1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年三月三十一日(日曜日)
午後四時四十四分開会
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委員の異動
本日委員森田義衞君辞任につき、その
補欠として田村文吉君を議長において
指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 千葉 信君
理事
高野 一夫君
榊原 亨君
山本 經勝君
早川 愼一君
委員
勝俣 稔君
草葉 隆圓君
紅露 みつ君
近藤 鶴代君
谷口弥三郎君
寺本 広作君
横山 フク君
吉江 勝保君
木下 友敬君
藤田藤太郎君
山下 義信君
田村 文吉君
竹中 恒夫君
衆議院議員
亀山 孝一君
国務大臣
労 働 大 臣 松浦周太郎君
政府委員
厚生政務次官 中垣 國男君
厚生省公衆衛生
局長 山口 正義君
厚生省社会局長 安田 巖君
労働政務次官 伊能 芳雄君
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本日の会議に付した案件
○失業保険法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○原子爆弾被爆者の医療等に関する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
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001・千葉信
○委員長(千葉信君) これより社会労働委員会を開会いたします。委員の異動を報告申し上げます。三月三十一日付をもって森田義衞君が辞任され、その補欠として、田村文吉君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01819570331/1
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002・千葉信
○委員長(千葉信君) 失業保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。提案理由の説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01819570331/2
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003・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) 失業保険法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
失業保険法は、被保険者が失業した場合に失業保険金を支給して、その生活の安定をはかることを目的とし、昭和二十二年第一回国会において制定され、その後数次の改正によって、制度の整備充実が行われ、今日までよくその機能を果してきたことは、すでに御承知の通りであります。また、日雇労働者の失業保険制度は、昭和二十四年第五回国会において、日雇労働者の失業対策の一翼をになうものとして失業保険法の一部改正の際に創設され、自来、日雇労働者の生活の安定のために寄与してきたのであります。
しかるに、最近における日雇労働者の賃金の実情からみまして、現行の日雇失業保険の給付内容は、必ずしも実情に沿わなくなりましたので、その給付内容を改善し、一そうの効果ある日雇労働者の生活の安定をはかりたいと存ずる次第であります。
また、この機会に、日雇労働者の失業保険制度の適用区域の整備をはかり、さらに日雇労働被保険者を一般の失業保険の被保険者に切りかえる取扱いを実情に即して行うよう措置いたすとともに、失業保険金額の自動的変更に関する規定を合理化する等、失業保険事業の一そう円滑な運営をはかるため、失業保険制度を整備いたしたいと存ずる次第であります。
以上がこの法律案を提出いたした理由でありますが、次にその概要を御説明申し上げます。
まず第一に、日雇労働者の失業保険制度について、失業保険金に二百円の日額を新たに設け、従来の百四十円及び九十円の日額のうち九十円の日額を廃止し、保険給付内容の改善をはかった点でございます。
これは、失業保険の被保険者である日雇労働者の平均賃金がこの制度創設の当時に比して相当上昇いたしており、失業対策事業の就労者の賃金も来年度より引き上げられることとなりますので、この機会に失業保険金の引き上げを実施することといたし、新たに二百円の失業保険金の日額を定めたのであります。また、従来の九十円の失業保険金の日額につきましては、この段階に属するものが、ほとんどまれであり、存続する実益がありませんので、これを廃止いたしました。
二百円の失業保険金は、賃金日額二八十円以上の被保険者について支給することといたしますが、その結果枝保険者中約七〇%の者がこれに該当することとなるものであります。
なお、給付内容の改善に伴いまして、保険料額につきましても、新たに只金日額が二百八十円以上の被保険者についての保険料を十円と定め、これを事業主及び被保険者が折半負担することといたした次第であります。次に、日雇労働者の失業保険制度の適用区域を整備いたすこととした点でのります。
この失業保険制度の適用区域は、従来市町村単位に定められておったのでありますが、最近の市町村合併の結氷市町村の区域は著しく拡大されることとなったのであります。適用区域の拡大されたことに対しては、公共職業安定所の分庁舎を増設する等その機能を強化し、これに対処いたしておりますが、山間僻地、離島等においては日雇労働者の数も少く、そのすべてにわたって対処することは不可能であり、日雇労働者がこの日雇失業保険制度を利用することができない事情が実際問題として生じておりますので、かかる地域については適用区域から除外することができる道を開くことといたしたものであります。
次に、日雇労働被保険者を一般失業保険の被保険者に切りかえる取扱いを実情に沿うよう改めることとした点であります。
従来日雇労働被保険者が二月の各月において十八日以上または六月において六十日以上同一事業主に雇用された場合は、すべて一般の被保険者とすることとなっていたのでありますが、港湾関係の事業・建設業等におきまして日雇労働者が同一事業主に継続的に雇用される状態に必ずしもない場合は、かかる日雇労働被保険者については、公共職業安定所長の認可を受けることにより、一般失業保険の被保険者に切りかえることなく、引き続いて日雇労働者の失業保険の被保険者とすることができるよう実情に即した取扱いをすることといたしたのであります。
次に、一般の失業保険制度における失業保険金額の自動的変更について合理化をはかったことであります。
現行法では、労働省で作成する毎月勤労統計における工場労働者の平均給与額の上昇また低下した比率が二十パーセントをこえるときは、失業保険金額表を改正することとし、その改正前に離職して改正時に現に受給中の者に対しては、平均給与額の上昇または低下の比率に応じて一律に増額しまたは減額した失業保険金を支給することとなっておりますが、一年以上数年を経過して初めて二〇%の上昇または低下があるような場合においては、現行法によるこの増額または減額の措置は、著しく不合理な結果を生ずるものでありますので、失業保険金の増額または減額の措置は、失業保険金額表の改正が行われた場合において、その改正の基礎となった月前の十二月間における労働者の平均給与額の上昇または低下の比率が二〇%をこえるものであるときに限り行うこととし、かつ、その増額または減額についても、一律の率によることなく、受給者の離職した月にかかる平均給与額に対する当該改正の基礎となった平均給与額の上昇または低下の比率を配慮して措置することといたしたのであります。
以上が今次改正の主眼とするところでありますが、このほか必要な条文の整備を行い、一層適正な法の運用をはかりたいと存ずる次第であります。
何とぞ御審議の上、すみやかに可決せられますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01819570331/3
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004・千葉信
○委員長(千葉信君) 本案に対し、御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01819570331/4
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005・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 まず第一に質問したいのでございますけれども、今度の保険金の給付の問題について、前は百四十円、九十円というのを二百円、百四十円ということにして、その条件といたしまして、この二百八十円以上が二百円支給ということになっている。そうすると、六大都市なんかは二百八十円以上になると思いますけれども、二、三十円という少しの違いでその二百円を受けられないで、百四十円になってしまう、こういう問題が具体的な問題として出てくるわけなんです。そういう点についてまず第一にお聞かせ願いたいと思います。こういう工合に不合理性というものが出てくるのだけれども、そこらあたりは労働省はどういう工合に見ておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01819570331/5
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006・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) 二百八十円を二、三十円違っても、二百五十円であっても二百円払ったらいいではないかという御質問だと思いますが、これは衆議院でもかなり議論になったような線であります。けれども、政府といたしましては、現在の二百八十円というものが平均いたしますと、ただいま説明いたしましたように、大体七〇%が二百八十円の方になっておるのでございますから、それで全国平均しまして二百八十円の適用を受ける人の方が多いという点でかように考えたのであります。
もう一点は、かりに二百五十円にいたしますと、この健康保険であるとか、その他のかかりを差し引くと、二百二、三十円の手取りの金額になるのですね。そうすると、二百二、三十円ぐらいのものを働いてもらうよりも、うちで保険金をもらってじっとしている方がいいというような考えを起しはしないかというところにも心配があるのであります。それで、大体後者の点は少し勘ぐり過ぎておりますが、大体七〇%が二百八十円を取っておる人々であるという建前の上に立って二百八十円を堅持して参った次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01819570331/6
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007・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 その問題ですけれども、私たちは二百三十円とか二百二十円という問題ではなしに、二百八十円の少し下のところあたりの陳情を各地の日雇労働者から非常に受けておるわけです。ちょっとの違いで、百四十円と二百円になるという基準をどこで引くかということはむずかしい問題でありましょうけれども、そこのところあたりの問題というものは、十分配慮してあげなくちゃいかぬのじゃないか。そういう意味でお尋ねをしているわけです。
それから次の点ですが、待期日数というものは大体六日あるわけですね。そうすると、これは東京あたりの例をとりますと、六日間、就労稼働が大体二十四、五日くらいあるというのだからこれはいいことに違いないけれども、しかし、そういうところでは六日間の待期日数ということになると、三日や五日くらいあぶれてもかけっ放しで、せっかくかけている保険金をもらえないという問題が出てくるわけです。だからこの点は何とか、仕事にあぶれるのですから、この点はやはり何とか考慮しなければいけないのじゃないかと思うが、この点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01819570331/7
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008・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) この待期日数の問題については、衆議院でずいぶん議論になった点でございますが、お問いになるお気持は私どもよくわかります。わかりますが、現在の状況において一日の待期日数を縮めることによって相当多額の経費を必要とするのであります。でありますから、この保険法にもありますように、今後、日本の産業経済が発展して参りまして、この日雇関係、保険関係のこの経済の内容も余裕が生じて参るようになりましたならば、十分に待期日数を縮めていくということが、法の精神でございますから、その方向に善処いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01819570331/8
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009・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 もう一つは町村合併なんかをいたしまして、その地域差といいますか、地域給といいますか、そういうところで、同じ町村のうち、市のうちにおいて差ができるわけですね。だから一つの行政区画になったような場合は、やはりその行政区画の中心になる基準に合わしていくという配慮が必要でないかという工合に考えるのですが、この点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01819570331/9
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010・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) 今の問題でございますが、町村合併いたしましたことによって、農村を中心とする市などになりますと、私の選挙区にも三つばかり市が急にふえたのですが、香川県ぐらいの市が北海道は幾つもできちゃったんです。特に離島をこうまぜた市もできたのです。ということで、離島の制度をやるとしても、なかなかこれはできないのでございまして、できるだけそういうようなところにおいては、お問いになりましたような分庁舎などを作りまして、これを取り扱いする役所の拡充強化をはかって、なるたけ一つの町村としてまとめていきたいのでございますけれども、離島や山間僻地におけるところになりますというと、なかなかそうはいかないものでありますし、日雇労務者になっておる数も非常に少いものでございますから、そういうところでは、特別に取扱いが、できるだけお問いになりました精神を体しまして、一つの町村に合併されたものは、できるだけ同一の扱いをいたしたいように努力いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01819570331/10
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011・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 非常にこまかい問題ばかりを質問したのですけれども、私はここで労働大臣に聞いておきたいと思うのは、失業者救済、緊急失業対策事業という格好で、平均昨年は二十一日、今年は二十日というように出しておられたと思うのです。その問題も重要な問題です。何とかしてこの人の安い賃金で、たとえば二十日働いて三百円なら六千円しかもらえない。こういう生活を無視してどうかという重大な問題が一つであります。しかし、もっと今現実の問題として現われておる問題は、たとえば東京は二十四日、京都なんかは十五日である。それしか仕事がないということで、みんながあぶれておるというこの現実は、たとえば昔から失業対策事業を立てるのに、産業活動の緩慢なところといいますか、経済力のない県といいますか、そういうところには非常に日数が少い、産業活動の回転のいいところには就労日数が多いということになるわけです。だから、私はまず第一に、現実の問題として、就労日数の低いところには、政府はやはり特別の措置を講じるというお考えを、私は立ててもらわなければいかぬのじゃないか。そういうところは、ずっと深く調べてみますと、地方行政の、財政の赤字とか、財政上の困難というような問題が、政府がワクを与えても、その地方財政がまかない切れないという問題が、現実の問題として出ておるわけです。だから、私は一定の、平均的に地方財政でまかなえるところはいいけれども、まかなえないようなところには、特別の措置を、国家が全額負担をして、失業対策の適用を行うというような格好のものを配慮すべき時期が、もう長い間、一年とか、二年とか、もうアンバランスになった問題じゃなしに、ずっと戦後の引き続いてそういうアンバランスの状態を続けられておる府県、地域という問題を、私は重大な問題だと考えておる、だから今申し上げましたような問題点について、一つずっと総合的に御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01819570331/11
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012・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) お説の点は、地方財政の窮迫は、日本の全体につきまして、ほんとうに重要な問題でございます。特に私どもの住む北海道は、冷害凶作、水害凶作等が引き続きまして、各町村等も行き詰まっております。失業対策事業だけのみならず、一般開発に対する補助金も、国が補助金をやるといっても、町村は断わるというふうにもなって参りまして、これは実に憂慮すべきことであります。特に再建整備に入っている町村のごときは、失業者がたくさんいるけれども、その事業を受けてやれば、町村が負担し切れないから、受けられないという悩みがあることを、十分承知いたしましたので、今年は率は少いのではございますけれども、五分の四の高率補助をなす地域も考えまして、今後これを調査いたしまして、それぞれの指定をいたしたいと考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01819570331/12
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013・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 今度労働省が、労働省といいますか、内閣雇用審議会という設置法の問題が出て、こちらの内閣委員会で上げて、衆議院の内閣委員会で、もり上るような状態、この措置を振り返ってみると、内閣の失業対策審議会というものが、要するに緊急失業対策についてのいろいろな答申をしてきたその中に、何といっても今私が申し上げましたようなアンバランスの府県に対しては、政府は特別の全額国庫補助、負担によって、負担といいますか、補助といいますか、そういう形で失業者を救済すべきだという答申を、繰り返して政府に出しているのだが、政府は、知らぬ顔で来たと思うのであります。文書を持っていくのですから……だけれども、歴代の今の政府は、それを十分に聞いていない、非常に残念だと思う。政府が作ってこしらえさして、答申を出して具体的に、現実の事実として現われている問題を、知らぬ顔をして見ているという手はないと思う。だからそういう問題と合せて、私は最善の努力をしていただきたいということを、特につけ加えておきたいと思うのであります。いろいろ質問したいことはたくさんありますけれども、問題になります点は、そういう問題について、今の状態だけではなかなか納得できない問題が、われわれにあるのです。これから審議に入るわけなんですけれども、何としても、片方では生活保護法があり、ボーダー・ライン九百七十二万の人がいる、失業者が六十万、潜在失業者一千万といわれておるような状態の中で、私はこれも社会保障の一つの柱になると言っていいほどの失業対策の問題、これは重要な問題だと思う。外国の失業対策のような、摩擦失業で、次の機会があるまで待っているというような失業じゃ日本はないわけです。失業の固定化といいますか、その貧困の状態というものは、もう失業の機会が永年になってきている、固定化しているという状態だから、むしろ全体の力でこの人の仕事を、生活を守っていかなければならぬという基本的な立場に立って、盛んに社会保障を確立すると言っておられるのですから、そういう点を十分に一つ考えて、推進していただきたいということを、私は最後につけ加えておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01819570331/13
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014・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) 藤田委員の御心配はまことにごもっともでございます。今度内閣に、過日御審議いただきました雇用審議会が設立されますが、失業対策委員会のあとを受けて行うのでございまして、五分の四の高率補助の問題について、御要求は全額補助であるようではございますが、財政経済その他の関係において、一挙に全額補助ということができなかったものでございますから、一応五分の四の程度でいたしておりますので、今後雇用審議会の方で十分御調査願いまして、御期待に沿うように努力いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01819570331/14
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015・千葉信
○委員長(千葉信君) 他に御発言もございませんようですから、質疑は尽きたものと認めることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01819570331/15
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016・千葉信
○委員長(千葉信君) 御異議ないと認ます。
それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
なお、修正意見がおありの方は討論中にお述べを願います。——他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01819570331/16
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017・千葉信
○委員長(千葉信君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより失業保険法の一部を改正する法律案について採決をいたします。本案を原案の通り可決することに賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01819570331/17
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018・千葉信
○委員長(千葉信君) 多数でございます。よって本案は、多数をもって原案の通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、本会議における口頭報告の内容、議長に提出する報告書の作成、その他の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01819570331/18
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019・千葉信
○委員長(千葉信君) 御異議ないと認めます。
それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりまするから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。
多数意見者署名
高野 一夫 勝俣 稔
紅露 みつ 谷口弥三郎
榊原 亨 横山 フク
吉江 勝保 草葉 隆圓
近藤 鶴代 早川 愼一発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01819570331/19
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020・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 私は本法律案に対しまして、次のような付帯決議を付する動議を提出いたします。よろしゅうございますか。
付帯決議
政府は、日雇労働者の生活の実情に鑑み、失業保険金日額の増額をはかると共に、待期日数等について善処するよう最善の努力をすべきである。
右決議する。
提案理由の説明を申し上げたいと思います。
ただいま労働大臣との間の質疑の中でも数点の問題点をあげましたけれども、日雇い労働者の現状というものは私がここで述べるまでもありません。何といいましても、今日の日本の失業というものは、外国における摩擦失業というような、次の就業があるまでの間待期するような失業ではないのでありまして、今日の日本の失業というものは、一ぺん失業したら次の職が見つからない。失業の固定化といいますか、長年失業していても就業の機会がないという、こういう人が今日の失業者の主要な部分をなしておるわけであります。そういう人の生活というものは、今日生活保護やその他の施策はありましても、こういう方々の生活というものは非常に困窮な状態にあると思います。しかし、失業者といえども勤労の喜びの中で生活をしていきたいという意欲に燃えておられる。そこで、先ほども申し上げましたように、就業の機会を、何といたしましても政府で作っていただきたいという積極的な私は意見を申し述べたのであります。そこでいろいろの問題があります。たとえば就業の機会があるような地域、たとえば東京や大阪あたりにおきましても、ここでは待期の六日間というものを経なければ失業保険がもらえないという問題で、ここにも一つの問題がございます。また、今度あらためて行われました前の九十円、百四十円という段階が、百四十円、二百円という保険金、この条件として二百八十円を基準にして上と下ということになっておるのであります。私は極端なことは申し上げません。申し上げませんが、少くとも、二百八十円から二百六十、七十という人がたくさんおって、昔の百四十円と同じ状態である。これではあまりにもかわいそうである。この点は何とかして二百五十円くらいの人までは二百円がもらえるように、一つ特別な配慮を政府の方で考えていただきたい。この主要な部分二点を、この今申し上げました付帯決議の中の主要な問題といたしまして、最善の努力を政府ではかっていただきたい。
もう一度言いますと、待期日数を短縮するということ、それから二百八十円をせめて二百五十円くらいにして、二百円の現金がもらえるようにしてもらいたいということをこの内容といたしまして、付帯決議を提案する次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01819570331/20
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021・千葉信
○委員長(千葉信君) ただいまの藤田君提出の付帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方は挙手を願いすす。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01819570331/21
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022・千葉信
○委員長(千葉信君) 全会一致でございます。よって藤田君提出の付帯決議案は、本委員会の決議とすることに決定いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01819570331/22
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023・千葉信
○委員長(千葉信君) 次に、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律案を議題といたします。
提案理由の説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01819570331/23
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024・中垣國男
○政府委員(中垣國男君) ただいま難題となりました原子爆弾被爆者の医療等に関する法律案につきまして提案の理由を御説明いたします。
昭和二十年八月、戦争末期に投ぜられました原子爆弾による被爆者は、十余年を経過した今日、なお多数の亜医療者を数えるほか、一見健康と見える人におきましても突然発病し死亡する等、これら被爆者の健康状態は、今日においてもなお医師の綿密な観察指導を必要とする現状であります。しかも、これが、当時予測もできなかった原子爆弾に基くものであることを考えますとき、国としてもこれらの被爆者に対し適切な健康診断及び指導を行い、また、不幸発病されました方々に対しましては、国において医療を行い、その健康の保持向上をはかることが、緊急必要事であると考えるのであります。これらにつきましては、政府といたしましても昭和二十九年度以降若干の予算を計上して、広島、長崎両県に居住する一部の人に対し逐次精密検査及び研究治療を行なって参ったのでありますが、被爆者の現状にかんがみますれば、今後全国的にこれが必要な健康管理と医療とを行い、もってその福祉に資することといたしたいと考え、ここに原子爆弾被爆者の医療等に関する法律案を提出した次第であります。
次に、その要点について簡単に御説明いたしたいと存じます。
第一は、原子爆弾が投下された当時、広島市、長崎市に居住していた者、その他原子爆弾の放射能の影響を受けていると考えられる人に対しまして、その申請に基き都道府県知事において被爆者健康手帳を交付し、毎年健康診断及び必要な健康上の指導等の健康管理を行うことにより、疾病の早期発見その他被爆者の健康の保持をはかることとしたのであります。
第二は、健康診断の結果等により、原子爆弾の傷害作用に起因して負傷しまたは疾病にかかり、現に医療を要する状態にあるような被爆者に対しましては、その申請により必要な医療の給付を行うことといたしたことでありすす。この場合において、当該負傷または疾病が原子爆弾の傷害作用に起因する旨の厚生大臣の認定を受けることとし、厚生大臣は、必要があるときは、後に述べます審議会の意見を聞くことといたしております。
第三は、医療の給付は、厚生大臣が審議会の意見を聞いて指定する医療機関において行うこととし、被爆者に適正な医療が行われるよう措置し、また、これが確保をはかるため必要な監督規定を設けたことであります。
なお、被爆者が緊急その他やむを得ない事由により非指定医療機関等において医療を受けた場合におきまして、必要があるときは、医療の給付にかえて、医療費の支給ができることといたしております。
第四は、先に述べました事項その他被爆者の医療等に関する重要事項につきまして調査審議いたしますため、学識経験者等よりなる原子爆弾被爆者医療審議会を設けたことであります。
第五は、この法律の施行に要する費用は、全額国庫の負担において行うこととし、また、健康診断等都道府県知事の行う事務につきまして、広島市及び長崎市の分は、広島市長及び長崎市長においてこれを行うこととしたことであります。
以上が、この法律案を提出いたしました理由並びに内容の概略であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さるようお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01819570331/24
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025・千葉信
○委員長(千葉信君) 次に、本案に対する衆議院の修正点につきまして、衆議院議員福山孝一君から説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01819570331/25
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026・亀山孝一
○衆議院議員(亀山孝一君) 原子爆弾被爆者の医療等に関する法律案に対しまする衆議院の修正案につきまして御説明申し上げます。一応修正案を読んでみます。
原子爆弾被爆者の医療等に関する法律案の一部を次のように修正する。
第七十二条の十四第一項ただし書中「若しくは児童福祉法(昭和二十二年法律第百四号)」を、「、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)若しくは原子爆弾被爆者医療等に関する法律(昭和三十二年法律第五号)」に、「若しくは育成医療の給付」を「、育成医療の給付若しくは医療の給付」に改める。
第七十二条の十七第一項ただし書中「若しくは児童福祉法」を「、児童福祉法若しくは原子爆弾被爆者の医療等に関する法律」に、「若しくは育成医療の給付」を「、育成医療の給付若しくは医療の給付」に改める。
というのでございます。簡単にその理由を御説申し上げます。御案内のように地方税法におきましては、国民健康保険法、あるいは船員保険法、または市町村共済組合法あるいは身体障害者福祉法、あるいは戦傷病者戦没者遺族等援護法、もしくは児童福祉法、こういう法律によります医療あるいは育成医療につきましては、法人の事業税あるいは個人の事業税に関しまして免除、率直に申し上げれば免除の規定をもっておるのでございます。この法律にその規定が欠けておりますので、これを衆議院におきまして修正して、今申し上げましたような他の同種の立法例にならいました次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01819570331/26
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027・千葉信
○委員長(千葉信君) 本案に対し、御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01819570331/27
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028・勝俣稔
○勝俣稔君 これは広島と長崎の方のことだけのようでございますが、そうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01819570331/28
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029・中垣國男
○政府委員(中垣國男君) お答えいたします。本法律案の原爆被爆者としての対象は、爆弾が投下されました当時、広島市並びに長崎市に所在をしておられました方々、それから投爆されましてから二週間以内にお見舞いあるいはまた、救出作業等に参りまして原爆患者になられた方、そういう方が中心でございまして、その他の方は対象になっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01819570331/29
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030・勝俣稔
○勝俣稔君 そうしますと、今度はイギリスあたりで水爆実験をやったその被害者のようなのはどういうようにするお考えでございますか。それは含まれておらないわけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01819570331/30
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031・中垣國男
○政府委員(中垣國男君) 勝俣先生にお答えいたします。そういうものはここには含まれておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01819570331/31
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032・勝俣稔
○勝俣稔君 そういうものはそうすれば、どういうような御処置をおとりになるお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01819570331/32
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033・中垣國男
○政府委員(中垣國男君) 原爆関係の原子病にかかられた方に対しましては、的確な資料の摘出が非常にむずかしいということと、それから原爆の患者でなくても実は原子病というものはあるということから、調査をいたしますのに非常に確実性が得られませんので、ただいまのところ、そういう患者を選び出します際に的確な資料を得られるもの、そういう点から長崎市並びに広島市に限定をした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01819570331/33
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034・横山フク
○横山フク君 この法律で、費用は全額国庫負担とありますけれども、その全額国庫負担というのは実額全額でございますか。たとえば国民健保でも、国保でもって事務費全額国庫負担というけれども、実際は百二十五円のが八十五円といったようなことになっておりますが、私この間、長崎の方に行きましたときに、長崎のこの方の係の人にその点に関してはっきりした考えを聞かしてほしいということを言われて、私もいずれそれがかかったときにその点を確かめるということを約束して参りましたが、その全額というのはどういう限度ですか。厚生省の査定の全額というのはいつも地方の実情とは食い違っておるのです。たとえば二分の一の指定でも厚生省の二分の一は地方の三分の一にも当らぬことが再三あるわけですね。これはどういう全額ですか。そこら辺を伺いたいと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01819570331/34
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035・山口正義
○政府委員(山口正義君) 数字の問題になりますので、私からお答え申し上げたいと思いますが、費用につきましては、健康診断に要します費用、それから医療に要します費用、それからそれに伴いますいろいろな事務的な費用がございますが、健康診断に要します費用につきましては、一応一般の健康診断と精密健康診断と二通りに分けてございます。一応単価を算定いたしまして、一般の健康診断につきましては、健康保険関係で申しますと五十九点、それから精密の健康診断でございますと百三点、その中から十九点を引きましたものを基準といたしております。それを地方に交付いたしますときには、政令で定めて交付したい。そういうふうに考えておりますが、現実には、このかかります費用を地方に迷惑をかけないように全額を出したいと思っております。
それから医療費につきましては、一応従来の実績から考えまして、内科は
一件当り四万円、外科か二万五千円、眼科が二万円というような平均で出しております。これも従来の経験から見まして、従来研究的に治療いたしておりました額の基準はもう少し低いのでございますが、従来の経験からかんがみてこの基準をこの程度に上げたのでございますが、従来の経験からしましても、入院期間の長い人もあれば短い人もございます。その点実際にかかった額を出すようにして、地方に御迷惑をかけないようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01819570331/35
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036・横山フク
○横山フク君 事務費はどうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01819570331/36
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037・山口正義
○政府委員(山口正義君) 事務費といたしましては、健康診断に要します手帳の費用とか、あるいは通信費とかそれから消耗器材費その他ございますが、それも一応基準をもって計上いたしております。これも全額国でもって、地方に迷惑をかけないようにいたしたいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01819570331/37
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038・横山フク
○横山フク君 その基準をもってされるので全額なんですけれども、その基準が非常に辛いらしいのですね、ことに長崎あたりですと、相当の人数が一カ所に密集していますと、小さな予算の中から、いただくのはありがたいけれども、事務費が非常にかかるし、そして少しのお金をいただくのに四十も判を押すというようなことになっているのでは、とてもかなわぬということがあったので、そういう点はよく御考慮を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01819570331/38
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039・山口正義
○政府委員(山口正義君) 御指摘の点は十分気をつけて実施に当るようにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01819570331/39
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040・千葉信
○委員長(千葉信君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01819570331/40
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041・千葉信
○委員長(千葉信君) 速記を始めて。
他に御発言もございませんようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01819570331/41
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042・千葉信
○委員長(千葉信君) 御異議ないと認めます。
それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明かにしてお述べを願います。
なお、修正意見のおありの方は討論中お述べを願います。
別に御意見もございませんようですから、討論は終局したものと認めることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01819570331/42
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043・千葉信
○委員長(千葉信君) 御異議ないと認めます。
それではこれより、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律案について採決いたします。本案を原案通り可とすることに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01819570331/43
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044・千葉信
○委員長(千葉信君) 全会一致でございます。よって本案は全会一致をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、本会議における口頭報告の内容、議長に提出する報告書の作成その他の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01819570331/44
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045・千葉信
○委員長(千葉信君) 御異議ないと認めます。
それから報告書には多数意見の署名を付することになっておりまするから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。
賛成者署名
山下 義信 山本 經勝
藤田藤太郎 木下 友敬
竹中 恒夫 早川 愼一
草葉 隆圓 高野 一夫
勝俣 稔 近藤 鶴代
紅露 みつ 谷口弥三郎
榊原 亨 横山 フク
吉江 勝保発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01819570331/45
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046・千葉信
○委員長(千葉信君) 本日はこれをもって散会いたします。
午後五時三十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X01819570331/46
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