1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和三十三年三月二十八日(金曜日)
午前十一時三分開議
出席委員
委員長 森山 欽司君
理事 植村 武一君 理事 大坪 保雄君
理事 田中 正巳君 理事 野澤 清人君
理事 八田 貞義君 理事 滝井 義高君
理事 八木 一男君
大橋 武夫君 加藤鐐五郎君
亀山 孝一君 小島 徹三君
小林 郁君 中山 マサ君
藤本 捨助君 古川 丈吉君
松浦周太郎君 亘 四郎君
井堀 繁雄君 岡本 隆一君
堂森 芳夫君 多賀谷真稔君
中原 健次君 長谷川 保君
山花 秀雄君
出席国務大臣
労 働 大 臣 石田 博英君
出席政府委員
労働事務官
(大臣官房長) 澁谷 直藏君
労働事務官
(労政局長) 亀井 光君
労働事務官
(職業安定局
長) 百田 正弘君
委員外の出席者
文部事務官
(初等中等教育
局中等教育課
長) 杉江 清君
通商産業事務官
(企業局次長) 樋詰 誠明君
通商産業事務官
(中小企業庁指
導部長) 川瀬 健治君
専 門 員 川井 章知君
—————————————
三月二十八日
委員栗原俊夫君、中原健次君及び福田昌子君辞
任につき、その補欠として松岡駒吉君、辻原弘
市君及び多賀谷真稔君が議長の指名で委員に選
任された。
—————————————
本日の会議に付した案件
職業訓練法案(内閣提出第九三号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/0
-
001・森山欽司
○森山委員長 これより会議を開きます。
職業訓練法案を議題とし、審査を進めます。質疑を許します。井堀繁雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/1
-
002・井堀繁雄
○井堀委員 職業訓練法案に対しまして、重要な点を一、二確認をいたす意味で、お尋ねをいたしたいと思います。原案の第十三条の事業内の職業訓練の基準設定などについて、労働組合の意見が反映される点に不明確な点がありますので、この点を明確にいたしたいので、御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/2
-
003・石田博英
○石田国務大臣 事業内職業訓練の基準は、中央職業訓練審議会に諮問されることになっておりますので、中央職業訓練審議会には労働者の代表が参加するので、基準の設定については労働者代表の意向を反映するものと考えているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/3
-
004・井堀繁雄
○井堀委員 さらに本案によりますと、この都道府県訓練審議会の組織についても、中央職業訓練審議会と同様に、労働者、事業主の参加を決定化する必要があると思うのでありますが、この点に対する御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/4
-
005・石田博英
○石田国務大臣 都道府県職業訓練審議会は都道府県が条例で設置するもので、その組織運営について法定する必要はないと考えますが、事実上都道府県職業訓練審議会は中央職業訓練審議会に準じて労働者、事業主の代表を参加させるよう指導いたしたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/5
-
006・森山欽司
○森山委員長 多賀谷真稔君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/6
-
007・多賀谷真稔
○多賀谷委員 まず職業訓練法に基く、ことに事業内訓練の場合の訓練の対象になる労働者並びにその養成をする技術者というのは、どういう範囲ですか。もう少し具体的にいいますと、多能工であるのか単能工であるのか、同じ熟練工でも多能工を養成するのか、あるいは単能工を養成するのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/7
-
008・澁谷直藏
○澁谷政府委員 本法で想定しております事業内職業訓練の主たる対象として考えておりますのは、いわゆる熟練工の養成でございますから、多能工を中心として行うことを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/8
-
009・多賀谷真稔
○多賀谷委員 大臣にお尋ねしますが、中央青少年問題協議会においても総理大臣に対して昨年の五月二十二日、勤労青少年教育対策としての答申が出ております。さらにまた最近中央教育審議会において、勤労青少年教育振興策として今結論を急がれておるようでありますが、これらについては、大体その方向として、満十七歳までの勤労青少年を対象として義務制の産業高校の新設、あるいはまた外国でもやっておりますように、一週間一労働日でありますから、一日八時間といたしますと、半日就業の場合は二日になりますけれども、一週間一労働日を学校に通わして、そうして教養学科並びに関連学科をやる、大体こういう答申が出るものだと考えられるわけです。ですから、そういう産業教育との面、あるいはこの職業訓練との関連性、こういう問題について大臣の所見を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/9
-
010・石田博英
○石田国務大臣 中央青少年問題協議会がその答申をいたしましたときの会長は実は私でございまして、この答申の趣旨は、一般的、基礎的職業教育でございます。私どもの方で今度やろうといたしておりまする職業訓練は、具体的な実技の画に重点を置きまして、その地域またその場合におきまする職業領域、技能等の事情に応じて行いたいと思っておるのでございまして、相五に密接な連絡を保たなければなりませんし、特に使用者側に対しては理解と協力を求めていかなければならぬ点も同一でございますけれども、重複はいたさないつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/10
-
011・多賀谷真稔
○多賀谷委員 重複はいたさないと一言われますけれども、今普通高校を除きまして、職業高校がある、定時制高校がある、各種学校がある、産業訓練部というのがある、今度は定時制高校の別科として産業科というのが付設される、さらに青年学級がある。こういうことで、たとえば産業科の科目を見ますると、これは技能者養成の教科科目とあまり変らない。しかも全日制の場合は一年、定時制の場合は二年ですが、こういったものとの関連というのが私は必ずしも緊密じゃないと思う。文部省は文部省でおやりになり、労働省は労働省でおやりになっておる。幸いにして今度はその技能者養成において修得されたところの単位といいますか、それについては定時制高校において履修をしておるものとみなすという学校教育法の一部改正が提案されておりますから、これは喜ばしいことでありますけれども、それは消極的なことで、もう少し積極的な連関性というものをとる必要があるのじゃないか、こういうように考えるわけです。学校教育で、たとえば定時制高校の産業科を付設するのと一般の訓練をなさる場合と、一体どこが違うか。こういう点具体的に科目を拾ってみますと、ほとんど違わないのです。こういう点、どういうようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/11
-
012・石田博英
○石田国務大臣 まず第一、高等学校の機械工作課程の時間割りと、それから私どもの方の今までやっておりました技能者養成機械工教習事項の時間割りの面を見ますと、外国語とかあるいは工業理論の単位数は、高等学校の機械工作科が三十三に対して私どもの方は十九、十四不足をいたしております。それに反しまして、実科は高等学校機械工作科が二十五に対して私どもの方は九十八単位となっております。実技の方に非常に重点を置いていることはこれでおわかりいただけると存じます。それから学校教育の方は、先ほど申し上げましたように、基礎的、教養的な面に重点を置かれて参ると思うのでありますが、しかしこれが義務化されて参りました場合におきましては、今度私どもの方は、あれは対象年齢の制限がございませんから、新しく職業の転換を望まれる人、あるいは失職をして職業につこうと思う人、そういう人をも私どもは対象にいたしておるわけでございます。従って、私どもの方で取った単位が今度はいわゆる高等学校の単位にみなされるような学校教育法の改正も行なっておるわけでございますが、今度はそれが義務化され、制度が完全にできました暁におきましては、最終の実技上の仕上げとか、その他高年齢層への対象に重点を置くとか、あるいはそういうふうにでき上った状態に応じまして、われわれの方の職業訓練のあり方も現実的に即応しなければいかぬと思っております。現在の段階において両者の関連はただいまお答え申し上げた通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/12
-
013・多賀谷真稔
○多賀谷委員 たとえば、今お話しになりましたが、一般教養並びに関連学科の場合でも、産業科の場合はかなり実技を見ていますよ。たとえば一般並びに関連学科が四百六十五時間、それから実習が八百七十五時間、技能者養成の方は一、二、三とありますから、一年だけをとってみますと、大体比率が、一学年の関連並びに一般教養学科が三百八十五に対して実技は千八十五時間と、若干実技は上回っておりますけれども、大体同じ歩調で行っている。ただ年限が産業化の場合は違う。さらにまたこのことは、やはり定時制高校の産業科の場合、かなり似ているのではないかと思う。さらにまた産業科と一般職業訓練との関係、これもかなり似通っているのではないか、こういうように思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/13
-
014・石田博英
○石田国務大臣 実技に重点を置いておるあり方、度合いについてはいろいろ見方があると思うのでありますが、基本的に学校教育は、たびたび申しますように、基礎的な、それからまた学問的と申しますか、一般教養、こういうようなものを対象とするに対しまして、われわれの方は、それを応用的あるいは技能的あるいは個別的、さらに具体的に職業訓練を行おう、たとえば旋盤工なら旋盤工にすることを目標とする職業訓練を行おうということでございまして、この間、関連は持たなければなりませんけれども、それぞれ重複するところはないと思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/14
-
015・多賀谷真稔
○多賀谷委員 それは労働省でもやる、通産省でもやる、文部省でもやる、こういうようになれば別です。ですけれども、多々ますます弁ずという方式で、どこでもやりなさいということなら別として、やはり統一した教育方法というものが必要ではないか。たとえば産業科というものを作られておる。産業科というのは今度できた別科なんですが、それは一般職業訓練とそう違いません。ほとんど専門的で、しかも学科が若干です。これは公共企業体でおやりになる一般訓練というのと実際はあまり違わないのです。基礎的といいますか実技が九百時間、学科が四百時間程度、ほとんどこれは実技です。それと、一般訓練の方はわれわれ、まだわかりませんけれども、時間が似通うたものではないか、こう考えるのですが、これについて局長さんでもけっこうですから、もう少し詳細に承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/15
-
016・澁谷直藏
○澁谷政府委員 産業科につきましては、文部省におきましてもまだ一定の基準を定めておらないような状態でございまして、従って正確な私どもの方の教科内容との比較は一般的にはできないわけでございますが、確かに多賀谷委員御指摘のように、職業訓練と非常に似通った面があることは確かでございます。それで私どもといたしましては、大臣からもお答えいたしましたように、あくまでも実技の訓練に重点を置きまして、しかも実際の職場に適応するような板金工なら板金工、旋盤工なら旋盤工として役立つような技能、それから直接それに関連する知識の訓練ということに重点を置いて参る考えでございますので、密接な関連はございまするし、ますます相互提携してやらなければならないことは当然でございますが、その間に重複ということはないし、また運用の面におきましてもそういう重複のないように運用して参りたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/16
-
017・多賀谷真稔
○多賀谷委員 実は三月十四日付の文部省の通達で、都道府県の教育長並びに府県知事に対して、産業科についての科目が出ている。これはこまかく出ているんです。そして今おっしゃるように初めから分かれているんですよ。これと一般訓練との関係がどうも明白でない。これはあとから聞きますから、いずれ詳しくお聞かせ願いたいと思います。
それから共同施設で一般教養並びに関連学科をやる場合に、わざわざ施設まで作ってやらなくとも、私は学校を利用するのが一番いいと思う。定時制高校ですと普通一週間ずっとやりますけれども、この場合は一週間一日やればいいのですから、日曜日もやれば七倍の収容ができる。日曜日を休むとすれば六倍の収容ができる。ですから一教室あけてくれれば七倍の収容ができる。経費も非常に安く済むじゃないか。こういうことで学校教育との関係をもう少し積極的におやりになれば、共同訓練所という施設をわざわざ作って国が補助するよりも、その分は学校教育で担当さしたらどうか、こう考えるわけです。この点について大臣の所見をこの際承わりたいのですが、共同訓練というのをわざわざ施設を作って先生を雇うよりも、学校の施設を利用すれば、今申しましたように普通の制度よりも七倍の収容力がある。これは実技ではありませんで一般教養並びに関連学科ですから、実際習うことは工業学校程度とあまり変らないのです。しかも先生は資格を持った先生ですから、後になって定時制の資格を与えるとかなんとかいう問題もなくて済む。この点急についてどこういうようにお考えであるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/17
-
018・石田博英
○石田国務大臣 結局公共の施設でございますから、できるだけ相互が利用し合っていくことは望ましいのでありまして、今まで事業内の職業訓練、技能養成をやりました場合、補導所は使用せられなかったのでありますが、今度はそういう場合も利用することができるようにいたしておりますし、学校の施設その他も積極的にむだのないように使うようにいたして参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/18
-
019・多賀谷真稔
○多賀谷委員 大臣、それは運用ではなく制度としておやりにならなければできませんよ。やはり制度としてやる必要があると思う。制度としておやりになれば、定時制高校のある一部の単位の履修問題というのはごく簡単に解決する問題です。定時制で教える同じ先生が教えますから、そういうことをむしろすべきではないか。ただ教室の問題を言っているわけではない。教師の問題、しかも資格の問題、こういう問題が一挙に解決するのではないか。ですから制度的に解決してやらなければならぬ。ただ運用で話し合いでやろうといっても無理だと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/19
-
020・澁谷直藏
○澁谷政府委員 確かに学校とそれから私どもの方の職業訓練とが相互に提携することが望ましいことは言うまでもないわけでございます。それで学校の施設等も利用することが望ましいことも当然でございますが、学校は本来学校としての目的を持って設置されている施設でございますから、これを職業訓練に開放するということを制度として確立することは、実際問題としてなかなか困難ではないか。それで学校が学校としての仕事をやりながら、なおその施設に余裕があるということは、その地方その地方、その学校々々の個別的な事情でございますから、これはやはりその当該の地域におきまして関係者双方が話し合いの上で具体的に連携をしていくという、運用の面でやっていくことがむしろ実際的ではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/20
-
021・多賀谷真稔
○多賀谷委員 局長さんが答弁になればその程度しかできないと思います。ですから私局長に聞いておるのではない。制度としてやる場合は当然法律改正の問題になる。学校は学校の事情もあるというお話でありますけれども、制度として法律でそういうような制度化するということになりますと、定時制高校を一部履修したことになるわけですから、これはあらゆる点において非常に良策ではないかと考えるのです。この点一つ踏み切られたらどうですかということをお問いしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/21
-
022・石田博英
○石田国務大臣 さっきから何度も申しておりますが、学校教育の目的とするところと私どもの方との違いは、学校教育の方は基礎的な一般的なものになり、私どもの方は具体的な、たとえば旋盤主なら旋盤工あるいはその他の職種につくように訓練をいたすわけであります。しかしこの青少年問題審議会の答申やあるいは文部省の今度の職業高等学校のような制度が具体的に組織的に行われる場合におきましては、それとの関連においてこの職業訓練のあり方というものを変えていかなければならないという点については同感であります。ただ学校教育の場合は、中学校を卒業して高等学校に入る年令層だけが対象になりますが、私どもの方の職業訓練は、もっと高年令層の人で転職を望む人、技能がないために職につけない人、そういう人をもあわせて対象にする、従ってその年令の低い層についての文部省の制度なり設備なりというものがわれわれの目標とするものと合致するようになりましたときには、この職業訓練というものはより高年令層の人たちの職業訓練に重点を向けられるということはあり得ると思います。しかし今の段階におきましては、産業高等学校というのはまだこれから先の話であります。それから現在の学校の職業教育のあり方は、まだまだ具体的な個別的な職業訓練をいたすというところまでには参っておりませんので、現在の段階では私どもの方は職業訓練をこの法律でやる必要を痛感しておるわけであります。しかし今多賀谷委員のお話のように、学校の方の制度が完全にでき、設備も拡充され、教科内容もわれわれの目標と合致するようになりましたら、そのときは先ほど申しましたような検討を加えて相互の連関を保つ必要は認めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/22
-
023・多賀谷真稔
○多賀谷委員 大臣は抽象的にはわかっておるようですが、具体的にはよくお知りにならぬようです。私の言っておるのは、一般教養学科と関連学科を学校でやらしたらどうかということを言っておるわけです。これを個別的とおっしゃいますが、これは同じなんですよ。たとえば機械工でありますと、社会科、体育、それから関連学科の工業数学、物理、化学、実用外国語、機械工学単位、電気工学単位、機械工作法、金属材料、材料力学、機構学、製図、これは高等学校でやるのと同じなんです。この関連学科と一般教養科については学校でやらしたらどうか、こういうお話を私はしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/23
-
024・石田博英
○石田国務大臣 御質問の趣旨は、そういう御趣旨であれば私どももよくわかりますが、実際の現実の例といたしましては、神戸の市立産業高等学校と阪神の内燃機株式会社との連帯によりまして、学校教育の方で分担すべきもの四十四時間をこの産業高等学校でやって、工場でやるべき三十九時間を工場の施設でやるというようなことを実際やっております。こういう例にのっとって、そういうふうに一般教養学科のようなものは特殊な施設も要りませんから、そういうものは学校の施設なり教師を利用しておる例もあります。従って、そういうふうなことをも普及してやって参りたいと思っておりますが、しかしこれは実行のときに行政指導をやって参りまして、不備な点が出て参りましたら制度としても研究しなければならぬものと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/24
-
025・多賀谷真稔
○多賀谷委員 制度として一つ研究していただきたいと思うのです。
まだほかにいろいろ質問がありますけれども、大臣が退席されるようでありますから、この際一つだけお尋ねいたしたいと思うのであります。
昨日、御存じのように大臣は三公社五現業に対して職権仲裁の申請をされたのですが、その意図はどういう意図であるのか、これをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/25
-
026・石田博英
○石田国務大臣 政府といたしましては、公労委の調停か、労使双方の意見の一致を見て提示されることを強く希望いたしておりましたが、しかしながらついにこの調停は不能になったのであります。そういう事態になりました場合におきまして、公労協と公社現業当局側との紛争をできるだけすみやかに解決をいたしまして事態を収拾いたしますためには、やはり公労委の仲栽を請求することが至当であると考えたのでありまして、その手続はいろいろございますが、しかし早くいたしますためには私が代表して、一括して仲裁裁定の請求をすることが至当であると考えたわけであります。われわれもかねがね公約しておることではありますけれども、特に私自身から請求したことでありますから、政府といたしましては、その仲裁裁定を完全に実施する用意を前提としていることは言うまでもございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/26
-
027・森山欽司
○森山委員長 ちょっと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/27
-
028・森山欽司
○森山委員長 速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/28
-
029・多賀谷真稔
○多賀谷委員 官房長にお尋ねいたしますが、各種学校についてお尋ねいたしたいと思います。各種学校と申しますのは、具体的に申し上げますと、たとえば九州におきましては技能者養成よりもむしろ各種学校の方が割合に多く行われている。各種学校も、私が申し上げますのは期限が三年なんです。期限が三年で、卒業をいたしました者はその企業で全部雇用する。ですから、いわば事業内訓練とあまり大差がないのです。しかし形式は各種学校の形式をとっている。そうしてその雇用された労働者は、各種学校に入学した当時にさかのぼって入社したものとみなされて在職年限にも加算される、こういうシステムになっているわけであります。そこで、その学校の実際やっております状態を見ますると、きわめて高度と言えばあるいは言い過ぎるかもしれませんが、充実している。一体、こういう各種学校がなぜ技能者養成の手続をとらないで各種学校の手続きをとっているのか、この点をどういうように労働省では判断なさっているのか、お聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/29
-
030・澁谷直藏
○澁谷政府委員 御指摘の、各種学校の方式による訓練が大企業において行われているということは私どもも承知いたしております。それで、どうしてそういったような形式の訓練が採用されておるかという点につきましては、私どもは次のように考えておるわけでございます。すなわち従来わが国がやっておりました企業内訓練の制度なりその実際の内容というものが十分に整備しておらなかった。それからもう一つ重大な点は、本委員におきましてもしばしば問題になっておりますところの、文部省における学校教育との関連がきわめて不十分であったというような点が、各種学校方式による訓練の方式が採用されたおもなる原因ではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/30
-
031・多賀谷真稔
○多賀谷委員 実は各種学校でも定時制との関連が制度的にできていないのです。それで各種学校を出れば何か定時制のある資格が与えられるなり、あるいは一部履修したものと見なされるなら、今お話しになったような事情がわかるわけですか、現在の各種学校というのは、御存じのように各種学校令によるものは先生の資格だってそれほど厳重ではありませんし、定時制高校とは違うわけです。それであるのに、なぜ各種学校を多くの企業体において採用しておるか。どうも率直に言って私たちもよくわからない。しかし何かそこに、監督がきわめて——従来の基準法による封建的な労働関係の排除という面において重点があるからそういう点をとっておるのか、あるいはどうであるのかよくわかりませんが、労働省ではどういうように御判断になっておるか。再度、お聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/31
-
032・澁谷直藏
○澁谷政府委員 私どもの方も、先ほど私が答弁申し上げました以上に突き詰めた各種学校を採用しておる原因につきましては、十分承知いたしておりません。私はやはり従来のわが国の企業内職業訓練の制度なり内容が不十分であったためにこういった方式を採用しておるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/32
-
033・多賀谷真稔
○多賀谷委員 この技能者養成規程に基く行政の内容と、今度の職業訓練法による行政の内容と、内容的に違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/33
-
034・澁谷直藏
○澁谷政府委員 内容的には、従来は労働基準法という労働条件の監督を主たる仕事の内容とする局において、その片すみと言っては語弊があるかもしれませんが、予算的にもそれから人員の面におきましても、そういった状態で行われておるということは否定できないと思うのでございます。それで諸外国の法制等とも比較いたしますると、その点においてわが国の企業内の職業訓練の態勢がはなはだしく立ちおくれておるという点に私どもはかんがみまして、今回この職業訓練法を提案いたしたのでございまして、この訓練法が施行されますれば、中央には調査研究を任務といたしまする中央職業訓練所もできまするし、それから中央職業訓練審議会あるいは技能検定というようなもろもろの制度が、総合的に整備して参りますので、当然その実際やりますところの教科内容等につきましても、従前よりは一段と充実したものになるというふうに期待いたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/34
-
035・多賀谷真稔
○多賀谷委員 確かに形式的には消極的な法案から積極的な法案に移っておりますから、態勢確立の方向に制度的には行っておる。しかし内容的に見ますると、なるほど中央に審議会その他が設けられますけれども、今度の訓練法に切りかえたことによって、どうも内容は名前ほど伴っていないのじゃないか、こういう感じを持つわけです。これは初年度であるからおいおい充実するのだ、その気がまえだとおっしゃれば別であるけれども、その切りかわったことによって予算が非常によけいついたということも企業内についてはございませんし、共同訓練において若干予算を増した、こういう程度にすぎないと思うのです。少くとも法律の態勢を整えるならば、その内容もやはり充実したものにすべき必要があるのではないか、こういうふうに考えるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/35
-
036・澁谷直藏
○澁谷政府委員 訓練の内容を充実させなければならないという点については、全く同感でございます。ただ私どもは、現在提案しております職業訓練法は、従前のわが国の態勢がきわめて不十分であったという点を是正するために、制度を作るための法案を提案しておる次第でございまして、法律は言うまでもなくあくまで一つの型であり、その形式であるわけでございます。その型なり形式なりにどのような内容を織り込んでいくかということは、この法が施行されましてからの私どもの努力いかんにかかる問題でありまして、私どもはこの職業訓練法の施行を契機といたしまして、予算面においてもあるいは人間の面におきましても、それから実際の運用の面におきましても、年を追うてこれを充実させるように渾身の努力を傾けたい、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/36
-
037・多賀谷真稔
○多賀谷委員 意気込みはなかなか壮とするものがありますから、そう御努力願いたいと思います。
次に私は、従来の技能者養成規程でも——いわゆる従来の技能者賛成規程と申しますのは、どちらかといえば封建的な労働関係の排除という面に置かれておる。従来の技能者養成規程でも認可事業と実施事業との間に非常に差がある。この差というものはどういうように理解すべきであるか、われわれちょっと問題があると思うのですが、むしろ認可事業になって、そして労働条件の一部緩和の特権を運用して青少年を安く使う、あるいは酷使する、こういう危険性があるのではないか、こういうように考えるわけですが、従来は認可事業場となった事業場においてそういう点はなかったのかどうか、これをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/37
-
038・澁谷直藏
○澁谷政府委員 認可事業場と実施事業場との間に相当のギャップがあった点は事実でございます。その原因がどこにあるかという点は、これはいろいろあると思いますが、少くともその一つの主要なる点として私どもが聞いております点は、労働基準法によるところの認可の手続がきわめて煩瑣と申しますか、めんどうくさい。俗っぽく言えばめんどうくさいというために、その手続きを省くために労働基準法の認可を受けないで実施しておる工場が相当数あったということは、どうも事実のようでございます。それで私どもは、この点は今回の訓練法を考えます場合に、従来民間から手続が繁雑であったというような点につきましては、できるだけこれを実情に沿うように改正を加えたつもりでございます。
なお多賀谷委員の御指摘のありました青少年を安く使うために労働基準法の特例の認可を受けておったのではないかという御質問でございますが、全国数多い事業場の中には、そういう悪質の意図に基いて認可を受けたものも絶対にないという保証はないものと思いますが、この点につきましては私ども労働基準監督署を通じて、厳にそういうことのないように十分な監督指導をして参りたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/38
-
039・多賀谷真稔
○多賀谷委員 実は私の質問はちょうど逆でして、認可を受けていないが実施しておるという意味を聞いておるのではなくて、あなたの方の統計によりますとと技能者養成の認可事業場が四万九百四十五、実施事業場は二万三千四百七十四である。認可は受けておるけれども実施してない。実施していないのになぜ認可をするか、ただ認可だけとって実施していないのはどういうわけか、そんなルーズなものであっていいか、こういうことを質問しておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/39
-
040・澁谷直藏
○澁谷政府委員 その点は、当初認可を受けてやっておりましたのが、そのうちに、何と申しますか、養成期間が過ぎて生徒が卒業してしまったそのあとで経済の変動がきて技能工の充足の必要がなくなったのに、そのまま認可をもらいっぱなしにして、実際の技能者養成はもうやめてしまったという例が相当あるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/40
-
041・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私はそういった扱いをすべきでないと思うのです。認可を受けたけれども実施はしなかった、あるいは最初はやっておったけれども、そのうちにやめた、こういう場合にはやはり認可を取り消すべきだと思う。認可事業のうちで、実際は実施事業場が半分くらいしかないということは、行政措置としてやらすべきでない。当然認可の取り消しをやるべきだ。私が申しますように、労働条件が緩和されておるということを運用して、むしろ安い養成技能者を使う、こういう面が出てくる余地があるのじゃないか。これをどういうように考えられておるかといいことを聞いておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/41
-
042・澁谷直藏
○澁谷政府委員 その点は御指摘の通りであろうと思います。私どももその点にかんがみまして、今回の職業訓練法案におきましては、そういったような場合には許可を取り消すという条項を明定いたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/42
-
043・多賀谷真稔
○多賀谷委員 従来の技能者養成規程ではなかったわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/43
-
044・澁谷直藏
○澁谷政府委員 従来の基準法の技能者養成規程におきましても、取り消しの条項は確かにございます。しかし最初はやっておったが、それをやらなくなったときには取り消すという明確な規定を欠いておったわけでございます。これはそういう明確な規定のあるなしにかかわらず、行政指導としては当然取り消しをやるべきだと思いますが、そういう点において不十分な点があったということは、まことに遺憾な点だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/44
-
045・多賀谷真稔
○多賀谷委員 いやしくも労働基準法が要求しておるところの労働条件をさらに下回って使用するという規定があるんですから、最低賃金の法律だって、わが党から出しておるのも、やはり技能者養成は除外しております。それから政府から出されておる最低賃金法だって除外しておる。もしこの認可事業場においてそれができるということになって、実施をしない事業場との間にかなり差が出るというような状態になりますと、これは大へんな問題だと思う。技能者養成ということに隠れて労働条件の低下が行われるということはゆゆしき問題であります。でありますから、従来でも取り消されたのでありますから、やはりやるべきであったと思うんですが、今後はこの点を十分注意をしてやってもらいたい、かように考えます。
次に文部省にお尋ねいたしますが、定時制高校に入学した者の大体何割が卒業しますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/45
-
046・杉江清
○杉江説明員 現在のところ大体七割程度卒業しておると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/46
-
047・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私が調べたところによりますと、昭和二十七年度の入学が十八万一千八百三十四、それから四年目の三十一年の三月の卒業が八万六千四十一ですから四七・三%、こういう状態です。しかしこれは二十七年に入った者が三十二年に出るかもしれない。こういう問題もありますけれども、しかし三十一年に卒業した者でも二十六年に入った者がいるかもしれない。こういう問題もありまして、大体五〇%程度ではないかと思います。このことを私たちはよく考えなければならないと思います。せっかく向学心に燃えて入った者がなぜ卒業できないか。しかも半分くらいしか卒業していない。女の子が多いからそのうちにお嫁に行ったり、あるいはほかの事情でやめるんだろうと言いますけれども、男子だけとりましても五〇・九%の卒業です。ですからこのことをわれわれは十分考えなければならないと思います。
ことに技能者養成をやっております事業場においては、技能者養成に行くくらいの子供ですから、大てい夜学の定時制に行っている。ある関西の大きな工場でありますが、九十六名の技能者養成工を持ち、そのうち三十名が定時制高校に通学しておる。卒業した者はわずかに四名、現実はこういう状態であります。しかもこの中には病気で倒れておる人がかなり多い。一体この関連をどういうようにわれわれは考えるべきであるか、この点についてお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/47
-
048・杉江清
○杉江説明員 定時制課程につきましては、この発足当時から必ずしも卒業を目当てにしなくても、その一部の学習をすることも勤労青年教育のためによろしい、こういう立場をとってきております。従って四年の課程を二年程度でやめるということは、従来ともあったのでありますし、またそのことは必ずしも定時制教育の本質から見て適当でないとばかりはいえない点があるのであります。現在も例の短期産業教育の課程というのがある程度制度的に考えられておるわけでありますけれども、そういう短期の産業教育の課程というのは、四年の正規の課程のうちの二年で職業課目を集中的に履修する制度でございます。そういうものもありまして、卒業しない生徒がかなり生じておる、ことは事実でありますが、傾向としましては次第に卒業するようになっておりまして、途中でやめる者はだんだん少くなってきており、またなるべくそういうように指導して参りたいと考えておりますけれども、しかし途中で二年程度でやめる者のためにもいろいろ教育課程を工夫いたしまして、中途半端な教育でなく、一応まとまった教育の受けられるよう配慮をしておくことが今後重要な問題だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/48
-
049・多賀谷真稔
○多賀谷委員 途中でやめても、それだけ学課を修得したことになるという意味はわかりますけれども、この数字をどういうふうに御判断になっておるのか。それだけじゃないと思う。定時制高校というのは、どちらかというと文部省では片すみにやられておりますけれども、技能者養成をやっておる工場、あるいはまた多くの子弟をかかえておる工場並びに父兄は、この点を非常に心配しているわけです。これは事業場でいいますと大へん大きな問題です。そうして将来の優秀な人材が、無理に夜定時制に通い、昼も勉強し、夜も勉強し、働きかつ学んで、そうして病魔のために倒れていく。これは日本の国にとっても大きな問題だと思う。これをいかにして解決してやるかということが政治だと考えるのですが、文都省の側ではこういう点をどういうふうに考えられておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/49
-
050・杉江清
○杉江説明員 この問題を考える場合には、いわゆる定時制課程に大きく二種類あるわけでございまして、一つは夜間定時制、一つは昼間定時制でございますが、夜間定時制につきましては、中途退学者の相当多くが、からだがそれに耐えられないということでやめる者が多いわけでございます。この点は教育上十分配慮しなければならないことであります。そういう点を考えまして先般、夜間課程に学校給食をする、これに対して国として助成をするという措置もとられたわけでございます。一方昼間定時制の場合におきましては、これは地域の要求が必ずしも四年の卒業を必要としない、二年程度で何とか教育を終えたい、四年では少し長過ぎる、こういうふうな地域の要求ないし生徒、父兄の要望があるわけであります。そういう要望が反映いたしまして、一つは途中で退学する者が多くなっているという結果になっておると思いますが、この点につきましては、先ほど申し上げました定時制の中における短期産業教育の課程または別科の制度、こういうものの普及を今後はかっていく必要があろうと考えております。そうすることは、今まで定時制の課程に来られない生徒にもより多く教育の機会を与えることにもなると考えますので、別科の制度ないし短期産業教育の課程の充実普及に今後一そう努力したいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/50
-
051・多賀谷真稔
○多賀谷委員 実は各種学校を卒業しましても、何ら定時制についての関連性がないものですから、一部履修とみなされないわけですね。この点は今度学校教育法が一部改正になっておりますが、どの程度お考えなんですか。具体的に言いますと、三井鉱山あたりで、三井山でも三井三池、三井田川でも三年間の全日制各種学校がある。そうして一般並びに教養学科をかなり教えておるわけです。炭鉱ですからできないことはありませんが、坑内の実習なんというものはやっていないです。そして、いわば定時制高校というよりも普通高校、工業高等学校ですか、そういう程度の教育をやっている。こういったところを卒業しましても、定時制には何ら関係がないから、一年からやらなければならない。それで、そういったものについては一体どういう関連性を持たしておやりになろうとしておるのか、これをお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/51
-
052・杉江清
○杉江説明員 その点を解決したいと考えて、このたび学校教育法の一部改正を提案しているわけでございます。今度提案されております改正案におきましては、国で定める一定基準に合致している施設を文部大臣が指定しまして、そこで一定基準に合致している教育を行なっている場合はこれを高等学校の単位とみなしていく、こういう措置をとることになるわけであります。各種学校について一般にどの程度これに該当するものがあるかということは、各種学校は非常にバラエティがありまして、半年のものもあれば一年のものもあるし、また非常に片寄った内容のものもあるわけであります。そういう点にかんがみまして、すべてがこの指定を受けるようにするということは無理だと思いますけれども、その中には十分指定する条件に合致するものがあると思うのであります。ただいまあげられました事例等におきましては、そういうふうな指定を受けられる可能性が私はあるように考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/52
-
053・多賀谷真稔
○多賀谷委員 学校教育法の一部改正についてちょっと質問したいと思いますが、四十四条の二項、これは通信教育は入りますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/53
-
054・杉江清
○杉江説明員 通信教育は入らないことにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/54
-
055・多賀谷真稔
○多賀谷委員 どうして通信教育を入れないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/55
-
056・杉江清
○杉江説明員 通信教育は戦後新しく発足をした制度でございますが、その教育の方法、それから実施科目等につきましてなお検討すべきいろいろな問題があるということと、それから学校教育は何といいましても教師と生徒との人格的接触が非常に重要だと考えます。通信教育におきましては、主として通信によって教育を行うのでありますけれども、しかしやはり教師と生徒との人格的接触ということが大事だと考えまして、面接指導の時間を設けているわけです。それも少いのでありますけれども、少いその時間を活用いたしまして、学校教育の本領といたします教師と生徒との人格的接触の機会を設けていこうと考えておりますが、この制度を、通信教育と他の施設との関係につきまして定時制の場合と同じようなやり方をもしいたしますと、面接指導の時間、人格的接触の機会が非常に少くなってくるのであります。といいますのは、企業内で行われます職業訓練を例にとりますれば、ここで行われておることについては、今度の制度ではその学習自体を学校における教育と同程度と認めて、そのままこれを単位に換算するわけであります。そういうことにいたしますと、やはりその教育においては学校において教師と生徒とが一緒になって話し合い、また教師の指導を受けるという機会はほとんどなくなるわけであります。通信教育がたださえそういう機会の少いところにもってきて、また相当単位数についてそういうふうな単位の統一を認めるとしますと、いよいよ教師と生徒との接触の機会が少くなる。こういうことはやはり学校教育の建前からいって適当でなかろう、こういうふうに考えておるのであります。だからその理由といたしましては、一つは通信教育がまって間もない制度であって、いろいろまだ研究すべき問題があるということと、それから本質的にやはり学校教育においては面接指導の時間を相当程度確保したいというふうな要求から、ただいまのところ通信教育をこの制度に含めない方がよい、こういう立場をとっておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/56
-
057・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私は通信教育自体の問題を言っておるのではない。そのことは、私はこの技能者養成施設あるいは各種学校その他で教えた場合の課程を一部履修とみなすということとは関係ないと思う。それはむしろ逆です。通信教育は、教師と生徒との間が今日通信だけでやられておりますから、これは学校教育から見れば問題があるという点はわかりますけれども、技能者養成だってやはり教師と生徒との関係にあるわけです。ですから定時制高校で一部履修とみなされるものが、なぜ通信教育では一部履修とみなされないか。通信教育自体の問題はわかりますけれども、それとこれとは関係ないと思う。現在通信教育というものを認めている以上は、技能者養成並びに各種学校で教師と生徒の関係にあったものは、より優先的と言えば語弊があるかもしれないけれども、同位に、やはり通信教育の課程の一部履修として見なす、かように考えていいのじゃないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/57
-
058・杉江清
○杉江説明員 今度の学校教育法の改正によりましては、他の施設においてやられる教育を学校教育の一部としてみなすということにしておりますが、その際にこれが学校教育で行う教育内容と同等程度であるということを確認して単位の統一を認めていきたい、こういう建前をとっておるわけなんです。その企業内における教育が、それ自体直ちに学校教育だという立場はとっておらない。従って企業内において行われます指導員と養成工の立場というものを、直ちに教師と生徒との人格の接触だというふうには考えないのであります。そういうことは、結局学校教育というのはやはり一定の水準があり、はっきりした目標を持っているわけなんです。違った制度をこれと同一に見るについては、やはり学校が責任を持ってそれが同一だということを判定するというふうな立場が必要になってくるわけなんです。ところが今のように通信教育におきましては、たださえそういった学校が生徒に接する機会が少いのに、またその上、他の施設で行われるものを相当大幅に学校教育の一部としてみなしていく、そうすると学校教育といいながら、実は学校が責任を持ってその教育内容について同一性を確保する、そして学校教育のねらいを生かすという学校教育の立場がきわめて制限された一部分にとどまっていく。そういうことはひいて学校教育体系をも乱していく結果になるおそれもある。このことはよほど慎重に考えていきたいという立場で、現在のところあのような学校教育法改正の形がとられておるわけであります。そういう意味から今のところ、一つは、まだ通信教育自体が生まれて間もないものであって問題があるということ、同時にやはり学校教育の立場というものを尊重していきたい。こういう気持からあのようになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/58
-
059・多賀谷真稔
○多賀谷委員 どうも理解できないわけですが、通信教育を受けておるのはむしろ勤労青少年が主体です。これはほとんど働き、かつ学んでおる。定時制の場合は必ずしもそうではない人も考えられますけれども、通信教育の場合はほとんどそれです。しかも定時制の高校の方は認めて、通信教育は認めない。なるほど技能教育の場合は、教師と生徒、学校教育としては見なさない、こう言うのですが、しかしそれについても便法があるんじゃないか、私はかように考えるわけです。面接なら面接だけはやらす。何か方法がありそうなものだと思うのです。それにこの通信教育を四十四条の二項から全然オミットして、その恩恵は与えない、こういうことはきわめて不均衡であるし、ますます通信教育の必要性をなくする、あるいは拡大をなくする、こういうことになりはしませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/59
-
060・杉江清
○杉江説明員 他の施設において行われる教習を学校教育の一部とみなす場合に、もしその部分について学校が面接を行うというような制度にいたしまするならば、これは、そういったいわゆる技術的なものを通信教育それ自体の中にとり入れて、通信教育の実施科目として、企業内において行われている職業訓練としてやられているような内容を通信教育それ自体の内容として実施する、こういうことになってくると思うのであります。そのことは実は考えておるのであります。今までは通信教育では、ごく少数の職業科目しか実施しておらないのであります。で、この点について、勤労青少年教育の立場から非常に不満足なものがありますので、近く大幅に職業科目を実施できるような態勢に改正する計画を持っております。それによりまして企業内において訓練を受けておられる者が同時に通信教育を受けられる、こういうことによって学校との結びつきもはっきり出てくるし、また実際企業内においてやられておる訓練も生きてくる、そういうふうな方向でこの問題を解決して参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/60
-
061・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そういたしますと、通信教育の教科内容を変えて、そうして産業的なものを多く含めた教科内容にした場合に初めて考慮する、こういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/61
-
062・杉江清
○杉江説明員 ただいまそう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/62
-
063・多賀谷真稔
○多賀谷委員 どうも考え方が逆だと思うのです。単位は少いでしょうけれども、現在でも恩恵を与える余地があるならば特典を与えるべきだ、私はかように考える。現在技能者養成あるいは各種学校でやっておる教科は、通信教育との関係において恩典を受けるべきものは少いかもしれません。少いかもしれませんが、それだけ勤労青年には負担が省けるわけですから、現在の時点において、定時制の場合にはそういう恩恵を与えるけれども、通信教育の場合には与えないという理論的根拠は出てこないと私は思うのです。その通信教育自体が問題だといえば別です。別だが、それに名を借りて今申しますような特典といいますか、あるいは恩恵といいますか、一部履修とみなす、考慮に入れるということは、ちょっと道が違うのじゃないか、こういうように考える。しかし時間がないそうですから、午後にでもこの点からさらに質問してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/63
-
064・森山欽司
○森山委員長 午後三時まで休憩いたします。
午後零時十五分休憩
————◇—————
午後三時十九分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/64
-
065・森山欽司
○森山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。多賀谷真稔君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/65
-
066・多賀谷真稔
○多賀谷委員 文部省に、学校教育法等の一部を改正する法律案の四十四条の二について質問いたしたいと思います。この四十四条の二によると、「高等学校の定時制の課程に在学する生徒が、技能教育のための施設で文部大臣の指定するものにおいて教育を受けているときは、」こうありますが、これは同時に教育を受けておる場合ですか。たとえば過去に教育を受けたという場合は四十四条の二の適用はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/66
-
067・杉江清
○杉江説明員 同時に教育を受けている場合に限ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/67
-
068・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そういたしますと、技能教育を受けて、しかる後に定時制高校に通う、こういう場合にはこの恩恵はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/68
-
069・杉江清
○杉江説明員 この適用は受けられません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/69
-
070・多賀谷真稔
○多賀谷委員 その区別されるのは一体どういう理由なのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/70
-
071・杉江清
○杉江説明員 学校教育というのは御存じの通り、教育基本法及び学校教育法に基いてはっきりした目標、内容——内容につきましても相当細部まで規定されております。またその教員資格についても厳重な制限があるわけであります。施設、設備につきましても基準を設けて、その基準のもとに施設、設備を整備するという方針がとられております。要するに学校教育の目標到達のために、その水準が確保されるような措置をいろいろな面から規定しているわけでございます。学校教育のレベルを落さずに、ほんとうに学校教育が本来の目的を到達できるような諸条件を維持していく必要がある、こういうふうな立場から、他の施設の連携を考えます際においても、従来の学校教育の水準がこれによって混乱させられたり、またゆがめられたり低下させられたりするということは望ましくない。もちろん学校教育というものが何か伝統的な学校教育観にとらわれて、狭い範囲にその領域を限るということは適当でないとは思いますけれども、しかし学校教育のいわば範囲を拡大するに当っては、従来の学校教育の水準を落さないという慎重な配慮が必要だと思うのであります。そういう観点から今問題になっておりますこの訓練施設との関係を考えたときに、もともと学校教育と職業訓練とは目的において大きな差があるわけであります。従ってその目標において差があるということは、ひいてカリキュラムについてもその全体としてのねらいが違ってくる。運営も異なってくる。それから施設、設備も、また教員資格も違ってくる。そういうものも学校教育の一部として認めるわけであります。その際においては、その学校教育と同一水準であるということを何らかの形においてこれを確かめる手続を経て、それが同一だという認定が必要だと思うのであります。だから過去において技能訓練施設における教習を受けた、そのことが学校教育の一部であるかどうかということをどうして確認するかということになりますと、それが非常にむずかしいことになると思うのであります。一般的には、おそらく職業訓練のカリキュラムについても、国としてある基準のようなものをお示しになるでありましょう。しかしこれを、個個の事業場において、どういう指導員がどのように実施しているかというような非常に具体的な点については、おそらくいろいろな場合があり、いろいろな変化があろうと思うのです。それを一律に、技能養成施設において受けたから、それが学校教育の一部になるという制度はとりにくい。やはりそこで何かふるわなければならぬが、過去のものについてそれを認めるというということは非常に手続もめんどうだし、実施上多くの困難を伴う。だから少くとも現段階においては、その同一性が確実に確かめられるその範囲においてその制度を作っていきたいという考え方に基いているわけです。そういう意味におきまして、現に生徒が二重在籍している。そうしてそのことは学校の生徒であれば、その全人格について学校は指導の責任を持つわけです。そういう立場においてその同一性を確認していくということが学校教育を混乱に陥れない、またその水準を低下せしめないということのために必要である、こういう考え方から、現に二重在籍して、二重に学習をしている者にこの制度の適用を限定いたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/71
-
072・多賀谷真稔
○多賀谷委員 この改正の法律が施行される、その以前の問題を聞いているわけではないのです。ですから同一性を確かめることができないということは、現在よりも過去の教育を技能者養成の施設で受けたという場合は確かにそうでしょう。しかし法律が発足して、技能者養成施設で教育をし、その後において、定時制の高校に通うという場合には、すでにそういった施設は文部大臣が指定をするわけですから、当然同一性というものが検討され、調査ができるわけだと思います。ですから法律としては、今この法律の施行以前の技能者教育についてでなくして、法律が施行された後における技能者教育において訓練をされた者については、私はその点は同一性が十分調査されると思うのです。ですから、その点は二重在籍でなければいけないという理論的根拠にはならないと思いますが、その点どうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/72
-
073・杉江清
○杉江説明員 この職業訓練法に基く職業訓練につきましても、これは先ほど申し上げましたように、学校教育とは基本的な目標、性格が異なる。たとい文部大臣が指定する施設にいたしましても、これが実際ある生徒について真に具体的に学校教育の一部としてこれを認めるに価するものであるかどうかということの判定は、やはり別になければならぬ。それを一般的に、ある施設がこれは学校教育の一部だというふうにすることは、私どもはまだ適当でない。といいますのは、やはりそういうことであると、事業内の施設を考えますと、やはりそれはいろいろ変化をしておる、また変化し得る状況にあるわけです。そういうときに、一般的にこれを指定して、それがいつ、同時に履修してもいいし、また事業内の訓練を先にして、あとで学校の教育を受けてもいいということを認めることは、その同一性を確保する具体的な方法が困難なんです。こういうふうな観点からです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/73
-
074・多賀谷真稔
○多賀谷委員 どうも学校教育のワク内に入れたくないという基本的な気持がいろいろ現われておると思うのです。それはもう全然入れぬというなら別ですけれども、区別する理由がわからぬ。と申しますのは、今から職業訓練を受ける。そうしてそのときに定時制高校に在学している者は資格を与えるといいますか、一部履修とみなす、応職業訓練を終えて後に定時制高校に行った者は全然履修とみなさない、同一教育を同時に受けておる人間が、技能者養成においてはそのときに二重在籍をしなければ認めないという根拠が乏しいと同時に、そのことがますます青少年の肉体をはばむものであり、結局過重な労働をしいるものだ、こう言わざるを得ないのです。認めないなら認めないでけっこうです、これは政策の問題ですから。ところが認める以上は、これはすでに法律が施行になってから後の教育を受ける者については、二重在籍であろうと、その後に学校教育を受ける者であろうと、同じように認めなければならぬ。何も区別する根拠もないし、また区別することについてあなた方が今説明をなさっておったけれども、私はどうも納得できない。しいて納得できるといえば、それは学校教育の門戸をなるべく閉ざして、小さく、狭く、外部からの者はあまり入れないでという基本的な線があらゆる点において現われているということ以外にはその理由を見出すことができないと思うのです。この点はやはり十分検討していただきたいと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/74
-
075・杉江清
○杉江説明員 まず基本的には、やはり学校教育と訓練施設とは基本的な目標、性格が違う。もしほんとうに学校教育が必要な場合には、ちょっと突っ込んで申し上げますならば、これは学校体系の一部とするというふうな新しい制度を打ち立てられるならば、そういうことはもっとはっきりした形で解決されるわけです。ところが目標、性格の違うものを他の教育の一部と同一性を認めていくということになれば、どうしてもやはり慎重な手続をとらざるを得ない。それはやはりそのために学校教育自体の水準が落されては困る、本来の目標の達成がはまれては困る、こういうふうな配慮をするのが当然ではないか。ただでさえ学校教育の水準につきましては、いろいろ現段階においては定時制もあれば通信教育もある、それらはいろいろ学力も違う。しかしそれにしても、なお定時制でも通信教育でも教員資格はちゃんと規定されておりますし、内容もはっきり国で基準を示しておる。そういうふうなものと違った体系においてやられるものをその一部として認めるには、やはり慎重な手続をとるということが私どもは当然だと思うのです。
それからなおもう一つ、今学校教育の具体的な内容につきましては学校に相当の裁量の権限を与えておるわけなんです。従ってある学校においてどういうカリキュラムを組み、その内容編成をどうするかというようなことについては、相当学校に裁量の余地があるのでありまして、それを一般的に、これとこれとは同一だということを規定することも非常にむずかしい事情がある、こういうふうな観点からやはりこの程度にとどめることが少くとも今の段階においては適当だ、こういうふうに考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/75
-
076・多賀谷真稔
○多賀谷委員 質問をいたしますが、技能教育のための施設というのに各種学校は入りますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/76
-
077・杉江清
○杉江説明員 入ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/77
-
078・多賀谷真稔
○多賀谷委員 各種学校が入る場合ならなおさらのことです。各種学校に行け、定時制に行けなんということは事実上できない、できても今申し上げましたように、ある会社では三十人定時制に通って四名しか卒業できなかった、こういう実情なんです。このくらいのことでこれは解決しませんよ。ですからむしろ各種学校の場合は各種学校を卒業して定時制に行く、そこに一部履修とみなすことが必要でしょう。あなたの考え方は逆ですよ。同時に二重在籍をしなければ認めない。むしろ内容的にいいますと、二重在籍である場合の方が苛酷で、疲労しておりますから、両方とも十分な教育はできないですよ。むしろある課程を終えて次の学校に行ったときに初めて十分な教育ができるのです。教育の面からいってもあなたの方は逆なのです。ましてや各種学校の場合は、先ほど私は例を引きましたが、全日制の各種学校で三年なら三年ぴしっとやる、その者が定時制に行った場合は何ら関連がない、こういうことなのです。そうして今せっかく四十四条の二を起しておられますけれども、その場合には、各種学校に行きながら夜定時制に行かなければ、その一部の履修とみなすことはできない、こういうように何ら恩典がないということになれば、四十四条の二というのは死んでしまう。むしろ各種学校を含むというならば、各種学校の課程を終えた者が定時制に行く場合に初めて一部履修とみなすというのが至当でしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/78
-
079・杉江清
○杉江説明員 各種学校の場合を考えますと、やはりほんとうにその教育の内容が高等学校と同等であるというふうな事実がある場合には、これははっきり高等学校にすればいいじゃないか、ところがなし得ないいろいろな条件があるわけであります。だからその内容は実は全体としては同一性がないと考える、むしろ形式的にはそう言えるわけです。しかし同一性がある場合には救おうという考え方を今度はとっているわけなのです。その場合に、それではある各種学校を、二重在籍しなくてもそれを認めるというときに、どういうふうな基準——一般的にある各種学校の教育をそうだとするような具体的な方法が非常にむずかしい。といいますのは、各種学校には実にバラエティがあるわけなのです。それらを、あるしぼり方をしていくわけです。しぼり方をしていくが、その学校の具体的な性格について、これが同一性を確保するような教育が行われておるかどうかをチェックするものがなければ、大体においてよかろうというような判定があっても、具体的に同一性を確保されるということは必ずしも保証されない、そういう点でどうしても二重在籍をして、必要に応じてそこでやっている状況を校長が把握している、またときに何らかの形においてその学力の程度もいろいろな面からチェックできる、そういうような点が残されていないと、高等学校教育といいましても、程度の違ったものもその一角から、その中に入ってくる可能性がある。そういうことは学校教育の今後の発展のために必ずしもよくないじゃないか、こういうような考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/79
-
080・多賀谷真稔
○多賀谷委員 学校教育といいますが、各種学校も学校教育じゃないですか。各種学校は全然学校教育じゃないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/80
-
081・杉江清
○杉江説明員 学校教育法第一条に基く学校ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/81
-
082・多賀谷真稔
○多賀谷委員 しかし文部省の管轄でしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/82
-
083・杉江清
○杉江説明員 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/83
-
084・多賀谷真稔
○多賀谷委員 私は教育を終えた者が十年も二十年もたって定時制に行くという話はしていないのです。そういうレアな場合があるでしょうけれども、そういうケースを考えていない。各種学校なら各種学校を終えて、何年の間という時限を切ってもよろしい。しかし大体各種学校を終えて定時制に行くでしょう。各種学校の場合は、各種学校の課程を終えて定時制に行くという場合がかなり多いのです。また予想されるし、それを希望しておる。その場合は全然恩典に浴さないで、二重通学の場合だけ恩恵を与えるというのは、これまた奇妙な、文部省としてあるまじき処置だと私は思う。あくまでもあなたの方の直接管轄であり、政府が公共団体に金を出してやっておる分だけを大きなワクをはめて、門外の者は入れないという伝統的な考え方が残っておる。せっかくこの四十四条二を起すからには、今申しましたように区別する何らの理由も見当らない。むしろ引き続き各種学校から定時制に行くならば奨励すべきです。同じ日に二つの学校へ行くということを強制すべきじゃない。これは裏を返せば、この規定は強制になる。これは文部教育に携わる者として最も慎まなければならぬことだと思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/84
-
085・杉江清
○杉江説明員 結局各種学校で行われている教育が、一般的にいって高等学校教育と同一だという保証が何もないわけなんです。だからどうしても具体的にこの部分は共通だという判定が必要になってくるわけなんです。そのものを過去のものについて、どういうふうな同一性を、だれが、いつ、どうして認めていくかという問題です。そのときに、過去のものについては全然高等学校は、その各種学校に対して、その関係のものを具体的に見るということもできないし、生徒がどういう標準で採点されているか、どういう状況において学習しているかということは、ある程度説明を聞くことはできましょうけれども、具体的にはチェックできないわけなんです。そういうふうなものまでも学校教育の一部として認めるということは、これはうまくいく場合も考えられますけれども、かなりの危険を含むものと私どもは考えるわけなんです。そういう意味で、やはり学術的な面からこれを拡充していくということが適当である、こういう考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/85
-
086・多賀谷真稔
○多賀谷委員 この規定は校長の自由裁量の余地があるのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/86
-
087・杉江清
○杉江説明員 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/87
-
088・多賀谷真稔
○多賀谷委員 それから各種学校といっても、鹿児島の各種学校を出た者が東京に行くなんていうことを言っているのじゃないんですよ。やはり同じ職場に勤めておる場合も多いのですから、当然各種学校で教育を受け、あるいは技能者訓練所で教育を受け、一方は、そのときに二重通学している人は特権があり、その後に通学した者は特権がないということが考えられる。今あなたが言われたのも、レアなケースなら別です。とんでもない、調査もできないようなところなら別ですけれども、しかしこの規定からいえば校長に自由裁量があるのですから、画一的に扱ってはならぬということになっているのです。だから校長に自由裁量を残しておるならば、何も過去に教育を受けた者でもいいじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/88
-
089・杉江清
○杉江説明員 校長に自由裁量を与えている場合に、与えているからこそ校長が具体的に同一性ということを確認するような状況にある者についてこの制度を適用するということが安全である、こういうふうな考え方に基くわけなんです。そこでなお各種学校で学校の資格を得たいというような場合には、これは根本的には定時制がありまして、こういうものの拡充によってそういう方法をとるべきであって、異なった制度のものを同一性を認めるということはやはり相当慎重でなければならない。しかしむしろこの規定の本質は、諸外国にも行われておりますように、技能教育につきましては現場における学習が学校における学習よりも、ある場合においてはより能率的である、こういう場合があるわけなんです。そういう場合が一般的には考えられる。基礎的な科目については学校で、そういった技術的な訓練については現場でやる、そういうことが非常に望ましい。また諸外国でもそういう点を大いに進めておる。そういう点に着目してそういうふうな運営をしたいというのが、この制度のおもな目的なんです。ところで各種学校のように必ずしも現場と結びつかないそういうものについては、この法律の本来のねらいからいえば、むしろ従たるべきものであるというような考え方を持っているわけです。しかし各種学校の中にも、そういった現場における技能訓練を各種学校のような形でやっているようなところもある。だからそういうものは、やはり同様の趣旨においてこれを生かしていきたいということを考えますけれども、そういった現場と結びつかず普通の全日制学校とほとんど類似の経営形態を持っているものを、この学校教育の一部として認めるということは相当慎重にしたい、こういうふうに考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/89
-
090・多賀谷真稔
○多賀谷委員 各種学校が入っていますかということを聞いたら、各種学校は入っておるというから質問しておる。あなたは各種学校は従で、主は技能者訓練だと言われる。ところが一部履修とみなすというのは、やはり関連学科とか、一般の教科、あるいは実技でしょう。関連がないものは何も定時制の方にないのですから、定時制にないものまで認めよということを言っておるのではない。全部認めよということは言ってない。しかも文部大臣の指定する施設でしょう。そういう施設は文部大臣が指定しなければならぬ。ですから法律の方は弾力性があって、文部大臣の思うようになっておる。法律の形態は思うようになっておって、それをなおそのようにされる理由がわからない。そういう場合には文部大臣が指定しなければいい。しかも一部の履修ですから、全部を履修したものとみなせというのではない。十分法律としては文部大臣が検討し裁量する余地のある施行規則その他によって定めることができる。さらに学校長の裁量がある。これほど弾力性があって、しかも拒否するという意味がわかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/90
-
091・杉江清
○杉江説明員 繰り返すことになりますけれども、要するに制度の違っておるものの同一性を確保するという場合には、同一性が確実に確かめられるという範囲にとどめたいというのが基本の趣旨であります。そこでおっしゃるようなことをほんとうに徹底してやるとすれば、実はある施設そのものを、ある学校との関連なしに、これは高等学校教育と同等程度の教育を行うものだ、こういう指定をするというふうになれば、おっしゃるようなことはできると思います。それはある学校との関連を考えずに、一般的にこういう制度は高等学校と同程度の教育を行うのだというような指定をすればいいと思うのでありますけれども、しかしそれを現在そこまで拡充することは、教育の健全な発達のためには適当でない。だからどうしてもある施設そのものを、二重通学しているとかいうことははずして、高等学校と同程度の教育がここでは行われるのだという認定の仕方は適当でないというような考え方があるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/91
-
092・多賀谷真稔
○多賀谷委員 高等学校と同程度とか言われますが、あなたの方の産業科の別科というのは、職業訓練にほんの毛のはえたようなものでしょう。私は別科の産業科というものの価値判断はここでちょっとできませんけれども、なぜ政府は一元化しないのか。どちらかはっきりしたらいい。一般職業訓練と別科というものをもう少しはっきりしたらいい。別個にやるなら別個にやる意義——ところが科目から時間から全部見ても、残念ながらその意義が見出し得ない。あるいはまた、たとえば各種学校に三年行ったから三年を修了したものとみなせということは、確かに問題があるでしょう。しかし文部大臣が指定をして、文部大臣が基準を定めて、校長がさらに裁量して、これは二年なら二年の課程、極端に大ざっぱに言いますと、あるいはこの科目だけはとった、こういうようなことを、校長が現場の教育施設について、あるいは教育施設の養成を終えた者についてやるのですから、それほど心配される必要はないのではないか、こういうように考えるわけです。職業訓練の場合でも同じだと思うのです。やはり職業訓練をみっちりやって、資格の足らない分の単元だけをとっていくことが最も望ましいのです。二重通学さすというようなことは慎しむべきですよ、どちらかと言えば同じような教育をしているのですからね、一方においては八時間労働をしながら。ですから同時の次元において同時の教育が行われなければならないということは、何も意義がないと思う。むしろそういう場合もあり得るだろうけれども、別の場合もあっていいのだ。技能者教育を終えてさらに五年も六年も忘れたころにその資格を与えるとか、あるいは一部の履修とみなすということは無理でしょう。しかし引き続き同じ教育がされる場合には、当然一部の履修とみなすというのが政治ですよ。本日は大臣もおられぬし、これ以上課長に聞いても、課長は法律の解釈ばかりされますから、これは別の機会に譲りますが、こういう考えでは、私は残念ながら文部行政と労働行政が、職業訓練法の冒頭にうたったような関係になっていないと言わざるを得ません。この点あなたの方が御心配なら、もう少し踏み切って一週一日労働日、たとえば一週八時間は一般教育に関連があるから定時制でやる、その範囲については文部省の管轄だ、あとの範囲は労働者だ、こういうふうに踏み切ってやればいいけれども、それもおやりにならない。そして一方の技能者養成で教育された者については、それだけの大きな門戸を閉ざしているわけです。若干一部履修とみなすという規定は入っておるけれども、今のあなたのような考え方では、ほとんど実用のない規定になりはしないか。恩典として与えられたように錯覚を持つけれども、実際はほとんど行われないのではないかという危惧さえ起る。今学校教育法の一部改正が上程され審議中でありますから、いずれ別の機会に伺うことにしますが、この点は非常に遺憾でありますので、さらに検討してもらいたいと考えます。
続いて労働省にお尋ねいたします。実は労働組合が独自で訓練を行う場合についてお聞かせ願いたいと思うのです。現在のところ土建総連を除きましてはあまり見当らない。見当らないというのは、日本の労働組合が企業別労働組合であるというのが最も大きな原因だと思います。そして労働組合がドイツあるいはイギリスあたりで発達したギルド的な性格を持たないで発達したというところに問題があると思います。しかし土建総連の例から見ましても、同業組合的な、しかも労働組合的なものがあると思いますが、土建総連については職業安定法の四十五条の職業紹介をし得る事業主体としての労働組合と判定されておると思いますが、それに間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/92
-
093・澁谷直藏
○澁谷政府委員 間違いございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/93
-
094・多賀谷真稔
○多賀谷委員 土建総連の性格についてはなかなか複雑なものがあると思いますが、安定法におきましては労働組合とみなしておる。ところが技能者養成規程はこれを事業主とみなしておる。これはどういうところに原因があるかといえば、結局現在の技能者養成は労働基準法に基いてできておる。要するに雇用労働者を対象としてできておる。雇用契約がなくてはいけない、養成契約がなくてはいけない、こういうところから無理にたのんで養成契約を結び、養成工として身分関係を規律したというような形式をとらざるを得ないものもある。そうして事業主として、ここに技術者養成規程を設けてあるわけです。そこで、現実の土建総連の問題を離れまして、やはり今後の日本の労働組合というのは産業別組合の動きを示している。もう一つは職能別組合の動きをしていくと思う。ことに大工とか左官とか印刷工とが、いわゆる職人と申します労働者は、そういう動きをして今後発展をしていくと思います。そこで、労働組合が訓練をする、こういうことについてどういうようにお考えであるか、一応条文を離れてお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/94
-
095・澁谷直藏
○澁谷政府委員 外国の職業訓練発達の歴史を見ますと、ギルドというような、いわゆる同業組合が自分たちで腕を磨いていくということが基礎になっておりまして、この点わが国においても同業組合なり労働組合が自分たちの力でその傘下の労働者の技能を訓練していくことがもとより望ましいことと考えているのでございます。ただ、この訓練法の立て方といたしましては、雇用関係にあるものと雇用関係のないものという分け方にしておりまして、雇用関係にないものは、その都道府県労働福祉事業団が責任を持って訓練をする。雇用関係にあるものにつきましては、その雇用主が責任を持って職業訓練を施していくという立て方にしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/95
-
096・多賀谷真稔
○多賀谷委員 そういたしますと、この法律を離れて、労働省の方では、現在の企業別労働組合の場合はあまりその必要はないでしょうけれども、やはり職能別労働組合という形態になるとか、そういう組合が起る、あるいは発展をする、ことに未組織労働者が今後組織化されるにつれてそういう組合が出てくるではないかと思う。そういう職人的な労働者は未組織に置かれている例が多いですから、今後未組織労働者が組織化するに当っては、やはり職能的な結成をしなければならないと思うのですが、そういう場合にはみずから技能を磨き、おのずからの技能を守る。ことにオートメーション化の時代に、みずからの技能を磨いて置かなければ社会的に葬り去られる、こういう点もあって、やはり技能養成の方向にいくと思います。そういうことについて、将来の問題としてあなたの方では十分考慮しなければならぬ、こういうようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/96
-
097・澁谷直藏
○澁谷政府委員 多賀谷委員御指摘の点は私どもも同感であります。日本の組合、特に未組織労働者がそういった職能別組合を結成いたしまして、組合の力によって自分たちの腕を訓練していく方向にいくことが望ましいのでありまして、私どももこの職業訓練法は、そういった問題をも含めて万全の法律とは考えておらないので、そういう職能別組合の今後の発展の状況を勘案いたしまして、将来の問題として十分検討いたして参りたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/97
-
098・多賀谷真稔
○多賀谷委員 先ほど文部省の課長さんと議論をしたわけですが、文部省は、御存知のじように非常にかたい、シビアである。しかも四十四条二項も、せっかく公布されたが十分活用されないような解釈をとっている。労働行政の職業補導並びに職業訓練をどう調整していくかという問題はやはり今後の大きな課題であろうと思う。それで、西ドイツ、オランダその他の国がとっておりますように、一般教養並びに関連学科については文部省でやる。しかも定時制高校等を利用すれば、先ほど申しましたように七倍の収容人員が大体ある、費用も非常に少くて済む、こういう点を考えれば、やはり文部省は文部省、労働省は労働省で訓練をやっておったのでは、国の経済からいいましても、また受ける青少年からいいましても非常に迷惑だと思うのです。この点を一つ十分に検討していただきたい。幸いにして最近は青少年問題が大きく取り上げられ、あるいは中央教育審議会等におきましても取り上げられておりますから、この産業教育の面とあわせて一つこの調整をはかっていただきたい。このことを最後に質問いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/98
-
099・澁谷直藏
○澁谷政府委員 職業訓練と学校教育との連携の問題につきましては、多賀谷委員の御指摘の通りでございまして、その基本的な考え方は私ども全く同感でございます。この点につきましては、午前中の本委員会におきましても、労働大臣も全く同感であることを表明しておるのでございます。ただ多賀谷先生も御承知のように、遺憾ながら現在までにおきましては学校教育と労働省の職業訓練との関係が十分に提携ができておらない、これはもう遺憾ながら認めざるを得ないと思うのでございます。それで今後の日本の職業訓練、近代的な技能労働者を養成していくという問題を考えます場合に、労働省と文部省が虚心たんかいに提携いたしまして、両者の長短を補足し合いながら進んでいくということがきわめて重大なことでございまして、私どももその線に沿って、文部省とは十二分に連携をとってこの問題を推進して参りたい、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/99
-
100・森山欽司
○森山委員長 滝井義高君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/100
-
101・滝井義高
○滝井委員 先に労働省の方に、たくさんあるのだけれども時間がないので、大事なところだけ簡単に聞いて、それから通産省の方がお見えいただいておりますので、そちらの方にお聞きしたいのです。この二十七条関係で、労働大臣の指定する団体に試験を委託しますね。その労働福祉事業団は自分のところの施設でやるから当然だと思いますが、労働大臣の指定する団体というものは一体どういうものを考えておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/101
-
102・澁谷直藏
○澁谷政府委員 これは外国の例等にもございますように、技能検定の問題は、実際にその生産の現場においてどの程度の腕があるかどうかということを検定いたすわけでございますから、いわゆる机上の空論的な、観念論的な検定では意味をなさないわけでございます。あくまでも実地に即して、生産の現場に直結した方式で検定をやる必要がある、そういう意味におきましては、いわゆる役人の手によって十分にやれるとは私どもは考えておりません。従いましてこの訓練法におきましても、技能検定委員という制度を設けまして、民間のその方面の権威者にお集まりをいただきまして、その知恵を拝借してその技能検定に万全を期したい、こう考えておる次第でございまして、その考え方の一つといたしまして、適当な民間団体、たとえば熔接協会という例は適切であるかどうか問題でございますが、そういう団体がありまして、そこには相当のベテランもおり施設もあるというような、権威のある、信用できる団体がございますならば、その団体にこの技能検定の一部を協力していただくということは適当ではないかというふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/102
-
103・滝井義高
○滝井委員 そうしますと観念論、空理空論ではいかぬというと、失業保険の施設の労働福祉事業団というものは私はその能力がないと思うのです。ところがこれを一番先に持ってきて、そしてその他指定する団体というものが今のようなものだということになると、労働福祉事業団の今までの形態から見て、今あなたのおっしゃるような空理空論、いわゆる観念論ではとてもいかぬ。現場の状態を知っておると言うけれども、それを知っている失業保険の施設なんというものはない。失業保険施設なんというものは、そんな技能者がうんとおるわけではないのですから、そこで少し矛盾する感じがするのですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/103
-
104・澁谷直藏
○澁谷政府委員 労働福祉事業団につきましては、滝井先生御承知のように昨年発足を見たばかりでございます。それから総合職業訓練施設にいたしましても、全国に実際に動いているのはまだ二十四、五の程度でございまして、先生の数ももちろん十分ではございません。それで私どもはそういった現状の認識の上に立ちまして、こういう状態では本格的な職業訓練ができない、これを伸ばすためにはどうしたらいいかという点について考えまして今度の職業訓練法を提案いたしておる次第でございまして、この訓練法におきましては、御承知のように中央に中央職業訓練所を置いて、ここで基本的な調査研究もやり、指導員の養成もやり、それから総合職業訓練施設につきましても、少くとも全国に一カ所は職業訓練のセンターとして設置をしていき、ここには将来りっぱな先生も配置して本格的な職業訓練をやるように整備して参りたい、こう考えておるわけでございます。確かに現状におきましては滝井委員の御指摘の通りでございますが、私どもはこれを極力整備いたしまして、十分この法の期待する仕事をやれるようにこれを助成して参りたい、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/104
-
105・滝井義高
○滝井委員 御存じの通り、公共職業訓練所というのは六カ月か一年で卒業してしまうわけです。そうしますと、すぐ試験を受ける段階がくるわけです。従って、今の御意見の通り、労働福祉事業団にしても、あるいはその他試験を委託する団体にしても、やはりすみやかにきめておかなければいかぬと思うのです。六カ月たって、あるいは一年たって、まだそういうものが空理空論に終っているということでは困ると思うので、そういう点一つぜひすみやかに整備をしていただくことが必要だろうと思うのです。そうしますと試験委員というようなものが当然やはり問題になってくることになるが、そういう試験委員というようなものも、おそらくこれは学科もあるかもしれませんが、実技というものが主になってくると思う。学科試験と実技試験とがある。そうすると、一体実技というものはどういう人たちをここに持ってきて試験委員にするかというようなことになりますれば、昔高文の試験をとるのに、試験委員になった先生の憲法とか行政法を一生懸命に勉強したように、そういうものが今度は必要になってくるということになるのです。そういう傾向がいいか悪いかは問題があるとしても、やはりそういう機構というものは早く確立していただくことが必要だと思います。労働福祉事業団も、できてまだ間もないことだし、中央職業訓練所も今からできることでございましょうから、ぜひそういう点も一つ考慮しておいていただきたいと思います。
次に、事業内の職業訓練というものは追加訓練、再訓練というものが一応できない形になっているわけですね。この法文で十三条をごらんになると、これらや職長訓練など除かれているわけです。職長の前までを労働省がやることになるわけです。現在の職業訓練の傾向を見ますれば——今は職業補導ですが、職業訓練の状態を見ますと、事業場内の職業訓練の方がすぐれているところが多いわけです。そうすると、事業場内の職業訓練で追加訓練、再訓練をやらないのだ、除くということになると、大企業におけるそういうものは一体どういうことになるのかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/105
-
106・澁谷直藏
○澁谷政府委員 ただいまの御質問でございますが、私どもはそういうふうには考えておらないのでございます。第十三条は事業内職業訓練の基準を定めた条項でございまして、これは御承知のように大体平均三年の長期の教習を予定しておるわけでございまして、その事業内のいわゆる熟練工養成の事業内職業訓練につきましては、その教科、訓練期間、設備といったような基準を労働省令で定めるというのが第十三条でございます。それで、追加訓練、再訓練及び職長訓練をなぜ除いておるかという問題でございますが、これは御承知のように、現実に労働省が実施いたしておりますTWIの方式にいたしましても、わずかに十時間の講習でそれを繰り返しやっていくわけであります。いわゆる追加訓練、再訓練、職長訓練等は、事業内の熟練工養成に比較いたしますと、その訓練の期間がきわめて短期間でございます。従ってその短期間、しかもそれは事業内のそれぞれの特性に応じて非常にバラエティが多い。そういうものについて労働省が基準を定めるということは適当でもないし必要でもないであろうという考え方から、この十三条の基準の条項からははずしたのでありますが、追加訓練そのものの必要性は私どもも非常に高く評価しておるのでございまして、第十九条においてその関係の規定を設けておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/106
-
107・滝井義高
○滝井委員 そうしますと十三条に掲げておるのは、基準だけを除くという意味で、やるのはやる、こういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/107
-
108・澁谷直藏
○澁谷政府委員 そういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/108
-
109・滝井義高
○滝井委員 どうも条文を見ると、そういうように読めぬように見えるのですね。上の方に除くということが出て、あとで基準ということがあるので……。そういう解釈であればそう受け取って、事業内でも追加訓練、再訓練、職長訓練ができる。
次は訓練所で訓練を受けて、修了証明書を労働大臣からもらうことになるわけなんですね。そうしますと、それと賃金との関係は一体どうなるかということです。たとえば学校を卒業しますと高等学校よりも大学、大学よりも大学院というように給料が格づけされます、その関係。職業訓練で最低賃金なんかの関係も将来は出てくるかとも思いますが、修了証明書をもらう、あるいは試験を受けて技能士になる、あるいは指導員の試験を通る、技能士も一級、二級、こういうように分けていらっしゃる。こういうことになると、そういうものと賃金との関係というものは、一体社会的な評価というものはどうなっていくのかということなんです。これは学校教育においては明らかに社会的な評価があるわけなんです。昔でいえば専門学校を出た人は、われわれの時代ならば六十円だ、大学は七十円から七十五円だ、こういうことがあったわけなんです。労働省は修了証明書あるいは技能士、その一級、二級、訓練指導員、こういうものと賃金との関係を、この法律を作るときにどういうようにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/109
-
110・澁谷直藏
○澁谷政府委員 この職業訓練を修了した者あるいは技能検定を受けた者の賃金がどうなるかという御質問でございますが、この法律ではその点は何も触れておらないわけでございますが、これは滝井委員がただいまお述べになりましたように、学校教育におきましては一定の社会的の評価が定まっておりますから、大学を出た者は幾ら、中学だけの者は幾らと大体相場がきまっておるわけでございます。職業訓練の系統におきましてはそういった制度が確立しておらないために、従って社会的な評価も客観的にきまっておらない。従って賃金もばらばらであるのが現状であるのでございます。私どもはやはり労働者の地位を向上してその生活の安定をはかるためには、何と申しましても賃金を上げていく必要がある。その賃金を上げるといっても、ただ上げろ上げろと言ってもなかなか上るものではないのでございまして、やはりその裏づけとして技能を身につける、技能の水準を高めるという裏づけがあって初めて労働者の賃金も安定するし、向上していく、こういうことになることと考えておるのでございまして、従ってこの訓練法が施行になりまして、漸次技能検定制度なりあるいは職業訓練制度の社会的の評価というものが確立してくるにつれて、それに対応する賃金の格づけと申しますか、賃金のランクというものも社会的にきまってくるというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/110
-
111・滝井義高
○滝井委員 労働大臣の指定する団体や労働福祉事業団というものが権威を持った機関になって、それが試験をして、これは合格だという明白な証明書を出してくれることになると、格づけがはっきりしてくることになるわけです。従って修了証明書なり技能士というような資格をもらえば、当然権威あるものになってこなければ困ると思うのです。さいぜん学校教育との関係がるる述べられましたけれども、文部省が烙印を押してくれれば権威ができて、労働省が烙印を押したものは権威がないということではしようがないと思うのです。そこで一つ労働省もそういう点十分配慮をしていただきたい、こういうことなのです。
もう一つは、これは少し飛びますが、都道府県にも都道府県職業訓練審議会ができますね。知事は職業訓練計画を諮問して、都道府県職業訓練審議会で作ることになる。この職業訓練計画と中央の職業訓練計画との関係を尋ねたいと思いますけれども、時間がありませんから、そこはやめまして、その審議会に関して必要な事項を条例で定めることになっておるわけですね。そうすると一昨日以来なかなか問題になっておったその構成、あるいはその数、組織、運営の仕方、こういうようなものは中央に右へならえしたような条例を作ることになるのか。それとも知事が独自に自分勝手なものを条例で作って出すことになるのか。何かあなたの方で都道府県に、中央と同じようなモデル・ケースでやれというような指示をされるのか。そういう地方審議会の運営その他について御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/111
-
112・澁谷直藏
○澁谷政府委員 この点につきましては、午前の委員会において井堀委員から労働大臣に対して質問がございまして、労働大臣から明確にお答えをいたしたのでございますが、私どもといたしましては、中央職業訓練審議会の構成に準じた構成なり運営を、都道府県の職業訓練審議会においてもその通りにやっていただくということを考えておる次第でございまして、これは従来のわが国の行政の慣行上からも大体中央において一つのひな型、準則というようなものを作りまして、これを都道府県知事に流しまして、これに準じた条例を定めるというふうに指導しておるわけでございまして、この三十一条の関係についてはそのように指導して参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/112
-
113・滝井義高
○滝井委員 次は附則の関係ですが、今まで職業訓練の指導に当っておった人は二年間を限って、技能者養成指導員の免許は職業訓練指導員の免許を持ったものとみなすことになっておるわけですね。そうすると二年たった後にはこの指導員の諸君は、指導員の試験を受け直さなければならぬことになるわけですね。これはそういうことになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/113
-
114・澁谷直藏
○澁谷政府委員 これは旧制度と新しい制度との切りかえに関する経過措置でございまして、二年間の猶予期間を置いて、その間にこの指導員の試験を受けてもらう、一応こういうことになるわけでございますが、その点はこの指導員の免許に関する規定におきまして一定の免許の制度がございますから、これは実情に応じてその間に遺憾のないように措置して参りたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/114
-
115・滝井義高
○滝井委員 許験を受けなければならぬのでしょう。こういう法律の書き方では二年たった後には受けなければならないことになるのではないですか。そうすると現在の技能者養成指導員というものは、必ずしも全部試験に通るとは限らぬと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/115
-
116・澁谷直藏
○澁谷政府委員 第二十一条の第三項の第三号でございます。第三項は「職業訓練指導員免許は、申請により、次の各号の一に該当する者に対して、免許証を交付して行う。」第三号におきまして「職業訓練指導員の業務に関して前二号に掲げる者と同等以上の能力を有すると認められる者」こういう規定がございまするので、従来訓練指導員として業務をずっとやっておった、しかもその間に何ら支障がなかったという人につきましては、この条項を活用して実際上上免許証を与えていく、こういうことになろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/116
-
117・滝井義高
○滝井委員 よくわかりました。そうしますと、今まで技能者養成の指導員であったもので、特に欠格条項がなければ、大体まあなれる、それを聞いて大体安心しました。
次には、これはきょうの本論に入るのですが、時間がないので簡単にやらしていただきます。中小企業庁の方と通産省の企業局の方においでをいただいておりますので、まず通産省の企業局の方から御質問さしていただきたいと思います。現在通産省の企業局では管理者の訓練をやられておるわけです。職長以下は一応労働省がやるわけです。それ以上の者については、これは通産省の企業局の管理者訓練ということで行うことになっておるわけなんです。それは現在日本産業訓練協会ですか、そういうところでも、これは民間の団体でしょうが、行われておる。いま一つは日本生産性本部でアメリカに行って、いろいろ経営や技術の状態を——これは労働者も行っておるわけです。この二つのものとの関係なんですね。特に日本生産性本部との関係が今後やはり問題になってくるのじゃないかと思うのです。職業訓練とこういう管理者訓練——日本生産性本部のやっていることが管理者訓練であるかどうかということについては幾分疑問があると思うのですが、ともかく通産省の企業局で主としてやっておるのじゃないかと思うのですが、そこらの関係をどういう工合に見られておるのか。経営とか労務管理、こういうものはともかくとして、技術というようなものがやっぱりそこには入ってきておるのじゃないかと思うのです。そうしますと管理者訓練というものと職業訓練との関係、これはどういうように労働省と打ち合せてやっていかれておるのか、いく所存なのか、これを一つ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/117
-
118・樋詰誠明
○樋詰説明員 管理者訓練は、これはただいまも御指摘ございましたように、個々の労務者あるいは職長以下の訓練とは異なりまして、むしろ企業内の人それから設備あるいは原料、物、金といったようなものを経営目的に対して最も有効に組み合せて運用するといったような経営管理面の訓練ということを主体にいたしております。もちろんこの経営管理という中には事務的な面と技術的な面と双方にわたりますが、しかしいわゆる個々の技術の訓練というよりはもう少し広く、企業の経営管理という大きな見地から、たとえば組織の運用のやり方であるとか、あるいは人の使い方だとか、あるいは仕事ぶりのやり方といったようなものについて、総合的に経営という面でとらえて運営していきたい、そういうふうに考えておりますので、いわゆる単なる技能訓練あるいは単なる技術訓練ということから一歩高い総合的な見地のものというふうに御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/118
-
119・滝井義高
○滝井委員 経営の中における設備と人と物とを経営目的に最大限に活用するための有機的な活用をはかっていく、こういうことでございますが、実は現在の日本の職業訓練の実態を見てみますと、すでにこの法案にもあります通り、中小の企業というものはなかなかうまくいかない。この問題についてはあとで聞きますが、問題は大企業でやられておるわけです。そうしますと、この法案によって全面的に大企業に職業訓練が行われる形が必然的に出てくると私は思う。というのは、企業内の職業訓練として国が間接補助として四分の一、都道府県が四分の一、ことし国が三千万円出しておりますから、県が三千万円出せば六千万円の金が出て来る。従って事業主が六千万円出すことになるわけで、少くとも今後毎年一億二千万円以上の金が出ていくことになるわけです。そうしますと、現在職業補導とか技能者養成というものは、公共職業訓練所というものはなかなか先生が不足なんです。そうすると中心は何といっても大企業だと思うのです。大企業で全面的に職業訓練が行われるということになりますと、これは労働省の所管というよりか通産省の通産行政としての比重が高くなってくると思うのです。それは一地方庁の都道府県が大企業に行って職業訓練の指導をするということは、今の地方自治体の人的な構成から私は不可能だと見ています。そうしますと、それはやはり自主的な大企業の力による事業内の職業訓練をやる力が非常に出てきます。というと、その比重は労働省の労働行政というよりか通産行政の面が非常に強く出てくることは火を見るより明らかです。そうなった場合に、今言ったように人と物と設備とを有機的に最大限に経営のために活用しようとするなら、設備と物とを動かすものは人なんです。そうすると人の問題というものが非常に比重が大きくなってくることは当然なんです。そういう場合に、ここに通産行政というものが、職業訓練というものは労働省の分野だ、たとえば今御説のように、われわれのやるのはもっと高いところだといって、高ねの花ばかり仰いでおると、足もとがだめになる、こういうことです。だから私は方向は、当面はそういう方向に行くと見ております。今のような御説明では、通産省の職業訓練に対する認識というものはどうも少し欠除しているのではないか、こういう感じがするのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/119
-
120・樋詰誠明
○樋詰説明員 ただいま御指摘の点、通産省としてはむしろ非常にありがたい御意意見なんでございますが、これはこの法案作成の過程におきましても、いろいろと労働省と話しましたときにも、いわゆる訓練ということのために産業機能が阻害されるといったようなことのないようにということについては、労働省としても最も慎重な考慮を払ってこの法律を運用して下さるということについて十二分な了解をいただいておりますことと、それからわれわれといたしましては、そういうふうな基本的な方向のもとに企業の中で行われる訓練、結局これは企業が自分でやるわけでありますので、人と物と金というものを最も合理的に運用して最大の経営効果を上げたいと念願している当の責任者である企業がやるという限りにおいては、本来われわれの方が横からよけいな心配をする必要は必ずしもないということで、むしろ労働省がこういう法律をお作りになって、技能者あるいは技術の訓練というものをおやりになる際の基準とか方法につきましては、通産省としても積極的に労働省には協力するということで、労働省の方も企業というものについての御認識をさらに深めていただくことによって、通産、労働両省の希求することが決してばらばらにならないように、統一した目的が達せられるように運用していけるということを確信いたしておりますために、この法律につきましては、さしあたり労働省の労働行政に対する自主性と、それから企業の自主性というものを尊重して考えているわけでございますが、いろいろ技能検定の職種を定める政令とか、受検者の資格を定める政令といったような段階では、あらかじめ通産、労働両省の間でいろいろと意見の交換等もやって、十分にわれわれの意見もいれていただきたい、こう思っておりますので、ただいま御指摘のありましたような点を通産省として今後もまことにありがたく意に体しまして、企業経営に支障のないようにこの法律を運用したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/120
-
121・滝井義高
○滝井委員 法律ができてしばらくは、やはり優秀な指導陣というか、教える方の側ができなければならぬわけです。労働省の力だけでとてもそれができるとは考えられません。今まで労働省はそういう先生を養成した経験もないし、またたくさんの先生のプールを持っておることもない。それはどこにあるかというと、企業の中にある。さいぜん企業局の次長さんのおっしゃったように、物と人と金とを有機的に合体せしめていくということは、それは企業の意思によってやられていくわけなんです。その場合に物と金とはとにかくとして、人の方を労働省が今度は勝手に訓練をしたり、企業の意思と違った方向では困る。その企業が自分の企業の中に不足している中堅技能労務者というものを一体どういう方向に作ればいいかということは、企業の性格と企業の経営の方針その他によって違ってくると思う。それを労働省が企業とは全く別の方向の人間を作ってもらったら、有機的な連携というものはできない。そこで当分の間は労働省の意向を聞きながらも、やはり通産行政というものがある程度、主体性といっては労働省がおこるかもしれませんが、琴瑟相和する形で話し合いをやっていかなければならぬと思う。さいぜん以来私は文部行政も申し上げましたが、多賀谷君もやっておった。それから昨日は厚生行政の中の特に身体障害者の更生授産施設との関係をやった。文部行政についても厚生行政についても、いずれも満足な答弁が得られないのです。こういう新しい法案を作るときに他の省と連携せずして、労働省だけが、各省割拠の弊ではないけれども、わが城郭を築こうという気持でやっておったのではこれはできない。従ってこれはどうしても通産省にもこの際一はだ脱いでもらってこの法案を研究してもらって、労働省が行う職業訓練というものと通産行政がマッチした形でいかなければ、これはうまくいきません。ことしの予算書を見ましても、企業内訓練でやる人員というものは一万五千人なんです。これは大きいのです。他の身体障害者なんかは千百五十人、それから総合職業訓練所が七千五百七十五人程度で、とにかく企業内の職業訓練というものが相当の比重があるということなんです。こういう点から考えても企業内の比重は大きいのですから、どうしてもこれは通産省に理解と御協力をいただかなければならぬ、こういう点がある。ぜひ一つそうしてもらいたいと思っている。そこでその次に問題になる点は、今後われわれが技能養成をし職業訓練をする必要性の最も高いところは、大企業にもあるが、中小企業にもあるということなんです。そこで今の日本の賃金水準から見ても、五百人以上を一〇〇とすれば、五人から二十九人の間というものは賃金水準は五三という低いものなんです。そうすると、技能を上げれば当然賃金水準というものが上げられるということで、ある程度企業の生産性というものはそういう点からやはり向上する面が出てくると思う。いま一つは付加価値の生産性、これはやはり千人以上を一〇〇とすると、二十人未満は三七なんです。こういう低い水準というものは欧米諸国にはもうない。賃金の水準においても、欧米諸国に比べてみたら日本というものははるかに中小企業の水準は低いことは通産省の皆さん御存じの通りです。そういう賃金水準を中小企業で引き上げていく、中小企業の付加価値生産性を増大していくことを考えていくためには、大企業の体質改善も必要でしょうが、さらに中小企業の体質改善が当然必要だ。そうすると、この体質改善をやるためには物と人と金の有機的な連携ですが、もっとそれを具体的にいえば、今度は経営内容を近代化し、合理化していく。それから中小企業の昔ながらの陳腐化した設備を近代化し、合理化していく。そうしていま一つは中小企業の従業員の技術的な水準を上げるということだと思う。そうすると、技術指導ということになるわけです。一体、中小企業庁は中小企業の近代化、金融の面とかいろいろ言われております。企業診断もやられておる、免税措置も講じなければいかぬ、事業税は軽減か撤廃しなければいかぬと、いろいろ言われておりますが、当面何といってもわれわれはやはり注目しなければならぬのは、中小企業における従業員の質的な向上なんです。これは家族従業者が多いので、日本の長期経済計画は家族従業者を少くして、近代的な雇用労働者に切りかえようという動きは内閣の出した長期経済計画の中に出てきているわけだ。そこでこういう技術者の指導というものは——一体中小企業庁というものは技術者の養成、指導、訓練というものをどういう工合にお考えになっておるのかということなんです。一体労働省からこの法案が出るに当って御相談を受けたかどうか、これを一つ。三点、相談を受けたかどうか、具体的にどういうお考えでおるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/121
-
122・川瀬健治
○川瀬説明員 ただいまお話がございました点につきましては、この法案を作成するに当りまして私どもの方にも十分な御連絡がございました。私どもといたしましては企業内の訓練の問題は、先ほどもお話がございましたように産業行政と密接な関係がございますので、中小企業庁といたしましても企業内の従業員の訓練という点につきましては、労働省の方とも十分に連携をとりまして、今後も遺憾のないように進めていきたい、こう考えております。
それから全般的にいわゆる中小企業の技術の向上の問題についてどう考えるかという点でございますが、ただいま御指摘がございましたように、中小企業の体質改善のためには第一に設備の近代化が必要である。それから第二にやはり近代化した設備を十分に活用する。そうして十二分に効果をあげる。そのための技術の向上が必要になる。それから第三番目にはやはり経営面の合理化、改善ということが必要になるという点は私どもも全く同感でございまして、三十三年度の予算におきましてもこの点、昨年度に比べますと充実をして参っておるということになっております。特に技術の問題につきましては、従来設備面の改善と、これを促進する意味におきましていわゆる設備近代化のための助成措置を講じて参ったのであります。従って設備の改善ということはある程度進んで参っておるのでございますが、それとあわせまして技術の水準の向上という点は、実は現在まで多少おくれておったような情勢でございます。従来技術の向上につきましては、技術指導のための講習会を国がみずから行い、あるいは府県の試験研究機関を中心にして行わせるというようなことのみでやって参ったのでございますが、何分にも実際に中小企業の技術の向上をはかりますためには、各府県の第一線のその面の機能を充実強化する必要がございまして、従来はその点が、どちらかといえば弱体であったような点も見受けられましたので、すでに数年前から府県の公設試験研究機関の設備が相当陳腐化しておって技術指導の機能が非常に弱体化しておりましたのを、何とか改善するように指導して参ったのでございますが、なかなか思うように参らなかったわけでございます。ところが三十三年度におきましては、初めて国からのこの面に対する助成措置も予算に計上されまして、今度の予算が成立いたしますと、その面も充実して参ると考えるのであります。三十三年度におきましては予算額は六千万円程度でございまして、必要な設備の半分を補助することになっております。かつ、これで約十カ所程度の中心的な試験研究機関を充実するという方向で現在進めておるわけでございまして、今後とも技術の向上の問題につきましては十分努力をして参りたい、かように考えておるわけであります。
なお最後にちょっとつけ加えますが、従業員に対する技能の向上、いわゆる技能者の養成という行き方と、私どもの方がやっております技術の向上という問題との関連でございますが、中小企業庁でやっております技術の向上は、企業の技術水準の向上という点をねらっておるのでございまして、そこに働く個々の従業員のいわゆる技能の養成とか向上とかいう点よりもさらに幅の広いものになっております。かつ私どもがやっておりますのは、どちらかといえば今申し上げた企業としての技術水準の向上でございまして、企業内部の技術の責任者なり担当者なり指導者層の技術の向上、またある品物を作るための特定の技術の水準の向上というような点に重点を置いてやっておりますので、今回の労働省の技能者の養成ということと相待って、今後中小企業の技術の水準の向上ということは相当見るべきものが出てくるのではないかと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/122
-
123・滝井義高
○滝井委員 今御説明いただいたことは、少し関連しますからあとで御質問するとして、先に、大企業の事業所内における職業訓練というものは、今現実に労働基準法等でやられておるので大して問題ないと思うが、今後中小企業を中心にして行われる共同職業訓練団体、こういうものについて一体中小企業庁ではいかなる指導方針を持っておられるのか、これを一つお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/123
-
124・川瀬健治
○川瀬説明員 私どもといたしましては、従来から企業内部の従業員の技術の向上という点には意を注いでおったのでございますが、何分にもこれに対する助成的な措置ということになりますと、予算の面も思うようにいきませず、主として企業の自主性にまかして、すべての経費を企業の負担でまかなわせる、ただ所要の援助——予算的なものではございませんが、それ以外の所要の援助を与えておったという程度になっておるのでございます。そこで今回労働省が技能者の養成ということを大々的に取り上げられた場合に、できるだけ従来組合等の共同施設で技能者の養成その他をやっておりました、それを活用していただきたいということを主張いたしまして、その点は今回の労働省のお考えでも十分おくみ取りを願いまして、この法案の中にもその精神が盛られて参っておるわけでございます。今後も私どもといたしましては、共同施設による従業員の技術の訓練ということには力を用いていきたい、労働省ともその面においては十分に連携をとりまして進めるようにいたしたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/124
-
125・滝井義高
○滝井委員 中小企業が団体を作って共同職業訓練をやろうとするなら、当然ここに施設が要るわけなんです。大企業ばかりにお願いをしておくこともいいかもしれませんが、なかなかそうはいかぬ面があるだろうと思う。と申ましすのは御存じの通り、最近日本の企業の構造を見てみると、まあ経済企画庁あたりは二重構造ということを言っておりますが、企業の系列化が行われてき始めたわけです。そうすると大産業は自分の系列下に入る下請工場のものは、自分の製品をよりよくするために、当然自分の訓練する施設にどんどん収容させてくると思う。ところがこの系列外のものが相当出てきておるわけです。むしろ中山さんあたりは、経済企画庁の言う日本の産業構造が二重ではなくて三重だということを最近言い始めてきているわけです。そう考えて参りますと、この系列の中に入っている下請工場はいいかもしれないが、そうでないものが出てくる。これは商社についても同じだと思う。日紡なら日紡というものが一貫して商社まで握ってしまうという、問屋資本というものがなくなるという形が出てきている。従ってそういう系列化の傾向というものは、系列からはみ出たものの職業訓練がアウト・サイダーになって、なかなか困難な面も出てくると思う。そうしますと、それらの中小企業の共同化ということはずいぶんわれわれも前から唱えておるが、なかなか共同化が進まない。自分が生きるためのいろいろ仕事をやるための共同化が進まないときに、自分の労働省の訓練の共同化が進むということはうそだ。訓練の共同化の方が私は二次的になると思う。そうしますと、よほどこれは施設その他について、中小企業庁なり労働省が合体して、協力して積極的に助成をし、補助金を出して作ってやるという形をとらないと、中小企業の訓練はなかなかできないのじゃないかと思う。そういう点、今後中小企業庁の方で積極的におやりになる意思があるかどうかということなんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/125
-
126・川瀬健治
○川瀬説明員 ただいまの点につきましては、実は私どもの方に組合の共同施設を設置いたします場合の補助金の制度がございます。そこでこれをできるだけ活用するということが一つと、それから実は昨年もことしもそういった共同の訓練をやるための施設等を設けるための予算の獲得ということにつきましては、労働省とも十分打ち合せまして、共同で大蔵省にお願いをして進めてきたというような関係もございまして、今後におきましても、共同施設を活用しての技術者訓練ということに対しましては、労働者とも十分な連絡をとりまして、この方面に、せっかく労働省の方でもわずかのものではございますが予算もつくようになったわけでありますので、そういうものをできる限り配分していただくように進めていきたい、こう考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/126
-
127・滝井義高
○滝井委員 一つ労働省と中小企業庁と協力して、共同職業訓練団体が十分教育ができるような施設の助成について、ぜひやっていただきたいと思います。労働省も一つ遠慮なく中小企業庁と相談をされて、なわ張り根性を起さないように、日本の中堅技能者がたくさんできるように努力してもらいたいと思います。
そこで、さいぜん三十三年から国が必要な設備の二分の一程度を補助する、そして十カ所くらいの試験研究機関を作って、その充実をはかっていくという御説明があったが、官報資料の一二九号を見てみますと、「中小企業の技術指導、公設試験研究機関を拡充強化」という記事を中小企業庁が出しておるわけであります。この問題は公設試験研究機関についてでございます。私かつて県会議員のときに、府県の商工部にそういうようなものをやっているところがあるということはおぼろげながら知っておったのですが、不勉強で、この公設試験研究機関というものは全国に百八十もあって、約四千三百七十七名の職員を擁しておるということは知りませんでした。そうしますと、これは今後の技術指導の上において非常に——私自身がうかつ千万だったと思うのですが、今後職業訓練をやる場合に、一般職業訓練というものは都道府県知事がやるわけですから、都道府県知事のもとにおいて今まで職業補導の形でやっておりましたものが、今後は職業訓練という形になると、今までよりはるかに強化された基礎的な技能を教え、そしてさらに今度はもっと高い総合的な、専門的な職業訓練にだんだん入っていくことになるだろうと思うのです。そうしますと、府県の商工部における公設試験研究機関の役割と、同じ知事の所管のもとにある一般職業訓練、あるいは今まで知事の所管のもとにあった総合職業訓練、これは労働福祉事業団に参りましたが、そういうものとの関係ですね。行政が二重三重になって、網の目のように残すところなくやられるということも一つの方法だと思います。しかし日本のように、なけなしのさいふの中から金を出して行政をやる国においては、やはり最小の費用で最大の効果を上げる形を作らなければいかぬと思うのです。さいぜんの御説明では、これらの公設試験研究機関なり、今までの中小企業庁のやっておった技術指導というものは、一段高いところの企業の技術水準の向上だ、こうおっしゃいましたけれども、実際にこの官報に書いてあるのを読んでみましても、「公設試験研究機関の現状」の中で、具体的な業務内容としてその八に「技術者、技能者の養成」こういうことが書いてあります。そうすると、これは今までの労働基準法の七十条とちっとも変らない。今度の労働省の職業訓練をやることと変らないのです。しかもずっと書いてある最後のところを見ますと、「中小企業に従事している中堅以上の労務者に対する技術再教育を積極的に行う必要があると考えている。」こういうことが書いてある。これはいわば追加訓練ということにもなると思う。しかし、現実に中小企業に働いている労務者諸君というものは、技術水準は全般的に低い。だから、いわゆるわれわれの概念の、もっと高い再訓練をやる、追加訓練をやるということではなくて、むしろ基礎的なものからやらなければならないという傾向があるわけです。そうしますと、さいぜんの中小企業庁の指導部長さんの御説明というものは、概念としては私はそうだと思う。しかし、日本の中小企業の体質の改善をやるとすれば、何といってもやはり技術者としての家族従業者その他の者を技術者として育てていくという形が、まず第一段階としてはとられなければならぬ面が出てくると思う。そうすると、公設試験研究機関で行うことと、総合職業訓練、一般職業訓練で行うこととは、そうかけ離れたものではないじゃないか。そうしますと、技術指導三カ年計画というものを、昭和三十三年度からお立てになって、そして六千万円のお金を出してやられるということになれば、この面についても——労働省のこういう技術の訓練というものはこれから発足するのですから、貧しいながらもすでに幾分の経験を持たれている中小企業庁が、いわゆるそこに一臂の援助を労働省のこの機構にしてやる必要があると思う。われわれの方は企業全体の技術水準を高めるのだと、こう高くとまることなく、もっと低くおりてきて、よろしい、われわれのところでそういう共同訓練その他のものは、ある程度一つ当分めんどうを見てあげましょうというくらいの雅量と、謙虚さというものが、この際必要ではないかと思うのです。こういう方向にいけるものかどうかということです。結局あなたの方の行政も、都道府県の商工部というものを通じて下部機構も持っている。労働省も同じ知事のもとに持っている。こういうことになると、これらのものが、一方は右にいき一方は左にいってばらばらでは困ると思う。私は、これは各省のものを探してきたわけではない。偶然目についたものだけ集めてみても、こういうものがたくさんある。科学技術を見てみると、もっと大事なものは、工業技術院の関係なんかも非常にある。ところが、今まで試験研究機関というようなものは国会であまり取り上げられないのです。盲点になっているのですよ。ところが、これらのところにこそ、今や腕を撫して、われこそどうして国が使ってくれないだろうかと、嘆いている技術者がたくさん漏れているということです。これらの者をこの際日の目を見させる——と言うと、それらの学者諸先生方は怒るかもしれませんが、やはり技術養成が波に乗っているときにかり出してきて、そしてこの際第一線では活躍してもらうし、基礎的な研究をやってもらうというように持っていく方がいいじゃないかと思いますが、そういう点もあわせて御見解を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/127
-
128・川瀬健治
○川瀬説明員 ただいまのお話でございますが、私どもといたしましては、たとえば第一線の府県を考えてみますと、府県の商工部系統に相当な経験者がおり、また技能者の訓練に援助を与えていく場合に、その効果が非常に上るような場合も考えられるわけでございまして、これにつきましては、私どもとしては決してそういう援助を出し惜しむというようなことは考えていないのでありまして、できるだけ労働関係の行政を所管しておる部局と連携を密にして、お互いに一体となってやっていくようにしたい、こう考えております。抽象的にそう申し上げましても、あるいはすぐ御納得がいかないかもしれませんが、たとえば、これは私県の方から直接聞いて承知しているのでありますが、兵庫県のごときは、中小企業の行政を進め、またその技術水準等を高めるためも含めて、総合的な中小企業の振興策といたしまして、中小企業関係の部局の担当官が全部副知事のもとに集まりまして、中小企業振興のための推進本部というようなものを作りまして、実際に中小企業行政の円滑な推進をはかっておる実例もございます。そこで私どもはやはり関係の者に対しまして、技能者の訓練といいますのは中小企業者に対しましてもプラスになるわけでございますので、できるだけそういった協力を惜しまないように指導もして参りたい、こう考えております。
それから最初にお話のございました一般的な問題といたしまして、職業訓練といいますか、今度の技能者の養成の事業と、それから私どものやっております、いわゆる企業の技術水準を向上するための技術指導の施策というものが、一面重複する面があるのではないかというような御見解の点でございますが、先ほども申し上げましたように、私どもの方で現在進めておりますのは、実はいわゆる縦横という見方は非常にわかりにくいかもしれませんが、いわゆる私どもは縦の見方をしておるのであります。と申しますのは、官報のごらんのところにもちょっと載っておったかと思うのでございますが、それぞれあるテーマをとらえまして、そのテーマに関する技術というものを、できるだけ発展させ推し進めるようにしたい、こういうことで、技能者養成というような場合には、むしろ横の面の見方になるわけでございまして、たとえば切削加工というようなことを例にとりますと、切削加工の基本的な熟練をさせるという点が、技能者養成のねらいでございまして、その技術を応用して、たとえば内燃機関を作るとか、あるいはミシンを作るとかいうような問題になりますと、これはむしろ応用の問題になるわけでございます。特定の、やはりそこには別の面からの技術というものも加わって、初めて内燃機関なりミシンなりの製品の質が向上上するということにもなるわけでございまして、私どもの方の技術の指導は、むしろテーマをとらえた縦からの指導、そしてこの技能者養成の方の考え方は、どちらかといえば、横からながめた指導というような形になると思うのであります。そういう意味において、両者相持って初めて製品の技術が向上する、企業の技術水準全体が向上して、その結果、その企業の製品の技術が向上するということになっていくわけでございまして、やはり基本的なもののほか、それの応用面の技術というものもやはり指導していかなければ、中小企業の技術の水準の向上ということは達せられないのではないか、こういう工合に考えておるわけでございます。それから多少高度の技術とか、あるいは比較的低い技術というような違いももちろんないわけではございませんが、その辺は程度の問題でございまして、私どもといたしましては、ねらいはあくまでも、中小企業庁の技術の指導といいますのは、企業の技術水準の向上ということがねらいであり、それから労働省の方のねらいは、個々の従業員のいわゆる技能の水準の向上、こういうことにあるわけでございまして、その間決して私は重複しておるというふうには考えておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/128
-
129・滝井義高
○滝井委員 確かに今部長さんの御説明の通り、この官報にも三十三年の特定テーマは、試験研究機関としてそれぞれ特殊の題目を掲げて、そしてそれを実際に研究する試験研究所の名前をあげて、それに対応する中小企業者の数を、三百とか五百とかあげておるわけです。確かに一応それぞれの特殊の中小企業の技術をいろいろ試験し、研究していくということで、一応縦の面になっております。しかしそれらの試作品が非常に能率的に、こういう方法でやったらうまくいくということの確信がつけば、それが今度は具体的に中小企業の現場に持ってこられて労働者が作ることになるわけです。ところがその試作品を作るだけの技能者というものがいないと工合が悪いので、当然そこには、その試作品を受け入れるだけの技術水準の労働者がいなければならぬ、こういうことになる。従ってその場合においては、当然今度はその養成をする労働省の機関と密着をされて、横の連携がとれていないと、うまくいかないことになるわけです。そういう点で私はこの際試験研究機関というものがやはり労働省の行われる職業訓練に絶えず注目して、今や時代の流れは、試験研究はこういう方向に行っているのだ、だから職業訓練でもってこういうことを指導してもらわなければならぬという有機的な、縦を見ながら同時に横の連携がないと、うまくいかない。いい発明発見が行われたけれども、帰ってみたらそれを作る技能者はいなかった。ちょうど日本の自衛隊の船の建造と同じで、船を作る予算はできたけれども、その船を作る技術者が日本にいないというので、二十八年以来船は、七、八十隻も予算をとっているけれども、できているのはまだ十隻か二十隻だという、われわれの血税をむだにする形ができてくるわけです。だからどうしてもそういうことをやってもらわなければならぬ。そこでこれは労働省にも私注意しておきたいのは、この試験研究機関というものは、この官報にも書いてございますが、おおむね県政においては冷遇されているのです。ところがこれは非常に技能者の訓練養成の上において、やはりこれは横から助けてもらわなければならぬ機関なんです。今後あなたの方の行政をやる上に、県の労働部あたりにも十分一つ商工都と連携をしてこれらの試験研究機関の援助を得てやるということを、やはりしてもらわなければいかぬと思うのです。労働省は積極的に中小企業庁に連携をして、公設試験研究機関との有機的な連携をとるところまで、この法案を作るときにやっておったかどうかわかりませんが、なかなかうまくいっておったのだと、通産省はこうおっしゃるので、そう信頼したいのです。ぜひそれらの機関も有効に利用してもらって、そうしなければいかぬと思う。法案ができてから労働省だけでやろうとしても、なかなか広範なもので、しかも訓練する職種はバラエティに富んでいる。身体障害者だけでも四、五十種類ぐらいあるのではないかと思うくらいに多いのですから、だからどうしても文部省、厚生省、通産省、特に通産省の中小企業庁、これらのものと連携をとってやっていただきたいと思うのですが、そういうことに対する見解を伺って私の質問を終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/129
-
130・澁谷直藏
○澁谷政府委員 通産行政との関連の点につきましては、滝井委員の御指摘の通りでございます。私どもはこの法案の作成に当りましては、臨時職業訓練制度審議会にも通産省の企業局、中小企業庁からも幹事として御出席いただきまして、全般の問題について忌憚のない意見の交換を行ったのでございまして、この訓練法の実施の際にも、この上とも通産省とは特に密接な連携を持ちまして遺憾なきを期して参りたい、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/130
-
131・井堀繁雄
○井堀委員 十二条と十三条の関係は、通産省ことに中小企業庁との関係にきわめて重要でありますので、一、二明確にいたしたいと思います。
まず労働省にお尋ねをいたしますが、十三条の規定によりますと、事業内の訓練の基準を規定し、また十二条では、事業内訓練を行う事業に対する援助義務を規定しておるのであります。この関係について明確に一、二伺っておきたいと思います。それは職業訓練の教科目あるいは教科内容、訓練の期間、設備、指導員などに関する基準を労働省令で定めるということがあるわけですが、この中で重要なのは、提案理由の説明にも労働省がかなり重視しておりますのは、日本の産業構造の最も重要な問題になり、日本経済の重要な地位を占めておりまする中小企業対策の一環としてこの法案が考えられておるということは、私どもかなり重視いたしておるわけであります。そこでこの点にしぼってお尋ねいたすのでありますが、おおむね大規模の事業場にありましては、この種の規定については決して問題が起らぬ。もうすでに実施し、もしくはその実方を持っているものと見ていいと思う。中小企業の場合においてはおおむね困難な実情にあると見て差しつかえない。そこで労働省令で、もしここに設備とか指導員の資格といったようなものについてきびしい条件が付せられるということになりますと、当然十二条による都道府県知事あるいは政府が援助義務についてこの点を明らかにすることにならないと、中小企業は事実上これらの恩恵を受けることができないという結果になる。労働省は、設備、指導員については中小企業においては困難が生ずるであろうが、その場合にどのような援助を与えるお考えであるかをこの際明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/131
-
132・澁谷直藏
○澁谷政府委員 御指摘の点は、私どもも十分に考えておる点でございます。大企業におきましては御承知のように自分の力で企業の要請に応ずる事業内の職業訓練をやっておるわけでございますが、中小企業、特に零細な事業主におきましては、なかなか自力ではやれない。そこをこの法律によりまして助長していきたいというのが私どものねらいでございます。従いまして第十三条の職業訓練の基準を定める場合におきましても、特に中小企業のそういった設備、それから指導員の関係等につきましては十分に配慮をいたしまして、中小企業が職業訓練を推進していく上に支障のないように、その点は十分弾力性をもって配慮して参りたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/132
-
133・井堀繁雄
○井堀委員 今の御答弁によりますと、大企業と中小企業の場合については、設備や指導員の資格などについて多少緩和するというような方法で、中小企業のこの種の事業を援助しようというお考えのような御答弁でありますが、進んでお尋ねいたしたいと思いますのは、この種の訓練の目的を達しようとすれば、どうしてもある程度の資格のある指導員を求めなければ、この事業は遂行できない。いかに緩和しようとしても、私はそう幅のある資格の緩和はできまいと思う。ことに設備に至っては言うまでもない。この点に対する第十二条でいうところの労働大臣及び都道府県知事の援助義務というものが明確にされてこなければ、絵にかいたぼたもちになる。ことにここでは宣伝啓蒙に努めていると言い、また教科書やあるいは教材などを提供するということを言っております。さらに指導員及び必要な援助を行うと言っております。こういう点から判断いたしまして、まず労働省に限定してお尋ねいたします。
設備あるいは指導員についてでありますが、中小企業について、あらかじめ資格のある指導員を無給でそういうところに送り込む。あるいは設備については資金の提供をするとか、あるいは低利資金の融資の道を開くといったような具体的な措置が考えられない限りにおいては、この種の設備はできぬのじゃないか。設備ができても有能の指導員を求めることができないのではないか。これに対して労働省はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/133
-
134・澁谷直藏
○澁谷政府委員 この認定職業訓練に対する具体的な援助の問題につきましては、第十六条で規定をいたしておるのでございます。ここにございますように、一般職業訓練所または総合職業訓練所の施設を使用させること、あるいは職業訓練指導員を派遣すること、というような条項があるわけでございますが、これは大企業におきましては、言うまでもなく自分の施設を持ち、またりっぱな指導員を持っているわけでございますから、第十六条が実際に適用される対象としては、中小企業がほとんど全部ではないかというふうに考えております。
それで具体的な御質問でございますが、訓練の設備についての補助金なり、あるいは低利資金のあっせんというような措置を考えておるかという御質問でございますが、この訓練の設備につきさましては、井堀先生御承知のように、中小企業の集まってやっておる共同養成体におきましても、なかなかその施設がないので困っておるわけでございます。それで先ほど通産省の方からも御説明がございましたが、通産省の方とも十分連携をいたしまして、今年度は遺憾ながら、予算要求をいたしたのでございますがお認めをいただけなかったのでございますが、将来におきましては、この設備に対する補助金等についても十分考えて参りたい。それから指導員の件につきましては、第十六条の第二号におきまして、一般職業訓練所、総合職業訓練所の指導員を派遣して、十分な援助をするように考えて参りたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/134
-
135・井堀繁雄
○井堀委員 十六条の規定は「一般の職業訓練所又は総合職業訓練所の施設を使用させること。」ということで、これは中小企業のために設けるのではなくて、この訓練法の基本的な要件だと思うんです。そこに職業訓練指導員を派遣するなどということは当りまえであります。それが直ちに中小企業の職業訓練の場になるというふうに解釈してよろしゅうございますか。また今日中小企業の占める事業場の数にいたしましても、そこに雇用されておる労働者の数にしても、また職業訓練を受ける必要性から見ましても、きわめて大きな分量を占めておると思うんです。そういうものがここに集約されることになりまするならば、おのずから中小企業職業訓練の実態と変るようになると思うんです。現実に大きな事業場においてはこの種の恩恵を受けなくても、自力ですでにやっておるし、またやれるんだ、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/135
-
136・澁谷直藏
○澁谷政府委員 第十六条の規定はもちろん一般的な規定でございますが、ただいま井堀先生もお述べになりましたように、大企業は自力でやっておるし、現にまたやれる、従って実際に第十六条の援助の項目が発動される対象は、大部分が中小企業となるであろうということを申し上げたのでございます。それから中小企業、これはもとより数が非常に多いのでございまして、それのやる職業訓練に対して、職業指導員を十分に派遣するということはもとより不可能でございます。それで第三十三条の規定がございまするように、特に中小企業が集まってやる共同の養成体に対しましては、国と都道府県が補助金を出す、こういう建前にしておるのでございまして、本年度は国費が三千万円計上されたのでございます。それで従来の共同養成体で実際に必要としておりました経費を調べてみますると、平均でございますが、養成工一人当り大体年間八千円を必要といたし、ております。これに対しまして、今まではわずか四百円程度しか補助できなかった。本年度はそれを改めまして、大体その平均の八千円を補助の対象といたしまして、その二分の一の四千円を国と都道府県が補助する、こういう建前にいたしておるのでございまして、その補助対象の所要経費八千円の内訳の中には、施設の借り上げ料であるとか、あるいは指導員に対する謝礼であるとかいったような経費が含まれておるのでございますから、予算が通りまして、この補助金が交付されることになりますれば相当の改善が見られる、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/136
-
137・井堀繁雄
○井堀委員 今の労働省の御答弁によりますと、中小企業のためにかなりこの制度がフルに利用されるような御答弁でありますが、私はこの全体からはそうはとれないのであります。今まで審議いたしましてかなり明らかになったのでありますが、総合職業訓練所にいたしましても、あるいは公共職業訓練所にいたしましても、これは従来必要に迫られて、その実績の上に拡大されてくる範囲のものであると思います。そこで私は中小企業庁の立場で御答弁をいただきたいと思うのであります。今労働省の説明しておりますような、またこの法案でいっておりまする制度で、一体中小企業が今養成しておりまする熟練労働者の不足に対して、今日中小企業庁としてはどの程度こたえることができるというお見込みをお持ちになっておりましょうか。見解を一つ伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/137
-
138・川瀬健治
○川瀬説明員 ただいまの御質問でございますが、私どもといたしましては具体的にどの程度の人数だというところまでは検討しておりませんので、数については明確なことはお答え困難でございますが、従来私どもがやっておりましたのはきわめて微々たるものでございまして、それに比べれば、実際問題としてこれによって中小企業者が受ける恩恵は相当大きいのではないか、こう考えております。それからこの法律全体から考えまして、中小企業者のために特に考えられておるというような点が割合に見受けられないのじゃないかというような印象を受ける点もあるのでございますが、一般的に規定されておりますので、私どもといたしましては今後運用の面におきまして、労働省とも密接に連携をとって参一る所存でございますから、運用いかんによりましては私どもの希望しておりますような、また期待しておりますような効果も上げ得るのではないかというように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/138
-
139・井堀繁雄
○井堀委員 中小企業庁はこの制度にかなり大きな期待をおかけになっておるようであります。時間がありませんから数字をあげるのを避けたいと思いますけれども、もう少し具体的にお答えを願いたいと思いますのは、今中小企業の占める産業上の地位は、ただ事業場の数が多いとか、雇用される労働者の数が圧倒的だとか、あるいは輸出貿易における地位がいかに重要であるかということについては申すまでもないと思うのであります。しかしもし今、日本産業の抜本的な改善が必要だとするならば、中小企業の問題に集中されていいのではないか、それほど重要な事態にあり、また中小企業の地位もそれほど重要視されておると思うのであります。たとえば政府の今の既存の法規でありまする企業合理化促進法を見ましても、中小企業の診断の問題を取上げ、その診断の結果私どもは幾つか具体的な事例を見ておる。そこで例外なく中小企業の設備の近代化を叫び、熟練労働者の不足を訴え、その訓練のいかに重要であるかを強調していないものはほとんどありません。もちろん融資の問題や税の問題あるいは企業者に対する率直な忠告などもあるようでありますけれども、私は帰するところは労働の付加価値の問題に大きく負うところがあると思う。労働者の立場からいたしますならば、他の労働者よりは労働時間にしても、また労働の性質からいたしましても、苦渋労働をしいられて、そうして賃金その他の労働条件は劣悪である、これはもう具体的な数字が説明しているところであります。だからこの問題は一つには労働問題の解決であるし、一つには日本産業振興のてこ入れになる基本的なものであると思う。中小企業庁がこれを重要視しないはずはないと思う。この法律では技術の向上の促進を一に取り上げ、これはもちろんこの技術の向上は、ここで言っておる労働者の技術の、技能養成の問題をさしているのではなく、もっと広く取り上げておることは理解できるのであります。しかし究極すれば、私は直接生産の衝にある労働者の技術水準が低いということは決定的な悪い要素をなしておるとと思う。でありますから、このことに役立たないような職業訓練法であってはならないことは申すまでもないわけであります。こういう点について中小企業庁がこの法案に対して強い関心と具体的な要請を持たぬはずはないと思う。今あなたの御答弁では半信半疑のような感じを受けた。多くの期待は困難である、しかし今よりはよくなるだろうというような答弁のように伺ったのであります。一体どの程度今言う中小企業における熟練労働者の不足を満たすことができるというお考えでありましょうか。それからまた設備などについては、この法律によって保護を受ける分野というものはきわめて狭いのであります。しかし私はそういう中小企業の共同施設を設けるというような場合については、むしろこの訓練法によるよりは、中小企業庁が企業合理化促進法による問題に依存するところが多いのではないか、あるいは通産行政の中において積極的な措置を構ずべき有機的な設備への協力態勢というものが考えられていなければならぬはずだと思うのであります。この点に対する御見解を一つきょう明確に伺っておきたいと思ってお尋ねしておるわけであります。時間が少いのではなはだ恐縮ですけれども、できるだけ率直に具体的に見解を聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/139
-
140・川瀬健治
○川瀬説明員 具体的にこの法律が施行せられました場合の効果の推測でございますが、ただいま私が申し上げました点が少しあいまいであったように受け取れるかもしれませんが、私どもといたしまては、運用さえうまくいくならば効果は非常に期待できるということを考えております。しかし何分にもこの法律の裏づけとなります実際の予算面なり何なり、そういう面も同時に確保できませんと、それがむしろ問題ではないかというふうに考えるのであります。そういう意味におきまして、私どもとしてこの法律が実施されました暁において、今直ちにどれだけの技能労務者が確保できるかということ、これはあるいは労働省の方にはある御推定があるかもしれませんが、私どもとしては、実はただいまのところそこまではっきりした推定をしていないようなわけであります。
それからこの法律につきまして、私どもは、おっしゃいますように、非常な関心を持っておるのでございまして、大企業はどちらかといえば自分の力で従来から技能者の養成もやっておりますので、主としてこの法律によって今後推進される面は中小企業者に関する面であろうというふうに見ておるわけであります。それだけに、私どもも労働省に対しましては私たちの要望を率直に伝えまして協力していただく、私どもの要望をできるだけ取り入れていただくというようにして参りたいと考えておるわけでございます。
それからなお私どもの方で現にある程度の予算を持っております共同施設の関係でございますが、これも実は本年、来年とも一億程度でございますが、これも技能者の養成というような、そのための施設の設置というような要望がございます場合には、そちらにもできるだけ振り向けるようにいたしたいと考えておるのであります。従来の例から見ますと、共同施設の補助金は、どちらかというと、そういった教育訓練的な施設よりも、企業にとって密接な関係のある生産設備といったような面に対する要望がなお強いわけでございまして、これも結局予算の額とも関連するのかと思いますが、私どもといたしましても予算額をできるだけふやすようにいたしますとともに、技能者の養成のための施設に対する助成ということにも意を用いて参りたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/140
-
141・井堀繁雄
○井堀委員 釈迦に説法になるかと思いますけれども、機械設備の近代化の促進はもちろん中小企業にとっては喫緊の要請であります。しかしこれを急速に補おうとすれば、やはり輸入に待つことが一番早いわけである。しかし輸入はいろいろな意味で制約を受け、また考えものであると思うのです。この点では、やはり機械工作などについては大企業に求めるというわけにはいかぬのじゃないか。やはりどうしても中小企業相互間において近代設備の基礎をなす、すなわち言いかえれば、労働の技術水準の引き上げに伴う成果を求める以外にないと思う。これは諸外国の事例を見ればわかる。ことに私はスイスの問題については強い関心を持っておるのであります。あれが時計や工作機械に重点がしぼられておるという点にも特殊性があると思うのであります。私は機械設備というものはやはり技術の集約だと思う。だから、こういう点にもっと資金を重点的に運営するという面からも、またこういうような中小企業のための職業訓練の設備というものに対しては相当思い切って資金を導入しても、結果においては個人企業の利益を追求するだけではなくて、やはり総合的に日本の設備の近代化のために原動力となる大きなる役割をするものではないか。そういうものに対して、今伺いますと、中小企業庁ではあまり具体的な準備がなさそうであります。私の聞きたいのは、中小企業の場合における職業訓練の場所というものは、中小企業の密集しておる地域、あるいは中小企業の日本の産業構造の中に占める一つの筋道があるわけであります。そういうものを追っていく場合にも、共同施設というものが具体的に次から次へ出てきているはずです。労働省においてもこういうものを前提にして、こことここには共同施設を新しく設けるということが前提になって企画というものが成り立つと私は思うのであります。こういうことに対する中小企業庁の計画が私は聞きたかったわけであります。御用意あれば伺いたいし、ないようであれば、そういう問題について至急に対策を立てられて、この予算的裏打ちや政府の具体的指導方針というものがなければ、この法案は中小企業に対しては迂遠な存在になっていくのではないか、こう考えるのであります。なお時間もありませんから、この点に対する御意見を伺っておきたいと思います。
それからせっかく通産省もお見えでありますから伺います。通産行政というものが中小企業に冷淡であるといことは、一つには政治性格のしからしむるところかもしれませんけれども、しかしきょうおいでいただいておりまする次長はそのことを合理的にお扱いになる立場でございますから、きっとよい御答弁がいただけると思う。こういう問題に対して、大企業も中小企業もありますが、労働者の資質を引き上げるという問題について、ほんとうは通産省がこういう問題に対してはやはり片棒をかつぐ性質の法案であると考えております。こういう点に対して、時間もありませんので大ざっぱな質問で恐縮でありますが、通産行政の中でこの法案に対する具体的援助、協力の御所見をこの際伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/141
-
142・川瀬健治
○川瀬説明員 中小企業の組合等が技能者を養成するための施設の設置その他につきましてどの程度の具体的な計画を持っておるかという点でございますが、私どもの方に希望が出ております点からながめてみますと、積極的にやっていこうというための具体的な計画というのをほとんど聞いておりません。従って私どもといたしましては、現在のところ具体的な、どういう業種について、どの程度の施設を、どのくらい設けていくかということは私どもとしては持ってないわけでございます。なぜそういう情勢であるかということにつきまして考えてみるわけでございますが、結局御存じのように、中小企業者は資力に乏しいわけでございまして、どうしても直接目に見えた目前の生産関係には、足りない資金も何とかこれを調達してやっているわけでございますが、やはりその効果が多少あとでなければ現われないような事柄とか、あるいは間接的な事柄につきましては、国がよほど強く助成的な措置を講じてやるというような態勢を整えまして、それで引きずって参りませんと、みずから積極的にそこまでやっていくという点はなかなか困難であるということがその原因だろうと考えるのであります。従いまして、資力その他が足りないということで、現状においては具体的な計画は私どもの方には積極的にはあまり持ってきておりません。この法律がかりに実施されることになりますとやはりこういう法的な援助も得られる。またこれに伴いまして、予算の面も決して満足ではございませんが、ある程度裏づけもされておるわけでございますので、そういった面から中小企業者のこの問題に対する意欲も強くなってくるというふうには考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/142
-
143・樋詰誠明
○樋詰説明員 井堀先生のただいまの御質問を承わりまして、私先ほど滝井先生にも御説明申し上げたのでございますが、本法の運用は、企業の技能者の養成を通じて、非常に技術水準も上り、ひいてはそれか中小企業の振興、輸出の振興ということに結びつくことを念願している通産省といたしましては、ぜひ先生の今御指摘になったようなことが、心配でなしに、プラスの面に現われるという方向に持っていくということは、これは法案ができるときに、一応労働行政であるので、労働者にお願いするということになっておるけれども、産業面にも関係があるので、われわれの方としては、たとえば産業変動に伴って将来技能とか技術というものはどういうことが一番産業政策の面から見て必要かというようなことについて御連絡、御協力申し上げるから、いわゆるなわ張り根性というようなものを捨てて、われわれの意見も率直に聞き入れて運用していただきたいということを申しましたので、もしその通り実現するならば、今中小企業庁の指導部長からも申し上げましたように、われわれの方の関係の中小企業の施設の近代化、補助金その他についても、微々たるものではございますが、逐年ふえておりますので、こういうものとあわせて、この法律のできたということが中小企業の振興、特にその技術の向上にプラスになるということを確信いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/143
-
144・井堀繁雄
○井堀委員 時間がございませんが、今御答弁のありましたように、ぜひ一つ具体的な成果が上るように御努力を願いたい。そのためには、特に通産行政というものは結果だけを求めることにかなりきゆうきゅうとしているようでありますが、そうではなく、やはり通産行政の基礎をなす技術向上というものをそれぞれの分野において扱っておるようでありますが、ここに初めて総合的な計画として出てきた職業訓練の——職業訓練という言葉が適当かどうかについては議論があるとしても、労働者の技術水準を引き上げることで日本経済の発展を期そうという点については、争う余地のないいい方向をとっておると思います。やり方については多くの改善を要すべき点があると思うのでありますが、その中で一番大きく欠けておる点は、通産行政はこういうものに対して、たとえば中小企業の場合は共同施設などについては、通産省関係から予算を出すという形をとらなければ協力の形にならないので、そういう点については一段と御努力願って実効の上ることを期待しておきます。
時間もございませんからこの点についての質問は以上で終りたいと思いますが、委員長のお許しを得て、公益事業関係あるいは官公庁、公共企業体などを通じて労使関係が不穏な状態になっておりますので、こういう事態は、言うまでもなく労働省にとっては法律でその責任を追及されるだけではなくて、こういう事態はすみやかに解消しなければならぬと思いますので、適切な御処置をおとりになっていると思いますが、見ておりますと、事態はだんだん悪化するように拝見できる。この点に対して労働省の見解をお尋ねをし、その対策について伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/144
-
145・亀井光
○亀井政府委員 御指摘の通り、総評のスケジュールに伴いまする各産業別の争議というものが進展して参ってきているわけであります。われわれとしては労組法、労調法の建前から申しまして、できるだけこれらの紛争が自主的に解決されることを強く期待して参ってきたのでございますが、不幸にいたしまして三公社五現業の当局並びに組合の間におきましては、自主的交渉によって問題の解決をすることができず、昨年の暮れから今年の初めにかけまして、それぞれ調停の申請が公共企業体等労働委員会に出されたのでございます。同公労委におきましては十一の調停委員会を設置いたしまして、問題の解決に努力して参ったのでございますが、昨日の未明に至らまして、調停が不能に陥ったのでございます。そこで政府といたしましても、一般国民の日常生活、あるいは国民経済に大きな影響を持っておりまする、これら三公社五現業は事業の本質から考えしまして、すみやかなる解決を期待いたしまして、労働大臣が、公労法第三十三条第五号の規定によりまして、職権によって公労委に対し仲裁の請求をいたした次第でございます。従いまして労働大臣がかねて申しておりまするように、仲裁裁定が出ましたならば、政府としましては、これが完全な実施をはかるということに努力することはかねがね申し上げている通りであります。従いまして仲裁裁定が出ました暁におきましては、この三公社五現業の紛争というものは円満裏に処理されるものと考えております。
次に、大きな民間産業で問題になっておりまするのは、私鉄と炭労でございますが、私鉄につきましては、去る三十三日の日におきまして第一波の二十四時間ストライキが行われ、二十七日に第二波が行われたことは御承知の通りでございます。大手十一社を含めまして、中小の五十六社も、問題解決のために目下自主交渉が行われている段階でございまして、われわれはできるだけこの自主交渉の段階におきまして、この問題の解決されることを強く、期待いたしているのでございます。炭労におきましては、十三日から重点ストライキが無期限の計画のもとに行われておりますことも御承知の通りでございまするが、これにつきましても労使の中から自主解決のきざしが出ることをわれわれとして期待いたしております。労働省としまして、これら民間産業につきましても解決への期待と希望を決して捨てているわけではないのでございます。われわれとしましては、いろいろな角度から十分これらの問題を検討はいたしておりまするが、まだこれに対して労働省としていかなる手を打つかという段階にまでは至っていないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/145
-
146・井堀繁雄
○井堀委員 きわめて深刻な事態に当面しておりまする労使関係、ことにそれが先ほどの御報告でございますと、労働大臣の職権による仲裁の要求をなさったということでありますが、私はまことに不幸なできごとだと思うのであります。言うまでもなく、公共企業体等労働関係法の精神は、そういう事態になる前に労働省に強い義務が課せられておったわけであると思うのであります。しかしそうなったというからには、それぞれの事情があろうと思うのでありますが、実は時間がございませんので、その事情を詳細に伺ってから、労働省のとった処置が妥当であるかいなかを国会としては究明する任務があると思うのであります。時間がないのでありますから、ごく簡単でけっこうでありますが、そういう事態に入る前に、調停の段階あるいは団体交渉などによって事態の収拾をつけるように、ことに三公社五現業が政府の直轄事業であるだけに、労働省は労働者に対する保護庁であると同時に、労働省の責任国務大臣は日本の政府が行う事業に対するまた別な責任と義務が与えられておるわけでありますが、こういう関係から労働大臣としては公労法の精神を十分閣議において強調されて、しかるべき処置を事前に打つべきで、職権による仲裁を要求するような労働大臣の地位というものは、それが国務大臣でない場合ならしばらく別でありますが、国務大臣の場合にあっては、こういう点の責任は重大であると思うのであります。本来なら労働大臣にこの点は明らかにしていただこうと思ったのですが、御病気だそうであります。労政局長はその辺のいきさつを十分伺っておるはずでありますから、私に答弁するというのではなくて、国会を通じて国民にその事実を明らかにする義務があると思いますから、一つ明確に御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/146
-
147・亀井光
○亀井政府委員 今回の三公社五現業の紛争につきましては、われわれとしましても、あくまでも調停の段階で解決することを強く期待しておったのでありますが、調停は御承知の通りに、労使双方の見解の一致といいますか、それが出ない限り拘束力を持たないのでございまして、不幸にしてそういう労使の意見の一致を見ることができないために調停が不可能に至ったのでございます。それをそのまま放置しておきますならば、さらにこの労使間の紛争というものは解決するめどが立たないのでございます。もちろん労使双方から、公労法の三十三条の建前から仲裁の申請をすることもできますが、それについてはまた相当の準備の期間等を要するのでございます。事態をすみやかに解決するという趣旨からしまして、労働大臣が法の規定に従いまして各労使を代表して仲裁の請求をいたしたというのが、今回の処置の概要でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/147
-
148・井堀繁雄
○井堀委員 再び申し上げますが、この問題は公労法の精神にも明記されておりますように、労働省は一つにおいては労働者の保証庁として労働者に対する被害を最小限度にとどめて、労使関係のすみやかなる正常化のために努力する任務が一段と強まったと思うのです。もちろん仲裁裁定を全面的に尊重するということは言うまでもないところであります。さらに今はこれのみではなく、民間、特に公益性を強調されます私鉄のストライキなど、その及ぼす影響はきわめて甚大であると思うのであります。第二のストライキも予定されておる。こういうものを事前に防止する措置を労働省としては考えなければならぬ事態にあると思うのであります。具体的なことについては言及することを避けたいと思いますが、労働省の立場を十分認識されまして、こういう公益事業の紛糾がすみやかに解決するように努力することを要望いたしておきたいと思います。さらに無期限ストに入っております炭鉱の問題も、これは言うまでもなく日本の基幹産業の一つであります。それがこういう大規模のストライキに発展したということは、私は政府の政策としても猛省を促したいところであります。しかし起きた以上は、その問題の早期解決のために十分な努力をされんことを要望いたしまして、政府の御答弁を伺って質問を終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/148
-
149・亀井光
○亀井政府委員 私鉄並びに炭労につきましては、それぞれわれわれも自主的な解決がはかられることを強く期待しておりますし、われわれもまた労調法の建前から慎重にこの成り行きにつきましては見守って参りたい、かよう一に考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/149
-
150・森山欽司
○森山委員長 他に御質疑はありませんか。——なければ本案に関する質疑は終了したものと認めます。
次会は来たる三十一日月曜日午前十時より委員会、委員会散会後理事会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後五時五十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102804410X02919580328/150
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。