1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年五月七日(火曜日)
午前十時四十一分開会
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委員の異動
四月二十七日委員柴谷要君辞任につ
き、その補欠として山下義信君を議長
において指名した。
五月六日委員後藤義隆君及び山下義信
君辞任につき、その補欠として大谷贇
雄君及び柴谷要君を議長において指名
した。
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出席者は左の通り。
委員長 戸叶 武君
理事
江藤 智君
木島 虎藏君
三木與吉郎君
大倉 精一君
委員
成田 一郎君
相澤 重明君
柴谷 要君
松浦 清一君
高良 とみ君
市川 房枝君
衆議院議員 木村 俊夫君
關谷 勝利君
国務大臣
運 輸 大 臣 宮澤 胤勇君
政府委員
運輸政務次官 福永 一臣君
運輸省船舶局長 山下 正雄君
事務局側
常任委員会専門
員 古谷 善亮君
説明員
日本国有鉄道副
総裁 小倉 俊夫君
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本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選
○小型船海運組合法案(衆議院送付、
予備審査)
○モーターボート競走法の一部を改正
する法律案(内閣提出衆議院送付)
○運輸事情等に関する調査の件
(国鉄の春季闘争に対する処分に関
する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/0
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001・戸叶武
○委員長(戸叶武君) これより運輸委員会を開会いたします。
委員の変更について報告いたします。四月二十七日柴谷要君辞任、山下義信君補欠、五月六日山下義信君辞任、柴谷要君補欠、後藤義隆君辞任、大谷贇雄君補欠選任せられました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/1
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002・戸叶武
○委員長(戸叶武君) 理事の補欠互選についてお諮りいたします。木島虎藏君が運輸委員を辞任し、再び委員に復帰いたしましたので、この互選の方法は、成規の手続を省略して、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/2
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003・戸叶武
○委員長(戸叶武君) 御異議ないと認めます。それでは私より木島虎藏君を理事に指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/3
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004・戸叶武
○委員長(戸叶武君) 小型船海運組合法案を議題にいたします。
発議者衆議院議員木村俊夫君より提案理由の説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/4
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005・木村俊夫
○衆議院議員(木村俊夫君) ただいま議題となりました小型船海運組合法案につきまして、提案者を代表いたしまして提案理由及びその概要を御説明申し上げます。
木船を中心としまして、小型船は、現在総数約二万三千二百隻、百七十五万重量トンに及びますが、これらの船舶によって輸送されますものは、石炭、鉄鋼、石材、砂利等、わが国基礎産業の、重要物資でありまして、昭和三十年度における総輸送量は、約三千七百七十五万トンに達しております。この輸送量は、わが国の内航総輸送量の六十三・五%に相当しており、海運において小型船の占める地位は、まことに重かつ大なるものがあるのであります。
しかしながら、この小型船による輸送を担当している小型船海運業者の実態を見ますと、九十%以上の者がいわゆる一ぱい船主でありまして、個々別々に無用の競争を行い、運賃は不当に低いものとなっております。
従い度して、当然その経営状況は、きわめて悪く、資本の食いつぶしによって維持されているといっても過言ではないのであります。その結果、船体は老朽化し、海難率も高くなり、積荷保険料も高率なものとなりまして、このことがまた低運賃への悪循還し、小型船海運業の不振を恒常化しているのであります。
このような小型船海運業の事態を改善し、近代的合理的な中小企業として、小型船海運業の健全な発達をはかり、もって、わが国経済の発展に寄与するためには、零細な小型船海運業者が相互に団結して、組合組織のもとに、運賃の低下その他不合理な点を是正することが必要であります。すなわち、これらの個々別々の零細企業者に対して、その置かれている経済環境を改善するために、小型船海運業者が団結して、その力を強化する道を与えなければなりません。
その組織化を助長促進し、要すれば、組合員以外のものにも、国家の力によって法規制を行い、もって小型船海運業の安定をはかろうとするのが、この法律案を提出する理由であります。
次に、この法律案の概要を御説明申し上げます。
まず、小型船海運組合の組合員資格者は、木船運航業者、木船貸渡業者、木船川瀬業者並びに五総トン以上五百総トン未満の鋼船による運航業者及び貸渡業者であります。
設立の方法は、十人以上の発起人が集まり、地区別、貨物別または業種別に、運輸大臣の認可を得て設立いたします。
小型船海逆組合の事業は運賃、回漕料、貸渡料等の運送条件、貨物の引き受け、配船船腹、保有船腹、燃料等の購入等について調整するいわゆる調整事業が主でありまして、副次的に共同事業も行うことができます。調整事業を行う場合には、調整規程を定めて、運輸大臣の認可を受けなければなりません。
こうして、小型船海運業者が、自主的に小型船海運業の合理化、安定化をはかるのでありますが、それが員外者の行為によって乱される場合には、運輸大臣が専業活動の規制に関する命令を発することにより小型船海運業の安定を達成することとなっております。
以上が、小型船海運組合法案の提案理由と概要でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決されるよう御願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/5
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006・戸叶武
○委員長(戸叶武君) 本案の質疑は、慣例により次回にいたします。
速記やめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/6
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007・戸叶武
○委員長(戸叶武君) 速記をつけて下さい。
モーターボート競走法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、衆議院の修正点について、衆議院議員關谷勝利君より説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/7
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008・關谷勝利
○衆議院議員(關谷勝利君) ただいま議題になりましたモーターボート競走法の一部を改正する法律案の修正の動議を提出いたしました者といたしまして、その理由を申し上げます。簡単に趣旨の御説明を申し上げます。
御承知のようにわが国周辺の海域は、特殊の気象現象のため、海難事故が続出をいたしまして、貴重な人命が失われるのみならず、海運界は毎年多額な損害をこうむっておるのであります。たとえば海難統計によりますと、昨年一カ年間におきまする海難船舶は五千四百九十五隻の多数に上り、また積荷並びに船舶に与えた見積り損害額は実に四百億円の巨額に達しておる実情であります。これら海難の防止につきましては、海上保安庁を初め民間各団体においてそれぞれ対策を講じて鋭意努力を続けておりますが、経費の関係上所期の目的を達しておられないことは、まことに遺憾にたえない次第であります。よってこの際、本法案に基きますところの交付金の一部を海難防止に関する事業に使用し得るように改めまして、これら事業の活発なる活動を促進し、もって船舶航行の安全確保に寄与せしめようとするのが、この修正案の目的とするところであります。
以上、はなはだ簡単でありまするが、修正の趣旨を御説明申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/8
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009・戸叶武
○委員長(戸叶武君) それではこれより質疑に入ります。御質疑のおありの方は順次御発言を願います発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/9
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010・松浦清一
○松浦清一君 修正点についての御説明がございましたが、海難防止に関する事業という、その事業を営んでおる範囲ですね、どういうことをやっておるのが海難防止事業というか、いろいろあるのですね、この海難防止の仕事をやっているのは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/10
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011・關谷勝利
○衆議院議員(關谷勝利君) これは、大体モーターボートで上って参りまするところのこの資金といいまするもので、こういう方面に融資あるいは助成ができるというふうな方法を考えましても、金高が非常に小さいのでありますので、あまり多くを期待することは事実上無理であろうと思いますが、水難救済会あたりがやっておりまするところの事業に対しまして、これを補助あるいは融資というふうな面を講じまして、そうしてその活動を容易にしたいというのが、大体の何といいますか、現実的な考え方なのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/11
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012・松浦清一
○松浦清一君 關谷さんも多分お聞きになっているだろうと思いますけれども、海員掖済会あたりが海難防止に類似した事業をやっているのですね。たとえば航海中に乗務員が大けがをするというような、そういうような事故が起ったときは、電信で処方のことの打ち合せをやったり、いろいろこの事業をやっていることは御承知の通りですが、これを改正するということをお考えになった際に、掖済会のやっているような事業がこの海難防止事業の中に含まれると御理解になったのか、または、そういうことをお考えになっていらっしゃらないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/12
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013・關谷勝利
○衆議院議員(關谷勝利君) これは、当時修正案を提出いたしまする際に、いろいろそういうふうな点もありまして、含めたいけれども、こういうふうなわずかな資金でありまするので、そこまではあるいは手が届きかねるのではなかろうか、大体水難救済会あたりでやっておるのを、これを助成するという程度がせいぜいではなかろうかというふうなこともありましたが、大体そういうふうな方面も含めたいという意見は皆出たのでありますが、大体それだけまで潤沢に資金が回ってくればやりたいが、そこまでは現実の問題としてできないのではなかろうか。やりたいのはやりたい、こういうふうなことで、でき得る範囲内のことをしようではないかと、それには一応法文として、でき得ることにしておいてはどうであろうかということでありまして、その範囲の中へは含めてはおりまするが、現実の問題といたしまして、そこまでやり得るかどうかということは、資金繰りの関係でどうかというふうな話もあったのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/13
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014・松浦清一
○松浦清一君 大体その改正をされるということの話し合いをなされるときに、今おっしゃる程度のこと以外に、しからば具体的にどういう団体、どういう海難防止に関する仕事をやっているところという具体的な名称はあがらなかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/14
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015・關谷勝利
○衆議院議員(關谷勝利君) これは具体的には名前は、そういうふうな団体の名前等はあげておりません。ただ、水難救済会が具体的にあがってきたのでありまするけれども、その他に対しましても、でき得る限り広くやりたいが、これだけの資金であるので、おそらくそういうふうなところへまで手が届かないのではなかろうかというふうなことで、そこまで具体的な名前はあがってはきておらなかったような状態であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/15
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016・松浦清一
○松浦清一君 たとえば水難救済会のごときものが対象になるというお話があったということで、規定づけはないわけですね、改正をしようという話し合いの中で、どういう団体、どういう団体ということの規定づけはない。要するに海難防止のことをやっている事業に対しては何がしかのことをしよう、こういうお含みの上で改正をされたと、こういうことですね。そう理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/16
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017・關谷勝利
○衆議院議員(關谷勝利君) その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/17
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018・山下正雄
○政府委員(山下正雄君) 關谷先生に対します御質問の関連といたしまして、私どもの考えておりますことをちょっと申し上げてみたいと思います。この關谷先生のお答えにありました通り、具体的な打ち合せをいたしておりますが、ただいま運輸省におきまして海上航行安全審議会というのがございます。あそこで海難防止のいろいろな案について、今具体的に協議をされる予定でございます。あの海上航行安全審議会におきまして、海難防止の具体的な措置はこうあるべきだ、またこうしなければならぬということが具体的にきめられております。その航行安全審議会の決議に基きまして、私どもとしましては、できる限り一つ海難防止のためにこの交付金を利用していきたい、こう考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/18
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019・松浦清一
○松浦清一君 船舶局長に、ちょっとこまかくなりますけれども、具体的に、それじゃ海難防止中業に補助をするというのですが、そういう具体的な行為をする場合にどこがそれをきめるわけですか。役所の方がきめるあの団体は海難防止のためにこれこれの具体的な仕事をした、仕事をする目的をもって設立をされた、従って、この中から何ぼかやらなければいかぬ、こういうようなことをその都度、その具体的な事実に基いてそれを判断をして役所がきめていくと、こういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/19
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020・山下正雄
○政府委員(山下正雄君) 航行安全審議会におきましては、具体的な個々のケースでなくて、根本的な海難防止のあり方——御承知のよりに海難防止の組織というものが非常に不完全でございます。それはどういう形であるべきだということをやはり御審議願うことになると思います。その形に基きまして、この組織が一応何かの形ではっきりした形にきめられると思いまするが、その組織がどういう形になるか存じませんが、その組織がかりに海難防止のために大きな力をなし得るというのであれば、その組織に対して、まあ補助金的な意味で交付金を交付する、補助するということになると思うのです。またそれ以外に一つの団体でございまして、そしてそれが海難防止のこれこれの目的のためにいろいろな有効な機能を持っておるのだ、さらに強化すべきだというような御意見がございまして、この納入金でまかなえる範囲内においてその計画が具体化されるような場合には、やはりこの交付金をもって補助するというような形をとるような形で運営をされたら、非常に海難防止のために有効ではないだろうかと思います。ですから、個々のものについてこれこれ出すということではなくて、会なり、組織全般として、やはり海難防止の大きな目的に沿うという形において、この補助金の運営をお願いしていきたいと、こういうふうに私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/20
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021・松浦清一
○松浦清一君 そうすると、あまり詳しいことはわからぬのだけれども、モーターボート競走のその行為に対して利益が上る、それを国に納付すると、その納付された金の中から国がその海難防止事業に対して補助金をやる、そんなことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/21
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022・山下正雄
○政府委員(山下正雄君) 今度の競走法の改正におきましては、国に上り金の一部を納付するという形ではございません。地方の自治団体から売上金の一部を競走会連合会に対しまして交付する、その交付金の一部——をこの交付金の使用につきましては、運輸大臣の承認が要するわけでございます。従いまして、この競走会自体におきましても、交付金の使用については、十分運輸省の意図に沿い、またこの目的とするいろいろの事項につきまして、競走会としても十分考えていただいて、その上でいろいろの交付金の配分の案が出ると思います。この案に対しまして、至当であるものについて、私ども運輸省として承認をするという形になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/22
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023・松浦清一
○松浦清一君 くどいようだけれども、だれかが海難防止の事業をやっておるから、こういう工合に法律が改正されたら一つ考えてもらいたいというような陳情が来るかもしれない。今後続々来ると思う。それが来た場合に、競走会の連合会自体が、その申請というか、要請のあった向きに対して、やりたいから許可を願いたいということを言って出るのか。運輸大臣が、あれは海難防止の事業のために、こういうことをやっているから出す、こういうことになるのですか。どういうことになるのですか、この形は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/23
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024・山下正雄
○政府委員(山下正雄君) この法の建前としましては、連合会の金でございますから、やはり連合会が一応金を出すという形になると思います。しかしながら、具体的ににその金の使途につきましては、運輸大臣の一々承認が要るわけでございますから、連合会独自でこれを判断して金の運用をはかるというわけにはとうてい参りません。従いまして、たとえば航行安全審議会の方で、こういうように使うべきだという御意見が出ましたならば、私どもとしましては連合会に対して、こういう意見が出ておりますぞということを十分知らせたいと思います。また連合会におきましても、当然そういう意見が出るような会議には連合会の役員等も出しまして、この議事の進行、また目的等、十分会議を通じまして知るということも一必要じゃなかろうかと思います。いずれにいたしましても、この連合会に対して強制力というものを持つわけにはいきませんが、趣旨を十分伝えまして連絡を密にいたしまして、運用をよろしくやっていきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/24
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025・松浦清一
○松浦清一君 そうすると、大体わかったのですが、その補助金を出すという最終決定をする一審の権限者はだれですか。運輸大臣ですか、連合会長ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/25
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026・山下正雄
○政府委員(山下正雄君) 運輸大臣の承認がないとそれは出ません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/26
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027・相澤重明
○相澤重明君 關谷さんにちょっとお尋ねしたいのですが、このモーターボートの連合会等の問題と、それから船舶用機関、船舶用品ということですね、この関係の事業ということになると思いますが、どういう具体的な事業というものは含まれているのか、先ほどの松浦さんの質問に対しては、海員救済会とかあるいは水難救済会とかいうことが話にあったと思うのですが、船舶用機関、船舶用品ということになると、範囲はかなり広いと思うのですが、どういうふうに提案者の方ではこの点についてお考えになっているのか、御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/27
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028・關谷勝利
○衆議院議員(關谷勝利君) 私たちが「海難防止」という条項を入れましたのは、その船舶用機関とか何とかというようなものは別途の一つの項目として考えたわけでありまして、そういうふうな海難防止に関する何といいますか、努力をいたしまする団体等に対しまして、個々の事案でなくて団体に対しまして育成助長する面を考えたいというふうなことで、その団体を対象に私たちは考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/28
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029・相澤重明
○相澤重明君 団体と言われるといわゆる会社なり、あるいはその事業体の連合ということになろうかと思うのですが、一つの具体的な例で私はお尋ねしたいと思うのですが、たとえば海難防止ですから、海難に必要な潜水具を作るとか、あるいはそういう潜水作業を行うとか、そういうようなものまであなた方は考えているのかどうか、こういう点についてお尋ねしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/29
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030・關谷勝利
○衆議院議員(關谷勝利君) 私たちはそこまでは考えておらないのでありまして、私たちが当初相談をいたしました際には、海難防止につきまして、たとえば今回提出をせられておりまする小型船海運組合法案というのがありますが、ああいうふうな全国的な団体で、それが海難防止についていろいろな仕事をするというふうなことに対しましてはそういうふうな団体が海難防止に関する仕事をするのであるから、その団体に対しまして、そういうふうな活動がやりやすいように助成をしようじゃないか、なお水難救済会あたりに対しても、その事業のやりやすいように、活動を容易ならしめるような助成をしようじゃないか、こういうふうなことで修正案を提出した次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/30
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031・相澤重明
○相澤重明君 そうしますと、提案者の端的な御意見をお伺いしたいと思うのですが、結局は、モーターボートを作ることや、あるいは競走用の問題について国が助成をするということが本旨であって、まあ海難防止というものはつけたりであって、結局、海難防止ということを入れなければ、この法案の通過がなかなか骨が折れるというようなことで、あなたの方が提案をしているのじゃないですか、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/31
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032・關谷勝利
○衆議院議員(關谷勝利君) 私たちは別にそういうふうな意味ではないのでありますが、そういうふうないろいろな関連工業を盛んにするというふうなことにつきましては、運輸当局がこれを考えておるのでありまして、これにつきましては、従来もそれをやってきておったのでありまするが、その上へさらにこういうふうなモーターボートというようなものにつきまして、施行者、連合会の関係者あたりは、みんな海運に関係の深い人がおもにこういうふうなものを組織いたしておりまするので、海難防止というふうな面につきましても、何とかしてもらいたいというふうな要望もありますので、できればそういうふうなことも含めたいというので、少しくその資金の利用の範囲を広めたい。海難防止ということはぜひとも必要なことで、今そういうふうな面に対しまする助成というふうなことが非常に手薄い関係から、こういうふうな方面から関連のある、何といいますか、海に関係のあることだから、海難防止に出すことは差しつかえないだろう、むしろそういうふうなことは望ましいことであろうというふうなことで、海難防止というようなことを加えたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/32
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033・相澤重明
○相澤重明君 船舶局長に一つお尋ねをしたいのですが、關谷先生、だいぶ苦しいようですが、これは一つこの主題から考えてくると、モーターボートの性能の向上、あるいは品質の改善、あるいは海外宣伝、あるいは競走、そういうものにについての主たるモーターボート法案だと思うのですが、ただ、それに競走するだけではなかなか理解ができないので、そこで、いわゆる船を作るための機関ですね、あるいはその用品の改良、こういうようなことまで一応その助成の対象になる、しかし、一たん事故が起きる場合も考えられるので、海難防止に特に力を入れておる団体等についても、一応の対象としていく、だから主題はあくまでもモーターボートの競走のためである、こういうことなんですか、どうなんですか、その点一つお尋ねしておきたいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/33
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034・山下正雄
○政府委員(山下正雄君) この法律の趣旨にございますように「モーターボート、船舶用機関及び船舶用品の改良及び輸出の振興並びにこれらの製造に関する事業の振興に寄与し、あわせて海事思想の普及宣伝と観光事業に資するとともに、地方財政の改善を図るために行うモーターボート競走に関し規定するものとする。」というような第一条の規定がございますが、当然今お話がございましたように、モーターボートそれ自体の改善もございますし、それから船舶に関する関連工業の振興ということも一つの大きな目的になっております。しかし、私ども従来船舶局といたしまして、船の海難にいろいろタッチして参ったわけでございまするが、ところが、この海難を防止するということが非常に困難なものでございます。と申しまするのは、たくさんの海難の数の上の大半は小さい船の海難が多いわけでございます。従い、まして、これらの海難を防止するには、何らかのやはり啓蒙宣伝をするとか、または事実上のいろいろの技術的な問題について、船長または機関長等に教育をするというような措置をやるにいたしましても、なかなか費用ができにくい。しかも、それらの団体が非常に微弱でございますので、資金の捻出が困難なわけでございます。従いまして、これに対する措置というものがなかなか行われない。ところで、このモーターボートは実は海の土で行う競技でございまして、海から上った金の一部をやはり海に還元するのが筋が通るのではないか。まあ先ほど申しましたように、関連工業の振興、改善ということも大きな目的になりますけれども、しかし、具体的に海難を防止するということも大きな魅力である、しかも、効果のある仕事じゃなかろうかというふうに存じまして、かねがねそういうふうに考えておったわけでございます。法制局に参りまして、一応その話を申しましたけれども、あまりいろいろなものを入れるのは好ましくないというような担当者の御意見もございまして、私どもはやはり法律が通りませんと今後の運営に困りますので、そう強くも言えませんので、一応、じゃ一つ引っ込めますということで、ざっくばらんな話で恐縮でございますが、そういう経過でございました。ところが、いろい話して参りますと、やはり海難防止とやるべきじゃないかという御意見が出まして、これはぜひ一つ議員の提案をされまして御修正を願えれば、われわれは喜んで応じたい、こういうふうないきさつもございました。私ども決して海難防止を初めから考えなかったわけではないわけでございます。考えておったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/34
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035・相澤重明
○相澤重明君 今のに関連して。關谷さん、今の船舶局長の答弁を聞いておると、特に海難防止について、非常に今までの宣伝等も不足しておるし、あるいはまた団体としても力が弱い、そこで、船長にしろ船員にしろ、あるいはそういう船舶関係業者にしろ、できるだけ法案を作って強力なものにしていきたい、こういう趣旨だと思うのですよ。そうすると、特に船長とか船員あるいは漁船等の場合もあると思うのです。またモーターボートのような場合もある。そういうふうな場合に、日本ではたとえば組合で海員組合というのもあれば、漁船組合というものもあれば、またモーターボート連合会というふうなのもある。そういうような総合的な海難防止ということをお考えになったことがありますか。これはどうもモーターボートの法案を提出するために、海難防止ということを特に衆議院でお考えになったように思えるのですが、総合的な海難防止についてお考えになった点があるかどうかお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/35
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036・關谷勝利
○衆議院議員(關谷勝利君) 総合的な海難防止といいますと、ちょっと私たち十分御意思がわかりかねるのでありますが、私たちは、これはもともと原案には入ってなかったものを、海難防止というようなものは非常に重要なことでもあるし、それに対して政府の助成ということが少いので、こういうふうな、上ってくる金の中からその方に向けることは、これは有意義なことだということで、私たちはこれの修正をいたしたのでありますが、総合的なといいますと、やはり海難防止というふうなことになりますと、いろいろな団体もたくさんありましょうししますが、その全部にというふうなことはなかなかむずかしいと思いますので、私たちが具体的に考えましたのは、先ほど申し上げましたように、この海難防止——先ほど山下局長が申しておりましたように、小型船が非常に海難が多いというふうなことで、それを指導いたしますところの小型船海運組合の連合会というものができますと、その連合会に対して補助をすることが一審適切ではなかろうか。個々の事態に対して直接の補助というふうなことではなくして、そういうような指導団体に対してやるのがよかろう。なお水難救済会のようなものもあるではないかというふうな程度でありまして、総合的なといいますと、海難防止に関連のある団体全部というふうなところにまでは私たちは考え及んでおらないのが実際であるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/36
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037・相澤重明
○相澤重明君 まあ端的に申し上げますと、やはり水難救済会等は一応話題にあがってまた対象になるかもしれぬけれども、その他のものについては、まあ今のところ考えは及ばない、特に中心になるのは、モーターボートの競争用のために一つ力を入れていきたいと、こういうことで理解してよろしいですな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/37
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038・關谷勝利
○衆議院議員(關谷勝利君) 私たちは競争用のモーターボートに対する海難防止という、そういうふうな考え方ではないのであります。私たちは小型船全般の海難防止につきましては、これは小型船海運組合がいろいろ指導をいたしまするので、そういうところへ助成してやろうじゃないか、水難救済会あたりも直接そういうふうな事業をやっておる団体だから、やらなければならぬじゃないかと、何にいたしましても、現実の問題といたしましては非常に少い資金でありますので、あまり声を大きくいたしますと、何やら海の中へ、雨が降ったような調子になりまして、効果がないようなことにもなって参りますので、現実的に考えますると、今私たちが考えましたのは、小型船海運組合と水難救済会程度でなかろうかというふうな話も出たのであります。できるだけ広い範囲にやりたいのはやりたいが、現実の問題としては、それは不可能である、従って、小型船海運組合あるいは水難救済会経度でなかろうかというふうなことが、この改正案を提出する際にいろいろ話題になったような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/38
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039・柴谷要
○柴谷要君 提案者にちょっとお尋ねしたいのですが、モーターボート競走法というものができて今日まで何年間かこうやってきたのですが、この制定された目的というものは、すでに当時の情勢から考えるというと、目的をもう達したというふうに考えられる。それで、このようなばくち的な法律をいつまでも存続しておることは、私は国会の威信にもかかわるし、とにかく今日の情勢からは一日も早くこういう法律は廃止した方がいいと、こう患う。ただ、この法律を存続する限りにおいては、提案者のように、日本は海運国でもあるし、海難防止ということも必要であり、この方面に向けられておらなかったのを向けさせる、こういうことで非常にまあこの趣旨は了として賛成するものですが、将来この法律をやはり早くなくしてしまおうというお考えがあるかどうか、この点を一つお聞きしたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/39
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040・關谷勝利
○衆議院議員(關谷勝利君) 大体このモーターボート競走法の二部改正は政府提案でありますので、その点は政府の方からお答えを願うことにいたしまして、私たちが修正をいたしましたのは、先ほど申し上げましたような海難防止という点だけをこれに加えたような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/40
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041・柴谷要
○柴谷要君 政務次官、御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/41
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042・福永一臣
○政府委員(福永一臣君) モーターボート競走は競輪あるいはまた小型一自動車競走といったようなものとの関連においても、これだけ切り離しまして直ちにこれを廃止するということは、いろいろまたほかに影響もございます。また、なるほど射幸的で、ばくち的だということはいろいろ非難もございますが、他面また地方財政等にまあ相当に寄与もいたしておりますので、この面から申しましても、これを直ちに廃止するということは、いろいろまた影響もございますので、その弊害の面を政府といたしましては大いに改めるように指導監督を強くいたしまして、健全なる運営をするようにいたしたい。従って、今直ちにこれを廃止するということは考えておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/42
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043・柴谷要
○柴谷要君 まあ政府の態度が明らかになってきましたから、それでは具体的に質問を一つしてみたいと思う。モーターボート競走法によって目的とされておるのは、いわゆるモーターボートの改善であるとか、あるいは船舶用機関の改良、こういうことで今日までやってこられたようですが、どれだけの進歩をしたか、具体的に一つ御説明をいただけるならば一つやっていただきたい、局長の方から。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/43
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044・山下正雄
○政府委員(山下正雄君) モーターボート競走法が施行されまして以来、直接のモーターボートのエンジンについては相当改善をされております。それでどういう点が改善されておったか、その具体的な資料を今案は持っておりませんけれども、いろいろのモーターボートの機関の政見または船自体の改良につきまして、委員会を競走会に設けましていろいろ改善をやっております。競走の当初におきましては、よくモーターボートが波をかぶりましてエンジンがすぐにストップするというわけで、観客が、まるでモーターボート競走はエンジンストップを見に来るようなものだというような批判も相当あったわけであります。しかし、最近におきましてこれらの機構が相当欧露されまして、エンジン・ストップ等も非常に少くなっておるという具体的な事実がございます。それからこの面接のモーターボートのことでなくて、一般的な機械工業の振興の面ということにつきましては、資料も差し上げてございますけれども、舶用機関、舶用内燃機の性能の審査をやるとか、または船舶用補機の型式の統一に関する調査をやるとか、または船舶用小型内燃機関等の使用材料の品質の向上並びに標準工作法に関する調査研究をやるとか、また新型直流電動ウインチの試作研究をやるとか、また舶用機関等の技術講習会を行うとか、また品質管理の講習会を開催するとか、舶用減速歯車の設計及び工作法に関する調査研究をするとか、または高速小型内燃機関の性能向上に関する調査研究をするとか、または造船関係海外技術の調査研究をするとかいうような、具体的な調査研究を委託または補助をいたしまして着々とその成果を上げておるわけでございます。また一方、これは間接的な技術援助でございますけれども、いわゆる中小企業の設備の合理化の点に、従来の納入金を貸付いたしまして、これらの工業の振興をはかっております。御承知のように中小企業につきましては金融が非常に困難でございます。設備の改善をやりたいと思いましても、なかなかできないような事情にございまするけれども、この納入金によりまして、今後の交付金によりまして相当設備の改善を行い、その設備が改善された結果、いいものが安くできる、または地方の非常に困っておる内燃機の修繕を容易にするというような効果を、この納入金の運用によりまして今までいたしておるわけでございます。従いまして、今後といえども、この納入金の、今後の交付金の運用、使用につきましては十分留意をいたしまして、その効果が普遍的であり、より有効に利用されるように努力をいたしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/44
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045・戸叶武
○委員長(戸叶武君) 速記をちょっととめて。
〔速記中止〕」発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/45
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046・戸叶武
○委員長(戸叶武君) 速記をつけて下さい。
次に、運輸事情等に関する調査中、国鉄の春闘に対する処分に関する件を議題といたします。
御質疑のおありの方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/46
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047・柴谷要
○柴谷要君 運輸大臣にお尋ねをいたしたいのでありますが、最近国鉄労組の処分を中心に、公共企業体職員の問題が、大臣談話あるいは記者会見等によって発表されたのをきっかけとして、連日新聞をにぎわしております。このことについては、もとより当事者である労組自体にも非常なる影響を与えておりますし、また国民全体も大臣の発言なり、あるいは記者舎兄による発表等を重要視しておると思いますので、この問題の取扱い並びに今後の処置等について、運輸大臣の見解をまず最初に承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/47
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048・宮澤胤勇
○国務大臣(宮澤胤勇君) お答えいたします。先般来実力行使その他の問題の起りましたのは、御承知の通り給与の問題から来ておるわけであります。このたびのこの給与の改訂につきましては、政府は初めから仲裁裁定を誠意をもって尊重すると、私はもっと具体的にこれを実施すると、仲裁裁定通り実施すると、こういう考え方を申し上げておったわけであります。そこで、仲裁裁定が下りまして、これについて、御承知の通り幾らかの疑義があって、今日までその疑義を中心として質問が行われたり、いろいろな経過はありましたけれども、大体において、仲裁裁定の主文を私どもは正当に解釈して、尊重するよりはほかない、実施するよりほかない、こういう考え方からして、ただいま本院において御審議を願っておる補正予算の措置をいたしたわけであります。で、この補正予算の措置につきましては、幾らか見解の相違はあるかもしれませんが、私ども政府といたしましては、この措置をもって、仲裁裁定を完全に実施いたしたものと、こういうふうに解釈をして提案をしたわけであります。
なお、その間におけるこの国鉄の——主として私は国鉄についてお答えいたしますが、実力行使に関する法規の違反に連なる処分に対しましては、やはり今日までの経過から見て、政府が、はっきり仲裁裁定はもう実施したと、従って、仲裁裁定を政府ははっきり実施しておるから、法規に違反した人もその責任をとってもらわなきゃならない、こういう考え方で進んで参りましたので、その政府が仲裁裁定をほんとうに実施いたしたということは、やはり予算案が成立をして、そしてそれを実施するというのが、最もはっきりしたことではないか、こういうふうに考えてきておったのでありますが、ところが衆議院は、もうすでに予算は通過して、参議院に回付をされておりまするけれども、大体その後の経過を見ましても、仲裁裁定の疑義から出発して、この補正予算を組みかえなければならないという事態は、もう起きてこないという見通しが、大体この数日間、私どもはついたと思っておりましたので、それがついたとすれば、やはりこの法規違反の処分の問題も、はっきりと早くした方がいいと、こう考えておりましたが、しかし、一半、政府の模様は、やはり予算の審議の模様を見たいという気持もあったのでありまして、昨日、労組側に対する仲裁委員会からの発表を見ますと、非常に具体的にはっきりしまして、政府のとった予算措置というものは、仲裁裁定を完全に実施しているのだ、こういうようなことがもうはっきりと現われてきております。私どもが最初に解釈したのと、今日の結論と一致してきている、こういうふうなことに立ち至った次第でありますので、従って、あとに残る問題は、法規に違反した人に責任をとってもらうという問題だけが残っている。まあ予算の完全な成立は、まだここしばらく当院において審議をされますが、大体の傾向としては、そういう時期に達しているのじゃないかと、私はこう考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/48
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049・柴谷要
○柴谷要君 私はあとで仲裁裁定の問題についてはお尋ねをしようと思った。ところが、仲裁裁定の問題に大臣は答弁されておって、大事なところを答弁されておらない。というのは、私の聞きたいことは、運輸大臣はとにかく国鉄の主管省の責任者である。ところが、かねて処分の問題については、私が人事権はどこにあるのだ、こうお尋ねをしたときに、国鉄総裁が人事権を持っているのだ、こういう明確な御答弁があった。そのことは私もその通りだと思っておった。ところが、国鉄の監督官庁であるところの運輸省がまずどういう見解を持っているか、これをお尋ねをしたかった。ところが、運輸大臣は、地方におかれては非常にお人柄がりっぱでありますから、言われることもりっぱである。賞は多くして罰は少く、これが政治の大道だと、こう言われている。まことに大臣の見解は私は大いに尊重もし、かつ敬意を払っている。ところが、同じ政府の中にありながら、大臣とはいえども所管の違う大臣が、国鉄労組の処分の問題について、どこで言っておられるのかよくわかりませんけれども、地方に出て堂々と発表している。そういうことになるというと、前回私がお尋ねした人事権の問題がぐらついてきた。他の省にいつ移ったのか、こういうことを聞きたくなる。そこで、運輸大臣に一つぜひお尋ねをしておきたいことは、閣内においてもそんなに意見の違いがあるのか、それとも今後これらの問題を運輸大臣としてどう調整していかれるのか、これを一つ明らかに、大臣の心境をお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/49
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050・宮澤胤勇
○国務大臣(宮澤胤勇君) よくわかりました。ただいまのお答えが的をはずしておったわけでありますが、国鉄職員の処分の問題は、今日正直に実際申し上げますと、これはもう国鉄総裁にあることはもちろんであります。しかし、今日の情勢からして、国鉄の扱いがきまったらば、私どもにも報告をしてもらって、そうして他の省の所管の企業体との間の検討も一応は遂げなければいけないのだろうと、こう考えております。従って、私は初めから申し上げたように、情報は国鉄の当局者からも聞いておりますけれども、はっきりしたお答えについては、私は政治的な取扱いをこれはすべきものじゃない、法規に従ってはっきりおやりになるがいいでしょう、その結論が出たら私は伺う。実のところその結論はまだただいま聞いておりません。これはあるいは一両日中、明日あたりまでには聞かれると思うのですが、今日まだはっきりした結論は聞いておりません。従って、労働大臣の新聞に出た発言のごときも、きょう聞きますと、あれはただ新聞記者諸君と情報の交換をして、自分の見解として情報交換の際に語ったものが、新聞紙に現われたのだというお話がありました。もちろん私ども関するところでもなし、政府として——また労働大臣自体も、新聞にも自分の一個の見解だとか載っておりますが、政府のはっきりした態度でもなし、いわんや国鉄から出てきた案というものでも全然ないことは申し上げるまでもないのであります。その点だけは、今日の段階において私の今申し上げた点について裏も表もないことだけを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/50
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051・柴谷要
○柴谷要君 運輸大臣を私は責めようとはさらさら思っておらない。ただ、連日新聞をにぎわしておる問題が、やはり多くの国鉄職員なりあるいは公企体職員を刺激しているこの問題なんです。こういう問題が今お尋ねをしまするというと、まだ明白になっておらないというにもかかわらず、地方に大臣が出張されますというと発表されておる。実はこれは少しく、私どもが調べた内容で申し上げるのは失礼かと思いますけれども、労働大臣が地方に出られるそのときに、中央の新聞記者諸君がついてくるかどうか、こういうことで労働大臣の身の回りの人たちは記者諸君の所へ行ったという。とこが、大臣が何か発表するなら行くけれども、発表がないなら行かない、こういう回答をしたところが、重大な発表をすると、こういうことであったので中央からついて行った。ところが、その記者諸君に、しかも、中央からエキスパートが行かれたのですから、いろいろ質問したでしょう、その中で大臣が発表されておる。そうなってくるというと、これは運輸大臣がお隠しになっておるのか、それはわかりませんが、それは閣内ではすでに決定をしておる三十一であるとか四十であるとか十八であるとかというような数字はすでに御決定になっておると思う。正直な運輸大臣はその数字がどこで決定になっておるのか御存じでしたらお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/51
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052・宮澤胤勇
○国務大臣(宮澤胤勇君) これはまあくろうととかエキスパートと言っては申しわけないと思いますが全くのしろうとの方ならそういうようななにがありましょうが、柴谷さんのような裏も表も御承知の方は、今の私の手にまだほんとうの最後案は来ておらぬというぐらいの点は私は御承知下さっておると思うのです。その間に十であるとか二十であるとか三十であるとか四十であるということは、それはもううんと言われておりましょう。実際言われておりますけれども、最後的なものはなかなかこれは、ことに解職という処分について、一人といえども十分な理由がなければできないことでありまして、それに十分かかっておることは、もうあなたのよく御承知の通りでありまして、私が今まだ来ておらぬと言うことも、あなたは今もよくおわかり下さっておることと思うので、決してうそも偽わりも申し上げません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/52
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053・柴谷要
○柴谷要君 まあ大臣の言われたように、私も人間がいいですから、その通りお受けをいたしておきたいと思います。ただ、大臣にお願いをしておきたい。これからお願いでございますが、一つ十分聞いていただきたいと思います。私どもも国鉄に二十五年から在職しておりました。戦争中も国鉄が一日もとまったことはないと思います。特に国鉄技術も世界に知られた鉄道技術を持っておるわけであります。こういう立場の国鉄がなぜ今日のような労働運動をしなければならぬ実情になったか、これだけはぜひ申し上げて、大臣のお人柄からいっても一つ十分に御承知を願って、今後努力を願いたいと思うのであります。
昭和二十四年の十二月二日に仲裁裁定第一号が出されて以来、仲裁裁定というものが完全に実施をされておらないのです。るる私も調査をしてありますけれども、一つもされておらない。中には裁判まで持ち込まれて、当然支払わなければならぬと東京地裁なり東京高裁から判決が出たものすら、これは行われずに来ているわけです。こういう情勢の中で順次不満が爆発をして今日のような情勢になった。そこで、これを今後どういう方向に向けるかといえば、一にかかって仲裁裁定を完全に実施する、これによって今日のような情勢はなくなってくることは明らかであります。そこを一つ大臣はお考えを願って、まあ国鉄労組が少し行き過ぎがあった、しかし、権力を握っているのだから、とにかくわれわれの方は処分権を持っているから勝手にできるのだ、こういう考えでなしに、どうか一つ裁定は実施をする、そのこと自体によって組合の方向というものが変ってくることも明らかです。こういうことをぜひお考えを願って、今新聞をにぎわし、いろいろ刺激しております問題について、真剣に一つ大臣としては閣内において十分発言をし、将来に向っていい結果を出すように一段と一つ御努力を願いたいと思う。私が一群心配しておりますことは、処分者が出れば、かつて機関で決定しておりますように、一日置いた翌日には、第三波に劣らないところの実力行使をする、こういう決定をしております。しかし、それは私は何もその実力行使をするから処分をするなということではありません。そのような情勢を作り上げた今日の情勢というものをよくお考えを願って、とにかく正面衝突をするようなことのないように、政府として十分な関心を持って対処してもらいたい、これがわれわれとしての希望であります。特に運輸委員として私どもの立場から申し上げますならば、こういうような状態がいつまで続いていいとは決して思っておらない。そこで、われわれの第三者の立場、特に国会議員という立場から、今後これらの問題についても公正な批判を、指導という面についても十分していきたい、こういう確信を持っているわけですから、どうか運輸大臣もただいまお話がありましたように、一大臣であっても、今日話されたことは寝言を言っておられるという程度に私どもは聞きおきたいと思う。でありますから、どうか一つ今日の情勢というものを十分大臣がお考えを願って、閣内で一そう問題を紛糾しない方向に推進をしていただくようにお願いをして私の質問を打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/53
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054・相澤重明
○相澤重明君 運輸大臣に一つお尋ねしたいのですが、きょうの閣議で、五月三日の地方遊説のときの労働大臣の談話ですね、これについてはお互いにどういう話が出たのですか、ちょっとお尋ねしておきたいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/54
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055・宮澤胤勇
○国務大臣(宮澤胤勇君) 労働大臣から、私から申し上げることはなんですが、あれに関する発言がありました。それだけで一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/55
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056・相澤重明
○相澤重明君 大臣も大へんつらいと思うのですが、しかし、やはり政府機関は非常に国民に対する影響は大きいのですね。政府の考え方あるいは政府の閣僚の談話、こういうことは、国民がやはり何といっても政府を信頼するという立場に立てば、その一言書一句といえども、これはなおざりにはできないわけなんです。そこで、やはり各大臣が旅行先なり、あるいはその時期に応じて発表されるということについては、これはやはりその政府の性格というものを出されたものとわれわれは理解するわけなんです。そこで、今のあなたの御答弁では、労働大臣の問題についてはという、まあ閣議でお話があったというだけで、お答えはないのだけれども、私は、少くとも閣議としては何でも大臣が自由に勝手気ままにしゃべっていい、内閣というものは寄り合い世帯であるから、何でもてんでんばらばらでやっていいのだということには、私はならぬと思うのですが、その点いかがですか。ちょっと大臣の御見解をお尋ねしておきたいのです。まさか岸内閣は各閣僚に勝手に、てんでんばらばらに自分の思うことを何でも勝手に言っていいのだというような、まさか岸内閣はそういう方向をとっておらぬと思うのですがその点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/56
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057・宮澤胤勇
○国務大臣(宮澤胤勇君) まあお説のように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/57
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058・相澤重明
○相澤重明君 そういたしますというと、私はここで本来の問題に一つ返ってお尋ねをしておきたいのですが、公共企業体という問題について、あなたの所管される国鉄は公共企業体に基くわけですから、団体交渉というものについては、やはり誠意をもってこの解決に当るというのが私は本来の使命と考えるのですが、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/58
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059・宮澤胤勇
○国務大臣(宮澤胤勇君) 言うまでもなく、その通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/59
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060・相澤重明
○相澤重明君 そういたしますというと、前にも松浦労働大臣が、院内ではなくて院外でも言われたと思うのですが、いわゆる国鉄等の団体交渉によってきめた昨年度の給与の問題について、あれはやみ給与であるというようなことを言われたと思うのですが、そういう点については、団体交渉というものを否認をする形になると思うのですが、やみ給与というものは、団体交渉できめてもこれはやみ給与ですか、この点いかがですか。あなたの見解をお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/60
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061・宮澤胤勇
○国務大臣(宮澤胤勇君) これはまあ予算単価と実行単価と違っておる点は、言葉が長いものですから世間でついやみ給与という言いならわしになっているのですが、ただ私、団体交渉できめたこともそれぞれの規定に従って、あるいは運輸大臣に承認を得るとか、あるいはまた大蔵大臣の協議を得るということによって最終的に定めらるべきものが、その手続がとられなかったからというところにいきさつがあるのだと思いますので、その点について、予算の形式からいえば、これが世間でいうような、いわゆる簡単な言葉でいえばやみ給与という言葉でもってあびせかけられておるというだけの問題で、あなたのお説の通りに、国鉄の当局者としては、団体交渉できまった範囲でそういう支給をしたのだと思うのです。それだけの事実の問題を申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/61
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062・相澤重明
○相澤重明君 そうしますと、大臣としては、公労法に基くいわゆる公共企業体法をやはりそのまますなおに理解していけば、いわゆる団体交渉できまったことについては、当然労使はこれに誠意をもって努力、いわゆる解決していくのだ、団体交渉できまったことはそのまま認めていくのだと、こういう解釈が正しい、しかし、その手続上の問題として、予算上、資金上の問題があれば、国会の承認を得ると、こういうことになると思うのですが、そういうふうになった場合には、俗にいわれるやみというようなことは、それは言葉の間違いであって、そういうことは言うべきじゃないと、こういうふうに解釈するのが当然じゃないかと思うのですが、大臣はいかがお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/62
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063・宮澤胤勇
○国務大臣(宮澤胤勇君) 人の言うことを、私はこれは間違いだからいけないということは言えませんが、しかし、私どもはそういうような悪い印象を与える言葉を使わない方がいいと思います。それからまた、団体交渉でできた話し合いも、実体を見ますと、まあこの程度で、臨時の給与として一時、間に合わせるとか、それを恒久的にどうするとかいうようなことまでは最終的にはなかなか話し合いがきまらぬので、一時出しておったものもあったかと思うのでありますが、従って、争いが起ってくるわけですね。明確に争いが起らないようなことがきまっておればあとに残らないわけですが、そういうやり方をこれからは一つしないようにしてゆきたい、これだけは考えておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/63
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064・相澤重明
○相澤重明君 おそらく松浦労働大臣は国鉄を監督する担当大臣じゃないと思うんです。だからこれは昼間の大臣じゃないんです。夜の大臣だからそういうことを言うんです。昼間の大臣はやはり運輸大臣だ。そういう点で、これは運輸大臣がはっきりした決意をもって、冗談を言ってはいけないと、とにかく所管の問題については私が責任を持っておる、あるいはまた団体交渉は、労使によってきめられたことについては、当然この法律の建前でこれを守るのだというようなことをあなたがやはりはっきりしなければ、昼間の大臣がはっきりしなければ、夜の大臣がやみ給与と言うのは当然なんです。そういう点を私はあなたのことだから言うと思っておるのですが、もしそれを言わないと、やはり世間ではだんだん、あなたがどういうふうにお考えになっておっても、やはりできるだけアッピールしてゆく、できるだけ一つ宣伝をしてゆこう、こういう形で世論というものを作ってしまうわけですよ。そうするとそれに対してあとから、いやあれはそういう意味ではないと、あるいはそういうことは私の担当する所管については違うのだということを言われても、なかなかそれを取り消すことができない。そういう点について、あなたのはっきりした見解というものを表明してもらいたいと思うのですが、今後もそういう点については努力されるかどうか、一つお尋ねしておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/64
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065・宮澤胤勇
○国務大臣(宮澤胤勇君) 十分努力してゆきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/65
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066・相澤重明
○相澤重明君 大臣がそういうふうに、今後やみの問題だとか、夜の大臣だとかいうことの一つないように、閣内でもあなたが政治的にはっきりやっていただく、こういうことで私も大へんけっこうなことだと喜んでおります。そこで、いわゆる問題をさらに掘り下げてゆきたいと思うんですが、仲裁委員会の見解というものが政府と完全に一致をしたと、さっきあなたは柴谷委員の御質問に対してお答えになっておると思うのですが、具体的にどういうことですか、それは。つまり当時いわゆる仲裁委員会が組合側に話をしたこと、あるいは政府に話をしたことについて疑義が生じたからこそ、仲裁委員会に対してこの疑義の解明を実は申し出ておったのですが、大臣の言われた政府の見解と仲裁委員会の見解が完全に一致をしたということはどういうことなんですか、ちょっとお尋ねをしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/66
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067・宮澤胤勇
○国務大臣(宮澤胤勇君) 私のさっきのお答えは、今の言葉の上で言うと幾らかあなたの受け取り方が違っているかと思いますのですが、完全に一致したというのは私どもの見方であって、われわれの見解であって、初め主文を見、それからその他の理由書を見て、やはり幾らかの疑義がありましたから、それを尋ねたのであります。ところが、お尋ねをしたが、どうもお尋ねをするに従って、わかるところもあれば、依然としてわからないところもあったのです。それも限度がありますから、もうその程度で政府としては主文をもととして実施してゆくよりな
い、そこで、千二百の予算上の措置というものをとって、なおその他に残っておるものについても、将来においてこれを調整する、こういうことですから大体三分の二を積み上げて、三分の一だけをこの際引いてもらって、三分の二は将来に譲る、こういう見解であの予算の措置をしたのであります。ところが、昨日の労組に対する仲裁裁定の返事は、今までの返事等より見て、私どもの見方としてはもっと具体的になったと思う。政府の予算措置としては、千二百円の予算の、つまり前年度に加える予算のなにによってもうそれでいいのだと、しかしながら、まだ残っている問題についても、政府が今度とった措置としてはやはりそれでいいのだと、まあしまいの方にちょっとあいまいなところがありましたが、物事はこれで八〇%か九〇%は私どもの、正直にいって見解通り、強弁をすれば一〇〇%ということでしょうが、まあ八〇%、それならまあこれで今日まで柴谷さんがおっしゃる通り、一回も実施しなかったと言われておったものが、今度だけは私どもとしては完全に実施した、今後今言うような余地を残さないようにしたい、今後の問題としては、その残った三分の二というものをどういうふうにして消してゆくかという問題が残るだけです。これもこのたびの仲裁裁定の趣旨日にのっとって、できたならば給与を受ける側の人の納得のゆくような線において、順次これは消してゆくべきものであろう、こういう見解を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/67
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068・相澤重明
○相澤重明君 そうしますと、大臣、まあ今のお話を聞いておりますというと、結局、まあまだその労使の中でお互いにこの仲裁裁定を解明する場合にも、政府側の建前に立っても、やはり主文以外のものについては、若干まだ解明のできないところもある、しかし、まあ大きくいえば、国民の前にいえば一〇〇%完全実施をするのだといことは、政治的に言える、しかし、本来の解釈上からいけば八〇%ぐらいのところじゃないか、こういうお話だったのですね。そうするというと、これは組合側の立場に立てば、お互いに今後問題をなくしていこう、すっきりした形で一つ国鉄の輸送力の増強に国民の期待にこたえていこうというには、やっぱりなま殺しにされておってはなかなかすっきりしないと私は思うのですね。従って、そういう解明について、今後もなお仲裁裁定の出された趣旨というものを尊重をして、できるだけ早くそれを直していきたい、こういうのが大臣のお考えだと思う。それはまあ非常に進んだことのように私ども受け取れるのですけれども、やはり現実には八〇%というのは、裁定を完全実施しておらない、こういう組合側の見解が立つのはこれは当然だと思うのですがね。そこで、まあ政府が政治的に一〇〇%、こういうことを言われておりますが、これはやはり労使の問題を解決をするというのが、やはりこの完全に解決をしていくという考え方に立たないと問題がなかなかやはりあとに尾を引く、こう思うのですが、公共企業体という建前に立てば、この際、労使の団体交渉にゆだねてそれを解決をはかるという政府の大きな腹を見せる段階ではないかと思うのですが、大臣はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/68
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069・宮澤胤勇
○国務大臣(宮澤胤勇君) これは仲裁裁定の趣旨から見ても、非常に細目のところは団交でおやりなさい、こういうように言っているわけです。団交でやるということは、片方だけの言うことを聞きなさいということじゃない。両方の話し合いをしていけ。ですから、これを話し合いはするが、この国会で予算の措置をとらないで来年の国会まで持ち込むというようなことじゃ、実際の給与がなくなってしまう。ですから政府としては、仲裁裁定を実施するという誠意から、この程度のことなら、もうこれでいい——私はこの点については、私が今八〇%くらいと言ったのは、非常なまあ遠慮をして……(相澤重明君「謙虚な気持……」と述ぶ)気持で申し上げたんで、この程度のことならこれはもう物事は納得していただいていかなければ、世の中は私は話が進んでいかないと思うのでありますから、そういう気持でまあ申し上げておるので、私は残された団交というものも、もうその予算の範囲がきまっているのですから、この団交は、むしろ資金源の増額ということではなくして、その予算の範囲において、どの階級とか職分とか、どこへどういうふうにこれを分配するかというようなことが私は団交になってくるのじゃないかと、こういうふうにまあ期待しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/69
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070・相澤重明
○相澤重明君 まあ大臣も大へん苦しいと思うのですがね、私はやはりこの今の大臣のお話もよくわかります、趣旨はね。あなたが言われておることはよくわかるけれども、結論的にいえば、いわゆる政治力によって、公共企業体というものの団体交渉権というものは制約をされた、こういう理解が私はどうしてもこれはぬぐうことができないと思うのです。ということは、政府自体においても、幾分なりともやはり解明がつかない、けれども国民の前に納得をさせる、国民の皆さんに理解をしてもらう、そうしてそういう世論に納得をしてもらうというためには、まあまあこの辺で一つ何とかまあ了解をしてもらわなければ困る、だからそのあとの若干のまだ実際に足りないところについては、団体交渉は配分あるいはその他こまかい点についてやるだけであって、実際の団体交渉のきめられたことについては、これはもう制限をするのだ、こういう形が私は今のあなたの御答弁だと思うのです。だから、まあ国民の前に言う、あなたの言う、仲裁裁定を実施をするのだ、こういう慣行を作ったのだということであって、公共企業体法に基く団体交渉権については、やはり政府の政治力によって制約をしたというふうに私は理解できると思うのですが、その点は見解が違いますかいかがですか、あなたの答弁を私はすなおに理解しているのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/70
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071・宮澤胤勇
○国務大臣(宮澤胤勇君) 政府はこの予算の措置を、やはり政府の建前としては、これで完全実施をするのだ、こういう気持でやったわけでありまして、私どもも予算措置としては、従来実施をしなかったと言われるときはむろんですけれども、今度の場合でも、これだけ思い切ってやったら一つ御納得が願えるかもしれぬ、こう思っておりますが、実際に申し上げましても。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/71
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072・相澤重明
○相澤重明君 よくわかりました、大臣の苦しい心情は。そこで、しかしこれはいわゆる大臣のそういう親心というものは、国鉄の労使ができるだけ前進をさせて、そうして将来のいい慣行を作るということにやはり今後の指導監督というものが私は実るようにしてもらいたいと思うのです。そういうことを、それは私大臣の誠意のあるところをくんでおきたいと思うのです。
そこで次には、実は春闘の処分の問題、予算が通れば春闘の処分もまあやらなければならぬというさっき大臣の御答弁があったのですね。そうすると、その処分について、この問の新聞で見ますと、実は二十三日の抜き打ストの問題でなくて、その前の実力行使の第三波ですかの問題を取り上げて処分をするのだ、あるいは、いや抜き打ちストの問題が処分の対象になるのだということが発表されているように思うのですが、その点は大臣はどういうお考えを持っているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/72
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073・宮澤胤勇
○国務大臣(宮澤胤勇君) それは私の考えでこれを処分するというのじゃありませんので、国鉄当局者においてこれは処分することでありますから、抜き打ちストが入るか入らないかというようなことじゃなくて、これはすべての場合において、法規に違反したことが明らかになったものだけをとらえてやるということだろうと思うのでありますが、やはり国鉄当局が当然そういう措置をとるので、どれはやるか、どれはやらないかというような区分じゃなくて、法規に違反したものは法規に従ってやる、こういうことだろうと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/73
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074・相澤重明
○相澤重明君 そういたしますというと、政府は別に春闘の問題について、国鉄の処分の問題については直接手を下すのじゃない、国鉄当局が手を下すのである、こうですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/74
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075・宮澤胤勇
○国務大臣(宮澤胤勇君) そうです、むろん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/75
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076・相澤重明
○相澤重明君 そういたしますというと、どういうことになりますかな。一体閣議で、先ほど大臣の言われたのは、国鉄の処分の問題が十人とか三十人、四十人とかということは大臣自身は聞いておらぬが、新聞では発表されたとか、あるいは仙台——地名というのは、郵政とか電通とかの、そういう振り合いというものを一応見なければならぬだろうというようなことも言われておりますが、その点はどういうことなんですか、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/76
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077・宮澤胤勇
○国務大臣(宮澤胤勇君) それは処分はむろん国鉄の当局者がその責任においてやります。しかし、これはその国鉄当局者のやる処分そのものを適正なものであるか、また時宜を得たものであるか、それらについては、監督の立場にある運輸省においてやはりこれは緊密な連絡をとって間違いのないようにしていく、こういうことにすぎないのでありまして、それからまた政府としては、監督の立場から国鉄の当局者がする措置と、また他の企業体のする措置とを比較してみて、やはりそれに相当にその当局者の責任が尽されておるかおらないかということは児なければならぬと思いますから、そういう意味において私は先ほど申し上げたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/77
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078・相澤重明
○相澤重明君 そうしますというと、いわゆる最終的には政治的な立場というものもやはり若干出てくると、こういうことは言い得るわけですね。つまり国鉄当局が処分をするのであるけれども、緊密な連絡あるいはまた適正であるか適正でないかということを、やはり所管の大臣として運輸大臣は見なければならぬ、他省のこともやはり引き合いに考えなければいかぬ、こういうことであるから、これはやはり最終的には政治的な配慮というものがある、こう考えられますが、その点はそういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/78
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079・宮澤胤勇
○国務大臣(宮澤胤勇君) 処分に対しては、その政治的な指示を与えるというようなことはありませんです。ただ監督者としての立場から、その各企業体の経営者が十分な責任を尽しておるかいなかということを見るということだけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/79
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080・相澤重明
○相澤重明君 そうしますと、あくまでも処分については国鉄当局のものであるという理解が成り立つわけですね。先ほどのお話の仲裁裁定あるいは団体交渉、そういう問題についても、これはまあ政府の国民に発表する建前では一〇〇%であるけれども、実際にはなかなか組合を納得させる段階にはない、八〇%とあなたが謙虚な気持で御発表があったけれども、組合側からいえば、まあ五〇%ぐらいしか考えられない、こういうことになるわけです。そうするというと、いわゆる当局が処分を一方的にこれはするということになれば、これはなかなか大へんな問題になるわけなんですね。そこで、先ほど柴谷委員も言ったように、処分については十分配慮をしないと団体交渉では五〇%、あるいはまた仲裁裁定の実施についても政府側は一〇〇%というけれども、組合側が追及していけば五〇%にしかなっておらぬ、こういうふうに処分だけは全部完全にやるということでは片手落ちになると思う。こういうふうに思うのです。従って、この点については、これはあとは国鉄当局を追及しなければならぬ問題でありますが、その点はきょうは大臣がおいでなんですから、大臣に主として一つお互いに話していきたいと思うのですが、そこで、やはり新聞の問題ですが、官房長官あるいは労働大臣が、国鉄当局の責任の問題についても考えなければならぬだろうと、こういうようなことが出されておったと思うのです。大臣は非常に、それはなかなか言いにくいことだと思うのですが、しかし、あなたも閣僚ですから、——しかも重要な閣僚なんですから、そういう点について、官房長官やあるいは労働大臣が言われたことについてどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/80
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081・宮澤胤勇
○国務大臣(宮澤胤勇君) 私はそんなことを言うはずはないと思っておりますが、もしそういうことが新聞に出ておったとすれば、官房長官や労働大臣の言ったことがその通りうまく載っておらなかったということじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/81
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082・相澤重明
○相澤重明君 そうすると、は、まあ一つの新聞記者の考え方によって受け取ったのだ、そういうことが結局出されたのだ、だから、政府としては別にそういうような考え方はないと、特に担当大臣としては、別に打ち合せもしたことはない、こういうことなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/82
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083・宮澤胤勇
○国務大臣(宮澤胤勇君) まあ大体において新聞記事が間違いだとも申しませんけれども、私の関するところでは少しもありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/83
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084・相澤重明
○相澤重明君 そうしますというと、あなたに今度はやはり監督のいわゆる責任のある立場の大臣としてお尋ねをしておきたいのですが、国鉄当局が、つまり労使の紛争を解決するための団体一交渉である、この団体交渉権というものは法によって守られておりますね。そうでしょう。法によって守られておるものが五〇%なり六〇%しか実際には実行ができなかったという場合に、一方的にですよ、一方的にいわゆる当局が首切りだけは多くするのだと、いわゆる厳罰主義で臨むのだというだけでは、これはもう納得ができない。そういう場合にこそ、あなたがそれは少し行き過がじゃないか、それは少し団体交渉権というものの理解を正しくしておらぬのじゃないか、こういうことであなたの政治力というものがそこに私は配慮されると思うのですが、そういうふうに、まあおそらく大臣だから人情大臣だから、そういうふうに思うのですが、その点はいかがですか。行き過ぎについて、あなたは当局に対しても、それは間違いである、あるいは行き過ぎである、こういうやはり立場というものをとられると思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/84
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085・宮澤胤勇
○国務大臣(宮澤胤勇君) 仲裁裁定の実施については、政府としてはもう完全に実施したと思うと、ただあの理由書を見れば、労組側が質問するところなどを見れば、まあ労組側としてはやはり八〇%か九〇%と思うだろうと私が申し上げたのを、あなたは五〇%に引き下げてしまわれるから、これはどうもちっと話が合わなくなりますから、それらの点は良識をもって一つ御判断を願って、世間もやっぱり良識をもって、大体世間の良識で物事を判断していくと思うのであります。その意味において私どもは今日の立場においては、政府の今度やったことは、まあ一〇〇%、もし言葉を強くいえば十二分にやったと言えるような気持は持っておるのですが、これはおのおのの立場ですから、ごく遠慮した気持のところをさっき一部ちょっと申し上げただけのことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/85
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086・相澤重明
○相澤重明君 まあこれ以上私もこの問題については質問をしたくありませんが、少くとも一—まあ私もやはり組合側の心情というものをくんで、少し遠慮して、大臣の言うことは、人情大臣であるから、謙虚な気持で言われておる。しかし謙虚な気持で言われておっても、政治力というものがそこに反映をしておることはこれは否定することができない。それをしかも一、法律に基いて団体交渉権を認められておるにもかかわらず、団体交渉がまとまらぬのにもかかわらず——あるいはまとまったものさえ実現できない、こういうことで、使っておるものだけを一方的に処分をするなということは、これはやっぱりわれわれそれを見のがすわけには参らない。だから少くとも良識ある政府であり、大臣であるならば、そういう問題について、私どもとしてはやはりはっきり解明をしていく、そういうことが将来起らぬように措置をとっていくというのが、再びこういうことを起さないようにしていくというのが私は政治力であろう、国民の皆さんの期待にこたえるというのが今日の立場ではないか、こう思うのです。従って、いわゆる組合側がいろいろ一方的にやった場合には、これは強い意思というものはあるし、またその実力行使というものも私は行われる、こう思うのです。そういうことを避けるように私は大臣がお骨折りをしていただきたい、このことをお願いをして私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/86
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087・市川房枝
○市川房枝君 ちょっと簡単に今の問題に関連してお伺いしたいと思うのです。相澤さんがちょっとおっしゃったんですが、春闘処分の発表になっておりましたときに、新聞に、二十三日の抜き打ちストは責任が組合だけでなく、国鉄にも運輸省にもあるというか、国鉄や運輸省にも手落ちがあったのだと、だからその抜き打ちストの分は処罰をしない、春樹だけについてするのだと、こういうふうな記事が出ておりましたのですが、まあ一体それが事実かどうか、といいますか、そういう記事が出る根拠が一体どこにあるのかということを、これは運輸大臣並びに国鉄の副総裁からも伺いたいと思います。この記事といいますか、かりに、それが新聞記事だから全部それは事実でないというような、さっき運輸大臣の御答弁では、そういうことは考えていないということでありましたけれども、しかし、その新聞を見ますと大衆としては、春闘よりも抜き打ちストで被害をこうむっておる、非常にあれに対して国民が不満を持っておるわけです。ところが、その抜き打ちストに対しては、これは処罰の対象としないということは、結局何だか運輸省と国鉄と労働組合と、みんななれ合いで、何だかそれだけ問題にしないのだ、こういう印象を実は受けるのでありまして、その点がはなはだどうも、もう少し理由といいますか、伺いたいと思うわけです。つけ加えて申しますれば、春闘に対する処分も、私はまあその二十三日の抜き打ちストに対しても、解職その他の処分をしろというほどの強い厳罰をもってというふうには考えておりませんけれども、しかし私責任を国鉄も運輸省もといいますか、やっぱりとっていただかなくちゃいけない、知らぬ顔をするということは、どうも納得がいかないと思いますので、その点のお答えをちょっと願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/87
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088・宮澤胤勇
○国務大臣(宮澤胤勇君) 今のお話の、新聞記事がどういうふうに出たかしりませんが、二十三日の実力行使に対しては処分をしないなんというようなことは、どこからも言っておるはずがないと思います。はっきりと。それから、しばしばもうあの当時の予算委員会並びに衆参両院の運輸委員会で申し上げましたごとく、二十三日の問題については、私どもは手続としても、処置としても責任をとるほどのことは一つもない、私はこう考えております。それはもうしばしば申し上げて、申し上げれば非常に長くなりますが、ないと、こう考えておりますので、これはやっぱり新聞の記事はいろいろの方面からの希望的話も載りましょうから、そういうことから出てきたのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/88
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089・戸叶武
○委員長(戸叶武君) この問題で運輸大臣に私も簡単な質問をいたしますが、春季闘争の跡始末特に国鉄の処分問題というのは、処置いかんによっては今後の日本の労働運動に大きな影響を与えると思うのです。そういうことによって悪い結果が導き出されてからでは間に合わないので、これは事前にやはり慎重な考慮が払われなければならないと思うのですが、この問題はいろいろな、各人によって見方の角度が違っておるのでありますが、やはり問題解決に当っては、いろいろな相互間に誤解が生まれた。政府、国鉄当局、国鉄労組の間にいろいろな食い違いがある。問題の真相をやはり明らかにするということと、それからやはり責任は、市川さんの計ったように、回避すべきではないと思います。やはり、厳罰主義ではいくべきではないと思いますが、責任は回避できないと思います。しかしながら、この世論の与えておるむちというものは、やはりこのことだけではなくて、将来に対する保証ということが私は強く打ち出されておると思いますが、問題はやはり政府なり、国鉄当局なり、労組のあり方ということ、この段階において、私は謙虚な立場で厳しい自己批判がなされなければ、世間の目は許さないと思っております。あの新聞に現われているのだと、政府は政府の立場が正しいと言うし、運輸大臣は運輸大臣としてそれに対してそれが、正しいと言うし、国鉄労組の方は、自分たちの立場は間違っていないのであり、政府に対する信頼がおけなかったからと言っておりますが、いずれにしても、この仲裁裁定が歴代内閣で完全実施されたことはなかった。今度はやるということを運輸大臣は言っておりますが、そういうことが一番の不信を生んだと思うのでありますし、それからこの予算措置の問題でも、今ごろになってやっと見通しがつくという形において、その問題に関心を持っておる者というものは非常に不安感を抱いておるところにやはり問題を紛争させた底流というものがあると思うのです。本委員会においては、四月の十二日において小倉国鉄副総裁、小柳国鉄労組の委員長に来てもらって、柴谷君、木島君、岩間君、相澤君等から質疑が行われましたが、これは速記録を見ても、この中には非常な貴重な私は記録が残されておると思うのです。非常に相手を傷つけまいという配慮も加えられておるようなので、アベック闘争だと新聞はひやかしておりますけれども、私はあの質疑応答を聞いていて、ほんとうに涙が出ました。これはほんとうに、どうしてこういうふうに、相互間における誤解や不信が生まれたか。今運輸大臣は、給与を受ける方の納得のいくような方法で問題を解決すべきであるという基本方針を示されたのですが、なぜこういう基本方針というものが、この段階にいかないまでに、政府なり、国鉄当局なり、労組間において、ほんとうにひざを突き合せて話し合いができなかったのか。私はこれは言い過ぎかもしれないけれども、政府、国鉄当局、国鉄労組共同の責任ということを感じない限りにおいて、ただ権力を握っているものが法規に従って他をさばくというようなやり方では、世間のむちとしての道義的批判に対して私はこたえることができないし、将来のかえって紛争を生むのじゃないかと思うのです。私は宮澤運輸大臣の置かれている今日の立場というものは非常に重要だと思うのです。松浦労働大臣は、人柄がいいという話だし、賀川豊彦さんの影響さえ受けておる人だというのでありますが、しかし、人柄がよくってもその言動というものは、この大切な時期に、何という軽率な発言かと感じております。私は政府の責任あるある要人からも聞いております、名前は出しませんが。私は朝日新聞で十年間新聞記者をやっておりましたが、大臣になったら、いろいろ新聞に載ることは大切かもしれないが、いかなる段階で、いかなる言動を自分たちは行わなければならないかということは、重要な責任だと思うのです。そういうことが政府の大臣においてもなされ、今までもなされていたということが、不信の積み重ねになっているのだろうと思います。しかし、市川さんが言われたように、世間の求めているのは、私は過酷な処罰ということでなくて、責任は回避すべきではない、やっぱり将来に対する保証を、ただ労働組合にだけ押しつけるというのでなく、政府みずからも自分をむち打ち、国鉄当局、それから労組、三位一体となって問題の解決に当らなければ、世間に申しわけがつかないのじゃないか。しかも、非常に私はいやな話も聞いているのですが、こういう紛争を利用して、国鉄労組の処分をし、しかも、国鉄総裁なり小倉副総裁に腹を切らせて、そうしてあとがまを作ろうという策動もなされているという風聞すら世間に伝わっている。そういうふうな形において、不明朗な形が持ち上ると、将来は、私は岸内閣の傷だけでなくて、悪い前例を作ることになるので、その中心に今宮灘運輸大臣は置かれておるのですが、宮灘運輸大臣のこの段階における出処進退というものはきわめて重要だと、この段階で各位が非常に心配していることでありますが、宮澤運輸大臣の所信を私は承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/89
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090・宮澤胤勇
○国務大臣(宮澤胤勇君) はなはだ不敏でこの重責に当っておりますけれども、御趣旨に沿ってできるだけの一つ処置をしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/90
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091・市川房枝
○市川房枝君 私の質問に、小倉副総裁の御答弁をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/91
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092・小倉俊夫
○説明員(小倉俊夫君) 処分に関しましては、ただいま運輸大臣が御答弁になりました通りのことを私どもも考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/92
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093・市川房枝
○市川房枝君 小倉副総裁はその新聞記事をごらんになりましたか。その抜き打ちストは処分の対象にはしないのだ、それは私が今申し上げたように、国鉄にも運輸省にも手落ちがあったのだから、という新聞記事ごらんになりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/93
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094・小倉俊夫
○説明員(小倉俊夫君) 新聞は私見ました。しかし、新聞のことでありますから真偽のほどは私承知いたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/94
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095・市川房枝
○市川房枝君 それは今お話のように、新聞のことだから信用しないとおっしゃるかもしれませんが、しかし、事は国民に与える影響が大きいと私は思うのです。やはりああいう記事がそのまま出て、それがもし間違っているのだったら、私は当局が適当な機会にそれを訂正していただかないと、みんな、そうなのか、どうせなれ合いなんだというか、やりどころのない気持を、私は持っているのですから、だから何らかの機会に、早い機会に私はその点をはっきり訂正をしていただきたいと思います。私は国鉄なり運輸当局に対してもそうお願いをしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/95
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096・大倉精一
○大倉精一君 今の委員長の御発言は非常に重要な発言だと思うのです。その発言に対しまして、大臣はこれを肯定されて、そのように努力します、ということがあったわけなんです。委員長の発言の中身は、結局、政府も国鉄も組合も三者がおのおの責任を感じて、そうしてこの事態の解決に当るという、この誠意と努力がなければ国民の期待にこたえることができないのじゃないか、こういうことだと思うのです。これを大臣は肯定をされたのですが、政府とそれから国鉄あるいは組合、この責任をおのおの感ずるということについて、少し大臣の具体的な御見解をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/96
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097・宮澤胤勇
○国務大臣(宮澤胤勇君) 責任を感ずるということは、この重大な事態に私ども責任の立場に立っておる者はいつも感じております。またできごとができましたら、それに対してどういう処置をしなきゃならぬか、またどういうふうにいくことが筋道かということについて、十分責任を感じて処置をしていかなければならぬことだと思うのであります。従って、労組にしても、あるいは国鉄当局者にしても、私どもにしても、それぞれの立場において十分な責任を感じて対処していくということは当然のことであろうと思います。それはまた責任を感ずるということは、突っぱり合わないで話し合いをうまくしていく方がなおいいということも当然のことであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/97
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098・大倉精一
○大倉精一君 非常にけっこうな御発言だと思うのです。そこで、おのおの責任を感じて処置をしなければならぬ責任のある処置をするその内容、この中身が大事なんです。中身は——日本語ではそういうことをいえばそれで通るのですが、今おやりになろうとすることは、その責任ある措置を、さっきも言ったように、法律に照らして罰する、厳罰をもって臨む、この一本の処置しか考えられない。でありますから、さっきも運輸大臣が言われたが、お互いに突っぱり合わないで話し合って事態の解決をするということ、こういう努力をなされるように、そういう方向に一つあなたは閣内においても政府あるいは国鉄、双方を御指導なさったらいかがですか。新聞等の発表によりますというと、首を切るのだ、処罰をするのだ、仲裁裁定か、あるいは予算が通ったならばやるのだ、この一点だけより国民は知らされていない。あなたのおっしゃった突っぱり合わないでお互いに話し合っていくというこの具体的なこれからの進め方、これに対して伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/98
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099・宮澤胤勇
○国務大臣(宮澤胤勇君) これは申すまでもないところでありますけれども、世の新聞に現われることは、ニュースということと興味本位であるということがやはり目につくものですから、そういう記事が集まると思うのであります。ですから新聞に現われた興味ある記事の裏には、少しも興味のない一切の努力が払われておる。その払われておるうちからただ興味のある問題だけが取り上げられて出ておるので、やはりこれは新聞の表に現われたことだけでは世間というものは成り立つものではなくて、そこに現われる前提としてあらゆる努力というものが社会のすべての方面に現われておる。今度の問題についても、この仲裁裁定からあるいは実力行使になる、あるいは処分の問題も出る、あるいはその間には労組、国鉄当局、私どもの間にも、新聞の記事には現われない幾多の努力というものが当然払われておって、その上に積み立てられておると思うのでありまして、その努力は引き続いて私ども日々続けておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/99
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100・大倉精一
○大倉精一君 私は新聞記事の講義を聞こうとは思わないのです。きょうのあなたの答弁は新聞記事をことごとく否定しておる。否定の論です。今の市川さん、相澤さん、柴谷さんのおっしゃったことは、新聞記事を引例していえばそれを否定して、興味ある記事であるというように言っておるのですが、私は新聞はそうじゃない、事実を報道する責務があると思う。国民は新聞によってそういう事情を知らされる。それ以外に知らされる方法はないと思う。しかも、新聞の記事によれば、今私が言ったようにお互いに話し合うということをするのでなくて、首切り、処罰、この一点張りでもって政府は臨んでおるという印象しか与えない。そういうことは、先ほどから相澤、柴谷、市川さんから御質問があったのに対して、最後の締めくくりとして委員長から重大な御発言があったが、その委員長の重大な御発言に対しまして、運輸大臣はほんの一言お答えになった。これではどうもわれわれはわからない。その委員長の発言に対してあなたはどういうふうに考えておるのか、これから先どうするのか、さっぱりわからないのでお尋ねしておるのですが、突っぱり合わないで話し合っておると言うが、こういうことに対して具体的にどういう工合にしようとするのか、それを一つ運輸委員として伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/100
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101・宮澤胤勇
○国務大臣(宮澤胤勇君) そういう話し合いにもおのずから限界があります。また現在事実、国鉄の当局者と労組の間には話し合いが続けられております、すべての面において。従って、その続きが切れるときもありましょうし、いろいろありますけれども、事態は私はやはり善意な努力によってすべてが進んでいっておると思いますが、また新聞の記事につきましても、新聞の記事は事実を報道しております。ほとんど大部分は事実を報道しておりますが、ただ興味本位に書かれた点が誇大にいわれることは、新聞のやはり実際のあり方ですから、それに隠れて、新聞記事の大部分が事実を報道すると同じように、また興味の問題以外にも——私は興味の問題全部を否定すると言うのじゃありませんが、筋道の立ったところのビジネスなり、生活なりがちゃんとその裏に動いておるということをただ申し上げただけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/101
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102・大倉精一
○大倉精一君 今あなたのおっしゃったことと、それからこれも新聞ですが、新聞等でわれわれが知っておるあなたの言動というものは全然違う。突っぱり合いをせずに話し合いをすると言われておきながら、すでにそう言う以前に厳罰をもって臨むとおっしゃっておる。松浦労働大臣もそういうことを言っておる。そう言っておいて、突っぱり合いをせずに話し合う、こういうことを国会で答弁をしておる。ここら辺が私は割り切れぬところがある。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/102
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103・宮澤胤勇
○国務大臣(宮澤胤勇君) 私は、この問題が始まってから今日まで、私の友だちの話し合いにおいても、閣議の席においても、それから新聞社との会談においても、厳罰をもって臨むということは一回も言ったことはありません。私は総理大臣の声明の案文にも、断固これを処分するという、断固という字を私は削らした。ただ処分と——絶対にそういうことは言ったことはありませんです。そういう気持を持っておりません、法規の通り私はやりたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/103
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104・大倉精一
○大倉精一君 そこで、閣僚のうちで、今までずっと新聞あるいはあなたの答弁を聞いておりますというと、この問題に対して必ずしも一致しておらぬように思う。松浦労働大臣あたりは非常にはでな報道をしておる。あなたは刑罰をもって臨まない、罰はなるべく少く、賞をなるべく多くと、こういう人情的なことをおっしゃっておる。閣内においては全然違う、労働大臣とあなたと。一体岸内閣は、この問題についてどういう方向に向っておるのですか。おそらくあなたの御主張の通りにいけば、話し合いでもってやっていく余地があると思う。国鉄労働組合は団体交渉をやると言っている。おそらく国鉄当局にしても、何も好んで首を切ったりなんかしないだろうと思う。それを人事権のない労働大臣が、所管以外の事項に対して、首を切るのだ、処分をするのだと言うのはもってのほかだ。そういうふうなことが、こういう混迷を招く根本だと思う。ですから、先ほども相澤君が要望いたしましたけれども、この問題の焦点になっておられる運輸大臣が、やはり首切りという一点ばりじゃなくて、双方で話し合って理解し合ってゆく、そうして双方が責任を感じながら、円満に解決してゆくという、こういう方向に運輸大臣としては努力をされて、そうしてこの事態の紛糾を未然に防いでゆく、こういう努力をされなければいかぬと思うのですが、そういう努力についていかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/104
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105・宮澤胤勇
○国務大臣(宮澤胤勇君) そういう努力は今日までもいたしていると思っておりますし、今後も引き続いていたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/105
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106・戸叶武
○委員長(戸叶武君) 本日は、これにて散会いたします。
午後零時五十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102613830X02119570507/106
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