1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年五月十三日(月曜日)
午前十一時四十九分開会
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委員の異動
五月九日委員野本品吉君辞任につき、
その補欠として谷口弥三郎君を議長に
おいて指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 岡 三郎君
理事
有馬 英二君
林田 正治君
矢嶋 三義君
常岡 一郎君
委員
関根 久藏君
谷口弥三郎君
吉田 萬次君
安部 清美君
高田なほ子君
松澤 靖介君
松永 忠二君
湯山 勇君
加賀山之雄君
衆議院議員
永山 忠則君
小牧 次生君
国務大臣
文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
政府委員
文部省初等中等
教育局長 内藤誉三郎君
文部省管理局長 小林 行雄君
事務局側
常任委員会専門
員 工樂 英司君
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本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選
○国立及び公立の学校の事務職員の休
職の特例に関する法律案(衆議院提
出)
○市町村立学校職員給与負担法の一部
を改正する法律案(内閣提出、衆議
院送付)
○学校教育法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○教育、文化及び学術に関する調査の
件
(盲聾学校の幼稚部及び高等部に
おける学校給食に関する件)
(本邦に帰還した後教育職員となっ
た者の退職手当に関する件)
(中学生に対する国鉄運賃に関する
件)
(教科書検定に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/0
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001・岡三郎
○委員長(岡三郎君) これより文教員会を開会いたします。
まず、委員の異動について報告いたします。
五月九日野本品吉君が辞任され、その補欠として谷口弥三郎君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/1
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002・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 次に、理事補欠互選を行います。野本君の委員辞任に伴い、理事が一名欠員になっております。互選の方法は先例により委員長の指名によりたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/2
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003・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 御異議ないと存じます。委員長は、理事に林田正治君を指名いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/3
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004・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 次に、一昨日土曜日の委員長及び理事打合会の経過について報告いたします。
まず、現在本負託になっております学校教育法の一部を改正する法律案、市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案及び国立及び公立の学校の事務職員の休暇の特例に関する法律案は、本日質疑を行い、明日採決を行うこととし、その他の法律案も衆議院から送付される時期にもよりますが一応木曜までには審議を終了するよう取り運ぶことといたしました。
なお、衆議院提出の産業教育手当に関する法律案は、多少問題もあるようでありますので、本委員会で審議を行なった上で取扱いを検討することといたしました。
次に、特殊学校の学校給食に関する法律案を当委員会から提出する件につきましては、本日これを決定し、本日の本会議に上程することといたしました。
実習助手、養護助教諭、寮母の身分確立をするための学校教育法等の一部改正、公立学校の学校医の公務災害補償及び特殊学級の教育振興に関する法改正の三件に関する委員会提出について協議を行いましたが、これらについては月曜日までに各会派の態度の御決定を願うことといたしました。なお、公立学校の学校医の公務災害補償に関する委員会提出が行われる場合には、児童生徒の災害補償に関し委員会決議を行う必要があるという点で意見の一致を見、その場合には月曜日文案について協議を行うことといたしました。
次に、定時制高校の教員給与の四割国庫負担について政府の善処を要望するために本院に決議案を発議することについて協議を行なった結果、本日その案文を検討することといたしました。
次に、委員会提出を検討して参りました僻地教育の振興、特殊学校の就学奨励に関する法律改正及び公立の盲聾学校の幼稚部及び高等部の整備に関する特別措置法案については、この際は一応議員提案の形をとり、継続審査を行うことに意見の一致を見ました。さらに海外引揚教員の在職期間の通算及び中学生の鉄道運賃の割引に関する件については、委員会決議を行うこととし、その案文を本日検討することにいたしました。
なお、本日の議題は公報掲載の通りでありますが、従来継続されていた案件のほかに、教科書の検定に関する件を取り上げることになっております。
以上報告の通り取り運ぶことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/4
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005・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 御異議ないと認めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/5
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006・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 次に、盲学校、聾学校及び養護学校の幼稚部及び高等部における学校給食に関する件を議題といたします。先般来、当委員会におきましては、本件に関し種々の立法措置を行うことを必要と認め、各会派で熱心に協議を行なって参ったのでありますが、今回ようやくその案が固まって参りました。お手元にお配りしてございます内容をもって本件に関する法律案の草案とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/6
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007・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 御異議ないと認めます。
それではこの際、国会法第五十七条の三の規定に基きまして、内閣の意見を聴取することにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/7
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008・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 盲学校、聾学校及び養護学校の幼稚部及び高等部における学校給食に関する法律案の趣旨につきましては、政府は反対ではございませんが、学校給食用物資に関する国の財政措置を必要とする等の問題がございますので、今にわかに賛成することができないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/8
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009・岡三郎
○委員長(岡三郎君) ただいま文部大臣から内閣の意見の御表明がありましたが、これに対し御質疑のある方は順次御発言を願います。——それでは委員の方々から御質疑がございませんので、委員長の方で取りまとめて御質疑いたします。
本法律案については、ただいま申し上げました通り、各派で努力して参ったわけでありますが、予算その他の関連上、義務制の小、中学校と同様に立法措置を行うまでには至らなかったのでありますが、明年度を期して、委員会としてはこの程度の内容にとどまらず、さらに拡充して幼稚部、高等部の生徒が十全の教育を受けられるように措置していきたいという意思をそれぞれ検討して参ったわけですが、それらに関して文部当局の御意見を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/9
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010・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) この方面の教育につきまして、これをさらに一そう改善し、充実するということにつきましては、文部省といたしましても全くさように考えている次第でございますので、明年度の問題といたしましては、法律案のその御趣旨を尊重いたしまして、関係当局とも十分連絡いたしまして、御趣旨に沿うようにできるだけの努力をいたすつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/10
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011・岡三郎
○委員長(岡三郎君) なお、予算について文部大臣から意思表明があったわけですが、政府としては、立場上そのように御表明になることはいたし方ないと思いますが、本法案が可決された暁においては、文部省として当然なさ刷れるべきことをされると思うんですが、その点についての大臣の見解をただします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/11
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012・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 政府の見解は、先ほど申し述べました通りでございますが、今回の国会におきましてこれが通過いたしますれば、その趣旨に沿うて関係当局ともよく相談いたしまして、できるだけ努力いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/12
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013・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 他に御発言もなければ本草案を「盲学校、聾学校及び養護学校の幼稚部及び高等部における学校給食に関する法律案」とし、これを本委員会から提出することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/13
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014・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたします。
なお、事後の手続その他につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/14
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015・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 御異議ないと認めます。
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016・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 次に、国立及び公立の学校の事務職員の休職の特例に関する法律案を議題といたします。まず発議者から提案理由の説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/16
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017・永山忠則
○衆議院議員(永山忠則君) ただいま議題となりました、国立及び公立の学校の事務職員の休職の特例に関する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
すでに御承知の通り、国立または公立の学校の校長及び教員が、結核性疾患のために長期の休養を要する場合、その休職の期間につきましては、教育公務員特例法第十四条によりまして、満三年までとなっており、その休職の期間中は、給与の全額が支給されているのでございます。しかるに、これらの学校の事務職員が結核性疾患にかかり休職されたときは、教員と同一の職場に勤務しておりながら、任免、分限、給与等については、教員とは画然と区別されており、異なった身分規定を受けている関係から、国家公務員法、人事院規則、一般職の給与に関する法律及び地方公務員法、地方公共団体の条例等によりまして、その休職の期間は、満二年までとなっており、その休職期間中は、俸給、扶養手当及び勤務地手当のそれぞれ百分の八十が支給されている現況でございます。
今さら申し上げるまでもなく、学校における教員と事務職員とは、ともに学校教育の両翼をなしており、学校教育の円滑をはかり、教育効果を最大限に発揮させるためには不可欠、かつ不可分の関係にあるのでございます。とりわけ大学以外の学校における事務職員は、学校という教育の場において、成長、発達の途次にある児童及び生徒の健康上にも及ぼす影響が教員と同様に多大であることを考えますとき、結核性疾患によるその休職の取扱いにおいて、教員と事務職員とがそれぞれさきに申し上げましたような不均衡な取扱いを受けることは、学校教育の運営上、厳に避けるべきものと思うのでございます。
以上御説明申し上げました理由によって、本法律案は、国立及び公立の大学以外の学校の事務職員が、結核性疾患のため、長期の休養を要する場合に該当して休職されたときは、その休職の期間及び休職期間中の給与は、教育公務員特例法の規定を準用することにより、教員と同様に安んじて十分に静養し得るよう計らわんとするものでございます。
以上が、この法律案提出の理由と内容でございます。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成下さるようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/17
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018・岡三郎
○委員長(岡三郎君) ただいま説明がありました法案につきましては、質疑を次回に譲ることといたします。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/18
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019・岡三郎
○委員長(岡三郎君) それでは速記を起して。
本邦に帰還した後教育職員となった者の退職手当に関する件及び中学生に対する国鉄運賃に関する件については、当委員会において決議を行うことに先刻決定を見ておりますが、その案文についてはお手元に配付してございます通りであります。
まず、本邦に帰還した後教育職員となった者の退職手当に関する決議案を議題といたします。
本決議案を本委員会の決議とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/19
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020・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 御異議ないと認めます。よって本決議案は本委員会の決議とすることに決定いたしました。
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021・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 次に、中学生の国鉄運賃に関する決議案を議題といたします。
本決議案を本委員会の決議とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/21
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022・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 御異議ないと認めます。よって本決議案を本委員会の決議とすることに決定いたしました。
なお、ただいま決定されました決議の自後の取扱いについては委員長に御一任願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/22
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023・矢嶋三義
○矢嶋三義君 ただいま本委員会で二件に関する決議案が可決されたわけでございますが、ちょうど灘尾文部大臣が出席されておりますので、灘尾文部大臣の本決議に対する御所見をこの際承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/23
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024・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) ただいま御決議になりました二件についての御趣旨の存するところはよくわかるところでございますので、政府といたしましても、御趣旨の存するところを尊重いたしまして、十分一つ検討いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/24
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025・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 速記をとめて。
午後零時二十二分速記中止
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午後零時五十四分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/25
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026・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 速記をつけて。
暫時休憩いたします。
午後零時五十五分休憩
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午後二時二十一分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/26
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027・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。
まず、市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案を議題といたします。最初に衆議院修正部分について説明を聴取することといたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/27
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028・小牧次生
○衆議院議員(小牧次生君) ただいま議題となりました、市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
御承知の通り、市町村立義務教育諸学校の教職員の給与につきましては、現在都道府県の負担となっており、国は、毎年度各都道府県ごとに、その実支出額の二分の一を負担しているのでございます。
しかるに、今日、市町村立義務教育諸学校の事務職員にかかる時間外勤務手当につきましては、従来都道府県負担の対象とならず、その全額が当該学校の設置者たる市町村の負担となっている関係上、ややもすれば市町村財政の規模の大小によって左右されるため、その適正な額の支給がなされていないうらみがあるのでございます。
これらの点を考えまして、本修正案は、義務教育の円滑な実施に資するため、市町村立義務教育諸学校の事務職員にかかる時間外勤務手当を、他の給与と同様に都道府県負担と規定して、その実支出額の二分の一を国に負担させようとするものでございます。
以上が、本修正案提出の理由と内容でございます。慎重御審議の上、すみやかに御賛成下さるようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/28
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029・岡三郎
○委員長(岡三郎君) これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/29
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030・矢嶋三義
○矢嶋三義君 まずこの修正案提出者を代表されて御説明をいただきました小牧代議士に伺いたいと思うのですが、それは、第一条中「及びろう学校」云々という、この第一行目の最後のところですね、「(事務職員に係るものとする。)」というのがございますね、一行目の一番下、あそこには事務職員の次に寮母というのが落ちているのじゃございませんか、ミス・プリントじゃございませんか。お伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/30
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031・小牧次生
○衆議院議員(小牧次生君) ただいまのお尋ねの点でございますが、私どもといたしましても、従来学校事務職員の身分を改善し、安定しなければならない、すなわち同じ職場において教職員と同様の仕事をいたしておられる事務職員の方々をでき得るならば教育公務員特例法の中に入れて、身分待遇の改善をはかりたいということで、与党や文部省の方々といろいろ折衝をいたして参ったわけでございますが、なかなか思うようにこの問題が解決をいたさなかったことを非常に遺憾に思っておるのでございますが、その際に実習助手なり、あるいは今お尋ねの寮母につきましても、同様に身分待遇を改善しなければならないということで、これも同様に取り上げていろいろ与党の方々や、文部省当局と折衝いたしたのでございますが、先ほど来申し上げた通り、なかなか根本的な問題でございますので、遺憾ながらこれが簡単に実現しないというような事情等もございまして、将来実習助手なりあるいは寮母、こういった方々は現在でも教育公務員特例法の中、あるいはその施行規則でございますかの中で、教職員に準ずる職として認められておりますので、将来一歩前進して、そういう方々は学校の先生その他と同様の身分の規定を受け得るように進めて参らなければならぬ、実習助手、寮母の方々はです。従ってこの際、今回の修正案の内容といたしましては、事務職員の方だけにとどめましたわけで、落したというわけではないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/31
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032・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私は寮母、助手、こういう方々の身分のことは今伺っていないわけです。この修正案によりますと、市町村立学校職員給与負担法の第一条に、時間外勤務手当という活字がなかったのを活字を挿入したわけです。そして御丁寧に「(事務職員に係るものとする。)」という規制をされているわけですね。第一条にありますように、助手という活字はないから私は助手のことについては伺っていないわけですが、明らかに第一条の中に寮母という活字があるわけです。従って私はこの第一条に時間外勤務手当という活字を挿入したならば、寮母の時間外勤務手当というものが入ってこなければ私はこれは筋が通らないと思う。それで、修正案提案者の小牧代議士の気持はわかりましたから、私は政府側にこの点を少し伺いたいと思うのです。
第一番に、この寮母のような職務内容の国家公務員あるいは地方公務員で、時間外勤務手当をもらっていないような公務員がございましょうか。あったならばその職種を一つ教えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/32
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033・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 大体まあ寮母に相当するものは児童福祉施設の職員にはそういうのがございます。で、この寮母というのは、ちょっと事務職員とは本質的に異なっていると私どもは解釈しているわけです。で、教育公務員特例法でも、寮母と実習助手は教育職員、教育公務員に準ずる、こういうふうにして、準用職員にしている。で、俸給表も教員の俸給表を使っているわけです。従って調整号俸というものが教員と同じようについております。
教員については調整号俸をつけて、まあ時間外手当は出さないということになっている。それと同じように、寮母にもそういう教員の俸給表を適用してやっている。
それから、そのほかまあ今類似のというお話が出ましたが、児童福祉施設のこういうような方は、やはり超過勤務手当を出していないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/33
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034・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それでは、調整号俸というものは、厚生省所管の福祉施設に勤務している公務員等も含めてどの程度の調整号俸をつけているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/34
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035・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 厚生省所管は、これは調整号俸はないはずであります。文部省所管については一号の調整号俸をしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/35
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036・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私は給与体系のあり方からして、この労働関係諸法の立法精神から言っても、私は寮母の、ああいう勤務状態にある人に、この時間外勤務手当がないことは私はおかしいと思う。それがないかわりに一号俸の調整をしているということは、非常に私は過小であり不当だと思うのですがね、当然私はこの寮母に対しては時間外勤務手当を出すべきであり、また職務の内容からそれを出さぬとすれば、調整号俸を算出するに当っては彼女らの勤務時間、職務内容、そういう点からもう少し合理的な調整号俸を出さなければ、何らの根拠もなくて、まあ夜分もなにするから一号ぐらいくっつけておけというのは、これは他の公務員に対する給与体系から言って、非常に私は不当であり、手落ちであると思うのですがね。この事務職員に対して時間外勤務手当を正式にここにうたうわけですが、寮母もその事項にこの際入れてはいかがでございますか。文部大臣はどういうお考えを持っていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/36
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037・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) ちょっと事務的な点になりますので、私から……。
今度のこの法案を見ましても、これは新しく加わったわけでございませんで、事務職員は、本来超過勤務手当をもらうわけなのです。今まではどうだったかと申しますと、先ほど提案者の小牧先生からお話のように、市町村で出しておったわけです。ところが、給与の負担は都道府県でございますので、時間外手当というものは勤務俸給の延長になるので実はこの辺に、俸給は県で払う、時間外手当は市町村と、こういう不合理があって、なかなか事務職員の時間外手当は出していただけないというような実情がございますので、それを今度都道府県の負担に移して、俸給等が、払うところに払わして、国庫負担が二分の一負担をかぶるというようなお考えになったので、この点は新しく事態を起したわけではないわけです。そこが今お話の寮母とは……。寮母を入れるとすれば、これは新しい問題を、給与体系としてもう一ぺん再検討しなければならない問題がからんでいるわけです。それとこれとはちょっと事情が違うと思いますので、一応事務的にお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/37
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038・矢嶋三義
○矢嶋三義君 その点はわかっております。で、ちょうど出た機会ですからね、私は衆議院としてはこれは活字を落したんだろうと思って念のために伺ったんですが、落したんじゃないというので、あらためて伺っているわけです。寮母の給与に対して私は検討を要すると思うのですがね。それは気の毒ですよ。寮母は大した学歴もないからという、明確に意識しなくてもそういう気持がいささかなりともあるとすれば、はなはだ私はこれはいけないことだと思います。これは学歴がなければないだけに給与表というものは低くなってきているわけですからね。そういうこととは関係なく、ともかく勤務時間、勤務内容というものがああいう特殊なものなんですから、調整号俸一号くらいではこれは私は説明は立たないと思う。そういうことよりは、むしろある程度の時間外勤務手当というものを出すことが給与体系のあり方からして妥当である、そういう立場から検討すべきものである、かように私は考えるわけなんです。それについて文部大臣の御所見を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/38
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039・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) お尋ねの御趣意はよくわかりましたのでございますが、十分一つ検討さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/39
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040・松永忠二
○松永忠二君 二、三点お伺いいたします。
養護学校について、職員の給与負担の一部を改正する法律案を提案して整備をしていくということはわかったわけでありますが、これはまあ御承知のように、学校教育法でも義務設置になっておるし、義務の設置については暫定措置として、施行期日について暫定措置がとられているという状況であるわけでありますが、この養護学校について義務設置ということについて大体どういうめどをもって進めておられるのか、文部大臣に一つお尋ねをしたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/40
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041・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 目標といたしましては、義務設置ということになっておるのでございます。この目標に近づけていかなければならぬと思うわけでございますが、なかなか実情の方から申しまして、一足飛びにそこまで飛んでいくというわけには参らないような状況があるように思いますので、文部省といたしましては漸次この種施設の整備充実をはかりまして、究極するところは義務設置のところまでもって参りたい、かような考え方をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/41
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042・松永忠二
○松永忠二君 それでは養護学校について義務設置ができない、まあ直ちにできない、そのほか設置とか整備について非常におくれているというように思っているわけです。昭和三十一年あたりの調査でも十七校しかないし、児童数は七百八十六名だという状況のようでありますが、この一体養護学校の設置や整備のおくれている原因というのはどこにあるというふうにお考えになっておられるのか、そこを一つ大臣からお聞かせを願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/42
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043・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 大臣でなくていいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/43
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044・松永忠二
○松永忠二君 ええ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/44
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045・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 一つは経済的負担が非常にかかるということでございます。私どもでは一応鑑別基準を作りまして、五〇%以上のものを教育の対象として見ているわけでございます。この児童数を捕捉するのがなかなか困難である、経済的な父兄の負担が相当重いということで、それからなお府県の方の負担につきましては、これは先般当委員会を通過いたした法律によりまして、公立養護学校の整備促進に関する法律で、給与費の二分の一、教材費の負担、なお建築費の二分の一国庫補助等がありまして、府県についての分につきましては、相当の助成が可能でございます。しかし何分にも、父兄の方の負担と、これらの精神薄弱、身体不自由児の特殊な環境にありますので、一ぺんに義務制に持っていくのは非常に困難でございますが、軽い程度のものは、特殊学級を助成いたしまして、これを本年約百学級ほど増設いたす計画で、設備費を予算に計上いたしたわけでございますが、症状の軽い方は割合楽なんでございますけれども、重い方ですと、どうしても寄宿舎等の設備がなければならぬし、父兄の理解と協力を得なければならぬし、こういう点で盲ろう以上に日本では、まだ普及しておりませんので、せいぜいその趣旨を徹底させて、父兄の理解と協力を促進して参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/45
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046・松永忠二
○松永忠二君 そういうふうに、今養護学校についての施設充実が非常に困難な状況にある。そういう状況の中で、しかし養護学校に入れべきもの、あるいはそれに準ずる児童というのは相当多いわけであります。そういうふうな面から、普通の小中学校に特殊学級が設けられ、これが御承知のようにもう千百四十三学級という非常な大きな数を持ってきておるし、また事実中学校等においては、特殊学級の職業指導等、非常に適切に進められ、該当の父兄等からも非常にこの充実が要望されているというのが実情だと思うわけなんであります。そういうことから考えてみると、非常に養護学校については義務設置という点もおくれてきているし、なかなかこの推進が非常に困難である状況、この状態において、特殊学級の充実というものは非常に重要だと思うわけであります。そういう点について、政府も努力されて、前年度、本年度等において、予算がある程度予算化されておるわけでありますが、こういう点については、なお私は法的な整備というものが必要であるというふうに考えるわけでありますが、こういう点についてどういうふうなお考えをお持ちであるか、お聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/46
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047・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 現在のところ二つあるわけでございます。一つは、養護学校でありまして、これにつきましては、先ほど申しましたように、公立養護学校の整備促進に関する法律で逐次その充実をはかっているわけでございます。
もう一つがお話の養護学級でございます。これもできるだけ、私どもの考えでは、少くとも各市の教育委員会には一学級程度は必置にしたいという考え方をもって、本年はとりあえず百学級を置くように予算措置をしたわけでございます。一番これの隘路になりますのは、教員の定数の問題でございます。これが現在のところですと、大体精神薄弱、身体不自由の者を対象にする場合は、せいぜい十五人か二十人以内で一学級を作らなきゃならない、そのために特別に一人の教員の定数をさかなきゃならない、ところが、今のところ地方財政の方がなかなか苦しいので、これも国庫負担のもちろん対象になっているわけであります。実績の二分の一の負担が対象になっておりますが、なかなか特別学級の設置ができないというので、私どもの方でやむを得ずこの前設備の方の奨励費を計上したわけでございます。設備の方を奨励しまして、教員定数を逆に確保するという方法を今とっているわけでございます。ただ何分にも地方財政が非常に窮屈なもので、これを義務設置をさせますと、他の方に響くおそれもあるわけでございます。一般の教職員の定数を切られるとまたこちらにも影響があると思いますので、今のところできるだけ指導でやりたい、しかも二分の一の国は補助をいたしますので、できるだけその趣旨を徹底して特殊学級の設置の充実をはかって参りたい、かような考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/47
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048・松永忠二
○松永忠二君 やや少し私の申し方が足らなかったのか、趣旨を少し違えておるわけでありますが、私の申し上げたのは、義務設置ということもあるけれども、現在特殊学級に対して八百万円という金を出して設備の充実をはかっている。そういうことについてこれをやっぱり法的に整備をするというか、裏づけをしていくということが非常に必要ではなかろうか。もう二年にわたってそういうことも行われているという現段階において、設備補助についての国庫予算の補助をするという点、あるいは施設の点についても拡充を今後していきたいということや、あるいは定員等についても特殊な配慮を地方の教育委員会に要請するとか、あるいは特殊勤務手当等についてもできるならば何らかの今後措置を地方においても努力をしていくというような点についての法的なやはり整備をする段階に来ておりはしないかと思うわけです。そういう点についての意見をお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/48
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049・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 実はこの特殊学級の奨励設備費の補助でございますが、これは本年度初めて予算に計上したわけでございます。そこで、特殊学級の必要なこと、ことに重要な意義を持っておりますことはお話の通りでございます。そこで私どもとしては、もう少しこの特殊学級の、本年、補助を通じていろいろとお話のような点を検討してみたい、こういう意味からこれに関する法律案は政府で提案しなかったわけです。もう少し十分検討した上でさせていただきたい、こういうわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/49
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050・松永忠二
○松永忠二君 趣旨はよくわかりました。ただ私のあるいは理解の違いかどうか、前年度も予算流用でやったというように聞いておるわけです。それは違いですね。——よくわかりました。その点については十分一つ御考慮をいただきたい。
今養護学校と特殊学級について整備が必要だというお話があるわけですが、私は、学校教育法の施行規則の方に設置基準については養護学校については別にこれを定めるということが出ておるわけです。また特殊学級についても設置の編制について別にこれを定めるということが出ているわけで、現段階において少くとも養護学校についてもこうした整備が進められているし、特殊学級についても一学級の編成が十五人ないし二十人が妥当であるということをお考えになっている現段階において、もうこういう設置基準というもの、あるいは設置編制については文部省が明らかに示していくということが必要な段階に来ておりはしないかと思うわけでありますが、その点についてはどういう考えを持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/50
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051・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) こういう特殊教育については非常にその辺がおくれておりまして、大へん私どもも遺憾に思っております。ただいませっかく検討中でございますので、近く成案を見ることと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/51
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052・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 政府委員からお答えをいたしましたようなことでございますが、実は私はよけいなことのようでございますが、この方面のことには相当関心を持っておるつもりでおります。かつて官吏をいたしておりました当時、児童保護に関する立法とか、そういうようなことに参画したこともございます。当時からこの特殊教育の対象となっておる児童に対する施設が非常に不十分であった。戦後その方面のことについてかなり——見方にもよると思いますけれども、戦前のことを考えますと、非常に進歩しておる、非常にいいことだというふうに実は私は思っております。かねがねこの問題については関心を持っておりますので、ただいま政府委員がお答え申し上げました通りのことでございますが、できるだけこの方面の施設の整備、充実、また構成上の検討等についてもやって参りたいと思いますので、御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/52
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053・松永忠二
○松永忠二君 もう一つお聞かせ願いたいと思うわけでありますが、児童福祉法によって、その児童福祉施設というものができておるわけです。精神薄弱者施設とか、そういうものの施設ができて、しかも入所中の児童については就学をさせなければできないというようなことがきまっておるわけであります。今文部大臣からお話がありましたが、私は文部省所管のこういう特殊教育が割合に予算的な面からおくれてきて、むしろ児童福祉法に基くものの方が充実されるというか、予算的に恵まれているという感じを持っておるわけでありますが、現在児童福祉法に基く福祉施設で就学義務を持っておるものについてはどういう措置が事実上行われておるのでありますか、その点を一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/53
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054・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) この児童福祉法に基く施設については、これはここに収容する、あるいは通園させるとかいう養護施設、あるいは養護通園施設というのが文部省所管にあるわけであります。教育はここではしないという建前になっております。そこで文部省所管の養護学校では教育可能なものをこちらに入れる、と申しますと、大体知能テストをしまして五十以上のものを文部省所管のところに入れる、五十以下のものはこれはどうも教育上の対象にならないので厚生省の通園施設なり、あるいは収容施設に入れる。しかしもちろん厚生省の所管におきましても、五十以上のものが入ってくるわけです。この場合には文部省所管の養護学校に入れるということが建前でございます。従ってこちらの方の文部省所管の養護学校に入った場合には、従来は義務教育の猶予または免除を受けて入っておったものが今度は学校教育法の改正で猶予または免除しない、義務教育を履行したものとみなすというふうに規定をいたしましたが、さらにこの文部省所管の養護施設、養護学校の方に通うように奨励をしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/54
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055・矢嶋三義
○矢嶋三義君 二、三点伺います。局長に伺いたいのですが、養護学級に収容して教育するのが適当であると認定される生徒、児童はおよそ何名くらいあると推定されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/55
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056・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 大体のところは、今までの調査では二%といわれているのですけれども、あるいはもう少しよけいいるかもしれませんが、かりに三%と見れば四、五万くらいでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/56
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057・矢嶋三義
○矢嶋三義君 現在養護学校に収容されている生徒は七、八百人ですか、その数字間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/57
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058・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) これはお話の通りに七百八十六人ですが、来年度、三十三年度の見込み数は二千三百四十八人という見込みでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/58
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059・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私は大臣に次に伺いますが、盲ろう学校まで義務制が完成して、残ったのは養護学校だけになっておりますけれども、まあ、幼稚園の義務制ということも問題になっておりますけれども、これはさておいて、養護学校の義務制がただ一つ取り残されている。この法律案はその方向への一歩前進であるという意味において私は非常に意義があると思うのですが、大臣は先ほどから相当特殊学校、特殊学級に対して熱意をほのめかされておりました点、敬意を表しますが、伺いたい点は養護学校の義務制というものを何年度ごろから実施したいという一応の目安を持っておられますか、それを伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/59
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060・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) この種児童の教育につきましては、先ほどもお話がありましたように、特殊学級といいますか、学級の整備ということも一つの方法だと思うのであります。果してどの程度の養護学校が全国的に見て実際的に必要かというようなことにつきましてはなお検討を要する点もあろうかと思うのであります。できるだけ私は先ほど申しましたような心持でございますので、かようないわゆる特殊児童に対する教育を充実して参りたいと思います。必要と認める適当な措置はだんだんとって参りたいと思っておりますが、今何年間先でどうなるというふうな目安はまだ私自身といたしましてはつけるところまで至っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/60
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061・矢嶋三義
○矢嶋三義君 局長はどういう目安を立てておられますか。これは目安を立ててやらなければ、いつまでたったって私は解決しないと思うのですよ。それだけのやはり計画を持って、そうして一歩一歩と進んでいかなければ、必要性は認めながらもいつになってもこれは実現しないと思う。御承知のように盲ろう学校の義務制はできましたですね。あと養護学校だけであって、ぜひとも私は皆さん方に確たる計画を持って進んでいただきたいと思うのですが、どういう目安を今のところ持たれておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/61
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062・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 一番むずかしいところが残ってしまったわけであります。それでただいま大臣が申しましたように、逐次充実するということが、確実に実施することが、私どもとしては一番早い義務制の実施ではなかろうか。特に養護学級の方はこれは比較的設置が容易なんでございますので、この方を今できるだけ一方において進めているわけであります。これは大体五カ年ぐらいで市には全部置けるようにいたしたいという計画で予算を要求しているわけでございます。町村まで全部置くとなると、なかなかまだそこまではちょっといきかねているのであります。
それからもう一つは、養護学校の方ですが、これは府県立を主として法律も考えておりますが、府県に義務設置をすれば四十六が最小限できなければならぬと思うのです。現在のところ転換等で二十五ほどになっております。ですからこの中にはもちろん一県に二校ある場合があると思います。二校あるいは三校あるところもありますが、あとできるだけ各県に一つずつ作るように奨励いたしまして、その後に義務制をしくということになると思います。ですから少くとも五年ぐらい先になってみないと、いつやるかということは今ちょっと言いかねると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/62
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063・矢嶋三義
○矢嶋三義君 困難な問題が最後まで残るのは自然の成り行きですし、それだけに私は国からの助成というものが積極的でなければならないと思います。大臣がその面にはっきりとした熱意を持っておられるわけですから、あとは事務当局の責任としては綿密なデータを集められて、こういう計画でいくのなら、この程度の予算が要るというようなデータを整えられて、大臣に進言をして、そうして大臣の持たれている熱意が実現するように私は取り運んでいただかなければならぬと思う。で、こういう問題を審議するに当って私たちがあらためて考えなくちゃならぬことは、憲法二十六条というものをやはり軽視し過ぎていると思うのですよ。もう少し憲法二十六条の精神というものをしっかりつかんで推進させなくちゃならぬと思う。これははっきりと「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」とあるので、その「能力に応じて、」という言葉ははっきりとここに当てはまるわけで、そのあとは義務教育は無償だ、こういうふうに書かれておるわけで、従って養護学校も一日も早く義務教育にしなければならぬし、そうしてその負担が軽くなるように努力しなくちゃならぬのに、義務教育にはなっていないし、しかもこういう不幸な子供をかかえたお父さん、お母さんというものは非常に教育費を多く負担しているというような点は、この憲法の二十六条の精神からいえば、どうしてもこれは思いやり、愛情をもって格別に努力しなくちゃならぬことだと私は考えます。この法律案が審議される機会に、私はあらためてそういうことを痛切に感ずる次第で、幸いにして大臣が先ほど大きな関心を持たれているということを発言されておりますので、この推進方については格別の努力を強く要望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/63
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064・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/64
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065・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 速記を続けて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/65
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066・矢嶋三義
○矢嶋三義君 事務当局に伺いますが、事務職員の時間外勤務手当の二分の一を県が負担し、残りの二分の一を国が負担するということになると、その国の負担の金額は幾らになるのか、これは本年度の予算の中にすでに入っているのか、あるいはその中で操作できるのか、また市町村が負担しておったのが、今度は県の負担になるわけですか。その市町村と県との関係は技術士どういうふうに取り運ばれて参るのか、そういう点お答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/66
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067・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) これはどうも予算的には、総額から申しますと大体一億が事務職員の超過勤務手当の経費、こういうふうに財源計算ははじいているわけであります。これは大体給与費の六%を見込んでいるのであります。一般に超勤の手当は大体国家公務員については六%にしておりますので、六%で計算いたしますと、大体一億、従ってその半分の五千万円が国庫の負担になるわけでございます。そこでこれは積算の基礎に入っているかというお尋ねでございますが、遺憾ながら入っておりません。これをどうするかというお尋ねでございますが、そういう意味で、これは政府側としては趣旨には賛成ですけれども、どうも困るわけでございます。しかし法案が通過いたしますれば、これは義務教育費国庫負担金の中では一本になっておりますので、立てかえ払いをして、あとで補充をせざるを得ないと思うのであります。それから、それじゃあ市町村と府県との関係はどうか、こういうお尋ねでございますが、これは市町村が現在出すはずになっているのですが、なかなか実施されてないと思うのです。ですから財源をまき上げるような意思はないので、府県の負担になると思うのでございます。これはまあやむを得ないのではなかろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/67
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068・矢嶋三義
○矢嶋三義君 その答弁で見通しは立ちました。そこには差しつかえないと思います。
最後にもう一点、先ほど伺った件に関連するのですが、寮母の時間外勤務手当は出している県と、出してない県があるそうですね。そのデータは文部省持たれておりますか。相当数の県は出さなければおかしいというので出しているが、負担法の中に入っていないので、二分の一を国から補助していただけぬので、都道府県の純支出になっているとかように聞いておるのですが、データを持たれておったならば伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/68
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069・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) これはほとんど時間外勤務手当という形では出ていないようでございます。まあ若干出ているという例もあるようでございますが、出す場合に時間外で出しているのか、あるいは何か特殊勤務手当のような形で出しているのか、この辺もよく調べてみたいと思います。ともかく勤務の実態というものが教職員と同じように非常に複雑でございまして、どこからどこまでという時間が区切れないわけなんで、教員の場合でも家へ持って帰ってきて、いろいろと調べものをしなくちゃならぬということもございますので、寮母も同じように勤務を時間で引きかねると思いますので、この辺のところも実態をもう少し調査いたしませんとわかりかねますので、先ほど大臣が御答弁申しましたように、もう少し実態を調査いたして、よく検討いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/69
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070・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/70
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071・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 速記を続けて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/71
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072・矢嶋三義
○矢嶋三義君 事務職員の時間外勤務手当が出ておりますので、これに関連して一、二点伺いたいのですが、事務職員の待遇問題というのはもう前からひっかかっている問題で、衆議院から結核休職に関する点については議員立法がなされて、審議中ですが、事務職員の給与体系並びに格づけ等に当って優遇をなし、そうして学校事務の能率向上、ひいては教科を担当する教員の負担を軽減し、教育効果が上るようにするために、事務職員の格づけ、給与体系の改善等を通じて事務職員の質的向上というようなものをはかりたいという、そういうお考え方は文部省に計画ございませんか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/72
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073・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) ただいまお話の事務職員の待遇が非常に気の毒であるということは私どもも同感でございます。従って従来格づけに当って部下職員の数で格づけを行なったというようないきさつもございますが、学校の事務の重要性にかんがみまして、一人でも係長とか、そういう役職につけるような格づけについて十分配慮するように通達を出す準備をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/73
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074・矢嶋三義
○矢嶋三義君 文部省から出す通達にはいろいろありますが、そういう通達は私は非常にけっこうだと思うのです。確かに今まで部下職員の数によって違うという点は不合理だと思いますね。部下が四人いようが一人もいなくて自分だけであろうが、学校の事務職員の職務内容から考えれば何ら差等はつかぬわけですから、そういう点の是正について通牒を出されることは非常にけっこうだと思います。近く出されますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/74
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075・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) できるだけすみやかに出したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/75
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076・矢嶋三義
○矢嶋三義君 ただいまは公立関係のみ審議しているわけですが、大学の関係の事務官のうち、との役職に格づけされている人は本省と時折人事交流があるようですが、しかしそれにしても。私は少い感じを持っておりすす。しかしこの公立学校に参りますと、都道府県の教育委員会等のこの人事交流というものが、これはほとんどというほどないわけですが、ある程度私は人事交流をはかることが清新の気を注入し、それから公務員諸君に希望を持たせるという立場からも必要ではないかと考えるのですが、そういう点についてどういうお考えを持っておられますか。かつてそういう指導をされたことがございますかどうか、その点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/76
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077・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 事務職員の人事交流については全く同感でございます。で、私どももできるだけ事務職員の中に人事交流をいたすことが事務の刷新をはかるゆえんであり、清新な気を注入するゆえんだと思っております。従って、一つは従来その採用に当って個々に採用していたきらいもあると思いますが、学校ごとに、今後私どもとしてはできるだけ県で一本に採用する、そしてそれを配置して適正に人事交流をするように、これも先ほどの格づけと一緒に通達をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/77
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078・矢嶋三義
○矢嶋三義君 ぜひ一つ適正なる助言と指導をしていただきたいと思う。小学校、中学校、高等学校のこの公立学校の事務官を見てみますと、交流の問題と、さらに一つには、同じ学校に何十年とおられる方が多いのですね。そういう方が非常に力を持って、言葉は適当でないかもしれないが、学校を牛耳っておるような場合がある。それまではいいんですが、非常に長くなってきて、どうかするとちょっと事務上のあやまちを犯す場合がある。あやまちが起る場合を見ると、十何年、二十年と勤めている場合が多いんですね。こういう点、私は是正の必要があるのではないか。今度国立大学に参りますと、あなたのほとんど部下が事務局長あたりに使われているんだと思うのですが、私は国立大学の事務局長という、このあり方というものも、かなり私は改めなければならぬ点があるのではないかと思うのですね。まさに一つの大学を事務局長の一存で振り回して牛耳っているというような姿がかなり私はあるのではないか、これは予算を持っておりますし、また一方で大学の総長、学長というのはおおむね学者が多いし、また教授、助教授に至っては研究に没頭しておるので、そういう点無関心であるとともに、またささいなことをいろいろ言うのはおとなげないというような学者らしい寛容な態度でおられるためにそういう結果になるのかとも思いますが、だからといって、一つの大学で事務局長が非常な権限をふるうというのは、私は大学のあり方として注意しなければならぬのじゃないかという点、私若干具体的にも知っておりますが、そういう点、あなたの方ではどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、この際一つ承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/78
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079・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 教育、研究という面と、学校の管理運営という面が、やはり調和をはからなければならぬと思うのでございます。かりに事務局長が学校の教育なり研究の面にあまりに出てくることはよくないと思うので、やはり教育、研究を促進するために事務職員なり事務局長がおるわけでございますから、おのずからそこに権限の混淆があっては私どもならぬと思います。そういう点については行き過ぎないように十分の指導、助言をいたしておるつもりでございます。もしそういう事態がございますれば、私どもいつでも注意して是正に努めたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/79
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080・松永忠二
○松永忠二君 ちょうど事務職員の話が出てきたのでお伺いしたいのですが、この前の臨時国会当時から文教委員会で問題になっているのは、教職員の定数を確保したいというところなんです。現実に中学校の事務職員というのが実はだんだん減らされておる実情にある。教職員の定数を確保するということについては、いろいろ法規的には問題があるとしても、学校教育法の一部を改正して中学校に事務職員を義務設置にするという、高等学校と同様にそういうことが実は中学校の定員確保にも非常に一つの布石にもなるし、中学校自身が実は事務職員が中学校にないということが、実は非常に教職員の教育における能率を低下している実情だと思うわけです。こういう点についてまあ定数確保定数確保というかけ声だけではなくて、現実に学校教育法の一部を改正していけばこれはできるわけであります。こういうことについてその実施をする気持があるのかどうか、その点を一つお伺いしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/80
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081・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) お話の点は、学校教育法によりますれば、学校には「特別の事情のあるときは、事務職員を置かないことができる」。こう書いてあるのを、必ず置くように必置制をおっしゃるようでございます、中学校の場合にですね。そこで実は事務職員が私どもの方も必要なことは前々から痛感しており、義務教育国庫負担法が昭和二十七年に制定されたときは、以前は県費負担だけで、国庫負担の対象になっていなかったわけです。昭和二十七年の改正で初めて事務職員が国庫負担の対象になったわけです。そういうことによって実績の半額国庫負担ということでできるだけ学校に事務職員を設置するように、教師の負担を軽くしたいという趣旨で制定されたわけであります。事務職員を、今お話のように、いきなり法律を改正した場合に、それが果して効果が上るかどうかという点になると、私は一がいにそうは参らぬと思います。と申しますのは、地方財政が窮屈なんで、全体の総員で押えている。たとえば今佐賀県で起きているような場合に、割合比較的重点がかかっているのは養護教員とか、事務職員の方に重点がかかっている。ですから定員は総数で押えておりますから、もしそこを必置制にした場合に、必ずほかの方に教育上もっと重要な面にウエートがかかってきはせんか、悪影響がありはせんかということを懸念するわけです。そこでこの問題を解決するにはどうしても標準の定数というようなものをきめて、学校の教員数、事務職員数、養護教員の数、こういうようなものを全体的に考慮いたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/81
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082・松永忠二
○松永忠二君 今のお話は、少し実情と違うところがあると思うのです。県費でもって定数をきめる場合には、教員の定数という場合には事務職員は区画をしているわけなんです、事務職員は別に。そこで、義務設置になれば、とにかく中学校の事務職員の定数というのは別にやはり県の中で予算的に定数をきめてかかって組むわけなんです。今佐賀のお話にもあったように、実は各県とも事務職員の定数というものがだんだん下ってきてしまって、小学校では学級を制限して置くとか、中学校にようやく一名ずつ確保していくという現状にあるわけです。実は私は、あなたがおっしゃるように、教員の定数、事務職員の定数、養護教員の定数のそういう基準定数を確保できる見込みがあれば、これは私はそういう行き方でけっこうだと思うのですけれども、それはかけ声だけで事実上はなかなかむずかしくなっている段階において、やはり小学校の定数を確保するならば、まず法でもって、確保できるこの法を改める——定数確保について、これはむずかしいとかいう問題とは別にこれは問題になってくるわけなんだから、まず小学校の事務職員の定数を確保する、中学校の事務職員の定数を確保するという実際的ないき方をとっていく方が、またそういうことをやろうとすることによって、予算の当局の方はそれでは定数基準をきめていく方がいいという方向にまた折衝もいくというふうに私どもも患うわけでございます。むしろやはりこの際中学校には義務設置するという法改正をしていくような積極的な行動をとっていくということが、実は予算における文部省の考えている定数基準を確保するゆえんにもなると私は思うわけであります。佐賀あたりの例をとられたのですが、現実にはどこの県においても、事務職員と教員とはしっかり区画をして定員をきめて、定数条例でもそうやっているので、事務職員を置いたからといって教職員の方に食い込むというのは実情には私は沿ってないと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/82
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083・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 実際の予算を編成しておるものの立場としては、結局予算がどのくらいふえるかということなんです、総額において。そこで大体お話のように、事務職員の定数基準なり、あるいは学校教員の定数の基準は別個でございますけれども、総数として何名ふやすか、減らすかということがいつも問題になるわけであります。そこで事務職員の方は義務設置にしまするとそれだけ定数がふえれば教員の方を減らさなければ問題はないのですけれども、どうしても県財政なり再建計画で何名かを落さなければならぬというような場合には、どこか落すというしわ寄せがくると思う。その場合に大事な教育をあずかっている、子供をあずかっている先生の方をそれによって切られることは非常につらいのです。事務職員のふえることは非常にけっこうでございますけれども、反対の現象が起きることを私どもはおそれておるわけであります。そういうことのないような標準定数というものを検討いたしまして、この点については十分努力いたしたいと考えておりますので、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/83
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084・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 本案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
[「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/84
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085・岡三郎
○委員長(岡三郎君) それでは、さよう決定いたします。
速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/85
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086・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 速記をつけて。
次に、学校教育法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/86
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087・矢嶋三義
○矢嶋三義君 この法律案に関する質疑は、先ほどの審議の際にほぼ尽きたようでございますから、特別質疑がなかったならば、ここで質疑を打ち切られてはどうかと思いますので、お諮り願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/87
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088・岡三郎
○委員長(岡三郎君) ただいま矢嶋委員の方から特別に質疑もないようであるので打ち切っていただきたいという要望がありましたが、さよう決定してよろしゅうございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/88
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089・岡三郎
○委員長(岡三郎君) それでは本法案に対する質疑はこれにて終局したものと認めます。
速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/89
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090・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 速記をつけて。
次に、教科書の検定に関する件を議題といたします。
質疑のある方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/90
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091・矢嶋三義
○矢嶋三義君 質疑を始める前に、先般の委員会で資料の提出を要望しておいたわけですが、本日出されました資料を見ますと、不十分なようですから、あらためてお伺いをし、また提出を要望する次第です。
その一つは、この不合格になった件数の教科別一覧表を出していただきたいということをお願いしておいたわけですが、教科別のが出ていない。それから二十名の調査官の氏名の表が出ていないので、これも出していただきたいし、また任命月日と、それから前歴ですね、これを提出していただきたいと思います。その点と、それから不合格に判定された場合の理由別一覧表を出していただきたいということをお願いしておきました。ところが「不合格事由について」というプリントが出ておりますが、実に簡単なんですが、これ以上の表は出されないものでしょうか。まあ本国会中にどの程度掘り下げて調査できるか、時間の制約もあるのではないかと思いますが、いずれにいたしましても、この教科書の検定の問題については徹底的に掘り下げて調査する必要があると考えているわけです。もう少し具体的に、こういう点が一般にまずくて、こういう点で不合格になっておるのだというような、もう少し具体的に資料として提出願うことはできないものでしょうか。それができないとすれば、また別途調査方法をわれわれは考えなくちゃならぬと思いますので、以上お伺いかたがた要望を申し上げる次第です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/91
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092・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 先ほどの調査官の氏名の方は、実は私の方の聞き違いもございましたので、これは矢嶋委員の御要望に沿いたいと思っております。実は調査員というふうに私は聞きましたもので、調査員については文部省は従来公表いたしておりませんので、この点は失礼いたしました。
それから次に不合格の事由についてでございますが、教科別についての不合格の分は、これは従来採択が済むまでは発表いたしておりませんので、その教科別事由について一々やられますと、やはり採択に、教科書会社同士の間でいろいろと弊害もありますので、採択が済んだ後までお待ちをいただきたい。それからいま一つ事由でございますが、ここに四つほどございます。これば大体大きく分類したものでございまして、これは「誤記・誤植が極めて多かったり、またさし絵・図表等にも誤りや不適切なものが多く、編集が甚だ粗雑と認められたもの」、これが一番多くて全体の五七%、それから「内容上重要事項でありながら、誤っている箇所が少くないもの」というのが二〇%、「表現が難解等で児童生徒の学習上不適当と認められたもの」、それが一七%、最後に「学習指導要領との関係で不適当と認められたもの」が六%、こういうふうな分け方になっているのであります。これよりも詳しくいたしますと、結局個々の会社のものについて一々あげなければならぬということになりますので、これは私の方は避けていただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/92
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093・矢嶋三義
○矢嶋三義君 教科別の一覧表を出していただきたいということは、会社別に出してほしいということを私は要請しているわけじゃないんです。たとえば、音楽の教科書は何部申請があって、合格が何部で、不合格が何部、その合格率が何%、そういう表は私は採択とは関係ないと思うんで、いただけると思うんですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/93
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094・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 私どもはあなたのおっしゃるように、さしたる差しつかえがあるかどうか、私も疑問に思ったのですけれども、教科別に出しますと、どこの教科書会社が申請して、大体落ちたのがどことどこというのが玄人が見るとわかるのだそうです。それで採択に影響があるということで、従来採択前に公表していませんので、採択の結果が判明した後までお待ち願いたいというのが私どもの希望でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/94
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095・松永忠二
○松永忠二君 資料で、今矢嶋先生から話が出たのでありますが、私は不合格になった事由書を、全部といったら大へんなことでありますので、これはもうすでに会社へ説明をされていることであるので、資料を出していただけると思うわけでございます。「新日本史」家永三郎氏の三省堂の発行になる、これの不合格事由書ですね。それと、「社会の発展」和歌森太郎さんの木の実業之日本社の不合格事由書、これを資料として出していただきたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/95
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096・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) 私ただいまの点、実はこういう公開の席で申し上げることは私は差し控えたいと思います。あなたがどういう経路で不合格だということをお聞きになったのか、それ自体も私にはわからない。で、これは各会社の名誉、あるいは著者の名誉等もございますし、私の方としては、当委員会で関係者一同が御了承されるなら、私はそれも一つかと思いますけれども、教科書会社、あるいは著者等について当ってみないと、私の方としてこういうことを約束するわけには私は参らないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/96
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097・松永忠二
○松永忠二君 これは新聞にも具体的に出ていたわけで、また理由書の一部も新聞には掲載されておるわけであります。そのほか教育関係の雑誌等にもこれについては具体的に会社、著者並びに本の書名等も出て、その理由書の一部が掲載されておる。こういう問題について、私どもはその検定というものは公正妥当に行われていると思うわけなんです。しかし、それについて世間においていろいろ疑義もあるということであれば、特に教科書の重要な問題であるので、この点についてはやはり明確にしていくということが必要であり、またわれわれの責任であろうと思うわけです。そういう意味から、私は、具体的にこういうまとめられた不合格理由書では何ら具体的にわかりっこないのです。やはり、すでに新聞紙上でも一部発表されているような事項については、ここで発表できないという私は理由はないと思う。しかも、人を集めて理由書を渡して説明をされ、調査官がたくさん臨んで説明されておるのであって、そういう点について、私は資料提出をしていただくということは、これは不当ではない、またできないものでもなかろうと私は思うわけなんです。
なお、先ほどもう一つの、教科別にこれを不合格、大体パーセントが何割であるかということは、すでに新聞でも、英語等は五割である、社会科は四割であるということも発表されておることなんです。私はこういうことについては、むしろ公正に行われておる事実を示すということからいっても、やはり正々堂々とやっていく、ただしこれが著者、発行所を明記することによって採択の上に非常な影響があるという配慮であるならば、全般的に教科において検定申請者がどのくらいであって、合格者が幾らということについての資料をお出しいただくということが、むしろ私はこの問題について明朗な解決をしていく重要なゆえんだと思うわけです。従って、私としては、今言った二つの著者のことは新聞紙上その他雑誌で聞いたのであって、その理由書について御提出をぜひ一つしていただきたいというふうに思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/97
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098・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) あなたのお話はよくわかると思います。ただ私どもが申し上げましたのは、今の家永さんとか、和歌森さんですね、あるいは教科書会社のどこどこというようなことが事実かどうか、私ここで言明できないのであります。と申しますのは、かりに新聞、雑誌等で報道されましても、それがその会社にとって今後の採択に非常な不利益にでもなった場合には、私非常に申しわけないと思う、その点をおそれているわけなんであります。同じ著者の、あるいはその発行所の教科書がたくさんあると思う、一連の関係の教科書が採択上非常な不利益を受けるというようなことがあってはならぬという私の配慮があるのであります。その点を御了承いただきたいと、こういう意味であります。ですから、教科別の方につきましては——その前に実は今の教科書の理由書でございますが、これは確かに各会社に私の方から正式に配付しております。しかし、それはその会社限りでしか御存じないはずでございますから、それはどういう理由であったかという理由なしに私の方は不合格にしたわけではございませんので、明瞭な理由を付しておりますから、各会社は御存じだと思います。いろんな事情もございますが、一般に会社側としてはこの事実を公表してくれるなということを私の方に希望があるわけでございます。そこで私の方は、その会社との信義を重んじまして、一切のことは、公表は差し控えているわけでございます。いずれ適当なときに、特に各教科別の分につきましては採択が済んだら私の方が申し上げます、採択が決定するまでお待ちいただきたい、こういう意味でございますので、これも採択に影響が出てくるということなんです。特に部数が少ないと、どこの会社が申請したかということがすぐわかるので、何部通って何部おっこったというような場合に、大体その業者間では見当がつくし、それがいろいろと攻撃の材料になっても相済まぬ、こういう意味でございますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/98
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099・松永忠二
○松永忠二君 これは、しかし私は納得はできません。文部大臣は、とにかく検定をしたのであって、検定をしてしまって、途上にあるものを私は提出せよというようなことを言っておるわけではないので、これはもう明らかに検定が済んで不合格になっておるものなんです。そのものについて理由書を出すということについては、その理由とかそういうことについて、御承知のように巷間でもいろいろ問題は出ておるわけです。理由書についてもいろいろ疑義が出てきておるわけです。そういうことも、一体、理由書の内容を知らなくして私どもがそういう問題を論議することができるとお考えにはまさかならぬと思うわけです。私はこれを発表したということが、たとえば文教委員の方々に配ってこれを発表したということがその不利益を直ちに及ぼしてくるということよりも、むしろこういう問題について一般的によく解明をしていきたいというような声の方が多いわけなんです。しかも現実に、文部大臣が検定をもうすでに完了してしまっている。そして理由書等も会社に渡したものなんです。そのものを、国会議員のわれわれにはそれを明らかにすることはできないという私は理由はないと思う。どこを一体押えて、それを私どもに渡すことが不当であるというふうに、私は解釈ができないわけなんです。しかも先ほど申し上げましたように、私はやはりその理由書について、とかくのいろいろ問題も出ておる現段階において発表した、それに責任があることであるので、理由書を明確に出していただいてわれわれが理由書をよく読み現実のものとにらみ合せてみてその理由書でわかるかわからないかという点についてもわれわれも理解をしたいと思うわけなんです。そういう意味で、私は法的に何もこれを拒む理由はないと思うので、私は自分の権利としてこれを要求するわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/99
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100・内藤誉三郎
○政府委員(内藤誉三郎君) ともかく私の方は営業上の利益も考えなければならぬと思うのでございます。あなたのお話のように、趣旨を解明をするとか、これは私も同感でございます。同時に、教科書業界の利益ということも一面考えなければならぬと思う。そういう点から、ことに私ここでどこのことのという会社の名前をあげることは差し控えたいと思いますが、業界からこの件については公表しないでほしいという希望もございますので、少なくとも業者の了解を得た上でないと私の方は出しにくいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/100
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101・矢嶋三義
○矢嶋三義君 内藤局長は、出版社に損害与えないために、利益擁護のために紳士申し合せがあるからという点言われておりますが、との検定は何も、出版社を検定するのでもなければ、著者個人を検定するのでもなくして、教科書本位にやるわけですから、ある社の英語の本が落ちて数学の本は上った、数学の本は採用されるが、英語の本は採用されっこないわけですから、私は何も関係はないと思う。しかも、まあこれはあす議論しますが、二十四国会に教科書法案が出た、その教科書法案の眼目というのは、検定の問題が大きな一つの眼目である。その法律案を政府の方は国会に審議を要望して参った。国会ではいろいろな角度から審議しましたけれども、その検定の項が最も重点的に審議されたことは御承知の通りです。そして立法府の意思としては、この法律は成立ざせるべきでないという圧倒的な立法府の空気の結果、これはついに廃案となったことも御承知の通りです。その後行政措置としてずいぶんと措置をされた、そして今松永委員の言われるように新聞、あるいはラジオ等において検定問題がいろいろと報ぜられて、当時法案を審議した国会議員はもちろんのこと、一般国民でも重大な関心を持っているおわけです。従ってその後のそういう検定行政はいかように進められているかということを調査するのは当然であって、その調査に当ってはその要求ざれたそういうものがなくてはできぬわけであって、しかもそれが業者に迷惑かけると私は考えませんが、かりに業者があなた方に発表してくれるな、こういう話があっても、立法府が調査権を発動して調査するに必要だとあれば、これは行政府の公式文書なんですから、これは出さなければならぬと思う。従って明日審議するわけですから、ぜひ必要ですから、委員長から大臣を通じてその資料の提出を要求してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/101
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102・岡三郎
○委員長(岡三郎君) ただいま矢嶋君から、また松永君から文部省に対して資料の提出要求があったわけですが、その点に関しては、明日までに出してもらいたいと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/102
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103・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 御要求の心持はよくわかるのでございますが、一面から申しますと、政府委員からお答え申しましたような事情がございますので、これの取扱いにつきましては私もよほど慎重に扱わなくちゃならぬので、ただいまの御要求は一応本日は承わって帰るということにさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/103
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104・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 速記をとめて。
〔速記中止]発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/104
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105・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 速記をつけて。
本件に対する質疑は、明日に譲ることにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。
午後三時五十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X02719570513/105
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