1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年三月二十二日(金曜日)
午後二時二十九分開会
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出席者は左の通り。
委員長 亀田 得治君
理事
上原 正吉君
大谷藤之助君
秋山 長造君
竹下 豐次君
委員
泉山 三六君
迫水 久常君
松岡 平市君
松村 秀逸君
伊藤 顕道君
田畑 金光君
永岡 光治君
八木 幸吉君
国務大臣
労 働 大 臣 松浦周太郎君
国 務 大 臣 小滝 彬君
政府委員
内閣総理大臣官
房審議室長 賀屋 正雄君
内閣総理大臣官
房公務員制度調
査室長 大山 正君
防衛庁人事局長 加藤 陽三君
大蔵政務次官 足立 篤郎君
労働政務次官 伊能 芳雄君
労働大臣官房総
務課長 村上 茂利君
事務局側
常任委員会専門
員 杉田正三郎君
説明員
労働省職業安定
局失業対策部長 澁谷 直藏君
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本日の会議に付した案件
○防衛庁職員給与法の一部を改正する
法律案(内閣送付、予備審査)
○一般職の職員の給与に関する法律の
一部を改正する法律案(内閣送付、
予備審査)
○特別職の職員の給与に関する法律の
一部を改正する法律案(内閣送付、
予備審査)
○国家公務員等退職手当暫定措置法等
の一部を改正する法律案(内閣提
出)
○雇用審議会設置法案(内閣提出)
○労働省設置法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/0
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001・亀田得治
○委員長(亀田得治君) これより内閣委員会を開会いたします。
まず、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案を議題に供します。
政府より提案理由の説明を願いすす。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/1
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002・小滝彬
○国務大臣(小滝彬君) ただいま議題となりました防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由並びに内容の概要を御説明申し上げます。
政府は、今般人事院の勧告の趣旨にかんがみ、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を提出いたしましたが、防衛庁職員は、特別職でございまして、その給与につきましては、防衛庁職員給与法の定めるところとなっております。従いまして、今回一般職に属する国家公務員の給与改正の趣旨に準じまして、防衛庁職員の給与を改正いたすこととし、本法律案を提出した次第でございます。
次に本法律案の内容の概要を申し上げます。
今回の給与法の改正は、俸給制度の改正を中心とするものでございまして、参事官等並びに自衛官に適用される俸給表を、従前と同様の方法でこれに対応する一般職の俸給表にならって改正いたしますとともに、事務官等につきましては、今までと同様に今回新たに制定されます一般職の職員に適用される俸給表によることといたし、この際自衛官以外の職員につきましては、一般職の職員の例にならって職務の等級制度を新設することといたしました。
なお、俸給制度の改正に伴う新旧俸給額の切りかえ及び切りかえに伴う措置に関しましては、本法律案の附則に規定いたしておりますが、これまた一般職に属する国家公務員のそれに準じて定めたものでございます。
そのほか、今回の給与改正に関連いたしまして、関係諸規定の整備を行なってございます。
本法律案の施行期日等につきましては、それぞれ一般職に属する国家公務員と同様に規定いたしました。
以上が本法律案の提案の理由並びに内容の概要でございます。
何とぞすみやかに御審議の上御賛成下さるよう御願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/2
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003・亀田得治
○委員長(亀田得治君) 別に御発言がなければ、次に、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題に供します。
まず、政府より提案理由の説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/3
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004・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) ただいま議題になりました一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由並びに内容の概要を御説明申し上げます。
この改正案は、昨年七月十六日付の人事院勧告の趣旨にかんがみ、一般職国家公務員の俸給制度の改正を行い、新制度への切りかえに当って必要な調整措置を講じようとするものであります。すなわち、
第一に、現行五種類の俸給表を合理化して、職務の特性に応ずるように、行政職俸給表、税務職俸給表、公安職俸給表、海事職俸給表、教育職俸給表、研究職俸給表、医療職俸給表及び技能労務職俸給表の八種類十六表の俸給表を設けることといたしました。
第二に、現行の十五級の職務の級が職務の段階の実態に即応しないものがありますので、各俸給表ごとに、七等級を原則とする等級区分を設けるとといたしました。
第三に、俸給表の各等級の俸給の幅を合理的なものとするとともに、等級ごとにこれに応ずる適正な昇給金額及び一年を標準とする昇給期間を定める等、昇給制度を改めることといたしました。
第四に、職員の俸給を現俸給額から新俸給額へ切りかえるにあたっては、原則として現行の俸給表による一号上位の額を基礎として切りかえることとし、かつ切りかえ時期または切りかえ後の昇給期間を調整する等の措置を講ずることといたしました。なおこの切りかえ措置によって職員の俸給額は、前年度に比し平均約六・二%の引上げが行われる見込みであります。
この法律案は、以上の趣旨に基きまして、一般職の職員の給与に関する法律及びその他の関係法律の改正を行うとともに、必要な経過措置を規定いたしまして、本年四月一日から施行しようとするものであります。
何とぞ慎重御審議の上すみやかに御賛成下さいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/4
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005・亀田得治
○委員長(亀田得治君) ちょっと速記をやめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/5
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006・亀田得治
○委員長(亀田得治君) 速記を始めて。
次に、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題に供します。
政府より提案理由の説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/6
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007・足立篤郎
○政府委員(足立篤郎君) ただいま議題となりました特別職の職員の給与に関する法律案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。
本法案は、今般一般職の職員の給与制度の改正が行われることになりましたのに伴い、特別職の職員の一部につきまして、一般職の職員との権衡を考慮して給与の改訂を行うほか、特別職の職員であって、常勤を要する国家公務員として長期間在職した者について特別手当を支給できるようにする等のため、特別職の職員の給与に関する法律に所要の改正を加えようとするものでございます。
次に、改正の要点を御説明申し上げます。
第一に、特別職の職員のうち俸給月額が七万二千円以上の者及び憲法調査会の委員等のいわゆる非常勤の職員につきましては、一般職の職員の給与制度改正の趣旨等にかんがみ、この際、給与の改訂を行わないこととし、その他の職員すなわち、東宮大夫、式部長官及び秘書官の給与についてのみ、同等の一般職の職員との権衡をはかり、俸給月額を現行より若干増額することといたしました。
第二に、常勤を要する国家公務員から引き続いて特別職の職員となった者のうち国家公務員としての在職期間が長期にわたる者に対しては、特別手当を支給することができるようにいたしました。所要在職期間、特別手当の支給額等については、他との権衡を考慮して政令で定めることとしております。
第三に、在外公館のうち一部公使館の大使館への昇格に伴い、大使の俸給表に公使の最低の俸給月額と同額の俸給月額を設けるため俸給表を改正いたしました。
以上がこの法案の提案の理由であります。
何とぞ御審議の上すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/7
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008・亀田得治
○委員長(亀田得治君) 別に御発言がなければ、次に、国家公務員等退職手当暫定措置法等の一部を改正する法律案を議題に供します。政府より提案理由の説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/8
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009・足立篤郎
○政府委員(足立篤郎君) ただいま議題となりました国家公務員等退職手当暫定措置法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び概要を御説明申し上げます。
勤続期間二十五年以上で退職する国家公務員等に対し、整理退職の場合と同じ割増率の退職手当を支給するとともに、日本専売公社及び日本電信電話公社の役員を国家公務員等退職手当暫定措置法の適用から除外するために、この法律案を提出した次第でございます。
次に、その改正の要点を御説明いたします。
第一点は、二十五年以上勤続した国家公務員等の退職手当についてであります。
現行国家公務員等退職手当暫定措置法によりますと、退職手当の最高率は、定員の減少又は組織の改廃その他これらに準ずる事由により過員又は廃職を生ずることにより退職した者に対してのみ適用されることとなっておりますが、今般、諸般の情勢を考慮いたしまして、勤続期間二十五年以上にわたる長期勤続者が退職する場合等にも整理退職の場合と同率の退職手当を支給することができることといたしました。
第二点は、日本専売公社及び日本電信電話公社の役員を本法の適用から除外しようとするものであります。
昨年、日本国有鉄道法の一部改正法が施行せられ、同公社の役員は、国家公務員等退職手当暫定措置法の適用から除外せられ、その者に対する退職手当につきましては、運輸大臣の承認を受けて公社が定めることとなりました。
日本専売公社及び日本電信電話公社の役員に対する退職手当につきましても、日本国有鉄道の例にならい、国家公務員等退職手当暫定措置法からこれを適用除外することといたし、あわせて日本専売公社法及び日本電信電話公社法の一部について必要な改正を加えることといたしました。
以上がこの法律案の提出の理由及びその概要でございます。
なにとぞ、御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/9
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010・亀田得治
○委員長(亀田得治君) 別に御発言がなければ、次に、雇用審議会設置法案を議題に供します。本案につき、御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/10
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011・田畑金光
○田畑金光君 大臣にお尋ねいたしますが、失業対策審議会が衣がえをして、雇用審議会設置法案として出てきたわけであります。失業対策審議会も、過去幾たびか答申あるいは意見書を出して、政府も、これに基きそれぞれ施策を行なってこられたわけであります。今回政府は、完全雇用という政策の建前からいって、より積極的な活動を期待されて、雇用審議会を設置されたわけでありますが、労働大臣としては、審議会の今後委員の構成等についてどう考えておられるか。これは、従来の失業対策審議会の委員の名簿を資料で拝見いたしましたが、三十名であります。今度の雇用審議会も、同じく三十名になっておりますが、従来の失業対策審議会の委員の名簿を拝見しますと、いずれも各界の代表であって、これ以上のメンバーをそろえるということは、今の労働省としては期待できないと思っておりますが、大体、メンバーはこういう人方であるのか、人員は三十名でありますが、要するに、広い視野に立って今度審議会がきめられた仕事をやっていくといたしますと、この委員のメンバー等について、相当これは比重が重くなってくると思いますけれども、どういうように考えておられましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/11
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012・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) 今度の雇用審議会の委員のメンバーといたしましては、各層、各界から優秀な方々を選考いたしまして、その任に当っていただきたいと思うのでありますが、また、皆様からの御推薦等もできるだけ尊重いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/12
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013・田畑金光
○田畑金光君 各界から広く推薦される……、そこで、各界から推薦されたのがこの失業対策解議会の委員になっておられるわけです。これは大学の教授あり、あるいは銀行の社長あり、労働界の代表あり、あるいはまた、商業及び報道機関の代表あり、広く各層を網羅されておるわけで、まあ率直に申しますと、失業対策審議会の委員がそのまま雇用審議会の委員にくらがえされるのかどうか。しかし、今のあとの話では、あなた方の推薦を聞くというわけですが、それはどういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/13
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014・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) 現在、失業対策審議会のメンバーの方で、なっていただく方もあろうと思うのです。また、新しく選考されるものもあろうと思います。その目標は、やはり完全雇用への雇用審議会の目的を達することのできる内容のものに進んで行くべきであると思うのです。それでまた、国会の意思も相当に尊重したい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/14
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015・田畑金光
○田畑金光君 そうしますと、従来の失業対策審議会の中には、国会からは代表が出ておりませんが、国会の代表も加えよう、こういうこと、なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/15
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016・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) これは、法規の上にはそう書いておりませんが、重要な課題ですから、今後十分検討したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/16
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017・田畑金光
○田畑金光君 十分検討するということではなくして、私のお尋ねしたいことは、政府は、新しい角度で、今度は従来の失業対策審議会を雇用審議会として拡大強化されたわけですね。そこで、拡大強化された雇用審議会が政府の期待に沿う活動をはかるためには、やはり審議会参員のメンバーいかんだと思うのです。そうしますと、従来の失業対策審議会委員は、広く各層の人方、しかも一流の人方を網羅しておるわけで、そこで、なおこれでも足りない、これを強化されるというならば、国会の代表を加えられるというお考えであるのか、はっきり承わっておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/17
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018・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) 今、国会議員の方に入っていただくかいただかないかということは、今後十分検討してきめたいと思うのでありますが、ただいま、どっちにするということは、まだきめておりません。それから、現在の委員の方で、これはそのまま続けていただく方も相当あろうと思いますが、また、新しい分野から、完全雇用への指導的な案を作られる適任者を選んできめたいと思うのですが、そのほかに、専門委員というのをやはりこの下に三十人設定することになっておりますから、それらの方々も、この人たちの幹事役を勤めることでありましょうけれども、人選に対しましても、十分目的を造成するために意を用いたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/18
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019・田畑金光
○田畑金光君 完全雇用というのが現内閣の重大な政策であるとするなら、当然、雇用審議会等で各般の検討がなされましょうが、それは、当然国の産業政策の問題とつながるし、あるいは財政の問題と密接な関係を持つわけなんです。そういうようなことを見ましたとき、やはり審議会で審議された事項あるいは答申されたことが直ちに政府の施策として現われてくる。そういうような権威あるものにするためにも、国会の代表等を出しておくということも、これは必要なような感じを持つわけですが、その点は、大臣としてどう考えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/19
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020・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) 私も同感なんですが、今はそれをどっちにするかということをきめておらぬものですから、はっきり答えかねるわけであります。それから、どういうような方向にということでございますが、日本の完全雇用を達成するためには、何といっても中小企業対策が一番大事であると思うのです。同時に、婦人層の代表も入れるべきであると思うのです。従来の委員の中には、その点が非常に乏しいわけでありますから、大体中小企業の代表及び婦人代表というようなものがこの中に加わっていかなければならないのじゃないか、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/20
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021・田畑金光
○田畑金光君 雇用審議会設置法案が通りましたならば、いつ頃政府はこれを、委員の任命等をやられて活動に移し、どういう問題をまず雇用審議会に諮問される方針であるか。同時にまた、雇用審議会の答申等については、いつ頃までに答申を期待されて、次の雇用、失業対策を進めていかれる御方針であるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/21
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022・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) これは、今、あれをやる、これをやると、はっきり申し上げてしまうのはどうかと思うのでありますが、私も、この間十分田畑さんといろいろ話し合ったことでありますから、それを実現させる方向とすれば、今の雇用問題の一番ガンになっておるのは、また、日本の産業経済発展の一番ガンになっておるのは、日本の教育制度だと思うのです。今のような教育制度では、日本の産業は発展しないと思うのです。でありますから、この文教制度の問題については、ほんとうに真剣に取り組んでいかなければならないと思うのです。しかし、おのおの学校の経済的な問題もあることでありますから、ただちに文科を全部工科にしてしまうということはできないでありましょうが、最終年度一年ぐらいは、技術的な養成をするというような方向にでももっていかんと、完全雇用にいかないです、今の状況では。今のような状況ですと、いたずらに技術的な優秀工は五十五時間も六十時間も働き、片一方においては、三十時間以下の人ができるというようなことになるわけです。でありますから、日本の完全雇用をやるためには、何としても、私は教育の問題が一番ガンだと思うのです。その次に、やはり社会保障の問題を並行しなければいかんと思うのです。労働市場を圧迫いたしておりますものは、やはり老人が職場から去らないというところにあると思うのです。その老人が職場から去っても、生活のできるような制度を、養老年金というか、そういう制度を作ることについては、やはり雇用の面から相当の強い意見を出していかなければならないと思うのです。中小企業の問題は、今度それとは別の面で、つまり雇用量を増大する面の方で、中小企業の発展策、中小企業の振興策というものが考えられなければならないというようなことを考えておりますが、今言ったようなことをまず手をつけなければならぬと思いますが、こういう機会でございますから、一つ御意見を伺っておいて、さらに参考にしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/22
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023・田畑金光
○田畑金光君 非常にけっこうなねらいを持っておられるわけで、力強く思いますが、そうしますと、大臣は、この雇用審議会で、科学技術の見地に立つ教育制度の再検討を進められる。これは、しごくわれわれとしては当然のことと思いますけれども、そうしますと、中央教育審議会というのがある。あそこでも、御承知のように、今、中教審で検討されているのは、この科学技術の問題あるいは短期大学の問題等でありますが、特にこれは、今お話しのような技術教育の問題等について、中教審は長年これと取り組んできているわけです。これは、やはり教育の問題でありますから、当然主管としては文部大臣がおやりになる方が妥当ではなかろうかと、こう思うのです。それからまた、今の老人の問題、女子の問題、老人、女子が職場に進出してきて、今日の雇用市場を狭めているということは、全くその通りでありますが、社会保障の問題と取り組めば、これは一方、社会保険審議会というのがありますし、この社会保険審議会としからばこれはどういうふうな関係になっていくのか。中小企業の問題を取り上げられましたが、これは、中小企業については、また中小企業庁に中小企業審議会というのを政府は持っておられるわけです。こういうふうに、それぞれ中教審あり、社会保険審議会あり、あるいは中小企業審議会あり、こういうふうな問題と、雇用、失業問題と、もちろんうらはらの関係にあることはよくわかりますが、しからば、雇用審議会がこういう広範な問題を取り上げてゆくということになれば、従来のこれらの審議会は、もう無用だということになってくるので、こういう審議会との関係がどうなっていくのか。ここに私は問題が出てきはせぬかと思うのですが、この点を一つお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/23
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024・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) 今仰せになりましたような、中小企業、あるいは文部省なら文部省の教育振興、いろいろばらばらになっておりますが、それらの御協力を得て、総合的に、やはり雇用審議会が中心になって、雇用の面をそこに総合的に求めてゆくようにやる機関が必要であると思っております。そういう方向に進んでいきたいと思うのでありますが、いろいろ御意見がございましょうが、現在の日本の状況としては、このままではとても私は企業が拡大されて産業構造が変って、雇用量が増大いたしましても、今のままでは完全雇用はできないと思うのです。それにまた、その完全雇用のできるほどの急激な拡大はできないと思うんですよ。でありますから、一方において経済的な積極政策をとるとともに、他面においてただいまいろいろ申し上げましたような面を、総合的に完全雇用へ持っていけるような、日本の国内の国力によって行える程度の総合的な施策がこれに沿うていかなければできない。こう思いますので、この内閣が完全雇用をやる完全雇用をやると言いましても、この雇用審議会のような機関が一つもなくては、とても私はできないと思いましたから、閣内におきましても、意見を十分述べまして、それでここにまとめたわけでございます。
なお、この閣内において雇用閣僚懇談会というものを作りまして、その中に、文部大臣も入ってもらっております。そこで今後、来年度の予算までには、一ぺんに文教の刷新というものはできません。けれども、漸次現在不足しておるところの技術者の学校をふやして、そして余っている文科の方をだんだん減していくという方向に、文部大臣も入ってもらってやろうという相談になっております。それで、私どもの今考えておりますのは、雇用審議会が一方にでき、一方には、閣内では雇用閣僚懇談会がありまして、これが両々相待って、雇用に対する総合施策を考えていきたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/24
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025・田畑金光
○田畑金光君 そういたしますと、私が先ほどお尋ねいたしました、その他の政府の中に置かれておる審議会等とはいろいろな点で関連を持つが、今度新しく設置される雇用審議会が、第一義的には、たとえば、今お話のような教育技術の問題、科学技術の問題、これは教育制度の問題に私は触れてくると思うのですが、そういう問題等も雇用審議会が今後取り上げていくのか、また、社会保険審議会なんかでいろいろ意見を出し、あるいは諮問に答申する、まあそういうような所管に属するようなことも、広い意味の雇用問題につながっておる問題でありまするから、雇用審議会でこれを今後取り上げてやっていくという、そういう内容の審議会であるのかどうか、もう一度お聞かせ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/25
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026・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) 各関係の審議会等とは連絡を密にして、協力を願うつもりでございます。どちらが優先とかどうという、そういう考えは持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/26
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027・田畑金光
○田畑金光君 まあその点は、優先するとかいうわけでもなく、大臣の説明が少しあいまいな点があるのじゃないかと、こう思うのですけれども、この問題には、そうしますと、大臣としては、いつごろまでにこの雇用審議会の答申を求められて、同時にまた、昭和三十二年度の補正予算等で具体化される御方針か。あるいは昭和三十三年度の予算等でその答申を具体化するという御方針であるか、この点承わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/27
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028・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) 大体、四月中ぐらいに発足いたしたいと思います。できるだけ早く発足いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/28
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029・田畑金光
○田畑金光君 四月中ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/29
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030・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) ええ。そうして来年度三十三年度の予算に対しまして、その答申が予算編成上に役に立つようにしたい。そうでなければ目的を達することができませんから、今のところ、そういう考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/30
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031・田畑金光
○田畑金光君 労働大臣は、就任のごあいさつの中で、生産性の向上、雇用安定対策、最低賃金制の確立、この三つを重大労働施策として取り上げられ、それを総合的に進めるという決意を表明されたわけです。で、労働大臣の労働政策に対するいわゆる松浦構想というものが、この国会でどう具体化されるかということは、われわれ大きく期待し、注目いたしていたわけですが、その具体的な現われがこの雇用審議会の設置法等になったと思うのですが、ところが、この雇用審議会設置までのいきさつを見ますと、前倉石労働大臣のもとで、いわゆる雇用安定基本法が準備されていたはずです。雇用基本法……。ところが、いつの間にかそれがなくなって、姿を消して、その代りに出てきたのが雇用審議会になっているのです。先ほどの御答弁の中にもありましたが、完全雇用を唱えておる政府の建前からいっても、何か一つぐらいは作らなくちゃならぬ。そういうようなことで、雇用審議会が出てきたことも御答弁の中でもうすでに出ているのです。で、今の内閣は、石橋内閣の延長であり、石橋内閣の政策をそのまま踏襲するのだ、さらにまた、さかのぼっていくと、同じ党の中で、ただ人が変ったにすぎない。だからして、鳩山内閣の政策も、基本的に今の内閣は受け継いでおるのだ、こういうことを現内閣は言われておるわけですが、とにかく倉石前労働大臣のもとで雇用基本法というものが準備されている。そうしてこれが雇用、失業問題に対して画期的な手を打つかのごとくゼスチュアをとられてきたわけなんです。それが今回は、内閣がかわったということで姿を没して、雇用審議会が出てきた。これは雇用審議会をただ作るということだけでは、何も一つも具体的な政策も出ていない。松浦構想は出ていないのです。これはどういうことになっているのか。松浦労働大臣としては、雇用基本法、こういうような考え方等をお持ちになっているのかどうか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/31
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032・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) 雇用基本法の問題に対しましては、私ども就任いたしましてより、一度か新聞に出たことがございますが、これは直ちに雇用安定基本法というところへ行く準備が必要であるということに私は考えております。現在一番必要なことは、先ほど来いろいろ申し上げておりますように、雇用安定基本法に行くまでの諸種の調査研究、資料の収集というようなものが行われなければ、この完全雇用への基本的なものができ上らないものでございますから、一番私は必要なものは、この資料の収集、いろいろな検討というようなものが必要であると思うのです。そこで、来年度のかりに予算に、雇用関係において何かやろうとするならば、これはやっぱり徹底的な調査が必要なんです。今度の予算の中にもありますように、千六百万円ばかりで、三十人以下の毎月勤労調査の経費を計上いたしてありますが、それなんかも、今までは三十人以上しかなかったのです。その三十人以下のところに日本の潜在失業者、あるいは雇用関係の一番つらいところがあるのであって、そういう材料が集まっていないのに、これはできないものでありますから、倉石前労働大臣のお考えになった点は、非常にいいことではありますけれども、その前に、まず先駆になるものは、審議会のようなものを作って、いろいろな案を立てる材料を作り上げるべきであると思うのです。で、雇用関係に対する私の何か構想はないのかという御指摘でございますが、そういう材料が集まった上に、そしてその審議会の答申を経て予算化するような案ができましたならば、それを取り上げていきたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/32
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033・田畑金光
○田畑金光君 材料が集まっていないから今は材料を集める段階だ。そうしますと、前倉石労働大臣は、雇用安定基本法を事務当局に命じて立案をさせられましたが、あれは材料もないのにやられたわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/33
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034・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) それは、私はその内容についてはよくわかりません。私はそういう感じを持っております。それを受け継いだわけではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/34
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035・田畑金光
○田畑金光君 大臣にお尋ねいたしますが、失業対策審議会は、設置以来六回の答申をやり、六回の意見を述べておるわけです。最近のものはここに資料としていただいておりますが、昭和三十一年十一月二十二日、昨年の十一月二十二日、ついこの間ですね、答申が出ているわけなんです。しかもこの答申の内容を見ますと、実にりっぱなものです。内閣がかわるごとに審議会が名前を変えて生まれ変ってくる。今までのやつをなくして新しいものが出てくる。審議会や委員会を作れば新しく大臣になった方は、それで仕事ができたような感じを持っておられるのじゃないか、こう思うのですが、ところが前任の大臣までの間に幾たびかりっぱに審議会等が努力をされて一つの案が政府に対し、答申の形で出されているのです。社会党内閣から自民党内閣に移ったのであるならば、それは政策が違っておるから、社会党内閣の時代の答申案を採用することは無理かもしれませんが、同じ自民党内閣であり、しかも延長内閣だとお互いが言い合っておるのですから、前内閣でりっぱな答申案ができておるならば、その答申を尊重するということが、これは当然行政能率を高める上からいっても、政治が継続的に運営されるためにも必要なことではなかろうかと、こう思うのです。どうも前内閣のときの資料が不足だということは、ちと納得いたしかねるわけですが、私の言うことが間違いでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/35
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036・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) いや御指摘の通りであると思います。しかし、今度できます雇用審議会は、今までの失業対策審議会のせっかく御芳心なすったものをほごにする考えは持っておりません。それをわれわれの考えの基礎にしていきたい。さらに従来のいき方よりも、もっと完全雇用達成への資料その他の答申を確実に得たい。この二つの面であります。従来の基礎の上にさらに積み上げていきたい、こういろ考えを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/36
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037・田畑金光
○田畑金光君 一例を申しますと、昨年の十一月の答申の中で、こういうことをうたっているわけです。最近の就業状態をみると、「大企業においては、労働生産性の向上、機械化の促進等のために、労働力の需要は生産の増加にもかかわらずそれ程延びておらず、しかもその需要の充足が、労働時間の延長、臨時労働者の採用等によって行われている場合が多く、新たな常用労働者の雇用は少くなっていること。」そこでこの対等として「過当な労働時間の延長、あるいは変則的な臨時的労働者の増加等によって正常な雇用量の増加が阻げられないよう、労使協力のもとにその措置を検討すること。」このように大企業等においては生産が伸びてきているが、その生産が伸びたということが、雇用量が伸びたのではなくて労働時間の延長とかあるいは常用労務者ではなくて臨時的な労働者を使って働かしておる。そこで、そういうようなことは、やはり雇用の面からいうと、労働時間の過重な延長やあるいは変則的な臨時労働者の採用は、極力やめるような行政指導をはかることが適当である、こう考えておりますが、この点について、労働大臣はいかようにお考えになりましょうか。こういう過重な労働時間の延長とか、あるいは臨時労働者が非常に多くなってきておる、これをやめさせることが正常な雇用関係を守る、あるいは、雇用の拡大をはかる道であると、こう言っておりますが、こういうような点については、労働大臣はどうお考えになっていましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/37
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038・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) 先ほども申し上げましたように、労働時間が非常に延長されておる。大企業あるいはその他の関係を調査いたしますと、それはそこにも書いてあるでありましょう。大体熟練工と優秀技術工です。それで臨時雇いの多いことも否定することはできません。われわれの経験もそうであります。それらの問題については、今そこに、答申がありましたことを中心にいたしまして、そういうようなことをだんだん緩和していきたいというふうに考えております。さらに、今の失業対策審議会の方の答申は、こういうこともございます。機構の整備の問題について「雇用失業対策を総合的に樹立し、その実施につき責任をもつ体制を確立する措置を講ずることとし、その一環として、次の事項につき調査審議すべき機構を設けること。」それは次の事項というのは、「雇用・失業情勢の総合的な把握」と、「産業政策、社会保障政策等各種政策の雇用・失業に及ぼす影響」というようなことを答申いたしております。今の雇用審議会の問題に対しましても、今までの失業対策審議会の意思を十分くみ入れておるのでありまして、せっかく今まで御苦心になりました六回なり七回にわたって答申しておりますものを、ほごにする考えではなくて、それらのものを十分勘案し、それらのものを十分とり入れまして、その上にさらに積み上げていきたい、こういうのが先ほどから私の申し上げているととでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/38
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039・田畑金光
○田畑金光君 積み上げていくこともけっこうでありましょうが、また大臣の御答弁は、私の質問することにお答え願わぬと、質問しない問題までお答え願うので、いつもすれ違ってしまうわけです。今お読み上げになりましたのは、これから質問しようと思っていたことをもろ御答弁なさっておるし、これはどうも質問をやるにも困るわけで……。そこで大臣にさらにお尋ねしますが、労働時間が非常に延長になり、先ほど来大臣のお話を聞きますと五十時間、六十時間働いている技能労務者もあるようでありますが、それもまたわれわれ寡聞にして聞かないことでありますけれども、そういうように労働時間が延長され、あるいは臨時労務者がふえてくる。しかも臨時労務者が働いている作業条件あるいは環境というものは、全く常用労務者と同じ条件にあるにもかかわらず、いつでも解雇できるような不安定な状態で雇用されている。こういうような点等について、もう少し具体的に政府としてはこういうような面で行政指導をやっていきたいのだ、やっていくのだ、こういうようなこと等は考えておられないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/39
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040・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) 労働基準法の適用を厳格にしろということであろうと思いますが、中小企業の現状においては、これは労働基準法を現在そのまま行なって参りましたならば、厳格に行なって参りましたならば、ほとんど経営不能に陥ってしまうと思いますから、これは摘発主義をとるのではなくて、あくまでも温情というか、誘導的にその仕事がだんだん改善されて、それでだんだんと時間を縮減しましても経営が成り立つというような方向に指導的に、また協議し合っていく、摘発主義はとらぬで、そういうふうな方向にいこうという考えを基本に置いております。
それから大事業その他の問題について、技能労務者が足りないために、長時間働いておるということは、これは事実でありますが、これは労使間において時間外二割五分なら二割五分の話し合いをつける、あるいはそれ以上三割なら三割の話し合いをつけてやっておりますから、まあ健康が許せばそれも差しつかえないと思いますけれども、一面には失業者があり、他面には健康を害するほど働かなければならないというようなことは、私はやはり教育が一番大きな問題であると思いますから、その問題はやはり処理していきたい、こういうふうに思います。
それからもう一点は、臨時工にしておるのにはいろいろあろうと思いすますが、結局まあ臨時工であれば、景気が悪くなった時分にやめてもらっても簡単にやめてもらえるという考えでやっているかもしれませんが、できるだけ私は、正工員にすべきである。できるだけその企業の許す範囲内において正工員にすべきである、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/40
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041・田畑金光
○田畑金光君 大臣としては中小企業では労働基準法を適用するとつぶれてしまうから摘発主義はやめて、誘導していくのだといろお話でありますが、基準法を守っていくことが建前であるのか、あるいは基準法が守れるように労働行政機関もやっていくのを建前とされているのか。とにかく基準法違反というものが非常に多いわけですが、これはいろんな問題です。単に時間の延長の問題だけでなく、賃金の支払いの問題等についても多々基準法違反があるわけですが、そういうような問題は、行政機関としてこれをなくする建前で、基準法は守るという建前でやっていかれようとするのか。御答弁を聞きますと、もう基準法というものがとにかく守れないのだと、こういうことでみずから法をじゅうりんして、法を破って、そうして単なる誘導という言葉で片づけていかれようとしておられますが、その点はどうなのか。
それからもう一つこれに関連してお尋ねしますが、同じくこの答申の中でこういうこともあるのですね。「中小零細企業等における雇用の安定性を増進するようにこれらの育成、指導を強化するほか、最低賃金制の実施、社会保険の拡充をはかること。」こういうことがうたわれておるわけです。ことに日本の今日の状態を見ますと、低賃金労働、あるいは長時間労働、こういうことが特色としていわれているわけです。失業というものが非常に漫性化しておる。低賃金労働者と家内労働者、あるいは日雇い労働者、こういうようなものが非常に一般化してきてしまって、少しも労働市場というものが明るくなっていない。ことに中小企業の中では、過当な競争、あるいは行き過ぎた競争が行われておる、こういう過当な競争を公正な競争に移すためにも、あるいはまた日本の国際的な労働面からする信用というものを高めるためにも、最低賃金制の実施ということを、強くこの答申の中にもうたわれているのです。この点について、労働省としては、労働大臣としては、松浦構想の一つとして、最低賃金制の問題と取り組むといわれておりますが、どういう考えでおられるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/41
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042・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) 基準法をのけものにしていくという考えは毛頭持っておりません。早く、なるたけ基準法によって経営をさせるようなふうに持っていきたいのでありますが直ちに今基準法のものさしで、中小企業全部ではありません、中小企業の右翼はもう組合を作ってやっておりますから、この組合との間に団体交渉をやっていっておりますから、守られているんです。その三十人以下くらいのところが一番むずかしいところです。これが直ちに基準法のものさしで厳格にやっていきましたならば、犯罪も多くなるし、経営ができなくなっちゃうんです。そこで、それを経営ができるようになるように、だんだん誘導していきまして、そうして後には基準法を守らせるようにするというのが、私は本旨だと思うんです。一方において、もう一つは、基準法を、臨時労働基準法の審議会がありまして、これを改正した方がいいか悪いかという議論も一方にありますから、そういう両方の考え方を十分とり入れていかなければならぬと思いますが、私は今基準法を変えるという考えは持っておりません。基準法に従わしめるように誘導していくべきだ、しかし、摘発主義はとらない。
最低賃金の問題については、労働省としてはもう見解をはっきりきめております。それは、この答申にありますように、最低賃金制を設けることが必要であるということに基本を置きまして考えているんでありますが、この一律に八千円にするとか、六千円にするとかいうことは、私どもは今考えられない。もしそうするならば、日本の中小企業というものは成り立たないのです。そこで、われわれはこの労働問題懇談会に諮問をいたしまして、その諮問の答申が、業種別、地域別の協定賃金をきめた方がいい。まず最低賃金をとり上げるためにはそれが一番近道であるという答申を受けておりますから、この答申に従いまして、それぞれこの実施ができますように善処していきたい、かように今思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/42
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043・田畑金光
○田畑金光君 今の後段の御答弁で、最低賃金の実施について、地域別、業種別、職種別によってそれぞれ実情に即してやっていく、この答申を尊重し、それを実施に移すと言われますが、具体的にどういうことになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/43
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044・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) まあ業種別、地域別でありますから、それぞれの業態の種類によりまして、それも立地関係もありますから、やはり地域別にしなければならぬと思うのでありますが、業者間において協定賃金をきめて、最低の賃金をきめて、それを実施するというためには、地方の労働基準局、出先のわれわれの基準局もこれに関与いたしまして、協力するというような考え方を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/44
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045・田畑金光
○田畑金光君 日本の労働市場というものは非常にまあ鮮明を欠くと申しますか、明確でないといわれているわけです。この間の質問によっても明らかにされましたように、完全失業者が六十万とか七十万といわれ、あるいは不完全失業者については七百万とか一千万ともいわれているわけで、はっきりと労働市場で一体日本の失業者というものは幾ばくであるのか、明確な数字をつかむことができないわけです。これはいろいろな点からきていると思いますが、とにかく日本においてはこの雇用というものが縁故採用と申しますか、縁故取引というものが行われている、正規の職業安定機関を通じて雇用、失業問題が処理ざれるということは非常に少いと申しますか、十分に行われていない。従って、雇用安定行政機構の確立が完備されていないという点も大きな原因だろうと思うのです。それからもう一つは、また特に日本の場合は、この家内労働というような問題が大きな比重を占めておるということ、これはまた一つ日本の家族制度というものからきておりましょうが、非常に労働力の把握というものが困難であるわけです。それが家内労働というような形で非常にしわ寄せを受けておる。そういうことを考えた場合に、こういう労働市場をはっきりさせるためにも、あるいは家内労働という形でまことに悲惨な条件のもとに働いておるこういう零細な労働者、家内労働者、こういう人たちの賃金水準、あるいは作業条件、労働条件等のためにも、この際、家内労働法等の制定というものは当然とり上げられてしかるべき問題だと思うわけですが、この点について労働大臣はどのようにお考えになっておられましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/45
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046・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) 家内労働法については、社会党の方からもいろいろ案が出されておるようでございますが、これは今後とも十分検討しなければならぬと思います。今日の日本の内職の状況は、内職といいますか、家内労働といいますか、というものは、非常な賃金差があるのです。まあ一カ月千円くらいからあるようでありますが、毎日働いて一カ月千円くらいからある、それも子供が学校から帰ってきてから、のりをつけさせたり、いろいろ手伝いをさせてやっておる、中には三千円も四千円も取れる職種もあるようでありますが、この問題は、この解決の方法としましては、それらを内職の元請というか、それが暴利をむさぼっているかどうかという問題です。それが安く仕上げることによって安く市場に出しておるということになると、この賃金を上げることによって、この種の仕事はなくなってしまうわけですね。そこのところに私は非常な悩みがあると思うのです。でありますから、これらについても十分検討いたしまして、これはいずれ今御指摘になりましたような制度は作らなきゃならぬと思うのです。けれども十分検討する必要がある。特に日本の家内労働というものはこれはずいぶん長い伝統の上にあります。明治初年、われわれの生まれない時代から家内労働によって、内職によって行われておる仕事がずいぶんあります。それらが非常な低賃金でやっておる。ある人に聞きますと、この間大阪の人に聞いたのですが、まあ千円か千五百円かせぐ、それが子供の学校に行くための内職である、けれどもそれが二千円、三千円にふえるよりも、仕事が継続されることを要望するというのです。そういうことをいろいろ聞いてみますと、これはほんとうに考えなきゃならない問題でありますから、一律一体にこうするのだ、一時間四十円だ、一時間三十円だときめることがいいか悪いかということで、それをきめることによって、その種の仕事がなくなってしまう、そんな高いことをやるならば機械化したものにかえてしまうというようなことになって、仕事が減っていくということになると大へんなことでありますから、最低賃金と家内労働の問題については、今後十分検討しなければならない。家内労働についてはまだそこまでいっておりませんが、最低賃金は、先ほど申しましたようなところまで答申ができておりますから、その方向でいきたいと思っておりします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/46
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047・田畑金光
○田畑金光君 そうしますと、完全雇用と政府ではおっしゃっておられますのは、とにかく千円でも二千円でも働く意思を持ち、働く肉体を持つ者には働かそう、その者がそれによって生活できるかできないかというのは第二の問題で、とにかく千円でも二千円でもいいから働きたい者に内職でも与えよう、これが完全雇用になるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/47
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048・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) それは実態を申し上げております。理想はもっと高いものを持っております。けれども、日本の現在の実態ではそうなんですね。そういう半面があるのですね。けれども、その人は夫が三万円か二万五千円か取っておるのです。それでその家を留守する、子供を養育するひまを見て、それだけの余裕の金を取ろうという考え方の上に立っている人が多いようです。それを専用に、そんなことでは生活ができませんから、それは私はそう考えませんけれども、現在の千円とか二千円とか取っている家内労働の考え方を、夫なりむすこなりが一万五千円なり二万円なり取っておるという家庭の人の内職であると聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/48
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049・田畑金光
○田畑金光君 大臣にお尋ねいたしますが、完全雇用というものは、働くことによって本人並びに家族の生計を維持できるということを目標としておられるのか、それともそうじゃなくて、とにかく仕事さえ与えればいいのだと、生活の問題は別なんだ、完全雇用と政府が言っておられるのはどのことを指しておるのか、まず定義から承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/49
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050・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) なかなか話がむずかしくなりまして、ちょっと来たらすぐというお話しだったけれども、どうも話が長くなって困るのですがね。けれどもこれも一つの勉強ですから……。完全雇用の定義はいろいろあります。アメリカでやっているのは自家営業を含めて、有効なる雇用の機会を与える状態、これはまあ完全雇用だと言っております。それでその他の完全雇用にかかげてあるものといたしましては、国際連合の憲章の五十五条にもそのこととやや似たような意味のことを言っております。それで政府の完全雇用の考え方、これは一つの理想はありますけれども、今申しましたような日本の社会情勢におきまして、それは七千円なり八千円なりを全部取れということにしましたら、それが完全雇用の最低賃金の目標であるということにしましたら、できないのです。私は当分できないと思います。なぜならば、中小企業の方々の給与というものは非常に低いのです。まあ大体五百人以上のものの賃金から比べましたら三十人前後のものは四割五分ぐらいです。そういう統計が労働統計の中に表われておるんです。それで、それを八千なり七千なりにして、それを基礎にして完全雇用をやるということになると、日本の貿易というものは私は非常な無理があると思うのです。だから、日本の経済が成り立った上に日本民族の生活があるのですから、それはこの間も申し上げましたように、日本の加工貿易というものがだんだんと進化してくる、進歩してくる、振興してくる、同時に国内の資源の総合開発が緒についてくるということによって、徐々に上げられることはいいと思うのです。けれども、今直ちに一つの理論の上に立ってこうしなければいけないじゃないか、だからもう八千円なら八千円で法律できめてしまおうじゃないかということは、私はできないと思います。これは私は信念上からそう申し上げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/50
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051・田畑金光
○田畑金光君 いや大臣、大へん時間が長くなって御迷惑のようですが、私の質問している時間はおそらく二十分ぐらいですけれども、答弁が四十分ぐらいになっているのですね。どうも質問に対する内容から、大臣の抱負経綸に移ってくるから、どうも時間が長くなるので、その答弁を少し縮めてくれれば時間が節約できるので、私もほかに質問がありますから、もう一、二点だけお伺いしますが、そうしますと、経済企画庁長官が、十年や十二年すれば完全雇用が達成できる、こう御答弁なさっておりますが、あの場合の完全雇用というのはどれを指しているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/51
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052・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) それは今のところ、企画庁では四月一日ごろから手始めをしまして、九月の末ないし十月にならなければ、第二期というか、鳩山内閣五カ年計画の修正というか、というものはでき上りません。でありますから、今年の労働需給の関係、今年の経済の伸びの関係は、一応われわれは相談して作っておりますが、三十三年以降におけるものは、まだでき上っていないのですよ。けれども、私は十年、十二年たてば、今私どもが言っているような低いものではないと思うのです。それはむろん国民の努力が必要であります。非常に勤勉な国民でありますから、私は日本の経済というものはもっと伸びて、平均生活というものは非常に高くなるだろう、こういうふうに祈っております。またその方向でなければ苦労することがむだになりますから、それはそういう方向にいきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/52
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053・田畑金光
○田畑金光君 私もまだ質問がたくさんありますけれども、ほかの質問者がありますので、この辺で遠慮します。いろいろお尋ねいたしましたが、大臣もよくお読みになればわかる通り、失業対策審議会もりっぱな答申を、広範なものを出しておるのです。これでは資料が足りぬから、もう少し資料を積み上げるのだと、こういうわけですが、問題は、政府にそれを実行するだけの用意があるかどうかということだと思うのです。これを実行する用意があるのかどうか。で、審議会の答申を求められて、まあ三十三年度の予算には計上しようと、こういう考えですが、当面松浦労相の労働政策の具体的な現われは、雇用審議会を作った、これだけだと拝承してよろしいかどうか、承わっておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/53
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054・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) それは観測は御自由であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/54
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055・田畑金光
○田畑金光君 観測が不十分だとお話しになりましたが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/55
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056・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) 御自由であります。お考えになるのは御自由であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/56
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057・田畑金光
○田畑金光君 自由で……。そうですか。どうもそういうような感じを深くするわけですが……。
いま一つ、私は希望として申し上げておきたいことは、りっぱなこういう答申が出ておるわけですから、最初に申し上げましたように、内閣がかわれば、従来の委員会も名前をかえて、また新しいものを作って、また新しく出発する。そうしてそれが答申して、実行できぬうちにまた大臣がかわり、内閣がかわっていく。こういうことをやっていたのでは、いつまでたっても、これは完全雇用だの労働政策というものは前進せぬということです。私はそれだけを強く申し上げておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/57
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058・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) 今御指摘になりましたようなことは、まことに重要なことであり、この案を実行するために中心となることでございますから、十分御趣旨のあるところを尊重いたしまして、実現に努力したいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/58
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059・亀田得治
○委員長(亀田得治君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/59
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060・亀田得治
○委員長(亀田得治君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/60
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061・秋山長造
○秋山長造君 ごく簡単にお尋ねいたしますが、ただいまの田畑委員との質疑応答を聞いておりまして、政府の掲げておられる完全雇用という内容が、ますますぼやけてわからないことになったのですが、先ほどの労働大臣の御答弁のように完全雇用ですと、これは結局内容的には何らこれといったものがなくて、ただ表面的に数字づらで失業者を減らしていくということだけに限られているような感じを受けるんですがね、私は、やはり欧米のように職業構成からいうて、いわゆる雇用者の比重というものが圧倒的に多くて、そうして自営業者だとか家族労働者だとかいうようなものがほとんどいないという所では、完全雇用といえばとにかく一人でもよけい雇うということで解決がつくと思う。それからまた日本と違って、大企業、小企業の問の賃金較差というものが欧米では非常に少いのですね。それからまた日本のように大企業の労働事情というものと、零細企業の労働事情というものとが全然関係なしに別々に併存しておるというような状態も少い。欧米の諸国では、完全雇用というものは、今労働大臣がおっしゃったように、ただ一人でも失業者を減らして、そうして一人でもよけい仕事につけ得ればそれでいいのだということになると思う。ところが日本の場合は、その点非常に違うのではないかと思うのです。ですから単に完全雇用といわれても、これは内容は、やはり広範にわたる問題だと思うのです。むしろ完全雇用というよりも完全就業ということの方が、日本の実情に即しておるのじゃないか、私はそう思うのです。その点は労働大臣はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/61
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062・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) 御指摘になりましたように大体四千五百万ないし四千二百五十万の就労者の中で、千七百五十万人くらいしか御指摘になりましたような雇用関係のものはないのであって、あとは自家労働と申しますか、そういったような意味のものになっておりますから、欧米のそれに比べると全く問題にならないと思うのです。しかしそうでありましても、その中の整備ということについてはいろいろな手もありましょうが、やはりそれは中小企業の振興対策であると思いますから、中小企業に対しては本年は減税あるいは財政の投融資というようなことによって、これを積極的にやって、さらに中小企業の振興対策として機構の整備というようなことも考えなければならぬと思いますが、何といっても私は日本の完全雇用を実現するためには、大企業は自然に伸びて参りますけれども、中小企業というものは国の力で援助してやるのでなければ、伸びて参りませんから、それを伸ばすことが日本の貿易を振興させるゆえんにもなると思いますので、それが現存の生産力よりも、あるいは貿易量よりも三割、五割とふえていけば、自然にやはり雇用量も増大するという考えのもとに、積極的な経済政策をとらなければならない、同時に、先ほど申しましたように、経済政策だけではいけませんから、今の雇用審議会のようなものによって、総合的な施策を考えるというようなことを考えております。今、最低賃金制を設けなければならぬと、その最低賃金制を基礎にして、それよりはずれるものがなく、そうして完全雇用にいくべきであるという理論的なことは、私はわかるのですけれども、日本の現実はそうなってないのです。それをそこへ近づけるように努力するということが現段階だと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/62
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063・秋山長造
○秋山長造君 そうすると政府のおっしゃる雇用政策、雇用問題というのは、結局雇用の内容ということよりも、ただ雇用の量をふやしていく、数をふやしていくということに重点があるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/63
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064・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) 量質ともに考えております。その質というのは中小企業の振興が一番重要になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/64
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065・秋山長造
○秋山長造君 じゃ労働大臣も結局雇用問題の解決の上で、やはり最大の隘路、最大の比重のかかるところは完全失業者と完全就業者との中間に横たわる、一千万とかあるいは一千何百万とかいわれておる、いわゆる半就業状態、あるいは半失業状態、これは業種からいえば中小企業という層ですね。この層に一番問題があるということはお認めになっているわけですね。そして不完全就業状態というものを解決していかない限り、完全雇用というようなものはもう問題にならないということも、これは当然だと思うのですが、その点もいいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/65
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066・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) いいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/66
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067・秋山長造
○秋山長造君 そういたしますと私がお尋ねしたいのは、せんだってから大臣の御説明を聞いておりますと、とにかく政府としてはそういう実態は一応わかっている。しかしそれを改善するためには、もっぱら例の経済規模の拡大、あるいは生産増強というような経済政策だけで、この状態が改善されるものというふうにお考えになっておるのではないかと思うが、その点はどうでしょう。私はもうついでに言ってしまいますが、それだけでは日本の今のこの膨大な不完全就業状態というものの解決はつかないのじゃないかと思うのですがね。現に経済規模拡大、神武景気ということが言われておっても、昨年など労働省の統計では百三十万以上雇用者がふえているにもかかわらず、そのうち二十九人以下、先ほど労働大臣がおっしゃった一番問題があるという、二十九人以下の企業の雇用がもう圧倒的ですね。しかもそれは先般来お話のある通りに、きわめて三十時間以下というような短時間労働か、あるいは五十時間、六十時間とかいう非常な長時間労働、健全な雇用状態でない、きわめて不健全な雇用状態が圧倒的に多い。この状態はなかなか、景気がよくなれば自然に解決するということは、私は次元が違う問題じゃないかと思うのです。これはもう景気がよくなる、悪くなるにかかわらず、この層というものはじっとよどんでしまっているのではないか。しかも人口がふえるに従ってだんだんそういう層がふえていきつつあるのではないか。特に大企業は昨年の統計でもはっきり示しているように、あるいはオートメーションだとか、あるいは生産性の向上だとかいうようなもとも手伝って、ほとんど大企業における雇用の拡大ということはないですね。今後の見通しとしてはむしろ総体的に大企業の雇用というものは減ってくるのじゃないか、こういうことすら言われておる。おそらく労働省でも、私はそういうふうにみておられると思う。そうなるとこれはただ一時的に少々の金を中小企業へ融資したから、それで片づくという問題ではないので、これはもうどうしてもこの悪循環を断ち切っていくためには、一方ではもちろん経済政策というものをやっていく必要はありますけれども、しかしそれだけでなしに今度は裏から裏づける意味において、先ほど田畑君が繰り返しおっしゃったように、やはり雇用基本法とか、あるいは雇用安定法、あるいは最低賃金法だとか家内労働法だとかいうものが、どろしてもこれが具体的な日程に上ってこない限り、この不完全就業者を生んでおるということ、全然大企業とは関係のない面で悪循環を繰り返していくというこの状態は、もう断ち切ることができないのじゃないかというように考えるのですが、労働大臣はその点いかがお考えになるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/67
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068・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) 大企業のオートメーション化による失業者が出るという点でありますが、同じような生産量でオートメーションの場合はそうなると思うのです。けれどもオートメーションになり良品廉価になりまして、市場をどんどん開拓するということになれば企業がずっと拡大されますから、その拡大による雇用量というものは自然にふえてくると思うのです。それからもう一つは、このオートメーションの問題についていろいろ議論があるのですけれども、私は自分でもやってみておるのですが、かりにオートメーションということをやることによって、十人のものが五人でいいということになると、五人の人を雇わなくてもいい、というその事実は、オートメーション的な機械を買うことによる減価償却にもなるでしょうが、それ以上にそれだけの余裕のあるということは量産になり、また企業の拡大になりまして、後には、前のオートメーションを始めるときよりも人を多く使うようになる。しかし年限がかかります。
もう一点は中小企業の問題ですが、それは大企業はそれで私はいけると思うのです。けれども、日本の大企業というのは大体原料生産です。まあ基幹産業は特に原料生産ですが、原料生産が多いのですね。ですから日本の貿易を盛んにしようとするならば加工貿易で、日本の国を建てようとするならば、やはり中小企業の工業力というか、生産力を増すという以外にないと思うのです。それはやっぱり近代設備によるものだと思います。従ってやっぱり加工貿易をする場合は、他の国の加工貿易の場合と同じように優秀製品の廉価なものができなければならない。で、日本が経済外交ももちろん必要ではございますけれども、労賃が非常に安いのですから、これが優秀な設備に置きかえられていきましたならば、これは関税障壁なんかの問題がありますから、経済外交は必要でありますけれども、十年、十二年という将来のことを考えますれば決して心配したものではない。やっぱりこの石橋さんのおっしゃったように人口の多いということは、輸出の余力を養う根源であるというふうに解釈できると思うのですよ。この現状の状況においてあまり悲観ばかりする必要はないと思うのです。やはりそれによった経済計画とそれによった産業設備というものに置きかえられていきましたならば、必ずそれはできるのじゃないか。それと同時に私はやっぱり国土の総合開発というものは必要であると思います。ということで日本の経済が拡大せられ、日本の経済が完全に発達して参りましたならば、それにもちろん先ほど申しましたような社会保障が並行していかなければならない。総合的な雇用に対する政策が必要でありますけれども、今申しましたようなふうに日本の経済が進んで参りましたならば、私はそのときは、これは一定の最低賃金をきめてもいいのじゃないか。けれども今五、六年の間に一律一体の最低賃金をきめることは非常に危険である。こういうふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/68
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069・秋山長造
○秋山長造君 私もオートメーションが失業者を出すということを言っているのじゃない、これは総体的に雇用量が減っていくんではない、しかも御承知のようにオートメーションをやってもいろいろ関連した雇用はやっぱりふえてくるだろうということをおっしゃるが、しかしこれはオートメーションにしてもいろいろな技術の革新、改善にしても、日本の企業が自力で自主的にこういうことに手をつけて来たのならば、あるいはいろいろな関連したまた新しい企業が起ったりして、その面で雇用がふえてくるということもある。しかし日本の場合はもう全部外国のまねをして、ちっとも企業が自分で自主的に金と時間をかけて技術の革新をやって来たというものじゃない。従ってこれはその生産性の向上あるいはオートメーション化ということに関連しての雇用量の拡大ということは、比較的望めないのじゃないかということが一つの点。それからもう一つは、この市場拡大、市場拡大ということをおっしゃるけれども、しかしこれは一面において国民の購買力の増大ということがない限り、ただ一方的に市場拡大々々といっても、これは言うべくして不可能だと思う。だから国民のこの収入というものがある程度保障されない限り、言葉をかえていえば、賃金というものが、ある程度保障されない限り、市場の拡大といっても程度は知れていると思う。じゃ貿易だといったところで、それはダンピングをやればともかくだけれども、そういうことは今日許されない、しかしそうすると市場の拡大を言うてもそれはただこの経済を拡大し、市場を拡大しということだけでのこの市場の拡大というものは、ほんとうはなかなか限度があって望めない、やっぱり購買力の拡大ということが伴わなければだめであるというように考えるのです。だからどうしてもただ中小企業に対する融資をふやすとか、減税をするということだけで、これはもうまかない切れぬ私は問題ではないかと思う。それはなるほど最低賃金制なんかをやると、これは表面的には私は失業者がおそらく一時的にはふえると思う、ふえると思うけれども、これは別に新しく失業者がふえるというものじゃなくて、従来隠れておったものがただ表面へ出るということだけなのだ。私はむしろほんとうのそういう意味での実質的な失業者というものは徹底的に表面へ出してしまって、そしてそこから出発して、そうして、日本の雇用問題、失業問題というものと取り組まない限り、これはいつまでたってもごまかしの、表面だけなぜたごまかしに終ってしまって、そして失業問題というものは永久に解決しない。決して悲観ばかりしておるわけじゃないのだけれども、どうも大臣のおっしゃることはあんまり楽観に過ぎる。楽観に過ぎるというのはいい意味での楽観に過ぎるのならいいけれども、むしろ無責任な楽観のような気がしてならないのですがね。で、企業の融資をふやし、経済を拡大しさえすれば、雇用問題が解決するのだったら、明治以来今日まで世界のどこの国に比べても、日本くらい国家資金を企業へ注ぎ込んできた国はないですよ。にもかかわらず、今日依然として半失業状態というものは広範に存在している。これはこびり付いてしまってちっとも改善しない。だからやっぱり拡大政策をやる一方で、必ずもっと経済政策以外の社会的な一つの力を加えて、そうして最低賃金制度なり、あるいは家内労働法なり、あるいは労働省で前に考えておられた雇用安定法なり、あるいは雇用基本法、あるいは労働基準法をもう少し励行していくとか、何かそういう一つの社会的な力を伴なった経済拡大政策がなければ、私はもうとても完全雇用なんというようなものは言ってみるだけの夢だと思うのです。そういうようにお考えにならぬですか、もうこれで質問はやめますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/69
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070・松浦周太郎
○国務大臣(松浦周太郎君) その夢物語を実現させようと努力いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/70
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071・亀田得治
○委員長(亀田得治君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/71
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072・亀田得治
○委員長(亀田得治君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/72
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073・永岡光治
○永岡光治君 この雇用審議会の幹事を二十人以内を置くということがありまして、その中に「関係行政機関の職員のうちから、内閣総理大臣が任命する。」ということになっておりますが、関係各省というのはどれどれの省ですか、そしてそれはどういう理由に基いて選定したのかその根拠、それを一つ示してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/73
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074・澁谷直藏
○説明員(澁谷直藏君) ただいまの点でございますが、御承知のように雇用問題は非常に関係する分野が広うございまして、ほとんど大蔵、通産、農林等の経済各省はもとよりでございますが、それ以外に経済企画庁、あるいは厚生省、文教関係でいきますと文部省、さらに国鉄、運輸省というように非常に関係する部門が広いわけでございますので、今回の雇用審議会設置法案におきましては、従来の幹事をさらに五名ふやして、ただいま申し上げましたような関係各省から関係の局長クラスの方々に幹事になっていただく、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/74
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075・永岡光治
○永岡光治君 逓信関係はなぜ入れなかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/75
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076・澁谷直藏
○説明員(澁谷直藏君) ただいま申し落しましたのでございます。例示として申し上げたのでございますが、もとより逓信も関係がございますから入ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/76
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077・亀田得治
○委員長(亀田得治君) それでは他に御発言がなければ質疑はこれで尽きたものと認めます。これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/77
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078・秋山長造
○秋山長造君 私は社会党を代表して本法律案に賛成いたします。しかしながらこの雇用審議会を設置される前提として若干の意見と希望を申し上げたいと思うのであります。
先般来、本委員会で雇用問題、特に政府のいわゆる完全雇用政策なるものの内容について各委員から詳細な質問があったわけですが、これに対する政府側の御答弁には私ども遺憾ながらただいままで十分了承はできません。特に従来設置されておりました失業対策審議会から再三出ておりますところの答申の中にも、これは繰り返し日本の雇用問題、失業問題の現状、またそれに対する政府としてとらるべき政策等について、相当具体的なものが出ておったにもかかわらず、今日までほとんど政府の政策となって具体化されておらない現状でございます。特に日本の雇用問題を考える場合に一番むずかしい問題であり、また一番大きな比重を占めるのは、何といっても、この完全就業者と、そして年々ふえていこうとしておる完全失業者との中間に位するところの広範な不完全就業者の問題だと思うのです。現に昨年の統計を見ましても、百四十万人も雇用がふえたと申しましても、そのうち毎月勤労統計に表われたところの三十人以上の常備雇用者を持つところの事業場での増加数というものは、わずかに十五万前後、だからその圧倒的な多数というものはきわめて零細な小企業での雇用にすぎない。しかもその圧倒的な比重を占める零細企業における就業状態たるや、このいわゆる低賃金あるいは長時間労働ということでありまして、たとえば一週間の就業時間三十四時間以下あるいは五十時間以上というような、通常の状態でない、きわめて不健全な就業状態というものが圧倒的に多数を占めておる。それからまた賃金の面からいいましても、自営業主にして年収八万円以下のもの、あるいはいわゆる雇用者にして月収八千円程度以下のもの、これがほとんど一千万人前後を占めておるような状態です。この層への対策というものがいかに緊急を要し、かつまた重大であるかということを数字が如実に物語っておるわけです。しかも、昨年来の神武景気その他の景気という面から考えましても、この好景気あるいは経済拡大というものが、この面の改善にはほとんど役立っていないということが、いろいろな統計数字から結論づけられるわけでありまして、私どもは、この経済の拡大あるいは生産の増強という面からしか雇用問題を考えておられない政府のこの考え方というものは、きわめてこれは片手落ちなものであって、こういう政策を続けるだけでは、雇用問題の実質的な改善ということは望めないと考えるのであります。どうしても一面において経済規模の拡大ということをやると同時に、他面においてやはりこの社会的な一つの力を持って、この非常におくれた、そうして貸金格差の非常に隔った、しかも非常に圧倒的な数と量とを占めておる、このいわゆる半失業状態あるいは不完全就業状態というものを引き上げていくのでなければ、経済規模の拡大そのものさえ早晩にして頭打ちになると考えるのであります。その意味におきまして、私どもは、どうしても経済規模の拡大と並行して、最低賃金制の早期実施、あるいは家内労働法の実施、さらにまた基本的には雇用基本法、こういう制度的な裏付をはっきり打ち立ていくことが、日本の特殊なこの雇用問題、失業問題あるいは就業問題というものを解決していくところの不可欠の要件であると、こう確信をいたすものであります。そういう意味におきまして、今日政府がおっしゃっておる完全雇用政策というものは、いわばアドバルーンを上げられた、スローガンを掲げられたにすぎないので、これはもうほとんど実質的な準備というものはできていない。現に一番問題に先ほど来申し上げるようになっております二十九人以下の雇用者を持っておる零細企業、この零細企業についての統計すらいまだにできていない、これからやらなければいかぬというような状態で、きわめて不用意な状態でございます。しかし、いずれにいたしましても、この雇用問題というものは今日の政治にとっては最重要な問題である。与党といわず、野党といわず、われわれは真剣にこの問題と今後取り組んでいかなければならない責任を感ずるわけであります。その意味におきまして、今度新たに設けられるところの雇用審議会というものは、一つ従来のような月並みな審議会の古いからを破って、そうしてここに掲げられておるような当面重要な調査を徹底的にやる。同時にまた、調査だけで終ることなくして、先ほど来申し上げましたような根本的な、雇用問題に対する具体的な政策の立案ということを、真剣に取り組んでやっていただきたい。そうしてまた、そのためには、委員の人選等につきましても、従来の人選をただそのまままた踏襲するということでなしに、この際日本の雇用問題というものの実態にかんがみられまして、十分新しい見地で一つ御検討を願って、そうしてできるだけあらゆる層から有能な、しかも熱心な学識経験者をこれに網羅されて、そうして政府内において、各省がそれぞれ分担しておるところの雇用関係の事務というものも、できるだけこれに統合集中をされて、そうしてほんとうにその名前に恥じないだけの雇用審議会を作られ、またこれを運営されていくことを特に強く希望いたしまして、賛成の討論を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/78
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079・上原正吉
○上原正吉君 私は自由民主党を代表しまして本案に賛成するものでございます。およそ働く意思があり働く能力のある者に残らず仕事を与えるということは、まず政治の最初の目的でなければならぬと思うのでございます。健康な有能な人物が職を離れたために、あるいは職を得られないために親子心中、家族心中を企てるというふうなことがあるようでは、これはもう政治の恥辱これに過ぎるものはないと思うのでございます。しかし、完全雇用といい、完全就業といい、これを実現することは非常に困難だと思います。幸に練達堪能な大臣、次官を迎えておりまするので、ことにその御熱意と御誠意とに深く御信頼を申し上げておりまするので、どうぞ、この種の審議会が当面を糊塗することに終るというのが多く従来の例であったわけでございますが、さような結果に陥ることなく、その目的をりっぱに貫徹することができまするように、満腔の祈りをこめてこの法律案に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/79
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080・八木幸吉
○八木幸吉君 私は本案に反対であります。雇用問題の重要性は、十分私も、ただいまお述べになりました各位に劣らぬ重要性を見るものでありますが、従来の例を見ますと、政府にいろいろな審議会とか、調査会というようなものができますけれども、多くその審議というものは、とかぐ形式に流れやすいうらみがあるのであります。またこれを逆に申しますと、政府の責任のがれにその機関を利用するような傾向も従来からあったわけであります。すでに各党におきましては立法考査室として、たとえば自民党にいたしましても、年間五千万円以上の国の費用が政党に渡されておるわけでありますから、かような重要な問題は、当然政党内部におきまして十分その具体策をお立てになって、そうしてこれを政府をして実行せしめる。また政府の当の担当大臣の方でも、何か真剣にこの問題と取り組むために民間の有識者の意見を聞きたいということであれば、何もこう、いったような法律による審議会を作らなくても、その誠意さえあれば、民間の有識人の知識も十分に吸収することもできますし、ただいま申し上げました通り、政党にはそれぞれ政務調査会の機関もあるし、国からも金も出ているし、重要な問題であればあるほど、各政党の政務調査会で十分その具体案は立てられるはずでありますから、現在日本の行政機構が膨大にすぎると思っておる私どもといたしましては、この問題の重要性は十分認識いたしますけれども、この法律を作りまして、わざわざ政府の一つの機関として作ることには反対であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/80
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081・亀田得治
○委員長(亀田得治君) ほかに御意見がなければ、討論は終局したものと認めます。
それでは、これより採決に入ります。雇用審議会設置法案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/81
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082・亀田得治
○委員長(亀田得治君) 多数でございます、よって本案は多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/82
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083・亀田得治
○委員長(亀田得治君) 次に労働省設置法の一部を改正する法律案を議題に供します。
本案につき御質疑のおありの方は順次御発言を願います。……別に御発言がなければ質疑は尽きたものと認めます。
それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。……別に御意見がなければ討論は終局したものと認めます。
それではこれより採決に入ります。労働省設置法の一部を改正する法律案を議題に供します。
本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/83
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084・亀田得治
○委員長(亀田得治君) 多数でございます。よって本案は多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成、その他事後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/84
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085・亀田得治
○委員長(亀田得治君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。
それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、両案を可とされた方は順次御署名々願います。
多数意見者署名
秋山 長造 永岡 光治
迫水 久常 松岡 平市
伊藤 顕道 松村 秀逸
田畑 金光 泉山 三六
竹下 豐次 上原 正吉発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/85
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086・亀田得治
○委員長(亀田得治君) それでは委員会はこれにて散会いたします。
午後四時二十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X01119570322/86
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