1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十二年四月一日(月曜日)
午後一時三十七分開会
―――――――――――――
委員の異動
三月二十二日委員野田俊作君辞任につ
き、その補欠として井野碩哉君を議長
において指名した。
三月二十六日委員横川信夫君辞任につ
き、その補欠として西岡ハル君を議長
において指名した。
三月二十七日委員西岡ハル君及び最上
英子君辞任につき、その補欠として堀
木鎌三君及び石原幹市郎君を議長にお
いて指名した。
三月二十八日委員手島栄君、前田佳都
男君及び新谷寅三郎君辞任につき、そ
の補欠として苫米地義三君、森田豊壽
君及び鈴木万平君を議長において指名
した。
三月二十九日委員森田豊壽君、鈴木万
平君及び苫米地義三君辞任につき、そ
の補欠として前田佳都男君、新谷寅三
郎君及び手島栄君を議長において指名
した。
三月三十日委員堀木鎌三君及び石原幹
市郎君辞任につき、その補欠として横
川信夫君及び最上英子君を議長におい
て指名した。
―――――――――――――
出席者は左の通り。
委員長 剱木 亨弘君
理事
手島 栄君
最上 英子君
鈴木 強君
長谷部ひろ君
委員
石坂 豊一君
新谷寅三郎君
中山 壽彦君
宮田 重文君
横川 信夫君
三木 治朗君
光村 甚助君
森中 守義君
山田 節男君
横川 正市君
奥 むめお君
国務大臣
郵 政 大 臣 平井 太郎君
政府委員
郵政政務次官 伊東 岩男君
郵政省電波監理
局長 濱田 成徳君
事務局側
常任委員会専門
員 勝矢 和三君
説明員
郵政省電波監理
局法規課長 石川 義憲君
日本電信電話公
社総裁 梶井 剛君
日本電信電話公
社副総裁 靱 勉君
参考人
日本放送協会副
会長 小松 繁君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選
○公衆電気通信法の一部を改正する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
○日本放送協会昭和三十年度財産目録、
貸借対照表及び損益計算書並びにこ
れに関する説明書(内閣提出)
○派遣委員の報告
○電気通信並びに電波に関する調査の
件(船舶無線に関する件)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614816X01019570401/0
-
001・剱木亨弘
○委員長(剱木亨弘君) ただいまより委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。去る三月二十二日野田俊作君が辞任され、井野碩哉君に、二十六日横川信夫君が辞任され、西岡ハル君が、二十七日西岡ハル君が辞任され、堀木鎌三君が、最上英子君が辞任され、石原幹市郎君が、二十八日手島栄君が辞任され、苫米地義三君が、前田佳都男君、新谷寅三郎君が辞任され、森田豊壽君、鈴木万平君が、二十九日苫米地義三君、森田豊壽君、鈴木万平君が辞任され、手島栄君、前田佳都男君、新谷寅三郎君が、三十日堀木鎌三君、石原幹市郎君が辞任され、横川信夫君、最上英子君がそれぞれ委員に選任されました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614816X01019570401/1
-
002・剱木亨弘
○委員長(剱木亨弘君) 次に、理事の補欠互選についてお諮りいたします。
手島栄君及び最上英子君の委員の辞任により、欠員となっております理事の互選につきましては、先例により委員長において指名いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614816X01019570401/2
-
003・剱木亨弘
○委員長(剱木亨弘君) 御異議ないと認め、理事に手島栄君、最上英子君を指名いたします。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614816X01019570401/3
-
004・剱木亨弘
○委員長(剱木亨弘君) 参考人についてお諮りいたします。
当委員会に付託されております日本放送協会昭和三十年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書の審査に当り、日本放送協会会長永田清君、副会長小松繁君、理事溝上銈君、理事稻葉駿作君、理事池田幸雄及び経理局長首藤憲太郎君、以上六名を参考人として本件の審査中随時出席を求めたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614816X01019570401/4
-
005・剱木亨弘
○委員長(剱木亨弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614816X01019570401/5
-
006・剱木亨弘
○委員長(剱木亨弘君) それでは、公衆電気通信法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案は去る三十日衆議院で可決され、本委員に付託されております。
まず、本案の提案理由について説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614816X01019570401/6
-
007・平井太郎
○国務大臣(平井太郎君) ただいま議題となりました公衆電気通信法の一部を改正する法律案について、提案理由を御説明申し上げます。
公衆電気通信法の施行に伴いまして、構内交換設備等につきましては、公社の直営のほか、加入者の自営を認めて参ったのでありますが、その建設保守は順調に行われ、また、このような両者共存の制度によりまして、サービスは向上いたしますとともに、加入者の利便も増大して参ったと認められます。このような実情にかんがみまして、単独電話または共同電話の電話回線に接続されます付属電話機等であって郵政省令で定めるものにつきましても、加入者の自営を認めまして、その便益に供しようとするものであります。
次に、現行法におきましては、加入者または専用者が構内交換設備等を自営いたします場合には、電話回線に接続するものの全部についていたさなければならないこととなっておりますが、加入者等が公社の直営設備を使用しております場合に、特殊な設備につきましては、その部分だけを加入者に自営させても差しつかえない場合もございますので、これを認めることにいたそうとするものであります。
なお、このたび自営を認めるものにつきましても、従来と同様工事担任者制度を適用し、また、技術基準も設けまして、公衆電気通信に支障を及ぼさないよう十分配慮いたしております。
また、付属電話機を自営する場合には、負担金の支払いは要しないことといたそうとするものでありますが、そのためには、電話設備費負担臨時措置法の一部を改正する必要がありますので、これを本法律の付則に規定いたしたいと存じます。
何とぞ、十分御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願い申し上げる次第であります。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614816X01019570401/7
-
008・剱木亨弘
○委員長(剱木亨弘君) 次に、日本放送協会昭和三十年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書を議題といたします。
本件について説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614816X01019570401/8
-
009・平井太郎
○国務大臣(平井太郎君) ただいま議題となりました日本放送協会の昭和三十年度財産目録、貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書について、概略御説明申し上げます。
日本放送協会のこれらの書類は、放送法第四十条の規定に基きまして国会に提出いたすものであります。
協会から提出されました昭和三十年度の貸借対照表の詳細は、お手元の書類の通りでありますが、その概要について御説明申し上げますと、昭和三十一年三月三十一日現在における資本総額は三十九億八千三百余万円であり、これに照応する資産は八十二億五千百余万円、負債は四十二億六千八百余万円となっております。資産の内容を見ますと、流動資産八億九千三百余万円、固定資産六十七億五千九百余万円、特定資産五億三千七百余万円、繰延勘定六千余万円となっております。また、負債の内容は、流動負債四億八千三百余万円、固定負債三十七億八千四百余万円となっております。
損益につきましては、事業収入は、ラジオ関係が百二億三千五百余万円、テレビジョン関係が三億八千八百余万円、事業支出は、ラジオ関係が九十三億五千九百余万円、テレビジョン関係が九億四百余万円で、ラジオ関係においては、当期剰余金八億七千六百余万円、テレビジョン関係においては、当期欠損金五億千六百余万円となっており、協会の事業収支全体から見ますと、差引当期剰余金三億六千余万円となっております。
以上で概要の説明を終りますが、何とぞよろしく御審査のほどをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614816X01019570401/9
-
010・剱木亨弘
○委員長(剱木亨弘君) 次に、日本放送協会副会長小松繁君、説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614816X01019570401/10
-
011・小松繁
○参考人(小松繁君) 日本放送協会といたしまして、昭和三十年度財産目録、貸借対照表、及び損益計算書についてその概要を御説明申し上げます。
まず、お手許にございます財産目録と貸借対照表について申し上げますと、昭和三十一年三月三十一日現在における固有資本は三十二億五千百九十五万円でありまして、これに対し資産は八十二億五千百四十五万円、負債は四十二億六千八百三十六万円でございますので、資産から負債と固有資本を差し引いた剰余金は七億三千百十四万円でございます。このうち当期剰余金は三億六千六十三万円となっておりますが、その内訳を申し上げますと、ラジオでは八億七千六百六十七万円の剰余金を出しましたが、他方、テレビジョンでは五億千六百四万円の欠損金を見たため、差引当期剰余金は、先ほど申し上げました通り、三億六千六十三万円となるわけでございます。
次に、順を追って前年度との比較を御説明いたしますと、まず固有資本につきましては、十二億千九百十六万円の増で三十二億五千百九十五万円となりましたが、これは昭和二十九年度に実施しました第二次再評価の積立金を固有資本に組み入れたためでございます。次に資産につきましては、昭和二十九年度末に比較しまして、六億九千三百七万円の増で、当年度末におきましては八十二億五千百四十五万円となりましたが、この内訳を申し上げますと、流動資産では二億八千八百七万円の増で、八億九千三百三十一万円でございます。
次に、固定資産は五億二千七十二万円の増でございますが、これは東京放送会館新館並びに名古屋放送会館の建設、広島、福岡、仙台テレビジョン局の建設のほか、難聴地域の解消を目標とする既設局の増力、及び中継放送所の建設等でふえたものでありまして、当年度末六十七億五千百七十三万円となったものであります。
次に、特定資産は放送法第四十二条第三項によって積み立てた放送債券債償還のための資金でありますが、これは償還が順調に進んで五千九百万円の減となり、その結果五億三千七百六十万円となりました。
繰延勘定は五千六百七十二万円の減で当年度末は六千八十一万円となりましたが、これは主として昭和二十九年度決算の際の減価償却不足分を当年度で償却したためでございます。
以上で資産につきましての御説明を終り、次に負債についてお話し申し上げますが、これは昭和二十九年度末に比較いたしまして三億五百三十一万円の増で、当年度末におきましては四十二億六千八百三十六万円となりましたが、この内訳を申し上げますと、流動負債では九千六百六十一万円の増で四億八千三百六十六万円となりましたが、これは主として未払金の増によるものでございます。
次に、固定負債では、まず放送債券はラジオで三億四千六百万円の減、テレビでは一億九千八百万円の増で、当年度末の発行残高は二十億八百万円となりました。
次に、長期借入金は、ラジオでは前年度末の借入残高九千三百三十万円を当年度で全額返済いたしましたが、他方テレビでは、四億五千万円の借り入れ増がありましたので、長期借入金は十七億七千六百七十万円となり、さきに御説明いたしました放送債券の二十億八百万円と合せまして、固定負債全体としては三十七億八千四百七十万円となったのでございます。
次に、損益計算書について御説明申し上げますと、まずラジオにおきましては、事業収入は百二億三千五百九十一万円、事業支出は九十三億五千九百二十四万円となり、差引当期剰余金は八億七千六百六十七万円となりました。
さて、収入においてこのような成果を上げ得ましたのは、受信料収入が昭和二十九年度に比較し五億七千二百八十七万円の増をまた当年度予算に対しても一億三百六十五万円の増となったためでありますが、これは受信者低普及地域の開発、事業の周知の努めるとともに、また受信者の早期契約締結運動を積極的に推進したためであります。すなわち有料受信者数は当年度内において予算六十万増に対し七十万増の実績を上げ、年度末一千二百八十万となったのであります。
次に、以上申し上げました収入財源をもって事業の推進にも積極的努力を払い、このため支出におきまして、事業費は昭和二十九年度に比較し五億六千三百六十万円の増を示しました。すなわち、この事業費におきましては、事業計画に基き放送番組の充実、ローカル放送の拡充、相談業務等による受信者へのサービスの向上、技術研究部門の強化、放送博物館の開設等を実施いたしますとともに、事業計画等御承認の際、付帯決議をもって特に要請せられました国際放送の拡充及び経営の合理化、能率の増進等に基く経費の節減による職員の待遇改善等につきましても、御趣旨を体して鋭意実施に当りました。
次に、テレビジョンにおきましては、事業収入は三億八千八百二万円、事業支出は九億四百七万円となり、差引当期欠損金は五億千六百四万円となりました。この欠損は、長期採算の構想に基くテレビジョン五カ年計画の第三年度で計画進行中のため生じたものであります。当協会としては置局計画をすみやかに実施するとともに、放送番組の内容を充実して、一日も早くテレビジョンの全国普及をはかろうとして着々その歩みを進めている過渡期の現象でございまして、これらの欠損は長期借入金五億円並びに受信料の増収によってまかなわれたわけでございます。すなわち、受信料収入は昭和二十九年度に比較し二億六千二百二十八万円の増、また当年度予算に対しても五千三百九十七万円の増となり、有料受信者数は当年度内において予算七万五千増に対し十一万二千増の実績を上げ、年度末十六万五千となったのであります。
さて、事業支出におきまして、事業費は昭和二十九年度に比較し七千八百三十五万円の増を示しましたが、この事業費におきましては、報道、教養放送の充実及び健全な娯楽放送等の充実をはかるとともに、他面、テレビジョンの実験公開等によりテレビジョン受信の普及にも大いに努力いたしました。
以上で財産目録、貸借対照表、及び損益計算書について一応御説明申し上げましたが、最後に、ラジオ、テレビジョン各部門についての資本収支と事業収支並びに収支剰余金について簡単に御説明いたしたいと思います。
まずラジオ収支全般について見ますと、収入は、資本収入十億四千七百二十八万円、事業収入百二億三千五百九十一万円を合せて、収入総額百十二億八千三百十九万円となり、また支出は、資本支出十八億六千百十万円、事業支出九十二億四千八百九十一万円を合せて、支出総額百十一億千万円となり、差引当期の収支剰余金は一億七千三百十九万円でございましたが、これに前年度からの繰越金を加えまして、四億五千八百十二万円を三十一年度に繰り越した次第でございます。
次に、テレビジョン収支全般について見ますと、収入は、資本収入、八億二千六百七十八万円、事業収入三億八千八百二万円を合せて、収入総額十二億千四百八十一万円となりました。支出は、資本支出三億四千二百二万円、事業支出八億六千五百六十万円を合せまして十二億七百六十二万円で、差引当期の収支剰余金は七百十九万円でございましたが、これに前年度からの繰越金を加えて、千七万円を三十一年度に繰り越した次第でございます。
以上をもちまして昭和三十年度決算の概要説明を終りますが、協会の現在の財政状況はおおむね良好な状態で持続しておりますけれども、なおNHKの公共放送としての重大使命と責任に照らし、皆様の御意向に沿い、今後とも一そう事業の運営に意を用い、国民の皆様の御期待にそむかぬよう、最善の努力をいたして参りたい所存でございます。何とぞ、よろしく御審議のほどお願いいたす次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614816X01019570401/11
-
012・剱木亨弘
○委員長(剱木亨弘君) 以上をもって説明を終り、質疑は次回に行うことといたします。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614816X01019570401/12
-
013・剱木亨弘
○委員長(剱木亨弘君) 次に、先般電話の自動化に付う対策について調査のため委員派遣を行いましたが、この際、派遣委員の報告を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614816X01019570401/13
-
014・鈴木強
○鈴木強君 去る三月二日における委員会の決定により、北九州地区の自動電話化に伴う対策につきまして、その実情を調査するため、剱木委員長並びに私が福岡県に派遣され、詳細に調査をして参りました。その概要について簡単に御報告いたします。
まず、福岡市において九州電気通信局長より、北九州の電話自動化に関する説明を聞き、さらに組合側から、この自動化に伴う諸問題について種々の公社側に対する要求及び意見を聴取いたしました。さらに、このたび自動化される折尾、八幡、小倉、大里及び門司の各局の施設を視察し、現場における当面した諸問題について、当該各局長並びに職員側より意見を直接聴取いたして参りました。
まず、北九州における公社の計画中、設備関係は、市内関係については、門司、八幡、折尾の各局を本年七月中旬にH型自動式に改め、同時に、折尾は八幡へ区域合併を行い八幡の従局とし、門司には大里の従局を設置することになっております。これに伴って、市内監査機は小倉に集中設置をする計画であります。また以上の自動式と同時に、市外関係は、門司、八幡と、さきに自動化した小倉、若松、戸畑の五局相互間は自動即時、また門司、八幡と福岡間も自動即時となるのであります。また、この自動化とともに、北九州五市局と下関の間は自動即時となり、なお、三十二年度内に北九州五市と、直方、飯塚、又田川、行橋、熊本、久留米、大牟田とは半自動即時あるいは手動即時となる計画であります。また、北九州地区及び福岡に十一カ所のサービス・ステーションを設置するとのことであります。
以上の計画に伴う要員につきましては、小倉局は市外関係が集中するため十一名の増員でありますが、門司では現在員百九十八名で、改式と同時に九名となり、八幡局は百九十三名が十名、折尾局は三十六名が四名となる結果、本社員三百一名、臨時者四十一名、時間制八十六名、計三百九十三名が過員となり、その他に、福岡筑豊地区に社員の配置転換を実施するため、臨時職員約百名の過員がさらに生ずる予定であります。この過員となりました社員三百一名につきましては、福岡電話局へ九十名、筑豊地区の電報電話局へ七十名、サービス・ステーションへ二十三名、小倉電話局の時間制臨時者の肩がわり三十五名、熊本、久留米、行橋、田川各局の手動即時による増員として三十五名、管外局及び欠員局へ九名、また退職者四十名を見込んでおります。
この配置転換を行うに当っては、公社として、本人の希望を調べ、また通勤不可能な場合は宿舎を設備する等、無理のないように十分考慮して実施したい旨の説明がありました。なお、整理を予想される臨時作業員の措置につきましては、極力就職のあっせんを行うため、各関係の市当局、商工会議所あるいは電話協会と緊密な連絡をとって話を進めておるとのことで、現在少数ながら求職の申し込みがあり、今後も努力していきたいとのことでございました。
一方、組合側においては、電話の自動化によりサービスの改善をはかることは当然の責務であるが、自動化によってのみサービスの向上を達成することはできないのであって、むしろ公社が今回計画している設備計画については改善する余地が残されているのであって、たとえば市内監査機を八幡、門司の両局に設置すること、無人局である大里において料金収納、加入業務等を行うこと、また案内、交換、サービスを充実するために要員を増加すること、あるいは現在十一カ所を予定されているサービス・ステーションを、二十カ所設置して利用者の便宜をはかる等計画を変更されたい、その他の面においてもサービスを改善する余地があるから、自動化によって生じた余剰人員はサービス面に配置転換されたい等の要求が出されておりました。また、このたびの配置転換が、予想される対照は女子職員であって、そのうち既婚者が三〇%を占めている状態であります。従って、このような職員を通勤に長時間を要する場所へ配置することは困難な実情で、もしこれを強行した場合は能率の低下を来たし、さらに通勤不可能となる結果、実質上の首切りとなるおそれがあるから、無理な配置転換を行うべきでない。また、この際長期欠勤者の補充として、あるいは自然減耗の補充として、オーバー配員を実施されたい等、種々の要求がなされておりました。なお、臨時作業員は本社員として採用し、もし採用されない者については、公社において新たな職業を確保するよう、強い要求がなされておりました。
以上が公社側の計画並びに職員側の意見でありますが、この調査に当って感じますことは、公社が第二次五カ年計画を進めていく上に、このような現実の問題が生ずることは必至と考えられます。従って、この問題は単に北九州地区の一問題でなく、公社の事業全体の問題として計画を立てなければならぬと思うのであります。電話の自動化が公衆に及ぼす利便は申すまでもないのでありますが、なお一そうサービスの改善に努力する必要があるのではなかろうか。たとえば案内、交換のサービスを迅速に行うとか、またサービス・ステーションの設置においても、現在一日二百八十回を基準としておりますが、公衆の便を考へ、少々の基準を落しても増設する必要があるのではなかろうか。また料金収納においても何らかの方法で、いま一段の加入者の便をはかる必要はなかろうか。公社としても合理化を実施するため、膨大な資金を投下して着々その実現に努力され、しかも予算的に制約を受け、種々困難な面もあると想像されますが、以上のような諸点のサービスの拡充によって、余剰職員の配置が可能ではないかと考えられるのであります。
なお、八幡、小倉、門司の各市長、市議会議長、商工会議所会頭を訪問し、このたびの職員の就職についてその実情を伺い、また協力をお願いして参ったのでありますが、各地ともに、この際公社が一そうサービスの面の強化を実施されるよう強く要望しており、就職については、電話協会を通じ積極的に公社に対し協力することを誓っていただいたことは、われわれとして感銘いたした次第であります。
さらに、帰途、広島県三原電報電話局の合理化計画の実情を調査したので、あわせて概要を御報告いたします。
三原局における合理化の公社側計画は、三原局の自動改式と同時に、市外電話は尾道に集中されるもので、三月三十一日同方式に切りかえと同時に、要員に過剰を生ずるもので、公社側の説明によると、三月十八日本委員会において藤田委員並びに私の質疑の際、公社の靱副総裁並びに山本職員局長より説明を受けた内容とは若干の変更があり、現在電話交換要員として四十四名配置されておりますが、そのうち交換事務を自動化することによって十四名を除き過員となるのであります。従って、三十名の要員が過員となり、そのうち局内での職種転換が五名、尾道局へ十四名、松永局へ六名、尾道電報局へ四名、海田局へ一名の配置転換の計画を考えており、また臨時作業員五名中一名は希望退職し、一名は他に就職し、残り三名については、他に就職のあっせんをするか、または部内の他局へ配置がえすることになっております。
これに対して組合側は、運用部門の座席安員として六名、監査要員として二名、案内台を一台増加し、これに伴う要員として一名、計九名の増員を要求しております。さらに、機械試験部門六名、線路部門四名、庶務部門四名、営業部門一名と、それぞれサービス増強のため増員方、公社に要求をいたしております。なおまた、尾道電話局の市外集中に伴う市外回線自動即時化による、施設増加と事務量の増加による要員として、最低十九名の増員も要求されております。
問題は、改式後のサービス向上の考え方と、新定員算定に対する労使双方の考え方にかなりの相違があることが、問題の焦点となっております。しかしながら、労使とも問題解決のために積極的な努力をしておりますので、定員措置に対する問題は残るとしても、円満解決の方向に進むことを信じております。
以上で報告を終りますが、後刻詳細な資料をお手元に配付いたします。以上。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614816X01019570401/14
-
015・剱木亨弘
○委員長(剱木亨弘君) ちょっと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614816X01019570401/15
-
016・剱木亨弘
○委員長(剱木亨弘君) それでは速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614816X01019570401/16
-
017・新谷寅三郎
○新谷寅三郎君 私は、質疑の通告をするときに、郵政省の方に質疑内容を言っておきましたから……。電波監理局長、来ておられますね。それから無線関係の課長かだれか来ておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614816X01019570401/17
-
018・剱木亨弘
○委員長(剱木亨弘君) 来ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614816X01019570401/18
-
019・新谷寅三郎
○新谷寅三郎君 私がお尋ねしようという点は、皆さん御承知だろうと思うのですが、これは今さら繰り返すのを非常に私はいやな気がするのですが、昭和二十七年の第十三国会で、私はやっぱりこの問題について質疑をして、当時電気通信省当局の注意を喚起したことがあるのです。ここにおられる山田君も、当時同じ委員会で、この問題についてやはり関心を持って質疑をしておられるのです。
お尋ねしますが、今度船舶職員法という法律が今参議院に提案されておるのですが、これを立案されるに当りまして、運輸省の当局からあなたの方に、電波監理局に交渉をしたと言うのですが、どんな交渉をして、そうしてあなた方はそれに対してどういう態度をおとりになりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614816X01019570401/19
-
020・濱田成徳
○政府委員(濱田成徳君) その連絡を受けました法規課長に、詳細を答えさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614816X01019570401/20
-
021・石川義憲
○説明員(石川義憲君) 概略でございますけれども、お答えいたします。
運輸省が船舶職員法の全面改正を考えられまして、まあ私の方が相談を受けたわけであります。その内容といたしましては、いろいろ提議があったのでありますが、特に問題に出しました点は、船舶職員の中に通信長というものを一つ置いていただきたいという御意見を申し上げております。それから次には、大きい問題といたしましては、船舶職員における船舶の通信士の定員でありますが、この問題につきまして改正案をお示しいただいたのであります。さらに、そのほか若干こまかい、しかも電波法に――電波法といいますか、電波行政に関係した点もありますが、大きな問題は、その二点でございました。
それで、その二点につきまして、実は数回にわたりまして、運輸省の事務当局と折衝を続けて参ったのであります。その結果といたしまして、通信長の問題も、この際、従来の一等船舶通信士というのにかえて、通信長を置いていただくということにいたしました。それから通信士の定員でありますが、この問題につきましては、運輸省の原案の中に、問題をしぼって申し上げますと、たとえば五千五百トン以上の貨物船におきまして、通信士の定員を何名にするかという問題について申し上げますと、そのうち運輸省側としては、これを、現行三名となっておりますものを二名としたいと、こういう御意向であったように覚えています。それでその内容をいろいろ――内容と申しますか、当時の案文を拝見いたしますと、たしか注か何かで、ほかの法律によってこれと違う定めがしてある場合にはその法律によりなさいという意味の規定が、注として入っておったのであります。そのことは、結局運輸省としては、五千五百トン以上の船舶の通信士は二名でよろしいという考えであるけれども、他の法律、具体的に申し上げますと、電波法には、その五十条、六十三条、六十五条によりまして、それをその通りやりますと三名になる。それでその場合には、運輸省としては三名と思うが、電波法の要求から三名にしなければならぬというふうな書き方の案文だったと記憶いたしております。その点、結局いろいろ折衝がありましたあげく、そもそも法律と申しますものは、たとえば一つの船の定員に関する法律の……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614816X01019570401/21
-
022・新谷寅三郎
○新谷寅三郎君 ちょっと御注意願いたいのですが、時間がないですから、答弁の方も要点だけ簡潔に言って下さい。それでけっこうですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614816X01019570401/22
-
023・石川義憲
○説明員(石川義憲君) 失礼しました。とにかくそういうことで、われわれの方としては現在の電波法の建前から三名を置いていただきたい、運輸省の方は二名にしたい、こういう御意向であったのであります。それで大体そのことが審議会にかかります直前にきまりまして、そうしてそれが審議会に出たというふうに承わっております。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614816X01019570401/23
-
024・新谷寅三郎
○新谷寅三郎君 大体わかりましたが、多分そういうことだろうと思ったんです。あなたはもちろんのことですが、電波監理局長も、一九四八年のロンドンの海上安全条約、これはよく御存じでございますね。よく御承知ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614816X01019570401/24
-
025・濱田成徳
○政府委員(濱田成徳君) 知っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614816X01019570401/25
-
026・新谷寅三郎
○新谷寅三郎君 それで、他の委員に、何を質問しているか私は理解をしていただく意味で、電波監理局はよく知っておられるのですが、ちょっと簡単に申し上げますと、国際条約がありまして、例のタイタニック号が沈んでで、それで国際条約ができて、船の安全性を保持するためのいろいろな規定が国際的に確保されたのです。日本ももちろん加盟いたしました。詳しく申しますと、私が昭和八年に条約の批准をし、それから法律を出しまして――私はその責任者だったんですが、昭和八年です。そのときから問題があったんですが、一九四八年にさらにこの条約をすっかり改正いたしまして、現在の国際条約になっておるのです。そこには旅客船、貨物船で相手方から受ける遭難通信、SOSを受けるために、無線電信局を持ってそれを聴取していなければならぬという規定があるわけです。それのつまりウォッチの仕方なんです。いつでも聞いておらなければならぬ。ところが、オートアラームといって自動警報機が備えてありますと、その間一日に何時間か勤務していればいいんで、あとは機械にまかせて、機械が鳴ったときに配置につくということでいい、というような国際的な規定があるわけです。
ところが、日本のこの電波法の主管官庁では、世界に例のないような要求をしておられるのです。その原因をいろいろ聞いてみますと、これは第十三回国会で昭和二十七年に、船舶の関係者、それから無線技術の技術者のオペレーターの団体の代表者を呼んで、ここで話を聞いたのです。そのときにどうも日本は、オートアラームが、自動警報機というものがまだ発達していないという話である。私は昭和八年当時にその法律を立案するときに、その問題があったので、今まで何をしておられたのですかと聞いたのですが、非常にこの方の機器のいいものができないからというお話で、これから大いにやらせますというお話であった。今日まですでにもう六年、七年たっているのですね。ところが、今度の船舶職員法の改正に当りまして、なおかつ電波当局は六年、七年前、というよりも、昭和八年当時の意見を固執しておられる。日本のこの方のメーカーの技術も相当進んでおるわけです。私は決して外国に劣っているとは思わない。ところが、そのオートアラームを備えても、備えなくても、信頼されるのか知りませんけれども、とにかく日本船には、外国船が一人でいいところを三人のオペレーターを乗せろということを、電波法で要求しているのです。一方では、船の競争力がないとか何とかいって、いろいろ助成したり、補助をしているにかかわらず、そういうふうな機器類の発達の状況も考えないで、もう二十年も前の――二十年ではありません。十数年前の規定をそのまま維持しているということが、わからない。
で、最近私の入手した材料によりますと、日本近海に来る外国船の中で、日本船で三人要求されておるにかかわらず、同じような八千トン、六千トン、五千トンといったような船で、全部一人です。ただ、例外は二、三あります。二人乗っておる船はありますが、三人乗っておるというのはおりません。あなたの方で、そういう船が世界のどこかにあったら、探して下さい。で、それほど日本のオートアラームを作る技術がメーカーの方面にないとおっしゃるならば、その事実を私は証明していただきたいと思うのです。世界の水準に達しておるというならば、国際条約並みに、日本の方も考えなくちゃいかぬと私は思うのです。
従って、結論を申しますと、なぜこんなことをしておるかといっても、今から追いつきません。船舶職員法の全面的な改正を、これは御存じのように、船の乗組員が足りなくなった。それでいろいろ工夫をして、どんどん船がふえますから、定員を生み出そうという趣旨でできておる法律案です。これに準じて、なぜこの際に解決されなかったか残念でしようがないのですが、しかし、今からでも、私の申し上げたようなことをあなた方がもっともだとお思いになるならば、今の電波法のこの部分の改正について協力をされるのが当然だと思うのです。これはですね、今さらの問題ではないのです。これは時間がかかりますから読みませんが、十三国会のときにも、当時の長官、関係の部長ですか、次長ですか、そういう技術者が、電波法の改正についておっしゃるような趣旨を体して、至急に検討し、それからオートアラームの完成についてもわれわれもっと指導いたしますということを、ちゃんと述べているのです。それ以後数年間、六年も七年もの間、一体何をしておられたのかと私は言いたいのですがね。監理局長、一体いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614816X01019570401/26
-
027・濱田成徳
○政府委員(濱田成徳君) 新谷委員のおっしゃられるごとく、大体船舶職員法改正の精神につきましては、全く私も同感に思うのであります。しかし、遺憾ながら現実は、日本の電信工業と申しますか、無線機器の製造業界は、外国に比べまして、特に船舶に使われます機器につきまして、まだ進歩において劣るものがあると認めざるを得ないのであります。私は今、直ちにこの通信士の数を外国船同様に減らすことを電波法できめたらいいというところまでは、私は自信が持てないのであります。しかし、この原因等はわかっておりますから、たとえばお話のオートアラームの進歩の一刻も早く外国と同様にするように、そのメーカーを督励すること――それからオートアラームのみならず、いろいろな電波機器が船舶に使われております。つきましては、かような機器の性能をうんと上げること、またこれを運用する技術を通信士によく教え込んでやるようにすること、そのほかいろいろの原因を除去しまして、そうしてただいまおっしゃられるようなこのことを実現するようにしたいものである、そう念願しております。二十年前も言われたことが、いまだに実現しない、まことに残念であります。何とかして早くその改善をしたいという強い念願を持つものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614816X01019570401/27
-
028・新谷寅三郎
○新谷寅三郎君 濱田局長の声明は一応わかるのですがね、私は結論についてはまだわからないのです。というのは、あなたが、これは専門家だから、私よりもよく知っておられるでしょうが、今の日本のメーカーが、SOSを受けたときに警報を出すような、そういう進歩的な機器ができないというはずはないのです。これは今だって作っている所、たくさんあります。私も知っております。それをあなた方の、方でオートアラームがあれば、今のウォッチをする船員にかえてもいいんだというあなた方の方で認定をされないで、いつまでも目をおおって、この電波法で三人なら三人乗せようという主義を譲らないから、今度は逆に、そういう機器類の発達を阻害しているのだろうと思う。しかし、技術も十分あり、今あなた方の方でそういうことを公表されただけでも、それがすぐできる会社を私はたくさん知っております。現にできていることも知っております。あなたの方でそれを認めないからです。今後々々といって流していかれますが、私はあなた方の主張がどこから来ているのかよくわかりませんが、とにかくこういうふうな国際的な活動をする船については、世界的な水準において判断をされるのが適当なんです。日本だけですよ。船員の素質が悪いためだとは思いませんが、外国船では全部一人です。一人で、オートアラームをつけてウォッチしているのです。それで支障がないんです。それで日本船だけが三倍の三人を乗せなければ、仕事にならない。SOSを受けるときに困るんだと、そういうふうな行政をおやりになるから、私はかえって日本の船員のためにもよくないし、日本のそういう関係の機器類の発達を逆に阻害していると思うんですよ。考えるのじゃなくて、直ぐに実行されたらどうかと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614816X01019570401/28
-
029・濱田成徳
○政府委員(濱田成徳君) オートアラームの場合におきましては、だいぶ進歩の跡が認められまして、もうそうひどいおくれはないと思うのです。私どもは外国の製品との比較検討をなるべく早くやりまして、そうしてこれで大丈夫だという確信がついたら、やりたいと思います。
しかし、オートアラームだけでなしに、他の船舶用の無線機全般につきましては、私の考えでは、まだ疑問があると認めざるを得ないのであります。安全航行という見地からいたしますならば、やはり今急に通信士の数を外国同様に減らすことには、なお検討いたすべきだと思います。なるべく早く研究しまして、そうして御要望のようにいたしたいと思います。
なお、つけ加えさせていただきますけれども、日本の場合におきましては、他のいろんな場合でもそうですけれども、船の場合でも、通信士は非常にオーバー・ワークなんです。過重労働をやっている傾向があるのであります。たとえば無線機に故障が多いとか、あるいは外国の場合ですと、港々にサービスする出張所等が設けられておりまして、そうして手軽に修理ができる、日本の場合には船の中でみずから通信士が故障修理をしなければならぬというわけであります。どうも私の見るところでは、日本の場合の方がはるかにオーバー労働のように思われるのです。そういう意味で、これを急に減らしてしまいますと、万一安全航行に支障を来たすおそれなしとしないという考えを持つのであります。決して私は人間をふやすことによって安易な解決法を見出すというのじゃなくて、絶対安全という考えから、十分検討する余地がある。しかし、新谷委員のおっしゃられますように、一刻も早くその御要望に沿うように、万全の措置を講じたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614816X01019570401/29
-
030・新谷寅三郎
○新谷寅三郎君 そういうことは、何べんも聞くのですよ。質問するたびに、皆さんそうおっしゃるのです。それで、なるべく早くとか、一日もすみやかにというようなことは、一体いつを目標にされますか。今度の国会だってできないことないでしょう。いつごろまでにそれをやろうとおっしゃるのか。
それから、はなはだ失礼ですが、濱田局長はよく条約を読んでおられないのじゃないかと私は思うのです。条約で要求しているのは、そういう一般的な広い意味の無線機器の問題ではないのです。オートアラームだけですよ。オートアラームがあれば、これは船員が休んでおっても警報で起してくれるから、そのときにウォッチにつけばいいということで、オートアラームだけを問題にしているのです、条約は。それはあなたのおっしゃるように、あるいは無線機器、電子に関係する機器類を問題にしていることは、条約にはない。だから、私は単純に言っているのですが、それはそういったことができればなおけっこうでありますが、今の乗組員の問題はオートアラームの問題だけなんです。それはあなたはよく御理解になっているのですか。
ほかにも質疑がありますような予定ですので、私はきょうはこれだけにしておきますが、委員長の許しを得まして、近い機会にもう一度この問題についてあなた方の方針を聞きたいので、十分相談されて、はっきりした、今のようになるべく早くというようないわば逃げ口上でなしに、具体的にどうしますと、方針を明らかにできるように、御相談おき願いたいと思います。きょうはこの程度にいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614816X01019570401/30
-
031・山田節男
○山田節男君 今の新谷君の発言に関してですが、私は新谷君と二十六年にアメリカに行ったのですが、それから十三国会に、今新谷君が言われたように、オートアラームの問題をどうするかということで――当時長谷君が電波監理局長をしておったと思います。その当時、海員組合の方からたしか、公聴会ではなかったが、代表者をここに呼んで、反対するという意見を聞いたことがある。
そのときに、長谷君の説明があったときに、当時、昭和二十七年だったと思います。私たちがアメリカに行ったのは昭和二十六年で、終戦後しばらく日本には外航船はなかった。ところが、ようやく二十五年に三井船舶のニューヨーク航路が始まった。ところが、パナマは通過できても、ニューヨークには入港させない。それはなぜかというと、それは通信施設が非常に不完全であるということのためでした。ことにアメリカは、ヨーロッパあたりよりも、通信施設の規格というものは非常に厳重になっておる。とても当時の日本はそういうもののできるメーカーはいない。輸入に待たなければならぬ。しかし、それには莫大な金がかかるということでした。実はその当時は、どうしても輸入に待たなければならぬ。なるほどオートアラームというものはいいものに違いないけれども、私は技術的のことは知りませんが、電気通信機器は、レーダーだけでなしに、もっとオートマティックな電子工業といたしまして、エレクトロニックなものを持っておる。こういうようなお話があったように思います。
そこで、今新谷君が指摘されましたように、自来電気通信機器については相当の進歩をしておる。それでこのオートアラームのようなものもできるのではないだろうかというのが常識なのです。私は国際的の条約は調べておりませんが、国際条約の中で、アメリカは非常に規格がやかましい。その規格をやらないものは入港させない。当時はそういう状況でした。われわれが二十六年にサンフランシスコに行ったところ、あそこのサン・ペドロに日本の、名前は忘れましたが、新造の日本船が入っておった。そしてあそこのFCCの支部長が言うのに、日本の通信施設は非常にりっぱなのを見て、実はびっくりした。しかし、オートアラームのことについては何も聞かなかった。通信機の問題は、今新谷君はできると言われたが、国際規格のものを良心的に、しかもああいう重要なSOSを受信するということになれば、人命に関することでもあり、非常にデリケートなものであり、確実性のあるものでなければならぬ今濱田局長の言葉を聞くと、まだそこまで自信が持てないという答弁でした。しかし、これは私は時期の問題だろうと思う。
問題は、年々船舶がふえるわけです。そしてこのふえてくる船舶がみな、通信土三名ということでやっております。過日山縣勝見氏の会長をしておられる造船、海運振興協議会から、ごく最近この問題についてわれわれのところに陳情して来られた。それと並行して、全日本海員組合の方から、第十三国会において問題になったように、それによって首になるのだ、同時に通信業務に携わる者は、今濱田君が言われたようにオーバー・ワークで、非常に特殊な仕事であって、海員組合の方に言わせると、従来の慣習によって通信業務に従事するものは非常にオーバー・ワークだ、こういうことでこれは絶対反対だということを実は言っておるわけです。しかし、私は大局的に見れば、やはり電々公社がオートメーション化によって人員の配置がえをやったと同じ意味において、これはやがてオートメーション化するのは当然なことであります。ですから、今の電波法を改正する前に、機器が、あなた方がそれを認可する確実なものができたら、これは同時に三名のものが二名になるだろう。これはやむを得ない。やむを得ないが、そういう意見というものを相当緩和しなければならぬと思う。今新谷君の言われることは、この改正から来れば、そういう方向に向うのですから、これは必然的な傾向として認めざるを得ない。
ただ、今申し上げたように、戦後も相当、この船舶の通信業務に従事する者が、三名づつにしても、これを一名にしますと、二名平均首にしても、数千名の者が首になるということになるわけです。これは単なる船舶通信だけでなく、もう現在の産業全体から見て、いわゆるオートメーション化による労働排除という、この宿命的なものをどうするかという問題、それからどうか――これは希望意見になりますが、令新谷委員の要求はごもっともだと思う。しかし、半面、人的要素は無視することはできないということになりますが、そこのかね合いは一つ十分気をつけて、それからいよいよそれが、そういう機器において十分確信の持てるものができた場合には、これは運輸省が運輸行政責任者です。あなたの方では、ただ電気通信に関する、電波に関する所管としての御意見ですが、技術的な意見と、人的要素の部分の意見には、これはやはり運輸省が責任を持っておる。そこのかね合いについても、やはりこれは十分気をつけなければならぬ。
ですから、これは、新谷君の発言は、私もっともだと思うが、同時に、悲しいかな、通信行政の実態、それの排除は、数が相当になっておるものですから、これが相当のレジスタンスになって現われておる。そのかね合いをよく勘案されて、もしこれをやる場合には、全海員組合の方に対しても十分意見を徴せられて、そうして了解のもとにやるというような進め方を、これはあなたの方から運輸省の方へも言ってもらいたい。われわれの方からも運輸省に対して、そういう重大な人的方面を無視して、オートアラームにしてしまうということは、どういう社会問題が起きてくるかということは、これは自明の理であります。どうかそういう意味において、一方においてオートアラームの優秀なものを早く作る。同時に、他の労働排除における問題をどうするかということは、運輸行政の責任者と一つ相談されて、改正なら改正ということに着手する、こういう段取りをしていくように、私、この際特にお願い申し上げる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614816X01019570401/31
-
032・伊東岩男
○政府委員(伊東岩男君) ただいまの御発言は非常に重大な発言でございまして、御要求の通り、なるべく早く党内ですみやかに検討を進めて、そうして積極的にお答えをするような機会をこちらからも得たいと思います。何しろこんなに重要な問題が、長らく今日まで放置してあったということについては、いろいろ事情もあるかとも思われまするし、なお運輸省との関連もございますので、慎重に研究いたしまして、すみやかに御回答するようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614816X01019570401/32
-
033・鈴木強
○鈴木強君 関連して、資料の要求をお願いしたいのですが、これは私もたしか、電波法が成立されたときに、参考人として委員会で意見を述べたことがあると思うのですが、その際に、ただいま山田委員のおっしゃったような考え方に基いて、反対をした一人なんであります。確かに、条約その他の面からいって、新谷さんの言われることは、われわれが否定はできないと思うのです。ただ、日本が戦争中から戦後にかけて、無線通信関係が非常に縮小してきている。最近また船舶関係は、海外貿易の振興で相当に伸展を見ているようですが、そういった日本の国内経済、社会情勢というものといろいろ関係があると思うのです。ですから、濱田局長の言われた点もよくわかるのであります。慎重にやっていることはわかる。そこで私は、新谷委員の質問にも関連して、オートアラームをテスト・ケースとして使ったことがあるのですよ。そのことがあるとすれば、実際に運用の面でどういう欠陥があったのか、この点を一つ明確に教えてもらいたいのです。そういう資料と、それからもう一つは、日本で優秀な会社があるそうですが、私たちはよく知りませんが、どの会社がやっておられるか、どういうような品質、規格であるものなのか、あなたもある程度自信が持てるというようなことを言っておるのですが、そういうメーカーがやっておるもの、そういうものに対する資料を一つ、次の委員会にいただきたいと思うのです。委員長の方から取り計らって下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614816X01019570401/33
-
034・剱木亨弘
○委員長(剱木亨弘君) 政務次官もお答えになりましたように、また今鈴木君の言いました資料等につきましても、調製いたしまして、最近の委員会に一つ御提出をお願いいたします。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614816X01019570401/34
-
035・剱木亨弘
○委員長(剱木亨弘君) 速記を始めて。
本日は、これにて散会いたします。
午後二時四十七分散会
―――――・―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614816X01019570401/35
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。