1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年五月十三日(月曜日)
午前十一時二十一分開議
出席委員
委員長 小枝 一雄君
理事 吉川 久衛君 理事 笹山茂太郎君
理事 白浜 仁吉君 理事 助川 良平君
理事 田口長治郎君 理事 芳賀 貢君
五十嵐吉藏君 石坂 繁君
木村 文男君 鈴木 善幸君
綱島 正興君 永山 忠則君
原 捨思君 本名 武君
松浦 東介君 松野 頼三君
阿部 五郎君 赤路 友藏君
足鹿 覺君 石田 宥全君
石山 權作君
出席国務大臣
農 林 大 臣 井出一太郎君
出席政府委員
農林事務官
(農林経済局
長) 渡部 伍良君
農林事務官
(水産庁次長) 奧原日出男君
委員外の出席者
農林事務官
(農林経済局農
業保険課長) 丹羽雅次郎君
専 門 員 岩隈 博君
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五月十三日
委員田中利勝君辞任につき、その補欠として阿
部五郎君が議長の指名で委員に選任された。
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五月十一日
水源林造成事業の推進に関する請願(西村彰一
君紹介)(第三〇三二号)
農民相続審議会設置等に関する請願(吉川久衛
君紹介)(第三〇五四号)
鹿屋市に国立竹林試験場設置に関する請願(二
階堂進君紹介)(第三〇五五号)
鹿屋市に国立苗畑設置に関する請願(二階堂進
君紹介)(第三〇五六号)
地方競馬制度審議会設置に関する請願(山村新
治郎紹介)(第三〇五七号)
七ケ宿村内国有林特別払下げ等に関する請願(
佐々木更三君紹介)(第三〇九四号)
農業共済組合費の軽減等に関する請願(木村文
男君紹介)(第三一一六号)
韓国抑留船員の救済等に関する請願(山本利壽
君紹介)(第三一一七号)
水産物価格安定策に関する請願(鈴木善幸君紹
介)(第三一一八号)
簡易潜水器使用者の登録制実施に関する請願(
鈴木善幸君紹介)(第三一一九号)
沿岸漁船整備促進要綱に基く農林漁業資金借入
条件緩和に関する請願(鈴木善幸君紹介)(第
三一二〇号)
漁業共済制度の確立に関する請願(鈴木善幸君
紹介)(第三一二一号)
漁業法の一部改正に関する請願(鈴木善幸君紹
介)(第三一二二号)
中型かつお、まぐろ漁業取締規則の改正に関す
る請願(鈴木善幸君紹介)(第三一二三号)
水産業協同組合法の一部改正に関する請願(鈴
木善幸君紹介)(第三一二四号)
暴風浪による漁業災害復旧費融資の償還期限延
長に関する請願(鈴木善幸君紹介)(第三一二
五号)
中小漁業融資保証保険料逓減に関する請願(鈴
木善幸君紹介)(第三一六号)
の審査を本委員会に付託された。
五月十一日
自作農維持創設資金増額に関する陳情書
(第九五七号)
漁族保護のため水質汚濁防止法等制定に関する
陳情書
(第九五
九号)
ビール麦育種指定試験事業費全額国庫負担に関
する陳情書(第九六二
号)
国土緑化大会熊本県誘致に関する陳情書
(第九六三号)
同(
第一〇一八号)
浅海増殖開発補助金増額等に関する陳情書
(第一〇一六号)
国土緑化大会鹿児島県誘致に関する陳情書外一
件
(第一〇一七号)
昭和三十二年度産米穀予約売渡制に関する陳情
書
(第一〇
一九号)
農林省奥羽種畜牧場青森分場を独立機関に昇格
の陳情書(第一
〇二〇号)
枕崎港修築費増額に関する陳情書
(第一〇二二号)
を本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
農業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣
提出第一三一号)
農業災害補償法臨時特例法を廃止する法律案(
内閣提出第一三二号)
農業災害補償法第百七条第四項の共済掛金標準
率の改訂の臨時特例に関する法律案(内閣提出
第一三三号)
輸出水産業の振興に関する法律の一部を改正す
る法律案起草に関する件
農業用電力料金に関する件
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X04019570513/0
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001・小枝一雄
○小枝委員長 これより会議を開きます。さきに本委員会において、水産に関する小委員長より、小委員会の起草かかる輸出水産業の振興に関する法律の一部を改正する法律案について報口を聴取いたしたのでありますが、本日の小委員会においてさらに検討の結果、さきの成案を改め、ただいまお手元に配付いたしてある通りの案が提出されておりますので、この際小委員長より小委員会の経過並びに結果について報告を聴取することにいたします。
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水産に関する小委員長鈴木善幸君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X04019570513/1
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002・鈴木善幸
○鈴木(善)委員 輸出水産業の振興に関する法律の一部を改正する法律案の起草につきましては、去る七日の委員会において御報告申し上げたのでございますが、その後小委員会等において検討いたしました結果、若干追加補正いたしたい点がございますので、重ねて御報告申し上げます。
次にその要旨を御説明申し上げます。
まず第一点は、農林大臣か規制命令の制定もしくは改正あるいは指定機関の業務方法等の認可または指定機関に対する監督命令をしようとするときは、通商産業大臣の同意を得ることにいたした点であります。
第二点は、公正取引委員会との関係において、調整規定について、十日前までに農林大臣に届け出ることになっているのを二十日前とする等、多少の字句的修正をした点であります。
これが案文につきましてはお手元に御配付してある通りでありますので、この点を含めて委員会提案としてお取扱い下さいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X04019570513/2
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003・小枝一雄
○小枝委員長 ただいまの小委員長の報告に対し、御意見なり質疑かあれはこれを許します。——別に御発言もなければ、この際お諮りいたします。本日小委員長より御報告されました、水産に関する小委員会の起草にかかる輸出水産業の振興に関する法律の一部を改正する法律案を本委員会の成案とし、これを委員会提出の法律案とするに賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X04019570513/3
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004・小枝一雄
○小枝委員長 起立総員。よって委員会提出の法律案とすることに決定いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X04019570513/4
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005・小枝一雄
○小枝委員長 農業災害補償法の一部を改正する法律案、農業災害補償法臨時特例法を廃止する法律案及び農業災害補償法第百七条第四項の共済掛金標準率の改訂の臨時特例に関する法律案、以上三案を一括して議題といたし、審査を進めます。質疑を続行いたします。芳賀貢君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X04019570513/5
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006・芳賀貢
○芳賀委員 農業災害補償法の一部を改正する法律案に対して、農林大臣にお尋ねしたいと思います。共済法の改正に対しては、農林大臣におかれても、前農林委員長時代においても深く関心を寄せておられたわけですが、今回の改正に当りましては、私どもの立場から見ると、非常に不満足な改正案の内容でありますので、先般来質疑を続けてきたわけでありますが、特に今回の法律改正に当りましては、表面上法律の条文等による改正よりも、むしろ今後の運用いかんが非常に大事な問題でありまするし、特に政令等にまかせられた点が非常に多いということは、大臣も御承知の通りでありますからして、それらの点に対しまして、重要な点だけをお尋ねしたいと思います。
第一の点は、今日の農作物共済の基準収量の問題でありますが、実際の収穫高に比べまして、共済関係の基準反収というものは、実情にふさわしくないようなことになっているわけであります。ですから、この基準反収が非常に低位に置かれるということは、結局現地における損害評価等の問題にも関連いたしまして、末端の適正なる損害評価を行う場合においては、やはり妥当なる基準を設定するということがどうしても先決条件になると思います。この基準反収の問題につきましては、これは農政一般の問題といたしましても、現在では大体全国の平年反収が二石二斗を基準にして、六千六百万石ということがいわれておりますけれども、その実態というものは、それをすでに上回って、おそらく実収においては七千万石台が今日の平年時における収穫の実態ではないかというように考えられますが、この共済関係の基準反収を上げるということは、すなわち全般の食糧関係の問題にも影響するところもあるし、農政関係にも大きな影響をもたらすということは、われわれとしても十分承知しておりますが、ただ単に基準反収を低位のところに置いて農政を進めていくという時代は、もう過ぎたようにも感ぜられますので、この点に対しまして農林大臣の所見をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X04019570513/6
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007・井出一太郎
○井出国務大臣 ただいま御指摘のありましたように、今回の改正はあるいは政令にゆだねられた、ないしは運営の面に当って、それに託された部分というふうなものが相当多いことは確かでございます。従いまして成立いたししました暁は、十分にその辺も考慮をいたしまして、誤まりなきを期したいと考えております。
なお基準反収の問題でございますが、現在は趨勢値によってきめられた平年作というものを、反収の基準にいたしておるわけでございますが、これにつきましてただいまるる述べられましたような御批判もございまするので、十分に検討をいたしまして御趣旨の実現をはかりたい、このように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X04019570513/7
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008・芳賀貢
○芳賀委員 その点をもう少し具体的に大臣の責任において述べてもらいたいのです。現在までは昭和元年以降の趨勢値が基準反収の基礎をなしておるわけですが、この方式でいくと期待に沿ったようなことにならないのです。だから今日まで採用したこの基準反収の設定の方法というものをどういうふうに具体的に改訂して実情に即したようになさるお考えであるか、この点は非常に大事な点でありますからして、もう少し具体的にこういうふうにやりたいとか、こうするというような点をぜひ明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X04019570513/8
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009・井出一太郎
○井出国務大臣 まだその方式の問題につきまして、具体的にさしあたりどうするかというところまでお示しをいたすわけには参りませんが、確かに従来のあり方につきましては現実にマッチしない面が多々ございまするので、それを改正するという方向において検討の機会を持たせていただきたい、かように存ずるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X04019570513/9
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010・芳賀貢
○芳賀委員 その点に対してはこの法律の改正の施行は昭和三十三年ということになっておりますが、これは直ちに着手すれば、たとえば今年度の分からでもやればやれるということになると思うのですが、それらの点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X04019570513/10
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011・井出一太郎
○井出国務大臣 三十三年から実施をいたしますのに果して間に合いますかいなか、その辺は少しくむずかしいというふうに思うのでありますが、極力取り急ぎまして検討を開始いたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X04019570513/11
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012・芳賀貢
○芳賀委員 第二点でお尋ねしたい点は、これは損害評価の末端の問題ですが、従来当委員会において以前から検討した問題といたしましては、市町村段階における損害評価の方式に対しては、従来のように共済組合のみにまかせられた自主的な損害評価の方式でやるのでは、結果的にそれが十分その通りにいかないということが毎年のように繰り返されておりますので、この際末端の損害評価の場合において、国の統計調査機関が末端の評価の、たとえば損害評価会等に参加して具体的に末端における損害の評価を行なって、それがゆるぎないものとして、最終的に承認されるようなことに持っていかなければ、今回の改正法に対しても十分の実効を上げることはできないと思うわけなのですが、この点につきましても今日までの政府当局の答弁によっては、十分期待に沿うような明確な答弁がまだ得られておらないわけなんです。これは改正点でも非常に大事な問題でありますので、末端の損害評価をやる場合に、必ず国の統計調査機関が市町村段階の損害評価に積極的に協力して、確実な適正な損害評価を行うということに対して、政府としてはそのような熱意をもってやるということを言明されますかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X04019570513/12
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013・井出一太郎
○井出国務大臣 損害評価の問題は、災害補償制度運営のまさにかなめに当る問題だろうと思うのであります。そこで農林省といたしましても、今回の制度改正に当りましては、あらゆる角度から慎重なる検討を行なったわけでございますが、結論といたしましては、国の機関が一方的に損害を決定するという方向も、必ずしもまだそれだけの拡充を見ておりませんし、あるいは共済団体に評価を一任するというのも従来の経験にかんがみまして適当でございません。そこで共済団体の評価と国の統計調査機構の調査とを適当に調整をするという、この建前はくずさないつもりでおるわけであります。しかし現状におきましては統計調査機構の調査もまだ万全ではありませんし、また共済団体の評価においても改善を要する点が少くないのであります。従いまして今回の改正に伴いまして、第九十八条の二で規定せられます損害評価準則におきましては、統計調査部の出先機関と共済団体との間において技術指導その他一般的連絡協調に努めて、積極的かつ緊密にこれをいたしまして、従来批判の多かった諸点について強力に改善を加える所存でございます。この措置につきましては改正法の施行を待たずに直ちに適当数の組合について試験的に実施をいたし、その成果をも勘案しつつ、一方この法改正が願われました際は、御趣旨の線に沿いまして損害評価事務の改善に努力をいたす所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X04019570513/13
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014・芳賀貢
○芳賀委員 法改正の場合には、市、町村段階あるいは都道府県の連合会に損害評価会を設置することになっておるのでありますが、今後損害評価会に対してどの程度の期待を持てるかということはまだ未知数でありますが、とにかくこういう新しい試みをする場合ですからして、この損害評価会が一つの権威を持った調査に対する積極的な行為ができるように、どうしてもしなければならぬと思いますからして、この損害評価会に対してやはり国の統計調査機関が参加して、たとえば部落における基準の設定であるとか、あるいは損害評価委員会の一筆ごとに調査した内容に対する検討であるとか、こういうものはやはり損害評価会の行うべき任務であるというふうに考えられるわけでありますが、これらの実施はやはり三十三年度からということになっておりますが、果して損害評価会を中心にして適正な運営ができるかどうかというような点に対しては、一カ年以上の間がありますからして、実験段階としてこれらの機能に対する効果がどうであるかという点に対して、やはり本年度においても適当な組合等を選定して、実施に対する実験を行うというようなことは、どうしても必要であると思いますが、この点に対しては農林大臣としてはどういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X04019570513/14
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015・井出一太郎
○井出国務大臣 先ほどもお答えを申し上げたわけでありますが、改正法の施行を待つまでに、直ちに適当数の組合を選定いたしまして、これについての試験的な実施を試みまして、ただいまの御趣旨のような線に従いまして、その成果をも勘案しながら損害評価事務の改善に資したい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X04019570513/15
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016・芳賀貢
○芳賀委員 第三点は無事戻し制度の問題でありますが、今回の改正にも無事戻しに対する特別の新しい規定というものは出ておりませんが、しかし低被害地においては、やはり無事戻し制度の実現等に対する要請が非常に強いような実情になっておりますので、この際無事戻し制度の検討にあわせて、共済組合の運営が完全にいっておる、あるいは掛金の完全徴収というような非常に事績の上っておるような組合等に対しては、何らかの特別の配慮というものが必要でないかというふうにも考えられるわけですが、これらの点に対して具体的なお考えがあればこの際示していただきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X04019570513/16
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017・井出一太郎
○井出国務大臣 無事戻し制度充実の必要性は御説の通りでございまして、今回の改正に当りましてもいろいろと検討をしたのでございますが、今回はとりあえず共済金額の選択制の拡大、及び掛金国庫負担の改善等によりまして、低被害地帯の不満の緩和をはかるということに対しまして、無事戻し制度自体につきましては、実施に要する財源等の問題もございますので、今後の研究課題といたしたわけであります。しかしながら御趣旨の点まことにごもっともでございますので、この点を十分尊重いたしまして、完全引き受け、掛金完全徴収の奨励措置等とともに検討努力を続けたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X04019570513/17
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018・芳賀貢
○芳賀委員 第四点は、共済金の早期支払いと概算払いの問題に関してでありますが、現在の共済金の支払い時期は、十二月二十五日に実収高の確定を待って、その後に共済関係の支払い等の作業が進められているが、どうしても翌年の二月ごろにならなければ共済金の支払いが行われないということになっておりますので、この点を十分改善して、被害地に対しては共済金が早期に支払いされるようにどうしてもやる必要があると思うわけです。その点と、もう一つは概算払いの問題でありますが、現行の規定によりますと、九割以上の被害、及び値付または掃き立ての不能な場合に概算払いをするということになっておりますが、この限度をたとえば七割程度くらいに引き下げて、それ以上の被害の場合においては概算払いができるというふうな運用が必要だと思うのであります。それでこの共済金の早期支払いの問題と概算金を払う場合の程度の引き下げの問題、この二点に対してお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X04019570513/18
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019・井出一太郎
○井出国務大臣 共済金の早期支払いの問題につきましては、従来災害のありました際にも、そのつど、ただいま芳賀委員の仰せられますような御要請に接したのでございます。従いまして、この点は事務機構等をも一そう刷新をいたしまして、早場地帯につきましては、少くともただいまお示しのあった十二月末というようなことでございましたが、大体において御趣旨のような時期には支払いが完了するように、またその他の地帯は、少くとも旧正月という時期には必ず共済金が被害農家の手元に達するようにと、こういう方向に処理をいたしたいと考えてあります。さらにまた概算払いの点でございますが、従来は九割以上ということでやって参りましたが、現行制度をさらに拡充いたしまして、七割程度以上の被害の場合にも概算払いができますように努める所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X04019570513/19
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020・芳賀貢
○芳賀委員 第五にお伺いたしたい点は、これは基金制度の今後の改善の問題でありますが、基金制度というのは、御承知の通り、共済事業の制度上融資的な性格を持っているわけですが、現在の基金運営の内容等を見ると、これをあくまでも独立したものとして運用しなければならぬというべき筋合いのものでないと考えられるわけです。この点に対しましては、先般同僚足鹿委員からも具体的な質疑がなされておりまして、政府といたしましても、この基金制度の問題に対しては検討を加える余地があるというような言明があったわけでありますが、これはこの法律改正と直接の関係はないといたしましても、この際基金制度に対しまして、これを今後どういうような効果的な運用をするかという点に対して、特に大臣の所見を伺っておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X04019570513/20
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021・井出一太郎
○井出国務大臣 今回の改正に当りまして、機構を簡素化すべきである、そういうような観点から先般来基金のあり方というものについてもいろいろと御議論をいただいたわけであります。そこで現在農業共済基金が連合会に対します事業不足金の融資を行なっているわけでありますが、簡素化という点からいたしますと、相当問題があろうかと思うのであります。従いましてこの基金運用団体との関係ないしは農業共済再保険特別会計との関係等を十分に検討いたしまして、御趣旨の方向に努力を傾けたい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X04019570513/21
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022・芳賀貢
○芳賀委員 第六の点は任意共済の問題であります。現在農作物に対しても任意共済はやれることになっておりますけれども、しかし問題はこの任意共済に対する国の再保険の措置が行われなければこれは全く有名無実なものになって終りますし、特に昭和二十八年の大水害の場合においても、福岡県における菜種の任意共済がその後全く行き詰まって、今日においてもそのあと始末ができないような状態に放置されていることは、大臣も御承知の通りであります。これは今後の法律改正の問題に関連するわけでありますが、たとえば大豆であるとか、あるいは菜種等の農作物に対しては、これは国が再保険の措置を講ずるようなことにして、これらの共済が具体的に推進されるようにすべきだと思いますが、これも早急に検討して実施に当るような方途を開いていただきたいと思うのですが、この点に対してはどうお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X04019570513/22
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023・井出一太郎
○井出国務大臣 大臣及び菜種につきまして、国が再保険措置を拡大する、こういうことにによって農業災害補償制度が一そう完璧を期せられるであろうという点については、私も同感でございます。ただ料率その他保険設計院の問題のみならず、農家の負担あるいは国の再保険責任等、いろいろ困難な問題もまだ現状においてはあるわけでございまして、これも今後十分に検討して参りたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X04019570513/23
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024・芳賀貢
○芳賀委員 この共済程度は、やはり大臣もお考えと思いますが、単に米麦だけでいいというわけではないと思います。今日麦の置かれている地位のごときは、もうすでに大豆とか菜種と比較しても、それほど畑作地帯において麦類のみが重要性があるということにはならないと考えております。ですから政府としても、できるだけこの共済制度の拡大に対しては、絶えず熱意を示す必要があると思いますし、この点に対しては単なる言明だけでなくて、速急に是正するような努力をしてもらいたいと思います。
それから第七点は、今回の改正によりまして、共済金あるいは賦課金等は強制徴収がされるようなことになるわけでありますが、共済金がたとえば政府の負担増等によって、縦割二分の一等の改善によって、共済掛金の面においては組合員の負担が若干軽減するようなことになっておりますが、この事務費の場合においては、何ら組合員の事務費関係の負担というものが軽減されるという道が講ぜられていないわけです。ですから共済金の負担の軽減と合せて、事務費等に対する賦課金の軽減ということは合せて行うべき問題であると思いますが、この点に対しては強制徴収ができるということ、あるいは事業主体が市町村に移行するというような場合においては、税に匹敵したような形で、保険税というような形で徴収されるような形になりますと、どうしても当事者は安易な気持で、この事業費の賦課金の増加ということを考えやすくなると思うのですが、この点に対しては、やはり承認制の強化等によって、具体的にそういう傾向を抑圧して、農家の負担の軽減の努める措置が必要であると思いますが、この点に対して大臣はどう考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X04019570513/24
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025・井出一太郎
○井出国務大臣 今回の改正によりまして、掛金の面につきましてはその軽減かはかられたわけでございます。事務費の賦課につきましても、これが強制徴収を認められる、こういうことになった次第でございます。そこでこの賦課の適正ということがまず第一に考えられなければならない点でございますが、御趣旨の線に沿いまして、農林大臣または都道府県知事の承認を求めさせて、その適正化をはかる。そうしてでき得る限り農家負担の軽減をはかって参りたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X04019570513/25
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026・芳賀貢
○芳賀委員 最後に第八点といたしまして、これは共済団体に対する政府の行政庁の監督制度の強化刷新等の問題でありますが、今回の改正のうちにおいても、若干共済団体に対する行政庁の検査あるいは監督の強化等はうたってありますけれども、これは単に共済事業団体に限らず農林省所管の主たる農業団体等に対しても、行政庁の監査とか指導の組織的な強化というものが非常に必要だと思うのです。これは単に農業団体に対して行政庁だけが厳重な監査機構とか、監督組織を設ければそれで根本的な解決ができるということは、私どもとしても考えておりませんけれども、とにかく農業団体の健全なる育成強化というような点から考えた場合においては、現在の農林省の機構内における監査あるいは監督の組織等もこの際根本的な検討を加えて、総合的な農業団体に対する監督あるいは監査の実施が行われるようなことにする措置が必要でないかというふうに考えられるわけですが、たとえば農林省設置法等の改正も行なって、その期待に沿えるような監査、監督機構の改善というものを農林大臣はどのようにお考えになっておるか、この際明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X04019570513/26
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027・井出一太郎
○井出国務大臣 農業共済団体の監督の強化に関しましては、近時の被疑事件等の発生にもかんがみまして、共済団体のみならず農業団体全般について農林省全体として考えなければならないと存じております。団体自体によるところの自治的監査機構の拡充とともに、農林省の監査機構のあり方につきましても検討を加えまして、厳正な検査の実施によって、今後被疑事件等は再び繰り返すことのないように御趣旨に沿って努力をしたいと思うのでございます。それがためには農林省設置法の改正という問題も出て参るでございましょうから、十分検討の上、その必要がある場合はもちろん設置法の改正をいたすにやぶさかでありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X04019570513/27
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028・小枝一雄
○小枝委員長 他に質疑はありませんか。——なければ質疑はこれにて終了いたしました。
この際農業災害補償法の一部を改正する法律案及び農業災害補償法臨時特例法を廃止する法律案に対し、足鹿覺君より、自由民主党及び日本社会党共同提案にかかる修正案が提出されております。この内容は各位の手元に配付いたしてある通りであります。
まず両修正案の趣旨について提出者の説明を求めます。足鹿覺君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X04019570513/28
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029・足鹿覺
○足鹿委員 農業災害補償法の一部を改正する法律案に対する修正案を提出いたします。すなわち
農業災害補償法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
第四十五条の二第一項の改正規定を削る。
第百四十二条の四中「十分の一」を「二十分の一」に改める。
第百四十七条の改正規定を次のように改める。
第百四十七条第十一号の次に次の一号を加える。
十一の二第九十九条の二第一項又は第百三十条の規定に違反したとき。
第百四十七条第十三号を次のように改める。
十三 第百四十二条の五の規定による命令に従わなかったとき。
次に農業災害補償法臨時特例法を廃止する法律案の一部を次のように修正する。
附則第一項中「昭和三十二年五月一日」を「公布の日」に改める。
以上でありますが、この修正案を提出するに至りました今日の経過をまず当初に御報告を申し上げ、若干の説明を加えていきたいと思います。
本案を審議するに当りまして、先般当委員会の御決定により自由民主党、社会党両党から三名程度の小委員会をあげ、その小委員会において修正個所その他について十分審議をし、両党の意見を調整すべきである、こういうことになりまして、その小委員会が四月の二十五日、五月の七日、五月八日の三回にわたって開かれました。その結果、ただいま提案をいたしておりますような修正案を、両党の意見が一致を見まして、提案の運びになった次第であります。
先刻も芳賀委員から各項にわたって政府の所信を最終的にただされましたが、今回の改正案においては、本委員会が昭和二十八年以来検討して得た結論も相当原案に織り込まれておるのでありますが、なお今回新しく改正案として政府提案になりました、市町村へ事業を移譲していく場合の特例について、この修正の案が練られたわけであります。
すなわち第一の修正点であります市町村に事業を移譲する場合の手続でありますが、政府原案によりますと、これが総会の特別議決事項となっておったのでありますが、最近の農業共済組合は市町村の合併に併い組合の地域あるいは組合員数等が著しく拡大されておりまして、中には五千、六千という組合員を有する大組合もあるような実情に至っているのであります。その場合に総会を招集しその三分の二の議決を得ることは実際においてきわめて困難である、従って総代会の特別議決を得た場合においては農業共済の必須事業を組合から市町村に移譲することの特別議決ができ得ることに修正すべきである、かように意見が一致を見た次第であります。
第二の修正点におきましても、組合員が行政庁に対し農業共済団体の検査を請求する場合には、原案では、総組合員の十分の一以上の同意を得なければならないようになっておるのでありますが、これを二十分の一の同意で請求することができるように修正したの、であります。すなわち監査請求等の請求権を、現在のごとく十分の一という程度では、たとえば五千人の組合員がある場合は五百人以上の署名、同意を必要とする、こういうことになりますので、これは第一項の修正案について述べましたと同様な意味において、組合員の意向をこの制度の運営の上に正しく反映せしめていく土においても、当然これを二十分の一にすべきである、こういう点で意見の一致を見、他の関係市町村のリコールの場合、あるいは農協の場合、あるいはその他の関係の規定ともよく比較検討した結果これが適当であろうということになりまして、かような修正案になった次第であります。
第三点は必要措置命令及び監督命令一に違反した農業共済団体の役員を一万一円以下の過料に処するよう修正をいたした点であります。現在は御存じのように千円程度になっておるのでありますが、これではその趣旨の十分な徹底を欠くうらみがあるというので、一万円程度が適当であろうということに両党の意見が一致を見たのであります。この点についても、他の関係規定ともよく比較勘案をいたしまして、行き過ぎその他の過誤のないように万全を期してあるつもりであります。
それから農業災害補償法臨時特例法を廃止する法律案の修正につきましては、原案が五月一日になっておりますが、審議の経過から見て、これは当然公布の日から施行するように修正することが適当であるのでありまして、これは説明を要しないと思います。
以上が大体本修正案を提出するに至りました経過並びに結果でありまして、この点につきましては十分両党の意見も一致をいたしておりますし、意見の調整もついておりますので、すみやかに本修正案が可決せられるよう御賛同をいただきたいと思います。以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X04019570513/29
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030・小枝一雄
○小枝委員長 修正案に対する質疑はありませんか。——なければこれより討論に入ります。
討論はありませんか。——討論かなければこれより採決に入ります。
農業災害補償法の一部を改正する法律案について採決いたします。まず本案に対する修正案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X04019570513/30
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031・小枝一雄
○小枝委員長 起立総員。よって、修正案は可決されました。
次に、ただいまの修正部分を除いた政府原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X04019570513/31
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032・小枝一雄
○小枝委員長 起立総員。よって、本案は修正案の通り修正議決すべきものと決しました。
次に、農業災害補償法臨時特例法を廃止する法律案について採決いたします。まず本案に対する修正案について採決いたします。修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X04019570513/32
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033・小枝一雄
○小枝委員長 起立総員。よって、修正案は可決されました。
次に、ただいまの修正部分を除いた政府原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X04019570513/33
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034・小枝一雄
○小枝委員長 起立総員。よって、本案は修正案の通り修正議決すべきものと決しました。
次に、農業災害補償法第百七条第四項の共済掛金標準率の改訂の臨時特例に関する法律案について採決いたします。賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X04019570513/34
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035・小枝一雄
○小枝委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
この際農業災害補償法の一部を改正する法律案について附帯決議を付したい旨の申し出があります。これを許します。芳賀貢君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X04019570513/35
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036・芳賀貢
○芳賀委員 私は農業災害補償法の一部を改正する法律案に対し、附帯決議を付するの動議を提出いたします。
まず案文を朗読いたします。
農業災害補償法の一部を改正する法律に対する附帯決議
農業災害補償制度のたてなほしは長きにわたる懸案であり、法の改正に対する農民の期待は大である。
よって、政府は、改正後における本制度をして再び既往の失態を繰返さしめず、運用の全きを得て、農業生産力の確保と農家経営の安定に寄与せしめることとなるよう、左記各項の実行につきいかんなきを期すべきである。
記
一、農作物共済の基準収量の低すぎること又は実収量との差が大きすぎることが、この制度の円滑な運営を阻害する最大の原因となっていると認められるのでこのさい災害なかりせば反収を加味してこれを改訂する等、実態に合致した基準収量の確立に努めること。
二、農作物その他の損害の評価については、国の統計調査機構が農業共済団体の行う損害評価に対し積極的且緊密に協力することとし、調査方法の統一、農業共済団体の調査の精度の向上をはかること。
右により、農業共済団体の調査した収穫量及び被害量を基準として、適正な共済金支払が実施できることとなるか否かについて本年度より直ちに実験を行い将来この方式を確立し得るよう努めること。
三、無事戻制度について検討を加え、その整備拡充をはかり、併せて共済の完全引受掛金の完全徴収について奨励措置を講ずること。
四、現行制度では九割以上の被害及び植付又は掃立の不能の場合概算払いを行いうることとなっているが、共済金の早期支払をさらに促進するため、七割程度以上の被害の場合にも、概算払いができるよう措置すること。
五、農業災害補償制度の運用に当るべき機構の複雑化を避けるため、農業共済組合連合会の事業不足金融資に関する制度を再検討すること。
六、大豆及び菜種等について国の再保険措置の途を拓くよう準備を進めること。
七、今後は共済掛金のみならず、事務費賦課金についても強制徴収を認めることとなるが、賦課金の増嵩を防止するため、承認制を強化し農家負担の軽減に努めここと。
八、農業共済団体の適正且つ効率的な事業運営を期するため行政庁の監督の強化刷新を図るはもちろん、最近における農業団体の非違事件の発生にかんがみ、これらに対する農林省の監督組織について、綜合的な検討改善を加え、要すれば農林省設置法の改正を行い、監督行政の厳正なる運営を期する上に必要な措置を講ずること。
以上が動議の内容でありますが、その趣旨につきましては先般来の当委員会における審議の経過並びに先ほどの農林大臣等の質疑の中にも尽されてありますので省略いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X04019570513/36
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037・小枝一雄
○小枝委員長 ただいまの附帯決議を付するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X04019570513/37
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038・小枝一雄
○小枝委員長 御異議なしと、認めさよう決定いたしました。
農業災害補償法の一部を改正する法律案外二案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X04019570513/38
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039・小枝一雄
○小枝委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
ただいまの法案に対しまして政府側の所見を求めます。井出農林大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X04019570513/39
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040・井出一太郎
○井出国務大臣 ただいま農業災害補償法の一部を改正する法律案外二件が全会一致をもって修正可決相なりました。事ここに至りますまでには、思えばずいぶん長い歳月をけみしておるわけでございまして、委員各位とともに私も非常に感慨深いものがあるのでございます。御審議の過程においても御論議いただきましたように、まだ幾多不十分な点もございましょうけれども、しかしながら修正をいただきまして、より充実せられたものと考えまするし、また附帯決議につきましては、先ほど御答弁申し上げましたようにわれわれとしててもなお一そうの研さんを期さなければならないと考えておるわけであります。要すれば今回のこの改正によりまして農業災害補償制度がその運命を決するとでも申すべききわめて重大な改正でございまして、これが運用の衝に当ります政府の責任はきわめて大きいものがあろうと思うのでございます。この間における御審議に際しての皆様方の御趣意を十分に体して運営に当って参る所存でございます。
以上申し上げまして政府の所見といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X04019570513/40
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041・小枝一雄
○小枝委員長 この際石田宥全君より農業用電力料金の問題について発言を求められております。これを許します。石田宥全君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X04019570513/41
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042・石田宥全
○石田(宥)委員 今回東北並びに北陸の両電力会社から電気料金値上げの申請が出されておりまして、すでに地元におきましては公聴会等が行われているようであります。承わるところによると、排水関係は五%、灌漑関係は一〇%、その他の農事用電力、いわゆる脱穀調整等については二〇%程度の値上げを内容とするものであると伝えられております。御承知のように電力料金は農民にとって大きな負担でございまして、たとえば私どもの県で亀田郷などの六千七百町歩という大規模なところにおきましては、その負担が反当年間四千五百円というようなもう限界点に達しておるいわれているような状況にありますが、その中でやはり電力料金の占める比率はかなり高いものかあります。同じく白根郷を見ましても六千町歩でありますが、三十五カ所で三千百四十九馬力というような施設持っており、この中では電力料金の負担が二百円をこえております。さらに小規模の地域におきましては、反当り四百円ないし五百円という負担を負わされている実情にあるのでありますが、このような重い負担のもとにおいてさらに五%ないし一〇%あるいは一般の農事用電力の二〇%値上げが実現されますと、その負担は非常に大きい。しかも米価は公定でございましてこれは特別な価格を求めるわけにはいかない実情にあるわけでございます。また電力料金も季節的にそのコストが違っておりまして、農事用電力、特に灌漑電力を使用する特別は豊水期に当りまして、電力の豊富な時期に相当するのであります。しかるに今回のような大幅な値上げが実現することになりますと、一方的に農民の負担を過重する結果になると考えられます。おそらく通産省の方からも、農事用電力関係については農林省の意見を求められておるのではないかと考えるわけでありますが、協議を受けておられるかどうか。また協議を受けておられるといたしましたならば、どういう態度をもって臨んでおられるか、承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X04019570513/42
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043・井出一太郎
○井出国務大臣 ただいま石田委員からお述べになりました電力料金改訂の問題でありますが、東北、北陸、この地帯における電力会社の経理、経営が、電力九分割以来、立地条件その他に恵まれませんために、非常に赤字が累積をしておる。従いましてどうしても電力料金の改訂に踏み切らなければならないというのが現状のようでございます。その場合、この地域における農業者に対して相当な影響を与えるであろうということは、ただいま御指摘の通りであろうと思うのであります。この件につきましては、通産省の方から事務的には話し合いをしようという申し入れがあるわけでございますが、まだ最終的な固まった段階に参りますのには相当日子を要するであろうと思うのであります。従いまして今後十分なる折衝を遂げまして、これは実情にも即さなければならぬと思いまするけれども、農事用電力というものは、おそらくこれらの両会社における全体の量の一%程度のものではなかろうかというふうに思っておりまして、これに対しては、従来もそうでございましたが、特例を設けて農民負担の軽減をはかる、こういう方向に努力をいたしたいと考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X04019570513/43
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044・石田宥全
○石田(宥)委員 まだ協議を受けておられないということでありますが、すでに公聴会等も取り運びになっておるわけでありますので、当然もはや協議が行われておると実は考えておったわけであります。今お話の通りでありまして、農事用電力のウエートというものは非常に少いものであります。同時に先ほど申しましたように、ちょうど灌漑等の時期は豊水時に当りますので、電力の豊富なときであり、コストの低い時期であります。業種別にいろいろ料金が違っておりまして、前回の値上げに当りましては、農業団体等が非常に強力な運動を進めまして、灌漑排水は特に低い値上げ率で押えておったわけでありますが、今回はそれがほとんど特別考慮を払われておらないような数字が出ておるようであります。詳しいことについては公益事業局長等についてお尋ねをしたいと思うのでありますが、事は農事用関係でありますので、これは米価との関係もございますし、農家経済一般にわたって影響の顕著なものでありまするので、特別に農林大臣の御配慮をわずらわさなければならないと考えるわけであります。どうか積極的にこの問題をお調べになって、向うからの協議いかんにかかわらず、大臣の方から特別な配慮をすべきである旨の申し出等をいたしまして、適切な措置を願いたいと考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X04019570513/44
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045・井出一太郎
○井出国務大臣 承知しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X04019570513/45
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046・小枝一雄
○小枝委員長 この際暫時休憩いたしまして、午後は一時三十分から再開いたします。
午後零時二十四分休憩
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〔休憩後は開会に至らなかった〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605007X04019570513/46
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