1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十二年四月十九日(金曜日)
午後一時三十六分開会
—————————————
委員の異動
四月十八日委員塩見俊二君辞任につ
き、その補欠として秋山俊一郎君を議
長において指名した。
本日委員杉山昌作君辞任につき、その
補欠として北勝太郎君を議長において
指名した。
—————————————
出席者は左の通り。
委員長 廣瀬 久忠君
理事
西川甚五郎君
大矢 正君
平林 剛君
委員
青木 一男君
秋山俊一郎君
岡崎 真一君
木暮武太夫君
小柳 牧衞君
田中 茂穂君
土田國太郎君
苫米地英俊君
宮澤 喜一君
栗山 良夫君
北 勝太郎君
前田 久吉君
政府委員
大蔵政務次官 足立 篤郎君
大蔵省主計局法
規課長 中尾 博之君
大蔵省管財局長 正示啓次郎君
大蔵省銀行局長 東條 猛猪君
郵政省貯金局長 加藤 桂一君
事務局側
常任委員会専門
員 木村常次郎君
説明員
大蔵省主税局税
関部長 山下 武利君
大蔵省管財局国
有財産第一課長 天野 四郎君
—————————————
本日の会議に付した案件
○国の特定の支払金に係る返還金債権
の管理の特例等に関する法律案(内
閣提出)
○関税法の一部を改正する法律案(内
閣提出)
○国有財産法の一部を改正する法律案
(内閣提出)
○国有財産特別措置法の一部を改正す
る法律案(内閣提出)
○国の庁舎等の使用調整等に関する特
別措置法案(内閣提出、衆議院送
付)
○国有財産特殊整理資金特別会計法案
(内閣提出、衆議院送付)
○日本輸出入銀行法の一部を改正する
法律案(内閣提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/0
-
001・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) これより委員会を開きます。
議事に入るに先だって、委員の異動について御報告申し上げます。
昨十八日付をもって塩見俊二君が辞任され、補欠として秋山俊一郎君が委員に選任され、本日付をもって杉山昌作君が辞任、北勝太郎君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/1
-
002・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) まず、国の特定の支払金に係る返還金債権の管理の特例等に関する法律案を議題として、質疑を行います。
別に御質疑はございませんか。——御質疑がないようでありますから、質疑は終了したものと認め、これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。御発言はございませんか。——発言もないようでありますから、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。
国の特定の支払金に係る返還金債権の管理の特例等に関する法律案を問題に供します。
本案に賛成のお方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/2
-
003・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 全会一致であります。よって本案は可決すべきものと決定いたしました。
なお、諸般の手続は先例により、委員長に御一任願いたいと存じます。
それから多数意見者の御署名を願います。
多数意見者署名
西川甚五郎 平林 剛
青木 一男 小柳 牧衞
木暮武太夫 秋山俊一郎
土田國太郎 苫米地英俊
宮澤 喜一 大矢 正
栗山 良夫 北 勝太郎
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/3
-
004・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 次に、関税法の一部を改正する法律案を議題として、質疑を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/4
-
005・大矢正
○大矢正君 この法律のねらいとするところは、俗にいう密輸品を防止する、ないしは関税の目をのがれて今、日本の国内における品物が売買をされるということに対する防止が目的だと思うのでありますが、実は先日大阪へ参りまして、税関その他を勉強して参りました折に言われたのでありますが、今日非常に密貿易が多くて、なかなか押えることは困難だという話がありました。この法律の改正によって、保税地域の中における輸入と輸出の品物のすりかえとかいうような形で、多少こういう面に対する取締りと申しますか、努力は見受けられるのでありますけれども、私はまだこれだけではとうてい完全なものにはならないと思うのでありますが、その点についての御見解を承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/5
-
006・山下武利
○説明員(山下武利君) 御指摘のように、関税法に関する反則が跡を絶たないということは遺憾なことでありまして、われわれとしても、これに対していろいろな方法で善処いたしておるわけであります。御承知のように昨今非常に貿易が伸張いたしました関係から、税関の事務も非常に繁忙になって参りました一面、取締りの方に向ける人手も手薄にならざるを得ない状況であったわけでありますが、これに対しまして、できるだけ事務の簡素化をいたしまして、重点的に人員の配置をすると同時に、このたび若干の人員の増加を認められましたので、そういう点につきましても、できるだけ重点的な施策を講じて参りたいと考えております。
この法律の改正案にありますような保税地域におけるすりかえの防止とか、あるいは外国貿易船以外の往来船の入港届とかいったようなことだけで、万全の施策がとられるというわけではありませんが、しかし、これによって事態は大いに改善されるものと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/6
-
007・大矢正
○大矢正君 承わるところによりますと、各地の税関では、働いておる人々がオーバー・ロードになって、非常に時間外の残業というようなことで、相当の病人まで出してやっておるけれども、しかし、それだけの努力にかかわらず、なお、かりに時計の例をとると、八割まで密輸品であるというようなことを先日大阪で承わって参りましたが、こういうようにして非常に税関におる人々は努力をし、多くの病人を出す程度にまで労働強化をしておるということは、これは決して私どもはよいことではないし、しかも結果において依然として密輸品が多いという現況にかんがみて、私は、多少今年度の予算その他の中で人員を増加しておるようでありますけれども、まだまだ現在の人員をもってしてはとうてい膨大な密貿易を押え、密輸を押えるということは困難ではないか。
官庁の中でのいろいろな統計によりますと、税関における何と申しますか、働いておる人々の罹病率というのですか、そういうものが非常に多い、こういうようにも聞いておるのでありますが、私はもっと積極的に人員を増加して、この面に対する取締りと、それから働いておる人々のオーバー・ロードというものを緩和する必要があるのではないかと、かように思うのでありますが、この点に対する政府当局のお考えを承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/7
-
008・山下武利
○説明員(山下武利君) 私たち税関の業務に携っておる者から申しますれば、もっと人員の増強をお願いしたいという面もあるわけでありますが、諸般の事情から、今回百二十名の増員を認められた次第であります。しかしながら、この増員でも非常に現在の繁忙な事務に対しては手助けになるわけでありまして、これをことに人員の不足に悩んでおります神戸税関、そのほか数税関にきわめて重点的な配分をいたしまして、一方、不要な事務はできるだけ切り捨てていって、重点的な事務に精力を集中するということによって、事態は大いに改善されるものと考えておるわけであります。なお、職員の健康管理につきましては十分に注意をいたしておりまして、罹病率も昨今はだんだんと減っておる状況であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/8
-
009・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) ほかに御質疑はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/9
-
010・苫米地英俊
○苫米地英俊君 一つだけ。どうも今の税関を見ますと、戦前と違って、各省にまたがって非常に複雑な機構になっておるようですね。そうして、そのために能率が非常に下っている。私ども行政改革の方であれをだいぶやったけれども、困難なことはわかっているのですが、どうも税関の方でもう少し強く合理的な案を打ち出して、主張された方がよくないかと思っているのですが、これに対してあなたの方では御不便を感じて一おられないかどうかということ、並びに将来これの改善のためにもっと強く打ち出していただきたい、こういう考えを持っているのですが、それだけちょっと御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/10
-
011・山下武利
○説明員(山下武利君) 御説の通りでありまして、現在、港湾の行政機構は非常に複雑化いたしております。これに伴いまして、われわれ税関に携る者も、あるいは業者の方々も、相当不便を感じておられるということは事実でありまして、港湾行政の統一化の問題につきましては、われわれもかねてから強く主張しておる次第でありますが、なおまだ実現を見るに至りませんのは、非常に残念なことと存じております。今後この努力はずっと続けて参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/11
-
012・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 他に御質疑はございませんか。御質疑もないようでありますから、質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。
御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。御発言はございませんか。御発言もないようでありますから、討論は終局したものと認め、これより採決に入ります。
関税法の一部を改正する法律案を問題に供します。
本案に賛成のお方は御挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/12
-
013・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 全会一致であります。よって本案は可決すべきものと決定いたしました。
なお、諸般の手続は先例により、委員長に御一任を願いたいと存じます。
それから多数意見者の御署名を願います。多数意見者署名
西川甚五郎 平林 剛
青木 一男 木暮武太夫
田中 茂穂 秋山俊一郎
土田國太郎 苫米地英俊
宮澤 喜一 大矢 正
栗山 良夫 北 勝太郎
前田 久吉
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/13
-
014・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 次に、国有財産法の一部を改正する法律案
国有財産特別措置法の一部を改正する法律案
国の庁舎等の使用調整等に関する法律案
国有財産特殊整理資金特別会計法案
以上、四案を便宜一括議題として、御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/14
-
015・土田國太郎
○土田國太郎君 国有財産法の一部を改正する法律案ですが、ちょっとわからぬところがありますから、局長にお伺いいたしまするが、この地方審議会は境界を決定されるようにこれにありますが、しかしこの審議会は、そのほかにどういう仕事をされておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/15
-
016・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) お答え申し上げます。この地方審議会というのは、実は今回初めて法律でお認めをいただくわけでありますが、今日でも法律に基かない閣議決定の委員会を設けていただいております。これは中央に大蔵省に一つと、各財務局に一つ、全国で十の地方審議会を設けていただきまして、国有財産の具体的な処分の案件でございますね、たとえば土田先生がお詳しい群馬その他の、岩花の元の陸軍の火薬廠がありますが、これを払い下げる場合に、従来は役所だけできめておったのでありますが、そういうことではいろいろと御批判もございましたので、これはぜひ民間各層の御意見を拝承いたしまして、それを非常な貴重な参考として処分をする、こういうことでやっております。従いまして、具体的な処分を一々審議会にかけておる、かように御了承願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/16
-
017・土田國太郎
○土田國太郎君 この第三十一条の、「境界決定」の5ですね、5に、「当該隣接地の所有者及び当該隣接地の知れたその他の権利者」とありますが、「その他の権利者」というのは、大体どういうものをいうのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/17
-
018・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) 所有者、あるいは所有者ではございませんが、借地をしておられる方、あるいは抵当権を持っておられる方というふうな権利者を意味しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/18
-
019・土田國太郎
○土田國太郎君 それからこの三十一条の五へいきまして、境界に異議のあった場合に、六十日以内に、その理由を付して当該各省庁の長に申し出ろということになっておりまするが、申し出て不服であるという場合にはどうなるのですか。ただ申し出ろというようなことですが、そのあとはどうなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/19
-
020・天野四郎
○説明員(天野四郎君) 申し出ましても、不服である場合にはこの境界確定は成立いたさないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/20
-
021・土田國太郎
○土田國太郎君 成立しないままでおいていいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/21
-
022・天野四郎
○説明員(天野四郎君) この方法によりましては成立いたしませんけれども、しかし、そのような不安定な状況が継続いたしますことは、国有財産の管理処分から申しまして適正でございませんので、そういう場合には政府は訴訟をもって解決いたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/22
-
023・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 国有財産法の一部を改正する法律案のうちで、第九条の二に、国有財産中央審議会及び国有財産地方審議会が設置されることになっておりますが、国有財産の処分につきましては当然のことと存じます。ところで昭和二十五年の四月だったかと思いますが、特別法として旧軍港市転換法という法律ができまして、その第六条にも、旧軍港市における国有財産の処分その他重要事項について、大蔵大臣の諮問に応じ、あるいは調査審議するというために、旧軍港市国有財産処理審議会というものが設けられて、この審議会によってこれらの事項が従来運用されて参りましたが、ここに国有財産の処理について二様の審議会ができるということが、ややもすれば誤解を招くおそれもございますので、この点を一点明確にするためにお尋ねいたしたいのであります。今回ここに制定を見ようとする二つの審議会は、一般の国有財産の処理に当るものであって、当然旧軍港市における国有財産の処理、審議に当っては、この国有財産法にいわれますところの審議会からその事項は除かれてしかるべきものである、当然除かれるとわれわれは承知しておりますが、さように解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/23
-
024・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) お答え申し上げます。御質問の御趣旨通りと御解釈願っていいわけでございますが、これにつきましては、一般的に、御承知のように、国有財産法は一般法でございます。これに対しまして、ただいまお述べになりました旧軍港市の転換促進に関する特別法、これは国有財産法に対する特別法の地位でございます。従いまして、今日お出しをいたしております法律の中におきまして、たとえば国の庁舎等の使用調整等に関する特別措置法案、これは一般の国有財産法に対しましてはやはり特別法の立場にあるわけであります。この庁舎につきましても、庁舎等の調整審議会というものをお認めいただくべく規定を設けておりますことは、御承知の通りであります。一般法と特別法の適用の関係は、ただいま秋山委員がお述べのように、まず特別法が優先いたすことはもとよりでございますので、旧軍港市の財産の処理等につきましては、旧軍港市にございまする財産処理審議会、これに付議されまして、それだけは国有財産審議会の付議事項から除かれることは、明確に申し上げてよろしいわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/24
-
025・平林剛
○平林剛君 今、横須賀、呉、佐世保、舞鶴の旧軍港市を平和産業、港湾都市として再出発させるために、旧軍港市の転換法が制定をされておる。そこにも旧軍港市の国有財産の処理審議会があるので、この法律できめる地方審議会とどういう関係になるかの経緯をお答えになったわけでありますけれども、どうしてこの法律にそのことを明確にすることができなかったのでしょうか。今の説明だと、特別法と一般法とで区分をされておって、特別法であるから当然優先的に運営される、こういうお答えがありましたが、一般法の中にそれを明記することがなぜできなかったか。私は聞くところによると、大蔵省部内においても、どうも旧軍港市の転換法に対する審議会をまま子扱いにしておるという傾向を聞いておるわけであります。それだからよけいこんな心配をするわけであります。なぜ付則にでも挿入することをせなかったのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/25
-
026・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) お答え申し上げますが、これは付則どころではございませんので、国有財産法第一条に明記しております。「国有財産の取得、維持、保存及び運用並びに処分については、他の法律に特別の定のある場合を除く外、この法律の定めるところによる。」、第一条の冒頭に明記しておりますので、疑いの余地はございません。なお、国有財産処理審議会をまま子扱いなどとはとんでもない話でございまして、委員のお顔ぶれをごらんいただきましても、まことにりっぱな方々に御審議願っておりまして、最近はひんぴんと開催いたしておりますので、その点もあわせて御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/26
-
027・平林剛
○平林剛君 法律の第一条は、ちょっと参ったな。(笑声)こちらの不勉強であったから、その点は了承します。今の第二点のまま子扱いについては、今後の運営についても十分慎重に言葉通り運営されることを要望いたしておきます。
そこで現在の旧軍港市における未処理の財産、土地、施設その他のものが、現在どの程度になっているか、これについて明らかにしてもらいたいわけであります。特に呉の場合は、他の一二都市と比べると、長い間駐留軍がおりまして、いろいろこの財産を法律に基いて有効に活用し、平和産業都市に切りかえようとしましても自由にならなかった。どうしても占領軍の許可を得られないとか、あるいは占領軍がおったために、時期がおくれて、今日に至るも、昭和二十五年の四月に制定された転換法に基く処理が行われていない、こういう実情を聞いているわけなんです。そこで少くとも呉の場合にはかなり、せっかく制定された特別法に基く処理を急速に進めなければならぬという事情があるのではないか、私はそう思うのであります。そういう意味で、現在の事情がどうなっているかということをお聞きしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/27
-
028・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) まことにごもっともな御質問でございまして、私どもも旧軍港市一般につきまして、御承知のように軍港にございました海軍が解体されまして、軍港市は財政的に、また社会的、経済的にいろいろと困難な事態に直面しておりますことは申し上げるまでもございません。特に呉におきましては、従前英豪軍と申しますか、国連軍とも言っておりましたが、さようなものが駐留いたしておりました間、多少一種の特需的なものがございまして、相当地元も潤った点もあったのでありますが、昨年一せいにこれが引き上げましたものでございますから、その後、特に失業対策等の面におきましても、政府としても非常にこれを重視いたしまして、私どもだけではなく、内閣に特需対策等審議会というものを設けまして、呉における事態に対処すべく関係各省で協力して、いろいろと措置を講じているわけでございます。
ただいまお述べの軍港市全体についての財産の問題は、大体におきまして先般白書でもはっきりいたしましたように、今日二千二百二十八億八千八百万円、これだけの財産がわれわれの手元で処理を待っているわけでございますが、このうち約半分の一千百億というものがまだ在日米軍に提供されております。そこで貸付中の六百三十二億三千七百万円という数字がございますが、これが非常に軍港市の方に多くなっております。むろん横須賀等は在日米軍提供中のものが多いのでございます。呉等はこの貸付中のものが多い。大きな造船所等に貸し付けをいたしておりまして、そこで大体の考えといたしましては、貸付中のものをまずこれを売り払いをいたす。御承知のように造船所等は長い間非常に不況に沈淪されておったのでございますが、最近幸いにして非常に造船界が活況を呈しておりまするので、多年貸付という一種の変態的な運用の状況にありましたものを、すべからく正常的な売り払いの形に切りかえるということを第一義といたしまして折衝を進めております。ただ相当の金額に上ることでございまするので、先ほど御質問になりました審議会——旧軍港都市転換の審議会等におきましても十分これは御審議を願って、この処理を進めなければならぬと考えております。しかしまあ造船所等は、金融をお受けになります場合でも、貸付財産でございますと御承知のように抵当設定の不便等がございますから、やはり一日も早く所有権を取得したいという御希望もございますので、これは私は相当程度に進むものと考えております。その他に未利用の形で、従来英豪が使っておったものが返されてきたままになっておるものがあるわけでございますが、これは先般二回ほどの旧軍港所在財産審議会に付議をいたしまして、たしか呉だけで、もはや十件あまりのものを処理いたしました。私どもは評価特別班というものを組織いたしまして、これは役人だけではございません。やはり銀行の方々等にも御参加をいただきまして、個々に施設を評価いたしまして、適当な産業を市あるいは県の当局とも十分連絡をとりつつ、適当な産業を誘致いたしまして、やはり原則は払い下げる、しかしながらどうしても金融の道がおつきにならぬような場合には、とりあえず貸付という形を活用いたしまして、相当程度処理を進めておる。ただ、まだ十分と申せませんので、今後とも内閣の審議会とも密接な連絡をとり、また現地の関係機関の間でいろいろ協議をいたしまして、できるだけすみやかに産業に活用して、現地に発生しております失業者の吸収等にも即刻役立てたいと考えておるわけであります。
なお、産業の立地的な考え方から、特に内閣と私の方と両方で、一橋大学の佐藤教授を先般現地においでをいただきまして、どういう産業が呉に適するか、非常に昔から軍港市として長く育てられてきたところでございまするので、あまり行き当りばったりの産業を持っていくということは、将来のためにもいかがかということで、特に産業立地と申しますか、呉に適当な産業はどういうものがいいかというふうなこともあわせて研究を進めながら、水の問題、電気の問題、その他も合せまして、ただいま処理を進めておるような次第でございます。一応お答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/28
-
029・平林剛
○平林剛君 私のお尋ねした未処理の財産、土地、施設その他の状況について、まだよくわかりませんから、これはお話に聞いてもよくわかりませんから、資料の提出をいただきたいと思います。それを見てなおお尋ねをいたしたいと思っております。
そこでもう一つ、これに関連をして基本をちょっとお尋ねしますが、地方審議会は財務局ごとに設けるとなっておりますが、不勉強の至りで、財務局の所在地をよく知りません。そこで大体どこにあるか、お聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/29
-
030・天野四郎
○説明員(天野四郎君) 北から順に申し上げますと、北海道財務局が札幌にございます。それから東北財務局が仙台にございます。それから関東財務局が東京にございまして、それから西の方へ行きまして、東海財務局が名古屋にございます。それから北陸財務局が金沢にございます。大阪の方へ行きまして、近畿財務局が大阪にございまして、四国には高松に四国財務局がございます。それから広島に中国財務局がございます。福岡に北九州財務局、熊本に南九州財務局、全部で十局ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/30
-
031・平林剛
○平林剛君 そうすると広島に地方審議会が設けられ、呉における審議会は場所も近いし、実際上はどうやって運用されるのですか。要するに旧軍港の方の転換のための審議会は、委員二十名で構成されるように記憶しております。今度の法律だと、地方審議会は三十名の委員になっておりますね。この委員会の実際上の運営においてどういうふうにお考えになっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/31
-
032・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) これは昨年、先ほど申し上げましたように閣議決定で設置していただきまして以来、試験的にずっとやっておりますことをそのままお答え申せばいいと思うのでありまして、旧軍港市国有財産処理審議会は、むしろ今日まではすでに法律で認められた委員会であったわけであります。これは申し上げるまでもなく、実は一つしかないわけでありまして、大蔵省に設けられておるわけでございます。これに対しまして、先ほどお答えしましたように、国有財産審議会は中央と各財務局にあるわけであります。いわば軍港市国有財産処理審議会の方が一種の、中国地方に設けられる審議会よりは、地方審議会でございますから、まあ地位から申しますと高いわけでございます。
そこでどういうふうに運用しておるか、またこれからしようかということのお尋ねでございますが、この国有財産審議会は、先ほども申し上げたように、財務局長が専決権を持っておるような案件につきまして、それぞれの財務局において議決するわけでございますが、旧軍港市の財産処理審議会に付議される案件はすべて大蔵大臣に参ります。従って各地方におきましては幹事会を組織いたしまして、たとえば呉の財産を処分いたします場合には、呉の幹事会でまず関係の者が下相談をいたしまして、そこで大体の案ができますと、中央の審議会に移して参ります。そこで私の方は、これは大蔵大臣の諮問機関でございますから、中央でその審議会に諮問をいたしまして、適当であるということでございますと、直ちに大蔵大臣がその処理を決定するということになっております。これに対しましては、もとより幹事会の段階におきまして財務局長の意見は非常に強く反映をしておりますが、最終的には大蔵大臣が処分決定をしておる。従いまして、先ほど申し上げた地方審議会と相抵触することは全然ないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/32
-
033・平林剛
○平林剛君 ただ広島に設けられる地方審議会が、この呉における軍用の財産の処分を除くというと、あまり仕事がないのじゃないですか。そうなるというと、この地方審議会が実際上としてこの旧軍港市転換法の精神を越えちまって、ここでしきりに審議をされる。従って先ほど私はまま子扱いという言葉を言いましたけれども、中央に残っている審議会の方は置きざりを食ったり、あるいは勝手にこちらの方がいろいろなことを審議したりするようなことがあるのじゃないだろうかという心配をしておるわけであります。そうすると旧軍港市転換法というものは、これは住民投票までやった重要な法律で、特別法になっているわけであります。特に呉の場合にはこれが一段とおくれているだけに、結局いいところなくて終ってしまうというおそれがあるのじゃないだろうか、こういう心配を非常にしておるわけであります。それで私は聞いておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/33
-
034・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) 御心配まことにあれなんでございますが、実は中国財務局は、日本でも有数な軍用財産の多い財務局でございまして、一例を申し上げますと、山口県には御承知のように徳山、それから光でございますか、元の海軍関係の施設が非常にございます。また岡山県、これにも相当ございます。呉を除きましても、決して中国財務局はさびしいようなことはございません。また裏日本にも御承知のように山陰方面にもそれぞれございますので、軍港市は御承知のようにその市だけでございまして、この点多少われわれ何でございますが、たとえば呉の向い側に江田島という島があるのでございます。これは軍港市になっておりません。従って、江田島の財産を処分する場合には、これは国有財産審議会にかけなければならぬというふうなことになりまして、なかなかもって国有財産審議会の方が大へんに間口が広いのでございます。むしろ軍港市所在の国有財産審議会の方でやっていただくということにいたしまして、非常に助かっておるというような実は実情でございますので、その点につきましては、今せっかく御心配をいただいたのでありますが、われわれは決してさようには考えておりませんので、たとえば近畿をとってみますと、近畿はたとえば舞鶴だけでございます。軍港市はそのほかに、申し上げるまでもなく門司、その他大阪、非常に広い地域を持ってありまして、財産は非常にたくさんございます。先ほど軍港市にある未利用財産という御質問でございますけれども、これは念のために資料として御提出いたしたいと思いますが、われわれの手元で調べますと、未利用財産は全国に四百八十八億、先般白書でお示ししておる通りでございますが、このうちに軍港市の分も入っておるわけでございますが、私あれの達観をいたしましても、そう大した比重ではなく、むしろその他の地域の方がぐっと高いのじゃないかと思います。これは国有財産審議会の系統におきましてやるわけでございます。その点は重ねて御心配していただきましたけれども、はっきりいたしておりますので、お答え申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/34
-
035・栗山良夫
○栗山良夫君 二、三ちょっとお尋ねいたします。第一は、この中央、地方の審議会ですが、審議会の委員のうちで、関係行政機関あるいは地方公共団体の職員、こういう方は別としまして、学識経験者ですね、これを選任される何か基準というものがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/35
-
036・天野四郎
○説明員(天野四郎君) 国有財産の管理処分は、広く国民経済、国民生活に影響するところが大きいのでございますので、各方面の権威の方に御意見を承わるのが至当かと存じまして、各方面からお願いいたしております。一例を申し上げますと、金融界から、あるいは産業界あるいは中小企業界、それから不動産業界、あるいは建設関係、住宅関係あるいは道路関係、都市計画の権威、山林業界あるいは言論界、学界、そのように各方面からお願いしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/36
-
037・栗山良夫
○栗山良夫君 三十名以内ということに一応なっておりますが、この三十名の定員を完全に充足した場合においては、人員の振り割りはどれくらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/37
-
038・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) ただいまの御質問を、中央審議会に当てはめまして考えますと、ただいま御指摘のような学識経験者、これの数が非常に多いのでございまして、むしろ関係各省の委員というのが三十人のうち七人だけでございまして、二十三人が学識経験者ということになっております。これを大体私どもの方の一課長がお答え申し上げたような、大部分経済、一般世論というふうな、われわれとしてぜひとも御意見を伺いたいと思われるような方面に割り当てまして、これは中央審議会でございますが、地方審議会の場合も、大体において各方面の方々に御参加を願っておるのではないかと存じますし、また各財務局、十局の財務局における委員の顔ぶれその他を従来見ておりましても、大体三十人をお認めいただけば、各方面の方々にお入りをいただけるのではないかと、こういうふうに感じておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/38
-
039・栗山良夫
○栗山良夫君 私お尋ねしておりますのは、その中央のたとえば学識経験者が二十三人、政府機関が七人、これは何か基準がきめられておるものがあるのですか、それとも人選を見たところが、こういう振り合いに自然になったというのですか、どういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/39
-
040・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) むろんこれは現在の分は閣議決定でございまするので、規定はございませんのですが、大体人選をしまして、三十人程度でよろしいということでさような定員をきめたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/40
-
041・栗山良夫
○栗山良夫君 三十人程度じゃない、三十人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/41
-
042・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) それで十人というふうにきめたわけでございます。別にはっきりした基準というものはないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/42
-
043・栗山良夫
○栗山良夫君 そうしますと、地方審議会においてはただいまの割り振りというものは、十の財務局があれば十とも違う場合があり得るわけですか、比率としましては。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/43
-
044・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) 大体、たとえば東北地方と北海道を一つとってみましても、東北には御承知のように六県ございまするので、関係の知事さん方六人お入りになり、これに対して北海道は知事はお一人でございまするので、あと相当の方々が一般の産業界方面から出られるというふうに、若干のそれぞれ局によりましてニュアンスの違いがおのずから出ております。その人数等につきましても、必ずしも三十人一ぱいということではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/44
-
045・栗山良夫
○栗山良夫君 それと、私はあとでもう一つお尋ねしますが、今度は非常に重要な関係にある問題としては、いわゆる国有財産そのものの処分をされる何か基準がありますか、処分基準。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/45
-
046・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) 国有財産法、国有財産特別措置法、また先ほどの軍港市転換促進法という法律のそれぞれの規定によりまして処分をいたすことはもとより当然であります。また、たとえば随意契約をなすのはかような場合に限るということは、会計法等にはっきりしております。これらの法律によってきめることは当然でございますが、ただ従来遺憾なことは、毎年々々御承知のように、予算は政府で作りまして、国会で慎重に御審議になりまして、金の面というのは相当大きな関心を持たれておったのでありますが、国有財産につきましては、とかく国会等におきましても、決算委員会等でこういう処分をしたことはどうであるか、事後にいろいろ御検討を願ったのでありますが、事前にどういうふうな計画でおるのかというような御議論が、やや私どもにしては物足りなかったのではないかと感じております。これは率直に私どもとして感じておる。そこで先般来審議会を設けていただいたり、白書を出して実態を明らかにいたしましたり、また今度提案を申し上げておりますところの国有財産法の中では、たとえば普通財産の処理計画というものを、各省各庁の長は、毎年これを作りまして、大蔵省に出してくるようにということの規定も設けておりますことは、御承知の通りでございます。これによりまして、私どもとしては、ぜひとも計画的、組織的と申しますか、また相当長期にわたりまして、ほんとうに国有財産をかくかくのごとく処分することが、どなたがお考えになっても正しいという、一つの最大公約数的なものを見つけたいと、こういうことを初めてわれわれとしては具体的な措置として打ち出したわけでございます。栗山先生がおっしゃいますように、従来はとかくそういうことが一行政府の片隅にゆだねられておったということを、われわれとしては非常にさびしく思うわけであります。今後はこれを天下の前に出しまして、こういう計画で処分することについて、一般の方々もどうお考えになるか、また国会の方面におかれましても、ことしの国有財産の処分計画はどうなるかというふうなことを、この法律に基きまして各省各庁が案を出してきましたときには、事前に大いに大蔵委員会等におかれましても御議論を願いたい、こういうふうに実は考えておるのであります。今までは率直に申しますと、法律、政令等の制限は受けておりますが、やはり計画において私は欠けておった、そういうものを作るという意味で、国有財産法の改正をお願いしておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/46
-
047・栗山良夫
○栗山良夫君 私は国有財産というものは、なるべく広く日本産業界その他あらゆる面に高度に活用させるために処分を急ぐということは、全面的に賛成です。それから綿密なる計画を立てて実行に移して行くということも賛成です。しかし急ぎかつ計画を立てて実行しようとする場合には、やはり何と言っても、そこに処分なら処分の基準というものがなければいけないのじゃないかと思うのです。今おっしゃったようにそのつど、ケース・バイ・ケースで物事を処理して行くというと、いろいろ私はやっかいな複雑な問題が起きてくる。これは国有財産法の一部改正法律案ですけれども、大ていこういう審議会等を作れば、審議会に一応おやりを願う仕事のやり方についての何らかの基準というものは設けられております。これはどの審議会でも審議会に白紙委任をするのではない。この審議会にはこれくらいの基本的な態度で仕事を進めてもらいたい、私はそういう基準があってしかるべきだと思うのです。ところが今のお話を伺っているというと、要するに審議会に白紙委任、しかも審議会のメンバーは各界から広く集めるということだけなんです。これでは私はやはり形式を整えるだけになる。どうも最近の日本の政治のいろいろボロの出てくるところを見てみますと、形式だけ整えて、その中の組み立てというものをしていないために、こういう問題がずいぶん各方面に起きていると思う。そこまでやはり大蔵省は特にこういう膨大な経済価値を持っておる財産を処分するのですから、この問題だけについても、もう少し私は国民の前には責任をとり得る、そういう処理の仕方というものを法の上でも明らかにしていただきたい、そう私は考えるのですが、その私の思っておる基本的な考え方に対して、きょうは大臣が見えていないわけですが、政務次官どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/47
-
048・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) その前に、ちょっと私から。先ほど私のお答えがあるいはある程度誤解されるような、言葉が足りなかったかもしれませんが、基準がないということを決して申し上げておるわけではございませんので、それぞれ法律、政令等によって定められたところに従っておるというところが根本的な基準でございます。なお、大蔵大臣はこれこれの財産を処理する、各財務局長はこれこれの財産を処理するというふうな基準はあるのであります。そういうことによりまして整然としてやっておりますことは申し上げるまでもございません。次に白紙委任というお言葉でございますが、審議会はどこまでも単なる諮問機関でございます。どこまでも責任は大蔵大臣なり、財務局長が行政府の長として責任をもってやっておりますことは申すまでもございません。われわれはこれによって責任を回避するという態度では全然ございませんので、これによって御了解願いたいと思います。さような基準によりまして処分をしておるのでございますが、なお、その上に処分をガラス張りにするために、民間の方々の御意見を率直に聞こう、こういう考え方であることをまずお断わりしておきます。またさような計画は従来は行政の内部だけの問題でやっておりましたのを、どこまでも一つの法律に定める計画に従ってやる、栗山委員が御指摘になりましたその通りの趣旨で、この十一条の二という国有財産法の改正案を出しまして、この十一条の二によりまして初めて「毎会計年度、政令で定めるところにより、その管理及び処分に関する計画を定め」云々という規定を入れていただきましたことは——これをお認めいただきますことは、栗山委員がお述べになりました基準そのものに相なってくる、かように考えていただいていいのじゃないか、これはどこまでも行政府の責任として処分をいたすのでございますが、そういう計画をはっきり作る、こういうことで法律の改正をお願いしました趣旨を御了承賜わりたいと思います。なお、政策の問題につきましては政務次官からお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/48
-
049・栗山良夫
○栗山良夫君 国会で政府機関の立場から大蔵省が答弁せられることは、私あなたのおっしゃる通りだと思うのですよ。局長がそれ以外の答弁をされたら問題になる。それだから私は形式主義の点がありはしないかと申し上げておるのです。なぜかと申しますと、私はこういう国有財産の処分について現地にどういう運動が行われ、どういう工合に行われておるかという二、三の事例を知っているのですよ。あなたはこうやって役所がきめる、審議会は一諮問機関である、財務局長なり、あるいは本省の大臣がやる、それはもう神様がやるのと同じだという言い方です。それじゃ私は反問いたしますが、この政府機関に加えられてくる政治的な圧力というものは、これを排除する道はどこにありますか。政治的な圧力ですね、政治的な圧力なしにその財産処分がいつでも行われているとそこで断言できますか、そこなんです、私の言っているのは。それだからこそ政治的な圧力を回避する道は国会においてきちっときめておかなければならぬ、そういうことが必要じゃないかと申しておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/49
-
050・足立篤郎
○政府委員(足立篤郎君) 栗山委員の御指摘の基準の問題につきましては、局長からただいまお答え申し上げました通りでありまして、その権限なりあるいは手続上の制限なり、それぞれ関係法に規定をされておるわけでございますが、ただこの審議会を設けまして、局長も申しております通り、ガラス張りの中で国有財産の処理を決定していきたいという気持は、ただいま栗山委員も御指摘の通り、従来過去の経過を顧みますると、一つの問題が起りますと、やはり地元からあるいは政治的な工作というようなことで、非常に利権的なきたない問題がつきまとっておったのであります。そのつど主義といいますか、そういう処分のやり方をしておった、これが国会あたりから強く指摘をされ、また非難も受けまして、これだけ膨大な国有財産を現在の社会の情勢、経済の趨勢に合せて、最も国家のために有効適切に、しかも早くこれを間に合わせるように処分をすべきであるという強い御要請もあるわけでございまして、こういった大きな財産の処置をいたします場合に、やはり一事務局の考えでやるということになりますと、御指摘の通りいろいろな手が伸びてくるわけでありますし、またあとに問題を残すおそれが多分にあるわけであります。従いまして今後は各省各庁の長がそのつどその年度の計画を出しまして、これを総合して大蔵省としてこの処分計画を立て、必要あれば国会にも御報告申し上げましょうし、また審議会にもかけまして、これをガラス張りの中で御審議をいただく、こういたしますれば、かねての御要請のありますような相当大幅な処分も可能ではないかというふうに考えておるわけでございますので、私どもの気持といたしましては、栗山委員御指摘のような従来の経緯にかんがみまして、さような弊害を除去するためにもぜひともこの法案を実現いたしたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/50
-
051・栗山良夫
○栗山良夫君 私は法案に反対しているということを申し上げておるのじゃないので、過去の経緯で、そういう点を実例的にも承知しておるので、せっかくここまで大蔵省で法律改正をやって、国民の信頼にこたえようとしておられるならば、足らざるところはなお補って、そして完璧なものにいたした方がよくはないか、こういう意味で私は申し上げておるのですよ。それだから、たとえば審議会の委員にしても、金融界から言論界まで入れたとおっしゃるのですが、これを入れるといって、ただ頭数をそろえるだけでは、私は能が足りないと思う。そのそろえ方に問題があるのです。私はそういうところの基準が必要ではないかということを言ってたのです。私は、一応、この改正法律案でできた審議会ではないかもしれぬのですが、しかし、これに似たようなものである、このメンバーも似てる。それでこういうメンバーでやれば、適当に処分されてしまうという、私は疑問を持ってる。それだからこそ、大へんくどいようだけれども質問を続けているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/51
-
052・足立篤郎
○政府委員(足立篤郎君) 人選の問題につきましては、先ほど局長からお答えいたしました通り、従来閣議決定の審議会があったわけですが、これは三十人のうち、二十三人が、いわゆる学識経験者であり、七人が政府関係ということで、さっき局長からお答え申し上げた通りでありますが、それを今まで三十人のワクの中で、どれだけがどういう系統の人でなければならぬというような基準は設けておりませんが、政府としては、今後この法律の執行に当りましては、仰せのような御趣旨を十分尊重いたしまして、人選につきましては、それぞれのお立場の方に御就任を願って、国有財産の処理について御意見を拝聴するのに、ほんとうに国民の声を代表する方といいますか、公平な立場で御意見を伺がえる方をぜひ御就任願わなければならぬと思っておるわけでございまして、従来の問題につきましては、私はつまびらかにいたしておりませんが、御注意の点等もございますれば拝聴いたしまして、今後善処いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/52
-
053・栗山良夫
○栗山良夫君 先ほどから大へんあなた方に対して失礼な言葉かもしれぬが、形式主義だと——形式だけ整えて、そして何か問題が起きたときには、民主的な方法で、こういう方法で行なったのだから責任はありませんとかいうことで明確を欠いている、そういう一つの方便に使われるのであっては、せっかくあなた方の努力も水泡に帰するのです。私の申し上げるのは、中小企業から住宅まで全部入れるとおっしゃるなら、ただいまの日本の国有財産の審議会の構成を見てごらんなさい。だれが一番発言権が強いか。地方で、二、三千人並べてみたところで、そういうものをぐうっと押えつける者が数人いれば、その数人の人の考え方によってどっちにでもなってしまう。私がなぜ委員の選任基準を問題にしなければならないかということを申し上げたかといいますと、中央はもちろんですが、地方の審議委員にいたしましても、都市計画には都市計画の権威者や学者がおるのです。そういう日本的な権威者、何ものにもわずらわされない権威者というものを審議委員に入れたらいいじゃないか。そういうものは、横割りじゃなくて、縦割りの選任基準というものを作って、そしてほんとうに国民の前に、信頼にこたえる組織にしなければ、幾らそんなものを作ったって形式主義だという、そういうことを申し上げたい。これは極論を申し上げたわけですが、そこに思いをいたしまして、今すぐ即答してもらおうとは思いませんが、もし、今後こういう法律改正ができ上って、実際に運用に入る場合においては、こういうふうに進めて、また処分基準にしても、国有財産法その他に処分の基準があるのだとおっしゃるから、これは一応説明を伺いたいと思うけれども、そういう方できめておる概念的な処分基準でなくて、もう一歩突っ込んだ基準というものが必要じゃないか。そういうことを私は申し上げたい。たとえば膨大な一つの軍用地、あるいはその他戦争中の軍施設を払下げるときに、今、日本産業関係で一番困っておることは、小さなぽつぽつした用地は幾らでもありますが、しかし一工場百万坪なければできないという大きな仕事がある。そういうところが、使うのに困ってるのです。せっかく百万坪のまとまった用地があって、石油化学工業なり、あるいは近代的な工業をやろうといっても、そのせっかくの敷地が、政治的な圧力があちこちからあって、二十万坪を五つ、三十万坪を三つにしてみたりするから、ちっとも日本の産業のためにならない。そういうことを中央官庁あたりで、ぴしゃっと抑える。そういう力のある行政措置ができるかということを私は質問申し上げたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/53
-
054・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) ただいま非常にわれわれにとって有益な御意見を伺ったのでありますが、実は法律をお作りいただきましても、問題は運用にあるということは、まことに栗山先生のおっしゃる通りわれわれとしても心得ております。今お上げになりました例の中で、たとえば都市計画の権威者というふうなことでございますが、これは私は常任的に委員としてぜひお入りを願いたく思っておりますし、またさように心得えておるのでありますが、場合によりまして、たとえば三十人という定員があるから、そういうような方が入っていないというふうな場合に、しかも都市計画の権威をこの審議会に、たとえば名古屋において、あるいは広島において、ぜひともお入り願わなければ意義がないという場合には、幸いにして臨時委員の制度というものをおきめを願うようにしております。事柄によりましては、その道の学識経験者を臨時委員として御参加いただきまして、お話を聞かなければ、全くこれは死物になるというお言葉は、全く私どもその通り考えております。ぜひともさような権威あるものにして行きたいと考えております。また基準の問題、ただいま具体的に非常に広大な軍用施設等をずたずたに分離して処分するということは非常に不経済で、さようなものは一括して非常に広い面積を活用するという配慮が必要だ、この点全くその通り考えておるのでありまして、従来も行政部内においてさように指示をいたしておるわけであります。なおまた、その点についてはたまたま中央審議会において、非常に強力に御主張がございました。たとえば今お述べになりました御意見と大体違いはないと思うのでありますが、私、国の財産であるからといって、行政の各部において優先的に使うという考え方自体が非常に再検討を要する、むしろ国家経済全体の見地からやるべきであって、たとえば国の財産を国有鉄道であるから優先的に回わせという考え方が従来ありまして、それが非常に優秀な施設であるにかかわらず、鉄道において比較的つまらない仕事に使われておるような例がある、かようなことはやはり非常に高い見地から総合的に計画を立てましてやって行かなければならぬ問題であるというふうな御意見も伺っておるのであります。幸い先ほど政務次官もお答えになりましたような、今回の総合計画というものを作るということになりますと、私はその点も相当程度改善の余地がありまして、いろいろ国会における今お述べになりましたような御意見をやはり加味いたしまして、総合計画というものを作ってもって行くような方向に持って行きたい、なお、足らざる点もあろうと思いますが、とにかくこの際こういう計画を立てまして、組織的計画的に処理して行くという態勢を整えて行く、その計画的にやって行く場合に、国会における御意見等も十分取入れて謙虚にそこは聞いて、もし法律の運用を誤まりまして、行政の上に多少でも欠陥のありますような場合には、これはぜひ率直に御指摘を願いまして、改めて行きたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/54
-
055・栗山良夫
○栗山良夫君 大体よくおわかりになったようですが、この委員選任について特に熟考をしていただくように確約を願いたいと思います。それは地方審議会等においても、知事初め全部入れるとおっしゃるのですが、私は個々の人々を別にここでその人の能力の軽重を云々しようとか、そういうことはありませんけれども、最近ますますひどくなっているのは、何といっても中央、地方を問わず、政治的な暗躍というものが利権をめぐって激化していることは、だれも否定できないでしょう、これをもし否定なさるなら議論は別ですから私はいたしません。従ってそれを排除する唯一の道というものは、やはり何と申しましても、清廉潔癖で学究にいそしんでおる学者の力に待たなければならぬし、その権威を高めていく必要があると思います。そういう意味でこの委員の中にも、少くとも都市計画の専門家であるとか、工業立地の専門家であるとか、あるいは産業計画の専門家だとか、そういう学者というものを——私が今申し上げたのはただ思いつきですけれども、もう少し大蔵省として関係各省とよく連絡をとられて、一体こういうものを処分するには、学者としてはどういう部類の学者を入れた方がよろしいのかという結論を出していただいて、そういうものを必ず委員の中に私は入れてもらいたい、それがもし入らぬというような委員会なんかおよそナンセンスだ、そういうふうに極言してもはばからぬとすら思っております。従ってそういう御用意があるということであるならば、私が今だいぶ激しい言葉で申し上げましたが、それに対する理解を深めていただいた結論だと、私は理解をいたします。もしそうでないというなら、これまた聞き置く程度の形式主義だとこう申し上げておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/55
-
056・足立篤郎
○政府委員(足立篤郎君) 栗山委員の御意見でございますが、学者とおっしゃいましたのが、ちょっと私ども狭義の学者か広義の学識者という意味か——まあいずれにいたしましても、御指摘の御趣旨はよくわかりますので、その御趣意を尊重いたしまして運用上十分注意いたしたい、これはお約束いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/56
-
057・宮澤喜一
○宮澤喜一君 先ほどから平林委員や栗山委員の御質問を私も非常に興味を持って伺っておったんですが、ことに後半、栗山委員の言われた、こういうことがあってはならないと言われることについて、私も同じように思うのですが、ただ方法論はあるいは栗山委員の考えておられるのと私の考えておるのと大へんに違うかもしれませんが、少し極端なかりの御質問をいたしますから、それについてどういう批評を政府としてお持ちになるか伺いたいと思うのです。まあ現在のように非常に多くの国有財産を、しかも未処理のままで政府が持っておるという状態は正常な状態でないと考えますから、そこでかりにこれは随意契約の対象になり得るような、ことに地方公共団体そのものに直接関係するものを別といたしますと、一番いいことはできるだけ早く、そうして競争入札によってその結果がどうであろうと、ハイエスト・ビッダーに財産を売ってしまう、これが一番いいと、かりにそういう設問を申し上げたといたします。組織的に計画的にやるのだというようなことは、それはもう大へんにけっこうなことでございますけれども、そういうことを国の官吏かあるいは国の機関がそのやり得る——失礼かもしれませんが、能力というものには非常に制約があるのではないかと思う。不当に安い価格でお売りになっちゃいかぬ、それはわかっておりますが、しかし。パブリック・オークションをやって、ハイエスト・ビッダーが買っていく、それが何か特定の外国資本だったりするようなことは、まあ最近はそうあり得ないことでございましょうから、そういうふうにして早く手じまいをなされば、一番国民のためになるのだ、こういうことを申し上げたらどういう感想をお持ちになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/57
-
058・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) ただいまのお考え、私は一つのお考え方かと思います。しかし最初に今宮澤委員がおあげになりましたように、今日の状態はアブノーマルである、私はこれをマンモス的と申しておるのですが、まさに旧軍から引き継ぎました財産、これはマンモス的なおそらく世界の歴史にないと私は思います。そういう大きな財産を処分するということが今第一段階でお述べになった通りであります。そこであとの方でお述べになったことは、これは実は正常な状態においては、私、その通りでいいと思うのです。栗山委員も今お話になりましたが、たとえば名古屋の管内に豊川というところがございまして、これは軍用施設でありまして非常に広大な施設なんです。ところが昔の雑種財産 御承知の雑種財産は、これは道路をつけかえてその結果余った土地ができた、あるいは土地改良をやりまして余った土地ができた、こういうふうな非常に片々たるつまらない財産が多かったのであります。そういうときに組織的計画的などともし申し上げたら、これは人の笑いを受けただろうと思います。従ってそういうものは高いところに——ハイエスト・ビッダーにとんとん払ってもいいのでありますが、今日の場合はそこは非常に違うのじゃないか。アブノーマルでございますが、全部が全部とは私は申しませんが、しかし相当重要なもの、たとえばこれはそういう例をあげますと、非常にいろいろ御意見もあろうかと思いますが、国防的に必要なものを、まあこれはいろいろとこれから議論のあるところでございましょうが、しかしこれをかりにハイエスト・ビッダーに払い下げてしまって、それがもし将来必要だというふうな場合には、さらに国がこれを取得しなければならないということになるわけであります。そこでそういうものも、これは防衛庁当局の言う通り出すというわけじゃむろんございませんで、審議会にかけまして、これはいろいろ御意見を伺ったり、今度は普通財産の処分計画と、国会の方から資料の御提示を要求されれば出すつもりでありますが、こういうところは防衛庁の方へ所管がえをいたします、あるいはこういうところは大学の研究所の施設として提供いたしますというようなことを、やはり総合計画に書かなければならない。そういうことが全然必要でない、何もかもハイエスト・ビッダーでいいということと、今日の時代とは、これはやや矛盾する部面が少くともある、そこが総合的、計画的にと申し上げた点でありまして、現に東京都内で終戦直後に一部から売ってしまえ、売ってしまえ、早く売ってしまえということで処分をしました結果、今日相当困っている面があるのであります。そういうところを、もし都市計画ということがもっと早く、百年先を見越した都市計画が打ち出されまして、国有財産がもし処分されていなかったならば、もっと都市計画は円滑にいっただろうという面もあると思います。また産業の面から申しまして、いわゆる二重投資的になってしまうというような面もあるわけでございますが、そういうようなときに、一方、産業 先ほど栗山委員から御指摘のありました工業立地とかあるいは産業立地というふうなことから、この地帯はこういう産業をやるべきだというふうなことが、遠い将来を見越して打ち出されまして、それには国有財産をかくかくのごとく活用すべきだということが行われるならば、これは私は最もエコノミカルな方法でそういう計画が遂行されることにもなるだろうと思います。また首都圏整備ということが今日御承知のように問題になっておりますが、住宅地と市街地というものをどうするかというふうなことでも、やはり国有財産の処分がそれにマッチするようなことができれば、非常にけっこうだと思ったのでありますが、すでに一部国有財産が処分されておりまして、あとから首都圏整備の問題が出てきましたので、一種の二重投資——国の財政上のある意味のむだづかいじゃないかということに結果としてはならざるを得ない場合もあろうかと思います。これは私は全部が全部とは申しませんが、重要な一部面について今日異常な国有財産を持っておりますだけに、さような配慮が必要じゃないか、またその他の部面について、ただいま宮澤委員のお話になった一般原則の適用できるもの、たとえば機械を一々組織的、計画的にと申し上げることはおかしいのでありますが、すでに二十数が台の機械を今七万台ぐらいまで整理いたしました。これなどは中小企業者を対象といたしまして、国会でお定めになりました交換法を活用いたしたのでありますが、大体において機械の処分、動産の処分というようなものには、今お述べになったような原則が当てはまるもの、かように考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/58
-
059・宮澤喜一
○宮澤喜一君 それでおっしゃったことは、お答えになっていることは、一々非常にごもっともだと思います。ことにそのうちで行政財産の移管がえとか、国防という意味のことをおっしゃったと思いますけれども、つまり、明らかに随意契約の対象になりそうなものについて、見通し得る——地方公共団体とか国とかいうことでございますが、まあ見通し得る限りの将来を見通そう、こういう気持はよくわかりますが、それで二重投資というようなことを言っておられましたが、これは国全体の経済なり、産業なりの政策から見て、具体的に国有財産を処分するかしないかをおきめになるのに、これを二重投資になるかもしれぬ、ならぬかもしれぬというような、そこまで国政全般をごらんになって、国有財産の処分をなされなければならぬ、しかもそれも十年ぐらい先をごらんにならなければならぬ、こういうような大きな深遠な使命感を持っておられる、こういうことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/59
-
060・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) むろん完全にさようなことを一々できるということではございませんが、少くとも役人だけで従来やっておりましたのを、より広い範囲のサークルの方々から御意見を聞いてやる、こういうことがベターではないか、それをただ機械的にハイエスト・ビッダーに売る、パブリック・オークションにするんだということであれば、審議会も何も要らないのでございますが、さようには参らない面もございますので、やはりできるだけわれわれとしてあとう限りの責任を、能力の及ぶ限りにおいてさような配慮を加えられていかなければならぬ部面もあるという意味でお答えいたしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/60
-
061・宮澤喜一
○宮澤喜一君 こうやっていろいろな基準を追加していかれたり、機関を設けられたりすることによって、ますます国有財産の処理というのは、少くともおそくなるであろう、それは早いばかりがいいという意味ではむろんありませんけれども、そういうことについては、どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/61
-
062・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) 私はむろんすべり出しにおきまして総合計画に相当手数が要ると思いますが、今度、計画ができますと、非常にスムースにいくのではないか、それを今までは、ある意味においてはアトランダムにやっておったような場合、これは非常にいろいろの問題が起りまして、むしろわれわれその衝に当る者は非常にティミッドになったのでございます。至るところでいろいろな、先ほど栗山委員がお述べになったようないろいろな問題がありまして、そうしますと、どうもまかしておけない、一々これをチェックしなければならぬ、あとから検査員が回って行く、事前に部内の監察官が回って行くというようなことにもなったのであります。今度は白日のもとで、皆さんの大体のお考えがこういうことだということでございますと、自信を持って問題は処理できますので、私はこれがすべり出しますと、かえって結果においてはスピーディに処理ができるのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/62
-
063・宮澤喜一
○宮澤喜一君 ティミッドにおなりになって——ことに地方ではそうでございますね——いらっしゃることはよくわかるので、それはなぜかといえば、私なりの考えでいえば、ことに地方の官吏は明らかに自分たちの能力を越えた大きな判断を——ボリュームではございません、判断内容でございます。大きな判断をまかされて、そういう使命感で仕事に当っているから、それは仕事がなかなかできないということになるのじゃないか、もしさっき極端な設問をいたしましたように、ハイ・エスト・ビッダーに売るんです、それでおしまいということなら、これはティミッドになることはないはずです。ティミッドになるものですから、こういう防波堤を設けてお置きになれば、まあ助かる、そこはよくわかりますが、実は自分の能力を越えた使命を、量的にではない、質的にという意味でございますけれども、それをさせなければならぬというところに無理があるのじゃないか、つまり、今最初に局長が言われましたように国有財産というものはこういういろいろなことを考えて、組織的、計画的、かつ遠い将来を見通してしなければならないものだ、そうすべきものだというお考えそのものが、行政官というものに与えられている能力といいますか、あるいは適性といいますか、そういうものと異質なもので、それとかけ離れているものだという、そこから問題が起ってきているというふうにはお考えになりませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/63
-
064・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) 先ほどの答えを繰り返すようでございますが、私は対象によると考えるのであります。たとえば機械等は宮澤委員のおっしゃる通りでけっこうだと思います。また土地等につきましても、昔からいわゆる雑種財産としてあるようなもの、これは大体において宮澤先生のおっしゃられた通りでけっこうだと思うのであります。ところが先ほど申したマンモス的と申しますか、この敗戦に伴って旧軍から引き継いだもの、これが大体中心だと思います。それからまた終戦後に御承知のように終戦処理費等で作りました特別財産、こういうものにつきまして、私はこれを一々第一線の者の判断にゆだねるという意味ではございません、総合計画はどこまでも中央で立てるわけでございます。中央で作ったその計画の線に沿うて、第一線で処分をさせるわけでございますが、その個々の処分について、財務局の権限のあるもののうち、今申し上げましたような重要なものは、その地方における各界の代表的な方々の御意見を伺う、こういうシステムによりまして、過ちなきを期していきたい、こういう考え方でございます。従って全部が全部この審議会にかかるという意味では毛頭ございませんが、重要な問題については、さような方式をとりたい。それから今お述べになりましたようなハイエスト・ビッダー・システムでどんどん処理できるものは、それによって処理していきたいということを私も決して否認するものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/64
-
065・栗山良夫
○栗山良夫君 最後に、もう一つ伺いますが、国有財産、特に土地等の処分の場合に、だれに譲渡せられるかわかりませんが、かりに譲渡するときに、その相手方を選ぶのに過ちを犯しますというと、私はいろいろな弊害を生ずると思います。それで、たとえば一つお伺いをいたしたいのは、財産を処分するときには、処分をする相手ですね、相手が何に使うかというその使用目的ですね。これの明確なるものだけに限られるか、あるいはそうではないか、そこのところを明らかにしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/65
-
066・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) 払い下げをいたします場合には、相手方の使用目的、これはきわめて明確でなければなりません。またその目的に従ってどういう計画であるかということは、資金計画、事業計画というようなものの提示を求めまして、確認をいたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/66
-
067・栗山良夫
○栗山良夫君 そうしますと、国有財産を都道府県あるいはその他の地方公共団体、こういうものが一時譲渡を受ける。そうして譲渡を受けてすぐか、あるいは時間的に若干経過してから、都道府県の責任において第三者に処分する、そういう間接処分ですね、こういうことの危険性を非常に危惧しておるのですが、その点については大蔵省はどういう態度ですか。そういうことは絶対おやりにならないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/67
-
068・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) これは原則としてやっておりません。ただ例外的にこういう場合があることだけをお断わりしておきます。それは本来、たとえば師範学校の用地であった。これは背は栗山委員御承知のように、師範学校は県立でございます。そういうものが国立大学に移管されたので、その学校の敷地は、いわば国立に移管のときに、府県が国に寄付したようなことになっております。そういうものを国に寄付したような格好になっております。そういうものを、国が今度は師範学校を移転するために、その敷地が不要になったというようなものは、これは県に返すというような規定がございまして、そういう例外的な規定はございますが、一般的に本来国の財産であったものを、国が直接処分すべきものを、府県にクッションを入れて処分させるというふうなことは今日ではやっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/68
-
069・栗山良夫
○栗山良夫君 この点は、大蔵省としては諮問機関である審議会等の意をよく通じてもらいたいのですが、そういう間接処分をして、そうして不当な行為があって、国民から信頼を失うようなことが絶対にないようにしていただきたいと思う。このことは大蔵省の行政措置としては非常に困られることがあると思うのです、実際問題として。たとえば県議会が議決をする、あるいは審議会が議決をする、知事、市長が動く。一応大義名分が立つ目的が出されておる。そうすると逃げられない。実際に譲渡してみるというと、途中で使用目的を変更してしまう。思わないところにこれが再譲渡され、そうして利用せられる。こういうようなことが起きたときには、私は大へんだと思う。私は先ほどから基準々々ということをやかましく申し上げているのは、そういうようなことをもっと突っ込んできめておく必要がありはしないかということを申し上げておるのです。なぜそういうことを申し上げるかというと、今日本でやはり一番大事なのは何といっても徹底した産業振興です。産業振興しなければいけない。ところがこのごろ全国各地をずっと回って見ても、各地の経済、産業界の中心地で活躍しておられるいわゆる産業人、経済人のおえら方は、それは産業振興をおやりになっていることは事実です。事実だが、その中で、日本も大へんハイカラになったせいもありましょう。県だとか市だとか、あるいは財界から金、上地その他を集めて、そうしてどっちかといえば、消費的な傾向を持つような仕事に、文化事業だというのでどんどん投資している。たとえば最近でも、テレビのチャンネルのことをお考えになればわかります。あれだけ百鬼夜行のような状態にしてチャンネルの割当に狂奔されている。あれの裏の方をレントゲンで見てみると相当すさまじいものだ。ああいうものを設置する場合においても、必ず県なり市なり、そういうものが介在しているものが多いのですよ。それは金だけの面じゃないですよ。物もそういうものにくっついて動くのです。それだからもうひんしゅくをかっている面も相当あります。そういうものを、これからやろうとする改正法律案によって同じことを繰り返すということがあったのでは、私は断じていけないと思うのです。それで私は、本来ならば、この改正法律案というのは、せっかく作るのだから、もっと厳格な、シビアなものを作らなければほんとうはおさまらないのです。これは自分の気分としてはおさまらないのだが、それは私の個人的な感情の問題ですけれども、大蔵省として、少くともこういう意見というものに耳をかして、そうして実際にあやまちなきを期せられるかどうかということを一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/69
-
070・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) ただいまの御意見まことにごもっともでございます。地方公共団体であるから地方公共団体を信用してやって、それが転売をされたという事例が戦後ございまして、非常にわれわれは困ったのであります。学校の用途に充てるからというので払い下げをしましたところ、学校の用途に充てずに転売をして、検査院の批難事項にもございまして、これらはそれぞれ損害を賠償さしております。申し上げるまでもなく、地方制度というものが新しい地方制度に変っておりまして、この点について相当いろいろの制度としても考えなきゃならぬかと思っております。ただ時価で売り払う場合には、いわゆる先ほど宮澤委員がおっしゃいましたような競争入札的に売り払った場合に、地方団体がそれを入手した場合、これは自由に使用できるのですが、一定の用途に使用するという用途指定をいたしまして、その用途指定に違反した場合、契約を解除いたしまして、原状に回復させるか、しからずんば、国がこうむった損害を賠償させるということを厳に励行いたすつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/70
-
071・平林剛
○平林剛君 栗山委員に関連してお尋ねをしますが、先ほど国有財産を公共団体に譲渡して、その使用目的に反した使い方をしたり、あるいはこれがさらにいろいろな理由で転売をされる。このことに対してどうするかという政府当局に質問をして答えがあったわけです。これ私具体的な事例を幾つか知っておるわけです。あなたは譲渡したときの目的は明確でなければならぬと言われましたが、もしこれに反した場合はどうするか。間接的に反する行為が実際に起きた場合にはどうするか。法律的に何か制限があるかどうか。今お話になったのは、観念的に譲渡したときの使用目的が明確でなければならぬとか、そういうことはいけないというだけの行政上の判断だけなのか。それとも法律上にその制限があるのか。この点がちょっと明確でありませんでしたからお聞かせを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/71
-
072・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) お答え申し上げます。この点は国有財産法の第二十九条にはっきり書いております。読み上げますと、二定の用途に供させる目的をもって普通財産の売払をする場合は、当該財産を所管する各省各庁の長は、その買受人に対して用途並びにその用途に供しなければならない期日及び期間を指定しなければならない、はっきり明文があるわけであります。これに反しました場合は、先ほど申し上げたように契約を解除して原状に復するか、しからずんば、もはや原状に復することができない場合は、国がよってこうむったところの損害を賠償させるということをいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/72
-
073・平林剛
○平林剛君 そういう事実があったとき、具体的に政府の方では遺漏なく処置されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/73
-
074・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) これはやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/74
-
075・平林剛
○平林剛君 私この間法務局の出張所に出かけまして、登記の実情を見てきたことがございます。狭い事務所でごたごたしておりまして、登記を完了するために多数の国民が押しかけておる。私はああいう登記の仕方で、土地、建物が転売され、あるいは移譲されておる限りにおいては、いろいろな間違いが起きるのじゃないかということを心配して帰って来たことがあったわけです。法律的に見るというと、これは土地あるいは建物が譲渡され、転売された場合に、登記所へ行けば所有権は移ってしまう、登記が完了した場合にですね。今のお話のように、政府の方では法律に基いておやりになるというのだが、一方には登記というものがあって、登記を完了した場合、法律的には所有権というものはその人に移されていってしまう。こういう点——私は法律的に詳しくありませんけれども、非常に処理がめんどうになってくるのじゃないか。何か根本的にそこに欠陥があるように思うのであります。現実には今行われておるのは、そういう実情で処理が困難になっておるように思うのであります。結局政府の方が負けちまって、あるいは処理するのに長びいてしまって、めんどうくさい、そうでなくても、人手が足りないのに、なかなか今のお言葉通りに処理できないという実例が多い。私はそういう実例を幾つも知っておるわけです。今そういう言明がありましたけれども、なかなか困難じゃないか。根本的な問題についてはどう考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/75
-
076・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) これは実はかねがねわれわれも、根本的に非常に、日本の現在の登記制度あるいは台帳制度、これは御承知のように終戦後に相当変っております、昔の制度がだいぶ変っております。それからもう一つ変ったのは税制でございます。昔でございますと、御承知のように地租、家屋税、これが全部国税でございまして、そうして国が地租、家屋税を調べまして、民有の土地には全部地租をかけ、また家屋には家屋税をかけております。国の方の税務署における台帳は非常に権威を持っておったわけであります。従って、一方、登記所の制度とこの今の課税の制度とが相表裏いたしまして、いわゆる民有地はこれは有租地である、だから常に、税金を納めていない土地はすなわち国の土地であるというふうな原則が、非常に長い間確立されておったわけであります。それが終戦後に登記のシステムが相当変りましたし、また、税制も根本的に変りまして、今は固定資産税という形で地方税になっております。私は、こう
いう問題が非常に大きな問題かと思います。また、今日、登記の制度というものが非常にアメリカ式に、形は非常に能率のいいようになっておるのでありますが、嘱託をしましてやるのでありますが、登記の権威というものについては、いろいろ今お話のように多少の問題もあるようにも伺っております。そこで、これらは根本的に、昔の二本の制度と今日の制度とどちらがいいか、こういう問題があろうかと思うのでありますが、私は少くとも、さような根本的な問題は、これはひとり大蔵省の国有財産の問題だけではございませんので、土地制度全体、家屋制度全体の問題でございますし、登記制度全体の問題でもございます。また税制全体の問題でもございますので、一挙にそうは参りません。そこで、やむを得ませんので、先ほど御質問のありましたような境界の査定あるいは立ち入り調査というふうな規定を設けていただきまして、少くとも、国の所有に現になっておってその実態の不明なもの、または国の所有ではないかというような相当の疑うに足る理由のあるようなもの、こういうようなものについて一斉調査をやろうということが、今回の国有財産法改正の一つの柱でございます。そのために予算を、申し上げたように一億一千万円も思い切って認めていただいたわけでありまして、これは終戦後として初めてでございまして、昔であればかようなことをやる必要はない、五年に一回の土地賃貸調査をやりまして、有租地の賃貸価格を調査いたしますと、おのずから租税のかからない土地、すなわち国の土地がはっきり出てきたのであります。非常に昔の制度というものは妙味があったと思うのでありますが、それがすっかり変りましたので、やむを得ず、国が自分の土地だけの調査を自分の土地保全という目的でやる、こういうことを一応書いたのであります。今の御質問に対する答えとして少しはずれたかもしれませんが、私はやはり、それらの点については、それぞれの当局において十分御検討を願わなければならぬような面もあるのではないか、こういうことも考えておりますが、とりあえずそういうことを待てませんので、大蔵省の国有財産だけは一斉調査をやる、大体三年間にすみからすみまで国有財産を調べ上げよう、こういう態勢を一応とっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/76
-
077・平林剛
○平林剛君 私の質問は、結局法律上には譲渡したときの目的と反した場合に処理するようになっておる。しかし、実際上には根本的な問題があって、なかなか困難だ、これが結論になると思うのです。昨日の委員会において私が指摘した江戸川区の小岩の六万坪の土地についても同様でありますし、結局どこがその責任を持つのか、反した行為があった場合に、どこが責任を持つのかということになりますと、雑談の中でもありましたように、きのうの六万坪の問題は、政府の方であるか、政府は国有財産として責任を持って処分するのか、また、都が立ち入っておる、都が責任を持ってやってくれるのか、こういうことになりますと、だんだん責任の所在が明確でなく、あいまいになる、こういうことが法律上明らかになってきても、実際の運用においては、譲渡した目的に反したことがあるときに手をつけられない、こういう結果になっていくおそれが私はあると思いますが、その点についてはどういうふうにお考えになっておりますか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/77
-
078・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) これは、契約の当事者として、もとより責任者は、はっきりいたしておるわけであります。きのうの、御指摘の具体的な事例でございますが、これは江戸川区長が契約の当事者になっておりますので、江戸川区長というものをその出先機関とする東京都、これが全責任を持つおけであります。われわれは東京都を相手どりまして、一切国損の生じないような処理をいたすつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/78
-
079・栗山良夫
○栗山良夫君 次に国有財産特別措置法の一部を改正する法律案、これで伺いますが、ただいま住民の居住の用に供している普通財産たる建物、こういうようなものは、全国で一体何軒ぐらいありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/79
-
080・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) ただいまの御質問、ちょっと資料を今持ち合せませんが、われわれの方で一応サンプル的な調査はできております。これはちょっと私より一課長が詳しゅうございますので、一課長からサンプル的な調査の状況を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/80
-
081・天野四郎
○説明員(天野四郎君) 全国に、われわれの持っております国有財産のうち、住宅の用に供しますものの資料は手元に持っておりませんけれども、本法案の対象となっております危険な状況にあります建物、その資料は持っておりますので、御参考のために申し上げたいと思います。それは全国で、棟数にいたしまして千二百三十八棟でございまして、坪数にいたしまして十一万三千五百二坪でございます。この内訳といたしまして、建築基準法の十条の一項に基きまして、たとえば消防庁から、除却とか、移転とか、改築等の適宜の対策を講ずるように命ぜられておりますのが十六棟、三千九百九十九坪、それからそのような勧告は受けておりませんけれども、保安上危険だと認定されるものが残りの千二百二十二棟、十万九千五百三坪でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/81
-
082・栗山良夫
○栗山良夫君 居住の用に供している普通財産の全戸数というのは、今資料をお持ちになっていないということですが、数はつかんであるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/82
-
083・天野四郎
○説明員(天野四郎君) 正確な数はつかんでおりませんけれども、大体推定できるような数字は持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/83
-
084・栗山良夫
○栗山良夫君 その、今問題になっておる家というのは非常に問題なものなんですよ、おそらくこれは家賃も取っておられないでしょう、大部分。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/84
-
085・天野四郎
○説明員(天野四郎君) この大部分は、地方団体に対しまして無償貸付いたしております。しかし、地方団体におきましては、管理上、若干の使用料は居住者から取っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/85
-
086・栗山良夫
○栗山良夫君 いや、そうじゃないのですよ、実態は。ほとんど取れていないのです。私も、数字をあげろと言われては困るけれども、実際は取れていないのです。それは結局非常に低所得者が入っているから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/86
-
087・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) ただいま栗山委員の御指摘になりましたようなケースも、実はきのうも具体的にごらんをいただいたのでありますが、低所得層で、非常に低廉な家賃を取ろうとしてもお払いになれないというふうなことで、お払いになっていない者もあるようでありますし、きのうも現場でいろいろお話し申し上げたのですが、御承知のように、住宅扶助という制度が一方あるわけでございますので、どうかこの住宅扶助制度を活用して、取るべき家賃を取らないかというふうに従来われわれ財産管理の立場から申しておるのでありますが、どうもいわゆる生活保護でございますか、この生活保護制度の運用が十分にいっておりませんので、低所得層だからといって家賃を取らずに貸している点は、ままあるように私も承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/87
-
088・栗山良夫
○栗山良夫君 ただいまの問題は、おそらく今までの大蔵省での財産管理から言えば、能力の限界外の問題であって、手がつかなかったのじゃないかと、私はそういうふうに理解はします。しますが、その危険戸数というものは、相当ひどい家が実際あります。現にこの間も、ある地方で、三軒長屋で天井が落ちたために家全体がぐしゃっと横になってしまった。中に人が住まっておるのです。これが国有財産です。それで、えらい問題を起したことがあるのです。そういうので非常に問題だから、整理をされることが私は大へんけっこうだと思いますが、この法律は今言われた千二百三十八棟全部をやるという法律じゃありませんね。そこを明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/88
-
089・天野四郎
○説明員(天野四郎君) 全部ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/89
-
090・栗山良夫
○栗山良夫君 そうしますと、消防庁が除却を命じておるような建物が千二百三十八棟あって、そのうち第一次公営住宅の敷地を建設するために地方公共団体にどれだけか渡すわけですね。それは一体どのくらいの予定ですか。この千二百三十八棟のうち……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/90
-
091・天野四郎
○説明員(天野四郎君) まだ具体的にきまっておりませんが、内々建設省とは協議中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/91
-
092・栗山良夫
○栗山良夫君 そうすると、その残りはどうされるわけですか。その危険なものは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/92
-
093・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) この建設省に対しまして、まあ第一次公営住宅の予算のうちから大体五百戸程度というものは保留してございまして、これを具体的にたとえば昨日委員の方々にごらんをいただきましたようなところに当てはめまして、実行可能なものはできるだけやっていこうという態勢で進めておるのでございますが、全部が全部参るというふうに甘くは考えておりません。そこで残ったものをどうするかという御質問、まことにこれは私どもとしても放置できないのでございまするので、これは無償でお使いになっておられるような地方公共団体の方でぜひとも安全な程度のものに補修していただきたいということをやかましく申すつもりであります。そうでなければ、こちらから補助金を出すのでございますから、こちらからと申しては口幅つたいのでございますが、建設省所管の補助金が出るのでございますから、ぜひこの補助金でやってもらいたい。どうだ、どうだというふうに責め立てていく一つの大きな道具に切めて使っていきたいと思います。ことに、今までそういうことがなかったものですから、責め立てようにも、地方財政が苦しいといわれますと、それきりだったのですから、今回こういう新しい道を開いていただけば、大いに責めていきまして、そのかわり、やらないというんなら、お前の方の責任で最小限度の補修をしなさいと、こういうふうに持っていくつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/93
-
094・栗山良夫
○栗山良夫君 今の問題はこの法律に直接関係のないことですけれども、非常に重要なことなので、どういうふうにしますかね。今の大蔵省の考え方を、これは建設省と十分に打ち合せしてもらって、この委員会で建設省からとにかく明確にしてもらわなければいかぬと思うんです。とにかく地方公共団体が善意で、やれるだけは危険なやつはやりましょう、残ったやつは対策わかりませんよ、ということでは、これは行政としては非常に片手落ちだと思うんです。しかも住宅建設については国の相当な予算を取ってやっておるのにかかわらず、一番おひざ元がそういうだらしない態度でやるのはよくないと思う。これはどういうふうにされるか。今ここですぐお聞きしようとは思いませんけれども、建設省とよく打ち合せて、そうして結論をこの法律案の審議中にこの委員会に一つ述べてもらいたい。そのお約策が願えますかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/94
-
095・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) これは建設省だけでございませんで自治庁財政関係、主計局の地方財政、あるいは理財局の地方資金、いろいろの関係がございます。一つこの点は、私の希望としましては、今まで何もなかったのを、これだけでもやる誠意を一つ栗山委員にもお認め願って、これをきのうも委員の方にごらんいただいて、これは一刻も早くやらなければいかぬという気持だったと思います。先にこの法律をお通し願ったあとで、法律の適用のないやつの対策を考えろということでございますなら、この会期中に何とか早く考えさしていただくことでお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/95
-
096・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/96
-
097・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/97
-
098・栗山良夫
○栗山良夫君 私の資料に対する答弁、あっちこっち相談をして、委員会の審議中に報告しなければ議事進行はしないと、こう私は言ったわけだが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/98
-
099・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) ただいまの栗山委員の御質問、まことにごもっともでございますが、私どもとしましては、今回この措置法の改正をお認めいただければ、これによりまして、できる限りこの公営住宅の制度と結びつけまして、今お述べのような危険な建物等を整理いたしまして、なお従来管理責任が明確でなかったような点につきましても、公営住宅として、はっきり管理責任を明確化する、こういうねらいでやっております。つきましては、その残ったものについて、関係の向き向きで相談をして、いろいろここに資料を出すかという御質問でございますが、これはできる限りすみやかに関係の向き向きと話合いをいたしたいと存じますが、何分地方財政にも関係がございますし、また今日非常にむずかしい、地方の、何と申しますか、全体の財源措置いうふうなことと関連をいたしまするので、簡単に中央各省庁が引き受けるというふうなこともむずかしい面もあろうかと存じます。しかし方向としましては、われわれはさような方向に進みたいという意欲を持っておりますことの現われとして、今回のような改正をお願いしておりまするので、ぜひともできる限りすみやかに関係の向き向きと話をいたしまして、その方向に持っていくべく努力をしたい、かように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/99
-
100・栗山良夫
○栗山良夫君 そうでなくて、戦後、建設した戦災住宅ですら、もう建てかえしなければならぬ時期にきているのですよ。これらはその前のやつなんです、全部……。それだから、そういうものから始末をしていかなければ、戦災住宅はどうします。そういう意味で、金があるないの問題じゃないのだから、それだから、しかも相当金は予算的に措置せられているのだから、早く関係省と打ち合せをして、そうしてイエスかノーかでいいですよ、ノーならノーでいいでしょう、私ども、意見もあるから……、だからここでちゃんと委員会に報告してもらいたい。それからあとで討論しなければならない。そういうふうにお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/100
-
101・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) できる限りそういう御希望に沿いたいと思うのでありますが、一方われわれが今ねらいとしておりまする分の実施が非常に急がれておりますことは、昨日現場を御視察願いました委員の方々もよくおわかりの通りだと思います。つきましては、その回答はむろん関係の省庁に相談をいたしまして、できるだけすみやかにやるのでありますが、この法律で所期しておりますところの施策は、これは一刻も早くできますことを、われわれとしては希望いたしますわけで、これらの点につきましても、あわせて御了承願いたいと、かように考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/101
-
102・栗山良夫
○栗山良夫君 この法律を通す通さないということは、何も一週間、十日を争う問題じゃないのですよ。それだから今国会中にはだめですとか、そういうことを申し上げているのじゃなくて、そのことだけわかればよろしいと申し上げているのだから、それだから関係省とちょっと打ち合せして、その方向だけ示してもらえば、それでいいじゃないですか。それの答弁があした中になければ、この法案は審議しないとか否決するとか、そう申しているのじゃないのですよ。そうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/102
-
103・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) 今のお言葉をお返しするわけじゃありませんが、ちょっと打ち合せてとおっしゃいましたが、事この財源の問題になりますと、実にシリアスでございまして、建設省と話をして、すぐ自治庁に参りますわけでありますが、自治庁では待ってましたとばかり、これに要する金が幾らというようなことになりまして、そうしますと、交付税の配分とかいうようなことで考えなければならんことになりまするので、なかなか簡単にはいかんと思いますが、また簡単にやったようなことでは無責任になるようでございまして、約束をいたしましたことは是非実行さしていただきたいと思いますので、その点につきましては、本日早速関係省庁と話を開始いたしますが、結論を得てそれを必ず実行するという案ができますまでに、しばらく時間の御猶予を願いたい、こういうことだけ申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/103
-
104・西川甚五郎
○西川甚五郎君 今の速記、あのままでいいですか。自治庁へ行ってどうこうやられるとかいう話、速記に載ってもいいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/104
-
105・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) けっこうだと思います。むしろ非常にむずかしいということを率直に申し上げて、簡単にはいかないということを……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/105
-
106・栗山良夫
○栗山良夫君 それからもう一つ、この国の庁舎等の使用調整等に関する特別措置法案、この中で、この前、サンプル的な資料はもらっておりますが、一番重要なのは、やはりこの東京都内を対象にしたものなんかが重要だと思います。この間、説明員の方と連絡があったのですが、私はそのときにも申し上げておきましたが、大体この法案については、積極的に賛成をしたいと思っているわけなんですが、ただ運用の問題なんだね。で、大よそ、その大阪とかそちらの方の資料は大して私は、必要ないとは申しませんけれども、全国的な規模において承知をしたいと思うのですが、わけても東京都の中で、大体これだけ国家公務員、役所の機関があって、それをどういう工合に統合すれば、どのくらいの坪数があるとか、それから、あとどのくらいの坪数のものが処分の対象になし得るのだと、そういう目安が私は立つと思うのだ。これこそ、そう厳格なものでなくていいと思うのです。ごくアウトライン的なものであっていいと思うのですが、そういうものを示してもらわないと、それこそ趣旨は大賛成だけれども、あまりにも空漠としている。その点をぜひとも資料的に整えていただきたいという、一とが一つ。それから第二番目は、こういう工合にしてあいた国有の土地ですね。それの処分というのはこれは非常に問題だと思うのですがね。その処分は先ほど問題にしましたあれでおやりになるのですか。国有財産の一部改正の審議会でおやりになるわけですか。その点を明確にしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/106
-
107・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) 第一点の、資料につきましては、これは大たい東京を初めとしまして各主要都市の計画ができておりますが、早速資料でお出しいたします。
それから第二の、この立体化、集約化によって出てきました土地の処分でございますが、これはまさに仰せの通り、審議会の議に付しまして、財務局長なり大蔵大臣において処分をいたすわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/107
-
108・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 国有財産に関する四つの法律案の質疑は、本日は一応この程度にとどめて、後日になお譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/108
-
109・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 次に、日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案を議題として、事務当局より内容の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/109
-
110・東條猛猪
○政府委員(東條猛猪君) お手元に日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案要綱という書類と、日本輸出入銀行法の改正による業務範囲比較と、この二つの資料を御配付申し上げてございます。両方を対比しながら御説明を申し上げて参りたいと存じます。
大体法律案要綱の横書きの分につきまして、文書に即しまして御説明申し上げて参りたいと存じますが、従来、日本輸出入銀行の業務の重点は、申し上げるまでもなく、日本からのプラント等の輸出に伴いまする金融というのが重点でございましたが、わが国の海外輸出入市場の開拓、確保及び外国との経済交流の促進をはかるということがさらに必要と考えられまするので、今回日本輸出入銀行の海外投資金融業務の拡充ということを主眼といたしまして、次の通り日本輸出入銀行法の一部の改正をお願いしたいという次第でございます。
第一は、技術の提供に対する金融の問題でございますが、本邦から海外への技術の提供でございまして、海外輸出入市場の開拓、確保、または外国との経済交流の促進に寄与するものにつきましては、本邦からの設備等の輸出が直接伴わない場合におきましても、貸付の対象とすることにいたしたい次第でございます。別のこの業務範囲の比較表をちょっとごらんいただきますと、同じことを表の形で作ってございますが、左の欄が現行の欄でございまして、右の方が改正法案の内容でございますが、一番目の輸出金融につきましては、ただいま申し上げましたように、現行制度におきましては、設備等の輸出及び設備等の輸出に伴いまするところの技術の提供を促進するための融資ができるということになっておりますのを、設備等の輸出を必ずしも伴いませんでも、つまり単独の技術提供に対しまする金融をも追加していただきたいというのが第一の点でございます。
第二は、海外投資金融——法律案要綱に返って申し上げておりまするが、海外投資金融でございます。投資金融につきましては、その目的を拡張いたしまして、海外輸出入市場の開拓、確保または外国との経済交流の促進に寄与するものは貸付の対象とするように改正をいたしますとともに、投資金融の形態につきましても、次のものをも含めるようにその範囲を拡張していただきたいと、こういうことであります。その形態と申しますのは、日本側の出資者に対しまして、海外で合弁事業が行われておる場合におきまして、本邦側の出資者に対しまして、海外における合弁事業の相手方の出資者、つまり国外の合弁事業の相手方の出資者というものが、出資資金を必要といたしまする場合におきまして、その出資資金を日本側の出資者に対して貸付ができる。くどくど書いてございまするが、合弁事業が海外にございます場合に、外国の出資者が金がほしい、金が要るという場合におきましては、その金を日本の出資者に対して貸付けることができるということにいたしたいという点が一つでございます。括弧の中に書きましたように、この場合、合併事業の相手方の出資者が、外国の政府、政府機関あるいは外国の地方公共団体である場合におきましては、これに対しまして直接貸付を行い得る。この場合は日本にありまする出資者を通じる必要はないということにしていただきたいというのが第一でございます。
第二の点は、海外投資を目的といたしまする本邦投資会社の出資者に対しまして、その出資資金で投資会社を通じて海外に投資されるものを貸し付けることができるということにしていただきたいというのが第二点でございます。つまり日本の投資会社でございまして、それは海外投資を目的としておるという投資会社がありました場合に、その投資会社の出資者に対しまして、その出資資金で投資会社を通じて海外に投資されるというものにつきましては、やはり貸付ができるようにしてほしいと、こういうことでございます。つまり出資資金に関する融資の問題でございます。
第三の点といたしましては、本邦法人または本邦人が出資その他を通じまして実質的に支配しておりまするところの外国法人に対して貸付けるための資金、それを本邦法人または本邦人に貸し付けることにしていただきたい。つまり外国法人でありまするが、それを出資その他の形で実質的に支配いたしておる。その支配いたしておりまするところの法人に対しまして、本邦法人または木邦人が金を貸し付ける資金を輸出入銀行から融資ができるようにしていただきたい、こういうわけであります。ただしこの場合におきましては、括弧の中に入れてございまするように、設備の新設、拡充資金、あるいはこれに伴いまする長期資金に充てられるものに限定をいたす、こういう趣旨でございます。従来の制度におきましては、この海外投資金融の点は比較的狭くなっておりまするのを、相当広く拡充をお願いしたいという点でございます。この点は簡単な一枚紙のところで、くどくもう一応申し上げてみますると、四番目のところに海外投資金融とございまして、現行の制度で参りますると、本邦からの輸出及び本邦からの輸出に伴いまする技術の提供を促進したり、あるいは日本の輸入市場の国際収支上、より有利な地域への転換を促進する、輸入市場の転換をはかるという、こういう比較的狭い目的を果すために必要な場合でございまして、外国法人への出資の資金あるいは外国法人の株式取得資金あるいは外国法人への設備金等の貸付資金を貸し付けられる、こういうことに相なっておるものを、右にあげましたように、輸出あるいは輸出に伴う技術の提供、あるいは輸入市場の転換というよりも広く、「本邦の輸出入市場の開拓あるいは確保または外国との経済交流を促進するため」というふうに目的を広げていただきますとともに、投資の形態、資金の使用の形態におきましても、先ほどるる一、二、三と申し上げましたような工合に、この使途の拡充をお願いいたしたいというのでございます。
次は法律案要綱の方へ返りまして、海外事業金融でございまするが、海外投資金融と海外事業金融、似たようなものでございますが、この海外事業金融の方は、むしろ直接海外で日本側において事業をいたしておる場合のことを考えておるのでありまして、この海外事業金融の目的を、海外投資金融の場合と同様に、この目的の拡充をお願いいたしたいというほか、海外で行いまする事業は、生産事業以外の事業にも拡張するということにいたしますとともに、資金の使途を、広く設備の新設、拡充資金及びこれに伴う長期資金にまで拡張をお願いいたしたい、こういうわけでございます。
この一枚紙の方で今の趣旨を書いてございますが、この海外事業金融というところでごらんをいただきまするように、左が現行制度になっておりまして、やはり日本からの輸出及びこれに伴いまする技術の提供の促進、あるいは輸入市場の転換を促進いたしますがために、外国において行うところの生産事業の設備の新設または拡充資金ということになっておりまするのを、目的を、やはり経済交流というところまで広げていただきますとともに、対象の事業を、生産事業というものに制限をするという制限をはずしていただきたい、設備の新設または拡充資金ということのほかに、長期運転資金の貸付を御追加いただきたいという趣旨でございます。
次に要綱に返りまして、外国政府等に対する開発資金の貸付でございます。外国におきまする開発事業等につきましては、次の場合には、外国の政府、政府機関または地方公共団体に対しまして、直接に、または、本邦法人または木邦人を通じまして間接に、その事業に必要な開発資金を貸し付け得ることとしていただきたい。ただし、この場合には、以下の一、二の条件をつけるわけでありまして、開発されまする物資が、本邦経済にとって重要な物資であり、かつ、その大部分が本邦に輸入されることが確実である場合、第二番目は、開発事業のための設備等の大部分が本邦より輸出される場合、この二つの条件を充足いたしまする場合におきましては、外国政府等に対しまして、開発資金の直接または間接の貸付をお願いいたしたい、こういうわけでございます。こちらの表の六番の開発事業金融、非常に端折って書いてございますが、それが現行ではございませんが、改正法案では、こういう比較的限定せられた場合にお願いをいたしたい、こういうわけでございます。
法律案要綱の方に返りまして、償還期限でございまするが、現在の償還期限の最長限は、輸出入金融につきましては、原則は五年、例外の場合は十年まで認めて、それから投資等のその他の融資におきましては、原則は十年まで、場合によって十五年までということになっております。つまり、原則は輸出入金融は五年、その他は十年と相なっておりまするが、原則はやはり現行通りといたしておりまするが、契約上の支払い条件、取引の実情または事業収益見込み等の点から、現行制度によりますることが著しく困難な場合で、特に必要あります場合には、この五年、十年の現行の制度を例外的に期限を延ばす。ただし、この場合におきましては、個々の場合のケース・バイ・ケースの実態に即して輸出入銀行で運用いたすことにいたしまして、最長の制限をおかないことでお願いを申し上げたい、こういう趣旨でございます。
その次は、借入金及び債務保証の限度の問題でございまするが、借入金の限度を自己資本の二倍といたしまして、貸付と債務保証の合計額は、自己資本と借入金の限度の合計額をこえないことということをお願いいたしたい、こういう趣旨でございます。現行は大ざっぱに申し上げまして、自己資本同額という制限があるというふうに御承知いただきましてけっこうでありまするが、最近のいろいろの事態を考えてみますると、借入金の限度の拡張をお願いいたしたい、こういうことでございます。
その他の事項といたしましては、以上のような業務範囲の拡充に伴いまして、日本輸出入銀行の目的その他につきまして所要の改正を加えまするほか、理事の現在の五名の定員に二名の増員をお願いいたしたい、こういう趣旨でございます。
なお、輸出入銀行の主として業務範囲の問題につきましては、関係各方面、民間の経済団体等からも、いろいろの要望が出ておりまするが、ここでごらんいただいております法律案要綱によりますれば、ただ一つの点を除いて、すべての点を充足しているということに相なるわけでございます。一つの除外例と申しますのは、一部の民間の意見といたしまして、輸出入銀行が直接株を持って投資できるように、直接投資の道を開いてもらいたいという要望がございまするが、いろいろ検討いたしました結果、適当であるまいということで、その点は除外いたしておりまするが、以上申しましたことで、いろいろ各方面の要請をも充足いたしておりまするし、この法律案が成立した暁におきましては、日本と諸外国との経済交流の促進または日本の経済の発展ということに大いに資するところがあるであろう、こういうふうに考えております次第でございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/110
-
111・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 本案に対する質疑は後日に譲りまして、本日はこれにて散会をいたします。
午後三時五十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03119570419/111
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。