1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年四月二十五日(木曜日)
午前十時四十一分開会
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委員氏名
内閣委員
委員長 亀田 得治君
理事 上原 正吉君
理事 大谷藤之助君
理事 秋山 長造君
理事 竹下 豐次君
植竹 春彦君
江藤 智君
木島 虎藏君
木村篤太郎君
迫水 久常君
平島 敏夫君
松岡 平市君
松村 秀逸君
荒木正三郎君
伊藤 顕道君
田畑 金光君
永岡 光治君
松本治一郎君
高瀬荘太郎君
八木 幸吉君
地方行政委員
委員長 本多 市郎君
理事 大沢 雄一君
理事 小林 武治君
理事 加瀬 完君
理事 成瀬 幡治君
伊能繁次郎君
伊能 芳雄君
小柳 牧衞君
館 哲二君
森田 豊壽君
安井 謙君
吉江 勝保君
占部 秀男君
久保 等君
鈴木 壽君
椿 繁夫君
中田 吉雄君
岸 良一君
森 八三一君
白木義一郎君
文教委員
委員長 岡 三郎君
理事 有馬 英二君
理事 野本 品吉君
理事 矢嶋 三義君
理事 常岡 一郎君
川口爲之助君
大野木秀次郎君
近藤 鶴代君
左藤 義詮君
関根 久藏君
林田 正治君
林屋亀次郎君
三浦 義男君
吉田 萬次君
安部 清美君
高田なほ子君
松澤 靖介君
松永 忠二君
湯山 勇君
加賀山之雄君
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出席者は左の通り。
内閣委員
委員長 亀田 得治君
理事
上原 正吉君
大谷藤之助君
秋山 長造君
竹下 豐次君
委員
江藤 智君
木島 虎藏君
荒木正三郎君
伊藤 顕道君
田畑 金光君
永岡 光治君
地方行政委員
委員長 本多 市郎君
理事
大沢 雄一君
加瀬 完君
成瀬 幡治君
委員
伊能繁次郎君
小柳 牧衞君
安井 謙君
占部 秀男君
鈴木 壽君
中田 吉雄君
文教委員
委員長 岡 三郎君
理事
有馬 英二君
野本 品吉君
矢嶋 三義君
委員
川口爲之助君
近藤 鶴代君
林田 正治君
安部 清美君
高田なほ子君
松永 忠二君
衆議院議員
国 務 大 臣 大平 正芳君
労 働 大 臣 松浦周太郎君
国 務 大 臣 田中伊三次君
政府委員
人事院総裁 淺井 清君
人事院事務総局
給与局長 瀧本 忠男君
人事院事務総局
給与局次長 慶徳 庄意君
内閣総理大臣官
房公務員制度調
査室長 大山 正君
自治庁行政部長 藤井 貞夫君
大蔵省主計局給
与課長 岸本 晋君
事務局側
常任委員会専門
員 杉田正三郎君
福永与一郎君
工楽 英司君
説明員
文部省初等中等
教育局財務課長 安嶋 弥君
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本日の会議に付した案件
○一般職の職員給与に関する法律の一
部を改正する法律案(内閣提出、衆
議院送付)
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〔内閣委員長亀田得治君委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/0
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001・亀田得治
○委員長(亀田得治君) これより内閣・地方行政・文教委員会連合審査会を開会いたします。前例によりまして、私が連合審査会の委員長の職を勤めさせていただきます。それでは、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題に供します。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/1
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002・占部秀男
○占部秀男君 自治庁にお伺いをいたしたいのでありますが、この給与法が通りますと、おそらく、これは国家公務員の給与の改正でありますので、地方公務員の場合には、例にならうというわけではないでしょうが、準則が出るのではなかろうかというふうに考えるのですが、そういうものを作る意思かあるかないか。作る意思があるとしたならば、いつごろまでにその準則ができて地方へいけるか、時間の関係がありますから、簡潔にお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/2
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003・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) お話のように、国家公務員についての給与法が制定せられますると、地方公務員の場合、これに準じた措置をして参るということに相なるわけでございます。ただ、国家公務員の場合と地方公務員の場合とでは、具体的な適用につきまして、そのままには参らない場合も非常に多いわけでございます。特に、地方団体の場合は、府県もございますし、それに、何千という市町村を対象にして物事を考えていかなければならぬという点もございます。そこで、結局は、地方団体といたしましては、それぞれの具体的な給与は、当該地方団体の条例できめることに相なるわけでございまするが、その場合に、われわれといたしまして、どのような準則を示していくか、あるいは単に国家公務員についての法律だけを参考のままに流していくかという点につきまして、目下具体的に検討いたしております。その点は、今大体修正案として出ておりますものを骨子といたしまして、千葉、福島、栃木等につきまして、実態調査を行ないまして、具体的にどういうふうになるかということを検討いたしております。できるだけすみやかに成案を得まして、法律案が幸いに成立をいたしました暁には、できるだけすみやかに措置を講じたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/3
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004・占部秀男
○占部秀男君 そこで、準則がどういうものができるか、あるいは準則を出されるにしても、行政指導の面をやっていかなければならぬ、そういうようはことに関連して、一つは、給与法の内容の点についてお伺いいたしたい。もう一つは、切りかえその他を行う場合の地方に対する行政指導を、特に財源関係、赤字団体その他についてお伺いをいたしたい、かように思うわけであります。
第一に、内容的な問題についてお伺いしたいのでありますが、おそらく、この改正案が衆議院を通ってこちらへ来ておりますので、ほぼこういう形が今予想されておるわけであります。地方の場合は、この給与俸給表の場合にいたしましても、各位工、級が非常にあり、かつ俸給表が、修正されたものでもたしか七種類十三表になったと思いますけれども、あるわけでございますが、御存じのように、中小都市は、全職員が二百、三百というような所が相当多いわけであります。これは、大部分そういうこまかい所が多い。しかも、その中で、税務をやっておる者が、あしたは民生へ行く、きょうは厚生をやっていた者があしたはまたあれへ行く、こういうような工合に、しょっちゅう配置転換というものが合理的に行われなければ、今の金のないときにやって行けない、そういう状態にある。そういう中で、今度のように、各種類をたくさん作ったところで、これは、実際上各市の職場では当てはまらぬのですな。やりようがない。そういうような点が第一あるし、そういうような点については、やはり地方のローカルの運営というものを認めてもらわないとならぬと思うのでありますが、その点についてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/4
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005・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) その点は、御指摘になりました通りでございます。この俸給表は、国家公務員の実態に即して定められたものだと思いまするが、地方公務員にこれを適用いたしまする場合には、これを文字通りにやれといいましても、やれない部面がたくさんあるじゃないかと思います。府県の場合は、大体国家公務員の場合と同じような態様を持っておるものもございますので、ある程度は、この表を文字通りというわけには参りませんけれども、これに準じた取扱いをいたすということは可能かもしれませんが、その他の小さい町村あたりにつきまして、このような俸給表をそのまま適用するように強く指導するということは、これは実態に合わない事柄だと思います。現在におきましても、御承知のように、国家公務員の場合は、税務俸給表というものが別になっておりますが、この点は、お話にもありましたように、地方の場合にそういうことをいたしますると、人事交流その他に差しつかえてくるということで、現在、税務体給表を適用いたしておるものはほとんどございません。その点は、税務職にある間は、特殊勤務手当としての税務手当というものをやることによって、若干その点はカバーいたしまして、俸給表自体は一般俸給表を使っておる、そういうふうな事態でもございます。われわれといたしまして、その点、実態に合わないことはやらない、できるだけ弾力性を持った行政措置をやって行きたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/5
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006・占部秀男
○占部秀男君 そこで、弾力性の問題ですが、行政指導のいかんによって、準則の内容によって、逆に弾力性そのものが硬化するような場合が地方に出てきては困ると思います。これは、私の希望意見かもしれませんが、できるならば一種類の俸給表でやって大ていの場合事足りると、かように私たちは考えておるのでありますが、それは、自治庁の見解もございましょうが、なるべくこれは簡略なものにしていただきたい。
その次に、今度の俸給表の附表の分け方については、たとえば一般の行政職のほかに技能職があったやつが、今度は第二表にしておりますが、これはあり得ないと思うのでありますけれども、たとえば、技能労務職にかかっておる地方のものは、国家公務員の技能職とは法律上の扱いが違ってきておる。これは、御存じのように、地公の五十七条で、単純労務になっておって、単純労務の給与、勤務条件その他の問題は、地方公企体の労働組合法に基いてこれをやれ、つまり、団体交渉の対象になっておるのが単純労務関係、しかも、この内容を、こちらの今度の国家公務員のこれを見ますと、ほとんどが単純労務は特例で、政令に基いて掲げられたところの守衛、給仕、小使、雑役人その他十一項目ありますけれども、これと類するものがこの技能職には出ておる。そういうことから考えまして、技能職というものの表は、かりに作るということになれば、作ることは、これはもう法違反の私は結果が出てくるのではないか。こういうふうに思うのですけれども、この点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/6
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007・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) 地方公務員の立場だけで見ますると、今回衆議院で修正をせられました技能労務職表というものを行政職へ持ってきた。それだけ簡単になったわけですが、この点、われわれの立場から見れば、好ましいことじゃないかというふうに実は率直に申して考えておるのであります。
そこで単純労務者の取扱いでございますが、これは、御指摘になりましたように、単純労務者については、これは、地方公務員法の特例が労働関係については認められておるわけであります。この点については、地方公営企業法が準用されておるという建前になっております。従って、この給与のきめ方自体というものが、一般公務員とは違いまして、団体交渉を通じてきめられていくという体系でございます。従いまして、その体系自体としては、この表にあてはまるべき筋合いのものではないわけです。別個の措置でもってやっていかなければならないというのが、これは法律上の建前でございます。ただ、実際的な面を見ますると、現在単純労務者だけでもってそういうような組合を作って、その独自の見地から団体交渉その他を行っている例というものは、全国的に見まして、あまり例がございません。一般の職員団体に委任したというような格好でやっておるのが通常の姿ではないかというふうに考えられるわけでございます。従って、単純労務者につきましても、具体的にどれを参考にするか、理論上は、この俸給表を参考にするとかどうとかという問題ではないのでありますが、具体的には、どの表を参考にするかというようなことの場合に、初めて問題になってくるのじゃないかというふうに考えております。理論的には、第二表の適用の問題は私は起らないというふうに考えております。ただ問題は、単純労務と申しましても、除外されまして、一般行政職並みに取り扱われておるもの、いわゆる監督とか技術者とか、そういった方々について、理論的に割り切れば、技能労務者に適用してもいいのではないかという方々もあるわけであります。これは、数が非常に少いわけです。そこで、そのために二号表をやはりどうしても適用させた方がいいのかどうかという点は、私は大きな問題点であろうと思います。私たちといたしましては、数も少いことでございますし、その点は地方団体の自主的な判断から、また一方、俸給表というものは、地方団体の場合は特に、あまり細分化——種類を多くいたしますことは好ましくないという立場から、簡素化した方がいいという立場から、具体的な指導に当りましては、一つ万全の措置を講じたい。かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/7
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008・占部秀男
○占部秀男君 そこで、今の点については、これはおそらく、さっき行政部長のお話でも、これからまだまだ研究する余地があるので、ここではっきりしたことは言えないと思うのですが、傾向的には、そういう形でやっていただきたいと思うわけです。
第二に、俸給表の等級の問題なんですが、この内容の八等級の問題ですが、この問題は、御存じのように、国家公務員の場合は役づきが相当多いのですね。人事院所管の職員の問題を調べても、五二%は役づきになっておるというのですね、いろいろな形で。ところが、地方公務員は、御存じのように、これは役づきというものは非常に少い。特に国家公務員には、一人か二人の係長なんかいますけれども、もう地方公務員は、どんな小さな市へ行っても、十人や二十人、三十人、多いところは四、五十人の係がある。こういうようなところで、この等級が現在のように職階職級をぴたっとやられてしまうと、これは非常に地方の場合では、迷惑しごくな話が起ってくるわけです。こういう点は、たとえば一般職の一八、七、六、五、これまでを一括して一等級にするとか、いろいろな方法はあると思うのですけれども、そういうような、現実にはみ出さないような形で地方の方も指導していかんと、問題が起ると思うのですが、こういう点についての所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/8
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009・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) ただいまの点につきましては、等級の制度をとりまする以上、これを全然無視してやるというわけに参らないと思います。ただ、現実問題といたしましても、たとえば、一般行政職の俸給表を適用いたします場合におきましても、一等級というのは、これは地方には、一般職については実はございません。これは次官級でございますのでございません。そこで問題になりますのは、地方の部長を果して二等級に格づけすべきか、あるいは三等級に格づけするのがいいのかというような点にまず大きな問題点があるわけであります。今、実態調査をやっております集計がまとまりつつございますが、そういう傾向を見ますると、かりに二等級に格づけをするといたしましても、これは少し、下のワクを広げなければならぬという問題があるわけであります。また、三等級にやります場合におきましては、現実に、ある程度無理にこれを適用させるためには、三等級の上のワクを伸ばさなければならぬという問題もございます。そこらの点をかみ合わせまして、どういう準則にまとめ上げるかという点につきましては、若干技術的になお検討を要する問題がございます。これらの点も、実情になるべく合うように、しかも、これは、地方団体は千差万別でございますから、一律には参りません。なるべく最大公約数をとりまして、実情に合うような案をまとめ上げたい、その方向で現在研究中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/9
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010・占部秀男
○占部秀男君 今のことに関連してでありますが、今、藤井さんは上の方を言ったのですが、下の方も非常に大事なんです。下の方は、八、七、六ぐらいでやってしまうと、今の実態とは相当そぐわない、はみ出したことが出てくる。先ほど私が申しましたように、これを一本にしろという形は極端かもしれませんけれども、いずれにしても、そういうような、はみ出さないような形の処理というものを、やはり等級表の中で確保できるような運営の幅を自治体に認めていただかんと、これは困ることになってくると思うのですが、そういうような運営の幅の問題は、どういうふうな工合になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/10
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011・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) その点は、一番初めにも申し上げましたように、地方公務員の給与は、それぞれの自治体で、条例で決定いたすものでございます。従いまして、これにつきまして、こちらからこういうことはやつちゃいかんとか、そういう法的な権限もございませんし、もっぱら行政指導の面でやって参るわけであります。準則を作るにいたしましても、県の例をとりますると、たとえば、東京、大阪というような場合と、それから鳥取、福井というような所では、それぞれの幅についても異なって参ります。あるいは準則を作るといたしますれば、それの最大公約数をとって、なるべく共通したもので、実情に合うようなものについて考えて、そのあとで、地方の実情に応じて具体的に適切な処置を講ずるようにという方向で指導して参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/11
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012・占部秀男
○占部秀男君 これは別の問題ですが、人事院規則に規定のない職種が地方にはあるわけです。たとえば農業改良普及員とか、あるいは児童福祉司、そういうようなのが相当あるのですが、こういうようなものの格づけの問題は、これは、自治体としても、別に飛び離れたことをやるわけじゃないのでして、これは、自治体の自主性に従って格づけするような方法をとるのが正しいと思うのですが、そういう点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/12
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013・藤井貞夫
○政府委員(藤井貞夫君) その点は、本人の経歴なり年令なり、具体的な要素に従ってやることでございまして、これは、いわゆる役づきという格好ではございません。その点については、とらわれずに格づけをしなければならぬのじゃないかというふうに考えております。ただ、問題点としてわれわれ検討いたしておりますのは、改良普及員等につきましては、これは、一部には、研究職というようなお話もあったようでございます。しかしこの点は、私たちといたしましては、専門技術員については若干今まだ検討を加えております。改良普及員も、生活改良普及員等につきましては、やはり一般職として、一般行政職表を適用していくのが適当ではなかろうかというふうに、目下のところは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/13
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014・占部秀男
○占部秀男君 時間の関係もありますから、第一の点については、それでもって終りたいと思いますが、なお、このすべての問題の前提は、今行政部長の言われたように、地方の運営の自主性というものを相当はっきり見てもらわぬと、問題が複雑化しますので、そういう点はお願いいたしたいと思うのです。
第二に、切りかえる場合の問題なんですが、国家公務員のこれによりますと、例の大・二%ですね、昇給率四%、この問題があるわけでありますが、特に地方の方は、赤字団体の場合があるわけですね。赤字団体の場合があるわけでございますけれども、これは、国家と同じように、相当税の伸びがある。こういうことは、自治庁でも七百十億の伸びを見ておられるように、各県市ともあるわけです。こういう場合に、この切りかえの問題については、再建団体であっても、再建団体の計画というものの外にそういうものが、税の伸びがあったような場合には、これは四%なり、六・二%くらいの問題は、これは百。パーセント一つやっていただかなくちゃならぬと思うし、それからそれ以外の団体はもちろん百。パーセント切りかえる、これは当然だろうと思うのですけれども、そういう点についての所見を伺っておきたいと思うわけです。特に大臣も来られたので、大臣に伺えれば非常にけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/14
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015・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) 今のお話でございますが、国家公務員の、一口に申しますれば六・二%の給与改訂、それから、本年度会計年度において四%の昇給、本年に限りませんが、四%の昇給、こういうものについて、赤字であると否とにかかわらず、再建団体として指定を受けておる以外の団体においては、赤字であると黒字であるとにかかわらず、百パーセント全面的に右へならえをするように行政指導を行う、こういうことは当然であります。何ら例外の措置はございません。ただ問題は、赤字の団体のうちで、赤字再建の指定を受けております団体についてこれをいかに扱うか、これがなかなかの問題でございます。なかなかの問題でございますが、これを内容的に見て、二つの問題があろうかと存じます。その一つの問題は、当年度問題となっております六・二%及び四%の昇給という問題以後の問題をどう扱うかという問題が一つある、それから、今非常に大きくアップしてでております問題は、赤字再建団体はそれぞれ、ご承知のように、当該会計年度別の再建計画を立てさせまして、どの再建団体においても、大なり小なり給与の改訂をストップさせる、それから、その年度間における昇給というものを延伸して、改訂を遠慮させまして、苦心を重ねておるという現状であります。お言葉のごとく、本年以降においては、相当なる地方財政においても税の増収というものもあると、こう考えられるので、ことに一般団体においては右へならえが百パーセントできるじゃないか、この場合においては、地方公務員の赤字指定の団体の中においても、過去において遠慮をしてきた分はこの際復活をしてくれ、これからの分百パーセントは当然だと、こういう要求が全国をあげての熱烈な要望である、こういうことで、自治庁もいかにこれを指導すべきかということについて苦心をしておる状況でございます。これを一口に申し上げますと、過去の昇給の延伸分、過去の改訂を遠慮したる分、それをこの際に至って復活するということは、これは許すべきでない、こういうふうに考えることが一つの結論でございます。それからもう一つの、これからのつまり改訂分、昇給分というものについて、しからば百パーセント許すべきであるかということになりますと、これ一は、その団体々々における財政の事情、もっと大事なものは、その団体において、教員、一般職職員、警察官、こういうものについての給与単価の実態、警察官については、割合にこれが統一されておりますが、一般職の職員及び学校の先生、ことに義務教育関係の教員というものについては、非常な不同なもので、その単価の実情が他の類似の府県と比較をしてみてどの程度高いのか安いのか、この高い安いというものを一つ押えてみまして、その単価が著しく高いような団体であって、しかも団体の財政の状態がおもしろくない、再建進行中の現状を見てみまして一段とおもしろくない、こういうところについては、あまり数が多くございませんが、そういうところにつきましては、百パーセント右へならえということも遠慮さすべきものではなかろうか、これは行政指導でなくて、遠慮をしよう。あるいは遠慮をしないで、一〇〇%近い一つ昇給をしよう、給与改訂をやろうという計画が立ちますならば、今までの計画とは異なったものとなりますから、計画の変更を私の方に申請をして持って参る、その計画の変更に対してOKを与える与えないという場合に、あらかじめ、君のところはこういうふうにしてはどうかということをねんごろに懇談をしまして、行政指導もかねて、意見が一致いたしました点についてこれに許可を与える、こういう方針でもって参りたいと存じます。一口に申しますと、過去の分を復活するという企ては許すべきでない、将来の分につきましては、財政の許す限り百パーセント右へならえをさせたいが、今申しますような、単価が高く、かつ、財政事情の悪いというものにつきましては、何割になりますか、遠慮をさしながらこの許可を与えていくという方針以外に、赤字再建のこのお作りいただきました法律の趣旨に従う運営の方法はなかろうではないか、こういうふうに目下考えて、今の段階におきましては、抽象的で恐縮でございますが、その程度に考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/15
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016・占部秀男
○占部秀男君 この再建団体日本以外の団体の百パーセント、これは当然のことだと思うのですが、再建団体の場合に二つ、過去の問題については許すべきでないと、これはあとでまた問題のあるところですけれども、第一の点でありますが、他の府県に比べて給与の単価の高いところについては云々というお話がございましたけれども、他の府県に比して、あるいは他の市に比して給与の高いというところは、財政事情がいいところが主なんであります。われわれずっと実際に行ってみましても、特に今この再建団体の中でも、一体に定期昇給のストップその他の問題で、一時、何か自治庁でとられた給与実態調査ですね、あれから思えば、もう二カ年間の間に相当給与が下っているのです、平均は。御存じのように、あれでもって定期昇給がしないために、おそらく私は、そういうように、大臣が言われたような幅というものは、第一の場合にはほとんどそういうものはないんじゃないかと思うのですけれども、いずれにしても、立て方がそういう立て方であって、やはり給与が下っておる実態は明らかなんですから、従って、復元の問題はともかくあとで論議するとして、今度の給与の改訂や昇給の分だけは、これは、自然増収の分があれば、県単事業あるいはその他に回す分もあるでしょうけれども、ともかくも優先的に大部分の団体にさせるのだと、こういう立場でやっていただかぬと、これは職員も、実際問題として決して単なる消費的なものじゃないのですから、職員がいなければ事業ができないのですから、そういう点は、もう少し幅広い意味で考えていただけないかと思うのですが、その良いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/16
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017・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) お説の通り、給与単価の高いところは、割合財政状態のよいところが多い。一般的にはお説の通りです。ただ破産をいたしました、赤字指定の団体について見ますると、財政事情が悪いのに単価が高いと、こういうところは、それで破産をしているわけです。その財政事情が悪くて単価が高いというところが、赤字団体でただいま再建中だと、こういり事情でございます。ただ、一口に申しますと、三十年、三十一年と、二カ年間苦労をして下さいました結果、単価の水準は、財政事情が悪くて高いところもだいぶ接近してきたことはお説の通りでございます。そういう接近の状況、つまり赤字再建の努力の実績というものも、過去の状況をよく眺めました上で、百パーセントとは参りますまいが、百パーセントに近いところにまで一つ許可を与えることができますように、極力、これに対しましては、有利になるようには苦心をしていきたい、こう考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/17
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018・占部秀男
○占部秀男君 もう時間がありませんから、私、加瀬さんに譲りますが、ただ一点だけ、今のところで、大臣の御答弁で、今後の推移もありますので、私はこれで時間がきましたので切っておきますが、ただその場合に、一言だけ聞いておきたいことは、その接近しつつある団体というのは、これは私はきわめて少いんじゃないかと、こう思うのですが、数はここで聞きませんけれども、これはもうきわめて少いんじゃないか。そういう立場でやっていただくということを前提として了承してよろしゅうございますか。どうぞ一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/18
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019・加瀬完
○加瀬完君 給与の担当大臣に伺いたいのでございますが、今、占部委員からもいろいろ出ましたが、これはもちろん、人事院の根本原則であります平等取扱いの原則とか、公平の原則とかいうものが、国家公務員にも地方公務員にも同様に、その前提で給与の改訂が行われると、こういう立場で改訂の基本線をお作りになったと考えてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/19
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020・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/20
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021・加瀬完
○加瀬完君 そういたしますと、今、自治庁の長官が占部委員にお答えになりましたが、再建団体であるならば、これは若干の給与の抑制をしてもいいと、こういうお立場のようでございますが、これは、地方公務員法の第二十四条の三項の「職員の給与は、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定められなければならない。」と、こういう基本原則にも若干抵触するということになるのじゃないかと思うのです。そこで、もう一回念を押したいのでありますが、今度、地方公務員関係の給与の改訂というものは、労働大臣がお答えになりましたような基本原則ではいかないで、地方公務員に限っては、従来のような考え方で、相変らず国家公務員との較差があるという前提で、国家公務員の平均給にならしていくんだ、それから地方公共団体の財政の特殊事情から、上げられないところも出てきても仕方がない、こういうことでお臨みになるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/21
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022・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/22
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023・加瀬完
○加瀬完君 そうすると、あなたはさっき、再建団体の特に赤字のひどいところは、給与が高いから赤字を生じたのだということでありますが、府県財政の実態調査報告書というものを、…県知事が七人の学識経験者に依頼いたしまして、七人委員会によって報告されたことは御存じの通りであります。その中に、府県財政の概観として、昭和三十一年度においても、府県財政は依然として苦しく、その収支の均衡を得るためには、消費、投資両面の経費において、必要経費と思われるものまでも切り詰め、行政内容の低下をきたしている。特に給与費について見ると、諸手当の大幅な引き下げはもちろん、県によっては、昇給財源を全然組んでいないものもあり、将来、税の自然増の場合にのみ組むということであるが、自然増のない場合は、昇給を停止する以外に道はない。しかも、これらの県は、数回にわたって昇給の停止または延伸あるいは昇給額の請求権を放棄させているという現状である。その上に、人員整理までも実施しており、しかも赤字の解消はできない。これは明らかに、一半の責任は国にある。こういう報告をしておる。これをあなたはお認めになりますか、お認めになりませんか。これは、府県知事がおっしゃったのでなくて、学識経験者の調査委員会の報告が、第三者として客観的なこういう報告をしておる。これをお認めになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/23
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024・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) その報告の内容については、概略そういうことであろう、これは認めると申し上げていいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/24
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025・加瀬完
○加瀬完君 それをお認めになるのでありましたら、先ほどの国家公務員との差額というものは、当然この際是正さるべきものである。あるいは地方団体で財政貧困のところは、これは財政なりに給与を上げることですから、国家公務員と並んで上げることの必要がないということはおかしい、矛盾なさるのじゃないか、こういうふうに私には思われる。この点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/25
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026・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) もう原則的な、理屈の話になりますと、あなたの仰せの通り、これは右へならえすべきものである。なぜさせぬのかというと、一つの理由は、赤字団体で、再建をしなければならぬという、法律に基くそういう事情にあるからだ、こういうことなんです。もう一つは、今あなたの仰せになったことと少し意味が違うことでありますが、単価が高いものを、単価が高いところは平均の単価にまで接近をせしめる努力をして当然ではないか、こういうふうに考える点が一つの理由でございます。単価が高くもあり、財政再建中のものである。そこで、このたびの右へならえの限度も、どの限度まで右へならえさすかということも、単価の現状、財政事情の状況、今までの御苦心の実績というものもよくにらんだ上で、右へならえの限度をきめることに苦心していく、極力その理想の方にいきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/26
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027・加瀬完
○加瀬完君 単価が高い高いとおっしゃるが、昇給実施の調査を見ますると、昭和二十九年から、各府県とも停止または延伸をいたしておりまして、昭和三十一年度においては、四月に停止をしたものが十二、延伸が二十六、十月になりますと、停止が三十四、延伸が九というふうな、ほとんどの府県がきめられておる日付においては発令をしておらないという実情であります。それで、非常に再建法をたてにとっておられますが、再建法の御説明のときには、大体再建の財源というものを二つの点から見る。一つは、これは増税でみる。もう一つは節減によって賄う。節減にしても増税にしても合せたものが全体の経費の二〇%程度という御説明がたびたびあった。ところが二〇%どころじゃない。一例をいうなら佐賀県を例に出せば、昭和二十九年は大体四十六億でありました消費的経費が、三十年になりますと四十億に落しておる。投資的経費は二十六億五千八百万というものを九億九千百万というふうに落しておる。合せれば二〇%どころじゃない、節減が非常にひど過ぎる。再建法で考えたときよりもはるかにひどい節減の方法をしておる。その点あなたは非常にベースの高いのも、あると言いますけれども、私の調査によりますと、あなたが例に取りました義務教育の学校の財源を例に取りますと、四十六のうち国家公務員の平均より低いものが二十三、高いものは九、あとその他は大体似たりよったりというところです。九というのは不用額、二十三というのはほとんどの低いところの再建団体が大部分。こういう実情は自治庁の御調査によった資料で見てそうなんです。これで一体これ以上予算の切り詰めというものをやっていくといってできますか。それは職員の給与の高いということに再建計画を背負すべきではなくて、少くとも再建計画の進捗は別の面で考慮すべきであって、職員の給与は、この上に人員が縮小されておるわけでありますから労働条件も過酷になっておる。でありますから給与だけでも再建団体といなとにかかわらず、当り前に上げるという原則はどこまでも貫かなければならないと思う。あなたは給与法が初めて問題になりました当座におきましては、今のような御発言はなかった。国家公務員と同様に地方公務員も当然ベースアップがあるべきだという御発言であった。その後お変りになっておる。改めてこういう実情をお認めになるならば、一体再建団体というだけで、一半の政府、の責任があるにもかかわらず、公務員だけベースアップを抑制して、その赤字の責任を背負わせるということが妥当だとお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/27
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028・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) 地方公務員といえども国家公務員に右へならえをするのだということは、どの委員会でも本会議においても御答弁も申し上げておるわけです。態度が変ったと仰せになりますが変った覚えはございませんで、(「変っているではないか」と呼ぶ者あり)その言葉の後には必ず、どこで答弁いたしました記録をごらんになりましても、必ず赤字再建の団体に関しましては財政の事情云々、必ず私がそれをつけ加えております。ただうそを言っておるわけじゃない。それからあなたの仰せになっておりますことと私の答えをしておるところと、ほとんど同じことを言っております。それはどういうところかといいますと、給与の単価はいまだ高いという所はごくわずかでございます。現在の指定団体中では特に府県の関係、学校教職員関係は、給与の関係は府県が持っていくわけでございますが、その十八団体の中ではごくわずかで、そのいまだ高いという所については百パーセント右へならえはいたしかねるということは、合理的であろうと思いますが、大部分の所においては百パーセントに近いへならえが行われておるということは、これは今の見通しにおいても言えることでございます。大きな府県でまありますけれども一部においてまだ高い所がある。これはご承知でございましょうから、どうしてもこの際は残念ながら全面的に右へならえはむずかしいのじゃないか。これがその要点でございます。ほとんど違いはありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/28
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029・加瀬完
○加瀬完君 ほとんど違いはないかも知れませんが、百パーセントやるのか、百パーセント切るのかということは大きな問題だと思う。あなたはそれをおっしゃいますが、地方財政計画を私どもがお尋ねを申し上げましたときには、現状を基礎としてやるのか、こういうふうに私は尋ねました。それから、去年のような是正本体とかそういう一体、操作というものをするのか、というような意味を含めてお尋ねをしましたときには、現状の上にやはり国家公務員と同じベースアップの率を乗せるのだ、こういうお答えがあって再建団体は特殊に考慮するということは全然お話がなかった。でありますので私は伺っておるのであります。最近の衆議院に出てのお話は存じませんが、再建団体をも含めて地方財政計画を論議いたしましたときに、給与の問題でお尋ねをいたしましたときのお答えは、そういうふうに百パーセントを切る団体と、百パーセントを行う団体というような、区別は御説明がなかった。そこで私は伺っておるのであります。
そこで一応現状を基礎としないで一つの計画表に合わせるような形になると思う。それならば自治体で国家公務員よりはるかに低い者は一体どうするのか。あなたが高い所を問題にするが低い所はどうするのか。一例を申しますれば平均給与額の比較結果額というこの御調査を自治庁から去年お出しになりました。それによりますと府県の税務職等は八百五十八、国から比べると低い。それから今お出しになりました小学校、中学校等についても助教諭、養護教諭こういったようなものは七百七十四となり九百七十八円と低い、比較が低い、あるいは今度は地方の町村になりますと、町村の一般行政職は国の一般行政職と比べて千四百五十九円も低くなっておる。こういう低いのをどうするのか、低いものをそのままにして高い所だけ抑制するのか。そうなって参りますれば公務員法の二十四条の3に違反するじゃないか、この問題はどうするか、これらについて伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/29
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030・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) 高いものは低く調整をして行くと、こうそれだけを申し上げますとそれじゃ低い所はどうするかというお言葉が出るのは当然かと思いますが、先ほど申し上げまするように、単に高いから低くするというような考え方じゃないのです。赤字再建団体であるとただその一つの理由なんです。加うるに赤字再建団体でありながら高い。こういう事情なので、でありますから高い所はどうして低い所はどうするかという対策をしておるわけではないのであります、やや理屈になりますが今あなたの仰せになったよりもっとひどい所があります。たとえば表面上の給与の何割しか支払いをしていない、表面の給与自体が低い、その何割しか支払いをしていない、毎月々々いただけない、こういう町村も相当数わが国にあるわけです。こういう問題については、税の自然増収また国の全体の地方財政に対するところの制度の建前を漸次好転せしめて行くに伴いまして、順次これは表面上形式上の給与は値切らずに、そのまま支給しなければならぬという方向に向ってこれを改め、かつ今お説のような低い所は漸次これを引き上げて行くところの行政指導をして行く以外に道はないわけであります。一にこの赤字再建指定団体であるがゆえに、そういう制約以外に私は何ら私の申し上げる制約はないわけです。それをルーズにやりますとせっかく二年間三年間やってくれましたことが、元に戻るおそれなしとしない、こういう点から、くどくそういう点を考えておるという事情です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/30
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031・加瀬完
○加瀬完君 給与担当大臣と人事院に今の同じことをお尋ねをいたしますが、法律によりますれば、これは国家公務員の給与改訂が当然地方公務員に準用されるという形と解釈しているといいと思う。しかし今自治庁の長官がいうように再建団体はこの限りにあらず、という建前で給与法というものをお考えになっておるのか。あるいは市町村、府県、国家公務員こう比べますと、非常に各団体間の給与に凹凸がある。この凹凸は低い方はそのままにしておいて、高い方だけを国家公務員のところにならしていく。こういう建前にお考えになっておるのか。この点を自治庁長官がお答えになりましたが、給与担当大臣としてあるいは人事院として、どのような御見解に立たれて給与改訂というものをお考えになっておるか。この基本的な答えをもう一度伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/31
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032・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) ただいま自治庁長官がるるお述べになりましたように、基本的には国家公務員に準ずべきことではありますけれども、その事情あるいは財政の状況等勘案いたしまして、自主的にきめられるものであると私は思います。一応は基本的には準ずるけれども、いろいろな行政上あるいは財政上の関係を勘案いたしまして、自主的にきめられるものであると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/32
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033・瀧本忠男
○政府委員(瀧本忠男君) 人事院は一般職の国家公務員を主管いたしておりまするので、地方の問題につきましてはちょっと所管外でございますので答弁いたしかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/33
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034・成瀬幡治
○成瀬幡治君 地方公務員に対しては、罷業権の問題やいろいろな問題で保護されておる面は地公法の問題だと思います。国家公務員に準ずるということが響いてある。再建団体は赤字だから、しかも低いからそれをとめおけということは法律には書いてないわけです。だから法律が優先するのか、赤字だから給与を上げないということが優先するのか。法律が優先するというふうにわれわれは解釈すべきだと思うが、大臣はどういうふうにお考えですか。給与担当大臣、あるいは法制局がお見えであったら法制局の見解をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/34
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035・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) 法律の精神としてはこれに準ずることは当然だと思います。しかしながら地方自治体というものは一つの財政上の独立をいたしておりますから、やはりそれに対して相当自主的に考えなければならぬものであると思いますから、その点は私は自治庁長官の仰せになった通りであると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/35
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036・成瀬幡治
○成瀬幡治君 地公法に準ずと書いてある、法律に書いてありますよ。自主性の問題じゃない、法律にうたってある。だからあなたはそれを自主性というのはインチキだと思う。そういうごまかし的なと申しますますか、今言ったような私は実情はよくわかる、実情はよくわかるが、法律に規定してあることが優先するのじゃないか。それは当然行政体としてやらなくちゃいかぬのじゃないか。だから給与が云々したような場合には起債等で見た例もあるのじゃないか。こういうことが私は言いたいのです。だから給与担当大臣として自主性ですなんということじゃない。法律に書いてあるじゃないか。それが優先するかどうかということをお尋ねしておりますから、もう一度御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/36
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037・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) さっきもそう申し上げたんですが、国家公務員に準ずべきものである。それは法律でそう規定してありますからそうである。しかし財政上の種々の事情によってやはり自主的に考えなければならぬ問題である。多少異なる点は仕方がないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/37
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038・加瀬完
○加瀬完君 地方公務員法を見ますと、多少異なる点は仕方がないということはどこを見たって出てこない。国と同様にやるべき財政措置を国が責任をもってやらなければならぬことになっておる。地方財政計画によれば、国家公務員と同じパーセントを上げられるように財政計画はできておりますという説明をしておる。そこでそれならば再建団体であろうとも再建団体でなかろうとも財政計画上できておるというなら地方団体は当然できるはずです。それをやらせないということは一体どういうことであるか。財政計画がうそじゃないか。この点は一体自治庁長官、あなたの御説明になった財政計画によると、あなたはりっぱにできると御説明になっておる。今はやらない、どういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/38
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039・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) 私に対する御質問ではないのですが、ちょっとお聞きを願いたいが、どちらが優先するかという問題は私は起り得ない。そこを聞いていただきたい。優先問題は起らない。なぜ起らぬのかというと国家公務員の給与の体系に準ずべし、これは法律でございます。同断に準ずべきものであって自主的にきめるべきものである。そこで赤字再建計画というものの指定を受けて自主的にきめて参りました。その計画を変更するという場合には許可が要るということも法律なんです。だから自主的に変更計画をきめて、国家のお世話になって借金を一ぺんに借りて、たな上げをして、利息の安いお金を借りておる。そういうことを、きめましたその瞬間に、赤字再建団体に関する法律はぴたっと適用される。適用される以上は、締めておったものをゆるめて、給与の関係の変更を申請してきたときに、その変更を許すか許さないかということを私の手元できめますことも法律なんです。これは勝手にやるのじゃないのです。法律に行政措置が優先するのではない。両方が法律なんです。ですから赤子再建団体に関する限りは優先問題は起らぬ。双方にやっておることが抵触しますので、法律に基く権限によって指導するのだ。その理由は単価の高い川は低くしてもらいたいからだ、こういうわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/39
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040・占部秀男
○占部秀男君 そこが大事なところです。再建団体には最初私も言ったのですが、再建計画のワクがある。しかも自然増というものは再建計画の割以上に出てくる所が相当あるわけです。しかもそれをしも再建計画があるからといって、これを今言ったところのパーセンテージを押そうという傾きがある。こういう所はもちろん再建計画があるから大臣はそう言われるけれども、それ以上の自然増も現実にあるのですから、これは百パーセント認めてもらうのは当然であろうと思う。こういうふうにも私は考えるのですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/40
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041・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) 自治体のことを思っていただくお考え方は、それは当然の御意見です。大へん恐縮するのでありますが、ありのままに申し上げますと、自然増収分をどこに使うか。給与だけに充当してやっていきたいという気持でありますということはないのであります。百パーセント右へならえでよろしいのであります。そうでなしに、大事な問題は、給与についてもやりたい。もう一つ大事なことは赤字たな上げで借りている。国家に迷惑をかけておるわけでありますから、この赤字の分も極力お返しをするという方向で、借金を返したい。
もう一つもっと大事なことは行政水準の引き上げということがいかにも大事なことなのです。これは私からは皆さんに申し上げにくいのでありますが、給与の引き上げとか、国家の会計に借金を返すなどということよりは、この低い行政水準を一刻も早く引き上げたい、欠けている橋は通したい、道路をなおしたい、河川は修復したい。これが腹一ぱいの考え方でございますので、あえて申しますと第一は行政水準のアップ、第二は借金を返す、言いにくいが第三は給与を極力上げていく、こういう三つの方向に増収分を使っていく、こういう考え方に持っていきたいと考えます発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/41
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042・加瀬完
○加瀬完君 それはおかしいと思うのです。確かに法律は二つですから同格かもしれません。しかしながら財政再建法というものは便宜的に赤字を解消するためにできた法律で、地方自治の進展のためには財政法とか地方公務員法というのは基本法なんです。再建法の中にも当然基本的な法律に抵触するような場合は、あるいは財政事情その他で自治体の目的から変更しなければならないという場合は、変更し得るように法律の中にきめられている。そこでこういうふうに公務員法という基本法が動いてくるときには、当然再建計画というものも変更しなければならないという建前が再建法だと思う。そこで一番目が何で二番目が何ということでなくて、再建計画を変更すべき行政的措置というのは、給与改訂等があればとられなければならない。それをとられないでおいて、これで縛ろうとする考え方がおかしいと私どもは申し上げたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/42
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043・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) それはおかしくないのですよ。ちっともおかしくない。高いところを遠慮さそう——低いところを無理に遠慮さそうというのはおかしい。ほかよりは高いところは、高い限度において遠慮さそう、その意味において百パーセント右へならえはむずかしい、こういうのですから、少しもおかしいことはない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/43
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044・加瀬完
○加瀬完君 遠慮するかしないかということなどは、あなた方がおっしゃる地方の自主性にまかせればいいのだ。借金を返したくないという団体はないのですから。それはその自治体が自主的に考えるべきことなので、給与ベースがアップされれば、アップされた分というのは、当然地方にも適用されるべきものだという原則が先に実施されることでなければ意味はないと思うのです。それを自治庁で押えているということはおかしい。法律違反だ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/44
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045・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) 赤字再建指定団体でなければ、これを押えておることは法律の精神に違反する、これはおしかりの通り。赤字再建指定団体であると、自治的にまかしておけないのです。自治的にはまかせないようにするために法律ができておる。そこはどうぞ勘違いのないように。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/45
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046・加瀬完
○加瀬完君 この法律はそうじゃないと思う。自主的に再建計画を進める援護として再建法というものが作られたと思う。しかしながら、この法律そのものも、実施してみれば、あなたがおっしゃるように非常に行政水準が低下した。もう一つは、各団体間に行政の格差を生じた。だから、これは早晩財政再建計画そのものが改訂されるように法律を改正しなければならないというのが自治庁の態度だ。そういう御態度であるならば、当然今度のような場合は、再建団体だからといって極度に圧縮するというふうな方式を、ベース・アップの問題でとるということがおかしいと思うのです。とらなくていいというふうに財政計画をお立てになっておって、財政計画からいえば、とらなくていいはずなのに、技術的には無理にとらしていくということは、あなた方の今の財政再建法に対する御見解と、あるいは財政計画に対する御発表と、きわめてうらはらになりますので、おかしいと申し上げておるのです。これは、自治庁関係限りのことであれば、また私どもの委員会でも質問ができますから、時間になりましたから省きますが、労働大臣に、給与の担当大臣として、もう少し政府として国家公務員と地方公務員との実態というものをはっきり把握していただきたいと思う。巷間伝えられる三年くらい前の話を前提にして、地方公務員は高い、高いのはだんだん押える、押えたって仕方がないだろうという常識論からやられては、それは常識論でなくて非常識論になると思いますので、その点、政府としてはっきり御態度をきめていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/46
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047・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) 国家公務員に地方公務員は準ずるということは、法律に規定してありますから、これを十分守るように努力はいたしますが、特殊の問題に対しましては、今、自治庁長官の仰せになりましたようなことがあることは、やむを得ないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/47
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048・松永忠二
○松永忠二君 給与担当の労働省並びに人事院、文部省にお尋ねするわけでありますが、教職員の俸給表が、人事院の勧告によると、小中一本になっておるわけであります。ところが、今度出されました政府案によりますと、教育職員の俸給表の国というのが三等級に分れておるのでありますが、これについて、一本であったものを三本にしたというその理由をお聞きをすると同時に、それについて人事院並びに文部省はどういう御見解を持っておられるのか、その点をお聞かせいただきたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/48
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049・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) 文部省からお見えになりませんから、大山室長から答弁させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/49
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050・大山正
○政府委員(大山正君) ただいまの御質問の御趣旨は、人事院勧告が、教育職俸給表の(三)すなわち中小学校の教員につきまして、教諭についてだけ勧告しておるにかかわらず、今回の政府案におきまして、校長並びに助教諭の等級を加えまして三等級構成にしたというのはなぜかという御質問かと思うのでございますが、人事院は、御指摘の通り、教諭についてのみ勧告いたしたのでありますが、私どもが立案いたします際に考えましたのは、現在の一般職の給与法におきまして、やはり校長並びに助教諭その他につきましても、国の法律において規定してあるということ、それから実際問題としては、国立の学校には、御指摘のような校長あるいは助教諭はほとんどないのでありますが、理論的には考え得るということ、また、ひいては地方においてもこれに準拠する場合があるであろうというようなことを考えあわせまして、やはり現行の制度を踏襲いたしまして、校長、助教諭その他にも適用のある俸給表を作るのが適当だ、かように考えて立案した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/50
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051・松永忠二
○松永忠二君 それについて、人事院並びに文部省はどういうふうな見解をお持ちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/51
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052・淺井清
○政府委員(淺井清君) ただいまの御質問の点は、人事院といたしましては、御承知のように、国家公務員の俸給表だけ勧告いたすということになっておりますから、そこで、国家公務員たる中小学校教員というのは、現実には教諭だけでございます。校長はございませんのです。これは大学学部に付置ぜられる中小学校だけでございますから、そこで、国家公務員たる中小学校の校長というものは、大学教授をもってこれに充てることになっておりますので、そっちの俸給表でいきますから、これは除いた、助教諭というものは現実に存在していないというのでやったのでございまするが、これを政府でここを加えられたことについて、人事院は別に反対の考え方は持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/52
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053・松永忠二
○松永忠二君 そうすると、今の御答弁によりますと、国立の学校においては、助教諭とか校長というのはないけれども、これに準じて地方で作られる場合のことを考えて、この校長並びに助教諭のものを作ったという御答弁でありますから、従って、この表における校長、助教諭の等級を設けたことについての御答弁は、やはり政府の方からもいただきたいと思うわけであります。そこで、実情についてどういうふうにお考えになっているのか、校長と教諭の職務内容とその責任の度合いというようなことについては、非常にまぎらわしい点があるというふうにわれわれは考えておるわけであります。これはもう説明をするまでもないわけでありますが、たとえば、校長といえども、事実上は、極端なことをいえば、二人なり三人でやっておるところの校長もあるわけであります。ところが、教諭でも、あるいは五十人、六十人のところで教務主任としてこれを責任を持ってやってる者もある。そういうことになりますと、また、事実上小さい学校の校長は、大きな学校の教諭に交流をされて、転任をされてくる、そうするとまた校長になるという実態から考えてみると、職務の内容と責任というものが、必ずしも校長であるから、教諭であるからということではこの職務内容と責任の度合いというものが判断できないと思うわけでありますけれども、そういう点についてはどういうふうな一体見解を持っておられるのか、一つお聞かせをいただきたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/53
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054・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) まあ小さい学校の校長でも、校長という職責上、管理的責任は非常に重大になりますから、それらのことを考えまして、上位の学校と同じように格づけすべきであるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/54
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055・亀田得治
○委員長(亀田得治君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/55
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056・亀田得治
○委員長(亀田得治君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/56
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057・永岡光治
○永岡光治君 自治庁長官にお尋ねいたしますが、地域給の問題は、実は全国的な大きな問題で、従来地域給の制度ができまして以来、事あるごとに問題だったわけであります。今回衆議院の段階におきまして、地域給を一段階整理しようと、こういうことで、従来の地域給の名前はかえましたけれども、暫定手当にいたしまして、二年後にはこれを本俸にくり入れる、こういう方針で修正案が回っておるわけでありますけれども、その中に、市町村合併がされまして、そのまままだ見送らなければならないような案になっているわけでございます。これは、私たち国会議員として地方から受ける陳情の内容というものは、教員の異動であるとか、その他いろいろ問題がありますが、非常に困るんだ、不均衡の是正は直ちにしてもらいたいと、町村長の連名で陳情を受けておるところもございます。自治庁長官は、そういう事情を十分御承知だと思うのでありますが、あなたは、どういうお考えを持っておいでになるか、そうしてその決意のほどを御披瀝をいただければと思って、内閣委員及び地方行政委員、文教委員等の三委員会の諸君がおいでになるわけでありますから、あなたの御所見を、まず私たちは承わっておけば、今後審議に非常に参考になるのじゃないかと思いますので、その不均衡是正の問題についての御所見を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/57
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058・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) 新しくできました合併新市町村の地域の中における不均衡、新しい不均衡でございます。これは徐々に是正をすべきであるとの見解も行われておるのでございますが、これは早急に一挙に解決をしていくことに努力したい。(「一挙、一挙」と呼ぶ者あり)ところが一挙とは申しますけれども(「勇気を出して、勇気を」と呼ぶ者あり)三十二年度はすでに財政計画もできておりますし、財源の都合もございますので、ことしはがまんを願います。(「じゃ一挙じゃない」と呼ぶ者あり)そのかわりに、三十三年度から何年間といったようなことを言わないで、三十三年度には財源の見通しをつけ、その用意をいたしまして、財政計画にも当初より堂々と載せまして、三十三年度一挙に全面的に解決をする、こういうことに決意をしておるわけでございます。それからもう一つ申し上げますが、これがいいかげんな思いつきの答弁でないということを申し上げるわけでありますが、実は新しい市町村ができましても、このことが実現をいたしませんと、できました新市町村の一体性が確認できません。(「その通り」と呼ぶ者あり)これはいやでもおうでも三十三年度は一挙にやりたい。ことしはがまんを願いたい、こういうことに御了承を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/58
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059・岡三郎
○岡三郎君 これは田中自治庁長官の所見ということで承わったのですが、それはそういう方針が閣議で一応大体の方向として認められておるのかどうか、ということは、早晩、田中さんは有能だからこれは別かわからぬが、閣僚の異動その他等も言われておるわけです。そうすると、従来の例にかんがみると、当時は非常に抱負を述べられておるが、やめられるというと、そのあと杳として影はなしということになる実態が相当あったと思うのです。それで、その点については、長官の言明として非常にわれわれとしては率直に受けなければならないと思うのですが、その点で不渡り手形になる心配があるので、その点どういうふうに順序立ててこれが実施されるか、その裏づけをやはりはっきりさしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/59
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060・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) この本席は、参議院におけるいやしくも連合審査会の席での発言でございます。これは速記録でも明確になることであります。こういうふうにいたしたいと思います。直らにこの問題だけをほかにもまあ重要な一体性に関することがございますので、この問題だけを取り上げてあらかじめ閑談で決定をしておくということが、どうも開設事項とはなりにくいのではないかと考えますので、閣議で了承を明確にしていただくことを努力したい、これが一つ。もう一つは、どうも身の上がどうなるかという問題でございますが、そういうことがあろうかとも存じますので、(「大丈夫だ大丈夫だ」と呼ぶ者あり)そこで、こういうふうにしてはどうか、閣僚がかわりますときには、閣僚の引き継ぎ事項ということを明確に文書でいたします。相互に調印をいたしまして、その引き継ぎ事項の中に、明確に三十三年度より徐々でなしに、全面的に一挙にこれを行うべしということを明確にいたしまして引き継ぎをすること。それから自治庁という役所についても、もう一つ大事なことがございますが、それは大臣がかわりましょうとも、この次長以下の大へん筋のよい役人たちが、これが庁議を開きまして、来年はやるんだ、ことしやるべきことを、財源の都合上やりかねるから、来年はやるんだということを、庁議で表明、きめましたことは、どんな強引な大臣が参りましても、これは聞かざるを得ない、これも一つやることにいたしまして、下渡り手形にならないように、(「大蔵省の方はどうだ」と呼ぶ者あり)誠意のある限り処置をいたしまして、これはそう御心配いただかなくても、必ずやらなくちゃ、一体性にならないのです、橋や川とは違いまして。これは必ずやります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/60
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061・岡三郎
○岡三郎君 念を入れて今御答弁をいただいたわけですが、やはりその中で一番重要な問題は、やはり岸総理に蔵相は変更されるかもしれぬけれども、これはペンディングの問題ですからここで言及しませんが、少くとも田中長官は、私先ほど言ったように残ると思っておるのですが、やはり念を入れなければいけないので質問しておるわけですが、総理はやはり今の情勢から判断して不動だ、それで、やはり最終的な結論を得るのに、やはり田中長官として、ポイントは、総理にこの問題は取りつけて、やはりこの点を完遂してもらいたい。強く私はお願いしておきます。その点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/61
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062・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) ごもっともなことでございますから、正式な閣議というわけには参りにくいのでありますが、内閣総理大臣には私が直接に会見をいたしまして、財源の見通しが大体立ちますまでお待ちをいただきまして、あまり長からざる将来に、近い将来にこれは立ちますから、立ち次第、総理大臣に直接に私が了解を求めることにいたします。なお、総理大臣のみならず、すべて総理大臣の事故あるときに代理をいたします見込みとなっております副総理格の人に対しましても、重要メンバーにはそれぞれ関係閣僚とともにこのことを御了解いただくことにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/62
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063・松永忠二
○松永忠二君 先ほど地方行政委員の方から御質問があったときに、地方公務員について行政職の(一)、(二)をそのまま適用するということについては、実態に即さない点もある。そういう場合においては、これを行政職一本にするなり、いろいろな地方公務員の実態に適したものに改めていくという方向であるということであったわけです。同じようなことが、たとえば現在話に出ている小、中学校あるいは高等学校の俸給表については、国立の学校にないものをあるかのごとく考えて作られたものであり、またその実態についても非常にまだ研究不十分である点もあるので、その点について、教職員の俸給表についても同様であるというふうな見解をお持ちであるというふうに解釈していいわけですね。自治庁長官、これとの関係をお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/63
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064・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) 大体お説の通りでよいと存じますが、具体的には文部省との間によく相談を遂げまして、一口に申しますれば、この地方公務員の準則、その他で指導をいたします場合には、なるべく地方公務員の側に有利になりまするごとき準則を作り、運用をやっていきたい。詳細の事柄は文部省と相談いたしてやることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/64
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065・高田なほ子
○高田なほ子君 準則を早急にお出しになるように御答弁がございました。準則の原則については、だんだんのお話しがございましたが、しかしお話しの内容から察すると、公平の原則よりは、地方の自主性にまかせてしまうというような印象が強く受けられ、しかも各委員の質問によって十分わかったことは、赤字団体の特に地方公務員の給与については、何かまかせっぱなしにしてしまうというような強い印象を受けざるを得ません。もちろん地方の赤字は、これは歴代の政府与党のあげての責任から地方のおびただしい赤字が出、そのやむを得ざる救済策として地方再建団体の整備法が出されたのでありますから、あの地方再建整備法そのものが、これが非常に妥当な正法であるという考え方のもとに、教職員あるいは一般公務員の給与をこれで押えるということは、これは、はなはだしく私は間違った考え方ではないかと思う。特に、時間がありませんから具体的にお伺いしたいことは、先ほど加瀬委員の質問に関連して出ました国家公務員より低いところの赤字団体は、漸次これを引き上げていく考えを持っている、こういう御答弁でありましたが、これではまことに本委員会の御答弁としては無責任であり、抽象的である。地方の増税についても限度があります。赤字地方団体の増税の様子というものは、私が申し上げるまでもなくきわめて緩慢である。そういう緩慢な中で、低下した行政措置を引き上げて
いくとか、第三番目に給与の財源に充てるのだということになれば、これは漸次これを引き上げていくという方向をとるのだと言っても、少しもここに計画性がない。いつになったらこれが解消せられるのかということについて、はなはだ私は遺憾に堪えない点を感ずるわけであります。どうぞ一つ、この点については地方の増税と、そしてまた、今問題になっておる妥当な給与改訂がどういう関連に行われていくのか、その間における行政的な指導はどういうふうに具体的にするのか、これが一つ。
その具体的な行政指導の中で、特に自治庁長官に尋ねておきたいことは、財源が逼迫している中における昇給と、いうことについては、幾多の不当な行為が行われているわけであります。たとえば人事院規則の中にもきめてありますが、勤務評定というものはこれは当然あるわけであります。特に今回の法改正による第六項においても、良好な成績で勤務した場合、この昇給期間を下らない間において行うことというように規定されてあります。
ところが、赤字団体における地方公務員の昇給の場合には、財源がない。昇給をストップしたい。何とかして昇給をストップしたいというだけなんです。正しい給与にしたいというのじゃない。いかにしたらストップするか、これに集中するわけでありますから、御承知のように愛媛県下における勤務評定が、昇給の参考資料としてではなく、昇給のための重要な基礎資料として、昇給のために即勤務評定が使われているというのが実情です。今後もただいまの仰せのような方針でいくならば、公務員の力を高めるために勤務評定が行われる、そういう性格のものが、昇給をストップさせる重要な基礎資料として勤務評定が使われるような結果になる。現に愛媛県では、勤務評出花は、これは参考ではなく昇給の基礎資料に使っているということを堂々と教育長が国会でもって発言している。それではあなたの御答弁と実際の措置というものが食い違ってしまうのです。だから、特に漸次引き上げていくというその具体的方針、方向と、そうしてまた勤務評定というものと昇給との関係ということについては、本席において明確にするとともに、明確にされたものを即行政指導として下部に徹底するように御措置を願いたいという趣旨で、質問申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/65
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066・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) 全国の都道府県市町村の中で、赤字再建団体として指定を受けてない団体につきましては、給与に関する関係は全く自主的にきめてよろしい筋のもので、そうでなければならぬと存じます、ただ、それを引き上げるために財源を必要とする、非常に低いものを引き上げるために財源を必要とするという場合においては、国家はこれに対して協力を与えるという努力はすべきものであろう。原則としては、赤字再建指定団体以外の団体は、給与の体系というものはこれは自由におやりになるがよろしい。これは、自治体本来の目的がそうである、こう考えるわけであります。
それから今先生の仰せになりました低い所を漸次お前は引き上げると言うが、それはどうするのかということでございますが、赤字団体であって現実に低いという所につきましては、これはもうほとんど例外なく百パーセントの右へならえ、これはここで言明を申し上げてちっとも事実と違う結果にはならぬと思います。事実、平均給与より低いというような所につきましては、多少財政の都合上工合の悪い点がございましても、悪条件のなにがございましても、過去にはさかのぼれぬが、このたびの給与の改訂には全面的に百パーセント右へならえというこの方針は、どうしてもとらなければならぬと思いますが、ただ、給与の高い所につきましては、百パーセントはいきにくいということは、がまんをしてもらいたいというような意味でございまして、そんなに不当な指導をやろうとか、それを盾にとっててものを言おうとか、そういう気持はいささかもないので、気持はむしろ反対で、逆のことを考えて、赤字団体における公務員の給与については好意をもって考えていきたい。誠心誠意やって参ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/66
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067・高田なほ子
○高田なほ子君 勤務評定のこと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/67
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068・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) 勤務評定を逆に使ったというお話の点でございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/68
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069・高田なほ子
○高田なほ子君 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/69
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070・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) あれはよく調べておりませんが、これはやはり、再建団体、再建団体といって引き締めていく結果、そういうことも出てくるのではないかと存じます。今お言葉をいただきましたような点は、一つ調査をいたしまして、それを将来の資料、反省の資料として、一つ考えてみたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/70
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071・高田なほ子
○高田なほ子君 将来の参考資料というようなことであっては、これははなはだまずいのです。本院においては勤務評定は昇給の基礎的なものに使わないということは、自治庁からかつて明言されているはずなんです。しかるにもかかわらず、最高の責任者であられる方が、この席で、将来研究してなどということになっては、これはおかしい。勤務評定は、これは昇給の基礎的な資料にすべきものではない。また、自治庁自体もそういう説明をされておる。また、法案の上から見てもその通りだ。しかるにもかかわらずABCDの成績の段階をつけて、Aのものには上げるけれども、Dのものには上げないという昇給のための資料に使うことが正しいのだという考え方を地方公共団体が持って、指導しているということは遺憾だ。だから、こういう誤まった措置に対しては、長官は責任を持って是正されるよう善処されたいと言うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/71
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072・田中伊三次
○国務大臣(田中伊三次君) 評定は申し上げるまでもなく参考資料として見るべきものであります。それを基礎資料で有無を言わさぬ、これを材料として、これを乱用していくというような事実あらば、この事実は穏やかならぬことと存じます。これは、しかしながら寡聞にして私はその実態の詳細を存じませんので申し上げたわけでありますが、これは一つ反省の資料として、しっかりとらえまして御意向に沿うように、誤まらざる指導をいたすようにします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/72
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073・高田なほ子
○高田なほ子君 了解いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/73
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074・亀田得治
○委員長(亀田得治君) 自治庁長官の方はよろしいのですか。では御苦労さまでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/74
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075・松永忠二
○松永忠二君 少し校長、教諭について話が出たわけでありますが、実は教諭、助教諭についても同様である、地方においては助教諭が事実上教諭と同じように学級を担任をしておる。同一の業務内容で、同一の責任を持っておる。あるいは同様の教科担任をしておるわけであって、ほとんどその職務内容、その責任において度合いが違わないわけであります。こういうところの状況の中で、こういうふうにあえて分類をする、ところが事実上校長、教諭、助教諭については、三等級という中で、すでにもう学歴においては学歴差がついておるし、そうしてまた昇給期間については差ができておるわけなのであって、それを三つに分けて、しかも最高号俸もあるところまで押えていくというふうなやり方というものは、この前の、従前使われておるこの俸給表は教職員一本でやっておるわけなんです。そういう実情から、級別推定の人員を定めて、それでそういうことを実施をしておるわけであるので、人事院の勧告の政府案の「職員の職務は、その複雑、困難及び責任の度に基きこれを俸給表に定める職務の等級に分類する」ということには、全く該当しておらないとわれわれは考えるわけであります。そういう点について、これをお作りになった責任者であるところの政府並びにこの文部省が、どういうような見解を持っておるのか、その点を一つお聞かせをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/75
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076・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) るるお話がありましたが、助教諭は制度上教諭の職務を助けるものでありまして、現行制度がかような給与制度になっておりますから、この現行制度と趣きを異にしているような今回の改正においては、これを踏襲してきたのであります。なお、詳細については室長から答弁させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/76
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077・大山正
○政府委員(大山正君) 助教諭につきましては、ただいま大臣からお答え申し上げました通り、仕事の上で、制度上は教諭を助けるということにな、ておるのでありまして、給与上も現在やはり取扱いを異にしておるのでございます。教員の俸給表は一本であるというふうに仰せられたのでございまして、その点は御指摘の通りでございますが、級別資格基準表によりまして、現在やはり助教諭はこういうような上り方、教諭はこういう昇給の仕方あるいは校長はこういうような昇格の仕方、やはり区別されておりますので、今回の立案に際しましては、大体その線を踏襲いたしまして、別立ての等級ということにいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/77
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078・安嶋弥
○説明員(安嶋弥君) 教諭と助教諭の違いにつきましては、今大山室長からお答えになった通りでございまして、御承知の通り助教諭と申しますのは、教諭が得られない場合に、臨時的、補充的に採用される職員になっておるのであります。職務の実質につきましては御指摘のような面もございますが、やはり制度全体の建前といたしましては、あくまでも教諭の職務を助けるという建前になっているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/78
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079・松永忠二
○松永忠二君 そういうふうなことから考えるならば、たとえば俸給表の三等級の中には、助教諭にこれを適用するというような場合でも、常に教諭と、二等級と三等級においては学歴差がもうついている。しかも昇給の間差においても、そこにあるように、二等級と三等級のように差がついておるのであって、その差によって、今お話の出てきている身分上の差というものは明確になっているわけなんです。それをあえて、その職務の責任の度合いとかいうもので区分けすることは非常に困難であるのに、しかもそれを最高号俸においても二万三千円と四万一千円というような大きな開きをもっていくというようなことについては、同一の職務内容と、責任の度合いを持っていながら、しかもその間に学歴差も出ているし、しかもそれは昇給の期間の間差が出ている。なおかつそれに一そうの差をつけていくというやり方については、どういうようにお考えになるのか、われわれの考え方から言うならば、たとえば校長、教諭にしても、すでに昇給の間差というものが出ている。そうして話の出てきているように、現状では中学校等もできてきて、学校の数というものは、ほかの一般職の課長であるとか、課長補佐であるとか部長とかいう数とは違って、学校の数がふえない限り、もう校長職というものはきまっている数なんです。一定の数なんです。そういうものは一定の数で非常に制限をされているものであるわけです。そういうことからして、当然そうたくさんの者が校長になり得ない。しかもそういうことから考えてみても、大きな学校においては、責任ある教諭が教諭の仕事をやっていくということが、学校の能率を高め、あるいは学校の成績を高める上においても必要であるというようなことを考え、むしろ高等学校等においては、教諭として落ちついてその仕事を続けてやっていくということの方が、学校の成績を高めていくに必要であるということから考えてみたならば、ことに高等学校の校長のごときも、教諭は最高四万六千八百円であるのに、校長は五万二千八百円というような差等をつけないで、むしろ最高号俸において接近をさせておいて、その昇給のいわゆる最高の限度を接近させていく必要があるというようにわれわれは考えるわけであります。そういう点について、一体実情から見てどういうふうに考えられておるのか、その点を一つお聞かせをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/79
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080・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) 俸給表による技術的な問題でありますから、室長から答弁させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/80
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081・大山正
○政府委員(大山正君) ただいま御指摘がありました教育職俸給表の三等級と二等級の最高の差でございますが、これは現在の級別資格基準表におきましても、助教諭につきましては五級教諭につきましては九級、校長につきましては十級というのを最高の標準にしておるわけでありまして、そういう差が現に設けられておるのであります。この現状に基きまして今回の案を立案したために、差が出て参っておるのでございます。なお、三等級の助教諭につきましては、大体十三年ぐらいは教諭とその昇級速度においてあまり違いがないのでございまして、実際問題といたしましては、助教諭は五年以上実務につきまして研修を受けて教諭になるというのが非常に多いというように承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/81
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082・松永忠二
○松永忠二君 その点については相当大きな考え方の開きがあるわけでありますが、それと類似をしたことで、たとえば大学において教授と助教授それから講師と助教授というようなことがあるわけであります。事実上、新制大学においては助教授が講座を担当して、いわゆる教授と同様な職務内容とまた責任を持って実際やっておる、あるいは講師は専任講師としてほとんど助教授と同様な職務内容を持ってやっている、責任の度合いをもってやっていると、われわれ判断をするわけです。そういうことについては、これを等級にはめるという場合においては、人事院は、職務内容の判断について、所属長なりあるいは任命権者等の意見を聞くという用意を持っておるのかどうか、そういう点についてお伺いをしたいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/82
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083・瀧本忠男
○政府委員(瀧本忠男君) 政府案の俸給表が国会を通過いたしまするならば、その実施の責任は人事院にあるわけであります。この法律を実施、運営いたしまする際には、実施の部面にまかされておるところが大へん多うございます。従いまして、われわれといたしましては、大体の運営の方法を案として作成いたしましたならば、各省と十分相談いたしまして、そうして十分意見を入れるつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/83
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084・松永忠二
○松永忠二君 そういうふうに考えると、たとえば大学等における事務職員、高等学校における事務職員、小中学校における事務職員でもそうでありますが、そういう職員のうちにはすでに相当な号俸を持っていて高いものは十級とかあるいは十一級の俸給表級別推定を適用されておるものであって、これを新しい行政職の(一)に適用していく場合には、非常に頭打ちが近くなるというような場合においては、これの格づけについてはその上位の級へ格づけをするという、そういう措置等も考えられているのか、それからまた、現に受けておる俸給というものが、これを適用することによって、はなはだしく不利になるというようなことはないというふうな措置をされていくのか、一つの今度の俸給表の目的としては、頭打ちを解消するということが一つの目的だと考えてみると、現に相当な俸給を受けておる者であって、その等級を決定する場合に、直ちに頭打ちがくるというような状況で適用されていくというような場合においては、その措置についてはどういうふうに実施をしていくつもりなのか、その点を一つ人事院にお聞かせを願っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/84
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085・瀧本忠男
○政府委員(瀧本忠男君) 大学の事務職員の問題でございますが、まあ現在、ある人々が、たとえば十一級あるいは十二級、十三級というように職務の級に格づけされておるわけでございます。また現在の職務の級というものが、職務と責任の観点から見ましても、これは非常にぼやけておるものであるから、従いまして人事院としましては、この際、やはり職務の段階とある程度マッチさす方がよいのではなかろうか、そのためには十五段階のような細分ではうまくいかない、従って、七つの段階というものが行政職については適当である、このような関係から、人事院といたしましては、行政職俸給表の(一)行政職俸給表と人事院の場合は一本でございましたが、行政職俸給表は七等級にするという勧告をいたした次第でございます。従いまして現在の大学の事務局におられまする職員が、現在どういう職務の級であるかということは、やはり職務の責任の観点からこれを見ていく必要があるのでございまするので、それは、現在職務の級がどういう形で大学の事務職員に与えられておるかという実態があるわけでございます。そういうことと十分にらみ合せまして、これを新しい等級に格づけするということになろうかと思います。で、お話のように頭打ち解消ということが、これが人事院勧告の一つのねらいでもございましたし、また政府案においてもその点は人事院の考え方を十分尊重されておりまするので、その点は十分尊重いたしたいと思いまするけれども、先ほど申しましたように、職務は責任の段階に応じてはっきりさすということが第一の原則でございまするので、その原則に従って、これをやっていく、しかし、切りかえに当りましては、御指摘のようにその当該の本人に対して不利のないように十分考えて、現在の実情も考慮いたしまして、切りかえの格づけをしていきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/85
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086・松永忠二
○松永忠二君 もう一点。今の点については、大学の事務職員について話が出てきておるわけでございますが、これは小中高の事務職員については、たとえば現状では、小学校、中学校においてはPTAの負担等で事務職員を雇い入れているわけなんです。現実にはその学校における事務職員の数は一名あるいは高等学校において五名であるとしても、事実上使っておるものは五名とかあるいは六名を、事務職員が指揮をしてやっているというのが実情であるのであります。また、小中学校においては事務職員が小使であるとか雇用員をすべて指揮をしているのが現状であって、一般の行政職のようにそこの事務室の中で事務をかまえている人数によって係長をきめていくこととは、非常に実態が違っているというようにわれわれは把握するわけです。こういう点については、やはり基本的な考え方からいって、国家公務員に適用するというような考え方でやっているこの行政職の俸給表の適用についても、事実上実態と非常にそぐわない点が非常にあるというようなことをわれわれは考ておるわけです。その点について、その実態を、やはりそぐわない点があるというふうに考えられておるのか、あるいはこれで十分適用できるというふうにお考えになっておるのか、その点を、自治庁はおりませんから、文部省に一つお尋ねいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/86
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087・安嶋弥
○説明員(安嶋弥君) 小中学校の事務職員の格づけの問題につきましては、御指摘のような点もあるかと存じますので、近く関係庁とも協議いたしまして、適切な行政指導を行いたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/87
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088・松永忠二
○松永忠二君 最後に一点。教育職俸給表の(二)と(三)、いわゆる小中学校と高等学校の適用の表が区分けになっておるわけですが、これは、従前の高等学校の教育職員俸給表と中学校、小学校教育職員特別級別俸給表に基くとその金額というのは同一であったわけです。ところが今度の場合においては、もうすでに御承知のように九千八百円の新大を出て来た者が、一年たてば高等学校に奉職をしておる場合には一万八百円になるのに、中学に奉職をしておる場合には一万六百円になるという、一年にしてすでに二百円の差が出てきている。これをまあもう少し長い期間でこれを計算をしていくと、同一の学歴であってたまたまその職場が小中学校と高等学校と違ったということからして非常な大きな開きを示して来ておるわけです。これについては従前の俸給表とは違っておるわけなんですが、むしろそういう差が著しくなってきているというふうに見られるわけなんでありますが、この点について一体この案を作られた政府並びに文部省はどういうふうな考え方を持っておるのか、お聞かせをいただきたいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/88
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089・大山正
○政府委員(大山正君) ただいま御質問のございました高校教典と小中校教員の開きにつきましては、現行制度ではたったいま御指摘ありましたように俸給表の金額は同一でございますが、昇格等のことによりまして途中で差が出て参るということになっておるのでございますが、今回、人事院勧告並びに政府案におきましては、級の細分をやめまして一つの等級にまとめましたので、昇格の違いによって差を生ずるというような事態がなくなりましたので、結局は俸給金額の上において差が生ずるという形に相なっているのでございまして、しからば現在と今風の案とで差が開くかどうかという問題で、ございますが、新大卒につきまして比較いたしてみますならば、大体二十年目ぐらいまでのところはむしろ現在より差が縮まっておるというように私ども考えるのでありまして、その後におきましては号俸等の関係から若干差が開いて参っておるのでありますが、初めの二十年くらいの中堅層におきましては、むしろ差が縮まっていると考えるのでありまして、全体としては三本建の差というものは大体現行の制度を踏襲するという考え方で立案いたしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/89
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090・岡三郎
○岡三郎君 ちょっと関連して。今の問題はまあ相当、五年程度前に問題になった点ですが、私は総合的に教育職というものは他の事務職、その他のものと違うということをやはり考えてもらわなくちゃ困ると思います。先に言われたように大学の教授と助教授のように教諭と助教諭を考えているわけじゃないと思うのですが、小学校や中学校においての助教諭というものは、やはり一学級担当してやっておるわけです、補助をしてやっているわけじゃない、一学級担任しているのです。だからその責任というものは同じなんですよ。ただその財政状況とかあるいは教諭を求められないという僻地その他においては、そういうやむを得ざる処置をとっておるのです。五十人なり六十人なりを担当しておるということについては教諭といささかも変っておらぬ、そういう実態になっておるから教諭を助けるなんということを考えておったら私は大間違いだと思う。ただ身分上これが比較がないから不確定になっておるだけであって、やってる仕事は同じなんです。そういうふうに教育職というものは事務職等とか一般的な行政職と同じように考えておったらこれ間違いだということです。
それで最近においては教育全般に対する考え方というものは大分変ってきておりますが、理科教育を振興すると言っても科学技術の教育を振興すると言っても、高等学校だけで有能な職員を集めてやると言ってもそんなものは砂上の楼閣にすぎない。やはり中学校においても小学校においてもこれは理想ではなくして現実に相当しっかりした者を入れなければ、途中から幾ら精を出しても追っ付かないというのが日本の現実なんです。日本という国は何かしらそういう差等をつけて満足しておるということではいかぬ。特に資源もない貧弱な国においては、抜本的な総合的な他の国と違った一つの系統を持てという論もあるわけですが、特に資格が同じであって学校種別によって俸給差を付けるという、こういうみみっちい考えは私は教育職に不適当だというふうに考えるわけです、これは現場を通して。
そこでこれは賛成、不賛成の論は別にして、最近においては理科系において、工業系統においてあるいは産業教育の方面において、複線教育ということを最近言われてきているわけです。これに対する当否は別として、賛成不賛成の問題は私は言わないが、たとえば義務制においての中学校の三年と高等学校の三年を合せて、ここに六年制の工業高等学校を設置するという考えの人も一部に相当多いわけです。これについては簡単には賛成できないが、そういうふうに考えていかねばならぬというか趨勢に向っているときに、依然として中学校だから高等学校だからということで、同じ資格で同じ有能な者が中学校にいるという場合において、それを看板によって俸給に差等をつけて冷遇するということがあっては、一貫した教育による日本の再建ということが私は非常にむずかしいのじゃない一かと思うわけです。ましてや、そういうことを言っちゃいかぬが、いなかの高等学校の先生と最近における就職難時代の都市中学における先生との内容は、同じ大学を出ても就職の状況に応じて、都市においてはなかなか高等学校に入れぬ場合もあるけれども、しかしいなかに行けば入れるということもある。そういうふうな学校の門戸によって、看板によって俸給等をつけるのじゃなくて、やはりここは資格によって同じ大学を卒業している者は、やはり高等学校でも中学でもそれを同じような待遇をしていくというところに、教育の一貫性が私は生まれると思う。
そこで私は給与担当大臣にお尋ねいたしますが、たとえば複線型というものを考えているというふうな、私は給与担当大臣そういう考え方を持っていると思う。そういうような事例というもの、また将来短大と新制高校をくっつけて、新制高校の三年と短大の二年というものを合わせた、五年制のやはり産業教育学校というものを作るというふうな場合においても、こういうふうな点を考えた場合に、資格というもの、その人物の適不適というものによって問題を処理していかなければ、特に教育などというものはいかぬのじゃないか。学校の看板が高等学校だあるいは中学ということだけじゃいけぬじゃないか。こういうふうに考えますが、この点は細部の問題ではなくて給与の基本的な問題だから、これは一つ給与担当大臣の御返答を伺いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/90
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091・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) ただいまの御質問は三本建の問題だと思いますが、これは従来、現行制度がそうなっておりますからそれを踏襲して三本建としたのであって、これは強化したものではないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/91
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092・岡三郎
○岡三郎君 いや、そういう答弁を聞いているのじゃなくて、当時三本建の提唱者であった赤城宗徳君が昨年においても私と話し合ったときに、岡君、やはりあの構想は間違っておったよ、あれは日教組を弾圧するためにやったようなきらいがあって、教育の本体に即しておらぬということを自分は今確認している、しかし自分が今ここで言うことは問題が大きいから、やはり将来としてはこういう三本建というみみっちいものは、それは全体の教育の興隆あるいは産業教育の発展とか、これは政府の意図する方向に向いていかぬじゃないかと自分も思う、だから組織対策とか労働対策とは別個に、やはり本然の姿において給与というものを格づけして明確にしてやってやらぬと、これは国家百年の問題としては悔いを残す問題になるということを、赤城さんは言っておられました。これは担当大臣、あとで聞いてみてもまかり間違いないと思います。そういうふうに立案者も今考えているという問題を、ただ単に、これは従前そういうふうにやっているから今やっているということだけでなくて、これは新しい構想のもとに何とかこれを是正していく方向を私はとるべきだと思う。そういう点について一つ、それをさらにお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/92
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093・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) 意のあるところ十分検討いたしまして改善いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/93
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094・岡三郎
○岡三郎君 時間もありませんが、委員長として発言しておきます。大きな問題ですから聞いておきますが、今は私の所論を大体納得されたようですが、これは一つ政府全体として、教育という問題については軽々に労組の組織問題とか、そういう問題とからまさないで大所高所から一つやっていってもらいたい。やはり基本線においては、同じ大学を卒業した者にはやはり同じ待遇をしていってやる。ただしその人か将来どれだけ伸びるか伸びないかは別だと思います。それからもう一点は、私はやはり依然拠として初任給が非常に低いと思う。しれは私の一つの持論ですがね。私は延徳賃金論という古めかしい論を持つしいる。それは少くとも大学を卒業して五年たったならば、いわゆる家に財産があろうがなかろうが、とにかくまじめに勤務していった者は、大学を卒業した者は、五年たったならばそれによって結婚ができる、生計を営むことができるということを私は目標にすべきであると考えております。その大体貝金の目標はいろいろと問題があるとしても、やはり現在においては税込みで、税を引いたならば少くなるが、税込みでやはり五年後においては三万円程度までいかなければ実際生活ができぬ。そういう俸給を与えなければ汚職をするなといっても私は無理だと思う。一つの問題としてそこに業者その他の誘惑というものが起って、あらゆる面において官吏というものは非常に弱いから、そういうふうな面で日本におけるところの行政の混乱というものが私は起っていると思う。そういう点は、私は少くとも大学を卒業して五年たったならば、やはり結婚を正常化するという意味において、道徳的な立場において、これが一家を構成し得るという一つの国家的目標を私は立てる必要があると思う。そういう点から考えてみて、やはりこの立て方の中において私はうなづける点があると思うのですが、大学職員の俸給表の中の六等級の中の七千四百円というのはどういう点からお考えになったのでしょうか。これは大山さんにお聞きしたい。それと一緒に俸給表の(二)初任給と俸給表の(三)初任給の関連についてお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/94
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095・大山正
○政府委員(大山正君) 職員の初任給の決定は人事院が定めるということになっておるわけでありまして、昨年の人事院の勧告におきましても、原則としては初任給を変更しないという考え方になっておるわけでございますが、私ども立案するに際しましては原則としてはやはり初任給は変更しない。ただ御承知のように昇給期間を六ヵ月九ヵ月というのを十二ヵ月に延伸したという関係があります。もう一つは、昨年の暮の国会で教員の学歴差是正の法律が成立いたしておりますので、この関係の学歴差が是正されるということを想定いたしまして俸給表を立案したのでございまして、その限りにおきまして私どもの立案しました俸給表が初任給と関連を持って参るわけであります。
ただいま御質問のありました教育職(一)の六等級の七千四百円と申しますのは六等級の教務職員丙が大体該当の官職になるわけでございまして、短大出の教務職員丙の初任給といたしまして一応七千四百円を想定いたしたものであります。
それから教育職俸給表(二)と(三)の初任給というお話でございますが、いずれも三等級の初任給は政府原案におきましては六千三百円、衆議院修正案において六千六百円でございますが、これは新制高校卒業の初任給でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/95
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096・岡三郎
○岡三郎君 あまりだらだらして、時間がないからそれでいいです。私は全体的に見て給与表というものは、やはり国家の仕事に従事する各員に対して、やはり伸び伸びと、ほんとうにその職責というものを貫けば一応家族を養って、国家にやはりまじめに奉仕できるというところでなければならぬと思う。その出発はやはり何と言っても学校を卒業して仕事に従事して、まず何よりも私は若い者にとっては結婚ということが一大眼目であって、これをさて置いてどんなへ理屈を言ったって、私は若い者に対して国家というものがあるという認識を与えることは、現状においてはむずかしいと思う。とにかくどんな者でもまじめに勉強をしてまじめに官職につき、どんな仕事についても、新制大学を卒業して、これを一つの基準にとりますが、五年間程度やってまあ二十七、八才くらいになればとにかく家庭が持てるというふうにしてその賃金を想定して、税込みで苦しいが二万円税を引けば一万八千円程度、こういうふうな一つの基準というものを想定して、国家というものが国民に努力を学生に呼びかけて、とにかく国家としては将来大きなことは言えぬとしても、五年もたち二十八才程度になったならば職を得、その人が官庁会社に勤めたならば、一応家庭を営むことができるというような構想のもとに、やはり給与というものも考えていかなければ、そういうことを考えないで、まず先に職階級を作って何でもごしごしやっていくというのでは、これは日本国民としてのほんとうの意味の抱負と自力によって立つという気魂は国民に生れてこぬと思う。変なところだけ外国のまねをして、いいところを少しも生み出せない。そして憲法でも自主憲法でない、もらった憲法だということは言えないと思う。だから若い者は面従腹背、腹の中で反対しておるが表に出すと首を切られるから、だんだん人間がよじれてきておると思う。果してこの俸給表でいっても、全体を区分けをしてきちきちやるということについては、一見非常に整理されておるようですけれども、これでは私は国家全体として、一生懸命にこの俸給表で働けと言っても私はなかなか働けないと思う。だからそういう点については、松浦さんも初任給は低いということを肯定されておる。松浦さんも事業人の一人ですから、ようわかっておると思うのですが、一つ国家全体として給与担当相として、一応そういう基準をとりますと、中学校を卒業しても高等学校を卒業しても、結婚までは、道徳賃金の基本をなすものは、家庭を営むまではそう差等をつけてはいかぬ。つまり中学を卒業しても二十八才程度十二、三年間、まじめに働いたならば少くともそれに近い、近似値の給与を保証していく、それに伴って家族手当も子供が一人生れればこうなるのだということによって、その後においてその人の仕事の力量によって差等をつけていくことはいいが、少くともとにかく結婚の適令期の二十八才に至るまでは、ある程度まで差等というものはあまりつけないという行き方で初任給を上げることと、その間においては学歴差というものをあまり間差をうんと開かないで、その後において本人の努力、本人の技能によって相当の程度俸給の違いというものが出てきても、私はこれは一応俸給全体として底ができたという観点から論が別になってきてもいいと思う。そういう点についてのお考えを一つここで聞いておきたいと思うのですが、簡単に御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/96
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097・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) ただいまの道徳賃金論に対しましては私も共鳴するものであります。しかしながら半面に日本の財政経済全体を見ますときに、給与を直ちにお考えのように直して、国の負担を非常に重くして、税を強く取っていかなければならぬということそれ自体が、今日の日本の状況に合わない、急激に変化することが今日の日本の財政経済に合わないということから、従来の初任給をそのまま踏襲して参ります次第であります。これが少しばかりはお話のような線によって、衆議院において両党の修正になったのでありますが、政府の提案は、初任給は人事院の勧告によりまして、従来と同じ方向をたどっております。今の道徳賃金論に対しましては私も共鳴する一人であります。私どもが青年時代は大学卒業した人が大体七十五円であったのです。七十五円ですと、大体三百倍ですから、卒業したじぶんに今の金にして二万円でありますから、大学さえ卒業すればこれは家庭を持つことができた、今でもできるわけであります。ところが今はそれが御指摘のように非常に安いことは、これは日本の現在の財政経済諸般の情勢がまあそういうことになっておるのでありまして、われわれはこれを仰せのような状況にもっていくためには、どうしても日本の経済状態というものをもう少し引き上げて、そうして完全雇用のできるところまでいかなければ、給与の改善はほんとうにできないと思っております、完全雇用のところまでいかないものですから。われわれの青年時代の大学卒業者というものは就職者の三割ないし四割しかなかったのです。現在の就職者はほとんど大学卒業生で、需要供給の関係もそこにあります。また修業の過程も違っております。でありますからこれは総合的に御指摘のような給与を与えるということは、われわれももちろんしなければならないことであると思いますけれども、日本の財政経済が、この内閣が考えておりますような完全雇用の域に達するだけの弾力性が経済上にできて、そして失業者がほとんどいなくなったという状況になれば、そこに初めて、需給の関係から見ましても給与改善が急激に行われて行く。今のような状況でこれ以上あげれば国民の負担が非常に重くなる。国民の負担が重くなることは日本の経済が伸びて行かないということになる。でありますからお説のように直せないというきらいがありますから、今はこうしておりますけれども、この内閣が考えておりますような拡大均衡が経済上に行われると同時に、給与に対する弾力性が経済上に非常にできてきたということになれば、順次お話の道徳賃金論ということでございますが、私もこれに全く共鳴するところでありますから、その方向に今後努力して行きたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/97
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098・岡三郎
○岡三郎君 もうこれでやめますが、結局私の言うのは、今すぐそれができるなんということは少しも言っていない。やっぱり指向する方向、目標そういうものを明確にしなければ、根本的な問題というものがはっきりされなければ何ともわからぬ。結局初任給というものは財政上据え置きだというけれども、やはり初任給というものについては絶えずこれを上昇せしめるというところに、私は基本的な努力というものがあってしかるべきだと思う。最高に伸びるというどの点まで俸給を伸ばしてやるかということも重要ですが、絶えず為政者としてはやはり初任給というものを考えてやる、そうして新しい人生の出発という観点に立って、働く職場を作ってやることとともに、働いておればとにかく何とか家庭というものが作れ、そこに日本の国の基礎というものが置かれて、そこに一つの底というもの、国としての立脚点というものを私は国民に与える必要があるじゃないか。こう考えておるわけでありまして、今後とも初任給とかあるいは学校差というものを一般の行政職、事務職と同じように考えないで、広く門戸を開いて、そうしてその中において一貫したところの給与に基くところの人材の登用、というふうな点をお考え願いたいことをここに申し上げて、今後そういう方向への御努力をお願いしたいとこう思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/98
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099・亀田得治
○委員長(亀田得治君) 大体質疑が尽きたようでありますから、内閣・地方行政・文教連合審査会は終了することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/99
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100・亀田得治
○委員長(亀田得治君) 御異議ないと認めます。よって連合審査会はこれにて終了することに決定いたしました。
これにて散会いたします。
午後零時五十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614874X00119570425/100
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