1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十二年四月十一日(木曜日)
午前十一時十四分開会
—————————————
委員の異動
四月四日委員青柳秀夫君辞任につき、
その補欠として森田豊壽君を議長にお
いて指名した。
四月九日委員森田豊壽君辞任につき、
その補欠として青柳秀夫君を議長にお
いて指名した。
本日委員島清君、藤田進君及び西田隆
男君辞任につき、その補欠として大倉
精一君、山本經勝君及び木島虎藏君を
議長において指名した。
—————————————
出席者は左の通り。
委員長 松澤 兼人君
理事
西川彌平治君
白川 一雄君
阿具根 登君
近藤 信一君
委員
青柳 秀夫君
大谷 贇雄君
小幡 治和君
木島 虎藏君
古池 信三君
小西 英雄君
白井 勇君
高橋 衛君
阿部 竹松君
大倉 精一君
相馬 助治君
山本 經勝君
大竹平八郎君
政府委員
通商産業政務次
官 長谷川四郎君
通商産業大臣官
房長 松尾 金藏君
通商産業省石炭
局長 讃岐 喜八君
通商産業省鉱山
保安局長 小岩井康朔君
事務局側
常任委員会専門
員 小田橋貞寿君
参考人
北海道炭鉱汽船
株式会社取締役
技術部長 大溝 友吉君
北海道炭鉱汽船
株式会社保安部
副部長 森下 星一君
—————————————
本日の会議に付した案件
○経済の自立と発展に関する調査の
件
(夕張市北海道炭鉱清水沢本坑坑内
火災に関する件)
(委員派遣に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/0
-
001・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) これより委員会を開きます。
前回の申し合せでは、特別の事情が生じない限り、委員会をしばらく休んで、十二日に委員会を開くことにいたしておりましたが、新聞でごらんの通り、一昨日夕張市にある北海道炭鉱汽船の清水沢炭坑で坑内火災の際、坑山保安の必要から、二名の坑内夫が生死の確実に判明しないまま密閉されるという事件が起りましたので、この調査ばきわめて緊急を要するものと認めまして、本日委員会を招集した次第でございます。右御了承願います。
次に、委員の異動についてでありますが、去る四月四日青柳秀夫君が辞任され、森田豊壽君が補欠として選任されましたが、四月九日森田君が辞任されて青柳君が再び委員に復帰されました。以上御報告いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/1
-
002・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) それでは本日の議事に入ります。先ほども申し上げましたように、本日は一昨九日発生いたしました夕張市北海道炭鉱清水沢本坑の坑内火災に関して調査を行います。
つきましては、本日北海道炭鉱汽船株式会社から取締役技術部長の大溝友吉君及び保安部副部長森下星一君に、あらかじめ御足労をお願いした次第でありますが、両君を参考人としてその実情につき御説明を願うことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/2
-
003・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) 御異議ないと認め、さように決定いたしました。
参考人のお二人の方には、今回の事件で非常に御多忙のことと存じますが、本日は当委員会のために特に御出席いただきましてありがとうございました。
それでは、今回の夕張市清水沢本坑の坑内火災事件について、鉱山保安局長から事件の概要を説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/3
-
004・小岩井康朔
○政府委員(小岩井康朔君) 昭和三十二年の四月九日四時三十分ごろでありますが、北海道炭鉱汽船の夕張鉱業所の一部になっております清水沢炭坑三片ゲート坑道——ちょっとおわかりにくいと思いますが、あとで参考人の方から御説明があると思いますが、三片のゲート坑道の電動局部扇風機付近から火を発した模様でありまして、行方不明二名、おそらく死亡と断定しております。こういう災害が発生いたしました。で、その後非常に火勢が早くて、まあほかの者たちは、大半避難いたしましたが、もう火勢が早くて、直ちにまあ消火しなければならぬような状態になりまして、あまり余裕がなく、その後短時間、数時間の後に注水、密閉の準備をいたし、大体まあ十二時四十五分ごろに水没を考えたようでございます。それから十二時まあ十五分のころには、密閉も同時に考慮したようでございまして、現在では密閉は昨日の零時二十五分に大体完成いたしておりますが、水没、注水の方は、けさほどの電話ではあすの午前十時ごろまでかかるようでございます。で、目下のところは原因は局部扇風機付近から火が出て坑内火災を起したという程度しかわかっておりません。
ごく災害の概略は、以上の通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/4
-
005・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) ただいま鉱山保安局長からお話がありましたが、もっと詳細なことにつきまして、参考人の方から御説明いただければ幸いと存じます。北海道炭鉱汽船株式会社取締役技術部長大溝友吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/5
-
006・大溝友吉
○参考人(大溝友吉君) 私北海道炭鉱汽船の技術部長であります大溝でございます。このたびは大へん不幸な事故を起しまして、皆様にいろいろと御心配をおかけしまして、まことに遺憾に存ずる次第であります。現場が北海道にあります関係上、こちらに来ます情報は、テレタイプとか電報、電話というようなものを使っておりますので、十分なかなか詳細な点を説明できるまでにわかっておらないのでありますが、なお、ちょうど一昨日災害が起きたのでございますが、災害の当日は現場が非常に多忙になりまして、ちょうど火事場のような騒ぎになりましたので、技術屋は全部現場に動員するというようなことで、鉱業所に残っておりますのは事務屋でありまして、それが技術屋の方から連絡を受けて東京の方へ報告してくるというようなことで、なかなか十分実態を把握しない点がありますし、また、間違ったところもあるのでございまして、私ども報告を見まして、少しおかしいじゃないかと思う点があるのでありますが、何分災害の当日は非常に忙しいものですから、こちらからこういう点おかしいじゃないか、どうなっておるのだろうというようなことを聞き返しましても、向うも非常に忙しいというようなことで、ある程度落ちついてからということを、従来ともやっておるような次第でございまして、昨日あたりそういう点をある程度明らかにしたようなわけでございます。きのうの朝の状態におきましては、皆さんに十分な御報告もできませんし、また、多少誤まっている点もあるようでございますが、その点御了承を願いたいと思います。
それではただいまから簡単に御説明申し上げます。(図を示す)この図面は坑内のうちの一部を書いてございまして、ここの青いのが大体岩石の中を掘っている坑道のしるしで、この赤いのが炭層の中を掘っておる坑道のしるしでございます。それでこの坑道がずっと約二千メートルばかり手前に設けてありまして、この辺までで約二千メートルでございます。それからここからこの辺まで四百メートル、ここからここまで五百メートル、大体ここの現場まで坑口から三千メートルばかり離れております。ここまで水平で入ってきまして、ここで斜行して入ってきて、またずっと水平に入ってきまして、ここに約三十メートルばかりの縦坑といいますか、それがございまして、それからここがまた水平のベルト・コンベヤーでございます。ここから先はベルト・コンベヤーです。これもベルト・コンベヤーです。これもベルト・コンベヤーです。ここが採炭場でございまして、ここの採炭場で採掘しておるという状況でございます。それでただいまのところここは二百トンちょっとばかり出ております。この方面の出炭が約一日二百五十トンから三百トン程度、それから入っております人間が二百八十人から三百人程度という状態でございます。そして当日は昼間石炭を掘りましたので、夜三番方ではその跡始末をしておるという状況でございます。それから問題の扇風機はここの中間にありまして、この先にポンプがございます。その局部扇風機、この付近から火を発したという、この局部扇風機の電気のスイッチを入れたときに火が出たということになっております。
それで大体の状況は、箕輪という坑内主任でございますが、保安主任でございますが、これは夜の三番方を統括しておるものでございますが、これは当日三時半ごろここをずっと通ってここへ来たときに、このポンプには中山というポンプの運転手がおりました。それから箕輪主任はここをおりまして、これを見て、それからこの辺のところはっきり坑道がわかりませんが、何にしてもこれをおりて見ましたところが、このベルトがとまっておるので、それからこれを上りまして、こう行って、こう行って、この近所に電気がどうなっておるか見に行ったところが、大体かかっただろうという話を聞いたというので、またここへ帰ってきて、ここのベルト・コンベヤーの運転手にベルトをかけさした。そうしたところが、ベルトがかかったということで、ベルトがかかったから、この扇風機もかけろということで、ガス検定をしまして局部扇風機をかけるように命じた。ここを上ってここへ来ておるということでございます。そうすると四時三十分ごろ、ここの運転をやっておりました高橋という運転手から電話がありまして、直前にスイッチを入れたけれども、火が出たのですぐスイッチを切った。それからそれがこの回りに火が燃え移っておるという報告を受けたそうです。それで箕輪は、私がすぐ行くからということで、これを通ってここまで来たそうであります。このベルトから二十メートルくらいまでのところに来ましたところが、煙が一ぱいで、しかも下の方に影が見えるということでそれ以上入っていけないので、そのままこれを上りました。
この坑道の近所で、大野という係員に会いまして、その大野という係員に、ここの採炭場にいる労務者を引き揚げさせるようにということを命じて、それから大野という係員は、すぐここからこう帰ってきたのでございます。箕輪という主任は、そのままこっちへ出てきてしまったということを言っております。高橋という運転手は電話をかけたあと、これをこのまま上ってきたということだそうです。当日この採炭場には約十名ばかりの人が働いておったそうでございますが、あとで聞いてみますと、この大野という係員がそこへ行く前に、すでに煙が来ておったので、この人たちは避難しておったということだそうでございます。それであとで全員こちらに出て来てから調べたところが、岩松という者と、それからポンプの運転をやっておりました中山という者、それから、申しおくれましたが、岩松というのは、この付近で鉄柱の整備をするのが当日命ぜられた仕事だそうでございます。でございますが、約三時半ころかと思われますが、三時半か四時か、そのくらいの時間に、災害の少し前だと思いますが、こうおりて来て、ここに高橋がおります。高橋のところに来て、ちょっと休むからと言って、少し下って行ったということを高橋は言っておるそうでございます。それでこの中山については、たれも中山がここにおったかどうかということは、その当時のことは不明でございますが、箕輪主任は三時三十分にここに来て中山に会っておるそうでございます。中山が三時三十分にここにおったことは確実でございますが、災害当時どこにおったかということは不明ですが、仕事はここのポンプの番人でございますから、多分ここにおったはずだと、ここで働いておりました人の話を聞きますと、こっちの方から煙が来たんだから、中山はわれわれの避難する前に、すでに煙がきているんだから、僕らの先にここは避難をしたと考えておったというようなことを、ここの人は言っているそうでございます。そういうようなわけで、全員こちらの方に来まして、調べたときには、この岩松と中山と二人が行方不明の状況にあったという状態になっておるわけであります。
それで、すぐ各方面に通知をいたしまして、対策を講じたのでございますが、何分非常に火が早いので、煙がどんどんこの辺一ぱいになってきておるという状況で、とても近寄れないという状態であったのでございますが、何してもこれだけの火があるので、水を入れて消す以外に方法もないということで、注水の段取りをしなければいかぬということで、ここに圧搾空気室がありますが、圧搾空気室から鉄管がこうずっと入っておりますが、ここでポンプの押上管がこうきて、ここにきておりますから、ここで圧搾空気管とポンプの押上管とを七時三十分ころに接続をいたしております。そのときの状況は、ここの坑道には煙は何も来てない。それでこの後の情報では、ポケットにも出てきてないが、この上にはあるらしかったという状況だそうでございます。そのために、圧搾管と揚水管を打ち合せることは、非常に困難な仕事になって出てきたと言っております。それからその後八時三十分に、こっちの方はどうだろうかということで、……それから申し忘れましたが、風はこういう工合に通っております。それからここからこう分れまして、ここからこう行きます。こういう風が通ってきておるのです。こっちの方は風が入らない。排気があるものですから、こっちからはあまり煙は行きませんが、こっちの排気側の方は煙がたくさん行くという状況で、八時三十分にここから入りまして、ここまで入って行きましたところが、煙が多くて中の方には入れない。入れないが、一番こういう場合に問題になりますのは、一酸化炭素の量が多いと生命に関係しますが、一酸化炭素の測定をやりましたのですが、その前に、おりてここの所で一酸化炭素が〇・一%あった。そのほかのものの観測もしたがったけれども、一酸化炭素が多いので、一酸化炭素の観測をようやく終っただけで出てきたという状態だそうでございます。
それから様子を見ておりまして、十二時でございますから、午後零時から十五分の間今度は救命器隊でございます——防毒マスクをかぶりました特別の救護隊でございますが、入って来まして、やはりここから入ってここの状況を調べたのでございますが、やはりそのときはメタン・ガスがどのくらいになっておるか計ったのでございますが、三・三%あって、やはり煙が多くて中へ入れなかったという状態だそうでございます。そういう状態でありましたので、どうも漸次ガスは多くなりつつありますし、一酸化炭素も多くなるという状況なので、十一時過ぎにこの罹災者の岩松の家族と、それから中山の家族を、保安管理者であります池という者と、それから鈴木という労務の課長が清水沢の鉱長の応接室で岩松の兄の岩松光成、それから岩松俊光、それから労働組合の坂本委員長、小田切調査部長と面会いたしまして……八時三十分に一酸化炭素が〇・一%ありました。大体一時間半程度で死亡するという大体の文献だそうでございます。それから岩松がここと推定されるこの近所は扇風機のすぐ近くで、すでに箕輪主任がここに行ったときも火が見えておったということで、岩松のいると推定される所は、燃焼しつつあると推定されるのであります……どうも生きているとは思われない、死亡しているように思われる。で、このままほうっておきますと、ガスも漸次ふえつつありますし、それから燃焼もまだどんどん続いているような工合で、ますます事態が悪くなり、大きくなるおそれがある。どうも本人も死亡していると思われるので、水を入れたらどうだというようなことを話しましたところ、家族も組合も了承していただいた。それから次に、家族の中山源一という方と親戚の福永正雄という方にも同様のことを話しまして、そして密閉の了解を得ました。大体坑外の方にここのところから出ます水は、約一立方メーターぐらいで、ここを急速に水没しますには水量が足りませんものですから、二千メーター手前の坑口に消防ポンプを据え付けまして、消防のホースをつなぎまして、水を圧搾鉄管につなぐ準備をしておったのが、これが十二時四十分ごろ注水の準備ができ上ったそうでございます。そういうようなことで家族の方の了解を得ました。それから組合の方の了解を得ました。監督官にも申し入れまして、こういう事態になったので、こういう処置をとりたいということの了解をこれも得まして、二時ごろ注水を開始したそうであります。それから密閉の方は、こちらの△印の方は、これはすぐ入れますから、土俵の密閉を三時三十分から開始し、十日午前零時二十五分に完了した。こちらの方は盛んに煙が来るものですから人がたくさん進めぬ。防毒マスクをかぶらぬと入れないものですから、こちらの方ば防毒マスクをかぶった救助隊が入って、第二班は十五時三十分から二十時三十分までに作業しました。それからもう一つの第三班というのは、十七時十分から二十一時五十分まで作業をしまして、こっちの方は板張りとビニールの密閉を完了しました。そういうような状況で密閉を完了いたしましたので、通気はここからこう回ってここへ来るのでありまして、そこに扇風機があるのであります。この扇風機を十日の三時三十五分に停止して情勢を観測しておった。それから昨日の八時三十分にここのところで観測したところによりますと、煙が非常に少くなっておりますし、一酸化炭素もだいぶ滅ってきておるという情報でございました。それからゆうべの七時三十分から十時までの間、またここへ入って観測したのでありますが、その前にここへ入りましたのは、午後一時から三時までの間三回入っておりまして観測しておりますが、その後観測の結果は、これはうウンド・ナンバーでとっておりますが、酸素が八%、炭酸ガスが五%、一酸化炭素、これはほんの少し認められる程度、メタンガスが一・五%、そのあとは窒素、こういう結果が、三回やりましたが大体同じということでございます。それからなお、七時から十時まで入りましたのですが、それも大体同じような状況であるということでございます。
ただいままでわかっております状況は以上のようなことでございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/6
-
007・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) この際、委員の異動について御報告いたします。本日付にて島清君、藤田進君が委員を辞任され、補欠として大倉精一君及び山本經勝君が委員に選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/7
-
008・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) それでは、これより委員の質疑をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/8
-
009・阿具根登
○阿具根登君 あまり詳細なことがわかっていないようですから、非常に説明を聞いておっても、わかりにくい点が多いのですが、なるべく時間をとらないように端折って御質問したいと思います。ただいまの説明を聞いておりますと、事故が起ったのが四月九日の四時三十分、救護隊が入ったのが零時十五分、非常に救護隊の時間がひま取っている、こういうことが一点。四時三十分に事故が起っているのに、救護隊はその日のお昼の零時十五分。もう一つ私がわからないのは、救護隊が入る前に、その一時間以上前の十一時には、すでに家族を呼んでもう死んでいる、やむを得ないから水を入れるのだ、密閉するのだと、こういう相談をしておられたということになれば、もう救護隊の必要は、その時にはもうなかった、こういうことになっている。それからもう一点は、箕輪主任ですか、最初の説明では箕輪主任は三時半に回ってそうして一通り回ってベルトをかけさせて、それから扇風機のスイッチを入れさせた。しかも、そのときにガスの検定をされて、スイッチを入れろと言って上へ行かれた。ところが、知らせがあったときには、煙で中へ入れなかった、こうおっしゃっておった。そのあとに箕輪主任はまた扇風機のところへ行って火が見えた、こうおっしゃっているのが私にはわからない。煙があって行けなかったから上ったのだ、そうして採炭中の人たちに知らせようとした。ところが、その人たちが煙を見てよってきた、そういうならば、行けなかったはずなのに、どうして火が見えたか、そういう点が一つ。
それからその火災の原因、こればまだ探究されておらないと思うのですけれども、スイッチを入れて火が出たから、高橋という人がスイッチを切って直ちに連絡をして避難した、こういう御説明であったと思います。そうするならば常識として考えて、その前にもちろんこれは停電中であったと思いますから、ガス検定をするのは当然でございますが、ガスがなかったということになれば、スイッチ一つでわずか短時間の間に煙にまかれて大火災になるということは考えられない。ガスがあるか炭塵がなかったならば、そういうことは常識としては考えられない。そういう点について御解明を願いたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/9
-
010・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) ただいまの質問に対しましては御答弁があるはずと思いますが、委員の異動がございましたので、御報告いたします。西田隆男君が辞任されまして、本日木島虎藏君が委員に選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/10
-
011・阿具根登
○阿具根登君 何か現場と離れておるから、詳細のことがおわかりにならずにかえって誤解を生むような御答弁しかできないようだったら、御答弁願わなくてもよろしいですから、御答弁願えるところだけを……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/11
-
012・大溝友吉
○参考人(大溝友吉君) 先ほど申し上げましたように十分な資料がございませんので、私ども東京でわかります材料と報告とに基く以外は、お話し申し上げられません。その範囲で申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/12
-
013・阿具根登
○阿具根登君 そうすれば私の疑問はこれはここでは解けないということになりますので、もう一つ別の問題をお尋ねいたしますが、この密閉を決意されたときに、家族と組合の了解は得られましたか。そして監督官庁の御了解は得られたかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/13
-
014・大溝友吉
○参考人(大溝友吉君) 家族と組合を呼びまして了解を得てから監督官に申し上げて、こういうような事態になっておりますので密閉注水をやりたいということを、監督官に諮りまして了解を得たわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/14
-
015・阿具根登
○阿具根登君 そこで局長にお尋ねいたしますが、その場合監督官庁の立場として法の第何条によって処分されたか、お尋ねいたします。
その前にもう一つお聞きしますと、監督官庁の許可命令がなからねば、密閉注水等のことは私はできないと思うのですが、こういう点についても御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/15
-
016・小岩井康朔
○政府委員(小岩井康朔君) これは現地の報告によりますと、監督官が参りましたのが、大体十一時ごろと言われております。それで、ただいまのお話しのように水没の指令をしたのが、十二時四十五分と聞いております。まあ、四十分前後というお話しもございましたが、大体まあ十二時四十分前後、密閉も十二時四十五分前後、監督官が着きまして一時間足らず、監督官のけさのお話しでは、参りますとすぐ所長さんから直接相談を受けた。で、まあ十一時に着いたばかりでまだ状況も全然わからないし、もうそのときにはそろそろ考えておられたように思いまして、まあ水没、密閉もやりたいというお話を受けたそうであります。しかし今の御質問の、ように何条でやったかという点につきましては、監督官としては何条ということは全然考えてない。まあ、普通に考えるなら、規則の二十四条の一項二号に、緊急な場合には保安管理者が独自の判断でいろいろやるようになっております。しかし、まあ監督官として山側から相談を受ければ、もちろん知らない、勝手におやりなさいと言うわけには参りませんので、いろいろ事情を聞きまして、四囲の情勢から、やむを得なかろうということは申したそうであります。しかし、監督官も二十四条の一項二号によってやったとかやらんとかいう意識は持ってなかったと言っております。まあ、ただいまの質問に十分な答えかどうかわかりません。大体そんな状態であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/16
-
017・阿具根登
○阿具根登君 お聞きしておりますとですね、まあ私も現場を見ておりませんし、現地のこともわかりませんから、憶測でこういうことを申し上げると、まことに申しわけないと思うのですけれども、常識で考えた場合にも病人が死んで脈が切れても、二十四時間は自分の家に置いておくものなんです。ところが、四時三十分にそういう災害が起っており、私の質問にもお答えできないような現場になっておる。ガスがあったのかなかったのか。ガスが爆発したのかあるいは炭塵が爆発したのかもわからない。ただ、火災だと言っておられる。電気の火くらいで火災が一ぺんに起るわけはない。だからそういう点から考えてみても、これは資源の保護について、これは企業については非常に考えられておられるけれども、どうも人命について、人権について軽視されておられるような考えがして私はならない。
そこで保安局長に聞いてみれば、二十四条を適用したのだろうと思う。二十四条を読んでみます。「通商産業大臣は、鉱業の実施により、危害若しくは鉱害を生じ、鉱物資源若しくは施設を損じ、又はそのおそれが多いと認める場合において、必要があるときは、鉱業権者に対し、その鉱業の停止を命ずることができる。」責任はあなたの方にあるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/17
-
018・小岩井康朔
○政府委員(小岩井康朔君) 私の言ったのは規則です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/18
-
019・阿具根登
○阿具根登君 これによって規則ができているはずだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/19
-
020・小岩井康朔
○政府委員(小岩井康朔君) 保安管理者のやらなければならない規則の二十四条に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/20
-
021・阿具根登
○阿具根登君 そうすればただ聞いたから了解を与えたのだと、そういうことで、それじゃ保安監督官の責任というものはどうするか。保安監督官の職務権限のところを、一つ読んでいただいて御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/21
-
022・小岩井康朔
○政府委員(小岩井康朔君) ただいま私のお答えしましたのは、保安規則の二十四条でありまして、これは保安管理者が当然左の各号の事項を守らなければならないという中に、「災害が発生したときは、応急の措置または適当な危険防止の措置を講ずること。」こういう義務が保安管理者には負わされているわけでございます。従って保安管理者としましては、まあ二名行方不明でおりますけれども、これを救出するにも人間がかかるのですから、でき得る限り安全な状態にする必要があるために、いろいろの処置をとる必要があるわけでございます。こういう意味で、これによって行動をとったものと判定しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/22
-
023・阿具根登
○阿具根登君 そうするとですね、保安監督官が行ったのが十一時、そうしてそのときにはすでにもう保安管理者は密閉を決意して、家族にもう言い渡しておられる。そうすると、ほとんど保安監督官なるものは現場も見ずにそうしてそういうものを許可あるいは同意を与えた、こういうことに一つなります。それからもう一つ不思議に思うのは、警察官のことが一つも言われておりませんが、警察官は立ち会っておったかどうか、監督官はどういうふうにそれを解釈されているか、局長からお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/23
-
024・小岩井康朔
○政府委員(小岩井康朔君) ただいまの御質問でありますが、監督官としましては、警察関係にはまだ全然会っていないという電話をもらっておりまして、直接話をしたことはないようでございます。ただし、札幌の地検からは、池検事が見えまして、災害の状況を説明しましたところ、まあ密閉もいたしておりますので、直ちに札幌の方に引き揚げたという報告を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/24
-
025・阿具根登
○阿具根登君 そういう場合、死骸が——まあ死骸か、死骸でないかはわかりませんが、そういうのがある場合にですね、検察庁並びに警察等の認定は、その密閉する場合に要らないかどうか。刑事的な関係はどうなりますか。それはただ鉱山の保安管理者が死亡と認定しただけで、そういう密閉注水をやっていいかどうか。その点の法的な解釈を局長にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/25
-
026・小岩井康朔
○政府委員(小岩井康朔君) これは監督官としては、何条によってやったという考えはございませんけれども、私が先ほど申し上げました保安規則の二十四条の一項の二号は、これは保安管理者が独自でできるようになっておりまして、必ずしも監督官に、どうしましょう、こうしましょうという承諾、あるいはお話し合いをする必要はないようになっているわけであります。しかし、監督官も山に漕いでいる関係で、また、山の方も相談をされたということで、監督官も相談を受けてみれば、よろしいとか、よろしくないとかいうことよりも、まあ事情を聞いてやむを得なかろうと、こういう話し合いになっているわけでありまして、何条によって監督官が処置したという事実は、別にないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/26
-
027・阿具根登
○阿具根登君 この二十四条の解釈が私は少し違うのです。そういう特定な人間がまだ生きているか死んでいるかわからないのに、密閉するようなことを、ここじゃ私ほうたっておらないと思う。人間の危害、あるいは資材の極度な損耗、災害の拡大等を防ぐのが、これは私は趣意ではなかろうかと思う。私は鉱山保安法の、これの方が正しいのだと、そういう重大な場合には、私はその命令権は監督官の方にあると思う。
それからもう一つお尋ねしておきます。そういう人間が死んでいるか死んでおらないか、まだ災害が発生して十時間にも満たないうちに、これを死んでいるものとして密閉する場合の、その権限があるかどうか。鉱山そのものに対してはあるかもしらぬけれども、その下に入っている二名の者に対して死亡したということは、だれがこれは認定するのか。この問題です。今聞いてみますれば、検事が来た場合には、密閉されておったから、仕方がないと言って帰ったと言われるが、そういうことができるかどうかと、その問題です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/27
-
028・小岩井康朔
○政府委員(小岩井康朔君) これはお答えになるかどうかちょっと疑問ですが、監督官がまあ相談を受けまして、断定をするに至った理由は、大体三つ、四つあるのでありますが、そのうちの一番大きい理由は、探検をいたしまして、排気側でCOを、一酸化炭素を〇・一%以上認めているわけであります。これは先ほども説明がありましたように、〇・一%ございますと、一時間半いたしますと、大体死亡するというデータが出ておるわけでありまして、この学説もいろいろございますけれども、まあ大体そう何時間も、四時間も五時間も生きていない。〇・一%の一酸化炭素を吸えば、大体一時間半で普通の健康の人なら亡くなってしまうというような状態になっております。それが一つ。
それから入気側の方は、さっきも、人が行けば行かれるというお話がありましたが、この山は甲種炭鉱でございまして、坑内のガスが危ないということで、火気を厳禁している。そういう坑内で火災を起しております。もう火は十分にあるような状態でありますので、人気側の方から作業をさせることは、まあ少くとも爆発の危険が相当あるという認定をいたしているのと、それからいろいろの聞き取りから、まずこの残された二人の——まあいろいろ想像も入っていると思いますけれども、この残された行方不明の二人は、大体火災の現場を通らなければ逃げられないというような状態を考えておりまして、まずだめではないか。それにさらにもう一つ、この行方不明者の二名を救助するのも、これは人間が救助するのでありまして、でき得る限り安全な状態にしてやりませんと、かえって大きな災害を再度起すという点を考慮しまして、監督官としましては断定を下したようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/28
-
029・阿具根登
○阿具根登君 私が尋ねておるのは、二名の人を助けるために、また数名の人が危険をおかして、犠牲をおかしてまでやるのだと、そういうことを言っておるわけじゃないのです。たとえば一酸化炭素が〇・一%あって、それが一時間以上であったか、二時間以上であったか、どのくらい計っておられたか知りませんけれども、十一時ごろには計っておられる。それはわかっているけれども、それによって——これは今までの例はいろいろあるでしょうけれども、死んだものとして断定する場合に、ただ鉱業権者のその権限でそれをやっていいのかどうか。それを法的にお伺いしているわけなんです。その断定をだれがやるのか。状況を聞いてそれを断定するのはだれが断定するのかと、こういうことなんです。で、それを監督官庁も全然それはやっておられない。会社側もやっておられない。そうして事情のわからない家族に説得されておられる、組合の了解を得たと言っておられるが、私はそういう点がどうもはっきりしない。それからそれをしなければ……、できなかったのかどうか。もっと人命ということも考えていただくならば、処置はなかったのか、そういう点です。たとえ死んでおるであろうと思っても、非常な大きな災害、これは爆発するのだというような大きな災害の場合は別といたしまして、そこの限界を考えても、限界をどこに持っていくのか。で、私は細部について御質問申し上げたいのですけれども、当初の質問でもお答えできないようですから、私の考えは現地にやっていただいて、そういう点は御質問しなければ、ただ時間を食うばかりであると思いますから、他の同僚議員も質問があると思いますから、今の点だけ再度質問して、私の質問は一応終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/29
-
030・大溝友吉
○参考人(大溝友吉君) 委員長、ちょっと先ほどの説明が……。先ほどの救護隊がなぜ早く入らなかったかという点につきましては、救護隊の編成は、清水沢坑ばかりでなくて、夕張炭鉱の方からも救護隊を編成するようになっておりますので、そういう関係で、時間的におくれた点があるように思いますが、その辺のところは、つまびらかにしませんでございます。
それから箕輪主任の行動については、もう少し補足いたさなければなりませんが、箕輪主任はここのこの点をベルト・コンベヤーの運転を見まして、高橋という運転手に、このガスの検定をしたあとで、この扇風機の運転をするようにと言って、これをベルト卸しというのを上りまして、この三片坑道におりた。ここの三片坑道で電話でこういうことがあると聞きましたので、ベルト切りかえ卸しというのを下って来て、ここの二十メートルくらい上まで行きましたところが、煙が多くて下の方に火が見えたというので、そのまま進めないので引き返したということで、ここの下の後向ゲート坑道までは行っておりません。従って下のこの扇風機のそばまでは行けなかった、主任は行っておりません。従ってここの発火の状況を知っておるのは直橋という運転手一人だ汁だということでございます。
それからスイッチを入れてこれだけの大火災がどうして起きたかという御質問でございますが、どうもここの坑道が炭層の中を掘った坑道で、そこに扇風機が設置してありまして、スイッチ類をここに入れてありますし、そこは当然規定によります鉄板巻とかいう設備ばやってあるのでございますが、そういう状態で、どういうわけでそういう大きな火災が起きたかという点については、まことに私どもも不思議に思うくらいでございますが、従来の経験によりますと、必ずしも起きないと断定できない場合もあるのでございまして、実際事実が起きて見ておりますと、起き得るのだと思わざるを得ない状況になっております。何分この現場を見ませんので、それ以上の説明はちょっといたしかねます。そういう状況になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/30
-
031・阿具根登
○阿具根登君 それだけで確認していいかという問題ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/31
-
032・小岩井康朔
○政府委員(小岩井康朔君) これは先ほども何回も申し上げておりますように、二十四条の一項二号は、これば保安管理者が独自でできるようになっております。従いまして、もし保安管理者の処置が誤まっておったということが、妥当でなかったということがわかれば、結果は、後ほど刑事上の問題になることは当然でありますが、この条項に対して、監督官がどうこうということはできないことになっておるわけでございます。これは緊急の場合でありまして、監督官が間に合わないというのを大体原則にして、保安管理者の独自の立場で判断を必要とするという時期に、これが適用されるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/32
-
033・阿具根登
○阿具根登君 その問題は、「危険または危険のおそれが多いときは、ただちに適当な防止または応急の措置を講ずること」これと「災害が発生したときは、応急の措置または適当な危険防止の措置を講ずること」これでやられたと思うのです。これだけの解釈をされておるが、そこの中に人間が二人入っておるということはこれに当てはまらないと私は思うのです。人間が二人入っておるのをこれは死んだものとして、そうして処置していいのかどうか、ここを私は言っているのです。この条項についてやられるのはけっこうです。これは人間がいない場合です。人間がそこにいない場合に、そういう災害があるとか、あるいは危険だというような場合には、これは保安管理者がやってよろしい、こういうように私は解釈すべきだと思う。ところが中に人間が入っておるのですね。おそらくこれが生きておるとしたら、保安管理者であろうがだれであろうが、できないと思うのです。そうするならば、入っておるたとえば死骸なら死骸の損壊の問題、あるいは生きておるか死んでおるかという断定は、保安管理者がこの二十四条でやっていいかどうかということを聞いているのです。二十四条の一項二号を聞いているのじゃない。これは当然やるべきです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/33
-
034・小岩井康朔
○政府委員(小岩井康朔君) ただいまのお話し、私どももよくわかるのでありますけれども、非常にケースが少いのと、果して人間が入っておった場合に、これが生きておるということが考えられるときには、もちろん大きい問題になると思いますが、まず、先ほど私が申し上げましたような四つの点から、とうてい生存が望めないという点が一つと、そういう点がありましても、相当保安管理者としては頭を悩ました問題と思います。そういう結果、特に家族と労働組合の幹部の了承を得ましてこの処置に出たものと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/34
-
035・阿具根登
○阿具根登君 家族や労働組合は、おそらくこういうことは御存じないだろうと思う。家族なんかは知らないと思う。これは説得されておると私は思うのです。私は、そうなるものだと思っているものと思うのです。そこに私は問題があるのではないか。たとえばこれが清水沢炭鉱の二千三百トンですか、が崩壊してしまうといった場合にも、人間の命の、生死の問題、あるいは死んでしまったその遺骸の問題と、どちらを重視するかという問題なんです。たとえばこれがまた大きな炭鉱だからということであったならば、たとえば日産二十トンや五十トン取っているところでも、これは火災でつぶれてしまうのだ、そのかわり人命の危険はないのだ、入っていないのだから。そうした場合でも死骸はそういうふうにしていいのかどうか、私は大きな問題があると思うのです。だからこれをしつこく聞いているのです。そういう先入観において二十四条の規則は、そういうものでも何でも含めておるのだという解釈であるならば、これは、これに対して当然私たちは考えなければできない。ただこれはこういう資源のことじゃなくて、人命を守るために、こういう規定ができていると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/35
-
036・小岩井康朔
○政府委員(小岩井康朔君) これはなかなか簡単には十分おわかり願えるような御説明はむずかしいと思いますけれども、法の建前からいって、緊急の場合には私どもは、十分に相談ができない、そういう場合に保安管理者が独自に、適当に四囲の情勢から断定を下し得るために、こういう条項ができておるのでありまして、結果がもし悪ければ、当然刑事上の問題になるし、当時は、保安管理者としては全責任をもって、あらゆるところに相談をして断を下したものと考えられますので、管理者のとりました態度としては、現在のところはやむを得ないのじゃないか。特に新しい事実の出ない限りは、当然の処置であるというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/36
-
037・阿具根登
○阿具根登君 そうすると鉱物の資源確保のためには人間の生命、死体もしくは遺骸も犠牲にするという断定になるのですか、私の聞いているのはそこなんですよ。そのとった措置は間違いないのだ、あなたのおっしゃるのは、生きておったという確証があればまずいのだとか、そうではなく独自な問題が中に起っていて、刑事的の犯罪もあったかもしれない。そうしたときはこれは、この人は処分を受けるかもしれない、こう言われる。で、私があなたに聞いておるのは、いかなる災害が大小にかかわらず、それは企業をやっている事業家としては、その事業が一番大切なんで、事業を大切にするために事業が優先するのか、人間のからだが優先するのか、また、そのからだをそのままとるために、何人かの人が死ぬとかいうことなら、それは私は言わない。人間が上ってしまって、人間に損害はない、そうした場合にも資源の方が優先するのかといっている。これはそれをうたっているのじゃないと私は言うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/37
-
038・小岩井康朔
○政府委員(小岩井康朔君) 私どもの一番重点を置いて考えられる点は、まず生存が予想されないという……、二名がおりますけれども、まだ確認ができてない。しかし、ですからこの二名を何とか救い出すというためには、どうしても現場を救助のできる状態に持っていくことが必要なんでありまして、やはりそれには火も消さなければならぬし、救助のできる状態を現出してからでなければ、救助のできない状態になったのではないかというふうに想定しておるわけでございます。もちろん、これを端的に、人間が死んでいるかどうかわからぬというときに、密閉するということは、決して正しいことだとは考えておりません。しかし、まあその判断はでき得る限り公正な判断をなし得るように、保安管理者には臨機の措置として認めておるので、今まで監督官から報告を聞いております情勢では、やはり監督官もやむを得ない事情であるということを認めたようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/38
-
039・小西英雄
○小西英雄君 それに関連いたしまして阿具根君が聞いておるあれに対して明確な回答がないので、私からさらにお尋ねしたいのですが、生死不明の人がいる場合に、それを密閉する権限がだれにあるかということをちょっとこの際明確に……、今の、こういうふうに聞いてよろしいのですか、保安官がその際に自分の裁量でやってよいという判断ですか、それを一つ局長から聞きたいのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/39
-
040・小岩井康朔
○政府委員(小岩井康朔君) ただいまの質問、監督官ができるかどうかという御質問のように聞きましたが、もちろん監督官も緊急な場合には、いろいろの措置が部長にかわってできるような、緊急措置ができるような状況もございますし、監督官の判定いかんでは、やり得るようなことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/40
-
041・小西英雄
○小西英雄君 そうすると、やはり今とった措置が、そこいらの点が非常に明確じゃないのでありますが、その鉱山の監督者が、結局のところ人命の問題に対しても権限があるという御見解のようですが、私は先ほど阿具根君が言っておりましたように、その権限については、これは私たちも法の原則からいって、生死不明の場合に、それほどの広範囲な権限は法律上ないと私たはち考えておるのですが、局長においてはあるという今の御返答のように承わりましたが、そう聞いてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/41
-
042・小岩井康朔
○政府委員(小岩井康朔君) これはまあ特別な例でございますけれども、炭鉱で坑内に爆発がありまして、なお坑内に生存者が多数ございます場合には、普通ですと、そのままですと、排気側の方に一酸化炭素が流れますので、排気側の方の人間が大体やられることになるわけであります。従って炭鉱の坑内に爆発があって、坑内に生存者がある場合には、排気側の人数と人気側の人数を大体計算いたしまして、排気側の人数が非常に多い場合には、扇風機を逆転しまして、人気側の方の人間を犠牲にするわけであります。私どもは非常に重い権限を持たされておるわけでありまして、災害の実情によりましては、何人か少い方を犠牲にするという方策をとっておるわけでございまして、これはまあ一例でありますけれども、常にそういうようなケースにはぶつかり得る仕事をやっておるのであります。特に今の例は、ほとんどございませんけれども、いつでもまあ起ればどちらか少い方を犠牲にいたすという考え方を常に持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/42
-
043・小西英雄
○小西英雄君 大体その御答弁はわかりましたが、私が今大溝参考人からの説明された範囲におきまして、われわれの常識、また機械屋の常識としてでも非常に珍答弁というか、こういうふうな被害が起ることがあり得ると、これらの非常に危い炭鉱においては特にそういうような火の出るような可能性のあるところについては、鉄板でおおうとか、いろいろな点が相当こまかくきめられておりますが、火の出た原因について、またあるいは煙が非常に出て、火が出ておったからもうそこへ行っても仕方ないような、もう行けなかったというふうなあれをいたしておりますが、私はこれは一に会社側の非常に不行き届き……機械を管理しておる運転者のこれが非常な欠陥である。火がモーターあるいは扇風機の近くから出たという答弁をいたしておりますが、なぜそういう火がモーターや扇風機付近から出るかというと、先ほどベルトがとまっておったということを私たちが判断いたしまして、これはモーターかあるいは機械の磨滅する運転部門、このメタル部門に非常にロードがかかって、上か何か入って相当に時間がたったために、すでにスイッチが……、ベルトがはずれたときにほすでにそれがロードがかかって、そうしてモーターがとまっておる。それに対して相当な時間がおかれてあった。それをかけてあわててスイッチを入れてみると、そこに相当な熱を持っておったために、ヒューズが飛んだ際にそこに火が燃え移った。いろいろなことをここで想像されるのでありますが、実際には円滑にロードがかからぬ場合に、炭坑の中といえども決してそんな火が出るような状態にならないのでありまして、これは技術部長であられるおそらく大溝参考人については内心……、この起った原因については、現地をよく調べておられるようでありますが、結局虚心たんかいに言いますならば、これは会社側の非常なミスであるということは、私たちは明らかになったと思うのであります。そうしてまた、煙が出ておった、火が出ておったという範囲についても、現地の状況をもう少し明細にしなければわからないのでありますが、よくあることでありまして、非常にロードのかかったところは、スイッチを入れて、一気に相当ヒューズが飛ぶ際に煙が出まして、あるいはその付近の何物か、いろいろな線を巻いておるものに火がつくとかいうことが、しばしば炭坑の内部においては起るのでありますが、そういう点について、煙が出たと錯覚して一人の者が報告して中に入らなかった。あるいはまた、それを現地にスイッチを入れた者が何とか処置をしておるということのときに、あわてて出て行ったのじゃなかろうかという想像もできるのでありまして、実際技術部長であられる大溝さんが、この鉄板で囲っておるスイッチあるいはその付近のモーターの状況を、これはまあ今のベルト・コンベヤーか、あるいはそれぞれのロードがかかって、そうしてモーターが相当な熱を持っておったところを注意されて、運転の不行き届きからこれは出火したということを、われわれ想像いたしてかたくないのでありますが、そういう点について明細な報告がないと今言われておりますが、良心的に私たちは、これは一に会社側の不行き届きであったということだけは、ここで申し上げられると思うのでありますが、参考人として来られた技術部長に、一つそういう点について御答弁を願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/43
-
044・大溝友吉
○参考人(大溝友吉君) ただいま大へん詳細なお話をお伺いしましたが、局部扇風機から火の出た原因につきまして、ただいまおっしゃられましたような、扇風機の中に石や何か入って、そのためにロードがかかり、オーバー・ロードになって火を発したのじゃないかというお話しでございましたのですが、そういう場合も考えられるのでございます。それからまた、そのほかのケーブルのパンクであるとか、そういうような原因も考えられるのでございます。で、局部扇風機のモーターの中で起きたのか、あるいはその付近で起きたのかというような点も、まだ詳細に判明しておりません。従いましてそれがわれわれ会社の責任のものであるのか、あるいは不可抗力的なものであるかという点の御説明も、いたしかねる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/44
-
045・阿部竹松
○阿部竹松君 一つ二つお伺いするわけですけれども、その前に保安局長にですね。昨年と、今より一カ月くらい前に、非常に災害がたくさん起きますので、私はまあ強く御要請申し上げたわけですけれども、また、こういう問題で緊急に委員会を開いて御論議願わなければならないということは、非常に残念だと思います。それで例をとってみても、四年前に太平洋炭坑が爆発して一回に三十九名も亡くなった。その次の年の六日に大夕張炭坑が爆発して保安責任者ほか四名が亡くなり、三井田川炭坑でもやはり爆発を起して九名、赤池で同じ年に爆発して十二名が亡くなった。それからまた北海道に戻って住友赤平炭坑で八名亡くなった。一昨年になって今度は一番大きな、雄別の茂尻炭坑が爆発、一瞬にして六十名も亡くなっておる、こういうことを繰り返してきたので、保安局長に何回も強く保安のことに関して、しつこいようですが御要請したのですが、今年になってからも九州の明治の佐賀炭坑が爆発しで犠牲者を出した。山形県の中小炭坑ですが、田川炭坑が爆発して四名亡くなり、また今度の事件なんです。そこでこれは角度が変っているのですが、鉱山保安法の五十四条によれば、こういう問題が起きた場合には、労働大臣が通産大臣に勧告することができるような内容になっております。こういう問題について、労働大臣に何か勧告を受けたり要請を受けたことがあるかどうか、これは保安局長でなく政務次官の御答弁になるかわかりませんけれども、そういうことをまず一つお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/45
-
046・小岩井康朔
○政府委員(小岩井康朔君) ただいまの御質問ですが、仰せの通り、一昨年あたりが非常に大きい災害が続出したことは、これは事実でございます。何とも申し上げようがないと考えておりますが、その後非常に私どももいろいろな面で努力をいたしまして、実は昨年は数十年来の非常な好成績をあげたわけでございます。これは考えようによりましては、いろいろあると思いますけれども、死亡、重傷、軽傷の三つ合計いたしますと、もう二十五年あたりの、保安法が施行されました当初から見ますと三分の一以下になっておるわけであります。大がいの保安年報には、御同慶にたえぬという言葉をしょっちゅう使っているわけであります。しかしながら、死亡、重傷はなかなか減らないというようなことがよくいわれておりますので、特に私どもは昨年死亡を何とかして減らそうということで、重大災害の減少ということに最重点を置きました結果、昨年は六百十名、三十年来の好記録でありまして、もちろん一番悪い死亡だけを考えましても非常に好成績であった。従いまして、こういう時期に一つゆっくり皆さんに保安の数字を見ていただきたいというつもりで、ささやかなものでありますけれども鉱山保安白書というものを作りまして、関係方面にお配りしたような次第でございます。しかし、私どもは決して昨年の成績をもちましてこれで成績が上ったのだという考えは毛頭持っておりません。ただいま御指摘のように、最近の、小さくではあって毛爆発がかなり回数がよけいございます。しかし、私どもの今一番当面の大きい問題としておりますのは何十人も一ぺんに、一瞬に死亡者を出すというような、まず重大災害を絶対に起さないという方針で今進んでおりまして、幸いに昨年の十四名の常磐炭鉱の坑内火災、これは三月十四日ですか、そういうことも三月に起りました。この常磐炭鉱以降の一年余というものは、特に新聞に大きく書きたてられるような変災はないのでありまして、私ども非常に喜んでおります。しかし小さい変災でありましても、もちろんこれが起っていいということではございません。漸次頻発災害といわれております落盤とか、運搬の災害、今年度は必ずや一割くらいの減少に持っていこうというのが、私どもの保安局の一番大きな目標になっておるわけでございまして、一昨年あたり大きい災害を頻発いたしましたことについては、深くおわび申し上げておきます。
ただいまの御質問の、労働大臣の方から勧告があったかというお話しにつきましては、一昨年あたりの災害が続出しましたときに、一度勧告を受けておるのでありますが、その後は勧告は受けておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/46
-
047・阿部竹松
○阿部竹松君 局長はいつも御同慶の至りとか、そういうことをおっしゃるけれども、実際六百数十名亡くなっているのですね。六百数十名亡くなることが御同慶の至りか、喜ばしいことか、僕はわかりませんよ。そういう感覚で監督行政をやっていただくということは、非常に私は遺憾だというように思うわけでして、決してあなたのあげ足を取ろうとか、いやみを言おうというのでなくして、少くとも三日前にこの災害が起きているのですから、報告等においても一分三十秒ぐらいで非常に簡単なものなんです。またわからないと言ってしまえばそれまでだけれども、もう少し熱心にお調べになって、やはり私はこう思うと、事の善悪は別ですが、そういうことをお伝え願いたいというふうに考えるわけです。
そこでもう一つ局長にお伺いするのですが、これは御承知かどうかわかりませんけれども、局長も北海道の札幌においでになっておったので、夕張も知っておられると思います。そこで今度の爆発現場と夕張警察署ですね、あそこに清水沢本坑で爆発があって、三百メートルか四百メートルしか離れておらぬ。そうしますと坑内で落盤事故でたった一人犠牲者が出ても、警察はその現場まで入って行きます。そこで、さいぜんの阿具根委員の質問にも関連するわけですが、警察がどういう判断をしたかということが問題になるかしりませんけれども、もし警察が、生死不明にもかかわらず密閉してしまった、毎日新聞は蒸し殺したと書いておりますが、そういう場合に、警察はまことに違法であるといって告発する場合もあり得るわけてすね。その相手は監督官庁であるあなた方であるか、保安管理者である鉱業権者であるか、そのあたりの今までの例と、例がなければ、あなたの御見解を一つ承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/47
-
048・小岩井康朔
○政府委員(小岩井康朔君) ただいまの御質問をちょっと了解しかねたのでありますけれども、私の方の責任か、あるいは警察の方の責任かと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/48
-
049・阿部竹松
○阿部竹松君 もう一度私話しますから。完全に死んでいるか、生きているかわからぬ、まだ断定もできぬうちに密閉するということは、もうとにかくきたない言葉で言えば殺人罪になるかしれませんよ。もちろん事情によっては、情状酌量ということがあるかもしれませんです。故意にやったかどうかは別として、殺人罪を構成するかもしれぬ。そのとき警察が、今度検事公訴になるかどうかわかりませんが、そのときの相手は、つまり加害者といわれる者は、監督官庁であるあなた方であるのか、それとも、これは公判の結果どうなるのであるかわからぬけれども、そのときの加害者と称せられる者が監督の任にあずかるあなた方であるか、あるいは保安管理者であるか、どちらが検事公訴の相手になるのですか、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/49
-
050・小岩井康朔
○政府委員(小岩井康朔君) これは私どもは正しいと思っていたしましたので、ここは裁判の結果を待つしか、方法としてはないのじょないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/50
-
051・阿部竹松
○阿部竹松君 正しいか正しくないかは、とにかく最後ば高裁まで行くかしらぬけれども、そこに発展すると、あなた方は正しいと思っておやりになったかどうか知りませんけれども、一方亡くなった方の家族とか、あるいは第三者から見て、これば正しくないというようなことで告発するかもしれません。そのときの相手方ほどなたになるのですか、責任のあり方です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/51
-
052・小岩井康朔
○政府委員(小岩井康朔君) 繰り返しますが、もちろん山の方も、自分たちのやったことが正しいと思ってやっているに違いないし、私の方も四囲の情勢から、監督官がやむを得なかろうという判断を下したからやっておりますので、あるいは警察の関係からおかしいということで、いろいろな問題が起りましても、結果は裁判の結果を待つしか方法としてはないのじゃないかと思います。私の方にありますと言うわけにも参りませんし、先方にあると言うわけにもいかない。裁判の結果を待って私の方になるか、鉱業権者になるか、それは私どもの方で現在のところ申し上げかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/52
-
053・阿部竹松
○阿部竹松君 そうすると、鉱業権者はこうしなければならぬ、保安管理者はこうしなければならぬというその意見に対して、あなたの方では正しいと、それはやむを得なかろうと言って断定したのですから、つまり責任はあなた方の方にあるわけですね、そういうことでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/53
-
054・小岩井康朔
○政府委員(小岩井康朔君) それは考えようがたくさんございますが、現地の監督部長の処断といたしましては、先ほど申し上げましたように、規則の二十四条の一項二号、これは保安管理者が独自でできるものであります。たまたま監督官が山におじやまをしておりまして、ちょうど時間に間に合ったので、鉱業所長から相談を受けた。しかし相談を受けてみれば、二十四条の一項二号で参りなさいというわけにも参りませんので、いろいろ事情を聞きまして——まだ調査も何もしておりません、着いて間もないのでありますから——かくかくの事情ならばいたし方ないでしょうという、間接的な同意をいたしたのでありまして、あるいはそれが、もちろん同意になるかもしれませんし、その処置につきましては、私どももちろん責任は感じておりますが、判定は私どもの方であるということは申し上げかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/54
-
055・阿部竹松
○阿部竹松君 炭鉱汽船の大溝さんと森下さんに、これは事故の対策で非常にお疲れになっておるので、御質問するのもどうかと思いますが、一つ二つお伺いしたいと思うのです。大へん失礼ですが、今木社ということですけれども、夕張にお勤めになったこと、昔でしょうが、おありでしょうね、現地に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/55
-
056・大溝友吉
○参考人(大溝友吉君) 私は夕張には、前後通じまして十一年ばかりおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/56
-
057・阿部竹松
○阿部竹松君 そうしますと、さいぜん阿具根委員も質問しておりましたが、四時半に事故が起きて、それから坑外連絡をして、そうしてあそこに清水沢とか平和とか真谷地、登川、新夕張、夕張本鉱とかあるのですが、そうすると二時間ないし三時間くらい救命器隊が大体全員とも行かれて……。私も夕張出身であるからわかるのですが、そのくらい集まって、対策を講じしれるような、道は悪いのですが、バスは通っておりますから、そのくらいのことはできると、常識判断ですから、当るか当らぬかはわからぬのですが、私ども思うのですが、そうすると、時間が相当かかったように思うのですが、この点はどう判断されているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/57
-
058・森下星一
○参考人(森下星一君) 救護隊のお話しですが、清水沢の方にも三班くらいの隊員がおりますし、これは想像ですが、何も報告はされておりませんが、おそらく二時間くらいは清水沢に待機しておった場合はかかると想像いたしております。従来の例からいきまして。ただ今回の事件が、排気側の方がその前にすでにある程度一酸化炭素が充満しておったということもわかっておりますし、排気側の方は、縦坑の下までは救命器を使わずに入れるような状態になっておったわけであります。それで縦坑から上の座というのは、いわゆる炭層の座でございまして、ここが非常に燃えておると、それから燃えた結果はどうなるかと申しますと、ある時間がたつと崩落というのが伴います。そうすると、いわゆる通気の変更によりまして、ガス爆発ということも考えられるので、おそらくこれも想像ですが、保安管理者はその排気側に救命器隊を入れることを控えたのだろうと想像いたしております。これは私の想像ではなはだあれですが、清水沢坑にも三班ばかり編成しておりますから、おそらく清水沢は二時間くらいで招集ができたはずだと思っておりますが、招集の命令を出したか出さなかったかも報告を受けておりませんから、この点悪しからず御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/58
-
059・阿部竹松
○阿部竹松君 保安を担当されているのですから、先生に向って生徒が聞くようなものですが、一酸化炭素があっても、煙があっても、救護隊は救命器をしょっているから入れるわけです、爆発のおそれとか、温度が高くなって、火災が起きれば当然入れぬでしょうけれども。さいぜんから大溝さんのお話をお聞きすると、一酸化炭素は何パーセントあったとか、煙がどうで入れなかったというようなお話しですが、そういうことでなくして、爆発のおそれがあるとか、崩落のおそれがあるとか、あるいは火がぼんぼん燃えてきて熱くて入れぬというようなことではなかろうかと思うのですが、しかし、それにしてもあまり時間的におそかったからだんだん延焼してきて、小さいぼやが大きくなってしまったのではなかろうか。もう少し急々にやれば、こればあまり火がぼんぼん燃えたり、煙が出たり、一酸化炭素のパーセントがどんどん上らぬうちに処置できたのではなかろうか、こういうふうに判断をするが、この点が一つ。
もう一つ、十二時四十分にようやく坑内注水をするような設備ができた。十二時四十分というと四時から計算して七、入時間経過するのですね。そうすると七、八時間経過しなければとにかく注水の準備ができない、あるいはエアー・ポンプを使っても、それを先の方をぶちこわさなければ注水できないというようなことで、私ちょっとそのあたり不思議なんですが、この点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/59
-
060・大溝友吉
○参考人(大溝友吉君) 先ほど申しました、その十二時四十分にできたというのは、坑口に消防ホンプを、——般に使います消防ポンプを、あれを持ってきまして夕張側から水を揚げまして、二千メートルの間消防ポンプのホースをつないで、その先にあります、(図を示す)ここに、この手前が二千メートルあります。ここに圧搾室があるものでございますから、ここまでホースを持ってきて、ここの圧搾管につないだのでございます。それですから、大体見ますとやはりそのくらいの時間はかかると思っておりますが、それは一時間とか三十分とか、もっと早くならなかったかということは、想像でありますが、大体そのくらいの時間を要すると考えるのであります。
それから圧搾管としましても先をぶちわらなければならないというようなお話がありましたが、そういうことで、ここまでここのポンプの排水鉄管がきておりますので、この排水鉄管に圧搾鉄管をつなぎまして、揚水管を逆に下に水を流す方法をとったわけであります。ここまでは水平坑通のところですから、排気なのであまり危険がないわけで、七時二十分ごろ早くやったということは、おそらく事態が悪化しないうちに、その点だけを早く段取りしておこうということで、朝の七時三十分ごろにやったのではないかと想像しておりますのですけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/60
-
061・阿部竹松
○阿部竹松君 そうしますと、二名がまだ坑内に残っておるにもかかわらず密閉した、その最大の理由はどうなんですか。最大の理由ですね、たとえば切羽がなくなってしまうからとか、坑道が崩落で使用できなくなるとか、理由はいろいろあるでしょうが、密閉した。二人の人間の生死がわからぬにもかかわらず密閉した理由ですね、それを、最大の理由を一つお聞きしたいのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/61
-
062・大溝友吉
○参考人(大溝友吉君) 先ほどから二人の生死云々の問題が議論されておりますのですが、保安管理者としては、そのいろいろの情勢から判断しまして、生存はむずかしいのではないか、絶望ではないかといろ判断の次に、密閉という問題が出るわけでございますが、ではその密閉をどうしてしなければいかぬかという点は、先ほど保安局長からもお話がありましたように、あとその二人が大体において絶望であるという想定のもとに立ちましても、その死体を出すにはまた再び坑道を取り上げていかなければならない。何分ああいうふうに火災も盛んになってきつつありますので、それをそのまま大きくしておきますと、そういうような死体を出す時期も、当然現場が荒れるに従っておくれる、できるだけこれを、早く火をしずめることが、今後のいろいろの罹災者のあとの処置に対しても弔いのでないかという考え方と、それからガスも漸次与えつつありますので、これを放置しておけば、いっこの次は爆発を起すか、その危険も出る、そういう点も考えられる。それでこの密閉をして、早くこういうような危険な状態を収拾しなければいけない、こういう判断であると、私は想像しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/62
-
063・阿部竹松
○阿部竹松君 そうすると、こういうことですね、とにかくこのまま放置しておけば坑内が廃墟と化してしまう。従ってどうせ二人の人が、お気の毒であるが、なくなったのであるから、このまま放任しておくと二人の死骸すら回収ができない。そこで密閉をして、とにかく坑内の火を消してしまう。そこで取り上げをやったり、いろいろな手段を講じて、二人のなくなった方をやはり掘り出すことができるから、そういう目的で密閉をなさった、こういうことなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/63
-
064・大溝友吉
○参考人(大溝友吉君) そうなんでございます。それともう一つつけ加えておきたいことは、あの事態としましては、放置しておきますと、ガス爆発あたりも、さらに変災を大きくするおそれもある、そういう点もあると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/64
-
065・阿部竹松
○阿部竹松君 そうしますと、二つの杞憂でやられたようですが、もう一つだけお伺いしたいんですが、大野さんという人と、箕輪さんが二人いるわけですね。箕輪さんという人は保安担当の主任さんで、大野さんという人は切羽関係の担当の係員ということになるんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/65
-
066・大溝友吉
○参考人(大溝友吉君) そうです。あそこの制度としまして、本坑の係長というのがおります。それが本坑方面を総轄しておりますのですが、その下に主任というのが四人おりまして、半分が坑内主任、半分が保安主任ということになっております。一番方、二番方、三番方、たれか一人ずつ主任がおり、勤務することになっております。箕輪はその保安主任で三番方を担当している、それから大野は切羽の担当をやっている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/66
-
067・阿部竹松
○阿部竹松君 最後に、一つお伺いしたいんですが、さいぜんの大溝さんのお話しですと、箕輪さんという人が、火が出て、煙が出たので上の方へ行ったところが、大野係員と会った。そこで、こういう事情だから切羽の作業をしている者の引き揚げを命じたというお話しもあったので、この通りであるのかどうかということと、もう一つは、途中まで電気は来ているのだが、切羽まで行くところのベルトがとまっておって、電動機がとまっているわけですね、つまりさいぜんの小西委員の発言の中にもあったと思いますが、どこに故障があるかわからないが、とにかく人間がとめたのではなくして、事故によってとまったんですが、スイッチを入れろといって係員がだね、何といいますか、従業員に命じていかれたのかどうかということと、もう一つは、そのときその辺でガス測定をやったかどうか、これはおわかりになるかどうかわかりませんが、その点だけ一つお知らせ願いたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/67
-
068・大溝友吉
○参考人(大溝友吉君) 箕輪がここを回ってきたときにベルトがとまっておりまして、これを上げて、ここへきたところが、これは氏名ははっきりわからないが、たれかが、電気はかかれるようになったと言うので、このままここへ帰ってきて、ここへ来て運転手にベルトをかけて、もらった。そうしたところが、ベルトがかかって、コンベヤーが運転し始めた。それで電気が来たということがわかったので、その次には局部扇風機をかけなければいかぬということで、ガス検定をして、ここの大橋という運転手に扇風機をかけるように言って、これは帰ったそうです。それでどうも時間的のあれを見ますと、箕輪が高橋に命じて、高橋がすぐ局部扇風機をかけたように思われない。そこに多少の時間的のスレがあるようでございますが、その辺のところのこまかいところは、ちょっとまだこちらでは不明瞭でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/68
-
069・山本經勝
○山本經勝君 先ほど阿具根委員の方から質問があって、局長の方の御答弁は私も伺っておったんですが、それはあの保安規則の二十四条の問題です。そこで今後さらに審査を進める上からも、それからいま一つは、基本的に、わずか人員にしては二名でありますけれども、作業中の二名の鉱員が生死不明のまま密閉をされた。先ほどのお話しのように、新聞記事等では蒸し殺したという残酷な表現で報道されておりますが、こういうような状態が起ったのですから、ここで私は局長のこの規則に対する解釈を明確にしておいていただきたい。それは二十四条の第一項に示されておりますように危険な状態、あるいは危険の起る状態、この危険というのが、対象になるのは一体、何でしょうか、その点はっきりお願いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/69
-
070・小岩井康朔
○政府委員(小岩井康朔君) これは人の場合もありますし、施設の場合もありますし、いろいろあると思います。一番大きいと考えられるのは、人に対する危害、施設を大きく崩壊する危険の場合ということが考えられると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/70
-
071・山本經勝
○山本經勝君 そうしますと、今の局長のお話を私の受け取り方が誤りであったら悪いですから、念を押しておきますが、人の場合、それから資源、その他、施設の場合、こういうことになると思いますが、それでよろしゅうございますね。そうすると、ウエートを置くのは、まず人ということだとわれわれは考えております。また、そうなきやならぬと思います。鉱山保安法の三条において明確に示しておる鉱山における人に対する危害の防止、鉱物資源の保護、鉱山の施設の保全、鉱害防止、こういう四項目があげられておりますが、そのうちで一番トップに出ておるのは人、こういうことだと思うが、その点もそう確認してよろしいと思いますが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/71
-
072・小岩井康朔
○政府委員(小岩井康朔君) その通りでけっこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/72
-
073・山本經勝
○山本經勝君 そこで、第二の問題に移りますが、災害が発生した。今度の場合におきましては一応火災と見られておりますが、原因、その他経過等についての詳細な実情は、大溝参考人の御報告によりましても、直接現場を見ておらぬ関係もありまして、よくおわかりにならぬようですが、そこで非常にあいまいな状態の中で、二名の罹災者の中で回収されていない人々を現場に残した状態の中で、これを密閉したと言うのですから、言葉は悪いですが、蒸し殺しということもあり得るし、ないということは保証ができない。かりにたとえて申しますと、坑内はあそこの図面にもありますように、非常にたくさんの坑道が縦横無尽に走っておる。しかも延び先が行詰りで掘進の坑道の延び先というものは、相当長い距離にわたっておる。下ろし口にはたいてい扇風機とか、その他巻き上げの電動機とか、いろいろの機械が敷設されておる。そこで今度の場合も電動機にスイッチを入れたのが原因のように伺っておりますが、そうしますと、ある一カ所の坑道の下ろし口の、ような場合がある。そこで火災等の事故が起れば勢いその延び先で作業をしておった人々は通路を遮断されることになると思うのですよ。そうすると、ここの法の先ほどの局長の解釈からいきますと、鉱物資源の滅失を中心にして爆発の危険がある、あるいは火災の拡大をするおそれがあるということで密閉をするというのですから、そうなった場合には、いまだ生存している延び先の作業要員が通路を遮断されたために動けないでおる。それに対する救済が先行しなければ、私はこの法の精神が生きてこないと思うのですが、局長の解釈はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/73
-
074・小岩井康朔
○政府委員(小岩井康朔君) これは何回も御説明しておりますように、保安管理者の一応判断にまかせてあるわけであります。その判断が、もちろんあとになって悪ければ、いろいろ問題は起りますし、また監督官が参りまして、もしそれが十分生きているかもしれぬという多少そういう点が考えられるにもかかわらず、鉱業権者側で密閉を考えておるという場合がもしあれば、監督官はこれは中におる二名の急迫な危険ということのために、三十六条を発動して密閉はいかぬということを言うこともできますし、これはそのときの情勢によって判断する以外にないので、私どもとしては当時の保安管理者の考え方、それから監督官の考え方、これによってきまると思いますけれども、今回の場合は何回も御説明しましたように、大体いろいろの点から考えて、まず生きていることはないという断定を下したものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/74
-
075・山本經勝
○山本經勝君 局長に私そういうふうな答弁を求めておるわけじゃないのですよ。私の質問の要領が悪くて、意味が取れなかったかもわかりませんが、一応仮説を申し上げた。それは図面がございますように、非常にたくさんな坑道が輻湊している。その中で作業の中には掘進作業と、まあ掘進作業の場合を例に引いたが、長い坑道があり、沿層にせよ、岩磐にせよ、掘進されている。ところが、その下ろし口には、大てい延び先で使う動力になる電動機や、あるいは空気を送るところの送風施設や、こういうものがあることは御承知の通りです。そうしますと、もしそののど口に当る下ろし口で電動機や、その他の故障、あるいは原因はともあれ、火災等が起って通路が遮断されますというと、延び先の方は動けなくなり、逃げる方法がなくなる。そういった場合にその小さな火災の原因が拡大して鉱物資源を滅却する、あるいは施設を損壊する、こういうことで坑道を遮断することによって、その災害を防止するということになりますというと、その延び先で働いている人間はどうにも救済の方法がなくなるのですがね、だから火災が起った、あるいは事故の起った原因をとって除き、あるいはその火災を消しとめるというその作業が先行するのか。そうして資源を、つまりその災害を拡大し、あるいは爆発等を誘発して大きな事故になったらいけないから、その前の水平坑通なら水平坑道を遮断して、その火災をとめるということが先に行われるのか、そこなんですよ。これは非常に重要な問題だと私は思う。労働者が基本的な生活権を持っている。基本的人権と、とかく申しますが、この生きている者の生命ほど基本的な重要な問題はない。しかも、労働によって生活をする者は、働かなければ食えないから、そのおそろしい坑内の作業にも日々従事しておるのです。ところが、その労働者を守るということが保安法の規定の第三条の第一項に掲げられている。要するに資源、施設等は率直に申し上げて第二義だと思うのです。でなければ、この法律の意味がないと私は思うのですよ。たまたま今度は二名でありますけれども、そうではなくて、今のような私が引例したような事態が考えられます。今度の場合でも、すでに九日の午前四時半にこの問題が発生している。そうしてわれわれにはどうしても納得のいかぬのは、いわゆる先ほど阿具根委員も質問しておられまして大溝参考人からも御答弁になっておりましたが、きわめて不十分です。というのは、少くとも救護隊を入れて、いわゆる救命具をつけた人々が入っていって救済に当るか、あるいは何か消火器あるいはこの災害を防止する適当な処置が、もっと積極的に講じられるべきではなかったかと私は思いますが、現場の状況もわかりませんので、現場の報告は不十分ですからよくわかりませんが、しかしながら、あなたは法の施行に当って指導をし、監督をする任務を持っておられる。そうしますと、この法の解釈は人間の生命が窮一義であると私は考えるのですが、もし先ほどのあのお話しのようなことでは、単にそのときの判断は正しかったであろう。こういうようなあいまいなことば、私は納得できない。ですからこの点をもう一度私ははっきりと、今申し上げた例の場合を引用して、いわゆる人命救助をまず保安規則の規定にのっとってやる、前段の仕事がどうであったかということが解明されて、そして最終にいかなる手段ももはやない。刀折れ矢尽きたという姿でもって、ほかには何も方法はないというところで、最後の判断を下されるものだと私は考えるのですが、この法の解釈の問題を、局長に明確にしていただかないと、おっつけこれは労働者の問題ですから、社会労働委員会でもこの問題は取り上げて参ります、その際の基礎にもなろうかと思いますので、この点の解釈を局長から明確にしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/75
-
076・小岩井康朔
○政府委員(小岩井康朔君) ただいま仰せの通り、保安法、保安規則ば大体趣旨といたしましては、労働保護立法でありまして、もちろん、労働者の危険防止ということに大きい主眼を置いているわけでございます。今のお話しの例のような場合には、どちらを先に考えるかというと、当然人間の救助ということを考えるので、人間の救助を考えた場合に、救助がなし得ないと、それはもうその実情によって判断するしかありませんが、先方に人がおって手前に火災の個所があって、直ちに救出したいけれども、救出の方法があっててしなかった場合は、もちろんいけませんが、まず第一に人間の救助を考えて、それが救助の方法が立たない、その救助の手段として火を消すなり、もう少し弱めるなりしなければ救助はできないという場合には、いろいろな手段方法を講じられてくることと思います。しかしどちらを先に考えるかというと、これはもちろん疑う余地もない、資源の保護よりも人間の救助をまず第一に考えるのが至当であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/76
-
077・山本經勝
○山本經勝君 そうしますと、先ほどの当時そのときの状況から、保安管理者がとった措置並びに現場に派遣されておった監督官の承認を受けたか受けないかは別といたしまして、一応話があってやむを得ない方法であると判断をされたというのですが、その場合のいわゆる責任というのは、これは先ほど阿具根委員からも質問しておったが、局長の答弁は非常にあいまいである。この問題に対する私の解釈から申しますと、それはやはり保安管理者にありはせぬかと思うのですが、この法の解釈はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/77
-
078・小岩井康朔
○政府委員(小岩井康朔君) これは先ほどから何回も申し上げました通りに、緊急の場合の処置でありますので、保安管理者が一応全責任を持ってやるということであります。ただ、今回の場合は監督官がたまたま事前に間に合いまして、若いてすぐ相談を受けておりますので、これは表面は相談を受けなくても独自でもできると、またやるベきてだといえことですが、相談があってまだ調査も何もしておりませんので、監督官としては正式によろしいと言ったわけではないということを電話で入れておりますけれども、おそらくその気持といたしましては、山側から単独でできることではあるけれども、相談を受けておるので、一応事情を聞いて、かくかくの事情ならいたし方あるまいという間接の同意をしたものと、私どもは考えております。もちろん、全責任は保安管理者にあるわけでございます。緊急事態の処置ということで。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/78
-
079・山本經勝
○山本經勝君 そうしますと、つまり今の現場には監督官が行かれて、それは私ども炭鉱出身ですから、よく炭鉱の事情はわかっておる。そこで、その現場に行かれた監督官に、保安管理者が、ただかくかくの状況なり、そこで坑内に残っている二名の者はどうなっておるかということを、確認はしておらないけれども、それをすでに死亡したものと諸情勢から判断をした、こういうふうになってくると、やむを得ぬ、次善の措置としてそういうことが、この筋道ば、私も一応、いい悪いは別問題として、事実として承認をいたしますが、そこで私が伺っておるのは、まず第一番に、その保安管理者が判断した、そうしていわゆる密閉、あるいは水没することによって火災をとめる、災害をとめる、ところが、そのことは、同時に坑内に残っているところの二名の生命を永久に葬ることを意味すると思う。そういたしますと、その場合の責任が保安管理者にあることは言うまでもない、保安管理者が一応監督官に相談をして、相談を受けた監督官もまたこれはやむを得ない措置であろうということに相なってきたというと、もともとその責任は保安管理者にあることは明確なことだと思う。ところが、それに同意を与えた監督当局も、これまた私はその責任の一半を背負わなければならんものと解釈いたしますが、誤りであるかどうか、その点の解明を願っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/79
-
080・小岩井康朔
○政府委員(小岩井康朔君) その通りでけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/80
-
081・山本經勝
○山本經勝君 そこで、もう一点私伺っておきたいのですが、先ほど阿部委員の方から質問の中で、一昨年打ち続く炭鉱ガス爆発に際しまして、私当時社会労働委員会におりまして、ときの倉石労働大臣に対して、この災害予防の措置に対する具体的な勧告を通産大臣にしてほしいということを実はいたしておいた。そこで先ほどの質問もあったのですが、これは今後の社労の委員会の審議にも関連を持ちますので、ここで再確認をしておきたい。その際に倉石労働大臣から通産大臣に対しまして勧告をいたしました内容は御記憶であろうが、あるいはそのとき正式文書で出されたものと聞いておりますが、おそらく文書があると思いますが、その点ここで御発表を願っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/81
-
082・小岩井康朔
○政府委員(小岩井康朔君) 今はっきり全文は記憶しておりませんけれども、大体災害の頻発に対する、全般的のごく普通の注意事項のほかに、私どもが非常に気にとまりましたのは、ガス抜きを大いに奨励してほしいということが入っておりました。なお正確には、一つ書面がございますから、別途に申し上げたいと思いますが、このガス抜きにつきましても、その後各炭鉱にでき得る限り、ガスの比較的多いところには、ガス抜きを実施してもらっております。ことに最近は、御承知のように従来とまるきり違いまして、従来全くなかった坑内のメタンガスを、別個の会社にも販売しておりますし、また、かたがた地所内でも、これを原料といたしまして、いろいろな製品を作る段階に進んでおります。なお、数も非常にふえてきておりますが、もし詳しい数字でございましたら、別にお話を申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/82
-
083・山本經勝
○山本經勝君 今のガス抜きの問題は、仰せの通りなんです。そこで私今度の災害について、一応基本的な点は、きょうこの委員会でなくてもよろしいですが、資料をお出し願いたい。炭鉱災害の三十一年度までの模様では、今の白書の中にも載っているようですが、災害が減少したというので、非常にお喜びになっておりますが、私ども数では一応減ったように見られますが、実態ほそうではないと思うのです。そういう点、もしできれば災害統計の詳細なやつを、一つお出し願いたいと思う。
そこでいま一点伺っておきたいのは、今年の四月四日だったと記憶しますが、明治鉱業の佐賀炭鉱が、ガス爆発やっている。このときの状況等について、詳細な資料があろうと思うのですが、これを一つ、わかれば御説明願いたいし、それから、わからなければあとから資料にしてお出しを願いたい、こういうふうに考えますが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/83
-
084・小岩井康朔
○政府委員(小岩井康朔君) けっこうでございます。仰せの通りにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/84
-
085・山本經勝
○山本經勝君 そうしますと、きょう答弁いただくのじゃなくて、あとから資料で出していただく、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/85
-
086・小岩井康朔
○政府委員(小岩井康朔君) ただいまのお話は、実はちょっといろいろ現地に、多少問題がございまして、調査がおくれておりますので、日にちを切られますと、少し困難と思いますが、ごく近いうちに御報告ができると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/86
-
087・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/87
-
088・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) 速記を始めて。
参考人の方々には、いろいろ事故が起きました直後でございまして、その跡始末等にお忙がしいところを、この委員会に出席いただきまして、委員の質疑にお答えいただきまして、ありがとうございました。大へん長く時間をおとりしまして恐縮に存じます。ありがとうございました。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/88
-
089・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) 速記を始めて。
本件は人命、人権に関する重要な特異な案件でありますので、阿具根委員の質問に際しましてまだ十分に明らかになってはいないところもありますし、先ほど阿具根委員から現地に委員派遣をして調査をするようにというお話しもありましたけれども、その取扱いにつきましては、委員長、理事打合会に一任していただくことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/89
-
090・松澤兼人
○委員長(松澤兼人君) 御異議ないものと認めます。
それでは、この問題につきましては、後ほど委員長、理事打合会を開きまして御相談し、その結果、また全体の委員の方々に御相談申し上げたいと思います。
本日はこれにて散会いたします。
午後一時三十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X01919570411/90
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。