1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十二年五月十七日(金曜日)
午後三時五十二分開会
—————————————
委員の異動
本日委員西田隆男君辞任につき、その
補欠として木村篤太郎君を議長におい
て指名した。
—————————————
出席者は左の通り。
委員長 岡 三郎君
理事
有馬 英二君
林田 正治君
矢嶋 三義君
常岡 一郎君
委員
川口爲之助君
木村篤太郎君
近藤 鶴代君
左藤 義詮君
谷口弥三郎君
林屋亀次郎君
吉田 萬次君
安部 清美君
高田なほ子君
松澤 靖介君
松永 忠二君
湯山 勇君
国務大臣
文 部 大 臣 灘尾 弘吉君
政府委員
法務省人権擁護
局長 鈴木 才藏君
文部省大学学術
局長 緒方 信一君
文部省管理局長 小林 行雄君
事務局側
常任委員会専門
員 工樂 英司君
—————————————
本日の会議に付した案件
○公立小学校不正常授業解消促進臨時
措置法の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/0
-
001・岡三郎
○委員長(岡三郎君) これより文教委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について報告いたします。本日、西田隆男君が辞任され、補欠として木村篤太郎君が選任されました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/1
-
002・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 公立小学校不正常授業解消促進臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/2
-
003・高田なほ子
○高田なほ子君 大臣は御出席になりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/3
-
004・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 間もなく衆議院が終りましたならば来る予定です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/4
-
005・高田なほ子
○高田なほ子君 では監理局長に……。
委員長にお願いしておきますが、前二回ばかり私は社労委員に変っておりましたので、もし質問で重複しておるような点がありましたなら御注意下さいますようにお願いいたします。
お伺いしておきたいことは、この法律の趣旨には私も大へん賛成いたします。また不正常授業を解消するためのいろいろな努力は、今日まで文部当局としても非常に力を尽されてこられたことはわかります。しかし、この段階でことしになってようやくこの法律が成文化されて出てきたということについては、それ相当の情勢の分析がされてこの法律が出されたのだと思うのですが、どういう建前で今回お出しになりましたか、提案理由の説明では若干不足だと思いますから、この点についてお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/5
-
006・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 不正常授業につきましては、従来御承知のように法律の規定にもはっきりいたしておりまして、不正常授業の解消のための補助金の算定方法につきましては、その年度の五月一日現在の児童数を基礎にいたしまして、それで補助の資格を計算するということになっておるわけでございまするが、昨年あたりから非常に、国の住宅政策に関連いたしまして集団住宅が相当急激に整備されてくる、ことにかなり規模の大きい集団住宅ができてくるという状況になったのでございます。昨日お尋ねがございまして、そのときにもお答え申し上げたのでございますが、昨年度にも実は年度の途中で、こういった大集団住宅に対して現在の法律の規定しておりますところの制度では不十分じゃないかということが、地元の方から要望されまして、それに対しまして三十一年度におきましては、関係各省の間で三十一年度限りの暫定措置といたしまして特別の方途を講じたわけでございますが、この集団住宅はやはり国の住宅政策といたしまして、今後相当期間を継続して整備されることと思います。その際にやはりその年度に整備される集団住宅の関係から、急激に不正常授業が起るというようなことが想定されますので、やはりその不正常授業の特例といたしまして、一定規模以上の集団住宅の建設される場合におきましては、それに直接関連する不正常授業について特例を設けた方がいいのではないか、かように考えまして今回の改正案を御提案申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/6
-
007・高田なほ子
○高田なほ子君 政府の住宅政策と今回の法律が不可分の関係において出されたということがはっきりしたのですが、従来政府の住宅政策は十カ年計画に基いての計画を立てておられたように考えておりますが、今回の政府の住宅政策はその年期を短縮して大体五カ年計画に基いて着々と進められておられるようであります。そういたしますと、今度不正常授業を解消するための国の補助金なるものもやはり五カ年計画に基く一つの計画というものがあってのことでございましょうか、この点いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/7
-
008・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 御承知のように、三十一年度以来住宅建設の計画が政府としてあるわけでございます。三十二年度におきましてもやはり予算編成の際におきましては、住宅政策を国の重点的な施策の一つとして計画されておるようでございます。この集団住宅の建設に伴う不正常授業の方につきましては、やはりただいまお尋ねのございましたように、政府の住宅政策に伴って不正常の解消をしていくべきものでございますので、年次につきましてはやはり大体におきまして、国の集団住宅に沿っていくものと文部省としては考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/8
-
009・高田なほ子
○高田なほ子君 昨日の文部省の見解に基きますと、対象になる坪数はほぼ五十八万坪ある。しかし今回の措置によって解消できるのは八万坪、残りの五十万坪については大体数年かかるといったような意味の御答弁があったように、こう私は承知しておりますが、どうも昨日の御答弁が大へん計画性がないのではないかというような疑問を持ったわけですが、残りの坪数を解消するための計画はきちっと計数的なものまで作られておるものかどうか。これはもちろん政府の住宅政策とからみ合せる問題でしょうと思いますが、問題は集団住宅にもいろいろ種類があると思うのです。貸し付けによる民間の自己負担による住宅もあるでしょう、公営住宅も、それからあるいはその他の住宅もあるでしょうけれども、どうもこの集団住宅という意味がはっきりいたしませんので、計画や何かもきちっと立て得ないんじゃないかというふうに考えますが、この法律を対象とする集団住宅というこの定義は、具体的にどういうものをさすのか、その点を明らかにしてほしいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/9
-
010・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) この法律で集団住宅と申しますのは、昨日もお尋ねがございましてお答え申しましたように、日本住宅公団による集団住宅、それから都道府県あるいは市町村等の公営住宅、住宅金融公庫の作りますところの集団住宅等の中で、特に規模の相当大きいもの、現在のところでは、大体一団地当り三百戸以上というものを考えておるわけでございますが、三十二年度におきまして、これらの集団住宅が建設される計画は、大体五十六団地ということに計画されておるようでございます。これを区分けいたしますと、大体三百戸以上のものが三十二団地、それから五百戸以上のものが十五団地、それから千戸以上のものが九団地というふうに計画をされておるようでございます。で、これらの住宅建設の地域におきまして、特にこの児童の増加によりまして、小学校等で、当然不正常が起ってくると想像される坪数は、約五千坪程度でございます。で、これに対して、現在国の予算で不正常関係の解消のための実施できます坪数は、大体五万坪でございますので、現在の予算で、その一割あるいは一割を多少上回る数字を保有しておれば、一応これらに見合う、この集団関係の事業の実施は、文部省としてはできることと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/10
-
011・高田なほ子
○高田なほ子君 三百戸以上のものが集団住宅というふうに、一応線を引かれたようで、またその団数についても今御説明がございましたが、非常に疑問とするところは、三百戸以下、つまり二百戸から三百戸という、その間のものについても、これは相当考慮しなければならない点が多々あるのではないか。たとえば新婚夫婦が住むような三百戸もあれば、それから家族持ちの住むような二百戸もあれば、これは単に、その戸数だけで計算することが困難ではないかと思いますが、大体政府は、二月当りについては就学児童をどういう率にながめておられるものか、この点も伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/11
-
012・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) お尋ねのございましたように、集団住宅に住む人の年令層等によって、かなり異同はあると思っておりますが、大体、従来これまでに建設されましたところの集団住宅の様子を見ますと、それによってその集団住宅の実績の調査をいたしました結果によりますと、二月当り平均児童の数というのが〇・四五人ということになっております。これは普通の場合よりやや低いように感ぜられますけれども、大体集団住宅に入られます方は、比較的年令層において、他の場合に比べて若いということが原因であると思いますが、〇・四五人ということになっておりますので、この児童の増加比率は、それを基礎にいたしまして計算をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/12
-
013・高田なほ子
○高田なほ子君 そういたしますと、二百戸であって、一戸割り〇・四五人以上の場合もあります。たとえば一戸当り一人ということもあり得ますが、この場合三百戸という線を引いてしまうと、二百戸の場合には、それじゃ対象にならないのじゃないかという疑問が起ってきます。この疑問に対してお答え願いたいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/13
-
014・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 文部省といたしましては、この政令を作ります場合に、これを何戸にするかということは検討すべき点であると思いますが、特にこの集団住宅と不正常の顕著な因果関係があるというのを、一応三百戸と押えた次第でございます。確かにそれは二百戸でもあり得るかと思いますが、そういう点につきましては、平常の不正常授業の関係、すなわちその年の五月一日現在の児童数で計算をすることにいたしたいと思っている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/14
-
015・高田なほ子
○高田なほ子君 その御答弁ではちょっと不明確だと思います。今概算してみましたら、正確な数字ではないと思いますが、かりに一戸割り〇・四五とした場合に、三百戸以上の場合には約百四十人ぐらいでございますか。百四十人の児童が就学した場合でも、この法律の対象になり得る。しかし、二百戸という集団住宅があって、百五十人をオーバーした場合には、その対象にはならないということになると、戸数でもってきちっときめてしまうということについては、かなり不合理が起ってくるのではないか。つまり、私の言いたいところは〇・四五という基準のこの人数を割り出して参りますと、三百戸で大体百四十人ぐらいになるでしょうが、百四十人以上をこえた場合には、この法律の対象にもできるのだというような、こういう私は法的解釈が成り立たなければ、不正常授業の解消のための国庫補助の精神が、単に数によって失われてしまうのではないかという危険性を持つわけなんです。でありますから、不正常授業を解消するということであれば、単にその家数だけを考えるのじゃなくて、基準とされる、つまり百四十人なら百四十人以上ふえるような状況になった場合には、この法律が適用されるのだ、こういうふうな法解釈が成り立たなければ、私は法の精神が生きないのではないかと思う。この解釈についてはどういうふうにお考えになっているでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/15
-
016・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) お尋ねもございましたように、不正常授業は、学校の施設の規模と、その児童数の関係でございますので、確かに戸数だけで行くということよりも、むしろ児童数で行くのが妥当のように思われますが、施設との関係もございますので、それらの点については解釈上十分検討することにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/16
-
017・高田なほ子
○高田なほ子君 検討する……、どういうふうに検討するのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/17
-
018・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) この戸数と児童数の関係、たとえば先ほど申しましたように、私どもとしては、今までは三百戸、これは三百戸の場合にすべてが、たとえば二月当り〇・四五人ということにはならない、あるいはもっと低いようなこともあり得ると思いますので、その児童数と、普通の平均以上に特に集団住宅で児童数が多い戸数は、三百戸以下にしましても児童数が多いというような場合には、ある程度今回の法改正の特例が適用し得るように検討をしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/18
-
019・高田なほ子
○高田なほ子君 そこで再度私確認したいのですが、不正常授業というこの法律でいう定義は丁寧に言うとどういうふうなことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/19
-
020・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 不正常授業と申しますと、ここにありますのは、御承知のように、第二条に定義があるわけでございますが、その事例になっておりますのは、二部授業、三部授業、それから圧縮授業、それから普通教室以外の教室を教室として使用している場合その校舎というのがこの不正常授業の法律による定義でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/20
-
021・高田なほ子
○高田なほ子君 そういたしますと、たとえば集団百戸の場合でも、今言われたような解釈が成り立てば、先ほどあなたが法の解釈をおっしゃいましたが、成り立てば、二部、三部教授が行われているというような場合には、かりに百五十戸の集団住宅に対してもこの法律は適用の幅を広げ得ることができる、こういうふうに解釈し、また私もそういうふうに確認したいのですが、それでよろしいでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/21
-
022・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 政令でこの規模等について定めるわけでございますので、この児童数と戸数との関係については、ただいまお尋ねの趣旨が生きるように、十分検討いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/22
-
023・高田なほ子
○高田なほ子君 次にお尋ねしたいことは、五十六団地の傾向です。どんどんと大都市に人々が集まって参りまして、特に東京などは、もう都心などはこれはもう余裕がない。従って東京の例をとってはちょっと幅が狭いかと思いますが、大都市の周辺地区に集団的な住宅が建つ傾向にあるように私には思えますが、文部省としては、この大都市と、それから集団住宅との関係というものをどういうふうに見ておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/23
-
024・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) ことしの三月までにいろいろ計画されております予定の団地を調査いたしますと、これは主として住宅公団の関係の計画でございますが、ただいまお尋ねのございましたように、都市、いわゆる六大都市、それから六大都市の周辺の土地に集団住宅が建つという傾向が顕著でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/24
-
025・高田なほ子
○高田なほ子君 そういうことになって参りますと、この法律はきのうの御説明では三分の一補助ですね、ということになって参りますと、地方財政との関連なしにこの問題を考えることができないのです。御承知のように、地方財政の赤字が非常に多くなってきておりますが、こういう財政の赤字の中で、せっかくのこの政府の考えている補助というものがありながら、地方のこれに対する負担能力がないという場合になってきますと、せっかくの不正常授業を解消しようという法律が役に立たなくなって、いうならば、三分の一補助というものを出しておくけれども、これを消化する能力がないということになれば、依然として不正常授業がそのままに残り得る可能性を持っている。たとえば、東京周辺でいうならば、千葉県の場合は、十億の赤字でしょう。十億の赤字に対して、何ですか、借金を返すのに十六億もかかるのだという話を先般聞いて、大へん驚いているわけです。こういうふうな地方では、幾らどんどん集団住宅ができて、子供を受け入れる態勢ができないから、この法律の対象にして、地方で三分の二を負担してやろうと、こういう場合になったときに、どうもその目的が達せられないように思いますが、地方財政の中における負担と、この法律の精神を生かす道というのは、なかなか困難ではないかというふうに考えられますが、どういうふうにこれをおとりになっていらっしゃるでしょうか。この点をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/25
-
026・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 集団住宅がございます地方公共団体が非常な赤字をかかえておりますような場合には、これによって引き起されるところの不正常授業について、その解消のための建築をするということも、実際問題としては相当困難が伴うことかと存じます。ただ、やはり集団住宅の関係で、多少その地域に対する税収等も出てくるわけでございますし、また、大都市周辺の都市は、これは中にはもちろん非常な例外もあり得ることと存じまするけれども、概してまあそうひどい赤字の市町村というものは少いのではないかというふうに考えるわけでございます。なお、この自己財源等ができ得ませんような場合には、文部省といたしましてもできるだけそれらの地方団体について特別の起債ができるように、関係の官庁と十分折衝いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/26
-
027・高田なほ子
○高田なほ子君 ただいまの御発言は私は非常に重要視するわけです。果してこの特別の起債ができるかできないかということは、ここで論議しても御答弁いただくことはできないと思いますが、特に大臣もお見えになっておりますが、今日の地方財政の地方債の占める額というものは非常に大きいわけです。五千二百億に余る地方債です。この地方債を片づけることなしに、私はこの問題は根本的に解消できないように考えております。特に今起債の問題をワクを広げるような御発言がありましたが、現在でも約六百億の起債が、これは抜き差しならない状態になっておりますが、特別の起債を考慮するといわれますが、この法律を立法されるに当って、起債の点について大臣は何か御相談になっている点があるのでしょうか、この点お尋ねしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/27
-
028・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) ごもっともな御心配と思うのであります。地方の財政が一般的に申してかなり苦しいことは御承知の通りであります。ことに過去の地方債の償還という問題につきまして、だんだんと苦しくなってきつつあるというのが今日の状況だろうと思うのであります。その一般的な対策といたしましては、今度の国会における地方財政関係の措置によってある程度緩和し得ると思うのでありますが、これとても決して十分とは思いません。政府といたしましても、この問題についてはさらに将来を期して充実をはかっていかなければならぬ、こういうふうに私は観測するのであります。そういう意味でありますので、なかなか町村によりますというと、かなり骨が折れる町村もあろうかと思うのであります。ただ、現実問題といたしますれば、問題は多くは六大都市というふうなところに関係した問題になってくるのじゃないか、そういうふうな六大都市というふうな向きになって参りますというと、一般の市町村と違いまして、さような面はかなりゆとりがあると言っては語弊があるかもしれませんけれども、楽な点がある。ただ問題は、今まで、従来政府といたしまして起債を認めるのに、たとえば東京都というふうなところは、起債能力が十分ある。それに対してあまり起債を認めていなかった。そうして、一般の市町村に対する起債というふうなものがむしろ多かったのであります。これがまあ焦げつきみたいな形になったといいますか、各町村の償還を非常に困難ならしめたと思います。だんだんと一般町村に対する起債というものにつきましては、いわゆる事業公債というふうなものは別としまして、一般の公債というものにつきましては漸次抑制していく。そのかわりに一般財源を充実していこう、こういうような方向に変りつつあるように思うのであります。同時に、東京その他のような、いわば起債能力を持っておりますところには、従来よりももっと起債のワクを広げていこう、こういう行き方に漸次変りつつあるように思うのであります。そういうことでありますので、起債の面から申しましても、現実問題といたしましては、それほど御心配にならなくてもよろしいのじゃないかと思うのであります。また、これだけの集団住宅ができるといたしまするならば、町村と土地の問題その他でいろいろ折衝もあることだと思うのであります。そういうふうなことでございますので、あまりに能力のないにかかわらず無理々々にこれを引き受けなくちゃならぬというような変な事態というものは、現実にはあまり起らないのじゃないかというふうに私は見ておるわけであります。仰せの通り、起債の問題は確かに重要な問題でございますが、文部省といたしまして、今年度におきまして、特にこの法律に関係いたしましての格別な折衝はいたしておらぬと思うのでありますが、大体義務教育関係におきまして、起債のワクが前年度に比べますれば、相当ワクを広げておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/28
-
029・高田なほ子
○高田なほ子君 大へん文部省としては楽観されておりますが、私どもの観測ではそう楽観ばかりはしておられないのではないか、今大臣が仰せになりましたように、なるほど政府はこの地方交付税の税率を一%上げておりますが、これはここで私から申し上げるまでもありませんが、一千億に伴う減税、一千億に伴う地方交付税の減額が三百八十八億、これに見合わせるために税率を一%引き上げたのであります。一%引き上げたのは、即地方の行政の水準を引き上げるためにそれらのものが消費されるのだというふうにはどうも受け取りにくい点があるのです。そうだとすると、やはりこの起債六百億というものは、まだまだ元利の支払いもできないという状態の中で、あまり甘くお考えになると、せっかくの法案をお通しいただいても、こういう点の措置ができなければなかなか考える通りにはいかない、こういうふうに非常に心配をしてお尋ねをしているわけでございます。でまた、先ほど局長は自然増収もあるからというようなことで、これまた楽観していられる。大臣も監理局長も一緒になって楽観をしておられますが、そう楽観されては困るのではないかと思うのですね。で、住民税の所得割、現行法だと所得税の二一%、来年は今度さらに上って二六%、再来年は二八%というように住民税が上ってくるわけでありますから、なかなかことほどさように地方の税収によって困難を解消するのだとおっしゃっても、実際はそううまくいかないのではないかと私は思うのです。この税収の増の分で何とか解消できるというのはどういうわけなんですか、私には納得できない。どうして解消ができるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/29
-
030・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 先ほどお答え申しましたように、一応この六大都市、あるいは六大都市周辺のところでその市町村も集団住宅の設置を希望し、それぞれ、たとえば住宅公団、あるいは金融公庫等と話し合いのついた、公営住宅はもちろんその市町村で発意してやりますので、これは問題がないと思いますが、一応能力のあるというところへ集団住宅ができるというのが通常の形ではなかろうかと思います。ただ、自然増収も期待できますけれども、この税収だけですべてをカバーするということは、困難のところもございましょうけれども、そういったところには先ほどお答え申し上げましたように、起債等のワクもいくように文部省としても自治庁等とも十分折衝をして努力をいたしたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/30
-
031・高田なほ子
○高田なほ子君 具体的には千葉県なんかの場合はどうですか。たとえば集団住宅というと、東京周辺になると、どうしても千葉とか、あるいは埼玉というふうに広げられてくると思いますが、これらはどちらもかなり財政の窮屈なところなんですが、具体的に千葉県などの場合は、十億の赤字を持ち、そうしてその借金をなくすために十六億ぐらいも払わなければならないというところで、どうして起債の幅を広げていくのですか。こういう具体的なことに疑問を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/31
-
032・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 私は、かような住宅建設の計画をいたしまする場合に、地元の町村というものと無連絡、無関係で行われるという場合はまず考えられないと思います。従いまして町村の方におきまして、そこでやろうというふうな場合には今の町村の負担にすべき事項については、それぞれ町村といたしましてもいろいろ検討いたしていることと思うのであります。従って現実の問題といたしましては、高田委員の御心配になるほどのことはないのではなかろうかと思うのでありますが、ただそういうふうな場合に、町村としてその財源を何に求めるかということになりますというと、これは一般財源でもってやるということは、おそらく困難だと思います。大体まあ起債というふうな形をとるのではないかと思うのであります。起債ということになりますというと、結局償還財源があるかないかということが大きな問題になってくる。その場合には、この住宅一つとって考えてみましても、あるいは固定資産税とか、そのほか所得関係の収入、いろいろ町村の収入というものも将来ふえて参るはずのものだと思うのです。大体私は償還財源にもそれほど困ることはないのでありますから、町村といたしましては、かような場合におきまして、特に一そうの財政を苦しくするという事態にはならないで済むのではないかと思うのです。また今の千葉県の十億というお話がございましたが、数字のことは私も存じませんが、おそらくそれはその県の方の関係のお話じゃないかと思うのであります。大体起って参ります問題は、主として市町村の問題であろうと思います。県に十億の赤字があるということが、この計画に直ちに悪い影響を及ぼすというふうにも考えないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/32
-
033・高田なほ子
○高田なほ子君 これは見方の相違だと思うのですが、県財政が苦しいということは、ひいてやはり市町村が財政が苦しいということになるので、県財政と不可分の関係にあるということは考えられませんが、これは見解の相違ということにはならないと思いますですが、大臣はそうお考えになって、私はまたこう考えておるので、これはやってみなければわからないことです。
それから大へんこの点は心配な点でありますから、とくとさらに御研究いただいて、起ってくる次の事態を防ぐような手を私は打っていただかなければならないと思う。その一つの、私の第二の心配として起ることは、集団住宅はできた、子供がふえてこの不正常授業の事態を解消したいとする最近の母親の情熱というものは、大へんすばらしいものがあるわけなんです。そうなって参りますと、せっかくどうも幾ら補助があることを知っておって、どうも市町村の財源が苦しくて解決できないとなれば、自発的にやはり寄付という問題に立ち上ってくるのではないかと思います。寄付行為そのものが悪いというふうには私は考えておりませんが、最近のものは、ことに公立学校における施設の問題については、しばしば強制寄付が行われております。この強制寄付は、はなはだどうも迷惑をする面が多いのです。寄付をしなければ建てられないのですから、どうしても必然的にそういう方向に追われてくることがあり得る。現にそういう状態です。この法律を通過させるに当りましても、この学校施設のための寄付行為というものについては、相当私は文部省当局が指導なさる必要がある事態ではないかというふうに考えますが、現状のこの寄付行為というものをどういう状態に把握しておられますか。またこれに対する措置を、当局としてはどういうふうにしたらいいか、どういうふうに考えておられますか。これは非常に父兄の関心事でありますから、特に大臣から御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/33
-
034・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 学校関係の寄付につきましてもいろいろとあろうと思うのであります。一般的に申しまして、私は学校関係に対して、父兄の、まあ正規のものでないいろいろな寄付がたくさんあるというようなことは望ましい事態とは思っておりません。いろいろ今までのいきさつもあり、また現実問題といたしましてなかなか公けの財政も思うようにまかせないために御心配をかけている点もあろうかと思いますが、漸次そういうような傾向は是正すべきものであるという考え方をいたしておりますので、今後ともよく実情を把握いたしまして、なるべく是正の方向に向って努力したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/34
-
035・高田なほ子
○高田なほ子君 はなはだくどいようでありますが、文部省がこれから調査に当られるということでは大へん心もとない、新聞紙等でもしばしばこの寄付行為のことについては苦情を言っておる投書もあるし、また論説にも出ておる非常に大切な問題であると思うのです。特にどんどんと集団住宅ができて参りますれば、必然的に施設の拡充ということが起ってくる問題であって、この法律と不可分の注意をしなければならないのは、学校当局からの強制寄付行為、これは現に慎しませるようにしていただかないと、はなはだ迷惑をこうむる階層が多い、またこのことによって先生方自体も非常に卑屈になってくる、寄付集めに大わらわになるような先生ばかりふえたのでは、これはどうも困ることです。そういうようなことが行われないように、特に腹を据えて、強制寄付の問題については取り組んでいただきたい。これを強く御要望申し上げたいと思うわけです。
次にお尋ねと、それから希望になるかもしれませんが、集団住宅に対しては文部当局としても考慮しなければならない点があるのではないか、つまり二百戸なり三百戸なりの集団住宅は住宅問題を担当するそれぞれのセクションで行われるわけでありますが、特に文部当局としては集団住宅建設に当り、児童遊園地等についてはこれは、新たな一つの時代感覚から集団住宅について児童の遊び場を、あき地を設けるべきであるというような点についても、親心のある措置というものが必要である、単に教室の施設だけを解消することで事足れりとするのではなく、校外における遊び場、なかんずくお庭のないような集団住宅における子供の取扱いということについては、住宅のことばかり考えておるお役人には、住宅のことだけで頭がかんかんになって、子供の教育ということについては、そこまで念が及ばない、こういう点をまあ指摘するわけですが、何とかこれは大臣の方からもこの法律と密接な関係を持つ意味で、集団住宅における児童の遊び場等の問題についても何とか御相談がいただけないものか、これは希望でありますが、いかがなものでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/35
-
036・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 非常に適切な御意見と承わっております。かような大きな集団住宅を計画します向きに対しまして、文部省といたしましてもよく御趣旨に沿うように連絡をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/36
-
037・岡三郎
○委員長(岡三郎君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/37
-
038・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/38
-
039・高田なほ子
○高田なほ子君 きのう若干触れた問題ですが、新築する場合の単価の問題なんですが、だいぶ値上りしてきておるようですが、この単価について何か暫定的な考えでも持たれておらないものでしょうか、運賃値上げ、材木の値上げ、コンクリートの値上げ、そうとすると、この単価の問題についてはよほど御考慮を願わなければならないと思いますが、今原案としてお持ちになっている単価はどんなものでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/39
-
040・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 学校建築の補助単価の問題でございますが、補助単価は御承知のように、そのときの経済事情によって変るべきものでございます。で、御承知のように、前年以来鋼材の値上げというようなことがかなり顕著でございましたので、文部省といたしましては大蔵省と折衝いたしまして、この鋼材を使いますところの鉄筋の場合、あるいは鉄骨の場合等にはそれぞれ昨年度に比べましてやや単価を引き上げております。当時木造につきましては、材木の値段が一応横ばいでございましたので、これは前年度通り据え置いてございますが、鉄筋につきましては約三千円近く——前年が五万五千円でございましたが、これを五万七千九百円にいたしました。それから鉄骨につきましては四万二千円のものを一応四万四千二百円ということで計算をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/40
-
041・高田なほ子
○高田なほ子君 木造の方は従来通りですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/41
-
042・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 木造の方は昨年と同様に二万八千円ということにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/42
-
043・松永忠二
○松永忠二君 きのう数点お尋ねをしたわけでありますが、二、三追加をしてお聞きをしたいわけですが、今ここで問題になっている不正常授業の問題は主として六大都市を中心としたものであるというお話ですが、六大都市の不正常授業の増加率というものについて先ほどのお話では、昨年ごろから集団住宅が多くなってきたので不正常授業の率が増加をしてきておるというようなお話であったわけでありますが、大体ここ四、五年くらいに不正常授業はどういうふうに六大都市では増加を示しているのか、その率をおわかりであったらばお示しをいただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/43
-
044・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) この改正の法律で取り上げておりますのは、御承知のように、特にここ一、二年の間非常に増加して参りましたところの集団住宅でございますが、一般的に申しますと、六大都市におきましてもこの社会増による児童の増加率はそう特に顕著になっておるわけではございません。最近におきましては、大体平準化しておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/44
-
045・松永忠二
○松永忠二君 私のお聞きしたのはそういうことではなくて、もう私どもの知り得ている範囲では、昭和二十八年、二十九年、三十年、三十一年と不正常授業の学級というものは非常に急激にふえているというふうに判断をしておるわけですが、そういう点についての具体的な不正常の学級数の増加の率というものはどんな状況になってきておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/45
-
046・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) お答え申し上げます。東京都の例をとってみますと、二十八年度には不正常授業を解消するに必要な教室数千九百二十六、それから二十九年度は千百七十二、それから三十年度は二千百三十七、三十一年度は二千九十一、二十九年度はやや減っておりますが、二十八年、三十年、三十一年はほとんどまあ同数ということでございます。それから大阪市の例をとってみますと、二十八年度は六百五十八、それから二十九年度は四百六十二、三十年度は五百四十、三十一年度は六百二十一という数字で、多少増減はございますけれども、大体横ばいの状況になっておるという実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/46
-
047・松永忠二
○松永忠二君 この東京を抜かした地域、まあ五大都市と言われる地域の不正常授業におけるところの増加率というのは、あなたのおっしゃったように横ばいではないというふうに思うわけなんであります。そういうものを集めたデータというものはないのでございますか。東京都は東京都、横浜は横浜というだけなんですか。それとも六大都市を集めて、その増加の率を表わした資料というものは文部省はお持ちではないわけでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/47
-
048・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) ただいまは東京都と大阪の事例だけを申し上げたわけでございますが、六大都市全体を通じての数字を申し上げますと、二十八年度には四千百二十八教室、二十九年度には四千三百七十九教室、三十年度には四千六百二十一教室、三十一年度には四千七百四十七教室と、こういう数字になっております。これは例年五月一日に実施をいたしますところの実態調査の調査結果でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/48
-
049・松永忠二
○松永忠二君 わかりました。
その不正常授業の増加率というのは、児童生徒の自然増加率とか、あるいは都市人口増加率と比較してみた場合に、どういうふうな結果が出ておるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/49
-
050・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) その六大都市における児童数の増加の数字は、一応私どもとしても持っておりますが、ただこの児童数の増加が自然増によるものと、社会増によるもの、いわゆる外から入ってくる関係のものとに分けました場合に、おそらく大半は自然増によるものが占めておることと思いまするけれども、現在はっきり六大都市における児童数の増加のうち、何%が自然増であるということは、ちょっと申し上げる資料を持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/50
-
051・松永忠二
○松永忠二君 大へんこまかい数字のことでありますので、直ちにそういうふうな資料を御提出願うということは困難だと思うわけであります。ただ私は、こういうふうな基本的な法律を提案する場合には、やはり六大都市における不正常授業の増加率、それからまた児童生徒の自然増加率、そうしてまたその都市における人口増加率というものを比較をして、そうして法的な必要度を強調するということが私は本筋だと思うわけであります。そういう意味でお尋ねをしたのでありまして、そういう点まあ十分御研究なさっての御提案であるということとは考えるわけでありますが、そういうことは私はぜひ十分に御調査をいただいて、そういうものを基としたこの法の正しさを主張していくということがぜひ必要ではないかと思うわけであります。
続いて、この六大都市を対象として、昭和三十一年度において児童生徒増に対するいわゆる建築の不足坪数というようなものですね、これはどんな状況になっておるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/51
-
052・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 六大都市の関係の不足坪数を申し上げますと、東京都が大体二十万坪でございます。それから横浜が三万八千、名古屋が五万、京都が一万三千、大阪が七万八千、神戸が二万九千合せて大体四十一万坪という数になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/52
-
053・松永忠二
○松永忠二君 その四十一万坪の不足に対して、承認している建築の坪数は大体どういうふうになっているのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/53
-
054・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) これは御承知のように、補助金を申請してきたものによってやる分と、それから自力の財政でやる分と、起債でやる分とあるわけでございます。で、補助の金額はこれはわかりまするけれども、自力でやる坪数につきましては文部省としては特に関与しておりませんので、ただいまここに資料を持っておりません。それから起債につきましては、六大都市につきましては一般の補助、起債のほかに、特に財源関係等も考慮いたしまして、年度末にかなりの起債を自治庁の方で承認されているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/54
-
055・松永忠二
○松永忠二君 私のお聞きしたいのは、昭和三十一年度の四十一万坪の不足に対して国が補助をして承認した坪数は一体どのくらいになっているのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/55
-
056・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) ただいま手元にその個別の資料を持っておりませんので、直ちに連絡して調査いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/56
-
057・松永忠二
○松永忠二君 これは、私はやはりこの問題を考えるのに大切なことだと思うわけであります。大体三十一年度の不足坪数が四十一万坪であるのに対して、国が一体どの程度の承認坪数を、あるいは自力をどの程度考えているのかというその計算の上に立ってその一体不正常授業を解消する、要するに児童生徒増に伴う不足坪数を解消するというようなことが結局今度の法律、文教施設の予算の基礎になってくるというふうに考えるわけであります。そういう意味からいってやはりこれは私としてはお聞きをしたい。そうしてまた、一体それを充足するために必要な金額というものは、文部省の考えている単価でどのくらいになるのか。そういうところを一つお聞かせをいただくことによって、昭和三十二年度の一体生徒増をどういうふうにつかんでおられ、坪数は一体どういうふうに不足していると考える、その中で幾ら一体昭和三十二年度のこの予算において解消していくのかということを私はお尋ねをしたいわけであります。昭和三十二年度については大体計算の基礎等をお持ちだと思うわけでありますので、御提示をいただきたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/57
-
058・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 三十二年度のこれは全国全体を通じての関係でございまして、六大都市に限るわけじゃございませんけれども、この予算は御承知の通り五億九千万円でありまして、これで実施し得る不正常の解消の予定の坪数は大体四万九千坪ということになっておるわけでございます。ただこの四万九千坪——五億九千万円をどういうふうにこれから各府県に分配をしていくかということになりますと、御承知の通りそれぞれ各府県で不正常授業解消のための実施の計画というものがあるわけでございまして、この実施計画をそれぞれ年度別に取った上でないと、補助金の配分ができないわけでございまして、従って現在、たとえば六大都市にどれだけいくというようなことは、現在の段階では直ちには御返事ができないわけでございます。それから起債等につきましても、やはり自治庁の方で年間の大体の実施計画というものを、各府県から提出してもらいませんと、どれだけが六大都市にいき、どれだけが六大都市以外の各府県にいくかということは、現在の段階では、三十二年度ではわからぬ状況ではなかろうかと考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/58
-
059・松永忠二
○松永忠二君 私がお聞きしているのは、別に六大都市へ幾ら補助金をやるとか、そういうことをお聞きしているのではなくて、六大都市について一体、また全国において児童生徒増に伴う必要坪数をどういうふうに押えられているのか、そうしてその中で、今あなたのお話しになった四万九千七百四十三坪というのは、どのくらいな割合に一体なっているのかということを私はお尋ねをしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/59
-
060・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 昨日も実はお尋ねがございまして、お答えを申し上げたのでございますが、昨年、三十一年の五月一日現在の不足坪数は五十二万五千坪あったわけでございますが、三十一年度で実施した坪数、それから補助金で実施した坪数のほかに起債で実施した坪数、それから学校統合等の関係で減少した坪数等を差し引きますと、本年の不正常関係の不足坪数は大体三十三万坪というふうに想定されるわけでございます。この三十三万坪をどういうふうに解消していくかと申しますと、この不正常授業につきましては、御承知のように、補助金をもらって実施する場合と、ことに財政的に余裕のあります大都市等におきまして起債によって解消する分と、両方あるわけでございます。大体補助の比率が三割、起債の分が七割というここ数年の間の実際の実績でございますので、その比率によって按分いたしますと、この五万坪——四万九千坪でございますが、これで大体三十二年度及び三十三年度で、この程度の事業を実施していくことによって、この三十三万坪は解消できるのではなかろうかということになっておるわけでございます。ただ御承知のように、補助金も来年度もこの程度に取れる、それから起債の方も本年度及び来年度は、昨年度と同程度にこの不正常の方にも回すということが前提の条件でございまするけれども、現状通りのことでいきまするならば、大体三十二年及び三十三年、両年間で解消できるのではなかろうかということでございます。ただこれには三十二年度でまた大都市に集まってくる児童数の増加は含んでおりません。また三十三年度で集まってくる増加はこれを含んでおりませんので、それはさらに計算上は後年度に残るということになろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/60
-
061・松永忠二
○松永忠二君 全国的な資料について、大体不正常授業解消の計画ということは、昨日私がお聞きをして、今局長のお答えになったようなことを御説明をいただいたわけであります。従ってまあ私は主としてここで問題にしておるのは、やはり六大都市における自然増というもの、なお社会的な条件による増加ということを問題としておるわけでありますので、そのものの数値といいますか、そこが出てきておらないとこの法案の意味というものがよくわかりかねるわけであります。そういう意味で今言った昭和三十二年、昭和三十三年におけるこうした集団住宅等に伴う生徒増というものを、どういうふうに計数的に押えていくかということについては、やはり御説明をいただくということが私は必要だと思うわけであります。後刻またそういう点についておわかりでありましたら、御説明をいただきたいと思うわけであります。
次に公立文教に関係いたします、要するに統合、不正常危険校舎、あるいは六・三建築といわれているような、該当するものの一体現在の不足坪数というものは、大体押えてどのくらいな坪数を持っているのかということについてお尋ねをしたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/61
-
062・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 公立文教の全体に関する不足坪数のお尋ねでございますが、不正常関係につきましては、先ほどお答え申し上げましたような数字でございます。それから統合関係につきましては、現在私どものところで把握しております数字は三十二年度初めで大体二十五万坪ということでございます。それから危険校舎でございますが、小、中学校の分の危険校舎が三十七万坪、それから高等学校の分が九万八千坪ということでございます。それから義務年限の延長に伴う中学校関係の不足坪数が大体五十八万坪、こういう数字であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/62
-
063・松永忠二
○松永忠二君 それは総計すればわかるわけでありますが、これで私が今一番問題にするのは、この一体不足坪数は大体何年ぐらいで解消されるものでありますか、そういう一々どれについても御計画を持っておられると思うわけでありますが、これは昭和三十二年度初めにおける押えであるので、まあ私このいただいた資料で、危険校舎あるいは不正常、六・三建築について、ここに出ておる不足坪数に対して予算化されておるパーセントは一体どれぐらいあるものかということを考えて計算をしたわけでありますが、平均して二八%というのが私の計算したところあるわけであります。この大きな不足の坪数を一体どう解消していくのか、あるいは先ほどから高田委員からお話があったように、地方の財政が逼迫をしておる現状であるし、なおなかなか国における予算の獲得も非常に困難だというような現段階において、どうして一体この問題を将来解決をしていくという考え方なのか、この点についてやはり根本的な考え方をきめておかなければできないし、見通しを持っていかなければできないではないか、こういうふうに思うわけです。特にこの委員会でも問題になったのは、危険校舎のごときは、もう全く私どもも昭和二十九年五月一日の当時の危険校舎が、昭和三十四年になってもなおかつ解消しないという数字的なお話を承わって、六・三の制度を打ち立てるとき——新学制を打ち立てるときに、やはりわれわれの国ではこうした予算的な裏づけを持たずして出発したというような点について非常な問題を、禍根を残しておるわけでありますが、こういう点について、やはり現在の新しい制度を守っていくとするならば、やはりこのままでいってはこの問題の解消はできない、ほとんど不可能に近いというようにわれわれは考えるわけでありますが、何かここでそれについて、やはりそれをおやりになっておる方々としてお考えがあるであろうし、こういうふうな方法で解消していくというような腹案もおありだと思うわけでありまして、これについては文部大臣にも一つそのお考えをお聞きをしたいわけであります。お答えいただきたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/63
-
064・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 公立文教全体の問題でございますが、もちろん文部省といたしましては、各事項ともそれぞれ年次の計画を立てて、不足坪数の解消、あるいは資格坪数の解消のために従来も務めてきたつもりであります。たとえば不正常の方であれば、これからの社会増は当然起りますけれども、それはそれといたしまして、大体二年ないし三年で、現在ある程度のものは片づくのではないか。それから危険校舎の方にいたしましても、大体二十七年五月一日現在の危険校舎の坪数でございますが、一応これは二、三年のうちに片づくことになろうと思います。ただこれは、ただいま申しました通り、二十九年五月一日でございますので、その後三年間の危険度の進行ということがあるわけでございまして、あるいはまた、過去二十九年五月一日に調査いたしました際に、申告漏れもあろうと思いますので、これについてはこの秋にでも全国的な調査を実施して、できるだけ正確に危険坪数の把握をするように努めて参りたいと思っております。その他統合、これは文部省も、この公立文教の中では相当重点を置いて予算の折衝をいたしたのでございますが、これについても、今後さらにできるだけの努力を傾けて参りたいと思っております。六・三につきましても、現在のところ、ここ五、六年まだかかるような予算の数字ではございまするけれども、できるだけ、六・三年限延長に伴うものにつきましても、文部省としては、予算の獲得に努めたいと思っております。
文部省といたしましては、この公立文教の整備ということは、文教政策上の一つの基本的な重要な問題として、財政当局との折衝をいたしておるわけでございまして、予算上獲得されました数字につきましては、もちろん十分ではございませんけれども、今後さらに一そう努力を続けて参りたい、こういうふうに考えておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/64
-
065・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 昨日もこの問題に触れてお答えしたかと思うのであります。実は一番痛いところをおっしゃっていただいたように思うのであります。公立文教施設整備充実という課題に対しまして、今日われわれが持っております予算というものは、きわめて不十分だというふうにこれは御指摘になりましても、一言の私は抗弁もできない。確かに不十分なんであります。
計画と申しましても、率直に申し上げますれば、計画があって、その計画に基いて予算が取れるというような事態は今まであまりなかった。予算が取れて、その後どうするかというふうな計画を立てる。こういうふうな、正直のところ実情であったろうと思うのであります。計画増築あるいは計画改築ということも決して完全なものではございません。まことにさような点から申しますというと、私どもも遺憾にも存じ、また申しわけなくも存じておる次第でございますが、何さまいろいろ予算がかかることでありまして、文部省の事務当局もただいま申しましたように、一生懸命やっておるわけでございますけれども、思うように予算の獲得ができないというのが今日までの実情でございまして、そこで、あまり私は大きなことをこの機会に申し上げることは差し控えたいと思います。憂いは皆様と同じでございます。できるだけ一つこの方面のことにつきましては努力して参りたいということを申し上げるにとどめておきたいと思います。何とぞ一つ御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/65
-
066・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/66
-
067・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/67
-
068・松永忠二
○松永忠二君 大臣からも、局長からもお話があったわけでありますが、今、矢嶋さんからお話がありましたように、私が数字的なものをどうこうというようなことについては、特にこの公立文教関係の不足坪数については、巷間出ている資料というものが実は非常にずさんであって、あるいは非常に誇大視したものがあるし、われわれとしてはなかなかつかみかねているわけであります。現実にはいろいろなところから出している資料を——今数字をお聞きをしたわけでありますが、他の資料によれば、たとえば統合の坪数なんかについても二十五万坪といっているけれども、他では三十四万坪だというようなことを発表しているところもある。あるいは不正常授業についても七十五万坪といい、あなたの三十三万坪という倍以上の不足坪数を数字に出して、しかも印刷をして配っておるわけなんであります。そういう点でやはり私は責任ある資料をお出しをいただいてというか、数字を明確にしていただくことがやはりはっきり解消するゆえんになると思うわけであります。今、大臣から、予算が通ったのについて計画をするというお話であるけれども、とにかく机上プランでもいいから確実な不足坪数について、監理局における計画的のものを御提示をいただく、そしてまた一般にもこれを十分に啓蒙することによって私はやはりこの問題の一歩前進があり得ると思うわけなんであって、その点についても、私ともここへ文教委員として出てきて、危険校舎についても明確な数字を伺って、これでは困るというようなことがはっきりわかってきておるので、こういう点について、十分一つまた機会を見てそういう点御検討いただいて、資料等も御提示をいただきたい。
文部大臣に一つお伺いしたいのは、今一千億施策ということで、たとえば道路、車両、輸送の問題、あるいは電気のようなものについて、その生産の隘路として考えて、これに重点的な計画をしておるわけであります。私は、少くとも日本の教育を推進していくためには、むしろこの隘路の中に教育を入れて、こういう一千億施策の場合に、教育を入れた隘路というものが打ち出されてしかるべきだと思う。そういう点において、生産の隘路が単なるいわゆる産業における生産の隘路だけを取り上げているということについて、文部大臣として一体どういうお考え方を持っておられるのかということについて、この際一つお聞かせをいただきたいと思うわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/68
-
069・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 限りある財源をいかに使っていくかという問題でございますので、今年度の予算を編成するに当りましては、特に道路その他の、当面日本の産業経済の発展を期するために必要な方面に重点を置いたわけであります。決して文教予算に重点を置かなかったということではございませんけれども、特に重要な方面に資金を流していく、こういうふうな方針をとりましたので、先般御審議願いましたような予算になりました次第でございます。
私に対する御督励につきましては十分肝に銘じております。できるだけ今後ともに努力していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/69
-
070・松永忠二
○松永忠二君 今の文部大臣の御答弁は、閣僚の一人としてはそういう御答弁もあるかと思うわけでありまするけれども、私は文部大臣としてやはりこの一千億施策の中に少くとも教育についてこうした目に見えておる不足の坪数がある、それもほとんど計画が立てられない現状のようにあることを考えてみましたときに、道路の整備とか、あるいは輸送の充実と同じようなウエートをもってやはりこれを取り上げていくということが必要であると思うわけであります。そういう点について文部大臣としては御不満の点も私はあろうと思うわけでありますが、一つ御尽力いただいて、今後そういう施策等に教育という文字を載せて、計画的にこれらの問題が解消していくようなふうに御努力願いたいと思うわけであります。その他の点について、まだ二、三お伺いしたい点がありますが、以上で一応質問を打ち切りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/70
-
071・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私は昨日に引き続いて、二点だけさらに伺わしていただきたいと思います。
その一つは、他の委員から昨日、本日と引き続いて、この施設の問題について質問がされたわけですが、施設設備、特に施設について設置者並びに半ば強制的寄付を強要される府県にとっては、きわめて重要な問題ですが、従来は、文部大臣は詳細に御存じないと思いますが、的確なる数字を文部省は持っておられなかった、調査が不十分であった、そうして計画自体も、すなわち解消の年次計画すら持ってなかったのが過去の実情です。最近になって、文部省の監理局が努力されて、不十分ながらも相当的確な調査をされた数字を持たれ、そうして先刻以来の質疑にも出ておりましたように、それぞれの部門について年次計画を持たれるに至ったのは今の局長になってから初めてです。なお、その計画が、また数字の把握がわれわれは若干不十分だと思う。その角度からさらに質疑をしておるわけですが、残る問題は、この計画を実現するために大臣が政治力をもっていかに予算を確保するかという段階にようやくきたわけです。これからが文部大臣の役割になってきたわけです。こういうことをしっかり確認しておいていただきたいと思うのです。従来、ずっと吉田内閣時代から数字が把握されておって、計画があって、そうして予算が取れずにきたわけではないのですから、そういう点、ぜひとも大臣は心して、ようやくこの事務当局の努力によって立てられた計画は、この計画通り、あるいは、それ以上に施設の整備ができるように努力してもらいたいことをまず要望しておきます。
局長に伺いたい点は、この不正常の解消に当って、昨日、本日繰り返して、補助対象は三〇%、起債は七〇%、この率でいけば三十三万一千六百二十一坪が大体二カ年程度で解消できるのかということで答弁されておるわけですが、私はこの三〇と七〇の比率ですね、これがやはり問題だと思うわけです。先ほど来起債の問題がずっと出ておりましたように、起債が七割で補助対象が三割というと、ますます起債をふくらます原因になりますので、でき得ればこの率を変えることと、それから三〇、七〇については自治庁と協議済みのことであり、来年度は少くとも七〇%の起債というものは確保される見通しであるのか、その点伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/71
-
072・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 補助の実施率と申しますか、実際の事業を実施いたします場合に、補助と起債との比率の関係、これは特に自治庁と話し合った結果パーセンテージをきめたというものではございませんで、過去の実績を一応基準といたしておるわけでございます。文部省といたしましては将来の問題につきましても、必要な起債につきましては、できるだけ努力をして確保するようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/72
-
073・矢嶋三義
○矢嶋三義君 時間が迫っていますから、この機会にもう一点だけ伺って質問終りますが、それは、先ほどからちょっちょっと出ました危険校舎ですね、これはまた自治体の頭痛の種なんですが、私があえて伺うわけは、先般新聞記事に危険校舎の補助金を打ち切る考え方が大蔵省に台頭してきているという記事が出ておりましたので、この際局長並びに文部大臣に伺うのですが、あなたは、先ほど危険校舎は二、三年程度で解決できるというふうに答弁されておりましたが、一月三十日に当委員会に出された資料によりますと、三十二年初めは危険校舎は三十七万三千四百四十五坪であって、その四〇%を今度予算化した、これが義務制の場合。高等学校の場合は九万八千百十三坪の六分の一を予算化した、こういう資料を出されているわけです。義務制の老朽校舎もさることながら、県立高等学校の危険校舎の実情というものは実に惨たんたるものなんですね。あなたの計画によると、六分の一が予算化されておるわけですね。こういう実情下に危険校舎補助の法的根拠となるものが臨時措置のものだからといって、大蔵省に、臨時措置だったんだからもうこの補助は打ち切ってよろしかろう、一般に補助は原則として打ち切る方針にあるのだから、この際に危険校舎の補助金も打ち切ろうという方々が大蔵の事務当局にあるという考え方が伝えられておるのですが、それは文部省の事務当局もそういうことを関知しているのかどうか、その実情と、それから文部大臣に伺いたい点は、もし大蔵事務当局並びに大蔵大臣にそういう考え方があるとするならば、来年度の予算編成はもうこの七、八月からぼつぼつ作業が始まるわけですが、文部大臣としてはいかような決意をもって対処されるのか、この際御両人から伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/73
-
074・小林行雄
○政府委員(小林行雄君) 現在予算の基礎にいたしておりますところの数字は、今までお答え申し上げましたように、二十九年五月一日現在の数字でございまして、これを解消するのにも現在の予算程度ではなお二、三年、高等学校についてはこの程度の予算では今後四、五年かかるという実情でございますが、このほかに、先ほども申し上げましたように、おそらくその後の危険度の進行による危険坪数、あるいは二十九年五月一日現在で私どもができるだけの調査をいたしたのでございますが、なおその際漏れておったものもかなりあろうと思いますので、そういうための改築につきましては、文部省としては今後もできるだけ努力をいたして参りたいと思っております。私の手元へは、今までのところ大蔵事務当局も方からも、この危険校舎改築の補助金を打ち切ってくれという話は実は一回も参っておりません。私どもといたしましては、ただいまお答え申し上げましたように、現在及びこの秋に実施するつもりでございますところの危険校舎の坪数、これはどのくらいになるかわかりませんけれども、それの改修については文部省としても従来通りできるだけの努力をして参るつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/74
-
075・灘尾弘吉
○国務大臣(灘尾弘吉君) 大蔵省の方でどういうふうに考えておりますか、今事務当局もまだ聞いたことがないということでございます。これはさように一つ御承知を願いたいと思います。危険校舎を補助の対象からはずすというようなことは、さような時期がくればまことにけっこうなことでありますけれども、とうてい現在の状況をもっていたしましては問題にならないと思います。その点につきましては私どもはあくまでも予算といたしましてもっと充実した予算を取るべく努力をいたして参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/75
-
076・矢嶋三義
○矢嶋三義君 局長に最後に要望しておきますが、松永委員から指摘されましたように、また、あなたがみずから認められているように、新たに発生する不正常坪数とか、それから危険校舎坪数等の把握については、なお不十分な点がありますので、さらにそれらの数字を的確に把握されて、そうして大蔵事務当局との折衝の際に、さらにこの文部大臣の大蔵大臣に対する政治折衝の場合に、背水の陣がしけるような的確な数字を持つことが最も大事だと思います。そういう点については、さらに努力をされて、さらに松永委員が要望されるように、できるだけ早い機会にそういう資料を本委員会に出していただくように要望しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/76
-
077・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/77
-
078・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 速記をつけて。
他の御発言もないようでありますから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/78
-
079・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 御異議ないと認めます。
これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/79
-
080・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私は社会党を代表いたしまして本法律案に賛成の意を表します。
最近の住宅建設事情による生徒の急増に即応するようにかような措置を講ぜられたことはまことに適切と考えるものでございます。しかしながら若干の要望を申し上げますならば、質疑の段階に各委員から指摘されましたように、この法は国、地方公共団体、日本住宅公団等が行う集団的な住宅の建設、その集団とは三百戸以上というような答弁があっているわけですが、これ以外に、あるいは会社が社宅として建設するような場合等がやはり急激なる生徒増をもたらして、校舎の不足をもたらすわけでございますから、考え方としては生徒児童の急増によって校舎の不足を生ずるわけですから、その立場からその運用の面については十分、答弁されましたように適正妥当な運用を期していただきたいということを強く要望するのでございます。
なお、常々問題となっておりまするこの施設の問題につきましては、補助率、あるいは補助単価、あるいは基準坪数の是正等基本的な幾多の重要な問題があるわけですが、これらの問題についてもさらに引き続き行政府で検討することを強く要請いたす次第でございます。
なお、この公立小学校不正常授業解消に関連いたしまして、あるいは危険校舎、あるいはこの戦災復旧に関する校舎等に関しまして、要するにこの施設の問題についていろいろと質疑をされたわけでございますが、現在文部省が持っておられますところの教育施設の整備に必要なるこの計画がさらに綿密的確に立てられるよう、しかもその計画が計画通りに具現されるように大臣初め行政府の格段なる努力を本法律案に賛意を表するに際しまして要請をいたす次第でございます。
最後に、先ほど全員協議会で協議がなされ、各会派意見がまとまりまして付帯決議をいたすことになりましたので各会派を代表いたしまして付帯決議案を朗読、提案いたしますのであわせて御賛成を得たいと思う次第でございます。
付帯決議案を朗読いたします。
附帯決議
政府は、義務教育の重要性と地方財政の実情とに鑑み、速かに次の措置を講ずべきである。
一、公立義務教育諸学校の施設の整備に必要な経費の二分の一を国の負担とするよう関係法を整理し、もつて義務教育費国庫負担法の趣旨を完全に実現すること。
二、公立義務教育諸学校における校地の購入に要する経費を国庫補助又は起債の対象とすること。
右決議する。
以上であります。
以上社会党を代表して本法律案に賛意を表するとともに各会派共同提案になる決議案を上程いたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/80
-
081・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 他に御意見もないようでありますから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/81
-
082・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 御異議ないと認めます。
これより採決に入ります。
公立小学校不正常授業解消促進臨時措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/82
-
083・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 全会一致でございます。よって、本案は、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容、第七十二条による議長に提出すべき報告書の作成、その他自後の手続につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/83
-
084・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 御異議ないと認めます。よってさよう決定いたしました。
それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。
多数意見者署名
矢嶋 三義 高田なほ子
湯山 勇 松永 忠二
松澤 靖介 安部 清美
常岡 一郎 近藤 鶴代
木村篤太郎 川口爲之助
吉田 萬次 谷口弥三郎
左藤 義詮 林田 正治
有馬 英二発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/84
-
085・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 次に、討論中、矢嶋君から各派共同提案として提出されました付帯決議案を問題に供します。本付帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/85
-
086・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 全会一致であります。よって、矢嶋君提出の付帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/86
-
087・岡三郎
○委員長(岡三郎君) 速記つけて。
それでは以上で、暫時休憩いたします。
午後五時四十八分休憩
〔休憩後開会に至らなかった〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615077X03119570517/87
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。