1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年三月二十八日(木曜日)
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議事日程 第二十一号
昭和三十二年三月二十八日
午後一時開議
第一 捕獲審検所の検定の再審査に関する法律
の一部を改正する法律案(内閣提出)
第二 港湾法の一部を改正する法律案(内閣提
出)
第三 自転車競技法等の臨時特例に関する法律
の一部を改正する法律案(内閣提出)
第四 資金運用部預託金利率の特例に関する法
律の一部を改正する法律案(内閣提出)
第五 関税定率法の一部を改正する法律案(内
閣提出)
第六 関税定率法の一部を改正する法律の一部
を改正する法律案(内閣提出)
第七 地方税法の一部を改正する法律案(内閣
提出)
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●本日の会議に付した案件
議員請暇の件
鉄道建設審議会委員の選挙
日程第一 捕獲審検所の検定の再審査に関する
法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第二 港湾法の一部を改正する法律案(内
閣提出)
日程第三 自転車競技法等の臨時特例に関する
法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第四 資金運用部預託金利率の特例に関す
る法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第五 関税定率法の一部を改正する法律案
(内閣提出)
日程第六 関税定率法の一部を改正する法律の
一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第七 地方税法の一部を改正する法律案(
内閣提出)
午後一時十一分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02519570328/0
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001・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) これより会議を開きます。
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議員請暇の件発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02519570328/1
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002・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) お諮りいたします。議員星島二郎君より、フィリピンのバギオ市において開催されるMRAアジア大会に出席のため、三月三十日から四月八日まで十日間請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02519570328/2
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003・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。
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鉄道建設審議会委員の選挙発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02519570328/3
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004・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 鉄道建設審議会委員二名の任期が明二十九日満了いたしますので、この際その後任者の選挙を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02519570328/4
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005・山中貞則
○山中貞則君 鉄道建設審議会委員の選挙については、その手続を省略して、議長において指名されんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02519570328/5
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006・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 山中君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02519570328/6
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007・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。
議長は鉄道建設審議会委員に淺沼稻次郎君及び正木清君を指名いたします。
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第一 捕獲審検所の検定の再審査
に関する法律の一部を改正する
法律案(内閣提出)
第二 港湾法の一部を改正する法
律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02519570328/7
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008・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 日程第一、捕獲審検所の検定の再審査に関する法律の一部を改正する法律案、日程第二、港湾法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。運輸委員長淵上房太郎君。
〔淵上房太郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02519570328/8
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009・淵上房太郎
○淵上房太郎君 ただいま議題となりました捕獲審検所の検定の再審査に関する法律の一部を改正する法律案及び港湾法の一部を改正する法律案について、運輸委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず。捕獲審検所の検定の再審査に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
本法案の趣旨を簡単に御説明いたしますと、現行法は、日本国との平和条約第十七条に規定する義務を履行するため、旧捕獲審検所が検定した事件に対しまして、連合国より要請がありました場合に、これを国際法に従って再審査することを目的とするものでありますが、事件の性質上、法律の有効期間は、平和条約発効の日から五ヵ年間、すなわち本年四月二十七日までと規定されております。しかしながら、日本国との平和条約の批准状況並びに連合国の再審査の要請状況にかんがみますと、なお今後もその要請があるものと予想さおますので、これが受け入れ態勢を存続させるため、法律の有効期間をさらに一ヵ年延長しようとするものであります。
本法案は、去る二月十四日本委員会に付託され、翌十五日政府より提案理由の説明を聴取し、三月二十六日質疑に入りましたが、何らの発言もなく、引き続き討論を省略いたし直ちに採決の結果、本法案は全会一致をもって政府原案通り可決した次第であります。
次に、港湾法の一部を改正する法律案について申し上げます。
本法案の趣旨を簡単に御説明いたしますと、現行法におきましては、重要港湾の港湾施設に対する工事費の負担割合は、恒久制度といたしましては、国と港湾管理者がそれぞれ五割ずつと規定されており、また、地方財政の再建のための臨時特例といたしましては、国が六割を、港湾管理者が四割を負担することに定められておりますが、最近船型の大型化に伴いまして、港湾施設の整備拡充方が強く要望され、特に石油、石炭、鉱石等の大量貨物を原材料とする産業界におきましては、その企業の合理化をはかるため、工事費の一部負担を条件として、関係港湾の施設の急速な整備方を熱望しているのであります。よって、かかる要望に即応いたしまして、受益者が工事費の五割を負担する場合は、恒久制度といたしましては、国と港湾管理者がそれぞれ工事費の二割五分を負担することとし、また、地方財政の再建のための臨時特例といたしましては、国が工事費の三割を、港湾管理者が工事費の二割を負担するように、その負担率について例外規定を設けようとするものであります。
本法案は、三月二日本委員会に付託され、五日政府より提案理由の説明を聴取し、三月二十六日質疑に入りまして、受益者負担による製品価格への影響、港湾施設の整備方針等について熱心なる質疑が行われましたが、その内容は会議録により御承知を願います。
かくて、三月二十七日質疑を終了し、直ちに討論に入り、日本社会党を代表して山口委員より、受益者の負担金額の増加を抑制し、もって製品価格の値上りを防止すること、港湾施設の使用について特定受益者の専用に陥らせないこと、港湾工事用器材の急速な整備をはかること等の希望条件を付して、本法案に賛成の旨が述べられました。
次いで、採決の結果、本法案は全会一致をもって政府原案の通り可決した次第であります。
以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02519570328/9
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010・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 両案を一括して採決いたします。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02519570328/10
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011・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、両案は委員長報告の通り可決いたしました。
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日程第三 自転車競技法等の臨時
特例に関する法律の一部を改正
する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02519570328/11
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012・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 日程第三、自転車競技法等の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。商工委員会理事笹本一雄君。
〔笹本一雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02519570328/12
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013・笹本一雄
○笹本一雄君 ただいま議題となりました自転車競技法等の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、商工委員会における審査の経過とその結果の概要を御報告申し上げます。
現行の自転車競技法等の臨時特例に関する法律は、昭和二十九年に一年間の限時法として制定されたものでありまして、競輪、オートレース及びモーターボート競走の施行者は売上金の一部を自転車振興会連合会等に納入し、それを関連産業の振興のために支出すべきことを規定しているのであります。その後、期限到来の翌昭和三十年におきまして、法律の有効期間がさらに二ヵ年間延長され、本年三月三十一日限りその効力を失うことになっております。
この間、参議院商工委員会において議決されました附帯決議及び競輪運営審議会の答申によりまして、競輪等の社会に及ぼす影響を考慮し、現行自転車競技法に改革を加えるべきことが要請されて参り、政府におきましては、競輪等の弊害を最小限にとどめて、これを健全化する方針のもとに、自転車競技法、小型自動車競走法及びモーターボート競走法の改正案を作成し、近く国会において審議を行うことになっているのであります。
この三種の競技法に関する改正案の施行期日は一様に本年十月一日となっております関係上、自転車競技法等の臨時特例に関する法律をそれまで存続させる必要がございますので、法律の有効期間を本年九月三十日まで六ヵ月間延長しようとするのが、本案の趣旨並びに提出の理由であります。
本案は、三月十七日本委員会に付託され、三月十九日に政府委員より提案理由の説明がございました。
その後、格別質疑もなく、三月二十七日に採決を行いましたところ、全会一致をもって本案は可決すべきものと決した次第であります。
以上、御報告を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02519570328/13
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014・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02519570328/14
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015・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。
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日程第四 資金運用部預託金利率の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第五 関税定率法の一部を改正する法律案(内閣提出)
日程第六 関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02519570328/15
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016・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 日程第四、資金運用部預託金利率の特例に関する法律の一部を改正する法律案、日程第五、関税定率法の一部を改正する法律案、日程第六、関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事平岡忠次郎君。
〔平岡忠次郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02519570328/16
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017・平岡忠次郎
○平岡忠次郎君 ただいま議題となりました三法律案につきまして、大蔵委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。
まず、資金運用部預託金利率の特例に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
郵便貯金特別会計から資金運用部に預託されている資金については、資金運用部資金法の規定による利子を付するほか、約定期間五年以上のものに対しては、昭和二十七年度以降当分の間の措置として、同年度以降、年一分以下の範囲で、毎年度逓減する特別利率による利子を付して参りましたが、この法案は、来年度以降、約定期間が五年以上七年未満のものに対する特別利率は年五厘以下とし、約定期間七年以上のものに対しては特別の利子を付さないこととしようとするものであります。
次に、関税定率法の一部を改正する法律案について申し上げます。
本案のおもな改正のまず第一は、アセトン、ブタノール製造用のナツメヤシの実、国際連合から寄贈された教育宣伝用の物品、国際見本市等で無償で提供されて消費される物品等を、それぞれ製造用原料品の減免税、無条件免税及び特定用途免税の品目に追加するとともに、従来の製造用原料品の免税品目から、免税実績のない油製造用の落花生を削除することとしております。
次に、関税の戻し税の制度につきましては、外貨原料の不足等やむを得ない事由によって、課税済みの原料品を保税工場における貨物の製造に使用し、その製品を輸出した場合には、関税の払い戻しができることとし、その他、輸入された違約品に対する関税の払い戻しは、従来これを返送した場合に限り認められたが、これを返送にかえて保税地域内で廃棄する場合にも払い戻しができることとしております。
次に、別表輸入税表につきましては、国産の保護のため、セラック、黄麻製品、DDT、硫酸ニコチン等の九品目の税率を引き上げるとともに、国産の困難なトランジスター製造用のゲルマニウムの原料については、その税率を引き下げることとしております。
次に、関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
本案のおもな改正のまず第一は、従来暫定的に関税の減免を認めている重要機械類、学童給食用乾燥脱脂ミルク、原子力研究用物品及び小麦、A重油、四エチル鉛、航空機等の課税免除物品並びに原油、B、C重油、カーボンブラック等の軽減税率適用物品につきましては、なお一年間その減免の期限を延長することとしております。
次に、関税の免除を受けた重油機械類の用途外使用の制限期間を従来の五年から二年に改めるとともに、放射性元素及びその化合物を免税物品に、合成なめし剤を軽減税率適用品目に、それぞれ追加することとしております。
次に、鉄鋼については、その需給逼迫のため輸入の必要があり、かつ、その輸入価格が国内の主要生産者の生産した同等品の卸売価格に比し割高な場合には、昭和三十五年三月三十一日までに輸入されるものに限り、政令で品目及び期間を指定して、その関税を減免することができることとしております。
以上の三法律案につきましては、審議の結果、昨二十七日、質疑を打ち切り、討論を省略して、直ちに採決いたしましたところ、まず、関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につきましては起立多数をもって原案の通り可決いたしました。次に、他の二法律案につきましては、全会一致をもっていずれも原案の通り可決いたしました。
以上、御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02519570328/17
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018・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) これより採決に入ります。
まず、日程第四及び第五の両案を一括して採決いたします。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02519570328/18
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019・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって、両案は委員長報告の通り可決いたしました。
次に、日程第六につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02519570328/19
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020・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。
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日程第七 地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02519570328/20
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021・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 日程第七、地方税法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。地方行政委員長門司亮君。
〔門司亮君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02519570328/21
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022・門司亮
○門司亮君 ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案につき、地方行政委員会における審議の経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。
政府は、ようやく再建の第一歩を踏み出した地方財政の現状にかんがみ、地方税においては自然増収を財源として積極的に減税を行う余地に乏しいものと見て、むしろ国税の減税に伴う減収をできるだけ回避する措置を講じ、ただ、この機会に、かねて問題となってきました税負担の均衡化並びに合理化をはかるべき点、また税務行政の適正化を期すべき点につき、若干の改正を加える趣旨をもって、本改正案を提出いたしたのであります。
改正案の内容は多岐にわたっておりますので、おもな点のみを御説明いたします。
まず、住民税に関して、第一に、所得税の減税に伴い自動的に生ずる所得割の減収をできるだけ回避するとともに、住民負担の軽減をもある程度考慮して税率の調整を行い、さらに、住民税の課税方式の選択がおおむね市町村の自由にまかされている結果、課税方式を異にすることにより生じている市町村間の住民負担の著しい不均衡を是正するため、この際、第二課税方式及び第三課税方式についても、その課税標準額の段階ごとの率を法定して、市町村をしてこれに準じた運用を行わせようとするものであります。
次に、事業税に関してでございますが、標準税率を、法人につきましては、現行の所得年五十万円以下一〇%を八%に引き下げるほか、軽減税率の適用範囲を広げて、年五十万円をこえ年百万円までの部分を、従来の一二%から一〇%に引き下げることとし、個人の第一種事業につきましては、課税所得年五十万円、すなわち、基礎控除を含めて年六十二万円までの部分を、従来の八%から六%に引き下げようとするものでございます。次に、法人の行う地方鉄道事業及び軌道事業について、いわゆる外形標準課税を改めて、一般事業並みに所得課税とすることとしたのでございます。また、公衆浴場業を第一種事業から第三種事業に移すこととしておるのでございます。
次に、遊興飲食税に関してでございますが、そのおもな点は、芸者等の花代部分に対する税率を三〇%から一五%に引き下げ、旅館の宿泊につき一人一泊八百円以下を免税とし、この免税点を越える宿泊料金は、現行通り五百円の基礎控除を行なった上、一律に一〇%の税率を適用することとし、また、普通飲食店における一人一回の飲食についての免税点を二百円から三百円に、チケット制の食堂等の一品ごとの免税点を百円から百五十円にそれぞれ引き上げ、これら免税点を越えるものに対しては一律に一〇%の税率とし、さらに、従来五百円以上とされていた飲食店の公船領収証の使用義務を三百円以上に改めようとするなどの諸点でございます。
次に、固定資産税に関し、特別とん税の創設とも関連して、外航船舶に対する固定資産税の課税標準の特例を、価格の三分の一から六分の一に引き下げ、その他の船舶についてもこれを三分の二に減ずる措置をとるほか、大規模償却資産に対する市町村の課税限度額並びに財源保障の割合を、昭和三十年度において経過的に講ぜられた緩和措置をそのまま恒久化すること、及び、新たに建設された工場または発電所の用に供する大規模償却資産につき、最初の年度から五年度分に限り、右の財源保障率を引き上げることなどの改正を行おうとするものでございます。
最後に、軽油引取税について、揮発油課税の増額に対応して、道路整備促進に必要な財源を充実するため、五割程度税率を引き上げようとしているのでございます。
その他、娯楽施設利用税において、スケート場を課税対象から除外し、ゴルフ場に対して外形標準課税の道を開くこと、電気ガス税の非課税範囲を追加すること、木材引取税の税率を引き下げること、入湯税を目的税とすることなどの改正を行い、また、各税目を通じて規定の整備をはかろうとしているのでございます。
本法律案は、二月二十二日本委員会に付託され、同二十八日には田中国務大臣より提案理由の説明があり、その後、地方財政計画とも関連せしめて審議を行い、三月十二日には本案に関して地方団体側並びに納税者側の参考人より意見を聴取し、二十五日及び二十七日には、軽油引取税、道路譲与税との関連において、揮発油税法改正案につき大蔵委員会と連合審査を行い、また、地方税法等改正に関する小委員会を設けて逐条審議を行うなど、審議に特に慎重を期したのでございます。二十六日には、小委員会の審議状況につき山崎小委員長から報告がございました。
委員会における審議の内容は会議録についてごらん願いたいと思うのでございますが、本委員会並びに小委員会を通じて論議の集中されました点は、大要次の二点でございましたので、この際御報告申し上げたいと思うのでございます。
その第一点は、住民税の第二、第三課税方式につき、課税標準額の率を法定する改正に関してでございます。市町村間の住民負担のはなはだしい不均衡をこの際是正しようとする趣旨は了とされるのでございますが、政府は、この措置によって生ずる減収の大部分を自然増収で補てんできるものとして、明確な財源補てんの措置を講じていないので、自然増収に多くを期待できない弱小市町村にとっては、財政運営に重大な支障を来たすことが懸念される、単に特別交付税で激変を緩和するという程度では、きわめて不徹底、不安定であるから、確固たる措置を講ずべきであるということでございます。
第二点は、遊興飲食税の改正において、徴税の簡素化のためとはいえ、飲食店等における一人一回三百円をこえ五百円までの飲食料金及び旅館における一人一泊八百円をこえ千円までの宿泊料金に対する部分につき税率の引き上げが行われることは、一方芸者の花代に対する税率の引き下げが行われることと考え合せて適当でないとの意見があったのでございます。
なお、スキー・リフトを娯楽施設利用税の対象から除外する件なども問題となりましたが、当局より行政指導により善処する旨の答弁がございました。また、昨二十七日の鈴木委員からの質疑に対し、田中国務大臣は、住民税、事業税及び遊興飲食税等の改正に伴う減収については特別交付税で極力補てんするつもりであるが、なお及ばない場合は、たばこ消費税の税率調整を考慮したい旨の答弁がございました。
かくて、昨二十七日質疑を終了いたしました。質疑終了後、亀山委員より、軽油引取税の税率を改正原案の九千円から八千四百円に引き下げることを内容とする修正案が提出せられまして、その提案理由の説明があり、これに対する質疑を行なったのでございますが、本修正による来年度の減収は三億四千四百万円となるのでございまして、これに対する政府の所見をただしましたところ、田中国務大臣から特別異論はない旨の答弁がございました。
次いで討論に入り、徳田委員は、自由民主党を代表して、修正案並びに修正部分を除く原案に賛成、中井委員は、日本社会党を代表して、両案に対して反対の意見を述べられました。
採決の結果は、修正案並びに修正部分を除く原案いずれも賛成多数をもって可決せられました。よって、本案は修正可決すべきものと決した次第でございます。
右、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02519570328/22
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023・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 討論の通告があります。これを許します。中井徳次郎君。
〔中井徳次郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02519570328/23
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024・中井徳次郎
○中井徳次郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題になっておりまする地方税法の一部改正に関する法案並びにその修正案に対して反対の討論を行わんとするものであります。
政府は、昭和三十二年度の予算の審議に当りまして 一千億の減税、一千億の施策ということを大きく打ち出しました。しかしながら、この地方税法を見ますると、一千億の減税によって大きく穴が出て参りまするこの地方税法関係を増徴によって補わんとしておるのであります。従いまして、はっきりと申し上げますと、総理大臣や大蔵大臣は国民に対してえびす顔である、しかし、府県知事や市町村長は国民に対してえんま顔をしなくちやならぬというふうな形に持っていくような法案が、今回提案されました法案であります。(拍手)これは相も変らぬ保守党のまことにずるいやり方であると私は考えたいのでございます。これが、冒頭の、われわれの反対の見解であります。
以下、五、六点につきまして、各税目について簡単に申し上げてみたいと思います。
まず、住民税であります。神武以来の景気だといわれておりまするが、その景気はどこに集中しておるかといいますと、やはり大都市でございましょう。ところが、今度、住民税を、この大都市においてさらに率を上げようというのであります。これまでは二一%でありましたのを、昭和三十三年度から二六、昭和三十四年度に二八にしよう。実は三割以上の値上げになるのでありまして、この点につきまして、政府は、何といいますか、所得税については、率が下りますと、これは減税であると言う、住民税については、幾ら率が上りましても、これは増税でないそうでございまして、調整と言うております。しかし、内容を見ますと、やはりそれではございません。あくまでこれは増税といわねばなりません。この点だけでも、私どもはとうてい賛成するわけには参らないのでありまして、神武景気でありまするならば、現在の率におきましても十分私は税収入があろうかと考えておるのであります。
住民税の第二点といたしましては、第二方式及び第三方式の関係であります。この関係は、ここ数年来、私ども社会党もやかましく政府に要望をいたしまして、今回第一方式と第二、第三との間の幅が狭まりました。その点におきましては、まことにけっこうだと存じております。ただし、これによって生ずる――政府の説明では四十九億円の赤字だ、欠損だといいまするが、これが処置いかんということになりますと、何も措置されておりません。ただいま委員長の報告にもございました、自由民主党の皆さんの中にも、この点については、はなはだ不満である方が多数おられましたのが、この委員会の状況でございます。この第二方式及び第三方式は、いずれの市町村、府県においてもとりたくないのでありますが、しかし、やむにやまれぬ事情でとっておるのでありますから、政府の言うように、これが五十億近くも赤字ということになりますと、全国の貧弱な府県、市町村は、ことしから大へんな問題になってこようと思うのでございまして、私ども、この点において、はなはだ遺憾だと考えております。
第二に、事業税であります。事業税につきましては、多少率が下りました。社会党は別な案を持っておりますが、この率が下りました程度におきましてはけっこうだと存じております。ただ、第一種を第三種にするというふうな問題につきまして、実は、衆議院の決議といたしまして、昨年度は、大工だとか、左官だとか、あるいは板金、植木屋、そういった者、最後に湯屋業、おふろ屋さん、こういうものについて、これは将来第三種にすべきものであるという決議をいたしておりますが、今回、政府は、その順位の一番下であります、いわゆる湯屋業だけを第三種にいたしました。こういう点におきましても、大工、左官、板金、植木屋という、まことに零細な事業を行なっておられる人たちの運動が、どうもあまり十分ではなかった、それではもうやめておけというようなことでは、まじめな政治だとはいえないと存ずるのでございます。
第三に、固定資産税の問題でございます。固定資産税の問題につきましては、産業復興に名をかりまして、国税の特別措置ならまだがまんができますが、地方税についても、ずいぶん特別措置的なものがございます。いまだに船舶、鉄軌道あるいは電気事業等につきましては非常な恩典を与えておるのでございます。これにつきまして、われわれは、もういいかげんに整理をすべき段階ではないかとやかましく言っておるのでありますが、本年は、さらにそれに製氷会社、製氷をする漁業組合その他の製氷事業が加わりまして、さらにその範囲を拡大しようというのでありますから、これはとうてい賛成するわけには参りません。固定資産税の現況を調べて参りますと、全国の農民は、国民所得が御案内の通り大体一七%であります。しかるに、固定資産税は三六・六%というふうな非常に高率な負担をいたしております。この点だけから見ましても、私は、このような特別措置を行うならば、どうしても農民の農業用資産等につきまして五万円ないし十万円の基礎控除を絶対行わねばならぬと考えておるものでございます。(拍手)
次は、電気ガス税であります。電気ガス税にも相変らずこの措置がございます。必ず上っております。電気ガス税は簡単に金を納めまするので、国民大衆は案外この点は知らないのでありますが、全部一割やられております。ところが、二十六、七に及びます、重要産業と称しまする、たとえばセメントだとか肥料だとかいうものにつきましては、今日まで一銭も電気ガス税はとられておらぬのである。この総額は実に百十七億円に達しております。私は全部一〇%とれとは言わない。たとえば五%とっても五十数億円のこれは増収になります。もう戦後十二年である、戦後という言葉はなくなる、もうなくしよう、神武景気だというておきながら、こういうものを依然として残しておるというところに、私は現政府の性格を見るのであります。(拍手)まことに遺憾にたえないところであります。
第四は、軽油引取税であります。軽油引取税につきましては、昨年初めて創設されました。そのとき、国会で、こういうものは将来軽減すべしという附帯決議をとっておる。しかるに、今度三千円の増徴ということになりました。われわれは、もう一銭も値上げに応ずる必要はない。自動車、バス、そういうものは非常にふえまして、というのが政府の説明である。予想以上にふえまして――予想以上にふえるのならば、軽油引取税もおそらく増収になるでありましょう。なぜ三千円上げなくちゃならぬか、一向にわかりません。昨日の委員会におきましては、自由民主党から修正案が出されまして、二千四百円ということでございました。六百円下りました。六百円の範囲では賛成でありますが、あとの二千四百円は、私どもは賛成するわけには参らないのであります。
次に、自転車荷車税でございます。自転車荷車税については、これはたびたび本壇上からも他の委員から話がありました。こういうものは一刻も早くなくすべきである、こういうことであります。田中自治庁長官も来年は直すというふうなことでありましたので、この点は信用いたしまするが、来年までおられるかどうか、ちょっとその点は気にかかる次第でございます。木材引取税はこの間下りました。しかし、こういうものは、もうとるべきじゃございません。私ども社会党は、こういうものをとるよりも、立木の、相当年限の経た、二十年以上、三十年以上というものについて、非常に程度の低い、率の低い固定資産税をかけたらどうだ、これは、何と言いまするか、率を非常に低くしてやったならば、私は、必ず税収入も安定いたしまして、けっこうなことだろうと考えておるのでございます。
最後に、遊興飲食税であります。例の芸者の花代の問題等でございまして、三割を一割五分になすった。そこで、少しどうも減税になるというので、一般国民の飲食をいたしまする飲食の税金につきましては、三百円から五百円を、これまで五分でありましたのを一割にいたしました。また、旅館の宿泊料を、八百円から千円までを一割にいたしました。これはまことに奇妙な改正であります。(拍手)そうして、事情を尋ねますると、ただ単に事務の問題だと言うのでございます。こういう問題を事務で片づけられては、国民はたまったものではないと考えております。(拍手)承わりますると、自由民主党におかれても、この点はいろいろと御審議になって、そうして、三百円から五百円、八百円から千円までの間は据え置きにしようというふうな話が大方まとまった。ところが、一方、公給領収書を廃止せいというような運動がありまして、とうとうこの二つの問題が相打ちになって、原案通りだということになったと承わっておりまするが、これはまことに奇妙なことです。大体、公給領収書を廃止するなんということは、これはほんとうに事務の簡素化のことでありまして、この率の問題と全然関係がありません。性格が違ったものであります。フットボールと野球と試合をして相打ちなんということはないのであります。
この点において、私は、自由民主党の皆さんの、ほんとうに深い――事は小さいようでございまするが、深い反省を望みまして、これをもって反対の討論といたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02519570328/24
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025・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) これにて討論は終局いたしました。
採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02519570328/25
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026・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 起立多数。よって、本案は委員長報告の通り決しました。
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02519570328/26
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027・益谷秀次
○議長(益谷秀次君) 本日はこれにて散会いたします。
午後一時五十二分散会
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出席国務大臣
通商産業大臣 水田三喜男君
運 輸 大 臣 宮澤 胤勇君
国 務 大 臣 田中伊三次君
出席政府委員
大蔵政務次官 足立 篤郎君
運輸省港湾局長 天埜 良吉君
捕獲審検再審査
委員会事務局長 辻 章男君
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102605254X02519570328/27
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