1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年五月十日(金曜日)
午前十一時三十四分開会
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委員の異動
本日委員秋山俊一郎君及び河野謙三君
辞任につき、その補欠として大川光三
君及び石黒忠篤君を議長において指名
した。
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出席者は左の通り。
委員長 堀 末治君
理事
重政 庸徳君
藤野 繁雄君
委員
青山 正一君
雨森 常夫君
大川 光三君
佐藤清一郎君
柴田 栄君
下條 康麿君
田中 啓一君
仲原 善一君
堀本 宜実君
鈴木 一君
上林 忠次君
北條 雋八君
政府委員
農林省農林経済
局長 渡部 伍良君
農林省蚕糸局長 須賀 賢二君
事務局側
常任委員会専門
員 安楽城敏男君
説明員
農林省農林経済
局農業保険課長 丹羽雅次郎君
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本日の会議に付した案件
○蚕糸業法の一部を改正する法律案
(内閣送付、予備審査)
○生糸製造設備臨時措置法案(内閣送
付、予備審査)
○農業災害補償法の一部を改正する法
律案(内閣送付、予備審査)
○農業災害補償法臨時特例法を廃止す
る法律案(内閣送付、予備審査)
○農業災害補償法第百七条第四項の共
済掛金標準率の改訂の臨時特例に関
する法律案(内閣送付、予備審査)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/0
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001・堀末治
○委員長(堀末治君) ただいまから農林水産委員会を開きます。
最初に、委員の変更について御報告いたします。本日、秋山俊一郎君が辞任され、大川光三君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/1
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002・堀末治
○委員長(堀末治君) 蚕糸業法の一部を改正する法律案及び生糸製造設備臨時措置法案(いずれも内閣提出、予備審査)を議題にいたします。
これらの法律案につきましては、去る三月十二日、提案理由の説明を聞いたのでありますが、本日は、まず農林当局から、法律案の内容その他について補足説明を聞くことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/2
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003・須賀賢二
○政府委員(須賀賢二君) 前回、政務次官から提案理由の御説明を申し上げたのでございますが、それに補足をいたしまして、私から御説明申し上げたいと思います。「蚕糸業の概況と今後の重点施策」という書類がお手元に差し上げてございますが、これによってごらんをいただきたいと思います。
今回御審議をお願いいたしておりまするのは、蚕糸業法の一部改正と生糸製造設備臨時措置法案でございます。
初めに、蚕糸業法の一部改正につきまして申し上げたいと思いまするが、御承知のように、現在の蚕糸業法は相当古い法律になっておりまして、いろいろ現在の情勢に即応いたしますように手直しいたして参らなければならない部面も相当出ておるのでございます。しかしながら、何分にも蚕糸関係の行政は相当長い年月にわたりまして積み重ねられました仕事でありまするし、いろいろ問題がございまするが、簡単に結論を出して法の改正をするということが、非常に困難なような状況にあるのでございます。それで、とりあえず、われわれといたしましては、十分事務的に検討はいたしたのでございまするが、われわれの事務的な検討作業だけでは、どうしても熟し切らない面が多々ございまするので、この機会に審議会を設けまして、それらの問題をもあわせまして、蚕糸振興対策を御検討をいただく農林大臣の諮問機関といたしまして、蚕糸振興審議会を設置いたしたいと考えたわけでございます。従いまして、今回の一部改正は、審議会の設置だけにとどめておりまするが、これはこの審議会の審議の結果を待ちまして、さらに蚕糸業のいろいろな面にわたりまして、振興対策の面から必要なる改正を加えて参る、さように考えておるわけでございます。
それで、この審議会ではどういうようなことが問題になってくるかということでございますが、これはこの資料の五ページ以下に、大体、問題として取り上げられると予想されておりまする事柄を簡単に説明をいたしてございます。
その一つは、生糸の輸出振興対策でございます。現在、生糸の輸出につきましては、いろいろ方策は講じておるのでございまするが、必ずしも計画通りの実績を上げておらないわけでございます。なお、いろいろ工夫を講じまして、蚕糸業本来の目的でありまする輸出の振興増進ということに、なお一そうの努力をいたさなければならない状態になっておるわけでございます。なお、絹織物の輸出につきましても、生糸と相並びまして、いろいろ施策を講じていかなければならないわけでございまするが、最近特にアメリカ向け等に絹織物の輸出がかなり活発になっておるのでございます。しかしながら、なおこれを一そう拡大をして参るということが必要でありまするが、現在の段階でも、すでにアメリカの国内産業の面から、ある程度の反映と申しますか、影響が出かけておるような事態もありまして、実際問題といたしまして、いろいろ問題もあるわけでございます。
それから第二は繭の増産でございますが、現在の養蚕のあり方というものは、戦前と非常に様子が変って参りまして、大体、現在の繭の生産額は、戦前最も多かった時期に比較をいたしますると、大体三分の一程度の規模になっておるわけでございます。ここ一、二年の繭の年間生産額は約三千万貫でございまするが、この三千万貫という数字は、約戦前の三分の一になっておるわけでございまして、その立地的な状況等も戦前と相当変って参っておるわけでございます。現在の繭の生産地は関東から東山にかけましての、いわゆる群馬、山梨、埼玉、長野、それから東北の福島、新潟といったようなところが、大体八割見当の生産を上げておるわけでございまして、あとの二割がその他の地区に分散しておるわけでございます。従いまして、非常に生産が一部の地区に集約されておるわけでございまして、いろいろ他の作物との関係その他から見まして、養蚕に現金収入の大部分を依存するという地区に大体まとまっておるような状況になっております。従いまして、そういう地区につきましては、養蚕をやる以外に他の適当な現金収入の道がない、他作物に転換をして、他作物からより有利な収入をあげるというようなわけに参らない地帯でございまするので、そういう地帯の農家の経営の安定、さらに経営の水準を高めて参りますためには、そういう地区につきまして、より集約的に繭を増産して参るという方策をとらなければならないわけでございます。それらの問題も増産対策としてあるわけでございます。
それから次に、蚕糸技術指導強化対策でございますが、蚕糸関係の技術指導の体系は、一般農事と切り離しまして、蚕糸、試験場、蚕業指導所、蚕業技術員という系列で置いてあるのでありますが、これが現状必ずしも安定をしておらないわけでございまして、あるいは予算の面等でも毎年非常に折衝に手数がかかりておりまするし、またその設置の根拠等もあまりはっきりいたしておりませんので、いろいろ不安定な様相が残っているわけでございます。これをはっきりといたしました形に整備をいたさなければならない問題が一つあるわけでございます。
それから次は、繭の流通面から見ましたいわゆる産繭処理の調整対策でございますが、御承知のように、繭は需要家としては製糸業者だけしかないわけでございますが、あとでも申し上げますように、現在、繭と製糸設備との均衡がとれておりませんために、非常に繭の原料入手につきまして、繭需要家の間に熾烈なる競争があるわけでございます。それらの結果、いろいろ生糸の生産をいたしまして、最後は輸出につながる各段階において、いろいろその面から来ておりまする工合の悪い面が多々出ておるようなわけでございまして、産繭処理の調整対策ということが年来叫ばれておるのでございまするが、なかなか実効ある措置が現実にはとられておらないという状況になっておるわけでございます。これにつきましては、あるいは独占禁止法の問題でありますとか、あるいはその、養蚕農協の集荷の面から見ますると、農協法の問題でありますとか、いろいろ他の経済法規との関係もからんで参ってくる問題でございまして、いろいろそういう面から十分に検討をしてやらなければならないような問題でございます。
それから最後に、この審議会に、同時に別に御審議を願っておりまする生糸製造設備臨時措置法によりまする諮問事項の審議をする機能を付与したわけでございます。生糸製造設備臨時措置法は、あとで申し上げますように、製糸業者が共同行為によりまして、設備の縮小をいたすわけでございますが、これはそのやり方につきまして十分監督指導をいたしませんと、関連産業に対する影響等もありまするし、また員外規制の命令等も内容に含んでおりまするので、その運用発動につきましては十分慎重にやって参らなければならぬわけでございます。従いまして、設備の処理規程を作ります場合、それからいわゆる設備処理命令を員外——組合に加入をいたしておりません者につきましても及ぼすような場合につきましても、この審議会に諮問をいたしまして、審議会の審議を経た上で、政府で措置をするということにいたしておるわけでございます。その機能も同時にこの審議会に付与をいたしたわけでございます。
従いまして、この審議会の設置要領は九ページにございますが、「蚕糸業の振興に関する重要事項及び他の法律の規定によりその権限に属せしめられた事項につき、農林大臣の諮問に応じて答申し又は農林大臣に建議する。」、他の法律と申しますのは、生糸製造設備臨時措置法のことでございます。それから審議会は、委員三十人、学識経験者をもって構成をすることに考えております。
それから次に、生糸製造設備臨時措置法につきまして御説明申し上げます。
これは、お手元の資料の十ページ以下に御説明をいたしてございまするが、これは先ほども申し上げましたように、現在原料と設備の関係が非常に不均衡な状態になっておるのでございまして、これを数字的に御理解をいただきますために、別に「生糸製造設備臨時措置法案関係資料」という、この数字をずっと連ねました資料がお手元に差し上げてございますが、これの最後の紙、十八ページでございますが、最後に「整備前後の一台当繭消費量」という表がございますが、現在の設備は、ここにありますように、自動機が三千三百六十八台、それから自動機に次ぎまする——いわゆる設備の高級さの程度でこれは並べてあるわけでございますが、自動機に次ぐものとして多条機が四万六千七百三台、座繰機が一万三千七百五台、玉糸の機械が四千五百五十九台、こういう状況になっておるのでございます。これに対しまして、三十一年度の実績から見ました一台当りの繭の消費量は、自動機が八百四十四貫、多条機が四百十貫、座繰機が四百六貫、玉糸機が五百三十七貫、こういう数字になっておるのでございます。これは現実に、昨年当りの繭生産量が約三千万貫でございますので、三千万貫の繭をそれぞれの設備に当てがっておりまするこれが現在の状態でございます。これが、いわゆるわれわれが適正操業度という観点からいろいろ考えまして、大体年間どの程度食わせれば一番フルの操業をすることになるかというふうに見ました数字が、一番右側にあります一台当り年間所要繭数量というところにある数字でございまして、自動機では一千三百四十二貫、多条機が八百三十三貫、座繰機が五百八十六貫、玉糸機が九百十八貫、この平均八百三十八貫、こういう数字になるわけであります。このくらいにいきますと、大体年間の操業日数は三百二十日くらいになっていく、それからある程度の交代操業等もいたしまして、いわゆる設備の能率を一応一般工業並みに引き上げることができるということになるわけでございます。それから計算をいたしますと、現在の操業率というものは、整備前の欄の一番右側にあるわけでございますが、自動機で六三%一多条機で四九%、座繰機で六九%、玉糸機で五四%、平均いたしまして五三%というような状態にあるわけでございます。
これを整備をいたしまして、一応予想をいたしておりまする姿は、整備後の欄にございまするように、設備台数は自動機が五千六百八台、多条機が二万九千四百六十三台。これはどうしても設備の改良をいたしませんと、いわゆる一般工業水準から見まして非常におくれて参りますので、自動機の導入等はやはり積極的に行うようにいたさなければならぬと思うのでございます。従いまして、多条機から自動機に転換をするものがかなりあることを予想しております。従いまして、多条機が大幅に減って参るわけでございます。これで台数としましては、自動機と多条機の合計をいたしましたものを約三割整備をする計算になっております。それから座繰機は、この一万三千七百五台という中には、例の無免許、無認可、俗にやみがまといわれておるものが含まれておるのでございますが、これを三割程度整理をいたしまして、一万一千九百五十台ということに一応いたしておるわけでございます。それから玉糸は、これも一割を整理をする、そういたしますと、ここに出て参りますように、大体繭消費量が平均六百七十貫くらいになって参るわけでございまして、これで年間の繭消費量が三千四百万貫、大体私ども三十五年に五カ年計画で考えておりまする繭の生産量が三千四百五十万貫でございますが、この当時の繭生産量と見合いまして、ほほ八割程度の操業率になるように一応考えておるわけであります。
それで、こういう状態に順次改めて参りたいということで、現在の製糸過剰がまを整理をしたいということは、もう業界としてはここ数年来の懸案であったわけでございますが、いろいろな事情で現実に発足することができなかったのでございます。と申しますのは、この設備の廃棄をいたしますにつきましては、なお御参考までに申し上げますと、この製糸のかま数整理という問題は、今回が初めてではないのでございまして、過去において二回やっております。一回は昭和十一年にやりまして、二回目は昭和十八年でございます。昭和十八年の場合は戦時中の企業整備でございますから、これはまた場合が別だと思いますが、昭和十一年の場合は純然たるこれは過剰がまの整理ということでございまして、そのときは現在の製糸業法に基きまして、政府で設備の廃棄をやることを指示いたしまして、業者にそれに従うような指示をいたしたのでございます。しかし、今回の場合はいろいろ昔と情勢が違いまするので、政府で過剰がまの整理をするということを指示あるいは命令をするという形をとりませんで、業界自体の問題として、原料とのバランスがとれるような形に直すということが必要であれば、また現実に必要な事態になっておるわけでございますが、それを合法的にやることができまする法的な裏づけをいたしたいということが、今回の立法の主眼目でございます。と申しますのは、現在の中小企業安定法なり何なり、それぞれのいろいろ共同行為をやる根拠になっております一応既存の法律があるわけでございますが、それらをいろいろ当てはめて研究をいたしてみたのでございまするけれども、この設備を買い上げて廃棄するというところまで参りますにつきましては、やはり特別の立法措置が要るということに現在政府部内での見解になっておるようでございます。従いまして、昨年通産省の方で綿スフ織機の整理を四年計画でやることにいたしまして、昨年から発足をいたしておるのでございますが、あの場合につきましても繊維工業設備臨時措置法という特別の立法をいたしておるわけでございます。
それで、今回私どもが考えましたのは、現在製糸業は業態が三種類ございまして、一つは機械製糸といっております、これがいわゆる輸出生糸をひいております程度の高いクラスの製糸であります。それから、それに次ぐものとして、いわゆる座繰生糸——国内向けの糸を中心に引いておる業態でございますが、座繰生糸というのがございます。それから第三に玉糸というのがございまして、これは例の玉繭と一般の繭とをまぜまして、節のある糸をひくわけでございますが、これが特にここ数年来アメリカで非常に需要がありまして、最近非常に生産がふえておるわけでございます。この三つの業態があるわけでございまして、この三つの業態に応じまして、それぞれ処理組合を作るということにしておるわけでございます。処理組合を作りまして、その処理組合で設備処理規程を作りまして政府の認可を受け、その設備処理規程の内容に、どういう設備処理の仕方をするか、全体でどのくらい圧縮するか、それを企業別に割り当てていく方法はどういうふうにするか、それからこれは業者で買上廃棄の資金といたしまして共助金を積み立てるわけでございますが、その共助金の積み立てと割当とはどういうふうにするかということは、この設備処理規程で全部きめるわけでございます。で、それを政府に認可を求めるわけでございまするが、その認可につきましては、先ほど申し上げましたように、審議会に諮問をいたすことにいたしております。
なお、法律の中にもいろいろこの処理規程を作る場合の注文をつけておりまして、たとえば関連産業等に対する影響等も十分考えてやる。あるいは業者間に不均衡な扱いにならないように、業者相互間において不均衡な扱いにならないように、いろいろそれぞれの注文をつけておるわけであります。われわれが審議会に諮問をいたし、また認可をする場合の判断の基準も、おのずから法律の中に盛られておるわけでございます。
それから、そういう形で買上廃棄をするわけでございますが、この処理組合は、原則といたしまして、加入脱退は自由でございまして、入ること脱退することについて特別の制限は設けておらないわけでございます。従いまして、加入脱退自由な形において動いて参るわけでございますが、まあ大体私どもの見通しといたしましては、まあ製糸業界は、先ほど申し上げましたような三つの業態別に、それぞれ組合等を持っておりまして、従来もそれぞれ、まあ連絡をとりながらやっておるわけでございます。加入脱退自由な建前におきましても、大体大部分の業者はこの仕事にいわゆる自発的に入ってくると思っておるのでございまするが、法の建前といたしましては、大部分の業者が参加をいたしましてやっております場合に、一部の関連業者が、一部の加入をいたしません者がありますために、全体の仕事がうまくいかぬという場合につきましては、処理規程にそういう者に対しても従うように命令をするという規定が入っておるわけでございます。これはいわゆる加入命令ではないのでございまして、処理規程の内容を組合員である者と同じように当てはめていく、従わせるという命令でございます。そういう形でやるわけでございまして、いわゆる設備処理そのものに対しましても、政府から命令をしてやらせるという形をとっておらないのでございます。従いまして、設備処理そのものを共同行為によりまして合法的にやることができるようにする法的な裏づけであるというふうに、御了解をいただきたいと考えるわけでございます。
それで、これをやりました場合の効果と影響でございますが、これは十六ページ以下に簡単に書いてございますが、まず生糸の加工費の節減でございますが、大体われわれが現在繭糸価格安定法の最低価格をきめます材料といたしまして、毎年主要製糸工場を統計調査の、例のサンプリングの方法で抜き出しまして、生産費の調査をいたしておるのでございます。それらによりますと、本年あたり、まあ三十一年でございますが、三十一年から三十二年にかけましてのこの二カ年当りの生産費は、大体五万一千円ぐらいになっておるわけでございまして、大体現在生糸の値段はおおむね二十万円から二十一万円ぐらいの間の幅の中を、ここ一、二年ばかり動いているわけでございますが、その中で加工販売費に当りますものは約五万円ばかり、あとの残りは繭代という状態になっておるわけでございます。従いまして、生糸の生産費の中に占めます加工、販売費の額というものは、それほどに大きなものではないのでございますが、この幅の中で、製糸業者というものはどうしても合理化を考えて参らなければならないというような、非常に現在苦しい立場に置かれているわけでございます。繭代というものは、これを節約いたしましても、農家の原料繭代そのものに切り込むことは現実の問題として私どもは考えておりませんし、また需給関係からいたしましても、そこまでの事態にはならないと考えておるわけでございます。加工費そのものを切り詰めまして、製糸経営の安定をはかりたい。それからいろいろ現在の原料入手の過程におきましては、製糸業者といたしまして、原料確保をするためにいろいろ、購繭副費とわれわれは言っておりますが、購繭副費といわれるものがかなり出ているわけでございまして、これは合理化によって、そのうちいわゆる非生産的な要素を持っておりますようなものは、一部圧縮をするというようなふうに持っていかなければならぬと考えておるわけでございます。
それから、この整備に伴いまして、製糸労務者に対する影響があるということが予想されるわけでございまして、この対策につきましても十分考えて参らなければならないのでございますが、製糸労務者は、御承知のように、大部分が女子労務者でございます。現在製糸に従事しております労務者の数は約五万人でございますが、そのうち九割までは女子の労務者でございます。従って、女子労務者であります関係上、自然に更新をいたします率が非常に高いのでございまして、ここ数年来の実績によりますと、大体一年間に三分の一は交代をいたします。自然に更新をいたしております。従いまして、従来、工場の閉鎖をいたしますとか、あるいは自動操糸機に切りかえたというようなことで、労務者を減らさなければならないような場合におきましても、製糸の場合はおおむね、すぐに首切りをやりませんで、しばらくそのままにずっと雇用を続けておりまして、自然の更新を待って、いわゆる新規に補充をしなくて、落ちつくのを待っているというような実際のやり方をやっているわけでございます。従いまして、今回の場合も、そういうことで順次労務者の面は落ちついていくのを待つということになるような行き方になると考えておりますし、また蚕糸関係の労働組合の方からも経営者にそういうような要請をしまして、この整備の点に同調を得ているというようなわけでございます。
なお、特に現在の製糸労働者の賃金水準が非常に低いわけでございまして、大体女子労務者は月平均六千円強の賃金になっておるのでございますが、紡織、紡績業に比較いたしまして、約六、七割の水準にあるわけでございます。これらも、製糸というものの現在の仕事の収益性が非常に低いというところから、やむを得ずこういうことになっておるわけでございまして、全体の企業を整備いたしますことによって収益性を高める以外に、労務者の賃金も、また養蚕農家に対するこれ以上の繭代の支払いも、その力が出てこないというような状況になっているわけでございます。
大体の考え方は以上の通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/3
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004・堀末治
○委員長(堀末治君) これにて暫時休憩いたします。午後は二時から再開いたします。
午後零時十一分休憩
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午後二時五十七分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/4
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005・堀末治
○委員長(堀末治君) 午前に引き続き、委員会を再開いたします。
この際、委員の変更について御報告いたします。本日、河野謙三君が辞任され、石黒忠篤君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/5
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006・堀末治
○委員長(堀末治君) 引き続いて、農業災害補償制度関係三法律案を議題にいたします。
御質疑の向きはそれぞれ、御質疑をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/6
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007・仲原善一
○仲原善一君 多年の間懸案になっておりました改正法がいよいよ審議の過程に入っておりますが、先般来同志の諸君からずいぶん御質問があって、特に藤野委員からは逐条審議まであって、大体終ったと思いますけれども、私といたしまして、まだ二、三お伺いしておいた方が、通過後の運営の上に非常に好都合であるという意味から、お伺いしておきたいと思うのでありますが、その一つは共済掛金率の問題であります。
農家が非常に関心を持っておりますのは、どれくらいな負担を自分たちがせねばならぬかという金額でありますが、その金額を決定する要素の中に、最初に共済金額と、いうのがあります。これは、農家自身の選択によって簡単にわかる金額でありますけれども、料率を出すには、さらに共済金額に共済掛金率をかけて出すわけですが、料率の方の内容といいますか、実体といいますか、そういうものについてはほとんど知識がないわけであります。一体、共済掛金率というものはどういうふうにしてきめられるのか、このほんとうのきめ方は、高等数学を使ったり、大へんむずかしいことになっているようですが、しろうとわかりのするようには、どういうふうなやり方で料率というもののきめ方ができるのか。しかも、それは都道府県については農林大臣がきめるようでありますが、さらに、都道府県の中の町村の料率というものはどういうふうなきめ方によってきめていかれるのか、そういう点をあらまし一つお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/7
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008・丹羽雅次郎
○説明員(丹羽雅次郎君) 農業共済制度におきます料率のきめ方はどういうふうになっておるかという御質問でございますが、根拠法は百七条でございます。お手元に新旧対照表がございますれば、それの七十四ページにございます。それで、簡単に考え方を御説明をいたしますと、農林省におきまして、それぞれの県につきまして、過去二十年間の被害率の平均をいたすわけでございます。それで、農業災害補償制度に関する参考資料の二十七ページをごらんいただきますと、右から五行目に共済掛金標準率という欄がございます。それぞれの県につきまして、過去二十年間の被害率を算定いたしましたものが、この共済掛金の標準率でございます。今、過去二十年間の被害率という言葉を申し上げましたが、その被害率と申しますのは、それぞれの年におきます共済金額の総額に対しまして支払いました共済金の割合でございます。全体として保険を幾らつけておりまして、保険が実際幾ら支払われたか、その割合を過去二十年間につきまして平均をいたしまして、それぞれの府県に算定をいたすわけであります。この場合、もう少しこまかく申し上げますと、昔のものほどウェートを落しまして、新しいものによりウェートをつけて算定をいたしておる。たとえば、鳥取県について申し上げますれば、そのようにして算定いたしましたものが二・二二三%ということになっております。
これだけで保険設定をいたすことも可能なわけでございますが、この掛金は、農家と国庫が分け合って持つ建前でございますので、この分け合い方の関係から、共済掛金標準率というものを、その左に書いてございますように、通常共済掛金標準率というものと、異常共済掛金標準率というものと、超異常共済掛金標準率の三者に分解をいたしておるわけであります。今申しました三つを足しましたものが共済掛金標準率に相なるように、その三つに分解をいたしておるわけであります。この分解の仕方は、非常にむずかしい数学を使っておるわけでございますが、考え方だけを申し上げますと、通常共済掛金標準率と申しますのは、当該保険におきまして、通常の被害と考てしかるべき被害の率という考え方でございます。従って、その範囲内におきましては、当該保険におきまして危険分散ができるという考え方に連なっておるものでございます。ところが、過去二十年の被害のうちで、非常に例外的な被害が発生いたしております場合には、それらのものは通常共済掛金標準率をこす被害といたしまして、それを異常の被害とみなすべき部分と、超異常の被害とみなすべき部分とに、これまた分解をいたしまして、超異常共済掛金標準率というものは非常に頻度も少いのでございますが、非常にまた大きな被害があった年などは、そういうものの通常分なり異常分をこします部分を、超異常標準被害と一応見るわけでございます。
で、そのようにこの三つを分解をいたしまして、この超異常共済掛金標準率というものは、数年に一度もあるような、非常にまれにある被害であるという考え方のもとに、こういうものはまた人間の能力をこえた被害であるという考え方から、国庫でこれに見合います部分は全部負担をする。鳥取県の例について申しますれば、二・二二三%の共済掛金標準率のうち、〇・三四九に見合います部分は国庫がこれを引き受ける。それから異常標準被害率に見合いますところの〇・四九三の部分につきましては、これはそうめつたにあるものではないが、頻度は超異常より多いものでございますが、これらは農家と国庫とが半分ずつこの部分は持ち合う。それから通常共済掛金標準率につきましては、これはいろいろの考え方ができるわけでございますが、この制度ができました当初におきましては、農家が持つという考え方を一部とったわけでございます。その後だんだん改善せられまして、今回の法律におきましては、このうちで、この部分を全部二分の一ずつというように改正はせられているわけでございます。
で、以上のようにいたしまして、それぞれの要素ごとに負担の割合を分け合いますと、右の端に書いてございます通り、数字がおのずから計算上出て参るわけでございまして、二・二二三%の全体の掛金のうち、一・一二八五%はちょうど農家が受け持つ分、国庫が受け持つ分が一・〇九四五、こういうふうにきまるわけでございます。念のためにこの比率をとってみますと、鳥取県を例にいたしますれば、農家の割合が全体の掛金の五〇・七%、国庫が四九・三%、こういうふうに一応算出されるわけであります。
以上申しましたことは、鳥取県全体についての話でございます。今御質問がございましたが、それをどうやって個々の末端におろしていくのかということが、その次の問題に相なるわけであります。
ごく大ざっぱに申しますれば、知事がそれぞれの村別に、その村の面積及びその面積に応じます共済金額で加重平均をいたしましたもの全体を共済金額で割った場合に、この率になるように、知事が村ごとに割らせておるわけであります。その場合に、そうこまかく知事さんが分けるわけに参りませんので、前に御説明申しました通り、県の中を十二のランキングにいずれかの村をいたしまして、その村につきまして、平均が農家負担で申しますれば一・一八五%に相なりますように、危険の高いものはたとえば一・八%、低いものは一・一を割ります〇・八というような、一つの例でございますが、この一・一八五を中心に上下に開きまして、それぞれの村の率をきめておるわけであります。そのようにいたしまして、結局、各村の農家の掛金率を分解いたしましたものが、加重平均値が一・一二八五になるように、知事に分解作業をお願いする、こういう建前をとっておるわけであります。
従いまして、御指摘の通り、個々の農家あるいは個々の組合から見ますると、なかなか、どういうふうにしてこの率が決定いたしましたものかどうか、おわかりにくいわけでございまするが、やはり国全体の保険収支が均衡いたさねばなりませんので、今申し上げましたように、上から下して参る、こういう考え方で分解されておるわけでございます。
御参考に、鳥取県の例について申しますと、これは知事の報告に基きまして農林省の告示で出しておりますが、鳥取県の例で申しますと、第一階級の甲に属しますものは四・三%、それから危険の一番少い第四階級の丙に属しますものは一・七二%で、一対四の程度で上下に開かれておる。その平均が二・二%、こういうような形に相なっておるわけでございます。以上。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/8
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009・仲原善一
○仲原善一君 特にこの問題についてお伺いしておるゆえんのものは、農林当局はよく御存じの通りに、鳥取県が全国で一番の最低の被害の県でありまして、まあこの問題からいろいろな問題が派生してくるわけでありまするので、特にこの点をお伺いしておるわけでありまするが、今お話しになりました共済掛金標準率についても、鳥取県が二・二二三、北海道を見ますと一五・〇二四というふうに、七倍近くの開きがあるというようなことでございます。先ほどの話によりますと、超異常は全部国だ、それから異常は二分の一が国の負担だと。それから今回の改正で、通常の共済掛金標準率に関しては、やはり今度は二分の一国が持つということになっておるのでありまするが、まあそういう問題をいろいろ勘案いたしまして、通常、異常、超異常と、この三つに仕わけしておられるわけでありますが、仕わけの基準と申しますか、やり方ですね、どこからどこまでが異常で、どこからどこまでが超異常かという大よその分け方が、非常に料率に関係してくるわけですが、その点をどういうふうに分けておられるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/9
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010・丹羽雅次郎
○説明員(丹羽雅次郎君) 実はこの考え方といたしまして、過去の被害率の平均だけでものを考えることは危険であるので、今申しました通り、通常、異常、超異常に分けまして負担の面の均衡をはかる、こういう考え方から、過去の被害の中でどの部分を、どの程度までを通常被害と見るか、あるいはどの程度までを異常被害と見るか、あるいはこの線をこすものはもはや超異常として、その土地の方々のいかなる努力なり何なりをもこえた、真にやむを得ざる災害として国が考える被害と見るか、そういう角度からこれを分けるわけでございますが、この分け方につきましては、御指摘の通り、非常にむずかしいのでございます。
そこで、一応現在とっておりますのは、ポアッソン分布の理論を導入いたしまして、当該府県におきまして頻度か比較的多い、頻度分布の状態から考えまして、過去二十年におきまして頻度が相当幾度も出ておる、その程度の被害は、その頻度の度合によりまして、過去の被害の非常に上下動いたしておりますうちで、二十年を見まして、頻度が非常に多く出ておりまして、この程度の頻度が出るものにつきましては、やはりその地方の通常の被害と考えるべきである、こういう考え方で一応通常をきめまして、それからもう一度より広い範囲、たとえば鳥取県を中心にいたしまして、鳥取、島根、岡山、広島、山口という、今度は地域をもう一度考察の対象にいたしまして、その地域におきまして頻度が非常に出ておるこれらの部分を、第二段目のふるいといたしまして、異常被害の頻度を算定いたしまして、そこに異常の標準被害率をきめる。そしてその率をきめました以上に、二十年の中で出っぱっております被害率につきましては、これは超異常とみなすと、こういう考え方をとっておるわけでございますが、ポアッソン分布によります算定の方式につきましては、非常に複雑な算式を作っておりますので、後ほど、もし御必要でございますれば、説明書として提出いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/10
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011・仲原善一
○仲原善一君 先ほどの御答弁の中で、知事が町村別にきめる場合には十二のランクというお話がありましたが、今回の改正では十八になるのではありませんか。その点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/11
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012・丹羽雅次郎
○説明員(丹羽雅次郎君) ただいま、私が説明いたしておりました率にいたしましても、あるいは算出方法につきましても、全部現行のものについて御説明をいたしました。で、この法律御審議を終りまして施行になりました後におきましては、前に御説明いたしました通り、県に示しまする標準被害率を、知事か県内の地域に分解いたします場合には、分解いたします単位といたしましては、必ずしも市町村にこだわらないという点。それから分解する数につきましても、十二をもっと拡大して十八にいたしまして、被害の比較的少い地域はその標準——県に示されました標準をもとにいたしまして、ずっと低いところの標準を作る。しかし、その県の中でも非常に被害が多い地域につきましては、県の示しました標準被害率の上に開くわけでございますが、より高い率を適用いたしまして、被害の実態に、県内の実態に、地域の実態に、より現在以上あわせたいという考え方のもとに、十二ランクを十八ランクにいたす考えであります発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/12
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013・仲原善一
○仲原善一君 今の料率の問題について、さらにお伺いいたしたいのは、現行のこの率はすべて一筆反建で二十年間計算して出されたと思うのです。今度石建になる場合には、この数字がそっくりそのまま使っていいのかどうか、これは非常に違った数字になるべきだろうと思いますが、その点はどういうふうにされますか、そうして、現在の関連した法律の中でもう一年延ばして、この料率を使うような話になっているようですが、何か新しく石建に直したものにしてやられるのか、あるいは現状のそのままを使われるのか、その辺をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/13
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014・丹羽雅次郎
○説明員(丹羽雅次郎君) この現在のものは、お手元のこの資料にも書いてございました通り、二十七年から三十一年までの、先ほど申しました二十年間の被害に基いて算定されておる。従いまして、今度はこれを石建の率を算定いたします際に合せて、前の五年を切ってあとの五年を追加するわけでございます。従って、対象になります二十年間の内容が変ってきますという理由が一つと、それから筆建で、反建でございましたものを石建に直すために、修正を要することが第二の理由で、二つの理由からこの率は府県別に変って参る見込みでございます。
それで、ただ反建の資料から石建の資料ができないかという点につきましては、これは一定の方法でもって私ども推定をすることが可能であるという考え方のも一とに、現在いろいろと試算をいたしております。ただ、これは何と申しましても、過去の資料から推定いたすわけでございますので、若干狂いもあるかもしれないという懸念のもとに、ただいま御提出、御審議を願っております法律におきましては、とりあえず当分の間は五年サークル、三年サークルでやりまして、もし推定に誤差がありまするならばすみやかに直して参る、こういう考え方で、現在御審議願っておる法律におきましては料率改訂期間を三年にいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/14
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015・仲原善一
○仲原善一君 そういたしますと、ここの二十七ページに載っております資料ですが、府県別の率がそれぞれ載っておりますが、この法律が通れば、ことしからこの率はお使いになるのか。たとえば鳥取県だと、共済掛金標準率の方が二・二二三という数字を鳥取県はお使いになるのかどうか、その点はいかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/15
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016・丹羽雅次郎
○説明員(丹羽雅次郎君) 今、現在これは使っております率のようでございます。従いまして、先ほども申しました通り、まず一年間延期を願う法律の御審議を願っておりまするので、この一年間はその法律に基きまして、鳥取県は二・二二三%の率を、ことしの秋とれます米まではそれを使う考えです。それから来年とれます米につきましては、もちろんとれます前にこの率を決定いたしまして、田植えをいたします前に決定いたしまして、お示しして、明年度の植付をいたします米から新しい率で掛金をとる、また事故が起りました場合には共済金を払うと、こういうふうに制度を切りかえたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/16
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017・仲原善一
○仲原善一君 掛金率の料率の最低と最高が、たまたま鳥取県は一対四になっておりますが、これの幅は相当開いてもいいことになるわけですが、県によっては非常に違う結果になるわけですが、実態に合うということになれば、何十倍も違うような結論が出るだろうと思いますが、実際問題としてそういうふうに圧縮されているということが、各県とも共通に一対四ぐらいになっているのか、あるいはどういう程度になっているのか、その点をお知らせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/17
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018・丹羽雅次郎
○説明員(丹羽雅次郎君) 御指摘の通り、県内におきます危険率の分布の開きは一対四程度ではございません。非常に県によりまして大きく開いておるわけでございます。それで、この現行料率を二十七年に決定いたします際に、県知事に私どもの方で、なるべく一対五以上に開くようにという行政指導をやったわけでございます。しかしながら、やはりこれは共済程度でありますということと、県内の実態とから、必ずしも一対五以上に開かれませんで、今申しました通り、鳥取の例によりましては一対四でございます。県によりましては、その開きをもっと縮めております県もあるわけであります。大体一番開いておりますところでも、正確な記憶ではございませんが、一体六程度と存ずるわけでございます。今度の改正におきましては十二が十八に相成りますので、私どもといたしましては、行政指導といたしましては、なるべく開きを現在以上に拡大をしたい、かように考えているわけでございます。反面、これは拡大して、下る方は問題ないわけでございますが、上る方の村なり組合の方ではやはり非常に問題がございますので、しゃにむに拡大を強制するということもいかがかと考えまして、その辺をにらみ合せまして、行政の指導をいたして参りたい。しかし、少くとも現在は開き方が少し圧縮され過ぎるのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/18
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019・仲原善一
○仲原善一君 料率の問題でもう一つだけお伺いしたいと思います。それは反建から石建になったために、農家の負担——直接関係があるかどうか知りませんが、農家の負担が楽になったかどうか、その点、数字的にわかればお知らせを願いたいと思うのです。二十四ページに若干出ているように思いますけれども、ちょっと何か不徹底で……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/19
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020・丹羽雅次郎
○説明員(丹羽雅次郎君) 御参考に、二十六ページに料率の現行ベースの平均率が出ておるわけですが、現在は五・九九八%に全国平均で相なっておるわけでございます。これは先ほどお示ししましたように、二十七年から三十一年度の間において適用すべき料率でございまして、これを五年目におきまして、過去五年間、古い五年を切りまして、新しい五年を入れまして、反建のままで料率を直しますと、御承知の通り、二十八年の災害等が入ります関係上、それが六・四四四という程度にはね上るわけであります。従って、料率改訂をいたしませんで、反建で規則通り本年度料率改訂をいたしますと、五・九九八から六・四四四程度に、相当大幅にはね上るわけでございます。それを反建でやります場合には、もちろん其礎ベースが、やはり二十八年等が入って参りますから、上ることは免れないわけでございますが、六・三一四程度と私どもは今試算をいたしておるわけでございます。もちろん現行よりは、二十八年度の災害等が入ります関係上、上りますが、反建のままで基礎年次を変えることには上らずに済む、これが一点。
それからもう一点は、十六ページに、一筆石建と一筆反建との反当農家負担掛金の比較というのがございますが、私どもは今回料率がある程度上りますことも考え合せ、また農家負担への影響も考え合せ、あるいは低被害地帯等の問題とも考え合せまして、先ほど御説明いたしました通り、七千円、五千円、三千円、二千円という共済金額の選択の単位を広げましたわけでございますが、農家負担の角度から二千円ということをもし選びますならば、現在、右の方をごらん願いますとわかるように、全国平均での話といたしまして、二石二斗の所では二百四十三円から反当百五十六円程度の掛金に相なっておるわけでございます。それが、同じたんぼにつきまして、九十五円から六十四円程度になるわけでございます。なお、鳥取県の方の例について申しますと、鳥取県の農家の負担率は、全国農家の負担率の半分でございますから、絶対値といたしまして。この六十四円というのが三十数円という形に、これは全国平均でございすが、個々の県として申し上げれば三十数円の負担、こういうことに相なりまして、これは地方におきまして、農家負担の角度から二千円を選ばれるか、災害の際におきます補償という角度から、たとえばもっと高いものを選ばれますかは別でございますが、どうしても負担が過重という地域の対策といたしましては、一筆石建制と二千円の問題及び二分の一の問題等で、この数字によって御判断願える程度の軽減は可能だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/20
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021・仲原善一
○仲原善一君 次に、損害評価の具体的な問題について、一、二お伺いしてみたいと思うのですけれども、この調査会等ができ、一番末端の組合で査定します損害評価のあれがあります。しかしこれは、県の連合会はのまないと思います。また同時に、農林省の方に持ってきても、それが通らないと思うのですね。最後の決定権はどこにあるのか、その損害評価の一番最後の決定はだれがやるのか、どういうふうな基準でやるのか、その点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/21
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022・丹羽雅次郎
○説明員(丹羽雅次郎君) 損害評価の決定権というむずかしい御質問なんでございますが、現在の考え方といたしましては、一応組合が調べましたものに対しまして、ただいまにおきましては、損害評価要領という通達で処理しておりますが、今度の改正法では、農林大臣の定めます準則によって規定する考え方でございますが、組合が調べましたものにつきまして、連合会がもう一度、組合間の均衡を調べる意味におきまして、調査させる考えでもございますし、現在もしておるわけでございます。従いまして、連合会の目から見まして、A組合の評価がB組合の評価に対して過大であるというような場合には、あるいは均衡を失しておるというような場合には、連合会が調べまして、誤差石数と称しておりますが、自分で見た結果、誤差が大き過ぎる場合には、それに応じてそれを切るように指導をいたしております。で、そのようにいたしまして、組合ごとに県内の組合の評価を調整いたしましたものを取りまとめまして、連合会から国に請求書として出してもらう。その際に、国は無条件で組合の評価に対して再保険金を払うということも、制度としては不可能ではないわけでございますが、ただ何分にも半額以上の掛金国庫負担等をやっておりまして、再保険金が無制限に国庫から出てきますから、それをそのまま認めるということは、ただいまやっておりません。これは保険の運営とは第三者的立場にございます統計調査部に対しまして、保険のための被害面積調査を依頼いたしまして、それによりまして出てきました統計上の調査された被害面積と、組合の評価いたしました被害面積とを比べておるわけでございます。そういたしまして、統計調査部は、御承知の通り標本調査でございますから、標本誤差というものはもちろん考えに入れなければなりません。統計調査部で調査いたしました資料に、標本誤差等を考えまして、これが最高許容限度という数字を、現に連合会にお示ししておるわけでございます。そういう第三者のものさしではかってみました場合に、組合の評価がそれ以下である場合、これは正当なる評価として無条件で支払いを行わしている。不幸にしてこれをオーバーいたしております場合には、これはその線までつづめて再評価をしていただくように、行政指導をいたしています。で、組合の定款等におきましては、訴訟を提起する場合を除いては、上の方の指示に従うという定款に相なっておりますので、一応国が最高限度を示しましたものにつきましては、その線に詰めて支払いを受けていく。連合会がそのように詰めて組合にお示しした場合におきましても、連合会と国との関係は、同様な形におきまして詰めまして支払いを行なっていく、こうなるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/22
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023・仲原善一
○仲原善一君 今の御答弁の中で、被害面積とおっしゃいましたけれども、あれは今度は石数になるのじゃありませんか。それが一点。
それからオーバーしている場合に、つづめていく場合は一律にやるのか。あるいはそこに相当の主観を入れて、ある人は減らし方を少くし、ある人は減らし方を多くするというようなやり方ができるのか。従来だと、例の三割以下は対象になっていなかったから、あまり減らしていくとゼロになってしまうような関係もあって、非常に不合理な点があったのですが、今度は石建ですから、その点はゼロになる心配はないと思いますけれども、つづめ方、圧縮の仕方をどういうふうにお考えになっているか、その点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/23
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024・丹羽雅次郎
○説明員(丹羽雅次郎君) 現在の制度におきましては反建でございますので、たんぼにつきまして、全滅したか、三割被害であったかという意味におきまして、たんぼの数と共済金支払いとがどうしても不可分な制度でございますので統計調査部に三割以上の被害を受けましたたんぼの数の調査を願い、それを基準にして、保険金支払いの審査の基礎にいたしております。従いまして、下へ示します場合におきましても、御指摘の通り、何千町歩という形で、面積で一番基本的な問題は指示している。ところが、御指摘の通り、一筆石建に相なりますれば、減収石数が共済金支払いを決します要素でございますので、私どもの考えといたしましては、これは、減収石数で下へ許容最高限度をお示しすると、こういうふうに切りかえる考えでございます。
従いまして、それが組合の段階まで下りて参りました場合には、石数で下りて参りまして、あえて私どもの方としては面積が何町歩でなければならぬという必要はないわけでございます。保険金の支払いには面積は影響いたしません。石数によって左右されるわけでございますので、従って、村の評価におきまして減収石数が百石であるが、統計その他の理論から考えて、どうしても百石は過大であって、八十石がどう考えても正当であるという形において、最末端に下りました場合におきましては、組合で調べました百石につきましては、それに応じた面積があるわけであります、どこどこの面積に幾らの被害があって、全体として百石というのが、組合の方にはあるわけであります。従いまして、私どもの考えは、個々のその組合の野帳と申しておりますが、その調査によります各筆に応じた減収石数を、今の例で申しますれば、十分の八に修正してもらうならば、石数は減じますけれども、対象になりますたんぼの数は全部カバーできるわけであります。従いまして、減収石数の割合によりまして、各たんぼごとの被害量の修正を一律に行う。そういたしますならば、金額の問題は若干御意見はあるかもしれませんが、少くとも末端におきまして評価いたしました対象面積は、共済金支払いの対象として最後まで残るという措置法を講じまして、在来のように、一ぺんあなたの家には保険金が渡りますと言ったんだが、二度目になって、あれはだめでしたというようなケースをなくしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/24
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025・仲原善一
○仲原善一君 次に、無事戻し制の問題ですが、これは特に低位災害県の鳥取初め島根、それから新潟、長野、岡山という県で、従来とも共同でいろいろ改正案に織り込んでもらうように、ずいぶん陳情した経験があるのでございますが、今度の石建制になった関係で、特に縦割二分の一になった関係で、そういう低位災害県に恩恵が相当及ぶような結果になるかどうか。まあ無事戻しの精神というものが、多少具現されておるかどうか、その辺お知らせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/25
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026・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 無事戻しの関係は、この制度の改正に際しまして、各委員会あるいは各協議会とも一応入れておったのであります。そうして私の方でも当初はそれを案にいたしまして、無事戻しをやろう、すなわち現在法律の規定に無事戻しできるという規定もありますので、それを実際に運用できるようにしよう、こう考えておりました。ところが、無事戻しをやるためには、無事戻しのための財源が必要になってくる。そうしますと、それを確保しますためには、どうしても無事戻しのための特別の賦課金というものを考えなければ、実際問題として運用がつかない。そういたしますと、現在でも掛金なり、負担金が多いという際に、たとえ国庫補助を半分なら半分見ましても、農家の負担がふえてくるということは、この際は見送ったらいいじゃないかという結論になったのであります。
ただ、一方、先ほどの二十七ページの表でごらん願いましてもわかりますように、今度は通常共済掛金標準率の分の負担を、国庫負担を三分の一から三分の二にしますから、その通常共済掛金標準率の占める割合の多いいわゆる低位被害の県は、それだけ共済掛金標準率の中で通常の分が何し、それだけ国庫の負担がよけい行くということになるわけです。たとえば鳥取県で申し上げますと、二十七ページの「二十七——三十一年度産水稲に適用する共済掛金標準率」の中で、農家負担の割合が五〇・七%なら国庫が四九・三、こういうふうになっているのが、通常分を二分の一にしますと、この数字を基礎にいたしますと、農家の分が約四一%になり、国庫の分が約五九%になりますから、相当程度の軽減になると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/26
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027・仲原善一
○仲原善一君 低位災害の地域はこの恩恵に浴しないというので、まあ非常にむちゃな話ですけれども、脱退したい。引き受けをしないとか、料金も払わないとか、共同してそういうことをやろうという動きが相当あるわけですが、そういう場合にどういう罰則があるのか、どういうふうな対策があるのか。まあほんとうに最後の手段でそういう挙に出た場合に、どういう打つ手が、善処する手があるのか、それはどういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/27
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028・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 法律で解散の決議をすることができることになっております。四十六条です。そうして、その決議は、四十六条第三項で行政庁の認可を受けなければ効力を生じない、こういうことになっておりますので、現在までは解散の決議をしても認可をしないぞということで、解散を行政指導でとめておったわけでございます。そのためには、今まで相当無理をしてきているわけであります。しかし、今度は石建にすることによって、先ほど御質問がありましたように、せっかく組合で、あなたのたんぼは共済の対象になると言っても、連合会の査定なり、国の査定で減った場合に、渡せない場合ができる、そういうものがなくなりました。それから都市近郊等の、いわゆる米麦は非常に少くても、蔬菜等で一反歩以上になっておるから、強制加入になっておるということも、そういうことも減ってくると思います。それから任意加入の分を多くするわけですね。それから掛金の国庫負担率等も上げております。
そういうことをやりまして、もう一ぺんこの法律の改正を機会に、十分農家の自覚というか、この制度の必要であるということを説得いたしまして、そうして国全体の災害補償がうまくいくようにするということをやっていこうと思うのであります。それでも、どうしても聞かないということになれば、これは罰則で臨んでも動かないわけでありますから、何といいますか、具体的な事情に応じて、これもたとえば先般来河野委員がやかましく問題にしておられますが、横須賀の近郊とか、平塚の近郊とか、ほとんど蔬菜で、防風壁に麦を植える、陸稲を植えるという程度のものは、ある程度押え切れない所が出てくると思います。それから何といいますか、ここ十年も二十年も、ほんとうに災害がなかった、だから、もしあっても仕方がないというような所は、これはあると思います。村によっては。……そういうところは今度の改正でも、もし万一の場合に用意しておけといっても、説得しても聞かない場合には、説得の手数は、時日はかけたいと思いますけれども、従来の方針を変えた方がかえって残った町村、残った農家のために、制度の運営がうまくいくのではないか、そういうことも考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/28
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029・仲原善一
○仲原善一君 最後にもう一点だけ……。町村移管で組合の事業を運営する場合に、職員の身分は全面的に町村で引き受けてくれるのか、そのために失業するようなことがないのか、その恩給年限とか、そういう関係はどういうことになるのか、その辺ちょっとお知らせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/29
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030・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) この制度は相当技術的な制度でありまして、職員も十年間一生懸命勉強してきております。従って、町村に移譲いたしましても、やはり現在やっておる人の手を借りなければ、すぐの間に合わないと思います。これは私の方の行政指導で、通牒を出して、市町村移管の場合の一つの重要な注意事項として出そうと思っておりますが、町村に必ず引き継いでくれるように行政指導をいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/30
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031・仲原善一
○仲原善一君 当然には……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/31
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032・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 法律上当然にはならないのであります。共済組合に恩給はありませんが、町村の方では、地方公務員として地方公務員の恩典に付するということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/32
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033・堀本宜実
○堀本宜実君 愚問になるかもしれませんが、水稲共済金額が選択になって四段階、水稲だけでなしに麦でも家畜でもそうだと思いますが、最高がきめられているのですね。家畜はたしか八割でしたかと思うのですが、どうしてこの水稲を七千円ということで切ったか。米価をかりに一万円と算定すれば、その金額に対する満度のものも選択し得る余地を与えておくことがよいことではないかと思うのですが、その点、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/33
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034・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) この共済、あるいは保険でもありますが、何を保険するかというのが根本問題になるわけであります。そこで、農作物につきましても、販売価格に相当する価格を保険するのか、必要最少限度の経費を保険するのか、この見解で分れるのでありますが、現在までの建前は、それを農作物の価格の二分の一を保険する、百六条で農作物価格の二分の一を補償する、こういうふうになっておるのであります。今回もそれを踏襲いたしまして、百分の七十に相当する額に、主務大臣が定めるところの金額ということをきめる場合に七千円出した、七七、四十九で、一万円ならばやっぱり半分、こういう計算をしているわけです。ですから、これが絶対であるかどうかという問題は議論が分れるところでありますが、その議論は、一応今回は従来の法律を踏襲した。あとは、今度被害の程度に応じて、もっと低い金額を積むべきだ、こういう考え方になるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/34
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035・堀本宜実
○堀本宜実君 気持はわかるのですが、私は、保険というものを喜ばない一つの原因に、最高を七〇%に区切っているというようなところに由来するものがあるのではなかろうか、こういうふうに思うのですが、まあそれはお互いにそれぞれの理論がありましょうから、その程度にして、将来一つ御研究をお願いしたいと思います。
そこで、もう一つ、経理区分ですが、経理区分は現在対象となっておるものは水稲、麦、それから養蚕、家畜、任意共済、こういうふうに分れておると思うのですが、これは県の連合会等においてその経理区分というものは、それぞれの種目に応じた経費を持っておって、その収入においても、支出においても、それらの会計以外に流用することはないのか、そうして共通経費、一般経費というものは別に建ててやっておるのか、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/35
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036・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) これは現在省令の三十五条によりまして、連合会の会計の区分を農作物共済、蚕繭共済、家畜共済、任意共済、業務勘定、こういうように分けて、こういうことで、今度は新しい改正案の九十九条の二の第一項できめろということにいたしておりまして、今の三十五条の規定を、連合会のみならず、町村組合でもそういうふうに経理区分をする、こういうことになるわけであります。これは共通の部分といいますと業務勘定になるわけでありますが、そのほかの部分ははっきり一応勘定を別にしまして、勘定間の相互の関係は貸借関係、ある勘定が余りがある場合は、その勘定から他の勘定に貸すというふうにいたします。一本でありますと、何であるかわからなくなります。そういうことをはっきりしょう、そういうふうにして、いま少し勘定を別にして、あと勘定ははっきりしていく、こういうわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/36
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037・堀本宜実
○堀本宜実君 それは決算報告その他においても、そういうふうな勘定区分をはっきりするようになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/37
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038・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) 今度からそうしようというわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/38
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039・堀本宜実
○堀本宜実君 とにかく今まではプールになって、そうしてこちらのものをこちらに流用し、これをこれに使っているというような、はなはだ不愉快な現象があった。そういうことも、この組合というものに対する不信の一点ではなかろうか。ですから、それぞれの区分に応じてやっていくということに、一つやってもらいたいと思うし、それから次に、これも簡単なことなんですが、役所でお気づきにならぬかとも思うのですが、たとえば廃用家畜の共済ですね。家畜の共済で、廃用ということになった場合に、その廃用の処分を公正にやれるのかどうかということなんです。公正にやれると思うのですが、やれるようになっているのですが、果してそれを公正にやっていくのかどうか、どういう方法でやることが一番公正だとお思いになるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/39
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040・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) これは何といいますか、組合運営の当事者がやはり責任を持ってもらわなければいかぬのですが、刑事事件になった例なんかもあるわけです。それから会計検査院で指摘された場合もあるわけであります。しかし、これは割に、何といいますか、農作物の損害とかと違って、問題ははっきりするわけです、被疑があれば。ですから、結局組合の運営、あるいは組合員がやはり注意して見ていただけば、そういうことは起らない。それをこえてやるやつは、意識的に悪いことをするということになるわけでありますから、やはり監督指導をうまくやる以外にはないのじゃないか、こういうことになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/40
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041・堀本宜実
○堀本宜実君 これは私の希望ですが、廃用し、そうして畜産物を廃棄処分に付する等のことは、他の畜産団体等なり、あるいは他の畜産団体が経営する、たとえば屠畜あるいは肉の処分等の機関と協調して、そうしてなるべく廃用される金額の多いほど農家の方として還元の金額が多いことになるわけなんです。ですから、そこの点も公正に行うように、研究を要すると思います。
それから次に、もう一点だけ。家畜共済について、診療所を持っていますね、共済組合が。疾病があって診療を行う場合に、診療所に届け出なければならぬということになっている。その通告を受けたならば直ちにそれを診療するわけですが、そこで診療所に従事するところの職員と一般獣医師というものとの問題なんですが、これは少くとも料金というものを、人間のたとえば社会保険、健康保険等と同様の流通性のある、融通性のある方法において、だれに見てもらってもよろしいというような、ワクを一応取り払った形で診療に従事せしめることの方が、将来の何が少いのですね、危険が非常に少いということになるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/41
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042・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) これは堀本先生の方が専門家で、数年来もんだ問題でありまして、現在妥協点に到達しておるのでありますが、なお最近は私の方に苦情はほとんどなくなっております。しかし、なお、よりいい方法については、またお知恵を拝借いたしまして、うまくやっていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/42
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043・堀本宜実
○堀本宜実君 私はこれは希望ですが、嘱託というものと指定というものになっている。嘱託と指定との区別が判然としていないのですね。なぜ指定と嘱託に分れるかということ、それはまことに無意味だと思います。そしてややもすると、これにだって産科もあれば、眼科もあれば、内科もあるのです。それを一定の指定された者だけに診療せしめようとする一つの行為が、非常に高い被害の率を示さなければならない。それぞれおのおのの持ち前の、持ち味のあるその技術者にだれにでも自由に、自分の選択し得る人にみてもらうという広い道を講ずべきじゃないか、こう私は思う御参考までに。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/43
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044・堀末治
○委員長(堀末治君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/44
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045・堀末治
○委員長(堀末治君) 速記を起して。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/45
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046・佐藤清一郎
○佐藤清一郎君 私はこの法律の改正の問題点よりは、指導の面においてちょっとお伺いしたいのですが、町村合併によって組合が数が少くなり、また経費の節減もできる、いわゆる賦課金も節減もできるという見地から、町村合併に伴う一組合の方針で指導されたのでありますが、実際の運用の面において非常に、農家から見ても、あるいは組合運営の面から見ても、どうも感心せない、いわゆる経費の節減ということが逆行して、経費は多くなり、また一方においては農家との緊密なる連絡というものが不十分になってきたという現象が、各地において行われてきておるのですが、これについて今後どういうふうな指導をされますか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/46
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047・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) これは市町村の合併が、何といいますか、非常に急速に行われてきておるわけです。ところが、共済事業でも協同組合事業でも、ある程度金銭関係を伴うので、それと同じピッチではいかないのです。しかし、現在までは相当進んできまして、市町村は合併が進みまして、四千余の市町村数となりましたが、組合数は六千くらいまでに合併してきております。今までは比較的、何といいますか、楽だったと思いますが、今後はむずかしいのが残っているわけでありますから、お話のように、合併することによって経費の面においても、事業の面においても、よりいい効果ができるというめどを十分つける、しかる後合併を進める、こういうような慎重な指導をいたしたいと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/47
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048・佐藤清一郎
○佐藤清一郎君 私の言うのは、合併したがために、かえって共済運営が困難になってくるというような事情が各方面にある。それについて、どういうふうにするか。たとえば宇都宮市のように、今まで十二市町村が合併になって、一組合になった。そうすると、それらの総会を開くわけにいかぬから、総代会をもって総会にかわる、こういうことになりますと、各個々の農家に対する滲透というものがきわめて薄いわけです。それと同時に、一方においては、組合が一組合になったのであるから、組合の運営というものも、職員の数も減らし、そして給与も従ってよくなる、こういうところであるから、経費の面も節減できるかというと、そうではなくて、合併されました十二市町村のうち一番高率であった職員の俸給に対して、右へならえをした。従って、経費は逆に多くなった。こういうようなことで、共済組合が自来協同組合の所に宿借りをし、あるいは役場に宿借りをしておった時代においては、相当に村の人とも接触ができ、また運営の面から見ても、協同組合の預貯金をもって掛金やあるいは賦課金の差引までも、各農家は承認をしておったわけです。ところが、今度は事務所を別に設けてそしてやるというようなことは、実際にはなかなか運用がうまくいっていない。ことに字都宮市のごときは、実際は一組合にするというけれども、とうていそういうことは不可能であるからというので、今でも、名儀上は一組合になっておりますが、内容は四組合に分れてやっておるという実情です。そういうふうなのが各所にあるわけです。こういうことは指導の上から見て、農家との共済事業に対する非常な不評判であるものを、さらにだんだんと接触面が少くなって、共済事業というものが逐次もう後退していくのではないかというような私は感想を持っているのです。将来の指導というものについて、どうお考えになっておりますか。現在の町村合併というものをどう認識されているかということについて、一つお考えを承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/48
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049・渡部伍良
○政府委員(渡部伍良君) お話のような点は、私の方でも各所からいろいろ聞いております。ですから、それは結局、今までやったやつにもそういうのもあるし、将来の分にもまたむずかしいものがある、こういうことは先ほど申し上げましたが、今までの分につきましては、今度は法律を改正するまで一の期間があと一年ありますから、十分実情に合うように指導を具体的にやっていきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/49
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050・堀末治
○委員長(堀末治君) それでは、本日はこの程度にいたしまして、これにて散会いたします。
午後四時九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615007X03719570510/50
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