1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年四月二日(木曜日)
午前十一時八分開議
出席委員
委員長 齋藤 憲三君
理事 秋田 大助君 理事 有田 喜一君
理事 菅野和太郎君 理事 中曽根康弘君
理事 前田 正男君 理事 岡 良一君
須磨彌吉郎君 橋本 龍伍君
岡本 隆一君 田中 武夫君
滝井 義高君 松前 重義君
出席国務大臣
通商産業大臣 前尾繁三郎君
国 務 大 臣 正力松太郎君
出席政府委員
検 事
(法制局第二部
長) 野木 新一君
総理府事務官
(科学技術庁長
官官房長) 原田 久君
総理府事務官
(科学技術庁原
子力局長) 佐々木義武君
通商産業事務官
(公益事業局
長) 小出 榮一君
委員外の出席者
科学技術事務次
官 篠原 登君
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本日の会議に付した案件
放射線障害防止の技術的基準に関する法律案(
内閣提出第一四一号)
原子力行政に関する件
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01419580402/0
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001・齋藤憲三
○齋藤委員長 これより会議を開きます。
原子力行政に関する件につきまして、調査を進めます。
原子力発電株式会社に関する問題につきまして質疑の通告がありますので、これを許します。松前重義君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01419580402/1
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002・松前重義
○松前委員 この原子力発電株式会社のよって立っております法律である電源開発促進法の中の拡張解釈として、原子力発電は火力発電の一部分であるという解釈をとって、この原子力発電株式会社に対して電源開発株式会社が出資をしておる、こういうことに現在はなっておりのであります。これに対して、私は先般来ずっと、この問題は非常に重要であるから、明確にしたいというので、質問をいたしておったのでありますが、法制局の答弁としては、予算委員会等におきましても、その当時はこういういきさつでこうなったのだといういきさつだけを御説明になったので、結論として、火力の中に原子力が含まれるということに対しては、何らの結論も出ていなりいのであります。こういういきさつからいたしまして、かつて田中武夫委員から質問されたものに対しましても、正力国務大臣は次のような答弁をしておられるのであります。「ただいまの御質問は、まことにごもっともだと思います。実は電発が参加するときに、あの促進法に違反しやしないかどうかということでだいぶ議論がありました。ところが、あれは解釈論です。それで、法制局でも、これは解釈論であって、差しつかえないというもとに、あれをやったものであります。私も病中大野教授の話を聞きまして、なるほどこれも一理はあるわいと思いましたが、いずれにしても、促進法違反ではないが、解釈論としては議論の余地がある。それはもともと原子力というような想像していなかったものがひょっと出てきたものだから、そういう議論が分れるのでありますが、この際解釈上にそんなにむずかしいことを言わないで、促進法に原子力という文句をちゃんと入れた方がいいと私自身考えておりますので、この点についてはよく考えてみますし、御趣旨の点はよく考慮に入れてみます。」こういう答弁を本委員会でなさっておいでになられるのであります。一番重要な点は、「促進法に原子力という文句をちゃんと入れた方がいいと私自身考えておりますので、この点についてはよく考えてみますし、御趣旨の点はよく考慮に入れてみます。」というところで、こういう御答弁がありました。いろいろ理屈は今までも言い尽しておりますから、あんまり理屈は申し上げません。言うまでもなく、火力の中に原子力を含むということは、これは科学技術の立場から見て断じて許されないばかりでなく、常識論としても全く非常識な解釈であり、こういう法律がもし横行するとすれば、世界はおそらく日本を嘲笑するだろうと思われるくらいのものであります。この点について正力国務大臣が、促進法に原子力という文句はちゃんと入れた方がいいと私自身考えておりますと言われることは、私は国務大臣の常識として当然のことだと思う。しかし、その後において、この問題についてどういうふうなお取り計らいを政府自身としてしようとしておられるのか、その点について、この御答弁に対する責任あるその後の政治的なお考え並びにその後輪とりになった行動に対して、お伺いしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01419580402/2
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003・正力松太郎
○正力国務大臣 ただいま御質問のあります通りに、この前の委員会で私、そういう火力の中に原子力を解釈上入れることについては多少疑義もあるのであって、いずれ何とか適当な明文にしたいということを考えたいと申しております。何しろこれは通産大臣の所管事項になっております。その他企画庁などにも関係がありますので、その方面に話は目下しつつあるところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01419580402/3
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004・松前重義
○松前委員 それから、私がこの問題について質問をしましたときに、自民党の平野委員は、次のような発言をいたしております。それは、「実は先ほど電源開発促進法を制定したときの立案者の意図がどこにあったかという御質問がございました。それに対して法制局では、当時立案者が原子力というものを予想していなかったかもしれないが、しかし、合理的な立案者の意図というものを解釈しなければならぬというようなお話がありました。私は電源開発促進法の成立に参加した一人でありまして、ことにこれは福田一君が提案者の代表として国会において答弁なさったわけで、福田君とも協議しまして、熱心にこの法律の制定に当ったものでありますが、われわれは当時そういうことは全然予想しておらなかったのであります。特に申し上げたいことは、もしあの法律を作るときに、火力の中に、原子力を含めるのだというような解釈をわれわれがしたとするならば、当然原子力というものをそこへ入れることが当りまえであります。そして、それだけじゃとどまらない、ということは、原子力はほかの水力、火力と違いまして、全く世界の産業の基礎を変革するような独特のものである。しかも、それには非常に広範な社会に及ぼす影響というものを考えなければならない。たとえば、具体的に言えば、発電炉を作りましても、日本は地震国であるから、もし地震によってこれが破壊されたような場合に、どういう影響を及ぼすか。その影響は、大きくいえば、放射能を出すわけでありますから、人類の絶滅に通ずるほどの大被害というものを考えなければならなくなる。従って、もしあの火力の中に原子力を含めるのだという解釈をすれば、当然当時そういう広範な社会に及ぼす影響を防除するような別の法律の条項というものがなければならない。」云々と、こういうことを自民党の平野委員は、その当時の電源開発促進法の制定に当った者として発言しております。結論といたしまして、科学的に見てもつじつまが合わない。従って、これはすみやかにこれを改正すべきではないか、こういう意見をここに述べております。それに対して法制局の答弁がありますが、これはどうも初めから終りまで不得要領でございますけれども、とにもかくにも与党の平野委員が、当時電源開発促進法を作ったとき、そのときはまだ全然この原子力というものは考えていなかった。もし考えるならば、これのいろいろな放射能の灰の及ぼす影響あるいは一切の原子力に関する法律等を一緒にしてこれをやらなければ意味をなさない。こういうことは当然のことでありまして、いずれにしてもこの電源開発促進法の中の火力という文句をこういうふうな無理な拡張解釈をするがごときはもってのほかであるということは、常識として考えられるところであります。
〔委員長退席、有田委員長代理着席〕
そこで、ただいま正力国務大臣から、この問題については通産省と話をしておるということでありましたが、果してどういう話を示しておられるのか、具体的にもう少し正力国務大臣から伺いたいとともに、通産大臣はこの問題についてどう考えておられるか。それからまた法制局はどう考えておられるか。これを伺いたとい思うのでありますが、一つ正力さんからまずお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01419580402/4
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005・正力松太郎
○正力国務大臣 先ほど申し上げました通り、これは通産省の所管のことでありますから、こういう疑いがあるから、通産省で何とか考えてもらいたいという程度の話はしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01419580402/5
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006・前尾繁三郎
○前尾国務大臣 電源開発促進法自体は、実は企画庁の所管だし、促進法第二条にいう火力につきましては、当時法制局ともいろいろその問題についての論議をいたしたのであります。もちろん促進法制定当時には、火力というものは、当時原子力はなかったので、予想はいたしていなかったのでありますが、火力というのは、結局熱力という意味でありまして、原子力につきましては、当然その範疇に入る、火力の解釈の中に入れて差しつかえない、こういうことでありました。その解釈に従いしまして、われわれもその後の措置をいたしたのであります。あるいは非常に疑わしいといいますか、わかりにくいというような点があるかと思います。また、原子力の問題が起って参りますと、電源開発促進法自体にもいろいろまた今後考えなければならぬ問題があるのじゃないかということもわれわれ考えておるわけであります。将来、電源開発促進法というものを検討いたしまして、今後この改正を行いまする際に定義をいたしまして、明確にしていくということをやったらいいのではないか、かように考えておる次第であります。
〔有田委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01419580402/6
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007・松前重義
○松前委員 法制局はあとにいたしまして、ただいまの御答弁に対して一言加えます。火力は熱力である、原子力も熱力である、だから差しつかえないのじゃないか、こういうところに今までの論議は集中されてきたのです。この学術的な論議はともかく、政治的な論議からいきますと、平野君のような考え方が私は最も常識的だと思う。ところが、前から私が引用しておりまするけれども、すでにもう原子力発電というものが、熱に変えなくて、べーター線を直接電気に変えるということが提案され、すでにこれらの研究段階に入ってきておる。雑誌はここにもありますけれども、「ニュークレオニクス」にちゃんとそれは出ており、そうして具体的にこれらの研究が行われつつあるのでありまして、近くこの問題は私は解決すると見ている。熱に変りません。途中はサーマル・エナージーではないのであります。こういうところに根本的な、学術的な矛盾がすでに存在しておるのであります。ですから今のような通産大臣の御議論では、これは今の科学の常識に反することでありまして、だれが一体そういう諮問にあずかったのか私存じませんけれども、とにもかくにも今日の科学からいけば、非常に無理な——無理どころではなく、誤まった解釈であるといわなければならない。こういう情勢の中にあって、通産省としては、あなた方の所管に属する発電の問題を取り上げたときに、原子力発電というものをすみやかに——この火力というようなものの一部分のごとく考えるがごとき小さな考え方では、これはいかぬことはわかっておる。従って、この点について、今のんきなような御発言のように聞えたのでありますが、いずれこの促進法を変えるときに変えるなんという、そんなことは私は許されないと思うのです。根本的に間違っております。もしこれをどうしてもお変えにならないならば、これはしかるべき別な法制を講ずるよりほかに方法がないと思う。科学技術委員会におきましても、前から与党の諸君も、これはやっぱり無理だ、間違っておるということを言っておられたし、すみやかにこれを改正されなければならぬということを、私は非公式に耳に聞いております。いずれにいたしましても、通産省としてもう少し良心的な、ほんとうにこういう欺瞞した法律でない体制のもとに、事業の監督をする必要があると思うのでございます。大臣のお考えをもう一ぺん伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01419580402/7
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008・前尾繁三郎
○前尾国務大臣 決してわれわれものんきに考えておるわけではないのであります。また、ただいまお話のように、熱力に変らずに発電されるという場合につきましては、私は火力の中に入らぬと思います。従って、これは電気関係全般の法律を早急にいろいろ検討して新時代に応じた法律を改正することは必要であると思っておりますので、その際に明確な定義等を作っていくのが至当ではないか、今すぐあわててあまり不見識な法律を出すということにつきましては、われわれとしましても、慎重に考えていかなければならぬというふうに思っております。決してなおざりにしておるわけではないのであります。今後の検討を極力進めていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01419580402/8
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009・松前重義
○松前委員 最後に、大体火力の中に原子力を含めることは無理であるということはお認めになっておられるようです。しかし、正力国務大臣に伺いたいのですけれども、火力の中に原子力を含めることは、学術的な、科学技術的な立場から見て、この所管の問題は、科学技術の所管は科学技術庁でありますから、科学技術の立場から見て、矛盾しておる。このことを明確にここに表明できるかどうか、その点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01419580402/9
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010・佐々木義武
○佐々木政府委員 お話のように、確かにいわゆる従来の火力という範疇といいますると、熱出力の以前の段階と思いますが、石炭なり石油なりをたいて、化学反応のもとに熱を出す過程と、そうでなくて、原子力のように、化学反応じゃなくて、物理反応そのもので熱を出すというその違いは、おっしゃる通りはっきり科学的に違うと申していいのじゃなかろうかと思います。ただ、その以後の電力に転用される、このエネルギーを出すというその過程を第二段階の過程と考えますと、やっぱり直接発電でない限りは、いわゆる熱力で蒸気等を利用して電気を出すわけでありますから、この過程は原子力発電でも、従来の普通の火力発電でも同じ過程じゃなかろうかというふうに、科学的にもいえるのじゃなかろうか。そこで、どの段階でこの問題を表明するかという問題になるわけですけれども、今までの解釈では、第二段階の段階で、サーマル・パワーということで解決がつくのじゃなかろうかと法律的には考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01419580402/10
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011・松前重義
○松前委員 また話が逆戻りしましたね。この速記録は残りますよ。そう無理な解釈を私はすべきではないと思う。何度も同じようなことを繰り返すようだけれども、その化学反応と物理反応というものは、学術的に根底からその現象が違うことはもう言うまでもないのです。学界では明確です。それを何かしらぬ今までやったことが悪くないというような言いわけをせんための答弁のように私は承わりますけれども、私が聞いておるのは、あなた方の言うようにこれがもし合理的なものであるというならば、堂々とこれを押していって、世界に向ってこれを示しても恥しくないというなら、これは法律を変える必要はない。しかし、私はこれじゃいかぬと思うのです。私だけじゃないのです。ほとんどすべての学者が、この点については同意できないで起る。われわれに対して同調しております。ですから、非常に小さな問題のようだけれども、本質的な問題なんで、原子力というものはそんな小さなものじゃありません。それじゃ、なぜ原子力の監督機構その他を科学技術庁に持ってきましたか。通産省になぜ持っていきませんか。火力の問題と同じなら、ボイラーと同じようにして、なぜ通産省に持っていきませんか。それほど行政機構にまでも大きな影響を及ぼすような問題、しかも、平野君の言うような放射能の被害等は非常に大きいのだから、当然促進法を作るときに、原子力というものはそれらの問題も考慮されなければならないはずなのです。そんなことはもちろん当時考えていなかった。それに持ってきて、無理やりにくっつけるということは、非常に間違いだと思う。その点について、学術的な、ほんとうの科学技術的な立場から見て、原子力は火力の一部分である、そういう解釈がほんとうに成り立つとあなた方はお思いになるかどうか。これはもう一ぺん国務大臣から伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01419580402/11
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012・佐々木義武
○佐々木政府委員 どうも科学の大家に向って科学の説明をするのは大へん恐縮なんですけれども、エネルギー源といたしましてば、お説のように、石炭、石油は化学的な反応から熱を出しますし、原子力は物理区的の反応から熱を出す。それは明瞭に差異があるわけでございますが、エネルギーの発生装置そのものからいきますと、たとえばレシプロカル・エンジンとかあるいはタービンとかいうものでエネルギーを転化させまして、実際の電力の発生装置としては、従来の発電機そのもので電気を出すわけでありますから、エネルギー源といたしましては違いますけれども、エネルギーの発生装置あるいは電力そのものの発生装置等の過程からいきますと、両者には今のところは差異がないように考えられますので、そのエネルギー源自体が違うから、これはサーマル・パワーというふうに言えないという議論にするか、そうじゃなくて、エネルギー源は違うけれども、エネルギーの発生装置あるいは発電装置そのものは同じだという点を科学的にとらえて、その面からサーマル・パワーの範疇に入るという解釈をすれば、それでも解釈はつくのじゃないかというふうにも見られます。ですから科学的にどうという問題じゃなくて、法理論としていずれの範疇を採用すべきかというところに問題があるのじゃなかろうかというふうに考えるのであります。そういたしますと、ただいままでの解釈でば、エネルギーそのものをとるんじゃなくて、たとえば、石炭電力とか石油電力とかいう議論じゃなくて、これはやはりエネルギー源が違っておっても、その過程は、たとえばエネルギーの発生装置が、水力でありますと御承知の水車でありますが、火力でありますとダービンというふうに違ってくるわけでありますので、そういう点をとらえていきますと、サーマル・パワーの中に入れてもいいのじゃなかろうか、こういうふうに解釈しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01419580402/12
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013・松前重義
○松前委員 それじゃもう促進法はこれでよろしいという結論ですね。もう変える必要なし、火力発電の中に将来とも法律においては原子力は含めていく、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01419580402/13
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014・佐々木義武
○佐々木政府委員 ただ、先ほど通産大臣からもお話がありましたように、そういう解釈ももちろん成り立ちますけれども、しかし、エネルギー源そのものは、御説のように、科学的には明瞭に化学反応、物理反応という差異があるものでありますし、また原子力というものは非常に新しい事態に立ち至っておるわけでございまして、そういう解釈を明瞭にするために、機会がありますれば、そういう問題をはっきりさせるということが必要じゃなかろうかということに関しましては、私も同感であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01419580402/14
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015・松前重義
○松前委員 どうもはっきりしない答弁なんです。私はちょっと用事があって、ほかの委員会へ出なくちゃいけないから、急いでおりますりので、簡単に御答弁願います。これは国務大臣から伺った方がいいと思います。要するに、もう今までで議論は尽きておりますから、いろいろ御回答もありましょうけれども、大体無理だということはだれも知っております。常識的に、幾ら陳弁されても、形を変えた方がいいのです。また変えなければならぬのです。言いわけばかりしておっても仕方がないのです。その意味において、科学的解釈において非常に無理がある。やっぱり原子力発電は原子力発電としての、一つの原子力というものを頭に出しての表現にした方がよろしい。そうして、将来むしろ石炭にかわるべきものになろうとしておるのですから、そういうふうな表現にして、当然すみやかにこの持代におくれぬようにしなければならぬということが当然だと思う。その点について一つ時代の進歩に即応して、こういうふうにやるという問題について、どういうようにお考えであるか伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01419580402/15
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016・正力松太郎
○正力国務大臣 先ほども申し上げました通りに、火力の中へ原子力を入れるということは、とにかく一般から考えれば、どうしても無理だという感じはいたします。解釈は、できるだけ一般に従うように変えた方がいいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01419580402/16
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017・松前重義
○松前委員 科学技術庁長官は、変えた方がいい、通産大臣は軽率には変えないが、しかしのんきにはしてない、こういうお話でありましたが、表現はいろいろできますけれども、これはどうですか。この次の国会等におきまして、いつ解散になるかは別として、すみやかに私はこの日進月歩の態勢に即応せしめたがいいと思うが、お出しになる意図があるかどうか。もし今国会に出せなければ、来国会にでもお出しになる決意があるかどうか伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01419580402/17
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018・前尾繁三郎
○前尾国務大臣 電力関係の法令につきましては、御承知のようにいろいろ問題があるわけでございます。それについては、たとえば、ただいま電気料金制度調査会というようなものが設けてありまして、結論がことしの暮れに出るというような問題もあります。従って、われわれとしましては、極力、電力関係の行き方、また法令全般についての再検討を、根本的にやらなくちゃならぬと思っておるのであります。しかし、これが来国会といいますか、あるいは次にある国会に必ず出すと言える程度のものじゃありませんので、おそらく次の通常国会ということになると思います。その際に原子力問題につきましても根本的に考え、そうしてすべて織り込んでいくというふうに考えております。次の特別国会というようなお答えはできませんが、早急の機会をねらって、できるだけ早く、最も時代に即応した法律にかえていきたい、その際に取り上げたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01419580402/18
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019・松前重義
○松前委員 この問題は私ども非常に問題にして今日まで来たのでありますが、いずれにしても、あまりこういうふうな、法律が科学に優先するような考え方は、法制局においても今後考え直してもらいたいと思うのです。同時にまた、ただいまの両大臣の御答弁のように、すみやかにこの問題を常識的に解決したいという御趣旨のようでありますから、私はこれ以上御質問もしませんが、これをすみやかに行動に移してもらいたいということを要望いたします。しかし、科学技術庁においては、私は、やはり火力の中に原子力という大きなものがのみ込まれるということを、少くとも原子力局長が肯定するというようなことは一つ改めてもらって、偉大なる佐々木局長という存在に対して、これは実はあまりに謙遜すぎると思うのでありまして、そこのところは、一つ原子力を中心にして今後におけるエネルギー資源を開発してやるのだという気魄を示して、火力なんかは逆に吹き飛ばしてしまうくらいの気力を示してもらいたいと思います。法律解釈はいろいろお考えはありましょうけれども、私は、そういう意味においても、特にこの問題は非常に重要な政治的な意味を持つものであると思いますので、一つ急速にこれに取りかかっていただきたい、こういうふうに思います。これで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01419580402/19
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020・齋藤憲三
○齋藤委員長 田中武夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01419580402/20
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021・田中武夫
○田中(武)委員 松前先輩は今の答弁で大体了承せられたようですが、私はできません。私は松前先輩と同じような意見を出して、同じような質問を何回か当委員会あるいは予算の分科会等々でも行なって参りました。その都度、やはり各閣僚間あるいは政府委員間の答弁が一致していないと思います。われわれは、原子力発電株式会社に電源開発が出資したということが違反ではなかろうか、すなわち電源開発促進法第十三条の第二項第三号の「火力」の中に原子力を含むかどうかという考トえ方について、含まないという考え方を持っておるのは、その理由は何回も申し上げましたが、もう一度私の考え方を申し上げますと、第一点の理由は、この促進法は昭和二十七年に制定せられたものである。従って、その当時、原子力というものは想定もしていなかった。だから、立法者の意思は、この「火力」の中に原子力を含んでない。もう一つは、先ほど来松前先輩が何回か繰り返して言われているように、技術的に見てこの「火力」の中に原子力を含めていないのじゃないか、すなわち、この「火力」は、今までは化学反応による熱、すなわちケミカルの範疇において考えておった。それは原子力といったような物理の範疇にまで含まっていないのじゃないかという点。もう一つは、電源開発促進法は、商法の特別法だと思うのです。従って、特別法は厳格に解釈することが法の建前だと思う。法理論的に厳格に解釈すべきだということが一定した意見であります。それならば拡張解釈を許すべきでない、こういうような点からわれわれは含まっていないと考える。従って、原子力発電株式会社への電源開発の出資は法律違反である、そうなるならば、この設立行為も瑕疵がいる、こういうふうに見ているわけです。こういう点について、何回かの質疑応答で明らかになっておることは、正力国務大臣ははっきりと、原子力を入れたがよかろうと思う、こういうことを言った。前尾通産大臣は、そういったようなことは若干直す必要もあろうと認められておるが、慎重にして急ぐ必要もなかろう、ほかの問題と一緒に、こういうような御答弁だったと思う。それから前に私が河野長官に伺ったときには、河野長官は、私はそういうこまかいことはわからぬからということで、法制局の解釈が、含むという以上、それでいいのだという御意見だった。そこでお伺いしたいのですが、前尾通産大臣は、これが法律上なお疑問があるということをはっきりと考えておられるのか、それとも現在の法律を改正しなくてもやれるのだと考えておられるか、その点もう一ぺんはっきりと御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01419580402/21
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022・前尾繁三郎
○前尾国務大臣 原子力のうちで、直接のものを除いては火力の中に入る、法律違反ではない、かように考えております。すなわち、違法の問題と、それが適当であるかどうかという問題は別でありまして、法律の解釈としては違反ではないと思っております。要するに、原子力と火力とある一面で一致するということでありまして、ただいまのお話は、当時予想していなかったとしましても、その後にいろいろなものができました場合に、その中に入るか入らぬかということは法律自体で解釈すべきものでありまして、私は、いわゆる違法ではない、適当であるかどうかにつきましては適当でない、将来において当然法律全体の構成を変えていかなければならぬだろう、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01419580402/22
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023・田中武夫
○田中(武)委員 適当ではないが違法ではない、こういう解釈ですか。それから先ほどの佐々木局長も、何だか技術的な——私はよくわからぬが、こじつけたような解釈で、火力の中に含まれるのだと解釈しても差しつかえない、こういうようなことだったと思います。違法と適当でない、こういう違い——違法であれば、それは取り消す必要がある。適当でないと認められておりながら、法を直ちに直そうというお考えはないのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01419580402/23
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024・前尾繁三郎
○前尾国務大臣 それは先ほど来申しておりますように、全体の構成を考えていかなければなりません。従って、極力早い機会には直していきたいと思いますが、あわてて妙なものを作ったのではいけませんから、慎重にあらゆる問題を考えながら直していくというふうに考えております。これは先ほど来お話のように、原子力というものを表に出していくべき時代になっていることは、私も十分承知いたしておるのであります。ただ、今の段階においてこの原子力を挿入する、しないというような問題、また今度の電源開発の出資という程度の場合におきましては、違法でなければまずそのままにいたしまして、極力根本的な改正を考えていくというのが最も妥当なことでないか、かように私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01419580402/24
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025・田中武夫
○田中(武)委員 私は違法だと言っておる。違法でないという法律的な、私の納得のいくような説明を願いたい。先ほど、二十七年のころにはもちろん原子力を考えていなかったが、時代の移るに従ってそういうふうに解釈していくのが正しいのだ、こういうことなんですが、私が申し上げているのは、特別法は厳格に解釈すべきことが法的常識だと思うのです。特別法なるがゆえに、火力を、事情が変ったことに対して拡張解釈すべきではない。それでは、電源開発促進法の十三条に、どこそこの川のどうとか、どこそこのダムとかいったように、ずっと列記的に書いていますが、あれは厳格にやるということじゃないのですか、どうなんですか。たとえば、あそこに掲げてある以外の地域を開発する場合は、やはり、それも含まれるわけですか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01419580402/25
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026・前尾繁三郎
○前尾国務大臣 特別法を一般法よりも厳格に解釈するのは相対的な問題でありまして、事柄によって考えていかなければならぬと思います。私は、火力の問題を、特別法なるがゆえに拡張解釈といいますか、当然解釈としてとり得るものを局限しなければならぬ、かようには考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01419580402/26
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027・田中武夫
○田中(武)委員 当然火力の中に入ると思っておられるような答弁ですが、そうなんですか。当然入るのですか。当然入るなら、なぜ適当でないと言いますか。あなたは適当でないということは認められておるのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01419580402/27
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028・前尾繁三郎
○前尾国務大臣 原子力発電のうちで、熱力によるものは火力に入るわけであります。従って、私は当然火力に入るというふうに考えております。適当でないと言いますのは、むしろ直接間接を問わず、原子力というものを一本の柱に立てて、今度は火力を局限いたしまして、原子力によるものは火力に入らぬのだ、逆の制限をするというのが将来のいき方としてはいいのでないかと思っておりますので、そういう意味で過当でないというふうに申し上げておるのであります。私の考えております点は、十分おわかり願えると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01419580402/28
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029・田中武夫
○田中(武)委員 十分わかりませんのですがね。どうも適当でないということと違法でないということ、しかも違法でないと言われる中に、当然火力の中に入るだろうという、当然入るのなら、適当でないということは出てこないと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01419580402/29
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030・前尾繁三郎
○前尾国務大臣 現在の火力の定義においては入り得る部分があるわけです。将来においてはむしろ入らぬような定義を火力に入れまして、そうして、原子力というものを直接間接を問わずに原子力というので打ち出して、その定義をきめていくということが適当である、かように考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01419580402/30
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031・田中武夫
○田中(武)委員 どうも法律の解釈論で、いつまでやっておっても水かけ論といいますか、結論が出ない。最高裁へ持っていって決定してもらわなければならぬ。それでは原子力発電会社を相手にこちらから訴訟を起す、それよりほかに道はないと思うのです。ここでこれ以上やっておってもしょうがない。しかしながら、正力国務大臣は早い機会に入れるべきだと言う。今の答弁によると、将来整備するときに考えようと言う。河野国務大臣は、そんなものは全然考える必要はないという答弁を前にしておる。閣僚間に意見が相違しておるのですが、十分話し合って結論をわれわれに出してもらいたい。あくまで通産大臣の言われるようだったら、訴訟を起すよりしようがない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01419580402/31
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032・齋藤憲三
○齋藤委員長 ほかに御質疑はありませんか。——なければ、本問題に関する質疑はこの程度にとどめます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01419580402/32
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033・齋藤憲三
○齋藤委員長 次に、放射線障害防止の技術的基準に関する法律案を議題として、質疑を行います。質疑は通告に従いまして、順次これを許します。
前田正男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01419580402/33
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034・前田正男
○前田(正)委員 この際大臣に一言お聞きしたいと思います。私はこの法案自身の内容についてはあまり異論がないのでありますけれども、実はこの法案の提案理由を述べられた中にも書いてあるのでありますが、この法案については、去る二十六国会におきまして、当委員会で附帯決議を付しておるのであります。放射線障害の防止ということは国民の最も深い関心事であるから、放射線全般にわたっての障害防止に関する基準的な性格の法律を作れ、こういうことをわれわれの方から附帯決議を出しておるわけです。ところが、今回出て参りましたのは、その第一段階として、取りあえず技術的な基準をきめる法案というものを出しておられるわけです。技術的な基準をきめられることについてはわれわれも異論はないですけれども、これだけでは、私たち特別委員会として期待した放射線全般にわたる障害防止ということにはならないのじゃないかと思うのです。なぜかと申しますと、放射線全般にわたるところの問題は各省が分れて持っております。たとえばエックス線の問題については、医療関係は医療法だとか、それから通産省の関係は、現在通産省の方でそういう取締りの法律を作っておりません。ところが、実際問題としては、大臣も御承知の通り、現在溶接なんか行いました場合には、ほとんどレントゲンとかアイソトープを使って検査をいたしておるのであります。あるいはまた着物の検査なんかも大てい行なっておるというふうに、工業方面に非常にこの放射線を利用しておる実例が多いのであります。それからつまたそれに伴いまして、労働基準の法律であるとかそういったものも、みんな改正をしなければならぬというこになってきております。ぜひ各省庁はそういうことに関する所要の法律を整備しろということを、附帯決議で申しておるのであります。実は技術的基準の法案を出されるけれども、そういう全般にわたるところの所要の法律の方は整備しておられないのが、現在の政府の状態であります。そこで私どもは、せっかく技術的基準を作られるということについては異論ありませんけれども、各省庁全般にわたって、われわれが附帯決議を付しました通り、国民全体の障害防止という立場から、この際所要の法律を整備すべきではないかと思うのであります。しかしそれは、科学技術庁だけでなく、各省にわたっておることでありますけれども、こういうことを所管しておられる科学技術庁の長官としては、各省大臣にそういうことを要望されるべきである。実はたびたび大臣の下の事務当局としては要望しておるようでありますし、またわれわれ党からもたびたび要望しておるのですが、事実はなかなかやらないところもあるのであります。そこで、私が大臣に特に御質問したいと思っておることは、科学技術庁の設置法によりまして、科学技術庁長官はそういうことを勧告できる権利を持っておられるのであります。それで、事務当局にこれから折衝させられることはいいのですが、事務当局ではどうしても各省が言うことを聞かぬというなら、大臣はこの際科学技術庁の長官としての権限を行使して、国会で決議されたこの趣旨に沿うた勧告をさるべきであると思うのでありますが、どう考えておられるか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01419580402/34
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035・正力松太郎
○正力国務大臣 御趣旨の点はまことにごもっともと思いますので、この点はなおよく研究いたして、御趣旨に沿うようにしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01419580402/35
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036・前田正男
○前田(正)委員 大臣にぜひ一つお願いしたいと思うのです。われわれは科学技術特別委員会でみんながよくわからない科学技術、特に原子力という問題を取り上げていろいろやっておるのでありますが、やはり国会の立場から見れば、国民全体に及ぼすところの放射線障害防止という問題につきまして当然責任があるし、政府も責任があることでありますから——みんながあまりわからぬから、各省の大臣はそんなに大事な法律でないようなことであと回しにしておられて、事務当局やわれわれが言ってもなかなかやらないのです。そういうことに対しては、大臣がそういう権利を持っておられるのですし、同時に科学技術庁長官としての義務であるかもわからぬのですから、一つ強い決意を持って、各省に立案するように要望していただきたいと思うのであります。
その次にちょっとお聞きしたいと思いますことは、やはり同じことにかかるのでありますが、放射能の灰によるところの障害、これはやはりわれわれが附帯決議として、ぜひ一つ取り上げろということを申しておるのでありますけれども、この問題にいたしましても、実は今度の法律によりますと、要するに技術的基準をきめる関係上、単に放射能の障害の測定をするための基準をきめることをこの審議会でやるということだけになっておって、放射能の障害に対する調査について統一的にやるということは今度の法律にはないのであります。ところが、大臣もすでに御承知の通りと思いますけれども、放射能障害というものに対しましては、政府は一応厚生省で何かそういう審議会みたいなものがあるそうでありますが、これは厚生省だけでなくて、気象関係でいえば気象庁、原子力関係でいえば科学技術庁というふうに、非常に各方面にわたっておるものであります。ところが、国民の諸君はそういう実態がわからぬものですから、各方面にわたって関係があるにもかかわらず、たとえば、どこかの大学とかどこかの研究所とかいうようなところで、こんなふうな放射能障害があったというようなことを新聞に書きますと、まるでそれが決定的な権威のような感じを持って、新聞に載ったのは、とにかくこれは事実決定的なものだ、権威あるものだ、こういうふうに考えておるのです。ところが、そういうものではなくて、放射能障害というものは、今申した通り、大学だけではなしに、政府関係におきましても各省に関係のあることで、これはどれだけの放射能の障害を現在及ぼしておるかとか、どういうふうな障害があるかということは、その大学の研究関係と政府の各省とが十分に打ち合せて、現在日本にはこういうふうな灰が降って、こういうふうな障害がある、あるいはこういうふうな対策を講じなければならぬという権威あるものを出さなければならぬと思うのです。ところが、今度は単に技術的な測定をするというものだけになりまして、これも実はわれわれの意図したものとは非常に違うのです。で、そういうふうな誤ったことが行われるのでは困ります。単にこれは厚生省の主管だけのものではないと思います。国民は、空から降ってくる放射能の灰とか、廃棄物とか、その他いろいろなことによります放射能の影響とか、こういったものを非常に心配しております。それが誤ったような簡単な報道で非常な誤解を生じておるのであります。これを一つぜひもっと権威あるものに統一して、政府としてもやっていただきたい。これはあらためて別の機会に、政府としてはそういうものを統一される審議会を作るとか対策を講ずるように考えるとか、そういったものを、一つ国会の方へ御提案を願わなければならぬと思っておるのですが、大臣はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01419580402/36
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037・正力松太郎
○正力国務大臣 放射能の障害については、世論も非常に注意しておりますし、また重大なことでありますので、実は原子力委員会の部会でそれを研究調査しつつあります。そうして、御期待に沿うようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01419580402/37
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038・前田正男
○前田(正)委員 原子力委員会で対策について研究されるのはいいですけれども、これは原子力委員会だけの問題ではないのです。原子力委員会ももちろん科学技術庁の立場で問題になりますが、さっき申しました通り、これは一応厚生省にそういうふうな関係の審議会があるようでありますけれども、これは気象庁とか運輸省とか大学、各方面に非常に関係があります。そういうものは、原子力委員会は原子力委員会でこう考える、大学は大学でこう考える、厚生省は厚生省でこう考えるということでは国民も非常に困るし、それに対する政府の対策も不統一なわけであります。やはりこれは統一して、政府として現在の調査状況を明らかにして、被害状況等を明らかにし、同時にその対策等も明らかにする、その統一したものを考えてもらいたい、こう思っておるわけです。どうぞ一つその点大臣から各省の大臣に向って強く要望していただきたいと思いますが、もう一度大臣のお考えを承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01419580402/38
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039・正力松太郎
○正力国務大臣 今のお話はまことにごもっともでありますし、そして重大なことでありますから、その点はなおよく研究いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01419580402/39
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040・前田正男
○前田(正)委員 研究だけではなく、各省と一つ御折衝をお願いしたい、その点をぜひ大臣にお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01419580402/40
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041・齋藤憲三
○齋藤委員長 田中武夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01419580402/41
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042・田中武夫
○田中(武)委員 この放射線障害防止の技術的基準に関する法律案に、許容量をこえてはならぬという規定があるのですが、この許容量をこえてはならぬのは当りまえのことで、それがこされたら大へんなことです。そこで問題は、どこが基準かということです。それはどうしてきめるのですか。それはいろいろ意見もあるだろうと思いますが、最高の権威はどこなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01419580402/42
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043・佐々木義武
○佐々木政府委員 これはもちろん審議会でそういう点も審議して御決定をいただくわけでございますけれども、ただいままでの考えでは、やはり国際基準を一つの目安といたしまして、国際基準に準拠して、それと日本人の特性と申しますか、そういう点も考えまして、そうして最終的に決定いたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01419580402/43
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044・田中武夫
○田中(武)委員 いわゆる何カウント以下といいますか、こういうことになると思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01419580402/44
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045・佐々木義武
○佐々木政府委員 一週間大体三百ミリレントゲンくらいが国際基準になっております。ところが最近、国際基準全般は下っておりませんけれども、国によってはそれを切って、もっとシビアーに押える国も出て参りましたので、そういう点も十分考えましてきめたいというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01419580402/45
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046・田中武夫
○田中(武)委員 私は、国際基準なるものが、果してほんとうに許される範囲なのかどうか、こういうこと自体が問題だと思うのです。この法律によって、基準というか、許容量以下でなくちゃならぬということは当りまえのことなんです。どこまでだということが問題だと思う。従って、国際基準はもちろん一つの目安にはなろうと思う。だがしかし、日本人の体質等もあるだろうし、ことに感じからいって、日本人はこの放射能というものに対して、むしろ他の列国より恐怖症にかかっておる、そういう問題もあるだろうし、これはどういうところできめたのが安心できるのかということが心配になるわけなんです。そういう点について、国際基準は一応目安になるだろうが、日本の特殊性をもっと見て、誤まりのない厳格なところをきめてもらわなければならない、こう思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01419580402/46
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047・佐々木義武
○佐々木政府委員 全くお説の通りだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01419580402/47
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048・齋藤憲三
○齋藤委員長 本日の議事はこの程度にとどめ、次会は明三日、午後一時より開会することといたします。
これにて散会いたします。
午後零時六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102803913X01419580402/48
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