1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年三月七日(木曜日)
午後一時四十三分開会
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出席者は左の通り。
委員長 戸叶 武君
理事
江藤 智君
木島 虎藏君
三木與吉郎君
大倉 精一君
委員
石原幹市郎君
植竹 春彦君
後藤 義隆君
成田 一郎君
平島 敏夫君
相澤 重明君
柴谷 要君
中村 正雄君
高良 とみ君
森田 義衞君
市川 房枝君
岩間 正男君
国務大臣
運 輸 大 臣 宮澤 胤勇君
政府委員
運輸省港湾局長 天埜 良吉君
運輸省鉄道監督
局長 權田 良彦君
運輸省鉄道監督
局国有鉄道部長 細田 吉藏君
運輸省自動車局
長 山内 公猷君
事務局側
常任委員会専門
員 古谷 善亮君
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本日の会議に付した案件
○公聴会開会に関する件
○国有鉄道運賃法の一部を改正する法
律案(内閣送付、予備審査)
○港湾法の一部を改正する法律案(内
閣送付、予備審査)
○運輸事情等に関する調査の件
(高速自動車国道に関する件)
(港湾行政に関する件)
○連合審査会開会の件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/0
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001・戸叶武
○委員長(戸叶武君) これより運輸委員会を開会いたします。
まず、公聴会の開会承認要求に関する件についてお諮りいたします。
日本国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案は、一般的関心及び目的を有する重要案件でありますので、利害関係者及び学識経験者等から意見を聞いて、審査の参考に資するために公聴会を開きたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/1
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002・戸叶武
○委員長(戸叶武君) 御異議ないと認めます。公聴会の日時問題並びに公述人の数及び選定その他手続等は、委員長及び理事に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
[「異議なし」と呼ぶ者あり」発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/2
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003・戸叶武
○委員長(戸叶武君) 御異議ないと認めます。よって公聴会開会承認要求書を議長に提出することに決定いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/3
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004・戸叶武
○委員長(戸叶武君) 次に、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、宮澤運輸大臣より提案理由の説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/4
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005・宮澤胤勇
○国務大臣(宮澤胤勇君) 国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明いたします。
日本国有鉄道の財政の再建につきましては、国会におきましてしばしば御論議をいただいたところでありますし、まだ政府におきましても臨時に日本国有鉄道経営調査会を設置して、広く民間有識者の意見を聴取いたしましたが、国鉄の現状は、累積した老朽施設車両の取りかえを急速に行なって輸送の安全を期さなければなりません。また一方最近の国内経済の活況を反映いたしまして、急速に増加いたしました輸送需要に対応するための輸送力の増強も行わなければならず、さらに電化その他鉄道の近代化をはかってサービスの向上、経営の合理化を促進すべき段階に来ているわけであります。これがための資金の調達をいかにして行うかが国鉄財政の大きな問題であり、ひいては国鉄再建のかぎともなっているわけであります。これらに要します資金総額は向う五カ年間でおおむね六千億円程度の巨額に達しますが、このうち約四三%に当るものは従来の固定資産の維持に充当されるものでありまして、残り約五七%が経済拡大に伴います輸送力増強その他電化工事等鉄道の近代化に充当されるものであります。
この後者に属します資金の調達は極力外部資金に依存すべきものでありますが、輸送力増強のための資金といいましても必ずしも採算に乗るものばかりでなく、他方外部資金の調達にもおのずから限度がありますので、これらを勘案いたし、さらには過去の償却不足を特別償却するという意味をも含めまして、減価償却費の外に、ある程度自己資金によります資金の調達を考えることにいたしたわけであります。
以上のような次第で老朽資産の取りかえを可能ならしめる減価償却費の計上と、採算のとれない輸送力増強施設のための経費に充当すべき自己資金の捻出のために、やむなく運賃の値上げを決意いたしたわけであります。
運賃値上げ率の決定に当りましては、国民生活並びに物価への影響を十分に考慮いたしまして、国鉄の申請案を慎重に検討されました運輸審議会の答申を尊重いたし、さらに収入において今一そうの努力を要請するとともに、所要経費につきましては、世論にこたえ徹底的な経営合理化による節減を求めることといたしまして、最小限度の一割三分にとどめることにいたしたわけであります。なお、この一割三分のうち約三分は、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律に基き、国鉄が納付金として各市町村に納付するものでありまして、実質的に国鉄の収入増になりますものは約一割増ということになります。
次に運賃改訂の内容についてでありますが、まず、旅客と貨物の関係におきましては、従来の運賃改訂の経緯及び今後の投資計画の内容等をも検討して、旅客貨物ともおおむね同一率の増収が得られるようにいたしました。
旅客運賃の改訂内容について申し上げますと、普通旅客運賃の賃率はおおむね一割三分程度の値上げでありますが、寝台料金、特別二等車料金及び特別二等船室料金は今回はこれを据え置くことにいたしました。
定期旅客運賃につきましては、現在その割引率が戦前に比べまして相当高率になっておりますので、最高割引率につきまして若干の修正をいたすことにしたのでありますが、学生定期につきましては、現在の学生の生活環境を考慮いたしまして、現行の割引率をそのままに据え置くことにいたしたのであります。
次に貨物運賃についてでありますが、貨物賃率の遠距離逓減率につきまして、海陸の輸送調整等政策上及び鉄道の輸送原価の点等を考慮いたしまして修正を加えることにしました。しかし、その結果として遠距離貨物で、値上げ率が大きくなり、国民生活に急激な影響を与えるおそれのあるものについては、個々具体的に検討して、割引その他特別の措置をとることにいたしたのであります。
青函航路及び関門トンネルの貨物営業キロ程をそれぞれ短縮しましたほか、重量減トン制度の改正、着駅変更など荷主の指図に応ずる場合の運賃計算方の改正その他諸制度の改正をいたすことになっておりますが、これら運送制度の合理化については、多年荷主側から強い要請があったものでありまし
て、ほとんどいずれも利用者に利益となるものであります。
以上が今回の改訂のおもな点でありますが、今日国民各位に幾分でも負担の増加を願うことは心苦しいところでありますが、この運賃改訂によって得られます増収額は、これをあげて輸送力の増強に資することといたしまして、国鉄の輸送力を飛躍的に増大して、いわゆる輸送の隘路を打開することが国家の産業経済活動、国民生活により大きな貢献をするものであることを考えまして、運賃改訂も必要やむを得ない措置であると考えた次第であります。
最後に、本法案実施は来たる四月一日からと予定しておりますので、重要案件の御審議にきわめて御多忙のことと存じますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御承認賜りたくお願い申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/5
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006・戸叶武
○委員長(戸叶武君) 次に、法案の補足説明を樺田鉄道監督局長より説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/6
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007・權田良彦
○政府委員(權田良彦君) それでは私から、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案の内容について補足説明を申し上げます。法案について御説明いたしますよりは、お手元に、ただいま参考資料といたしまして「鉄道運賃改訂資料、旅客・荷物」の部と「貨物」の部と二冊お配りいたしております。この方が内容が詳細でございますので、これに従いまして簡単に御説明を申し上げます。
まず旅客でございますが、第一ページでございます。鉄道普通旅客運賃の賃率、これが法律事項でございますが、これは地帯別になっておりまして、百五十キロメートルまでが第一地帯、続いて五百キロメートルまでが第二地帯、千キロメートルまでが第三地帯、千一キロメートル以上が第四地帯、その一キロメートル当りの賃率が定まっておりまして、これも貨物同様遠距離逓減になっておりますが、現在の二円十銭を二円四十銭にいたし、第二地帯は、一円四十五銭を一円六十五銭、第三地帯は七十五銭を八十五銭、第四地帯は五十銭を五十五銭、これが基礎賃率でございます。で、これに対しまして、二等がこれの二倍、一等がこれの四倍、こうなりまして、二等と一等には、さらに賃率のほかに二割に相当いたします通行税が外ワクとして加わるわけでございます。
次に航路の普通旅客運賃でございますが、これも法律事項でございまして、これは別表一と申しますところにございますが、これは五ページでございます。航路は、この左に書いてあります航路が国鉄の航路でございますが、これを三等の現行の右の改訂案に見合いまするように改正をいたします。二等は三等の倍でございます。青森—函館間につきましては今回二百二十円を二百五十円、宇野—高松間は五十円が六十円、仁方—堀江間は百五十円が百七十円、宮島口—宮島間が十円が二十円、大畠—小松港間は三十円が据え置き、下関—門司港間は三十円が四十円、かように相なります。
次に二ページ目でございますが、鉄道定期旅客運賃でございます。定期の旅客運賃は、ただいま申し上げました第一地帯の改訂賃率、すなわち二円四十銭をベースとして設定いたします。定期の旅客運賃は百キロメートルまでについて設定しておるものでございまして、従いまして第一地帯の賃率が適用に相なります。従いまして賃率としては法律事項でございますが、以下申し上げまする割引関係は、これは法律事項ではございませんので、日本国有鉄道運賃法に従いまして、五割以内ならば、これは総裁限りにおいて決定し得ることに相なっておるのであります。現在定期には普通と通勤と通学と三種類ございます。この定期旅客運賃は、戦後累次の運賃改訂の際に、いろいろ社会政策的な要素をも加味いたしまして普通旅客運賃よりは低目に改訂しておったのでございます。従いまして、割引率が戦前よりずっと高率になっております。ここにございますように、最高の現在の割引率は、普通について七割八分三厘、通勤について八割三分三厘、通学については九割零分八厘になっております。これは一カ月についてでございます。これが三カ月、六カ月になりますると、さらに一カ月に対する割引割合が、三カ月においてこれの一割、六カ月において一割五分さらに割り引くという制度になっております。従いまして、この定期の割引率というものは、まあ他に例を見ないほど大きな割引をいたしておりまして、戦前に比べましても、同じ日本の国有鉄道の割引率が高目になっておる、これをできるだけ合理的なものにいたしたいと考えたのでありますが、これを一挙に戦前並みに戻しますることは、いろいろな事情もございまするので、今回は普通定期については、一カ月について最高を七割五分、通勤については八割、それから通学については、これは学生の生活環境もございまするし、そういう事情からこれは現行通り九割零分八厘、こういうところで割引率の最高を押えてみたい、三カ月、六カ月のさらに割り引きする割引率は同じでございますが、こういうことでいたしてみたらどうかと思って案を作ったわけであります。この内容については、後ほど別表について御説明を申し上げます。
航路の定期旅客運賃は、これは航路の、先ほど申し上げました普通旅客運賃の改訂に順じて改訂いたしまして、これは六ページの別表2にございますが、これは内容説明は省略さしていただきます。
次に料金関係でございますが、三ページでございますが、急行料金はこれは法律の別表でございまして、今回別表3、すなわち七ページにございまするが、このように改訂をいたしたい。まず、普通急行料金でございます。並びに準急行料金でありますが、これは七ページの3の下にございますように、各地帯別に料金がきまっておりますが、たとえば普通急行で申し上げますと、三等三百キロ二百円を二百三十円、準急行は百五十キロまでの三等六十円を七十円、おおむね一割充分程度に切り上げに相なりますが、このように改訂をいたしたい。特別急行につきましては、特別急行の利用旅客の流動状況を考慮いたしまして、ここにございますように現在の地帯刻みが六百、九百、千二百、千二百一以上、こうなっておりますのを四百、八百、千二百、千二百一以上、こういうふうに刻みを変えまして、それぞれの現在の六百円、八百円、千円、千二百円を適用いたしたい。これは御案内の通りに、在来特別急行が東海道線に走っておりましたのが、昨年から山陽線にも走るように相なりまして、その運行距離が長くなりました。これによりましてこの御利用願う旅客の流動状況から上り下りの状況を勘案いたしまして、かように改訂をいたしたわけであります。
次に寝台料金、特別二等車料金及び特別二等船室料金でありますが、これは御案内の通りに、寝台料金につきましては、三十年の七月だったと思いますが、一等寝台車をなくしまして、二等にいたしました。それから三等寝台が新たにできまして、新たな三等寝台料金を作りました。改訂したばかりでございますので、今回は据え置く。従って、この据置に伴いまして、特二の料金も一据え置いた、こういう次第でございます。
次に荷物の運賃の改訂要綱でございますが、ここに荷物と申しますのは、旅客列車にくっついております荷物車によって運ぶ通常手小荷物と申しておるものでございまして、これは手荷物については、現行三十キログラムについて百円を百五十円、これは一割三分値上げの、切り上げ、端数整理であります。それから通常小荷物については、五百キロメートルまでの距離刻みを百キロメートル刻みに改め、五キログラムの重量刻みを設定いたしまして、これはいずれも御利用なさる方々にとって便利となるものでございます。特にここで問題になりますのは、この次の四ページの3にあげてございます特別扱小荷物運賃でございます。これは新聞と雑誌でございます。新聞と雑誌につきましては、他の手小荷物と違いまして、重量に応じて距離に関係なく運賃を設定して参っております。これはやはりいろいろな公共的な新聞、あるいはいろいろ教育的な文化に資する関係の雑誌等の関係でありまして、在来新聞は一キログラムについて一円六十五銭でございますが、これを今回一円八十五銭とする、雑誌については一キログラムについて四円四十銭を四円九十銭といたしたい。荷物車の貸し切り運賃については、ここにお示しをした通りで、そう大きな問題はないと存じております。
以下、以上申し上げましたことを別表によりまして簡単に例をあげて解説を加えたいと存じます。まず第八ページでございます。これは先ほど申しました基本賃率の改訂で、それでは現実にどれくらい上るかということを現実の区間をとりまして例示いたしてみたわけでございます。そういたしますと、三等で申し上げますと、熱海まで参りますると——これは東京を起点にいたしておりますが、現在二百十円が二百四十円の三十円の値上げで、値上げ率は一割四分三厘くらいに相なります。これは切り上げの関係で——ラウンド・ナンバーの関係でこうなります。名古屋まで参りますと九十円、これも一割四分三厘くらいの値上げ。大阪に参りますと百二十円、これは一割三分八厘くらいの値上げ。それから遠くへ参りまして、長崎へ参りますと百八十円、鹿児島に参りますと百九十円で一割三分一厘くらいの値上げであります。それから札幌へ参りますと二百円、釧路へ参りますと二百十円、青森に参りますと百三十円で、いずれも一割四分、一割二分九厘と、こういうような値上げに相なります。二等はこれの倍に二割の通行税を加えたものでございます。
第九ページをごらん願いますが、これは東京と大阪にございます国鉄電車の運賃の問題でございます。この国鉄の電車、いわゆる東京では環状線でございます。大阪では城東線でございますが、これは在来の沿革から、いろいろな運賃のきめ方が区間制になっておりまして、これは実キロを採用いたしませんで、四割短縮した営業キロを採用しておるわけでございます。今回国鉄の申請は、これは三割短縮に合理化したいということでございましたが、種々検討の結果、四割短縮は据え置いてみたわけでございます。その結果は城東線につきましては、ここにございまするように、十円が全部据置という結果に相なりました。それから東京の環状線につきましては、このあとでごらんになりますように、据置のものもありまするし、価上げのものもございます。この関係をちょっと申し上げますると、現在東京の環状線は十円区間と二十円区間、こういうことになっておりまして、十円区間の口数が四百八十八ございます。それから二十円区間の口数が百七ございます。そのうち今回改訂になりまするものは、十円区間では四百八十八口のうち九十口でございます。あとは据置でございます。二十円区間は百七口はいずれも据置でございます。従いまして、この表で東京の欄をごらん願いますると、環状線内では、ずっと右へ参りまして新宿、目黒が十円が二十円に相なります、東京駅から。それから田端、上野、四ッ谷というふうなところは十円のままでございます。
その次の十ページに、これは先ほどの、なお長距離を御利用になる場合に、飛行機と一応比較いたしてみた参考資料でございます。東京—大阪につきましては、現在特急で一等でおいでになりますると六千三百二十円でございますが、それが今回七千六百四十円に相なります。日本航空で参りますると六千三百円、日ペリで参りますと五千五百円でございます。これは当初国鉄の申請は、先ほど申し上げました倍率を、一等を三等の三倍にしたらどうか、これは戦前は三倍であったんであります。これが例のいろいろ戦争中に上級旅客を禁止するために六倍にいたしました。それをまた四倍に戻して、今四倍になっているのでございますが、これは飛行機その他の関係から見ますと、三倍にも合理性がございますが、今回は、上級旅客につきまして倍率を下げることもいかがかと思いまして、私どもの方は四倍にいたして倍率を据え置いたわけでございます。東京—博多になりますと、これは一等が博多まで行っておりませんから二等でございまするし、航空機よりはだいぶ安くなっております。東京—札幌も同じような事情でございます。
次に、先ほど御説明いたしました定期の問題について実例をあげて御説明を申し上げます。これが十一、十二、十三ページでございます。まず、十一ページにございますのが通勤定期でございます。これは会社、職場その他へ通勤される方の御利用なさるものでございまして、一キロから十キロ、十一キロから二十キロ、二十一キロから以上を、試みにお乗りになる距離別に利用人員の割合がどれくらいあるかということを一番右に示しております。大体通勤は二十キロ以内で六、七割御利用になっておりまして、遠距離のものは三割程度でございます。十キロ地帯では、これは十キロに見合う駅をかりにあげましたので、十キロ以内にある駅なら大体これと同じでございますが、値上げ額は、一月に三十円ないし六十円程度、これは値上げ率といたしますと、一割二分あるいは一割二分五厘、この改訂案というのが今度の新しい賃率で、先ほど申した割引率で計算いたしました賃率でございますが、普通運賃に比較いたしますと、約十四日分、十三日半分、カッコの中でお示ししてございます。二十キロ地帯では、大体七十円から八十円、九十円の値上りでございます。一月間で値上り率が一割二分三厘から一割三分五、六厘というふうに相なっております。次に遠距離の方になりますると、これは先ほど申し上げましたように、通勤の最高割引率を今回若干合理化させていただきたいと考えましたので、値上り率については若干ふえて参ります。すなわち大宮辺で月額円七十円、国立付近で二百三十円、鎌倉程度の距離になりますと、これに見合う距離は皆同じでございますが、三百九十円、月額の値上り率にいたしますと、二割二分一厘、二割九分一厘、一番大きいのが三割六分一厘、しかし、これを普通運賃との見合いを見ますると、大体六日分から七日分ぐらいの運賃でございます。一月間の運賃が大体かような姿に相なっております。
十二ページが今度は通学定期でございます。通学定期は、これは右でごらん願いますように、二十キロ以内のものが——大体四分の三は近くから通っておられて、二十一キロ以上の遠距離通学は四分の一くらいしかございません。これは、いろいろなことを考えまして最高割引率を据え置きましたために、いずれも値上げ率はさほど高くなっておりません。一月の月額にいたしまして、十キロ以内では二、三十円、二十キロ以内では四、五十円、二十一キロ以上で、五、六十円でございます。値上げ率にいたしますると、一割一分台から一割三分台ということに右に値上げ率でお示ししてございます。
十三ページにございますのが、これは普通定期でございます。この普通定期と申しまするものは、一般に行商人の各位の御利用が一番多いのでございます。これは、ここでお示しいたしまするように、従って、利用人員の割合も、二十キロ未満では二割七分くらい、二十一キロから三十キロまでが一割六分六厘、四十キロまでが一割六分七厘、四十一キロ以上からお通いになる普通定期客が三割九分八厘、四割近くでありまして、非常に遠くから御利用になる率が多うございます。十キロ地帯では、大体月額にして六、七十円、一割一分から一割三分台ぐらいしか上りませんでございます。二十キロ地帯では、大体百十円から百二十円、百三十円ということで、これも一割一分台から一割三分台、多いもので一割三分七厘くらい上ることになります。これも先ほど申し上げましたように、最高割引率を若干訂正いたしますので、遠距離に従って値上げ率として高くなって参ります。すなわち三十キロ地帯では月額は百六十円、一割六分三厘、四十キロ地帯では二百五十円、二割四分、四十一キロ以上遠距離になりますと、大体月額で四百三十円、日割りにいたしまして十四円何がしになりますが、値上げ率としては三割二分一厘となります、この改訂案のカッコ内にございますように。しかし、普通運賃に比べますと、四十キロ地帯あるいは四十一キロ以上になりますと、七日分ないし八日分の普通運賃に見合うわけでございます。
次に、十四ページの通常小荷物運賃は、これはあまり御説明を加えることはございませんので省略いたしまして、十五ページの特別扱いのものについての参考表を簡単に御説明をいたします。これは新聞雑誌等でございますが、先ほど申し上げましたような理由で、特別な扱いをいたしております。この十五ページに示しましたのが原価との対照でございます。十六ページにお示しいたしましたのが新聞紙の定価と運賃、それが今回改訂になる割合でございます。十七ページは、同じように雑誌の関係でございます。
以上、旅客、荷物について簡単に御説明をいたしましたが、続いて貨物について別冊について御説明をいたします。
今回の貨物運賃の改訂要領は、先ほど大臣から御説明申し上げましたように、おおむね一割三分程度の増収をいたしまするように、賃率の引き上げと一部運送制度の改正を加えまして、サービスの向上をはかっております。法律事項といたしましては、これは、1の車扱い貨物の賃率の改訂、これが法律事項でございます。他はいずれも法律事項ではございません。賃率につきましては、今回貨物の遠距離逓減率を修正いたしておりますることが大きな点でございます。これは、四ページに車扱い貨物賃率表改訂案というのがございます。これが距離別に、普通等級、特別等級各キロメートルごとの賃率が入れてございます。これは四、五、六、七ページまで続きますが、これは非常におわかりにくい表でございまして、後にこれを適用いたしました場合の実際の例について御説明をいたします。
ちょっと九ページをお開きを願いたいと思います。九ページに、遠距離逓減の問題についての御説明を加えております。これは、日本の運賃の立て方におきましては、やはり非常に長い島でございまして、産業の開発その他諸点を勘案いたしまして、かねてからこの遠距離逓減制を採用しております。これは他の諸国においては多少実情を日本とは異にいたしております。現在の遠距離逓減は、その地帯別の賃率に——指数に直して申し上げますと、左が距離でございます。右が指数に直してございますが、十キロメートルぐらいまでの一キロ当り賃率を一〇〇といたしますと、これはだんだん減って参る、五十で四五、百で三八、五百で二二、八百で二〇、千で一九、千五百で一八、二千で一八、こういうふうに著しく逓減をいたして参ります。実は、これは昭和十一年——戦前の正常な時代でございますが、それは大体三百五十キロメートルまでこの賃率を下げて参りまして、それから先は一つの賃率で参っておったのであります。それを、戦争中いろいろ船舶が軍用に徴用せられまして、あらゆる物資を陸で、しかも鉄道で運ぶことになりまして、それを八百キロメートルまで下げて、延ばしたのであります。ためしに指数を申し上げますと、昭和十一年時代に、十キロメートル地帯を一〇〇といたしますと、五百では三〇でございました。それから八百では二六、千では二四、千五百では二二、二千では二一という運賃指数でございます。これを今回いろいろ海陸の輸送調整その他運送原価等から見合いまして、これを若干合理化いたしたい。今回はこれを五百キロ——八百から五百にいたしたい。三百五十まで行くのは少し急激でございますから、五百でとめますと、実際の運賃率がどうなるかと申し上げますと、改訂案でお示ししますように、この一〇〇が逐次二一、二〇、一九とあります。従いまして、現行と比べますと、一ぐらいの差でございます。このようなことが、この別表の一の車扱い貨物賃率表に含まれております遠距離逓減でございます。
次に営業キロの問題でございますが、これは法律事項ではございませんが、いろいろ不合理な点もございましたので、今回の運賃改正を機会に改訂をいたしたいと考えました点が二つございまして、一つは、青森—函館間のキロ程でございます。これは現在四百五十キロメートルとなっておりまして、先ほど御説明いたしました旅客の方では、陸上の運賃を通算いたしまして、それに先ほど御説明いたしました船舶の旅客運賃を併算いたしまして運賃を立てますが、貨物の方も戦前はそうでございました。しかし、戦争中にいろいろの荷物が行き来をいたしますのに、併算をいたしますと、非常に計算が複雑で、事務の合理化を期する上と、いろいろ貨物運賃の合理化を期する上において、貨物に限っては陸も航路も通算をする、そのためにキロを設定いたしたのでありまして、そのときに設定いたしましたキロが、三百五十キロメートルでございます。その後、戦争中新羅丸という普通の船を使いまして、積みかえ輸送を行いまして、この積みかえ費を全貨物に負担していただくために、四百五十キロにいたしたわけでございますが、現在ではそういう積みかえの船はございません。いずれも貨車で直通して参りますから、積みかえ費のキロ加算は不合理でございますので、これをとる。さらに今回、先ほど申し上げました遠距離貨物の遠距離逓減等をも考慮いたしまして、青函のキロ程を三百キロメートルに短縮をいたしたのでございます。それから関門のキロ程は、これは在来、御承知のように連絡船でございましたが、その後隧道ができまして、レールがつながりましたので、これはそのつど改正ができませんでしたので、今度この運賃改訂の機会に、レールのキロに改める、すなわち三十キロメートルを六・三キロメートルに修正する、これはいずれも荷主各位には非常に有利になる改正でございます。
次に申し上げますのが、若干の運送制度の改正でございますが、これはいろいろ御要望もあり、諸般検討いたしました結果、合理性がございますので、今回これを国鉄に採用せしめたいと考えているわけでありまして、その一つは、重量減トン制度及び一車二口扱い制度でございます。重量減トン制度と申しますのは、現在百四十八品目について適用しておりますが、さらに百三十五品目追加したい。これは実はちょっと字がややこしいので、内容が複雑になっておりますが、簡単に申し上げますと、十トン車をほしいという荷主がございます。その場合に、現在車両の新造計画としては、いろいろな輸送効率、製造能率、資材の節約その他から考えまして、十五トン車を主として製造いたしております。比較的十トン車が少いのでございまして、十トン車をお待ち願えればそれを配車するような仕組みになっておりますが、これを十五トン車でもいいからくれ、おれは積むからとおっしゃる方には、十五トン車を配車するのであります。そういたしますと、貨車は表記トン数が運賃の計算単位になりますので、これは在来は十一トンの運賃になる。ところが、これは何と申しますか、十トン車をもらうより一トン損するわけでございまして、今回はこれを品目をふやしまして、十トン分の運賃ということにいたすわけであります。それから一車二口扱いと申しまするものは、車扱いの中に二口積んで一車をとる、この場合に、これは一割増しの運賃になっておったのでありますが、これを合理化の点から割増しをしない、普通の運賃に直してしまう、こういういずれも便利になる制度でございます。
次の等級格づけの問題でございますが、実は貨物等級というものは、その貨物の持っております価格なり経済価値、あるいはそれの運送原価、これに見合いまして、実に多数の品目が等級別に整理してございますが、これを根本的に深く研究を加えまして、今の制度を確立いたしましたのが二十八年の二月でございます。自来若干年月もたちまして、その後において、若干の品目について、当時予想しておりました経済情勢の変りましたもの、あるいは当時予想できなかった品物が最近技術の進歩で現われて参っておりますので、そういう補足的な意味において、八十五品目の貨物に対する格づけを改正いたしたのでございます。
次に、これも制度でございますが、軽量減トンと申しますのは、これは軽いものでございまして、貨車に一ぱい積みましても、なかなか目方が出ないというものがございます。こういうものには、その貨車の、先ほど申しました十五トンを純粋の原価主義の貨物によればいただくべきかもしれませんが、それでは目方でいただいている運賃として酷でありますので、運賃の基準になるトン数を減らしております。それは昭和二十八年二月に、先ほど御説明いたしました等級改正の際にも、いろいろ査定基準を作りましてやったのでありますが、その後、百七品目の貨物に対しまする軽量減トン方が不合理でございましたので、合理化をいたしたわけでありまして、これも大体荷主の各位には有利に相なる。
次に最低運賃でございますが、最低運賃は、これは今回は据え置いた。これは大体石炭でございまするとか、あるいは食糧管理米で倉庫から港出にするような、距離の短かいものについては、運賃をはじいても出ませんので、最低の運賃を発着費あるいは輸送費を考慮いたして決定しておりまして、これは一割三分値上げしようかと思って検討したのでありますが、諸般の情勢から据え置いたわけであります。
割増賃率の計算方は、ここにございますように、在来は相乗積でございましたのを、今度は総和にいたしました。従って、荷主に有利に相なります。
それから最後の指図と申しますのは、これは鮮魚あるいは季節物によくある例でございますが、たとえば塩釜から魚がとれまして、これを東京市場に送った、ところが、まだ貨車が平なら平の辺にいる、そのときに市場から電報がございまして、これを大阪市場に回してくれぬか、東京市場でさばくよりは大阪市場でさばく、こういう例が非常に多いのでございます。そういう場合には、電報で手配ができまして、荷主の御要望によって着駅を変更するわけであります。在来は、そのときには運賃はそこから新たに立てまして併算した。従って、遠距離逓減の利益が少くなって高くなるのでありますが、そういう商慣習がございますので、こういうものは長年の要望もございましたので、今回は通算する。非常にそういう特殊な季節物については便利になる制度改正だと思って採用いたしたわけでございます。
それから小口扱い貨物については、これはもうあまり問題がございませんが、これもやはり車扱い貨物の賃率の改訂に準じて遠距離逓減率を若干修正いたしました。それから小口扱いに新たに集貨の配達のついた賃率を設けまして、これでこちらの賃率の方によりますると、集貨配達つきの扱いを国鉄がいたす、こういうようなものを設けました。それから現在トン扱い貨物という、小口と車扱いの真中みたいな、小口よりは大きいけれども、車扱いほどまとまらないものというのがございます。これは全体の貨物の〇・一ぐらいでありまして、ほとんど御利用がないのでございまして、これは実情に合して現在の賃率を一割引きして改正をいたしました。その賃率はこの別表の二でございまして、第八ページにございます。これはごらん願うように、これ以上御説明は加えなくてもよろしいかと存じます。
なお、青函、関門キロ程については、同様でございます。それから割増し賃率、運賃計算重量につきましては、これも在来の大まかな計算刻みを細かく分けまして、また、割増しもいきなり五割と飛んだのを、二割というのを作りまして、これで荷主の方は御便利になり、また合理的になるようにいたしたわけでございます。最低運賃、指図の場合は、車扱い貨物も同様でございます。
以上が今回の内容でございますが、いささかこれを実例によりまして少し説明を加えたいと存じます。第十ページをちょっとお開き願いたいと存じます。これが十ページから十九ページまでわたっておりますが、これが今申し上げましたことを、賃率の改正といろいろな制度の改正とからみまして、実際の品物が実際の発着駅間で運賃がどうなるであろうという例でございます。例示でございます。これをいろいろ米、大麦、小麦、大豆というような農林物資、あるいは魚というような水産物資、それから木材、パルプ用材、あるいは硫安、畳表というように例示してございます。で、米についてみますると、これは貨物でございますので、発駅と着駅の間の距離あるいはその間に青函航路があるか、関門航路があるか、あるいは最低運賃の適用を受けるかということで非常に変って参りますが、大体ここにあげております例のように、二分八厘ぐらいしか上らぬ物から一割六分九厘まで上る物といろいろございます。特に先ほど御説明いたしました中の遠距離逓減率の修正によりまして著しく値上り率が高額になるおそれのあるもので、国民生活に非常に重大な関係がありまして、物価等もこれを吸収する余地がなくて、経済的に非常に重要なものについては、個々具体的に特別の考慮を加えるように国鉄に計算さしてございますので、比較的値上り率は遠距離逓減の率の修正を受けないような配意が物資別に加えてございます。大麦、小麦についても、このようなものでございます。それから大豆、アズキ、小麦粉——小麦粉あたりでたとえば西金沢—秋田になりますと、これは一割七分ぐらい上るようなことに相なります。これは運賃の欄に現行と改訂案がございまして、実額はこの差額に出て参ります。
それから十一ページに参りまして、小麦粉、めん類、しょうゆがございます。これはごらんになりますように、二分八厘しか上らぬものというような、これはまあ距離は短かくないのでありますが、青函航路のキロ程が先ほど申し上げましたように四百五十が三百になりますので、それが著しく賃率の上に有利になるというようなものもございます。それからあるいは龍野—岡山のしょうゆに一割六分一厘上るものもございます。それから次は白菜、果菜——くだものの野菜でございますが、そういったものはこんな率になって参ります。大体蔬菜類については、こんなものでございます。
十二ページにカンショ、バレイショがございます。これも大体高いもので一割六分一厘、低いもので八分六厘ぐらいの例になっております。それからミカンでございます。ミカンの静岡物が札幌へ参りまして一割三分四厘ぐらい、四国物の宇和島が東京市場へ参りまして一割六分八厘ぐらい、熊本物で大阪市場へ参りまして一割三分九厘ぐらい。次に、リンゴ、リンゴも大体こんなものでございます。それから次に、下級鮮魚、鮮魚でございますが、鮮魚は比較的、ここでごらんになるように輸送距離が長うございます。いろいろ市場に入るものについては、この遠距離逓減の影響が強く出ませんようにいろいろ特別な扱い方を考慮いたしております。大体一割、高いもので一割七分台、それから長崎物で、一割四分というようなものがございます。
次をおめくり願いますと十三ページでございますが、この上級鮮魚になりますとヒラメ、カレイの類でございますが、これはまた著しい例でございますが、二割三分逆に下る。現在の運賃よりも下る。これはなぜかと申しますと、実はこの鮮魚につきましては、この上級鮮魚と下級鮮魚の区別は、在来、非常にいろいろ検討して参った点でございます。水産業界からも非常な要望がございました。在来はこれとこれとこれが下級鮮魚、残るものはすべて上級鮮魚、こういう建前になっておったわけであります。比較的上級鮮魚に追いやられる率が高い。今回はこれを逆にいたしまして、これとこれとこれが上級鮮魚、あとは下級鮮魚と、こういたしましたために、この上級鮮魚が有利になりまして、ここに例のヒラメ、カレイというような、これは特別の場合でございますが、こんなようなものも現われて参るわけでございます。それから次に混載鮮魚、下級鮮魚、大体一割三分、一割四分、一割七分と、それからスルメ、なまぼしスルメ、これも特別例外のかえって安くなるものでございます。ゆでイカ、ほしコウナゴ、これが大体水産物でございます。
その次の十四ページは大体林野の原木とか木炭、あるいは製材の関係でございますが、これらも比較的輸送距離が長うございます。それで遠距離逓減の先ほどの影響を受ける関係が多うなりまするので、いろいろな割引の問題、扱い方の問題で特別な政策的な、社会政策的な配慮を加えまして、値上り率はここにごらんの通りに多いものでも一割七分台、一割六分、一割四分、一割三分と、これはまあ現実の発着駅の関係その他によってこう変って参りますが、この程度の値上りでいくかと思います。
なお続いて十五ページに坑木、パルプ用材、電柱というようなものがあけてございます。それから硫安がその次にあげてございます。この硫安、石灰窒素、これはいずれも肥料でございます。なお肥料につきましては、肥料会計年度がございまして、いろいろ農民生活にも重要な御関係がありますので、今肥料会計年度につきましては、さらにこれに対しまして特別の配慮を加えるべく目下いろいろな案を練っておりまして、これで大体十分調整ができるものと考えております。
その次に十六ページに、今度はいろいろな雑貨に移りまして、これは主として農山関係製品等も入っておりますが、畳表、ござ、かますというようなものもあがっております。その次が石炭関係、これから大体石炭、硫化鉱と、いわゆる通産物資の関係になって参ります。このように国民生活に重要な関係のあるものにつきましては、前申し上げましたように、その物価の関係あるいは社会経済機構の関係等を考えまして、ほぼ、具体的に割引その他特別の措置が加えてございますので、妥当なものと相なっておると私は考えておりますが、この十七ページをごらん願いますと、たとえば多少高級品につきましては、値上り率の著しいものもごくわずか出て参ります。たとえば乗用自動車、これは自家用自動車、例の乗用自動車でございますが、これを蒲田から鳥栖まで送りますと、現在の五万円ばかりの運賃が六万円を越しまして二万円ばかり値上りをする、二割一分ばかり価上りをする、こういうものも間々例外的には出て参ります。それからたとえばお酒でございますが、十八ページでございますが、大体これも場所によって違いますが、呉から汐留までお酒を送りますと、これは一割九分三厘上る。これは運賃の実額にすると四万四、五千円のものが五万三千円ぐらい、八千円ばかり上る。それからビールでございますが、ビールを恵比寿から山口まで送りますと、二割ばかり上る。実額にして八千六百円くらい上る。それからタバコが品川から博多で二割一分くらい上る。これは、こういった何と申しますか、高級な消費品につきましては、こういうものが間々出て参りますが、あと全部ごらんになります通り、いろいろ重要な国民生活に関係のあるものにつきましては、ここの例にございますように、いろいろな調整を加えておりまするので、最高でも一割七分台でとまっておりまして、物によっては下がるものも出て参る、こういうことに相なっております。
次に、二十ページに御参考までにおもな貨物の価格に占める運賃の割合、これは昭和十一年と今回の改訂案を比較しております。これは物資別に出ておりまして、まあ全体を通じて申し上げますと、加重平均いたしまして、大体昭和十一年では価格に対して貨車一トン当り運賃の割合が、総平均で四分一厘くらいでございました。二十一ページにございます。改訂案によりますると——これは当時の平均輸送キロが、最近では輸送キロが若干延びておりますので、最近の輸送キロの実績によりますると、三分八厘くらい、十一年当時の平均輸送キロでやってみると二分八厘くらい。一割三分値上げいたしました結果、四分一厘が三分八厘ないし二分八厘くらいの一トン当り価格に対する運賃の割合である、こういうことになっております。
二十二ページには、御参考までに車扱い貨物の海陸運送費の比較をいたしてございます。これは貨車積み込みから消費地の着駅取りおろしまでを、海上運賃諸掛りについては、国鉄で生産者及び需要者について直接調査いたしました最近の実績でございます。これが、今度の鉄道運賃改訂で両者の関係がどうなるかということが、この改訂案の鉄道を一〇〇とした場合の海上運賃諸掛りというのが出ておりまして、まあこれは現実の例でいろいろ変って参りまするので、ここにあげた例だけでは足りないかと思いますが、ここにあげた例によりますると、石炭で大体七五、無煙炭でも一三〇くらい、あるいは。パルプ用材では一七〇、一八〇というようなものがある。なお、この点については、他の見地からさらに海陸輸送調整をも考えなければならぬということを示唆しておりますが、一応御参考までに、調査いたしました数字として掲げてございます。
以上が、はなはだ雑駁でございましたけれども、今回の運賃改訂の実例をもってお示しする例及び補足説明でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/7
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008・戸叶武
○委員長(戸叶武君) 本案の質疑は、慣例により次回に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/8
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009・戸叶武
○委員長(戸叶武君) 次に、港湾法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず宮澤運輸大臣より提案の理由の説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/9
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010・宮澤胤勇
○国務大臣(宮澤胤勇君) ただいま議題となりました港湾法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要について御説明申し上げます。
最近の商業の発展に伴って船腹が増大するとともに、船型が大型化してきましたことは、世界的な傾向でありますが、これに即応して港湾施設を整備する必要のあることは言うまでもないところであります。わが国の港湾についても、従来その整備に極力努めてきましたが、財政上の理由もありまして、産業の飛躍的な発展には遺憾ながら追随できないような実情であります。
船舶の大型化は、石油、石炭、鉱石等の大量貨物にかかる船舶について特に著しいのでありますが、右のような大量貨物を原材料とする産業については、その企業を合理化するため、たとえ若干の費用を負担しましても、関係を有する港湾施設の急速な整備を熱望する者も多い次第であります。
港湾法は、一般公衆の利用に供する施設に限って、国の助成の下に港湾管理者が整備に当る趣旨を規定しておりますけれども、企業合理化促進法は特定の事業者の申請があった場合には、港湾法のワクを逸脱しない範囲で、その申請にかかる施設の整備を、港湾法によって行うことを定めているのであります。
以上のような諸産業は、国民経済の発達に重要な関連を持っているのでありまして、今回政府といたしましては、関係事業者の資金をも一部活用する新しい構想の下で、右のような産業関連港湾施設を、企業合理化促進法により急速に整備しようと考えるに至った次第であります。
計画の内容につきましては、昭和三十二年度において、横浜港ほか十港に対し事業費約十四億円、うち国費約六億円の工事を実施せんとするものであります。
今回の措置は、受益事業者が事業費の相当部分を負担する場合においては、国と港湾管理者の費用の負担割合について適当な例外を設ける方が公平の観念に合致するものと認められますので、費用の負担割合についての港湾法の一般原則に対し例外的な措置をとり得るようにする必要があるのであります。
これが、本案を提案する理由であります。
次に、本案の概要について説明します。現行の港湾法は重要港湾の水域、外郭及び係留の港湾施設については、国と港湾管理者がそれぞれ五割ずつ費用を負担しなければならないことを定めておりますが、改正案による費用の負担については、恒久制度としては、国二・五、港湾管理者二・五、受益事業者五という比率となりますが、一方、地方財政の再建等のための公共事業に係る国庫負担等の臨時特例に関する法律が効力を有する間は、暫定的に国三、港湾管理者二、受益事業者五という比率によることとしておるのであります。
さらに受益事業者の負担金が事業費の十分の五をこえる場合については、現在考えておりませんが、その必要が起りました場合には、特に法律をもって定めることとしております。
以上が、本案に対する概要並びに提案理由であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに可決せられるようお願い申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/10
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011・戸叶武
○委員長(戸叶武君) 次に、本案の補足説明を天埜港湾局長より説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/11
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012・天埜良吉
○政府委員(天埜良吉君) ただいま大臣から提案理由及びその概要について御説明がありました港湾法の一部を改正する法律案によりまして、昭和三十二年度において政府が行おうとしております事業の概要について説明申し上げます。
整備事業として考えておりますものに、石油関係のものとその他のものとがありまして、石油関係につきましては横浜、川崎、四日市、徳山、岩国、松山の六港におきまして、三万三千重量トンないし四万五千重量トンのスーパー・タンカーの入港を可能ならしめるために、来年度以降三カ年間において航路、泊地の水深を十二メートルまで浚渫することを目標といたしております。
まず、横浜港におきましては、第三区及び第四区の航路浚渫を実施することとし、これに要する事業費は五億円、国費は一億五千万円であります。川崎港におきましては、第四区航路を浚渫するものとし、これに要する事業費は三億円、国費は九千万円であります。四日市港におきましては、塩浜地区の航路及び泊地の浚渫を行うものとし、これに要する事業費は二億円、国費は六千万円であります。徳山港におきましては航路、泊地の浚渫を行うこととし、これに要する事業費は三千六百万円、国費は一千八十万円であります。岩国港におきましては、泊地の浚渫を行うこととし、これに要する事業費は二千八百万円、国費は八百四十万円であります。松山港におきましては、泊地浚渫を行うこととし、これに要する事業費は一億円、国費は三千万円であります。以上が石油輸入港湾における計画であります。
次に、石油関係以外の事業についての産業関連事業計画について申し述べますと、横浜港におきましては、末広町地区について、現在水深八メートルの航路を九メートルに浚渫することとし、これに要する事業費は七千万円、国費は二千百万円であります。清水港におきましては、袖師船だまりを水深六メートルに浚渫し、東防波堤を撤去して北防波堤を新設することにより、千五百トン級の船舶の入港を可能ならしめることとし、これに要する事業費は四千四百万円、国費は千三百二十万円であります。名古屋港におきましては、荒子川運河入口を水深六・五メートルに浚渫し、二千トン級船舶の航行を可能ならしめることとし、これに要する事業費は二千万円、国費は六百万円であります。大阪港におきましては、木津川地区を水深九メートルに浚渫するものでありまして、これに要する事業費は五千万円、国費は一千五百万円であります。洞海港におきましては、二島地区を水深五・五メートル及び三番川地区を水深六メートルに浚渫しようとするものでありまして、これに要する事業費は一千八百万円、国費は五百四十万円であります。新居浜港におきましては、外港水深八メートルに浚渫しようとするものでありまして、これに要する事業費は六千万円、国費は一千八百万円であります。
以上合計いたしますと、昭和三十二年度において、本法律案の適用されます事業の事業費は十四億二千六百万円の予定であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/12
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013・戸叶武
○委員長(戸叶武君) 本案の質疑は、慣例により次回に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/13
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014・戸叶武
○委員長(戸叶武君) 次に、運輸事情等に関する調査中高速自動車国道に関する件を議題といたします。
まず、山内自動車局長より高速自動車国道法案に関する御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/14
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015・山内公猷
○政府委員(山内公猷君) お手元に、高速自動車国道法案、道路整備特別措置法の一部を改正する法律案並びに国土開発縦貫自動車道建設法案の三つの資料をお配りいたしたわけでございますが、初めに、国土開発縦貫自動車道建設法案、これは議員提出の法律でございまして、すでに御承知と思うわけでございますが、お手元に配付いたしました法案は、前国会に継続審議になっておりました法案そのままをお配りいたしておりまして、今国会におきまして衆議院で一部修正になっておりますので、その修正分につきまして訂正をさせていただきたいと思います。この法案は目下参議院の建設委員会に付議されて審議をされておるように伺っております。
変りましたところは、第三条、国土開発縦貫自動車道の予定路線、縦貫自動車道の方の関係でございます。この条文の中で、お手元にお配りいたしております法律といたしましては、云々「の予定路線は、別に法律で定める。」と、こう書き切ってございますが、その「の予定路線は、別表に掲げる中央自動車道のうち小牧市付近から吹田市までを別表のとおりとするほか、」と書き加えまして、それから「別に法律で定める。」というふうにつながっております。と申しますのは、この小牧市付近から吹田市付近まで、いわゆる名古屋—神戸というものが本年度予算化されておりますので、この法律によりますと、この別表に掲げておりますところのこういう路線が、この別表の法律が審議会にかかりまして、それからその審議会の決定に基いて内閣が法案を提出いたしまして、それでなければ工事にかかれないということでございますので、この小牧市付近から吹田市までは別表の通り、もうすでに認められたということにしませんと、この法案が具体的に動き出さないということで修正になったように聞いております。それに関連をいたしまして第二項に「政府は、すみやかに、前項に規定する」「予定路線に関する」云々と書いてありますが、それを「すみやかに、前項の法律で定めるべき」「予定路線に関する法律案を」というふうになっております。
また第十条におきまして「政府は、第三条第一項」云々と、こう規定しておりますのを「別表に掲げる中央自動車道のうち小牧市付近から吹田市までの区間についてはこの法律の施行後、その他の国土開発縦貫自動車道の予定路線については第三条第一項の法律」というふうに書き加えられまして、すべてこの小牧市より吹田市に至るまでをこの国会で御承認をいただくということに関連をいたしました改正でございます。
もう一点は第十三条の関係でございますが、審議会のメンバーを書いておりまして、この「二十八人」を「二十九人」に一人ふやしております。その一人ふやしたのに関連をいたしまして、一、二、三、四と大蔵大臣からずっと書いてありますが、そのうちに六の自治庁長官の前に国家公安委員会委員長というものを入れております。この趣旨といたしましては、現在の道路交通取締法では、いわゆる自動車の最高速度を六十キロに押えておるわけでございまして、将来特別のそういうスピードに関する措置をする必要があるということも起りますので、国家公安委員会の委員長をここにつけ加えたらどうかというふうに考えておりますが、それに関連をいたしまして、第四項の「前項第十号」が「十一号」に下ったということになりますのと、その附則の表中の「昭和三十一年」を年度が変りましたので、「三十二年」度にするということになっております。大体修正いたしました条文といたしましては、名古屋—神戸間の工事ができるようにするということと、それから国家公安委員会の委員長を入れたということがおもな修正の内容になっております。
この法案につきましては、もうすでに参議院におきまして二十二国会以来御審議をいただいておりますので、省略をさしていただきまして、これに基きまして参議院でこの国土開発縦貫自動車道建設法案を施行する上において、高速自動車道路についての基礎的な規定をしなければいかぬという付帯決議も得ておりまして、そのことに関しましては、政府間の調整をやるようにという具体的要望がありますので、それに基きまして運輸、建設両省間における政府提案といたしまして今回提出いたしましたのがこの高速自動車国道法案でございます。この要綱につきまして御説明を重ねていきたいと思います。
まず初めに趣旨でございますが、この高速自動車国道法案は「国土開発縦貫自動車道建設法による国土開発縦貫自動車道を含む高速自動車国道を道路法上の道路として建設管理するため、新たに高速自動車国道法を制定し、高速自動車国道の路線の指定、整備計画、管理、構造、保全等に関する事項を定めることにより、高速自動車国道の整備を図ろうとするものである。」、趣旨ははっきりそう書いておるわけでございます。この国土開発縦貫自動車道建設法によりますいわゆる縦貫道というものは、北海道から九州にわたりますところの日本の尾根を通りますほんとうの大縦貫線でございまして、交通的にはそれのみをもって完全とはまだ言えない。この道路に接続する道路、いわゆるわれわれはあばら骨に相当する道路と申しておりますが、そういうものをやはりつけまして初めて日本の幹線道路網というものが完成をするという見地におきまして、この高速自動車国道法案は、縦貫自動車道を含めたそういう日本の国におきます重要な高速道路の新設、管理というようなものを規定するために作ろうとすることを目的としておるわけでございます。
第三に要領といたしまして、「道路法の一部を改正して、道路の定義を改め、道路の種類として新たに高速自動車国道を加えるものとする。」と、こう書いてあります。これはこの高速自動車道路というものを規定するのに二つの行き方がございまして、道路法上の道路という行き方と道路運送法上の一般自動車道路というものの行き方と二つあったわけでございます。旧法道路法におきましても、道路運送法の一般自動車道におきましても、完全にその新しい交通機関を充足するには十分ではなかったために、運輸、建設両省ともいろいろ折衝いたしまして、道路の一種類に加えるけれども、その規定におきましては、道路法とは新たなものも加えてやっていこうということで、道路法上の道路というものといたしまして、道路法の改正をいたしまして、この高速自動車国道というものは道路の一つの種類として加えたわけであります。
次に「高速自動車国道とは、自動車の高速交通の用に供する道路で、全国的な自動車交通網の枢要部分を構成し、かつ、政治、経済、文化上特に重要な地域を連絡するものその他国の利害に特に重大な関係を有するもので次に掲げるものをいうものとする。」ということがございまして、一にただいま御説明申し上げました国土開発縦貫自動車道の予定路線の中から政令で実際に施行しようとするものを指定をいたしますと、これが高速自動車国道となるわけでございます。それともう一つ、次に御説明をいたします予定路線のうちから、この政令で路線の指定をしたものというものが、道路法上にいうところの高速自動車国道となるという規定でございます。その第二のものといたしましては、運輸大臣、建設大臣は「内閣及び審議会の議を経て、国土開発縦貫自動車道以外の高速自動車国道について予定路線を定めなければならないものとする。」、この縦貫自動車道路以外にただいま申し上げましたように、今いろいろ重要路線が考えられますので、それを審議会の議を経て、予定路線というものをきめようというふうに考えておるわけでございます。
次に第四番目といたしまして「(2)の路線を指定する政令を制定し又は改廃しようとするときは、あらかじめ審議会の議を経なければならないものとする。」とありまして、その審議会は国土開発縦貫自動車道建設審議会をこちらにも利用させていただくというふうに考えておるわけでございます。
第五番目に「運輸大臣及び建設大臣は、審議会の議を経て、政令で定めるところにより、高速自動車国道の新設又は改築に関する整備計画を定めなければならないものとする。」とありまして、この高速自動車国道というものは、国が考えてそれで国が施行するというものが本来的の建前にいたしておりまして、これを有料とする場合には道路公団にやらせるという考え方でありますために、その整備計画というものを非常に重視をいたしまして、運輸大臣及び建設大臣が審議会の議を経てこれを定め、定め方は政令でやるということを、法律において明らかにしようとしておるものでございます。
次は建設省の権限が書いてございまして、その整備計画におきましてきまったものは建設大臣が、その「新設、改築、維持、修繕、災害復旧その他の管理」というようなものは建設大臣が行うということを規定しているわけでございます。
第七番目は「高速自動車国道が道路、鉄道、軌道等と交差する場合においては、その交差の方式は、立体交差としなければならないものとする。」、これは当然の規定でございますが、非常に高速で走ることを目的といたしましたために、平面交差は絶対にいかぬということを規定をいたしております。
第八番目は「高速自動車国道に連結させることができる交通施設は道路、一般自動車その他政令で定める施設に限るものとする。」、いろいろな道路あるいは施設物がこの高速自動車道と連結いたしますと、非常にこの目的を阻害いたしますために、こういう規定があるわけでございます。それでは政令で定める施設とはどういうものかということになりますと、まず第一に考えられますのは、トラックあるいはバスのターミナル施設、または当然必要でありますところの給油施設というようなものが考えられるわけでありまして、政令でそのほかまた必要があるならば定められると思いますが、それ以外のものはこの道路にはくっつけてはいけないという規定でございます。
第九番目は「建設大臣は、高速自動車国道を通行する自動車の危険を防止するため、高速自動車国道に接続する二十メートル以内の区域について、政令で定める基準に従い、特別沿道区域を指定することができるものとし、この区域内においては、高速交通の支障となるような建築物等についてその建築等を制限することができるものとする。この場合においては、通常生ずべき損失を補償するほか、損失の程度により国は買取請求に応ずるものとする。」、これは読みました通りでございまして、両側二十メートルぐらいの所でこの道路の効用を阻害するようなものができますと、この道路の運用に支障を来たしますので、特別の制限規定を置ておりまして、その場合の補償をこの法律に盛り込もうとしておるわけであります。
第十番目、「高速自動車国道は、みだりに立ち入り、又は自動車による以外の方法により通行してはならないものとする。」、これは非常なスピードを出して走っておりますので、危ないので当然の規定をいたしております。
十一、「高速自動車国道の管理に要する費用は、この法律及び他の法律に特別の規定がある場合のほか、国の負担とし、国は、高速自動車国道の存する都道府県が著しく利益を受ける場合においては、別に法律で定めるところにより、その費用の一部を当該都道、府県に負担させるものとする。」、国道でございますから、当然に原則的には国がこの費用の負担をするわけでございますが、その通過をする都道府県が著しく利益を受けるときには、受益負担も法律によって定め得るということを規定いたしております。
十二に「運輸大臣は、この法律に規定する権限を行うため、特に必要があると認めるときは、その職員をして車両を停止させて道路の交通量の調査を行わせることができるものとする。」、これはいわゆる立ち入り検査でございまして、この高速自動車道がいかに運用上有効に行われるかというものは、やはり調査をしないといけないわけでありまして、と申しますのは、この縦貫自動車道は、将来相当の車線を持たなければならないと思いますが、費要の関係上、そう一時に車線——車の線でございますが、持つわけにいかないので、逐次ふやしていくためには交通量、常時どういうふうな目的にこれが利用されておるかということを調査しなければなりませんので、その立ち入り権を認めまして、どういう交通が行われているかということを調査いたしますと同時に、将来どんどんこういう高速自動車道がふえていくと思いますので、そういうもののために、基礎資料にもしなければならないということのために、特にここにつけ加えました権限でございます。
十三番目は「高速自動車国道の新設、改築、維持、修繕その他の管理については、この法律に定めるもののほか、道路法の一般掛定の適用があるものとする。」、道路といたしましては同じような性格がありますので、この法律におきましては、特に一般自動車道と違うやり方におきまして規定をいたしましたので、その間におきましては、道路法を引いておるわけであります。
そこに備考といたしまして「道路整備特別措置法の一部を改正して日本道路公団が行う有料の高速自動車国道の建設管理、日本道路公団が徴収する料金の認可、料金の基準等に関する規定を設けるものとする。」、別途の法律の規定をここで設けようといたしておりますが、特に運輸省に関連する分といたしましては、この料金というものは非常に大きな問題になるわけでございますが、これにつきましては、運輸、建設両省共管で監督していくという規定を盛り込むようにお手元に提出いたしております。
以上が大体この高速自動車国道法案の趣旨の御説明でございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/15
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016・戸叶武
○委員長(戸叶武君) 次に、連合審査会に関する件についてお諮りいたします。
本院規則第三十六条に基き、高速自動車国道法案について、建設委員会と連合審査会を開会することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/16
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017・戸叶武
○委員長(戸叶武君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
ただいまの決議に基き、委員長は建設委員会に申し入れることにいたします。
速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/17
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018・戸叶武
○委員長(戸叶武君) 速記をつけて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/18
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019・相澤重明
○相澤重明君 この際、運輸大臣に一つお尋ねをしておきたいのですが、前回の委員会で横浜港の軍貨の問題をめぐって、米軍から直用人夫の問題で話があったことについて、関係各省庁と御連絡をとって、そして本委員会に御報告をするということが言われておったのでありますが、その後の経過はどうなっておるか、御報告を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/19
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020・宮澤胤勇
○国務大臣(宮澤胤勇君) お答えいたします。ただいまの件は、先般のお話し、御質問の趣旨もありまして、あれに基きまして、関係当局と今まだ話を進めておりますが、まだ十分な結論に達しておりませんけれども、御趣旨を体して、運輸省としてはその方向に進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/20
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021・相澤重明
○相澤重明君 ただいま大臣の答弁で、趣旨について了解をされてお話をされておると思うのですが、すでに第一回が二月の二十五日ですか、調達をせよという話があって、作業が進められておるやに聞いておるのであるが、それはどういうふうになっておるか、お答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/21
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022・宮澤胤勇
○国務大臣(宮澤胤勇君) その点は局長から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/22
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023・天埜良吉
○政府委員(天埜良吉君) ただいま大臣のお話がございましたように、その後運輸省としていろいろ進めております経過を報告いたします。
大臣の命によりまして、外務省の欧米局長それから調達庁の次長と会同いたしまして、この問題について協力を要請すると同時に、どうしたら解決に向って一番いい方法がとれるかということを協議いたしました。その結果、これは非常にむずかしい点があって、まっこうからアメリカ軍が直用をやるということはできないということを言うことはむずかしいので、これは友好裏に話を進めることが一番策を得たものではないかというような話し合いになりまして、そこで、その方法としては、直接の労務調達の衝にも当っている神奈川県知事の内山知事が駐留軍関係との関連も深いし、この人にこちらの事情を説明をするように取り計らうのがいいのではあるまいかということに相談がきまりましたので、翌日、大臣の命を受けまして、横浜に運輸省の港湾局長が神奈川県知事を訪問いたしまして、そして座間の第八軍司令部に行って、直接横浜港をあずかっておる知事として、問題解決について交渉をされたいとの旨を要請いたしましたところ、知事もそれを快諾いたしまして、これについて、三月二日でございますが、内山知事は座間に参りまして、先方は参謀長のピアソン中将、それからGフォア調達関係のカーター准将、それからGファイブ関係のジーナ大佐、運輸代表部のモーリス准将、横浜港の司令官であるライオン大佐というような人たちと会いまして、そこでわれわれの方であらかじめ用意をしておきましたことについて説明をしたのでございますが、要点は、日米両国民間の友好関係をこういうようなことでは強力に進めるという点で害するではないかという点、それから日本側としては、これは業者にしても、労務の関係にしても非常に困るのだ、これを強力に推し進められては困るのだ、それからアメリカ軍にとってもあまり得策ではないではないかというような点を述べまして、いろいろ話をしたのでございました。その席上、参謀長はライオン司令官に、これはどうしてもやっぱりやらなければならぬのかという質問をしたそうでございますが、これはどうしてもやらなくちゃならぬという答であった、知事としては、それは一つ最小限度にとどめるようにしてもらわなくちゃ困るのだということを繰り返し説明をして帰ったということの報告が参りました。そうして三月四日になりまして、横浜地区司令官であるライオン大佐が内山知事をたずねまして、当初の要求の三百八十六名から五十一名は減らしてもよろしいからと言って参ってきております。なお、申し述べるのを落しましたが、その三月二日の座間での会談の節には、三百八十六名以上に及ぶことはないということを確言したそうでございます。そこで、昨日、三月六日運輸省の港湾局庁の次長が再び会同いたしまして、政府として、さらにこの件をアメリカ軍の方に、欧米局長から担当者に近日中に話すという方針をきめました。なお、この三月の二十一日——春分の日に、横浜の知事公舎の近くにあります迎賓館におきまして、アメリカ軍の先ほど申しました首脳部、それから神奈川県の首脳部、それから運輸省、外務省、調達庁、それから業者というようなものが集まって、談笑裏にこれを一つ話し合おうじゃないかということでただいままで進んできております。以上が大体の今までの経過でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/23
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024・相澤重明
○相澤重明君 今の港湾局長の回答ですが、これは結局、調達庁にすべてをまかせるという形になると、やはり調達庁というものの一つの任務という場合には、どうしても調達をするようになってくる。問題は私ども運輸委員会で一番中心に考えたのは、運輸大臣もこの前お話しになったように、もう十二年もたっているのだから、そろそろ日本もアメリカと対等の立場で問題を掘り下げていく必要があるのではないか、すなわち日米行政協定についても、改めるものは改めていき、日本が特別に不利になるようなものは、この際話し合って除いていくというような方向に行くべきではないか、こういうのが本委員会における考え方です。ですから、やはり政府が責任を持ってこういう重要な問題については態度というものをきめて、そうして関係者に話し合いをさせなければ、これはやはり根本的な解決策には私はならぬと思う。その点、ただ単にこれは事務的に処理を進めていくということでは、これはどういうふうな運輸省の考えを持っておっても、運輸省だけの処理にはできない、こういうふうに考える。従って、運輸大臣は、今日もなお、前回にお話しされたように、日米行政協定については、不利な点については変える考えがあるのかないのか、こういう点を先にお尋ねしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/24
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025・宮澤胤勇
○国務大臣(宮澤胤勇君) 今御質問の点につきましては、御承知の通り、予算委員会もしくは本会議等において岸総理大臣兼外務大臣から、言葉のあやはありまするけれども、相当腹を持った御答弁を申し上げて、この内閣としては従来なかったような決意で一つこういう問題に当りたい、おそらくは、国会後総理大臣が訪米するということも、腹の中にいろいろなことを持っていると思います。この時期はただいまお話のありましたように、私どもにおいても、こういう問題について相当真剣に一話つ合っていくべき段階に来ている、こう考えますので、この点については、ただいまもお話しのように、専務当同も相当に熱意をもって折衝しております。内山知事も御承知の通り外交関係についてはなかなか練達の人である、従ってやはりこういうものを取り上げて熱心にやってくれておると思います。その政府の全体の施策とあわせまして一つ進めていくほか、実際の問題として今運輸省だけでもってこれを突き進めるというわけに御承知の通り行きません。そういう点に重きを置きまして、全体の問題として、そのうちに道が、お話しの通り、順次進んでいけば、こういう問題も片づきやすいと思います。ことに、数においても非常に制限するし、向うもだいぶ折れては来ておりますけれども、これを今の条約の建前から押し切るというわけにもいかないようになっておりますので、最善を尽したいと思いますから、御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/25
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026・相澤重明
○相澤重明君 運輸大臣の最初の言葉は私も非常にいいと思います。しかし、あとのお話の最善を尽すから御了承を願いたいというのは、押されていっちゃって、問題はもうすべてが既成事実としてきめられちゃってから、あとになってから、あああのときはこうするべきだったと言っても間に合わない。先ほど港湾局長の言うように、すでにこちら側——日本側としては誠意をもってこの問題を解決するように関係者は努力しているわけですね。それで二十一日にも、なお政府の関係官庁なり、あるいは日本の業界も含んでこの話し合いをしたい、こういう熱意のほどが示されているのでありますが、少くとも根本的な問題は、私どもがいつも言う通り、日本の法律というものを外国のものであるからということでじゅうりんをされていいのかどうか、日本の独立というものは一体どこにあるのかということを考えてくると、やはりそういう点はよくこちら側の腹を、あなたのおっしゃるように、きめてかからなければ、どんどん既成事実が作られちゃって、話をしたのだけれども仕方がない、こういうことでは私は問題の本質の解決にはならぬと思う。そこで、今内山知事の話も出ましたけれども、何といっても出先機関なり、あるいは地方自治体の立場をとれば、政府の方から、こうして何名のワクというもの、あるいは調達をしてくれと言われれば、これは仕方がないという形になってしまうわけですから、ですから先ほど申し上げたように、政府の腹がまえができて、そうして基本的なわれわれの解決策というものはこうなんだということを私は先にきめていかなければいけないのだ、こういうことを今申し上げたわけです。それについては、さらに運輸大臣も外務大臣も、あるいは関係の人とも話をして善処されるのを私は期待をしているわけですが、具体的に先月調達を行なったのかどうか、そういう点について、港湾局長にお尋ねをしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/26
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027・天埜良吉
○政府委員(天埜良吉君) この前に申し上げましたように、向うの調達希望の人員は、第一次が二月二十五日が二十名でございまして、これはすでに調達をしておるはずでございます。それから第二次は三月八日になっておりまして、これが百二名になっております。これはまだ行われてないという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/27
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028・相澤重明
○相澤重明君 この前の委員会でも申し上げたのですが、運輸大臣が外務大臣等と話し合って、そうしてこれらの問題についてお話を進めるということについて、たとえば、時間的に間に合わないので、二月二十五日に採用するという、調達をするというような建前をとった場合に、その次の問題もさらにそのまま採用さしていくのか、つまり調達庁の直用をどんどん認めていくのか、こういう点を話したところが、それらについては、話し合った後にこの問題について解決をしたいから、たとえばそういうことがあっても、この問題については、根本的に考え直してもらうというような御答弁があったと思うのです。それはこの議事録にも載っておるわけですが、そういう点について、今三月八日に百二人ということになると、これは明日ですね、明日行われることになる。そうすると、結論的には、ライオン大佐ですか、が参謀長に答えたように、若干の減員は考えておるけれども、とにかく宇徳運輸というものにかわるべき人数を集めたいのだと、そうして米軍が、直接日本の業界のものも、あるいは労働者もあまり考えないで、とにかく米軍で直接の作業をどんどんやっていくのだと、こういう考え方を強行するというふうに考えられるが、そういう点はどのようにお考えになっておるか、御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/28
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029・天埜良吉
○政府委員(天埜良吉君) この点につきましては、内山知事が向うへ参りましてるる説明したときに、宇徳運輸が欠けておる分を特に持ちたいのだと、そうして、どうしても軍としての荷物は必ずよどみなくいかなければならないので、不測の事態に備えてでもどうしても持たなくちゃならぬと、最低限を持つのであって、そのときの話では三百八十六名をこすことはない、こすことはないが、この人数はどうしても持って確保しなければならないのだと、遊ぶことがあるではないかという反問に対しては、遊んでもよろしい、こういうことであったそうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/29
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030・相澤重明
○相澤重明君 港湾局長にさらに一つお尋ねしておきたいのですが、将来、今まで扱っておった四社ですね、四社のうちの一つが、宇徳運輸が欠けておるわけですが、これだけの人数を直接に集めて、いわゆる単貨を扱うということになると、今の既存の業者というものは、やはり実際には契約ができなくなってくる、こういうようなことが考えられませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/30
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031・天埜良吉
○政府委員(天埜良吉君) 向うの言い分はこういうことになっています。宇徳運輸が一つ抜けたと、その分をせいぜいやる程度であって、それ以外の分に対して、何も日本の業者に不利益を与えたり、労務者に圧迫をかけるというような意思は毛頭ないんだと、こういうことでございます。われわれといたしましては、宇徳運輸は抜けたかもしれませんけれども、それは一番上の抜けたものであって、下の方はそうではないんだと、皆同じでもらっておるのだから、だからこれが抜ければ、これは一つ減るんだ、これだけ減るんだということを言いましても、その点はよくわかってくれないようでございます。お話の通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/31
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032・柴谷要
○柴谷要君 話を聞いておりますと、運輸当局においては非常に努力されておることは見えておるのですが、私は、やはり問題が問題だけに、からめ手の戦いでは一向に問題は解決しないと思う。内山知事の御努力は了とするも、これは正式の政府機関の代表でもなければ、運輸省の代表でもないと私は思う。そういう人がいかように努力されましても、本筋のものはやはり解決しないのじゃないか、こういう考え方である。そこで、前回の運輸委員会におきましていろいろ議論された過程において、本問題は重要であるから、少くとも日米合同委員会に問題を投げ込んで、そうしてここから解決を見出さなければ解決はない、こういう港湾局長の答弁があった。それをまっしぐらに守っておられるかどうかということを聞きたい。これが一点。もう一つは、私は二月二十七日に、日米合同委員会が開かれたという話を聞いている。果してこの二十七日の日米合同委員会に、この問題が上提されて、十分日本側から要請をしたかどうか。この二つについてまずお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/32
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033・天埜良吉
○政府委員(天埜良吉君) 二月の二十七日に合同委員会第一回がやっと開かれたのでございまして、それについて、それは合同委員会でなぜこの業者に請け負わすといいますか、荷役作業を、役務を課す場合に、合同委員会で討議をしなければならぬかという説明をしたのであります。そのときに、この直用の問題も非常に密接な関連もあるので、ここで討議をしたいということを申し入れましたところ、向うはこれは議題には入っていない、これはわれわれの権限外だということで、一蹴されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/33
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034・柴谷要
○柴谷要君 そうしますと、問題は権限外の事項であるから日米合同委員会の議題にはならぬ、こういう向うの回答があったのに対して、こちら側は議題になるかならぬか、その点を十分御検討になりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/34
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035・天埜良吉
○政府委員(天埜良吉君) この問題が起る前に、日米合同委員会には要請をして、かけておりますが、この問題は初めからは入ってないのでございまして、向うにそう言われますとその通りで、やはりそこで討議をするということはできないので、あらためてまた持ち出さなければならないという問題であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/35
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036・岩間正男
○岩間正男君 関連して。この前、特別委員会は持たれたという話がありましたね。そうして三回にわたって開催を一応予定しながら、前日になって向うの都合で流れたと、その委員会はどこを言ったのです。今の報告は、われわれは、その委員会の第四回目というようにこれは了解して、日米合同委員会が開かれたという話を聞いているのだと思うのですよ。特別委員会ということを略しておりますが、実際はあの特別委員会の四回目が開かれて、両者の会談が始まったのだ、おそらくこれは柴谷委員の話も、そういうような含みで聞いているのだと思う。あなたのようなお話があって、日米合同委員会のこれは課題じゃないということで話がはぐらかされているのですけれども、特別委員会はどうなったのですか。第四回が開かれたのですか。これはどうなったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/36
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037・天埜良吉
○政府委員(天埜良吉君) ただいまお話ししているのは、第四回と申しますか、最初開かれたのでありますが、日米合同委員会の特別委員会です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/37
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038・岩間正男
○岩間正男君 そうすると、これは権限外だというのですか、そのことは、そこでこの問題を扱うことは。そういう見解なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/38
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039・天埜良吉
○政府委員(天埜良吉君) その特別委員会の議題には入っておりませんので、それでその特別委員会で、その直用の問題を扱うことは、その委員会の権限外だと、こう言って向うはこちらの要請に応じない、こういうわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/39
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040・岩間正男
○岩間正男君 これは、天埜港湾局長、どうお考えになりますか。当委員会を、これはあなたの意図はどうあろうとも、欺いているのだ。われわれはこの問題を具体的に解決するために、日米合同委員会を開くべきであるということを昨年の十一月から何回にもわたって言っているわけです。その結果、あなたたちが外務省と相談して、千葉欧米局長とも話をして、この問題を何とかやろう、合同委員会に提訴する、こういう格好で、いよいよこれは、この前のあなたの報告では、この問題を扱う具体策として——ここに速記録がありますが、具体策として特別委員会を持たれるのだ、一回目は二月八日でしたか、持たれることになったが、しかし、前日になって、これは腹を痛くしたのでもないでしょうが、向うさんの都合が悪いというので、七人来なかったので、これは流してくれということになった。それから一週間して第二回目を持とうとしたら、これも流してくれ。第三回目も全く同じようなことをやっている。これは全く人をなめていると思う。そこで、どうしてもこの問題を継続して持っていって、そうしてこれを解決すべきであるということを、われわれはこの委員会で確かにこれは強烈に申し上げたと思うのです。運輸大臣も、これについては、ちゃんと速記録に残っております。そういうふうに努力する、こういうことをおっしゃっているのです。そうしますと何ですか、これは全然権限外だからだめだなどということじゃ、当委員会の面目にも関する問題です、われわれは、ここで解決されるのだ、そこが話し合いの場だ、こう確認してこの問題を追及していたら、最後になったら、権限外だから、そこでは扱われぬということでやられたとしたら、これはまるでとんでもない。具体的にそこで解決しないところに、われわれに何だか別なものを期待させて、いかにもそこで解決するような幻想のもとに説明されてきたのです。そこのところは一体どうなんです。大へんなことじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/40
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041・天埜良吉
○政府委員(天埜良吉君) ただいまの日米合同委員会の特別委員会に付託されております議題は、これはアメリカの軍の貨物を取り扱う契約の方式についてでございまして、直接労務者を雇ってやるとかいうようなことがないものですから、その点でその委員会の議題に乗ってない、こういう意味で向うの人はわれわれの扱う権限ではない、こういうわけでその委員会で扱わないというわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/41
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042・柴谷要
○柴谷要君 そこで、権限外であるということで拒否された理由の中で、実は駐留軍関係労務者のワクというものを日米合同委員会できめてある、そのワクの数より今日要員が少い。その残りの浮いている員数だけは、もはや大綱がワクできまっているから、これは別段委員会にかけて論議する必要はない、こういう意味で、直接調達庁に何名よこせと、こう米軍の方から要請されれば、調達庁はそれを拒否することができない。それが三百八十五名だ、こういう要請があった。それは日にちによって限られて、調達庁の方でこの要員を出していかなければならない、こういう事情になっているということを聞いているのですが、果してそのような実情にあるのかどうか、これを一つ明確にお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/42
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043・天埜良吉
○政府委員(天埜良吉君) 調達庁とアメリカ軍との間に労務基本契約と称しているものがあるのでございますが、そのワクの空席が三百八十五であるかどうか私知りませんのですが、まず、そういう契約がございまして、そうして調達庁の方は、要請があれば調達をしなければならない約束になっているようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/43
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044・岩間正男
○岩間正男君 大体、この特別委員会で解決するのだという建前であなたはここに御報告になったと思いますが、当時の考え方はそうじゃなかったのですか。米軍の意向はいざ知らず、あなたの当委員会における御説明はそういうことだったのでしょう。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/44
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045・天埜良吉
○政府委員(天埜良吉君) アメリカの合同委員会の特別委員会で解決したいということは、契約の方式に関することでございまして、ただ直用の問題もそれに非常に関連がございますので、それに加えてやってはというふうに考えておったことはございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/45
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046・岩間正男
○岩間正男君 あなたもそうお考えになって、われわれもそういう考えでいたのですが、実際はこれはすっかりすっぽかされた。いわばこれはペテンにかけられたということになるのじゃないですか。この点はやはりなおたださなければならぬと思うのですが、運輸大臣にお聞きしますけれども、当委員会で運輸大臣がお約束になったことについては、これはお守りになる決意を持っておられるのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/46
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047・宮澤胤勇
○国務大臣(宮澤胤勇君) その考えのもとに今当局をして折衝させております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/47
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048・岩間正男
○岩間正男君 そうしますと、私はあのとき、まずいろいろお聞きしたのでありますが、相澤委員やその他の方からもお話が出たわけでありますが、第一にこの問題は、これは単なる一運輸省だけの問題じゃない。私は、やはり国と国との基本的な問題に関する、しかもあなたは運輸大臣であると同時に国務大臣であるから、国務大臣として政府の連帯責任の上に立たなければならない、従って、この問題は、外務省とよく相談して、外務大臣ともよく相談して、これははっきり進められなければならないのじゃないですか。そういたしたいと思います——これは読み上ればはっきりしておりますけれども、そういうふうにあなたはお答えになっていらっしゃるわけです。そうしますと、これは閣内におきまして、この問題が当然問題に私はなっただろうと思うのです。これは二月の二十一日のことでございますから、あれからしまして大体もう十七、八日たっておるわけでございます。従って、この間に問題は非常に急迫しておって、一方では米軍の直用の問題がもう出かかっておったときでございますから、この問題をはっきり解決されると、こういうお考えでしたら、当然これは閣議で問題にならなければならぬ、外務大臣にもお話しになり、岸総理にもお話しになって、閣内の意向をおまとめになって、日本政府の意向としてはっきり当られるということが最大の政治的責任であったと思います。この点どうなっておりますか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/48
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049・宮澤胤勇
○国務大臣(宮澤胤勇君) 閣議の問題として取り扱う前に、外務大臣に話しまして、今のような手続を進めておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/49
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050・岩間正男
○岩間正男君 その結果は、これはどういうことになっておるのでございましょうか。当委員会としても、直接外務大臣なりあるいは関係の特別調達庁に出ていただいてお聞きしなければならないと思うのですけれども、これは私は、この問題の中で、とにかく事態が発生しているのですが、少くとも、この前いろいろ申し上げました行政協定二十六条あるいは行政協定十六条、さらに行政協定十二条、この十二条の条項によりますというと、これは直接関連した問題になってくるわけです。そしてその中で、この行政協定の規約は尊重しなければならないし、国内法はあくまでもこれは尊重するという建前を貫かなければならないし、また、運輸大臣がこの前御答弁になりました、先ほど相澤委員からもお話がありましたけれども、独立しているのだから対等の立場でやっていきたい、この辺で問題をやはり一つ一つ具体的に解決して、それによって問題を明かにしていきたい、こういうことを事実答弁になっておるのです。それにもかかわらず、この問題というものは非常に態度が不明瞭であります。われわれとしましては、つまり合同委員会で結論が出るまでは、少くとも直用の問題は一時中止すべきで、これがまず当面した中におきましては、これは政府の態度でなければならぬ、こう思うのでありますけれども、こういう点について、政府のはっきりした態度をお示しになったのでありますかどうですか、この点お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/50
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051・宮澤胤勇
○国務大臣(宮澤胤勇君) 私が前回お答えいたしました点、また、ただいまのお話の通り、これは一つ進めていきたいというわけで具体的に順次進めておりますが、ただ、それがこちらの思う通り、一ぺんに解決しないということは残念でありますけれども、これは相手のある交渉ですから、御承知の通り、こういう熱意をもって順次進めております。その点は、日米間の各案に対する調整もやはりそういう点でやっておりますが、ただ腹においては——御承知の通りこの内容は相当進んでおりますので、外務大臣に話をしても、従来とは違った態度をもって皆やりつつあるということだけを一つ御了解いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/51
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052・岩間正男
○岩間正男君 そうしますというと、そういう政府の態度というものは、これは貫かれなくちゃならないと私は思うのです。ところが、実際は内山県知事に依頼して、そうしてあいまいな解決を、政府みずからがこれは行って、政府の一部機関の者が行ってそういうことを慫慂するに至っては、これは政府の態度がはっきりしておるとおっしゃっても、われわれは受け取りかねるのです。これは政府がはっきり政府を代表して強硬にこの点だけは、少くともこれは最低線ですよ、この最低線が守れないで、行政協定を改訂しようとか何とか言ったって、これは全く話にも何にもならない問題なんです。一つ一つの問題にとにかく当面した場合に、鉄は赤いうちに打たなければ、既成事実を作られてしまっては問題にならない。ところが、内山知事に頼んで現状を変更させない、これを認めない立場に立って話し合いを進める、そういうことに政府が乗り出していった態度は、はっきりした矛盾だと思いますが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/52
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053・宮澤胤勇
○国務大臣(宮澤胤勇君) こういう現地の問題でありますから、これは根本の態度とともに、やっぱり現地で都合よく現場の人たちと話ができることが必要でありますから、あらゆる手を尽しておる、そういう点を一つ御理解いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/53
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054・岩間正男
○岩間正男君 それは、現場の問題ですから、そこで解決するのはけっこうでございます。しかし、政府の方針を貫く方向にこれは解決の努力をされるべきだと思っておる。ところが、私、これはちょっと耳に入った問題でありますけれども、調達庁の方から、もう県を通じ、さらに向うの所管を通じて、そういうような調達に応じてくれるようにというようなことを、これは依頼をしておるのですな。これははっきり、必要でしたらそういうような事実を差し上げてもけっこうでございます。そうしますと調達庁、これは政府機関の一部じゃないのでございましょうか、この点お伺いしておきます。調達庁というのは、これはアメリカの機関で、そうして何かアメリカの御用達をやっておれば済むのでありますか。これは日本政府の機関だと私は考えておりますけれども、この点運輸大臣はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/54
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055・宮澤胤勇
○国務大臣(宮澤胤勇君) そんなはずはない、みんな一緒になって努力しておりますから、ただいまの局長の御報告申し上げた経過から見ても、やっぱり努力はしておるのですが、事実上なかなか思うようにいかない点もある、これをわれわれが忍耐を持って押していかなければならない、こう思いますが、その点御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/55
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056・岩間正男
○岩間正男君 私も忍耐をしなくちゃならないと考えておりますが、忍耐にも限度があると思います。いやしくも、一国を代表して独立を願っておると、こういうことを一番最初に宮澤運輸大臣は当委員会におきまして声明されたわけであります。また、岸内閣もそういう道を貫くのだということを声明されたのであります。われわれはこれはあっばれな御態度だと思ったのです。ところが、実際はそれはから念仏に終っておるのじゃないかと思います。具体的に、政府機関の一部がそういう態度についてはまことにあいまいな態度で、向うの言いなりになりまして、そうして実際はもう過去においてそういうような要請をしておる。アメリカの言いなりほうだいになっている。実際のことをいいますと、こういうことは全く首尾一貫したものでは私はないと思うのであります。私はそういう点から、今までの経過について非常に残念に思うのですが、少くとも当委員会の意向としましても、当然調達庁は、あす三月八日に第二次の直用を百二名ですか、またやろうというのだそうでありますが、これはやめるべきである、そうして日米合同委員会におきまして、はっきりこの問題を決定するまでは、一切直用の問題は御破算にするべきだというような態度をあらためてとるべきだ、当面した問題は今すぐやるべきだと、こういうふうに考えるのでありますが、委員長、いかがでございますか。これは当委員会の経過からいって、ここまでいかないと首尾一貫しないと思う。従って、私はこの点で、運輸大臣は国務大臣としてのはっきりした御意見を表明していただくと同時に、当委員会でそういうようなはっきり意向をここで表明すべきじゃないかと考えますが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/56
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057・戸叶武
○委員長(戸叶武君) 運輸大臣の答弁も十分にまだ私たちを納得さすだけの答弁に立ち至っておらないと思います。これには外務当局が直接関係しておるものでありまして、内山知事に依頼したというところに責任を回避したかのような点も見られるので、これはその当事者からはっきりと御答弁を願わなければ、これに対するやはり検討は十分なされないと思いますから、次回にでも一つ、外務当局、調達庁の方に出てもらいまして、この日米合同委員会の行き方というものがあまりあいまいもこたるものになると、悪例を残しますし、日米合同委員会においてこそ難問題を解決なし得る機関であると見られておるにもかかわらず、それにおいてそれが十分果されないということになると、また事が重大になりますから、しかし、この問題は何しろデリケートな問題でありますから、関係当局に全部出席願って、そうしてこの真相を明らかにしたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/57
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058・岩間正男
○岩間正男君 運輸大臣の御決意はこの前承わったのでありますけれども、少し何だか、先ほどの御答弁になりますと後退されたように感ずるので少し残念に思うのですよ。この際あらためて、やっぱりあの基本線ははっきり守って今後処理するという点を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/58
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059・宮澤胤勇
○国務大臣(宮澤胤勇君) 決して後退しておりません。あしからず。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/59
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060・相澤重明
○相澤重明君 ただいま委員長が言われたように、次回には関係の外務大臣、調達庁長官等に出席していただいて、そうして十分この問題に対して究明ができるように、できるならば、運輸大臣が言われておるように、閣内の意見もまとめて政府の基本的な態度というものをきめて、この次にはお答えできるようにしていただきたい。私はきょうは、それ以上のところはちょっと無理がある、こう思いますから、次回そういうふうにやっていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/60
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061・岩間正男
○岩間正男君 なるたけ早い機会にお願いいたします。次回に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/61
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062・戸叶武
○委員長(戸叶武君) 速記とめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/62
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063・戸叶武
○委員長(戸叶武君) 速記をつけて下さい。
本日は、これをもって散会いたします。
午後四時四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X00619570307/63
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