1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年四月十六日(火曜日)
午前十一時一分開会
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委員の異動
四月五日委員迫水久常君及び栗山良夫
君辞任につき、その補欠として井上知
治君及び小酒井義男君を議長において
指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 山本 米治君
理事
棚橋 小虎君
委員
青山 正一君
大谷 瑩潤君
田中 啓一君
吉野 信次君
岡田 宗司君
河合 義一君
小酒井義男君
後藤 文夫君
委員外議員
高瀬荘太郎君
政府委員
法務政務次官 松平 勇雄君
法務省民事局長 村上 朝一君
事務局側
常任委員会専門
員 西村 高兄君
説明員
法務省刑事局参
事官 高橋 勝好君
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本日の会議に付した案件
○恩赦法の一部を改正する法律案(高
瀬荘太郎君外四名発議)
○国際海上物品運送法案(内閣送付、
予備審査)
○検察及び裁判の運営等に関する調査
の件
(被疑者補償に関する件)
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001・山本米治
○委員長(山本米治君) これより本日の会議を開きます。
委員の異動について御報告いたしします。四月四日付をもって小酒井義男君が辞任せられ、栗山良夫君が補欠選任せられした。また、四月五日付をもって迫水久常君及び栗山良夫君が辞任せられ、井上知治君及び小酒井義男君がそれぞれ補欠選任せられました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01419570416/1
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002・山本米治
○委員長(山本米治君) まず、恩赦法の一部を改正する法律案を議題といたします。提案者から提案理由の説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01419570416/2
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003・高瀬荘太郎
○委員外議員(高瀬荘太郎君) ただいま議題となりました恩赦法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明いたします。
恩赦は、沿革的には、君主の恩惠をその出発点としておりますが、今日におきましては、恩赦は、むしろ法の画一性に基く欠陥の矯正及び有罪の言い渡しを受けた者に対する刑事政策的な裁判の変更等にその重点がおかれており、憲法がその恩赦決定の権限を行政権の主体たる内閣に属せしめておりますことは、皆様もよく御存じのところであります。
この恩赦には、政令により罪もしくは刑の種類を限りあるいは一定の条件を定めて一般的に行ういわゆる政令恩赦と、個々の者を対象として行ういわゆる個別的恩赦とがあり、そのうち政令恩赦は、個別的恩赦とは異なり、国家の慶事、社会事情の変化等があった場合に行われるものであります。従いましてこの政令恩赦を決定するに当りましては、個別的恩赦に比して一そう慎重であり、かつ、適正であるとともに、国民主権下の今日におきましては、常に公正な世論を基礎としていなければならないのであります。
本法律案は、右の主旨に基き、内閣に諮問機関として恩赦審議会を設け、内閣は、大赦または政令による減刑もしくは復権の決定をすることの可否及びこれらの恩赦の内容に関する事項をあらかじめ恩赦審議会に諮問しなければならないといたしたのであります。
恩赦審議会の構成につきましては、政令恩赦が社会一般に及ぼす影響の重大性にかんがみまして、国民全体の立場から代表的地位にある者のうち、恩赦に関係ある国家機関の最高の地位にある者として両院議長、法務大臣、最高裁判所長官、検事総長と国民の人権を擁護する地位の代表者として日本弁護士連合会会長及び世論を反映する良識ある者として日本学術会議会長の七人の委員をもって組織することにいたしました。
以上が本法律案の要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01419570416/3
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004・山本米治
○委員長(山本米治君) 本案に関する審査は、本日はこの程度にとどめます。
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005・山本米治
○委員長(山本米治君) 次に、国際海上物品運送法案を議題といたします。
政府から提案理由の説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01419570416/5
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006・松平勇雄
○政府委員(松平勇雄君) 国際海上物品運送法案について提案の理由を説明いたします。
この法律案は、一九二四年八月二十五日ブラツセルで署名された船荷証券に関するある規則の統一のための国際条約の批准に伴い、これを国内法として立法化しようとするものであります。この条約は、国際的海上運送における船主と荷主との利益を調整するため船荷証券に関する各国法制の統一をはかることを目的とするものでありますが、一九三〇年ベルギーの批准以来、世界主要国の大部分が批准または加入いたしまして、今日では、国際的海上物品運送契約は、おおむねこの条約に基いて締結されている実情にあります。ところが、わが商法は条約に比べまして、重い責任を運送人に負わせ、しかも、その責任を軽減する特約を禁止しておりますので、わが国の海運業者は、戦後海運業の復興に伴い、国際競争上不利な立場にあるのであります。そこで、さきに東京商工会議所等から法務大臣あて、この条約を批准して立法化すべき旨の要望がありたのでありますが、法制審議会におきましてもこの要望に基き、さしあたり、国際的海上物品運送につき、特別法制定の必要を認め、その部分につき本年二月十二日その答申を見たのであります。
この法律案は、右に申し述べました法制審議会の答申を基礎として立案したものであります。
この法律案は、条約にのつとり、海上運送人の責任を軽減することと船荷証券に関する関係人の利害を調整することを主眼としております。
まず、海上運送人の責任を軽減するにつきましては、第一に、船舶の航海に湛える能力を保持する責任が、従来無過失責任であったものを、過失責任に改め、第二に、船長その地運送人の使用する者の航行または船舶の取扱いに関する行為等による運送品の損害については、賠償の責めを負わないものとし、築三に、海上その他可航水域に特有の危険、天災その他の事故による運送品の損害について、立証を容易ならしめ、第四に、運送品の損害については、原則として、一包または一単位につき、十万円を限度としてのみ賠償責任を負うことといたしました。なお、これに伴い荷受人の利益を保護する規定も設けたのであります。船荷証券に関する関係人の利害の調整につきましては、船荷証券に運送品の種類及び数量を記載するについては、一面において、荷送人に書面による通告を正確にしなければならない責任を負わせ、他面において、運送人は、その通告が正確でないと信ずべき正当の事由がある場合またはその通告が正確であることを確認する適当な方法がない場合のほかは、その通告に従って記載しなければならないものとし、その通告が正確であることを確めることについて注意を怠つて、船荷証券に事実と異なる記載をした場合には、善意の船荷証券所持人に対抗することができないものといたしまして、船荷証券の信用を高め、その流通を容易ならしめようとするものであります。なお、荷送人の便宜を考慮して、運送品の船積み前においても、受取船荷証券を交付することができるものといたしました。
以上述べましたところは、条約の定める通りでありますが、条約につきましては、別途本国会におきまして、その批准について御審議をお願いしてございますので、その条約の実施のため、この法律案を用意いたした次第であります。
以上が、この法律案の提案理由の大要であります。何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01419570416/6
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007・山本米治
○委員長(山本米治君) 次に、補足説明を聴取いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01419570416/7
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008・村上朝一
○政府委員(村上朝一君) この法律案は、ただいま提案理由の冒頭にあげてありましたように、一九二四年ブラツセルで署名された船荷証券に関するある規則の統一のための国際条約の批准に伴いまして、その国内立法措置として提案されました関係上、内容もほとんど条約と同一内容でございます。従いまして、この条約ができるに至りました経緯につきまして簡単に御説明申し上げて御参考に供したいと存じます。
欧米におきましては十九世紀の初めごろから海上運送が非常に発達いたしまして、激しい国際競争を展開するに至つたのでありますが、それに伴いまして、海上運送に関する免責約款、すなわち荷主の損害に対し船主が責任を免れる特約をつけることが著しく発達いたしまして、かつ複雑となって参つたのであります。当時、荷主は免責約款が多くつけられて、従って船主の責任が軽くなれば、運送賃も勢い安くて済むということで、荷主側も当初はそれを歓迎したわけであります。そういう関係から、船主は競つて免責約款を拡張して参りまして、船主に不利な判決がありますごとに免責約款を付加するということで、最後には不当な免責約款の拡張のために、船主は運送賃を受け取るほか、何ら義務を負わないという皮肉な批評まで受けるような状況になつたのであります。
その結果、荷主側の不満もようやく増加して参りまして、免責約款禁止の声が高まつて、世界的な世論となり、まず、当時荷主国でありましたアメリカ合衆国及びカナダ、オーストラリアその他のイギリスの属領諸国が免責約款禁止の立法をするようになつたのであります。当時最大の船王国でありましたイギリス本国は、初めはかような免責約款の制限につきましては冷淡であったのでありますが、第一次世界大戦後、属領諸国との政治的融和をはかるために、免責約款禁止立法の必要を感ずるに至りまして、その準備に着手したわけであります。
しかし、この種の立法は、一国のみでは自国の船主に不利益をこうむることになりますので、条約によって世界的な統一法を実現する必要があるということで、国際法学会では一九一二年ロンドン及びハーグにおいて会議を開き、統一法の草案を作成し、その採用を各国に勧告したのであります。これをハーグ・ルールスと呼んでおりますが、このハーグ・ルールスは、これを採用するといなとは各国の任意とされておりましたので、世界的統一法という効果は上げ得なかったのであります。
そこで、一九二二年ロンドンで開かれました国際海法会議におきまして、ハーグ・ルールスを修正増補して、英米の賛成を得る可能性のある条約草案を作成し、その案をブラツセルにおいて開かれた外交会議に提出したのでありますが、ブラツセルの外交会議は、同年及びその翌年の二回にわたって審議の結果、ロンドン草案に基きこの条約案を作成し、一九二四年多数の国が署名したわけであります。当時の署名国は、この資料としてお配りしてございます条約の冒頭にあげてあります諸国であります。ほとんど大部分の国がすでにこの条約に加入し、条約と何様の内容の国内法を作つておるわけでございます。
条約は、このような経緯によって成立いたしましたので、その主眼とするところは、当時著しく行き過ぎになっておりました免責約款を制限し、船主の責任を強化することによって荷主の利益を保護しようというところにあったということができるのであります。
次に、日本の商法とこの条約との関係につきまして申し上げますと、現行閥法の中の第四編——海商編は、明治四十三年の改正の際にできたものでありますが、これは一八八八年のブラツセルにおける国際商法会議の草案にならつて改正されたものでありまして、この一八八八年の草案というのは、免責約款禁止をめぐつて船主と荷主との間の抗争の激しい時代に作成されたものであり、船主にとつて不利でありますために、多くの国はこれを採用しなかったのであります。日本以外の国においてこれを国内法としてそのまま採用した国はなかったのであります。従いまして、日本の商法は当時といたしましては非常に新しい傾向をとり入れてできたのでありますけれども、その後に、先ほど申し上げましたようないきさつで条約ができましたので、船主にとりましては、日本の商法の方が著しく不利でありまして、この条約に加入することが船主国であった諸外国にとりましては、船主に不利益であるとされておるにもかかわらず、わが国にとりましては、条約に加入することがかえつて船主に有利であるというような結果になるのであります。
一九二四年に署名されましたこの条約について、従来わが国のとつて参りました態度について申し上げますと、この条約は、署名されましたのは一九二四年でありますけれども、効力が発生しましたのは一九三一年、すなわち昭和六年であります。当時わが国におきましても、司法省にそのころ設けられておりました法制審議会で商法の全面改正を審議中でありました。この審議会では、条約を検討の結果、海上運送に関する商法の規定はこの条約によるべきであるという結論に達しました。昭和十年に「商法 商行為編 及 海商編改正ノ要綱」の中にこれを一項目として掲げたわけでありますが、この要綱の立法化は、戦争のために中断されまして、今日まで実現されなかったのであります。終戦後、法務省に新たに設けられました法制審議会の商法部会におきまして、日取初に議題となりましたのは、先年行われし余した株式会社法の改正の問題と、この条約を採用すべきか、どうかという問題であったのであります。
この条約に加入することについての各界の意見を御紹介申し上げますと、海運業者は、すみやかにこの条約を批准して立法化することを切望いたしております。第一に、この条約は、右に申し上げましたような事情によりまして、海上運送人の責任を、現行商法よりも軽減するものであり、第二に、わが国の商法に理解のない外国人を相手とする取引にありましては、条約と違つた内容の日本商法に準拠して取引するよりも、条約と同じ内容の商法に準拠して取引する方が便利であるという理由によりまして、国際的な海上運送にありましては、わが国の業者は、現に条約または条約を採用する外国法に準拠して契約を締結し、免責約款を設けておりますのが通例でございます。ところが条約による免責約款が、日本の商法によれば、無効と解される場合がありますために、取引上しばしは苦境に立ち、国際競争上不利益な立場にあったのでありまして、戦後国際競争に参加して海運業の復興を急ぐについて、すみやかにこの条約の批准を要望しておるわけでございます。一方荷主側でありますところの貿易業者は、船主の責任を軽くすること自体については必ずしも歓迎しないわけでありますけれども、諸外国の海運業者の負う責任よりも重い責任をわが国の海運業者に要求し、この条約の批准に反対する意向はないのであります。のみならず、この条約は必ずしも荷主に不利な面ばかりとは限らないのであります。たとえば船荷証券につきましては、日本の商法に準拠するよりも、条約に準拠する方が外国の信用を招き、取引上便利であるというようなところから、この条約の批准はむしろ望ましいものとされているのであります。海上保険業者は、この点荷主側と同様の立場に立つ関係上、この条約の批准及び国内立法につきましても貿易業者とほぼ同様の意見でございまして、この条約への加入に反対する意向はございません。
この法律案は、これを法制審議会で取り上げました発端は、東京商工会議所の要望に基くものでありますが、商工会議所では、海運業、貿易業、保険業の各界の代表者に学識経験者を加えて条約を詳細に検討し、各界一致の意見をもって要望して参つたのでありますが、法務省におきましても、別途各界の意見を聞きまして、法制審議会の答申を得て、この法律案を提案するに至つた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01419570416/8
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009・山本米治
○委員長(山本米治君) 本案に関する質疑は次回に譲ります。
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010・山本米治
○委員長(山本米治君) 次に、検察及び裁判の運営等に関する調査といたしまして、被疑者補償に関する件を議題といたします。
これにつきましては、去る四月十二日に法務省訓令被疑者補償規程が出ておりますので、本件につきましては、今国会に提出予定法律案となっておりました関係もありますので、この際、経過及び内容等について、法務省当局から説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01419570416/10
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011・高橋勝好
○説明員(高橋勝好君) ただいまお話の被疑者補償規程の実施につきまして、その経過と規程の内容の概略を申し上げたいと存じます。
刑事被告人といたしましては、身体の拘束を受けた者が、裁判において無罪の言い渡しを受けた場合には、刑事補償法によって補償を受けることができることになっているのでありますが、検察官の手元で不起訴になり、裁判を受けるに至らなかった場合には、たとえ別に真犯人が現われる等、その者が無実であることが明らかとなつた場合におきましても、このような者に対しましては補償する方法がなかったのでございます。そこで、最近こういう気の毒な人に対しても補償の道を開くべきである、こういうふうな気運が、国会方面を中心といたしまして高まつて参り、去る第二十四国会には、衆議院議員武藤運十郎氏ほか数氏より関係法案の提出の次第もございまして、法務省といたしましてもその趣旨に賛同し、その実現に努力してきたのでございますが、諸般の事情から、昭和三十二年度予算中に、被疑者に対する刑事補償金として相当金額の計上を得ましたので、去る四月十二日、法務大臣訓令をもって、世界でも類例の少い被疑者補償規程を制定施行し、四月一日以降の拘束に運用することにいたしたのでございます。
この規程による補償は、被疑者の身体を拘束して捜査した後、別に真犯人が発見された場合、その他その者が無実であることが判明した場合において、無罪の言い渡しを受けた被告人に対すると同様、一日四百円以下の割合による補償金を交付して、本人の受けた精神上の苦痛と財産上の損失を補い、なお本人から申し立てがあった場合には、官報あるいは新聞紙に公示して、傷つけられた本人の名誉を回復しようとするものでございます。刑事被告人に対する補償は、本人等の裁判上の請求により行われることになっているのでございますが、この規程におきましては、検察官に対して本人から申し立てがあった場合はもとより、たとえ本人からの申し立てがございませんでも、補償をすることを適当と認めた場合には、事件を捜査してその内容を詳しく知っている検察官が進んで調査を開始し、具体的事情に応じて最も適切かつ合理的に補償の要否及びその額を定めることにいたしている点に大きな特色を持っておるわけでございます。
なお、地方検察庁がいたしました補償の裁定につきましては、高等検察庁に請訓され、十分監督されるはずでありまして、その公正なる運用を期待している次第でございます。
この被疑者補償規程によりまして、最近ときどき問題になりますような気の毒な被疑者に対しては、その補償の道が開けた、こういうことになるわけでございます。
なお、こまかい点は御質問がございましたら、それによってお答えすることにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01419570416/11
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012・山本米治
○委員長(山本米治君) 質問のある方は順次御発言を願います。
私から一つ御質問いたしますが、この補償に関する予算的裏づけといいますか、どういうふうに……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01419570416/12
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013・高橋勝好
○説明員(高橋勝好君) 四月一日から施行になりました三十二年度予算に刑事補償金という費目が新たに設けられまして百万円計上されておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01419570416/13
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014・山本米治
○委員長(山本米治君) さらにお尋ねしますが、百万円というときわめてわずかな金額のように思えますが、それでもってこの補償を満足さすことができるか、その件数の見込み等について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01419570416/14
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015・高橋勝好
○説明員(高橋勝好君) ただいまのお尋ねの件につきましてお答えを申し上げます。昭和三十一年度におきまして、被疑者として逮捕または拘禁、抑留された者であつて、しかも罪とならず、あるいは嫌疑なし、もしくは心身喪失ということで不起訴になっておる者、その数字を、これは克明に調査してございますが、それによりますと、罪とならずとして不起訴になっている者が百件、百人、それから嫌疑なしとして不起訴になっておる者が四千九百五十六件、約五千人、それから心身喪失を理由としまして不起訴になっております者が約百件、そうしますと、五千二百件、これだけが一応被疑者補償の対象になるものでございます。けれども、このすべてのものにつきまして被疑者補償が行われるわけではございませんで、現在行われております刑事補償法の運用の実際に見ましても、おそらくそのうちの約一割くらいのものが請求してくるのではないか、そうしますと、年間約六百件くらい、六百人くらいを考えれば、ほぼまかなえるのじゃないか、こう考えられます。そうして、またこの抑留または拘禁されました被疑者の平均抑留日数は十一・五日ほどになります。これ約十二日でございます。そうしますと、一日四百円以下の補償をいたしますと、平均いたしますと二千円ないし四千円、結局平均すれば三千円くらいを見ればいいことになるわけであります。一人三千円で六百人全体について補償を請求したと、こう見ますというと、年間百八十万円、こういう計算になりますが、今のところ、先ほど申し上げましたように、百万円の計上があります。もしこれが不足した場合には、さらにこれは補充費を請求できるかどうか、大蔵当局と今交渉中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01419570416/15
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016・岡田宗司
○岡田宗司君 ただいまのお話によりますというと、まあ五、六千件あるわけですね。それで、そのうちの一割と、こういうことになって六百人くらいは請求するだろうと、それが大体十二日だけれども、一件について平均三千円であると、それでその計算でいくとまあ百八十万円必要なんだが、百万円しかない、こういうことなんですね。ところで、その五、六千件あるうちで約一割ということなんで、これは一体そのあとの九判の人たちは、これは知らないで請求をしないのかどうか。おおむね知らない方が多いのだろうと思いますが、これは知らしめる方法をとるのですか、とらないのですか、知らしめてこれが五割、六割請求してくることになれば、あるいは全部請求してきたら、こんな予算では問題にならぬ。それで、これは知らしめない方法をとつておくのですか、それとも知らしめるのか、これはどつちなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01419570416/16
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017・高橋勝好
○説明員(高橋勝好君) ただいまお尋ねの五、六千件のうち、私が約一割が請求すると申しますか、一割について補償する、こう申し上げましたのは、この大部分の数字であります嫌疑なし、こういうふうに不起訴裁定がなっておりますものにつきまして、この不起訴裁定の嫌疑なしと申しますのは、刑事訴訟法二百四十八条に申しますように、有罪の裁判を受くる程度の嫌疑がないという、真実もうほんとうに無実だという場合と、いや相当の嫌疑はあるんだ、嫌疑があるんたけれども起訴して有罪の判決を得るにはどうもちょっと証拠が不足するという場合を含んでおりまして、ほんとうに嫌疑なしというのがそのうちの約一割でございまして、他の九割は形式証拠はある、あるいはある程度相当程度の証拠はあるけれども、果して有罪の裁判が得られるかどうかわからない、こういう場合を、この検察の実際におきましては、嫌疑なしとして処分しているわけでございます。そうしますと、この嫌疑なしのすべてが刑事補償法の被疑者補償の対象になるわけではなくて、そのうちのやはり約一割というものを検察官は進んで自発的に刑事補償をする、こういうふうな考えでございますので、先ほど申し上げました数字は、大体において間違いないものと、こう考えられる次第でございます。
それから第二点の、これを一般国民に知らしめるような手を打つかどうか、このお尋ねでございますが、これは先日大臣談を発表しまして国民に周知徹底を、まあできるだけのことをいたしますと同時に、先ほど申し上げましたように、この被疑者補償は検察官が進んで職権でする、もちろん申し立てがあった場合には、その申し立ては十分考慮いたしますが、建前としましては、検察官が進んでやることになっておりますので、捜査した監督官庁においてこれは当然補償すべきだ、こう考えた場合には、本人の申し立てがあろうとなかろうと、結果については差異がないことになるわけでございます。そういたしますと、広く知らしめることはもちろん必要でございますけれども、この規定の運用に当りましては、必ずしも国民が知らないために、本来もらえる補償をしてもらえなかったというふうなことは万々ないように、気をつけて運用することとなっておりますので、周知徹底の点は、知るにこしたことはございませんが、またその努力もいたすつもりでございますけれども、それがないからといって、特に支障は来たさない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01419570416/17
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018・岡田宗司
○岡田宗司君 ちょっと私はどうもおかしいと思うのは、まあ検察庁でもって引つぱりますね。これはまあ何か怪しいなと思うから引つぱる。それで、どう調べてもこれは何も出てこないというので釈放して、そして全然何もないということになると、まあ仕方がないからその補償をしてやるということになる。ところが引つぱるのですから何か嫌疑があるに違いないという見込みで引つぱるのですよ。で、引つぱつてみた上で全然何にもないということが、何べんも非常に多く繰り返されるということになると、これは引つぱり過ぎだということになる。そこで、今のようなお話だというと、検察庁側の方で、検事の力でもって、いやこれは罪にすることはできないのだけれども、これはどうも怪しい点があったのだ、まあ裁判に移さぬまでも怪しい点があったのだと言えば、引つぱつたやつはみんなとにかく刑事補償をしないで済むということにもなる。これは弁護士や本人から申し立てて、いやそう言うけれどもおれの力は何もそういうあれはなかったのだと言っても、聞かれなかったということになると、これは検察庁側の方でやろうと思えばこれはぜロにすることだつてできる。よほど社会の問題にでもなればするということになる。そういうわけでしよう。検察庁の方の、これは全然嫌疑がないのだというので補償するという判定と、それから片方側の、被疑者自身なりあるいは弁護士なりと、ずいぶん意見が食い違うと思うのですよ。そういう場合にどうするのです。誰が判定するのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01419570416/18
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019・高橋勝好
○説明員(高橋勝好君) ただいまお尋ねの件は、まことにごもっともなことと思います。しかし、この点は私たちはあくまで公正な態度をもってこの規定の運用に当る。率直に申し上げますというと、行きがかりにとらわれることなく、この規定の精神をつかんで、それによって運用していく。御指摘のようにその捜査に従事した検察官が、自分の見込みが違つておるということで補償することの決定をするのは苦しいように受け取れますけれども、しかし、この場合におきましては、当該検察官が補償の調査をするわけではございませんで、検事正において、あるいは検事正が適当と認める者を指名しまして、その者がいろいろ補償すべきかしないかについて調査に当る。もちろんそういう場合におきまして、捜査に従事した主任検察官の意見を聞くことは、これは当然ございましょうけれども、しかしながら、あくまでも公正な立場で判断していく。さらにこれをより公正に、公正さを担保する意味におきまして、すべてこれについての意見は検事長に請訓いたしまして、検事長の判断も仰いで、その上で決定すると、こういうことにしておりますので、内部的には、ただいま御懸念のようなことはできるだけ避ける。間違いなく公正な態度で臨む。こういうふうな手当をしてございますので、ほぼ目的は達せられるのじゃないか、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01419570416/19
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020・岡田宗司
○岡田宗司君 どうも先ほど公正な立場とか正義に基いてとか言うけれども、これはなかなかそううまく……、検事さんだつて人間のことですから、あなたの言うようなわけにはいかないのですよ。非常に峻厳な検事がいまして、成績を上げるために相当過酷にやる。ところがどうも思ったのと違つて、たいぶ見込み違いをやつちやつた、十人あげてみたら八人まで一向問題にならなかった、こういうような場合にですよ。どうも十人あげてみて、八人問題にならないんじや、これはまた検事の腕前としても問題にならぬ。こういうことになってくるから、まあ二人くらいはこれは見込み違いだということにして、あとは起訴するには至らないけれども、何かがあったのだということになれは、このあとの六人の人というものは、本来ならば補償を受けるべきものが、その検事の主観によって、あるいは検事が自分のなにを取りつくろうために、そういうふうにしてしまえば、ばかげたことになる、そういうことになるでしよう。そういうことは、人間のことですから起り得ることですよ。なかなか検事さんというものは、そういう点ではしろうとよりもいろいろ理屈もつけるのだから、そういうことはわけないので、従ってそういうような人の申請に基いて検事正がいろいろ調べるというのは、それは検事の方からの申請がなければやらないのだから、そういう被疑者の方は、本来ならば結局この刑事補償をしてもらえるのに、検事がそういう立場から自分の方の不手際なりあるいは見込み違いなりをどうもおおい隠したいという場合には、これはちつとは怪しいところもあったのだということにすれば、こんなことは申請しないで済む、そういうことが起り得ると私は思うのですが、これはたとえば被疑者なり、それからあるいは弁護士の方から、起訴されない場合にこういうものの請求をして、すぐどこかで、検事の方のやり方が悪かったかよかったか、それについてちゃんと調べて、そうして補償するのならまだ話がわかるけれども、そうでない場合にはあなた、検事さんが皆公正妥当であればいろんな問題は起るはずはないのですよ、そうでしよう。あなたの言うような公平な人ばかり、神様みたいな人ばかりいますか、まずそこからお伺いしましょう。検事が神様みたいな人ばつかりかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01419570416/20
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021・高橋勝好
○説明員(高橋勝好君) ただいま岡田委員のお尋ねの点、私は二つの点で今の御懸念がある程度防げるとこう考えております。
まず第一点は、被疑者補償規程の運用に当る者は、当該捜査を担当したところの検察官ではなくて、別の検察官が指定されるということでございます。もちろん捜査検察官が捜査をいたしたその結果は、必ず調書に出てきておるはずでございます。その一件記録をほかの検察官が克明に調査する、そういたしますと、口頭ではいかほど言いつくろう機会があるといたしましても、書面にそれは現われていなければ、これは何ともならないことでございますので、書面は、もちろん聞き取り書にしましてもその他のものにしましても、関係者の署名捺印はついているのが普通でございますので、そういうものによって立証されなければ、これにはこの程度の嫌疑があったのだというふうなことでは、なかなかその担当検察官の了承を得られないわけでございます。
それから第二点は、検察官が捜査を遂行するに当りまして、たとえば嫌疑がなし、罪とはならず、こういうような理由で不起訴裁定をいたします先に、必ず本人に対しまして、こういう場合には補償を請求することができるというふうに伝える、もちろん本人に。これはその弁護人も同じでありますが、伝えまして補償の申し出をする機会を与える、また、直接上司に対して、今おっしゃったような御懸念から、これについては当然補償すべきである。こういうふうな申し出でがあれば、上司において御自身なり、あるいは適当な者を指名して、その調査を進めることになっておりますので、こういうことが厳格にうまくいけば、当然ただいま御懸念のような点は、相当程度払拭されるのではないか、こういうふうに考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01419570416/21
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022・岡田宗司
○岡田宗司君 どうも私はそれでは当てにならぬと思いますよ。というのは、これは検事さんというのはなかなか誘導尋問がうまい。やらぬと言ってもちゃんとやつておる。そうすると、調書ができると、それにはたいがい検事さんがうまく持っていっているから、なかなか、よほど被疑者の方がしつかりした人でないと、たいがい書面の上には検事さんの思うつぼのことが書かれるということも相当多い。そうしてみると、起訴には至らないけれども、一応これは嫌疑があったということは、かなり検事さんの誘導尋問でできるんだな、そういう場合はどうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01419570416/22
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023・高橋勝好
○説明員(高橋勝好君) 補償規程の第二条に、補償の要件としまして、「検察官は、被疑者として抑留又は拘禁を受けた者につき、公訴を提起しない処分があった場合において、その者が罪を犯さなかったと認めるに足りる十分な事由があるときは、抑留又は拘禁による補償をすることができる。」こういうふうに規定しておりますが、この中で一番問題になります、「罪を犯さなかったと認めるに足りる十分な事由」、これにつきまして、私たちはこのように考えるわけであります。それは、まず犯罪が成立しないこと、または犯罪が存在しないことについて十分の心証が得られるような場合、これを事由としております。すなわち法理的に申しますというと、まず第一は、被疑者の行為が本来犯罪の構成要件に当らないよう、な場合。第二は、被疑者の行為について違法または責任の阻却事由があること。第三は、真犯人の発見、またはアリバイの成立等の場合のように被疑者が犯罪事実と関係のないことが明らかになつた場合。それから第四は、以上のほかに、被疑者が罪を犯したとは証拠上とうてい認めることができないような場合。結局被疑者に対する嫌疑がきわめて薄弱である、こういう場合、この四つの場合を考えておるわけでございます。そういたしますると、今、岡田委員のおっしゃった点は、すなわち第四に該当するかと思います。被疑者に対する嫌疑がある程度ある。そのある程度あるというのは、何か検事の調書のお筆先である程度あるようにできるのじゃないか、こういう御懸念のように考えられますけれども、これはやはり諸般の事情、特に一件記録全体を調査いたしますると、たとえ一つの調書にある程度嫌疑があるように書かれたと仮定いたしましても、他の証拠、傍証証拠、補強証拠、その他それを裏づけるようなことがなければ、それだけでは嫌疑がきわめて薄い。すなわち補償の対象になる、こういうことになるのじゃないか、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01419570416/23
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024・岡田宗司
○岡田宗司君 そうすると、私の言つたような場合は起らないということになるんですがね。今度そういうような場合について、私こういうことを考えるのです。たとえば検察側の方でこれを引つぱつてきて調べて、さっき言つたように誘導尋問をやつて調書を作りますね。それが全然何も出なければ、あるいはほかから犯人が出てきてひっくり返つてしまえば別だけれども、そうでなくて、本来ほかに犯人があつてそれをしたのだけれども、その者も関係がないけれども怪しいと疑われて、そうしてそういうふうに検事が調書を作る場合も往々にしてある。犯人が出てくれば消えてしまうのだけれども、犯人が出てこない場合には、これは補償も何もあったものじゃない。そこで本人の方から申し立てて、検事のなにがどうもおかしいということになれば別問題だけれども、そうでなかったら、今度ほかの検事さんなり検事正なりがその書類を調べると言いますけれども、これは仲間でしよう。仲間がもう一人の検事さんのやつたことに対して、あんまり顔をつふすようなことはやりませんよ。それを考えると、どうもあんまりあなたの言うことは当てにならぬと思うのだがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01419570416/24
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025・高橋勝好
○説明員(高橋勝好君) ただいまの御質問についてお答え申し上げます。検察官が仲間うちだから他人の、ほかの検事のやつたことはあまり悪くはしないだろう、あばかないだろう、こういう御懸念、これは部外者にとりましては無理からぬ点があると存じますけれども、この点はおそらく御承知のことと思いますが、最高検察庁はもちろん、高等検察庁、あるいは地方検察庁におきましても、本庁から支部に対して常に監査というのを行なっております。その監査は単に会計事務や何かの監査ではなくて、主として事件の処理についての監査をしておるわけでございます。古い記録、すでに事件の処理が済んでおります記録などを引つぱり出して、克明に、いろいろな観点から調査する、そうしてふに落らない点があれば、どんどんこれは指摘し、また悪い点があれば直させる。こういうことをやつておりますので、今度被疑者補償規程が実施されますというと、おそらく監査の対象の一つとしてこの問題が取り上げられる、こう考えられますので、その辺はいろいろな点から相当のチェックができる。そうして大体期待いたしますような公正な運営が確保されるのではないか、こういうように私たちは期待しているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01419570416/25
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026・岡田宗司
○岡田宗司君 ところが監査の方は、ちつとたくさんやり過ぎたんじゃないかということで、この監査をやる方が多いのじやありませんかね。どうも法務省の力から、ちつとどうも件数が多くて、大蔵省の方から金も出ない。だからしてもう少しそういう請求はしないようにという指導をやるようなことの監査の方が多いのだろうと思うのだが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01419570416/26
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027・高橋勝好
○説明員(高橋勝好君) 刑事被疑者として不幸にして抑留または拘禁され、しかもそれは無実であったというような者につきましての補償と申しますか、損害賠償と申しますか、それは厚ければ厚いほどいいのでございまして、ただ諸般の事情から予算の制約その他ほかとの関連がございまして、十分なことができないのは、これは単にこの点にのみ限つたことではないと考えるのでございますが、私たちも予算の制約がなければ、これは問題なく、もっと率直に申し上げますというと、相当程度嫌疑はあつても、やはり起訴するに足りなかったという場合には、補償したらいいのではないか。もっと簡単に申しますというと、不起訴処分を受けた者全体について刑事補償をしたらいいのじゃないかというふうな議論も出るのでございますけれども、しかし、いろいろのかね合いもありまして、そういうふうなわけにもいかない。一部には、この被疑者の補償規程をやるよりも、現在参考人として検察庁に出頭しております者に対して旅費、日当の支給をすることになておりますが、予算の関係でこれがごく一部しかされておらない、そういう現実の方を直視して、むしろそれを先に取り上げるべきだ、予算の裏づけはそちらの方からやっていくべきではないかという意見も相当強いのでございますが、この際、こういうふうな被疑者補償規程は、好ましいことであるから、予算が少くても、まず第一歩を踏み出そう、そうしてその結果を見て、だんだんと手を広げていこうと、こういうふうな考え方でございます。ほんの第一歩を踏み出したと、まあこういうところで一つ御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01419570416/27
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028・岡田宗司
○岡田宗司君 私も賛成なんですよ。それで、つまり私の言うのは、今言つたように、検事の方が自分の面目から、これは犯罪の嫌疑は全然なかったというふうになることは、これは検事の面目からいってもめつたにないことなので、そこで、被疑者の方からもう少しこれを要求する強い権利を与えたらどうかということが僕の考え方なんです。まあそれはそれとして、一体これができることによって、検察側の方が無理に人をどんどん引つぱつていくということが、つまり、嫌疑の薄い者でも、いわゆる見込捜査でもどんどん引つぱつていくということが、これで幾らかでも阻止できるかどうかということですね。それは一つどういうことになるか。引つぱつてみた、そのあとでもって、どうも何もなかった、しようがない、まあ補償する。それがたび重なっていけば、どうも検察庁の方はちつと手荒なことをやり過ぎたという印象を与える。だからして検察庁の方も嫌疑のない者をむやみに引つぱることはできぬということになって、このために検察庁がそういうふうなことをやるのを少しでも阻止できるかどうかという点です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01419570416/28
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029・高橋勝好
○説明員(高橋勝好君) ただいまのお尋ねの点は、この補償規程そのものとしては、直接にはその効果をねらつておるわけではございませんが、おっしゃる通り、間接的には相当程度の影響があるのではないかと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01419570416/29
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030・岡田宗司
○岡田宗司君 それから、今見ますというと、十一・五ないし十二というのがまあ平均だというのですが、これの日数ですね。これは全体として幾らか短かくなるとかということも結果として起りますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01419570416/30
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031・高橋勝好
○説明員(高橋勝好君) お尋ねの点も、これは間接的にはそういうふうな影響が出てくるのではないかと考えております。と申しますのは、この補償規程は、たとえば、勾留状には窃盗と書いてあるが、実はその捜査は殺人をねらつて行われておつたのだというふうな場合に、殺人の方は結局白となつた、窃盗の方は嫌疑がある、嫌疑はあるけれども起訴するには当らなかったという場合におきましては、その勾留の大部分は、実は勾留状に書かれておる窃盗ではなくて、殺人について行われている。こういうことがままあるかと存じますけれども、今度はこういう場合につきましてもやはり補償するのだ、こうしておりますので、勾留状に書いてない罪名についての被疑事実についての捜査などが自然と制約されてくると、こういうふうに考えられますので、結果的には、やはり勾留期間の短縮というふうなことが導かれてくるのではないかと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01419570416/31
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032・山本米治
○委員長(山本米治君) 他に御発言もなければ、本日はこれをもって散会いいたします。
午後零時六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615206X01419570416/32
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