1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年三月十三日(木曜日)
午前十一時十九分開議
出席委員
委員長 西村 直己君
理事 内海 安吉君 理事 大島 秀一君
理事 大高 康君 理事 荻野 豊平君
理事 久野 忠治君 理事 前田榮之助君
理事 三鍋 義三君
逢澤 寛君 荒舩清十郎君
井原 岸高君 櫻内 義雄君
徳安 實藏君 中嶋 太郎君
南條 徳男君 堀川 恭平君
横井 太郎君 井谷 正吉君
中島 巖君 安平 鹿一君
出席国務大臣
建 設 大 臣 根本龍太郎君
出席政府委員
建設政務次官 堀内 一雄君
建設事務官
(大臣官房長) 柴田 達夫君
建 設 技 官
(道路局長) 富樫 凱一君
委員外の出席者
建設事務官
(道路局路政課
長) 三橋 信一君
専 門 員 山口 乾治君
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三月十二日
委員赤路友藏君辞任につき、その補欠として小
川豊明君が議長の指名で委員に選任された。
同月十三日
委員廣瀬正雄君、松澤雄藏君、池田清志君及び
薩摩雄次君辞任につき、その補欠として櫻内義
雄君、中嶋太郎君、南條徳男君及び横井太郎君
が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員櫻内義雄君、中嶋太郎君、南條徳男君及び
横井太郎君辞任につき、その補欠として廣瀬正
雄君、松澤雄藏君、池田清志君及び薩摩雄次君
が議長の指名で委員に選任された。
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三月十一日
宅地建物取引業法の一部改正に関する請願(加
藤鐐五郎君紹介)(第一八一四号)
同(田中伊三次君紹介)(第一八一五号)
同(田中久雄君紹介)(第一八一六号)
同(三鍋義三君紹介)(第一八九〇号)
報徳橋改修に関する請願(小金義照君紹介)(
第一八一七号)
台風常襲地帯に対する特別法制定に関する請願
(中島茂喜君紹介)(第一八一八号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
日本道路公団法の一部を改正する法律案(内閣
提出第八九号)
道路法の一部を改正する法律案(内閣提出第九
七号)
道路整備緊急措置法案(内閣提出第九八号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X01319580313/0
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001・西村直己
○西村委員長 これより会議を開きます。
この際、政府より道路五ヵ年計画につきまして、発言を求められております。これをお許しいたします。富樫道路局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X01319580313/1
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002・富樫凱一
○富樫政府委員 道路整備五ヵ年計画案につきましては従来御説明申し上げておったところでございますが、取りまとめまして説明させていただきたいと存じます。お手元に道路整備五ヵ年計画案がお配りしてあります。
一、道路整備五カ年計画策定の基本方針
道路整備五ヵ年計画は法律施行を待って閣議決定することになるのであるが、おおむね次のごとき方針をもって立案する予定である。
すなわち、今後五ヵ年間における総道路投資額九千億円より、地方公共団体が単独で実施すべきものおよそ千九百億円を除いて、その規模を総額七千百億円とし、昭和三十三年度より五ヵ年間にわたり道路の整備を行わんとするものである。
その整備の基本方針は次の通りとする。
一、幹線的道路の整備の促進をはかり、特に一級国道は七ヵ年間に完成することを目標とする。二、その他の道路については重要な区間、すなわち交通量多く輸送上の隘路となるべき区間並びに産業開発上必要な路線で、特に緊急に整備を要する区間を整備する。三、有料道路事業の計画的実施をはかるため、これをこの計画の一部として包含するものとし、また高速自動車国道の整備の促進をはかるものとする。四、一級国道は原則として国が直轄で建設するほか、交通量多く、重要な区間は国が直轄で維持修繕を行うものとする。五、積雪寒冷地域における道路交通の確保に関する特別措置法に基く道路整備事業はこの計画に包含するものとする。
二、道路整備五ヵ年計画の概要
上記の方針によって実施すべき道路整備五ヵ年計画の内容については整備の基準等について今後検討しなければならないのであるが、事業費の配分についてはおおむね次のごとくしたい考えである。
有料道路事業千五百億円、一般道路事実五千六百億円、うち道路事業四千二百五十四億円、街路事業千六十四億円、機械整備百五十九億円、調査十一億円、雪寒道路事業百十二億円、合計七千百億円。
なおこれら実施に要する財源の確保をはかり、毎年度の事業規模の拡大強化に備えて、道路整備特別会計を設置する考えである。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X01319580313/2
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003・西村直己
○西村委員長 さらに根本大臣から発言を求められております。これを許します。根本建設大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X01319580313/3
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004・根本龍太郎
○根本国務大臣 ただいま道路局長から五ヵ年計画の概要について御説明申し上げたのでありますが、御承知のように道路整備緊急措置法案が成立いたしますれば、これに基きまして今度は閣議決定をすることになるのでございます。これには関係各省の意見の調整も必要でございますし、なおまた道路審議会の議を経なければこれは政府として決定いたし得ないのでございますので、そのために政府の道路整備五ヵ年計画が決定して、こちらにお示しするには相当の時間がかかると存じます。しかし当省としては、できるだけ早くこの正式案を決定するように努力するとともに、当省として考えておる案を四月中にはお示しいたしまして、いろいろと御協力、御審議あるいは御批判を承わりたいと考えておる次第でございますから、御了承のほどお願いいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X01319580313/4
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005・西村直己
○西村委員長 次に日本道路公団法の一部を改正する法律案、道路法の一部を改正する法律案及び道路整備緊急措置法案の道路関係三案を一括して議題とし、審査を進めます。これら三案に対する質疑は、前回の委員会におきましてすでに終了いたしております。
この際、道路整備緊急措置法案に対しまして三鍋義三君より修正動議が提出されておりますから、その趣旨弁明をお許しいたします。三鍋義三君。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X01319580313/5
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006・三鍋義三
○三鍋委員 この際、私は日本社会党を代表いたしまして、道路整備緊急措置法案に対し、修正の動議を提出いたすものであります。案文はお手元に配付してあることと存じますが、一応朗読いたします。
道路整備緊急措置法案に対する修正案
道路整備緊急措置法案の一部を次のように修正する。
第五条第一項中「昭和三十三年度」を「昭和三十三年度以降五箇年間」に改め、同条第二項を削る。
次に本修正案を提出いたしました理由を申し上げたいと思います。
このたび提出されました昭和三十三年度を初年度とする道路整備五カ年計画は、その規模において七千百億円を五カ年間に要するものであり、これに地方公共団体の単独事業一千九百億を合せますると九十億円に上りまして、まことに画期的なものといえるのであります。国の事業施行については当然地方公共団体にその一部を負担させることになっておりますが、事業量の著しく増大する今回の計画に、果して地方公共団体がこれを負担していけるかどうかは、本計画遂行上の重大問題でありまして、地方公共団体の負担の割合ないし補助率はきわめて慎重に定められなければならないと存ずるのであります。新たなる五カ年計画を規定する道路整備緊急措置法案の第五条は、昭和三十三年度についてのみ現行道路整備費の財源等に関する臨時措置法に規定する法律の負担ないし補助率を適用することになっておりますが、昭和三十四年度以降については何ら具体的に定めるところなく、別に法律をもって定める旨を規定しております。五カ年計画を円滑に支障なく遂行せしめるためには、昭和三十四年度以降についても、はっきりと昭和三十三年度と同様にする旨の規定をする必要があると考えまして本修正案を提出する次第であります。
この問題につきましては当委員会はもとより、地方行政委員会との連合審査の過程におきましても、超党派的な観点から、慎重に要望された事項でありますので、何とぞ超党派的な立場に立って、この道路行政を推進するため、その成果をより大きくならしめるために、この際全会一致をもって御賛成を賜わらんことを心からお願いいたしまして、提案理由の説明といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X01319580313/6
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007・西村直己
○西村委員長 ただいまの三鍋義三君の説明に対し、御発言はありませんか——御発言がないようでありますから、三鍋義三君提出の修正案及び道路関係三案を一括して討論に付します。
討論の通告がありますからこれをお許しいたします。中島巖君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X01319580313/7
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008・中島巖
○中島(巖)委員 私は日本社会党を代表して、ただいま議題となりました道路整備緊急措置法の一部修正案に賛成し、修正案を除く原案に賛成するものであります。また一括上程になりました道路法の一部を改正する法律案、日本道路公団法の一部を改正する法律案に賛成の意を表するものであります。
まず最初に修正案に賛成する理由を申し上げます。同法第五条は「昭和三十三年度における地方公共団体に対する道路の舗装その他の改築又は修繕に関する国の負担金の割合又は補助金の率については、道路法(第八十八条を除く。)及び道路の修繕に関する法律の規定にかかわらず、改築については四分の三、修繕については二分の一の範囲内で、政令で特別の定をすることができる。」さらに同条二項において、「昭和三十四年度以降における前項の国の負担金の割合又は補助金の率については、別に法律で定めるところによる。」となっているのであります。すなわち本条に示す高率補助は、昭和二十八年七月二十三日法律第七十三号、道路整備費の財源等に関する臨時措置法第四条に規定されておる国の負担金、補助金と同じ率なのであります。従ってこの国の負担率、補助率は過去四カ年年間実施してきたのであります。しかるに政府は、今回昭和三十三年度を初年度とする新道路整備五カ年計画を策定し出て、岸内閣の内政面としての重要施策として打ち出したのであります。すなわち五カ年間の道路整備費予算九千億円、その内訳は有料道路費用一千五百億円、地方公共団体単独費一千九百億円、国または地方公共団体で行う国の負担または補助のあるもの五千六百億円となっているのであります。以上の数字の示す通り、新五カ年一計画一は、旧五カ年計画の倍額以上の予算額となっているのであります。従って現行補助率においてすら、地方公共団体の負担はその財政を脅かすもの人なるものありと考えるのであります。これがかりに地方公共団体の負担率を道路法第五十条並びに第五十一条の示す法規定による場合は、政府の策定したる道路整備新五カ年計画、すなわちただいま議題となっておる道路整備緊急措置法は、地方公共団体の負担の点において実行不可能となるものと考えるのであります。従ってこの点を明確にしない限り、道路整備新五カ年計画などあり得ないと考えるのであります。これに対して修正案は、地方公共団体の負担率を、新五カ年計画の間は昭和三十三年と同率として五カ年間における負担率を明確に規定して、地方公共団体に対して明三十四年度以降の、五カ年計画中の各年度の事業計画並びに予算の編成を迷うことなく策定できるべく規定されているのであります。本法案審議の途上において、自民党の委員の諸君よりも多数の原案反対の意見が述べられ、ことに地方行政委員会との連合審査会においては、自民党の加藤精三君から強い原案反対の意見の開陳がありました。まただれひとり原案賛成の意見のなかったことは、委員各位の御存じの通りであります。以上をもって一部修正動議に賛成の討論を終るものでありますが、審議の過程から見て、満場一致修正案に賛成されることを期待するものであります。
次に私は本法律の修正案を除く原案に賛成の討論を行うものであります。しかしながら結論的には賛成いたしましても、幾多政府と意見を異にいたす点がありますので、この際この点を明確にいたしておきます。
その第一点は道路制作の基本構想であります。現在の道路法は大正八年に制定された旧道路法の精神そのままが
一貫して流れていると思うのであります。昭和二十七年法律第百八十号として改正されたのでありますが、そのときの法律改正の重点は、新憲法下、民主主義制度下の変革による旧来の諸制度の再検討というのでありました。また昨年改正が行われましたが、これは道路の種類に高速自動車国道を加えんとするもの、すなわち建設省において自動車専用道路の築造並びに維持管理ができることとして、それが所要の修正でありました。すなわち端的に申し上げれば、大正八年制定の道路法により、法規制も行政機構も行われると見るべきであります。言葉をかえて申し上げれば、人と馬だけの短距離交通が現政府の基本政策の根幹をなしているとしか思えません。その端的の現われが今回政府の策定した新道路整備五カ年計画といえると思います。
この計画の内容は、徳川時代の東海道、中仙道あるいは甲州街道とかの道幅を広げるとか、舗装をするとか、隧道をあけるとかが主たるものであります。これは道路政策ではなくして道路工事工程表ともいうべきものと思います。大正八年の全国の自動車数は五千五百台で、うちトラックはわずかに四百四十四台であります。現在は二百万台をこえて、質において大別化し、高速化しております。従って道路のいかんによっては中距離、長距離輸送の使命を十分に果せるのであります、このような状況の現在は、まさに道路政策の転換期であり、革命期であると考えるのであります。従って旧来の必要に迫られて交通量の多いところの道路改修を行うことのみに専心する、すなわち後進性——あとから進む道路政策ではなくして、この転換期における交通政策は、全日本の普遍的開発、産業経済の発展、生活領域の拡大という立場から百年の大計を樹立すべきであると考えるのであります。ちょうど明治時代に超重点施策として新たに鉄道を建設したような構想をもって、ここに新たなる高速自動車道を幹線とする道路網の形成をはかるべきであると思うのであります。かかる革命的政策を行うのは、いずこの国または古今の歴史を見ても、その国が豊かであるということではなくして、信念に燃えた指導者が国民にほうはいたる希望を抱かせることによって成就していると考えるのであります。
その第二点は有料道路についてであります。現在政府の帯本方針は有料道路は完全償還を前提といたしております。現在着工中の有料道路の大部分は、一級国道二級国道中の道路改良、橋梁かけかえであります。これらの国道は元来無料公開の原則に立って国費をもって改修すべきであります。しかしながら何十年か立ちおくれたる道路整備を急速に行わんとする場合、この有料道路制の実施もまたやむを得ないでありましょうが、無料公開であるべき国道のある区間だけが全額通行者負担というのは、理論的にも実際にも全く了解ができがたいのであって、一般会計からも相当量投入すべきであると思うのであります。
その第三点は、ただいま討論いたしました法第五条の修正とともに、第四条における、地方公共団体が負担すべき当該負担金にかかる政令で定める利息があるときはその利息の合算額を負担すべき規定となっているが、道路整備は他の公共事業とその性質を異にするものであります。ことに長距離輸送化した現在の自動車交通は、負担したる地方公共団体の住民のみが受益すべきではないのであるから、地方公共団体の財政も勘案して、利息は免除すべきであると思うのであります。
その第四は、ただいま政府より発言を求められて、新道路整備五カ年計画の計画案を四月末までに提出するよう申されたのでありますが、本法第二条は、「建設大臣は、昭和三十三年度以降五箇年間における高速自動車国道、一級国道及び二級国道並びに政令で定める都道府県道その他の道路の新設、改築、維持及び修繕に関する計画の案を作成して閣議の決定を求めなければならない。」その第二項に、「道路整備五箇年計画には次の事項を定めなければならない。一、五箇年間に行うべき道路の整備の目標、二、五箇年間に行うべき道路の整備の事業の量、」三項、「建設大臣は、第一項の規定により道路整備五箇年計画の案を作成しようとするときは、当該案のうち高速自動車国道に係る部分については、あらかじめ運輸大臣に協議しなければならない。」四項、「建設大臣は、第一項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、道路整備五箇年計画を都道府県知事に通知しなければならない。」と規定されてあります。ただいま指摘いたしましたるごとく、本法並びに道路整備予算案審議は提出資料不備または不完全にして不適格であり、審議の対象とならないと思うのであります。まことに遺憾とするものであります。不本意ではあるが、諸般の情勢からこれを了承するも、今後厳に慎しむよう希望する次第であります。
以上、四点について遺憾の意を表するとともに、政府に再考を促すものであります。
今回政府の提出したる道路整備五カ年計画、すなわちただいま討論中の道路整備緊急措置法案は、昭和二十八年超党派で、ほとんど全員の議員が提出して成立したる道路整備費の財源等に関する臨時措置法の精神を継承するものであります。この法律の立案の趣旨は、戦後におけるわが国の経済の困窮なときであっても、道路整備こそは緊急を要するので、その財源としてガソリン税を全額充当し、これに一般会計から相当額を支出することを規定してあるのであります。しかるに歴代政府はガソリン税のみに依存して、一般会計よりの支出を怠ってきたので、あります。その結果はワトキンス勧告書の示す通り、わが国の道路が世界の工業国より四十カ年もおくれており、産業経済発達の最も大きな隘路となっているのも、この責任は歴代政府にあるといっても過言でないと思うのであります。ただいま討論中の本法案は、道路整備費の財源等に関する所要の親達を定め、その第三条一項においてガソリン税を実質的には目的税とし、その二項において、国の財政の許す範囲内において道路整備費の財源につき必要な措置を講ずることを規定してあります。同法とうらはらの法律案たる道路整備特別会計法によって財源獲得の範囲を拡大し、特別会計を設けたることは道路整備財源について飛躍的の前進であり、また今後に大きな期待がかけられることは、率直に認めるべきだと思うのであります。本法を跳躍台として将来急速なる道路整備が行われて、わが国産業経済の発展に寄与できることを深く期待するものであります。新たなる道路網の形成、すなわち交通政策に対する基本的理念において政府と見解を異にすることは、まことに遺憾であります。しかしながら現実に、現段階における諸般の情勢から見て、本法の成立は飛躍的の前進であることは何人も異論のないものと思います。本法提出に至るまでの政府内の当事者の努力と政治力は十分に買う、べきだと思います。
以上をもって、修正案に賛成、修正部分を除くと原案に賛成の討論を終ることといたします。
なお道路法の一部を改正する法律案、日本道路公団法の一部を改正する法律案に対しましては、賛成の意を表するものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X01319580313/8
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009・西村直己
○西村委員長 久野忠治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X01319580313/9
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010・久野忠治
○久野委員 私は自由民主党を代表いたしまして、ただいま日本社会党より提案されました道路整備緊急措置法案に対する修正案に反対、原案及び日本道路公団法の一部を改正する法律案、道路法の一部を改正する法律案について賛成の討論を行わんとするものであります。
私が今さら申し上げるまでもなく、日本の現在の道路交通の事情はまことに非近代的であり、その後進性は識者あるいは学者のつとに指摘するところであります。特に欧米先進国と比較をいたしますならば、少くとも五十年程度はおくれておると、まで極論をする向きもあるような次第一でございます。さような点から、先年道路整備に対する財源措置の臨時措置法が制定をせられまして、ガソリン税収入をもって道路整備に充てるという画期的な法案が整備され、道路政策を一歩進めることに相なった次第でございます。しかしながらこの制度をもっていたしましても、現在の日本の交通需要の伸びをカバーすることができないのが現実でございます。特に今回政府におきましては経済五カ年計画を策定せられまして、将来日本のあるべき国民生活の消費水準あるいはまた生産規模の拡大、こうした問題等について思い切った政策を立案せられたのでございます。この経済五カ年計画の中に、明らかに日本の交通の隘路が指摘をせられておるのでございまして、この隘路部門を是正する意味合いから、の際思い切って道路事情改善のために道路政策を改善しようということで、御存じの通りの法案が今回提案をされたような次第でございます。政府側の説明によりますれば、今後五カ年間において地方公共団体の単独をも含めて九千億の事業量を行おうとするものであります。さらにその財源措置といたしましては、揮発油財源、また一般会計からの繰り入れの増大、さらに国の工事に対する地方負担金分を一括預金部資金からの借り入れとし、将来は一般借り入れの道をも開きまして、五カ年間にこれだけの事業量を完遂いたしたいという目標であります。このような政策をもとといたしましてできました法律案でございますから、私たちといたしましても全面的にこれに賛意を表したいと存ずるような次第でございます。しかしながら昭和三十四年度以降におきましてこのような道路政策を進める際に、地方財源に相当大幅な負担がかかるものと想定をされるのであります。さような意味合いから、でき得る限り地方財政との関連性において地方財政計画に重圧を加えないように、政府は将来この点について十分注意をする必要があろうと思うのでございます。
ただいま社会党が提案をせられました修正案につきましては、地方公共団体の負担割合及び補助率等について、将来三十四年度以降についても現状の措置を講ぜよという意味合いの修正案でございます。しかしながらこの点につきましてはわが党におきましては、同様の意見もあったのでありまするけれども、昭和三十三年度の負担金の割合または補助金の率は、道路整備費の財源等に関する臨時措置法に定められている臨時の高率を採用したものであって、臨時措置法に出定めている期間は、昭和二十九年度以降五カ年とあり、昭和三十三年度までであるのであります。また一般的に申しますと、地方財政の再建等のための公共事業に係る国庫負担等の臨時特例に関する法律が、道路以外の一般公共事業について、負担金ないし補助金の高率の引き上げを行なっておりますが、これも時限立法で昭和三十三年度末までとなっております。つまり、昭和三十四年度からは、単に道路のみならず、一般的に国と地方公共団体との負担関係を新たに定めなければならぬことになっていますので、道路についてもこの一環として、昭和三十四年以降の負担割合ないし補助率は、その際あらためて審議検討するとの当局の説明を私は了といたしたいと存ずるのでございまして、さような意味合いから修正案に反対をいたす次第でございます。
なおただいま議題となっております原案及び日本道路公団法の一部を改正する法律案、道路法の一部を改正する法律案については、わが国道路の整備を促進するために妥当なものと認め、賛成の意を表する次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X01319580313/10
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011・西村直己
○西村委員長 討論はこれにて終局いたしました。
これより採決を行います。道路整備緊急措置法案について採決をいたします。
まず三鍋義三君提出の修正案について採決をいたします。本修正案に賛成の諸君の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X01319580313/11
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012・西村直己
○西村委員長 起立少数。よって三鍋義三君提出の修正案は否決されました。
次に原案について採決いたします。原案に賛成の諸君の御起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X01319580313/12
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013・西村直己
○西村委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
次に日本道路公団法の一部を改正する法律案、道路法の一部を改正する法律案の両案を一括して採決いたします。
両案に賛成の諸君の御起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X01319580313/13
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014・西村直己
○西村委員長 起立総員。よって両案は原案の通り可決すべきものと決しました。
なお、三案の報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X01319580313/14
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015・中島巖
○中島(巖)委員 ごく簡単に申し上げますが、委員長一任でけっこうでありますけれども、反対意見も十分委員長報告の中に織り込んでいただくことを希望いたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X01319580313/15
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016・西村直己
○西村委員長 その点は十分御趣旨に沿うように努力いたします。
御異議ないものと認め、さよう取り計らいます。
次会は公報をもってお知らせをすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午前十一時五千五分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804149X01319580313/16
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