1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年三月二十六日(火曜日)
午前十時四十九分開会
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委員の異動
三月二十五日委員矢嶋三義君辞任につ
き、その補欠として成瀬幡治君を議長
において指名した。
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出席者は左の通り。
理事
大沢 雄一君
加瀬 完君
委員
伊能繁次郎君
小林 武治君
小柳 牧衞君
館 哲二君
占部 秀男君
久保 等君
鈴木 壽君
中田 吉雄君
成瀬 幡治君
岸 良一君
国務大臣
文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
国 務 大 臣 田中伊三次君
政府委員
国家消防本部長 鈴木 琢二君
自治政務次官 加藤 精三君
自治庁財政部長 小林與三次君
自治庁税務部長 奧野 誠亮君
文部省初等中等
教育局長 内藤譽三郎君
事務局側
常任委員会専門
員 福永與一郎君
説明員
自治庁財政部財
政課長 柴田 護君
文部省管理局学
校給食課長 宮川 孝夫君
建設省住宅局住
宅総務課長 鮎川 幸雄君
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本日の会議に付した案件
○理事の辞任の件
○参考人の出席要求に関する件
○地方財政法及び地方財政再建促進特
別措置法の一部を改正する法律案
(内閣送付、予備審査)
○地方行政の改革に関する調査の件
(昭和三十二年度地方財政計画に関
する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/0
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001・大沢雄一
○理事(大沢雄一君) それではこれから委員会を開きます。
本日は委員長が所用のため欠席されましたので、委託を受けました理事の私が委員長の職務を行います。どうかよろしくお願いを申し上げます。
委員の異動がございましたからまず御報告いたします。昨二十五日矢嶋三義君が辞任されまして成瀬幡治君が再び委員に補欠選任せられました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/1
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002・大沢雄一
○理事(大沢雄一君) 次にこの際理事の辞任許可についてお諮りをいたします。本月二十二日付をもちまして書面によりまして、理事小林武治君から理事を辞任いたしたい旨の申し出がございました。小林君の理事の辞任を許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/2
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003・大沢雄一
○理事(大沢雄一君) 御異議ないと認めてさよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/3
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004・大沢雄一
○理事(大沢雄一君) なお先般委員会において委員長に御一任願っておりました、地方税法の一部改正法律案外二件に対しまする参考人の出席要求の件につきましては、その後参考人予定者各位に交渉いたしまして、また理事の方々とも協議をいたしました結果、日時は二十九日金曜日午前十時とし、参考人といたしましては都道府県代表、茨城県知事友末洋治君、市町村代表、栃木県足利市長木村浅七君、軽油引取税関係、日本トラック協会常務理事小野盛次君、大衆飲食税関係、全国鮨商組合連合会副会長篠原耕一郎君、学識経験者、地方財政審議会委員荻田保君、一ツ橋大学学長井藤半彌君、これらの方々を決定いたしました次第でございます。以上の方に出席を願うことといたしたのでありますが、この際御報告いたしておきます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/4
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005・大沢雄一
○理事(大沢雄一君) 次に去る十九日予備審査として当委員会に付託されました地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案を議題に供します。政府より提案理由の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/5
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006・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) 地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
最近における地方団体の財政運営は、地方行財政制度及びその運営に関する改善措置と、地方団体自体における努力並びに経済の好転に伴う収入の増加等により、かなり改善の跡が見られるのでありますが、なおできる限りその財政運営について健全化を進める必要がありますのと、国庫負担金にかかる制度の改正等に伴い地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の一部に所要の改正を加える必要が生じて参ったのであります。
次に改正点の主なる点を申し上げます。
まず地方財政法に関する部分でありますが、その一は、地方団体の財政運営の実際が往々にして、目前のことにのみとらわれ長期にわたる配慮を欠くきらいがないでもないこと等にかんがみ、財政運営、ことに契約の締結等については、長期にわたる健全財政の堅持について十分な考慮を要すべきことを明らかにしたことであります。
その二は、地方団体の事業にかかる経理の健全化をはかるため、地方団体が行う事業のうちたとえば屠場等のように、主としてその経費を当該事業の経営に伴う収入をもって充てるもので政令で定めるものについては、特別会計を設けて経理を行うべきこととし、その経理の明確化をはかることといたしたことであります。
その三は、国費、地方費の負担区分に関するものでありまして、国土調査法の改正に伴い地方財政法の経費の負担区分に関する規定を整備する必要が生じて参りましたこと等に伴い、国庫補助負担金に関する規定の整備をはかったことであります。
次に、地方財政再建促進特別措置法に関する部分でありますが、財政再建団体のうち財政再建債を起している財政再建団体が、財政再建計画の承認を受ける日以前に許可を受け、承認を受けた日以後において借り入れを行なった退職手当債は、現行法では財政再建債としての取扱いができないために利子補給の対象とならないため不合理が生じておりますので、同法の一部に所要の改正を加えまして、これを利子補給の対象とすることといたしたのであります。
以上が地方財政法及び地方財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/6
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007・大沢雄一
○理事(大沢雄一君) 本案の詳細説明並びに質疑は後日に譲ることといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/7
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008・大沢雄一
○理事(大沢雄一君) 次に昭和三十二年度地方財政計画に関する件を議題として質疑を行います。質疑のおありの方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/8
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009・占部秀男
○占部秀男君 財政計画に関連して、これは大臣にお伺いしたいのですけれども、それは小学校や中学校で御存じのように学校給食法に基いて給食をやっておるわけですね。もうこの学校の給食は始まってから約十年になると思うわけなのですが、現在われわれのちょっと聞いたところでは、給食の学童が六百万人もこえているということも聞いておるんですが、特にこの学校給食に従事している従業員というのは、これはあとで自治庁の方からも聞かしていただきたいと思うのですが、全国的に見て二万人以上もいるのじゃないかという数をわれわれの方で調べたこともあるのですけれども、この給食の従業員の身分であるとか給与の問題が非常に悪いということを聞いておるわけです。そこでこの問題を自治庁として取り上げたことがあるかどうか、かりに取り上げたことがあるとしたならば、どんなふうにその問題を現在まで経過的にはなされておるか、こういう点についてお伺いをしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/9
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010・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) ただいまの学校給食関係の職員の身分の問題は、お尋ねの通り実は必ずしもはっきりいたしておりません。本来これは学校の設置者の仕事でありますので、市町村の職員にするのが私は筋からいって当然であると思います。そうしておる所もありますし、あるいはPTAで事実上置いておる所もあるのでございます。それでございますからそこらのところはあいまいであったことは事実でございますが、これはまあ筋道を立ててはっきりさせることが必要な問題であろうと思います。ただ勤務の実態がそれぞれ学校によって相当違うのじゃないかと思いますから、それは学校の実際の給食の勤務の実情に合うような処遇をするより仕方がないのじゃないか。これにつきましては自治庁といたしましても考えるべきものは考えなくちゃいかぬということで、今度交付税法を改正して、これは別途御審議願うことになっておりますが、その単位費用を改訂するに当りましても、市町村の小学校費におきましては、当然給食はほとんどまあ全部というわけじゃもちろんありませんが、相当一般化しておるのでございますから、これは標準的な経費に見るのが至当じゃないか。こういうので給食婦を各学校について一人ずつ見て単位費用に計上することにいたしたのでございます。それでございますから各市町村におきましてもこれにつきましては財源の手当もできますし、相当改善を見るものと心得ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/10
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011・占部秀男
○占部秀男君 単位費用のあれに組んだということは非常にけっこうなことだと思いますが、これは一ぺん自治庁として全国的にこれを一つできるだけ調べていただきたいと思うのですが、というのは私の手元にある二、三の調べによりますと、今小林部長さんが言われた中で、時間とかあるいは作業状態の問題はいろいろと違っておる。こういうようなことなんですが、最近の学校給食婦はほとんどが八時間から九時間労働をやっておるのです。これはどういうことかというと、初めのうちは一時間か二時間手伝いに来てくれ、そこで手当程度のもので一日二百円から二百五十円で手伝ってくれ、こういうことでPTAに頼まれたり、あるいはまた学校関係でも失対もこれに入っているでしょうし、いろいろな形でやったんでしょうけれども、それも十年間になって来るとそれは一定の勤務的な形になってしまって、私たちの調べておる統計がここにあるのですが、関東関西にわたって約六千校ばかりの学校について調べたんですけれども、一番少い一日の勤務時間というのは七時間ちょっとで、一番多いのは十時間十一分というのまであるのです。こういうような非常に長い時間を通常勤務のように勤務をさせられて、しかもその給与はどうなっているかというと、これはまあ部長さん御存じだと思うのですが、まあ二百円とか二百四十円とか三百円とかいうところに置かれておる人たちが相当多い。で中には調理士、栄養士のような場合は各市ではいわゆる雇用関係でやっておりますけれども、そうでない人たちは仕事の部面ではほとんど雇用関係と違いなく縛られているし、しかも勤務時間も縛られておってその給与の実態というものはそんなに低いということで、実はこの間も東京のある学校ではとても食っていけぬ、やめるということもできないし、いっそのこと、これは何か笑い話ですけれども、学校の給食のかまの中に毒でも投げ込んで死んでしまおうじゃないかというようなことを話したという、これはわれわれの方の一つの話だったのですが、しかしそこまでいかなくても私は相当、事が給食問題ですから、あまり待遇のひどいやつでそのままに放置しておくとどんな事件が起らないとも限らぬ心配があると思うのです。そういうことは相手は小学校の生徒なんですから、これは非常に大きな社会問題がこの中から起きないとも限らないと私は常々心配しておるのですが、今のようなお話で今度ようやく基準財政需要額の中ですか、入れたということですが、そこでじゃ今度の基準財政需要額の中へはどのくらい入っておるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/11
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012・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) ちょっと今こまかい数字をここに持っておりませんが、一学校一人当りで単価幾らになっておりますか、あとから交付税の方の資料でちょっと申し上げたいと思います。
今の給食費の問題は今いろいろお尋ねのようなことが実際あると思います。これは基本的には給食制度そのものが確立しておらぬのでございまして、給食の責任がまあこれはどうなっておるのか、町村が責任をもってやっておる所もあれば、PTAがやっておる所もある。そういうようなことで元が立っておらぬものだから、こちらとしては把握の非常に困難であるという実情があったわけであります。しかしいずれにしろまあ事実上小学校におきまして多くの学校でこういう仕事をやっている以上は、われわれの方といたしましてはやっぱり経費としては一通りのものをみておくのが適当であろうということで、今度財源のふえました機会にそういう手当をするということにいたしたのであります。大体今単価はここにわかりましたが一日二百四十五円という計算でございます。これも高いか安いかという議論がございましょうと思いますが、これはまあ交付税の金額と総体的な関係もございまして、大体実情を考えてこの程度の金額を計上したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/12
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013・占部秀男
○占部秀男君 基準財政需要額の中にそういうふうに入った、こういうことなんですが、そうするとこれは地方財政計画の中には支出的な部面としてはどういうところが現れてくるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/13
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014・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) 財政計画では、特にこの経費を頭の上にはこれは特定の費目としては出しておりません。一般の市町村の消費的経費の中の補助を伴わない経費の中に、いわばぶち込みということになると思います。だから財政計画の問題よりもむしろ具体的の財源措置の方が大事だと思いますから、交付税の中に単位費用を入れたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/14
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015・占部秀男
○占部秀男君 これは現実に各地に行きますと、結局基準財政需要額をもらっているが、それは金は来ていないのだということで相当因っているということにして、これをたてにして一校一名という確立をしようとする場合でも相当骨が折れるわけだが、特別な財源措置というものはできないものか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/15
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016・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) 特別な財源措置ということになれば補助金でも出すか、こういう問題になると思いますが、こういう職員の経費は、学校の一般の事務職員と一緒の問題ですから、それをやるとすればそれは一般財源で考えるという方が筋だろうと思います。特にこういうものにつきまして補助制度をとるかどうか、これは文部省の考え方の問題でもあろうと思いますが、われわれといたしましてはこういう筋の方が適当じゃないかと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/16
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017・占部秀男
○占部秀男君 今の点について文部省の方に私はお伺いしたいのですが、給食婦の実態は今申した通りで、非常に何といいますか、使えば使い放しで放置されているという状態がある。これは文部省として根本的にこの問題を、それは待遇の条件についてはいろいろ実態によってあると思いますけれども、身分と待遇条件の確立をしてもらうというような、そういうようなことをする考え方はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/17
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018・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 給食婦の問題についてのお尋ねでございますが、現在の給食の実情はいろいろ御批評もございますが、私どもといたしましてはなお改善し充実する余地も残っている問題だと考えます。従いまして文部省といたしましても、すみやかにこの制度の充実と、それから制度としての合理化と申しますか、そういう点については検討いたしたいと考えております。予算的措置についても従来もいろいろ検討しておりましたが、財政の都合その他で思うに任せない点がございますが、これは御趣旨のあるところは私どもといたしましても全く同感でございますので、今後とも一つ検討もし、さらに地方の財源等については自治庁とも打ち合せまして、今年はある程度のことはしてもらいましたが、この上ともしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/18
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019・加瀬完
○加瀬完君 文部大臣に伺います。文部大臣は地方財政の権威者でございますから、いまさら申し上げるまでもないと存じますが、このごろ地方財政そのものに対しまして、特に行政水準の維持をさせるための財源確保の問題を、地方制度調査会などでも取り上げられているわけです。この委員会でもわが党の鈴木委員が自治庁長官に、税制審議会と地方制度調査会では別な答申が出ておるが、たとえば税制審議会ですか、税の伸びを赤字解消にまず持っていけ、こういう意見が強い、地方制度調査会では余裕財源で行政水準を引き上げろという主張が強いけれども、あなたはどちらをおとりになるか、こういう質問をいたしましたときに、自治庁長官は行政水準の維持というものを尊重する、これは政府の態度でもあるという御説明がありましたが、文部大臣も政府がこれは答えたということでありますから、田中長官と同じお立場に立つと了解してよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/19
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020・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 田中長官のお答えいたしました通りと私は考えます。もちろん具体的に地方団体によりまして一がいに言い切れないものもあろうと思いますが、建前といたしましては田中長官のお答えいたしました通りと私も思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/20
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021・加瀬完
○加瀬完君 これは府県の知事会が、学識経験者などの七人委員会ですかを作りまして、地方行財政の実態調査をしてもらった。その報告の中にも特に再建団体では行政水準をはなはだ割っておるという事実をそのまま認めざるを得ない。この赤字の原因というものは、もちろん団体によっての大きな責任もあるけれどもそれのみではなくて、国の責任に帰すべきものもむしろ多い。赤字解消というものができないわけではないけれども、今の再建のような再建計画で赤字解消をするならば、赤字は解消するけれども、行政効率といいますか能率といいますか、そういうものをある程度ストップせざるを得ない、こういうことを率直に報告をいたしておるわけであります。そこで文部大臣は特に再建団体などでいろいろ定員とかその他の教育の予算の関係について問題が起っておりますが、この教育行政の水準をある程度維持するということについて、特に再建団体などを対象に考えまして、何か特別にお考えになっていらっしゃることがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/21
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022・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 具体問題となりますとなかなかむずかしいのではないかと思います。赤字団体等におきましては、赤字の程度によりましては何としてもその赤字の方の肩を軽くするということが、将来その団体の堅実な発展の基礎になるわけでありますので、多少のことは団体としても忍んでいかなければならん点も私はあるのではないかと思います。さような努力と行政水準維持に関する努力とあるいは矛盾したようなことになるかもしれませんが、この間に何らかの調整をとりつつ進んでいかなければならないと思うのでございます。教育に関する問題につきましては、もちろん私といたしましてはできるだけ一つ従来の教育水準を維持し、さらにこれが発展することを念願とするわけでございます。赤字団体等におかれましても、できるだけその辺のことについては考慮をしていただきたいというので、自治庁方面に対しましては、教育の方にあまりむりのかからないようにということを始終お願いいたしておるようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/22
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023・加瀬完
○加瀬完君 赤字団体が赤字を解消するのに、積極的にあらゆる面から解消の目的というものを第一に掲げなければならないということは、これは私も否定はいたしません、その通りだと思います。ところがですね、府県の実態調査の委員たちが報告をいたしておりますように、赤字解消第一主義というものはあまりにも行政水準というものの落下といいますか、行政水準の引き下げということを来たすような結果になって、これじゃ最低行政水準も維持できないという、何のために赤字解消をやっているかという、本末転倒の形を呈している。ここが私は問題だと思う。そこで一体最低行政水準、最低行政水準というが、文部省は特に地方の義務教育なんかに対して、何を押えて最低水準と言うか。最低水準というのは一体何を押えて言うか、この点一体どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/23
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024・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 行政の最低水準という言葉はしばしば使われる問題でございますが、私はこれに対するはっきりしたものはないと思うのであります。要は実際の状況にかんがみまして、その仕事の目的を達することができるかできぬかというふうなところを常識的に判断する以外に私はないと思います。文部省といたしましても、これが最低水準というものはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/24
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025・加瀬完
○加瀬完君 法律や政令というものがいろいろきめられておるのでありますが、この法律や政令できまっておるものをはるかに割るような形になってもこれは最低水準だとお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/25
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026・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 非常にお答えのしにくいお尋ねでございますが、はるかに割るというふうなことになりますれば、これは最低水準を維持したものをいうことは言いにくいだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/26
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027・加瀬完
○加瀬完君 交付税法の第三条ですか、「地方団体は、その行政について、合理的、且つ、妥当な水準を維持するように努め、少くとも法律又はこれに基く政令により義務づけられた規模と内容とを備えるようにしなければならない。」という条項がたしかあったように思います。そこで少くとも法律またはこれに基く政令により義務づけられた規模と内容の履行というものが、一応私は法律的にみて最低水準ということになろうと思う。こういう点を文部省は少くも維持するととに努めておると思いますが、これを割ってもいいという許容の態度で臨んでおると、法律や政令に違反するようなものが続出しても文部省はそれでもかまわない、赤字解消のためにそれでもいいと、こういう考えではないと解釈してもよろしいのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/27
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028・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) その通りであります。法律、政令で規定されておるものを割って差しつかえないというような考えではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/28
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029・加瀬完
○加瀬完君 そうすると今の再建団体では二つの問題が私は生じておると思う。それは一つは法律できめられておることも政令できめられておることも、はるかに割るような形になりつつある。しかもその傾向は年を追うにつれて激しくなっておる。その結果とでもいいましょうか、二つ目を申しますならば具体的な一つの事例として、教員養成学部あるいは学校の卒業生というものは、ほとんど本年は就職の見通しというものがまことに暗い。五分の一くらい採用できる所はいいところだというのが再建団体の実態じゃないか。それは結局現在の定員というものを何名か整理してその上に新卒業生をとるということになりますから、整理に手一ぱいですから、新しい者をとれないというのが実情だと思う。こういうふうに政令を割るようなあるいは法律できめられている程度を割るような、少くも教育においては行政水準が切り下げられて参りますから、一つには神武景気とか就職率がいいといいながら、教員養成学校の卒業生は全然就職の見通しがないという、政府のいろいろ説明や声明にもかかわらず、まるで取り残されておるような形になっておる。この原因を逆にいうならば、今言ったように政令を割るような形で再建計画を進めておっても、その再建計画そのものを結局文部省が認めておるということになるんじゃないかと思う。この実態を大臣はどのようにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/29
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030・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 個々の再建計画について検討しなければならない問題だと思うのでありますが、今日のような財政上非常に困っておる団体といたしましては、これが立て直しをはかりまするためには、多少は政令の示しておるところの基準通りにやらない場合がありましても、これはある程度やむを得ない。なるべくすみやかにさような事実を解消いたしまして、りっぱにやってもらうように期待いたしておるわけでございます。
今の、教員の就職ができないという問題は、私は、必ずしもそれだけが原因だとは思わないのであります。一般的に申しまして、今日、教員の養成の学校から出ました者が、遺憾ながら完全に就職し得ないような状態が出て参っておるのであります。その原因といたしましては、なかなか退職者が少いというようなこともありましょうし、あるいはまた、教員養成大学以外の学校から出ました人で、教員になる人も相当あるというような、いろいろな事情があるのであろうと思うのであります。この問題はこの問題として取り上げて、われわれといたしましても、検討をして参らなければならぬ、さように考えておる次第であります。本年度といたしましては、とりあえず教員養成大学の中に、御承知のように、四年課程と二年課程がございますが、二年課程の方を減らすというような工夫をして、なるべく実情に合わしたいと考えておる次第でございます。これは、大いに検討を要する問題と考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/30
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031・加瀬完
○加瀬完君 もし再建団体における再建計画のようなきびしいワクというものがなければ、現状の退職者をもってしても、卒業生というものをある程度就職させることが可能なんです。法律や政令をはるかに割るような再建計画というものを文部省自体が認めておるから、結局就職でき得る者をも就職を不可能にしておるという現状が私はあると思う。それは、再建団体そのものも、教育にしても、再建計画の目的に沿うように推進していかなければならぬことはもちろんでありますが、一方三十二年度は、一応地方財政のワクも広げて、再建計画もある程度他の面についてはゆるめようという政府はまた別の見解をも示している。具体的に言うならば、今までは、ほとんど投資的経費のワクをしぼった結果、どうにもならなかった道路や橋梁というものは、八十億程度の新しい予算というものでもって新規事業をやっていこうと、こういう一つの財政計画を立てている。道路も必要でしょう。橋梁も必要でしょう。しかし、教育というものも、考えようによっては、これは文化に通ずる道路でもあり、あるいは経済振興をする一つのかけ橋にもなるわけです。ところが、教育の面については、たとえば、先ほどから説明しているように、非常に定員というものを削減されて、これに対してある程度ゆるめて、新卒業生の採用をもあわせてやろうというような計画は全然ない。これは結局、どこをもって最低と押えるかという基準を法律や政令というもので押えているならば、法律や政令というものを非常に下回っているのだから、少しでも財政が好転すれば、法律や政令程度に引き上げるというのは、当然の文部省の義務だと思う。それすらもおこたっておると言っても、私は言い過ぎではないと思います。具体的に言うならば、これは指定統計ですから間違いないと思いますが、たとえば指定統計で、小学校の学級段階別学校数を調べますと、六学級の学校が一七・四%で、一番多くなっている。ところが、再建団体では、六学級あたりから以下のものを非常に定員を切りつめている。あるいは分校は、二学級というのが三八・二%で、非常に多い。特に分校というのは僻地に多いのですが、僻地教育の振興というものを一面ではうたっておっても、三八・二%もある。二学級ぐらいの分校というものは、極度に教員の定数というものを制限している。これは、再建団体はどこでもそうです。中学校でも、六学級というのが二一・三%で、一番多い。そうして大体六学級以下というものに対して、少くとも、普通ならば一番パーセントの多いところを救うならば話はわかるが、一番パーセントの多い六学級を押えて、ここ以下というものを極端に定員を削減している。こういうことでは、あなた方がどのように御説明なさろうとも、再建計画のために教育の水準が下げられるということを文部省は責任を持ってカバーしているということは、私は言い切れないと思う。この点は、再建計画のために教育行政の水準が下げられる点をどう防いでいるとおっしゃるのですか。具体的にどういうふうな交渉を自治庁と持ち、あるいは三十二年度の財政計画のワクの拡大について、一体定員の確保というものをどうお考えになるのか、その点について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/31
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032・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 再建団体における再建計画に基きまして、教員の数が若干圧縮されておるという事実はあろうかと思いますが、おっしゃるほどひどいとは私は思っていない。それからまた、あまり無理な計画等につきましては、これは、個々の場合において、自治庁とも御相談をいたしまして、なるべく無理のかからないようにということで、協議をやっておるようなわけでございますので、その点は、一つ御了承を願いたいと思うのであります。政令とか、その他の基準に対して、別なひどい査定をするというような場合におきましては、もちろん自治庁とも御相談いたしまして、その計画の緩和をはかって参りたいと考えております。
なお、政府委員からさらに補足をさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/32
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033・内藤譽三郎
○政府委員(内藤譽三郎君) ただいま、基準のお話がございましたが、学校教育法の施行規則によりますと、「一学級の児童数は、五十人以下を標準とする。」という規定と、さらに「小学校においては、校長の外、各学級毎に専任の教諭一人以上置かなければならない。」「中学校においては、各学級毎に、教諭二人を置くことを基準とする。」、こういうような書き方でございまして、非常にばく然としておるわけでございます。そこで、学級編成の基準につきましては、五十人以上のところが相当ありますので、これは漸次引き下げるようにいたしまして、施設その他の状況を見まして、本年度も、学級編成基準を改善した県としては、大阪、兵庫、愛知、静岡、北海道、富山、大分、広島等が五十人以上を引き下げておるのであります。そうして、お話のように、各学級一人以上ということになっておりますので、この点が非常に不明確なんでございまして、一学級一人を割るというようなことは、今のところ各県でございません。
そこで、一人以上を置くという場合の基準でございますが、どの程度が妥当であるかということで、義務教育小学校における標準定数と申しますか、定数の基準、こういうものを検討いたしまして、自治庁とも交渉しておるわけでございます。従って、再建団体におきましても、義務教育の一定水準は確保しなければならぬという強い態度を持っており、自治庁も、この点については、原則的には了解を得ていただいておるのでありまして、まだ成案を得ているところまではいっておりませんが、そういうような水準を維持するという点については、両者とも意見は一致しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/33
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034・加瀬完
○加瀬完君 初等中等教育局長の御答弁とも思われない御答弁と私は拝聴した。というのは、一体再建団体が年次別に、三十一年度の現在から何名教員を整理しようと御計画なさっておるか、おわかりですか。それがわかれば、少くとも三十一年度の水準から見れば、質的には別として、量的にははるかに水準は低下されたと見るのが当然だと思う。それから、兵庫とか大阪とか、いろいろ学校の児童生徒数の引き下げをやっているということでございましたが、たとえば、鹿児島では、小学校で、一学級六十人以上の児童数を持っておるものが全体の一〇%、熊本で七%、新潟で七%、中学校でも、熊本では、六十人以上の生徒の一学級編成の学級数が全体の八%、新潟で七%。問題は、経済状態が、財源状態がある程度いいところの地方団体というものは、自治庁や文部省に何ら庇護してもらう必要がない。しかし、こういう再建団体で、しかも、財政的には貧弱団体で、多学級をかかえておっても、どうにも動きのとれないところは、さらに定員が削減される。再建団体は、いずれの団体を問わず、相当数というものを三十一年度から年次別で削減計画を立てておる。ですから、これは、三十一年度よりは低下されておることは事実なんです。そこで、こういう再建計画というものが施行されて、少くとも教育水準が現状より低下されるというときには、文部省としては、教育行政水準をどこで押えるかということについて、至急政令の内容を整備したり、あるいは新しい法律を出したりして、一応の教員に対する定員とか、あるいは学級構成の人員とかいったようなものをきちんとさせておくべきじゃなかったかと思う。再建計画で一年たって、しかも、第三者の調査をもってしても、教育水準もはっきり下げられておるという報告を受けても、まだある程度は維持できておるだろうということでは、一体文部省は、義務教育というものをどういうふうに考えておるか。失礼な言葉ですが、そういう反論をせざるを得ない。これからいろいろ政令の内容というのをきめるということをほのかに聞いておる。これからではない。橋梁とか道路とかいうものは、一応予算を獲得して、新しい陣容ができるように、再建団体でも財政的な幅を広げられておる。教育行政だけがことに再建計画で縮められたまま、それを黙認して、何とかいけるという文部省の態度というものはあり得るか。大蔵省と違うのでありますから、そういうところをはっきりしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/34
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035・内藤譽三郎
○政府委員(内藤譽三郎君) お話のように、決して文部省がじっとしておるわけじゃございません。再建団体といえども、一定の教育水準を維持しなければならない。こういう考え方で、私の方では、定数基準と申しますか、義務教育における標準の定数を検討しておるわけであります。その定数までは、ある程度私は再建計画の御変更を願いたいということで、自治庁とも交渉しておるわけであります。個々の団体についで、非常に無理があれば、各県の事情を伺いまして、たとえば山形の場合とか、あるいは長野の場合とか、あるいは佐賀の場合とか、それぞれ個々の再建団体の実情を見まして、そして無理のないところで、教育水準の維持に支障のない程度に御変更を願うように交渉しておるのであります。決して私どもは、じっとこまねいておるわけじゃございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/35
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036・加瀬完
○加瀬完君 二つ、重ねて伺います。
一つは、再建計画に入った前と入ったあとで、教育行政水準というものは、一体上ったのか下ったのか。
もう一つは、その団体が一応財源的なゆとりもできたから、ある程度、たとえば小学校は十二分の十三、中学校は九分の十三といったような、政令基準と通常いわれている程度には人員を、再建計画のワクを広げようと思っても、自治庁は頑として応じない。これが今の実態です。そこで、各地方団体が地方団体の意思によって、これは無理だから、ある程度教育水準の確保のためにワクを広げよう、こういう交渉を自治庁に対してしているときには、文部省は、それを可能にするという今後の自信がおありになるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/36
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037・内藤譽三郎
○政府委員(内藤譽三郎君) 再建前と再建後の教育水準の問題がお話に出ましたが、当初の問題としては、三十一年度の計画通りには遺憾ながら進んでないと思います。すでに佐賀県等は、三十一年度は、実際は再建計画通りやっておりません。これは、自治庁の方でもお認めになった。その他の府県につきましても、再建計画通りに進んでいないということが実情でございまして、このために、どの程度の低下を来たしているかということは、私どもはまだつまびらかにいたしておりませんが、今お尋ねの第二点の方でございますが、この無理な再建計画、これはどうしても、無理をしいますと、結局現場が動きませんので、教育水準の低下をしない程度に縮めていただかなければならぬ。この点については、自治庁も非常に寛大な態度で御了解をいただけるものと私は確信しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/37
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038・加瀬完
○加瀬完君 私は、文部省は自治庁に対して、教育の水準が再建計画によって非常に阻害されているという実態をどのくらい御認識になっているかということを疑わざるを得ない。現在、再建団体はにっちもさっちも動けない状態になっている。自治庁に交渉しても、自治庁は絶対に承知しません。政令のワクを広げようということすら——ある県では、再建計画をきめるときに、文部省の通常政令基準といわれている程度には教員の定数を確保するという付帯条件をつけて、再建計画を議決したのですが、そういうところにおいてすら、県会の議決にもかかわらず、自治庁は応じません。これが実態です。そこで、再建計画の通りに教員の定数というものを削減されたら、これは、教育水準の維持どころじゃないということは、これは文部省たりとも認めざるを得ないのじゃないかと思うのです。それならば、今度の三十二年度の財政計画のときに、特に再建団体についてある程度の財政措置をさせて、極端な再建計画の推進のためにこうむる教育水準の低下というものを防ごうという措置を、一体どういうふうに自治庁と御交渉なさったか、具体的にどうですか。何かおありですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/38
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039・内藤譽三郎
○政府委員(内藤譽三郎君) これにつきましては、昨年来義務教育における定数基準というものをもちまして、その定数基準について、自治庁と懇談しているわけであります。自治庁も、原則的には了解されているのであります。ですから、再建団体において著しく低下を来たすようなことのないように、十分な私どもも配慮をしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/39
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040・加瀬完
○加瀬完君 著しく低下しないようにといっても、著しく低下をするということがあの計画で見れば如実にわかるでしょう。どうなんですか。再建計画通り削減されていったときに、再建計画以前の定数よりもはるかに割る。あるいは一学級の生徒児童数というものははるかにふえる。こういう実態です。これは、われわれしろうとが考えても、低下するということは当然じゃないですか。これを防ぐのが文部省の責任だと思う。また、低下しないように低下しないようにといっても、現実に低下しているのです。一体これをどうするか。去年よりも悪くなっているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/40
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041・内藤譽三郎
○政府委員(内藤譽三郎君) ですから、私どもも心配しているので、再建計画通りやられては困るのであります。それについては、再建計画を無理のない程度の再建計画に変更していただかなければならぬ。そういう線で、私の方では、標準定数なり定数基準なりというものを自治庁と交渉しているわけであります。再建計画通りやられては困るという認識のもとです。それから、個々の県については、今お話しのような、県会が一致して修正案をおきめになったという事情は聞いておりませんですけれども、それぞれお困りの県については、そのつど自治庁と打ち合せをいたしまして、再建計画の変更について、十分懇談しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/41
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042・加瀬完
○加瀬完君 十分に懇談するといっても、財政計画は、自治庁の説明によれば、再建計画の教員の定数をある程度変更するという含みで財政計画は一つも考えられておらない。作成されておらない。財政的措置というものは全然ない。橋や道路は直すけれども、キザな言い分になるかもしれませんが、文化に通ずる道路とか、国や経済の交流に対するかけ橋ということについては、自治庁はさっぱり考えておらない。だから、あなた方が交渉する交渉すると言ったって、三十二年度の財政計画をもってしては、どうにも動きがとれない。で、各府県では、やはり財政計画できめた通り、三十一年度分の整理というものを、人員削減というものをこの年度末にきてやっております。ある県においては、御夫婦の先生方に対しては、五万円以上のものは一人やめろ、あるいは経済的に余裕のある家庭の者は、この際優先してやめてもらいたい。ある者は、恩給の受給権利が生じたから、ここでやめてもらいたい、こういうふうに、定年も何もあったものじゃない。定年制が五十五才とか何とかいうことは、それはよその話で、少くも再建団体の教育社会においては、四十五才とか、あるいは四十七才とかということで、御夫婦で学校にお勤めの方は、一方がやめさせられるというのが現状なんです。そういう無理をして、その削減計画の通りに合せようとしている。ですから一体、こういう無理というものをこれから年次計画でやっていくことが、あなた方文部省はおわかりになるのですね。財政計画で、一方はふくらがっているところすらあるのに、みすみす再建計画によって教育行政水準が下っていくのを、そのままに見過ごしたと言っても、私は過言でないと思う。今交渉中だといっても、現在削減されております。教育水準は低下して参りますよ。こういう状態を一体なぜ考えなかったのか。
それから、大臣にあわせて御答弁いただきたいと思うのですが、そういうような再建計画による非常な苛酷な条件というのがあるから、新卒業生すらも就職させられないという、一つの社会問題だと思う。完全雇用にはならないけれども、ある程度完全雇用に近く、五カ年計画によるとなる、あるいは就職率も上った、こういうふうなことを政府は発表していますけれども、一体この実態はどうですか。政府によって作られた法律によって、小さい範囲であるかもしらぬけれども、少くも教育社会においては、他の部門とははなはだ違った苛酷な条件で、就職したくも就職できないという立場に追い込まれている。だから、再建法のワクというのがある程度広がれば、新しい卒業生というのが何人かは就職させられる。社会問題としても、こういう手は、当然これは考えなければならない問題だと思う。これは大臣に伺います。今からでもおそくはないという言葉がありますが、今からでも——大臣にこういう話をするのも、釈迦に説法ですが、そういう説明を必要としないと思う。今からでも何か、大蔵省、自治庁あるいは政府の閣議あたりでお話し合いになって、全部再建法を野放しにしろと言いません、この新卒業生の採用という、一つの社会問題を解決する意味においても、ある程度この際ワクを広げるという便宜の措置というものを講じられないか、こういうことについてお考えいただくわけに参るまいか、その点、大臣いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/42
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043・内藤譽三郎
○政府委員(内藤譽三郎君) 今、私どもで自治庁と交渉しておりますのは、先ほどから申しましたように、再建団体でも、非常な削減にならぬように、そこで標準定数というものもきめて、自治庁と交渉しているわけであります。各県の事情につきましては、各県から御要望がありますれば、これを自治庁と相談いたしまして、修正をいたしているわけであります。修正をいたすように努力しておりますが、まだ、一三十二年度の計画については出てこないわけであります。三十一年度は、おそらく各県とも再建計画通りの実施ができていないようです。三十二年度の定数も広げるということを、今、自治庁と打ち合しておるわけです。これにつきましては、県側と教育委員会側の話し合いのついた線でお持ち下されば、自治庁も十分相談に乗ると言っておりますので、私どももそのときに、文部省の意見を十分反映さしたいと考えておるのであります。なお、基準財政需要額のこの前の決定のときにも、相当考慮いたしていただきまして、教育関係だけで、約二百億近く基準財政需要額が上っておるわけでありまして、こういうことの、再建団体といえども、教育水準が低下しないような財政的な配慮を重ねておるわけであります。それから、定数につきましては、たびたび申しましたが、自治庁も原則的には了解いたしました。その線で、再建団体の整理についても考慮していただくように努力しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/43
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044・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 教育水準の低下ということは、われわれといたしましては、もちろんこれを避けたいのであります。さようなことにならぬように努力するのが、これは私どもの務めであることは、申すまでもございません。そのつもりでやって参るわけでございますが、ただ、この財政再建という問題も、これもゆるがせにできない問題であるということは、地方行政の皆さん方十分御承知のことでございます。財政再建は、一時非常に窮屈な思いを各団体がせられることでありますけれども、しかし、これを通っていかないと、ほんとうに地方自治の堅実なる発展がむずかしいということから、皆さんの御努力を願っておるわけでありますので、この財政再建については、文部省といえども、もちろん協力しなければならぬ。そういう意味におきまして、先ほど来お答え申し上げましたように、従来からの状況に比べてみますると、あるいは団体によりましては、学校教育の上におきまして、窮屈を感じてくるところが出るかと思うのでありますが、多少のところは一つごしんぼうを願いたい。しかし、お話にありましたように、ひどい低下を来たすというふうなことは、できるだけ避けるように、私どもも努力いたしたいと考えておる次第であります。なおまた、新卒業生のお話もございましたが、できることなら、新卒業生が全部就職のできるようにしたいということは、私も同じように考えるわけでございますが、現状はなかなかそう参らない。そこに苦しいところがあるわけでございますが、できるだけ就職につきましては、われわれといたしましても、配慮いたさなければなりませんけれども、同時に、これは一般論になってくるわけでございますが、学校の教職員の人事につきまして、やはりある程度、新陳代謝ということが円滑に行われませんと、なかなか地方の財政も苦しいことになってくるのじゃないかと思うのでありまして、そういう意味におきましては、新陳代謝をスムーズにすることによりまして、新卒業生の就職先も開く、そういうふうに私どもは考えるわけであります。いろいろたくさん問題がございますけれども、しかも、どれもこれもきわめて困難な問題で、苦慮いたしておるわけでありますが、教育費が年々歳々非常に大きくかさばっていくということも、財政全体の上からいうと、考えなければならぬ。当然ふえるべくしてふえるのはけっこうでありますけれども、やはり一応の教育費のワクといいますか、大ずかみに、大体この程度というふうなものは、国にいたしましても、地方にいたしましても、考えておかなくちゃならぬ問題でございますので、人事の面から申しますと、願わくは、スムーズに新陳代謝が行われるようにいたしたいものと、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/44
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045・加瀬完
○加瀬完君 大臣に先に一つ、それから、あとで局長に伺いますが、新陳代謝とおっしゃいますけれども、昨年、地方公務員法の一部改正の、いわゆる定年制の問題がこの委員会にかかりましたときに、自治庁の提出されました資料によりますと、小学校では、かりに五十五才という年令を押えると、五十五才以上の構成の比率というのが〇・八%、中学校が一・三%、そこで、その当時の大臣は、国家公務員は新陳代謝がよく行われておるので、定年制をしく必要はない。しかし、地方公務員は、新陳代謝が行われておらないからと、こう言った。新陳代謝がよく行われているという国家公務員の五十才以上の構成比は四%、そうすると、これは、少くも地方公務員の中でも、小中学校の義務教育職員というものは、国家公務員よりもはるかに新陳代謝がよく行われているということになる、五十五才以上の構成比が〇・八%と一・三%ですから。だからこれは、自治庁の御提出になりました資料からすれば、新陳代謝の幅というものは非常に少い。ここで新陳代謝をしろといっても、これは、国家公務員よりもはるかに無理な新陳代謝ということになって、これは、非常に優秀な者を整理しなければならないということにかち合うと思う。そこで私は、新陳代謝によって新卒業生を収容するということだけでは、これはなかなか、問題が他の面に大きくまた波及してきて、それによって結論は出てこない。そこで、新卒業生の就職をはなはだはばんでいるのは、先ほどから申しますように、再建計画なんです。再建計画は非常に、最低行政水準を割っている点もあるから、ある程度修正しなければなるまいというのは、これは自治庁自身も認めている。そこで、修正するというならば、教育行政の先ほどからお願いをしている面も、当然修正されてしかるべきではないか。そこで、いろいろ御折衝があるというならば、新卒業生を何人か採るという社会政策の見地からしても、この際便宜に、来年とは言いません、この際便宜に、一応再建言画を——再建団体が一番ひどいんですから、再建団体については、再建計画をある程度幅をゆるめて、新卒業生の就職の割当をする、こういう便宜の方法を考えてもらえないか、大臣に伺いたいと思いますのはこういうことなんです。
それで、局長には、いろいろあなた御説明なさいますが、三十二年度の地方における予算というものは、大体現在審議されつつあるか、あるいはきまってしまったところすらあろうかと思うんです。そこで、地方におけるところの一応の歳出歳入というものがきまってしまって、予算のワクがきまってしまって、その中で定員のワクを広げろといったって、これはできないと思う。そこで、その予算に合せるために、三十一年度の整理人員というものは、この年度末にきて整理しているというのが地方団体の現状なんです。
そこで、新しい質問になりますが、あなたのような御説明ですと、三十一年度で整理する削減人員というものは、ここで整理しないで、予算の定員は一応きまっても、予算定員のほかに未整理のものを残しておいて、それで府県はいいのか。それで、あとは文部省がいろいろ交渉して、残したものの何分の一か、あるいは何名かというようなものを、一体交渉の結果やめさせなくてもいいか、整理しなくてもいいか、定員のワクに加えてもらえるという見通しが一体あるのかどうか、こういうことなんです。大臣から先にお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/45
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046・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) もちろん、新陳代謝だけで片づくものとは私も思っておりません。従って、先ほど申しましたように、教員養成機関の養成数について心配しなければならぬような状態にもなっていると思うのであります。われわれといたしましては、仰せまでもなく、新卒業生ができるだけ就職先を得ることを望んでいるわけでございます。さような地方の再建計画の上におきまして、ゆとりがあって、新卒業生でも採用し得るというような状況でありますれば、もちろんそれは考えてもらわなくちゃならぬと思っているわけでございます。そういう意味におきましては、再建計画の状態によりまして、自治庁とも十分話し合いをいたしまして、できるだけその方面に向っても努力はいたしたいと考えます。なおまた、今年度は、各地方団体ともに相当な自然増収というようなことも考えられるのじゃないかと思うのであります。そういうふうな、財源に余裕があるという場合におきましては、できるだけ教育の方には、被害というとおかしいのでありますが、影響の少いようにということは十分頭に置いて、努力して参りたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/46
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047・内藤譽三郎
○政府委員(内藤譽三郎君) ただいまのところ、三十二年度の地方の予算はほとんど決定しておりまして、北海道を除いて、文部省の方に集計が来ておりますが、前年よりは約三千名の増員になっております。
それから、次のお尋ねでございますが、三十二年度の再建計画が実施できなかった残りの分を文部省は何とかするか、こういうようなお尋ねでございましたが、事前に御相談いただきまして、十分私どもの納得する線ででしたら、自治庁とも協議いたしたい。すでに協議をしておる県も相当ございます。三十一年度の計画で、私どもが多少無理と思っておりますのは、千葉、長野、それから佐賀、鹿児島の四県だと思います。で、それぞれ御事情があると思いますので、できるだけ、三十二年度に入らぬうちに御相談下さいますれば、計画が無理でしたら、自治庁の方に交渉いたしまして、ある程度の変更をお願いいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/47
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048・加瀬完
○加瀬完君 大臣にはどうぞ、その一つの社会政策的な見地に立って、教員養成学校の卒業生の就職というものを、政府として対策を立てるようにお考えいただきたい、それだけお願いします。
局長の御答弁で、三千名増員というけれども、自然増や社会増があるのですから、三千名増員だの、五千名増員だのというのは、それは何も一学級に対する教員の割当率が上ったことでもなければ、一学級に対する生徒、児童の数が縮減されたことでもない。そんなような、専門のお立場にあるお方のおざなりの答弁を私どもは聞きたくない。これ以上伺いません。はなはだ私は遺憾と思うのです。地方の四苦八苦の状態ということは、何もそれによって——どんなに苦しかろうが、最低行政水準が維持されるということならばよろしい、教育の最低行政水準が維持できないという現象を文部省がもう少し、義務教育ですから、義務教育に東京と千葉、あるいは茨城と神奈川ということに階段を生ずるということは、格差を生ずるということは、これはゆゆしい問題です。それを本腰を入れて、もう少し最低水準の確保というものにかかってくれなければ困ると思うのです。文部省は、今いろいろ御説明のように、非常に教育の最低水準を割ると思われるようなところに対しては、再建団体であっても、その計画変更を自治庁と交渉していくということでございますが、そういう場合は、十二分に話し合いに応じて、自治庁が先ほどから御説明のように行政水準をある程度確保するという点について、文部省の要望に対しても協力をする、こういうお立場と解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/48
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049・加藤精三
○政府委員(加藤精三君) 再建団体のほんとうの再建の意欲というものは、地方団体の独自の考えになるわけでありまして、そういう面から見まして、地方自治は、地方の府県の理事者、団体、住民の意思を尊重するという一面があることはあるのでございます。で、事は義務教育だから問題が起るのであります。そういう面におきまして、再建法の目ざすところをできるだけ達成しようという意思はあるのでございますが、これは、義務教育を伸ばすこともまた、国家として現下きわめて重要なことでございますので、その調和のために十分な努力をいたす存念でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/49
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050・加瀬完
○加瀬完君 くどいようですけれども、調和のために努力をしていただくということは、ある程度府県団体の要望をもいれて、修正の可能性はある、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/50
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051・加藤精三
○政府委員(加藤精三君) 具体的の事案につきまして調査いたしまして、義務教育の主管省である文部省の意思をできるだけ取り入れまして善処したい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/51
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052・鈴木壽
○鈴木壽君 先ほどの内藤局長のお話の中に、今、問題になっております再建計画の問題につきまして、地方の府県と、それから教育委員会との間に話し合いがついておる場合に、それは持ってくるだろう。それを持ってこられた場合には、自治庁の方と話し合いをするという、そういう話ですが、これは実情について、いわゆる再建というワクの中にある実態からしますと、これは不可能なことをあなたがおっしゃっているのではないか、そういうふうな何か感じが私はするわけですよ。というのは、今の再建団体にとって、いわゆる再建計画というものは、いわば一つの至上命令みたいなものです。自主的にやるとか、あるいは意欲があるとかないとかという問題は通り越して、一つのワクの中に、五カ年とか十カ年というワクの中に封じ込められた形になっている。多少の手直しはあるかもしれませんが、それを教育委員会と県当局との間に簡単に話し合いがつくと、こうもしあなたがお考えになったら、これは間違いだと思う。と申しますのは、くどいようなことになりますが、たとえば、五カ年なら五カ年、十カ年なら十カ年で再建計画を立てて、再建しようとする団体は、一つのコースがきまっているわけです。もっと申しますと、これはある県の実際のことですが、十年で再建しようという団体があるのですが、教員は一人もふやさないという計画です。教員は一名もふやさない。ところが、昭和三十一年度において、三十年度より自然増が中小学校において一万名ある。しかし、そういう計画があるために、一万名に対応するだけのいわゆる教員の自然増というものが見られない。一名も見られない。昭和三十二年度におきましては五千数百名、約六千名の自然増があるにもかかわらず、そういう計画があるために、最終的にいろいろ話し合いをした結果、たった前年度より十名の増になっておる。これは、さっきあなたのおっしゃった、三十二年度の教員の増が三千名あるというお話ですが、これは、今言ったようなことが集積されて、ようやく三千名になったのだと私は思う。そこで、おっしゃるように、地方の団体の理事者と、それから教育委員会との間にうまく話し合いがつくかどうかというと、私は不可能だと思うのです、実際問題として。こういう計画があるからこれでがまんせい……さっき触れましたように一万名、少くとも平均五十名といたしますと、約二百名の教員が必要なわけです。それが一名も増員になっておらない。それだけ配置基準の切り下げ、一学級生徒数が多くなっているということなんです。水準をだんだん下回っておるということになっているわけです。ですから、そういうことでなしに、私は、これはすぐわかりますから、話し合いがつくとかつかないとかということの前に、あなた方と地方自治庁との間に、そういう基本的な問題について、再建計画の一つの修正という、こういう問題を根本的に話し合う必要があるのじゃないかと思うのです。これなしに、地方にまかしておきますと、これは、教育委員会は、私今さら申し上げるまでもなく、昨年から非常に弱体になっていますから、知事の言うこと、あるいは総務部長の言うことをきかざるを得ません。現に、さっき私が申しました、例の三十一年度の一万名の増に対する教員の増を願って、徹夜を何日もやっても、とうとうできなかった。ことしもそうです。ただ、結果において、最後に十名の増を認める、約六千人の生徒児童の増に対して、たった十名ですよ。こういう事態がある限り、あなたがおっしゃるような姿では、これは修正というものはおぼつかない。ですから、私は、そういう意味におきまして、あなた方本当に義務教育の水準を維持しよう、確保しようとするならば、地方のそういうところにまかしておかないで、いろいろ検討なさればすぐわかりますから、もっとその前に、自治庁との間に話し合いをつけて、基本的なこちらの態度として、そういうものを修正させ得るような情勢を作ることが私は必要だと思うのですが、そういう点についていかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/52
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053・内藤譽三郎
○政府委員(内藤譽三郎君) まことにごもっともでございまして、同感です。そういう点から、私どもは標準定数というものを昨年作りまして、自治庁と交渉しているわけです。この場合に、再建団体といえども、この数を下ってはならないという定数基準を持っているわけです。それは、学級の数を基礎にいたしまして、生徒数で補正するという考え方で、各県でどの程度の教員数が義務教育として必要であるか、これは、再建団体といえども、他の団体と同様に、一つの基準を考えまして、自治庁と昨年来折衝いたしまして、間に合えば、本年度の基準財政需要の算定基準にいたしたいと努力いたしましたけれども、この点は、自治庁は、従来の点について、いろいろと検討に十分なひまがなかった。しかし、来年度からそういたしたいということを自治庁も申しておるのであります。そこで、その基本的態度と相待って、各県の再建計画に無理があるかどうかということを話し合っておるわけです。そこで各県から、実は、先ほども加瀬委員からお話のように、県下一致の御要望があったということも聞いております。あるいは佐賀県のごときも、大体自治庁側との話し合いで、きまっておるように聞いております。しかし文部省としては、基本線としてはこの程度でなければならないという根本態度があるわけでございます。それは、自治庁もよく御存じのはずでございます。再建計画の計画をされ、さらに計画の変更をせられる場合の基準というものを文部省からお示しをしておりますから、それをもとにお考えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/53
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054・鈴木壽
○鈴木壽君 今の最後のお話でございますね。再建計画を立てる場合に、あなた方が一定の基準を示しておる、こういうような意味だったと思いますが、そうなるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/54
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055・内藤譽三郎
○政府委員(内藤譽三郎君) 三十一年度の再建計画のときには、私どもは示しておりません。しかし、今後修正されるような場合には、それによって御修正を願いたい、新たに再建団体が起きるような場合には、その線を考慮していただきたい、こういう希望です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/55
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056・鈴木壽
○鈴木壽君 新たに再建団体なんというものはこれから起りっこないのです。問題は、現在の再建団体をどうするかということなんだと私は思う。起りっこないということは、私言い過ぎかもしれませんが、今のそれからすれば言えるのです。従って、三十一年度から入った再建団体が今後どうなっていくかという問題になるわけなんです。そこで、そのときはあなた方、まあ教員の配置基準というようなものについて、あるいは一学級当りの生徒児童数等についての標準といいますか、基準といいますか、そういうものを示されておらなかったようでございますが、これは私、非常に話が前後するようだが、残念だと思うわけですよ。さっき私が具体的な例を申しましたが、そういう形で、無理な形において再建計画というものは立てられておる。これを今度、たとえば、三十一年度、今度は三十二年度ですが、三十一年度はこの通りだから、三十二年度も大体こういうふうにやったらいいじゃないかというふうなことでいきそうな私は気がする。そういうことで押し切られそうな気がするのです。しかし、ともかくそういう問題について、あなた方、よほどしっかりした態度でないと、これはことしのみならず、来年度においても、あるいは再来年度においても、生徒児童数はふえていく傾向にあります。三年ばかりたちますと、あるいは多少ダウンするということになるかもしれませんが、少くともここ二、三年はふえていく傾向にあります。ことに再建計画というようなものも、二十年先、三十年先のことはわかりませんが、少くとも五、六年先のことはわかるはずですから、生徒のふえ方というものは大体わかります。そういうものに即応できるような再建の計画でなければならないと思うのだが、今言うように、十年間に一名もふやさないのだ、こういう、はなから無理な計画を立てておるのですから、そこら辺を一つ、あなた方十分事情をよくお調べの上に、御検討の上に、自治庁と話し合いをしてもらいたいと思うわけなんですが、そういう点、くどいようでございますが、いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/56
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057・内藤譽三郎
○政府委員(内藤譽三郎君) まことにごもっともでございます。ただ、従来実績主義の負担法でございましたので、とかく府県の方も、教育委員会側も、文部省との連絡が悪かったと思います。その点は、私どもも教育長会議に臨みまして、十分文部省と協議していただきたい、そうして自治庁にも特にお願いいたしまして、一つの基準をもって臨みたい。この点については、再建団体といえども、例外なしに適用できる基準を両者で協議してきめたいということで、私たちは案を出しております。お話のように、義務教育の最低水準のくずれないように、強い決意をもって臨むつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/57
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058・鈴木壽
○鈴木壽君 最後に、心配なものですから……。先ほどあなたが、三十二年度においては、数件あげられまして、これは無理だと、こういうお話がございましたね。私は、この認識は、そもそも不安の一つの種なんですよ。それだけではないのですよ。あなた方は、五つか六つあげまして、これは無理だから、これだけは修正させようということなんですが、これは私は、あなた方は地方の実情をそれほどわからない、言わば認識不足の結果ではないかと思うのです。非常に私不安なんです。今私、名前は言わなかったのですが、そういう例がたくさんあるのです。実質的な配置基準の切り下げ、あるいは学級につめ込むというと悪いのですが、たくさんつめ込んで、あなた方の示した標準以上に、六十人も、六十人以上もつめ込んでやっているのです。ですから、今おあげになった四つか五つ、それだけで事足れりと思ったら、これは間違いで、私は、もっと全国的に、ほんとうに本腰を入れて対策を打ち立ててもらいたいということを要望しておきたいのであります。
加藤次官がおいでですから、先ほども加瀬委員からお尋ねがございましたが、この問題は。これは何も、教育だけの問題をここで、大事だから、これだけを取り上げろという意味ではございません。そのほかにも、再建団体について申し上げたいわけでございますが、きょうの問題は、教育の問題になっておりますから申し上げますけれども、こういう問題につきまして、ほんとうに現在打ち立てられております再建団体の計画というものは、大きく修正しなければならないような段階に来ているのです。これで十年がまんしろ、はなはだしきに至っては、十五年もがまんしろ、こういうことでは、地方の自治団体はやっていけるものではないので、一つ、特に教育の問題について、文部省と話し合いをして、ただ懇談とか、お話し合いをいたしましたとかいうのではなしに、実情に合うように、少くも義務教育の水準を維持できるような修正をする御意思がありやなしや、これを一つ、はっきりお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/58
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059・加藤精三
○政府委員(加藤精三君) 地方の教育行政の水準確保についての熱烈な御意見を承わりまして、私たち、地方教育行政も地方行政の一部でございますので、非常に心強く感じておる次第でございます。各位の御意思をできるだけ実現しますように、自治庁といたしましても、十分努力いたしたい考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/59
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060・占部秀男
○占部秀男君 大臣が時間があれだというので、中途で実は切ったのですが、先ほどの学校給食の問題ですが、これは、給食課長さんでけっこうでございますが、ちょっと知らしていただきたいことは、給食職員が、全国でどのくらいの数が実際あるのかということと、それから、一般的にどのくらいの給与というか、手当というか、そうしたものをもらっておるかということと、それから勤務時間は、およそ文部省の調べではどのくらいになっておるかということ、この三点について、わかっておったらお知らせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/60
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061・宮川孝夫
○説明員(宮川孝夫君) 私の方で、昭和三十年の六月中に学校給食の指定統計をやりまして、それによりますと、大体専務者と非専務者に分れてございますが、専務者の方が小学校で一万九千百六十三名という数字が出ております。それから、非専務者の方は三千八百五名、こういうふうになっております。私どもとしましては、できるだけ専務者をふやしまして、学校給食の運営が十分にできますように、県を通じまして、市町村に指導をいたしておるわけでございます。
それから、給与の問題でございますが、これは、同じ統計調査によりますと、平均をいたしますと、三十年の六月中の給与でございますが、五千六百六円となっております。内訳は、雇員の平均が五千五百六十六円、用人の方が六千百三十円、その他が四千七百六十円となっております。これは、統計のとり方がちょっと妥当でなかったと思う点もございまして、専務者と非専務者、それらの給与関係がはっきりと分れておりませんので、実は来年度の予算に、学校給食の指定統計をもう一ぺんやりたいというので、二百七十万ほどの予算を計上いたしております。これによりまして、大体この料理人等の問題と、それから準要保護児童生徒の問題がございます。これを中心にいたしまして、十分の資料を調査していきたい、こう考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/61
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062・占部秀男
○占部秀男君 そこで、二百七十万円の金で大々的にそういう調査をしていただくことは、非常にけっこうなんですが、先ほど大臣の御答弁の中にも、改善する余地は十分にあるので、制度として合理化したいし、財源措置の問題も、予算措置の問題も、何とか考えたい、こういうお話があったのです。そこで、この機会に、大々的な調査をするという機会に、私は根本的にこの問題を一つ処理していただきたい。特に身分の確定を中心としてやっていただきたいと思うわけなんですが、との身分の確定のためには、どんな方法が一番手っとり早いと、と言うとおかしいのですが、考えられておるところがございますか、簡単でけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/62
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063・宮川孝夫
○説明員(宮川孝夫君) 身分の確定、学校給食の施行令では、ただ、人件費は設置者が負担する、こういうふうになっておるのでございます。従いまして、文部省としては、人件費を市町村が出すのでございますから、当然市町村の職員として処理されるのだ、こういう前提のもとにできておるわけでございます。しかしながら、現在では、必ずしもこうなっておりませんので、お尋ねのような線に持っていきますのには、学校教育法の二十八条に職員の名称が幾つか載っておりますので、二十八条の二項のその他の職員というところでそれは考えておるわけでございます。そこには、給食料理人と申しますか、あるいはそういうふうな給食従事員と申しますか、そういう名前が入りますとむしろはっきりするのじゃないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/63
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064・占部秀男
○占部秀男君 それじゃ、そういうふうに持っていってもらうような意思は、文部省としてはあるわけですね。その点だけ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/64
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065・宮川孝夫
○説明員(宮川孝夫君) 私どもは、先ほど申しました調査の結果を十分検討いたしまして、ぜひそういうふうに持っていくのがよろしいと、こう思うのでございますが、これは、なかなか問題もあると思いますけれども、給食担当の課長といたしましては、ぜひそういうふうに持って参りたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/65
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066・成瀬幡治
○成瀬幡治君 消防庁の会議が一時からおありだということですから簡単に……。お出ししていただいた資料で私が知りたいことは、十カ年計画をお立てになっておるようでございますが、そういうものではなくて、もっと消防施設というものが完備していかないと、火事が一ぺんあれば、たとえ一カ所にしましても、大へんなことじゃないかと思いますから、一体消防本部として、施設はどのくらいあるかというような、たとえば、消防組織法に基き、どのくらい完備しておったらいいだろうということは、ただ単にポンプをふやせばいいというだけではなくして、水槽とか、あるいは水道とか、いろいろな問題があると思いますが、そういうような問題について、大ざっぱに、一体どのくらいここで予算と申しますか、金高があったらできるかということが実は知りたいのですが、それに対して、どう対処していくかということは別の問題として、一応あなたの方で、理想とはいかなくても、現実に、このぐらいないと心配だという、めどと申しますか、基準と申しますか、そういうような点を一つお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/66
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067・鈴木琢二
○政府委員(鈴木琢二君) 消防施設の整備の十カ年計画は、お手元に資料を差し上げた通りでございますが、これを内容的に申し上げますと、この十カ年計画に基く具体的な数字を申し上げますと、これは、主としてポンプと水道、水槽の問題と、それから通信機械、この三点が中心でございますが、消防ポンプにつきましては、現在の保有台数は、これは消防ポンプ自動車にすべて換算いたしておりますが、現有台数が九千七百十六台ということになっております。それで、われわれの基準に従いました台数は、一万七千六百二十台ということになっておりますので、その不足台数は七千九百四台、すべて自動車ポンプに換算しての台数でございますが、そういうことになっております。それから防火水槽でございますが、これは著しく現在の水利状態が不十分でございまして、四十立米単位の水槽に計算いたしますと、八万二千個不足いたしております。それから通信関係でございますが、これは、火災報知機と、それから専用電話等でございますが、火災報知機につきましては、現有台数が発信機を申し上げますと、三千八百二十四機、われわれの示しております基準は一万七千七百八十四機となっております。その不足数が一万三千九百六十機となっております。その他受信機とか、あるいは有線無線の電話もありますが、こまかくなりますので、その発信機だけについて申し上げておきます。これを充足するための十カ年計画というものを立てておるのでございますが、大体これを充足するのに、どのくらいの金額が要るかということを申し上げますと、大体四百五十億ということになっております。これを平均十カ年で充足するという計画を立てておるわけでありますが、平均割にいたしまして、年間四十五億円の増強費が要るわけでございます。これらは、原則として市町村財政によって、この四十五億の増強をまかなってもらえばいいわけでございますが、今日の地方財政の逼迫で、なかなかこれが十分に充足されないような状況でございます。もしこの四十五億の計画が、この通り十カ年計画が進むということにいたしますと、もしこれを、消防施設の強化促進法に基いて、国庫補助を三分の一出すということになるとすれば、国庫予算は、四十五億の三分の一ですから、十五億要るということになるわけであります。現実に、三十二年度の予算に組まれておりますのが、国家財政の都合でそこまで参りませんで、四億程度組まれておるわけでございます。それなら、残りの四十一億を全部市町村でできるかと申しますと、御承知のような市町村の財政状態では、なかなかこれが出せない。結局十カ年計画は、一つの目標となっておりますが、なかなかこの通りに進まないというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/67
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068・成瀬幡治
○成瀬幡治君 あとで、自治庁の方から伺いたいのですけれども、大体、今おっしゃったように、補助額は三十二年度四億で、それまでは四億を切れておった。計画をお立てになったのはいつか、私は知りませんけれども、なぜこういう、毎年国庫補助を大体十五億必要とするというような……絵にかいたもちと思うのですよ、実際で言うと。大体国から出ている金は、四分の一程度あるいは五分の一程度しか出ていないわけです。何か十カ年計画を立てられるときに、大体国庫補助が十五億くらい入ってくるとか、あるいは市町村の負担が三十億ですか、この三十億がもう少し伸びて参るというような大体見通しとか、あるいはこれに対する何か方法とかというようなことをお考えになって、十カ年計画というものをお立てになったのか、何か十カ年計画という基礎は何に置いているかということが気になるので、その点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/68
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069・鈴木琢二
○政府委員(鈴木琢二君) 実は、経過を申し上げますと、昭和二十八年から、消防施設強化促進法に基く国庫補助の制度が設けられたわけでございます。昭和二十八年に、消防施設強化の五カ年計画というのを国家消防本部としては立てたわけでございます。ところが、その五カ年計画によりますと、今の強化促進法によって、三分の一国庫補助をするということになりますと、大体三十五億から四十億程度の国庫補助が要る、こういうことになります。ところが現実には、まことにわずかな国庫補助だったわけでございまして、二十八年に二億三千万円、二十九年に二億七千万円、三十年が二億五千万円という程度の国庫補助で、初めの一応全部について三分の一補助するということを仮定いたしますと、計画とはなはだしく違うということで、昭和三十一年度にその五カ年計画を改めまして、十カ年計画というものを作ったわけでございます。その十カ年計画によって、大体年間四十五億の増強費というのが出てきたわけでございまして、国家消防本部といたしましては、でき得れば、年間四十五億の増強費に対し全部、これの三分の一の補助十五億というものをほしいわけでございますが、国家財政の都合上、それまでいかないということが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/69
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070・成瀬幡治
○成瀬幡治君 私は、消防本部として、五カ年計画をお立てになるとか、十カ年計画を立てて、そうして自治庁なりあるいは大蔵省と折衝される、そういうための資料だということはわかりますが、しかし、そのときには、ある程度、何と申しますか、確保できる目標というものと、そしてこの十カ年計画なら十カ年計画、あるいは五カ年計画がこうずれてしまう。今のままでいけば、三十カ年計画というようなものになってしまうと思うのですよ、実際は。そこで、もう少しあなたの方として、それほど自治庁と交渉し、あるいは大蔵省とやっても、実際困難だとするなら、何か消防施設の強化に対して、何と申しますか、何かかわり財源が出てくれば、一つの、たとえば、いわれておったような、消防施設税というようなものを作るというようなことが一つの対策ではなかろうか、あるいはまだほかにいろいろな私は考え方はあるだろうと思いますけれども、そういう対策は、それじゃあわせて御検討になっておるのか、単に五カ年計画じゃ、どうも実情にあまりずれ過ぎちゃったから、これは今度、十カ年計画に延ばしたのだ。あるいは年々補助額が若干はふえておりますけれども、期待されるような、十五億に到達するとか、あるいは十億に到達するということは、私はほど遠いと思うのですよ。また計画を立て直さなければならぬということになってしまうと思うから、そういう点について、何か別途の対策を、消防本部は、単に五カ年計画を立てればいい、十カ年計画を立てればいいという状態だけではとどまらぬじゃないか。もう少し、なるほど消防本部としての使命は若干逸脱するかもしれないけれども、消防施設を完備する上について、何か、計画を立てる以外に、対策をお考えになったことがあるかどうか、そういう点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/70
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071・鈴木琢二
○政府委員(鈴木琢二君) お話のありましたように、十カ年計画でも、まだ計画と実際とが非常な大きな開きがありますので、とても十カ年計画というものが遂行できないわけでございますが、国家消防本部といたしましては、さらにこれを十五年にするとか、二十年にするとかいうことは、消防ポンプの寿命から考えて、十カ年以上の長い計画を立てるということは、あまり意味をなさぬことであると考えております。できれば、最長十カ年ということでいきたいと思っておるわけでございますが、今日の財政事情からいって、なかなかこの十カ年計画が計画通り進むということは、お説のごとく、非常に困難な状態でございますので、結局、ただいまもお話のありましたような、消防施設税とか、あるいはその他特別な財源措置を講じて、十カ年計画が遂行できるような方法を研究していきたい、財源措置を考えたいというつもりでおるわけでございます。それのいかなる形でそれなら財源措置を、恒久的な財源措置を講ずるかということは、非常にむずかしい問題でありますので、十分これは研究していきたい、さように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/71
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072・成瀬幡治
○成瀬幡治君 問題はこれと離れまして、損害保険会社、特に火災保険会社から消防の何か協会があって、そしてあなたの方に寄付をして、それを受け入れられて、あなたの方が配分をしておいでになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/72
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073・鈴木琢二
○政府委員(鈴木琢二君) 損害保険協会に、昭和二十七年に、火災予防特別醵出金という制度ができまして、数都市に対してポンプを寄付したり、あるいは火災予防についての共同事業をやったりいたしておるのでございますが、これは、火災保険協会が直接やっておりますので、われわれの手を通じて寄付するという性質のものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/73
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074・成瀬幡治
○成瀬幡治君 なるほど、あなたの方とは全然無関係でやっておられるのですか。全然火災予防特別醵出金制度というものを作って、それは損害保険の方の協会がやって、あなたの方には全然無関係で、そうして各都市に対して寄付をしている、こういう関係なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/74
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075・鈴木琢二
○政府委員(鈴木琢二君) 全然関係がないというわけではございませんで、私どもの方では、どこどこにやってもらいたい、あるいは、こういう程度の機械をやってもらいたい、と申しますのは、従来損害保険協会がポンプを寄付しておりましたそのポンプは、大体大型ポンプでございます。ですから、大きな都市に大体行っているわけでございます。私どもは、もっと小さなポンプ、あるいはホース一本でもいいから、同じく寄付するなら、なるべく広く均霑できるような方法でやってもらいたいというような、いろいろな意見は述べております。しかし、どこにどういうものをやるということの決定について、こちらが決定権についてどうこうという権限があるわけでもないし、特にこっちのいう通りに向うがやっているというものでもございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/75
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076・成瀬幡治
○成瀬幡治君 そうしますと、それは、ただ単に、向うが意見を聞いてくるとか、あるいはこちらの方から積極的に意見を述べるという程度のものであって、話し合ってあるものを決定するという段階にきておらぬ、こういうふうに了解していいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/76
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077・鈴木琢二
○政府委員(鈴木琢二君) その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/77
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078・成瀬幡治
○成瀬幡治君 それから起債のことですけれども、損害保険会社は、相当消防関係の起債に応じているようですが、こういうことにつきましても、あなたの方は何かタッチをしておみえになりますか。それとも、全然ノータッチでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/78
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079・鈴木琢二
○政府委員(鈴木琢二君) 損害保険会社が公募債を引き受けましたのは、昭和二十八年と三十年と三十一年と、過去の例は、この三カ年でございますが、この配分につきまして、また、額の決定につきまして、地方の要求を集めまして、国家消防本部から強く損害保険協会に対して要望いたしているわけでございますが、なかなかこちらの希望通りにはいっておらない実情でございます。しかし、一応こちらから、どういう程度ほしい、どういうふうに配分してもらいたいというような意見は述べておりまして、そのきまった額の配分については、大体こちらの意見をいれてもらっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/79
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080・成瀬幡治
○成瀬幡治君 大へんぶしつけな質問なんですけれども、あなたの方が五カ年ないし十カ年計画をもって、自治庁なり大蔵省に当られて、補助金が実際要求の四分の一程度しか取れないわけなんですね。それに対しまして、相手が反駁してきて、あなたの方が削られなければならないという理由は、ただ単に資金だけの理由という点で削り落されちゃったのですか、何か、いやそれは、市町村の方で、相当一般会計の方でみれることになっている。だから、差しつかえないじゃないかというようなものできているものか。私は、相当市町村の消防をやろうという熱意は多くて、そして要望額等も相当あなたの方に出ており、あるいは自治庁等にも出ているのじゃないかと思いますけれども、ところが、そういうものが無視されて、三億ないし四億くらいにいつも削られてくる。連年ふえているとはいえますけれども、若干ずつふえているとはいえますけれども、とにかく非常にほど遠いことになっておりますけれども、そのよってくる相手側の主張の理由ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/80
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081・鈴木琢二
○政府委員(鈴木琢二君) これは、非常に根本的な問題になると思うのでございますが、今日の昭和二十三年に改正されました消防制度は、完全な市町村自治体消防になっております。それで、消防組織法にも、市町村はその部内の消防の責任を完全に果す責任がある。それからそれに要する費用は市町村が負担するのだということ、それから、市町村消防の運営管理については、国も、それから県も、差し出がましいことを言ってはいかぬというふうに、非常に極端な自治体消防になっております。ですから、このままでいけば、国も県も黙っておれと、こういうような原則に立っておるわけです。しかし、事実上そうなってはおりません。もちろん、国庫補助等もあるくらいですから、必ずしもそのままになっておるわけじゃございませんが、原則としてそういう制度になっておりますので、根本的に、そういった制度が果していいか悪いかといったような問題にも突き当るのじゃないかと思っております。ですから、財源の問題をいろいろ論議いたしますと、どうしても制度の問題にまで突き当ってくるということで、国家消防本部といたしましても、いろいろ研究いたしておるのでございますが、制度の問題、財政の問題、なかなか打開のいい道が見つからないような状態になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/81
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082・成瀬幡治
○成瀬幡治君 一時から始まるそうですから、私はこれで質問をやめようと思いますけれども、何か非常に、不満といっちゃ悪いのですけれども、実際五カ年計画なり、六カ年計画なり、そういうものをお立てになることについては敬意を表しておりますけれども、なるほど、あるいはまた、二十八年にしか強化促進法が出ていなくて、それまでは市町村が独自でやらなくちゃならぬという立場もよくわかります。しかし、実情に遠い計画を立てて、それでやられるのは非常におかしいじゃないか、もし計画をお立てになるなら、計画について少しでも近寄られる私は努力をされなければならぬ。それが年々二千万円程度の増加では、少し計画と食い違う部分も多いと思いますけれども、何か私は、かわる方途について、消防本部として、防火の、あるいはそういう宣伝をされるとともに、どうやったら一つ、このあなたの方の計画が実現されて、火事を少くしていかれるかというようなことに努力をされるようなことをお願いして、何か一つ、機会を得まして、その機会に、いろいろ重ねて御質問申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/82
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083・大沢雄一
○理事(大沢雄一君) 質疑は、午前中はこの程度に打ち切りまして、午後続行することにいたしたいと存じます。
暫時休憩いたします。
午後零時四十二分休憩
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午後二時四十三分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/83
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084・大沢雄一
○理事(大沢雄一君) それでは、委員会を再開いたします。
この際お諮りをいたしたいことがございます。午前の委員会におきまして御報告いたしましたところの、参考人の出席要求の件についてでございますが、昭和三十一年度分として交付すべき地方交付税に関する特例に関する法律案につきましても、地方税の改正案及び地方交付税法の改正案と同様に、二十九日に参考人の意見を聴取いたすことに決定いたしておったのでございますが、この法律案の内容等を勘案いたしまして、審査の都合上、本法案につきましては、参考人の意見を聴取することは取りやめたいと存じます。さよう取り計らうことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/84
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085・大沢雄一
○理事(大沢雄一君) 御異議ないと認めまして、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/85
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086・大沢雄一
○理事(大沢雄一君) 次に、午前に引き続きまして、昭和三十二年度地方財政計画に関する件を議題として、質疑を続行いたします。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/86
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087・占部秀男
○占部秀男君 実は、前日ちょっと自治庁の方にお尋ねいたしました、住宅公団の固定資産税の問題なんでございますが、住宅総務課長さんにお伺いいたしたいと思いますが、前日お伺いしたときに、自治庁の方としては、建設省の方と問題が関係があり、自治庁だけの考えでどうこうするというような問題でもないというお話なんで、わざわざ来ていただいたわけでございますけれども、例の固定資産税が課せられるというところから、最近、東京、大阪、六大都市を中心に、公団の住宅に住まっておる居住者があちらこちらと集まって、この問題の反対運動をしようというので、だいぶ火の手が上っているようでして、ついこの間も、三鷹で相当この問題があったと聞いておるのですが、あれは、公団住宅の性格からして、結局固定資産税がかかればかかるだけ、それが家賃に転嫁されるということで、公団住宅の性格からいうと、私は非常に矛盾した結果が居住者の上に現われてくるのではなかろうかと思うのですが、今度のやつはあれですか。これは、奥野さんにもあわせて聞きたいのですが、本年度分、三十二年度は、やはり特別措置か何かするのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/87
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088・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 日本住宅公団の所有しております住宅に対しましては、所有者であります日本住宅公団に固定資産税が課せられるわけでございます。特別措置というお話は、よくわからないのでありますが、これは、あるいは国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律によりまして、府県や市町村が公営いたしております住宅の問題ではなかろうかと思います。それと住宅公団の住宅とは別だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/88
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089・鮎川幸雄
○説明員(鮎川幸雄君) ただいまお尋ねになりました、公団住宅の固定資産税の問題から申し上げますが、御承知のように、日本住宅公団は、昭和三十年に設立されまして、毎年二万戸ないし三万数千戸の住宅、特に耐火構造の住宅を建設いたしておるわけでございます。ただいまお話がございましたのは、公団住宅の中の賃貸住宅に関する問題かと存じますが、実は、公団法が制定されます際に、建設省といたしましては、できるだけ公団の賃貸住宅の家賃が低くなるようにということで、政府からの出資金をできるだけ多く投じてもらうというような措置をお願いいたしますとともに、固定資産税等につきましては、できるだけ住居者の負担が軽くなるようにというようなことで、これにつきましても、軽減措置というようなことをいろいろ御相談を関係当局といたしておったわけでございます。しかしながら、その当時は、固定資産税問題につきましては、まだはっきりした結論が出ていなかったのでございまして、ただいま、公団の賃貸住宅の家賃につきましては、その当時のきまっておった範囲内におきまして、償却費や修繕費や管理費等、必要な経費とともに、なおこのほかには、契約上から申しますと、公租公課がかかった場合にはこれを加えるというような契約をいたしまして、今日に至っておるわけでございます。現在問題になっておりますのは、その当時からなかった固定資産税が最近になってかかるというようなことになりまして、その点がいろいろと論議されておるわけでございますが、趣旨といたしましては、この公団の家賃に関しましては、日本住宅公団法の施行規則というのがございまして、先ほど申し上げましたように、必要経費と固定資産税等の公租公課も含めることができるというようにいたしておるというわけでございます。ただ私どもは、この公団住宅のみならず、住宅の建設を促進するというような建前から、昭和三十年度から、特に自治庁当局とも御相談いたしまして、二十坪以下の住宅につきましては、十五坪分までについては、固定資産税を半額程度にしていただくというようなことで、各公共団体に対して、通牒を出していただいておるわけでございます。従いまして、公団住宅につきましては、大体このような線に沿って、今後も固定資産税等については、考えていただきたいというふうなことを、私どもは現在のところ考えておるわけでございます。
それから、第二番目の交付金制度の問題は、先ほどお話がございましたように、これは公営住宅法に関する問題でございまして、この点は、先ほどお話の通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/89
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090・占部秀男
○占部秀男君 公団住宅といっても、県、市の公営住宅といっても、住宅難を救う意味で、いわゆる公共施設の一つとして作られたという形では、私は同じだと思うのですよ。今お話を聞いてみると、二十坪以下のところは、固定資産税は半額だと、こういうようなやり方で全国的にやってもらいたいということを自治庁の方とも話し合ってやったというのですが、いずれにしても、どの程度県市が取るかによって、それは多少の開きがあると思うのですが、少くとも現在の公団住宅の家賃のあれから見て、四、五百円くらいは都市計画税のあれもあり、上るのじゃないかというふうにわれわれは考えるのですが、また、住宅に住まっておられる方々も、四、五百円から千円くらい上るのじゃないかということで、相当おびえておるわけでございます。いずれにしても、片方の県営、市営の住宅はそうした点ではないが、片方の公団住宅では、そうした点で、さらに今度は、家賃が上ると同じような金を居住者が負担しなくちゃならぬということは、非常に私は片手落ちだと思うのですが、この点は、住宅の居住者に転嫁させずに、住宅公団ですか、そこの範囲内でこれを払うというようなやり方をとらせることはできないものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/90
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091・鮎川幸雄
○説明員(鮎川幸雄君) ただいまのお話は、固定資産税を公団自体で負担したらどうかというようなお話だと思いますが、御承知のように、公団の資金は、政府の出資金と、それから借入金、この二つによって住宅を建設し、なお、家賃収入等によりまして、維持、管理の面をやっておるわけでございまして、それだけで資金は全部使用されてしまうわけでございます。従いまして、固定資産税を払うということになりましても、何らの財源もないわけでございます。やはり公租公課がかかりました場合には、ある程度の負担は、居住者にお願いしなければならないかというふうに考えておる次第でございます。
また、最初にお話がございましたように、公営住宅、公団住宅、大体同じようなものだから、同じように考えて、固定資産税を取らんでいいじゃないかというようなお話でございました。公営住宅につきましては、特に低額所得者に対する住宅供給ということを主にいたしておりまして、国から補助金を出して、建設をいたしておるわけでございます。ただ、住宅の戸数をそのほかに増大いたしますためには、補助金による方法のほかに、借入金とか、そのほかの資金を合せまして、多少家賃が高くなっておりますが、公団住宅というものがやはり必要になっておるわけでございまして、この点全く同様な取扱いは、いろいろな立場から困難ではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/91
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092・占部秀男
○占部秀男君 今の課長さんのお話なんですけれども、政府の方としては、さような考え方で、いわゆる県営住宅、市営住宅と、公団住宅との区別をつけよう——つけようという意味ではないかもしれませんが、つける方向でやったのかもしれませんが、実際公団住宅に住まっておる方は、低額所得者なんですな。月収二万円ですか、最後のぎりぎりの線の人が大部分住まっておって、高額所得というか、中額所得というかしらんけれども、ある程度取れる者は、これはよそへ行っても借りられるのですわ。結局都営住宅、県営住宅、市営住宅で、需要が多くてあぶれたと、こういう人が相当公団住宅に入っておるのですね。そういう意味からいっても、あの公団住宅の居住者が必ずしも低額所得者ではないということは言えないのであって、そういうような状態からしても、むしろ建設省としては、資金面のやりくりについては、いろいろ問題もあるでしょうけれども、公団住宅なんというものを作るよりは、むしろ県営住宅、市営住宅をもっともっとふやすというところに根本的には私は持っていかなければならぬ問題じゃないかと思うのです。特に今度、そういうように、同じ低額所得者が入っていながら、とにかく、家のよしあしは幾らかありますけれども、一方では固定資産税がかからぬ、一方では固定資産税がかかるのだ、こういうことになると、これは、大衆的な生活には相当響く問題なんですね。そういうような意味合いからいって、いわゆる公団の資金面を国から補助するとか何とかというような形で、この固定資産税だけはせめてかからぬように、これは、立法化するかどうかわかりませんが、そういうふうな手続をとるという意思は、今のところはないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/92
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093・鮎川幸雄
○説明員(鮎川幸雄君) ただいまお話がございましたように、公団住宅の入居者は、大体今のところ、二万五千円程度以上の収入の方が入居の対象になっておるわけでございます。こういう方々に対して、公営住宅よりも相当高い家賃を払い、さらに固定資産税が課されますと、その負担が増加されまして、そういう方々の負担面から考えますと、私どもといたしましては、公団住宅についても、家賃はできるだけ軽減あるいは免除の措置がほしいということを考えておるわけでございます。ただ、現在の法規の建前では、なかなか困難な点がございますので、私どもといたしましては、家賃を全体として引き下げるように、たとえば、政府出資金の増額をお願いするというようなことをいたしまして、できるだけ全体の家賃を引き下げて、そうして入居者の負担の適正な家賃をきめるようにというようなことに努力いたしたいというふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/93
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094・占部秀男
○占部秀男君 そういう方向でいっていただくことは、非常にありがたいと思うのです。また、居住者としても助かると思うのですが、ただ問題は、今、居住者が騒いでおるのは、目前の問題なんですね。これはもう、三年、四年たって、問題がそういうふうになっても、おそいとはいえないけれども、まあまあ非常に手おくれになると思うのです。そこで、政府の方としては、近々に、こうした問題について何か手を打つというようなお考えはございませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/94
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095・鮎川幸雄
○説明員(鮎川幸雄君) 先ほども申し上げましたように、現在自治庁と話し合いをして、各公共団体に出してくれました通牒がございますが、実は、公共団体の中では、この通牒の趣旨よりも以上に取ろうというような所も若干あるようでございます。そういう点の問題につきましては、私どもは、公団とそういう公共団体と直接お話をするとか、また、できれば、建設省といたしましても、関係の地方公共団体の御意見を徴するとか、いろいろなことをいたしまして、現在の措置の範囲内で、できるだけこの軽減措置ができるようにいたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/95
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096・占部秀男
○占部秀男君 これはあとの問題でありますが、ただ少し希望を申し上げておきたいことは、今建設省の方の考え方によると、公団住宅は低頭所得者でない者が入居しておるということなんですが、この点は率直にいって、あの入るためには二万五千円以上の所得がなくて、実際はそういう所得じゃないもっと低い所得の人が、いろいろなせっぱ詰まって、からくりがあって、いい悪いの問題はありますけれども、からくりをやって、二万五千円の所得の証明といいますか、そういう点なんかも作って、入っておる人が相当あるんです。これは実際問題として、政府の方でいろいろな形で調べていただけばわかるんです。何も入る人は高い家賃のところへ入ろうというんじゃなくて、どうしてもないから、わざわざ所得を大きくしてまでも入ると、それだけ実は困って——所得から比べれば家賃が相対的にそれだけ非常に高くなるんで困っておる、困ることはわかりながらも、入っていかなきゃならぬというほど住宅がないというのが現在の状態なんです。そこで、むしろ建設省としては、この際公団住宅の方へ——まあ今度の国の予算を見ても、建設の方向が、県市の住宅よりは公団の方にずっと大きく流れていっているように私には感じられるんですが——ああいう方向はぜひとも是正してもらって、安い住宅を一戸でもよけいに供給するような方向に、建設省の方針を切りかえてもらわなくちゃならぬじゃないか、こういうふうに私実は考えておるんですが、これはまたあとで大臣なら大臣にお伺いします。一応そういう希望だけ申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/96
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097・成瀬幡治
○成瀬幡治君 関連して。そうすると県営の住宅に対しても、やはり固定資産税は免除するわけですか、住宅公団と同じふうに扱いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/97
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098・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 従来固定資産税は、国の所有である府県の所有であるということだけで課税されないことになっておったわけであります。しかし、使用の実体が民有であれば、固定資産税の課せられるものとの間で税の負担の均衡を欠くことになるわけでありますので、府県あるいは国と市町村との間での課税関係ということもおもしろくないので、そこで、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律が制定されまして、固定資産税相当額を、府県有資産についても所在の市町村に交付すると、こういうことになったわけであります。そこで、従来公営住宅の家賃をきめます場合に、固定資産税相当額が算入されていなかった。昨年の立法から新たなる経費が生じて参ったものでありますから、それを家賃の計算の基礎の中に入れることができるようになったわけであります。しかしながら家賃そのものに古いものと新しいものとの間に非常な不均衡があったりいたしまして、しかもまた立法が年度の途中ででき上ったというようなこともありましたりいたしまして、府県有の公営住宅について、固定資産税相当額の府県有資産所在市町村交付金を市町村に交付しなければならない。しかしながらそれを直ちに家賃に転嫁することは避けてもらって、そのかわり、府県の必要な財源については特別交付税を交付する等、財政措置を国の方で講ずる、こういうことをして参ったわけでございます。三十二年度におきましては、建設省と今話し合いをいたしておりまして、家賃の調整というものを今すぐにはできない、三十三年度から手をつけたい。従いまして今家賃に転嫁をする、三十三年度にまた家賃の調整をやると、非常な混乱を起すことになるわけでございますので、三十二年度におきましても三十一年度と同じような処置をとるべきではなかろうかというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/98
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099・成瀬幡治
○成瀬幡治君 そうすると、具体的に申しますと、県営のいわゆる住宅に対しては家賃は上らない、そういう結論ですか。この三十二年度はそういう建前ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/99
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100・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 昨年の立法を理由にして家賃が変更されるということはないように、府県に求めて参る考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/100
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101・成瀬幡治
○成瀬幡治君 私は住宅公団についてお尋ねしたいんですが、私は、よその府県とかいろいろの例はたくさん知りませんが、名古屋は実際市営で大きく住宅を建てるように実は敷地まで準備しておった、ところが昨年ああいうふうに法律改正をされて、公団にこれが引き継がれて、若干建物やいろいろなものは違いましたけれども、一番違ったものは家賃が違った、高くなった。公営と住宅公団でおやりになると、公団の方が非常に高いおけです。入る側から言えば、どこが作ってくれたっていいわけです。公団で作ってくれると非常に迷惑だ、こういうことを耳にするわけです。なぜ公営でやったものと比較して公団でおやりになったら高くなるかという点について、公団は、比較検討されたととがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/101
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102・鮎川幸雄
○説明員(鮎川幸雄君) 公営住宅の家賃よりも公団は非常に高いではないかというお話でございますが、その点まことにごもっともな点でございます。ただ、公営住宅をそれほどよけいに増さずして、公団住宅が増加している点はどういうところにあるかということについて申し上げますと、御承知のように現在政府の援助によって建設いたしておりますものは、公営住宅法による公営住宅、それから住宅金融公庫の融資による融資住宅、これは持家の場合と貸家の場合がございますが、公庫の融資の住宅、それから公団の賃貸住宅と分譲住宅、この三つがあるわけで、このほかに建設省関係以外のところでも若干作っておるわけでございますが、この三本立を中心といたしまして、現在政府の援助による住宅が建設されておるわけでございます。従来、昨年まではこういう政府の援助によって建設されます住宅は、大体十七、八万戸程度だったわけでございます。ところができるだけ早く住宅難を解消するというようなことが今度の内閣の大きな方針となって参りまして、従来よりもよけい住宅を建てるということになった、早くよけいに建てるということになったわけでございます。ところが公営住宅は御承知のように第一種公営住宅については国は二分の一、第二種は国が三分の二の補助をいたしておるわけであります。これは全部一般会計の資金によっておるわけでございます。また、その残りの分につきましては、地方公共団体が負担をして建てておるわけでございまして、この公営住宅を一番たくさん増すということが低額所得者のためには最も望ましいことは申すまでもないわけであります。ところが現在の国の財政状況、地方財政の状況から見ますと、この公営住宅を特に増加するということは、なかなか困難な状況でございまして、本年度は昨年度と同様に、公営住宅は戸数は同じでございますが、資金面を多少増額いたしまして、その内容の改善に努めておるというわけでございますが、そのほかに、昨年以上に公団住宅につきましては約一万二、三千戸増加をいたし、公庫融資住宅におきましても一万戸程度の増加をいたし、まあ昨年よりもよけい増加したということになっておるわけでございます。結局国の財政、地方財政の建前からは、なかなか公営住宅というものの戸数が増しにくい。従って、公団の住宅のように国の資金のほかに預金部資金の資金を借り入れまして建てる住宅というものが、どうしても多くならざるを得ないわけでございまして、そういう資金の構成から申しまして、どうしても公団住宅は家賃が高くならざるを得ないというような状況になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/102
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103・成瀬幡治
○成瀬幡治君 家賃が高くならざるを得ない状況になっておるといったって、それは政府の金なんです。あるいは国の金であって、公団でやるよりも市町村がやった方が安くつくのだったら、その方がいいと思うのです、入る側から言えば。市町村と公団とやってみて、公団の方が非常に高いということは事実なんです。高いならこれを安くする方途というものを公団として考えなくちゃならぬ。どうしても公団としてもうこれ以上は安くすることができぬといったとするなら、これはもう一ぺん根本的な制度のあり方の問題になってくる。そこで公団としては、もうこれは何とも安くなりようがないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/103
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104・鮎川幸雄
○説明員(鮎川幸雄君) 公団住宅の家賃は、先ほど来申し上げましたように、出資金と低利資金によって建てられているわけでございまして、大体家賃を計算します場合には、四分一厘くらいの利回りで、しかも七十年の償却というようなことではじいておるわけであります。四分一厘というのは、公庫の五分五厘とかいうことなどに比べまして低い利子でありまして、このためには政府の方からも相当多額の出資をいたしておるわけでございます。しかも公団住宅は、すべて耐火構造の住宅というような建前でいっておりまして、これは不燃化、その他の問題にも寄与いたしますとともに、坪数におきましても公営住宅よりも多少大きいという点もございます。このようないろいろな問題から、公団住宅の家賃は公営住宅よりも高くなっておるわけでございますが、しかし、ただいまお話がございましたように、何とか工夫して公団住宅の家賃を低くする道はないかという点は、全然ないわけではないのでございまして、私どももまず四分一厘ではじいておるような金利をできるだけ下げて、できれば三分とか、三分五厘とかいうものに下げるためには、さらに国からの出資をよけいにする、あるいはできるだけ経費の節減等可能な範囲のいろいろな点を考慮する。大量の住宅建設によってコストの低下をはかる。いろいろ工夫をこらしますれば、まあ全然現在の家賃より下らないということは申し上げられないわけでございますが、私どもは、今後はできるだけ公団住宅の家賃につきましても、いろいろな面から、その家賃が低くなるようにということには努力して参りたいと考えておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/104
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105・成瀬幡治
○成瀬幡治君 安い金利で借りれば安くなるのはあたりまえで、私は現状の政府資金がもし公営に回っていれば、実際安いと思うのです。公営の方が安い。公団でやって高くなったということは事実なんです。そこで公団としては、なぜ公団でやったら高くなるかという、そういう比較検討をされたことがあるか、こういうことを聞きたい。公営でやれば実際安い。公団でやったら高くなる。なぜ公団でやれば高くなるか。人件費がそれじゃ高いのか、設計が高いのか。同じものでいっているわけです。坪数がちょっとふえるとか、耐火構造は公営でもやっておる。そういう違いじゃないのです。何で違うのか。建築費が高いのか、経常費が高いのか、どういうことで高いのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/105
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106・鮎川幸雄
○説明員(鮎川幸雄君) 公営住宅は御承知のようにできるだけ低額所得者のための住宅であることはさきほど申し上げた通りでありまして、そのため国が補助金を出しておるわけであります。家賃をどういうふうにしてはじいておるかと申しますと、公営住宅は建設費の中の補助金分の、かりに百万円かかったといたしますと、それに第一種公営住宅の場合には五十万円補助が出るのであります。五十万円を差し引いた残りの五十万円につきまして、家賃を計算するということになっているわけであります。従いまして、公営住宅は公団住宅よりも非常に安い家賃ということになっているわけでございます。ところが公団住宅は百万円かかりますと、住宅につきましては百万円が七十年間で償却されるように、それから先ほど申し上げました資金が四分一厘というようなことではじいて、しかもあの程度のものになるわけでございます。結局補助金の制度によるために公営は安い、公団は資金を回転するように考えているというようなことで高くなっているというようなことになっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/106
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107・成瀬幡治
○成瀬幡治君 私は補助金ぐらいの問題じゃないと思うのです。もっと問題は別にあると思うのです。あまりいやらしい話だからこれで差し控えたいと思いますが、しかし公団の住宅政策というものは、あくまでももうかるとかもうからないとか、ベースにのったとかのらぬという問題じゃなくして、社会保障制度の大きなあり方にあるわけです、住宅というものが、今の日本の実情としては。ですから、そういう趣旨にのっとってやっていただかなければどうもおかしい。悪くいえば特定の人が総裁になって優遇の道をこしらえたような格好で、十万も二十万も給料を取っていられたらたまったものじゃない。そんな人のために公団ができたような感じがして、入る人のための公団じゃないような気がする。そういうところに問題がある。ただ家賃が高くなったから固定資産税を負けてくれなんていうのは、ピントがはずれているのじゃないか、そういうふうに思っているわけです。これはもう少し公団は社会制度に立脚されたあり方に私は立ち直ってもらいたい。もしそういうようなところを御共鳴いただきましたらやり直していただきたい、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/107
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108・鮎川幸雄
○説明員(鮎川幸雄君) 御説の点まことにごもっともな点もございますので、今後とも公団住宅の家賃等の低下につきましては、私どももいろいろな面から全力を注いで参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/108
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109・成瀬幡治
○成瀬幡治君 私は奥野さんに消防施設税のことでお伺いしたいのですが、あなたのお手もとで相当進められたと思うのです。ところが途中で消えたわけですが、一体自治庁はこれでやめたのか、それともやっていこうとする腹をお持ちなのか、これは大臣の問題だと思うのですけれども、一応あなたが当面の事務責任者だと思うので、どういうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/109
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110・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 事務当局としては、消防施設税のようなものを設けたいという希望は、今日もなお持っているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/110
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111・成瀬幡治
○成瀬幡治君 そういう目的税創設について希望を持っておられるわけですが、私はあなたの方の資料を若干持っているのですが、いろいろ努力されているようなんですね、実際問題として。で、今その作業は中止したという形なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/111
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112・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) この国会を目途に消防施設税の研究を続けて参ったことも事実でございます。ただ、今国会に成立させようとして、正式の政府部内の話し合いにする段階に至る前に、取りやめにいたしたわけであります、従いまして、いろいろな資料はかなり集めているわけでありますけれども、現在は、一応この国会の問題ではございませんので、何ら作業はいたしておりません。しかし将来ともまた時期を見て研究を続けていきたいという考えではあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/112
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113・加瀬完
○加瀬完君 三十年度の地方制度調査会で、消防施設税の答申が出たわけですね。三十一年度での答申でも、やはりそれを実現するようにという意味の内容があったわけです。昨年あたりの自治庁当局の考え方というのは、少くも三十二年度からは消防施設税というものを実現させるのだという非常な強い意気込みをわれわれ感じておったのです。ところが三十二年度にいろいろ税制改正がありましても、消防施設税というのは消えてしまった。これは自治庁の考えは今もって変らないと。ところが三十二年度の計画として出せなかったのは、どういうところに支障があって……、相当事務的にはもう成案ができていると思うのですけれども、それでも出し得なかったというのは、どこに支障があってそういうことになったということになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/113
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114・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) お話のように一昨年地方制度調査会の答申の中には、消防施設税を設けたらどうかということがございました。昨年また地方制度調査会でも若干話題に上りまして、御指摘のように、従来答申したものはそのまま引継いで、実施に努力すべきであるという考え方の中に包含されたというふうに考えております。他面臨時税制調査会におきましてもこれが話題に上ったわけでありまして、火災保険事業を所管しております大蔵省の事務当局は、昨年もやはり強く反対しておりまして、また臨時税制調査会に話題に上りましたときにも、大勢としては反対的な意向が強かったと私は感じております。そういうようないきさつでございましたので、政府案を固める際に、自発的に今回は見送りたいという考え方になったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/114
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115・加瀬完
○加瀬完君 それは三十三年度ころからは一応実現の運びという見通しをお持ちですか、自治庁は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/115
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116・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 今後問題がどう推移していくかということでもございますが、たとえば建設省も強く要望されまして、都市計画税が生まれてきた経緯もございますけれども、消防庁の方では、別にぜひ消防施設税を設けろというような意見も有せられていないわけであります。他面、また全国市長会の中で火災保険の仕事を公営でやりたいというような考え方もあるわけでございます。もとより全国市議会議長会でありますとか、あるいは全国町村会でありますとかいうようなところでは、会としましても消防施設税を設けるべきだという意見を強く表明されておるわけでございます。ただ、全体としてどういうような空気になっているかということも、この問題を検討しますに当りまして、大へん重要な問題でありますので、やはり今後の推移を見きわめながら、私たちとしてはなお実現させるべきものではなかろうかという考え方を抱いているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/116
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117・鈴木壽
○鈴木壽君 財政計画について少しお尋ねしたいと思いますが、実はせんだって政務次官から、いつも言われる行政水準の引き上げとかあるいは確保ということにつきまして、自治庁としてもっと対策がないかというようなことを聞いた際に、いろいろ御答弁がありましたけれども、どうもはっきりつかみかねるようなお話でございましたので、いま少しく考えのあるところをお知らせいただきたいと思うわけでございます。これは私の問題の投げ方、あるいは質問の仕方というものも少しぼんやりしておるせいかと思うのですが、しかし、私考えるのに、今言われておりますところの地方財政の逼迫からくる地方の行政水準の低下、それをいかにして少くともあるべき最小限度の水準に引き上げるかということが、私は非常に大事な問題になってきておると思うわけなのですが、そこで、一体地方行政についていろいろ指導する任にある自治庁として、行政水準というものをどういうふうに考えておられるのかということなのでございます。つい先ほどの午前の委員会でも教育の問題、特に教員の定数等を中心とした問題についていろいろ論議がかわされております。またせんだって田中長官は、行政水準の引き上げについて、ことしの財政計画では非常に大きく考えておる。まあたとえば道路、橋梁等を例にしてお話があったわけでありますが、なるほどこの財政計画を見ますと、昨年よりはいわゆる投資的な経費等におきましても相当の増になっていることは確かでございます。しかし、一体どの程度のものを確保するというのか、どの程度にまで引き上げようとするのか。私は、こういう段階になりますと、むずかしい仕事でございますけれども、一つのめどは持たなければならないというふうに考えるわけであります。もちろん地方行政は単に自治庁の、何といいますか、考えだけあるいはそろばんをはじいただけでは、解決のできない問題で、各省と非常な深いつながりを持っておるわけでございますから、簡単な仕事だとは思いませんけれども、しかし、先ほど申しましたように、地方行政の指導の任に当る、しかもまた地方財政のこういう状況からして行政の水準を引き上げなければならないとか、自治庁からすれば、私は当然ある線、ある目標というようなものは立てておかなければならないことだというふうに考えるわけでございます。今申しましたように道路、橋梁の問題、あるいは教育施設、あるいは教員の定数の問題、こういう問題のほかに、自治庁が考えられておりまするところの都市的な施設の問題であるとか、あるいは新市町村の建設の問題、こういう問題も当然これらの中には織り込まれてこなければならない。さらにまた、いわゆる消費的な経費というようなことでこの圧縮もやむを得ないというふうに考えられておりまするところの人件費の問題、あるいは人員整理にからんでいろいろな問題が起っておるわけでございますが、そういうような問題も、私はやはりあるべき地方の行政水準を適正に維持するために、いかにあるべきかということが、私は、考えられてこなければならないと思うわけでございますが、そういう面で、私は、もし今お持ちにならなくとも、近い将来においてこういう一つのめどを作り、一つの標準を作り、基準を設定するというような作業が進められなければならぬと思うわけでありますが、そういう点について、一つどういうようなお考えとお仕事をなすっておるのかお伺いしたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/117
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118・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) これはきわめてごもっともな問題でございまして、行政水準を確保するということが来年度の財政計画のわれわれ大きな目標にしたのでございますが、その場合の一体行政水準というのは何を言うのか、まあこういうことになってくると、われわれも今具体的にどういうものが適切なる行政水準であるかという一つの何と申しますか、そういうタイプをお目にかけるということは、これは実は率直に申しましてできないのでございます。しかし、現在の財政の状況では、御承知の通り片一方では赤字が相当ある、減りつつあるとはいいながら、まだ残っておるということは申し上げるまでもない。そして片一方ではその赤字を解消するためにそれぞれの団体がいろいろ人の整理もやれば機構の縮小もやる、それだけでなしに、いろいろな仕事を押えておる。現にそういう数字が現実に表われておるのでございまして、そうして一面われわれの目につくだけでも、この間、行政施設の概況に関する調べとして一応資料を差し上げましたが、義務教育施設にしろ、道路、橋梁の施設にしろ、住宅関係にしろ、あるいは下水道とか、その他いろいろな仕事の面におきまして、身辺にもうほうっておけない事態というものはたくさんあるわけです。そこで、どうしたって最小限度そういう目に触れるような、だれが考えてもほうっておけない問題を、ともかくも確保するだけの少くとも財源がなくちゃ意味がないじゃないか、こういうことが私はまずまっ先に問題だろうと思うのでございます。赤字を消すということももちろん根本的に大事でありますが、それとともに、目の前にあるほうっておけない仕事をある程度カバーできなかったら、これは自治団体としての値打がない。そこで、明年度のような、幸いに自然増収等がある場合においては、できるだけその最低限度の——最低限度といっていい行政を確保せぬといかぬじゃないかというのが、われわれの考え方でございまして、ほんとうに理想的な行政水準を目標に仕事ができるとか、あるいはその行政水準をすこぶる向上させるとかといったような、私は率直にいって、そういう段階ではないだろうと思うのでございます。で、そういう意味で、ともかくも身辺にあって、各省それぞれ苦労しておられます問題で、最低限度のことをすみやかに解消するだけの必要財源というものを、われわれとして何か充足することを考えなければいかぬじゃないかということで努力をいたしたのでございます。その一つの標本として、この道路、橋梁等の維持、補修費を片一方で考え、その他都市的な、あるいは下水とか、清掃とか、あるいは汚物処理とか、そういったような市民生活に密接した都市的施設というもので、ほうっておけないという問題をとりあえず考えた、こういうことになるだろうと思うのでございます。しかしながら、もっと根本的には、行政はそもそもいかにあるべきかを考えるということは、これは当然必要でございまして、そもそも交付税法がその標準行政というものを考えて、それを保障しようといっているのが、現実の私は一つの考え方だと思うのでございます。しかしながら、交付税法の考えている標準行政というのも、与えられた財源を基礎にしながら、結局これは考えられたいわば逆に出てきた数字ともこれはいっていいのであって、あの行政が最も標準的な行政であるかといえば、これはとてもそうレベルの高いものだとは言いがたいだろうと思うのであります。それで、われわれといたしましては、さしあたり目につく問題は、整理はいたしておりますが、むしろほんとうにこのあるべき姿というものを考えていく必要がある。組織にしろ、人員にしろ、あるいは仕事の実体にしろ、そういうものは私はやはりどうしても今後それをつかまえて、そこに達するような方向で問題をとらえていく必要が実はあろうと思うのであります。しかし、これは千差万別の団体につきまして、どれがあるべきものかということは、非常に困難なこれは作業でございます。おまけに内政全般をおおっている仕事でございますから、非常に至難な作業でありますが、地方団体の経営を合理的にやっていくためには、やはり何かそういうものがなくちゃいかぬ。そこで、われわれといたしましては、交付税を算定する基礎資料とするためにも、いろいろそういうもののつかみ方を研究いたしております。また、これは明年度になりまして、ちょうど市町村の合併も一段落つきますし、新しい市町村を基礎にして、やはり経営の形態を考えなければいかぬ。それで、そういう市町村につきましても、市町村の規模とか、あるいは形態とか、あるいは構造とかというようなものをいろいろ分類をしてみて、そうしてその市町村の実体に即応した行財政の姿、こういうものを一つ分析してみようじゃないかというふうな考えもございまして、そういう関係の予算も多少でございますが、実は取っておりまして、いわば標準的団体における標準的行政というものをできるだけとらまえるように努力してみようじゃないか、まあどういうものができ上りますか、それはなかなかすぐに自慢のできるようなものは私はできるはずがないと思っておりますが、そういうものをぜひ考えたい。それと同時に、府県につきましても、そういうものを一つ実証的に作り上げていきたいという気は持っておりまして、これはできるだけの努力をしてみるつもりなのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/118
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119・鈴木壽
○鈴木壽君 これからそういう仕事を進めようというお考えはわかりましたが、そこで、私くどいようでございますが、申し上げたいことは、たとえば建設省で道路五カ年計画というものを出している、ことしは三年目ですか、そうだったと思いますが、明年度四年目、ところが三年までかかって、五カ年でやるべき仕事を大体半分くらいしかいっていないようなことに、実施状況はなっていると思います。これは一つの例でございますよ。そこで、こういうふうな一つの目標が、各省にいろいろな面で私はあると思うわけですから、それとあなたのおっしゃるように、地方の団体の財政状況、そういうものと一つの調整の上に、やはり何か一つの姿がなければいけない、こういうふうに私は思うわけなんでございまして、そういう面で一つ特に私とれからの御努力を望みたいと思うわけでございます。
なお、この際私一つ見落していただきたくないのは、たとえば三十年度決算なんかを見ますと、投資的な経費の減ったこと、これはいつも問題にされるわけでございますが、四百六十六億も減っている、こういうふうなことでございますが、見のがされやすい府県あるいは市町村におきましての民生関係のこれが相当減っているわけなんですよ。これは景気がよくてそういう仕事の必要性が減ったんだ、こういうのであれば、ともかくそれは喜ばしいことでございましょうが、実態は必ずしもそうじゃないと思うので、こういうような問題、あるいはまた地方の産業経済費の減額というような問題、こういう問題もこれは見落してはならないと思うわけでございます。
それからせんだっても申し上げましたが、これは今の計画では、どこにも数字として載ってこないところの、過年度災害の問題があるんです。これは、各地方団体にとって非常な頭痛の種でございまして、ほうっておけば必ず再災害がくるんだ、やりたいにも金はなし、やれば赤字になる、こういう非常に困った問題があるわけでございまして、一つの計画なり、あるいは行政水準の線を定める場合に、こういうことも一つお忘れなく、各農林省、建設省との関連もありますから、十分連絡をとって織り込んでいただかなければならない問題じゃないかというふうに思うわけなんでございまして、これは、今あなたの御答弁で、今後の作業に待つことにいたしまして、一つ財政の面で二、三お聞きしてみたいと思うんですが、地方の財政の問題を考える場合に、いつでも問題になることは、地方の財政構造がこれでいいかという問題だと思うわけでございます。特に歳入構成においていつも問題になることでございますが、三十二年度の計画を見せていただきましても、実はそういう従来から心配され、論議されてきた問題がほとんど改善されておらない、こう言うと、少し極端な言い方かもしれませんが、そういうふうな感じを受けるわけでございます。特に交付団体と不交付団体におきますところの差、それから交付団体におきましても、再建団体と非再建団体との較差、こういうものが非常に問題にされなければならぬと思うわけでございます。そこでこれは根本的には税制の問題もからみ、それからさらにいろいろな問題がからんでくるわけでございますので、今そういう全部の問題について触れておるわけにはいかないと思いますが、この歳入の面で地方税の占める割合は総額において四千六百五億一千三百万円、パーセンテージにいたしまして約四二%ぐらいだと思います。しかしこれを先ほど申し上げましたように、交付団体と不交付団体に分けてこれの割合をとってみますと、交付団体では約三〇%、不交付団体は六八%ぐらいになるわけでございます。こういうところに私は問題がありはしないか。その他地方譲与税とかあるいは交付税をみんな合してみたいわゆる一般財源と称せられるものでみましても、非常に今言ったような差異があるわけでございます。交付団体ではそういうものを含みまして大体五五%ぐらいしかない。不交付団体におきましては六九%近くまである。非常に税の占める割合というものは交付団体においては少いというようなこと、従って自主的ないろいろな仕事をする場合にも困っておる状態がある。もちろん他の方法によって一応全体のバランスがとれておるようでございますけれども、今言ったような根本的な問題において私は考えなければならぬことがあると思うわけでございます。
そこで私お聞きしたいのは、こういう交付団体とそれから不交付団体におけるこういう差異、他に財源調整というようなことも行われてもちろんおりますが、一体現状のままの姿において、税法その他そういう問題をそのままにしておいて、単なる財源調整だけでは私解決つかないところまできておるのじゃないかと思いますので、ほんとうに地方財政というものを考えていきます場合に、当然私はここで一つ地方税との問題にまでいかなければいけないと思うのでございますが、あなた方として今の段階においてそこまで踏み切ってやってもらうというような御意思があるのかどうか、この点一つお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/119
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120・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) 今お話のように税の歳入構成が団体によっていろいろアンバランスがあるということは事実でございます。しかもこの傾向はだんだん少くなっていくかといえば、世の中の進歩はむしろ産業とか経済の発達が地域的にへんぱでございますから、むしろその傾向が強くこそなれ弱くなるということはありようがないと率直に思うのでございます。そういう意味で、その団体間を調整財源で問題のさばきをつけるよりしようがないのじゃないか。こういう考え方が一方にあって現にそれがとられつつあるのでございますが、根本的に税制そのものについてもその問題を解決する必要がありはせぬかという点は、これはやはり考えなければならない問題で、まあ従来の地方制度調査会あたりでも始終論議されるときに、まず地方にそういう自主税源をできるだけ与えたいというのがだれもの基本的な考えだろうと思います。そういう意味での適当な実現可能な一体、地方税源というものが何かあるのか、こういうことで現実の問題としていつも壁にぶつかっておるというわけでございます。そうしてたとえば府県でいえば、一番その不均衡な一つの原因かどうかしりませんが、問題になっておる、たとえば農業関係の施設税とか事業税とかいったことも常に議論になるのでございますが、いざ実際問題といえばいろいろ難点にぶつかって、なかなか問題が解決しないというふうなことでございまして、なかなか税の面におきましてはいろいろ抽象的には考えられますが、しからば具体的にどういう税をどういう形で調節するかということになると、結局実際問題としては困難が多いと思います。しかしまあそういう方面のことの検討は、これはやはり続けていかなければならない問題だろうと思います。それでそういう方向を考えるとともに、まあ片一方のこの調整財源というものをできるだけ充実して、自主的な税源を持っておらぬ所に対しても、一通りの補いがつくような格好にだけはする必要があろうと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/120
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121・鈴木壽
○鈴木壽君 私まだそこまで実は手が伸びないで計算しておりませんが、次にお聞きしますが、調整財源でどの程度今調整されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/121
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122・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) 調整される……、今のお尋ねの意味はよくわかりませんが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/122
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123・鈴木壽
○鈴木壽君 たとえばあの税とかそういうものでまあ非常にへんぱなところ、あるいは交付税とか譲与税とかいろいろなことで操作している部面がありますから、そういうはっきりしたことだけで大体どの程度やられているのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/123
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124・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) これはまあそれぞれの団体によっても違うわけでございますが、一つはそれぞれの団体の何と申しますか、この資料をごらん願って、府県別のまあ一種の基準財政収入額と交付税というものとのバランスをごらん願うと、結局交付税が県によって自己財源よりも数倍多いという所もありますし、それからそうでない所もありますし、それは県における一つの調整の状況が私はこの数字である程度推測がつくのじゃないか、というふうに存ずるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/124
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125・柴田護
○説明員(柴田護君) 制度といたしまして、財源調整が行われておるのは、一番大きいのは義務教育国庫負担金についてで、不交付団体については国庫負担金が出ていない。その結果が、私どもは正確な計算を持っておりませんが、三十億円ほどだったと思います。あとはまあ制度といたしましては、入場譲与税がまあ二十億ちょっとある。制度といたしましては総額で五、六十億ぐらいだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/125
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126・鈴木壽
○鈴木壽君 そこでこの税収入の問題になりますのですが、これは税務部長ということにもなりますが、まあ一般の財政機関のことですから一つ小林さんからでも。今のお話では税制の改正というところまで進まなければいかぬのじゃないか、そういう努力を続けておいでになるというようなお話でございます。で、繰り返すようになりますけれども、現在のこれは府県だけでございますが、税収入がその何と申しますか、歳入の総額の一〇%以下の所が相当あるようでございます。三十年度の決算を見ますと六つぐらいじゃなかったかと思いますが、それから一一%から一五%までが十八、それ以上二五%までが十二と、大半がこういう情ないような状態なわけなんです。そこで税制の改正ということは非常に重大な問題でございまして、そのむずかしさについては私も十分想像できるわけでございますが、これはまああなたから御答弁いただくことはあるいは失礼ですが無理かとも思いますが、むしろ内閣のあるいは政府としてのそういう政策上の問題にもなろうかと思いますから無理かと思いますが、何といっても私は今の税制、国税、地方税を通して見てどうも国税中心に片寄り過ぎているのではないかと思うわけでございます。これは国の予算に占めるところの税の比重と、地方財政計画の中にある税の占める割合から見ても、私はいえると思うのです。相当大きな金を地方に分けてやるといいますか、与えるというふうな格好をとっておるわけなんでございまして、こういうところに一ついつか大臣が言ったように、地方財政というものは非常に大事な問題だというふうな点からしますと、国のそういう金に依存しておるような地方団体の姿から、私は早く脱却せしめなければいけないのじゃないかというような観点から、まあ真剣に一つこの問題について、単に今ある地方税の中でどうするとか、地方税の小さい一つの項目まで拾ってくるとか、法定外の何か税をここで見つけてくるというような、そういうこそくな方法でなしに、もっと私やはり考えなければいけない段階じゃないかと思うわけなんです。そういう点あなた方の地方行政を担当する側から私強く一つ主張せられてけっこうだと思うのですが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/126
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127・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) 御趣旨は全くわれわれもそれは同感でございます。ほんとうに自主的な財源がもっと与えられてしかるべきものだと考えるわけでございますが、先ほども申しました通り、結局具体的にしからばまあ特に税源ですが、いかなる税源を与えたらいいか、こういう問題になってくると、技術的に非常に困難があるのであります。技術的に困難があるだけでなしに、政治的にもいろいろ問題がある。技術的に困難があると申しますのは、一つには全府県あるいは全市町村にまんべんなく満足させるような、そういう種類の税源というものはなかなかとらまえにくいという問題が一つあります。それから地方に与えれば与えるほど結局団体によってへんぱが大きくなってくるおそれがある。こういう問題が一つあり、かりにそいつを調節しようとすると、たとえば農業事業税のような一つの問題が始終論議になるのでございますが、これはなかなか実際の問題としてはこの実現には非常に困難がある。われわれとしてはやった方がいいと思いましてもなかなかやりにくい、こういう面が一つあるわけでございます。そうなってくると、今度はいわば調整的な財源を考えるよりしようがないか、あるいはたばこの消費税のような問題も一つのそれは考え方でしょうし、いろいろの問題があるわけでございますが、その他そういう調整財源を増強するか、こういうことになってきまして、調整財源を増強すれば先ほどおっしゃったような趣旨からいえば、必ずしもほんとうの自主独立の財源といえるのかいえぬのか、そこはまあ疑問が出てくるわけなのでございます。根本的にわれわれといたしましてもそういう方法でぜひそれは問題を考えたい。そうしてやはり率直に申しまして、国の地方に対する財政的並びに行政的関与というものが、ともかくも複雑に過ぎて行き過ぎが多過ぎる。こういうことは私は当然言えるだろうと思うのでございます。われわれといたしましては、常にその方向にもっと積極的にものを考えるということにつきましては、全く同感でございまして、そういう方面になお研究を続けたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/127
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128・鈴木壽
○鈴木壽君 私ちょっと国の予算に占める税の問題というか、地方財政計画の中にある税の比率の問題を今言いましたが、大体比べてみますと、国の方では税収入だけで全部のそれの八三%ぐらいになるのですよ。御承知の通り地方の方のそれでは、税ではようやく四〇%ぐらい、こういう状態なわけです。そこで何べんも申しますが、むずかしいことは確かにむずかしい問題ですが、今のたとえば国税の所得税とかあるいは法人税、そういうものをそのままにしておくことが、私は一そうむずかしさに拍車をかけるようなもので、ああいうものを一度どういう立場においてそれじゃ税として国民からとり、さらにそれが地方の住民とそれから国、政府の施策に使われるべきか、私は根本的にはそこまでいかなければいけないと思うわけです。それを現在の税体系、国税をそのままにしておいて、さらにそのほかに地方税でとれるところはどういうふうにどこから見つけてこようか、どういうふうにやるかということになると私は非常にむずかしい問題になると思うのです、これは今言ったように。ただし、小林さんに失礼なことを申し上げたけれども、これはあなたの考えだけではもちろんいかないと思うので、ですからそういう立場から自治庁として私は大臣なり、そういうような一致の態勢にもっと問題を大きく取り上げさせるような態度が必要じゃないか。こういうふうに考えるわけでございますが、これは一つ今後とも十分お考えいただきたいと思います。いずれ大臣が出席された際にさらに考えのあるところを聞きたこと思います。
なおこれに関連しまして地方財政のことを考えていきます場合に、地方団体における事務、ことに私現在国の事務と地方団体固有の事務との関係、あるいは国の出先機関と地方の自治団体における仕事の関係、こういう問題、あるいは補助金等の問題、これは今回補助金等におきまして小さいものを整理してまとめたことをやっておられますが、しかしこの検討も私は十分じゃないと思うので、こういう問題について自治庁は一体どういうふうにお考えになっておられるのか。これは非常に財政とからみ合ってくる問題でございますので、お考えのあるところを聞かしていただきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/128
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129・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) これもわれわれ一番気になる問題でございまして、われわれといたしましては相当な考えをもって進んでおるつもりでございますが、むしろ大勢と申しますか、諸般の状況は逆に動いておる場合の方が多いのでございます。従って出先機関にしましても、これの統廃合の問題が次に論議に上っておる。われわれといたしましてはできるものならば、これは府県を中心に整理した方が、はるかに仕事が合理的に経済的にしかも民主的に動くだろうという考えは持っておるのでございますが、各省それぞれの立場からいうとまた別の考え方がありまして、なかなかこれは運ばない、特に補助金行政などに至りましてはもっと積極的にもう補助行政をもう少し簡素にして集中的にして、そうして地方にまかすべきものはまかした方がよいというのが、自治庁の基本的な考え方でございますが、実際は各省の動きはむしろ逆でございまして、毎年々々たくさん法律が現に作られていくということは、そういう意味のものが結局作られていくだけなのであります。単に補助行政だけでなしに、あるいは各省が県に置く人の資格をひもをつけてみたり、任免につきまして一応の会議をしようとしたり、われわれの立場からいえばどうしても納得ができかねる。実は法律が毎年むしろふえつつあるのでありまして、自治庁はむしろそういうので各省と対立をしてまあけんかばかりしておるのが仕事になっておる。こういう態勢なのが率直な話でございます。でございますからこういう問題につきましては、私はどうしても国会の方におかれましても一つ、各委員会におけるそれは立法だろうと思いますが、ぜひ地方行政あたりで総合的なやはり御調整も少しお考えを願いたい。これは率直に申しまして政府部内ではわれわれといたしましてはできるだけのことをやって、むしろそいつを防御しておる。積極的にもっと合理化し、簡素化しようということは従来地方制度調査会などで始終論議になるのでありますがなかなかこれはできがたい。逆にいろいろな形でむしろふえつつある。こういう状況でございまして、これはぜひ皆さん方の御協力も得て、地方行政の筋をできるだけすっきりした、民主的な、しかも能率的な体制にしたいというふうに念願いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/129
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130・鈴木壽
○鈴木壽君 あと戻りするようでございますが、先ほどちょっと触れました交付団体、不交付団体の問題で、いろいろ根本的な問題は一応別として、来年度の計画からいっても相当格差を私どもみておるわけなんですが、たとえば都市的な経費だけについてみましても、どっちかというと不交付団体において非常にふえ方が大きいと、こういうことがいわれると思うわけなんですが、もう少しこういうような問題について、あなた検討の余地がなかったものでしょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/130
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131・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) これは交付、不交付の建設事業等の問題でございますが、一つは、今度交付税が、税の状況などから考えまして、神奈川県が交付団体から不交付団体に移ることが必至の状態なのでありますが、その部分の計算が相当数字的には大へんでございますから、影響があるのでございます。
それからもう一つ、都市的な経費について、今度新しくふやしました部分は、何と申しましても都市中心でございますので、不交付団体に相当多いと、そこで比重がそっちの方へかかったというのが実情でございます。われわれといたしまして、この計画を作るときは、交付、不交付バランスをとりながらこれはふやさなくちゃいかんという考え方を基本的に持っておって、ほとんど大体そうなっておるのでございますが、今申しましたような事情が大きく響いておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/131
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132・鈴木壽
○鈴木壽君 これはあとで数字的に、たとえば神奈川が不交付団体になり、京都が交付団体に変るというようなことで、数字的にどういうふうに動くか、これはあとでお聞きしたいと思いますが、これはまあ、かりに一つの団体が向うへ行き、また向うからこっちへ入ると、こういうことを抜きにして、私は、全体からもう一つ大よそのところはつかめるのじゃないかと思うわけです。たとえば公共事業なりあるいは失対事業、これは今あなたのお話のようなことで私納得できると思うのですが、単独事業の増加、交付団体では三十三億なんです。不交付団体の方の増は八十七億です。これは、一つの県が出たとか入ったとかいうことで、こういう大きな数字は私は出てこないと思うのです。ですからこういうようなことを考えますと、あとでお聞きする神奈川あるいは京都の問題を除いても一つ問題があると、これはあなたを責める意味じゃございませんよ。実態としてそういうふうになってきておるわけなんですよ。というのは、私が申し上げたいことは、何といいますか、いわゆる自主財源といいますかね、そういうものの豊富な所はどんどん仕事ができると、従って私は、交付団体と不交付団体におけるところの行政水準の格差、あるいは特に再建団体とそうでない所とにおきますところの差というものが、こういう景気のいいというときになおさらひどくなっていくのじゃないかということが心配になるわけなんです。景気の変動によって日の当るところと日の当らないところがはっきり露呈されてくるように思うわけでありまして、こういう点をほうっておいては、地方の自治団体のあなた方の言う行政水準の引き上げということも、単にトータルだけですよ、トータルだけ今年は千億ふえたからよくなったのだと、あるいは道路の補修費が八十億新たに加わったからよくなるだろうと、こういうことで安心できないところに私いっているのじゃないかと思いますがね、そういうところを考えてみなければいけないのじゃないかというふうに思うわけなんです。その点についてのお考え、それからさっきの数字的に出たり入ったりすることに、どのくらい違ってきたのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/132
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133・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) 出入りの一方はあとから申し上げますが、まあ一つの単独事業関係の方は不交付にふえたのは、先ほどちょっと申し上げましたが、今度ふやしましたのは都市的経費が中心でございまして、その六十億のうちも不交付団体部分がどうしてもこれは多いのであります。大体十三億と四十七億というふうな見当で交付、不交付の振り分けを実はやっております。それからなおそれは基本的には今仰せられました通り、結局行政水準がふえても、すべての団体に均分にゆくかといえば、私は率直に申して、財政計画上は大体調子を合しておりますけれども、率直に言ってそうかということになれば、私は必ずしも百パーセントそうだとは、これは申し上げかねると思うのでございます。それは結局交付団体におきましては、結局交付税の額というものが頭にあるわけでございまして、これがふえぬ限りは交付団体においてはそう金が回ってゆくはずがありません。税の伸びはどうしたって不交付団体の方に比重が重くかかっておりますから、そこは調整財源のワクというものが、やっぱり一つ大きなこれは支えというか、制限になっている。これは事実であろうと思うのでございます。それだから結局今のような交付税で足るのか足らんのかという問題が、これは当然考えられる問題でございまして、去年からみればそれは全般的によくなっていることは全く間違いないと思いますが、よくなり方は必ずしも団体によって均分じゃないということも、率直に申しまして事実だろうと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/133
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134・柴田護
○説明員(柴田護君) 神奈川県と京都を入れ替えました計算、これは実は今やらしておりまして、そういう御質問もありましたのでやらしておりまして、計算が比較的複雑なものですから、やらした結果によりまして数字をもって御説明申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/134
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135・鈴木壽
○鈴木壽君 よろしゅうございます。
最後に一つ、そこでこれは今お話をお聞きして、もう一つ、まあ現段階におきましては交付税の問題、それから財源調整にどのくらい、もっと金が取れんかというそういう問題に帰着するのじゃないかと思いますが、これは一つまたあとでお聞きすることにして、あなた方数字的にずっとこう昭和二十七年、二十八年、二十九年、三十年、三十一年と、たとえば五年間ぐらいからずっとながめてきて、大体どのぐらいあればまあまあと、全体の地方財政におけるワクとして、たとえば三十一年度は三十年度より相当減っておりますが、三十年度までは大体一千百四、五十億、まあ決算を見ますと三十年度はもう少し大きくなっているようでございますが、そこら辺、三十一年度までは減っている。今度はまた大体二十九年度あたりまでやや近ずいた数字になっているわけでございますが、大体どのくらいあればまあいいというところまでゆくというふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/135
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136・小林與三次
○政府委員(小林與三次君) まあどのくらいあればというと、私は大へん多ければ多いほどいいと、率直に申し上げまして。われわれが当初財政計画を作って、いろいろ予算折衝をしたときの数字ならあれで満足なのかとおっしゃいますと、これはそうでもないのでございまして、われわれといたしまして、まあ来年度として自治庁として要求し得るほどほどのところを要求しようじゃないかと言って、まあ要求した数字でございます。それから見ても今度の数字は相当落ちております。御承知の通り交付税は三%引き上げる前提に考えておったのが一%弱ですから、その差額は百数十億落ちております。それから公債費に対する対策も当初は百九十何億といっておったのが八十億ですから、百億ぐらい減っておりまして、われわれといたしましては歳入の面からいって必要な金額を要求して、その金額が獲得ができたならば一つ全般的に歳出の面の合理化をはかりたいと、こういう考えでしたが、そとからみましても相当なこれは開きが現に出ておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/136
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137・柴田護
○説明員(柴田護君) ちょっとつけ加えさしていただきますが、単独事業、財政計画で行政水準の問題で非常に関連がありますのは、維持補修費とそれから消費的経費の中で国庫負担金を伴わない経費、それから投資的経費の中のいわゆる国庫補助を伴わない建設事業費、いわゆる単独事業という経費でありますが、この三つが行政水準問題に大きく関連のある経費だと考えますので、その中で単独事業費だけをつかまえてみますと、従来の財政計画ではいわゆる旅費、物件費等その他消費的経費というものと、この単独事業費と三つが常に節約の対象とされまして常に切ってこられた。で、昭和三十年度の財政計画の初めのときにおきましては、その規模が丁度昭和二十五年のころの規模程度に下っておったわけであります。それを昭和三十年度の後半百六十億円の措置、及び昭和三十一年度の地方財政計画の修正で大体規模が直ってきたわけであります。昭和三十年度の決算と財政計画との比較をいたしますると、単独事業費の決算額純計がちょうど昭和三十二年度の単独事業の経費と大体合う。で、七百八十五億でありますが、ちょうど三十二年度の財政計画が七百八十七億でありまして、ちょうど三十二年度の決算に大体財政計画が追いついておるということが言えるのじゃないかと思います。その間、一方公債費は三十二年度と三十年度から三十一年度へ、三十一年度から三十二年度へかけまして、大体公債費が二百七、八十億ふえております。そうしますと二百七、八十億はまだ規模が縮まっておるのじゃないかということが一応言えるのじゃないかと思います。御参考までに申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/137
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138・大沢雄一
○理事(大沢雄一君) 本件の質疑はこの程度にいたしまして、さらに次の機会に行うことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/138
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139・加瀬完
○加瀬完君 明日から交付税法の特例に入るわけですが、財政計画の関係もあってか大臣もそれから要求した関係各省も非常に出席が悪いと思うのです。これでは当委員会の審議に非常に支障を来たすわけですから、委員長におかれまして明日からは要求をされました関係者を全員出席して下さいますように御督励をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/139
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140・成瀬幡治
○成瀬幡治君 特に大蔵大臣に来ていただかなければ交付税の問題はちょっとむずかしいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/140
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141・大沢雄一
○理事(大沢雄一君) 本日はこれにて散会いたします。次回は公報をもって御通知いたします。
午後四時十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X01319570326/141
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