1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年四月二十五日(木曜日)
午後二時二十七分開会
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委員の異動
四月二十四日委員前田佳都男君辞任に
つき、その補欠として江藤智君を議長
において指名した。
本日委員植竹春彦君辞任につき、その
補欠として成田一郎君を議長において
指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 亀田 得治君
理事
上原 正吉君
大谷藤之助君
秋山 長造君
竹下 豐次君
委員
江藤 智者
木島 虎藏君
木村篤太郎君
迫水 久常君
成田 一郎君
平島 敏夫君
松岡 平市君
松村 秀逸君
伊藤 顕道君
田畑 金光君
永岡 光治君
八木 幸吉君
国務大臣
国 務 大 臣 小滝 彬君
政府委員
防衛庁次長 増原 恵吉君
防衛庁長官官房
長 門叶 宗雄君
防衛庁防衛局長 林 一夫君
防衛庁人事局長 加藤 陽三君
防衛庁経理局長 北島 武雄君
防衛庁装備局長 小川 雄二君
事務局側
常任委員会専門
員 杉田正三郎君
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本日の会議に付した案件
○防衛庁設置法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
○自衛隊法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/0
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001・亀田得治
○委員長(亀田得治君) これより内閣委員会を開会いたします。
委員の変更について御報告いたします。
二十四日付、前田佳都男君が辞任され、その補欠として江藤智君が選任されました。
右、報告いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/1
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002・亀田得治
○委員長(亀田得治君) 防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案を一括して議題に供します。両案について御質疑のおありの方は、順次御発言を願いますが、その前に、昨日の質疑に関連して、小瀧防衛庁長官から発言を求めておられますから、この際発言を許可いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/2
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003・小滝彬
○国務大臣(小滝彬君) 昨日、総理、法制局長官、私が核兵器について答弁いたしましたことに対して、そこに一致しない点があるではないかという御質問もございましたので、その後速記録もよく調べまして検討いたしましたが、私どもの気持といたしましては、それで何ら相違はないと思っております。しかし、この点をさらに明らかにいたすために、はっきりと今の政府の見解を申し上げます。
現在、核兵器といわれているものは、原水爆が代表的なものであるが、その他のものも、伝えられるところによれば、多分に攻撃的性質を持つもののようである。そうとすれば、この種の核兵器をわが国がみずから持つことは、憲法の容認するところではないと考えられる。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/3
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004・秋山長造
○秋山長造君 ただいまの長官の御発言は、これは、先ほどもこの原文をだいぶ長い間読んでみたのですけれども、どらもはっきりわからない点があるので、あらためてお尋ねしますが、この途中にある「そうとすれば」という言葉ですね、「そうとすれば」というのはどこにかかるのですか。はなはだむずかしい日本文になっているので、どうも……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/4
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005・小滝彬
○国務大臣(小滝彬君) 核兵器がどういうものかということにつきましては、日本の自衛隊はもちろん持っておりませんし、持つ意向はないし、政府の意向もそういう方針でありますので、この実体というものにつきましては、いろいろ資料によって調べておりますけれども、最近どの程度ほんとうに発達しておるものか、十分な判断を下しかねる実情でございます。しかしながら、大体私どもの承知しておりまするところでは、「そうとすれば」の前に申し上げたような性質のものと了解いたしておりまするので、それがすなわち核兵器であるとすれば、そういうものは憲法にも違反するであろうという趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/5
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006・秋山長造
○秋山長造君 そうしますと、前置きとして、われわれとしては、核兵器なるものの全容というものもわからない。日本にもないし、また日本で使うつもりもないし、また、日本に外国から持ってくるつもりもないということを前提として、さらにこの文章がくるわけですね。だから、手っ取り早く、わかりやすく考えれば、もう初めの方を取ってしまって、要するに、われわれとしては、核兵器をわが国がみずから持つことは憲法の容認するところではない、もうこの一言で尽きるわけですね、内容は。実質的には、もうその一言と同じことなんですね、言われていることは。違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/6
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007・小滝彬
○国務大臣(小滝彬君) 先ほど申しましたように、核兵器というのの実体がはっきりわかりませんので、核兵器というものをこういうものと了解いたしまして、こう申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/7
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008・秋山長造
○秋山長造君 そうすると、やはり疑問が起ってくるのですが、こういうもりというのは、多分に攻撃的な性質を持つもの、こういうことだろうと思うのですが、そこで、その逆の解釈をすると、この攻撃的ということも、けさほど予算委員会でだいぶ議論があったようですが、それはまあそれぞれの主観によってまた違うとは思いますが、ここでは、常識的な意味での攻撃的という解釈をしなきゃしょうがないと思います。多分に攻撃的でない、多少は攻撃的かもしらぬけれども、多分に攻撃的というほどでもというようなものならば、核兵器といえども持ってもいいというような解釈も、理論的には出てくる可能性があるんじゃないかと思うのですが、その点はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/8
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009・小滝彬
○国務大臣(小滝彬君) 私どものこの憲法に対する解釈は、自衛権というものは国家にあると、そうして自衛力は持つことはできる。自衛力というのは、結局攻撃的なものであってはならないので、あくまで防御の一段階的なものでなければならぬ、こういう考え方であります。従いまして、そういう趣旨において、この核兵器なるものが攻撃的な性格を持っておるもののようでありまするから、そういう攻撃的な兵器は持たないという考えでございます。それがまた攻撃的なものを持つということになれば、憲法には抵触するおそれがある、こうした考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/9
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010・秋山長造
○秋山長造君 核兵器というものは、多分に攻撃的な性質を持つものだというお話ですが、それならわかるのです。核兵器というものが、これはもうその本質的に攻撃的な性質を持った武器だと、こういうように解釈された上でのこういう文言なら、私はある程度了解がつくと思うのですけれども、そういうふうにやはり解釈しておられるのか、もう一ぺんはっきり承わりたい。核兵器というものは、本来本質的にいわゆる攻撃的な性質を持つものと、こう観念しておられるなら、それは話がある程度わかる。一口に核兵器といっても、それは攻撃的もあれば、防御的もある。だから、攻撃的は困るけれども、防御的な核兵器ならばいいじゃないかというような、拡張解釈が導き出されるような余地が多少とも残っているというところに、私どもこの問題を重ね重ね長官にお尋ねしておる理由があるわけなんですから、その点、もう一度はっきり伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/10
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011・小滝彬
○国務大臣(小滝彬君) 核兵器と普通いえば、その代表的なものは原爆とか水爆とかいうようなものだろうと思います。まあ今後どういうものができるか、全然存じませんけれども、そうした核兵器という概念において、私どもは、そういう性格のものは憲法の規定に反するというのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/11
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012・八木幸吉
○八木幸吉君 大臣にお伺いしたいのですが、今お読みになりました御答弁は、政府の統一解釈、つまり総理も、あるいは法制局長官も、防衛庁長官も、三者ともお打ち合せになった結果の御意見でありますか。あるいはそれを推定されて、防衛庁長官だけの御意見でありますか。いかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/12
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013・小滝彬
○国務大臣(小滝彬君) これは統一した意見でありまして、今申しましたような意味において、いわゆる核兵器というものは、これは憲法に抵触するおそれがあるということでございまして、いわゆるという意味は、今申しましたような意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/13
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014・八木幸吉
○八木幸吉君 ただいま秋山委員が御質問になりましたことに対する防衛庁長官の御答弁と、それから今お読みになりました政府の統一解釈とは、そこに多少の、私、差異があると思います。と申しますのは、秋山委員に対する御答弁では、核兵器というものは本来攻撃的の武器であるというふうに解釈されておるから、従って、核兵器ほ、いかようにそれが実戦の上において使われようとも、そういう属性を持っておるものであるから、核兵器を日本が持つということはすべて憲法違反になる、こういうように秋山委員には御答弁になったように思います。ところが、今のお読みになりました政府の統一解釈では、核兵器というものは多分に攻撃的に使われるように思われるから、もし攻撃的に使われるようなものであるならば、日本の憲法はこれを許さないから違反である、逆に言えば、もし防御に使われるような核兵器がかりにあるとするならば、それを日本は保持しても憲法違反にならない、こういうのがお読みになりました政府の統一解釈の文理解釈であると思います。その文理解釈と今の御答弁とは、そこにつまり防御的の核兵器に対する、防衛庁長官の御答弁では憲法違反であるが、その統一解釈では憲法違反でないと、こういうように私読めるのでありますが、長官、いかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/14
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015・小滝彬
○国務大臣(小滝彬君) そういう攻撃的でないものであるかどうか、そういうことはわかりませんが、今のような、今と申しまするのは、先ほど読みましたような性質を持っているものと解されまするので、そうとすれば、この種の核兵器は憲法の規定に抵触するという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/15
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016・八木幸吉
○八木幸吉君 今の御答弁ですと、政府の統一解釈の方にお戻りになって、先ほどの秋山委員に対する御答弁をお取り消しになったかの感じを受けるわけであります。先ほどの秋山委員への御答弁は多少言葉が足りなかった、今の方がほんとうである、こう了解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/16
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017・小滝彬
○国務大臣(小滝彬君) どういう印象を八木さんにお与えしたか知りませんが、私の申さんとするところは、ただいま八木さんにお答えしたような点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/17
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018・八木幸吉
○八木幸吉君 そういたしますと、つまり防御的の用に供される核兵器であるならば、日本の自衛隊がそれを保持しても憲法違反でない、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/18
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019・小滝彬
○国務大臣(小滝彬君) 私どもの知っております範囲では、そういう点がはっきりいたしませんので、いわゆるこうした意味における核兵器というものを対象として考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/19
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020・八木幸吉
○八木幸吉君 その点がはっきりせぬというふうなお話でありますけれども、兵器のことは、私むろんしろうとで、防衛庁長官以上に知りませんが、先ほど防衛年鑑というものをあけて、にわか勉強をいたしたのでありますが、その中に、誘導弾の中に、ナイクという誘導弾があります。このナイクは、つまり敵の飛行機が上空へやってきて爆弾を落す前に、原子弾頭から発射して、その敵機を落す、つまり対空上の誘導弾に原子弾頭を使うのだ、今私がちょっと読んでみても、防御用の誘導弾である核兵器だと思うのですが、こういうものを一体自衛隊がかりに持てば、憲法違反であると思いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/20
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021・小滝彬
○国務大臣(小滝彬君) 憲法の問題を離れまして、私どもは、今の政府のはっきりとした方針として、そういう原子弾頭をつけるというようなことはしないということで進んでおるのでございまして、ナイクそのものが原子核兵器であるかどうかということにつきましては、私どもは、つけた場合には、これは核兵器と言われるかもしれませんが、そうでない場合には、ナイクそのものが完全に核兵器であるというふうには考えないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/21
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022・八木幸吉
○八木幸吉君 つまり、敵機の来襲に対して日本の国を防御するためにナイクをお使いになるお気持ちがおありになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/22
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023・小滝彬
○国務大臣(小滝彬君) 今ナイクを使っているわけでもないし、将来どうなるかわかりませんが、私どもは、ナイクというものは、これは一つ研究してみたいという考えを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/23
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024・八木幸吉
○八木幸吉君 研究して、有効であればお使いになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/24
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025・小滝彬
○国務大臣(小滝彬君) ナイクのみならず、いろいろ誘導兵器というものを研究するということが日本の自衛をする上に必要であると考えて、この研究を希望しておりますが、しかし、それで果してどういうものをほんとうに作り得るようになるかということは、現在のところまだ見当がつかないというふうな段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/25
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026・八木幸吉
○八木幸吉君 誘導兵器にかりに原子弾を装着した場合には、これは核兵器になると思いますが、これはいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/26
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027・小滝彬
○国務大臣(小滝彬君) 原子弾頭は、なるほど核兵器ではありますが、そういうものはつける意向を持っておらないのでありまして、いろんな誘導弾というものを研究しようというのが私どもの考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/27
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028・八木幸吉
○八木幸吉君 これは仮定でありますけれども、ウラジオストックから日本に敵機が来襲してくる。日本海のまん中で、これを誘導弾に原子爆弾を装着して、これを撃墜するというために使うということは、これは日本の防御的の戦術だと私は思うのですが、そういう有効適切な、かりにナイクならナイクというものがあっても、これは憲法違反だからお使いになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/28
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029・小滝彬
○国務大臣(小滝彬君) 私は、ナイクを使うことが憲法違反であるというようには考えておりませんが、少くとも原子弾頭をつけるというようなことは考えない。ほかの普通の爆薬も使い得るわけでありますから、政府といたしましては、その研究はするし、また、自衛のためには、日本の上空でこれを待ちかまえるというのではいけないので、ある程度外へ飛翔し得るものを使いたいという考えを持っておりますが、原子弾頭については、今申し上げた通りの考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/29
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030・八木幸吉
○八木幸吉君 先ほどの仮定の問題で、日本海のまん中で敵機を撃墜するというのに、原子弾頭を使わずして、そういったような兵器が今想像されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/30
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031・小滝彬
○国務大臣(小滝彬君) いろいろな種類の誘導兵器が最近は発達しておりまするので、それほど非常に大きな殺傷力を持つものを使わないにしても、高速飛行機等に対処できる兵器もございますので、私どもは、そういうものを検討しようとしている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/31
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032・八木幸吉
○八木幸吉君 ただいまの御答弁すべてを総合いたしまして、いかなる場合でも、核兵器と認められるものは憲法に違反するかう、一切日本は所持しない、こういう御見解であると承知いたしましてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/32
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033・小滝彬
○国務大臣(小滝彬君) 先ほども申し上げましたように、憲法の問題を離れまして、政府はすでにそういう方針をとっておるものでございまして、今後どういうものが発達するか存じませんが、少くとも政府の方針としてそういう考え方を持っておるということを申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/33
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034・八木幸吉
○八木幸吉君 今の御答弁で、憲法を離れましてといろ意味はどういう意味でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/34
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035・小滝彬
○国務大臣(小滝彬君) 日本の国民感情とか、いろいろの関係もございますので、そうした考えを持っていることは、岸総理から再三申し上げている通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/35
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036・八木幸吉
○八木幸吉君 今の御答弁を伺いますと、つまり、日本の国民感情で、核兵器というものには非常な恐怖の念を持っておる。従って、かりに憲法が許してもこれは持たないのだ、こういうふうに伺うと、最初の核兵器は憲法違反であるから一切持たないのだという言葉と矛盾している点があるように思いますが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/36
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037・小滝彬
○国務大臣(小滝彬君) 核兵器の性質がこういうものとする以上、そうなれば、それは憲法違反であるということであり、現実の核兵器はそういうものでございまするかう、そういうものである以上は、核兵器というものは憲法違反である、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/37
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038・秋山長造
○秋山長造君 全くこんがらかってしまってわからぬのですがね。こういうふうに了解してよろしゅうございますか。結論的にお尋ねしますが、攻撃的とか防御的とかいうような、条件付や形容詞は一切抜きにして、核兵器を持つことそのことが憲法違反でもあり、また政府として持つ意思はない、これでよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/38
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039・小滝彬
○国務大臣(小滝彬君) ただ、核兵器という名前をだれかがナイクにつけられたという際に、それが直ちに憲法違反である、それを持つことが憲法違反であるというように解釈するのは行き過ぎではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/39
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040・秋山長造
○秋山長造君 そこが問題なんで、そうでしょう、核兵器の範囲はわからないとおっしゃるけれども、だからといって、何でもかんでも核兵器だと、勝手に名前をつけられるわけではない。やっぱり核という名前がついている以上は、おのずからそこに、形はどういうようなものがあるにしても、核分裂の際に生ずる強大なエネルギーというものを破裂に利用するという性質のものであるには間違いない。そうして、それがまた放射能の雨かなんか知らぬが、ずいぶん恐るべき災害を人類にもたらす性質のものだということも、これははっきりしておる。だから、そういうものであったならば、防御だとか攻撃だとかいうような次元とは、これは別の次元の問題なんです。防御だろうが攻撃だろうが、とにかくこれを使うことそのことが人類に対する罪悪だという前提に立っておると思うんです。日本が今、原水爆実験の反対を世界に訴えておるのだって、根本はそこだと思う。防御だとか攻撃だとかいうようなこととは違うんです。それを使うこと自体が、理由のいかんにかかわらず、これは大きな人類の災害をもたらす、不幸をもたらす。従って、平和憲法といわれておる日本の憲法がそういうものの所持というものを予想もしなければ許しもせぬことは、これは明々白々たる事実だと思う。だから、まあ口で説明をなさることは、それは私の申し上げるのと、多少今までのところ食い違った点がありますけれども、しかし、おそらくお気持としては、長官も同じお気持だろうと思うんです。持つ意思は全然ない、またそういうものを持つべきものでもない。日本の平和憲法も、そういうものを許さないことはもちろん当然なんです。こういうことだから、意味はわかっていると思うんです。ところが、言葉で表現をしてみますと、やはり何か政府の、現在の岸内閣の一つの政策としては持つつもりはないんだが、しかし、本来憲法上の問題としては、持とうと思えば持てるんだというような、何かそこに含みが残るんです。それがわれわれきのうから非常に問題にしている点なんです。だから、そういう含みを私は残す余地はないんじゃないかと思いますが、この問題に関する限り、政策上の問題と憲法上の問題と、別に使い分けるというべき性質のものでは私はないと思うんですが、何か必要があるんですか。憲法上の解釈のゆとりというものを多少とも残しておかなければいかぬような事情があるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/40
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041・小滝彬
○国務大臣(小滝彬君) 私どもは、この憲法は、これは秋山さんと解釈が違うかもしれませんが、先ほど申し上げたようなことを規定しておるものであると思うのであります。秋山さんの議論を聞いておりますると、いわゆる核兵器なるものは、いかなる時代にも必ず放射能を出して、非常に非人道的なものであるというような考え方からきているようでございます。しかしこれは、私どもにははっきりわかりませんので、核兵器は絶対に憲法第九条に反するというような大胆な解釈を下し得るかどうか、それについては、今の政府としては疑問を持つものでありまして、ここに、先ほど申し上げましたような意味のもののように想像できまするので、そういうものは、この憲法上から考えても持ってはいけないと、こういう解釈でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/41
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042・田畑金光
○田畑金光君 関連して。
岸総理がたびたび国会で、あるいは委員会で答弁されておる中で、原子兵器は持ち込まない、あるいは原子力部隊の駐留は、申し入れがあっても断わる、こういうようなことをよく言われておりますが、あの中にある、原子兵器は持ち込まないという場合の原子兵器の中に、核兵器というものは含まれているのか含まれないのか、同じなのかどうか、それを教えていただきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/42
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043・小滝彬
○国務大臣(小滝彬君) 岸総理が原子兵器と言われるのは、誘導弾などをさすのではなくして、原水爆とかあるいは原子弾頭とかいうようなものを考えておられることと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/43
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044・田畑金光
○田畑金光君 そうしますと、原子兵器を持ち込まないという中には、原子核兵器は入らないのだと、こういう解釈なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/44
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045・小滝彬
○国務大臣(小滝彬君) ええ、その通りです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/45
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046・田畑金光
○田畑金光君 そうしますと、原子核兵器というものは持ち込む、あるいは今後とも持ち込むことがあり得るのだ、こういう裏面解釈に、反対解釈になってくるわけですが、そうしますと、総理が原子兵器を持ち込まない、その場合の持ち込まないという理由は、憲法上の問題と国民感情の問題、こういう二つの点から言われてきておると思うのです。ところが、原子兵器の中に原子核兵器というものは入らぬ、こういうことになってきますと、当然、原子核兵器というものは、現行の憲法のもとにおいては許される、認められているのだと、国民感情もこれを持ち込むことについて認めておるのだと、こういうことになりはしませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/46
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047・小滝彬
○国務大臣(小滝彬君) 私は、田畑さんのおっしゃることがよくわからないんですが、核というのは、ニュークレア・ウェポンというのは、ああいう原子の力を使った武器であると思いますので、私は、核兵器とか原子兵器というのは、大体同様の意味に使っておりまするが、田畑さんかう、どういう、ことをねらっておるか、教えてただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/47
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048・田畑金光
○田畑金光君 私があなたに教えてもうおうと思って、質問しているわけだが、(笑声)先ほど私は、総理は原子兵器を持ち込まないと、よく言われておるかう、その場合の原子兵器の中には、先ほど来長官のお話の核兵器というものは含まれないのかと、こう私は質問したでしょう。それに対しての御答弁は、原子兵器の中には核兵器は含まれない……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/48
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049・小滝彬
○国務大臣(小滝彬君) 失礼いたしました。私は、ここにいうような核兵器を意味して、核兵器とかあるいは原子兵器と言われたかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/49
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050・田畑金光
○田畑金光君 だから、総理の原子兵器を持ち込まないということは、先ほど来長官の御答弁の中にある核兵器というものも含まれておるということなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/50
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051・小滝彬
○国務大臣(小滝彬君) その通りです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/51
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052・田畑金光
○田畑金光君 やっぱりあなたが間違っているんじゃないですか。
それで、ところがそうなれば、あなたの先ほど来のお話を聞いておると、憲法を離れてとか、こういうような言葉というものはおかしいじゃありませんか。はっきりと、今の憲法のもとに核兵器を持ち込むということは禁止をされておるんだ、現行憲法は認めていないんだ、こうはっきり言われたらどうですか。ニュアンスが多過ぎて、われわれの見るところ、今までの歴代の保守内閣はそうでありましたが、一国会のたびごとに、一歩々々解釈が変ってきているんです。そしてあなたがアドバルンをあげたということは、この次は、小型の核兵器くらいは今の憲法で許されるということの伏線をもうすでに張っているんです。でなければ、はっきりと、従前通り核兵器というものは現行憲法のもとにおいては認められないということをなぜ言い切れないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/52
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053・小滝彬
○国務大臣(小滝彬君) 本日総理も、先ほど私が読み上げましたような趣旨の、いわゆる核兵器は憲法にも反するだろうということの趣旨を述べておられましたが、もともとこれは、憲法がどうという前に、もっと人道的な考えとして、国民感情だのを考えられて、総理は、この原子兵器の持ち込みには反対するということを申し述べておられたと私は了解いたします。同時に、この憲法の面でいえば、ただ核兵器という名前がついておるからというのでなしに、核兵器の性格はこういうものであるからという明確な一つの性格をはっきりさせないというと、憲法論にはならないと思いますので、そういう意味で、私はこれを正確に表わすため、先ほど読み上げましたような政府の解釈を述べた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/53
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054・田畑金光
○田畑金光君 岸総理がこれまで国会で答弁されたことは、国民感情だけを考えて答弁されていたわけですか。国民感情がこれを許さない。あるいは二度も原爆の被害を受けた、そういう非惨な運命にあった、その国民感情がこういう原子兵器を持ち込むことには反対であるから、政府としても、国民感情を尊重して入れないのだ、こういう態度が岸総理の考え方であるのか。あるいは国民感情はさることながら、その前に、現行憲法のもとにおいて、原子兵器あるいは核兵器を持ち込むことは許されないのだ、いわゆる現行憲法のもとにおける、戦力を持たぬというその中には、当然に原子核兵器は入っておるのだ。こういう憲法の至上命令かう、持たないということ、持ち込まないということを岸総理は言われていたのか。どっちなんです。あなたのお話を聞いておりますと、国民感情だ国民感情だということを言っておりますが、そうしますと、岸総理は、現行憲法のもとにおいても、小型の核兵器などは持てるのだ、戦術的な原子兵器は持てるのだ、こういう解釈をとっておられたわけですか。どうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/54
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055・小滝彬
○国務大臣(小滝彬君) この憲法に関連した話は、きょう初めて予算委員会で出たので、その際総理は、ただいま私が読み上げましたような趣旨を申し述べられたのであります。おそらくその両方の理由によるものだと思いますが、私どもは、その憲法以前にも、そうした国民感情というものもあるということを先ほど申し上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/55
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056・田畑金光
○田畑金光君 国民感情、憲法以前の国民感情というようなことを私たちは議論してはいないのです。なぜもう少し憲法論に即して、憲法自体に即して御答弁をなされないのですか。
私は、国民感情は、もちろんこれは許さないのです。日本の国民感情だけではないのです。これは、世界的な人類の感情なんです。そういう感情論ではなくして、しからば憲法論議として、憲法解釈としては、第九条は今言ったような核兵器を保持することを禁止していないのかどうか。禁止していないのかどうか。
そこで、私は、先ほど来あなたのお話を、ここで御答弁を聞いておりますと、防御用は、これは認められるというようなことで、攻撃的な核兵器は、憲法論からいっても無理かもしれぬが、防御的なものは認められる。防御用であるか攻撃用であるかということは、これは相対的な問題だと思うのです。また、時間の経過と申しますか、日進月歩の新しい兵器の発展、発達かう見ますと、きょうの攻撃もあすは防御という位置にくるだろうと思います。大陸誘導弾といわれておりますが、われわれもよくわかりませんけれども、とにかくソ連の基地からアメリカの基地まで、アメリカの基地かうソ連の基地まで、将来そういうようなものも考えられるだろう。現実の段階においては、そこまできておうぬかもしれぬが、それがやっぱり相対的な問題でしょう。きょう攻撃用の武器といわれているものは、あすは防御の位置になるわけなんです。そういうことを考えたとき、あなたの先ほど来の答弁を聞いておりますと、もうすでに伏線を張っておる。この間も私は、岸総理に質問いたしましたが、現在西欧諸国でも、NATOの参加諸国でも、ほとんど新しい原子兵器に戦術、戦略が変ってきておる。こういう情勢に対して、一体日本はどういう措置をとるのか。決して原子兵器に移行する、そんな態勢はとらないということを言っておりますけれども、アメリカの要請に基いて、すでにイギリスを初めヨーロッパ諸国は、どんどんどんどんそういう方向にいっているのですね。結局今の日米行政協定、講和、安保両条約からいって、あるいはアメリカの極東の、戦略態勢かういうなうば、時間の問題なんです。そういうことを考えたときに、あなたの御答弁は、いわゆる政府の統一解釈といわれているその解釈は、すでにその伏線を張りつつあるのです。憲法論議から、私ははっきり政府の解釈を承わりたいのですが、憲法第九条は、核兵器の保持、防御用の核兵器は持てるという解釈を政府はおとりになるのではないか。そこをはっまりお聞かせ願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/56
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057・小滝彬
○国務大臣(小滝彬君) 憲法との関係は、冒頭に申し上げた通りのものでございます。ただ、御指摘のように、防御用と攻撃用ということは、非常に限界はむずかしいかもしれませんが、一体核兵器を持ってならないのか、持ってもいいかということを判断することは、これが自衛力を持つ上に、最近の世界の兵器の発達あるいは装備の状況というものを考えて、必要最小限度の範囲の中に入るか入らないか。もしそれが入るとすればそれが憲法に反する、こういうことになるわけでありますからして、ただ核兵器であるかどうであるかということでなしに、その判断の基礎というものは、その兵器の性格がどういうものであるかということによってきめられるものであります。将来どういうことがあるか知りませんが、現在の状態においては、このいわゆる核兵器というもの、が攻撃的な性格を持っているので、その意味において憲法に反するのだというのでありまして、憲法に核兵器云々と書いてあるわけでもなし、今申したような点が判断の基礎になるという意味で、あるいは回りくどい表現だったかもしれませんが、さっき読み上げたような解釈をとる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/57
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058・秋山長造
○秋山長造君 今の御答弁は、またさっきの、最初私にお答えになった答弁に戻ってきたのですが、そうすると、やはり核兵器は、これはもう、もちろん長い将来のことを今議論すると、これはこんがらかると思うのです。われわれは、やっぱり今の時限において議論をしているのですから、長い五十年も百年も先のことを想定して議論をしているのではないのですから、とにかく今の時限においての議論として、前置きは抜きにして、とにかく核兵器というものは攻撃的なものであるから、憲法に抵触するのだ、今そういうようにおっしゃった。だから、それだけなら、私は話がわかると思うのですよ。どうもいろいろ条件がつくものですから、条件がつけば、これはまた逆の条件をこっちとしては考えざるを得ない。
それから、大体攻撃的、防御的ということは、私はあまり正確な議論にはならないと思うのですね。攻撃といっても、一千マイルも二千マイルも遠方へ飛ぶから攻撃的だと言ってみたところで、それは、いつもそこまで飛ばさなければならないわけのものでもないので、遠方まで飛ばせば飛ぶ兵器でも、すぐ近くを撃つこともできるのだから、同一の武器で、攻撃的にも使えれば、防御的にも使うことができるわけです。だから、攻撃的だ防御的だというようなことによって区別をするという議論はくずれると思う。だから、そうでなしに、とにかく核兵器というものはいかぬのだ、憲法にも抵触するし、政府としても持つ意思はない、これだけのことを現在の時限において何ゆえにはっきり言えないのか。それを明確にしていただけば、何もこんな同じことを繰り返し繰り返し議論をする必要はない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/58
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059・小滝彬
○国務大臣(小滝彬君) 今、現在のお話でございまするから、現在について申しまするならば、現在核兵器といわれておるものは、それは、この性格にもかんがみて、憲法の規定に反するという解釈をとっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/59
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060・田畑金光
○田畑金光君 ちょっと関連して。戦略兵器とか戦術兵器とか、いろいろ言葉がありますが、戦術的原子兵器、こういうような言葉等がありますが、戦術的な原子兵器という言葉と、いわゆる今お話の核兵器というものとは同じやつでしょうか、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/60
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061・小滝彬
○国務大臣(小滝彬君) 戦術的な核兵器というものがどの程度発達しておりまするか、私は詳細存じません。しかし、今伝えられているようなものは、また相当威力のあるものであって、最初申し述べた性格のものと私は了解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/61
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062・田畑金光
○田畑金光君 増原次長がその道の権威者のように承わっておりますが、核兵器とか戦術的な原子兵器というものは、どういうような内容のものでしょうか、同じものでしょうか。その内容はどんなものなのか、教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/62
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063・増原恵吉
○政府委員(増原恵吉君) 私どもの方が今承知をしておりますのは、戦術核兵器というものについては、まだ詳細な資料を持っておりません。言葉として使われておることは承知をしておりまするが、どの程度の威力で、どういう作用を持つかということは、十分にはわかっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/63
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064・田畑金光
○田畑金光君 最も権威のある、一番知っておられるはずの増原次長でも知っていない、こういうことになってきますと、お互いに知っていないことを中心に論議を進めているわけですが、これはおかしい現象だと思うのです。(笑声)先ほど来誘導弾とかナイキとか、いろいろ言われておりますが、原子兵器であるのか、核兵器であるのかどうか、防衛庁長官も次長も知らぬで、先ほど来御答弁になっておりまするが、全くこれは無意味な話ですね。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/64
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065・増原恵吉
○政府委員(増原恵吉君) ちょっと説明を補足いたしますが、蛇足かもしれませんが、広島に落ちましたのは、TNTに直すと二万トンという程度のものだといわれておりますが、これがいわゆるメガトン級の大きい水爆ができておる。同じ原爆であっても、十倍、二十倍という威力のものができておるというようなことを聞いておるわけです。一方いわゆる戦術原爆として、十分の一程度の威力のあるものをいろいろ研究をしておるという情報を聞いておるわけであります。しかし、そういうものがどの程度に正確なデータを持っておるかということはわからないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/65
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066・田畑金光
○田畑金光君 この間西独の原子科学者が、西独政府が原子武装するということに対して警告を発し、声明を発しているわけです。その中に、現在の戦術的原子兵器がいかに小型であっても、その一発の破壊力は、かつて広島に投下された原爆に相当することを思えば、その国民に及ぼす害悪について区別はない。いわゆる戦略兵器との区別はない。こういうようなことを言っておるわけなんです。この声明書等を見ましたときに、先ほど来の御答弁の中にありまする核兵器等というものが、この声明の中のちょうど戦術的な原子兵器、いわゆる小型な核兵器、こういうようなことも当然概念として入ってくると思うのです。この点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/66
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067・小滝彬
○国務大臣(小滝彬君) 先ほど来申しておる通りでありまして、非常な大量殺戮の兵器というようなものは、これは私どもは、憲法に反するものという考えでおるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/67
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068・田畑金光
○田畑金光君 大量殺戮といいますが、大量とはまた何ですか。大量々々といっておりますが、大量殺戮というと、小型の原子兵器でも、広島と同じような効力を持っているといわれているのです。今のいわゆるナイキとか、こういうようなものも、これは大量の殺戮をやるわけで、大量々々といっても、これはまた問題だと思うのです。そういうようなことで御答弁なさっていたんじゃ、これはとても話にならぬと思うのです。どういうことなんですか。大量とはまた何ですか。それを一つお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/68
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069・小滝彬
○国務大臣(小滝彬君) これは、条約などに出ておりますマス、たくさんの者を一度に斬り殺すという意味で使っております。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/69
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070・八木幸吉
○八木幸吉君 だいぶ話がこんがらがってきたのですけれども、元に戻りまして、政策論は別にして、憲法と核兵器との関係に限って、明快に御答弁をいただきたいと思うのです。先ほど来の防衛庁長官の御答弁の中には、三つ要素があったのであります。その一つは、核兵器は主として攻撃用に使われておるから、さようなものは憲法に違反するから持たないという点が一つと、本質的に核兵器は攻撃用に使われるものであるから、たとえそれが防御用に使う場合があったとしても、核兵器そのものを持つということは憲法違反であると思うというのが第二。それから第三は、現在の憲法に対する政府の解釈では、自衛のために最小必要限度の自衛力は持ち得るのであるから、それ以上に上るものであれば憲法に違反すると思う。私は、その三つを御破算しまして、あらためて伺うのですが、たとえそれを防御用に使おうが、最小必要限度であろうが、いやしくも核兵器といわれるものであるならば、その破壊力の大小を問わず、現行憲法ではすべて違反であるから、政府は持たない、こういう解釈であるかどうか。簡単に一つお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/70
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071・小滝彬
○国務大臣(小滝彬君) これは、同じことを言うようで恐縮でございますが、ただ核兵器という名前がつくから、どんなものでも憲法違反であるというように解釈することは少し行き過ぎた解釈と、私どもの立場からは考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/71
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072・八木幸吉
○八木幸吉君 今の防衛庁長官の御答弁を伺いますと、結局一番初めにお読みになりました政府の統一解釈が正しい、こういうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/72
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073・小滝彬
○国務大臣(小滝彬君) その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/73
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074・八木幸吉
○八木幸吉君 そういたしますと、文言の全部を私は覚えているわけじゃありませんが、今の政府の統一解釈は、原水爆を中心とした核兵器というものは、伝えられるところによれば、攻撃用に使われることが多いから、そうすると、現在の日本の憲法には違反するから持たない。これを逆に言いますと、攻撃用と今政府は思っておるから、さようなものであるなら、憲法に違反するから持たない。しかし、それが実際にぶっつかってみて、核兵器といえども、これは全然防御用に使われるのだということが明らかになれば、日本の憲法でも許されるのであるから、持つことがあり得る。こういう政府の解釈であると思うのですが、さようでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/74
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075・小滝彬
○国務大臣(小滝彬君) 私は、将来のことがどうなるか、何とも申し上げかねますが、現在のこの原水爆あるいはその他のもので、そういう私が最初に申し上げましたようなことは憲法に反する。しかし、将来どういうことになるかということは予想できないのでありまして、あるいは放射能も何もないというのができるかもしれませんが、私どもは、今そういうことを想像して、どうするのだということを考えているのではなくして、現状に即してこの憲法を解釈したいと考えているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/75
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076・八木幸吉
○八木幸吉君 どうも話がぐるぐる回って、いくら聞いてもわかりませんから、この問題は、あらためて法制局長官にでも御出席を願って、政府の統一解釈をもう少し法律的に一つ御答弁をいただかないと、今聞いておると同じことを両方ともやっても何ですから、そういうことをお願いいたします。
そこで、もう一点、防衛庁長官に承わりたいのでありますが、米駐留軍が原子兵器を持つということは、現憲法で差しつかえないと思いますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/76
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077・田畑金光
○田畑金光君 ちょっと、さっきの質問の、法制局長官の出席を求めるということに関連して、これだけ申し上げます。法制局長官を呼んでも、これはまた、例の政府の解釈をまことらしく紆余曲折を経て迷路に導くだけだろう。法制局長官を呼んでも、これはつまらぬ話で、その統一解釈を下したという岸総理の私は考え方をお尋ねしなければならぬと思う。ついこの間の十九日でしたか、同じこの内閣委員会で、岸総理にお尋ねしたときに、岸総理の答弁は、そういう趣旨には聞かなかった。ところが本日、すでに一週間もたたざる今日、根本的と申しますか、この憲法解釈を本質的にかえる解釈に移っているわけなんです。この問題は、岸総理みずからの解釈、あるいは見解、これを承わることが先決だと思うので、法制局長官は、せっかく八木さんから要求がありますから、それもけっこうでありましょうが、法制局長官の解釈なんて、これは当てにならぬ話で、総理大臣の出席を求めて、あらためてこれは見解をただしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/77
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078・八木幸吉
○八木幸吉君 今の田畑委員の説に賛成いたします。私も総理の出席を要求いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/78
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079・亀田得治
○委員長(亀田得治君) ただいまの要求は、ちょっと各理事の意見等も聞いて、しかるべく取り計らいたいと思います。質問は続けていただくことにします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/79
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080・小滝彬
○国務大臣(小滝彬君) 今の問題は、結局先ほど読み上げました解釈に基きまして、こういう性格を持ったものは、これは認めない、それが憲法上かうも必要である、こういろ考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/80
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081・八木幸吉
○八木幸吉君 私は、自衛隊は憲法違反である、かように考えておりますけれども、しかし、アメリカとの条約によって、駐留軍が日本に駐在するということは、必ずしも憲法違反であるとは考えておりません。そこで、駐留軍が原子兵器を持つということと、日本の自衛隊が原子兵器を持つということとは、憲法の関係において非常に差があると思います。今の防衛庁長官の御答弁では、同じようなことを言っていらっしゃるけれども、この点違うと思いますので、重ねて御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/81
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082・小滝彬
○国務大臣(小滝彬君) そういうものの持ち込みを認めないということは、総理が申し述べておる通りでありまして、今先ほど読み上げましたような趣旨においてそういうことをするという、私の見解でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/82
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083・八木幸吉
○八木幸吉君 沖縄に持ち込むことはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/83
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084・小滝彬
○国務大臣(小滝彬君) 沖縄につきましては、現在行政、司法、立法の権利の全部または一部……一応全部が日本側にございませんので、この点は、日本としては日本の考え方を申し入れることはできるかもしれませんが、法律的に申しましたならば、いかなる措置もとり得ないというように私は解釈をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/84
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085・亀田得治
○委員長(亀田得治君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/85
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086・亀田得治
○委員長(亀田得治君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/86
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087・秋山長造
○秋山長造君 私、きのうも総理大臣へもちょっとお尋ねしたし、それから長官へもちょっとお尋ねしたのですけれども、時間等の関係で、はっきりした御答弁がいただけなかったのですが、防衛庁では、アメリカの全世界的な規模で今進められておるいわゆる原子戦略に対して、このアジアの一角において、どういうような協力体制をもっていくべきかということについて、かねがね事務当局を中心に、熱心な研究がされておるやに聞いておるのです。そういう事実はございますか、お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/87
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088・小滝彬
○国務大臣(小滝彬君) 日本の自衛隊は、自国に対する直接的、間接的侵略に対処するために置かれておるものでございます。従いまして、その任務遂行のために必要ないろいろの情報を交換し、また同時に、今の自衛力というものが不十分でありますので、日米共同防衛と申しまするか、日本をいかによく、いかなる場合にも守り抜くかということについて、随時話し合いはいたしておりまするが、しかし、事アメリカの原子戦略の一環として云々というような、それほどの力を持っているわけでもございませんし、今申しましたような、自衛隊の本来の任務というものからいたしまして、日本の防衛そのものに関する話し合いを漸次行なっておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/88
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089・秋山長造
○秋山長造君 いや、現在の日本の防衛体制がそっくりそのままアメリカの原子戦略の一翼をになうということになるとは私も思わない。これは、それほどのものじゃないと思いますけれども、将来アメリカの原子戦略の一翼をになうという方向に、日本の防衛計画なり防衛体制というものが推し進められていくということが予想されるのではないか、推し進められていくというと、それは、なるほどおっしゃるように、日本の防衛はあくまで日本を守るためという自主的な立場で考える、それに終始するとおっしゃるけれども、しかし、実際問題としては、あるいはMSA協定で縛られ、あるいは安保条約、行政協定というようなもので縛られた形ですから、だから、よそのことは一切知らぬ顔で、われわれの防衛はあくまでわれわれの自主的な立場で考えていくのだということは、これは通用しないと思うのです。だから、どうしても、いつも長官にしても総理大臣にしても、共同防衛共同防衛ということを、これはもう当然のことのように言うておられる。で、共同防衛という以上は、やはり共同する相手があるわけですから、その相手はアメリカですね。アメリカかう援助を受けながら、しかも、共同防衛の体制を取りつけていくという立場ですから、日本に援助を与える立場のアメリカが、この原子力戦略というものに全面的に切りかえつつあるのですから、それと共同防衛をやっていく、共同防衛体制をとっていくという以上は、これは、こっちの好むと好まざるとにかかわらず、それに引っぱられていくということは、これは、物理的必然といってもいいのではないかと思います。その点について、やはり現在、防衛計画をしきりに事務当局で検討され、近く国防会議でもこれにかかるという段階、しかも、岸総理がアメリカへ行かれるというような、いろんな面から考えた場合に、やはり防衛庁でこの問題が真剣に論議され、検討をされつつある。しかも、それは積極的に協力するという線で研究、検討されつつあるということは、私は相当信憑性があると思っているのですがね。そういうお気持も事実も全然ないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/89
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090・小滝彬
○国務大臣(小滝彬君) 共同防衛と申しまするのは、日本の本土をいかによく守るかということでありまして、日本側からいえば、むろん、御承知の通り、海外へも派兵しない、そうしてあくまでも日本の自主的な防衛をしようとしておるわけであります。ただしかし、それは、この日本が安全であるということは、アメリカの利益に合致するという意味において、共同するという立場をとっているのでありまして、日本側からいえば、ただいま申しましたように、日本が外へ出ていくわけでもないし、しかも、日本の本土だけについてもまだ不十分であるという、この実情からいたしましても、また、日本の本来ねらっておるところの自衛力の増強、すなわち最小限度のものを持つということを目標としておりまする以上、そうしたアメリカの大きな戦略の中へ溶け込んで、そうして、それと一緒になって、東ア全体の安全に寄与するというようなことは望み得ないし、また、そういうことを今計画いたしておるわけではございません。ただしかし、日本自体の安全のために、そういうことがあってはなりませんが、また、そういうことはすぐ来るわけではありませんけれども、かりに全面的な、非常に大規模な戦争というようなものがあって、とうてい日本の自力では守り得ないというような際において、これは米国の力を借りなければならぬ、そういう際には、日本としてはどういうように努力するかということは、当然検討しなければならないところでありまして、そういう意味においては行われまするが、今秋山さんの御指摘のような方向で、今アメリカと折衝しておるという事実はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/90
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091・秋山長造
○秋山長造君 そういたしますと、これもきのう総理にちょっとお尋ねしたのですけれども、お答えがなかったんですが、先般、御承知のように、西ドイツは原子戦略に踏み切ったといわれておる。で、近くアデナウアーはアメリカを訪問して、この問題で話し合うということを言っておるのですが、西ドイツが原子戦略に踏み切った、原子兵器所有国になるという意思表明をしたという、あの事実に対して、日本の防衛当局はかなりのショックを受けたというか、刺激を受けたというか、そういうことも聞いておるのです。そうしてやはり、これは西ドイツの問題であるが、同時に日本の問題でもある。こういう立場で、この問題は相当真剣に考えられている。で、私、増原次長にお尋ねしますが、今月の十日に局長会議があったのじゃないかと思うのですが、そのときに、こういう問題についてかなり突っ込んだ討議がなされたやに私は聞いておるのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/91
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092・増原恵吉
○政府委員(増原恵吉君) 局長会議というのはしばしばやりますので、十日にもあるいはやったかもしれませんが、西ドイツがいわゆる戦術原爆を持つという問題について論議したことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/92
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093・秋山長造
○秋山長造君 西ドイツの問題について論議をされるというのではなしに、西ドイツの問題等もあったので、今まで、原子戦略に対する協力態勢という問題、いろいろ論議をされてきたけれども、西ドイツがああいうように踏み切ったので、これに一つの刺激を受けるというか、そういう影響を受けたことも加わって、そうして一そうこの問題と真剣に取り組む、こういう態勢になってきておるのではないか。そうして十日の局長会議で、この原子戦略に対する協力態勢、防衛態勢ということが相当真剣に議論ざれたんじゃないかということを聞いておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/93
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094・増原恵吉
○政府委員(増原恵吉君) 現在私どものところでは、長官の命で、国防会議へ長期の防衛力整備計画というふうなものを出すための研究を最近に二、三続けていたしました。それの局長会議というものが何か誤まり伝えられたのだと思いますが、自衛隊としては、政府の方針決定に基きまして、いわゆる核兵器を保持せず、使用せずという前提に立っておりますので、西ドイツが戦術原爆を持ったということに刺激されて、わが方でこれを持つべきかどうかということを議論をしたことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/94
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095・秋山長造
○秋山長造君 さらに、増原次長にお尋ねしますが、防衛庁では、ここ数年来、いわゆる防衛六カ年計画という試案を中心に、日本の長期防衛計画について研究され、そうして作業を続けてきておられる。特に岸内閣になってから、この防衛計画を早くまとめるようにということで、今月の末あたりの国防会議を目標に、事務当局で作業を急いでおられるやに聞いておるのです。その場合に、先般も門叶官房長にお尋ねしたのですが、いわゆる防衛六カ年計画のただ結論だけでなしに、その結論を生み出す途中のところの説明を少ししてほしいということを要求したのですけれども、これは、ついに資料としても出ないし、口頭でも答弁はなかったのですが、今まで試案として防衛庁が持っておられた防衛計画というものが、この今度の予算あたりにすでに頭はのぞいておりますが、誘導弾によって武装をしていく、そうしてわれわれは、これがなしくずし的に、やはりこの原子戦略へ組み入れられていく一つのトンネルになるのじゃないか、私はそう考えるのですがね。そういうような角度から、今まで防衛庁が持っておられた長期防衛計画というものが相当ここで、今言ったような角度から、手直しをされておるのじゃないかということも聞きもし、また、十分想像もされるのですがね。そこらはどういうことになっておるでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/95
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096・増原恵吉
○政府委員(増原恵吉君) 防衛力の整備計画というのは、防衛庁が一応試案として今まで考えておりまするものは、三十年度を初めとして、三十五年度まで六カ年、そのうちで、まあ三十、三十一と過ぎまして、…十二年度がもう予算として決定をしたという形でありますので、大体あと三十三、三十四、三十五と、三カ年になるわけであります。防衛庁の試案として、長官の了承を受けておりまする国防会議の方に出しますものについては、従来の試案は、基本的には大なる変更はないわけであります。いろいろ表現、條文等については、なお考慮をし、練っておりまするけれども、基本的にはあまり変らない。前の、当初の試案の中に、誘導弾につきましては、これを研究開発するという項目を最初から入れておるわけであります。そうして、御承知のように、昨年度の予算で、エリコンを買うことを認めていただいて、ことしは二年目の、昨年予算外の国庫負担をつけてもらったのが現金化しました。そういうことで、エリコンを買ったわけでございますが、エリコンを買う前に、すでに防衛庁技術研究所としての誘導弾の研究開発には着手したわけであります。そういう意味で、米国からさらにナイキその他の誘導弾をもらうということが望みありという形に今なっておるのは御承知の通り、その点については、まだいろいろ問題がございますが、こういうものをもらえることができますれば、エリコンだけでやるよりもさらに速度を早め、あるいは確実性のある誘導弾を作れるわけであります。そういう意味で、テンポが早まるというふうなことはもちろんあるし、また、それをぜひ希望しておるという変化はございますが、基本的な点については、別に変化はないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/96
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097・秋山長造
○秋山長造君 そういたしますと、一番最初の防衛六カ年計画の試案というものが作られた当初から、誘導弾の研究開発をやるということは入っておった、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/97
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098・増原恵吉
○政府委員(増原恵吉君) いわゆる防衛庁、これは保安庁時分から、いろいろの試案とは申せないような研究をしたこともございます。その時分にはまだ入っておりません。このいわゆる六カ年計画と称した三十年度を起点とするものからは、入っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/98
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099・秋山長造
○秋山長造君 そうすると、重光外務大臣がアメリカへ行かれたときですね。防衛六カ年計画の試案を携行されたということが当時言われておったのですが、あの重光さんの携行された中には、当時誘導弾の問題は、一項目として入っておったわけですね。そう解釈してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/99
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100・増原恵吉
○政府委員(増原恵吉君) 重光さんが持っていかれましたそのものは、私は承知しておりませんが、そういうものをおそらく携行されたであろうと思われるものは、大体目標を書きました、ごく基本的な概要のものであったろうと推察をしておりまして、こまかく、誘導弾がどうだというふうなことに触れたものではなかったろうと想像しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/100
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101・秋山長造
○秋山長造君 きのうも話があったんですが、アメリカからの兵員あるいは飛行機、それから兵器、艦艇、弾薬、こういうようなものの日本本土への出入りというものをどこで確認するか。こういう問題について昨日質問をした。それに対して長官は、そのつど連絡は受けておるから、防衛庁当局としては、これは確認はしておる。従って数量その他についてもわかっておる。しかし、公表は一方的にしないという約束になっているから、ちょっと返事はできない。こういうようなお話しだったのです。まあ秘密会か何かにしてというような委員長のお話しもあったのですが、全体的なこまかい配置状況等についてはどうかと思うのですが、全般的に、たとえばF1OOFが何百機来ておる。B54が何十機来ているということは、これは差しつかえないのじゃないかということを、私昨晩も軍事評論家のような人から聞いたのですが、これはどうなんですか、そういう点までも絶対にこれは公表できないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/101
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102・小滝彬
○国務大臣(小滝彬君) 昨日申し上げた通りでございまして、大体の兵員数というものは、これはすでに議会でも申し上げている通りでございますが、そういう機材などについては発表はしないということになっておりますので、昨日も申し上げましたように、ただ一方的にこちらの方から、新聞、雑誌の報道がこうだという場合と違いまして、相手もあることですから、その方へも話してみようということを申しましたが、私としては、そういうように向うと話し合った上で、もしそれで差しつかえないということになれば、できるだけ御希望に沿うようにいたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/102
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103・秋山長造
○秋山長造君 一々こちらに通報されるというのは、どこか窓口がきまっておるのですか。あるいは防衛庁の出先の部隊とか、そういうところへ適宜通報されるのですか、その点はどうなっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/103
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104・小滝彬
○国務大臣(小滝彬君) これは問題によりまして、特に政治的に重要であるというようなものについては私の方へ来まするし、さらに事務的な点は他の係に行くというふうになっておりますのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/104
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105・秋山長造
○秋山長造君 いずれにしても、事前に通告をされ、確認をされておるということは間違いない。そうすると、先般も入国管理事務の問題について、入国管理局の局長なり、次長なりから、いろいろお話しを聞いたときに、われわれびっくりした話なんですがね。しばしばアメリカの飛行機が韓国人あるいはその他の外国の軍人を積んで日本の基地へ入ってきて、そしてあとからそれがわかって、入国管理局ではびっくりして、いろいろ当ってみるけれども、もうあとの祭だ。こういうことがあるのです。そういうことは、もし、法務省の方にはわかっていないにしても、あなたの方には少くともそういうことは、そのつどわかっているはずだと思うのですよ。しかも入国管理局次長の話によると、どうも入国管理局の方では、相当気をつけておるけれども、相当数やはりこういうことが始終あるようだということも言っておりますからね。そこらはあなたの方にはこれは一々わかっていなければならないはずなのですが、そういうことはわからなかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/105
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106・小滝彬
○国務大臣(小滝彬君) あるいは私の方の係にそういうことがあるかもしれませんが、私の承知しておる限りでは、一々こまかなリストのようなものをくれるわけではないので、あるいはそういうことがあったかもしれませんが、私自身としてその点は承知いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/106
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107・秋山長造
○秋山長造君 それじゃいつか、あれは一昨年でしたかね、長官もおそらく御記憶だろうと思うのですが、台湾の国府軍の将校なんか相当数横田の基地に来て教育を受けていたという問題があった。あのときなんかはどうです、あれも防衛庁ではわかっていたんですか、わかっていなかったのですか、事前通告はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/107
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108・増原恵吉
○政府委員(増原恵吉君) 防衛庁としては、ああいう種類の問題は別に通告を受けておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/108
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109・秋山長造
○秋山長造君 そうしますと、昨日来、長官のおっしゃるように、人員、機械、飛行機、艦艇というようなものの入国についても、これはそのつどわれわれの方には連絡があり、通報があって確認しておるのだとおっしゃったことは、相当これは大ざっぱな御発言であって、これは非常に漏れの多い連絡であり、通報であり、確認であると認めざるを得ない。そうなると、これは、われわれの想像が決して邪推ではなしに、相当いろいろな、われわれの想像の及ばないようなことがアメリカ軍の日本の本土への出入りをめぐってあるのじゃないか。そうなれば、原子弾頭は持ってきていないとか、あるいは原子兵器はどうだとかいうようなこと、これは通り一ぺんの口約束にすぎぬのですが、そういうようなことが一体どこまで良心的に確実に守られるのかどうかということについても、われわれ疑問を持たざるを得ない。これは繰り返しお尋ねするので、しつこいという感じを持たれるかもしれませんけれども、これは事が重大なんですかう、幾らでもしつこく聞かざるを得ないのですが、そういうことがあるから私は昨日も長官へ申し上げたのですが、ただ事前に通報するとか、連絡するとかいう口約束でなしに、やはりそういう出入りをする場合の一つの取りきめというものを、いきなり安保条約の中にそれを書き込むというわけにも今すぐいかぬでしょうけれども、しかしこの出入国は始終行われておるわけですかう急ぐわけですね。一刻を争うのです。何か一つの取りきめというもの、文書にしたものをはっきり作っておかれる必要があるのじゃないかと思う。飛行場等の基地の共同使用についてですら、何か筋書を書いた取りきめ書というものが作られておるのだそうですが、ところが日本の本土に対する外らの出入りに対して、全然そういう入りっ放し、出っ放しで、取りきめも何も紙に書いたものがないということは、私はあまりにもルーズだと思うのですが、どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/109
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110・小滝彬
○国務大臣(小滝彬君) その点が十分でないということは、岸総理もいつも言っておられる通りでありまして、結局基本は安保条約にある。そこでこれをできるだけよくするように努力したいということを総理は申しておる次第でございます。今その通報が非常にルーズじゃないかとおっしゃいましたが、私どもの方は入国管理局とは多少立場が違いまして、日本の防衛計画をし、また随時情報を交換するという意味において、部隊あるいはその行動に関することの通報を受けている意味でありまして、個々の人間の動きというようなわけのものでなくして、今申しました防衛に関連したことの情報を受けているという趣旨で申し上げた次第でございますので、その点は御了解を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/110
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111・亀田得治
○委員長(亀田得治君) 速記を中止して下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/111
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112・亀田得治
○委員長(亀田得治君) 速記をつけて。
暫時休憩いたします。
午後四時一分休憩
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午後六時十一分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/112
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113・亀田得治
○委員長(亀田得治君) 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案を一括して議題に供します。先ほど開かれました委員長理事打合会の結果を私より報告いたします。
休憩前に、田畑、八木両委員より要求のありました件については、今国会中、できるだけ早い機会にあらためて岸総理の出席を得て、適当時間質疑をすることに申し合せをいたしました。御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/113
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114・亀田得治
○委員長(亀田得治君) なお議事の途中でありますが、委員の変更について報告いたします。
本日付で植竹春彦君が辞任され、その補欠として成田一郎君が選任されました。
右、報告いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/114
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115・亀田得治
○委員長(亀田得治君) 別に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めます。
これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/115
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116・田畑金光
○田畑金光君 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました防衛二法案に関し反対の意思を明らかにしようとするものであります。
今回の法改正で、すでに制服自衛官だけで二十万をこえ、職員を入れますると、防衛庁の定員は二十二万三千名に達したわけであります。近く政府は岸総理の渡米を前にしまして、国防の基本方針あるいは長期防衛計画等を立てておられるようでありますが、今回の法改正はその一環をなしておるわけであります。三十五年度を目標にいたしまして陸海空とも相当な強化を考えられておるわけでありますが、特に新しい兵器の発展に応じて、装備の改善、機械化、機動化をはかられ、特に技術上の研究開発に名を借り、誘導弾を導入される、こういうことでありますが、このことは先ほどの質疑応答の中からも明らかにされましたように、憲法九条の解釈をさらに発展させて、やがては核兵器を保有すると、こういうことに移行する前提であろうと考えるわけであります。私たちは、現行の憲法を守る限りにおいて、やはり憲法に忠実な諸施策を進めることが法治国家における、特に行政府の建前でなければならぬ、こう考えておるわけであります。公務員には公務員法を守れ、あるいは労働者には労働法を守れ、こう言っておりますが、まず法を忠実に守る立場にある行政府自身が、政府自身が憲法を守るということが一番大事なことであろう、こう考えるわけです。ことに私たちは、最近のうちに憲法調査会を発足されるということを聞いておりますが、野党や、あるいは憲法改正反対派の学識経験者の加わらないところで憲法改正論議をやられても、一体それはどういう権威を持つものか、こういうことを疑うわけであります。ことに岸総理は、過去の戦争責任を問われたことに対しまして、自分は民主政治家として反省し、今後その償いをやって行きたい、こういうようなことをしばしば申しておりますが、民主政治家としてほんとうに反省されるならば、まず憲法を守り、あるいは教育基本法を守り、民主的な公務員制度を守ることが先決であろうと考えるわけです。しかしながら、やがてわれわれは、岸体制が内外ともに整備されました暁には、過去の岸さんの経歴が示すように、いよいよ権力政治家としての色彩が明確に出てくる。現行憲法のもとにおいては、自衛のためには、あるいは防衛のためには、防御のためには原子兵器も保有される、こういうことは明らかに予見されるわけで、私たちは今回の法改正が、そういう将来の方向の過程を刻むものであるということを考えましたときに、憲法の立場から第一に反対したいと考えます。
第二に私の反対の理由は、今の日米安保条約、行政協定のもとで自衛隊の強化というものは、決して国土の安全、民族独立の保障にはならない。アメリカのアジア政策、極東戦略の要請に基いて傭兵的な性格を強くするだけであって、民族的な誇りをむしろ傷つけるものである。今日の政治家も、国定も、政府も、まずやるべきことは、自衛隊の強化ということではなくして、日本のこういう不平等条約のもとに圧迫された不平等性を解決することが一番大事な問題であろうと考えます。日米安保条約は言うまでもなく基地貸与、駐留軍協定であるわけです。アメリカ軍は日本国に駐留権は持っているが、日本防衛の義務は持っていない。また同条約の精神、規定によれば、アメリカの作戦によって日本全土が交戦区域の中に巻き込まれることも明らかであるわけです。アメリカは、日本の至るところを軍事的な要請に基いて利用しようと思えば利用できるというのが、この条約の内容であり、行政協定の内容であり、こういうところから砂川基地問題、相馬ケ原事件、こういう民族的な、屈辱的な事態も発生するわけであります。あるいはまた防衛秘密保護法を見ましても、結局この法律の保護しようとするものはアメリカ国家の利益であって、日本国民の憲法上認められておる自由と人権が、この法律の名のもとにアメリカの国家利益のために制限されなければならぬ、こういう内容であるわけです。土地取り上げの特別措置法を見ましても、土地収用法とは比較にならぬほど強権的である。あるいは労務基本計画を見ましても、当然、日本の法律が適用されるというようになっておるが、実際はアメリカの一方的な認定によって解雇も行われる。労働法の実行も何ら行われていない。こういうことを私たちが考えましたときに、まことに今日の日本として、まずやらねばならぬことは、日米安保条約、行政協定を中心とするこの不平等条約の改訂でなければならない。こういうときに自衛力を強化するということは問題を解決するゆえんではなく、むしろアメリカ従属性をますます強化する、そういう結果に終るものとわれわれは考えております。これが第二の反対の理由であります。
第三の反対の理由といたしましては、今日の世界情勢が戦略的にも大きな方向転換を遂げているわけでありますが、ことに過般、イギリスのクリスマス島における核兵器実験に対し、わが国からしばしば実験禁止の要請をやったが、イギリスの態度は、原水爆を保有し、実験を繰り返すことが自由世界の防衛のためであり、侵略阻止の唯一の道である、こう回答してきているわけであります。ことに英国の戦略態勢の転換は、去る二月、バミューダにおける英米両巨頭会談以来急速に進んでおります。このことはまた、西独のアデナウアー首相も、西独は原子兵器で武装するということを宣言し、また最近はNATO加盟諸国におきましても、米国の戦術的原子兵器によって武装する、こういうような運命に今立たされているわけです。ノルウエーやデンマークを見ましても、こういう北欧の諸国が米原子兵器部隊の駐留を認めたということで、先般ブルガーニンソ連首相の警告ということになって参りましたが、中立国のスエーデンにおいても、近々原子兵器を取り入れようという動きが見えるわけです。私はこういうことを見ましたとき、アジアにおいても、言うまでもなく、シベリアのかなたにおいてソ連は無警告の核兵器実験をやって、これまた相手がやめない限りいつまでも継続するんだ、こういう権力国家の姿を遺憾なく暴露しておる、このような国際的な情勢の発展を見ましたとき、ことに日米安保条約という強いワクの中に閉じ込められている日本というものは、幾ら岸総理が、原子兵器は持ち込まない、あるいは原子力部隊の駐留申し込みがあったときは断わる、こういうようなことを言っておりましても、それは私たちは今の段階における答弁であり、国会を一何とか乗り切ろうとする答弁であると考えているわけです。ことに私は、去る四月の十四日でありましたが、西独の原子科学者が声明を発したその内容の中に、将来の原子戦で国民をその破壊力から守る方法は現在の科学の力をもってしては不可能であると断定し、世界に二つの大きな原子兵器国家が現存する今日、西独のような小さな国が原子兵器で武装しても無意味である、むしろ原子兵器による武装を断念することこそが西独の安全を守る道である、こういうことを警告いたしまして、ドイツのみならず、欧州全般に対しまして大きな反響を呼び起したことを聞いておりますが、私は西独の原子科学者のこの声明、この警告というものは、そのまま今日の日本、特に今の岸内閣あるいは岸内閣のもとにある保守政党の諸君によく考えていただきたい、こういう気持を強くするわけであります。
最近のうちに岸総理は東南アジアを訪ねるという計画でありますが、東南アジアを訪ねられて、そうしてほんとうにこれらの諸国と提携をされるという立場をとられるならば、従来のような、こういう日本のアメリカ従属的な立場を清算することが一番大事なことであろうと考えております。言うまでもなく東南アジアの今日の政治情勢は、外交的には中立の立場をとり、国内においてはひもつき援助、外国資本を国有化する、そうして民族独立を戦い取ろう、たとえ国は貧しくとも、貧乏であっても、われわれはみずからの足で立っているのだ、こういう誇りを持っている、このような新しい東南アジアの息吹きを考えましたときに、私は岸総理がほんとうにこれらの諸国と心から提携しようとする気持で行かれるのか、アジア・アフリカ・グループと一緒になって、東西両陣営の緊張せる姿を緩和しようとする熱意によって行かれようとするのか。それとも……、ことにこれらの諸国はアメリカのひもつき資本の援助をきらっております。排除しております。そのアメリカの資本を巧みに日本というレールを通じて導入しようとする、これまたアメリカの意図をくんで東南アジアに行かれるのかどうか、われわれは非常な不安を持っておるわけでありまして、私たちは今後のアジアにおける日本、世界における日本ということを考えたときに、やはり日本の行くべき道は、こういうアジア・アフリカ・グループの諸国と提携して行くことこそ、日本の運命を正しく解決する道である、こういうふうなことを考えましたときに、私は今回の二法案の底を流れる精神、ことに保守党の軍事政策、防衛政策、あるいはやがて発展して憲法を改正しようとするこの意図、こういう行き方というものは大きく歴史の流れに逆らうものである。こういうことを考えまして、私は今回の機構改正に対しまして断固反対したい、こう考えておるわけです。どうか一つ政府当局におかれても、新しい情勢に即、応してもう少し反省をしていただきたい。ことに私は不満でなりませんが、理事会における話し合いの結果やむなく承知いたしましたけれども、この国会でまた憲法解釈というものを政府は大きく前進さしております。先ほど防衛庁長官が政府の統一見解であるとして発表されたこの解釈は、ついこの間まではタブーとされた核兵器を保有することすらも、現行憲法においては認められるがごとき発言をなされた、やがてこれはまたそういうことに踏み切る時期が近き将来にあるだろうと考えております。かくのごとく、私はすべて既成事実を作り上げて、そうして国民を愚弄して行くやり方というものは、決して将来にいい結果をもたらすものではない、このことを十分御反省願うことをくれぐれも要望いたしまして私の反対討論を終ることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/116
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117・竹下豐次
○竹下豐次君 私は緑風会を代表して、両法案に対して賛成の意を表するものであります。
両法案を検討いたしまするというと、自衛隊の増強の案であると感じます。自衛隊増強の問題につきましては賛否の両論が激しく戦わされておるのでありますが、私は賛成の意見を持っておるものであります。反対意見につきましても相当の理由があるということはもとよりであります。しかもそれが人道主義に立っての議論を強く主張されておる部面もあるということを承知しておるのでありますが、しかしながら、世界各国の国民の教養が、その人種のいかんを問わず非常に低級であって、いざという場合には、やはり武力で解決してしまおうというような傾向がまだなかなか盛んである、こういう時代におきまして、日本だけがただ高遠な理想のみを掲げて、そうして無防備であるということは、これは許されないことでありまするので、好むと好まざるとを問わず、やむを得ない必要に迫われて、私は自衛隊というものはだんだん増強して行かなければならぬ、かように思っておる次第であります。
なおまた、現在アメリカの駐留軍が相当たくさんいるのでありまするが、これなぞも日本の立場といたしましては、ぜひなるべく早い時期に引き揚げてもらわなければなりません。しかし日本の防衛のためとか言いましても、これもやっぱりアメリカ自身の防衛のためということは、彼らとしてはもとより考えておることでもありますし、そういう彼らの立場を想像いたしてみますると、日本の自衛隊が相当に強力にならない限り、なかなか引き揚げようとはしないだろうと思っております。これが引き揚げないで、長く駐留せしめるということは、日を重ねるに従って両国民の感情はそこに相当にそごを来たして行くということは、この後重なる一方でありまして、両国のためにとらざるところであるのであります。なお、また一方、日本だけのことを考えましても、長く駐留軍が滞在するということは、日本国民の自信を失わせるということが非常におそろしいことであるとも考えるのでありまして、まあいずれの点から考察いたしましても、自衛隊はなるべくこれを増強して行かなければならない状態に、現在の日本はあると私は思っておる次第であります。しかしながら、何分国家の財政が非常に窮乏しておる際でありまするので、これをどういうふうに使った方が国全体のためになるのかということを、われわれは常に念頭に置かなければなりませんが、申すまでもなく、これは国民の生活の安定ということに主力を注いで、そうしてできるだけの節約をしながら、一方自衛隊の増強も考えなければならないというふうに私は考えております。それじゃどういうことになるかというと、新しい兵器の研究などは絶えずしなければならないし、また新しい兵器をこちらで使用するということも考えなければならない。ただし、それが憲法に違反するようなことがあってならないということは申すまでもないことであります。そういう点、それから隊員の訓練ももとより十分に正しく訓練しなければならない、これも大きな問題であります。軍の——軍と申しますか、自衛隊の編成の点につきましても、むだのないように十分の考慮を払わなければならない、まあこういうふうに平素私は考えておるのでありまするが、両法案を通覧いたしまするというと、大体この方向に向って立案されておるように拝見いたしたのであります。これが私が本案に賛成の意を表する理由でございます。
この際、私はただ政府に対一しまして、二、三の要望を申し上げたいと思うのであります。それは、まず第一に、自衛隊及び防衛庁の職員等の自粛を十分に考えてもらわなければならないということであります。これは申すまでもなく、自粛の問題は防衛庁に限らず、政府全般にわたる大きな問題でありまするが、なかなかそれが行われません。近ごろの新聞では、ほかの省の関係のことではありまするが、毎朝毎夕そういうことで新聞をにぎわしておりまして、国民といたしまして実に不愉快千万であります。特に自衛隊の隊員ということにつきましては、国民の一部には反対もありまするが、また多数のものはそれに期待することが非常に多いのであります。この際、自衛隊ができまして、まだそう長い年月も経ていない際に、その信用を失墜するかいなかということは、日本のこの後の国運の消長にも少からぬ大きな関係のあることであると思うのであります。この点は特に十分の御戒心を要すると存ずる次第であります。
それから次に、防衛庁の予算の問題でありまするが、先般配付いただきました表を拝見しまするというと、繰越金が非常に多い、ほかの省に比べまして大へんな違いでありまして、二割、三割、もうちょっとそれ以上に上回っておる、繰り越しが。費目によりましては繰り越しの非常に多過ぎるのがあるようであります。これはなぜそういうことになるかということを考えてみまするというと、大体その予算の編成をされるときに、ずさんな点があるのじゃないかということが一つと、もう一つは、その執行部面がまあ弱いと申しますか、不注意が多いと申しますか、そういうこともあるのじゃないか、大体繰り越しが多いということは、この二つの理由に基くだろうと思います。戦争前の状態を申しましても、実はこの軍の予算につきましては、もう軍の言いなりほうだいに国会を通過しておったことは御存じの通りでありまして、その結果、思わしくないような結果も来たしたのでありますが、しかしそれも国民全体が、こういう問題は専門的の問題でありまするので、どうもわかりにくい、また研究しようとする国民も非常に少い、その当時の議員の態度からしても、そういったような私は記憶を持っておるのであります。そこでその責任を持っておられます当局といたしましては、そこにゆるみが生じます。気のゆるみが生じます。どうせ自分たちの言いなりほうだいに通って行くのだ、あまりこまかい議論をするだけの準備も議員の方にもないだろう、国民もとよりそうだろうというふうに考えやすい問題であります。そこにゆるみがありまするというと、これは予算編成のときにルーズになって行くということは当然でありますし、その執行も運用のうまくいかないという結果も生ずるという危険が非常に伴なってくる、ほかの省よりも特にその点は御留意下さいまして、しろうとが多い、専門家が少いということであるから、自分たちの責任はまたそれだけ重いということをよく自覚下さいまして、十分その点は御検討願いたい、かように考えております。
それらう第三に、きのうでございますか、機密保護法の問題につきまして、ちょっと防衛庁の長官に御質問申し上げたのでありまするが、そのとき私の意見もちょっと申し上げましたから、繰り返し長々しくは申しませんが、そのときの話に出ましたことは、こういう法律を作るというと、乱用の危険があるというようなことを政府の方ではお考えになって、まだ法案を提出するところまで運び得ないというふうの御説明でありました。これも一応ごもっとものことと思いまするが、なるほど乱用のことが絶対にないかと申しまするというと、これもやはりある程度には私はあるだろうと思います。しかし戦争前に乱用されたかう、また同じように乱用されるだろう、こういうことを想像するのは少し心配が過ぎやしないか、現に、ほかの例でありまするけれども、破防法が制定せられますときに、賛否両論が激しく分れました。そのときの反対論といたしましての強い主張は、職権の乱用を盛んに言われて、元の特高みたようなことを繰り返されるだろうということが反対論の強い主張であったのであります。しかしながら、それに賛成している者は、そこまで心配しないでもいいのじゃないかということであったのでありますが、私は戦争後の官吏——警察官が主になりますが——にいたしましても、よほど考え方が違っておりまして、職権を乱用しろと言ってもしないくらいに教養を積んでいる人が相当にふえてきていると思っております。実は破防法のときにもそれを私は言ったのでありますが、果して破防法のあの制定後、どのくらい職権を乱用されたかと申しまするというと、それは幾らかあったでありましょうけれども、そうそのとき心配されたほどの職権乱用がなかったということは、事件の数が証明しているところであります。私はそういうふうにも平素考えておりますので、機密保護法の問題につきましても、職権乱用の点は、昔のようにというような御心配をなさる必要はちっともない、ただ十分の訓練を積まれまして、そういうことをぜひ避けるように教えて職員を指導して行くということは、これは非常に大事なことであるということは申し上げるまでもないことと思っております。その点が一つであります。
それから第四に、安保条約及び行政協定の改訂をできるだけ急いでもらいたいという希望を持っております。これはもとより私がくどくどしく申し上げるまでもなく、この改正を急がなければならないということは、ほとんど国民全部の要望であると私は確信して疑いません。この問題につきましては、総理の考え方も大体急ごうという気持を持っていられるようでありますが、それについては相当の準備を怠りなくやっておられることが必要であると思いますので、特別にその点には力を注いでいただきたい、かように考えておる次第であります。
以上申し述べまして、私の賛成討論を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/117
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118・大谷藤之助
○大谷藤之助君 私は自由民主党を代表いたしまして、本提案の二法案に賛成を表する者であります。簡単に理由について申し上げます。
現下の情勢に対処しまして、わが国の国力なり、あるいは国情に応じて、この自衛力の整備をしなければならない必要は当然のことでありますが、ことに今度の法案の措置でとられております骨子は、重点を質的の整備という点にこの一つが置かれておるようであります。列国の趨勢を見ましても、またわが国のこの現状から申しましても、ここに重点を置かれておるのは当然であり、最も大事な点であろうと思います。これを具体的に申せば、いろいろ論議にもなっておりますが、いわゆる新兵器の開拓なり、あるいはまた研究なり、またこれが新しい着想なり、そういう面での一つ新しい境地を開拓して行く、その質的な整備と同時に、やはり関連して、いかような自衛力でありましょうとも、陸であり、あるいは海一であり、あるいは空であり、やはりこれはある程度バランスのとれたものでなければ、なかなか自衛の用を果さない。ここにやはり今度の提案で不足な点、将来に期待するものもあるわけでありまして、質的な整備と同時に、この三つのバランスのとれたものの増強に、より以上の一つ努力の現われることを望むものでございます。いろいろ現在の憲法下におきましては、自衛力の点についてあれこれ論議のありますことは御承知の通りでありますけれども、少くとも独立国として、自衛のための最小限度の戦力はこれは持たなければならない。また現在の憲法下において持ち得るということは、一応当然の理であると思います。この観点に立ちまして、現在の自衛力そのものが今年度のこの計画ということでなくて、将来やはり五年なり、あるいは十年先を見通した自衛力の増強というものも、わが国のこの情勢に応じて一つ積極的に検討もされ、立案もされて、不十分な自衛力であっても一応国民の信頼をかち得るというところまで、ぜひともこぎつけなければならないし、と同時に、いろいろ各国との協定なり、あるいは日米間の協定なり、あるいは駐留軍の問題なり、とかくいろいろな問題がここに出て参りますけれども、やはりいろいろこれの改訂をなすに当りましても、その基幹、根底をなすものは、わが国のほんとうの第一次防衛と申しましょうか、その根底というものが一つ作り上げられなければ、なかなかこの実施についての問題は容易でない。また口では叫んでも実効はあまりない、かような点も大いにあると存じます。ただ一つ、この機会に希望を申しますならば、質的の増強、あるいはまた整備と申しましても何を申しましても、やはり人的な機構がこれにマッチしなければなかなかその効を果さないわけであります。現在の自衛力のあるいは訓練なり、あるいは指導面なり、あるいは人的機構のそういう整備の面が、ここに並行して行くことが望ましいと同時に、やはり今日のこの自衛力、あるいはまた自衛隊そのものの認識を一般の人によりよく持ってもらう。あるいはまた先ほど来問題になりましたような、いろいろの新兵器なり、こういう点については、暗い面も多いわけでありまして、むしろ積極的にそういうものを一般の人に啓蒙するなり、あるいはまた明らかにして行くというような点の努力も払われて、皆さんの支持も得て、この自衛力の増強がほんとうにものを言うような努力を、重ねて望むものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/118
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119・亀田得治
○委員長(亀田得治君) 他に御意見がなければ、討論は終局したものと認めます。
それではこれより採決に入ります。防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案、両案を問題に供します。両案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/119
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120・亀田得治
○委員長(亀田得治君) 多数でございます。よって両案は多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/120
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121・亀田得治
○委員長(亀田得治君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。
それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、両案を可とされた方は順次御署名を願います。
多数意見者署名
松村 秀逸 成田 一郎
本島 敏夫 迫水 久常
木村篤太郎 竹下 豐次
江藤 智 松岡 平市
木島 虎藏 上原 正吉
大谷藤之助発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/121
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122・亀田得治
○委員長(亀田得治君) 別に御発言がなければ、委員会はこれにて散会いたします。
午後六時四十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102614889X02619570425/122
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