1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年三月二十六日(火曜日)
午前十時五十六分開会
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出席者は左の通り。
委員長 廣瀬 久忠君
理事
西川甚五郎君
平林 剛君
天坊 裕彦君
委員
青木 一男君
高橋進太郎君
土田國太郎君
苫米地英俊君
成田 一郎君
宮澤 喜一君
大矢 正君
小笠原二三男君
栗山 良夫君
椿 繁夫君
野溝 勝君
杉山 昌作君
前田 久吉君
委員外議員 亀田 得治君
国務大臣
大 蔵 大 臣 池田 勇人君
政府委員
大蔵省主税局長 原 純夫君
国税庁長官 渡邊喜久造君
事務局側
常任委員会専門
員 木村常次郎君
説明員
大蔵省主税局税
制第一課長 塩崎 潤君
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本日の会議に付した案件
○所得税法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○法人税法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○租税特別措置法案(内閣提出、衆議
院送付)
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001・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) これより委員会を開きます。
前回に引き続き所得税法の一部を改正する法律案外、税関係法案を便宜一括して議題とし、質疑を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/1
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002・苫米地英俊
○苫米地英俊君 せんだってからくどくお伺いしているんですが、きょうは具体的に一つ一つ御回答いただきたいと思うんですが、学校のうちで技能関係のものだけをかけて、技能に近いそろばん学校であるとか、簿記学校であるとか、予備校であるとか、数学を教える学校であるとか、そういうものを除外したのはどういうわけでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/2
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003・塩崎潤
○説明員(塩崎潤君) 先般来、収益事業の範囲の拡張の問題について苫米地先生にお答えしているわけでございますが、現在のところまだ各省と協議中でございます。そういうこともまた昨日申し上げましたが、私どもがいわゆる技芸教授業を収益事業として法人税法の施行規則で指定いたしまして、これに対しまして法人税を課税するかどうか文部省と協議中であることは先般申し上げましたが、この技芸教授業とは何をいうかということが、だいぶ問題となるわけでございます。で、私どもは、文部省が主務官庁でございますので、どういうものを技芸教授というかという点について話し合い中でございます。洋裁、料理、茶道、いけ花その他、たくさんこれらに類するものがあるわけでございます。で、私どもの考えておりますのは、一体今まで個人形態でこういう技芸教授をやっておりまして、相当資産もふえて参りまして、相当大きくなってきた、そういうときに、教育目的もございましょうけれども、いわば一つ別の目的で公益法人になる、あるいは準学校法人になるというようなことになりますと、その収益の全体に、今までならば個人所得税がかかっておりましたのが、今度は全然何も税金がかからなくなる、果してこれでバランスがとれるであろうかどうか、これらが私どもの問題としている点でございます。私どもというのみならず、社会におきましても、公益法人になると、とたんに税金がかからなくなる、これでいいのかという質問も出てきておるわけでございますが、そこで私どもの考えておりますのは、こういう個人的な技能と申しますか、特殊な技能を今まで教授いたしておりました個人性の強いものが、いきなり法人になって、それで課税を免れるという形態が果していいのであろうか、そういう見地から今申し上げましたような業種を拾い上げておるわけでございます。現実にそろばん、予備校という線はまだはっきりしておりませんが、まあどういう業種に該当するか、私どもは今話し合い中でございますが、その一つといたしまして、今、予備校あたりは、私どもはこれはやはりこういう個人的な技能を有する特色のあるものとは考えておりませんので、予備校あたりは私はこういう範疇には入れない方がいいのではないかと今のところ考えております。そろばんあたりがまあボーダーライン・ケースになりますけれども、これらあたり社会の評価がどうなりますか、私どもといたしまして、そういう特に今申し上げました個人的な色彩で、財産保全的あるいは営利企業内なところの多いものを一つの種目によって振り分けて、課税して、そうして収益事業の範囲に加えていったらどうか、しかもその際問題になりますのは、これは現在文部省と話し中でございますが、少くとも各種学校を設置する準学校法人あるいは学校法人が各種学校を併置いたしまして洋裁、あるいは料理を、教育そのものとして行う場合、各省の監督もあるわけでございます、また公益性も、教育といたしまして、私立学校法あるいは学校教育法におきまして規定せられている。そういうものまで広げる必要がこの際あるかどうか。今文部省と話し合い中でございますが、ただその中に、その収益の内容を分析いたしますと、中には授業料あるいは入学金だけではなくて、たとえば何々公認料とかいうような名義で、そういう準学校法人あたりで、いろいろな営業権と申しますか、そういう形の収入もある。これは少し教育そのものの目的からは逸脱しているのではないか。そんなような関係を考えておりまして、それらの範囲につきまして、現在文部省と協議中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/3
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004・苫米地英俊
○苫米地英俊君 それでは具体的に伺いますが、学校で受験料とか、入学金とか、授業料とか、検定料とか、こういうものは対象に、収益事業と見るのでしょうか、見ないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/4
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005・塩崎潤
○説明員(塩崎潤君) 先ほど来申し上げております通り、まあ現在文部省と協議中でございまして、現実には政令の問題となりますので、最終結論までまだ達しておりませんけれども、先ほど申し上げましたように、学校教育法第一条の学校法人、それから学校教育法の第八十三条の各種学校を設置するような、いわゆる準学校法人と申しておりますが、これらが教育そのものとして行いますところのこの種の教授につきましては、まあそのベースになりますのは、今おっしゃいました入学料、検定料それから授業料それから試験実習費、これらでございますが、教育そのものとして行うこの種の授業という意味はそれらを含めてという趣旨でございますけれども、それを含めて課税するかどうか。現在まあ私どもといたしましては、そこまで課税しなくてもいいんではないかという気持を持っておりますけれども、現在文部省とそういう点につきましては検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/5
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006・栗山良夫
○栗山良夫君 ちょっと関連質問、ただいまの問題は局長か大臣にもう少し明確にしていただきたいと思うのですが、それは官公立の学校には多額の国費を投入して学生の教育をしている。私学も私学の特色において一生懸命今教育をし、かつ国庫補助を与えるという、そういう法もできているわけですよ。そこまでやっておるにかかわらず、授業料その他のものについて税金を取るなんということは全く自家横着ですよ。従って今の説明員のお話しだけでは私ども納得できないので、なりあるいは大臣からそういう学生の教育、基本的な教育ですよ。それは今の洋裁学校だとかそういう点については別な考えがありますが、少くとも筋道の通った学校教育というものについて、私学に対してもう少し思いやりのある態度をとるべきであって、そういう中途半端な御説明では納得できない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/6
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007・塩崎潤
○説明員(塩崎潤君) ちょっと私の説明の言葉が足りませんでしたが、私どもの申し上げましたのは洋裁、料理各種学校につきまして苫米地先生からの御質問がございましたので……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/7
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008・苫米地英俊
○苫米地英俊君 そうではないのですよ。各種学校とはいわないのですよ。学校の正常なる収入、こういったのです。学校の正常なる収入、すなわち授業料とか入学金とか受験料とか検定料とか、こういうのはどうするか、こう聞いたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/8
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009・塩崎潤
○説明員(塩崎潤君) 私どもが技芸教授、技能教授と申しまして、今申し上げました洋裁、料理等につきまして収益事業と見るか、見ないかという問題について申し上げておりますのは、まあ主として各種学校の問題でございます。その点につきまして各種学校全体として課税いたしますれば、今申し上げましたように、授業料、入学金、検定料は課税になるわけでございます。今申し上げましたように今学校教育法第八十三条の学校法人、各種学校を設置する準学校法人、それから学校教育法第一条の法人が併置いたしておりますところの各種学校、これらが教育そのものとして行いますところの技能教授につきましては、これは収益事業と見ることは必ずしも適当ではない、こう答えました。従いましてそういうふうに見なければ、授業料、検定料、そういう基本的な、教育を維持するための収入は法人の益金にも入らない、こういうことを申し上げた次第でございまして、その他のたとえば普通の正規の学校についてこれを収益事業と見、それを授業料、縦走料を益金と見るというようなことは申してないつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/9
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010・苫米地英俊
○苫米地英俊君 これに類似したもので道場ですね。例をあげれば講道館のようなもの、入門料をとっている、月謝をとっている、それから段位を与えるときには、それに対して報酬をとっている。しかしこれは収益事業でなくて、もう講道館というものを経営していくために必要最低限度なんですね。こういうものを収益事業と見るかどうかという問題があるのです。これはここのところに衆議院で出されているスポーツ、娯楽関係団体、こうありますが、こういうものについてはどうなりますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/10
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011・原純夫
○政府委員(原純夫君) 柔道は入れるつもりを持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/11
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012・西川甚五郎
○西川甚五郎君 これは今聞いていると各場合々々によって説明をしておられるのですがね。一ぺんあなたの方からもう少し詳しく初めから説明されたらどうでしょうかね。今後進行する以上、みな同じような質問になるだろうと思うのですよ。一応どういうものであるかということをはっきり説明していただいたらよろしいでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/12
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013・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) ちょっと速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/13
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014・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/14
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015・苫米地英俊
○苫米地英俊君 そこで検査、検定を業とするもの、これはどういうことを意味しておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/15
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016・塩崎潤
○説明員(塩崎潤君) 苫米地先生のおっしゃっている各業種は、ただいま問題になっておりますところの収益事業の範囲の拡張で、私どもが内部で検討中の資料についてお話し申されているのではないかと思うのでございます、私ども検査、検定、これは果して請負に入るかどうか疑問もございましたので、検討中の過程にはございましたけれども、現在のところでは、政令に書く必要があるかどうか、まだ検討中ではございまするけれども、その必要はないのではないか。検査、検定は、御承知の通り、輸出品検査等ございます。これは特殊の社団法人、公益法人、たくさんやっておりますけれども、これらにつきまして、営利会社との競争関係もございますので、これの課税について議論がございましたが、現在のところ、現行政令の規定の範囲内でいける点もありはせんかという点で、なお、もう少し検討してみたい。今のおっしゃる点では、おそらくまだ私どもが研究の過程の一案を言っておられるのだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/16
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017・苫米地英俊
○苫米地英俊君 学校に入学するときに、これは早稲田でも、慶応でもやっているのですが、入学生から得付をとっているのですよ。これは小さい学校でもとっているところがあるのです、この寄付金というものは、これは収益と認めるかどうか、ここに疑問があるのですが、これはどんなお考えでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/17
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018・塩崎潤
○説明員(塩崎潤君) その点も文部省と協議中でございますが、先ほど申しましたように、学校教育法第一条の学校法人、学校教育法第八十三条の各種学校を設置しておりますところの準学校法人につきまして、教育そのものとして行いますところのこの種の教授に伴いますところの収入は、収益事業から生ずる収入と見ないと、こういたしますれば、その種の寄付金は、教育そのものを維持しますための寄付と見まして、おそらくその範囲から出るのではないか、かように考えておりますけれども、具体的には番付金がいろいろな形になる場合もございますので、この点につきまして、文部省となお検討してみたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/18
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019・苫米地英俊
○苫米地英俊君 今言った準学校法人等で、講習会などをやりますね。これも教育の一部と見るか見ないか。これがどこへひびいてくるかというと、たとえて言えば、補習学校とか予備学校というか、ほとんど長期講習といったような形になっておる。この講習というのに対して、収益事業として課税をするというようになるというと、これはそっちの方にも及ぼしていかなければならない。それからそろばんであるとか簿記であるとかいうようなものになってくるというと、これはやはり講習というのはしばしば行われている。こういうものについてはまだ文部省と交渉中でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/19
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020・塩崎潤
○説明員(塩崎潤君) 各種学校といたしまして、文部省は認可いたします際に、どういうものが各種学校の教育の範囲に入るか、これは十分文部省として見ているはずでございます。具体的に講習会がその範囲に入るかどうか。種々の場合があろうかと思いますが、各種学校の範囲に入りまして、本来の教育目的の範囲に入りますれば、今申し上げましたような収益事業の範囲であるというのではないと思いますが、たとえば第三者を相当集めまして、臨時的に収益をあげていく。ファッション・ショーというようなものがあるとか、よく聞いておりますが、それらが果して本来の教育事業と言えますかどうか。それは具体的に認定すべき問題ではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/20
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021・苫米地英俊
○苫米地英俊君 今、ファッション・ショーの問題が出ましたが、これは私収益事業だと認めます。が、生徒の父兄、同窓等に展示会をやるというようなものは、ファッション・ショーのような範疇には入らないと思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/21
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022・塩崎潤
○説明員(塩崎潤君) 具体的なその認定の範囲が非常にむずかしいのでございますが、現在、ショーをやりまして、物品を販売いたしますれば、物品販売業の方の収益事業といたしまして、学校法人でも課税いたしております。そこに入るか入らないか事業認定の問題で、第三者の方がどの程度入り得るか、そんなところにかかるのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/22
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023・苫米地英俊
○苫米地英俊君 そういう場合に、展示会で販売さえしなければいいわけですね。それを催すこと自身は、収益事業と見られないわけですね。催す場合には、ある場合には実費がかかる場合もあるから、会費をとるということはあるかもしれないですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/23
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024・塩崎潤
○説明員(塩崎潤君) まあ販売しなくても、入場料はとる場合がありはしないかと思うのでございますが、入場料をとります際に、今申し上げましたように、各種学校の教育の範囲に入るか入らないか、そこから判断すべきではないか。そういうものは本来の授業料と性質が違うものがありはしないか、そこを検討すべきじゃないかと、具体的には考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/24
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025・苫米地英俊
○苫米地英俊君 大臣も見えておりますから、もう一つでやめますが、実は、予備校であるとか、そろばんの学校であるとか、簿記の学校であるとかいうやつは、まず今考えておられる中へ入っておらないと思うのですが、これらはやっぱり考えに入れない方がいいのじゃないか、こういうふうに考えるのですが、その点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/25
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026・塩崎潤
○説明員(塩崎潤君) 本来の学校教育法第一条の学校課程の補完的な予備校、これあたりにつきまして、その他また公益性が強くて公益法人になりますものにつきまして、現在のところよく調べてみますと、そう個人的色彩の強いものもございませんし、財産保全的なものも少いようでございます。まあ営利企業として特に強くやっておるものも中にはあるかもわかりません。中には株式会社としてやっておるものもございます。従いまして、現在の公益法人なにっておりますものを見ますと、さしあたっては、収益事業といたしまして課税する必要はないように見受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/26
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027・苫米地英俊
○苫米地英俊君 それでは私はこれで一つ質問を打ち切りまして、大臣の質問の方に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/27
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028・大矢正
○大矢正君 ただいま苫米地委員から質問されておりました法人税法の中の法人でない社団、人格のない社団または財団、この点について質問をいたしたいと思うのでありますが、今まで私の記憶では、一皮だけ当委員会において、この人格のない社団、財団に対する質問がかわされておるのでありますけれども、具体的に問題に突っ込んでいきまして、基本的に、この条文をなぜ挿入しなければならないかという点が、多少ぼけた形で委員会の審議が進められておりますので、私はそういう点から、本日は、もう一度さかのぼって、基本的に、この条文を挿入したという考え方から質問を申し上げたいと思うわけであります。
第一の質問は、今までこの人格のない社団または財団というこういうものが、法律の中になかったのであるけれども、今度新しく挿入をしたという、この意図と申しますか、考え方というものを、ある程度具体的にお聞かせ願いたい。先ほど申し上げましたように、ある場合にはこれが該当し、ある場合には該当しないというような疑義を将来に残しては、非常に遺憾だと思うので、やはりその前提となる基本的な考え方について御説明をいただき、さらに質疑を続行いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/28
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029・原純夫
○政府委員(原純夫君) 今回人格のない社団または財団につきまして、所得税法、法人税法に当りまして改正をお願いいたしております趣旨についてのお尋ねでございますが、それはこういうことでございます。
今までも、長い間、人格のない社団、財団というものは実際はあったわけでございます。そうして、今までは現行法で処理をいたして参りました。その間いろいろ疑問の点があったわけでございます。これは単に税法の面のみならず、各般の法律の適用の関係においてもいろいろ疑問があったということは、御存じの通りで、最近は部分的にこの人格のない社団、財団に特殊な法律上の能力を認めるとか、あるいは罰則の適用の対象とするというようなことが始まって参っておりますが、税の面では、最近特にそういうもので収益事業をやっているというようなものがかなりに出て参っております。そして、課税の公平ということから、そういうものの課税について、はっきりした裏打ちをしていただくということが必要だということを考えましたのが契機であり、趣旨の根本をなすものであります。
そこで、まず今まで現行法でどういうふうにやって参ったかということを申し上げますと、法人税法におきましては、はっきり法人は法人税を納める義務があるということになっております。従いまして、人格のない社団、財団は、法人税の対象にはならない。所得税法の方ではどうかと申しますと、人格のない社団または財団であって、組合的なものがかなりにあるようでございます。そういうものについては、個人的な、個人の所得というものを考えて、つまり匿名組合の場合についてやっておりますような、所得は個人に分属するという考え方をとって、課税をしてきたものも相当ございます。が、そうばかりでない、人格のない社団または財団自体の所得だというような感覚のものについては、所得税法をそのまま適用できるかどうかということが非常に疑問であります。そういうような点で、長い間そういう収益事業の課税について多くの疑問を存しながら、非常に行政上困難してきております。そこで今回お願いいたしておりますのは、どうもそういうものは法人的な課税をした方がよろしいのじゃなかろうかということで、法人税法の最初のところでは、そういうもので収益事業を営むものは、法人とみなすということを、一条の二項に入れることをお願いしているというわけでございます。その他、所得税の源泉徴収をする義務、される義務がございますが、これは現行法でもそれの適用はあると読んで参っております。従いまして、その面でも規定をはっきりさせるために、所得税法の方で改正をお願いいたしておりますが、これはいわば確認的な意味でお願いいたしているということでございます。
なお、ただいますと筋だけ申し上げましたが、どんな事業が出てきているかというようなことにつきましては、なおお尋ねがございましたら、後刻補足して申し上げたいと思います。大体概略申し上げますと、そういう考え方で今回の改正をお願いしているということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/29
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030・大矢正
○大矢正君 人格のない社団または財団というものは、具体的には法律によって規制をされているものかどうか、法律の中には、私どもが読んでいる範囲においては、人格のない社団とかまたは財団などというものは、法律の中には一切出てこないのでありますけれども、ここで、税法の中でこういうふうに人格のない社団、財団というものを入れるという考え方は、そういう面からみてどうも疑義があるように思われるのですが、その点はどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/30
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031・原純夫
○政府委員(原純夫君) 人格のない社団、財団は、これはずっと前から、私ども学校におります時分から、そういうものがあるということはいわれて、法律の規定の上では、それが正面から取り上げられていない分野であります。長く学者の間で理論的にいろんな理論構成がされている問題であります。まあだんだんと年がたちます間に、それらが法律上何の規定もなしにあるということでは不都合だというような事例がだんだん出てきましたために、近年では民事訴訟法で当事者能力を認めるという規定が入りましたり、あるいは私的独占の禁止、例の独禁法でございますね。それから銀行法、信託業法等金融関係事業法等でいろんな取り締りの対象として考える。つまり罰則の適用をこれらの団体にもいたすというような規定が設けられるようになってきております。税の面でも相続税法で第六十六条というのに、人格のない社団、財団に対する寄付、贈与についての規定が設けられるというようなことになってきております。地方税法では都道府県民税、市町村民税について、これについて住民税の均等割をかけますというような規定が入っているというようなのが現在までのあらましの法律的に取り上げられた面でございまして、そこでこの問題は法律体系の上でどういうふうに位地をつけ、どういうふうにきめて参るか、非常に大きな問題だと思うのであります。が、税の面で先ほど申し上げましたように、近年実質的に収益事業をれっきとしてやっておるというものが出て参りました。望むらくは基本法といいますか、一般法で、民法、商法そういう一般法の方での規定の整備がありますと、税の方でも非常にやりよいわけでありますけれども、事態をこのまま放置しておくわけにいかぬというので税の面でこういう手当をいたしたいということを考えまして、政府部内法律関係の方とも相談してお願いしておるということでございます。若干そういう意味では一般法の規定がまだ整備されていないというような点がございますが、これは事態が実際にそういう人格のない社団、財団の形で収益事業をやっている、これはやはり公平に課税するという要求は非常に強くあると思うのでございます。そこでそういう一般法との関係に若干の不満があるけれども、この際こういう規定を入れるようにいたしたいというふうに考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/31
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032・大矢正
○大矢正君 普通法人とか、公益法人とかいりものは法律の中では明らかにその性格を規定づけておりますから、従って法人というものはどういうものであるかということは法律の上で明瞭でありますので、あえてそこに疑義は生じてこないと思うのでありますけれども、人格のない社団または財団というものは法律的には何らの規定が今申したようにない、こういうふうに見て参りますと、その人格のない社団ないしは財団というものは一体どういうものであるかということに対する定義の仕方が非常に将来問題になろうかと思うのでありますが、この点はいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/32
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033・原純夫
○政府委員(原純夫君) この定義につきましては要するに、まあ簡単に申しますれば、団体である、団体であって法人格を持たないものであるというふうに申し上げたらよろしいと思います。そしてそれの性格、本質につきましていろいろ学者の間に議論があることは先ほども申し上げた通りでございますが、これらは今後なお十分検討の上一般法の方でも整備があるものというふうに考えております。
なお今回お願いしております分は、人格のない社団または財団全部ということではなくて、そういうものであって収益事業を営むものはということでございます。所得税法の力はこれはもう源泉徴収の関係でありますから、収益事業を営むといなとを問わないのでありますが、法人税法の方におきましては収益事業を営むものということにいたしております、なお、実際しただいまお話のような疑問と申しますか、不安と申しますか、一体自分は法人税のかかる人格のない社団、財団であろうかということの疑問がときどき出て来ると思いますので、その辺につきましては執行に当りまして十分この税務管理の側でそういう不安のないように運営いたしたい。つまり、さあ法律ができた、これが人格のない社団、財団で収益事業をやるものは営業申告が要る、それから法人税法の申告が要るというようなことを抽象的に言うのではなくて、具体的にいろいろな例をお示しして、またそれに該当すると思われるものについて、さしあたりは一々その旨をお知らせして申告をしていただくというような措置をとりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/33
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034・大矢正
○大矢正君 どうも局長は僕を盛んに収益事業の方へ引っぱり込む意図のある答弁をされるのですが、私は収益事業の方に引っぱり込まれる前に法人でない社団もしくは財団というものは一体どういう性格のものなんだということを明らかにしない限り、これは収益事業というのは二の次なんで、課税される団体がこれは先なんです。その課税の対象となる団体というものは一体いかような性格のあるものであるかということが、これは明瞭にならなければ、収益事業の内容なんかにはおよそ入って行くことは不可能だと思います。あなたは盛んに収益事業だけの部分に部分にと、こう言われますけれども、そうではなくて、収益事業を行とその以前の問題としてどういう団体にかかるのだということが今一番やはり問題になっている内容だと私は思うのであります。そこでこれはしつこく質問申し上げるようではなはだ恐縮でありますけれども、何でこれを明らかにするおつもりなのか。具体的にはどういう内容を持って、人格のない社団とか財団というものはかくかくのものであるというふうに明らかにするつもりなのか。たとえば民法において明らかにするのか。商法において明らかにするのか。とにかくどういう法律的な内容をもってこの内容を明らかにしようとされるのか。その点についてもう少し具体的なお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/34
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035・原純夫
○政府委員(原純夫君) 国の法律秩序の中で当事者となると申しますか、主体となるというものを考えてみますと、個人というものが一方にあります。それから一方に団体というものがあります。まあそのいずれかだろうと思います。団体の中にはっきり法人格を持つもの待たないものとあります。ただいままでのところわが国の法制の規定のされ方はこの個人と法人というものについてははっきりとして出ておる。ところが団体のうちで法人格のないものについては規定がまだきわめて萌芽的な状態にある、しかしまあこれこれの必要でお願いいたしたい、従いましてこの人格のない社団、財団といいますのは、団体のうち法人格のないものだと、まあ人格のない社団、財団というのを言いかえたようなものでありますが、ただいまのように法秩序の中で当事者となるものを分けて、そうしてお考えいただきますと、そういう意味をもっと全体との関連において御理解いただけるのではなかろうかと思うような次第でございます。従いましてこの法律秩序の中でいろいろなことをやっている主体のうち、個人でもないまた法人でもない、つまり団体のうち法人格がないものでありますということなんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/35
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036・大矢正
○大矢正君 何度聞いても私はわからないのですが、言うなれば、人格のない社団または財団というものは、これは無籍者と同じものですね。個人の場合はちゃんと戸籍があって明らかにされているし、それから法人の場合は、もう法律において明らかに法人というものはこういうのであるというふうになっておる、ところがこれはそういうものがないから、いわば無籍者であって、つかみどころのないもの、そのつかみどころのないものに課税をするというのであるからして、これは当然その性格というものを明瞭に描き上げた上で課税されるべきではないかと私は思うのでありますが、この法人でない、あるいは人格のない社団または財団というものの性格というものが、法人税法の中で明らかにされるということは、ちょっと法律の建前としては、法学者でないからむずかしいことはわかりませんけれども、しろうととして考えて見ても、私は無理があるのではないか。むしろこういう人格のない社団とか財団というものは別途何らかの形においてこういうものであるという性格づけた上において、法人として人格のない社団または財団という取り上げ方をするのが妥当ではないかという考えを持つのであります。私は先ほどからさかんにしつこく人格のない社団または財団の定義づけをお尋ねして、まことに恐縮でありますけれども、これが明瞭にならない限り、あとあと非常に影響があると思いまするので、一つもう一回お答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/36
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037・原純夫
○政府委員(原純夫君) まことにごもっともな御意見でございます。先ほども申し上げましたように、この法秩序の当事者のあるグループでありますから、一つの範疇でありますから、それについてはっきりした定義がこの法体系の中でどこかにあるということは望ましいのはまことにおっしゃる通りであります、ただそれにつきましては年来と申しますか、長年来いろいろな議論があり、つまりそれの性格なり定義づけなりについて競輪があって、まだ一般法においてはできておらない。が人格のない社団または財団何かと言えば、先ほど申したような団体のうち法人格がないものというような形においては、これは大体何と申しますか、どんな人も共通にそう申しております。ただそれの本質が何だと、あるいは現在一般法でそういうものについての規定がないから、現にある一般法の個々の条文の適用についてどういうふうな適用をするかというような点について、特に議論がうるさくわかれているようなわけで、そのものが何であるかということについては、割合に一般的な概念と申しますか、それがあるというふうに考えております。そこに立って先ほど来申しましたような全面的な規定ではございませんが、いろいろな取り締りの法規の適用なり、あるいは民事起訴法の当来者能力なりを規定いたします場合にも、人格のない、あるいは法人でないと申しておりますが、人格のない社団または財団という言葉を使って、それはもうその概念はわかっておるとい前提で、実は今の日本の法秩序ができておるわけであります。おっしゃることは非常にごもっともで、その前に、あるいはそれと並行して本法においてそういうものについて一般的な定義なり規定があるということが望ましいのはおっしゃる通りであります。われわれもそれがあると非常にいいと思いますが、何分それをいたしますためには、この範疇のこの団体につきましての一般法ということになりますから、すべての法律規定の適用に関して周到なところまで考え切らなくちゃならぬということに、そのもの自体の概念というものは大体はっきりしておると思いますが、それにどういう規定をどう適用していくかというような点についてなかなか考え切れてないというようなことから、まだできてないというので、おっしゃるような点が今の法律の中でははっきりうたわれていない。しかしまあくどくなりますが、それが何であるかということは、もう人格のない社団、財団ということで大体はっきりと了解されておるのが実情でございます。それを取ってそれの言葉でいろいろな法律で硬っておる。この際おっしゃる点は非常にごもっともでありますが、一般法の規定を先行させろという点はただいま申しましたようないろいろな困難があるから、他の各種の法律においても使っておる用字でございますし、それを使うことをお認めに願って、そういうものについての課税はどうするかという面の解決をいたしたいというので特にお願いしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/37
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038・大矢正
○大矢正君 局長の答弁というのは、これはまあ法律論じゃなくて、政治的なと申しますか、ある意味ではまた現実的だというか、そういう判断に過ぎないと私は思うのでありまして、法律的にこういう裏づけがあるから、だから人格のない社団もしくは財団というもうをここにあげたのだと、こういうことではなくて、非常にぼやけた輪郭のものではあるけれども、そういうものがあるから、たとえその法律的な裏づけがなくてもこれはやるのだと、特にこれは税の問題に限ってこれを行うのだと、このように解釈をされるのでありますが、この点だけをいつまでも長くやっておっても私はいたし方がないと思いますので、いずれこれはあらためてまたこの点のお尋ねをいたしたい。
そこで、それじゃ法律的に人格のない社団もしくは財団というものに対しては定義をいたしておらないのでありまするからして、税法としてこれを取り上げてやる場合には、税法に限った形においてこの人格のない社団もしくは財団というものに対する規定づけを当然しなければならないと私は思うのでありますが、その点はそれじゃ具体的にどういうことになるのか、この点をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/38
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039・原純夫
○政府委員(原純夫君) 先ほども申し上げました通り、人格のない社団または財団といいますれば、それでわかるという考え方なんでございます。どの法律にもただいま、先ほど来申しておりますいろいろな人格のない社団または財団とうたっており、どの法律にもそれの定義は書かれてございません。それはそれでわかる。それは団体のうち法人格のないものだというふうに考えて、そういうことをこの言葉で表わしているのだというつもりでお願いをしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/39
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040・大矢正
○大矢正君 これはあなたはわかるかとおっしゃるけれども、どこでわかるのです。それはあなたはわかっても、国民がわからなければ困るでしょう。たとえば税金をとるという場合には、納税義務者が人格のない社団とか財団というものはこういうものであるということをみずからが理解をしなければいかぬですよ。局長が、あなたはほかの法律、たとえば何ですか、足半訴訟法ですから何ですかわかりませんが、私もちょっと聞いたことがございますが、そういう場合もあるというようなお話しをされておるようでありますけれども、私どもは少くともその法律を作る場合には、どういう立場とどういう考え方からそれを定義づけられたかは存じませんれども、法人税の中において人格のない社団もしくは財団という形で定義づけをされるからには、ある程度は人格のない社団とか財団というものはかくかくのものであるということを何らかの形において、あるいはどういうものかはわからないけれども、大体においてこれを表明しなくちゃならぬのは私は当然だと思うのでありますが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/40
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041・原純夫
○政府委員(原純夫君) 団体のうち法人格を持たないものと、もう人格のない社団、財団というものを言いかえただけのことでありますが、それでそのことはわかるのではなかろうかというつもりで書いておるのでございます。これは重ねて申しますが、各般の法規でこういうものを取り上げております場合に、全部そういうふうなことにいたして、実はどこにもそれは何であるかということを特に規定しないでも、それはそれでわかるという前提で書いておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/41
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042・大矢正
○大矢正君 わかるわかるとおっしゃっても私ども自身もこれはわからないのですよ。あなただけはわかっておるけれども、この法律を作ろうとするわれわれがわからないのだから、あなたはまあ行政の当事者としてはわかるかもしれないけれども、法律を作るわれわれがわからない、法律を確認するあるいは審議をするわれわれがわからないのだから、ましてや国民がわかる道理がないと私は思うでありますが、あなたは幾ら質問をいたしましても、これ以上の御答弁はされないようでありますが、たとえば政令とかないしは通達とかそういうものを通じて、具体的には人格のない社団もしくは財団というものの定義づけは将来においてはするというお考えはあるのだろうか、その点を質問いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/42
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043・原純夫
○政府委員(原純夫君) 人格のない社団または財団をどういうふうに定義するかということになりますと、定義自体は私は簡単だと思います。先ほど申したようなことだと思います。一般法にそれが組織的に規定し切れないのは、その解釈というよりも、それが何であるかというよりも、法律体系の各個条をどういうふうにそれを適用して参るかというような点がそのものの実体に照らしてなかなかむずかしいというようなことからではなかろうかと思っております。民事訴訟法には当事者能力の規定があるということを申し上げましたが、民事訴訟法はまさに一般法、基本法の一つであります。ここにおいても定義をいたしてない。まあお話のの通りそれが税法に取り上げられるという意味で、国民が一体自分たちの作っている団体はそれに当るのかどうかというような点について、いろいろ議論が起るということはあると思います。が、それを税の方の政令なり通達なりで、それは何だということが特に必要だというふうな面は比較的少いのではなかろうか、それは一方には法人税法の適用においては収益事業を営む人格のない社団、財団というふうに限られておりまして、それについては先ほど来申しておりますように、その疑問を不安としないために、つまり一般に自分で解釈して申告を出しにいらっしゃいという態勢でなしに、こちらで調べてこれは営業申告をしていただかなければならぬ、所得の申告をしていただかなければならぬというものについては、さしあたり当分の間お知らせをいたします。所得税法の方の源泉徴収をするまたは受けるということでありますから、これはまあ給与の支払いをするというようなことがあれば、それは源泉徴収をしなさいということになりますので、そちらの方は今までもそういう解釈でやって来ておりますし、別段実際上支障はないのではなかろうかというふうに考えて、特に税の方の政令等で定義をあらためていたして参るということは必要ないのではないか。ただ収益事業の範囲それから衆議院で御修正になりました収益事業というのが継続して事業場を設けてなすものをいうと、そういうものはどういう範疇であるかというようなことについては、これは準則を立てていくということが必要だと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/43
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044・大矢正
○大矢正君 平林委員が私の質問に関連して質問いたしたいという希望がありますので、私はもう一点だけ質問をいたし、後ほど平林委員の質問が終ってから、なおまた続行いたしたいと思うのですが、公益法人の場合の課税の問題でありまするが、これは原則として課税される立場にある。しかし公益法人であるので法人税法の中で特に非課税の対象にする原則は、もう法人税法の適用を受けるのであるが、たまたま公益的な内容であるので非課税の対象になる、こういう解釈でいくのでありますが、それでは人格のない社団もしくは財団というものの立場というものは一体どういう内容になるのか、今私が申し上げましたように、基本的にはこの人格のない社団もしくは財団も法人税の対象になる、しかしながら対象にはなるのであるけれども、その収益事業のみの部分以外の部分は、これはもう非課税なんだ、こういう立場をとるのか。あるいはそうではなくて、もう最初から収益事業、この団体の行う部分的な収益事業だけの内容を限ってこの法律の中に挿入するという立場をとられているのか、この点をお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/44
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045・原純夫
○政府委員(原純夫君) 公益法人につきましては、法人税法の第一条で「左に掲げる法人は、この法律により、法人税を納める義務がある」といたして、その第一号に「この法律の施行地に本店又は主たる事務所を有する法人」ということになっておりますので、これはまず法人税を納める義務があるということを一般的に出しております。そうして第五条に参りまして、公益法人については、収益事業から生じた所得以外の所得に対しては法人税をかけないということが書いております。今回お願いいたしております法人でない社団又は財団につきましては、第一条の第二項にもってきまして「代表者又は管理人の定があり、かつ、収益専業を営むもの」、そうして「収益事業」に、衆議院の修正で先ほど申しましたようなカッコ書きで「(継続して事業場を設けてなすものに限る。)」といたしております。ですから、そういうものが法人税を納める義務があるというのを第一条第二項で規定して、そうして第五条改正後の第三項に参りまして、そういうものについても収益事業から生じた所得以外の所得に対しては法人税をかけないという構成にいたしております。従って収益事業をやっていないというものは法人税を納める義務が初めからない、法人税の対象ではないということに、第一条ではずされているということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/45
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046・大矢正
○大矢正君 そうすると、これは逆からお尋ねをするのですけれども、収益事業をやれば初めて法人税の適用を受ける、適用ないしは法人税の何と申しますか、納税義務者の範疇に入るけれども、そうでないもの――収益事業を行わないものは一切法人税には関係ないという解釈でよろしゅうございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/46
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047・原純夫
○政府委員(原純夫君) 収益事業を行わないものは法人とみなされない、法人とみなされなければ先ほど読みました第一条第一項の方にかかって参りませんから法人税法の対象にはならない、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/47
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048・大矢正
○大矢正君 そうすると、今局長は、法人は結局何といいますか、法人である場合に限って法人税が適用をされるのだというような御答弁があったように私は記憶するのですが、そのように解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/48
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049・原純夫
○政府委員(原純夫君) ちょっとお尋ねの趣旨が十分くみ取れませんが、お願いいたしております第一条第二項に「法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定があり、かつ、収益事業を営むものは、法人とみなしてこの法律を適用する」というておりますから、法人でないという、つまり法人とみなされるものだけが法人税法の対象になる、その他のものは対象といたしませんということでございます。お尋ねに対してそうですとお答えすればいいように思いますが、そういう意味に理解して、そうお答えしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/49
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050・平林剛
○平林剛君 関連して。今大矢委員の人格のない法人についていろいろ御質問があって、これが一群肝心なところだと思うのです。これがはっきりしないというと、あとのことはなかなか審議が進まない。結局法人でない社団というものの定義があるいは規定というものがきまらないで、法律をただきめてしまうということになりますというと、今日までの税法上の疑問が生まれてしまう。従来われわれが、一般の国民が税金を取り立てられるには、法律に基いて税を取られる。そういうのが租税法定主義というわけですが、ところが今度はその法律の中に抽象的な、法人でない社団ということを、ただ人格のない法人というような抽象的なことでいくことになりますというと、租税法定主義というものがくずれてしまうのではないか、こう思うのですが、この点についてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/50
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051・原純夫
○政府委員(原純夫君) 税をかけられる対象になるものについての規定でありますから疑問があることではいけないと思います。しかしこの「法人でない社団又は財団」というて、それが何であるかわからないということはない。先ほど来申しておりますように、団体、広く団体というものの中に法人格のあるものとないものとある。団体といえば、それで団体とは何であるかというまでの定義はいらんでしょう。そしてそのうち法人格のないものがそれである。法人格があるかないかというのは法人税法ではっきりするわけでありますから、その二段の御説明でこれが何であるかということはこう書けばわかるという考え方で、つまり何であるかがわかりますれば、それで課税の対象としての指定ははっきりするというふうに思います。そういう意味で差しつかえないのではないかというように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/51
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052・青木一男
○青木一男君 ちょっとあなたのに関連して。大矢さん、平林さんの御質問、もう少し法律的に一つ説明してもらいたいのです。それ、こういう形で私質問をしてお答えをいただきたい。
今主税局長の言われた通り、法人であるかないかということははっきりしている。「社団又は財団」ということの関連について疑問があり、答弁があったのですが、私はその点は、そういう社会現象の基本法というものは民法にあるのです。民法が大体規定をしておるのです。それで民法の三十四条と三十五条に、「公益ニ関スル社団又ハ財団ニシテ営利ヲ目的トセサルモノハ主務官庁ノ許可ヲ得テ之ヲ法人ト為スコトヲ得」、三十五条には「営利ヲ目的トスル社団ハ商事会社設立ノ条件ニ従ヒ之ヲ法人と為スコトヲ得」、こう規定してあるのです。私は税法はこれを受けていると思うのです。従ってこの税法に使う、「社団又は財団」という言葉は民法の三十四条と三十五条に規定してあるそのものを受けておる。従ってその観念というものは民法の観念を援用しておるのであって、それ以外の何ものでもない。従って民法にも社団、財団の定義がないから、従って税法に特に書く必要がない。その意味は民法の規定そのものであるとはっきり言われれば、私はその法律的の限界ははっきりしてくるのではないかと思うのですが、その点のお答えいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/52
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053・原純夫
○政府委員(原純夫君) その通りだと思います。先ほど来こういうものについて各般の法律で規定し、かつ民事訴訟法においても規定する。ただいま青木委員は民法にも社団、財団という言葉が使ってある、そしてこの社団、財団という定義は与えられていない、それでわかるという御趣旨だろうと思います。私どももそういう意味でこういう言葉が使ってある、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/53
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054・平林剛
○平林剛君 これは青木さん助け舟をされて、法律的にはどうだということで、これは逃げてしまったけれども、やはりこれはわからないですね、それだけでは。なぜかというと、すでに私らのところでも一般の国民層の多くの団体が、自分は法人でない、社団ではあるが、今度きめた人格のない社団の中に入るのか入らないのか、実はてんやわんや言うてくるわけです。みんな今度の法律によるというと、それに基いていろいろな申告をしなければならん。申告をしないというと罰則を受ける。これは大へんなことだといってきておるわけでありまして、今の青木委員の質疑応答だけでこれらの税務行政というものを解決できるとは私は思われないので。特に昔からその人格のない社団というような言葉があるけれども、一体それが何であるかという定義はちっともないわけですよ。やはりさっきからあなたが大矢委員の質問に答えておりましたように、これに関する政令なり規定なり定義なりというものは、いずれかの機会にはきめなければならん。あなたは簡単にこれができると言われたんだけれども、その作られたものは、今大矢委員の本質的な解明にはならないじゃないだろうか。そういうことになるというと、やはり今までの税の取り立てというものは、はっきりしたものによってやるというのが、今度は法律上あいまいな表現で、解釈上はあなたの方でわかったとしても、実際上の場合には今度は税務行政の中でこれはいい、これはいけない、さっきの質問が行われておりましたように、ある面では取り立てない、あるものは取り立てるというような工合に税務行政が混乱してしまう、こういう結果が生れてくるんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/54
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055・原純夫
○政府委員(原純夫君) 税の方での問題としては、源泉徴収の関係と法人税の方の関係でございますが、源泉徴収の方は、要するに給与を払うという場合は法人格のない社団、財団であっても源泉徴収をしていただくということで、これははっきりわかると思います。問題は法人税の対象となるかならぬかが一番緊切な問題であろうと思います。これにつきましては収益事業を営むものということになっておりますので、収益事業はどこまでが収益事業かということがなるほどいろいろ議論があると思います。かなりニュアンスのあるものを切らなければならぬ。しかし収益事業ということで切るのでありますから、それもできないことはない。現に公益法人でもやっておることであります。なお、執行上それについて十分納税者が一般的に不安を持たないように、当分の間こちらからお知らせをして申告をしていただくというふうにいたします。申告のうち営業申告につきましては罰則はございません。所得の方の申告は脱税でありますと罰則ということはございますけれども、営業申告の方には罰則はない。かつそれについての運用は十分注意して、一般的に、うちはやらなければいかぬのだろうというような不安を持たないで、待ってていただければよろしいということでやりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/55
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056・平林剛
○平林剛君 先ほどから質疑が行われておりますのでわかるように、人格のない社団ということの定義はちっともはっきりしてないきわめて抽象的なものであって、今までの租税法定主義というものがくずれるということは明らかだと思うんです。またこの収益事業とお話しがありましたけれども、この問題についてもあとで質疑を継続すると思いますけれども、これもまたあいまいである。こういうことになると、やはり私が指摘した点は解決をできないということになるわけであります。
この間も国税庁長官の渡邊さんの書いた本を読んでみると、一般の国民というものは、権力者から不当な課税をされないように、それからまた課税をする場合でも公平に行われるように、こういう意味で民主国家というものは法律によって課税をするという建前がとられておる。ところが今回これを認めるということになりますと、それがくずれてしまって、われわれはちっとも具体的な内容をつかまない間に法律が通ってしまって、あとの課税は国税庁、権力を持っておる国税庁が自分の大体考えによってそれぞれ課税をすることができる、こういう結果になって、税の上で民主国家の柱ともなるべきものがくずれてしまうんじゃないか。渡邊さんがいれば、その渡邊さんが書いた著書についての御見解も聞きたいんですけれども、あなたは親戚同士だから、そのことについてどうお考えであるか、お答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/56
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057・原純夫
○政府委員(原純夫君) 私どもはその点は心配ないのではなかろうかと思うております。民法でも「人」という童は設けてありますが、「人」とは何かということはもうわかっておるという前提でやっております。また先ほど青木委員からお話しありましたように、社団または財団という言葉を使って、それはその言葉を償えばわかると、それで概念ははっきりするということでやっておるわけでございます。従いましてそのもののある範疇のものを呼ぶ言葉として、それがその範疇のものをはっきりいたしておるということであれば、それでよろしいんではないかというふうに思います。
次に、収益事業についての判定、これはその場合よりも、おそらくニュアンスの境のところがいろいろ問題があると思います。つきましては、「継続して事業場を設けてなすものに限る」と、これは私どもも法律にお響きいただかないでも、命令で書こうと思っておったところでありますが、継続して事業場を設けてなす収益事業といいますれば、それで大体どういうものかということはわかると、そうしてそれをあらゆる場合に、この法律の適用についてニュアンスがあるものを判断するというあらゆる場合があるわけでございますから、この程度の規定をしていただけば、それで執行上できるのではなかろうかというふうに考えております。もちろんその執行に当りましては、そういう問題でありますから、いろいろやって参ります間に、大方の御批判もあるでありましょうし、私ども十分注意して、法律の趣旨からはずれないように注意していくつもりでありますが、それでやり切れないということはなかろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/57
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058・大矢正
○大矢正君 法案の内容が非常にむずかしいので、記載されておるかもしれませんけれども、お尋ねをした場合にはごかんべんをいただきたいと思うのであります。
これは、自分では収益事業だとは考えていない、あるいはまたその団体自身は収益事業だとは考えていないけれども、税務署ないしは国税局ではもう明らかに収益事業であるという解釈をする場合も、私は事実の上においては当然あり得ると思うわけです。この場合その団体の代表者は申告をしなければならないのかどうか、この点をお尋ねいたしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/58
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059・原純夫
○政府委員(原純夫君) あらゆる規定の解釈において、解釈が分れるということはあり得るわけであります。そうしてその解釈が、税務官署側の解釈と、それから対象となる人々の解釈というものが違うことはあり得ると思います。で、御判断に従ってやっていただくということになります。しかしそれが税務官署側の解釈と違いますれば、税務官署側は、これは申告していただかなければなりませんよ、ということを申し上げます。そうしてその先は、なおこの御申告がないということになれば、税務署側で決定をするということになります。その決定に不服があれば、その再調査、審査というような手続、あるいはさらに訴訟というような問題になってくる、最終は裁判所が決定するということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/59
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060・大矢正
○大矢正君 そうしますと、収益事業を一切行なっていない法人でない団体、この団体は、先ほどあなたが言われた答弁からいくと、その団体それ自身は、法人税法に適用をされる立場ではありませんからして、私は一切中背その他をする必要性がないと、こういう解釈になると思うのでありますが、その点はそのように記憶してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/60
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061・原純夫
○政府委員(原純夫君) 収益事業を営んでいないものはおっしゃる通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/61
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062・大矢正
○大矢正君 そうするとその団体は、私のところの団体は収益事業を営んでおらないという立場が明瞭でありまするからして、かりに税務署、国税局から、お前のところは中古を出しなさいということをもし言われた場合においても、それを受け入れる必要性はいささかもないというふうにも解釈されますね、そうすると。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/62
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063・原純夫
○政府委員(原純夫君) これは法律の解釈の問題でありますから、主観的にその団体が、うちは収益事業をやっていないという判断だけで、それが最終的なものとは思いません。税務事務を執行しております側で、これは収益事業をやっておるとすれば、税務官署側はそういうことを申し上げ、なお、それでも自分はやっていないと言われて、税務署側がなお研究してみたが、やはりこれは収益事業をやっているという判断になりますれば、御申告がなければ法律に基いて決定をして通知を差し上げるということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/63
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064・大矢正
○大矢正君 その点もうちょっと具体的にそれでは質問いたしたいと思いまするけれども、この法人税法に適用をされるといいますか、納税義務者になる条件が二つあるわけです。それは一つは人格のない社団もしくは財団であること、そして代表者または管理人の定めあるものということが一つと、もう一つは収益事業を行うもの、そこでそれでは人格のない社団もしくは財団、こういうものだけでは、これはこの法律の適用を受けない、こういう解釈は先ほどあなたが言われた解釈で成り立つわけでありまするからして、当然法律の適用がないのでありまするからして、かりに税務署から、お前のところはなぜ申告をしないんだ、ということを言われたとしても、そういうものに一切私は応じなければならない理由はないというふうにも考えられるんですが、その点はいかがでしょう、条件がそろっていないんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/64
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065・原純夫
○政府委員(原純夫君) 法律の規定する条件がそろっていないものは、おっしゃる通りこの法人税の対象になりませんしただそれは繰り返して申しますが、その団体の判断で最終的にそれがきまるものではない。それについてはいろいろな解釈があって、税務署の解釈がそれと違うという場合においては、ただいま申したようなことになる。まあ、実際には相当しぼって、この「収益事業を営むもの」といたしてありますから、そう納税者といいますか、その団体の方が非常に、いわば特異な角度からそう覆われる場合を除いては、そういうことはないと思いますが、あくまでもそれは解釈の問題ですから、意見の相違はあり得るが、その場合に団体側の意見が最終的だということにはならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/65
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066・大矢正
○大矢正君 その団体がですね、人格のない社団もしくは法人というものは、積極的に自分から申告をしなければならないという義務づけはあるのですか。裏を返して言えば、税務署なり国税局から、あなたのところはどうも収益事業というものをやっておられるような気がするから申告をしなさいという、こういう内容が来るまでは、それをする必要性がないという解釈をしていいのか、その辺をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/66
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067・原純夫
○政府委員(原純夫君) この営業といいますか、収益専業をやっている法人でない社団と財団は、営業申告といわれておりますが、それをする義務があるというのが、本法は四十六条の四であります。現にやっておるものは付則の方に書いてございますが、これは法律的に申しますれば、法人でない社団または財団で、この代表者または管理人の定があって、収益事業をやっているというものは、別段税務署言われないでも申告をする義務があるのです。ただしそういうことだから、皆さん自分で判断して出してきて下さいということは、非常に不親切なやり方であろうと思う。今までそういう面について、いわば非常にあいまいであった分野でありますから、そこでこの御改正を願いましたならば、どの団体が御申告願うべきかということについての税務署側の考え方を申し上げると、まあ、義務がない方は黙っておりましょう、義務があるというものについて、お宅は申告をしていただきたい。これはそういう一般的にぱあっと綱をかけて不安を与えるということになっては不親切だから、そういう運用をしようということでございまして、法律的には、そういうものは自分で申告をする義務があることになっています。執行上御不安のないように、そういう運用をいたそうということを考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/67
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068・大矢正
○大矢正君 人格のない社団もしくは財団であるというだけでは、この法律の適用を受けないし、納税の義務者であるという立場も生まれてこないわけですね。収益事業を行なって初めてこの法律に適用される立場が私は生まれてくると思うのであります。そうすると、その団体それ自身は収益事業ではないという判断に立って中背をしない、こういう立場が出た場合に、今あなたの言われる付則との関連においてはどういうふうになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/68
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069・原純夫
○政府委員(原純夫君) そういう判断に立って中背をされないと、税務署の方からお宅は中背をしていただくべきだと申し上げる、そうすると、いや、やはり該当しないと言うておられるわけですね。営業申告の方は罰則がございませんから、それまでで対立状態となる。で、卒業年度が済みますと、そうすると、その期の分については所得があってもなくても法人税法の対象となる法人は申告書を出さなければならない。その時期になってお出しにならぬということになりますと、それに対して決定という問題、また非常に、何と申しますか、そういう場合はおそらくないでしょうが、脱税という問題が観念的にはあり得る。もぐりにされるという問題があり得ると思います。これは税務署から申し上げている場合でありますから、おそらく決定でゆくだろうと思いますが、そうして決定に対してなお法人税法の対象にならないという御判断ならば、その決定に対して再調査、審査、訴訟に至る一連の異議の申し立ての仕組みができているということに相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/69
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070・大矢正
○大矢正君 この法律が具体的に施行された以降において、ある一定期間ののちは、何と申しますか、人格のない社団の立場をとったものは、申告をしなければならないという義務づけをしていますでしょう、法律でね、そうすると、さっき私が申し上げましたように、人格のない社団もしくは財団という規定づけが、法律的には明らかでないので、しかしまあ自分としては、団体の代表者なり管理人は、自分としてはおぼろげながら私の団体はどうもこの法人税法の中の一項にひっかかる可能性があるという、そういう感じはするけれども、法律的には規制がない。ましてや具体的には収益事業を営んでおらないという立場があるにもかかわらず、法律の中ではやはり申告をしなければならないという義務づけをしている。この辺がどうも私は非常に理解に苦しむわけです。たとえば公益法人のようにもう原則として法人税を納める義務がある、しかし特例として、これは公益性があるからという、こういう立場じゃないのでありまして、この人格のない社団、財団というものは、そうじゃなくて、もともとはこの法律には適用はされないのであるけれども、たまたま収益事業の部分だけに限って、この法人税法の適用を受けるという、こういう原則が明らかなのでありますからして、私はそういうものに申告の義務を与えるということは、裏を返して言えば、申告をしない場合は、それ相応の何といいますか、税務署のいやがらせなりなんか、いろいろな立場を私は将来において受けるかもしれませんけれども、どうもその考え方、法律の中に現われている内容が、一貫をしないように私は思うのですが、その点はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/70
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071・原純夫
○政府委員(原純夫君) 疑問は人格のない社団、財団であるかないかという点よりも、収益事業を営むものであるかないかという点であると思います。人格のない社団、財団であるかどうかの点は、おそらく疑問は大して起らんのじゃないかというふうに思います。収益事業を営むかどうかについては、いろいろ疑問な場合が出ると思います。そこでそれについては、その解釈がだんだん実際の運用に当って具体化されてゆくわけであります。税務署側と見解を異にするという財団が、うちは納める理由はないと言われることはあり得ると思いますが、それは一般に法人税、所得税で収入なり損益金なりが何か、あるいは経費が何かということについて議論があるのと同様な問題で、この種のことにあってはそれは避けがたい。それについては、こういうふうな法律をお書きいただいて、それを穏当に判断してやれば、大体御一致できるのじゃないかと思いますが、まれな例外的な場合に、そういうようなことがあるかもしれない。その場合はそれぞれ十分穏当な判断、穏当な解釈というものになってゆくように、われわれの側においても努めますし、また納税者の側でもそういう態度でお願いをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/71
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072・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 暫時休憩をいたしまして、一時半より再開をいたします。
午後零時二十九分休憩
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午後二時一分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/72
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073・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 休憩前に引き続きまして会議を開きます。
質問を続行いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/73
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074・栗山良夫
○栗山良夫君 午前中に引き続きまして、人格なき社団並びに財団の税の問題について二、三お尋ねしたいと思います。
まず最初にお尋ねしたいのは、この人格なき社団並びに財団の実際の数はどの程度にあるものか、これを大体おつかみになっておると思うのですが、その総数のうちで収益事業を営んでおる、こういう工合にお考えになっておる団体は幾つあるか、これをお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/74
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075・原純夫
○政府委員(原純夫君) 人格のない社団、財団の数の問題でありますが、これは相当多数あると思っております。
三月十四日に御提出申した資料に事例をあげまして、そこに「地域または職域において主として会員の親睦又は福利厚生を目的とする団体」として、従業員組合、職員組合、共済会、厚生会、互助会等々の名前であるもの、あるいは町内会、県人会、青年会、婦人会というのがまず掲げてございます。それから教育関係としてPTA、同窓会……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/75
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076・栗山良夫
○栗山良夫君 いや私は数字を知りたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/76
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077・原純夫
○政府委員(原純夫君) 数は相当たくさんあると思いますが、何万という数か、ちょっと数としてはわかりかねます。もちろん万の台だろうと思います。その中で収益事業を営むものとして課税の対象になるものがどのくらいかというお尋ねでございますが、これはまだ確実に数を把握しておりません。けさほど申し上げましたようなやり方で、一般に不安を与えないように、これは課税の対象にしなければならぬというようなものからだんだん判定して参りたい。そう数は多くないだろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/77
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078・栗山良夫
○栗山良夫君 この衆議院提出資料というのは参議院へ配られるために作られたものですか。どういうわけで参議院の方へこの衆議院の提出資料が提出されてきたわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/78
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079・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/79
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080・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/80
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081・栗山良夫
○栗山良夫君 そこで今の大体目標としておる数もわからないし、そのうちで収益事業を営んでおる団体の数もわからない、こういうことでありますが、今まで少くとも法律である行政行為を行う、あるいはまた税をとるというようなときに全然見込みのない、ワクのつかめないようなそういうものをお出しになった例というものを私は聞かないのですが、大体捕捉財源、捕捉税源というものは、これはつかんでお出しになるのではないか。そういうことはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/81
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082・原純夫
○政府委員(原純夫君) 先般申し上げましたように、人格のない社団、財団で、れっきとした収益事業を営んでおるというようなものはだんだん出て参ってきております。そういうようなことから、ぜひ課税は公平でなければならないという意味でお願いするわけで、だんだん出てきていると申しましても、非常にたくさんあってという段階にはまだなっておりませんので、数も課税になる数はそう大した数にはなりますまいと申し上げたわけで、こういうような事例は公益法人の収益事業に課税をするようになりましたときも同様な問題があったかと思いますが、私はさだかに記憶しておりませんが、やはり同様なことではなかったろうかと思うのでございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/82
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083・栗山良夫
○栗山良夫君 数は一応何万あると、万台あって、そのうちで収益事業を営んでおるものは、数字はわからないが、多くはないという推定を一応下されておりますが、その万台に対して、その多くない数の大体今度は推定の位取りはどのくらいのところですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/83
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084・原純夫
○政府委員(原純夫君) 大へんお答えがむずかしいのでございますけれども、もちろん万台になることは、これはもう万あるまいと思います。こういうことは慎重にお答えせんならん問題ですが、しいて私の個人的な見地での感じを申しますれば、おそらく百台、百の位の数ではあるまいか。多くても、千の台にいっても、そう数は多くはあるまいというような感じを、非常にばく然として申しわけありませんが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/84
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085・栗山良夫
○栗山良夫君 そこで大体これは一万なのか、あるいは九万なのか、あるいは十万も万台に入るのですが、やはりこの数ある中で、一応局長としては百台あるいはまあ多くても千位の台である、こういう工合におっしゃったのでありますが、この法律改正によって課税をしようとお考えになっておる大体団体というものの目標をおつけになっておると私は思うのです。そこでさらにお尋ねをいたしたいのでありますが、この収益事業を営んでおる団体の年収益ですね、これはごく大分けでよろしゅうございますが、先ほどの万台のうちで、たとえば一万以下、十万以下、五十万以下、百万以下、一千万以下という工合いに、適当にランクを分けて分類いたしますと、一体どれくらいのパーセンテージになるのですか。ただいまあなたが百台あるいは多くて千台くらいのものだとおっしゃった、それは年収益どれくらいの収益を営んでおる事業を大体目安にしておいでになるか、これを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/85
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086・原純夫
○政府委員(原純夫君) 実は、この種のものにつきましては、課税上現在の法律の解釈では、なかなか疑問が多いものが相当ありまして、しいて申告せいとも言い切れない。従いまして、もちろん調査も突っ込んでできないというような事例が多いわけでございます。従いまして、この数百なら数百、数千なら数千の団体について、所得の階級別の調べというようなものはまだできておりません。いろいろな若干の資料で、収入額、剰余金額というようなものを参考にとったのはございますが、それも十分調査を尽してせられたものでございませんので、その辺ちょっと見当がつきかねる、しかしまあ収入金額が千万台のもの、百万台のもの、それから剰余金、所得でございますね、これが百万台のもの、十万台のものというようなものがぼつぼつ私どもの手元には一応の参考としてきておりますが、これらも調査がどの程度の調査か、団体に問い合せたそのままのものか、あるいは突っ込んで全部の通常の調査をした上でのものであるか、その辺もはっきりいたしませんので、オーダーとしてはそんなところのものが多いのではなかろうかというふうに思うわけでございますが、詳細はなお改正法を実施しました上で、資料が集りましてから申し上げるということにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/86
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087・栗山良夫
○栗山良夫君 少くとも税を新しく起す場合に、今お答えのようなばく然たる構想で起された例というものは私はないと思います。少くとも、私がこういうことを申し上げるのは恐縮ですが、税法を改正すれば、それによって国庫に入る税収というものが予定されなければならない。従って今度の予算でも、税法を改正することによって、この人格なき社団から幾らの税収をあげるかということが計算がなければならないと思いますが、その計算は幾らになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/87
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088・原純夫
○政府委員(原純夫君) 法人税の収入見積りの中身の問題になりますが、この分は数も少うございますし、それから所得も今申しましたようなところでそう大きなものではなかろうということと、それから法施行後開始する事業年度について納税義務があるということにいたしております。多くのこういう団体は一年心皮のものが大部分であるようであります。そういたしますと、年度内に申告納期がこないということになります。中間申告の規定はこの種の団体には適用されませんで、そういうようなこともあり、法人税収見積りの中には特にこれを別に計算して加えるということにいたしておらない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/88
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089・栗山良夫
○栗山良夫君 いずれ施行規則が出れば、それでお尋ねをすることができると思いますが、その前に、衆議院へ提出をされた資料に基きまして、「人格のない社団等に対する課税の要領」というのがあります。この要領の中で、二番目には「法人でない社団又は財団の事例」というのがございます。これを私、今ちょっとここで拝見したのですが、ずっと拾い読みしてみましても、ずいぶんこれは漏れなく、実によくお考えになって載せられております。しかし、一つの例を申しますというと、町内会とかそういうところで収益事業をやったという例もあまり聞かないのですけれども、これまでも全部あげたということは、この「法人でない社団又は財団の事例」として、一応こういうものがあるのだという、これはサンプルにお出しになったものですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/89
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090・原純夫
○政府委員(原純夫君) これは人格のない社団、財団全般につきまして、私どもいろいろと、どういうタイプがあるだろうかということを考えましたタイプを掲げたので、ずいぶん漏れもあると思いますし、従いましてもちろんこの法人税法の対象となります意味での収益事業を行う法人でない社団、財団というものは、もうこの中のごく一部である。ただし一方、この所得税法の方の適用を受けます場合としては、源泉徴収義務、それから利子配当等について源泉徴収を受ける義務、これはもう全部に及ぶのでありますので、その方はまあ、けさほど申しましたが、全体をそういうふうにお考え願いたい。収益課税の対象としてはこの中のごく一部であろう。おっしゃる通り町内会などで収益事業をやっているというようなものはおそらくないだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/90
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091・栗山良夫
○栗山良夫君 そこで、この資料にさらにちょっと追加をしていただきたいのですが、この「法人でない社団又は財団の事例」というところを、おそらくあるいはこれ以上にまだいろいろお考えになっているかもしれませんが、その事例をあげられて、その中で、今度の税法で法人税の対象になる公算が多い、こういう工合にお考えになっておる団体ですね、これを一つずっと分類をして資料としてお出しを願いたいと思うのです。それは出していただけるかどうか。それで、できますればこの区分けを願った団体別のその分類をしていただくと同時に、大体今あろうと思われる全国的な団体の数、そういうものをお聞きしたい、そういう資料を出していただきたいと、こういうお願いをしようと思って今ここへ出席したわけなんですけれども、その数が先ほどのように非常にばくとしたもので、つかめないということであればいたし方ない、私は万台と、こう承わっておきますが、少くともこの団体の中で百か千と先ほどおっしゃったのですから、これを全部やれば、それは青年会だって全国至るところにあるでありましょうから、そういうものはあるいは大体原則としてかからぬということになれば外れるわけであります。そういう意味で、税法の対象にならないものと、なるものと、一つ分類をして資料を出していただきたい、こういうことはできないのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/91
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092・原純夫
○政府委員(原純夫君) その点につきましては、この資料の1の(2)に「収益事業の具体的な取扱」についてのごく素案的なもの、これはもちろん完全でなく、いろいろな漏れがございますが、それが掲げてございます。これをごらんいただいて、なおいろいろ問題があります面についてはお尋ねいただきたい。このただいまの大きな2の方の事例について、どれが当るかということになりますと、やはりいずれも収益事業でやっているものでなければ当らないということの方が大きな条件になりまして、この種の団体があるということを申すのは、やはり具体的にケースを当ってみてからでないと不穏当な場合が起りはせんかというふうに思いますので、ちょっとそういう表を作るのはなかなか今の段階ではむずかしいように思うのですが、いろいろなケースについて、抽象的のタイプについて御質問いただいてお答え申し上げる、その一部の例は一の(2)に掲げてあるというようなことで御審議を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/92
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093・栗山良夫
○栗山良夫君 私はなぜそういう資料を要求しているかと申しますと、この税法の改正は、税の対象となる相手の団体に対してこれは申告の義務を課することになっております。これは先ほど局長が、事前に該当団体であるということを役所の方は丁寧に通知をして、そしてそのものにだけ申告をさせるのだとおっしゃったけれども、それは行政の便宜上のことであって、法制の建前からいえば、あくまでもこれは申告の義務を課する、しかも申告の義務を課する以上はそこに罰則というものが設けられる、こういう非常に厳しい取扱いをする税法に対して、万台のうちで百か千にしか申告を必要とするものはない、こういうことになりますと、非常にこれは多数の団体に迷惑をかけることになるわけです。しかも解釈が非常にむずかしいということは先ほど午前中の皆さんの質問で明瞭であります。役所の方も、立案当局として、はっきりした定義はつけられない、やってみなければわからない、こういうことをおっしゃっているわけでありますから、そういう意味で非常に多勢の人に迷惑をかける。実はこういう税法ができて申告の義務が生じたのだけれども、実際適用されるのは少いのだということを明瞭にする意味においては、今私が申し上げました資料というものが私はできないことはないと思うので、これを一つ何とか将来の行政実施に入る場合に支障のない程度において、しかもこの法案を審議するのに私どもが十分に法の精神というものを理解し得る程度において、何らかの具体的な事例を作っていただきたい。こんなに細かい審議をするのはおそらくほかの税法ではないでしょうけれども、これはそれほど細かく審議をしなければならぬほどにわかりにくい問題である。それだからこそ私はこういうことが起きてくると思うのであります。もちろん私は、この点は局長にもう一ぺんお尋ねをいたしますが、これを改正しようとして企図せられました動機は、実は一体いつであったか。先ほども大学の先生が立てた税法の理論とかいうような話も出ておりましたが、そういう税法の理論を勉強している間に、どうしてもこれは抜けている、これは税金を納める、とにかく取らなければならぬ団体で、従って一網かけてみようと、こういうおつもりで、悪い言葉で申し上げますれば、税を取り立てる意味の潔癖性、これは役所の方でいえば潔癖性ということでしょう。何でも細大漏らさず一つ網をかけてみよう、こういう理論的な立場でおやりになったのか。あるいは、現実に税の行政を執行されている上においてこういう団体の近辺から相当な非難が大蔵省で起きる、そして目にあまるような収入をあげていながら税の対象からのがれている、これはけしからん、こういうような国民世論を背景としてこういう改正をせられたのか。このいずれであるか。理論上から割り出されて、これはどうしてもやらなければならぬ。ちょうど原子力の理論物理学をやっているときに、ミュウ中間子とか何とかというやつがどうしても学理上ちょっとこれは何とかして実験して見つけてみなければならぬということで、そういう意味であなた方おやりになったのか、その点を一つ明確にしていただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/93
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094・原純夫
○政府委員(原純夫君) まず後段の点から申し上げますと、私ども決して理論的に、こういういわば個人法人に並ぶ第三の範疇がある、そこに手を打っていないから、ただ穴をふさぐというような角度でお願いしておるのではございません。これは年来と申しますか、かなり古くから、こういう団体で収益事業をやっておりますものについての課税については、規定が整備されておりませんために、非常に疑問が多かったのであります。近年だんだんそういう事例が目につくようなものが顕著に出て参ったというようなわけで、やはりこの規定の整備をして公平に収益事業には課税をするということにいたさなければならぬというふうに考えたわけでありまして、理論的な観念的な考え方でやっているのではございません。いろいろ実例として私ども研究したのもあるのでございますけれども、こういうのをこういう席でその名前を具体的にあげて申しますことは、よくもう少し事例の中身を調べてからでないと穏当を欠くと思いますので、まあタイプで申し上げる方がよろしいと思って、この提出資料にもタイプで出してあるということでございます。
そこで、前段の是非というお話でございますが、概して申しますれば、この一番の団体、二番の団体あたりにおきましては、収益事業をやっているものはきわめて例外的な場合であろう。まあ校友会なんかが学校ではっきり売店を置いてやっているという場合は物品販売業というようなことになりましょうけれども、まずまずきわめて例外的な場合であろうと思います。いずれにしましても、はっきりと継続して事業場を設けて収益事業をやっているという場合に限るわけで、まあそんなような売店を設けて物を売るというような場合であろうと思います。それから(3)の学術研究関係団体、また各種学会等といいますのは、はっきり学会という名前をつけましても研究団体ではなくて、雑誌なり書籍なりを発行する出版業を主としてやっておられるようなものがございます。こういうようなものは出版業でありますれば課税になる。ただしこの1の(1)にありますように「特定の資格要件を有する者を会員とする団体が主として会員に出版物を配付している場合は出版業に該当しないものとする。」という考え方でありますが、そうでなくて、一般に月刊の雑誌を売り出すというようなことをしておるようなものもあるように見ております。そういうものは出版業として課税になるというふうに考えます。
それから宗教関係団体で、神社の奉賛会等、これは大体寄付を集めるというようなことが主でありましょうけれども、中にいろいろな絵はがきとか何とかを売るというようなことをやるものがありますれば、その種の事業は物品販売業として収益事業の中に入るというようなことになろうかと思います。医療団体、診療所等、これは診療所で医業をやるということになりますれば、はっきりと事業は事業であります。そこで、それを収益事業と見るかどうかという点は、ただいま公益法人の収益事業の業種を政令で指定しておりますが、その中に医業は入っておりませんが、私ども医業を加えるということにいたしたいと思っております。加えれば、それが収益事業になるということに相なります。もちろんその加えます場合に、全部にするかあるいは何らかの条件をつけるかというような問題はあろうと思いますが、これは別途収益事業の範囲の問題として御検討を願うということになろうと思います。
それから事業者団体、同業者団体、これはまあ収益事業をやるのは少かろうと思いますが、中に、団体の買いますいろいろな物資あるいはその他のものの購買をあっせんするとかいうようなことをやりますれば、それが事業に入るというようなことになる場合が若干あるかもしれないと思います。
それから次のスポーツ、娯楽関係団体――ゴルフ・クラブ、ドライビング・クラブ等というあたりになりますと、1の(2)にも書いてございますが、これは遊技所業というようなものに当るのではなかろうかという一応の解釈でございます。
出版事業団体、先ほどもお話いたしましたが、ここで申し上げる方が適当だったかもしれませんが、「学会、協会等の名称を用いるもの等」、出版のために人格のない社団を作っておられるというような場合があります。これは先ほどの除外例の場合を除いて、出版業に該当するかどうかということによってきめられるということになろうかと思います。
それから、その他として、「政党、国際親善関係団体、各種後援会等」というようなものもございますが、いずれもただいままで申して参りましたように、収益事業をやるかどうかということで、まあこういうもので収益事業をやるというのは、あまりないんではなかろうかというふうに思います。
ざっとした御説明で不十分かもしれませんが、要はやはり収益事業を営むかどうかということにかかって参りますので、団体の種類をあげて、この団体はという式のものになりますと、お話の一般の心配にも広まるわけでありますので、ただいまの御説明なお不足ならば補足させていただくとして、これで御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/94
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095・栗山良夫
○栗山良夫君 そこで、大体形はわかってきましたが、大蔵省としては、別に税法の理論からこういうものを編み出してきたんではない、やはり税務行政の運用上の面からこれを必要としてきた、こういう工合におっしゃったわけでありますから、その限りでは、税務行政の実際の運用をやっておいでになる間に必要性が生じたとすれば、全国の第一線の税務署から、こういうものについてどうするかという問題がおそらく起きて、そうしてこれは国税局の問題でない、主税局の問題に私はなったのだろうと思う。私はそういう工合に理解したいと思います。それでよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/95
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096・原純夫
○政府委員(原純夫君) おっしゃる通りで、だいぶ前から、こういう団体、法人格はないのだけれども収益事業をやっている、さてやはり何かの格好で税がかかるのは実体的には公平だと思うけれども、法律をどう読んだらいいかということは、もう長い間、問題でございました。そうして、その相当数については、組合式なものの場合があるというので、そういう場合は所得税法の適用をするというようなことにいたしておりますが、そうでない、組合でもない、やはりれっきとした団体は団体だというようなものにつきましては、なかなか公平論が満足されないような場合がありまして、それで読み方、扱い方に苦労しておったというようなのが実際の今までの経緯でございます。ただ何分それの税法上の措置を割切って打ち出すということに、いろいろ問題の点がございましたので、だいぶ時間がたったわけでありますが、今度そういう経緯を経て、研究の上今回の改正をお願いするということになったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/96
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097・栗山良夫
○栗山良夫君 そこで、今おっしゃったことが事実とすれば、今分類された団体のうちで、現に今まで問題になった団体というもの、それをずっと実例的に、個別の名前をあげていただく必要はありませんから、適当な符号をつけていただいてもいいし、あるいは数でもけっこうですが、そういうものを摘記されて、そうしてしかも、およそ一年間の、その問題とすべき収益というものはどれくらいのランクにあるのか、国税局でつかんでおられる程度で、徴税はできないのだけれども実際、問題になった団体で、そうしてそれが今年、収益段階別にどういう状態になっているか、その分布表、そういうものをこの委員会に一つ提出を願いたいと思うのですが、これはできますか。今の法人でない社団または財団の事例、この分類に従って、今まで長い間問題になっておったとおっしゃるのですが、問題になっておったということは、ただ漠然と問題になっておるのではなくて、おそらく税務行政の立場からいえば、相当突っ込んで問題になっておると思う。そうすれば、おそらくそういう資料がなければ、これをどうしようかという主税局なりあるいは国税庁の話題には、これはなり得ようはずがないわけです。ただ漫談的な話題では、ここまで法律改正をしようという情熱は湧いてこないと思うのですから、私は相当具体的な問題があったと思う。そういう意味でただいまの資料を一つお出し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/97
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098・原純夫
○政府委員(原純夫君) それで具は体的に名前をあげますのは、やはり穏当を欠くきらいがありますから、こういうものというのを申し上げましょう。そうして所得金額のようなものは、大体先般申して参っておりますように、どうも課税できるかどうかについては疑問が多いというようなことから、実際上立ち入って調査ができないというものが多うございますので、問合せで、どういう決算になっていますかというのに対してお話しいただいたものが、一応載っているような場合が多かろうと思いますので、金額の方は、千万台、百万台、あるいは十万台のものもありましょうし、所得としてそういうようなものであるという非常に漠然たることですが、どんなものがあるかということを、恐縮ですがなるべく抽象的に申し上げさしていただきます。
一つには、会員制で酵素を配っているという団体がございます。酵素というのは、私もよく知りませんが、ヂァスターゼか何かああいう系統の非常に新式なものなのだろうと思いますが、これを、いい酵素を飲むと、からだに非常にいいというようなことらしゅうございます。つまりその酵素を会員に配るわけでございます。が、それは実質は販売だと思いますが、買いたい人は会員になって、会費を払って配ってもらうというようなものがございます。よく調べてみないとわかりませんが、物品販売業ではなかろうかというような感じが顕著にする一例でございます。それから出版関係では、人格のない社団または財団で、出版をしておられる、これは先ほど来申しました各種学会の名前あるいは協会というような名前を使って、月刊誌だのあるいは単行本だのいろんなものを出しているというものがいろいろございます、これは割合に数としては多いグループじゃなかろうかというふうに思います。
それから中には公私の交通関係のいわば外郭団体で、人格のない社団か財団かであって、観光バス、ハイヤーというようなものの貸付事業をやっておる。で、たしか千万台の収入をあげておるというようなものもございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/98
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099・栗山良夫
○栗山良夫君 大体わかりましたから、そういうものの何か一覧表を一つこしらえていただきたい。今おっしゃったようなものがこの分類であるだろうと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/99
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100・原純夫
○政府委員(原純夫君) たっての御要望でございますから、非常に漠然とするかもしれませんが、後刻できるだけ調査して差し上げるようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/100
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101・栗山良夫
○栗山良夫君 大体対象が漠然たるものだから漠然とするでしょうけれども、それだけに私どもそういう資料がほしいと思います。そこでその資料をいただいてから、さらにこまかくお尋ねをするとしましても、もう一つ局のこの問題に対するところの基本的な方針を一つ伺っておきたいと思います。それは先ほども申し上げた通りに相当たくさんのこういう団体があって、そのうちで課税の対象になるものというのはごくわずかだと、こういうことをおっしゃったわけでありますが、その場合に申告の義務制を全部の団体に一応課しているのですよ、それで自分自身は収益事業をやっているかいないか、主観的に解釈をすればやっていないと思っておるのが、大蔵省の方では客観的に収益事業だと、こういう工合に義務付けるというようなことで申告義務を課すということになっておりまするから、最初の出だしはあなたがおっしゃったように通告されるでしょう、通告しなければ無理です、全然把握しておられないのだから。今伺うところによると、調べてくれということでしょう、まあ最初は。そういうことで一応大蔵省の方でこの問題に対して卒業をするというと、今度はどんな小さなものまでも目こぼしなしにぐんぐんと、申告の義務をたてにとって、そうして税収をあげるために非常に強い態度をおとりになるということであれば、これはまことに法を乱用するものだと私は申し上げたいのです。なぜそういうことを申し上げるかと申しますと、特定の例外的な人がこういう団体を作って、そうしてこの団体によって法の目を免れて所得をあげよう、税金を免れて利益をあげようという、そういう意図を持っておいでになる方は別です。例外です。そういうことは申し上げませんが、少くともそれぞれの団体には、これは普通の人が寄って、一つの目的なり綱領をもって、その目的の達成のために、四苦八苦してやっておるのが実情のわけなんです。従って、あげた収益が個人の利益あるいは個人のぜいたく三昧をするために使われるということになればこれは問題ですけれども、その団体が持っておる規約なりあるいは目的なり綱領を発展させるために使われていくということであれば、これはやはりこういう団体は民主主義の一つの基盤をなす団体が多いわけでありますから、従ってそこまで税を追及すべきもので私はないと思う。従って今申し上げたように、税法ができた、どんどんこれを申告の義務をたてにとって追徴をしていくということでは、法の運用を私は曲げるものだ、誤まるものだと、こういう工合に申し上げたい。従って、私が今申し上げた見解に対して、局長としては賛意を表されるか、あるいは若干クェスチョン・マークをおつけになるか、ここをはっきりと一つ伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/101
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102・原純夫
○政府委員(原純夫君) 前段については、全然もう御賛成でございます。後段につきましては、若干申し上げたい点がございます。前段つまり判定につきまして、ぱっと網をかけたような態度で、いやしくも収益事業をやっていればかかるぞというような考え方で押して参るというようなことは、厳に避けなければいけないというふうに思います。従いまして、まあ法律の命ずるところでぴったりとした線が一応あるはずでありますが、さしあたりの運用としては、そのぴったりとした線をぎりぎり狙うというような行き方はやめて、これはどうしてもかけなければならぬというグループから処理をして参る、だんだん法律のこの規定する精神の線ぴったりのところにいかなければいかぬと思いますが、そういうようなふうに運用いたしたい。そのために、一般にも自分の団体が納税すべきかどうかということについて、かなり不安をお持ちになることでありましょうから、先ほど申しましたように、それが収益事業を営むと認められるものについては、税務署側でそういうふうに思う場合にはそれをお知らせする、お知らせいたします場合も末端の税務署だけで判定を最初からやりますと、まちまちになって、そこにまた論議が起きるというようなことになりますから、当初はやはり全般的に、少くとも国税局ぐらいに計数をまとめて、そうしてバランスをとってやって参る。だんだん事務が平常化いたしますれば、その後は一定の通達、基準でやって参る、異例なものが出たら稟議をさせるということでいけると思いますが、そういう点については極力世間に不要な御迷惑をおかけしないように十分戒めてやって参るつもりでおります。
それから後段の、多くのこういう団体がいろいろけっこうな目的、中には公益的な目的を主としてやっておられて、付帯して事業をやられるという場合には、それは、そういうけっこうな目的のために使われる資金であるから、やはりそれは収益事業と一応なっても、何と申しますか、はずして見るというふうな御趣旨だとすると、その点は、私どもは、やはり収益事業ならばそれは公平に課税をするということで参るべきではなかろうか。これは現在公益法人――はっきりとこういう法人格を持っております公益法人につきましても、収益事業については課税するということになっておりますので、そうして経済の全体の中で収益事業をやるものは、個人であれ、法人であれ、人格のない社団、財団であれ、課税の関係は公平に処分をするというのが妥当だと思いますので、そういう事情は、いろいろな団体のいろいろなニュアンスはあるだろうと思いますが、それが収益事業だから、その所得については税を納めるのだというふうにいたすべきじゃなかろうかと考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/102
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103・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) この際お諮りをいたします。ただいま議題に供しております法人税法の一部を改正する法作業につきまして、委員外議員亀田得治君から発言を求められております。これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/103
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104・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 御異議ないものと認めます。亀田得治君、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/104
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105・亀田得治
○委員外議員(亀田得治君) ちょっと内閣委員会を今休憩して参りましたので、簡単に私のぜひ確かめておきたいという点を一、二点お尋ねしてみたいと思います。
それは、本日の午前中からの質疑等は、私、拝聴しなかったわけですが、しかし、これは厳密に、今問題になっている、いわゆる法人格なき社団とその収益事業という問題を検討してきますと、その主体の面においても、あるいはその事業活動の面においても、はなはだこれは不明確な点が多い。その点の質疑を私もしたいのですが、これは非常に時間をとると思いますから、不明確であるという点だけは、これはおそらく提案者みずからも認めておられると思うのですが、ところがその不明確なものを対象にして、普通の法人として同じようにともかく法律の上ではいろいろな罰則がついてくる、一番高い場合には三年以下の懲役と、こういうものがつくのです。この点が私の一点、何かぜひ再考を願いたいと思うのは。で、やはり刑罰がつく以上は、その対象と行動というものは明確でなければならない。そういう不明確なものは刑罰をつけちゃならない。これはやはり憲法の三十一条の罪刑法定主義の精神から言って当然です。だれがどういうことをすれば罪になるのだ、それが事前に当然だれにもわかっておらなければいけないわけです。ところが、よく人格なき社団、それの収益事業というものの主体とか行動の面、これは考えれば考えるほど全く不明確である。立案されるときには、まあ法人と同じようなことをやっておるから、これも加えておけというふうに、簡単にお考えになってやったかもしれません。しかし、罰則ないし刑罰という面から見ると、これは非常な、何と申しますか、間違ったものがここに知らず知らずのうちに出ておるわけなのです。この点どういうふうにお考えになっているか、一つお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/105
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106・原純夫
○政府委員(原純夫君) 実は、その点けさほどもいろいろ御議論があったのでありますが、人格のない社団または財団に当るかどうかという点は、これは割合はっきりすると思います。個人であるか、あるいは個人でないか、個人でない場合に法人格があるかないか、これはもう法人の登記ではっきりするわけでありますから、団体であるが法人格がないという場合、これがまあ人格のない社団または財団ということになるわけであります。その点は、そういうふうに考えております。そこで、次の問題は、収益事業を営むものであるかどうかという問題であります。この点は、若干ボーダー・ラインでいろいろ疑問が起る場合があると思いますが、その種のことは、個人なり法人なりの所得の判定、まあ法人ですと一般的になんですが、個人の場合は、所得がなければかからない、所得があるかないかという判定と、まあ若干違いますが、類するような、かつ継続して事業場を設けて収益事業を行うことが収益事業であるというふうに、衆議院の修正ではっきりそこに性格づけを行なっておりまするので、若干の疑問のケースは起ろうと思いますが、これはまあこの種の立法の場合に、そういうボーダー・ライン・ケースというものは避けられないが、その解釈にはいろんな意見が若干あり得るとして、まず大体においては、そう不明確なところはないのではないかというふうに考える次第でございます。罰則適用につきましては、独禁法あるいは銀行法、信託業法法、金融関係諸法、それから補助金の適正化の法律というようなもので、団体罰を適用するという規定がそれぞれ入っているというような例もございまして、罪刑法定主義に反するということはないのではなかろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/106
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107・亀田得治
○委員外議員(亀田得治君) あなたの答弁自体からも罪刑法定主義にはっきり反しておるのです。それで、収益事業という面、その面については、あなた自身も不明確さというものに若干疑問を持っておる、大体わかるのではないか――いやしくも、刑罰を対象にする場合に、大体これでわかるのじゃないか、立案当時においてそういうことで処理される。そんなことを法務委員会あたりで説明したら、それだけでだめです。だから、あなた自身としては、これは軽い気持でこう出されてきているのだと思いますが、これは大へんな間違いですよ。この法律の対象になるかもしれないと思われる人たちにとっては大へんなことです。あなたの方は執行する方ですから、あるいはそう感じないかもしれない。罪刑法定主義はそこを言っておるわけです。そういう不安を与えてはいけないということ……また乱用も始まるわけです、そういう不明確な線では。それは、何か補助金を与えて大いに事業を奨励する、そういうような場合であれば、若干対象がぼけておったって、いいことをしてやるわけですから。ところが、個人にとって一番つらい場所に引き出すわけですから、それはもうあなた、立考案みずからが、大体はっきりしているじゃないですかとか、そんな程度じゃそれ自体からもだめですよ。衆議院の修正の過程等も私も聞きましたが、決してあんなことで明確なものじゃありません。
それからもう一つ、主体ですね。主体については、これはもうはっきりしているというふうな御説明でありましたが、ちっともはっきりしておりませんよ。あなたの説明で。個人は、これは、はっきりしていて問題ないですが、そのほかの団体であれば、登録されていないものはこれに入る、こういう説明でしょう。ところが、個人と、いわゆる社団、法律上言う社団の中間に、いろいろな人の集まりというものがある。個人でもない。社団でもない。社団というものは、団体の中でもより団体的なものです。これはもうはっきりしたところの法律上の概念です。その中間にいろいろなものがある。この人たちが迷っているわけなんです。これは個人とも言えないですよ。人が集まっている。これは正確に検討すればいろいろな見方が出てきますが、しかし、そういうあいまいな中間地帯があるということは、これは事実なんです。これを全部社団だと……、そんな馬鹿なことはとても一言えるものじゃない。だから、その際に、いわゆる普通の法人であれば登録をされておる、だから、どうも実質は社団的なものではないけれども、登録されておればそれを社団とみなして扱っていくということなら、登録という事実によってそれは捕捉できる、対象が。これは、登録されておらぬ。そういう人の集まりだから、それが一体社団になるのか、社団に至らないその一歩手前のグループ、これは個人じゃない。グループ、これはあるのです。確かに、性格づけはむずかしいけれども、あることは事実です。このまた境というものは、そんな、あんた、明確なものじゃ決してないですよ。だから、その点は、私これはもう確信をもって言える。そういうふうに考えませんか。要点的に言えば、個人と、それからいわゆる登録された法人、それ以外の人の集団というものは、これは全部あなた、法人格なき社団だと、こういう解釈じゃないでしょう。そういう解釈なら解釈ということを言ってもらわなければならぬ。しかし、そんなことを考えているんなら、これは大へんなことです。どっちなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/107
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108・原純夫
○政府委員(原純夫君) 先ほど、個人、それから団体、団体の中の法人格あるもの、ないものというふうに申しましたが、その間に組合的なものがあると思います。それを先ほど来略して申しておりますが、組合的なものは、税法の適用上は、それぞれ組合員個人に所得を分けて課税するという建前にしております。その境目は、おっしゃる通り、判定はなかなかむずかしい場合もあろうかと思います。ただ、それらを総じて言いまして、収益事業を営んでおりますれば、それについて所得に課税する、公平に課税するというのが、実体的な根本的要請であろうと思います。そうして、法人なら法人税、個人ならば所得税、それからはっきり組合であれば、ただいま申しましたように組合員に分けて所得税をかけるという建前……。そこで、その間に人格のない社団、財団というものがあって、それがまあ、ただいま法律の手当が十分できていないわけでございます。そこで、こういう手当をして、そういたしますと、もう収益事業を営みますものについては全部公平に課税になるという体制ができるということになります。境目についてはおっしゃる通りいろいろ議論が出得ると思いますけれども、法律構成としてはそういうグループで全体をカバーするということで、境目に議論が出ますのは、万般の場合にそれをどの法律でやるかという問題が常に起ります問題で、それは事柄の性質で避けがたい。それで罪刑法定主義に反するということには相ならないのではなかろうか。現に……それも間違いだと言われれば、それまででありますが、公益法人については、すでに数年前に法律を御承認願って、収益事業に基く所得について課税をする。そして、それについて、もちろん罰則の規定の適用があるというようなことに相なってるおような事情もある次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/108
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109・亀田得治
○委員外議員(亀田得治君) 公益事業についてはすでにこうなっておるというふうな、まあ説明の中に入るわけですが、それはもう公益事業であろうが、普通の法人であろうが、これはみんな登録されて明確なんです、対象は。このことを私は言っているのです。先ほどの答弁で、ともかく組合的なもの、つまり社団に至らない人の集まり、それから法人格なき社団と言われるもの、その間の区別のややっこしいものがあることは、あなたもいま認められた。だからその点は私特に追及しませんが、それが認められた以上は、これは結局、行為の面から言っても主体の面から言っても、処罰対象がはっきりしないということなんです。こういうものを処罰対象にしてくるのはこれが初めてですよ、日本の法律で。いや、法人の代表者云々というようなことを言っているけれども、それはみんな登録されている法人です。これが悪いことをすれば、この法人のだれが処罰されるということは、行為に移る前にちゃんとわかっておるわけですね。だから、どうしてもこういう改正をやらなければならぬというのであれば、これは税金を取る、そういう団体からも税金を取りたいというその考え方、これはもちろん問題がありますが、一応それを是認するとしても、罰則だけはこれは外さなければいかんですよ。税法の問題を私は今言っているのじゃないのです。基本的人権の立場から、別な角度から問題を提供しているのです。そういうことができないというのであれば、これは大体これによる税収は十億か十五、六億程度と聞いているのですが、そんなことで、こういう不明確な処罰がこの機会に始められるということを犠牲にするわけにいかない。国民の大きな全体の立場から言って重大な問題なんです。私は税収そのものに対する考え方、これを言っているのじゃない。だから、どうしても、いや、その罰則を外すこともできないというなら、それでは、この人格なき社団に関する部分については、一年でも二年でも一つ施行をその部分だけ延期して十分検討するということぐらいは、これは当然やるべきですよ。これはまた普通の法律の専門家に聞いても何のことかわからない問題なんです。今までの法律のどこにもそんな定義はない。民法の三十四条だったかに若干関連した概念は出ておりますが、しかしそれは登録されるべき社団、財団についての概念であって、今問題になっておるそれから排除される部分についての観念というものは何も民法上にも現われているわけじゃないのです。だから、こういうことをやってもらっては、これは大へんなんですね。悪例を残すと思うのですよ。そこを言っておるのです。だから、もうあなたの今の答弁ではっきりしましたよ。両方ともこれは不明確なんだ。行為においても主体においても。だから、そういうものについては絶対に罰則というものをもっと慎重にやってもらいたい。いや、それは事前に何かこの法律を適用する場合には予告をして、そうして何か若干行政的な考慮を払うとかと言っておりますが、そんなことは法律のできたのちに考えるべきことであって、法律自体を今私どもは審議している。そういうふうなことは、実際に検察官なり警察官なりが罰則を使おうとする場合には、そんなような手心を加えられる場合もあるし、加えられぬ場合もある。加えられぬ場合に、法律がそうなっている以上は、これは文句は言えない。ほかの行政的なこととこれは扱いが違いますからね。行政的なことなら、そういう手心もしやすいだろうが、そういうものじゃない。そこを私は言っているのです。どういうお考えですか。ざっくばらんに言って下さい、それはあまり原案にとらわれないで。これはあまり予想しなかったことだろうと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/109
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110・原純夫
○政府委員(原純夫君) 先ほど申しましたように、収益事業を営んでおります場合に、その所得に対して公平に課税するということが一つの理屈的な要請として背後にあると思うのであります。その面からいいまして人格なき社団、財団の範疇が、従来規定が整備されてないというので整備をしようということでございます。そこで、収益事業であり、所得があるならば、税金を納めていただかねばならぬということになりました場合に、詐欺その他不正行為でそれを逃れたといいます場合に、罰則を適用していいか悪いか、これは適用していいのではないかというのが実体的に言えるのではなかろうかと思います。従って罰則の適用は必要だと思います。そうして妥当だと思います。他の法律ではない、初めてだというようなお話でございますが、他に法律の例はだいぶございます。独禁法、銀行法、信託業法、貯蓄銀行法法、無尽業法、それから保険募集の取締りに関する法律、補助金等にかかる予算の執行の適正化に関する法律、労働関係調整法というようなものがございます。いずれも罰則があって、人格のない社団、財団に対して罰則を適用するという規定が入っております。これは実質的にそうあるべきではなかろうかと思います。そうして、ひるがえって不明確だと言われるのは、それはいろいろな場合にあることであって、解釈の問題があるのはほとんどあらゆる場合にあると思います。それはそれで争いになることでありますけれども、解釈が人格なき社団、財団であれば、それは法人税法の範疇において罰則の適用をする。それが組合的なものであって、個人課税すべきものであるならば、所得税法の系列において罰則の適用をするということになるのだと思います。そのゆえをもってこれが罪刑法定主義に反するということにはならないのじゃないか。そういう御議論になりますと、所得税の納税義務につきましても、所得があるのかないのかというような争いも常にあることであります。そういう場合に、その争いがあれば罰則の適用がないということは言えないと私は思います。もちろん収益事業であるかないかという場合に罰則を適用する構成条件が薄くなるというような実際上の事情は、おそらく多々あると思いますけれども、罰則適用がいかんということには、私はならぬのじゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/110
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111・亀田得治
○委員外議員(亀田得治君) あなたは税金を取る方はくわしいかもわからんけれども、罰則などのことはあまり研究しておりませんね、今その法人税の罰則の中の一番初めに、詐欺等の手段によって税金を免がれた場合には、やはりそれは処罰すべきが妥当だと思う、こうおっしゃった。あなたのおっしゃっている意味は、どうも前後の事情から考えてみると、ほんとうは個人または法人として収益事業をやって税金を納めなければならぬのに、そういう登記などをしないでごまかして、そうして税金を免がれている、そういうことをおっしゃっているのじゃないかと思う。それはあなたは当然この罰則でいったらいいのですよ、そういう場合に。ところが私が言っておるのはそうじゃない。お前はその主体をごまかしていると言われるけれども、それが組合的なものであるか、あるいは社団的なものであるか、それ自体が不明確なものはたくさんあるわけなんです。その人は何もこれはごまかしておるわけじゃないでしょう。自分ではそのつもりでやっておるわけですから、そういう人格なき社団に当るものではないと、こう確信してやっておるのですから、詐欺でも何でもないのです。それで冷静に検討すればそういうことに当る団体であるのはたくさんあるのですよ。ところがそこを不明確にしたままのこの罰則でいけば、非常に迷惑を受ける人があるのじゃないかと、そこを言っておるのです、私の言うのは。そういう場合がたくさんあるのです。あなたの説明自身からいけば、それは詐欺でも何でもないのですよ。本来社団であり、登記すべきものが登記しないでやっておる、これは罰則でいったらいいじゃないか、ごまかしの手段で脱税しているというのですから。だからそういうものがあるわけですからね。その点の検討をよくされて、その上でこれはやってほしいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/111
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112・原純夫
○政府委員(原純夫君) お尋ねの趣旨が、法人であるのに法人でないと言うておるのが、詐欺その他不正の行為だというような角度でのお話のように思いますが、私どもそれは、罰則の考えております詐欺その他の不正の行為が、そういう場合がまれにあるかどうかちょっと何でございますが、所得を隠しているごまかしているというのが端的な例だろうと思います。法人であるのに法人になっていない。ただいま登記のお話がございましたが、登記は対抗条件だけの場合がございますが、法人は許可でありますか認可でありますか、主務官庁の認可、許可というようなことで成立いたします。そうなっておれば、それは法人として実質上そういうものなのに、そういう手続を踏んでないというのは、それがけしからぬとか何とかいうものじゃなくて、そういうものがつまり人格なき社団または財団なんですね。そういうものが現に世の中にある。そうしてそういうものについては、収益事業をやりましても、所得に対する課税の関係の規定が整備されておらない。そこでそれを整備する罰則で、詐欺その他不正の行為で法人税を免がれておると言っておりますのは実質上法人であるものが人格のない社団または財団になっておるのが、詐欺または不正の行為だというのは当らないと思います。それはもう法人でなければ人格のない社団、財団になってしまう。そういうものとして課税の関係の規定が整備されて、そうしてそれで法人税は納めなさい。その法人税について詐欺または不正の行為で免がれたという場合に、この罰則の規定が働いて参るというふうに読むべきだと思います。どうもお話の場合は、ちょっとけしからぬとおっしゃおる場合が、それがまさに人格のない社団または財団の場合で、お前は実体的に法人なんだから、うそを言っておるということは、ちょっと当らないのではなかろうかという感じがいたしますのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/112
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113・亀田得治
○委員外議員(亀田得治君) それはついでに出た議論ですから、どちらでもいいのですが、まあ一つ一つのことについて議論しておると時間がありませんから、私はもうこれ以上言いませんが、お願いしておきたいことは、やはり幾ら聞いても、これは処罰の対象、それから行動というものの明確なものがないのです。これはどんなに強弁されても、あなたの頭の中で夢のようにぱあっと考えておられるようなものはあるかもしれぬ、しかしそんなもので処罰規定を作られてはいけない。どうかそういう立場から一つこの部分だけは特に御検討をお願いしたい。要望しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/113
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114・平林剛
○平林剛君 今、亀田議員からいろいろ罰則のことについてお尋ねがありまして、質問者としてはなお釈然としないものがある。弁護士をやっておって、大体こういうことについては詳しい方の議員であるそれが釈然としない。原さんはこれは税金を取る方の側であります。やはりこれを一度明らかにする必要がある。そこで、この件の結末については、もう一度本委員会としても明らかにする必要があると思います。そこで適当なときに法制局関係の責任者、長官にでもおいでを願って、これについてなお明らかにしたいと思います。この取扱いについては、後ほど委員長理事と一つ御相談したいと思いますから、それを希望しておきます。委員長どうですか、その点は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/114
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115・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) それでは一つあとで委員長と理事諸君と御相談を持ちます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/115
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116・小笠原二三男
○小笠原二三男君 いろいろの議論を聞いて、私もなかなかめんどうなものだと思ったのですが、そこで、ほとんどしろうとでございますから、具体的にそのひな形を出してもらいたいと思うのは、二つ申し上げておきます。皆さんの方で、何とか税を取りたいだろうと思われておる茶道なり、生花なり、これは昔からの業態が同じものですから、そういう業態の中で収益事業とみなされるものはどの種類なのか、どの種類は収益事業とみなさぬのか、この点をはっきり一覧表を、茶道、生花についてどれでもいいから一つ出していただきたい。それからもう一つは各種学校、洋裁学校なり、美容学校なり、モデル的な学校が、大きな学校が東京にあります。これの何は収益事業、収入とみなすのか、何はみさなぬのか、そのひな形を一覧表として出していただきたい。それによってまたいろいろはっきりする点があるだろうと思って、そういうお願いをしておきます。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/116
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117・原純夫
○政府委員(原純夫君) 新たに収益事業の範囲に加えるものについて、その限界をはっきりずるようにという趣旨での御要求でございまして、できるだけ申し上げるようにいたし、また必要とあらば資料としても出しますが、けさほど来、塩崎課長から申し上げましたように、各種学校の場合でありますれば、教育目的のもの、この学校教育法にいう教育目的のためのものというものは外しますというのを大きな線として、具体的にどの種の収入が入る、外れるということになりますと、実際に具体例を一々当りまして慎重に判定しませんといけません。そうして、それを判定しつつだんだん通達等の形でそれが結晶化されていくということになりますから、一応の考えなりあるいは議論の筋なりということは大いにお述べいただきたいと思いますが、今文書の形で通達にすべきものをここでコンクリートに出せと言われましても、ちょっとむずかしいのじゃないか、その主たる線をはっきり申し上げて、そうしてそれを具体的に適用いたします場合にどうなるかということについては、だんだん具体例を見つつ通達その他の格好でまとめて参る、それらの場合に随時御連絡申し上げるというふうにいたしたいと存じますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/117
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118・小笠原二三男
○小笠原二三男君 そういうことではだめだと申し上げたい。まことにもって困る、あなたの方では、この法が施行になれば政令も直す、あるいは通達もする、申告の、事前にはあなたのところは出してもらいたいというような通知もするというような話、ですから、あなたの方だけでもしっかりしたものがあるのだということなら、われわれ法律を通すものの方では、行政措置なり何なりにおまかせするということもできる。ところがやってみなければ、また研究してみなければしっかりしたものは、これはちょっと出ないのだから、文書には出せないのだというようなものを、法律だけで包括的に委任して通してやるということは、けさほどからの議論から言えば、ますますもって私としては責任上困る。できない。そういうことは、そんな白紙委任状みたいなものを皆さんの方にお上げして、皆さんの方が出たとこ勝負でいろいろな条件を作り上げてやってくる。そうなれば、さっきの罰則の問題に関連してくる。申告せいと言われたって、自分は収益を目的として事業をやっているんじゃない、と言ったって、そんなことは無意味です。あるいは益金があろうが損金があろうが、そんなことは無意味です。収益事業とは何ぞやということで、あなたの方で、お前のこの収入は収益事業の収入だぞという認定があれば、おれの方はそんなことはないはずだと思っておった者でも、お前は申告しなかったということになってくる。一方的に生殺与奪の権はあなたの方にあるわけです。何ぼ主民的にやるのなんのと言っても、認定は全部あなたの方にあるのですから。そうして申告すべき者の力は何のことやらわからんで無知の状態でおる。これは無理もないことだと思うのです。だから、さっき亀田君が言ったように、主体も行為も明らかでない。こういう点はいろいろ議論のあるところでしょうが、皆さんの方で、それは、はっきりしているんだということであれば、一、二の例については、はっきりとこういうものを収益事業収入とみなしますというものを全部出せということは、それは原さんには酷です。だから私はこれなら捕捉できるだろうというものだけ代表的なのを二つ出したのに、それはちょっと研究してみなければというなら、何の準備をもってこの法案を出してきたか、私にはわからぬですな、いかがですか、出して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/118
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119・原純夫
○政府委員(原純夫君) 収益事業の範囲につきましては、ただいま公益法人の収益専業課税という面におきまして、収益事業の範囲は政令で定めるということになって、その政令で物品販売業、製造業以下二十八業種を指定してございます。従いまして、どんなことをやってでも収益事業だということではなくて、それに当らなければ収益専業ではないということで、はっきり線を引いておるわけであります。そこで今回加えようとするものにつきましても、業を指定いたしますれば、その何々業というものの解釈はありますけれども、それで一応はっきりする。その場合、特に技芸教授の場合でありましょう、ただいまの教育目的という問題が入りますのは。その面でも大きな筋の線は政令にも書くということで、それは、はっきり文書にして出してけっこうでございます。そこでその大きな線が引かれましたら、万般の具体的なケースについて、こういうものはどう、ああいうものはどうということは、実際の行政の執行における判断という面があったりいたしますから、大きな線を申し上げるということで、この行政にお譲り願う線をしかるべくお考え願いたいというふうに申し上げたので、何も申し上げないという趣旨ではございませんから、できるだけその適用におきましても、こういうものは、はっきりはずすとか、こういうものははっきり入るとかいうような分は、できるだけよくおわかり願えるように努めて申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/119
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120・小笠原二三男
○小笠原二三男君 そうすると、先々のことですが、結局通牒を出す場合には、あなたのこれこれについて収支の決算なり何なりを出しなさいと、ちゃんと予告してやるわけですか。あんたの方は収益事業をやっているようですから申告しなさいと言われても、自分の方では、これは収益事業でない、これだというので持ってゆくと、お前は隠しているんじゃないか、これも収益だ、これも収益事業だというようなことになったら、これはどういうことになるんですか。で、私の聞きたいことは、実際適用するときには個々の政令で定めた事業はわかっています。わかっているけれども、それをさまざまな法人格なき社団の複雑な事業に当てはめて、それがはっきりせぬのですね。だからそれをはっきりしていただけるかどうかということを申し上げておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/120
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121・原純夫
○政府委員(原純夫君) それは先ほど申しました二十八の業種、まあ今度加わりますれば若干ふえますが、たとえば物品販売業と書いてあります場合に、どの範囲が物品販売業であるかという認定の問題は常にございます。が、それは物品販売業はどの範囲かということで、もうその先は行政におまかせ願ってよろしいんではなかろうかというふうに思います。そして特にそういう部面で疑問がありますことは、だんだんと行政面では通達の格好で、またそれが争いになりますれば、争いの結果が最終的には裁判についての判決という形でだんだん積み重なるというようなことでございます。もちろん世間になるべくそういう点をはっきりさせるという御趣旨はごもっともなことで、私どもも年来通達は原則として公開するというような建前でずっと相当大部通達を各税法関係について作って、それを世間にも出しております。そういう線は今後とも十分一般の納税者に見ていただいて、わかりやすいようにする努力はいたすつもりでおる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/121
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122・栗山良夫
○栗山良夫君 私今一つ非常に疑問になっていて、どうもわからない点があるので伺いますが、最近中小企業者やあるいは農民で、特に私の方はそうなんですが、流行している、頼母子講というのは人格なき社団、財団ですか、頼母子講は人格なき社団に入るのですか。完全な経済行為ですよ、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/122
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123・原純夫
○政府委員(原純夫君) 研究の上でお答えいたしたいと思います。いろんな何があると思いますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/123
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124・栗山良夫
○栗山良夫君 これはこの答弁いかんによっては、私は大いに申したいことがあります。これは最近は一口十万円以上の頼母子講があるのですよ。だからそういうのが人格なき社団であるかないか、財団であるかどうか、しかしそれはすぐわからないのかな。研究の上じゃちょっと困るな、どうなんです。町内会まであげておいて。これは純然たる経済行為でしょう、おかしいですよ。字はわかっているだろうと思うが……(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/124
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125・原純夫
○政府委員(原純夫君) いろいろどれが当るかということについてはかなりむずかしい問題がある場合があると思います。これも一つの例だと思います。無尽業法なんかもからんでくる問題だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/125
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126・栗山良夫
○栗山良夫君 無尽業法と関係ないですよ、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/126
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127・原純夫
○政府委員(原純夫君) いや、そういうからまりもあろうかと思われる問題であります。よく研究いたしましてお答え申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/127
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128・栗山良夫
○栗山良夫君 これは先ほど言った一つの例であって、個人、法人の中間に人格なき団体があると、こういう工合に言われて、先ほど亀田委員から委員外発言があったのですが、やはりそのときの盲点なんです。すぐ答弁ができない。で、しかもこれが収益事業として認められるか認められないかということは、これは重大なことだと思うのです、僕は。で、答弁できなければ次回に保留してもいいのですが、よく一つ研究するというのはおかしいね、実際は、(笑声)それは即答すべきだな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/128
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129・原純夫
○政府委員(原純夫君) 先ほど来、お話の出ておりますように、人格なき社団または財団というものと組合的なものというものがあるわけです、個人ならば非常にはっきり個人とわかりますが、お話のケースはそのいずれかというような点について、相当突っ込んだ研究が要る問題だろうと思います。で、年来と申しますか、何十年来学者の間にも議論の多い事柄であって、それをまあ一定の頼母子講だけとは申しません、いろんなケースをどちらに位置づけるかというような問題は、なかなか疑問の多いケースがあろうかと思います。その判定については十分研究した上でお答えいたしたいと思います。その町実際の課税に当りましては、そういう点ははっきり研究して、これは人格なき社団だということがはっきりしたものについて、この規定を適用して参るというふうに先ほど来申し上げておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/129
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130・栗山良夫
○栗山良夫君 私が申し上げているのは、収益事業の対象となるかならないかという質問じゃないのですよ。勅母子講というのは、これはちゃんと特定の会員があって、しかも会員を規定する一つの会則というものを設けて、そうして経済行為をやっている、これは団体ですよ、私設の団体ですよ。それが人格がない社団かどうか御返事ができないということは僕は了解できないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/130
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131・大矢正
○大矢正君 関連して。私が午前中に質問いたしましたときに、原さんは、個人とそれから法人以外のものは、すべてこの法律に適用されるという答弁なんです。法律の適用ではなくて、人格のない社団もしくは財団とみなすという答弁が明瞭にありました。私はその通りに聞いておりましたところが、先ほどの亀田委員の質問に対しては全くこれと違うよりなそれ以外のものもあるのだと、こういう御答弁、今また栗山委員の質問に対しても同様な答弁をされているのですが、こうなって参りますと、あなたが言われているように、人格のない社団もしくは財団というものは、あらためてここで性格の規定づけをしなくても明確に浮び上ってくるという解釈には当然ならない。何か別の形で、何らかの形でこの性格を明らかにしなければならない。こういう点が私は生まれてくるのじゃないかと思いますが、その点も合せて御回答をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/131
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132・原純夫
○政府委員(原純夫君) 組合のことを申し上げませんでしたのは、あるいは不十分であったかもしれませんが、それは何と申しますか、見ようによっては間のものである、しかし組合的なものは各個人にこの所得を配属して課税するという意味においては、個人法と申しますか、個人課税の税法である所得税法等の対象になるものであるわけであります。まあそういうものがある。それは課税上は個人として、組合をこの個人としてではございません、組合員個人に対する課税をやって参る、こういうものでありますので、そのほかにある団体には法人格のあるものとないものとあるというふうに御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/132
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133・栗山良夫
○栗山良夫君 これは頼母子講という、この制度は、実にいい制度なんだと僕は思うければも、今局長のおっしゃったような、頼母子講をやって、個人々々が収益を上げたときには、それは個人所得として対象になるのだ、こういうことだったと思いますが、それではこの人格なき社団が、数人が収益をあげたときに、その収益を個人個人に分配すればいい、そうして個人所得に取り上げれば……、私はそういう疑問が起きるから、さっきから伺っている、ところが明答がない。そうすると、実に法律の根拠が怪しげなものだ。この頼母子講の問題は、一ぺん時間を与えることにしましょう。それからよく研究をして、私どもどっちについても理屈を少し申し上げたいので研究してもらいたい。
それからその次にもう一つ、私のよくわからないのは、宗教関係で、宗教法人になっている天理教とか、ああいうものは税金は納められておると思いますが、それでも内容は相当あやしげなものだと思いますが、もしあやしげでなかったら大へん失礼ですけれども、たとえばおみくじだとか、お札とか、ああいうものがはやるお宮さんやお寺さんじゃずいぶん収益が上っておるが、こういうものは収益事業ですか。おさいせん、そういうものは収益事業ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/133
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134・原純夫
○政府委員(原純夫君) ただいま宗教法人の収益専業――宗教法人につきまして、その収益事業の一つである物品販売業の対象物資としては、お守り、お札、おみくじ、暦等、そのほかでは当該宗教法人に関係のある絵はがき、図絵などを販売するときは、それは物品販売業としては取り扱わないものとするということにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/134
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135・栗山良夫
○栗山良夫君 そうすると、この宗教法人あるいは法人でない宗教団体、それに対する一般の寄付行為はもちろん対象になりませんね。信者からの寄付行為……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/135
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136・原純夫
○政府委員(原純夫君) そういう宗教法人なり、宗教的な団体に対する通常の寄付は課税の対象にはならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/136
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137・栗山良夫
○栗山良夫君 今ここで局長は同窓会から町内会まであげて団体にされて、しかも収益事業があれば取り締るとおっしゃったのですが、最近一番問題になっているのは異常なる収入をあげてますます発展している終戦後の宗教団体、要するに新興宗教、これだろうと思いますが、こういうものについては税務署はどうしてそんなに甘い態度をおとりになるのですか。これは大蔵省はよほど信心深いのか。最近指折り数えたところで全国回ってみますと、いろいろな宗教関係の団体がますます。膨張してりっぱなものになりつつありますが、こういうものはいいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/137
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138・原純夫
○政府委員(原純夫君) 寄付はただいま申しましたように通常のものはかかりません。そういう中で物品販売業に当るというような場合なんか、それに対してものをるやというようなもので、ただいま申しましたお守りとか、お札とか、そういう種類のものでないという場合がありますれば、物品販売の対価と認める場合もあろうかと思いますが、単に寄付で金が集まったというだけで、それを収益事業の収入とするということはいたさない扱いかをしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/138
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139・栗山良夫
○栗山良夫君 私ちょっと聞き漏らしましたが、お札とか、そういうものは対象にならないのですか。収益事業にならないというふうにお聞きしたのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/139
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140・原純夫
○政府委員(原純夫君) それはならないというふうに申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/140
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141・栗山良夫
○栗山良夫君 そうしますと、宗毅団体はどれだけ収入があっても全然税の対象外だ。そうするというと、私は非常にここに大きな疑問を持つのは、宗教を否定するわけではないのですが、名前をあげちゃ恐縮ですが、天理教とか、その他非常に収入をあげてますます御発展になっておる団体がたくさんあります。こういうものが国民生活にどこまで寄与されておるか、私は信者じゃないからわからないが、そういう方が片方にあり、しかももっと切実な公益に奉仕しようとしておる団体はわずかな事業までも税の対象になるということは、非常に片手落ちな税の取り方じゃないでしょうかね。その点はどういうふうにお考えになりますかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/141
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142・原純夫
○政府委員(原純夫君) そういう問題は、万般の寄付、宗教法人に対する寄付以外でもある問題でございます。そうして寄付を受けたものが、それが所得的な感じがするというような感じはあると思いますが、一般の法人でありますれば、これは総益金から総損金を控除するというもので、全部それは課税対象になるわけです、公益法人、宗教法人等であり摂すると、収益事業の分だけを課税するということにいたしております。従いまして、この宗教的な意味で寄付がある。また宗教法人以外でありますれば、公益的な意味で寄付がある。そういう収入にはこれは課税しない。いろいろお話のような角度から御議論もあろうと思いますが、そういう建前で現在の税法はできております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/142
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143・栗山良夫
○栗山良夫君 私は終戦後の宗教関係の取扱いについてはいろいろな疑問を持っている一人なのですが、この問題は税法にも関係するし、新興宗教というものは一ぺんにあれだけ大きくなるのではないので、最初は小さなところから信者がだんだんふえて、ああいう大きなものになる、しかも終戦後でも宗教法人はいろいろな問題を起したことは御承知の通りです。これは税法だけの問題ではなくて、いろいろな問題を起したことは事実なのです。従ってこういう宗教団体のいわゆる分析批判というものを一応何らかの機会にしなければいかぬと思います。そこでこれは委員長に私は提案を、するわけですが、宗教団体のいろいろな取扱い、あるいは税の取り方等の問題について、所管は文部大臣ですか、文部大臣に一ぺん来てもらって、大蔵大臣にも一ぺん来てもらって、政府は一体どういう態度をとるのか、これを一つ明らかにしておきたいと僕は思うのです。罰が当るかもしれぬけれども、やむを得ない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/143
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144・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) あとで理事とよく相談いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/144
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145・大矢正
○大矢正君 午前中からの質問に引き続いてお伺いをいたしたいと思うのでありますが、人格のない社団等の収益事業という、その収益事業の定義の仕方でありますが、こまかい実例をもってこのことをどうのこうのということを申し上げる意図はないのであります。けさほどから基本的の点に対する私の質問にお答えになった原さんの答弁の内容、それからまた栗山委員から質問された数々の具体的な実例から判断をされるこの収益事業の解釈というものは、私の側の解釈ではあるかもしれませんけれども、この収益事業というものはあくまでも営利を目的とする収益事業という解釈をせざるを得ないのであります。なぜそういうことを申し上げるかといえば、全国で約三十万から五十万の人格のない社団や、あるいは財団があるのではないかというように言われておりますが、そういう数多くの団体の中で課税の対象になるのは先ほどの説明によると百台であるという御答弁であります。これはおそらく団体の数多くある中でも、特に営利を目的として、特に新聞等において指摘をされている団体を中心とされているのではないかという判断がその中から生れて参るのであります。それから衆議院の大蔵委員会に提出されました三月十四日付の課税要領の資料を見ましても、大体のところは営利を目的とするということが言葉の表現では明らかになるような内容が示されている、このように考えてみまして、私はこの人格のない社団、財団で課税の対象となるのは、あくまでもこれは営利を目的とした収益事業という範囲にとどめられるのではないかというように考えるのでありますが、私のこの考えが誤まっておるかどうか、局長の考え方を一つお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/145
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146・原純夫
○政府委員(原純夫君) お尋ねの御趣旨が、その団体が公益的な、あるいは何かけっこうな目的でできておる、そのために一生懸命やっておる。その目的は収益事業ではないが、かたわら収益事業を営んでおる。そうすればその団体は、収益事業は付随的なことで、本来公益的な、あるいはけっこうな目的のことをやっているのだから、やっていることは商売かもしれないけれども、それは営利を目的とする団体ではないのだから、それは収益事業ではないというふうな意味でお尋ねでございましょうか、それをちょっとお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/146
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147・大矢正
○大矢正君 私の申し上げるのは、収益事業というものの定義の仕方に、非常に問題があると思いますので、この収益事業というのは、あくまでも利益を得ることを目的とした事業である、こういう解釈をしていいのかどうかということなんです。その収益事業というものの解釈がですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/147
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148・原純夫
○政府委員(原純夫君) ただいま私がお尋ねいたしました面でなくて、収益事業自体の一応そのワクの中で、まあ薄利多売と申しますか、もうけないで商売するというような場合ははずれるというようなのではないかというような意味でのお尋ねかとも伺いますが、そうでありますれば、それは事業としてはやはり収益事業だと、それほ結局所得が零ないしはマイナスだというような形で、課税にはならないものと私ども考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/148
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149・大矢正
○大矢正君 どうも答弁の内容がぼかされてしまうので、はっきりちょっとつかみずらいのでありますけれども、一般世上、営利という言葉はよく使われる言葉でありますし、民法の上におきましても、営利という言葉が使われておるわけですね。だからそういう営利という言葉を、この収益事業に当てはめていいのかどうかということなんですが、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/149
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150・原純夫
○政府委員(原純夫君) 主観的にもうけよう、うんともうけようと思うか、あるいはもうける意思が全然ないか、サービスでやるかというような点で、お話しの場合のニュアンスがきめられるような筋に伺いますが、私ども収益事業といいます場合には、物品販売業なら物品販売業、こういうものであれば、これはやられる方によって、うんともうけようという人から、もう自分はずいぶんいろいろな何で世間に御厄介になったから、全然もうけないでやろうという人もあるかと思います。もうけないでやろうというものは、収益事業ではないかといえば、それは事業の種類として収益事業であれば、収益事業である。それがもうからなければ所得がないという形で課税にはならない。ただし、この場合でも申告書は出していただくことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/150
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151・大矢正
○大矢正君 午前中、私、この人格のない社団もしくは財団というものに対する定義の仕方と申しますか、性格づけというものが、法律の上には明らかになったものがないということを質問したのですが、これじゃもう課税する場合には、性格が明らかでないものに課税することは、本質として誤まりではないかということを指摘申し上げましたところが、青木委員の方から、民法の三十五条に具体的に、「営利ヲ目的トスル社団ハ之ヲ法人ト為スコトヲ得」という、こういう法律に基いて性格づけというものが明らかにできるのだという説明があり、局長はそれをその通りであるというふうにお答えになっておるのでありますが、その通り確認してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/151
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152・原純夫
○政府委員(原純夫君) 午前中、青木委員のお尋ねに対して、その通りであると答えたわけでございますが、それは社団、財団ないし法人という言葉が民法ではっきり使われておって、それはすでに既存の概念であるという意味でおっしゃったことと思います。そこで営利を目的とする――営利というのと、収益というのとで、今問題になっているわけでありますが、私がただいま申し上げておりますのは、民法の方の解釈もおそらくそうだろうと思いますけれども、主観的にもうける意思がなければ、商売やっていても、それは営利法人でないという意味ではないのではないか、少くともただいま私どもがお話ししております収益事業という面では、主観的なもうけないという意思によって収益事業でなくなるというのは不穏当ではなかろうか、そういうふうに解釈しております。民法の方もおそらくそう解釈しておるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/152
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153・大矢正
○大矢正君 私の質問に対して具体的には答弁がされておりません。と申しますのは、青木委員が午前中に言っていたことは、性格づけが明らかではないというけれども、それはいろいろな法律に社団とか財団というものは出てくるけれども、基本となる民法においては、明らかにございますように、社団は法人となすことを得という解釈があるのであるから、当然これによって性格がつけられるのだという、こういうことをあなたに質問しているんですよ。ところがあなたはそれに対して全くその通りであります。こういう答弁を明確にしているんです。もしそれがうそであれば、議事録ができてから、これはまたあなたにもう一回対決をしてもよろしいのですが、この中で、それによって明らかに性格がつけられておるからして、他の部分でこれを人格のない社団法人と、それから財団の規定づけをする必要性はないという根拠が出てくるとするならば、私はどうも話の筋が通らないのではないかと思うのであります。この中では、営利を目的とする社団は法人とすることができる、そうなっているわけでしょう。そうするとあなたは、収益事業というものの範囲では営利という言葉はその中に入らないという答弁をさっきからされておる。あなたの言っておることは、どうも筋が一貫しない。性格づけは民法の三十五条においてなされるけれども、その中に出てくる「営利ヲ目的トスル」というこの言葉は、今度は法人税法の中の人格のない社団には適合しない、こういうことでは、非常にわれわれは理解に苦しむわけですが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/153
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154・平林剛
○平林剛君 そのことについては、原さんの衆議院の大蔵委員会における答弁では、収益があがればかけるとは言っておりますがね、そのほかに、収益事業の認定をどこに置くかという境目は非常にむずかしい。やはり商売そのものではないかということを中心にやって参りたい、それが新しい制度を設ける際の当然の態度でありますと、こういう言葉を使っているわけです。これは収益というよりも営利という言葉の方が当てはまる。ここからも、先ほどの青木委員の助け舟に対してあなたは得たりとつかまったけれども、営利の方へつかまっているわけですね。今の大矢委員に関連をして、その点についてもやはりあなたの答弁が食い違っておるから、はっきりお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/154
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155・原純夫
○政府委員(原純夫君) まず民法の規定との関係におきましては、社団、財団というものが民法ですでに用例としてある。だから社団、財団といえば、それは一般法でも既定の概念である。そうして人格のないというふうにずっと今ここでやっておりますが、法律の規定では、「法人でない社団又は財団」となっております。社団または財団はもうきまった概念がある。そうして、そのうち法人でないもの、法人であるかないかは非常にはっきりしているとすれば、はっきりするではないかというふうに申し上げてきたわけでございます、そこで、衆議院の答弁を引かれての何でございますが、商売そのものといいますのは、物品販売業なり、物を売っているというものは商売そのものだということでありまして、その事業をやっておられる方が、もうける意思を持つか持たないかという点で、収益事業かどうかというものの判定をすべきものだという意味で申し上げているのではないのでございます。ただいま大矢委員に対してお答えいたしておりますのもその趣旨で、事業そのものが商売ならば、それはもうけようというのでなくて、もうけまいというのでやっておりましても、それはやっぱり収益事業になる。それはやっぱり商売そのものだという考えで申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/155
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156・大矢正
○大矢正君 民法の三十五条はあくまでも営利を目的とする場合に「之ヲ法人ト為スコトヲ得」、こういうふうになってることですね、で、この法人税法の第一条の二項で前の方の定義はありますけれども、「かつ、収益事業を営むものは、法人とみなしてこの法律を適用する。」私は少くともこの法人税法の第二項にいう、いわゆる法人でない社団と、それから民法三十五条でいうところの「営利ヲ目的トスル社団ハ……之ヲ法人ト為スコトヲ得」というものとは、これは密接に関連があるという以上のものである。これは少くとも民法の三十五条から具体的にはこの第二項に性格づけが展開をされなければならないのではないかという実は解釈をするわけであります。そうなって参りますと、私なりの解釈かどうかは別といたしまして、法人でない社団もしくは財団で、代表者やまたは管理人の定めがあり、かつ営利を目的とするものは、これは法人とみなしてこの法律を適用するんだという解釈が当然であるというふうに私は考えるのであります。それを具体的にせんじ詰めていきますれば、営利を目的とするのでありまするからして、営利を目的としないものは、それがたとえ収益事業ではあったとしても、この法律には適用されないんだという解釈も通論的に生まれてくるんではないかと思うのでありますが、その点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/156
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157・原純夫
○政府委員(原純夫君) 先ほど来申しておりますように、私どもは事業そのものが物品販売業なら物品販売業であれば、それはもうける意思を捨てて、もうけないで売るという場合においても収益事業だというふうに考えてお願いしているわけであります。その点を、主体の意思にかかわらしめるということは、非常に紛淆を招くということにもなりまするし、もうける意思がなくて実際にもうからないということであれば、所得がないという形で、税額はゼロになるということで妥当な結果になるのではなかろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/157
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158・大矢正
○大矢正君 これは法律というものができた場合に、その法律が五の力を持ってる場合には、五という形において実施をされる場合には問題はないと思うのであります。ところが私どもは、この内容を検討してみますと、見せかけは、ちょうど魚を取る綱でいえば、見せかけは五尺の網であるけれども、その綱が具体的にこの第二項がつけられることによって五十尺にも広がるという危険性をこの中にはらんでいるという点が一番問題だと思うのであります。表面的に見れば五尺しかないから、ああこの綱は五尺だなと、こういう解釈ができるのでありますけれども、行政の面においては、その五尺の綱が、これは五十尺の網を十にたたんで五尺しかないようにして、五尺だというように持ってきているのがこの内容であって、今の段階ではあなたの言われる通り、百台で対象となりますものは済んで参りますけれども、それで制限がなくなって参りました場合は、それを十尺にでもして、そして最大限では五十尺にまでも広げられるという解釈が、この第二項の中に生れてくると思うのです。これは何人に言わしてもそういう定義が生れてくると思います。今あなたが考えておられるような内容が、あるいは今あなたが言われておるような具体的な要項というか要領というか、そういうものが法律に盛られるならば、問題はないかもしれないけれども、あくまでもあなたの言われておる内容、要項や要領というものは、これは法律として出されるのではなくて、われわれがここで検討をし、法人税法の上に載せられる内容ではなくて、今後あなた方が考えて、そして政令なり何なりで出される内容でありまするからして、非常に問題点があると思うので、しつこくこの収益専業の範囲とか、あるいはまた社団もしくは財団の内容をお尋ねをいたしておるわけであります。いろいろとまだ三十五条との関連におきまして、私もあなたの先刻来の答弁を十二分に議事録によって判断させていただいて、再度質問さしていただきたいと思い、次に移りたいと思います。
三月十四日に出されました提出資料の中の第一項の収益事業の範囲というものの中に、「事業場を設けて行う物品販売業」という字句があります。「事業場」というものは、これは一体どういう定義をつけられておるのか。基準法にも事業場があり、労災法その他にも事業場があり、これだけではなくて、まだいろんな法律に事業場というものが出てくるのです。この事業場というものの言葉の定義は何を一体基準にしておられるのか、その点を質問いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/158
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159・原純夫
○政府委員(原純夫君) 事業をやる場所でございます。他の場合にもこういう言葉を使ったのがたしかあったと思いますが、それについて通達でその解釈を定義づけるということはたしかしておらなかったと思います。事業場と、ただこれだけではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/159
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160・大矢正
○大矢正君 ちょっと、これは今同僚議員と相談をしたんでありますが、この事業場の内容については、多少私どもの方で検討を要しなければならぬ問題がありますので、これ以上内容には入らないことにいたしたいと思います。後日にこの事業場の定義の仕方、それからまたその前の「継続的」という言葉がありますが、こういう定義の仕方について質問をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/160
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161・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 本日はこの程度で散会をいたします。
明日は午前十時から開会いたします。
午後四時八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X01719570326/161
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