1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年三月十九日(火曜日)
午前十一時六分開会
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委員の異動
三月十五日委員松澤靖介君及び小滝彬
君辞任につき、その補欠として藤原道
子君及び左藤義詮君を議長において指
名した。
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出席者は左の通り。
委員長 岡 三郎君
理事
有馬 英二君
野本 品吉君
矢嶋 三義君
常岡 一郎君
委員
川口爲之助君
左藤 義詮君
田中 茂穂君
林田 正治君
林屋亀次郎君
三浦 義男君
吉田 萬次君
安部 清美君
高田なほ子君
松永 忠二君
湯山 勇君
加賀山之雄君
国務大臣
文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
郵 政 大 臣 平井 太郎君
政府委員
文部大臣官房会
計参事官 天城 勲君
文部省大学学術
局長 緒方 信一君
文部省社会教育
局長 福田 繁君
厚生省公衆衛生
局環境衛生部長 楠本 正康君
事務局側
常任委員会専門
員 工楽 英司君
説明員
文部大臣官房総
務参事官 斎藤 正君
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本日の会議に付した案件
○教育文化及び学術に関する調査の件
(テレビジョン教育放送に関する件)
○私立大学の研究設備に対する国の補
助に関する法律案(内閣提出)
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001・岡三郎
○委員長(岡三郎君) これより文教委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について報告いたします。
十五日松澤靖介君及び小滝彬君が辞任され、藤原道子君及び左藤義詮君が選任されました。以上であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/1
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002・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 次に先刻開会いたしました委員長及び理事打合会の経過について報告いたします。
学校の環境維持に関する法律案の草案を前回お配りいたしましたが、その後多少表現等について変更がありましたのでそれをお配りいたします。
本案については社会党、緑風会ではすでに全面賛成の結論が出て、自民党では政策審議会で検討されておりまするので、本件につきましてはその結論が出るのを現在待っておる次第でございます。
次に、テレビジョン教育放送に関する件で教育放送尊重のための決議をしては、との提案がありましたが、これは大臣に質疑をした上で、あらためて御検討を願うということにいたしました。その後に、私立大学の研究設備に対する国の補助に関する法律案について質疑を続行することといたします。本案についても、付帯決議について理事の間で御協議を願うことになっておりますが、質疑終了後に具体的にお考えいただくことになりました。
右の通り取り運ぶことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/2
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003・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 御異議ないと認めます。
それではテレビジョン教育放送に関する件を議題といたします。
質疑のある方は順次お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/3
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004・矢嶋三義
○矢嶋三義君 テレビジョン放送用周波数の割当問題が国民の重大関心事となっているわけでございますが、近く十一チャンネルの配当が電波監理審議会の答申を待って、郵政大臣の手で最終的に決定されるように承わつているわけでありますが、この際、私は教育用テレビに限定して承わりたいのでありますが、郵政大臣、教育用テレビについていかようなお考えを持っていらつしゃいますか。まずそれを承わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/4
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005・平井太郎
○国務大臣(平井太郎君) お答え申し上げます。郵政省といたしましては教育放送につきましては相当の関心を持っております。それはどういうところかと申し上げますば、まず学術、技芸、職能教育、こういうような面を中心とした教育的効果を目的といたしておるものでございまして、大体この線に沿って教育放送というものが可能なれば一つ検討をいたしてみようという考えはございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/5
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006・矢嶋三義
○矢嶋三義君 先般文部大臣にも質問したのでありますが、文部大臣はその必要性を非常に認められて、郵政大臣と御協議の上、善処されるという答弁があったわけでありますが、後ほど文部大臣の御見解も承わりたいと思いますけれども、ただいまの郵政大臣の「可能なれば」というこういう消極的な態度は私はいかがかと思うわけで、今さらこのテレビの聴覚視覚を通じての影響効果というものは、ちょうちょうと申し述べる必要がないと思うのです。外国においても、英国あるいはカナダ、西独等におきましても、第一放送、第二放送という形で教育用テレビを活用されているわけで、わが国にも官間民間を問わずその要望は非常に高いわけです。ところがあなたの方から審議会に諮問された意味は、今あなたが可能なればという御発言がありましたが、そういう表現になって消極的なんですね。従ってこのままを進めて参りますというと、教育の機会均等と地域差是正という原則を生かすために、都市から農山漁村全国津々浦々の国民に対して聴視させることは不可能になる懸念がきわめて濃厚だと思うのです。従ってこの審議会の方ではこの諮問案にある、場所によっては云々という、あなたの今可能なれば教育放送も考えたいというこういう言葉は削除すべきだという強い意見が述べられたということが報じられているわけです。そこで私はあなたに承わりたいのでありますが、教育テレビというものは都市よりも農山漁村ですね、地方の方がかえって私は重要だと思う。そのためには優秀なるVHFのような波を確保することと、それから教育放送でありましたらこれは何といっても長期計画的でなければなりませぬ。また定期放送にならなければこの青少年あるいは成人を相手とする教育放送というのは成り立たないわけですから、だから全国を一貫したこの波を私は確保するのでなければ、教育放送の成果は上らないと思うのです。具体的に言って、たとえばあなたの方から諮問しているこの案によって、東京とかあるいは阪神、それから岡山、高松地域、関門、福岡地域、名古屋地域と、こういう地域だけにこの教育用のチャンネルを確保しても、私は商業放送では娯楽放送というものが中心になりますから、それ以外の地域の国民というものは聴視することはできないと思う。従って私はあなたに結論的に承わりたい点は、教育テレビを重視するという立場から、全国を一貫して波を送ることのできるチャンネルを、優先的に私は確保する態度をとられてしかるべきじゃないか。それが文化憲法を持っているわが国の文化の放送行政として望ましいのではないかと、かように考えるわけです。どの程度教育用に割り当てられるお考えであり、またその必要のために努力されているのか、具体的に一つ所見を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/6
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007・平井太郎
○国務大臣(平井太郎君) 御質問の趣旨はよくわかつておりますが、ただいま審議会に諮問いたしておりまするテレビジョンの十一チャンネルに対する計画は、大体あなたさんもよく内容をおわかりかと思いまするが、十一チャンネルを各地域に分布しまして、あまねく全国にテレビの恩沢をこうむらしむるというのが今度の諮問の最大目的でございます。そこでまず郵政省の方針といたしましては、各地域ごとに割り当てられる波でございますが、波を第一は優先的にNHKに、まあ公共性という大きな観点からみて差し当てる。それからそれに続いて商業放送に一波並立させようというのが今回の大きな目的でございます。そこでこのNHK並びに商業放送の並立というもの以外に、多少波が余つてくる個所がございます。その個所に対して、要すれば一つ教育的なねらいを盛った放送を考えてみたらどうかと思う、という事柄を今度の諮問へ出しておるわけでございまして、まだ審議会は十分検討の途中でございまして、その答申案の結論が出ておりません。かかる意味においてわれわれは答申案の内容もよくわかり、また御指摘のような教育放送のいき方についても、十分波さえ潤沢でございましたら大いに考慮しなければならぬと、かように考えるのであります。現在は何と言いましても波が非常に少いのでございます。それが今回のわれわれといたしましても非常にむずかしい問題かと存じておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/7
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008・矢嶋三義
○矢嶋三義君 質問時間も制約されておりますので、最後にお伺いいたしたいと思います。私は率直に伺いますが、教育放送に私はスポンサーはつかない、またスポンサーがついてもそのひもつきでなく、ほんとうに中立、公正な教育放送ができるかどうかということは疑問だと思うのです。また教育の機会均等と地域差是正というものを考えなければならないし、特に先ほど申し上げましたように農山漁村を考えなければならない。こういう点から私は率直に伺いますが、やはり現在公共放送をやられており、またスタッフもそろっており、経験も豊かなNHKに第一放送網、第二放送網を建設することができるような波を割り当てることが適当と私はそう考えております。で、大臣その点について御努力願いたいと思うのでございますが、教育テレビを重視するという立場から、こういう考え方に大臣が御回調いただけるかどうか。郵政大臣並びに文部大臣の答弁を求めて私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/8
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009・平井太郎
○国務大臣(平井太郎君) 私といたしましては、ただいま即時に今回のチャンネル・プランの中からNHKに教育放送用として波を差し当てるということの言明はちょつとしかねるのでございます。その理由としましては、現在十一チャンネルを審議会に諮問中でございまして、いずれこれの確たる答申案が出てくるかと思います。そうなりましたならばそのチャンネル・プランを中心としまして広く一般の意見を聞き、最も公正な立場において、これならば公共の福祉に役立つのであるという自信が持てる段階において私ははっきりとした態度を表明いたしだい、かように思っております。今ここでまだチャンネル・プランができていない段階において、私ははっきりNHKに波をやるのだということは少しく私の言葉が行き過ぎになると思うのであります。また今後の問題として十分検討しなければ、現在ある波ではどうしても、たとえこれをNHKに一波、二波渡してみても、先ほど御指摘のように教育は普遍でなければ相ならぬ。むしろ都会よりも地方を中心としなければならないという場合をわれわれとしてもこの際十二分に検討して、いかにすれば地方へもこの波をやることができるか、そういうことを勘案いたしますれば、現在の波の性格、また波の数において非常に疑問があるのであります。また他の波を考えるというような事柄にも相なると思いまするが、それは今日の段階としては私は言明できない段階にあることを御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/9
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010・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 教育テレビジョンのことにつきましては前々から申し上げておることでございますが、私といたしましてはこのテレビジョンが教育上非常に効果のあるものと考えますので、何とかりっぱな教育テレビジョンの実現をみたいものと念願しております。その意味におきまして私は今回郵政省でいろいろ御検討中でございますが、できることならば、教育テレビジョンの専門の一つ局がほしい。同時に、またそのテレビジョンは全国津々浦々にやれるようなものであってほしいということを念願いたしておるわけでございますが、この問題につきましてはもちろん専門的、技術的な見地からいろいろ御検討になっていることと思いますので、さようなわれわれの希望を郵政大臣に申し入れまして、御検討をお願いしておるわけであります。今どこに一体これをやらせるのがいいかというようなことは、私としてかれこれ結論がましいことを申し上げる時期ではないと考えますので、その点は一つ郵政省におかれまして御検討を願い、また各方面の論議もよく御調査を願いまして、適切な結論を得られるようにお願い申し上げたい、かようなつもりでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/10
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011・湯山勇
○湯山勇君 郵政大臣にお尋ねいたしたいと思うのですが、大臣がこういう事業、その他内容については非常に御経験がおありになりますから、十分御理解いただけておると思いますが、教育放送の重要性ということは申し上げるまでもないことと思います。そこで、私は非常に不満にたえないという点は、これだけの人口を持ち、これだけの国力を持つた日本に対して、わずかに十一チャンネルしか割当がなかったということは、いかにも残念なことではないかというように考えますが、大臣はどうお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/11
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012・平井太郎
○国務大臣(平井太郎君) 私も十一ヂャンネルでは足らないという感じを深く持っております。しかし、現在日本のVHF帯におきましては、現在でもまだこの十一チャンネルのうち、一チャンネル、二チャンネルは、アメリカさんがまだ持っておるのであります。それを今度いろいろ郵政当局と強く協議をいたしまして、向うの好意によって、じゃあ考えてみよう、こういうので、その返還の時期等は、非常に国際的な問題もございまするので、言明はしませんが、大体暗々裏のうちに、了解点にまで達しておるのでございます。そこで今回十一チャンネルを確保できたのでございます。
それでは今後の見通しはどうかということでございますれば、私の感じとしては、もう大体この十一チャンネルでVHF帯はしまいじゃないかという感じを深くしております。そこで、この十一チャンネルを広く分布してやった結果が、大体百程度の地区の割当しかできていないと思うのであります。それにもいろいろ大小技術的な計画をやつておるので、おそらく三角地帯においては、中継局の用しかなさない局が過半数あるとわれわれは考えるので、独立局としての波の性格は持てない。その個所があるわけでございます。まあかかることを中心に考えまして、今回どうしても波の余裕が出てこないというところに今回の悩みがあるわけであります。そこで多少、一、二でも波の余裕のある場所においては一つ教育的効果をねらって、その波を保留することができたらいいのではないかということをまあ諮問いたしておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/12
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013・湯山勇
○湯山勇君 大臣のお考えは大へんよくわかりました。そこで多少技術的な面になるかとも思いますけれども、お尋ね申し上げたいのは、もうこれだけのチャンネルしかまず永久にVHFからはとれないということになれば、このVHFをいかに活用するかという課題がやはり日本には大きな問題だと思います。そこで今回の割当を拝見いたしましても、あるところではダブらして、多少の無理はあると思いますけれども、技術的にダブらしてチャンネルを一つとつておるというようなところも見受けられます。そういたしますと、もうこれだけしかないとすれば、これをどう広く使うかということの研究、それから今大臣がおっしゃった中継程度という話もございましたけれども、やはりこういう地形の複雑なところでは中継ということもありますし、ブースターという同じ波が反射する装置、あるいは若干その周波数を変えるサテライトというような装置によってこれを小地域ですけれども波の及ばないところへ持っていくというようなこともやはり真剣に考えなくてはならないのではなかろうかというように考えます。そこで、ただいま大臣がおっしゃったように、どれだけかでも教育放送に確保するということになれば、それはやはりこういうことのできるところでなければなかなか言うべくしてできないのではないかというように考えますが、この点大臣はどうお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/13
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014・平井太郎
○国務大臣(平井太郎君) 御指摘の点は非常にまあ技術的な面でございます。そこでブースター局等においてもいろいろ考慮の余地もあるのではないかという御質問でございまするが、やはりブースター局につきましてもこれはやはりチャンネルの一つの一環としての作業が要るのでございまして、なかなか困難でございます。まあ、かような観点に立って今後チャンネル・プランが答申を受ける場合において、一般識者の意見を聞き、また学者の意見も聞きまして万全の処置を講じてこれの問題を解決いたしたいと、かように存じておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/14
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015・湯山勇
○湯山勇君 次にお尋ねいたしたいのは、このアメリカの連邦通信委員会におきましてもこういう基本方針をとつております。教育効果を上げるためにぜひ教育放送が必要である。同時に、この教育専用のチャンネルについては営利企業の介入と広告放送の実施を禁止する、こういう明確な基本線が打ち出されておりますが、これについて大臣はどのようにお考えでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/15
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016・平井太郎
○国務大臣(平井太郎君) いろいろその問題については郵政省内部においても今議論がございます。また一般識者の中でもいろいろ議論が出ております。そこで私といたしましては、教育放送の真の目的からいきますれば、なかなか商業放送等においてこれがペイするかしないか。すなわち商業放送ということと、教育放送ということにつきましては、非常にむずかしい問題がひそんでおると、かように私は存じます。教育放送は、たとえば、それが商業放送で実施する場合においてもこれは慈善事業でございませんから、やはり営利を目的としなければ相ならぬ、しかし放送内容が教育全般にわたるということで無味乾燥だとスポンサーもつかない、こうなれば、自然に商業放送としての教育放送は成り立たないという一つの見方もございます。しかしNHKにしからばこれを教育放送としてやるといった場合、NHKの精神はあまねく天下に放送をやらなければ相ならぬ。そこで、東京なら東京一地域に対して教育放送をやるというような場合、地方は一体NHKは何をしているか、機会均等の精神を没却しているじゃないかというような一つの問題も生まれて参ります。そこでいろいろ、今問題になっておるのは、商業放送としては場合によれば中央に一つ教育的放送を許してネットを組んで地方の地方局へ流したらどうかという一つの案も出ておる。またNHKにおいてもそういうような事柄もやつておる。まあいろいろ問題は複雑多岐にわたっております。そこで郵政大臣としてはせっかく国民の最も大切な波として現在郵政大臣の職権において預つておる事柄をすっきりと私は国民の福祉のためあとから後悔することなくりっぱな態度で善処していきたい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/16
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017・湯山勇
○湯山勇君 最後に、ただいま郵政大臣が将来に悔いを残さないようにという御言明がありましたことは私は大へん力強く感じます。で、御経験のある大臣がそういうふうに言明されたことでございますから、その点は私は大へんうれしく思うわけでございますが、なおわれわれ文教委員の立場、あるいは教育の立場から申しますならば、将来に悔いを残さないということと、ちょうど対応する言葉が、教育は国家百年の計であるということがございます。このチャンネルが大臣のおっしゃったように永久に変らないということであれば、今回大臣がこの教育放送の割当に対してとられた態度はこれは日本の教育テレビの未来永遠を支配する、こういうことにもなるかと思います。それで私は割り当てられたチャンネルが、あるいは電波の型がこれだけであってもやはり日本の科学技術というものはそれを克服する時代がやはり来ると思います。先ほどおっしゃったようなブースターだとか、サテライト、こういうものについてはやはり諸外国と交渉もし、また国内の調整も行えば必ずしも今考えておるままの状態でいくとは考えられないと思いますので、平井大臣は実に教育のためにりつぱな仕事を残してくれたというようにさらに大臣の御善処をお願い申し上げたいわけでございます。これはお願いになりましたけれども、もし御所見があれば一つ伺つて、これで質問終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/17
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018・平井太郎
○国務大臣(平井太郎君) 波がたくさんございますなればいろいろ私にも構想があるのでございます。しかし私が申し上げた通り十一チャンネルを工夫いたして国民全般の福祉のためにということに相なりますれば非常に苦慮いたすものでございます。かかる観点に立ちまして各角度から貴重な御意見を拝聴いたして、十分先ほど申し上げた通り悔いを千載に残さないりつぱな態度で一つ本問題を解決いたしたい。かように考ます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/18
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019・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 非常に短かい時間でまだ質疑も尽きないと思いまするが、郵政委員会との関連で、本日は教育テレビ関係についての質問はこれで終っていただきたと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/19
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020・矢嶋三義
○矢嶋三義君 局長に一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/20
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021・岡三郎
○委員長(岡三郎君) それではなお社会教育局長の方に質疑が矢嶋委員からあるとのことでございまするので、暫時続行いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/21
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022・矢嶋三義
○矢嶋三義君 長くはお伺いしません。局長に一言伺いたいと思います。
この教育用テレビは、文部省にはきわめて至大な関係があるし、所管局はあなたの方だと思うのです。国民はずいぶんそれぞれの立場で関心をもってこれを見守つているわけですが、郵政省の方から審議会の方に諮問された一月二十四日付の案ですね、これらの案の作成段階において、あなた方は郵政省側と何らかの連絡協議をもたれたのかどうか。次にはその後において郵政省あるいは電波監理審議会等に対して文部省としてはこういう見解をもっておるというような意思表明をし、要望、協議をされるというような点をやられたことがあるのかどうか、その点を私は承わりたいと思う。
と申しますことは、当初郵政省が審議会に出された原案なるものは私は教育テレビを第二義的に考えておる、いわば軽く見ておる傾向が非常に強いと思う。日本では学校教育と並んで特に社会教育の振興ということが強く叫ばれておるわけですが、あなたの方でよく道徳教育云々というような、社会教育振興と言われておるのですけれども、テレビ教育を放置され、無関心であって、文部省の手で何の道徳教育、社会教育の振興をはかられるか、かように私は申し上げたい。従って私は文部省として過去において、さらに現代においてとられておる態度というものを明確に一つお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/22
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023・福田繁
○政府委員(福田繁君) お答え申し上げます。
もちろんおっしゃるように、テレビの教育上におきますところのいろいろな効果というものは非常に重要なものがございますので、かねてから文部省といたしましてはテレビ放送の教育上に使用されます場合の実験等を行なっておりますことはあるいは御承知かもしれませぬが、昨年から全国六十三カ所の主として農村を選定いたしまして、NHKとタイ・アップして、いわゆるユネスコの議題に基きますところの教育放送法の実験、集団聴視の実験を行っております。そういったようにこの放送の番組の作成、あるいはその聴視の場合のいろいろ教育上の取扱いの問題、そういったことについて現在実験を実施中でございます。従ってそういった点から申しましても、この教育テレビの問題は非常に私どもとしても関心を持っている点でございます。今お尋ねの点に触れますが、この郵政省の割当修正計画なるものにつきましては、その作成に直接私どもは関与をいたしません。これは郵政省の当局がおやりになる事柄でございます。従って郵政省から正式にそういうことについて文部省の意向というものを聞いてきたものではございませんが、しかしながら非常に重要な関心を持っておりますので、事務的には絶えず連絡をいたしましてそうしてこの作成前におきましても、郵政省に文部省としての希望を申し上げたのでございます。しかしながらその結果は必ずしもこれは文部省の希望が全部、百パーセントいれられるということにはならないのであります。そういうことはこれは文部省としては非常に残念でありますけれども、そういう状況でございます。
それから第二点でございますが、審議会の委員に何か意思表示をしたかというようなお話でございますが、審議会に対しましては、これは郵政省の諮問機関でございますので、直接文部省としてはその審議会に働きかけるということはいたしませんけれども、事務当局を通じ電波監理局の方には絶えず文部省の意向を申し上げて希望なり、あるいは今後のやり方について相談をいたしておるわけでございます。そういう状況であることをこの機会に申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/23
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024・矢嶋三義
○矢嶋三義君 最後に要望申し上げておきますが、私らこの行政府の外部からこの問題の成り行きを見ておりますと、どうもこの文部省は御努力はなさっているけれども、比較的に無関心なのではないか。事務当局でいろいろと研究され、また情報の交換をされてそれに基いて主管大臣である文部大臣を通じてですね、よりよい解決ができるように御努力願う。かような努力が文部事務当局において不十分な点があるのではないか。こういうような情勢ではあとへ悔いを残すことになるのではないか。かような懸念が行政府の外に立っているわれわれはしてならないわけです。従って今お伺いしたわけですが、あなたも決意を表明されたのでありますから、いま一段と研究、情報等を交換をされて、そうして教育用チャンネルが確保されるように、一つ大臣を助けて御努力されるように特に私は希望を申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/24
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025・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) ただいま矢嶋委員から局長に対する御注意でございますが、文部省といたしましてはきわめて熱心にこの問題に取り組んでおると私は承知いたしております。文部省のやり口がもし不十分な点がございますれば、それは私の責に帰すべきことでございますので、私どもといたしましては、御趣旨を体しまして十分に郵政省とも今後連絡を密にいたしまして、われわれの希望ができるだけ達成できるように努力して参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/25
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026・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 速記をとめて。
午前十一時四十三分速記中止
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午後零時一分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/26
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027・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 速記を始めて下さい。
ただいま有馬委員からテレビジョン教育放送に関し要望書案が提出されておりますので趣旨の説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/27
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028・有馬英二
○有馬英二君 ただいま慎重なる質問応答があったのでありますが、つきましてはこの教育テレビの重大性にかんがみましてわが文教委員会において政府当局に要望するという意味におきまして次のような文句において要望書を提出したいと存する次第であります。案を読んでみます。
テレビジョン教育放送に関する要望案
テレビジョン放送の教育的効果は学校教育のみならず、現在わが国において最も必要とする青少年教育ないしは社会教育の充実のためにも、中央と地方、都市の農山漁村を通じた教育の機会均等を図る上にも、極めて大きいことは言うまでもない。
政府は教育放送の重要性に鑑み、今回のテレビジョン放送用周波数の割当に際しては、新たに教育放送のための周波数を確保するとともに、その放送を公共性のある放送機関に実施させる等有効適切な措置を講ずべきである。
右要望する。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/28
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029・岡三郎
○委員長(岡三郎君) お諮りいたします。本要望書案を可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/29
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030・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 全会一致であります。よって本要望書案は可決されました。本要望書の自後の取扱いについては、これを委員長に御一任願います。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり]発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/30
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031・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/31
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032・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 速記を始めて下さい。
それでは暫時休憩いたします。
午後零時五分休憩
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午後二時二分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/32
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033・岡三郎
○委員長(岡三郎君) ただいまより午前に引き続き委員会を再開いたします。
先刻理事会を開きまして打ち合せいたしましたところ、教育環境整備の法案、草案につきましては自民党内においてさらに関係議員間で協議する必要があり、その上で明日午後協議をいたすよう要請があり、理事会では明日午後二時よりさらに理事打合会を開いて協議をいたし、なるべく成案を得るようにいたすこととなりました。さらに次回の委員会の開会日についても明日協議いたすことにいたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/33
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034・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 本日はただいまから私立大学の研究設備に対する国の補助に関する法律を議題といたします。質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/34
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035・松永忠二
○松永忠二君 二、三点一つ御質問いたします。
法律案の第二条の点でありますが、ここに第二条の中に、「学術の基礎的研究に通常必要な」という「基礎的」「通常」というような言葉が入っておるのでありますが、この言葉を特に入れた理由について御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/35
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036・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) まず「大学が行う学術の基礎的研究」ということでございますが、大学で行いまする研究は、これは原則として基礎的研究でございます。あるいは理論的、実験的いろいろな形の研究があるかわかりませぬけれども、基礎的な研究を行うことが大学の使命であろうと存じております。
それから、通常必要な設備と申しますのこれは大学が研究を行なっていく上におきまして、何と申しますか、当然備えて置かなきゃならぬというような設備でございまして、特に特定の課題を取り上げて大きく研究を伸ばしていくといったようなものを対象とするのじゃなくて、通常の大学の研究活動の上におきまして必要な設備、かような意味であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/36
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037・松永忠二
○松永忠二君 そうすると、付則の方に、私立大学研究設備審議会のところに「私立大学の研究設備の補助に関し」というような言葉が出ておるわけで、こちらの方には特にそういう点について限定をしてないわけなんです。それとの関連はどういうふうなことなんですか。付則の方です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/37
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038・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) この私立大学研究設備審議会の内容といたしまして、ここに付則で規定いたしておりますところは、これは文部省設置法の改正をいたしまして、その中で規定するわけでありますけれども、これは私立大学研究設備に対する国の補助に関する法律に基いて文部大臣の諮問に応ずるということでございますので、今御審議願っておりますこの法律が前提になるわけでございます。従いまして私立大学研究設備審議会がその配分やあるいは交付に関しまして決定をしたりするその際に、文部大臣が前もって諮問をいたすわけでございますけれども、その範囲はあくまでこの法律の第二条に規定いたしまする範囲に属することでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/38
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039・松永忠二
○松永忠二君 普通、設備審議会の方に設備についての補助というふうなことが大きく打ち出されていて、そうして法文の方に「基礎的研究に通常」というふうなワクをかけてあるわけなんですが、われわれの考えでは、むしろ第二条には学術の研究に必要な、というようなことであって、審議会の審議の内容の中においてそういう問題が審議されていくというのが普通であるというふうに考えるわけなんです。そういう点特に狭めて、第二条の中でことさら「基礎的」と、今お話によれば大学の学術の研究は基礎的なものが本来のものだ、そういうことであるならば、基礎的な、ということを入れないでもおのずから基礎的なことはわかり切っている話だ。そういうことを考えてみたときに、ことさら「基礎的」という言葉を入れるとか、あるいは「通常必要な」という「通常」というようなことについても、審議会は方針をきめるときに、通常必要なものについて、ということで、配分の方針等できめたらよかりそうなものなのに、あらかじめこの法案の中でそういう限定をしておくという理由、必要があるかないかという点についてどうお考えになるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/39
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040・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 法案の第二条で規定いたします範囲と申しますか、規定いたしますところは、補助の対象となりますところをなるべく明確にしておきたいということでかような規定をしておるわけでございますけれども、それが前提となりまして、その第二条の補助を具体的にいたします場合に、それを文部大臣が諮問をする、諮問する機関として私立大学研究設備審議会というものを設置する、こういうことでございますので、設備審議会の方の規定の内容といたしましては、かような規定の仕方をしておるわけでございます。これはただいまも申し上げましたようにこの法案が前提でございまして、法案の第二条が前提となりまして、第二条の補助を具体的にいたします場合、この設備審議会の審議をお願いするということでございますから、第二条の方に具体的に書くべきではないかと思った次第でございます。
それからもう一つ二条の方の内容でございますけれども、先ほども申し上げましたように「通常必要な」ということを書きましたことは繰り返して申し上げますけれども、特定の研究、ただ大学によりましてはある特別な研究を大きく取り上げてやっていくということがございます。これに対しまして別に科学研究費交付金等がございまして、公立、私立ともこれを対象といたしまして、現に補助をいたしておりますような別の補助金もあるわけでございます。ここにございます研究施設の補助金は、先ほど申し上げましたように大学が研究を進めていく上におきまして、まあ通常基礎的な設備として持っていなければならない設備について補助すると、かような趣旨を書いたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/40
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041・松永忠二
○松永忠二君 そうすると、学術の研究に必要な、ということではどういうわけで悪いのですか、そういうふうな条文にしておいて、審議会が配分の方針を決定するときに、現在の予算をもってしては、基礎的な通常なもの以外にはないというところから、その基礎的な通常的なものに対して、予算の補助をするというようなことでどうして悪いのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/41
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042・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 基礎的研究に対立すると申しますか、基礎的研究でない研究というのはどういうものがあるかということを考えてみます場合に、あるいはこの前ちょっと申し上げました生産化する、あるいは工業化するといったような研究がございます。で、この限界が非常にむずかしいということでございます。しかし工業化、生産化のために相当大きな設備が必要だといったような研究は、この中には含まないわけでございます。繰り返して申し上げますが、大学が通常行なって参ります基礎的な研究ということに対しまして助成していくのがこの法律の趣旨でございまして、このことを第二条に表わしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/42
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043・松永忠二
○松永忠二君 で一体、第二条に学術の研究に必要な機械、器具、標本、図書というようなもののワクをしておいて、設備審議会の方で配分の方針として今お話しになった基礎的な通常的な、という限界に区切っていくというやり方で、どういうわけでいけないのかと、その理由を一つ聞かせていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/43
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044・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) この助成の趣旨が今申しましたことにありますから、それはなるべく法律に忠実に書いた方がいいだろう、かような趣旨でございます。それを運用いたします審議会の方ではその二条の趣旨に従って運用していく、かようなことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/44
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045・松永忠二
○松永忠二君 今のお答えでありますが、むしろ私立大学の研究設備が非常に微弱である。そのために国が積極的に補助を与えていこうというようなことであるならば、むしろ広い範囲で学術の研究に必要な、というようなことで限定をしておいて、予算の範囲内で徐々に基礎的通常的なものからワクを広げていくという方が、むしろ立案の積極的な意思がわかるように思うわけでありますが、あらかじめ何かワクをきめて条文を出していくということは、むしろ法案を作ったその考え方からいうならば、もっと積極的な考え方を含めながら、しかも方針の中に幾らでもそういう配分の基準の方針をきめていくことができるのであるから、そういうふうにしておく方がむしろ奨励をするという意思にも沿うというふうに考えるわけであります。あらかじめこういう制限をつけておく必要はないというように考えるのですが、そういう点についてはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/45
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046・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) これはまあ、立法いたしたいという趣旨が、そういう基礎的な研究に通常必要な研究設備に対して補助をしていきたいということでございますから、これはやはりこの第二条に規定をいたしておくべきだと考えるのであります。運用の方針ということじゃなくて、そういう立法趣旨として第二条にはっきり出しておくべきだという建前から、観点から、第二条はこういう条文に立案いたしたわけであります。
それからこれは繰り返して申し上げる必要はございませんが、その趣旨で審議会はその範囲内におきまして運用をはかっていきたいというのがこの審議会のやり方である、かような立て方をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/46
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047・松永忠二
○松永忠二君 そうすると、こういうことはどういうわけでいけないのでございますか。研究設備に対して助成をしていくというような考えのもとに予算を徐々に拡大して取っていくということを考えていく場合に、基礎的、通常というようなワクをはめておくことによって、適切な補助、あるいはこれをなお予算を漸次拡大をしていくということについても、むしろ大きな範囲でそういうことをやっておいた方が予算を取れる範囲というか、そういうことを裏づけができると思うのであります。狭い範囲内で補助するということをむしろ立案しておくことによって補助の予算化ということは非常に困難にもなってくるというふうに考えるわけであります。そういう点について、こういうふうにワクをつけておくことの方がかえって研究設備に対する補助金を獲得するということについてはむしろ消極的になるのではないかということを考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/47
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048・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、たとえばその基礎的な研究から応用研究、それからさらに生産化といったような研究の過程がございます。その際に基礎的研究からその先に当ります生産化の中間的な研究に対しましては別に試験研究補助金というものがございましてそういうものに対しましては私立学校も含めまして補助金の対象にしているわけでございまして、そういうものは本来別な形で補助をしていくという建前にいたしているわけなんです。そこでこの補助金としまして法律で規定いたします補助金といたしましては、基礎的な研究に通常必要な研究設備を対象としてやっていくという立て方をしているわけであります。そうでございますから、やはり第二条としましてはその範囲を、法律の趣旨をはっきりと書いておく方がこれは忠実な規定の仕方である、かように考える次第であります。同じことを繰り返して申し上げているようでございますけれども、こちらの方はあくまで研究の基盤を養うと申しますか、そういうふうな趣旨でございます。それからこう芽が出まして特別な研究ということになりますと、その方は別の補助金でさらに補助していく、こういうふうな考え方をしているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/48
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049・松永忠二
○松永忠二君 まあ私立大学、補助を受ける私立大学の意向なんかについては御承知と思うわけでありますが、研究と同時に施設というものについても助成をしてもらいたいという気持が相当あるのです。また学術の研究という広い範囲内において助成をしていただきたいという気持もまた強いわけなんです。そういうふうな意味で立案をするということは一体どういう点が工合が悪いのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/49
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050・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) これはえらい繰り返しのお答えになりますけれども、この法律といたしましては、その研究の最も基礎をつちかっていく、そこをねらいとしているわけなんでございます。そういう補助金を、この法律で、そういうものであるということをはっきり法律に書きまして、そうして今後その観点から助成をやっていきたいということでございます。従いまして、その立法の趣旨から申しますと、こういう表わし方をした方が私どもといたしましては適切な表わし方であると考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/50
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051・松永忠二
○松永忠二君 その点は意見が違うところであるので、自分の意見というふうなことになるわけでありますが、もちろん基礎的な研究について、その基盤をつちかいたいというような気持はわかるわけでありますが、そういうことになれば、むしろそういうものも大事であるし、より一そう助成の拡大をはかっていこうということであるならば、法としては補助する範囲を拡大をしておいて、そうして審議会の方で、現状の予算化の中からその配分の方針を基礎的なものに、通常的なものにしていくというのが、大体私は普通の考え方だと思うわけなんです。で、とにかく私立大学における設備というものが非常に不十分であるということについて、それに対してその助成をしていこうということてある以上、初めから基礎的、通常というワクをつけていくということではなくてとにかく学術の研究—大学は基礎的な研究なんだということであれば、学術の研究に必要だと、通常必要だという通常ということについても、これは審議会の方でもなかなかむずかしい解釈になると私は思うわけなんです。こういうことは要するに審議会の中で予算の通っている現状の中でどういう点に助成をしていくかというところで、今言ったような問題がおのずから出てくると思うわけなんです。むしろ文部省が考えている積極的な私立大学の設備にとにかく助成をしていくというのであれば、その設備に、一応学術研究に必要だということで相当あげてやる、その基本的な方針に基いてそれからその予算の範囲内でそういうことを考えていくならば非常によくわかるわけなんであります。私どもの意見としては、文部省が積極的に、とにかく私立大学の研究設備に助成をしていこうという意図があるならば、何もことさら第二条の中に、こういうワクをあらためて設定していく必要はない、むしろ法案としてはそういうものを抜かして、予算の取れる範囲内で徐々にそれを拡大するという意図をも含めてそういうことをやっていくのが至当だと思うわけなんです。何かわれわれが受ける印象というものは、非常に消極的であって、熱意に乏しいという感じを非常に受けるわけなんであります。私は決して予算を一度にふやして、そうして拡い範囲に総花的に金を配れということではなくてしかし積極的な意図を見せながら、事実上審議会で予算の範囲内で方針をきめていくというならばわかるけれども、これでは初めからワクをかけているという感じが起るわけです。今の説明でも、大学の学術の研究は基礎的なものだというお話なんであってそれならば何も「基礎的」という言葉を入れる必要はないじゃないか、「通常必要」だという「通常」という非常にばく然たるものをここに持ってきているということについては、これの解釈についてもなかなかむずかしい問題があるのじゃないか。そういうことはむしろ第三条の審議会の方で配分の方針として具体的にきめていくということの方が、立案の趣旨に合っているのではないかというふうに私は考えるわけです。そういう点についてはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/51
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052・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 私どもの考え方といたしましては、この法律のねらいといたしますところを、なるべく明確に出しまして、そうしてその点につきまして十分努力をいたしていくことが、この助成を促進する道であろうと考えるわけであります。それはこれ以外の面もございましょうけれども、その部分につきましては、学校自体におきまして十分努力をしていただく、この面につきましては国が努力をしていく、そこをはっきり規定いたしまして予算を伸ばすにしましても、そういう明確な目的のもとに進んでいった方が、助成を促進する上におきましてむしろ効果がある、かように考えておる次第でございます。先ほど申し上げるように、その特別なものに対しましては、これはまた別の観点からその助成をしていく道もございますし、やはりこの法律といたしましては、特に大学の最も基礎的な研究の基礎となるところを十分固めていきたい、かような趣旨でございます。そういう趣旨でこれを立案いたしました。繰り返して申し上げて恐縮でありますけれども、その趣旨で立案いたしましたことを申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/52
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053・松永忠二
○松永忠二君 その点については少し意見が違うので、いつまでも同じことを言っていても工合が悪いわけですが、もう一つ、「通常必要な」という、「通常」というようなことはどういうことなんですか。ことさら「通常」というような言葉をここに入れてくる必要があるとお考えになっているのはどういう意味でそういうことを……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/53
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054・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 今まで私御説明したところで、大体の私の趣旨は「通常」の趣旨も申し上げたつもりでございますけれども、特別、特定な課題によって、特定の研究課題をとらえて、特別な研究をしていく、こういうことじゃなくて、大学が基礎的に行いまするその研究に、それを行いますために通常必要である、こういう意味でございます。たとえば先ほど例にとりました、工業化の中段的なものとか、あるいは特定の課題を大きくまとめ上げるもの、そういうものじゃなくて、大学の研究設備として、通常備えておかなければならぬところもございますので、そういう基礎的なものについて充実をはかっていく、こういう趣旨であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/54
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055・松永忠二
○松永忠二君 もう一つお尋ねするわけでありますが、審議会について、特にこの構成とか組織とか、まあ組織、権限等を法文の中で入れていないという、入れない理由というか、そういうものについて一つお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/55
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056・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) これは細部につきましては、文部省設置法の、これは二十七条でございますが、この第二項に、政令に委任いたしております。従いましてその文部省設置法第二十七条第二項に基きまする政令でそれを規定いたしたい所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/56
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057・湯山勇
○湯山勇君 今の松永委員の質問と同じようなことをお尋ねいたしたいと思うのですが、局長は大学の研究というものは基礎的通常のものと、こういうお話ですけれども、前回の委員会で、大学には研究、教育があって、その両者は大体分離できるというようなお話だったというのです。大学の教育は、確かに基礎的であるし、通常のものであるということは言えると思いますけれども、研究という以上、たとえそのテーマが一般的なテーマであったにしても、やはり新しい分野を開いていくというところがなければ、私は大学の研究ということにはならぬと思います。教育ならば別ですけれども。そうすると、今松永委員が御指摘になったように、大学の教育ならば基礎的、通常ということはあるにしても、研究という以上は、新分野の開拓ということが重大ですから、そうなれば、こういう基礎的、あるいは通常というようなことは、むしろ大学の研究においては言うべきでないということになると思うのですけれども、そういう観点に立って、局長はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/57
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058・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) まあこれも繰り返しましてはなはだ恐縮でございますけれども、大学の基礎的研究の通常備えなければならぬ設備、これはいろいろありますけれども、現状から申しますと、これも私立大学におきましてはなかなか設備が十分にいっていないのが現状でございまして、この法律の目ざしますところはその面の充実をはかっていきたいということであるし、それを是正しますためには補助金を出していくことでございます。それで今湯山先生がおっしゃいましたように大学の研究の中には、これはまあ限界は非常にむずかしいのでございますけれども、基礎研究から応用研究、さらに工業化の中間、生産化の中間というものも出てくると思いますが、しかし通常のところはやはり大学の使命といたしますところは、基礎研究を十分に伸ばしていくことだろうと思います。そこでそういうふうな特定なものにつきましては、特定なものを助成するほかの方法をとっていきたい、この法律の目ざしますところはあくまでその基礎的な部面につきまして、そこをいち早く充実をしていきたい、かような趣旨でございますので、特に第二条でかように規定しておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/58
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059・湯山勇
○湯山勇君 ちょっと御答弁が混がらがっておるような気がしますのは、基礎研究と基礎的研究というのは若干違うと思います。物性物理ならば物性物理というのは、確かに基礎研究です。それから京都の大学に設けられる試験の原子炉だって基礎研究だと思います。そうすると、そういうものもここで対象になるかどうか、私はあれだってやはり大学の研究としては、基礎の研究であって、そしてそういうものを研究するとすれば、通常必要なやはり施設、設備だと思うのです。原子力の平和利用というようなことを考えるとすれば、それについてはそれがなければできないわけですから、これは基礎的な基礎研究であり、そしてかつ基礎的な通常の研究だというように判断できると思うのですが、そういうふうな考え方からいきますと、この規定というのはきわめてあいまいであるし、それから今局長自身がおっしゃったように、非常に分けにくいというようなことから、このことによっていろいろ将来運用上支障が起る懸念があると思います。たとえば顕微鏡のようなものが基礎的通常のものだというようなことにすれば、おそらく大学で生物をやっておるところで顕微鏡のないところというのはありませんし、この辺は一体どういうふうにお考えになっておられるか。もう一ぺん伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/59
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060・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 私の御説明しました部分は通常必要な研究設備というふうなことを特に申し上げたのでございまして、その基礎研究が、大学の基礎研究がどの範囲内かということは、たとえば今例をお出しになりました原子力の研究、原子力の研究ということも、その研究分野としましてはこれは基礎的な研究ということになると思います。しかしこの法律の助成の対象としておりますところは大学の基礎的な研究に通常必要なところを目ざしておるということはおわかり願えるのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/60
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061・湯山勇
○湯山勇君 抽象的にはわかりますけれども、局長のおっしゃるようなふうに言えば、それは大学の研究のものではなくて、大学の教育のものというふうにしかとれません。具体的にはじゃどういうものをお考えになっておられるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/61
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062・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) これは今後の運用は別といたしましても、従来この補助金は昭和二十八年からずっと運用して参ってきておりますが、従来の対象になりましたものを申し上げますと、あるいは原子顕微鏡とか、あるいは冷凍高速遠心器、具体的に申し上げて恐縮でございますが、やりましたものを拾ってみますと、冷凍高速遠心器、チゼリュウス電気泳動装置、これは蛋白の分析装置だそうでございますが、脳波測定装置、こういうふうなものが対象になっております。従いまして先ほども例にお出しになりましたような大学の通常の研究分野は広いわけでございますが、その部面に対しまして通常われわれとして必要であると思われるものはみんな入っていくと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/62
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063・湯山勇
○湯山勇君 そういうふうに例をおあげになると、大体わかるのですけれども、たとえば原子顕微鏡、脳波測定器、私はこの二つしか存じませんので、これについて言いますが、これが果して基礎的な、通常のものということが言えるかどうか、研究のための、そういうような概念に当てはまるかどうか、もしそれらが当てはまるとすれば、実験用原子炉だって当てはまりますね。これはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/63
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064・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 実験用原子炉に限定してのお尋ねでございますので、非常にお答えしにくいのでありますが、理論的には原子力の研究というものは基礎的の研究として大学の研究と認められると思います。しかもそれは通常必要な、ということが、そこまで範囲が及ぶかどうかということは実際問題といたしまして、これは予算の範囲内のことでございますから、一つの大学に実験原子炉をこの補助金でやるということは非常にむずかしいと思います。ただ理論的に申しますならば、私はもう少し研究しなければすぐにはお答えできませんが、これは入ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/64
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065・湯山勇
○湯山勇君 大体それはそれだけにとめまして、研究と教育の問題ですが、これは私はやはり疑問があると思います。昭和二十八年からこの補助金を運営して来られた。今回この法律によってお出しになるのですから、それはけっこうですけれども、それから前の理科教育振興法の場合は、私立学校法の五十九条でお出しになるというのですから、これもまたいいと思います。過去においてこの補助金をお出しになった法的根拠はどこにあるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/65
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066・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) それは私立学校法の五十九条、これに根拠を置いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/66
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067・湯山勇
○湯山勇君 そこで疑問が起りますのは、局長の御答弁は研究に対する補助だ、こういう御答弁です。ところがしかも教育と研究とが分けられるということをおっしゃったのですけれども、五十九条には研究は対象になっておりません。明らかに五十九条で、国または地方公共団体が補助できるのは、教育の振興上必要があると認める場合、私立学校教育の助成のためと、はっきり教育となっておりまして、研究ということはこの対象にはなっていないのです。そうだとすれば、教育と研究とは分けられるという先般からの局長の御答弁と、この法律の関係は、私は大へん妙なことになるというふうに感じますので、この点一つ明確にお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/67
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068・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 御承知のように学校教育法の規定からいたしますと、大学の目的は学芸の教授研究ということになっておりまして、教育とは書いてない。しかし私立学校法で使っております教育というものは、私どもはこの教育という中身には教育と、やはり研究が入っている、かように解釈してよかろうと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/68
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069・湯山勇
○湯山勇君 それでさっきからお尋ねしておったわけですが、今回この法律をお出しになったということは、この研究と教育とは別のものだという観点に立ってお出しになっておるわけです。それから先般文部省の方でお出しになった大学の設置基準においても若干そういう色彩が出ております。そういうふうに文部省自身が研究と教育とは別であるというような観点に立てば、この五十九条もそういうふうに時によって勝手に解釈するということは私は不当じゃないかというように考えます。これはどういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/69
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070・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) この今御審議願っておりますこの法律の対象といたしますところは、これは御説明いたしております通りに、大学の学術の研究を促進することを目的といたしておるわけでございまして、その五十九条との関連においてのお尋ねでございますけれども、ここに五十九条はなるほどおっしゃる通りに「教育の振興上」と、こうございますけれども、そもそも大学というものの使命が先ほど申し上げましたように教授と研究ということを両方書いてあるわけでございまして、ここにはまあ教育ということも実は使っていないわけでございますけれども、しかしここに教育と書いておりますものの中にはやはり研究も含めて解釈していいんじゃないか、私どもはかように考えます。五十九条の「教育の振興上必要がある」ということはまあ解釈の問題でございまして、今勝手じゃないかというお話もございますけれども、しかし大学の使命から申しまして、教授及び研究をすることが大学の使命でありますから、五十九条のこの法文の解釈によりましてこれで従来は行なってきたと、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/70
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071・湯山勇
○湯山勇君 そうすると、大学の教育という言葉の概念は、常に文部省がお使いになっておる文章ではいかなる場合においても教育と研究を含むと、こう解釈してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/71
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072・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) これはちょっと使うニュアンスの差はあると存じますので、私ここで一がいにはお答えできません。いかなる場合も教育という中に、教育と研究両方の意味で使っているかというお尋ねに対しましては、具体的に一々検討してみなければならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/72
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073・湯山勇
○湯山勇君 いかなる場合と申しましても、学校教育法によって大学の使命は研究と教育ということが明確にされておる。そこで大学の教育という場合は五十九条の解釈を局長は研究と教育両方含むものだというように解釈されると、こうおっしゃったわけなので、そこでそうだとすれば、まあ小学校の教育、研究ということはありますまいから、大学の教育という場合には、教育という概念は研究と教育、そういう両方を含んだものだと、こう五十九条を局長解釈しておられるようにすべての場合解釈してよろしゅうございますか、ということの質問です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/73
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074・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) これは大学には、繰り返して申し上げますように教授と研究と両方御承知のようにございますので、第五十九条の「教育の振興上」ということを解釈します場合には、これは研究を含んで解釈しても私はいいんじゃないかと、かように考えます。ただいつの場合もそれを含んで文部省は使っているかということに対しましては、必ずしもそうではないと申し上げるべきではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/74
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075・湯山勇
○湯山勇君 私はこの法律自身の問題よりも、現在の大学を教育を主とする大学と、研究を主とする大学と、主とするというよりも研究をする大学というように設置基準によってお分けになったことに対する一つの問題点を、今これを通してお聞きしているわけです。それでこの今のように時と場合によって大学の教育というものの内容は違うということになれば、これは法律も省令も一々ただし書きかなんかつけないと私は困るのではないかと思うのですが、その今おっしゃった二つの使い分けの何といいますかよりどころ、これはどういうふうにお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/75
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076・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) これはただいまも申し上げましたように、それぞれその具体的場合にその内容を検討して解釈すべきだと存じますが、この私立学校法の五十九条の場合に「教育の振興上」といいます場合に、教育を振興するためには大学としては当然研究が付随いたしますので、研究の必要な補助金につきましてもこの五十九条の適用によってこれを行なっていく、こういうことは許されているものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/76
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077・湯山勇
○湯山勇君 これはちょっと水かけ論のようになりましたから、これはこの辺でこの問題の質問はやめたいと思いますけれども、局長の言われるような解釈が五十九条についてなされるかなされないかということは、憲法違反かどうかという大きな問題にからんでくることは局長御存じだと思います。この五十九条のお尋ねをするまでは、局長は明らかに教育と研究とは別だという見解に立っておられて、そうして五十九条の問題が出ると、それは両者を含む概念だ、こういうお答えなので、私はこの点については釈然といたしませんけれども、ただ問題はこの解釈いかんは憲法違反かどうかにつながるということだけ指摘してちょっと別な問題に移ってお尋ねいたします。それは、こういうふうにして私立大学の研究に対する国の補助、こういうことを明確化されたことは大へんけっこうだと思うのですけれども、先般の予算の説明におきましては、私立大学の教授を含む一般民間人の研究、あるいは小、中、高等学校の教員その他のものの研究、それらに対する奨励金、あるいは補助金、そういうものが打ち切られているという御説明を承わりました。これははなはだ私ども納得いたしかねるので、こういうふうに大学の機関についての研究助成もしておきながら、これらの民間研究や、私立の大学の方々、あるいは大学を退いた方々のそういう貴重な個人的な研究については何らの助成措置もしないということははなはだ私は不当じゃないかと思います。特にいろいろな分野でこういう人が貢献していることは今までの文部省のお出しになった報告からも明らかですし、それから各地方に散らばっている民間人や、あるいは私立の学校の先生方や、あるいは小、中、高の先生方のそういう協力によってどんどん進んできた学問もあることは局長も十分御承知だと思います。たとえば地質とか、あるいは動植物の分類学とか、あるいは民族学とか、そういったものはむしろ中央でそれをまとめていく人の仕事よりも、地方でそういう目に見えない努力を重ねている、積み重ねている、そういう人にこそ敬意を表すべきものがあると思います。いろいろこの点については局長の方でも御検討になっておられると思います。けれども、この際これらの従来なされておった助成研究、奨励研究、これらの補助金は一体どういうふうになさるおつもりなのか、予算の御説明のときと同じように、なおこれは来年度は見ないんだというお考えなのかどうか、一つお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/77
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078・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) ただいまの御指摘は、従来科学研究の助成の補助金の中の一つといたしまして科学研究助成補助金という科目があったのでございますが、三十二年度の予算におきましてはこの科目は設けていないわけでございます。その点についてのお尋ねだと存ずるわけでございますが、(湯山勇君「助成と奨励と両方ですね」と述ぶ)科学研究の助成につきまして格段の意を払わなければならぬことは私どもとしましても十分考えておるわけでございまして、三十二年度の予算案におきましては御承知のように昨年度から比べますと七千万円をふやしまして増額いたしまして十二億二千万円を計上いたしまして、ただいま御審議を願っておりますこの中身の問題でございますけれども、御承知のように、最近の科学研究方法が非常に進んで参りまして、非常に多額の経費を要する研究設備等を必要とするとか、あるいはまた研究組織につきましても相当規模が大きくなるといったようなことで、何と申しますか、必要な部分に重点的に予算をつけなければならぬ、こういう観点もございますので、従来の科学研究費の交付金にいたしましても、ただいま申しましたように増額をはかって効率的につとめていきたいと考えております。しかしながらただいま御指摘になりましたような助成研究、あるいは従来奨励研究といいましたこの部分につきましても、来年度の予算におきましては、この運用の上におきまして、これを全部除外していくというふうには考えておりません。その主要なものにつきましては十分これを取り上げまして、そしてこの科学研究交付金の運用によりましてやつていきたい、その配分方法等につきましてはなおこれは審議会等がございますので、学術会議等の意見も聞いてやっていきたい、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/78
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079・湯山勇
○湯山勇君 局長の御答弁を承わりまして、半分ぐらい安心ができましたが、新聞の報ずるところによりますと、三十一年度の予算の大体半額程度これを振り向ける、つまり助成研究では約二千万円程度、それから奨励研究では四千万円程度というような報道がなされておりましたが、全体のワクが大きくなったことから考え合せましてこれがそういうふうに少くなるというようなことはないことを私ども期待しておるのですけれども、その点についてはいかがでしょうか。少くとも昨年程度は大体やるという御決意でしょうか、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/79
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080・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) これは先ほどもちょっと申し上げましたけれども、研究費の交付金のやり方につきまして、一面相当多額の経費を集中的に使わなければならぬという事情もございますので、その辺を勘案いたしまして、全体をきめたいと考えている次第でございます。
それからなお、たとえば助成研究でございますけれども、これは大学のいわば研究歴の若い助教授、助手といったような方が対象となっておったわけでございますけれども、これらの人の研究そのものが重要なものは、いわゆる各個研究の方に本来取り上げていけばよい、それらを勘案いたしましてやって参りますので、今おっしゃいました分け方がずいぶん変って参ります。そこははっきりこれだけだと、従来の助成研究のものはこれだけで打ち切るといったような格好にはあるいは相ならぬかと思います。しかし従来の助成研究、奨励研究という部分につきましては、若干それは減額もやむを得ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/80
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081・矢嶋三義
○矢嶋三義君 関連して。その点はこのままで見過ごしていくわけには参りません。この七千三百三十五万円ふえた科学研究交付金の中で、従来の科学研究助成金は出していくというならばなぜこの予算費目を落したのですか。また今のあなたの答弁では奨励研究費、助成研究費が若干減額されることはいたし方ないというこの言葉は、私は聞き捨てることができないと思うのですが、ささやかな補助金であるけれども、奨励研究費が小、中、高等学校の教職員、民間の研究者、助成研究費が大学の若い助手等の研究者にささやかながら交付されて、そしてその結果として、残された功績というものは全くかくかくたるものがあると思う。助成研究費の場合で三十一年度で三百七人に一人平均二万六千円の補助になっておりますが、そのささやかな二万六千円の補助というものが、非常に科学の芽を育てたと思う。むしろ七千万円も総額がふえるならば、助成研究、奨励研究というものをふやすべきだと思う。これが今の若い研究者の切なる要望です。これは何でしょう、大蔵省の予算編成方針として農林省、建設省等で金額の少い補助金は皆切っていく、この一律の方針にあなた方が屈服したのじゃないですか。そうでなければ、先ほどの答弁からもわかるように、助成研究費、奨励研究費の重要性を認めておりながら、そういう費目を落して、しかも総額がふえたというのに補助金は減らす、こういうことは出てこない、納得できないのです。やるならばこの十二億余にわたる科学研究費交付金の中から従来あるいはそれ以上にやってもらいたい。それが要望です。これは国会にも聞かなければならぬ、行政庁にも聞かなければならぬ、御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/81
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082・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 先ほど申し上げましたように、各個研究というのがございまして、そこの運用でやっていきたいということを先ほどから申し上げておるわけでございます。そして配分につきましては学術奨励審議会の中に分科委員会という委員会がございまして、それにも諮ってやっていきたい。そしてその意見も十分聞いてこれからもやっていきたいという趣旨でございます。ただ私が先ほど申し上げましたのは、助成研究、特別の若い助教授、教授というクラスの研究はこれは各個研究の対象になるものもこれはあるわけでございまして、従いまして全体のワクが広がりましたから、その運用でやっていきたいということを実は申し上げておるわけでございまして、今後の配分等につきましては、十分に国会等にも聞いてやっていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/82
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083・矢嶋三義
○矢嶋三義君 もう一回聞きますが、この予算がいかように配当されていくかということに、若き研究者は目をさらのようにして見守っているのです。文部省の助成課長は従来の通りにやるのだということを言明されたと報ぜられているのですが、そういうようなものが、今のあなたの運用というので下るわけにはいかない、ということは、これはあなたは大蔵省の言葉を受けて答弁していると思うのですが、重点的に補助をするとか、集中的に助成する必要があるからと言う。重点的とか、集中的という言葉が出てきている。これは大蔵省の主計官が言う言葉なんです。これが出てくる間は奨励研究、助成研究というのは、中西助成課長が今まで以上に交付するということを言明されたと伝えられているのですけれども、これは安心できない。で、具体的に奨励研究費に三十一年度八百万やっておりますね、助成研究費は三十一年度、四千万やっている、審議会に案を出して審議してもらっているのはあなたの方で案を出すわけでしょう、どの程度の案を出すわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/83
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084・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 私が重点的、あるいは集中的と申しましたのは、現在の、特に自然科学部門におきましては、現在の研究の傾向といたしまして、それぞれ多額の研究費を出してそこを伸ばす必要がございますので、そこを私申し上げたわけでございます。
それから科学研究費交付金の中に、いろいろなさらに種類がございまして、総合研究、あるいは機関研究、あるいは各個研究といったような種類がございます。それでまあ、たとえば総合研究というふうな、相当な研究グループがありまして、そうして総合的に研究を進めていくというものに対しましての助成でありますが、こういう中にも今の若い人も入り得るわけであります。それからまた各個研究の対象としましても、これは取り上げるわけでありまして、それらを全体勘案いたしまして、審議会の意見を聞いてこれから配分していく、かようなことでありますので、今幾らということは私は申し上げられません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/84
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085・湯山勇
○湯山勇君 今、助成研究のことについては、各個研究の中で操作できる余地がある。これは私もよくわかります。ただしかし、そうだからといって、助成研究を飛ばすという理由にはなりません。これはおわかりだと思います。で、多く申しませんけれども、とにかく各個研究に入るからというので、助成研究をゼロにするという理論は成り立たないと思います。もしそれについて御意見があれば伺いたいと思いますが……それから奨励研究ですね。これは今のお話の中ではお触れにならなかったのですけれども、奨励研究についてどうなさるか、これはもう一度明確に御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/85
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086・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 奨励研究も各個研究のワクの中でやっていきたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/86
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087・湯山勇
○湯山勇君 そうすると、各個研究というのは、民間人も対象になるわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/87
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088・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 従来はこれは別の科目でやって参りましたことは先ほど申し上げた通りでございますけれども、今度その科目は落したわけでございますから、各個研究の対象としてやっていきたい、かように考えております。、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/88
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089・湯山勇
○湯山勇君 建前はよくわかりました。そこで今、局長がお述べになったように、助成研究についても、従来に劣らないような研究ができるようにする。これは局長の計らいでできるはずです。局長のお計らいという言葉が悪ければ、政府の方でできることだと思います。それから奨励研究についても、各個研究の中で操作して、やはり従来に劣らないような研究ができるように努力をするという確約が願えるかどうか、承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/89
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090・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 先ほど申しましたように、補助金の配分等につきましては、もちろん文部省の意見も出しますけれども、学術奨励審議会の分科会であります分科審議会に諮って、十分慎重にやっていきたいと存じております。ただいまのあなたの御意見につきましては、十分慎重にやっていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/90
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091・矢嶋三義
○矢嶋三義君 あなたの意見は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/91
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092・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 努力いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/92
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093・高田なほ子
○高田なほ子君 第三条の中に、文部大臣は、この予算についての配分の方針、それから交付に関する決定をするために、あらかじめ審議会の意見を聞かなければならない、こういう条文が、この四月一日から即刻まあ発効するわけですが、私は前回資料の提出をお願いしたところが、八千八百万円の今度決定される予算の基礎的な問題については、何ら資料がないというような御答弁で、非常に私もあの御答弁には、むしろ疑問を感じた。八千八百万円の予算が組まれるからには、それ相当の基礎的な私は数字というものがあって組まれているのかと思っていたら、全然そういう資料がないと、こういうような御答弁であったので、あらためてこれを聞くわけですが、「私立大学研究設備審議会の意見をきかなければならない。」というからには、すでに政府としてその配分の方針、または交付に関する具体的なプランというものは、もうすでにできていなければならないのではないか。大へんこれは時間的な問題になっておりますので、どういうような具体的なものができておるのか。この案を作るためには、どこかの意見を聞いていたのではないか。これは御承知の通りに、今度私立大学研究設備審議会というのが新たにできますが、これは別個にできるのではなくて、この条文を読みますと、既存の学術奨励審議会が肩がわりして、拡大されたような形になっておると思いますが、お尋ねするわけですが、学術奨励審議会の分科会の中には、今までもこの予算の配分または交付、そういう問題をきめるために、科学研究費等の分科審議会というのがあって、ここで予算の配分等がきめられていたはずなので、何らの資料も根拠もなしに、八千八百万円という金が、つまみ金のようにして配分されるとは考えられない。従いまして、この際八千八百万円の具体的配分の基礎的なものができておるのかどうか、そうしてその案を立てるについて、従来あった科学研究費等の分科審議会等の意見というものはどういうものであったのか、そういう点をお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/93
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094・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 予算を要求いたします場合に、私どもが事務的にその一応の計画を立てます。要求としてはこれはもう当然でございます。しかし八千八百万円の予算が、国会の御審議によりましてきまりまして、それを配分するのは全くこれからのことでございまして、それをいかように配分するかということは、その案はございません。それはこの前も申し上げましたように、この法律ができ、予算が決定いたしまして、そうしてこの審議会を構成いたしまして、審議会に十分はかってやるということでございます。従来のやり方といたしましては、各年度、大学から申請が出まして、それを今お話がございました学術奨励審議会の分科審議会、そこで具体的に検討して配分を決定する、こういうやり方をしておりました。そこで今お尋ねの御趣旨は、今度の八千八百万円は、すでに何か案ができておるかということでございますけれども、それは今もお話申し上げましたように、これからの問題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/94
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095・高田なほ子
○高田なほ子君 重ねてお尋ねをいたしますが、先ほど本法律の基礎になる根拠は五十九条であるというようなお話でありますが、そういたしますと、当該学校法人の設置する私立学校の備えておる条件について、その助成の目的を有効に達するかどうかを審査しなければならない。審査した結果、よいというものに対して配分していくわけですね。そうなって参りますと、今から審議会をこしらえて、文部省も、何もできていないからこれからやるんだということになりますと、ずいぶんこれは時間的に操作がおくれてしまうような気がするんです。大へん私がこういうことを前回からこのように尋ねておりますその底意は、財政的な基礎のある、私立大学の中でも、強力な私立大学のみにこの交付金というものが交付されて、最も財政貧困な、必要度合いが強く要求される学校には、求めるだけのものがいかないというような結果になるのでは、はなはだ困るので、白紙のままであるとか、これから審議会の意見を聞くとかというような、表面上の答弁にすぎないで、今までも行われていたごとくに、大きな大学にのみこの重点がしぼられていくということになってしまうと、小さな私立大学は、国からの補助金をもらうための呼び水として寄付行為というものが非常に強硬に行われる危険性を持つのではないか、それではいけない、こういうような底意を持って尋ねているわけですから、その底意に対するような御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/95
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096・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 今おっしゃいましたようなことは全然考えておりません。これは対象となります大学から全部申請書が参りまして、それに対しまして審査をいたしまして決定をしていくわけでございます。実際この法律を今御審議を願っておりますけれども、この法律ができましてそして初めて審議会が構成せられるのでございます。この法律にございますように、文部大臣としてはこの審議会に諮問をした上で決定をしなければならぬわけでございますが、現在私どもがこういうワクのようなものを持たないのはこの法律の建前から御了承願いたいと思います。それから従来の実績でございますけれども、これは従来は御承知のように大学院を置く大学と医科大学、歯科大学だけに対象を限っておりましたが、これはほとんど対象大学の全部にこの予算の補助はいっておったと存じます。それは大学の申請あるいは大学の研究能力等によりまして補助金の補助の高低はございましても、厚薄がございますけれども、対象として申請を出されました大学がほとんど全部交付されたという実績がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/96
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097・高田なほ子
○高田なほ子君 もう一点だけで終りますから……。この審議会の審議委員の問題でお尋ねいたしますが、従来ある学術奨励審議会の委員のメンバーとこれは同じメンバーになるわけですか。また審議会の残任の任期と、それから今度新たに設置される私立大学研究設備審議会の任期との関係はどういうふうに切り変っているものでしょうか。この点をお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/97
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098・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) この法律が成立いたしましたならばこの審議会が新たにできるわけでございます。従いましてそのメンバー等はやはり新しい問題として考えなければならぬと存じます。それから従来の学術奨励審議会の分科審議会はその目的がなくなりますから、これは自然なくなるわけでございます。そうしてこの新しい審議会の構成は新しく考えていく、かようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/98
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099・野本品吉
○野本品吉君 議事進行について。
ちょっと速記をとめて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/99
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100・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/100
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101・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/101
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102・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 先ほど湯山先生の御質問に対しましてお答えした一点につきまして申し上げさしていただきます。
原子力に関する研究は基礎研究かというようなお話でございましたが、かようなものは私、基礎的な研究に入るとお答えいたしました。その点はその通りだと思いますが、その研究用原子炉、これは理論的に私はあるいは入る、こういうようなことをちょっと申し上げましたけれども、原子力の研究のいろいろな部門がございまして、各大学におきまして通常設置しなければならぬというような研究設備であれば別でございますけれども、今考えておりますような、大きな共同研究用の原子炉といったようなものは、ちょっとこの法律の、通常設置しなければならぬというものに入りかねると思います。先ほどちょっと私言葉を濁しましたけれども、この点を申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/102
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103・湯山勇
○湯山勇君 ちょっと今の点について……。それでは今の御答弁は了解いたしました。
そこで今度は前の方にちょっと返りますけれども、電子顕微鏡というようなものは、それでは理科の研究をする大学にはどこも置かなければいけないというように局長はやはり判断しておられますか。どの学校にもそれを置かしたい、官公立、私立含めてですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/103
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104・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) これは、各大学の研究の分野がいろいろございますから、その電子顕微鏡を備えて当然研究をしなければならぬというようなものはあると思いますけれども、そういうところには電子顕微鏡は通常備えるべきである、かようになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/104
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105・矢嶋三義
○矢嶋三義君 大臣がお見えになりましたが、大臣がお見えになる前に、先ほど科学研究助成金についての質疑が行われ、所管局長の答弁があったわけですが、この法律に基く本年度の予算八千八百万円は国の予算の総額からいえばささやかでありますけれども、またこの補助対象になる大学が百二十余技あるわけでございますけれども、大学によれば少額の補助金も非常にありがたく、効果を発する場合があるのです。現在法に基いて貸し付けをやっておる私学振興会の貸付金につきましても、経済基盤のがっちりした学校は貸付を受けない。しかし非常に貧弱な学校ではわずかな、数百万程度の貸付金でも、非常に、われわれが想像も及ばぬほどの効果を上げているわけなんですね。それで私は国務大臣としてのあなたに特に要望し、またお伺いしておきたい点、確かに政府の予算の編成方針等において、農林とか、建設省あたりの少額補助の制度というものは能率という立場から、経済効果という立場からいかがという点については私も同感です。しかしそういうものさしで文教関係の補助金を考えるということは、私はとんでもないことだと思う。そこで先ほど科学研究助成金について、従来奨励研究費と助成研究費があったが、これは名目を移された。しかし今年はこの科学研究費交付金のワク内で操作をすると、そして先ほど湯山委員を初めわれわれの、例年に劣らないように若き研究者にささやかでもあるがしかし非常に教育的研究的効果のある補助が行われるようにしてほしいということについて努力するということを局長が答弁されたわけです。この点については、大臣もお含みの上、政府委員に指示を与え御指導願いたいと思いますが、これと全く軌を一にする問題として、この際私はそれと並んでいる研究成果刊行費について、これも同じような立場ですから私はただしたいと思うのです。それは言うまでもなく、研究成果刊行費というものは、研究者がその成果を公表する場合になかなか採算がとれない、そういうものにささやかであるけれども補助金を出すことによって研究成果を広く発表するための補助金、これは学者の研究意欲を非常に高揚させるに役立って参ったわけですが、現在私が承わってるところによると、研究論文を発表しても補助金等の関係で一年間ぐらいは発表できんでたまってるというのです。せっかく研究の成果を上げても発表できない状態である、だからこの補助金を増してほしいというのが研究者の声なんですが、ところが科学研究助成金と同様に昨年度四千五百万円だったのが今年は三千五百万円と千万円減額されているわけです。今研究者が成果を発表するのが一年分たまっていると聞いている。それをさらに千万円減らせばせっかく研究しても発表できないと、かようになるわけであって、こういうささやかな予算でありますけれども、日本の科学技術の水準の向上と、それから研究者の研究意欲を向上させる立場から、私は見のがすことのできないことだと、かように考えているわけです。この予算の編成の仕方というものは、科学研究助成金の予算の編成方針とよく軌を一にしていると思うのですが、これらの点についていかように大臣お考えになっておられるのか、この際承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/105
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106・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) かような、御質問になりましたような事柄につきましては、もちろん農林省の補助とか、建設省の補助とかと同じような考え方はしてはならぬと私も考えております。ちょっと比較にならないというふうに思うのであります。今度の予算編成についていろいろお話がございましたのでありますが、私といたしましては、従来かなりたくさん補助が出ておりますが、中には非常にこまかくて必ずしもそれがわれわれが期待するだけの役に立つものであるかどうかというふうなものもあるのじゃないかと思うのでありまして、一般的な考え方といたしましてややこれをまとめた方面に出した方がよろしくはないか、こういう考え方をいたしたわけでございますが、だんだん検討して参りますというと、必ずしもその理屈通りにも参らぬ点もあるようでございます。よくその特殊の事情につきましては、十分検討いたしまして今後善処いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/106
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107・矢嶋三義
○矢嶋三義君 この点についてはあまり時間かけると恐縮ですから、私はもうこれ以上追及しませんが、善処していただきたいと思います。声を大きくして要望しておきます。でないと、今の政府、それを代表しているのは大蔵省ですが、その予算編成方針からいきますと、先ほど私申し上げましたように、文部省の予算も少額補助のやつは切られていくと思うのです。非常に少額であって、しかも効果があるというものが切られて参りますから、そういう点は同じ補助金政策でも農林、建設あたりと文部省とは趣きが違うわけですから、ぜひともこの点は国務大臣として御善処をいただきたいということを要望いたしておきます。
そこで、次に承わりたい点は、科学技術庁あるいは学術会議、さらに学術関係を取り扱っている文部省の所管局と、ばらばらにこういう機関があるわけですが、これらのもろもろの機関の予算の編成方針とか、あるいはその予算の執行に当っては、いかような政府部内で連絡をとって能率的にその成果をねらってやっておられるのか。その点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/107
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108・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) ただいまの科学技術庁との関係でございますけれども、これは科学技術庁設置法にございますように、科学技術庁が取り扱いまする行政の分野は、大学の関係は除いてございます。それから人文科学関係が除かれております。従いまして大学の関係につきましては文部省が主体性を持って進めていくということは当然でございます。ただしかし、いろいろ関連事項もございますので、十分連絡をとってやっていくことは当然でございますが、特に科学技術審議会が設けられておりまして、そこに文部省も委員として出ておりまして、いろんな共通の問題につきましては十分に緊密な連絡をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/108
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109・矢嶋三義
○矢嶋三義君 ぜひその点は強く要望いたしておきます。この法案に基く予算の八千八百万円というのはささやかでありますけれども、この配分をいかようにすべきか、昭和三十二年度の段階においていかようにすべきかという点を、国全体から総合的に考えてそれを配分すれば、ささやかでも効果があってくるわけで、そのやり方いかんでは、同じ八千八百万円でも効果が非常に違ってくるわけですから、各行政機関はばらばらにならないようによく総合的に運用の妙を上げるよう特に要望しておきます。
次に承わりたい点は、さっき他の委員の、審議会の規定をこの法案の中に書かなかったのはどういうわけかという質問に対して、政令にゆだねるのだと、こういうような答弁をされておられたのですが、その政令にはいかような規定をされるお考えであるか、ごく荒筋だけを承わっておきたいと思います。と申しますことは、最近立法事項からはずしておいて政令で、やや立法精神と照らした場合に疑問のあるような政令も最近出るようですから、さような点だけを一つお聞かせおき願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/109
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110・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) これは先ほどもお答えいたしましたように、文部省設置法の二十七条の第一項で文部省の諮問機関をたくさん規定いたしております。そうしていずれもその内部組織等につきましては政令に規定を譲っております。そこでこの審議会の関係につきましても同様のことを考えておるわけでございますから、まあ今まだ……、これは原案でございますけれども、その審議会の組織とか、それからその部会をこれは組織の一部でございますけれども、専門部会を作るとか、あるいは議事の方法、あるいは庶務とかいったようなことにつきまして規定いたしたいと考えておるわけでございます。そのうちで特にこれは御質問にもございましたけれども、組織の中には私立大学の学長、もしくは教員、または私立大学を設置する学校法人の理事というような人から選任をする、あるいはまたそのほか学識経験者から選任する、こういうふうな規定を設けております。なおまた専門委員を作って各専門分野につきまして専門的に検討してもらうというようなことも考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/110
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111・矢嶋三義
○矢嶋三義君 文部大臣、その審議会委員を選任するに当っては学術会議から推薦を受けられるお考えはございませんか。私はそういう形態が最も望ましいことだと思う。私直接聞き、または速記録を見たわけではないが、同僚諸君の話によると、あなたの方で任命されておる中央教育審議会の委員のある一人の方が、衆議院の科学技術特別委員会に参考人として呼ばれて、そうしてその席上でこういうことを述べた中央教育審議会委員があるというのですよ。日本の科学技術の進まないのは大学、たとえば東大あたりで数学が入学試験科目になくて、数学もやらないで大学に入学できる、それで科学技術をやるのか、物理化学もやっていないで入学できるようになっておる。かようなことではとても科学技術の振興はできぬのだというようなことを、参考人として中央教育審議会のあなたの任命された委員ですがね、述べられた人があると聞いておるのですが、それが事実だとすると驚き入ったことだと思うのです。そこで私はこの委員の選任に当って、学術会議の推薦を受けるような形態が最も望ましいのではないかということで、その点を承わります。
それから後段に私が伺った点ですね、事実かどうか一つ確かめていただきたい。事実だったらそういう中央教育審議会委員はあなたの選任に果してこたえ得るかどうか、その点もお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/111
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112・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) この審議会の委員の人選につきましては十分注意して参りたいと考えておりますが、今学術会議の推薦に待つというようなことは考えておりませんが、なおよく一つ研究してみたいと思います。科学技術特別委員会に中央教育審議会の委員が出てどういうことを言われましたか私全然承知いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/112
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113・岡三郎
○委員長(岡三郎君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/113
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114・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/114
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115・湯山勇
○湯山勇君 私はほかの委員会へ参りますので、時間がありませんからお尋ねしたいことを二、三点お尋ねして一括御答弁願いたいと思います。
その一つは、文部大臣は教育改革の構想を持っておられて、これを中教審の方へ諮問されるというような新聞報道がございます。その中に科学技術教育の振興ということが大きく取り上げられておりますが、この新聞に発表になりました内容を見ますと、非常に賛意を表する部面もありますし、またいかがやと思われるところもございます。で、今回のこの私立大学に対する研究設備に対しての補助にいたしましても、現在の教育制度全般が動いてくればまたこれも変更しなければならないというようなことも考えられますので、内容の詳しいことはまた別な機会にお尋ねするといたしまして、原則的に大臣は現在の教育制度、まあ新聞の見出しではゆらぐ六三割と書いてありますけれども、現在の基本的な教育体系に対して再検討をお加えになる意図をお持ちになっておられるのかどうなのか、これが第一点です。
それから第二点は、これはこの法律とも関係がございますが、現在の私立大学における理工系と文科系との比率、あるいは学生数の比率、こういうものに対してこれを文部大臣の権限をもって変更させるということはこれは不可能だと思いますけれども、間接的な何らかの手段方法によってそれを変えていきたいというお考えをお持ちになっておられるかどうか。お持ちになっておられるとすればどういう方法をお考えになっておられるか、これが第二点でございます。
それから第三点は、直接この法律に結びついて参りますが、このようにして私立の大学に研究のための補助をお出しになるということは大へんけっこうなことだと思います。けれどもずいぶん御指摘があったと思いますが、この額はきわめて僅少であって、おそらく文部省が最初御要求になったのはこれの数倍であったと思います。またそうでなければならないと思います。で、私どもが予算を伴う法律を国会に提出する場合には必ずそれに要する予算を明記しなければならないというような厳重な拘束を受けておりますが、この法律の施行に伴って、一体国がどれだけの予算措置が必要かというような点について、当然政府としては御検討になっておられるというように考えなければならないと思うのでございますが、あるいはこの点についてはすでに御質問があったかと思いますけれども、角度が若干違うと思いますので、そういう点についての御検討をなさったかどうか。いずれにしても今日の一億にも足りないような予算では、とても私は大臣が御期待になっておるような成果は上らない。極端な言い方をすれば一けた違えても決して十分であるとは言えない。こう思うのでございますけれども、以上三点に対しての大臣の御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/115
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116・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 新聞に出ておりました記事によっての御質問でございますが、私はかようなことを新聞に話したことはございません。中教審の顔ぶれがそろいましたので、だんだんと中教審に向かって諮問するような段取りにもなって参ろうと思いますけれども、今何をどういう内容でもってするかということは省内におきまして検討中でございまして、まだ別に確定いたしておるわけではございません。
それから何かやるといたしまして、私の考え方の基本として、現在の学制の基本的な体系を変更する意思があるかという御趣旨の御質問であったかと思いますが、さしあたってさような考えはいたしておりません。いろいろ問題を検討していくうちにあるいは何とかしなければならないということがあろうかと思いますけれども、今それを予定してどうということは考えておりません。
それから理工科系統と文科系統の比率の問題でございますが、ただいま私の考えておりますことは理工科系を充実したい、ふやしたいということを考えておるわけでございます。
それから私学の補助に関する問題、なかなか痛い御質問でございますが、今日私学に対するこの種の補助についてどれだけやったらいいかというようなことについての調査はまだでき上っておりません。科学振興をやりたいという念願のもとにさようなことについても調査を進めて参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/116
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117・矢嶋三義
○矢嶋三義君 ただいまのに関連をして参りますが、続いて質疑をいたしたいと思います。それは三十二年度の予算要求をするに当って、四億五千万円の概算要求をされたわけですね。それが大蔵省と折衝の結果八千八百万円になったわけですが、この四億五千万円という数字を出した資料というものは別にないわけですけれども、しかし四億五千万円という数字が、つかみ金が出た以上は大まかながらもこの程度の助成をしていこうという何らかの基準を、私は大まかながらも持たれて出た数字だと思うのです。その点を私は承わりたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/117
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118・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 予算要求の最初の積算の基礎というものは、これは作って参ったことは当然でありますが、ただいますのどれだけやったらいいかという調査はなかなかむずかしい問題でございまして、研究設備は日進月歩の状況でございまして、その基準というものをきめることはなかなかむずかしいのです。しかしながら、一応私どもはなるべく急速に多額の予算を取ってやっていきたいということから、一応積算の基礎といたしましたのは、学科数を基礎にいたしまして、一応三分の一くらいをまず対象としてやっていこう。そうして従来行なって参りました経験から申しまして、一件当りの金額というものを従来の実績から出しまして、これは大体この前申し上げましたけれども、人文科学系の補助金として二十万、それから自然科学系としまして四十万、このくらいのものを一応考えまして、その学科数の一応三分の一を対象となると考え、そうしてその一学科に対しまして五件ぐらいのものを考えるというような積算をいたしまして出したということでございます。それで出しまして四億五千万という計数をもって大蔵省と折画したわけでございますが、その折衝の結果が八千八百万になったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/118
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119・矢嶋三義
○矢嶋三義君 理科教育振興法とか、産業教育振興法は御承知のように一定基準に達するまで云々とありますがね。この前の質疑ではこの私大に対する補助は一定基準までとは考えていないのだということですね。その点は予算折衝の段階において、またこの法律案を閣議決定して提案する段階において大蔵省と十分お打ち合せ済みだと思いますが、そうですね。それからまた今のような積み上げ方をした場合、何年間でどのくらいな助成を私大にしたいものだというごく大まかなおぼろげながらの数字というものが私は出てくると思いますがね。あなた方としては頭に描かれておられるのじゃないかと思いますが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/119
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120・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) これは義務教育、あるいは高等学校の設備と違いまして大学の研究設備でございますから、各大学いろいろその研究分野も、重点を置く分野も変って参りますし、それから研究態様もいろいろ変ってくると思います。それからまた現在の研究方法の進歩発達は先ほど申しましたように日進月歩でございますし、それをどこまで充実したらいいかということはこれは非常にとらえるにむずかしい問題でございます。現在のところまだそこの調査はいたしておりませんが、しかし今後十分一つ調査をいたしまして、その辺のめどをつけていきたいと考えます。しかしこの法律を出しますにつきまして、あるいはまたこの予算の折衝に大蔵省と当りますにつきまして先ほど申しましたような積算の基礎で一応のところを計算しまして折衝したわけでございまして、まだ十分に今後の計画というものは、そこまで立てることはむずかしい状態であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/120
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121・矢嶋三義
○矢嶋三義君 その点は今後のあなた方の御研究に待つことにいたしましょう。
次に伺いたいのは、この前も私指摘したわけですが、この私立関係に対する補助制度を運用していく所管局あるいは課が、ぱらぱらの機関がなっている点、これはもう少し統合して運用の妙を発揮したらどうか。私学振興会の方は貸付金をやっているわけですが、今度ここに出ているのは補助金を——貸付金と補助金は性格が違いますけれども、また補助金の中でもこの前指摘しましたように私立大学理科特別助成というものはまたこれとは違う機関でやるわけなんですね。従って私が主張してお伺いしたい点は、貸付金と補助金とこれは部門が違う、部門は違うけれども、私学関係を何か一つの総合した機関で扱うようにした方が公平にいき、また能率的じゃないか、かように考えるわけです。英国のグランド・コミッティというものは大体そういう形になっているということを聞いているのですが、アメリカでも大体そういうようになっているということを聞くのですが、これからだんだんとわが国の私学助成というものは進展していくだろうし、また進展させなければならぬと思うのですが、法を運用する場合にそういう心がけが必要ではないか。かように考えるわけで、文部大臣の所見を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/121
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122・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 役所の事務の配分と申しまするか、分け方の問題だと考えておるのであります。御指摘のような点もあるかと私ども思います。また別に理由があって分けているという点もあろうかと思うのであります。これらの点につきましては一つ私の方でも内部の事務の状況をよく調査いたしまして、できるだけ合理的に配分して参るように検討いたして参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/122
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123・松永忠二
○松永忠二君 大臣に一つお尋ねいたしますが、先ほど私が局長にいろいろお尋ねをしたのであります。個々の私立大学の研究に対して積極的な助成をしていくということについては今後もなお一そうの努力をしていかなければできないと思うわけであります。今、局長からお話もあったように、基礎的な通常のものに対しても一定の水準まで継続的に引き上げていくということについては、非常に抑えるというか、どの程度の予算の範囲が必要であるかということは、なかなかつかめないし、これを継続的に予算化していくということも非常に困難だというお話も今新たにあったわけです。そういうようなことから考えてみても、私はやはり積極的な私立大学に対する研究助成というような意味から言うならば、この法律案の中に特に学術の基礎的通常というワクをつけておかないで、もっと研究というものに対する、研究設備に対する助成という大きなワクで審議会においてこれを助成していくというようなワクづけをしていくというような方向があってもしかるべきじゃないか。あらかじめ立案の当初から一定の水準にわたらぬようなものにまでそういうワクをつけておかないで、むしろワクを広げて意図を積極化していくということが必要じゃないか。先ほど申しました審議会の組織権限等については文部省設置法第二十七条の中できめるというお話があったわけでありますけれども、その中のたとえば理審法に対しても、その理審法の中に組織とか、あるいは権限とかが明らかにされているわけなんです。このいわゆる私立大学研究設備審議会の内容権限等については、法規の中に少しも明確にしていないというようなことから考えてみて、実に消極的であって、私立大学研究設備に対する積極的な助成の意図というものが非常に明らかでないというような感じを持つわけでありますけれども、こういう点について大臣はどういうふうなお考えを持っておられるのか、お聞きをしたいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/123
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124・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 助成の対象をどうするかという問題でございますが、御意見の点ごもっともと思いますけれども、何さままだこの助成はいわばようやく初まったというような段階でございまして、一挙にこれを非常に広い範囲にわたって助成をするということは予算の点から申しましても、また仕事の上から申しましても、いかがであろうかと考えておるのでありまして、順を追うてこの私学に対する助成の問題は解決して参りたいと思います。
それから私立大学研究設備審議会のことでございますが、この研究設備に対する国の助成の目的は、すでに法律に書いてあるところでございまするし、従ってこの目的に従って、私立大学研究設備審議会が仕事をする、こういうことになるわけでありますので、格別御心配になるようなことはないだろう、私はさように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/124
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125・松永忠二
○松永忠二君 私は格別心配にならないというそういうことではなくて、むしろ文部省が積極的にそういうことを考えて今後拡大していくぞということを考えるならば、むしろそういう積極的な意図のわかるように条文を作っておいたらどうであろうか、また研究設備審議会についてもそういうことが明確になるように本文の中で組織とか権限等をやっていったらどうであろうかということを申し上げたわけです。
一つ続いてお伺いしたいのは、そういう私立大学に対する助成も、研究設備の中でもワクを作ってやっていかなければできないような現在の状態の中で、特に私立大学の経費は法人あたりからくる寄付金によって経営をしているというものが相当多いわけなんです。私立学校の校舎とか設備に対して法人が寄付をする場合には全面的な免税というものがなされているようでありますけれども、個人がこういう学校に対して、私立学校に対して寄付をする場合には贈与税を取られているのが現状であるわけです。こういうふうなことについてどういうふうに今後それをやっていくおつもりであるのか、そういう点について一つお伺いをしたいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/125
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126・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 個人が私立大学に対して寄付した場合に、お話の通りに免税になっておらないと思います。これは私どもの立場から申しますというと、税法上その辺についてしかるべき措置をとってほしいということでございますが、一般的にこれは関係してくる問題でございますので、なかなか徴税当局の方では容易にこれをきかないというのが実情でございまするので、かような問題につきましては、文部当局といたしましては御趣旨に沿うように今後ともに気をつけて参りたいと考えますが、何さま徴税の問題は他に関係するところが多いものでありますから、思うにまかせぬ点があるという点を一つ御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/126
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127・松永忠二
○松永忠二君 今、大臣のお話しになった、答弁された趣旨はよくわかりますけれども、たとえばこの法律化す研究設備についても十分な助成ができない、そのために基礎的なワクを作っておかなければできないという現状である。しかも私立学校の経理の内容の中で寄付金の占めるパーセントというものは非常に大きなパーセントを占めているのが現状であるわけです。そういうことを考えてみたときに、少くとも個人が私立学校に寄付をするというような場合に、これが免税措置をとるというようなことはこれは当然であるというふうに私ども考えるわけです。これは一つお調べをいただけばわかるように、この寄付金の割合というものは非常に大きいことから考えてみて、こういう立案をされるという以前に、こういう問題についてはすでに手をつけて解決をしていく性質のものだというふうに私どもは考えるわけであります。こういう点について今後どういうふうな具体的な方法をとられて問題の解決に当っていかれるお心組みであるのか、その点を一つお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/127
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128・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) ただいまお答え申しましたようになかなか簡単ではないと思うのでありますが、しかし御趣旨はよくわかるのであります。私どもといたしましてはその趣旨に沿うてさらによく検討し、また話し合いもしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/128
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129・松永忠二
○松永忠二君 大臣でない事務関係の方に尋ねて参りたいと思うのですが、そういう点について具体的に今までどういう交渉をなすっていたのか、その辺を一つお伺いをしたいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/129
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130・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) これはまあ非常に税の免除ということにつきましてはいろいろ事務的にむずかしい観点がございますので、従来も税務当局に対しましては話したこともあると存じますけれども、こういう法律を御審議願います際におきましても、今後一つ十分やっていきたいと思いますし、私ども今後十分検討して交渉をいたしたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/130
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131・安部清美
○安部清美君 今の問題は最初に私質問いたしました問題に関連しておると思いますが、ことに私の質問いたしましたときの答弁と、今の大臣の答弁との間にはだいぶ食い違いがあるようでありますが、しかし特に今の贈与税の問題については、私は事務当局に特にお願いしたいと思いますが、贈与税の問題は私立学校における昨今の一番大きな問題じゃないかと私は考えている。というのは、贈与税の問題は昭和二十三年ごろではなかったかと思うのですが、一応その贈与税というものをとらなくてもいいような形になっておったと私どもは思う。それが最近に贈与税をとるというような形になってきておるのではないかと私たちのあれでは思うのですが、こういう点について特に私立学校を振興するという立場からいえば重大な問題でありますから、文部当局としては積極的に一つお働き願って私立学校の育成のために御努力を願いたい、こういうふうに私は特にお願いを申し上げたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/131
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132・松永忠二
○松永忠二君 今の問題については、一つただ努力をするということではなくて、具体的に一つ交渉の経過等をまた今後一つお聞かせをいただきたいと思うわけであります。同じく税の問題について私はやはりこういうふうに予算を立案をする、その場合に、先ほど申し上げましたように、「基礎的研究に通常必要」というようなワクをはずしておいてむしろ広い、広いというよりももうわかり切っておる学術研究に必要な機械というようなことで今後は拡大して予算をとっていきたいけれども、現状ではやむを得ないので基礎的、研究的なものに方針を置いて補助していくということは私はわかると思うわけであります。そういうふうなことと関連して考えてみても、たとえば私立大学の寄宿舎等に対しては固定資産税がとられている、これについても、これは直接教育の用に供するものというようなことで固定資産税を免税することはできるというけれども、寄宿舎は直接教育に関係していない、教場ではないというような意味から固定資産税の免税等を積極的に相当努力しなければいわゆる固定資産税の免税等はない、されておらないわけです。そういう点、そういうふうな積極的な助成の意思があれば、解決をする幾らも具体的事項があるわけなんです。そういうことと、このワクをはめたことと関連して、やはりいわゆる私立大学に対する助成の熱意というようなものがやや消極的ではないかということを私は特に憂えるわけなんです。そういう点から考えてみて、この問題について一体どういうお考えをお持ちになっておるのか、一つお聞かせをいただきたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/132
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133・斎藤正
○説明員(斎藤正君) 今贈与税の御質問並びに固定資産税関係の御質問ですが、第一の贈与税につきましては、これは現在改正が行われましてそれについてはさらに非課税にならない、課税されるようになったという改正はございません。ただお話の点は、あるいは各種学校の問題につきまして、二十七年以降の問題につきまして問題を起しておりますので、そのことではないかと思います。
なお、固定資産税の三百四十八条の、直接教育の用に供するというところで、寄宿舎との関係でございますが、これは文部省として、かなり数次にわたって折衝もしているところでございますが、現在そういうふうな運用がされてないのは、私どもとしてはまことに遺憾に思います。今後も努力して参りたいと思います。
それからなお個人の問題、これはまあ所得税という関係から、まあ法人税との損益計算の場合と違いまして、これはおそらく税法の技術としていろんな関連があると思います。今後とも研究をして参りたいと思います。
なおそのほか税の関係につきましては、現在でもいろいろの問題が起っております。そうして、まあその非課税の範囲の拡大、あるいは非課税が課税になる問題の防止という点は日夜文部省としても税務当局とは交渉をしているわけでございますので、今後とも努力して参りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/133
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134・岡三郎
○委員長(岡三郎君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/134
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135・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/135
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136・野本品吉
○野本品吉君 これは大臣にお伺いしたいのですが、私立学校の、私立学校としての存在の意義とか、価値とかというものは、私学の独自性、自主性、これが貫かれるところに私はあると思う。ほかの言葉で言えば、建学の精神がその学校に一貫し、充満するということであって、早稲田に大隈侯のあの気魄が残り、慶応に福沢先生のものの考え方、そういうものが残り、あるいは同志社大学に新島襄先生の精神が脈々として生きている。ここに私は私学の存在の意義と価値とを見出したいと思う。そこで私学振興という立場から、このような法律ができ、またすでに別な法律によって、補助、助成の道が講ぜられておりますことは、これは私はけっこうなことだと思いますが、この補助、助成をするものも、これを受けるものも安易に扱っていますときに、そこに私立学校の自滅がくるのじゃないかと思う。私は国が相当な予算を計上いたしまして、私立学校に対して補助、助成をし続けていくということになりますと、勢い従来の傾向から見ますというと、私立学校に対して国があるいは干渉し、あるいはいろいろな制約を加えたくなってくるのが、これが自然で、またもっと補助金を、もっと助成金をといって多額な補助金、多額な助成金が私立学校に交付された場合に、私学そのものの自尊心がなくなって、私学が卑屈になってくるのじゃないかと思う。これは将来の私立学校の問題、特に助成、補助と関連いたしまして、きわめて根本的な問題であると私は考えるのであります。この点について大臣はどうお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/136
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137・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 私学に対する考え方といたしましては、私は野本委員と全く同じに考えております。建前といたしましては、まさにその通りであろうというふうに私は考えるのであります。従って私学が常に国の補助を期待するとか、国の補助を当てにして私学を経営していくというような考え方はとらざるところであります。しかしながら、私学を設立いたしましても、その間、あるいは社会経済の状況の変化によりまして、経営が非常に苦しくなってくるという場合もございましょう。あるいはまた事柄によりましては、国としてぜひこの方面のことは伸ばさなくちゃならぬというような必要性を招来する場合もございましょう。さようなときにはそれ相応の国から助成援助の手を伸べるのは適当じゃないか、かように実は考えておる次第でございます。従って御心配もありましたように、何もかもまた国の方でどんどん補助をしていく、あるいは私学の方もそれを当てにしておるというような状態になりますというと、自然国からの私学に対する、言葉は適当でないかもしれませぬけれども、監督といいますか、干渉といいますか、そういうものが大きくならざるを得ないというようになってくる。そこら辺の調和というものをよほど考えつつ助成の問題は進んで参らなければならない。こういう考え方をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/137
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138・松永忠二
○松永忠二君 関連して、今大臣と野本さんからお話のあった点について私はやや見解を異にしているわけなんです。たとえば私どもが話に聞いたところによると、イギリスあたりでは私立の大学へほとんど五割を国庫が支出をしている。しかしその大学の運営とか、そういうものに対しては全然干渉するとか監督するというようなことはやっておらない。一体大学の教育というようなことが営利的に行われるわけはないのです。私学がいわゆる独自的な教育を実現するというような意味でその国家の行うというか、国の行うべき教育の部面を私立大学が分担をしてやっているというようなことからして、国としても現在の経済機構の中でやはり相当な助成というかその責任を分担する必要があるという考えで助成というものは、補助というものはなされていくべきだと私は思うのです。要するに大学へ助成をすれば監督しなければできないというような考え方は、私は私立大学という大学は営利的なものだという考え方の根拠に立っていればそういう議論も成り立つと私は思うわけです。またそういうことでなしに、国の行うべき教育の部面をとにかく分担をしていく、それに対して国家的な責任を果さなければできないという意味で私学の助成とかいうものが行われるとすれば、私はこれは当てにするとか何とかいうより、あるいは出したから監督をする必要があるとかいうようなのではなくて、やはり私立の大学、私立学校というものに対しては国がとにかく教育の一責任を分担してもらうという意味で補助を相当出している、出していったからといってそれだから監督をする必要があるというような考え方ではなしに、やっていくべき性質のものだというふうに私は考えるのであります。そういう点は全くどうも意見が違いますので、私は別に御答弁をいただかなくても自分の臨んでいる場で、そういう話が出たので私はそういう考えを持っていないということを申し述べるだけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/138
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139・野本品吉
○野本品吉君 もう一つ私立学校法によりますというと、学校法人の収益事業というものをお認めになっておるようであります。この学校法人の収益事業というのは、実情を聞きますとそう大したこともやっておらぬようでありますが、今の実情がどんなふうになっておりますか、その点だけをお伺いしたいと思います。それだけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/139
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140・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 私立学校の収益事業でございますけれども、たとえば出版あるいは印刷とか、学生の食堂、そういうふうな事業を行なっているのが主でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/140
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141・岡三郎
○委員長(岡三郎君) ちょっと私から大臣に伺いますが、私立大学の主とした監督といいますか、いろいろな面における指導といいますか、そういったものは管理局でやっているわけなんですが、これを大学学術局系統に一本にするというわけにいかぬでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/141
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142・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) この問題につきましては少し私どもにも検討させていただきたいと思いますので、よく調べまして不合理な点は一つ是正いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/142
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143・岡三郎
○委員長(岡三郎君) それから今いろいろと言われている中において私立大学における生徒の収容人員ですね。これは非常に文科系統が多くて理科系統が少い。これは施設その他に対して私学としては非常に多額な費用がかかるという面も、相当多くの原因があると思うのですが、国としては現在要望されている点は、やはり理工科系の学生を、私立大学においてもしっかりした人たちを多量に修了させ、そうしてそれを社会に出してもらいたいという、こういう要請は非常に強いと思うのですが、そういう面から言うというと、先ほど各委員からも言われているように、これは非常に少額でこれではほんとうに問題にならぬという点はこれは文部大臣もそう思われていると私は思うのですが、やはり全体的な関連は考えても画期的にある程度までこれを推進してやる必要があるというふうな観点にすべての人が立っていると思うので、そのためにはやはり資料といいますか、各大学におけるところのいろいろ検討せられたものを取り寄せるなりして十分今後の立場において、研究設備だけでなくして施設の面についても当然検討されて期待にこたえ得るような補助というものをする必要があるのではないかと思うのですが、これは大臣同感だと思うのですが、その根拠になるものを一つ、どこで作ってもらうか、つまりこれは管理局でやるか、大学学術局でやるのか私はわからないが、そういったものを担当者をきめて一つ御検討をわずらわしたいのですが、この点いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/143
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144・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 先般来科学技術の振興ということについて、私といたしましても何とか現在の状態を打開いたしまして、もっと大きくやりたいという考え方を申し上げているわけでございます。それをやるにつきましても、国立、公立、私立を通じまして現状を明らかにいたしまして、それに基いて一体どういうふうにするかという結論を得なくちゃならないと思います。ただいまお話のごとき調査はもちろん私といたしましてはやりたいと考えております。それをどこでやるかということにつきましては内部の問題でございますが、散漫にならないようにいたしまして周密な計画を立てるように努力して参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/144
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145・岡三郎
○委員長(岡三郎君) それから、これは実行ということになると困難性がありますけれども、公立なり私立でこれから大学を作るという場合において現状においても文科系統の大学は相当あると見ているわけですが、特に日本においては大学が多過ぎるという論も一方においてはあるわけです。そういうことから考えるというと、やはり国として理工科系統の学校というものを積極的に推進するという拠点ですか、そういったものがここにあると私は思うので、公立学校の場合はまた別になりますが、とにかく精力的な御検討をわずらわしたいと、その半面私大を出た者で文科系統の人々は非常に就職に困難を感じておられる。これは社会の要望にこたえられない面もあるのではないかと私は思う。それは私学においては定員というものが果してどれだけ守られておるかということについては、これは全体的に見て不審を持っておる。これはやはり私学の経営というものがなかなかむずかしくて、われわれはなかなか簡単には言い切れない問題もあると思うが、とにかく定員というものをほとんど無視されておるということがやはり一面において私立大学の権威を失墜しているという面も私はあるのじゃないかと思う。ですから、そういうふうな点については、国の補助とあわせて、何も監督するとか何とかいうことよりもそういう点についての自制といいますか、そういうふうな要望というものは私は当然なされなければいかぬと思うのですが、この点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/145
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146・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 御趣旨はまことにごもっともだと思います。仰せのような方角に向って進んで参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/146
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147・岡三郎
○委員長(岡三郎君) それでは本日の質疑はこれにて終りまして、次回に残余の部分についてはお願いしたいと思います。速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/147
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148・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 速記をつけて。本日はこれにて散会いたします。
午後四時三十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X01219570319/148
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