1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年三月七日(木曜日)
午前十時三十九分開会
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出席者は左の通り。
委員長 中山 福藏君
理事
石井 桂君
岩沢 忠恭君
西田 信一君
田中 一君
委員
稲浦 鹿藏君
中野 文門君
内村 清次君
坂本 昭君
重盛 壽治君
北 勝太郎君
衆議院議員
建設委員長 薩摩 雄次君
瀬戸山三男君
二階堂 進君
中島 巖君
前田榮之助君
国務大臣
建 設 大 臣 南條 徳男君
政府委員
北海道開発庁次
長 田上 辰雄君
運輸政務次官 福永 一臣君
運輸省自動車局
長 山内 公猷君
建設大臣官房長 柴田 達夫君
建設省計画局長 町田 稔君
建設省道路局長 富樫 凱一君
建設省住宅局長
事務取扱 鬼丸 勝之君
事務局側
常任委員会専門
員 武井 篤君
法制局側
参 事
(第二部長) 岸田 実君
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本日の会議に付した案件
○国土開発縦貫自動車道建設法案(衆
議院提出)
○建設事業並びに建設諸計画に関する
調査の件
(昭和三十二年度建設省関係予算に
関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/0
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001・中山福藏
○委員長(中山福藏君) ただいまから委員会を開会いたします。
つきましては、昨日の午後衆議院建設委員長と懇談いたし、聴取いたして参りました衆議院建設委員会における審議日程について報告いたします。
現在衆議院建設委員会に付託せられておりまする法律案は、住宅公団法の一部改正案、住宅金融公庫法の一部改正案、道路整備特別措置法の一部改正案の三件であり、高速自動車国道法案は本日の議運で建設委員会に付託される見込みであります。なお国土調査法の一部改正案については、いずれの委員会に付託されるか、現在のところ未定であるそうであります。審査の状況及び日程は、昨日住宅公団法の一部改正案については、建設大臣に対する質疑を残して他の質疑は終了いたしましたので、明日同法案の大臣に対する質疑を終了し、討論、採決は次回に回し、残余の時間があれば、住宅金融公庫法の一部改正案の提案理由を聴取し、なお、時間があり、かつ、高速自動車国道法案が付託になっていた場合には、同法案及び道路整備特別措置法の一部改正案の両案についても、提案理由を聴取する予定であるということであります。以上御報告申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/1
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002・中山福藏
○委員長(中山福藏君) つきましては、まず、国土開発縦貫自動車道建設法案を議題に供します。
まず本案の趣旨説明を、衆議院建設委員長薩摩雄次君からお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/2
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003・薩摩雄次
○衆議院議員(薩摩雄次君) ただいまお手元に配付してありまする衆議院における修正点につき御説明を申し上げます。
御承知のごとく、本案第三条は、さきに第二十四国会で参議院において修正の結果、国土開発縦貫自動車道の予定路線は、別表に定める路線を基準として別に法律で定めることとなっているのでありまするが、このうち、小牧市付近から吹田市に至る間につきましては、実施計画も完了し、すでに昭和三十二年度予算におきましても予算措置がとられ、昭和三十二年度予算の成立に伴い、本年四月より直ちに着工でき得る段階にあるのであります。従いまして、この区間につきましては、本案第三条に規定する手続を省略し、この法律自体で定めることとし、本年四月より直ちに事業に着工できるように修正したのであります。第十条の修正は、第三条の修正に伴うものであります。
次に第十三条における審議会の委員につきましては、国土開発縦貫自動車道を初めとする今後の高速自動車道の発達に伴い、当然道路交通取締りの上に種々の変革をもたらす事態が起きることと思われますので、この際国家公安委員会委員長を委員として追加することといたしたのであります。
なお、附則における昭和三十一年を昭和三十二年に改めましたのは、本案審査の時期に伴う事務的な修正であります。
以上、修正理由の概要につきまして、御説明申し上げたのでありまするが、衆議院におきましては、全会一致の修正でありましたので、何とぞ委員各位の御賛成をお願いいたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/3
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004・中山福藏
○委員長(中山福藏君) 本法案に対し、御質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/4
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005・田中一
○田中一君 最初に伺いたいのは、なぜ二十四国会で参議院の修正案が通った後に、今日までじんぜん日を送っておったかという点であります。われわれが参議院の良識をもってこれを審議しようとする前に、一応前提として、なぜそういうような形で紛糾しておったかという内容を一つ御説明を願いたいと思うのです。これはどなたに質問したらいいか、おそらく二階堂君に質問した方がいいかと思いますから、一つ二階堂君からお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/5
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006・二階堂進
○衆議院議員(二階堂進君) 本法案は、御承知の通り二十二国会以来、両院において慎重に議論が行われたことは、田中先生も御承知の通りでありますが、まあその間、法案の内容につきましては、私どもはいろいろ不備の点がありましたので、特にまた衆議院四百三十名にも及ぶ署名をもって提出された法案でございましたので、そうであればあるほど、私どもは慎重に法案の内容にも検討を加えて、かつ、また実施機関等の具体的な指示につきましても検討を要するというような点もございましたので、いろいろないきさつはありましたが、国会の権威、かつ、また建設委員会の権威を保持するためにも、十分検討いたさなければならぬと考えましたので、長くかかったようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/6
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007・田中一
○田中一君 先般当参議院の建設委員会の委員長理事打合会を開きまして、衆議院の薩摩委員長ほか各理事の方々の御出席を願いまして、御懇談申し上げたことは御承知の通りでございます。その際に、一応本日提案になっておりますところの修正案について、話し合いの結果、このような形でまあ一応の結論が出まして、それが衆議院においては議決せられ、本日回付というお約束を守っていただいたということでありまして、御承知のように参議院は、衆議院における社会党、自民党の話し合いのみで解決されるべき形を持っておりません。緑風会という会派もございます。従って前々国会で衆議院から送付された法案ですら、緑風会からいろいろな御意見があって、採決に難渋したような経過もありますので、緑風会の方に対する了解も得たわけでございます。ところが本日、衆議院においてはまだ付託されないというお話でございますが、今、建設委員長から報告があったように、参議院の本委員会には、現にもう高速自動車国道法案という法律案が予備審査の形をもって付託されております。この内容を拝見いたしますと、付則の第八項に、国土開発縦貫自動車道建設法の一部改正として、
国土開発自動車道建設法の一部を
次のように改正する。
第三条第三項中「内閣総理大臣」を「運輸大臣及び建設大臣」に改める。
第五条第一項中「内閣総理大臣」を「運輸大臣及び建設大臣」に改め、同条第四項を同条第五項」とする、
これは事務的な処理の方法でございますが、このように、現在参議院においてはまだ通過しておらない、いわゆる成立をしておらない法律案に対しまして、もはや政府の意思としてここに修正案が出ているというこの事態は、少くとも衆議院においても当然御承知であろうかと思います。これに対しますところの自民党を代表するところの二階堂さんの御意見、並びに社会党を代表する前田さんの御意見を伺いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/7
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008・二階堂進
○衆議院議員(二階堂進君) 高速自動車国道法案は、衆議院の建設委員会にはまだ付託になっておりません。従いまして、私はその内容等につきましては、よく存じておらないわけでございますが、もしお説のような法案が建設委員会に付託になりますれば、十分検討を加えなきゃならぬ問題だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/8
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009・田中一
○田中一君 これは不思議な話を聞くものでありまして、二階堂さんは自民党の幹部でございます。従って、参議院公報を見ましても、常にこの案件につきますところの党内におけるところの政調会では審議をしているように見受けられました。従って、この内容を御存じないということは、まことに不可思議なものでございまして、前段に申し上げたように、まだ建設委員会に付託されておらないから、内容に対する意見は言えない、というならば、納得いたしますけれども、ただそれは全然知らぬというような、ちょっと白ばっくれたような御答弁では満足いたしませんから、もう一ぺん率直に御意見を伺いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/9
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010・二階堂進
○衆議院議員(二階堂進君) 全然知らないというような意味で申し上げたのではありません。委員会にかかりましたならば、十分検討をいたしたらよかろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/10
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011・田中一
○田中一君 私はそういうことを伺っているんじゃないんです。あなた方が一昨日の衆議院本会議において満場一致採決をしたこの法案を、政府の意思において一一当然参議院においてはまだ審議中でございます。本日初めて上程されたわけでございますから、成立をしない法律案を附則で変えるというか、修正するというこの事実に対しては、あなたはそれは正した行き方であろう、あるいは感心できないなら感心できないという率直な御批判をしていただきたいんでございます。これはむろん、衆議院の本修正案の提案者に申し上げるべきではないんです。政府のこうした考え方、この行動、こうしたものは、自民党の政党員として、また衆議院議員として、どういう御見解を持つかを伺いたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/11
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012・二階堂進
○衆議院議員(二階堂進君) その点につきましては、田中委員の意見と同じく、もう少しわれわれの方ともよく打ち合せをしてお出しになる方がよかったんではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/12
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013・前田榮之助
○衆議院議員(前田榮之助君) 高速自動車国道法案を拝見して、私はびっくりしたのです。この法案が衆議院の方へ内閣から送付を受けておるのは、四日の十二時であります。そして、国土開発縦貫自動車道建設法案を衆議院が可決をいたしたのは、五日の午後三時過ぎであります。従って、内閣提出の高速自動車国道法案というものを政府が提案したのは、議員提出案であります国土開発縦貫自動車道建設法案がどういうように議決をされるかということを知らないで出したという形にもなる。それであるならば、何をか言わんやであります。知っておりましたならば、出されるはずはないとわれわれは考える。国会の議決は、附則に出されておる条項は、衆議院の建設委員会でも審議いたしておるのであります。ただ、その審議が本委員会で論議をせずに、理事会で論議をいたした。それはちゃんと証拠書類もあるのでありまして、自民党側から出された修正案の書類の中に、第五条、第三条の三項、ちゃんと記録があるのであります。この修正案は参議院の議決を尊重しない形になるから、それはやめたがよかろうと、こういうことで、理事会でいろいろ論議いたしまして、その結果、やはり参議院の議決を尊重すべしということになって、これは提案をされた方がこれを撤回された。したがって、これは論議になったことだけは間違いない。その論議になった結果が五日の午後三時の本会議の議決に現れてきた。その議決と反するものが出ておることは、これは一事不再議の原則にももちろん反する。ただ、法規の上から言って、本委員会の速記録に載っておるとか載っておらんとかいうような問題をこじつけまするならば、多少論議になるかもわかりませんが、それ以外に論議にならない。それから衆議院の全会一致の議決に反することであることだけは間違いないのでありますから、衆議院の事務総長等の意見は、政府側にもそのことを通告しなければならないと昨日は言っております。それから誤謬訂正か、あるいは撤回か、何かの手続をとるか、もしとらないといたしまするならば、衆議院において前の議決の線に沿うてこの問題は撤回を要求するとかいうような処置をとらなければならぬ。ただ、われわれが考えまするのに、建設当局が、こうした議員提出案の満場一致で通過し、衆議院や参議院の議員の意思のいかなるところにあるかということも明確なのにもかかわらず、こういう提出案を出してくることは、まことに奇怪千万なことだと思う。ただ、これが一年なり二年なりたって、議会の議決とは客観情勢の変化、あるいは行政上の処置のいろいろな支障、こういうものが起った結果としてこれらの修正案が行われる場合があることは、あり得るとわれわれも考える。それならばわれわれも納得する。そうせない限りは、こんな案が今出ようとは考えておらない、こういう考えなのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/13
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014・田中一
○田中一君 建設大臣はむろんこの高速自動車国道法案の提案者であります。しかしながら、一方国会議員といたしましては、第二十二国会で提案されたところの縦貫自動車道建設法案の提案者でもあるはずでございます。従って、このように現在成立もしていない法律案を次の後から出るところの法律案によって修正しようというような意図、これが国会議員の良識、あるいは数々の立法措置としての手続上、正しいものであるかどうかの問題、それから建設大臣としての南條徳男氏並びに衆議院議員としての南條徳男氏の良心の問題でございます。この点につきまして、率直な御意見の開陳を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/14
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015・南條徳男
○国務大臣(南條徳男君) 先般衆議院を通過いたしました国土開発縦貫自動車道建設法案と、政府が提案しようと考えておりまする高速自動車国道法案のかみ合せについて、いろいろ疑義の問題を御質問でありますが、率直に申しまして、私が建設大臣になりまして、今まで長い間二十二国会以来懸案となって参議院、衆議院において、また衆議院の運輸委員会等において紛争をきわめておったこの法案を、何とかいたして私ども提案者の一人として早く解決したいという気持から、私は建設大臣に就任早々運輸大臣とも折衝をいたしまして、所管の問題その他のいろいろな問題についての懸案を解決いたしまして、そしてそれに基いた高速自動車国道法案というものを提案することに決定しておったのであります。この政府が考えておりました国道法案は今まで国会において審議継続中であります国土開発縦貫道路とはうらはらの関係にあるものであって、私どもの考えによりますれば、今まで国会に継続審議になっております国土開発の道路法案というものは、要するに大綱をきめたものであって、これを実施することになりますと、詳細な規定を必要とすることは言うを待たないのであります。こういう意味において、たとえば一方が本法であれば一方は施行細則というふうな関係のものでありますから、これは当然国会の多数の提案者が希望しておる国土開発縦貫道法案というものを完成しようとするならば、もちろん政府が今度提案しようとする法案も御賛成を得るものと私どもは確信いたしまして、他意はないのであります。ただその際に先ほど理事の諸君からも御説明があったように、衆議院におきましてどちらの法案を先にするか、あるいはこの法案を両方調整した上で理事会で出したらどうかというような話もありましたが、今までの行きがかりから継続審議中のものを先にしたらよかろう、それには二、三の修正点をして、取りあえず名古屋・神戸間の高速道路の予算もあることであるから、これらをこれらの法律の中へ加えて予算を加えるということによって、また審議会の委員も追加するということによって多少の修正を加えて、この方を先にしてほしい、しかし、あの法案にありまする、ただ総理大臣が路線の決定、あるいは管理その他をするということになっているけれども、一々総理大臣がさようなことをするということは実際に合わぬのであるから、政府の提案しておる高速自動車国道法案によって、これを建設省、運輸省両方の共管でもってやってもらうというふうに将来は修正してもらうかもしれないというような希望も、当時委員会において理事の諸君は述べられた通りであります。そういうような経過がありまして、実際にこの法案をりっぱに仕上げて、今までのいろいろないきさつを払拭して、そうして円滑に目的を達したいという趣旨から来たのでありまして、決して他意はありません。
そこで、今一事不再議というような議論もございましたが、この点につきまして私も疑義がありましたから、法制局長に向って、一方国土縦貫の方が通った場合に、他方政府案が出ると一事不再議というような疑義があるかどうかというようなことを問い合せたが、法制局においては、その点は一事不再議にならぬという解釈でありましたから、そこで私どもでも出すことに決したようなわけでございまして、ただ前後してこの国土縦貫法の方が参議院にもかからぬうちに一方の高速自動車国道法案が出てきたということは、いかにも奇怪千万だというようなお叱りがあれば、形式上まことにそのようなふうにも考えられますけれども、今申し上げましたように当時四日の日でしたか、月曜日、岸内閣になりまして多少空間もありましたために、予算関係の法案がなかなかおくれているというような野党からのきびしい注文もありまして、政府においては少くとも四日までには予算関係の法案は全部そろえてくれということでありましたので、取り急いでこの高速自動車国道法案なども四日の閣議でもって決定いたしましたので、事務的に直ちに国会に提示してあったものと考えるのでありまして、決して他意はないのであります。事情を率直に申し上げまして、御了承を得たいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/15
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016・田中一
○田中一君 建設大臣就任以来、運輸大臣とともにいろいろな長い間の懸案を解決するために御努力なさった点はわかっている。その点はあなたの御意思を十分われわれも尊重してそのように手は打とうということは、私ども二十二日の先ほど説明したような両院の委員長、理事打合会、懇談会を開きまして、一応決定しているのであります。にもかかわらず、少くとも成立しない法案に対してあとから出る法案でそれを修正するということ、その修正をまた修正するということ、次にまたその修正を修正するということ、こうしたことは法をもてあそぶものです。現在参議院におきましても、あなたの属する政党である自民党は、当委員会には過半数の席を占めているのです。もしも政府はそのような意図があるならば、この参議院において現在の縦貫道路の法案の審議中において、これを修正することがいいだろうと思うのでありまして、この手段をとらないで、次の法律案で現在審議中の法律案を修正するということは、少くとも国会議員並びに建設大臣としてのいたずらに法をもてあそんで混乱を招くということのみに尽きると思う。
そこで一応あなたは善意な方であって、何もわからないので申し上げるが、二十二日の日には、われわれ参議院の委員長、理事打合会には道路局長をここに招致をいたしまして、道路局長とも現在提案されている高速自動車国道の中で修正、国土開発縦貫自動車道建設法の一部を改正しようという意図は懇談中なのであります。そのときの記録がございますので御報告しますと、衆議院の瀬戸山理事から、これは縦貫道路の六条の「内閣総理大臣」というものを、運輸省、建設省両方の両大臣が共管の形にしたらどうかという御意見がありました。しかし参議院側から、それには及ばんじゃないか、これは私がはっきり申し上げたのは、すなわち国土開発が主眼であるところの道路であって、国土の総合開発事業というものは内閣に所属している。しかし実際の道路関係においての道路行政というものは現在建設大臣が持っておるので、法案の審議の過程において総理大臣、建設大臣、運輸大臣に来ていただいて、そしてこの運営につきますところの審議を十分いたしまして、総理大臣並びに両大臣からその確約を得て運営に遺漏のないような形をとろう、こういう御意見を申し上げているわけであります。これに対しましては、一応瀬戸山理事も了承しておりました。当時また道路局長は、そういう形でこの法案の通過後において、運営が建設大臣、運輸大臣の申し合せ通り建設省において事務局を持ち、なおかつ予定線の原案策定という問題も建設省がするならば、建設大臣の、あるいは両大臣の所管になるならば、これは一向差しつかえないということを答弁しているのであります。むろん委員長、理事打合会では速記録はつきません。つきませんが、調査員におきまして、このような記録をとってございます。にもかかわらず、両院の意思を無視して、政府がなぜこのように無謀なる修正案を織り込んでいるかという点でございます。今法制局長を呼びますが、法制局長からこの点につきます法律的な問題につきまして、一ぺん十分伺ってみますが、今あなたが答弁なさったようなことでは満足しないのです。建設大臣としてのこうした現在審議中の法律案を修正しようという意図はどこから来たか、そういうことは国会を侮辱するのではなかろうか、またそういうことを重ねて参りますと、いかなる法律案でも修正々々と際限がございません。もしもほんとうに修正をしようとするならば、前に申したように、あなたの属する政党の意見がたくさんございます、議員提案の法律案でございますから。参議院において同じ政党のわれわれも喜んで参画いたします。むろんこの法律案というものは自民党、社会党共同提案でございます。従ってわれわれもそれが正しいものであるならば賛成をいたしましょう。しかし強引にあとからこの法律案を修正するということはあり得ないと思うのでございます。むろん法制局長に伺ってみますけれども、法律的には可能でございましょう。ございましょうが、少くとも国会に席を置く建設大臣としては、無謀ではないかと思うのです。この点についての率直な御意見を拝聴したいと思うのです。当然これはすべき権利があるからやるのだというのなら、それでけっこうでございます。またそれに対して遺憾の点があるなら、遺憾な点がある、その点については十分審議してくれという御意見なら、われわれはそのように考えましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/16
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017・南條徳男
○国務大臣(南條徳男君) 田中委員のただいまの御意見、全くごもっともなことで、手続におきまして、いろいろ政府の手違いがあったことは遺憾と存ずるのであります。しかし私も先ほど申した通り、決して他意はないのでありまして、先ほどだんだん申し上げましたように、今までの懸案の国民がほんとうに希望している国土開発の縦貫道というものの成立をみたいということから、いろいろと苦慮したのであります。ただ先ほど申した通り、予算に関係した法案をこの四日の日までにどうしても出せというようなことから、政府の方でむぞうさに提案したものではないかと思いますが、建設省といたしましては、もちろん最初に衆議院を通り、参議院にかかっておりまする国土開発の縦貫自動車道法案を先に先議していただきまして、そうしてしかるのちにこの高速自動車国道法案というものを御審議願っておるものと思っておったのであります。その間におきまして、いろいろお話のように、理事会等における懇談会の模様等、それらを組み入れた調整の方法がありますならば、十分円満に調整していただいてけっこうです。決して政府は力をもってこれを強引に押し切ろうなどという野望のもとにかような措置をとったのではないということだけは御了解を得たいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/17
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018・富樫凱一
○政府委員(富樫凱一君) 先ほど田中先生から道路局長の発言についてお話がございましたので、申し上げたいと思います。
先般の参議院の理事会に私も呼ばれまして、発言の機会を与えられましたので、今問題になっております総理大臣を運輸大臣、建設大臣に直すという点につきましては、修正していただければ大へんけっこうであるという要望を申し上げたのでございます。そのあとで田中先生が言われましたような処置で納得したようなお話がございましたが、それは別に意見はそのときは申し上げませんでしたので、御了承得たいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/18
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019・田中一
○田中一君 法制局にちょっと伺いたいのですが、国土開発縦貫自動車道建設法案が今当委員会に付託されております、本審査として付託されております。ところが予備審査で別に高速自動車国道法案が付託されておると思いますが、現在まだ縦貫道路の方も審議中であります。従って高速自動車の方もまだ提案をされておりませんけれども、付託はされておるわけであります。そこでその高速自動車国道法案の中にまだ審議中の縦貫自動車法の一部の改正を盛り込んであるわけです、付則で。私の見解としては、もしも、この現在審議中の縦貫自動車道建設法の一部を改正するという意図があるならば、参議院の委員会におきまして、これを改正することはできると思うのでございます。ところがその手続とその了解と申しますか、その方法をとらないで、突如として別の法律案でこのような改正を企図して提案されたということに対しましては、いたずらに法をもてあそぶものではないかと思うのです。ということは、やるとすれば、議員提案でさらに別の法律案で高速自動車国道法の改正案を提案して、これをまた改正するという法律案の作成は、これは国会議員としても、政府としても自由であります。こういうことを考えて参りますと、いたずらに法をもてあそび、そして国民に対して納得されないような争いを現わすのではないかという心配があるために、法律的にこの扱い方に間違いがないかの問題が一つ。
それから、もしもこういう形のものを次々と法制局にわれわれが立法をお願いしたならば、喜んで幾らでも引き受けるという態度であるかどうかという問題を一つ伺いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/19
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020・岸田実
○法制局参事(岸田実君) ただいまの御質問に対しましてお答え申し上げます。
国土開発縦貫自動車道建設法の権限は内閣総理大臣に定められまして、ずっと参っております。これを内閣総理大臣にいたしました立法の趣旨はいかようなものであるかということは、実は立法の趣旨までは私ははっきり存じませんけれども、とにかくこの法律を出しました当時における立案者の趣旨としては、内閣総理大臣が適当であろうということでお出しになったものであろうと存じます。ところで、このたび高速自動車国道法というものが政府から提案されて参りまして、そしてその付則におきまして、この縦貫自動車道建設法の内閣総理大臣の権限を、運輸大臣及び建設大臣に改めておるのでございますが、これは法律的に私たちが拝見いたしますと、高速自動車国道というものに対する政府部内の権限の問題が、従来のあるいは道路法あるいは道路運送法等の関連法律のもとにおきましては、しかく明確でなかった。そこで新しく高速自動車国道についての建設、維持管理に関するいろいろの必要の規定を設けますと同時に、その所管大臣を運輸大臣及び建設大臣の共管の形でやるのが妥当であるということで、この法律の規定をお定めになって国会に提出になられたのであろうと存じます。そこでそのように、高速自動車国道というものに対する所管大臣を運輸大臣及び建設大臣に定めようとするならば、国会に先に提出されておりまする国土開発縦貫自動車道建設法の内閣総理大臣の権限を、この新たに定めました建設大臣及び運輸大臣の共管の形でいくことが適当ではないか。もし高速自動車国道法が通るとすれば、同時に国土開発縦貫自動車道建設法の所管大臣も、建設大臣及び運輸大臣の共管ということにするのが適当ではないかというお考えのもとに、この付則の規定をお入れになったのだろうと思います。従って法律的に申し上げますと、この付則第八項による内閣総理大臣を運輸大臣及び建設大臣に改めるということは、そのもとになる高速自動車国道法が通らなければ工合が悪いことなんでございまして従ってその法律と一体としてこの改正をするならすると、本則の方が通らなければ当然付則の方もそれは通らなくなるという前提のもとに、関連のあるものとして付則で定めておると思うのでございます。従ってその付則の規定だけを切り離して、こちらの国土縦貫自動車道建設法の方で修正をするということになりますと、それはその修正の趣旨が少し違ってくる。それは全然新たな高速自動車国道というものの権限を定めないで、こちらの方で、縦貫自動車道の方で内閣総理大臣よりも運輸大臣及び建設大臣にする方がいいという解釈のもとにお出しになるという結論になるわけでございますから、立法の趣旨が付則においてやるのと、全然独立してこの修正をするということでは、少し違ってくると思うのでございます。そういう趣旨でございますから、ただいま申しましたように、付則でそれを修正するということは立法的には決しておかしいことではないと私は思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/20
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021・中野文門
○中野文門君 関連して……。ちょっとこれはだれにお尋ねしていいかわからぬのですが、国土開発縦貫自動車道建設法というものは時間的にまだ法律になってないわけです、ただいま現在。にかかわらずですね、高速自動車国道法案というものを提出になって、あたかも国土開発縦貫自動車道建設法というものが法律になっておる前提のもとに組み立てられた点が私了解ができないのですがね。内閣総理大臣を運輸大臣及び建設大臣に改めること、その内容は別といたしまして、形式的に私はその点がわからぬのですがね。これはやはり今残っておるのは参議院でありますが、参議院を軽視したという格好に——軽視というよりも、違法じゃないかと思うのですがね。法律になっておらないものを、時間的にですよ、なるであろうかもしれないけれども、現在なっておらないものを、なっておることにして、あとの法律の内容にそういうことを盛られて提案されたということはわからないんですが、法制局いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/21
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022・岸田実
○法制局参事(岸田実君) 未成立の法案に対する改正案を追っかけて出すということは、従来の立法例でもしばしばあることでございます。これはやはり非常に法案が錯綜しておりますし、ある法案を出して、その改正案なり新たな法案を出すと、ところが追っかけてその法案に関連のあるほかの法案を出さなければならぬという事情のある場合はしばしばある問題でございます。そういう場合には成立を前提にして改正案を出す、あとから追っかけて出すということになるわけです。従って議案の取扱いといたしましては、その前の法案が成立しなければ、あとの法案を先に先行させることはできないというような、議案の取扱いの順序等の問題がございますけれども、しかしそういう未成立の問題をつかんで何らかの修正をするということは、できないということはないのでございまして、この例はもう非常にたくさんあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/22
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023・田中一
○田中一君 これは先ほど私があなたに、岸田さんに質問した第二の点をあなたは答弁していないのですが、しばしばあるのです。ありますが、こういう形の改正をすることが好ましいか、好ましくないかの問題なんですよ。これはむろん法律上今までたくさん例がございますから、一向差しつかえないと思うんですが、現に並行して審議中の法律案を別の法律案で修正するというのは、われわれは何をしたらいいのかということです。参議院の委員会は何をするのかということですよ。こういうものを出されて強要される必要はありません。われわれの意思をもって修正できるのです、幾らでも。こういうことを重ねていくことが、私があなたにこういう改正案を出してくれといってお願いしたときに、この法律を作る人として好ましいか好ましくないかの問題が一つと、それからまあ政党の争いが激しくなって、各政党から次から次、次から次とひっくり返してこういう改正案が出た場合に、あなたの方でそれをどこかで調整すればいいのではなかろうかという考えを持たないか、持つかどうかという点です。率直に現実の問題として御答弁願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/23
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024・岸田実
○法制局参事(岸田実君) 御質問の趣旨にぴったり当てはまる答弁かどうかわかりませんけれども、特別の事情の変更がないにもかかわらず、前に出している法案の大臣の権限をすぐあとから違う大臣の権限にひっくり返すと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/24
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025・田中一
○田中一君 内容を言っているのじゃないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/25
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026・岸田実
○法制局参事(岸田実君) ですから、どうしても内容に関連があると思うのですが、そういうような場合ですと、これはいわゆる一事不再議の原則に反するようなことになって、はなはだ妥当でないと思うのです。従って同じ国会において内閣総理大臣の権限を定めた同じ事項について、それをまたほかの大臣に変えるという修正を出すということは、私はこれはむしろ法律的に違法であろうと思います。しかし異なった事情が生じて、そうしてその異なった事情との関連において同じ国会で、前に通っている法案の内容を改めるという規定を置くことは、これは事情が変ってくるわけですから、許さなければならないことであろうと存じます。高速自動車国道法というものができるのに関連して改めるとい趣旨であれば、私はこれは違法でないと同時に、付則でこれを改めなければ工合が悪い問題だろうと思うのでございます。これを付則だけを切り離して先行させることになれば、これは趣旨が違ってくることになるわけですから、どうしても本則と一体のものとして付則で修正するということにならざるを得ないと、立法技術的にそうならざるを得ないというふうに考えるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/26
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027・田中一
○田中一君 建設大臣に伺いますが、これは仮定を申し上げるのでございますが、もしも当委員会においてこれから審議の結果、高速自動車国道法の付則で改正しようとするこの案文が、本法の審議において修正されたならば、あなたはむろん目的がそこにあるなら御満足と思うのです。そこでなぜ現在審議中のこの縦貫自動車道の本法に対して働きかけをしないで、独自の見解で強圧的に、お前たちの衆議院の作ったこの法律案は未熟であるという建前か、あるいは不便であるという建前か、何らかの形でもって理由づけて、この改正案が出たと思うのですが、もしこちらでやったならば、この全部を一応撤回する意思はございますか。全部の法律を、高速自動率国道法を全部撤回して出し直しをする意図はございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/27
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028・南條徳男
○国務大臣(南條徳男君) この政府の意見として先ほど来申し上げましたように、この懸案の国土開発の縦貫道というものを完成さしたいというのが趣旨でありまして、その行き方として今度高速自動車国道法案というものを、これがなければ前の国土開発縦貫道というものの完璧を期せないという考え方から、運輸省と懇談をいたしまして御提案することになったのであります。従いまして、この政府の方針を、気持を御了解下されば、形式的にはいろいろな御議論もありましょうけれども、先ほど法制局で言う通り、同じ国会中にさような別な法案を出しましても、別段違法でないとすれば、この当委員会において審議の遇程でもって、衆議院を通ってきました国土縦貫道の方を先に審議していただいて、そして政府提案の高速自動車国道法案をあとに審議するということであれば、別段撤回とかどうとかいうような、さようなかた苦しい言葉でなくても、私は実質にかなうものじゃないかと思うんですが、いかがなものでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/28
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029・田中一
○田中一君 国土開発縦貫自動車道建設法で、附則の八項で提案されておるところの改正案が修正されるならば、この目的はもう達したことになるんです。従って、法制局では、当然その場合にはこの法文は自然消滅になるのか、修正されるのか、どういう形で処理されるんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/29
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030・岸田実
○法制局参事(岸田実君) こちらのただいま審議中の国土開発縦貫自動車道建設法の方で、附則第八項のような修正をかりにいたして出しました場合には、当然この附則八項というものは死文になってしまいますから、あとの高速自動車国道法案を進めます場合には、削除の修正をして進めなければならぬと、こういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/30
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031・田中一
○田中一君 その削除はだれがするんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/31
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032・岸田実
○法制局参事(岸田実君) これは、国土開発縦貫自動車道建設法案が通ったあとで、初めに高速自動車国道法案を議決する院が当然責任上その修正をやるべきであると、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/32
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033・田中一
○田中一君 そうすると、義務づけられるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/33
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034・岸田実
○法制局参事(岸田実君) まあ義務づけると申しますか、法律的に申しましたら、そういうむだな規定を入れたまま通すということは、やはりその審議が妥当でないという結果になりますから、その責任があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/34
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035・田中一
○田中一君 あなたは、だいぶこの内容とわれわれが考えることはおわかりになったと思うんですが、こういう形の改正案というものが出ることが好ましいか好ましくないか。また、現在審議中の法律案を別な法律案でもって改正することはありました。ありましたが、現在提案されておるような、この問題と同じようなケースは今までありましたか。現に別の形で修正し得る道がありながら、修正を強要してくるという立法方法は今までありましたか、こういう形のものが。私は今まで七年間議席を持っていますが、記憶はないんです、こういうケースは。ちょっと御意見を伺いたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/35
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036・岸田実
○法制局参事(岸田実君) 今これとぴったり当てはまるような的確な例をすぐ思い出すことはできませんけれども、そして、今度の場合のように非常に接着して出るという場合はまれであろうと存じますが、しかし、法律的に申しますと、この附則第八項の改正というものは、高速自動車国道法という新しい法律が必要である、そしてこの法律によって自動車道の所管大臣を運輸大臣及び建設大臣に確定することが必要である、という立場に立ってお出しになるわけでございますから、それが出る以上は、これと関連のある国土縦貫自動車道の内閣総理大臣の権限をこちらに移さなければならないんだという政府の趣旨は、一応これは理論的に納得のいくことだと思います。従って、法律的に申しますならば、どうしてもこれは高速自動車国道の所管を定めるということが前提になっての附則の改正でございますから、これはこの形でいかざるを得ないんじゃないか。これを、附則第八項だけを切り離して、独立に国土開発縦貫自動車道建設法の改正としてお出しになりましたならば、これは簡単に申しますと、高速自動車国道法は通らなくても、これだけで縦貫自動車道建設法の所管大臣はやっぱり内閣総理大臣よりも建設大臣及び運輸大臣の共管がいいんだという趣旨で改正をすることになるわけでございますから、従って、何と申しますか、立法の趣旨によって、どうしてもこういう形にいかざるを得ない場合がある。政府の御趣旨はどういう御趣旨か、私は伺っておりませんけれども、おそらくそういう御趣旨で附則におつけになったのじゃないか、こういうふうに思うのでございますが、そうであるとするならば、これは立法形式上は、やはりこの形でいかざるを得ないんじゃないかというふうに私は思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/36
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037・瀬戸山三男
○衆議院議員(瀬戸山三男君) ただいま田中委員の質疑について関連しておりますので、私の考え方を申し上げて御了承を得たいと思います。まだ衆議院の方では委員会には付託されておりませんけれども、参議院の方では委員付託になっておるということを承わっておりますが、高速自動車国道法案の附則第八項、これが問題になっておるように思いますが、これは私どもが前からずっと審議いたしました経過に基いて、田中委員も十分御存じだと思いますけれども、御了解を得たいと思います。それは、問題の国土開発縦貫自動車道建設法案の審議に当りましては、御承知の通りに、所管その他の問題で相当論議がかわされたのであります。そういうことから、途中は省きますけれども、第二十二国会、これは衆議院でありますが、昭和三十年の三月十八日から七月三十日まででありますけれども、衆議院において通過いたしましたときに、附帯決議がついておるわけであります。その附帯決議が三項ついておりますけれども、
一、政府は、本法に基く審議会の庶
務を建設省において行うよう処置す
ること。
二、政府は道路行政の一元化をはか
るよう速に立法措置を講ずること。
これが衆議院における附帯決議でございます。それからさらに第二十四国会において参議院において御審議があったのでありますが、その際においても同じく附帯決議がつけられております。これも三つ附帯決議がついておりますが、この問題に関連のありますのは、
二、政府は、国土開発縦貫自動車道
を含む高速幹線自動車道に関する立
法措置をすみやかに講ずること。
三、政府は、国土開発縦貫自動車道
建設審議会の設置に当り、すみやか
に各行政機関の意見の調整をはか
り、かつ早期達成をはかるよう事務
局の構成につき措置すること。
これは参議院の全会一致の御決議でございます。先ほどから御意見を聞いておりますと、私は政府の立場でありませんけれども、今までのいきさつから考えて申し上げるわけでありますが、高速自動車国道法案を出して、そうして付則において、ただいままだ審議中である国土開発縦貫自動車道建設法案に追っかけてこういう意味の立法をし、そうしてその付則にこういうものを書いてあるのはけしからんじゃないか、こういうお話でありますが、なるほどこういうふうなことはしばしばやる事例ではありません。しかも、さきほど法制局から御説明ありますように、これがまた違法であるとか不都合な取扱いであるとかいうことにもならないと思います。むしろ、私ども国会側といたしましては、衆議院において議員提案いたしました国土開発縦貫自動車道建設法案そのものについて、ある程度の疑義を持っておったことは、衆議院における附帯決議、参議院におけるただいま申し上げました附帯決議によってもこれは明らかでありますから、政府に対して国会としてはそういう問題の調整、すみやかにこの国土開発縦貫自動車道建設法案の実施について適当なる措置を講じなさいということを、政府に命令というとおかしいのでありますけれども、決議によって国会の意思を発表いたしておりますから、これについて政府がすみやかにそういう措置をとるということは、当然の国会に対する責任であると思う。従ってこういうことをやらなければ、私どもの方としては特に政府を督励してやるべき問題であろうと思いますから、今審議中にかようなことをやったというようなお叱りのことでありましたけれども、私ども提案いたしました衆議院側といたしましては、これはすみやかにやるべきものである、こういう考えでおるわけでありますので、どうか一つ参議院側においても御了承を願いたい。特に先ほど、しからばこの国土開発縦貫自動車道建設法案そのものについて修正をしたときには、もしそういう御意向にこちらがきまりまして、そういう修正をしたときには、あとで追っかけて来た法律案についてほどうなるのだというお話でありましたが、それは私から申し上げるまでもないことでありますけれども、同じ国会に二つの法案がかかりまして、一つの意見がまとまりますれば、どちらかの法律で一つの意見を確定していただくのがこれは当然のことであると思いますから、どうか一つ賢明なる田中さんはよく御了解を願っておると思いますけれども、特に私どもは前に附帯決議をつけました議員の一人でありますし、さらにまた原案を提案いたしました立場にもあります。こういう国土開発縦貫自動車道建設法案が通るか通らないかわからない時代に、通ったような状況でかような附則を出しておるのは、けしからぬという御意見もあったようでありますけれども、これは政府としては、多少の修正がお互いにありましたけれども、衆議院を全会一致通過して、参議院も全会一致通過しておる法律案でありますから、当然通るものとして政府がかような措置をとるということは、これはあまり非難すべきものではなくて、それはかえって国会の意思に沿うた措置をとっておると私どもは考えますから、どうか一つぜひ御了解を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/37
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038・前田榮之助
○衆議院議員(前田榮之助君) 今瀬戸山委員から提案者を代表してというような意味、大へんな話だと思うのです。今の話なんかは衆議院であった話ではありません。あれは瀬戸山君個人の意見ですよ。衆議院の意見は御承知のように法案にちゃんと出ているじゃありませんか。そこを修正しないで、しかも瀬戸山君が今の意思を体して、衆議院の理事会に提案して、この点はいかぬから修正してくれ、こういう要求をされておる。こういう書類がちゃんとある。瀬戸山君が出された案なんです。それがいかない。それは参議院の二十四国会の議決にも反するし、参議院の意思を尊重しない形になるから、やはり二十二国会から衆議院、参議院とこう回り回ってきたものをこの際尊重すべきである、こういうことを言ってそれに賛成されたのである。賛成されたときに、内容を申し上げますならば、そのときに腹の中に、この運輸大臣及び建設大臣という事項がないことを非常に遺憾とする、これが腹の中にあったようでございます。これは腹の中の話なんであって、何も公式のものではありません。
それから、衆議院、参議院の本会議を通過するときの付帯条件の問題なんですが、付帯条件をよく読んで味わってもらいたいと思います。その付帯条件が、この第五条の運輸大臣、建設大臣、または総理大臣と、そういうことにせにゃならぬということはちっともない。本当に読んでもらいたいんです。なるほどそれは付帯条件の運輸、建設両省の所管争い、こういうこと、並びに建設行政を統一せなくちゃならぬこと、これを立法化せなくちゃならぬ、こういう条件は、何もこれを運輸大臣及び建設大臣に変えなければできないことじゃないことは、私は法文を読むことを知っているような人ならだれでもわかると思うんです。ただここで、提案者の立法の本当の精神を読んでもらいたいことは、内閣総理大臣としてある点は、これは建設省の諸君もしっかりよく聞いておいてもらいたいと思う。この国土開発縦貫自動車道という単なる交通道路としての道路をやる、これは今度のいわゆる高速自動車国道というものの道路感覚とは違った国土開発というものが含まれている。従って審議会においても農林大臣、通産大臣等がこの審議に参画する。こういうことのために道路を建設し、道路を管理することは建設省が当然やるんだ。だからそういう国道、一級国道、二級国道とは違って、そういう道路であるならば、今これを修正されようとされる心持ちは十分わかる。従って建設省が建設をやるという建前に立って、まあ職業意識からくる希望というものは私はわかるのです。それはしてやるべきなんです、そういう状態なら。だけれども、この立法の、四百三十名からなるところのこの国土開発立法というものの精神を貫くものは何であるかということに、ほんとうに十分な理解がないところがあるんですよ。それを参議院の諸君や衆議院の諸君が、議員的な、政治的な感覚のもとによって、全会一致でいろんな希望も付されて通しているんです。従って、ただこの第五条の内閣総理大臣となっている点は、そういう一つの道路の管理、建設ということ以上に、所管をもっと高い立場でやらなければならないものであるというところにあるのであって、その点を十分に一つ御理解を願いたいと思うのであります。従って、この高速自動車国道法案というものは、これを補うものと同時に、これを補うものばかりじゃなくて、現在の国土法に基く国道の管理、建設というものの上に立っている近代的交通というものは、人が通る道路というものよりも、機械的な交通機関が通るという時代になってきたからという意味と、いわゆるこちらには国土総合開発道路というものがある。こちらには従来の国道というもの、あるいは重要幹線道路というものがある。この方の感覚とこの方の感覚との間に立って、これで、近代的な交通機関としての道路というものを補足し、近代化して法制化する基準になるものが、いわゆる高速自動車国道法案である。その下において審議会等がどういうように行われるか、管理がどういうように行われるかという立場に立たないと、本当のものはわからないんですよ。そういうものの上に立ってやられるのであります。
それから、いま法制局の方がいろいろ言われているようでありますが、法制局の方の前提となるべき資料というものを十分に理解をされて、御判断を願えれば大へんいいのではないかと思う。建設省が出しました政府提案の今度の高速自動車国道法案が四日の十二時に、正午に衆議院の方へ提案をされております。それから縦貫自動車道法案は衆議院は五日の午後三時過ぎに本会議を通っておるのであります。従って議員提出案であるところの国土開発縦貫道路であるために、内閣の方ではそれは気づかずにひょっと出したという形にもなると思う。そういう場合においては、これはこういう法案が出てもやむを得ない、そういう前例も幾らもあるということなんですが、ただ、しかしこの内容が一事不再議になるかならぬか、一事不再議にならないと今建設大臣は言われておりまするけれども、第五条が衆議院の議題になったかならないかということによって一事不再議か不再議でないかということが決定するのじゃないかと思うのです。この法案自体の全体が議案になっておるから、一事不再議になるとかならないとかいうことなら、これは議案は議題になったことは間違いないのですが、ただ第五条の内閣総理大臣とあるのを運輸大臣及び建設大臣というものが議題になっておらぬじゃないかということを言っておるのだと思うのです。ところがただ議題になっておらぬと言っても、今申し上げたように、理事会で各党の立場でいろいろ論議をいたしまして、こういう修正されたるところの修正案というものが提出された。それは参議院の方の意思をじゅうりんすることになるから引っ込めなさったらよかろう、こういう議事が進められて、委員長の議事進行の進め方によって、いろいろそれならこれは引っ込めて、最小限度の第三条の修正程度でやめようと、こういうことになったのでありますから、従って内閣総理大臣とあるのを運輸大臣及び建設大臣としての審議がなされておるのです。理事会でなされておるのです。それはちゃんと証拠書類がはっきりしておるのであります。それならば当然私は一事不再議の件になる、こういうことになろうと思うのでありまして、その点等は法律的な解釈を十分にされるように私は希望するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/38
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039・瀬戸山三男
○衆議院議員(瀬戸山三男君) 田中委員と論争する気持は全然ありませんが、ちょっと誤解があったようでありますから、一言申し上げておきます。私が衆議院を代表しておると言うたようにお聞き取りのようでありますが、私は先ほど申し上げましたのは、附帯決議を決議いたしました衆議院を構成しておる一員としてということを申し上げておりますから、あとで速記録をお調べ願います。そこで私は何もここに出ておるこの付則の第八項と、それからこの国土開発縦貫自動車道とをかみ合せて、この参議院においてさように御修正願いたいと言うたのではないのであります。ただこういうものを追っかけて出しておるのはおかしいじゃないか、言葉を強く言うと、けしからんじゃないかというような御意見がありますから、その点についてはこういういきさつがあって、政府としてさような取扱いをして、たとえばもう一度読みますけれども、参議院における附帯決議の第二項に、「政府は、国土開発縦貫自動車道を含む高速幹線自動車道に関する立法措置をすみやかに講ずること。」と、命令とは申し上げませんが、国会の決議をされておりますから、これに基いて政府がそのあとから出しました立法がいいか悪いかは、今後審議をしなければならないわけであります。そういう物を出したからけしからぬという議論は、従来からのこういう衆議院あるいは参議院における御決議、御審議の経過に基いて政府がかようなものを出したからといって、けしからぬということではないじゃないですかということを、ここで私の立場で申し上げたのであります。衆議院を代表してという言葉も使っておりませんし、また、ここでかようにこの国土開発縦貫自動車道建設法案そのものを御修正下さいとも言っておらないのでありますから、その点はどうか御了解を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/39
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040・田中一
○田中一君 私は参議院として、これは同僚議員全部同感だと思うのですけれども、瀬戸山君がそういうような意図があってそういう発言が、今前田君の御意見を聞くと発言があったというのですから、そういうことはどうかそちらで、それが本意ならばそちらでやっていただきたいのですよ。ことに建設大臣もこの提案者なんです。全部提案者なんですよ。これは衆議院発議でありまして、われわれの方はいつも受けて立っていなければならない。当然そういう状況ならば、衆議院で修正してこちらへ送ってくればいいんです。目的は一つなんですから。それをしないで、なぜあえて参議院に、それも今言う時間的に十分に衆議院で修正する時間的余地があるにかかわらず、こちらに送付するということはあり得ないと思いますよ、そういうことは。それで聞いてみますと、まだ衆議院の建設委員会には付託されていないんだということによって、それは知らないというような発言を先ほど二階堂さんが言っているけれども、はなはだ奇怪な問題でありまして、こういう点も何か含みのある行動を衆議院の与党の諸君と政府が話し合ってやっているように見受けられるのです。従って、もしもそういう意図があるならば、そちらから修正して持ってきていただきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/40
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041・中島巖
○衆議院議員(中島巖君) 衆議院の審議の途上におきまして、問題点になった点をこの際御報告申し上げるのが私どもの義務だと思いますので、御報告いたしたいと思います。
これはまあただいま田中さんよりお話のありましたように、昭和三十年の六月二十一日に衆議院で四百三十名で提案した法案でありまして、現在の岸総理も、ここに見える南條国務大臣も提案者であります。ただ参議院より現在の閣僚中で入閣された方以外は、おそらく現政府の全員が提案者であると思います。そこで昭和三十年の七月二十八日に衆議院は原案通り可決いたしまして、即日参議院へ回付いたしましたのですが、あと二日しかありませんので継続審議になりまして、昭和三十一年の四月十九日に、自民党を代表して小沢久太郎君が一部修正をされて、また衆議院へ回付されたのであります。その案がいわゆる今回衆議院でもって審議しているところの縦貫自動車道法案であるのであります。そこで衆議院といたしましては、この参議院の御意思を尊重せねばいけないという建前を基本問題としていろいろ審議いたしまして、参議院の修正通り無修正で参議院へ送り込むべきであると、こういう態度を大多数できめたのであります。しかしながら、そこで問題となりましたのは、本年度政府はすでに予算措置をこれに対してしてある。従ってこの法律でいきますと、別表による経過地を基準といたしまして、そうして審議会にかけてきめて、さらにそれを法律にして国会にかけると、こういうことになっているのであります。これは参議院で修正されてそういうことになっているのでありますが、もしそういうだけの手続をとると、時間的に本年度政府が提出した三十億の予算というものは全然使えなくなる。従ってそういうことではこの立法の趣旨にも合わないし、三十億の予算だけを使える方法にして、参議院の御意思通りに決定しようというのが、今回衆議院を通過して、現在御審議を願っておる法案になっておるわけであります。従って参議院の御意思はそのまま法案の中に生きて、ただ三十億の金を使うという部分だけを修正した。さらにこまかくいえば、国家公安委員長を審議会の一員に加えるとか、年度が違ったために三十一年を三十二年に直したというだけでありまして、参議院で御決定願ったそのままが本日御送付したこの法律案であります。それで衆議院の賛成討論の中におきましても、ここに見える前田委員から、参議院から修正されて回付されたこの法案を種々検討いたしまして、参議院の意思を尊重すべきであるという建前に立って、参議院の修正については全面的な賛意を表したものであります。ただ提案者の説明の通り、三十二年度の予算執行に支障を生ずることの問題がありましたならば、提案者の意思に反することだと考えまして、これらの最小限度の修正をもって、衆議院全体の意思に沿い、あわせて参議院の意向をも尊重した案であるのであります。こういうふうにはっきりと賛成意見を申されてあるわけでありまして、従いまして、本日御審議願っておるのは、参議院において二十四国会で御決定願ったことを御審議願っておるわけであります。ただその中に三十億の予算執行のできる案文と、それから国家公安委員長を審議会に一人加えたことと、年度が違いまするので、三十一年を三十二年に変えた、これだけのものでありますので、私どもの考えといたしましては——私どもというと口はばったいけれども、私といたしましては、前に御決定願った案でありますので、どうかこのままの案で通していただきたいと、かように考えるわけであります。
そこで、今問題になっております政府提案の高速自動車国道法案の付則の問題であります。この問題は、先ほど前田委員よりもお話がありましたけれども、正式の委員会にかかっておりませんから、記録にはございませんが、瀬戸山委員より五点の修正案を出しまして、これで秘密理事会でさんざんもみあげたわけであります。その修正案は、第二条を修正する。第三条、第四条、第五条と、最後の審議会の問題であります。そこで今度建設省で出しましたのは、第三条第三項の、「内閣総理大臣」とあるのを、「運輸大臣及び建設大臣」にし、第五条の、「内閣総理大臣」とあるのを、「運輸大臣及び建設大臣」にすると、こういうことであります。これは審議会の構成の問題とごく関連いたしますので、審議会の構成の問題をお話し——お話と申しますか、衆議院における討論の意見の一端をごくかいつまんで申し上げますと、この法案は内閣総理大臣を会長として、経済閣僚を加え、衆参両院で指名した者と、学識経験者を加えた二十八名の委員で審議会を構成することになっております。この委員会を削除いたしまして、そして今度できるところの高速自動車国道法案の審議会、もしくは現在あるところの道路審議会にするというような御意見でありました。これに対するところの反対の第一の理由は、これは単に交通というものでなくして、国土の普遍的開発であるから、運輸もしくは道路の担当のものでなくして、内閣総理大臣を会長として、企画庁であるとか農林大臣であるとかいう経済閣僚を加えることによって、初めて国土の普遍的開発の目的に合するというのが第一点。第二の問題といたしまして、非常に膨大な予算の要るものである。現在の状態は十億か十五億の予算増額をするのに、大臣が大蔵省へ足を運ぶ、こういう状態である。それではこの法律をこしらえても目的は達せられない。従って、この審議会というのは、大蔵大臣及び経済閣僚を入れ、内閣総理大臣を会長としたところの、閣議に準ずるところの審議会でなければ、これを強力に遂行することはできない。この二点がこの審議会に対するところの一番基本的の議論であったようであります。これがそのままこの第五条の建設線の基本計画に当るのでありまして、この高速自動車国道法案、本日あたり衆議院に出される法案でありますが、この法案を私もけさ目を通しましたが、本日はそれに触れることはないと思って、持って来ませなんだが、この法案の中を見ると、基本計画は建設大臣がやるということになっておる。さらにその施工の分につきましても建設大臣がやる、こういうことになっておる。従ってそうなれば、審議会は建設大臣の所管になる審議会という、こういう形になるわけでありますが、これは先ほど申し上げた審議会と同じ意味で、基本計画は、いわゆる経済閣僚も加えた審議会の答申を経て内閣総理大臣が決定して、その後の工事であるとか、道路整備であるとかいうことは建設大臣、運輸大臣がやるのは当然じゃないか。こういうように、この点につきましても、しかしそうしては実際事業がやりにくくて実際にできないじゃないかというのが現在の建設省の意見でありまして、これにつきましては、ただいま申し上げましたような、大きな普遍的な国土の開発という観点、ただ道路だけというような観点によって、センスのおのおの違いということによりまして見方が違うわけであります。従いまして、私の希望といたしますれば、衆議院といたしましても、参議院の御修正の御趣旨をそのまま尊重いたしまして、そうしてこれには多少議論もありましたけれども、参議院でこういうふうにきめたのであるから、参議院の意思を尊重して、そのまま通そうじゃないかと思って衆議院を通した法案でありますから、どうかこの法案は参議院でこしらえていただいた法案で、ただくどくなりますけれども、先ほど申し上げた点だけを修正してあるわけですから、どうか参議院を通していただきたい、そうしてしかる後に、今後政府から提出するところの高速自動車国道法案は高速自動車国道法案として御審議になりまして、その付則が必要であるという結論に達したなれば、またそれをお認め願うもよくはないか、こういうふうに考えて、今ここで一緒にしてされるということは非常に混乱されるものである、かように考えるわけであります。われわれもただいま申しましたような審議会に対する議論と、この基本線決定に対する理論とは同じ理論であるとは思っておりますけれども、まあ法案が提出された場合は、建設省の御意見を十分聴取いたしまして、虚心たんかいにこれに対して臨む考えでありますので、これを今混同せぬように、法案は通ったという前提のもとに立たれる政府法案でありますから、何とぞ衆議院が参議院の意思を徹頭徹尾尊重したことを汲み取って御善処願いたい、かように考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/41
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042・田中一
○田中一君 私は今衆議院の提案者の皆様方の御説明は全面的に承知しているんです。しかし目の前に、この本委員会に予備審査として提案されたところの高速自動車国道法案という法案が出ている。これは、少くとも今審査をしようとするこの国土開発縦貫自動車道建設法という法律案を、政府が修正しようという問題が提示されている。この現実は無視して、この法律案の目をつぶっての通過ということは考えられないんです。従ってこの問題が解明されて後に、初めて参議院の意思によって決定した修正案をまるのみしていただいたんだから通すべきだということの結論になるのであって、ことに衆議院の皆さん方も、現在政府がこうして別の法律でもってこれを修正しようという意図のあることを御存じないとは考えられないんです。従ってそういうものを自分の方のまとめ方ができないから参議院に回して、参議院でやれというような考え方ですね、これは非常に迷惑な話なんです。従ってもしもそういう瀬戸山さんが言っているような意図があったならば、当然衆議院において調整をとってこちらに回付してもらうのが当然だと思うのです。そこに非常な微妙な関係がありまして、衆議院ではまだ高速自動車法は付託されておらないからわからないのでございますというようなことで逃げているのでは、これは政治家としてはなはだ遺憾にたえないような言動であり、かつまた国民をだますものであります。従って十分にそういう点も審議をされた後に政府との話し合いもしたものと思うのですが、突如としてこの法律案、この高速自動車国道法案でわれわれがこれから慎重審議しようというこの法律案を動かす、改正、修正するというような案件を示されれば、一応皆さん方のお考え方を聞かなければ、私おそらくだれでもが手につかぬだろうと思うのです。中島さんのおっしゃることはよくわかります。われわれも即刻これを通すような審議を進めていきたいと、私ばかりじゃない、同僚議員皆思っているだろうと思います。しかし衆議院の場合と違いまして、参議院はもう予備審査として付託されている法律案の中にこういう問題が含まれますと、これが解明されなければ審議は進まぬじゃないかということを申し上げているのです。
委員長、ちょっと速記とめて懇談しましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/42
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043・中山福藏
○委員長(中山福藏君) ちょっと速記とめて下さい。
午後零時十二分速記中止
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午後零時三十五分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/43
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044・中山福藏
○委員長(中山福藏君) 速記を起して。
それではこれをもって暫時休憩いたします。
午後零時三十六分休憩
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午後二時二十一分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/44
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045・中山福藏
○委員長(中山福藏君) それでは休憩前に引き続きまして委員会を開きます。
この際前回に引き続きまして、昭和三十二年度建設省関係予算に関する件を議題に供します。まず北海道道路計画等の分野について御質疑のある方は御発言を願います。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/45
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046・中山福藏
○委員長(中山福藏君) 速記起して。
午前中の国土開発縦貫自動車道建設法案につきましては、次回の委員会に質疑を継続したいと存じます。
速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/46
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047・中山福藏
○委員長(中山福藏君) 速記起して。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/47
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048・田中一
○田中一君 ガソリン税増徴の問題について一応せんだっての御説明は伺いましたが、地方に対する譲与税の問題、それから交付金に吸い上げる税金の道路事業費に投入する計画、それからこれに見合う地方の負担の事業費の問題等ですね。ガソリン税増徴による道路事業費に対する事業量並びに事業費の御説明を願いたいと思います。今計画されてるものですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/48
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049・富樫凱一
○政府委員(富樫凱一君) ガソリン税のことにつきましては、前に御説明申し上げたわけでございますが、本年度消費されます課税対象の量は三百四十万キロでありますが、これに対しまして地方譲与税、地方道路税は従来は二千円でございましたが、これをさらに千七百円増徴しようということになっておるわけであります。で、この千七百円に相当いたします分につきましては、ちょっと今資料がございませんので、今すぐ届きますのでそれで御説明申し上げたいと思います。で、そのほかにございますのが軽油引取税でございます。これにつきましても増徴されるような計画になっておるようでございますが、そのほかに交付金の中に道路整備に基礎を置きます分があるわけでございますけれども、これらのものを総計いたしますと、全部で——これらのものが地方に参るわけでございますが、本年度の道路事業に対します地方負粗金は約百四十億ほどでございます。このうちこれらの道路税、それから軽油引取税、それから交付金に基礎を置くものを入れますと、ほぼこれに見合う額になるわけでございます。この数字につきましては今すぐ資料が参りますので、その数字を申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/49
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050・田中一
○田中一君 一般会計の資金としては、どれくらい出ているのですか、本年度の。それからその比率はどうなっておりますか。ガソリン税と見合う中業費との比率。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/50
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051・富樫凱一
○政府委員(富樫凱一君) 本年度のガソリン税といたしましては、五百四億でございますが、一般財源から四十三億出ることになっております。これを合せまして五百四十七億が道路整備に対する国の予算でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/51
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052・田中一
○田中一君 建設大臣に伺いますけれども、われわれがかつてガソリン税を徴収して、いわゆる道路整備費の財源等に関する臨時措置法、こいつは一般財、源から相当基本的な支出をして、それに対してガソリン税の増徴というものはプラスアルファであるというような提案者の説明を聞き、政府からもそのような答弁を聞いておったのですが、毎年ガソリン税に見合う事業費が主であって、少しだけ一般財源から支出して予算の作成をしておるというような状態だと思うのです。そこでこういう考え方で計画される予算案というものは、少くとも国会との約束を無視した形で行われておるものと思うのです。今年度は今道路局長が言っているように、これもまことに残念ながら一割程度のものしか見込んでおらぬ。従って建設大臣としては、本年度はこういう予算を組んでおりますけれども、この形が妥当なものであるか、また法制定の精神からいっても、相当大幅な財源を投入して道路整備を行うべきではなかろうかという点について御見解を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/52
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053・南條徳男
○国務大臣(南條徳男君) 予算の編成の当初におきましては、私建設大臣になりまして、この道路整備十カ年計画に今度移行させようという場合の予算から見れば、初年度について少くとも九百五、六十億を要するというような案であります。この財源措置をどうするか、このことについて検討いたしまして、当時は一部はガソリン税でまかなう、一部は一般財源、また一部はできれば道路公債のようなものによって三本建くらいにしてこれらの費用をまかないたいという計画を立てておりましたが、組閣が年末でありまして、政府は公債政策という面についてはこのたびはやめようというような閣議になりまして、それがために道路公債の財源というものが見込み薄になって、そこで大蔵省では当時税制審議会などの答申で、ガソリン税を二万円くらいでよろしいというような答申であり、かたがたガソリン税も目的税であるから、臨時措置法によってガソリン税でまかなったらどうかという見解を持っておったようであります。そこで私どもとしては、さようなことではとうていこれは国会において御承認を求めるわけに参らぬし、世論もさようなわけに参らぬから、ぜひこれは一般財源を何とかして、一部ガソリン税によってまかなう、こういうようにいたしてみたいというのでしばしば折衝いたしたのでありまして、その結果、一般財源等の見合い等から四十三億だけを今回はこの予算案で出した、そこで当初の初年度計画の九百七十億というものも大幅に減りまして、五百四十七億というようになったのでありますが、ガソリン税も従って一万円が六千五百円というようなことに歩み寄りまして、一応ただいま予算措置で三十二年度予算に計上いたしておりますような状態であります。従いまして今後の輸送状況というようなことにつきましての道路整備につきましては、将来について、特に明年度における建設省の道路整備の方針としましては、もっと別な角度から相当大幅な財源の措置を講じなければならぬ、こう考えてただいま考究中であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/53
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054・田中一
○田中一君 ガソリン税の増徴によって他の産業に及ぼす影響と申しますか、たとえば物価に及ぼす影響というものはどのくらいに考えておりますか、どの程度に考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/54
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055・南條徳男
○国務大臣(南條徳男君) これは主として経審あるいは大蔵省で調査して参っておりますので、私の方で直接その比率を研究いたしておりませんが、大蔵省等の見解によりますれば、ガソリン税のこの程度の増徴によっては物価の影響はさほどないだろう、こういうような考え方でこのたびの予算を組んでおるようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/55
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056・田中一
○田中一君 今大臣のお話のように本年度の国家予算というものは五百四十七億、前年度に比べますれば百九十七億の増加を示しております。従ってこれによるところの地方負担は百九十六億になっており、本年度の地方負担の増というものは七十四億になるわけです。この財源等はどういう見通しのもとに立てておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/56
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057・南條徳男
○国務大臣(南條徳男君) 地方の七十四億の分につきましては、六千五百円のガソリン税のうち国として四千八百円、地方税として千七百円、これを見込む、そうして地方道路税等も増徴しましてこれに当てるという計画でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/57
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058・田中一
○田中一君 ではガソリン増税額を除いた純粋の地方負担はどのくらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/58
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059・富樫凱一
○政府委員(富樫凱一君) 地方の負担の増は、ただいま田中先生の申されましたように七十五億でございますが、地方道路譲与税が百十四億、それから軽油引取税が約五十八億でございます。これを合せました百七十二億が、これは地方道路のための特定財源となるわけであります。で、地方の負担額が百九十六億でございますから、これを差し引きますと、二十四億ほどが足らないということになるわけでございますが、このうち直轄の負担金があるわけでございます。直轄の負担金は三十億九千九百万円でございますが、この負担金につきましては三カ年据え置きで十カ年間の均等償還ということになっておりますので、この分を考えに入れますと、地方の道路に対する負担額はまかなって余りがあるということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/59
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060・田中一
○田中一君 この負担率は再建整備法を適用している府県も、そうでない府県も同じでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/60
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061・富樫凱一
○政府委員(富樫凱一君) この今申し上げました数字は、再建団体とそれから再建団体でないものとを区別しておりません。再建団体でないものとして勘定したものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/61
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062・田中一
○田中一君 再建団体がそのために自己負担でやるという地方ですね、これらに対ける仕事の上の影響はないとお考えですか。それとも影響があるとすれば、どのぐらいの影響があるのではないかという想定に立っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/62
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063・富樫凱一
○政府委員(富樫凱一君) 道路整備といたしましては、十カ年計画を目標に進めて参りたいと考えておるわけでございますが、この計画には再建団体であるといなとにかかわらず、そういうふうに区別をいたしませんで計画いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/63
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064・田中一
○田中一君 この地方財政に及ぼす影響と、それから地方等の事業量が——地方等の事業量というのは、府県が持つ仕事ですね、これは相当縮小されるというような危険はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/64
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065・富樫凱一
○政府委員(富樫凱一君) ただいまのお尋ねは、県の実施いたします県単独の事業かと存じますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/65
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066・田中一
○田中一君 そういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/66
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067・富樫凱一
○政府委員(富樫凱一君) これらにつきましては、起債の面などの点で多少再建団体については圧縮されるようなことになるのではないかと考えるのでございますが、どれだけかということは、ただいまちっと資料を持ちませんので、お答えできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/67
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068・田中一
○田中一君 これだけの増加する道路費というものが、直轄事業は主として直営、いわゆる地建が自分でやるというような考えでおりますか。それとも民間の業者に請負にやらせるというような考えでありますか、その基本的な態度はどういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/68
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069・富樫凱一
○政府委員(富樫凱一君) 直轄の事業費につきましては、従来直営で行います分と、請負で行います分と、大体道路におきましては六・四くらいの比率で、請負が四であったわけでございますが今度直轄の事業量もだいぶ増加いたしたのでございますが、この増加いたしました分については、請負を主にすることになろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/69
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070・田中一
○田中一君 その結果、比率はどういうことに想定するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/70
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071・富樫凱一
○政府委員(富樫凱一君) 大体五・五くらいの比率になるだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/71
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072・田中一
○田中一君 この五百四十七億に上る道路費のうち、用地買収、いわゆる補償、いわゆる敷地に対する、道路敷に対する買収とか、あるいは借用とかがあるのだけれども、そういう面は用地費としてはどのくらいのものを見込んでおりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/72
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073・富樫凱一
○政府委員(富樫凱一君) 道路費は従来は大体工事費の一〇%内外でございましたが、これが最近の情勢から少し比率が増してきております。その比率は、今三十二年度分につきましては、大体七十六億が用地及び物件の補償費に見込まれておりますが、この比率は一二・一%であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/73
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074・西田信一
○西田信一君 北海道開発庁次長にお尋ねをいたします。北海道開発法があって、その目的がはっきりしておるわけであります。国民経済の復興と人口問題の解決に寄与すると、こういうことが明らかになっておるわけでありますが、北海道開発法に従って、すでに第一次の五カ年計画の実施が終ろうとしているわけでありますが、最近公共事業調査特別委員会の調査の答申によりまして指摘されておりまするように、二つの目的のうちの一つである人口問題等については、その解決等についてはわずか三四%くらいしか効果を上げておらぬ、こういうようなことが指摘されておりまして、北海道開発について相当批判的な答申がなされておるわけであります。もちろん北海道開発については、ただ単なる人口問題の解決だけじゃないことは、私もよく承知いたしておりまするが、しかしながら北海道開発の大きな目的の一つである人口問題の解決にあまり効果が上っておらぬということは、どっかに原因があると思うわけでありますが、この点についてまず御意見を伺いたい。どういうところにそういう原因があるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/74
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075・田上辰雄
○政府委員(田上辰雄君) 西田委員のただいまのお尋ねに対しましてお答えいたしますが、北海道開発の目的は、ただいま西田委員のお話にございました通りに、北海道開発法に明記してあることでございまして、国民経済の復興及び人口問題の解決に寄与するためでございます。そして北海道開発につきましては、昭和二十七年度から第一次五カ年計画を樹立いたしまして、本年三十一年度をもって第一次五カ年計画を終了いたすのであります。ただいま西田委員のお話の通りでございます。そして三十二年度から第二次五カ年計画に入るわけでございます。ただいまお話にありましたように、今日までの第一次五カ年計画の経過を見ますと、各方面の北海道開発に対する御理解と御支援にもかかわらず、成績は、その実績は必ずしも予期しておりました点から見まして、うまく行ったとはいえないのではないかと考えております。大体大ざっぱに申しますと、電力開発につきましては、幸いに一〇〇%の進捗を見たのでございます。また住宅の計画につきましても、大体計画に近い線に参っておりますが、他の多くの事業につきましては、大ざっぱに申しまして半分程度、半分より少し上回っておる程度の成績を残しておる程度にすぎないのでございます。ことに人口問題に関しましては、当初の第一次五カ年計画におきまして六百万の人口を一応目標に掲げておるのでございます。これは当初の計画において希望的な人口の目標であった点もございまして、その立て方に十分な基礎がなかったとも申し得るのでありますが、とにかく第一次五カ年計画につきましては、六百万の人口に到達することを予想して臨んだのでございます。それに対しまして、ただいま西田委員がお話しのように、比率といたしまして三四%程度、つまり最近の統計によりましては四百八十万に足らない数字が出ておりますが、その程度しか伸びがなかったのでございます。これにつきまして各方面でいろいろと批判を受けておることは、ただいま西田委員のお話しの通りでございますが、これにつきましては、北海道開発の方針としましては、これに対して言いわけを申さなければならない事情があるのでございます。目的は、国民経済の復興及び人口問題の解決に寄与するためとなっておりますが、必ずしも人口問題を解決するということを第一義に取り上げておるわけではないのでございまして、申すまでもなく人口の収容は客観的な各条件が整わなければ、その増大は期待できないわけでございます。単に人を無理に入れ込むということだけでは、とうてい長続きはしないのでございまして、言葉をかえますならば、経済の復興発展を具体的に進め、そこに人が活動を十分やっていくような客観的条件を先に作って、それによって人口がおのずからふえていくということが順序であると私ども考えておるのでございます。従って、その客観的条件でありまする産業発展の基盤である各種の公共事業というものが十分できない間は、人口の多量の収容というものは期待できないと考えておるのでございます。ところが国の財政上の事情によりまして、北海道開発の第一次五カ年計画におきましては、主として財政的な予算を獲得し得なかった等の事情によりまして、ただいま申し上げましたように、大体申しまして、約半ば程度の実績をおさめるにすぎなかった。しかも第一次五カ年計画におきましては、もっぱら産業の基本施設を整備するというところに主眼が置かれたのであります。そうして第二次五カ年計画以降におきまして、産業的な飛躍的発展を期するという建前で進んだのでございます。そういう事情で、第一次五カ年計画においては、人口収容の実績はあまり上り得なかったのでありまするが、しかし第二次五カ年計画におきましては、相当の産業の飛躍的発展を期しておるのでありまして、それに伴って人口の収容も相当伸びていくものだと考えております。しかしながら、それも第一次の五カ年計画の実績に徴しまして、十分実現性のある数字を検討いたしました結果、次の第二次五カ年計画の終了の年次、三十六年度におきましては、大体五百五十万の人口を収容し得るものだと考えております。大体そういう事情で、過去の実績につきましては、遺憾な点がいろいろあるわけでございますが、第二次五カ年計画におきまして、これを相当取り戻して、大きく発展していくことを期待いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/75
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076・西田信一
○西田信一君 お答えによりますと、第一次の六百万というのは希望的な目標人口であるということと、客観情勢が十分整わないために目的に非常に遠かった結果がある、こういうお答えなようでありますが、しかも、人口問題の解決ということは、第一義的には考えておらないのだ、こういうことも、つけ加えてお話があったわけであります。そこで私はずっと思い起しますと、北海道開発というものは明治三十四年ごろから北海道開発計画というものがあり、それから明治四十三年ごろに第一期の拓植計画が立てられ、さらに昭和二年ですか、第二期の拓植計画が立てられた。すでに二十年以上過去においてすら目標人口六百万と立てておった。しかも戦後の島が四つになった今日において立てられた目標人口も六百万であった。それがいかにもその目的に達しなかったとはいいながら、明治時代から大正、昭和にかけまして六百万の目標人口を持っておったその北海道開発が、しかも重要性が加わっておるにかかわらず、今日に至って、たとえそれがきわめて現実性のある数字とはおっしゃっておりますけれども、人口問題解決というこの法律の大目的に沿うためには、少くともただ自然にこの程度しか北海道に人間が行かないのだという点でなくて、進んで積極的に北海道に人口を収容する、あの青森の津軽海峡からこっちに九千万のうち八千五百万以上おるのが現実である、あの広い国土の四分の一を占めている北海道にわずか四百万台くらいしかいないということが現実でございまして、しかも収容の余地があるわけです。資源もある。でありますからして、ただこの程度の開発をやったらこの程度しか人が行かないという観点に立って目標人口を下げるということは、これはいかにも逆行しておる。こういうふうに考えるわけであって、この公共事業特別調査委員の答申があってから、これによりますと、もうすでにわが国の経済復興は終っておる、人口問題の解決もこれは北海道に望めないのだということを言っておるようでありますが、こういうことを認められてそういうような人口計画の後退を来たしたのであるかどうか。私はむしろ進んでもっと積極的ないわゆるいろいろな人口を収容する措置が講ぜられて、初めて人口は北海道に移って行くと思うのであります。その点はあなたと同感でありますが、そういう積極性が欠けておるのではないかと思うのでありますが、そういう点に対するお考えはいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/76
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077・田上辰雄
○政府委員(田上辰雄君) お話の通り、北海道は土地面積も全国の二一%の広大な地域を持っております。そうして人口についてはわずか全国の五%余りでありまして、なおかつきわめて豊富な資源を持っておりまするのでありまするからして、将来北海道に相当多くの人口を収容し得ることは、これは公知の事実であると考えるのであります。従ってただいまお話のように、将来何らか強力な施策によりまして、もっと多数な人口を収容し得るようにしなければならないというお考えにつきましては、私ども全く同様の気持をもちまして努力をいたしたいと存ずるのであります。しかしながら、ただ人口をふやすと言いましても、過去においてもいろいろと北海道の開発、特に人口を収容することにつきまして、いろいろな施策が行われたのでありますが、しかしながら具体的な環境の整備がなければ、どうもその人口収容の実を上げていくことはできないと思われまするいろいろな事実もございます。たとえば終戦直後におきまして、三十万以上の引揚者あるいは疎開者等が特別に急激に終戦直後にふえたようでございますが、これらはやはり開拓民を初めいろいろな苦境に立ちまして、今日までいろいろな問題を残しているわけであります。その後朝鮮ブーム等によりまする内地の好景気等の影響もありましたと考えられるのでありますが、ある年、たとえば二十六年、七年等におきましては、逆に北海道から内地の方に移っていく社会人口の減の方が多かったというふうな現象も見ておるのでありまして、これはどうしても客観的な環境というものを作らなければならぬ、産業も興さなければならない、ことに第二次産業を中心としましてこれらの産業の躍進をはかり、これに伴って第三次産業等の影響によりまして、大きく人口を収容していかなければならないと考えるのであります。なかなか希望をいたしておりましても、その条件を整備するということが先決問題だと考えるのであります。従って第二次五カ年計画におきましては、その点を十分勘案いたしまして、一つには過去の実績に徴して、また一つには現在の情勢にも応じまして、実現可能な堅実な計画を第二次五カ年計画においては特に主眼といたしまして考えておるのでありまして、その結果いろいろな観点から五百五十万というのが適当な予想人口であると考えたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/77
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078・西田信一
○西田信一君 私もあなたと同じ考えを持っておるのです。その客観情勢をこしらえてやらなければ人口はふえない、私は極端に言うと、今のあれは北海道の人口の問題ばかりでなく、産業の問題も含めて考えますと、北海道は何かパンプ・アップをしておるわけです。パンプ・アップをして人口が低い方に逆に流れてくる、これは自然流下で流れるようにしなければ、産業も発展できない。しかしあなたは理屈はわかっておりながら、つまり責任官庁としてこれに対していわゆるどういう客観情勢を作ってやればよろしいかということの熱意が足りないのではないか。この程度の予算ではこの程度しかできないから、それに見合う人口はそれくらいであるというような、それから逆に自然に流れていく人口を想定したのが五百五十万だろうと私は思う。
そこで、大臣もおられますから、ことに北海道出身の大臣でございますし、お尋ねをしたいのでございますが、この間首都圏整備委員会でも伺いましたけれども、私も調べてみたのですが、事実その通りであって、東京その他六大都市にはどんどん人が集ってくる。しかもこれは低所得者ばかり集ってきて、都の財政にも寄与しない、そのためにこの首都圏整備の目的は、人口の制限にある、人口の分散にある、あるいは工場の制限にある、あるいは大学の制限にあるというようなことを伺いましたが、これも十分実効が上っておらない。こういうことであって、一方においては人のふえるこの日本において人口を制限しなければならない、人の入ってくるのを押えなければならないという立場にある。また一方においては、おそらくは日本国内において人口の問題を解決するということを法律にうたっているのは北海道以外にないと思う。東北等ももちろんこれはありましょうけれども、そういうような一方は制限しなければならない、一方は受け入れる立場にあるのだ、そういうことについて、ただ自然に人口がこの程度しか行くまいというようなことでなくて、私は少くとも人口問題について、政府機関としては人口問題研究所というものか何かあるきりで、これは厚生省の所管でございますが、積極的に閣内等において、この日本の国内における人口問題をどう調整するかというような問題について検討をなされなければならぬと思うのでありますが、岸内閣の閣僚として、ことに北海道についての深い御認識のある大臣として、この内閣はどんなふうに考えておるのか。北海道にたとえば人口を何年かの間に百万落すとか、五十万をよこすとかいう、そういうような人口の移動計画というものに基いたところの裏づけがあるいろいろな政策が、単に公共事業だけでなくて、経済政策等もそれに並行しなければならぬと思うのですが、そういうような施策が欠けておれば、これはいくらやってもパンプ・アップで逆流する。今お話がありましたが、現に五カ年間のうち三年間は、逆に毎年北海道で生まれた人がこちらに流れて来ておる、こういうことでは北海道開発の目的にも沿わないし、また北海道開発もできない。北海道の開発ということは産業人口をふやすこと以外に方法がないことはよくわかっておりますが、これに対するもう少し積極的な政策というものが行われなければならないのじゃないかと思うのでありますが、これに対して大臣のお考えも、また内閣としてのお考えも伺いたい。同時に北海道開発庁についてもそういうような積極的な考えをもって北海道開発に対する施策をやるお考えがあるかどうか、お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/78
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079・中山福藏
○委員長(中山福藏君) ちょっとただいまの質問に関連して、私もお答えを願いたい。大体政府の第一次五カ年計画というものは、かくもずさんなものかという感じを与えますね、ただいまの北海道開発庁次長の御答弁では、結局客観情勢の変化によって、こういう五カ年計画というものは不可能に帰した、こういうことに結論はなっておる。そういたしますと、第二次計画というものもわれわれは信用できないということになりますよ、せっかく今予算をお組みになっても。そういう点に関連して、不動の、政府の今度この北海道開発庁に対するところの予算関係で確固たる信念に基いて、第一次五カ年計画のようなぶざまな状態に終らないという確信を持っておやり下さらんと、予算審議に当っても非常に私どももまるででたらめの予算を審議するような気持になるのですが、そういう点について一つ大臣がおられますから、せっかく北海道の御出身でもありますし、一つここで明快な御答弁をわずらわしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/79
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080・南條徳男
○国務大臣(南條徳男君) ただいま西田君並びに委員長からの北海道開発についての御質疑でありますが、私は北海道出身の国務大臣として、自分の個人的な在来の意見もございます。閣僚としての責任ある立場から申し上げなければならぬことでございますが、これは西田委員等もよく御承知の通り、北海道の開発ということは私ども衆議院においても、参議院においても、また朝野をあげて北海道開発というものについてのいろいろな施策を検討いたして参っております。さようなことから結論と申しますか、大きな意見の一致するところは、北海道は要するに本州に比べて寒冷地である、特殊な地帯である、それから遠隔の地にある、こういうようなことを見合って、北海道に対する保護政策と申しますか、道民に対する生活の保護を、これを税金の面におきましても物価の面におきましても、あるいは石炭手当などもそれからくることでありますが、輸送の運賃の問題におきましても、あるいはまた長期の金融の点についても、また公共事業費の投入についても、道路の整備をよくするとか、河川の改修をするとかいうような、あるいは港湾の整備をするというような問題についても、これは全部一致した意見なのであります。従来の第一期計画などについての人口問題が失敗に終ったということは、昨年の凶作で——これは前々から問題であったのでありますが、特にこれがあげられておりますことは、寒冷地に対する入植者の対策が、非常に保護政策が不完備であったという結論を私ども見出したわけであります。北海道はああいう寒冷地でありまして、特に水田地帯でないところは有畜農業で、畜産によることが最もよろしい、まあアメリカのような方式でいくことが一番いいのでありますが、それには牛なり馬なり、こういうものを相当この入植者に与えて、そしてあの雪の多い零下何十度という所では、住宅等についても木造じゃなく、ブロック建築のようなものをやって、そうして長期にわたって定住できるような生活様式を作ってやるとか、国が思い切った保護政策をやらなければ、一ぺん凶作があると、一ぺんに昨年のような大騒ぎをするというようなことで、馬や牛をたくさん持った入植者はある程度までは成功いたしております。こういう点から見ると、今までの道庁の施策なり国の施策というものは、入植者に対する保護政策が不完全であった。こういう点について、このたび政府は寒冷地の農業対策についての特別委員会を作りまして、根本的に解決しようということで、ただいま農林省も乗り出しているようなわけでありますが、ぜひともこれはそういう方向に持って行って、ああいう寒冷地の農業政策というものを改善しなければ、農業の改善、人口の増殖問題も解決できぬと思っているのであります。従ってそういう方向に向って私どもは今後の政府の施策をもっていきたいと思います。
それから何と言いましても、人口の増殖率を大きくするのは生産工業をふやすということであります。これには北海道の地下資源、あるいは山林、港湾等を利用しまして、これらの第二次加工、第三次加工を伸ばすという方向に持って行けば、これは首都圏の私ども東京都における人口の状況を見ておりましてわかりますが、この付近も工業が起るということで人口が伸びております。こういうものを吸収するためには北海道の道民の生活をもっと楽な生活に、本州の人よりも余分な待遇を受ける必要はないが、この寒冷地と見合った——昔の満州国であるならば、満州国に居住する者に国は相当保護政策を与えておった、恩給の面においても、あるいは給与の面においても、あるいは寒冷地手当においても。ところが今日の北海道は内地延長主義でありまして、北海道の行政は内地の行政と同じであります。私はこの点において施策の面に間違いがあると思っているのであります。従いまして、物価にしても、同じ消費物価にしても小売値段が北海道は非常に高い、なぜ高いか、原料は北海道から内地に運んで、加工は内地でして、その製品を北海道に持って行く、その青函の運賃は実キロ百十一キロが四倍の四百四十キロ分払っている。これでは非常に北海道の道民というものは、そういう面においても差別待遇を受けていることでありますから、これらはどうしても改善してもらわなければならぬので、今度の運賃値上げの機会に、この四百四十キロのものを二百五十キロということに運輸省を承諾させまして、漸次これを改善しつつあるようなわけであります。こういったことによって北海道の消費物価もだんだん下るだろう。
また昔は拓植銀行というようなものがありまして、二十年、三十年というような拓植債券によって長期の金融ができた、これによって北海道の道民というものは非常に恩恵を受けたのであります。この拓植銀行が戦後普通銀行となりまして、長期の金融ができない、そこで長期の金融を受けるとすれば金利が高い、こういうことから私どもは昨年北海道開発金融公庫というものを設けまして、これによって長期の融資をして、北海道の資源の開発に当らせるということになっております。政府においても、昨年は八十億でありましたが、今年はさらに四十億を増額いたしまして、相当活発にこれらの資金が北海道の産業に役立つことになりますとともに、目立って北海道の工業というものの生産が伸びることによって人口も増殖されることになり、だんだんこういった隘路が打開されますことは、北海道の第二次計画においても私はその実効を上げられるのじゃないかと思うのであります。私ども北海道人としての閣僚の一員といたしましては、さような見地から、あまり全国的に見た場合には、北海道のみの特殊な取扱いはできませんけれども、できるだけこの北海道の開発というものが日本の国土開発に非常な役割をするという観念に立って、機会あるごとに調整する。建設省関係の道路にいたしましても、さような見地から今年は相当開発道路、あるいは舗装道路等もふやしまして、特にまた議員立法でできました積雪寒冷地帯の除雪費というものも、今年は十億ほど見積ってもらいまして、北海道には約半分ほどこれが消費されますと、冬の間でも除雪をしながら北海道の産業開発に寄与できるというようなことになったことは、一面今回の政府の施策として私は最も意義のあるものだと考えておるわけであります。逐次さような方向に持っていって、今日の北海道開発に資したいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/80
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081・北勝太郎
○北勝太郎君 ただいま大臣のお話で、北海道の人口の伸びないのは、保護政策が不完全だからというお話でありますが、ところが今度のガソリン税あるいは軽油税の増徴は、北海道はどうしても種畜農業でいかなきゃならぬところであるにかかわらず、それが根本からやれなくなってしまう、そういう点につきまして北海道の農業人口をふやす、農業生産をふやすということはちょっとめんどうになってきております。これに対してどういう工合にお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/81
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082・南條徳男
○国務大臣(南條徳男君) この農業用のガソリンの値上げはどうかということは、前にも御質問がありましたが、今回の値上げについては、農業用のガソリンその他特殊のものについては値上げをしないことになっております。それからなおこの機会に申しておきますが、北海道は昨年精油工場が二工場できまして、これによりまして、最近聞くところによりますと、一キロ当り約二千円ぐらいが値下りになっておる。今までの本州から持って行ったものよりも、北海道の地元の精油工場で生産されることによって、二千円なり三千円の値下りになった。こういうことは北海道の産業に非常に私は貢献するものと考えておるものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/82
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083・北勝太郎
○北勝太郎君 北海道の農業は種畜農業でなければならぬことは、今お話の通りでありますが、ところが今度の軽油引取税ですか、これらにつきましては、主として内地式の米麦並びにカンショ、バレイショ等々に限って、これは非課税になっていますけれども、そうでない一番北海道の種畜農業のために大事な牧草ですね、牧草地の耕転並びに牧草の刈り取りですね、こういうものに対しまして、軽油税が上りますために、せっかくの機械があっても機械を使うことができない形になります。こういうことのためにほとんど生活権を奪われるようなものだということを言っておりますが、これに対してどういうようなお考えを持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/83
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084・南條徳男
○国務大臣(南條徳男君) 今の農業経営についてのさような機械についてのお尋ねでありますが、私は軽油税のことはよく調べますが、しかし、かりにそれがその場合に値が上りましても、それによって農業経営が営業できないというほどのそんなガソリンを消費するものじゃない。そんな大きなトラクターや何かを農村で使っておるものではないと思うのでありますが、これは全体の収穫率と、それからガソリンの消費量との率をよく比較されて、それでどんなものかを一つ御研究願いたいと思います。私はそれほど営農の全体に大きな面を占めるものではないと考えております。ことに私は先ほども申しましたごとく、北海道で今までキロ当り二千円も三千円も高いものを農家がガソリンを使っておったのが、今度は北海道の地元に精油工場が室蘭と函館にできまして、大体三千円平均が値下りしておるわけです。こういうものがもしなかったとするならば、どういうことになるか。ですからこれはもう少し……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/84
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085・北勝太郎
○北勝太郎君 油が安くなったというお話ですけれども、むしろ例のスエズ問題その他からずっと油が高くなってきています。わずかに三千円ぐらい安くなりましても、値上りの方が五千円、七千円であれば、これは何にもならないことになる。ところが実際問題として非常に値上りをしておるそうでありますが、この点について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/85
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086・南條徳男
○国務大臣(南條徳男君) スエズ関係で一時やみ値が八千円ぐらい高くなりましたけれども、石油会社では、絶対値上げはしないということを通産省に約束をしておりまして、公定の価格は上っておりません。従ってスエズ運河が開通した今日は、船運賃も相当低落して参りましたし、正常にだんだんなりつつありますから、従ってこのやみ価格というものが下りますと、私は北海道における原油の精製によってキロ当り二、三千円下るということは、北海道の道民にとって非常にプラスであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/86
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087・北勝太郎
○北勝太郎君 近来農業機械化が非常な勢いで進んできておるのでありますが、その非常な勢いで進むのは、単に一時の流行じゃなくて、深い理由があると思います。その根本の理由についてお考えになっておりますならば伺いたいと思います。決して大臣が言われますような、農業の機械化の油は少いというようなものじゃない、こう思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/87
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088・南條徳男
○国務大臣(南條徳男君) これはどうでしょうか、私からでなくても……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/88
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089・西田信一
○西田信一君 それじゃ、建設大臣は非常に現地に理解のある御答弁がございましたが、ただ私はそういうようなあらゆる総合施策は必要であるが、お聞きしたいことは、少くとも日本の政治のうちで人口問題というものは大きな問題だと思うのです。経済問題もすべて人口問題から発するものと言ってもこれは言い過ぎじゃないと思うのでありますが、そういう人口問題について、しかも国内において相当調整の余地が残っておる。この国内の人口調整等について、少くとも閣内においてこの問題が取り上げられて、大方針が打ち立てられて、それを基礎にしたいろいろな総合施策が講ぜられなければならぬ、この方が先じゃないか。そういう考え方の大方針をきめるということ、そういうことについて一つ御努力を願いたいし、そういう考えがおありになるかどうかという点を、まず先ほどもお聞きしたわけであります。
それから、いろいろ施策を考えられておりますのは大へんけっこうでありますが、先ほどお話の中にも、人口問題の解決はそう大幅には考えられない、そこでやはり近代工業、鉱工業を伸ばしていくことが必要だというお話がございましたが、答申の中にも同様のことが指摘されておるわけです。そこでこの首都圏なんかも人口制度が大きな目的である。あるいはまた政府が出しておる法律の中に、工場の設置を制限する法律案が出ておる。そこで逆に、工場を制限する側の方はきわめて施策が具体化しておるけれども、人口をふやすためのいろいろな施策というもの、たとえば工場を制限する法律があるならば、むしろそういうものを伸ばしてやるような、逆に助長してやるというような法律があってしかるべきじゃないか、こう考えるわけでありますが、そういう点についてどのような——これは直接のあれじゃないかもしれませんが、どういうお考えであるか、お聞きしたいのと、それから次長にお尋ねいたしますが、この答申によると、農業の偏重政策から鉱工業人口に重点を移せということが指摘されております。そこで大臣も今同様の御意見でございましたが、この北海道開発の来年度の予算は、道路も河川もいろいろありますが、これらは農業重点からそういうような方針に沿うたところの予算であるかどうか、そういう点に重点が移されておるかどうかということについて、次長の予算に対する考え方をお聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/89
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090・田上辰雄
○政府委員(田上辰雄君) 本年度の予算におきまして、農業につきましても、また産業の基盤となる各種の公共事業につきましても、相当の伸びを見ておるのでございます。人口問題に関連いたしましては、先ほど申し上げましたように、将来鉱工業を中心とした第二次産業、及びこれに伴うサービス業である第三次産業というものを中心として人口を多く収容していけるということを申し上げたのでありますが、しかしながら、農業につきましても、北海道におきましてはきわめて重要な事項でございまして、土地改良を初め開拓事業等につきましても、これは今後ますます力を入れていかなければならない産業であると考えておるのでございます。ただ、人口の収容につきましては、第二次産業を中心として期待しなければならぬというだけでありまして、その重要性におきましては、農業におきましても決して遜色はないと信ずるのでございます。
実は、関連をいたしまして、先ほど委員長のお尋ねになりました第一次五カ年計画の実績にかんがみて、第二次五カ年計画もきわめてずさんなものではなかろうか、果して実現できることであろうか、非常に不安を感じるという意味のお言葉がございましたが、これに関連いたしまして、五カ年計画の大ざっぱなことと、本年度予算の概要を申し上げることをお許しいただきたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/90
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091・田中一
○田中一君 私は、社会党の立場でありますけれども、大臣もお忙がしい中を、こうしてすべての議案並びに調査を審議しようとして努めておるのでありますが、まことに残念ですが、今の西田委員の御発言は、一切この委員会に関係ないことが多くて、これはわれわれ野党として御協力申し上げておる審議において出席することはできません。従って、先ほども三時半に大臣がお帰りになるというので、私はたくさんの大臣に対する質問が残っておりますけれども、やむを得ませんから退席いたします。委員長に注文をつけますが、こういうような運営は、結局われわれはこうした審議の進捗をはかろうと思って努めておるのでありますけれども、今後とも委員長において適当な措置をとっていただきたいと思います。われわれ理事会の申し合せもございますが、きょうはこの辺で、ごめんこうむりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/91
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092・中山福藏
○委員長(中山福藏君) 大臣は予算委員会に御出席になるというので、退席されたいという御希望でございますが、皆さん御異議ないと思いますが、どうでしょう。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/92
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093・中山福藏
○委員長(中山福藏君) それじゃどうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/93
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094・西田信一
○西田信一君 次長に一つお尋ねいたしますが、北海道のいろいろな保護政策を強化しなければならぬということは、ただいまお話のあった通りであります。そこで、たとえば、道路法の八十八条におきますと、これは特例が設けられてあって、北海道に対しては特に高率の補助を出すというようなことになっております。これは一つの例を申し上げるのでありまして、必ずしも道路に限らないわけでありますが、そういう道が開かれておるにかかわらず、土地改良であるとかあるいは補修であるとか、災害防除、こういうようなものについては、せっかくの法律の恩典がこの予算の上に現れてないように思うわけでありますが、これは何か特別な理由があるのかどうか。少くとも、先ほどのような基本的な考え方に立つならば、これらに対しましても、高率の補助が予算に現われてしかるべきじゃないかと思うわけでございます。それから、これはこの予算にないことが非常に残念に思うわけでございますが、補助予算の中で、地方公共団体に対して、地方公共団体が最近非常に土木工事、ことに道路工事等も機械化をはかっているのですが、道路工事等の機械化に対する補助等をお考えにならなかったかどうか、この二点についてお答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/94
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095・田上辰雄
○政府委員(田上辰雄君) 北海道の特殊性にかんがみまして、大蔵省におきましても、特にこれを認識いたしまして、法律に基く具体的な予算の査定に当りましても、予算の許す範囲ということで、その限度におきまして、ただいまお話しのように、北海道における事業につきまして、地元負担を軽からしめるために補助率を特に上げておることは、ただいま西田委員のお話しの通りであります。しかしながら、中にはいまだに内地と同率のものもありまして、これらにつきましては、具体的な個々の事業につきまして、いろいろ努力を続けておるのでございますが、国の財政事情等の関係もありまして、実現し得ないものもございます。しかしながら、大体におきましては、北海道の事業につきまして、負担率が内地分よりも少く、補助率を高めておるような事情でございます。
なお、特に機械につきましての補助のお話がございましたが、これも同様できるだけ努力はいたしておりますが、ただいまのところでは、機械につきましては、直轄事業の予算はともかくといたしまして、除雪の関係だけは特に補助が考えられておりますが、その他の事業につきましては、遺憾ながらまだ認められておりません。今後とも、できるだけこの点につきましては、努力をいたしたいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/95
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096・西田信一
○西田信一君 補助率の引き上げについては、ぜひ御努力願いたいと思います。それから町村その他地方公共団体、ことに市町村の土木工事の機械化に伴う補助の問題に関しましては、建設省でもこれは予算が出たことがあるわけです。その後、これが打ち切られておりまして、しかも、要望は非常に強い。ことに北海道のような特殊地帯におきましては、特にこの要望が強いわけで、私の調べたところでは、北海道の市町村だけで五カ年計画で十五億円くらいの機械を購入したいというようなことであって、それに対しましては、さらに一つ一段とお考えがおありになるならば御努力を願いたい。
それから最後に一つお尋ねいたしますが、これは、過般建設省当局からもお聞きをいたしまして、そういう食い違いはない、そごはないということでございましたが、あなたの方が開発予算を要求される、これは当然あなたの方で要求をされるわけでありますが、建設省でも、あるいは直接関係ありませんが農林省でも、関係各省がそれぞれ参考的に予算要求をしておられる。この間におきまして食い違いがありますると、これが予算要求の上にも相当支障があるというように考えられるわけでありまして、特に取り上げてかれこれ申しませんが、こういう点について十分緊密な連絡をとっていただきたいし、とっておられるかどうか。将来もとっていただきたい、この点についての従来のやり方、あるいはまた考え方、また私の希望に対してお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/96
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097・田上辰雄
○政府委員(田上辰雄君) 前段の各種事業、ことに機械についての補助につきましての努力は、お話によりまして、また各方面の要請の強いことも存じておるのでありまして、今後できるだけ努力をいたしたいと思います。なお北海道におきましては、最近公庫の関係の事業としまして、機械開発株式会社を特に慫慂して最近設立されたのでありますが、これらを十分活用することにおいて、お話のような希望の線にも沿うていきたい、こう考えております。
第二のお尋ねの道路予算を始め、建設関係の各予算の要求等につきまして、十分協力するようにというお話がございましたが、これにつきましては、予算請求の建前は一応北海道分につきましては、開発庁がこれを要求する建前になっております。これは御承知の通りでございますが、しかし、実施につきましては、建設省がこれを第一監督官庁としていたしておるのでありますからして、当然建設省の意見を十分とり入れていかなければならないわけであります。それについてこまかいことにつきましては、双方の意見を戦わなければならぬということもあるわけでございますが、今日までのところ、建設省との連絡は双方によりまして十分積極的にとっておるのであります。また人事の交流等におきましても、その点を十分考慮されて取り計らわれておるのでありまして、幸いに今日まで遺憾の点もございません。ただ御注意の点は十分留意をいたさなければならぬ。将来ますます緊密な連絡をとりまして、何ら支障のないように協力をいたして参りたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/97
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098・西田信一
○西田信一君 北海道開発の公共事業等の予算が相当大幅に増額をされて参っておりますが、これはひとり北海道のみに限らないのでありまするけれども、ことに実施をする機関は、それぞれ関係各省に移るわけでありますから、直接のお答えをいただくことは困難かと思いますが、予算を獲得されて各省に移しかえをされる、その責任官庁の立場において、ことにあなたの方の人件費はあなたの方の予算になっておりますが、人はちっともふえておらない。こういう点について事業実施上支障がないかどうか、この点に対するお考えを……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/98
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099・田上辰雄
○政府委員(田上辰雄君) 北海道開発の予算は、お手元に配付してありまする資料をごらんいただきますと、おわかりいただけるのでありますが、年々相当大幅な増を見ておるのであります。昭和二十六年度を一〇〇といたしますと、三十二年度は二八九%に当っておるのでありまして、大幅にふえております。これらの事業が増加するに伴いまして、これを消化して参りまする人員も相当にふえて参っておるのであります。しかしながら、三十二年度におきましては、三十一年度予算に比較いたしまして四十三億の事業増を見ておりますが、人員の増はないのでございます。これらにつきましては、相当私ども苦慮をいたすのであります。お話の通り人員をふやす必要はあると思いますが、しかしながら、一面公務員の人員を逆に減らしていかなければならないという大きな観点もございますので、今回は現在の人員だけでこれを何とか支障のないように事業実施を進めて参りたいと考えておるのであります。たとえば、その方法といたしましては、事業をできるだけ重点的に実施をいたす、そして監督個所を少くするというふうなのも一つの方法でありますし、また事業の仕事をやりくりにつきましても、全体の調整をさらに巧妙にいたしまして、何とか本年は支障のないように実施して参りたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/99
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100・西田信一
○西田信一君 最後にもう一点、これは過般建設省の見解を聞いてあるのでありますが、今度多目的ダム特別会計の法律案が出ております。これは北海道については、河川は国費の支出であります関係上、いわゆる地方負担によるところの事業費の増にはならないわけでありますからして、北海道は特別会計の範囲外に置くということが適当であろうと思いますが、この点については建設省と見解が統一されておるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/100
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101・田上辰雄
○政府委員(田上辰雄君) 多目的ダムの特別会計につきましては、最近連絡がございまして、いろいろ建設省とも御相談をいたし、かつ大蔵省とも協議をいたしたのでありますが、北海道の多目的ダムにつきましては、この特別会計に加わらないということに結論をつけたのでございます。その理由につきましてはいろいろございますが、大体申し上げますと、負担につきまして、少くとも人件費、事務費等を新たに地元側に負担をさせるという問題がございます。これにつきましては必ずしも——僅かであるという観点もございますが、地元におきまして相当問題であろうと考えるのであります。かつ、これは農林省関係の土地改良の特別会計とも関連がございます。この方に関しましても、相当大きな地元の負担ということが生じてくることが考えられる。さらに所管の問題につきましても、特別会計になりますと、農林省に土地改良の費用が移されると、しからば北海道関係の発言の機会が少くなりはしないかという点、同じような点は多目的ダムの方にも起り得るわけでございまして、これらの点を勘案し、今回の多目的ダムの特別会計にも、また土地改良特別会計にも一応加わらないという態度を決定いたしておるのであります。将来の問題につきましては、十分いろいろ考究をする必要があろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/101
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102・中山福藏
○委員長(中山福藏君) ちょっと私から尋ねておきますが、この道路事業費というのが七十九億五千百五十万円ということになっておりますね。これはさっき言い落したのですがね、大体明治、大正、昭和の三十二年まで、百年になんなんとする経験と知識を持つ行政官庁の首脳部を持っておられて、それが今ごろになって環境の変化によって云々というような答弁は、これは四、五年北海道におった人だったら、そういう言葉はうなずける、私どもが聞いても、百年のことを集積された知識を結集しておる行政官庁の最高首脳部が一つの政治行動を始める前に、それが第一次五カ年計画が的がはずれるなんということは、そういうことは私にはうなずけないのですね。そういうその都度、その場あたりの答弁をなされるようなことでは、実に国民に対して相済まぬのじゃないかということを考えるのですがね。この道路事業費なんかも、この道路のただいま申し上げた計数も相当な金なんですね。それでたとえば面目が降って何尺凍る、私がこの前行ったときは、三尺くらい凍るという話も聞いた、所によっては。そういうことが、だいぶ統計的に北海道庁なんかには現われておるはずなんですがね。そういうことを基礎にして道路計画というものは立てられておるかどうか、一ぺんその点を聞いておきたいと思うのです。もうきょうは北海道は大体終りますがね、だからあわせて私はそれを聞いておきます。どういう基礎の上に立っていろいろな計画を立てられておるか、ただその場その場で行き当りばったりの現象に対してすべての計画をやるというようなことでは、ちょっと困るのですがね。これはそういうふうな感じを受けるのですね。私どもは第一次五カ年計画が失敗したというようなことから考えると。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/102
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103・田上辰雄
○政府委員(田上辰雄君) 北海道の五カ年計画は、第一次五カ年計画におきましても、決して行き当りばったりの計画ではないのであります。これは北海道開発庁におきましても、北海道開発審議会がございまして、衆参両院の議員の方もお入りになっております。また学識経験者として一流の方が入っておるのであります。なおそのほかに特別委員というのがございまして、各方面の学識経験者をほとんど網羅をして、これが長年かかって研究をいたしたのでございます。そして第一次五カ年計画は、先ほど申し上げましたように、成績はきわめて不振だとは申せますが、しかしながら、国の計画を立てておりますもののうち、たとえば治山治水のような重大なものでも、三分の一しか実現できなくて、計画をぜひ変更しなければならぬというふうなものもほかに相当あるのでございます。これは私どもとしましては、相当第一次五カ年計画のときには、私はこれに関与をいたしておりませんけれども、しかしその当時としましては、全力をあげて具体的にいろいろな事業を、道路につきましても、各道路一々に具体的な計画を立てて、そうしてその当時千三百億という公共事業費が必要だということで出発をいたしたのでありますが、しかしその計画が、主として予算の獲得ができなかったという理由で、先ほど申しましたような実績になっております。
第二次五カ年計画におきましては、その過去の実績を十分慎重に検討いたし、さらに最近の実情、将来の動向等も考えまして、そうして七千百五十億の総事業というものの計画を具体的に立てまして、これが公共事業関係としては大体千五百億の予算を要するということで、計画を進めております。この千五百億を、かりに五カ年でございますから、五分の一にしますと、三百億というものが必要になってきます。それに対しまして、本年度の予算は二百三十一億でございますので、数字の上では三百億に足らないわけでございますが、しかしこれは第二次五カ年計画としては初年度のことであり、最初から五分の一の費用を要しないというものもございます。それから、なおその予算のほかに、先ほど建設大臣からのお話もございましたように、昨年から、北海道開発公庫ができまして、これが八十億の運用資金をもって発足いたし、三十二年度におきましては、百二十四億の運用金をもって活動をいたしまして、産業の開発をねらっておるわけでございますので、第二次五カ年計画は、決して委員長の御心配になるような、第一次五カ年計画の実績のようなみじめなことは起らぬということを確信をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/103
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104・中山福藏
○委員長(中山福藏君) これは、会計年度が非常に影響していると私はみているのです。すべての作業が進捗しないのは会計年度を温暖地方の会計年度の事業を施行するのと、寒冷地帯の事業の着手、完成というものに対する認識というものとの差異から、そうした結果が大なる影響をここに現わしていると私はみている。だから会計年度を全国一律にやっているということが、あなた方の事業が蹉跌する唯一の原因になっているのじゃないかと私は考えているのです。その点はどうですか、あなた方の体験者としてのお考えを一ぺん承わっておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/104
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105・田上辰雄
○政府委員(田上辰雄君) 会計年度の問題は、委員長のお話の通りでございます。しかし、これが事業の進捗しなかった唯一の原因とは考えておりません。会計年度につきましては、委員長もよく御承知だと思いますが、事業が、十二月にはできないような事業が多いのでございまして、三月末までほとんど事業が進み得ない、もっとも砂利取りのようなことは雪が降ってもできるわけでございますが、大部分の野外の仕事というものは、非常に困難を来たしております。従って、これが会計年度を北海道のために特に変えたいという主張は、従来からあるのでございますが、遺憾ながらこれが実現をいたしておりません、ただ、こういう不便な会計年度にもかかわらず、これが年々繰り返されて参りますので、私どもはいろいろな手順を考えまして、できるだけそうした天候と会計年度の関係の矛盾を支障のないようにするような手順をいろいろ考えながら、今日までいたしているのでございます。従いまして、現地におきましては、とにかく非常なる不便はございますが、何とか支障を少からしめるような努力を続けているような次第でございます。お話のように、会計年度が一つの支障になっているということは申せますが、何と申しましても、一番の悪条件は、先ほど建設大臣もお話の通り、寒冷地でございまして、冷害その他いろいろな支障がある。土地の建設なり各種事業につきましても、地下工事から始まって、まるで内地とは異なったやり方をやらなければならぬし、費用もかかる。また人件費にしましても、寒冷地手当が必要であり、また今の雪の間にストックを寝かしておかなければならぬということもございますし、事業によっては中止するというふうなことがありまして、寒冷地であるということからくる非常な支障、また遠隔の地でありまして、輸送も費用が始終かかる、そのほか個々にわたりますと、いろいろな悪条件が重なりまして、北海道の開発が御承知のように大へんおくれているのでございます。会計年度の問題もその一つの支障ではございますが、ほかにいろいろ原因がございまして、ぜひこの悪条件を解決していく、そのためにできるだけまず基本のものはというので、道路、港湾あるいは河川、電気のような仕事を、すべての産業の基盤となる条件をまずよくしてかかって、その上で第二次の産業を進展して参りたい、こういう建前で目下建設に努力をいたしている、こういうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/105
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106・石井桂
○石井桂君 一言だけ申し上げたい。北海道の開発計画というのは、国土計画を受けた地方計画ですか、どうですか、それをお伺いしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/106
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107・田上辰雄
○政府委員(田上辰雄君) 地方計画であることには間違いございません。しかし、国土総合開発法に基くものでなくて、北海道開発法に基く計画でございます。国土総合開発計画と北海道開発計画との調整の問題は、国土総合開発法の十四条に基きまして、経済企画庁長官の意見を聞いて内閣総理大臣が調整をいたす、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/107
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108・石井桂
○石井桂君 私も西田委員とそれから田上次長のやりとりを、地方計画の内容だと思って承わっておりました。そこで、東京だとかその他過大都市は人口防止の方で夢中になっている。北海道は領土の二〇%持ちながら人口は五%しかない、そこで人口を入れなければならぬ、こういう御計画を今持っていると思います。その方策を実現するのには、やはりいろいろな鉱工業を勃興させるよりほか私はないのじゃないかと思います。そこでその工場を誘致するとか、つまり北海道の気候に合った工場を誘致するとか、そういう工夫がなされなければ、自然増をいたずらに待っても、長い間かからなければ御計画に達しないと私は思うのであります。そこでそういう鉱工業の誘致計画というものはあるのかどうか、それが予算面に現われているかどうか、これだけお聞きしたいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/108
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109・田上辰雄
○政府委員(田上辰雄君) お話の通り、鉱工業の誘致がきわめて重要でございますが、しかしこの予算の上には工場誘致の費用というのはございません。ただ道といたしましては、工場誘致につきましていろいろ努力をいたしております。私どもはしかしながら実際上としましては、各種の公共事業を中心とした生産条件をよくするということによりまして、工場誘致を次の段階でやらなければならぬ。しかし実際上は御承知のように北海道も皆様の御支援によりまして、よほど最近ではいろいろな、道路を初め港湾事業も進んで参りまして、同時に昨年からは北海道開発公庫ができまして、長期低利の資金を得られるようになったのでございます。その面においては相当活況を呈したような状態で工場ができております。なおその上に実際上は予算はございませんけれども、いろいろな方法をもって工場誘致に努力して参りたい、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/109
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110・石井桂
○石井桂君 私はなぜそういうことを質問するかというと、開発庁においてそういう熱意がないのじゃないかということを疑うわけなんです。一例をあげますと、たとえば北海道の、私はしろうとですからわかりませんが、北海道の農産物で寒帯地方に工合がいいと思われるもので、日本になくて生産しているものは何かということを考えますと、砂糖があると思うのです。そしてその砂糖は北海道で唯一の寒帯地方の産物だと私は思うのです。ところがテンサイ糖の大根は南の方にどっさりできる、ところがそれを製造する工場は北の方にあるというので、ほとんど北海道の狭い輸送を使って南の大根を北の方へ向って輸送しているような状況であって、南の方に工場がないのじゃないか。そういうようなときには南の方に製糖工場をうんと設けて、人口を入れるとか、どんどん生産をして輸入の砂糖を防止するくらいな勢いでやったらどうかということも、一つちょっと考えた例なんですが、そういうことはないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/110
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111・田上辰雄
○政府委員(田上辰雄君) 北海道にとりまして、テンサイはきわめて重要な産業でございます。そして主として現在もこれが増産をはかるためにいろいろ計画をいたしておるのでございます。これは農林省の所管でございますが、北海道開発上の重要な問題として私どももいろいろ相談をいたしておりますわけであります。ただいまのお話のうち、南部の方にテンサイ糖が多いというようなお話を伺いましたが、これは逆でございます。北部の方に多いのでございます。北見が中心でございまして、南部にもできますけれども、何と申しましても北にあります。ことに今後の方向といたしましては、北部にうんとこれをふやさなければならぬということでありまして、これは昨年の未曾有の冷害に遭遇いたしまして、北海道開発審議会におきましても大きく取り上げて、これが寒冷地農業の確立の上から言いましても、きわめて重要だということでいたしております。
なお工場につきましても、お聞き及びだろうと思いますが、最近北見の方に具体的に事業を開始しております。これは与党の方にもいろいろな御計画もございますが、私どもとしましても、五カ年計画で一応大きな増産の計画を立てておりまして、さらに農林省と協議をいたしまして、もう少し大きいものにする必要があるのじゃないかということで協議をいたしております。これらにつきましては工場を新たに作る必要もございますので、その見返り物資資金も利用いたしますし、北海道開発公庫の資金も考えまして、工場誘致にも本腰入れて努力をいたしたい、こう考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/111
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112・石井桂
○石井桂君 私は先ほどお断わりしておいたので、しろうとだと申し上げたのは、まああまり記憶がはっきりしてなかったからなんですが、テンサイ糖の産地を私も一時調べたことがあるのです。そうすると、今のおっしゃった北にもどっさりあるようですが、南部地方にもかなりどっさりあるように、私はそのとき二、三年前ですが、調べがありますが、それであなたのおっしゃったように北の方が大部分だという結果は出なかったのですが、その辺次長御存じでなければ、次長の下の方の御答弁でもよろしゅうございますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/112
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113・田上辰雄
○政府委員(田上辰雄君) 北の方が大部分と申したのも少し言葉が過ぎるかとは思いますが、北部の方が多いということは事実であります。これは図面もございますので、適当な機会にお示ししていいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/113
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114・中山福藏
○委員長(中山福藏君) それじゃよろしゅうございますか。ほかにございませんか。
それでは本日はこれをもって散会いたします。
午後三時五十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614149X01119570307/114
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