1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年二月十九日(火曜日)
午前十時三十九分開会
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出席者は左の通り。
委員長 松澤 兼人君
理事
西川彌平治君
阿具根 登君
近藤 信一君
委員
青柳 秀夫君
大谷 贇雄君
古池 信三君
白井 勇君
小幡 治和君
阿部 竹松君
相馬 助治君
藤田 進君
加藤 正人君
豊田 雅孝君
大竹平八郎君
国務大臣
国 務 大 臣 宇田 耕一君
政府委員
経済企画庁長官
官房長 酒井 俊彦君
経済企画庁計画
部長 大來佐武郎君
科学技術政務次
官 秋田 大助君
科学技術庁長官
官房長 原田 久君
科学技術庁長官
官房会計課長 杠 文吉君
科学技術庁企画
調整局長 鈴江 康平君
科学技術庁調査
普及局長 三輪 大作君
通商産業政務次
官 長谷川四郎君
通商産業省通商
局長 松尾泰一郎君
通商産業省鉱山
局長 森 誓夫君
通商産業省石炭
局長 讃岐 喜八君
事務局側
常任委員会専門
員 小田橋貞寿君
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本日の会議に付した案件
○輸出検査法案(内閣提出)
○地方自治法第五十六条第六項の規定
に基き、工業品検査所の出張所の設
置に関し承認を求めるの件(内閣送
付、予備審査)
○経済の自立と発展に関する調査の件
(科学技術庁関係昭和三十二年度予
算及び提出予定法律案に関する件)
(原子力の開発に関する件)
(雇用問題に関する件)
(経済綜合計画に関する件)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/0
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001・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) これより委員会を開会いたします。
委員会に入ります前に、委員長理事打合会で御相談申し上げたのでありますが、本日輸出検査法案が参議院先議で付託され、なお、工業品検査所移転の承認を求めるの件が予備審査で提案になっております。で、これを本日まず上程いたしまして、提案理由の説明だけを聞きまして、審議は後日に譲ることに決定いたしましたので、さよう御了承を得たいと思います。
本日、通産大臣は閣議でおくれるということと衆議院の商工委員会が開かれておりますということで、長谷川通産政務次官より説明をいたしたいという申し出がございましたので、これより両法案につきまして、長谷川通産政務次官より説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/1
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002・長谷川四郎
○政府委員(長谷川四郎君) ただいま提出されました輸出検査法案につきまして、提案の理由を御説明いたします。
御承知のように、昨年のわが国の輸出貿易は、前年に比較し二四%強の増加をみたのでありますが、今後予想されます深刻な国際競争に耐え、この好調を継続して参りますには、今後ますます企業の合理化を促進し、生産性の向上をはかりますとともに、他面輸出検査を強化し、わが国輸出品の声価の維持並びに向上をはかることが緊要であります。
さて、現行の輸出品取締法は、昭和二十三年に輸出品の声価の向上と品費の改善をはかることを目的として制定されたものでありまして、その後、数度の改正が行われ、輸出品の検査制度も逐次強化されて参りましたが、何分にも現行制度は、輸出品の製造業者または輸出業春の自家表示を建前としており、政府といたしましては、単に品目の指定と品質の標準、または包装条件並びにその表示様式を定めるのみでありまして、特にその表示をするのに、特別の機械器具または知識経験を要するものについてのみ、例外として政府機関または政府が登録をした者の表示を強制しているにすぎないのであります。
このような検査制度では、粗悪品の輸出を完全に防止することは、困難であり、最近における輸出検査の状況を見ましても、その弊害が必ずしも少くない実情でありますので、この際一そう能率的、かつ、合理的な検査制度を実施することによって、輸出品の質的競争力を強化するため、本法律案を提出する次第であります。
次に、その概要を御説明いたします。まず、第一は、自家表示を建前とする現行制度を改めまして、政令で指定する貨物につきましては、原則として政府機関または政府が指定する検査機関の行う輸出検査に合格したものでなければ、輸出できないこととしたことであります。
第二は、輸出検査を適格に行うため、特に必要がある品目につきましては、その材料または製造中の検査を行い得ることとしたことであります。
第三は、検査機関につきまして、その業務の公共的性格にかんがみ、公益法人であって、全国一円の規模のもとに十分な検査設備と検査員ならびに事業所を有し、公正な検査活動を行い得る者を、申請により、指定することとしたことであります。
第四は、指定検査機関の監督につきまして、その業務規程、役員の選任、解任を認可制とするほか、事業計画、収支予算を事前に政府において検討し、役員および検査員が不公正な検査を行なった場合には、聴聞の上、解任すべきことを命ずる等、公益上の観点から十分な監督を行い得ることとしたことであります。
第五は、検査の特例を設けまして、指定貨物のうち、政府機関等による検査を行うことが不適当と認めるものにつきましては、自家表示を存置したことであります。
以上が輸出検査法案の概要であります。何とぞ輸出貿易振興の見地から、本法律案を慎重御審議の上、御可決あらんことをお願いいたす次第であります。
次に、工業品検査所高松出張所設置に関しまして御説明申し上げます。
本件は、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基きまして、工業品検査所の出張所の設置について、国会の御承認をお願いするものであります。
工業品検査所は、輸出品取締法に基く輸出品の検査等を行なっておるのでありますが、現在本所を東京に、支所を大阪、名古屋および福岡に、出張所を横浜ほか六カ所に設置しております。
今回出張所を高松市に設置しようといたしますのは、先般第二十四国会において御承認願いました四国通商産業局の高松市移転に伴い、受け入れ態勢も整いましたので、現在四国一円を管轄区域として丸亀市に設置されておりますところの出張所を、そのまま高松市に移転して、輸出品取締法に基く輸出検査を能率的に実施しようといたすものであります。
なお、この設置につきましては、丸亀出張所に勤務しております三名の職員の移動を予定いたし、現行予算の範囲内で、輸出検査業務の円滑な運営をはかることとしております。
高松出張所設置の理由は、以上の通りでありますが、よろしく御審議の上、御承認を賜わらんことを切にお願いする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/2
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003・白井勇
○白井勇君 ただいまの御説明がありました法案に関連しましての資料の提出をお願いしたいと思います。
輸出検査法に関連しまして、その輸出検査の現況を知るために必要でありまする資料、具体的に申しますと、一つは、指定貨物別の検査機関の現存の名前ですね、それから最近におきます収支の状況、それから検査員の人数、それから現在の検査手数料、それからその手数料の輸出価格に対しまする料率と申しますか、それから今度、法の十条によりまして特定の機関を指定をするという考え方のようでありまするが、その場合の指定貨物別の機関の名前、それから今後の収支の見通し、それから検査手数料、それから第十条におきまして検査特例の品目があるようでありますが、その品質と、それから特例を設けなきゃなりません特別の理由、それから第二十五条で登録簿を設けまして、検査員を登録をするようでありまするが、その場合の「輸出検査員に関する事項」というその内容、それから輸出検査審議会というものを置かれまするが、それに対しまして大臣の諮問いたしまする事項は、第三十八条で規定しておりまするが、そのほかに、審議会としましての権限でありまする輸出検査に関しまする重要事項というものは、具体的にどういうことを考えていらっしゃいますか。それから現行の検査品質に関しまする基準、どういう基準になっておるか。もう一つは、本件の施行に関しまして、政府としまして予算的の措置を講じましたものがありますれば、それを提出していただきたい。以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/3
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004・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) ほかに何かただいまの説明に関しまて、資料の提出等御要望がありましたら……。ございませんようでしたらば、次に移ります。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/4
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005・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) 次に、科学技術政務次官秋田大助君から、発言を求められておりますので許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/5
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006・秋田大助
○政府委員(秋田大助君) ちょっとこの際ごあいさつを申し上げたいと存じます。
私が、このたび科学技術政務次官に任命されました秋田大助でございます。元来浅学非才の身で、果してこの重責に耐え得るか、内心じくじたるものがありますが、せっかく勉強をいたしまして、大過なきを期したいと存じております。つきましては、委員長初め委員各位の格別の御支援御指導なくては、このことはかなわないことでございまして、就任に際しまして、切に皆様の御支援御指導をお願い申し上げまして、簡単でございますが、就任のごあいさつにかえる次第でございます。どうぞよろしくお願いします。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/6
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007・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) 次に、前回の委員会で繰り越しとなっておりました科学技術庁の三十二年度の予等の説明及び今国会に提出予定の科学技術庁関係の法案の説明を官房長原田久君にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/7
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008・原田久
○政府委員(原田久君) それでは私から今国会に提出を予定しております法案五件、並びに三十二年度科学技術庁関係予算案につきまして御説明申し上げたいと思います。
まず最初に、提出予定法案でございますが、第一には、日本科学技術情報センター法案を提出したいと考えております。これはわが国内外を問わず科学技術に関しまする情報、たとえば図書、雑誌、カタログ、その他記録され得る情報を統一的に収集し、分類し、また提供することによりまして、研究活動、あるいは産業面における新技術採用といったような科学技術活動の振興をはかる基礎を提供したい。そのために科学技術情報センターという特殊法人を設置しまして、その機能を果させたいというものであります。この特殊法人に関しまする法案を提出したいと考えております。
次に、技術士法案について簡単に御説明申し上げます。諸外国にはコンサルティング・エンジニアー、プロフェショナル・エンジニアーと申しまして、種々の技術士の相談に応じ、対価を取ってサービスすることを職務とする自由職業でございまして、科学技術の振興に非常に寄与しておるようでございますが、わが国には、いまだそういった制度がございません。そこで今回技術士法案を提出して、こうした制度がわが国において普及いたしますようにいたしたいというのでございます。
内容といたしましては、技術士の名称を使用する者に一定の資格を制限いたしまして、国家試験を行い、登録をいたしまして、そうした登録された技術士の方に限ってその技術士の名称を使用させて、技術士活動の信用、進出をはかり、かつ適正な運営を期待したいというものでございます。
第三の科学技術庁設置法一部改正法案でございますが、これは放射線総合医学研究所というものを科学技術庁の付属機関として設置したい予定でございますので、それに伴いまして科学技術庁設置法の一部を改正したいという法案でございます。
次に、原子炉等の規制に関する法律案でございます。御承知のように東海村におきまする原子炉も近く設置を見て、運転の運びにいたる段階も近きにあります。また、実験炉についても、実用の商業炉などにつきましても、順次問題になってくる時勢にありますので、原子炉及び原子燃料に関しまして、一般的にこれを規制することが要望されておりますので、その要望に沿いまして、その利用の効率化及びこれに伴います災害、または放射線障害の防止をはかる目的をもちまして、原子炉等の規制に関する法律案を提出いたしたいと存じております。
次に、放射線障害防止法案でございますが、ラジオ・アイソトープその他の利用が順次活発になって参りますると、放射線による障害が発生するおそれが非常にありますので、そうした障害を防止し、公共の安全を確保するために、放射線物質または放射線発生装置に関する規制を行いまして、保安、保健上の措置を講じたいというものでございます。
以上五法案が本国会に提出を予定されております当庁関係の法律案でございます。
次に、三十二年度の科学技術庁関係予算について御説明申し上げます。これはお手元に本日差し上げました縦刷りの紙に書いてある資料に基きまして簡単に御説明申し上げます。
第一の科学技術振興費についてでございますが、内訳から申し上げますと、科学技術者の渡航費というのがございます。二千九百二十七万五千円でございますが、これは従来各省の科学技術者の渡航の旅費として計上されておったものでございまして、前年同額でございます。
(ロ)発明実施化試験の助成、これはやはり昨年同様で、二千二百七十六万円でございますが、そのほかに百万円増額いたしております。この分は、研究、発明等の研究施設の施設補助というので、百万円増額しております。
また、科学技術試験研究の助成でございますが、これは多数部門の協力を、要することによって初めて可能な研究を対象といたしまして、新たに助成の方途を講じたいというものでございまして、対象物といたしましては、クロレラ、これは一種の藻でございますが、太陽エネルギーを利用いたしまして、蛋白資源を作り、医薬方面にも広く用途が期待されているクロレラの培養試験を大規模に、各方面から多角的に検討していきたいという試験研究の助成費として、二千五百万円新たに計上されております。
(ニ)といたしましては、科学技術情報活動の強化、七千万円でございます。その内訳としまして、先刻御説明申し上げました科学技術情報センター設置に関する経費といたしまして七千万円計上されております。内訳は四千万円の出資金と、補助金として三千万円でございます。これは民間出資、または寄付金七千万円を期待いたしまして、一億四千万円の事業壁において第一年度発足いたしたいと考えておりまする情報センターに要する経費でございます。なお、情報センターは三カ年計画で立法過程に関しまする情報活動が一応整備ができるような計画で、事業を進めたいと考えているものでございます。次の科学技術アタッシェの派遣でございますが、科学技術庁では、従来アメリカとイギリスに計三名アタッシェを派遣しておりますが、今回はドイツに一名アタッシェを派遣したいという経費が計上されております。これは外務省在外公館の経費として計上されることになっております。以上、科学技術振興費といたしましては、九千三百万円何がしかのものが一億四千八百三万五千円になったわけでございます。
次に(ニ)の原子力平和利用研究促進関係を申し上げます。内訳といたしまして日本原子力研究所分でございますが、前年度七億一百万円ほどありましたものが、今回は四十億七千八百二十三万九千円と、三十三億七千六百四十三万一千円の増になっております。ほかに、国庫債務負担行為額といたしまして十五億四千万円が計上されております。
次に、原子燃料公社分でございますが、前年度一億円のものが六億五千八十七万二千円と、五億五千八十七万二千円の増になっております。ほかに、国庫債務負担額といたしまして四億三千万円が計上されております。
次に、核燃料物質等の購入等でございますが、この分といたしましては、前年度百工十万のものが六千三十二万九千円と、五千八百八十二万九千円の増になっております。これは今後予想されます実験用原子炉に必要な燃料を購入する費用に充てたいと考えております。
次に、放射線量測定調査でございますが、これはフォール・アウトと申しまして、空にあります放射能によりいろいろ汚染された空気などを測定したいという経費でございまして、五百四十四万一千円が新たに計上されております。以上合せまして八億三百三十八万八千円の原子力平和利用研究促進費が、今回は四十七億九千四百八十八万一千円に増加した次第でございます。
第三番目の国立機関及び民間企業原子力関連技術の育成、これは内訳から申し上げますと、
(イ) 原子力技術者の海外渡航費といたしまして前年度六千百二十万円のものが五千四十万円になったわけで、若干の減少をしております。減少した原因としましては、海外の授業料など支払っておるわけでございますが、そういったものが減額されたために、これだけ減少した次第でございます。
(ロ) 原子力関係試験研究の助成費でございますが、これば民間に対しまして、いろいろ関連技術育成のために、政府が補助しております一環のものでございまして、前年度一億九千六百六十五万円七千円のものでございましたが、三十二年度は二億三千五百六十万円と、増額は三千八百九十四万三千円の増でございます。ほかに国庫債務負担額といたしまして、一億二千万円が計上されております。
また、原子力平和利用研究の委託でございますが、これは民間に委託いたしまして、政府としてやれないような問題で、民間に委託するのが適当であるというようなテーマに関しまして委託する経費でございますが、これは新たに八千百万円が計上されております。この分といたしまして国庫債務負担額が二億円計上されております。
(ハ)といたしまして、国立試験研究機関等の試験研究、これはやはり各省庁の国立試験研究機関として原子力関連技術の育成に寄与するような研究をやっているところに、いろいろな試験研究をやっていただく経費が計上されておるのでありまして、前年度二億九千四百七十三万五千円ありましたものが、三十二年度は五億三千六百二十四万五千円と、二億四千百五十一万円の増になっております。ほかに国庫債務負担額といたしまして二億六千万円が計上されております。次に、放射線総合医学研究所分でございますが、次の付属機関の拡充整備のところに歳計してありまするので、説明を省略さしていただきます。
四番目の付属機関の拡充整備の経費といたしまして、内訳を申し上げますと、航空技術研究所でございますが、航空技術研究所は、設立以来第三カ年目の予算案でございまして、前年度一億六百八十五万四千円でございましたのが、三十二年度は八億六千七百十一万五千円と、七億六千二十六万一千円の増でございます。これは遷音速風洞と申しまして、音速に近い早さで動きます風洞の建設が主となっている経費でございます。ほかに国庫債務負担行為が十四億八千万円ついて、新規増員として三十五名が認められております。
(ロ)といたしまして、金属材料技術研究所でございますが、これは昨年発足いたしまして、前年度は一億円でございましたが、三十二年度は二億一百八十九万四千円でございまして、一億一千三百八十九万四千円の増となっております。新規増員が四十名、ほかに常勤五名がついております。
(ハ)といたしまして、放射線総合医学研究所でございますが、これは先刻御説明いたしましたような放射線の障害、予防その他治療面の研究を総合的に行う研究所といたしまして、設置を予定いたしているものでございます。予算といたしましては一億四千三百五十七万一千円ほかに国庫債務負担行為といたしまして四億五千万円が計上されて、新設定員としては四十名が認められております。
(ニ)といたしまして、株式会社科学研究所でございますが、これは従来いわゆる株式会社科学研究所法というものに基きまして、政府が出資することになっていたのであります。前年度は一億円出資をいたしましたが、三十二年度は五千万円増の一億五千万円ほど出資することになっております。この分は大蔵省政府出資金に計上されております。
(五)として、その他一般行政関係を申し上げますと、資源総合利用方策等の調査に関しましては、事業量の若干の変動に基きまして、前年度の千四百五十一万四千円が千四百十万九千円と若干減をしております。なお、新しいテーマといたしましては、研究管理方式の調査を進めることになっております。
(ロ)が内外科学技術の調査公表分といたしましては、九十一万四千円の前年度分が百十九万七千円と若干の増を見ております。
(ハ)といたしまして、試験研究機関研究方策促進調査費、これは科学技術庁設置の際に、国会で、設置方式の御審議の際の付帯決議といたしまして、政府は中央、地方を通じ、試験研究機関の実態を調査し、あわせて特許行政機構について調査をして、拡充整備の方途を研究せよという付帯決議がありますので、それに基きまして、昨年度は主として国立試験研究機関の実態調査をいたしましたが、来年度は公設研究機関を対象といたしまして、前年度同額の六十一万一千円が計上されました。
(ニ)の技術士制度の創設でございますが、これは国家試験を行います経費、あるいは登録に要します経費、これを合せまして、わずかでございますが、十五万円ばかりつけました。
(ホ)の科学技術広報啓発の経費、これは前年度と同額でございますので、これを省きます。
(ヘ)の国会図書館支部開設の費用として、二十五万円についております。これは国会図書館支部を開設するためいろいろ調査する費用も入っております。
(ト)といたしまして国際会議及び海外調査費、これは百八十六万三千円でありまして、科学技術庁関係研究機関、航空技術研究所などのもの及び国際会議に若干出ますので、エカフエなんかの国際会議に出ますので、その経費として百八十六万三千円が計上されております。
(チ)は、原子力委員会及原子力局関係でございまして、原子力委員の非常勤の方が一名常勤になっていただくための経費、一般職員十名増、その他を折込んだ経費でございます。
各種審議会経費、その他内局人件費、事務費等の説明は省略いたします。
以上合計いたしまして、科学技術庁関係予算といたしましては、前年度十八億一千七十四万円が七十二億四千二百十三万四千円となりまして、五十四億三千百三十九万四千円の増でございます。
なお備考といたしまして、原子力関係予算の集計が計算してございます。これは以上御説明いたしましたものを集計いたしましたものでございまして、歳出予算といたしまして六十億、それから国庫債務として三十億、計九十億、いわゆる九十億予算というものの内訳を御説明したものであります。
以上三十二年度科学技術庁関係の予算案の御説明を概略申し上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/8
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009・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) 何か御発言ございませんか。……委員長からちょっとお尋ねいたしますけれども、この提出予定法案ですけれども、これは内容については大体わかったのですけれども、提出の予定月日というものは全部これは未定になっております。どれが早くて、大体いつごろ出るかというような見通しはないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/9
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010・原田久
○政府委員(原田久君) これは日が少し前だったものですから、印刷で未定になっておりますが、御説明を申し上げます。第一の日本科学技術情報センター法案につきましては、この二十六日までに出したいというふうに考えております。及び三番目の科学技術庁設置法一部改正法律案、これも二十六日までに出したい。二番目の技術士法案と原子炉等の規制に関する法律案、放射線障害防止法案につきましては、三月五日までに提出するように取り運びたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/10
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011・大竹平八郎
○大竹平八郎君 長官にちょっと総括的なことをお尋ねしていいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/11
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012・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) エネルギーの問題でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/12
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013・大竹平八郎
○大竹平八郎君 今の問題を中心にして、結局エネルギーの関係になりますが、あとにしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/13
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014・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) それでは公報でお知らせいたしましたように、これよりエネルギー対策の問題に入りたいと思いますが、実はその前に経済企画庁長官及び科学技術庁長官としての宇田国務大臣に対する総括的な質問が残っておりますので、それを先にいたすことにいたしましてよろしゅうございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/14
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015・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) さように取り計らいます。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/15
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016・大竹平八郎
○大竹平八郎君 ただいま科学技術庁の当局から予算の説明を伺ったのでありますが、これはおそらく日本のどこの役所にもかつてないような膨大な、率におきましては大きな予算の取り方であろうと、こう思うのであります。そのうちに大体五十四億が前年度より増している。大体そのうちの原子力関係のものが九十億にも達しておるというようなわけなんでありますが、これで私どもといたしましては、まだこの原子力問題というものがなかなか一般的に食い込んでいない。ことに原子力という問題になりますというと、日本人はむしろ恐怖的な問題が先入主されているようなきらいが多いのであります。それでこういう膨大な予算を取っておるのでありますが、しかしこれはまた、技術者の方面から言うならば、対アメリカ等比較すれば、問題にも何もならぬとおっしゃるかもしれませんが、とにかく日本の今の財政程度において、これだけ取っているということは、これは大へんなことなんでありますが、そういう意味において、一体これが一般に利用せられるような状況になる見通しというものは、一体政府にとりましては、いつごろを大体年度としてお考えになっているのか、その点を一つお聞きしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/16
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017・宇田耕一
○国務大臣(宇田耕一君) 原子力に関する計画は、昭和三十一年度の予算の中に折込まれておるのでありますが、その計画は、この第一段階は、研究所の設置、それを東海村に設置する、そうしてその東海村に小型の実験炉を輸入してきて、それを三十二年度及び三十三年度において実験設備の完成をみたい。そういうのが第一段階であります。
それから第二の段階は、昨年の十一月十二月にかけてミッションが出まして、それの報告がことしの一月の中旬にありましたが、その石川報告というものに基きまして、十万キロないし十五万キロ程度の原子力発電炉を、コールダータイプをイギリスから輸入するのが好ましいという報告があります。それに基いて、できるだけ早くイギリスのタイプの輸入のための原子力委員会の考え方を、取りまとめてもらいたい、こういう希望がついております。その希望の中に特に重要な点が二つばかりあります。それは日本の地震に対する危険予防についての技術的な見通しはどうか、これが一点、そのほかに採算ベースについて、いま少し研究をすべきではないか、こういうことが二つ取り上げられております。そのほか二、三点研究しなければならぬ点があるのだということも書かれてあります。それで、その報告書はいつでもお手元に差し上げたいと思っております。そういうわけでただいまのところ、発電を中心とした動力炉を輸入することにつきましては、疑問点が二、三あるから、それで新しくその疑問点をただすためにミッションを、調査団を派遣すべきである、そういうことが石川報告に特に掲げられております。それで、政府といたしましては、コールダー・タイプの炉を原子力委員会のそのただいま申し上げました報告に基いて、ことしはただいま申し上げましたような疑問点をただして、そしてこれをわが国に輸入することが可能であるかどうかということを確実にしたい。それがために調査団を派遣をすると、こういうのが基本方針であります。そのほかに、先般アメリカからウエスティング・ハウスのニコルスという人が来まして、そしてそれが御承知のヤンキー・タイプというものを紹介したいと、こういうことを言うてきております。それの内容は新聞紙等によって発表しておりますが、しかし、自分たちは直接それを技術的に検討する機会はありませんから、それについてもあわせて調査団を派遣すべきである、その調査団の任務は、必ずしもヤンキー・タイプに限るわけではなくて、そのほかに数件われわれのところへこの調査を希望する旨を申し込んでいる点がありますから、その点もあわせて研究して、そして日本にこの主として原子力の発電の設備をどういうタイプのものを入れるのがよろしいか、そしてそれによるところの採算がどうなるかということの研究に入りたい、これが一つあります。
そのほかにもう一つは、アイソトープの利用の問題がありまして、アイソトープの利用は、ただいま御質問の中で申されたことの中にその意味も含まれておったかと存じますけれども、アイソトープの利用は、もうただいま改訂中の、このアメリカとの協定の改訂の中にもその希望をもって濃縮ウラン、あるいはその他のものを日本に何グラムか分けてもらいたいということの希望は持って、ただいま外交交渉を始めようといたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/17
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018・大竹平八郎
○大竹平八郎君 いま一つお尋ねしたいことは、これが大衆的にも理解されて、そして実際産業の上に、これが大幅に使われるというようなことになった場合に、これはまあ第二の大きな産業革命とも言われると思うのでありますが、これについての影響等については、どうお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/18
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019・宇田耕一
○国務大臣(宇田耕一君) アイソトープは、もうただいまも御承知のように、各方面で非常に利用されておりまして、医学の方面、それからその他繊維工業、いろいろの方面でこれはもう非常な広範囲に使われておりますから、これの需要する分量は、もう年々急激に増してくると思っております。ただいまでも、御承知のような輸入がだんだんふえておる状況であります。従って、われわれはもうことしの六月から稼働いたしまするウオーター・ボイラー型の実験炉、あるいは年末から来年の春へかけて動き始めますところのCP15の実験炉等の中から出てくるいろいろのプルトニウム等につきましては、研究所で研究をするかたわら、一方のはじから、それは産業界にこれの応用を、連絡をして持ち込みたい、こういうことは考えております。それはアイソトープの国民経済ないし産業界、その他の利用ということであります。そうしてそれはもうただいまも引き続きやっておりますから、その点につきましては、分量がだんだんふえてくる傾向である。そしてまた、日本独特のその間に技術の発達、発明が行われつつあって、われわれの手元で世界的なパテントを確立するというために、いろいろ研究、実験をやっております。報告も来ている部分もあります。
そのほかに、ただいまアイソトープの利用の面のほかに問題になっているのは、何といってもやはり発電用の動力炉を輸入するかどうか、発電はいつから可能であるかどうかということであります。発電の可能の時期はただいま申し上げましたように、英米に対するミッションを今年送ります。送りましたその報告に基いて、その報告の中には当然もしこっちが注文をいたしました場合には、何キロの発電機械が、いつ注文すればどれくらいの歳月で日本へ納めることができるかとか、あるいは日本と共同して、日本の国内においてそれを仕上げることができるかとか、いろいろのわれわれの希望している問題点がありますから、それをミッションの調査を待って、そうしてその上で最後の決定をする方向にいきたい。従ってただいまのところ、発電炉についていつからこれを日本で動かすかということになりますと、未決定ということであります、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/19
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020・大竹平八郎
○大竹平八郎君 この問題はソ連はソ連、アメリカはアメリカ、イギリスはイギリスで相当各国の特徴といいますか、そういうものがあると思うのですが、日本としては、他国に対しまして特別そういう点はどうなんでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/20
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021・宇田耕一
○国務大臣(宇田耕一君) 日本としてはどこの国とどうということは全然考えておりません。原子力委員会で話題になっておりますことは、いずれにしてもこの原料関係もなかなか複雑であります。それでわれわれの最後の希望とするところは、ただいま発見されておりますところの人形峠であるとか、その他のウランの鉱石、それからその他の各般に必要な鉱石の発見が伝えられております。それを中心として、日本ではどういう炉を作るのが一番好ましいものであるか、それの一番効率のいいものをつかもうじゃないか。それが話題になっておりますように、ただいまのところはコールダー・タイプとか、ヤンキー・タイプとか、その他アメリカのいろいろのタイプが来ております。先日も衆議院でも質問がありましたですが、ソ連関係の技術的な調査はどうしてやらないのだと、こういう話がありました。それはやらないとかやるとかいう問題ではなくて、まだ国交関係がそこまで進んでおりませんでしたから、その点については、こっちが連絡の方法がなかったと、こういうわけでございます。原子力委員会としては、その点については今までまだ正式に取り上げて、討論をするまでに至っておらなかった、こういうことでござ
います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/21
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022・大竹平八郎
○大竹平八郎君 そうしますると、これが十分に日本として運営せられるようになっても、特別に秘密保持というような点において、法規を作るとか
いうようなことの必要はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/22
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023・宇田耕一
○国務大臣(宇田耕一君) もう全然このわれわれの原子力の平和利用というのは、御承知の三原則がありまして、自由、民主、公開、この三つであります。従って原子力委員会で討論することで、特に秘密を要するというようなことについての話し合いをしたことは何もありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/23
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024・大竹平八郎
○大竹平八郎君 最後に一点、大臣に要望しておきたいことは、まあ御承知の通り日本の教育と申しましょうか、これはもうアメリカにも劣らない普遍的なものであることは、これは大臣もお認めと思うのでありますが、しかしながら、まあいろいろ物資力等に関しましては、アメリカと比較すると問題にならない。しかし、どうも日本の学者というものは第一流の国のみに大きなあこがれを持ちたいような傾向が多いのでありますが、まあこういう点でこのわずかな予算の中から、こういう膨大なものを年々歳々持っていくのですから、技術者関係自身に対しても、よほど精神的な何といいますか、愛国的な観念を大いに植えつけてやっていただきたいと思うのですが、まあその物のない日本が、これはまあ日本だけでもないのでありますが、とにかくそれに即応した技術をもってやっていかないと、ただまあ一流のアメリカとかイギリスとかというようなことの施設、方法のみを中心に考えていくというようなことは、私どもは今の日本として大いに考えなきゃならぬと思う。ちょうどわれわれは戦争中に体験をしたことで、これほもう現に日本の蔵前を出た中国の私の友人なのであります。それが主任になって、いよいよ重慶に追い詰められて、材料も何もないといったようなときにもかかわらず、昆明の兵器廠で、とにかく自製でもって飛べるジェット機を作ったという例があるわけです。現にその中国人は今日本に来ている。これは大いに日本の今の技術者としても見習わなければならないことだと思うのでありますが、こういう点を特に一つ大臣に要望して、技術者にことずけを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/24
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025・近藤信一
○近藤信一君 ただいま大竹委員も指摘しておられましたように、科学技術庁の今年度の予算は、昨年から比較すると非常に膨大な予算になっているわけであります。そこでただいまも言われましたように、その中で特に四十億に近い予算というものが、原子力の平和利用研究のために組まれておるわけで、私どもは各国とも現在原子力の問題につきましては、アメリカにいたしましても、イギリスにいたしましても、ソ連にいたしましても、平和利用のためにこれは研究するんだ、こういうことでいろいろ各国が平和利用ということを目標に、原子力というものが進んできておるわけなのであります。ところがこれがだんだんと研究されていきますると、従来まで行われましたように、いわゆるビキニにおきましても、さらに今度はイギリスがクリスマス島におきまして、この原子力の実験ということがなされておるわけなのであります。将来日本がこれが原子力の研究がだんだんと進んでいって、ここにはあくまでも平和利用のためにと、こういうことで原子燃料、あるいは核燃料ということになっておりまするが、これがだんだんと原子力の研究が進んでいきますると、一体どれほどの威力があるだろうかという、これを一つ実験してみたいというのが、これは私、人間としての、また科学者としての心理だろうと思うのであります。そういう段階になった場合に、日本としてこの原子力に対する実験というようなことをどのように考えておられるか、これを一つ御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/25
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026・宇田耕一
○国務大臣(宇田耕一君) 原子力についての爆発力の実験をどういうふうにするかということについては、ただいま政府としてはイギリスがこのクリスマス島で原爆ないし水爆の実験を行うことにいたしておりまするけれども、それに対しては絶対に反対であるという中止を申し出るということをいたしております。従いましてただいまの原子力委員会にいたしましても、そういう問題についての態度は政府と全然変ったところはない。将来ともそういうところを堅持すべきであるという線に立っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/26
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027・近藤信一
○近藤信一君 クリスマス島の実験について、日本政府から反対の申し入れをされましたが、それに対するイギリスの回答は、これは平和のために、これをやることが平和のために貢献するのだと、こういうような回答がなされておると思うのですが、大臣はその点どのように考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/27
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028・宇田耕一
○国務大臣(宇田耕一君) それは外務省を通じてイギリスに、このわれわれの実験禁止を提案しておることが、自分たち閣僚全部の考え方であって、その点については、全然私らには意見の違いはありません。それで実験を中止すべきであるとただいまも考えております。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/28
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029・阿具根登
○阿具根登君 先ほどの申し合せによりましてですね、私は科学技術庁の長官に対する質問の前に、経済企画庁の長官として御質問申し上げたいと思いますが、先般の長官の説明によりますると、これは石橋内閣の一枚看板でもありますが、生活水準の向上と完全雇用の達成ということを強く強調されております。そうして三十二年度は国民所得が八兆千八百億円になる。就業者数は四千三百三十四万人になる。こういう数字を御説明になったものと思っております。そういたしますと、現在の従業者数はどのくらいであるか、また、十カ年計画等を考えておられるようでありますが、その計画はどういうふうになっておるか。また、それをとられた基礎になる数字はいつを考えられて、どういうことを考えられておるのか、その点につきまして御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/29
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030・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) 大来計画部長……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/30
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031・阿具根登
○阿具根登君 数字のこまかい点はあとで質問いたしますから、担当の責任者として、長官として完全雇用を打ち出しておられる。そうするならば計画があるはずなんだ。長官の考え方、計画をお聞きしておるのでありまして、数字については、あとで事務担当の方から詳しくお聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/31
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032・宇田耕一
○国務大臣(宇田耕一君) それではただいまのお話しのように、数字の詳細にわたりましては、あとから別途政府委員よりお答えをいたすことにいたします。それで生活水準の向上ないし完全雇用を目ざして自分たちはどういう計画を持っておるかといいますと、それはまずこの昭和三十年及び三十一年度の国民経済の伸び、特に国民所得の伸びの実情から見て、われわれは国民の負担に耐え得る、均衡のとれた経済拡大の中に、生活水準の向上と、そうして完全雇用の達成をいたしたい。こういう基本の方針を持っております。
で、それを見合う、それでは経済の拡大はどの程度のワクを考えるべきかといいますと、国民所得におきまして七ないし八%の年々の伸び率を期待したい。七ないし八%の国民所得の伸び率を期待いたしました場合には、現在の生産年令人口ないし労働力人口を前提とする、あるいはこれからの年々の、このわれわれの推定するところの生産年令人口ないし労働力人口からいたしますと、約十カ年で所期の目的が達成し得るものであると、こういうふうに考えております。その基本の目安とするところは、国民所得の七ないし八%の伸び卒は、日本の経済にとって非常な大きな重荷にならなくて、そしてその伸び率は可能な数字であると、こういうふうに思っております。そうしまして約十年を必要とする、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/32
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033・阿具根登
○阿具根登君 それでは担当の方から数字について御説明を願いますが、ただいま大臣が言われました、国民所得の伸びによって、就業者数が四千三百三十四万人になる一つ説明を願いたい。それから、約十年で完全雇用が達成できるという基礎数字をどこに置いて、現在の失業者がどのぐらいであるか、その失業者の算定の基礎はどこへ持っていったか、それから今後の労働力の増加等の問題について御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/33
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034・大來佐武郎
○政府委員(大來佐武郎君) ただいまの完全雇用の問題につきまして、まず第一に、現在の失業者と申しますか、失業者及び不完全就業者あるいは潜在失業者、こういうものの数字をどうみるかということがあるわけでございます。これにつきましては、まあいろいろ各方面の委員会その他の数字がございまして、特に潜在失業の数字につきましては非常に大きい数字は一千万から、小さいところでは四百万と、いろいろ幅がございます。ただ、私ども企画庁の方で今五年計画の改訂に備えまして、いろいろ従来から予備的に研究いたしておりますところでは、日本における完全雇用の目標というのは、大体結論的に申しますと、毎年新たに学校を卒業して参ります、これは中学校、高等学校、大学、新規卒業生のうちで雇用を必要とする人口に対して、漏れなく大体雇用を与えられる、なおかつ、潜在失業の中で就業可能な人口に対して、これを十年なり何年かになしくずしに、だんだん正常な雇用に吸収していく、これがまあ日本的な意味における完全雇用の目標ではないかというふうにまあ考えられておるわけでございます。これは国連の報告書にございます完全雇用政策の報告書の中で、先進国におきましては、失業率を最低にすることが完全雇用政策の目標である。最低と申しましても、もちろん摩擦的失業、たとえば、つまり病気になったり、あるいは職が変るために、一時的に失業状態になる者がどういう社会でも残りまして、これが労働力人口の二%かそこいらあるのは、まあ摩擦的失業として完全雇用の定義に当てはまると解釈されておるわけでございます。それから、国連のその報告書では、先進国については、今のような、失業率を最低にするということでありますが、後進国については、非常に膨大な半失業の人口が、特に農村にございますので、今のような定義が当てはまらないので、むしろ工業における雇用を最大にするということを雇用政策の目標とすべきであるということが、うたわれておるわけでございます。日本の場合は、ちょうど先進国と後進国の経済の中間のような状態にございますので、私どもの、現在の日本の人口なり、経済の情勢から申しまして、やはり日本の就業者の中で、雇用されておる者と、家族労働者、業主、この三つの種類がございますが、そのうちの雇用されておる人間をできるだけふやすということに目標を置くべきではないか、それが先ほど申しましたような、具体的には新規学校卒業者で雇用されようと欲する者の完全就業と、それプラス現在の潜在失業者の中で正常な雇用に転用される労働力をだんだん吸収していく、これがまあ完全雇用政策の日本における目標ではないかというわけでございます。
それでは、この転用される潜在失業者の数がどのくらいあるかという見積りでございますが、いわゆる潜在失業一千万というような見積りの中には、大体短時間労働者と低所得者とを含めて一千万といっておるわけでございます。ところが内容を当ってみますと、この低所得あるいは短時間労働者というものは、その中に相当多数、家族労働者、特に主婦の労働力がございます。これは農家の主婦あるいは商店の主婦と、これは元来その家庭に占める地位からいって、短時間労働ならざるを得ない労働力でございまして、これがかりに雇用政策で職場を提供いたしましても、家庭を離れて新たにフルな就業はできない。でありますから雇用政策として考える場合には、このような主婦の労働力、たとえそれは短時間労働、あるいは低所得労働でありましても、雇用政策の対象にはなり得ないんではないか。そういたしますと、そういう者を除いて参りまして、現在潜在失業といわれております中で、もし雇用機会さえあれば、正常な雇用ができる人間の数というものを、三十年度の労働力調査の付帯調査からいろいろ当って参りますと、私どもの一応の計算では約二百二十万、これはいろいろはじき方はございますが、これを二百万ないし三百万と申し上げた方がよろしいかと思うのでございますが、かりにこの二百二十万というものを、新規の学校卒業生の中で雇用しなければならぬ者、今の二百二十万を十年間にだんだんと均等に就業させていく、それから
マイナスの労働のリプレースと申しますが、つまり年寄りはなくなって参りますし、隠居する者もございまして、年々労働力の中の減耗分を補てんする、これは経済で申しますれば減価償却的な労働力、これを差し引かなければならないんで、その残りの分が経済の拡大で吸収すべき雇用の数になるわけでございますが、それを見て参りますと、大体過去の趨勢その他実績等から検討いたしまして、年に八・五%の経済の拡大率であれば、大体十年ぐらいで今の二百二十万の転用可能の潜在失業者は吸収することができるんじゃないか、まあ十五年でこれをやるといたしますと、年率六・五%ぐらいの経済拡大が必要になることで、まあどこかその辺へ目標を置いて、だんだんに現在存在します潜在失業を吸収して参るというわけであります。
一方におきましてこの労働の吸収側の事情が、十年たちますと急激に変化いたしまして、労働力の新たな増加が急激に減少いたします。で、ただいまから昭和四十年ごろまでが、非常にこの労働力人口の増加の激しい時期でございまして、これは戦後の死亡率が急激に低下いたしまして、年寄りが長く職場にあるということと、今から十数年前のまだ出生率の高い時分に生れた子供が成年に達しておる。この二つの原因が重なりまして、この五年ないし十年というものが、非常に急激に労働人口が増加いたす時期になっております。ただいまの政府の五カ年計画で、昭和二十九年から三十五年の六カ年間に、総人口は五・五%ふえるけれども、労働力人は一二%ふえるという
数字になっておるわけでございまして、こういう状況は昭和四十年以降急激に解消して参りまして、新たな労働力人口のふえが減って参ります。これは戦後、まあ最近非常にこの出生率が低下しておることが、今後十数年後に労働力の増加の減少として現われるわけでありまして、そういたしますと先ほど大臣がお話しになりましたような経済拡大を続けて参りますれば、一方におきまするこの労働供給側の事情の変化というものとにらみ合せまして、十年かあるいは十二、三年かそこいらのところで、最初に申し上げましたような日本的な完全雇用というものが、一応まあ実現され得るんではないかという考え方になっておるわけでございます。
それからもう一つの御質問の三十二年度の数字でございますが、三十二年度につきましては経済活動の拡大、国民所得の増六七・五%、鉱工業生産が一二%近く上昇をいたします関係から申しまして、大体この就業者の数が約二%増大すると見ておるわけでございまして、これは国民所得と工業生産がこの程度、この計画にあげられております程度拡大いたしますれば、従来の実績等から見て、ほぼこの程度の雇用増加も可能ではないか、そういうふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/34
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035・阿具根登
○阿具根登君 そうすると三十二年度が四千三百三十四万人と、こう見て参りますと、昨年の十二月現在で四千百七十七万人、そういたしますとただいまの国民所得、鉱工業の生産の増加によって二・一%という数字がこれは違ってくる。二・一%だったならば、四千二百万ぐらいしかならないはずです。それから当初の考え方が、これは新聞でも言われておりますが、さっきも言われたように摩擦的失業は三%までは先進国ではこれは許されておるのだと、認められておるのだと、常態だと、こういうようなことを言っておられるとするならば、わが国は現在今一%そこそこだということになる、あなた方の資料から言えば……。そうすると後進国であっても一%ぐらいはこれは常態であるというような考えがあなた方の中にあると私は思うんですね。それが一つ。先進国まではいかないけれどもということを答弁されておるし、あなた方の資料の中では五十六万人の完全失業者があると、これは一%に満たないのだと、一%そこそこだと、だからこれは後進国であっても、これは常態だという考え方があなた方の中にある。そうするならば十年待たないでも、現在の数字を踏襲していっても、いわゆる後進国としての完全雇用は成り立っておるという考え方がありはしないか。それからもう一つ、不完全雇用が一千万と言われておるし、企画庁では二百二十万だと、こういうように踏んでおられる。非常に大きな差があるわけであります。労働省関係では一千万、一般労働関係の方が言われる、専門の方々が言われる数字を見ても七百から八百万ということは、これは常識的な言葉になっておる。それを経済企画庁だけが二百二十万だと、こういうような数字を無理に出しておられる。そうすれば現在これを出しておる月末の一週間内に一時間も働かなかった者がこれが完全失業者である、少しでも働いた者はこれは不完全失業者だと、こういうことになってくれば、数字の魔術であって、いかなる対策を立てても、この基礎数字を下げて、あるいは考え方が一%や二%の完全失業者は常態であるということになるならば全然進歩はないと、こういうことになってくるわけです。で、あなた方が最初説明されておるのとこの企画されておるのが全然相反してくる。こういう企画をされたということは、一千万近くの不完全労働者がおる。潜在失業者がおる。だからこういう計画を私は納まれておると、こう思うのですが、その点どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/35
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036・大來佐武郎
○政府委員(大來佐武郎君) 第一の失業数の問題でございまするが、この摩擦的失業が先進国では三%程度はまあ存在すると見ておられることは事実でございます。日本の場合には、実はただいま御指摘のございましたように、失業はこの五十六万とか六十万と言っておりますのは、総理府の労働力調査に基いておるわけでございまして、この定義が調査内の一週間に一時間も働かない、非常に厳重な定義に基く失業者でございまして、で、まあ実際の観念とやや離れておる。ところが日本の場合には、実は欧米の社会と違いまして、完全に失業しておる状態から完全に就業しておる状態の間に、非常なニュアンスがございまして、たとえて言えば〇・五人前就業しているような場合、〇・三人前就業しているような場合、〇・七人前、そういういろいろな段階がございまして、どこからを失業と見るか、どこからを潜在失業と見るか、非常に議論の多い点になるわけでございます。実はあるいはお気づきかと思うのでございますが、三十二年度計画には完全失業の数字は出しておらないわけでございまして、私どももこれは統計のとり方を、もう少し根本的に検討する必要があるのじゃないか。日本のような雇用の構造の毛とで、失業というものを考える場合には、もう少し別の行き方を考えなければならないのじゃないだろうかということを検討しておるわけでございまして、この労働力調査によります完全失業の数というものは、この――よりも、むしろ就業の数の増加という点から見ていった方がよろしいのじゃないかと思うわけでございます。それはちょうどこの就業の関係が景気の変動等によりまして、たとえば家庭の主婦の労働力が労働力になったり、あるいは非労働力になったり、しょっちゅう動いておりまして、非常に統計的に見ても不安定でございます。で、そういう雇用状態のもとで、失業率がただいまかりに六十万として一・三とか四とか、それだから完全就業ではないかということは私どもも考えてはおりませんので、今のような日本の雇用の構造から来る性質からいって、欧米と同じような定義で失業人口を統計上出しますと、そういう低い数字が出て参りますけれども、しかし、それは数字の上で出て参るわけでございまして、日本の場合には、もう少し幅を広く考えた方が、実態に合っているように思うのでございます。で、ただその幅のとり方でございますが、つまり潜在失業をどう見るかということでございますが、先ほど申し上げましたように、まあ従来一千万、あるいは七百万という数字には、短時間就業者及びこの低所得者を全部含めておるわけでございまして、これにはたとえば先ほどの主婦の場合とか、あるいは学生のアルバイトとか、その人間の立場上、どうしても短時間でなければならないという労働力がたくさんございます。それから家計補助的な意味のその就業者もたくさんございますので、むしろ先ほどのように年にかりに七ないし八%も経済規模が拡大して参りますれば、一般の正常な就業者の所得も、ほぼ大体それに比例して上って参ります。そうすると今まで家計補助的に出ておった労働力というものは、だんだん家庭に引っ込んで参るわけでございます。そういう形で労働力率が下って参ります。その点は欧米諸国でもそういう傾向が出ておるわけでございまして、その点を考慮いたしまして、それからなおそれで救い得ない部分は、社会保障的な、たとえば母子家族の問題とか、老齢の労働力の問題とか、これは雇用政策というよりも、むしろ社会保障政策で考えるべき場面になるわけでございまして、雇用政策として見る限りは、先ほど申しましたような二百万ないし三百万というものが、現状において正常な雇用を与える必要のある潜在失業人口だというふうに見ておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/36
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037・阿具根登
○阿具根登君 最後に、それではもう一つ尋ねておきますが、それでは労働省なり、総理府の統計局、あるいは経済企画庁の考え方がそれぞればらばらであるから、ばらばらな数字が出てくる、これはわかりました。そこで最初に申し上げましたように、三%以内であったならば常態であるというような御答弁から考えてみましても、完全失業者の算定の基礎が間違っておる、こういうことは言えると思うのです。完全雇用者が、一カ月の最後の一週間に一時間も仕事をしなかった人を完全失業者だとして五十六万なり六十万出しておる、その基礎が間違っておるからこそ、そういうパーセンテージになってくる、これを一週間のうちにどのくらいかの数字を引いてくるならば、相当な完全失業者が出てくる、こういうようになると思いますが、その点はいかがですか。
それから昨年の十二月の就業者総数は四千百七十十万人に総理府の統計ではなっておりますが、それは当っておるか当っていないか。企画庁としてはそれを認めておられるかどうか。それであるならば、認めておられるとするならば、三十二年度の四千三百二十三万人はどこに就業させられるのか、どうしてそんなにふえたか、その点を御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/37
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038・大來佐武郎
○政府委員(大來佐武郎君) ただいま御指摘のありました日本におきます労働力調査の完全失業者というものは、統計的に見ましていろいろ問題点がございまして、事務的にも私どもの方、あるいは労働省、統計同等で専門家が集まっていろいろ検討しておるのでございます。それから就業者の方の、労働力人口における就業者の方は、比較的大きな数字でございますから、その統計誤差の範囲から申しまして、比較的利用できるのじゃないかというふうに考えております。ただ、この労働力人口は月によりまして非常に変動いたしますので、十二月一カ月だけをとりますということも、どうかと思うのでございます。たとえば昭和三十一年の、昨年の一月の労働者人口総数は三千九百五十三万になっておりますが、これが七月になりますと四千四百二十八万、十一月には四千三百七十四万というふうに、非常に季節によって変動して参りますので、経済計画では年度間の平均の就業者数をとっておりまして、平均で見ます限り、経済規模が七・五%程度拡大いたしますれば、景気の変動によります程度の雇用の増加は、可能であるというふうに計算しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/38
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039・藤田進
○藤田進君 従来の資料その他の記録等を見ると、どうもあいまいとしておりますのがありますので、一、二点お伺いしておきたいと思いますが、これは大臣の方にお答えいただきたい。鳩山内閣は、御承知のように、経済企画庁長官を中心に経済自立五カ年計画を樹立して、三十一年度を初年度として、御承知だと思いますが、閣議もこれを決定いたしました五カ年計画ではあるが、三十一年度と三十五年度を押えて、その途中はあまり見るべき指数その他計画はなくて参ったわけですが、現内閣並びに企画庁新長官とされて、この鳩山内閣のときに策定された経済五カ年計画というものは、そのまま踏襲するのかどうか。これは政局そのものにも関連して、たらい回しであるとかないとか、鳩山内閣のを受け継いでやるのであるから、政策に何らの変りもないというような、広範なやはり政治問題を含んでおりますが、まずこの点についてこの際明確にしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/39
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040・宇田耕一
○国務大臣(宇田耕一君) 鳩山内閣のときに作成いたしました経済五カ年計画は、当然改訂しなけりゃならない、こう考えております。理由は、特に昨年及び一昨年以来の経済の伸び率が、国際環境ないし天候等の関係で非常に異常でありましたので、従って鉄鋼関係あるいは化学繊維工業関係等につきましては、従来の計画数字では現在の実情に合わなくなって参っております。従って輸出あるいは国内需要等からにらみ合せますと、三十二年度に入りましたなれば、直ちに新しい五カ年計画を作成、決定をしなけりゃならないと考えております。それでそれの準備にただいま入っておりますので、それの仕上り時期は、およそ九月前後を希望いたしております。そうしてとるべき年度は三十二年を考慮に入れながら三十三年度からの五カ年、こういう計画で五カ年計画を立てたい、それが一点であります。そのほかに、問題によっては五カ年では十分に目的を達し得ないものがありますから、そういうものにつきましては、十年あるいは十五年の長期計画を別途に作成しなけりゃならんものがある、こういうふうに考えております。いずれにいたしましても、作業準備には入っておりますけれども、作業に着手するのは、四月という予定であります。仕上げは、ただいま申し上げましたような九月前後にいたしたいと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/40
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041・藤田進
○藤田進君 だからその答弁が、非常にわれわれを迷わせるのは、あの鳩山内閣時代の三十一年度からの経済自立五カ年計画というものは踏襲して、三十二年度に現われてきたその後の実績、将来のより的確な見通しの上で一部数字的な面の修正をすると、こういうふうに前段は受け取れるわけです。一部改訂をしなければならん、後段の方の御答弁は、あれは一切破棄して、適当なものでなかったからして、これは破棄するということになるが、破棄して三十三年度から新たに五カ年計画を立てるんだ、こうなると、一体石橋内閣の政策というものが、鳩山内閣から受け継いだ経済自立五カ年計画というものは根底からこれをやめて、新計画を立てるようにも聞えるし、一部数字的な改訂をするにとどめる、改訂をするほどなら、ここで基準年次を改めようかというような非常にあいまいなことだと思います。果して石橋内閣にそういう経済自立五カ年計画というようなものがあるのかないのか。三十三年度から立てるとおっしゃるが、それは非現実的な僕は議論だと思う。石橋さんの健康から見ても、いろいろな事情から見ても、解散を含んでいるとかいうような政治論から見ても、昭和三十二年度の予算を立てながら計画のベースは三十三年度に置くというようなことならば、これは鳩山内閣が三十一年以降五カ年計画を立てたよりもっとうるさい。二十一年度予算に関連して鳩山内閣が立てたから、三十一年度だけでも経済五カ年計画の初年度の考慮が払われたと言えるかもしれないが、石橋内閣はそれじゃ全然長期計画のペースに乗った政策ではない。自由民主党の内閣ではあるが、全然性格は変ってしまったようにも思うし、あまりにも頼りなさを感じるわけで、この際過去の五カ年計画というものは一切破棄するのか、これを改訂するということで一応の筋はあれをレールに乗せた上での修正というものなのか、長期計画だから、この時点における年度別の若干の数字の修正は、これは認めざるを得ないけれども、今のお話しによると、どっちが一体中心となるのか、私ども非常にその点が見きわめがたいわけです。さらに御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/41
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042・宇田耕一
○国務大臣(宇田耕一君) 申し上げます。それは従来の計画、また計画によって、それぞれ年度の予算編成をして参っております。従ってこの三十年度、あるいは三十一年度、三十二年度、それは既存の予算編成方針の裏づけをなした計画大綱というものは、比率においてその性格はいっております。三十二年度の予算編成方針におきましても、その方針は十分生かされて参っております。ただ、私の申し上げますのは、五カ年計画の中において現在の日本の実情に合わないものが数点できてきておるので、それをどういうふうに改訂をするのが好ましいかということであって、それがためには、三十一年を基準とする五カ年計画というワクでは都合が悪い点がありますから、三十三年を基準として五カ年計画を作って、それで実情に合わす改訂を行うべきである、こう申しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/42
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043・藤田進
○藤田進君 まあ、宇田さんほどの人が私は今の長期計画の性格ですね、計画というものはあまり出過ぎてもいかぬが、やはり足りなくてもいけないからして、年次別に投資経済を計画性を持たせて発展せしめようというのが、経済自立五カ年計画の中心だと思う。ところがそれで内閣が違うのだから、あなたに前内閣の責任まで負えとは言わんけれども、少くとも自由民主党の内閣であり、政権の授受のいきさつから見ても、以前の御主張というものは政策その他一切変りはないのだ、健康で引いたあとを引き継いだとおっしゃっておるわけです。それはそれとして、今のお話だけを見ても、改訂をするというあなたは言葉を終始とられておるわけです。三十一年度を初年度とする経済自立五カ年計画には、実情にそぐわないものが出てきたから、一部修正をする、つまり改訂をするのだ、長期計画というものは初年度の三十一年度やったら三十一年どうもうまくいかぬ、来年三十二年度から五年を考えてみよう、三十三年度が来た、これは三十三年から五年考えてみよう、これでは計画が全然ないことなんです、これはね。しかし、三十一年度を初年度とする経済自立五カ年計画はいろいろな、あなた自身も改訂とおっしゃるが、あれを全然白紙に戻して、新しい白紙に字を書かなきゃならぬということを認められておるのじゃないかと思うのだが、今度の財政投融資の面だけ見ても、あなたも御承知のように三十一年度を初年度で三十二年度を二年度と考えられていたような、そういう実情とはたった一年足らずの間に、根底からこうくつがえったような形になっておるわけですね。それならば鳩山内閣のときに策定したところの、これは経済企画庁がやって、事務当局は変っていないから、事務当局からも答弁はわれわれ相当こまかく過般の商工委員会で聞いたのです。かなり見通しにおいて五カ年先における完全雇用なり、経済の発展度合なり、非常な自信を持ってやられたわけですが、内閣が変ったとはいいながら、ここに大きな改訂をしなきゃならぬ、むしろ改訂というのか、今聞いて明らかになったのは、三十一年度は初年度じゃなくなったのですよ、三十二年度を五カ年計画の外に置いて、三十三年度から新しい五カ年計画を立てるというようなことなんだが、長期計画の一期を五年とし、二期は五年にするか、六年にするか、そういうもの以外に、私は長期経済計画のもとにおける企画庁の役割というものは、三十二年度に関する限りは何にもない、三十三年度からというしか聞こえないのです。簡単に言えば、三十一年度を初年度とする五カ年計画というものは、これは流して、三十三年度から新しく立てると、五カ年は三十三年度から三十三年、三十四、三十五、三十六、三十七年と、五カ年の最終年度は三十七年だ、こういうものでおやりになる。そうすればその間の食いつなぎは、三十二年度だと私ども見ざるを得ない。いや、そうではなくて、鳩山内閣の政策を引き継いで、自立経済五カ年計画は踏襲する、三十一年度初年度で。しかし、実情に合わないから一部修正を加える。これに追加して三十三年度から何かやるというものなのか。われわれはこれから、きょうエネルギー中心になってそういきませんでしたが、そういう政府の長期計画とにらみ合して、無理があっても来年度、その次年度というふうに考えていかなければならぬと思うのです。そこが非常にあいまいなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/43
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044・宇田耕一
○国務大臣(宇田耕一君) ただいま申し上げましたことは、従来の五カ年計画は全然無視してどうこうということではない。三十一年度までの経済の伸びを見てみると、どうしてもこの今までの企画では、国民経済の発展の率に合わないのだと、こういうことです。それはたとえばソビエトの計画でも、ことし五カ年計画は全然非常な大幅な変化をいたしております。中共の五カ年計画にいたしましても、ただいまわれわれが貿易交渉をいたしましても、ただいま本年変える。従って貿易に対するあるものについては、こっちとの交渉は中止をするというようなことも参っております。従って計画というものは世界的な非常な経済の動き、あるいは国内の天候の工合等によって、非常な需給に変化が起りますから、そういう実際の現状に応じて、そうしてそれに比較的歩幅が合う方向に、各国ともに改訂を必要とする場合には改訂を加えると、こう思います。しかし、五カ年を単位として、目安をとってみようという場合に、これから今後の見通しの五ヵ年をどう作業するかということになりますと、われわれの技術的のレベルでは、三十三年から五カ年をとらなければ、作業がなかなか仕上らない、こういうわけであります。で、三十二年度のわれわれが予算の裏づけのための経済計画の大綱を立てる場合には、そういうふうな、どうしても改訂しなければならぬと思われる基本点を分析をしながら、三十一年度ないし三十年度の自分たちの持っておった計画は、もちろんこれを重要な基本の数字として自分たちは扱ってきた、こういう実際の取り扱い方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/44
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045・藤田進
○藤田進君 私が今触れたように、経済六カ年計、面を予想以上に実績が上ってこれを数字的に改訂し、六カ年計画は四カ年で切り上げる、そういう国があります。私も調べておる。しかしあなたのおっしゃるのは、三十一年度の予想よりも設備投資において、あるいは貿易収支において相当発展して、これでは間に合わない、好況を呈してきた。だから一兆一千億になり、あるいはその他の財政投融資についても重点配分をする、こう言われているんだから、好ましいものとすれば、三十二年度はその数字の改訂においておやりになって、五カ年計画はそれを四カ年で切り上げていくということにならなければ、前内閣と性格の変った社会党政権にでもなったというなら、これは根底から政策が変るんだから……。あなたのおっしゃるのは、中共とかソ連を引例されたけれども、中共やソ連においてたまたまやってみて、えらい調子がよかった、数字が合わなかったから、来年から一つ五カ年計画の出発点にしよう、そんな国がありますか。あなたのおっしゃるのは、今の三十二年度予算というものは、当面の現実に即応してやったのであって、長期計画のレールに乗せてものを処理したということにはならぬでしょう。三十三年度から少くとも石橋内閣が続く限り、五カ年続けば五年の初年度は三十三年度だ。三十二年度はない。若干の数字の改訂どころじゃないんです。これは企画庁の事務当局におかれても、もっと検討してもらわなければならぬ。三十三年度を初年度とする長期五カ年計画を立てるというあなたの言明と、相当好況を呈して、三十二年度は三十一年度に予想した三十二年度の五カ年計画の数字を、そのままでいかないから、これを改訂するということは、長時間画に対する本質的なあなたの把握が違うと思うんです。それならば、三十二年度を五カ年計画のベースに乗せて、経済発展が予想以上によかったならば、三十四年度に四カ年計画に切り上げたっていいんです。そういう例はないことはない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/45
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046・宇田耕一
○国務大臣(宇田耕一君) それでは、技術的な面がありますから、それは政府委員から申し上げますが、たとえば、最初持っておりました六カ年計画と申しますか、三十一年から五年までの経済計画の基本線は、伸び率を五%に盛っておったはずであります。五%の伸びを期待しておりましたけれども、実際の国際環境、国民の経済に対する活動力等から見まして、五%の伸びでなく、自分たちは、もっと大きい伸びを期待し得る国民経済力がある、そういうことが最近非常に明瞭に出てきたと思います。従って、経済の伸び率を基本的に考え直さなきゃならない、こういうところへぶつかっております。それで、伸び率を考慮をかけてくると、五カ年単位にして、ただいま申し上げました五%でない伸び率の場合の国民の成長に対する期待というものは、新しい五年のワクでもう一ぺん見直してみたらどうか、こういうことになっておるわけです。で、技術的なことがありますから、政府委員から申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/46
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047・藤田進
○藤田進君 こまかいことはいいんですよ、時間がないから。私の言うのは、あなたの方では、鳩山内閣の性格、同じ自民党なんだから、苦しいと思うんですよ。石橋さんは通産大臣もやってたんです、実際。経済自立五カ年計画ということで進めてきたことが、伸びが五%の予想がそれ以上になった。五カ年計画というものは、一貫した計画において、数字の計算は年次別にしなきゃならぬですよ。しなきゃならぬけれども、三十三年度から五カ年計画を新しく立てるということ、それはどういう説明になるかというのは、これは大臣の所管せられるべき事項です。事務当局に支配されておられるようなことじゃ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/47
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048・宇田耕一
○国務大臣(宇田耕一君) 申し上げます。伸び率が変ってきた場合に、われわれは、新しい計画をここに持つのが、国民経済と財政経済とを見合わす場合に適当である。予算の裏づけとしての経済大綱を自分たちが考える場合に、伸び率の変更を必要とする場合には、それに見合う五カ年のワクをもう一ぺん考え直して、その五カ年のワクに基く経済計画大綱をもって予算の裏づけにするのが適当である、こう考えるんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/48
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049・藤田進
○藤田進君 それならば、年次別に修正されて、結局五カ年計画は、三カ年ないし四カ年で計画通りはいく。そうすると、あとを新年度計画として、五カ年なり六カ年を策定される。これはこうなんですよ。ところが、あなたのおっしゃるのは、三十一年度を初年度としたやつは、どうも合わぬようになったから、三十三年度からあと五カ年を作るんだ。これは、これ以上申し上げてもあれだから、一つ研究しておいて下さい、時間がないから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/49
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050・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) ちょっと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/50
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051・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/51
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052・阿部竹松
○阿部竹松君 宇田国務大臣が大臣になられたときに、原子力の問題について相当勇ましいアドバルーンを上げて、何年後には、何十万キロ出すというようなことが新聞に出ておりました。まあしかし、あれは新聞の間違いだったか、あれがほんとうであの通りいくものかどうかは別として、現在の計画でいきますと、大体何年後に市場に発電された電気が売り出されて、大体コストが一キロどのくらいにつくという想定で出発されておるか、まずその点をお伺いしたいと思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/52
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053・宇田耕一
○国務大臣(宇田耕一君) 原子力発電につきましては、先ほどの御質問もありましたけれども、原子力委員会といたしましては、石川調査団の報告を基礎としてそうして次の段階を考えるべきである、こういう結論を持っております。それで、原子力委員会に対する石川報告は、先ほども申し上げますように、コルダーホール・タイプを購入するのが最も日本に適したものであると思われます。それについてはもう一度調査団を送って、そうして疑問点をただす必要がある、それをなるべく早く派遣すべきである、こういうことです。それで、自分たちとしては、今年の少くとも六月には調査団を新たに編成をして送り出したい、こういうことを原子力委員会では話し合っております。それは少くともコルダーホール・タイプの十万キロないし十五万キロ程度のものを一基は買い付けるべきであるという前提で話をしたらどうか、こういうことであります。ただいまのところ、われわれは発電用の動力炉を何キロのものをいつ買うかということの具体的数字はありません。調査団を派遣して、それの帰るのを待って、そうして決定を急ぎたいという希望を持っておると、こういう程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/53
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054・阿部竹松
○阿部竹松君 そうなると、とにかく朝日、読売から始まって委員長の抱負は何年後にこれこれのキロ数が出ると発表されたはずなんです。しかし、ここではそれよりずっと後退して、これから何を買ってどうするかわからんというようなことで、話が非常にあとざりしたような感じがするわけなんですが、少くともアメリカでは一キロ現在の電力料金コストは一円四十銭くらいだ。イギリスでは二円五十銭かかる。しかし、今の発電炉でいくと、大体二円五十銭で、アメリカでは原子力で電気を起しても、コストが現在の方が安いからあまりやらない、イギリスの方はコストが引き合うから、大いに研究してやっておるのだということが、イギリスがずっと進んだ原因なんです。従って、日本が現在これだけ予算を使って炉を持ってきてどうなるかという全然見通しなくてやっておるということは、大臣、その点どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/54
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055・宇田耕一
○国務大臣(宇田耕一君) それは、この間一月末にウェスチングハウスのニコルスという人がインドの国産炉の開炉式に行った帰りに寄ったときの話しでは、キロワット当り三円五銭ないし六銭だと、こういうのです。それから所要資金は三千五百万ドルと、こういうのです。三千五百万ドルに対して、そのときには二十カ年と言ったのですが、二十カ年年賦でもって、金利五分で、そうして所要資金の八〇%を金融しましょう、こういうことでした。それで発電コストについては、金利は非常な大きなウエイトが来るし、また、支払い条件が長期であるということも、これはコストに非常な影響のあるものですから、その点は、向こうの意見は聞いておきました。技術的に申しますと、炉そのものに危険はないのだ。危険がない証拠はどこにあるのだというと、潜水艦に使う。そうして非常にロードをかけて出発をする。また、ロードをかけて停止する。かなりなスピードの潜水艦なんだけれども、それで事故の起ったということはない。第一、原子関係の動力炉で今まで一ぺん毛爆発なんというようなことが起った前例はないじゃないか、こういうことを言っておりました。そしてそのときにもう一つ重要なことはこういうことでした。国産炉を作ればいいじゃないか、アメリカで作ったものをこっちへ持ってきて売るというのが不満であろう、だから自分のところは三菱グループとの関係が深いから、グループと共同でアルバイトする、従来火力発電計画のときも日本に入れる場合そういう方法は何回もとってきておる。従って火力発電ないし水力発電の場合に、アメリカから機械を入れる、あるいはそれの資本を十カ年年賦で、たとえば五%の金利でアメリカから融資を求めるという場合には、ひどく問題になっていないのではないか。従って原子動力炉の場合にそれを問題にするということは僕はおかしいと思うのだと、こう言うのです。しかし、こっちの希望は国産炉が希望なのだ、それならばこうしろというのです。アメリカから技術を持ってきて、日本でできるものがかなりあるから、日本で作ったらいいじゃないか、日本でどうしてもできなかったところだけを持ってきて仕上げるのはどうだ、インドにおける国産炉の今度の開炉式に行って見たけれども、インドは主として英国と言っておりましたが、英国とコンビでインドの国産炉ということであればスタートしたのだ、ああいう方法はどうだというような話しもあったわけです。そういうわけでこの話は非常に日本の国内へ持ってきて日本の生産技術、生産能力という面は全面的に使って、足りないところだけを向うのパテント、技術ということで仕上げるようにしたい。それに必要な金融は自分たちのところで八〇%までの条件で考慮するがどうだということでした。それは自分たちとしては好ましいことだけれども、ミッションを送ってみなければ、あなたの口先だけではわからない。青写真はあるのかと聞いてみたら、青写真は十二月末に作業を終って仕上げてあるからいつでも送りますと言う。それではアメリカの各メーカーのところにわれわれはそういうことがほんとうなら、ぜひミッションを送りたいと思っておるのだと、こう言っておいたのです。日本の発電はどれくらい希望量があるのかと言いますから、日本は経済企画庁でエネルギー対策は立てておるのだ、ただいまの三十一年から三十五年までを考えておる五カ年計画の中では、発電は八百四十万キロワットで、その中で火力は四百八十万キロになっており、水力が三百六十万キロになっておって、これはどうしても三十五年度中に発電をしなければならぬ数字であって、希望数字ではない。これは三十五年度中に必ず送電を開始しなければならないものが、現在のわれわれの負担になっておる計画の数字は八百四十万キロワットだ。従ってその中の四百八十万が火力である。火力を石炭でやるのか、重油でやるのか、どっちかでわれわれは解決しなければならぬところに突き当っておる。また、水力の中の三百六十万キロの計画の中にも、補償制度その他に関係されて、必ずしもコストが安くなるものであるとは見通しがつかないものである。燃料の石炭対策とか重油対策から見て、どうしてもこれはコストの安い燃料を考えなければならない。そのときに、最大限、君の国はどういうふうに希望の数字を持つのだと言うから、それはやはりもし可能だったら、少くとも三百万キロくらいのものは肩がわりができたら、非常に日本としては助かる、こういう話をしたのです。そのあとで記者会見のときにもそういうような意味のことは申したのです。しかし、僕らの一番心配することは、燃料問題です。炉はできるかもしらぬが、炉に入れる燃料をどうするかということについても、われわれは自信がないのだと言ったら、彼は濃縮ウラン二万四千キログラムを国際原子力機構の中に渡す、国際原子力機構は今明年中に仕上るというところにまだ運びがいかないかもしれない。それなら国連を通じて濃縮ウラン二万四千キログラムは、これを分けるということがもし国連の機構の未完成のためにうまくいかない場合には、それまでの過渡的処置としては一般協定を結んで、その協定の条件内において日本がもし炉を持てば、燃料は補給しようじゃないかとこういうことであります。一〇〇%の濃縮ウランは御承知の通り石炭一トンに対して三百二十万倍のエネルギーがあるといわれておりますから、日本の石炭をただいま三十五年の数字を見てみると約千七百万、石炭に換算するとかなり膨大な数字があります。われわれがどうしても輸入によって求めていかなければならぬ石炭ないし重油の量というのは、昭和三十五年にはとてもこれは大へんな数字になっております。従ってもし今の二万四千キログラムの濃縮ウラン一〇〇%のものであったならば、それを石炭に換算しましたら七千万トン強というふうに私は思います。二十四トンの濃縮ウランがあれば石炭にして約七千万トンに匹敵する。二十四トンのものを持ち運ぶのに、鉛のケースや何か要るでしょうけれども、二十四トンのものを持ち運んできた場合に、それが七千万トンの石炭に匹敵する力があるという場合に、自分たちのように外国からたくさんの船に積んでそうしてボリュームの大きいものを運んでこなければならぬ運命を持っておる。たとえば鉄鋼でもそうであります。そういうふうなこれからぐっと伸びが広くなっていくところのボリュームのある、かさばるところの資源を海外から求めてこなければならぬというものの中で、もし石炭と重油だけでもこれがほかのものに置きかえるチャンスがあったら、これは国民経済にとっても非常に重要な問題で、港湾政策あるいは海運政策、造船計画あるいはタンカー・ボートの製造計画、全面的に一つの新しい経済条件がプラスされるものだ、こういうふうに思います。従ってアメリカが二万四千キログラムの濃縮ウランをほんとうにどういう協定のもとにくれるのか、あるいはイギリスが原鉱石のウラン鉱をどこからか日本に何ぼか相当まとまって送ってくれるのか、そういうことについては、これから積極的に打診と交渉をいたさなければならぬと私は思っております。そういう点についても十分な確信ができましたときには、私は原子力発電は進めるべきだと思っております。そのときに彼はこう言っておりました。先ほどもあなたがおっしゃったと思うのですけれども、アメリカは何といったところで油は国の中に豊富にあるのだ、それで発電コストについては油と比較して考えた場合、フレイトは全然要らない。その場で発電できる条件を持っておる。従ってテキサスや何かに持っていって原子力発電を考えても、そういうものは話題にならない。君の国は違う。発電条件は何もできないじゃないか、水力だって限界点に来ておるじゃないか、こういう話しです。お互いの内輪話ではいずれにしても原子力発電は一ぺん始めると八〇%くらいはそのままロードが落ちませんから、そうすると深夜でも一律に発電を進めていかなければならない。そういうときに、それの負荷が落ちることによって起るコストの上りはどうするかと聞いてみましたところ、そのときにわれわれが考えておったようにもう一度ポンピング・アップして……。(阿部竹松君「大臣、大臣」と述ぶ)それでわれわれとしての疑問点をもう一ぺん明快にした方がいいと思うのですね。原子力発電によって負荷に余力ができた場合には、深夜作業でポンピング・アップして水を逆に入れた方がいいじゃないか、そうして原子力発電のピークの足りないときには、ポンピング・アップした水で再びアジャストする方法をとることが好ましい場合があるじゃないか。従ってそういう一連のエネルギーの対策というものは一緒に考えたらどうか、ミッションを送ってほしい、こういうことでした。それで三百万キロの話題はそういうところにあったわけで、三百万キロすぐできるから、おれたちはやるんだということでは全然ありません。それはよくあのときの記事を私は全部読んでおりませんが、記事の中には的確な記事もたくさんあったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/55
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056・阿部竹松
○阿部竹松君 私は宇田国務大臣から、高等学校の生徒にお話をされるような原子力のお話を聞いているのではありません。私の一質問が悪かったから、御答弁がやりにくかったのでしょうけれども、私のお聞きしているのは、簡単なんですよ。大体こういう計画で入って昭和三十五年になるか三十九年になるかわかりませんけれども、それまでこれでいけば大体五万キロの炉ができて、それで大体市場にどれだけ出して、コストは大体何銭何厘まではわからぬでも、二円五十銭になるか三円五十銭になりますかというこういう想定はあらゆる会社でやっているのです。東京電力、北海道電力、関西電力にしてもですよ。従ってこの一番総元締のあなたがおわかりにならぬはずはないと思った。アメリカから原子炉を買ってきても、ちゃんとウラン原鉱がついてきて、そうして日本に据えつけたら幾らになる。イギリスから買った場合でも大体想定がつくのです。それをお聞きしたかったのに、あなたが大風呂敷を広げてしまって、高等学校の生徒に原子力のお話をするような講義で……。まことに恐縮なんですが、大体わかりました。問題は各社が、電力会社がばらばらにやっておりますね、多額の金を投じて。そして各社が自分の力でやっている。しかしこういうのでは、日本人の欠点かもしれないけれども、研究所を各社ばらばらでやると金額が多くかかる割合にその効果が少い。こういう点について長官のところで一本にまとめて御研究なさるという御構想はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/56
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057・宇田耕一
○国務大臣(宇田耕一君) 原子力をどう管理するかの問題は、これは非常に重要な問題と思っております。それで国家資金を莫大に投ずる場合、あるいは危険の規制をしなければならぬ場合の管理方式、またおのずから違うと思います。当面とりあえず入ってきます炉については、原子力研究所においてこれを直接管理し、直接これを技術的に動かすというのが基本方針であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/57
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058・阿部竹松
○阿部竹松君 わかりました。それでは最後に二つばかりお伺いいたしますが、この原子力問題の参考書とか文献、研究資料、これは一切技術庁で保管することになるのですか、国会図書館でとにかく保管することになるのですか、その点がまず第一点と、それから日本の国内における探鉱に使う費用はどれくらいかということと、これは原子力と関係ないのですが、航空技術庁に今度八億何千万円をかけて風洞を作るというのですが、これはどこに作るのかということと、それから今年一年の御計画であるのか、初年度が八億円であって、また来年度八億円という年次計画でいくのか、一年ででき上ってしまうのか、その点だけお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/58
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059・宇田耕一
○国務大臣(宇田耕一君) 技術的なことですから、官房長から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/59
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060・原田久
○政府委員(原田久君) 初めに航空技術研究所のことを申し上げますが、航空技術研究所は六カ年計画で昭和三十二年度が第三カ年目でございます。従いまして八億円本年度入れればおしまいというのではなくて、総額は相当の金額になると思います。相当の金額の計画にいたしております。それの第三年目に当って、もっぱら遷音速風洞といいまして、音速前後の速さで動く風洞を建設するという年度に当っております。
それから原子力関係の図書でございますが、まだはっきりきまっておりませんが、現に入っているものとしましては、国会図書館に一部に入っております。それから原子力局にも原子力関係の図書は整備しております。来年度になりまして日本科学技術情報センターが設置されますれば、ここで所在など全部わかるようになりまして、一括して利用できる態勢が整備されると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/60
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061・阿部竹松
○阿部竹松君 ウラン探鉱に使う経費は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/61
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062・原田久
○政府委員(原田久君) ウランの探鉱に関しまする経費といたしましては、先刻予算に関しまして御説明をいたしました中にございますが、申し上げますと、原子燃料公社で六億五千万円ほど全体の計画がございますが、その中で、今数字を申し上げますが、大体三億円見当がウランの探鉱に使う予定になっております。それから通産省の地質調査所でございますが、一億円弱ございますが、ウラン関係の概査をやる計画になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/62
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063・阿部竹松
○阿部竹松君 国会図書館との話し合いはついているのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/63
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064・原田久
○政府委員(原田久君) ちょっと、先刻探鉱費三億円見当と申しましたが、正確に申し上げますと、二億三千六十一万四千円でございます。それから情報センターの活動に関します国会図書館との関係でございますが、まだはっきり申し上げる段階ではないかと思いますが、十分連絡をとって、情報活動の資料の提供は、国会図書館が協力して下さるということに相なると予想しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/64
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065・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) 本日は電気対策について十分調査することができませんでした。明後日は電源開発の実情に関する調査を行う予定でありますので、その関係の面におきまして、またエネルギー問題についても御検討を願うことにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。
午後零時四十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X00519570219/65
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