1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年三月七日(金曜日)
午前十一時一分開議
出席委員
委員長 齋藤 憲三君
理事 秋田 大助君 理事 有田 喜一君
理事 菅野和太郎君 理事 前田 正男君
理事 志村 茂治君
小平 久雄君 須磨彌吉郎君
橋本登美三郎君 橋本 龍伍君
岡本 隆一君 原 茂君
松前 重義君
出席国務大臣
国 務 大 臣 正力松太郎君
出席政府委員
科学技術政務次
官 吉田 萬次君
総理府事務官
(科学技術庁
長官官房長) 原田 久君
総理府事務官
(科学技術庁企
画調整局長) 鈴江 康平君
委員外の出席者
科学技術事務次
官 篠原 登君
総理府技官
(科学技術庁企
画調査局業務課
長) 前田 陽吉君
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
理化学研究所法案(内閣提出第七三号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/0
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001・齋藤憲三
○齋藤委員長 これより会議を開きます。
理化学研究所法案を議題とし、前会に引き続き質疑を行います。質疑の通告がありますので、これを許します。原茂君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/1
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002・原茂
○原(茂)委員 先日質問しましたが、あと少しお伺いする残りがありますので、お伺いしておきたいと思います。順を追って申し上げるといいのですが、前と多少逆行する点もありますので、その点御承知の上で御答弁願いたいと思います。
最初にお伺いしたいのは、この理化学研究所を将来とも自立させていこうとするという、これは基本的な考え方なんですが、自立という言葉の中にはいろいろ問題があると思います。現在の一応の構想を見ますと、民間の資本、それから政府による出資、こういうもののどちらに責任ある基本的なウェートを置いていくのかということが不明確になっています。そういう点からやはり将来、ことによると民間の資力が主体でいくこともあるという予想もできる。単に半分以上、五一%だけは政府出資によるのだというようなことが現在の段階できまっていましても、将来ともこれが確保されようとする方針なのかどうか。いわゆる自立とはそういう意味ですか、簡潔でけっこうですから、その点を御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/2
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003・鈴江康平
○鈴江政府委員 理化学研究所は、将来にわたりましても、半分以上の資本を政府から出すということは変らないのでございますが、ただ運営上におきまして、研究所自体が委託研究等を受けまして、研究資金を獲得するということは、やはり努力してもらいたい。しかしながら、そういった努力によって研究費を潤沢にするというようなことはしてもらいますけれども、それによってどうしても自立しなければならぬ、将来何年かの後には打ち切って、完全に自立態勢にいけというところまでは考えておりません。繰り返して申しますと、できるだけ自分でも研究資金を獲得して、国の負担を軽くしてもらいたいという考えはございますけれども、しかし、それだけで自分だけでやれという考えは持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/3
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004・原茂
○原(茂)委員 そうしますと、自分だけでやれというわけではないのだが、これは不測の事態等を予想した前提に立つわけですが、何か非常にこの運営が困難になる、経営上に支障を来たす大きなトラブルが生じたというようなときは、情勢によっては、政府で全面的な責任をとる、あるいはこれにてこ入れをして運営させていくのか、あるいは民間出資等も行われているのだから、そちらにウエートを置いてその自立をはからしていこうとするのか、これは、特殊法人理化学研究所というものを作る現段階に立って、もっとはっきりと、政府の立場で、大きなトラブル等が起きたときには保障をし、この運営を続けさせるのだというようなことが言えないものかどうか、その点をお伺いしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/4
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005・鈴江康平
○鈴江政府委員 理化学研究所の運営につきましては、事業計画、資金計画等を提出させまして、それを十分見ておりますので、不測の事態が起るということはあまり予想されないのでございますが、しかし万一そういうことがございましたならば、これは予算との問題もございますが、できるだけ国といたしましては、出資金あるいはできますれば補助金というようなものを出しまして、事業を続けさせていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/5
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006・原茂
○原(茂)委員 それ以上は大臣がおいでにならないとはっきりこうするのだということは言えないと思いますが、とにかくそうするのが特殊法人理化学研究所を作る当然の建前だと私は思いますので、やはりそういう事態の起きるときには、政府が思い切ったてこ入れをしていただく、こういうふうな、自立といってもやはりそこには限度があるということを、ある程度、政府当局が今答弁をしたものと理解をしておきます。
次に、これも基本的な問題ですが、現在の科学研究所というのは、先日見ましても、設備が悪くて、これはちょっと問題にならないわけです。私どもも昨年原子力を中心にした研究所等を、いろいろ諸外国のものを見せてもらいましたが、日本の場合には、これがわが国の理化学研究の大宗になる場所でございます、こういって外国人を案内するのには、ちょっとあれは貧弱過ぎる。この理化学研究所に改組する目的の中には、やはりその整備計画というものがある程度なければいけないと思うのです。単に政府が幾ら持つ、民間が幾ら持つということだけで、ばくとした説明がこの間はあったわけですが、その整備計画のもう少し具体的な内容、それから現段階ではそういった内容だが、近い将来にはもう少しこういうところまで整備をしたいのだという構想が当然あってしかるべきだと思いますので、その構想を一つお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/6
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007・鈴江康平
○鈴江政府委員 まだその具体的なこまかいところまでは計画が立ててございません。これにつきましては、将来の開発委員会あるいは理事者等と協議をいたしまして、具体的な案を作りたいと思っております。しかし、ただいま考えております点は、まず従来一億五千万円政府から出資したものを二億五千万円に、研究所関係としては一億円ふえたわけでありますが、その中において最も重点的に考えておりますのは、設備の改善でございます。それで、建物の部分的な補修もいたしますけれども、何といいましても研究施設で相当老朽化しているものが多いので、研究能力を高める点において、そういった方面にも重点を置いていきたいと考えております。第二は、研究者の待遇を何らかの形において改善していきたいという考えでございます。それがおもな点でございますが、またあとできれば、建物等においてもあまりに見苦しいものは直すということが、さしあたっての問題でございます。しかし、全般的な構想としては、これは一挙にできないのでありますが、三年なり五年の間に多くの設備を近代化していきたいという考え方を持っておりますが、これは予算との関係もありますが、できるだけそういう改善に努力をして参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/7
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008・原茂
○原(茂)委員 今の御答弁では非常に不満足なのです。やはり私は二つ期待していたのです。一つは、前回も試験研究というものに対するなかなかむずかしい論議を私はお聞かせいただいたわけですが、同じ施設を整備拡充するといっても、その中には単に建物をきれいにするとか、ふやすということ以外に、理学本来の使命からいって、現在の段階でも試験研究の中に当然五つなり六つなりのいろいろ基礎的な科目があるとするならば、現在の科学研究所の持っておるあの施設と照し合せてみて、この分野の設備をどの程度拡充したいのだというくらいの方途あるいは目標というか、そういうものがないというのは、少しおかしいと思う。この点、具体的にもう少し持っているはずだと思いますから、お伺いしたい。
第二点は、あの建物を単に借りっぱなしにしておいてやるのではない。先日もそういう御答弁があったのですから、将来の方向としては、この整備拡充という中に第一に取り上げていくのは、やはり理化学研究所のものにする、借りものでなくするのだということくらいは、将来の方向として、もう今日の委員会で御答弁が当然なされるものだ、そういう意味で、だめ押しのつもりでお伺いしたわけですから、この二つについてもう一度お答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/8
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009・鈴江康平
○鈴江政府委員 最初のどういう部門について設備を近代化するかという具体的な問題につきましては、先ほど申し上げましたように、今後理事者等と協議いたしまして、具体案を作りたいのでございますが、しかし私どもがただいま考えております点を申し上げますと、従来の科学研究所は総合的な研究所でございますけれども、それにかんがみましても、まだ欠けております点は電子工学の点とか、あるいは合成化学の点が非常に弱いという点が見受けられます。でございますので、そういった点にまず重点を置きたい。それから、できますればそういった研究者も、現在ほかの陣容に比べますと貧弱でございますので、これも強化したい。この点につきましては、現在の科研の当局者もこれに関連ある大学等で協議いたしておりまして、適当な研究者がおそらく入ってくるだろうと思うわけであります。そういった点で大いにそういう部門を拡充したいというふうに考えておりますが、そり他一般的にごらんになりましておわかりのように、全般的に研究施設が老朽化しているという点はいなめない事実でございますので、それぞれ今後理事者等とも相談いたしまして、バランスのとれた改善策をとっていきたいと思うわけであります。
それから、建物につきましては、先般正力長官からも申し上げた通りでございますが、将来は自分のものにしたいという努力はしておりますし、われわれもそういう線で予算的な措置、あるいは国有財産の払い下げと申しますか、国有財産による出資と申しますか、そういうものも努力して参りたいと思っております。ただ、この前小平委員からお話がありましたように、ほかの建物を考えたらどうかというようなことも一つございましたのですが、私どもも、その点につきましても考究をしてみたい。どこかたとえば米軍の施設等について、りっぱな建物があくようであれば、そういうものも使えるように努力をして参りたいと思いますが、従来の施設を動かすという点も困難がございますし、われわれだけの考えでもいけませんので、科研の理事者ともよくその点を協議いたしまして、最善の措置を講じていきたいと思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/9
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010・原茂
○原(茂)委員 今の御答弁の中の前段の方ですが、これはしろうとでよくわからないのですけれども、この間科研を見たときに、何か一つこの試験研究の中に抜けていないかなと私は思ったのです。そういう部門は入らないのかもしれませんが、医学的な面で、物理面を応用しての医療といいますか、こういう方向には、現在の化学の領域というものが現に相当進出してきていると思うのです。民間ではいろいろそれに類する家庭用あるいは病院用とかいうような器具や機械が売り出されておるわけです。これはずいぶん多種多様にわたっておりますけれども、そういう面の研究も、委託がなければしないというなら別ですけれども、今日のようにああいう医療用の器具、機械が進出している段階においては、やはり理化学研究所という立場からいいますと、特にアイソトープその他を究研のテーマとしても相当取り上げておられる段階からいうなら、やはり何か医療用の物理学的な応用、こういう技術面における研究というようなものも何か一つなければいけないように感じたのです。あるのかもしれませんけれども、あるならけっこうですが、これをやはり基礎的な科学の一つとして取り入れていく研究態度、こういうものが理化学研究所にはあってしかるべきであると思うのです。現在あるのかどうか知りませんが、これはしろうとの感じで言うのですが、こういう点はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/10
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011・鈴江康平
○鈴江政府委員 科研は、現在のところ医学部門は確かに弱体でございます。と申しますのは、科研自体の中に病床を置く。つまり病人を収容するとかいう施設がございませんので、臨床医療の関係につきましては、ちょっと困難かと思います。しかしながら、この間ごらん下さいましたように、たとえばアイソトープを使いまして、いろいろの抗生物質を研究しております。ああいったようなものが、すなわち放射線障害による医学的な治療につながるものだと思いますが、そういう点の研究は御承知の通りやっておるわけでございます。その他医学用の機械につきましては、いろいろあるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、新しい医学用の機械というものは、相当の電子工学の分野を使いませんと新しいものができないという感じがございます。そういう点におきましても、電子工学の関係の研究者が弱体であるということを認めているわけでございまして、この点は何らかの改善をいたしたいと思うわけでございます。その他、そういったような機械につきましては、そういう点でございますが、ただ薬につきましては、従来からストレプトマイシンを研究いたしましたように、その方面の医薬についての研究者はあるわけでございまして、いろいろな薬を作っておるわけでございます。非常に簡単なものでございますれば、あそこにありましたような水虫の薬から、最近は非常に結核に新しい革命を来たすだろうと思われるような薬、デスオキシストレプトマイシンを作って、研究成果を上げたわけでございます。こういったものができますれば、ただいま海外からも希望があるのでございますが、そういった特許を得ることもできるのではないだろうかと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/11
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012・原茂
○原(茂)委員 今の御説明で大体のことはわかるのですが、まだやはりちょっと不十分なものがあるだろうと思うのです。薬を作って病人に飲ませる、そのいい薬を作ることも必要なんですが、直接からだを裂くとかあるいは直接口の中に薬を入れるという以外の治療というものが、近代医学では非常に重要になってきている。これはまた非常に大事なことなんですね。飲ましたり痛い思いをさしたりしない、その他の処置で病気をなおすということが非常に重要だ。こういう意味から、相当いかがわしい器具もあるでしょう。ほんとうに有効適切なる器具も出ていると思うのです。しかも、あれだけの施設と意図を持ってやっていこうとなさるなら、その気持さえあれば、私はこういうもののいい悪いの選択すらできるだろうと思いますし、やはりその気持さえあれば、その分野における技術向上、科学的な研究、これもやればできる、こう思いますので、これはやって下さいというわけではありませんが、この間視察したのでは、何かちょっと物足りなかったものですから、こういう点も一つ一応は理化学研究所として将来考えることをぜひお願いしたいと思うわけです。
次にお伺いしたいのはこれはちょっと言い過ぎかもしれませんが、昔の理研と違って現在の科学研究所の研究者の先生方の質が少し下っているというようなことを、悪口でしょうが、たまには耳にすることがあるわけです。そういうことを言われる原因というのは、やはり待遇その他の関連もあるでしょうが、施設の問題もあるでしょう。とにかく各種学校がふえてきていることもあるでしょう。ために、いい科学者は各学校でぜひというので引っぱりだこになる。昔のように、自由にいい先生を理研に集めにくいという環境になっていることも、諸般の情勢から言えるかと思うのです。思うのですが、そういうことがあるからといって、全体的な質が落ちているという、間違った見解にしろ二、三の意見がたまたま出ているわけですから、そういう点では、やはりそういうことのないように、もっと何らかの方法を講じて、質的な向上を実質的にやっていくという努力が今後払われないと、せっかくできる理研というものの大きな仕事が、少し抜けてくるのではないかと私は思うのです。こういう点では、そういう面の努力を当然すべきだと思います。やはり待遇改善あるいは施設の改善あるいは研究施設の自由な選択等が学者にできるというような好条件等も与えなければいけないと思います。こういう点は、とにかく質が落ちたとは前提として話はできないでしょうが、将来理化学研究所としては、当然やらしていくのだというような構想がおありでしたら、その決意だけを述べていただけばよろしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/12
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013・鈴江康平
○鈴江政府委員 ただいまの科研の研究員の質の問題についてでございますが、これはいろいろ客観的な見方がございますので、いろいろのお考えがあるかと思いますが、私どもは現在の科研の職員が、必ずしもそう低下しておるということは考えておりません。むしろ一般よりは、ほかの研究所よりは、質はいいのではないだろうか。これは学位だけが一つの例ではございませんけれども、あそこにおりまする研究者で学位を所有しておる者の数は、比率から申しまして、ほかよりは相当多いということは言えるのでございます。それから昔に比べましての考え方でありますが、昔の理研の時代は、あまり大学以外に多くの研究機関がございませんで、従ってあそこに研究したい人が非常に集まってきた。従って、いい人が非常に集まったという感じを受けるわけでございますが、現在の情勢におきましては、各地に新制大学も非常にできましたし、また国立研究機関も相当多くなって参りましたので、研究者といたしましても、科研以外のところにおいてやり得る機会が非常に多くなって参りました。従って、前ほど科研だけを目ざして研究所に入りたいという人が、減って参ったことは事実でございます。それで、私どもといたしましては、この科研がちょうどドイツにありますマックス・プランク研究所のように、工学と理学とを結びつける中心的な機関にしたい、そういうふうな理想を持ちまして、この科研の運営に当っていきたいと思うのでありますが、それには今お話がございましたように、待遇の問題もございますし、研究施設の問題もございますので、これをできるだけ早い機会に改善して参りたい。漸次そういう努力を続けて参りたいと思っておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/13
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014・原茂
○原(茂)委員 次に、少し条文で、この間聞き漏らしたところをちょっとお伺いしたい。第一条の「新技術の開発を効率的に実施し」とあるのですが、この「効率的」というのは、どういうことを意味しておるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/14
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015・鈴江康平
○鈴江政府委員 この「効率的」と申しますのは、日本に残されておりまする新技術を開発していこうというわけでございますが、その考え方といたしましても、たくさんのものを一時にやるわけにもいきませんので、最も国に効果のあるようなものを選び、またこの成果が非常に普及されるというものをねらって考えるわけでございますが、そういったような資金を効率的に考えてやるという意味の効率的の問題と、それから全体的に成功したもの、あるいは不成功のものというものを一つの資金の中において勘案いたしまして、最初は危険度の少いものから実施いたしますけれども、それが漸次利益を生むようになりますれば、手を広げて、危険の相当高い方までも広げることができるようにという、そういったような自発的な調整もできるようというようなことで、資金の効率的な回転もしていきたいという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/15
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016・原茂
○原(茂)委員 多分そういうことなんでしょうが、そのほかにもう一つ、この効率的な実施というものの中にはその効果を受ける方と効果を与える方と、やはり社会ですから、これは二つに分けた場合、実質的には理化学研究所に大した利益はない。しかしこれを与えることによって、国民大衆の受ける利益は非常に大きいというような場合には、ある程度、特殊法人理化学研究所というものは単に採算にのみ終始しないで、その場合には、あまり大きく採算を度外視するわけにいかないでしょうが、そういうときの効率的という解釈は、大衆の受ける効果というもの、利益というものが非常に大きいというときには、そちらにウェートを置いて、その場合は効率的な実施なんだという解釈を一つとっておきませんと、特殊法人理化学研究所というものができた意味がなくなってくると思う。やはり理化学研究所というものができるからには、この効率的ということは、単に民間の利益を追求する企業が、効率的な実施、効率的な運営、経営というときの効率的という言葉とは非常にニュアンスが違うのだということを確認しておかなければいけないと思うので、もう一度お伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/16
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017・鈴江康平
○鈴江政府委員 ただいまお話がございましたように、この「新技術の開発」というのは、国家の目的のために実施いたすわけでございまして、理研の収支採算をよくするという意味ではないのでございます。従いまして、国家的に非常に大きな効果があるという場合におきましては、採算というものを相当度外視いたしましても、やらなければならぬ場合も出てくるかと思うのでございます。ただ、この事業自体が国家資金でやっております関係上、国家資金をそうあまり使わないで、しかも、効果をあげるという努力をいたさなければならぬわけでございますので、ケース・バイ・ケースによっていろいろ判断しなければならぬわけでございまして、全体的には何とかつじつまを合せていきたいという考えでございます。しかしながら、ただいまお話がございましたように、国家的に非常に意義があり、かつまたその利益を受ける人が非常に多いというような場合には、かえってその危険度だけを考えるのではなく、相当危険度が高くてもやる必要があると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/17
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018・原茂
○原(茂)委員 次に第二条の二項ですが、「この法律において「開発」とは、科学技術に関する試験研究の成果を企業的規模において実施し、」とある。この「企業的規模」というのは何でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/18
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019・鈴江康平
○鈴江政府委員 従来の試験研究におきましては、中間工業化試験とかあるいは工業化試験という段階があるわけでありますが、そういった従来の試験研究におきましては、その研究を実施いたしましたことによってすぐ利益を生むのではなくて、それをまた企業化しなければならないわけでございます。この場合の「開発」と申しますのは、最小規模におきましても、採算のとれる規模の段階においてこの試験研究を実施いたしたい。でありますから、この試験研究がうまくいくということは、企業自体においても採算がとれる規模である。従って、そういうような開発をやりました場合に、それを実施いたしました会社が利益を受けることになるのであります。これは研究開発がうまくいきました場合には、実施を委託されました会社がその事業を引き取ることになるのでありまして、利益を生む段階でございますから、その会社自体もロイアルティを支払い得るのであります。従って、このロイアルティを科研がもらうことによりまして、次の仕事をやっていけることになるのであります。従って「企業的」と申しますのは、採算のとれる規模においてやるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/19
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020・原茂
○原(茂)委員 ただいま御答弁にもありましたように、採算がとれるかとれないかは、研究を委託した企業自体が考える問題ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/20
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021・鈴江康平
○鈴江政府委員 さようでございます。それでございますから、どの程度にやるかということはその実施計画を作るわけでございます。実施計画の作り方といたしましては、もとの発明者の技術的な知識をそれに加えるということ、それからもう一つは委託を受ける方の企業者の考え方を入れる、両方ミックスいたしまして、それが妥当であるかどうかということは、開発委員会が判定するわけでございます。そういった企業者が、これならばやっていけるだろう、そう大きな利益はなくとも何とか採算がとれるだろうという程度の規模にしたい、それについては、委託を受ける企業者の考え方がそれに入って参るわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/21
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022・原茂
○原(茂)委員 これはわざわざ法律を作ろうとしたものだから、ずいぶんこっちゃったんじゃないかと思います。「科学技術に関する試験研究の成果を企業的規模において実施し」なんて、この実施すること自体が理化学研究所にあるように見えるが、成果の開発というものを実施するのは理化学研究所じゃないのだから、企業的規模で実施する、しないというようなことは、理研の法律の中へ入れなくてもいいじゃないかと私は思うのです。わざわざこんなものを入れると、確かに何も意図はないと思いますが、私はこういうことを一部直感的に心配するのです。研究を委託した人あるいはその成果を実施に移そうとする企業が、何かの都合で理化学研究所の考えている規模と違った内容意図でこれを行おうとするようなときに、この法律の条章に基いて、第二条の二項に基いて、理研が民間の自由企業に対してある種の制肘を加え得る、そんなに強いものではないでしょうが、そういうふうに利用され得る危険もあるのじゃないかという考えが多少起きるのですが、そういう点は全然意図していないと解釈していいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/22
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023・鈴江康平
○鈴江政府委員 さようなことは、全然意図しておりません。試験研究の成果を企業体が自分自身の責任でやろうというものは、これにかかわるものではございませんで、これは単なる実施計画を結べばよろしいわけでございます。特にこういうふうにしたのは、この前も申しましたように、わが国において新しい技術がなかなか企業化されない、しかしながら、外国の技術がどんどん入ってくるということは、外国においては企業的規模において成功しているという判定がありまして、従って、外国の技術は取りやすいが、日本のは企業的にまだやったことがないのだから心配で使えない、そういうわけでありますから、企業的規模というものに、相当大きな意義を考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/23
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024・原茂
○原(茂)委員 次に第五条。第五条全体で民間出資というものを規定しているわけなんです。認めているといいますか、規定している。完全に政府出資にしていないわけですから、当然のことになるわけですが、一応今回も民間出資というものを想定した額を持っています。これがまた次の段階でもそうなんですが、民間出資というものが予定よりも集まらなかった場合——前回も寄付するような気持で出しているんだからというような説明がありました。今回以後もずっとそうなるのかどうか知りませんが、とにかく予定より資金が集まらないということが何かの都合で起きるかもしれませんね。そういうときはどうなるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/24
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025・鈴江康平
○鈴江政府委員 ここに政府外からの出資ができるように書いてございますが、実際問題としては、現在のところ、民間出資はほとんど集まりがたい状況でございます。本年度も当初二千万円程度の予定をしておったのでございますが、現実には一千万円程度ということでございます。現在の科研もそうでありますが、将来の理研もなかなか配当は期待できないので、民間出資はわれわれといたしましてもあまり期待はしておりません。ただ先ほどからたびたび例を申し上げますように、ドイツのマックス・プランク研究所は国と工業界と両方によってうまく運営されておる。ですから、私どもは、この理研がいろいろな研究成果を出して、国家的な意義が十分財界に反映できますならば、財界あるいは工業界と申しますか、そういうところからの資金も将来は期待し得るのではないだろうかということを考えているわけでございます。それでございますから、現在のところ、民間出資がなければどうなるかというところまでは、実はそれほど民間出資を当てにした資金計画は立てないつもりでございますし、むしろ科研の収入といたしましては、政府の出資金よりも、各方面からの委託研究を受けまする利益、あるいは新しい製品の試作品を販売しておりますが、そういうようなものによってまかなっていくべきではないだろうかと考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/25
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026・原茂
○原(茂)委員 そうすると、「政府以外の者が出資する」ということがここにあるのですが、ほとんどこれは当てにしていないんだと言いながら、実際は前回にも大臣が今年度の投資総額というものを言っているわけですね。その中には全然入れていないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/26
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027・鈴江康平
○鈴江政府委員 ここにございます「政府及び政府以外の者」、この「政府以外の者」と申しますのは、新しく理研に対します出資でございますので、現在の科学研究所ということをおもに考えているわけでございます。現在の科学研究所の資本構成は、先ほど申し上げましたように大体四億一千万円あるいは二千万円程度が民間出資になっておりますので、それが入ってくることもお考え願えればけっこうだと思います。それ以外の民間出資ということは、あまり期待しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/27
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028・原茂
○原(茂)委員 もう一度しつこいようですが、将来とも、民間の出資というものは、理化学研究所になってからも、あまり期待はしないでやっていく方針である、こういうことでいいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/28
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029・鈴江康平
○鈴江政府委員 当分私どもは期待できないと思うのでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、りっぱな成果を上げることによって、財界からも資金が取り得るというような態勢になりますことを希望しておりますけれども、資金的計画においては、それは重視しないつもりであります。当分は重視いたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/29
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030・原茂
○原(茂)委員 そうすると、これから理化学研究所ができるわけですが、そのときの資本構成といいますか、こういうものは大体どういうふうな構想を持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/30
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031・鈴江康平
○鈴江政府委員 将来の資本構成といたしましては、本年度から申し上げますと、本年度末におきましては大体七億二、三千万円であると思います。それは、民間出資、政府出資が約三億五千万円でありますが、来年度は政府の出資が三億五千万円になりますので、合せまして来年度の期末におきましては約十一億ちょっとふえると思います。十一億一千万円程度だと思いますが、そのうち政府出資が六億八千万円、民間出資が四億三千万円程度というふうに考えておるわけでございます。それ以降につきましては、民間出資はあまり期待できませんので、やはり政府出資が次第に増加していくということになるだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/31
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032・原茂
○原(茂)委員 わかりました。次にお伺いしたいのは、第二十三条ですが、「開発委員会」というのがあるわけです。この開発委員会の構成というのは、どういうふうな構成になるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/32
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033・鈴江康平
○鈴江政府委員 開発委員会の構成といたしましては、大体二十五条に書いてございますが、「委員十人以内及び理事長をもって組織する。」というふうになっておりまして、合計十一名でございます。この委員といたしましては、学界、技術者のエキスパート、それからまた財界といいますか、企業界の人々を入れたいというふうに考えております。もちろん人数も少いことでございますし、またこの新技術の開発というようなものが企業界の問題と相当直結いたしますような関係上、相当見識の高い、またあまり我田引水になるような方はもちろん避けたいと思いますが、りっぱな人を選んでいきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/33
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034・原茂
○原(茂)委員 ちょうどいいときに大臣が来たんですが、この委員の任命は、総理大臣が任命することになっているのです。総理大臣が任命するといっても総理大臣はわからないのですが、結局大臣は諮問を受けるのでしょうが、この十名の委員というものを選ぶのに、やはり何かの基準はお持ちにならないといけないと思う。従来ですと、単に学識経験者というようなことが一番大きな中心になって委員が選ばれるのですが、理化学研究所のような場合には、単に学識経験者というよりは、理化学研究所の研究制度の開発委員会ですから、やはり理化学研究所から何名、あるいは学界から何名とか、事業経験者から何名、そういうきめ方がいいかどうかわかりませんが、もっと具体的に、単に学識経験のある者の中からというのではなくて、最小限度私はこの中に理化学研究所の理事というのか、役員というのか知りませんが、こういうメンバーが多少入ってくるということが規定されていていいのではないかと思うのですが、この点どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/34
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035・鈴江康平
○鈴江政府委員 この開発委員会が審議いたしまする事項は、理研の研究成果ばかりではございませんで、大学の研究成果あるいは財団法人の研究成果、あるいは国立研究機関の研究成果と、理研以外の研究成果ももちろん取り上げる予定でございます。従いまして、この開発委員会というのが理研だけのものに片寄るということになりますと、理研以外の研究者の研究成果が見捨てられるおそれもありますので、あまり理研色をここに出したくないということでございます。従いまして、理事長は職権の責任を持って入っているわけでございますが、できればむしろ理研を超越しました広い範囲からの学識経験者を選ばれた方が、適当ではなかろうかと考えている次第でございます。なお、理研自体の運用につきましての諮問機関でありますが、そういうものは別に定款で、顧問あるいは相談役というものを別途作る予定でございますが、この開発委員会というのは理研全体の問題ではございませんで、開発業務だけの問題でございますので、今言っような考え方で進んだらどうかというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/35
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036・原茂
○原(茂)委員 しかも、この今度の理化学研究所の大きな新しい事業の目標の中に「新技術の開発」というものが入っておる。これは今までの科学研究所とはちょっとこの点が違うところなんです。それで、この中に「新技術の開発」があるのに、これと多少関連さしてある開発委員会をこの法律の中で作ろうとする、特殊法人理化学研究所の開発委員会をこういう法律の中で規定しようとしながら、理化学研究所には全然色気をつけない方がよろしい、むしろ理化学研究所以外のその他の研究成果等も開発委員会では取り上げるんだから、理研からはむしろ人は要らないのだ、こういう考え方というのは、どうも私には納得いかない。そういうことよりは、やはり何といっても本来もっとしっかりした別途の、日本の国としての科学技術の研究機関がほしい。だが今のところは別途に作れるというよりは、せっかく科研があるんだから、これを理化学研究所にしてやっていこうという意図も、非常に大きくこの設立の中には含まれているわけなんです。ということになれば、その他の研究機関というか、その研究機関というものと、これからできる理化学研究所というものとの、ウェートをどっちに置くというわけにいきません。内容によって違うでしょうから、いかないにしても、相当大きく国としてのこの研究機関という性格が、この理化学研究所には期待されているわけなんです。事実それが盛り込まれてきているのですから、当然この理化学研究所の役員の一人や二人がこの開発委員会の中に入ってきて、新技術の開発というものを専門の仕事として理化学研究所が取り上げていく以上は、それに対する参考意見等が自由に述べられるように——過半数がいちゃあいけないでしょうが、一人やそこらは、やはりこの中の構成メンバーとして入れるという規定が、私はむしろ積極的にあっていいんだと思う。立場の違いかもしれませんが、これは全然違ったものでやっていくんだから、ほかの研究成果も開発も考えていくんだから、入れない方がいいということなら、何もこの理化学研究所法の中に開発委員会などというものを、第二十五条ですか、なんかを入れてくる必要はない。形式的にいっても技術的にいっても、私はやはりこの発言権あるいはフリーに意思の交換のできる重要な開発委員会に対しては、理研の役員の一人や二人は当然入れていくということを——単に総理大臣の任命にまかして、学識経験者の中から将来入れるつもりですというだけじゃなくて、積極的に私はこの法律の中で、理化学研究所から一名なり二名、幾人がいいのか知りませんが、やはり代表者を加えるという条項がないと、どうもこれは少し抜けたものになるんじゃないか、こういうふうに思うのですが、これはどうですか。大臣の率直なお考えを一つ承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/36
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037・正力松太郎
○正力国務大臣 今のお話はまことにごもっともな点もございまするが、これは非常な重大なことでありますから、なお一つ考えさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/37
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038・原茂
○原(茂)委員 重大なことばかりこの国会では審議しているのですから、その大事な答弁は大臣がなさるということをわれわれ期待して、大臣がおいでになるのを今まで待っておったわけです。来てみたら、重大だからまたあす、あすということなら、どうも大臣がおいでにならなくともいいことになる。やはりこのくらいのことは重大だから研究しておこうといって、その研究した結果がこの通りにまた通ってくるのでは困るので、やはりもう少し積極的に——この条文を直すわけにいかない、大臣が、こういうふうにお考えになるなら、暫定措置として、この学識経験者の中には、努力をして一つ理化学研究所からも一名入れることにするというぐらいな、政治的な答弁がないと、せっかくここまでしゃべったってむだになっちゃう。何か一つくらいは、なるほどと思う答弁を一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/38
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039・正力松太郎
○正力国務大臣 ほんとうにお話の点はもっともの点があると考えておるのですから——これは何しろ私どもはそういうことはよく専門家の意見を聞かぬとわかりませんから、まじめな意味において、むろん当然まじめでなくちゃいかぬけれども、こういう意味でよく聞いておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/39
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040・原茂
○原(茂)委員 どうも大臣ににこにこされると、突っ込むのが私はいやになって、いつもごまかされてしまう。私はしつこいのがきらいだからどうも——これは後の処置に期待します。ぜひ私はそうする必要があると思いますので、これが実現しないなら、違った形でもこれが通るように努力してもらいたい、こう思うのです。
それから、その次にはなぜ新技術の開発というものを民間企業に委託しなければいけないのか。本来、それほど重要な開発委員会等を設けて、それとのかね合いで新技術の開発をするということが理研の重要な今後の事業内容となってくるなら、当然委託方式をとるというようなことを頭からきめておかないで、民間の企業に新技術の開発というものは委託するのだということを何もここできめないで、「原則は」と言ってもいけない、むしろ「こともある」くらいな、あるいはもっと違った言い表わし方があるなら、理化学研究所自体が、この新技術の開発というものをみずからやるということは、積極的にやろうとするならできるのだというような、こう何か意思がここにはっきり出てきた方が私はいいように思うのですが、どうもこのニュアンスを少し狭くし過ぎた、そういう感じを受けるのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/40
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041・鈴江康平
○鈴江政府委員 この開発は、先ほど申しましたように、企業的規模において行うということが特色でございます。従いまして、企業的に採算がとれるというめどでやるわけでございますので、やはり実施いたします場合には、企業者としての経験を入れる必要があるということが一点でございます。従いまして、理研自身が企業をやるというのがあまりふさわしくないのでございまして、そういった企業者に委託してやる。つまり企業者の経験を入れるということと、それからもう一つは、理研の内部にいろいろ企業的施設を置くということは、場所的に非常に困難である。しかも委託いたしました事業が成功いたしますれば、その企業体に引き取ってもらいまして、しかも金を返してもらうということでございますので、将来その企業体が自分自身の企業としてやり得る場所が最も適当であるわけでございます。従って、委託いたしまして、その企業体の場所でやってもらうということを建前にしたいと思うわけでございます。もちろん理研自体といたしましても、従来から自分自身の研究成果を製品化いたしまする事業もやっておるわけでございますが、そういったようなものは、理研自身の従来の資金運用の面においてやっておるのでございますので、あえて開発委員会にかけないでもできるものと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/41
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042・原茂
○原(茂)委員 なぜ私がこういうことを申し上げるかといいますと、今の御答弁は、私の今お伺いしたことに対する答弁にはなっていないのです。なぜこういうことを言うのかといいますと、先ほども効率的という言葉のときに申し上げたように、それから今の御答弁の中にも、企業的規模というお言葉があったのですが、そこで二つ申し上げたいのです。企業的であるかどうか、企業的規模でこれができるものかどうかということを、やはりある程度、理研の側では研究の成果と相待って考慮するということになるわけですね。全体からいうと——考慮しようというときには、実際には企業をやってみた経験がないと、企業的規模においてこれが実施できるものかどうかという判断ですら、正確に言うならできないはずなんです。単に、どうも企業経験がないと困るという今答弁がございましたが、それだからこそなおさら企業的規模において、これが成果として実施し得るだろうかどうかということを実際に検討しようとするなら、大なり小なり企業に対する経験を持ってないと、ほんとうに的確な企業規模で実施できるかどうかも実は判断できない。もしそのことを判断する能力を自分が持ってないままに、これを他の民間企業にだけ諮問したり、あるいは検討さしたりしていけば、いつまでたっても大事なところは理研自体が持ってないということにも実はなるわけです。そういう意味から、私はやはり企業的な規模で実施し得るかどうかという判断をするためにも、やはり何かにつけて、単に実現困難な、非常にむずかしい技術だから委託するのだというのじゃなくて、やさしいものも、むずかしいものも、あるいは小規模のものも、ある意味では大規模のものも、一通りはやはり企業的な経験というものを、実際に採算がとれるかどうかまで、理研自体が、人に委託するのではなくて、やり得るときが来たらやる、そうして勉強する。これは非常に重要な勉強なんです。今日技術者だ、科学者だと言いながら、頭でものを考えて論議することを知っていても、実際に図面を書くことがわかっていても、それを作って、やすりを持って、ハンマーを持ってたたいて、一つ一つ部品を積み上げて組み立てるというところまでなかなか頭に入っていない学者がたくさんある。そういうことを国民全体が今知らなければいけない重要な段階にすらあるわけなんです。そういう点からいうと、企業的な規模というものを実際にできるだけ早い機会に体験し得る、経験し得る、あるいは学者に勉強をさせ得るという道は、やはり開いておく必要があるというのが一点。もう一つは、今の企業的規模ということは、採算の面も当然加味されてくる。先ほど効率的というところで問題になりましたように、採算がとれない、こんなものは商売にならぬということになると、いつでも民間企業への委託だけの方式に頼っていきますと、民間でこれはどうももうからないからやめます、いやです、委託はしたし、あるいは理研自体の研究としてりっぱなものだとは思います。しかしながらこれを企業化しようとしても、どうもこれは商売になりそうもないといって、民間企業が受けなかったら、これはそのまま残ってしまって、惜しいことになる。そういうときには、やはり国民大衆の側に利益があるということになるなら、やらなければいけないと思いますという先ほど答弁があったのですが、そのことを生かすためにも、実はここの第二十九条の何項かにもっとはっきりと、理研自体が事業を行うのだという基本的なものは、やはり一項入れておかないと、私はその御趣旨が通ってこないのじゃないか、この二つの点から実はこれを問題にしているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/42
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043・鈴江康平
○鈴江政府委員 民間の企業体に委託をいたします理由は、ただいま申し上げたわけでございますが、この企業的な規模において実施いたしまして、それが成功すれば即企業であり、しかもその施設がむだにならないで、委託された研究者が引き取ってそれを企業化していくのだという建前をとっているわけでございますが、理研自体がそういうことを自分自身でやるということになりますと、そのやりました成果を自分自身で企業化するということになりまして、理研自体がいろいろな企業を行うことになりますので、これは理研自体の設立の本旨とは違うのじゃなかろうかと思います。従いまして、そういった各方面において、研究成果が企業として花を咲かせるということをやるのが理研の建前でありまして、自分自身が企業をやるという考えには立っていないわけであります。しかしながら、そういうような非常にいい成果であって、しかも企業体の方でこれは引き受けるのはいやだ、委託を受けるのはいやだというような問題があるとすれば、その原因をさらに理研としても究明しなければなりませんし、その結果、その間にまだ試験的な段階がたくさんあるということになれば、理研自体は試験研究を行うことができるわけでございますから、あくまでも企業体が新技術に心配がないというところまでさらに研究を自分自身でやるべきだと思います。またそれをやるつもりでございます。そういったふうな、技術的にも大丈夫だという見きわめがつきますれば、企業体としても技術的に安心がいって、しかも資金的な負担は理研がやるということになれば、引き受けてくれることになるだろうと思います。現在そういった研究成果があるにもかかわらず、なぜそこまでいったものを企業体が受けないかといいますれば、やはりそういった日本の研究成果よりも、外国の技術の方が安心だ、すでに現実に企業化されているものだから、安心だから、それを使いたいという気分が非常に強いわけでございますので、そういう状態を脱却する意味におきまして、こういった新技術の開発方式をとっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/43
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044・原茂
○原(茂)委員 私の言っていることをすなおに聞いていてもらいたいと思うのだけれども、何でも直すのは反対だと言っている意味じゃないので、すなおにお聞き願うとわかると思うのです。理研が何でもかでも企業化しろと言っているんじゃない。最小限度のことを事例としてとらえて申し上げているだけです。何でもかでも企業化してしまえ、そんなら何も理研なんか要らないのですから、そういう意味じゃないのです。だから、前段の御答弁は、ちょっと私の言っていることをはき違えているんじゃないか。後段の御答弁を聞いていまして、ここが違うのだと私が気がついたのは、現在の資本主義機構の中では、やはり民間企業あるいは他の企業というものは一体利潤追求の手段としてこの企業経営をやっているのじゃない、国家的視野に立って、大衆の福利、民福ということを考えた上で事業をやっているのだ、これは一応そういうことに沿わないと、どんな民間企業といえども、経営の存続がむずかしいということぐらいは、今の経営者はわかってきました。しかし基本的には、やはり何といっても少数の人間の大きな利益を追求するその手段として今の資本主義下の企業経営というものは成り立っているわけです。ですから、今あなたがおっしゃったように、もし民間で受けつけないような、これではもうからないといったものは、もうかるようになるまで研究するのが理研本来の使命だ、こうおっしゃっている。しかし、こういう研究の成果というものは、非常に段階があるのです。究極の理想的な姿になるまで、それじゃ企業化しない。大衆に多少でも利潤がもたらされるだろうと思うのだけれども、とにかく民間企業がまだ受けつけない。もっともっと研究をして、いつになるかわらないが、理想的な研究の成果が上ったときには、おそらく民間企業もやるだろうという説がそこから出てくるのです。私はそれじゃいけないと思う。理化学研究所というものがある以上は、やはり段階があって、どうも本来の理想はここにあるのだけれども、少しそれよりは下ったところで、大衆にやはり相当の利益が与えられるのだ、しかしながら、企業としては採算がとれないという段階があったときに、進んで理研というものは、これを大衆の中に奉仕してやるという立場で企業化を促進していくくらいの気持あるいはそのくらいの余裕があったら、それができるような一つの道が開けていないと困るんじゃないかということを申し上げたわけです。いつまでも民間の企業で、採算がとれないからだめだ、もっと理想的なものにしろ、研究が二十年たったらできた、それまで待つというんじゃ、もったいないわけです。やはり毎日変化している生活をしているのであるから。少しでもこの生活に寄与するような、ステップ・バイ・ステップに奉仕をしていこうという精神が、やはりこの理研の研究の段階の中になければいけないという建前から、私は第二十九条の中に、「企業化が著しく困難な新技術について企業に委託して開発を行う」とか、あるいは「新技術の開発について企業にあっせんする」とかいうことだけうたっておいたのでは、何か今私の心配していることにそぐわない。もう少し理研自体がやろうとすればできるのだということでもけっこうですから、何かここらに入ってこないと、どうも幅が狭くなるし、先ほど言った効率的な実施という面からの論議からもちょっと筋が通ってこない、こういうふうに思われるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/44
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045・鈴江康平
○鈴江政府委員 ただいまの点は、理研自身がやるという点につきまして開発業務といたしまして、それでも民間でなかなか受けないというものもあるかと思います。その点は、たとえば非常に需要が少いというものであって、しかも国家的な必要なものというものは、なかなか企業採算に乗らないことも事実でございますので、そういったものは理研自体が製作いたしまして販売するということもやりたいと思うのです。その条項といたしましては、二十九条の第三号に「前二号に掲げる業務に係る成果を普及すること。」というふうに書いてあります。この普及事業というのは現在でもやっているわけでありますが、例の放射線の線量計というようなものもございます。現在は相当需要が多くなって参りましたのですが、初めのうちはあまり需要がなかったものですから、しかも将来非常に国家的に意義のあるものだということで始めたわけでございまして、あれは科研自体が製作し、それから普及しておったわけであります。そういったような事業は、この第三号によってできるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/45
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046・原茂
○原(茂)委員 もう少し質問をいたしましてやめますけれども、「前二号に掲げる業務に係る成果を普及すること」というんじゃ、私の言った意味からこれでは少し遠いのです。まだ不満足なので、これは私自体が考えて何か成文を出してもいいのですが、これはもう少し研究していただきたいと思う。第三号だけでは非常に弱い。というのは、一号、二号を受けているだけなんです。一号、二号をよく読んでみますと、私の言った杞憂というものは解消されていない。ですから、三号だけではまだちょっと弱いと思います。この点はもう少し研究をすることにしたいと思うのです。
それから、その次にお伺いしたいのは、企業に委託するわけですが、委託する企業の選定の方針はおありになると思う。無方針で選定するわけにいきませんから、委託する企業というものをどういう方針で選定するのか。それからこれを実施するときの与える条件ですね。これくらいなものは多分あるだろうと思う。これは概略でけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/46
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047・鈴江康平
○鈴江政府委員 委託先につきましては、その技術が一番、何といいますか、企業化されやすいだろうと思われる企業体を選ぶわけでございます。従いまして、その実施を委託する先といたしましては、従来から技術的な能力もあり、また資金的にもそう心配ないというところを選びたいと思っております。その契約の条件といたしましては、企業が成功いたしました場合にはそれを引き取りまして、しかもそれに対する対価を返してもらう。でございますから、成功いたしますればその金はもとへ返るわけでございます。それからさらに事業を継承しもらうわけでございますから、それ以上事業を進めまして利益を生じました場合は、ロイアルティを理研に払ってもらう、こういうわでございます。それから先般申し上げましたように、この事業と申しますのは、国家的事業でございますので、一企業の独占にするということは望ましくないわけでございますので、できるだけその他の方々にも希望があれば使わせるということは、あらかじめ了承しておいてもらうというわけでございます。それにつきましても、なおこの前に申し上げましたように、当初からあまり事業が乱立いたしましてつぶれるようなことがあってはいけませんから、その場合については多少期間を定めまして、独占的な自主権を適用しようということも場合によってはあると思うのでありますけれども、これはケース・バイ・ケースによって考えていきたい。しかし、独占的自主権もそう長くしたいというのではないのでありまして、できるだけみんなに使ってもらうということにいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/47
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048・原茂
○原(茂)委員 そうしますと、委託をするときに、委託をどこできめるかというと、理研自体の役員がきめていくということになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/48
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049・鈴江康平
○鈴江政府委員 理研の中にそういった工業界の方を調査する職員を置きまして、どういったところが適当だろうかという調査もやらしていきたいと思いますが、その結果理研の方でそういう判断をいたしました場合には開発委員会にかけまして、公正なる意見を聞きまして、その上でその決定に従って委託をするというふうに持っていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/49
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050・原茂
○原(茂)委員 次に第三十七条で、これは総括的にお聞きしていいと思うのですが、全体的に民間出資者に対しまして非常に優先的配当等をするということが規定してあるのです。この趣旨は、どういうところから出てきているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/50
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051・鈴江康平
○鈴江政府委員 三十七条の規定は、原子力研究所とほぼ同じ規定でございますが、こういった事業でございますので、なかなか民間の出資は集まりにくい、しかもなおかつ民間からの出資をしてもらうということになりますと、配当の上において、ある程度の利益を与えるということを条文的にも明らかにしておきたいというわけでございます。もっともこういうふうに書きましても、なかなか資金が集まらないだろうと思いますけれども、できるだけ優遇措置は講じていきたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/51
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052・原茂
○原(茂)委員 あと二つ。一つは四十二条、「総理大臣が監督する」とあるのですが、これはどういう監督をするのか、この監督の意味ですね。理化学研究所に対して内閣総理大臣が監督するとあるが、その監督するという意味はどういう意味なんですか。私がお伺いするのは、なぜこんなことを聞くかと申しますと、ここにも正力国務大臣がおられるが、何でも内閣総理大臣というものは——これは政府のあれだから、内閣総理大臣が出てくるのでしょうが、実際には内閣総理大臣の監督というのは名前だけで、実際には、内閣総理大臣は監督できないと思うのです。何を監督するかによってはできる。何を監督するかによっては、これは正力国務大臣がここへ出てきた方がいい。単に形式上の問題なのか、それとも監督するという——監督の内容によって違ってきますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/52
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053・鈴江康平
○鈴江政府委員 この規定は、実際問題としましては、科学技術庁長官が実際の指揮をされると思いますが、科学技術庁の長官は総理府の外局の長官でございますので、総理府の長と申しますか、官制上から申しますと、内閣総理大臣が監督するという建前になるわけであります。実際は正力国務大臣が委託を受けてやるということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/53
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054・原茂
○原(茂)委員 これはただ形式的な問題ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/54
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055・鈴江康平
○鈴江政府委員 はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/55
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056・原茂
○原(茂)委員 最後にお伺いしたいのは、理化学研究所になるとき職員はどんな条件で引き継がれるのですか。身分、待遇等が、科学研究所の場合と特殊法人理化学研究所になった場合と、どう違ってくるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/56
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057・鈴江康平
○鈴江政府委員 雇用関係と申しますか、そういった関係につきましては今度の理研が従来の科研の権利義務を一切引き継ぐという条項がございますので、従来の職員はそのまま入っていただくつもりでおります。ただ先ほど申し上げましたように、せっかくこういう新しい考え方で進みますので、できるだけ待遇の面も考えていきたいと思うわけでございますが、これは先ほど申し上げました設備改善とのにらみ合せもございますので、どれだけよくするかということはちょっとお答えいたしかねますが、できるだけ考究していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/57
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058・齋藤憲三
○齋藤委員長 志村茂治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/58
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059・志村茂治
○志村委員 原委員の方からだいぶ詳細にわたる質問がありましたので、私はそれ以外のことにつきまして、一、二点お尋ねしたいと思います。
まず第一に、第二条に、「この法律において「新技術上とは、国民経済上重要な科学技術に関する試験研究」とある。理化学研究所の行う試験研究の対象となっておるのは国民経済上重要なる科学技術であるということが書いてありますが、この「国民経済上」というような言葉で表現されると、一応は平和産業というふうに考えられるのでありますが、やはり企業化という立場から見ると、兵器産業もまた企業化の対象になり得ると思うのです。ここにいう「国民経済上」ということは、兵器生産は除いてある、平和産業である、こういう意味に解釈していいのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/59
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060・鈴江康平
○鈴江政府委員 これに書いてございます新技術は、私どもとしては、平和産業というふうに考えておるのでありまして、兵器そのものにつきましては防衛庁等がやるのだと思いますが、大体科学技術庁といたしましては、そういうようなことは考えておりません。平和産業のものというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/60
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061・志村茂治
○志村委員 われわれ科学技術庁を作る場合にも、戦時中の技術院というものと誤解されて、いろいろ問題が出て非常に苦戦したのですが、そういうような経験から、科学技術庁は、平和産業の技術を開発するというふうにわれわれは考えている。今のところは、科学技術庁が防衛庁から何らかの研究の委託を受けたということは聞いておりませんが、しかし、将来そういうこともあり得るのではないか。その場合に、防衛庁から委託を受けてくれというような要求があった場合に、そういうものには応じられないというふうなはっきりした態度をとってもらえるかどうか、その点をお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/61
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062・鈴江康平
○鈴江政府委員 まだそういう事例がございませんので、事例をもってお答えすることができないのでございますが、私ども兵器そのものの研究を委託することは、適当でないというふうにもちろん考えておるわけでございます。しかし、科研自体がやっておりますような、分析とか、電子顕微鏡を使って測定などもしておる点もございますが、そういったような軽い意味において、そういった試験をやってくれというような場合につきましても、これを全部除去するかどうかということは、必ずしもそれまでする必要はないのではないかというような感じもするのでございますが、どうも……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/62
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063・志村茂治
○志村委員 これは私たちが兵器なんということを問題にしているのは、兵器それ自体を目的にする研究と限定しているわけです。極端にいえば、原子力は平和利用であるからといっても、原子力発電によってできた電力を自衛隊に使わせないなどというようなばかなことはない。ですから、電子顕微鏡だとかそのほかの電子管の研究などによって、それがいわゆる戦闘に使われるということであれば、これはまた別な問題であると思うのです。ただ、兵器の改良だとか、あるいは生産上、それを目的とした科学技術の研究の委託を受けてやれることがあるかどうか、そういう問題です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/63
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064・正力松太郎
○正力国務大臣 それはここに書いてある経済上という理由から見ましても、そういうようなことはいたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/64
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065・志村茂治
○志村委員 その経済上という言葉は、純粋の消費には使わせないのだ、いわゆる次の生産につながらないものには、使わせないのだ、こういうような解釈をしてよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/65
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066・正力松太郎
○正力国務大臣 よろしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/66
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067・志村茂治
○志村委員 それでは次に、この資本金についてお尋ねしたいのですが、第五条に「研究所の資本金は、その設立に際し、政府及び政府以外の者が出資する額の合計額とする。」ということになっております。一昨日は正力大臣から政府資金は六億八千万、民間資金は四億三千万、合計十一億一千万ということになっておりますが、まず第一にその設立の際の資本金は十一億一千万円、こういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/67
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068・鈴江康平
○鈴江政府委員 現在ここに政府出資と書いてありますのは、新しく政府が出資する資金でございますが、政府以外のものが出資するという額は大部分は現在の科研の資金をいっているわけでございます。これは理研がいつ設立されるかという時期になるわけでございますが、来年度といたしましては、とにかく政府予算としては三億二千万円の出資金を国会に要求しているわけでございますが、この政府の出資金も一時に支出するわけではございませんで、大体従来の経験からいいまして、年三回ないし四回に分けて出資を行います。従いまして、将来理研が早くできますれば、現在の科研の出資金プラス三億三千万の三分の一ないし四分の一が加わるということになりますし、前例を見ますと、大体改組は事務的に半年くらいかかっているのでありますが、これは評価とかいろいろな問題がございますので、そのくらいかかるといたしますれば、大体現在の出資金プラス三億三千万の半分くらいが入るというふうにお考え願えばけっこうだと思います。三十三年度の年度末におきましては、大臣からも御答弁になりましたような十一億一千万円くらいになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/68
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069・志村茂治
○志村委員 それでは政府出資ですね。政府出資はまだ予算には計上されていないように思うのですが、どこに計上されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/69
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070・鈴江康平
○鈴江政府委員 これは計上してございます。これは大蔵省の所管になっております。管財局の方で金を扱うことになっておりますものですから、大蔵省の分に、出資金として載っておるはずでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/70
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071・志村茂治
○志村委員 民間出資というのは、今までのお話で大体今までの科研の財産ということに考えられておりますが、科研の資産というもののうち、科研の貸借対照表を見ますと、固定資産四億六千五百万円、流動資産が一億五千六百万円、そのほか投資が五千二百万円、合計六億八千万円というような勘定になっておりますが、しかしその中に政府出資というものが今までずいぶんあった。すなわち三十一年度一億、三十二年度一億五千万円というようになっておりますが、政府出資もいわゆる科研の株式という形で出しておられるのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/71
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072・鈴江康平
○鈴江政府委員 合計三億五千万円でございますが、これは全部株式の形になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/72
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073・志村茂治
○志村委員 その株式がこういうような形になっておりますと、民間出資概算六億八千万円、科研の貸借対照表に盛られておりますこの六億八千万円の中には、政府出資の三億五千万円というものが入っておるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/73
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074・鈴江康平
○鈴江政府委員 ただいまの資産は先ほど志村委員からお話がありました通りですが、その財源となっておりますのは、政府の出資金三億五千万円が入っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/74
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075・志村茂治
○志村委員 そうすると民間の出資が、ここで言っております四億三千万円ですか、これは科研の財産というものの中に政府出資が入っており、それを除いたものということになると、だいぶ違ってきますが、どういう計算なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/75
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076・鈴江康平
○鈴江政府委員 現在の民間の出資金は全部株式でございまして、合せますと七億数千万円になるわけですが、それは資本でございまして、それに見合う資産といたしましては、先ほどお話がございましたような数字になるわけでございます。ですから資産は固定資産、流動資産あるいは無形固定資産というようにあるわけですが、それに見合う出資金といたしましては、先ほど申しました民間、政府合せまして七億程度の株式になっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/76
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077・志村茂治
○志村委員 よくその点がわからないのですが、そうすると科研の資産、これはそのまま民間の出資という形にはでき得ないと私は考えるのです、政府資本が入っておるのですから。だから科研の資産のうちから政府出資分だけは、いわゆる政府の持ち分というものは引かなければ、民間の出資とは言えないと考えておるのですが、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/77
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078・鈴江康平
○鈴江政府委員 現在政府の出資金でございますけれども、一応科研といたしましては、科研時代の資本金になっておるわけでございますから、私はこれは科研の資産と考えていいのではないかと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/78
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079・志村茂治
○志村委員 一応政府出資も純粋な民間の資本も合せて、これを科研の資産として、その科研の資産を今度の理研へ持ってくるのだということだから、その奥には政府の出資も入っておるが、一応民間資本という形でそれが今度の理研への出資金となって、その場合には理研の資本であるから民間資本である。その構成は、政府出資が入っておるまいと、民間資本だというように計算されるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/79
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080・鈴江康平
○鈴江政府委員 さようでございます。今のお話の通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/80
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081・志村茂治
○志村委員 それでは業務関係についてお話を伺いたいのですが、大体今までの目的は基礎研究であるということになっておりますが、これがアトランダムに行われては困る。そこでいわゆる開発委員会というものをお作りになるということなんですが、特に今度日本の科学技術開発の根本方針を決定するために科学技術会議というものを作るということになっておりますが、これと開発委員会との関連はどういうふうになっておるのですか。機構の関連について一つお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/81
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082・鈴江康平
○鈴江政府委員 今度理研にできまする開発委員会と申しますのは、理研全体の研究計画を諮問するところではございませんで、新しく新技術の開発業務が付加されるわけですから、その部分についての審議機関でございます。すなわち科研の研究成果あるいはその他国立の研究機関あるいは大学等の研究成果を企業化まで持っていくところの開発事業、この仕事についての開発委員会でございまして、科研全体につきましては、また別途顧問とか相談役というものを置きたいと思っております。
それからなお科学技術会議と申しますのは、これは御承知のように総理大臣の諮問機関でございまして、総理大臣が各省の科学技術関係のある行政を総合調整いたしますときに諮問いたす機関でございまして、直接の関係はないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/82
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083・志村茂治
○志村委員 二十九条第二項、これについて先ほどから原委員がいろいろ質問をいたしておりましたが、企業化に著しく困難な新技術ということは、結局利潤採算には合わない技術というふうにわれわれは一応解釈するのです。それを今まで相当進んだ技術であって、しかもそれが企業化されないというものが多かったので、そういう問題を取り上げてこれから理研でやっていこうということになり、ここに企業化ということになると、いわゆる工業化試験の段階に入ってきていると思う。工業化試験の段階になりますと、試験研究費が非常に膨大なものになってくるというのが常識になっております。ところが、ここに掲げておりましたような資本金で、果して理研がこれを実行し得るかどうかという点が問題になる。従って、そこのところを企業家に委託して開発するということは、そこから私は出てきているんじゃないかと思うのです。そうしますと、ある程度危険もあり研究費もよけいかかるのだというようなことを行う場合に、ただその権利をあるいはお前の方へ渡すかもしれないというだけの条件では、なかなか経営者は引き受けてくれぬのじゃないか。今まで行われておるような、いわゆる政府にかわって研究をするという場合には、それに補助金なんかを与えておりますが、この場合には補助金なんかを出すようなお考えがあるのかどうか、これをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/83
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084・鈴江康平
○鈴江政府委員 補助金を出す考えはございません。この考え方は企業化が困難であると認められる新技術でございますが、すなわち企業家が自分自身でそれを採択していかれることは自由にやってもらうわけでございますが、国家的に非常に意義があると思われるにかかわらず、採算がとれぬであろうというので企業家が渋っておる、そういう状態につきましては、この開発委員会等においてこれは必ず成功するだろうというような見込みが濃い場合にはそれに委託してやってもらう、しかしながら、それに対して失敗の負担は理研自体が負うわけでございますから、企業家としましては、失敗すればもともとのことでありますし、成功すればそれは自分の事業とすることができる。もちろん事業といたしましてもロイアルティは払わなければなりませんけれども、利益が上れば、ロイアルティを払うことは問題ないと考えます。そういう方式によりまして、新しい技術を開発していこうということでございますので、委託されましたものは、大体は資金的な危険負担というものはないわけでございますので、安心してやってもらえるだろうと思います。そういう段階でございますから、特に補助金を出す必要はない、失敗いたしますれば、理研自体が損害を負う。しかしそういったような事業自体としても非常に危険なものでございますので、一応予算面におきましては、三億三千万円のうち八千万円を限りましてそういった事業をやっていく、そういうことになっております。これは最初の段階といたしましてはそう数多くやることはできないかと思います。ただいまお話がございましたように、実験につきましても相当の資金を要するわけでございますので、重点的に数少く行うことになると思います。しかし、こういった方式は、イギリスあるいはカナダあるいはアメリカ等においてもやっておるわけでございますが、最初の段階としましては、やはりこの程度の金額から出発いたしまして、漸次テーマをふやして参りまして、ただいまのところ、カナダ、アメリカ等は採算がとれております。イギリスはまだ採算がとれる段階までいっておりませんが、大体八〇%程度の回収率までこぎつけておるわけでございまして、近くそれが収支バランスがとれるだろうという予測をされておるわけでございます。最初八千万円でございますので、先ほど申し上げましたように、重点的に数少く、かつまた最初の段階でございますから、民間が取り上げないという中でも比較的危険の少いものからやっていきたいというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/84
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085・志村茂治
○志村委員 今のお話に、いわゆる企業化ということになりますが、従来われわれが問題にしておりました新技術開発公団、ああいうような思想——あれはほんとうの企業化の問題であり、これは企業化のためのいわゆる試験という、段階的には違っておりますが、非常に以たアイデアじゃないかと私は考えておるわけなんです。そうしますと、一応それを実験をしてみた場合の危険負担であり、結局それが失敗した場合には、政府がその損害は負担するという危険負担だけの約束でやるということであって、それを実験した人は必ずしもそれを受けるというような資格が前もって与えられるということはないわけなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/85
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086・鈴江康平
○鈴江政府委員 先ほどお話がございました新技術開発機関の構想が実はここに現われておるわけでありまして、独立機関を作らなかったわけでございます。まず理研においてその業務をやらせてみた方がいいのではないかという結論になりまして、理研で行うということになったわけでございます。従いまして、その工業化試験と申しますよりは、むしろ最小の規模でございまするけれども、企業化の段階において実施するという考え方でございます。これにつきましては、資金的な危険を理研が負担するばかりでなく、それが成功いたしました場合には、引き取ってもらうということが一つの条件である。同時に、引き取りました場合には、理研が出しました金によってできた施設は買い取ってもらう。同時に、将来実施化いたしました場合の利益の中からロイアルティを払ってもらうという仕組みでございまして、先ほどお話がございましたように、新技術開発機関の構想と同じでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/86
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087・志村茂治
○志村委員 新技術開発公団はできなかったわけですが、それの構想が出た場合、一番問題になったことは、日本でもって開発された新しい技術に対して、一般の財界人、特に社長なんかは信用を置かないということなんです。これは国のためにやれと言われても、社長の身にもなってみろ、これが財界人の言葉なんです。ところが、それにつけ加えて考えられることは、やはり今すぐ生産をしなければならぬ。それを試験研究するんだということになると、自分たちはそれまで一時待っていなければならぬということになる。高額の資金を投下して、その利子も考えずに、ある期間遊んでいなければならぬという損害もあるというふうなことで、危険と経済的な金利との損害というものが確かにある。だから、日本の新技術はなかなか採用されないのが現状であるということになっておりますが、ここで企業化のための試験研究という段階で委託するという形で果して行えるかどうか。これは会社の幹部の人たちと会って、十分その点を話し合い、理解をしてもらってやるということは一応考えられますが、財界というものはもう少しさびしいのではないか、話し合いで、国のためにやってくれませんかということだけでやってもらえるかどうか、そこに弱い点があるのではないかと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/87
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088・鈴江康平
○鈴江政府委員 これは試験をやってもらうのではございませんで、企業化を行なってもらうということでありますが、こういった事例につきましては、私ども現実にいろいろな事態にぶつかっているわけであります。たとえて申し上げますれば、科研におきまして真空鋳造法というものを研究して、それをさらに工業化試験をやったわけでありまして、これもかなり成績がいいのであります。しかし、日本の産業界としましてはなかなかそれを取り上げない。と申しますのは、ちょうどそれと同じような研究成果がドイツにおいてできておりまして、これがすでに二年前に運転をしておって、成果をあげております。従って、われわれ原理的に見ましてもほとんど変らない、科研のものを使ったらどうかということを希望者に伝えるわけでございますが、しかしドイツのは現に動いているので、安心して使える。科研のものは工業化試験をやっているけれども、これは三トン程度のブラントであって、三十トンなり五十トンにすれば、その間に他の危険があるのではないかということで渋っている。そういう場合に、この機関がその成果を取り上げまして、五十トンを作る資金はここから出してやろう、しかしそれがうまくいった場合にはそれを引き取ってもらう、利益はロイアルティとして出してもらうという契約でやらせれば、現に研究成果というものはわかっておりますし、それから資金的な負担はここでやるということでございますから、企業家もそれならばやろうというふうな気持になってくれるのではないかということでございます。そういうような方式でやりますれば、やってみたいという研究成果がいろいろございます。ほかにもございますのは、国立研究所の醗酵研究所のやりました一つの成果でございますが、これは糞尿を処理いたしまして、同時にビタミンB12をとるという方式でございますが、その方式自体の研究は完了はしておりますけれども、あえてそれほどまでせぬでも、私の会社はほかの商売があるからやらぬということでやらぬところもあります。国家的にそういったような危険負担をやってくれるならば、これはおもしろいからやってみたいというような話もございます。それがうまくいきますれば、糞尿の処理と同時に、ビタミンB12の回収ということになりますれば、各地方においても大いにやってもらいたい事業でございますので、一つの成果がありますれば、広く一般にそれを使わしていきたいと思うわけであります。そんな事例がいろいろございますものですから、おそらくこういう制度をやりますれば、国家的な重要な研究成果が使ってもらえるだろうという確信を持っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/88
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089・志村茂治
○志村委員 まあ全然ゼロとは思わないので、効果はあると思っております。
それから二十九条の第三号に「前二号に掲げる業務に係る成果を普及すること。」となっておりますが、これは一つのPR機関としてわれわれがきめました科学技術情報センターというものがありますね。あれは外国の情報というものがおもになるでしょうが、やはり国内の情報というものも問題になると思うのですが、これとはどういう連絡をとってやられるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/89
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090・鈴江康平
○鈴江政府委員 ここに掲げてあります「成果を普及」というのは、情報センターとだいぶ趣きを異にするわけであります。情報センターの方は、御承知のように、外国の文献あるいは国内の文献等を調査いたしまして、広く周知せしめる必要があるというものを取り上げるのが主だと思います。そちらの方をやりますことがむしろ実体的でございまして、たとえば第一号に掲げる成果の普及ということになりますれば、科研自体が研究成果をやりまして、これを各方面に使ってもらいたいというようなこともございますが、たとえばポケット線量計というような放射線のあれがございます。そういったようなものを試作いたしまして、各方面にこれを販売しておる。こういうような仕事を考えているわけでございます。
それから、新技術の開発につきましては、成果につきまして、これはうまくいきますれば一つの会社に委託しまして、それが成果を生みますれば、子の成果を第二、第三の会社にも使ってもらいたいというような県体的な問題を持ちまして、その普及に乗り出すということでございまして、かなり内容は違うというように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/90
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091・志村茂治
○志村委員 これで私の質問を終りますが、ほんとうに今のは、大体同じ科学技術情報といっても、今まで科研で行なったような、自分で作ったものを、何といいますか、工場で利用してもらうように販売するというような態度を主として、普及という意味を考えられておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/91
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092・鈴江康平
○鈴江政府委員 主たるものはそういうことでございますが、しかし、それ以外に、科研で自分の研究成果を周知せしめるために講演会を開いたり、それから研究成果の刊行物などを出しております。その程度のこともこの普及という中に考えておるわけでございます。ですが、特にほかと変った仕事と申しますのは、今申し上げたような試作、販売というようなことが主だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/92
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093・齋藤憲三
○齋藤委員長 他に御質疑はありませんか。——なければ、本案に関する質疑はこれにて終了することといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/93
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094・齋藤憲三
○齋藤委員長 この際、参考人の出席要求に関する件につきまして、お諮りいたします。すなわち、コールダーホール改良型原子炉等に関する問題について、来たる十八日、午前十時より参考人の出席を求めてその意見を聴取することとし、参考人の人選等につきましては、先ほどの理事会における協議の趣旨に従いまして、委員長において決定いたしたいと思います。以上について御異議ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/94
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095・齋藤憲三
○齋藤委員長 御異議なければ、さよう決定いたします。
本日の議事はこの程度にとどめ、次会は来たる十二日、午前十時半より開会し、本案の討論、採決を行います。
これにて散会いたします。
午後零時三十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01019580307/95
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