1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年五月十九日(日曜日)
午後五時五十五分開会
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委員の異動
五月十八日委員豊田雅孝君辞任につ
き、その補欠として前田久吉君を議長
において指名した。
本日委員前田久吉君及び小林孝平君辞
任につき、その補欠として杉山昌作君
及び岡三郎君を議長において指名し
た。
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出席者は左の通り。
委員長 近藤 信一君
理事
古池 信三君
西川彌平治君
阿部 竹松君
相馬 助治君
委員
青柳 秀夫君
小幡 治和君
小西 英雄君
後藤 義隆君
白井 勇君
高橋進太郎君
高橋 衛君
三浦 義男君
海野 三朗君
岡 三郎君
島 清君
松澤 兼人君
加藤 正人君
杉山 昌作君
衆議院議員
小笠 公韶君
春日 一幸君
国務大臣
通商産業大臣 水田三喜男君
政府委員
公正取引委員会
委員長 横田 正俊君
通商産業政務次
官 長谷川四郎君
通商産業大臣官
房長 松尾 金藏君
通商産業省重工
業局長 鈴木 義雄君
中小企業庁長官 川上 為治君
中小企業庁振興
部長 今井 善衞君
中小企業庁指導
部長 川瀬 健治君
事務局側
常任委員会専門
員 小田橋貞壽君
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本日の会議に付した案件
○自転車競技法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
○小型自動車競走法の一部を改正する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
○中小企業団体法案(内閣提出、衆議
院送付)
○中小企業団体法の施行に伴う関係法
律の整理等に関する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
○中小企業等協同組合法の一部を改正
する法律案(衆議院提出)
○継続審査の要求の件
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/0
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001・近藤信一
○委員長(近藤信一君) これより委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
昨十八日豊田雅孝君が辞任され、補欠として前田久吉君が選任されましたが、本日前田君が辞任されて、杉山昌作君が委員に選任されました。また、本日付にて小林孝平君が辞任され、岡三郎君が選任されました。
以上御報告いたします。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/1
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002・近藤信一
○委員長(近藤信一君) それではこれより本日の議事に入ります。
まず、自転車競技法の一部を改正する法律案及び小型自動車競走法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。両案につきましては、昨日質疑を終局いたしておりますので、本日はこれより両案を一括して討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
なお、委員長の手元に杉山君から自転車競技法の一部を改正する法律案に対し、付帯決議が提出されております。本付帯決議の御意見は、討論中にお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/2
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003・阿部竹松
○阿部竹松君 私は、ただいま委員長が御提示になりました二法案につきまして、日本社会党を代表いたしまして、残念ながら賛成できませんので、反対の討論を行わんとするものであります。
御承知の通り、この法案は第二回国会で議員立法としてできたわけですが、それから十幾年になるわけであります。十幾年の長い間でありますから、いろいろと世論のありましたことは、皆様方の御承知の通りであります。特に現在まで毎年二千数百名の、家庭不和のため死ぬ人の中に、競輪にこって家庭不和のために自殺をしたり、あるいはまた、特に競輪のみによって自殺をしたというまことに情けない人々が九十数名もあるわけでございまして、この一事を見ましても、どうしてもこの法案に賛成できないわけであります。ヨーロッパにおきましてはモナコ、東洋におきましては日本、この二つの国が洋の東西に分れて世界のばくち国であるというような世論のあることも、皆様方御承知の通りであります。
従いましてわれわれ日本社会党といたしましては、当時の発足の理由が、いかに国家の財政に寄与するとか、あるいは地方財政に寄与するとか、あるいはまた自転車振興会にお金を投資する、こういう理由でできた法案といたしましても、どうしてもこれをなくしてしまわなければならぬ。しかしながら、現在では御承知の通り六十数カ所にわたる膨大な設備と、これに付随いたしまして数千名の選手と三十万に近い従業員がいるのでございまするから、社会党といたしましても、本日直ちに廃止するということでなくして、少くとも一年半ないし二年の間に、今から準備してその間に従業員にはしからしむべき職業につける、あるいは選手をしてしからしむべき職業につける、こういうような方向を講じてもらいたい、このような見解を持っておったのでありまするから、政府御当局に対しましても法案が提出されると同時に、いろいろ質問する過程において意見も申し上げて参りました。残念ながらお互いに人間は非常に弱いものでありまして、当然こういうことはいけないということがわかっておりましても、射幸心に、あるいは射幸行為のために本能が引きずられてしまうという情けない状態でありまするから、政治につかさどるわれわれといたしましては、当然責任として国民を指導するという立場でもって、こういう競輪とか、あるいはオート・レースというものを一刻も早くなくさなければならぬというように考えているのでありまして、自転車競走等においては、オリンピック競技の中にもあるのでございますから、そういうような方向で、スポーツ化という方に一段と努力をして参らなければならぬというふうに考えて参ったわけであります。少くとも三年後には、一攫千金を夢みてそうして競輪場に通う、あるいはまたオート・レース場に通う、こういう人々を一人でもなくするのが私たちの務めであるというように考えて参りました。
一方、これを施行するに当りましても、選手の寿命はわずか三年半くらいである。あるいは、またこの競輪場に勤めておる従業員のそれぞれの人間の給料を調べて見ても、わずか百七十円の臨時で働いている。こういうような、まことに気の毒な方々もあるわけでございまして、こういう面を見ましても、選手のためにもならないし、従業員のためにもならない、あるいは国のためにもならない、こういうように判断して今日まで参りました。あるいは、また一方、同じ競輪場整備員の一つを見ましても、一回開催に競輪場の使用料には三千数百万円を入場料として取る、競輪場使用料として取る、こういうような状態で、矛盾もはなはだしいものであるわけであります。オート・レース等につきましても、まことにこれにこって家庭不和、あるいは、そういう問題を起す人がある反面、競技そのものが危険でありますから、生命すら保障できないという状態の中で、選手が競輪選手としてやっておりまするし、こういうものも一刻も早くなくさなければならないと思うわけであります。
従いまして、そういう点で今日までいろいろと討論の中で主張して参りましたが、私は最後に、どうしてもこういう自動車競技あるいはオート・レース、これはわが委員会の関係でありませんけれども、競馬からモーター・ボート競走まで、日本政府の責任においてやめていくようにしなければならない。しかし、それには非常に準備が要りますので、当然今から計画を立てていかなければならないと思うわけであります。二十二国会等におきましても、一刻も早く直すように、あるいは当然こういう問題に十分メスを入れて、少くとも現状のような状態であってはいけないという付帯決議が本委員会でつけられたはずであります。本国会の予算成立の際討論に立たれた、緑風会の森議員と記憶しておりまするが、森議員からも本会議の席上で指摘されたことは、各委員も御承知の通りであります。従いまして、こういうような方針を今後政府が立てていただきたいと同時に、緑風会の委員の方から、もしこれが実行されるということになれば、こういう状態から一歩つき進んだ選手の待遇の方法とか、競輪場の扱いとか、あるいは将来の展望等にわたって付帯決議が出ておるそうでありますが、当然のことだと私は考えるわけであります。従いまして、今回この法案が通るに当りまして、政府御当局の答弁の中で、将来長い間の過程において、こういう状態から一歩つき進んだ方向にいくというお話しの御答弁もございましたので、特段の努力をされて、一刻も早くこれが地方財政への寄与、あるいはまた、競輪場の振興のためにもなるというような方向から脱しまして、当然、財政法の五十九条かと記憶しておりますが、政府のお力によって地方財政に献言するとか、勧告することができるのでありますから、地方財政の建て直しには、競輪とか、競馬とか、オート・レース、モーター・ボート等によって地方財政をまかなわないで、当然健全財政として、こういうもの以外の税制措置によって地方財政をまかない、あるいはまた、この機械産業等についても、こういうものの何パーセントかを取得して振興させるということでなく、政府の御指導によってやっていただくことを一つお願い申し上げまして、反対討論を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/3
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004・加藤正人
○加藤正人君 私は本法案に反対するものであります。過日も当委員会において私は述べましたが、この改正法案は、なるほど、その内容におきまして、設備の改善であるとか、あるいは射幸性を薄めるという問題とか、車券の販売方法を変えるとか、まあ、いろいろ多少改正されたように感ずる点もないではない。しかしながら、肝心な、そのときも私は読み上げたのでありますが、二十二国会においての付帯決議の第一に「競輪、競馬、オート・レース、モーター・ボート・レース等、一切の射幸的行為は現下の社会情勢にかんがみ、すみやかに禁止もしくは制限せらるべきものであり、特に、競輪について政府は現行制度に検討を加え、その改廃に関し次の通常国会までに適切な措置を講じなければならない。」この付帯決議によって適切な措置を講じたと答弁されるのでありますが、一向その跡が私には感じられないのです。政府の答弁によりますと、競輪審議会の議を経て報告提出したと申しておられるのでありますが、競輪審議会なるものの実態を私は調べてみますと、その委員の━━━━━━━━━構成されておる。なお、こういう審議会に諮ったから、その答申によって、この改正案ができたというのでありますが、それは何ら私に対して言いわけにはならぬと思うのであります。
もとより、われわれは、ただいま阿部委員から申されました通り、今日のような状態になって、これを一挙に急速に廃止しろというような非常識なことを申すのではないのであります。この改正の方向が制限の方向に多少とも向っておれば、それでいいと思うのでありますが、これは多少とも向っているじゃないか、大いに向けているつもりだということを言われるかもしれませんが、内容を見てみますと、なかなか、永久的にやるような感じをするような点も書いてあるのであります。とうてい近い将来には制限も十分になし得ないのじゃないかと思われる、危惧がするのであります。これはまことに私としては遺憾なことでありまして、立法府の意見を行政府がはなはだ軽視しておるという現われであって、これは道義の上の責任に背しておると思うのであります。これは決して協力するわけには参らぬと思います。
去年英国のある有名な新聞記者が大阪に参りましたときに、当時の大阪大学の学長今村博士が飯島幡司博士その他数人と、私もそれに加わったのでございますが、その新聞記者に引き合わされた。その新聞記者がいろいろな日本視察の上における所感を述べておられたのでありまするが、日本に来たら、まず原爆の被害地である広島であるとか、あるいは長崎を訪問して、厳粛に弔いたい、見舞いたい、こう思って参った。ところが、市街にはパチンコ屋が非常に多く開業されておる、競輪が至るところで行われておる。これを見て私はあいそうが尽きたということを遠慮なく言われたのを記憶して、当時非常に私は恥しく感じたのであります。
戦後十有余年、日本も独立国となった今日、ばくちのテラ銭のような金によって工業を振興するということは、不見識な話しでありまして、ちょうど姉が弟の学資をかせぐためにパンパン行為をしておると同様の感じがするのでありまして、こういうことはぜひとも早急に改めて参りたいのであります。少くとも二十二国会における当院の付帯決議の精神をあらためて再認識して、そうして一口も早くこういう方面に進んでいかれたいことを希望するのであります。
多少制限の方に向いつつあると申されるのでありますが、私としてはかような程度ではまだ満足はできないのであります。その意味において遺憾ながらこの法案に対して反対をいたす次第であります。
以上。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/4
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005・相馬助治
○相馬助治君 議事進行。討論中ですから議事進行に名をかりて発言をさしていただきますが、今の加藤委員の討論中に、競輪審議会についての発言中不穏当と思われる言葉がございましたが、私の承知する範囲内では、かなり高名の評論家、学者あるいは長い官界の見識者、その他によって構成されているように記憶するのです。従いまして、かりにこれが不穏当であるとするならば、後日速記録を調べられまして、委員長において善処されることを私は期待いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/5
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006・近藤信一
○委員長(近藤信一君) ただいまの相馬君の発言に対しましては、速記録を十分に調べまして、善処いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/6
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007・杉山昌作
○杉山昌作君 私は、自転車あるいは小型自動車、モーター・ボートというふうなものの競技が漸次なくなっていくことを心から希望するのでありまして、従って前回のような、国会の付帯決議というふうなものの趣旨を生かすべきものであると思います。今度の改正法案は、その趣旨からながめまして、従来に比べて若干改善されているというふうに認めますので、私は本案に賛成いたします。
同時に、これに付帯いたしまして、次の決議案を提出いたすものであります。委員各位の御賛成をお願い申し上げる次第でございます。付帯決議案を朗読いたします。
附帯決議
政府は、本改正法施行にあたり、競輪等の健全化に資するため、次の諸措置を講ずべきである。
一、スポーツ的娯楽としての性格を促進するとともに競技場の環境の明朗化を図ること。
二、収益については癌、結核の対策等の保健衛生、福利厚生又はスポーツ振興等にも直接又は間接にこれを充用するの途を開くこと。
三、選手の素質向上並びに生活の安定を図り、災害補償、退職金等について特段の、配慮をすること。
四、競技場従業員特に臨時従業員の身分について検討し、併せてその待遇改善について努力すること。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/7
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008・古池信三
○古池信三君 私は自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっておりまする両法律案に対し、賛成の意見を表明するものであります。
私は今日諸般の事情を勘案いたしまするに、この両法律案の内容は、まことにやむを得ない措置であり、また、今日の段階においては妥当の措置と認めまするので、これに賛意を表するものであります。政府はこの法律案の施行に当っては、十分にこれら競技の健全化、明朗化ということについて一そうの努力を払われ、法律の所期する目的の達成のために、万遺漏のないような措置を講ぜられんことを要望いたしまして、賛成討論といたします。
なお、ただいま提案になりました付帯決議案に対しましては賛意を表します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/8
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009・近藤信一
○委員長(近藤信一君) 他に御発言もなければ、討論は終局したものと認め、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/9
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010・近藤信一
○委員長(近藤信一君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。
自転車競技法の一部を改正する法律案及び小型自動車競走法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。両案を衆議院送付の原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/10
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011・近藤信一
○委員長(近藤信一君) 多数と認めます。よって両案は、多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
次に、討論中に述べられました杉山君提出の付帯決議案を議題といたします。
本付帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/11
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012・近藤信一
○委員長(近藤信一君) 多数と認めます。よって杉山君提出の付帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
なお、ただいまの決議に対しまして、この際政府の所信を伺いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/12
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013・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) ただいまの付帯決議の御趣旨は、政府として十分に尊重いたしまして、今後の競輪の運営に当りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/13
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014・近藤信一
○委員長(近藤信一君) なお、本会議における委員長の口頭報告の内容、議長に提出する報告書の作成その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/14
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015・近藤信一
○委員長(近藤信一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
それから両案を可とされた方は順次御署名を願います。
多数意見者署名
西川弥甲治 古池 信三
高橋 衛 青柳 秀夫
小幡 治和 小西 英雄
杉山 昌作 白井 勇
高橋進太郎 後藤 義隆
三浦 義男発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/15
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016・近藤信一
○委員長(近藤信一君) 暫時休憩いたします。
午後六時十八分休憩
―――――・―――――
午後七時五十二分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/16
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017・近藤信一
○委員長(近藤信一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
中小企業団体法案、中小企業団体法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案及び中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題といたします。
これら各案につきまして、先日来その内容の説明、衆議院修正点の説明を聴取し、広く各方面の参考人から意見を聴取いたしましたので、これより三案を一括して質疑に入ります。御質疑のあおりの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/17
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018・松澤兼人
○松澤兼人君 こちらに本審査となっておりますものは、御承知のように中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案、それから中小企業団体法案、及び中小企業団体法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案でありますが、根本的に通産大臣にお伺いいたしたいことは、やはり中小企業の振興という問題は、単に個々の法律を制定して、これを実施するということではないと思うのですが、法的措置の必要なものは、もちろん法的措置によらなければならない。しかも、そのほかにやはり行政的な措置というものは必要と思います。
まず第一にお尋ねいたしたいことは、現在この段階において、通産省において考えておられる中小企業振興という問題の全般的な構想というものが、果してどういうところにあるのか、その構想を一つ通産大臣にお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/18
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019・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 中小企業は、御承知のようにその業態が多種多様でございまして、従って中小企業全般に対する対策ということも、非常に単純じゃない複雑な対策を立てなければならないと考えております。それらに、全体に共通する対策といたしまして、やはり第一番が金融でございまして、中小企業の金融をどう円滑にしていくかということが、私どもとして一番大きい問題だろうと思っております。従って今年度におきまして、中小企業関係金融機関に対して、大幅な財政資金を投入するというような措置をとった次第でございます。その次は、やはり税制でございまして、中小企業が特に大企業より税制の面において不利な取扱いを受けておるという部面が現行法にも非常にございますので、そういう点の是正をやることが必要である、こう考えまして、今度の税制改革におきましても、中小企業に対するいろいろの減税措置、それから減価償却というような問題を通じまして、企業を合理化し得るいろいろな基盤を作るというような、一連の税制の措置をとったのでございます。
そういうふうに中小企業に対しては、いろいろな行政的な国家の施策が必要でございますが、それらの施策を施してもなおかつ、中小企業というものがなかなか振興しない。ともすれば、お互いがみんな悪くなりがちだというようなことは、結局中小企業に見られる過当な競争が原因である。この過当競争を避ける措置をとるのでなかったら、政府が施すいろいろな行政的な措置が、効果がみな減殺されてしまう、これが中小企業の現状であろうと私どもは考えます。従って金融、税制その他一連の対策に合せて、中小企業の経営安定化というための組織について、立法的措置を講ずることが急務である。こういう考えから、今回提案しましたのが団体法でございますが、大体三つの柱が整っていけば、中小企業の振興の一つの基礎ができるのじゃないか、こういうのが大体今政府が考えている対策の骨子でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/19
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020・松澤兼人
○松澤兼人君 金融と税制とそれから団体法、それが三本であるというお話しでありますけれども、しかし、現に政府は、衆議院に小売商業特別措置法というものをお出しになっているのであります。こちらの方では、本付託になるに至らなかったのでありますが、私お伺いしたいことは、現在の段階において、通産省あるいは政府として考えている法的な措置というものは、どういう構想を持っていらっしゃるかということもお尋ねしているのであります。小売商業特別措置法というものは、衆議院の段階において審議未了か、あるいは継続審査かわかりませんけれども、とにかく参議院に来ておらないので、そこで私たちが考えるところによれば、社会党が持っておりますのは、組織法と申しますいわゆる基本法、それから産業分野の確保に関する法律、及び商業調整法、三本の法的措置をまず第一に確立して、その後金融あるいは税制に関する諸立法を提出いたしたい、こう考えているわけであります。政府が今の段階において法的措置を講じなければならないと考えられる中小企業に対する所信はどういうことでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/20
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021・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 政府の考えておりました構想は、この中小企業の組織に関する法的の措置ということと、それから小売商を振興するために企業分野を確定する問題とか、あるいは今大都市において非常に問題となっております市場との関係をどう規整するかというような一連の特別の措置、それから大企業と中小企業のあるべき分野をどう調整するのがいいかということについて、中小企業振興とも言うべき一連の法的措置、この三つの措置を私どもは考えておりまして、今国会にそれらに関する法案を三つ出す予定でございましたが、これはたびたび私からも申し上げましたように、中小企業振興対策につきましては、今現に政府がいろいろ措置をとっておりますので、現行においていろいろもう措置しておりますので、これを法制化するという問題でございますから、この方は若干おくれても差しつかえないと思いまして、団体法と小売商業振興法、この二つだけはこの国会にどうしても提出するという方針で検討して参りましたが、小売業に対する問題の方が衆議院の段階で継続審議になった、こういう次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/21
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022・松澤兼人
○松澤兼人君 御承知のように、社会党といたしましては、組織法が二月十三日に提案され、それから産業分野の確保に関する法律は二月二十八日に提案され、それから商業調整法が同じ二月二十八日に提案されているのであります。この二月二十八日に提案されていたにかかわらず、衆議院といたしましては、本格的にこれらの社会党提案の問題に取り組むということをしないで、結局政府提案の中小企業団体法が提案されてから並行的に審議するということになっているのであります。まことにそういうことを申しても悪いが、実際の法律の作成に当りましたわが党の衆議院議員もここに見えております。われわれの貧弱な視力とそれから手足をもっていたしましても、やはりこの通常国会においては、中小企業の問題を何らかの形において一歩前進させなければならない、こういう信念から、ほとんど同時にこの三法案をそろえてお出ししているのであります。ところが、政府の方はいろいろ御事情があったとは思いますけれども、団体法だけを出して小売商業特別措置法はほとんど事実上物理的に審議のできないような瞬間にお出しになったというその政府の真意がわからないのであります。もちろん、私は今ここでそういうことを取り上げて議論いたしましても問題にならないことでありまして、死児のよわいを数えるということになると思いますけれども、しかし、政府が真に団体法を成立させるというのであれば、やはり小売商業特別措置法なり、あるいはわれわれの言うところの産業分野の確保に関する法律、こういうものを三本でそろえてお出しになることがわれわれの審議に適当でなかったかということをわれわれは参議院におりまして切実に考えておったのであります。これができないという理由というものはどういうところにあったか、政府部内に意見の対立があったためにそういうことになったのか、政府と与党との間に意見の食い違いがあったのか、あるいは与党の内部において意見の対立があってこれを調整するのに非常に難航をしたということでありますか、この点のところを明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/22
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023・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 政府から出す法案は、各党から出て参ります議員立法と違いまして、完全に政府部内の意見が一致しないと提出できないということになっております。で、団体法におきましては、御承知と存じますが、政府部内において公取と政府の意見がなかなか一致しませんでした。しかし、これ以上その調整にひまをとるというようなことでは、御審議が非常におくれると思いましたので、政府責任において公取との意見の相違の問題をはっきり委員会に出して、そして委員会の御審議を願うという形をとったのでございますが、そういう問題がございますと、政府の中に意見が一致しなかったという事実がある。この事実一つの追及でもなかなか審議というものはもめて、衆議院も相当ひまどりましたが、このことにかんがみまして、小売商業の振興の問題につきましても、非常に法律的に、法律の解釈上むずかしい問題がございますので、私どもと法制局の間で、この意見の調整をとるのに非常にひまどりましたので、従って提出がおくれたと、こういうような事情になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/23
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024・松澤兼人
○松澤兼人君 なぜ私がそういうことを申し上げるかということはおわかりになると思うのでありますが、政府がこの国会に提出予定しておる中小企業の法案は、お互いに、相互に関連しておるわけであります。それですから、全体の法律の提案の内容というものを相互に検討しなければ、一つの先に出た法律の結論を出すということはできないのであります。まことに参議院におきまして、この段階において団体法を審議するということは、政府に対しましても、また国民に対しましても、まことに申しわけないことであるとは考えておりますけれども、しかし、参議院の委員会といたしましては、やはり政府が出す法律というものはそろえて、彼我お互いに検討して結論を出したいということが念願であったろうと思うのであります。そこで、私どもはずいぶん長い間小売商業特別措置法というものを待っていたわけであります。ところが、とうとうこれが来なくなったということは、おそらく水田大臣もそのわれわれの希望しているところ、そうしてこれが同時に並行的に参議院に来ていないというこの事実については、政府としても遺憾の意を感じておられるに相違ありません。言ってみますならば、衆議院の段階におきまして団体法が修正されまして、そうして生協であるとか、購買会であるとか、農業協同組合は前からでありますけれども、いわゆる団体交渉の相手方からはずしておるのであります。しかし、小売商業特別措置法によりますというと、今度は逆に生協と購買組合というものはその法律によって縛られるということになるわけであります。こちらの方はおかげさまで交渉相手からと申しますか、つまり法律の規制から除外されたけれども、次の法律ではそれを縛るものが用意されているということであっては、最初の法律案を、これをそっくりそのまま通すということは困難である、こういう事情は水田通産大臣も政策審議会に長くおられた方でありますから、立法準備の過程と国会における審議の過程というものはよく御了解願えると思うのであります。とにもかくにも、この段階におきまして小売商業特別措置法というものが現存ここに来ていないという事実につきましては、遺憾の意を感じているのに相違ないと思いますが、御所見はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/24
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025・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 私はたびたび申しておりますが、この国会に三法案を間に合わせるつもりだ、最悪の場合も二法案だけは間に合わせるということを申しまして、団体法の御審議から先にお願いしておったわけでございますが、政府の方がおくれたということは、これは確かに遺憾と思っておりますが、四月八日に本会議で提案理由の説明をされ、質問を受けた法案が、四月八日から今日まで全然審議されなかったということの理由は、私にも十分了解できません。小売商振興法がおくれたために、と言われるようなお話しでございましたが、おくれたのは申しわけございませんが、四月八日から国会の済むまで審議ができなかったという事情は、私の方に十分了解できません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/25
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026・松澤兼人
○松澤兼人君 大臣がそういうふうにおっしゃるならば、私はさらに開き直って申し上げなければならない。少くとも一体をなしている、あなたはもう一つどういうふうにおっしゃいますか。われわれの言ういわゆる小売産業分野の確保に関する法律、これは三位一体だとわれわれは考えている。そこで政府の方でも、やはりそういうことは考えていらっしゃる。もし一つの法律が提案されるならば、他のこれに関連する法律案というものも同時にあるいは並行的に、あるいは雁行的に国会の審議ができるような状態に置くことが、これは政府の責任じゃないかと思うのです。われわれがあとの法律を待っていたということは、それは政府からいえば出したものを先に先議したらいいんじゃないかと、こういうふうにおっしゃるかもしれませんけれども、しかし全体として見る必要があるということは先ほど申しました通り、片方で除外されているものが、片方で縛られるというようなことになれば、先議されているものをそのまま通してしまって、あとの結果がどうなるかということになるわけでありますから、私はただいまの大臣が四月八日でありますか、提案したのに審議されていなかったということは、逆に参議院の責任であるというふうにおっしゃることは、私は受け取れないと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/26
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027・相馬助治
○相馬助治君 大臣の御答弁の前に、私は関連してお尋ねいたしますが、ただいま大臣がだいぶ強気に松澤委員の質疑に対しまして四月八日に本院に付託されたものが、いささかも審議されないということは、むしろ意外であるという御発言がありましたが、その御発言はきわめて遺憾であり、私の意外とするところです。本法が本院に付託されたのは、ただいま正確な資料によって見ますると五月七日です。しかも、これはその経緯をごらんになればわかるように、あなたの与党である自民党が野党である社会党とともに修正をした議案であります。従いまして、当初政府が出したものとはそう内容において著るしく変動のあるものが本院に修正回付されておるのです。しかも、本院がいささかも審議をしないというのは、これは何かのお間違いだと思うのです。本院は会期末にメジロ押しに並んできた法律案の中において、本法についても参考人の意見を徴し、熱心に今日まで審議の熱意を見せてきております。しかもまた、政府は会期末に輸出入取引法の一部改正法律案というような法案を参議院先議をもって持ち込んで、衆議院から回付された法律と参議院の先議の法律案とメジロ押しに並んで審議が行われたのであります。従いまして本法を出した当の責任者の水田通産大臣より、わが参議院が何か特別な意思を持って審議に熱意を欠いたかのごとき発言が、しかも本院に付託された月日をひと月も間違って、そういう前提のもとに立って述べられるというのは、きわめて遺憾であり、われわれの問題としなければならない点でございます。松澤委員の質疑に関して御発言のあったことに対しまして、重ねて私は大臣の所見を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/27
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028・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 私が申しましたのはそうじゃなくて、この何かとにかくこの団体法が参議院で御審議願うところまでいきませんでしたが、その理由が何かほかの法案が出ることがおくれたから、これをやらなかったというようなお話しがございましたので、そうじゃなくておくれた方はこういう理由だったと言って、で、こちらの方の審議がいかなかったのは、そのおくれたためにからんで一緒に御審議願えなかったかどうか、その理由は私にはわかりませんとこう申しただけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/28
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029・相馬助治
○相馬助治君 今の答弁はですね、何にも知らない伴食大臣の答弁であるならば、私は容赦しますが、水田通産大臣の答弁としては容認できません。あなたは自民党の政調会長として名声さくさくたる方であったのです。しかもですね、中小企業者に対して革命的な法律案であるといわれるこういう大きな法律案を、通常国会は十二月から始まっていたにもかかわりませず、四月五月になって国会に提案をするというがごときことは、それ自体が無理なんです。従って松澤委員の説を率直に申して、やはり他の法案がメジロ押しに並んでいたために、審議の自由がいささか阻害された旨のことを言っておるのであって、全部がそれの理由であるという意味ではもちろんございません。他の政治上の問題、支障というものがあったと思いまするし、党側の意見の一致を見なかったというような点も私は多かろうと思います。従って全部が政府の責任だとも私は言うておるのではないですけれども、大臣の答弁を聞けば、この審議がおくれてきたのは、あげて参議院側の責任であるというがごとき口吻を漏らすにおきましては、与野党の立場をこえて、本院の権威のために私は抗議しなければならない。そこで尋ねておるのでありまするから、再びその御所見を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/29
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030・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 政府が法案の提出がおくれたということは認めます。ただ、さっき政府の法案が三つそろわなければ、ほんとうの審議ができないというふうに、何か法案がおくれたために、その審議が政府責任で特におくれたような御発言に受け取りましたので、それに対して弁解しただけのことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/30
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031・小幡治和
○小幡治和君 今松澤委員からいろいろこの団体法の内容について、政府並びに公取及び与党、いろいろな点におけるこの意見といいますか、それの調整及びそのそこについての問題等御質問もありましたし、また相馬委員から参議院に付議するのにおくれた点についての、政府の責任追及等の御質問もありましたが、私としていろいろ考えまするのに、この団体法は非常に画期的な大きな法律でありまして、この問題についてはいろいろわが自由民主党におきましても、また野党の社会党においても、それぞれのいろいろな論議というものがあってしかるべき問題であり、またあると思うのであります。しかし、この問題が衆議院の論議の過程において、自由民主党と社会党とがこの法案についての内容全体の審議をされましたときに、両党が完全に意見を一致して、そうして修正案を出して、衆議院を通過させてきております。私はその経過について、この問題については一つ一つの問題を論議すれば、ずいぶん山ほど論議があるけれども、今日の全国における中小商工業者の要望からいたしますれば、ある程度の論議はあっても、とにかく早くこの団体法を国会において通過し、成立せしめるということを念願しておるのではないかと存じます。そういう状況下において、衆議院において自由民主党と社会党がとにかく意見の一致をみて、そうして参議院に送ってきたという事実をわれわれが考えますときに、今日参議院の段階において審議の日にちは非常に少いのでありますが、ここにわれわれとしても考えなければならない点もあるのではないかと思っております。そこで、私がお伺いいたしたいのは、衆議院において自由民主党と社会党がこの問題を論議されて、そうして完全な意見一致をもって共同修正でここに出してこられた、その間において自由民主党はいろいろこれに対する不満があっても、早くこれを成立させるという意味において、完全に党としての意見というものが、ここに確立して、そういうふうにされたのか、また、社会党の春日委員も出ておられますが、社会党としてこの問題はやはりいろいろ論議もあるけれども、しかし団体法全体として修正もひっくるめて、とにかく論議はあるけれども、この際早く通過しなければならぬという意味において、社会党の党議としてこれを賛成して自由民主党と一緒にやられたのか、その点についてどうも参議院の審議の段階において、ちょっと不明確な点もありまするので、一つ自由民主党を代表しての小笠委員、社会党を代表しての春日委員の、その点に対する所信というものを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/31
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032・島清
○島清君 今のは、松澤委員の質問に端を発して、関連質問で相馬君が発言をして、さらに今の発言は関連質問の域を越えているのですね。私は松澤委員の質問に関連をして、さらに関連質問をしたかったのです。ですから委員長議事の進行上、その大臣の御答弁に関連をする関連質問をお許しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/32
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033・近藤信一
○委員長(近藤信一君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/33
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034・近藤信一
○委員長(近藤信一君) 速記を起して。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/34
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035・小笠公韶
○衆議院議員(小笠公韶君) ただいま小幡委員のお尋ねでありますが、衆議院におきまする修正案の策定の、両党間における話し合いの過程におきましては、われわれは十分それぞれの党との連絡をとりつつ最終結論に参ったのでありまして、党の意見といたしましては、この修正案を確認して、社会党と話し合いを妥結した、こういう経過になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/35
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036・春日一幸
○衆議院議員(春日一幸君) お答えを申し上げますが、私どもが衆議院段階におきまして、この修正案を満場一致で衆議院を通過せしめておりますが、このためには、党の各種の必要なる機関決定をいたしておることは当然であります。しかしながら、この際特に申し上げておきたいのでありますが、政府の団体法と、社会党の組織法とは本質的とは申しませんが、実質的に相当の相違点があるのでございます。従いまして私どもは、異なる両案を両党で共同修正案をまとめ上げます過程におきましては、もとより社会党の主張が全的に入れられておるものではございません。こういう意味合いにおきまして、わが党といたしましては、この共同修正案に全的な満足をもっておるわけではございません。従いまして、党議の一部を申し上げまするならば、この共同修正案を衆議院を通過せしめるべきであるが、しかしながら二院制度の妙味を発揮いたされまして、参議院段階においてさらにわが党の主張が可能であるならば、できるだけ取り上げていただくため、参議院における社会党の努力を要望いたしておることも、つけ加えてお願いを申し上げて、御説明につけ加えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/36
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037・島清
○島清君 私は歯にきぬを着せて物を言えない癖がございますので、表現が適切でなかったら、その意味で御了解をいただきたいと思いますが、松澤委員の質問に関連をいたしまして、大臣の御答弁の中に事実に反する御答弁があったというので相馬委員が発言をいたしまして、いな、大臣の御答弁は容認できない、こういうことでございましたが、私はしばしばの大臣の御答弁の中に、なおかつ御自分の答弁を間違って食言といいますか、何と申しましょうか、そういう工合に事実を曲げられたことにお気づきにならないようでありまするので、再度関連質問をするわけでありますが、団体法とわが党の組織法案とがここに上り列車と急行列車と東京駅にとまったような形において共同修正されましたのはゴールデン・ウイークのときであります。従いましてこの案が参議院に回って参りまするのに四月に出てくるはずは毛頭ないのであります。ゴールデン・ウイークを過ぎた後にそういったような法案が出て参りますることは、これは算術の初歩を習った人でありますならば、だれでもわかる。しかも、四月八日に本院に提案されながら、参議院の方が審議をしない事実に対して容認できないとはっきりおっしゃったこの事実です。一カ月間のこの事実を大臣は曲げて、こちらの方がいかにも審議権を放棄したかのごときにおっしゃったので、私たちは与党であると野党であるとを問わず、ただいま春日委員の説明にもございました通り、われわれは衆議院の共同修正というものについて、われわれは参議院の審議権を放棄して、これを全面的に容認をするという形でこの法案と取り組んでいるわけではございません。従いまして、私たちは、衆議院段階におきましても、私たちの組織法案が、二月の幾日かに出ておりまするこの法案が、あまり熱意をもって審議されていないという事実に対しては、遺憾に考えておったのでありまするけれども、しかしながら、これは衆議院段階における審議の状況であるからやむを得ないというて、私たちは黙っておった。ところが組織法と、あとから出て参りました団体法が、ただいま申し上げたように、共同修正をされて参りまして、四月の幾日かにこちらの方に提案になった。これを大臣が曲げておっしゃったことについては、私は容認できないばかりでなく、この言葉は、やはりお取り消しにならないといけないと思うのです。事実に反することは、私は、はなはだ大臣に対しては、言葉がきついようでありまするけれども、遺憾では済まされないと思います。このことだけはお取り消しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/37
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038・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 本会議に提案理由の説明をいたしましたのは、先ほど申しましたような四月八日でございましたが、本委員会に提案理由の説明をいたしましたのは、一カ月おくれて、五月六日でございましたので、委員会に提案されない以上、この予備審査というものもできないそうでございますので、さっきの四月八日以来と申しましたのは、これは取り消しいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/38
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039・松澤兼人
○松澤兼人君 ただいま通産大臣から明確に言われましたので、私もその点さらに追及いたしません。本格的に審議に入らなければならなかった時期というのは、やはりこちらの方に本付託になった日、すなわち、衆議院において与野党の共同修正が成立したときということに考えますと、参議院に回ってきましてから十八日というものは、あまり長い時日でなかったということは、御了解願えると思う。その点私たちは申し上げたかったのであります。そこで私は、主としてこの法案の提出の過程におけるいろいろの問題についてお尋ねし、今後政府において、どういう構想を持っておられるかということをお伺いしたのであります。私は主として審議の前提としての問題をここでお聞きしたかったのでありまして、本格的な問題は後刻に譲るつもりでおりました。そこで、他にも質問者があるようでございますから、前提になる質問は、一応この程度でとどめまして、さらに内容にわたって質疑をいたしますことを保留いたしまして、一応手続だけの問題について質疑を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/39
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040・加藤正人
○加藤正人君 ただいま松澤委員から、法案の提出された経過その他についての御質問があったのでありますが、全くこの法律は、はなはだ何か不明朗の感じのうちに提出され、これが今日に及んでおる感がするのであります。そうしてきのうから今日に至る委員会の進捗ぶりというものは、はなはだほかの法案にないような物議を起したようなありさまであります。これは全く政府が、不用意にこの法案を提出されたその結果であろうと思うのであります。決してそうでないということは言われるかもしれませんが、かほど反対があり、かほどに審議が行き悩んでいるという、その事実がそれを証明しておると思うのであります。
で、私はまず第一に、こういうことを頭に置きつつ政府に御質問したいのは、政府の説明によりますと、この法律案は、政府の諮問機関である中小企業振興審議会の答申に基いて立案されたということであります。そこで、問題となりますのは、その審議会の委員の顔ぶれであります。すなわち、第二部会の十五名の委員のうちに、一人の大学教授を除きますと、ほとんどが中小企業関係の人ばかりでありまして、あまり消費者の代表も、関連の大企業の代表も入っておらぬようであります。私は不案内でよくわからず、誤解しているかもしれません。この顔ぶれでは、公正なこの問題についての答申はできにくいんじゃないか、こう思うのであります。で、かかる審議会が、日本経済全般に画期的な影響をもたらし、また、直接消費者の利益に関連のある重大な内容を持った答申をあえてしているということは、これは相当の私は問題であると思う。中小企業の金融、あるいは税制といった中小企業プロパーの問題であればとにかく、かかる幅の広い、日本経済全体に大きな影響を与えるような広い問題を扱わすこと自体が、はなはだ不適格である。政府はこういう大きな問題に対する答申を期待してこの審議会に諮問をするのでありましょうか。そうであっては、大へん間違っておると私は思うのであります。本法案に関しては、政府はすでにその出発点から、不見識というか、不見識にも重大なあやまちをおかしたと申すことができるのではないかと思うのであります。概括的な問題については、前委員からいろいろ御質問がありましたから、私はできるだけ実際問題について御質問いたしたいと思うのであります。
統制経済下になるおそれがあるという一般の心配です。その問題でありますが、去る本会議の議場におきまして、岸総理に対して、私はこの法案は戦後における画期的な統制法規であって、この法案は、統制が統制を呼ぶ結果となる心配はないかという質問をいたしたに対しまして、岸総理は答えていわく、この法案は、民間に自主的な調整を行わせるのが主眼である。政府はただ受身の立場でその行き過ぎを押えんとするものにすぎないのであるから、決して統制が全面化したり、ましてや、戦時のごとき官僚統制に陥るおそれはないという旨の御答弁があったのであります。なるほど、現在の政府に日本経済の統制化をはかろうとするような意図があろうとは私も考えておりません。しかしながら、およそ統制というものは、それが官僚の手によるものといなとを問わず、いろいろの弊害を伴うものであること、また、統制が統制を呼びがちのものであることは、だれしもこれを否定することができないのであります。もちろん、不況克服のためのある程度の調整措置、つまり統制行為の必要なことは言うまでもないのでありまして、そのために同種立法がほかにもすでに存在しておることも、これは事実でありますが、本法においては、対象が中小企業であり、かつ従来のごとく特定の工業部門に限定せず、商業、サービス業等の全分野にその門戸を開放しておるだけに、特別に慎重なる配慮を要するのではないかと思うのであります。
そこで個々の問題点についてお伺いいたしますが、本法案の実施によって、今日の中小企業界のどの程度の範囲が調整事業によって統制がされるかということであります。提案理由の説明によりますと、今日の中小企業界はおしなべて過当競争のもとにあって、その経営は不安定であるということであります。といたしますれば、本法が実施されれば、中小企業のあらゆる分野に商工組合が設立され、何らかの調整事業に入ることが予想されるのでありまするが、かくなれば、日本経済に占める中小企業の地位、比重から見まして、日本経済全般が一種の統制状態に置かれるということは、言っても過言ではないのでありまして、政府は一体本法実施後における中小企業界の姿を、どのようになると描いておられるのでありますか。いずれこういう法律を立案されました以上、その実施のあとに起る影響その他については、一応想定されてなければならぬと思うのでありますが、その点について、まず御質問いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/40
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041・川上為治
○政府委員(川上為治君) 昨年の六月に内閣に中小企業振興審議会が設置されまして、それから約半年にわたりまして、中小企業のいろいろな問題につきまして検討をいたしたわけでございます。この委員会におきましては、今申し上げましたように、中小企業の金融の問題とか、あるいはその税制の問題とか、あるいは組織の問題とか、あるいは特に小売業者の問題でありますとか、零細企業の問題でありますとか、そういう中小企業のプロパーの問題を主としてやりました関係上、この委員につきましても、御指摘の通り中小企業関係の方々が相当おるわけでございますけれども、しかし、やはり中小企業問題は他の関係が相当ございますので、私どもの方としましては、この委員につきましても、学識経験者、特に学者、あるいはまた新聞関係、報道関係、その他の学識経験者も相当入っていただいておりますし、また、銀行関係の方々も入っておるわけでございまして、組織の問題につきましても、検討しますときは、十分そういう第三者的立場の御意見も、私どもの方としましては入っておるものと考えておるわけでございます。しかし、政府の原案を作成するに当りましては、中小企業振興審議会の意見のみをとるというわけにはいきませんので、この意見を十分に尊重しながら、その後あるいは経団連の意見、あるいはその他大企業の意見をも十分われわれ調査なり、あるいは聞きまして、そうしてこの政府案というものを、実は作ったわけでございまして、決して先ほど先生がおっしゃいましたように、一方に片寄った考え方で私ども作っておるものとは考えていないわけでございます。この点は御了承願いたいと思うのであります。
それから、この法律につきましては、相当統制色があるというような問題でございますが、私どもの方としましては、この中小企業者が非常に苦況に陥っていて、どうしても何とかしてこれを切り抜けていかなけりゃならない。そのためには組織を作って、そしてその組織の力によって安定を期していかなきゃならぬというような場合におきまして、その組織よりの申請に基きまして、政府の方でいろいろな援助をするということになっておるわけでございまして、決して戦時中なり、そういう時代における統制的な性格のものではないというふうに、私どもは考えておるわけでございます。
それから最後にお話がありました、大体この法律によって、組合が全国的に無数にできるのじゃないかというお話しでございますけれども、これはこの第九条によりましても、中小企業者が非常にその過当競争を行なっていて、しかも、その相当の部分が経営が著しく不安定になっておるというような、そういうような状態のときに、初めて組合の設立を強化するというふうに考えておりますので、決して全国的に無数の組合ができるというようなふうには考えておりません。現在中小企業安定法に基きまして、調整組合が約三百くらいできておりますが、私どもとしましては、こういうようなこの組合は、そうあらゆる業種について無数にできるというようなふうには考えておりません。しかしながら、じゃどの程度具体的にできるかという問題につきましては、これは私一がいには言えないと思いますが、実際それぞれの業界の状況を見まして、ほんとうにこれは組合を作って、その中小企業の安定をはからなけりゃならぬというものだけに限定されて参りますので、私どもの方としましては、無数のものができるというふうには考えていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/41
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042・加藤正人
○加藤正人君 無数というのは、どのくらいな程度と解釈していいかということも、お互いにこれはむずかしい問題になるのであって、もしこれがあなた方の期待に反して、続々出るような場合、また、今後の経済界の変調から言って、これをある程度許していかなくちゃならぬという場合に際会したときに、二カ月間に認可とか、あるいは不認可の処理をしなければ認可とみなされるというようなことが言われておるのでありますが、現在の政府にその処理能力がそういう場合にあり得るか。一体中小企業の実態調査ということはどの程度やられておりますか。ある人はこの点についてはあまりはっきりした把握がされておらぬのじゃないかということを心配されておるのでありますが、もし、それが不幸にして、その人たちの想像のように、ないとすれば、一カ月の間にどうして処理できるか。結局は申請通り認可しなけりゃならぬというようなことが落ちでありまして、この結果は、中小企業の全分野に商工組合ができて、日本経済が全般的に統制状態に入るというようなおそれも、必ずしもないとはっきり言い切ることはできないのではないか、これを心配するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/42
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043・川上為治
○政府委員(川上為治君) この法律によりましては、原則として、申請がありましてから二カ月以内に処理をしなければならないようになっておりますけれども、実際問題としては、先ほど申し上げましたように、私どもの方としましては、無数にそういう組合ができる、でき得るものとも考えておりませんし、この法律によりましては、いろいろな限定の措置が講じられておりますので、それに沿いました組合の申請ということになりますというと、非常に限定されて参りますから、私どもの方としましては、この二カ月の程度で十分現在の行政能力で措置ができるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/43
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044・加藤正人
○加藤正人君 本法に不況条件に合致する商業、サービス業というようなことが書いてありますが、一体どういう商売のものを指すのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/44
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045・川上為治
○政府委員(川上為治君) 現在具体的には、こういう種類の業種についてというふうに私どもの方としましては考えてはおりませんが、たとえば問屋につきましても、特に輸出関係の問屋等につきましては、われわれの方としましては場合によりましては、この商工組合を作らなければならぬのではないかというふうに考えております。また、小売商につきましても、地方によりましては非常に密集して、非常に過当な競争が行われてうまくいっていないというような、そういう商店街の組合等につきましては、やはりこの商工組合を作らなければならないのではないだろうかというふうに考えておりますが、実際問題としてじゃどういう業種について現在必要であるかという点につきましては、これは私どもの方としましては、もちろん業界からの要求によって措置をすることになっておりますので、今じゃあどういうものについて組合を作らせるということには考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/45
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046・加藤正人
○加藤正人君 もう一つ重要な点は、調整事業を行う期間の問題でありますが、一体どの程度のものかという点であります。期間、つまり時間のことですね。政府の御説明によりますと、調整事業を行い得る期間は、ちょうど例を引けば、あたかも病人を一時入院せしめるようなものであって、その入院期間中のごく一時的、臨時的なものにすぎないということであります。しかし、その一時的という期間が、一体どの程度のものであるかということが問題であろうと思うのであります。半年、一年程度のものであれば、なるほど一時的に中小企業界が統制状態になっても、まあまあ大したことはないのでありますが、これが四年、五年、あるいはそれ以上に半永久的に続くようなことがありましては、貿易の面においても、消費者利益擁護の面におきましても、また中小企業者自身のためにも大へんなことではないかとおそれるのであります。現行の安定法の実績を実際について調べてみましても、四十七業種について設立されました調整組合が、その役目を果してその調整事業を停止したものは、やめたものはこの五年間にただの一件もなく、綿スフ織物、タオル、絹、人絹織物、マッチ等々は四年にもわたって今なお調整行為を継続している実情にあるのでありますが、この実績から見ても、一時的、臨時的といっても、決して一年、二年の短期間ではなく、四年、五年、いな、むしろ半永久的に続くものと見ておかねばならないのではないのでしょうか、一律にどうと答えられる性質のものではないことはもちろんでありますが、およそ目途として、政府は一体一つの業界の安定に必要な期間をどの程度のものと考えておられるのでありますか、半永久化するおそれはないか、かりに四年、五年の調整期間を経て業界が安定したといたしましても、そのときにはその安定した業界を目指して、新しく新たな業種がどっと入り込んでくる、割り込んでくる。そこでまた安定が乱れるという工合に、いたちごっこのようなことが当然に予想されるのであります。もっとも衆議院の修正によりますれば、員外者の規制命令が出ておる期間中は、新開業を規制し得ることになりましたが、これにしてもアウト・サイダー命令をはずせば、新規業者がどっと割り込むおそれがあるとして、結局いつまでも調整行為がやめられない。これは人口問題から来る中小企業界の宿命であります。この意味で半永久化するおそれが多分にあると思うのでありますが、政府はこの点についてそういうおそれがないという所信を持っておられますか。また、政府がおそれはないと言われましても、政府の能力がそういうことを判定するだけの先見を持っているものとは、私は信じませんが、ただ形式的にだけでも一応承わっておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/46
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047・川上為治
○政府委員(川上為治君) 私どもの方としましては、この調整の期間を半永久的としか、そういうことは毛頭考えもしておりませんし、法律によりましても、はっきりとその不況要件の存在している間ということをはっきり書いてありますし、その期間が過ぎたならば、直ちにこの組合に対しましては、そういう調整事業をやめるべきだ、また、そういう命令も出すことになっておりますので、今、先生のおっしゃいますような、そういう考えは毛頭持っておりません。現在安定法に基きまして調整組合ができまして、いろいろ調整行為をやっておりますが、設備制限につきましては別に期限を付しておりませんけれども、その他の一般の調整事業につきましては、大体一年程度の期限をつけてやらしております。もちろん、それによりまして、なかなかうまくいかないというような場合におきましては、それを延長することも認めているわけでございますけれども、もしその不況の状況がとれて、調整行為をなす必要がないというような場合におきましては、変更命令を出すことにいたしておりまして、あくまでも、私どもとしましては、この法律の趣旨は、病人を病院に入れておくというわけでございますので、健康体になりますれば、直ちに普通の、その統制的な措置をとらないように措置する建前になっておりますから、厳重にその点は守っていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/47
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048・加藤正人
○加藤正人君 政府の御答弁についてとかく批判することはおそれ入りますが、御答弁は、法律にはそう書いてある、こうしてあるというようなふうに御答弁になりましたが、法律にそう書けばそうなるものならば、われわれは決して心配はせぬのであります。今まで例があることでありますが、法律にどのように書いてありましても、それがそのようにいかぬところが、われわれの心配するところであります。以上のように、本法による統制の及ぶ範囲が中小企業全般に及び、また、その統制下にある機関も、政府はそうでないと言っておりますが、かりに私が考えるように、半永久的なものとなるおそれが強いことを考えますと、民間の行うところの自主的な統制措置だといっても、決して簡単にその影響を看過することはできないと思うのであります。しかも、中小企業は一本にまとまりがたいだけに、一たん統制に乗り出した以上は、さらに統制の強化が必要となり、たとえば員外者に対する罰則の強化とか、協定違反者の監査員に、あたかも戦時中の統制警察的な強権を付与するとか、あるいは団体交渉の応諾義務に罰則を設けるとか、政府の当初の意図いかんにかかわらず、統制の強化を招くことはむしろこれは必然であります。この点はそうでないとおっしゃるには違いありませんが、そういうことを幾たびも聞くことはやぼでありますから、この程度にいたしますが、前の質問と連関いたしまして、衆議院において修正された新規営業の規制についてこの機会にお伺いいたしたいのであります。すなわち、員外者規制命令の発動中に限って、新規営業を規制しようという考え方は、中小企業安定法においては、現に法文化されていたものでありまして、団体法においても、当初案には織り込まれていたのでありまするが、これが営業自由の原則に反する疑いがあるとして削除されたものであるということは、衆議院において中小企業庁長官が答弁されておるところであります。そこで、法制局に、おいでになるかどうかわかりませんが、法制局におられたら伺いたいのでありますが、憲法との関係から見て、この修正は違憲のおそれはないかどうかという点であります。また、公取委員会の方がおいでかどうか知りませんが、おられたら伺いたいのでありますが、独禁法の公正取引の確保の原則に反するおそれはないかどうかということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/48
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049・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) 設備の制限命令は、ただいまお話がございましたように、政府の規制命令が出ました場合に、必要に応じまして行われるわけでございまして、問題は政府の規制命令とほぼ同じ関係に立っておると思います。もちろん、規制命令はその前提といたしまして調整規程があるわけでございますが、その事柄の性質は大体似たものと思いますので、従いまして政府の規制命令そのものが憲法違反、あるいは独占禁止法の精神から見てどうであるかということに帰すると思うのでございますが、すでに中小企業安定法にもございまするように、あそこにいろいろ規定してございますような要件が備わりました場合に、必要やむを得ない限度において、この制限を行いますことは、必ずしも憲法違反とも言えませんし、また、独占禁止法の面から申しましても、その運用いかんによりましては、問題はございまするが、しかし、規制をすることそれ自体は、必ずしも独占禁止法の精神に全くいれないというふうには申し上げられないと考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/49
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050・加藤正人
○加藤正人君 必要やむを得ないものなら差しつかえないが、必要やむを得ないものでないものは差しつかえがあるということでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/50
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051・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/51
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052・加藤正人
○加藤正人君 しからば、必要やむを得なくないものというのはどういうものですか。(「簡単な日本語で言え」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/52
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053・横田正俊
○政府委員(横田正俊君) それはただいま私こまかく条文の文句を覚えておりませんが、要するに、その制限をしなければその業界全体に非常に困ったことになり、それがひいて日本の経済に非常なマイナスになる、こういうような場合であろうと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/53
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054・加藤正人
○加藤正人君 どうもこういったような、心配すれば切りのないことがまだたくさんあるのです、この法律の中に。私は、区切りのようになっておりますので、ほかの委員の御質問もありましょうししますから、それが終りましたら、私はその次を承わります。せっかく政府が御親切に一日会期を御延長下さったのですから、十分時間のありまする限り質問をいたしたいと思います。一応これで……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/54
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055・島清
○島清君 ただいま、大臣と中小企業庁長官の話を承わっておりますと、中小企業者に安定を与えるのには、組織力が必要である、従ってその組織化によって中小企業の安定化をはかっていく、こういう御説明でございまするが、どうも私たちは大臣からその説明を承わっておりますというと、率直に申し上げまして、大臣の所属されまする政党の何か演説会でも拝聴しておるような気がするのであります。それはすべての、働く職場を持つ諸君を組織化いたしまして、そうしてそのそれぞれの生活の安定と確保と向上を目ざすということは、これはただいまの段階的な立場における政治的な感覚からいたしまするならば、社会主義的な感覚でなければ、ちょっと聞き取りにくい政治の客観的情勢下にあるのであります。たとえば電力の会社を、九電力会社に分割いたしましたのも、これはまさしく、中小企業を組織化して安定化していくというような観念とは、全くの逆の観念に立ってのことであります。そういたしまするならば、他の企業というものは、自由競争の立場においてやらせる、中小企業だけは特別にこれは組織化をいたしまして、そうしてこの組織力によって安定化をはかっていく、他の産業、企業に対しましては、これは自由競争、弱肉強食でいくのだ、自由経済でいくのだ、さらにそれ以外の中小企業に対しましては、まあ社会党の政策を拝借いたしまして、社会主義的な政策でいくのだ、こういうふうにわれわれは聞えるのでありますが、そこで私は思想的に、観念的に、一体どういったような思想的立場に立って、この大企業に対する大臣の立っておられまする、いな、今の内閣で持っておられまする考え方の指導の方向と、さらにこの中小企業に対しまする組織化の指導の方法とが、これが果して一致するものであるかどうか、ここらの点がちょっと理解しかねておりまするので、御説明をわずらわしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/55
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056・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 私どもは自由経済政策を基盤として経済政策に当っておるものでございますが、産業界はすべて自由で公正な競争によって、そうしてお互いが伸びていく、こうさせる政策でございますが、ただその場合、大企業と中小企業では、もう自由競争をさしておったら、条件的にこれは大企業が勝って、中小企業は圧迫されてしまうと、これは当然でございますので、一面大企業側がいろいろ協定をして経済の独占をはかることのないようにという意味から、独占禁止法というようなものをもって、そういう公正な競争を妨げるようなことに対する防止の措置をとる、同時に中小企業に対しましては、自分の中小企業の競争力から見て、弱い部分を強化する政策を半面とらざるを得ないと思うのです。で、その方法としては個々の中小企業が経済行為をするよりも、共同して経済行為をする方が、中小企業の公正な競争力が出てくるというようなところから、協同組合を作らせるというような一連の中小企業の組織化を促進させるということと、半面そういう共同経済事業をさせても、なおかつ中小企業はさっき加藤さんからも言われましたような過当競争の宿命を持っておる業界でございますので、この過当競争をそのままにしておいたら、お互いが共倒れになってしまうというのが現実に見られる実態でございますので、この過当競争から中小企業を救って経営の安定をはからせるというためには、中小企業みずからが結束して、そうして自分の力で自分を防衛していくというための団結を許さなければならないだろうと考えております。そういう意味から、今度の団体法ができたわけでございまして、この中小企業の組織を促進させるということと別に、社会主義経済というようなものとは別でございまして、公正な自由競争によって産業を発展させるという政策から見ても当然こういう中小企業の組織化ということはやらすべきであるというふうに私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/56
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057・島清
○島清君 議論にわたるおそれのありまする点は省略をいたしますが、私が承わりたいと思いますることは、いやしくも立法をいたしましてこれにこやしをかけていこうというからには、これが法律の目的を十分に達成するように法の運営をはからなければならないと、こういうことから出発をいたしておるわけであります。そこで、大臣の所属されまするところの政党の政策は大企業に対してまああたたかい庇護を与えておられる。そこで中小企業の諸君は、その圧迫から特にまた過度の競争からも不安定の状態に置かれておるのであるから、これを強化しなければならぬと、ただこれに対しては強化しなければならないと、そういたしますると、国民の側からいたしまするというと、この中小企業の諸君を組織化いたしまして強大なるところの力を与えて、今加藤委員が指摘をされましたように、統制的なものにしてすべてが強いものがあると、国民だけは、消費者階級だけはその強いものの谷間の方に置かれて、そして一番因るのではないかと、こういうような心配もあるようであります。私は私の所属いたしまするところの政党の考えからいたしますると、大企業に対しましても中小企業に対しましても、はたまた、それ以外の消費者にいたしましても、ちゃんと社会主義的な政策をそれぞれ用意をしておるのでありまするから、国民の側にそういったような不安を与えることはございません。だがしかしながら、大臣の所属をされまする政党の政策からは、これは強いものを弱めるような政策はお出しにならない。私たちでございますると、まあその国民経済に対しまして強いものが作用いたしまして国民が迷惑になるというようなことについては、これは遠慮会釈もなく押える政策をとりましょう。そういたしますると、国民もまあわれわれがこういうような政策を遂行するということに対しましては、何らの不安もなく、そしてこれを支持していただけるものだと思う。そこで国民の側は強いものは野放しにする、政策にしましても案外あたたかい庇護を与える、そうしてさらにその上に中小企業者を強くせしむるということになると、その強い者同士の谷間の中にあって、われわれは困るんだという声がある。この声は、やっぱり私は国民に対して安心感を与えるところの基本的な立場を、私は大臣といたしましては納得のいくような、理解のいくような説明をなされなければならないと思うのであります。さらにまた、われわれの側から見まするならば、従来のこの種の中小企業の安定強化のためにということで作られまするところの立法が、保守政党の行政運営の中にあって、必ずしも法の目的通りこれが積極的に育成されたということにつき、われわれの十二分の信頼感を実は寄せられないわけであります。従いましてこれを作りましても、思想的な根底の上に立って、そうして思想の肥料を与えていくというようなことでなければ、私はこの法律に対する信頼感を得ることはできないと、こういうような観点に立ちまして、今大臣に御説明を願ったわけであります。今この現実的な姿というものはわかるのでありまするけれども、この作った姿というものは、これは実を結ばせ花を咲かすということについては、それはやっぱり肥料というものを与えていかなければならない。それは肥料を与えていく役割があり、それは要するにそれぞれの持っておりますところの思想的観念的なものがこれに大きく作用するんだ。そこで国民は、あれあれというような考え方を持っておるに違いないと思いまするので、この根底的な、大臣ないし大臣の所属しておりますところの政党の考え方をはっきりとこの際やっぱりお述べになっていただきたい、こういうわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/57
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058・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 今申しましたように、日本には独占禁止法というものがあって、公正な競争を妨げるような行為は許さない、こういう産業の基本法ができておるのでございますが、これはもっぱら私どもの目的は、大企業の協定を押えるという目的でございます。で、これが消費者はもちろん、国民経済の全体に影響を与える問題でございますので、独占禁止法の精神によって公正な競争を、この法律によって公正な競争を確保しようという趣旨でございますが、一方大企業については、そういう形で押えていきながら、中小企業に対しては、自分を守るために、ときにお互いが倒れそうになるというような大きな不況条件を持っておるというようなときには、中小企業の安定を守るために独占禁止法できめられておることも、例外措置として許して、そうしてお互いの力によって、団結の力によって切り抜けさせまして、という措置をとろうというのが、今度の団体法でございまして、私どもは国民経済全体を見て強い方を押えながら、弱い方にはこの団結を許して、また、政府が助けていくということによって、国民経済の自由競争をやはり基盤とした健全な発展を願おうというのが、私どもの考え方でございまして、これは今御指摘になったような基盤に不安があるので、国民が安心しないというようなものじゃなくて、むしろ、そういうわれわれの行き方の方が、国民全体にとっては安心ができる行き方じゃないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/58
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059・島清
○島清君 これから大臣の説明を求めましても、これは議論に発展をするおそれがありまするので、私は議論にわたることは好みませんので、これ以上大臣に説明を求めることは遠慮をいたします。さらには、それならば、ここに幸いにいたしまして自民党と社会党を代表されまする共同修正案の提案者といたしまして説明に見えておられまするので、ちょうど幸いでございまするので私は自民党側からでもよろしいし、政府側からでもようございますけれども、自足党側の方は政府、自民党どちらでもよろしゅうございまするし、さらに社会党は社会党と、こういう形におきまして御答弁をいただきたいと思いまするが、社会党といたしましては、一年近くにわたりまする中小企業の組織法案というものは衆議院の方にお出しになりまして、それと関連をいたしまする一連の中小企業政策法案というものをお出しになった。ところが、私たちが参議院の側からながめてみまするというと、遺憾ながらこれがまあさらしものになって、必ずしも審議の段階に入ってないようにお見受けをしたのであります。そのあとから団体法というものが出て参りまして、そとで松澤委員が御指摘をいたしました通り、団体法だけは頭を出してきたのでありまするけれども、それと関連をいたしまする、一体をなしまするところの法案が出てこなかったんだという指摘もございました通り、そして時間が、日にちがおくれまして団体法というものが出てきまして、そうしてまあ両党の話し合いの結果共同修正案というものが出て参ったわけでありまするけれども、私たちはこの共同修正案になりまする、本委員会がここで審議をしなければならないという前提的な問題といたしまして、どうも社会主義を掲げておりまするところの社会党と、今私が疑問といたしまして大臣にお聞きをいたしましたところの自由主義を標傍されまする、信念をされまするところの自民党の政策とが一緒になりましても、国民はですね、私はその何か上り列車と下り列車が一つの駅に停車をいたしまして、方向というものは何か変っていくんじゃないかと、こういうようなやはり印象を強く受け取るんではないかと、まあこういうような心配を持つわけであります。従いまして社会党の提案者におかれましては、組織法からその共同修正案に至るまでの経過についてその思想的背景と、並びにその組織法案とそれに関連をいたしまするもろもろの法案との関連において、われわれの納得のいきまするような説明を願いたいし、さらにまた、自民党と政府側におきましてもその通りでございます。団体法を出されましてさらにまたそれと関連いたしまするところの法案をお出しになりまするその経過等について、そうしてから一つになったものを私たちはやはり審議いたしませんことには、どうもそこらの経過というものが十二分にのみ込んでおきませんと非常に困りますので、はなはだわずらわしいことだと思いまするけれども、御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/59
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060・小笠公韶
○衆議院議員(小笠公韶君) ただいま御質問の中小企業団体法案の成立の過程並びに衆議院商工委員会におきまする共同修正までのいきさつというようなことについて話せと、こういうようなお話しであったようでありまするが、今日の日本の中小企業問題で何を一番先に考えるかという問題になりますと、いろいろなお話も出ておるようでありまするが、基本的には日本の中小企業が人口問題とも関連してその数が非常に多く、しかも、戦後日本の中小企業の企業数は戦前よりも特に多くなっておるということであります。これから参りまするいろいろな現象といたしまして、大きな資本を持っておる企業との関連もありましょう。また貿易の関係もありましょうが、中小企業自体の中におきまするお互いのやむにやまれぬ過度競争というものが現実に存在しておる多数の業界があるということを認めざるを得ないと思うのであります。この認識に立ちまして中小企業対策の第一着手といたしましては、すでに御承知の通りに昭和二十四年に通過成立いたしております中小企業等協同組合法があり、昭和二十七年成立の中小企業安定法があるわけでありますが、その後の情勢から見まするときに、中小企業安定法は特定の工業に限り適用されるのでありまして、中小企業一般対策として、これを広く中小企業の組織を作り得る根拠をする必要があると考えて、この中小企業団体法というものができて参ったと思うのであります。政府提案はその趣旨で提案されたものと了解し、私どももそう考えておるのであります。そこで、こういうふうな立場から立ちまして、今日の中小企業の過度の競争からくる正常なる競争を越えて、その結果として不況を招来しておる業界につきまして一つの商工組合を作らして、そこに調整作業を行わしめるという機能を認めようというのが、今回の中小企業団体法の大きなねらいであります。自主的調整の基本の問題といたしまして、日本の中小企業の実態から考えまするとき、ともすれば少数の員外者があり、これが自主統制を乱すという事実を見逃すわけに参りませんので、中小企業団体法におきましてはいわゆる五十五条の加入の強制命令、五十六条並びに五十七条におけるいわゆる員外規制の命令等をもって自主統制の完遂をはかりたいと思うのであります。で、こういう案に対しまして、社会党から御提出になりました中小企業組織法案におきましては、考え方の基礎におきまして大体同一方向をとっておられまするが、不況の状態を克服するための措置として、いわゆる団体法における五十五条ないし五十六条、五十七条のような措置を用いずに、いわゆる団体交渉並びにこれに伴いまする裁定権を中心としてこの問題を解決しようという方向に相なりておりまして、両案の最も大きく食い違っておる一つのところだと考えるのであります。
で、こういうような同じ行く手を考えながらも方法において若干の相違があり、また考え方においてももちろん若干の相違があるのでありますが、現実の中小企業の実態はともかく先ほど申し上げましたような状況にありますので、行く手は中小企業の安定、振興という同じ目標でありますので、両党が質疑を委員会でやりましたあと、何らかの形においてこの目的に達する話し合いをしよう、こういうお話し合いになりまして、ただいま皆様方おっしゃる通りの両党共同修正案になったわけでございます。
共同修正案の内容はこの前も御説明申し上げましたように、政府案において字句の不十分なるもの、言葉の足らないものに対する修正が相当ございまするが、さらに、そのほかに実体的にはいわゆる商工組合につきましては五十五条に対する一部の修正等々を行いまして、おそらくは両党とも十分なる満足というわけには参らないのでありまするが、今申し上げました目的が、同じ中小企業の安定、振興という目標のために、今日この組織を許可する必要があるという趣旨で、完全に意見の一致を見て修正案を提出いたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/60
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061・春日一幸
○衆議院議員(春日一幸君) 社会党の立場についてお答えをいたします。戦後長年にわたりまする保守政権の政策は、財政、金融、特に税制各般にわたりまして、大企業、大資本一辺倒でございまして、かくて大企業の側に対しては神武景気をもたらし、中小企業は日とともにその窮乏を加えるばかりであります。ここに戦後十カ年間にわたります政治活動によりまして、労働問題についても大幅のものについては、あるものは解決がされましたし、解決されないものといえども、解決の方向へのめどは立てられておると思うのであります。同時にまた、農村関係の諸問題にいたしましても同様、根幹になります問題は、あるものは解決され、いまだ解決されざるものといえども、解決への方向の見込みが立っておる。このような政治経済の背景の中におきまして、ひとり中小企業問題だけは何一つ根本的な解決がされていない。かくて全国の中小企業者が、窮乏の中から、何とか中小企業が安定し、かつは振興することのための施策を講じてくれという要望がほうはいと高まって参りました。
私どもはこの世論を受けて立ちまして、昨年の参議院選挙末、次期国会、すなわち今二十六国会を目途といたしまして、中小企業の振興をはかりまするために、すなわち中小企業の振興に関する総合政策を立案するの必要を党の機関で認めたわけであります。かくて党内に中小企業政策特別委員会を設けまして、水谷長三郎氏を委員長といたしまして、衆参両院から政策委員数十名が参加いたしまして、自来数カ月にわたりまして、この間、学者、法律家、経済人、その他学識経験者、業界の諸君、衆知を網羅いたしまして、この間その基本政策の立案に携わって参ったのであります。そこで、私たちが研究の結果到達いたしました結論は、今日のこの中小企業窮乏の原因を、次のごとくに分析をいたしました。その一つは、大企業の側から来たる圧迫、その一つは、中小企業の弱きもののもたらす習性が、いつしか過当競争にみずからを陥れて、そのことによって出血営業等が行われて、それが今回の中小企業窮乏の一大要因をなしておる。
かくのごとき理解に立ちまして、そこでまず最初には、大企業の側から参りますところの中小企業への圧迫を排除するためにはどうしたらいいかといろいろ考えたのでありますが、それはただいまの段階において衆議院に提出をいたしております中小企業の産業分野の確保に関する法律、この法律によって産業分野の区画整理を行なってはいかがであろうと考えたわけであります。と申しますのは、本日一例を申し上げまするならば、特に繊維産業なんかにおいてその傾向が非常にひどいのでございまして、たとえば東洋紡、大和紡、あるいは倉敷紡、こういうような大会社たちは、みずからが外国から綿花を輸入し、それによって糸を作り、糸を作ったもので生地を織り、今までは大企業の大体の産業分野はその限度にとどめられておったのでありますが、その大企業は大きな資本力を持っておりまするので、生産をすれば何でもできる。しかしながら、過剰生産に至れば滞貨の原因となり、滞貨は価格暴落の原因となりますので、これらの大企業たちはみずからの基本政策をばある限界にとどめて、しかしながら、余剰経済力がありますから、その力をもって二重加工、三重加工、すなわち従来中小企業の産業分野を著しく蚕食をいたしておるのでございます。かくて、そういうような縫製加工によって、なりわいを立てておりました中小企業が、続々とその面において重圧を加えられ、それがこの面から逐次はみ出されて、これが失業者になっておるわけであります。今日わが国の労働条件いかがあるか、これは島さんも御承知の通りでありますが、すなわち、現在潜在失業者が四百五十万ともいい、六百万ともいい、登録失業者は五十万とも六十万ともいわれておるのでありますが、こういういうような、労働条件がはなはだしく悪い状況下におきまして、さらに今後こういうような大資本、大企業によるところの、この中小企業の産業分野への進出を奔放無拘束に許しておくということになりますならば、これはこのような失業群をいよいよ増大せしめることに相なるのであります。今日わが国の政治力、経済力をもっていたしまして、これらの失業者にことごとく職を与えるということができるならば、これはまたこれで考え得るでありましょうけれども、御承知の通り、現在の経済力もなくして、そういう失業者に職を与えるの措置を政府としては講じがたい実情にあるのであります。従いまして、こういう状況下におきまして、大企業の進出をこのまま許しておくということになるならば、これはやがては、すなわちこれは大きな労働問題である、中小企業の問題ではなくして労働問題になり、この労働問題はやがて大きな社会問題になり、この社会問題は、さらに高度の政治不安を高めて参ると思うのであります。こういう高い角度から考えますると、もとより憲法には職業選択の自由原則あり、独禁法の憲章がありまするけれども、しかしながら、国家経済の立場において、あるいはまたさらに、この公共の福祉の名において、個人の基本的人権はある程度の制限を受けるもやむを得ずといたしまして、私どもは今にして法律によって中小企業の産業を、これを法定いたしまして、今後においては大企業がそういう分野を侵すことのないように、すなわち全国民がわが国の産業分野に、あらゆる場面において参画でき得るような、そういう経済秩序を確立する必要がある、かくのごとくに考えまして、あの産業分野の確保に関する法律を今国会に上程いたしておるのでございます。
他の一つが、この中小企業者の弱き者の習性がいつしか過当競争に陥っておるので、これは一つ事前に、すなわち予防的に、教育的にこれを不況に陥らざるように措置を講ずべきである、こういうことからあの組織法を作ったわけでございます。現在の政府案は、これは言うならば安定法とほとんど同工異曲でございまして、すなわち不況に陥ったときに、そのときに共同行為によって不況を克服せんとするものでございまして、それはすでに現在ありまする安定法と何ら異なるものではございません。その本質においても、機能においてもこれは大同小異でございます。しかしながら、私どものあの組織法の中におきましては、これは病気になってから治療を受けるというのではなくして、病気にならざる前に、すなわち事前的に、予防的に常時健全なる経営を通じて不況に陥らないように措置をとるということであったのでありまするが、こういう意味において、あの組織法というものはあのような構成がなされておったのでございます。
で、他の一つは、ただいま松澤さんから御指摘のありました商業調整法でありまするが、これは、私どもは今まで小売屋さんが現実に国の政策のらち外に置かれておった、小売屋さんは何ら保護されない。こういう非難にこたえまして、小売屋さんがやればやっていける体制の確立、小売屋さんがやろうとしても妨害になる面の排除、こういう意味であの商業調整法を作ったわけでございます。法の中には、小売屋さんと百貨店との関係、小売屋さんと市場との関係、小売屋さんと卸屋さんとの関係、こういうような関係を調整することのための立法があそこに行われておったわけでございます。
この三つの柱を、一つの当面いたします中小企業政策の三つの大きな柱といたしまして、そうして、これに付随するところの多くの経済立法を、今次国会に上程いたしておるのであります。すなわち、銀行法の改正があります。今日わが国の銀行は、大企業と結託をいたしまして、ほとんど金融無梗塞といってもこれは過言ではございません。大銀行はその系列関係の大資本にほとんどむちゃくちゃに金を貸し込んでおるのでございます。アメリカの連邦準備法におきましても、銀行は自己資本の一割をこえて同一企業体に貸してはならぬと言っておりますけれども、現実には二〇%、三〇%という貸し込みが幾多行われておる。こういうような資本主義的な傾向を排除いたしまするためには、アメリカの銀行法の例にならって、自己資本の一割をこえて同一企業に貸し込んではならぬという、そういう銀行法改正法律案を今次国会に上程いたしておることも御承知の通りであります。
それから、私どもは、外資法の改正案を出しております。これなんかは、アメリカ資本がどんどんと日本に、敵前上陸ではありませんが上陸をしておりまして、たとえば、シンガー・ミシンのそれ、あるいはジョンス・マンビルのそれ、幾多の資本が入って民族資本が脅かされておるのでございます。従いまして、これによりまして、私どもは、外資の導入についても、ある程度の限界を越えてはならぬ。すなわち、わが国の中小企業を脅かすようなおそれのある外資の導入は、これを禁止することができると、こういう外資法の改正法律案を出しております。
それから、官公需の確保に関する法律案というのでありまするが、これなんかも、現在、国あるいは公共団体の発注が大企業、大資本にのみ偏向いたしまして、中小企業には及んでおりません。これは、まことに不公正であいまして、国の経済を不健全にいたしております。また、官公需の一定歩合を中小企業に確保せなければならないという単独立法を起しまして、これまた、ただいまの段階において衆議院において御審議を願っておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/61
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062・岡三郎
○岡三郎君 ちょっと途中ですが、あまりに名調子で、非常に敬服しておったのですが、もうちょっとゆっくり……。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/62
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063・春日一幸
○衆議院議員(春日一幸君) いや、詳細に述べてくれとのことでございまして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/63
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064・岡三郎
○岡三郎君 いや、詳細にゆっくりやって下さい。(「簡単に」と呼ぶ者あり)簡単でも何でもいいが、とにかく今のじゃわからないですから。(笑声)今の調子はわかるんですが、しかし、割合に専門的になっておるんで、われわれも勉強するわけだ。質問者もそうだと思うんです。だから、その点で、簡潔にということが、これはまあ質問する人がそこにおるんですから、質問する方から詳細にと言っているわけだから、私がとやかく言う筋はないが、それですから、もう少し調子をスロウにやってもらって、明確に聞かせるように……。ちょっと途中で腰を折って済みませんでした。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/64
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065・春日一幸
○衆議院議員(春日一幸君) それでは詳細と簡潔の中かげんで参りましょう。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/65
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066・岡三郎
○岡三郎君 いや、詳細でもいいですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/66
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067・春日一幸
○衆議院議員(春日一幸君) ただいま申し上げましたように、わが党におきましては、今次第二十六国会におきまして、この三つの基本法、すなわち、中小企業の産業分野の確保に関する法律と、商業調整法と、中小企業組織法、この三つを親法律といたしまして、あとは、銀行法改正法律案、それから外資法の改正法律案、百貨店法、商工会議所法改正案、それから各種の税法改正案、その他合計十九の法律案を出しておりまするし、さらに、各委員会において行政措置として措置を願って、中小企業の振興のために役立ちまする施策といたしまして、四十五の行政措置を政府に向って要望いたしておるのでございます。
で、こういう中小企業の総合政策を講じますれば、本日、大企業の圧迫により、あるいは業者自体の過当競争によって不況に陥っておりまする中小企業が、これは、腹が減ったときにめし食えばすぐ腹がふくれるというようなわけには参りませんけれども、これは漸を追うて、とにもかくにも本日の不況が克服できるという大確信の上に立ってこれらの法律案を上程し、そうして、政府に対してその行政措置を追っておるわけであります。
そこで、問題となっておりまするこの組織法でありまするが、ただいま申し上げましたように、政府案は、病気になってからお医者さんの治療を受ける、すなわち、不況事態が現実に存在をしたときにのみ、この共同組織を持てるというのでありまするが、わが党案の基調は、そうではなく、病気にならないように、病気になってからではすでにおそい。病気にならない前に病気になることのないように、すなわち、予防的に、事前的に措置を講じていくという、そういうベースに立っております。従いまして、よって立つベースが相異なっておりまするものが、ここで意見を調整いたしまして、共同修正案を作るということにつきましては、これはもとより幾多の困難なる段階があったのでございまするが、しかしながら、その最終の目的は、中小企業の安定とその振興、ここにありましたので、いわば小異を捨てて大同につく、というほど割り切ったものではありませんけれども、(笑声)とにもかくにもそのような一つの責任と、その必要を認めまして、そうしてただいま御審議を願っておるような共同修正案を作成するに至ったわけでございます。しかしながら、ただいま申し上げましたように、保守党の感覚と私どもの感覚とは、ヨシツネとムコウズネくらいは違うでありましょうから、(笑声)従いまして、この間におきましては、意見を入れていただける面もあり、しからざるものも多々ございました。しかしながなら、この問題につきましては、保守党の方におきましても、わが党の主張をずいぶん入れてくれまして、そうしてこれならばわが党の政策の根幹をゆがめるものではないという、こういう理解に達しましたので、この案をもって今次国会における私どもの願いは十分の一も何分の一にも満たないものではありまするけれども、ないよりましである。のみならず、本日中小企業者が非常に困難な状態にある。大企業は神武景気であり、中小企業の不渡りは、わが国におきまする手形交換所の制度が始まって以来の最悪のレコードであると言われておる。こういうような中小企業の出血を目の前に見ておりましては、私どもはこの法律案には満足ではありませんけれども、言うならば、大岡裁きにおける実母の悲しみを心に込めてこれに対して私どもは一応これで一つ通していただこうと、こういうことで、私どもはこれに対して了解を与えて参ったわけでございます。御了承を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/67
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068・相馬助治
○相馬助治君 関連して。ただいま小笠理事と春日理事からきわめて自信に満ちた御答弁を承わったのですが、この答弁を政府自身もお聞きになったと思うのです。ここで、私どもは政府の見解を承わっておきたいと思いますのは、小笠理事の答弁の中に、政府案の字句の不十分にしてしかも不明瞭なる点を直したと、こういうふうに書いてあるのです。これは、しかし、精励恪勤をもって鳴る川上中小企業庁長官が魂を込めて書き上げた法案だと聞かされておりますから、おそらくこれは見解の相違であると政府は抗弁したい点もあるのではないか。従って、私は、この際この両理事の御発言に関連し、特に小笠理事の発言に関連して、政府が今のことに対してはどのように考えられるか。しかも、この法律案を出した政府の勇気に対しては、もともと私は敬意を表しておるのです。中小企業が何らかの形で立法措置をしなければならないということは、これはひとしく認めるところなのです。ただ、私どもは、内容的に賛成しがたいものがあっていろいろ質疑を重ねておるのでありまするが、ここで政府の見解を承わりたいのは、衆議院によってかくのごとく大修正を行われたこの法案が、かりに本日のこの委員会において成立した場合に、水田大臣としてはこの法によって実施していって中小企業を救い得るという自信ありやいなや。第二には、本委員会において不幸にして不成立に終ったとする場合に、この法案は衆議院の議員によるところの修正案であるから、われわれはあまり興味なしとしてこれを見捨てられるのか。それとも、これがかりに継続審議等に付せられた場合には、本法を中心として政府が自主的に次の機会において法成立のために積極的な意見を示すのか。いわば、そういう政治的な本法に対するいわゆる衆議院回付修正案に対する基本的な水田大臣の見解を、この際参考のために、島委員の質問に対して答えられた両氏の答弁に関連して、水田大臣の心境並びに決意を念のために承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/68
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069・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 私は、この法案が通過することによって、中小企業の安定に寄与するところが非常に多いだろうと確信しております。それから政府案が衆議院におきまして両党によって修正されましたが、しかし、さきほどから両党の代表から言われましたように、政府も両党も中小企業の安定のためにねらっておる目的は同じでございますので、この目的が達成されるようにということを中心に修正されましたものでございますからして、本質的にこの法案が変ったというものではございません。たとえば強制加入ということは、私どもは調整事業をほんとうに最後的に効果あらしめるというためには、これは必要だと考えて強制加入の問題も取り上げておったのでございますが、問題は、あらゆる団体について加入、脱退は自由だという原則に対して、これがいいか悪いかということが、社会党の最も関心を持っておったことでございまして、非常に私どもはこの点で論争いたしましたが、この点は社会党の関心を私どもも取り上げまして、どうしても自分はこういう理由だから加入できないのだという者については、理由があれば加入しなくてもいいということで、この原則を、やはり脱退、加入の原則というものは、この法案でも一応貫くという立場でお互いに両党が話し合ったものでございまして、この点についても政府は別に異論ございません。
要するに政府が最初作った趣旨は、この修正案によってりっぱに果されると私どもは思っておりますので、これはぜひこの法案は中小企業の現状から見て、この参議院において通過さしていただきたいと希望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/69
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070・相馬助治
○相馬助治君 不成立の場合は……、継続審議にでもなった場合、(「仮定の事実だ」と呼ぶ者あり)いや、仮定の事実を論ずるのが政治の大切なところなんです。今後積極的にやるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/70
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071・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) かりに不成立の場合と申しますと、先ほどから申しましたように、税制の問題とか、あるいは金融の問題とか、そのほか政府が行政措置でできる問題は、中小企業のためにあらゆる努力をいたすつもりでございますが、ただ、中小企業が困っておる過当競争の状態を、みずからの手でこれを解決しようという方法が法的に確保されないということになりますので、政府がいかに努力しても、そういう点では非常に中小企業対策の効果が薄らぐということだけは争えないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/71
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072・相馬助治
○相馬助治君 いや、私が聞いておるのは、不成立になったら結果がどうなるかということよりも、不成立などという場合には、これは議会において修正された案だからというようなことで突っぱねるのか、それとも趣旨が同じであるから、今後この線に沿ってあらゆる機会に、成立のために自主的な積極的な努力をする意思があるのかないのかと、こういうことを聞いておる。決意のほどを承わっておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/72
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073・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 政府はあくまでもこの種の法案の通過に努力したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/73
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074・小西英雄
○小西英雄君 関連して、中小企業団体法案なるものがいかに重要法案であるかということは言を待たないのでありまして、政府においてもこの重要法案の出し方の非常におそかったということについては、われわれ与党の委員としても認めざるを得ませんが、この団体法案がわが国の二大政党たる日本社会党、自由民主党の一致して出してきた法案でありまして、ただいま小笠理事、春日委員等の熱烈なる、誠意あるいろいろな経過を承わって、われわれこの中小企業を思う一員として非常に感激いたしたのであります。春日委員はいろいろ誠意ある自分たちの案と、自由党の案とは相当な差異があったが、中小企業を思うとき、この法には多少の欠陥がありといえども、この中小企業者のあえいでおる苦難の道を考えるとき黙視し得ずして、そうしてのんできた。そうしてわれわれもその立場において、自由民主党の一人として、また参議院の一人として本法律案をもう少し慎重に審議したいという考えを持っておりましたが、本日ここで日本の両政党が一致して出してきた法案を、数千万に上る中小企業者を救うために百歩譲って、われわれここに委員大ぜい並んでおりますが、本日春日委員のその熱意にこたえて、わが与党の議員は、本日ここにもう数時間しかございませんが、ほんとうに皆様方が多少の欠陥を認めつつも通してやろうという熱意があるならば、私たちはあえて本日この本法案を、あるいは継続審議とか流れるということになれば、また日の目を見るのがいろいろ長くなるので、その点について春日委員の心境は、社会党を代表していろいろな発言を行われておるので、その心境をお尋ねしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/74
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075・春日一幸
○衆議院議員(春日一幸君) 私は衆議院議員でございまして、わが国会は両院によって構成されておるわけであります。他院のことにつきましては、やはり参議院の御判断によってしかるべき決定がなされるものと期待をいたしておりますが、それ以上立ち越えた意見を申し述べることは慎しまさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/75
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076・小西英雄
○小西英雄君 本日一日延ばしたことは、両党相談のもとに延ばして、この法案が審議に入っていないので、この重要法案を一日延ばすことによって、何とかいたしたいという両党の熱望もありますので、われわれは参議院の一員としてこの法案について相当深い審議をしたいという考えを持っておるが、すでにこの法案が昨年以来わが政調会においても、おうちの社会党の党内においても、相当御慎重な考慮を払われておりますので、われわれは何とかこの法案を中小企業二千万を救うためにも本日ぜひとも成立をさしていただきたいということを念願いたすものであります。どうぞ春日委員は衆議院社会党を代表して一つ納得さしていただいて、そうして……(笑声)お願いいたしたいと思います。(相馬助治君「それはおかしいよ、あとの方はちょっとおかしいよ」と述ぶ)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/76
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077・島清
○島清君 どうも私の意見から、ちょっと小西議員が脱線気味で大へん遺憾でございますが、私が今この共同修正案のそれぞれの責任者にその全体的なことをお聞きいたしましたことは、私たちがこの法案を審議するに当りましてのこの心がまえといいますか、そういうものを深く知りたいためでありました。そこで、私もそうでありますが、両提案者並びに政府の説明によりまして、われわれはこの法案を審議するに当っての心がまえができたと思うのであります。
そこで私はここで、時間がございませんのでただあと一点だけ、ただいま御質問申し上げました全体的な質問に対するさらに発展的な質問といたしましてお聞きいたしたいことは、何よりも私たちはこの法案が国会に提案されましてから、賛成をされる方、あるいは反対をされる方々からの強力なる請願、陳情を受けるわけであります。これが全国的なそれぞれの関係者の方々から、私たちはあるいは反対、あるいは賛成の請願、陳情を受けるわけでありまするが、一番反対者の強力な発言は、何といいましてもこの員外者に対しまする強制力という問題にあるようであります。そこで、最も自由主義的であり、最も他に強制的なことを好まないと思われておりまする小笠さんが所属されまする政府与党の方が、この員外者に対しまするところの強制力を、その原案に非常に固執をされました。さらにまた、社会党の方は憲法の自由の原則に従いまして、加入、脱退というものは自由にした方がよろしいと、そこで、今春日議員がこれは予防的な法案である、措置であるということからいたしましても、やはりこれは教育的な内容を持つべきものであったというように考えられるのでありますが、今それぞれの党の代表者の方々がそれだけの互譲の精神を持っておられながら、あるいは片一方においては中小企業のことを考えられながら、また他面においては消費者階級のことをお考えになったということから考えまする場合、それだけの互譲の精神がございまするならば、非常に反対者の方から強力にその陳情を受けまするそこらの世論に対しましても耳を傾けられて、憲法に規定いたしまするところの加入、脱退の自由というようなものが、もっとすっきりした形において妥結ができたような気がするのでありますけれども、ここいらの方は、この経過のことについて、なぜこういったような、国民も希望するような側の加入、脱退ということが、こういったような官僚統制と誤解されるような統制力を持たして、これだけの互譲の精神を持って、なおかつここに妥結の点に至らなかったという点について経過を御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/77
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078・小笠公韶
○衆議院議員(小笠公韶君) 簡単にお答えいたします。中小企業団体法案、中小企業組織法案、この二法案を中心といたしまして、各方面からのいろいろの御意見が寄せられたのであります。特に衆議院における審議の過程におきましては、衆議院の院内において、また大阪及び名古屋におきまして関係者の御意見も拝聴いたしました。それらの結果につきましては、簡単に申しますと、現に中小企業の業に携わっておる人を中心とする方々からは、今度の中小企業団体法の一つの大きな柱は加入の命令にあるので、加入の命令はぜひ置いてもらいたいという話が出ております。一方これに対しまして、いろいろな文書その他のお話しによりまする中に、加入の命令は困ると、特に御指摘のように、お話しの中にありましたように憲法におきまする結社加入の自由の拘束にならないが、こういうような疑義も提出されておるのであります。また、現在の民主主義におきまする組合制度は、加入、脱退の自由を原則とするものである。従いまして独禁法的趣旨から見まして、場合によって一定の条件のもとに加入を強制することは独禁法の趣旨と相反しやせぬか、こういうようないろいろな御意見がございました。多数の御意見の中で、この問題についていずれが多くの反対があり、いずれがどうであるということははっきりわかりかねますが、大体そういうような両面の御意見が強く主張されておりました。でこの点につきましては、私ども審議の過程、特に社会党の代表の方々との話し合いの過程におきまして、社会党の代表者からは強くこの問題の修正のお話がございました。で、私はこの問題につきましては、日本の中小企業の実態、これまでのいわゆる組合制度の由来等々を考えまして、現実の状態から見て加入の命令を一定の条件のもとに置くことが必要であるという考え方で、私ども自民党といたしましてはお話をしたのでありまして、率直に申しまして、この問題が問題の最初から最後まで議論を尽したところでございます。先ほど春日議員からお話がありましたように、組織法案におきましての考え方は予防的あるいは教育的な面がございますが、御承知の通り社会党から御提出になっておりまする組織法案は中小企業等協同組合法の方にありまする各種組合を包摂し、さらに新しく中小企業勤労事業協同組合及び火災共済協同組合を内容といたしているものでありまして、この予防的な処置の面におきましては、先般御説明申し上げましたように両党話し合いの結果、中小企業等協同組合法の一部改正に関する法律案として盛り込んだのであります。従いましていわゆる一時的な不況の克服要件として、これの調整事業につきましては両案とも大体同じでありますが、これを解決するのに、先ほど申し上げましたように政府案におきましては、いわゆる必要に応じまして加入の命令と員外者の規制の強制命令を出し得るような措置をいたしておりますが、社会党の中小企業組織法案におきましては、団体交渉権を強化し、その結果につきまして仲裁裁定によって当事者を拘束すると、こういうふうな行き方で、富士山に上る場合に、甲斐口から行くか、あるいは静岡口から登るかというふうな相違がございますが、今申し上げましたように、島委員のお尋ねの中心でありまする加入の強制問題については、今申し上げましたように最初から最後までいろいろ御議論がございましたが、最終的に現修正案のようなところで話をまとめたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/78
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079・春日一幸
○衆議院議員(春日一幸君) お答え申し上げます。島さん御承知の通り、わが国の経済憲章といわれておりまするこの独占禁止法の第二十四条の三の四の四には不況カルテル、それから合理化カルテル、これを容認する場合の絶対不可欠の要件といたしまして、加入、脱退、これの自由の原則は断固としてこれを守らなければならぬと、これがこの経済憲章の中に厳として規定いたしてあるわけであります。そこで、私たちはこの条項を最も高く尊重いたしました。たとえばこの経済憲章の、加入、脱退の自由の原則を確保することなくしては、こういうような不況克服のためとはいえ、一切の経済上の共同行為を許すべからずと、こういうことに相なっているのでございまして、あたかもこのことをもしも強制加入というような形で法律によって、不当に国民の身分を変更せしめるような法的措置を講ずるということは、これはまことに重大なこととわが党は考えたわけでございます。たとえば憲法におきましていろいろな基本的人権、その他基本条項の取りきめがありまするけれども、その事のよしあしは、これは別個の問題といたしまして、たとえば労働者に対しては団結の自由、その行動の自由がある。従って労働組合を結成し、ストライキをやることは憲法で保障されているのでありまするが、さりとはいえ、労働組合に加盟することも、脱退することも自由でありまするし、さらに憲法で保障されておりまするその争議を行う権利といえども、その法律が悪いということはわが党がすでに指摘をいたしていることでありまするが、一つの前例として申し上げまするならば、今日電力あるいは石炭関係においてはスト規制法もできているようなわけであります。こういうような憲法の基本的な取りきめに相反するような他の単独立法が行われている事例はありとはいえ、しかし天皇制を否認するとか、あるいは憲法の基本条項である議会制度を否認するとか、あるいは私有財産権を否認するとか、こういうような憲法の精神、生命をこわしてしまうような他の単独立法は許されるはずはなく、また現に許されていないのであります、一つもないのであります。現在まで、この独占禁止法におきまして第二十四条の三の四の四項、すなわち加入脱退の自由の原則を確保することなくしてはカルテル行為は許されることがなく、将来許されるということもない。こういう工合に公取の委員長は、公取の見解は、その政府部内における討議の過程においても、あるいは衆議院におけるところの私どもの審議の過程においても、責任をもって述べられておるのであります。私たちこの議会は、たとえば本日経済現象が非常に複雑多岐であります。言うなれば、大東京の中における交通のようなものであります。そういう頻繁なる交通の中においてブレーキなしに走るようなものである。これは全く危険きわまりないものだと私どもは思っている、これを憂えております。従いまして、カルテル行為を許すためには、アウトサイダーは必要にして欠くべからざるものである。アウトサイダーが、その共同組織の外におって、自分の公正なる値段を自主的にとりきめることによって、共同行為の行き過ぎに対してブレーキ的役割を果たす、こういうことで、これは経済的立場からも、あるいは憲法論からも、独禁法論からも、これは断じて加入、脱退の自由の原則というものは確保しなければならない。それでなければ、今後わが国の憲法上の基本的人権に対してはなはだしい侵害をするし、経済憲章の根幹をゆるがしてくる。こういうことで、はなはだしく自民党さんにお願いをいたしたのでありましたが、憲法を改正せんとする自民党さんは、憲法尊重の念薄くして、まことに基本的人権にふれる問題について、わが党の指摘、それから公正取引委員会のこの主張、見解、こういうものに耳をおかしにはならなかったのであります。
しかしながら、いろいろと熱心に両者の中において話し合いをいたして参りました過程において、ならばというので、いろいろと修正の案が試みられました。最後に到達いたしましたのが、御審議願っておりまする、その案でありまするが、それによりますると、大臣の命令が発せられる、受けた本人が入ることがいやなときは、表現は支障ある場合となっておりますが、支障ある場合は行政庁に届け出でその認証を受ければ加入しなくてもよい、こういうことにこの修正がとりつけられたわけであります。これは自民党さんの側におきます解釈と、あるいは社会党の解釈との間にはそれぞれ判断の相違点があるでありましょうが、私どもの見解をもってすれば、大臣が本人に命令をしたけれども、本人が支障があるなら、差しつかえがあるなら、いやだといって行政庁、すなわちこの法律で知事と書いてありますが、大臣が命令していやならば、知事さんのところに行って私はいやだと、こう言うて認証を受ければ入らなくてもいい、こういう取りつけに相なっておりまするので、すなわち、この法律によって国民の身分に対して変更を来たすという、このおそるべき事柄は、これによって大幅に解除されたのではないか。かくのごとくに理解をいたしまして、ならば一つ、この法案で行こうか、こういうことで結局妥結を見たわけであります。さりながら、この問題は制度といたしまして大臣が法律、命令をもって個人の身分に変更を来たさしめるという、この条項がここに存在するということは、憲法と独禁法との建前において、まことに重大な問題であります。従いまして、私ども衆議院におきます社会党といたしましては、とにもかくにも、いろいろとお願いをいたしましたが、ベストを尽しました最後の限界がこれである。われわれのなし得なかったことを、一つ参議院の皆さんによって努力していただいて、そうして、この点の疑義を解消していただきたい、こういうことをお願いを申し添えて、そうして皆さん方の御努力に御期待をいたしておるというのが、ありのままの実情であるわけでございます。さよう御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/79
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080・島清
○島清君 自余の質疑は私は後刻に譲りまして、前提的な質問に対する現段階における私の質問はこれで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/80
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081・松澤兼人
○松澤兼人君 先ほど前提となる取扱いの問題について御質問申しましたが、法案審議の基本的な問題ということについてお伺いしたいと思うのであります。
第一はこの問題につきまして、もちろん促進を陳情される側は、小売業者の人々で相当多数の、また、強力な御陳情を受けていたのであります。しかし、また反対する側は消費者団体の方々でありまして、これまた相当の力をもって私たちに十分な検討を加えてくれということを申し出てきておるのであります。問題は、この業者の苦しい立場というものを十分理解しなければなりませんし、そのために先ほど春日君からとうとうと社会党の立場を述べ、また小笠君からは、それぞれ自民党の立場を述べまして、中小企業が現在の段階において受けている困難の解決のために勢力をしなければならないと申され、そういう意見を集約して政府が法的な措置を今回の国会に提案されたものだと了解いたしますが、これらの業界の安定、また、国民経済への寄与という問題と、消費者の生活防衛と申しますか、生活を守るという考え方と、どの点で調和するかということが、これはもちろん最大のこの法案の問題であろうと思うのです。
それは通産大臣がお答えになる場合には、しかるべく適当にという答弁になるかもしれませんけれども、この問題は、きわめて重要で、また早急には解決のできる問題ではないと思います。
そこで、春日君も言われましたように、職場で働いておられるところの労働者の人々は、憲法から労働法の関係におきまして、その生活を守るという方法が団結権という形をもって守られていく。そこで今度は、この中小企業等の団体の組織に関する法律が成立いたしますと、中小企業の立場というものが、またこの法律によって守られる。しかし、それでは最後に残った消費者の立場というものは、どういう形において守られるであろうか。これが消費団体の方々の非常に大きな関心であり、心配であると思うのであります。この法律が施行せられた後に、消費者の受けるであろうということを心配しておられる種々の不利益、こういうものは、まあこれまでの質疑の過程におきましては、絶対にないということであります。しかし、私は直接間接、消費者の生活というものが、ある程度の不利益を受けるであろうということを予想するのであります。この業界の利益というもの、あるいは業界の安定というものと、消費者の利益、あるいは生活の安定というものを、どういうところで守られるか、調整をとっていかれるか、根本的な問題でありますけれども、御所見を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/81
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082・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 私どもがこの法案を作りますについて最も苦心した、意を用いた点は、消費者の利益を害さないようにするということでございまして、この法律の条文を審議していただけばおわかりと思いますが、もう各所にその点に留意しておりまして、ことに消費者が一番心配するのは、価格の協定をやられはせぬかということでございまして、これはなかなか簡単にできぬというふうにするために、いろいろな配慮をしておりまして、価格を不当に引き上げの協定をやって、消費者に迷惑をかけるというようなことは、政府自体としても、そういうことは法律によってもさせませんし、事実上あり得ないような配慮をしてございますので、この点の心配は私はないだろうと思います。ただ、不当に一方の業界が公正な値段を割って、そうして一方は共倒れになっているという事態がある以上は、消費者といえども、公正な値段で物を買うということは、これは必要だと思いますので、従って不当な価格協定というものはさせないかわりに、今まで小売商の間で行われておりますように、景品をつける競争をやったり何かして、小売商自身ももうからないで困るし、よそがやるから自分もやらざるを得ないというような、こういう乱売競争による不当の利益を消費者が受けるということも、これはある程度がまんしてもらわなければならぬということが考えられますので、そういう過当な競争についての調整は、この商工組合でやれるということにしますと、その程度の消費者が迷惑をする。もっと景品がもらえたろうが、あまりもらえなくなったという程度のことはあるかもしれませんが、それ以上に公正な値段をつり上げて、消費者全体が迷惑を受けるというようなことは、絶対にさせないという立場でできておりますので、この点の心配は私はなかろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/82
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083・松澤兼人
○松澤兼人君 ただいまの価格のつり上げということが早急に行われるであろうということは、私も行われないであろうということは了解いたしますけれども、同一のレベルに立って、手工的に何か物をこしらえているとうふならとうふというものを、しかし機械的な方法で、あるとうふ屋さんが、もし、とうふをこしらえたとする。そのときにはコストは当然安くなるであろうし、また、安く売ってもいいかもしれない。そういう近代的な生産方法をとったというような場合における価格の引き下げ、それを調整するということは、これは非常に今後くるところの大きな問題であろうと思うのです。現在の段階は、大臣が言われるように、引き上げることはもうあらゆる手段を講じて抑える、景品とか何とかいったことはあると思いますけれども、だんだんと生産方法が変って参りますと、私はそういう問題は起ってくると思う。これをどういうところで解決するかということが問題だろうと思うのです。しかし、その問題につきましては、今ここで触れませんけれども、この中小企業の困難の原因が過当競争ということに集約されております。しかし、同時に過当競争という現実に対しては、こういう方法によって調整するということはよくわかる。しかしこの業界に、中小企業に流れ込んでくる、いわゆる新しい人口、こういう人たちに対して押える手が果してあるだろうかどうか。それからその問題について解決策があるだろうかどうか。よしんば既成の人たちに対してはある程度の調整をすることができるかもしれない。しかし、新しい人に対しては何か手を打つことができるだろうか。しかも、この問題は日本の人口の問題と非常に密接に連関しておりますから、重大な問題であろうと思うのです。しかも、小売商業特別措置法によりますというと、購買会とそれから生活協同組合の員外販売ということに対しては、非常に厳重な規制をされております。しかし、これは社会党の案にはありますけれども、政府の案にないという、百貨店に対する方法というものがこれに出ておらないのであります。百貨店に対する小売商業特別措置法の中における規定がないということは、私はおかしいと思う。社会党の案にはある。しかも、最近起って参ります日本信用販売というような、こういう形式のものが、やはり結局そのクーポンを使う人は百貨店に集中してくるでしょう。場末の小売商店へ行ってクーポンを出すという人はほとんどない。こういう問題につきましても、団体法におきましても、また、小売商業特別措置法におきましても、何らうたわれておらない。果してこれで、団体法だけで私はその目的を達成することができるかどうかということが非常に疑わしいのであります。この点につきましては政府の所見を伺いますし、さらに百貨店の関係から、春日衆議院議員にもお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/83
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084・水田三喜男
○国務大臣(水田三喜男君) 団体法だけで中小企業が振興されるとは考えておりませんで、先ほどから申しましたように、中小企業のためにすべきことはたくさんございまして、百貨店の問題も、百貨店法というものを置いて、百貨店自身を規制するようなことをしておりますし、それからさっき申しました、政府でも準備しておりました中小企業の振興法案、あるいは小売業に対する特別措置法というようなものも、こういうものもあわせてやらなければいけないだろうと考えています。ただ、この団体法は、そのほかの法律は中小企業自身の手ではできない、自分たちがやろうとしてもできない。政府が法律をもって保障してくれるのでなければできないというような問題を取り扱う法律でございますし、こっちの方は、中小企業が自分の力で克服のためにこういうことをするというときには、政府が受けて立ってその手助けをするという立場の法律でございますので、中小企業がみずからの手でやりたいという場合の基礎法律を準備することと同時に、中小企業自身ではやれない、たとえば大企業との分野の調整とか、こういうものに対するいろいろな規制は中小企業自身ではやれませんから、これは政府の手でやるというふうに、自分の手でやれること、政府の手でやってやることと、こういうものが一連そろわなければ、やはり中小企業の対策にはならないだろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/84
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085・松澤兼人
○松澤兼人君 日本信販の問題……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/85
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086・川上為治
○政府委員(川上為治君) その問題につきましても、私どもの方としましては、この小売業者との間に何とか調整をしなければならないというふうに考えておりまして、現在衆議院の方へ出しておりました小売業の特別措置法によりまして、行政官庁がそういうものとの調整に対しまして、あっせんをしなければならないというような規定も置いて、何らか行政官庁においてそういう特別なあっせんをするような措置は実は考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/86
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087・春日一幸
○衆議院議員(春日一幸君) ただいまの御質問のうち、中小企業のうち、なかんずく小売店と百貨店との関係を、いかに社会党が調整せんとするか、この御質問に対してお答えをいたしたいと存じます。これは私どもは商業調整法の中に、その関係を大体のところ規定しておるのでありますが、それだけでは根本的な解決になりませんので、これまた百貨店法一部改正法律案、この単独立法を用意いたしましてその措置を講ぜんといたしておるのであります。
その概要を骨組みだけを申し上げますならば、私どもは小売店に対する理解を次のごとくにいたしておるのであります。それは、消費生活者に消費物資を供給するさまざまな形態のものがあります。小売店あり、百貨店あり、あるいはまた市場があり、生活協同組合、職域購買会、共済会、さまざまなものがあると思うのでありまするが、しかし、北海道から九州までながめて見ますると、小売業者のうち、この消費生活者に最も多く消費物資を供給しておるものは何であるかというと、これは申し上げるまでもなく、圧倒的に小売店に多いのであります。こういう角度からながめますると、この小売業者は消費生活者に物を売る、まあ国家的な大きな任務を背負っておる機関と考えまして、従って小売店がやっていけるようにせなければならぬというので、今大きな障害となっておる百貨店のやり方について法律の規制を加えたい。それからさきに百貨店法ができまして、当時も私どもから出しました原案は、不公正とおぼしき仕入方法、不公正とおぼしき販売方法、その他多くの条項を設けてそれを制限いたしました。許可、認可を必要とする事柄にいたしておるのでありまするが、これは先国会におきまして自民党の御主張等によりまして、ほとんどこれは骨抜きになってしまっておるのであります。従いまして小売店を保護するための現行百貨店法は、ねらいがほとんど逆に、これは百貸店を保護するための百貨店保護法の形になってしまっておるのであります。そういう立場から、今回百貨店法を改正することのためのいろいろ立法措置を講じておるわけでございます。
なおこの機会に松澤先生の先の御質問の中で、わが党の考え方もあわせてお答えを申し上げておいた方がよろしかろうと考えますので、一言添えさしていただきたいのでありますが、それはこの共同修正案において中小企業者が共同行為を行うことの結果、消費生活者に対して値上りをきたしはしないか、不当なその利益を侵害することはなきか、こういう点について政府の御答弁も求められたのでありまするが、私どもはこの共同修正をいたしました責任者といたしまして、これは次のような確信を持っておったわけであります。
それは不況事態というものが大前提となるわけでありまして、不況のないものには、この共同行為は許されません。この共同行為によって不況事態が克服されたときには、それはすみやかに変更もしくは解消されなければならぬのであります。そこで、この商工組合は、まあ言うならば、中小企業者が不況から立ち上る、胃が悪いから胃をなおす、こういう立法であります。最もおそれられるのは、骨の薬をのんで腸に副作用を来たしはしないかということでありますが、ただいま通産大臣も述べられましたが、私どもの考え方は、とにかく消費生活者が、あるものによっては安い、その安い原因がもっぱらその原価販売、あるいは原価を切っての身切り販売という過当競争から来たる現象のために、値段が安いといたしまするならば、そうして安いことを消費生活者が、さらに持続することを期待するといたしまするならば、それは他人の、不仕合せの基礎の上に立って、自分の仕合せをこいねがうところのものであると存ずるのであります。そういうことがあってはならぬ。やはり中小企業者が商買をやる限りにおいては、適正な利潤を確保されて、そうして家族を養い、老後のための安定をはかるように準備し得る、そういう蓄積が行われ得る規模においてその事業が行われるべきであると、こういう観点に立っているわけであります。不況になって、そうして不況事態であるから、その不況を克服するため、立ち上るための共同行為、これに限定されているのでありまして、それが克服されれば、すみやかに解消、変更をされるのは、これが調整行為でありまするからで、これが消費者に対して著しくその利益を侵すものではない。そういうような現象になれば、すみやかにそれはもとの状態が回復されなければならぬ。こういう法の構成になっておりまするので、消費者の利益は、これを侵害することはあるまいと、こういう確信の上に立って共同修正案の了解を与えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/87
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088・阿部竹松
○阿部竹松君 議事進行について。時間がだんだんなくなるわけです。いずれにしましても、とにかくもう一時間二十五分しかございませんから、一時若干でもストップして、ちょうど自民党の理事の方お二人見えませんので、ここで相談しなければならぬから、委員長一つ休憩を宣告していただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/88
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089・近藤信一
○委員長(近藤信一君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/89
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090・近藤信一
○委員長(近藤信一君) 速記をつけて。御熱心なる御質疑と、まことに御懇篤な答弁が繰り返えされておりますが、余すところ一時間半ございません。従いまして今後の議事の取扱いについて、委員長と理事とが別室において協議をしたいと思いますので、暫時休憩いたします。
午後十時三十七分休憩
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午後十一時六分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/90
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091・近藤信一
○委員長(近藤信一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
ただいま委員長及び理事打合会を開き、中小企業団体法案、中小企業団体法の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案及び中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案の取扱いにつき協議いたしましたが、この三法案を成立させることは、残念ながら時間的にすでに困難と認め、この際これを廃案にすることを避けて、やむを得ずこれを継続審査にすることにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/91
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092・近藤信一
○委員長(近藤信一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
なお、継続審査要求書の作成につきましては、慣例により、委員長において取りはからうことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/92
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093・古池信三
○古池信三君 この三法案が今日までの審議によってすでに明瞭になりましたように、現下の非常に困難な立場にある中小企業家の上に、この法案の意味というものはきわめて重大であるということは、今さら申すまでもございません。私どもはこの成立のために非常な努力を傾けて参ったのでありまするが、しかも延長された本日、すでに余すところ一時間に足りない状態にありまして、まことに残念にたえません。わが党、われわれがほんとうに力を入れてその発展と幸福を念願して参りました中小企業家の立場を考えますと、実に残念千万でございますが、しかし、この際これを不成立にし、廃案となすようなことは、それこそ、さらにさらに残念なことでありますから、われわれは涙をのんで、ここに継続審議に賛成をいたす次第であります。どうか願わくば、この継続審議は、ほんとうに今後実質的にその審議を進められまして、一日も早く、すみやかに成立を期するように、各位の御協力をお願いをいたす次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/93
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094・相馬助治
○相馬助治君 ただいま自民党の方から古池理事よりこの種法案取扱いに関して異例の発言が行われ、自民党の意思が開陳されました。そこで、私ども日本社会党といたしましても、この際われわれの立場を明確にしておきたいと思います。法案の審議過程において問題となりましたように、この法律案は日本の中小企業者の運命を左右するとまで言われるところの重大な時期に際しての立法措置であり、この問題に関して、わが党もまた至大の関心を持って今日まで参りました。しかるところ、不幸にもかかる重大なる法案が本院に付託されましたのは、四月八日、政府よりその趣旨説明が行われたのでありまするが、ここで問題になっておりまする衆議院回付案は五月の七日であります。五月の七日の当時における本商工委員会の状況は、御承知のように輸出入取引法の一部改正案という本院先議の議案を初めといたしまして、実に重要な、しかも日切りの法案をも含めてメジロ押しに法案が並んでいたのであります。しかも、私どもはこの法律案の内容のいかんは別といたしましても、この問題に関して慎重なる審議を加えるといたしましても、日程上かくのごとく無理があったということは、何人もこれを認めるところであります。しかも、この本法の審査に当りまして、率直に申しまするならば、委員長理事会において審議取扱いにおきましても、その本案に対する審議の態度に対して必ずしも与党自民党の理事、委員会の意見は一致していなかったと、私どもは認めざるを得ないのであります。(「そんなことはない」「とんでもない」と呼ぶ者あり)われわれがなぜかかることを異例の発言をしなければならないかということは、過去の審議の過程において少くとも緑風会の、是々非々をもってなる緑風会の理事諸君の認めるところであろうと思います。しかし、私はかかることをここで深く追及し、問題としようとするものではありません。もちろん、わが社会党といたしましても負うべき責任は当然負い、しかも、本問題の重要性にかんがみまして今後とも相協力する意思はいささかも変っていないのでございます。そこで、問題となりますることは、この法律案が継続審議になったということは、一党一派の責任に帰するものではなくて、まさにこれは本院がこの重大なる法案を抱えて、ごく僅々の、わずかの時間に粗略な審査をしてこれを通したとするならば、またその罪は別な意味において追及されるであろうと思うのであります。私どもは、これが継続審査案件となりましたからには、わが党もまた、熱意をもってこの法案と取り組み、将来よりよき法案を作り上げて、今悲境な立場に置かれておりまする日本の中小企業者を救うべき立法措置に対して熱意を持つものでございます。古池理事の発議されました言葉に、私どももこたえまして、われわれの見解もここに付しまして、わが党の立場を鮮明にし本法案に対する今後の協力をここに明確にいたしまして、私どもの立場の説明を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/94
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095・加藤正人
○加藤正人君 本法案は画期的統制法規としてここに提案をせられました。それに対しては、この法案の成立をこいねがっておる中小企業者は別として、そのほかの多くの中小企業者並びに中小企業に緊密な連関を持っておる大企業の人々を戦慄せしめておったのであります。従いまして、私はこの法案をこれから十分に研究いたしまして、ここで討議をして、そうして大修正を加え、換骨奪胎して変貌せしめて完全なるほんとうの中小企業のためになるいい法案にこれを変えたいと思っておったのでありますが、審議の時間がなく、ここに遺憾ながら継続審議の提案に賛成することになったのであります。従いまして今後継続審議に際しましては、われわれは諸君とともに協力一致して、全く一人の反対者もないような完全な中小企業団体法を作り上げることに大いに努力をいたそうと存じます。従いまして不満足ながら、ここに継続審議の提案に賛成する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/95
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096・近藤信一
○委員長(近藤信一君) 他に御発言もなければ、本日はこれにて散会いたします。
午後十一時十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614461X03819570519/96
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