1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年四月十八日(木曜日)午
前十時五十六分開会
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委員の移動
本日委員森田豊壽君辞任につき、その
補欠として成田一郎君を議長において
指名した。
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出席者は左の通り。
理事 大沢 雄一君
委員
小林 武治君
加瀬 完君
成瀬 幡治君
伊能繁次郎君
小柳 牧衞君
館 哲二君
成田 一郎君
吉江 勝保君
久保 等君
鈴木 壽君
森 八三一君
衆議院議員 綱島 正興君
国務大臣
国 務 大 臣 田中伊三次君
政府委員
自治庁税務部長 奥野 誠亮君
経済企画庁開発
部長 植田 俊雄君
事務局側
常任委員会専門
員 福永与一郎君
説明員
自治庁税務部市
町村税課長 鎌田 要人君
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本日の会議に付した案件
○地方行政の改革に関する調査の件
(特別職に属する地方公務員の兼職
制限に関する件)
○持別とん譲与税法案(内閣提出、衆
議院送付)
○離島振興法の一部を改正する法律案
(衆議院提出)
○離島振興法の一部改正に関する請願
(第一四三八号)
○離島振興計画促進に関する請願(第
一五九一号)
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001・大沢雄一
○理事(大沢雄一君) これより委員会を開きます。
本日は、委員長が所用のため欠席されますので、委託を受けました理事の私が委員長の職務を行います。よろしくお願いいたします。
まず、一昨日に引き続きまして、特別とん譲与税法案を議題として、質疑を続行いたすわけでございますが、その前に、小林委員からの御要求によりまして、公職制限に関しまする資料の件につきまして、自治庁大臣に御質疑がありますそうですが、皆さん御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/1
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002・小林武治
○小林武治君 先般、この委員会の席上、知事、市町村長が各種の役員を兼ねておる、この問題について、自治庁でもって調査をされたはずでありますが、その調査の結果はどういうふうに相なっておりますか、伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/2
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003・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) 調査項目を具体的に示しまして、調査の書類を全国に送付しておるわけでございますが、まだ相当部分について、今日まで回答が来ておらないわけでございます。これを促進するために、ただいまやっておるという事情でございまして、資料全体が出そろっていない、こういう事情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/3
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004・小林武治
○小林武治君 この前の委員会では、大体今月中ごろまでに資料が整うはずだ、こういうことを長官ははっきりおっしゃっておられます。大体調査も集まったことと存じますが、その中で特に顕著な事例と、こういうものが認められるかどうか、こういうこといかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/4
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005・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) このままではいかがかと考える相当顕著な事例が出てきております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/5
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006・小林武治
○小林武治君 そういたしますると、この前も、大体の資料のそろったところで、政府と申しますか、自治庁の態度もきめたいと、こういうふうなお話がありましたが、あれらの兼職を禁止または制限すると、こういうことについての積極的の態度が自治庁としてはきまったかどうか、こういうことを伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/6
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007・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) 資料全部が出そろいました上で考えてみたいという気持でおりますので、今日の段階においては、まだこういう内容のものについて法律案を改正したいと、法律案自体の具体的な内容というものを確としてきめておるという段階には至っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/7
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008・小林武治
○小林武治君 今のようなお話では、またこの国会も過ぎてしまって、いつのことかわからぬ。これらは、何も全部の資料が整わぬでも、そのうちの顕著な事例がある程度出たならば、それに対して積極的な態度を決定して一向差しつかえないと思う。こういうことでありますが、私どもは、これらの弊害は放置できない。従って、この国会中に何らかの措置をいたしたい、こういうことを考えておりまするが、全部集まらなければ態度がきまらぬということでは、この国会に間に合わぬと思いますが、それはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/8
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009・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) 実は、いきさつを一言申し上げますと、この問題は、最近において、ある地域にそういう事態に似たものが起って参りましたことを一つの動機としまして、当委員会においても熱心な御質問があり、これを承わってみますと、なるほどとも考えますので、全国にわたって項目を示して調査をしておる、こういう事情であるわけでございます。小林先生のお考えは、今国会においてぜひ法律案を出してやってはどうかという、本日のみならず、先般においてもお話をいただいておるわけでございますが、私の方の考えといたしましては、当初から法律案として予定をいたしておりました中には入っておらないという事情でもございまして、何とか事情を正確に調査をいたしまして、法律案の改正に当りましては考えを持ってみたい、こう考えておりますことが一つ。
それからもう一つ大事なことは、大体この顕著な動向というものを察知いたします結果は、全国の知事については、これは禁止の対象となるべきものと、こう思われるのであります。続いて市でございますが、市につきましても、たとえば、五大市のような大都市につきましては、知事同様に、禁止をすべきものと、こう考えられるわけでございます。しかしながら、これらの対象としたいと考える市を除くそれ以外の市及び町村というものにつきまして、果して知事同様の制限を加えることが妥当であるかどうかということについても、これは、実態の調査はどうしても別個にやっていく必要があるのではなかろうか。大都市の市と、小さいところの市と、さらに町村というものは、この公選の首長について、その手当等の限度まで違うわけでございます。そういう事情にありますからして、市町村長ことごとく、地方自治体の首長は、知事同様にこれを措置していいかどうかという問題につきましても、立法的な措置としてこれをいたします以上は、相当責任のある研究のいたし方をいたしまして、それぞれ意見を聞いてみなければならない、こういうふうに考えますので、これらの点から考えますと、残り少いこの国会の時期の会期中に間に合うように、この改正案が提出できるかどうかということにつきましては、私自身も確たる見通しは持ち得ない、こういう事情であることを御了承をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/9
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010・小林武治
○小林武治君 それでは、私の方から申しておきまするが、私どもは、地方行政委員の中で、非公式にこれらの問題を話し合っております。そして、できましたならば、むしろ委員長提出でこの法案を出したい、こういうふうな希望も今出ております。従いまして、これらは、さような取り運びになるというふうに私は予想いたしておりまするから、この問題について、自治庁といたしましても、至急一つ御相談を下さいまして、そして、ある程度の態度を一つきめておいていただく必要がある、こういうふうに思いまするから、その辺お含みの上で、最近の機会において、自治庁としては、一応の一つ庁の態度をお話し合いおき願いたいと、こういうふうに存じますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/10
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011・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) まあ、現在までに集まっております資料によりましても、大体の見通しはつけ得るのではないかとも存じますので、お言葉のように、この問題は一つ、庁議にかけまして、庁の考え方というものを早急に練ってみることにいたしましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/11
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012・小林武治
○小林武治君 重ねて申し上げておきますが、おそらく来週あたり、当委員会として、私は、非公式に懇談をして態度を決定すると、こういう運びになろうかと存じますが、そのお含みの上で、一つ至急御相談を願いたい、これだけ申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/12
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013・成瀬幡治
○成瀬幡治君 小林委員の質疑に関連するわけですが、この別の小林委員の質問に対して、長官の態度を、私は速記録を読んでおるわけですが、若干はすかい読みしましたから、違うかもしれませんが、あのときの兼職の調査のウェートが、市町村長に大体置いておられるようです。それに対して、小林委員の方から、それは大きい市町村あるいは知事もだというようなふうに、あなたの考えとは逆に出ているようなふうにおっしゃったように受け取ったのであります。今開きますと、兼職禁止の必要のあるものは、むしろ県知事であるとか、あるいは大きな都市の市長ですか、そういう人に大体必要であるというようなふうになっております。そこのところに、若干心境の変化を来たしておるようなふうに私は受け取るわけです。ということは、大都市になければならぬじゃないか、あるいは県知事にそういうふうになければならぬじゃないかというふうに、心境の変化を来たしているのですが、それは、あなたが答弁の途中で変ったのか、あるいは調査された若干の資料によったというのですから、その資料をお見になってから、そういう心境の変化を来たしておいでになるのか、あるいは心境の変化ではなくて、そのときからどういうふうに思っていらっしゃるのか、その辺いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/13
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014・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) 私も、自分の速記録は読んでいませんが、気持は一向変っておらないのでありまして、ありのままに申し上げますと、名古屋事件というものが出て参りまして、そのときに気づいたというわけなんです。妙な話ですが、そのときまでは、法律案を改正してどうしようなどということは考えていなかった。そのとき、なるほどそういうことがあろうか。まあ私がしろうとでもありますから、しろうとの私がそれを聞きまして、なるほどそういうことがあるのか、その名古屋事件それ自体については、いいか悪いかは別として、そういうことがあるのか。一体兼職というものの実態はどんなものだろうということを、役所につきましても、私よりは詳しい者がおりますので、これを聞いてみたのです。そうすると、意外なことを聞くわけですね、こういうことがある、ああいうこともある、しかし、それが全般のものであるかどうかはわかりませんが、こういうこともあるのだ。これはどうも放っておくわけにはいくまいという感じをそのときに持ったということは事実なんです。それと前後して御質問がありまして、私の考え方としましては、知事については、御承知の通りに、一定の禁止の条項が現在もあるわけでございます。あるわけでございますが、直接請負関係にある者、またはこれと同一のような事情のある場合には、そういう法人との間には主要役員になれないという規定があることを見まして、これでは不十分ではなかろうか。少くとも常勤的な役員についていることはよくない。また、報酬を受けているということはよくないのではなかろうか。有給かつ常勤的なものを自治体の長がやっているというようなことは非常な弊害がある、こういうふうに考えたものでありますから、御質問もありまして、調査をしたということでございます。私の考えといたしましては、知事及び大きな市についての弊害が一段と大きいものではなかろうか、こういうふうに考えたのであります。小さなところにつきましても、弊害の点は同じであろうけれども、一体特別職という立場に立ちます者については、これは、特別職かどうかわからぬのですが、一般職でないという意味において特別職と、こう考えまして、そういう者について、兼職がもうすっかり禁止されるのだということであってよいものかどうかということを考えるわけでございます。妙な話になりますが、私自身もそういう特別職的な存在でありまして、それが実際にいただく給与の関係だけでは生活もできないし、交際もできないという現実から考えてみるときに、どうも小さな市の市長などにつきましての考え方は、果して兼職を禁止するということがどうだろうかということも考えております。それから、もう一つ考えますことは、法人の兼職を禁ずるというのですが、どういう法人の兼職を禁ずるか、法律上の公法人の兼職を禁ずるのか、その他の団体においても、報酬を受けておるようなものは禁じなければならぬものかどうかということも一つの問題点があろうかと思います。事例は相当出ておりますが、そういうことにもだいぶん重要な意味があろうかと思います。何々協会、何々会というものに関係をして、月給という形ではありませんが、一定の報酬が、年額幾らという報酬が出ておる。そういう報酬の内容も、交際費的なものがあり、また給与のようなものがあるのでございますが、そういう実態もあるようでございます。そこで、これを禁止するという立場に立ちますというと、ほとんど給与があるかないかわからぬような低額の俸給を、歳費を受けておる、こういうような場合には、だいぶ考えてみなければならぬものがあるのではなかろうか。公職の議員と、公選された知事、市町村長というものは、おのずから立場が違いますけれども、だいぶ複雑に考えてみなければならぬのではなかろうか、こう考えますときに、今国会で間に合うような法案の準備をするということは、はっきりここに申し上げることはいかがなものか、うそになる結果になりますから、そういうふうに考えて、慎重に申し上げておるわけでございます。腹がまえは、行き届いた禁止の条項をぜひ法律の上で設けていきたいということの考え方については、少しも変りはないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/14
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015・成瀬幡治
○成瀬幡治君 名古屋で、たまさか県知事と丸栄ホテルの問題があって、初めて知ったとおっしゃるが、田中長官は、学生時代から地方の議員等おやりになって、その道のエキスパートである、そういうふうなことについて、初めて気づいたとか何とかいうのは、非常に謙遜された言葉であって、実態は非常によく御存じだと私は思う。しかし、そういうことは別として、今方針としては、非常に好ましくないのだ。そして何か、承わりますと、調査の指令を出された。どういう項目をおやりになっておるか。一応資料として当委員会に一つ御提出を願いたいということが一つと、それから、その資料の中で、特に知事になったりあるいは市町村長になってから兼職をされた者と、前からそちらの方の職におって、そして公選された市町村長あるいは知事等になられた、二つあると思います。兼職の場合は、どちらにより弊害があったというようなことではなく、私は、そのことがそういうような調査の対象にあるかないか。調査項目の中に、これは当選されてから兼職されたか、前からやっておるものなのかというようなことが入っておるかどうか、どうでしょう。あまり事務的な話で、こまかいことを尋ねて恐縮ですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/15
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016・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) よく調査をしまして、示しましたこちらからの原本をお見せすることにいたしまして、それに対する回答も、資料として出すようにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/16
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017・成瀬幡治
○成瀬幡治君 重ねてお尋ねしますが、前に小林委員の御質問に対して、あなたの答弁は、大体中旬ごろには資料ができるだろう。そして集計したものについて委員会に報告するというような御答弁があったわけです。なかなか各市町村のあれは、非常に膨大な数字になっておりますが、その膨大な数字資料が出てからおやりになるのか。ある程度中間的な、締め切りのような意味で、時間的に、会期もあとないわけですが、全部出そろうのを待って、当該委員会に資料としてお出しになり、あるいはお出しになるのが、ある程度集まって参れば、今お聞きすれば、県知事ないし大きな市長等というのが対象になれば、およそ目ぼしいようなところが出そろってくれば、一応締め切って、資料もお出しになり、あるいはその資料に基いて検討されるのか、その辺はどういう取扱いをされるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/17
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018・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) 最初こちらから示しました際は、簡単に二、三のところがら出てきたのです。ところが、あとがなかなか出てこない。それは、やはり事柄が事柄だからでしょうね。事柄が事柄だから、なかなか簡単には出しにくいということで、時間がかかるものと存じます。それでやはり、先ほども申し上げました通り、資料が十分集まって、これを自治庁としても検討してみ、また、委員会の皆さんにもお示し申し上げて、よく御検討をいただいて、どちらがこの法案を出すかというような問題もいろいろ御相談申し上げることもあろうかと存じますから、とにかくありのままに、集まりました資料を分析してみて、それを差し上げて、御検討をいただいて、そうして慎重に、何しろ各自治体の長の利害に大へん関係の深いことで、その弊害は弊害として除かなければならないと、こう考えはいたしまするが、深いことでございますから、やはりこの立法的な措置は、慎重に慎重を重ねるという態度が望ましいのではなかろうかという気持でございます。しかし、重要な資料でありますから、まだこちらの方に参っておりません資料については、さらにこれに重ね重ね催促をしまして、早急に資料の取りまとめをした上で、御相談を申し上げたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/18
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019・鈴木壽
○鈴木壽君 関連して、ちょっとお尋ねいたしたいと思いますが、この会期中に立法措置ができるとかできないとかいうような問題でなしに、今の長官のお話の中に、目に余るようなものがある、こういうお話がございました。私ども聞いております二、三の事例につきましても、やはりこれは放置できない、こういうふうに考えるのもあるわけなのです。そこで、今申しますように、早急に立法措置が可能かどうかということは一応別にいたしましても、そういう目に余るような事例、放置できないと思われる事例は、これは、とりもなおさず地方自治団体のいろいろな運営の面で問題になっておるわけでございます。もっとはっきり申しますと、首長のあり方に対する批判なり、従って、それから出てくるいろいろな問題からいたしまして、どうもそこの自治体の運営そのものが変なものになってきている、こういうことが指摘できると思うのですが、そこで立法措置の有無、それはともかくといたしまして、これは一つ、地方自治団体の正しい運営のために、正しいあり方のために、あなたの方で、これに対して何らかの指導なり助言なり、何かが必要じゃないか、こういうふうに思われるのですけれども、その点いかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/19
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020・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) 非常に重要な問題でありまして、これはむずかしい問題ではなかろうか、こう考えておるわけでございます。法律的な措置をするまでに、法改正をやるまでに、指導的な措置によって善処ができまいかということを私も考えてみたわけでございます。でありますが、これはなかなかむずかしい問題ではないかと思う。まあ私たちの場合は、国務大臣ということになりますと、公選の議員の場合とは立場が違うというわけで、法律に禁止の条項はないのですが、みずから進んで規制をするという閣議の申し合せをいたしまして、一切有給の顧問、有給の監査役、有給の取締役という、一切有給のものは遠慮しよう、それから常勤的なものも遠慮しようということになって、現に進んできておるわけでございまして、法律の禁止はないわけであります。そういうことを考えてみまして、これを何か指導の道はなかろうかというふうにも考えてみておりますが、そういう意味で、現にやっておるものを、法律はないけれども、おやめになるがよかろうということに結論はなりますので、むずかしい問題ではなかろうかというので、いまだ指導的立場から見た一定の措置につきましても、決心をしかねているという結論でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/20
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021・鈴木壽
○鈴木壽君 これは、お話のように、なかなかむずかしい問題だと思います。これは法にないことですし、法にあるのは、請負の禁止とか、そういう何か、いわば局限されたことだけでございますから。しかし、法にないことをやって、その解決はなかなかむずかしいというが、むずかしいものを放置することによって、今私申し上げましたように、いろいろ自治体で問題が起り、運営において円滑を欠くと、ひいては、極端な言い方をしますと、その自治体の住民たちの生活の安定なり向上なりという事柄がだんだん変な格好になっていくというようなことすらあるように聞いておりますが、そういうふうな事柄を、やはりこれは、あなた方の今の権限からしますと、やめろとか——何か命令でも出して、やめろというふうなことはもちろんできませんけれども、これは、放っておいてもいいものかどうかということになりますと、まあやり方はいろいろあると思うのですから、そこに何らかの手が残されているのじゃないかというふうな感じがするわけですがね。これは、あなたのお話からしましても、放っておけない、目に余るものがあるというふうなことからすれば、立法措置以前に、やはり一つのあなた方の立場として——まあ言葉はいろいろこれはあるでございましょうが、何らかのやはり方法で話し合いをする、懇談をする、そういうようなことで、解決の方向にやはり、私、一歩でも近づけるような努力が必要じゃないか、こういうふうに思うわけです。むずかしいことは確かにむずかしい話で、これは、その人にあなたたちがいろいろお話になっても、いや、法にはないのだ、われわれの信ずるところによってやるんだというふうなことになりますと、これはだめなわけなんですから。しかし、いやしくも良識があり、市長に選ばれるような人では、これは、方法によっては、そういう目に余るような事柄が是正されていく道が開けるのじゃないかというふうに感じるのですが、むずかしいといって、そのまま放っておかれるのか。そこら辺、一つ重ねてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/21
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022・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) この資料、今国会中に間に合わないといたしますと、次の国会ということになるのでございますが、それは、相当な期間が経過をするということにもなりますので、立法措置をこの限度において、こういう内容でやりたいと、こういう決意が生じました上で、一定の指示を与えるような方向に持っていきたいと考えております。法律改正の内容自体がまだ、具体的にどの限度で立法するか、どの限度で具体的な条項を作るかということが明瞭でないわけでございますから、やはりこの見通しをつけました上で、立法措置がおくれるというような、時期的に、そういうことになります場合に、初めて今のお説のような点について考えをめぐらしていってはどうか、こういうふうに考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/22
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023・鈴木壽
○鈴木壽君 それは、慎重にやらなければいけません。一つの立法措置をする場合に、いろいろな点を考えなければいけませんし、これはまた、いろいろな材料、費料等も集めた上での検討をした結果に基いた結論ということになりますと、相当時日のかかることは承知しております。ですから、私申し上げるのは、そういう結論を、あなた方の調査の資料に基いた結論を出せとか、その見通しを言えとかいうことでなしに、あなたがおっしゃったような、目に余るような事柄、あるいは僕らが見ても、これは放っておけないと思うような事柄があるのでございますから、それを、立法措置に至るまでの自分たちの決意が固まらないからといって、放っておいていいかどうかということなんです。あなたが目に余るようなものであるとするならば、やっぱり目に余るように、何らかの手があるのじゃないかと私は思う。そういうことなんです。これは、目に余るようなものがあると言いながらですよ。立法措置に至るまでのあなた方の検討の期間というものはいつになるかわかりませんが、かりに今回きまらないと、来国会にも果してどうだ。そうすると、こういうような問題は、未解決のままにずるずる先に進んでしまうというふうなことになるわけです。従って、目に余るようなことがいつまでも続けられておるということになるわけでございますから、むずかしい……その法なり、そういう意味での禁止条項なりというものを設ける、そういう決意のこともさることながら、その前に、今のそういう目に余る問題をどこで規制するかということを当然考えなきゃいけないと思うのです。私ども、必ずしもこういうものを法によってやることがいいかどうか、私自身、実はいろいろ話し合ってはおりますけれども、はっきりと、どういうことによってやるかということになりますと、なかなかむずかしい問題だと思うのです。しかし、また一方、今しばしば申し上げますように、放置できないという、こういうことを感じておることも事実ですから、あなたもおそらく同様だと思うので、そういう見地に立って、自治序として、あなたの立場に立って、何かやっぱり解決のために一歩前進するような手段が講じられなければならないのじゃないかと、こういうことなのです、私の申し上げたいことは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/23
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024・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) これはやはり、この立法的措置をいたしませんと、目に余るから立法措置をするわけでございまして、目に余る場合に、立法的措置をするということ以外に効果があるやり方というものができないのじゃなかろうか。報酬を得ておるという場合を押えるのですから、法律に禁止がないのに、自治庁長官が何を言ってるかということは、これは私が受けたってそう思う。それはごもっともだなと思う人なら、私に言われる前に、就任と同時にやめておるでしょうからね。(笑声)これは、目に余るから立法措置をするので、それで立法を急ぐので、それまでの間はどんなものでしょうか。この自治庁長官というものは、あの福岡事件をめぐっても、自治庁長官は何をしておるかということをやられるのですが、どうも法律の内容が、自治庁長官が中央集権的にものを監督するようにできていないのですね。ちっともできない。それをどうも、昔の内務大臣のような真似をしゃがってと、こういうことになりそうな感じがいたしますので、でき得る限り、いろいろ指示を与える場合にも、そこが自主的に行えるように、遠慮をしながら、しかし、きき目があるようにというわけで、なかなか苦心をして文書を差し上げておるので、これは、自治庁長官というのはなかなかやりにくい商売でしてね。(笑声)まあ立法を作ることを一つ急ぐことにいたしましょう。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/24
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025・鈴木壽
○鈴木壽君 最後に…それはむずかしいですよ。ただ、あなた方がよく地方に対して指導をされる場合に、指示を与える場合に、違法ではないが妥当でないと、これはいろいろなおもしろい言葉を使っていますわね。しかし、何もそういう態度を文書で出せというのじゃないのですよ。何かやはり方法によって、あなたがじきじき乗り込まなくても、あなたが今の問題になっておる市長を、目に余ると思われる者を呼び出さなくても、やはり何らかの手が講じられてしかるべきだと思う。何も昔の内務大臣のような権限があるとか何とかということを申し上げるのじゃなくて、ただしかし、やはり地方自治団体について責任があり、指導的な役割を負わなければいけないあなた方としては、立法のことは、私何べんも申し上げますように、これは確かにしなければいけません、時期的にいって。そういう問題はもちろんあるんですが、しかし、その期間においてでも、一歩でも解決のために何かの努力を、それこそあなたのことですから、うまい手を考えて、やってもらえないかということなんです。いずれあとでまた、私どもの委員会でも、こういう問題について話し合いをする機会を持つわけなんですけれども、法ができるまで、あるいは立法措置をする態度がきまるまで、目に余るけれども、というふうなことでない。一つのやはり私は、態度を望みたいと思うわけなんで、今申し上げたわけなんですけれども、一応この辺で終っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/25
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026・大沢雄一
○理事(大沢雄一君) それでは、首長の兼職禁止の質疑応答は、この程度にとどめます。
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027・大沢雄一
○理事(大沢雄一君) 本日の予定の議事に戻りまして、特別とん譲与税法案を議題として、質疑を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/27
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028・成瀬幡治
○成瀬幡治君 大臣は、衆議院の方で話があるそうですから、大へん急いでおいでになるようですから、簡単に一つお伺いしたいと思います。
その第一は、私の方はこんな受取方を実はしておるわけなんです。と申しますことは、造船利子補給の問題が打ち切られた。これは、なるほど運輸省の方の関係かもしれません。そこでまあ一つ、外国航路ですから、いわゆる船舶関係の方に対して——外国航路ばかりじゃございませんけれども、そういうところに対して、一つ固定資産税というものを少しまけて、そしてとん税、あるいはとん譲与税というようなところにいって、結局穴埋めをこういうところでちゃんとしておるじゃないかと、こういう一つの見方がある。大臣は、そんなことはないだろうと、こうおっしゃるかもしれませんが、結果的に見ると、造船利子補給が打ち切られて、そして片一方では、今度とん税ができ、固定資産税が廃止されて、とん税あるいはとん譲与税というような形になっておるという結果から見ると、そういう疑いもあるが、その辺は、どういうふうに把握しておられるかということが一つ。
それから、これは、事務的に課長の方に伺いますが、今まで各市町村で固定資産税で入っておったところのそれが、今度とん譲与税になりまして、その穴のあくところが若干出てくると思います。そういうところに対しては、これに対して何か考えと申しますか、方策というようなことを考えておいでになるのかどうか。
この二点、一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/28
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029・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) 今の第一段の私に対するお尋ねでございますが、これは、そういうふうな事情は、名実ともにないわけでございます。全くそんなことは考えていませんし、また、そういう動機からきたものでもない。前々の委員会でだいぶくどく申し上げましたように、特別とん譲与税が新設をされると、そういう結果、これは一つ、外航船舶に対する固定資産税はもうやめちまったらいいじゃないかというような意見が、これは、わが党の行政部会でございますが、熱心にそういう、最初案を御相談申し上げたときに、二分の一にするなんということは、やめちまったらいいじゃないかという意見も出てきたわけです。しかし、どうしても、特別とん譲与税をいただく結果ということになると、全廃は困る。財政の都合の関係上、まあ二分の一程度でいこうじゃないかというような事情は、ありのままにはそういう事情があるんです。参議院さんの方に出てきまして、社会党の皆さんの方から、これはどうも利子補給の見返りじゃないかというような意味のお話がこの前に二、三度出たので、実は意外に思ったくらいでございまして、そういうことはございません。また、実際から申しましても、今事務から聞くのでございますが、三十一年度の外航船舶の建造のための融資の利子の補給額は、御案内の通り、三十一億円をちょっとこえておるわけでございます。しかし、このたびの固定資産税の二分の一減ということによって負担の軽減となる分は、わずかに一億四千四百万円となっておりますが、そういうことでございまして、これは、補いも何もつくはずのものではないと思います。三十一億円と一億四千四百万円の違い、これは、名実ともにそういう事情はないわけでございます。そういう陳情が実際あったことは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/29
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030・鎌田要人
○説明員(鎌田要人君) ただいまの第二の点でございますが、大体私のところで現在試算をいたしておりますところで、三十一年度の外航船舶につきまして、固定資産税の配分を受けました市町村数は九十四ございます。九十四の市町村の中で、二十ほどの市町村は開港に関係がなくなりますので、それだけの分は、まず特別とん税の譲与を受けられない、こういうことになりまして、そのかわりに、新しく十二の市町村が入って参りまして、これは現在、外航船舶の固定資産税の配分を受けなかったわけでございます。それが今度、開港の指定を受けますので、そこに入ってきまして、差引八十六ということになるわけでありまして、従いまして、若干の市町村につきまして、その間の入り組みで減収を生ずるおそれがあるわけですから、現在考えておる案といたしましては、その外航船舶の、配分の際は、入港回数によって配分をいたしておるわけであります。これを配分基準にいたしておるわけでございますが、この際に、不開港に対しまする外航船舶の入港につきましては、入港回数に、たとえば、開港の場合でございますと、一回は一回として計算する、それに対して不開港の場合には、一回を二回として、ウエートをつけて計算をする、こういうことで、激減緩和をはかりたいというような線で、今検討いたしておる最中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/30
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031・成瀬幡治
○成瀬幡治君 大体私も、何べんかもう議論されておるのでありますから、この辺でやめたいと思いますが、一つ最後にお尋ねしたいのは、何か今度、港湾法の一部改正か何かで、岸壁などを市町村が、あるいは自治体がやっておったのに対しまして、ある会社が出資をして、そこで、共同でその岸壁を作るというようなことの法律案が出ておる。何という法律か知りませんが、そんなようなことが考えられているそうですが、そんなことに関連して、特定な所により船が寄るようなことがあって、何かそこらあたりで不自然に思われてきやしませんか。それを不自然だというのは、前の固定資産税の配分のときと、今度とん譲与税になった場合とのことが考えられて、予想されるんじゃなかろうか。そのことも織り込んでみたとおっしゃるならそれまでなんですが、どんなふうなんですか、その辺……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/31
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032・鎌田要人
○説明員(鎌田要人君) ただいまお尋ねになりました点は、実は私ども、計算として織り込んでおらないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/32
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033・鈴木壽
○鈴木壽君 課長さんにお聞きしますが、外航船舶に対する今度のこういう措置ですが、諸外国ではどういうふうな例になっておるか、何かお調べになったものがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/33
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034・鎌田要人
○説明員(鎌田要人君) この固定資産税類似の税が、諸外国におきまして外国貿易船に課税をしておるかどうかという点につきましては、実は私どものところで資料を集めてみましたのですが、固定資産税に相当するような税を課税しておるという例は、現在まで調べましたところでは、一件だけわかっております。それは、米国のオレゴン州でございますが、ここで、州の財産税として、外航船舶に課税をしておる。その場合におきまして、やはり課税標準の特例を設けておるようでございます。そのほかにおきましては、私ども現在調査いたしましたところでは、財産課税的な現在の固定資産税に相当するものは、主要海運国ではないようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/34
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035・鈴木壽
○鈴木壽君 特別とん税みたいなとん税、そういうふうな関係は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/35
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036・鎌田要人
○説明員(鎌田要人君) とん税は、これはもちろん、諸外国ではあるわけでありますけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/36
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037・鈴木壽
○鈴木壽君 額なんか、できましたら一つ。もしあれでしたら、プリントしたものがあれば、あとでいただけばけっこうです、別に今……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/37
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038・鎌田要人
○説明員(鎌田要人君) 特別とん譲与税的なもので、現在のここで御審議をいただいておりますように、全額地方に譲与するという形のものはないと思います。とん税の諸外国の実情につきましては、ここに私、資料を持っておりますので、後ほどごらんに入れたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/38
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039・鈴木壽
○鈴木壽君 けっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/39
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040・大沢雄一
○理事(大沢雄一君) 他に御質疑はございませんか……。御発言がなければ、質疑はこれにて終結することにいたしまして御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/40
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041・大沢雄一
○理事(大沢雄一君) 御異議ないと認めます。本案の討論採決は午後に譲ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/41
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042・大沢雄一
○理事(大沢雄一君) 次に、離島振興法の一部を改正する法律案を議題に供します。まず発議者から、提案理由の説明を聴取いたします。衆議院議員綱島正興君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/42
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043・綱島正興
○衆議院議員(綱島正興君) 離島振興法は、昭和二十八年の第十六回国会において制定いたされましたが、その趣旨は、離島開発のための基礎条件をすみやかに整備いたし、産業振興の施策を強力に推進し、従って、離島の後進性をこれらと相まって除去するとともに、島民生活の向上をはかるために特別の措置を講ずるということで、大体この趣旨から最初立法いたされたのであります。自乗振興の実績は、必ずしも満足すべきものとはいいがたいので、年一年と振興の実をあげては参りましたが、本年三月八日の閣議で、三十三年度から、地域ごとの総合的な効果を発揮させるために、各省庁に分属している離島振興関係予算を経済企画庁の所管に一括計上することが決定いたされたのであります。このような離島振興に関する政府の熱意に対しましては、実は提案者も敬意を表するのでありますが、しかしながら、災害を受けやすい離島の災害復旧事業については、離島振興法に何らの規定がただいままでなかったのでございます。公共土木災害復旧事業費国庫負担法に基いて、本土、離島の区別なく、一律に国の負担率が定められておるのでありますが、そのため、離島振興事業のうち、港湾、漁港など、その根幹となっておる事業については、特に国が高率の負担をなすよう規定されておるにもかかわらず、これらの全額国庫負担をもって修築された諸施設が一度災害を受けました場合は、その災害復旧については、公共土木災害復旧事業費国庫負担法によりまして、本土と何ら区別なく、事業費の三分の一を地方公共団体が負担しなければならないというような不合理になっておるのであります。かくて、離島振興法の趣旨による高率負担は、災害復旧事業においても、どうしても生かされなければならぬのでございます。
なお、離島の地方財政は、いずれも逼迫いたしておりまして、地方公共団体の負担が困難であり、災害復旧が延引する実情にあるので、離島振興計画施行上に大きな障害になっておるのであります。よって、北海道と同様の特例を設けて、当該地方公共団体の離島において行う災害復旧事業費に限り、公共土木災害復旧事業費国庫負担法に基いて算定される国の負担率は、五分の四を下らざるように措置するということが、本改正法案を提出いたしました理由でございます。
なお、この際付言して申し上げておきたいのでありますが、離島振興法を最初制定いたしますときに、離島関係の都道府県から資料をもらいまして、提出いたしましたときは、年々五億円ほどを従来の公共事業費に増加いたしますと、大体離島は、十年くらいで後進性がないようになるだろうという説明でございましたので、一応そういうものかと思って、提案理由もそういうふうに御説明を申し上げたのでございます。ところが、実際に振興法ができました翌年からこれを実施して参りまして、五億円以上添加いたしたのでありますが、その実情から申し上げますと、ただいまでも、離島と同じ面積が本土にございますと仮定いたし、また、離島と同じ人員が本土のその面積に住まっておるといたしますと、一人当りに大体二千円の公共費を国が負担いたしておる。離島についてはこれが千円でございます。ただいま現在、増額いたしまして千円でございます。その上、離島の漁港、港湾の多くは、本土が利用いたしておりまして、大きな港などになりますと、船がつないでございますのうちの八割から九割までは本土の船でございまして、離島船ではないのでございます。実際の利用者は本土でございますのに、公共事業をやりましても みな本土並みの負担をいたす、つまり受益者にあらざる現地の者がどの受益者となぞらえられる負担をいたして参りますために、非常な不均等が起っておるのでございますために、それらの点から、特に漁港、港湾等の全額負担をとりきめたのでございますが、一たび災害に見舞われますと、実は災害復旧は、本土並みのいわゆる公共土木災害復旧事業費国庫負担法に基いて負担をいたして参りますために、大きなものは、本土におきましても十分の十を国庫が負担いたしますが、小さいものになりますと、三分の一というような負担をいたして参る。港湾、漁港等の全額国庫負担の地域が災害にかかりましてもそういうことでございまして、離島の防波堤はえてして破壊いたしたり、災害によって破壊されるのでございますが、さて修築の予算を持っておりましても、災害でつぶれたものがございますと、それをやってからということになると、何年たっても修築はできないで、災害復旧もできない、こういうことに相なりますので、このたび、この災害復旧に対する国庫負担法を改正していただくことと、それから国が予算を一本化するということを閣議で決定いたしましたために、これと相待って、特別な処置をしていくよりほかないと考えますことと、どうしてもこれの災害復旧だけが従来の通り本土の方と同じようになって参りますと、先ほど申し上げましたように、公共土木費なんというものは、頭割りしたり、地域割りすると、本土の半分くらいしかつかない。さなきだにおくれているものが、なおおくれる速度が加わっていくというような実情でありますから、特に災害復旧に対する北海道並みの五分の四以下のものは五分の四を国庫が負担する、それ以上のものは、本法にある通りの適用を受ける、こういう改正案であります。どうぞ慎重御審議を願いますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/43
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044・大沢雄一
○理事(大沢雄一君) 本案について、これより質疑を行います。質疑のおありの方は、順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/44
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045・成瀬幡治
○成瀬幡治君 これ、予算はどのくらいのことをおよそ想像されるのですか。これは災害ですから、何もないといえばそれまでだと思いますが、どんなことになりますか。あなたの方がこれをやられるときに、私は大蔵省等の意見もお聞きになったと思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/45
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046・綱島正興
○衆議院議員(綱島正興君) これは大体予算は見当が、災害復旧のものですから、まあ一づかみに見ようという意見もございましたが、これは無理だろうということで、予算としては幾らという予定をしていないわけでございますが、御承知の通り、既往の災害復旧をして参りますのに、同年度内の多く予備費から出しておりますから、この予算をどういうことには関与しておらぬのですか、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/46
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047・成瀬幡治
○成瀬幡治君 私も当然だと思います。それは、災害が起きてからの話であるから、そんなことは予算には予測してないと思うから、それは当然だと思いますが、しかし、それだからといって、予算の中には若干の予備費がある。そういうことになっておりますから、大蔵省はどういう見解か、どうせあなた方が御折衝になったんでしょうから、そのときのいろんな折衝の過程において、若干の意見の交換等があったろうから、もしあったら、その点をお伺いしたいのでございますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/47
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048・綱島正興
○衆議院議員(綱島正興君) これは、その大したことにはなるまいというだけの折衝に終ってしまったんですが、いろいろ数字を言うてみても、どうも見当がつきませんでね。それから、こういう今までと違って、ただいままでは、この提案理由の説明で先ほど付言することを落しましたが、最初の法案提案のときは、外海に面した離島だけというつもりで、そういう説明をいたしております。ところが、だんだんやって参りますと、外海に面した離島だけが後進性であるときまらないのですね。瀬戸内海のうちなんぞにも、電灯もなければ、もう港も何も、修築してないのが大へんございます。そこで、今度はどうしても瀬戸内海のようなところも、ひどいところはやはり振興法に指定していかねば、非常に島といっても、都会みたいな島も瀬戸内海にはございますけれども、もうほとんど閑却されて、人口などは、十年間だんだん減っていく一方だというような島もあるのです。離島は、大体の特徴といたしましては、全部人口はふえないのです、どこも。一例を申し上げますと、佐渡島、それこそ草木もなびく住みよいというような歌まではやっておる所ですが、実際は、あれだって人口はふえていない。多くの島はかえって減っておる、そういう状態が、結局航路が十分にございませんこと、まず第一に、漁港、港湾の整備がおくれておりますこと、各地方団体におきまして、どうしても離島から出ておる人よりは本土から出ている人の方が県会議員にしても数が多い。従って、勢力が多いから、どうも離島の方が二の次になっておるというような実情がございまして、そういう等のことから、非常に閑却されておるので、そういうことをいろいろ考慮したら、そう災害のことをきびしくいわぬでもいきやせぬかというようなことで、実は大へん不用意のようですが、計数的の、およそ幾らになるだろうというような何はしておらぬのですが、腰だめでやったわけですが、大したことにならないという……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/48
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049・成瀬幡治
○成瀬幡治君 今あなたは、今度の一部改正案の中で、先ほど御指摘になったような、そういう所は、それでは修正案の中に入っていないのですか、一部改正案の中には。そういうような所が、たとえば経審等と同じになって、そういうところにも振興法が通用される……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/49
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050・綱島正興
○衆議院議員(綱島正興君)瀬戸内海ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/50
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051・成瀬幡治
○成瀬幡治君 そうです。そういうことが今度やれるようになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/51
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052・綱島正興
○衆議院議員(綱島正興君) 実はただいままでは、実情を申し上げますと、企画庁にこれを担当の人が二人か三人しかいない。でもう実情は指定せにゃいかぬということがわかっておっても、どうしてもやれないのですよ、事実上企画庁に無理がいって。もう担当している人は、夜寝るひまもないようにして調査しなければならぬけれども、そこで今度、三月八日の閣議の節に……大体それでできるのです。できることはできるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/52
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053・鈴木壽
○鈴木壽君 今のお話は、たとえば内海、当初の案で参りますと、外海に面した離島だけが対象になるのだと、しかし、内海の島であっても、この対象に入れるという現実の必要性があると、こういうお話でございましたね。法の建前からすればそういうことではないが、これは、閣議決定でそういうことがやれる、こういうお話なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/53
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054・綱島正興
○衆議院議員(綱島正興君) それは、本法には書いてないのです。提案理由の説明で、外海に面したところをという離島の定義みたような説明をいたしております。今度それは変更せにやならぬような実情になって参りました。ところが、事実上それはもう変更しないと、これはやれないということで、審議会や何かも、そういうふうな大体意向にきまって参りましたのですけれども、何分にも困りますことは、最初そういうことであったのですから、担当役所の役人というものは三人ばかりしかいないので、事実上できなかったのです、行政上。それを閣議決定で人員もふやすと、衆議院の付帯決議も念のためにつけてもらいまして、行政の何を充足するという付帯決議もつけまして、しておるわけで、それもふやすということが法文にはないから、改正案ではございませんけれども、内容には含まっておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/54
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055・大沢雄一
○理事(大沢雄一君) それでは、この際ちょっとお諮りいたします、ただいま審査中のこの法律案に関連ある請願が二件、本委員会に付託されておりますので、法律案の審査の参考とする意味におきまして、間にはさみまして、請願の審査を行いたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/55
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056・大沢雄一
○理事(大沢雄一君) 御異議ないと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/56
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057・大沢雄一
○理事(大沢雄一君) 請願第千四百三十八号離島振興法の一部改正に関する請願。請願第千五百九十一号離島振興計画促進に関する請願、以上二件を一括して議題に供します。
まず、専門員より内容につきまして説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/57
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058・福永与一郎
○専門員(福永与一郎君) 請願二件でございますが、まず最初の千四百三十八号は、離島の財政貧困の最大の原因は、交通網の未整備にあるので、道路法第五十六条に規定する費用についての国庫補助の割合を国道と同じく、現在三分の二になっておるのを四分の三に引き上げて、離島開発の促進をはかっていただきたいというものでございます。
その次の千五百九十一号は、離島振興法は昭和二十八年施行の十カ年の時限法であるが、その後三年間の実績を見るに、遅々として助成措置が進まないのである。その原因は、ただいまお話がありましたように、計画実施に要する予算が関係各省に分散しておることが、最大の支障となっておるので、離島振興関係の予算を総理府の予算に一本化するとともに、これが予算を増額し、離島振興計画の促進をはかられたいというものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/58
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059・大沢雄一
○理事(大沢雄一君) 次に、両請願に対する政府の意見を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/59
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060・植田俊雄
○政府委員(植田俊雄君) 第一の、離島に対する道路の補助率の引き上げの問題でございますが、もともと離島につきましては、一般の本土より高い補助率、本土の場合が二分の一でございますれば、三分の二に引き上げられておったわけでございます。ところが、御承知の通り、本土の方が県道等についても三分の二の補助になっておりますので、均衡上それよりも一けた高いところの四分の三の補助率にしてはどうかという問題でございます。本土の方が引き上ったから、離島必らずしも一けたづつ上っていかなければならぬという原則は、必ずあるわけでもございませんけれども、しかしながら、離島の開発におきましては、道路という問題がきわめて重要でございますので、ただいまのところ、この法律の所管省でございますところの建設省とも十分打ち合わせをいたしておりませんし、また、法律の改正法律を出すという段階までは立ち至っておりませんが、今後、この点は十分研究いたしまして、理由があれば、また改正のことも当然研究さるべきものと考えておるわけでございます。
第二の点の一括計上の問題でございますが、先ほど、今回の改正案の提案者でございます綱島先生からお話のございましたように、離島については、とかく中央官庁も、これを軽視するわけでもございませんが、ともすれば、本土の方に予算が多く行き過ぎて、離島が閑却されるような結果にもございます。また、地方行政におきましても、そういううらみがないわけでもないわけでございます。せっかく離島の振興計画を立てましても、思うように予算の執行ができないという状況でございますので、昨年以来、この離島の予算を事項だけ立てて、予算書に計上いたしたのでございますが、それだけでも不十分だということがわかりましたので、三十二年度においてはこの点は解決できませんでしたが、三十三年度から、経済企画庁に公共事業的な経費を一括計上いたしまして、離島の振興を大いに推進いたしたいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/60
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061・大沢雄一
○理事(大沢雄一君) 両請願に質疑がございましたら、お願いいたします。(「質疑なし」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/61
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062・大沢雄一
○理事(大沢雄一君) 別に御発言がなければ、請願の審査はこの程度にいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/62
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063・大沢雄一
○理事(大沢雄一君) 法律案の審査を続行いたします。
御質疑はございませんか。(「質疑なし」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/63
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064・大沢雄一
○理事(大沢雄一君) それでは、本案に対する質疑は、次回に続行することにいたしまして、本日はこれにとどめます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/64
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065・大沢雄一
○理事(大沢雄一君) ただいま委員の異動がございました。森田豊壽君が辞任されまして、成田一郎君が補欠選任されましたので、御報告いたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/65
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066・大沢雄一
○理事(大沢雄一君) 次に、特別とん譲与税法案を議題に供します。
本案につきましては、先刻質疑を終局いたしましたので、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて、採決に入ります。
特別とん譲与税法案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の諸君の挙手を求めます。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/66
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067・大沢雄一
○理事(大沢雄一君) 多数と認めます。よって本案は、多数をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第百四条による本会議における委員長の口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/67
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068・大沢雄一
○理事(大沢雄一君) 御異議ないと認めて、さよう決定いたします。
それから、報告書には、多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は、順次御署名を願います。
多数意見者署名
小林 武治 森 八三一
吉江 勝保 館 哲二
成田 一郎 伊能繁次郎
小柳 牧衛発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/68
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069・大沢雄一
○理事(大沢雄一君) 本日はこれにて散会いたします。次回は、公報をもって御通知いたします。
午後零時十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614720X02619570418/69
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