1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十二年四月二十五日(木曜日)
午後二時二十七分開会
—————————————
委員の異動
四月二十四日委員高田なほ子君辞任に
つき、その補欠として大河原一次君を
議長において指名した。
—————————————
出席者は左の通り。
委員長 千葉 信君
理事
榊原 亨君
高野 一夫君
山本 經勝君
早川 愼一君
委員
勝俣 稔君
草葉 隆圓君
紅露 みつ君
鈴木 万平君
谷口弥三郎君
西岡 ハル君
片岡 文重君
藤原 道子君
藤田藤太郎君
竹中 恒夫君
衆議院議員
亀山 孝一君
野澤 清人君
国務大臣
厚 生 大 臣 神田 博君
政府委員
厚生政務次官 中垣 國男君
厚生大臣官房総
務課長 牛丸 義留君
厚生省公衆衛生
局長 山口 正義君
—————————————
本日の会議に付した案件
○旅館業法の一部を改正する法律案
(内閣提出)
○美容師法案(衆議院提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/0
-
001・千葉信
○委員長(千葉信君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
委員の異動を報告します。四月二十四日付をもって、高田なほ子君が辞任し、その補欠として、大河原一次君が選任されました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/1
-
002・千葉信
○委員長(千葉信君) 旅館業法の一部を改正する法律案を議題といたします。
御質疑願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/2
-
003・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 この旅館の直接じゃないけれども、旅館営業に四つの段階がありますけれども、この段階における従業員の問題というものが、何と言っても置き去りにされているような気がするのです。で、たとえば私らの調べたところによると、旅館——一流の旅館と言われているところでも不確定賃金の状態に置かれている。で、その不確定賃金が、たとえば固定給が二千円とか、いいところで三千円、全然固定給のないという状態もある。それではそういう状態の——よくはやる旅館ならいいのだが、はやらない旅館になってくると、ほんとうにひどい生活をして、公述のときにもありましたけれども、従業員をたくさん使いながら、従業員の寝泊る寝室というような問題は、ほんに第二義的、第三義的に、旅館を建築するときにそういう状態に置く。私らも——この間の公述にあったのだが、私らもよく旅行するのですけれども、よく女中部屋とか、従業員が寝る部屋というのがひどいところに置かれているというのがよく目につくわけです。でこういう問題について、厚生省はどういう工合にお考えになっているかということを一つお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/3
-
004・山口正義
○政府委員(山口正義君) ただいま藤田先生御指摘の点は、先般の委員会においても、高野先生から御指摘がございまして、先般お手元に差し上げました資料によりましても、従業者の数は二十万をこえるというような状態でございまして、参考人の方々の御意見でも、固定給とかあるいはただいま御指摘の寝室その他の待遇問題が非常に、労働基準法は確かにあるけれども、なかなかそれが十分に行われていないような状態にあるというような御指摘があったのでございます。この点につきましては、少くとも私どもは直接やはり労働者の保護と申しますか、そういうことになりますので、労働基準法を所管いたしております労働省の方で取り扱うべき問題かと思うのでございますが、しかしながら、正常な、正常なと申しますか、快適な宿泊を営みますためには、やはり従業員の待遇と申しますか、従業員の待遇が正しくなければ、いろいろな面においてそれが宿泊者に影響を及ぼすというようなことについて影響が出てくるわけでございます。従いまして、先般も大臣が申し上げましたように、私どもといたしましては、労働基準法という建前から、労働省当局にできるだけそういう点を正しい労働条件で労働が行われるように、労働省の方にも要請をいたしまして、私どもは私どもの立場で旅館組合などを通じまして、従業者の待遇改善という点につきましても、衛生当局といたしましても、関係者といろいろ連絡をして、先般来御指摘の、あるいはただいまも御指摘のようなことのないように、今後指導していかなければならない、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/4
-
005・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 そこで、今の問題と関連なんですが、その労働基準法の関係については、労働省とよく連絡して、今後めんどうを十分見ていきたいという御答弁がありました。そこで、今私が申し上げたもう一つの問題は、旅館を建築するのに、休息の場所というような問題が全然考慮が払われていないという現実があるわけです。直接この政令の中にはそういう具体的な問題が入っておりませんけれども、何らか寝室その他の建築の関係という問題についてどういう工合にお考えになっているか、その点もあわせて聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/5
-
006・山口正義
○政府委員(山口正義君) ただいまの御指摘の点、この政令の案の中には、主として客室の構造設備というようなことについて規制したいというふうに考えているわけでございますが、従業員の居室、あるいは食事の部屋というようなことについて、政令の中には現在のところあまり考えておりませんけれども、ただいま御指摘の点は、今後、行政指導でできるだけ遺憾のないように、特に今回の改正を企図いたしましてやって参りたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/6
-
007・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 私は、普通の旅館ですね。町にある旅館、そういうところにはそう極端な例はないのです。ところが、温泉旅館なんかに行きますと、一級、二級、三級という段階的に、その施設の条件その他によって級を分けて、旅館組合ということになるのですけれども、一級、二級くらいの旅館になりますと、そのわりにたとえば、従業員の組合ができて、寝室をとっているところがある。たとえば、基準法のここまで以後のやつは注意事項として……。それから二級、三級というまあそういう条件のそろわないところにいくと、今の基準法の関係なんかは、固定給も全然ないというところをよく見かけるわけなんです。そういう点については、特別な配慮をもって従業員の健康の保持、生活上の問題やそれから安息する場所の問題、条件がなかなかむずかしいでしょうけれども、特別な指導、配慮をしていただきたい、これをお願いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/7
-
008・山本經勝
○山本經勝君 一、二点お伺いしておきたいのですが、第六条に「営業者は、宿泊者名簿を備え、これに宿泊者の氏名、住所、職業その他の事項を」記入のことというふうになっておるのですが、この検閲といいますか、それを調べる、あるいは提出を求めるというのは当該官吏、あるいは吏員ということになっておりますが、それはどういう者を具体的にさしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/8
-
009・山口正義
○政府委員(山口正義君) 「当該官吏又は吏員」これは現行法にもそういうふうになっているわけでございますが、当該官吏は、私どもの方では、従来の防疫官吏を考えておったのでございます。それから吏員の方は、環境衛生監視員を考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/9
-
010・山本經勝
○山本經勝君 この現在の宿泊者名簿というのは、どういう様式で、どういうふうに作られておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/10
-
011・山口正義
○政府委員(山口正義君) 各県によってある程度差はあるのでございますが、一つの例を申し上げますと、室名番号が一番初めにございます。その次に、住所、職業、氏名、年令、性別、それから到着月日、時間、前夜の宿泊所、それから滞在予定日数、出発の予定月日時、それから行き先地、そのほかに備考といたしまして、人相とか特徴その他のことを書き込むようになっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/11
-
012・山本經勝
○山本經勝君 局長のお話だと、当該官吏というのは防疫官と言われるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/12
-
013・山口正義
○政府委員(山口正義君) さようでございます。防疫は、伝染病予防の防疫でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/13
-
014・山本經勝
○山本經勝君 私ども聞くところによりますと、大体今お話のように、各都道府県等で若干の様式の相違はあるが、大体今お話の、お答えになったようなことだと思うのです。そこで記帳の方法については、これまた、いろいろあるようですが、カードに、直接宿泊者が住所、氏名、年令、性別、到着日、それから前夜宿泊所、こういうようなものを書いて出したのを、業者の方で宿泊者名簿に整理する、こういうことになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/14
-
015・山口正義
○政府委員(山口正義君) 先般参考人からもお話がございましたが、あるいは私聞き違いかもしれませんが、原簿、直接書かせましたものを保存しないで、写して台帳として置いておくというようなお話もございますけれども、大体原則としましては、書かせたものをとじて保存するというのが多いようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/15
-
016・山本經勝
○山本經勝君 そうしますと、たとえばこういう例があるのですが、こういうカードで今言われたような要領の欄が設けられております。そうすると、このものに直接宿泊する本人が書いて、これを旅館の方はとじて保管をする、こういうことになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/16
-
017・山口正義
○政府委員(山口正義君) 本人に書かせる場合に、そういうふうにしてとじて保存するのが多いと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/17
-
018・山本經勝
○山本經勝君 これは私どもの聞くところによると、そうではなくてむしろこうしたカードに客が直接自分で書いて出したものを、旅館の方で今度はとじた、つまり帳面になった台帳なるものに転載するということが行われているようですが、実際には、それが多いのじゃないですか、大部分がそれじゃないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/18
-
019・山口正義
○政府委員(山口正義君) ただいま山本先生から御指摘のような点、そういうふうな取扱いをしているところもございまして、どちらが多いかということは、私ただいま地方の実情によっていろいろ報告を受けておりますので、どちらが多いかということをちょっとここではっきりお答えを申し上げかねるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/19
-
020・山本經勝
○山本經勝君 これは、先ほどの検閲したりあるいは提出を求めたりすることは、単に防疫という問題だけでは私はないのじゃないかと思う。たとえば刑事上の犯罪等の問題がありました際に、警察官もこれの提出方を求めた事例があるように聞いておる。それからまた、いろいろ原簿について、つまりカードにつきましても、調査をしたような事例があると聞いております。それからまた、さらに、旅館業者に対する課税の際、収益の状況を調査する基本が、このいわゆる宿泊者名簿に掲載された実態を基礎にされておると聞くのですが、その場合に、この帳簿の転載をされるときに、公けに領収書を発行するのですが、それに合せて、いわゆる本人が、直接客が書いて出したこういうカードから整理をして載せるときに、適当にそこで業者が調整をして、そうして発行しておる領収書に合せておる。そういうようなことがしばしば行われて脱税等があると聞いておるのですが、もしそういうことが事実であるとするならば、この帳簿の備え付けあるいは整理の仕方というものは非常に重要なものになると思う。そこで今申し上げたような事態がもし事実であるとするならば、私はこの宿泊者名簿なるものの整理の仕方、あるいは何と言いますか、何らか別個の新しい方法を考えなければならぬのではないかと思う。すべての業者がそうであるとは断ぜられないにいたしましても、そういうことはあり得ると考えられる、この点についての局長のお考え方なり、御説明をいただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/20
-
021・山口正義
○政府委員(山口正義君) この旅館業法第六条に定めてございます宿泊者の名簿というこの規定そのものの本来の目的は、やはり従来からもそうでございましたし、また、今後もそうでございますが、今度は新しい目的が一部加わりましたけれども、旅館業法というものが公衆衛生立法でございますので、主として、本来の目的は、この宿泊者名簿というものは伝染病発生などの場合に、疫学調査と申しますか、感染経路の調査というようなことで、その疫学調査を明確にいたしますために、その資料といたしますために整備させるということが本来の目的なのでございます。ただ先ほど御指摘のように、これが犯罪捜査の際の参考に使われる、あるいは課税上の際の一応の参考資料に使われるというようなこともあることは、これは事実だろうと思うのでございますが、これは本法、旅館業法の本来の目的ではございませんので、別にまた、そういう問題は、あるいは犯罪捜査の面から、あるいはただいま特に御指摘の課税の問題につきましては、税法上の観点から考えていくべき問題ではないかと、そういうふうに私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/21
-
022・山本經勝
○山本經勝君 それで、大体筋としてはお話の通りだと思うのですよ。ところが、犯罪の場合には、事実非常に重要な参考資料になるような場合もあるんでしょう。それからまた、課税の場合の対象としては、収益の実態を把握する一番重要な基礎資料になると承わっております。そうしますと、それぞれ都道府県別に台帳の様式等については相違があります。ところが、記帳の方法について、あるいは整理、保管の方法については、やっぱりこれは統一された方がいいのじゃないか。たとえて申し上げますというと、これは転載をするということに問題がある。カードに書いて客に出させた、それを台帳に転載するときに適当にやるということも、悪く考えますとあり得ると考えるので、むしろそうじゃなくて、こうしたカードそのものを、少くとも保健所あるいは吏員等によって一連番号でも付しておいて、それを整理して保管をするということになっていけば、旅館側から言いましても、転載する事務的な繁雑さを避けることができるのみならず、一方、犯罪捜査の際、あるいは課税等に対する公正な実態に即する措置ができる、基礎資料として十分有効であろう、こういうことが考えられるのですが、そういう御配慮をなさる御用意があるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/22
-
023・山口正義
○政府委員(山口正義君) 旅館業法本来の趣旨ではないけれども、そういうある付随的な問題について、非常に重要な点があるから考えてみる意思はないかという御指摘でございますが、まあこれは転載するということ自体について、公衆衛生の立場からは特に規制する必要はないかと思うのでございます。また、旅館の方でも、転載した方がいろんな整理の関係上都合がいいということでやっているかとも思うのでございますが、しかしながら、御趣旨の点は、私どもよくわかりますので、これは関係方面ともよく相談いたしまして、できるだけ、統一することができればそういうふうにできるように研究してみたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/23
-
024・片岡文重
○片岡文重君 この政令の試案というのですか、要旨といいますか、これを見ましてもよくわからないのでお伺いするんですが、修学旅行なんかの場合には、大体定員の多い場合には、四、五倍くらい収容するそうですが、この間の参考人の話を聞いておっても、宿泊料が非常に安いので数で補いをつけるためにやむを得ないというようなことを言っておりましたけれども、部屋の収容能力がないくらいであれば、当然、ふろ場とかあるいはトイレとか、そういう面にも不自由を感じさせるのは当然のことだと思う。で、修学旅行に行って食中毒を起したり、あるいは施設の破損等によって、集団的な負傷者が出たりした場合には、これは大きく取り上げられますから、その店にとってもすぐ営業上にも響いてくるでしょうし、社会的にも問題が大きく取り上げられてきます。しかし、たとえば、おふろ場が小さいために、気おくれしておる子供なぞは入れない、あるいは入ろうとして裸になって行っても十分に暖まるまで入っておられないというようなことで、かぜを引いて帰ってくる。これが、無理をして旅行を続けて帰ってから重い肺炎等になっていくという例も私は聞いておる。しかし、こういう場合は、その被害者だけの問題にとどまって、一向問題が明るみへ出ませんから、そういう無理は年々歳歳繰り返されておると思うのです。従って、こういう法律の改正等の場合に、あるいは政令を新しく作る、もしくは手を入れるというような場合には、そういう面についても、業者があまり不当な営業をしないように、あまりに収容力をこえるような人員を収容することのないように規制をすべきではなかろうかと思うのですが、今度の政令の試案をお作りになるについて、そういう点をお考えになっておられたのかどうか。お考えになっておられたのならば、どこでその点を規制していこうとされるのか、それをまず説明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/24
-
025・山口正義
○政府委員(山口正義君) ただいま片岡先生の御指摘の定員と申しますか、収容の限度の問題につきましては、今回の政令では主として構造設備ということを考えております。と申しますのは、建築をして許可をいたしますという場合に、その部屋の大きさとか、あるいは全体の部屋の数、あるいはそのほかの衛生関係の設備ということを基準にして、まだそこにだれも泊らない先に許可をする、その認定をするということになりますので、主として具体的な形に現われます構造設備の基準を一応政令で規制したい、そういうふうに考えておるわけでございます。しかしながら、ただいま御指摘のような定員の問題につきましては、先ほど御指摘のような、非常に極端な場合も修学旅行などであるというふうに聞いております。そういう場合に、いろいろな弊害が起ることは御指摘の通りで、ございまして、従来は厚生省としましては、施設基準あるいは定員の問題につきましては指導方針でやっておったわけでございまして、今回の改正におきましても、政令の中には施設の面だけを入れることにいたしまして、定員制の励行の問題につきましては、従来も一応定員につきましては三畳に一人、それから京間とか比較的大きい部屋には二畳に一人ぐらいの割合というふうな指導方針で一応通牒では指導いたしておりました。今後とも定員制の問題につきましては、政令の中には入れないで、厚生省からの指導通牒によりまして、そうして府県が第四条で定めます衛生措置の基準を条例で定めるようになりますが、その際に、その定員の問題を取り上げて一応の基準を設けさせ、そしてそれを励行するように指導して参りたい、そういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/25
-
026・片岡文重
○片岡文重君 指導していくことによって矯正されるならば、これは私けっこうです。そういうやり方の方が私もよろしいと思いますが、しかし、実際はなかなか厚生省の指導文書等によってだけではむずかしいと思う。何かやはりもっと強制力を持った方法で、たとえば、定員の三倍にも四倍にもなるということは、少くとも定員を一人でもこえるというような場合には、それぞれ関係の向きの許可を得るとか、届出をしておくとか、何かやはり罰則とまではいかなくても、自制し得る手段を講ずべきではないかと思うのですが、こういう点についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/26
-
027・山口正義
○政府委員(山口正義君) 先ほどお答え申し上げましたように、定員制につきましては、四条第二項にございます条例の中にはっきり規定させるように厚生省が指導する。ただその条例をどういうふうに守るか、その際に、ただいま御指摘のように、定員超過をさしておるというような場合には一々届出させるとか、特別な許可を得るというようなことにつきましては、その条例の適用というようなことで、今後御指摘のような点は十分注意さして参りたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/27
-
028・片岡文重
○片岡文重君 この間の参考人の意見を聞いておりまして驚いたのですけれども、特に修学旅行の場合に貸しふとんを多く使わせる、しかもその貸しふとんは日光消毒もしていない。日光消毒をしてくれないくらいだから煮沸消毒なんかはもちろんしてくれないだろうし、とてもそれは考えるだけでもぞっとするような気がするのですが、これまたこういうふとんによってたまたま悪質な皮膚病にかかったり、内部疾患に冒されても、数が少なければこれもその被害者だけが泣き寝入りするという事態でどうにもならないと思うのですが、こういう面についても、先ほどの御答弁のあった都道府県の条例に一切をまかせられるというお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/28
-
029・山口正義
○政府委員(山口正義君) ただいま御指摘の貸しふとんと申しますか、貸しふとんを含めての寝具の消毒とか、清潔保持というような点については、従来も条例にゆだねておったわけでございますが、今回もやはり衛生措置の基準というようなところで条例にゆだねて、条例制定の際にこちらが強力に指導するといういき方で参りたいと存じております。それで条例に規定いたします場合には、旅館で使用する使用者側に対していろいろ規制するわけでございます。ただ御指摘の貸しふとん業というものに対しての、今度は貸す側の立場としてのいろいろ衛生的な措置ということについては、別個な立場からまた規制していかなければならない、現状から考えましてその必要性を痛感しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/29
-
030・片岡文重
○片岡文重君 最後に一つ。第三条の一項を見ますと、旅館業を経営する者は手数料を納めて、府県知事の許可を受けなければならない、ただし、ホテル営業、旅館営業または簡易宿泊所営業の許可を受けた者が、その施設によって下宿を営業しようとする場合は、その限りでない、こういっておるのですから、これは許可を受けなくても、言いかえれば、無届出でも旅館業者が下宿営業に変ることはできると思うのですが、逆に下宿営業をやっておった者が旅館をする場合、これはどういうことになるのですか。当然許可を受けることになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/30
-
031・山口正義
○政府委員(山口正義君) 御指摘の点は、当然許可を受けなければなりません。こういうただし書きを設けました理由は、ホテルあるいは旅館というものにつきましての今回の改正案におきまする政令の施設基準が、下宿に比べまして非常に高度のものでございますので、それが下宿を営業しようとするときには、施設の面では新しく許可を必要としない。逆に、比較的低いものから高いものに移ろうというときには新しく許可を必要とする、そういうような考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/31
-
032・千葉信
○委員長(千葉信君) 他に御発言もないようですから、質疑は尽きたものと認めることに御異議、ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/32
-
033・千葉信
○委員長(千葉信君) 御異議ないと認めます。
この際、おはかりいたします。榊原君外四名から、委員長の手元に修正案が提出されておりますので、本修正案を議題といたしたいと存じます。御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/33
-
034・千葉信
○委員長(千葉信君) 御異議ないと認めます。
それでは榊原委員より修正案の趣旨説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/34
-
035・榊原亨
○榊原亨君 この際、私どもは各党共同提案といたしまして、次の修正案を提出いたしたいと考えておるのであります。
まず、その修正案の案文を朗読いたします。
旅館業法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
第二条の改正規定中同条第六項を次のように改める。
6 この法律で「宿泊」とは、寝具を使用して前各項の施設を利用することをいう。
第七条第一項の改正規定中「帳簿その他の関係書類」を「これに関する書類」に改める。
その理由を申し上げますと、まず原案にございまするところの、第二条第六項の、『「宿泊させる」とは、寝具を提供して前各項の施設を利用させることをいう。』とございますが、現実の面におきまして、寝具を使用しないで、利用者自己が寝具を持参いたしまして宿泊いたします下宿等があるのでありまして、在来におきましても、これらを業といたしまして下宿を営みますものは、この法律の規制の中に入っておりました。これらのものを包括いたしますために、「寝具を提供して」というのを、「寝具を使用して」と改めようとするのであります。
第二の点は、第七条にございまするところの、「都道府県知事は、必要があると認めるときは、営業者その他の関係者から必要な報告を求め、又は当該吏員に、営業の施設に立ち入り、その構造設備若しくは帳簿その他の関係書類を検査させることができる。」とあるのでございまするが、質疑応答において明らかになりましたところは、この「帳簿その他の関係書類」と申しますものは、構造設備に関係した帳簿その他の関係書類であるということが明らかになったのであります。宿帳その他につきましては、第六条に規定がございますので、従いまして、これをちょっと読みまするというと、構造設備以外の帳簿その他の関係書類をも検査させることができると七条に規定しているような誤解を生ずるようなおれれがございますので、その「帳簿その他の関係書類」と申しますものは、「これに関する書類」、言いかえれば、構造設備に関する書類というふうに改めたいと存ずるのでございます。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/35
-
036・千葉信
○委員長(千葉信君) ただいまの修正案に対し、質疑のおありの方は順次発言を願います。——別に御発言もなければ、修正案に対する質疑はないものと認め、これより原案並びに修正案について討論に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/36
-
037・千葉信
○委員長(千葉信君) 御異議ないと認め、これより討論に入ります。
御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/37
-
038・高野一夫
○高野一夫君 私は自由民主党を代表いたしまして、ただいま榊原委員提案の修正案並びに修正部分を除いた原案に対して、数項目にわたる希望を付しまして、賛成の意を表したい次第であります。
ただいまの榊原委員の御説明による二カ条にわたる修正は、原案と対比いたしまして、最も適切なる修正であると考えますので、これは今御説明を聞いた通りでございますから、これ以上触れません。
そのほかの原案につきまして希望を申し上げたことは、この旅館業法の改正案全体を見まするというと、今回は相当旅館営業に対して適正なるあり方にあらしめるために、十分の指導、監督がなされるように改正されているやに見受けるのでございます。そこで、その場合に適正なる営業をやっているものと、適正なる営業をやってないものとは、はっきりと区別して、適正なる営業をやっているものに対しては、あくまでもこれを育成し、そうでないものに対しては断固たる処置をとるべくお進めを願いたいのであります。
特に学校周辺の問題につきましては、これは清純なる教育環境が著しく害されるおそれがあると認められるときは許可しない場合もあり得る、こういうのでございまするので、しかもその著しく害するおそれがあるかないかは、申請当時はほとんどわからぬ場合がたくさんあると思います。従って、この判定に従いまして、許可するかしないかということはきわめてむずかしい問題だと考える。場合によっては、この条文はほとんど死文にひとしい結果にもなりかねないとおそれるのでございます。そこで、ただかような条文があることは、おそらく許可する場合の審査を厳重にする、あるいは許可した後の監督を厳重にするというところに、特に留意がされるであろうということは期待ができるのであります。そこで、そういうふうな意味におきまして、この許可するかしないかの判定がきわめてむずかしいのでございまするから、この点についても許可する場合は、十分厳重なる審査のもとにおやり願いたい。ただ私どもが考えるのは、教育の、学校環境だけをもって足れりとするのでないのでございまして、私が申し上げるまでもなく、教育が学校とむしろ家庭において重要事であるとするならば、家庭の住居環境においても、旅館営業のあり方ということがむしろ私はより以上に重要なる影響を及ぼすのではないか、かように考えるのであります。従って、学校教育の問題、この環境の問題にとらわれることなく、住宅地環境の旅館営業のあり方について、十分厳重なる今後の監督をお願は申し上げたい。
それから学校周辺に許可するかもしれないという場合に、関係各方面から意見を徴することができるようになっているのでございますが、こういうような場合に、これは当局でございませんが、意見を徴せられる人にこの委員会を通して希望したいことは、感情にわだかまって、感情的な判定をもって意見を述べるということがないように、あくまでも適正、公平なる立場から、許可すべきか、すべからざるかという意見をお述べ願いたいということを、この委員会を通して希望を申し上げておきたいのであります。
それからこれに関連いたしまして、先般も参考人召喚の席で、売春、特飲関係の転業の問題が出ましたが、特飲業者が旅館業に転業されるという場合については、十分御注意をなさって、そうしてこれが適正に運営されるような場合は、これは許可しなければならないであろうけれども、そうでない場合と、そうである場合とを十分区別して判定をしていただきたい、こういうことも希望を申し上げたい。
次に、先ほども片岡委員からお話がございましたが、修学旅行、この問題につきましても、事きわめて幼い学童の問題でございますので、詰め込み主義あるいは不衛生的なあり方、あるいは食事の問題等について十分考慮を払われて、ことに貸ふとん、貸衣装のごときにつきましては、これもただいま御質問がございましたがほとんど貸ふとんについての取締りをなすべき法律も何もないということが明瞭になったわけでございます。こういう点についても、今後貸ふとん、貸衣装の営業について十分適当なる衛生的規制を加えられるように、厚生当局において御配慮おきを願いたいのであります。
次に、下宿業についても、特にこれも学生の住居する居住地でございますので、十分衛生上の管理が旅館以上に払われぬように見受けられますので、旅館、ホテル同様に、これについても厳重な監督をお願いしたい。
それからこの法律では、ホテル営業と、旅館営業を明確に区別しておるのである。そこで日本式旅館であるものがホテルの名称を使うということ、こういう点についても十分考慮する必要があると考える、これはこの法律に基いての監督を厳重にする、あるいは外部からながめた場合、これに錯誤を起さないように、この辺の名称の使い方について十分御考慮を願いたい。それから部屋数、畳数あるいは坪数というようなことについても種々論議がございましたが、今後さらに、現在以上にホテル、旅館を向上せしめるために部屋数、あるいは畳数、坪数等についても、さらに一段と向上せしめる方向に向って基準差もつけていただきたい。ただし、地方の実情、狭い町村のごときにおいて設けられる旅館等については、もちろん特別の事情を考慮するということもお忘れないように願いたいのでございます。
次に、宿泊料の問題でございまするが、これは宿泊料が現在政令あるいは法律をもって表示しなければならないという規定がないわけでございまするけれども、願わくは、ホテル営業あるいは旅館営業ともども宿泊料を表示するように、政令、その他の適当なる規則を設けてもらいたい。またチップ制度がだいぶ問題になりましたが、この点についても十分今後何か改める適正なる方法がありはしないか、チップ制度の廃止、そのほかこれに該当するものの支払方法というようなことについて当局においても十分考慮を願いたい。それは宿泊料の表示問題とともに、政令、その他の規定をお定めになるときに十分御考慮の機会があろうかと考える次第であります。
もう一つは、従業員の待遇問題についても、社会党の各委員から十分の御質疑がありましたが、待遇改善について、適正なるあり方を考慮しなければならない。労働時間、そのほかあるいは賃金等の問題についても、十分適当なる営業者がこの問題について深い考慮を払うように当局が営業者を指導せられたいのであります。
最後に、一点希望申し上げたいことは、本原案の第五条にございますところの旅館営業者が宿泊を拒否することができる場合とできない場合とがございます。この問題は、現行と今度の改正案と全く同じでございまするけれども、これはこの条文については十分疑義のある点もございまするが、修正もいたしませんでしたけれども、これについて、さらに深く政令あるいは都道府県の条例等において十分明確に規定化されるようにお願いをしたい。特に国際観光ホテルについては別な法律があるようでございまするが、今後外客を誘致しなければならない日本の国際観光ホテルを考えました場合に、この第五条の運営の仕方は非常に問題になる場合が多々あろうかと思いますので、この点についても十分御考慮おきを願いたいと思います。
以上、数項目にわたる希望を付しまして、修正案並びに修正部分を除いた原案に賛成をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/38
-
039・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま出されました修正案、この修正部分を除いた原案に対しまして賛成の討論をいたしたいと思います。
賛成の討論をいたすに際しまして私も一、二の点につきまして、希望意見を付して賛成をしたいのであります。
第一に申し上げたいことは、この旅館業法の第一条に示されておりますように、公衆衛生の見地から必要な取締りを行い、あわせて善良の風俗が害されることがないようにということを法目的の、二つの大きな目的によってこの旅館業法というものが作られていると思います。あわせて内容に進んで入りますと、旅館業の営業というものが行われておるわけでありますけれども、問題は今社会的に問題になりました、たとえば教育環境の問題に触れて鳩森小学校の周囲におけるなかなか教育環境をそこねるというような、新聞世論をにぎわしましたような状態も重要な一因でございます。また、今われわれが旅館業そのものを考えてみますときに、旅館とは家庭の延長として快適なそして休息、宿泊という形のものでなければならないと考えているのであります。ところが、世間では売春禁止法との関係において不安を持つ世論があるわけであります。私たちは旅館そのものは家庭の延長として快適な安息の場所と、そういう工合に今日の旅館そのものを見ているのであります。そういう建前がこの法目的の第一条に掲げてあります。善良な風俗を害されることのないようにというこの精神を十分に今後指導監督で、世間の売春禁止との関係において不安がられている問題が、不安のないような状態に指導監督をしていただきたいということを第一点として申し上げておきたいのであります。
続きまして、この問題について教育環境に関しまして、第三条の関係において、教育委員会が意見を述べるという状態になっております。こういうものがこの法によって守られてゆくというこの考え方に対して、より実質的なこの精神が生きるようにしていただきたいということでございます。
第二番目の問題は、現実ありまするこの学校との関連において、三年間は現状ということになっているのであります。しかし、法目的からいきまする今度の改正の建前から見ますれば、三年間は現状でいいということは、今のままでいいということではないと思うのであります。やはり直ちに建物、施設はそのままにあるといたしましても、今ここで法目的に掲げておりまするこの精神によって適実なる手が打たれなければ、私は第一条に掲げられた善良な風俗が害される云々というところにつながってこない。そういう工合に考えるのであります。この点は、特に私はお願いをしておきたいと思うのであります。
それから第三番目は政令に関する問題でございます。われわれは政令の要綱を見せていただいてこれとの関連において審議をしたいという意見も各委員の中からもありましたが、私自身もたとえば具体的な許可、施設、定員その他の内容については府県にまかせっ放しであるという状態については、なかなか納得がいかなかったのであります。ところが、今度改令を見てみますと、設備の問題については一応触れておりますけれども、修学旅行者の現状について、厚生大臣は、この委員会で明確に行き過ぎた間違いのないように責任を持ってやるというお答えがありました。ところが、定員の問題については、政令の要綱の中に含まれていないということ、これは府県の条例の中でどう指導されるのか知りませんけれども、しかし、その大臣のお答えになりましたこの精神があわせて府県の条例の中に生きてくるという建前をとっていただかなければならないのじゃないか、そういう工合に私は考えるのであります。
その次の問題は、先ほど質疑を行いました従業員の健康保持と待遇の問題でございます。私はそういう意味からいって、この旅館業法の中に、こういう従業員の健康保持や待遇の問題、そういう問題が入っていないということはむしろ残念に思うわけであります。だから、そういう問題については、たとえば基準法との関係がございましょう。それから安息所の問題もございましょう。または、健康保険その他の健康を保持する関係もございましょう。あらゆる面の問題点が明らかにされていない状態である。私はその点については、先ほどの質疑において、各関係するところに努力をするという御答弁でございましたので、私はそれを大いに期待するわけでございます。そういう点で私は、この従業員の健康保持と待遇問題、そして業者も従業員も健康にして健全なるからだによって旅館の宿泊者に対して快適な、たとえば旅行の中における宿泊、家庭の延長としての宿泊の本旨を十分に具体的に現われるようにしていただくために努力をしていただきたい、こういう工合にお願いをするわけでございます。二、三点の希望意見、そしてお願いを申し上げまして、私の意見を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/39
-
040・千葉信
○委員長(千葉信君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/40
-
041・千葉信
○委員長(千葉信君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより旅館業法の一部を改正する法律案について採決に入ります。
まず、榊原君外四名提出の修正案か問題に供します。榊原君外四名提出の修正案に賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/41
-
042・千葉信
○委員長(千葉信君) 全会一致でございます。よって榊原君外四名提出の修正案は可決されました。
次に、ただいま可決されました部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/42
-
043・千葉信
○委員長(千葉信君) 全会一致でございます。よって修正部分を除いた原案は可決されました。
以上の結果、本案は全会一致をもって修正すべきものと議決されました。
なお、本会議における口頭報告の内容、議長に提出する報告書の作成、その他の手続き等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/43
-
044・千葉信
○委員長(千葉信君) 御異議ないと認めます。
それから報告書には、多数意見者の署名を付することになっておりまするから、本案を可決された方は順次御署名を願います。
多数意見者署名
高野 一夫 草葉 隆圓
紅露 みつ 早川 愼一
勝俣 稔 谷口弥三郎
西岡 ハル 鈴木 万平
榊原 亨 藤原 道子
藤田藤太郎 山本 經勝
片岡 文重 竹中 恒夫
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/44
-
045・千葉信
○委員長(千葉信君) それでは次に、美容師法案を議題といたします。
御質疑のある方は順次質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/45
-
046・片岡文重
○片岡文重君 美容師法について少しお聞きをしたいのですが、この法案は衆議院において各党提案で出されておられるそうですから、十分御審議は尽されたものと考えますので、そう立ち入った御質問もどうかと思うのですけれども、一応拝見したところ、ちょっと了解しがたい点も二、三ありまするので、お聞きをしたいと思います。
まず、第三条でございますが、この第三条の二項を拝見しますと、「美容師の免許は、精神病者又はてんかんにかかっている者には、与えない。」この「かかっている者には、与えない。」ということになると、現在こういう症状にある者に与えないということで、これは当然だろうと思うのですけれども、精神病者もしくはてんかん等の症状はかなり突発的にと言いましょうか、発作的にくる場合が非常に私は多いと思います。従って、このこういう美容師のような仕事をしておる場合には、電気器具を使う場合もありましょうし、かみそり等危険な器具を持っておる場合もありましょう。そういう仕事をする者に、現在はその症状がないからといって、これを営業させるということははなはだ危険ではなかろうかと考えるのですが、これは既往症があっても、現にそういう症状がなければよろしいと、こういうことなんでしょうか。その点を一つお聞きしたいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/46
-
047・野澤清人
○衆議院議員(野澤清人君) ただいまの御質問でありますが、実はこの法律自体は、趣旨を説明申し上げたときに申し上げました通り、現行法をただ二つに割るということだけが目的でありまして、そういう点については当然これは検討してお諮りしなければならないわけですが、ただ今回、第九条に健康診断の条項が入っております。従って、既往症のある者、あるいは将来予知されるというような場合には、この健康診断で発見できるのではないか。従って、既往症のあった者に対して免状をやるかやらないかという問題よりも、現在健康診断をした結果、その者が精神に異常があった、こういう場合には当然これは除かれるべきだと思いますが、従って、業務の停止等も行政上一応考えられ得る事項だと思います。先生の御心配なされる点はごもっともだと存じますが、きわめて危険な電気や器具等を扱いますので、この点は政府の方にも十分申しつけましてですね、間違いのないように一つ運営させていただきたいと思いますが、よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/47
-
048・片岡文重
○片岡文重君 次に第四条の問題ですが、この美容師試験を受ける、つまり受験資格が、一年以上の実地習練を経た者でなければ生まれてこない、こういうことになっております、従って、厚生大臣の指定した美容師養成施設においてこの定める期間を知識及び技能を習得した後に、さらに一年以上の実地習練を経なければならないということになっておるのですが、これはどういう必要で、この一年以上の実地習練をさせなければならないのか、その御趣旨をお伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/48
-
049・野澤清人
○衆議院議員(野澤清人君) ごもっともな御質問だと存じますが、学校教育法の四十八条に規定する者というので、資格が一応認められております。その資格の内容は、御承知の通り、「高等学校に入学することのできる者は、中学校若しくはこれに準ずる学校を卒業した者又は監督庁の定めるところにより、これと同等以上の学力があると認められた者」と、こういうふうな資格を一応四十七条によって規定されておりまして、しかもその履修期間というものが、三項にあります通り、昼間、夜間、あるいは通信課程というようなものがございます。しかもこの法律の美容師法、あるいは理容師法等が、戦後改めて身分法ができ、教育課程等についてもいろいろとこの養成施設双についての論議が交わされたのでありますが、何と申し、ましても、技術が基本の商売でありますので、どうしても学問だけで、頭のいい者が試験にパスした、それだけで直接接客業に従事するということは危険じゃないか、こういうことから、勉学しながら実習を積んでいく者もありましょうし、あるいはまた、家庭から通信教育を受ける、あるいはまた、日中学校へ通う、こういうふうなために、美容師たるに必要なこの知識は得られても、あるいは技能を修得し得られても、さらに自信を持った接客の技術というものの裏づけができない。従って、インターン制度として一年が適切か、三年が適切かということで、相当経過的には、過ぐる国会においてずいぶん論議された問題でありますが、一応一年以上の実地習練を経た者でなければということで、この法律がきまっておったように記憶いたしております。従って、今回もこうしたものを改めて修正することなしに、現行法をそのまま移しましたものでございますから、どうぞ御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/49
-
050・片岡文重
○片岡文重君 理容師、美容師法を二つに分けただけだから、この美容師関係のもの以外はそのままであるという御説明もありましたので、大体この法案の条文については理解し得ないことはないのですけれども、せっかくこの美容師法として単独法を制定するからには、やはりこの機会に、なるべく合理的に構成していきたいと考えますので、必要のない点、あるいは誤解を生ずる点等については、この際、私は削除すべきではないか、また、修正をしていくべきではないか、こうまあ考えますので、お伺いをしておるわけですが、第四条のこの第三項に定められておりまする養成課程の期間これは昼間課程、夜間課程、通信課程、それぞれどの程度にお考えになっておられるのですか、それからまずお伺いしたいと思います。
〔委員長退席、理事山本經勝君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/50
-
051・山口正義
○政府委員(山口正義君) これは省令で定めておりまして、昼間一年、夜間一年四カ月、通信課程が二年、そういうふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/51
-
052・片岡文重
○片岡文重君 そうしますと、たとえば昼間課程の場合は、一カ年の間に、この学校教育法四十七条に定めるところの資格をもって美容師養成施設に入る。そして知識と技能習得をするわけですが、それでなおかつ実地の技能が足らないからということで、一カ年以上の実地習練を義務づけておることになるのでしょうが、現在この養成課程を卒業して、さらに実地習練を義務づけておるものは、医者のほかには現在ないと思うのですが、このお医者さんの場合には、申し上げるまでもなく、生きておる人間の身体を、病気をいじることですから、なかなか理論的にもいかないでしょうし、その経過等についても十分な経験を必要とするでありましょうから、できるだけ豊かな経験を積ませることが必要でありますので、インターンという制度も必要だろうと思いますが、しかし、この美容師の場合に、果してその実地習練をする必要があるかどうかということになると、私は多分に疑問があるのじゃなかろうか。特にこの実地習練を一体、じゃどこで行うかということが問題になると思うのです。養成所を卒業して、実地に習練をするということになれば、その客を相手として業をするようになってくるのでしょうから、この第六条との関係もまず考えなければならないでしょうし、かりにこれは実地習練であるから、業とするものではない、収入を、つまり報酬を得てやるというものではないということで、この関係は一応のがれることができたとしても、さらに心配になるのは、この実地習練を名目として、この修習生を収容する業者が、どういうふうにしてこれを修習させるであろうか。で、大部分の、この美容師になる、希望されるような大部分の方というものは、お医者さんを希望されるような富裕な家庭から、生活費等についてそう不安のないような御家庭の子弟が行かれるのじゃなくて、むしろ一日も早く収入を得たいということで、この四十七条の規定と言えば、御承知のように、これは高校入学の資格ですから、中学卒業だけだということなんです。義務教育を終ってすぐに収入の道を得たいということで、辛うじてこの養成所の施設に入るのですから、やっと昼間課程の一年を終って、また、一年無収入の状態に置かれる。しかもこれは実地習練ということになりますから、そこの家に行って、その現に営業しておるところへ行ってやることになるでしょう。そうなると、まあ悪い面ばかりを見てはいけないでしょうが、走り使いから、女中、子守の仕事もやらされるおそれも多分にあるでしょうし、むしろ安い賃金によって労力を得ようとする業者もないとは言えないと思うのです。あまり少くないと私は思うのですが、そういう犠牲になる危険性もある。どうしてもこの際、一年以上の実地習練が必要だとあるならば、むしろこの養成所の修習課程を、一年で足りなければ一年半にするなり、これを延ばしても、この実地習練ということでインターンをやらせるということは必要ないのではないか。技能の習得が不十分だというのならば、この養成所において、養成課程の中において習得できるような方法を考うべきではないかと思うんですが、この点は立案者としてどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/52
-
053・野澤清人
○衆議院議員(野澤清人君) この点もちょうど昭和二十七年、八年に初めてこの養成施設が論議されましたその当時のことを多少わかっておるものですから申し上げたいのでありますが、
〔理事山本經勝君退席、委員長着席〕
かなり議論のありました点で、特にこの徒弟制度というのが問題点になりまして、今先生のおっしゃられたように、ふき掃除から子守りまでさせられるのではないか、こうした封建的な残渣をいつまでも新しい法律に盛り込むことはいかぬと、こういうことでかなり議論はされたんですが、何と申しましても、この養成施設に入り得る立場の人というものは零細な家庭の子が多い。そういう搾取的な形態でいじめられたのでは気の毒だからというので、かなりあらゆる角度からこれは検討されました。その結果、昼間、夜間、通信教育まで設けまして、一年、あるいは一年四カ月、二カ年というような年数もきめまして、きめるかわりにはインターンの制度というものをきちんと設けようじゃないか、そのかわりインターンの学生というものは学校から保健所の了解を得て配属をしていくと、要するに、実習をする店をきめて学校の方から派遣する、派遣された者については、夜間の業務までさせないように、労働基準法にも違反しないように、なるべく監督も厳重にして、そして客のある間そばにいて見習いをする、あるいはその勤務の習得の実習をする、こういう形でいこうじゃないかというので、経過的にはそうしたいろいろな角度から論議された結果がこういうものが設けられたわけであります。ところが、昨年度の美容師法の改正案が——これは社会党から提案されました当時でありますけれども、やはりこの貧しい家庭の者であるから、学校へ行かなくとも三年以上その店で実地に習得した者なら受験資格を与えてもいいじゃないか、こういう法律案が出まして、その後、自民党の方といろいろ話し合いした結果、やはり徒弟制度の復活でないかという疑いを持たれても困るから、一応この際、そうしたものは御破算にして、あらためて単独立法として美容師と理容師の法律を分けて、これを原則にして提案しようではないか、これが今回の提案になりました経過でございます。従って、先生の御指摘の点については、十分四、五年前から検討された問題でありまして、現在のところ、やはり技術指導という面からは、この養成施設を終った者であっても、正規なインターン制度というものは一年でも足りないと言われるぐらいに、一般の業者あるいは免許をとった者から見ましても心もとないのだと言われるほどの短かい年数でありますので、まあこの程度ならばやむを得ないんじゃないかと、こういうことで、一応原案を従来の通り認めたわけでございます。どうぞ御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/53
-
054・片岡文重
○片岡文重君 特にこの夜間課程、通信課程等の養成課程を経た者は、大体が実際にはその業者のもとで徒弟的な修習、習得をやっておる者だと私は考えますが、で、そういう者に、特にこの実地修練を課せるということははなはだ過酷ではないかという気がします。で特にこの二十七年でしたかな、きめられました当時はいわゆる徒弟的な習得を経て試験を受ける状態にあったものをやめて、この都道府県知事の試験制度にしましたから、過去的な措置としてはこれを認めざるを得なかったのかもしれませんけれども、すでに今日になりましては、むしろいろいろな面で好ましからざる事態が多く考えられる状態では、この一年以上の実地修練という問題は必要のないことに私はすべきではなかろうかと思うのです。特に考えられるのは、試験を受けてから営業するまでの間に、この実地修練をしようということであれば、たとえば司法修習のごとく、一定の報酬を得て、そうして試験を受けてから一定の報酬を得て、独力で開業するまでの間にその実地の修得をせよということであるならば、これはまた考えもあるでしょうけれども、試験も受けることができないということになると、これは非常に私は問題だろうと思いますので、これはぜひ削除してもらった方がいいのではなかろうかということが考えられますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/54
-
055・野澤清人
○衆議院議員(野澤清人君) たびたび申し上げるように、非常にこれは論議された問題でありまして、先生の御指摘のように、教育を受ける者は、普通の家庭において通信を受けるのじゃないじゃないか、大てい徒弟式に住み込んでおってということでありますが、大体その習慣といいますか、慣例といいますか、私も七、八割はそういうケースが多いと思います。多いと思いますが、ただ通俗な言葉で申しますというと、いかにしてこの搾取的に若い男女を使うことを防ぐかということが、これを立法した当時の考え方でありまして、従って、いろいろと検討した結果、これは業者の意見も聞き、また、長年このこうした子弟の教育をした人たちの御意見も聞いてみますというと、家庭が貧しいために、ある美容院の門をくぐる、そうしてそこから昼間でも夜間でも学校に出してもらうというのには、食事のほかにやはり多少の小づかいももらわなければならぬ。で、そうした場合に、小づかいももらえ、食事も食べさしてもらって、学校へ通って免許をとってすぐ立たれたのでは、めんどうを見る者がなくなってくると、こういうお話が相当出ました。その結果と、もう一つは、この技術的な慣例と申しますか、やはり実地修練というものをみっしり仕込まない限りは、安心して美容業には携わらせるわけにはいかない、こういう思想とが一緒になりまして、つまり新しいこの理容、美容に対する法的な感覚と旧来の因習とどう織りまぜるか、また、どこで結ぶかというようなことで非常に苦心された点だと私感じております。従って、御承知かもしれませんが、たとえば現在のあんま、はりきゅうの法律によりましても、大ていあんまの徒弟と申しますか、この学校へ行く者は商売を、営業を行なっておりますところにおりまして、学校に通っておる。ところが、あれは実地修練の機会というものがないため、見習いで客をどんどんとっている現況であります。しかしながら、免許をとった翌日からそれでは給料が上るかと申しますというと、やはり給料の点についてはほとんど変りがないのです。で、これはあんまのように、自分の力で自分の技術、あるいは自分の努力によって収入があるのですから、その主人公と七、三で分けようと、四分六で分けようと、これは差しつかえがありりませんでしょうが、理容、美容については、単独にこてを持ち、はさみを持ち、あるいはウエーヴをかけるという業務はさせない。これはあんまと全く性質が違うのです。従って、ただ補助業務として、はさみをそばに持っていくとか、カールする場合に、セットする場合にあるいはピンを運ぶとか、そういうことをしながら、補助的な業務をしながら実地修練を積んでいく特殊なケースであります。もしもそうしたことを一概に取り払うということになってきますと、貧しい家庭の者が教育費も出してもらえない、こういう結果になります、さらにまた、封建的なこの搾取形態というものが再現されるのではないかというのも心配されましたので、実地修練ということを、技術の修得を重点にしてこうした条文が生まれたと私記憶いたしましております。従って、多少見様見方によっては不工合の点があるかもしれませんが、現在のところでは、もっと実地習練の期間を延ばしてくれという要求はあっても、これを取り除いてほしいということは、ほとんど声がないように私感じておりますので、この点に関しましては、より以上、国会においても十分検討すべきだとは思いますが、どうかこの際は、この辺で御了承が願えたら大へんけっこうだと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/55
-
056・片岡文重
○片岡文重君 まあ理由は、大体において同じような理由であるから、私はむしろこの実地習練は除くべきである、少なくとも受験資格に入れるべきではない。ピンを運び、あるいははさみを持っていく程度の補助的な仕事をさせられておったのでは、これは一年おっても二年おっても、やはり技能の習得にはならぬわけですから、やはりそういうことは養成所の中における習得課程においてやはり十分さすべきであって、それがどうしてもできぬというのなら、むしろこの養成所の習得課程を、期間を私は延ばしても、受験資格としてのインターン制度は一つやめて、必要ないのじゃないか、特にこれは先生の方には、延ばしても縮めることは相ならぬという御意見があるそうですけれども、私どもは、むしろ逆に特に貧困な家庭において理容師たらんとする者にとっては重大な支障になるからという意見が強く述べられておりまするので、一つ御考慮をいただきたいと思うのですが……。
次に、これはまあこの程度にしてほかの問題に移りたいと思うのですが、こまかいことで恐縮ですけれども、七条の理容所以外の場所において営業の……、規定の場所以外の営業の場合に「政令で定める特別の事情がある場合」というのは、これは例示されるお考えなんですか、それとも列挙されて規定をされるお考えなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/56
-
057・山口正義
○政府委員(山口正義君) これは政令で特別に定めるようにしてございます。現在も、現行の理容師、美容師法の施行令の第九条にございまして、「疾病その他の理由により、理容所又は美容所に来ることができない者に対して理容又は美容を行う場合」、それが第一でございまして、第二に「婚礼その他の儀式に参列する者に対してその儀式の直前に理容又は美容を行う場合」、第三として「前二号のほか、都道府県知事が特別の事情があるものとして定める場合」、そういうふうに政令で定めてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/57
-
058・片岡文重
○片岡文重君 それから第十七条の問題になるんですが、美容師それから美容所の開設者が会を組織することができるようになっております。十七条の美容師または美容所の開設者が会を組織して、会員の指導や、連絡に当り、または美容師の養成に関する事業をすることができる、こういうことになっておりますが、この団体と言いましょうか、組織は、今衆議院で御審議になっておられると思いますが、この環境衛生関係営業の適正化に関する法律案の中で、第二童でしたかに定められておりますが、同業組合との関係はどういうことになるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/58
-
059・野澤清人
○衆議院議員(野澤清人君) どうもありがとうございまして、実はあの法律を審議していく過程において、この関係がたまたま論議されました。あちらの方では美容の業務を営む者が会を組織して府県単位でやることになっております。そうしますというと、この法律が衆議院を通過しました当時には、美容師または美容所の開設者というものをさほどに重きをおかなかったんです。つまり勤務している者でも資格を持っている者は、医師会、歯科医師会、薬剤師会と同じように、一緒になって業務を営む者も、資格者も一つの団体にという考えでおったところが、あの審議をしていく過程において、同じ資格を持っている者でも、みずから開設している、あるいは資本家がついて第三者が開設した者は、業務を営む者だけが環境衛生関係営業の適正化の法律では団体を作ることになっている。そうしますというと本件によって、この条文から参りますというと、どうもつり合いがとれなくなってくる。十七条の欠陥としてはっきりしましたことは「理容師又は美容所の開設者」というこの条文でいきますというと、別々に組合を作っても差しつかえないということでございます。あわを食いまして、委員長さんのもとにだけは、私の方からぜひ参議院で「美容師又は」という字句を「美容師及び美容所の開設者は、」と、一つ直してもらえないか、こういうお願いだけを申し上げておったのですが、非常に適切な御指摘をいただきまして、ぜひ一つ先生の方でも、ここの意味は有資格者、いわゆる免許を持った者も、営業をやっておる者も一つの団体を作ることが望ましいという精神でございますので、ぜひよろしくお取り計らいを願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/59
-
060・片岡文重
○片岡文重君 期せずしてこの指摘をしたことになるのでしょうが、私はしかし、必ずしも別々の団体を作ることが悪いとは考えませんが、むしろ開設者と、それからその関係でつまり第三者の開設した事業で働いておる、使用されておる者とは同一団体ではなくして、使用者は使用者としての団体を作り、それから開設者は開設者としての団体を作って、これは別個にやっておられた方がいいのではないかと、こう、まあ考えます。しかし、その環境衛生関係の営業の適正化に関する法律案との関連については、ただいま御意見を伺いましたので、この点についてはこれにとどめますが、後に返って恐縮ですけれども、十六条の処分の通知に対して、この処分の通知を受けた者か弁明及び有利な証拠の提出の機会を与えられることになっております。そこで、この弁明及び有利な証拠の提出をするところはどういう機関においてこれを行うのか。この処分をする者と、それから弁明を受ける者とが同一権者であったのではあまり意味がないんじゃないかと思うんですが、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/60
-
061・山口正義
○政府委員(山口正義君) ただいま御指摘の通り、処分をする機関、それから不服を申し立てるその機関と申しますか、申し立てる先とが同一ではおかしいのじゃないかという御指摘でございますが、ごもっともの点と存じますけれども、他の立法でも全部こういうふうな形式をとられておりますので、本案を最初に制定いたしました際に、それにならってこの条文を制定したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/61
-
062・榊原亨
○榊原亨君 関連して……、今答弁者がおかわりになりましたから、ちょっと話がおわかりにくいかもしれませんが、十七条の「美容師又は美容所の開設者は、会を組織して、」というところが、今度衆議院で今やっておられますところの環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律案というものの中のどこにそれがあるのでございましょうか。私の了解しておるところでは、第十五条か第十六条に組合を組織するということがあるのでありますが、会を組織するということは、その点は同じでありますか。ちょっと突然でおわかりにくいかもしれませんが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/62
-
063・亀山孝一
○衆議院議員(亀山孝一君) ちょっともう一度……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/63
-
064・榊原亨
○榊原亨君 ただいま野澤君が第十七条について答弁されましたのには、「美容師又は美容所の開設者は、会を組織して、」云々ということがある。そこで「又は」というのは、どうも今衆議院で審議中の環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律案に関係して、「美容師及び美容所の開設者は」ということに訂正してもらいたいというような希望を委員長まで申し出たというお話があったわけです。ところが、この環境衛生の方の法律の中には、これらの業者が会を組織する話はないのであります。組合を組織することになっておりますが、会を組織することになっておらぬと私どもは了解するのでありますが、その点はいかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/64
-
065・亀山孝一
○衆議院議員(亀山孝一君) 今突然に参りましたので、あるいは野澤君と意見が違うかもしれませんけれども、この現在の美容師法案では、今お述べになりましたように、「美容師又は美容所の開設者」となっておりまして、それぞれ、あるいは両者一緒でもできるようになっております。ところが、環境衛生の方は業者となっておりまして、美容師ということよりも、美容所を経営する者、いわゆる美容所の開設者ということになっておりますので、今の会と組合が違っておりますときに、できれば十七条の美容師という字を削っておいた方がいいんじゃないかと、こういう……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/65
-
066・榊原亨
○榊原亨君 関連質問で大へん時間をとってあれでありますが、環境衛生の方には組合としか書いてないのです。十六条か十七条に組合を組織するとありますが、今問題になっておりますこっちの美容師法案におきまして、会を組織するということになっておる。会と組合とは違うのでありますが、今野澤先生のお話では、いずれ環境衛生の方でそういう会ができることになっておるから、そこで美容師及び美容所というふうにしてもらいたいという話を今承わったのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/66
-
067・亀山孝一
○衆議院議員(亀山孝一君) 野澤君はどういうことを言ったのですか、ちょっともう一度……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/67
-
068・千葉信
○委員長(千葉信君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/68
-
069・千葉信
○委員長(千葉信君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/69
-
070・片岡文重
○片岡文重君 お伺いします。次は罰則についてでありますけれども、この全文を通して見ますと、刑を課するに当って、刑罰と行政処分との両方を受ける面と、それからこの刑罰を課するに当って対象となる行為とそれからそれに課される刑罰との比重と言いましょうか、比較がどうも著しくアンバランスじゃないかと考えられる面があります。この点について二、三お伺いしておきたいのですけれども、たとえば十九条の第一号に該当する者はこれは規定外の場所で営業したものであります。これは五千円の罰金を課せられます。そうすると、これは刑に処せられたのですから、当然この法案でいけば業務の停止もしくは免許の取り消しになるわけです。それから第二号で参りますと、伝染性の疾患その他この業務を行うに不適当な疾病を発見された場合にはこれまた業務停止になる。これを犯してやった場合も五千円以下の罰金に処せられます。従って、この罰金に処せられると、これまた、業務の一時的な停止もしくは免許の取り消しになります。この業務の一時的な停止、期限を定めて一時的に停止するということになれば、この間は仕事ができないわけですから、免許の取り消しと同じことになるのですね。それから第十条の一項の規定による……これは精神病やてんかんにかかっておる者あるいは業務上の義務的な措置を怠った者それから健康診断を受けなかった者、こういう者の処分であります。これに違反をした者はやはり五千円以下の罰金を課せらる。そうして業務の停止または免許の取り消しになるわけです。そこで考えられるのは、伝染性の疾患を持っていたりなんかしておる者あるいは精神病者あるいはてんかん、こういう者は業務の停止を受けあるいは免許の取り消しを受けるのはやむを得ないとして、健康診断を断わっただけで免許の取り消しを受ける、あるいは業務の停止をされる、こういうことになってくるわけです。こういう今申し上げておる例を一つ一つ検討して参りますと、はなはだこの間に不均衡な点が多いと思うのですが、この点はどういうふうにお考えになっておられるのか。それから特に同じ十九条の三号、四号、五号、こう見て参りますと、同じ行為に対して開設者の方は、たとえば十一条の規定ということになれば、開設の届出を怠ったりもしくは変更の届出を怠った場合です。この場合にはこれは罰金があるだけですけれども、免状を持っておる者、資格者がこういうことをやった場合には、罰金のほかに免許を取り消されるということになってくるわけです。だから同一行為に対して課せられる処分、処罰が違っておる、こういうことが言えるわけです。こういう点について、立案者はどういうようにお考えになっておられるのか、お伺いしたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/70
-
071・亀山孝一
○衆議院議員(亀山孝一君) この美容師の罰則は御案内のように、理容師から分れております。大体罰則は、ただ第十八条の「第六条の規定に違反した者は、一万円以下の罰金に処する。」とありますのを、理容師の方は五千円となっておりましたものを一万円に上げたわけでありまして、他の制裁規定は全部理容師法と合わしております。従いまして、別に今いろいろお述べになりましたけれども、理容師との関係も考慮し、この程度でいいのではないか、いろいろこの行政処分と刑罰との併科問題につきましては、お言葉のように、こまかいケースはいろいろありますけれども、それぞれ行政処分の判定、刑罰の判定によって今お話のような点は加減できると思いますので、大体理容師と歩調を合せた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/71
-
072・片岡文重
○片岡文重君 これは先ほども論議したところですけれども、美容師試験を受けるについては、養成過程を一年なりあるいは二年なり終って、さらに一年以上実地習練を積んで、ようやくにしてその受験資格を獲得して、ようよう合格をして免状を得るわけです。そうした者がたまたまこの年二回の健康診断を受けなかったということだけで五千円以下の罰金に処せられ、あまっさえ業務の停止もしくは免許の取り消しを受ける、こういうことはあまりにも過酷ではなかろうかと思うのですが、開設者の場合には届出を怠っても、あるいは確認される前に、その施設が関係庁によって確認される前に使っても、あるいははなはだしきに至っては、業務の停止処分を受けて、しかもその業務を継続しておった場合でも、それは五千円以下の罰金で済んでおる、それはそれ以上処分のしょうがないからでしょうけれども、ところが、同じ事故であっても、この美容師の資格を持っておる者は、そのほかにさらに行政処分を受けなければならぬ、しかもその行政処分を受けるにも先ほど申しましたように、健康診断を受けないだけでもこの業務停止や取り消しを受けるような場合、それから免許の取り消しを受ける、一方では規定外の営業等ではそういうことにはならぬそうです。こういう点で、非常に私は一つ一つの検討をして見ると、アンバランスが多いと思うのですけれども、この点は、理容師法との関係だけでお考えになっておって、この美容師の救済という点についてはあまりお考えにならなかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/72
-
073・亀山孝一
○衆議院議員(亀山孝一君) 今お言葉がありました健康診断を受けない場合に処罰を受けるということ、これはもう私からるる申し上げるまでもありませんけれども、いわゆる接客と申しますか、人に接する業務に対しては健康診断を拒否するということは、これはある程度の制裁をもって臨むのがいいと考えております。正当の理由なくして健康診断を拒むということは、これはもう何かここに考えなければならぬ問題もありますし、公衆衛生上から見れば当然だと思います。
次に、お述べのありました美容師という身分を持っている者と身分を持たざる者の業務制裁というもの、これはおのずから私から申し上げるまでもたく、医師の方に対する医師の身分と、病院、医院、診療所の開設者というものとは、身分を持っているものだけにある程度の身分的な制裁がつけ加わることがあり得るわけであります。その点も現在の理容師法の制裁をそのままこちらに持って参りましても別に不合理はないと、かように考えているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/73
-
074・片岡文重
○片岡文重君 御答弁の筋としては一応理由をおつけになっておられるのですが、この同一行為に対する処分の併科といいますか、こういう点に対しての問題それからこの十九条の一号、二号に規定された各行為と、それに対する処分等については、先ほど来何回も繰り返しておりますように、はなはだ不均衡だと私は考えております。しかし、御説明は再度伺っても同じようでありますから、この点については一応留保しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/74
-
075・千葉信
○委員長(千葉信君) それでは、本法案に対する本日の質疑は、この程度にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/75
-
076・千葉信
○委員長(千葉信君) 御異議ないと認めます。
本日はこれをもって散会いたします。
午後四時十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614410X02619570425/76
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。