1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年三月六日(木曜日)
午前十時五十八分開議
出席委員
委員長 赤澤 正道君
理事 生田 宏一君 理事 畠山 鶴吉君
理事 濱野 清吾君 理事 山本 友一君
理事 井岡 大治君 理事 松尾トシ子君
有田 喜一君 小泉 純也君
永山 忠則君 早稻田柳右エ門君
小山 亮君 下平 正一君
中居英太郎君 正木 清君
松原喜之次君 森本 靖君
眞鍋 儀十君
出席国務大臣
運 輸 大 臣 中村三之丞君
出席政府委員
防衛庁参事官
(防衛局長) 加藤 陽三君
運輸事務官
(自動車局長) 山内 公猷君
運輸事務官
(航空局長) 林 坦君
高等海難審判庁
長官 長屋 千棟君
委員外の出席者
大 蔵 技 官
(主計官) 鹿野 義夫君
大蔵事務官
(主税局税制第
二課長) 吉国 二郎君
大蔵事務官
(管財局国有財
産第二課長) 市瀬 泰蔵君
専 門 員 志鎌 一之君
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三月六日
委員河野金昇君辞任につき、その補欠として永
山忠則君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員永山忠則君辞任につき、その補欠として河
野金昇君が議長の指名で委員に選任された。
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三月五日
海難審判法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一二三号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
航空法の一部を改正する法律案(内閣提出第四
九号)
海難審判法の一郎を改正する法律案(内閣提出
第一二三号)
陸運に関する件(道路連送事業等)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/0
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001・赤澤正道
○赤澤委員長 これより会議を開きます。
最初に、航空法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。早稲田柳右工門君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/1
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002・早稻田柳右エ門
○早稻田委員 航空法の一郎改正法律案に関連して、三、三点何っておきたいと思います。
運輸行政の根幹は、陸と海と空にあることは申し上げるまでもございませんが、本年度の予算を通覧いたしましても、陸や海に対しては相当施策が講ぜられておるが、空の諸問題に関しては政府の施策がきわめて僅少のように考えられる。そこで現在の国際空路の状況並びに国内路線の現在の状況、これに対して政府の行なっておる施策の大要をまず伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/2
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003・林坦
○林(坦)政府委員 わが国の航空につきまして、国際路線に関しましては、御承知のごとく日本航空株式会社をして一元的に行うようにいたしております。その日航の最近の状況等につきましてまず御説明申し上げますと、大体日航は三十一年度に続きまして三十三年度の上期は相当好調でございました。大体収支等に関しましても、三十二年度の上期で——決算を年に一回に改めました関係上まだ正式決算はいたしておりませんが、上期だけで約七億程度の差引利益を得たような状態でございます。しかしながら十月以降全体にわたり景気の悪化の状況がございまして、その影響を受けまして、日本航空としましては国際線もまた国内線もともに若干利用率が低下して参っております。しかしながら上期七億ばかりの黒字を出しましたけれども、下期はどうもそれほどの黒字を予想できませんので、そう大きなことは言えない状態であります。なお日本航空といたしましてはまだ減価償却等を法律の許す最大限やりますれば、相当の不足があるという状況でございます。減価償却の不足額九億何がしをまだ内包しておりますので、従来の累積赤字は一応消えるとは思いますが、実質的な利益を計上するにはまだ至っていない状況でございます。三十三年度は本年度の下期からの景気の下降状態に基きます利用率の低下がやはり予想されますので、楽観を許さない状態であり、特に国際路線につきましては新しい機区種のDC7Cというのを入れまして強化をしようとしているのでありますが、これは外国航空今入社との競争もだんだん激化して参りますし、その他新しい機種を使いますため初めのうちはいろいろ大事をとって運航しなければならない関係上、整備費その他の面においてもいろいろ支出を見込まなければなりません。従って来年度において本年度以上の成積を上げ得るというようなことは、今このところちょっと簡単には申し上げられない状態でございます。
これに対しまして政府といたしましては来年度以降の問題として、政府出資を来年度五億程度いたすことにしております。五億と申しますと、現在の政府の出資額が日航全体の資本金七十一億中約五千億ございますので、大体一割程度の増資ができる状態になっております。また借入金といたしまし、社債を五億程度政府保証のもとにやるように予算で見込んでございますので、その点も政府保証による社債の発行ができるということになっております。さらに従来の借入金の返済期が参ってもおります関係上、政府といたしましては約十七億ほどの金額の市中借り入れに対する政府保証の措置をとるようにいたしております。そういったことによりまして、来年度といたしましては、一躍大きな発展はまだ期待できませんけれども、とにかくそれで来年度やっていくことができる、こういう状態でございます。
なお国内路線に関連いたしましては、日航の国内線の利用率もやや頭を打ったような格好でありました。三十二年度において、平均しまして国内線は七六・三%の利用率でありましたが、三十二年の十二月ごろを見ますと約六三・一%といった状況でありまして、やや前年同期川に比べましても下っておるという関係も見られるのであります。これは便数がふえた面もたいにございますけれども、国内路線も全体的な景気の影響を若干受けておる、かように考えております。
ローカル線の航空分社の状況でありますが、ローカル線は御承知の北うに従来日本ヘリコプター株式会社と極東航空株式会社の三社が、大体日本を両分して運航いたしておりました。しかし日本国は狭うございますので、全体を統一いたしまして合理的運営をはかることがさらに必要であるというところから、三社がうまく合併の話が、とのいまして、この二月に全日本空輸という形に一つにまとまったような次第でございます。この会社は現在資本金六億円、保有飛行機大小合せて十八機、ヘリコプター五機をもって経営いたしております。ところがこれは日航の場合と異りまして、まだまだ地方のローカル飛行場の整備が十分完全に参っておりません関係上、従来定期の運航等にいろいろと難点がございました。過去の実績から見ますと相当の赤字を出しておるのでございます。しかしながらこの会社も二社一本になりました上は、いろいろな面において、たとえば乗員養成について日本航空とタイアップする、あるいは連絡的な輸送を行う、その他日航から飛行機をこちらに貸してやるというようなこともいたしておりますし、なお郵便方面の援助もいろいろ考えられておるわけであります。こういう点から、一本になりました上はそれだけ責任も増すわけでありますので、政府としてもこれをもり立てる方針のもとに、いろいろと手を尽していきたいと考えております。来年度といたしましては、飛行場の整備あるいは航空大学校の拡充等による間接的な援助以外に、実は直接的に若干補助金を出すようにということも計画いたしたのでありますが、残念ながら予算のワクの関係上実現を見るに至っておりません。また通行税等につきまして、国内路線には、通行税法によると二割の税金がかかることになっておりますが、それを臨時措置法によってなお一年一割に減ずるという点について、現在国会で御審議を願っておることだと存じております。今後経営の合理化等をさらに進めまして、また政府としてもできるだけの援助をはかりまして、伸ばしていきたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/3
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004・早稻田柳右エ門
○早稻田委員 ただいまの説明で、日本航空の国際路線に対しては政府出資、債務保証等の助成方策をとっておる、こういうことでありますが、国内路線に対しては通行税の軽減をはかっておるのみで、何らの助成方法を講じていない、こういうことがはっきりしたわけでございますが、私は現在の航空界における世界の情勢並びに国内の情勢等にかんがみまして、政府はもっと積極的に航空施策を講ずべきであると考える。今後国際路線に対しても、国内線に対しましても、その特殊性にかんがみまして、運輸当局は抜本的な助成をなすべきであると思いますが、それに対して本来ならば運輸大臣の意向が聞きたいのですが、きょうはお見えになりませんので、一つ航空局長の構想と申しますか、将来に対する画策の大要を一つお漏らしを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/4
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005・林坦
○林(坦)政府委員 まことに御指摘の通り、国際路線につきましては日本航空株式会社法がありまして、補助金の制度あるいはその他の援助の制度についての規定もございますので、もちろん少額ではございますけれども、こうした国家的な助成方策がとり得たのでございますが、国内のローカル路線の運営につきましては、実は今まで間接的な乗員の養成でありますとか、あるいは飛行場の整備等の措置以外にはまだ十分とられておらない現状でございます。もちろん運輸省航空局におきましては、この点については早くから実は気がついておるのでありまして、何とかしてこの助成方策をとっていきたいという考えのもとに、ある意味において政府があっせんのお手伝いをいたしまして二社の合併をはかったような次第でもあり、これによって少しなりとも合理化を行うとともに、政府のこれに対する施策ができるだけ徹底して広く行い得るようにという下地を作るという意味において、これを促進しておったのであります。本年度の場合はこの問題が若干予算時期等の関係もございましたし、またわれわれの努力も十分に至らなかったためでもございますが、思うように直接助成の方法が実を結ばなかったのであります。しかしながら航空の伸びるということは御指摘の通り当然であると思っております。世界の各国の航空の伸び方等を見ましても、まことにそのスピードの速いことは、その飛行機自体のスピードのごときものでありまして、すぐ三年もしますと二倍くらいの伸び方をいたしておる。わが国におきましては、もちろん地理的な条件等もございますけれども、必ずここ五年ないし十年の後には、飛行機による輸送というものが飛躍的に発展するものであるということは私ども確信いたしております。ただ現在揺籃期にございます関係上、ぜひともここしばらくの間は政府の手によってある程度の育成を行なっていきたい。特にローカルの航空を新しく始めるような場合には、航空局だけの考えでございますけれども、ちょうど船の場合の離島航路補助のごとき、新しい路線を開く場合の路線補助といったような制度は、ぜひ将来の問題として考えていきたいと思っております。何がしかそういうような直接的な援助も必要であるし、また通行税の問題につきましても、来年度実は国内の路線については、特にローカルの路線につきましては何とかして通行税の今の二割という法律を一年ごとに一割にしておるのでありますが、これでは不十分であるというので、極力努力いたしたのでありますが、なかなか関係方面の了解を得ることができませんで、現在のところ一割というのを一年据え置きという線でとどまっております。これらにつきましては、もっともこれは直接補助よりも姿としてもよろしゅうございますし、また会社が努力すればするだけのことがあるという点から、赤字補助とは違った味もあるのでありまして、ぜひこういう面において今後助成をしていきたい、かように運輸省航空局としては考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/5
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006・早稻田柳右エ門
○早稻田委員 次に伺いたいのは、現在国内における国際並びに国内の航空機の整備状況は一体どんなふうになっておるか。さらに航空機整備状況の今後の見通しというようなところをお話しいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/6
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007・林坦
○林(坦)政府委員 今お話のございました航空機整備の事業につきましては、原則としまして通産省の所管であると存じますが、私ども現在動かしております航空会社の飛行機の整備につきましては非常に関心を持って、実際の面においていろいろ指導もいたしておる状況でございます。特に日本航空の場合は、日本航空整備会社という会社を大体その子会社的なものとして作っております。その会社の資本金は大体七億の会社でございまして、羽田に根拠地を持ってやっている。日航の出資分が約その六〇%を占めている。大体状況としましては三十一年度、三十二年度上期等を見ますと、三十一年度において年間利益約五千四百万程度、三十二年度において上期において三千三百万程度という状況でございまして、ここは決してそう大きな利益を上げるべき性質のものではございませんが、まずまず順調な歩みを続けておる。特に羽田の飛行場等においての整備といたしましては、これは絶対に不可欠な飛行場施設の一つでございまして、これが日本航空はもとより、あるいはその他の航空会社の飛行機、あるいは米軍の飛行機等につきましても、羽田における整備の手伝いをするというようなことはいたしておるのであります。その会社としましては今申し上げたような状況で、大体順調な発展を進めつつございます。その他の飛行場につきまして、たとえば伊丹等にも新明和でありますとか、あるいは今申しました日本航空整備が出張ったりいたしまして、いわゆるわれわれで言うライン・メーンテナンスということをいたしております。製造の方面につきましては、この際整備という意味をわれわれは今修理等の意味に解しまして、ここでは触れませんが、そういったような状況でやっておりまして、その他の小さな航空機会社等につきましては、それぞれ場合によって調布にあります整備会社でありますとか、その他飛行場もよりの整備会社によって整備をいたしておるという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/7
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008・早稻田柳右エ門
○早稻田委員 もう一つ伺いたいが、航空事業で最も大切な航空標識所でございますが、一体今航空標識所は何カ所ぐらいどこにあって、どんな施設をしておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/8
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009・林坦
○林(坦)政府委員 あるいはすでに御配付申し上げました資料の中にあるかと思いますが、航空無線標識所は全体で二十六あり、それは全国各地にございます。そのうちホーミング・ビーコンが二十一、ラジオ・ビーコンが五つ、そういったような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/9
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010・早稻田柳右エ門
○早稻田委員 最初に申し上げましたように陸と海と空とは並行して発達を期さなければならないと存じます。私ども今度の予算を通じて見る感覚では、航空関係の予算が非常に少い。世界はあげて空に眼を向けておる今日、日本における航空事業に対する政府の考え方が非常に比重が軽いように存じますが、運輸省全般の予算面から申しまして、航空関係の予算はどれくらいの割合になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/10
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011・林坦
○林(坦)政府委員 航空関係の予算といいますと、実は御承知のごとく非常にいろいろに分れております。運輸省だけでなく、先ほどの離島の航空路の整備等につきましては内閣の所管になり、また日航の出資等については大蔵省の所管になる、こういうふうにいろいろに分れております。実は今年度大きくいろいろと計画もいたしたのでありますけれども、来年度の予算といたしましては十九億何がし、約二十億が航空関係の予算と申し上げていいのではないかと思います。運輸省のほかの局の予算につきましては、私案はここに資料を持って参りませんでしたので的確にお返事できないのでございますが、航空関係の予算が比較的少いという御指摘につきましては、全くその通りだと思います。ただ日本における航空事業が、まだ始まりましてわずか四、五年であるという関係もあり、また日本の航空が全面的に日本の手によってのみなされていない面もありまして、今後大いに伸びなければならないことは当然でございます。現在までのところまだまだわれわれとしましても十分なる予算を計上することができなかったことは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/11
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012・早稻田柳右エ門
○早稻田委員 私の聞くところによると、航空局においては今次予算要求に対して、相当遠大な理由のもとに予算要求をせられたように聞いておる。ところがまず運輸省内においてほとんど削減されてしまったということは事実のようである。さらにまたその上大蔵省の査定で大幅に削られて、惨たんたる状況だと私は思います。今後航空界の発達が国の盛衰を支配するという重大な観点にあるわけでございますので、運輸省においても航空事業に対して関心を高められ、予算要求等抜本的にこれが実現をはからなければならぬと思います。今伺いますと、国際空路に対しては政府の出資があり、債務保証があるということでありまするが、国内におきましては何らの助成措置も講じられていない、さらにまた航空標識であるとか、航空郵便であるとか、あるいは航空機の整備とか、飛行場の整備等に対しても、何ら助成措置を講じてないということは明らかでございます。ぜひこれは部内においてよく検討せられまして今後日本の航空界がもっと発達するように、最善の方途を講ぜられんことを強く要望する次第でございます。
それからそれに引き続いて伺いたいのは、きのうでありましたか同僚山口委員からもお話があって、米軍駐留の飛行場が最近解除されるというようなうわさでございますが、今度解除されるのはどことどこであり、どんな通達が参っておりますか、一応伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/12
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013・林坦
○林(坦)政府委員 ただいまお話のございました予算の点につきましては、運輸省の予算全体から見ますと、航空局の予算は約七・五%でございます。もちろん額としては決して多いものではありませんが、年度等を渡るものもございまして、着々と少しずつではございますけれども頭を出して、だんだん将来に伸びていくような態勢にあるのでありまして、来年度あるいは再来年度には、これがだんだんに実を結んでくることと存じております。なお今運輸省内において相当削減されたというようなお話でございましたが、この点は運輸省におきましては、航空については十分上司も考えられたのでありまして、決して運輸省内において削減をするというようなことはございませんが、何とかこれを早く軌道に乗せて進めていくという意味におきまして、ただいまのおしかりを受けました点につきましては、今後とも留意いたしまして十分に努力するつもりでございます。
次に飛行場の問題でございますが、飛行場につきましては、東京の国際空港が大体この六月一ぱいくらいで返還になるというように発表されております。目下その返還部分についてのことについて、政府都内及び米軍方面とも打ち合せをいたしておる状況でございます。伊丹の飛行場が大体三月の十八日にこちらに接収解除になるという予定でございまして、これについても今準備を進めておる次第でございます。その他の問題につきましては、新潟でありますとか、あるいは小松でありますとかいうところが、相当こちらに返還になる大勢にあることは事実でございますが、そう的確なる通知その他をもらっておるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/13
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014・早稻田柳右エ門
○早稻田委員 聞くところによると、小牧飛行場が最近解除になると伺っておりますが、その辺の真相を聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/14
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015・林坦
○林(坦)政府委員 小牧につきましては、実はあそこは接収解除になるということは、まだ通知は受けておりません。ただわれわれの方でATCと申しております航空交通管制の点につきましては、すみやかにあそこのいろいろなATC関係の要員を充実するようにという連絡を受けまして、小牧に対しては現在航空局から五十名程度のATC関係要員を向うに入れてやるようにやっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/15
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016・早稻田柳右エ門
○早稻田委員 地元の話によりますと、最近米軍が引き揚げた、そのあとへ自衛隊が訓練と称して若干名の隊員を派遣しておる、こう聞いておりますが、防衛庁の方が来ていらっしゃったら、真相を伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/16
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017・加藤陽三
○加藤(陽)政府委員 小牧の飛行場につきましては、現在われわれの方で六十名程度の者が行っております。これは昭和三十三年度におきまして、米国からF86Dという全天候の戦闘機を六十機供与を受けることになっておりますので、そのF86Dの教育訓練を米軍から受けるために行っておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/17
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018・早稻田柳右エ門
○早稻田委員 今このお話だと、教育訓練云々というお話でございますが、それはあくまで暫定的な訓練か、あるいは将来引き続いて自衛隊がこれを使用なさるお考えかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/18
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019・加藤陽三
○加藤(陽)政府委員 ただいま申し上げました通り、現在行っております六十名は、F86Dにつきましての整備、操縦その他航法関係の訓練を受けに行っておるのであります。もし将来小牧の飛行場が日本側に返還になりますれば、航空自衛隊といたしましては、あそこは二千メートル以上の滑走路を持っておりまして、日本といたしましては相当大きな飛行場でございますので、われわれの方としてもぜひ使用したいという希望は持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/19
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020・早稻田柳右エ門
○早稻田委員 さらに美保の飛行場でございますが、これも返還されるやに聞いておりますが、その見通しを伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/20
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021・林坦
○林(坦)政府委員 詳細は調達庁でなければわからないのでございますが、私どもはまだそういうふうには通知を受けておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/21
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022・早稻田柳右エ門
○早稻田委員 大蔵省に伺いたいのですが、東京、伊丹、新潟、それから今この美保、小牧というように、逐次返還せられる形勢にありますが、解除された暁、これの敷地であるとか、その施設はどう処分される考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/22
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023・市瀬泰蔵
○市瀬説明員 米軍に提供しております財産が返還されて参りました場合、そのうちで国有のものは、大蔵省所管の普通財産でございますので、管財局で処理することになっておるのでございますが、この一般的な方針といたしましては、国有財産でございますので、国の需要につきましてはまず優先的に考慮を払うのでございますが、その場合に、国の需要と申しましても、防衛とか文教、社会保障、産業保護、奨励、そういうような各般の需要を勘案してその利用計画を十分検討いたしまして、最小限度に詰めることにしております。なおこの場合に、必ず財産のあるところその地元との関係がございますので、地元の地方公共団体等の御意見も十分伺って、その意向に適するような方向で十分調整をはかっていく所存でございます。なお国の必要としないものにつきましては、あるいは地方公共団体あるいは産業の保護、奨励のために、企業の誘致あるいは住宅政策のための宅地の提供というような観点からこれを適正に管理し、処分していく方針であります。なお問題の飛行場につきまして申し上げますと、大体日本におきまして限られた飛行場でございますので、運輸省の航空局、それから防衛庁、その他関係の省とも十分連絡をはかりまして、最終的な結論を出していく、こういう方針で臨んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/23
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024・早稻田柳右エ門
○早稻田委員 これら飛行場のあるところは、おおむね大都市に接近しておるところが多うございまして、地元はいずこも同じように民間飛行場として将来活用したい、こういう考え方を持っておるようでございます。ところが聞くところによると、最近防衛庁は自衛隊の基地として借り受けたいというような申し入れをすでにしていらっしゃるということでありますが、その真相を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/24
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025・市瀬泰蔵
○市瀬説明員 返還されます財産につきまして防衛庁の方の御希望は、順次と申しますか、全般の姿ではございませんが、ただいまの段階におきまして防衛庁の計画で決定されておる限りにおきましては、相当広範囲に伺っております。ただし先ほどお話のありました小牧の飛行場のように、いまだ返還の予告のきておりません財産等につきましては、まだ何も聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/25
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026・早稻田柳右エ門
○早稻田委員 先ほど市瀬さんのお言葉だと、地元の要望等も勘案してこれが処分をするというような意向のようであったと思いますが、もし地元が民間空港として活用したいということで、大蔵省へ払い下げなりあるいは貸付なりを要望したとする。そこで一方自衛隊からもそういう要求があった場合に、これは国の要求を優先させるのか、あるいは地元の意向を聞き入れてこれを優先させるのか、その間の所見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/26
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027・市瀬泰蔵
○市瀬説明員 一般論で申し上げると非常にむずかしいのでございますが、飛行場の場合は民間航空といたしましても、その場合は運輸省の所管の国有財産、いわゆる行政財産にして管理運営していくのが望ましいと思われますので、民間航空基地として管理していくべきものは、運輸省に所管がえをするという段取りをとるわけでございますが、御質問のありましたように、防衛庁の方の計画と運輸省の方の計画とが競合いたします場合にどうするかといいますと、これは防衛庁の方の計画も、それにつきましていろいろ需要と申しますか、必要度の強弱がございます。また運輸省の方におかれましても、民間航空基地の整備計画上需要の強弱があると思いますので、ただいま防衛庁の方からの説明を伺っておるということを申し上げましたが、運輸省の方にも申し上げまして、民間航空基地整備の方針をお伺いしたいということで、近く運輸省の力では御計画を立てて、私どもにお話をしていただくことになっておりますので、そういう両方のお話を伺いました上で——個々の財産につきましては、国有財産の地方審議会というのが各財務局にあります。それから大きな方針といたしましては、大蔵本省に大臣の諮問機関といたしまして国有財産中央審議会がありますので、この両審議会に諮って最終的な決定をいたしたいと思っておるのでございます。先ほど早稻田委員の御質問のありました返還財産の処理はどうするかという問題に対しまして私がお答え申し上げましたのは、昨年の十二月に国有財産中央審議会において審議決定をいただいた線でお答え申した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/27
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028・早稻田柳右エ門
○早稻田委員 小牧飛行場のごときは、先ほど防衛庁からお話があったように、その航空施設におきましては、面積においても、これは羽田空港よりはるかに大きく、また立地条件もきわめていい。こういうところは将来民間飛行場として活用することが一番適切であると私は考えます。かように、運輸省の航空局においては、将来この飛行場を民間飛行場として使うように強く政策を出してもらいたいと思いますが、それに対する林局長の所見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/28
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029・林坦
○林(坦)政府委員 小牧の飛行場に関しましては、ただいま御指摘のございましたように、大都市の周辺にある飛行場でございます。現在も国内民間空港の一つといたしまして、相当の発着をいたしておる現状でございます。将来を考えますとなおその発展が予想されますので、われわれといたしましてもあそこは民航の重要な拠点として使いたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/29
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030・早稻田柳右エ門
○早稻田委員 さらに伺いたいのは、最近国際間におきましても、小牧飛行場の立地条件が非常にいい、だからこれを一つ国際空港にしたいというような動きが活発であると聞いておりますが、その間の消息を御承知でございましたら伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/30
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031・林坦
○林(坦)政府委員 現在羽田が国際空港でございますが、地理的に申しましてあまりに羽田に近い場所では、いわゆる国際的な代替空港として必ずしも適当でないというのは、気象状況等が同一であってはかえってまずい場合もあるのであります。そういう意味で、現在名古屋の小牧の飛行場は、国際的な代替室港としての価値は大いにある状況でございます。そういう程度に現在のところはなっております。また地元で国際空港にという御意見もあることは、私ども聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/31
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032・早稻田柳右エ門
○早稻田委員 ちょっと話は飛びますが、小牧空港のごときは、名古屋のような産業的、文化的にいって大都市に近いところでございまして、ここに軍の基地を置くような場合は将来危険を感ずる場合が多いので、防衛庁はこの名古屋等に将来軍の基地を置くというようなお考えがありとすれば、それは非常に危険を感ずるように思うが、そういう面に対しての所見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/32
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033・加藤陽三
○加藤(陽)政府委員 今早稻田委員のおっしゃったようなことも、私どもとしても考えなければいかぬと思います。しかし現実の問題といたしまして、われわれの航空自衛隊は、昨年国防会議できめられました防衛力整備計画に基きまして整備を進めておる段階でございまして、この整備のために必要なる飛行場はぜひ確保したいというのが私どもの希望でございます。おっしゃっておることも考慮に入れながら、飛行場の設置計画について防衛力整備計画とにらみ合せながら検討して参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/33
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034・早稻田柳右エ門
○早稻田委員 他の質問の方もおありのようでございますから私の質問は終りますが、最後に一言申し上げておきたいことは、前段においては航空事業に対する政府の熱意が足りない、こういうことを申し上げたいと思います。その第一は、何といっても今度の予算で数字が表わしておるように、政府は航空事業に対しあるいは航空予算に対して非常に軽んじておるという感が深いのでありますが、将来は一つ大いに空に眼を注いで、航空事業に対してあらゆる施策をしてもらいたいということを要望いたしたいと思います。第二点につきましては、逐次解除せられまする各飛行場は、いずれも産業的に文化的に活用さるべきものであって、いろいろ軍の御方針もあらせられると思いますが、今の時代においてはこのような返還されたところはすべからく民間飛行場として、あるいは国際飛行場として活用されるのが賢明な策であると思う。従って各要路の諸賢におかせられましては、地元の民意のあるところを尊重せられて、最善の方途を講ぜられるよう特に要望いたしまして私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/34
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035・正木清
○正木委員 関連して。簡単に航空局と防衛庁にお尋ねをしたいと思うのですが、聞くところによると、国際空港といわれておる北海道の千歳の飛行場が、近く米軍からわが国に返還されるというようなことを聞いておるのでありますが、こういううわさは事実なのかどうか。もし事実とするならば、返還されたあとの千歳の飛行場の利用は、民間航空を主として利用するように考えておるのかどうか。また一説では返還された千歳の空港に対しては、自衛隊がこれにかわって主として利用するとのうわさを聞いてれるのであるが、これに対する防衛庁としての方針はどうなのか、この二点についてお伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/35
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036・林坦
○林(坦)政府委員 千歳の飛行場に関連いたしまして、ただいまのような、近く返還になるであろうというようなうわさがあるというお話であります。そういううわさはうわさでございますから、私どももよく聞くのでありますが、まだ返還について公的な意思表示はないと私ども存じます。それから現在千歳の飛行場につきまして、空の航空交通管制に関連いたしまして、これはもう日本側で行うようにと言われまして、それに対してこちらといたしましては人を充実するというような手を現在打ちつつある状況でございます。もし返還になればという問題でございますが、実ば今申し上げましたように、まだその返還の公的な話がございませんので、仮説的な話になるかと思いますが、私ども運輸省の民間航空を担当いたしております当局といたしましては、千歳は現在のところ当然民航の重要な基地として使用したいという所存でございます。もちろん防衛庁の方にも使用についての御意見があるはずでございますが、その使い方については関係方面とも十分打ち合せをしてやっていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/36
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037・加藤陽三
○加藤(陽)政府委員 千歳の飛行場につきましては、御承知の通りただいま第二航空団を配置いたしまして、北海道における航空の任務に当らせておるわけでございます。私どもは千歳の飛行場が返還になりました後におきましても、現在の態勢を継続していきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/37
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038・正木清
○正木委員 防衛庁に一言だけお尋しておきたいと思うのですが、仮説になりますが、かりに米軍から千歳の飛行場がわが国に返還になった場合、防衛庁としては現在の規模以上に力を拡大するということになりますと、米軍が管理しておったとき以上に防衛庁の航空局の力があの飛行場に加わる、こういうように考えていいのかどうか。今航空局長が言われたように、民間飛行機を主力とするという考え方と、防衛庁が防衛庁の立場であの飛行場を主力とするという考え方、この考え方に大きな相違があるのかないのか、この点を一点伺っておきたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/38
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039・加藤陽三
○加藤(陽)政府委員 私どもといたしましては、日本全般につきましての飛行隊の整備計画を考えておるわけでございます。ただこの計画が御承知の通りいろいろな事情でなかなか思うように参っておりません。千歳の飛行場につきましても、現在の態勢はぜひ継続していきたいと思いまするが、その現在の態勢というものが、将来日本側に返還になりました際におきまして、民間航空の使用況状とどうなるのかという点につきましては、私は詳細に知らないのでありますが、今後ともよく連絡をいたしまして、民間航空もできるだけ私どもと一緒にやっていけるように、具体的な打ち合せをしていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/39
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040・正木清
○正木委員 最後にもう一点お伺いしたいと思うのです。これは運輸省所管の事項になろうかと思いまするが、あわせて防衛庁にもお伺いしたいのですが、御承知のように札幌市の郊外には、設備さえ十分に改善を加えるならば、理想的に近い例の丘珠飛行場があるわけでございます。この丘珠飛行場は札幌市の郊外でございまして、地理的にも非常に好条件に置かれておりますが、残念ながら施設その他に大きく欠けるところがあって、いまだにこの利用が全然行われておらないと言ってもいいのでございますが、この丘珠飛行場に対して運輸省の航空局としてはどういうようなお考え方を持っておるのか。それから同時に丘珠飛行場は戦時中御承知のように軍が主力を注いで作った飛行場でございまするが、千歳の飛行場と関連して、防衛庁としてはこの丘珠飛行場の利用度について現在どのように考えておるか。また今後どのようにしようとするのか、この点をお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/40
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041・林坦
○林(坦)政府委員 丘珠飛行場の滑走路は現在千百九十メートル、ほとんど千二百メートル程度の滑走路でございますが、まだ現在の敷地のほかに三百メートルほど延ばせる。あるいはさらに敷地買収等を行いますれば、ただいまお話のございましたように、相当りっぱな飛行場になり得ることは事実でございます。ただ丘珠の飛行場は現在防衛庁の陸上自衛隊が管理しておる飛行場であると思います。民間航空としましても、民航の地域を若干あそこに持っておりまして、北海道の道内の航空機が離発着しておるという現状であります。立地条件から申しまして、札幌市に非常に近いという関係から、千歳の飛行場よりも非常に便利であるという利点はあるのでありますが、ただいまお話のございましたように、あれを完全なるものにしていくためには、なお土地の買収を含めて相当の費用がかかるという点もございますし、また現在陸上自衛隊が管理しておる飛行場であるという点もございまして、現在のところは千歳を使いながら、北海道の丘珠は補助的にといいますか、道内の比較的小型の飛行機の離発着に使うというのが現在の状況です。将来ここに多額の費用を投じてくるかどうかということは、運輸省だけでは考えられない問題でございますので、まだそこまではきめていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/41
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042・加藤陽三
○加藤(陽)政府委員 ただいま航空局長からお話がありましたごとく、丘珠の飛行場には現在北都方面隊の直轄の飛行隊を置いてあるわけでございます。将来の飛行場整備計画につまましていろいろ困難な問題がございますので、検討する価値がないとは申し上げられませんけれども、ただいまのところは私どもといたしまして、一応現在のように陸上自衛隊の北部方面隊の直轄飛行場として継続していきたい、かように考えております。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/42
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043・赤澤正道
○赤澤委員長 次に昨日当委員会に付託になりました海難審判法の一部を改正する法律案を議題とし、政府より提案理由の説明を聴取いたします。中村運輸大臣。
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—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/43
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044・中村三之丞
○中村国務大臣 ただいま議題となりました海難審判法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。
御承知のごとく海難審判法は海難防止を目途として、昭和二十二年に制定されて以来十年を経過しておりますが、近年特に海難防止に対する各方面からの要望が強く、海難審判についても審判の迅速と科学的な原因の究明が要望せられているのであります。事件の迅速処理と科学的調査につきましては常に努力いたしているところでありますが、海難審判庁理事官の取扱い件数は年々増加し、科学の進歩は海難事故の様相を一そう複雑化し、外国関連事件の増加等と相持って事件の調査を困難化して、理事官の事務量をきわめて過重なものとしているのであります。このような理事官事務の現状にかんがみまして、理事官事務の円滑な運営をはかり、審判を促進するために、本法に所要の改正を加える必要が生じたのであります。すなわち簡易な事件を処理する要員として、新たに海難審判庁副理事官を置き、海難審判庁理事官が海難防止上重大な事件を重点的に処理できるようにして、理事官事務を合理化し、事務能率の増進をはかる必要があるのであります。以上がこの法律案を提案する理由であります。
次に本改正案の概要について御説明申し上げます。まず第一は、海難審判庁に理事官の一種として、新たに海難審判庁副理事官の官職を設け、その職務権限を、海難の調査及び裁決の執行については、海難審判庁理事官と同じくし、審判の請求については、簡易な事件で一名の審判官で行う審判に限定して、海難審判庁理事官と海難審判庁副理事官の職務権限を明確にするとともに、一名の審判官で行う審判の手続を整備して、審判の促進と審判手続の適正化をはかったことであります。
次に、審判の権威と公正を担保するため、海難審判庁審判官、海難審判庁理事官及び海難審判庁副理事官を政令で定める一定の資格を有する者の中から任命することとし、その定数を政令で定めることといたしたことであります。以上この法律案の提案理由及び改正の概要につきまして御説明いたしました。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/44
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045・赤澤正道
○赤澤委員長 本案に対する質疑は次会に行うことといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/45
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046・赤澤正道
○赤澤委員長 次に陸運及び海運に関して調査を進めます。質疑の通告がありますから、順次これを許します。永山君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/46
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047・永山忠則
○永山委員 事故防止の中心をなすものは、何といっても企業の健全化と道路の整備に待たなければならぬのでございます。この企業の健全化と道路の整備という基本ができずに、ただ走行キロが多過ぎるとか、あるいは労務管理がよくないとかいうようなことで、それらの末梢的な分だけを強く取り締まってみては、事故防止が十分目的を達することはできないのでございます。しかるに旧来政府当局、ことに責任官庁である運輸省は、企業の健全化どころではなく、企業が非常に困難に陥るような状態へますます推し進めておる。さらに道路整備も計画通りにはやっていない。このことが一そう事故を増大し、交通地獄の状態になろうといたしておるのでございます。私はこれに関して質問を続けたいと存ずるのであります。
すなわち道路整備の関係でございまするが、今回道路整備特別会計法案をお出しになっておりますが、その財源は原則として揮発油税の収入、地方団体の負担金ということになっておるのであります。原則は当然国費でなくてはならぬのでございます。一般会計でやらねばならぬものを、揮発油だけをほとんど中心に道路整備をやろうというような考え方が法の趣旨のように見受けるのでございますが、道路整備五カ年計画の本年における一般会計と揮発油税との関係、あるいは五ヵ年間における一般会計と揮発油税あるいは軽油引取税とのパーセンテージはどういうようになっておるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/47
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048・山内公猷
○山内(公)政府委員 今手元の資料をちょっと調べておりますので、後ほど……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/48
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049・永山忠則
○永山委員 それではその計数はあとから伺うことにいたしまして、いずれにしましても一般会計の支出というのはもう一割以下でございます。そういうようないわゆる揮発油税並びに軽油の税金というものを九割以上も中核にして道路整備をやろうというようなことでは、とても道路の整備はできない。この点については米国の道路調査団のワトキンス団長が参りまして、年年少くとも千八百億円くらいまで道路整備の費用を出して整備しなければ、もう交通地獄が起きるだろうということを指示いたしております。さらにまた三十一年の十に月十五日に松永安左衛門さんが産業計画会議の委員会におきましても、少くとも国民所得の二%、二千億円くらいの道路整備の費用をかけなければ、これまたとうていこの交通混乱を防止することはできないということをも言っております。また鮎川道路調査会の方におきましても、道路整備によって受けるところのいわゆる自動車側の利益というものは三四%しかないのだ、あとはいわゆる国家が一番大きな受益者である。道路を整備することによって自動車屋が利益を受けるのではないのだ、国が利益を受けるのだ、それに国の費用を出さずに、揮発油税並びに軽油税だけでやっていこうという考え方に、非常なる無理があるということは、すでに一大権威の調査が示しておるのでございます。しかるに大蔵当局を中心といたしまして、一般会計からの繰り出しをできるだけやらない、そして揮発油税だけを中心にしてこれが整備をやろうという考え方をもって、今度も道路整備特別会計法の骨子が生まれておる。この裏には引き続いてまた揮発油税及び軽油税を引き上げていこうというような構想のもとに、計画を進めようとすることがひそんでいるのだということは明らかであるのでございますが、税の関係の大蔵省が見えておるのでございますが、どういうような御構想を持っておられるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/49
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050・吉国二郎
○吉国説明員 ただいま仰せの道路整備を一般財源を原則とせずに、揮発油税を原則にする考え方が反対ではないかという御意見でございました。ただいまお尋ねのございました本年度の揮発油税収入が五百六十七億、これは昨年度の清算分が入っておりますが、五百六十七億三千七百万、これに対しまして一般財源が、借入金を除きまして五十五億七千百万円ということになっております。仰せのように揮発油税が大部分を占めておるのであります。今後の道路整備の構想いかんというお話でございましたが、これは私の所管外でございますので、的確なお答えがしにくいわけでございますが、新道路整備五ヵ年計画は、御承知のように道路整備緊急措置法が通過いたしますと、建設省を中心にいたしまして各省、それから学識経験者を集めて最終的には策定されるべきものでございます。一応予算作成上予定をいたしました計画におきましては、揮発油税が約三千六百億足らずの五カ年間の予算として見通しを持ってやっておるのでございます。これはあくまでも本年度予算を作成する前提として策定したものでございまして、措置法が通過いたしまして最終的な整備計画ができ上るときに確定するわけでございますから、現在はそのような想定のもとに本年度の予算が組まれておるということになっておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/50
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051・永山忠則
○永山委員 現在の想定されております道路整備におきましても、揮発油税の増徴をみなければ、とうていその現在の計画の整備も困難であるというような情勢に置かれているのでありますが、政府はあらゆる機関をあげて安全輸送と輸送力の増強、そして事故防止ということに専念をされているのでございますが、この道路整備が十分計画通りできない。しかもそれをやるのにさらに揮発油税及び軽油税へ重荷をかけようというような考え方でいくならば、ますます私は交通地獄の状態を深めるものであるということを考えますので、大臣におかれましても十分一つこの点を政府部内において認識を持って、御指導を仰がねばならぬと思うのでありますが、大臣の御所見を承わりたいのあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/51
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052・中村三之丞
○中村国務大臣 現在の道路特別会計を設定をいたすについて、それの財源として今仰せになりましたようなことの比率が多いというようなことでございますが、現在これを実行する上においてやむを得ないと思います。ただ私ども運輸省といたしましては、この税金がどういうふうに業者にかかっていくか、それによってどういうふうな負担増になっていくか、それがやがては自動車業にどういう悪影響を及ぼすかということは、これは考えなければならぬと思いまするけれども、道路を整備する。道路を整備するということにあっては特別会計でやる方がよろしいという結論に達し、しかも道路の整備によりまして交通が円滑にいく、従って自動車の運行も安全的確になるということになりまするならば、私はその結果において良好であるとするならば、これはわれわれとして今日認めなければならぬ、こういうふうに考えているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/52
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053・永山忠則
○永山委員 大臣は税の一大権威でありますが、この道路整備の中心をガソリン税を目的税にいたして、そうしてこの揮発油税及び軽油税を中核にして道路整備をやろう、しかもこの膨大なる整備をその税を中心にやろう、目的税にしているというところに、根本的な間違いがあるのであります。いわゆる道路を整備することによる受益者というものは国民なんです。国家なんです。それを自動車屋を中心に目的税でもってやろうというようなことが基本的に間違っている、特別会計は別といたしまして。とにかく目的税自体、私は根本的に再検討すべきではないかと考えるのでありますが、大臣の意見を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/53
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054・中村三之丞
○中村国務大臣 目的税の趣旨としては私は悪くないと思います。ただこれが過重になって業者を圧迫するというようなことは、これは考えなければなりませんけれども、やはり目的税という趣旨は私は悪くないと思います。これによって道路が整備をされていく、これによって交通が円滑にいくということになりますならば、私は必ずしも非難すべきものでないと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/54
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055・永山忠則
○永山委員 目的税にしたということは、この財源を中核としてそうして道路の整備をやろう、すなわちもっと言うならばこの財源だけを中心にやろうということが、目的税の基本になっている指導原理なんですから、そういうことならば、港湾整備の分はやはり船の運航関係燃料税だけでこれをやるかという問題になるのであります。これはもう基本的に目的税でやるということに対しては、運輸省として再検討しなければいかぬ。そうして強くこれを研究をされまして反撃に出らるべきであると思うのであります。その結果として、運輸大臣も言われましたが、ますます企業の健全化を阻害しておるのである。運輸省が事故防止というか、安全運行をやる関係で特に出されておる資料の四番目に書いてあることは、関係事業の健全化、金融の円滑化と税負担の軽減、自動車関係事業のほとんどが中小企業であるが、これらの事業の近代化、合理化を促進するためには、資金を確保すること、並びにガソリン税その他の重複、過重の自動車関係諸税公課の負担を軽減することが絶対必要だ、こういうように害いておられるのでございますけれども、果して税負担の軽減というようなことが考えられるか。目的税にしておいて、そうして道路整備をこの五ヵ年間で十分実行して、そうして輸送秩序を確立しようというような計画を立てようとする場合において、どうしても税の軽減をするということになれば、何といっても揮発油税あるいは軽油税の引き下げをしなければ、税の軽減にはならぬのでございますけれども、この考え方は、軽減をするという考えでお出しになっているのでございますか。ただそういう観念だけであって、少しも実体が伴わぬのが今の事故防止対策だといって物笑いとなっておる。文章だけはいいけれども、一つも身がない。事実はいよいよ交通混乱を増大するだけだということが世論化しておるのでありますが、果してこの税の負担軽減をするということに対する自信を持っておられるのでございますか。いやしくもこれを出しておられるのですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/55
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056・中村三之丞
○中村国務大臣 私はある程度の負担は願わなければならぬと、思います。港の問題でもこれは特別会計を私は企図したのでございますが、受益者負担などもそこに繰り入れるということをいたしたのでありますから、やはり現在の道路におきましても港湾におきましても緊急整備をしなければならぬのでありますから、その手段として今申しましたような目的税をある程度御負担願う。しかしこれがだんだん秩序が立っていきますならば、ほかの方法も講じていかなければならぬと思いますが、現在の事情におきましてはやむを得ぬことだと私は考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/56
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057・永山忠則
○永山委員 受益者負担目的税とは本質的に違うのでございますが、それはそれといたしまして、しからば負担の軽減ということを言われておるのでありますが、これは燃料費の軽減をさすというお考えでおられるのでございますか。この点をさらにお聞きしたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/57
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058・中村三之丞
○中村国務大臣 これは全体的の企業の合理化ということも考えていかなければなりません。これは私も努力をしなければいかぬと思いますが、今の道路を整備するという場合においての目的税は、今日の事態において私はやむを得ないというふうに考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/58
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059・永山忠則
○永山委員 負担の軽減ということでございますが、どういうふうに負担を軽減するおつもりでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/59
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060・中村三之丞
○中村国務大臣 負担の軽減ということよりも、私は企業の合理化をやってもらうということを考えておるのであります。しかし現在の自動車業者は、単に揮発油税とか軽油税ではない、やはりほかの全体の法人税というようなことも考えなければなりますまい。あるいはその他の中小企業に対する軽油措置ということも考えなければならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/60
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061・永山忠則
○永山委員 重要所管事項の説明要旨の、運輸省自動車局が昭和三十二年九月に出されておる中に、負担軽減を強くうたっておるのでありますが、実際上現在の運輸省の状態では、とても負担軽減というところには進みかねるのではないかということを心配するので、これは大臣にどうしてもがんばってもらわなければならぬのであります。金融の円滑化ということを言われておるのでありますが、これらについても少しも営業者の方には恵まれてないのであります。今日自動車を買う場合において、販売業者から自動車を月賦で買っておりますけれども、どれだけの金利を払っておるか御存じでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/61
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062・中村三之丞
○中村国務大臣 それは開銀あたりの金利ではないと思います。あるいは一割近いものではないかと考えられます。私今具体的に幾らという数字を持っておりませんが、開銀並みの六分というようなところではない。一制近いものが多いのじゃないかと思っております。あるいは高利貸しから借りた場合はもっと多いかもしれませんが、大体において一割見当であることは私も認めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/62
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063・山内公猷
○山内(公)政府委員 それを軽減するということは、われわれも常に念願し努力いたしておるわけであります。私の方の要綱に書いてあります趣旨を御説明申し上げますと、自動車につきましては一般産業における諸税もかかっておるわけであります。そのほかただいま御指摘を受けました目的税たるところの揮発油税、地方道路税及び軽油引取税というものがあるわけであります。そのほか道路に関する財源として道路損傷負担金的な要素を含む自動車税、あるいは道路法による受益者負担金、あるいは法定外普通税としての自動車取得税というものがあります。そのほか税ではございませんが、道路改修協力費というような寄付的な性格のものもあると思いますし、そのほか乗用自動車には物品税というものがついておるわけで、われわれ自動車企業の健全化を望む者といたしましては、あまりにも自動車にいろいろ重複する課税が多過ぎるので、税制改正の際にはできるだけこういうものを単純化し、その意味からいって自動車の健全経営に資するような負担の軽減をしていただきたい。またそのように従来とも主張し努力して参ったわけでありまして、これはまだ十分その目的を達しておりませんので、毎年そういうことについて努力をいたしておるわけであります。それで金融等につきましても、毎年私どもといたしましては、各銀行家の集まりのある際に自動車企業の説明をいたしまして、銀行取引というようなものの要望を出しております。しかし企業そのものが非常に零細企業でありますために、なかなか銀行取引の対象にならない。特にトラック事業につきましては、なかなかそういう目的が達せられないというようなことも十分に存じております。ただいまのこの金利というものもいろいろあると思いますが、メーカーの間では三銭九厘というようなことも聞いております。これも二年前には四銭九厘、五銭に近いものもあったが、これがだんだん下って参ったのでありまして、これらについても非常に高い利子の金を借りておる。結局車両を買う場合の問題でありますが、それについてもできるだけ何らかの措置をとりたいと思っておりますが、一応経済行為でありますので、行政的にすぐどうこう言うわけにはいかない。これは先生の仰せられますように、企業というものが融資の健全な対象になるということも、もちろん一番必要なことであろうということはよく存じておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/63
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064・永山忠則
○永山委員 金利は三銭九厘にようやく販売業者へ交渉して、今抑えておるのでありますが、旧来五銭くらいでございました。そこで金融機関というものは、メーカーであるとか販売業者であるとかいう方面に対しては金融的処置をいたし、中小企業である自動車営業者に対しての金融処置はやらないのです。そういう関係で金利、中間マージンを取られるというようなことで、経営が苦しい状態に置かれておる。何といっても経営の健全化ということがもとである。そこを中核にして、そして完全雇用、あるいは労務関係の適正の問題、あるいはノルマの問題というものを解決しなければいけないのでございますけれども、今日四百キロ走ってもなおかつ実車キロは、昭和二十七年ごろ作った公定関係の料金の実車キロ五七%に及ばないのであります。あらゆる物価は上って参りましたけれども、東京で申しますればハイヤー、タクシーは百二十円と百円でありましたところの料金を今は八十円、七十円に落して、さらにまた最近六十円まで落すのがあろうかというような状態でございます。その結果は結局逆転手に過重の労務をしいるというようなことになりつつある。その原因は何であるかといえば、金融的処置も運輸省の方で十分これをあっせんすることもできない。税はますます上るばかりです。安くなるどころじゃない。いわゆる揮発油税にしても軽油引取税にいたしましても、どんどん上っておる。おそるべき上げ方をいたしておるのであります。いわく道路整備のためだという目的税を利用しては上げておる。さらに各地方におきましては取得税をどんどんとかけておる。またいわゆる車両税に対しましても基準はございましても地方庁の実情に応じては相当多額な車両税をかけております。こうやって年々自動車営業者に対してはあらゆる角度で税を軽くするどころではなくして、重くいたしておるのでございます。そういうような状態で、経営の健全化ということよりは逆のコースへ行っておるということを、われわれは非常に憂慮いたしておるのでございます。ことに金融の円満化あるいはこれに対するあっせんというようなことについては、今後どういう処置をとろうという考え方をされておるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/64
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065・山内公猷
○山内(公)政府委員 金融のあっせんといいますことは、いわゆるあっせんであります。われわれといたしましても各金融機関、特に中小企業金融公庫その他について具体的な場合には、各陸運局の人がその事業内容を説明するというような処置をとったこともございます。これはあっせんでございますので、命令を発するというような行政事務ではないのでございますが、努力しなけばならないと思っております。要はこの企業が、銀行が喜んで融資の対象になるように、健全に仕立て上げるということが必要であることはもちろんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/65
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066・永山忠則
○永山委員 中小企業金融公庫は車両購入、いわゆる車両更新に対する費用を融資をいたすことがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/66
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067・山内公猷
○山内(公)政府委員 それは、自動車抵当法というものはそういう一般的な金融を考えて作ったわけでございますが、自動車の損粍というものは非常に早い。特にハイヤー、タクシーのごときにおきましては、非常に短期間にその価値が減少するということで、現在なかなかそういう対象になりがたい状態と聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/67
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068・永山忠則
○永山委員 ですから、中小企業金融公庫であるとかあるいは商工中金であるとかいったような、いわゆる中小企業金融機関に対しても優先順位ではないのですよ。ほとんど貸してくれない。そこでやはり三銭九厘というような金利を出したら、会社の利潤というものはありませんよ。従っていわゆるノルマを強化するということになってくるのであります。何としても事故防止ということ、自動車輸送業はいわゆる生命財産の安全輸送ということは、一番大きな公益企業じゃないですか。その公益企業に対する優先順位を確立せしめるということができなくて、金融の円満化をはかるというようなことを言いながら、どうしてもそこへ行っていないということは、非常に経営の健全化に支障を来たすのであるというように考えるのでありますから、一段と一つ努力をしていただきたいのでございますが、さらにあらゆる角度で業界を、政府の施策が十分でないので圧迫をいたしておるのであります。すなわち車両償却の問題でございますが、ただいま局長が言われましたように、車両は一年ぐらいで車両の更新をしなければならぬという状態になっておるのに、なお国産車は三年間を償却期限にいたしておるのでありますけれども、これを少くとも国産車は二年——大体一年で更新をしなければ安全運転なんかできない、またそれに対するところの経済経営にはならぬのであります。経営の健全化ということになりますと、一年以上使っておりますと莫大な修理費が要る、さらにこの稼働率が悪くなる、そこで運転手は、稼働率が悪くなるからしてますます一日の走行キロを強化するという結果になりまして、会社としては不利益である。だからして今日大会社は、現金で一年ずつで更新いたしているのです。弱小中小企業者はそれはできぬ、できないからますますノルマを強化いたすという結果になる。大資本経営は基本給も漸次に高まっておる、そうして午前二時になれば必ず車庫へ入ってくるように、過剰労働にならないように、非常に経営の健全化に対してあるいは労務管理に対しても努力をいたしておる、そうしてできる限りこの労働者の労務管理に対しては注意をいたしておるのでありますが、今日運輸省のこの説明によりましても、何といっても一千万円以下の事業会社はハイヤー、タクシーにおいては九三%おるのだ、こういうことを言われておるのでございますからして、金融処置と相並んで負担の軽減になることを考えてやらなければならぬ。それには何としてもこの車両の償却については、国産車は二年に持ってくるというところまで進めてもらわねばならぬと思うのですが、どういうようなお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/68
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069・山内公猷
○山内(公)政府委員 現在このハイヤー、タクシーの償却年限は、御承知のように四年でございます。四年というものが非常に長くて、償却の適当な年限ではないということは、われわれの方も財務当局にもそれを申し上げておるのでありますが、従来なかなか税の関係で短縮ができないということは遺憾に思っております。この点につきましては運輸省よりも大蔵省の問題でありますから、大蔵省に一つ大いに言っていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/69
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070・永山忠則
○永山委員 今日企業の合理化、健全化ということは、何といっても重大なる地位を占めておるのでありますから、この企業の健全化、合理化の資金、あるいはそれに使うところの会社の経費というものに対しては、これはうんと税金を軽くして、逆に不生産的部門であるとか、あるいは浪費に属するものであるとかいうものに対しては、税を重くするという特別措置が考えられておるのであります。ことに中小企業の経営近代化に対しましては、税の方面においても特段の措置をとると政府は言っておるのでありますから、これらの点についても強く運輸省が推進をせられなければならぬと思うのでありますが、さらにまたいわゆる自動車の強制無過失賠償保険の関係におきましても、われわれは運輸委員会で満場一致共済制度をも認めるべきだ、それは自家保険をやっておるのだからして、そこで自家保険と同じくらいな経済単位のものであれば、共済制度を認めるべきだということをすみやかにやるべきだということを附帯決議にしてあるにもかかわらず、今日に至ってもなおこれに着手をしようともしない。しかもこれに対する事務費は当時一五%内外のものであろうということを言っておられたのでございますが、今日われわれのところへ資料として出されたところのいわゆる附加保険料というものの比率は、いわゆる保険金に充てる部分は純保険料に比べてみれば二割六分である。さらに全体から見ても二割だ。こういうような莫大なる事務費を負担して、強制保険をかけておる無過失賠償保険なんです。それをやるのに、大体これは社会保障的性格があるのだから、事務費は全部政府が持つべきだということをあの当時主張したのです。いやしくも社会保険でいく場合においては、事務費を持つだけではない。さらに給付に対する保険料に対しても一部国庫負担をすべきだということを主張したのです。それにもかかわらず、そういう方面に対しては予算的措置は一つも努力をしない、やろうとしない。大体営利会社にこれをまかしておくから、事務費の補助なんかは大蔵省へ要求したって取れるはずはない。三百両以上、持っており、自家保険をやっておるところの会社は、事務費なんかは要りませんよ。二%か三%の費用しかかけることは要らぬ。しかも事故がありましたならば、やはりすみやかに各自家保険をやっている会社は解決する。しかるところこの表を見ましても、事故件数に対する解決が残っておるのは、二割から事件の解決が伸びておるというような状態でございますけれども、こういうようないわゆる強制保険なんです。しかも無過失賠償保険まで踏み切っている。それに対する政府の事務費の補助が非常に少い。さらに保険料に対する補助金も出そうともしないというようなことであるならば、企業の健全化というようなことはなかなか言うべくして行われないのではないかというように思うのでありますが、これに対してはどういうお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/70
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071・山内公猷
○山内(公)政府委員 無過失賠償保険の法律ができますときに、組合保険的な問題について附帯決議のついたこともわれわれも十分承知しております。その後この問題については、われわれとしても研究をいたしますとともに、関係官庁ともいろいろと協議をいたしておるわけでございますが、保険実施の日が浅く、的確な資料はなかなか得られなかったといういろいろなこともありましたが、問題は第三者のためにする保険でありますので、一般の火災保険の共済組合というようなものと違って、その担保力がどのくらいであるかということは、関係官庁でもいろいろ議論のあるところでございまして、この担保力が弱ければ第三者のための保険の趣旨を没却することになるので、この点についてまだ現在の共済関係あるいは組合では十分いかないのではないかというような反対論もあるわけでございまして、現在まだ政府間における意見の一致を見ていない状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/71
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072・永山忠則
○永山委員 この点についてはもう論議済みであります。二元方式をとって、担保力のある経営能力のあるものに、共済制度を漸次に希望によってやるというような選択主義をとっていけばいいということは論議が済んでおるのでありまして、今さら研究というようなときではないのでありますが、これらの点についても十分御研究を願いたい。時間の関関係もありますので、よく大臣も一つ御研究を願っておきたいのでありますが、大体企業の健全化ということをしきりに言うのでございますが、東京都におきますタクシー、ハイヤーだけを見ましても、なお今日名義貸しが横行いたしておる。そして道路運送法に違反のある行為が続出しておる。あるいはハンカチ・タクシーであるとか、書籍タクシーであるとか、あるいはポン引きタクシーとかいうような問題がどんどん続出して、取り締まってもまた他の日勤車をもって、仮ナンバーでやるというような状態でございますし、さらにナンバーをはずそうとしても、絶対に強制的にこれをはずす権限は陸運局にはないのであります。そういう場合においては、どうすることもできないというような状態で、取締りさえもできない。しかも企業の健全化ということについて、指導助言をすることもできないという状態になっております。私は運輸省が怠慢であると言うわけではない。これは何といっても経営の健全化の指導助言をやるということに対する予算措置がない。関東全都を指導助言するところの人が何人おるか。わずか五、六人おるだけじゃありませんか。五、六人で東京都全域以外の関東全体の経常の健全化あるいは企業の合理化というようなことに対して、指導助言をしようというようなことができるはずはない。不可能な状態に置かれている。どういうわけでこれに対する予算措置が行われてないのか、幸い大蔵省も見えておりますから伺いたいが、運輸当局と大蔵省主計局との間に大体どういうような折衝ぶりをされたのでございますか。いわゆる企業の健全経営ということに対する指導監督、あるいは道路運送法に反する諸種の悪質なる違反取締り指導ということに対する予算措置はほとんどないが、この点を私は伺いたいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/72
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073・山内公猷
○山内(公)政府委員 自動車局の仕事は戦後新たに始まったような仕事でございます。にもかかわらず年々自動車の激増は御承知の通りでございまして、事務のふえていることはほかの仕事と格別でございますので、予算におきましてもわれわれは十分その点についてお願い申し上げておったわけでございます。本年度におきましては、先般主計官から御説明のありましたように、相当強い額を締められておるということでございまして、この点におきましてわれわれもただこの企業の健全化、交通秩序の維持に関する予算の要求もいたしたわけでございますが、現在はこのような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/73
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074・永山忠則
○永山委員 健全なる企業形態でなくては、安全連行と輸送力の増強はできないのでございます。しかるに近時あるいは個人持ち営業を許したらということもございますが、これは地方の閑散なところ等は別でございますけれども、大都市でそういうことが行われるようになりますれば、ますます輸送秩序の大混乱を来たすのでありまして、どこまでも企業の健全化をはかるということで、政府は強い指導をなさらなければいけない。それがためには、まず第一東京都で行われておるところの企業の不健全主なものがたくさんありますが、一定期限を画されまして企業健全化を指導される。そしてその一定期限を政府は指示して、しかもなお企業の不合理なるもの、あるいは道路運送法に違反する者があれば、これは改善命令を聞かないのですから、断固として営業を停止する、もしくはこれを取り上げるというくらいまで決断をされまして、企業の健全化と合理化に進まなければ、弱小企業者が相次いで互いにノルマをしいて、ここに競争また競争、ダンピングまたダンピングでいって、労働者を非常に労働過剰に追い込める結果になるのでありますが、これに対しまして私は政府の方で一段と企業の健全化に対する改善命令を勇断にお出しになって、安全運行と輸送秩序の確立ということに進まれるべきであると思うのでありますが、御所見を承わりたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/74
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075・中村三之丞
○中村国務大臣 今こおっしゃることは、私も最近の情勢を見て特に感を深くいたします。われわれは業界の健全な発展は希望いたします。しかし同時に過当競争というようなものも防いでいかなければならぬ。また違反行為は厳重に取り締ることは申すまでもないことでであります。たびたびのこちらの警告に対して聞かないような場合は事業改善命令、さらにその車の使用を停止するといったようなことは、私は極端な場合においては当然やらなければならぬと思いますが、要は自動車局が行政指導に遺憾なきを期していく、さらに認可、許可にたいしましても公平にやっていく、需給のバランスも考えていく、こういう点を私は痛切に感じておるのであります。さらに事業そのものが健全になるということは、結局今永山委員のおっしゃったように、運転手の給料が安定をしていくということ、歩合制度という極端なノルマが固定給の方にできるだけ転換する、そして運転手の生活が安定になっていきますならば、そうむちゃくちゃな走り方はいたしません。ただ単に事故ということだけを見てはいかぬと、私もあなたのおっしゃるように痛切に感じます。やはり業界そのものの健全な発展ということが私は必要であると感じておる次第でございます。しかし今この企業に対して特殊な金融のあっせんということもなかなか不可能でございまして、この点はやはりその業者の自己の信用と自己の業態によって金融をしていただくということを、私どもは今率直に申しますならば希望せざるを得ないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/75
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076・永山忠則
○永山委員 それでは本会議が始まりそうでございますから、また時期を変えましてお願いいたしたいと思います。きょうはこれ、で終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/76
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077・赤澤正道
○赤澤委員長 本日はこれにて散会いたします。
次会は明日午前十時より開会いたします。
午後零時五十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803830X01119580306/77
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