1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年五月十五日(水曜日)
午前十一時七分開会
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委員の異動
本日井上清一君を議長において委員に
指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 廣瀬 久忠君
理事
木内 四郎君
西川甚五郎君
江田 三郎君
平林 剛君
天坊 裕彦君
委員
木暮武太夫君
塩見 俊二君
田中 茂穂君
土田國太郎君
苫米地英俊君
宮澤 喜一君
天田 勝正君
大矢 正君
野溝 勝君
島村 軍次君
杉山 昌作君
衆議院議員
春日 一幸君
政府委員
大蔵省大臣官房
日本専売公社監
理官 白石 正雄君
大蔵省主計局法
規課長 中尾 博之君
大蔵省主税局長 原 純夫君
法制局第一部長 亀岡 康夫君
事務局側
常任委員会専門
員 木村常次郎君
参考人
全国農業協同組
合中央会副会長 更級 学君
たばこ耕作組合
中央会会長 河合 冲君
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本日の会議に付した案件
○小委員の報告
○福島県に国立たばこ試験場設置の請
願(第六九号)(第一二三号)(第
一三〇号)(第一四六号)(第三六
五号)(第四二一号)
○寒冷地に対する税法上の特別措置に
関する請願(第一二一号)
○農家に対する課税軽減の請願(第一
三七号)
○国民金融公庫資金増額に関する請願
(第四九六号)
○ラジオ放送設備の耐用年数短縮等に
関する請願(第七〇五号)
○薪炭手当の免税に関する請願(第七
三九号)(第一〇八五号)
○中小企業専門金融機関に対する財政
投融資金増額の請願(第九五一号)
○電気機械工業の固定資産償却に関す
る請願(第一一〇六号)
○東京都小岩町旧晴一九〇一部隊小岩
第一大隊跡の土地家屋所有権に関す
る請願(第一一六八号)
○福島県太田葉たばこ仮収納所継続に
関する請願(第一八一五号)(第一
八二二号)(第一八五九号)
○福島県東和村に葉たばこ収納所設置
の請願(第一八二三号)
○旧朝鮮銀行及び旧台湾銀行の預貯
金全額支払等に関する請願(第一九
七〇号)
○中小企業の資産町評価の特例に関す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○たばこ耕作組合法案(衆議院送付、
予備審査)
○造幣局特別会計法の一部を改正する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/0
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001・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) これより委員会を開きます。
まず、請願に関する小委員長より請願審査の経過並びに結果について報告を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/1
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002・西川甚五郎
○西川甚五郎君 昨五月十四日、小委員会を開きまして、紹介議員からの趣旨の説明、各委員の意見及び政府の見解を十分に聴取し、慎重に審議いたしましたが、その結果は次の通りであります。第六十九号、第百二十三号、第百三十号、第百四十六号、第三百六十五号、第四百二十一号は福島県下に国立たばこ試験場を設置せられたいとの趣旨でありますが、政府において検討を要するものと考えられ、また第百二十一号は、寒冷地に対し税法上特別措置を講ぜられたいとの趣旨でありますが、政府において検討を要するものと考えられ、また第百三十七号は、農家に対する課税について今後も減税措置を講ぜられたいとの趣旨であり、第四百九十六号は、国民金融公庫資金の増額をはかるとともに、その配分について鹿児島県の特殊事情を考慮せられたいとの趣旨であり、第七百五号は、ラジオ放送設備の現行耐用年数を短縮し、またテレビジョン放送設備の耐用年数の制定に際しては、事業の特殊性を勘案せられたいとの趣旨であり、第七百三十九号、第千八十五号は、薪炭手当について免税措置を講ぜられたいとの趣旨でありますが、政府において検討を要するものと考えられ、第九百五十一号は、国民金融公庫、中小企業金融公庫等への融資ワクを増額し、中小企業の育成をはかられたいとの趣旨であり、第千百六号は、電気機械工業の固定資産償却について特別の措置を講ぜられたいとの趣旨であり、第千百六十八号は東京都小岩町元陸軍小岩第一大隊跡の土地、家屋の所有権の明確化について善処せられたいとの趣旨であり、第千八百十五号、第千八百二十二号、第千八百五十九号は、福島県太山葉タバコ仮収納所を廃止せず、存続せられたいとの趣旨であり、第千八百二十三号は、福島県安達郡東和村に葉タバコ収納所を新設せられたいとの趣旨であり、第千九百七十号は、旧朝鮮銀行及び旧台湾銀行の預金について一部支払われたが、その全額についてすみやかに支払う等の措置を講ぜられたいとの趣旨でありますが、それぞれ妥当と考えられます。よって以上二十件は、いずれも採択すべきものと決定いたしました。
なお、本国会において、当委員会に付託せられました請願のうち、第三十二号外九十六件は、いずれも現状においては、なお検討を要するもの、または今国会提出法案により措置済みのものである等の理由で留保するものと決定いたしました。
以上御報告を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/2
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003・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) ただい三報告を聴取いたしました請願につきましては、小委員長報告の通り決することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/3
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004・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 御異議ないと認めます。よって本委員会は、本委員会付託の請願につきましては、小委員長報告の通り決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/4
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005・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 次に、中小企業の資産再評価の特例に関する法律案を議題といたします。
本案は衆議院において修正されておりますので、この際、衆議院における修正案提出者よりその説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/5
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006・春日一幸
○衆議院議員(春日一幸君) ただいま議題となっております中小企業の資産再評価の特例に関する法律案に対する、衆議院における修正について御説明を申し上げます。修正条項については省略させていただきます。
今回の特例で、中小企業の経営改善に資するところ多いというのでありますが、現在の中小企業の特殊性にかんがみまして、また従前の再評価における特例等をも考慮いたしまして、次のように修正をいたしたものであります。
一、今回の再評価税率百分の二とあるのを百分の一・五とする。
二、再評価税の納付方法、二年間均分納付とあるのを、三年間均分納付とする。
三、再評価の申告について、法人の場合の最終期限を一カ月延長する。
四、固定資産税の課税標準の基礎となるべき価格は、地方税法の規定にかかわらず、三年間は再評価を行う前の価格とすること。等であります。
以上が衆議院の修正の趣旨及びその内容であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/6
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007・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 議事の都合によりまして、まず、ただいま説明を聴取いたしました衆議院の修正点について質疑を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/7
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008・大矢正
○大矢正君 衆議院では、原案である百分の二の税率が百分の一・五になったということは、中小企業の現在の能力の限界を見きわめて下げたものと私は思うのでありますが、まあ中小企業といいましても、内容の充実した中小企業から、非常に苦しい中小企業から、相当の開きがあると思うのでありますが、そういう中で百分の二を一・五%にされた。また、したことについては確かに好ましいことであり、よろしいことであるに違いないのでありますが、しかし、これでもなおかつ、私の想定では重いのではないか、むしろ、もっと引き下げるべき余地があったのではないかというふうに考えるのでありますが、その点はいかがなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/8
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009・春日一幸
○衆議院議員(春日一幸君) 審議の過程におきましても、ただいまお説のありましたような点につきまして、社会党の側から無税論が強力に主張されたのでございます。しかしながら、この問いろいろ委員会において、両党間において深い話し合いが進められたのでありまするが、第一次、第二次、第三次の均衡等も考慮されまして、この際、ただひとり税率の問題ばかりでなく、資産再評価の障害となっております固定資産税の関係、なお、この毎評価税の納付期限の延長等をあわせ考えることによりまして、この無税論は、これら他の二つの政策とからみ合せまして、一・五%にしようではないかという、こういうことで妥結を見た次第でございます。従いまして中小企業の負担能力並びに中小企業がそれぞれ償却をいたしまする前における利益が少い等の実情から考えまして、無税論はなお強く主張されておったのでありますが、ただいま申し上げましたような審議の経過を通じまして、このような修正案に妥結をいたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/9
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010・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) それでは、本会議がこれから開かれまするので、修正点についての質疑は一応これでとどめまして、暫時休憩いたします。
午前十一時十七分休憩
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午後一時四十分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/10
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011・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 休憩前に引き続き、委員会を開きます。
たばこ耕作組合法案を議題といたします。
本案につきましては、昨日の委員会の決定に基き、たばこ耕作組合中央会会長河合沖君、全国農業協同組合中央会副会長更級学君に参考人として御出席を求めましたので、これより両君の御意見を伺うのでありますが、その前に一言ごあいさつを申し上げます。
参考人の方々には御多用のところを御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。当委員会といたしましては、皆様方の御意見を十分に拝聴して、今後の法案の審査に参考といたして参りたいと存じておりますので、忌憚のない御意見の開陳をお願いいたします。なお後刻、各委員よりいろいろ御質問を申し上げますが、その際は簡単に御答弁をお願いいたします。
それではまず更級君にお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/11
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012・更級学
○参考人(更級学君) 私、全国農業協同組合中央会副会長の更級でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
ただいま委員長からお話のございましたたばこ耕作組合法に関しましての、われわれ農業協同組合側といたしましての所信を申し上げたいと思うのであります。
たばこ耕作組合の法人化の問題がいろいろ議題となって参りましたときに、われわれ農業協同組合といたしまして、この法人化に対してのいろいろの希望、農民の方々の御意見もありまして、われわれは農業協同組合側といたしまして、この問題にどういうふうに対処したらよかろうかということにつきましての、いろいろな検討を加えて参っておったのでございます。それに関連しまして、本年の三月の二十八日に、全国の農業協同組合の代表者会議が開催されまして、その際に、われわれといたしましての、この問題に対処する問題の一応の決議をいたしておりますので、これを一応御紹介申し上げたいと存じます。
「農業協同組合の経済事業と競合を激化するたばこ耕作組合の法人化反対に関する決議」、こういう主題をもちまして、「今回たばこ耕作組合を法人化することによって、たばこ耕作組合の行う経済事業と農協の経済事業とが競合し、無用のまさつを惹起することに対し、農民が危惧の念をいだきつつあることは現実であり、且今後の農村経済の円滑な進展を阻害するおそれあることは甚だ遺憾である。よってわれわれは農協の経済事業と競合を激化するが如きたばこ耕作組合の法人化に反対するものである。右決議する。」こういうような趣旨をもちまして、たばこ耕作組合の法人化によって、われわれ農協の営むところの経済事業との問に無用の摩擦、競合を起すことは、はなはだ困る。そういうような形の法人化に対しては反対である。こういう決議をいたして参っておるのでございます。これに対しましては、ただいま提案になっておりますところのたばこ耕作組合法案を拝見いたしました場合に、この法案がそのまま実施された場合に、われわれの力といたしまして、どういう問題が起るかということを考えてみますると、この法案をそのまま実施いたしますと、ただいまも申し上げました決議に対しまして、われわれとしては、やや不安の念を抱かなければならぬ点が二、三あるのでございます。
その一つは、法の第三条の第一項にございますところの地区、たばこ耕作組合の地区の問題が一つ、それから法第八条の第一項第三号にありますところの「葉たばこの生産上必要な肥料その他の資材の共同購入」という問題第三には、その第四号にありますところの、「葉たばこ生産上必要な資金の借入のあっせん」、こういう三つの問題が、われわれ現在ただいま申し上げました農協の経済事業と競合する問題になっているのじゃないかということを、非常に心配いたす次第でございます。でありますので、なお、つけ加えますれば、その十二にありますところの、「前各号の事業に附帯する事業」というものがございます。これは今後の問題でございまして、未確定のものでございますから、はっきりいたしませんが、この付帯事業におきましても、あるいは将来われわれの経済事業と競合することが起り得る可能性があるのじゃないかということを、非常に心配いたす次第でございまして、そういうような問題がこの法案の中に考えられるのでありまして、この法案の実施ということにつきましては、われわれはその点に十分なるところの、こういう問題について農協との関係において摩擦競合をきたさないような措置を確実にとっていただきたい、こういうふうに考える次第でございまして、それに対しまして、われわれのいささか考えておりますところの、この措置につきましての私の考え方を申し上げてみますれば、
ただいま申し上げました法三条第一項の地区の問題につきましては、いわゆる地区たばこ耕作組合の地区は、農業協同組合の地区と競合しないようにしていただきたい、こういうふうに考えるのであります。でありますので、その地区は、原則としては、地方局の直轄あるいは支局、出張所の管轄する地区を区域とするようにいたしていただきたい。また、特別の地区を設ける場合におきましても、農協の地区と同一にならないようなふうなことを考えていただいたらいいのじゃないか。こういうふうに考えるのであります。
次に、ただいま申し上げました第二の、第八条第一項第三号の「肥料その他の資材の共同購入」につきましては、肥料はもとより、資材その他に関しましても、これは葉タバコの生産に必要なものに限定をする。たばこ耕作組合が法人化された場合の取り扱いといたしましては、葉タバコ耕作に必要な肥料ないし資材にこれを限定することといたしまして、そのお取り扱いになる品目、数量等につきましては、耕作組合側とわれわれ農協側がお互いに競合しないで、そうして、しかもこの取扱いについては農協を利用していただきたい、こういうふうに考えるのであります。なおその場合におきましては、全国の段階においては、全国の農業協同組合中央会、たばこ耕作組合中央会との間において協定をいたす、協議をいたすということをいたすとともに、その線に沿いまして、地方の各都道府県におきましては、県の段階において、県の中央会と県の耕作組合連合会との間においてさらに協定をして、お互いの間に摩擦を起さないように手段を講じていただきたい。こういうように考えます。
なお、次の第八条の第一項第四号の「資金の借入のあっせん」の問題でございますが、これは主としてたばこ耕作組合に関する問題でありますので、葉タバコの乾燥室の建設資金でありますとか、あるいは肥料その他の資材の購入資金に限りたいと思うのでありますが、この場合におきましても、やはり農協を全面的に利用する、農協の資金を利用するというようなことを考えていただいて、この問題につきましても、耕作組合側と農協の側との間にお互いにやはり協定をして、その間に摩擦競合を起さないように措置をしていただきたい。こういうふうに考えるのであります。
そのような措置をとるにつきまして、やはり将来の問題がございますので、われわれといたしましては、両者の間の協定を結ぶ問題といたしまして、やはり農林、大蔵両省の立ち会いのもとに、全国農業協同組合中央会会長、たばこ耕作組合中央会会長との間に基本的な覚書を一つ取りかわして、そして両者の間に競合を来たさないようにしていただきたい、こういうふうに考えるのであります。この線に沿いまして、農林、大蔵両省におきましても、われわれのこの趣旨を十分に御理解を願いまして、この問題について徹底的に実行されるというふうなことにしていただきますならば非常にけっこうじゃないか、こういうふうに考えておる次第でございます。われわれといたしましてはこの法案の施行につきましては、そういう点を十分一つ御考慮願いたい、こういうふうに考える次席でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/12
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013・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 次に河合君にお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/13
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014・河合冲
○参考人(河合冲君) 私、たばこ耕作組合中央会会長の河合でございます。たばこの耕作組合がすでに創立いたしましてから五十数年に及ぶわけでございます。葉タバコ生産の向上と耕作者の相互扶助をはかりますとともに、たばこ専売業の発展に寄与して参りましたが、いかにせん任意団体でありまして、たばこ専売法第二十五条による届出によって認められておるという団体でございまして、この団体が行う事業もまた同法に規定しておりまする葉タバコ生産に関する必要な範囲でありまするが、これらの事業を行うためにも、また組合自体の諸設備、資産を所有いたし、また管理する上においても、任意の団体でありますので種々の不便や不利があったのであります。これがために団体の経営に支障を生じ、あるいはまた組合員に不利になるようなことが往々にしてあったのでございまして、これがため、かねてから久しく、組合の存立を確立し、円滑に運営するためには、ぜひ法人格を付与されたいという必要性が痛感されておるわけであります。逝去数次にわたる全国のたばこ耕作者大会等においても繰り返し繰り返し組合の法人化が要望されて参ったわけでございます。ことに最近は、一般社会情勢に伴いまして、一段と組合の組織の強化が叫ばれ、たばこ耕作者の社会的、経済的地位の向上の必要を認めるに至りまして、昨年の十一月三十日に開催いたしました全国のたばこ耕作組合大会におきまして強くこれが要望せられたのでございます。その際御参列いただきました各政党の代表者の方々は、全面的にわれわれの希望するところをお容れ願いまして、必ずこの実現をはかるということを力強く申されたわけでございます。全国における耕作者はこれを深く信頼いたしているのでございます。国会たばこの会においても、ぜひこれを実現するお考えによって、種々具体的内容について御相談になったのでございますが、またわれわれも、タバコ耕作者の制度、耕作団体のあり方等につきましても、種々の事情を検討いたしまして、要望事項をまとめて、資料を提供して実現方をお願いいたしておったのでございます。ここにおいて、政府におきましても、たばこ専売法の一部を改める意向を持つに至りまして、また今回国会に政府から法律の一部の改正案を、また各政党からも、たばこ専売法の一部改正の法律案、さらにまた耕作団体の団体法案が提出されましたことは、私ども耕作者としまして、また耕作団体の者といたしましても、実にありがたい感激の至りでございます。たばこ耕作組合中央会は、全国四十五万耕作者の総意に従いまして、本国会に御提出になりましたたばこ専売法の一部改正によりますたばこ耕作制度の改憲、さらにまた耕作団体が法人格を持ち、かつ設立の目的を円滑にしかも能率的に達成することができるような適当な組織を持つように、耕作組合法の制定が本国会において行われまするように、強く希望いたしておる次第でございます。
なにとぞ参議院の各先生方におかれましても、御理解と御好意によりまして、ぜひこれが成立をいたしますように、切にお願いを申し上げる次第でございます。一言申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/14
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015・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) それでは質疑を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/15
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016・江田三郎
○江田三郎君 どうも参考人の方ごくろうさまでした。私は、今おっしゃったことなり関連する事項についてお尋ねをしてみたいのですが、まず農協中央会の更級さんの方へ先にお尋ねをしてみたいと思います。私がいまさら申すまでもなく、タバコ耕作というのはこれだけ独立をしてやっているわけではなくて、農業経営の一環として行われているわけです。従ってタバコ耕作者というものが、一方ではタバコ耕作の方の団体へ所属する、片方では、他の農業部面においては農業協同組合の組合員であるというようなことになっている。そこからいろいろ複雑な問題が出てくるわけですが、私は、その農業協同組合とタバコ耕作の団体との事業の競合関係ということをまずお聞きする前に、その前に農業協同組合中央会の副会長というような立場で広範な農村の問題と取り組んでおられる、また今まで過去におきましても農村の広範な問題と取り組んでおられた更級さんが、現在のタバコ耕作者の社会的経済的地位を向上するためには、ただ組合を法人化するということだけで足りるとお考えになっておりますのか。あるいはそれと関連して、他の面においても改善をしなければ、農民であるところの耕作者の社会的経済的地位の向上はあり得ないというふうにお考えになっているのか。その点から順次お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/16
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017・更級学
○参考人(更級学君) われわれ長い間農業協同組会運動をいたして参っておりまして、やはり農民の経済的社会的発展をいたすためには、農業協同組合を基本とし、しかも主としてわれわれは総合農業協同組合というものを中心としてわれわれの農業協同組合運動を進めていきたい、というふうな考えをもって、指導方針を立てておるのであります。もちろんその中におきましては、単独の、たとえば畜産でありますとか、あるいは養蚕でありますとか、いろいろな特別の組織がございます。またタバコの問題につきましては、法人ではございませんが、タバコの関係の耕作組合というものが従来できていろいろと仕事をされておる。しかしながら特にこのタバコの問題につきましては、私も詳しくまだ検討を加えておりませんが、やはり専売法に基きますところの特殊な農作物を栽培される方方の組織であるということが、一つのいろいろな問題を検討する場合の問題点ではないかと思います。それで、この法人化の問題につきましても、われわれといたしましては、この法人化する場合に農業協同組合組織でいった方がいいのじゃないかという意見もございます。また一部には、そういうような特殊な農作物の耕作をする団体であるから、これを農協法によらない特殊法人というのがよろしいのじゃないかという、いろいろな意見がございました。現在のところは、いろいろな御意見の結果、特殊法人としてのたばこ耕作組合をお作りになるような動きであるのであります。われわれといたしましては、そういう方向に従ってお作りになるならば、やはりわれわれ農業協同組合を通しての仕事と競合しないような面において、一つお互いの組合が発展するようなことを考えていく必要があるのではないか、こう考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/17
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018・江田三郎
○江田三郎君 私、今お聞きしたのは、ただタバコの団体というものを法人化するということだけで、社会的経済的地位が向上されるようにお考えになっておりますかどうか、あるいはこれと併行して、やはり専売法というものをもっと根本的に改正しなければならぬということ、あるいはそのほかのことも必要かもしれませんが、そういう耕作者の団体を法人化する以外に必要な問題がたくさんあるのじゃないか、そういうことについてはどうお考えになっているかという点だったんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/18
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019・更級学
○参考人(更級学君) 了解いたしました。これは、はなはだ広範な問題で、専売法の問題なり、現在の専売公社のいろいろな運営の問題という問題に関連してくることじゃないかと私は思います。実は私も十分勉強いたしておりませんので、お問いに対して十分な満足なお答えはできませんが、われわれいろいろ地方の方と接触している場合に、特に問題になりますのは、いかにして、このたばこ耕作者の地位の向上ないしは生活の安定、生産の安定をはかるかということついての問題が、非常に論議されておるようであります。これにつきまして特に問題になりますのは耕作権の問題であります。あるいは収納価格の問題であります。あるいは生産した葉タバコの鑑定の問題等について、従来ややもすれば生産者の意向を反映しない塩売公社の立場においていろいろな措置がとられている、これについてはできるだけ農民の意志が反映するような措置を講じてもらいたいというような声が強いようでございます。農民といたしましては、やはり自分の子を育てるように朝夕可愛がって育てたものでありますから、これを政府が、政府と申しますか、公社が収納する場合には、やはり親心をもってそのようなものを一つ収納することを考えてもらう。また生産者に対しては、もちろんその地位の向上をはかって、生産者の意思をこの公社の運営に十分反映してもらいたい。こういう声も強く出ておりまして、われわれもそうした考えでおる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/19
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020・江田三郎
○江田三郎君 ただ団体の法人化だけでなしに、耕作権の問題であるとか、あるいは価格の問題であるとか、その他の問題についても、公社がほんとうに親心を持ってということでなければならぬというお考えのようですが、そういう親心は、現在のたばこ専売法をそのままにしておいて、ただ片方で耕作組合法というものだけ作ればできるのかできないのか。耕作組合法ができても、専売法というものはそういう親心に基いた根本的な改正をしなければならないのかどうか。その点は更級さんは、直接タバコの団体に関係してはおられませんけれども、少くとも農業協同組合の組合員の中にはタバコを作っている人がたくさんあるし、現に地方に行きますと、農業協同組合で、たばこ耕作のお世話をしているところもあるし、また先般来たばこ耕作関係対策について全国農業協同組合代表者会議等も開かれておりますし、またこの問題について、かねて私どもも専売法の一部改正というものを議員立法として提案いたしましたのは、すでに農業会議所におきましても、あるいは全中におきましても、それぞれ問題とされたようでありますから、そういう専売法を改正するという点について、あなたの方でも相当検討されたと思いますので、もう少し詳しくお聞かせ願えれば幸いだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/20
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021・更級学
○参考人(更級学君) 私、実はまだ不勉強でございまして、ただいまやはりこの耕作者の地位の向上、耕作者の利益擁護ということについての専売法の改正はきわめて時宜に適したものと思うのでありますが、現在御提案になっているところの改正法案につきまして、私、時間がございませんので、詳しく検討する暇がございませんでした。もう少し勉強した上でまた述べさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/21
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022・江田三郎
○江田三郎君 このタバコの問題は、私たちが法案を提案し、さらにまた政府の方も改正案を提案し、自由民主党の方では衆議院で立法なさってから、それ以来あなたの農業協同組合中央会の下部団体であるところの府県の中央会及び単協からは、相当私どもには多数の電報なりあるいはその他陳情という形で意思表示をなさっておりますので、そういうあなたの団体の下部におきましてそれだけ大きな動きがあるということになると、私は、全中としてもこの問題については相当深く検討されたものと考えておるわけでして、さらに全中としても、この全中の名前でも、私は下部組織へ対して多少の通達といいますか、達しといいますか、何かそういうこともおやりになったのじゃないかと思いますので、そういうことをおやりになる以上は、よほど慎重に御検討なさっておられなければできないように考えますので、ちょっと今の更級さんのお答えでは、何だかこう的をはずされたような感じがしまして、あるいはいろいろ複雑な問題だから、農業協同組合というものは、あまりこういう問題については、はっきりすると、あとで困るから、なるべく、しっぽをつかまれぬようにという深い御配慮に立つなら別ですけれども、その点一体どういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/22
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023・更級学
○参考人(更級学君) そういう逃げ口上を申し上げるわけではございませんが、もちろんわれわれとしては主としてこの法人化の問題に取り組んでおりまして、もちろんただいま申し上げました耕作者の利益擁護という点も検討しておりましたが、ただいま申し上げましたように、その点については、やはり農民の意思が十分反映されるように専売法の改正をしていった方がいいのじゃないかというふうな考え方を持っておったのでございまして、詳しいことに対する検討についてはまだ十分いたしておりませんので、ここで私としてもまだお答えするだけの知識がないので、その辺悪しからず御了承を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/23
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024・江田三郎
○江田三郎君 そういうお答えしかいただけなければ、はなはだ私ども農業協同組合の指導の最高の責任者たる立場におられる方のお言葉としましては少し納得いきかねますが、その点はそういう工合に言われればそれだけにしておきますが、一体、たばこ耕作の問題を先ほどもちょっとおっしゃいましたが、耕作者の社会的経済的地位の向上というようなことをなし遂げるのには農業協同組合の組織でやれるとお考えになっておりますか。あるいは農業協同組合の組織ではこれはできないのだとお考えになっていますか。若干議論はあったようにおっしゃいましたが、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/24
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025・更級学
○参考人(更級学君) それは非常にわれわれといたしましても、この農業協同組合というものが農民の組織であり、農民の地位向上のための組織であって、これを進めな、ければならぬという考えは持って進んで参っております。ただいま仰せられましたように、たばこ耕作というものは専売法に基く特殊な耕作をしている農民であるというようなことにも関連いたしますので、われわれといたしましては、この点は、やはりどちらがよろしいかということにつきましては、まだなかなかいろいろ議論がございまして、まだもう少し検討しなけりゃならぬじゃないかというふうに考えておったのであります。たまたま今回の法案は、農業協同組合法でなく特殊法人ということになりますので、しからばその特殊法人になった場合に、われわれ農業協同組合としてはできるだけ競合しないような立場においてこれを作ってもらいたい、また競合しないような措置を十分に講じてもらうということを前提としてもらいたい、こういう考えを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/25
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026・江田三郎
○江田三郎君 一体、農業協同組合の中央会というものがどういう役割をするのか、私、正確にはよくわからないのですが、私どもの考えるところによりますと、農業協同組合中央会の役割というものは、ただ面接的な農業協同組合そのものの経理内容がよくなるとか、あるいは赤字が解消されるとかということでなしに、その根本に横たわっているのは、やはり組合員である農民の社会的経済的な地位の向上でなければならぬ。そこから出発しているのであって、そこを考えない、ただ組合そのものの事業量がふえ、事業収入がふえ、経理内容がよくなるというようなことであってはいけないのじゃないか。そういうようなところがややもするというと置き忘れになっておったために、農業協同組合をめぐるさまざまな批判が出てくるのじゃないか。ややもするというと、最近の農業協同組合というものが、組合員である農民の立場というものから浮いて、あるいは遊離して、ただ組合の事業そのものだけがこの対象になるような傾向がありはしないかということが、私どもそういう感じを持っていますし、また世間一般にもそういう相当批判が出ております。今あなたの方がおっしゃいました組合法についての問題点というものを聞きますというと、ただ農業協同組合の事業量をどうしてふやしていくか、事業量から出てくる収益をどうしていくかということにだけこの重点が置かれて、肝心のその前提たるべきところの農民の社会的経済的地位の向上という点が非常に薄くなっていやしないか。たとえば私どもの認識によりますと、たばこ専売法というものを、この明治三十七年にできた法律をこれを根本的に改正しなければならぬと考えますが、そういう点につきましては明確なお答えをいただくことができないし、さらに今日直接問題にしました、たばこ耕作組合法案につきましては、これは農村における協同組合運動としては、この法案の各所に出て来るこの現われ方を見ると、ただ事業を農協がやるか、あるいは、たばこの団体がやるかということだけでなしに、果してこういうような内容のものがあなた方が推進されているところの民主的農業団体という性格と一致したものかどうかということにつきましては、私は相当これは問題があると思うのです。残念ながらそういう問題について御意見を聞くことができませんでしたので、私、あらためてお聞きいたしますが、このたばこ耕作組合法案は、ただ農協とたばこの団体との事業の競合ということだけが問題であって、他のここに出て来るたとえば役員選挙の問題についても、監督権の問題についても、その他の問題についても、こういうものが民主的な農業団体のあり方としてお認めになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/26
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027・更級学
○参考人(更級学君) その問題につきましては、私は農業協同組合の関係のことについては考えておりますが、たばこ耕作組合法に関しましては、たばこ耕作組合の関係においての御議論であろうと存じますので、私はこの点につきましては、あまり何といいますか、口を差し入れることはお控えした方がいいのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/27
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028・江田三郎
○江田三郎君 私ども、更級さんが長い問の農村における協同組合運動をやられた先輩として、常日ごろから尊敬をしているわけです。そこで今私が指摘したようなことは、たばこの団体の問題だと言われますけれども、そのたばこの団体というものには、あなたの農業協同組合の組合員が二重加盟になるわけですね。さればこそ、あなたの方では、その扱う事業については、かくかくのことをやってもらわなければならぬという注文をお出しになっているわけです。そこで、一つの法案が出て来た場合に、農民のほんとうの社会的、経済的地位の向上なり安定なりということをお考えになるならばですよ、ただ私は、農協とたばこの団体との専業の競合が云々ということだけではなかろうと思うのです。農業協同組合の中央会の副会長という立場から考えましても、組合員であるところの農民の社会的、経済的地位の向上のためには、もっと大きな目をもって広範な検討をなされなければならぬはずでありますし、まして、あなたのような、長い問、非常に長い間苦心して農業協同組合運動あるいは産業組合運動をおやりになった人としては、私は当然これに対してはもっと意見があるはずだと思うのであります。なぜ私はそういうときに意見を差し控えなければならぬか。なぜあなたがそういう意見を差し控えなければならぬのか。そういうことが積り積って、私は日本の農業団体全体が非常に低い段階に停滞していると思う。私は、更級さんが長い間のそういう運動のために身命を賭して来られた人であるだけに、ただいまのお答えは非常に遺憾でありまして、もう一度この法案全体についてあなたはどうお考えになっているかということをお聞きしたい。あるいは、まだごらんになっていないならよろしゅうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/28
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029・更級学
○参考人(更級学君) 一応法案は拝見いたしておりますけれども、私といたしまして、この法案の問題について、私の方の農業協同組合、ただいまのお話のように、われわれ農民運動者といいますか、農協運動者としての立場においての考え方はございますけれども、われわれとしては、やはりこの耕作組合の関係におきまして、われわれの方の事業との関係においての問題、もちろんお話のように、われわれ全体として、これからの農業団体といたしましては、農民の社会的、経済的地位の向上をはからなければなりませんが、こういうことに関連いたしまして問題を取り上げて行くべき問題であろうとは考えますけれども、やはりこの耕作組合法案の問題についての、私、農業協同組合の立場においての批判というものをしましては、やはり農業協同組合の立場においての事業の問題というような問題に関連する問題について申し上げている次第でございます。その他の問題につきましては、私は申し上げることは差し控えた力がいいのじゃないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/29
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030・江田三郎
○江田三郎君 ここにあなたの方の関係の三十二年五月中日付のたばこ耕作問題対策の全国農業協同組合代表者会議の「たばこ耕作問題に対する要望」というのをいただいております。これを見ますと、「現行たばこ専売制度の合理化につき、かねてより要望して参りましたが、たばこ耕作問題の緊要性に鑑み、かさねて左記記事の実現方を要望致します。」というその要望の第一は、「たばこ専売法の一部を改正し、葉たばこの耕作、査定、鑑定、収納価格等に関したばこ耕作者の意見が反映する制度を確立すること。」ということです。その第二が、「農業協同組合の事業と競合を激化するおそれある「たばこ耕作組合法」を制定しないこと。」と、こうあるわけです。私はこの代表者会議の方々は全く適切なことをおっしゃっておると思います。とにかく第一がたばこ専売法の改正であって、第二にこの農業協同組合事業と競合する云々が出てきているわけです。これこそほんとうの農民の生活からにじみ出る意見であって、私どもは、農業協同組合というものが農民の社会的経済的の地位の向上ということを考えておられるなら、少くともこの問題ととっ組むに当りましては、順序としましては、まず第一にこの専売法の改正で、その次に、そういうことによってこの農民の社会的経済的地位の向上をはかっていくが、その第二の問題として、それをやっていくための農業協同組合とたばこの団体との事業競合ということを問題にされるのが、これがほんとうの正しい態度だと思います。さらに突っ込んで言えば、このたばこ耕作組合法が、問題点は農業協同組合の事業と競合するかしないかというだけでなしに、その内容における非民主的な性格、明治三十年来のこの専売公社の伝統的な指導方針なり事業方針というものを、一歩もゆるめようとしてはいないところの、そこにまで及んでいただけばいいのでありますが、とにかくこの代表者会議の要望は、まことに農民らしい立場に立っているわけです。そういうような代表者会議の要望があるのが、それがあなた方のところの中央会の最高幹部になってくると、第一聖のところは、はなはだぼやけてしまって、ただ農業協同組合の事業との競合だけを問題にされる。そこに私どもは現在の農業協同組合というものに対して非常に疑問を持たざるを得ぬわけです。そういうことが私は全購連事件のようなものが出てくる一つの大きな根底になっていると思う。まあそれ以上お聞きしましたところでお答え下らぬと思いますから、私はその緯度にいたしますけれども、もっと私は具体的に若干の問題についてお聞きしますが、先ほど、第八条の事業の中の、この第四の「資金の借入のあっせん」ということ、そうして第十二条の「前各号の事業に附帯する事業」、その二つのことと、もう一つ肥料その他の資料の共同購入の点を問題にされましたが、第四のこの「資金の借入のあっせん」ということと、第十二の「前各号の事業に附帯する事業」というものを、これを立案者がどう考えているかは別にいたしまして法律の条文として、こだわりなく読んだ場合には、これによってたばこ耕作組合は信用事業ができるとお考えになりますか、できないとお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/30
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031・更級学
○参考人(更級学君) 私はこの法律は、組合はこれは非出資組合だと見ております。非出資組合であります。でありますから、信用事業はできないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/31
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032・江田三郎
○江田三郎君 これは専門家のあなたに念のためにお聞きしておくのですけれども、こういうような組合ができまして、出資という規定がない場合には、これは非出資と百パーセントみなして間違いないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/32
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033・更級学
○参考人(更級学君) それは定款の必須事項の中にその出資の問題が出ておりませんので、これはやはり非出資組合というふうに考えておりますので、こういう法案の場合におきましては、私は非出資組合と見るのが適当ではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/33
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034・江田三郎
○江田三郎君 くどいようですけれども、そういう提案者は説明をしておられますし、またそういう解釈が多いと思うのでありますけれども、この点、あなた方の方でも非常に問題にされておるだけに、私、念を押しておきたいのでありますが、「葉たばこの生産上必要な資金の借入のあっせん」ということがあり、そうして「前各号の事業に附帯する事業」というものがある場合に、正確な意味の信用事業でなくても、それに類似したようなことは起る可能性はないと断定してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/34
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035・更級学
○参考人(更級学君) あっせんということになりますと、みずからそういう仕事をするということでなく、第三者の立場において、いろいろな御仲介なり、何といいますか、お申し添えをするような仕事であろうと存じますし、またわれわれとしましては、そういうふうな問題が将来混乱が起ってはいけないと考えますので、ただいま申し上げましたように、この問題についても両者の間で十分話し合いをして、将来そういう混乱の起らないような協定をしておきたい、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/35
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036・江田三郎
○江田三郎君 その点が、もし将来たとえばその他の問題についての不必要な摩擦が起るということが予想されるなら、そういうことを、私どもは、はっきり法案の内容において起らないような条文に正していくということが、基本でなければならぬと思うのです。そういう問題が起るかもわからない、そういう非常な心配があるということを考えられて、それを両者の協定によって行うのだ、しかもそれには、農林、大蔵町省の立場の基本的覚書を作るのだということは、これは法律というものを行政面でどうでもできるような運営の仕方になりはしないかと思うのでして、もしこの法律に、あなた方から考えられて不必要な摩擦あるいは好ましくない事態が起るとすれば、もっとその前に、そういうことの起らないように法律そのものを直していくということの方が基本でなければならぬと思うのです。誤解の起るおそれがある、不必要な摩擦の起るおそれがある法律はそのままにしておいて、そうして、あとで行政措置としてさまざまのことをやらなければならぬということは、私、非常に変則ではないかと思うのですが、そういう点について、もし私と同じようなお考えをお持ちになるならば、具体的にどう修正したらいいというようなお考えがございますか。あるいは私と全然考え方がお違いになるなら、それでもけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/36
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037・更級学
○参考人(更級学君) 私は、現在の法律につきまして、この法律が施行された場合に起る問題について、われわれとしては、両者の間で協定をし、摩擦が起らないようにしたらいいじゃないか、こういうふうに考えておるのでありまして、この法律を修正とか何とかいう問題までは考えておりません。こういう問題において事業をされる場合に、われわれの事業と競合しないような方法がとれるならばけっこうだろうと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/37
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038・江田三郎
○江田三郎君 ちょっと速記をやめて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/38
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039・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/39
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040・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/40
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041・江田三郎
○江田三郎君 ほかの委員の方々からもお尋ねがあると思いますが、私は率直に申しまして、先ほど来、今の法文の解釈の問題は別にいたしまして、根本的な問題につきまして、農業協同組合中央会のわれわれが多年尊敬する更級さんのお答えには、日ごろはともかくといたしまして、本日は、はなはだ飽き足らぬものがあるわけですけれども、いろいろ立場もあると思いますから、まあその程度にしておきますが、一つ耕作組合の……それなら平林君がその前に更級さんに対して質問されるそうですから、あとで……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/41
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042・平林剛
○平林剛君 更級さんに二つばかりお尋ねをしたいと思います。あなたの御意見をお聞きいたしますと、たばこ耕作組合法の第八条の事業に関連をして、農協との業務と競合する点があるので、この点について無用な摩擦、競合をせないように努力してもらいたい、こういう御趣旨であったと思うのです。私はそこで、さらに突っ込んだ御意見をお聞きしたいのは、競合することによって、農民の立場から見ると、たばこ耕作者の立場から見ると、一体どういう損失があるのか。肥料のあっせん、肥料の購入、あるいは資材の共同購入、こういうことをたばこ耕作組合がやる、また農協もやる。この二つの競合の結果、農民の側からいえば、たばこ耕作者の側からいえば、一体どういう損失になってくるのか。私は、法律ができた場合に、一番大事に考えなければならぬことは、この対象となる国民、この法律の該当者でいえば、たばこ耕作者、あるいは農協の立場からいえば、それに加盟しておる農民の側から見て、どういう影響がくるかということが、一番大事なことだと思うのです。この場合、競合の結果、一体どういう損失がそれらの人に与えられているのか。ここが一番私は大事なことだと思う。その点について具体的なあなたのお考えを述べていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/42
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043・更級学
○参考人(更級学君) それはやはり農民は一つであります。またこのような場合になりますと、団体は農協と耕作組合と二つになるわけであります。その間において、お互いの組織が農民に対しまして、いろいろ、農民が一つでありますのに、団体が二つだということは、これは国民経済上もおもしろくありませんし、また農民の立場からいいましても、やはり農民がいずれに帰一するかということにつきまして、農民が非常に解釈に苦しむというような場合が起るのではないかと思いまして、われわれとしましては、やはりその間に、同じ農民の団体である限りにおきましては、やはり農民の福祉を考えるという点におきましては同じでありますから、おのずからそこに帰一するところの方向があろうと思いますので、その間の協定なりお話し合いは十分できるものと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/43
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044・平林剛
○平林剛君 確かに今まで農業協同組合があって一つの事業をしていた。そこへ、たばこ耕作組合が法人格を得て、今議題になっている法律の第八条によって一つの事業を始める、こうなりますと、実際の農民は、二つの団体のうち、どちらに入ったらよいかということで迷うということは事実です。しかし、どちらに入った方が農民にとって得であるかという判断は、それぞれによって違うと思うのです。だから、ある意味では、競合した方がむしろ、たばこ耕作者や、あるいは加盟の農民にとっては、資材の共同購入、肥料の共同購入等によって得だという場合もあり得ると思うのですね。私は、あなたが競合するのは大へん困るというのは、一体どういう意味で困るのか。地方へ参りましていろいろな人の御意見を聞きますと、いや耕作組合の方の肥料代の力が高いとか安いとか、農協で買って配合した方が安いとか高いとかいう議論があるわけです。こういう意味では、むしろ逆説的には、競合した方がそれらの人の得になるのじゃないかという議論もあるわけです。あなたは参考人としておいでになって、競合することが農民として非常な危惧を持つ、こういうお立場を説明をされているわけでありますから、その点を具体的に説明をしていただく、抽象的に国民経済上にいろいろな影響を与えるとかいうようなことでは、一般の耕作者あるいは農民の人の共鳴を得るということにはいかないのじゃないか。ですから、私は、具体的にどういうふうな損失になってくるから、無用な競合あるいは摩擦を避けたい、こうおっしゃられているのか。この点を理解のいくようにお話を願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/44
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045・更級学
○参考人(更級学君) それは、耕作組合にいたしましても、農業協同組合にいたしましても、同じ農民が組織している団体でありまして、その団体の利益損失というものはおのずから農民に帰するものである、その場合に、お互いが同じ——自分と同じ農民を相手にしまして、同じ農民の作ったものがお互いに競合し合うということは、これは、はなはだおもしろくないことだ、こう見るわけであります。でありますから、農民としましても、やはりこの場合に、自分の作った団体がお互いに競争し合って、その団体が、たとえば町人と農業協同組合、商人と耕作組合というふうならばいいのですけれども、農民と協同組合、農民と耕作組合、同じ自分で作った団体の立場においてお互いが競争し合って、そうして農民にいろいろな迷惑をかけるということは、これはお互いに好ましいことじゃない、こういうふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/45
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046・平林剛
○平林剛君 大体の趣旨はわかりましたが、きょうはこれ以上は申し上げません。
それからもう一つお尋ねしておきたいのは、それでは、今の無用の摩擦、競合を避けるために覚書の交換をしていったらどうか、こういう御趣旨の説明がありました。江田議員からは、そんなら、いっそのこと、法律をその点で直すようなところまで考えたらいいじゃないかという、まあ、あなたの主張を助けるような御発言もありましたが、あなたはりての点までは考えない、こういう質疑応答があったのであります。それならば、その覚書というものは、一体どういう内容のものにやったならばよいと考えておられますか。今あなたがお考えになっている耕作組合との問にかわされる覚書についてはどういう構想をお持ちになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/46
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047・更級学
○参考人(更級学君) この問題につきましては、実は河合会長にも御意見があるようでございまして、両者よくお話し合いの上で、われわれがここで考えておりますように、この二つの——二つといいますか、耕作組合側と農協側との間におきまして、今後の経済事業の運営について競合を来たさないように、お互いに協定をして覚書を取りかわす、こういうふうにいたしたいと考えておりますが、その具体的内容については、目下検討いたしておりますので、趣旨としましては、この両者の間におけるできるだけ協調を保っていくようにし、お互いに配慮していくという形のものの覚書を取りかわしたいという考えを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/47
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048・平林剛
○平林剛君 私はその検討している考えを参考のためにお聞きしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/48
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049・更級学
○参考人(更級学君) それはただいままで申上げておりますように、お互いの、両者の事業が円滑に遂行されますような形において、今後の仕事をお互いに運営していこうじゃないか、こういうような趣旨のものであっていいのじゃないかと思っております。どういう形で覚書を取りかわしますか、その点につきましてはただいま申し上げましたように、私の方としましては農林、大蔵両省方面の、それらの御意見を伺って、やはりこの問題を考えていきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/49
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050・平林剛
○平林剛君 あなたのきょうの御意見によるというと、結局無用の摩擦競合という趣旨が非常にぼやけていますよ。あなたのこの法律案に反対する趣旨というものが非常にうすいということになるのじゃありませんか。私はもしもあなたが全般の農村経済のために、こうなければならぬというお考えがあるならば積極的に述べられて、それについて議会の審議の参考にすべきであるし、そうでなければ、この組合法についての競合の問題について、あなたのきょうの参考の意見は単なる参考ということになってしまう、あなたのお立場でこれ以上積極的な御発言がなければ、私はもうこれ以上お尋ねはいたしません。御発言があればお聞きしますが、そうでなければまたあとで質問を続けることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/50
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051・江田三郎
○江田三郎君 耕作組合中央会の河合さんの方へ少しお尋ねをしたいんですが、先ほど河合さんの方のお考えを発表願ったわけですが、ここで聞いておりまして、一体どこに焦点があるのかよくわからなかったのでして、何やかや出ておるが、早いことやっていく方がいいというような意見なのか。あなた方のタバコ耕作者の社会的経済的地位を向上させなければならぬということだけははっきりわかりましたけれども、そのために必要なのはこういうただ法人化ができればいいということなんですか。あるいはその他の問題について、専売法の改正につきましても一つの案だけでなしに違う案も出ておるわけでして、そういう点はこれは更級さんとは違いまして、あなたの方はたばこの直接の責任者でありますから、具体的に御検討なさっていると思うのでありまして、もっとそういう点を抽象的なお言葉でなしに、具体的にどことどことどことがあなた方としては必要だとお考えになっているのか、その点をお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/51
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052・河合冲
○参考人(河合冲君) ただいま御質問を受けました点でございますが、現在の耕作組合を法人化してどうしても強い法的な基盤を確立していきたいということは、先ほど申しましたが、長い間の要望であったのでありまして、現在の組合運営の面から見ましても、直接早く法人化をしていただかなければ、まずもって資産の管理の面、あるいはまた対外的の資金の借り入れ等に対しまして、直ちに非常に不便を感じておるといくことなのでありまして、まずもって早く法人化をしてこの組合の法的基盤を固めていきたいというのが第一でございます。もちろんただいま御指摘の経済的地位の向上ということにつきましては、これまた専売法にも関連いたす問題でございまして、これはやはり、耕作権の問題なり、あるいは収納価格、耕作反別の問題についても、もとより関連一をいたしまして、一般耕作者の耕作を安心してやっていける問題につきましても、もとより考えなければならない重要なる問題だと思うわけであり出す。これは直ちに法の改正と関連いたす問題だと思うわけであります。従いまして、現在、ちょうど昨年あたりより減反の傾向を見せてきているというのが実際の問題でありまして、そういう点からいきましても、この耕作者が減反をなるべくされることのないように、そういう措置が専売法の上においても関連していくということは望ましいことであるということに考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/52
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053・江田三郎
○江田三郎君 私も長い間農村の運動を続けて参りまして、ここにもっと先輩の野溝さんもおられますが、大体農業に関係のある団体の方々とは、日ごろもおつき合いを願って御意見を聞かしていただいておるので大体まあ、たとえば更級さんがここで何を言われようと、腹の中にはどの程度のものがあるというような見当はつくのですが、不平にいたしまして、タバコの耕作者の団体の方々とは今まで一度もお会いしたことがなかった。またこの問題が出ましても、一度もタバコの耕作者の団体の具体的な御意見というものを聞かしてもらう機会がなかった。先ほどあなたの方は国会たばこの会というようなことを言っておられましたが、私ども社会党としましては、ああいう院内の議員の団体は、これはかえって誤解を招くからたばこだけでなしに、あらゆるものはああいうものを作らぬ方がよかろう、政治連盟というものは作らぬ方がよかろう、こういうことになって、建前として参加しておりませんが、あなた方の直接の御意見というものをお聞きすることがなかったことを非常に今に至りまして残念だと思うわけなのです。
そこで少し具体的なお尋ねをするわけなんでして、今のあなたのお話からいきますというと、まず何よりも財産の取得、その他についても法人化ということによって、この組合の地位を確立しなければならぬという点はわかりましたが、この法人格を持つといいましても、これはいろいろの待ち方があるわけであって、たとえば法人格を持ちましても、その法人格を与えられた内容というものが、ほんとうに自主的な耕作者の立場を強くは主張し得ない。明治三十七年以来のこの古くさい専売法にがんじがらめに縛られておって、名前だけが法人ということでは、私はなかなかあなた方の大前提であるところの社会的経済的地位の向上ということは果せないのじゃないかと思うのです。そこでまず第一にそういう点からして、ここに出ておるところのたばこ耕作組合法なりにうたっておるところの法人格ということで、あなた方が長い間目標とされたことが達成できるのかできないのかという点がまず第一にお伺いしたいことで、都合によりますと、具体的に個々についての条文、これであなた方の目標が達成できるのかどうかということもお聞きしたいと思いますが、まず第一に全体としてこれをどうお考えになるかということを、これで、こういう法人化であっていいのかどうかということ、少くとも私どもが他の農業団体等と見比べてみますというと、ここに出てくるところの法人の内容というものは、専売事業という一つの特殊な性格を考えるにいたしましても、非常に他の農業団体等とは性格が違うものになっておるということを考えるので、その点をお尋ねします。
それから第二に、ただ法人化だけでは問題の解決にはならない。農民の社会的経済的地位の向上ということのためには、ほかの問題がたくさんあるわけですが、ただいま減反については御意見を聞かしてもらいましたが、減反と法人化だけで問題は終りなんでございますか。そのほかにもあなた方の長年そういうお仕事をなさっておって、要望されておるのはほかにもあるのでございますか。
どうもまことにたばこの団体とは初めて私もお会いするので、妙なこまかいことまでお聞きしなければならぬのは残念だと思いますが、こういう機会にお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/53
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054・河合冲
○参考人(河合冲君) ただいまお話もございましたように私ども出ましていろいろお願いを申し上げ、私どももまた団体の考えております気持をお話しする機会を持たなかったということをまことに申しわけないと思っておるわけであります。ただ国会たばこの会が超党派的なものというようなことを考えておりましたようなわけで、もちろんその際にひょっと社会党がこれに果して全面協力できるかどうかというようなお話も昨日あったように考えておりますが、その点はまことに申しわけないと考えておるわけであります。
それでただいまの法案の全部がこれでいいのかどうかということなんでありますが、従来いろいろの注文を専売当局並びに大蔵当局等に申し入れをして参ったわけなんでありますが、なかなかそれに対しまして実現ができないというような現況であったのであります。形であったのでありますが、まずもってこの法案がさらに一歩前進されてということでありますならば、私ども必ずもってそれで一応取りり進めていきたいと考えたわけであります。この法案が私どもの考えといたしましては、まあまあこの程度ならば了承していいといってよろしいものではないかと考えておるわけであります。
第二の点でありますが、第二の点の専売並びにその他の問題に対しましては、耕作組合大会等におきましても、いろいろの問題は出ておりますが、しかしながらやはり現在の専売法というものを考え、やはり国家の財政の一端を専売の費用においてまかなべということでありますので、そういう点からあまりにも耕作者が無理ばかりを言うというようなことは、いろいろ話の過程において一応了解のできる面もあるわけでありまして、そういう点からいきましても、従来いろいろ私どもの連合会の大会におきましてあるいは中央会の役員会等におきましても、調整をはかりながらいろいろお願いを申し上げてきたわけであります。そのうちにおきましても、収納価格の問題の点とか、あるいは専売公社が一方的に何事でも決定しておる面を、さらにもっとわれわれの団体あるいはまた耕作者の代表等に対しまして一応相談をしていただいて、これに対しまする納得の上において決定をしていただきたいというようなことも申し上げておるような事情でありまして、こまかい幾多のこういうことになりますと、ただいまここに資料を持っておりませんので申し上げかねると思うのでありますが、要は反別の問題あるいは耕作者が最も関心を持っておる収納価格の問題という点において、まあ大きな問題であろうなければいけませんが、私は、私どもの方へ別にこれはあいさつがなかったから、けしからぬということを言っておるのではないのでありまして、ただ私どもも長い間農村の活動をしておりながら、そういう機会がなかったことを非常に残念に思っておるだけでありまして、そういうあいさつに来いとか来ないとか、そういうことを言うものではない。たまたま御承知のように専売法の改正につきましては、政府案も出ておりますし、私どもも立案いたしまして出しました。私どもが立案しましたときには、これは全国のたばこに関係ある地方の代表者を集めて協議いたしましたが、その席には中央からも一つ傍聴という形で出席さしてくれというので、中央会の議員の方も見えておりましたから、私はそこでどういうことが問題になったかということは、職員の方からあなたの方に忠実な報告があったろうと思います。また報告があろうとなかろうと私どもが法案を出しておる以上は、耕作組合中央会としては、その内容は十分御承知と思いますが、今あなたのおっしゃいますようなこの減反の問題、あるいは収納価格の問題、そのほか専売公社が一方的にやられるのは困るということをおっしゃいましたが、それらはおそらく、関係の問題についてもあるいは指導のやり方についても、その他各般にわたってあるだろうと思いますが、そういう問題は政府が今回出しましたところの専売法の一部改正、価格審議会を設けるという一部改正で達成できるようにお考えになっておりますか、その点はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/54
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055・河合冲
○参考人(河合冲君) あの政府案の専売法の一部改正の審議会の問題でありますが、あの問題に対しましては、従来の収納価格を諮問するということのようでございます。収納価格だけでは困るということを申し上げておったわけであります。やはりこの審議会においては、耕作反別の問題、あるいはその他の重要な事項に対しても、この審議会にかけて耕作者代表がそれに入りまして、さらに学識経験のある経験者としてのりっぱな方の御参加を願って、この耕作者の強い正しい要望と信ぜられるものをお聞き願いまして、そこで厳正なる回答をお願い申し上げたいということを申しておったわけでございます。現在タバコ収納価格の審議会というのがございます。これは昭和二十七年より発足いたしまして、これも耕作者の方々の強い要望によって専売部内の一部の、一つの機関として発足はしたものでございます。どこまでもこれは法的根拠も何もないものでございます。従いましてそれは構成委員といたしましては、耕作者代表だけが入って構成しておったのでございます。それではやはり法的根拠もなし、懸案のものでもないということから、どこまでもこれを法的基礎の上に立って審議会を構成してもらいたいということが、全国大会等において決議され、それが要望されておった事項なのであります。従いましてそれをどうしても実現してもらいたいということであります。従いまして今度の政府案に対しましても、ただ審議会、葉たばこ収納価格審議会だけでなしに、もっと広い意味のたばこ耕作審議会なり、あるいはまたたばこ審議会なり、もっと広い意味の名称に直していただいて、しかもこれを収納価格ばかりでなしに、ほかの重要なる、専売運営上に、特にタバコ耕作に関連する重要なる事項も一緒に審議し、また建議することもできるということにしていただきたいということを申し入れてある次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/55
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056・江田三郎
○江田三郎君 今のお話によりますと、ただ政府のような価格審議会だけでなしに、もっと広範な仕事のできるようなものにしてくれるようにという御意見のようでございまして、ほかの方々もおられますから、私だけあまり長い質問をしてもどうかと思いますから、私はその問題についてはそれ以上触れませんが、一つあなた方が長い間問題とされてきました問題点を、文書で一つ私のところへ後ほどお送り下さればけっこうだと思います。またそういうものは私だけでなしに、社会党の議員はみんな、あなた方とあまり交渉なかったものでございますから、この文書——郵便でけっこうでございます。後ほどそういうものを送っていただきたいと思います。
それからことのついでに、もう一、二具体的なことについてお尋ねしたいのですが、この間私はある県の耕作者の収納の伝票を見ますというと、それは二反ほど作っておる耕作者ですが、その耕作者が単位組合——末端の組合の話ですが、そこへ組合費と、それから会館建設寄付金というもので、合せて五千数百円の負担をしておるわけでありますが、大体末端ではこのくらいな数字になるのが通例なのでございますか。収納の価格が十四万円ぐらいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/56
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057・河合冲
○参考人(河合冲君) 二反五畝となりますと、その会館建設費がどのくらいの金額かちょっと承知いたしませんが、ちょっと高いように考えるわけであります。五千円、そうはあまりかからないと思います。ただ会館の寄付金がどこらにありますか、その点はわかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/57
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058・江田三郎
○江田三郎君 私、最近ずっとこの問題が起きましてから、方々回って事情を調べておるわけですが、どうもなかなかほかの組合に比べて組合費というものが安くない、高いといってもいいでしょうね、高いのでして、なぜ一体たばこの組合だけが高いのかよくわからない。そこで耕作者の意見を聞いてみるというと、組合費のことなんか文句を言うて、もし作ってはならぬというてやられては困るからして、もう不平があっても出すというようなことを言っておりましたが、もしそういうような事態でありますと、これが法人化されましたところで、私どもは末端の組合の今までのようないき方を見ますと、そこに非常に不安を感ぜざるを得ないわけです。それからさらに末端組合でない、その上の段階の組合に行きましても、これは事業費なりあるいはその他の内容を聞いてみるというと、そこに言われた意見は、公社からえらい人が来るというと、そういう人が来られたために、ずいぶん金がかかるのだということを、一カ所でなしに、そういう意見を私ども聞かされまして、そこに明治三十七年以来のこの専売法の一つの性格がはっきり露呈しておるということを痛切に感じるわけなんでして、ほんとうにタバコ耕作農民の社会的経済的地位を向上しようと思うのならば、文句を言うと許可を取り消されるかもしらぬのだ、えらい人が来たら接待しなければならぬのだ、こういうところにまずメスを入れなければ、ただ法人格を与えられたというだけでは、問題は解決しないのじゃないか。しかもその法人格を与える、その内容が、たとえば理事は公社の処分を順守しなければならぬのであるとか、あるいはこの設立の許可に当っても、一切……生殺与奪の権を公社が握っておるというような、依然として明治三十七年以来の伝統精神でやっておる、こういうものではいかぬのじゃないかという気が非常に強くするわけですが、そういう公社の権力的な運営のために、末端で迷惑されておるということは多いのじゃございませんか。その点一つ率直にお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/58
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059・河合冲
○参考人(河合冲君) ただいまの御質問の内容につきましては、一昨年ごろまでは組合の数も約三千四百程度あったわけでございますが、町村合併その他、公社の勧奨によりまして、合併の促進をして、組合規模の拡大をしておるというのが現状でございます。ただいま二千以上のものが一千程度に減っております。さらにまたそれが逐次合併をされつつある現状でありまして、多くの組合でありますので、あるいは今お話しになりましたような、公社のえらい方がおいでになった場合においては、そういうところも必ずしもなきにしもあらずと考える次第であります。従いまして今後この組合法案が成立いたしましたといたしまするならば、すっきりした形で公社との一線を引いて、いわゆる自主的の組合として今後の運営をやっていきたいというのが、これも大きな考え方の一つなんでございます。公社の圧力によってやるということも、従来は多くの組合でありますので、そういうふうにとられる向きもないとは害えませんけれども、少くとも私どもの考えといたしましては、現在の組合のあり方というものは、むしろ公社にはじゃまになるような面もかなり出てくるのだというようなことも、あるいは公社の方といたしましては考えていっておるかもしらないと思うくらいであります。それに組合の経費がほかの組合より比較して高いというような御趣意でございますが、この面も私どもといたしましては、十分に考えていかなければならない問題だと思っておるわけであります。必ずしもたばこ耕作組合というものが安いとは考えておりません。しかしただこれが実は戦前までは組合費総額の約六割ないし七割程度までは交付金によってまかなわれておったという事態があったわけであります。それが戦争後におきまして、極端に交付金は削減されまして、従いまして従来も行なっておった事業そのものをくずすことができないと同時に、最近におきまする事業内容というものが非常に多くなってきたということも、十分組合費を多くならしめる一つの大きな原因でもございます。さらに組合はもちろん財政的に組合費の徴収によってまかなっているわけでありますが、これはほかの団体とは違いまして、経済事業を行うことによって、その手数料の幾分を組合費のうちにカバーしていく、財源にしていくということがたばこ耕作組合では行われていないのが原則なのであります。従いまして、取るべき組合費は取っていく、そして資材その他の経済事業の面においては、本則として手数料は取らない、組合員のために実費によってこれを配給していくのだという方針がとられておるわけであります。私どもも、今後においてもこのような方針をとって参りたいと考えておる次第でありますが、以上のようなわけで、いささか現在のところ組合費が過重であるということは、まことに御指摘の通りだと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/59
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060・江田三郎
○江田三郎君 私ばかり質問していましたから、もう一ぺんだけで一応打ち切りますが、私は、組合費が高ければ高くてもいいと思うのです。それがほんとうに役立った使い方をされておるのなら、何も文句を言う必要はないのです。しかし、たとえば会館の建設費なんかというものは、これはなかなか大きな金を食うわけでありますが、それなんかでも、決して農民が納得しておるわけじゃないのです。一方に、タバコ耕作というものが専売事業だということで、権力のもとで運営されるということから、泣きの涙でそういうことに応じていかなければならない。タバコ耕作の場合に、自家労賃がどのくらいになっているかということはもうあなたの御存じの通りです。そういう、主として農村におきましても、恵まれない地帯であるだけに、たとえば、五十円の現金でもこれは大へんな、都会とは違い、あるいは果樹や何かの地帯とは違って、現金のとうとさというものがあるわけです。そういうところで、決して二千円にも及ぶような会館建設費なんか出したくはございませんよ。しかし、一方に専売事業だということで、長い間、露骨に言えば、だれかが来るというとすぐ裏の方で鶏をつぶさなければならないとか、しょうちゅうが要るとかいう環境の中におかれておっただけに、言うことも言えないで、そういうものを負担しているわけです。それも、私は適正に使われているのならいいと思うのですが、この三十一年度歳出予算というのをあなたの方から資料をいただいておりますが、この分類が事業費、会議費、あるいは事務費というような区分けになっておるだけで、内容はよくわかりませんが、私どもは私どもでいろいろ調査いたしました。しかし、たまたま、私どもの調査でなしに、農業会議が資料として出した香川県のあの経費の内容を見ましても、まことに納得ができない。ほんとうの指導事業に使われる金が少くて、つまらぬ雑費が非常な大きなウエートを占めているわけです。ここには香川県の数字は出ておりませんが、そういう農業会議あたりの資料でも出てくるわけです。そこで、私どもは非常に遺憾に思うわけです。これはあなた方を責めようというわけじゃない、あなた方にも考え直してもらわなければならないが、しかし、その背景には大きな公社の圧力というものがあるのじゃないか。これを変えない限りは、なかなか法人格をとったとかとらぬとかいうことだけで解決つく問題じゃないのじゃないかということを痛切に感じているわけですが、私だけあまり長くなりますから、あなた方にさっきお願いしたような具体的な問題につきましては、文書でお送り願うといたしまして、私の質問は一応終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/60
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061・野溝勝
○野溝勝君 更級さんと河合さんに、詳しくお問いはしません。江田さんは一般論について御質問がありました。私はなるべく具体的に質問をいたしますので、簡単でけっこうですから一つお答え願いたいと思います。三法案が出ておりますので、これを審議する上においても一必要だと思いますので、さような点をお含みの上御答え願いたいと思います。
更級さん、河合さんには、参考人として本日おいで下さるに当りまして、社会党案、それから急に飛び出した政府案、続いて飛び出した自由党案、この三つの法案をごらんになって来たことと思うのでございます。そこで、今質疑の内容を聞いておりますると、お二人とも農民の経済的社会的地位の安定に対して高らかに主張されております。なお、この法案に対しましての批判的な御意見も出て参りました。そこで、私は御両所が、ほんとうに耕作農民の社会的経済的地位はどちらによって守られるかということについて、まずこの点を一つ御検討願いたい。私は、すぐこれを回答されたいというと、皆さんには明確にお答えがないように先ほどからの経過を見て思いますので、私はそういう点については強く求めませんが、一つ簡単でございますから、社会党案をここで申し上げますと、「たばこ耕作者の経営が不安定である現況にかんがみ、その経済的地位を改善するため、耕作の許可の有効期間を五年とし、葉たばこの収納価格の決定方式を改め、耕作者の団結権及び団体交渉権を保障し、再査定、再鑑定及び収納代金の一部前払の制度を合理化し、及び災害補償の要件を明確化する等の必要がある。これがこの法律案を提出する理由である」、この理由は、ごく簡単にまとめてありますけれども、おもなる理由の内容でございます。次に政府案でございます。政府案の理由を申すと、「葉たばこ収納価格の決定について公正を期するため日本専売公社の総裁の諮問機関として新たに葉たばこ収納価格審議会を設けるとともに、公社の行うたばこ耕作の許可の基準に関する規定を整備する必要がある。」これが法律案を提出する理由になっております。次に、自由党案でございますが、「葉たばこの生産の実情にかんがみ、たばこの耕作者の経済的社会的地位の向上をはかり、あわせてたばこ専売事業の健全な発達に資するため、法人たるたばこ耕作組合を設けることができることとし、その組織、運営等について所要の規定を設ける必要がある」、これでございます。してみると、耕作者の経済的社会的地位の向上にどの法律案が一体最も深く考慮されておるか、この点につきましては、私がここで申し上げるまでも、なく、賢明なる皆さんにおきましては、すでにおわかりのことと思います。
そこで、先ほど来いろいろと質疑がかわされておったのでございますが、今日耕作農民の経済的事情の緊迫ということにつきましては、今日に始まったことではないと思うのです。これは、タバコ耕作農民の方々の多くの耕作地は比較的荒れ地ないしは畑作地帯でございまして、他に農業経営の転換もなかなか容易ではございません。そこでやむなく、このタバコ耕作の経営に当るという人々が相当地域的にも、あるいは環境的にも多いと思うのでございます。その事自体に対する専売公社の考え方、すなわち認識が不足している。他の農業生産には不適地なのだから、これを恩にきろという、一種の威嚇である。この傾向が一五十年来ありはせぬかと思うのです。
そこで最近経営に対しましているいの調査をしてみたのでございますが、こまかくは申し上げませんが、方では反当り平均五万六千五百四十九円、大体生産費がかかっております。それで大体反当の収納価格というのが六万九千六円、これは決定的とは申せませんけれども、調査した結果差引一万二千四百五十七円というのが反当収益ということになるのでございます。これで諸掛り等を引いて生活していくのでございますが、大体耕作農民といたしましては最高が四、五反、大体二、三反が多いのでございます。こういう状態で生活は容易でないということを、御両氏は十分御認識願えたと思いますが、さてそれならば、このタバコ耕作の自主性と一つの権益というものを確立するために、ここに法人格を整備するという点はよくわかるのでございますが、私は、社会的経済的地位の安定ということが目的のようでございます。法人格が目的でないと思うのです。耕作農民の目的というものは、社会的経済的地位の安定ということが目的だと思うのです。そのための法人格は手段でございます。この点を、最も権威ある御両民にこんなことを申し上げないでも、すでに御理解願っておることと思うのでございます。このことをはっきりつかんでいただくならば、あとおのずから法案の審議に対する見解なども御理解ができると思うのであります。
そこで先ほど河合さんのお説の中で、特に考えてもらわなければならぬ点があったのでございます。まとめて質問をしておきますからお答えを願いたいと思います。
河合さんのお話によりますると、早く法人格を備えてもらわぬと、昨年以来の経緯にかんがみて容易でない。その経緯は、すなわち減反であるということを言われました。この法人格を備えた本法ができても、今のような制度のもとにおきましては減反の傾向にならざるを得ないと思うのです。
それといま一つはあなたが減反の傾向というのは、今は任意組合だから減反になるといわれただけで、他の大きな理由である価格の点においてつり合いがとれぬから減反になるということを主張しなかったのは理解できない。あるいは検査制収納あるいは購入物品等との問題に対しても削り切れない点があるから減反になると思うが、その点どうか。
とにかくもう一つ聞いておきたいことがある。本年は余剰農産物としてタバコは輸入しませんが、すでに政府が今までに第一次、第二次——第一次が五百万ドル、第二次が二百八十万ドル、これだけの外国タバコを受け入れておりますけれども、この余剰農産物の外国タバコを受け入れて以来、減反の傾向が強く私の調査では現われているのでございます。この点について政府の施策の誤りという点を、あなたはタバコ耕作者としてお考えになったことがあるかどうか。まず、この点を一つお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/61
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062・河合冲
○参考人(河合冲君) ただいま御質問の点でございますが、たばこ耕作組合が法人化しなければ減反になるということを私は申したわけではございません。現在のたばこ耕作組合を早く法人化していただかなければ、現在の組合運営の面で非常に不利、不便があるということを申し上げたのであります。ただ、そのお話の途中におきまして、社会的経済的地位の向上に対しましても、たばこ耕作組合員としてそれをはかるためには、専売法に直ちに関係する問題があるということを申し上げたつもりでございます。従いまして減反の問題等についても、これをやはりたばこ耕作審議会なり、ないしはたばこ審議会のような名称のもとに改めていただいて、現在の政府案というものをもっと強い、広い意味の審議会に改めてほしいということを申し上げたつもりでございます。何かただいまのお話とはいささか違うような気がいたしますので、その点御了承をいただきたいと思うわけでございます。
さらに、ただいまの輸入農産物に関連いたしましたタバコの輸入の問題でありますが、これはもちろん耕作者の立場といたしましては、かようなものを入れることには反対の意味の意志表示を公社に申し入れておったことがあるわけでございます。しかしながら公社の言明によりますと、これは非常に膨大な数量でなく、たばこの味つけ用に必要な程度のものであって、そう生産数量に影響するほどのものではないというような御言明があったわけであります。しかしながら私ども耕作者といたしましては、かようなものが外国より入ってくるということは、直ちに耕作者の反別その他の問題にも影響することである。少くもMSAによるごときものは、これは入れてもらっては困るということは申し上げておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/62
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063・野溝勝
○野溝勝君 河合さん、私の質問があるいは徹底しなかったかもしれませんが、あなたの減反に対する見解ですね。あなたは現在の任意組合、法人格を備えない組合であったから、減反の傾向であったということを、先ほど江田さんに答えておったのですが、私はそんなことばかりではない。やはり外国から輸入タバコが入ってくるということが、非常に耕作農民に影響いたしまして、この先だんだんと外国のタバコが入ってくれば、こっちの日本産はたたかれてしまう、これじゃ見込みがなくなったというので、転換する人が相当統計の上に現われてきたと思うのです。ですからそれに対するあなたの見解はどうかというお答えを得たかったんです、減反に対する。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/63
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064・河合冲
○参考人(河合冲君) 組合が法人化されることによって直ちに減反の問題とはつながってはいないと思うのでありますが、しかしながらやはり減反に対する強い自主的な立場から、組合の立場において、あるいはまた耕作者の立場において、公社に強く折衝をしていくためにも、やはり組合というものをこの際強化していく必要があるということを申し上げたつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/64
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065・野溝勝
○野溝勝君 いや、河合さんね、私の考えはこうなんです。減反をしてくるというには理由があると思うのです。要するに採算がとれれば、減反どころか増反の段階に入ると思うのです。それは災害があるとか、あるいは何か大きな事故があった場合は、別です。しかし大体はそろばんがとれぬということなんですね、採算がとれぬということ、生産費を台割れするということ、それから先々どうも自分のタバコ経営が不安だ、こういうような展望の上に立つこと、こんなようなことが減反の大きな理由になると、こう思うのでございますが、その見解はどうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/65
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066・河合冲
○参考人(河合冲君) 減反の問題につきましては、耕作者自体が自分からよしていくという場合と、公社自体がこれを圧縮して減反せしむるということの二つの場合が考えられると思うのであります。大体公社統計等によりますると、相当程度、相当耕作意欲が向上している年でも、やめる、廃作する人がある。それを直ちに第三者がまたそれを受け継いで、さらにもっと、より以上にこれを作らしてくれというようなことによって、現在逐次この反別の増加も今日の状況になってきている実情であります。しかしながら、現在においても、必ずしも、採算割れであるから、みずからそれをよしていくのだというような人ももちろんありましょうけれども、大勢といたしましては、そういう状況には現在はなっておらないわけでございます。むしろもっと作らしてくれという耕作希望者が非常に多いというのが現段階でございます。ところが、現在生産が過剰ぎみになっておるということの理由のために、公社自体の計画によってこれを圧縮していくという減反の傾向に持っていくというような事態が現われておるのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/66
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067・野溝勝
○野溝勝君 それではもう一つその問題についてお伺いするのですが、確かに公社の方針によって耕作農民の自主性というものを無視して一方的に減反の方針を押しつけてくることもあると私は思います。そうしてみると、今までの組合というものは、これは完全に特約組合みたいなものでありまして、天下り組合みたいなもので自主性はないということは、これははっきりしたわけであります。そこで公社がさように自主性を侵した場合に、会長さんとしての河合さんとしては、耕作農民の社会的経済的地位の確立のために戦っておられたと思うのです。その一つとして、輸入タバコの問題についても、公社に申し入れしたという、この点においてもよくわかると思うのです。しからばこのタバコについて何ゆえに減反をするかということについて、あなたは公社に耕作農民の自主性を守る立場からも、さようなことについて交渉なり努力したことがあるか、もっと具体的に申せば、一体たばこの国の歳入というものは千四百億から御承知の通りあるわけです。言うまでもなく、光一個を分析すると一個三十円のうち十八円二十銭が原料代、大体その程度である。そうすると、よほど政府は、公社はもうけているわけですね。しかるに一方耕作農民の不利益になるようなことに対して、一方的に農民の意思を無視して減反するという公社に対して、今までのたばこ耕作組合はどう努力してこられたのですか、はなはだ皮肉のような質問でございますが、重大な問題でございますからお伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/67
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068・河合冲
○参考人(河合冲君) 御質問の点でございますが、はなはだ微力でありまして、所期の効果はあげておらないわけでありますが、ただ従来、昨年までは——ほとんど二十八年までは増反に増反を加えて参っております。この反別の問題につきましては、問題はなかったわけでございます。ところが、二十八年を最高といたしまして、二十九年、三十年と続きましたのが現状維持の線でありまして、反別は前年度と同様な形において許可反別が放置されたわけでございます。ところが、ちょうど三十年度並びに三十一年度、この二カ年が、非常な三十年度が豊作でありまして、さらに三十一年度も豊作気がまえによりまして、昨年の七、八月ごろから相当ストックが多くなっているということ、さらにまた、たばこの売れ行きがきわめて二十八年をこれもピークといたしまして、逐次減っているという現象から、あるいは耕作反別を減らさなければならないのではないかというような意見が、昨年の七月ごろからそれがぼつぼつとみえ始めたわけであります。そこで三十二年度のタバコ耕作許可方針といたしましての専売本社より地方局に流されました許可方針が、廃作する者の反別については、絶対にほかに融通は認めないということなんであります。従って、廃作する人の反別についてはほかにかわって作るということが認められないということでありまして、これが相当県によりあるいは地方によりまして、耕作を希望する者にそれを充当し得ないという状況になってきたわけであります。これが直ちに耕作者の耕作意欲に影響することはもちろんでありますし、また、組合自体も経営の規模と申しますか、それにも相当影響するであろうということから、全国のタバコ耕作者大会を開きまして、これに対処いたしまして、この方針の改訂を要求したのであります。その当時やはり先生からおしかりがありましたが、国会たばこの会の方々の御出席を願いまして、御尽力を得まして、これに対します阻止運動と申しますか、阻止に対しましての運動を行なったわけであります。その間にある程度の融和をはかったというのが、結論といたしましての辛うじての収穫であったという程度にとどまっているわけでございます。それが結局全国的に見まして約三千町歩の実質的減反を見たというのが、この三十二年度タバコ耕作におきまする三十一年度の実績に比較しての減反の事情であります。これが手放しにいって、そのままの取扱い方針でいったといたしますならば、さらにさらにもっと大きな減反が見られたのではないかということも予測されておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/68
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069・野溝勝
○野溝勝君 そこで河合さん、少し考えて下ると思うのですが、ただその減反が三千町歩で押えることができた、それは交渉努力の結果であったと感じておるというふうに受け取れたのでありますが、私はそんなことよりは、もっとほかにいい方法があれば、かような一方的な処置によって農民が経済的に苦しむことのないような政策が必要じゃないかと思うのです。そこで今のような問題に対しても、どうしてそれに対抗し、耕作者の意思を正しく出して公社と折衝するかということが問題になってくると思うのです。そこで団体交渉権というようなことが絶対に必要だ。こういう一つの権利というものがなければ、一方的に処理される傾向になって、審議会ができても、農民の今のような処置に対しまして対抗はできないと思います。こういう点について、河合さんは十分お考えを願いたいと思います。今まで長い間の河合さんの経験によってすでにもう解明されたろうと思います。あなたが先ほど申した通り、江田社会党の農民部長、本委員の質問に対しあなたは、本法の成立の暁は公社と一線を引いて、自主的に立ち上るつもりですという、まことに堂々たる御答弁がございましたが、私は、本案が幾ら成立しても、そんなに自主的に立ち上るということはできません。あなたはどの一体法案が通った場合においてのみ立ち上ることができるか、静かに検討願いたいと思います。この程度で河合さんに対する御質問はやめます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/69
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070・平林剛
○平林剛君 河合さんに二つばかり関連をしてお尋ねをしたいと思います。あなたが中央会において大へん耕作者のために御努力なさっておることに対しては、個人的にも尊敬の念を払っておる一人であります。ただそのあなたが、今議題になっておるたばこ耕作組合法案で大体満足なさっておるような御意見を拝聴いたしておりますと、私としては大へん遺憾に存ずるのであります。なぜかというと、今回私どもが議会に提出をいたしましたたばこ専売法の一部を改正する法律案でも、あるいはこれに関係をして議論をされておるすべての法律案でも、やはりねらいは、第一にはタバコ耕作者の社会的経済的地位を高めるところに役立つかどうか、もう一つは、耕作者の団体である耕作組合の運営や活動が自主的な立場で行われるかどうか、第三の点は、昨年来から問題となっておる減反の傾向や、収納価格の値段のきめ方について、耕作者の希望している当面の問題を解決できるかどうか。こういう三つの点に目標が置かれなければならぬと思うのであります。ところが現在までの、耕作組合法案を見ましても、政府から提出をせられておる専売法の改正を見ましても、その目的に対しては十分な解決を与えておらない、私はそう思うのであります。たとえば一つの社会的経済的地位を向上、せしむるように、今議題となっている法律が役立っているかどうかということについては、私は次のような欠陥があると思う。一つは、耕作組合法案の第八条に事業が書いてありますけれども「組合員又は会員の経済的地位の改善のためにする団体協約の締結」、これは第十一号に規定されておりまして、順序がおしまいの方にあるから、これに主体が置かれていないとか、あるいは主体が置かれているとかいう議論は適当でないかもしれませんが、少くともこの法律の趣旨は、むしろ専売事業の全般的な経営を主体として、第二義的に耕作者の経済的地位の改善の措置を考えているようになっております。私はこの点において、タバコ耕作者の利益を代表しておられる中央会の役員の方々が、こういう表現の仕方で満足しているということについては、どうも何となくなまぬるい感じをするわけであります。それから、せっかくこういう機会であるのに、団体協約をする場合に、肝心の相手方が明瞭でないのです。そうして耕作者が一番問題にしておるタバコの値段については、政府案のたばこ専売法の改正案の中にありますように、審議会程度で終ってしましておる。これでは耕作者の経済的地位を高めるために一番重要点と思われるタバコの値段について、所期の目的を達成することが困難ではないだろうか。加えて、耕作者が当面要望しておるものは何か、それは減反の傾向に対して、何とか耕作者の団体が防衛をしてもらいたいということ、それから災害の補償についてもう少しめんどうを見てもらいたいということ、葉タバコの前渡金の問題について合理的に解決してもらいたいということ、いろいろあるのですが、これらの経済的な諸問題については、たばこ耕作組合法案では迅速に当面の問題を解決することができない、こういう仕組みになっているわけです。そういう意味からいきますと、第一の耕作者の社会的経済的地位を高めるためというのは、ただ一つ法人化ということだけが残されているだけてありまして、これは名前だけでありまして、実質の伴わない名前であります。そういう意味では、私はこういう点についてもっと解決するように、議会に対しても御要望をなさるというのがあなたの立場でないかと思うのですが、この経済的社会的地位を高める措置については、この法律案だけで御満足なさっているかどうか、これをまず第一にお伺いしておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/70
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071・河合冲
○参考人(河合冲君) ただいま御質問の諸点につきましては、まことにごもっともな御意見であると思うわけであります。ただ従前までのいろいろな要望、その他の事項を通じまして、団体交渉権その他につきましては、なかなかそれが簡単にいくかどうかということが、非常に危惧されておるわけでございます。その必要は認めるわけでございまするが、ただ、これがまず急速に実現が困難であるということでありますならば、まずもってこの審議会の強化によりまして、漸次に実現の運びにいくということが望ましいと考えておるわけでございます。御了承を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/71
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072・平林剛
○平林剛君 今日は民主義の段階でありまして、すべての団体が自分の権利をあるいは権益を擁護する場合には、やはり相手方に対して必要な資格を得るということが必要であります。これは労働者の場合でも、労働組合法によって団体交渉権が認められている。なぜタバコを作る耕作者がこれを認められないのか。中小企業でさえも最近は、いろいろな交渉をする権利が認められるというような時代に漸進的になっているわけです。だから、あなたは徐々にと、こう言われますが、今日の段階のタバコ耕作者の立場というのは、他の団体に比べていえば非常におくれているわけです。だから、私は今日の段階では、その程度のことをあなたは先頭に立って御主張になっていいのではなかろうか、こういうふうに思うわけであります。私ども微力でありますが、そのために、議会においては、たばこ専売法の一部を改正して、耕作者の利益を、おくれている立場を普通にしなければならぬという主張を繰り返しておるのであります。
これはまたいずれあなたのお考えを願うことにいたしまして、もう一つ、すべての法律案の目的であるところの、またあなたが先ほど強調なされた耕作者団体の自主的な運営をやりたい、こういうことがたばこ耕作組合法ではできるかどうかということであります。あなたは大体今度はこれを機会に自主的な運営にいきたいという御決意を述べられましたけれども、法律上はそれを許しておりません。たとえば役員選挙の、指名についても、耕作者全般の意思で選挙をするというのがほんとうは建前でありますが、この法律案によりますというと指名を許されておる。私は今まで全国の耕作者の意見を聞いて歩きましたが、この指名が許されるということになりますと、やはり権力的な指名によって自主的な運営ということ阻害されてくる実情をたくさん見てきておるわけであります。こういう意味では、あなたの御決意にかかわらず、自主的な運営ということが不可能になる、そういう欠陥がこの法律にあります。
もう一つは、定款の変更は、公社の認可を受けなければならないということが、この法律に書いてある。それから耕作組合を設立する場合に許可を受けなければならない、こういうことでありましては、専売公社に隷属する立場を離れることができないのではないでしょうか。タバコ耕作者が自主的な立場で自分の一体を運営することができなくて、すべて許可を得るという立場でしか出発点において迅常できないとすれば、おのずからその運営というものは今からでも明瞭に指摘することができる。あなたの御感恩にかかわらず、自主的な運営ということがここでも阻害されるということになりはしないか。同時に第五十九条をごらん下さい。第五十九条には、耕作者の団体である耕作組合に対し、耕作組合の解散権があることになっておるわけであります。専売公社が耕作者の団体に、ある一定の条件のもとでは解散を命ずることができる。もし、その解散をしなければならないという要件が、国民的利害につながるものであれば別であります。また耕作団体が国民的な立場、公共の福祉というものに反して解散を命ぜられるというなら、またやむを得ません。ところが、この法律を見ますというと、本来公社の専業を耕作者の団体が受け持っておるにすぎない。それをしなかったことの理由だけで解散を命ぜられるという仕組になっておる。そうすれば公社の御都合、公社の意見に従わなかったということで解散を命ぜられるということがあり得るわけですね。耕作者の意思に反して、公社の一つの権力機構の中から解散を命ぜられる、こういう法律案に、どうして耕作組合の自主的な運営ということを見出すことができますか。
もう一つは、最後の、法律案の第八章に罰則がありますが、この罰則の規定も、第六十条に書いてありますように、定款や規約を耕作団体が守っておるかどうか、こういうことがわかるような報告をしなかった、それだけの理由で罰金三万円つく、自主的な耕作者の団体が自分の規約で運営をしておる、そうして現状がどうであるかということを単に報告しなかっただけで三万円以下の罰金に処せられる。これは他の団体の法律の中でも大へん珍しい法律になっておるわけであります。こういう幾つか、私は単に列挙したにすぎませんけれども、あなたの御希望にかかわらず、自主的な運営というものができない組合にしかなり得ない。もう少しこの点を御検討なさって、ほんとうに耕作者の利益を代表する立場で法律案に対する御意見を述べていただきたい、私はこう思うのでありますが、今の問拠点の指摘について、あなたはこれでもやむを得ないとおっしゃるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/72
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073・河合冲
○参考人(河合冲君) ただいま御質問の点でございますが、そういう点につきましては、御意見非常にごもっともと考えるわけであります。ただ自主的な運営ということは、もちろんそういうことは大きな問題でございます。さらに運営しておる面におきましても、対内的な問題においてもきわめて不利不便と申しますか、一例を、具体例を申し上げますれば、資産の管理に対しまして、自分の組合事務所を、たばこ耕作組合長なるがゆえに、一般の外部からは組合の資産として認められておるように思うのでありますが、実際はそうでなくて、組合長個人の名前で保存登記がされておるという現況であります。その他、土地その他につきましても、そういう形であります。従って、非常に組合長が個人的な大きな負債をやる場合とか、あるいはまた組合長死亡の場合に名義変更とかいう場合、新民法によりまする均分相続という点等につきまして、非常に困難な事情があるわけであります。組合自体も非常に困っておる実例があるわけであります。従いまして、さような問題を、直ちに耕作者に組合の資産はつながる問題でありまして、そういう点につきましてもやはり法人化を確保して、その上に資産の管理を十分にやらしめていくということが、まずもって焦眉の急務であるとも考えられるわけであります。その他、ただいまお話しのように、対外的な自主性を持った運営、特に専売公社と対等な立場でということのご意見はごもっともでございます。しかし、まずもって国会の日にちも非常に切迫しておりますので、多少の不備、そういう点はあるにいたしましても、この際ぜひお通しを願いたいというのが私のただいまの心境でございますので、その点御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/73
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074・平林剛
○平林剛君 関連でありますから、これで私は一応質問を終っておきますが、法人化の問題については、あなたがお述べになったように、ある程度の前進はあり得ると思います。それについて私は否定するものではありません。しかし江田委員が御発言になったように、タバコ耕作者にとっては千載一遇の機会なんです。命じ三十七年以来その本体においてはタバコ耕作に対する法律は、権力支配的な立場で運営をされてきておるわけであります。もちろん一面、耕作者は国家の専売事業という重大な役割を負うているわけでありますから、そういう意味では国家的要請に基いてある程度がまんしていただかなきゃならぬ点もありますけれども、しかしあまりにも前時代的なものである、せっかくこういうタバコ耕作者全般の問題が議論される機会に、それこそ千載一遇の機会に、後に悔いを残さないような形でよい解決を求めるというのが、私は耕作者全般の利益に通することだと思うのであります。あなたのお気持はよくわかるのでありますけれども、やはり耕作者全般が何を求めているか、何を強く要望しているかという点を十分御検討いただいて、私どももこれに協力をして、よい結論が出るようにしなければならぬ、こう思うのでありまして、そのために私どもも後に悔いを残さないようなものにしたいという気持でおりますので、どうかあなた方も、私の先ほど指摘した点は最小限直さなければならぬぞという気持で、この点についても再検討なされるように希望いたしております。きょうは私は関連でありますから、この程度で終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/74
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075・野溝勝
○野溝勝君 更級さんから一、二お伺いして、私の質問というか、意見を打ち切りたいと思います。先ほど更級さんからのいろいろ御意見なりお答えを聞いておったのでありますが、もう何も農民のことについては十分御理解をされておる方でございますから、今さらちょうちょうと申し上げません。ただ私が聞いておってどうも合点のいかぬ点は、なぜ日本農民の今日の苦悶と立場というものを全面的に押し出し、この機会に主張していただきたかったと思うのであります。と申しますのは、現在の農民の過小農的経営支障の問題、たとえば日本農民の耕作面積の狭い過小農の関係、作付転換の困難な事情、特にタバコ耕作農民の環境、こういうようなことをあなたから率直にこの機会に本委員会において発表されましたならば、この審議の上においても、この三案の審議の上にも賛否のかぎになるのではないかと思っておりましたが、その点が非常に遠慮されておる点はまことに遺憾だと思います。簡単でもいいから、この際そのことを更級さんからこの機会に率直に見解を聞いておきたい、これが一つ。
それから特に価格とか検査とか収納とかいう問題だけでなくて、農業経営の上において二つのたばこ耕作組合ができる、これは何と言っても中央会が別々でございますから、そこにやはり指導系統の対立というものがあります。主目的は一致しておりますけれども、やはり運営とか経営のやり方で迷います。ざっくばらんに申せば、今までのたばこ耕作組合の系統は、これは河合さんには悪口であるかもしれませんけれども、大蔵町専売公社特約組合、こう言った方がはっきりすると思います。私は、あなたを誹謗する意味で言うのじゃない。今の任意組合の形態ではどうすることもできない、文句言うならやめてしまえと、こう言うのですから、ざっくばらんに申せば……。それじゃとてもあなたが幾ら会長でしゃっちょこ立ちになってもだめです。その点は私もわかっているつもりです。ですけれども実際はそういうわけなんです。いわば徳川時代の御天領的組合と、それから外様的な、まあ専売公社から見るというと外様的な組合と、この中央会が二つできる、そうなってくると日本の農民に農業経営の上にどういうことになるでしょう。最近の政府の農政はどういうふうに変ったか知りませんが、河野農相時代におきましては、食糧重点政策から適地適作方針というものを打ち出した。そうなってくると、この適地適作という方針が、このタバコの耕作の上にどういうふうに一体影響してくるか、この方針が具体的にどういうふうになっておるかということを説明がなければ、うっかり政府案なり、はなはだ失礼でございますけれども、自由党案なりは了承しかねる。そういう点について、政府の適地適作の方針をも考えて法案を作ったわけでありますが、そういうような問題が当面あるわけであります。こういう点から見ても、二つのたばこ耕作組合の存立ということは農民のためにならぬと思うのです。また国家としても、農業生産上にもためにならぬと思うのです。官庁のなわ張り主義というものが、あらゆる産業行政の面に流れを持っていることはまことに遺憾だと思います。しかしそれをすぐぱっと一擲するということはなかなか容易ではないが、少くとも民間における指導者の方でございまする、農民のことについて真剣に考えておる御両氏でありますならば、ぜひ私は、このたばこ耕作組分の問題に対して真剣に考え直してただぎたい。この機会に、農民の主目的である経済的地位の確立について、あなた方が期するところがあると思うのです。この二つを更級さんから、まあ詳細でなくともよろしうございますから、荒筋だけお答えを願いまして、私の質問を打ち切りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/75
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076・更級学
○参考人(更級学君) ただいま野溝先生の御意見でございますが、われわれ長い問農民運動をやっておりまして、農民のことにつきましては日夜考えおるのでございます。ただいまのタバコ生産者の問題につきましても、われわれとしてもないがしろにしているわけじゃございません。先ほど江田先生からも御質問ございましたように、今回のこの法案の改正あるいは提案に関しまして、われわれといたしましても、耕作者の農民の意思が十分にこの専売関係において反映するように、耕作権の確保なり収納価格の問題、あるいは生産タバコの鑑定の問題について、先ほど申し上げましたように、農民の意志が十分反映するような措置をとってもらいたいということを申し上げて参っておる次第でございます。なお今後ともこの面については十分措置いたしたいと考えるのであります。
なお、ただいま野溝先生の適切なお話しでございまして、われわれも今後この耕作組合ができた場合に、われわれ農業協同組合の側との間においてできるだけ摩擦のないように、農民の指導の中心になっておる団体でございますので、一つ十分同者の間で話し合いをしまして、そうして両者ともに葉タバコ生産者の、前々お話しがございましたように、社会的経済的地位の向上のために努力したい、こう考えておる次第でございますので、よろしく御了承をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/76
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077・杉山昌作
○杉山昌作君 大体法案審議の背景になるような重要な問答が詳しくありまして、われわれも拝聴していて非常に参考になったわけですが、こういう問題をこれ以上お尋ね申し上げても、参考人としては御迷惑と思いますので、私はごく目の先の、法案審議の直接の問題になっている、しかもちょうど更級さん、河合さん、二人おいでになりますので、その点だけ一点お伺いしておきたいと思います。
この組合法案を作るに当りまして、農協側から反対があったということで、法案の作成に非常に提案者の方々がお骨折りになったということはよく私も拝聴いたしております。また今も更級さんから、農協としての反対の決議もしたこともあるのだ、またそのいきさつも拝聴いたしたのであります。しかしながら今の段階になって見ると、多少そこらの意味の調整がついてきて、結局の問題は、農協とたばこ組合と事業の競合を激化するようなことじゃ困るのだ。競合がなくて、むしろまた運営次第によって相互に助け合い得るような運営ができるなら、決して反対するもんではないというふうなお話しが今あったわけなんです。それでその競合するおもなる点は、伺いますと、組合の地域の問題だと、こういうのです。その地域につきましては、農協の地域と競合しないようにしてもらうことが肝要だと思うのでありますが、実はこの点はおとといのこの委員会で、提案者に伺いまして、また、提案者の意思通りに専売公社は認可するのかどうかというふうなことで、専売公社の当局にも伺ったのです。そうすると、専売公社の出張所の区域できめるのが原則であって、やむを得ず出張所の区域と違った区域になる場合においても、できる限り農協との区域の競合を来たさないような配慮をしてきめるのだ、それが法案の趣旨である、また立法の精神である。こういうふうなことを承わって、そうなればまた今、更級さんのお述べになったような不安は全然解消することになると思うのですが、そこで河合さんに承わりますが、そういうふうな方針で許可をするというような専売公社のお考えですが、耕作組合側として、区域の問題はそういうふうに今後措置していって、いささかも御不便はないのでしょうか、どうですか。河合さんに承わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/77
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078・河合冲
○参考人(河合冲君) ただいまの御質問の点でございますが、これにつきましては、もとより現在公社の勧めによりまして、区域の統合も行われつつあるわけでありまして、ただいまのお話しのような区域でいささかも差しつかえないように、指導の面においてもやって参りたいと考えるわけであります。ただ特別なごく少数の地域においては、あるいは支所、出張所の区域ではいかんという場合もあり得ると思うのでありまして、そういう点は特別のケースとして特例をお認め願うような形にできますれば、それで私どもの方はさような点でけっこうであると思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/78
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079・杉山昌作
○杉山昌作君 それから次の点は、この事業の項目で共同購入の問題と資金のあっせんの問題であったように承わったのですが、共同購入については、法文にも書いてあるように、タバコの生産上必要な資材その他のことを書いてあるわけなんですね。これがタバコ以外のものに使われるならば種類からいえばむろんのこと、また数量もタバコにも使えるし、ほかのものにも使えるという肥料がかりにあったとして、そのときにタバコの反別からいってべらぼうにたくさんのものを買って、それをほかの畑へ持っていくというようなことをしないように、種類的にも数量的にもタバコの生産に必要な限度にとどめるということに当然これは解釈さるべき問題であって、またそういうふうなことでやるべきであろうと思うのです。それから資金のあっせんというふうなことも、これは文字から見てあっせんでありますので、これは絶対的に自分が預金を受け入れる、あるいは資金の貸し出しをするというふうなことじゃないのです。他の金融機関から資金を借り出したり、あるいは他の金融機関に収納代金をまとめて預け入れるときのあっせんをするだけのことなんです。従って農業協同組合といいますか、信用組合といいますか、その方と競合するどころじゃない、むしろそのあっせんをするときに、なるべく銀行よりも同じ農村の組合であるからというようなことで、信用組合等を主として今言ったようなことであっせんをすれば、かえって両者うまくいくだろう。こういうふうなことにも考えられるわけでありますが、たばこの組合の方としては、今後実際おやりになるときにはそういうお気持でやるつもりかどうか、その点をはっきり一つ承わっておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/79
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080・河合冲
○参考人(河合冲君) ただいま御指摘の通りでございます。従来も農協に対しましては、少くとも末端の組合といたしまして、資材の購入に対しましても相当程度の取引をしているわけであります。特に資金の面等に対しましても、全国的の計数からいたしますれば、農協を通じて振りかえ払いをやっているというのがすでに約九〇%にも達している。それより以上の数字にも達しているというような状況でありますので、末端においては、特別なケースは別といたしましても、全般的の傾向といたしましては、農協と緊密なる連繋のもとにやっているわけでありまして、いささかも競合を起すことはないと信じておりますし、また今後われわれといたしましても、各組合を指導いたしまして、緊密なる連一撃のもとに資金のあっせんは、もとよりあっせんでありまして、こちらで信用の事業の分野に立ち入ることはもちろんのこと、そういうことができ得る態勢でもないと考えておるわけでありまして、御指摘の通りの方針で進みたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/80
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081・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 参考人に対する質疑は、この程度でよろしうございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/81
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082・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) まことに御苦労さまでした。
江田君、法制局の部長が見えていますから、どうぞあなたの方から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/82
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083・江田三郎
○江田三郎君 たばこの団体が将来法人化された場合に、団体協約を締結するということが問題になるわけですが、そういう団体協約の締結というときに、専売公社が相手方として対象になり得るかどうかという点についてのあなた方の見解を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/83
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084・亀岡康夫
○政府委員(亀岡康夫君) お答えいたします。御質問の御趣旨を少し限りまして、現在出ておりますたばこ耕作組合法案の規定によります組合が行います団体協約、この対象に専売公社が入るかどうか、こういう御質問の御趣旨のように承わりまして、お答えいたします。一般的に申し上げますと、この法案の第八条にございます通り、その第十一号に「組合員又は会員の経済的地位の改善のためにする団体協約の締結」、こうございますので、相手方は公社であろうとその他のものであろうと対象になると思います。そこで少し説明をつけ加えまして、ただいま公社その他のものが対象になると、こう申し上げたのでありますがただ、たばこ専売法におきまして、公社が法律の規定に基いて権能として行う行為、これは公社が法律によって一方的に行う行為であり出すのでそういう行為につきましては、相手方が公社であろうと、その対象にはならない、こういうふうに考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/84
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085・江田三郎
○江田三郎君 そういう場合に、たばこ専売法の当該個所を修正することはできるわけですね、修正すれば団体協約の相手方になり得るわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/85
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086・亀岡康夫
○政府委員(亀岡康夫君) もちろん、団体協約の対象にいたします場合に、いかなる事項が団体協約の対象になるかどうかということは、立法施策の問題でありまして、立法上適当、不適当という問題があるかも存じませんが、法律できめる場合には、その事項も法律としては可能であるという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/86
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087・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) この際、委員の補欠について御報告いたします。
委員白川一雄君の逝去に伴い欠員となりました委員の補欠として、本日付をもって井上清一君が選任されました。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/87
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088・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 速記をつけて。
次に、造幣局特別会計法の一部を改一正する法律案を議題として、事務当局より内容の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/88
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089・中尾博之
○政府委員(中尾博之君) 造幣局特別会計法の一部を改正する法律案につきまして説明を補足させていただきます。
造幣局特別会計法の一部を改正する法律案につきましては、その内容といたしますところが、造幣局特別会計の仕組みそのものに関係いたしまする部分と、それからその仕組みを運営いたします場合の仕訳と申しまか、いわゆる簿記、必要経理の手続に関する規定が入っておるのでございまして、しかもそれが一部改正法案の形になっておりまする関係上、各個々の条文につきまして御説明申し上げますと、かえって混乱いたしまして、御理解が得にくいのではないかと存じますので、内容に盛られておりますところの実体につきましてかいつまんで申し上げます。
まず第一点は、従来造幣局特別会計におきましては、回収準備資金という資金と、それから歳入歳出の会計を管理いたしますところの通常の会計と、この二つに分けておりますのでございまするが、補助貨幣を発行いたしまして、発行いたしまするというと、額面に相当する政府の資産がふえるわけでありますが、その資産の増加は、これを資金という形で整理をいたしておるのでございまして、逆に今度は回収いたしまするというと、あるいは引きかえ等いたしますというと、政府の資産が減るわけでございます。その減る関係は資金が減るという整理をいたしております。しかしながら、発行いたします場合にはやはり元がかかるわけでありまして、その地金を必要といたします。そのほかの材料も必要といたしますし、経費も必要とするわけであります。この場合にそれらの発行に必要なコストのうちで、現金以外のものはこの会計の負担になっておりまして、それからこの会計におきまして人を雇いましたりあるいは外から物を買うという場合には、その金が資金の方から供給されるという形になっております。一方で回収を今度やりまするというと、額面の資産の減りは、先ほど申し上げましたように資金の減ということになるのでございまするが、ただ減りっ放しではございませんで、素材が戻って参るわけでございまするが、これらの素材はこれは資金に帰属いたしておりませんで、この特別会計の力の財産に帰属さしております。その関係で、補助貨幣を発行いたしましたりあるいは回収いたしましたりするのに伴いまして、地金が必要になれば資産が減りますし、それから地金が、回収貨幣が入って参りますと資産がふえる。こういう関係でこの会計の損益が出てくるわけであります。もちろん、この会計としまして、通常の業務に基く損益もございまするが、大きな要素はそれによって左右されることになります。従って回収が多い場合におきましては、仕事をしないでも自然と益が出てくる。それから大いに仕事をいたしまして、お金をよけい作りまして、その資産を食いつぶして参りますと損が立つというような形になっておりまして、まことにこの企業会計と申しますか、こういう作業の仕事を特別会計において経理いたしまして、企業的な運営に資するように持っていこうという場合に工合が悪いわけでございます。
そこで今回改正をお願いいたしまして、回収準備資金の方に今の回収貨幣の地金を帰属させることにいたしまして、今度発行の場合に地金を必要といたしますという場合には、資金からそれをこの会計の方に入れていただく、こういうことにしようということが第一点でございます。これによりまして、今申しましたような回収、発行に伴いまするところの素材の増減によるところの損益というものが、この会計の損益の真の姿を乱すという点を防ぐことができます。
それからその次の大きな点は、回収準備資金は、先ほど申し上げましたように、回収のために減るものでありますし、発行のためにふえるものでございますが、これを貨幣製造の費用に充てることになっております。同時にこの貨幣製造のための固定資産の収得のために用いることになっていますが、もちろんこの固定資産を取得いたします場合には、資金からこの会計の歳入に入れまして、それで固定資産を買いまして、あるいは作りまして取得するわけでございまするが、この場合に全部それが資本の増額になっておるのでございまして、いわば増資した形になって整理されておるのでございます。ところが一方で、この会計におきましても固定資産を持っておりまして、固定資産のうちには当然償却資産もあるのでございまして、これらの償却資産につきましては、毎年償却をいたすべきことになっております。その減価償却分というのは、でき上った商品がもし売れる商品でございますると、代価として回収されまして資本が維持されるのでございますが、この会計は、先ほど申しましたように、現金だけをもらう会計になっておるものでございまするから、代価という形で金がもらえない会計でございます。従って減価償却はいたしますのでありまするが、その費用に見合うべき益が実は与えられておらないのでございます。その結果、減価償却をいたしまするというと、その分が欠損になりましてで、逓次繰り越しという規定がございまして永久に埋めるはずのない欠損がたまっておるわけでございます。実際におきましては、固定資産の減価償却をいたしましたそのいわゆる償却分につきましては、これを償うのに足る金を資金から繰り入れまして、設備その他万般の維持をはかっておるものでございますが、その分が増資になっておるという関係上、どうしても欠損になってしまうというような点が工合が悪い点でございます。
なお、この会計におきましては、損益を生じました場合に、損金に、期間の計算によりまして、決算上損失が生じました場合には、これは永久に繰り越さざるを一得ないような形になっております。と同時に、益につきまして、この益というのは、先ほど申し上げましたように、主たる原因が貨幣の回収による地金の増なのでありますが、これを生じました場合には、これを回収準備資金に納付させることになっておるわけであります。ところが損益計算上益が出て参りますが、実は現金ではございませんで、物でございまするので、これを資金に納付しようと思いましても納付することがでさません。そこで納付金の制度がございますが、納付ができませんので、米納付益金という形で繰り越して整理いたしております。これも今のままの姿で参りますると、何とも収拾がつきませんで、いきませんで、いつまでたってもこれが解消する見込みはないという制度になっております。
以上申し上げましたようなことで、まことに現状の制度がおかしいのでございまするが、これは昭和二十五年におきまして、現在の回収準備資金を作ります際に、いろいろな事情で制度め改正を急がされました。当時占領下であった関係もございますが、急がされました関係上、これらの事柄につきましてはある程度予想されたのでありますが、うまい方法がございませんで、結局こういうことになっておったのであります。しかしながら、その後、毎年度決算をして参りますと、未納付益金はふえて参りますし、それから一方で欠損金はだんだんふえてくるというようなことで、造幣事業の企業的な経営をやっていく、その際に企業の努力というものを正確にこれは反映せしめるという点がこの会計のねらいでございますが、そのねらいに対しよして著しく不適当な状況になって参ったのでございまして、この際、従いましてこれらの点を改正いたしまして、地金につきましては資金の帰属とする。それから先ほど申し上げました減価償却の分につきましては減価償却は行わせます。しかし固定資産の取得のために資金から繰り入れるお金につきましては、減価償却費に相当する分だけはその費用に充てることにいたします。増資に回しません。これをこえる分だけを増資に持っていくというような整理をいたそうとするものでございます。
そのほか、仕訳の方法等につきまして、実情に即しません点を二、三改正いたしておりますのと、それからこれはほんとうに条文の字句でございますが、字句の適当でございません点を若干、二、三、これを機会に改めさしていただくと、こういう内容の法律でございます。
で、この法律は今年度の——昭和三十二年度の決算から適用いたしまして、昭和三十三年度の予算からこれを実行いたしていくつもりでございます。来年度からのことをどうしてこう早くお願いをしなければならないかと申しますと、やはりこの制度の仕組みの改正でございまして、しかもこれが実体の業務とからんでおるものでございまするから、万般の諸手続を整えまして、滞りなく新年度から発足していくように内部の諸規程も改め、事務に十分習熟させまして、根本であるところの貨幣製造供給の方の事業に支障のないように持っていきたい。そのためには、どういたしましてもただいまの段階におきまして御議決をちょうだいしておきたい、こういう趣旨でございます。
何とぞよろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/89
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090・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 質疑は都合により次回に譲ります。
次に、これから理事会をお願いすることにして、本日は、これにて散会いたします。
午後四時四十一分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03819570515/90
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