1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年五月十六日(木曜日)
午前十時五十五分開会
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委員の異動
本日委員木下友敬君及び島村軍次君辞
任につき、その補欠として椿繁夫君及
び前田久吉君を議長において指名し
た。
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出席者は左の通り。
委員長 廣瀬 久忠君
理事
木内 四郎君
西川甚五郎君
江田 三郎君
平林 剛君
天坊 裕彦君
委員
青木 一男君
塩見 俊二君
田中 茂穂君
土田國太郎君
苫米地英俊君
宮澤 喜一君
天田 勝正君
大矢 正君
栗山 良夫君
椿 繁夫君
杉山 昌作君
政府委員
大蔵政務次官 足立 篤郎君
大蔵省主税局長 原 純夫君
大蔵省理財局長 河野 通一君
事務局側
常任委員会専門
員 木村常次郎君
説明員
大蔵省大臣官房
財務調査官 大月 高君
大蔵省造幣局長 脇阪 実君
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本日の会議に付した案件
○中小企業の資産再評価の特例に関す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○酒税の保全及び酒類業組合等に関す
る法律の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
○預金等に係る不当契約の取締に関す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○臨時通貨法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/0
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001・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) これより委員会を開きます。
議事に入るに先立って、委員の異動について御報告いたします。
本日付をもって木下友敬君及び島村軍次君が委員を辞任され、その補欠として椿繁夫君及び前田久吉君が委員に選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/1
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002・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) まず、中小企業の資産再評価の特例に関する法律案を議題として質疑を行います。御質問を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/2
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003・大矢正
○大矢正君 きのうですか、衆議院から春日委員が来て、税率の引き下げを初めとした原案に対する修正の説明がなされたのでありますが、本会議が始まるというようなことで、修正案に対する質問も実は多少残っておったのでありますが、今述べたような理由で、できなかったので、質問の内容が修正部分にも入るかもわかりませんが、その点御了解をいただきたいと思います。
衆議院の中でも盛んにこれは論議の的になったのでありますが、それは、現在の中小企業の中で、特に第一次から昭和二十九年の第三次のいわゆる大手企業あるいは中小企業を含む再評価が行われておりますけれども、今日なお取り残されている、再評価を行わない中小企業というものは、内容的には非常に劣悪なものではないかと思うのであります。もちろん資本力においてもそうでありますし、それから利益の問題にいたしましても、収益を考えてみましても、あらゆる面をこの際考えてみて、新らしくこの法律に基いて行おうとする中小企業というものは、これはもうほんとうに内容において劣悪なものばかりであって、こういうような取り残された劣悪な状況下にある中小企業が、再評価を行うことによって、資産の再評価を行うことによって、非常に高額な再評価税を取られるということは、これはとりもなおさずその中小企業を、むしろ資本を充実し、内容的によくするのじゃなくて、むしろ悪くする結果も出てくるのではないかという危惧をするのでありますが、衆議院におきましては二%が一・五%に下ったとはいえども、やはりこれでも私は無理があるというように考えるのでありますが、まずこの点からお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/3
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004・原純夫
○政府委員(原純夫君) お話の通り、この再評価を、税を極力安く、まあ極端にいえば全然なしでやるという角度での考え方、これは確かにあると思います。しかしながら、いろいろな観点からある程度の税は取ろうということで、第一次以来再評価が何度も行われておりますが、ずっとやってきております。今回もその一連の再評価の一環でありますので、そういう意味で、やはり全体とバランスのとれた税をかけるということにせざるを得ないというふうに考えたのであります。どういう事情からかといいますと、実質的には、戦争中、戦後を通じまして、通貨価値の変動でいろいろな資産についての消長があったわけでありますが、その中で実物資本というものは一番有利な地位に立っておるわけです。ただそれを税の面で昔の評価でしか扱われないという点が、何といいますか、その百パーセント有利な地位が確保できないというだけだということになっておったわけです。他の極端な貨幣債権、これはみじめにも打ち切られ、あるいはもう零に等しいというようなものになってしまうというようなことになっております。そういうようなことを考えまして、二十五年に第一回の再評価をやったときに、全般のそういう公平感からして、六%の税を取るという考え方を立てたわけです。それにはもう一つ理由がありました。それは、やはり納税者の全部が神様みたいな気持でやって下されば別だけれども、評価はふやして税金は一文もかからないということになりますれば、こんなうまい話はないので、非常に不当な水増し評価を行い、もう実際の価値よりもめちゃくちゃな高い評価をしておいて、そしてそれは自後の償却で税金を減らしてもらえるということになりますと、自後何年間かの税金を合法的に脱税するような結果になる、そういう手が与えられるということにもなります。そういうのは、やはりある程度の税を設けて、自動的に安全弁を付するということ、これは各国再評価の法制としては、あまりがっちりした再評価をやっている国はありませんが、フランスあたりでやっているところでは、やはりそういうようなことをやっておったと記憶いたします。その両面からこの六%という税率を設けたわけであります。今回の場合、六%に比べますと、政府原案はその三分の一、さらに四分の一になったわけで、これは最終の第三次の分の強制分がかなり優遇してありますから、そういうような関係もあり、今回は強制はしないのだけれども、それよりもむしろ優遇しようというような結論になっておるわけで、お話のような立場もございますが、やはり私の申し上げましたような観点も考えあわせられると、政府原案ないし衆議院の修正の案というようなところは、決して大きく妥当を欠くというふうには思えないのじゃないかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/4
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005・大矢正
○大矢正君 二十五年に第一次の再評価が行われ、二十八年ですか第二次、そしてまた二十九年に第三次という、三回の機会があったけれども、なお再評価を行い得ない企業と申しますか、意識して行わない場合もあるでしょうけれども、そういう機会に恵まれつつも、資本の持つ内容その他からできない場合も、ほんとうの零細な企業というものには相当あると思うのでありますが、これは念のためにちょっとお尋をいたしたいと思うのですが、こういうことを聞くのは無理かどうかわかりませんが、第一次から第二次までの門をくぐることができなかった、いわゆる、取り残された中小企業というものは、内容構成においてどのようなものがあるのでしょうか。その点をお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/5
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006・原純夫
○政府委員(原純夫君) 確かに、やはりおっしゃるような面もあるとは思います。ただ、ざっくばらんに申しますと、中小企業で相当数がまだ十分突っ込んだがっちりした経理をやっていないというものが多いと思います。やっていないために、実は実力は相当あるのだ、やってみれば相当利益も出ておる、再評価で、きちんとした方がいいのだというところもあります。同時に、実態も弱い、貧弱だというものもあると思います。まあ、それらについて、だんだん別途、青色申告だのその他の方法で経理がしっかりしたペースに乗るようにという努力を、税の側からもできるだけのことはやっておるつもりでありますけれども、従いまして、今まで再評価をやっていないというものには、まあ広く言えば玉石混淆ではないかと。石の方かどの程度あるかということは非常にむずかしい。これはまあ、いわば営業所得、あるいは中小法人に対する課税についてよく言われます、実態をよく握っていないのではないかという面と表裏な問題で、ちょっとそのふるい分けはむずかしいのではないか。これをまた別の面から申しますと、私ども税をやっておりまして、なかなかそういう面の課税が十分実態に即し切れないということを、遺憾ながら認めざるを得ないというのが実情だと思います。というのは、非常に苦しくて経理どころではないという企業もありますけれども、また一方では、百万、二百万の所得が抜けておるのがごろごろしておると言われるように、その面で、かかるべくしてかかっていない税があるということも、これまたよく指摘されるところなんです。そういうふうな意味から、この辺のところは、何といいますか、弱いから再評価ができないというだけではないという、税で見れば、戦争中戦後を通じての経済的な混乱、また社会的な混乱、その中から、税に対するいろいろな考え方についても昔ほどはっきりした考え方が弱くなっておるというふうなことから出ておる、病的な現象があるのではないか。この辺はいわば時間をかけて一歩々々直さなければならぬ。従って、お話のような面もあると思いますけれども、それだけで一律には論ぜられないのではないかというふうに、大へんウエートのわからない御答弁になって恐縮でありますけれども、私としてはそんな考え方で考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/6
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007・大矢正
○大矢正君 私が聞いておる範囲では、間違っていたら御訂正いただきたいと思うのですが、この資産再評価の特例によって出てくる予定収入というものは五、六億ではないかという話を聞いたのでありますが、その程度のものですか、ちょっとお聞きいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/7
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008・原純夫
○政府委員(原純夫君) 再評価によって見込んでおります税額は、まあ一応の見込みでありますが、再評価税として、法人、個人合せまして四億と五億の間——四億五、六千万円だろう、これを政府原案でも二年間で分けて取りますから、会計年度としては三年くらいになると思います。初年度は、政府の原案でも八千万弱と見ております。これが衆議院の修正で半分くらいになるというようなことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/8
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009・大矢正
○大矢正君 今あなたのおっしゃった四億五、六千万というのは、これは二%の課税を一応標準にして考えてそのくらいになるということですね。そうすると、今度衆議院の修正によって一・五%に、〇・五%下ったのですから、そこでまた、かなり下っていくことになるのでしょうね、結論的には——。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/9
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010・原純夫
○政府委員(原純夫君) お話の通り、四億五、六千万といいますのは、再評価税の総体これを三年度に分けて取るということになります。多分三年度におさまりきる、これが政府原案であった。これが衆議院の修正では延びて四年度になるわけですね、会計年度としては。そして初年度の分は初年度一%取るという前提でありましたのが〇・五%になりましたから、それだけで半分になる。その上に法人の申告の期限が五月末か六月末になりますので、それが影響して、半分よりちょっと下になる。初年度の見込みでは七千八百万円だったのですが、半分よりちょっと下になって、四千万円くらい減るだろうというふうに私ども思っております発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/10
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011・大矢正
○大矢正君 これはまあ大蔵大臣とやりあうような内容わかりませんがおそらくここで中小企業の資産再評価の特例を認めてやられるという趣旨は、これはもちろん根本的には中小企業の資本充実ということが中心であろうことは、これはもう疑問の余地がないと思うのですが、当然その評価替をするに当っては、時宜に適した時期を考えた方向ということで、経済状態その他も考えてこれは作られたのではないかと私は思うのです。インフレ、デフレという、そういう時宜に適した時期を考えたいわゆる方向であり、特にこれが今年出たということは、昨年来、非常に神武以来というような言葉があてはまるかどうかはしらぬが、そういうように、何と申しましょうか、景気が非常によろしくなっておるから、この時期に一つこの将来のためにも評価替をするということで、私は大蔵省は考えることだろうと思う。こういうふうに想像されるのですが、その点は私の考えが間違っているかどうか、一つお尋ねいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/11
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012・河野通一
○政府委員(河野通一君) 今お話のこの法案を提出した理由、及びこの際この法案を提出するということは、その基礎にどういうことを考えてやったのかというお尋ねでございました。この点は、やはりある一部には、お話のように、第三次の再評価の際には、まだ中小企業の中では、今お話のありましたように、なかなか収益の状況その他からいって再評価をすることまでいかなかったような企業も相当あったと思います。経済がだんだん大きくなり、ある程度強くなってきて、再評価ができるような条件かだんだん整ってきたという企業もあると思います。従ってこういう企業に対しても再評価のチャンスはすでに三回も与えられておったのだから、もうよろしいといってしまうには、あまりにも中小企業というものの実情に即しないのじゃないか。こういう際に、やはりだんだん企業が充実してきたもので再評価をもう一度やりたいという企業が出て参りました場合には、この中小企業というものを育成していくという立場からやっていったらいいじゃないか。その基礎には、やはり経済がだんだん大きくなり、強くなってきて、中小企業の中でも、従来はそういうものができなかったものが、だんだんそういう力がついて再評価ができるような条件が整ってきたものが出てきたということをつかまえまして、私どもはこの新しい法案を提出したと、こういうわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/12
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013・大矢正
○大矢正君 これは第三次に行なった昭和二十九年の場合は、これはたしか強制的に評価替をしているわけです。今度の場合は、これは任意であって、希望する者はやりなさいということなんですが、だいぶこれは二十九年のときとこの面では相違があるわけですね。これは私はこう考えるのです。すぐ税率と結びつけて悪いようですけれども、やはり資本を充実させて中小企業を安定させなければならないとすれば、やりたい者はやれ、やりたくない者はやらなくてもいいというような、そういう非常に任意な形態をとる方向ではなくて、やはり強制的にやらして、日本の国全体の企業の中でそういう非常に相違をした資産をもとにして企業をやるというような形がないことを望むべきではないかと、こういうように思うのですが、基本的には、やはりもう全部の企業に再評価をやらせて、そうして資本の充実をはかり、ひいては中小企業を安定させるということが、これは当然の目標にならなければならない。しかしその場合に、それでは強制的にやらせようとしても、持つ資本の内容から、特にできる場合もあるし、できない場合もあるから、そういう面では、税を、極端なことを言うようでありますが、むしろ無税に近い方式をとって、全部の企業にやらせるということの方が、私はよいのではないかというように思うのであります。もちろん原さんのおっしゃる通りに、もしこれをやると、いわゆる資本の水増しをやられる、法人税をどんどん脱税をされると、こういう危惧も、もちろんあるわけでありますけれども、それはそれなりに私はまた打つ手があるのじゃないかと思うのですが、私の考えが間違っておりましょうか。そのことをお尋ねしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/13
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014・河野通一
○政府委員(河野通一君) 御質問の点は、理想としては、やはりその資産というものを実質的な価値に近いところに持っていって評価をして、それを基礎にして事業を営み、また税も払う、こういう形の方がよい、こういうお話であります。これは私、その通りだと思います。ただ、その場合において、中小企業と一がいに申しますが、これは御案内のように、いろいろの形のものか——資産の内容かそうであり、資産の構成がそうであり、収益の状況がそうであり、いろいろの事態のものがあるのでありますから、それを一律に強制するということは、かえって一部の中小企業に不当な負担を負わせるということになるおそれが多いのであります。そういった場合におきましては、これをそういう実情を無視して強制するというよりも、やはりできるだけ任意的に自発的に、そういう再評価が行われるようにいろいろしむけていく、そういう環境を作っていくということが一番望ましいという観点に立って強制的にやらなかったのであります。この点はおわかりいただけるのじゃないかと思っております。
しからば、そういう状態であるから再評に関する税を免除して、そうして再評価をやらせるようにすべきじゃないかというお話であります。この点は、先ほどから主税局長から詳しくお答え申し上げましたような観点から一私どもといたしましては繰り返しませんが、やはりその程度の差はあっても税というものは取るべきであるという観点に立っておるわけであります。この点はあるいは御意見と私の考えと違うかもしれませんが、御了承をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/14
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015・大矢正
○大矢正君 これは私の申し上げたことも、強制的にやらせることだけが目的だという意味で実は申したのではなくて、やはりその程度までにいくような考え方をもっていく方がよろしいのではないかということを申し上げたつもりなんですが、そこで、あなたもおっしゃっておったようですが、かりにこれは強制的にやらなくても、任意であっても、税金がかからないという、無税だということにおいて再評価をすることができるとすれば、これはだれが見ても、一・五%取る条件のもとで評価替をするよりは、よけい評価がえをする中小企業が私は多いのじゃないかと思うのです。これはまあ、この点だけはどなたといえども確認せざるを得ないと思うのですが、そこで、この評価替によるところのいわゆる税金が国の税制の面で非常に大きく影響がありとすれば、これはたしかに重大な問題でありますし、考えなければならぬ問題だと思うのでありますが、法人税の問題は一応おくとして、これは私の考えはあとで申し述べますが、とにかく国の財政面では、こんな四億や五億の金が、しかもそれが三年四年という長い間に入ってくるのでありますから、それは問題にならぬ金額だと思う。そうなるとすれば、今ここでそのようなケチくさいことをやるのではなくて、すなおに中小企業に再評価をやらせるような機会を与えるべきじゃないかと思うのですがね、いかがでしょうかな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/15
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016・原純夫
○政府委員(原純夫君) 税の問題でありますから私から申し上げますが、先ほども申し上げましたように、たしかに課税上議論はあると思いますが、やはり戦前からのいろいろな資産のたどった運命を相互に比較して、そのような観点からしますと、ある程度の税をとる、また水増し再評価を防ぐという意味で税をとるということは、また十分に議論があるのじゃないか。しからばお話の、それがあまりに過酷であるために、再評価自体を、ではやめておこうかという気にさせるかどうかという問題でありますが、そういうことは私どもは、万——万というといい過ぎですが、もうほとんどあるまいと思います。再評価して、たとえば百万円なら百万円帳簿価額がふえますと、中小企業の資産でしたら大体年数も十年か十五年だと思います。十年のものですと、定率法で償却する償却が年に二割くらいになりますから、百万円の二割、二十万円は、毎年、その年に所得がそこまでは減らせるわけです。償却で二十万円減りますと、法人税が三割五分の低いところとしても七万円の法人税が助かるわけです。それがつまり資本の充実の数字的な表現ですね。では税は幾らかかるかというと、百万円で今回の修正によると一・五%、初年度〇・五ですから、千分の五ですから五千円なんですね、五千円納めればいい。まあ、その利益とこれとを比べるというのは、若干何といいますか、あこぎかもしれませんが、阻害するかどうかという見地でいえば、もうほとんど阻害をするということはいえないのじゃないかと思います。また反面、先ほど来公平論で申しました中で、企業の一次、二次、三次の再評価との権衡、これはやはりとりませんというと、政府だけでなく、法律をお作りになる国会もあわせて、国民に、世の中を動かすというルールがあまりに気まぐれに動いたらいけないのではないか。これは現に商工会議所で調べましたいろいろな業界の意見の中でも、すでにまじめにこの経理もしておる、従ってもう一次、二次のころに、これはもう言うことをきく方がよろしいということがわかって、どんどん、やってしまったというようなところにとっては、非常に今やらせろといっているのは経理も十分についていないのだ、一体経理が……、十分基礎があるのかないのかというような企業でありながらやらせるのであってしかも免税だ、自分たちは、いち早くこの青色だ何だといわれて、きちんとやっている、税もきちんと納めている、再評価税も十分納めてやっている、一体政府を責めるが、要するにそういう国民に与えられるルールについて、あまりにアンバランスが出ますと、国民に対してもよろしくないのじゃないかというような声が出ております。すでに十分に再評価を行った企業の中では、やはり一般的に免税説には反対だという立場をとっているというように、商工会議所の業界調査でも出ておるわけであります。これは何もおためごかしに言うのじゃなくて、私ども一やはり公平論という見地もあわせ考えなければいけないと思いますので、そういう意味でいいますと、実は政府の、もかなり有利な案になりますから、必ずしもそれで一貫してぎっちり公平にという何でもない、かなり政治的な意味を持っております。これがまあ衆議院の修正で直っていっているということでありますから、その辺はお考えいただいてよろしいのではなかろうか、というふうに実は思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/16
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017・大矢正
○大矢正君 それは税金を課す場合には、常にこれは最低の状況を考えてやるべきが妥当ではないか。ハイクラスを基本に置いて課税するということは、これはとうてい考えられないことであると私は思うのです。これはおそらく私は、今まで取り残されてきた今度この法律によって初めて再評価をしようとする中小企業というものは、先ほど来申し上げているように、非常におそらく経理内容の悪い中小企業だということは想像がつくのじゃないかと思うのです。まあ六%の従来の内容が高いから、もう少しがまんして待っていたら、それが三%になり、やがては、ただになるだろうから、それまでやらないで待っていようなどというような内容のものじゃなくて、やりたくても、なかなか今までは六%というような高い内容でありまするからして、できなかったというのが大部分の状況ではないかという気がするのです。もちろんあなたのおっしゃられる通りに、法人税の問題では、これは評価替をすればいいのじゃないか、将来得をするのじゃないかと、もちろんその通りでありますけれども、それは今すぐの問題ではない。それからまた、かりに他との均衡が破れてしまうのじゃないか、今まで一次から三次までの間に行なった中小企業から文句が出るのじゃないか、確かにこれは文句が出ると思います。しかし今言った通りに、今度行おうとするのは、ほんとうに今までやりたくてもやれなかったのが残ったということでありまして、内容において非常に有利な経理内容を持っているものが意識的にやらないというのではないのだから。そういうものもある程度私は理解がいくのじゃないか。それからまた、基本的なこの再評価をやらせるについての考え方として、日本の経済もだいぶ昨年から本年にかけては好況の波に乗っておるので、その恩恵が中小企業にも相当浸透しているだろう、だから多少のここで税金をとっても評価替をやるのではないか、こういう判断だろうと思うのでありますが、しかしこれは先日、まあ、ほかの大臣の言ったことを引き合いに出してまことに申しわけないのでありますけれども、松浦労働大臣なんかは、これは今の中小企業は絶対神武景気というものはないということを、あの人は、はっきり断言している。あなた、そんなことを言ったら内閣総理大臣から怒られはせぬか、いや、私は断言して言えると、そこ左で言っているわけです。なぜ労働大臣がそこまではっきりしたことを言うかというと、大臣自身がやはり中小企業を自分で経営してやっているから、中小企業というものがほんとうに今日神武景気の好況の中に入っているかどうかということを身をもって経験しているので、私は言っていると思うのです。だからして、そういうような状況から考えて、今の好景気から余力があるということも、これは考えられないというふうに私は考えるのでありますが、特に一番最初申し上げた、やはり税金を払わせる場合には、何といってもこれは最低の状況のものを中心に置いて、といっては悪いのですが、それを基準にしてやはり上へのばして、いくことが好ましいのじゃないか。それがそうなって参りますと、原則的に、これはもう払いたいという気持があっても払えない場合がある。そのためにこれは評価がえをやりたくても結局はやれない。そこでまあ何年間の延納措置というものが具体的にでき上っておれば、これはある程度考えられるのでありまするが、ということも法律の中ではあまり取り入れられておらない。そうなってくると、最低の状況にあるものは、なかなかこれの恩恵に浴することができないし、評価がえをすることができないということになるのでありますが、そういう最終的のお尋ねをした特別の内容に限っては、延納を認めるとか、あるいはそれに限って免除をするとかいうようなお考えは持てないものでしょうか。これは単に私がここで申し上げるのじゃなくて、おそらく皆さんのところへ配られているように、商工委員長松澤さんの名前で、こういうものがすでに出されているのですがね。この延納ないしは免除を認めてもらいたいというようなことが出ている、これがやはり中小企業を現実的に預っている商工委員会を代表した委員長の考え方としては、私は妥当なものだと思うのでありますが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/17
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018・原純夫
○政府委員(原純夫君) この税は、先ほど申しましたように、一方で企業資本の充実をはかるということは、税でいいますれば、毎年の税が安くなるという利益がありますものですから、再評価をして負担にたえられないということはないと思います。再評価しても負担にたえられないということは、利益が出ないで、償却すべきものが残らないという場合しかないと思うのですが、そういうようなものは、実は先ほど申したこの再評価の税に対する悪い影響という面では一番心配なものなのであります。今まで一次、二次、三次とやって今度、四次までやる。そのいずれでも、どうももうからぬからやれないというところ、それをまたやらせる。税をまけろと言われますと、これはまことに値打のない資産を持っていて、それも昔買ったものだから、再評価して将来の償却の権利を留保するということを言われますと、税法でもそれは困る。つまり値打のないものを値打があるように評価して、将来それで税金をまけてもらう、それは困りますというのが税の立場であります。それが先ほど申した水増しを押えるという見地で、また今までの再評価法でも、何年か前に取得して、指数でやりますとこれだけになる、しかし実際に陳腐化したり何かで値打のないものは、そこまではやらせませんという規定を入れていただいているのです。一次でも、二次でも、三次でもだめだった。今度はもうからぬというようなものは、そういう意味では一番合わないものじゃないか、従ってそういう場合を例にして、だから延納ないしまけるということにしろ、またそういう部分についてだけでも認めろという御要求はそう強くないのではなかろうかと思います。一次のときなどは、どうもやる気はなかったので、一度におやりなさい、今悪いけれども、いずれ伸びるのだという御判断のつくものはおやりなさい、それはすぐには納めるのは困難でしょうから待ちましょう、こういう規定があるわけです。今度のは四度目ですから、その辺も納価者に対する説明としては十分つくんではないか。また中小企業であるから、やはりあまり複雑なことをしないということも一方ではあるわけですが、それらをいろいろ考えて、御心配になるお気持はよくわかるのですが、その辺は、やはりかえってむしろもうこういうすばっとした行き方で行った方が実体にも合うのじゃなかろうか、大へん言葉を返すようで何ですが、私どもとしてはそういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/18
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019・大矢正
○大矢正君 これは水増しをしてそのことによって法人税をのがれるということは、これは正しいことじゃなくて、やめさせるべきだと思いますが、これは私はそういうことが起るのではないかという前提に基いて、そのために税金を取るという行き方でなくて、むしろとにかくやってみる、そして、そういうような非常に水増しが多くて、法人税を脱税するような傾向が出てくるという危険性が発生してきたときに、法律において何か制約を加えるとか何とかいう方法がいいのじゃないかと思うのですが、どうでしょうね、こういう点は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/19
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020・原純夫
○政府委員(原純夫君) それは率直に申しまして、この税務官吏の現在の陣容と、持っている仕事と考えて、そうして再評価というものをおっしゃるということになりますと、非常な手数になると思います。各企業の資産を全部洗って、そしてしかも、陳腐化の度合をはっきり判定してやらなければならぬことになりますから、とても及びもつかない仕事になりはせんかというように思います。これは第一次の何をやりましたときから、そういうようなことは議論になりまして、関係者一同、そういう判断でずっときております。今特に、今回の中小企業ですが、そういう意味では困難というものは非常に大きいだろうと思うのです。帳簿価格をはっきり記帳して残しておるというところがむしろ少い、まあ処置ないというようなものも相当あるのじゃないかというふうに思います。やはりそういうような点から、この二%あるいは一・五%で、どれだけ水増しが防げるかということになると問題ですが、やはりそこは、あるとないとでは相当違うのじゃないかという抽象的なお答えにしかならざるを得ないと思いますが、やはりなしにして様子を見て、ということは、もう私どもとしては心配でしようがないというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/20
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021・大矢正
○大矢正君 これはどっちに関係をするかわからないのですが、固定資産税に関係して、ちょっと衆議院でも問題になっておったようでありますが、特に全部が時価でやられている場合には問題がないが、そうじゃない場合に、この法律の適用を受けることによって、固定資産税が非常に大幅に上るのじゃないかという問題が出ておったのですが、今の状況では大部分、ほとんどといっていいくらいの内容のものが、全部時価で評価をされておるのかどうか、その点ちょっとお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/21
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022・原純夫
○政府委員(原純夫君) 固定資産税につきまして、全般的な判断として、時価で評価されておるかどうかという点になりますと、にわかにお答えいたしかねると思います。感じとしては、本件の対象になります償却資産につきましては、時価ベースにほぼ統一されておるのじゃないかという一応の何と申しますか、観測を持っております。いろいろ問題になりましたので、近くの市だの町だので、自治庁が主管でありますから、自治庁に私ども協力して調べてみたその結果は、割合に東京都内とかあるいは都外でも、財政力は割合強いのですね、この辺の団体は。そういうようなところが、自治庁の時価ベースでやれという通達に非常に忠実にやっております。まあいなかの方の担税力の弱いところ、こういうところは、税率でも調整する手はありますが、やはり評価は、そういう意味では一ぱいにやるという圧力がかかるわけですから、これは一般から推すのは危険ですが、かなり時価ベースに近いやり方をしておりはせんかと、私どもそういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/22
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023・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 本案に対する質疑は一応この程度にいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/23
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024・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 次に、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案を議題として、事務当局より内容の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/24
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025・原純夫
○政府委員(原純夫君) 御説明を申し上げます。
改正の中身を大きく分類しますと、一つが規制事業というのがございます。組合の行う規制事業、業界が不安定になるというような場合における規制事業について、その前提条件を若干調整し、規制事業の中身をふやすというのが第一のグループであります。第二のグループは、組合の構成が、地域的にあるいは組合によりまして非常に多数の組合員を擁するという場合におきまして、現在のこの総意を反映させます制度が不十分であるというようなことから、新たに総代会、評議員会という制度を設けて、そういう多数の組合員がある場合の総意の反映の方法に万全を期したというのが第二のグループであります。第三のグループは、こまかい調整でありまして、検査員制度、特別議決制度等につきまして調整を行うということであります。
そこで第一のグループの問題、これをまず申し上げます。これは条文といたしましてば第四十二条の五号でございます。「組合員の製造又は販売する酒類の需給が均衡を失したことにより、酒類の取引の正常な運行が阻害され、組合員の酒類製造業又は酒類販売業の経営が不健全となっており、又はなるおそれがあるため、酒税の納付が困難となり、又はなるおそれがあると認められる場合において」ということになっておりまして、規制の中身がイ、ロ、ハ、ニ、ホと五つ項目が出ております。今読み上げました前提条件は、現行法におきましては、経営が不健全となったためということと、おそれがあると認められるということになっておりますが、その前に「酒類の価格がその酒税額及び原価に照らして低下し、又は酒類の代金の回収が遅れる等」というふうな表示がかなり特定的になっております。これを若干一般化した表現にするということにしております。それから中身につきましても、従来の規定はイ、ロの二号になっておりましたのをイ、ロ、ハ、ニ、ホと五号にして若干その範囲を拡張するということにいたしております。これらはただいま別途御審議願っております中小企業団体法案、あの系列と対応するようにこの時期柄お考えになる向きが多いのでありますが、そしてまたその関係が全然ないとも申しませんけれども、お願いいたしておりまする法案は必ずしも中小企業団体法案が出たから、それに照応して出すという考え方をとっておりません。団体法におきましては、強制加入または団体交渉というような規定がありますが、今回われわれの案にはそれらはいずれも入っておりません。その事由といたしましては、一つには酒類の組合は必ずしも中小企業だけでなくて、ビール三社のごとき巨大なる企業からほんとに小さい中小の企業と、いろいろなニュアンスで並んでいるということで、団体法と同様の規制が必ずしも望ましくないという面がありますのと、もう一つは酒類業界は非常に重い酒税、小売価格の三分の二に近い税金を負担した商品を生産し販売するということになっておりますので、団体法におけるような特定のグループが自分の利益を守るためにはすぐに強い力を発動するというような形のことをやりますのは非常に危ない。いわばみんなが重い荷物を頭の上にしょって歩いているというような業界でありますから、その辺を十分考えて慎重にいたさんならぬというようなことから、団体交渉というよりも規制の範囲を若干広げるということで、まあ対応的な考え方で申しますれば、中小企業安定法の形程度になっておるということ、その中身の気持はただいま申し上げましたようなことになっております。
それから第二のグループの規定といたしましては三十九条の二というのに総代会の規定がございます。それから八十三条の二というのに評議員会の規定がございます。これは組合員の数が非常に多い組合、酒の組合あたりですと、清酒の組合あたりですと、非常に多い場合がございます。こういう場合には総会で全部集めるというようなこともなかなか大へんだと、総代会ということで総代を集めて事を決することにいたしたいということ。それから中央会、酒類業組合の中央会におきましては、末端に非常に組合員が多いので、それが県の連合会、中央会と集約されてくるわけですが、中央会で討議する場合に、連合会だけ出てきたのではどうも末端の声が十分反映しないというような問題がありまして、そこで末端の組合員から選出された評議員によって評議員会を構成する、そうして意見を述べ、また諮問にこたえるというふうなことにいたしております。これがただいま申しました三十九条の二、八十三条の二ということでございます。
自余の検査員制度、特別議決制度、交付金制度というようなのは軽微にわたりますので省略いたします。大へん簡単でありますが、大ざっぱにおもな条文を申し上げますと、そういうようなことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/25
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026・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) それでは本案についての質疑は後日に譲ります。
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027・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 次に預金等に係る不当契約の取締に関する法律案を議題として質疑を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/27
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028・土田國太郎
○土田國太郎君 これは導入預金の問題1そうですね。導入預金で、それを、担保としないで第三者に無償貸付をする、保証はなくて貸付をすることはいかぬということだが、それで俗にいうブローカーですね、あの連中が預金のあっせんをして当該銀行へ預け入れる場合に、当該銀行はそのブローカーに多大な、莫大な謝礼とかあるいは口銭とかいうものを出すんだという話聞いているのですが、その点はこれにないのですが、そういうものにつきましての銀行局のお考えはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/28
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029・大月高
○説明員(大月高君) この不当契約の取締に関する法律におきましては、ただいま御質問のございましたブローカーに対する手数料の制限は規定してございません。で、そのお尋ねの点は、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律というのがございます。その第四条におきまして、今の媒介の手数料の最高限度を法律で規定してございます。これはその貸借の金額の百分の五に相当する金額をこえてはいけないということでございまして、これ以上の媒介手数料を取りますと罰則がかかると、こういうことで、別の面で規制いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/29
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030・土田國太郎
○土田國太郎君 その罰則は大体どんなものですか。簡単でけっこうですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/30
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031・大月高
○説明員(大月高君) 三年以下の懲役もしくは三十万円以下の罰金でございまして、これは今回提案を申し上げております法律の罰則と同じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/31
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032・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 本案に対する質問は後に譲ります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/32
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033・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 次に、臨時通貨法の一部を改正する法律案を議題として質疑を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/33
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034・平林剛
○平林剛君 この臨時通貨法にからんで最初にお尋ねをいたしたい点は、この法律案の成立を望んでいる団体が私のところへしばしば陳情に来られます。ぜひ一つ今度の議会で臨時通貨法を通してもらいたい、こういう要望が造幣局の職員の側から強く行われておりまして、私もその角度からこの法律についていろいろ検討したこともあります。これらの諸君の希望は、もし今回百円銀貨の鋳造がないと、造幣局の仕事がなくなってしまう。だからぜひ一つ、造幣局の仕事がなくなってしまえば、工場閉鎖あるいは首切りというような問題に発展をしてくるおそれがあるから、何とかして通過成立さしてもらいたいものだ、こう言われておるわけでありまして、百円銀貨の鋳造がないというと、造幣局の仕事がなくなってしまうというのはほんとうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/34
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035・脇阪実
○説明員(脇阪実君) 造幣局の労働組合の方からそういう陳情があるというお話しでありますが、それはもちろん気持はよくわかりますが、しかしそれは百円硬貨という問題が、百円硬貨が発行されることになりますれば、仕事がふえるということは、これは当然でありますが、従って反対にいえば減ることが予想される、こういうことはいわれると思います。しかし果してそれがないと、ふえるのがなくなるわけですから、影響はありますけれども、それじゃすぐそれだからといって閉鎖になってしまうかということは必ずしも簡単に言えないと思うのです。それは御案内のごとく一円、五十円それから十円と今まあ通貨があるわけでありまして、たとえば今年も五円もある程度作っております。十円も作っております。一円もむろん作っておりますから、これは労組の関係からいえば、それは仕事がふえる、そういうことを希望することはやむを得ないと思いますが、それだからといって、それがなければ、それじゃすぐ閉鎖になってしまうかというようなことになりますると、ちょっと簡単には申し上げられまん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/35
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036・土田國太郎
○土田國太郎君 今、平林委員から造幣局の職員問題が出たのですが、私はあべこべに、そのために今度は印刷局の職員の首問題が起りはしないかということが一点と、今までにミツマタをお作りになっている農村、ああいう連中が干上りはしないか。これらに対する相当の救済策とか、将来の政策というような問題について、当局の方ではなんとか手当しておいででしょうか。それを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/36
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037・河野通一
○政府委員(河野通一君) 最初に平林さんからの御質問に補足してお答え申し上げます。
三十二年度の造幣局の計画にいたしましても、これは予算その他で御存じかと思いますが、大体百円硬貨を五千万枚作る予定でありますが、そのほかの補助貨が枚数にいたしまして、五億七千五百万枚ということになっているわけであります。それを両方合計いたしまして、六億二千五百万枚ということでありまするからかりに百円硬貨を作らなかったといたしましても、枚数からいえば、約一割弱ということでございます。従いましてそれが直ちに百円硬貨を作らなかったら、とたんに工場閉鎖をするというとこまで影響ないということだけ御参考までに申し上げておきます。
それから土田さんの御質問でありますが、これはミツマタと造幣局の職員の問題と印刷局の職員の問題に関連いたしますが、まず第一にミツマタの所要量の問題について申し上げます。私どもの立てておりまする見込み、これは見込みでありまするから。はっきりその通り一厘一毛違わないというわけには参りますまいが、割合かたく見積っておりまする見込みから申し上げますと、ミツマタの所要量は、百円硬貨を作ることによって、現在所要いたしておりまするものよりも減るということには相なりません。具体的に申し上げますと、大体三十一年度が三十五万貫のミツマタの所要であります。それから三十二年度におきましては三十九万貫ということになっております。大体三十五万貫を下ることはありませんので、大体三十九万貫前後のところでここ十年程度は所要をされる。従ってそれだけのものは買っていくことになる見込みであります。従いまして三十一年度よりは相当大幅に所要量がふえるということに相なる見込みであります。
それから、印刷局の職員の問題でありますが、これは他の原因についての事柄については、私から申し上げ資格もありませんし、また権限もないわけでありますが、百円の硬貨を作るということに関連して、印刷局の職員にどういう影響があるかということをいろいろ計算いたしてみますと、これはいろいろな要素がありますので、それらを総合して組み合せた結果、百円の硬貨を作るということから職員の整理をしなければならぬ、人員を減らさなければならぬということは、大体十年程度のところを見込んで見ましたが、万、起らないという見通しであります。
それから、造幣局の力におきましても、これは百円の硬貨を作りません場合には、人員の問題に若干影響があるかと思いますが、百円の硬貨を作って参りますれば、その通貨の製造の関係からする人員を整理しなければならないといったようなことには、まず、ならないであろうという見込であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/37
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038・平林剛
○平林剛君 私の最初の質問に対して、もう造幣局長と理財局長の答弁に食い違いができてしまった。私は百円銀貨の鋳造をせないというと、造幣局の仕事がなくなってしまう、あるいはそのために工場閉鎖、人員整理というようなことが起るのかと聞いたら、理財局長はそういう心配はない、そのために私が質問したようなことは関係がないという御趣旨を言われた。あなたはもし百円硬貨の鋳造がないというと、それに若干の影響があるというお話を今土田委員の質問に答えられた。この点のほんとうのところは一体どっちなんですか。もう一回御両者にお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/38
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039・河野通一
○政府委員(河野通一君) 造幣局長が御答弁申し上げたところと私の申し上げたところと違っていないはずであります。造幣局長も、今平林委員からの御質問は、百円の硬貨を作らなければ工場閉鎖するような事態になるといったようなことがあるということであったので、工場を全部閉鎖してしまわなければならないような影響はない、こういうことを申し上げたのではないかと思います。その限りにおいては、私が申し上げたところと変りがないのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/39
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040・脇阪実
○説明員(脇阪実君) 今理財局長から申し上げましたように、私はすぐそれは、さっき申し上げましたように、将来通貨はどれだけ減るかわかりませんけれども、それじゃ、あすすぐ作らぬと全然仕事がないかといわれると、それはそうではありません。造幣局としては、それは百円硬貨を発行していただけば、仕事の面からすると、それだけふえるわけでありますから、私としては非常に希望するところでありますが、それではそれがなければ、全然仕事がないかと言われると、そういうわけではありません。仕事がほかにもありますから、見通しはむずかしいけれども、と、こういうふうに申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/40
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041・平林剛
○平林剛君 将来はやはり影響が出てくる、こういうふうな趣旨で理解をしていいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/41
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042・脇阪実
○説明員(脇阪実君) 将来になりますと相当出てくると思います。今、一円も御承知の通り作っております。これがだんだん先細りになっておりまして、これがずっと先、たとえば五、六年先になって参りますと、非常に出てくると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/42
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043・平林剛
○平林剛君 かりに、百円銀貨が鋳造されることになっても、これを鋳造する工場は大阪とか、東京とか、設備のある所で作り、広島造幣局においてはこの設備がない、こういうことになりますというと、どういうふうな影響になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/43
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044・脇阪実
○説明員(脇阪実君) それはさいぜんも申しましたように、今、たとえば銀貨を作った経験とか、また、一番人員も多いわけでありますが、そういう点から申しますというと、この銀というものは貴金属でございますので、その経験も、あるいはその心がまえといったような点から申しますれば、大阪の本局で作るのが一番適当であるし、そういうふうにしたいと思っております。しかしさいぜん申しましたように、それじゃ広島がどうなるかということになりますと、さいぜんも申しましたように、ずっと先のことはなかなか予測が困難でありますけれども、現在のところでは十円も五円も作っておるわけでございまして、広島、東京、大阪、この三つの間の技術がそう違うとは思いませんが、いろいろ歴史的な伝統であるとか、あるいは大きさというものを考えまして、公平に、銀貨は大阪でやりましても、たとえば一円を東京、広島でやらせるとか、あるいはまだ十円が相当要るということであれば、十円をまた広島で作るということも考えられる、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/44
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045・平林剛
○平林剛君 今日まで臨時通貨法に関して非常に間違った点から議論されておったことが実は多いのじゃないかと思うのです。たとえば、率直にお尋ねしましたけれども、百円硬貨の法律が通らないというと、造幣局に工場閉鎖や首切りがありはしないかというようなことで、またその反対の面もありまして、議論をされた傾向が非常に強い。これは政府にもある程度責任があるのじゃないかと、私はそう思うのです。そこでその一つの例として申し上げるというと、今通用しております五十円貨、十円貨、一円貨、この硬貨の製造について、どうも日本銀行が通貨の発行あるいは取り扱いの総元締めの立場から、政府に要求をしておる昭和三十二年度の製造要求と、実際に鋳造されておる数量とが違っている。いわば本来は通用中の貨幣については、日本銀行の政策委で検討したものが通貨量あるいは製造量として行われるのが一番責任ある立場であるのにかかわらず、それと実際の予算に組まれたものとの違いが出ている。つまり現在でもいろいろな貨幣を鋳造しなければならぬのに、それを抑えておるのではないかという傾向が見られるのです。
そこで、私念のために、日本銀行が政府に対して要求しておった昭和三十二年度の製造要求は一体どういうふうになっておりましたか、これを一つお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/45
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046・河野通一
○政府委員(河野通一君) これは御案内のように、日本銀行が補助貨について製造要求をするということは、これはないわけです。ありません。従って製造補助貨は、これは政府の出すものですから、要求するという筋合いではありません。従って要求書は出ておりません。ただ希望として、十円なら十円のコインが割合要求が多いから、これにできるだけ重点を置いて作っていただきたいとか、そういったような意味の希望はいろいろ伺っておりますが、これが具体的な数量を、日銀から要求としてどの程度というものをもらったことはございません。
なお、これらの点はいろいろ考えまして、私どもとしては、補助貨の必要とされる数量の製造は、この計画のうちに折り込んでおる。もちろん見方によっては多々ますます弁ずる——言葉は非常に悪いのですが、そういった見方もあると思いますけれども、私は今の場合において、この程度の計画で進めることによって補助貨としては足りなくて困るというような問題はまあ起きないと思うのであります。
それからこれはもう一ぺん、あるいは御質問以外のことにお答えすることになるかもしれませんが、先ほどのお話の点にちょっと補足して付け加えておきたいと思いますのは、かりに本年度百円硬貨を作りません場合におきましては、何ほどかの造幣局の人員には影響がある見込みであります。ちょっと数字ははっきり申し上げられませんが、何ほどかの人員には影響がある見込みであることだけをつけ加えておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/46
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047・平林剛
○平林剛君 この補助貨の発行、それが幾らあったかという適切な判断をするのか、あるいは日本銀行であるのか、あるいは政府であるのかということは、法律上は詳しいことを知りません。しかし、私の得た資料によりますというと、日本銀行では明らかに政府に対して昭和三十二年度の製造要求書を提出している数字を申し上ましょう。一円の貨幣については、これは五億枚、金額にして五億円、これに対して昭和三十二度の予算書の積算はその通りに組んである。ところが五円の貨幣については、四千万枚の要求が出ている。額にして二億円である。ところが政府の三十二年度予算の積算はゼロになっている。それから十円貨幣は、日本銀行からの政府に対する要求は一億枚になっている。これに対し政府の予算はその半分の五千万枚に終っている。五十円貨幣は、日本銀行の要求は四千万枚、額にして二十億円。ところが政府の予算では二千五百万枚である。こうなるというと、私の資料では、こういう想定がなり立つ。日本銀行の要求も押えて、政府の方では当然通貨の発行及び取扱いの総元締めの立場から、現実に政府に要求しているのに対し押えておるということになりはしないか。つまり、百円銀貨が出ないというと、造幣局の職員は首切りが出るよと、こういうふうに心配をさせながら、一方においては当然日本銀行から要求している必要量を政府の方が押えてしまって、よけいその心配を増大させているような傾向が現われているわけですね、これは一体どういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/47
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048・河野通一
○政府委員(河野通一君) 先ほど申し上げました通り、日本銀行からの、要求というものは、私どもは受けておりませんが、その希望の数字はあるいはあったかもしれません。私どもは私どもの立場からそれの必要な量を確保するという観点に立って計算をいたして、この程度で十分であるという計算を立てたわけであります。現に総枚数におきましては、三十一年に八億三千万枚でありますものが、三十二年度には八億九千万枚、約九億——八億九千八百万枚、九億近くの枚数ということになっている。この枚数は、まあ相当そういった需要の点も考慮して計算をいたしたつもりでおるのでありまして、私どもは別に特別なほかの意図を持って、必要なものを押えた、ほかの意図から押えたということは、これは全然でございません。いかに言われてもないのですから、そういう意味でなくて、まあできるだけ必要なものは出そう、しかし不必要に——それは多々ますます弁ずるという意味からいえば、これはどんどん作っていったらいいじゃないかという議論はあるかもしれませんが、そういう場合に造幣局自体の作業の安定をはかるということから見ても、いや、将来に、とたんに今度は、枚数は減らさなければならぬということになるかもしれぬ、そういうことも頭に置いて考える必要があるということで、私どもはその必要な点は満たしておるというつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/48
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049・平林剛
○平林剛君 政府の理財局長の言によれば、あなたは補助貨幣の必要量については満たしておる、こういう。日本銀行の発行局長や製造係長の方では多々ますます弁じて、こういう要求をしておる、こういうあなたの答弁になっているわけですね。まあこれは日銀の方が多々ますます弁じて必要以上の要求をしているかどうかということは、だれが判断してわかるのかということは、きょうは別問題にいたしまして、ただ私が日銀関係の人の御意見を聞くというと、少くとも五十円貨幣と十円貨幣は発行元準備金が著しく縮減をして、昨年末では十円の貨幣については、わずか二億円の準備金に落ちている。それゆえに政府に対しては、ことしは少くとも五十円では四千万枚必要だ、十円では一億枚必要である、こういう要求をしている、こう聞いておるわけであります。これが多々ますます弁ずでもってはねのけられるものかどうかということは、かなり問題があるのじゃないかと思う。特に五円の貨幣につきましては、今穴のあいているやっと、穴のあいてないのができていまして、これなども本来であれば統一をしていくという仕事もあるはずであります。ところがこれは準備高がないのでできないという実情も聞いておる。そうすると、日銀の方が多々ますます弁じているのであって、あななたの方は何か特別の目的はない、こうおっしゃるのだけれども、見解の違いで、結局、造幣局の仕事がなくなってしまうというような形に追い込んでいるのじゃないだろうかというこれは想定ですがね、そういう感じを私は持っていたのであります。ところでこの件に関して日銀の副総裁は、造幣局に対して政治折衝をするという話を私は聞いたのでありますが、その話はありましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/49
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050・脇阪実
○説明員(脇阪実君) どういう政治折衝ですか、全然私は承知しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/50
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051・平林剛
○平林剛君 結局、日本銀行としては、通貨の発行及び取扱いの総元締めの立場から、補助貨幣はこれこれ要る、ところが政府の予算積算におきましては著しく圧縮されておる、そういうことでは日本銀行は多々ますます弁じているわけではなく、全般的な立場から考えてこれだけ必要だというのに、政府はその発行を押えている。そこでこれはいかぬというので、造幣局に対してもそのことについて話し合いに行くというような話を聞いたのでありますけれども、全くそういうお話はありませんでしたか。造幣局に言ったのか、政府に言ったのか知りませんけれども、三十二年度の予算が組まれる場合に、そういうお話は全くありませんでしたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/51
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052・河野通一
○政府委員(河野通一君) 造幣局の方は、私はよく存じませんが私の方ではそういう話はございません。ただ先ほどもお話がありましたが、十円とか五十円については、できるだけふやしてもらいたいという希望は私は聞いております。これはたびたび話し合っておりますから、これは先ほど申し上げましたように、希望は聞いておる。具体的に何万枚がどうだということは私は聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/52
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053・平林剛
○平林剛君 希望とか要求とかというような言葉の違いだけであって、事実日本銀行側においてはある程度の希望を述べられ、なたの方がそれを押えられておるということだけは今のことで明らかです。しかしこれは問題の本質から離れている。ただ私は冒頭申し上げたように、この臨時通貨法の通過をめぐって、そういう角度から通せとか通せないというようなことが多く議論されておる。そこで特に問題を一つ指摘をしておいたのであります。ただ現在まで臨時通貨法を成立してもらいたいという空気の中にはそういうことがかなりあって、本来の本質を離れた議論も行われておったということを指摘をしておきたいわけでございます。
そこで今度は銀の地金の問題について若干お尋ねをしたいと思います。臨時通貨法による百円銀貨の製造高の計画について少し御提示を願いたいと思っておるわけであります。製造高の計画はどういうふうになるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/53
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054・河野通一
○政府委員(河野通一君) 今見込んでおりますのは、本年度においては五千万枚、来年度以降約十年ばかりの間に八千万枚、正確に言いますと九年間に各一年に八千万枚、初年度五千万枚にいたしましたのは、やはり法律の通過及びそれに基いていろいろ製造の準備が要りますので、実際に製造にかかりますためには相当時間のずれができますので、その安全率をとりまして五千万枚ということにいたしたわけであります。大体今後十年間に七億数千万枚、八億近くの百円硬貨を作る、こういうつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/54
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055・平林剛
○平林剛君 理財局長の話によりますというと、大体十カ年計画で八億万枚の百円硬貨を作る。この場合に銀の地金が相当必要になってくると思われるわけです。ところがどうも現在の国の銀の地金の保有量からいきまして、昭和三十二年度の五千万枚を鋳造すると、大体地金の方が不足をしてしまうというような話も聞いておるわけであります。それはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/55
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056・河野通一
○政府委員(河野通一君) ただいまのところではいろいろな形で二百トン程度のものは、今持っておりますものもありますし、これからいろいろな形で政府の中にありますものを収集いたしますると、大体二百トン程度のものかすぐさしあたり使える状態にあります。従いまして、本年度予定通り五千万枚を作り、来年度以降続けていくといたします場合においては、一個当りのコインの銀の純分をどの程度にするかということにもよりますけれども、大体今から考えまして、一年半程度のものは持つのではないか、さように考えております。なお、私どもはその問題と直接結びつきはございませんけれども、例の政府において接収いたしておりまする貴金属の中に、政府の所有になります銀が相当あるわけでございます。これはもちろん法律の手続を要しますから、今すぐどうということはございませんが、これはなくなるものじゃございませんから、これはいずれは政府によって何らかの形で現物自体は使える状態になるものでありますから、これらの問題を頭に置きますならば、銀の純分をどの程度にするかによりますけれども、大体八億、七億数千万枚程度のものを作るのには、今申しましたようないろいろなソースからの銀を使用することによって、まず不足することはあるまいという見通しでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/56
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057・平林剛
○平林剛君 そうすると現在政府が保有しておる二百トンの銀の地金で大体一年とちょっとぐらいの仕事量はある、あとはなくなっちまう。そこで終局現在継続審議中の接収貴金属の処理に関する法律案の成立を待ってこの銀の地金に充てる、こういうお考えのようでありますけれども、ところがその接収貴金属の処理に関する法律案は、今なかなか複雑な問題を含んでおりまして、今度の議会でも成立するかどうかわからない。この法律が予定通り成立しないということになりますと、どういうふうに銀の地金を確保するか、こういう心配が即座に生まれてくるわけでございますけれども、この点はどういうふうにお考えになっておられるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/57
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058・河野通一
○政府委員(河野通一君) 先ほど申し上げましたように、今からずっと製造を続けて参りまして、まあ来年の暮ぐらいまでは何とか今あるものでやっていけるのじゃないか。そうした場合に、今お話の接収貴金属の関係の処理がもしそれまでに間に合わなかったらどうするかということになりますが、私どもはこの法律のなるべくすみやかなる通過成立を心から念願するということを、期待するということを申し上げるよりほかにございません。ただ先ほど来申し上げましたように、この接収貴金属の処理の中に含まれておりまする国に属すべき銀というものは、これはいずれの日かはやはり国にこれは属するものだと思います。ただその時期がずれるだけであろう。いかなる処理がなされても、その現物としての地金はいずれは国に属するべきものであろう。かりに一番最悪の場合を考えるならば、いずれは国に属するものであって、処理が具体的に法律によってきまらないという場合において、しかも銀が製造に間に合わないという事態がかりに起ったとすれば、私は一時的にはそれば非常に最悪の事態でありますけれども、輸入してもいい、そうしてそれが解除されるときにそれを輸出して補てんしてもいい。いろいろな方法があると思います。しかしそういうことにならないで、できるだけ早くあの法案が通過し、私どもがそれを心配しないで、百円硬貨が製造が続けられるようになることを念願しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/58
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059・平林剛
○平林剛君 私はこの通貨政策の問題については、たびたび理財局長とは多少の見解の違いがありまして、あなたと何回かにわたって質疑応答をいたしましたが、かつてあなたは私の質問に答えて、百円銀貨の発行と接収貴金属の処理とは関係がないという答弁をなさっておった。今私けんかしようというつもりはありません。あなたの答弁は違うじゃないかということをほんとうは追及できるのですけれども、今の御説明によるというと、明らかに接収貴金属と関係がある。前に私が尋ねたときは関係はありませんと答弁しております。この点は、あなたはこの通貨政策に対する私の質問に対してうそを言っていると思いませんけれども、しばしば前の答弁とあとの答弁が食い違ってきている。最近の大蔵省の資料にははっきり、百円貨幣の鋳造と、それから継続審議中の接収貴金属の法律案とは関係はあると、こう言っておるのであります。あなたは答弁の食い違いをどういうふうに私に説明してくれますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/59
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060・河野通一
○政府委員(河野通一君) 私は平林さんからの御質問で、どういうふうに御質問にお答えしたかは、はっきり記憶はありませんが、こういうことは、申し上げたかと思います。接収貴金属の処理によって出てくる銀の利用方法として銀貨を出すのじゃないか、こういう御質問がたしか衆議院でありましたか、あるいはこの委員会でありましたか、私記憶いたしませんが、そういう御質問に対しては、私はそういうことは考えていない。接収貴金属の処理によりまして生じてくる銀の使い道を作るために銀貨を、百日硬貨を出すということは考えておらないということは申し上げました。
それからもう一つ、この接収貴金属の処理案がこの国会で通らなければ、百円硬貨が出せないという意味において関連があるかという御質問に対しては、私はそれは関連がない。今持っておる二百トンあまりの銀でここ一年半なり二年近くのものはつなげるから、その関係からこの国会で接収貴金属の処理法案が通らなかったら、当然に百円硬貨を作れないじゃないかということに対して、秘そういうことはありませんということは申し上げたことがございます。だからその時期の問題として、私どもは当然その二百トンにわたる銀がこの百円硬貨を作る場合に要るのですから、それは何らかの方法で作らなければならない。しかしそれが私は、接収貴金属の法律が通らなくても、今申し上げましたように当分はつなげるのみならず、いずれは国のものになるのですから、一時は輸入してまかなっても……最悪の場合に輸入して左かなってもいいのじゃないかという観点に立っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/60
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061・平林剛
○平林剛君 あなたさっきから、日本銀行の政府に対する要求がありましたかと聞けば、要求はありません、御希望はありましたというふうにですね、言葉でもってすり変えているけれども、そういうお答えは、私の前の委員会との関連から見て、どうも言葉ですり変えているという態度で、まことに私は遺憾に存じます。なぜかといえば、通用するところの補助貨幣というものは、たとえば百円銀貨を例にとっても、七億七千万枚あって初めて国民の通貨量として通用するのであって、初年度二百トンの銀で鋳造して、それだけで国民の通貨というわけにはいかないのは、だれでも理解できることであります。そうすれば、前の質問についても、私は当然一年間はできるけれども、あとできないというようなことを、ただ言葉でごまかしてしまうというのでなく、通貨量として全般から考えれば、接収貴金属と関係があるのではないか、こういうことを言ったのですよ。それを一年間は関係はございませんというようなことだけでは、これは、答弁としてはうまいかもしれませんけれども、真意をすり変えているということになります。このときの議事録私もう一回調べてみて、あとであなたに、こういう何といいますかお答えでは、悪くいえば私らをごまかしているものだし、まあそんなに怒るつもりはありませんけれども、どうもしばしばこういうお言葉を使われるということは、議員の正当な判断というものを間違えるということになりますから、注意してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/61
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062・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/62
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063・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/63
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064・江田三郎
○江田三郎君 いずれあとから聞きますが、この臨時通貨法の一部改正に関連して、三月二十二日にミツマタ対策要綱という閣議決定があったわけですね。この閣議決定の内容についてはこの次に聞きますけれども、私はこの次の委員会にこの閣議決定のミツマタに関して農林大臣の出席をお願いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/64
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065・平林剛
○平林剛君 最後に、私接収貴金属の処理以外に銀の地金を確保するという建前から、将来民間からこの地金を買い上げる計画、あるいは銀の地金を輸入するような計画があるかどうか、この点について簡単にお答えを願っておきたい。
それから、きょうすぐでなくてもけっこうですから、もしかりに民間から銀の地金を買い上げるというような場合に、これを提供する会社は、どういうところが、資料がありましたら御提出を願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/65
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066・河野通一
○政府委員(河野通一君) 平林委員御案内と思いますが、実は数年前までは銀の需要というものは非常に実は少かったのであります。むしろ日本では輸出をしておったようなわけです、銀は。この二、三年前から写真工業その他の関係から非常に銀の需要がふえたのであります。現在では輸出はもちろんできなくなりますし、まあちょっと需給が非常に窮屈な程度で、とんとんよりやや不足ぎみの程度です。しかし足らぬといっても大して足らぬわけではございません。従いまして、私といたしましては、日本の国内における政府のソース以外から、この硬貨の鋳造のために銀を買うという計画を持っておりません。従いまして、今、後半の御質問に対しても、そういうことを考えておりませんので、資料はよろしゅうございますね。銀を製造しております会社はわかりますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/66
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067・平林剛
○平林剛君 それでけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/67
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068・椿繁夫
○椿繁夫君 先ほどこの十年間にわたって八億ばかりの硬貨を作るということですが、そうすれば造幣局の方の職員の整理とか待遇の低下というふうなことは一応これば心配ないということになりますが、印刷局の方の職員の方には十年間ばかりは影響はないというお話でしたけれども、私は、この次に伺ったらいいようなものですけれども、ちょっとほかの法律の関係がありまして、他の委員会に出なければならぬかとも思いますので、ちょっとこの機会にお尋ねをしたいのですが、首にするようなことはないから心配するな、こういうお話ではありますけれども、どういう計画でこの印刷局の方の従業員の整理その他については影響がないか、御計画があるのならば、この機会にやはり不安のないように御説明を願っておきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/68
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069・河野通一
○政府委員(河野通一君) 公式に資料としてお配りするほど実は公式なものはございません。これは十年先までのことでございますから、なかなか公式的なものはございませんが、一応非常にかたく見積って、なおかつ、と申しますのは、たとえば今後における銀行券の発行高の趨勢、これはどういうふうに見るか、非常にむずかしいのでありますが、これもできるだけかために押えて計画を作り、そうして製造発行の準備を銀行ではどの程度持たなければならぬかといったようなことにつきましても、相当推定が要りますけれども、これも入れて、それらから作業係数というものを出して、その作業係数の経緯を見ますと、十年間には大体人員の整理は、この関係からは人員の整理ということにはならないというものは、一応非公式の計画は作ってございます。正式の資料としてはちょっとお出しするだけの実は自信がございませんが、非公式の計画ならばごらんいただけるものは用意いたしていいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/69
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070・椿繁夫
○椿繁夫君 これは非公式なものでもけっこうですから、今政府には作業計画などがあるはずですから、それを一つお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/70
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071・栗山良夫
○栗山良夫君 私は政府の本案に対する提案理由の説明の中に、「最近の経済取引の実情に沿わないうらみがあること」、これが一つの大きな理由になっておりますが、それが具体的にどういうことか、よくわからない。従ってこの次にでも少しお尋ねしたいと思っておりますが、そのために資料として、現在の流通通貨の総量について紙幣並びに補助貨幣、硬貨の発行金額、枚数、そういうものを一つ出していただきたい。それからそれと同時に、あなた方、一万円札の計画をお持ちになっておりますが、五千円及び一万円札並びに百円の硬貨、こういう新しい紙幣、硬貨を大蔵省の計画の通りに発行されたときにはどうなるのか、それを一つ。
それから第三としまして、経済取引の実情に沿わない、こういうんだから、従ってアメリカあるいはイギリス、ドイツ、フランス、こういう諸外国は、今申し上げましたと全く同様な状況においてどうなっておるか、これは一つ資料として出していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/71
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072・廣瀬久忠
○委員長(廣瀬久忠君) 暫時休憩をいたします。
午後零時四十一分休憩
〔休憩後開会に至らなかった〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614629X03919570516/72
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