしても、月給袋の中からびしびし税金をとられておる、中小企業者でも税務署にどんどん税金をとられているときに、山林所得者だけに限って幾らで売買したのか税務署自身もわからない。森林組合もわからない。はなはだしきに至っては、その山持ちの奥さんでさえも幾らで売買したのかわからないというような状態が今日の山の状態なんです。私はこの罰則規定というものは、森林法の一部改正に当って強く出さなければ、税の対象というものが、勤め人とか労働者だけは所得の中からびしびしとられておるけれども、税の均衡の意味合いからいっても不均衡な状態がこの森林法によって生まれてくるという気がするのです。私はそういう点で林野庁がこの森林法の改正に当って、罰則規定を変更するという意思がなければ、せっかく改正するという意図があっても、山持ちに対しては何らの制裁規定が変更されないでおるというような状態では、私はどうしても理解ができないのです。何でもう少し厳重な処置の方法を林野庁としては考えないのですか。この規定の変更がなされない限りにおいては、今日の山林所有者というものは、あなた方の想像もできないような所得を得ているのです。私はこれからいろいろつきますけれども、その点についてどうしてこの二百九条を変えようとしないのですか。私はこれは理解できないのです。もう一ぺん伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/76
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077・石谷憲男
○石谷政府委員 森林の売買あるいは森林の立木の売買に当りまして、ただいま御指摘のありましたような事例に近いものがしばしばあり得るということにつきましては、私どもも事情を承知いたしておるわけでございますが、これは何といいましても森林の地域の確定、それの利用価値の判断というようなものにつきまして、他の物件と比べました場合において、かなり一般の人にわかりにくい点があると申しますか、評価の上に適切なものを共通的に得にくいというような点があるために、ただいまのようなことがしばしば起っておるわけでございます。それで現在森林につきましては、罰則規定にかかわらず、とにかく政府の扱いといたしましては、ある一定の年令以下のものを伐採せんといたしまする場合には、その地域を明示いたしまして伐採しようとする石数を申請いたしまして、その許可を受けて伐採をする。それで許可を受けまする場合には、実際に職員が現地について調査をすることにいたしておるわけでございますし、それからその年令以上に達しました場合におきましても、これについては届出がございますが、届け出て切りましたあとにつきましては、可能な限りこれを職員が見てその状況を確認をやるというようなことになっておりますので、そういう関係からいきますと、従来のように何も森林伐採について制約がなかったときと比べますと、なかなかそういった特別な隠し切りはできないような状況になっておるように考えております。ただ罰則でございますが、多くの場合は森林所有者みずからが自分で伐出をするということに相なっておりませんで、要するに立木のままで木材業者あるいは製材業者に売り払いまして、買受人が伐採許可を申請するような場合が非常に多いのでございます。たといこの罰則をある程度強化いたしましても、やはりこの制度をくぐり抜けてやるということが一般化するような状況でありますならば、制度それ自体にも問題があるのじゃないかということに相なるのじゃなかろうかというふうに考えまして、むしろ制裁規定があるということで、またこれを忌憚なく発動するということで、事柄の改善には、役立つのではないか、かように考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/77
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078・山田長司
○山田委員 法に規定されていることだけでものを律しようとしておりますが、今日山の中の山森所有者というものは、そんな甘い処理の仕方では私はいかぬと思うのです。現地の調査をするというようなことを言われているけれども、山の中の場合はほとんど調査なんかしていないですよ。そればかりではなしに、樹齢についても私はいろいろ意見を持っているのです。岩山の場合、日当りのいい山の場合、日陰の山の場合、地味の肥えている山の場合、こういう山に今日明確な等級がないけれども、私は田や畑に等級があるように、山にも明確な等級をつけるべきだと思う。そういう等級がつけられず、ただ樹齢だけで木の処理をするといっても、これはそう法規だけで処理はできないと思うのです。
次に私はあなたに伺いますが、今度の森林法の改正の法規に従いますと、間伐は主伐に優先するというようなことをいっておりますが、一体あなた方の解釈と——私の考えている間伐の解釈は、御承知のようにところどころの山の木をうる抜く、これが間伐だと社会通念上いわれている。ところがこのごろは山持のずるいやつにかかりますと、こうなんです。樹木を切る場合に全部山の木を切るいわゆる皆伐ということはやらない。間伐主義でいく。しかし間伐を四、五回やっているうちには山の木は全部一ぺん入れかわってしまう。こういうように間伐という形で税金のがれのやり方をしている。ここが問題なんですよ。そういう状態に森林がなるにもかかわらず、規定では一体どういう形を正式に間伐というのですか、一応私はそれを聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/78
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079・石谷憲男
○石谷政府委員 一応間伐に対しましては主伐、こういっておるわけでありますが、主伐といいますのは、その伐採を行いましたあとにその次代の森林を仕立て上げますために必要な行為が当然伴わなければならない、こういう伐採を実は主伐といっているわけであります。その最たるものは皆伐でありますが、皆伐をいたしましたあとに必ず造林をするということになりますので、そういうものを主伐といい、それに対しまして広い意味でいわゆる抜き切りということでありますが、少くとも間伐といいます以上は、伐採をした、除去いたしましたもの以外の、要するに残った立木の成長が正常な姿におきまして一そう促進されるという形のものが必要な都度繰り返されて行われるというものを間伐といっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/79
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080・山田長司
○山田委員 それでは間伐の場合は届を出さぬでもいいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/80
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081・石谷憲男
○石谷政府委員 もちろん間伐の場合におきましても、ある一定年令以下の場合におきましては許可申請の許可の対象にしているわけであります。それからそれ以上の年令のものになりますと、二カ月以前の事前の届出という主伐の場合と同じ扱いをいたしているわけであります。ただ主伐による伐採の方法、それから間伐によるものというようなものが一緒に出て参りまして、それが伐採を許容し得る限度に照らしまして、むしろ間伐だけでもその限度をオーバーしているという場合におきましては、主伐を押えて間伐を優先して許可するように、こういう扱いにいたしている規定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/81
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082・山田長司
○山田委員 それは目の届いている範囲ではどれが間伐でどれが主伐であるとあなた方は言われるけれども、よほど山林所有者に対して悪意でもない限りにおいては、これが間伐であるか主伐であるかということを人里離れた二里も三里も山の中には見にいかないのです。それからそういう状態というものは、だれが調べてきて、持ち出した木について間伐であるか主伐であるかということについての見分けをするのですか。私はこの点から今日の山林所有者というものが傍若無人な、しかも富の不公平の問題がここに生まれてくると思うのですよ。労働者にしても月給取りにしても袋の中からびしびし取られておるけれども、私はたくさんの事例を知っておるから長官に聞くのですよ。一体間伐であるか、主伐であるかというのは、人の住まっておる方にトラックで持ち出されてきたときに、あれはどこの山の木を切ったんだろうということは、二里も三里も山の中の木が切られて出てくるときには、だれもトラックの運転手を取っつかまえて、これは間伐か主伐か、あるいは皆伐かと聞くわけがない。これはどうして間伐か主伐かということを見分けますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/82
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083・石谷憲男
○石谷政府委員 伐採許可の申請をいたしまする場合におきましては、個所ごとに伐採の面積、それから伐採の方法、間伐の場合におきましては間伐の程度というものを申請書類に明記いたしまして、森林区に駐在しておりまする技術員に提出するわけでございます。それに基きまして森林区ごとに許可すべきものと許可すべからざるものと区分をいたしまして処理するわけでございますが、それを決定いたしまする前に、現地について実情を調べるということにいたしておるわけでございます。その場合に主伐の場合と間伐の場合は現地ごとに確認ができる、かように考えておるわけであります。それからある一定の年令以上に達しましたものは、さっきも申しましたように、これは二カ月の事前届出でいいということになるわけでございますが、こういうときには主伐のものか、間伐のものかということにつきましては、後日さきの場合に比べまして同じような意味合いの確認の方法はないのでありますけれども、これはあくまでも届出でやっておるわけでありますから、主伐によろうが間伐によろうが許可の対象ではございませんから、いいのではないか、さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/83
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084・山田長司
○山田委員 その届出が、さっきも申し上げますように、二百九条の規定によりますと、五千円以下の罰金なんですよ。山林地主のずるい人は、五千円くらいのものは一本の木の枝にも当らぬような状態です。五千円くらいのものは、最初から覚悟してやっておるのです。だから幾ら指導員がいても、第一届け出ていないのですから指導員なんかにはわからないのです。ここなんだ、問題は。そういうずるい地主が最近は非常に多いから私は念を押してここで尋ねるわけなんですよ。届出が出ない場合には、だれが好んで二里も三里も人家離れた山の中へ指導員なんか行くものですか。しかもこれは私の郷里の一つの事例を話しますけれども、毎年クマが五匹も六匹も出るのです。そんなところへ調査員や指導員が乗り込んでいって、どこの木であるかなんていうことを調べるはずがない。届出を怠った場合において、山林所有者は、五千円くらいの金額は無視しておる。私は一つの事例を話しましょう。大体どんなに金額を安く見積っても山の専門家が三千万円くらいの木を売っていますよというのだ。それがその地方における一番正直な方に属して、税務署に届け出ている金額が二百五十万円です。二百五十万円は前例のない正直なものだというのです。それもとにかく届出を出さなくてはまずいだろうということで、森林組合で話し合った形で二百五十万円ばかりの届けを出したということです。私は、そういう点で、この森林法の改正に当っては、国民の所得の均衡を維持する上においても改正していただきたいと思うのですが、どう思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/84
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085・石谷憲男
○石谷政府委員 この伐採許可の制度あるいはそれに対して違反を犯しました場合の処罰という問題と課税の問題との間には、そう直接的な関係はないように私どもは考えておるわけでございます。従いまして、かりにただいまのように税額を捕捉されるきっかけを与えるから違反をあえてやる、しかも違反伐採をやったとしても、罰金というものは非常に少額なんだから負担については何も問題はない、こういうような状況が一般的であるということになりますると、こういう制度そのものの運用も非常にむずかしくなって参るということに相なろうかと思うわけでございますが、それは罰則を強化するだけが正確な捕捉に役立つものである、私どもはそれだけですぐにできるというようには考えません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/85
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086・山田長司
○山田委員 法を無視するのは山林所有者だけではなくて、あらゆる個所にあることですから、一がいには言えないけれども、しかし私は、罰則規定が強かったらば、山林所有者もやはり届けを出し、それからうっかりあとで摘発でもされたら大へんであるから、調査の衝に当る人を山の中まで呼んで案内して、そして見てもらうと思うのです。そういう点がどうも私にはまずふに落ちない。
さらに伺いますが、山林の面積というものについて一体正確に調べた最近の資料はどういうものがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/86
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087・石谷憲男
○石谷政府委員 山林でございますが、さらにこれが土地買収の対象になりまして、農耕地になるあるいはその他の用途に転換されるということで、とにかくある一定の範囲ではしょっちゅう動いているわけでございますが、最近におきます一番正確な調査と申しますると、国有林につきましては十年に一ぺんずつ経営案というものを編成いたしておるわけでございまして、この十年一回の経営案編成のつど森林面積の確定作業を実はいたしておるわけでございます。その結果に基く面積が国有林の面積としては正確なものだということでございます。従いまして、全国五百数十の経営区ごとの単位が設けられておりまして、その経営区ごとに十年一回ずつ経営案の編成調査が行われて、その場合に測量調査が行われる、こういうわけで、毎年多少ずつの変化はございますが、そのときどきにおいて一番正確だという国有林の面積が実は確定をいたしておるわけであります。それから民有林につきましては、ごく最近のものといたしましては、昭和二十七年から三十一年にかけまして、森林区の施業計画の編成調査を実施いたしたわけでございまして、この結果に基く集計が最近の森林面積としては一番まとまって新しいものである、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/87
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088・山田長司
○山田委員 面積についてはどういうふうな調査をしているかわかりませんけれども、私の知っている範囲では、山の奥地の面積は調査必ずしも正しいとは考えられないのです。私はそういう点で、山林面積の的確な資料をお作りになられることが、この森林法を通す場合においてやはりあってしかるべきものと思うのです。この際、今度でなくてもいいですから、さらに次にこういうものを出す場合に、当然あってしかるべきものと思うのです。なぜそういうことを言うかというと、明治五年ころに登記した森林は、登記簿面積二百五十町歩の山が、現在実測をしてみると、三千二百町歩あるというような個所が現にあるのです。ちょっと堤解できないような始末です。そういう個所を私は自分で行って知っておるから申し上げるのですよ。こういうことのないようにするためには、これは非常にたくさんの森林原野があることですから、なかなか容易でないのですけれども、やはり林野庁で少しは大蔵省へ折衝を厳にして予算を取って、こういうものを明確にしていかなければいけないと思いますから、私は申し上げるわけです。
次に伺いたいことは、さっき永山委員から、英国では国家補償で盛んに植林計画を立てて進められておるというような意味の御発言がありましたが、これは日本でも毎年林道の経費を出し、あるいは植林の経費を出しておるということは事実です。そこでこの金額がどうかということについては永山さんの御発言はなかったわけですが、私は常に考るえのです。たとえば国で植林に三十億、林道に十九億というような、それに匹敵するような莫大な金を出しておるようですが、少くとも何十町歩以上の所有者、何百町歩以上の所有者、何千町歩以上の所有者、そういう人たちの持っておる森林についての下草とか枯れ枝とか、こういうものについては、当然開拓の関係の法規とにらみ合せて、やはり全然山も林も持たない人たちに対する何かの対策というものが考えられていいように思うのですが、林野庁長官は、ほかの仕事に属する人たちとこういう問題について何か研究してみたことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/88
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089・石谷憲男
○石谷政府委員 下草の採取あるいは落枝落葉等の無料採取につきまして、従来から利用権の設定されておりました民有林が、地域によりましてある程度あることは私ども十分承知しておるわけ下ございますが、現在さらに積極的にこれを広げて参るというような考え方は、民有林につきましては実は持っておらぬわけでございます。ただ国有林につきましては、それの持っておりまする社会経済的な意味から考えましても、地元のそういう希望に基きましての利用関係というものにつきましては、これを適切に広げていく対策は、実は私ども自身も持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/89
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090・山田長司
○山田委員 どんな意見ですか。国有林に対する考えとしてどんな意見を持っておるのですか。その周辺の町村の人たちに対して、私は特に何か考え方があってしかるべきものと思うのですが、これについてどういうお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/90
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091・石谷憲男
○石谷政府委員 国有林につきましては、先ほど御説明申しましたように、全国五百数十の経営区の単位ごとに、十年ごとに経営案というものを作りまして、この経営案に基きまして毎年の事業の実行が行われるということになっておるわけでございます。この経営案の中におきましては、その経営区の国有林経営に関します限りの問題を全部入れて取り扱っておるわけでございまして、この案の決定のためにはそれぞれ所定の手続を経ることになっておるわけでございますが、初段階、中間の段階におきまして、これらの国有林の所在市町村の住民の方たちの意見を十分に取り入れ、そうしてこの十年経営案を決定する。こういう中におきまして、採草地の問題、放牧地の問題、自家用の薪炭の供給地の問題あるいは部分林の問題、こういうものを含めまして十分研究をいたしまして、可能な限り要望を聞きながら、そういうものを十年経営案に取り入れて決定していく。それに基いてそれぞれの機関が措置をして参る、こういうことを実はいたしているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/91
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092・山田長司
○山田委員 関連ですから、もう一点だけ伺って私の質問を終りたいと思います。森林というものが宅地内にある場合、宅地のまわりに森林がたくさんある場合、これは宅地の樹木とみなすか森林とみなすか。私は山村に生まれておりますので、それがどうしても区別がつかないようなたくさんの面積を持っている大地主を知っているのですが、宅地のまわりにある樹木も、これは宅地内の植物であるというふうな考え方か、あるいは森林というような考え方か、これを一つ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/92
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093・石谷憲男
○石谷政府委員 一応宅地内にあるものにつきましては、これは森林という扱いをいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/93
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094・山田長司
○山田委員 ちょっともう一ぺん……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/94
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095・石谷憲男
○石谷政府委員 これは森林法の第二条に、「主として農地又は住宅地若しくはこれに準ずる土地として使用される土地及びこれらの上にある立木竹を除く。」ということになっておりますので、こういう範囲のものは、かりに一見樹木の集団でありましても、森林ということに考えないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/95
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096・山田長司
○山田委員 森林と思われるような、とにかく人間が三人も四人もで抱えるような樹木がある場合にどはうしますか。どう考えても森林としか思われないものがあるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/96
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097・石谷憲男
○石谷政府委員 主として住宅地だというふうに扱われている地域内にありますものにおきましては、やはりその木は森林の樹木ということよりも、むしろ、あるいはその付近におきましては、防風樹帯であるとか何とかいうような意味合いの機能を持っている木は樹林じゃない、必ずしも森林として仕立てられた樹木というふうに考える必要はないじゃないかと私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/97
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098・笹山茂太郎
○笹山委員長代理 それではこれで休憩しまして、午後は二時から再開いたします。
午後一時十三分休憩
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午後二時四十三分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/98
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099・吉川久衛
○吉川(久)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
森林法の一部を改正する法律案を議題といたし、審査を進めます。
質疑を続行いたします。質疑は通告順にこれを許します。川俣清音君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/99
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100・川俣清音
○川俣委員 私この森林法の一部改正に当りまして、森林法が持っておる根本的な林政について二、三お尋ねいたしたいと思います。
第一は、一体林政をつかさどっておる林野庁として、森と林の区別というようなことを念頭に置いて林政をやられたことがあるかないか、このことを一つお尋ねいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/100
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101・石谷憲男
○石谷政府委員 森と林という観念でございまするが、私どもの方としては、それが林業用地である限りにおいては、その間に本質的な区分はないということで扱って参っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/101
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102・川俣清音
○川俣委員 私なぜこんなことをお尋ねするかと申しますと、森林の公益性ということを強調いたしたいわけです。先般行政管理庁か何かで、林野庁の持っておる伐採適齢期が延びており過ぎるというような批判もあったので、そういうことも含めて実はお尋ねいたしたい。日本の林政は今日急にでき上ったのではなくて、日本の国始まって以来森についてあるいは林について、いろいろとその当時から林政は異なっておりまするけれども、基本になっておるものがあると思う。やはり森林の公益性という面においては、日本の持っておる特殊性でもあると同時に、森林の持つ世界的な本質だと思うのです。そこで徳川時代に出ております本で地方要集録によれば、「森といふは、寺社等の境内等に木を植立置、茂りて材木薪にも伐とらず立置くをいふ」こういうことで森というのは切りとらないのを本則にしておる。「林といふは、何方にても、山、河原か原等に、木を立て置候て、材木薪にも代候木立茂りたるを林と云也」という工合に説明しておる。林の方は平地の林だろうと思いますが、平地の林は日常生活用に植え立てておって、国民経済の上に役立たせる。森というようなものや山のようなものはこれはむしろ国民経済ということよりも、国土保全というか、国民生活保健上の公益性をうたっておるものだと思うのです。私はやはりこの観念が基本にならなければならぬのじゃないかと思う。しかし今日の国民生活で絶対切らないんだというばかげたこともないと思いまするけれども、やはり基本的にこうした制限がかなり加えられておったということを考えずに、先祖が苦心して育ててきたものを無造作に切りとるということについては配慮しなければならぬ問題ではないかと思いまするので、ただいま徳川時代の例を引いたのでございますが、その点について長官の御感想を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/102
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103・石谷憲男
○石谷政府委員 もちろん森林の公益性というようなものに対しては、これは決して近代的な思潮でもないのでございまして、遠く旧藩時代以来森林の持つ効用についての評価はあったわけでございます。従って私どもといたしましても、この林業の用に供する土地というものについては、あくまでもこれを経済的のみの目標に従って活用して参るという考え方ではなく、その森林の持っておる公共、公益的な成果、その中で最たるものは治山、治水上の機能ということに相なろうかと思いますが、そういう点はあくまでも重視して、森林の取扱いを規定して参っておる、こういうことについては今さら申し上げるまでもないことでございます。
ただしそういう基本的な観念に基く林野の制度上の運営の問題でございますが、果して森林一般が同じような共通性を持っているという意味において同じような程度に規律して参るということには私どもいろいろ問題があるように考えまするので、その持っておる林地の条件に従ってそれぞれの規制の加え方も違えて参っておる。従いましていわゆる林業における保安林の制度というようなものについては、古くからある思想をそのまま継承して近代的な保宏林の行政態勢というものを確立すべく努めておるという現状であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/103
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104・川俣清音
○川俣委員 この際もう一度振り返ってみたいんですが、ところどころに立山とか立林とか、立野とかいう名称が残っております。これなどは、やはり一般の自由採取を禁制した林野を設定したものだと思うのでありまして、これらに対する制限を加えたのが、私は林政の始まりだと、こう思うわけです。長官から今保安林等の説明がございましたからさらに論旨を進めて参りたいと思いますが、森林法によりますと、「森林の保続培養と森林生産力の増進とを図り、もって国土の保全と国民経済の発展に資する」こういうのが本法の目的になっておるわけでありますが、そこで、古来からの林政のあり方からいたしまして、本来の林政を基本にした森林法ができておるのが私は本来じゃないかと思う。ところが、この中に森林組合等も一緒にしてこれは作られておるわけですが、本来でありまするならば、やはり公益性に基く森林法と、業界指導育成の森林組合法とは別個にすべきものじゃないかと思うのです。ただ、森林組合がなかなか幼稚で発展できないために関連させておった歴史的な理由はわからぬわけではありませんが、将来、本来の森林法と森林組合法とを区別する必要があるのではないか、森林法の改正を要するのではないか、こう思いますが、この点についてのお考えを承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/104
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105・石谷憲男
○石谷政府委員 昭和二十六年の第十国会の場合におきましても、ただいま御指摘のありましたような議論が実は行われておったわけでございまして、お説のように、森林法の中に森林組合に関しまする規定を、非常に大きな部分をとって規定をするということの妥当性につきましては、問題があろうかと思うわけであります。ただ、森林法の各条文をごらんいただきますと、もちろん国有林野のことも同時的に規律されながらも、一般民有林につきまして、あるいは保安林につきまして、詳細、具体的に規定しておりまするような規定の仕方は、国有林につきましては、森林法にもないということであります。そこで、主として民有林野に対する関係が詳細に規定をされておる。民有林業のいわゆるにない手と申しますか、実質的な推進力というものは、いわば森林組合ということに相なるわけでございまして、そういう限りにおきましては、かなり当面性の強い内容を持っておりますることも手伝いまして、当時におきまして、森林組合の問題を森林法の中で規定をするということもあえて意味があるじゃないか、こういうことであったわけでありますが、今後の問題といたしましては、確かに研究を要すべき問題を含んでおろうかと、かようには考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/105
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106・川俣清音
○川俣委員 そこで、森林法の規定の中に罰則規定がございますが、この罰則規定は、刑法の規定をそのまま準用するというよりも、別な表現で法文化しておる。たとえば、森林窃盗であるか、森林と火災というような、本来でありますならば刑法の中に規定さるべきようなものまで、森林法の中で規定しておりまする以上、森林法というものの公的な性質というものを表に出して、民有林等の指導育成の面は抽象的に表現することだけや、森林組合の育成強化の面は別個の、やはり公益法人としての建前をとらすべきじゃないか。もしもそうしませんと、これらの重要な事項と民間の育成事業等を混同いたしまする結果起ってくるいろいろなことも行えられますので、私はこの際問題を提起いたしたのでございます。
次にお尋ねいたしたいのは、先ほどから申し上げておりますような国土保全の公益性、これを保安林と名づけておりますが、単にその保安林と名づけた保安林が必要だというばかりでなくて、森林の持つ本質にやはり国土保全の公共性があるのだ、こういうことなんです。それはたとえば土砂の流出、崩壊等の防備、あるいは飛砂の防備、あるいは風水害、潮害、干害、霧、雪害等におきましても、たとえ保安林でないにいたしましても、日本のような小さな国土の中にお互いが生活をしなければならないときには、所有権が絶対だからということで、伐採適齢期がきたからということで、急傾斜地の山を皆伐されますと、なだれを受けるような結果がこないとは限らない。あるいは所有権が他人のものでありましても、それらで潮害を防げるということで田畑を作っておったところが、これは適齢期がきたということで、保安林でないのでこれまた伐採が行われるということになりまするならば、一方において耕作にいそしんでいる者に大きな被害を与えることになると思う。これは面積が大きければ、そういうところに耕地を作らないでもいいじゃないかということが言えるのでありますけれども、日本のような面積の少いところでは、どうして一体土地を活用して耕地にするかということが行われておるのでありますから、やはりそれを保護するという役目を、個人の所有者といえども見のがしてはならないと私は思う。そういう場合に、大面積でありますならば保安林の指定もできましょうが、あまり大面積でない場合においては保安林の指定も困難になって参ります。こういう場合の伐採については、やはり公益性の上からある程度伐採制御を加える、そのかわり伐採制限による利益の減少については国がこれを補償していくという考え方をして参りませんければ、ここで風水害、いろいろな被害が起きますと、国はどうせ見てやらなければならないというような問題が起ってくるのでありまするから、被害が起ってからそれに対する手当を加えるよりも、予防措置を加えることの方が必要ではないか。そういう公益性をもこの際私は強調していかなければならぬのじゃないかと思うのでありますが、この点に対する見解を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/106
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107・石谷憲男
○石谷政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、保安林制度というものの活用を公益面に十分取り入れておるということのほかの問題でございますが、近代の保安林の指定という問題につきましては、流域保全の考え方のもとに、各重要な河川流域の上流地帯に地域的な指定をする、こういう一帯の林野としての機能によりまして、土地の保全を考えて参る、こういう思想に基く指定をしておるわけでありまして、従いまして、二千町歩、三千町歩という広域の面積を保安林として指定をしておる、こういうわけであります。さりとて部分的に小面積のものを指定いたすという思想を全面的に排除しておるわけでもないのであります。それからこれは保安林として指定をいたしたものに対しまする運用にかかってくる問題でございますが、非常に小面積に条件の転変いたしまするわが国の森林の状況でございますから、一々地点的に保安林を指定するということは、現実の問題といたしましてはなかなかできにくい問題でございます。そこで現行の森林計画制度、三段階の計画に基きまする運用にかかっておるわけでありますが、この森林区施業計画という計画の中におきましては、開発禁止林分というものを指定いたしております。あわせまして主伐見合せ林分というものを指定しております。これらはいずれも土地条件からくる問題でありまして、いわゆる保安林としての指定はいたしておりませんけれども、これに準ずる地域的な扱いを要する森林の区域であるということを具体的に指定いたして、指導に基きましてそれぞれの目的を達する、こういう措置をただいま申し上げた森林区施業計画の中間段階の計画で計画をいたし実施をしておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/107
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108・川俣清音
○川俣委員 その計画がかなり緻密に行われておることは認めないわけではなく、その点について相当な経費と労力をかけて計画ができ上りつつあることは認める。しかし実際の面に当りましてもう少し何らかの国の手を差し伸べて参りませんければ——午前中か、山田委員から指摘のあったように、町村合併に伴いまして、かなりの乱伐が行われましたり、あるいは指定されたものがいつの間にか伐採されており、被害が起きて初めて指定区域に伐採が行われたということが発見されるというような結果が生まれてくる。そればかりじゃない。たとえば国有林野などにおける鉱山の開発等において長屋が建てられる。そのために用材等が払い下げられる。長屋の上の傾斜地からなだれを受けて長屋がなだれのために埋没した。死傷者が出るということが非常に多いのです。私は決して鉱山経営を無視しようという考え方で申し上げるのではないのでありますが、山になれないものが手近なところの木を許可を受けないで伐採してしまった。その被害がいかに甚大であるかということは鉱業権者も国有林野の関係者もひとしくもう一度反省しなければならぬ点じゃないか。鉱業権者にいたしましても、なだれのあることを知っておればおそらくはやらなかったと思う。これを知らしめるのが私は林政であろうと思う。これらの点については伐採は許可しない、あるいは払い下げないということにしなければいけませんが、鉱業用地の敷地に近いところを許可するというようなところから起ってくる災害がかなりひんぴんとして起っているようであります。死者が出なければ問題ないといっても、かなりの死傷者が出ておるわけでありますから、こういう点については山になれないと申しますか不注意からくるものでありますが、これらの注意を喚起するようなことにならなければならぬと思うわけであります。
森林の持つ公益性についてもう一つ触れたいのは、最近日本の工業の発展に伴いまして水源地の涵養の問題がだいぶやかましくなって参りましたものの、もう少し積極的に涵養の措置をとる必要が起ってきたのではないか。何と申しましても今電力源に恵まれないために工業の発展の阻害が起ってきておるわけでありまして、日本の工業の動力源をどこへ求めるかと申すならば、雨量の多い、積雪量の多い日本としては、この天然の恩恵を災害とせずに、これらのものを保有して動力源にすることが必要なのでございます。今日建設省にしても電源開発には力を入れますけれども、水源涵養については十分な関心を払っているとは申されないと思う。従ってこの水源涵養を国がやるのか電源会社にやらせるのか、これをはっきりしないとどっちも無責任になるおそれがあると思うが、この点についての見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/108
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109・石谷憲男
○石谷政府委員 前者の問題でございますが、確かに無配慮な貸付等によって国有林を扱った場合に、その後なだれ等の発生において貴重な人命を多数損傷するというような事件も実は最近もあったわけでございますが、十分に配慮をいたさなければならないと考えられるわけでございます。いかにもしてこれを貸し付けなければならないというような場合におきましては、十分に防災措置を事前に講ずることをあわせ研究しながらやるつもりである、かように考えておるわけであります。
それから後者の問題でございますが、なるほど電源開発をいたします場合に保全がこれに伴って行われておらないということのために、せっかく多額な投資をむだにする、あるいは開発効果を減殺するという結果になっておる事例は、電源開発等の場合においてしばしば見聞きするところでございます。従いまして特にそういった地域においては、水源を保全いたしますための造林行為というものが優先されなければならないということによりまして、私どもといたしましては、近来特に電源開発の問題と関連いたしまして、電源林といったような考え方による流域保全の方法を関係当事者との間に研究をいたしておるわけであります、これを国有のものとして国で管理するというようにいたしますか、あるいは開発主体に管理させるということにいたしまするか、いろいろ問題はあろうかと思いますが、将来どうしても流域ごとにそういった開発地点を中心にしての流域保全管理の問題、これについての責任の主体を明確にした扱いを規定いたさなければならない。かように考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/109
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110・川俣清音
○川俣委員 今長官の御答弁のように、流域保全管理をだれがやるのかということと、その負担は国の負担でやるべきものなのか、または電源会社もまた下流の水利の利用者もこれを負担するのかというような負担区分が明確でない。そのために保全も管理も関心はあっても放任されがちな現状である。これは先般予算の分科会で聞くと、国がやるべきだ、国はそれだけの予算をつけておるかというと、必ずしもつけておるということは言明できない。ところが水源が枯渇いたしますと、電源会社の損失にならないで、枯渇いたしたのは全部消費者が負わねばならない。結局消費者ということになると国民全体が負わねばならないという結果になる。それならば進んでやはり国の負担でやる、あるいは電源会社についても認識を深めるために、管理上の責任を分担させるために、あるいは下流の水利権者の関心を深めるために、どの程度の分担金を課せるのだということを明確にすると同時に、その責任はだれが管理する、だれが保全をするのだという点が明確になってこなければならないと思うのです。この背任の分担をこの際明らかにしなければ、完全な保全管理には適しないと思うのですが、将来林野庁として最も関心がなければならない問題であります。電源会社とか建設省とかあるいは国民はこれらに対する十分の理解があるとは言えない現状でありますけれども、その責任を痛感しておるのは林野庁だと思う。一番よく実態を知っておるのはあなたのところだと思いますから、一番理解のあるものが率先してこれらの負担区分を明らかにし、保全林の方途を見出すべきだと思いますが、これに対する見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/110
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111・石谷憲男
○石谷政府委員 全くお説の通りだと考えておるわけでございまして、私どもといたしましては、当然国が負担上てよろしいもの及び開発者が負担すべきものといったようなものの負担区分が明確でないという点は、現状その通りと思うのでございますが、今後の問題といたしましては、関係者が十分に話し合いまして早くこれらの問題の基準を得るように努めたい。実はすでに三、四年ばかり前から電源の問題につきましてはそういう研究が進行中でございますので、すみやかに結論を得てそれによってやって参りたい、かように考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/111
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112・川俣清音
○川俣委員 私は森林の公益性についてもう少し実は時間を取りたいのでありますが、時間がありませんので、この公益性を裏づける意味からいたしまして、単に林業としてあるいは経営林業として事業を成り立たせるばかりでなくして、当然の補助、助成が必要であるゆえんのものは、単に林業を事業として完成させるための補助、助成ではなくして、やはり森林の公益性からいって、これらの助成、補助を与えることによって国の制肘が徹底するという考え方で育成すべきものだと思うのであります。普通の産業の場合には、育成培養いたしまして、それが充実できるように進めていくということが助成、補助のやり方でございますが、林業の場合は、森林造林の場合または森林保全の場合におきましては、この公益性の上からいって、国の統制下——と申すと語弊がありますけれども、完全な行政が及ぶという性質を持たせる必要上、これに対して適切な助成、補助が加えらるべきものだと私は思います。ところが森林について、制約はあるけれどもこれに対して十分な手が打たれておりませんために、公有林あるいは部落有林あるいは個人有林寺におきましても造林計画がまだ思うように徹底いたしておらない状態でございます。日本のような狭いところは、一体どうしてこの土地を高度に利用して経済効果を上げていくかということが国民経済全体の上から必要でございます。そういう必要があるにかかわらず放任されておりますることはまことに遺憾しごくでありまして、これを十分活用せしめなければならないと思うわけでございます。それには、単に伐採の制限許可を認可制にするというふうに緩和しただけではこれらの目的が達成されるものではないのでありますから、従って伐採、造林、林道、治山等が相待って、有機的な関連において総合的に計画されて初めて伐採の限度も上っていき、緩和も意味をなすのでありまして、ただ伐採緩和をしたからいいということでなくして、緩和に適するような林道の開発、治山事業の完備あるいは林道の完備を待って初めてこれらの目的が達せられるのであります。伐採は緩和したものの、造林についての積極的な意欲がなければ、弊害こそ起れ目的は達成できないと思うのであります。この点についてもう一度長官の御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/112
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113・石谷憲男
○石谷政府委員 特に造林事業につきましては、現行森林法のもとに規定されておりまする森林計画制度の中で、その期間中に造林すべき最小限面積というものが指定をされておるわけでありますが、実績等から見ますると、その面積の三割を上回った造林実績が上っておるというような状態が現状でございます。そこで私どもといたしましては、確かに必ずしも十分と言えないまでも、目標に対しましてはほぼ計画的に仕事がなされつつある、かように考えております。ただ一方林道事業並びに治山事業におきましては、これらの計画に対しまして、二割なり三割といったような進捗率という現状で、あるわけでございますが、これらにつきましても、鋭意今後予算増加の努力を続けていかなければならぬ、これが現状であろうかと思うのであります。そこでただいまのお話のように、各種の事業を総合化する、そして計画通りに実施するという前提のもとにおいてこそ、伐採余力というものが出てくるのではないかということでございますが、私どもも基本的にはそのような考えを実はとっているわけでございます。森林計画の中におきまして、その期間中に実施すべき治山事業あるいは造林事業並びに林道宇美というものを、場について実は詳細に規定をいたしているわけでありまして、これらのものの集計というものが、いわば林野庁の公共事業の毎年の予算要求の基礎になっているということでございますので、その計画通りの実施ができるということになりますと、私どもといたしましても、伐採余力がそういうところから自然に増大をしてくる、こういうことを期待をいたして、この制度の運用に当っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/113
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114・川俣清音
○川俣委員 そこで造林について一、二点お尋ねいたしたいと思います。造林をいたすにいたしましても、日本の土質は必ずしも一様ではないわけでありまして、青森にヒバがあり、羽後に杉あり、信州にヒノキがあり、和歌山の方にコウヤマキがあり、九州にクスノキありという工合に、みんな風土と土質に適応したと申しますか、土質を克服してこれらの育成が行われているわけであります。しかしこれほど文明が発展をいたしまして、世界的にいろいろ樹種のあることが発見されております今日、従来だけで満足すべきものではないと私は思います。どうしてこの狭い領土を高度に活用していくかということになりますと、もっと効用度の高い樹種に転換をしていくという造林計画が行われなければならないと思います。その意味からいきまして、たとえば同じ杉でもいい杉があり、松にいたしましてもいい種があるということで、そういう面の検討はかなり行われておりますけれども、もう少し日本のような気候と土質に向くような新しい種類と申しますか、あるいは諸外国との交配種による変種等を作って二百年、三百年の日本の国土の保全の上と国民経済に寄与できるような研究を今からしておくのでなければ、おそいのではないか。むしろ早くそういう研究に着手すべきじゃないか。こういう変種や優良種を作るということは、なかなか短期間ではできません。相当長期間を要するのでありますから、これはあるいは一代にしてならないようなことも考えられますけれども、祖国日本をもっとりっぱなものに育てるという気概を持ちまして、これらの優良と申しますか、効用度の高い品種を漸次造林奨励をしていくというような考え方はお持ちになっておりませんかどうかお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/114
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115・石谷憲男
○石谷政府委員 将来の需給の逼迫に備えまして可能な限り国内の林産物の需給度を高めて参るという目標のもとに現在造林事業の推進をはかっているわけでございまするが、量的に拡大をいたすばかりでは相ならぬのでございまして、どうしても森林の質的な改善を必要とする、こういう状況にありますることは御説の通りでございます。従いまして従来は、大体水平的な分布はある程度垂直的な分布に置きかえるというような意味合いの取扱いは若干いたした例もあるのでございます。林木の郷土といったような観念に基きましてできるだけ郷土に近い範囲に郷土内に、現にその土地において成立しているものをふやして参りたい、こういう配慮も実はされたわけでございます。同じ杉と申しましても、裏日本の多雪地方にあります杉と表日本のしからざるところにあります杉との間におきましては、明かに品質的な区分がされるということによりまして、双方のものが相互に行きかうことのないように、地域をある程度限定いたしまして増槽をして参るという程度の配慮は実はいたしておったわけでございますが、そういうことでは真に成長のいい、しかも病虫害等に対する抵抗力の大きいものを多数得て植えて参るということには相ならぬわけでございまして、本年度からはただいま御指摘のありましたようなことを中心にいたしまして、すみやかに優良種の真の確保のできまするような対策を確立する必要があるということで、林木の品種改良事業、林木の育種事業を実は始めておるようなわけであります。これによりまして昨日もちょっと御答弁申し上げたのでありますが、当初はいわゆる精英樹の選抜という問題から入りまして、選抜育種という段階を経過しながら交雑育種によりまして新品種の作出というところまで入って参りたい、こういうことで昭和三十二年度の予算におきましては一般会計、国有林野事業特別会計を通じましてある程度の予算が認められておるという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/115
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116・川俣清音
○川俣委員 需給状態からいたしまして量的と相待って質的転換をはからなければならないことは今長官の説明されたところでございますが、初めて今度予算化されたのでございますが、この予算を一年とか二年とか三年でどうも打ち切られることが多いのであります。これでは目的が達成できないと思いますので、この点について十分な配慮があるかどうかということが一点。
次にもう一点は、同一種類の質的転換、優良種への転換ばかりではなくて、日本の樹木の転換すなわち工業用資源になるようなもの——工業用資源と申しましても、必ずしもパルプということを考えない。いろいろな塗料になるものがある。日本のようなところでゴムはできないにいたしましても、たとえばウルシがある。あるいは樹脂の資源もこれに求められる。とにかく薬用樹あるいは工業用樹というようなものに日本の土地の利用を区分して造成していくということが必要ではないか。それにいたしましても一体どういう種類の樹種が日本の土地に合い、気候に合って、しかも工業用資源になり得るかということについての検討がまだ十分ではないと私は思う。試験場は持っておられますけれども、ごくわずかな人手に託されておりまして、これは目前の効果というものが少いために予算の削減にあうことが非常に多いと思う。しかしこういうことは日本の将来にとりまして大きな課題でありますから、むだなような、眼前の効果はないにいたしましても、遠き日本の将来をおもんばかりまして予算化の必要があるのじゃないかと思いますが、この点についての御意見を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/116
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117・石谷憲男
○石谷政府委員 始めたばかりの育種場が二、三年後に中断する等のおそれはないかということでございますが、午前中にも御答弁申し上げましたように、従来から優良種苗の確保対策ということに関連いたしまする予算が実はあったのでございまして、この確保のいたし方といたしましていわゆる公営養苗、公営による毬果採取、こういう二本立てでやって参ったわけでございますが、私どもといたしましては前者の公営養苗という考え方をこの際一応取り除きまして、それにかわるものといたしまして林木の育種、品種改良というものを取り入れておるわけであります。従いましてこの優良毬果の確保という問題との関連におきまして、これが林野における優長種苗確保の対策だということで、長期計画に基きましてこういう予算要求をいたしておりますので、年とともに増額をするという期待を持っておりますけれども、二、三年後にこれが絶ち切られるということにつきましては、私どもはそのような考え方は持っておらないわけであります。造林事業の推進ということが大きな国の方針として取り上げられておる以上、このために必要な現段階の措置といたしまして、優良種苗の確保ということは不可決の要件であります。そういうことで今後も十分に善処し得る、そのように考えたわけでございます。
それから明らかに近年工業用の材料として用いられる木材が非常にふえておる、戦前におきましては御承知の通り、広い意味の工業用材料として使われまする木材というものの比率が非常に高かったわけでございます。近年におきましてはこれらのものが転倒いたしておるという現状であるわけでございまして、そこで何が一体どういう工業に向くかということを配慮しながら造林樹種を決定していくということが実は考えられないことはないというように考えるのでございますけれども、私どもといたしましては、あくまでも適地適樹種という考え方でやって参りたい、かように考えておるわけでございまするが、適地適樹種とは一体どういうものであるか。これはやはり工業原料というものを対象といたします場合におきましては、質よりも量だということに相なろうかと一思いまするので、やはり成長が早いということが一つの条件でありますると同時に、もう一つの条件といたしましては、病虫害等に対しまする本質的な抵抗力の強さを持っておるものというように考え合わして、適地適樹種で造林の実をあげて参るということが必要ではないか、かように考えておるわけでございまして、国内産樹種につきましての交雑育種あるいは外国産樹種を含めましての新品種の育種作出、あるいは外国産樹種の日本導入という考え方につきましても、以上申し上げたような方針によってこれをやって参りたい、かように考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/117
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118・川俣清音
○川俣委員 時間がありませんのでもう一点だけで終りたいと思いますが、最近いわゆるクラフト・パルプが一斉に操業を開始いたしたので過剰生産の懸念が出てきた。こういうことで昨年の夏ごろから木材が急にまた値上りの方向をたどっておるようであります。ところが林政の上から申しますると、木材の価格に大きな変動が行われますることは、いたずらにつり上げた価格だとかいたずらに経済上の操作による下落であるとかいうようなことは、木材の長期生産の上からいって非常な大きな弊害をもたらすものだと思うのです。従いましてこれらの生産事業に当っておりまする林野庁といたしましては、木材がいたずらに他の要件によりまして価格が高騰したり、あるいは急激に下落するようなことを押えていかなければならない任務を、林政の上から持っていると思います。もう一つは、国有林野自体が膨大な資源を持っておるのでありまするから、それらの価格操作の上に役立つものでなければならないと思います。一つは行政上の面と、もう一つは実力的な面と、二つをお持ちになっているのでありますから、こうしたものに対する対策が考慮されなければならないと思いますが、この点についての御意見を伺いまして私の質問を終りたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/118
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119・石谷憲男
○石谷政府委員 これは御指摘の通り、木材価格変動というものが他の要因によりましてしばしば起り得るということは、林政の上からいいましても決して好ましくない、私どもかように考えておるわけでございまして、昭和二十九年に発生いたしました北海道の風害木の整理につきましても、そういう趣意を基本にいたしましてあの処理対策を研究、実施をいたしましたことは御承知の通りでございます。近年、特に原材料として工業用の用途に使われまする木材の消費量というものが異常にふえております。従いましてこれらのものの価格高騰に伴いまして、構造材料として使われているものも勢いやはりかなりの高騰を見せつつあるという状況であるわけでございまして、供給力がこれに伴いませんと、やはり木材価格は強含みだということはいなめない事実であろうかと思うわけでございます。それともう一点は、何といいましても運賃負担力の少い物資でございますので、災害等の発生によりまして生産地域が何らかの災害を受けてくるということになりますると、木材の交流する地域が急激に変化してくる、そういうことによりまして多分に思惑等も手伝って、木材価格の急激な変動があるというようなことも過去の事例に徴しまするならばしばしばあったわけでございまするが、こういう事態を改善いたしまするためには、やはり現実に材をもって緩和策を講ずる一いうことに相ならなければならぬわけでありまして、そのための役割といたしましては、当然国有林の事業等がこれをになうべきである、かように私どもとしても考えているわけでありまして、従来からも地域的な需給調整並びに価格の調整というものをやって参りまするためには、決して過小評価というふうに考えなかったわけでありまするが、中国地方のように国有林の加減が非常に少い、しかも国内の取引の窮迫したというような場合には、なかなかそういう特殊な機能の活用もできないわけであります。可能な限り国有林の機能を活用いたしまして、そういう措置を現実にやって参る必要があると思っておりますし、また国有林においては、そういう場合にそういう仕事をすべきものである、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/119
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120・吉川久衛
○吉川委員長代理 次は本名武君の順序でありますが、本名君が見えませんから順序を変えまして、石山權作君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/120
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121・石山權作
○石山委員 私はこの法案を通読いたしまして第一に受ける印象は、伐採量をふやすということに非常に意を用いましてその跡始末にいささか手抜かりがある、こういうふうな印象を第一に受けるのです。それはもちろん造林とか何かに指導員云々とかあるけれども、実際から受ける面からしますと、伐採だけはきちんとしましてそのあとに来るものは——もちろん税制とか何とか、少しずつ改良されたようでございますけれども、新しくいざ実際に造林しようとして乗り出したときに、いろいろな障害に当っているのではないでしょうか。たとえば地方公共団体のうち、うちの方は秋田県で、これは全国でも有数な山を持っている県でございますが、秋田県が五カ年計画を立てました。そしていざ植林に乗り出そうとしてみましたら、農林漁業の方では貸してくれない、起債はまかりならぬ、こういうふうになりますと何か片手落ちだ、こういうふうに私は思うのですが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/121
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122・石谷憲男
○石谷政府委員 何となしに非常に伐採量をふやさんがための措置のような印象だということでございますが、昨日来御説明を申し上げて参りましたように、やはり伐採というものは消費の要請がありまして、初めて伐採が行われて参るということに相なるのは当然でございます。そこで一体、今度伐採制限の対象からはずそうといたしておりまする広葉樹の用材、あるいは薪炭林についての消費の動向でございますが、これらはいずれも横ばいで、しかもそういう横ばいという事実を裏づける——たとえば薪炭について申し上げますならば、都市あるは都市周辺地域の家庭用燃料としての薪炭消費というものが逐年減っておるというような現実に裏づけされまして、薪炭消費というものが少くとも横ばいである、それから広葉樹の用材につきましては、これは明らかに多少ずつの増勢はたどっておりますけれども、問題にするほどの動きではない。合せて参りますると、伐採の制限制度の対象にはしておりながらも現実には無意味だという状況が一方にあるにもかかわりませず、一方におきましては、針葉樹の幼壮齢林に対するやはり伐採要請の圧力というものは非常に年ごとに強くなって参っておる。これはやはり消費の動きを見て参りますると、急激にふえておるという事実の裏づけに基いてのそういう傾向の現われだと私ども考えざるを得ないわけであります。従いましてこの伐採制限制度の運用を一そう適切にやらなければならぬという対象に対してはいまだ手薄だ、そういうことによって浮いてくるさまざまな手を重要な方面に注ぎたい、これがいわば今回の改正案の要旨の一点でございまするので、私どもといたしましては、そのまま手抜かっているというふうには考えておるというふうには考えておらぬわけであります。ただいま造林の問題の御指摘があったわけでありまするが、私どもといたしましては、確かに現在では一割の県の義務負担というものを課しておりまするので、そこでこの財源調達に問題がある。起債といってもなかなか問題があるでありましょうけれども、昨三十一年度までの間におきましては、起債が不許可になりましたために県段階の資金の裏づけが全然できなくて、やめになったという事例は比較的少いのでございますが、その限りにおきましては今後問題は決してなくはない、かように私は考えておるわけであります。そこでむしろ国の方の予算確保はある程度までできている、にもかかわらず県の義務負担がこれに見合わないために、補助金として作用をすることができないというような事実はあるようでございます。今後ますますそういう傾向がむしろふえるのではないかということを心配いたしております。
それから造林の融資の問題でございまするが、これも今までは、大体年間予定されておりまする四、五億程度のものが消化できているということでございまして、希望が非常にあるのにもかかわらず資金のワクがなくて貸し出しをセーブしたというような事実は、私どもしとては承知いたしておらぬのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/122
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123・石山權作
○石山委員 先ほど川俣委員からの質問の要旨の中に森林行政ということと、それから国土の保全、開発というふうな問題が非常に重要になっていたと私は聞いておりました。そうしますと、そうでなくても今までの統計をずっと見てみますと、過伐であることは争えないことでございます。昭和二十六年あたりのキティ台風なんかのあの当時には、大へん過伐のために洪水が出た、こういうふうにいわれております。それからずっと年々見ても、その洪水の以後であっても成長量よりも伐採量が多い。今林野庁長官は、広葉樹と針葉樹を変えるのだ、こういう御意見でございますが、変えるその期間というものに対して、私はやはり一つの疑問がそこに起きるのであります。切る木は、三十年以上五十年くらいの木をおそらく切るだろうと思う。どんな速成の木を植えましても、これはどんなにしても十五年くらいはかかります。そうしますと、その間が、二回のものを四回に届け出させて切る。どうしても過伐に輪をかけていくというような印象を受けてなりません。この法律を施行された結果、広葉樹の伐採量は私はふえるだろうと思うのですが、この量はどのくらいの目算でございますか、そしてその使用の方向というものが、一応分類されておりましたなら、二、三説明をいただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/123
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124・石谷憲男
○石谷政府委員 この措置によりまして、広葉樹の伐採量が相当ふえるんじゃないかということにつきましては、私どもは全然そういう懸念はない、ただ、ただいま申し上げましたように、相当程度近年広葉樹用材の需要というものが増加しつつあるわけでございますが、これらの傾向は多少助長されるだろうという種皮にお考えをいただいたらけっこうだというふうに考えております。それからなるほど確かに現在のわが国の森林生産力からいいますならば、現在毎年の伐採量は過伐でございます。過伐でございますけれども、現在の資源に見合う伐採だけをいたしておるということになります。と、国内の経済活動というものは非常に低調にならざるを得ないという状況はあるわけでございます。そこで私どもといたしましては、一方において先ほど来の議論の中にもありましたように、森林の持つ公益的性格、公共的性格というものを考えますならば、もちろん異常な、そういうことを無視した伐採がされないということによりまして、必要な制限を加えながら、しかもしばらくおけば十分な生長をするものを数年早く切りましたために、それだけの生長量の減が損だというものにつきましては、伐採制限制度の対象にいたして、できるだけ伐採を抑制する、いわば一方においては治山治水上の問題を極力考慮しながら、一方においては、それにもかかわりませず、国民経済の要請いたします必要な木材の最小限度の量というものを合理的に確保していこうということが、この森林法の中で考えられておる一つの考え方だというように御了解をいただきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/124
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125・石山權作
○石山委員 三十年、五十年とかかります成木を今切る、そしてそれを補充するのはどんなに努力しても十五カ年かかるのだ、これを少くともあまり災害のない方法を講ずるとするならば、普通は経済的に非常に有利な土地の広葉樹を切るよりも、林道を開発して、奥地の密林を開発するという努力をすれば、私はある程度避けられると思うのですが、今度の予算にそういうふうな意図を持った、林道開発等を考えた予算をとっておるのかどうか、そういう点も一つお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/125
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126・石谷憲男
○石谷政府委員 広葉樹と申しますと、一つは用材林であり、一つは薪炭林でありまして、薪炭林として使われておるのが多いわけであります。薪炭林というものは御承知のように農家周辺の地域に農用林的なものとして持たれておるというものが非常に大きな部分を占めておるということでございます。そこで一体大規模な林道の開設を必要とするというような対象は、実は広葉樹用材林でございます。いずれもこれは奥地に残っておるというものでございますので、ただいま先生の仰せのありましたような対象がこの広葉樹用材林である。そこでたとえばこの措置によりまして、急速に伐採が伸びるのではないかとおっしゃいましても、これはなかなか伸び切らぬと申しましたのですが、これは林道がないため搬出ができないということもかたがたあるわけでございます。私どもといたしましては、これらのものにつきましては、極力高額な補助林道の対象といたしまして計画をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/126
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127・石山權作
○石山委員 私はまた、この法律を出したほんとうの趣旨は、不足を告げている広葉樹を多く出すのを目的としたのだろう、こう思っておりますが、長官はさっぱりふえないというようなことを言っておられるのですが、ほんとうにそうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/127
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128・石谷憲男
○石谷政府委員 これは広葉樹開発というものがやはりなかなか問題でございまして、いずれもその多くが河川流域の上流地帯にあるというような性格の森林が非常に多いわけでございます。たとえば秋田県で申しますと、鳥海山ろくでありますとか、森吉山ろくでありますとか、ああいう奥地の流域、多摩川上流地域にも相当広いところがあるのであります。そういうところにありますのがいわゆる広葉樹でございまして、従って次第に伸びつつありますので、それは伸びては参ると思いますが、その伸びに伴う数量たるや非常に少いものであるということでございまして、しかもこれが林道開発というものが先行いたしませんと、伐採がこれに従っていくということにはいきませんので、十分にそれらのものをコントロールすることができるということを申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/128
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129・石山權作
○石山委員 私はこれからの森林行政というものは、今まではおそらく農業を対象にした森林行政というふうに、言えば言えると思います。これからの森林行政というものは新しい工業の変化、工業力の発展、こういうようなものと見合った森林行政というものが必要であろう、言うべくは工業用林の造成というものがこれから主眼点に移行していかなければならないのではないか。ということは、私ここに図表を持っておるのでございますが、これは一九五五年度の林業統計要覧からの抜粋でございますが、これを見ると、坑木、電柱、包装、まくら木、建築、これらは横ばいないし下降の線をたどっている。それに対して、ただ一つ異例の線を描いているのは紙パルプでございます。これは昭和二十五年度を一〇〇としまして、二十九年度で二〇〇をこえているという傾向を示している。もしこれがこのままの傾向をたどるとすれば、非常に求められる原木の数量というものは多いだろう。現在の数量ではそんなにたくさんないのでございますが、昭和二十九年で二千三百三十万石程度、全体の一五%程度しか示していないのでございますけれども、この傾向は人造繊維の発達あるいは新聞紙等の文化的な国民の生活の向上によって、この傾向はだんだん多くなるだろう、こういうふうに思いますと、今までのようなやり方で造林を遂行していっても、時代の急速な工業化の要請にはおくれをとらざるを得ないと思う。こういう点では、先ほども造林と品種の問題を非常に力説されていましたけれども、工業用林造成に関しての御説明がいささか欠けていたと思っておりますので、補足説明を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/129
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130・石谷憲男
○石谷政府委員 御説の通りに、まあ木材は各種の用途に使われておるわけでございますが、化繊の材料として使われております木材、及び建築材料として使われております木材を除きますと、大体は横ばいないし漸減でございます。それで特に化繊用の材料として使われております木材の増大の趨勢というものがきわめて顕著なものがあるわけでございまして、戦前昭和九−十一年あたりの基準は御承知と思いますけれども、大体年間八百万石、あれだけの豊富な森林資源を包蔵しておる植民地を持っておりながら大体八百万石という基準であったものに対しまして、昭和三十年度におきましては、実に二千七百万石という消費が行われておるわけでございます。これが現在の経済計画に基きますと、昭和三十五年度には三千五百万石ということになるという状況でございまして、確かに御指摘のように非常な急速度をもちまして消費の伸びのありますのはこの部門でございまして、そこでなまじっかな対策ではなかなか原材料に対して問題があるということは、御指摘の通りでございます。そこで私どもといたしましては、先ほども申し上げましたように、やはり造林推進の目標はあくまでも適地適種だということでいかなければならないと考えておるわけでございますが、可能な限り生長量の大きいもの、こういうことは短伐期でもって森林の繰り返し生産ができるということでございます。しかも先ほど御指摘のありましたように、確かに林業につきましては公共性の問題もありますので、治山治水等に比較的懸念のないような、従いまして生産量の高いところにおいての短伐期の繰り返し生産ということによりまして必要な工業原料の確保に当って参りたい、一部にはいわゆる産業備林というような考え方に基きまして、それぞれ特定産業の部門が必要な原料を自分の手によって確保するというような行き方も実は提唱されておるわけでございますが、林野庁といたしましては、狭い山林を多様な用途に従いまして活用して参るということになりますと、特定産業のために一つの備林的なものを持つということは、必ずしも林地利用の合理化の上からいいまして適切でないというように考えておりまして、方針といたしましてはただいま御説明申し上げたような方法によりまして将来の増大傾向に対処いたしたい、そういうことが特にこの段階におきまして林木の品種改良を取り上げた事由でもあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/130
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131・石山權作
○石山委員 山林の治め方、山林の利用の仕方には三つくらいある。たとえば治山治水、それからもう一つは工業的な発展におくれないようにするため、もう一つ特にこれは昔からやられているだろうと思うのですが、国有林の近所の農村の方々の福祉を痛めつけないということ、これも大切だと思うのですが、特に今皆さんの方で品種を改良なさるその方向のうち大きな方向は、広葉樹から針葉樹に問題を変えていく、こういうところに要点があるようでございます。そうしますと針葉樹はどうしても山麓の光をさえぎります。そうしますとまず第一に今までの採草地が痛めつけられる、あるいは今まで落葉とか何とかを拾ってそれを燃料の一部あるいは推肥の一部にしていたのが閉ざされてしまう、こういうふうな欠点が相当あるのではないか。特に針葉樹になりますと、樹木のかたわらの耕作などほとんど限定されてしまう。そうしますと、国有林が簡単に開放されて、払い下げの制度も大いに活用されているならば、そういうことを申し上げたくないのでございますけれども、昔先祖が自由に山の中に入っていって薪炭、採草その他自由にできたのにもかかりらず、最近は非常にきびしくなった。春の山菜をとりにいくにしても鑑札というふうなものをもらわなければ山入りができない。しかしそれでも落ちこぼれがあるわけでございます。しかしこれを闊葉樹から針葉樹に移行しますと、その落ちこぼれがほとんど失われてくる傾向があるのではないか。小さいことをいうと、きのこの果てまで針葉樹になりますと種類が減っていくという現象が起きてくるのでございますが、そういう点を十分勘案されてこの法案をお出しになっておるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/131
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132・石谷憲男
○石谷政府委員 それは十二分に勘案をいたしまして私どもの計画は立てておるわけでございます。ただいま御心配のような問題は確かに国有林の場合におきましては一応の心配として取り上げなければならぬ問題かと思うのであります。現在約八百万町歩に近い国有林の中におきまして、百九十万町歩に近いものが地元農民に各種な施設として一応開放せられておるという状況でございますが、こういう実態はあくまでも尊重して参りたい。現在林野庁内部におきましては、極力国有林野事業の内容を整えますために各種の面から検討を加えておるわけでございますが、この林地事業の面からいたしまして、一つは国土保安のためにさまざまな制約を受ける森林、そういうような制約の比較的少い森林、一つは地元農民のための各種な施設というものを中心といたしましてそれを優先して考えなければならぬ地域の森林、こういうような三種に区分いたしまして、それぞれの地域に対しまして適切な措置の行えるようなことをいたそう、こういうことも実は取り計らっておるわけでございまして、御心配になりましたような点につきましては、十分御迷惑のかからないように運営をしていく心がまえでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/132
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133・石山權作
○石山委員 過伐の損害を少くする、過伐の害を防ぐことにもなろうと思いますが、いわゆる消費の面を大いに節約改善をする工夫がこの場合あるわけです。これは林野庁だけの問題だけではなく、企画庁、通産省その他に関係のある問題だと思いますが、通産省の石井さんにちょっとお聞きしたいのですが、たとえば時代の需要に応じて一部森林の伐採を緩和する、しかし絶対量から見ますと過伐の憂いが目前にある。そうしますと局部的でございますけれども、どうしても消費の面を大いに節約して、一石でも経済価値のあるところへ用材を回すという工夫が第一に必要だと思うのでございます。それにつきまして、たとえば薪炭の石数が大へん多い。木炭であれ、あるいはたきぎであれ、これは一億近くのものが出ておる。これを大いに節約すれば工業方面にもっと回し得るわけでございますが、そういうような対策に対してはどういうふうな用意を持っておられるのか。現在何か施策をなさっておるだろうと思いますが、その施策の進捗状態はどうか。林野庁で伐採の法律を緩和したのと歩調の合うような指導方針がとられておるのか、それと並行的に進むのか、それとも、より以上に問題が進展をする可能性があるのかどうか、現在の状況あるいは見通しをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/133
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134・石井秀平
○石井説明員 お答えいたします。木材の需給が非常に苦しい、あるいはここ当分好転の見込みがないということにつきまして、使う方の側としましても非常に重大な関心を持てっおるわけでございます。できるだけ有効に利用して、限られた木材をできるだけ効率的に使うという指導を通産省みずからやっておるわけでございます。たとえば、われわれの方で一番関心が深いのは、先ほどから御議論のございましたパルプ用材でございます。輸出方面あるいは内需の国民生活が非常に向上して参りますにつれて、紙あるいは化学繊維が非常に伸びて参るわけでございますが、一番の悩みは原木の確保でございます。あるいは現在叫ばれております石炭不足解決のための坑木についても、現在非常に入手が苦しい状況でございます。それらの解決のために、従来針葉樹を使っておりましたのを広葉樹からパルプを作るという方面につきまして積極的に指導もいたしております。あるいは開発銀行その他の融資につきましても、優先的にそういう手配について助成をいたしておるわけでございます。
なお薪炭林の節約につきましては、それにかわるべきものといたしましてまず大都市方面におきましては都市ガスを急速にふやしていくという方向に参っております。実は前々からの五カ年計画が大体今年度で終りますので、また引き続いて五カ年計画によりまして拡充をいたしておるわけでございます。幸い所定の計画以上にガスが普及いたしておりまして、けっこうな状況になっておるわけでございますが、一方ガスのない郡部その他の地区におきましては、とりあえず林野庁の方々にも御協力願いまして練、豆炭、あるいは燈軽油、亜炭、そういったような鉱物質の燃料に転換していただくという措置を積極的にとっておるわけでございます。たとえば練、豆炭の原料であります無煙炭という炭については、御承知のように国内では生産に限りがございますが、必要なだけ海外から輸入いたしましてもやはり積極的に作って普及いたしておるわけでございます。そういった事情で今後われわれの方針としましては、林野庁の方と同歩調をとりまして、薪炭林は大体これから先は横ばいで、現在よりも下回る、そのかわり都市ガス、練、豆炭をどんどんふやしていくという方向にもっていきたいと思っておるわけでございます。しかも一方には、木材は単に五年、十年の問題ではなくして、長い問題でございますので、昨年末私の方の産業合理化審議会のエネルギー部会におきまして、農林省はもちろん、各産業界の方方が熱心にお寄りになりまして、二十年先のそういった家庭燃料のエネルギー対策というものを答申していただいたのでございますが、その結果におきましてもやはり薪炭材は将来二十年先にも横ばいないし下回る程度に指導して、あとは都市ガスとか、練、豆炭、そういうようなもので補っていくという答申をされておるわけでございまして、われわれとしましては目下そういう答申の線に沿って、業界の方々にお願いしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/134
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135・石山權作
○石山委員 それから包装用の箱材なんかに相当木材がとられていっているのではないか、こういうふうな点を、たとえば木箱をボール紙にかえてみるとか、そういう点も進めているかどうか。それからこれも林野庁とも関係があると思いますが、狭い国土で、そうしてきまった森林の利用方法も大へん大切なのでございますけれども、ソ連との国交も正常に回復したのでございますから、輸入材というものをもっと考える必要があるのではないか。北はソ連を中心に考た、南はボルネオあるいは十何年くらい前、それぞれの会社で手をつけたような個所を探って、そこの森林を開発して輸入するということも一つの大きな方法ではないか。それにしては今までの統計上から見ますと、輸入材が占める地位というものが大へん少いように思いますが、こういう点は現実ではこれ以上改良へできないのかどうか、こういう点を聞きたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/135
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136・石谷憲男
○石谷政府委員 このことにつきましては昨日以来詳しく御説明申し上げたのでございますが、要点だけについて再度申し上げますと、一応私どもの目標といたしましては、今後一千万石程度以上のものを輸入に期待することは困難だという判断でございます。本年あたりは大体九百二十万石の輸入材を得たのでございますが、その中で八百万石以上のものが南洋材でございます。そのうちの約九割近くまではフィリピンでございまして、最近のフィリピンの国内の状況からいたしますと、素材のままで出さないで、国内で加工したものを出そうという空気、あるいはそういうことを可能にする条件がどんどん進んでおるわけでございます。従いましてこれ以上のものをフィリピンに期待することは、戦前の状況からいきましても困難だ、あとは要するに旧蘭領のボルネオ地域でございますが、これにつきましてもおのずから限度があるのでございます。
それからもう一つの輸入先は北米並びにカナダでございまするけれども、これまた原材料に近いようなものの姿で出すということにつきましては、国内的な批判が非常にあるわけでございまして、それに加えるに近来の輸送費の増等によりまして、なかなか国内の価格との見合いにおいて困難だということでございます。多いときは百万石以上を突破したのでございますが、昨年度あたりは六十万石程度でこれも将来は期待できない、残りはソ連地域でございまするが、昨日も申し上げたのでございまするけれども、現在のような条件ではソ連材に期待する量は年間百万石を出ることは至難である、これはいずれも積み出し港の関係でございます。もちろんこれに対しましては、国内の価格との見合いもございまするが、今のような条件ではちょっと至難であるというように考えられるわけでございまして、あれこれあわせ考えまして、現在並びに将来にわたりまして、なかなか一千万石以上というものを期待することは困難だ、従いまして国内のいわゆる供給力というものをふやして参るという対策に徹しなければならない、こういうことに相なろうかと思うわけでございますが、何といいましてもソ連地域におきましては、最も手近かなところに、しかも国内で一番需要の多い針葉樹の資源があるわけでございますから、今後は、国交の回復した今日でもありまするので、私どもの立場といたしましては、極力その輸入量の増大を期待いたしまして、各方面に働きかけて参りたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/136
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137・石山權作
○石山委員 通産省の方に伺います。私先ほど消費の面で、薪炭をおもに申し上げたわけなんですが、やり方としては、たとえば燃えない家を建てるという奨励も大へん必要になるでしょうし、ある意味ではこれは実際面でございますけれども、古紙を大事にしなさい、公園に投げておく紙なんかも、みな心構えによってはきれいに回収される方法もある、こういうふうなものは文部省でもやることでしょうし、新生活運動の一端でもあるだろうと思いますけれども、こういうことは私は小さいけれども方法の一つではないかと思うのです。
それからもう一つ通産省に特に心にかけていただかなければならないのは、去る委員会で鳥取県の中越パルプの問題が非常に論難をされた経緯がございます。広葉樹をおもに使用する化学工場は方々にあると思いますけれども、大量に使用するのは何と申しましても紙パルプ産業がその中心にならざるを得ないと思います。そうしますと、今回も広葉樹の伐採の緩和のある種の恩恵を受けるのは紙パルプ産業であることには間違いはない、そうしますと生産量がふえるでございましょう。生産量がふえると同時に非難の声もまたふえるというのが私は現実じゃないかと思います。ですから生産量をふやし、税法上にも造林の面も見てあげる、こういうふうな点から見てみますと、でき上る過程、でき上ったものに対してさえも私は不公平があってはならぬ、ですから現在廃液というものに対して、通産省はどう考えているか。たとえば、あれをあのまま川へ捨てないで、あの中からまだ残っている繊維を再採取することも、今の科学では何ら不可能ではないはずでございます。あるいはそれを糖化する、あるいは投資を援助してあれをアルコール化する、そうすると廃液の害というものは相当程度免れるのでございますけれども、今の経済制度からすると、利益の上らない面には経営者は目をつぶるのでございまするから、それを何かの形で規制をして、何かの形で新しい分野を開拓さすことが国家の力でできないかどうか、こういうことを私は思っているのですが、通産省はどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/137
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138・石井秀平
○石井説明員 お答えいたします。まず第一点の古紙の御指摘は小さいような問題でございますが、われわれとしても非常に関心を持っておりまして、先般来そういう関係の業者の方々がわれわれのところへ御相談に参りました。非常に失礼でございますが、主として零細の方々が多うございまして、どちらかと申しますと、各地方の県庁にお願いする面もございますが、通産省としましても、中小企業対策の一環として何れそういう点について御指導も申し上げ、できるだけ廃品を回収するようにという方向で持っていっておるわけでございます。
それから先ほどお尋ねになりました包装材料につきましても、私の方の軽工業局で積極的に指導もいたしておりまして、改善のための展示会あるいは奨励会、そういった点をやっております。先般経済企画庁方面との木材資源利用合理化推進本部が三十五年度までのそういった包装材料の節約の見通しを出したのでございますが、大体三十一年以降は横ばいにしていこう、そのかわりにダンボールとか魚の箱も金属性のものにかえていくという方面に指導いたしておるわけでございます。また一方木材の節約と同時に、耐火建築促進のためにセメントの増産、しかも安いコストでできるだけたくさん作ってブロック建築を奨励していくという方面に手を打っておるわけでございます。
なおお尋ねになりましたこれらの広葉樹を利用する場合の——主としてパルプ会社が利用するのでございますが、汚水の問題が起るわけでございます。われわれとしましても、これにつきまして農村の方あるいは漁村の方に御不便をかけないように、御迷惑をかけないようにあらゆる施設の面で指導いたしております。しかし御指摘のように、何といってもただ防除するだけじゃなくて、そういう害のないものにするということが一石二鳥じゃないかというわけで、私の方の工業技術院の試験所で廃液からさらに御指摘のそういったいろいろな薬品を回収するという試験も一応成功の段階になっておるわけでございまして、それを応用するようにということを業者の方々にも奨励いたしておるわけでございますが、御承知のように、木材からとりますセルローズは大体四割くらいしがなくて、あとは捨てるわけであります。これは非常にもったいないわけで、そういう廃液の中からも御指摘のように有望な化学繊維が多々出るわけでありますから、そういうものをとった方が一石二鳥で、汚水の防除にもなるし、また利益にもなる。ただこれに対しまして、そういった施設をすることに対しまして、いろいろな助成金なり金融措置を講じたいと思いますし、また工場の関連施設について通産省としても今まであまり助成策をとっておりませんでしたが、積極的に今後とっていこうという省の方針でおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/138
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139・石山權作
○石山委員 広葉樹を一番使う分野の企業に、切っただけ造林をするという一つの任務があるのではないか、そういう任務の中で各紙パルプ業者はどういう格好で造林をやっておるか、それをお調べだったら御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/139
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140・石谷憲男
○石谷政府委員 近来の主たる傾向と申しまするか、趨勢は、土地まで取得いたしませんで、いわゆる伐採時の収穫物を分収するという内容の契約によりまして、主として公有林、市町村有林、あるいは部落有林に対して分収造林をいたしておるような状況になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/140
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141・石山權作
○石山委員 これはあなたの方で奨励なさっておるわけですか。そうしてその指導にこたえるだけの分収造林がされておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/141
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142・石谷憲男
○石谷政府委員 私どもの方といたしましては、先ほど申し上げましたように、各産業部門がそれぞれの目的に従いまして必要な企業方針を持つということは、国の林業政策の上からいきますと必ずしも適当でないという判断を実は申し上げたのでございますが、各企業といたしましては、自分の力の及ぶ限りにおきましてそれぞれの検討と採算の中において必要なそういった原材料確保の措置をいたしたいという意味において、私の方から格別にそういうことを今まで奨励してきたわけじゃございません。ただし今後新しく広葉樹林が切られて参り、そのあとに針葉樹でもって植えかえて参るということになりますと、従来のように、ただ単に国の資金援助といったようなことにのみ依存するということではなかなか拡大造林は困難でございますので、ただいまお話のような趣意もあわせまして、関連産業部門がこれらのいわゆる再造林の投資をするということにつきましては、大いに勧奨いたして参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/142
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143・石山權作
○石山委員 この業者の造林面積は、買った土地は二十一万町歩というように私は報告を受けておるわけです。二十七年から分収を始めて、かなりの成績をおさめて、二十一万町歩の土地買収もほとんど限度だろうと見られております。そうしますと、この分収造林というものに業者は力を入れなければならぬだろうし、林野庁としてもそういうような指導の面を大いに考えてやらなければならない段階ではないか、というのは、切って利益を受けておる企業体は、この狭い国土を守るという任務がおのずから備わっておると私は思う。十分にこれを活用さすということが、また監督官庁として林野庁は考えていなければならない一つの義務だと思う。こういう点で、この法案が出てからいろいろ風聞を聞いたりしても、やはり守ってやるところは守るというように、厳重に監督するところは厳重に監督指導するという気持がなければ、私は法律の適正化ははかれないではないか、、こういう意味では、私は造林は強制というわけにはいかぬでしょうけれども、そういう面ではやる必要があるのではないか。
もう一つは、私先ほどしょっぱなにお聞きしたのでございますが、秋田県なんかは植林五カ年計画で、三十二年から三十六年まで計画を立てたのでございます。そうして五千三百八十三町歩の植林計画を各部に立てました。しかしこれは先どほ申したように、せっかくこういういい意図も、どうも今の法律から見るとこれは生きてこない。ですから、これは森林法自体に問題があるというよりも、こういう法律案をお出しになるには、やはりその関係の、やりたいという意欲のある団体を生かすことを考えて立案しないと、せっかくの面が生きてこない。急速にこの次の国会には融資起債の面も国家から認めさすような方を当然講じていただかなければ、せっかくの造林意欲もなぐなってしまうのではないかという心配がいたします。
それからこの法律案のこまかいことでございますけれども、林業改良指導員でございますが、これには「政令で定める資格を有する者でなければ、」というふうに規定されておりますが、政令で定める資格ということははっきり基準がきまっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/143
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144・石谷憲男
○石谷政府委員 今回の法律改正によりまして、これらの技術員のいわば認容資格というものを一つ具体的に規定して参りたい。そして具体的に規定いたします内容は政令に譲る、こういう考え方でいるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/144
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145・石山權作
○石山委員 いろいろ申し上げて約五十分くらいになったわけですが、この法律をあなたがお考えになるように、あるいは国が意図しているように万全に遂行していくのには、あなたの輩下にある全林野の諸君の考え方、努力、協力が私は問題だろうと思います。私最近の仲裁裁定などの例の賃金の話をたまたま耳にしますが、幾ら法律でりっぱなものを、簡潔なものをお出しになっても、それを守る方、協力する方がちゃんとしていないとなかなかうまくいかぬと思う。特にこの法律は私二、三質問を申し上げたように、かなり難点がある、欠点もある。その欠点と難点が表に出ないように、出ても微量に出るように工夫するのが全林野の職員諸君の任務だと思う。そうした場合に、あなたと職員組合の方と約束したことが、世上新聞紙上などでこれがやみ給与だとか、やみやみなんて言われたら、従業員諸君の方はどんな気持がするか推しはかられるわけでございます。私はしいて追及は申し上げません、またあとで機会があるだろうと思いますから。私、この法律を遂行さすために職員の協力を得なければならぬ、こういう建前から長官は今度の仲裁案に対してどういうようなお考えを持っているか、あまりたくさんは要りませんが、少しお話いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/145
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146・石谷憲男
○石谷政府委員 今回のこの法律改正によりましては、もちろん国有林野も同時に規制を受けるという考え方の法律でございますからして、従って必ずしも全林野の組合員諸君は無関係だとは申し上げませんけれども、直接的には都道府県に所属いたします地方公務員の方の実施する問題に相なってくるわけでございますので、さした影響は全林野にはないというようにお考えを願いたい、こう思うわけであります。
それから仲裁裁定の問題でございますが、私どもといたしましては、あの裁定の趣旨に従いまして、その趣旨に沿うごとく善処いたす、こういうことで目下検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/146
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147・石山權作
○石山委員 まだ申し上げたい点もございますけれども、これで私は打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/147
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148・吉川久衛
○吉川(久)委員長代理 石山委員の質疑に関連して、細田委員から関連質問の通告があります。これを許します。細田君。簡単に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/148
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149・細田綱吉
○細田委員 先ほど来の本案についての御説明を伺って、林野庁が管轄する林野面積がいかに多いかということをわれわれは今さら痛感したわけであります。そこで御承知のように国民必需品の一つは薪炭である。この薪炭の出場所は深山幽谷、言いかえれば、林野庁の管轄区域、この森林から出るものは申し上げるまでもなくパルプの材料及び建設資材、これに主として費されるわけですが、先ほど石山委員の御質問に対して、通産省の方で建設資材ではブロックを、薪炭方では豆炭を、こう言うのですが、それでは豆炭をどういうふうにして農村へ普及化していくか、あるいはブロック建築をどういうふうにして国民の方面に実用化させるか、そういう点は遺憾ながら何も言われていない。あるかもしれませんけれども、時間がありませんから、その点の質問は省略します。
私は茨城県ですが、あの平野地区でいかに薪炭というものが冬になると高くなって、農家経済を圧迫しておるかということがわかるのです。そこで、長官の方の管轄ではないが、農林省としては、いわゆる新農村建設運動を進められておる。そういう面からいって、新農村の建設は農家経済を豊かにすることが中心になると思うのですが、農家の生産と生活に中心が置かれておることは申し上げるまでもない。そこで考えられることは、新農村の建設運動の一環としての意義あるいはその他の意義から、たとえていえば、全購連では御承知のように肥料をプール計算して、青森県の端っこも鹿児島県の端っこも関東のすぐそばでもそういうふうな配給をしておる。そう慾深く——国民のために必要な米をこしらえてもらわなければならぬから、これをプール計算でうまいことを考えておる。しかし農家経済が冬ふくれ上ってもそれはお前たちの勝手だということでは、ほんとうに地についた農業政策にはならぬと思う。
そこであなたの方としては、大阪あるいは中部あるいは関東というような、いわゆる深山幽谷とは距離のある、そうして冬になりますと、商人の手で自由にその相場を上げられて農家経済を圧迫する、こういう問題に対して、ほとんど薪炭資源を一手に握っておる林野庁として、どういうふうにお考えになっておるか、その点を一つ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/149
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150・石谷憲男
○石谷政府委員 これは特に季節的な関係によりまして、薪炭の需給事情が窮迫してくる、あるいは地域的な関係によって常時窮迫した状態の中に置かれておる、こういうところに対する措置の問題であろうかと思うのであります。私どもがこの段階において、やり得ますことは、要するに相当広地域の国有林を各地に持っております。茨城県下あたりにもかなりのものを持っております。そういうところにおいて直営生産によりまして生産いたしたものを、そういった価格調節用と申しますか、場合によっては需給調節用のものとして備蓄いたしておりまして、それを適宜に適切な価格で出していく、こういうような措置をすることにかかってくることではないか、かように考えるわけでおります。従来やはり薪炭そのものが非常に寡少な物資でありました当時におきましては、そういう措置もいたしたことがございますが、近年はかなりこれの出回りが楽になりました関係上、特別な措置を実は見合せておったのでございます。しかるところが、昨年の暮れにおきましては、特に東京都におきまして輸送事情等もからみまして、時期的に非常に薪炭の価格が高騰した。しかも一部には入手困難だというような事態まで見えそうになってきたという事態に対しまして、あらかじめ近年集めておりました木炭を私の方で放出いたしまして、若干の価格調節、需給調節に資したといういうな実は事例もあるわけでございまして、そういった地域に対しましては、国有林の生産物をもって需給並びに価格の調整に当てるというようなことは、本来の国有林野事業の使命であろうかとも考えますので、十分に研究をいたしまして実施すべき対象には実物して参るようにいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/150
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151・細田綱吉
○細田委員 この森林法の一部改正法律案を見ましても、あなた方のねらいはいわゆる森林の確保、よき利用という面にあると思うのであります。森林から出たものをよく利用するには森組の確保が必要なのですが、その利用けあなたの方は直接少しも責任を負っておられぬ。もちろんパルプの材料なんというものはそれでいいと思うが、今申し上げたように乏しい経済で国民の食いものを生産している農家の薪炭不足による非常に窮屈な思い、そして経済的に非常に逼迫しておる。冬になると非常に高騰するのです。それはよくわかっておるけれども、農家経済には買いだめの余裕がない。従って生産地から遠い近いを越えた森林資源のプール運賃とでもいいましょうか、計画的に最低の価格で薪炭を農家に配給するということは非常に必要なことじゃないか。現在農家に、お前の方で石炭を使えなんと言ったって、今使っておるところもないし、設備もありません。従って薪炭商の思うままに冬季になると価格のつり上げになり、くやしいと思いながらもそれに追従せざるを得ない、農家経済に追い詰められる。そういう面においては全購連、全販連等、また資金面において中金等の機関もあるのだが、それと全然かけ離れたあなたの方としては商人中心の資源の処分を考えられておるのだが、さらに一歩を進めて全購連なんかの機関を利用して、せめて半分でもいい、三分の二でもいい、一年の使用量の最低のものを確保するお考はえないか、その計画は進んでいないか、この点をさらに伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/151
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152・石谷憲男
○石谷政府委員 先ほど石井さんから説明もあったようでありますが、確かに家庭用の燃料といたしまして薪炭にかわるに練炭、豆炭あるいはガス、石炭というものは普及されつつある現状にありますが、これはいずれも都市あるいは都市の周辺地域でありまして、純農山村地帯におきましてはなかなかこういうものの普及は困難であります。現実進んでもおりません。やはりこの地方における家庭用の燃料は薪炭であるということに相なろうかと思うわけでございまして、私どもといたしましては、農林省で現に家庭用のかまどの改善等を非常に奨励いたしておりますが、こういうことによりまして可能な限り熱効率の高い燃焼器にかえていく、これも一つの努力と思いますけれども、やはり一定数量のものを確保するということについては当然配慮の対象にいたさなければならない。その場合におきましていわゆる民有林産材のものにそういう措置をいたすことにつきましては非常にむずかしい問題だと思うのでございまして、やはり国有林で生産いたしましたものを、計画的にそういう地帯に流して参るということを考えるべきだ。先ほど東京の例をちょっと申し上げたわけでありますが、決して薪炭の窮迫いたします地帯は大都市ではございません。むしろ本都市の方はどんどん他のものにかわっていくので、おそらく大都市周辺の平野地帯にそういう個所があろうかと思いますので、私どもといたしましては、具体的に全国どの地区にどうという計画は持っておりませんが、十分に研究いたしまして、すみやかに成案を得次第実施をいたすように取り計らって参りたい、かように考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/152
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153・吉川久衛
○吉川(久)委員長代理 本名武君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/153
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154・本名武
○本名委員 質問も大体終りのようでありますが、一点だけこの機会に参考にお伺いしておきます。いろいろ御意見がありまして長官また林野御当局の御意向もわかりましたが、一体この法律改正は最善とお思いになってお出しになったか、近い将来において改正することを予測してお出しになったか、あらためてここでお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/154
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155・石谷憲男
○石谷政府委員 森林法は林野行政の基本法ではございますが、時代の進展にあわせまして改正すべき問題点が出て参りますれば、これを取り上げて研究いたす必要はもちろんあると思いまが、今回この改正をいたそうと思いついたことの第一点は、昭和二十七年から始めております森林計画の編成事業がちょうど昨三十一年度をもって一巡をいたしたわけでありまして、この間におけるこの制度運用の中間的な結論の中からすみやかに措置すべきものは措置する。もちろん措置の方向は改善の方向であります。そこで実際の制度の運用としては、意味が薄いながらも林種転換といったことによる造林を推進しようとすると、そういう中間的な結論の中から出るものは意味があり、むしろプラスだということを考え、一方において森林資源においてはますます問題が多い、そういうところにこそ集中的に手を加えていくべきだ、こういうことで与えられた条件下において比較的改善の方向を目ざしましての改正でございます。この五カ年間の制度運用の中間的な結果において措置すべきものを措置したというように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/155
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156・本名武
○本名委員 与えられた条件下にというお言葉がありましたが、私はこの法律改正はとにかく従来のものより一歩前進であるということを考えております。昨日もだいぶ後退でないかという御意見でありましたが、私は前進だと思います。しかしながら日本の森林培養はこの程度ではいかぬ。一日も早く抜本的な森林行政の改革を行なっていただきたいということが一つの意見であります。それについて卑近な例を申し上げて御意見を承わりたいのです。通産省の御意見あるいはいろいろな有識者といわれる方々の御意見を承わっておりますと、森林の培養とあわせて木材利用合理化が強く叫ばれておるが、利用合理化ではなくて、利用縮小、萎縮の計画がなされているという面もあるので非常に私は残念に思います。少くとも日本の実情においては、もっと木材を使えるような態勢にならなければならぬ。従って森林はそれに対応するだけの増産をはからなければならぬ。にもかかわらず木材を使わないで鉄にかえるとかセメントにかえるということ、あるいはまた集約的な効率的な利用のために化学工業に転換するとかいうような考え方は現状下においてはやむを得ないことであり、またそういう方向も将来においても必要でありますが、そのことのために森林が没却されることはいかぬと思います。そこで御意見を承わりたい。森林政策の基本法である森林法はちょいちょい改正されますが、極端な言葉を使えば、こんな小手先のことばかりおやりにならないで、もっと抜本的な改革をおやりになる御意思がおありにならないかどうか。その一つの理由を考えてみますと、まず第一に考えなければならぬのは、日本の国土、国柄自体もそうですが、森林の歴史や生成発展の過程を見ますと、やむを得ないといえばそれまでですけれども、一番大切なことは何といってもこの林野の所有権の問題、あるいはまた広くいえば、この土地の利用区分の問題が適正化されない限りは、なかなか森林の抜本的な政策、りっぱな政策というものは完成しないのではないか、こういうふうに思うのです。それからもう一つは、林種転換であるとか、林相改良ということは、これは現実の上に立ってやることであって、何もこれが理想の方法でもなければ、あるいはまた伐期齢級を引き下げることによって効率を上げるということも、これは現実の上に立って解決の一つの手段にすぎないのであって、抜本的な方法とは私は信じ切れない、そういうふうに考えまして、私は何とか近い将来において基本的な林政改革をおやりになっていただきたい。その一つとして国土の利用区分の適正化を一歩前進すると同時に、森林所有権の問題、森林所有権をこのままの姿に置いて果してほんとうに日本の森林の培養育成ができるかどうかということに考えを及ぼして御検討なさっておられるかどうか、この点をちょっとお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/156
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157・石谷憲男
○石谷政府委員 高度な総合的な、合理的な土地利用という見地に立ちましての土地の利用区分というものにつきましては、まだまだ問題を確立して参る上に非常に大きく取り残されておるものがあるように思うわけであります。従いまして、そういうことからいたしまして森林そのものが地域的にも非常に不安定な状態にあるという現状はいなめないのでありまして、現在の林業用地は、必ずしも今後永劫に林業用地としての計画の上に乗っけて規律して参るということには相ならないということでございまするが、この問題につきましては、ひとり森林法の立場から、あるいは林業政策の立場からのみこの問題を取り上げて解決するということのためには、まだ若干ほど遠い状況にあるのではなかろうか、私どもかように考えておるわけでございまするが、少くとも現実に当面いたしておる状況からいいますると、土地利用としての林業というものが今後内部的に果して参らなければならぬ役割というものは、産業の発展とともに、従いまして国民経済の伸展に合せましてますます重要度が高まっておるという見地から、従来の林業政策というものを十分に顧みまして、その上に必要なものにつきましては再編成を考えて参るというようなことは、時局の要請としてやはり考えていくべき段階ではなかろうか、こういうこととあわせまして森林法の改正問題というものが、今後起るといたしまするならば十分に起り得るのじゃなかろうか、私どもはかように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/157
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158・本名武
○本名委員 長官もそういうふうにお考えになっておられるということは非常にけっこうなことですが、やはり社会情勢その他関連の——憲法から始まって民法に至るまでいろいろ関連があるでしょうが、私は、小手先だけの森林法の改正ということを思い切って早く打ち破れるような情勢を客観的にも作り上げていくことが必要であると思う。今後において林野庁等の御意見も重ねてお伺いしながらこの問題を解決していきたいと思っておりますが、それについて具体的に一つ申し上げて御意見を承わりたいと思いますが、私どもは、農林行政というものをどうしてもこれを一体化して、森林政策というものも日本の農林行政の一環としてぜひ再検討をしていきたい、こう思っておるのであります。さっき所有権などというばく然としたことを申し上げましたけれども私は将来どうしても農業に林業を組み入れなければならぬ、極端な言葉を使いますと、私は林業なんというものは農業の一環として考えていくことの方がほんとうに森林を育成する上に適切な道である、その上に立った林業政策でなければいかぬとさえ思っているのであります。これらについて国費は分収林の形式を初めといたしましていろいろ投下しております。その投下される姿が何か一つの基本的な、新しい抜本的な行き方に立っていなければ、あるいは所期の需給計画が狂ったり、あるいはまた土地の利用が健全に行われないという結果を毎年繰り返していくという意味で、その面からもやはり新しく考え方を変えるという御構想がないかどうかということを承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/158
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159・石谷憲男
○石谷政府委員 お説のように林業経営自体は決して単独、独立にあり得るものではなくして広い意味の農家経営の一環として配されるべきであるということにつきましては、私どもしごく同感でございます。林野行政だけを抽出いたしましてさまざまな作り立てをするということにつきましては、大いに反省する必要があるという点は全く同感でございますが、その結果として出て参りまするいわゆる高度の林産物というものが、国民経済の上に不可欠な材料として大きな意義を持っておるということからいたしましたいわゆる国としての資源政策的な面というものは、それにもかかわりませず、一つの基本的な問題を提供するというように私どもは考えておりまして、経営自体の中に含まれております本来的な公共公益性と申しますか、そういう面の問題も、それあるがゆえにこれを取り除いて考えるわけにもいかないというところにやはり問題があろうかと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/159
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160・本名武
○本名委員 時間もないので具体的な問題は今後に残すといたしましても、私はどうも、今までの林野行政というものが、林野庁だけの責任において、いい言葉を使えば御苦心なさっておられる、悪く言えば独走の余り苦しんでおられるというふうに見られるのでありますが、どうか今後において、大きな角度から日本の森林をどう守り抜くか、どう育成するかということをぜひ抜本的に近い将来において御検討なさって、その上に立った国有林であり、特殊林であり、経済林であるという活用の方途が生じてくるような行き方をおとり下さるように希望いたしまして、私はこれで質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/160
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161・吉川久衛
○吉川(久)委員長代理 笹山茂太郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/161
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162・笹山茂太郎
○笹山委員 時間がありませんので簡単にお尋ねしますが、今度の法律改正の重点は、何と申しましても広葉樹の伐採許可制というものを届出制に改めるという点が重点だろうと思いますが、立法当初昭和二十六年当時の将来の木材の需給関係の見通しは、大体広葉樹林については需給関係が将来非常に逼迫し、現在の蓄積の状況におきましては、十年かそこらで資源が尽きるのではないかという予想があり、針葉樹については三十年くらい持つのではないかというような予想がされておりましたが、先般来の質疑応答を伺っておりますると、広葉樹の方はむしろ需給関係が非常に好転しておるというふうに承わっておるのでありますが、その間のいわゆる情勢の変化と申しますか、あるいはまた再調査した結果、蓄積量が広葉樹の方は予想外に多かったというような面と、薪炭の需要が激減したというような情勢の変化があると思うのでございますが、その情勢の変化というものを一つ長官から承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/162
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163・石谷憲男
○石谷政府委員 昭和二十六年の当時におきまして現行の森林法の改正が行われ、特に森林計画制度がその前の施業案制度にとってかわりました当時の状況下における見通しといたしましては、用材林、薪炭林、あるいは針葉樹林、広葉樹林を問わないで、幼壮齢樹に対する伐採要請が非常に強く加わっておるという状況からいたしまして、これらのものについて伐採の規制を行わずしてはとうてい森林生産力の回復はあり得ないということが一般に考えられたわけでありまして、昨日申し上げました二千九十六の森林区というものに対して、ある一定の年齢に達するまでの間におきまして、あくまでも申請によって許可制度をとって参るということを実は実施いたしました当時の予測といたしましては、おそらく全森林区にわたりまして許容し得る限度を超過して伐採の許可の申請があるものというふうに私ども考えて参ったわけでございますが、昨日御説明いたしましたように、針葉樹の場合におきましては、全体の許容限度に対しまして許可の申請数量は大体七割五分くらい、残りの二割五分というものは許容限度に達しない。それから広葉樹につきましては四割幾らということでございます。それから森林区の数からいいましても、許容限度を超過して伐採許可の申請のありましたものは、特に広葉樹については用材林の場合で全体の森林区の一割七分、薪炭林の場合についてはわずかに六分というような非常に低率を現実に示しておるということが一つあるわけでございます。これは当時の私どもの予想に対しましては非常に大きく違っておるわけでございまして、この点が一点。
それからその後五カ年にわたりまして森林調査を実施いたしておったのでございますが、一応昭和二十六年の森林法改正当時の状態に対しましては、蓄積再調査の結果一応広葉樹、針葉樹を合せまして六億ばかりの蓄積増というものが明らかになったのであります。もちろんこの調査の精度ということにつきましての問題もあろうかと思いますが、一応調査の結果はそういうことになっておる。こういうこと。それから、確かにその当時の情勢から見まして、近年は特に広葉樹を用材として使用する事業が進んでおりますけれども、それは広葉樹用材林と考えた地域が伸びておるというよりも、むしろ従来薪炭林として、薪炭の供給のみを考えておったものに対しましてパルプその他の材料としてどんどんこれを利用していくというような、薪炭林に対する食い込みが始まっておるという状況である、あるいは薪炭材そのものの消費が確かに漸減ないしは需要の横ばいというような状況でありまして、当時私どもが非常に強く伐採の要請があるように考えました事態に対する見通しの誤まり、それからその後の蓄積調査に基きます資源関係、それから今後の消費動向といったようなものから考えて参りますと、一応やはりこの辺で伐採許可制度の対象からは取り除いてもさしたる弊害はないのではないか。一方針葉樹につきましては近年の需要増大の傾向がますます将来激しくなるというような見通しに立ちまするならば、非常に問題が残って参るのではないか、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/163
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164・笹山茂太郎
○笹山委員 ただいまの長官の説明で大体立法当時と現在と情勢が相当変化しておるということはよくわかりました。そこで、今度幼齢林の許可制を改めて届出制にするということでございますが、従来の届出制の実施の状況にかんがみまして、今後行うところの広葉樹の幼齢林の届出制というものはほんとうによく実行される見通しがあるかどうか、あるいはまたこれが励行されないで、もう広葉樹林については勝手な伐採が行われるということになりますか、その辺の見通しを承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/164
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165・石谷憲男
○石谷政府委員 実は従来届出制によってやっておりましたものの件数は約四十万件あります。今度は許可によってやっておりましたものが、用材林が約十五万件、薪炭林が約十五万件、計三十万となっておりまして、一応そのうちの十五万件というものが届出制に変るということに相なるわけであります。そこで、届出制によるもので伐採いたしました跡地の確認ということにつきましては、なかなか十分に確認できるということには相なりかねると思いますけれども、私は届出制に変ったということだけで伐採が急激に伸びて参るとかいうことは考えられないのじゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/165
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166・笹山茂太郎
○笹山委員 従来の統計から見ましても、大体伐採の許可申請数量に対しまして許可数量は相当削減されておるようなわけでございますが、これらの点から考えると、長官は伐採は急速に促進されないというような見通しでございますが、従来の不許可になった分については、今度は自由闊達になるわけでございますから、この分については促進されるというふうに考えられます。伐採の促進はある程度けっこうでございますが、それによってせっかく立てたところの植伐均衡を主とする森林計画それ自体が空文になるということは何よりも避けなければならぬ問題であると思いますので、こうした伐採の許可そのものが届出制に変ったということではありますけれども、森林計画を立てたところの目的そのものが十分達せられるように行政その他については十分考慮しなければならぬと思うのでございます。従って、それらの関係につきまして長官といたしましては、今度の改正の方針をよく地方の方にこれを納得させるという点についてどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/166
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167・石谷憲男
○石谷政府委員 先ほどちょっと触れましたように、昭和二十六年の森林法改正前はいわゆる森林組合の施業案というものをとっておりまして、これは昭和十四年の森林法改正によりまして森林組合ごとに施業案を作ってこれによって植伐の均衡維持をはかって参る、こういう趣旨でやっておったのであります。そのときに、この案を作りますための森林調査が実は行われたわけでございます。ところが、これが戦争に入り、戦後再開をいたしたのでございまするが、一応全地域に対しまして一わたりの調査が完了いたしましたのは昭和二十五年であったわけであります。ところで、二十六年の森林法改正によりましてこれらの同一対象の森林につきまして現行の森林計画制度に基く森林計画の再編成をいたしました。その五年間にわたる期間中に再度森林の調査をいたしたのでありますが、これらの調査の主点はあくまでも森林の地域面積の確定あるいはその上に立っております立木蓄積の改訂、さらにはこれらのものの成長量の査定というようなところにあったのでございまして、森林計画自体の内容といたしましてはいまだきわめて不十分なものがあったわけでありますが、一巡を終えました昭和三十二年度からまたこれを具体的に再編成をいたすということになっておりまして、ここに必要な調査資料等も一応できておるわけでございますが、この調査の段階におきましては、具体的にその期間中に林種の改良をするような対象森林を確定いたしまするとか、それらのものにつきまして指導上のよりかかりになりますところの造林方法なり造林樹なりの選定問題までも含めて参るというような、かなり林業の細部にわたって指導の目標が提供できるような案にいたすために必要な調査をいわば第三次の調査としてやって参りたい、かように考えておりまして、これらの計画の内容を一応具体的に調査の方法とともに決定をいたしまするならば、都道府県に十分周知徹底をはかりまして、そのような面からただいま御指摘のありましたようなことのないようにいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/167
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168・笹山茂太郎
○笹山委員 立法当時におきましては、第十六条にありますところのただし書きの除伐の規定については、年一回の許可と関連をして提案者が答弁があるようでございますが、今度年一回が二回になり、今度の改正で四回になるわけでありますが、そうすると二割の増伐ということがだいぶ趣きが変ってくると思いますが、現在そういうふうにやはり運用されていくつもりでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/168
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169・石谷憲男
○石谷政府委員 年二割の増伐と申すことは、いわゆる森林区施業案五カ年計画がありまして、それを森林区実施計画という毎年計画に実はおろしていく場合でございますが、そういう場合にその年々のいわゆる標準量の二割までの増伐ができるという、こういう措置を実は考えて参ったわけであります。ですから当時年一回というふうにいたしましたのは、先ほど御説明申し上げましたように当然全森林区にわたりまして用材林、薪炭林とで伐採の許容限度をはかるに超過した伐採の許可申請というものがあるわけでございます。そうしますと、受付の時点を一つにいたしまして取捨選択を公正にするという必要がある関係上、むしろ一回ということでいいんじゃなかろうかということで一回にしたわけでございますが、その後実施をいたして参りましたところが、なかなか一回の許可申請の受付だけでは許容限度に達しないということで、事務上の問題もあわせ考えまして、二回にいたして参った、こういう状況であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/169
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170・笹山茂太郎
○笹山委員 その許可をする場合においては、伐期ということが非常に重要な要素を占めるのでございますが、この伐期のきめ方いかんによっては非常に運用が違ってくると思うのでございます。ところが最近国有林の経営について、行政管理庁から一つ報告雷が出ておるのでございますが、これによりますと、国有林野事業特別会計の行なっておるといころの事業の運用を見ると、伐期のきめ方が適正ではないというふうな意味合いのことを勧告されておるのであります。ところがこれが新聞に出まして業界に伝わりますと、業界の方では原木難の際でございますから、国有林をもっと切ればいいじゃないかというようなことが一面にあるわけでございまして、どうも行政管理庁から出た勧告によりますと、政府の一方ではもっと国有林を切るべしという主張があり、また営林当局は現在の伐採量でけっこうだ、こういうような相矛盾するところの対立が出ておって、非常に混迷を与えておるような状況でございます。十年伐期を下げるというような事柄については、ここにいろいろ勧告の内容があるわけでございますが、この実態調査の範囲というものは、この表に現われたところによりますと、全林野の経営区のきわめて小部分の経営区しか対象にしておらないところの調査に基いておるのでございますが、こういうようなことで国有林野事業特別会計の全部の事業の運営について、やはりこの勧告の伐期引き下げということについて適正と思っておるかどうかを、行政管理庁の方に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/170
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171・藤井香
○藤井説明員 ただいまのお話、われわれが伐期を下げるというように申し上げたのは、ここにも書いてあると思いますが、ただいまおっしゃいました通り、われわれの伐期引き下げについての試算をいたしました対象は、きわめてわずかな作業級を取り上げてやったわけでありまして、その結果がそこに現われております、従ってこれをどの程度全国的に及ぼしていくかということになりますと、これは年々によって違いますので、でき得る作業級、下げ得る作業級について下げていくということを勧告したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/171
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172・笹山茂太郎
○笹山委員 しかしこうした勧告が出ますると、あなたの方の考え方は、下げ得るところは下げる、下げ得ないところは下げないでいいというような文面にはこれは見えないわけでございまして、あたかも国有林野事業特別会計か切り惜しみをしている、そのために原木難が非常に起きておるというような印象しか与えないと思うのでございます。従ってかようなことについては林野庁当局と何か話し合いによって十分審議したことがあるかどうか、その点について伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/172
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173・藤井香
○藤井説明員 お手元に差し上げております中の勧告に、ただいま私が申し上げましたようなことが書いてございますが、一応われわれの試算の範囲では、こういうところもあるのだ、その点についてでき得る範囲のものを個々に検討した上でやったらどうであろうかという勧告をしたのでありますが、この点につきましては、林野庁とは、これは長官初め全部と打ち合せ済みというような意味ではございませんが、事務当局の間では、われわれの監察を始めます初めから現在に至るまで、いろいろの打ち合せをいたしまして、一応の勧告となっているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/173
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174・笹山茂太郎
○笹山委員 あなたの方の勧告の内容にあった考え方といいますか、この伐期のきめ方については、それぞれのもよりの市場とか、あるいはその当時の経済情勢、そういうところからこの伐期の適否を判断した、こういうことでございますが、ここに書いてあるところは北海道の最近の伐木の実態を見ると、小径木が案外多いのだから、伐期をこの程度に引き下げてもいいのではないかというようにも見られるような文章でございますが、生産量というものを考えて植伐の均衡をとるというような思想は、やはりこの中に入っているのかどうか、こういう点についてお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/174
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175・藤井香
○藤井説明員 ただいまのお話は、われわれが一応試算いたしました中には、もちろん生長量の観念も入っております。従って生長量をもとにいたしました標準年伐量というものをもとにいたしまして、決して山は荒れないという考えのもとに申しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/175
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176・笹山茂太郎
○笹山委員 こうした勧告が林野庁当局になされたわけでございますが、林野庁としては、この勧告に対しましてどういうふうにお考えになり、また今後どういうふうに対処していかれるつもりでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/176
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177・石谷憲男
○石谷政府委員 こういう問題が数多い問題の中で取り上げられました一つの経緯と申すべきものは、やはり極力森林の生産力を高めて参らなければならぬ、こういうことから来ているのではないかと思うわけでございまして、この勧告によりますと、その試算の結果によると、一応概要として伐採量が一割三分ぐらい引き上っているというような結論も出ているように考えられるのでありますが、私どもといたしましては、一般論といたしましては、もちろん森林の生産力を極力引き上げて参るという方向で努力いたしますのは当然でございますが、それらのものが、適切に消化されて参るということのためには、先ほどの御質問の中にもありましたように、それぞれの生産地域が結びついている市場の特性というものがあるわけであります。そういう関係というものが大きく変化を受けません限りにおきましては、いたずらに北海道で生産いたしましたものを九州の南まで持っていくというような考え方に基く策は講ぜられないわけでございまして、国有林は具体的に個々の生産現場とそれに見合う市場、こういうものの関連においてそれぞれの伐期をきめていきたい。要するに利用伐期という考え方においてやはり伐期をきめていっているということでございます。生長量で年伐標準量というものを算定する基本的な原則の上には立っておりますけれども、その上に立ってなおかつ今申し上げたようなやり方が有利だ、それから、そういう限りにおきまして植伐の均衡というものが全体的に保ち得る、こういうことでございますので、勧告の趣旨は十分に私どもの反省の資として活用いたさなければならぬと思うのでございますが、ただ単に生長量の増大、従って伐採量の増大そのことが直ちに収支の改善に役立つということには同調できないというように考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/177
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178・笹山茂太郎
○笹山委員 今林野庁長官のお答えによりますと、一つの資料として考えるということでございますが、それはそれでけっこうだと思うのでございますが、政府の部内におきまして、こうした大きな問題について、一方においてどうも不適正であるというようなことは、これは単に会計の監査とかそういった問題でなくて、国有林の施業案といいますか、計画案の根本に触れた問題でございますので、これが妥当であるとか妥当でないとかいう判断については、政府間においてそう食い違いがあってはならぬ問題だと思うのでございます。従ってこうした勧告が新聞に大きく出され、地方の人はこれによって迷いを生ずる、そういう場合においては、林野庁長官としては専門でございますから、こういう勧告があったけれもど、こういうふうにわれわれは林政を取り扱うのだということをはっきり言明された方が低迷を来たさないでいいのじゃないかと思うのでございます。いつかの機会におきまして、この勧告があったけれども林野行政はこういうふうにするのだというふうに公表されるおつもりはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/178
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179・石谷憲男
○石谷政府委員 国有林につきましては時代の要請によりまして事業全体に対する内容の検討を現在いろいろ加えつつある段階でございますので、これらの見通しを得次第これらの勧告に対しまする私どもの最終的なる所見は発表いたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/179
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180・笹山茂太郎
○笹山委員 この問題についてはこの程度にいたしまして、広葉樹の問題について最近ユーカリとかあるいはイタリアポプラ、そうした方面が地方によりましては相当造林奨励の対象になっておるようでございますが、こうした問題について林野庁当局としましてはどの程度試験を行い、将来のこれらの造林資源の増大についてどの程度奨励策を講ぜられるつもりであるのか、この点について伺いたいと思いしふす。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/180
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181・石谷憲男
○石谷政府委員 従来この外国産の特殊な広葉樹につきましては、きわめて狭い範囲の試みといたしまして、これらの造林をはかり増殖をいたしてきたわけでございますが、必ずしも一定の計画のもとにこれらの増殖試験というふうなものをいたしたわけではございません。確かにユーカリにいたしましてもイタリアポプラにいたしましてもその他アカシアにいたしましても、適地を得られさえすれば短期間に非常に旺盛な生長を示しまして、それぞれ生育を期待できるという見通しがあるというわけでございますけれども、これらが果してどのような地域にまで適応するかといういわゆる現地適応のための試験調査がきわめて不十分でありますので、なかなか積極的に造林樹種として採用するという域に至っておらないという状況でありますが、一部は試験場、一部は応用研究費によりまして適用地域についての調査をしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/181
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182・笹山茂太郎
○笹山委員 今度の改正の一つの要綱は、公有林について知事が認定した場合においては特例の許容限度を定めるというふうになっておるのでございますが、特別の許容限度というものの内容なり考え方について伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/182
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183・石谷憲男
○石谷政府委員 民有林の場合におきましては、許容限度のきめ方はやはり生長量原則に基いておる、こういうことでございまして、これはあくまでも森林区ごとにきめられて参るべきものでございますが、その森林区全体の許容限度の中におきまして、特に公有林の経営計画を編成いたしまする対象のものにつきましては、内輪ではありますが別立てのものとして掲上をする、こういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/183
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184・吉川久衛
○吉川(久)委員長代理 楯兼次郎君から特に発言を求められております。これを許します。簡単に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/184
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185・楯兼次郎
○楯委員 私は長官に聞いたりお願いをしたいのでありますが、特に委員長がそういうことを言われますので、簡単に一つ結論だけ申し上げます。
これはこの前の委員会でも私長官にお願いをしておいたのでありますが、国有林の払い下げについて、営林署の各地区によって異なると思いますが、地元の零細企業あるいは公共団体に特に優先的に払い下げを行なってもらいたいということです。私はいろいろ具体的な例を知っておりますが、それは申し上げません。少くとも年間使用量五百石か一千石くらいまでは満配の形ぐらいにしてもいいのではないか。特にひどい営林署になりますと、どうもお前は社会党系だから材木の払い下げはやらぬ。私どもの地元で、ちょいちょい陳情を受けたり様子を見ておりますと、特定の大きな業者が非常にたくさん払い下げを受けて、小さい企業が倒産をしておるという例が多いのです。私ども地元へ帰りますと、こういう零細の企業から盛んにその苦情が聞かれます。この前も申し上げたのでありますが、そうした連中が行ってお願いをしたときには、あの材木は売らないんだ、こう言いながら、特定の人には時期を少し経て払い下げをしておる、こういう例もあります。私がおそれますのは、今全購連がああした問題を起しておりますが、規模は小さいけれども、必ずやあのような涜職といいますか汚職といいますか、そういう問題が起きてくる、こういうことも憂慮されますので、この点を再度私はこの委員会で長官にお願いをするわけでありますが、一つ公共用並びに零細企業に、大した量じゃないのですから、優先的に払い下げてこれらを救ってもらう、そういうことを徹底していただきたいと思います。多くは言いません。委員長の注意がありましたので簡単に結論だけ申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/185
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186・石谷憲男
○石谷政府委員 国有林の売り払いをいたします場合に、地元優先という考え方で処理いたしておることにつきましては、従来幾度も実情を申し上げておる通りでございますが、同じ地元工場に対しましても、特に零細なものでその人たちのお作りになっております協同組合というようなものにつきまして、その稼業のための材料を供給するようなものは、これは最優先的にいたしたいと考えておるのであります。ただし随意契約によって売り払います場合の対象はあくまで製造業者の原材料を最小限度確実に売り払って参る、こういう原則に立っておりますので、何がしかやはり製造業者ということの必要はあろうかと思います。それから地元の公共用材等につきましては、これはまた随意契約によりましてきわめて優先的に売り払うという道が開かれておりますので、そういう方向でやるように努めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/186
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187・吉川久衛
○吉川(久)委員長代理 先刻笹山委員の質問に対して、行政管理庁から補足答弁をしたいということでございます。これを許します。藤井監察官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/187
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188・藤井香
○藤井説明員 ちょっと補足させていただきます。先ほど行管の方では不適正だということで指摘しておったというようなことでございましたが、不適正ということは全然考えておりませんし、またそういう指摘はしておりません。そうでなくて、非常に小部分ではあるけれども、われわれがやったところによりますと、なお伐期を引き下げる余地がある、だから一つ考究していただきたいということを申し上げたのであります。もちろん伐期引き下げを実行するということになりますと、いろいろな問題が起きて参りますので、この支度もして参らなければいけません。ですから今すぐどうするということもこれはできるものではないということも私ども承知しております。従って林野庁に対しまして申し上げた勧告には、きわめて抽象的ではありますが、なお余地があるということを申し上げておるのであります。その点一つ御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/188
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189・吉川久衛
○吉川(久)委員長代理 本日の審査はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会をいたします。
午後五時十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X03019570418/189
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