1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年三月十一日(月曜日)
午後一時三十四分開会
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委員の異動
三月九日委員木下友敬君辞任につき、
その補欠として松澤靖介君を議長にお
いて指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 岡 三郎君
理事
有馬 英二君
野本 品吉君
矢嶋 三義君
委員
川口爲之助君
田中 茂穂君
林屋亀次郎君
三浦 義男君
吉田 萬次君
安部 清美君
高田なほ子君
松澤 靖介君
湯山 勇君
加賀山之雄君
国務大臣
文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
政府委員
文部省初等中等
教育局長 内藤誉三郎君
文部省大学学術
局長 緒方 信一君
事務局側
常任委員会専門
員 工樂 英司君
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本日の会議に付した案件
○理科教育振興法の一部を改正する法
律案(内閣提出)
○教育、文化及び学術に関する調査の
件
(日教組の一斉早退に関する件)
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001・岡三郎
○委員長(岡三郎君) これより文教委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について報告いたします。三月九日木下友敬君が辞任され、その補欠として松澤靖介君が選任されました。
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002・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 理科教育振興法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑のある方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/2
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003・矢嶋三義
○矢嶋三義君 先日に引き続いて質疑を続けます。
まず、本法は二十九年から施行されているわけですが、二十九年から三十一年まで予算として支出された金額の総計並びに現状においては基準の何%程度の整備ができたか、それらの点についてお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/3
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004・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 第一番の昭和三十一年までの補助の額は十一億三千二百万円でございます。大体基準の一七・五%、二〇%未満でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/4
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005・矢嶋三義
○矢嶋三義君 この政令に定める基準というのは、最初決定されたものから若干変更された面もありますが、この基準については現場の教育者諸君とは十分了解済みの基準ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/5
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006・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 理科教育審議会で十分練って基準をきめたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/6
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007・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私は数回現場の方々に接したときに承わったことでは、この基準に関する細目における単価が安過ぎるために精度の高い、また耐久力のある機械器具を購入できないで、あぶはちとらずになることがあるということを再三忠告を受けたのでありますが、そういう声はあなた方のところには入っておりませんか、いかがですか、この点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/7
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008・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) この基準できめておりますのは、品目、あるいは数量でございますので、単価までこの基準で押えておるわけではございません。その予算の範囲内で融通できるように弾力性を持たしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/8
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009・矢嶋三義
○矢嶋三義君 文部省監修の理科教育振興法とその解説の中に、基準に関する細目で、ずっと単価を掲げてあるのですが、私は最近こういうものを買ったことがないから、ちょっと数字を見たところで、なるほど、最近いい機械ができるようになったな、単価がちょっと低いなというような感じを受けるのですが、これは絶対額でなくて、弾力性のある金額なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/9
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010・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) これは参考に示した程度でございますので、単価で基準をきめておるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/10
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011・矢嶋三義
○矢嶋三義君 そこで現在における基準への現有率が平均一七・五%ということですが、これを高、中、小に分ければいかようになっておるか、特に高等学校の基準は何%までいっておるかということと、それから今の予算の編成の状況でいけば、応急最低の基準に到達するのに何年かかる計画を立てておられるのか、その点お伺いします。と私が伺っておるわけは、私が聞いておるところでは、高等学校の現状は二〇%にいってない、一八%くらいと聞いておるわけですが、先ほど平均一七・五%と言われれば、高等学校の整備状況は割合いいわけですから、文部省の方では、高等学校は基準の三〇%といったような数字も出しているんじゃないかと考えられますために伺うわけですが、そういうことは大学の理科系の先生に承わると、理科系統の大学の教授するのに数字の第三——微積が非常に徹底していないのだ、それから理科教育、特に実験方面が不十分なのが、高等学校の教育の上に大学教育を積み重ねていくのに非常に工合が悪い、というお小言を言われておるわけですがね。そこで大学教育との結びつきという立場から高等学校の整備状況というのは特に重要だと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/11
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012・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 手元にこまかい資料がございませんので、今直ちに取り寄せますが、今お話のように高等学校と小、中学校とを比べますと、少し高等学校の充足率は小、中学校よりはよくなっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/12
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013・矢嶋三義
○矢嶋三義君 その数字はあとで承わるとして、政令で定められてある最低の基準に到達するのには、今の予算の編成状況からいけば何カ年要するという年次計画を持たれておると思いますが、それはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/13
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014・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) これは総額できめておりますので現在の程度で進行すれば、一応私どもの見通しとしては、大蔵省との折衝の段階では七割ということを目標にしているのです。七割を一般的に充足するのに、大体この前お話しましたように、少くとも十三年以上はかかる予定でございます。ただし私立学校の場合は違います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/14
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015・矢嶋三義
○矢嶋三義君 この前承わったところでは、私立の学校は大体十七億かかる、こういう御答弁でしたね。私が調べた数字によると、公立の小、中、高を基準に持っていくのに四百億ぐらいかかるだろうという数字を見たのですがね。文部省の金額は幾らに押えているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/15
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016・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 六十億と押えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/16
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017・矢嶋三義
○矢嶋三義君 六十億……そうなると、二分の一補助として三十億ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/17
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018・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 失礼いたしました。二分の一で六十億……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/18
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019・矢嶋三義
○矢嶋三義君 二分の一で六十億……そうなりますと、一年に四億平均予算化したとして十五年、私立学校はこの前の御答弁では八十年でしたね。私立と公立を通じて十三年程度で基準まで持っていこう、こういう年次計画ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/19
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020・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 当初予算に要求したのは大体そういう前提でしたが、私立学校につきましては、非常に削減をされましたので、お話のようなびっこになっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/20
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021・矢嶋三義
○矢嶋三義君 文部大臣に伺いますが、理科学というのは日進月歩で非常に進歩しつつあるのです。私たちが学生時代に使った理科学の実験器具というものは、まあフラスコだとかというようなものは、今でもそのまま使えるかもしれませんが、相当廃品の部類に入っているものができていると思うのですね。ここで十五カ年の年次計画で進むという場合に、果して今の進歩しつつある科学の状態に即応する研究ができるかというと、大きな疑問があると思う。少くとも私は五、六カ年の計画に計画がえをする必要があるのではないかと、かように考えますが、お考えはいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/21
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022・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) その点につきましては、前回の委員会におきましても私の心持をお答え申し上げたと思うのでございますが、お話の通りに、ただいまの予算は政府側から申すのもいかがかと思いまするけれども、私といたしましては、非常に不十分だと考えております。ことにお話の通りにわが国といたしまして、今日科学技術の方面に関する教育は、これは飛躍的に進展せしめなくちゃならぬ段階にきているように考えられるわけであります。そこで私といたしましては、ただ単に初等、中等、高等学校の教育にとどまらず、全体を通じまして、科学技術に関する教育予算につきましては、皆さん方の御協力、御支援を得まして、できるだけ一つすみやかにその成果を上げるために、予算の充実をはかって参りたいと……。次の機会におきましては、できるだけの努力をいたしまして、御期待に沿いたいと考えているような心持でございますので、今、お話にもありましたように、今後十三年とか、十五年とかいうようなゆうちょうなことを言っておられないと、さような認識をもっておりますので、来年度予算におきましては、私といたしましては、根限りの努力をいたしまして、これが拡大を実ははかって参りたいと、かように考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/22
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023・矢嶋三義
○矢嶋三義君 公立高、中、小、四万四千校、それから私立の高、中、小千八百校で均等分してみると、公立の場合一校約八千円ですね。私立の場合一校約六千円程度になるんですが、従って、この予算配分をする場合に、こういうような均等割りをしたのでは成果を上げ得ないと思います。従って、実際配分に当っては、いかようにされているのか。特にこの理科教育審議会というのが中央にあるわけですが、産業教育審議会の場合は、中央と地方に別々にあったと思うんですね。地方審議会でも、予算の配分等については、タッチしているのじゃないかと思いますが、この理科教育審議会と、予算の配分とはいかような関連をもって進んでいるのか。特に当面私立学校関係の法案が出ているわけですが、昨年の一千万円の配分に当っては、知事の選択する補助対象に対して考慮されたというのですが、まあ各都道府県、末端においてはどの学校に、さらにどういう種類のどの程度の学校を補助対象にするかということについては、全く都道府県にまかせてあるのですか、それとも何らかの基準を設けて示してあるのですか、それらの点について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/23
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024・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 文部省からいたしまするのは、学校数と児童数、これは各県の学校数、児童数によって一応機械的に府県の配分額をきめるわけでございます。各府県におきましては、それぞれ各県の実情で基準まで充足するように数校ずつ選んでやっていると、こういう実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/24
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025・矢嶋三義
○矢嶋三義君 どういう種類の、どの程度の学校を優先して補助対象として取り上げるというような、そういう基準はないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/25
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026・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) これにつきましては、まあ各府県が市町村の教育委員会とよく相談いたしまして、大体小、中、高のこのワクをはっきりきめている。あと小、中、高の中でどういう学校を選ぶかということは、特に理科教育に熱心なところ、あるいは理科教育の設備の特に落ちているところ、こういうようなところに重点を置いて、府県に配分をおまかせしておる、こういう実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/26
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027・矢嶋三義
○矢嶋三義君 昨年の私立学校に対する補助金の一千万円は中と高とはどういう比率になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/27
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028・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) たしか高等学校に八百万、中学校に二百万だと記憶しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/28
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029・矢嶋三義
○矢嶋三義君 本年もこういう配合を指示するつもりですか、それとも小学校を対象に入れますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/29
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030・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 一応予算でそういうふうに内訳をきめておりますので、本年もこの方針を踏襲したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/30
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031・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/31
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032・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 速記をつけて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/32
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033・矢嶋三義
○矢嶋三義君 文部大臣に伺いますが、昨年度私立学校に対する補助の法的根拠はなかったわけですけれども、予算措置において一千万円補助されて参ったわけですが、本年度私立学校の理科教育の振興をぜひともはかりたいというお考えから、新たに法的根拠を与えるよう、ここに法案が提出されているわけであります。にもかかわらず、予算は昨年と同様一千万円であることは、私立学校関係者の多年にわたる熱望の案件であっただけに意外としているところではないかと思っておりますが、予算の編成段階において御努力なさったと承わっておりますけれども、結果は昨年と同様に一千万円になっております。来年度においては相当この予算の増額をはかられるお考えでおられると思いますが、念のために大臣の決意を承わっておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/33
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034・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 来年度予算におきまする私立学校に対する補助の金額が今年度と同様になっておりますことは、私どもといたしましても決して満足いたしているわけではございません。予算の編成の際にさような結果になりましたのであります。この点は一つ御了承を願うことといたしまして、明年度におきましては、もちろん来年度のことを今からはかるというのはどうかと思いますが、私の心持といたしましては、先ほど申しましたように科学技術に関する教育予算というものについては、うんと一つ増額して参りたい、そのつもりでやっていく覚悟でおるのであります。私立学校に対しましても今年度のようなことはいたさない、相当な増額をみるように極力努力いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/34
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035・矢嶋三義
○矢嶋三義君 小学校はまずないと思いますが、中学校において理科実験室を持っている学校は何%程度ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/35
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036・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 教室の方は実は管理局関係の所管でございますので、管理局と御相談しました上、御連絡申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/36
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037・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私、地方へ参った場合に、理科教育に非常に熱心な町村では小学校でもりっぱな理科実験室を持っているところがあります。けれどもきわめて少い。中学校になりますと、まず理科教室というものがなければ援業ができないと思うのです。思いのほか持っていない。これは管理局と協議され、今後中学校においては理科事験室が整備される方向に国家としても予算を組むと同時に、今後指導される必要があると思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/37
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038・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) まことにお説の通りでございまして、中学校におきましては、基準坪数も一・〇八坪になっておりますので、この一・〇八坪の中には少くとも理科教室は入り得ると思いますので、今後できるだけ関係部局と連絡をいたしまして、理科教室の充実に努めて参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/38
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039・矢嶋三義
○矢嶋三義君 そこで実験室と関連して伺いますが、この前伺いました理科教室における事故死の件ですが、ちょいちょい新聞に実験を誤まって爆発等を起して子供がけがをしたというような記事を見るのですが、年間を通じてそういう事故というものはどの程度あるのでしょうか。またその事故の原因というものはいかなるところにあると文部省では把握されておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/39
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040・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 事故の原因はいろいろあると思います。たとえば給食の場合中毒を起すというような事故、あるいは修学旅行の事故、お話のような実験、実習の場合もあり得ると思います。あるいは運動競技の事故、いろいろな種類があると思うのでございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/40
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041・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私の言うのは理科教育と関連して……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/41
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042・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 理科教育に関連した事故は小、中学校では非常に少いように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/42
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043・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私が聞いたところでは年間四、五百件くらい起っているというのですが、そういう声は耳に入っておらないですか。またこういう理科教育に伴って起る事故というものは原因はどこにあるかということですね。その点はどういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/43
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044・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 今お話の四百件というお話がありましたけれども、現在の小学校の教育課程で要求しでいる程度のものはそういう危険な薬品などを使うことは要求しておりません。あるいは中学校の段階でやや物理、化学的な点に重点がありますので、そういう点もあろうかと存ずるのであります。この点は一つは教員の素質なり養成の問題と関連してくると思います。薬品の扱い方その他注意が足りない点もあるのではないかということ、こういう点には今後十分注意いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/44
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045・矢嶋三義
○矢嶋三義君 現職教員の教育の実情はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/45
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046・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 毎年全国の大学に、理科教育研究室というものを約四十カ所開設いたしまして、相当数の養成を過去十年ほど行なって参ったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/46
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047・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それは理科教育振興法の第三条第四号に基いて行われておると思いますが、三十二年度のその所要予算はどれくらいになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/47
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048・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 百四十万円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/48
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049・矢嶋三義
○矢嶋三義君 この予算は三十一年度と同額ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/49
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050・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/50
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051・矢嶋三義
○矢嶋三義君 現場の教育者に承わるというと、もう少し現職教育の機会を与えてほしいという声を聞きますが、必要なのではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/51
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052・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 非常に理科教育の教員の再教育というものは、私どもも緊急なものだ、特に他の現職教育に比べて、最も必要性のあるものと感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/52
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053・矢嶋三義
○矢嶋三義君 次に実験の教育効果を上げる、ことに事故を少くするという立場からは、助手を必置する必要があるのではないかと考えます。特に小学校は別として、高等学校、さらに中学校は……最小限度高等学校において二、三名、中学校において一、二名という理科助手は必置されなければ、十分の教育効果を上げることはできないと、かように考えますが、実際教育の場合においては、理科助手というものは、きわめて少い。高等学校に置いてある理科助手というものは、結局小使のかわりみたいな程度の人がおられて、しかもその費用というものは、おおむねPTAの会費でまかなわれておる実情と私は判断しておりますが、これらは改められて、高等学校、中学校には、少くとも理科助手を必置するようにされなければならぬと思うのですけれども、その点はどういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/53
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054・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 理科の方の助手につきましては、現在のところほとんど置いてないという実情であります。これは私どもは、一つは地方財政との関連があると思うのでありますが、今直ちに理科助手の必置ということについては無理ではなかろうか、むしろ教員の養成の問題として、実験実習が十分にできるように配慮されなければならぬ。そういう点で、現在の養成なり、あるいは再教育について、十分私どもも検討し、ことに再教育については、実験実習に重点を置いておるようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/54
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055・矢嶋三義
○矢嶋三義君 現場における教師を、いかに現職教育をやっても、高等学校においては教員の定数基準は乙号基準を大体一〇%程度下回っておるのが、各県の実情ですね。そうなりますと、教師だけの現職教育をやっても、手が足りないで、十分教育効果を上げ得ないものと私は考えますが、その点どうしても助手を必置する必要があるのではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/55
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056・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 助手の必置の問題については、私どもは産業教育の農、工、商、水産というような場合とは、理科教育の場合は多少事情を異にするのではなかろうか、特に理科教育については、先生方に直接実験、実習の手ほどきをしていただかなければならぬ。助手にまかせられる限界というものは少い。特に理科実験の準備をする段階において、お話のようなことも考えられると思う。しかし必置すべきかどうかという点については、これは地方財政の観点から、私どもも慎重に検討しなければならね、特にただいまお話のように、乙号基準が完全に充足されていないという実情におきましては、乙号基準まで引き上げることが、むしろ先ではないかと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/56
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057・矢嶋三義
○矢嶋三義君 この点に関する局長の答弁は、どうも納得しかねるのですがね。われわれは旧制中学校時代においてすら、化学、物理の部屋には助手がおりましたね、おりましたよ。大がいの中学校におりましたよ。おらなければ実際できないのです。新制高等学校になって、物象の教育をするに当って、助手がいないということは、これは私おかしいと思う。まして理科教育振興、科学技術の振興等大きく叫んでいる現在、高等学校における理科助手の必置ということは、私は何人も異論がないのじゃないかと思う。もちろん農業課程、工業課程における助手と理科助手とは、趣きは違いますよ、しかし、それぞれ必要度において、私は変らないと思うのですね、従って文部省としては、地方財政計画を主として立案される自治庁に対しても、あるいは都道府県教育委員会に対しても、理科助手は、教育効果を上げるために、置くようにすべきだという立場から、文部省は対処し、指導されるのが私当然だと思うのですが、文部大臣の御見解はいかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/57
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058・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 実情に暗い、ことにさような知識が非常に少い私でございますので、当っておりますかどうか存じませんが、地方財政のことを局長心配いたしておりますが、もしどうしても置かなくちゃならぬものであるということであれば、地方財政のことも、これはわれわれが心配しなければならぬ問題だと考えるのであります。従いまして、実情上どうしても助手を置かなければならぬということでありまするならば、これは置くべきものと考えます。そこで先ほども申しましたが、いかにも今日の理科教育等が、経費の点が不十分なために、さようなことにもなっているかと思うのでありますが、いかにもみみっちいような感じもいたすのでありまして、この方面を、私としましてはできるだけ充実したいと考えておりますので、その問題と合せまして、どうしても置かなくちゃならぬということでありまするならば、その考えは、いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/58
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059・野本品吉
○野本品吉君 関連して……。理科教育の振興の問題は、学科の性質上、物的の各種の条件を整えるべきであるということも、きわめて重要なことでありますけれども、同時に、先ほどお話のありますように、その教育を担当する教師の実力のいかんということが、教育効果を決定していきます重大な要素になっております。従って教員養成諸学校の教育内容、教科課程等におきまして、十分の考慮が払われないというと、せっかくの物的の条件の整備というものは、生かされてこない。先ほどもお話がございましたが、この点について文部省は、教員養成諸学校の教育内容について、具体的な検討を進めておられるかどうか、またそういう点について、どういう方針をとられているか、一応お考えをお伺いしておきたいと思います。大臣の御方針を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/59
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060・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) お話はまことにごもっともだと考えております。ただ単に物的施設だけを充実しても理科教育の成果を上げることにはならない、これを担当する教員の資質というものが向上されていかなければならぬと思います。科学技術教育の振興をはかりまする場合には、それらを一切含めまして調査検討を加えてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/60
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061・野本品吉
○野本品吉君 それから現職教員の教育の問題ですが、各地にある研究施設を利用してされておると言いますが、その実情について内藤局長からの御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/61
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062・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) ただいまの養成については、教員養成審議会の方で具体的に今内容を検討しております。
それからもう一つ、再教育の点について、全国で約四十カ所ほど、大体五十人程度その府県の先生方、あるいは東京の場合ですと全国から集まって参りますが、大体五十人程度養成しておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/62
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063・野本品吉
○野本品吉君 その機関の設備なり、指導者の充足というようなことについてどういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/63
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064・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) こちらに参っておる期間の経費は県の方からもある程度補助しておるわけであります。大学の方につきましては、文部省の方で担当しておる大学に実験、実習の経費を見ておるわけであります。ですからあと残った問題は、その派遣した学校の問題なんでありますが、この派遣した学校につきましては、この学校の中でそういう場合に補充しておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/64
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065・矢嶋三義
○矢嶋三義君 文部大臣に伺いたいのでありますが、それは、学校教育と社会教育との関連についてであります。私は一昨年欧米の教育を視察した場合に、非常に感銘して帰ったことは、学校教育と社会教育は車の両輪のごとく取り運ばれていることなんです。特にこの科学教育の面では、たとえば博物館ですが、日本の博物館というと、何か博物館行きというと無用の長物の代名詞みたいに言われますしね、博物館というと何か現代とあまり関係のないものを陳列してあるところだというような、さような感じを日本人は持っているわけですが、シカゴの博物館を見て感心したのですが、生物、物理、化学等の実験の装置がされているわけですね。それで、電気ボタンを一つ押すというと、自分が実験する通りの現象がずっと現われてくるわけです。これが一目で子供にわかるわけです。それで係員に説明を聞きますと、学校で先生方から講義を聞くと、たとえば原子力発電とか、あるいは生物の方で簡単に言えば鶏の孵化、卵から孵化する、そういう説明を聞いて学校で理解できなかった場合に、そういう博物館、しかも入場無料ですが、そういうところに入ってボタン一つ押すというと、学校で先生から聴覚に訴えて教わったことが今度は視覚に訴えて目の前でわかるというので、非常に工合がいいんだという説明を聞いて、私は学校教育と社会教育はきわめて密接に結びつき、しかも生きているということをうらやましく感じてきたわけです。これは国力との問題もあるわけで、簡単にはいかないのですけれども、今後のやはり方向としては、科学教育の振興、科学技術水準の向上ということを大きな政策として打ち出すとすれば、科学博物館等の設置に力こぶを国として入れると同時に、地方公共団体、あるいは民間団体に対してもそういう指導をするということが私は大切でないかと思うのですが、大臣のこれに対する御見解ございましたら承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/65
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066・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 大へん示唆に富んだ御質問でございます。お話を伺いましてもいかにわが国の状況がそれに遠いかということがわかるわけです。お話の通りにこれはただ単に学校内の教育だけでなしに、これを取り巻く社会において適当な教育施設を持つことは非常に必要だと考えます。今後ただいまお話になりましたようなことにつきましては十分留意いたしまして、文部省といたしましても調査を遂げ、また適切なものが漸次実現できるように努力して参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/66
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067・矢嶋三義
○矢嶋三義君 あとでもうちょっと聞きたいことがあるが、ほかの人に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/67
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068・安部清美
○安部清美君 先般私が大臣に御質問申し上げましたときに私立学校の育成の態度、お気持を承わったのですが、その際にこの理振法を、私立学校にも適用するこの法案のことも承わっておったのです。大へんけっこうなことだと喜んでいるわけでありますが、これについて私は私立学校という立場でしぼってこの法案についてお伺いしたいと思うのであります。私立学校が今日占めておりますこの面の教育的な大きな力というものは私どもは認めなければならぬと思うのですが、ことに量的に申しましても、すでに御承知のように高等学校、あるいは中学にいたしましても相当高いパーセンテージを持っているのでありますし、その点から私立学校を育成する立場でこういうふうな法案を出されるのは私ども賛成でございますけれども、ここに特に大臣にお伺いしたいと思いますことは、この私立学校は申し上げるまでもなく自主的な学風というものを持っていると思うのであります。本来から言うならば私は私立学校に国が補助をするというようなことは決して喜ばしいことではないじゃないかと思うのでありますが、今日の私立学校の実態から言えばこういった補助をして理料教育を振興するということはけっこうだろうと思うのであります。特にそういう立場から考えまして、同時に私立学校が持っております公共性ということから考えまして、私は考えなければならないのは私立学校の設置者がこの理科教育そのものに対する熱意を持たなければ、いろいろの補助をやりましても私立学校のこの種の振興ということは十分できないのではないかと思うのであります。私は公立と私立とを比較しまして、理科教育だけにしぼって考えましても、私立の設備あるいは施設というものが公立よりも非常に劣っているということが今日言えると思うのでありますが、そうしたものの一つの大きな責任といいますか、そういうことが生れました原因は財政的にいろいろの問題もありますけれども、私は設置者の熱意ということがまた考えられると思うのであります。こういう点について大臣は、こういうことについての御指導をしていただくことについて、私はまあ申し上げる必要もないと思いますけれども、公立は教育委員会がやっておりますし、私立は知事がこれを監督しているのでありますが、こういう点において地方においては教育委員会と知事との間においての教育の指導方針とか、その点について合致しない点が私はあるのではないか、多少の厚薄があるのではないかと思うのでありますが、こういう問題についてどういうふうにお考えいただいておるかということについてお伺い申し上げたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/68
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069・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 私立学校の問題でございますが、お話の通りな事情もあろうかと考えるのであります。もちろんわれわれといたしましては、私立学校につきましても、今回御審議をお願いするように、この法律の中に入れることにいたしましたのも、この方面に対する理科教育の振興をはかりたいという気持から出ておるわけでございますので、それがせっかくやりましてもお話のように設置者の方に格別に熱意がないというようなことでは意味をなさないと考えますので、私立学校の設置者のこの方面に対する熱意の喚起には努めて参るつもりでおりますし、また都道府県の県庁と教育委員会との間に食い違いがあるというようなことがあってもなりませぬので、これらにつきましては十分注意いたしまして今後進みたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/69
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070・野本品吉
○野本品吉君 別な問題ですが、大臣のおられるところでお伺いしておきたいと思うのですが、これは義務教育の上におきましてはきわめて重大な問題として考えさせられる問題であります。それは夜間に授業を行なっております中学校の問題で文部省の二十八年の御調査と、それからして全国の中学校の夜間部の教育研究協議会、その両者を比較いたしますというと、私の手元にある資料によりますれば次のような状態になっておるわけであります。それは東京都において二十八年に学校の数で五のものが、三十一年の十月には七になっておる。神奈川はこれは減っておりますが、十二のものが十一になっておる。愛知県ではどちらも二、三重県では前になかったものが一つになってふえておる。それから京都においてどちらも十四校、かように、その他の府県にもございますが、学校数において現在七十三校、学級数において百十、生徒数において三千九十八、これが夜間において授業を受けておる。この中学校、つまり義務教育の学校が夜間の教育を行なっておるということは義務教育の将来に、特に中学校教育の将来に非常に暗い影を投げかけておるように私は感じられてならない。で、もしそういうふうにこの状態がこのままで進んでいきますというと、義務教育の実施の面においてきわめて遺憾な事態が起ってくるのであります。従って今のうちにこういうような事態の解消に向って何らかの考慮を払わなければならぬ、かようにまあ考えるのですが、この点について大臣はどういうふうにお考えになられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/70
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071・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 私は中学校で夜間に授業をしておる、そういう状況は決して望ましいものと考えておりません。できるだけこれらの生徒が昼間通学して義務教育を完全に受けるようにしたい、言いかえれば、夜間学級の必要をなくするということが一番大切なことじゃないかと考えておる次第であります。その意味におきまして関係各省ともいろいろ連絡をいたしまして、何といいますか、なるべく一つ昼間において授業を受け得るように各種の対策を総合してやって参りたい。たとえて申しますれば生活保護法による教育扶助でありますとか、あるいは生活扶助のほかに教科書あるいは学校給食というようなことに対して助成を進めていく。まあいろいろな方法を講じましてなるべく一つ夜間の学級というものは今後なくする方向に向って進めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/71
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072・野本品吉
○野本品吉君 こういう夜間の授業を行う中学が相当数ある。どうしてこういう事態が起ってくるかということについてはその原因はまあいろいろあろうと思いますが、文部省ではなぜこういう事態が発生しておるか、その原因についての御調査、御研究はなさったことはございますか。もしありましたらば一応お聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/72
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073・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 一昨年この調査をいたしましたのですが、大部分はやはり父兄の無理解が多いと思います。ですから同じ貧困の場合でも、貧困者によって、普通生活保護を受けておる者でも、普通の小、中学校に行っているのでございます。ですから単に貧困だけではこの問題は解決されないと思います。
一方においてこの労働基準法による就業の制限もございますし、一方において学校教育法による義務教育の徹底の問題もあるし、こういう点で私どもは結局父兄の理解を深める以外にないと、で学校の教師たちもできるだけ家庭訪問をいたしまして父兄の理解に努めておるような次第でございますが、遺憾ながらまだ現状はお話のような実態でございまして、できるだけそういう事態のないように、今後努力いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/73
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074・矢嶋三義
○矢嶋三義君 関連して。夜間中学校というのは、これは法的に言えば違反ですからね。で、この設置者に対してはどういう態度で臨まれているのかですね。二、三年前にも問題になったところですが、この文部省の態度次第では、私は夜間中学校はだんだんふえていきやしないかと思うのですよ。従ってですね、設置者に対してはあなた方はどういう基本的態度で臨まれておられるのかですね。で、貧困であれば義務教育は無償という憲法もあることですから、先ほど大臣が答弁されたような具体的な措置によってだんだん救われていくと思うのですが、夜間中学を大目に見ておればだんだんふえていくのではないかと思うので、従って基本的態度を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/74
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075・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) これは先ほど大臣が申しましたように、文部省といたしましてはできるだけなくするようにいたしたい。そういう方面に関係省の協力を得て努力しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/75
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076・矢嶋三義
○矢嶋三義君 現実上非常に困られておるんだろうと思うのですが、今、夜間中学校を法に基いて強く禁止した場合はですね、非常に不都合が起るというような実情と分析されておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/76
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077・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 実情は結局法に基いてこれを禁止しますれば、学校へこない長期欠席者の数が多くなるという結論が出てくると思うのです。そこでこれを何としても父兄の理解を深めなければ、学校教育法にももちろん罰則がありますし、労働基準法の方の適用もあるわけであります。これは現実にやらなくてもなおかつ出てきておる事態でございます。法に基いて禁止する前に行政指導によって不測の事態をなくする方が先決ではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/77
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078・安部清美
○安部清美君 私はさっきの質問の続きなんですが、先ほど申しましたように、私立学校と公立学校との間の理科設備のあれが、非常に差があると思うのですが、そういう場合に先ほど内藤局長の御答弁によりますと、学校数、生徒数に按分して各県にお渡しになって、各県の考え方でこれを配分しておるというふうに受け取られたのですが、昨年もおやりになったようですが、その配分の基準といいますか、私立学校の方はどういうふうになっておるのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/78
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079・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) これは公立学校と同じでございます。で、大体公立学校で、先ほど申しましたように、今の一応の基準をきめまして、それから現有の設備を差し引きまして、その残りの二分の一ということになっております。ですからこの点は公立も私立も変りません。ただ私立学校につきましては、昨年度一千万という、額は少いのですが、全体の基準の量を見ますと、大体公立と大差はない保有率を持っておるわけであります。配分の実際に当りましては、各学校を個々に指定して、そこに一応基準の七〇%まで充足するように指導しておるわけであります。具体的にどこの学校を選ぶかということは、これは知事の方でおきめになることでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/79
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080・湯山勇
○湯山勇君 しかし、今の安部委員の質問に関連してお尋ねしたいのですが、どれくらい私立学校でこの補助金をもらいたいという希望がありますか。昨年あたりその希望のあった中の、どれくらいが補助金を受けることになったか。それからこの法律によれば、初等教育、中等教育に対して補助するとなっておりますけれども、初等教育、つまり初、中、高別にどれくらいが補助金を受けたか。一校当りどれくらい受けたか、そういう点。これは、内容を聞いていないまま法律審議に入りましたので、それを実情を少し聞かせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/80
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081・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) これは、私立学校につきましては、中学校が二十五校、高等学校が八十校。それから総額で、中学校が二百万、高等学校が八百万配分してあるのでございます。一校当りにいたしますと、中学校で八万、高等学校が十万。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/81
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082・湯山勇
○湯山勇君 希望の申し出ですね、それはどれくらいあって、その中から今言われた数にしぼられたか、その点はは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/82
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083・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) これは一千万を配分しておりますので、一千万の配分の額で府県がしぼられるわけですから、大体この額に近いものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/83
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084・湯山勇
○湯山勇君 それじゃちょっと私は疑問ができたのは、府県に対してこれを交付して、府県からそれぞれの私立学校に出すと、こういうことでしょうか。それだと手続の上でも問題があるしするのですが、当然この前に御説明になったような法的な根拠に立たれるのであれば、文部省が直接それをおやりにならなければならないはずだと思うのですけれども、その点どうなっておるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/84
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085・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 一応の手続として府県に依頼するわけでございますが、最終責任はやはり文部省が負うわけでございまして、決定権は文部省にあるわけでございますけれども、どういうような手続で配分するかという、こまかいことは府県に依頼するわけです。その依頼に基いて、文部省では予算の総額とにらんで決定する、各学校別に決定する、こういう決定になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/85
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086・湯山勇
○湯山勇君 そうすると、端的にお伺いすると、文部省では一千万の予算がとれた、そのとれた予算をどの県には幾ら、どの県には幾らというように、もう必要性の有無にかかわらず、そういう言い方は悪いかもしれませぬけれども、一応各県に割り当てて、そのワク内で知事が各私立の学校に、お前のところはこう、お前のところはこうと——で、その結果を文部省に報告して、それによって成規の手続といいますかを踏んだことにみなしておる、こう解釈していいのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/86
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087・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 大体手続としてはそういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/87
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088・湯山勇
○湯山勇君 そういたしますと、中央における文部大臣の諮問機関である今の理科教育審議会ですね、これとの関係はどの点において関係してくるか。この理科教育審議会というのは、私は初、中学校、高等学校において、もっている意味が非常に大きいと思うのです。今のようなお話だと、全くこの審議会とは無関係のような感じがしますけれども、その点の関連についてはどういうふうにとっておられるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/88
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089・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 審議会は、法律にもございますように、理科教育の総合計画を立てる。教育の内容及び方法について、さらに理科教育の施設、設備に関する基準をきめる。それから理科教員の養成の問題、こういう問題が審議会で取り上げられるわけでございます。
配分のことにつきましては、直接は審議会はタッチしていない、一応いろいろな点で御相談はいたしますけれども、こまかいことについては審議会は直接関係いたしてない、こういうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/89
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090・湯山勇
○湯山勇君 理科教育審議会は、私立学校の理科教育振興についてはかくあらねばならない、こういうことについての意見がなければならないと思うのですね、そういう意見はどういうふうな意見が出ておるか、それをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/90
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091・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 理科教育審議会でいたしますのは、ただいま申しましたように、小、中、高等学校における標準的な理科設備とはどういうものかという設備基準をきめる、これは私立も公立も同様でございます。ですからこの大ワクをきめていただいて、あと実施の段階は文部省にまかされているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/91
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092・湯山勇
○湯山勇君 そこで文部大臣にお尋ねいたしたいのですが、今安部委員からも御質問がありたように、私立の学校の状態というものは相当でこぼこがありまして、全般的に言えば、私どもの知っておる範囲においては理科施設、設備においては公立に劣っているものが多いと思います。で、この理科教育審議会というものは、単にどれだけの施設が必要だとか、あるいは設備がいるとか、そういうことだけではなくて、理科教育振興の全般について文部大臣の諮問に応ずるというような性格もあると思うのですけれども、これを今——、昨年初めてですから、そういう準備ができなかったといえばそういうことも肯定しなければならないかとも思いますけれども、しかし、各府県の知事、この知事はこれは教育内容についてはほとんど何の権限も法的にはないし、また指導する力も持っていないと思います。そういう知事にその分配をまかしたような格好にしておいたのでは、必ずしも大臣の意図しておられるような、私立小、中学校、あるいは高等学校における理科教育の振興ということは困難ではないか。せっかくまあ来年からたくさんの経費をこれに振り向けようと努力されても、それがそれだけの効果を表わさないというような心配もあるのではないかというように考えるわけでございます。そこでこの際、大臣がやはりこの審議会を十分御活用になって、一体この私立学校の理科教育を振興するためにはどのような方途を講じなければならないか、ただこういう設備だけの面ではなくて、全般的な検討を、この法律が施行になる際になされるべきではないかというふうに私は考えるのでございますが、大臣の御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/92
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093・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 私立学校におけるこの補助金が最も有効適切に行われなければならないということは、これはお話の通りだと考えます。従いまして、その配分等につきまして、従来のやり方に不十分の点がありまするといたしまするならば、われわれといたしましてもさらによく検討いたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/93
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094・湯山勇
○湯山勇君 それから大臣にお尋ねいたしたい第二の点は、ただいま御答弁にありましたように、小学校は昨年は補助の対象になっておりません。それから、中学校で一校八方、それから、高等学校一校十万、まあこういう程度だということでございますが、将来、一校当りの単価をふやすことに特に重点を置かれるか、あるいはこの十万なら十万でもいいから、なるべくたくさんの学校にこれをやるようにしようというようにお考えになっておられるか。どうせ私はこの点についてはある基本をきめなければならない段階になると思いますので、大臣の現在におけるお考えを伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/94
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095・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) しろうと考えで、間違っておりましたら御了承願いたいと思いますが、私は現在の心持といたしましては、一校当りの補助額もこれは大きくしなければならないと思っておりますし、同時にまた補助を受ける学校の数もふやさなくちゃならぬ、両々相待っていかなければ、とても間に合わぬというような実は気持がいたしているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/95
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096・湯山勇
○湯山勇君 そこで、私も私立の中学校で八万というような額、それから高校で十万という額は、これは全くまあ極端な言い方をすれば、お話にならない。で、理科教育をしっかりやれというような奨励金のような感じがしております。そこで現在の文部省の方でお取りになっておる資料から、大体どれくらいの額を平均一校に出さなければならないかというようなことについての検討をしておられるか、おられないか、しておられるとすれば、その資料を一つお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/96
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097・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) これはもちろん一校当りの基準というのがございますので、この基準に対して、少くとも充足率が各学校まちまちでございますので、その充足率を差っ引いたものに対して七割を目標にはじくわけですから、その七割の半分が大体今の——先ほど申しましたように、八万ないし十一万という線が出ましたのですが、これはもちろんこれで七割が必ずしも充足されるわけじゃございませんけれども、金額としては相当高い基準はあるわけでございますので、基準につきましては小学校で五十三万——これが本校の場合です。それから中学校が八十七万、高等学校が三百三十万、こういう基準がございます。で、これは先ほど申しましたように、全体の基準でございますから、これの七割を押えまして、それから現有の保有率を差っ引いて、その二分の一と、こういうことになるのでございます。ですから個々の学校につきますと、いろいろなケースが出てくるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/97
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098・湯山勇
○湯山勇君 それはよくわかっておるのです。今おっしゃった点はよくわかっておるので、まあ本年も予算要求をされたし、来年はまたもっとこれをふやして要求されるということであれば、今おっしゃったように、小学校では五十三万、中学八十七万、高等学校三百三十万、その学校数もわかっておりますから……、それからこういう法律を御用意になっていよいよ振興しようとうときには、それには、それら現有量を除いて、今後充足しなければならないものが幾らあるか——小、中、高、私立学校ですね——そのためには全体で幾ら金がかかる、そのかかる金に対して、今年はこれだけの予算措置だけれども、今後何年間にどれだけずつやらなくちゃならないと、こういう計算が出なければ、御要求になっても一向迫力も出ないし、まあつまみ金程度に、ことしは一千万円でがまんしろと、こんなことにまたなりかねないので、そういう検討がなされているのか、いないのか、いるとすれば総額で幾ら要るか、それをお伺いしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/98
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099・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) そういう今言ったような計算は全部いたしております。そこで基準を、公立学校、私立学校によって基準総額をきめまして、そのうちから七割を目標にいたしまして、さらに今までの現有の保有率を差っ引いて、そして二分の一にいたしますと、公立の分で約六十億、私立の分で八億五千万——これは補助額でございます。で、総額ははっきりしておりますので、あとは年次計画の問題になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/99
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100・湯山勇
○湯山勇君 で、公立の方はやはり関係を持ってくると思いますが、公立の六十億というのは大体どれくらいの年次計画で充足される御予定でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/100
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101・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) これは先ほど大臣が申されましたように、今後十分検討して、そしてなるべく早い時期にこの総額が充実できますようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/101
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102・湯山勇
○湯山勇君 御質問があったのでしたら、重複いたしますから、大臣にお伺いとも、お願いともしたいと思いますのは、やはりこれだけ明瞭に資料が出ておりますし、私はこの文部省の方でおきめになった基準のようなものも拝見しましたけれども、これは決してこれで全部が、このあげた品目が全部充足されるとしても、決してこれは十分ではありません。これでもっとほしいものがたくさんあります。そういたしますと、今後、まあ今の割合でいけば、ずいぶん年数がかかるようでございますが、できるだけこれを早く充足するためにはどうしなければならないか。ただ単に大蔵省との折衝云々ということじゃなくて、たとえばこの現在不自由な施設でやっておる教育の実態を訴えていく、そういう実態を十分把握していただくとか、あるいはこの指導要領とか、あるいはこれの指導に当る指導主事、そういうものの充実とか、そういったことも必要ではないかと思います。
で、ぜひこの理科教育は、これだけで振興できるというものでもありませんけれども、この面だけは国の責任において早くやるという体制を早くとっていただくように、お願いになりましたけれども、これで私の質問を終ることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/102
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103・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 私といたしましては、この前の委員会におきましても、また先ほども実は申し上げたのでございますが、わが国の科学技術教育を今のようなテンポで進めておったのではとうてい時勢の要求に間に合いかねる、かように考えますので、来年度予算からは何とか皆さん方の御期待に沿うようにいたしたいと、そういう念願を持っておるのでございます。これのやり方につきましては、ただ単に予算を増額するというだけのものでもないと思います。必要な金さえ出せばそれでよろしいというような問題でもないと思います。一面におきましては、現状を的確に把握することも必要でございましょう。さらにそれに基いてどういう計画を立てるか、またそれを実際に移すためには一体学校の先生が間に合うか間に合わないかというようないろいろの問題があろうかと考えるのですが、それらすべてを一つ総合的に考えまして、でき得べくんば一つ計画的に進んで参りたい、こういうような考えをもって今後一つ調査を進めたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/103
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104・松澤靖介
○松澤靖介君 野本委員からも御質問があったのですが、私自身といたしましても、大臣のおられるこの席において御質問申し上げたいのですが、実はある再建団体の、ある県に対しまして、自治庁から教育定数に関しまして再検討するようにという指示があったという新聞を見ましたので、その点につきまして、大臣におかれまして、いろいろの今までの質問中にもありました教育定数の圧縮の問題が相当論じられておる今日におきまして、県としてすでに教育予算において県会に提出しておるそのものに対しまして教育定数を再検討するようにというような指示が自治庁からあったとすると、教育定数に対しましても、あるいはまた教育そのものに対しましても非常にゆがめられるような状態を来たすことになるのじゃないかと考えられるので、最高責任者である灘尾文相といたしまして、自治庁からのかような指示に対しましていかようにお考えになっておられるか、それをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/104
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105・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 自治庁からそういったお話のような指示があったかどうか、私ども実はよく承知いたしておりませんですが、私としましては、地方の財政も苦しい際ではございますけれども、できるだけ正常な状態で一つやってもらいたいと考えております。もし非常にむしろ地方の実情において無理な点があればわれわれの方でお手伝いをして何とかそれを緩和したい、こういうふうな考え方を持っておるわけでございます。今お話になりましたように、特に自治庁から地方に対して教育定数を考えろというふうな事実があったのかなかったのか、私よく承知いたしませんが、もし非常な妙なことでもあるというならば十分自治庁とも連絡いたしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/105
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106・松澤靖介
○松澤靖介君 灘尾文相の非常に御理解のあるただいまの御答弁に対しまして、非常に敬意を表し、私自身といたしましても非常に感銘を深くしておるものですが、実は県をはっきり申し上げますと、山形県でありますが、山形新聞の七日付の記事に「県の財政再建練り直し」という大きな見出しのもとに出ておるのでありまして、真偽のほどははっきりわかりませんが、その内容を見ますと、先ほど申しました通り、教育定数がまああまりに過大といいますか、そういうような意味において再検討するようにという指示があった、さような記事が出ておるのでありまして、その点に対して文相の御見解を承わったのですが、先ほどの御答弁によりますと、非常に御理解あることをお聞きしたので、何分よろしくお願いしたいと、かく考えておるのであります。よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/106
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107・高田なほ子
○高田なほ子君 大臣にお尋ねいたしますが、理科教育を振興させることによって、科学的な知識、あるいは技能、そういったようなものを修得させる、しかしそれは、ただ単に理科教育を切り離してだけではなくて、結局伺うところは、わが国の産業経済の上に大きな寄与をしなければならない、こういうような目標のもとに、やはり理科教育というものの振興が考えられるのではないかというふうに私思うのです。従いまして理科教育振興に対して、私立学校も含めたということについては、これはまことに当然なことでありますが、将来産業教育振興、理科教育の振興というものをどういうふうにからみ合わせてお考えになっているか、産業教育振興法の方にも審議会があり、また理科教育振興法にも審議会がありますが、そうしたものが別個にやるのではなくて、何かそこに関連を持った方向づけをしなければ、わが国の産業経済の寄与に対して大きな貢献ができないのではないかというふうにも考えられますが、この点について大臣はいかようにお考えになっておられますか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/107
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108・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 御質問の御趣旨は非常にごもっともなことだと考えます。理科教育の振興というものが、理科教育審議会だけの分野において解決さるべきものではない。私はひとり初等、中等教育のみならず、大学教育の一切を含めまして、日本の科学技術教育をうんと振興させたいという熱意を持っております。そのためには、文部省といたしましては、文部大臣の活用し得るすべての機関を総合的に活用してみたい。非常に同時にまた外部の皆さん方の御意見も十分に承わりまして、何か一方に片寄ったり、あるいはまたびっこであるとかいうようなことのないように計画を立ててみたいと思います。こういう考え方でやっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/108
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109・高田なほ子
○高田なほ子君 第二点としてお伺いしたいことは、理科教育振興法の第九条に関連する問題なのですが、これは「当該基準にまで高めようとする場合においては、これに要する経費の二分の一を、当該学校の設置者に対し、予算の範囲内において補助する。」この「予算の範囲内」という言葉は非常に善用される場合もありますけれども、ある意味においては予算を縮小する場合に非常に都合よく法文の解釈が行われるようであります。そこで今回お組みになりましたこの一千万というのは、おそらくこれは科学的にお考えになったのではなく、やはり予算の範囲内においてというところで一千万という数字が組まれておるのではないか。一つの学校に八万円くらいの補助をあげても、何ができるかしらというふうに考えられないこともない。高校の方には十万ばかりいくようになっておるのですが、これではどういうことをなさるのか、雲散霧消したような使い方になってしまうのではないか。つまり予算の範囲内というところで縛られるために、予算の使い方が総花的に終ってしまって、せっかく理振法の目的とすることが現実に十分発揮できないのではないかという非常な危惧を持つのでありますけれども、今回の予算をお組みになるときもやはりこの予算の範囲内ということに災いされた一千万円であるのかどうか、将来この予算の範囲内というこのことをどういうふうに直していったならばもっとその重点的な科学振興ができるか、そこに私は非常な疑問を持っているのでありますけれども、この点についてはどのようにお考えになっておるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/109
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110・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) これは予算の範囲内と申しますのは、先ほど申しましたように、国全体の公立の基準、私立の基準も同様でございますが、それによってはじき出した総額がございますので、その総額を何年度に縮めるかという年次計画とも関連があるものでございますので、この予算の範囲内ということは、私どもはさほどに窮屈に考えていないのでございまして、予算の範囲内でできるだけ年次計画を縮めて、その予算の範囲内で基準を引き上げると、こういうことでございますので、高田先生の御心配になるほどではないのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/110
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111・高田なほ子
○高田なほ子君 まあ、そういうふうな考え方もありますが、従来この予算の範囲内というのはなかなかくせ者だと思うのです。御承知のようでありますが、産休法のあれも、その予算の範囲内ということでこれは通ったのですが、すでに施行されてから一年、この予算の範囲内というのが非常にやっぱり災いしまして、完全に実施されないという声が所々に上っておるし、その他の問題でも相当に予算の範囲内というので制肘を受けておるのではないか、現実問題として。まあそんなふうに思うわけです。しかしさほど支障がないということであれば、これは別問題でありますが、それではお伺いしますが、現在の私立学校で、当該基準にまで達さないものが現在の私立学校の中に何%ぐらい当該基準に達しないものがあるのか、それをお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/111
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112・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 大体今の現有の保有率が一七・五%でございますので、ほとんど全部の学校が基準に達しておりませんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/112
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113・高田なほ子
○高田なほ子君 現有保有率一七・五%と言いますが、現在保有している率というものは、この理振法に盛られたごとくに、積極的に日本の文化を発展させるような、そういう現有保有率かどうかということについても、ずいぶん問題があるのではないか、こういうふうに考えられますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/113
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114・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) これは、一七・五%と申しますのは、ここに先ほどの基準がございますように、小学校五十万とか、中学校八十万とか、高等学校三百万とかという基準に、どのぐらい足らないかといいますと、そのうちの一七・五%程度しかまだ保有していないですから、その差額がまだ約八〇%ぐらい足らないということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/114
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115・高田なほ子
○高田なほ子君 それではもう一つお尋ねをしたいのですが、現有保有率もはなはだ貧弱であると、これからもまだ貧弱であるということになりますと、文部省の御計画になったように、三カ年計画で十七億の必要額が満たされてもまだ事足りないのではないかというように私思うのですけれども、十七億の必要額というのは、一応最低基準が十七億というふうにとってよろしいのでしょうか、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/115
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116・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 総額十七億、負担金にして八億五千万、これは最低のものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/116
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117・高田なほ子
○高田なほ子君 最低のものにいくまでにこれから三年かかるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/117
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118・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 十三年です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/118
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119・高田なほ子
○高田なほ子君 十三年かかるわけですね。ちょっとこれは、私十三と書いてあるんだけれども、十が間違いじゃないかと思って三年と言ったのですけれども——それほどに現実ばなれしているのです。最低の水準までくるのに十三年かかると、わが国の科学水準というものは、あと十三年の間に、一躍非常な、私どもが想像できないような飛躍を示すだろうと思うのですが、いかがですかね。これはだいぶ十七億の必要額といわれることと、十三年計画ということと、日本の文化水準の発達ということとは、えらいそごを来たしておる数字のように思うのですけれども、この点いかがなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/119
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120・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) その点は先ほど大臣からたびたびおっしゃってらっしゃいますが、こういうことでなく、来年度からしっかりやるということに努力いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/120
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121・高田なほ子
○高田なほ子君 大臣も今度の南極探検で、実際十三年計画の一角をごらんになったと思うのです。雪上車をたった四つぎりやらないで、それが使うか使わないうちに二つこわれてしまうと、そのために資材が、温度の関係でもって氷が割れて流れてしまうというような、その宗谷の構造自体もそうだが、南極探検に要する雪上車の機構などについても今度はずいぶん大臣としてもお考えになられた点がたくさんあると思いますが、どうか一つ、重ねて重ねてくどく申し上げるようでございますが、この十三年計画なるものをどうぞ短縮されるように、とくと予算獲得のために全力をあげていただくように、私は強く希望申し上げたいと存じます。
それと、もう一つ聞かして下さい、それで終りますから。それから大臣には所信も御表明ですから、別に私伺わずに御信頼申し上げるということにとどめますが、一つお尋ねしなければなりませぬが、この配分の方法は管理局が主管になっておやりになるようでありますが、二分の一補助ということになりますとですね、この財源の非常に乏しい私立学校があります。つまり財政困難に陥っておる私立学校がある。むしろ財政困難に陥っておるような学校が、なるだけ多く国の補助を実はもらいたいわけです。けれども半分負担しなければならないんですから、困っておる学校ほどほしいけれども、補助を受けることができないという現状があるわけでございます。こういうような問題は、たびたび当文教委員会でも問題になったところでありますが、貧困な私立学校、なかんずく理科振興のために必要な資材が最もほしいと思われる貧困学校が、二分の一負担ができないという場合に、国はこれを補助することができないのか、何らか暫定措置かなんかで、これを救済する方法を講ずることができないものか、この点を伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/121
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122・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) これは公立学校も同じでございますけれども、設置者に対して二分の一を補助するんですから、まるまる国から補助するということは、かえって設置者の意欲を妨げるんじゃなかろうかと考えるのでありまして、できるだけ設置者の方でも努力する、国の方も努力すると、双方の努力が合致するところに教育の効果も上るんじゃなかろうか、今お尋ねの件で非常に貧弱な学校については、お気の毒でございますけれども、できるだけ半分負担していただくようにお勧めいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/122
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123・高田なほ子
○高田なほ子君 私は公立学校にしても、あるいは私立学校にしても、学校差ができるということについて、今非常に問題があるだろうと思うんです。子供たちが試験地獄に苦しむというのは、言うならば学校差の問題が原因を作っているのではないか。特に私立学校の場合には、その財源の乏しい学校はどんどん置き去られていった場合に、優秀な私立学校が国の補助を重点的に受ける結果となり得るのではないか、としたならば、せっかくの教育の機会均等、あるいは理科教育の平等な振興によって科学教育の水準を高めていくというこの精神が、実施の面において抹殺される危険があるのではないかということを非常におそれますが、これは大臣にもお考え願いたいことですが、将来このことによって起る学校差の問題をどういうふうに考えておられるのか、そしてこの学校差を縮めていくためには、この理振法だけの問題でもどういうふうにしようとなさるのか、私は試験地獄に苦しむ今日の学生のことを思いますときに、これは容易ならざる問題であるという観点からお尋ねしておりますので、この点は文部大臣にお答え願って、私も意のあるところを十分に知りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/123
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124・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 補助の制度の建前から申しまするならば、私はただいま局長がお答え申しましたように、全部国が見るというのでなくて、設置者の方も努力をして教育の充実をはかっていく、それに対して国がある程度の援助をすると、こういう姿がよろしいのではないかと考えております。従いましてこの建前を簡単にくずすわけには参らないと思いますが、同時に私立学校が日本の教育のために大きな貢献をしておるということも、これも事実であります。従ってこの私立学校が健全に発展を遂げるようにはわれわれとしても考えなくちゃならぬと思います。この問題はむしろ私立学校がほんとうにその内容を充実し、発展をするように、学校全体として財的にも確実な基礎の上に立つと、こういうふうな面においてお互いに協力しなくちゃならぬところがあるんじゃないかと、かように考えます。この補助自体の問題といたしましてはやはり両者相待って目的を達すると、こういう行き方の方がよろしいんじゃないかと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/124
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125・高田なほ子
○高田なほ子君 御趣旨は十分わかりますが、しかし今日までのわが国のこの私立学校に対する待遇というものは非常に冷たかった。そして多くは父兄の負担に待つところが多い。従って国の補助ということになって参りますと、これは現実問題として各学校で非常なこの寄付運動が起って、父兄の負担はこれまた容易ならざる段階に陥るのではないかと思いますが、私立学校の寄付行為は、ある程度これを認めるにしても、あまりその限界を越えた寄付行為が行われるようなことがないように、せっかく私立学校全体の教育並びに特に貧弱である理科教育振興のために、寄付によらざる方法をとってもらいたいということを再度私は要望して質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/125
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126・岡三郎
○委員長(岡三郎君) ちょっと、今野本さんの方から議事進行の声があったのですが、できるだけ集約してやってもらいたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/126
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127・矢嶋三義
○矢嶋三義君 先ほど答弁を保留しておきました高等学校の基準までの整備状況は何%になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/127
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128・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 小学校で本校の方が二〇・二%、分校が四・三%、中学校で本校が一七・六%、分校が六・一%、高等学校が二三・七%、盲学校が一一・三%、ろう学校が七・四、で、平均が一九・一一%、さっき一七・五と申し上げましたのは私立学校と間違えましたので訂正いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/128
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129・矢嶋三義
○矢嶋三義君 この大学教育との結びつきの関係で、この高等学校の基準への到達は特にスピードを上げる必要があると私は考えます。日本の科学水準を上げるのには一般の国民の、それから各級機関における学校の水準が上ることが大切なことで、トップ・レベルだけ考えておっても決してその国の科学水準は上るわけじゃないのですから。当面この高等学校の基準ですね、これにはさらに努力していかなくちゃならぬと、この点は強く要望いたしておきます。これは大学からの強い要望でもありますから。
次に承わりたい点は、この第十条による補助金の返還等は、理振法の場合は過去においてはなかったですか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/129
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130・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) ございませんでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/130
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131・矢嶋三義
○矢嶋三義君 理振法に関しては、この点なかったことは非常にけっこうだと思いますが、この際私は大臣の耳に入れておきたいと思うのですが、定通法あるいは産業教育法等、補助立法がなされておって、国から若干の補助が出て行くわけですけれども、地方財政再建整備法が適用されている再建団体では受け入れ体制ができないで、せっかく文部省から配分されたささやかな補助金さえ受け入れできないという実情が多々あるわけです。それほど地方財政再建整備法というものは、地方財政という立場から教育にしわ寄せされていることを、これは大臣としては特に肝に銘じておいていただきたいと思います。
さらに、この際私は大臣にぜひお聞き取りいただきたい点は、先進国の、ことに科学水準の高い国の高等学校、大学等の施設、設備を見ますと、その国の科学水準の最高に近い機械を設備しているわけですね。ところが日本の場合は高等学校、中学校、小学校、各級間における理科機械というものも、これは陳腐なものになっているのは申すまでもなく、各大学の理科系統の設備というものはまことにこの時代おくれのものなんですね。この点は私はこの理科学水準の向上という立場から早急に解決しなければならぬ問題だと考えます。で、アメリカなんか特にこの経済力が豊かであるからでもありましょうが、州立の大学に行っても、公費で現在の最新式に近い機械を整備すると同時に、メーカーがそれぞれ最新式の機械を各大学に寄付しておりますね。自分の会社はこういうものを作ったと、だからあなた方卒業したら使って下さいという意味だそうですが、とにかくトップ・レベルのものを入れているわけですね。日本の場合は、もちろん国費も不十分だから陳腐なものがあると、で、さらにそういう寄付なんかもない。で、私昨年東大を見たのですが、電子計算機のところは、あれ機械から人物まで全部、国の金、予算がないために全部借りものだということでした。だからずいぶん違うわけなんですね。先進国は公費である一定水準を持って、その上にメーカーが寄付している。日本のはこの水準さえないという実情ですからね。今後この科学技術教育を推進していくに当っては、これは大学なり高等学校、中学校、各級間はこういう実情であるということを私は肝に銘じておいていただきたいと思います。何かこの理科教育審議会あたりからそういう角度からの建議というものは今までなかったか。理科教育審議会は文部大臣に諮問に答えると同時に建議するととになっているわけなんですが、何か根本的な建議というものは過去においてなされたかどうか。もしなされたとするならば、それに対していかに具体的な処置を講じられたか、その点承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/131
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132・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 理科教育の整備基準、これは審議会の答申に基いたものでございまして、これが第一点。それから第二点、特に大きな問題は第二項にもございますように、教育の内容及び方法についての御意見でございます。これも委員会から建議が出ておりますので、これに基きまして科学教育の内容改善について目下検討しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/132
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133・矢嶋三義
○矢嶋三義君 先ほどこの理科助手の件について承わったわけですが、この際承わっておかないと、この国会、機会がなくなりますので、あなたは工業課程、農業課程等の高等学校における実習助手ですね、こういうものを何か実習教諭というような身分を与えて教員扱いにするというような改正をされるお考えはございませんか。先ほどあなたもこの理科助手以上にこの職業課程の学校の助手は重要だという御発言があったわけですが、その通りだと思うのですね。承わると工業学校あたりにいるこの実習助手というのは、一生涯働いても一万四千円ぐらいにしかならないらしいのですね。一万四千円ぐらい。それで先般は兵庫県では実習助手が全部団結して授業を拒否したというようなことがこの間新聞に報じられておりましたが、簡単に一つお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/133
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134・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) この実験助手の問題につきましては、まあいろいろと問題のあることは私どもよく承知しております。ただいまのところ教育公務員特例法に規定されておるものでございまして、両方——大学の助手も同じでございますが、これは準公務員として、教育公務員としての扱いを受けております。従ってその給与体系といたしましては、教育公務員の給与体系の中に入れまして、高等学校の実習助手については、校長、教諭、助教諭と三本に大体考えておりますが、助教諭と同じような保障をいたしたい。特に頭打ちを……頭を伸ばすように人事院とも話し合いをしているわけでありまして、この点は大体私どもの希望がかなえられて、助教諭並みの待遇をする。
それから、お話の点で、この前何か退職年金の点がございましたが、退職年金につきましては、今のところ共済組合の方で処理されておるわけでありまして、この点が、普通の教諭は府県条例による退職年金を受けるわけでございますが、この中で実習助手の分は大部分が共済組合に基く退職年金を受けると、こういうことになっておるのであります。なお、いろいろと実習助手の方々からの陳情を承わっておりまするので、私どもといたしましては、できることはすみやかに処理いたしたい。多少誤解もあるようでございましたので、この点はよく組合の方々ともお話して、御納得のいくように説明はいたしておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/134
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135・矢嶋三義
○矢嶋三義君 この点大臣からお答え願いたいと思うのですね。高等学校の職業課程における助手という方々は、技能、技術を持たれて一生涯ここに働かれるわけですね。そういう方々が、教育の場でもって働いていながら教員としての取扱いを受けない、従って退職をされる場合にも県条例による退職金をもらえないということはおかしいと思うのです。これは実際工業学校とか農業学校で、あの農業実習を除いたらこれは職業教育、産業教育なんてできっこないと思うのですよ。従ってこれは私は改正されるべきだと思うのです。さらにこの助手の問題は、高等学校に行っても、大学に行ってもそうですが、大学の理科系統の学校なんかに行きますと、定員が少くてどうにもならない。実際は定員外に、定員よりも多くの助手を置かれておるわけですが、私は大学から高等学校を通じて、この種の助手の定員とその身分、待遇の問題については、この際真剣に考えて解決されることが理科学の振興に非常に寄与すると思うのですが、文部省の各担当局に対してそういう指示をされ、解決に努力されたいと思うのですが、大臣の御所見いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/135
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136・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 十分検討さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/136
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137・矢嶋三義
○矢嶋三義君 最後に伺いますが——最後のお伺いをする前ですがね、大臣に就任されたときからすべての点を検討します、検討しますと言っているのですが、大臣になられて二ヵ月ぐらいになっていますから、この次から、どういうふうな結果になったかと、こういうふうに伺って参りますから、今まで検討されると言った点については、この次からお答えできるように準備していただきたいと思います。
最後に伺いたいのは、この際伺っておかなければその機会がないから伺うのですが、このあと審議する法律案も大学の私学関係ですね、偶然私学関係の二本が今われわれの委員会にかかっているわけですが、終戦後私学振興法ができて、あらゆる補助立法に公立並みに私学が取り入れられるようになって、私学の振興をはかられているということは、私は日本の民主化という立場からも、また日本の教育界に特有な入学難の緩和という立場からも、私は意義があると思うのですが、ここで私伺いたいのは、公立、私学の差別ですね、それから同じ公立でも学閥ですね、こういうものは、私は非常に過去においても災いしたし、現在また復活しつつあると思うんです。人事院というのがあるんですが、私は学閥の復活するこの傾向に対しては、人事院としては徹底的に私は善処さるべきだと考えますが、この人事院も廃止されるということになれば、民間はともかくも、官界において学閥人事というものが非常に復活してくるのじゃないかという私は懸念を持ちます。これは、ひいては学校差の問題とか、あるいは日本教育界に特有な至難な問題である入試問題とも関連して参るわけですが、国務大臣さらに文部大臣としてですね、学閥というものに対してあなたはどういうふうにお考えになっておられるか。私が懸念するのは、最近は文部省内においても、同じ国家公務員、文部官僚でも、文部省はえ抜きのよりはやはり昔の内務省はえ抜きの方が云々だというようなことも聞かないわけではないんです。(「全くそうだ」と呼ぶ者あり。笑声)だから、私はこの際私学関係の法律案が出た機会に、学閥復活打倒という点について文部大臣はどういう見解を持たれているか承わっておきたいと思います。大切なことですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/137
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138・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) それぞれ学校を出ました者がお互いに近しい気持をもっておつき合いをしたりすることは、これは当然あることだと考えるのでありますが、ただ、学校によって、たとえば就職の場合でありますとか、あるいは任官の場合でありますとか、そういうふうなときに差別を設けるべきじゃないということは、これは当然過ぎるほど当然だと考えます。戦前はいざしらず、今日の時代におきましてさようなことはあり得べからざることだと考えておりますので、少くとも、文部省においては、一切平等、無差別に取り扱いたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/138
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139・加賀山之雄
○加賀山之雄君 ごく簡単に伺いたいんですが、この理科教育の振興で主として予算的な問題が論議されているわけですが、申すまでもなく、との理科教育の振興には教育内容とか、先ほど大臣も触れられた教師の人数とか素養ですね、これが私は重点になろうと思うのですが、文部省の考えるところで、その面については現在において全然心配がないということでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/139
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140・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 教育内容の面と教員養成及び再教育の問題、この点が非常に私ども重要な問題だと考えておるのであります。先般理科教育審議会の方からは、理科の教育内容の改善に関する建議が出ておりますので、この建議を十分尊重いたして、今教育内容の検討を進めているわけでございます。さらに、教師の再教育及び教員養成の問題についてもそれぞれ関係の部局で検討いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/140
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141・加賀山之雄
○加賀山之雄君 もう一点。これは、初等教育から大学までこの理科教育の振興が取り上げられてきたことは、これはおくれたりとはいえけっこうなことだと思うわけですが、何といっても急に大学の理科系だけを画期的にふやすということは、急にはなかなかできないと思われるんで、やはりこの問題は、初等学校から中学、高等学校、この段階からやはり出発する、出発して、これは将来理科系を非常にふやすということの最初の段階になると思うわけですが、従来の予算——理科教育に対して従来ずっと配賦せられてきた予算を見ると、ここ五年間くらい約十四、五億にすぎないようです。この設備だけでも先ほど聞いてみると、公立で六十億、私立で八億五千万、これは最低限度だというようなことで、先ほど大臣は、いやこんなことではとてもいかぬので、大いに奮発すると言われるが、そういった将来大学までいく前提としてのこの問題を考えた場合に、大臣としては一つこの振興策を一体今後何年計画でやられる御方針か、これは大臣に承わっておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/141
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142・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 今後何カ年でやるかというところを的確に実は御返事を、お答えを申し上げるだけの準備ができておらないのであります。私はこの際日本の科学技術教育につきましてまず現状を一つ明らかにして、その現状に基いて、これを充実するには一体どの程度のことをしなければならぬかどいうふうな事柄につきまして、総合的に一つ検討を加えまして、その結果に基いてこれを計画的に推進するように持って参りたいというふうな考え方をいたしておるわけでございます。なるべく早くその目的に到達するようにいたしたいと考えますが、今あるいは三カ年計画、あるいは五カ年計画とかいうふうに的確な年次計画を持っておるわけじゃございません。できるだけ早く計画の達成に努めたい、こういうふうな考え方をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/142
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143・加賀山之雄
○加賀山之雄君 私いつも申し上げることですが、さっき予算の範囲内でとかいう同僚議員から御質問がありましたが、何といいますか、予算の編成に当って非常な固い決心と方針を立てていかないと、予算の編成に当っていつでもこの文部省は気持は十分あるのだけれども、この程度よりどうにもならなかったという問題になってきて……、こういう問題が文部省の予算の各項目に全部あるように私は考えるわけなんで、一体何年計画だと聞くと、あるいは十何年になったり、あるいは五十年かかってもこれはできないようなことが入っておる。先ほどの宗谷の問題なんかでもいい例で、それはやらないよりはましだというような、あれは食いさしみたいな感じが非常にするわけですが、これは大臣新任されたのでぜひともこの点……、これは私の質問というよりはむしろ大臣にお願いになるわけだけれども、非常にこういうことで理科教育の大学を含めてまでの考え方というものは非常に大事で、ここをはずすと何年かかってもこれは口で言うだけで成り立たない。で、これは御承知のように一般社会でも経済界でも非常に要望されておるところなんです。本年の入学の希望を見たって、これは学生の動向がわかるのです。ですからその基礎となる事柄にまず金を他を削ってもつぎ込むというくらいの御決心があってしかるべきだと思うわけですが、一つ大臣に強い御決心で一つ御検討をいただきたいのですが、お願いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/143
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144・岡三郎
○委員長(岡三郎君) そこで私から一つお願いと質問があるのです、もう終りますが……、先ほど公立の面について言ったわけですが、中学校でも二十五校、高等学校で八十校ですね、二十五校というと全国的に見て四十六都道府県で全然この恩恵に浴していない県が出てくるわけです。これはやむを得ないといっても、この原因は地方財政の貧困という点がからんできているのじゃないかという私は印象を持っておるのですが、そうしないというと、少くともこれは四十六都道府県並列にはいかぬとしても、やはり理科教育を振興するのに全然振興費が行っていない県というものがあるというと、これは私は教育の機会均等というものを設備の均等と合せ考えても、これは遺憾なことだと私は思う。だから最小限度中学校においても最低どこの県においても一校ずつぐらいは設備の補助金を支出するぐらいの一つ考え方がないと、これはちょっと困るのじゃないかと私は先ほどから考えておったのですが、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/144
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145・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 私立学校では小学校ないし中学校のないところも県によってはあるわけですが、全部の県にあるわけじゃなくて、大体私立学校が集中しておりますのは東京、大阪の付近でございます。まあそれにしても数が少いことは事実でございますので、今後予算の増額をいたしまして、できるだけ普及いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/145
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146・岡三郎
○委員長(岡三郎君) これは文部大臣にちょっと聞きたいのですが、いろいろ加賀山さんが言りたように、何カ年計画は言えぬといってもどうも心配なんです。十三年私立学校でやると、この法律でいくと八十五年近くかかるわけですが、八十五年ということになると、そんなことはないと思うのですが、少くとも今の経済界における設備の更新ですね、これは異常なる方法でやっているわけです。もう一変するようなオートメーション化とか、いろいろな面で莫大なる設備投資というものをかけているわけです。この設備投資に即応するところの産業技術員を養成するというふうに考えていくと、この基礎的なやはり教養というものを小さいときから入れておかなければ、高度な国際水準に達するという点にはなかなかむずかしいのじゃないかと私思うわけです。何でもそうですが、やはり幼少のころから相当教え込まないと高度なものにはいかぬという話が、まああらゆる面において、芸術の面でも技術の面においても言われるわけですが、そうなると十三年たつというと、当初やった設備というものはもう陳腐化してほとんど役に立たぬ。先般年末に会津の工業高等学校へ行ったところが、まあ校長さんが嘆いていわく、これば博物館のようなものですと、こう言っているわけです。それで実際に使えるものがあるのかと言うと、もうほとんどないと、それで従前は相当寄付をしてくれた人も戦前にはあった。しかし戦後においては遺憾ながらもうほとんど絶無といってもいい。そうなるというと、もうどうしてもこれは県にたよろうというふうな考えを持つ。ところが県は二十億の赤字でさっぱりやってくれない。そうなってくるというと、国で補助してやろうと思っても、県自体がなかなか需要に応じ切れないということになって、県財政が貧困なところはみすみすおくれていくんじゃないか、こういうような嘆きを言っておりましたが、総合的に考えてみて、やはり全国的に見て必要度の強いところがある程度までおくれているのじゃないか。だからもう工業学校の生徒といっても、もうここら辺でいうとなかなか実際にすぐ役に立たぬから、だから実は困っているんだ。それで就職状況についても非常に要請はあるにしても、中に入ってからの要請にこたえられないという悩みがあるということを言っていたわけですが、せめて、社会党はすぐ言うと五カ年計画なんて言いますが、五カ年程度で一体どれだけやれるのか。一応この五カ年間でやるとすると、現行の文部省の資料では一年間にこれだけの額が大体かかるというふうな点を一応出してもらいたいと思う。われわれもそれを基準にして世論を盛り上げるという方向で協力したいと思うのですが、一応のめどとして五カ年間で一応最低水準に到達するためには、理科の振興のためにはこれだけの額が要ると、それからその他の科学費用についてはこれだけ要るということを一応お出し願いたいと思うのです。そうでないというと、ほかのものの要求というものもあるわけですから、文部省が重点的に予算を要求するときに、やはりこれだけは最小限度守ろうという線を一つ作られておく方が最終的に非常に好影響を持つのじゃないかと、こう思うので、一応五カ年として、年次計画として一体どのくらいかかるか、その資料を出してもらいたいと思うのですが、それできましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/146
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147・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 五カ年ですと公立の方が十二億、私立の方が一億七千万です。合せまして十三億七千万でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/147
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148・岡三郎
○委員長(岡三郎君) だからそのほか科学費用だね、ずっと予算項目にありますね、あれを一つ科学の費用全体ですね、あれを一応はじき出して、資料として出してもらいたいと思うのですが、それどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/148
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149・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) お話の点は大学を含めてでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/149
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150・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 大学を含めて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/150
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151・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 大学になりますとこういう基準ではございませんので、ちょっと別の観点でないと出ないと思うのですが、高等学校以下につきましては一応の基準を作っておりますので、基準から現有施設を差っ引いて残りを出せばいいわけですが、大学はちょっと個々の実情が違いますのでこういうふうな行き方ではちょっと困難ではなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/151
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152・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 委員長のお尋ねまことにごもっともだと思います。先ほどのお答えにまだ準備がないということを申し上げたのでありますが、私のただいまの心持といたしましてはむろん一つの年次計画を立てたいと思っておる。全般との関係もございますので、結論はどういうことになるか存じませんけれども、文部省としましては科学技術振興に関する一つの年次計画というようなものを持ちたいと思うのです。今お尋になりましたようなことは実は私が部下の諸君に一つ研究してみてくれといって注文をしておる事柄の一つなんです。できまするならば御質問にもありましたようにあらゆるものを総合いたしまして、一つの総合的な振興計画というものを立てて、これを一つ皆さん方の御批判にも訴え、また御協力もいただきまして、何とかそれの実現に努力したい、こういうのがただいまの私の心持でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/152
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153・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 先ほど矢嶋委員からの御質問でございましたので、答弁を保留しておりましたので、理科の特別教室でございますが、小学校が特別教室保有が現在二五・五%、中学校が四七・四%、高等学校が五九%、これが理科の特別教室または実験室を保有しておる実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/153
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154・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/154
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155・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 速記をつけて。
もう一ぺん私どもの方からお聞きしますが、先ほどの現職教育の点について文部省は三十二年度の概算要求として六百万を要求してあるわけですが、実際は百四十万で四十カ所でやっている。一カ所四万円にならないのですね。そうするというと、これは実際に現職教育によってこういうふうな先生方の充実した教養というものをつけさせるという点については、どうもむずかしいのじゃないかという感じがするのですが、もっと適切にやる方法がないか。まあ聞くところによるというと、行った人は本人の研究が中心で全般的に役に立たないというような意見が非常にあるということを聞いておるのですが、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/155
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156・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) これは各大学の教授の熱意にもよると思うのです。私どもは理科研究室の主任の方にお集まり願いましてよくお願いをしておりますのですが、主任の先生方の熱意なり努力なり、そういう理科教育に興味のあるところに委嘱しておるわけですから、そういう点に多少欠ける点もあるかもしれませぬが、大体は喜ばれておるようです。三カ月くらいで交代をして、なるべく多くの人数を受け入れるように努力しておりますので、多少そういう不満もあるかもしれませぬが、私は全体的にはうまくいっているのではなかろうかと思います。
もう一つほかの点でございますが、これは各大学の備品、消耗品、そういう関係のものを国でやるのであります。もともと国立学校でありますので一般の経常費のほかに謝金の類とか備品、消耗品、こういうものを包含しておるものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/156
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157・岡三郎
○委員長(岡三郎君) もう一ぺん、六百万円が百四十万円ではあまりにもこれは減額され過ぎたと思うのですが、これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/157
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158・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) これは基準の経費になっておりまして、大体標準予算に入っておる経費というのは非常にむずかしいのでございまして、先ほど大臣がおっしゃいましたように総合的な計画のもとに予算を出さないと非常に予算が取りにくいのでございますので、個々に標準予算できまっておるものの増額という形はなるべく避けて科学技術振興という点で総合的に検討いたしまして来年度十分努力いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/158
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159・岡三郎
○委員長(岡三郎君) ちょっと速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/159
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160・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 速記つけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/160
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161・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私立大学の研究設備に対する国の補助に関する法律案を審議するに当って次の資料を木曜日の委員会までに提出をお願いたします。今私が持っておる数字は古いので最新のを出して下さい。その内容は国立学校の文科、理科別在籍学生数並びに私立大学の文科、理科別在籍学生数、これは四年制大学並びに短期大学それぞれ別々に作成していただきます。それから文科系統並びに理科系統別々に国立大学生一人当り国費が幾ら支出されておるかということと、それから私立大学生一人当りにした場合に国費の補助は幾らになっておるか。それから最後にこの法案は理科系と文科系と両方に補助をする内容のものですが、私は理科系統の学生負担を知りたいために次の資料を要求するわけです。それは私立大学の理科系統の学生は一人当りどのくらい学費を負担しておるかということ、そうしてでき得べくんば入学に対して理科系統の学校に入る場合には相当寄付金を出しておるわけですが、最高どのくらいか、平均大体どのくらいかということ、これは学生の学費負担を知りたい立場でお願いするわけですから、大体それに相応するように。以上。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/161
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162・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 以上で理科教育振興法の一部を改正する法律案の質疑は終了いたしたと認めてよろしゅうございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/162
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163・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 異議ないものと認めます。
なお、ただいま矢嶋委員から資料の要求があったわけですが、これに対して文部省お答えを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/163
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164・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) ただいま資料の御要求がございましたが、そのうちで特に私立大学関係の学生一人当りの負担につきましては十分検討いたしませぬと、私ここで即答いたしかねますので、十分検討さしていただきたいと思います。十分努力いたしまして要望に沿いたいと思います。国立の関係はよくわかりますが、私立の関係につきましては調べてみませぬとはっきりいたしませんので、これはしばらく時間をかしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/164
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165・岡三郎
○委員長(岡三郎君) それではでき得るだけの資料を次回までに御提出を願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/165
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166・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 次に川口委員の方から緊急質問をしたいというふうな申し出がありますので許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/166
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167・川口爲之助
○川口爲之助君 日本教職員組合からの昇給、昇格の要求、これにつきまして振りかえ授業と申しますか、振りかえ教育と申しますか、これをやることによって、早びけ闘争が現在決行されつつあると聞き及んでおります。この問題は、実はすでに法規に違反することであるというように承知いたしておりますが、それよりもこの問題につきましてはより以上の大きな問題が含まれておると思うのであります。と申しますのは、このりっぱな国民を訓育と申しますか、育成するという精神面を担当する教師が、物を作る産業、企業のその団体の労働者と同じ争議行為、もちろん手段、方法においては異なっておる点があると思いますけれども、これを精神面から見るとき大きな矛盾があるのではないかというふうに私は考えるのであります。私どもといたしましては、どうして教職員がかくのごとき争議をやるかということの気持が理解できないのであります。教師の一挙手一投足は教えられる児童、生徒に対してきわめて深刻な影響を与えるものである。この問題が決してよき影響を与え得るものとは信じないのであります。
また、部下を監督指導すべき立場にある学校長が率先してこの争議に参加するということは、ここにも大きな私は矛盾があるのではないかと思うのです。当局はすでにこの問題に対する取締りの通牒を出されておるようでございますけれども、この通牒だけでこの問題が片づくとは思いません。将来に対する方針についての御意見も承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/167
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168・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 教職員の諸君が組合を結成いたしまして、その組合におきまして、組合員の待遇の問題について要求を持ち、これをひっさげて折衝するということは現行法において認められておるところでございます。ただその手段、方法について、他の一般の労働組合と違って、制約があるということも皆さん御承知の通りでございます。で、私どもといたしましては、教職員の諸君が法に認められております範囲内において行動せられることについてかれこれ言う必要はないと思います。ただ今回の場合におきまして、私もど最も心配いたしましたのは、あたかも本日の午後二時を期して授業を打ち切って、そうして要求貫徹のために集会を催す、こういうような指令が出たと伝えられましたので、さようなことがありましては、教職員の諸君が法規に違反するというような結果を生ずるおそれがございますので、さようなことのないようにというので地方の関係機関に対しましてもいろいろ連絡もいたしまするし、できるだけさような状態を回避するように努力をして参りましたつもりでございます。
申すまでもなく学校の教職員の諸君は同じく勤労に従事する人とは申しながら、やはり人の師であるというような立場を持っておられることでございますので、その一言一句を特に平素注意をしていただきたいと考えておりますと同時に、その待遇その他についての要求を貫徹せられるにつきましても、学校の先生にふさわしい行動をぜひとってもらいたい、その影響は非常に重大なものがあると考えますので、これはわれわれの念願といたすところでございます。今後におきましても私ども政府といたしましては教職員の諸君が常に法規の範囲内において、合理的に、しかも先生にふさわしいような行動をぜひとってもらいたいと念願し、またそのように地方の関係機関等ともよく連絡いたしまして仕向けて参るつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/168
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169・川口爲之助
○川口爲之助君 大体の御方針は承わりました。
そこでもう一つお伺いしたいと思いますが、佐賀県では定員確保の問題をめぐりまして、教職員の間に休暇闘争がやられた。それに対して地教委並びにPTAから強い批判が向けられたわけで、その結果であるかどうかこの点はわかりませぬけれども、今回の全国一斉のストには佐賀県としては参加しないという決議をされたということであります。その種のものがほかにも一、二県あるやに聞き及んでいますが、その辺の詳細な事情を一つ承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/169
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170・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) お話のように佐賀県が参加しておらないようであります。私どもの方に参った報告によりますと、このほかにも奈良と山口、これが今回のには参加しないという決議をしたように承わっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/170
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171・川口爲之助
○川口爲之助君 その原因、動機はどういうところにございますか、その点を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/171
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172・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 佐賀県におきましては、先ほどお話がございましたように、この前の再建整備に伴う定員削減に対する抗議として出たわけでございますが、このときに三割、三割、四割というふうに三週間にわたって賜暇戦術をしたわけでございます。それが大体八割五分くらいの動員数でございましたので、非常に父兄の、あるいは県民の信頼を失ったようにも報じられておるのであります。そういう点から学校長が脱退したり、あるいは、PTA等から解散のような話も出たりした、いろいろと県民の強い批判がありまして、そうして佐賀県では今回は闘争に参加しないということになったように聞いております。それから山口の場合には、山口県の中でもいろいろと組合が分れておりまして、最近また新しい組合が発生しつつありまして、統一行動がとれないということで参加しなかった。それから奈良県につきましては、これはこの前の十二月五日の一斉早退のときにも奈良県は参加いたしておりません。これもいろいろと県の組合が割れておりまして、内部の統一行動がとれなかったということを聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/172
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173・川口爲之助
○川口爲之助君 ただいまのお話によりまして佐賀県のとった態度、気持というものは大体推測ができるのであります。その気持というものは私は正しいものと考えます。こういう精神を全国に及ぼして、今回のようなことがないようにしていただきたいということをお願いをいたしまして、私の質問を打ち切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/173
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174・矢嶋三義
○矢嶋三義君 関連して。佐賀の実情を私はつぶさに視察して参ったわけですが、こういう事態に日本の教育を、教師を追い込んだ事態というものは、文部大臣として十分究明され、解決に努力されたいと思います。きょうも松澤委員から山形県の場合、県が再建計画として最小限の教員数を確保する計画を立てたところが、自治庁がこれにとやかくいって削減さしたらしいということについての発言があったわけですが、自治庁を委員会に呼んで伺いますというと、そういうことはないと言うが、事実はあるわけです。佐賀県の場合、十カ年の再建計画ですが、十年後に二千数百人という教師を減員するわけですね。申すまでもなく、学校教育法に「校長、教諭、養護教諭及び事務職員を置かなければならない。」それから「特別の事情のあるときは、事務職員を置かないことができる。」少くとも養護教諭は置かなければならないとなっているわけですけれども、今置いてある養護教諭を自治庁は切らしている。たとえば自主再建計画をやっている大分県のごときは若干の養護教諭を置いておったわけですけれども、自治庁との話し合いで自主再建計画を立てるに当って養護教諭を落すことになりました。こういう事態に教師としては追い込められて教育防衛の一つの意思表示としてああいう形が私は出てくるのだ。しかしああいう場合には、あるいは三、三、四の場合、本日はどういう形で行われたか知りませんが、宿題を出すとか、いろいろな方法を講じて教育の現場に支障が起らないように努力されていることは、私はそれは当然だと思うわけですけれども、こういう事態が起った機会に、私は文部大臣としては日本の教育水準を守るという立場からいま一段一つ努力をしていただきたいということを強く要望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/174
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175・岡三郎
○委員長(岡三郎君) ここで私から文部省にこれはお願いというより、強い要望ですが、最近におけるやはり教育の問題の中で一番私は大きいのは、首切り、定数削減、それから昇給、昇格のストップという、これは二つの大きな問題だと思うのです。そこで教育に関する水準を守るという文部省の立場と、地方財政を預かっている自治庁の立場というものはおのずからそこに総合的にそれぞれの省の意図するというところを調和しなければいかぬと思います。これは大臣がよく言われてきでおるところでありますが、特に政府の施策としての完全雇用という面で、てき得る限り大ぜいの人を働かして、そうしてその中で何とか水準を守る。ところが今の現状は、地方財政というものがあまりにも重点的になり過ぎて、経済的な観点が非常に強く教育にしわを寄せて、そうして相当無理な方式の再建計画というものをやっておる。で、私も実情を見てきたわけですが、やはり日ごろ言われているように、この際文部省は教員の定数というものを、一つ困難だけれども打ち出して、そうしてこれ以上はオーバーしないのだ、一学級の生徒はオーバーさしてはいけないのだという観点から私は強い方針を出せば、自治庁の方としても、やはり文部省との調和の上に立って、再建計画ということのみで強くしわ寄せは私はしないようになるのではないかと思うわけです。この点については自治庁が非常に財政面から圧力をかけるという点が文部省の努力よりも非常に強過ぎるのではないか、こういうふうに実は考えておるわけです。そういうふうな点から考えると、全国的に見て、財政の貧困な県というものが特に圧力を受けておる。じゃ、その財政の貧困な県というものは県民の責任かというと、私は県民全体の責任とはいえない問題がある。現在の地方税法の観点から見て、幾ら倹約してもなかなかどうしてむずかしい県が私は相当あるのじゃないか。これはよく文部大臣が言われているように、税制全体の再検討を待たなければ解決しないといっても、こういう面については現段階においては文部省は相当の強力な措置をもって、地方財政が教育に及ぼす点をある程度これを阻止するような方法というものがとられる必要があるのではないか、こういうふうに日ごろ考えているわけです。教育行政に携わっている末端の行政官も実際に苦んで、何とかうまい方法はないかというふうに考えているのが現状じゃないかと思うわけです。これは佐賀県とかそのほかの県だけではなくして、ほとんど四十六都道府県の中の大多数の県がそうではないか、こういうふうに考えてくると、これは総体の問題との関連ではないのですが、文部省としても何らかその点についての向うところをやはり出す責任があるのではないか、学級定数なり教員の基準といいますか、学級定数、そういったもののやはり根拠をある程度出していく必要があるのじゃないか、これが財政的方面にのみまかしておけば、どうしてもむちゃくちゃな一学級の収容人員というものが生まれてくると思う。そういう点で文部省の方としては学級定数というものを出していくお考えはないかどうか、これを一つお聞きしておきたいと思います。これは文部大臣に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/175
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176・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 地方の財政がかなり窮屈な面が相当ございますので、そのためにいろいろ厄介な問題を起しているということは、これは事実であろうと考えます。われわれといたしましては、できるだけ地方の財政の確立に努めまして、そうしてさような問題の解消に向って努力しなければならないと思うのであります。ただいつまでも今お話しになりましたように、はっきりした基準がないままにものが進んで参りまして、そのためにいろいろな財政当局との間にもんちゃくを生ずるというようなことは、これは極力避けていかなくちゃならぬと私も考えます。その意味におきましては、お話のような標準定数とかいうようなものをはっきり打ち出して、これに基いて今後いろいろなことを考えたいというふうにありたいものと私もそう思っております。そこで目下文部省当局といたしましては関係当局との間にこの標準定数問題についていろいろ折衝をいたしておるような状況でございますが、ともかくその方角に向って努力して参りたいと考えております。と同時に、また地方財政の問題はこの教育費だけの問題じゃございませぬけれども、教育費にとりましても無限にこれを拡大するわけには参らない、従ってある範囲の財源の中で問題を処理していくということもお互いに考えていかなくちゃなるまいかと考えるのでありまして、あまり無理なことがあればこれは是正することにやぶさかではございません。私どもはできるだけ是正することに努力をいたしたいと考えておりますが、同時にまた財政再建のためには多少のしんぼうはこの際お願いしなければならぬ、こういう点もあろうかと思うのであります。要は私どもといたしましては、何と申しましても、学校の教職員のことを心配するのは、これは私の責任でございますが、従いまして、学校の教職員の諸君が仕合せであるように考えるということは当然の職責として努力して参りたいと考えております。同時にその考え方のもとに、財政当局との間におきましてもいろいろと折衝を重ねて参りたいと、かように考えておる次第でございますから、その気持は一つ御了承をお願い申し上げたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/176
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177・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 大臣が予算委員会から出席を求められておりますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/177
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178・野本品吉
○野本品吉君 きわめて簡単ですから……。私は今までのお話を承わっておりまして、やはりこの問題は根本的にお互いに考えなければならぬ問題だろうと思っております。教育とか教化とかいうものの充実する根本条件は、何と申しましても、関係当事者の相互信頼ということ、信頼のないところに教育、教化の作用はこれは働かない。そこで教育問題に関する関係者といえば、これは教師と児童との関係があり、教師と政府との、あるいは府県との関係があり、また教師と一般社会、保護者父兄との関係があるわけです。で、いろいろな問題が起りましたときに、私は時折考えるのでありますが、お互いにかような事態のよって来たる点につきまして相手の責任を追及することに急であり、相手を批判することに急であって、かような事態の起ってきたことに対するお互いの間の自己反省、自己批判というものが足らない。この点はきわめて遺憾であると私は日ごろ考えております。そこで政府当局も、地方の人も、父兄も一切の教育に関係を持っております人たちがまずもって自己批判をすると同時に、相互間の立場についての相互理解というものを持たなければならない。相互理解と自己批判のないところにはいつも紛糾と混乱だけがあるのでありまして、そこには安定とか進展、向上ということは期待できないと思う。ここで私は灘尾大臣が就任早々表明されました言葉を思い起すわけであります。教育の現場にある教職員組合の代表者等とも十分話し合って、相互理解の上に教育の問題を考えていこうと言われた点であります。このことについて私は心から共鳴し、また敬意を払っておるのでありますが、大臣はその後この点について、教職員組合の諸君その他とどんなふうにお話し合いを進められておりますか。また今後この点についてどういうお気持で進まれようとするか、この点について簡単でけっこうですから御所信のほどを承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/178
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179・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 私が就任いたしましてから後に、日本教職員組合の幹部の方と一回、二回、三回になりましょうか、お目にかかる機会があったのであります。議会中のことでもございますので、ゆっくりとお話し合いをするということもございませんが、いろいろ御要望の点を持ってお話がございましたので、私も率直にいろいろ御返事をしておる、こういうようなことでございますが、いずれにいたしましても私はお互いに遠くの方からかれこれ言っておっても仕方がない、お互いに接触して話し合うことによって相互の理解が深まることが物事を円満に進めていく上においてきわめて必要なことと考えますので、その意味におきましては、今後ともに最初に申しましたような態度をもって事に臨んで参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/179
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180・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 速記をちょっととめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/180
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181・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 速記をつけて。
それでは以上で本日は散会いたします。
午後四時十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01019570311/181
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