1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十三年三月六日(木曜日)
午前十一時四十七分開議
出席委員
委員長 森山 欽司君
理事 植村 武一君 理事 田中 正巳君
理事 野澤 清人君 理事 八田 貞義君
理事 滝井 義高君 理事 八木 一男君
大橋 武夫君 加藤鐐五郎君
小島 徹三君 田子 一民君
中山 マサ君 藤本 捨助君
松浦周太郎君 亘 四郎君
岡本 隆一君 堂森 芳夫君
中原 健次君 山花 秀雄君
吉川 兼光君
出席国務大臣
厚 生 大 臣 堀木 鎌三君
出席政府委員
厚生政務次官 米田 吉盛君
厚生事務官
(社会局長) 安田 厳君
厚生事務官
(保険局長) 高田 正巳君
労働事務官
(職業安定局
長) 百田 正弘君
委員外の出席者
専 門 員 川井 章知君
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本日の会議に付した案件
日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案
(内閣提出第一〇三号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X01819580306/0
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001・森山欽司
○森山委員長 これより会議を聞きます。
この際、大臣及び政府委員に申し上げます。審議時間を充実するため、開会時間には必ず委員室で待機しているよう心がけられるよう要望いたします。
日雇労働者者健康保険法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。八木一男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X01819580306/1
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002・八木一男
○八木(一男)委員 日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案について、厚生大臣に御質問を申し上げたいと思います。
この法律は昭和二十八年の十六国会において可決されまして、二十九年の二月から施行を見たわけでございますが、最初は非常に内容が悪くて、給付期間か短かった、あるいは医療内容が少かったというような問題があったわけです。それが当衆議院の社会労働委員会においては、これは急速に内容を局めなければなつないという再三の決議をし、また社会保障制度審議会等でも三回にわたりまして、その内容をよくしなければならない、国庫負担を増額してよくしなければならないというような答申あるいは勧告に、その部分をつけての勧告があったわけであります。そういう点で、昨年の国会の衆議院本会議におきまして、神田正厚生大臣より、来年度から傷病手当金をつける、あるいはまた大蔵大臣からも、そのとさは池田男人氏でありましたか、そういう御答弁がございました。そういう政府並びに自民党の公約のもとに、この問題の内容をよくすることが進められてきたわけであります。そこで各審議会の答申、勧告、並びに当委員会の決議、あるいはまた各大臣との質疑応答の内容は、国庫負担を増額することによって傷病手当金をつける、あるいは出産手当をつける、あるいは給付期間を延長する、あるいは給付要件を緩和する、あるいはまた、これは行政上の問題にも大きく触れますが、手続を簡素化するというような問題として公約をされて参ったわけですが、今度現われて参りました法律案は、傷病手当金を新設するという点について、少し前進であることは認められるわけでございますが、当委員会や衆議院の社会労働委員会や、あるいは各審議会や、今までの内閣または厚生大臣の言明されたり、あるいは決議された内容とは、非常に遠ざかっているわけであります。傷病手当金というものりは健康保険においては六カ月ということになっておりまして、日雇労働者健康保険法がこれから傷病手当金をつける場合においても、少くとも三カ月くらいのところは当然初めに考えられるということが常識になっているわけでございます。それからまたこの日雇い労働者健康保険の国庫負担をふやして、保険料の値上げをすることなくしてそういう内容を向上するということが常識になっている点は、これは厚生大臣も御存じだと思う。そういう今申し上げましたような日雇い労働者健康保険の方は国庫負担を増額することによって内容をよくする。よくする内容は、少くとも健康保険の内容と合せるように急速な努力をする。従ってその第一段としては健康保険の内容より少し悪くても、少くともそれに近いような内容にすべきであるということがすべての常識になっているわけでございまするが、それにつきまして厚生大臣のお考えを承わりたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X01819580306/2
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003・堀木鎌三
○堀木国務大臣 日雇い健康保険が今八木委員の言われましたような状態に達することはお互いに希望すべき状況であります。いろいろお話がございましたが、御承知の通りに、この日雇い健康保険はすでに現在の状態でも赤字を出しておる。私としては今回各種保険のうちで日雇い健康保険が一番力を入れたものの一つであると思っておるのです。これは八木さんもよく御承知であって、日雇い健康保険を始めますときから私もタッチをいたしましたので、私のいるときにぜひ新たなる傷病手当金、出産手当金等をやりたいという熱情を持ってかかっておるのであります。本来相当な赤字をしょいながら新しい給付を始めるという事態は相当困難に逢着しておる。今度の各種の社会保険を通じて見ましても、被保険者の立場から見てこの日雇い健康保険が五億数千万円を計上するという状況になったごとをごらん願っても、相当ウエートを置いたということは御承認願えるだろうと思うのであります。医療給付費に対しましても、従来の一割五分が二割五分になりました。新しく給付を設定いたしまして、赤字を解消して、そしてやっていこうというふうな点は相当努力したつもりでございます。むろん今おっしゃるような理想的な日雇い健康保険という点から見ると、今日の段階で私どもは決して満足しているわけではございません。しかし財政の全体のワクから見まして、まず率直に申し上げれば、実は私自身が相当の責任を感じつつ何とか新しく進歩をいたしたいという努力をいたした跡だけはお認めを願えるのではなかろうか、こう考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X01819580306/3
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004・八木一男
○八木(一男)委員 堀木鎌三先生が日雇労働者健康保険法につきまして、前に、昭和二十八年のときに非常に御理解の深い態度を持っていただきまして、この内容をよくしようという御努力をしていただいている点につきましては、党派は違いまするが、私も非常に敬意を払っているわけでございます。しかしその個人的な敬意と、厚生大臣としての、責任者としての、内閣の公約を完全に果しておられないということに対する責任の追及といいますか、それとはまた別なわけでございます。私はこの問題に熱心な堀木大臣にこの問題を追及することはいろいろとやりにくい点があるわけでございまするが、問題を推進するために、御努力の跡は見えても、その不当なところにつきましてはどうしてもやはりこれを明快にしておかなければならない。それで、内閣の方でいろいろ御努力になったと言いますけれども、日雇い健康保険で国庫負担を上げて五億何千万円という金を出したという点は、ないよりはましでございまするが、この前も少し触れましたけれども、予算全体が一五%ほどふえておりまするときに、厚生省の予算は五%くらいしかふえていない。もし厚生省の予算が、内閣の全体の予算がふえた並みにふくれましたならば、これは日雇い健康保険について大臣が考えておられることが全部通って、そのほかに、またほかの重要案件である結核の問題にしろ、医療の単価の問題にしろ、それからまた国民年金のうちの当然やらなければならない無醵出年金を社会保障制度審議会の答申を待たずに、今すぐ困っている老人なり母子家庭を助けるために、小さい問題でも政府の責任において発足させる、その後に答申があったらそれに吸収するという措置もこれは全部できるわけです。ところが予算がこのように全体が一五%ふくらんでおるのに五%しかふくらんでいないというところに、金の面からの原因があるということはできるわけです。これは厚生大臣の御努力、社会保障に対する態度、御信念はわかりますけれども、内閣自体が、社会保障の推進であるとか、福祉国家の建設であるとか、あるいは貧乏の追放であるとかということを歴代の内閣が言っておられるけれども、実際はそういうことをやる気がほんとうはなかったということの証拠であると思うわけです。昨年は一千億減税ということを言われました。しかし減税の内容は私どもは、かなり裕福な階級に対する減税の部分が多くて、貧困階層に対する減税の部分が、もっとしなければならないのに少かったではないかと思うのです。特に所得税をとられるだけの収入を持っていなかった人には減税の恩恵が回っておりません。それに対して、この前の通常国会において、内閣総理大臣と、時の神田厚生大臣、池田大蔵大臣に伺いましたけれども、その分の埋め合せば社会保障を推進することでカバーできると言われた。そうすると、ほんとうは内閣全体の予算のふくらみの上に、カバーするためにその倍もふくれ上らせてもらわなければバランスがとれないのです。その上に今度社会保障の推進という公約を実施しようとしたら、三倍か四倍もしなければならない。ところが今度は全体の増進率が少かった、その少い比率をかけたことしの全体の増進率の三分の一です。これはほんとうにとんでもないことです。厚生大臣がほんとうに御努力になったことはわかりますけれども、内閣の閣僚といたされまして、内閣自体の公約なり、それから減税とのバランス等の公約を果すという点を考えられましたならば、もっと閣議で強硬に言って、日雇い労働者保険のときは国庫負担でやって、傷病手当金その他は六カ月でやり、給付は三年に延長するということだって簡単にできるわけです。それができなかったという点において、厚生大臣の御努力は認めますけれども、結果としてはほとんど実現できなかったということになると思うのですけれども、私の申し上げましたことにつきまして、厚生大臣としてのお考えがございましたら伺わさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X01819580306/4
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005・堀木鎌三
○堀木国務大臣 三十三年度の予算編成に当りましての厚生省関係経費及ひ社会保障関係費等が少ないという御意見に対しましては私自身決して満足しているわけではございません。ですから、なお今後とも努力をいたすつもりでおります、ただ予算に対する比率の問題は、確かに三十二年度のときより減っております。しかしこれは御承知のように今度の予算編成の社会保障関係、並びに厚生省関係の予算の比率というものは、とり方によってはいろいろ考えられるわけであります、千七百億を基準にされる場合と、実質的に使える千億を基準にされる場合と、それから社会保障関係の経費にどういうものを入れるかという事柄から、いろいろ批判はできると思うのであります。また当委員会におきまして八田委員がかって御質問になりましたように、国民所得というものから見ての比率は去年よりはふえておるという点、数字上の争いは議論の末に走りますからいたしません。私として社会保障関係及びこれに関連する経費を推進する当面の責任者といたしましてはむろん満足はいたしておりません。ただ率直に申し上げると、当面の日雇い労働者健康保険の問題につきましても、社会保険審議会の答申だけにも充足することができなかったという点は非常に残念だと思いますが、しかし各社会保険を通じて被保険者の数その他から見ましてともかくも赤字を埋め、新しい給付内容を作りましたということだけはお認めを願えるだろう。これはもう八木さん御承知の通りに、各社会保険も相当の沿革を重ねつつ、だんだん内容を充実して参るというふうなことであって、全体の財政とにらみ合わす不断の努力が必要であろうということは私十分考えております。決して現状をもって日雇労働者健康保険法が満足な域に達したとは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X01819580306/5
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006・八木一男
○八木(一男)委員 今社会保障費の比率の問題について、いろいろのとり方があると言われました。いろいろのとり方があることは私も承知しております。どのとり方をいたしましても、とにかく昨年の減税の埋め合せで社会保障をやるという最近の公約を考え、それから社会保障を増進するという今までの歴代の保守党内閣の公約から見て、その公約が果されていないこともどんな比率をとっても明らかに言えるということを私は断言したいと思います。
問題に入ります。日雇労働者健康保険法の問題で、今厚生大臣は、この案は一生懸命努力したけれどもこの程度しかできなかった、これでは十分だとは思っていない、なおこれから努力をしていきたいというお答えでありました。これは当然のことと思いまするが、その努力についての御決意を一つ伺わしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X01819580306/6
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007・堀木鎌三
○堀木国務大臣 八木さん、もう決意はあらためて申し上げるまでもなく、率直に言えば、今度の日雇労働者健康保険法の予算の経過をあなたはよく御承知なので、その経過をごらん願っても、私が一番先頭に立ったのじゃないかとひそかに考えております。今後も努力はいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X01819580306/7
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008・八木一男
○八木(一男)委員 今後の努力の中には、当然来年度において国庫負担を大幅に増額するとか内容を改善するとかいうことが含まれなければならないと思いますが、これを出された今国会においてもできる限りの御努力が必要であると私は思うわけであります。御努力の中には、堀木厚生大臣の誠意を信じまして、今国会における御努力もありと私は信じたいわけでございますが、その点について荒しつかえなければ一つぜひ御答弁していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X01819580306/8
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009・堀木鎌三
○堀木国務大臣 これはこの前のときも八木委員はお聞きになったのでございますが、私は予算を編成した閣僚の一人としての責任はございます。今後努力いたします。しかしまたチャンスがあればいかなるチャンスといえどものがすものではございませんが、しかしこの前おっしゃったように、これを撤回しろとおっしゃっても撤回はいたしません。現段階においてはそれはともかく精一ぱいのところであるというふうに考えておりますが、決してそれだから今後いかなるチャンスがあっても努力しないとは申さない。いなむしろチャンスがあればあるだけ努力をいたして参るつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X01819580306/9
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010・八木一男
○八木(一男)委員 厚生大臣のお立場はよくわかります。今の閣僚としての厚生大臣としてのお立場はお立場といたしまして、今のことで今国会であらゆるチャンスをつかまえて努力をするというようなお気持を披瀝していただいた点は、私は満足をしたいと思います。日雇労働者健康保険法の審議の過程において、与党の方々あるいはわれわれ野党の人たちが、こういうふうにしたらいいのではないか、こういう点が欠陥があるのではないかということをこれから慎重に十分に審議をされるわけですが、その審議の過程から、この日雇労働者健康保険法の推進の機会が生まれてくると思う。そのほんとうにいい機会を作り、そうしてほんとうにいい審議をするために、厚生大臣にいいにくいところを面を冒して痛烈にいろいろなことを申し上げたい。
まず第一に、この前もちょっと触れましたけれども、現内閣もそれから厚生大臣も、何といいますか、順法精神に欠けておられるように思う。あるいはまた順法精神に富んでおられても、それを実行させないという勢力に対して抗争が手ぬるいと思うわけです。社会保険審議会の答申は厚生大臣は尊重されなければならないはずであります。社会保障制度審議会の答申は、内閣総理大臣がこれを尊重しなければならないはずであります。そこの壁は言うまでもなく大蔵省が大きな壁になっているということはわかりますけれども、厚生省と大蔵省は行政官庁として当然対等のはずであります。対等の立場においては今回努力をされたような社会保障制度審議会の答申が、厚生大臣なり厚生省関係者の御努力によって完全に実行されるのが当然ではないかと思う。さらにまた社会保障制度審議会の答申を土台にして内閣総理大臣がこれをほんとうに尊重される気であれば、これについて大蔵大臣を押えることは明らかにわけないはずであります。そういうことができなかった法案が出てきたということは、これは内閣並びに厚生大臣がほんとうに法律を貫くという精神に欠けているように思うわけです。極端に言えば、総理大臣は順法精神がない、法律を無視しているということが言えるわけだ。それについて厚生大臣のお考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X01819580306/10
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011・堀木鎌三
○堀木国務大臣 社会保険審議会の御答申に対しては私どもとして最大限尊重しなければならぬことは当然だと思います。しかしこれはもうあえて申し上げる必要もないように、何といっても予算全体の財政上のワクが一つ考えられなければならぬことは、私どもも責任がある。そうするとどうしてもワクがはまって参ることも当然だと思うわけであります。ただ私どもが保険審議会の答申を受けました以上は、これは財政上許す限りこの実現に向って努力をしなければならないことは、これもまた当然であると思う。私どもとしては、今後この保険審議会の御答申を尊重して、財政の許す限りこの実現に努めたいという考えでございます、大蔵大臣との問題につきましても、ひとり大蔵大臣だけの責任だとは私は思わない。ただ不幸にしてちょうど日本の経済が調整過程に入ったものですから、そういう全体のことも考えざるを得なかったということは申し上げます。なお今後ともこの御答申の実現に向っては努力いたすつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X01819580306/11
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012・八木一男
○八木(一男)委員 社会保険審議会の答申でございますが、今まで社会保険審議会の答申というものが一つのまとまった意見として出た例は割に少かったのじゃないか。いろいろの対立意見が出たときが多いのです。ところがこの日雇労働者健康保険法に関してはあれだけ対立する社会保険審議会がまとまった意見を出した。ということは、これが天下の世論であるということを明らかに裏づけると思う。そうなりました場合に、天下の世論であるということが、今の世論を背景とされているはずの岸内閣で実現されないということはこれはあってはならないと思います。実現されないということであれば、それはやはり厚生省の御努力が足りなかった、大蔵省の無理解の程度が極端であった、その間に内閣総理大臣が一つもあっせん、調整ということをされなかったということの証左だと私は思うわけでございますが、それについて国務大臣としてのお答えを願いた発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X01819580306/12
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013・堀木鎌三
○堀木国務大臣 社会保険審議会で、率直に申して、私も御答申を受けましたときに、委員長から詳しくこの答申の経過というものを拝聴いたしました。八木委員のおっしゃるように、この御答申については全会一致であった。まことに珍しい現象である。私自身もそういうふうな御答申に対して最大限の努力はしなくちゃならぬ。予算がきまっても、ともかくもさしあたりできるだけのことはしようじゃないかという考え方で、最初の原案に少し修正を加えました。しかし私としては、三十三年度の予算におきまして、社会保険審議会の御答申に十分こたえることができなかったことは残念でございます。しかし、今後これは——大蔵当局の無理解とおっしゃいますが、率直にいって、ずいぶんいろいろな壁にぶつかるわけでございます。私としては今後あくまでもこの御答申の趣旨に従って、あらゆる機会を通じて実現に努めたい、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X01819580306/13
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014・八木一男
○八木(一男)委員 この前もちょっと触れたあとで重ねて恐縮でございますが、社会保障制度審議会は内閣総理大臣の所管のもとにある。総理大臣はこの調整について動かれなかったと私は思うのですけれども、その点について、一度伺ったことで恐縮でございますが、もう一回一つ御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X01819580306/14
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015・堀木鎌三
○堀木国務大臣 この前も申し上げましたように、私不肖ではございますが、ともかくも厚生大臣に任を受けております。私自身がこの点について判断をすべきであるという考え方で、当然内閣に対する御答申としても、私どもとしてもその衝に当る第一次の責任者として、私が責任を考えたということを申し上げるよりほかないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X01819580306/15
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016・八木一男
○八木(一男)委員 厚生大臣が厚生行政をあずかっておられる責任を痛感して、国務大臣の一人としてその問題の処理に当ろうという御決意はこれはとうといものだと思います。御決意に基いた御努力もずいぶんされたことを私は知っております。しかし、その御決意で当られて、大蔵省を説得されて、そして保険審議会なり、制度審議会の答申というものか実現されておる場合はそれでけっこうであります。実現されない場合には厚生大臣としても責任がありますけれども、これはもっと大きくいえば内閣の責任である。またそれを支持しておられる自由民主党の威信にも関係することでございますから、これができないときには総理大臣をやっぱり引っぱり出して、その実現に努められることがほんとうの政治ではないかと思う。今までしておられなかったようでございますから、これから内閣総理大臣をぜひわずらわして、もちろん厚生大臣が先頭に立たれてこの問題を展開される御努力をしていただくということが一番よいのじゃないかと思うわけでございますが、それについてのお考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X01819580306/16
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017・堀木鎌三
○堀木国務大臣 これは八木委員も御承知の通りに、予算の全体のワクは全部総理大臣以下責任を負うておる。それできまっている中で最大限の修正をするとすれば、今回の修正だと私は思うのであります。私自身が、先ほど申し上げましたように、各社会保険を通じて、しかも被保険者の数その他の面から見ましても、これはほかの方も非常にお前だめじゃないかと言われれば、それもそうかも——そういうふうなことから類推して言われるのかもしれませんが、全体としてみますと、実は率直にいって、この赤字を解消し、それから新しい給付を作るというふうなことから考えますと、ほかの各種保険にかんがみますときには、今度の予算編成に当って私は一番ウェートが置かれてあるのじゃないかと思います。これは事実数字が示しておると思うのであります。そういう意味から私は、この際にはこの審議会の御答申というものについては今後実現しなければならぬ責任を感じておるし、また実現しようと思っておりますが、総理大臣の問題と申しますより、私の問題だというふうに考えております。現にこの御答申も厚生大臣あてに出ておるような次第であって、今の客観的情勢の上で全体の予算を変更するということはお考えになれぬと思うのです。今後まだいろいろなチャンスが出た場合にはできるだけそういう問題について考慮いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X01819580306/17
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018・八木一男
○八木(一男)委員 厚生大臣のお苦しい立場はわかりますが、予算といっても、これは衆議院が通りましても、国会として通ったものではありません。よき修正であれば参議院で修正をして衆議院に回付という問題も当然あり得ます。それからまた後に補正予算を組んで、この問題だけで臨時国会ということも普通はできないと言われるけれども、ほんとうにやる決心だったらそのこともできます。ですから予算の問題も終ったわけではない。総理大臣が決意をされたらそういうことはできるわけです。また予算の範囲でも今の総予算の範囲をくずさなくても、最大限の努力をすればある程度のものが入るわけであります。そういう御努力をしていただきたいと思う。厚生大臣は厚生省をあずかっておられる責任感に燃えて内閣総理大臣をわずらわしたくないと言っておられますけれども、内閣総理大臣はこういうことは聞いておられないような状況ですから、厚生大臣がおっしゃって、あるいは議会の審議においてわれわれが内閣総理大臣にそういう意見を申し上げるということになれば、岸さんはその気になられるかもしれません。それで参議院の中における問題で、与党から修正案を出すとかあるいは内閣の方でも考えるとか、あるいは総予算のワクは変えないけれども、そこで操作ができる部分がずいぶんある。この予算はほかのものと違ってそんなに多くありません。これを倍にしようが、それくらいの操作は、ほんとうに政府がやる気だったらできます。いろいろな会計上のやりくりでやって、来年度から法律的に明証してやるという方法もできます。やる気であれば今の政府でやれるわけであります。内閣総理大臣がこのことをやられるつもりになられるかどうか。まだ内閣総理大臣はそうはっきり認識しておられないようであります。しかも社会保障制度審議会の答申は内閣総理大臣あてのものであります。社会保障制度審議会の答申は社会保険審議会の答申を全部のんでおります。そのほかにもっと国庫負担をふやすべしという意見がつけ加えてあるわけであります。これを受ける立場である内閣総理大臣が知らない。知らなくても総理大臣が決意をしたら厚生大臣とともにこれを実現できるという情勢があるかもしれないのに、それをつんぼさじきに置いておくということは内閣総理大臣を無視したことになると思う。その意味で内閣総理大臣にも伺いたいと思います。質問中に恐縮でありますが、今お聞きになったような経過でございますから、日雇労働者健康保険法に関して、内閣総理大臣の本委員会に対する出席を要求いたしておきます。そういう御努力を、こちらが要求しなくても、厚生大臣自体がやはり総理大臣と話し合われて、これからしていかれる必要があると思いますが、ぜひ今までの厚生省を扱うという狭義の責任感の立場から離れて、ほんとうにこの対象の国民のためにという立場から内閣総理大臣にお話しを願いたいと思うわけでございまするが、これについて一つお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X01819580306/18
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019・堀木鎌三
○堀木国務大臣 八木委員があまりその問題について私の答弁を御要求なさると、少し率直に申し上げて、私はこの問題はこの前も申し上げたような御返事をせざるを得ません。これは私自身が社会保険審議会に諮問いたしまして、私自身に対して御答申になっておるのです。私自身も厚生大臣である以上、今回の国会に対して当然これを御提出して御審議をわずらわします以上は、この段階においてこの問題が最善だという考え方に立っておることは事実であります。私自身が当然その点については責任を負っていくものである、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X01819580306/19
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020・八木一男
○八木(一男)委員 厚生大臣は厚生大臣の立場だけでお答えになっておられまするけれども、厚生行政に関係があるから、国務大臣としてもお答えを願いたいと思います。社会保障制度審議会の答申が内閣総理大臣あてだということは、言わなくてもわかっております。総理大臣に社会保障制度審議会設置法第二条の尊重の義務があることも明らかでございます。ですから内閣総理大臣に言うのが当りまえなんです。厚生大臣のお立場を私どもはそんたくしてお願いをしておるわけでございます。私どもとして厚生大臣とは関係なしに、この問題について内閣総理大臣の出席を要求し、内閣総理大臣を糾弾することは当然できるはずです。ですから丁寧にその事態を察知して申し上げておるわけでございますから、問題を紛糾させないで、厚生大臣から内閣総理大臣に、積極的に社会労働委員会に出て、内閣総理大臣としてこの問題を把握してどうすべきかということを向うから出てこられるのが当りまえ、だ、それで閣僚として、特に厚生行政に関連のある問題について内閣総理大臣を補佐されるのは当然だと思う。国務大臣でおられまするから、厚生大臣自体の問題ではなしに、内閣全体の立場としてもお考え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X01819580306/20
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021・堀木鎌三
○堀木国務大臣 私国務大臣としての責任も感じております。でありますから、率直に言って、内閣に社会保障制度審議会がありますが、社会保障に関することは厚生大臣がおもでありますが、その所管のことに関して社会保障制度審議会に各省大臣が問い、各省大臣に対して御答申があるということは八木委員がよく御承知の通りであります。私自身は、この問題に関しては、現在の段階においてはこれが最善だと思って御審議を願っておるということは、国務大臣としても言い得ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X01819580306/21
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022・八木一男
○八木(一男)委員 委員長に要求いたします。この問題について内閣総理大臣の出席を要求いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X01819580306/22
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023・森山欽司
○森山委員長 適当な機会に理事会を開いて御相談いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X01819580306/23
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024・八木一男
○八木(一男)委員 御協力するという意味で審議を進めます。実は厚生大臣が熱心なのにこの問題についていやみを言わなければならないのは僕は心苦しいのですけれども、やはりこの問題を推進するためには面を冒して言わなければならぬ。それで社会保険審議会や社会保障制度審議会の答申は、その中で国庫負担を法律化するという点を入れられております。入れられておりますけれども、とにかくことしの予算の金に関する限りほとんどいれられてない。これではほんとうの答申が尊重されたことにならないわけです。大蔵省は金の問題以外だったらあるけれども——金の問題以外でももっとできることもしておりませんけれども、とにかく問題の解決はやはり金が関係してきますが、金についてはほとんど譲っていない。それでは社会保障制度審議会や社会保険審議会はあってもなくても同じです。そういうものを法律的に作って尊重しなければならないと考えている。それを一つも尊重しないのだったら、内閣も厚生大臣も法律を無視したといわれても仕方がないわけです。法律は国の一番のもとです。いろいろの点で順法ということは大事なわけです。ただ内閣の予算の都合であるとか内閣の何とかの都合であるとか、今の情勢であるとか、そういうことよりも先に法律という問題を考えなければいけない。法律をはすしたならば国はめちゃくちゃになります。その法律をほんとうに実行されていないのです。全部その通り尊重しなければならないということは即時そのときに全部認めろということではないという御理解であろうと思います。私もそれは幾分弾力的に考えまするけれども、実質的に今回の審議会の答申は金に関する限りほとんど認めておられない。それでは実質的にほとんど尊重していないということになる。尊重させるための努力を厚生大臣が重ねられたことはわかります。ですから厚生大臣にはほんとうは追及しにくいのです。それを実行しなかった大蔵大臣を追及しなければならないし、それを努力しなかった内閣総理大臣を追及しなければならないし、その問題に協力しなかった労働大臣を追及しなければならないわけです。ですからその意味で内閣総理大臣と大蔵大臣と労働大臣の即時出席を重ねて要求をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X01819580306/24
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025・森山欽司
○森山委員長 適当な時期に理事会を開いて御相談いたしたいと思います。
速記をとめて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X01819580306/25
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026・森山欽司
○森山委員長 速記を始めて下さい。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X01819580306/26
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