1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年四月十八日(木曜日)
午後一時三十六分開会
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委員の異動
四月十七日委員稲浦鹿藏君辞任につ
き、その補欠として小柳牧衞君を議長
において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 廣瀬 久忠君
理事
木内 四郎君
西川甚五郎君
大矢 正君
平林 剛君
委員
青木 一男君
木暮武太夫君
小柳 牧衞君
高橋進太郎君
田中 茂穂君
土田國太郎君
苫米地英俊君
天田 勝正君
杉山 昌作君
前田 久吉君
政府委員
大蔵政務次官 足立 篤郎君
大蔵省主計局法
規課長 中尾 博之君
大蔵省管財局長 正示啓次郎君
事務局側
常任委員会専門
員 木村常次郎君
説明員
大蔵省管財局国
有財産第二課長 市瀬 泰藏君
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本日の会議に付した案件
○酒税の保全及び酒類業組合等に関す
る法律の一部を改正する法律案(内
閣送付、予備審査)
○造幣局特別会計法の一部を改正する
法律案(内閣送付、予備審査)
○臨時受託調達特別会計法案(内閣送
付、予備審査)
○国有財産法の一部を改正する法律案
(内閣提出)
○国有財産特別措置法の一部を改正す
る法律案(内閣提出)
○国の庁舎等の使用調整等に関する特
別措置法案(内閣提出、衆議院送
付)
○国有財産特殊整理資金特別会計法案
(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03019570418/0
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001・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) これより委員会を開きます。
議事に入るに先だって委員の異動について御報告申し上げます。
昨十七日付をもって稲浦鹿藏君が辞任、小柳牧衞君が委員に選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03019570418/1
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002・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 本日はまず、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案
造幣局特別会計法の一部を政正する法律案
臨時受託調達特別会計法案
以上、いずれも予備審査の三案を、便宜一折議題として、政府より提案理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03019570418/2
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003・足立篤郎
○政府委員(足立篤郎君) ただいま議題となりました酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案外二法案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。
最初に、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。
この法律案は、最近における酒類の生産及び取引の状況並びに酒類業組合制度の運営の状況に顧みまして、酒類業組合等が行う事業の範囲について実情に即するように改善を加え、酒類業組合に総代会を設けることができることとする等規定の整備をはかるため、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正しようとするものであります。
以下、改正の内容につきまして、その大要を申し上げます。
まず第一に、酒類業組合等が行う事業のうち、規制事業につきましては、規制の前提条件、範囲等を最近における組合制度の立法例に準ずる程度に整備いたしております。この法律が制定された昭和二十八年当時、この法律の規制事業とほぼ同範囲の調整事業を認めていた特定中小企業の安定に関する臨時措置法は、その後の情勢の変化により中小企業安定法となり、その調整事業の範囲も拡張されてきて、おりますし、一方、最近における酒類の取引の状況も、酒類の総販売数がこの法律制定のころよりも六割以上増加してきたため、当時に比べ取引条件等においてかなりの変化を示してきておりますので、酒税収入が国税収入中に占める地位から見て、これに対応した所要の措置を講ずることができるようにしておく必要があり、中小企業安定法等の立法例に準ずる程度の整備をはかるようにいたしているのであります。
また、規制事業以外の事業につきましても、最近の実情に応じ所要の改正を行うことといたしております。
なお、ただいま述べました酒類業組合等の規制事業の範囲の整備に対応いたしまして、酒税の保全のための勧告または命令の規定におきましても所要の整備を行うことといたしております。
第二に、酒類業組合等の運営に関しまして、これまでの経験に顧み、総代会及び評議員会を設けることができるようにいたしております。すなわち、組合員の総数が二百人をこえる酒類業組合においては、中小企業協同組合等の例にならい、総会にかわるべき総代会を設けることができるようにいたし、また、酒類業組合中央会においては、末端の組合員から選出された評議員によって評議員会を構成して、理事に対しその意見を述べることができるようにいたしまして、酒類業組合等の運営の円滑化をはかりたいと考えております。
第三に、この法律施行後、四年間の経験に顧みまして、検査員制度、酒類業組合中央会等の特別議決制度、交付金制度、役員の解任命令、決算関係書類の提出義務等につきまして、所要の規定の整備を行うことといたしております。
次に造幣局特別会計法の一部を改正する法律案につきまして提案の理由を御説明申し上げます。
造幣局特別会計は、元来、造幣局の事業を企業的に運営し、その健全な発達をはかるために設置されているものでありますが、現行の制度におきましては、政府が補助貨幣を引きかえまたは回収したときは、その地金がこの会計の利益となり、これを製造の用に供したときは、この会計の欠損となることになっている点、決算上の利益は補助貨幣回収準備資金に対する納付金として処分されることになっているにかかわらず、この利益は地金の回収によって生じたものがあるため、現実には現金による納付が不可能である点、固定資産の取得費がそのまま資本の増加となるため、減価償却費は常にこの会計の欠損となる点等、造幣局の企業努力をできるだけ忠実に決算に反映せしめる上におきまして、必ずしも適当でない点が痛感されますので、補助貨幣回収準備資金制度及びこの会計の仕訳、損益処理等について所要の改正を行うとともに、昭和三十二年度末決算において予想される未納付益金及び欠損金の累積額について所要の措置を講じ、改正後の新しい制度に切りかえるため、ここに造幣局特別会計法の一部を改正する法律案を提出した次第であります。
次に、この法律案の概要を申し上げます。改正の第一点は、従来特別会計に帰属していた引きかえ貨幣または回収貨幣は、これを補助貨幣回収準備資金に属せしめることとし、特別会計において貨幣製造のため、これを地金として使用する必要があるときは、このための所要量を特別会計に払い出すこととしたこと。第二点は、固定資産の増減及び企業努力以外の要因によって信ずる資産価額の壊滅、たとえば資産の評価益等による増減は、これを損益勘定で処理することなく、直接この会計の固有資本の増加または減少として処理することとしたこと。第三点は、固定資産の拡張及び改良が行われた場合、直ちにこれを資本の増加とすることなく、固定資産にかかわる支出額が当該年度の減価償却費に比して超過する場合にのみその超過する分を増資に充てるとともに、不足した場合には、その不足する分は資産勘定に減価償却費受入未済金として特掲することとしたこと。第四点は、当該年度における純益は、補助貨幣回収準備資金に一部を編入する場合を除いては、翌年度に繰り越すこととし、逆に欠損が生じたときは、前年度の繰越利益があればこれをもって埋めることができるようにしたこと。第五点は、本法は公布の日から施行し、昭和三十三年度予算から適用することといたしますが、昭和三十二年度決算結了の時における一般会計に対する未納付益金、前受金及び補助貨幣回収準備資金に対する未編入益金は、この会計に属している引換貨幣または回収貨幣等の地金を同資金に引き渡すことによって決済することとするほか、同年度末における決算上の損失は減資により処理することとするものであります。以上のほか、これらに関連いたします規定について所要の整備を行うことといたしております。
最後に、臨時受託調達特別会計法案につきまして提案の理由を御説明申し上げます。
政府におきましては、日本国とアメリカ合衆国との間の相互防衛援助協定に基きまして、日本国政府に無償で譲渡される予定となっております艦船二隻を、アメリカ合衆国政府の負担におきまして日本国内において調達いたしますことが、海上防衛力の質的向上と防衛産業の育成をはかるために適当であると認めましたので、今般、防衛庁におきまして、アメリカ合衆国政府との間に、その受託調達契約の締結を行わせることといたしますとともに、この契約の実施に関する経理は特別のものでありますので、これを一般会計と区分して、経理の適正をはかるために特別会計を設けることといたしまして、この法律案を提出いたした次第であります。
次にこの法律案の概要について御説明申し上げます。
第一に、この会計におきましては、アメリカ合衆国政府からの収入金で政府から調達契約の相手方である国内業者に支払われるもの、精算金等国内業者からの収入金でアメリカ合衆国政府へ支払われるもの等をもってその歳入とし、これらの収入金をもってする国内業者に対する支払金及びアメリカ合衆国政府に対する支払金をもってその歳出とすることといたしております。
第二に、以上のほか、この会計の設置及び運営等に関し必要な事項を規定いたしますとともに、付則におきまして、この受託調達契約の締結、実施及びこの特別会計の経理に関する事務を防衛庁において行うことといたしますため、防衛庁設置法の一部改正を行うことといたしております。
何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛成賜わらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03019570418/3
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004・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 三案の補足説明及び質疑は、後日に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03019570418/4
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005・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 次に、国有財産法の一部を改正する法律案
国有財産特別措置法の一部を改正する法律案
国の庁舎等の使用調整等に関する特別措置法案
国有財産特殊整理資金特別会計法案
以上、四案を便宜一括議題として質疑を行います。
なお、念のため申し上げますが、国の庁舎等の使用調整等に関する特別措置法案及び国有財産特殊整理資金特別会計法案は、衆議院において、施行期日を、いずれも「公布の日」と修正されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03019570418/5
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006・平林剛
○平林剛君 私は、ただいま議題となりました法律案に関連をする具体的な問題について、政府当局から意見を聞きたいと思います。
私のお尋ねいたしたいのは、東京都内江戸川区の小岩一丁目、旧陸軍高射砲陣地跡の土地、六万坪の土地と建物の所有権に関する疑問であります。この問題の土地は、元陸軍の高射砲陣地を構築した地域で、小岩一丁目、上篠崎町などの一部で、約六万坪といわれております。そして、終戦後今日まで、この土地と建物をめぐって紛争と疑問が続いているということであります。私の得た資料によりますと、この土地と旧兵舎が、終戦とともにいろいろな形で処分をされ、また戦災で住居を焼失した困窮者が昭和二十一年一月、当時の江戸川区長春見一夫の入居通知によって入居したところから始まっているわけであります。陳情者の話では、その際、区役所から家賃や地代についての話は全くありませんで、そのまま入居通知によって住まわっておった。ところが昭和二十三年になって、旧地主と自称する人たちが現われて、賃貸契約書の署名と価格を一方的にきめて、家賃を支払えと強要をしたのであります。そこで居住者一同が協議した、ところ、旧地主と称する人たちに所有権があるかどうか明確でない、その他の理由で結論を得ず、あとで江戸川区長からも居住者と旧地主と称するものと三者の会談をしたらどうかという通知がありましたが、これにも出席を留保して、問題の解決がなかったのであります。そして昭和二十九年になって、居住者の住宅全部が江戸川税務事務所の手によって、固定資産税未納のために差し押えられて公売にされるという問題に直面し、関係者はあわてて調査をしたところが、昭和二十五年ごろに、自己の所有物件として届け済みの旧地主と自称する川野幾太郎という人物が浮び上ってきたのであります。その後、江戸川の区長や東京都の知事、大蔵省の関東財務局にこの問題に関して陳情を続けた模様でありますけれども、結局、旧地主と自称する人たちと話し合いをすることが最もいい解決だということで、関係先からは陳情書は返される。旧地主と自称するものは当時は百九名、あの昭和二十五年の耕地整理の完了とともに、現在では三十数名の名義になっておると言われておるわけであります。こういう経緯をたどって、現在もうやむやのうちに残されておるので、ここで私は疑問となるのは、この問題の土地、旧高射砲陣地跡六万坪は、一体だれの所有になるのか、国有財産であるのか、あるいは旧地主と称する人たちの所有であるのか、こういう点について明確を欠いておるわけであります。私はまず初めに、この事実について政府当局の方から事情をあらまし承知しておるところをお伺いして、次の質問に移りたいと思いますから、この点をまずお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03019570418/6
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007・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) この東京都の江戸川区小岩町にございました高射砲部隊跡の建物の大体のいきさつ一は、平林委員からお述べの事実に大体合っております。ただ全体として、当時の一般の情勢というものをつけ加えて申し上げなれけばならぬかと思うのでございますが、御承知のように、旧軍が敗戦直後に解体いたされまして、旧軍の持っておりました施設あるいは物件というふうなものは、いわゆる特殊物件ということで、当時内務省、これはその後に解体されたことは御承知の通りでございますが、内務省の系統と大蔵省の系統におきまして、非常に一処理が混乱をした時代がございます。今日から見ますとまことに困った事態であったのでございますが、当時といたしましては、まことにやむを得ない事情でございました。そこで、いろいろ閣議等におきまして、この責任の省の調整の話し合いが行われまして、結局におきましては、物件、いわゆる今日物品管理法の対象になるような特殊物件というものは、一応内務省系統におきまして処理をする。しかしながら、施設、すなわち土地、建物というふうなものは、大蔵省が引き続いてこれを処理するということが、やっと閣議決定になりましたのが昭和二十年の八月二十八日でございますが、しかしながら、これが権限の調整をきめましたのは十月の十九日で、特殊物件処分大綱という閣議決定が行われておりまして、しかも当時非常に混乱をいたしておりました情勢のもと、かようなことが末端に徹底をいたしますまでには相当の時日もかかり、またこれが、こういう方針に基き、まして処理せられるまでの間に、いろいろと手間取ったような事情でございます。この間、連合国最高司令部から日本政府あての覚書等も出されておりまして、非常に混乱をいたしておったということを第
に申し上げなければならぬと思います。しかも東京は、御承知のように戦災を受けまして、被戦災者等があちこちに住むに家なし、食うに食なしというふうに、非常な混乱の状態にございましたので、本件小岩の旧高射砲部隊の跡の建物につきましての処理は、端的に申しますと、中央政府からの指令を待たずして、東京都の計画局長、今日は建設局長と申しておりますが、計画局長の指示を受けました、今お述べの江戸川区長が、その指示に基いて処分をしたわけでございます。従いまして、今日事態が正常化しました場合において考えますと、一体いかなる法律的根拠に基いて、いかなる権限をもってやったかということにつきましては、非常にこれは問題があるわけでございます。その点はわれわれも率直にさように考えまして、関係の向きにつきまして事実関係を調査をいたしたのであります。で、いずれにいたしましても、申し上げたような混乱した時代のもと、計画局長から当時、戦災者の収容のために旧陸海軍の施設を応急的に使いなさいということの指示が参りまして、これによって江戸川の区長が、今お述べのように戦災者を収容さしたわけであります。問題は、これの所有権をどうしたかという点にくるわけでございますが、その前に軍が、今お述べの地主と称するいわゆる川野幾太郎氏でございますか、これは当時その地方の第三耕地整理組合の組合長ということになっておりまして、この組合長を代表といたしまする組合員百八人、先ほどおあげになった数字でございますが、これがいわゆる地主でございます。この地主から旧陸軍が、高射砲部隊が土地を借り受けまして、この建物を設営したようでございます。借り受け契約を見ますと、地代を幾ら払うということも書いておるのでありますが、それがあのような時代になりまして、なおその土地借り受け契約の中には、原状に回復した上で返還するという、いわゆる原状回復の義務を負っておるのでありますが、そういう事態のもとに敗戦ということになりましたので、また計画局長からの指示がありましたので、江戸川区長といたしましては、この地主たちに対する、原状回復の義務ということが一方にある。また終戦後からの地代の未払い額というものに対する債務を負っておるというようなこともございました。他方、目の前にあります戦災者を収容しなければならぬというような事態と、両方考え合せまして、昭和二十年の十一月一日に、この耕地整理組合長である川野幾太郎氏との間に契約を取りかわしまして、戦災者住宅とすることが第一、払い下げ価格を有償とするか、無償とするかは別途定めるということが第二、この二つの条件を付しまして、本件建物を譲り渡すということを契約に定めたのであります。その前に、土地は従って旧地主に返還をしておるわけでございまして、この藤波契約は、もっぱらその地上にあります建物についての契約でございます。で、この土地を返還しましたことに対応いたしまして、別途かような契約を結んだ上は、今後地代その他の請求は一切いたしませんということを念書として取りつけておるのであります。
で、今お述べの点に付加して申し上げることは、事実関係としては大体そういうことになろうかと思うのでありますが、さようなことで、しからば江戸川区長あるいは東京都の計画局長というものは、いかなる法律的根拠に基いて契約をしたかということについては、これは法律的根拠は実はなかったのであります。国有財産の処分権を持っておるのは、どこまでも大蔵省の系統の、当時は主税局、今日のように管財局というものはございませんで、主税局でもって国有財産の事務をやっておりまして、その主税局の下部機構でございますところの税務監督局及び税務署、こういう系統において国有財産の処分はなされなければならなかったのでございますが、先ほど冒頭に申し上げましたような、まことに中央においても非常に混乱した状態であり、ましてや第一線は、目の前に迫られた戦災者収容というふうな事務に追われまして、かような契約を取りかわした次第であります。
そこで結論的に申し上げますと、この権限なき公務員の行政行為でございますので、結論は二つのうち、いずれか一つというふうに下さざるを得ないと考えます。つまり一つは、民法に基く表見代理の法理を適用いたしまして、当時の事態のもとにおきまして相手方は、これは当然かようなことについていわゆる権限はなかったかもしれないが、権限ありと信ずべき正当の理由があったかどうかということにかかるかと思います。表見代理の法理を適用いたしますと、これはこちらが受権いたしてなくとも、国はその表見代理者が行なった行為について責を負わなければなりませんので、それに基きまして一応この契約は有効であるということにいたさざるを得ないと思います。しかしながら、その場合にどこまでも契約の中には、有償とするか無償とするかは別途定めるということになっておりますので、これにつきましては、事態をさらに調査を進めまして、適当なる対価を徴する、あるいは国が負っておった債務との相殺をいたすということによって処理をいたさなければならぬかと思います。もし相手方が表見代理を主張しない場合、これは悪意の収得ということになりまして、時効は二十年になっておりまするから、まだ国に所有権ありということになるのでありますが、全体の事態を達観いたし、また東京都江戸川区等四囲の関係者からの話を総合いたしますると、大体においては、私は第一の考え方によって処理をいたさなければならぬのではないかと、かように考えまして、目下東京都を中心にいたしまして、当時の関係者を集めまして、各方面の主張を聞きまして、妥当なる結論において一応の処理案を作らせることにしております。さような案ができました場合には、会計検査院その他にもよく御説明申し上げまして結論をうけたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03019570418/7
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008・平林剛
○平林剛君 大体のあらましから、あなたの方で御検討になった結論までお話しになりましたが、その前に私の方の見解を聞いてもらいたいと思う。事実問題として、あなたがあげられました東部軍経理部長の滑川正義という人と、川野幾太郎との間に行われた土地賃貸契約書のことと、それから江戸川区長の春見一夫が小岩第三耕地整理組合長川野幾太郎に対して旧兵舎払い下げに対する通牒を出した、この二つの事実問題についてはあとで私から申し上げます。ただ具体的な例から、私はあなたの方の御見解を聞きたいと思うのでありますけれども、この六万坪の土地が国有財産であるのか、旧地主と自称する者のであるかという疑問を、もう少し細かく解明する必要があると私は思っておるわけであります。このほどこの土地の住家に布設されておる水道鉄管が破損しましたので、水道局の江戸川営業所に修理を依頼したところが、所有者の許可がなければできないと断わられたという事実があるわけです。そこで所有者が一体だれであるかということを調べてみますと、陸軍晴一九〇一部隊、こういうふうになっておるという連絡があったわけであります。それからこの旧高射砲陣地の跡には今もって所番地がない。初め、終戦後は旧高射砲陣地跡何のだれ兵衛ということでいろいろ連絡をしておったそうでありますが、その後居住者が増加をして、いろいろと選挙などの通知があるたびに支障を感じて、区長に対しても早く、正当な番地を決定してもらえという陳情をしたのだけれども、正当な番地についての何らの措置がない。ところが区役所に行ってみると、住居台帳にはいわゆる私製番地がそのまま記載されておるという始末で、こういう点にも何か暗いものを感ずるわけです。はっきりしないままに私製番地を作っているという事実なんかにおいても、私はこれはやはり私有財産ではないのじゃないかという疑問が強いわです。
それから昭和二十九年の十一月に、江戸川税務署は住居の差し押えをして公売に付しておりながら、昭和三十年以降はこれに対して課税をしていない。こういうところから見ても、政府当局の方でもどうも私有財産ではなく、国有財産ではないかという見解を持っておるようにも聞かれる。この幾つかのことからいろいろ判断をしてみますと、私は旧地主と自称する人の所有でないのじゃないのだろうか、こういう疑問を強く持っておるわけであります。これはまあ概念的な、現われた事象について判断を下したにすぎません。そこで先ほど具体的率例として、あなたがお話しになった契約書を調べてみたわけです。この契約書は、昭和十八年八月一日に、先ほど私が申し上げた東部軍経理部長滑川正義を甲とし、川野幾太郎という人を乙として結ばれたものでありますが、この契約書の第一条に、土地の所在地は、東京都江戸川区鹿骨町二千九十外一筆、こういうふうに明記してあるわけであります。そうするとあなたはさっき、こういう契約書があるから……、これは、その賃貸料は、二反について四十二円であるし、賃貸期間は、昭和十八年八月一日から軍の必要期間、そしてもとに戻してお返しをすると、こういうふうにはなっていますが、これだけしか載っていないのです。ところがこの土地の所在地である東京都江戸川区鹿骨町二千九十外一筆というものは——あとでこの資料はあなたにお見せしますけれども、この地図の中のもう南の方の一部の土地をさしておる。私が問題にししようとする上の方の六万坪の土地については、だれの所有であるか明確ではない。事実、契約書としてあげられたこの契約書は、私が指摘しようとする土地の一部であって、大部分に対する契約書というものがない。もしかりにこの契約書が合法なものだとしても、残った大部分のものはそれじゃだれのものだ、国有財産じゃないのか、こういう疑問が起るわけですね。その点についてはお調べになりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03019570418/8
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009・市瀬泰藏
○説明員(市瀬泰藏君) 当時の旧軍関係の資料は全部整っておりませんので、私どもといたしましては、当時の関係者についていろいろ調査したのでございますが、先ほど平林委員からもお話出ました当時の江戸川区長春見氏の言、また当時の江戸川の総務課長の言によりますと、小岩の地区に陸軍の高射砲部隊を建設するために、当時の地主から軍は借り上げをして、そして軍の施設及び建物を建築したのである。そしてそれが終戦直後、漸次旧地主に返されていったと、それから建物につきましても、本件に載っております建物のほかに、当時の陸軍の部隊長が一部当時の戦災者収容のために建物を引き渡したような事実もあるというようなことも言っておりましたけれども、その点ははっきりしたものがありません。いずれにいたしましても、われわれが当時の関係者から知り得た限りでは、土地はすべて民有地でありまして、それを軍が借り上げておった、こういう証言を得ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03019570418/9
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010・平林剛
○平林剛君 当時の事情について、これはもう少しあなたの方でも調べてもらわなければなりませんが、少くとも今私があげた契約書、今日はやはりしっかりしたものに基いて国有財産のものかどうかということを判断しないと、力のある者が法律の根拠に基かず、いろいろな売買を行い、それからこの六万坪の土地の中にあたかも無法地帯ができておるということになってしまうわけでありますから、一つ私が指摘をしたことも十分頭に入れて、今後の判断をしてもらわなければならぬと思います。重大な問題だと思う。
それからもう一つの事実問題で、旧兵舎払い下げに関する通牒です。これも先ほど政府の方から御説明がありましたように、旧兵舎の払い下げの権限が一体江戸川区長にあったかどうかについて、私はなかったと思う。これは政府の方もなかったということでお答えがありましたけれども、この通牒もきわめて疑問があるわけです。というのは、小山石第三耕地整理組合長川野幾太郎が、たとえばこの土地における高射砲隊の兵舎、倉庫、弾薬庫、営兵所、被服庫、洗面所、その他の家屋の払い下げの申請をした、それは昭和二十年十月三十日に申請をした。ところがこの旧兵舎払い下げを承知したという書類は、その翌日十一月一日に発行されておる。いや混乱期であるからえらく物事の処理が早いということは、まことにけっこうなことでありますけれども、わずか一日の間に——申請され、翌日許可されておる、まあ、今日官庁の事務処理の常識から見るというと、あまり早いので、かえって疑問を生ずるなんということになっておるわけです。私はまあこの事実について、そのまま何かありはしないかとい疑いを持つことは、あるいはうがち過ぎているかもしれませんけれども、やはり検討を要する問題ではないだろうかということだけは事実ですね。どうもこの意味でもこの払い下げに関する通牒の裏に何かありはしないかという疑問を持つわけです。同時にこれは旧兵舎払い下げに関する通牒だけであって、土地については何ら触れていない。そうなると、やはり土地については国有財産ではないだろうか、こういうことも言えるわけであります。この点については、あなたの方はどういうお調べがついておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03019570418/10
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011・市瀬泰藏
○説明員(市瀬泰藏君) ただいまの旧兵舎払い下げの件でございますが、この払い下げに関する件という原本がありませんので、現在東京都及び江戸川区で十分調査をさせております。しかしながら、われわれが持っておる資料及び江戸川区役所の当時の江戸川区長の話を聞いたところでございますと、当時旧軍の財産が一時に不要になりまして、そして旧軍のもとの責任者は何ら管理することができない状態である、一方において江戸川区も戦災にあいまして、東京都は戦災にあいましたので、戦災者を収容するという要望は非常に強い、そこで区長のところへも毎日のようにそういう要望がありまして、そしてこの話は相当前からあったと、区長は当時の記憶でございますがという前置きをいたしまして述べております。そうしまして大体区長が、旧軍のものであるから東京都の計画局長からの指示によって登録しましたリストに載るものだけを処分していくという方針で慎重にやっておったわけで、遂にそれでは本件はよろしいという指示を与えて、あと事務的に部下の者がこれを処理したので、非常に早くいったのだろうと推測します、想像いたしますと、こういう証言を得ております。
それから建物、土地の関係でございますが、この建物の売り払いは十一月一日に行われまして、そのときに前にお話がありましたように、戦災者住宅に利用するという条件がついておりましたが、その条件を履行させるためにも、それから一月ばかりおくれました二十年十二月三日に東京都の代表者が立ち会いのもとに、江戸川の区長とそれから建物の所有者とそれから居住しようとする者との間に次のような覚書が取りかわされておるのでございまして、その中には第一に建物は地主の所有とし、居住者——戦災者同盟においては何ら異議がないこと。第二に建物は戦災者住宅に当てること。第三に家賃は建物所有者の所得とする。第四に建物は区長が建物所有者の委託を受けて使用を管理し、戦災者の受け入れについては区長は地主及び居住者の意見を十分に参酌すること。こういう覚書が取りかわされておりますことから推定いたしまして、その土地の上にある建物を旧地主が買い受ける、あるいは払い下げを受けるということについて了解が成立しておったと、こう推定されるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03019570418/11
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012・平林剛
○平林剛君 まああなた今、旧一九〇一部隊第一小隊陣地内に関する覚書のことを言われたと思いますが、これも問題があるのですよ。今おあげになったものは建物使用についてのことであって、土地のことについては触れていない。さっきから私の指摘しているのは、土地は国有財産じゃないかということを言っているわけです。それから今おあげになった覚書は、たしかに江戸川区長の春見一夫という人と、地主代表という肩書になっている宮崎庄衛ですか、それから戦災者同盟代表の清水伸という人と東京都の代表として立ち会った井上信虎、この四人のはんこを押して覚書がかわされている。私はまだそれらの本人に会って、こまかい話を聞いておりませんから、どこまでそれが信用するに足るものかわかりません。しかしこの覚書を結んだ背景に、ある一つの事件があるということを聞いている。結局その裏にいろいろな事件があって、建物は乙の所有物とみなす、従って丙——つまり戦災者同盟は何ら文句を言うな、こういうような意味の文書になっている、私はこの裏の事実関係についても、若干資料を持っているわけですけれども、まだ確かなことを確認しとおりませんから、きょうは申し上げませんけれども、この裏にもやはり何らかの事件があったということをあなた頭に入れておいてもらいたい。すなわち戦後の混乱に乗じて、こういうような不法な——不法に近い問題があって、こういう結論が出てきたということを認識しておいてもらいたい。私はこれを一つ指摘しておきたいと思います。
そこで、もう一つお尋ねをしますが……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03019570418/12
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013・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) ちょっと今の点について、御質問中でございますが、発言をお許し願いたいと思います。
まことに、仰せの通りでございまして、私どもは終戦頂後の旧軍の財産を大蔵省が引き継いだのでありますが、そのときの引き継ぎ態勢というものが決して完璧なものではなかった——というよりは、むしろきわめて不用意のうちに引き継いだということを率直に認めております。さような意味におきまして、本件につきましても私は断定を下しておりません。先ほど申し上げましたように、二つのうちの一つかというふうに建物について申し上げたわけでありますけれども、土地につきましてただいま重ねていろいろの疑問の点を御提示になったわけでありますが、われわれのところは一応御承知のように、土地というものは登記所等のいわゆる公簿、公図というようなものによりまして、国有であるとか民有であるとかいうことをきめるわけでありますが、この山地については地番がない。これは耕地整理の過程におきまして、ままそういうことがあり得るわけでございますが、さようなことで国有か民有かわからないようなケースは全国にもあるわけでございます。そこで今申し上げた二つの点、すなわち終戦直後の非常に混乱をした事態のもとに引き継いだということ、また個々の財産について、今日まで十有余年を経過しておりますが、大蔵省として全責任をもって調べたということは断言できない。従いまして私どもは本年度の予算に一億四千万円の初めて実態調査費をお認めをいただきまして、かような疑問のある土地、あるいは建物については、その実態を糾明するという態勢を初めてとっておることは御承知の通りであります。つきましては、まずただいままでおあげになりました点につきまして、私はむしろ各方面から得られました資料はどんどん御提供願いたい。これによりまして、公正なる結論をつけたいと考えております。本件は先ほども申し上げましたように、当時の責任者であるところの東京都を中心にいたしまして、この善後処理の案を作るわけでございますが、これにはどこまでも筋の通った今お話のようないろいろな証拠資料というものを全体として見ました上で、公正なる結論をつけたいと考えておりますので、土地等につきまして、なお疑問の点がございますれば、これらの実態を調査いたしますとともに、関連するいろいろな資料について、漏れなく調査の上、決定をいたしたいと考えておりますことだけを中間的にお答えを申しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03019570418/13
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014・平林剛
○平林剛君 あなたは初め解決の方法に二つあるとそれぞれ述べられて、政府当局としては第一の方法をとるような傾向にあるというから、私はいろいろ疑問の点を述べて、あなたに私の意見も含めて考えてもらいたい、こう要望したのです。今の中間的なお答えで、あらゆる資料を集めて、それから後に結論を下される、そういう答弁はまことに当を得ている。私はそれを希望しておったのです。初めからこちらなんだという結論を言われたから、いろいろな疑問を述べて、あなたのお考えを聞きたい、こういうことを申し上げたわけであります。まあいろいろお答えがありましたから、私もあまりこれ以上申し上げませんけれども、もう一つだけ聞いておきます。
江戸川区長に対して質問書をお出しになっていますね。どういうような内容で、いつまでにその回答がくることになっておりますか。こんなことを申し上げるのは、私は江戸川区の区議会において長い間行われたこの問題に関する審議の議事録というのを手に入れたわけです。それを見ると、きわめて抽象的、あいまいである。またきわめて政治的な取扱いになっている。それを心配しておりますものですから、政府の方からは一体どういうような要領で質問書を出され、その回答はいつまでに求められておるか、それを伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03019570418/14
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015・市瀬泰藏
○説明員(市瀬泰藏君) ただいまの質問書とおっしゃいましたが、ことしの四月一日に江戸川区小岩町に所在する旧軍用財産、カッコしまして、「晴一九〇一部隊について」という照会を出しております。この照会におきまして、江戸川区長が当該財産を売り払いをいたしました法的根拠、それからその経緯を明らかにしてくれという内容を持っておりまして、この最初の照会におきましては、期日を付しておりませんが、一週間たちまして四月八日に第一回、それから一昨日もう一度督促いたしまして、その回答を要望しておりますけれども、まだ担当官が口答で当時のことを熟知している者から聞いたところの話という程度の情報を得ている程度でございまして、正式の回答を得ておりません。私どもとしましては、一刻も早く回答を得るように今後も督促して、そして実情をきわめていきたい一助としております。ただいまのは、関東財務局から江戸川区長に出した書類でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03019570418/15
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016・平林剛
○平林剛君 その照会の結論はどういうものかわかりませんけれども、いずれまたあなたの方から御報告を願いたいと思います。
それから法律的な根拠を明らかにせよと、こう言われるけれども、法律的根拠は、もう明らかではありませんか。私はこれは自分でも自信がないのでありますけれども、こういう旧軍用財産、すなわち旧軍用の土地とか施設その他の財産の貸付、譲渡については、旧軍用財産の貸付及び譲渡の特例等に関する法律が昭和二十三年の七月に施行されて、それから三年以内に限り、減額譲渡の特例があるという法律を私見つけたわけですけれども、古いことはわかりませんけれども、そうすると、昭和二十三年七月一日から施行されておる。この土地の、あるいは建物の貸与とか、あるいは疑問ではありますが、譲渡ということがあったとしても、いずれも昭和二十年十月三十日であり、あるいは二十年の十二月三日である。いわば空白地帯になっておる。だから法律的根拠は明らかでないということが断定されるのじゃないですか。あなたの方で照会を出すまでもない……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03019570418/16
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017・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) その点私が最初に申し上げた点でございまして、法律的根拠なしに東京都の出先機関であります区長がやっておりますことは、その通りでございますが、ただ、一応これを照会をいたしましたのは、向うの見解を聞く意味で、どういう根拠でやったのかという意味で聞いたのであります。そこでただいま平林委員の御解釈は大体その通りでございまして、当時は御承知の通り旧国有財産法の施行当時でございまして、この旧国有財産法には実は旧陸海軍から引き継いだ財産をどうするかという規定は全然なかった。昭和二十三年に、今お述べになったように、初めてそういう特例法を作っていただきまして、これが今日の国有財産特別措置法という法律の中に生きておるわけであります。従って、当時はそういう法律の規定はございませんので、これはいわば法律に基かない措置ということに大体なるわけであります。ただ相手方の見解を聞きたいと、こういうことで出しております。
それから、それではこの財産の法律的なステータスはどういうことかと申しますと、一応旧国有財産法におきましても、各省各庁が昔は各省各庁という言葉はございませんで、各省といっておりますが、陸、海軍省の使っておったいわゆる行政財産、今日の行政財産の観念に当るのでございますが、その用途を廃止された場合に、雑種財産という観念でいたしておりますが、雑種財産は大蔵省に引き継ぐということになっておった。従って当時の正当なる手続といたしましては、大蔵省に実は引き継がれた、大蔵省において処分された、これが当時のいわゆるリーガルな、合法的な処分の手続きであったのでありますが、それを先ほど申し上げたように、何しろ混乱しておりまして、一時使わせろというようなことで、各府県市当局から大へんやかましくいわれまして、ある程度これを内務省の系統の地方庁において処理をいたしまして、それを帳簿的に大蔵省に引き継いでくる。すなわち一時使用を認めた形において大蔵省に引き継いでくるというような状態が大体当時の普通の姿であった、こういうふうに御了解を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03019570418/17
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018・平林剛
○平林剛君 私はどうも国有財産とおぼしきものの処分がこのままに放置されておることに対する政府の責任というものも、かなり重いと思うのです。しかしきょうはその責任についてどうこうというつもりはありません。ただあなたの方の担当ではないかもしれませんけれども、特に政府当局に注意を喚起しておきたいことがあるのです。実はこの運動といいますか、この事実についていろいろ問題を提起している。国家の所有のものが、あるいは一部の人たちの独占にされておるということを提起する。いや、その中心の人物に対して各種の暴力行為が行われる。私はこの疑問を提起して、国民とともに国有財産であるのかどうかということを明らかにすることは、すべての人が関心を持つとともに、私どもの義務でもあると思う。ところがこれらのことを行なってきたものに対して、だれがやったかわかりませんよ、しかし暴力を加えて、そうして身体に障害を与えるような不祥事件さえも起きたということを聞いておるのです。そればかりじゃありません。今度の問題が議会で取り上げられようとする動きが始まりますと、さっそくこの土地の中に戦災当時から住まわれておった困窮者たちに対して、地主と称する人たちが立ちのきを要求してきておる。たとえばその中で私の聞いたのでは、百二十何世帯の人たちが共同の井戸を持っておって炊事をやっておる。この井戸が自分たちの生活にとってはなくちゃならない存在であったわけです。ところが旧地主と称するものは、そこは他の人と売買をした。それであるからこの井戸はつぶしたいから立ちのいてもらいたい、こういう催促状が来ておる。何とかしてこれを立ちのかせようとしている動きがあるわけです。私はもしこの動きが正当な所有権に基いて行われるならば、あるいはいろいろな民法上の訴訟があることは当然だと思います。しかし私が今指摘しておるように、国家の所有であるのか、あるいは民間の方の所有であるかということが不明確なときに、この事実が行われる。そうして、なお議会でこういうことが問題になりそうだとすると、いや訴訟問題は法律上の問題であって、これで正否を争うこともいいけれども、しかしお互いに善意をもって一度お話ししましょうというような、今度は裏の方からさそいもきて、いろいろな手が行われておる。私はこれはあなたの方の責任において所有権が明らかでないままに行われているいろいろの暗躍だと思う。これはあなたの方の直接の所管ではないけれども、そういう問題もあって、早く解決をしなければならぬ問題だということだけを頭に入れてもらいたい。
いろいろ申し上げたいこともありますけれども、こういう差し迫ったこともあるわけです。私は先ほどから申し上げたように、一日も早くすみやかに政府が結論を下して、そうして今起っておる問題について悪い影響のないように最善を尽してもらいたい。それが今日まで放置した政府の責任を幾分でも軽くするものである、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03019570418/18
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019・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) ただいまおあげになりました暴力ざたといいますか、それからいろいろ立ちのきを要求するとかの動き、これは私どもは間接的にはある程度そういう事実を耳にしておりますが、むろんわれわれの方といたしましては、さようなことに全然関係のないということは申し上げるまでもございません。なお、お話しのように私どもとしては、こういうのは一つの事例でございますが、この混乱をしておった時代、そういうもとにどういうことが行われておるかということで、先ほど申し上げたように、それをそのまま放置するという考えはむろんございません。そういう事態を前提にいたしまして、いろいろ関係が複雑になっておりますので、それらの関係をよくトレースいたしまして、公正な結論を下したいという考えを持っております。その意味で実態調査も進めておるという次第でありまして、よく調査をいたしまして、お話しのようにできる限りすみやかに処理をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03019570418/19
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020・平林剛
○平林剛君 この国有財産をめぐる紛争についての私の質疑は、きょうはこれで一応終っておきますけれども、質問だけで、この取扱いが終るものではありません。江戸川区長の方からの回答書も近くあるでありましょう。私が本日述べたような資料を十分検討していただいて黒白をつける、そうして最も正当な結論に近づくためには、引き続きこの問題の取扱いは必要だと思いますので、委員長におきましても、本委員会で取り上げられた問題について、国家的見地からよい結論が出るように、今後の運営をはかられんことを希望いたしまして質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03019570418/20
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021・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 四案の質疑はきょうは一応この程度にとどめまして、本日はこれにて散会をいたします。
午後二時三十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03019570418/21
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