1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年三月二十九日(金曜日)
午前十一時三分開会
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出席者は左の通り。
委員長 松澤 兼人君
理事
西川彌平治君
白川 一雄君
阿具根 登君
近藤 信一君
委員
青柳 秀夫君
大谷 贇雄君
古池 信三君
小西 英雄君
白井 勇君
高橋 衛君
小幡 治和君
阿部 竹松君
島 清君
相馬 助治君
豊田 雅孝君
大竹平八郎君
国務大臣
内閣総理大臣
外 務 大 臣 岸 信介君
通商産業大臣 水田三喜男君
政府委員
外務省経済局長 湯川 盛夫君
通商産業政務次
官 長谷川四郎君
通商産業大臣官
房官房長 松尾 金藏君
通商産業省重工
業局長 鈴木 義雄君
通商産業省公益
事業局長 岩武 照彦君
事務局側
常任委員会専門
員 小田橋貞寿君
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本日の会議に付した案件
○自転車競技法の一部を改正する法律
案(内閣送付、予備審査)
○小型自動車競走法の一部を改正する
法律案(内閣送付、予備審査)
○経済の自立と発展に関する調査の件
(経済外交の基本方針に関する件)
(電気料金の改訂に関する件)
○自転車競技法等の臨時特例に関する
法律の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
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001・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) これより商工委員会を開きます。本日の日程は、公報でお知らせしてあります通りでありますが、まず、自転車競技法の一部を改正する法律案、小型自動車競走法の一部を改正する法律案について、長谷川政務次官より提案理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/1
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002・長谷川四郎
○政府委員(長谷川四郎君) 自転車競技法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。御承知のように、現行の自転車競技法は、自転車産業の振興と地方公共団体の財政に寄与することを目的として、昭和二十三年第二国会において成立をみたものでありますが、その後数度の改正を経、ついで昭和二十九年第十九国会におきまして、補助金等の臨時特例等に関する法律の成立に伴いまして、従来、自転車競技法に基いて行われておりました国庫納付、国家予算計上の制度が停止されることとなりました。その結果、自転車競技法の成立以来、引き続き行なって参りました自転車産業の振興のための施策の実施に支障を来たすこととなりましたので、それによって生ずる混乱を防ぐため、同国会において自転車競技法等の臨時特例に関する法律が一ヶ年の限時法として成立いたしたのでありますが、昭和三十年第二十二国会におきまして、同法の有効期間が昭和三十二年三月二十一日まで二ヶ年間延長されまして、現在に至った次第でございます。右に申し述べました有効期間の延長に関する改正法律の成立に際しまして、参議院商工委員会において付せられました付帯決議の御趣旨に基きまして、政府といたしましては、競輪の運営につき不断の改善をはかって参りますとともに、通商産業大臣の諮問機関として設置されております競輪運営審議会に競輪の改廃に関し諮りました上、その答申に基づき、競輪の弊害を最小限度にとどめてこれを健全化する方針のもとに、競輪制度に改善を加えますとともに、自転車その他の機械産業振興費の取扱いに関する制度に改正を加えました上、自転車競技法の一部を改正する法律案を立案いたしまして、ここに提案申し上げまして御審議をお願いすることといたしました次第でございます。次に、改正点の概要を申し上げます。まず、改正の骨子でございますが、これは、競輪が社会に与える悪影響を縮減し、その内容を健全化するために、政府の監督を強化すること及び自転車その他の機械産業振興のための経費の取扱いに関する制度に改正を加えることであります。改正点の第一といたしましては、競輪施行の目的に、機械の改良及び輸出の振興並びに機械工業の合理化に寄与することを加えたことであります。機械産業の振興をはかることは、自転車競技法等の臨時特例に関する法律に規定されてありますが、これを自転車競技法に規定いたす趣旨でございます。改正点の第二といたしましては、競輪施行者としての指定を受けた市町村が、一年以上引き続き競輪を開催しなかったときは、その指定を取り消すことができることといたしたことでございます。改正点の第三といたしましては、競輪場及び場外車券売場の設置を許可いたします場合に、その許可に期限または条件を付することができることとするほか、競輪場及び場外車券売場の設置者が、これらの施設を引き続き一年以上競輪の用に供しなかったとき、またはこれらの者が業務停止命令等に違反した場合には、設置の許可を取り消すことができることといたしましたことでございます。改正点の第四といたしましては競輪をより公正に運営いたしますために、車券購入等の禁止範囲を拡大するとともに、明確にいたしたことでございます。改正点の第五といたしましては、賭博性を稀薄にするための規定を設けたことでございます。すなわち、一つには、払い戻し金の最高限度額を定めることができることといたしましたことでございます。二つには、車券の投票方法に工夫を加えまして、的中の確率を大きくするような新しい投票方法を採用できるように投票無効に関する規定を整備いたしたことでございます。なお、これらを実施いたします場合には、他の同種の競技と歩調を合わせて行うことといたしたい所存でございます。改正点の第六といたしましては、競輪施行者が競輪の実施を都道府県自転車振興会に委任しました場合に、自転車振興会に対し交付いたします金額は、従来、車券売上金の額の百分の三以内となっておりますが、これを委任業務の範囲及び車券売上金の額に応じ定めることとし、交付金額の算定方法を合理的に改めることといたしております。改正点の第七といたしまして、政府の監督が十分に行き届くようにするため、都道府県自転車振興会に対する規制を強めますとともに、改正後の自転車競技法に基づく法人として日本自転車振興会を設立いたすことでございます。まず、都道府県自転車振興会につきましては、その役員の選任及び解任並びに事業計画及び収支予算は、通商産業大臣の認可を要するものとし、かつ、毎事業年度の決算書類の提出義務を課することといたしております。次に、中央の組織といたしましては、政府が十分に監督できる体制を整えるため及び自転車その他の機械産業振興のための経費の取扱いに関する制度を改めることといたしましたことに伴い、改正後の自転車競技法に基づく法人として日本自転車振興会を設立いたしまして、この法人が、競輪の公正かつ円滑な実施をはかるために必要な業務及び自転車その他の機械産業振興費の受け入れ並びに支出に関する業務を行うことといたしております。競輪施行者は、日本自転車振興会に対して自転車その他の機械産業振興費及び同会の競輪に関する業務に必要な経費を交付することといたしておりますほか、日本自転車振興会は、小型自動車競走施行者から小型自動車その他の機械産業振興費をも受け入れることといたしております。なお、日本自転車振興会の成立のときに、自転車振興会連合会は解散することといたしております。日本自転車振興会は、改正後の自転車競技法に基き設立される法人でありますので、政府の十分な監督を受けるものでありますが、同会が競輪に関する業務を公正かつ円滑に行うことを確保いたしますために、日本自転車振興会のうちに、競輪に関し学識経験のある者をもって構成する運営委員会を設けまして、日本自転車振興会の会長が運営委員会の意見を聞かなければならない事項を規定いたしております。他方、自転車その他の機械産業振興費に関しましては、通商産業大臣の諮問機関として、従来の機械工業振興協議会にかえ、自転車等機械関係事業振興資金協議会を設置いたしまして、振興費の運用につき遺憾のないようにいたしたい所存でございます。なお、自転車その他の機械産業振興費に関する事項につきましては、規定の効力を三年間の限時的なものといたしまして、その後の措置は、別に、法律で定めるところによるものとすることといたしております。改正点の第八といたしましては、競輪の公正かつ安全な運営を確保いたしますため、競輪場及び場外車券売場の設置者に、これらの施設を許可基準に適合するよう維持すべき義務を課することでございます。以上が自転車競技法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。何とぞ、御審議の上、可決されますようお願い申し上げます。次に、小型自動車競走法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。御承知のように、現行の小型自動車競走法は、小型自動車産業の振興と地方財政の改善をはかることを目的として、昭和二十五年第七国会において成立を見たものでございますが、その後数度の改正を経、次いで昭和二十九年第十九国会におきまして、補助金等の臨時特例等に関する法律の成立に伴い、従来の国庫納付金制度が停止されることとなりましたので、臨時的措置として、同国会に自転車競技法等の臨時特例に関する法律が提案され、一ヵ年の限時法として成立したのでありますが、昭和三十年第二十二国会におきまして、その有効期間が昭和三十二年三月三十一日まで延長されまして現在に至った次第でございます。今回の改正の骨子について申し上げますと、小型自動車競走が社会に与える悪影響を縮減し、その内容を健全化するために、政府の監督を強化すること及び小型自動車その他の機械産業の振興のための経費の取扱いに関する制度に改正を加えることでありますが、小型自動車競走の実情を勘案いたしつつ、競輪の場合に準じて改正を加えた次第でございます。次に、改正点の概要を申し上げます。改正点の第一といたしましては、法律の趣旨に、機械の改良及び輸出の振興並びに機械工業の合理化に寄与することを加えたことであります。機械産業の振興をはかることは、自転車競技法等の臨時特例に関する法律に規定されてありますが、これを小型自動車競走法に規定いたす趣旨であります。改正点の第二といたしましては、小型自動車競走施行者が小型自動車競走を行おうとするときは、通商産業大臣に届け出なければならないことといたしたことであります。この点につきましては従来、省令で規定しておりましたが、このたび、法律によって規定することといたした次第でございます。改正点の第三といたしましては、小型自動車競走場の設置を許可制にいたしますとともに、許可に期限または条件を付することができること及び小型自動車競走場の設置者が、引き続き一年以上その競走場を小型自動車競走の用に供しなかったとき、または業務停止命令等に違反したときは、設置の許可を取り消すことができることといたしたことであります。従来、小型自動車競走場の設置につきましては、全国小型自動車競走会連合会への登録制をとっておりましたが、これを競輪の場合と同じく許可制といたしますほか、小型自動車競走に対する規制を強めることといたした次第でございます。改正点の第四といたしまして、小型自動車競走の審判員を登録の対象に加え、審判の公平並びに厳正を期したことでございます。改正点の第五といたしましては、小型自動車競走をより公正に運営いたしますために、車券購入等の禁止範囲を拡大するとともに、明確にいたしたことでございます。改正点の第六といたしましては、賭博性を薄めるために、払い戻し金の最高限度額を定めることができることとするとともに、的中の確率を大きくするような新しい投票方法を採用できるように、投票無効に関する規定を整備いたしたことであります。改正点の第七といたしましては、小型自動車競走施行者が、競走の実施を小型自動車競走会に委任しました場合に交付すべき金額の算定方法を合理的に改めることといたしたことでございます。改正点の第八といたしましては、都道府県小型自動車競走会及び全国小型自動車競走会連合会の運営並びに経理につきましてその厳正を期しますために、これらに対する監督を強化いたしましたことでございます。改正点の第九といたしましては、小型自動車競走施行者が、小型自動車その他の機械産業の振興のための経費を、改正後の自転車競技法に基き設立される日本自転車振興会に交付することといたしたことでございます。これは、小型自動車競走による小型自動車その他の機械産業振興費の額が、競輪等に比べまして少額でありますので、日本自転車振興会に対して交付させ、日本自転車振興会にこの振興費を取扱わせるのが適切であると考えるからであります。なお、この点に関する規定につきましては、二年間の限時的なものといたしまして、その後の措置は、別に法律で定めるところによるものとすることといたしております。改正点の第十といたしましては、小型自動車競走が公正かつ安全に行われることを確保いたしますために、小型自動車競走施行者及び小型自動車競走会に、競走場内の秩序維持義務等を課するとともに、小型自動車競走場の設置者に、施設を許可基準に適合するよう維持すべき義務を課することでございます。改正点の第十一といたしましては、小型自動車競走場内の秩序維持、競走の公正または安全の確保その他改正後の小型自動車競走法の施行の確保等のため必要があるときは、通商産業大臣は、小型自動車競走施行者、小型自動車競走会、全国小型自動車競走会連合会または小型自動車競走場の設置者に対し、必要な命令をすることができることとしまして、小型自動車競走に対する規制を強めることといたしております。改正点の第十二といたしましては、通商産業大臣は、小型自動車競走施行者、小型自動車競走会、全国小型自動車競走会連合会および小型自動車競走場の設置者から報告を求め、またはその職員にこれらの者の事務所もしくは競走場内に立ち入り検査をさせることができることとしたことでございます。以上が小型自動車競走法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。何とぞ御審議の上、可決されますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/2
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003・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) 両案につきましては後日質疑することにいたします。ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/3
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004・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) 速記をとって下さい。それでは引き続きまして、経済外交の基本方針に関する件につきまして質疑を行います。岸内閣総理大臣兼外務大臣が見えておりますので、質疑のおありの方は、順次発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/4
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005・大竹平八郎
○大竹平八郎君 非常に総理の御多用のところ、特においでを願いましたことは、岸総理が外務大臣といたしまして、しばしば新聞紙上に表明せられておりまする経済外交の確立という問題でございます。私どもは総理のそうしたことは外務大臣としてのお言葉かも知れませんが、満腔の賛意を表するものであります。しかしながら、経済外交と申しますると、直ちにこの経済界との関連というものを一応お考えになる、これは当然だろうと思うのでありますが、それで私どもがお聞きいたしたいことは、なるほど経済界の人を大使等に抜擢をせられまして、任地に派遣せられるということは、一つの構想ではあると思うのでございますけれども、しかし、これは御承知の通り大使などという役目は、全く横文字により毎日の生活をしておるのでありまして、かつて新本日銀総裁がアメリカに行きまして、全くノイローゼになったと、こういう状況もあるのでございますので、岸外務大臣の構想が、果して財界のだれをどこに持っていくかということにつきまして、私は、そのそんたくをすることをいたしませんが、そういうことよりも、むしろ経済外交を確立するという意味におきましては、特殊な問題に対しまして、そうして特殊の人を派遣大使といたしまして、一定の期間に任地におやりになる方が好成績を得るものではないか、かように実は私は考えておる一人なんであります。たとえて申しまするならば、米国に対しまして綿業の輸出の問題がある、これがまあ大きな問題になっておりまするが、こういうときに当りましては、その道の専門家を特定の日にちを限りまして、そうしてこれを特派大使でやる方が、むしろ経済外交としての実を上げるのではないか。いわゆる駐在大使としておやりになるよりも、その個々のケースにつきまして、特派をせられる方が、私は効果を上げるのではないかと思うのでございますが、まず第一に、この点をお伺いいたしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/5
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006・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 経済外交推進について人的配置と申しますか、この経済外交を推進するに適当な人を配置し利用するという必要は、これは御意見のごとく私は大事なことであると思う。しかし、われわれが経済外交の相手としておるところは、世界の各国でございますけれども、その常駐の大公使にことごとく民間あるいは経済人を起用するということも、これは言うべくしてできないことであることは、言うを待ちませんし、従ってこの外交に従事しておる者、大公使が経済ということに対して、従来より特に重大関心を持ち、また、外交の機運がそこにあるのだという意識のもとに、いろいろと勉強し、各方面の知識や経験を積んでいくというふうにしなければならぬと、根本的には考えております。しかし、同時に経済界等から適当な人を起用するということも、頭に置いて考えなければならぬと思いますが、今お話がありましたように、経済外交推進の上におきまして、具体的の問題が生じたときにおいて、その具体的問題の処理について、最も知識経験もしくは現実に経済界産業界において力ある人を起用して、その問題の解決に特使として派するというような構想は、私はきわめて適切な考え方であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/6
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007・大竹平八郎
○大竹平八郎君 それから御承知の通り、戦後の日本を中心といたしまする国際情勢は、国際政局を日本が指導するというようなことは、もう事実今のところはできないので、従いまして岸総理の説かれる経済外交の確立ということは、先ほども申し上げました通り、どの方面もこれは賛成をする点なんであります。御承知の通り貿易の状態を一つ見ますると、最近非常な好景気でございまして、一説に神武以来などと言われておるのでございますが、鉱工業生産の状況を昨年度で見ますと、昭和九年から十一年の平均に対しまして、二一九という数字を上げております。しかるにもかかわらず、貿易が盛んになったと申しましても、輸出はわずかに八五・七でございます。輸出が一一四・八というような工合でございまして、いよいよますます貿易の振興ということが必要であるということは申すまでもないのでありますが。それで私どもはこの大事業に対しまする問題は、ただいま申し上げました通りでありますが、何か大使館なりその出先の通商関係に対するこのスタッフというものを、いま少しく本来の外務省型に当てはまったことに重点を置かないで、通商関係に私は大きな重点を置くことが必要であるのではないかとかように考える、現在でも通商関係の在外公館におきまする人数は、外務省出身五十八、その他他省の出身を入れましてわずかに百十三にすぎないのであります。私どもはこういう点から申しまして、でき得ればその貿易振興の大きな立場からいたしまして、できるだけ民間の方々を採用をいたしまして、そしてこれに充てられてはどうかと思うのでありますが、それには私どもは出先でしばしば遭遇をいたす問題でございまするが、あまりに外務省本来のやり方というものは、出先におきましては、非常なセクト主義に陥る点があるのであります。私も日華条約に参りましたときに、非常な苦い経験を得たことがあるのでございますが、こういう点は単に民間と外務省の問題ではなくして、政府同士の中におきまして、外務省と通産省関係でも、そのきらいというものがまあ非常に多い。いわゆる外務省のこのセクト主義というものを、私は根本的に変えて参らなければならないと思うのでございますが、この点に対して御意見を伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/7
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008・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 今日は御指摘のごとく十分ではありませんけれども、在外公館に外務省本来の職員のほかに、通産省やあるいは大蔵省、農林省等、産業官庁の役人が外務省の職員となって駐在しておるものが相当あるのであります。なお、この点につきましては人事の交流を一そう盛んにし、御指摘のごときセクト主義の、まあこれは役人に共通なものでありまして特に外務省というわけでもございません。私自身が役人の経験を持っておりまして、過去をかえりみてみましても、それは相当やはり役所々々の風というものがあり、また、そこに初めから入って、そこで最後まで終る人と、よそから来た者との間に、自然融和が十分にいかぬという点もありますので、外務省の役人を内地においてこれらの産業官庁等において勤務せしめ、両方の関係の融和と、今のセクト主義の打破ということには努力をいたしておりますけれども、私は決して現在の状況が十分だとは考えておりません。御指摘のごとき点があると思いまして、今後経済外交を外交の基調の重要なものとして考え、取り上げて推進するという上から申しますというと、御指摘のような点にも十分留意して、将来経済的な外交を推進する、そのために差しつかえが生ずるということのないようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/8
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009・大竹平八郎
○大竹平八郎君 それから、近く総理は、資格は外相としておいでになるか、あるいは総理としておいでになるか、これはまあどちらにいたしましても、アメリカに行かれますることは、もうすでに天下周知の事実でございます。しかして、総理がアメリカに行かれることについて、私どもが世界の批評を見るときに当りましても、非常に評判がいいのでございます。その点は私ども日本人といたしまして、非常に安堵感と信頼感を持っておるわけであります。いろいろ対アメリカとの間におきまする大きな政治問題があろうと思いますが、あなたがあちらに参りまするというと、当然出て参りまするのが、中共貿易の問題であろうとかように考えておるのであります。私は議員の一部の方々と多少この中共貿易につきましては、考えを別にいたしておるのであります。長い私どもの二十年来の経験からいたしましても、中共貿易というものは、決して安易にできるものではないのでありまして、また、一面考えまして中共貿易がそう歴代の政府がこれをその促進を阻止をしておるようなこともないので、むしろ非常に政府があげてその促進に努力をしておる跡というものが見られるのであります。なかなか政治は政治、経済は経済という工合に、共産圏の貿易というものはいかないのでありまして、ことに昨年の夏時分非常に好転をせられました中共貿易というものが、逆転をせなければならなかったということは、御承知の通り、世界情勢の急変転なんでありまして、こういう点につきまして、私どもはかつての石橋総理と当時の岸外相との多少中共貿易に対するお考えの違いというものは、私どもには理解ができるものであります。こういう点でございまして、あなたがあちらに参りますというと、当然このココムの問題ということが中心になって、またこれは議員からも要望があろうとも思うのでございます。また、通産省あたりもこの点につきましていろいろ進言はせられると思うのでございまするが、この問題につきまして、これはまあ先のことでございまするから、御答弁がしにくい点もあろうと思いますが、お差しつかえない限り、一つ御所信を明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/9
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010・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 中共貿易の促進につきましては、従来もお話しの通り決して政府はこれを特に制限するというような、もしくは阻止するというような方針はとっておらないのであります。常にこれが増進についての方途を講じてきておりますが、御指摘のごとく、これには非常に重大な困難もございます。われわれは根本の方針として政治的に中共というものを承認するとか、あるいはこれと国交を正常化すということは、今日の段階において日本としてはその方針はとらない。ただ経済的な関係において貿易を促進するということは、少くとも国際条約の範囲内において他の自由主義国と同様な程度までわれわれがこれを促進していくことは、これは当然であるという見地に立っておるのであります。そこで、ココムの制限の問題に関しましては、アメリカがむしろこれを制限を強化したいという考えのもとに非公式に各加盟国の意向を打診し、わが方に対しても、わが方の考え方を打診してきておりますことは、御承知の通りでありますが、これに対しましても私どもはこれを現在よりも強化するという考えはわれわれはとうていとれない。むしろ共産主義国に対する、中共に対する特別のきつい措置というものを緩和すべきであるという方針で、アメリカあるいは他のこれに加盟しておる自由国とそういう見地に立って、これが少くとも対ソ連ヨーロッパにおける制限並みにすることを、われわれは努力をいたして参っております。しかし、この点に関してのアメリカ合衆国の気持なり方向なりは、どちらかといえば、これを強化したいという方向に動いておることも事実であります。従ってこの間の、私がアメリカに行きますならば、当然こういう問題についても話し合いが行われなきゃならぬことになると思いますが、私はやはり日本の立場、日本のこの置かれておる中共との関係というものを、十分にアメリカをして理解せしむると同時に、日本自身は現在の段階において決してこれを承認し、これとの間に正式に外交関係を開くというような考えのないということについても、十分にわが方の考えをアメリカの首脳部に理解せしむることが必要であると考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/10
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011・大竹平八郎
○大竹平八郎君 総理もお忙しいのでございますし、それから他の同僚の質問もございますので、いま一点お伺いいたします。これは具体的な問題でございますが、最近輸出入銀行法の改正の問題が論議をせられておるように聞いておるのであります。従来プラント輸出のワクを広げておりましたものを、さらにいわゆる経済外交の趣旨にのっとりまして、海外投資技術提携の開発資金も認めようとするような意向が、通産省内部にだいぶ出ておるということを聞いておるのでございますが、これは、あなたが御提唱の経済外交推進の意味を裏づける意味において、私ども非常に賛成と思うものでありますが、この点についてお伺いいたしたい。いま一点でありますが、これは最近非常に、新聞紙上で問題になっておりまする欧州の協同体の問題につきまして、われわれ日本を中心にいたしまして、東亜にもそういったものを作るような状況下にあるのではないかということ、この二点をお伺いいたしまして、私の質問を終了いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/11
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012・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 輸出入銀行法の改正につきましては、今政府部内で考究をいたしております。通産省及び外務省におきましての意見は、今御指摘になりましたような方向で、少し思い切った大幅の改正がしたい意図のもとに研究をいたしております。いろいろ銀行本来の性格とも、にらみ合せて、今大蔵省関係の点において研究をいたしておりますが、大体今御指摘になりましたような方向において輸出入銀行法を改正して、そして経済外交推進に役立たしめようというつもりでございます。それから第二の欧州共同市場、これが最近調印されまして、相当に日本の貿易の将来にもこれは影響のある問題でありまして、これに対する対策については、別途いろいろと考究をいたしておりますが、今御質問になりましたアジアにおいて同じような構想の下に協定をするとかいうような問題でありますが、これはヨーロッパ共同市場の成立につきましては、相当な沿革のある問題でございますし、また、ヨーロッパ諸国の工業化の現状や、あるいは経済状況というものと、アジアにおける現在の各国の経済事情、産業事情というものは、御承知の通り、これをすぐ同一に論ずることのできない状況にあります。ヨーロッパ共同市場のむしろ先駆をなしたと申しますか、その根底にといいますか、いわゆるシューマン・プランというような考え方を、アジアにおいても考えたらどうだというような意見が一部にあることは、私聞いておりますけれども、なかなかアジア諸国の現在の産業事情もしくは経済事情から申しまして、ヨーロッパにおける構想を、直ちにアジアの方へ適用するということは、まだ困難があると私は思っております。ただ、私どもが経済外交を推進し、アジア諸国に対する経済協力を強化するという意味におきまして、アメリカのこれらの国に対する各種の援助というものと結び合して、有効なる方策がとれるのじゃないか。また、とれるかとれないかというような問題については、具体的に私としては考究し、一そうこのアジア諸国における経済開発なり、あるいはアジア諸国における経済の基盤を確立することに日本が協力する上において、アメリカの各種の援助との関係を調整していくということは望ましいことである、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/12
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013・近藤信一
○近藤信一君 先ほど大竹委員も質問されましたが、中共貿易の問題でございますが、昨年、総理も御承知のように、北京において日本の見本市が開催され、さらに、東京と大阪におきまして中共の見本市が行われたのでございます。現在、民間の各団体がそれぞれ中共貿易については非常な熱意を持って現在いろいろと運動を進めておるわけなんです。私どもは、やはりこういう民間の経済交流というものがなされて、初めてそこに国交の回復というものが促進されてくるのではなかろうかというふうに考えるのです。さらに、今年度は、中共の見本市が、名古屋とたしか福岡だと思うのですが、この二ヵ所で行われる予定に相なっておるわけなんです。そこで、この中共の見本市が名古屋と福岡で開催されるのでございまするが、これに対しまして政府はいかなる援助を与えるというような考えを持っておられるか。私どもは、やはり経済交流というものを考えて、初めてそこに国交の回復というものが芽生えてくるのではなかろうかというふうに考えるのでありまするから、この点一つ総理としての方針を明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/13
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014・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 中共との間の経済交流を民間のレベルにおいてやられることに対しては、私ども、従来といえども、これが促進されることを、むしろ期待をいたして参っておるのであります。見本市の開催等に対しましても、いろいろと出品の物等についての制約、ココムの関係等の問題につきましては、政府も、民間の要望をいれて、これが実現をスムースにせしめるように、従来も協力をいたして参っております。今後におきましても、この見本市等が互いに相互的に行われていくということは、両国の経済関係を一そう密接ならしめる上からいって、有効な手段だと考えております。ただ、先ほど来申し上げておりますように、今の段階においては、政府としては政府が直接に政府同士で話をしてそういうことを実現するのではなくして、民間の諸団体がそれを推進するということに対して、政府はできるだけこれの実現に協力するという態度をとって参っておりまして、今後といえども、同じような考えで進んで参りたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/14
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015・阿具根登
○阿具根登君 時間がありませんので、三点について御質問申し上げます。まず、完全雇用、エネルギー対策、社会保障に関する考え方、この三つに対しまして、商工委員の立場から御質問いたしたいと思います。いわゆる政府の宣伝か何かわかりませんが、神武以来の好景気だということが盛んに言われて、一般国民に手も届かないような高価な品物が、続々と出回っておることは事実でございます。その半面、一千億の減税を鳴り物入りでやられたけれども、その減税の恩恵に全く浴することのできない人が、これまた国民の大部分であることは御承知の通りでございます。それにもかかわらず、鉄道の運賃は四月一日から上る、私鉄も上りましょう、バスも上りましょう。うわさに聞けば、電力料金も上げられるようなことを言っておられるならば、これはインフレ政策になってきて、それに持ってきて現在でも六十万から七十万の完全な失業者がおるわけでございます。これに対して、政府はどういう考えを持っておられるのか、はっきりした対策が一つも示されておらない。完全雇用ということは高々と岸内閣の政策に打ち出されておりますから、これに対する総理の所信をお聞きしたい。それからエネルギー対策でございますが、これは御承知のように、石炭がことしは五千三百万トンになると、こういうことを言われておる。そうして企画庁の方の話を聞いてみますと、三十五年になれば五千五百万トンだと、四十年になれば六千万トンだと、こういうようなことを言っておられますけれども、その国内の生産対策というものは何にも立てておられない。ただ需要がこうなるだろうということだけ言っておられますけれども、その需要に対する対策は何も打ち立てておられない。これに対してどういうお考えをお持ちであるか。それから社会保障の点でありますが、一体これは慰労年金の法案も出ておるようでございますが、私どもが知る範囲内においては、まあ、調査の範囲内に出ないような考え方が内閣にあるように聞いておりますが、まず老年の問題を考えます場合に、その前に恩給あるいは年金等の名前で一千億近くの巨額の金が出されて、一部の人がその恩恵に浴しております。これを分析して考える場合に、恩給とは何か、年金とは何かといいます場合には、あるいはこれは労働力の対価のあと払いであると、こういうことも言えるでしょうし、あるいは一方には国のために一生懸命に働いていただいた方が、お年寄りになって生活ができるようにという考え方もあると思います。そういたしますとこれは農民を問わず、労働者を問わず、中小企業に携わっておる人を問わず、日本の復興のためにあらゆる努力をされておる。そういう人たちがお年寄りになって、先ほど申しましたように失業者が六十万も七十万もおる、若い青年すら仕事がないのに、終戦後日本人の生命は伸びたと言われ、お年寄がふえたといわれておりながら、その人たちの仕事は全くなくて何ら国からこれを見てやることがとられておらない。これに対してどういうお考えをお持ちになっておるか。この二点にしぼって御質問申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/15
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016・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 私どもの政策の中心は、実は一面経済基盤の拡大を目ざしての積極政策を推進する、同時の社会福祉に向上を目ざして社会保障制度を拡充していくということは、私どもの考えている政策の考え方の根本の二つの大きな私は柱であると思うわけであります。で、完全雇用の問題につきましては、どうしてもこれは経済、産業の繁栄、またその基盤の拡大ということがなくしては、この失業者を吸収して、これにそれぞれの雇用を与えるということはできないという意味におきまして、第一のわれわれの積極経済政策というものの考え方があるわけであります。しかし、これは抽象的に申したわけでありまして、具体的にやはり現実にある失業者の数と、それを各種の産業にどういうふうに雇用していくかという問題を、具体的に計画を立てて推進しなければならぬのは言うを待ちません。ここに私どもは今までの産業計画を、さらに根本的に経済計画を検討いたしまして、そして新しい年次計画を立てて、年次的にこの雇用問題を解決しようと考えておるわけであります。社会保障の点につきましては、これまた社会保障としてやらなければならないいろいろな問題がございます。特に私どもは国民医療の点に重点を置いて、そして今後五ヵ年を目途として国民皆保険の制度をやりたいという考えのもとに調査、準備を進めていくということを考えております。また、今御指摘になりましたその点は、私は非常にわれわれとして考えなければならぬ問題だと思います。それはいわゆる恩給や年金制度というものが、公務員であるとか、あるいは大会社に勤めておった人々が年を取った後においていわゆる労働ができなくなった場合における老後の生活の安定のために考えられておるけれども、そうじゃない、国民全体として、あるいは中小企業に、あるいは農業に、その他あらゆる面で活動して、その人々が年を取った後における生活安定という意味において国家が考えなければならない。いわゆるこれが養老年金の一般的な問題だと思います。これはもちろん必要であり、この問題についても、われわれとしてはさらにその制度を確立することに努めて参らなければならぬと、かように考えております。それからエネルギーの対策につきましては、これは今石炭の問題をおあげになりましたが、もちろんエネルギーとして石炭は重要なものでありますけれども、本来申し上げますと、電気であるとか、あるいは石油であるとか、あるいは石炭、あるいは今すぐの問題ではありませんが、将来の問題としては原子力を含めて、このエネルギーの問題の総合的な日本としての対策というものは、実はほんとうのところできておりません。私はこれをどうしても立てなければならない問題であると思う。しかし、そのうち水力の発電の問題及び石炭の問題については、先ほど申しました経済計画の一つとして一応の計画を持っております。しこうして石炭の増産についての一体対策はどうしているんだという問題の御指摘でありましたが、もちろんわれわれは計画として一つの目標を定め、それの生産を確保するところの手段を、十分に講ぜなければならぬことは言うを待ちません。すでに通産省におきましても炭業の合理化の問題については、従来も具体的な方策をとって参っておりますし、さらに日本の石炭の増産をはかるに必要な、あるいは金融面から、あるいは設備の改善の面から、あるいは技術の面から必要なる措置を講じて、今計画に立てておる目標エネルギーの中の国内における重要な一つの柱としての石炭の増産については、いろいろすでに通産省でもやっておりますが、具体的の問題は私ここで申し上げませんけれども、それに必要な対策を立てて、これを推進していこうということでいかなければならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/16
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017・阿具根登
○阿具根登君 もう一点……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/17
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018・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) ちょっと……。予定の時間をだいぶ経過しておりますし、岸総理もほかに約束があるようでございますので簡単に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/18
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019・阿具根登
○阿具根登君 簡単にもう一点だけ。エネルギー対策の中で言い落しましたが、佐久間ダムを作ります場合に、三百五十億の巨費を国費で投じて、三十五万キロワットの電力が出るようになったのでございますが、異常渇水で電力が不足して、そうして東北等では節電をしなければできない、規制しなければできないと、こういうにもかかわらず、三百五十億も投じて作った佐久間ダムでは機械を一台遊ばしておる、こういう実情があるわけでございます。それに対して私どもが調査いたしました範囲内では、これは電源開発会社と電力会社の非常な何というのか、うまく行っておらない、いわゆる電源はあるのだけれども電力会社が、九つの電力会社がそれぞれにそれを取ってそして自分の範囲内でしかやらない。だから電力はあるのだけれども向うへ回さない、こういうことが言われておるのでございます。これはなぜそういうことになってくるかと申しますと、私はこれが二つになっておるからだ。あれだけの規模を投じて今後もどしどし開発をせられるであろう電源開発に対しましても、それだけの設備はできるのだけれども、それぞれ売る会社が別個にある。そして自分の範囲内だけしか売らない。こういうことがあるから運転をしない。国費を投じてやったのであるならば、国民全般が潤うようになすのが、私は施策であろうと思う。そうなれば今の電力会社、開発会社等の機構を考え直す必要がありはしないか。そして一番不足するところにいつでも電力を送ることができる、こういうふうにしなければならないのではないかと私はかように思うのですが、この開発株式会社あるいは九電力会社に対するお考え方を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/19
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020・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 電力の発送電並びにその配電についての機構につきましては、御承知の通り日本においてもいろいろな沿革を持っておるものでありまして、かつて発送電会社というものが作られて、そうして全国を一つの会社で発電をすると同時に、送電もしていくというような会社が、機構ができたわけでありますが、戦後いわゆる電源の開発については電源開発会社によって行い、そして配電については九分割して九社によって配電していくという機構が作られてきたのであります。しかし同時にこの制度を考究してみまするというと、前者においての利点もありますけれども、また非常に大きな資本を擁し、大きな経営ということになり、おのずから経営の限度というものがありますので、戦後こういう機構がとられたものであると思うのでありますが、しかし同時に、そういう機構にはなっておりますけれども、各地域的な各会社の九電力会社というものの間における電力の過不足の問題や、あるいは料金の問題等、いろいろこの間に調整をすべきことがあると思う。それらの点につきましては、十分一つこの機構の運営上まだ不十分な点については、政府として十分に調整をとつて、今御指摘のようなこの電力過不足等の点は私は現行の制度におきましても、さらに各電力会社なり、あるいは開発会社なりまた政府なりというものが、その精神をもってこれが調整をするならば、私は解決できる問題である。しかし、さらにそれが解決できないということであり、根本的な問題に逢着するというのであれば、制度そのものについても考え直さなければならぬのでありますが、現在においては現行制度のもとにおける調整というものを、一そう強化して参ることがいいだろうと、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/20
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021・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) 相馬君、先ほども申しましたように、あとの予定がつかえておりますから簡単に、そしてはなはだ勝手ですけれども、委員長はこの程度で岸総理に対する質疑は終りたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/21
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022・相馬助治
○相馬助治君 先ほど大竹委員からも問題にされた日中貿易に連関して、基本的な岸内閣の構想というものに関連してお尋ねしておきたいこと二点ほどございます。日中貿易というものは非常に国民の間でも期待されており、この日中貿易が伸びることによって日本の国の富が増すというふうに簡単に考えられておりますけれども、私は今の日中貿易の実態を正確に調べてみた場合に、そういうふうに気楽には考えられない。御承知のように、現在の日中貿易は民間団体との協定になっておりますから、わが国にとっても非常に不利な面が幾つか、率直に言ってあります。そうしてまた、これらの貿易は国力を背景として行われることはもうもちろんでありまするから、こういうふうな片ちんばな形で現在協定が結ばれ、一方は国の政府であり、一方は民間団体、こういう不幸な状態に対して、岸内閣といたしましては積極的な指導をこの民間団体との協定に加えて、現実の上に立って、国際的になかなかむずかしくはあるでしょうけれども、これらの協定に関しても、今後積極的な指導をなすべき用意がなければならぬと思いまするが、これらに対する御見解を一つ承わりたい。それからそれと関連いたしまして近くアメリカ訪問が伝えられておりまするけれども、この際にこの日中貿易の基本的な問題について解決を願わなければならない。具体的に申しますれば、日中貿易に関しては前の通産大臣の石橋さん、それから今の水田さん、ともどもにココム禁輸のこのワク内において、特認の制度を生かして、日中貿易の振興を期したいと通産大臣は申しております。通産大臣の言い得る限界はその程度だと思いまするが、内閣総理大臣としての岸総理は、このココム禁輸に関連をして大胆、率直にアメリカと話し合いをいたし、特認の制度を生かすというような半端なことでなくて、より輸出のワクを拡大し、そうして現在日本の貿易業者が手探りで仕事をやっておるという今の状態を、一日も早く改めていただくということが必要だと思います。私は現在の微妙な国際情勢のもとにおいて、岸外交もそれ相応に苦労をされ、また苦難の道であるということをも私自身も知っておりますから、単なる私は公式論を申しておるわけではなくて、ココム禁輸の問題はそれとしても、そのワク内においてもう少し根本的に、具体的に解決し得るものを解決して、せめて業者が手探りで商売をしなくともいいような状態に一日も早く置いていただきたいと、かように存じます。従いましてこの民間団体の協定に関連しての御所見並びにアメリカにおいでになるというこの大事なときに、それらに連関してココム禁輸に関する総理の基本的な御見解、これらを一つ承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/22
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023・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 共産国においては、貿易も国営でやっておりまして、従ってわれわれ自由主義国の立場を堅持しておるものとの間におきましては、形が変っておることは当然であります。これに対処するために、日本側の業者におきましても、業者の自主的な団体がそれぞれ輸出を調整をいたしまして、そうして組合となるべく一つの形において、一つの品物については中共側と話し合いを進めていくというふうな形をとっておることは、御承知の通りであります。これにつきまして国内においてわれわれ考えなければならないのは、これらの中共を相手にしておる輸出業者の間における不必要な競争や、あるいは仲間同士の調整を無視して抜けがけの行動をするということのないように、これは国内において指導をしていかなければならぬことは当然でございます。また、これらの組合が民間のレベルにおいて交渉をするという形はそういう形をとっておりますが、これについてわが方の考え、民間の団体が中国側と交渉するに際しての根本的な考え方等につきましては、十分政府とも打ち合せをして、そしてわが方の立場なり、あるいは利益というものが阻害されないように、今日までも実際上は指導して参っておるのでありまして、こういうことは今後におきましても同様に考えていかなきゃならぬと思います。それからココムの制限及び特認制度の問題でございますが、これは今のこの条約、国際条約に加入している以上、それの範囲内においてわれわれが貿易を進めていくということは、当然であります。そこで、問題は、このココムの制限の禁輸緩和の範囲をなお一そう拡大して、われわれは条約上当然やれる範囲というものをもう少し拡大しなきゃならないという考え方につきましてはこれは従来もアメリカ側とずいぶん交渉をいたしておりますし、私が一昨年、時の外務大臣重光氏と一緒にワシントンへ参った場合におきましても、その問題は出ております。それで具体的の品物について現実に話し合いをして、戦略物資というものに当るか当らないかということは、個々の品物について交渉をして、範囲が広げられたものが今日までに相当あるのであります。いずれにしましても、われわれは先ほど来申し上げておるような方針のもとに、中共との貿易は、これはできるだけこの条約の範囲内において進めていかなければならぬ。そのもとの条約そのものの制限というものを、これをわれわれは緩和の方向に持っていくということに今後とも努力をしたい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/23
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024・島清
○島清君 ごく簡単に関連をいたしまして質問をいたします。今、日中貿易のことにつきましては、非常に行き詰まっております。三次の協定までは日中貿易促進議員連盟というのが、実はやって参りました。そして民間三団体が中心になってやっておるわけでありますが、しかし、第三次協定を実行いたします場合に、向う側といたしましては、今同僚の相馬君から申されたように、信用度が非常に薄いというので、先般鳩山内閣総理大臣がプライベートなレターを出しましたことは、申し上げるまでもございません。そこで第四次貿易協定を締結しなければならないという状態になっておるわけでありまするが、時期に来ておるわけでありますが、しかし、一体貿易促進議員連盟が貿易の締結に当っていいかどうかというような、内部からそういったような批判も出ております。そこで、政府といたしましては、せっかく総理が抽象的に貿易を促進したいとおっしゃられながらも、実際においてはそういったような悪条件がありまして、貿易の促進を妨げておると、こういう実情であります。この実情をどうやって、経済外交を推進しておられまする岸総理は、具体的に促進されるかということは、私も聞きたいし、同僚議員も聞いておられると思います。そこで、私は具体的に中共側といたしましては、貿易を促進する意味において、もっぱら経済活動をする通商官みたいなものを日本に派遣をしたいというようなことの希望がありまして、そうして指紋の問題等で行き悩んだことがあるのですが、こういうような経済交流を促進するという意味におきまして、こういったような行き詰まっておりまする問題を解決されまして、この経済貿易を促進される具体的なお考えがあるかどうかを明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/24
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025・岸信介
○国務大臣(岸信介君) 第三次協定に続いて第四次の交渉が行われておって、また、それの内容の一つとして、通商代表といいますか、通商に関する相互から代表を出し合おうというふうな話があり、また、それに関連していわゆる指紋の問題等があるということにつきましては、私も一応その事情は聞いております。私ども、これは根本の問題でありますが、一面においては経済貿易の促進ということを考えておりますけれども、今日の段階においては、それはあくまでも民間レベルにおいて行われるべきものである、これを中共を承認するとか、あるいはこれの間に国交を回復して外交関係を開くということになれば、これは国と国との間の話ということに、もちろんなるわけでございますけれども、これは現在のわれわれの考え方によれば、結論的に申せば、中共を承認し、これとの間に外交関係を開くべき段階ではないという立場をとっておりますから、そこに自然、政府のやる中共貿易の促進ということにも限度がございまして従ってこれを非常に強く考える人からいうと、政府のやり方は物足りないという御批判が出ることは、私、当然だと思います。しかし、経済の問題は、これはいろいろな議論がありますけれども、政治上のそういう承認の問題とかというような問題とは別個に離して、われわれがなし得る最大の貿易関係、経済関係の促進を考えなければならぬというのが、私どものとっておる立場でございます。従いまして、今の民間の団体等が向うと交渉し、また、その交渉をした結果に基いてこれを実現する上におきましては、われわれの協力すべきものはできるだけ協力して促進をするという私どもは態度を現在においても、また近き将来においては私はそういう方針で進みたいと、かように思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/25
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026・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) 本会議終了後再開することにいたしまして、暫時休憩いたします。
午後零時十八分休憩
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午後二時五十四分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/26
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027・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) 午前に引き続きまして委員会を再開いたします。ただいまより経済の自立と発展に関する調査を議題とし、電気料金の改訂に関する件をも心に審議を進めます。水田通産大臣より最近の電気料金改訂に関する発言があります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/27
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028・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 電気料金の問題につきましては、御承知のように昭和二十九年に料金制度を改正いたしまして、当時夏料金、冬料金と分れておったものを夏冬一本化す、こういう新しい料金制度をとったのでございますが、そのときに新たにそういう一本化によって生ずるいろいろな不合理の問題が当然ございましたが、特に新料金によって料金の値が上るというものに対しては、一応三割で頭打ちをする、それ以上上げてはならないという措置を暫定措置としてとっておりましたことは、御承知の通りでございます。で、そのときから今まで二回同じような暫定措置がとられて参りました。で、これを暫定措置にしましたゆえんのものは、とりあえずそういう新料金制度を作るが、まだこれに付随したいろいろな検討すべき問題がある、そういう検討を将来政府は十分にして、そうしてこの問題を解決するということが一つの前提になっておったものでございますが、今日まで本格的な検討というようなものも措置されておりませんので、今年も同じような問題にぶつかったわけでございますが、これをどういうふうに解決するかという問題につきまして、政府部内でいろいろ相談、検討いたしました結果、結局もう一年間原則として従来とってきた三割頭打ち制度を存続したい。ただし、それ以後のいろいろの実態調査の結果判明したところによりまするというと、今のアンペア制をとっている料金制度においては大体十アンペア未満がほとんど家庭の大部分である、それ以上の数はごく少いということがわかりましたので、十アンペア以上の需用家についてはこの頭打ちの措置を取り除く、それ以外は定額及び五アンペア、それからこれは電灯でございますが、公共事業用の電力、小口及び大口電力の一部に対して同様の措置がとられておりましたが、これらは全部本年の四月一日より来年の三月三十一日までもう一年間頭打ちの措置を存続するということに大体したいということを、政府としてはきめた次第でございまするので、この点については一つ御了解を願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/28
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029・阿具根登
○阿具根登君 そうしますと、原則としては一年間延ばす、しかし十アンペア以上ですか、これ以上は頭打ちをのかす、こういうことになりますと、原則としては延ばすけれども、ステップ・バイ・ステップで一年たったら皆さんからいただきますぞ、こういうことになると思うんです。そこで私は今大臣から聞いて、簡単な資料をいただきましたが、電力問題には根本的な問題もございますので、もう少しわかりやすい資料をいただきたい。なぜかならば、どういうわけで上げなければならないのか。見通しはどうついているのか。そういう問題がさっぱりわからない。また一部においては赤字であるが、一部においては黒字である。どれだけそれがなっておるのか、なぜそういうことになるのか。電発会社で作った電力が、一方には非常に流され、一方には流されておらない。そういう弊害等も私は相当あると思うので、全国的な電気の需用供給量、それから地域的な需用供給量、そういうものをすべて資料として差し出していただきたい。かように思います。それを前提に置いて質問をいたしてみたいと思いますが、まあ二十九年の十月に、この問題は非常に大きく世論の反対もあったわけでございます。それを夏料金を冬料金に直しておいてその世論を押えるために、一三〇%の頭打ちをきめられたものと私は思っております。そこでそれでやっていけたはずが、どうして今日になって十アンペア以上でも頭打ちを除かねばならないようになったか。そういう点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/29
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030・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) これが今まで暫定措置で行われておったということは、実際においては適当でなかったと私は考えています。で、どうしてもこの措置がもしいいんだとしたら、これをもう料金制として認めて、これに従わせればいいということになるのでございますが、一応新料金制を認可して、これに九電力従うことになっているのに、別にそういう不合理是正のために、政府からこういう申請を出してくれと、それを認可するという形によって、電力会社にこの料金制に従わせるというような変則的なことをやっておったのでございますから、これを変則的でないようにするには、やはりいろいろの点を検討して合理的な料金制というものを作ることが本筋だろうと思います。それがなかなかあの際に一挙にそれができませんでしたので、とりあえず今の、現行料金制度を作って特に、ただし今後電力開発は推進しなければならぬ。従って公共事業であるから、料金は上げさせないように押えるかわりに、電源の、電力の開発については国がいろいろ金利の問題を考えたり、あるいは税制の問題も考慮するというような一つの、条件というわけではないのですが、そういうものがあって暫定措置にしたと、こういういきさつになっております。ところが、今回の税制改革におきましても、そういう事情があったにもかかわらず、電力会社に対してこの重要物産の免税とか、あるいは増資免税というような特別措置による租税の優遇も、今度全部私どもは一応これをなくすることにいたしました。で、これは電力事業だけをこういう減税の恩典に浴させるということも、理論的にむずかしい問題がございますので、一般産業と同じようにこの免税措置はとってしまいましたので、それだけでいいのか。別個の、電源開発促進法案もあるのですから、公共のための電力開発について、国家が何らかの助成をするとか、援助するという必要があったら、それは別個に考えて、別個の問題として処理したいという将来の考えも持っておりますし、それからこの際そういう電力料金を合理的にきめるという本格的な検討もやはりしなければならぬ、こういうことで、これをまあ前提として当面の問題をどうするのかということでございますが、御承知の通りこれは電力会社の申請によって、政府が認可しているということでございますので、電力会社が申請しなければ、これは三割頭打ちの問題も、四月一日からそのままになってしまうということで、政府がとくに出せという権限を持っている事項ではございませんので、ここでどうしても政府の行政指導と申しますか、これをどうするかということについて、私どもの方から政府の意向としてはこうするのだから、こうせいということをやらせなければならないという事情になっておりますが、従来この電力料金の、いい悪いは別といたしましても、料金制全体についての検討をするとか、あるいは電力会社に対して開発促進についての援助をするとかいうようないろんな問題があって、一年、一年の暫定措置になっておったものが、今度は前よりも条件が悪い形になっておりますので、政府としてこうせいというところになかなかいろんな問題が出ている。しかし、そうかといって一方この際電力料金というものを上げることは問題であって、これは現在のところ上げるべきではないという考えを私どもは持っておりますので、その調整策として考えたのがただいま申し上げました対策でございますが、むしろ一般家庭には全然影響ないが、特別に一般以上の電灯を使っているというものくらいを解除するという方が、実際において実際的じゃないかというようなことも考えまして、ただ従来通り全部そのまま続行するのだというのじゃなくて、行政指導に若干の合理性を与えた。そのかわりこれで解決する問題じゃありませんので、一部は確かに値下がりすべきものが値下がりにならぬという事情を持っていることは事実でございますので、来年の三月までの措置を依然として暫定措置で置いて、その間に政府において合理的な制度を検討しよう、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/30
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031・阿具根登
○阿具根登君 大臣の言わんとされておることはわかりますけれども、暫定措置であるから何とかしたいという考えの上に立って、暫定の暫定の措置をされている。まことに私はこれは大臣にこういうことを申し上げて失礼でございますけれども、大臣らしからぬやり方だと私は思うのです。しからば免税措置をなくしたというならば、その金額は幾らであるのか、あるいは今度の一三〇%頭打ちで二百七十五億ですか、というやつが黒字になるようになっておりますが、そういたしますと、いいところもあるはずである。そのところには触れないで、そうして国民に負担のかかる方だけを暫定の暫定でお茶を濁していく。まるで私は主客転倒だと思うのです。逆にもうかったときにはどこも黙っている。もうかっているのです。もうかっているはずなんです。下げられるところがあるのを下げてこそ、初めて暫定の暫定としても、国民のためにこれだけの公共性があるのですから、国が莫大な金を出しているのですから、だからまず国民に奉仕するところは奉仕して考えるべきだろう。それを逆に大臣は考えておられる。暫定措置であるから、会社に対して政府に申請させて、そうしてそれを認めねばいかないから、だから毎年毎年……それでも芸がないから、だから今度は一三〇%頭打ちを一部を抜かしてやったのだということを言われるけれども、鉄道料金でもその通りなんです。この前これが二十二国会でしたか、二十一国会でしたかきまったときには、一等と二等だけ上げます。三等と貨物は上げませんということを確約しておきながら、ちゃんと今度は上るようになっておる、これはステップ・バイ・ステップで、必ず今度は全部頭打ちをとってしまうようになってくると私は思うのです。だから、なぜ、こういうことをやる場合には、大衆がどう考えておるかということをまず考えれば、もう少し私はきれいな形で出すべきではなかろうか、かように思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/31
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032・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 私は一般家庭にはなるたけ迷惑をかけない措置をとりたいと考えておりますので、この方法でいけば、大体一般家庭にはあまり迷惑はかけない。それでたとえば東京都の区域を見ましたら、九〇何%というものは、一切電灯の値上りというものはないし、七%前後が頭打ちの措置からはずされるということになろうかと思いますが、金額的に見ましても、これは非常に個々のものを見ますと、そう大きい影響ではありませんし、使う方から見ましたら、夏はあまりどこでも電灯は使わない、冬が一番多く使うのですが、今まで夏料金があったときを考えますというと、夏は使わないのだから、冬と比べて著しく夏の電灯料金が各家庭にとっては安かった。今度はそうではなくて、もっと安くなっていいのが、そう安くならなかったということになるのでございまして、積極的に電灯料金の値上げをするというのでもありませんし、また、個々の家庭におきましては、これは使わない場合は料金が安くて当然ですが、夏になって、実際に使わなくなるのですから、支払料金というものを考えましても、冬よりは安くなって頭打ちはとられても、現実の支払料金が上るということも実際にはない。いろいろな個々の実情を考えますというと、十アンペア以下を据え置いたら、ほとんど一般家庭はもちろん頭打ちをはずされるところでも、影響はそう大きくないと考えましたので、天体この辺で線を引いて対処したらいいではないかと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/32
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033・阿具根登
○阿具根登君 大臣が言われるほど一般にも関係がないし、頭打ちをはずされるところも影響は少いのだというなら、何を好んでこういうことをおやりになります。微々たる金額で、一般の家庭にも響かないというくらいのことなら、何を好んで暫定の暫定のこういうことをやられるのかという反論になってくるわけです。私は大臣の話を聞いておりますと、確かに言っておられる十アンペアというのはそうでしょう。しかし鉄道の料金が上る場合に、鉄道に乗れる人は、国民の何割かだから、一般の乗らない人には何も関係ないのじゃないかといっても、国民にはね返るのはそんなものではない、電気料金もその通りだと私は思う。それは必ず国民にはね返ってくる。それから考え方が、これだけ電発も金をたくさん入れて、そうして、次々に電力会社もできて、そうして九電力に電力を流しておるが、そういうのが国民の金でやられてくるならば、だんだんと国民の家庭に安くなってくるようにするのが私は政策だと思う、こう思うのです。ところがだんだん高くなるばかり、今まで政府が、許可制になって電灯料をきめる場合に、下げたことがあるかどうか、その点一ぺんお聞きしておきたいと思います。下げる方に協力をされてやられたことがあるかどうか、永久に下げるということはできないのか。私は不幸にして、終戦後電灯料金が下った、政府が下げたというようなことを聞いたことがございませんが、そういうことがあったら一つお教え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/33
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034・岩武照彦
○政府委員(岩武照彦君) 料金の制度といたしまして、終戦後下げたことはございません。ただ、前回の暫定措置のとき実質的に下げたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/34
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035・阿具根登
○阿具根登君 実質的に下げたというのは、夏、冬の料金をならして一本に取ったんでしょうが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/35
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036・岩武照彦
○政府委員(岩武照彦君) 料金の体系として、上げて取るところを一部下げた、こういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/36
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037・阿具根登
○阿具根登君 それは上げて取るところを下げたのであって、決して下げたんでございません。今だってこれを……、それでは私の質問から言うならば、一三〇%の頭打ちをはねられて、全部の方から一三〇%以上のやつを取るようになっていたけれども、一部として、あとは下げたのだ、そういう理屈になってくると思うのです。私はそういうことを言われるあなた方の考え方が間違っておると思う。取っていいやつを取らなかったんだということではないのです。私の聞いておるのは、私はこれだけ政府が干渉しておる、援助しておる、国民が金を出しておるということになるならば、まず何とかして国民の福祉にはね返ってくるようにしなければならないと思うのです。ところが、わずか二百七十五億九千三百万円ぐらいであるから、だれにも影響はないのだというようなことを言われるならば、なぜそのぐらいのこととして、これを上げなければいけないのか。逆にそれ以上に下るところがあるはずなんです。九電力全部赤字か、黒字が……、一つ数字を全部示していただきます。そして親心があるならば、下げるべきところを下げるように考えられるなら、これは私わかるのです。ところが黒字のところは絶対さわらずにおって、一ぺん今まで下げたことはない。赤字のところだけ取り上げて、そうして赤字だから上げてやらなければならぬ、その考え方が間違っておりはせぬか、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/37
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038・岩武照彦
○政府委員(岩武照彦君) 今度の措置は、先ほど大臣も申し上げましたように、電力会社が苦しいから上げたとか、あるいは損得とかいうことじゃございませんで、仕事の筋といたしまして、一ぺん認可してやらしていたものを、裏から回って、あれはどうもまずいから、例外の申請書を出せというふうにしてやるという、そういうやり方はどうもまずいということの意味でなしたことでございまして、お話ございましたように、電力会社の経理は、これは各社によってまちまちでございますが、御承知のように上期の決算で申しますと、一〇〇%の償却をやっている会社は一社しかございません。あとは償却も一〇〇%に達していないところが多いのでございます。もちろん利益にはなっておりまするから、一割二分の配当はいたしております。おりますが、これはいろいろ資金調達上の都合その他がございまして、配当を、現在一般の配当率が一割四分もいたしておるところを、特に押えております。その反面かなりの償却措置もあるということを御承知願いたいと思います。なお、下期につきましてはまだ判明いたしませんが、おそらく上期より業績が悪くなっているだろうというふうにわれわれは見ておりまして、まあこれはいろいろ需給関係の問題から、水が減って、予定以上の石炭を買った、あるいは石炭の価格が上ったというふうな点がかなり響いたのだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/38
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039・阿具根登
○阿具根登君 そういたしますとですね、ただいまの御説明を聞きますと、きわめて私はまたわからないようになったのですが、一割二分の配当もやっておって赤字ではないんだと、赤字だから一三〇%の頭打ちの全部をはずすのじゃないのだと、そうして政府として裏の方から会社に出してくれというのが非常に心苦しいから、こういう法律案を出したのだと、こういう解釈になってくれば、これは政府の面子だけを考えてこういうことをやられておると、かえって電力会社の方に十アンペア以上は頭打ちは抜かします、あとは一三〇%で頭打ちしてくれというのがかえっておかしいのではないのですか。何も金額の問題でもない。損する人も大してないんだと、大衆にもかからないのだと、ただ問題になるのは……、政府はおかしいじゃないかと、裏から頼むのはおかしいじゃないかと、それこそすっきりした方がいいんじゃないかと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/39
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040・岩武照彦
○政府委員(岩武照彦君) お話しの通りすっきりさせますためには、これは全体としてはよろしいと思います。ただ今度一部のものだけ据え置きの措置をはずしましたのは、当初この三割頭打ちを行いましたときに、こういうふうにしないと一般の家庭その他に相当影響を与えることが大きいのではないかというふうなことからいたしたのでございますが、最近いろいろ実態調査をいたしておりますと、必ずしも当初の所期の目的とは違うということが出て参りまして、その詳細は、お手元の表をお配りしてございますが、簡単に申しますと、比較的電力消費の少いところが、この三割頭打ちの割り引きを受けている率がそうなくして、また金額も少くて、むしろかなり大きい消費施設の方がこの運用を受けておると、それは電灯需用でありまするから、どんなところでも割り引きを受けて均霑させるのが当然かもしれませんが、かなりその間のバランスがとれてないようにも思われます。しかも、住宅以外の施設もかなりあるようでありますので、これは同じ筋を通さぬやり方をいたすとしましても、まあ、そのうちでも特に相当な理由のある範囲に限る方がいいではないだろうかというふうな顧慮から、十アンペア以上の従量電灯につきましては、この措置を据え置かなかったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/40
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041・阿具根登
○阿具根登君 先ほど二百七十億と言ったが、これは二十七億五千九百三十万ですね、数字はそれは訂正いたします。そこで、私が言ったのを逆に一三〇%頭打ちをとってしまった方がすっきりするのだと言ったのだととられたと思いますが、私はそういう意味で言ったのじゃなく、一三〇%の中をまた割ったりなんかするのが、一番みっともないじゃないかと、こういうことを言ったのです。そうすると、大臣が言っておられましたように、全部で二十七億であるとするならば、それは影響は少いでしょう。影響は少いけれども、これは必ずステップ・バイ・ステップで、これは第一歩です。必ずそうなると思う。だから今まで二年間一三〇%を据え置いて、そうして二年間かかって調べたところが、これだけ矛盾があったと、あまりにも政府としてのやり方がずさんではないかと、これくらいのことで電灯料を下げるとか、上げるとかいうような問題ではないと、私は思うのです。もっと根本的な問題から参らねばできないのがあるけれども、それに手を触れずに、何か糊塗されているような感じがするわけですね。だから赤字対策でもないと、もちろんこの金を見ればそうでしょう。そうであるならば、政府のただきめられたものに対して、毎年々々政府が頼んで申請が出させることがいやだと、こういうことになるけれども、一三〇%出さした方がかえっていい。一三〇%の中のまた一部を、今度はこれを頭打ちを取るのだと、あとは頭打ちだと、ますますややこしくなってくる。これは必ず問題は起るのです。こういうように小出しに変なことをすれば、国民が受ける感じというものは必ずいい感じではない。しかも電力問題については根本的な問題をこの前も通産大臣に御質問申し上げたし、きょう総理大臣にも御質問申し上げたのだけれども、そういう問題に対して、もっと大きく通産省としては腰を入れるべきであろうし、研究すべきところがあろうと思う。このくらい枝葉末節のことで、どうしてこんなことをするかと、あまりにも私は通産省のやり方としてはおかしいじゃないか、かように思うのですが、どうですか、こういうところだけお聞きすればいいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/41
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042・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) それはさっき私が申し上げましたように未解決で、こういうことを長く続けるべきじゃない。今度はこの問題を機にして、この電気料金の合理化というようなことについては、本格的な検討をやると、こういう考えがあってのとりあえずの措置というわけでございまして、従ってこれが一年こういう形がとられておりますれば、その間に私どもは下るものは下る——この当初の見込が違って上るだろうと思われるからとった措置が、実際にはそこには影響なかったと思われれば、思われた範囲内においては、今一応解除しておいてもいいので、暫定の暫定になりますが、そういう措置だけ今度とっておいて根本的な問題にかかるのが適当であろうと、こういう考えで、今局長から言われましたように、あのとき三割の頭打ちということは、急に一般家庭がとにかく困る可能性があると、そこへ影響が大きいだろうという予想でやったそうでございますが、実態調査の結果は、実際にそこへは響いていなかったというのが実情でございますので、十アンペア以上だけ解除するという暫定の暫定をやるのが、やはり妥当ではないかと、私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/42
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043・阿具根登
○阿具根登君 それは討論になっておかしいのですけれどもね、私は今まで審議したうち、こんな不可解なことは初めてなんです。どう考えても、このくらいのことでなぜ暫定の暫定にしなければできないか。もっと根本的な問題があるはずなんです。これだけの問題をやられるわけはないのです。そこで、この問題を先ほどから根掘り葉掘りして、そうして、討論みたいになっておりますけれども、政府が一三〇%の頭打ちにするときに、冬料金でやったならば、一般家庭に影響するだろうと思って、一三〇%の頭打ちにしたところが、実際二年たってみたところが、あまり一般大衆には関係しないようである。まあこういうあまりにずさんなやり方だと、一三〇%で頭打ちをしなかったなら、一般大衆に非常に迷惑をかけるだろう……、数字のはじける人は一人もいないのですか、頭打をはずしたらどのくらいになるかということは、そのころ十分してあるはずだ。私は速記録をあとで持ってきていいのです。それくらいのことは十分検討されているはずです。それを二年たった今日、あまり影響しなかったのだと、そういうことで、ただ、めくらが探っているようなことで、電灯料金を上げたり下げたりされたら、国民はたまったものじゃありません。これだけの機構を持っておって、これだけの金を使っておきながら、上げればどのくらい影響するのだということがわからなかった、そういうようなことは通らない。当然わかっておったはずなんです。そういうことが通るとするならば、そのときどきの数字のごまかしが出ている。電力の問題については、二十九年の国会でも、非常にずさんだということを各委員からたたかれている。それに対して愛知通産大臣も、これは肯定されている。で、こういうことを言われるならば、ますますその感を深くするのです。そんなデリケートな問題じゃない。数字でははっきりつかめるはずなんです。それを今度は頭打ちをはずしても、あまり影響はしないのだけれども、今度は一部暫定の暫定で抜かすのだということになれば、この次は抜かすのだということになるじゃありませんか。この次はあと一年したら一三〇%頭打ちをはずしてしまう、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/43
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044・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 今ステップ・ワン・ステップと言われましたが、私どもそういう考えは持っておりません。これをまず一つはずしたから、この次みなはずしてしまうということじゃなくて、今度の措置をこうやっておくことによって、次のときまでに、われわれがいろいろ合理的な料金制を考えるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/44
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045・阿具根登
○阿具根登君 次のときまで合理的な電灯料金をお考えになる、それはわかります。が、その次のときまでになぜ一三〇%を一部はずさなければいかぬ、そのままだってけっこうじゃないですか、かえっていいじゃないですか。この次までにすっきりとした電灯料金をおきめになるならば、せっかく暫定できておるのだから、暫定でやって、その間にきめて何にも不合理ないじゃありませんか。ただ会社に対しても二十七億くらいだから何でもないんだ、こうおっしゃる。わざわざそれを上げてやる必要は何もない。それを上げてやるというのは、何かあるからそうされるのでしょう。何かなかったら、上げる必要はないじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/45
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046・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) それはさっき話しましたように、現行料金制度というものは、正式に認可したものがはっきりあって、それはそれとしておいて、政府が裏へ回って別の料金制度を押しつけているという、この行政のやり方というものは、私は非常にいいことじゃなかろうと思っています。監督官庁が電力行政をこれから監督する立場の者が、年中うしろに回ってこういう特別に、政府の認可した以外に、こういうことをやってもらえぬかと頼み回ったのでは、監督官庁のほんとうの権限というものがなくなりますので、現行料金制度が十分でないというなら、一つそれを変えて解決するのがほんとうだと思うのですが、そこへいくまでに今まで準備が十分できておりませんので、今度もう一年間こういう措置をとりたいという場合に、それに正式に政府が認可した制度に若干近づけられるなら、弊害なくして近づけられるなら、やはり近づけておくという方向の考慮をすることは、やはり私は当然だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/46
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047・阿具根登
○阿具根登君 言われることはわかるのですよ。監督官庁が裏から行って、一三〇%の頭打ちにまたしてくれというのは、これはまことに困るからということはわかる。で、それなら一部抜かしたらと言われていいのか、一部二十七億円の頭打ちを抜かしたらと言われていいのですか。言われていいどころかかえって調子が悪いのです。今まではこういう見解で、そうして根本的に問題を解決するために一年延ばしに延ばしてきたんだ、だから済まんけれどももう一回出してくれということはこれは言われると思うのです。ところが、今度は一部だけ抜かして、あとの九十何%だけは頭打ちしてくれということは言えぬのじゃありませんか、かえって悪いのじゃないですか。言いたくなかったらすっかり抜くということをおっしゃるなら話は別なんです。私はそれに賛成するわけじゃないですけれども、話は別でしょう。それがいやだと言いながら、もっとそれを複雑に、頭を下げなければいけないようなことを作って、ちっとも理論にならないじゃないですか、それは何か、そんな頭を下げるのはいいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/47
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048・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 頭を下げるのは依然として同じだと思いますが、それでも一部これは一般に家庭には影響ないと思われるものを解除するということは、その部分は現行料金制に近づけるところにございますから、同じ電力会社にこうせいということを言うにしても、その方が私どもにとっては若干合理性が持てるということになろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/48
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049・阿具根登
○阿具根登君 電灯会社に対して言う場合に、少しでも電灯会社が喜ぶように金を取ってやれば頼むのに頼みいいだろう、そういう親心もそれは一方にはあるでしょう。頼みに行くのに二十七億円のおみやげを持って行くのですから、そういうことになるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/49
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050・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) いや、私の今言いましたのは、そこに同じ政府がこれは半ばもう命令でございますが、同じ命令でも、命令の中に合理性が若干入る方がやりいいでしょう。合理性というものは現行料金制度が厳としてあるのですから、それとの対照において合理性があるということで、金額を二十七億みやげを持っていくというのじゃございませんで、全部を押えた場合には夏料金よりそれだけの違いがあるということでございますが、実際にこれをやってごく一部の解除になりますので、これによって電力会社が今のその二十七億に比べていわゆる得すると申しますか、収入がふえるという部分は、七億前後じゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/50
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051・阿具根登
○阿具根登君 ちょっと変えて質問してみますが、この問題について電力会社から政府の方に働きかけがあっておるかどうか、あっておったかどうかですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/51
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052・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 政府への働きかけというようなものは特別にございません。ございませんが、今度の開発銀行の九電力側のワクとして設定した二百五十億、これの問題のときには、従来政府にはだまされておった。こういう電力会社が非常に負担する資金については相当めんどうをみるということもあって、毎年据え置かれたりしていろいろな事情があったのだが、そういうことを見てもらえないということは、政府の言うことというものは、もういわば当てにせぬというような不平が電力会社から出ておるというようなことで、政府が裏から頼んでいるこの措置に対するやり方というものについての批判というものは、相当私どもは耳にしている現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/52
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053・阿具根登
○阿具根登君 そうすると電力会社そのものも、この一部の頭打ちをはずすということに対して、そう積極的ではなかったと、こういうことになると、ただ政府の立場だけでこういうことをされた、こういうことになるのですね。そうして先ほどからの何でも、見ておれば一三〇%の頭打ちをとっても一般家庭には影響はないのだ、影響があると思って頭打ちにした。ところが今調べてみれば、頭打ちしても影響はあまりない。まあこういうことが前提にされておったと思うのです。そうすればですね、今度考えられる場合には、先ほどから言っておられたように、頭を下げるのはいやだから、一三〇%はずすのだということが前提になっておる。これは先ほどから私が言っておる通りなんです。そうすると一ぺんにはずせば、また二十九年十月のように世論がわいてきて非常に困る。だから一部離しておいてその次離すのだ、こういうことにしかならないと思うのですが、それは全然やらないということを、ここではっきりお言いになれますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/53
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054・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) この次においてこういう措置をするかという問題は、さっき話しましたように、これからこの一年間でわれわれが検討する。いろんなものとの関連できめようということでございまして、それがきまらなければ、これをみんなはずしてしまうのだとか何とかいうような方針は、全然きめておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/54
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055・阿具根登
○阿具根登君 どうもわからない。それでは二年間そのために私は研究に研究をされてきたと思うのですよ。それは大臣がいやなように前の石橋大臣だっていやだったでしょう。だからおそらくは研究に研究をされてきたと思うのです。それが一部頭を離しておいて、また一年間研究しなければわからない。上げるか下げるかわからない。どうしても私はこれはもやもやっとしてわからないんじゃないか。これは何か、ここにこうあるからこれを研究しなければいけないから、だからこうしてくれというならわかるんだけれども今から研究すると、一三〇%頭打ちのときにもこれは相当研究されておる。夏料金を冬料金に変えるときには、相当これは研究されておる。そうして一三〇%頭打ちというものがきまった。これにそのあとにまた研究する期間が二年も続いてきておる。三年目の延長になったときに、一部をはずしてまた研究するんだ、何をそれほど研究せなければいけないんですか。もうすでに研究し尽しておってちゃんと御腹案があるんじゃないですか。そうでなかったら、何のために三年間その研究に要りますか。私はそんなに電灯事情がくるくる変るとは思わない。それは雨が降ったり降らなかったりすることはありましょう。だけれどもそんなに研究研究というほどしなければならないということがわからない。かりにたとえば電力会社は今賃金上げるために一生懸命な努力をやっておるんだ、非常に赤字で困って、これは上げるようになっておるというのが目の先にちらついておるから、そのためにこういうことをするならするということであれば、また考え方も違ってくると思う。ところが、電灯会社の方も赤字ではあまりないんだ、大衆にもあまり影響しないんだ、どうしても私納得できないんですが、まだ何かあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/55
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056・長谷川四郎
○政府委員(長谷川四郎君) 二十九年の料金改訂のときにも、御承知のように今日のこの頭打ちを作るということにも、先ほどからの答弁にもあったように非常に矛盾をした点があった、矛盾がありましたけれども、一応そういうふうにして二十九年は通った。次いで三十年、三十一年二年間、これを何とかいま一年続けてくれ、いま一年続けてくれということで二年間何とかして続けてきた。ところが今年に入りますと、電灯会社の方からぜひ今年は三年目だ、たとえば仏の顔も三度ということもある、われわれはとてもがまんしきれないんだ、だからこれを一つはずしてくれというような要請のあったことだけは事実であります。しかし、それと相マッチしまして、重要物資の免税措置があり、さらに大体電灯会社の税金が十五億くらいあるということでございます。それから特別税制措置法においてやっぱり十三億くらいなものが出てくる、向うで料金をいよいよ三割頭打ちをはずしてくれというのに、逆に税制の方で普通並みに二十八億取り立てるのだ、こういうことになってきておる。そういうところで幾らでもというか、私の方もなるべくこの税制においてこういうことはやりたくなかったということも、これも明らかな事実でございます。そうして何とかこれを考慮してやって、そうしていま一年これを続けていきたい。その間にもっと根本的な問題に触れて税制というものを考えるべきじゃないか。たとえば御指摘のように、確かに黒字のところもあれば赤字のところも多いということもまた事実でございます。そういうような面等にも関連をして十分これを研究すべきである、こういう考え方が一年間猶予してもらおう、いま一年猶予してもらうのに、一般の階級ということは悪いかもしれないけれども、一般にあまり影響度のない、たとえば幾らかの部分だけでも頭打ちをはずしておいて、その間に研究をしてはっきりした処置をすべきである、こういうのが、私たちの考えた、あまりいい考えではないかもしれないけれども、一応考えたものでありまして、従って三割頭打ちを一部はずすというのは、申し上げたようなそういうような諸点があって、税制の面等に関連し、そうでなければ来年度は当然また値上げ等というものも必然的にその方にまた要求をされてくるではないか、こういうような点も考えられましてこういう案を作ったわけでございまして、これは別に法律ではないので、要は政府が勝手にといえば勝手でしょうが、これは実施すればできるのでしょうけれども、一応いずれにしても商工委員の皆さんには、特にこれらは一つ御協議を願わなければならないのだというような大臣のお考えもありまして、衆議院の方にも、そういう点については十分皆さんにも御研究をしてもらうし、御意見も十分承わりたいというようなことになり、また委員会を尊重する上においても、政府が勝手にこういうことをやるべきではない、いかに一部であってもやるべきではないというような考え方から、まあ本日も会議に付せられておるわけでございますが、まことにおっしゃる通り、納得のいかない点が多々私はあると思います。私もそうだと思うけれども、そういうような実情にあることを一つ御了解願いたいと、こう思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/56
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057・阿具根登
○阿具根登君 大臣が、まあ行政措置でできることかもしれないけれども、委員会に対して相談するのだということを衆議院でおっしゃられておった。私議事録を見てまことに喜んだわけなんですが、きょうも大臣の方からということで、私らはきのう聞くつもりをしておりましたけれども、大臣の方から午前中は衆議院でやり、午後は参議院に参ってこれを説明するといってこられた。その点については私どもは非常に感謝しておるわけなんです。ところで、この問題ばかりに触れてもいかぬですけれども、九電力に分割されて、そして黒字あり赤字ありと、そうするなら赤字の方では必ずこれは値上げに持ってくるでしょうし、黒字の方はおれのところは、黒字だからという人はほとんどおらない。黒字と見えておるところは、その数字以上の黒字が出ておると私は思うのです。そういたしますと、同じ公共性を持っておる、これが九つ分割されたまたそのいきさつもありますけれども、一方が黒字になり一方が赤字になるということに、すでにそういう料金値上げ等の芽ばえができておる。だからこういう問題に対してやはり抜本的な対策を講じなければならない、かように思うのですが、そういう点について、大臣はどういうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/57
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058・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 結局あの電力再編成がよかったかどうか、今後どうするのだという問題に関連すると思いますが、私どもは電力再編成というような、今の形の九分割というのは当時これは反対でございましたが、占領下においてほとんど一般が賛成しなかったままに、ああいう形で分割は行われたということから、現在のような地域差とかいろいろのものが出てくるのは、これは当然でございましてこれが将来もっともっとそういう較差が出てくるということも予想されるとすれば、将来の問題としては、この編成の問題を検討しなければならぬ時期は来るだろうと、そうは予想しておりますが、ただ、この前お話ししましたように、問題はまだ始まって五年であります。ここでこの編成の問題をどうこうするということは、事実上私どもの手でも不可能と思われますので、当面はこの地域差をできるだけ合理的にする、そして電力の需給問題については、融通とかいうような問題を自主的に、できるだけ合理的にやらせるという指導を行うと、そうして各地区ごとにこの電源の開発を促進するという仕事へ努力を傾注して、その過程において、この不合理の是正をやりながら、もう少し間をおいて、この根本的な問題へ進もうというような大体の考え方をもって対処しておるというわけでございますので、将来のそういう方向への考慮もやはりしながら、今後の電気料金というものの合理化というものも私どもは考えたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/58
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059・阿具根登
○阿具根登君 九電力分割の場合に、大臣が反対されたことは私も聞いておりますし、あの当時占領軍の命令によって、ああいう分割をやった。そうして五年たった今日まだそれが尾を引いて、尾を引いておるどころか、今時分にこういうことを論議しなければならないほど、地方々々で別個な姿になってきた。まだ五年しかたっておらないからと、こうおっしゃるなら、時日がたてばたつほどこれはやれないようになる。各電力会社には、聞くところによりますと、二十数人からの重役さんがでんとかまえておられる。その人たちが裏になり表になって、自分たちのところを守っていくならば、長くなればなるほどできないと私は思うのです。そこで、こういう問題が起ってくるその原因は、九つに分れておるからあるのであって、特に私はこの前佐久間ダムに行ったときに、佐久間ダムでは三十五万キロワットの電力を御承知のように出しておる。しかも、そのうちの一台は休んでおったのに、当分一、二県では電気の規制をしなければならないと、こういうことを言っておられる。そうして、所長さんから聞いた場合も、もうああいうときにスイッチを一つ切れば電気はすぐに送られるのだと、しかし今のままでは、ちゃんと送電線がきまっておるから、だからほかの方に送れないわけなんです。だから、そういうことのないように、こういう料金の最末端の問題ではなくて、もう少し根本的な問題を考えていかねば、いつまでたってもこういうシーソー・ゲームをやっていくのではないかと私は思うのです。大臣もそれは肯定されると思うのだけれども、現在の状況としてはそれはなかなかできないと、こういうことだと思うのです。それなればこそ、大臣の考えだけでも、こうでなければできないのだと、こういう考えだけでも大きく打ち出していただくならば、私はそういうふうに近づく一歩になるのではないかと、かように思うのですが、そういう点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/59
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060・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 私も実を申すと、これに取り組んだばかりでございますので、そういういろいろなものを含めた根本的な検討をこれからやらしていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/60
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061・大竹平八郎
○大竹平八郎君 今の問題に関連してお尋ねをいたしたいのでありますが、新年度において開発銀行の資金が電発関係において大体四百五十億と、それから九電力において二百五十億と、こういうことは、先般予算の説明のときにもわれわれは伺ったわけでありますが、九電力会社の方から言いまするというと、二百五十億ではとても足らないのだということを、われわれはしばしば耳にいたすのでありますが、この問題について大臣は、今後相当財政的にも、自然増収の問題等もありますし、何かお考えを持っておられるか、伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/61
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062・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) まあ九電力としますというと、今年工事費が大体二千二百億円予定されておりますので、せめて二割程度というのが希望のようでございましたが、なかなか財政資金もそう余裕はございませんので、最後にきまったのは二百五十億でございましたが、通産省としましては、この二百五十億では足らないと、最低三百五十億円くらいを見なければ困るということで、最後まで予算折衝ではねばっておりましたが、結局とりあえず最初のワクとして二百五十億円と、こういう了解でその数字を決定してある事情でございます。従って、今後開発銀行の資金は相当膨大ですから、この回収のやり方いかんによっては、ここに四、五十億の余裕を見ることもできると、それから政府の方の預金部の資金にしましても、これがもし増勢に向くのなら、今見ておるものよりも相当余裕が今年中に出ることも考えられると、そういうような政府資金の余裕と、開発の回収の工合を見て、あすこのワクを変更する場合には、一番先にこの電力資金のワクをふやすと、今年度中にでも必要に応じてふやすことを考えるという一応了解で、私どもは二百五十億円を承知しておりますので、今後これに対しては、実情に応じてもう少し弾力性のある運用をしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/62
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063・大竹平八郎
○大竹平八郎君 他の問題は局長にお尋ねいたしますが、いま一点大臣にお尋ねしたいのでありますが、ただいま阿具根委員の質問に対しまして、その片鱗を大臣はお述べになりました例の九電力会社のさらに統合の問題でありまして、大臣が前々から九電力会社そのものの配置ということについて、当初から反対であったという点、まことに私どもも同感であります。実際この電力会社の内容をわれわれが見ると、実に会社によって、たとえば関西電力と東北、それから北陸というようなものを比較をいたしてみるというと、非常な較差があるわけなんです。これはまあむろん、発送電の昔の関係とか、いろいろな流れが錯雑しておるという点もあります。それから地域的の問題が大きくなっていることも、むろんこれは当然なのでありますが、もしこれを統合をさらにするということになりまするというと、私のしろうと考えといたしましては、九電力会社が、大体地域的にいろいろな問題から勘案をいたしまして、六電力会社くらいに統合できるのではないかと、こう考えるのでありますが、御意見いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/63
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064・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) まだ、そういう具体的な問題についての意見はございませんが、御承知のような長期エネルギーの見通しというようなものも、合理化審議会から出されておりますが、あの答申を見ましても、今後二十年先の電力需要はどうなるかと申しますというと、四千キロワットの発電力がなければならぬ、水力、火力の割合は約半々だと、同じになると、そういうような形のものまでも提起されておるところから見ますというと、現在のような形の電力業態のあり方が、これを続けられるかどうかということは、将来のそういう水力、火力の割合というような予想から見ましても、この編成問題というものは、将来必ず起る問題だと思いますので、私どもはそういう点についてもこれから検討をするというだけでございまして、その結果が今おっしゃられるように具体的にどういうふうになるだろうというふうな予想はまだ今のところは立ちかねる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/64
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065・大竹平八郎
○大竹平八郎君 大臣に対する電力関係の一般の問題は、いずれ機会を見てお尋ねすることといたしまして、大臣に対する質問は以上でありますが、次に局長にお尋ねをするのでありますが、この九電力会社の中で、今の資金関係の面からいいまして、国内資金ではとても開発が間に合わないというような点で、相当外国から、ことにこれはアメリカでありまするが、世界銀行かどこか知りませんが、相当借換をしておるようでありますが、実情はどうなっておりますか、それをお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/65
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066・岩武照彦
○政府委員(岩武照彦君) 海外からの借換は、これは御承知のように、火力発電の機械の輸入等に伴いまする借換があるだけでございまして、一般の国内の工事資金、あるいは水力発電の関係の金というものは、今借りておりません。金額は今ちょっと記憶しておりませんが、火力借換の関係は四社現在あります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/66
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067・大竹平八郎
○大竹平八郎君 その四社についてこまかい資料はそこにありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/67
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068・岩武照彦
○政府委員(岩武照彦君) あらかじめお話がなかったものですから、実は用意しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/68
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069・大竹平八郎
○大竹平八郎君 それでは、その四社の一般の状況並びに利息がどのくらいであるかという点について、資料を要求いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/69
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070・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) 電気料金の改訂の問題につきましては、とりあえずこの程度にいたしまして、電気料金の根本的な問題や、あるいは九電力等の問題についても、今後さらに慎重審議することにいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/70
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071・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) 次に、自転車競技法等の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。この法律案については、すでに提案理由の説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/71
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072・阿部竹松
○阿部竹松君 大臣がお忙しいようですから、この法案の内容は簡単なものでありまするし、競輪とか、ボート・レースとか、オート・レース、こういうものに対して、通商産業省としての主務大臣の御見解を承わっておきたいと思います。御承知の通り、この法案が今日出ましたのは、大体十九国会に出まして、それが、一ヵ年間の期間が、二十二国会で二ヵ年になって、いよいよあさってこの法案が切れてしまうという状態であります。そこで、これは通産行政の一環であろうと思いまするけれども、この法案の内容は、機械産業の振興とか、中小企業を援助するとか、あるいはまた、それぞれ地方自治体あるいは国の予算の一部に使うとか、こういう幾多の理屈が羅列してありまするけれども、こういうような競馬、競輪、オート・レース、こういうもので上げた二割五分を再分割した金で、地方自治体の財政の一環をまかなうとか、あるいはこれでどうするという、こういう政治がいいものかどうか。こういう点について、まず率直に御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/72
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073・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) いいか悪いかは、なかなかむずかしい問題ですが、これができるときには、こういう射幸的な娯楽については、とにかく、競馬の場合を見ても、
〔委員長退席、理事阿具根登君着席〕
馬匹の改良とかいうような理由がついて、これがきまっておるという前例にならいまして、当時の与野党が、こういうところに金を使うというのなら、この射幸的娯楽も許可しようというふうに、関係者がみな相談して、その目的をつけて、国会がこれをみなきめたといういきさつになっておりますので、いいか悪いかじゃなくて、私は現実に、そういう形で国会がこれを許しているというのですから、この立場に立って、これの合理化、健全化をはかっていくよりほかには、当分仕方ない。で、これを廃止しろという意見がございますので、官民諸方面の意見を聞く審議会を開いて、十何回も審議したのですが、急速にこれは廃止することは不適当だ、欠陥もなるたけ除去する方向においてこれを継続しろというような議論がついておりますので、その方向に沿って、競輪法の改正も、今国会に出しておるというような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/73
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074・阿部竹松
○阿部竹松君 通産大臣が、いいか悪いかわかりません。前の国会で、与野党が一緒になって、議員立法として出してきめて、今日に至ったんだからというようなお話しですが、私は通商産業大臣として、最高の政治を志向する人として、将来の日本国民をどうしなければならんという、やはり指導理念をお持ちかという気持で質問したわけです。しかし、一切万事が国会の中で決定して、それが今日のんべんだらりとあるのだから、これはやむを得ないのだということであれば、私は何をか言わんやで、通産大臣にこれは質問してもどうにもならん。ただ、こういう競輪場とか、オートレース場とか、そういうところを通産大臣はごらんになったかどうか私はわかりませんが、しかし、あそこへ行って見れば、ほとんど一家の中心になる人が、非常に競輪場なりオートレース場に行っておる。行っておるのもけっこうであるし、その人たちが五十円か百円の少い金額で、そうして一日楽しんでくるということであれば、また、これはけっこうなことでありますけれども、あそこへ行けば、率直に表現すれば、ほとんど目の色が変っておるというような状態で、もう娯楽の域を脱しておるわけです。この前に私どもの委員会で、大井のオートレース場、あるいは後楽園の競輪場を見学したわけです。私はたまたま留守だったので、皆さんが行かれてから、その次の日に一人で行ったわけです。ところが、あのオートレース場で、たまたま選手が、オートバイが引っくり返ってしまって、犠牲者になって、亡くなってしまった。これは一つの例でありますけれども、半面、翻って、各家庭にどれだけ害毒を流しておるかということを通産大臣はお知りになっておるかどうかということをまず承わりたいわけです。もちろん、競輪場から流れる金額によって、それは、学校の一つも建てたり、橋の一つができ上るということも、私は否定しませんし、そういう例も日本全国にあると思います。しかし、神武以来の景気であるということで、金や大鼓で現在の政府、あるいは自民党の委員が宣伝しておるときに、こういうような財政をぶった切って——ほんとうの健全財政というものは、こういう金でもってまかなうのは、健全財政とは私は思いません。従ってそういうところで財政の立て直しを今年から来年にかけてやらなければならんというお気持があるかどうか、一つお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/74
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075・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 私は、申しわけないのですが、まだ競馬も競輪もオートレースも、そういう種類のものは一切見たことはございませんが、この法律ができるまでには、いろいろの反対があり、できた後もいろいろの社会的な弊害が続出したということは、十分聞いておりますが、最近においては、社会情勢の落ちつきによって、そういう当初のような弊害が非常に少くなってしまった。そうして、ことにこれを普通の週の日において行うということになると、ここにまた大きい弊害がございますが、この前の措置によってなるたけ休日、祭日にやるようにして、一般の週日にはこれをさけるというような措置がとられたこととか、それからいろいろ取り締りの面におきましても、始終紛争が起ったというようなことがございましたが、結局競技に不正があるのじゃないかというような疑惑が、一番これらの騒擾事件の大きいもとになるのだということから、そういう点を改善されてきてみますというと、そういう種類の問題も今、起らなくなった。非常に大衆的な娯楽であるだけ、大衆的な、またそういう訓練といいますか、経験というものを積んでくるに従って弊害が非常に少くなっているのだ。だからこれをさらに健全化する措置をとれば、これは存続していいのじゃないかというのが、今一般の大体の意見のようだと私は考えております。と同時に、そこから上る金をもってというお話がございましたが、これはそういうところから上る金を国の収入にして、国の施策の中へ織り込むかどうかというのは、先般問題になりまして、そのためにこれは国費には入れないのだという措置を、この前からとられており、これをふたたび国費に入れるべきだという意見と、こういう射幸的なものから得る収入というものは、別途にこれを特殊法人によって処理させるというような行き方が、やはりいいのだというような意見とございましたが、それらの大勢を聞いて、今度の改正案を出したというようないきさつにもなっておりますので、概してこの競輪、オート・レースそのほかのこういう今政府から許されている射幸的な娯楽というものは、その弊害がだんだんになくなる方向に今行きつつあるのではないかと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/75
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076・阿部竹松
○阿部竹松君 騒擾事件が起きたというのは、まあ例をあげれば川崎で二年か二年半前に起きたのですが、そういうことは二年来ないと思います。ただ、あなたのところの重工業局で出しておる書類をごらんにならないから、そういう御答弁をなさるのだと思うのです。この書類によると、確かに大臣の今おっしゃったように日曜とか土曜にやって日数を減らすのだというような御趣旨で、振興会からの忠告もあったりして、日数は減っております。よく記憶しておりませんけれども、二百七十三日ですか二百七十六日ですかわかりませんけれども、それくらいの数は減っておる。しかし、減っておるかわりに松本とかそのほか二ヵ所か三ヵ所の競輪場が減っておるから、相体的に日数が減っておるのであって、今通産大臣の御答弁のようには日数は減っておらないわけです。従いまして、そういう点は詳細な問題ですからまあいいといたしまして、法律を改正して、改正して今度は補助法から出発して基本法に大体追いついてきたのですが、改正したら完全に健全になるという御自信がおありですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/76
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077・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 今度の改正案ではいろいろな点で健全化の方向へもう一歩進めるのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/77
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078・阿部竹松
○阿部竹松君 それでは最後に第二十二回の国会において、これは十九国会もそうですけれども、二十二国会においても、社会党といえども、自民党といえども、この法案に心から賛成しておらぬ。やはり将来を非常に心配をなされて、各議員がきめておるわけです。そこで、最後の討論には前の商工委員であった栗山良夫さんという人が発言して、今度総理大臣をやめられた石橋湛山さんが商工大臣だったので、石橋さんがお約束をしておるわけですけれども、これで見ていきますと、とにかく討論は相当長いのですが、簡単に要約してその当時の記録を、十九国会も同じですけれども、見ますと、こういうことを代表意見の中に栗山君が発言しております。いいですか……。「地方財政の赤字克服の問題とは一応切り離してでも、この社会悪を改善しまするための一つの重要なる問題点であるといたしまするならば、これは違った観点からやはり問題を進めて行ってその解決をはかるべきであるという考えを私は持っておるのであります。と同時に、さらにこの法律案が二年の期限を付せられておりまするが、私どもは、二年の期限が参りましたときにはぜひとも廃止をいたしたいという強い意思を持っておるのであります。しかし従来の経緯にかんがみまして、漫然と二年を経過いたしますときには、」……とても廃止に至らないということになりまするから、期限が至らないうちに自動的に期限延長ということが行われないようにこの委員会で意見として申し上げますと、こういうことで二年以内に、二年以後になって法案を出してもだめであるから、二年以内に廃止するような方向でやってくれということで、全会一致の意見として出ておるわけです。ここで国務大臣石橋湛山君と称して「なお、その付帯決議としてただいま御説明を承わりました三カ条については、十分政府として了承いたしまして、御期待に沿うように努力いたしますから、どうぞ今後ともその点についても一つ御協力をお願いいたします。」こう言っているのです。これは一体どういうことであったのですか。ただ単に、振興会から意見が具申されて、まあ一週間に一ぺんぐらい認めようという一片の辞令ぐらいなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/78
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079・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) そういうお話しの最後に、おそらくそのときの国会だと存じますが、参議院の商工委員会からはっきりした決議がなされました。その決議は承知しておりますが、それによりますというと、文句をたてにとるわけではございませんが、将来改廃について検討しろ、もし連続する場合には、こういう点を政府は考えろというような御決議でございましたので、それに基きまして審議会の議にかけて何回も検討した結果、去年の五月ごろ中間の答申が政府に出ておりますので、この答申に基いて政府側で立案に着手して今成案を得ておる、こういう経過になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/79
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080・阿部竹松
○阿部竹松君 今通産大臣は改廃とおっしゃいますが、改廃だけでないでしょう。「速かに禁止」という文字が入っている。あなたは御自分の都合のいい方だけを答弁している。通産大臣は半分しかお読みになっていないということはない。御自分の都合のいい方だけを読んで、都合の悪い方は削除しているのでしょう。そこにいる次官でも局長でもどうですか、「速かに禁止」という文字が入っているのですね。でたらめですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/80
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081・鈴木義雄
○政府委員(鈴木義雄君) お答え申し上げますが、参議院の商工委員会における決議は文句通り読みますと、「競輪、競馬、オート・レース、モーターボート・レース等一切の射こう的行為に現下の社会情勢にかんがみ速かに禁止もしくは制限せらるべきであり、特に競輪については政府は現行制度に検討を加えその改廃に関し次の通常国会までに適切な措置を講じなければならない。」それで先ほど大臣が申し上げました通り、昨年の五月に審議会の中間答申を得まして、それも国会の商工委員会に、中間答申としてそれまでにとりました措置を報告してあるわけであります。それに基きまして今度の案ができまして、これを改正法案として提出いたした、かような経過になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/81
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082・阿具根登
○理事(阿具根登君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/82
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083・阿具根登
○理事(阿具根登君) 速記を起して。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/83
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084・阿部竹松
○阿部竹松君 今重工業局長がおっしゃったのですけれども、次期国会までとあるでしょう。それは法案を出せということではないでしょう。措置を講じろということでしょう。措置を講じろということは、法案を作ってお出しなさいということにはならないでしょう。つまり措置を講じろということは、たとえば川崎でも、神奈川でも、千葉でも、あるいは大阪でも、競輪場があって、おそらくその都道府県あるいは市町村で何億円、何千万円か知らないが、そういうことでやはり市の財政なり都道府県の財政に繰り入れられているから、その二ヵ年間の間になるべく早くやめるようにして、政府は地方財政法でしたか、あれによってこういう財政措置を講じなさいと要望なり示達ができると思うのでありますけれども、それによって、そういう措置を講じろということで、今度の国会にこれを出して、期間を六ヵ月延長して、そうしてその六ヵ月延長した中でゆっくりやりなさいということには、これはなりませんよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/84
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085・鈴木義雄
○政府委員(鈴木義雄君) その当時の商工委員会に私も出席いたしておりまして、そのときの状況を申し上げますと、その意味は、そこで改廃についての法律案を大体二年後までに出さなければいけないということでございますが、その二年を待っていては、その案のできるのが非常におそいから、中間的にも早く措置しろということで、この意味はそのときの状況から私ども判断いたしますと、一年後に何らかやった措置を国会に報告しろ、こういうような意味でございまして、その趣旨によりまして、実はさっき大臣が御答弁されましたように審議会を十数回開いて、中間答申の結論を昨年の五月に報告した、かようなことに相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/85
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086・阿部竹松
○阿部竹松君 そうすると、通産大臣、鈴木局長のお話ですと、鈴木局長は当時二十二国会においでになりましたし、十九国会もあなたが担当されたのですね。そうじゃないのですか。それで二十二国会で衆議院に法案を出したときには、当分の間ということであなたの方でお出しになったわけだ。そうでしょう。当分の間というのが、あいまいもこで、うまくない。二年で明確にやりなさいということで、当分の間というのが二年ということに変ったのですよ。あなたはおった当人で、私はその当時の文献をひもといてみるだけですから、やはりその文献によってのみ、この会議の状態というものが百パーセントわかるとは思いません。しかし、そういうような状態になっているので、水田大臣も当時大臣ではなくても、あなたは政調会長として企画立案の立役者であったのですから、そのあたりの見解を明確にお知らせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/86
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087・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 当時のことをちょっと記憶をなくしましたが、当分とあったとしますというと、あのときはこの納付金の受け入れの問題で、受け入れ方について従来国庫収入になっておったものを、それを国庫の収入に入れないで別のところにそれを保留しておいて、そこから産業の振興費に出すというやり方がいいか悪いか、この問題が非常に当時論議されましたので、それを中心に当分ということがきまったのじゃないかと記憶しております。競輪そのものの存廃について当分というような議論は当時なかったと記憶しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/87
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088・阿部竹松
○阿部竹松君 そうしますと話しが振り出しに戻りますが、さいぜん将来どうするかということについて大臣から明快な御答弁がなかったわけですけれども、水田大臣が就任せられる前の閣議か、就任せられてからの閣議か、私よくそこまで調べませんでしたが、閣議において将来やらないということを御決定になっておるそうですが、これはほんとうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/88
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089・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) その決定は、私存じません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/89
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090・阿部竹松
○阿部竹松君 やらないということは、今都道府県が十四とか、各市町村で二百幾らとか、数字は正確ではありませんけれども、これ以上ふやさないということを閣議で決定しているということを私お聞きしたのですが、これはないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/90
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091・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 競輪場の新設の許可は、これ以上しないということを相談したということは聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/91
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092・阿部竹松
○阿部竹松君 そうすると、やはりこういう競輪場があるということは、害になるということが前提条件であると思うのですが、まあその閣議ではどういう理由で決定したか知りませんけれども、私にはそういうように推察されるわけです。そうしますと、一刻も早く私もきょう限りでぶった切ってしまえというようには考えておりません。おそらく三十二年度の予算に、まあ東京から始まってそれぞれの市町村で今年は幾ら入るという取らぬタヌキの皮算用でもって、予算を組んでおるところもあると思いますけれども、今年さっそくというふうには考えておりませんけれども、しかし、政府としては大体どの程度になったらやめられるかというお考えか、そういうお考えはないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/92
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093・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) これはさっき申しましたように、弊害度の問題でして、政府が努力しても、やはりなかなかその社会的な弊害が是正できないという事態が来たら、これは考えなければならぬと思いますが、ただいまの方向では、当初これが許可されて設立された当時から見て、だんだんに落ちついて健全化の方向に向いていると思っておりますので、そういう状態であるならば、そう一挙に廃止する必要もないのじゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/93
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094・阿部竹松
○阿部竹松君 最後に、大臣お忙しいようですから、長くお引きとめするわけにはゆかぬので、一言お聞きしたいのですが、健全化々々々とおっしゃるのですが、その健全化の内容ですね。今車券の売上げの七五%までは払い戻しをやつて、二五%をそれぞれ分割して使用しておるようですけれども、その分割方法をどうするとか、あるいはまた頭打ちをどうするかというような内容になっているやに、提案説明で承わったのですが、ノンプロ野球とかプロ野球のようにするというお考えは毛頭ないのですか、それだけ伺っておきたいと思います。
〔理事阿具根登君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/94
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095・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 今のところは、そういう考えは持っておりません。しかし、ここで問題なのは、もし社会的弊害がそうないものであるとしたら、一つ廃止するとか何とかじゃなくて、射幸性娯楽はたくさんございますので、こういうものの均衡で、全部がそう弊害のないというところへ落ちついたときには、これをかりに政府が許可して存続するという場合には、今のような構想でいいか悪いか、たとえば地方自治体などが使うというようなことは、これは考えものだ。地方自治体の経費は経費で、自分で負担するか、あるいは国の交付金で負担するか、はっきりああいうものの経理は経理でやるべきであって、こういう金を使うべきであるかどうか、むしろここでこういうものは社会保障費の目的税的なものにして、国民がこういう娯楽をやるのならやってもいい、そのかわりそこから上る収入というようなものは、これは弱い人とかあるいは貧しい者とか、そういう連中のいろいろな施設にこれが使われるのだというようなことになるのが、合理的ではないか。そうすれば将来の問題としては、これがこういう収入が、社会保障費の目的税的なものになって、そうして最少限度の許可を国がするというような、そういうもっと大きい構想でこれを考え直すべきじゃないかというような意見も、現在政党の中からは出されておるような状態でございますので、私はもう少し推移を見て、この問題の最後の決着をつけなければならぬ時期が、やがて来るだろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/95
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096・阿部竹松
○阿部竹松君 いつか来るだろうというところに、問題があると思いますけれども、それも一ヵ所二ヵ所やめるということでなしに、全部やめてほしい。それからこれはもちろん競輪だけでなくて、オート・レース、モーターボートあるいは競馬、すべてそういう方向に持っていっていただきたいということを念願しておるわけです。人間は御承知の通り、非常に弱いものですから、ややもすれば、本能を理性で押えているうちは、けっこうですけれども、どうしても弱い人間がそういうところへ行ってしまう。そういう競輪場とか、あるいはオート・レース場が一ヵ所でもないことによって、そういう気の毒な家庭を破壊するような状態が一件でも少くなるというように考えて、いろいろ御質問したわけであります。しかし、大臣の御見解も承わりましたし、あとは、今度は見解の相違ということになりましょうから、今度は討論というところで、一つお話し合し上げたいと思います。技術上の問題で局長に二つ三つお聞きしたいのですが、競輪振興会というのがありますね、あなたも委員でしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/96
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097・鈴木義雄
○政府委員(鈴木義雄君) いろいろの役所の審議機関でございましょうか。役所の審議機関ですと、競輪運営審議会というのがございます。それは私も入っております。それからもう一つは、機械工業振興協議会この二つございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/97
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098・阿部竹松
○阿部竹松君 それはあなたは入っておりませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/98
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099・鈴木義雄
○政府委員(鈴木義雄君) 両方入っていると思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/99
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100・阿部竹松
○阿部竹松君 そうですが、それはどなたが任命されるのですか、通産大臣ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/100
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101・鈴木義雄
○政府委員(鈴木義雄君) 通産大臣でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/101
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102・阿部竹松
○阿部竹松君 十数回開いたというお話しですけれども、あなたの方でお出しになった書類を見ますると、そうお聞きになっておらぬようですけれども、委員会なるものにあなたが出られて、もちろん決裁は大臣、次官、こういう方々がやられるかもしれませんけれども、おそらく企画、立案、最後の締めくくりまでとは私申し上げませんけれども、そういうこともあなたがおやりになるというふうに考えるのですが、そうなると工合悪くなりませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/102
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103・鈴木義雄
○政府委員(鈴木義雄君) 競輪運営審議会の方は、通産次官が会長でございまして、民間の学識経験の方とそれから関係官庁が入っております。それから十数回やりましたことは、大体まあ二年前から毎月一回ずつぐらい相当開いてきておりまして、私正確な回数は今持っておりませんが、大体大臣が先ほど申し上げました通り、相当な回数を開いて論議しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/103
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104・阿部竹松
○阿部竹松君 そこで、このあれですか、振興費に幾ら幾ら使った、あるいは自転車産業振興費という金額の明細表が出ておりますね。明細で何百何十万円と出ておりますね。そういうところの詳細はどこでやるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/104
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105・鈴木義雄
○政府委員(鈴木義雄君) ただいまの臨特法によります資金の配分は、通産大臣の諮問機関で機械工業振興協議会というのがございまして、これは自転車関係でなしに、むしろ機械工業全般に関係される方、そういう方が大体委員でございまして、そこに諮りまして大体計画を作ります。それで諮問をいたしましてそれの承認を得た後において、通産大臣がたとえば自転車産業にはこれだけを、輸出振興に、こういう目的、それから技術の向上に、こういう目的でどこどこに交付と、それから一般の機械に対してはこういう目的で、たとえば海外のカメラのサービスセンターにどうこうというような大体の計画をきめまして、それを全部通産大臣が指示いたします。その指示に基きまして今の臨特法によりますと、大体資金は施行者から名前は自転車振興会連会会でございますが、実際は全部法律によりまして事務は商工中金に委託されておりまして、商工中金が入りまして、商工中金が通産大臣の指示によって交付先にこれを交付いたす。かようなことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/105
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106・阿部竹松
○阿部竹松君 二十二国会であなたが答弁されて大体二十四、五年ごろできた競輪場が大体建設費を、どれくらいとにかく回収したかという質問に対して、あなたは大体半分ぐらい回収できておるというふうに御答弁なさった文献を私読ませていただいたのですが、現在はたとえば日本中全部、これはできた年月日によってもちろん違うと思いますけれども、大体どのくらい建設費の回収ができ上ったか御存じないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/106
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107・鈴木義雄
○政府委員(鈴木義雄君) 正確に申し上げかねるかと存じますが、大体そのときの、答弁申し上げましたとき相当回収されているということを当時申し上げたと思います。ただ、考え方はですね、固定資産でございますから、償却の関係からいきますと、競輪法が施行されたのが昭和二十三年でございますから、たとえば償却を十五年と見ますれば、ただいまではまだずいぶん償却されているまでは至っていない、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/107
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108・阿部竹松
○阿部竹松君 そうすると大体この前の答弁と、また日数がたっているから違っているかもしれませんけれども、この前あなたが答弁されたのとは、若干違うような気がしますけれども、そこで、問題は違いますけれども、競馬、競輪、オート・レース、こういういろいろなものがあるわけです。しかし、競馬の場合はもちろん騎手の優劣によってやはり優劣の差がつくと思いますけれども、騎手の優劣の差より、やはり馬がいいかどうかということが、やはり六割五分から七割近くも占めると思うのです。ところが、競輪の場合は自転車のいい悪いよりも、人間が優秀であるか優秀でないかということによって非常に差がつくと思う。これは私はしろうとであるからよくわかりませんが、そう思うわけです。自転車の優劣によって競輪の優劣がきまるということになると、自転車工業に大いに金をつぎ込んで、りっぱな自転車を作るということになるが、競輪の場合は走るに早い人間を作って、そしてそれに金をかけるということになりますので、競馬の場合と競輪の場合と射幸心をあおって、弱い人間性につけ込むという根本問題は変らないけれども、振興ということになると、若干変つてくるような気がするのですが、これは局長いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/108
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109・鈴木義雄
○政府委員(鈴木義雄君) いろいろ考え方はあると思いますが、この自転車の競技法の趣旨に、この目的は当初は地方財政と自転車の振興、その後臨時法において機械工業の振興というのが加わつておりますが、考え方はやはりこの法律によって先ほど大臣も説明されましたが、競輪を行なって、その収入の一部を自転車の振興費として使う、この費用が従来御承知と思いますが、ございました。それによって自転車関係の自転車工業、自転車産業、自転車の輸出、そういうふうなものの振興に向けられていくという点において、さような意味において自転車の振興に寄与しておる、かようなことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/109
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110・阿部竹松
○阿部竹松君 私がお伺いしておりますのは、金の使い道でなしに、競馬と競輪との差で、片っ方は馬によって違う場合が多い、片っ方は競輪の方は人間によって違う場合が多い、こういうことなんですかう、そうすると、同じ振興といっても、競馬の場合は馬匹振興といって大アドバルーンを掲げてやつております。片っ方は自転車工業の振興だといってやつておりますけれども、自転車の影響によって一着、二着がきまるよりも、人間の優劣によって一着、二着がきまるのですから、完全なる振興にならんでしょう、振興になっても、競馬よりも率が落ちるでしょうということなんですよ。たとえば東京中どこを歩いても、全部駅に、立川競輪、千葉競輪、取手競輪というようにどんなところへ行ってもないところはないのです。自動車でもって、バスでもって競輪場まで無料で運んでサービスする、そうまでしてサービスしてもらうのはありがたいけれども、そういうところはあなた方振興会で抑えて、ほんとうに三百円でも四百円でもささやかな金でもって、家庭に影響しないような金でもって一ヵ月に一ぺんなり二ヵ月に一ぺんなり楽しむのはいいけれども、このあなたの統計を見ると、一人三千四百何がし使っているわけでしょう。そうなるとと一ヵ月に三万も五万も取る人なら三千四百何がし使ってもいいけれども、その三千四百何がしが平等に戻ってくるわけではない、二割ぐらいは天引で二人か三人、多くて五人か六人に戻っていくわけですかう、こういうことをやって地方の学校を建てますとか、道路をよくしますなどということは、政治の邪道でして、つまりこういう神武以来の景気で、ここに財政専門家の高橋さんもおられるが、二千億という今年は金が入るそうですが、川崎へ三億やりますとか、松戸に二億やりますというようなことで切りかえるというお気持が政府にあるかないかということを、僕はお伺いしておるのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/110
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111・長谷川四郎
○政府委員(長谷川四郎君) 最初の一点は、競馬と競輪の相違であると思いますが、ただ競輪は馬と同様に競輪場へ出る車がよくなければ走れないことは、これは馬と同じでございまして、その点はまず大体相違ないように考える。ただし、馬の場合との相違点ということは、騎手と車と相違点があることは、これは認めなければならぬ点だと私は考えます。そうしてたとえば輸出振興という点について、また自転車の競技したその金が自転車の振興という点に必要がないというような御意見でもございますが、半面にはそういうようにも考えられるが、自転車振興はこれでいいという意味でなくて、各国回ってみても、日本の自転車の優秀性という点は、今日認められつつあるときでございまして、この点についてはいま一般の自転車の輸出振興、たとえば機体の優秀性というものをもう一段と努力すべきときであるというようにも考えられております。また、競輪を存続させるか廃止するかというような点は、先ほど大臣がお述べになったような考え方でございまして、私はそれに対しては大臣と同じ考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/111
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112・阿部竹松
○阿部竹松君 大臣と同じだということになれば、長谷川政務次官にお伺いしても何もならないので、ただあと法案が出ておりまして、あらためて審議する機会もあろうかと思いまするかう、もう質問はこの程度でやめますけれども、最後に選手の保険とか将来の問題とか、非常に私わかりませんけれども、選手になればそう長い寿命もないのでなかろうかというように考えるわけです。あのオート・レースのような機械で走る場合はどうかわかりませんけれども、競輪の選手は、とてもわれわれのような老躯になっては選手が勤まらないということになれば、そういうものの将来はどうするか。若干案が出ておるようでありますけれども、現在どういうことになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/112
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113・鈴木義雄
○政府委員(鈴木義雄君) お答え申し上げます。選手の数は御承知の通り五千三百名ばかりでございます。それから平均年令は男子にしまして二十六才、女子にしまして二十三才、男の方で最高の方は五十一才という方もございます。
それから選手の待遇でございますが、昭和三十年度の賞金総額、これは賞金には二つございまして、一般賞金と参加賞金がございますがそれを合せまして三十億円ほど、昭和三十一年は一月から十二月まで出ております。そこで選手一人あたりの月平均賞金取得額は大体五万五千円、一ヵ月です。
それから災害補償につきましては、競輪参加中の事故で死亡した場合は、六十万円を支給する等、競輪参加中の身体傷害については、具体的に補償制度をとつて滞ります。
それから選手の退職金制度につきましては、選手は自営者でございませんので、競輪に出動するたびに当該競輪施行者と出場契約をしております。従って雇用関係はないわけでございます。自転車振興会等からは、退職金的なものは支給しておりません。しかし、現在の会員の相互共済をはかる目的で、競輪登録選手をもって組織されておりますし、日本競輪選手共済会で、退職金を取り扱っておる状況であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/113
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114・阿部竹松
○阿部竹松君 最後に一つだけお聞かせ願いたいのですが、松本とか、島根とかのやめた例はどうですか。さいぜん大臣のお話しで大分減ったような話しですが、その口数は開催日数ですね、全国の統計、これはあまり減っておらんようですね。二百二十幾らで、松本とか島根とかやめた理由、それからもう一つ比較的われわれは、各地方財政、各府県の財政内容までわかりませんけれども、しかし、われわれが常識的に判断して、比較的お金があるというような県には競輪場が案外多い。貧乏県に……、県が怒るかもしれませんけれども、貧乏県と思われるようなところに案外競輪場がない。こういうのは理由、どういうわけですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/114
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115・鈴木義雄
○政府委員(鈴木義雄君) 松本等のやめました理由は、大体赤字がおもな原因だったと聞いております。それから土日開催によって節約されたと申しますか、そういうふうな日数は二百日をこえております。
それから最後の質問の点は、これも正確に内容一々検討してみないと申し上げられませんが、非常に貧乏と申しますか、財政的に貧乏なところですと、さっきの松本の例を見ましても、競輪をやりましても成り立たないというので、一つの原因ではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/115
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116・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/116
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117・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/117
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118・豊田雅孝
○豊田雅孝君 この競輪の関係については、いろいろ問題があるわけでありますが、私おくれて来たものですかう、あるいは質疑の重複する点があるかもしれませんが、これについて自粛する措置について、どういう措置を今までに講ぜられ、また今後講ずるかという方針について伺いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/118
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119・鈴木義雄
○政府委員(鈴木義雄君) 前にも実は大臣から御説明申し上げました競輪の自粛措置としましては、一つは昨年の委員会でも御報告申し上げましたが、土日開催、土曜日曜を中心とする開催で自粛をさせていく、それによってただいまも阿部先生にお答え申し上げましたように、相当の日数が減らされております。それからもう一つは、新規の競輪場の許可を全部いたさないということで、これは従来相当の件数、十七、八件の申請が出ておりましたのを、そういう方針により全部却下いたしまして、今後は一切許可しないと、さような方針をとってきております。それからあとは、この前の第二十二国会の参議院の付帯決議の趣旨によりまして、十数回、通産省の諮問機関であります競輪運営審議会に競輪の改廃について諮りました結果、できるだけ弊害を少くして、健全化するという方針のもとに、今回の改正法律案を提出した、かような経過になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/119
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120・豊田雅孝
○豊田雅孝君 ウイーク・デーに開催することを自粛する要望が、前の改正法律案提出の際に問題になったと思うのでありますが、これについてはどういうことになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/120
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121・鈴木義雄
○政府委員(鈴木義雄君) 先ほど申し上げました通り、土曜、日曜を中心とする開催ということになっております。東京とか、要するに都会の密集地区でございますと、大体月六日できるのでございますが、それが実質的に制限されまして、四回ということになっております。地方は土曜、日曜中心で三・三制、三回々々という制度をとってやるようになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/121
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122・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) 別に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/122
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123・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) 御異議ないと認めます。
それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/123
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124・阿具根登
○阿具根登君 私は日本社会党を代表いたしまして、これに賛成の意見を申し上げるのでございますが、賛成の意思が、出された意思と違うのでありますから、この際はっきりと申し上げておきたいと思います。
わが日本社会党は、賭博行為のこういう競技方法は一切を否定いたしておるのでございます。それができました当初は、戦災から立ち上る日本の復興が唯一の考え方であったのでございますが、戦後十三年、復興も相当できて参りましたし、こういう賭博行為によって地方自治の復興ということは考えられない時代にもなって参りましたので、われわれといたしましては、三十四年の四月一日を目途として廃止の法律案を考えておりますので、この六ヵ月延長に賛成するものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/124
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125・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) ほかに御発言もなければ、討論は終局したと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/125
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126・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) 御異議ないものと認めます。
それではこれより採決に入ります。自転車競技法等の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/126
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127・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって衆議院送付の原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、本会議における口頭報告の内容、議長に提出する報告書の作成その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/127
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128・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
それから本案を可とせられた方は、順次御署名を願います。
多数意見者署名
大竹平八郎 青柳 秀夫
近藤 信一 阿部 竹松
小幡 治和 豊田 雅孝
高橋 衞 小西 英雄
西川彌平治 阿具根 登
島 清 白井 勇発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/128
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129・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/129
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130・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) 速記を始めて。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時五十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01719570329/130
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