1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年三月十二日(水曜日)
午前十一時十三分開議
出席委員
委員長 齋藤 憲三君
理事 秋田 大助君 理事 有田 喜一君
理事 菅野和太郎君 理事 中曽根康弘君
理事 前田 正男君 理事 岡 良一君
理事 志村 茂治君
須磨彌吉郎君 南 好雄君
岡本 隆一君 滝井 義高君
原 茂君
出席政府委員
科学技術政務次
官 吉田 萬次君
総理府事務官
(科学技術庁企
画調整局長) 鈴江 康平君
委員外の出席者
科学技術事務次
官 篠原 登君
総理府技官
(科学技術庁企
画調整局業務課
長) 前田 陽吉君
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本日の会議に付した案件
理化学研究所法案(内閣提出第七三号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01119580312/0
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001・齋藤憲三
○齋藤委員長 これより会議を開きます。
理科学研究所法案を議題といたします。本案に対する質疑は、前会において一応終了いたしておりますが、この際、質疑の通告がありますので、これを許します。志村茂治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01119580312/1
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002・志村茂治
○志村委員 今度の理化学研究所の母体となっている科学研究所の今までの実績を見ました場合に、その研究の委託等については、主として三百名以上の大きな工場その他からの委嘱はあったが、中小企業の方面からの委嘱はなかった。要するに中小企業との連絡はきわめて薄かったということでありますが、日本の科学技術の振興に当って、特に生産性を向上させるためには、この中小企業との連絡を緊密にする必要があると思うのです。特にこういうことに留意して、理研の活動を進めていただきたいと思いますが、これについて政府の御意見を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01119580312/2
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003・鈴江康平
○鈴江政府委員 従来科研に委託がございました研究につきましては、確かにお話のように、中小企業は非常に少いというような傾向もうかがわれるのでございますが、しかし科研といたしましては、決してそういう中小企業の仕事はあまり受けないというような方針ではございませんで、できるだけそういった御意向もございますれば受けて参る、研究して参るという考えでございましたが、たまたまそういったような御依頼が非常に少かったということは確かでございます。ただ、私ども現在の状況を見ましても、中小企業と思われるような会社もいろいろございます。その会社の人数が三百名以下かどうかということは私はっきりいたしませんが、決して小さいところはやらないというようなことは考えておりませんので、今後もそういったような御依頼に対しまして、対処できるように、研究員等においても、そういった方々を育成していきたいというふうな考えを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01119580312/3
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004・志村茂治
○志村委員 特に中小企業との連絡をしないのではないということは初めからわかっておるのでありますが、何がゆえにこういうところと連絡が薄かったか、そういうところを究明して、そうして特に中小企業への連絡のために打つべき手があったらば、それを立てていただきたい、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01119580312/4
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005・鈴江康平
○鈴江政府委員 ただいまの科研の研究者が何といいますか、割合に基礎的な研究者が多いという事実からいたしまして、中小企業の方の御要望がさっそく間に合うような研究というのが多分多いのではないか。従いまして、研究者の現在の研究の分野から申しまして、仕事が受けにくいというような点もあるのではないかと思います。しかし一面例の自転車の工業振興会の方から相当多額の委託費をもらっておりますが、こういったような研究成果は、自転車関係でございますけれども、数多くの中小企業の方々に対しまして貢献しているだろうと思います。いろいろ問題によりまして、すぐ受けられる研究者がおるかどうかという点が、問題がわかりませんのではっきりいたしませんが、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、できるだけそういったような方々の御意向も受けられるようにしていきたい、そういうふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01119580312/5
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006・齋藤憲三
○齋藤委員長 他に御質疑はありませんか。——なければ、本案に対する質疑はこれにて終了することといたします。
暫時休憩いたします。
午前十一時十七分休憩
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午前十一時二十七分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01119580312/6
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007・齋藤憲三
○齋藤委員長 再開いたします。
理化学研究所法案につきましては、自由民主党及び日本社会党共同提案にかかる修正案が提出されております。まず提出者よりその趣旨説明を求めます。前田正男君。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01119580312/7
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008・前田正男
○前田(正)委員 修正案は、お手元に配ってあります通り、
理化学研究所法案の一部を次のように修正する。
第十五条中第二号を削り、第三号を第二号とし、第四号を第三号とする。
以上であります。
この修正案につきましては、この研究所の役員の欠格条項といたしまして、政党の役員は役員になることができないということになっておるのでありますが、この意味は、要するにこの役員になられた方が、あまり政党的な片寄った行動をしてもらっては困るという意味であろうと思うのでありますけれども、現在の政治情勢を見まするのに、二大政党の時代になりまして、ほとんど国民の大多数の方は各政党に所属せられるような状態になっております。また、ここの役員になられようというような有力な方は、当然また政党の本部あるいは地方の役員になっておられる方が多いと思うのであります。単に政党の役員であるということだけでこれが欠格条項になるということでは、個人の固有の権利というものについても相当侵害されてくるのではないか、こういうふうに考えられるのであります。この際、健全な政党政治発展の立場から見ましても、こういうような欠格条項の条文は不適当であると思いますので、皆さんの御賛成を得まして、この修正案を提出いたしたいと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01119580312/8
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009・齋藤憲三
○齋藤委員長 これより、原案並びに修正案を一括して討論に入りますが、討論の通告がありませんので、直ちに採決を行います。
まず、修正案について採決を行います。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01119580312/9
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010・齋藤憲三
○齋藤委員長 起立総員。よって、右修正案は可決いたしました。
次に、修正部分を除く原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01119580312/10
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011・齋藤憲三
○齋藤委員長 起立総員。よって、本案は修正案の通り修正議決すべきものと決しました。本案につきましては、委員諸君のお手元に配付してあります通り、附帯決議案が自由民主党及び日本社会党共同提案にかかり提出されております。まず提出者よりその趣旨説明を求めます。志村茂治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01119580312/11
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012・志村茂治
○志村委員 ただいま採決になりました理化学研究所法案に対しまして、その運用に当って、一つの附帯決議をつけようと存ずるのであります。
前代に考えられなかったような世界の技術革新、この時代に当って、日本はそのおくれを取り戻し、さらにそれを追い抜こうというような使命を持ってこの理研を設立することにわれわれは決議いたしたのでありますが、それだけに、これに課せられた使命はきわめて大きいと思うのであります。
今回成立しました理研法につきましては、われわれとしては、いまだ不十分の点がきわめて多いし、また今後の運営についても、十分政府として考慮してもらわなければならない点が多々あると思うのでありますが、それらについて、そのうちで最も重要な点について附帯決議をつけて、将来の運営に当って政府に留意していただきたい、こう考えるわけであります。
その決議案を朗読いたします。
附帯決議
科学技術の飛躍的発展に対応し、わが国科学技術の振興を一層強力に推進するため、株式会社科学研究所を改組して理化学研究所を設けることは適切なる方策であるが、これが設立に当って、政府は左記事項を十分考慮して適当な措置を講ずべきである。
記
一、政府は、年次計画的に格段の財政内措置を講じ、真に総合的、中枢的研究開発機関たるの実を有せしめること。
二、大学、その他の研究機関との連絡、提携協力に万遺憾なきを期すると共に、優秀な人材を吸収し得るよう人的組織及び待遇その他運用に十分な考慮を払うこと。
三、本研究所における研究部門と開発部門との運営に当っては、会計経理上の取扱等に十分な考慮を払い相互に支障を来さぬよう措置すること。
右決議する。
昭和三十三年三月十二日
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01119580312/12
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013・齋藤憲三
○齋藤委員長 以上をもちまして、附帯決議案の趣旨説明は終りました。
これより採決を行います。理化学研究所法案に対する附帯決議案に賛成の諸君の御起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01119580312/13
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014・齋藤憲三
○齋藤委員長 起立総員。よって、右附帯決議案は可決いたしました。
この際、吉田政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。吉田政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01119580312/14
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015・吉田萬次
○吉田(萬)政府委員 理化学研究所法案につきまして、ただいま全員一致をもって御可決をいただきまして、ありがとうございます。厚くお礼を申し上げます。
さらに、附帯決議につきましては、御趣旨の趣き十分に体しまして、努力することにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01119580312/15
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016・齋藤憲三
○齋藤委員長 次に、お諮りいたします。すなわち、ただいま議決せられました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01119580312/16
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017・齋藤憲三
○齋藤委員長 御異議なければ、さように決定いたします。
他に御発言がございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01119580312/17
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018・前田正男
○前田(正)委員 過日、原子力研究所の経理内容等につきまして、その帳簿が不十分である、こういったようなことが新聞に出ておりました。これはわれわれが努力して参っております原子力発展の問題においてもなかなか重要な問題でありまして、また国民の税金より出ております金もたくさんあることでありますから、国会といたしましても、重大な関心事であると思うのであります。これは新聞に出ただけでありまして、内容は不十分でありますから、一つなるべく早い機会に、原子力研究所の責任者から実情等をこの委員会において説明してもらうように、委員長においてお取り計らいを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01119580312/18
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019・齋藤憲三
○齋藤委員長 ただいまの前田委員よりの御発言につきましては、委員長において善処いたします。
本日の議事はこの程度にとどめます。次会は公報をもってお知らせいたします。
これにて散会いたします。
午前十一時三十五分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01119580312/19
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