1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年二月十八日(火曜日)
午前十時二十五分開議
出席委員
委員長 森山 欽司君
理事 植村 武一君 理事 大坪 保雄君
理事 田中 正巳君 理事 野澤 清人君
理事 八田 貞義君 理事 八木 一男君
小川 半次君 大橋 武夫君
加藤鐐五郎君 亀山 孝一君
小島 徹三君 田子 一民君
中山 マサ君 藤本 捨助君
山下 春江君 岡本 隆一君
滝井 義高君 堂森 芳夫君
吉川 兼光君
出席国務大臣
労 働 大 臣 石田 博英君
出席政府委員
厚生政務次官 米田 吉盛君
厚生事務官
(児童局長) 高田 浩運君
労働政務次官 二階堂 進君
労働事務官
(労政局長) 亀井 光君
委員外の出席者
専 門 員 川井 章知君
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二月十四日
委員滝井義高君及び辻原弘市君辞任につき、そ
の補欠として田原春次君及び堂森芳夫君が議長
の指名で委員に選任された。
同月十五日
委員田原春次君辞任につきその補欠として滝井
義高君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員滝井義高君辞任につきその補欠として田原
春次君が議長の指名で委員に選任された。
同月十七日
委員田原春次君辞任につき、その補欠として滝
井義高君が議長の指名で委員に選任された。
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二月十五日
児童福祉法の一部を改正する法律案(内閣提出
第五六号)
身体障害者福祉法の一部を改正する法律案(内
閣提出第五五号)(予)
同月十七日
引揚者給付金等支給法の一部改正に関する請願
(伊東岩男君紹介)(第九四二号)
同(田中龍夫君紹介)(第九四三号)
衛生検査技術者の身分法制定に関する請願(臼
井荘一君紹介)(第九四四号)
同(草野一郎平君紹介)(第九四五号)
同(長谷川保君紹介)(第九九三号)
同(森島守人君紹介)(第九九四号)
同(吉川兼光君紹介)(第九九五号)
精神衛生対策推進に関する請願(原茂君紹介)
(第九四六号)
結核後保護施策の恒久的制度確立に関する請願
(原茂君紹介)(第九四七号)
国民健康保険の療養給付費国庫補助増額に関す
る請願(原茂君紹介)(第九四八号)
災害簡易水道の地方債利子全額国庫負担に関す
る請願(八木一郎君紹介)(第九七三号)
労働者災害補償保険法の一部改正に関する請願
(田中彰治君紹介)(第九七九号)
同(三宅正一君紹介)(第一〇〇〇号)
日雇労働者健康保険法の一部改正に関する請願
(田中彰治君紹介)(第一〇〇一号)
中共戦犯帰還者援護に関する請願(戸叶里子君
紹介)(第九九六号)
失業対策事業等に関する請願(赤路友藏君紹
介)(第九九七号)
同(有馬輝武君紹介)(第九九八号)
身体障害者年金法制定等に関する請願(有馬輝
武君紹介)(第九九九号)
職業訓練制度確立に関する請願(水谷長三郎君
紹介)(第一〇〇二号)
同(森本靖君紹介)(第一〇〇三号)
の審査を本委員会に付託された。
二月十五日
身体障害者年金制度創設に関する陳情書外二件
(第二六三号)
民生事業関係事務の大都市移譲反対に関する陳
情書(第二
七四号)
栄養士及び生活改良普及員の増員等に関する陳
情書
(第二八四号)
清掃施設費補助範囲拡大に関する陳情書
(第二八七号)
健康保険診療報酬の改良に関する陳情書
(第二八八号)
原爆被害者補償に関する陳情書
(第二八九号)
日本製鋼所赤羽作業所における人員整理の措置
に関する陳情書
(第
二九〇号)
最低賃金法制定等に関する陳情書
(第二九一号)
老人福祉制度確立に関する陳情書
(第二九三号)
精神障害者に対する施策拡充に関する陳情書
(第二九四号)
国民健康保険事業に対する国庫補助増額に関す
る陳情書(第二九
五号)
結核健康診断及び予防接種費の国庫補助率引上
げに関する陳情書
(第二九六号)
母子福祉資金貸付事務職員費国庫補助等に関す
る陳情書(
第二九七号)
老齢年金制度の早期実現等に関する陳情書
(第三二三号)
国民健康保険の国庫補助配分適正化等に関する
陳情書
(第三三〇号)
労働組合運動の絶滅等に関する陳情書
(第三四五号)
労働争議の行過ぎ防止に関する陳情書
(第三四六号)
国民健康保険に対する国庫補助金増額等に関す
る陳情書(第三
四九号)
肢体不自由児施設設置費に寄附金付年賀はがき
収益金の配分に関する陳情書
(第三五〇号)
結核回復者福祉法制定に関する陳情書
(第三五一号)
剣山及び周辺地域の国定公園指定に関する陳情
書
(第三五二号)
保育所事務費限度額中に予備保母費の認可に関
する陳情書(第
三五三号)
生活保護法に基く支出費全額国庫負担に関する
陳情書)(第三
五四号)
下水道行政の一元化等に関する陳情書
(第三五五号)
を本委員会に参考送付された。
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本日の会議に付した案件
診療報酬及び薬価に関する小委員会設置に関す
る件
日本労働協会法案(内閣提出第三九号)
児童福祉法の一部を改正する法律案(内閣提出
第五六号)
母子福祉資金の貸付等に関する法律の一部を改
正する法律案(内閣提出第四六号)
――――◇―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/0
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001・森山欽司
○森山委員長 これより会議を開きます。
この際小委員会設置の件についてお諮りいたします。先般の理事会におきまして協議いたしました結果、診療報酬及び薬価に関する調査のため、小委員十名よりなる診療報酬及び薬価に関する小委員会を設置すべきであるとの御意見でありましたので、同小委員会を設置することとし、小委員及び小委員長の選任につきましては委員長より指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/1
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002・森山欽司
○森山委員長 御異議なしと認め、さように決定いたしました。よって小委員には
亀山 孝一君 小島 徹三君
田中 正巳君 野澤 清人君
八田 貞義君 亘 四郎君
岡本 隆一君 滝井 義高君
堂森 芳夫君 八木 一男君小委員長には小島徹三君を指名いたします。
次に、本小委員に欠員を生じました場合の補欠選任、及び本小委員会の調査のため、参考人を招致する必要を生じました場合には、その決定、人選、及び手続等につきましてあらかじめすべて委員長に御一任願っておきたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/2
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003・森山欽司
○森山委員長 御異議なしと認め、そのように決します。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/3
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004・森山欽司
○森山委員長 去る二月十一日付託されました内閣提出の日本労働協会法案を議題とし、審査に入ります。
趣旨の説明を聴取することにいたします。石田労働大臣。
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—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/4
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005・石田博英
○石田国務大臣 ただいま議題となりました日本労働協会法案につきまして、その提案理由及び内容の大綱を御説明申し上げます。
戦後わが国の労働運動は、飛躍的な発展をいたし、労使関係も次第に改善されて参ったのでありますが、なお一部には労働組合運動を頭から否定してかかる使用者もあり、またその反面、労働組合側の行き過ぎた行為もなしとしないのであります。
さらに国民一般も労働問題に対する理解の足りない面があると同時にこれに対する正しい批判の眼も十分養われていない状況にあります。このような状況下におきまして、近代的労使関係の確立を促進いたしますためには、労使はもとより、国民一般の労働問題に対する理解と良識とをつちかうことが不可欠の前提条件であると信ずるのであります。
従いまして、政府といたしましては、従来とも鋭意労使及び国民一般に対し、いわゆる労働教育に努めて参ったところであり、また今後ともこれを継続する所存であります。
しかし労働教育には、その性質上、また技術上、政府または地方公共団体が行うことを不得手とする分野も少くございません。また、わが国におきましては、労働問題に関して、確固たる基礎を持つ専門研究機関はほとんど無いといってよい状態であります。そこでこれらの分野を中心として、公正かつ科学的な研究を行うとともに、これに基きまして、労使及び国民一般の労働問題に関する理解と良識をつちかうことを目的とする専門団体を設置することがぜひとも必要と存ずるのであります。
以上が今回、日本労働協会を設置いたすこととし、その根拠法規として、この法案を提案した理由であります。
次に法案の内容について、概略御説明申し上げます。
この法案は、以上申し述べましたような目的を持つ日本労働協会を設置することを定めるとともに、その組織、業務、財務会計等に関し所要の規定を設けることとしたものであります。
すなわち、第一に、日本労働協会は、これ法人といたしますとともに、これに十五億円の基金を設け、政府が全額出資することといたしております。この協会の活動は、その性質上もとより営利を目的とするものではございませんので、収益による自立はとうてい望みがたいところでありまして、財政的援助を必要とすることは申すまでもありませんが、他面、この協会の目的を達成いたします上においては、事業の継続性を確保するために、政府が基金を出資しその利子によって事業を運営することといたすこととしているのであります。
第二に、協会の役員としては会長一人理事五人以内及び監事二人以内を置くこととしていますが、会長、理事及び監事は、労働問題について公正な判断を下すことのできる学識経験者の中から任命することといたしております、さらに、会長及び理事をもって組織する理事会を設け、重要事項をすべて審議決定することとするほか、別に十五人以内の学識経験者をもって組織する評議員会を設け、広く労使関係者の意見が反映されるようにし、協会の運営の適正を期することといたしております。
第三に、協会の業務といたしましては、労働問題に関する研究及び資料の整備を行うこと、労働問題に関し出版及び放送を行うこと、労働問題に関する講座を開設すること、労働組合、使用者団体等の行う労働教育活動に対して援助を行うこと等といたしております。
第四に、協会の財務、会計等につきましては、政府が多額の出資をいたすことにかんがみまして、予算、決算等会計上の重要事項について労働大臣の認可または承認を受けることを要することとするとともに、労働大臣が、必要な命令等をすることができることとし、協会の管理を適正ならしめることといたしております。しかしながらこの命令につきましては、協会の業務の性格にかんがみ、その運営の自主性に不当に干渉することのないよう特に明文をもって規定いたしております。
このほか、協会に対する免税措置等所要の規定を設けることといたしております。
以上本法案の提案理由と内容の大綱を御説明申し上げたのでありますが、何とぞ御審議の上すみやかに可決せられんにとをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/5
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006・森山欽司
○森山委員長 以上で説明は終りました。
なお本法案についての質疑につきましては、後日に譲ることといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/6
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007・森山欽司
○森山委員長 次に、去る二月十五日付託されました内閣提出の児童福祉法の一部を改正する法律案を議題とし、審査に入ります。趣旨の説明を聴取することにいたします。米田厚生政務次自。
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—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/7
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008・米田吉盛
○米田政府委員 ただいま議題となりました児童福祉法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
改正の第一点は、身体の発育が未熟のまま生まれた乳児、すなわち、いわゆる未熟児に対する養育の制度を設けることとしたことであります。
御承知の通り、わが国の乳児の健康状態は近年著しく改善され、その死亡率は終戦直後に比較いたしますと約二分の一に低下いたしておりますが、そのうち未熟児の死亡が乳児死亡の三分の一を占め、その対策が久しく要望されております実情にかんがみ、このたび家庫丙で養育できる未熟児に対し保健所職員による訪問指導を行い、また、入院を必要とする末熟児に対し養育に必要な医療の給付を行うこととし、一貫した未熟児の養育対策を確立することとしたものであります。
改正の第二点は、母子衛生に関する都道府県知事の権限を保健所を設置する市の市長に移譲することとしたことであります。
すなわち、児童福祉法に規定する母子手帳の交付、妊産婦等に対する保健指導の勧奨、乳幼児に対する健康診査の施行等の都道府県知事の権限を、保健所を設置する市におきましては、市長に移譲することにより、行政の効率化と母子衛生の向上及び増進をはかることとしたものであります。
以上が、この法律案を提出いたしましたおもな理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/8
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009・森山欽司
○森山委員長 以上で説明は終りました。
なお本案についての質疑につきましては、後日に譲ることといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/9
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010・森山欽司
○森山委員長 母子福祉資金の貸付等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。植村武一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/10
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011・植村武一
○植村委員 母子家庭にとって、福祉資金の貸付法ほど喜ばれておる法律はないのでありますが、それだのに、今年の予算を見ますと、約五千万円ほど減額になっておりますが、これが理由をまず伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/11
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012・高田浩運
○高田(浩)政府委員 お話しのように、三十三年度の予算は、前年度の三十二年に比べまして、五千万円減になっております。御承知のように、母子福祉資金の資金源と申すのは、国及び県からの財源の繰り入れと、従来貸し付けましたものに対する償還、この両方が元本となって、それが貸付の資金源になるわけであります。年を加えるに従いましてだんだんふえております償還の額とにらみ合せて、国の予算が五千万円減になったわけでございますが、これは、率直に申し上げますと、御承知のように、従来県が母子福祉資金として予算に計上します額が十分でございませんで、そのために国の予算がかなりの額使い残りになるのが実情でございまして、これは三十二年度におきましても、やはり同じような状況でございます。従って、これが急速に三十三年度において、この程度の金では不足を来たすというような状況ではないとの判断をいたしましたのも一つの理由であります。そういうような事情によりまして、結果としては予算の数字は減になりましたけれども、従来よりは悪化をするというふうには考えていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/12
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013・植村武一
○植村委員 この資金の消化がどうもうまくいかないということで、昨年度国の負担率を二分の一から三分の二に引き上げられたことは御承知の通りです。地方財政の負担を軽くすることによって、この資金がもっと有効に利用されることを期待して国の負担率を三分の二に引き上げたわけでありますが、それだのに、なお消化がどうもうまくいかないという今のお話の原因は一体どこにあるのですか、さらに伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/13
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014・高田浩運
○高田(浩)政府委員 私どもも、国の負担率を二分の一から三分の二に上げる、よれによって相当消化が促進をされることを期待しておったのでございますけれども、率直に申し上げて、ふたをあけて見ますと、期待通りにはなってないことは非常に残念に思っております。これはいろいろな見方があると思いますけれども、根本は、やはり母子福祉に対する考え方が十分まだ徹底をしてない面があるのではないかと思うのでございます。と申しますのは、母子福祉資金に対する貸付の要望が非常に少くなっておるのであるならば格別ですが、これはやはり相当な量でございまして、借りたいという申し込みに対しまして実際に貸し付けられておるものは決して相当多くを満たしておるわけではございません。それなのに地方において予算の計上が行われないのは、やはり母子福祉についての考え方の根本の問題が一つあるのではないか。この点は従来も私たち努力をして参りましたが、今後とも努力をして参りたいと思います。
それから第二に、地方財政の窮乏云々の問題があるかと思います。これも確かに一つの原因であろうと思います。その点を考慮して貸付率を三分の二に引き上げるということを実行したわけでございますけれども、この点は私どもの方から見れば一つの考え方の問題でありまして、ほんとうにやる気になればそう大きな額でもございませんので、これに藉口してどうこうということは、一面の理屈はあるかもしれませんけれども、それで全部というわけには参らないと思うのでございます。そういうような点がいろいろほかにも考えられると思いますけれども、資金源が少くなるということが致命的な現象でございますので、今後私ども社労の皆様方の御理解の上に立って十分努力をいたしたいと考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/14
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015・植村武一
○植村委員 今の御答弁でもちょっと触れられたと思うのでありますが、地方財政の窮迫のために裏打を十分しないということも原因であろうかと思いますが、同時に私の知っている範囲では、非常に希望者が多いのに十分に貸し付けられぬという原因の一つには審査があまりに厳重過ぎて、安全度をあまりに見込み過ぎて、ほんとうに母子家庭の希望を満たすことができないという現状がありはしないか。そう安全度ばかりを考えておっては、これはほんとうの福祉資金貸付の精神に私は必ずしも一致しないと思うのでありまして、そういう点において各都道府県におきましては、どういうふうな報告が来ているかということを伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/15
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016・高田浩運
○高田(浩)政府委員 お話の点のようなこともあるかと思いますけれども、従来私どもの方としては、どういう理由で貸付の要望に対して実際に貸し付けられないかということについての調べをとっておるのでございます。もちろんこの調べ自体もいろいろ欠陥はあると思いますけれども、大体の大勢というものは観察できると思うのでございます。それによりますと、三十一年までの状況を見ますと、要するに貸したいけれども金がないので貸せないというのが大体半分を占めておるような状況でございます。そのほか今お話しのように、いろいろ事業の内容が不適当であると認めたものというのが約二五%くらいを占めておるのでございます。この辺の認定については、これはもちろん具体的に検討しなければ正確な是非善悪はきめられないと思うのでございますけれども、いずれにいたしましても、この金が足りないので貸せないというのが約半数という報告が参っておるところから見ますと、やはりこれが一番大きな原因じゃないだろうか、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/16
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017・植村武一
○植村委員 資金が割合に今だぶついておるのだから、それなら——今度の法律の改正のいずれもがけっこうでありますが、高等学校の就学資金の千円を私はさらに五百円くらい引き上げて千五百円くらいにしてやってはどうかと思うのでございますが、いかがでょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/17
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018・高田浩運
○高田(浩)政府委員 高等学校の就学資金は、御承知のように長い間七百円ということで据え置きになっておりまして、これが去年御協賛をいただきまして千円に上ったわけであります。もちろんこれは千円で十分というわけではございませんので、私どもも千五百円あるいは二千円に上げることが本筋であると考えておったのでございます。三十三年度の予算におきましては、種々な事情からこの引き上げが達成できなかったわけでございますが、今後この点については努力いたしたいと思っております。
なお、これらの点については育英資金との関連もございます。従来この就学資金については、大体育英資金とパラレルで進んでおりますので、これらの点も考慮いたしまして、今後十分努力をしていきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/18
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019・植村武一
○植村委員 これは法律案とは直接の関係はないのでありますが、予算書を見ますと、貸付金指導費補助金というのですか、千六百万円を計上されていらっしゃいますが、これは一体どういう構想のものでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/19
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020・高田浩運
○高田(浩)政府委員 これは貸付指導と申すよりもむしろ償還促進のための経費でございまして、御承知のように母子福祉資金の償還の率は初めは割合に高かったのでございますけれども、だんだんこれが低下をいたしまして、すでに六〇%台に落ちているのでございます。これが落ちて参りますと、結局予算の計上にももちろん支障を生ずると思いますし、同時にこの償還された額が右から左に貸付財源になるわけでございますから、資金の回転能率を非常に悪くするわけでございます。そうなりますと結果として母子福祉資金の資金源を非常に窮屈ならしめるというような観点から、私どもも償還の問題については意を用いておる次第でございますし、また母子福祉の団体等におきましても自主的に貯蓄組合等を組織して償還の工夫に当っているわけでございます。私どもは、そういうような情勢にかんがみまして、償還について、これはいわば借金取りがただ金を取りに回るというような単純なことではなしに、ある意味のケース指導をしながら償還を促進する、そういうような立場に立って、福祉事務所ごとに、未亡人で母子福祉の問題等に非常に御熱意がある方等を委嘱しましてそういうような役割を引き受けていただいて、そうして償還を促進して参りたい、そういう趣旨に考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/20
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021・植村武一
○植村委員 大体わかりましたが、今のお話にあったように、借金取りが償還を督促するというような形においては、私はこれは非常に問題があると思うのでありますが、それではこれは福祉事務所に補助金として流すのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/21
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022・高田浩運
○高田(浩)政府委員 これは県に対する補助金でございまして、実際にこれを活用いたしますのは、福祉事務所にそういった人をいわば雇ってやらせる、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/22
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023・植村武一
○植村委員 もう一つ言うと、これは母子相談員の補助員というような形ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/23
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024・高田浩運
○高田(浩)政府委員 母子相談員は御承知のように母子家庭の更生その他について相談にあずかる、あるいは御指導を申し上げるということが主たる任務でございまして、貸付金の問題にあまり深入りするということは、母子相談員本来の仕事からいってどうかと思っておるのでございますが、現実には福祉事務所の人員の関係等もございまして、やむを得ず相当その事務に突っ込まざるを得ない情勢になっておるところもあるわけであります。そういうような点も考慮しまして、むしろ平素の指導でありますとかあるいは相談、これは母子相談員本来の仕事でございますので、償還という問題に関連をしての指導なりあるいは催促という言葉は適当でないと思いますけれども、そういったことをやっていただくという趣旨に考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/24
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025・植村武一
○植村委員 年金ができますまでは母子家庭としては唯一のあたたかい法律なんでありますから、どうか先ほどいろいろ御質問申し上げた趣旨を体されまして、この法律をフルに動かしていただきたいということを希望申し上げておきます。終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/25
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026・森山欽司
○森山委員長 山下春江君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/26
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027・山下春江
○山下(春)委員 日本の貧困の一番大きなケースといえば、やはり母子世帯と老人世帯であることは厚生省の白書が示しておる通りであります。厚生省調査によれば、老人世帯で生活保護を受けている家庭が、全国で四十四万人中八万一千、母子家庭は全体が四十九万世帯中生活保護を受けておる者が七万四千と出ております。この数字の示す通りに貧困の一番大きな原因をなしておる要素であると思うのであります。しかも合の生活保護を受けておる世帯数等は、まことに切り詰められたぎりぎり決着のものでありまして、かりにこれを一割引き上げるとすると、その率は今申し上げた七万四千の六倍に相当する数字にふえると思うのであります。こういった老人世帯及び母子世帯というものの貧困の原因が何にあるかは申し上げるまでもないところでありますから、そこでその貧困をわれわれができるだけ早く生活の基礎を何かによってつっかい棒をするために、すみやかに母子年金というものを設定すべきであるということを長年主張して参りました。しかし三十二年度の予算におきましては、これに充てるという数字の予算を四億五千万わが党は強力に主張して取ったのでありますが、それを母子年金として世に送り出すことなく、母子加算に使われましたことにつきましては、この母子問題に長く涙ぐましい健闘を続けてこられた高田局長としては、いかにも誠意が足らなかった、熱意が足りなかったというふうに考えられてならないのであります。そこでこの問題を解決するために、政府はかねがね岸総理が言明されておられますように、国民年金をすみやかに発足させると言っておられますので、その国民年金ができるまでこの問題は待っておるというお考えか。国民年金ができたときにはそれと符合していつでも統一ができるような構想において、この実態を無視しないですみやかに母子年金というものを制定していこうとする考え方があるかどうか、この問題に長い間非常な努力を傾けられました高田局長の御意見を承わり、なお厚生大臣代理として、政務次官のこれに対する熱意ある御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/27
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028・高田浩運
○高田(浩)政府委員 母子年金の問題については、今お話の山下先生非常な熱意を傾けてこられまして、母子年金についての先生の強い御推進というものがある意味においてこの国民年金全般の推進に非常に、大きな力になったことは、これは一同の認めるところであろうと思うのであります。今お話のように、具体的に母子年金的なものについてのいろいろな経緯が、特に前年来あったことはお話の通りであります。私ども母子世帯の問題については及ばずながら努力を傾けてきたつもりでございます。それについては具体的に一つ一つの問題を解決していく、現実に母子世帯の上にその福祉の雨が注ぐようにということが、念願であり、その線に沿って努力をして参ったのであります。それがおかげままでおととしよりは昨年、昨年よりはことし、少しずつではありますけれども前進を続けて参りましたことは、これは国会の皆様方の非常なお骨折りと御同情のたまものであると思いまして、母子世帯ともども感謝をいたしておるところでございます。今お話の年金の問題は、これは母子世帯多年の悲願でございまして、だんだん直前の問題が解決していくに従って、この問題が最も大きくクローズ・アップされてきておる状況でございまして、今後私どもこの実現に努力したいと思っておるのでございます。御承知のように国民年金の問題は先般来この委員会等におきましてもいろいろ御議論がございましたが、これの考え方というもの、具体的な考え方というものがまだ十分成案を得るところまで至っていないのが現実でございます。従ってこれといわゆる母子世帯に対する年金の問題とを、どういうようなからみ合いにするかということについて、まだ厚生省として十分成案を持つに至っていないことは、これは大へん残念でありますけれども、率直に申し上げて今申し上げたような事情にあるわけでございます。今日母子年金の問題、あるいは老齢年金の問題等が最初に強く打ち出されましたけれども、今日の段階としては国民年金とのからみ合いという格好になっておるわけでございますので、その辺を全般的に構想を固めなければ、たとえば母子年金の問題を本格的にどうするということは、現実の問題としてむずかしい問題となってくるのでございます。しからば問題は広範な母子年金を一ぺんにすべてにわたってやる、あるいは順序をつけてやるか、そういうような問題もあるわけでございまして、この辺は財政上の見通し、あるいは実施上の立て方ということもにらみ合せて、一緒にやるかあるいは順序、先後をつけてやるか、順序先後をつけてやればこれはおのずから常識の落ちつくところに落ちつくと思うのでありますが、そういうような問題、それから全然関係なしに母子世帯に対するあるいは年金、あるいは手当というものを考えて、これを実施するということは、もちろんこれは考えられる一つの方法であるし、将来年金との関係を調整するということが考えられる筋だと思うのでございますけれども、その辺をどういうふうに具現していくかということは、少くとも私らの立場としては、これは実現の早期達成ということを一つの目安として考えていかなければならない問題ではないかと思うのでございます。現実の問題として、厚生省としてどういう方向に具体的に走り、あるいは走らんとしつつあるかということをお答えできないことは、私としてまことに残念でございますけれども、この母子年金の問題を推進をし、そして多年の母子世帯の悲願を一日も早く実現をしたいという熱意については、これは人後に落ちないつもりでございますので、今後とも皆様方の御指導をいただきまして、努力をして参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/28
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029・米田吉盛
○米田政府委員 母子年金についてでございますが、身体障害者の方々から承わりますと、盲人等の年金を早く先にやるべきだ、こういうお説も承わります。こういう声を承わるにつきまして考えますことは、国民全体の年金制度実現ということが、結局おそきに失しておるのではないかという感じを持っております。それで先般来御説明申し上げておりますように、早急に国民年金制度を実現しなければならぬ。これは三十四年からやるか、五年からやるか、いろいろ説がございます。結局やるということの時間が一年か二年の争点になる程度でございます。私らといたしましては、国民全体をこの際見通しをつけまして、政府の責任になることでございますから、予算等の見通し、計数等の整理をすっかりいたしまして、すっきりした姿で責任をもった方向に踏み切りたい、このように考えておりますので、今仰せのように母子だけを先にやる、あるいは障害年金だけを先にやるということは、もう一年か一年半の問題でございますから、一緒にスタートをいたしたい、こういう実は考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/29
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030・山下春江
○山下(春)委員 厚生大臣の代理として答弁を求めたのでありますから、やむを得ずそのように仰せられるであろうと思いますが、それは自民党の一人の議員にお立ち返りになれば、はなはだ遺憾な答弁であったと思わざるを得ないのであります。と申しますことは、なるほど盲人やその他の身体障害者、これも年金をすみやかに打ち立ててあげなければなりません。しかしながら米田政務次官も奥様をお持ちでありますが、日本の統計の示すところによれば、必ずあなたの方が先におなくなりになることになっておるのであります。女子の方が平均寿命が四年ほど長い。母子年金ということは、盲人の方もお気の毒でありますけれども、盲人の方といえども奥様を持って、乏しいながらも人としての潤いのある生活を営んでおられる方々が大部分でありますが、母子世帯の陰惨さというものは、女子でなければ想像がつかないものであろうと考えるのであります。その陰惨な生活の上に、かてて加えて貧困でございますので、これはわが党といわず、社会党といわず、世の男子の方がこの陰惨な生活を、すみやかに少しでも光を与えなければならないという義務的な考えをお持ちになるはずでございます。従いまして、われわれとしても、理想としては国民年金を調子をそろえて一ぺんに発足することが好ましいことでありますけれども、長年やってきたわれわれから見ると、なかなか政府が来年から、あるいは再来年から国民年金発足と申しましても、さよう簡単にこの問題はなかなか踏み切れない多くの要素を持っておりますので、前段に申し上げました通り、やがて国民年金が発足をしたらいつでも統合できるような、政府で基本的な構想をおきめになって、発足できるものから発足する。非常に陰惨なものから先に発足するということで、そして政府の腹がきまりましたときに、これに調子を合わして統合して一本の姿にまとめるという、少くとも年金問題がもはや今日言いのがれのできない段階に追い込まれてきている今日といたしましては、少くとも政府は国民年金というものは、とにかく大方の目安はこの辺でいくという目安をきめて、そうしてすみやかにやらねばならぬものから順次発足さしていく。医療保障にいたしましても、何回も何回も、社会党の滝井議員などは毎年予算委員会で統合する意思があるかあるかと、政府を鞭撻しておられます。政府も統合する意思がありますと答えるのですが、言うべくしてなかなか困難な問題でございます。従いまして、年金はなおさら大きな問題でございますから、なかなかそう簡単に、国民年金を発足するという絵にかいたぼたもちのようなものを、幾らわれわれが論じておりましてもむずかしゅうございますが、一つ一つのケースではもはや練り上った案がございます。たとえば母子世帯は先ほど申し上げました四十九万世帯中、かりに四十万世帯に無醵出で二千円をあげるとすれば二百四十七億という費用を考えなければなりません。私は母子世帯に対しては国の責任を明らかにする意味においても、諸般の年金論とは多少異なった無醵出制を主張する者の一人でございますけれども、しかしながらこれなども無醵出のものあり醵出のものありということでは政府でもお困りでございましょうから、やはりある種の醵出制のワクの中に入れるといたしましても、今の月二千円という金額を考えると——これは私は無醵出制でそのくらいの金額が必要であろうということを私なりに計算をいたしておるわけでありますが、そういうことでございまして、国民年金が発足することをすみやかにやって調子をそろえてやるから、これが先、あれが先という議論をどうぞしてくれるなという厚生大臣代理の御答弁は、きわめて不満足なものでございます。私はそれはあなたに、厚生大臣代理としてということを申し上げたので、そのような御答弁であったかと思うのでありますが、わが党の一人の議員として、もっと熱意のある、もっと誠意のある、社会保障の真髄は何であるかということを把握した御回答をもう一度政務次官から伺いたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/30
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031・米田吉盛
○米田政府委員 だんだんと御熱意のあるお話を承わりました。われわれとしても考えていることは同じでございます。しかしただいまでも、不十分ではございますが、全然ほったらかしにしてあるわけではございません。応急策としてはとりあえずの策が講ぜられております。それから私の判断といたしましては、国民全体の年金制度創設ということも、そう待てないほど長い年月を要したのでは、これはいかぬと思います。是が非でもここ一二年のうちに実現しなければならぬ、こういう考えでございますので、その際に、たとえば今仰せのように二百四十七億というような、かりにその数字が正しいといたしまして、母子年金制度を先にやる、その次にほかの障害者の年金をどれだけやるということでやって、トータルをしてみると、案外にこれは国家負担の限界を越えるようなことになる場合もなきにしもあらずと考えられるのでありまして、これらは国民各階層にその事情々々に応じて不公平のないような国家負担をしなければならぬ、こういうような各方面に考慮を払いましての結果の答弁でございまして、一つ立場をお考え下さいまして、あなたもかつては政務次官でおられましたのでございますから、そういうような点もお考え下さいますれば、私の合日の気持は、気持は十分ございますが、全体の立場から慎重なお答えになったわけでございますので、今後一つ山下委員のお考えも十分取り入れまして、究極において母子年金制度と一緒に、言いかえれば母子年金制度を早くやるとともに、国民年金もそのときに歩調を合わして時期を一緒にやる、こういう結果になるようにできるだけ努力を進めたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/31
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032・山下春江
○山下(春)委員 御誠意がありそうでございますから、それ以上追及はいたしません。
次に局長に伺いたいのでありますが、局長はこの問題と取っ組んで非常な御努力をしておられることはこれまた天下の知るところでありまして、御関心が深いのでありますから承わるのでありますが、この母子福祉資金の貸付等に関する法律という細々とした暫定法、これが制定されるときに暫定的にこういう名前をつけたことは局長も御承知の通りでございまして、それをしっかりした、少くとも日本に四千五百万円の女性がいるいうことを前提にして、やがてはこの人たちも母子世帯のワクにいつ入るかわからないというときに、せめてこの法律を、こういう暫定的名称から母子福祉総合法に解消発展をしたいという念願は、局長のところにも強く要請されていると思うのでございますが、この母子福祉総合法に改正をする意思があるかどうか。その改正をするにつきましては、未亡人世帯に非常に切り詰められたほんとうにみじめな生活をしておる、その生活の中では、せめて母と子が一緒にいたい、十八になると母子寮から出されるということを何とか避けたいということが非常な念願でありますが、現行法律では十八才になると母子寮から出なければならない法律下にあることは御承知の通りでありまして、この住宅問題等をも含めまして、今回のいろいろな御改正を願った恩典等を加えまして、この母子年金を加えればなお十分でございますが、そういうことで母子福祉総合法という法律に御改訂になる意思がございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/32
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033・高田浩運
○高田(浩)政府委員 いわゆる母子福祉総合法の制定については特に未亡人関係者の多年の要望でございますし、私どもも十分その熱意のあるところを承知いたしておる次第でございます。私どもはこの総合法という考え方自体としては賛成でございますし、その方向に進みたいと思っておるのでございますが、問題は、総合ということは同時に前進でなければならないと思うのでございまして、そういう観点から見まして、たとえば生活保護との関連等が現実に一つの問題になるわけでございますが、これを母子福祉独自の立場から運用するしかけにするということが、その内容の一つとして大体考えられておるように私どもは思うのでございます。そのほか現行制度でほかにやっておりますいろいろな制度を集めるということが一つのねらいになっておるのでございます。そういう観点から見ますと、集めるということについては、たとえば生活保護の問題についてみましても、これが基準の問題でありますとか、同時にこれは実施期間が大切な問題でございますので、その辺のところを総合的に考えなければいけない問題であるわけでございまして、いわば集めるための努力と、それから個々の問題について先に進む努力と、どちらを先にするかという現実に立った場合に、私どもの判断としては、とにかく一歩でも二歩でも個々の問題について先に出るということが当面の大事な問題ではないだろうか、それとにらみ合せて総合するという努力を怠らず、また総合の機会に前進をするという機会を逃がさない、そういうような考え方で進むべきではないだろうかというような気持を持って今日まで進んで参ったわけでございます。今お話しのように住宅の問題ないし母子寮関係の一連の問題、それらを総合的に考えなければ、貸付だけでは母子福祉の達成はなかなかむずかしいことはお話しの通りでございますので、私ども従来一つ一つの具体的な問題を一歩でも二歩でも前進しながら解決をしていくという努力に全力を払って参りましたが、今後お話しのような総合の線に沿いまして、あるいは総合の機会にさらに前進をするということを念頭に置きまして、努力をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/33
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034・山下春江
○山下(春)委員 私はあえて役所の中をもめさせようとするのではありませんが、今局長はいろいろ総合的に考えてとかなんとか、何か立場のむずかしさを受け取ったような気がするのですが、要するに生活保護は社会局、母子福祉は児童局、こういうことで、多少は役所にありがちなセクショナリズムで、集めたいと思ってもなかなか集まらぬ、それで総合的に考えるとかなんとかということになって、だらだらになっておるのでないかと思うのですが、児童福祉法というにもかかわらず母子だけは貸し付けなければと言っておるというようなことは、そういう法律の名前だけはどうでも内容がよければいいじゃないかということですが、そうはいかないのでありましてそういうむずかしい点がございましても、それは全国百五十万母子の心からなる唯一無二の頼みの綱でございますから、ぜひ一つそういう点はすみやかに踏め切っていただいて、総合法の制定をするということの御決意を願いたいと思うのであります。そういうことはわが党におきましてもただいまも賛成の声あるごとくやはり政治家はあなた方のお役所の御都合でこの法律がいつまでも足踏みをしておるということではまことに困りますので、局長は一つ勇気を出して、これは党の全員の希望することでもあり、全国百五十万の未亡人の希望でもございますから、ぜひともすみやかに母子福祉総合法を制定されるように私は強く要望いたします。まだ御質問者があるようでございますから、政務次官もぜひ御努力を願うようにお願いをして、質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/34
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035・森山欽司
○森山委員長 滝井義高君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/35
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036・滝井義高
○滝井委員 私は母子年金に関する基礎的なことを少しお尋ねしたいのですが、それは昨年度の予算で、国民年金度制準備費として、全国の未亡人母子世帯生活実態調査として三百二十六万円を計上して実態調査をおやりになったはずでございます。今年は未亡人の世帯の生活実態調査というものは経費を計上しておりません。昨年は三百二十六万円を計上してやったので、おそらく厚生省としては、所得、それから世帯の構成というような、現実の未亡人の実態をおつかみになったと思うのです。これは一体どういう実態であったのか、わかれば一つ御説明を願って、そしてあとで資料で詳細のところを出してもらいたいと思うのですが、その実態調査の結果を要約して御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/36
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037・高田浩運
○高田(浩)政府委員 今お話の三十二年におきます調査の結果につきましては、ただいま集計中でございますので、これはまとまってから資料として差し上げることにいたします。それから別の調査でございますけれども、三十一年に私どもの方で全国の母子世帯の調査をいたしたのでございます。これは主として母子福祉貸付金の対象というものを念頭に置いての調査でございますが、この資料は本日あとで差し上げるようにいたしたいと思います。これによりますと、総数が百十五万世帯でございます。もっとも、この内容は母子福祉資金の貸付というものの対象を念頭におきました関係上、児童については十八でなしに二十才までとっておるのでございます。あとの具体的な事柄につきましては、また御質問によりましてお答え申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/37
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038・滝井義高
○滝井委員 三十二年度の基礎的な調査でやられた資料等は、でき次第ぜひ配付していただきたいと思います。今の三十一年に調査した資料がありますれば、あとでぜひお願いいたします。それから、さいぜん植村さんの御質問の中で、今回の予算の中に償還促進の事務費千六百万円が計上されておるという御質問が、多分あったと思いますが、最近未亡人が借りておる金の償還の率が、だんだん低下して参っておるという御説明がありました。六割程度になってきた。いただいた資料を見ますと、二十八年までは償還率は八一%であったものが、だんだん三十年は七割三分になり、三十一年度は六割七分になるという実態になってきておるわけなんですが、どうしてこういうように償還率が急激に低下の方向をたどっておるのか、その理由というものは一体どういうところにあるのか、これを一つ御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/38
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039・高田浩運
○高田(浩)政府委員 これは 一つは二十八年あるいは二十九年当時、いわゆる初めでございましたので、おのずからその対象も少いし、従って貸付の対象も相当厳選された結果が、こういうふうな好成績になって現われておるのではないかと思うのでございます。その後貸付の対象が非常にふえて参りまして、一つは貸付の対象にいろいろな内容が加わって参りました。そういう点が一つあると思います。それからもう一つは、先ほどもちょっと申し上げましたが、この貸代に関する貸付の事務ないし償還の事務、それらについての事務的な力というものが、貸付量の増大に即応して増強されているわけではなしに、その辺が非常に薄弱でございまして、言いかえれば、貸した事後の指導でありますとか、あるいは償還についてのいろいろな措置でありますとか、その辺が事務的に十分手当ができてない面、行き届いてない面が相当あるんじゃないかと思うのでございます。そういったふうな観点から、今度貸付の償還の対策について費用の計上をはかったような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/39
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040・滝井義高
○滝井委員 償還率が非常に低下してきておる理論的な根拠としては、貸付の対象が非常に増加をしてきた。従ってその厳選が必ずしも、もとみたいにうまくいかないということ、それから貸付事務に関する能力の問題、そういうものがからまって八割程度の償還率が六割台と、一割四、五分も下ってきた、こういう御説明でございますが、もっと根本的なものがあるんじゃないでしょうか。たとえば厚生白書を見ると、終戦後から昭和二十七年までは日本の貧富の差というものはそんなに開いておらなかった。むしろ日本の貧富の差というものは解消された形にあった。しかし、昭和二十七年を契機として再び日本における貧富の差が次第に顕著になってきたという、いわゆる日本の経済の発展の、何と申しますか、いびつな形がだんだん現われてきたことを厚生白書はわれわれに教えてくれたのでありまして、そういう日が当らないところにおる零細所得階層というものに対する所得の恵みが少くなってきておる。こういう一番弱い老人とか未亡人、すなわちその中の未亡人に端的に現われてきている、こういう根本的な見方が何かそこにあるような感じがするのです。というのは、あまり下降の情勢が激しいのでそういう感じがするのですが、一体日本経済との関連における根本的な見方はどういうことかというのが一つ。
それからいま一つは、三十二年度において、今まで二分の一の国の補助の負担分が三分の二に変化してきておる。従って、三十二年度の今までの実績はどういうことになっているのか。これを見てみるとある程度わかってくるんじゃないかと思う。三分の二に国の貸す金をふやしたにもかかわらず、償還率というか、あるいは借りる方の状態というか、そういう関係は一体どういうことになっているのか、わかれば三十二年度の実態を御説明願いたい。これが第二です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/40
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041・高田浩運
○高田(浩)政府委員 前段の問題については、もちろんこれはいろいろな考え方があると思うのでございますが、私どもの感じとしては、当初の八〇%という数字は、この種の貸付金としては相当高い率であったと思うのでございます。従って、この八〇%それ自体は一つの目標ではあると思いますけれども、それを現実の一つの基盤として考えるということには、少しこの種の貸付金としては無理があるのではないだろうかという感じもいたしておるのでございます。今お話しの一般経済との関連ということになりますと、これは、結局この母子福祉の貸付金だけの問題ではなくして、ほかのいわゆる庶民金融と称するもの全般の傾向を見なければ、一がいに断定はいたしかねると思うのでございます。ただ一般的に申し上げれば、昭和二十七年に調査をやりました当時と三十一年にやりました調査と比べてみますと、母子世帯の経済状況は非常によくなっていることは事実でございます。その点はあとで資料を差し上げたいと思いますから、それによってごらんいただきたいと思います。
それから第二の、三十二年度におきます予算は、御承知のように、国の予算は五億九千万円でございます。これが都道府県に貸し付けられました額は、三十二年の末で大体三億七千五百万円程度になっておるのでございます。これに対しまして、その半額を県が計上いたしまして、両方合して貸付財源とする、そういうことであるわけでございます。自後年度末までの間、さらに私どもとしてはこの消化の促進をはかっておりますで、年度の締めくくりまでにはもう少しまたふえると思いますが、一応そういうことに御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/41
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042・滝井義高
○滝井委員 前段のお答えの中で、私は二十七年を契機として国民所得の中にだんだんと格差が出てき始めたということを申し上げましたら、庶民金融等の実態を見なければわからぬ、問題があるという御説明がございましたが、でき得べくんば、次会に国民金融公庫その他中小金融の二十七年以降における状況、それからその返還状況、これも一緒に資料として出していただきたいと思います。それから母子の世帯の経済状態は、これは私は全般的に見たら総体的にはよくなっていると思うのです。しかし、他の所得階層との比較を見ると、母子階層の伸びというものはおそらく少いのじゃないかという気持がするわけです。従ってその資料も、ごめんどうでしょうが、一つあわせて出してもらいたいと思います。それから後段の三十二年末において五億九千万円の国の貸付金の中から三億七千五百方円だ、こういうことになりますと、やはり不用額というものが、年度末までの一、二、三を三千万円ずつ九千万円、あるいは一億貸しても、四億七千万円しかいかないのです。そうすると、一億二、三千万円というものは余ってくる、こういうことになるわけです。こういう不用額ができてくることが、即そのまま大蔵省が予算査定をするときにちびりちびりと削っていく一つの理論的な根拠にもなるわけですね。これはやはり一にかかって地方財政の問題にからまってくるだろうと思うのです。公選知事でございますから、こういう母子家庭のような零細階層に金を出すことについては、知事もおそらく積極的だろうと思うのです。ところが、何せその地方財政が、いろいろの面で貧困の状態があるために、こういう結果が出てくるだろうと思います。しかし、三十三年度は交付税も上ったし、地方財政の自然増というものも相当ふえておりますし、しかも貸付のワクというものは五千万円も削られた、こういう状態になっておりますので、三十三年度は五億四千万円になったのですが、全額一つ出るように努力してもらわなければいかぬ、こう思うのです。どうも昨年法律を改正して三分の二の貸付にしたにもかかわらず、こういう実態であるということは、やはり何かこの母子福祉の貸付資金そのものについて根本的な検討をやらなければならぬ状態が徐々に露呈をしてきておるという感じがするのです。そういう点、今までの局長の経験からいって、貸付方法や貸付対象の七つの資金等に何か問題点があるのじゃないかという感じがするのですが、何かこういうところを直したらもっとうまくいくかもしれぬというところがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/42
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043・高田浩運
○高田(浩)政府委員 現実に母子世帯に対する貸付それ自体、これは手続の問題でありますとか、そういった点があると思いますし、これはこれとして改善していかなければならぬと思いますが、それが府県における貸付資金の予算計上に悪影響を及ぼして、その結果なかなか消化ができない、そういうような現象というものについては、私ども従来やっておりました経験に徴しましては、思い当る節がそうないのでございます。結局。先ほど申し上げましたが、一面においては母子世帯の方からは借りたいという希望がかなり強いのにかかわらず、従って、貸付財源さえあれば貸せるという状況であるにかかわらず、府県の財政措置が期待通りに行われないという、それは別個の問題として私どもは考えておるわけでございます。これについては、もちろん母子福祉に対する社会的な認識ないし同情、それの基盤の培養の問題と、それから地方財政の問題と、両者を考えていかなければならぬのじゃないか、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/43
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044・滝井義高
○滝井委員 国が三分の二を出したら、あと三分の一は地方自治体に出すように義務づけるということは、これはなかなか問題があろうと思います。そういう点毎年予算を計上したものが不用額として余るということについては、私もいろいろ考えてみたが、どうも明白なこうしたらいいだろうという方法はございません。一つ局長の方でも考えていただきたいと思います。
次に、千六百万円の事務費の二分の一の補助の使い万の問題です。さいぜん植村さんの御質問があったときに、もう少し局長の方で具体的にその使用方法について明示があるかと思ったのだが、どうもそこのところがはっきりしないのです。千六百万円の金を事務費の補助として取ることができたのは非常に慶賀の至りですが、それを未亡人に委嘱をして、できればその償還の促進の事務をやってもらえるようにしたらいいだろうというようなことがございましたが、その場合に母子相談員との関係は一体どうなるのか、こういう問題が出てくるわけです。現実に母子相談員そのものが一体非常な積極的な活動をしておるかというと、母子相談員は府県の非常勤職員だったと思いますが、全国で多分八百三十人くらいしかいなかったと記憶しております。こういうものとの関係、非常勤の母子相談員というものを別に置いておって、今度の二分の一補助の千六百万円取って、別に未亡人で今度は貸付金の償還促進事務をやらせる、こういうことになると、まるきり行政というものがばらばらになってしまって、どうも問題が出てくるのじゃないかという感じがするのです。そこらあたりもう少し千六百万の使い方を——これは府県に渡して、府県がおそらく市の福祉事務所なり県の福祉事務所に持っていくのだろうと思いますが、そこらありたわずかの金でありますけれども、ニューフェスとして現われた金でありますから、貴重な金です。これの金の使い方を誤まると来年はばっさり切られるということになる。最近だんだん償還率が低下してきておるという実態から考えあわせてみると、この千六百万円というものの使いよういかんによっては、非常に有効な金になるか、どぶに捨てるような金になるか、分れ目になる、そういうためには使う主体をはっきりしておかなければならぬ、どのところでこれをになってこの金を使うか、もう少し明白に御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/44
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045・高田浩運
○高田(浩)政府委員 母子相談員はこの母子福祉資金の貸付等に関する法律の十五条にございますように、「身上相談に応じ、その自立に必要な指導を行う等」云々、そういうふうな役割を持ったお話のような非常勤の職員でございます。従いましてこれはいわば一般的な身上相談ないし自立のいろいろな指導、そういったことを役割とするものでございまして、母子福祉資金の貸付ないし償還それ自体につきましては、これはむしろ母子相談員というよりも社会福祉事務所の方で事務的にやる、そういうような建前で実は出発をしておったのでございます。ところが実際問題として、社会福祉事務所が生活保護の仕事その他で非常に追われておりまして、勢い貸付の仕事に関することが相当相談員の方にかかってきておるような実情になっておりますので、そのために相談員本来のなすべき仕事が十分達成できないというような面が現実に多々あるのでございまして、そういうような現象から母子相談員の活動がしばしば歯がゆいと申しますか、そういうようなお話もありましたことと符合すると思うのでございます。それでどちらかと申しますれば、母子相談員は本来の母子相談員の仕事に専念をしてもらって、貸付の仕事は社会福祉事務所を中心として事務的にこれを処理していく、そういうような考え方が一番筋にかなった行き方だと私どもは考えておるのであります。そういう意味において貸付、償還の関係の仕事を今度の新しい予算で促進をしていくということでございます。もちろん先ほど申し上げましたように、ただ金の催促にぐるぐる回るというだけではなしに、やはりある程度催促するからにはそれに伴う指導というものがありますから、その点については母子相談員の仕事と多少オーバーラップする面があるかとも思います。そういう関連においては母子相談員の一つの補佐的な役割もあるということもあるいは言えるかと思うのでございますが、どこまでも今申し上げましたような趣旨に沿って、相談員は相談員としての手広い本来の仕事に専念をしていただくという方向に向けていき、それから新しく予算に入りました償還対策としては、償還の促進ということに重点を置いて進めて参りたいと思うのでございます。お話のように、これに運用をよくしませんと混淆を来たすので、この点は十分県の関係者にも徹底をするようにいたしますし、また現実にこれが運営に当ります福祉事務所に十分その旨の徹底をいたしまして、所期の効果を上げるように努めて参りたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/45
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046・滝井義高
○滝井委員 どうも今の局長さんの御答弁では納得がいかないのです。千六百万円の金、一県に割り当てれば三百万円がそこへ行くわけですね。そうしますと、三百万円ばかりの金は一体福祉事務所のどの部門に使われるのか、それが主として今言ったような新たな未亡人に委嘱して事務の促進をやるのか、それとも社会福祉司みたいな人のほかに指導して回るような人の事務の補助にするのか、だれかこの金はおそらくひもつきですからはっきりしておるのです。だからそのひものついていくところはどこだということをはっきりしておかぬと今のような御答弁ではどうもはっきりしないのです。だからこの金は福祉事務所のどの部門にいって、一体だれがその補助金をもらって動くのだということを、はっきりしておかぬとわからないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/46
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047・高田浩運
○高田(浩)政府委員 これは福祉事務所の職員ないし従来あります。母子相談員の方には一文も参らないわけで、ありまして、全然別個の人を賃金という形で委嘱しまして、その者の賃金とそれから実際に動き回るための旅費——旅費が要れば旅費ということになるわけでございまして、いわゆる従来の福祉事務所の職員ないし母子相談員等の費用とは全然別でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/47
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048・滝井義高
○滝井委員 それで大体千六百万円の金の使い方はわかったので、さように一つの趣旨の徹底をまずしておいていただきたいと思います。
次にお尋ねしたいのは、母子福祉対策の上できわめて重要なものは住宅の問題でございます。この八つの貸付金の中を見ると、生活資金に次いで住宅の補修資金というの少いのです。ところが今日本の住宅は、たぶん二百四、五十万くらいに減ってきましたが、不足していると思うのです。その中で第二種の公営住宅には未亡人階層というものは入れないのです。そうすると、社会局あたりで、第三種公営住宅、もっと安い千円以下五百円か六百円程度の住宅というものが必要なんだ、かつてこういう主張をして予算要求をしたことがあったと思うのですが、認められませんでした。低額所得層を中心とする住宅ですね。この母子福祉資金の貸付状況を見ても、住宅は八百八十二人、二千四十三万五千円の金額が決定されたように書いてあります。全部の貸付金の割合からは〇・五%ですね。この点について今年において三分の二も国が出しておるにもかかわらず、なお一億二、三千万円の金が余るとするなら、私はそういう金をもっとこういう住宅の面に使う道を考える必要があるのではないかと思うのです。さいぜん私は根本的な検討というのはそういう点も気持としては含んでおったのですが、一体この住宅の補修資金ですか、こういうものの貸付状態はどういうようになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/48
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049・高田浩運
○高田(浩)政府委員 第一に住宅補修資金でございますが、これは昭和三十一年度から実施をするようにいたしておるのでございます。その意味においては非常に新しいものでございます。私どもが考えましたのは、母子福祉資金の貸付の制度のやはり本筋と申しますか、そういったものはこの法律の趣旨からいたしまして、生業資金でありますとか、そういった一連のものがおのずから重点になるわけで、たとえば将来住宅補修のようなことに相当資金が回るということになりますと、そういう生業でありますとか、あるいは技能修得でありますとか、あるいは就学でありますとか、そういった本来の資金の貸付を非常に圧迫するということになっては、これはこの母子福祉資金貸付の法律の制度それ自体に背馳する、そぐわないようなことになることを考慮いたしまして、住宅補修については、これは広く考えれば、戸、障子、ふすまから数限りないわけでございまして、そういうような点を考慮いたしまして、土台でありますとか、屋根でありますとか、特に雨漏りでありますとか、そういったいわゆる家としての基本的な部分に限って貸付をする、そういうような方針をとっておるのでございまして、そういう意味で、これが資金の額の全体からしまして、過大に膨脹することをむしろ防ぐ、そういう配慮のもとに運用いたしておるのでございます。その点も一つ御了承いただきたいと思います。
それから住宅の問題については一つの問題は、第二種公営住宅の建築促進を建設省の方と連絡をいたしまして、これが促進をはかっておりますと同時に、これが母子世帯の優先入居の措置につきまして、建設省の方と打ち合わして通帳を出しまして、母子世帯の入居の確保をはかっておるような状況でございます。ただお話のように、家賃が高いとか、あるいは全体の数が少いとか、そういうような問題があることは、これは言うまでもございませんが、そういうようなことで、これの入居の促進は私どもとしてはかっておるような状況でございます。なおもちろんこれで十分というわけでもございませんので、先ほどもお話がありました母子寮の多少の変形というようなものも考慮をいたしまして、予算の要求もいたしたのでございます。これはことし実現を見ませんでしたので、今後さらに努力をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/49
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050・滝井義高
○滝井委員 児童局長も御存じの通り、現在母子寮はいわゆる循環方式で、二年なら二年たったら、母子寮から出ていかなければならぬ。あるいは子供が十八才以上になれば出ていかなければならぬわけです。ところが現実に母子寮は、ちょうど現在の日雇い労働者が固定化して、日雇いという職業が一つの恒久的な職業と化しておると同じように、現在日本の全国の母子寮の実態をお調べになるとわかりますが、母子寮はすでに母子の諸君によって固定化されておる、一つの住宅化しつつある。もはや出ていけといっても出ていかれない。出ていこうとすれは——子供は十八にも十九にもなっておるんだから、出ていけと福祉事務所からいわれて、出ていきたいが出ていく先がない、だから一つ災害住宅みたいなものを作ってくれませんかというような、非常に強い要求がある。従って私はこの母子福祉資金の住宅補修資金というものを、金が不足しておるなら、これを私は雨漏りや戸、障子の修理程度に限定すべきだと思うのです。しかし現実に一億以上の金が年々歳々使い切れず余っておるという状況を考えれば、家をお建てになる人があったら、家を建てる人にたとえば十万なら十万十五万なら十五万を限度としてお貸ししましょう。これはいろいろ商売をするのに、ずいぶん私見てみるとたくさん貸しておる。たとえばたばこ屋さんなんかをやるのに、資金を十五万から三十万くらい貸しておるだからそういう点で、金が余っている現実があるとすれば、私はむしろ住宅補修を直して、住宅建設にも金をお貸しするということにしたらどうか、こういう形になると母子寮の循環も早くなるし、それから母子世帯の諸君も根がはえてくる。やはり家を持つということが生業資金をやる上においても大事だと思う。そんなにりっぱなビルである必要はない。山の中の三軒家でも、やはり住めば都よわが里よで、私は災害住宅のような十五万かそこらの家でもいいと思う。そういうものについて何か国がある程度めんどうを見てやるということが必要じゃないかと思うのです。そういう荒物屋さんやたばこ屋さんや趣味の店を開くにも、十五万、二十万とお貸しになっているのだから、店を開くために金を貸すならば、その前に住宅を作るにも金を貸してもいいと思う。こういう点の思い切った改正というものは一体できないものかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/50
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051・高田浩運
○高田(浩)政府委員 今御指摘の各種の店の問題については、これは例といたしましてこういった店をやるにはこの程度の資金が必要だという御参考にこれを書いておるのでありまして、この額を貸し付けているという趣旨ではありませんので、御理解をいただきたいと思います。
今の住宅の問題、確かに重要な問題でございます。私どもも努力をいたしておるのでございますが、貸付の資金につきましては、余っているのは国の予算が余っているわけで、現実に貸し得る資金源が余っているというわけではないのですから、従って貸付をどんどん拡張して、住宅の分まで拡張するということには、今の立て方としては参らない状況でございます。もちろん金が余っているから、むしろ国の貸付の予算を削って、その分を住宅の方に回したらどうか、これは一つ意見としてはあり得ることだと思うのでございますけれども、その辺の問題は今後一面においては従来の住宅についてのいろいろな施策を推進をして参りますと同時に、さらに検討さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/51
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052・山下春江
○山下(春)委員 関連。住宅問題で、さっき私もちょっと触れたのでございますが、厚生省は今滝井議員の御指摘のような問題をつとに勘案されて、第二種母子寮という御計画をされたのでありますが、これが今回予算がつきませんでしたから、この際それを復活するわけにも参らぬと思いますが、実は御指摘の通り、十年間子供を養うということに精一ぱいの母子たちは、家が傾こうが雨が漏ろうが、それを直す余力がなかったのです。そこで今滝井さんが言われた三十万も貸しているではないか、これは法律上そんなに一人で借りられるわけでもありませんから、三人四人で共同して一つの中華そば屋をやるとかあるいはたばこ店をやるとか、いうことであったと思うのですが、そこでその貸付金を住宅へ回すというわけにはいかないと思いますが、とにかく国でこのワク内で今言われた第二種母子寮に相当するような家を児童局が確保するということ。私どもは厚生省がこれらの家を建てるといことは、もう長い間言い尽してきたのです。建設省に建ててもらってはなかなかかゆいところに手の届く住宅政策ができないから、どうしてもこういう母子世帯の家とかあるいは引揚者の家とかというものは、厚生省自体がその業務とともにこの家を考えるという、血の通った住宅政策でなければだめなんだということを力説して参った関係上、建設省で今度非常に安い家を建てる、たしか二万戸があると思のでありますが、それを強力に厚生省で主張して、そうしてこれらの住宅に充てるという御決意があるかどうか、ぜひともわれわれ委員会としてもそういう方途に今年度としては当りたいと思うのですが、この住宅問題に対する児童局の考え方は今どういうふうになっておりますか、お聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/52
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053・高田浩運
○高田(浩)政府委員 第一に第二種公営住宅と申しますか、母子世帯にも振り向けられる住宅の建設については建設省としては昨年よりもより多くのものを三十三年度において予定をしておられるわけでございます。これは一面においては母子世帯とその他の低所得層に対する住宅の問題についての認識の一つの現われだと思うのでございます。そういった意味で私どもは従来とも母子世帯についての入居の促進ということについて両省緊密に連絡をし合ってやっておったのでございますけれども、今後お話の線に沿いましてさらに一そう努力をして、特に中央同士の話がつきましてもなかなか末端のすみずみまで徹底をするには不徹底なところもなきにしもあらずでございますので、そういった点は末端までよくその趣旨が徹底するように一そう努力を傾けて参りたいと思います。それから同時に厚生省として考えました第二種母子寮等一連の問題についてはさらに十分研究を重ねまして、今後これが実現に努力をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/53
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054・山下春江
○山下(春)委員 そこで建設省の第二種公営住宅の中で母子世帯に対して割愛しますということはわれわれもたびたび聞くのでありますけれども、実際問題として、この国会のすぐわき、参議院の自動車の車庫があるところに焼け残った蔵があります。その蔵のわきにトタン屋根を差しかけて住んでいる母子世帯が、もはや戦後十三年、何べん東京都で抽せんしても当らないのです。第二種公営住宅に入るためには実態ではだめなんです。そこで私どもは協力して、かわいそうなものですから税金をもっとたくさん納めておるような書類をこしらえて、その住宅に入れる資格を作って抽せんさしておる。ところが税金はその年からたくさん払っているのにもかかわらずまだ三年もくじが当らぬそうです。これはわれわれそういう資格を作ることに協力したものはまことに申しわけなくておるのでございますが、東京都の住宅の方へもさんざん申し入れをしておるわけなんですけれどもいまだ当らない。これは広い東京といわずに、すぐ目の前にそういう実例があるのです。そこでそういう申し入れを厚生省でなされたくらいでは効果がないのでございまして、その中の五千戸なら五千戸は強力なひもつきで、それで全国の県庁へそのことを十分に指令していただいて、その県で必要な部分だけは強力なひもつきで送り出していだかないと、中央同士のお話ぐらいでは地方末端には全然通用しないのでございますが、そういう強力なひもをつけてこのワクを流すということの御措置を願えるか、どうか、もう一度お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/54
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055・高田浩運
○高田(浩)政府委員 第二種公営住宅のうち何戸を母子世帯に振り向ける、そしてこれをどういうふうに配分するということが一番徹底した措置だと思うのでございますけれども、今まで私ども建設省の方と話した結果によりますと、そこまでのひもつきはなかなかむずかしくて実現を見てないような状況でございますが、お話もございましたのさでらによく両省話し合いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/55
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056・山下春江
○山下(春)委員 そのお話ししにくい点につきましては、われわれもそういうことを建設省の方で言いはすまいかと思いまして十分配慮いたしまして、わが党建設委員に強力にこの問題を話しました。そして厚生省の方はもっと強くこれはひもをつけてとるべきだというくらいまで建設省の方は委員さんたちがみな一生懸命やって下さっておりますので、ぜひ一つ全部の配分がきまらないうちにこの問題だけは——本年第二種母子寮の予算を獲得できなかったということは非常に残念でありましたが、そのかわりにこういう現実にすみやかに家の建つものにひもをつけて流したということになればその効果は同じでございますので、これは政務次官にも特にお願いいたしておきますが、一つ強力に建設省とお話し合いを願ってひもをつけて流していただくように政務次官にどうぞ一つそのことに対して御決意を承わらしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/56
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057・米田吉盛
○米田政府委員 ごもっともでございます。最近政務次官会議もそういうように各省にわたる問題で未解決あるいは解決困難に問題を大いにやろうということに申し合せをいたしまして、実は早朝八時半から政務次官会議をやることに変更してやっておりますので、手始めに一つ十分努力をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/57
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058・滝井義高
○滝井委員 今住宅の問題で山下先生から非常にいい御意見を拝聴しましたが、私は未亡人は第二種住宅には入れないと思うのです。それは入れる人もおります。しかし母子家庭の実態が、四割八分というのは一万円以下の所得なんです。そしてその母子家庭の一割が生活保護の対象で、一割四分は家計が赤だという、こういう実態では千四、五百から二千円する第二種公営住宅に入れないのです。第二種公営住宅に入れる母子家庭もあると思うのです。従ってこのワクは遠慮して返上する必要はないと思うのです。しかしもはやそれで救えない階層がとにかく五割近くおるのですから、それらの諸君のために、これは身体障害者も含めて、何かやっぱりもう少し調子を落した住宅——それは具体的に厚生省が構想を持っておられた第二種母子寮でもけっこうだと思います。そういうものをこの際決意をされて推進をする以外には私はだめだと思うのです。それは政府資金やら技能修得資金を貸してくれるといっても、やはり住居のないジプシーの民ではだめです。だからお互いが貧しいながらも祖国を愛していくには、やはり祖国に根をはやしていく以外にない。根をはやしていくということは住居を持つということです。やはり住居を持つということによって、貧しいながらも母子家庭というものはすくすくと伸びていく。そしてそこから次代の国を背負う子供が生まれてくるのです。そういう点から、どうもこれは生業資金の貸付の対象から少し遠い住宅の問題、しかもその比率が補修くらいしかない問題を住宅に振りかえて議論をすることは少し問題がありますけれども、やはりそういう根本的なところに貸付資金というものが今後向けられる必要があるということです。一応そういうことをお願いして、あとは次会にあなたの方からもう少し資料をいだいて、根本的なところに入りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/58
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059・森山欽司
○森山委員長 本案についての本日の質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。
午後零時九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X00819580218/59
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