1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年四月九日(水曜日)
午後一時四十八分開議
出席委員
委員長 亘 四郎君
理事 川村善八郎君 理事 竹谷源太郎君
理事 渡辺 惣蔵君
石坂 繁君 大坪 保雄君
高村 坂彦君 田中 正巳君
中馬 辰猪君 楢橋 渡君
井谷 正吉君 川村 継義君
小牧 次生君
委員外の出席者
議 員 小澤佐重喜君
議 員 井手 以誠君
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四月九日
委員椎熊三郎君、椎名悦三郎君、篠田弘作君、
南條徳男君、松浦周太郎君及び小平忠君辞任に
つき、その補欠として石坂繁君、大坪保雄君、
楢橋渡君、中馬辰猪君、高村坂彦君及び小牧次
生君が議長の指名で委員に選任された。
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四月九日
台風常襲地帯における災害の防除に関する特別
措置法案(小澤佐重喜君外九十一名提出、衆法
第一七号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
台風常襲地帯における災害の防除に関する特別
措置法案(小澤佐重喜君外九十一名提出、衆法
第一七号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804321X01219580409/0
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001・亘四郎
○亘委員長 これより会議を開きます。
台風常襲地帯における災害の防除に関する特別措置法案を議題といたします。
まず、提案者より提案理由の説明を聴取いたします。小澤佐重喜君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804321X01219580409/1
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002・小澤佐重喜
○小澤佐重喜君 ただいまより、台風常襲地帯における災害の防除に関する特別措貰法案の提案理由を御説明申し上げます。本案につきましては、自由民主党並びに日本社会党の共同提案でありまするので、両党を代表いたしまして申し上げる趣旨を御了承願いたいと存ずる次第であります。
およそ狭隘な国土と過大な人口をかかえて、原料資源の大半を国外に依存しなければならないわが国におきましては、民生を安定し、産業を振興し、進んで経済の自立再建を達成するためには、国土の保全と開発が、最も緊要な前提的要諦であることは、申すまでもありません。
顧みるに、わが国は、その地位的、気象的悪条件に累せられまして、年々歳々おびただしい風水害をこうむり、その被害はきわめて甚大と和なっておるのでありまして、試みに、終戦以来近年に至る被害額に徴しましても、年平均二千五百億といわれ、総額三兆円の巨額に上るものと推定せられるのであります。しかも、これらの災害の防除と復旧は財政上その他の制約のために、常に手おくれを余儀なくせられ、事業の進捗意のごとくならず、累年災の悪循環を繰り返している実情にありまして、まことに遺憾痛心にたえないところであります。
ことに九州地方のごときは、宿命的な自然災害の常襲地帯として、連年甚大な災禍に悩まされているのでありまして、いわゆる過年度災の累積により、復旧は遅滞し、事業効果は減殺せられ、一たび天災の再来にあうや、収拾すべからざる不測の事態を招来することと州なるのでありまして、このことは、二十八年度災における未曽有の被害について見ましても、また、近くは、昨夏の西南九州水害の惨禍に徴しましても、明らかなところであります。今にして、災害の禍根を芟除し、抜本塞源の建設的方途を講ずるにあらずんば、国土の損耗、民生の困苦はもとより、国利民福の増進、産業経済の伸張のごとき、まさしく木によりて魚を求むるにひとしく、とうてい期して望むべくもありません。従って、この際、旧来の災害対策に根本的再検討を加え、新たなる見地に立って、画期的恒久対策を確立しなければならないと思うのであります。このことは、ひとり、本地方住民積年の悲願たるのみならず、広く国土保全の大局的見地よりきわめて喫緊な国家的要請であるといわねばなりません。ここにおいて、まず、いわゆる災害常襲地帯を対象とする特別の立法措置を講じ、災害の未然防除に万全を期し、もって、民生の安定と、進んで、国土の開発に寄与せんとするものであります。
自由民主党並びに日本社会党におきましては、如上の実情にかんがみまして、昨年来、それぞれ党内に九州開発特別委員会を設け、特に災害対策を中心として、鋭意、具体的方策の検討を進めてきたのでありますが、ようやくその成案を得るに至りましたので、さらに、本国会劈頭、全会一致をもって可決せられました九州地方開発に関する決議の趣旨に即応して、ここに、本法案を提案することと相なった次第であります。
以上、この法律案を提案する理由であります。
次に本法案の内容について、その概要を申し上げます。
まず、本法案の目的は、冒頭第一条に規定せられている通り、台風常襲地帯を対象として、公共土木施設等に関する事業について、防災上特別の措置を講じ、もって、国土の保全、民生の安定をはからんとするものであります。しかしこれら災害防除事業の範囲については、河川以下、第二条に列記する基本的事項に関し、台風常襲地帯対策審議会の議決を経て、内閣総理大臣が、これを指定することになっているのであります。
第二に、台風常襲地帯の指定につきましても、台風の来襲回数及び強度並びに降雨量その他の事情を勘案して、審議会の議決を経て、内閣総理大臣がこれを行うことになっております。しかして、この指定の具体的基準は、政令で定めることといたしてありますが、これは、既往災害の被害額、復旧費等の多寡に拘泥せず、数十年来の台風来襲回数、強度及び降雨量など過去の事実に基いた客観的尺度をもって科学的に画定するものでありまして、これに該当する地帯は、ひとり、九州地方のみに限らず、すべて本法の適用地域となるのであります。
第三に、事業計画の策定につきましては、一応、本年度以降五カ年を目途として、関係主務大臣において、それぞれの年次計画を作成し、特に、閣議の決定を求めることといたしまして、事業の総合かつ強力な計画的推進をはかることといたしたのであります。なお、三十八年度以降の第二次五カ年計画をいかにするかについては、あらためて、内閣総理大臣が、関係大臣の意見を徴し、審議会に付議して、これを決定することにいたしました。
第四に、内閣総理大臣の諮問機関として、総理府に台風常襲地帯対策審議会を設置することといたしたのでありますが、本審議会は、前に申し述べました通り、常襲地帯の指定、災害防除事業の具体的指定等に関しましては、実質的に、きわめて枢要な役割を持つものでありまして、同時に、災害の防除に関する各般の基本的事項を調査審議する等、その機能は、まさに本法運営の核心をなすものであります。
第五に、事業実施に伴う経費の問題でありますが、もともと、本法の意図したところは、ただに事業量の増大のみならず、事業費の負担区分について、常襲地帯における特例を設け、国庫負担の一律二割増率を規定し、もって、地方負担の軽減に資せんとしたのでありますが、中央、地方を通じ、財政上その他諸般の事情を勘考いたしまして、一応これを見送ることとし、この際、本法本来の事業計画の実施に必要な経費については、国の財政の許す限り、これを予算に計上するの義務を明確に規定するとともに、地方公共団体に対し、必要に応じて、高率補助その他特別助成の道を開く等弾力性ある措置を講ずることとしたのであります。なおまた、財政再建団体に対しましては、事業計画の実施を円滑にするため、財政再建計画の変更について適切な措置を講じ得るよう配意いたしました。
なお、この法律は、公布の日よりこれを施行することといたしまして、これが実施に伴う国の財源については、本年度さしあたり五千万円を想定し、所要の予算を計上しているのであります。
以上がこの法律案の提案理由と、その内容の概略でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願い申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804321X01219580409/2
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003・亘四郎
○亘委員長 本案に対する質疑は次会に譲ります。
次会は明十日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時五十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804321X01219580409/3
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