1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年二月二十八日(木曜日)午
前十時五十九分開会
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委員の異動
二月二十七日委員大矢正君辞任につ
き、その補欠として藤原道子君を議長
において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 廣瀬 久忠君
理事
木内 四郎君
西川甚五郎君
江田 三郎君
平林 剛君
天坊 裕彦君
委員
青木 一男君
泉山 三六君
木暮武太夫君
塩見 俊二君
土田國太郎君
苫米地英俊君
宮澤 喜一君
天田 勝正君
野溝 勝君
杉山 昌作君
前田 久吉君
衆議院議員
佐々木秀世君
政府委員
大蔵政務次官 足立 篤郎君
大蔵省主計
局法規課長 中尾 博之君
大蔵省管財局長 正示啓次郎君
事務局側
常任委員
会専門員 木村常次郎君
説明員
大蔵省管財局国
有財産第一課長 天野 四郎君
日本国有鉄
道経理局長 久保 亀夫君
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本日の会議に付した案件
○北海道における国有の魚田開発施設
等の譲与等に関する法律案(衆議院
提出)
○地方自治法第百五十六条第六項の規
定に基き、税関支署の設置に関し承
認を求めるの件(内閣提出)
○トランプ類税法案(内閣送付、予備
審査)
○租税特別措置法案(内閣送付、予備
審査)
○国民貯蓄組合法の一部を改正する法
律案(内閣送付、予備審査)
○関税定率法の一部を改正する法律案
(内閣送付、予備審査)
○関税定率法の一部を改正する法律の
一部を改正する法律案(内閣送付、
予備審査)
○資金運用部預託金利率の特例に関す
る法律の一部を改正する法律案(内
閣送付、予備審査)
○交付税及び譲与税配付金特別会計法
の一部を改正する法律案(内閣送
付、予備審査)
○中小企業信用保険特別会計法の一部
を改正する法律案(内閣送付、予備
審査)
○昭和二十八年度から昭和三十一年度
までの各年度における国債整理基金
に充てるべき資金の繰入の特例に関
する法律の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○日本国有鉄道に対する政府貸付金の
償還期限の延期に関する法律の一部
を改正する法律案(内閣提出、衆議
院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/0
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001・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) これより委員会を開きます。
議事に入るに先立ちまして、委員の異動について御報告をいたします。昨二十七日付をもって委員大矢正君が辞任され、その補欠として藤原道子君が委員に選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/1
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002・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 本日はまず、
北海道における国有の魚田開発施設等の譲与等に関する法律案を議題といたしまして、発議者より提案理由の説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/2
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003・佐々木秀世
○衆議院議員(佐々木秀世君) 北海道における国有の魚田開発施設等の譲与等に関する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
終戦直後、領土の喪失によって、北海道に樺太千島より多数の漁民が引き揚げて参り、そのうち大多数の無縁故漁民は漫然と漁村に入り込む状況にあり、これらをそのまま放置しておくことは、水産資源の減少と漁村秩序の混乱を招くおそれがありましたので、とりあえず援護対策を講ずることとし、これを組織的に未利用沿岸魚田に入植せしめ、その生活安定をはかる目的をもちまして、昭和二十二年度二千万円、昭和二十三年度公共事業費五千五百三十四万五千円の全額国費をもって、共同住宅六十棟(現有五十四棟)、給水施設三ヵ所(現有三ヵ所)、漁船五十三隻(現有十五隻)、を新設または購入して引揚漁民の組織した生産組合に使用させ関係市町村に管理させることとしたのでありますが、御承知のように、当時は戦後の混乱期でありまして、資金、資材はもちろん物価変動等の関係から十分な施設とは申しがたく、従って、その後の維持補修は申すに及ばず、管理に対しても各市町村において少からざる支出を余儀なくされているのでありますが、引揚漁民千五百戸余の援護更生に寄与するところ大であったのであります。しかし、昭和二十四年度よりは当時の連合軍総司令部の示唆により中止のやむなき状態となり、さらに昭和二十六年度よりは国の施策変更により北海道における魚田開発事業は、補助金制度に切りかえられることとなって現在に及んでいるのでありまして、これらの経緯及び実情等から、昭和二十二年、二十三年の両年度の施設につきましては、これを関係市町村に譲与することが管理上最も実情に即する適切な措置と考えられる次第であります。よってこのような趣旨に基きまして本法律案を提出いたしたのであります。
何とぞ万場一致の御賛成あらんことを切望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/3
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004・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 質疑をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/4
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005・苫米地英俊
○苫米地英俊君 私はこの法案に賛成でありますが、ちょっとわきで見ておってわからないところがあるだろうと思いますから、一、二質問をいたしまして、不明な点を明らかにしてこの問題を通そう、こういう考えでございます。
まず第一にこの資料の第一ページでございますが、「建物」の部分で、今度五十四戸払い下げをするということになっておりまして、滅失処分を受けたものが二戸、そうするというと六十戸のうち五十四戸、そうして二戸はまだ処分が済んでおらないと思うのですが、この滅失処分は現在手続中であるというのですが、ここにただ棟と書いてあるのですが、ちょっとその点疑いが起るのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/5
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006・佐々木秀世
○衆議院議員(佐々木秀世君) 事務当局に説明させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/6
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007・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) 御質問の御趣旨は、戸と書く場合棟と書いてあるというふうな御質問でございますから、これは台帳の表示によりまして棟という手を書いてございますが、私どもは台帳から今お話のように滅失いたしました部分は落したわけでございます。そこで台帳の表示に従いまして、滅失の二棟を落す、残り五十四棟をこの際譲与すると、こういう趣旨で資料を作成いたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/7
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008・苫米地英俊
○苫米地英俊君 そういたしますと、この「漁船」の場合でも五十三隻あった、それで今は十五隻になっております。ところが滅失処分になったものは二隻だけ、そうすると十七隻というものはすでに帳簿から落されておるというわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/8
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009・天野四郎
○説明員(天野四郎君) 三十六隻はすでに売り払いいたしまして、二隻は今おっしゃった通り滅失いたしましたので台帳から落してございまして、現在十五隻あるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/9
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010・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) 苫米地委員の御質問に重ねてお答えいたしますが、当初施設をいたしました漁船は五十三隻、すでに払い下げをいたしましたのが三十六隻、残りが十七隻でございます。十七隻のうち二隻が滅失処分でございまするから、この際十五隻を譲与すると、かように相なるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/10
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011・苫米地英俊
○苫米地英俊君 その次は、未納使用料が合計二百十八万六千円あるわけでありますが、その払い下げと同時にこれを帳消しにしてもらうと、こういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/11
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012・佐々木秀世
○衆議院議員(佐々木秀世君) その通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/12
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013・苫米地英俊
○苫米地英俊君 従来でも市町村でもこの負担が相当重かったのですが、これを払い下げを受けて、市町村の財政に重い負担をさせて、これがますます工合が悪くなるというような心配はございませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/13
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014・佐々木秀世
○衆議院議員(佐々木秀世君) 補修、維持に金がかかりまして、現在はほとんど建物といっても腐っているとか、使用に耐えないというようなものがたくさんあるので、処分等に対しては御心配はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/14
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015・天田勝正
○天田勝正君 いずれにいたしましても国有財産の払い下げでございますが、これについては大蔵当局といたしましては、検討の結果、何らこれを払い下げるに支障がないと、こういう結論に達せられたのですか、もちろん提案者と協議されたと思いますが、いずれからでもけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/15
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016・足立篤郎
○政府委員(足立篤郎君) 議員提案の法案でございますので、最後に政府の見解を申し上げたいと思っておるわけでありますが、おっしゃる通り政府としては研究の結果、諸般の事情にかんがみまして、本法律案の通過成立につきましては異存がないという結論に達したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/16
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017・天田勝正
○天田勝正君 そういたしますと、今、現在払い下げるべき総価格評価はいかほどになりますか、またこの資料によりますと、未納の使用料等もかなり多くあるようでありますが、これらを含めますといかなる数字になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/17
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018・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) お答え申し上げます。先ほど苫米地委員から御質問がありましたいわゆる建物、船舶、それぞれ譲与の数量をお話しになったのでございますが、その台帳価格で申し上げますと、二千五百六十四万三千七十二円ということになっております。なお、未納の使用料は七百八十三万八千七百五十五円ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/18
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019・天田勝正
○天田勝正君 これは、そういたしますと未納使用料も含めて払い下げるというのか、未納使用料はもう過去のものでありますから、払い下げは払い下げといたして、未納使用料は徴収する、こういうことでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/19
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020・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) お答え申し上げます。譲与は、要するに台帳価格にありますものを、本来ならばそれに相当する価格をちょうだいして払い下げるべきものでありますが、これを無償にする、これを譲与と申しております。なお、未納の使用料につきましては、この徴収を免除する、要するに債権債務の関係は免除するということに相なるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/20
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021・天田勝正
○天田勝正君 それはどういう法律的な根拠に基いて免除いたしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/21
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022・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) 今回御提案になりました法律の中におきまして、「前項の施設等の譲与の時までの使用に係る債務については、国は、これを免除することができる。」、第二項によりまして免除することができることといたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/22
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023・杉山昌作
○杉山昌作君 この使用にかかる今までの債務というのは、一体債務者はだれで、どういうふうな事柄から起きた債権なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/23
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024・天野四郎
○説明員(天野四郎君) 債務は北海道の債務でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/24
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025・杉山昌作
○杉山昌作君 北海道が国に借りているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/25
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026・天野四郎
○説明員(天野四郎君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/26
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027・杉山昌作
○杉山昌作君 それから、これは昭和二十二年度あたりに作ったというので、非常に簡易なものだし、お粗末なものだ、そうすると今ではむしろ持っている方が維持費等がかかって困るんじゃないか、だからもらった町村は、町村というか、道というか、やはり財政的に非常に因るんでしょうが、厄介もの、をもらうというようなことになりやしませんですか。あとの運営、経営はどうされるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/27
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028・佐々木秀世
○衆議院議員(佐々木秀世君) 使用に耐えるものはごくわずかだと思うのですが、そういうものは市町村において組合やなんかに話をつけて、譲るものは譲るというような格好をとりたい、こういう考えを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/28
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029・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 別に御質疑はございませんか。——御質疑もないようでありますから、質疑は終局したものと認めまして、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/29
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030・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 皆、御賛成のようであります。それでは討論は終局いたしたものと認め、これより採決に入ります。
北海道における国有の魚田開発施設等の譲与等に関する法律案を原案通り可決することに賛成の方の御挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/30
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031・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 全会一致であります。よって本案は可決すべきものと決定いたしました。
なお、諸般の手続は、先例により、委員長に御一任願いたいと存じます。
それから、多数意見者の御署名を願います。
多数意見者署名
西川甚五郎 泉山 三六
青木 一男 木暮武太夫
苫米地英俊 土田國太郎
杉山 昌作 前田 久吉
宮澤 喜一 塩見 俊二
平林 剛 天田 勝正
天坊 裕彦
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/31
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032・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 次に、
地方自治法第百五十六条策六項の規定に基き、税関支署の設置に関し承認を求めるの件
以上、九件を便宜一括議題として、政府より提案理由の説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/32
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033・足立篤郎
○政府委員(足立篤郎君) ただいま議題となりました地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き、税関支署の設置に関し承認を求めるの件外八法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。
まず、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き税関支署の設置に関し承認を求めるの件について、提案の理由を御説明いたします。
今回税関の支署としようとする神戸税関今治税関支署松山出張所外三出張所において取り扱う最近の貿易実績は、いずれも港湾設備及び背域産業等の立地条件に恵まれ飛躍的な増加を示すとともに、将来の伸展が大いに期待されているところでありまして、これらを税関支署として独立性を賦与し、関税法の規定に基く税関長の権限を委任すれば、現地における税関業務をさらに迅速かつ円滑に処理することができ、税関行政遂行上官民ともに大いに便益を受け得ることになりますので、その設置に関し、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基きまして本件を提案した次第であります。
次に、トランプ類税法、案につきまして申し上げます。
この法案は、最近におけるトランプ類の製造及び取引の実情に顧み、これに即応して現行法の不備を改めるため、所要の規定を整備、明確化するとともに、税率が特に過重と認められるマージャンの一部についてその調整を行い、もってトランプ類に対する課税の適正を期そうとするものであります。
以下、改正の内容につきましてその大要を申し上げます。
まず第一に、最近における税法の立法例にならい、骨牌税法の全文を口語体に改めるとともにその名称をトランプ類税法とすることといたしました。
第二に、現行骨牌税の印紙納付制度は、課税の適正をはかる上に不備があると認められますので、これを他の間接税と同様に現金納付制度に改めるとともに、別にトランプ類税証紙制度を設け、移出の際、トランプ類の包装にこれを張りつけさせることにより納税が確実に行われるようにいたしました。
第三に、トランプ類の製造者等が材料等を支給して下請業者にトランプ類の製造を委託する等の場合には、その委託者等を納税義務者とみなして、徴税の合理化をはかるとともに、製造工程中のトランプ類もこれを完成トランプ類とみなすことにより、課税上の取締りを充実する措置を講ずることとしております。
第四に、象牙製及び牛骨製マージャン以外のマージャンにつきまして、たとえば合成樹脂製のものは製造者販売価格に対する現行の税負担が一・五倍をこえる高率となっており、これが租税回避の誘因となっていると認められますので、さきに申し上げました徴税の適正化と相待ち、この際、その税率を現行の一組二千円から千円に引き下げることといたしております。
次に、租税特別措固法案につきまして、御説明いたします。
現在の税制では、貯蓄の奨励、内部留保の促進、輸出の奨励、設備近代化の促進等、各種の政策的配慮に基いて多くの特例が設けられているのでありますが、最近におけるわが国経済の発展には目ざましいものがあり、これらの制度が創設された当時とはかなり情勢が変化しているのでありまして、最近の経済情勢に照らして、これらの特別措置を全面的に再検討する必要があると認められるのであります。現在、これら特別措置は主要なもののみで約三十項目に及び、これによる租税の減収額は毎年度一千億円をこえると見込まれるのでありまして、一般納税者が重い租税を負担していることとも考え合せて、各措置の緩急の度合に応じて、この際できるだけこれを整理縮小する方針をとると同時に、貯蓄の奨励、輸出の促進、設備の近代化等、今日重要な経済施策につきましては、必要に応じてその内容の充実をはかることといたしました。
法案の内容について申し上げますと、第一に、貯蓄の奨励のために、今後二年間長期預貯金等の利子所得の非課税、その他の利子所得課税の軽減及び配当所得に対する源泉徴収税率の軽減の措置をとることといたしております。すなわち、利子所得非課税の現行措置は、本年三月末をもってその適用期限が切れることとなっているのでありますが、昭和三十四年三月三十一日までに預け入れられた一年以上の長期預貯金等の利子所得につきましては、同日までに支払われるもの及び同日後でも預け入れの後三年以内に支払われるものには、所得税を課さないこととし、同日までに支払われるその他の預貯金等の利子所得についても、百分の十の税率により、他の所得と分離して課税することとしております。また、配当所得に対する源泉徴収税率も、今後二年間現行通り百分の十の軽減税率を適用することとしているのでありまして、別途御審議を願っております所得税法の一部を改正する法律案における生命保険料の控除限度額の引き上げと相待って、今後貯蓄が順調に伸長し、安定した経済発展に資することが期待されるのであります。
第二に、輸出を促進するために、現行の輸出所得の特別控除の制度につきまして、その適用期限を昭和三十四年末まで二年間延長し、プラントの範囲を拡大することといたしております。
第三に、設備の合理化、近代化を促進するため、現在の特別償却制度を充実合理化し、特に鉱業及び法人の営む造林業につきましては、その特殊性に応じた償却を認めることといたしております。
一方、増資新株の配当に対する法人税の免除、増資登記の登録税の税率の軽減、概算所得控除、配当控除額の五%割増しの制度等は、冒頭に申し上げました趣旨に従ってこれを廃止することといたしております。
また、価格変動準備金につきましては、その短期の繰り入れ限度額を二割引き下げるとともに、欠損を生じてまで積み立てをすることができないことといたしておりますが、制度改正の際、新限度額をこえる既往の積立額については、一時に益金として課税せず、漸次これをとりくずして課税することといたしております。いわゆる交際費課税につきましては、損金に算入される限度をおおむね二割程度引き下げて、なお二年間これを存続することといたしております。
以上のほか、航空機乗客に対する通行税の軽減措置を一年間延長し、協同組合課税を適正化し、外航船等の旅客の飲用に供する酒類に対しては酒税を免除する等、制度の整備合理化を行うほか、法文の全体をわかりやすく書き改めることとしているのであります。
以上申し上げました措置による増減収は、所得税法、法人税法等に規定されている租税上の各種特別措置の改正による分と合せて、初年度には増収約二百三十五億円、減収約三十五億円、差引純増収約二百億円となり、平年度には増収約四百六億円、減収約五十一億円、差引純増収約三百五十五億円と見込まれるのであります。
次に国民貯蓄組合法の一部を改正する法律案につきまして御説明いたします。
国民貯蓄組合は、地域、職域、同業者団体、青少年団等を基盤とする民間の自主的貯蓄実践組織として発達してきたものでありますが、昭和十六年三月、政府は、これら国民貯蓄組合の結成によって貯蓄の奨励を行なうことのきわめて重要かつ有効であることにかんがみ、国民貯蓄組合法を制定してこれを法制化し、一面その運営に適当な指導監督を加えるとともに、他方、組合のあっせんによる貯蓄について税制上の優遇措置をとる等、組合助成の道を開いてきたのであります。これによりまして、国民貯蓄組合は非常な発展を示し、国民貯蓄の増強に顕著な業績をおさめ、昭和三十一年三月末現在では、組合数約十万二千、組合員総数約三千二百万人、そのあっせんによる預貯金額は八千二百億円に達し、組合員数においては国民の三六・三%、預貯金領においては全金融機関の預貯金額の一五・一%を占めている実情であります。
今回この法律を改正しようとする要点は、先に申し上げました税制上の優遇措置である所得税の非課税限度を引き上げようとするものであります。すなわち、国民貯蓄組合のあっせんによる預貯金等の貯蓄に対しましては、それがきわめて大衆的な貯蓄である点にかんがみまして、その利子所得について一定元本額に対するものを限り所得税を課さないこととされておりますが、現在の限度額十万円は、去る昭和二十七年四月に定められましたもので、その後の物価、国民所得、貯蓄水準等の推移から見まして、今日では低きに過ぎると考えられるのであります。この点につきましては、さきに臨時税制調査会からも答申がありましたので、この際、その限度額を二十万円に引き上げ、貯蓄増強の要請にこたえようとするものであります。
なお、このほか二、三形式的な整備をも加えまして、この法律案を提出するものであります。
次に、関税定率法の一部を改正する法律案につきまして、御説明申し上げます。
この法律案は、最近における貿易の実情等にかんがみ、関税を減免する品目を追加し、課税原料品による製品を輸出した場合等には関税を払い戻すこととし、その他所要の規定の整備を行うとともに、セラック等十品目の税率を調整するため、関税定率法の一部を改正しようとするものであります。
以下、改正の内容を簡単に御説明申し上げます。
まず、関税の減免につきましては、貿易の振興等の見地から、アセトン、ブタノール製造用のなつめやしの実、国際連合から寄贈された教育、宣伝用の物品、国際見本市等で無償で提供されて消費される物品等をそれぞれ製造用原料品の減免税、無条件免税及び特定用途免税の品目に追加するとともに、従来の製造用原料品の免税品目から免税実績のない油製造用の落花生を削り、その他所要の規定の整備をすることとしております。
次に、関税の戻し税の制度につきましては、加工貿易の振興に資するため、外貨原料の不足等やむを得ない事由によって課税済の原料品を保税工場における貨物の製造に使用し、その製品を輸出した場合には、関税の払い戻しができることとし、その他輸入された違約品に対する関税の払い戻しを、従来の返送された場合のほか、返送にかえて保税地域内で廃棄された場合にもできることとしております。
次に、別表輸入税表につきましては、国産の保護のため、セラック、黄麻製品、D・D・T、硫酸ニコチン等九品目の税率を引き上げるとともに、国産の困難な二酸化ゲルマニウムについては、電子工業育成のため、その税率を引き下げることとしております。
次に、関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
この法律案は、最近の経済事情等にかんがみ、昭和二十九年に制定されました関税定率法の一部を改正する法律の付則を改正し、本年三月三十一日で期限が切れる関税の暫定的減免制度について、その期限をさらに一年間延長し、放射性元素等を減免税品目に追加するとともに、鉄綱の一部について関税を減免することができることとしようとするものであります。
以下、改正の内容を簡単に御説明申し上げます。
まず、従来暫定的に関税の減免を認めている重要機械類、学童給食用乾燥脱脂ミルク、原子力研究用物品及び小麦、A重油、四エチル鉛、航空機等の別表甲号物品(課税免除物品)並びに原油、B、C重油、カーボンブラック等の別表乙号物品(軽減税率適用物品)につきましては、諸般の事情を考慮して、なお一年間その減免の期限を延長することとしております。
次に、関税の免除を受けた重要機械類の用途外使用の制限期間は、従来においては輸入後五年でありましたが、これを一般の特定用途免税の場合と同様に輸入後二年に改めるとともに、放射性元素及びその化合物をこれらの物品の用途及び原子力産業の現況にかんがみ、別表甲号の免税品目に追加し、また、皮革工業の進展に資するため合成なめし剤を別表乙号の軽減税率適用品目に追加することとしております。
次に、鉄鋼の一部につきましては、その需給状況及びこれがわが国経済に及ぼす影響等にかんがみ、その需給逼迫のため輸入の必要があり、かつ、その輸入価格が国内の主要生産者の生産した同等品の卸売価格に比し割高な場合には、昭三十五年三月三十一日までに輸入されるものに限り、政令で品目及び期間を指定して、その関税を減免することができることとしております。
次に、資金運用部預託金利率の特例に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
郵便貯金特別会計の収支の不均衡を緩和するために、昭和二十七年四月資金運用部預託金利率の特例に関する法律が施行されまして、同年度以降当分の間の措置として、郵便貯金特別会計から資金運用部に預託された資金で約定期間が五年以上のものに対しては、資金運用部資金法に規定する年五分五厘の利子のほかに、年一分以下の範囲が毎年度逓減するような特別利子を付することとし、その特別利子の利率は政令で定めることといたしました。この特別利子の利率は、二十七年度は一分、二十八年度は九厘、二十九年度は八厘、三十年度は七厘、三十一年度は六厘とし、毎年度一厘ずつ逓減させて参りましたが、この間、昭和三十年八月資金運用部資金法の改正により、新たに約定期間七年以上のものが設けられ、これに対し年六分の利子を付すこととなりましたので、これに伴いまして特別利子の定め方を改め、約定期間七年以上のものに対しては三十年度以降年二厘以下の範囲で毎年度逓減するような特別の利率により利子を付すこととし、三十年度は二厘、三十一年度は一厘といたしました。従って、三十一年度は約定期間五年以上七年未満のものに対しては、資金運用部資金法に定める年五分五厘のほか六厘の特別利率により利子を付し、約定期間七年以上のものに対して資金運用部資金法に定める年六分のほか、一厘の特別利率により利子を付し、ともに六分一厘の利子を支払っております。来年度以降の特別の利子につきましては、毎年度一厘ずつ逓減させて参りました従来の例によりまして、約定期間五年以上七年未満のものにつきましては、資金運用部資金法に規定する年五分五厘の利子のほか、年五厘以下の範囲で毎年度逓減するような特別の利率による利子を付すことといたしますが、約定期間七年以上のものにつきましては、これに対する特別の利子は付さないことといたしたわけであります。
次に、交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。
政府におきましては、今般、特別とん譲与税に関する制度を創設することといたしまして、今国会に特別とん譲与税法案を提案いたしているのでありますが、これに伴いまして、特別とん税収入及び特別とん譲与税譲与金に関する経理を、交付税及び譲与税配付金特別会計において行うため、交付税及び譲与税配付金特別会計法に所要の改正を加えようとするものであります。
また、地方財政の健全化をはかるための措置といたしまして、地方交付税の総額を現行の所得税、法人税及び酒税の収入額の百分の二十五から百分の二十六に引き上げることといたしまして、同じく今国会に地方交付税法の一部を改正する法律案を提案することとしているのでありますが、この改正に対応いたしまして、交付税及び譲与税配付金特別会計法におきまして、毎会計年度一般会計からこの会計に繰り入れるべき金額として、当該年度における所得税、法人税及び酒税の収入見込額の再分の二十五に相当する金額と定められているものにつきまして、その割合を百分の二十六に引き上げることとするものであります。
最後に、中小企業信用保険特別会計法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。
政府は、中小企業に対する金融の円滑化をはかるため、信用保証協会に対し、その保証能力を増大するために必要な原資となるべき資金及び保証債務の履行を円滑にするために必要な資金を貸し付けることとし、別途信用保証協会法の一部を改正する法律案を提出して御審議を願っている次第であります。これに伴いまして、この信用保証協会に対する資金の貸付事業に関する政府の経理を、現行の中小企業信用保険特別会計において行うこととするため、ここに中小企業信用保険特別会計法の一部を改正する法律案を提出した次第であります。
次に、この法律案の概要を申し上げますと、改正の第一点は、この会計を保険勘定と融資勘定に区分し、保険勘定においては、従来行なってきた中小企業信用保険事業に関する経理を、融資勘定においては信用保証協会に対する資金の貸付事業に関する経理をそれぞれ行うこととすること、第二点は、信用保証協会に対する貸付金の原資は、
一般会計から予算の定めるところにより融資勘定に繰り入れることとすること、第三点は、融資勘定の歳入は、貸付金の回収金及び利子、一般会計からの繰入金並びに付属雑収入とし、歳出は、貸付金、事務取扱費及びその他の一諸費とすることでありますが、以上のほかに、所要の規定の整備を行うことといたしております。
以上、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き、税関支署の設置に関し承認を求めるの件外八法律案につき一ましては、その提案の理由を御説明申し上げた次第でございます。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げる次第でございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/33
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034・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き、税関支署の設置に関し承認を求めるの件につきまして、事務当局から内容の説明を聴取いたします。(「ないだろう」と呼ぶ者あり)
それでは直ちに質疑を行います。——御質疑がなければ、直ちに討論に入りたいと思います。——御発言もないようでありますから、討論は終局したものと認めまして、採決をいたします。
地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き、税関支署の設置に関し承認を求めるの件を原案通り承認することに賛成の方の御挙手を願います。
〔賛成看挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/34
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035・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 全会一致であります。よって本件は承認すべきものと決定いたしました。
なお、諸般の手続は、先例により、委員長に御一任願いたいと存じます。
それから、多数意見者の御署名を願います。
多数意見者署名
西川甚五郎 木内 四郎
青木 一男 木暮武太夫
苫米地英俊 土田國太郎
杉山 昌作 前田 久吉
宮澤 喜一 平林 剛
天田 勝正 天坊 裕彦
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/35
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036・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 次に、昭和二十八年度から昭和三十一年度までの各年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、事務当局より内容の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/36
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037・中尾博之
○政府委員(中尾博之君) 現在国債整理基金特別会計法第二条第二項の規定によりまして、前年度首における国債総額の万分の百十六に相当する金額を一般会計からこの会計に繰り入れることといたしております。しかしながらこの規定は昭和二十八年度以来停止されておりました。これが今回改題の上御審議を願っております昭和二十八年度から昭和三十一年度までの各年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律の一部を改正する法律、これで停止をいたしておるのでございます。これを停止をいたしておりまする事情は、実はこれは前回も御延長をお願いいたしまして、御承認を願いました経緯もございますので、いささか御説明を繰り返すことになりますけれども、もともと現在の制度の本則になっております万分の百十六の三分の一という制度は、大正四年慶におきます国債償還費三千万円のものと、大正三年度首の国債総額との実は割合を基礎にいたしたものでありまして、現在におきましては、その当時からきわめてそういう一時期の割合を基準として設けておりましたものでありまするから、御承知のごとくその後、事情は大きな変更を見せておりますので、この規定自体といたしましてほとんど有名無実の形になっております。かりにこの規定で繰り入れをいたしますと、その金額は十五、六億にすぎないという状況であります。またここ数年間におきまして、一方財政法第六条によりまして、一般会計の剰余金がございました場合には、それをその年度の翌々年度までに公債の償還財源に充てることになっておるのでございますが、その額は剰余金のうち純剰余と見られるものの二分の一を下らざる額を義務的に入れることになっておる次第でございます。その金額はここ数年来相当多額に上りましたために、その金額だけで当面の需要を十分に補いまして、なお余りがある状況であるので、国債整理基金特別会計法第二条第二項の前年度首国債総額の万分の百十六の三分の一という名目的な繰入基準を停止いたしておるのでございます。昭和三十二年度におきましても、このような状況は同様でございます。なお、財政法第六条の規定により繰入金が約九十五億ございます。昭和三十二年度の予算におきましては、前年度剰余金ば若干少くなった関係上、九十五億でございますので、二分の一以上ということになっておりますので、百三十六億円を繰り入れてございます。そのような次第でございまして、本来でありますれば、この万分の百十六の
三分の一という規定もここで御延長を御決定願いませんと、それが復活する形になりますが、それをいたしましても、今のようなわけでございまして、これにかわるべき恒久的な現在の事情に即しました新しい制度を設けるということが本来の筋合いでございまして、前々よりそういうことにつきまして政府は努力いたしますということにつきまして、しばしば御答弁も申し上げている次第でございまするが、今回実はその成案を得るに至りませんために、さしあたり今の会計法に加えられておりまする特例、それをまたその規定を御延長願うということでございます。なお、その本格的な制度につきましては、実はいろいろ準備はいたしておるのでございまするが、主として国債の償還の実際の需要が、長期の計画に乗せて考えまするに、あまりふさわしくないような最近の数年間の特異な現象が昭和三十八年度あたりまで続くのでございます。それは主として英貨債の償還が三十八年度に近い時期におきまして一挙にふくれて参りますることと、特に遺族国債の千億円に近いものが一挙に償還されまして、あとでずっとなくなってしまうというような特異な現象がございます。これらの事情も考えまして、なお、将来にわたる合理的な姿をどこに求めたらいいかということにつきまして、いろいろ検討もいたしておりまするが、まだ自信をもってこれを恒久的に妥当なものであろうという見通しをつけまして御審議をお願いすることができない状況でありまして、そういう点で御期待に沿いかねる点はまことに遺憾といたしておりますが、事情はそのような状況でございますので、なお、一年間の延長をお願いいたしたい次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/37
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038・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 質疑を行います。別に御質疑はございませんか。——御質疑はないようでありますから、質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——御発言もありませんから、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。
昭和二十八年度から昭和三十一年度までの各年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成の方の御挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/38
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039・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 全会一致であります。よって本案は可決すべきものと決定いたしました。
なお、諸般の手続は前例により委員長に御一任願いたいと思います。
それから多数意見者の御署名を願います。
多数意見者署名
西川甚五郎 木内 四郎
青木 一男 木暮武太夫
苫米地英俊 土田國太郎
杉山 昌作 前田 久吉
宮澤 喜一 塩見 俊二
平林 剛 天田 勝正
天坊 裕彦
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/39
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040・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 次に、日本国有鉄道に対する政府貸付金の償還期限の延期に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたしまして、事務当局より内容の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/40
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041・中尾博之
○政府委員(中尾博之君) 昭和二十五年の三月でございますが、貨物運賃の改訂を国鉄で計画いたしまして、それが諸般の情勢で実施がずれまして、歳入の不足を生ずる状態になりましたので、本件でお願いいたしておりまするところの、延期をお願いいたしておりまするところの貸付金が行われたものでございます。でその後、その期限は二十八年の三月一日ということになっておったのでございますが、その時期になりまして、なお償還財源を国鉄において調達いたすことが不可能なる状況に認められましたので、そこでさらに法的措置をお願いいたしまして、これを延長することの権限を政府に御承認願ったのでございます。で、昭和三十一年の三月一日までその際に延ばしたのでございます。さらに昭和三十一年になりまして国鉄にいよいよその支払いを検討いたしてみましたところ、国鉄におきましては当時相当苦しい状況にございまして、財政再建計画ということの樹立が非常に大きな問題になっておった次第でございます。その計画というものを待ちませんと、とうていこれの償還は無理であるということが認められたのでございまして、その結果さらに三十一年の三月一日から三十二年の四月三十日まで、すなわち昭和三十二年度の初めまでこれを延ばしまして、そこでこの財政再建計画がその時期には樹立し、かつこの分三十億あまりが一挙に償還できるであろうということで、そういうことで計画を立てまして、二十四国会の御議決をちょうだいいたしたわけでございます。それから一年たったのでございますが、現在におきまして財政再建計画はほぼ予定の通り進んだ次第でございます。その結果としましては、長年の懸案になっておりました運賃の改正それから輸送隘路の問題というようなものに対処いたしまして、非常に最近において画期的な再建的な措置が行われたのでございますが、運賃、改正を伴うような全体の措置でございますから、国鉄当局におきましても、まず経費の節約、経営の合理化ということに非常に重点をおかれたのでありまして、その結果二百億あまりのいろいろな、そういう節約の計画をお立てになりまして、その結果、この貸付金の償還が可能になる余地が出たのでございますが、なお、国鉄におきましてもいろいろな事情がございまして、常業の方の経費も必要でございまするし、それから輸送力増強のための投資的な経費も必要でございまするし、その他当面のその他の義務的な債務の処理もいろいろ忙しい状態でございまして、前回御議決をいただきました三十二年の四月三十日にその全額を返させるということは、かえって国鉄に無理になりまして、国鉄の本来の使命達成の上にかえってよろしくないという見通しを得ましたので、そこで今回の再建される計画の立ちましたその基礎に立ちまして、これを五ヵ年間に分割をいたしまして返済をしていただくという計画を立てまして、今回はその分割返済をしていただくための延長の法案を御審議お願いいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/41
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042・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 質疑を行ないます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/42
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043・平林剛
○平林剛君 この政府貸付金の償還に関して、ただいま御説明のような法律が提出をされたのでありますが、少し疑問に思いますのは、昨年度までは貸付金の償還の期限を延期してもらいたいという法律が出され、今回は大体借りたものは返すのだという建前に立って、この法律案が提出をされておるのであります。今までの国鉄の事情について私は詳しくはありませんけれども、印象としては今回の運賃法が改正をされる、それによって政府貸付金の償還についても誠意のあるところを示そう、こう感ぜられるのでありまするけれども、昨年の考えとことしの考えがこういうふうに変ってきた事情について少し御説明をしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/43
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044・中尾博之
○政府委員(中尾博之君) 御質問の趣旨があるいはつかめておらぬかもしれませんけれども、承わりましたところで申し上げます。もし食い違っておりましたら御指摘を願います。
今の、昨年の延長の趣旨とことしの延長の趣旨と違うのじゃないかというお話でございますが、それは本質的には実は全然違わないのでございまして、本日最初に申し上げました通り、昭和二十五年以来最初は三年間でございましたが、それをさらに三年間延ばしたのであります。それを三年延ばすというときにはいわゆる財政の不足でございまして延ばしたのでございますが、三十一年からことしの四月まで延ばしました場合には、これは当分延ばしておこうというようなことではございませんで、これは先ほども申し上げましたように、財政再建の計画の樹立はいつ頃であろうというので、たとえば一ヵ年度というようなことで三月末日までということでございませんで、四月に入ってからということで実は計画をいたしておった次第でございます。その点の計画の線に沿って本来返していただくべき分でありますが、実際の再建計画の実行の見通しを見まして、一挙に四月末日に返していただくということでは無理がございますので、これを無理のない姿に引き伸ばしまして、これを返していただくという姿にいたしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/44
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045・青木一男
○青木一男君 政府委員の発言がちょっとこっちへ聞きとれないようだから明瞭に高声で一つ発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/45
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046・平林剛
○平林剛君 私が昨年提出された法律の趣旨と今度の法律の趣旨が違うのではないかという疑問を出しましたのは、去年までは国鉄の再建計画がある程度立てられないと、この政府貸付金の償還についても見通しがなかった。見通しが立つまでは延期してもらわにゃ困る、こういう趣旨が含まれていたと思う。今回は額が僅かです。しかし五ヵ年間にわたって大体三十億円の貸付金を返すというのでありますから、ある程度計画を立てて、これだけは何とか返済できるという見通しが立ったから出された、こういう点では性格的に少し違うのではないかという疑問を私は出したのでございます。もしそうだとすれば、これは結局国鉄の再建計画が検討されて、どうしても運賃法を改正し、政府が今回とられたような運賃法改正の法律案が提出されると同時に、それと相待ってこうした政府貸付金の償還についても誠意をみせてきたのではないか、私はそういうふうに受取りましたので、そうではないかとお尋ねをしたわけです。その点についてちょっとお考えを示していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/46
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047・中尾博之
○政府委員(中尾博之君) 軌を一にした姿になっておるので、あるいはごもっともなあれかと思いますが、もちろんこれは軌を一にして出たわけでございますが、国鉄の運賃改正ということも、実はお願いしておる次第でございますが、運賃改正と申しましても、その背後にはいろいろ事情もございまして、それを行なっておるわけでございますが、やはりこれは国民生活、国民経済に対して重大な影響があるものでありますから、政府といたしましても、慎重に検討いたしまして、必要やむを得ざる範囲においてこれを行なったのでございますが、国鉄といたしましても行うことにいたしておるのでありますが、国鉄といたしましても、ただ漫然とこれを上げるということだけに、実はたよっておるのではないのでございます。そこまでやるにつきましては、いわゆる経営の合理化、独立採算制の精神に照らしまして、そういう努力を進めまして、その基礎に立ってお願いをいたしておることと思います。本件はそういういろいろな努力の経過、そういうものの一端として今度現にこの程度なら乗り切れるということになったものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/47
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048・平林剛
○平林剛君 運賃の改正が直接的な動機というわけではないことはわかりますけれども、しかし運賃を改正して、国鉄も相当増収になる、経済界も活況を呈するから多少の収入もあるだろうし、同時に運賃を値上げすれば、国鉄に収入が多くなるというのは当然のことであります。そういうときであるから、この際、国から借りたお金は返そう、返さないということでは相当に批判が生まれてきはしないかというような御見解もあって、今後はただ延ばしてくれというのではなくて、五ヵ年間に限って三十億を、とにかく計画づけてお返しをする、こういう趣旨にとれるのですが、そうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/48
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049・足立篤郎
○政府委員(足立篤郎君) 国鉄の運賃改訂による増収見込みは御承知の通り約三百六十五億と見込まれておるわけでございますが、現在インフレ要因といって騒がれております輸送力の隘路の問題につきまして、これを急速に解決するために、三十二年度において国鉄は一千億以上の事業費を投じて輸送力の画期的増強をやろうという計画になっております。従ってこの数字で一目瞭然おわかり願えます通り、運賃改訂は輸送力の増強のみに重点をおいておるということは申すまでもないわけであります。この貸付金の返還の問題につきましては、先ほどから法規課長から申し上げております通り、すでに延び延びになっておりまして、この運賃改訂の問題とは関係なしに、この際、国鉄としても、その経営の合理化をはかり、政府から借りておる金につきましては、これを返還する見通しを一日も早く立てたいというので、この一年間やって参ったわけでありまして、先ほど申し上げました通り二百億余りの節減を出すという、国鉄側としても非常に大きな決意をしておるわけでございまして、かような際でございますから、これを年賦にして償還をするという計画を立てたわけでございまして、御質問の要点である運賃改訂との関係につきましては、私どもはたまたま時期を同じくしたのでございまして、この問題は全然別問題であるという見解を持っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/49
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050・平林剛
○平林剛君 政務次官がお答えになったから政務次官にちょっとお尋ねしますが、あなたが衆議院の大蔵委員会でお話しになった最初の言葉と今の御答弁は違うのです。あなたは横山委員の質問に対しまして、ざっくばらんなお答えをされたのを聞きました。結局、運賃を改正して、国鉄も相当増収になるという際に、国から借りたお金は返さないということだと批判の余地が生まれる、こういう政府としても苦しい立場があるので、この処置をとることに踏み切ったんだとお答えになっておるわけでありまして、この点今の御答弁と食い違いがありますので、もう一度ざっくばらんなところをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/50
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051・足立篤郎
○政府委員(足立篤郎君) 衆議院における私の答弁についてお話がございましたが、ただいまのお話は少しニュアンスが違うわけです。私はこう申し上げたつもりですが、ざっくばらんに申し上げますと、国鉄が運賃を大幅に改訂をするというこの際に、国民の血税である国庫の金を国鉄が借りたままでほおかぶりをするという形になってきたということは、これは許されない。大蔵省としては、これはもちろんこういう大事な国の金を預かっておる機関でございますから、全額返してくれと言いたいところでございます。しかしながら、今度の運賃改訂の目的は目的が違うのです。従って国民の相当な批判がございましたけれども、輸送力の隘路打開ということで踏み切ったのでございます。従ってこの問題はこのこととは別問題でございますということをお答え申し上げたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/51
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052・平林剛
○平林剛君 まあ会議録に書いてあることでございますから、前後が違っておりましても、あなたは一度はそういう苦しい立場も御説明になったことは、記録で明らかなことでございますから、ここで議論しても仕方ないことでございます。しかし運賃の改正については、ここの議題ではありませんけれども、国民から相当反撃を受けていることは事実であります。そういう意味では、あなたも衆議院でお話になったように、なるべくならば運賃の値上げというものを少な目にして行くという立場から、むしろこの国有鉄道に対する政府貸付金の償還期限というものを、たとえば六億であろうと今までだいぶ貧乏で、赤字々々と泣いていたもので、現在はわずか六億と言っておりますが、去年まではその金が出なかったわけですね。そういう意味から行くと、もう少し償還期限を延期するとか、あるいはこうした貸付金を免除にするというがごとき議論も当然あったと思います。そういう立場から行きましても、私は今の御説明では少し納得がいかないところがあるわけであります。そういう意味で、あなたの御説明にかかわらず、結局は政府としては国鉄ができた赤字を鉄道運賃を引き上げて国民に転嫁をして、そうしてその国民の犠牲によって今まで政府から借りていた金を、計画を立てて、とにかく返す、こういうようなことに回り回って来るというような気がするわけであります。そういう意味では、大へんこのお考えについても批判の余地が出て来ておるように思うのであります。政府部内においては、政府貸付金の償還について、もう少し延期したらどうかとか、あるいはこれを免除にしたらどうかという議論は全くなかったのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/52
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053・足立篤郎
○政府委員(足立篤郎君) 申すまでもなく、国鉄は今独立採算制をとる企業体になっておりますので、政府から正規に貸付を受けたものにつきまして、これを免除するということは、政府としてもゆめゆめ考えておりません。ただ先ほどから申し上げておる通り、今までの事情が非常に苦しかったものですから、またこの赤字が生じて、今回の三十億程度の金が国鉄に貸付けられたときのいきさつは、ただいま法規課長から申し上げました通り、貨物運賃の値上げが当時計画通りできなかったために、少し赤字の補填の意味で貸付けたのだというようないきさつもあるわけでありますから、まあ無理に結びつけて、あなたがおっしゃるように、この運賃値上げと関係があるのだとこじつければ、そういうことになるかもしれませんが、私どもの気持としては、政府としては割り切って、この点は考えて来たのだということを申し上げておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/53
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054・平林剛
○平林剛君 私がこじつけているのか、政府の方がそこのところごまかして答えているのか、議論は別にしますが、政務次官に仮説の問題でお尋ねしますが、よろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/54
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055・足立篤郎
○政府委員(足立篤郎君) ええ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/55
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056・平林剛
○平林剛君 かりに今政府が御提出になっておる運賃法の改正ですね、これが国民から非常に総反撃を受けておる、先ほどの御説明によると、かりに運賃の引き上げをしなくても、今年は景気がいいし、経済が活況で、経費の節約で二百億円を越える黒字が出る、こういう御説明があったように、そういうことが知られてくると、運賃の値上げについてもかなり強い批判が生まれてくるのではないか、こういうことが想定をされます。そして政府が世論の上にたって政治を行おうとするならば、運賃法の改正が議会においては成立をしないということも考えられるわけですね。そういう場合において、なお、国鉄は政府貸付金の償還についてこういう法律案を出せるだろうか。こういう疑問がもう一つ残るわけであります。これは政府としては輸送力増強のためにどうしても運賃法の改正を必要だとお考えになっておるようであります。もしかりにこの運賃法改正が国民世論の中で通らなかった場合には、この法律にあるような貸付金の返済が国鉄として自信を持ってできるのかどうか。こういう点が私は疑問でありますので、お答えを願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/56
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057・足立篤郎
○政府委員(足立篤郎君) 私どもとしては、先ほども申し上げております通り、これは過去一年間国鉄の経常合理化ということを真剣にやってもらいまして、この四月三十日に迫ってきた期限がございますので、この三十億をそのまま返すことが不可能なので、計画化して年賦で返してもらうということで、国鉄で自主的な計画を立ててもらったわけなんです。従ってこれは運賃改正とは関係がないということは先ほど申し上げた通りでございます。国鉄の内部の事情につきましては、経理局長も出ておりますので、国鉄の自主的な計画の事情につきましては、経理局長からお答えをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/57
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058・平林剛
○平林剛君 今の一つ御答弁を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/58
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059・久保亀夫
○説明員(久保亀夫君) それでは国鉄としての考え方を御参考に申し上げたいと思います。ただいま政務次官から申されたように、私どもといたしましても、それはさっきの返さんでもけっこうだという方もあるかもしれませんが、やはり公共企業体として独立採算である以上、財政の許す範囲で返していくと、返しますれば、しかもただで借りておるわけではございません。五分五厘の利子を払っているのでございますので、少しずつ返すのがほんとうではないかというふうに考えておる次第でございます。そうして来年度につきましては、幸い、平林先生も先ほどおっしゃったように、収入も相当ふえて参るだろう。一方では経営の合理化を徹底的にいたすということで、数字的に申し上げますなれば、来年度は本年度に対して二百八十数億という、これは運賃値上げを除きまして、収入の増加がある。一方経費もできるだけおさえまして、固定資産税の増加を含めても百億程度にとどめるというようなことで、二百億近い自己資金を捻出したということでございまして、こういう機会に少しでも、本来なれば三十億返すべきところを、しかしそれだけ食い込みますと、また設備資金に不足を来たすということでは困るということで、大蔵省と御相談あるいはお願いの上で、五年間くらいで返そうということに考えたわけでございます。私どもといたしましては、運賃値上げと全然無関係ということはございませんが、それはやはりこれだけ食いますればということはございますが、私どもの計算で申し上げたように企業努力から出す、運賃値上げで上げていただいた資金は全額これは設備資金とするということで、これはあくまでもわれわれの企業努力の中で少しずつでも返済していきたい。これは同時に利子の軽減にもなって参るということで、考え方としては分けて考えております。たまたま時期を同じくしているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/59
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060・平林剛
○平林剛君 私のお尋ねしておったのはかりにの問題であります。運賃法の改正が大へん国民から批判をされて、議会で成立することができなかった場合、そういう場合あなたは運賃値上げによらなくても、二百八十何億円の増があるからお返ししますというお答えがあったのであります。そうなると政務次官の方は、輸送力増強の仕事ができなくなるわけであります。当然そこにおいては計画の変更ということが出てくるわけであります。そういう場合に立てば計画の変更が出てくるわけであります。その場合に私の推測するところでは、政府が国民の世論を、反撃をあえてしても、輸送力の増強に立つという計画にお立ちになっていれば、当然この政府貸付金の償還期限については、例もないことではないから、また延期というようなことも考えられるのじゃないかという疑問を出しているわけなんであります。それについて明確なお答えがありませんでしたけれども、私は当然政府が輸送力増強ということで、経済復興の重要な施策となさるならば、そういう事態が起きたならば、あらためて検討しなければならんことだと思う。政務次官どうでしょうか、その点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/60
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061・足立篤郎
○政府委員(足立篤郎君) おっしゃる通り私どもとしては世論の相当な反撃を踏み切って運賃改訂をしなければならないという結論になったわけであります。その目的は今申し上げた通り、百パーセント輸送力の隘路打開という点にあるわけでございます。もしその大政策が国会の批判を受けて通らないというようなことになりますれば、現在の経済事情からして私は国家のために大へんな問題になると考えております。その場合の仮定に立って、今この償還の問題についてどうするかといわれましても、私はお答えは実はできません。というのは、私どもとしては、これはさっきから申し上げております通り、運賃改訂とは切り離して、国鉄当局の申し上げている通り、切り離して経理の計画を立ててやっておりますので、理屈そのものから申し上げれば、これはかりに運賃改訂が実施できなくなりましても、国鉄内部の合理化によって国から借りたものは年賦で償還すべきものだと考えておりますから、その通りお答えする以外にはございませんから、もし輸送力打開のために、たとえ百万円でも十万円でも余計あった方がいいのだという事態になった場合に、これはそのときの情勢に立って判断しなければならぬ問題だというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/61
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062・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) ちょっと速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/62
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063・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 速記つけて。
それでは本件につきましては質疑をなお後日に譲りまして、本日はこれにて散会をいたします。
午後零時十八分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X00719570228/63
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