1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年三月十四日(木曜日)
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議事日程 第十七号
昭和三十二年三月十四日
午後一時開議
第一 国民貯蓄組合法の一部を改正する法律案
(内閣提出)
第二 国際学会等への加入に伴う分担金の債務
負担に関する法律案(内閣提出)
第三 所得に対する租税に関する二重課税の回
避及び脱税の防止のための日本国とスウェー
デンとの間の条約の実施に伴う所得税法の特
例等に関する法律案(内閣提出)
第四 地方自治法第百五十六条第六項の規定に
基き、税関支署の設置に関し承認を求めるの
件(参議院送付)
第五 所得に対する租税に関する二重課税の回
避及び脱税の防止のための日本国とスウェー
デンとの間の条約の批准について承認を求め
るの件
第六 在外公館の名称及び位置を定める法律等
の一部を改正する法律案(内閣提出)
第七 放送法第三十七条第二項の規定に基き、
国会の承認を求めるの件
第八 商工組合中央金庫法の一部を改正する法
律案(内閣提出)
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一 地方交付税法の一部を改正する法律案(内
閣提出)の趣旨説明
二 一般職の職員の給与に関する法律の一部を
改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
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●本日の会議に付した案件
日程第一 国民貯蓄組合法の一部を改正する法
律案(内閣提出)
日程第二 国際学会等への加入に伴う分担金の
債務負担に関する法律案(内閣提出)
日程第三 所得に対する租税に関する二重課税
の回避及び脱税の防止のための日本国とスウ
ェーデンとの間の条約の実施に伴う所得税法
の特例等に関する法律案(内閣提出)
日程第四 地方自治法第百五十六条第六項の規
定に基き、税関支署の設置に関し承認を求め
るの件(参議院送付)
日程第五 所得に対する租税に関する二重課税
の回避及び脱税の防止のための日本国とスウ
ェーデンとの間の条約の批准について承認を
求めるの件
日程第六 在外公館の名称及び位置を定める法
律等の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第七 放送法第三十七条第二項の規定に基
き、国会の承認を求めるの件
日程第八、商工組合中央金庫法の一部を改正す
る法律案(内閣提出)
厚生省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出)
法務省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出)
地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提
出)の趣旨説明及びこれに対する質疑
一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正
する法律案(内閣提出)の趣旨説明及びこれ
に対する質疑
午後一時二十四分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02119570314/0
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001・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) これより会議を開きます。
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日程第一 国民貯蓄組合法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第二 国際学会等への加入に伴う分担金の債務負担に関する法律案(内閣提出)
日程第三 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とスウェーデンとの間の条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律案(内閣提出)
日程第四 地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き、税関支署の設置に関し承認を求めるの件(参議院送付)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02119570314/1
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002・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 日程第一、国民貯蓄組合法の一部を改正する法律案、日程第二、国際学会等への加入に伴う分担金の債務負担に関する法律案、日程第三、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とスウェーデンとの間の条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律案、日程第四、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き、税関支署の設置に関し承認を求めるの件、右四件を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員長山本幸一君。
〔山本幸一君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02119570314/2
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003・山本幸一
○山本幸一君 ただいま議題となりました三法律案並びに一議決案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず、国民貯蓄組合法の一部を改正する法律案について申し上げます。
この法律案は、国民貯蓄組合のあっせんによる預貯金等の利子所得について、現在所得税の非課税限度額が十万円と定められておりますのを二十万円に引き上げようとするものであります。すなわち、国民貯蓄組合のあっせんによる預貯金等の貯蓄につきましては、これがきわめて大衆的な貯蓄である点にかんがみまして、その利子所得について一定元本額に対するものを限り所得税を課さないこととされておりますが、現在の限度額十万円は昭和二十七年四月に定められましたもので、その後の物価、国民所得、貯蓄水準等の推移から見まして、今日では低きに過ぎると考えられますので、今回これを改正しようとするものであります。
本案につきましては、去る十二日質疑を終了し、討論を省略して直ちに採決いたしましたところ、全会一致をもって原案の通り可決いたしました。
次に、国際学会等への加入に伴う分担金の債務負担に関する法律案について申し上げます。
政府が国際学会等の国際団体に加入する場合におきまして、実際に負担すべき当該団体の経費に対する分担金の額が加入の際には定められていない場合が往々にあります。このような場合には、あらかじめ閣議の決定を経たならば、当該団体に加入することにより、当該団体の経費に対する分担金債務を負担することができることにいたそうとするのが、本案提出の理由であります。
本案につきましては、去る十二日質疑を終了し、討論を省略して直ちに採決いたしましたところ、全会一致をもって源案の通り可決をいたしました。
次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とスウェーデンとの間の条約の実施に伴う所得税法の特例等に関する法律案につきまして申し上げます。
政府は、今回、スエーデンとの間に、所得税及び法人税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための条約を締結し、その批准について承諾を求めるため別途提案いたしておりますが、この条約に規定されている事項のうち、特に法律の規定を要すると認められるものについて所要の立法措置を講じようとするものであります。
本法律案の大要は次の通りであります。
ます第一に、わが国及びスエーデン両国とも、国内に恒久的施設を有しない非居住者に対して支払われる利子所得等につきましては、百分の十五をこえる税率で課税をしてはならないことといたしております。なお、租税特別措置法等の規定により、これらの利子所得等が減免される場合には、これらの減免規定が優先的に適用されることとしております。第二に、わが国及びスエーデン両国とも、国内に恒久的施設を有しない非居住者の特許権等の譲渡による所得に対する租税は、収入金額の百分の十五をこえてはならないことといたしております。その他、今回の条約の実施に閥して必要な手続拡大蔵省令で定めることとしております。
本案につきましては、昨十三日質疑を終了し、討論を省略して直ちに採決いたしましたところ、全会一致をもって原案の通り可決いたしました。
最後に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き、税関支署の設置に関し承認を求めるの件につきまして申し上げます。
神戸税関所轄の今治税関支署松山出張所外三出張所は、いずれも港湾設備及び背域産業等の立地条件に恵まれ、将来の伸展が大いに期待されているのでありまして、今回、これらを税関支署として独立性を付与し、関税法の規定に基く税関長の権限を委任すれば、現地における税関業務をさらに迅速かつ円滑に処理することができますので、その設置に関し、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き承認を求めようとするものであります。
本件は、去る十二日質疑を終了し、討論を省略して直ちに採決いたしましたところ、全会一致をもつて承認すべきものと議決いたしました。
以上、御報告を申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02119570314/3
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004・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) これより採決に入ります。
まず、日程第一ないし第三の三案を一括して採決いたします。三案は委員長報告の通り決する北御異議偽りませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02119570314/4
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005・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、三案は委員長報告の通り可決いたしました。
次に、日程第四につき採決いたします。本件は委員長報告の通り承認するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02119570314/5
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006・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長報告の通り承認するに決しました。
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日程第五 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とスウェーデンとの間の条約の批准について承認を求めるの件
日程第六 在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02119570314/6
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007・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 日程第五、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とスウェーデンとの間の条約の批准について承認を求めるの件、日程第六、在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案、右両件を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。外務委員長野田武夫君。
〔野田武夫君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02119570314/7
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008・野田武夫
○野田武夫君 ただいま議題となりました所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国のスウェーデンとの間の条約の批准について承認を求めるの件並びに在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案につきまして、外務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず、条約について申し上げます。
わが国は、スエーデンとの間に、所得に対する租税に関し、二重課税の回避及び脱税の防止のための条約を締結するために交渉を行いました結果、双方で合意に達しましたので、昨年十二月十二日、東京においてこの条約が署名調印されたのでございます。この条約は、昭和三十年に日米間に結ばれました二重課税防止条約とその内容においてほとんど同一であります。日本とスエーデンとの経済関係に対しまして、現在両国の国内税法上の制度を異にいたしております関係上、両国の国内税法をそのまま適用いたしますと、二重課税の事態を生じまして、円滑な経済的、通商的の協力関係に大きな支障を生ずることと思われますので、この条約により、両国間の二重課税及び脱税等の問題を有効適切に処理し、両国間の経済関係の緊密化をはからんとするものであります。
本件は、二月十八日国会に提出、外務委員会に付託されましたので、委員会において提案理由の説明を聞き、質疑を行いましたが、その詳細は会議録について御了承を願います。
かくて、本件は、三月十三日、討論を省略し、採決の結果、全会一致をもって承認すべきものと議決いたしました。
次は、在外公館の新設及び種類の変更を行うために在外公館の名称及び位置を定める法律並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正するものであります。
まず、在外公館の新設といたしまして、第一に、ネパール、ポーランド及びチェコスロバキアに大使館を新設すること、第二に、イエーメン、アイスランド、アイルランド、チュニジア、リビア及びモロッコに公使館を新設することであります。しかし、これら三大使館と六公使館はいずれも法律上の設置にとどめ、隣接国の駐在大公使をして兼轄せしめることといたしております。
次に、在外公館の種類を変更するものといたしまして、第一に、ドミニカ、ペルー、チリー、キューバ、ベネズエラ及びコロンビアの六公使館を大使館に昇格させること、第二に、ヘルシンキ総領事館をフィンランド公使館に切りかえることといたしております。
なお、この法案においては、これらの在外公館並びに外務省設置法の一部改正により新設されることになっております在ジュネーヴ国際機関日本政府代表部、さらに、第二十五回国会において、名称及び位置を定められたのみで在勤俸がいまだ定められていなかった在ソ連大使館に勤務する外務公務員の在勤俸をも定めております。ただし、ポーランド及びチェコスロバキアの二大使館につきましては、所在地における物価、為替相場等を調査中でありまして、本法案の提出時期に間に合いませんので、今回はその名称及び位置のみを定め、在勤俸につきましては後日法制上の措置をとることとなっております。
この法律案は、三月一日国会に提出、外務委員会に付託いたされましたので、委員会において提案理由の説明を聞き、質疑を行いましたが、その詳細は会議録につき御了承を願います。
かくて、本法律案は、三月十三日、討論を省略し、採決の結果、全会一致をもって可決すべきものと議決いたしました。
以上、御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02119570314/8
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009・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) これより採決に入ります。
まず、日程第五につき採決いたします。本件は委員長報告の通り承認するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02119570314/9
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010・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長報告の通り承認するに決しました。
次に、日程第六につき採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02119570314/10
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011・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。
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日程第七 放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会の承認を求めるの件発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02119570314/11
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012・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 日程第七、放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会の承認を求めるの件を議題といたします。委員長の報告を求めます。逓信委員長松井政吉君。
〔松井政吉君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02119570314/12
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013・松井政吉
○松井政吉君 ただいま議題となりました、放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会の承認を求めるの件に関しまして、逓信委員会における審議の経過並びに結果についてその概要を御報告申し上げます。
本議案は、日本放送協会の昭和三十二年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして国会の承認を求めるために、去る二月八日内閣より提出されたものであります。
議案の内容につきまして大略御説明いたしますと、昭和三十二年度における事業計画につきましては、その主眼を、ラジオについては、難聴地域の解消、老朽設備の改善及び放送番組の充実等に、また、テレビジョンにつきましては、熊本外十局の建設、福岡の増力及び既存設備の改善、整備並びに放送番組の内容充実に置いております。
次に、収支予算におきましては、ラジオ関係については、前期繰越収支剰余金一億円を収入に含めますと、収入、支出おのおの総額百二十七億一千百八十一万一千円を予定しておりますが、これは、昭和三十一年度に比較すれば、収支ともに八億九千四百六十七万一千円の増加となっております。また、テレビジョン関係については、収入支出ともに総額二十九億一千二百十七万円を予定しており、これを前年度に比べますと、それぞれ十億四千七百五十七万円の増となっております。なお、本年度の収支予算においては、受信料を、ラジオ、テレビジョンともに、昭和三十一年度と同額の、ラジオ月額六十七円、三カ月二百円、テレビジョン月額三百円といたしております。
次に資金計画でありますが、これは収支予算及び事業計画に照応する資金の出入に関する計画であります。
以上御説明申し上げました収支予算、事業計画及び資金計画について、郵政大臣は、これをおおむね妥当なものと認むる旨の意見書を付しておるのであります。
以上をもちまして本議案の内容の説明を終ったのでありますが、逓信委員会におきましては、去る二月八日本案の付託を受け、同十九日以降数回にわたって会議を開き、政府当局の説明を聴取し、質疑を行いましたほか、特に参考人として日本放送協会の会長及び理事の出席を求め、慎重審議を重ねたのであります。
質疑応答に当って論議の焦点となったのは、まず、ラジオ放送においては、国内放送に関し、中波大電力放送局の配置計画、難聴地域の解消策、いわゆる第三放送の企図、FM放送の実施方針等、また国際放送に関し、方向、時間等の拡充案並びに聴取状況の調査とその改善策等であり、テレビジョン放送においては、全国普及の具体的計画、教育テレビジョン放送の構想、カラー・テレビジョンの研究及び実用化の方針等であり、また、経営の面においては、受信者普及の見通し、ラジオ、テレビの経理区分の存廃問題、従業員の待遇改善の方策等でありますが、これらの質疑応答の詳細は会議録に譲ることといたしたいと存じます。
かくて、委員会は、三月十三日、質疑を打ち切り、直ちに討論に入ったのでありますが、自由民主党を代表して橋本登美三郎君、日本社会党を代表して森本靖君は、いずれも、日本放送協会が、その使命にかんがみ、各般の施策に万全を期するよう関係当局に一そうの努力を要望して、本議案に承認を与うるに賛成の意見を述べられたのであります。
委員会は、次いで採決の結果、全会一致をもって本議案はこれに承認を与うべきものと議決をした次第であります。
なお、委員会は、委員橋本登美三郎君の動議により、本件審議の過程における論議の動向に照らし、次のごとく全会一致をもって附帯決議を行なったのであります。
附帯決議
日本放送協会は左の各項の実現につとむべきである。
一、ラジオ、テレビともに放送番組の編成にあたって教育的番組の充実に努力すること。
二、速かにテレビの全国放送網を完成するため適当の措置を講ずること。
三、中波大電力放送により、外国電波の混信を防止すること。
四、研究諸機関の内容充実を図り、使命達成につとめること。
五、厚生施設の拡充、職員給与の改善に努力すること。
以上でございます。
以上をもって報告を終ります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02119570314/13
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014・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 採決いたします。本件は委員長報告の通り承認するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02119570314/14
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015・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、本件は委員長報告の通り承認するに決しました。
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日程第八 商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02119570314/15
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016・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 日程第八、商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。商工委員会理事笹本一雄君。
〔笹本一雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02119570314/16
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017・笹本一雄
○笹本一雄君 ただいま議題となりました商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案につきまして、商工委員会における審査とその結果の概要を御報告申し上げます。
商工組合中央金庫は、中小企業等協同組合の系統金融機関でありまするが、最近の中小企業金融の情勢にかんがみまするとき、同金庫の果す役割はいよいよ重要となって参ったのであります。この際商工組合中央金庫の機能の強化拡充をはかり、もって中小企業の組織化の推進とその振興に資することといたしたいというのが、本法律案の提案の理由であります。
次に、法案の内容を御説明いたします。
第一は、政府が昭和三十二年度において十五億円を商工中金に出資することであります。商工中金の資本金は、現在政府出資十二億四千二百万円、組合出資十五億九千七百九十万円、合計二十八億四千万円となっておりますが、御承知の通り、商工中金の貸出金利はなお割高でありまして、一そうの引き下げをはかることが当面重要な課題の一つであります。そのために新たに十五億円の政府出資を行い、貸出金利の引き下げに資せしめようとするものであります。
第二は、内国為替業務に関する制限を撤廃することであります。現在中金が行い得る内国為替業務は、所属組合またはその構成員のためのものだけに限られておりますが、このため他の金融機関との為替取引契約が事実上不可能となっておりますので、この制限を除こうとするものであります。第三は、商工中金が中小不在業金融公庫の代理業務を行う場合、必要に応じ員外者にも貸付を行い得るよう、員外者のために債務保証をすることができることとすることであります。
第四は、商工中金がその余裕金を運用できる範囲を拡張することであります。
以上が法案の概要であります。
本案は、二月二十一日本委員会に付託され、三月一日に通産大臣より提案理由の説明があり、引き続き三日間にわたり政府及び商工中金当局者に対し質疑を行いましたが、その詳細は会議録を御参照願います。
三月十三日に質疑を終了いたしましたので、討論を省略して採決を行いましたところ、全会一致をもって本案は可決すべきものと決しました。
なお、自由民主党並びに日本社会党の共同提案による附帯決議案が提出され、自民党内田常雄君の趣旨弁明、社会党の加藤清二君の賛成討論がありまして、これまた全会一致をもって附帯決議を付することに決した次第であります。決議の内容は会議録に譲ることといたします。
以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02119570314/17
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018・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02119570314/18
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019・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。
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厚生省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
法務省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02119570314/19
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020・荒舩清十郎
○荒舩清十郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、この際、内閣提出、厚生省設置法の一部を改正する法律案、法務省設置法の一部を改正する法律案、右両案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02119570314/20
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021・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 荒船君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02119570314/21
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022・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
厚生省設置法の一部を改正する法律案、法務省設置法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。内閣委員長相川勝六君。
〔相川勝六君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02119570314/22
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023・相川勝六
○相川勝六君 ただいま議題となりました両法案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず、厚生省設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
改正の第一点は、官房長を設置することであります。近年社会保障制度が著しく拡充されるに伴い、厚生行政におきまして、これらの事務につき、部内及び部外にわたり連絡調整を必要とする事項がとみに増加して参りましたので、官房長を設置せんとするものでありまする。
改正の第二点は、国立ろうあ者更生指導所を設置することであります。身体障害者福祉法に規定するろうあ者厚生施設はいまだ公私ともに設置されておりませんので、明年度においてこの国立ろうあ者更生指導所を設置せんとするものであります。
改正の第三点は、国立精神薄弱児施設を設置することであります。精神薄弱児のうち、その程度が著しい児童及び盲もしくはろうあとの二重の障害を持つ児童につきましては、一般の精神薄弱児とは別個に、特別な保護及び指導を行う必要がありまするので、今回国立の施設を設置せんとするものであります。
改正の第四点は、水道及び下水道の管轄規定を改正することであります。水道及び下水道の事務につきましては、これまで厚生、建設両省の共管するところでありましたのを、今回、水道及び下水道に関する事務のうち、水道についてはその全部、下水道についてはその末端的な終末処理場のみを厚生省で、下水道につきましてはその終末処理場以外の事務は建設省で、それぞれ処理することとしたのであります。
以上が本法律案の提案理由並びに内容の概略であります。
本法律案は、二月二十八日国会に提出され、三月五日政府より提案理由の説明を聴取するとともに審査に入った次第であります。質疑の詳細につきましては会議録によって御了承いただきたいと存じます。
かくて、三月十四日、全会一致をもって本案は原案通り可決すべきものと決定した次第であります。
次に、法務省設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
御承知のように、最近における諸外国との国交の回復、国際連合への加盟等によりまして、外国人の管理行政は今後ますますその複雑性と困難性を加えることが予想される次第であります。従って、出入国管理行政を円滑かつ強力に実施するため、出入国管理行政の機構上の不備を改善せんとするものであります。
改正の第一点は、広島入国管理事務所を新設し、中国地方における統一的な管理行政をなさんとするのであります。
改正の第二点は、日ソ国交回復に伴う新事態に対処するため、新たに稚内港、根室港、酒田港及び敦賀港にそれぞれ入国管理事務所の出張所を設け、立川空港及び板付空港にはその出張所を設けることであります。
改正の第三点といたしまして、神戸入国管理事務所の管轄区域中、兵庫県伊丹市を特に大阪入国管理事務所の管轄に変更しております。
以上が本法律案の提案の理由並びにその内容の概略であります。
本法律案は、三月二日国会に提出され、三月七日政府より提案理由の説明を聴取するとともに審査に入った次第であります。質疑の詳細につきましては会議録によって御了承いただきたいと存じます。
かくて三月十四日、全会一致をもって本案は原案通り可決すべきものと決定した次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02119570314/23
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024・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 両案を一括して採決いたします。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02119570314/24
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025・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって両案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)
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地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02119570314/25
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026・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) この際地方交付税法の一部を改正する法律案の趣旨の説明を求めます。国務大臣田中伊三次君。
〔国務大臣田中伊三次君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02119570314/26
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027・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) 地方交付税法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
御承知のように、昭和三十一年度においては、地方行財政制度について各般の改正が行われ、地方財政再建の方途が開かれたのでありますが、政府は、これに引き続き、昭和三十二年度におきましても、さらに地方財政を健全化するために各種の方策を講ずることにいたしたのであります。その方策の一環として、地方交付税の税率を現行の百分の二十五から百分の二十六に引き上げ、その総額の増加をはかるとともに、これに伴い、単位費用について給与改訂等に伴う改訂、投資的経費の算定の適正化等をはかり、また、測定単位の新設、補正方法の合理化等、基準財政需要額及び基準財政収入額の算定の方法についてその合理化と明確化をはかり、地方交付税の適正な算定方法を通じて増加された財源を合理的かつ適正に配分する必要があるのであります。これがこの法律案を提出する理由でございます。
改正の内容につきまして、その概要を説明いたします。
第一は、地方交付税の総額に関する事項であります。地方財政の状況にかんがみ、国税所得税の減税に伴い地方交付税に生ずる減収を可及的に回避するため、現在、所得税、法人税及び酒税の収入額の百分の二十五となっております地方交付税の税率を百分の二十六に引き上げることといたしたのであります。これにより、昭和三十二年度において交付すべき地方交付税の総額は、昭和三十年度分の精算額六億円余りを控除して、千八百六十七億余円となるのであります。
第二は、基準財政需要額の算定方法に関する事項であります。その一は、単位費用の改訂であります。すなわち、地方財源の増強、歳入構成の是正ともにらみ合せ、投資的経費算定の適正化をはかることを中心といたしまして、職員配置及び職員構成の適正化、給与単価の是正、給与改訂、期末手当の増額等に伴う所要の修正を行なったこと、また、各種委員の報酬、旅費、庁費、単価の合理化をはかること、建築物及び機械類などの償却期間の合理化、その他投資的、建設的な事業費の充実をはかること、最後に、地方道路譲与税、軽油引取税等の特定財源の算入額を適正にすることなど、これらをあわせ考えまして、単位費用の全般にわたりまして改訂を加え、その合理化をはかったことでございます。その二は、基準財政需要額の算定方法の明確化及び合理化に関する点であります。すなわち、投資的な経費を充実する方法の一つとして、道路費及び橋梁費については、新たにその延長を測定単位に加えたこと、道府県の「その他教育費」及び市町村の「産業経済費」につきましては、種別補正を廃して、それぞれ独立の測定単位を設けて、その算定の合理化、明確化を期するとともに、道府県の「土木費」等にかかる態容補正の方法及び道府県の投資的経費にかかる態容補正係数の連乗方法を改める等、補正方法の合理化をはかることとしたのであります。
第三は、基準財政収入額の算定方法に関する事項であります。今般改正を予定しております地方税制度の改正において、特別とん譲与税が創設せられ、また入場税を目的税と改めること等が予定されておりますので、これに伴いまして、特別とん譲与税の収入領はこれを基準財政収入額に算定をいたしますが、入場税の収入額はこれを除外することにいたしましたほか、地方税法の改正に洋って、いずれも必要な修正を加えたのであります。
第四は、目下別途に御審議をお願い申し上げております昭和三十一年度分として交付すべき地方交付税に関する特例に関する法律案の規定によって、三十一年度分の地方交付税の一部が三十二年度分の交付税の総額に加算されることとなった場合の特例に関する事項であります。これは、右の特例法が成立をいたしまして、三十一年度分の地方交付税の一部が次年度に交付せられることとなった場合におきましては、その額は、同法の立法趣旨に基きまして、三十二年度における地方債の元利償還費の一部に充てるように配分することとなるのであります。これがために、三十二年度の特例として、「特別措置として発行を許可された地方債に係る元利償還金」と、もう一つは、「公共事業費等特定の事業費の財源に充てるため発行を許可された地方債に係る利子」、この二つを基準財政需要額の測定単位として設けまして、これに必要なる単位費用をきめることにしたのであります。
以上のほか、なお、地方交付税の時期及び交付税の算定に関する錯誤の生じた場合の取扱い等につきましての規定を整備することといたしたのであります。
以上が、この法律案の趣旨の概要でございます。(拍手)
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地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02119570314/27
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028・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) ただいまの趣旨の説明に対し、質疑の通告があります。これを許します。川村継義君。
〔川村継義君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02119570314/28
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029・川村継義
○川村継義君 私は、ただいま趣旨の説明のありました地方交付税法の一部を改正する法律案について、日本社会党を代表し、岸総理を初め、大蔵大臣、自治庁長官にお尋ねいたしたいと存じます。
まず、地方交付税の総額に関してお尋ねいたしたいと思うのであります。昭和二十九年、地方財政平衡交付金制度にかわって地方交付税制度が採用された主眼は、平衡交付金制度では、国庫補助金と同様、地方財源としての考え方が薄く、個々の団体が財政運営の結末をこれに依存する意識が強かった点を改めて、独立財源としての性格を明らかにするとともに、調整財源としての役割をも果させようとするところにあったのであります。この意味から、所得税、法人税、酒税の三税の一定割合を法定することになったのでありまして、これは御承知の通りであります。このようにして制定された地方交付税法は、国と地方団体との間に税源を分ち合う趣旨のもとに、交付税の総額が自動的に算定されるようにしたものであって、繰入率の前提となった租税その他の諸制度に別段の変更がない限り、地方団体における通常の経費は、自然、地方税とともに、この繰入率による地方税の収入によって、自主的にまかなわれるという考え方に立っているものであります。
ところで、政府が一千億の減税をうたい、所得税等の減税を行うことは、必然的に地方財政の上に大きな影響を与えるものでありますから、このごとが判明している以上、地方交付税の繰入率を引き上げることは、法律の趣旨に沿った当然の措置でなければなりません。政府は、確かに、この繰り入れの率を主税の百分の二十五から百分の二十六に引き上げ、その総額を一千八百六十七億円といたしております。しかし、われわれは、これをそのまま認めるわけには参らないのであります。すなわち、国税の減税に伴う所得税等、主税の減収三百八十八億から、三十二年度に伸びるであろう交付税の増二百四十億を差し引いた百四十八億円は、当然何をおいても税率を引き上げることによって処置せねばならないと考えられるのでありますが、この点について自治庁長官のお考えを明確に承わりたいのであります。
次に、三十二年度は地方の税収においても大幅な自然増が見込まれる上に、三十二年度地方交付税に加算すべきものとして、昭和三十一年度分として交付すべき地方交付税に関する特例に関する法律案、これを出しておりまして、第一次補正予算に七十六億、第二次補正分として十億を考えているようでありますが、これをもって交付税の手当としては十分だと政府はあるいは強弁するかもしれません。しかし、そのような手段は地方団体を愚弄するもはなはだしいといわねばならないと存じます。特例法がなくても、そのまま三十三年度には交付税として地方団体が受け取るべき地方団体の財源を、特例法で横取りしようとすることは、不遜きわまりない独善的考えであるといわねばなりません。
そればかりではありません。その全額をもって、政府が責任をもって処置せねばならないはずの公債費の元利補給の財源にすりかえようというに至っては、横着無礼、憤りは地方団体ばかりではないのであります。(拍手)さすがに、自治庁は、かかる施策に反対し、財政措置をゆがめないよう配慮したということでありますが、ついに大蔵当局が強引にその措置をとらしめたといっております。これに関して、大蔵大臣並びに自治庁長官の御見解を明確に承わりたいのであります。政府は、その責任の明らかな公債費の元利補給のための方途は別途財源をもって処置するとして、三十二年度以降の交付税の繰入率は、当然、法の趣旨に従って、少くとも二八%に引き上ぐべきであると思うのでありますが、その意思が政府にありますかどうか、両大臣の御意見を伺いたいのであります。
さらにお聞きいたしたい。もし特例によって八十六億を繰り延べ、三十二年度公債費対策として使った場合、この先食いをした三十三年度交付税額の欠陥はどうして埋める考えであるか。地方団体としては重大な問題でありますから、この際、両大臣より、それぞれ明確なる責任ある答弁をお聞きしたいのであります。(拍手)
次にお伺いいたしたいことは、政府は、自然増収を口実に、地方財政の好転だと楽観視して、わずか一%の引き上げを考慮したにとどまっておりますが、それでは調整財源としての交付税の本旨を果していないと思われる点であります。すなわち、三十二年度地方財政計画は一兆一千四百六十一億であります。その内訳は、地方交付税をもらわなければやっていけない地方団体、すなわち交付団体は約八千五百億、交付税をもらわなくてもやっていける地方団体、不交付団体は約二千九百六十億の財政規模となっております。その割合は三対一であります。しかるに、地方税収入が増加する割合は、それぞれ約二百四十七億に対して三百八十億円余りとなっておりまして、財政規模の上からは四分の一にしか当らない不交付団体が、交付団体よりも百数十億大きいのであります。すべての交付団体が、不交付団体同様に、行政水準の維持向上を期待し、その住民の福祉を増進しようとするならば、少くとも八百数十億の税源を交付団体にあらためて付与せねばならないこととなるのであります。経済的好況の地域差は地方税の増収に大きく反映し、ますます地方団体の貧富の差を大ならしめていくでありましょう。また、国の減税政策は団体間の税収の上に大きな不均衡をもたらし、それらが原因となりまして、交付団体、不交付団体間の行政水準の較差をいよいよ大ならしめようとしている実態を考えるならば、わずか合計三百億の交付税の増加では、法の趣旨を果しているとはいわれないのであります。それをすべて交付税で調整せよとは言わないまでも、調整財源としての交付税率を最低二八%に引き上げて、その総額を決定することは、当然過ぎるほど当然のことと思うのであります。それは、また、地方財政の運用を円滑にし、全国民の福祉を考える政府として、当りまえの施策でなければならないと思うのでありますが、自治庁長官のこれに対する見解をお聞きいたしたいのであります。
なお、一歩譲りまして、政府は、三十一年度分を三十二年度に繰り延べるなどの異常なる措置によって、現実には交付税率百分の二十七に交付税を見ているのでありますから、法の適用をゆがめないためには、譲って考えても、当然交付税を二七%にすべきであると思うのでありますが、どうでありましょうか。あわせてその見解を承わりたいのであります。(拍手)
最後に、岸総理大臣の所見をお伺いいたしたいと存じます。神武以来とかいう好況の機運に恵まれて、一千億減税のかけ声よろしく、盛りだくさんの政策を発表いたしておりますが、岸内閣の地方財政施策を見ますと、かねて地方財政の健全化という公約は看板だけで、地方交付税の問題にしても、公債費の元利補給にしても、遠く国民の期待に及ばないものがあります。申すまでもなく、国のどんな政策でも、国だけの財政でまかなわれるものではありません。地方団体が国の施策の実行の主体となり、地方財政の負担をあわせ加えて遂行するところに、国民福祉に関する重要施策が行われるのであります。従って、国会においては、国家予算と一体とした地方財政の審議がなされねばならないと思うのであります。地方財政計画を無視した国の予算審議はあり得なやと思うのであります。国の予算が通過してしまって、地方財政は置いてきぼりを食うようなことがあっては、地方財政計画が国の予算に重要な変化を生ぜしめるような不都合もそのまま見送られることになってしまうのであります。総理にお聞きしたいと思いますことは、国会において、総理の施政方針演説、外交、財政経済の演説と同様に、地方財政に関する施政方針を開陳するということは、私といたしましては、地方財政審議を重要とする観点から、ぜひやりたいものだ、その慣行を打ち立てたいものだと考えておりますが、総理の所見をお伺いいたしておきたいのであります。
なお、いま一つは、今地方行政委員会の審議で一番困っております問題で、基地交付金に考えられている五億という金があります。これは、大蔵省と自治庁との間に、その配分基準等をめぐって、いまだ意見の一致を見ていないということであります。このように、政府部内において混乱を生じておるということは、最もわれわれの残念とするところであります。総理におかれては、一日も早く、この問題を、大蔵大臣、自治庁長官、両者の間の調停をとって解決して——一日も早く、基地交付金を、しかも、それは、あくまでも市町村所在の交付金、納付金等の法律に従って配分されるように御処置願いたいと存じますが、この点について総理の御所見をお伺いいたしたいのであります。
以上をもって私の質問を終ります。(拍手)
〔国務大臣岸信介君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02119570314/29
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030・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 川村君の御質問に対しましてお答えをいたします。
地方財政の健全化ということがきわめて重要であることは、お説の通りに考えます。従いまして、私どもは、国の財政と地方財政とを一体的に考えて、その最も健全な合理的な方途を考えていくことが必要であると思います。ただ、今御質問にありましたように、地方財政に関する別個の施政方針を国会で述べる慣行を作ったらどうだというお考えでありますが、この問題は、総理の施政方針、また大蔵大臣の財政方針等において、地方財政の問題も十分に述べられることでありますから、別にそういうものを考える必要はないと考えます。
次に基地交付金の問題でありますが、これは今明日中に具体的な方針をきめることになっております。(拍手)
〔国務大臣池田勇人君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02119570314/30
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031・池田勇人
○国務大臣(池田勇人君) お答え申し上げます。次に自治庁長官が詳しくお述べになると思いますので、簡単に、私に直接関係のあるものだけを申し上げたいと思います。
第一の点は、交付税の税率をなぜ二八%にしないか、将来は二八%にするか、こういう御質問でございまするが、中央、地方の財政は一体として考えなければなりません。地方財政におきましては、従来と変りまして、明年度におきましては七百億円に上る自然増収もありますし、また、他面、交付税も二百四十億円交付することになれば、大体のまかないがつくと思いまして、二六%といたしたのであります。しこうして、将来の問題につきましては地方財政の状況を見て考えなければならぬと思いまするが、大体今の財界の状況から申しますると、二六%でいけるのじゃないかと一応は考えております。将来の問題につきましては、また、とくと考慮いたしたいと思います。
第二の、昭和三十一年度の補正予算に基いて交付税法によりまして当然交付する百億円及び昨夜提出いたしました第二次補正に基きまする十億円、合せて百十億円の問題でございますが、これは、御承知の通り、年度末に迫っておりますので、別に三十二年度の交付税に加算して使う規定を御審議願っておるのであります。しこうして、今回の交付税百十億円の交付増は補正予算に基く当然の措置でございまして、これをあえて先食いと申すことはできないと思うのであります。しこうして、三十三年度におきましては、また別の法律の規定によりまして、三十一年度の決算上の剰余金が入ることと思うのであります。(拍手)
〔国務大臣田中伊三次君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02119570314/31
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032・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) 私に対するお尋ねは三点でございます。
なぜ三%を上げなかったかという点でありますが、これは、大蔵大臣のただいまの御答弁にもありましたように、地方税収自体に七百億内外の増収があるということが一つの理由、もう一つの理由は、国の財政の都合により一千億円にも上るような国税の大減税を行う、それがために財源を傾けたということが一つの理由、この二つの理由によりまして本年は、御質問の通り、合理的な計算では三%を引き上げることが理屈となるわけでありますが、本年は一%の引き上げの程度にとどめることによって、内部でその操作に苦心してみようという結論になったわけであります。
第二の点は、一体、第一次の補正における百億分のうち、これは百億全部ではないのでありまして、十六億の年度末調整分と八億の減額調整復活分はこれを引くわけで、これは当然三十一年に使うわけでございます。問題となる、来年度と繰り越します分は七十六億及び第二次補正の十億、八十六億が問題でございます。これは大蔵大臣と私と意見がいささか違うようでありますが、地方財政の立場から申しますると、これは先食いという御非難があるいは当るのではなかろうかと思うので、問題は、この先食いの穴を、どういうふうに、どういう方法によって処層するかということが、お尋ねの中心であろうと思うのであります。御承知の通り、三十一年度における穴になるわけで、三十三年度の穴にはならぬわけであります。三十一年度に補正をいただきました金は、三十一年度中に交付税法の命ずるところによって全額配付をしなければならない金であります。従って、穴があくのは三十一年度にあくわけでございます。この三十一年度にあきました穴を埋めることが適当なりやいなやという判断は、いつするかと申し上げますと、三十二年、一年をおきまして、三十三会計年度になって、その見通しをつけるわけでございますから、三十三年度になりまして、三十一年度の清算をいたしました結果、必要なる措置を適当に講じたいという考えでございます。
それから、最後の第三の質問は、国税三税の減税を行う結果のはね返りは、これは交付団体に強い。逆に、自然増収は、交付金をいただいておらない不交付団体にその程度は強い。その逆の現象を見て、ますます交付団体と不交付団体は地方財政下においてはアンバランスになるのではないか、これをどう調整する考えであるかということが、質問の要旨と承わりました。これは、お答えはすこぶる簡単でありまして、三十二年度は相当なる幅を持って交付税総額において増額があることは、予算審議をいただいてごらんの通り。この幅のある、増額されました交付税総額の按分を適正にいたしますことによってこのアンバランスを是正することに十分の努力を払って参りたいという決意でございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02119570314/32
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033・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) これにて質疑は終了いたしました。
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一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02119570314/33
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034・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 次に、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨の説明を求めます。国務大臣松浦周太郎君。
〔国務大臣松浦周太郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02119570314/34
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035・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) 一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
この改正案は、昨年七月十六日付の人事院勧告の趣旨にかんがみ、一般職国家公務員の俸給制度の改正を行い、新制度への切りかえに当って必要な調整措置を講じようとするものであります。
すなわち、第一に、現行の五種類の俸給表を合理化して、職務の特性に応ずるように、行政職俸給表、税務職俸給表、公安職俸給表、海事職俸給表、教育職俸給表、研究職俸給表、医療職俸給表及び技能労務職俸給表の八種類十六表の俸給表を設けることといたしました。
第二に、現行の十五級の職務の級が職務の段階の実態に即応しないものがありますので、各俸給表ごとに、七等級を原則とする等級区分を設けることといたしました。
第三に、俸給表の各等級の俸給の幅を合理的なものとするとともに、等級ごとに、これに応ずる適正な昇給金額及び一年を標準とする昇給期間を定める等、昇給制度を改めることといたしました。
第四に、職員の俸給を現俸給額から新俸給額へ切りかえるに当っては、原則として現行の俸給表による一号上位の額を基礎として切りかえることとし、かつ、切りかえの時期または切りかえ以後の昇給期間を調整する等の措置を講ずることといたしました。
なお、この切りかえ措置によって、職員の俸給額は前年度に比し平均約六・二%の引き上げが行われる見込みであります。
この法律案は、以上の趣旨に基きまして、一般職の職員の給与に関する法律及びその他の関係法律の改正を行うとともに、必要な経過措置を規定いたし、本年四月一日から施行しようとするものであります。
以上が一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
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一般職の職員の給与に関する法律
の一部を改正する法律案(内閣
提出)の趣旨説明に対する質疑発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02119570314/35
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036・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) ただいまの趣旨の説明に対し、質疑の通告があります。これを許します。茜ケ久保重光君。
〔茜ケ久保重光君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02119570314/36
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037・茜ケ久保重光
○茜ケ久保重光君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に対し、次の諸点について、岸総理大臣初め関係各大臣に対し、政府の所信をたださんとするものであります。
政府が行政事務を施行される場合に、その仕事の末端で非常な苦労をしている官公吏の諸君がほんとうに国民の公僕として気持よい行政事務の遂行に当るためには、やはり、私は、それ相当の安定した生活の保障が前提になろうと思うのであります。しかるに、現行の給与体系を見ますと非常な差がございます。特に、民間賃金のそれ、さらにまた、公共企業体等に対しましても差のあることは、皆さんが御承知の通りであります。私は、こういう点を考えまして、今の官吏制度に対して、一言、岸総理大臣の御所見を伺いたいことがあるのであります。
戦争前の日本の官僚組織は、御承知のように、高文中心主義と申しますか、そしてまた、東大のいわゆる法科万能と申しましょうか、ほとんど日本の中央地方を通じた官僚組織の主要な部分は、この東大を出た、いわゆる高文に合格した諸君がこれを占めておりました。今の岸総理大臣も、いわゆる東大官僚として、統制官僚の代表的な方であります。こういった、機械的な、高文に合格し、時の法律を詳しく知っておるといったような諸君が、ただそのことによって日本の官僚の主要な部面にすわっておったということが、今日、日本の行政機構にいろいろなガンを残しておると思うのであります。さような観点から、私は、現在この給与問題を検討するに当りまして、また、今度の給与の改訂に当りましても、そういったことがいろいろな面に頭を出しておると思うのであります。
こういう根本的な官僚組織に対する検討と、思い切った施策をしなければ、なかなか日本の官僚組織は善良な方向に参らないと思うのでありますが、その際に当りまして、私は、先般石橋内閣が生まれましたときに、一縷の期待を持ったことがございます。石橋内閣の出現に対して、反対党ではありますけれども、一縷の期待を持ったことは、一つには、対米外交に対して、国民の輿望をになって、ある程度の強硬な強腰と、いわゆる日本人としての外交の推進ができるだろうという点でありました。第二点は、私学出身の総理大臣石橋湛山氏は、官僚出身でない首相、いわゆる私学出身の首相として、こういった官僚のいろいろな悪弊に対して思い切った施策ができるのではなかろうかという一縷の期待を持ったのであります。(拍手)しかし、残念ながら、石橋氏は病に倒れて、その職を退いた。あとに出られた岸さんは、——私は、かつての戦争中の岸さんのいろいろな業績をここで言おうとは思わない。思わないが、先ほど申しましたように、これはまた、いわゆる東大官僚の、高文官僚の代表的な首相であります。しかし、私は、岸さんに要望したいのは、そういった岸さんの過去の実績を、この際国民の前にはっきり洗い流すためにも、この官僚機構に対して、かつての高文万能主義や、あるいは官学万能主義に大きななたを振って、人材主義と申しますか、適材適所主義を発揮されまして、思い切った官僚制度に対する是正の対策をなさる決意があるかどうか。(拍手)私は、岸総理大臣に、国民がそういった岸総理に対して持っておる一まつの不安を、こういう具体的な施策を断行され、国民の岸内閣への不安を一掃されるためにも、官僚組織に対する思い切った施策をされることを要望するのであります。この点に対する岸総理の所信を伺いたいと思います。
さらに、その反面、最近に至りましても、今回のこの給与法改正に当りまして、技術職員が非常な苦難をなめておる。一般の法科系統の吏員諸君は、それぞれ管理職につきまして、だんだん上に上って、現在では、次官ではありますけれども、管理職について相当優遇されている。ところが、その中で、技術職員の諸君は、ほとんど管理職につく機会がなくて、常に下積みに甘んじておる。日本の今日の状態が、技術的な向上が非常に待望されているときに、日本における官僚組織の中で技術職員が冷遇されている実態は、まことに遺憾であります。(拍手)私は、こういった立場から、岸総理大臣が、もし技術職員が管理職につけないとするならば、そのつけないままの状態において、管理職の諸君と同等の給与体系の中での優遇をする方法をとれないかどうか。私は、ぜひ、この際、この給与体系を御破算にして、特に技術職員の優遇を思い切ってなされまして日本の科学技術振興の上に大きな業績を残されることがまことに望ましいと思うのでありますが、岸総理大臣は技術職員優遇の方途をいかようにお考えか、この点をお聞きしたいと思うのであります。
第二点は、先ほど触れました、今回の給与法の改訂が、ややもすると、職階制の強化、いわゆる上に厚く下に薄い。よく表をごらんになりますとわかりますが、上の諸君、課長、局長の諸君は一年に二千数百円も昇給をするが、下の諸君になると、ひどいのは二百円あるいは三百円、こういうように、非常に上に厚く下に薄い給与法であります。こういった、先ほど申しました官僚機構の悪弊が今回の給与法の改訂に現われまして、非常に職階制を強化する感が強いのであります。これは、私どもが非常におそれる、戦前の官僚統制あるいは官僚機構の一方的な強化の面が、だんだん露骨に現われていると、かように思うのであります。岸総理大臣あるいは松浦担当大臣は、せっかく、こういった官僚機構が民主化されようとし、また、あらゆる官吏諸君がその職に安んじてついていける状態になろうとしたものを、こういう改正によって戦前の状態に逆行されるようなことは、断じて許せないと思う。こういった職階制強化の方向をぜひ改めて、従って、私はこの際総理大臣に申し上げたいのは、こういう法案は、これを撤回なさって、むしろ百五十六億のこの予算を基礎にして、別途、全公務員が要望し、全公務員が期待するような法案として再提出される御意思はなしかどうか、この点を伺いたいと思うのでございます。(拍手)
第三点は、昇給率の問題であります。人事院は、昨年三月の調査に基いて、民間給与と公務員給与との差が一一%であることを指摘しております。民間給与と官公吏の給与とが一一%差があることを指摘しておるにもかかわらず、その勧告は六%に下っておる。この人事院の調査による一一%が、勧告には六%、そうして政府の案も六%。人事院勧告の線が、政府の何らかの圧力によって、一一%勧告すべきものが六%に改正された点がないかどうか、この点を御明示願いたいと思います。
第四点は、地域給の問題であります。地域給は、御承知のように、自民党の諸君も非常に頭痛の種である。地域給ば、二十九年の人事院勧告によって、去る第二十一国会において、当時の自由党、民主党、社会党、三党の共同修正によって案ができました。これは、今の自民党の諸君も、社会党も、ともに協力して、人事院勧告に対してりっぱな修正案を作った。ところが、この修正案を、政府は解散によって実行できなかったのであります。その後、この地域給に対して何ら手を打とうとしない。依然として三年間放置したままであります。もちろん、地域給の現況に対してはいろいろな問題がございましょうけれども、私は、当然、無級地に対する適切なる措置、さらに現行地域給のこの不均衡をすみやかに是正して、万人ともに納得する地域給を一日も早く制定すべきであると思う。しかるに、政府、与党の中には、この地域給を一挙に廃止しようとするがごとき動きのあることを察知しておりますが、まことに遺憾であります。私は、この地域給を廃止するのでなくて、今申しましたように、無級地に対しての適切なる措置並びに不均衡をすみやかに是正して、一日も早くこの地域給の問題を適正なる点において施行すべきであると思うが、政府はどのようにお考えか。
さらに、今問題になっております公共企業体の闘争であります。これは関連がございますのでお尋ねいたしますが、政府は調停案をけとばしっぱなしである。せっかく調停案が出たにもかかわらず、政府はこれをけとばしたままで放任しておる。今や、十六日、さらに二十幾日と、第四波、第五波の闘争が行われようとしておる。もし、政府がこの調停案をけとばしっぱなしの状態で重大な段階に立ち至りますならば、その責任は、あげて無責任な政府にあると思う。私は、政府はすみやかにこの調停案を受諾して調停案の実施をすべきであると思うが、岸総理はいかに考えるか。
特に私がここで要望したいことは、イギリスの首相は、常に、イギリスの全官公の委員長と、ひざを交えて会談しております。イギリスにおいては、国会の本会議開会中といえども、全官公の委員長が総理大臣に面会を求めると、本会議の休憩を宣して会っております。岸総理大臣は、みずから責任を感じて、全官公の代表者、公共企業体の代表者と、ひざを交えて、いわゆる岸さんがおっしゃっておる話し合いの広場を全官公あるいは公共企業体の代表者とともに持たれる意思はないかどうか。私は、少くとも首相みずからが全官公の代表の諸君とともにひざを交えて、この重大な危機に対して、責任を持って解決する責任があると思うが、岸総理はそのようなお考えはないかどうか。
以上数点について申し上げましたが、先ほども申しますように、今回の給与法は、まことに全官公の諸君に不安と不快を与えておるだけである。せっかく百五十六億の予算を組みながら、かえって全官公の諸君に対して不安と不快を与えるだけである。これでは、私は、全官公の諸君が、喜んで上に服し、国民の公僕としていく態度にはならないと思う。再び申し上げますが、岸総理大臣ば、この案を撤回して、百五十六億の予算の上に立った、別な、いわゆる全官公吏が喜んで受ける案として再提出されることこそが最も賢明であり、最も望ましいと思うが、岸総理大臣は、さような御決意をなさる意思はないかどうか。私は、私の立場において、岸総理大臣に心から要望するのであります。政府がこの法案を撤回され、新しい案を出されることを要望して、私の質問を終ります。(拍手)
〔国務大臣岸信介君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02119570314/37
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038・岸信介
○国務大臣(岸信介君) お答えをいたします。
公務員制度は、申し上げるまでもなく、公務員の行う公務を最も民主的にかつ能率的に運営せしめるために作られたものであります。従いまして、その構成やあるいは給与等につきましても、今の趣旨を十分に達成するように考えなければならぬと思います。今日の公務員制度、その任用につきましては、御承知の通り、厳格な試験制度によっておりまして、かつての高文等とは内容を異にいたしております。今日において、官学に重きを置くとか、あるいは特殊の学校に重きを置くというようなことは、絶対にございません。(拍手)
技術職員と事務職員どの間の均衡がとれておらないというお話でありますが、これは絶対に両者を区別して待遇を考えておるというようなことはございません。ただ、もちろん専門が違いますから、その行うところの職務なりが違うことは、これは当然でありますけれども、その待遇等において区別して考えてはおりません。
次に、今度の改正が上に厚く下に薄いという御非難でございますが、私はそうは思っておりません。昇給率等は、現行制度に大体基準を置きまして、おおむねそれを踏襲いたしております。それでありますから、上に厚く下に薄いという趣旨ではないと思います。
それから、今度の給与の改善は、言うまでもなく、人事院の勧告の線に沿うて、これを尊重して実現しようとするものでございまして、もちろん、人事院の勧告は、人事院の性質上、独立しての見解であることは言うを待ぢません。
地域給の問題につきましては、これが設けられました当時と社会事情もいろいろ変ってきておりますので、目下これが改正について検討中でございます。
それから、次に、この案を撤回して、あらためて出す意思はないかということでありますが、私どもは、各種の事情から考えまして、最も妥当な案として提案をいたしておりまして、撤回する意思は持ちません。(拍手)
最後に、今回のスト、いわゆる三月労働攻勢の問題に関連いたしまして、三公社、五現業の争議について調停案が出ておる、組合の方はこれをのんでおるが、企業主あるいは政府において、これをのまないということは、はなはだけしからぬという意味においてのお話でございましたが、今度の調停案は、御承知のように、私どもこれを検討してみますると、内容的にきわめてわれわれは不満でございます。と申しますのは、きわめて簡単な結論だけ出ております。従来の調停案におきましては、その結論を出すところの理由書や、あるいは計算の基準というものが明らかにされておりますが、これはされておらない。申し上げるまでもなく、三公社、五現業の事業の内容や、あるいは職員の構成等につきましては、それぞれ異なっております。現在の給与につきましても、また、ある程度の差がございます。それらを、何らの根拠を示さずして、一律に千二百円上げるというような案につきましては、私ども十分検討しなければ、これを無条件にのんで、理由が明らかでないにかかわらず、百数十億あるいは二百億にも達するような国家負担を結局においてするような無責任なことは、政府としてできないことは言うを待たないのであります。(拍手)私どもは、これに対して、合理的な仲裁裁定を申請して、その仲裁裁定が下れば、政府としては誠意をもってこれを尊重するという意思を明らかにいたしておるのであります。私は、十九日、二十日に予定されたいわゆる第四波なるものが、それと同様なものを繰り上げて十六日に行われるということにつきましては、非常に遺憾に考えております。私どもは、特に国鉄等において、すでに三波において国民に非常な迷惑をかけており、これに対しては相当峻厳な批判も行われておる際に、われわれは今申しましたような筋を立てての説明を十分にしておるにかかわらず、十六日にこれをさらにやるということについては、私は非常に遺憾に思います。(拍手)
〔国務大臣松浦周太郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02119570314/38
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039・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) 総理大臣がお答えになりました残りの部分についてお答えいたします。
人事院の勧告は民間給与一一%といっておるのに、六・二%というのは低いじゃないか、という御指摘でございますが、決してわれわれは人事院勧告に圧力をかけたことはないのであります。人事院は、民間給与は一一%であるけれども、官吏の俸給は相当高いものを受けている種類もあるので、これを六・二%の程度に改善してくれと勧告いたしておりますから、人事院の勧告通りにいたしたのであります。
もう一点は、上厚下薄の問題であります。今総理もお答えになりましたのでございますが、今までの十五級を七級にいたしましたのは、職務の内容が七級になっておりますから、十五級ではかえって不便になる。そこで七級にいたしました。ところが、職務給だけでは、これは生活給にならないじゃないかという疑問があります。これは、七級、六級におきましては、このワク外昇給を認めることにいたしまして、十分に生活給に考慮を払っておりますことを答弁いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02119570314/39
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040・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) これにて質疑は終了いたしました。
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041・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 本日はこれにて散会いたします。
午後二時五十六分散会
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出席国務大臣
内閣総理大臣 岸 信介君
法 務 大 臣 中村 梅吉君
大 蔵 大 臣 池田 勇人君
厚 生 大 臣 神田 博君
国 務 大 臣 松浦周太郎君
国 務 大 臣 田中伊三次君
出席政府委員
内閣総理大臣官
房公務員制度調
査室長 大山 正君
外務政務次官 井上 清一君
大蔵政務次官 足立 篤郎君
厚生大臣官房総
務課長 牛丸 義留君
通商産業政務次
官 長谷川四郎君
郵政政務次官 伊東 岩男君
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