1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十二年四月五日(金曜日)
午後三時五十一分開議
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議事日程 第二十二号
昭和三十二年四月五日
午前十時開議
第一 天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第二 開拓融資保証法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第三 開拓営農振興臨時措置法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第四 行政機関職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X02319570405/0
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001・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X02319570405/1
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002・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。
日程第一、天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案
日程第二、開拓融資保証法の一部を改正する法律案
日程第三、開拓営農振興臨時措置法案(いずれも内閣提出、衆議院送付)
以上、三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X02319570405/2
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003・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長堀末治君。
〔審査報告書は都合により追録に掲載〕
〔堀末治君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X02319570405/3
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004・堀末治
○堀末治君 ただいま議題となりました農林水産関係の三つの法律案について、農林水産委員会における審査の経過及び結果を御報告いたします。
まず、天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
暴風雨その他の天災によって損失を受けた農林漁業者及び農林漁業者の団体に対し、農林漁業の経営等に必要な資金の融通を円滑にするため、利子補給及び損失補償等の措置を講じて、その経営の安定に資する目的をもって、去る昭和三十年八月現行法が実施され、今日に至っておりますが、今回、次のような改正を加えるため、この改正法律案が提案されたのでありまして、そのおもな内容は、概略次のようなものであります。
すなわち第一は、天災融資について年三分五厘以内の低利率を適用する場合の基準を明確にしようとするものでありまして、その基準は、現行法では、単に政令で指定する地域における被害農林漁業者に貸し付ける場合とのみ規定され、明確を欠き、かつ不均衡を生ずる場合もあるという理由によって、これを改め、新たに特別被害農林漁業者及び特別被害地域等の規定を設けて、その基準を明確にするとともに、不均衡の是正をはかることとしたのであります。第二は、国の補助にかかる利子補給及び損失補償の対象となる融資の契約方式を改めようとするもりでありまして、現行法では、その方式が複雑に過ぎ、資金の融通並びに債権の管理主遺憾な点があるので、これを整備単純化し、利子補給及び損失補償を行う場合を、原則として市町村と組合との契約によるもののみに一元化することにいたしたのであります。もっとも、市町村が特に弱小な場合、また、組合の信用が特に薄弱な場合に備えて、その救済の道が開かれております。第三は、乳牛を所有する被害農業者について、資金の借り入れ限度を引き上げようとするものでありまして、現在は、牛または馬を所有する被害農業者に対する融資は、通常の借り入れ限度に三万円を上増しすることになっておりますが、乳牛の所有農家に限って、これを五万円に引き上げることになっておるのであります。第四は、金利三分五厘の資金の利子補給に対する国の補助率を改めようとするものでありまして、現行の規定では、三分五厘資金の利子補給については、都道府県負担分を二分五厘と固定し、それを控除した残りの部分を国が補助することになっているのでありますが、金利情勢の推移に順応することができるように、国の補助率を利子補給額の百分の六十五という定率にいたしたいのであります。第五は、制度運用の便をはかって、農林大臣の権限の一部を、政令の定めるところによって、都道府県知事に委任できることにいたしたのであります。なお、この改正法律案は四月一日から施行することとし、この法律施行以前の天災については、従前の例によることになっております。
以上が、政府原案の内容の大要でありますが、かような政府原案に対して、衆議院において、この法律の施行日を公布の日からと改め、かつ、利率三分五厘資金の利子補給に関する国の補助率の改正規定を、昭和三十一年度に発生した災害についても適用するように修正し三当院に送付して参ったのであります。
委員会におきましては、農林当局から必要な説明を聞き、続いて審議に入り、農林当局に対して、幾多の問題について質疑が行われたのでありまして、その際、問題になりました事項を要約いたしますと、融資の適正化に関連して、天災融資の適用対象である被害農林漁業者は、市町村長の認定を受けた者であることになっておるが、その際における市町村長の認定の方法及びその当否、市町村長の認定の適確性に関する確認方法、適用対象となる天災の範囲及びその当否並びにこれを農作物の病害虫、家畜の伝染病及び汚濁水等による魚貝類の損害等による被害にまで拡大することの当否、融資条件及び融資限度並びにその当否、地方財政の現況とこの法律運用との関連、従来の天災融資に対する会計検査院の批難事項及びかかる批難事項が発生する根本的な原因等でありまして、その詳細については会議録に譲ることを御了承願いたいのでありますが、問題になりました融資の適正化について、農林当局から、「天災融資は、天災によって農林漁業者が深刻な被害を受け、混乱を起している際、一日もすみやかに融通をしなければならないのである瀞、従来、市町村長における被害者の認定に関する基準に明確を欠いていたところがあるので、今回これを明確にし、従来問題を起したものの中に、連合会の段階において利子補給の補助が行われ、低利の資金が組合に流れることか原因となっているものが多いことにかんがみ、これを是正することとし、また、融資の指導及び融資機関の検査等の事務を知事に委任して、監査の周到を期することにした等によって、今までの弊害は除かれるものと思う」との趣旨の答弁が行われております。
かくして質疑を終り、討論に入り、別に発言もなく、採決の結果、全会一致をもって、衆議院送付案の通り可決すべきものと決定いたしました。
次に、開拓融資保証法の一部を改正する法律案及び開拓営農振興臨時措置法案について申し上げます。
まず、前者についてでありますが、開拓者の肥料、飼料及び種苗等の購入に必要な短期営農資金の融通を円滑にするため、昭和二十八年、開拓融資保証法が制定され、開拓者の団体と政府または都道府県との共同の出資によって、中央と地方に開拓融資保証協会を設立し、これら保証協会がその会員の金融機関に対する債務を保証する制度を設けて今日に至っておりますが、今度、開拓農家における中小家畜の導入に対して、これがため必要な資金の融通を促進するため、この融資保証制度を拡大することとし、中央保証協会に対する政府の出資を三千万円増額して、現在二億五千万円でありますのを、二億八千万円としようとするのが、この法律案が提出された理由及びその内容であります。
次に後者について申し上げますと、この法律案は、営農の基礎が不安定な開拓者が、協同して自主的にその営農の改善をはかろうとする場合に、これに必要な助成等の措置を講ずることによって、これらの開拓者に営農の基礎を確立させ、もって開拓地における農業の健全な発展に資することを目的とするものでありまして、戦後、緊急の要請にこたえて、開拓事業が発足してからすでに十年余りたちましたが、その間において、開拓者の中には、いまだに営農の基礎が確立せず、不安定な状態にあるものが少くないのでありまして、かような開拓者の営農条件の改善をはかろうとするのが、提出の理由とされております。しかして、これがおもな内容を申し上げますと、概略次のようであります。
すなわち第一は、この法律による開拓営農振興の仕組についてでありまして、そのもとをなすものは開拓営農振興組合と振興計画とであって、開拓営農振興組合というのは、土地の自然的条件の劣悪、開墾建設工事の遅延、その他の者の責に帰することのできない原因で農業生産が不振であり、あるいはその者の負債が過大である開拓者を組合員とする農業協同組合とし、その開拓者の申請に基き、総会の議決を経て、知事の承認を受けて振興計画を立てることになっております。第二は、国の助成措置についてでありまして、一政府は、農林中央金庫または都道府県信用農業協同組合連合会等の融資機関が、都道府県との契約によって、開拓営農振興組合に、組合員が天災によって借り受けた経営資金の返済に充てるための資金を、一定の条件で貸し付けた場合において、その融資に対して、都道府県が利子補給及び損失補償を行うために必要な経費の一部を補助することになっております。しかして国の補助額は、利子補給については、補給額の百分の五十ないし百分の六十五、損失補償については補償額の百分の五十となっております。第三は、国及び都道府県の援助についてでありまして、前に述べました助成措置のほか、国及び都道府県は、開拓営農振興組合に対して、その振興計画達成のため必要な援助に努めることになっております。第四は、農地法等の特例を設けたことでありまして、従来、開拓地に対する成功検査は、「自作農創設特別措置法により、国から売り渡してから五カ年後に行うことになっておりますが、この法律の対象となる開拓者の開拓地の成功検査については、その申請によってこれを三カ年を限って延期することとし、これに歩調を合せてその土地の処分の制限その他の特例に関する期限をも、これを延期することといたしております。
委員会におきましては、これら開拓関係二法案を一括議題として審議に入り、開拓事業の実績、開拓営農の現況、開拓者の負債の状況、開拓及び開拓営農に関する基本方針並びにその当否、営農類型の策定方針並びにその当否、この法案に基いて作成されることになる振興計画の具体的内容、振興計画達成のための裏づけとなる予算的及び資金的措置、この法律案第六条の規定による国及び都道府県の援助の具体的内容とその実現性並びにこれが実行方法、開拓営農振興対策の一環としての生産物及び生産資材の価格対策、生産物価支持に関連して外国農産物の輸入方式、開拓地における労働の生産性の向上並びに生活改善及び文化施設の整備その他の問題について、農林当局に対して政府の方針がただされ、これに対して、開拓営農に関し、営農類型については現在五類型であるが、これを七類型とすることとし、収入基準も従来より引き上げ、ここにしばらく育成措置を集中実施して、開拓営農の基盤をつちかい、将来の発展を期待することとし、これら育成措置としては、一方において道路及び排水溝その他の基本的施設の整備、経営面積の過小なものに対する開拓財産の売り払い、生産拡大に要する資金の投入及び国有家畜の貸付等を行うとともに、他方、負債の圧力を除くため、天災融資については、この法案に基いてその借りかえによる条件の緩和をはかるとともに、政府融資については、国の債権の管理等に関する法律により、また農林漁業金融公庫融資については、その業務方法書の定めるところによって、それぞれこれが条件の緩和をはかることとし、個人負債については、自作農維持創設資金の融通等によって対処することとし、これらの対策によって当面する問題の解決に努めるとともに、今後、基本的対策の確立について善処したい等の趣旨が述べられておるのでありまして、これが詳細については会議録によって御了承を願いたいのであります。
かくして質疑を終り、両法案を一括して討論に入りましたところ、自由民主党を代表して田中委員から、「今回の措置は、当面応急の措置であって、これはこれとして、それが計画通り完全に実施されるよう政府において最善の努力を払うはもちろんであるが、さらに、政府は全力をあげて基本的対策の確立を期すべきである」ことを要望して賛成され、日本社会党を代表して東委員から、「この法律案による措置は、はなはだ不十分であるが、今の段階においてはやむを得ないものとして賛成する、しかし開拓事業をこのまま放任するにおいては、自滅するおそれがあるので、施策を集中実施して、その確立をはかるべきである」との趣旨を述べられて賛成され、島村委員から、「戦後対策としての開拓政策という考え方を改めて、わが国農政の一環として、積極的な意図をもって開拓政策の発展と確立とをはかるべきである」旨述べられて賛成され、千田委員から、「不満ながら一段階として賛成するが、率先開拓に挺身せられた現在の開拓者の労苦を思い、これに報いるため、強力な開拓施策を実行すべきこと」を要望して賛成され、なおその際、右の各委員から、当委員会においても開拓問題を重要課題として、今後その調査に一段と努力すべきことを提議されたのであります。
かくして討論を終り、採決に入りましたところ、両法案とも、全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
右、御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X02319570405/4
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005・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより三案の採決をいたします。
三案全部を問題に供します。三案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X02319570405/5
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006・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって三案は、全会一致をもって可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X02319570405/6
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007・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 日程第四、行政機関職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長亀田得治君。
〔亀田得治君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X02319570405/7
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008・亀田得治
○亀田得治君 ただいま議題となりました行政機関職員定員法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本法律案は、昭和三十二年度における各行政機関の事業予定計画に即応して、事務の増加に伴う所要の増員を行うとともに、業務の縮小に伴う余剰定員の縮減を行い、そのため行政機関職員の定員に改正を加えんとするものでありまして、今回の改正により、各行政機関の職員の定員を新たに四千三十八人増員するとともに、他方において千九十二人の減員を行い差し引き二千九百四十六人を増加し、結局、行政機関職員の定員の合計は六十四万三千九百七十四人となるのであります。今回の定員改正における増員のおもなるものといたしましては、科学技術庁付属研究所の設置拡充に伴うもの百十五人、刑務所等の開設強化に伴うもの三百十二人、国立大学の学年進行及び付属研究所整備等に伴うもの三百六十一人、特許審査審判事務の増加に伴うもの百人、郵便取扱い業務量の増加に伴うもの六百九十六人、電気通信施設の拡張に伴うもの千二百三十二人等であり。また減員のおもなものといたしましては、印刷局所掌事務の合理化に伴うもの九十五人、アルコール工場の民間移譲に伴うもの百十二人、船用米配給事務の簡素化に伴うもの八十一人、航空保安協力事務の減少に伴うもの六十九人、受託電信電話施設の一部を日本電信電話公社への移管に伴うもの五百人等であります。
内閣委員会は、前後四回にわたり委員会を開き、この間、岸内閣総理大臣及び大久保国務大臣その他関係政府委員の出席を求めまして、本法律案の審議に当りましたが、その審議におきまして、現内閣の行政機構改革に関する構想、行政審議会の今後の運営方針、官界の刷新及び公務員制度に関する現内閣の方針、定員法のワク外にある常勤労務者及び常勤的非常勤職員の処遇の問題、定員法の基本構想等の諸点につきまして、政府の所見がただされ、さらに今回の定員法の改正に関連し、大蔵省及び行政管理庁が、昭和三十二年度における農林省農地局の新規事業に伴う事務増及び郵政省所管の特定郵便局の新設と郵便物の取扱い業務量の増加に対応する定員増の措置を十分配慮すべきにかかわらず、今回の定員法の改正において、その配意のあとが、ほとんどうかがわれない点を追及し、大蔵省及び行政管理庁当局が、各省の定員増の要求に対し、いかなる基準及び方法によって査定するかの点、またこの点についての政府の今後の措置等につきまして、特に北村、森中の両委員と関係政府委員との間に質疑応答がなされましたが、その詳細は、委員会会議録に譲ります。
なお、委員会審議の過程におきまして、特に中心となった問題は、さきに述べました定員法のワク外にある常勤労者及び常勤的非常勤職員の処遇に関する問題でありまして、多数の委員より、第二十二国会において、当委員会が、「これら定員法のワク外にある職員の処遇について、政府がすみやかに根本的検討を加え、具体的措置を講ずべきことを要望する」旨の付帯決議をなし、また第二十四国会においても、当委員会が定員法改正の審議に当り、この問題の早急な解決を政府に要望する旨の質疑及び討論が行われ、これに対し、政府は、「早急にこの問題の具体的解決を講ずる方針である」、旨言明せるにかかわらず、今日に至るも何ら解決せられていないのは、まことに遺憾であって、この問題に関する政府の所見をただしたのに対し、岸内閣総理大臣より、「この問題については十分責任をもって結論を出す考えである」旨の、また大久保国務大臣より、「御趣旨を尊重して、次期国会には解決したい所存である」旨の言明が、それぞれなされました。
昨日の委員会におきまして、質疑を終り、討論に入りましたところ、自由民主党を代表して、上原委員より、「政府原案に賛成」の意見が述べられた後、次の修正案が提出せられました。この修正案を朗読いたします。
行政機関職員定員法の一部を改
正する法律案に対する修正案行政機関職員定員法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
附則第一条を次のように改める。
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行し、昭和三十二年四月一日から適用する。
次いで、八木委員より、「政府原案に反対」の意見が述べられ、また、日本社会党を代表して、森中委員より、「次の付帯決議案を付して、修正案及びこれを除く政府原案に賛成」の意見が述べられました。
次に、付帯決議案を朗読いたします。
付帯決議案現在、行政機関職員定員法のワク外にある常勤労務者(常勤職員)及び非常勤職員中、その職務の性質、勤務の実態において定員法上の職員と何ら異ならない者が多数に上っている。
本委員会は、従来、これら職員の処遇改善につき再三決議を行い、政府もまた早急に解決をはかる旨をしばしば言明せるにかかわらず、今日に至るまで何らの具体的措置がとられていないことは、はなはだ遺憾である。
政府は、すみやかに本問題の抜本駒解決をはかり、もって各行政機関における定員配置の適正化と勤務条件の改善を期すべきである。
最後に、緑風会を代表して竹下委員より、「修正案及びこれを除く政府原案に賛成」の意見が述べられました。
かくて討論を終り、まず、修正案について採決いたしましたところ、多数をもって可決せられ、次いで修正部分を除く原案について採決いたしましたところ、これまた多数をもって可決すべきものと決定せられました。
なお、さきに討論中に、森中委員より発議せられました付帯決議案につきまして採決いたしましたところ、全会一致をもって、当委員会の決議とすることに決定せられました。
右、付帯決議につき、大久保国務大臣より特に発言を求められ、「政府は、この決議の趣旨を十分尊重する」旨述べられました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X02319570405/8
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009・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。
本案全部を問題に供します。委員長の報告は、修正議決報告でございます。委員長報告の通り修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X02319570405/9
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010・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって本案は、委員会修正通り議決せられました。
議事の都合により、これにて暫時休憩いたします。
午後四時十九分休憩
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午後六時五十六分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X02319570405/10
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011・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 休憩前に引き続き、これより会議を開きます。
参事に報告させます。
〔参事朗読〕
本日委員長から左の報告書を提出した。
揮発漁税法案修正議決報告書亀方道路税法の一部を改正する法律案修正議決報告書
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X02319570405/11
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012・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) この際、日程に追加して、揮発油税法案地方道路税法の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出、衆議院送付)
以上、両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X02319570405/12
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013・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 御異議ないと認めます。
まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長廣瀬久忠君。
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〔審査報告書は都合によむ追録に掲載〕
〔廣瀬久忠君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X02319570405/13
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014・廣瀬久忠
○廣瀬久忠君 ただいま議題となりました二つの法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず、揮発油税法案について申し上げます。
本案は、道路整備事業の緊急性にかんがみ、その財源を確保する見地から、揮発油税の税率を引き上げる等、実情に即する諸規定の整備をはかるため、現行法の全文を改正しようとするものであります。改正内容の大要について申し上げますと、税率を一キロリットルにつき、現行の一万一千円から一万四千八百円に引き上げるとともに、従来の引き取り課税制度を、他の間接税と同様に移出課税制度に改め、また、道路整備事業と直接関連のないエチレン等石油化学工業の原料用のもの等について免税措置を講ずるため、租税特産措置法の一部を改正することとしております。なお、本案は衆議院において、税率を一キロリットルにつき一千円引き下げる旨の修正議決がなされたものであります。
本案審議につきましては、揮発酒税の引き上げ措置が、国民経済に甚大な影響を及ぼす重要な法案でありますから、地方行政、運輸、建設の各委員会と連合審査会を開いて、慎重に審議をいたしたのであります。
なお、質疑の過程において論議の焦点となりましたものは、揮発油の需給見込量三百九十万キロリットルは、運輸省の最近の積算見込みによる四百二十一万キロリットルと相当の開きが見られ、かつ例年の伸びから見ても、いささか過小のきらいがあるのではないか。また政府は、両院の運輸委員会の決議を軽視してまでも、あえて増徴を決定するに至ったその理由はどういうわけか。また、道路整備事業と関連の薄い特別失業対策、道路公団補助等、本来の目的にやや沿わない方面に使用することは筋が通らないのではないか。また、道路利用者が整備による利益を現実に受けるのは、将来のことである。従って今のうちは、むしろ道路公債を発行するか、あるいは何らかの措置を講ずるべきではないかというような意見、また、揮発油税に目的税的な性格を与えるのは、現状においては、いかがなものであろうかというような点でありました。その他これらの問題に関連して、諸外国の実例、原酒の輸入計画、道路整備計画等について、熱心な論議がなされたのでありますが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと思います。
次に、地方道路税法の一部を改正する法律案について申し上げます。
本案は、揮発油税法の改正理由と同様な趣旨において、税率の引き上げ等、諸規定の整備を行おうとするものでありまして、おもなる改正点は、現行税率二千円を三千五百円に引き上げること、現行の引き取り課税制度を移出課税制度に改めること、石油化学工業用等の工業用揮発油についても、免税措置を講ずることとしております。なお本案は、衆議院において、税率を一キロリットルにつき二百円引き下げる旨の修正議決がなされたものであります。委員会における審議の詳細につきましては、会議録によって御承知願いたいと存じます。
かくて質疑を終了し、二案の修正案について諮りましたところ、大内委員より、「施行日をそれぞれ公布の日の翌日とし、これに伴う所要の規定の整備をはかる」旨の修正案が提出され、また、杉山委員より、「揮発油税の税率を一キロリットル当り八百円引き下げて一万四千円に改めるとともに、地方道路税の税率を一キロリットル当り三百円引き下げて三千二百円に改めるほか、施行日をそれぞれ公布の日の翌日とし、これに伴う所要規定の整備をはかる。なおこの修正措置は、過去三年間の実績に徴してみると、本年度においても、需給見込量は五%程度の伸びが予測されるから、国庫収入には減少を来たさない」旨の修正案が提出されました。なお、この修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、政府に対し意見を求めたところ、政府においては、「予算の執行に重大な影響を及ぼし、健全財政を阻害するものであって、反対である」との意見が述べられました。
次いで二案を一括して討論に入りましたところ、木内委員より、「杉山委員提出の修正案については、税率の改正部分については反対、税率部分を除く部分については賛成する」旨の意見が述べられ、次いで平林委員より、「杉山委員提出の修正案について賛成する」旨の意見が述べられました。一案を一括して採決に入り、まず、両修正案の共通部分を除いた部分、すなわち杉山委員提出の修正案中、税率部分について採決の結果、一可否同数となり、委員長の決するところにより可決せられました。次いで両修正案の共通部分について採決の結果、全会一致をもって可決せられ、さらに、修正部分を除く原案について採決の結果、全会一致をもって可決せられ、本案を修正可決すべきものと決定いたしました次第であります。
右、御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X02319570405/14
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015・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 討論の通告がございます。順次発言を許します。木内四郎君。
〔木内四郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X02319570405/15
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016・木内四郎
○木内四郎君 私は、ただいま議題となりました衆議院送付の二案につき、委員長報告の修正案中、税率及び税額に関する部分に対しましては反対であります。その他の修正部分及びこれを除いた衆議院送付案には賛成するものであります。
税率及び税額にかかる修正案の根本といたしましては、歳入予算の基礎になるところの揮発油の消費量の見込みを増加いたしまして、これを基礎として税率を引き下げよう、こういう案でありまするけれども、まず一般的に見まして、歳入予算の基礎になった数字につきまして、確かな根拠もなく増減することは、きわめて危険であり、かつ不健全であると思うのであります。特に慎重を要するところのこの歳入予算の見積りに対する態度としては、とるべきものではないと信ずるのであります。この点にかんがみましても、私は想像するのでありますが、衆議院におきましても、税率の引き下げをはかるに当りましても、この消費量の見込み量につきましては手を触れることがなかったのであります。しかるに、良識の府であるところのわが参議院におきまして、これに手をつけるということは、決して私は賛成することができないのであります。ことに、この歳入見積りは、やや過大ではないかということを、予算委員会その他において言ってこられたところの諸君からして、この消費見込み量を水増ししまして、それを基礎にして歳入をはかり、歳入の計算をし、かつ税率の引き下げをはかるというようなことは、決して私どもは同意することはできないのであります。
さらに、この修正案の具体的内容について見ますというと、具体的内容につきましても、非常にこの計算に誤まりがあるのであります。まず一つ、二つあげてみますというと、この予算に対するところの課税消費量の実績は、二十九年度におきましては一九・二%、三十年度におきましては八・二%、三十二年度におきましては六・二%、だんだんこれが下ってきておるのであります。歳入見積りがだんだん適実になってきました。そしてこの予算に対するところの実際の実績というものは、だんだん下ってきておるのであります。しかるにもかかわらず、昨年度に驚きましては六・二%くらいでありまするのに、これを一割もあるだろうということを見込みまして、そうしてその半分をやるならば安全である、こういう計算の仕方は、非常に不健全であり、私どもは淡してこれに賛意を表するわけには参らないのであります。
それからさらに、この前年度の課税実績に対する予算の見積りについて見ましても、二十九年度におきましては前年度に対しまして一〇〇・八%、三十年度におきましては一〇五・四%、三十一年度におきましては一〇九・四%、こういう状態であるにもかかわらず、諸般の情勢を考えまして、三十二年度におきましては二一・四%という大幅の増額を見込んでおるのであります。しかるにもかかわらず、これに対してさらに、先ほど私が申しましたような、この根拠のない間違った計算によるところの一割の半分加えて、そうして二六・四%、こういうものを見込もうとするのは、わが参議院としては決してとるべき態度ではないと思うのであります。
また、この消費量増加を見込んでおるということでありまするけれども、これに対しては外貨予算の裏づけはありません。今日、外貨予算がすでにきまっておるのでありますが、相当大幅にこれを増額しておるのでありまして、しかも、なおかつ、これに対する裏づけはないのであります。
さらにまた、先ほど委員長が触れられましたところの運輸省の出したところの数字、四百二十一万キロリットル云々ということでありますけれども、これは著しく水増しをした数字であるのでありまして、昨年の十一耳運輸省から提出されましたところの三十五年度までの見込み額におきましても、この自動車の増加の見込み額でありまするけれども、これは突如として、これに対してさらに大幅の水増しをいたしまして、三十二万台というような増加台数を見込んでおり、しかも、この一台当りの消費量におきましても、まことに独断的の見方をしておるのでありまして、こういうところの誤まった、あるいは根拠のない数字を基礎として消費見込み量を計算し、これを基礎として税率を引き下げようとするようなことは、きわめて不健全、きわめて危険であり、わが良識の府である参議院としては、とうていこれに対して賛成することはできないのであります。政府におきましても、運輸省におきまして、かつて試算として出しましたこの四百二十一万キロリットルに対しまして、これをいろいろ検討した結果、これはきわめて不適当であるというので、これを採用しなかったのであります。これに対して、今申し上げましたような、きわめてずさんな、きわめて誤まりの多い計数を基礎として消費増加量を見込もうとするようなことは、私どもは断じて賛成することはできません。
以上をもって終ります。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X02319570405/16
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017・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 大矢正君。
〔大矢正君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X02319570405/17
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018・大矢正
○大矢正君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました揮発油税法案並びに地方道路税法の一部を改正する法律案の委員長報告に基く修正案に対し賛成をいたすものであります。(拍手)
私は大蔵委員の一員といたしまして、本法律案が、大蔵委員会に付託されまして以来、政府及び与党議員の良識ある態度により、みずからの手によって、本法律案中、増徴部分の撤回もしくは大幅な修正を心から望んで参りました。(拍手)なぜ私が撤回や大幅な修正を望んだかと言いますれば、それは岸内閣並びに与党の国民への公約に照らし、本法律案は、あまりにも逆行をするものであるからであります。昨年十二月成立を見た石橋内閣は、国民に対し一千億の減税を公約したことは周知の事実でありまして、その後、石橋内閣は岸内閣に変りましたけれども、公約と施策のすべてはこれを継承するとの立場が表明されたことも、これまた国民のひとしく記憶するところであります。以来、わずかに三カ月しか経過をいたしておらないにもかかわらず、あまりにも激しい公約の変化に、国民のすべてはおそらくあぜんとしておることと私は思うのであります。
去る二十九日、所得税法の一部を改正する法律案を中心とする税三法が議題となりました折に、一千億減税は、大企業、大資本及び多額所得者のみの擁護するものであり、国民の大部分を占める低額所得者を潤す減税でないことは、本会議においてわが党代表が明らかにしたところであります。すでにこの点において岸内閣の公約は破れ去っておるのでありまして、その後、国民の声に耳をおおい、数を頼みに押し切って、その可決を見た鉄道運賃の大幅な引き上げ、さらには現在審議中の揮発油税の増税に至っては、公約無視もはなはだしいものがあり、私はその政治的責任を追及すると同時に、以下数点にわたり、揮発油税法の審議を通じ、現内閣の公約違反と政策の誤まりを指摘いたしたいと思うのであります。(拍手)
その第一は、道路整備計画の実施に対する政府の基本的な態度であります。今日の道路整備の実態を検討してみますると、その道路整備は、政府によって行われるのではなく、運輸業者やタクシー業者、あるいはその他の自動車を持っている者が道路整備を行なっていると言っても過言ではない状態になっておるのであります。(拍手)
試みに、昭和二十九年より三十一年までの国費による道路事業費と、その中に占める揮発油税の割合を見ますると、昭和二十九年度においては九一・八%、三十年度において九七・五%と増加の一途をたどり、三十一年度に至っては、驚くなかれ九八・八%が揮発酒税によってまかなわておるのでおるのであり、国の一般財源は、わずかに一・二%にすぎないのであります。池田大蔵大臣は、揮発酒税の審議を通じ、「三十一年度からは一般財源よりの繰り入れがあまり少いので、三十二年度は十倍に引き上げた」と説明いたしておりまするが、十倍に引き上げても、なお一・二%がわずかに八%にしかならないのであります。しかも道路整備五カ年計画が盛り込まれておる道路整備費の財源等に関する臨時措置法が、第十六国会において論議をされた際には、揮発油税に相当する程度の一般財源確保が決議されておるにもかかわらず、何ら実行されておらないことは、私どもの絶対容認できないところであります。(拍手)このように、政府は一方において道路財源を極力押え、道路整備計画をおくらせておりながら、反面においては、私どもの反対を押し切り、補正予算という口実に隠れ、財政法の合法的脱税行為を行いつつ三百億を産投会計に繰り入れ、百五十億の使用目的不明の金を作り上げておる行為は、まことに言語道断と言わなければなりません。(拍手)また政府は、五カ年計画をさらに十カ年計画にすると言っているが、これは五カ年計画が、当初の計画通りに遂行されないので、みずからの政策の誤まりが、五カ年計画の終了時になって、あからさまになるのを隠蔽するために行う手段であるとも思われるものであり、私どものとうてい理解し得ないところであります。
次いで、第二としてあげる点は、政府及び与党の無責任きわまりない態度とその行為であります。先ほども述べましたが、第十六国会において、道路整備費の財源等に関する臨時措置法が審議された際、「五カ年計画は、揮発油税の増徴を見込んでおるのではないか、また、揮発油税を目的税的なものにすることによって、道路整備計画が拡大されるに従い、揮発油税が増徴されるのではないか」との質問に対し、政府当局は、「五カ年計画等には、揮発油税の増徴は見込んでおらない。これを目的税とするものでもなく、現行税率は高いので、今後この軽減をはかりたい」旨答弁をいたしておるのであります。道路整備に関する臨時措置が成立を見てから、すでに三カ年有余を経過し、その間、幾たびか内閣の移りかわりがあったとは言え、いまだ五カ年計画の実施中であり、この無責任な与党の態度は、何としても私ども、の納得できないところであります。このように、みずからの発言と行為に責任を持たない結果は、現役大臣の中に、揮発油税増徴に反対の署名をしておきながら、閣議においては揮発油税の大幅な引き上げに同意し、衆議院においてこの点を指摘されるも、政治家として当然の行為であるかのような態度をとり、政治に参画する者のすべてが、かような無節操きわまりないものであるかのごとき印象を国民に与えた点は、私どものまことに遺憾とする点であります。(拍手)
さらに、第三点として指摘することは、揮発油税の増徴が与える影響であります。もしこの増徴案が通った暁は、運賃値上げを呼び起し、鉄道運賃値上げと相待って、ますます国民経済に悪影響を与え、バス、タクシー代の値上り、輸送賃増加に伴う諸物価の値上り等の現象を引き起し、低所得者階層の生活を一段と苦しめる結果になることは、火を見るよりも明らかであります。また、私の知る範囲においては、運輸業に働く労働者は、一般産業労働者の労働条件より、かなり劣悪なものであり、特に中小運輸業に働く労働者は、本法に基く増徴によって、労働時間の延長、賃金水準の引き下げ等が余儀なくされ、ますますこれら労働者の生活を苦しめることになるばかりか、零細な運輸業者を倒産させ、神武以来の好景気に、仁徳鳳来の悪政を行わせる結果となるのであります。
最後に、第四点としてあげることは、政府及び与党の委員会の議決を無視する態度であります。参議院運輸委員会は、十二月四日次のような決議をいたしております。「最近わが国の産業、経済は発展の一途をたどり、一方輸送力は限度に達し、その発展に支障を与えている現状である。政府においては、これが対策の一環として道路の整備強化を図るため、その財源を揮発油税の大幅増徴に求めんとしているやに聞くが、揮発油の大口需要者たる自動車運送事業は、すでに税負担能力の限界に達しておると認められるので、揮発油税の大幅な増徴は自動車運送事業の健全な発達を阻害し、輸送力の増強に支障を及ぼすおそれがある。よって道路の整備強化には、一般財源にもこれを求め、揮発油税の現行風上の増徴は絶対に避くべきである。右決議する。」、以上の決議に対し、当時の伊能運輸政務次官は、「現在におきましても、多種、多額の税がかかっており、大幅な値上げがもし実現をするという際には、自動車交通業界にも重大な影響があろうかと存じまするので、決議の趣旨を体し、慎重に善処する」旨、念入りな意見さえ付加されておるのであります。また、衆議院運輸委員会も、同様な決議をしておることは記憶に新たなるところであります。与党議員参加の上で、このような議決をしておるにもかかわらず、策議院において修正されて毛、なお一挙に四〇%強に達する増税を企図された政府の委員会決議無視の態度を強く指摘いたしたいと思うのであります。このように、国民の反対をよそに根拠の薄い数字を基礎とし、委員会決議を無視してまで、一般財源より求めるべき道路整備費用を削減することは、自衛隊の予算を初め、防衛分担金等の再軍備予算を捻出するために、その負担を運輸業者と国民に転嫁せしむるものであり、わが党の最も強く反対をするところであります。(拍手)
以上、私は四点にわたって、政府の欺瞞的行為を指摘いたしましたが、政府みずからがあやまちを改めることに何ら逡巡をする必要はないと思うのであります。三十二年度の予算を初め、健康保険法あるいは税三法、鉄道運賃の値上げ等を通じ、国民の信頼がすでに地に落ちた感じのする政府並びに与党ではありまするが、今からでも決しておそくない、すみやかに修正案に賛成をし、せめてこの点だけでも国民の要望にこたえて、その信をつなぎとめ、政府及び与党の面目を施すよう、野党議員ではあるが、心から希望をし、私の修正案賛成の討論を終りたいと思うのでありますが、この際、明らかにしておきたいことは、良識ある参議院でありますので、委員会決議による修正案は、当然多数をもって可決されるものと思われるのでありまするが、万一、修正部分中、特に衆議院送付案に対する税額の修正が否決されるような結果が出ますれば、おのずから私どもの態度が変ることを付加いたしまして、討論を終らせていただきます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X02319570405/18
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019・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 村上義一君。
〔村上義一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X02319570405/19
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020・村上義一
○村上義一君 私は緑風会を代表して、ただいま上程されておりまする揮発油税法案並びに地方道路税法の一部を改正する法律案についての修正案に賛成の討論をせんとするものであります。(拍手)
御承知の通り自動車は、揮発油税、地方道路税、軽油引取税以外に、なお自動車物品税、自動車取得税、自動車税、道路損傷負担金、道路受益者負担金、有料道路使用料等、幾多の賦課金を負担いたしておりまして、現に業者の税負担は、その限界に達しており、本改正案のごとき大幅な増徴は、自動車事業の健全なる発達を阻害し、輸送力の増強に支障を及ぼすものと認めらるるからであります。ゆえに、昨年末、十二月四日に本院の運輸委員会は、この理由を明記して、現行税額母上の増徴は絶対に避くべきであるということを全会一致、決議の上に、政府に警告をいたしたのでありました。衆議院の運輸委員会もまた、同様の理由によりまして、揮発油税増徴に対しては、絶対反対する旨の、これまた全会一致、決議をしておらるるのであります。
なお、日本商工会議所の税制調査会、鮎川道路調査会、産業計画会議、日本自動車会議所等々も、担税力の限界に達しておることと、また自動車の発達及び輸送力の増強を阻害するものであるから、現行以上に増税すべからずという意見を公表いたしておりまして、国会にも政府にも提出しておりますることは、御承知の通りであります。
これに加うるに、政府は一千億円減税、拡大経済の推進ということを二大基本方針として、諸般の措置を講じつつあるのでありまするが、揮発油税の急激かつ大幅の増税は、前者に対しては、著しく均衡を失し、また経済の拡大については、電力、鉄鋼とともに輸送力がその隘路であると、みずから称しながら、輸送の一半をになえる自動車の発達を阻害する措置をあえて強行するものであるのであります。
政府は、両院の運輸委員会の超党派的の意見に耳をかさず、また国民世論を無視して、かつ政府の基本方策に矛盾する大幅な増税案をあえて提出したのでありまして、従いましてこの揮発油税増徴につきましては、厳然たる事由がそこになくてはならぬはずでありまするが、委員会における審議の過程におきましても、何ら了解し得る説明は与えられなかったのであります。政府の理由とするところは、ひっきょう第一に、揮発油税率は、米国を除く諸外国と比較すれば、わが国は低率であるということ、第二に、道路整備によって、自動車の諸経費は、十年、十五年の長期にわたって考察すれば、著しく軽減して、自動車事業の受益は、増徴額以上に事業者に還元されるという二点に尽きると思われるのでありまするが、政府は、増税は至当なりとして、三十二年度道路整備費五百四十八億円、その中で、一般財政からは、わずかに四十四億円を支出するにとどめて、五百四億円は、もっぱら揮発油税に求めておるのであります。しかし国際間の税率の比較は、その国民所得または国民の消費水準を考慮するにあらざれば、税率の高低を論じ得ないことは当然であります。政府提出の資料によりましても、わが国の揮発油税額を各国の国民所得に応じて算出しますれば、現行揮発油税を一〇〇とした場合に、英国は四九、フランスは八一、西ドイツは六四、米国はわずかに五・二二に当るのであります。わが国は、実に米国の約二十倍の負担をいたしておるのでありまして、さらに、昭和二十八年、道路整備五カ年計画が策定せられました際に通過しました道路整備費の財源等に関する臨時措置法の審議に当りまして、揮発油税額と一般財政負担額とをほぼ半々、均等ならしめるというように期待されておったのでありますが、一般財政よりの支弁は漸次減少しまして、三十二年度は、ただいま申し述べましたごとく、一般財政よりの支出額は、揮発油税額に比べて、その一割にも達せない実情であります。しかも、揮発油税をもって、五カ年整備計画と全然関係のない道路公団の費用や、また、社会政策を目的とする失業対策費に百二十八億円という巨額を支弁することになっておるのであります。しこうして、かかる処理の結果としまして、五カ年整備計画の過去三カ年間の実績は、わずかに四四%を遂行し得たにすぎないのであることは、まことに遺憾にたえないところであります。また、かりに十五カ年をもって道路整備が完成するものと仮定しますれば、十六年目以後の自動車事業こそ、完全に利益を亨受できるのでありまして、現在の自動車は、実際において受益者とは言いがたい点があると思うのでありまして、受益者負担の本旨が、適用上歪曲されておると思うのであります。
次に、私は道路整備のきわめて緊要であることを痛感しておるものでありまして、国民経済の発展上、福祉増進上また資源の開発上、道路の整備普及は、真に喫緊の重要事であると信ずるのでありまして、道路の現状と国家国民の要請との間には、今日大なる隔たりがあることは申し上げるまでもありません。この点にかんがみまして、道路の整備普及は、交通政策上第一義のものであり、国土開発の根本要件であると信ずるのでありまして、政府は、現行五カ年整備計画を改訂して、総額一兆七千億円に及ぶ道路整備十カ年計画を策定中であると聞くのでありまするが、まことに適切なる措置と思うのであります。しこうして、おそらく第二次十カ年計画をも引き続いて樹立する必要があると信ずるのであります。しかし、その財源獲得方法の確立が、さらに重大事であることは、現行五カ年計画の実績に徴してきわめて明瞭でありまして、五カ年計画のごとく、その年次の工事費をその年に消費する揮発油、軽油に賦課するというような、けちな感覚をもってするならば、いかに計画はりっぱでありましても、画餅に終ると考えられるのであります。(拍手)よろしく固定資産償却の観念に立脚して特別会計を設定し、長期間にわたって、すべての受益者をして公平に負担償却せしむるような、抜本的な措置を確立せられんことを強く要望するものであります。われわれは、先に本年度の道路費に充当するため、揮発油税五百四億円、地方道路税百十四億円、合計六百十七億六千三百万円の予算を承認可決いたしました。それでありまするから、この金額はぜひ確保せなければなりませんが、しかし、本年度揮発油の総消費量三百九十万キロリットル中の課税量三百四十一万五千キロリットルなる数字は、少きに失することを推測するのでありまして、政府の消費量想定の安全率が過大であることは、過去数年間の実績に徴して明らかであって、予想量に対する消費量の実績は、二十七年度において一割一分二厘増し、二十八年度では九分一厘の増加、一一十九年度は二割一分の増加、三十一年丁度においてはまた九分一厘の増加見込みであることを、政府当局も説明しているのでありまして、しこうして三十年度は、一キロリットル二万五千円の課税案を一万三千円に修正したにかかわらず、その消費量は約一割五分増加しましたために、予定の税収額三一日三十二億円を徴収し得たのでありまして、従って私は、本修正案の示す五%程度の消費量の増加見込みは、十分確実性があると固く信ずるのであります。従って、妥当ならざるこの揮発油税増徴額を、それだけ減額して、揮発油税を一キロリットル当り一万四千円、地方道路税をキロリットル当り三千二百円に変更修正をすることは、きわめて適切であると信ずるのであります。
以上、今後の抜本的道路整備普及計画の策定と、これに対応する工事費の財源確保に関する抜本的な措置を強く要望一すると同時に、本修正案に賛成の意を表する次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X02319570405/20
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021・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) これにて討論の通告者の発言は、全部終了いたしました。討論は、終局したものと認めます。
これより両案の採決をいたします。まず、両案に対する委員会修正案のうち、税率及び税額に関する部分全部を問題に供します。
表決は、記名投票をもって行います。両案に対する委員会修正案のうち、税率及び税額に関する部分に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行います。
〔議場閉鎖〕
〔参事氏名を点呼〕
〔投票執行〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X02319570405/21
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022・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 投票漏れはございませんか。……投票漏れないと認めます。投票箱閉鎖。
〔投票箱閉鎖〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X02319570405/22
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023・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
〔議場開鎖〕
〔参事投票を計算〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X02319570405/23
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024・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百一票
白色票 八十五票
青色票 百十六票
よって、両案に対する委員会修正案のうち、税率及び税額に関する部分は否決せられました。
—————・—————
〔参照〕
賛成者(白色票) 八十五名
森 八三一君 早川 愼一君
野田 俊作君 中山 福藏君
竹下 豐次君 村上 義一君
廣瀬 久忠君 島村 軍次君
高良 とみ君 梶原 茂嘉君
加賀山之雄君 奥 むめお君
上林 忠次君 佐藤 尚武君
森田 義衞君 杉山 昌作君
後藤 文夫君 石黒 忠篤君
大矢 正君 森中 守義君
北村 暢君 藤田藤太郎君
相澤 重明君 松永 忠二君
占部 秀男君 森 元治郎君
平林 剛君 岡 三郎君
亀田 得治君 秋山 長造君
久保 等君 柴谷 要君
大和 与一君 近藤 信一君
千葉 信君 戸叶 武君
大倉 精一君 田畑 金光君
吉田 法晴君 中田 吉雄君
松澤 兼人君 河合 義一君
小笠原二三男君 成瀬 幡治君
藤田 進君 島 清君
田中 一君 加藤シヅエ君
赤松 常子君 三木 治朗君
東 隆君 市川 房枝君
野坂 参三君 岩間 正男君
横川 正市君 長谷部ひろ君
竹中 恒夫君 大竹平八郎君
鈴木 壽君 大河原一次君
伊藤 顕道君 天坊 裕彦君
千田 正君 光村 甚助君
湯山 勇君 加瀬 完君
坂本 昭君 阿部 竹松君
安部 清美君 阿具根 登君
海野 三朗君 矢嶋 三義君
小酒井義男君 永岡 光治君
天田 勝正君 高田なほ子君
片岡 文重君 重盛 壽治君
岡田 宗司君 佐多 忠隆君
曾祢 益君 栗山 良夫君
山下 義信君 内村 清次君
山田 節男君
—————————————
反対者(青色票) 百十六名
大谷 贇雄君 武藤 常介君
川口爲之助君 鹿島守之助君
石井 桂君 松岡 平市君
伊能繁次郎君 堀 末治君
有馬 英二君 苫米地英俊君
近藤 鶴代君 藤野 繁雄君
西川甚五郎君 谷口弥三郎君
新谷寅三郎君 一松 定吉君
本多 市郎君 草葉 隆圓君
仲原 善一君 成田 一郎君
堀本 宜実君 前田佳都男君
松村 秀逸君 手島 栄君
鈴木 万平君 柴田 栄君
塩見 俊二君 大谷藤之助君
大沢 雄一君 重政 庸徳君
白川 一雄君 高橋 衛君
土田國太郎君 斎藤 昇君
雨森 常夫君 永野 護君
迫水 久常君 三木與吉郎君
田中 啓一君 横川 信夫君
木島 虎藏君 安井 謙君
関根 久藏君 野本 品吉君
最上 英子君 岩沢 忠恭君
三浦 義男君 高野 一夫君
宮田 重文君 小柳 牧衞君
木内 四郎君 青山 正一君
植竹 春彦君 石原幹市郎君
黒川 武雄君 重宗 雄三君
苫米地義三君 中山 壽彦君
泉山 三六君 平井 太郎君
小林 英三君 大野木秀次郎君
寺尾 豊君 松平 勇雄君
井村 徳二君 伊能 芳雄君
井上 清一君 小沢久太郎君
西田 信一君 稲浦 鹿藏君
吉江 勝保君 平島 敏夫君
後藤 義隆君 勝俣 稔君
小西 英雄君 佐藤清一郎君
西岡 ハル君 宮澤 喜一君
吉田 萬次君 横山 フク君
榊原 亨君 青柳 秀夫君
白井 勇君 酒井 利雄君
高橋進太郎君 山本 米治君
大谷 瑩潤君 寺本 広作君
剱木 亨弘君 小幡 治和君
上原 正吉君 岡崎 真一君
古池 信三君 小滝 彬君
館 哲二君 郡 祐一君
西郷吉之助君 小林 武治君
紅露 みつ君 小山邦太郎君
木暮武太夫君 石坂 豊一君
下條 康麿君 野村吉三郎君
笹森 順造君 林屋亀次郎君
杉原 荒太君 青木 一男君
木村篤太郎君 津島 壽一君
吉野 信次君 江藤 智君
田中 茂穂君 林田 正治君
中野 文門君 八木 幸吉君
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X02319570405/24
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025・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 次に、両案に対する委員会修正案の残り全部を問題に供します。
両案に対する委員会修正案の残り全部に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X02319570405/25
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026・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって、両案に対する委員会修正案の残り全部は可決せられました。(拍手)
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X02319570405/26
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027・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 次に、ただいま可決せられました修正部分を除いた両案全部を問題に供します。
修正部分を除いた両案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X02319570405/27
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028・松野鶴平
○議長(松野鶴平君) 過半数と認めます。よって、修正部分を除いた両案は可決せられました。
右の結果、両案は、修正議決せられました。
次会の議事日程は、決定次第公報をもって御通知いたします。
本日は、これにて散会いたします。
午後七時五十二分散会
—————・—————
○本日の会議に付した案件
一、日程第一 天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法の一部を改正する法律案
一、日程第二 開拓融資保障法の一部を改正する法律案
一、日程第三 開拓営農振興臨時措置法案
一、日程第四 行政機関職員定員法の一部を改正する法律案
一、揮発油税法案
一、地方道路税法の一部を改正する法律案発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102615254X02319570405/28
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