1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年五月六日(月曜日)
午前十一時十九分開会
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委員の異動
五月二日委員三浦義男君辞任につき、
その補欠として西田隆男君を議長にお
いて指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 岡 三郎君
理事
有馬 英二君
野本 品吉君
矢嶋 三義君
常岡 一郎君
委員
川口爲之助君
近藤 鶴代君
左藤 義詮君
関根 久藏君
林田 正治君
林屋亀次郎君
吉田 萬次君
安部 清美君
松澤 靖介君
松永 忠二君
湯山 勇君
国務大臣
文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
国 務 大 臣 大久保留次郎君
政府委員
警察庁長官 石井 榮三君
警察庁警備部長 山口 喜雄君
法務省刑事局長 井本 臺吉君
文部省初等中等
教育局長 内藤誉三郎君
文部省大学学術
局長 緒方 信一君
事務局側
常任委員会専門
員 工楽 英司君
法制局側
法 制 局 長 斎藤 朔郎君
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本日の会議に付した案件
○教育、文化及び学術に関する調査の
件(大分県及び佐賀県における教職
員の人事行政に関する件)
○学校教育法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○市町村立学校職員給与負担法の一部
を改正する法律案(内閣提出、衆議
院送付)
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001・岡三郎
○委員長(岡三郎君) これより文教委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について報告いたします。五月二日、三浦義男君が辞任され、西田隆男君が選任されました。
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002・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 本日の議題は、公報掲載の通りでありますが、議事の進行上、まず大分県及び佐賀県における教職員の人事行政に関する件を議題といたします。質疑のある方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/2
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003・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私は、先般の委員会に引き続きまして、大分県並びに佐賀県の人事行政の件に関しまして、関係大臣に質疑をいたします。
まず、二十五日の当委員会で、私の質疑に対しまして、文部大臣は、大分県の場合には、いろいろ妙な点もあるようであるから、しばらく自分に考える時間を与えていただきたい、十分考慮した上でいかにこれを処理されるか答弁いたしたい、かように答弁を保留されているわけでございますが、その後いろいろと調査をされ、さらに考慮もめぐらされたことと思いますので、本日御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/3
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004・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 大分県の問題につきましては、その後大分県の当局も上京して参りました機会がございましたので、実情もいろいろ事務当局をして調査いたさしたのであります。その結果といたしまして、今日大分県におきましては、関係者の間においていろいろこの問題をめぐって話し合いを行なっておるような段階でございますので、その話し合いの成り行きをしばらく見ておりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/4
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005・矢嶋三義
○矢嶋三義君 大臣の私は私見を伺いますが、部下からいろいろとお聞きになっているでしょうから、事情は大体把握されていると思いますのでお答えを願いたいと思うのですが、私は大分県の場合、円満にこの地公法の二十八条の発動を撤回されるのが一番明快な、あとにしこりの残らない解決法と考えますが、大臣はどういうお考えを持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/5
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006・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 私は事態を紛糾させ、事態を荒立てることを好むものではございません。大分県の問題につきましては、筋の通った円満な解一決の方法があれば、その解決方法に従ってよろしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/6
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007・矢嶋三義
○矢嶋三義君 筋の通ったということはどういうことを意味されるのですか、具体的に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/7
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008・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 筋の通ったと申しますのは、筋の通ったことでございます。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/8
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009・矢嶋三義
○矢嶋三義君 具体的な内容を含んでお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/9
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010・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 大分県の教育委員会が権限ある委員会といたしまして、適法な処分をいたしたのでございますので、これがうやむやになるというようなことはいかがかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/10
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011・矢嶋三義
○矢嶋三義君 法制局長に伺いますが、地公法の二十八条によって、本人の意に反してその公務員の身分を剥奪する場合に、月日をさかのぼってその公務員の身分を剥奪する発令ができるかどうかですね、法的に伺いたいと思います。もう少し申し上げますならば、本人の同意を得て公務員の身分を退く場合、いわゆる依願退職の場合は、話し合いの上で日付をさかのぼって発令するということは慣例上あろうかと思いますが、本人の意に反してその公務員の身分を剥奪する場合、日付をさかのぼって発令することは法的にできるかどうか、一般論として局長の御見解を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/11
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012・斎藤朔郎
○法制局長(斎藤朔郎君) 当委員会で大分県の処分問題がいろいろ取り上げられておりますことは、私は前から承わっておりましたのですが、きょうお答えするのは私初めてでございますので、ただいまの矢嶋委員からの御質問にお答えする前に、その前提として二、三申し述べたいと思います。その点をお許し願いたいと思います。結局その意に反した免職処分を遡及した日付でやった場合の法的の効力問題ということが問題になっておると思うのでございますが、その点は結局は裁判所の司法判断できまるべき問題でございます。私も長年裁判所で仕事をして参りました関係上、裁判所の判断と申しますのは、単純な法的解釈だけでございませんで、自分自身で事実をよく確定いたしまして、具体的の事実関係とからみ合せて、法的の解釈をいたしておりますので、これから私が述べますことが、必ずしも、もしかりにこれが裁判所の問題になった場合に、裁判所の結論と合致するかどうかということは保証の限りでないと思うのでございます。
もう一つお断わりいたしたいことは、言葉の使い方でございますが、これは釈迦に説法でございますけれども、日付をさかのぼらしてやった行政処分の効力という場合、それが違法かどうかというようなことを言われますが、そういう場合の違法という問題と、その行為が有効か無効かという効力問題とは別に考えなければならぬ。法律家の言葉の使い方でございますけれども、法律に違反した行為はすべて違法だ、こういうことは申せると思います。しかし違法な行為が全部無効かといえば必ずしもそうではございません。有効無効の要件もまた別に考えなければならぬ。こういうことを前提としてお答えいたしたいと思います。
日付の問題と申しますことは、これは必ずしも行政処分に限ったことではございませんので、一般の私法上の契約においても問題でございますが、また訴訟法上の行為、たとえば裁判書の日付というようなことも問題になります。ただいま問題になっております行政法上の処分の日付ということも問題になります。こういう日付というものは、一般的に申しまして法律上の行為の方式だと思います。方式に違反した行為がすべてそれじゃ無効かといえば、必ずしもそうは一がいには言い切れませんのでございます。本件の場合は、たしか私が承わっておりますのでは、四月六日に事実上の免職処分をやって、それを三月三十一日にさかのぼらした、こういう事実関係だと伺っておりますが、四月六日にやった行為の日付を三月三十一日にさかのぼらしたということは、私これはやはり違法だと、一般的にいって違法だと思います。しかしそれならばその免職処分は法律上無効かというと、必ずしもそうは言い切れませんので、方式には違反しておりますが、その免職処分が有効か無効かということは、その処分の実体的の要件を考えなければならぬと思いますが、御質問の趣旨からはずれたかもしれませんけれども、結局四月六日に実際の行為をやっておるのでございますから、その四月六日当時に免職処分をすることについての実体的の要件を備えておったかどうかという点が有効無効のきめ手になると思います。ただ御質問の趣旨が、四月六日に実際はやっておきながら、三月三十一日にやるというようなことをしても、三月三十一日当時にはそういう免職処分はなかったじゃないか、そういう意味で三月三十一日の免職処分としては法律上無じゃないかというような意味なので、私はその意味においては、三月三十一日付の処分としては、そういう処分はなかったといわざるを得ないと思いますけれども、四月六日当時を標準として、その処分の有効無効を考えるということはまた別の問題である、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/12
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013・矢嶋三義
○矢嶋三義君 もう一つ法制局長に伺いますが、先般本委員会で参議院の法制局の岸田部長並びに人事院の任用局長の答弁では、両者の統一見解は、免職処分を受けた人の、その免職の効力の発生するのは、その人に書類が届いたそのときから効力が発生するのだ、かように答弁されているのですが、局長、この御見解と同じでございますか。念のため。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/13
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014・斎藤朔郎
○法制局長(斎藤朔郎君) その通りでございます。免職処分が、本人が受領した、到達した、また了知し得べき状態にあったこと、結局到達した時期において効力の発生がきまってくる。私もさように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/14
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015・矢嶋三義
○矢嶋三義君 文部大臣に伺いますが、都道府県教育委員会、あるいは市町村教育委員会において、違法な行政が行われた場合に、これを是正するように文部大臣は指導なり、あるいは地方教育行政の組織及び運営に関する法律四十一条だったと思いますが、に基いて、措置要求等、されますか。それとも違法な行政が行われた場合に、文部大臣として見のがしておられるわけですか。その点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/15
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016・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 明らかに違法な処分をいたしたというようなことがわかりますれば、適当な措置をとりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/16
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017・矢嶋三義
○矢嶋三義君 先般大分県の地公法二十八条の発動があった場合に、大分県の教職員課長が自発的に文部省においでになって、いろいろ報告をされ、打ち合せされたそのときに、木田課長は——所管課長はそれでけっこうだとむしろ激励されるような言動があったということを承わっているわけですが、先般の本委員会において木田課長にその点を確かめましたところ、木田課長としては、大分県の地公法の二十八条の発動の日付は四月六日になっておるものと自分は思っておった。三月三十一日になっておると私は思っていなかった。今初めて聞いたわけだ。かような意味の答弁をされております。この言葉を返しますと、木田課長自身地公法の発動される場合の日付は四月六日でなければならないというお考えでおられたことを物語っておられると思います。この木田課長の見解と、先般本委員会でただしました岸田部長並びに人事院の任用局長、本日念のために法制局の局長の答弁を求めましたが、いずれも日付をさかのぼって発令をすることは違法であるということが、見解が、法解釈が一致しているわけです。それが効力があるかないかということは、ただいま局長が答弁されたように問題があるそうですが、その法的な解釈の質疑応答、追及は、私は一応ここでとめておきますが、少くとも四月六日と決定して、書類を発送し、それが十三名の人に効力を発するのは、それを受け取った八日、あるいは九日であったわけです。いずれも三月三十一日の日付になっておるのですが、その範囲に関する限り、明確にこれは違法なんですね。従って、大臣は何らかのこれに対する措置をされることと思いますが、念のため伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/17
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018・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 詳細のことにつきましては政府委員からお答えいたしたいと思いますが、その問題の効力が一体どこから発生するかということについては、これは議論があろうと思われます。その問題に関する限りにおきましては特にそのことのために格別の措置をとる必要はないではないか、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/18
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019・矢嶋三義
○矢嶋三義君 三月三十一日付にした、そのこと自体が違法ではございませんか。明快ではございませんか……いや、初中局長の答弁は必要でないのです。大臣、あなたは法律家で、りっぱな良識と判断力を持っておられる。先般の委員会へおいでになっておられなかったので私は繰り返しました。任用局長、法制局の岸田部長、それからただいま参議院の法制局長の専門家としての法律解釈がるる述べられたのをお聞きになっておられて、きわめて明快で、少くとも免職辞令書に三月三十一日という日付があるということははっきり違法なんでしょう。従って、そのことについては大臣としては、先ほどの答弁がある以上は、何らかの是正指導なり措置をされるのは当然だと思いますが、これは何も内藤局長に答弁を譲らなくても、大臣で十分私は御判断つくことでございますので、大臣からあらためてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/19
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020・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 私は法律のことはあまり明るくございませんので、政府委員に答弁をさせたいと思っておるわけでございます。その点は一つ御了承を願いたいと思うのであります。
三月、過去にさかのぼって辞令を出すというようなことは私は適当とは思いません。いろいろそのような問題をめぐりまして、今日大分県下において話し合いも行われておるわけでございますので、私はその話し合いの結果をしばらく見て参りたいと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/20
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021・矢嶋三義
○矢嶋三義君 そういう明快な点については、時を移さず指導しなければいかんと思うのですね。私は指導しなければならんと思うのです。そういう適切なる法解釈で、行政運用の指導と助言があれば、地元は早く円満に解決できるわけで、そういう明快な点を放置されていること自体が私はあなた方が怠慢だと思うのです。大臣は適当でないと言ったのですが、そういう言葉でなくて、明らかに法的に違法なんですからね。従って、私は次の措置がとられなければならんと思うのです。大分県の場合は、太田課長の報告を聞きますと、三月三十一日付で解雇したわけですから、労働基準法に基いて三十日前に予告をしていないので、三十日分の平均賃金の金券を同封して通達したと報告しましたね。その三月三十一日にやったことば違法ですからね。四月六日に処分をきめたわけですから、少くとも四月の何日分かの公務員としての身分は保障され、当然その給与というものは支払わなければならんのですね。そして、そのときから三十日分の解雇手当が出なければならんわけですから、そういう点についても是正されなければならん点があるわけです。こういう点について適切なる私は是正指導を早急にされる必要があると思う。そのことがやはり地元において問題を円満に解決するところの一つの要素となるわけですから、その給与の点については局長、私の見解と違いますか、念のために伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/21
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022・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) この問題を円満に解決するように、当の大分県の教育委員会にはいろいろ指導しております。指導の中にはお話のような点も含まれております。結局、まあこの問題は一つは人事委員会にも提訴になっておりますし、一面においては、円満に解決するように双方で話し合ってもおりますので、私どもはなるべく早く両者の意見が一致したいい解決方法が出ることを期待しております。今のお話の点はそういうふうに指導しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/22
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023・矢嶋三義
○矢嶋三義君 さらに、私の調査では、木田課長の見解に百歩譲っても、六日午後六時、地公法二十八条を発動したときには少くとも過員はなかった、三十七人定員よりも少なかったという数字が出ております。にもかかわらず、二十八条が発動されておる、そういう角度からも私はあの発動は穏やかでないと思う。これは皆さんも自分の場合を考えてもらいたいと思うのです。地公法の二十八条あたりで、強権によってその人の身分と生活権を剥奪するということはよほどの場合でなければやってはならぬことだと思う。これは国家公務員、地方公務員に限らず、その点で私は何といっても不用意な点が法の運用にあったわけですから、それらの点については、適正なる指導、助言をして、早く解決するようにされなくてはならないと思う。その点私は先ほども大臣に伺ったのですが、こういう経緯があるのですから、あとのことはともかく、今後の適正な行政に待つとして、ともかく地公法二十八条の発動、これはわが国の教員制度に初めて適用されたことなんで、この発動をこの際撤回されれば、私はあとは非常に円満に問題は処理されていくと思うのです。そこを文部省が非常に激励して、誤まった激励をして、地元を混乱さしておる点はあなた方に私は責任があると思う。この際そういう日付とか、あるいは給与の支払い等について、違法な措置がなされておるし、十分の用意がなかったようだから、事後処理を円満にするために、地公法二十八条をこの際撤回するのがよかろう、こういう内々のあなた方の意向が伝えられれば、私は一瞬にして問題は解決すると思う。ところが、むしろ逆に、文部省の方ではしっかりやれというふうな激励的な態度をとっておるので、県教育委員会としては引くに引かれぬという立場ではないかと私は思うのですが、そういう指導をされてはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/23
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024・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) だいぶ矢嶋委員誤解をされているのじゃないかと思うのです。私どもは決して激励しておりません。それから、この大分県の事情は非常に複雑でございまして、おそらくこの点は矢嶋委員も御存じだと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/24
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025・矢嶋三義
○矢嶋三義君 知っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/25
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026・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 地教委の関係、あるいは県教委の関係、組合との関係、そういう点からこの問題の処理が非常に私は紛糾しておるのじゃないかと思うのです。この間、実は文教委員の方が調停に乗り出して失敗してしまったような事情もございます。しかし私どもできるだけ円満に解決するようにせっかく努力をしております。決して私どもは激励などしておる意味ではなく、一生懸命まとめるように努力しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/26
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027・矢嶋三義
○矢嶋三義君 この二十八条の撤回をこの際示唆されてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/27
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028・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) この問題も、先ほど大臣が申し上げましたように、やはり一つは筋の問題があると思います。ともかく六日現在においては過員であったことは事実のようであります。私どもの調査では、六日現在においてともかく過員だった、この事実はどうも否定できないようなんです、さかのぼる、さかのぼらないの問題は別にいたしまして。そこで、この解決方法として、いろいろお話のように撤回の問題もあるだろうし、あるいは辞表を出すという問題もあるだろうし、双方が筋の通った解決ができれば一番いい、私どもはそれが不可能ではないという気もしているのです。今努力しているところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/28
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029・矢嶋三義
○矢嶋三義君 法制局長に伺いますがね、大体、事件の概要は部長からお聞きになっていらっしゃるでしょう、そこで伺いますがね、この依願退職三百十五人を発令したのですね、その発令は、三月三十一日になっているわけですね。だから三月三十一日の午前零時に三百十五人の人は法的に公務員の身分を喪失しておるわけですね。そこで、大分県の定員からは、三月三十一日の午前零時に三百十五人が落ちるわけですね、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/29
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030・斎藤朔郎
○法制局長(斎藤朔郎君) 実際面の形式的な面から判断いたしましたら、お説の通りだと思います。私、さっきも申し上げましたように、実際の行為は四月の六日でございますね、四月の六日に行われたということになっておりますから、四月六日当時に過員があったかなかったかということで有効無効を判断すべきだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/30
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031・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私は、三月三十一日に発令になったとすれば、そのときに定員からは除外される、従って、四月一日から給与ももらわぬわけですからね。従って、そのときに十分過員がない状態になっているのであるから、それを四月の六日付で二十八条を発動するということは、その面からも私は穏やかでないと、こういう考えですがね、これは反駁の余地がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/31
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032・斎藤朔郎
○法制局長(斎藤朔郎君) 四月六日にやった免職処分の日付を、三月三十一日にさかのぼらすということは、違法な行為である、それが有効無効は別といたしまして、違法な行為だということは、私もさっき申しましたように考えておりますけれども、この四月六日にやった免職処分が有効か無効かということは、この三月三十一日の形式論にとらわれずに、四月六日当時の定員関係を考えて、過員であったかどうかということの判断によってきまる、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/32
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033・矢嶋三義
○矢嶋三義君 実際は六日の午後六時に過員があったというのは、あとからつけた説明であって、十三人に対して二十八条を発動しなければ、整理人員の二百八十七人にならないと思ってやった、あとで、整理してみたところが、各出張所に出ておったものを集計してみたところが、三百二十三人と、数がオーバーしておったというのが実情です。そういうことで私は過員を生じたからというので二十八条の発動というものはできないと思うのです。この二十八条の発動をする場合には、ともかくある日を限って何名過員があるということを自他ともにはっきり確認して、これだけの過員があるからこの条項に照らしてこうするというような法の運用をやらなければ——大分の場合のような形で法の運用をやるということは間違っておると思うのです。法律専門家としてどういう見解を持たれますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/33
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034・斎藤朔郎
○法制局長(斎藤朔郎君) 冒頭にお断わりいたしましたように、事実の認定ということを前提にいたしませんとはっきりした有効無効の結論は出しかねるわけでございます。ある仮定を前提にしてお答えをするわけでございますけれども、四月六日当時に過員があったかなかったかということを判断いたします一つの考え方として私はこういう考え方をしておるわけであります。たとえば四月六日に、発令する当時に、その発令権者、言いかえれば任命権者の手元にどれだけの退職の希望者があったかということがはっきりときまっておりまして、そしてそれにまた何人かの足らずがあったということが今矢嶋委員のおっしゃるように、客観的にだれが見てもそうだという場合ならば、これは過員があったといえると思いますけれども、また逆の場合を考えますと、四月六日当時に退職の希望者の数が実際上は過員どころか整理人員をオーバーしておったということが郵便物の到達その他によって客観的に確定ができて四月六日当時にこれだけの退職希望者があったのだということが任命権者としては知っておるはずなのだ、にもかかわらず過員があるとして何人かをその口付にして免職処分をした、こういうことなら客観的に過員がないのにそういう免職処分をした、こういう事実関係になろうかと思いますが、有効無効はそういう前提事実によることでございまして、裁判所のように自分の心行くまで事実を認定する資料を持っておりません私としては、そのお答えをはっきり申し上げることはいたしかねます。考え方としては私はそういうつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/34
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035・矢嶋三義
○矢嶋三義君 さらに伺いますが、過員があるとかないとかいうのは日単位で、月日の日ですね、日単位で確認すべきもので、何日午前何時あるいは午後何時において過員があったとかないとかいうことは、かような私は法の運用というものはないと思うのです。これはどう思われるのであるか、もう少し具体的に聞きますが、地方公務員の場合には県の教育委員会があって、この出先機関が地方におりますね。その出先機関に退職願が出て向うが受理した場合には、これはもう退職希望者数がこれだけ数があるという中に入るわけですからね、そうでしょう。出先機関で受け付けるわけです。入るわけですから、そのときにこの書類は何月何日何時に受け付けたというかような行政運営をやっておる官庁は私はないと思う。このような官庁は。だから何月何日何時において過員があった云々というそういうことを根拠にして法において有効無効だというそういうこと自体が私は法運用の常識以前は問題だと思うのです。午後六時において過員があったとかないとかいう以上は、平素から書類を受理される場合いつも何時に受理したというスタンプを押すようにしなければならないと思う。その点法学者としてどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/35
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036・斎藤朔郎
○法制局長(斎藤朔郎君) 行政処分をするわけでございますから、行為をするやはり時点ということは必然的に前提になると思いますけれども、その場合にどれだけの過員になるかというような調査については、今矢嶋委員もおっしゃるように慎重に、できるだけそれを正確につかむという調査の方法を講ずることは、そういう行政をやる者としては当然なすべきことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/36
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037・矢嶋三義
○矢嶋三義君 結局問題は文部省の態度にかかると思うのです。それでこの六日の午後六時現在過員だったから云々だというので実はうしろ押しをしておるというのが実態ですよ。激励するとか、していないとか、そんなことはやっておらぬとかいうけれども、実際はそうなんです。それに勇気づけられているのです。これは三百代言ですよ。法律的に考えたら。今の法制局長の見解はわかりましたが、平素から書類を何時受付とかなんとかしておかぬと、四月六日の午後六時にどうだったこうだったというのはおかしな話です。そういう解釈を文部省がそれでけっこうだ、合法だと言って全面的に支持しているなんていうのが新聞記事に出ること自体私はおかしいと思うのだ。これは、だから大分の場合この整理された人がどうだ、こうだとか内容とか、あと大分県の教員定数をどうするかとか、新陳代謝をどうするか、新卒採用をどうするかということは、その問題はその問題で別途考えることとして、この地公法二十八条の、これは公務員にとってはきわめて重要な問題だ。だからこれは僕は取り上げているわけなんですがね、きわめて重要な問題なんだから、初めて適用されたケースなんですからね。しかもいろいろとこういう問題点があるわけなんだから、従って私はこの問題を円満にし、公務員諸君に安んじて職務に専念させるためには、この際この二十八条は一応下げられて、そうして事後処理を適正にされると、かような私は指導をし、助言をするということが最も適切だと、かように考えるわけですが、念のために文部大臣の御答弁を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/37
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038・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 私どもといたしましては大分県の処分について先ほど来お話がありましたが、四月六日の処分それ自体を違法であるとか、無効であるとかいうふうには考えておらないのであります。ただいろいろお話にもあります通りに、大分県の処分をめぐって私ども十分考えなくちゃならぬ点があるということは申し上げましたわけであります。さような問題を一切含めて今日地元においていろいろ話し合いが行われておるわけであります。なるべくすみやかに円満な解決を見るように期待をいたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/38
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039・矢嶋三義
○矢嶋三義君 ちょっと私今お聞きしたの不明確だったので念のために伺いますが、四月六日に決定して免職処分の書状を三月三十一日付で発送した、そのさかのぼって日付をきめたことは違法でないと大臣はお考えになっているということを述べられたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/39
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040・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 私はこの問題につきましては従来こういうふうな取扱いは往々にしてあるのだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/40
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041・矢嶋三義
○矢嶋三義君 初めてのケースです、今までないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/41
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042・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 日付をさかのぼらして発令をするということはあったのでありますので、かような点につきましてはあまり厳密に言うことはどうであろうかと、かように考えておりますが、正確に言えば、あるいは先ほど来お話があったごとく違法であるということを申し上げてもよろしいかと思うのでありますが、必ずしもそう正確にこれを取り扱うべき問題でもない。ただしかし効力の問題ということになりますというと、これは先ほどお話のありました通りに四月六日以前にさかのぼって効力を発生させるということはこれはよろしくないと私は考えておる次第でございます。問題といたしましては四月六日以降の問題としてこれは考えていかなければならないと、さように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/42
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043・矢嶋三義
○矢嶋三義君 三月三十一日にさかのぼって効力を発生さしたことは間違いだ、これは明確に答弁されました。しかし、大臣は先ほど、私は法律専門家でないからあまり詳しく知らないので、というようなことを前提にして答弁されておりましたが、法律専門家の参議院の法制局長が、きわめて明確に、三月三十一日にさかのぼった日付で免職をすることは違法だと言われているのを、あなたが言葉を濁されるということは、私はまことに理解に苦しむのですがね。さかのぼってやられることは往々あったと言われるが、それは依願退職の場合です。私がさっき前提に言ったように、依願退職の場合で、両者の話し合いで一致してそうしてさかのぼってやる場合は慣例としてあるのだ。これは私も認めているし、法制局長も認めておられる。しかし、意に反して、地公法二十八条あたりで免職されたのは戦後初めてですよ、日本の教職員に。いまだかつてないことですよ。そういう、公務員の生活権と身分に関することでしょう、それがさかのぼって日付をつけられたということは、法律的に見て違法だというわけです。この答弁には、法制局長は、専門家として、自分の公務員としての生命をかけておられると思うのですよ。それを、明快に答弁されているのを、あなたがこの席上で、そんなに法の適用を厳密にやらんでいいことだと思うという、こういう感覚の答弁というものは、いやしくも法治国における、国権の最高機関における国務大臣の答弁としては、私は理解に苦しみます。その点に関する限りは、やはり違法であるということを明確に答弁していただかなくちゃ困ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/43
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044・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 非常に精確な法律論でもってのお尋ねでございますが、私は、こういうふうな行政処分をいたすのにつきましては、いろいろ行きがかりというものがあるのでありまして、卒然としてその日に処分をしたものではなくて、いろいろ話し合いをやっているうちに、とうとう話がつかないで処分をしたというような事情もあるわけでありまするので、頭から違法というふうに私はきめつけることはどうかというふうに考えまして申し上げたわけでございまするが、精密に申し上げますればお話の通りだと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/44
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045・矢嶋三義
○矢嶋三義君 大臣はまあずいぶん強情な人ですね。(笑声)しかし、これはみんな聞いたって明快だから、時間がもったいないから私追及しませんがね、おそれ入ったものですわ。そういう感覚でわが国の文教行政を、たとえば教育の中立性云々というような、さらに抽象的な問題を、私はその強情さで狷介にやられたのでは困ると思うのですが、これは明快であるから、もう重ねて時間をかけません。
大分の問題として最後に伺いたい点は、大学局長に伺いますが、この前もこれは私、文部大臣に質問して、文部大臣は答弁を保留されたのですが、所管局長からあらためて明確な答弁を求めます。それは、教育奨学生が卒業後一年以内に教職に就職すると、返還を免除されることになっていますね。一年以内に就職できぬ場合は、二年以内に就職すればいいと、かようになっているわけですね。ところが、最近、二年かかっても、希望をしながらも教職につくことのできない人が多数おるわけですね。大分県の場合は、本年度は新卒が一名も採用できないという状況なんですね。昨年度卒業した学芸学部の卒業生がまだ三、四十人残っているという実情です。これは大分県のケースですが、再建団体においては至るところにこういうケースがあるわけなんです。学生の身になれば、教育奨学金をもらって、そして教職について一生懸命働くとともにその奨学金の返還を免除していただこうと、こういう計画で修学されておったわけです。ところが、卒業されて一年たっても二年たっても、他の方面には就職しないで教職につくべく努力しても、再建計画等によって窓口が締められて就職できない。かような明確な人ですね、この方は教職を希望しておりながら、かような事情で採用することができないという府県の教育委員会等の責任ある証明のあるかような卒業生に対しては、私は奨学金の返還免除の規定を適用するのが適当であり実際的だと思うのですが、局長の御見解いかがでございますか。さようにされるお考えでございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/45
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046・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 今お話のように、いわゆる教育奨学生でございまして、卒業後一年以内にまあ就職をし、これは二年までもう一年延ばすことができますが、しかも二年以上まあ在職をした者は、一部または全部の返還の免除を受けることができます。今お話のことは、その一年以内に就職ができない——まあ二年でございますが、二年以内に就職できない者につきましてはどうするかということでございますが、御承知のように、従来の就職状況は、大体、私、就職できてきたと思います。最近、まあ若干就職がうまくいっていない実情も出ております。三十年度の卒業生、つまり三十一年三月に卒業しました教育学部、学芸学部の卒業生の就職状況は、今日までになってみますと、大体九〇%くらいは就職できているわけです。これはまだ正確な数字は、統計はできておりませんけれども、大体そういう程度ではないかと思います。従いまして、今大分の例をお引きになりましたけれども、まあ二年かかれば今の状態では大体九〇%くらいは就職する。そのうちに教育奨学生が何人いるかという問題でございますが、これは私どもまだよく資料もわかりません、もう少し調べてみなければなりませんが、まあそういう実情をよく一つ検討しました上で考えるべき問題ではないかと存じますが、しかし、現在では、今申しましたように、現在までは大体二年間の猶予でございますから、二年間の期間がございますから、それまでには大体はけておる実情に考えまして、それから、また、これは教育学部、学芸学部の卒業生の就職問題につきましては、需給の関係に照らし合せまして、これをなるべくまあ調整をはかっていくという努力も私ども一面いたしておりますし、しなければならぬと思います。従いまして、今直ちに、二年で就職できない奨学生が非常にたくさん出るというふうには私は考えておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/46
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047・矢嶋三義
○矢嶋三義君 その問題は、数もおそらく少くなりましょうし、日本育英会の運用にも支障を来たすほどのことでもないと私は思うのです。従って、そういう二年間かかって、なおかつ職場が与えられないような人に対してほかような方途を考えてはどうかという立場から伺ったわけです。御研究願いたいと思います。大分の問題についてはこの程度でとどめますが、できるだけ早い機会に本委員会に文部省側はどういう助言と指導をして、いかように円満に解決をしたというような報告を本委員会にしていただくように要請をいたしておきます。
次に佐賀の件について伺いますが、大久保国務大臣並びに石井警察庁長官、法務省の刑事局長、お見えになっておられましょうか。お見えになっておりましたら質疑をいたしますが、まず私は大久保国務大臣から質疑をいたしたいと思います。早急に出席を委員長に要望しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/47
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048・岡三郎
○委員長(岡三郎君) ただいま要請のありました大久保国務大臣、石井警察庁長官、井本法務省刑事局長、山口警察庁警備部長が参っておりますので、質疑を継続してもらいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/48
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049・矢嶋三義
○矢嶋三義君 大久保国務大臣に伺いますが、御承知の佐賀県の教職員組合の問題につきましては関係閣僚の懇談会で法的な統一解釈をなされて、そしてあの事態になったと、かように承わっておりますが、どういう統一解釈をされたのか、警察担当の国務大臣としての答弁を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/49
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050・大久保留次郎
○国務大臣(大久保留次郎君) 関係閣僚が集まって法的解釈をしたというお尋ねでございますが、佐賀県の問題について特に関係閣僚が集まったことはございませんし、従ってまた法律の解釈の問題につきましても会議を開いたことはございません。何かの間違いでないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/50
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051・矢嶋三義
○矢嶋三義君 あなたは閣議中、あるいは閣議の前後において文部大臣とこの件についていろいろと解釈の統一をはかられたではございませんか。文部大臣はあなたとお話されたということを話されているのですが、どういうようなお話をされたのか承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/51
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052・大久保留次郎
○国務大臣(大久保留次郎君) 法律の解釈問題については話したことはございません。ただ佐賀県にこういう問題が起っておるという情報の話し合いはしたことがあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/52
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053・矢嶋三義
○矢嶋三義君 あなたは警察庁長官からどういう報告を受けられておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/53
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054・大久保留次郎
○国務大臣(大久保留次郎君) 長官からは佐賀県に起りました事件のほんとうの概要についての報告は聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/54
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055・矢嶋三義
○矢嶋三義君 その内容を承わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/55
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056・大久保留次郎
○国務大臣(大久保留次郎君) 内容は相当長い話になりますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/56
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057・矢嶋三義
○矢嶋三義君 いや、要点だけでよろしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/57
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058・大久保留次郎
○国務大臣(大久保留次郎君) 佐賀県におきまして三十二年度の予算を編成するに当って緊縮方針をとらなくちゃならぬ、そうして県の財政を立て直ししなくちゃならぬ。そのために教員の方も定数の削減をしなければならない、およそその数が二百五十九名、三月までにこれら過剰の教員の定員を整理する案を立てる、ということになっておったのであります。それに対して佐賀県の、佐教組といいますか——は反対の気勢を示し、ときどき打ち寄ってこれに対処する策を講じておったようであります。そこでいよいよ県会が開会されるころであります。この運動を徹底させる意味において考え出しましたのが休暇の戦術であります。教職員が休暇をとって示威運動といいますか、一種の運動を起して、この問題を阻止したいという考えであります。そこで三月の十四、十五、十六日の三日間を期して教職員の三割、三割、四割、この三日間に全部の教職員が休暇をとって佐賀、唐津の二カ所に集まって反対の決議をして、そうして示威運動をして、県当局の方針を直させるという活動をした。これは争議行為と思われますので、警察官としては慎重な態度をもって臨んで検挙をした。それがために世間から見ればまことに手ぬるかったと思われるかもしれませんが、事件の起りましたのが二月十四日、十五日、十六日、検挙しましたのが四月の二十六日でしたか、二十四日ですか、だいぶ時間が長くかかったのであります。事件は重大と思いましたので、警察官としても非常な慎重を期して、まず材料も間違ってはいかぬというので、各種の材料を綿密に調査したということであります。その結果秩序を保持する意味において必要であると信じましたので、警察当局と協議して検挙を断行した。これが話の大筋の報告であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/58
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059・矢嶋三義
○矢嶋三義君 教育界に警察権を発動するに当っては、基本的にどういう心がけでなければならないか、それに対するあなたの御見解と、また部下にどういう基本的な立場で御指導されておられるか、承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/59
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060・大久保留次郎
○国務大臣(大久保留次郎君) 教育者はいわゆる教育者でありまして、児童の教育に当るばかりでなく、その行為はひいて社会全体に影響を及ぼすのであります。従ってその行動はよほど自重、慎重を要することであると存じます。同時に、私どもがこの方面の検挙するに当りましても、よほど慎重に、自重に、またその影響も那辺に及ぶかという見通しをつけて万全を期せなければ、軽々に検挙すべきものでないということを私は考えております。従って警察官の方面におきましても、おそらくこういう感じは持っておることと信じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/60
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061・矢嶋三義
○矢嶋三義君 二月十四、十五、十六日、わが国において切めてこの公務員の争議行為と考える事件が起ったので、それであなた方の方で捜査に乗り出したと、そうでございますか、そういう立場をとっておられるわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/61
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062・大久保留次郎
○国務大臣(大久保留次郎君) 佐賀県の教組の問題につきましては、従来からも始終警戒だけはしておった次第であります。昨年の暮れ、本年の一月から、多少教員の定数削減問題を中心として、いろいろの行動がありましたので、その点は相当の問題を起すじゃないかという心配のもとに、警察官としてはいろいろな方面から注意をしておったことと存じます。先ほど申した通り、軽々にこれに手を下すべきものでないという考えのもとに自重してやったことと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/62
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063・矢嶋三義
○矢嶋三義君 初めて佐賀県の教組の行動を争議行為と認定する立場をとったと、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/63
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064・大久保留次郎
○国務大臣(大久保留次郎君) 争議行為と認定いたしまして検挙いたしましたのが佐賀県の警察部であります。警察部におきましてはおそらく検察庁と打ち合しての結果、確信を持って当ったことと思うのであります。私どもの方としてはただその結果報告を受けただけでありまして、概要の点においてはわかっておりますけれども、詳細の点にわたりますと現地でなければあるいはわからぬ点があるかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/64
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065・矢嶋三義
○矢嶋三義君 あなたは先ほど、教育界に警察権を発動するに当っては、教育者が学校教育、社会教育の指導者であるだけに、きわめて慎重な態度をとらなければならぬという基本的態度を明快にされました。私は全く同感でございます。その点に関する限り私は大臣に敬意を表します。そうだとすれば、この地公法三十七条の争議行為に該当するという認定をしたのは今度初めてです。しかも捜査、逮捕と、かような検察行動をやられているわけですね。わが国に初めてですよ。これだけの問題であれば、私は大臣に三百も協議せずに、地方報告だけでやるという……、私はあなたの部下はきわめて怠慢である、またあなたを無視している、あなたはロボット化されていると思う。佐賀県警でやられたというのですが、佐賀県警では検察庁に十分実情を報告し、法解釈を十分検討されたというじゃありませんか。これはこの前石井警察庁長官から報告されている。これを新しい解釈を下して、教育界にこれほどの警察権を発動するに当って、あなたの部下があなたに一言も報告せずに、大臣としてのあなたの御見解を求めなかったということは、私はまことにあり得べからざることと思いますが、大臣の御見解いかがでございますか。無視されたような感じいたしませんか。そういうことはあり得ることでしょうか、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/65
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066・大久保留次郎
○国務大臣(大久保留次郎君) さきに申しました通り、大体の情勢の報告は始終承わっておりました。しかし検挙するについても、どうするか、いつやるかということは私は聞きませんでした。従ってロボットといえばロボットかもしれませんが、そういうロボットは私はけっこうでございます。(笑声)私の方針に反しないロボットである以上は、私は喜んでロボットの名前をちょうだいしておきます。しかして、かりに県の人が見えませんでも、私は決しておこりも何もしません。それで私は、私の方針に反しない限りにおいては喜んでおる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/66
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067・矢嶋三義
○矢嶋三義君 大臣、その言葉は取り消していただきたい。重要なこういう問題について、部下があなたに一言も見解を求めずにやられるということは、私は適当でないと思う。少くともこういう事態が起り、こうであるからこういう方針でいきたいと思うが、大臣いかがでしょうか、という程度の打診をせずにやるということは、私は常識的でないと思うんです。しかしあなたのただいま、ロボットならロボットでいいというのは、これは厳粛なるべき本委員会における大臣の私は答弁としては不穏当だと思います。その点だけ取り消していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/67
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068・大久保留次郎
○国務大臣(大久保留次郎君) 私はあなたが言われたからそう言ったんでありまして、あなたの方も一つ取り消していただければけっこうと思います。私はあなたが言わなければロボットという言葉は使わなかった。あなたが使ったから私は使ったのであります。この点は御了解を願います。
それから、そういう問題について相談しなかったのは不都合だと言われますが、全国の警察の一々のできごとを本部に聞いて本部の指揮に従ってやるということは、可能の場合もあるし、不可能の場合もある。また人の性質によって、あるいは中央の意向を聞くこともあるかと思います。あるいは人によって、中央の意向を聞かないでやることもあると思います。一定して必ず中央の指令に服せということは無理だろうと思う。また場合によってはあるいは相談せいということが起るかもしれませんけれども、これは一がいにきめておくことはむずかしいんじゃなかろうか。だから、あなたの言われるのは私は半分はほんとうと、半分はそうでない場合がある、こういうふうに私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/68
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069・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私は時間がかかるからロボットの言葉は言いませんけれども、ロボットという言葉でなくて、あなたが自分は部下に対してロボットでもいいというやけっぱちの言葉は、委員会の発言として穏やかでないということを申し上げた。こういうことをやり取りしていることはもったいないことですから内容的に入りますが、私はただ文部大臣に伺いたいんですが、これだけの問題が起って、これだけの処置をされるに当っては、常識的に考えてあなた方の考え方が悪いとか、そういうことを私は言っているんじゃないんです。ものの運び方を言っているんです。ついては、佐賀県警察から警察庁の見解を求め、法解釈の打ち合せをする。そうすればこれはその所管の大臣に報告をされ、また大臣の意向も打診され、事教育のことであれば、大久保国務大臣みずから認められるように、文部大臣こういうことが起っているが君知っておるか、僕らのところはこういう法解釈をするんだが、大臣の見解はどうか。かような私は行政部内における話し合い、協議というものは当然あるべきだと思う。それがあなた方はなかったと否定している。私は佐賀県の教組に起ったことがいいとか悪いとか、あるいは文部大臣がこの事件についてどういう見解を持って、それは反対とか賛成だとかいうことを私は言っているんじゃない。そういうことを言っているんじゃない。それは次の問題、私はものの運び方を言っている。そういうことで、文部大臣としては遺憾だとも何とも考えないんですか。それだけの手続を踏まれないということは私は行政の動き方としてはまことに手落ちだと思う。いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/69
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070・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 佐賀県の今回の事件に対する文部省の考え方は、これは明瞭であると思います。従来から言ってきておることでありまするし、ことに私の見解は、私ははっきりいたしておると思うのであります。佐賀県の教育委員会が行政処分をいたしました際に、この事実に関する報告は、私は閣議でいたしております。閣僚諸君にも了解を願っておるわけであります。その際においても、私の見解は閣僚諸君には明らかであると私は考えておるのであります。今回の警察の問題につきまして、先ほど大久保委員長も申されましたが、私と大久保委員長との間におきましては、佐賀県の問題についての情報の交換をいたしております。しかしその検挙という問題につきましては、事前におきましては、何らの連絡はございません。また文部当局である私に、検察当局が連絡するはずもないと私は考えております。あとにおいてその話を伺ったのであります。その点はその通りでありますので、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/70
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071・矢嶋三義
○矢嶋三義君 大臣は、検察権の発動というものは事前に容認されておったのですか。またそういう期待を持っておられたのですか。それとも白紙であったのでございますか。念のために伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/71
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072・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 佐賀県の問題につきましては、私も格別な見解は持っておったわではございませんが、しかしかような問題は違法であると、従って刑罰法令に触れるおそれがあるということで、佐賀県の問題についてはございませんけれども、三月の全国一斉早退という問題がありました際には、私はその見解は明瞭にいたしておるつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/72
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073・矢嶋三義
○矢嶋三義君 じゃ、三月の場合はあなたは今申されたわけですが、その場合には、そういう事態は、あったとなかったと、どういうふうな見解を持っておられますか、その点伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/73
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074・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) あったかなかったかということにつきましては、私は明瞭にいたしておりません。地方の報告もさような報告はございません。従いまして、その点についてかれこれ申すことはございません。私は、ただ一般的に、かような行為は法律違反であると、従って刑罰法令に触れるおそれがあるから、十分に一つ注意してほしいということを全国の教職員諸君に向って伝えたつもりでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/74
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075・矢嶋三義
○矢嶋三義君 報告も何もなかったのならば、あなたの通達がきいたのですか、何ですか、そういう事態はなかったということなんでしょう。
大久保国務大臣に伺いますが、二月の十四、十五、十六日に、佐賀で初めて争議行為と認定さるべきものが起ったので、従来は、こういう問題は起らなかったと、そういう事件はなかったが、あの佐賀のは、明確にこの三十七条に違反すると、かような立場で今度定義されたと、こういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/75
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076・大久保留次郎
○国務大臣(大久保留次郎君) 学校の教職員で、いわゆる早退するというような場合とか、あるいは休暇をとるという話は聞かなかった、聞かなかったわけではございませんけれども、この佐賀県に起りました、今回のように、三日間を期してほとんど県下一斉の全教員がきれいに休暇をとって大会に参加したというのは、私は初めてであります。実はどうもこれは容易ならぬことだなという感じを受けました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/76
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077・矢嶋三義
○矢嶋三義君 あなた方と私とは、ここでその前提となるべき見解を非常に異にしているわけで、それはあなた方は違法行為だ、私は違法行為でないという認定のもとに立っているわけで、その点をこれから若干掘り下げて伺って参りたいと思います。
で、まず大久保国務大臣に伺いますが、先ほどあなたは佐教組の問題は争議行為であるというように認定したとおっしゃいましたが、争議行為の定義を、どういうふうにあなたは把握されておりますか、念のために伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/77
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078・大久保留次郎
○国務大臣(大久保留次郎君) 争議行為としては、ある一定の要求貫徹目標がある。たとえば今回のような場合におきましては、教員の数を減ずると、これに反対しようとする目標がある。この目標を貫徹するために、授業の正常な運営を妨げる、たとえば学校教育でしたら、授業ができなくなってしまう、あるいは自習させる、あるいは学校を休む、あるいはその他の行為に出るという工合に、正常な学校の運営ができなくなってしまうというような場合においては、これを争議行為とみなしても差しつかえないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/78
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079・矢嶋三義
○矢嶋三義君 あなたの部下がそういう認定を下されて、検察権を発動されたのですから、さらに私はあなたに伺いますが、学校のこの正常なる運営を阻害するということは、どういう内容のものか、あなたの御見解を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/79
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080・大久保留次郎
○国務大臣(大久保留次郎君) ちょうど今回佐賀県において起りました事件がそれを説明していると思うのであります。すなわち学校の教職員が一斉に休暇をとったために、小学校、中学校において、正常な授業ができなくなった、授業を休んだ、あるいはやむを得ず自習さした、それを聞きつけてPTAが憤慨して、PTAを解散しようとして申し合せをした、あるいはPTAの役員をやめようとしたという工合に、まあPTAは教育の補助機関かもしれませんが、学校の正常な授業ができない、もしくは授業を休む、あるいは自習をさせるというようなことは、明らかに私は学校の正常な運営を害するのじゃないか、こういう解釈をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/80
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081・矢嶋三義
○矢嶋三義君 職員がどういう理由で休んだとかいう、そういうことは、私はちょっとはずします。あとでその点を伺って参ります。許可を得たとか得ないとか、どういう理由で何人休んだとか、休まなかったとか、そういうことは別途の問題ですから、あとに残します。
今私が伺うことは、正常なる運営に支障があったということはどういうことかという点にしぼって、あなた方の御見解を承わりたいと思うのですが、それで私は具体的に伺いますがね、自習をするとか、あるいはプリントで授業をするとか、こういうことは正常な運営を害したと、かように解釈されるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/81
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082・大久保留次郎
○国務大臣(大久保留次郎君) たとえば一つの小学校において、やむを得ない事故のために自習をするとかいう場合は論外であります。もちろん今回佐賀県において起りました、全県の小学校が、教職員が休んだために、実際に授業を正常に行うことができなかったというようなことは、私はこれは正常なる運営を害したものである、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/82
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083・矢嶋三義
○矢嶋三義君 そういうちょっと通俗的な炉辺談話的な解釈は困るのです。(笑声)全県下休んだとか、許可があったとかないとかそういうことははずして、教育の正常なる運営を害するとはどういうことであるかという見解を承わっているわけです。何も教育の運営が正常とか正常でないというのは、県単位とか郡単位とかいうものでなくて、その学校その教室、学級、学年、それが問題なんでね。だから私は具体的に伺ったわけですが、あなたの見解では一つの学校でプリント授業をやる、あるいは合併援業をやる、こういうことは正常なる運営を害したという中に入れてるんですか、入れてないんですか。佐賀の問題を離れて、学校の正常なる運営という点を、今あなたの見解を伺ってるわけですから、その点をそういう立場でお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/83
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084・大久保留次郎
○国務大臣(大久保留次郎君) 小学校の先生は児童教育の責任を持っています、また権限を持っています。同時に学校には校長というものがあるのです。校長というのは教員に対しての監督権を持っております。だからして、いかに教員が教育しようと思っても、校長のやはり監督を受けなくちゃならぬ。で、今あなたの言ったような場合に、校長がなるほどそうならばやむを得ないからやれと言われたらば、それはいいと思う。よせと言うにかかわらずそういうことをやるということになると、私は正常な運営を害したということになると思う。やはり校長の監督権の範囲においてしなければならぬと、こういう解釈を私はとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/84
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085・矢嶋三義
○矢嶋三義君 校長の監督権の外で教員が教育活動をするということはあり得ないことで、そういうことを私は伺っていないわけなんです。何かともかく事情があって、その事情がどんなものかということは、これは別の問題です。ともかく自習をするとか、合併授業をするとか、あるいはプリントで授業をするとか、あるいは遠足をやるとか、映画鑑賞をやるとか、そういうことが正常なる教育の運営を害している部類に入るのか入らぬのか、どういう警察庁としては御見解を持っておられるかということを伺っておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/85
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086・大久保留次郎
○国務大臣(大久保留次郎君) ですから今申しました通り、教員が勝手にやらんで、監督権を有する校長と相談してやりました事柄は、これは私は差しつかえないと思うのです。ところが校長の監督権を無視して勝手にそういうことをしたならば、やはりこれは正常なる運営を妨げたものと、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/86
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087・矢嶋三義
○矢嶋三義君 どうも質疑が進まぬで困るのですがね。校長の監督権があるということは学校教育に書いてある当然のこと、私は監督権がない場合というような立場から、監督権を無視した立場からの議論をしているのじゃないんです。それはそれで別にやります。あなたは佐賀の場合は校長の監督権を無視して教師が行動したという前提に立ってやられているのであって、私はそういう場合を離れて、佐賀の問題を忘れてるんですよ、今。一般論として教育の正常を害するとはどうなんだ、だから今私さっき言った点をあなた方害する部類に入れてるのか入れてないのかということを伺ってる。これは入れないわけですね、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/87
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088・大久保留次郎
○国務大臣(大久保留次郎君) 私はさっき言ったのではっきりしていると思います。教員は教育権を持っているのです。その教育するということは、プリントでやろうと、校外教授しようと、何をやろうとかまわぬけれども、そこには一つの統制のもとにやらなければならぬ。校長があるのです。校長によって監督を受けてやるのですから、校長がなるほどそれならやりなさいと言われると差しつかえない、ところが校長の意思に反してあるいは映画を見に行くとかあるいは散歩するとか、これまでやるということは、私は正常な運営ではないと思います。こういう解釈です。そこを一つはっきり私は申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/88
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089・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それではあなたの考えやすいように質問して続けて参りましょう。校長が黙認した形で許した合併授業、自習あるいはプリントによる授業を展開した、これは正常な運営を阻害しない、こういうあなたは立場をとられているように聞き受けるのですが、そうですね、念のため。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/89
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090・大久保留次郎
○国務大臣(大久保留次郎君) それも、合併授業をやるなり何をやるなり、やはり監督権者の校長と相談してやるならば一向差しつかえない、校長の意思に反してやると、これは正常な運営を害するもの、こういう私は解釈をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/90
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091・矢嶋三義
○矢嶋三義君 そこで佐賀の問題に入りますが、佐賀の場合十四日には三割休み、十五口には三割休暇をとり、十六日四割休暇をとったわけですが、こういう法に基く休暇をとられた先生方は、十分なる学習計画を立てて、そして学校に残られておる先生方と十分連絡の上であるいはプリント授業、あるいは合併授業、あるいは遠足とか、かような学習活動をやったわけですが、それが校長承認の上であれば正常なる運営を害したことにならない、こういうふうにあなたの答弁はなるわけですが、そうですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/91
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092・大久保留次郎
○国務大臣(大久保留次郎君) 校長と相談して、校長がそれならよかろう、そうやってみいと言うなら、私はその範囲においてやったことは正常な運営を害したとは言えぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/92
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093・矢嶋三義
○矢嶋三義君 そこで、質問を続けますが、先般石井長官の本委員会における答弁では、これは湯山委員が主として聞かれたわけですが、校長が許可を与えなかった数、それを述べられましたが、それは不明確で黙認された、そうしてはならないとは言わなかった、許可も与えなかった、そういうケースが非常に多いわけであるが、そういう調査はどうなっておるかということを伺い、あなたに宿題として出しておったのですが、それはその後の調査ではどうなっておりますか、お答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/93
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094・石井榮三
○政府委員(石井榮三君) 前回の当委員会におけるただいま御指摘の宿題と申しますか、湯山委員より御要望のありました点、私どももその後鋭意調査をいたしておるのでございますが、現在なお調査中でありまして、まだ最終的な結論が出ておりません。現在までの調査によりますと、ほとんどの校長さんは、今回の休暇闘争は違法であるから、有給休暇を承認するわけには参らないと、こういうふうに拒否をされておる、こういう報告に接しておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/94
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095・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それはちょっと、そこで一応聞きおいて、関連したことを聞いて参りますが、学校長自体に若干の問題が私はありはしないかと思いますので、若干ここで聞くわけですが、先生方は労働基準法三十九条による有給休暇を求められたわけです。これは私がここで申し上げるまでもなく、有給休暇を請求するときには与えなければならぬとなっているわけですね。主文が与えなければならぬと。これは公務員の権利ですよ。与えなければならぬとなっている。権利ですよ。ただし正常なる運営を云々のときには他のときに与えることができるとなっている。では、もし学校長が、与えなければならぬのにかかわらず与えなかったら、それじゃかわるべき日を必ず校長としては休みを請求した人に指示しなくちゃならぬのですが、それをやっていますか、いませんか、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/95
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096・石井榮三
○政府委員(石井榮三君) 今回の佐賀のケースの場合に、校長さんが有給休暇を請求された先生方に対して拒否をされたと同時に、それではそのかわりの休暇を何月何日に与えるということまで明確に指示されたかどうかは今のところはっきりいたしておりませんが、これはただし書きにありますように、他の時季に与えることができるというだけでありまして、そのときにそれにかわる休暇を何月何日にはっきり約束をしなければならぬというものではないというふうに私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/96
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097・矢嶋三義
○矢嶋三義君 これは法の解釈は、公務員の権利として与えなければならぬということを明確にしてあるのだから、そしてただし——従的になっているのですよ、従って与えなければならぬので、与えなかったらばそれに対していつ休みをとってほしいということをしなければ、公務員の権利侵害じゃありませんか。これは法的に言えばそうですよ。それからさらに学校の正常の運営を阻害するから与えないとすれば、全部の人に与えないということは許されますか。これは他の条項によって、むしろ与えなければならぬのに与えないで全部のものに休暇を与えなかったことは、他の罰則規定が私は法的には適用されるのじゃないかと思いますが、この与えない場合、たとえば一つの学校で三割——それが五人か六人かしりませんが、六人なら六人が要求した場合、二人だけに与えるが、あとのものには与えられぬというならばそれは法にかなうでしょう。しかし全部与えないということは、この労働基準法三十九条の立法精神に反することは明白だと思うのですが、大久保国務大臣の御見解はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/97
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098・大久保留次郎
○国務大臣(大久保留次郎君) それは各校長がどういうわけで許可を与えなかったかということの当時の心境を考えてみなくちゃならぬと思う。その当時の心境を考えてみますると、この三日間の休暇をとる計画が発表になった。県の教育委員会においてはこれをとめようとした。三日の休暇をとるということはいかぬからというのでとめようとした。各地区の教育委員会においてもこれをとめようとした。で、学校長の会議においてもとめるのが正しいという、こういう見解をとっておったのです。従って県の教育委員会、地区の教育委員会、それから学校長会というものが一致して、今やるべきじゃない、休暇をとってこの争議行為に参加するのはいかぬという見解をとっておったから、いわゆる学校の正常の運営を害すると見て私は休暇を許さなかったのだろうと思うのです。従って校長の心境は、主として学校の運営を阻害するという方向に向いておったのだ。で、今罰則云々の話がありましたが、罰則はこれは故意に許さなかった場合でありまして、私はその当時の心境を解釈してみると、決して故意はないと思う、故意はない。故意に許さないというのじゃない。まず学校の運営を阻害するということで頭が一ぱいであった。これを念頭に置いて私は校長というものが休暇を許さなかったと思うのですが、こういう心境を考えてみますると、故意に与えないというのでないのだからして、それをもって私は校長を罰するということは非常な無理がある、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/98
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099・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私は校長並びに校長にそういう命令をした、通知を出した教育委員会の問題があると思うのです。私が今ここで皆さん方に伺っているのは、ああいう二、三、四の休暇がしょっちゅうあっていいとか、望ましい、そういう私は立場をとっているのじゃないのですよ。ただ教育界に警察権、検察権を発動して前古未曾有という逮捕という事情にまで発展していっているわけです。これほどの事態を招来するためには、あなた方がやる以上はとにかく法的に明快でなくちゃならぬという私は法律的な解釈の立場からあなた方と質疑応答をしているわけです。感情論とか、あるいは井戸端会議でやるような常識論、そういうもので私は応対しているわけではないのです。あなたは先ほどから盛んに心境々々言うのですが、こういう言葉自体私は問題だと思う。故意に許さぬ、故意に許さぬのじゃないか、故意に。それは地公法の四十六条によって、教職員は、その勤務条件等について人事委員会または公平委員会に対し、任命権者の措置要求するところの権利がある。それをなさろうと、有給休暇をとって、先生方はする。結果的にはそういう人がたくさん集まって二千人ぐらいになったのでしょう。けれども、そういう措置要求をされることを意識して、そうしてはならぬぞ、それはさせぬぞというので許さなかったのでしょう、あなたの見解で言えば許さなかった。われわれはこんな場合は少くて、僕らの調査では、黙認——まあまあしょうがないわというので、黙認の場合が多いと思うのですよ、僕らの見解では。あなたの見解に譲ったにしても、許されなかった。しかも学校の正常なる運営を害するとはどういうことかということをさっき伺ったわけですが、あなたの見解は大体明確になりましたが、学校の正常な運営を害するから、そういう目的であなたは休みをとることには与えられません、しかし一人、二人なら差しつかえないから許すが、あとは許さぬというなら、これは一応筋は通りましょう。しかし全部の人に対して、学校の正常な運営を害するから君らの権利としての有給休暇を許さぬぞ、そのかわるべき日も指定しないで、それから任命権者に対して措置要求することも許さぬぞ、こういうふうな立場から許可しなかったのだというなら、あなたの言うように明らかに故意に許さなかった。これは法律の問題だと思いますよ。これを指示した県教育委員会は法的にこの罰則規定に該当します。これを反論する余地がございますか。また条例にこういうことがあるでしょうが。職務に専念する義務の特例に関する条例に、職員団体の運営のため特に必要な会合またはその他の業務に参加する場合には便宜を与えなければならぬという条例もあるのじゃありませんか。あの場合佐賀の先生は、法に基き措置要求するために有給休暇を求めて、そうして集会されたのですからね、当然許さなくちゃならぬ。許さぬのならかわるべき日を与えなければならぬ。かりに百歩を譲って、許さぬ場合にも一部は許すが一部は正常な運営を害するから困るということで許さぬというような態度に出なければ、あなたの答弁するような立場でもしやられたとするならば、明らかにこれは公務員が持っているところの請求したときに与えなければならぬというこの権利を侵害したことによって罰則規定が適用される。この私の所論とあなたは意見が違うのだったなら私が納得できるように反論していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/99
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100・大久保留次郎
○国務大臣(大久保留次郎君) なるほど教員は休暇を請求する権利は持っております。それはあなたの言われた通りです。(矢嶋三義君「わかりますよ、それは。」と述ぶ)
しかし、いつ許すかという認定は校長が持っておる。もし正常な運営を害するなら、請求があったからとて直ちに許さなくてもいい、その他の場合において許してもいいという、こういう権限があるのですから、いわゆる校長はこの場合、よく判断して学校の運営を害しない日を選んでやろうとして許さなかったのは、自分の持っておる権限を活用したのであります。これをもって直ちに違法行為と言うことはできません。非常に無理であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/100
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101・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それでは角度を違えますが、学校に教職員が二十人おって、一人休まれるともうそれは正常なる運営を害する、かような解釈に立たれますか。あなたのさっきの答弁では、そういう場合は一人か二人先生が休む、それでは合併授業をやれ、プリント授業をやれ、自習せよ、校長がそういう立場で学校を運営したら、これは正常なる運営を害するという範囲に入らぬということは明確になったのではないですか。さっきのあなたの御答弁で。それならば、正常な運営を害すると認定したら、一部に許して一部に許さぬということなら法的に説が立ちましょう。しかし全部に許さぬということはありますか。全部に許さぬということはありますか。あなたは権利を抑制したことになりませんか。その法解釈をどうされますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/101
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102・大久保留次郎
○国務大臣(大久保留次郎君) もうさきに申した通り、これは繰り返しても出発点が、あなたが言う通り出発点が私は一、致しないのであります。私はさっきはっきり申し上げたように、権限の範囲内においてやったのであるからこれを罰するのは無理である。こういう解釈なんです。あなたはそれでも何とかかんとか言いますけれども、私の解釈はその通りでありますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/102
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103・湯山勇
○湯山勇君 大久保国務大臣に伺いますが、遠足をやるとか、映画による教育をする、そういうことは校長が認めてやれば、これは正常な授業の阻害にはならない、こういう御解釈だったと思うのですが、間違いございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/103
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104・大久保留次郎
○国務大臣(大久保留次郎君) 御承知の通り校長は教員を監督するという責任があるし、権限を持っておりますから、その校長と相談して、あるいは時間割を変更する、あるいは共同授業、あるいは実物教育をするというようなことである程度変更しても差しつかえない。ただ全部が全部これをするということは学校の規制上許されぬと思いますが、その規制の範囲において校長の許された範囲においてするのは一向差しつかえない、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/104
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105・湯山勇
○湯山勇君 そこで佐賀県の場合、たとえば遠足をやる、全校で遠足をやった、あるいは全校で映画の鑑賞をやった、あるいは全校の自治会をやった、こういう事例があげられております。校長が許さないのに子供全部を連れて映画を見に行くとか、子供全部を遠足に連れて行く——これはできないことです。おそらく全校遠足をやった、全校映画鑑賞をやった、あるいは全校自治会をやった、こういう場合には、校長がきょうそれではそうしようじゃないかということになっておると思いますが、そういう校長がきょう遠足にしようというのでやったのは、正常な授業を阻害されていない、こういうことに大久保国務大臣の答弁からは結論が出てくると思いますが、そういうことになりますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/105
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106・大久保留次郎
○国務大臣(大久保留次郎君) 校長が明らかに承認した場合には、私は運用を害したという解釈をするのは無理だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/106
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107・湯山勇
○湯山勇君 よくわかりました。警察庁長官にお尋ねいたします。今の国務大臣の御答弁の通りかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/107
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108・石井榮三
○政府委員(石井榮三君) 学校の授業が平常状態にありまして、遠足を計画するとか、あるいは映画鑑賞会を計画する、むろん校長の指導のもとにそういう計画をされることは、これは私は学校のあり方として当然のことでありまして、いわば広い意味において授業の一部であるということも言えるのではないかと思うのでありますが、今回佐賀の場合に、今湯山委員の御指摘になったような具体的ケースがあったかどうか、私はまだ報告に接しておりませんからわかりませんが、かりにあるとするならば、正規の授業ができないために、やむを得ず映画鑑賞会というようなことに形を変えたということではなかろうかと思うのであります。そうなりますと、これはかりに校長が事情やむを得ないとしましても、これは不本意ながらそういう事態になったことを黙認されたということではなかろうかと思うのでありまして、本来休暇をとって正規の授業を休むということは困るので、有給休暇の申請があったけれどもこれを許可されなかった。にもかかわらず、休暇を申請された先生方は休まれた。といって、生徒児童をそのまま放任しておくわけにはいかないというので、映画鑑賞会にやむを得ず切りかえられたというようなことであるならば、これは決して好ましいことではなかったので、いわば正規の学校授業というものが阻害されたということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/108
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109・湯山勇
○湯山勇君 それじゃ大久保国務大臣にお尋ねいたします。今の遠足に行ったとか、それから学芸会の全校練習会をやったとか、あるいは映画鑑賞をやったというのは、校長に無断で教員が勝手にそういうことをしたのではなくて、おそらくこれらの学校は校長がそれではこうしようと、校長の意思によってやったものだと思います。お調べになれば、多分そういうものが多いと思う。だとすれば、大久保国務大臣のお話によれば、御答弁によれば、それは校長の意思によってやったのだから、正常な授業の阻害にはならない、こういうことになると思います。警察庁長官のお話でいえば、それはいろいろなケースがあって必ずしもそうでない。答弁に食い違いがあると思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/109
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110・大久保留次郎
○国務大臣(大久保留次郎君) 私はとにかく校長の承認したものは原則として運営を害したことにならないという考えが確定しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/110
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111・野本品吉
○野本品吉君 私はこの問題は、先ほど矢嶋委員が言われたように、一個の佐賀の問題として考えずに、教育の正常な状態というのはどういう状態であるかということに関しまして、しっかりした考えを持ちませんというと、将来またこの種の問題の起りましたときに、事態に対する認識、判断、扱い方について、いろいろと混迷を起すであろうと思いますので、私の感じを申し述べながら、当局の御意見を承わりたいと思います。
私は教育が正常であるかどうかということは、受け持ちの先生が子供と絶えず接触、離れておるかついておるかというところに問題がある。教育の正常なる運営ということは、たとえそれが遠足であるにせよ、それが映画鑑賞であるにせよ、そこに先生がおって、そうして子供の、たとえば映画鑑賞ならば、映画館の中における観覧の態度、それをじっと見ておって、大ぜいの人の愉快な映画鑑賞というものを妨げておるかどうかというようなことを見ること自体が実は教育なんだ。また、一緒に見ておって、帰ってきて、あの映画のこの点についてはみんなはどう思う、自分はこう思う、そこでお互いに話し合うということが教育なんでありまして、映画館へ子供を入れたからといって、先生が離れておるということは、正常な教育としての映画鑑賞ではない、私はさように考える。これは遠足においても同様であります。学校の自治会におきましても、子供の自治能力を高めるために、子供の自由な意思、感情の発現をできるだけ自由にさせることは、これは自治能力を高めるという教育の目的からいいまして非常に大切なことでありますけれども、自治会ということは、子供を野放しにするということじゃない。彼らの会議に臨む態度はどうであるか、自分の意見の主張の仕方がどうであるか、反対論にどれだけ謙虚に耳を傾けているか、そういうことを見ることによって、その後における会議に対する指導をすること、これが教育である。私は正常なる教育の原則というものは、それがどういう形においても、その子供に全生命を打ち込んでいる先生が子供とともにあること、また、先生に全幅の信頼を捧げて先生の指導を受けようとする子供が、いつも教師のひざ元にある、ここに教育が正常な形において行われる原則がなければならぬ、こう思う。先ほど来のいろいろな質問を伺っておりまして、私の教育の正常なる運営というのはどういうことであるかということの原則に対する考え方とは、一応違っております質疑応答があったように思うのでありますが、私は、私のただいま申しましたような、そういう状態が教育の正常なる状態である。従って、その状態が著しくくずれた場合には、教育の正常なる状態であるとは私には考えられない。先生がやむを得ず用事があってお休みになる、病気になってお休みになる、そのこと自体は、学級にとりましては、やはり正常なる教育が行われるのじゃない。本質的に私は正常なる教育とは、学校運営とはいかなるものであるかということをかように考えたいと思うのですが、この点に関しまして、私は文部大臣その他の関係の方の御所見を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/111
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112・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) ただいま野本委員からお話しのように、学校の正常なる運営という点については、いろいろと問題があります。特にお話しのように、教師が児童と離れているということは、確かに一つの正常な運営を阻害していると思うのであります。ただ、私どもは、学校教育法あるいは施行規則に基いて学校の授業計画というものが行われておりまして、これに対して教育委員会及び校長の線でいろいろと指揮監督が行われているのであります。その双方の線が乱れない限りにおいては、正常なる授業が行われているわけであります。ただいまのように、事後処置において校長がやむを得ず承認せざるを得なかった、こういうものは、私どもは正常な運営とは考えていないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/112
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113・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/113
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114・岡三郎
○委員長(岡三郎君) それでは速記を始めて。
いまだ質疑も尽きませんが、時間も相当経過しておりまするので、暫時休憩いたします。
午後一時十六分休憩
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午後二時三十六分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/114
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115・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 前に引き続き会議を開きます。順次質疑を続行いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/115
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116・矢嶋三義
○矢嶋三義君 もうしばらく質疑さしていただきたいと思います。精力的にやりますからお許しいただきたいと思います。
午前中、学校の正常なる運営についてかなり突っ込んでお伺いいたしましたゆえんは、このたび検察権の発動になりました大きな二つの理由は、一つには任命権者あるいは監督者である校長の許可を得ないで云々というこの条件と、それからもう一つは学校の正常なる運営を阻害したそのことが三十七条違反である、かような立場に当局は立たれておりますので、その半面であるところの学校の正常なる運営に支障を与えるということはどういうことであるかという立場からまあ伺ったわけでございます。その質疑の過程において関連質問として野本議員の見解が表明されました。私はここで討論するのでございませんから触れませんが、私が伺ったところは、正常なる運営に支障を与える、従って法違反だと、この罰則条項を適用する現状下において教育の正常なる運営に支障を来たすのはいかなることと規定すべきかということが重大であるので、その立場から伺ったわけです。まあ野本議員のような教育学的な立場からの定義の仕方もございましょう。しかしもしそれを認めるとすれば、今のわが国の中学校並びに小学校の義務教育界はほとんど連日、あらゆる地域にこの正常な教育が行われていないということになってくると思う。それは初中局長の答弁にもちょっと出ていましたが、学校の収容数からいきましても、また定員が少いためにいろいろな会合とか、あるいは教職員が事故で休まれるというような、教師が生徒のそばについておられないような教育実態というものはあらゆるときに、あらゆる地域にあるわけでありまして、そのこと自体については、また新たなる角度から国の責任または文教行政の最高の立場にある文部大臣の責任というものが新たに出てくるかと思いますが、私はその立場から伺ったのでなくて、わが国の現実の教育の実態下において罰則条項を適用する場合の正常なる運営の支障とはいかに規定するかという立場から伺ったわけでございまして、なお尋ねたい点がございますけれども、私の承服できない点がございますけれども、委員長の御要望もありますので、この点はこれにとどめまして、次の数点について精力的に伺いたいと思いますから、御答弁もそれに沿ってしていただきたいと思います。
で、大久保国務大臣に伺いますが、具体的に伺います。二月六日に、佐賀県の高等学校教職員組合が、佐教組と同じ目的をもって佐賀市に全県下の高等学校の先生が集会をされておりますが、このことは正常なる学校運営に支障はなかったと、こういう立場に立っておられるのか、それとも別の見解を持っておられるのか、それを承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/116
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117・大久保留次郎
○国務大臣(大久保留次郎君) その話は私聞いておりませんので答弁するだけの材料を持ち合せてございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/117
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118・矢嶋三義
○矢嶋三義君 文部大臣は、そういう集会を持たれたということを承知しておりますか、おりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/118
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119・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 詳細のことは承知いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/119
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120・矢嶋三義
○矢嶋三義君 やや具体的に伺います。二月六日午後一時に、佐賀市に全県下の高等学校の先生が集まられて、再建計画によっては佐賀県の教育水準は守れない、従ってこの再建計画を佐賀県の教育が守れるように修正してほしいという意味の決議をし、またそれを関係当局に要望する集会を持たれているわけですが、これは学校の正常なる運営に支障を与えたと文部大臣は考えられるのか、それともそうでないとお考えになられるか、大臣に見解を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/120
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121・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) いかなる状態のもとに集会いたしましたか、詳細の事情をつまびらかにいたさないのでありますが、これが学校長ないしは教育委員会の意向に反して、ほしいままに集会し、その結果といたしまして、学校の当然規定せられておりますところの計画に支障を来たしたというようなことでありまするならば問題であろうと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/121
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122・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私は具体的に伺いますから具体的にお答え願いたいと思うのです、抽象論では質問が進んで参りませんから。
具体的に伺いますが、ある県といたしましょう、ある県で学校長の了承を得て全県下の先生がその県庁の所在地に午後一時に集まって、先ほども申し上げましたような会合を持つと、午後一時に集まるんですね、その場合と、それから学校長の了承を得ずに全県下の先生が県庁の所在地に午後一時に集まって集会を持つと、この前者と後者の場合、いずれも学校の正常なる運営に支障を与えたと解釈するのか、それとも、いずれも与えないと解釈するのか、それとも前者と後者によって異なる見解を持たれるのか、文部大臣の判断を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/122
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123・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 具体的にという問題でございますが、御質問がまことに抽象的であるように私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/123
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124・矢嶋三義
○矢嶋三義君 抽象的じゃないでしょう。時間が示してあり、県庁所在地という場所まで示してある、全部要素そろっておりますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/124
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125・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) きわめて抽象的な御質問と私は受け取るのであります。そういうふうなことでありますが、ただいまのお尋ねになりましたような場合におきまして、学校長が十分判断した上で、そうして休みをとっていくことを認めたという場合と、そういうことは困ると言った場合とではよほど違うかと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/125
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126・矢嶋三義
○矢嶋三義君 警察権を発動する最高の責任者である大久保国務大臣の御見解はいかがでございますか。今のも私の質問した場合に幾つかの要素をあげましたが、それだけそろえば判断するのには十分だと思うのですが、どういう御見解を持っていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/126
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127・大久保留次郎
○国務大臣(大久保留次郎君) 校長が正当の権限内において、正当の判断に基いて承諾した場合はある程度は認めなければならぬと思いますが、校長が拒否した場合において集まった場合は、これは違法の行為になりやすいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/127
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128・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それであなた方の御見解は一応わかりました。それは、正常なる運営に支障を与えるか与えないか、その認定には校長が許可を与えるか与えないかということが非常に重要な認定条件、要素になるという立場に立たれておるということが明らかになったわけですが、私は重ねてさらに掘り下げて伺いたいことは、たとえば全県下の先生が、佐賀の高等学校の場合、午後一時に高等学校の先生が集まられて、あるいは一部短縮授業があったかもしれません。それはもし正常なる運営に支障がないとしたならば、三割の先生が学習計画を立てて、そして残留の先生と十分協議打ち合せをされて、残った七割の先生が平素にも増して生徒指導に携わる、かような学習実態というものは正常なる運営に支障がなかったということになると、もし先ほどの前者が支障があったということになれば後者もまた支障になったというような解釈ができるでしょう。私はいずれもこれは正常なる運営には支障はなかったと、罰則の条項を適用するような、かような事態ではなかったということの認定をするのが私は妥当だと思う。その証拠には、二月の六日午後一時、佐賀県下の高等学校の先生が全部集まって、こういう大会を持たれたときに教育長は激励に行っておる。この激励に出ておるということは、教育長はその集会は違法でない、正常なる教育の運営には支障がないという認定に立たれたのだと思うのですね。教育長みずから激励演説をぶっておる。佐賀県のこの再建計画では佐賀県の教育は守れない、皆さんしっかり一緒にやりましょうと演説をやっておる。その教育長が今度は、佐教組の方が学習計画を立てて三割の先生方が有給休暇をとられた、それを正常なる運営を害したといって行政処分にするということは、これは私は非常に矛盾があると思うのです。文部大臣並びに大久保国務大臣はそうお考えになりませんか、御見解を承わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/128
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129・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 学校の正常な運営と申しますることは、場合によっていろいろ解釈の仕方もあろうと思うのでありますが、ただいま問題となっておりますような案件のもとにおきましては、私はその学校では毎日毎日の授業計画というものはさまっておると思うのです。そのきまっておる計画がほしいままに変更せられるということになりますれば、これは学校の正常なる運営を阻害するものと私は考える。ただその場合に学校の監督者と申しますか教育委員会等の間におきまして、当日はこうするとか、ああするというふうな考えのもとにこれが変更せられるということになりますれば、これをとがめだてするわけには参らない。当初の計画から申しますると変更はありましても、これを直ちに学校の正常なる運営を阻害するものとして罰則を適用するというような事態ではないと考えておる。しかしながらそうでなくして、学校の先生方がどういう計画を立てられたか存じませんけれども、その権限のある者たちの認めないままに、ほしいままにさような行動をとられるということになりますれば、これは明らかに学校の正常なる運営を阻害するものと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/129
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130・大久保留次郎
○国務大臣(大久保留次郎君) 高等学校の場合は私は具体的に知りませんが、佐賀県の今回の小学校、中学校の場合、これは許可をとって集まった、と言われるが、許可をとって集まったのではないのです。許可をしなかったのです。許可をしなかったのにかかわらず、全県下の教員が集まったというところが問題なんです。そこをあなたはどう思いますか。これはあなたと考えが違っておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/130
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131・矢嶋三義
○矢嶋三義君 許可を受けたのと、それから許可を受けないのと、それから黙認になっておるのといろいろな内容があるわけなんだが、そういう点については先般来本委員会で警察庁の方々にお伺いしているわけですが明快な答弁がないわけです。私が今伺っているのは佐賀県の教育庁の態度に理解しがたきものがあるからお伺いしておるわけです。これはあなたがたに伺っても明快にならないので、いずれ私は佐賀県の教育長にぜひこの本委員会においで願っていろいろこの問題を解明する機会を委員長において与えられるよう私はあらためて要望いたします。ということは、先ほど私もちょっと伺ったように、十一名の行政処分を委員会できめた、これの起案者は教育長ですよ。その教育長みずからがこの二月六日の高等学校の集会には行って激励演説をぶたれているわけなんです。そこで教育の正常なる運営云々ということについて、どういうお考えを持っておられるのか、その規定が明確でない、非常に不明確だと思うのです。この点は先ほどから大久保国務大臣にお伺いしても明確になったわけではない。しかし大久保国務大臣としては結局教育長の許可があるかないかによってすべてを判断される、こういうまあ御見解で、その点に関する限りは明確になったと思うのですが、残る佐教組の問題は果してはっきりと明確に許可が与えられなかったのかどうか。それからまた、それと労働基準法の有給休暇を与えられる公務員の権利と、それからその許可しなかった状況を午前中まあ伺いましたが、それがどうであったかということが私は罰則条項適用に該当するものかしないものかということを認定する重要な要素になると思う。それらの点については私の納得するような御説明をいただけない点を非常に遺憾に思います。
で、次に福岡県教組の前委員長の久保田君と、それから前執行委員の渡辺君を警察は逮捕取り調べておるようですが、それはどういうふうでやられておるのか伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/131
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132・石井榮三
○政府委員(石井榮三君) 福岡県の教組の前執行委員長の久保田、前情宣部長の渡辺さん、このお二人は今般の佐賀の二月十四日から十六日の、問題の休暇闘争の際に佐賀県下の小中学校を巡回し、教職員に対して争議行為である休暇闘争に参加するようにあおりそそのかしておられる向きがある、今回さきに逮捕になりました佐賀県教組の方々の取調べの段階において明らかになりましたので、地方公務員法第六十一条第四号違反の疑いで逮捕したのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/132
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133・矢嶋三義
○矢嶋三義君 逮捕しなければならぬ理由はどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/133
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134・石井榮三
○政府委員(石井榮三君) 当初任意出頭を求めて佐賀県警察におきましては取調べを開始したようでございます。その後取調べの状況にかんがみまして強制捜査を必要とすることになったように報告がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/134
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135・矢嶋三義
○矢嶋三義君 取調べの状況によって云々ということはどういうことが予想されるわけですか、逮捕条件としてどういうことが予想されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/135
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136・石井榮三
○政府委員(石井榮三君) 通報によりまして証拠隠滅をせられるおそれがあるという理由だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/136
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137・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私は久保田、それから渡辺両君が皆さん方が今申されるような、また解釈されておるような行動をとられたかどうかということをつぶさに承知しておりませんが、もし久保田君並びに渡辺君が友誼団体である佐教組に行って、あなた方は有給休暇が与えられるところの権利がある、で学校長に有給休暇を願って、申し出て、そうして、なるほど佐賀の再建計画は無理だからそれに対する措置要求をされる集会に行かれることはけっこうでしょう、かような言動をされた場合、これは何ですか、取調べまたは逮捕の条件がそろったことになりますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/137
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138・石井榮三
○政府委員(石井榮三君) たびたびこの点につきましては御議論のありますように、今回の佐賀県の事案につきましては、有給休暇を申請をされましたけれども承認にならなかったのであります。にもかかわらず、あえて休暇をとられて闘争に参加をされた、こういう事案なのであります。そうした事案であることを福岡県の先ほど言いました久保田、渡辺両氏も十分その間の事情というものは御承知のはずでございます。正規の承認のない休暇のままでそうした闘争に参加することが違法であることを、違法の認識があったかどうかという点は別としてそういう事態であることは御承知のはずであります。それをあおりそそのかしたということは地方公務員法の規定に該当するものである、こういうふうに佐賀県警察では見ているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/138
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139・矢嶋三義
○矢嶋三義君 もう一ぺん伺いますが、明確でないのですね、久保田、渡辺君がこの有給休暇をあなた方はとれるようになっているのだ、学校長に請求して、こういう集まりに行って、そして状況も聞き、措置要求されることは、これは許されている事柄だ、こういうような説明をしたからといって、私はちっとも法にはかからないと思う。これはどうですか、その点を一応そこで答弁求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/139
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140・石井榮三
○政府委員(石井榮三君) 先ほど申し上げましたように、今回の佐賀県の事案については、福岡県の両君は事情を十分御承知の上で、そういう行動に出られたのでありますので、遺憾ながら地方公務員法第六十一条の違反になったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/140
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141・矢嶋三義
○矢嶋三義君 そうすると何ですね、あなた方はこういう立場に立っているわけですね。久保田君並びに渡辺君は学校長、教育委員会が許さぬでも君ら振り切ってやれというように誘った、そそのかしたと、こういう前提に立たれているように私は聞き取れます、休みは取れるのですから休みを取って、校長さんに休みをもらって、あなた方は行く権利があるのだ、こういうことはどうして違法になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/141
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142・石井榮三
○政府委員(石井榮三君) 佐賀県教委、地教委、またそれらの指示のもとに各学校の校長さんもすべて今回のこの二月十四日からの三日間のいわゆる休暇闘争の計画に対して、それは違法であるから休暇を承認するわけにはいかない、注意をするようにということを再三勧告をされておるのでございます。そうした事情を十分御承知の上で、このいわゆる争議行為である休暇闘争に参加するようにあおり、そそのかすということは、地方公務員法第六十一条違反になるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/142
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143・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それならもう一回聞きます。佐賀県教育委員会としては許可しないということを、かりに知っておって、そして先生方に県教育委員会は許可しないということは新聞に出ているが、あなた方の監督をしているのは学校長で、学校運営の責任は校長が持っているのだから、だから校長さんに有給休暇の許可をいただいて、そしておやりになることは違法にはならない、かようにかりに先生方にお話したという場合に、それ違法になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/143
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144・石井榮三
○政府委員(石井榮三君) 正規の手続をとられ休暇が許可になって、そうした大会に参加されるようにということを勧奨されることは、これは違法にはならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/144
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145・矢嶋三義
○矢嶋三義君 従って私はこの久保田、渡辺君のこの態度というものはそういうところに私はあったと思うのですよ、これは新聞で教員の方々は知っておったかもしれない、しかし、違法行為を皆さんやりなさいということを言うはずないですよ、校長さんの許しを得て有給休暇というのは権利だから願いを出して、そして参加しなさい、したらいいでしょう、それは違法になりませんよ、と言ったからといって、その法に抵触するものではないと思う。この点少し警察権を乱用し過ぎているきらいが私はあると思うのですが、大久保国務大臣、御所見いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/145
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146・大久保留次郎
○国務大臣(大久保留次郎君) 私は一体ほんとうの取調べ中のことを、そういった、こういったとつかまえてここで論議するのはなるべく避けたいと思うのですよ。まだ調べ中で決定にならぬのをそういったんだろう、こういったんだろう、片言隻句をつかまえてやるということは私は少しどうかと思っております。私は警察当局としては、ことに佐賀県の警察としては二カ月以上費して、念に念を入れて調査した事柄でありますし、それに関連する関係者が出てきた、これは私ども予想しなかったのです、しかし調査の結果そうなってきた、その被告が——被告といいますか、勾留された二人の人がどう言ったか、こう言ったか、これがどっちがどうだという議論をするのは私は少し出過ぎているような感じがいたします。これは私どもとしては、警察としては正しいことをやっているということを申し上げるだけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/146
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147・矢嶋三義
○矢嶋三義君 これは行き過ぎていないです。これは三権分立の裁判過程になっておればここではやりません。しかし行政府の段階にあるわけですから、しかもこういう条項の適用というものはこの法律ができてから初めてであり、しかも教育関係に四十二カ所の捜索が行われ、合計十二名の逮捕状まで執行されて、しかも検事勾留に対しては裁判所はそれを却下した、その却下したのに対して準抗告まで検察当局はとられて、そうして逮捕してやられている。しかも友誼団体に対して、他県からお見舞に行かれたそういう方々まで取り調べるのみならず、逮捕状まで執行されてこれほどの事態になっておれば、あなた方から私たちが一言聞いてすぐ納得できるような説明があれば下りましょう。しかし先般来からの委員会で伺っておりますと、明確な答弁がない、これは私は人権を守る意味からも、また日本の教育界のために毛黙視するわけにはいかない。あなた方はそれは警察権を持っておりましょう、だからだれでも疑いがあるからと言って、極端に言えばだれでもつかまえられますよ、疑いがあるから、そうしてあとは疑いが晴れたから釈放したとすましていられる。しかし、私は警察権というのはそういうものではないと思うのです。しかも、先ほどから申しておりますように、これが初適用であり、しかも教育界にこれだけの前古未曾有の事態の起っている以上はやはり問題が明確でなくちゃならない。で、先般来から何でしょう、許可を受けた、受けないとかというようなことにつきましても、あるいは学校の正常な運営についての法律的な解釈面から言っても私たちの納得できるような説明がないわけです。従って、私はやや警察権の乱用のそしりを免れないのじゃないか、かように私はこの見解を持っているから、事行政府に関することだから立法府として取り上げているわけです。私は決して出過ぎたことだとは考えません。その証拠には、九州のどの新聞を見ましても、佐賀の新聞自体も、この先生方の三、三、四割は遺憾なことであったが、警察権の発動と、その後の関与の仕方というものは少し穏やかでない、こういうあの保守的な佐賀県ですら、こういう県民の世論がほうはいとして起っているじゃございませんか。従ってその角度から伺っているわけでございます、取り上げているわけで、念のために私の立場を明確にいたしておくわけであります。
石井長官に伺いますが、現在のところ勾留されている人員は何人になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/147
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148・石井榮三
○政府委員(石井榮三君) 先月二十四日に検挙になりました佐賀県教組の関係の方で、現在まだ検事勾留中の者は二人でございます。それから先ほどお話の出ました、その後新たに検挙になりました福岡県関係の二人、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/148
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149・矢嶋三義
○矢嶋三義君 大久保国務大臣に伺いますが、私は、先般も石井長官に申し上げたんですが、佐賀の関係者は合法と信じてやっているわけなんですよ。従って秘密集会もなかった、秘密書類というものもないんです。私は逮捕の理由がわからないわけです。あなた方は必要とあって逮捕されているんでしょうが、福岡県関係の二人は、まだ警察の手にあるのだと思いますが、残る佐賀の二人は検察庁の方に回されているわけですが、これを一日も早く釈放されて、任意捜査の形態をとるべきであるということと、それから佐賀県の警察は、この前、皆さん方に要望しておいたにかかわらず、学校にお入りになったり、それからずいぶんと校長、教員を警察に呼んで調べておられますが、その調べ方が、たとえば今の組合運動をどう思うかとか、あるいは組合の幹部に対してどんな見解を持っているかとか、かようなことまで調べております。先生、特に女先生なんかは、警察に呼ばれて警官の前に立たされただけで、それは全く上ってしまってふるえ上るんですよ。そういう人々を取り調べるに当っては、よほど私は慎重な態度をとっていただかなければならぬと思うのですが、組合運動のあり方とか、幹部に対してどういう考えを持っているかというのは、組合運動に対する不当介入になると思うのです。かような取調べというものは、あなた方の当面の問題に対する取調べの限界を私は逸脱していると思うのですが、どういう御見解を持っておられるか。私はその取調べ方については佐賀県県警の方に適当なる指導指示を与えていただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/149
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150・石井榮三
○政府委員(石井榮三君) ただいま御指摘の点、私も実は現地の方から、詳しいそうした点についての報告に接しておりませんので、どういう必要があって、どういうことを関係者から聞き取っておりますか、承知をいたしておりませんが、ただいま御例示になりましたようなことは、確かに考え方によっては、警察の本来の捜査に、直接果して必要があるのかどうかというような点、疑問の点もあるように思いますので、御趣旨は十分わかりましたので、現地の警察の方には十分注意を喚起しまして、行き過ぎのないように、捜査のため必要な最小限度にとどめて、参考の方々からいろいろ事情を伺う、こういうふうにするように、重ねて注意を喚起したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/150
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151・岡三郎
○委員長(岡三郎君) ちょっと速記をとめて下さい。
午後三時十五分速記中止
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午後三時五十三分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/151
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152・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 速記を起して。
暫時休憩します。
午後三時五十四分休憩
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午後五時三十分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/152
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153・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
大分並びに佐賀に関する問題についての矢嶋委員からの参考人を呼ぶことの提案については、それぞれ御協議をいただいたわけですが、本日結論を得るに至りません。従って、明日までさらに検討を加えるということにして、この問題については一応ここでとどめます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/153
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154・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 次に、学校教育法の一部を改正する法律案及び市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
まず、政府から提案理由の説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/154
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155・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 今回政府から提出いたしました学校教育法の一部を改正する法律案につきまして、まずその提案の理由及び内容の概略を御説明申し上げます。
昭和二十二年学校教育法が制定されまして、精神薄弱、身体不自由その他心身に故障のある子女のために養護学校の制度が設けられることとなったのでありますが、御承知の通り、その義務制は、いまだ実施されるに至っておりません。
もとより、政府といたしましては、義務制の実施を目標として、従来努力いたしておるところでありますが、去る第二十四回国会において、「盲学校、ろう学校及び養護学校への就学奨励に関する法律」の一部が改正されまして、養護学校に就学する児童、生徒についてもこの法律による就学奨励のための措置が講ぜられることとなり、さらには、「公立養護学校整備特別措置法」が制定されまして、公立養護学校の建物の建築、教職員の給与等に要する経費の負担について特別措置が講ぜられることとなったことなどによりまして、養護学校の整備は一そう促進される機運となって参ったのであります。
一方、養護学校に子女を就学させる場合におきましては、これをその保護者の立場から考えますと、就学義務を履行しているものと同様の事情にありながら、就学義務の猶予または免除を受けて就学させておるのであります。この点から、養護学校における就学につきましては、小・中学校に就学させる場合と同様の取扱いが強く要望されてきたのであります。
これらの事情を考慮いたしまして、政府は今回義務制実施までの暫定措置として、養護学校における就学を就学義務の履行とみなすことにより、養護学校への就学を容易にすることとし、このための規定を学校教育法に設けることとした次第であります。
次に、市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概略を御説明申し上げます。
現在、市町村立の小学校、中学校、盲学校、ろう学校等の教職員につきましては、「市町村立学校職員給与負担法」により、その給料その他の給与を都道府県が負担いたしております。一方、市町村立の養護学校の教職員につきましては、去る第二十四回国会において成立いたしました「公立養護学校整備特別措置法」によりまして、昭和三十二年度から、給料その他の給与を同様に都道府県が負担することとなりました。
しかるに、現行の「市町村立学校職員給与負担法」第一条及び第二条に規定する教職員につきましては、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」並びに「地方自治法の一部を改正する法律」によりまして、その任免その他の進退を都道府県の教育委員会が行うこととなり、また、退職年金等の基礎となる在職期間の通算に関する措置が講ぜられることとなったのであります。
従いまして、今後養護学校の整備を一そう促進いたすためには、市町村立の養護学校の教職員の身分取扱い等につきましては、市町村立の盲学校、ろう学校の教職員と同様に措置することが適当と考えられるのであります。
この法律案は、以上の趣旨によりまして、市町村立の養護学校の教職員を「市町村立学校職員給与負担法」第一条に規定する教職員とするとともに、関係法律の整備を行なったものであります。
以上がただいま議題となりました両法案の理由及び内容の概略でございます。何とぞ十分御審議の上、御賛成下さるようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/155
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156・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 本案に対する質疑は後日に譲ります。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/156
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157・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 速記を始めて。
本日はこれにて散会いたします。
午後五時三十八分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02519570506/157
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